○工藤(晃)
委員 それは表向きの今回の
説明で、私も繰り返し伺っているところであります。しかし、現実の問題として原研法というものと
事業団法というものが
二つあって、これらの問題に関する規定が具体的に違うし、しかも役員の兼職禁止のところなどは極めて大事な問題がありますね。利審関係を持っている団体だとか企業だとかのつながりがどう入ってくるかという問題にもかかわる。これは原研の性格にもかかわる問題である。そういうときに、
二つの法体系で違いがあるものを、それこそ主体の方に合わせないで入ってくる側に合わせるということを現実にやっているわけです。だから、これは大きな問題をはらんでいると見なければいけませんが、それは、今私が挙げたことだけではありません。
例えば、原研法には三十二条に補助金の規定がございます。もちろん
事業団法にはありません。今度とうしたかというと、やはり
事業団法に合わせて補助金のことを削除すると言います。あるいはまた、これは何か細かいことに見えるようでありますが、いろいろ
考えると問題が出てきますが、余裕金の運用の問題もやはり今度は
事業団法にならしていく、こういうことになりまして、違うところはみんな
事業団法に合わせていったという結果が歴然と見られるのです。
私は、時間の限りこの問題をもう少し明らかにしていきたいと思うのですが、私が申し上げたのは今まで見た
法案の中身、概略にすぎませんが、それを見ても、
原子力基本法があって原研がつくられて、そして三原則を守るのだと言ってきた。そこへもう一つ、二元的な運営
基準が入り出して、そしていろいろ組織などに関して言いますと、今度は
事業団的な性格という方へならしていくということになってくる。ここに大変大きな問題があるということをひとまず
指摘して、次の問題に移りたいと思います。
明らかにこの
法案には重要な問題があります。それは、今言ったような
原子力研究所のあり方、それはまた同時に日本における
原子力問題の
研究開発のあり方にかかわるといいますけれども、この
法案と関連してどうしても明らかにしなければならいことは、当然「
むつ」の扱いであり、原船開発をどうするかという問題になりますね。それでその中も
考えてみますと、私は三つばかり問題があると思うのです。
これまで「
むつ」をつくってやっていくというのでやってまいりました。もう二十年たちましたね。それで、こういうことを改めて関係者の前で言うのも、私が好んで言うわけじゃありませんけれども、実際に「
むつ」が動いて
実験したというのは二十年のうち七日間にすぎない。しかも、当初は特殊貨物船をつくるというその目的にはもちろんいってないし、また舶用炉を
実験するといって荒れる海の中へ乗り出していって、一〇〇%出力して
実験するという目的に関して、いわば全然これは目的を果たすことができていない。それで、当初六十億というのが六百億にも膨れ上がってしまって、その意味で言えばこの二十年間をむなしく過ごしてきたわけですが、先ほどの
原子力委員会の新しい方針などを見ますと、これからさらに
実験航海をやっていくのだ、そのためにいろいろ新しい港をつくる。その費用を聞きますと、六百億とも一千億ともいろいろ言われるようなことになってきますが、それで果たしてこの
実験がやれるのかどうか、これもさっぱりわけがわからない。
こういうことで、明らかにここには大きな過去のむだがあったということをはっきり認めて、この問題に決着をつけるということがどうしてもなければならないと思うのです。私はもちろん、科学
技術の問題では夢もロマンもあるのは大変賛成ですが、もう二十年間こういうことをやってきたのですから、いつまでも夢やロマンでは済まない
段階になってきていることはもう明らかです。というよりも、十年前にこれは決着をつけなければならない問題だったろうと思います。こういう問題が一つ。
それからもう一つは、「
むつ」の
放射線漏れの事故をきっかけにして、いわゆる今の
事業団の
事業団体質ということが鋭く
指摘されると同時に、大山
委員会報告書の中にもはっきり書いてあるのは、この事故をきっかけにして明らかになった日本の
原子力開発全体の
欠陥ということが鋭く
指摘された。これをどう克服していくのかという問題がもう一つあると思います。
そうして三つ目の問題としては、それでは
原子力船の開発についてこれからどういう
研究開発の政策、方針を持たなければならないのか。こういうことがまず明らかにされないで、ともかく
事業団と原研を先に統合してしまおうというのは、もう逆立ちしているのじゃないか、順番が逆ではないか、このように
考えますが、どうでしょうか。