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1984-04-12 第101回国会 衆議院 科学技術委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月十二日(木曜日)     午前十時二分開議  出席委員    委員長 大野  潔君   理事 小宮山重四郎君 理事 笹山 登生君    理事 平沼 赳夫君 理事 与謝野 馨君    理事 大原  亨君 理事 渡部 行雄君    理事 小川新一郎君 理事 吉田 之久君       伊東 正義君    岸田 文武君       熊谷  弘君    佐々木義武君       保利 耕輔君    小川 仁一君       小澤 克介君    関  晴正君       松前  仰君    村山 喜一君       遠藤 和良君    小川  泰君       永末 英一君    工藤  晃君       辻  一彦君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      岩動 道行君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     安田 佳三君         科学技術庁長官         官房会計課長  窪田  富君         科学技術庁計画         局長      赤羽 信久君         科学技術庁研究         調整局長    福島 公夫君         科学技術庁振興         局長      村野啓一郎君         科学技術庁原子         力局長     中村 守孝君         科学技術庁原子         力安全局長   辻  栄一君  委員外出席者         国土庁地方振興         局東北開発室長 石井  武君         厚生省医務局国         立病院課長   古川 武温君         資源エネルギー         庁公益事業部原         子力発電課長  高沢 信行君         参  考  人         (社団法人日本         アイソトープ協         会常務理事)  佐々木秋生君         参  考  人         (社団法人日本         アイソトープ協         会理事)    水野 睦郎君         参  考  人         (日本原子力船         研究開発事業団         理事長)    井上啓次郎君         参  考  人         (日本原子力船         研究開発事業団         専務理事)   福永  博君         科学技術委員会         調査室長    曽根原幸雄君     ――――――――――――― 委員の異動 四月六日  辞任         補欠選任   小澤 克介君     川崎 寛治君 同日  辞任         補欠選任   川崎 寛治君     小澤 克介君 同月十二日  辞任         補欠選任   松前  仰君     関  晴正君   村山 喜一君     小川 仁一君 同日  辞任         補欠選任   小川 仁一君     村山 喜一君   関  晴正君     松前  仰君     ――――――――――――― 四月六日  放射線被曝線量基準緩和反対等に関する請願  (小澤克介紹介)(第二二八六号)  同(永井孝信紹介)(第二二八七号) 同月九日  放射線被曝線量基準緩和反対等に関する請願  (土井たか子紹介)(第二三三〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  科学技術振興基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 大野潔

    大野委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として社団法人日本アイソトープ協会常務理事佐々木秋生君、同理事水野睦郎君、日本原子力船研究開発事業団理事長井上啓次郎君及び同専務理事福永博君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大野潔

    大野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――
  4. 大野潔

    大野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小宮山重四郎君。
  5. 小宮山重四郎

    小宮山委員 けさの新聞を見ておりますと、「衛星修理完了」とかいろいろ出ておりますけれども、これはチャレンジャーの話でございますが、読売新聞の三面には、通信系統ゆり号a故障と書いてあります。前にもそういう事故がございましたけれども、これを見ておりますと、放送には二チャンネル十分使える、A、B両系統が使えるような話が書いてありますけれども、この辺についてまず大臣から御説明いただきたいと思っております。
  6. 岩動道行

    岩動国務大臣 ゆり二号につきましては、順調に打ち上げられて順調に静止衛星としての準備を進めてまいりましたところ、若干の系統の部分でうまく作動しないという面が出てまいりまして、それが本日の新聞にも発表されておりますが、詳細につきましては担当の局長から御説明申し上げます。
  7. 福島公夫

    福島政府委員 お答えいたします。  本日の新聞に報道されたとおりでございますが、ゆり号aに発生したふぐあい内容について御説明申し上げますと、いわゆる放送用中継器というのが三系統搭載されておるわけでございますが、そのうち二つがいわゆる本放送に使われるもので、一つ系統予備用となっております。そのうちの一つA系統中継器がちょっとふぐあいといいましょうか、三月二十三日までは正常に作動しておったわけでございますが、スイッチを入れたときに短時間作動した後、高圧電源部保護回路が急に働くようになりまして電源が切れてしまう、そういったふぐあいが発生したわけでございます。  これにつきましては現在原因究明中でございますが、幸いなことに保護回路が働いておるということでございまして、他のシステムの方には全く影響がない、実際の本放送につきましては二つチャンネルを使ってやることができるということで、NHKの方でも五月十二日から予定どおり放送事業に入りたい、こう言っております。  ただもう一つ衛星用姿勢制御する方式でございますが、従来のやり方と違って、今度の術屋については二つ方法を入れてみたわけでございます。一つは、太陽の光をとらえて姿勢制御する方法一つは、地球から電波を送ってそれによって制御する方法、この二つ方法を実験的にやってみたわけでございます。そのうち、地球からの電波を受けて制御するところに多少のずれが生じているということはございますが、これも太陽の光をとらえて姿勢制御する方式を使うことによって問題ないということで、これも実際の放送には差し支えないということになっております。
  8. 小宮山重四郎

    小宮山委員 これは二十三日に上げたんですから、最初から故障していた疑いはなかったのか。
  9. 福島公夫

    福島政府委員 一月の二十三日に打ち上げて静止軌道に乗って、その後、三月に入りましてから試験をやっておったわけでございます。それが三月二十三日までは正常に動いていたわけでございますので、動かしているうちに何らかの故障が起きたということでございます。
  10. 小宮山重四郎

    小宮山委員 この原因の解川、これは相当時間を食うことだろうと思うのですけれども、また宇宙にあるということでございますので、そのような手続、どういうことを原因究明でやっているか、ちょっと説明していただきたい。
  11. 福島公夫

    福島政府委員 御存じのように、これは宇宙開発事業団開発しているものでございますが、これを一緒に開発している東芝及びアメリカのGEでございますけれども、そちらの方で原因と思われるところを地上からいろんなコマンドを発射して、それによってどういう現象が起こるかということを見ながら、地上におけるシミュレーションというものと合わせながら原因究明を図っております。ただ残念ながら、ある程度のことはつかめたようでございますが、現時点においては、まだ最終的にここだということはわかっておりません。近いうちに結論を得るように検討しておるところでございます。
  12. 小宮山重四郎

    小宮山委員 それは、せっかく大変な国費を使って打ち上げている問題でありますから、よろしくお願いしたいと思います。  通信衛星放送衛星については、宇宙開発事業団科学技術庁郵政省の共管のところであります。それであるからこそ、最近電電公社等通信衛星問題等については科学技術庁はどの辺のところまで関与するのか。例えば、郵政省ディジタル化をしてDDXとの相互接続、約二万五千回線分を同時に送るような人工衛星さくら二号のものあるいはそういう技術については、電電公社横須賀研究所等研究しているだけで、ほかのところでそういうような研究をやっているのかどうか、その辺についてお答えいただきたいと思います。
  13. 福島公夫

    福島政府委員 手術開発事業団中心に我が旧の手術開発は進めているわけでございまして、人工衛星開発も同じ形でやっているわけでございますが、どういった衛星開発するかということは、いわゆるユーザーの方がそのミッションについての要求を出すわけでございます。そういうことで、通信衛星内容につきましては当然ユーザーである電電公社あるいは関係官庁である郵政布の方で検討する、そこで決められたものを宇宙開発事業団の方で受けて開発を進める、こういう形になっております。
  14. 小宮山重四郎

    小宮山委員 間違いなくこれからやはりディジタル化に入っていく。交換機ディジタル、クロスバーではなくてディジタルに入る。大変大きな時代に入る。しかも衛星についてもそういう方向に向かうであろうということになれば、七万二千キロの間を往復することで、科学技術庁の分野では、宇宙開発事業団はっくったけれども、そういう方面の星とディジタル等の問題についてはどこか研究機関を持ってやっておるのか。それはもう全然電電公社郵政省通産省等民間企業に任せるのか。あるいはその星自身も、スピンをかけたものがいいのか、三軸がいいのか、そういういろいろな論争があるのでございますけれども、その辺についてもちょっと御説明をいただければと思っております。
  15. 福島公夫

    福島政府委員 ディジタル化するかどうかという、いわゆるミッションの問題につきましては、今後も恐らくユーザー最初に検討し、ユーザーがそういった技術のある程度の見当をつけていくということにならざるを得ないと思いますが、これを三軸制御でやるかあるいはスピンでやるかという問題につきましては、これは術基本体開発でございますので、事業団の方が責任を持って分担しているわけでございます。
  16. 小宮山重四郎

    小宮山委員 最近三軸の方法論は大変遅いと言われている。三軸は非常に効果的ではない。しかし科学技術庁は、三軸の方がいいんだと言っておる。しかしアメリカ等ほかの諸国、ヨーロッパもスピンの方がいいんだという考え方がある。これは論争でございます。その点についての評価をちょっとお聞きしておきたい。
  17. 福島公夫

    福島政府委員 細かい評価については、ただいま手元にございませんので御答弁できかねますが、三軸制御技術スピン技術も、日本としては、白土技術開発という点について両方の技術を習得したいということで進めてきたわけでございます。今後の実用術足になってどちらがよいのかというのは、その衛星開発する段階でいろいろとコンフィギュレーションを行っているときに、それぞれの用途に合った方式になっていくのではないかと考えております。
  18. 小宮山重四郎

    小宮山委員 そうすると、アメリカから買ってくるサテライトについては、どういうものだか私はわかりません、コミュニケーションのサテライトであることも事実であるけれども、そういうものについてユーザー云々ということになりますと、ユーザー考えてではなくて、あれはアメリカ政府に買ってくれと言っているわけであって、その辺について話が少し食い違うんではないか。アメリカ衛星の話はその後どうなったか、大臣ちょっとお聞かせいただきたい。
  19. 岩動道行

    岩動国務大臣 アメリカからの衛星購入の問題は、電電公社の調達問題に絡んで昨年の夏ごろから購入をしてほしいという話が来ておることは御案内のとおりでございます。  ただ、私ども日本といたましては、何と申しましても宇宙開発技術自前のものを持ってやっていくのが終局の目標である、こういうことで、自主技術開発という立場からできるだけ日本研究開発で打ち上げていく、こういう建前をとっていることは御承知のとおりでございます。一方、アメリカといたしましては、通信衛星購入を強く求めてきております。これにつきましては、私ども宇山開発大綱におきまして日本自主技術中心とした具体的な計画を既に持っておりますので、その具体的な計画はやはりアメリカ理解も求めて既定方針どおりに進めてまいりたいと思っております。  そういう中におきまして、その枠以外での通信衛星等実需がどのようにあるのか。これは民間企業皆さんがお考えになることでございますが、これにつきましては私どもは、民間がそのような実需を枠外でお買いになることについてはあえてこれに反対するということではなくて、むしろそのためには法律を改正して、そして需要に応じて対応させる、こういう基本的な姿勢を持っております。したがって今後とも、アメリカには日本のこのような宇宙開発計画政策を十分に理解をしてもらいながら進めてまいりたいと考えております。
  20. 小宮山重四郎

    小宮山委員 実を申しますと、民間民間という話が出てまいりましたが、きょうの日本経済新聞の中で、いわゆる経団連衛星というような話しが出てまいりました。「六十年四月一日までには新会社を設立し、六十一年には衛星を持ちたい」というお話長官経団連宇宙開発の副会長守屋さんとしているようであります。これはどういう計画でどのような内容なのか、そういうことについてお聞きしたいことが第一点であります。  第二点は、この見出しの中で、「宇宙基地開発 経団連、出資に難色 政府主導計画を要望」、これはNASAベッグズ長官が来て内閣総理大臣お話になったときに、いわゆるサミットの中でお話をされるように聞いております。しかし、最近大蔵省等難色を示している、そういう問題もひとつ絡めてもう少し詳しくお話をいただければありがたいと思います。
  21. 岩動道行

    岩動国務大臣 昨日、私ども科学技術庁並びに宇宙開発委員と、それから民間経団連にあります宇宙開発に関する主要なメンバーと懇談をいたしました。その目的の一つは、アメリカから提案され協力を求められております宇宙基地計画につきまして、およその考え方アメリカ側考え方等も先般私ども審議官が向こうに参りましてある程度具体的な話も聞いてきておりますので、そのようなことをもとにいたしまして、日本としては協力を求められた以上これにこたえなければいけない。しかしアメリカ側としては、NASAベッグズ長官はできればサミットにおいてこれを持ち出して協力を仰ぐようにしたいという御意向のようでございました。まだ正式に政府にそのような意向が伝わってきておりませんが、しかしそのようなことになることはほぼ確実だろうと思います。  したがいまして、それに対応して私どもも下準備もしなければいけない。また、極めて巨額な資金が必要になるであろうということも予想されます。したがって、宇宙基地につきましては、特に民間協力も仰いでやっていくことが適当ではないか、こういう基本的な考え方を持っておりまして、そういう関係で、きのうとりあえず民間側としてはどういう考えを持っておられるのかというお話も聞いたわけでございます。これにつきましてはまた詳しくお話し申し上げますが、その機会に、経団連の方の、これは経団連情報処理懇談会委員長であります小林さん、富士通の会長でございますが、そちらの方から、通信衛星自前で買ってやってみたいという構想があるというお話がございまして、私どもは、先ほど申したような日本宇宙開発計画とその大綱の中でそういうことが実現できるならば、それは別に差し支えないだろう。問題は、そのために法律改正も必要である。そういう中において果たして実需があるのかどうか、民間でお考えになることでございましょうが、私どもとしては、そのお話はとりあえず承ったということでございまして、これを了承するとか、あるいはいけないとかいいとかということを申したのではございません。ただ、かなり具体的にそのようなことが進むであろう、こういうお話でございました。もちろんユーザー等と広く話をして、本当にそれが必要かどうかはこれからなお検討する必要があるということも申しておられたわけでございます。
  22. 小宮山重四郎

    小宮山委員 経団連アメリカの星を買い、かつ宇宙に乗り出す、それはVAN等々いろいろな問題も絡む、ニューメディアとも絡む大変大きな問題であります。少なくとも日本全土をカバーする、あるいはアメリカ等もカバーする話であります。この点については、小さい記事ではあるけれども科学技術庁としては大変大きな問題である。  六十五年ですか、二トンのものを上げる。宇宙開発が実際こういうふうなスピードで進んでいるときに、実を言うと、そういう二トンの衛星を上げるということ自身がどうなんだという問題が一つあります。それから、ブラックボックス等々も含めていますし、技術の問題もまだまだ相当おくれている。やはりここで宇宙開発というような問題についてもう一度十分見直しておく必要があるのではないか。宇宙開発時代と言われる時代の中で宇宙開発事業団をつくったバラ色時代とは違って、新しい時代に入ったときに、衛星そのものを本気に考える必要があるのではないか、そういうふうに考えておりますけれども、この所見を大臣からもお聞きしたいと思っております。
  23. 岩動道行

    岩動国務大臣 大変に大事な点の御指摘でございまして、私どもは、新しい新電電会社ができるという、まさにニューメディア時代に突入をいたしておりますので、そういう中においてこの通信衛星の問題は極めて重要な問題であると思っております。  なお、つけ加えて申しますと、昨日のお話では、これは一時的なものである、全体の計画はもちろんそれはそのとおりで自分たち理解するけれども、今考えている通信衛星を買うという話は一時的なものである、単発の考え方のように申しておられました。しかし、それでもやはり非常に大きなVAN問題等にも関連してございますので、私どもは慎重に、関係省庁はもちろんのこと、関係皆さん方そうしてまた委員会先生方の御意見も十分に拝聴しながら対応しなければならないと考えております。
  24. 小宮山重四郎

    小宮山委員 きょう午後、大臣中国科学技術政策責任者とお会いになり、総理とともに会談をされるようであります。中国では術歴を何度か上げているはずであります。それはいろんな意味で軍事的な利用であろうと思いますけれども、この辺について大臣中国お話しになったことがありますか。あるいは科学技術庁の中でそういう問題について情報をどなたかお持ちになっているか、どういうふうな状況になっているか、御説明をいただきたいと思います。
  25. 福島公夫

    福島政府委員 中国との間では宇宙開発に関して協力して進めていこうというような話し合いは今までしたことはございません。ただ、私どもの方も世界じゅうの情報をできるだけ集めております。中国がただいま通信衛星開発して上げようというような話も入っているようでございますが、ただ、まだ今の技術レベルでは、これは静止衛星がどうかは不明でございますが、周回式衛星でもってやる、つまり一番先にアメリカが打ち上げて通信衛星に使った方式と同じようなものだというふうに聞いております。
  26. 小宮山重四郎

    小宮山委員 今中国の話が出てまいりましたから、宇宙の話はひとまずおいて、大臣も再三接触しておるようでありますし、原子力産業会議の方も何度か使節団を送って中国側との話し合いをしている原子力の問題であります。  原子力は大変いろんな問題が絡んでおりますし、宇宙と同じように、原子力基本法等々にも平和というような問題が書いてあります。そういうようなことから考えまして、まず第一、日中で原子炉についてどのような話が今まで経過的に行われておるか、御説明をいただきたいと思っております。
  27. 岩動道行

    岩動国務大臣 まず中国との原子力関係でございますが、基本的には私ども中国との間に原子力協力協定というものを結ぼうということでたびたび折衝を重ねてきております。まだ結論に至っておりませんが、五月から六月にかけてまた交渉を進めるというような段階になっております。これはあくまでも原子力平和利用という日本基本姿勢もとにして進めてまいっております。  そういうような協力協定ができる前に、具体的に中国秦山原子力発電所における圧力容器の輸出の問題が起こってまいりました。これにつきましてはかなりの回数を重ねて交渉をいたしまして、特に私どもは、原子力委員会で決定し、また国是にもなっております原子力平和利用は、国内においてのみならず海外との関係においても平和利用という理念を貫いていくべきだ、こういう基本姿勢折衝をいたしました。その結果、中国側との文書交換によりまして、秦山原子力に対する圧力容器平和利用に限るという話し合いができました。また使用済み燃料等につきましても、中国を訪問することによってその平和的な利用ということの保障を得るような体制ができたわけでございます。これは既に文書交換ができておるわけでございます。したがいまして、これからは協力協定の方に力を入れてまいりたいと考えております。
  28. 小宮山重四郎

    小宮山委員 平和利用に使うということは、とりもなおさず核拡散防止条約等の問題が絡んでまいります。IAEA査察も必要となるはずであります。この辺についての事情はいかがになっておりますか。
  29. 岩動道行

    岩動国務大臣 中国は御承知のように核防条約に入っておりません。そして核保有国でございます。したがいまして、私どもは、中国との原子力関係はいかにして平和利用保障を取りつけるかということにあるわけでございます。中国IAEAに本年加盟をいたしました。したがって私どもは、核防条約に入っていただくことがまず一番よろしいとは思いますが、少なくともIAEAにお入りになりましたので、それの査察についてはできれば自主的に、いわゆるボランタリーの姿でもよろしいから査察を受けることが望ましい、こういうことで私ども方毅さんにもそのような旨はお伝えをいたしております。
  30. 小宮山重四郎

    小宮山委員 核拡散防止条約についてはどういう意向を示しておりますか。
  31. 辻一彦

    辻政府委員 日中の交渉につきましてはただいま大臣から御説明したとおりでございますが、御承知のように、中国IAEAには最近加盟いたしましたけれども核防条約についてはまだ批准するという段階に至っておりませんし、現在のところ中国国論としては、これに反対するプロポーションをとっておるわけでございます。  また、IAEA査察の問題につきましても、現状においては中国国論として、これを受け入れるという段階ではございません。したがいまして、今後日中交渉に行きます場合に、これらの問題が議論の一つとなるということは間違いないことであろうかと思います。  ただ、秦山発電所に関します日中協力の問題につきましては、具体的な対象となるものが圧力容器だけでございます。圧力容器平和利用の確保並びにこれが平和利用が行われていることをどうやって確認するかということが問題となったわけでございます。これにつきましては、我が国の求めに応じて中国側関係機関日本側関係者が招聘される、そこでこれを見るということによって平和利用の確認がとれるということで、圧力容器に関しましてはそういうラインで決着がついておるということでございます。
  32. 小宮山重四郎

    小宮山委員 圧力容器だけだということでございますけれども、聞くところによれば、中国は軽水炉等について日本あるいはアメリカからぜひ入れたい、そして自国の原子力発電を発展させたい、そういう科学技術の水準、レベルあるいはノーハウ等々、いわゆる金属、素材等の勉強をしたいという話を聞いております。しかし、IAEAに入ったということは、ある意味では査察を将来受け入れる意向があるのかないのか、これはIAEAに入ったことで査察は要らないのか、そういうような問題は、局長かどなたか、その辺の見解をちょっと聞かしていただきたいと思います。
  33. 中村守孝

    ○中村(守)政府委員 中国は、今先生御指摘のように、IAEAに加盟したわけでございますが、IAEAに加盟したこと即査察の受け入れということではございませんで、今我々との間での話し合いの過程においては、中国側が今すぐIAEA査察を受けるというような意思はどうも持っていないようでございます。
  34. 小宮山重四郎

    小宮山委員 そうなると、圧力容器だけを我々は出し、あとの軽水炉なり、どのような本体が出ていくか知りませんけれども、そのようなことについては大変難しい問題になるだろうと思います。その辺についていかがでございますか。
  35. 中村守孝

    ○中村(守)政府委員 秦山発電所につきましては、圧力容器だけが日本技術として輸出されるわけでございますが、今後の問題として、先生御指摘のように、各般にわたる原子力平和利用技術というものが中国との協力関係において輸出されることがいろいろ考えられるわけでございます。そういう日中間の協力を深めていくにつきまして、原子力につきましては原子力協力協定を結ぼうということでございまして、既に三回ほど向こう側と交渉を行っておるわけでございます。  その原子力に関する協力につきましては、協力分野をどういうものにするかというようなことにつきましては双方にそれほどの意見の差はないわけでございますが、先生御指摘のような平和利用の担保をどうするかという点につきましてはまだ種々検討を要する点がございまして、秦山につきましては、一応その協定ができるまでの間、日本政府の求めに応じまして日本関係者秦山発電所に招聘されるという形をもちまして、日本から輸出した圧力容器並びにそこから派生するものにつきまして平和利用されているかどうかについて確認するという行為が行われるということになるわけでございますが、これをさらにほかの原子力施設について一般的にどう適用していくかということ、これが今後の原子力協力協定折衝の過程においての一つの課題でございます。  先ほど大臣からも御説明ございましたように、できればIAEAのボランタリーの査察を受けるというような形になれば、まあそれはほかの国とのバランスにおきましても理想的なことでございますが、必ずしもそういう方法でなくても平和利用が担保し得るような方法が見出せるかどうか、今後十分中国側と検討をし、討議をしてまいりたいと考えておる次第でございます。次回の交渉につきましては、この五、六月ごろにまた交渉が行われるということになっております。
  36. 小宮山重四郎

    小宮山委員 原子力協力協定がいつ結ばれるかというようなことも目途がわかっていないのであろう――わかっておりますか、その辺は。ちょっと説明してください。
  37. 中村守孝

    ○中村(守)政府委員 原子力協力協定がいつごろ結ばれるかということにつきましては、できるだけ早く日中の友好親善のために結びたいということで鋭意折衝をしておるわけでございますが、先ほど申しましたようなことで、既に三回交渉しておりまして、またこの五、六月ごろにやりますが、今いつそれが合意に達するかというところについて明確に見通しを持っておるわけではございません。
  38. 小宮山重四郎

    小宮山委員 そのほかに科学技術協定はどうなって、その後そういうものに基づいてどういうふうに進展しているか、どなたか御存じだったら答えてください。
  39. 村野啓一郎

    ○村野政府委員 日中間には御指摘のように科学技術に関します協定がございまして、それに基づいて事務レベルで合同委員会というものを毎年一遍ずつ開いております。既に二回目を本年開きまして、ここにおきまして先方と日本側との双方の意見を出し合いまして、共同研究をやっているのが実情でございます。特にこれは科学技術庁関係でございますけれども、金属のニオブというのがございますが、ニオブを含みます鉄鉱石が中国にたくさんございます。これを利用いたしましてニオブも抽出する、同時に鉄鉱も製錬する、そういった技術開発を共同研究でやっておりまして、現在かなりの面で成果を上げておる段階でございます。そのほか、関心のあります項目につきまして今後さらに共同研究を推進するということを考えております。
  40. 小宮山重四郎

    小宮山委員 今中国の話をずっと続けてまいりましたけれども、ことしの三月二十三日の朝日ジャーナルの中にこういう記事がございます。「西ドイツの原子力発電所がこの一月に、およそ一兆四千億円の貯蔵料を支払って四千トンの放射性廃棄物を中国に引き取ってもらい、ゴビ砂漠などの人里離れた場所に貯蔵させる契約を結んだのである。」こういう事実は御存じでございましょうか。
  41. 中村守孝

    ○中村(守)政府委員 そのような話につきましては、実はちょっと正確な会社の名前は忘れましたがヨーロッパの会社とそれから中国の、名前をちょっと忘れて大変恐縮でございますが、公司との間でそういう話が進められたということはあるようでございますが、西独政府中国政府もいずれもこの問題については関知していないといいましょうか、政府が関与しているものじゃございませんで、民間会社同士の話というぐあいに聞いております。したがいまして、両政府ともまだ認めていないことでございますので、その実現性については疑わしいということでございます。
  42. 小宮山重四郎

    小宮山委員 そうすると、この記事は、まだまだ実際に西ドイツが中国政府と契約を結んで廃棄物を中国国内に国内貯蔵を決定していないと考えてよろしいわけでございますね。
  43. 中村守孝

    ○中村(守)政府委員 決定していないということでございます。
  44. 小宮山重四郎

    小宮山委員 わかりました。  さて、廃棄物の方の話に入ってまいります。最近、米国で原子力発電の建設中止が非常に続いております。これは、一説には米国の高金利政策やあるいは工期等々いろいろな問題がございまして、この朝日ジャーナルの中にもそのような話が随分載っております。「ニューヨーク州のショーハム原発のように、予定より一〇年近く遅れ、当初の見積もりの一五倍の資金を投入したのにまだ完成しないというケースもある。」そういうようなことでございますけれども、それだけでは私は、アメリカ原子力政策の中でTMIだけ、あるいはこういう高金利だけで話が終っているとは思っておらないのであります。  大臣、どうでございましょうか、この辺のアメリカの原発がなぜ進まないのかというような御意見、個人的な御意見でもよろしゅうございますから、お聞かせいただきたいと思います。
  45. 岩動道行

    岩動国務大臣 詳しいことはまた担当局長から御説明申し上げますが、私が聞いている範囲では、やはり世界的にまず構造不況があって電力の需給が緩和しているということ、それから油の値段が下がったこと、またアメリカにおいては安全性についてさらに高規格のものをつくっていかなければいけない、したがって建設コストがかなり高くなる。そこへ高金利あるいは物価上昇といろいろ経済性について、アメリカの中での電力会社自体が資金調達になかなか容易でない場面に直面をしている。一方、アメリカの電力会社は、御承知のように日本とは違いまして極めて小さなものが多数あるわけでございます。したがって、そういう能力の問題が一つ基本的にあろうかと思います。また一方、私の聞いておりますところでは、各州ごとに電力料金が決められておるということで、その電力料金の決め方についても、そのような原子力発電でうまく経済性が保てるかどうかというような点もあるようでございます。一方、御承知のようにアメリカにおきましては、みずからの油もありますればあるいは石炭というものもございます。  そういったようないろいろな面からの状況で、ただいまそのように原子力発電の計画が中止されたり、また過去においてもかなりの数がそのような状況できておりますが、最近それがやや目立つ、こういう状況でありまして、日本とはかなり実情が違うと思っております。
  46. 小宮山重四郎

    小宮山委員 いろいろな問題がありますけれども、まあなかなかアメリカの実情等も、そのようなことがどういうふうになるのか、あるいは企業体そのものが小さいということもあって、しかも能率が非常に遅いようなこともございます。  一つお伺いしたいのは、先ほどの西ドイツの廃棄物の問題で、やはりこの朝日ジャーナルの中に載っかっておりますいろんな問題がございます。ガラス固化体となったものが濃縮されて一千倍になるとかあるいは爆発するとか、いろいろな記事が載っかっておりますけれども、今、日本はどのような形で程度の高い廃棄物、高レベルの廃液、廃棄物については処理をして、かつ低レベルのものについてはどのような形にしているか、まずその点から御質問申し上げておきます。
  47. 中村守孝

    ○中村(守)政府委員 原子力発電に関連します廃棄物につきましては、まず高レベルの廃棄物はいわゆる使用済みの燃料を再処理する過程において出てまいるわけでございまして、今国内においては東海村にございます動力炉・核燃料開発事業団の再処理工場で再処理をしておるわけでございますが、そこでは再処理の過程におきまして液体の形で高レベルの廃棄物が出てまいります。これは現在、再処理工場の構内にございます廃液タンクに貯蔵をしておるわけでございます。将来的に申しますと、これをガラス固化いたしまして、数十年その熱が下がるまで地上で保管した後、最終的には地下の深層に処分するというような形になるわけでございます。  このガラス固化の技術につきましては、既にフランスは技術の確立をいたしておりますが、我が国では今動燃事業団におきまして鋭意研究開発を進めておりまして、既にいわゆる放射性のない、コールドの状態と申しますが、それについては技術はかなり詰まっておりまして、現在放射性のものを使いまして実験を続けておるところでございます。  さらに、外国に使用済み燃料の再処理をお願いしてございますが、これにつきましてはガラス固化した形で日本に送り返されるという形になりますので、このガラス固化されたものを安全に保管をするという形になるわけでございます。  それから、低レベルの放射性廃棄物につきましては、当然のことでございますが、まず減容処理を行いましてできるだけその量を少なくする。それは焼却処理その他いろいろな方法がございますが、それによって処理しましたものを敷地内に現在安全に貯蔵してございますが、これを最終的な処分に持っていくにつきましては、海洋処分及び陸地処分の両方を併用していく考えでございます。  海洋処分につきましては、既に試験投棄ができる体制にございますが、国際的な御理解をいただくという意味での努力を今続けておるわけでございます。さらに陸地処分につきましては、当面は発電所の構外の敷地、今構内にためておりますが、これを構外に集中的に長期的に貯蔵するような方法というものがさしあたっての有効な方法ではないかということで、この方策を進めるべく現在私どもの方でもいろいろ検討いたしておりますし、その試験を行うための地点等も探しておるというような状況にございます。
  48. 小宮山重四郎

    小宮山委員 産業廃棄物、いわゆる低レベル、高レベルの廃棄物等々を入れると、朝日ジャーナルには電力コストはもっと高くなるのではないかというようなことが書いてあります。この辺についても一つ問題点が残るのだろうと思います。今、原子力発電が一キロワットアワー当たり十二円五十銭だ、石油が十七円で一般水力が二十円であるというようなことが書いてあります。そういうことから考えますと、そういうものを入れれば相当高いものになるのかもしれません。この辺についてもコメントをいただきたいと思います。  どうも私たち、これだけ豊かになると、省エネルギーというような問題をお忘れになっているのではないか。省エネルギーをやるということは、国民全体が省エネルギーをやることによって一つ原子力発電所ができるのだという考え方を、科学技術庁は肝に銘じて大勢の方々にPRをしていただきたいと考えております。だから、コストが安いからということだけではないのであろうと思います。そういうこともぜひ考えていただきたいと思っています。  それから、この本の中にもう一つこういうことが書いてあります。関西電力が計画中、東京電力が建設中の原子炉の中で規格化、標準化を進めることによって一〇%ぐらいあるいは一五%、二〇%ぐらい安くなる。今まで余り事故が起きていない、「耐震性についてコンピューター解析を進めた結果、従来の安全基準を一〇〇とすれば、七〇ぐらいのレベルで十分だと分かった」、「豊富すぎる安全性」とかいうようなことを、あたかも電力会社が言ったように書いてありますけれども、これは大変な間違いであろう。安全性はあくまで安全性であり、一〇〇%ということではなくて、あくまで一二〇%、一五〇%の安全性を求めるのであります。そういう意味でも、回転率がいいからといって、あるいは耐震性に強かったからといってそのようなことではないということを、ぜひ電力会社等にも十分伝えていただきたい。  しかし、科学技術庁としてはこれから、これは通産になるかもしれません、原発を進める場合に今後とも規格化、標準化を十分進めていく意向である。今までそれぞれの原子炉は皆違った出力を持っております。そのようなことがあれば、やはりコストが大変むだであるということも事実であります。その辺についての御意見をお伺いしておきたいと思います。
  49. 岩動道行

    岩動国務大臣 原子力発電のコストについては、ただいま先生がお示しのように一キロワットアワー十二円五十銭、石油の方は十七円、石炭火力でも十四円、LNGで十七円、一般水力が二十円、こういう数字が出ているわけでございます。したがって、この面に関する限りは経済性は確かにまだあるわけでございますが、次第に核燃料サイクルということも考えていきますと、やはり原子力の経済性ということは十分に念頭に置いてこれから進めていかなければならない。  そういう意味で、先般の原産会議で有沢会長から原子力発電に関する経済性というものの見直しが唱えられたわけでございますが、私どもは、これはあくまでも安全性を第一義として、その大前提の中においてコストの軽減を図っていくべきものだという御意見と承って、そのような基本姿勢もとで、まず第一義的には通産省でコストダウンにつながるようなことはお考えをいただき、また、今先生の御指摘のように、私どもも安全性については責任を持っておりますので、あくまでもそれを損なわない限度において経済性を発揮させるという指導はしてまいりたいと思っております。
  50. 小宮山重四郎

    小宮山委員 原子力の話が出ましてずっと続いておりますけれども、四月五日の読売、日経、四日のサンケイに、むつ小川原の核燃料サイクルの問題が出ております。これはやはり大変大きな問題でございます。この中に、電気事業連合会の会長あるいは東北電力の社長が今月二十日にも青森県を訪れ、民間の使用済み核燃料再処理工場と、原発用ウラン濃縮工場、低レベル放射性廃棄物貯蔵施設の核燃料サイクル施設をむつ小川開発地域を中心に建設をしたいと北村青森県知事に正式に要請する、と書いてあります。これは日本原燃サービスなどが出資する民間会社が建設の予定で、通産省や青森県に内々打診している。しかもその下の方に、「政府からも話があることが望ましいが」というその前文に、「電事連を代表する東京電力あたりが、県に核燃料サイクル基地建設を要請してきそうな感触がある。」というふうに書いてあります。これは読売でございます。  日経は、同じような意味のことを、六月にも青森県の北村知事に同県内にウラン濃縮、使用済み、低レベル等々というようなことを書いてありまして、やはり近いうちに視察するような話であります。それからサンケイも、今月中に電事連の会長が青森市で北村知事と会談する見通し、要請があった場合、地元市町村などの意見を広く聞く必要があり、今ははっきりしたことは言えないと書いてありますけれども、これまで相当はっきり出ております。はっきり出ておるということは、そういう予定を科学技術庁長官が――二十日というのはもう目の前でございます、そういう計画があるのかないのか、ちょっとお聞きしておきたいと思います。
  51. 中村守孝

    ○中村(守)政府委員 御指摘の青森県下北半島におきます核燃料サイクル基地についての新聞記事については、私ども承知しておるわけでございまして、その新聞記事が出ましたときに、電気事業連合会の方に私直接照会したわけでございますが、その段階におきまして電気事業連合会として正式にそういうことを決めたことはない、こういう報告でございました。  現実問題といたしまして、下北半島につきましては再処理、廃棄物処理あるいは濃縮、そういったもののサイクルについて、今電気事業者サイドでいろいろ検討しておりますので、その中での一つの有力な地点として検討がなされているということは実態としてあるわけでございますが、正式に電気事業連合会として要請をすることが決まったということはないと承知しておる次第でございます。
  52. 小宮山重四郎

    小宮山委員 あなたの言うのは、サイトが決まったということではないということですな。
  53. 中村守孝

    ○中村(守)政府委員 さようでございます。サイトとして決めたわけではないということでございます。
  54. 小宮山重四郎

    小宮山委員 では、二十日に見に行くということは聞いておりますか。
  55. 中村守孝

    ○中村(守)政府委員 私どもは、そういう話を直接電気事業者の方からは聞いておりません。
  56. 小宮山重四郎

    小宮山委員 わかりました。しかし、二十六日の朝日新聞の記事の中に漁業権云々の問題が出ておりますけれども、「今年も延期を打診してきた。上水道造りなど、原発を見込んだ先行投資も続けたが、もう村の財源もない。原発依存はやめたい、といいたいところまで追い詰められました」、そういうような実情も地元にはございます。ですから、東北電力あるいは電源開発あるいは東電等々がそういうことをおやりになるなら、それは「むつ」とは別の問題であります。何も隠すことはない。そういうことでお考えになって、積極的に基地をつくることが地元下北にとって大変有利になるのではないかと思います。  私は、これからまだいろいろな質問したい問題がございますけれども、時間がもうあと十分でございますが、こういうことがございます。この三月十七日――私はきょうは全部新聞を主体として質問をいたしておりますので、それについてお答えいただきたい。後ろでいろいろなことを言っていらっしゃるけれども、私は新聞中心に言っておるのであります。  例えば「時機失した「むつ」廃船論議」という中で大変大きな問題がございます。「例えば、二月十九日付本紙「座標」は、これまで「むつ」に要した費用五百九十六億円のうち、船と施設に百三億円、放射線漏れの遮へい改修工事などに九十億円」、残りの多くは地域対策に使ったということでありますけれども、北村知事はそうではないんだ、いわゆる地元対策費は三十七億、長崎県分が二十五億、青森県分が十二億、最近五億足してありますけれども。そういうようなことでございますから、五百九十六億のうち、いろいろ差し引きすると実際はやはり三百四十三億ぐらいのものではないか、人件費がほとんどだということ。この北村知事の話はお読みになっただろう。お読みになった人がいたら手を挙げて、これは間違いございませんかということで、どうですか。
  57. 岩動道行

    岩動国務大臣 小宮山先生おっしゃるように、私も大変深い関心を持って読みました。その中に、地元に対する対策がばらまきだったというようなことに対して、それはもう本当に間違いだ、むしろ地元の方が協力をしたんじゃないか、国の要請によって協力したんだ、しかもそんなにべらぼうなものをめちゃくちゃにもらっているというわけではないんだ、こういったようなお気持ちがそこにあらわれておったと思います。  ただいまお示しのように、私どもは昭和五十七年度決算ベースで四百八十六億円使っておりますが、その中でいわゆる地元対策費としては三十七億円程度でございます。しかし、これが少ないとは申しません。やはりそのときそのときの状況に応じて地元と十分にお話をし、地元の御協力もとにそのような対策を講じてきておるわけでございまして、北村知事のお考えに対しては私は同感をいたしているところでございます。
  58. 小宮山重四郎

    小宮山委員 まあ自衛隊と同じで、人件費が半分だということです。大体はわかりました。  あと十分ございませんので、非常にピッチを上げて予定分だけある程度、まだ全部終わりませんけれども、がん対策のことについてお伺いを申し上げておきます。  がん対策閣僚会議というのが昨年の三月十五日に閣議了解でできておりますけれども、その後、がん対策閣僚会議なるものは何度開かれましたか。
  59. 古川武温

    ○古川説明員 がん対策関係閣僚会議は昨年三月以来二回、御質問の時期以降でございますが、これからできるだけ近い機会に開きたい、こういうふうなことでございます。
  60. 小宮山重四郎

    小宮山委員 まあスローガンはがん対策十カ年総合戦略と非常にいい名前ですけれども、もう少しフリクエンシーを上げていただいて、やはり研究者がエンカレッジできるように、科学技術庁長官、ぜひそのようなお計らいをいただきたい。  じゃ、がん対策専門家会議は何回開かれておりますか。
  61. 古川武温

    ○古川説明員 がん対策専門家会議は、昨年の四月以来、四月、五月、六月と三回でございます。
  62. 小宮山重四郎

    小宮山委員 これも大変少ないだろうと思います。十カ年計画で、たまに思い出したようにやっていたんでは仕事にならない。長くやっていてもいかぬだろうと思います。  ただ、いろいろな希望的な問題がございます。発がん遺伝子のメラノーマ、これは日本で見つけた皮膚がんの系統でございますけれども、あるいはアメリカの膀胱がんの発がん遺伝子、どうも遺伝子が違うようだというお話を承りました。自由民主党の中で遺伝子だけの勉強会をやっております。そこで代表をやっておりますからいろいろなことを聞きますけれども、これから発がんの第一原因であると考えられるイニシエーダーを見つけ出すということは、ただ単にお医者だけが集まるということでなくて、DNAという一つの新しい組織の中でやるのですから、そういうものを見つけるのですから、大変時間も食うし、大変気まぐれであるし、そういう意味でも厚生省、科学技術庁等々もやはり真剣になってやらなければいけない。パイ中間子というような仕事をやっておりますけれども、なかなか調査費だけで、実際言って実働をいたしておりません。かつ役所に聞けば、そのようなことはないとおっしゃっておりますけれども、私立大学で勉強すると、なかなか金を出しませんよ。厚生省も文部省も出さないのですよ。これは科学技術庁も言えるのです。そういうようなことは大変お役所偏重であります。一科学技術庁の中で宇宙開発事業団というのは、動燃事業団と違うところは、宇宙開発事業団はタイトルを持って理事になれるのです。動燃事業団は、東大の教授あるいは名大の教授、京大の教授をやめてこなければなれないのです。私はそれでは人が集まらない、やはり個性豊かな人を二十一世紀に育てるためには人間をどう集めるか、研究体制をどうするんだ、そういうことをやっていただかなければいけないのであろうと思います。予算もなかなか、一けた。これは予算の計算の問題が相当ございます。しかし、日本は皮膚がん等のようなものを発見してきた、やはりこれからが開発のことでございます。  もう一つは、これは科学技術庁長官に閣議の中で提案をしていただきたい。例えば、医学部を受ける人が、私の知っているのでは、東大の大学院を出て、カリフォルニア大学の生物を大学院でマスター、ドクターを取った者が、もう一度日本の大学の医学部に入るときには、クレジットのトランスファーはない。もう一度一からやり直さなければいけない。生徒が先生より知っているというばかげた状況がある。こんなことでは授業になりません。教授から助教授、講師、一連の動きであります、今コンピューターなどのことを聞きますと、医者の方では特に一番わからないのが経営者であり学校長、学長であり総長である。次にわからないのが教授だ、次にわからないのが助教授だ、一番知っているのが助手と講師だということであります。その次に学生だという話であります。これから個性豊かな、新しい時代の中でこのような発がん等々の、日本人だけではない人間の生命を尊重する研究については、やはりもう少し水平思考的な物の考え方を十分やっていかなければいけない。機構をつくったから物ができるのではございません。そういう意味でも、小児がんなどの問題についても大勢の方々、外国から六人ぐらい来ているようですけれども、もっともっと交流が行われて、悩めるお母さん、お父さんあるいは死と直面している人たちに希望を与え、夢を与えてやるようなことは、やはり組織をもっとしっかりして、二十一世紀に向かって大きな進展をするべきであろうと思う。ただ単に縦割りだけではございません。  これは最後でございますので、ぜひ科学技術庁長官にお願い申し上げておくことは、研究機関あるいは大学でクレジットのトランスファーができるように何としてでもやっていただきたい。例えば、科学技術庁へ入ってきた東大あるいは京大で物理をやっていた人たちが生物をやろうとしたら、もう一回一からやり直さなければだめだ。アメリカはトランスファーがあって、日本国内はトランスファーができない、クレジットのトランスファーができないような学校教育なんというのは、私は意味がないと思う。制度あって人はないんです。そんなところに権威者はないんです。私はそういうふうに感じます。  科学技術庁長官、そういうことだけでも閣僚会議を開いた方がよろしい。例えば今、このかん僕滅十カ計画、一年の間にたった二回しかやらないのならやらない方がいいと思います。もっとすばらしい、若い人たちの個性が生きるようなシステムをつくるように、ぜひ教育制度、教育改革――教育臨調などと言っておりますけれども、あれは偏差値なんです。偏差値が一〇〇%とれる人がいないから、偏差値をもっと下げるというのが私の主張です。しかし、いわゆるクレジットのトランスファーなどは、内閣総理大臣や文部大臣が決意し大学協会にある程度の命令をすれば、できることなんではないでしょうか。それができないから海外の子弟が入学できないんじゃないですか。筑波大学ではやっていますよ。フランス語できる子、ドイツ語できる子、日本語できない子をその中へ入れて教育している。やればできるんです。大臣、最後ですから、その所見をお伺いして私の質問を終わらしていただきます。
  63. 岩動道行

    岩動国務大臣 大変貴重な、また重要な御意見をちょうだいいたしました。  おっしゃるとおり、研究は組織だけでできるものではなくて、やはり人が大事であります。と同時に、日本の縦割り行政、縦割り研究機関というものが大きな阻害になっていると思います。そういう意味で、私どもは科学技術会議というものを十分に活用していかなければなりませんし、また予算の面におきましても科学技術振興調整費というようなものを十分に活用して、そうして研究システムの流動化を図っていく、こういうことで努力をいたしておりますが、具体的にただいまお示しのクレジットのトランスファーということは大変大きな科学技術促進のための要素であろうと思いますので、私ども政府において十分にこれを検討して進めてまいりたいに思います。また閣僚会議も、予算も通りましたので、ぜひ近いうちに開かせていただきたいと思っております。
  64. 小宮山重四郎

    小宮山委員 ありがとうございました。
  65. 大野潔

  66. 小澤克介

    小澤(克)委員 三月二十七日の当委員会における、日本アイソトープ協会の岩手県滝沢村におけるラジオメディカルセンターに関してお籍ねいたしたいと思います。  その前に、きょうは日本アイソトープ協会から参考人お二方おいでいただきまして、まことにお忙しい中を御苦労さまでございます。  そこで、まずお尋ねいたしますが、去る一九八二年の十二月十七日、日本アイソトープ協会の関係者と目黒今朝次郎参議院議員と会見をした、こういう事実がございますでしょうか。
  67. 水野睦郎

    水野参考人 私、アイソトープ協会理事を務めております水野でございます。  今の御質問にお答えをいたしますが、日にちは明らかではございませんが、目黒先生と数回お会いしたことを記憶しております。
  68. 小澤克介

    小澤(克)委員 その際に、RI協会として、今まで地域住民に対する説明が十分でなかったので、今後地権者のみならず近隣住民、とりわけ玉山村それから北上川流域市町村、それらの理解を得るための努力をする。それからまた、ラジオメディカルセンター、RMCと略称いたしますが、RMCに関係する厚生省、科技庁、RI協会、県当局、村当局、議会、現地住民を一堂に会して、さらに問題点を整理するための場を設定する、こういうお約束をしたのではありませんでしょうか。
  69. 水野睦郎

    水野参考人 私が記憶しておりますのは、今小澤先生からおっしゃられたとおりだと思います。むしろそのときに、いろいろ目黒先生から感想などをお述べになりまして、我々の努力が足りなかった点などについて御指摘いただいたというふうに記憶しております。
  70. 小澤克介

    小澤(克)委員 その約束に従って、その後どのような協会としての行動をなされましたでしょうか。
  71. 水野睦郎

    水野参考人 その後、私どもが御指摘いただきました点、地元に対する説明が足りないのではないかという御指摘に対しまして、これは私ども会長茅誠司が教育者の立場からいつも申しておることでございますが、反対をされる方々を含めまして、アイソトープの知識普及に関してと同じようにこのRMCの周知に関して努力をしなさいという指示もございました。  その後、反対派の方々に連絡をとろうと努力をいたしました。例えば電話などでいろいろ御連絡をいたしますのですが、なかなかにうまく連絡がとれないというようなことがございました。しかしながら、何回か努力を続けてまいったと思います。私が記憶しておりますのは、その後、六月ごろになりまして、用地に関して環境整備をしたいというようなときにも先生にお話をいたしまして、その点御報告を申し上げながらその仕事に取りかかったというような経緯でございます。
  72. 小澤克介

    小澤(克)委員 小川委員から関連質問したいということがございますので、お願いします。
  73. 大野潔

    大野委員長 関連質問の申し出がありますので、これを許します。小川仁一君。
  74. 小川仁一

    小川(仁)委員 ただいまのお話を聞いておりましたが、反対派住民というお話でしたが、玉山村は村議会も農協も反対決議を上げておりますけれども、村当局はむしろ会いたいと言っておりますので、お会いしたが連絡がとれないというお話はちょっと腑に落ちかねます。本当に玉山村とか玉山の農協の方に連絡をなさいましたでしょうか。
  75. 水野睦郎

    水野参考人 私どもが仕事を進めております地域は、先ほど御指摘がありましたように岩手県の滝沢村でありましたので、私ども当初滝沢村役場もしくは村議会に対してこの仕事の説明をいたしました。実際にこの一本木地区に決まりましたのが、まあ決まりましたというか私ども決めさせていただきましたのが……(小川(仁)委員「連絡をとったかとらないかだけ聞いているのです」と呼ぶ)六月でございまして、その六月には村当局に対しては何度か接触をして御説明いたしました。ただ農協については私存じておりません。
  76. 小川仁一

    小川(仁)委員 ここに「ラジオメディカルセンターのしおり」というのがありまして、茅会長が一文を草しておられます。これが会長である茅誠司会長の決意あるいはラジオメディカルセンターに対する考えだろうと思っておりますが、この文章を読み上げるまでもないことでありますけれども、この幾つかの点を茅会長の精神に沿いながら御質問を申し上げたいと思うのです。お聞きしますことに対して、なるべく簡潔にお答えをいただきたいと思いますので、その点をあらかじめお願いを申し上げておきます。  この文章で、「私がお約束いたします。」こう書いております。これは会長としてのお約束だと思いますので、非常に責任のある、しかも今まで茅会長という方は平和委員会その他で活動しておられた、こういう御経歴も文章の中にお述べになり、非常に民主主義的な方であるという前提を置きながらお聞きいたしますが、この設置について茅さんは本当に全責任を負われるつもりで「私が」という表現を使っておられるということを私自身も感じておりますので、以下質問を申し上げますのでお答えを願いたいと思います。少し長くなりますけれども、質問点を整理して申し上げます。  まず、この文章の中で、安全管理の面で御迷惑をかけない、こう言い切っておられます。これは大変結構なことです。しかし、それ以前の問題として、地元民は大変迷惑だと思っているわけです。今お話のありました滝沢村も玉山村も、玉山村だけで五千人もの反対署名が出ておる。しかも、言ったように村議会も農協も反対決議をしておられる。民主主義を標榜しておられる茅会長でございます。このような住民や土地を接した隣の村の議会が反対決議をしておられるという状態において、村民の意思あるいは隣接町村の意思をお聞きになる意思がおありだと思うのです。きょうは会長おいでになりませんけれども、かわっての御答弁でも結構ですし、後で会長のお考えをお知らせ願えばありがたいと思います。これが第一点です。  それから、先ほどのお話の中で、該当した村だけをお話しになりましたが、玉山村というのは一本木地域と土地を接しております。しかも風下であり川下でございます。それだけにいろいろ危惧をしております例えば排気あるいは排水、こういう問題については、もし被害あるいは事故が起こったとき、一番もろに影響を受けるのがこの地帯でございます。ここに対して、設置地域じゃないからということで、けんもほろろのごあいさつをしておられる。これは同時に岩手県では北上川流域で北上市等も反対決議をしておられる。県全体の課題として御認識をしておられると思いますが、そういう状況の中で、隣の村、隣の村民を無視されたという理由は一体どういう理由でしょうか。しかし、隣の村の玉山には公害防止協定を結ぼうというお申し出をしておられるはずです。これとのかかわりは一体どういうことなんですか。もしかかわりがなかったら、公害防止協定を結ぼうなんというお話をなさらなくてもよかったはずだ。  また同時に、公害防止協定の問題についてお聞きしますが、これはアイソトープが持っている一つの不安感等が住民にあるわけであります。一般の公害防止協定ではなくて、さらに加えてこのアイソトープの施設が、もちろん安全と皆さんおっしゃるでしょうけれども、万一あるいは万々が一事故あるいは異常な事態の生じた場合、これに対する対策を含めたものがこの内容になっているのかどうか。同時に、住民の反対あるいは不安というものに対処するために、一年に数回地域の村当局あるいは県を交えた公害防止、そういうことを内容とした公害防止協定を結ぼうとしておられるのかどうか。  それから、次の課題でありますが、雇用の拡大ということを言い切っております。滝沢村の村長は、この前私たち現地に参りましたら、雇用の問題は考えられないあるいは考えていないという表現をしておられますが、一体この雇用の拡大というのは、羊頭狗肉の狗だろうか、それとも本気になってお考えになっておられるだろうか。  次は、この中に、豊富な水が必要だ、こういう言い方をしておられます。確かにあそこには水の自然湧出口、私たち湧口と言っておりますが、わき水の口がございます。その水は下流の玉山村の生活水及び農業用水になっております。これに対する影響がないと言い切れるかどうかということは、この湧出口のそばにボーリングをして水を吸い上げるというのがおたくの施設であります。水は低きに流れます。下の層から吸い上げるからいいのだといっても、これは当然影響が出てくると思いますし、自然林を切ってしまうことによって保水条件も当然なくなると思います。豊富な水が必要だと言いながら、用水その他に対する影響というのをどうお考えになっているのか。もし水に影響が出てきたらボーリングをおやめになるのか。あるいは今後の排水その他で汚染水等がもしこの水へ入ったら下流の住民は大変なことになるわけでございます。  こういう状況でございますだけに、玉山村の村民に対して、少なくともこの水の問題については、行政府関係がないとしても事業自体の関係があるはずなので御説明なさるのが至当と思いますけれども、それについてもお話がないということは一体どういうことなのか。これは自然水でございますだけに、特にその点をお考えをお聞かせ願いたい。同時に、公害防止協定等について、そういう水に対する配慮もこの施設の特有のものとして何かしら存在するのかどうか。  それから、安全性をと茅会長はおっしゃっておりますが、その中で例えば輸送の場合でも安全性は確保されると言っている。わざわざ輸送で安全性を確保するということは、逆に言うと輸送に危険性があるということの裏返しです。一日五百台くらい入る、こう言っていますが、あの狭い県道を一日五百台の車が入って危険が起きない、こういう状況というのが存在するでしょうか。  時間がない関係で、もう一つだけ言わせてもらいますが、茅会長が盛岡に参りましたとき、この施設の強行に対して警察力を使ってもこれを実施するという意味のお話の記事が出ておりました。この真意をお聞きいたしたい。  会長が御答弁になる分は、きょう無理だったら後で結構でございます。簡潔にお願いしたいと思います。
  77. 水野睦郎

    水野参考人 お答えいたします。簡潔にという御指摘がありますので、簡潔に答えさせていただきます。  茅会長が盛岡へ参りまして警察力と申しましたのは事実でございますが、ただ、これは民主主義の基本ルールとして申し上げたと思います。つまり、開発行為の申請が受理されているという事態は、村当局もしくは村の議会が賛成をし、かつ開発審議会の承認を得たものである。それが妨害されたらどうなるかというときには、これはむしろ警察力の問題で我々の問題ではないのではないか。議会制民主主義というものについて、教育者でございますので多少説教がましいところがあったかもしれませんが、その基本原則を皆様に申し上げたと私は記憶をしております。  次に、地元民に迷惑をかけないということにつきまして、どうも今の先生のお話を伺っておりますと、原子力施設が来る、発電所が来るというような印象を受けるのでありますが、RI施設と申しますのはむしろ都会の中でももう既に存在をしておりまして、それと全く同じであると我々は考えておりますので、我々の意識としては、安全を守りたいということに関しましてはむしろ人後に落ちないつもりでございますが、一般の認識といたしまして、先生の御認識として、そんな原子力発電所のような考え方で御論議いただくというのは当を得ていないのではないかという感じがいたします。ですから、そういう意味で我々も十分にほかのRI施設と同等もしくはそれ以上の努力をいたしますので、御迷惑はかけない。さらに長年の技術の蓄積もございます。そういう意味だと存じます。さて、玉山村が隣接地域であってかかわりがないというお話でありますが、私どもはそういう認識を持っておらないわけであります。つまり、先ほど申し上げましたように、一本木を買収するという時点で、滝沢村の北端であるということから玉山村についてお話をしに参ったというのが実情であって、そのことを申し上げたわけでありまして、それ以後村に対して接触いたしております。その結果と存じますが、八月七日には、玉山村の地域住民を対象にいたしました、専門家を呼びましての講演会を開催されているわけでありまして、さらに八月九日には、玉山村の議会の議員先生方が大挙して私ども協会を含めまして実態調査と申しますか視察にお出かけになった。またその際には入念に御説明を申し上げております。  そんなことで、その後も、例えば今御指摘の流域の住民の方から御不安があったというときには早速出かけてまいりましてお話をしているというようなことでございますので、我々の努力が確かに足りなかったかと思いますが、決してかかわりがないということではない、そのことで先ほど御指摘の公害防止協定というものを結ばせていただきたいと思っております。そこで、公害と申しますのは、いわゆる公害三法と申しますか、アイソトープ、放射性の問題が入っておりませんので、むしろ公害等と申しますか、公害に加えましてRIにつきまして、つまり放射性物質につきましてのお約束をしたい、さように思っております。  次に、雇用の問題でございますが、我々岩手県に誘致を受けましたときに、岩手県から強い要望がございました。岩手県は本州の北端に存在するのでどうしても先進技術が来てくれない、ぜひそういった点について考慮しなさい、そういった強い御希望がございまして、我々としては実は処理施設をまずつくろうという考え方であったのでございますが、なるほど我々が岩手県で御一緒に生活すると申しますか、お仕事をするためにはそれではいけないということで、先ほど先生が示されましたパンフレットに我々の考え方が述べでございますが、先進技術でありますアイソトープの医薬品を開発し、または製造し、さらには最終的には焼却をするなりして処理をする、そういった総合団地をつくって、少なくとも我々が目的としていることを含めまして、つまり我々協会はアイソトープの知識の普及、技術の向上ということが目的でございますので、その趣旨に合う団地をつくりたい。それがRMCでございまして、巷間言われておりますテクノポリスのむしろミニ版とお考えいただいて結構かと存じます。  さらに、次に豊富な水が欲しいということにつきまして、実は私どもRI施設でございますので、RI施設と申しますのは普通の理化学系の大学とほとんど同じでございまして、そんなに大量な水を必要とする工業ではございません。したがいまして、開発審議会に提出しました資料にも、我々の全施設が完成した際にも一日の使用量は約二百立方メートルぐらいであると予測しております。このために私ども、中に入る企業、組織体に水の循環使用であるとかそういった節水をぜひ呼びかけたいと思っております。  実は、この辺は先生御存じと思いますが岩手山の伏流水が非常に豊富なところでありまして、問題はないと考えられるわけでありますが、念のため敷地内をボーリングいたしました結果、水層は二層あることが確認されまして、RMCの揚水は下層の約二十五メートル付近から行うとよろしい、土地に詳しい専門家の意見によりますとこうでありますので、我々その意見に賛成していると申しますか、そういった取水をしたい。この取水につきましては、村の開発審議会で御検討の上承認されたところでございます。  さらに、森林を伐採して水が不足になるのではないかという御指摘でございますが、この点につきましても、私ども森林の伐採面積をなるべく少なくしよう、これは自然保護からも当たり前のことと申せましょうが、さらに林地開発につきまして県の御許可をいただいております。その際に、やはり降水量であるとかいろいろなデータを差し上げまして、付近に影響がないという御判断で林地開発の許可をいただけたものと私は考えております。  さらに汚染水につきましては、先ほど申し上げましたようにこれはRI施設でございまして、我我はそうだからといって簡単な取り扱いをすることではございませんが、一部に、RMCが来れば広島の原爆とか水俣病の再来であるというようなことを申される方があるわけでありますが、常識から考えましてそんな汚染水が排出されるとはゆめ思わないわけでございます。しかしながら、そういった汚染水が農業用水に混入するということにつきまして大変御心配な方がありまして、むしろ玉山村での御心配がありましたので、私どもといたしましては、他の水と一緒にいたしまして処理をした処理済みの排水路を場外に建設いたしまして、砂込川まで水路をつくりまして、現在むしろその工事は完了して埋め戻し作業をやっておる実情でございますので、先生の御心配はないかと存じます。  さらに、この施設に一日にトラックが五百合来るだろうというような御心配でございますが、実は先日の原子力局長の御答弁の議事録を拝見しても、我々の処理能力につきましては年間四千本であるというふうに言っておられるわけであります。年間四千本の最大の処理能力すべてを積みましても、一日に五百台にはならないと私は存じます。私どもの計算では一日に数台である、むしろ一、二台であるかもしれないと思っております。そんなことで、お答えといたします。
  78. 小川仁一

    小川(仁)委員 私は自分の感情を交えた質問をしないつもりです。一日五百台というのは、おたくで出しているパンフレットの中に書いてありますからそれを申し上げたのであって、そうしますとかなりパンフレットにインチキがあるなどいう感じが率直にいたしますが。これじゃありませんよ、コピーをとったのです、この前お渡しをいただいたもの。最大時と書いてありました。まあ、それはいいです。  大臣にお願いしたいのですが、同じ地元で、両方頭を痛くしておると思いますが、ぜひお願いしたいのは、どうしても住民の不安でございます。不安というのは、先ほどからの話を聞いておりますと、何かしらアイソトープに対する無知が前提になっているような感じのお話でございましたけれども、私は、知識的にはないのが農民であっても一般市民であっても当然だと思う。むしろあった方がおかしい。ですから、その人たちにどう理解させるか、説得するかというのが基本だと思います。そして、なおかつ不安があるとしたら、もし万一という物の言い方がございます。例えば都賀町、これはおたくとも関係あるかもしれませんが、都賀町も汚水の始末で困っている状況にあるわけでございますから、そういうことを含めてどう不安を解消するか。  その中には、一つは、反対をしている人たちを含めた人に対するお話し合いをまず十分進めていただきたい。これは民主主義の原則に立つ茅会長の意思に反するものではないと思います。二つ目は、もし仮にでき上がったとしても、その後、さっき言った水とか排気あるいは予想されないかもしれないが心配をする事故、こういったものに対してどういう手当てをするという形で公害防止等、等とあえて申し上げますが、アイソトープの特性を含んだ防止方法をおつくりになるか、こういったようなことが非常に大事なことだと私は思う。ぜひこういう点についての厳しい行政指導を大臣にお願いをしたい。  広島の原爆のことをおっしゃっていましたが、私は、広島の原爆とこれと同じだと思って質問はしておりませんから、そういうふうなオーバーな物の言い方をしている者があったとしたら、それはどちらもやめて、きっちりと理解し合った上でやらないと、あの地帯は非常に感情的に高ぶっております。感情的に高ぶっております原因は、御説明をなすったと言っておるけれども、一本木の隣の柴沢の農民には二言もお話がない。滝沢の村長のうちに行っても、安全だと言うだけだ。そんなに安全ならおまえのうちの前につくれ、これが偽らざる感情の基本になっている。無視し軽べつされたような形で存在している限りにおいては、この問題はどこまでも続くと思いますので、これに対する賢明な御善処をお願いしておきたいと思います。御意見を承りたいと思います。
  79. 岩動道行

    岩動国務大臣 滝沢村で今計画が進められておりますラジオメディカルセンターにつきましては、一番の地元であります滝沢村がそういう施設を誘致して、そして村の振興特に雇用等いろいろな観点から村自体の振興に役に立つもの、こういう御判断でアイソトープ協会にお話しになり、そしてお話ができ上がって今進められているものだと承知をいたしております。  このラジオメディカルセンターの安全性ということは、まず第一にアイソトープは一体どんなものであるかということは、何回繰り返して御説明申し上げても説明のし過ぎではないと私は考えております。今日までかなりの回数と、そして入念にアイソトープ協会もそのような手順を踏んできていると私は思います。また、そのようなことで滝沢村の村議会においてもこの誘致を正式に決定もしたということであろうと思います。しかし、いまだにアイソトープに対する基本的な御認識が十分に行き届いていないという面もあるようでございます。したがいまして、今後ともさらに十分に御理解をいただく手順は、私どもとしても協会に要請をしてまいりたいと思っております。また、滝沢村のみならず、そういう御不安を持っている地域に対してもそのような処置は必要であろうと思って、県にもそのようなことは御要望していかなければならないと思っております。  いずれにいたしましても、このアイソトープは日本の科学技術、そしてまた、特に医療の面においては非常に有用なものであって、欠かすことのできない大きな分野を担当するものであると思います。ただ、放射線を持つものであるということから、医療法でありますとかあるいは放射線障害防止法といったようなもので十分にその安全性を確保する。したがって、その施設が具体的にどのような計画で進められるかということにつきましては、事前にこのような法律による規制について協会にもお示しをして、それを念頭に置きながら計画を進めるようにということを申しておるわけでございます。そのような線に沿って、先ほど水野理事からもお話があったようなことで進めておるわけでございますが、さらに私どもは、具体的にそのような計画が出てきた場合には、厚生省そして私どもの役所が一体となって、安全性については一抹の不安もないというような態勢でこの計画を進めていくように努力をしたいと思っております。そういう意味におきまして、アイソトープというものがなかなかわかりにくい分野でもあろうかと思いますので、小川先生におかれてもどうかひとつ十分に御協力をいただいて、そして岩手の発展のためにも御協力をいただければありがたいと思う次第でございます。
  80. 小川仁一

    小川(仁)委員 最後に二言だけ。  やはり政治というものは、あるいは行政というものも含め、事業を含めて、その地元に住んでいる人たちのその事業なり仕事に対する、あるいは政治なり行政に対する不信感というものが存在する限りは、非常に困ったことになる。こういうことが基本にあると思いますので、今大臣の言いましたこれからの説明あるいは今後の安全管理に対する事前事後の御指導、こういったようなものを期待して、私の関連質問を終わらせていただきます。
  81. 小澤克介

    小澤(克)委員 残り時間がわずかになりましたので、さらに続いて伺いたいと思います。  せんだっての三月二十七日の当委員会におきます当委員の質問において、協会それ自体の事業内容、それからRIの取り扱い核種、量、金額等、さらに使用済みRIの集荷の実績、それから問題となっておりますRMCの事業計画等についてお尋ねをし、政府委員からそれぞれお答えをいただいているわけですけれども、これらについて協会御自身として何か補足するようなことがございましたらお願いいたします。あるいは間違いがないかどうかも御確認願いたいと思います。
  82. 大野潔

    大野委員長 もうちょっと具体的に重ねて御質問いただけますか。
  83. 小澤克介

    小澤(克)委員 そうですか。時間がありませんので、間違いなければ、このとおりですとお答えいただければそれで十分なんですけれども
  84. 佐々木秋生

    ○佐々木参考人 この前の委員会の議事録を拝見いたしましたが、大体間違いないように思います。
  85. 小澤克介

    小澤(克)委員 そうしますと、どこか間違いもあるということであれば訂正していただきたいわけですが。
  86. 佐々木秋生

    ○佐々木参考人 あの議事録に出ておる範囲内では間違いありません。
  87. 小澤克介

    小澤(克)委員 あの中で、補助金額につきまして、具体的な金額までお答えいただけなかったので、今この段階で、もしわかっていれば、科技庁でもどちらでも結構でございますがお答え願います。
  88. 中村守孝

    ○中村(守)政府委員 先日、日本アイソトープ協会に対する補助金についての御質問で、ちょっと手元に資料がなかったために若干正確を欠いた点がございますので、改めて御答弁をさせていただきます。  過去五年間の実績ということでお答えさせていただきますが、これまでにはラジオアイソトープの飛散率に関する試験研究、それから小型乾式有機廃液専焼装置及びトリチウム水捕集装置の開発研究、それから放射性同位元素装備機器管理基準に関する調査、こういう三つのものにつきまして委託を行った実績がございます。交付金額は総計三千七百万円でございます。五十七年度以降最近は、このアイソトープ協会に対する補助金、委託費は交付しておりません。
  89. 小澤克介

    小澤(克)委員 それでは、少し細かく伺いたいと思いますが、まず、協会として取り扱っておられる医療用RIにはトリチウム、三重水素、これがあることは間違いございませんね。
  90. 水野睦郎

    水野参考人 医薬品の中にはトリチウムは使われております。
  91. 小澤克介

    小澤(克)委員 そして、このRMCにおいては十九核種、中村政府委員が前回答弁されたとおりの十九核種に限り、トリチウムは含まれない、このことは間違いございませんか。
  92. 水野睦郎

    水野参考人 ラジオメディカルセンターで持ち込まれて処理をする核種は何かという御質問と存じますが、RMCの医療用RI廃棄物処理施設で処理する予定のRIは十九核種医療用廃棄物でございます。
  93. 小澤克介

    小澤(克)委員 そこで伺いますが、昭和五十六年八月に、「ラジオメディカル・センター事業計画概要」というものをアイソトープ協会と他に民間会社一社とで作成したことがございますね。
  94. 水野睦郎

    水野参考人 はい、ございます。
  95. 小澤克介

    小澤(克)委員 その概要の八ページに排出基準という項がございまして、RI排水についてはH3、トリチウムの記載が明らかにあるわけですが、それからRI排気についても同じ記載があるわけですが、これはどういうことでしょうか。
  96. 水野睦郎

    水野参考人 その計画書にはトリチウムのことが載っていると存じます。
  97. 小澤克介

    小澤(克)委員 としますと、どういうことになるのでしょうか。矛盾するんではないでしょうか。
  98. 水野睦郎

    水野参考人 現在医療用に用いてよろしいと言われておりますアイソトープの核種は、薬事法によりますと六十六ほどあるかと存じます。しかしながら、現在核医学の進歩によりましてそれが次第に絞られてまいりまして、十九核種とトリチウムということになっておるかと存じます。医療でございますので、試験検査をいたしましてその被害が健康な人に与えられると申しますか、健康な人を損なってはなりません。大変真剣な技術の向上を図られたと存じますが、現在だんだんにその六十六が減りまして、先ほど申し上げました十九に減っております。  今後も減ると存じますが、これはどういう形で減るかと申しますと、長半減期のアイソトープが次第に使われなくなって、だんだんに短半減期に移っておるわけでありまして、トリチウムも次第にそういった技術で置きかえられるであろう。五十六年当時におきましては、私ども、まだまだトリチウムが大切であるという判断のもとにそういった資料をつくりましたが、その後村当局とのお話し合い、議会とのお話し合いなどの中で長半減期のものはやめていこうというような感じで、我我、技術の向上に見合った形でそういったトリチウムは持ち込んで処理をしないというお約束をした、そういうふうに記憶しております。
  99. 小澤克介

    小澤(克)委員 要するに、この三年近くの間に、方針が変わった、こういうことでございますね。  続いてまた、先ほど指摘しました概要の同じページには炭素14、これも明らかな記載があるわけですが、これも同様でしょうか。
  100. 水野睦郎

    水野参考人 同様でございます。
  101. 小澤克介

    小澤(克)委員 ところで、先ほど念のためにお尋ねしたところでは、現在もトリチウムについては医療用RIとして使っておられる、これも間違いないわけですね。
  102. 水野睦郎

    水野参考人 手元にちょっと資料がございませんが、非常に限定された施設の中で、むしろ研究用として使われていると存じます。
  103. 小澤克介

    小澤(克)委員 そうしますと、集荷の段階でH3だけを別に分別して集荷するということが本当にできるのでしょうか。
  104. 水野睦郎

    水野参考人 むしろできるという確信のもとに村と御相談をしたということでございます。
  105. 小澤克介

    小澤(克)委員 しかしこれは、使用する施設の方でちゃんと分別してくれない限り、協会側としては、集荷する側としては区別のつけようがないのじゃありませんか。
  106. 水野睦郎

    水野参考人 現在、研究用は御承知のとおり放射線障害防止法という法律で規制されておりますし、医療に関しましては医療法によって規制されておるわけであります。そのために、我々、集荷の方法が全く違います。例えて申しますれば、ドラム缶の色が違い、また場所が違うというようなことでございます。ですから、私どもは混在するおそれはないと確信しておりますし、むしろそういった懸念が生じました際には、強いて医療用と区別しないで、むしろそれを研究用と我々考えて処理をすればいいのではないかとも考えております。
  107. 小澤克介

    小澤(克)委員 次に、当RMCセンターで廃棄処分処理がなされることが予定されております十九核種の中には、金198それからタリウム201、こういうものがありますね。
  108. 水野睦郎

    水野参考人 ございます。
  109. 小澤克介

    小澤(克)委員 今指摘した二つのRIは、これが壊変をいたしますとそれぞれ水銀になるのではございませんか。
  110. 水野睦郎

    水野参考人 そのとおりだと存じます。
  111. 小澤克介

    小澤(克)委員 そうしますと、集荷されてRMCに集められる医療用RIの中には、当然水銀が存在する、こういうことになりますね。
  112. 水野睦郎

    水野参考人 お説のとおりでございます。
  113. 小澤克介

    小澤(克)委員 これらについても焼却ということをするわけでございますか。
  114. 水野睦郎

    水野参考人 はい、そのようになろうかと存じます。
  115. 小澤克介

    小澤(克)委員 そうしますと、水銀蒸気が大気中に排出されることは防げないのではないかと考えますが、いかがでしょう。
  116. 水野睦郎

    水野参考人 こうしたRI、金でありますとかは、昭和四十九年度におきまして最も多く使用されました。その場合における水銀、つまり水銀に変換した場合の総量は約五グラムであります。その後は使用量が減少を続けまして、現在ではほとんど使用されておりません。ということから、将来も環境汚染の心配はないと考えております。
  117. 小澤克介

    小澤(克)委員 そうすると、現在では、この十九核種に含まれるけれども、実際にはほとんど使ってない、こういうことになりますか。
  118. 水野睦郎

    水野参考人 そのとおりでございます。
  119. 小澤克介

    小澤(克)委員 ほとんど使っていないと言いますが、数量的に表現できますでしょうか、どの程度ということは。
  120. 水野睦郎

    水野参考人 重量については資料を持っておりませんが、五十七年度の供給数のミリキュリー数は、手元に資料がございます。金198が七千百五十三ミリキュリー、タリウム201が十二万一千二百六ミリキュリーでございます。
  121. 小澤克介

    小澤(克)委員 時間が限られておりますので次に移りますが、日本アイソトープ協会に町田さんという常務理事がいらっしゃいますか。もしくは、いらっしゃいましたでしょうか。
  122. 佐々木秋生

    ○佐々木参考人 町田常務理事というのはおりません。何かの間違いじゃないかと思います。
  123. 小澤克介

    小澤(克)委員 私の入手しております資料によりますと、昭和五十三年に日本アイソトープ会議報告集の中で、協会の常務理事町田さんという方が「RI廃棄物の処理体制」という論文を書かれて、この中で、このRMCにおいては最初は医療用RIのみを扱うが、やがては研究用RI、さらには原子炉の廃棄物も扱うようにしたい、こういうふうに言っているということなんですが、こういう事実はないのですか。
  124. 佐々木秋生

    ○佐々木参考人 町田というのは、これは今おっしゃったのは、ミスプリントで、協会の常務理事ではありません。嘱託として原研から来た方に、町田、この方がいらっしゃいます。それがそういう会議のところで発表したのではないかと思います。
  125. 小澤克介

    小澤(克)委員 そうすると、原研から来られた嘱託の方がこういうことを発表したことは間違いないわけですね。
  126. 佐々木秋生

    ○佐々木参考人 そうと思います。
  127. 小澤克介

    小澤(克)委員 この点について、現時点で協会としてはどうお考えになるんでしょう。
  128. 水野睦郎

    水野参考人 この廃棄物問題に関しましては、医療用以外にRIは大変な問題として昔から取り上げられてまいりました。そこで、昭和五十一年の十月に原子力委員会が方針を決定したことがございます。原子力委員会は、我が国の廃棄物の処理処分方法とその管理体制に関する方針といたしまして、「放射性廃棄物対策について」というものをまとめまして、その中で「RI取扱施設については、敷地内における処理が必ずしも適切ではないので、共同により処理させることとし、これに必要な体制整備を図る。」と決定いたしまして、その決定によりまして、多分町田氏が案を立てたということと存じます。
  129. 小澤克介

    小澤(克)委員 ですから、現時点ではどうお考えなのか。それから、ついでに町田さんの名前の方もわかれば教えてください。
  130. 水野睦郎

    水野参考人 町田氏は、町田忠司と言われると思います。  この五十一年の十月に原子力委員会の方針が決定されましたが、しかしながらこのとおりにはまいらなかったと存じております。そこで、昭和五十五年に改めて医療機関RI問題検討会が厚生省において設置されまして、この計画はその検討の結果生まれました集中処理という考え方でございます。
  131. 小澤克介

    小澤(克)委員 端的にお答えいただきたいのですけれども、現在ではこういうお考えは全くお持ちになっていない、こう伺ってよろしいでしょうか。
  132. 水野睦郎

    水野参考人 全くございません。我々そういった提案を五十一年に行いました――我々と申しますか、町田氏が行ったわけでありますが、といたしましても、現在我々の施設は医療用でございまして、核燃料物質などとは全く関係ない、これはお約束できます。
  133. 小澤克介

    小澤(克)委員 次に、もう時間がほとんどございませんので、この医療用RIというのはどういったものなのかということなんですけれども、例えば単価ですね、高いもので幾らぐらいのものなんでしょう。それで、もし保険の点数もわかれば数えてください。
  134. 水野睦郎

    水野参考人 かなりの種類がございますが、一つ例を挙げまして心筋梗塞という病気がございます。こういったところに用いられます、先ほど申し上げましたタリウム201などがございますが、この放射性医薬品がかなり高いということで一つ選んでみますれば、二ミリキュリーで薬価基準は三万八千四百七十四円となっておるようであります。
  135. 小澤克介

    小澤(克)委員 それから集荷の手数料ですが、これはドラム缶一本幾らということになっていますか。
  136. 水野睦郎

    水野参考人 代表的な例を申し上げます。可燃物は二百リットル缶に入れまして四万二千円であります。不燃物が五十リットルドラム缶で三万二千円、そんなところでございます。
  137. 小澤克介

    小澤(克)委員 そこでお尋ねするのですが、放射線医学研究所の橋爪教授という方が、現在の医療効果を下げることなしに放射線使用量を三分の一に減らせるというような発言をされておるわけです。  そこで伺いたいのですが、この医療用RIをどの程度使うかということは、お医者さんが判断するだけでございましょうか。
  138. 水野睦郎

    水野参考人 橋爪先生の御諭旨は、被曝線量ということではなかったかと記憶しておりますが、これは主にエックス線などの照射によります被曝を減らせるだろうということではないかと存じます。今のその次の御質問でありますところの、判断はだれかと申しますれば、これは当然診療に責任を持つ医師であると存じます。
  139. 小澤克介

    小澤(克)委員 質問時間が終わりましたので、最後に一つだけ伺いますが、先ほど伺ったように大変単価の高い薬品を供給されている。しかも、事実上独占的に協会が供給されている。また集荷についても大変高い手数料をとっておられる。これはしかも、その使用の必要性について第三者が判断するということがない。そうしますと、これは売り込めば売り込むほど協会がもうかってくる、こういう構造になっているのではないか。また、本件RMC施設ができれば集中処理施設ができるということで、ますます歯どめがなくなってどんどん使われる。必要なく、いわば検査づけという形で使われる。そのことがまた協会にとっては収入につながる。これは何か歯どめが必要なんではないかということを痛切に感ずるわけです。  現在でも、この協会の本来の仕事であるラジオアイソトープの啓蒙普及活動ということは行っているんでしょうか。むしろ現在では歯どめが必要なのではないか。会長が茅さんだから言うわけではありませんが、今この時点で医療機関にRIの普及をさらに図る、そして売り込むということは、小さな親切どころかむしろ大きなお世話じゃないかという感じがするのですが、その点についていかがでしょうか。
  140. 水野睦郎

    水野参考人 世にプロフェッションという職業の種類があるかと存じます。弁護士さんは法律に違反した人を救わねばなりませんが、法律の違反を奨励するわけにはいきません。と同様なことでございまして、お医者さんも健康な人に人間を治していくわけでございますが、病人をつくるということではございません。こうした非常に職業倫理がとうとばれる職業がプロフェッションと呼ばれるかと存じますが、そういった高い職業倫理のもとに判断される結果でございますので、私どもは放射性医薬品の乱用ということはひとりでに、自律的に制限されていると思っておりまして、さらに私どもの仕事もそういった意味で高い自律性、職業倫理を要求されるがゆえに、公益法人が行うということが最も適当ではないかと存じております。  さらに、先ほど小川先生が、アイソトープというのは難しいが知識はないよりもあった方がいいということを申されましたが、私ども、この岩手の問題を通じまして、ますますアイソトープの知識の普及啓蒙が必要ではないかと存じておりまして、その努力もいたしておるわけでございます。そんなことで、私ども、むしろ現在の努力の足りなさを感じているというところでございます。
  141. 小澤克介

    小澤(克)委員 時間ですから終わります。
  142. 大野潔

    大野委員長 両参考人には、大変長い間どうもありがとうございました。御退席くださって結構です。  関晴正君。
  143. 関晴正

    ○関委員 私は、大変に重要な原子力行政、その一環だと思われる地下原発について伺っておきたいと思うわけです。  三月二十五日の新聞の報道するところによりますと、電力中研の一つ研究した結論ということで、全国に三十八地点、一億二千八百七十万キロワット、今日の我が国の生産能力と匹敵するくらいのものを地下原発において生産しよう、こういう大々的な報道が出されたわけです。私どもは、将来の日本の原発というものはそれでは地下方式に変わるのかというふうにも考えてみたのですが、果たしてそういうような計画が科学性があり、また企画性があり、そしてまた将来性があるということになっておるのかどうか。  エネ庁においては、既に昭和五十二年に地下方式というものを御検討され、今日なおその御検討を続けておられるのだろうと思いますけれども、五十二年、五十三年、五十四年、五十五年、こう地下原発についての検討がどの辺まで進んでおられるものなのか、そしてまた、この電力中央研究所の発表しているところの内容というものとどの程度タイアップされておるものなのか、我々には全くわからないわけであります。しかもこの三十八カ所、原発の数からいくと百四十二基、また地点においては北海道と沖縄を除く全国にわたっての海岸に近いところ、そして山のあるところ、こういうことがそれぞれに記入されているわけであります。  そういう点から、科技庁においてはこの地下原発というものをどう考えておるのか、そしてまた、こうした一つの発表というものについてはどういう御見解を持っておられるのか、まず先に伺っておきたいと思います。
  144. 岩動道行

    岩動国務大臣 まず日本は資源がない、特に石油資源がない。一〇〇%に近いものを海外から輸久していかなければいけない。一億を超える日本民族が生きていくためには、何と申しましても油が大事でございます。しかしながら、その供給源につきましてはいろいろと不安が伴っております。一方、石油価格も次第に上がってきたわけでございます。今後どうなっていくかは予測ができませんが、昨年バレル当たり五ドル下がった。これは世界のエネルギー事情にとって大変有益なことでございましたが、しかし中東の情勢等を考えてみますと、依然として石油に依存する体質の日本のエネルギーというものは十分に警戒をしなければなりません。そのようなことで、我々は過去十年間の二回にわたる石油危機を貴重な教訓といたしまして、それによる代替エネルギー源というものを持っていかなければいけないということで、特に原子力発電というものは日本のエネルギー政策の極めて大きな柱である、こういう認識で、今日まで安全性を最大の前提としながら原発の立地を進めてまいりました。  そういう中におきまして、原発の立地につきましては地元の方々の十分な御理解をいただかなければなりません。したがって、原発の立地につきましてはできるだけ広い選択を持っていくことが日本のためにもなる、そのような観点から地下発電所というものの検討も必要である。それが可能であるかどうかはこれからの検討でございますが、しかし、先ほどお示しにあったように電力中央研究所が、あるいはまた通産省においてもいろいろその条件、経済性、社会性、自然環境等についての綿密な検討をして、これも一つの選択の道ではないか、こういう考え方で今日の結論が出ていると思います。  しかし、それならばこれを具体的にどこでどういうふうにやっていくかということになりますと、依然として安全性の問題、環境の問題、そして経済性の問題等がつきまとってくると思います。したがって、これは一つの選択の幅を広げるという意味においての調査でございまして、これからこれをどのように具体的に進めるかは、なお十分に検討していかなければならないもの。ただ、そのような選択の幅を広げる、立地点の幅を広げるということは、この狭い国土の日本においては大変大事なことであろう、こういう認識を持っております。
  145. 関晴正

    ○関委員 一般論じゃなくて、原発の必要性あるいはその形態のあり方、そういう論ではなくて、極めて具体的なんですよ。  これは三月二十五日の東京タイムズです。「地下原発秘リスト 南伊豆など全国三十八地点 電力中央研の内部資料で明るみ 地盤弱い場所選ぶ あくまで学問的研究 日本の地層では危険」こういう見出しであるわけです。青森県の南の境、秋田県の北の場所もそういう予定地としてまた描かれているわけです。青森県ばかりではありません。岩手県もある。三十八カ所もあるわけです。そして、とにかく工業地帯に近いところだけは三カ所、ここ十年かそこらで、一九九一年から取りかかって進めようじゃないか、こう言っているわけですね。  そうして構えようとしているときなんですから、これは地下原発の一つの構想として生かしていく方針であるのかどうか。こういう具体的なものを、しかも二〇三〇年にはどれだけかというと、さっき申し上げたように一億二千八百七十万キロワット、それぞれの形式において、それぞれの箇所を選んで、極めて具体的なんです。こういうような資料を科技庁としてはどうごらんになっているのか、その辺がはっきりしないことには、一般論をお答えされても意味がありませんので、その点についてお答えいただきたいと思います。
  146. 岩動道行

    岩動国務大臣 やはり一般的な総合的な方向を、まず基本的に私ども政策として持たなければいけないと思います。したがって、原子力による代替エネルギーの拡充、これは私どもの基本的な政策でございます。そういう中において、ここ五年、十年ではそのような地下方式まで具体的に入るかどうか、私もまだ承知いたしておりません。ただ、二十一世紀に入るころにはやはりそのような選択の幅の広い立地点を私どもは十分に研究し、調査をして、それに備えていくということは、日本のエネルギー政策にとっても大変大事なことだろう、かように考えておりまして、今どこの地点でどう具体的にするかということは、私ども考えておりません。これは企業者の方でさらに入念な調査をして、そして将来に向かってどのようにするかはこれからの検討課題であると考えております。
  147. 関晴正

    ○関委員 こうした電力中研の一つの資料、これは単なる資料というよりは、これを踏まえてそれぞれの実態を調査されて、多額の金も投じられてまとめられた一つの報告なんですね。この報告というものを科技庁としてはどうごらんになっているのか。この報告に基づいて取捨選択をするんだ、こう大臣が今お答えになっているようですけれども、そういう方針の中には、地上原発という言葉に対する地下原発と言うならば、我が国の将来の原発を地下原発にしよう、そういう御方針等がおありなんでしょうか。
  148. 岩動道行

    岩動国務大臣 地上の原発を地下に移していく、そのような考え方はまだ持っておりません。ただ、御案内のように、地上の原発立地というものは、なかなか地元の御理解をいただいてやっていくというには容易でない面もございます。また一方、地下方式というものはどのような利点があるか、またどのような場合には可能か、こういう基本的な調査をやっておくことが大事でありまして、したがって、岩盤のきちんとしたところであるならば陸上の施設よりはむしろ地下の方が耐震性が強い、したがって経済性もその方がいいのじゃないか、こういったような検討もこれから起こってくるわけでございます。調査そのものは極めて貴重なものでございまして、私どもはそのようなものを踏まえながら、関係の省庁あるいは企業者と十分に検討はしなければならないと思っております。
  149. 関晴正

    ○関委員 大臣は大分おわかりになってお答えに、なっているようですけれども、そうしますと、この資料は貴重なものとして尊重して、今後の原子力行政の資料として進めたいんだ、こう理解してよろしゅうございますか。
  150. 中村守孝

    ○中村(守)政府委員 地下立地につきましては、実際の実用発電所の立地の問題として、通産省が前から関心を持っていろいろ勉強してきておるものでございます。それから、電気事業者サイドと申しますよりも、むしろ電力中央研究所の研究者御自身、将来の電源立地の方は制約が出てくるのではないか、その可能性はどうなんだろうということで御勉強なさった資料でございます。  それで、科学技術庁として、この資料をどうするのかという今具体的な考えを持っているわけじゃございませんで、まだまだ基礎的な調査段階でございまして、関係者がこれからいろいろな検討を積み上げて、そこから具体的な話へと発展していくものだろうと思いますので、現段階はまだまだ基礎的調査段階であるというぐあいに理解いたしております。
  151. 関晴正

    ○関委員 この問題について、科技庁と電力中研とは協議あるいは研究等はなされているんでしょうか。
  152. 中村守孝

    ○中村(守)政府委員 私ども科学技術庁は、特にこの研究に直接参加はいたしておりません。
  153. 関晴正

    ○関委員 科技庁が参加していないとすれば、通産の方の関係でこれに参加しているんでございましょうか。
  154. 高沢信行

    ○高沢説明員 今先生御指摘の問題は、電力中央研究所が長期のエネルギーそれから電力需給の展望という、二〇三〇年をにらんだ展望作業を内部の研究会をつくって行っていたわけでございます。その中のいわば裏づけ資料といたしまして、将来的には現在の地上立地方式に加えまして地下立地方式も必要になるのではないかという考え方で、さらに今御指摘のような地点につきましては、全くの内部検討段階の資料といたしまして、一定の制約条件を排除した、残った地点をいわば一応想定をしたというように私どもは聞いているわけでございます。したがいまして、この調査はあくまでも電力中研独自でやった調査でございまして、私どもとは関係ございません。  ただ、一点だけ申し上げておきますと、私ども、昭和五十二年度から五十五年度まで、地下立地方式につきまして机上段階でのフィージビリティースタディーを行ったことがありまして、その段階でごく一部の委託調査を電力中研にやったことがありますが、今回のものとは私ども関係ございません。
  155. 関晴正

    ○関委員 そうしますと、長官は、これを踏まえて前向きに検討したい、こう言っているわけですよね。担当の局長のところは、そういう考慮はしていないと言うし、ただいまのお話によりますと、それは向こうのことだと、これまた言っておるわけです。  それならば、国の方のエネ庁で、地下原発についてここ数年間調べた内容で導き出されている一つのものがあるならば御報告してくれませんか。
  156. 岩動道行

    岩動国務大臣 私が申し上げたのは、日本のエネルギー政策として原子力発電は極めて大事な柱である、そういう中において長期的な視点から見て、日本の自然環境、地政学的に見て、立地点というものにはおのずから限界も出てくるのではないか。また、耐震性というような問題は日本にとっては安全性の大変重要な部分でございますから、そういう観点から、地上よりもあるいは地下の方がいいかもしれないという考え方が出てくるのは、これは当然だろうと思います。そういう意味において私は、そういう基礎的な調査というものは極めて大事である、したがって、そのような基礎的な調査というものはこれからの長期的なエネルギー政策の中で貴重な参考の資料になるだろう、この程度に考えておりまして、具体的に直ちにそれに取り組んでいく、こういうようなものでないことは御理解をいただきたいと思います。
  157. 高沢信行

    ○高沢説明員 通産省の調査内容につきまして御説明を申し上げます。  通産省で行いましたのは、五十二年度から五十五年度まででございます。地下式原子力発電所の概念形成、それから地下の耐震性、それから環境に対する安全性の検討等の、今御指摘のありましたとおり、まさにその基礎的な段階でのフィージビリティースタディーでございます。  この結果、地下式原子力発電所につきましては、基本的には大規模の地下水力発電所技術を応用できるといったことから、技術的な可能性が明らかになったということでございますが、具体的な建設のためには、さらに地下の岩盤あるいは空洞の健全性等の技術課題、あるいは経済性が本当にトータルとしてどうなるのかといったさらに詰めた検討が必要でございまして、具体的なその立地に結びつくためには、さらに相当の期間の実証的な研究が必要だと考えております。
  158. 関晴正

    ○関委員 電力中研の資料については御存じですか。
  159. 高沢信行

    ○高沢説明員 新聞で報道された時点で、私ども初めて電力中央研究所でそのような検討をやっていることを承知いたしまして、その事情は聞いております。
  160. 関晴正

    ○関委員 事情のみならず、資料もお持ちになっておられますか。
  161. 高沢信行

    ○高沢説明員 資料は見せてもらったことがあります。
  162. 関晴正

    ○関委員 この際、私ども新聞報道で見ただけじゃ不十分でもありますし、そういうような資料があるならば、私どもの方にもその資料を提出していただいて、そうして資料としてひとつ見させていただきたい、こう思うのですが、いかがですか。
  163. 高沢信行

    ○高沢説明員 これは、先ほども申し上げましたとおり、電力中央研究所の全くの内部資料でございます。それから、私ども見せてもらっただけで、持っておりませんし、電力中央研究所の方がどうお答えになるか。恐らく私が想像するに、内部資料でございますので、なかなか外部には、そもそも本来的にも出す予定をしていない資料でございますので、難しいかなと思っております。
  164. 関晴正

    ○関委員 大体、そういう答弁をするから困るわけです。原子力行政というものは、自主、民主、公開の一つの基本に立っているわけですよね。そういう公開の原則があるのにもかかわらず、これは内部資料でございますから出しかねるとかとりかねるとかと言われても、それはやはりまずいんじゃないか、堂々と出て渡っているのですもの。また、あなたの方でも当然この資料は取り寄せて検討しなければならないし、今大臣も、資料として踏まえて方針をまたとっていかなければならない、こう言っている。そういう資料がないんじゃ困るわけです。だれがつくったにしろ、どこでどう結果として導き出されたにしろ、堂々と報道されているわけです。それでもなお隠して、そして見せまいとすることは、これは適当でないと思う。  ですから、同じ仲間なのですから、また、この行政の中において大事な我が国のエネルギーのことについて御研究されている、その成果でもあるわけだから、それが形式的に会社として認めたものであるとかないとかということでこだわって、そうして後ずさりをするなんということよりは、これは出ているわけですよ。つくった人は大変な御苦労をされたと思う。そういう研究の成果物というものは、我々科学技術委員会においても、皆さんみんな見たいと思うのです。  そういう意味においては、ひとつこの際、委員長からそういう資料の提出方についてよろしく御配慮いただきたい、こう思います。
  165. 大野潔

    大野委員長 ただいま関晴正君が要求されました件につきましては、理事会において協議をいたします。
  166. 関晴正

    ○関委員 それでは、二番目の問題として、核燃料サイクル基地の問題で、午前中に小宮山君からもお話がありました。核燃料サイクルの問題というのは、これは古い問題でもあるし、また長い問題でもあるし、未解決の問題がまた多いわけで、苦労の多い問題だ、こう思っています。だが、最近にわかに、核燃料のサイクルまではいいんだけれども、基地という名のもとに、我が青森県の下北半島が位置づけられるかのごとくに報道をされているわけであります。近くは四月二十日に東京電力の社長が訪問するとか、あるいはまた関係者が出向いて青森県に要請するとかということがまことしやかに報道されているわけですが、そういうことになっておるのかどうかということをまず一点伺っておきたいと思います。
  167. 中村守孝

    ○中村(守)政府委員 核燃料サイクルの施設といたしましては、商業用ウラン濃縮工場とか第二再処理工場、それから低レベルの廃棄物の敷地外貯蔵というような施設について、この敷地を求めて、敷地が見つかればそこに早く建設をするというような需要があるわけでございます。  そういう意味で、これに直接あるいは間接に関連しますのは電気事業者でございますので、電気事業者サイドにおきまして全国各地にわたっていろいろな調査、実情の調査をしておるわけでございまして、その中で青森県の下北半島が一つの候補地としていろいろ勉強なり検討がなされているということはございますが、ここにつきまして、例えば先生のおっしゃるような三点セットを一カ所にするというようなことまで具体的に決めているという話はまだ聞いておりませんし、先ほど電力会社の首脳が青森県に出向くというようなお話もございましたが、その点につきましては、私午前中にも小宮山先生にお答え申しましたように、電気事業連合会に私が確認した限りにおきましては、まだ電気事業連合会としてそういう正式なことをするという段階にない、こういうように開いております。そういう事情にございます。
  168. 関晴正

    ○関委員 このことは、ことしの初めにマスコミの報道するところとなって、もう青森県では毎日のようにこのことが報道され、論ぜられ、関心事の中の関心事としてあるわけです。でも、先ほど小宮山君がお尋ねになったような、東通村の役場をつくるために原発を求めるとか、あるいは交付金が欲しいために、財政上ありがたいからぜひ呼ばなければならない、こういうようなことで動いている人も、これはないわけじゃありません。しかしながら、あの青森県の下北半島の沖合の漁場、この漁場というのは日本有数の漁場なのであって、この漁場を守るためにはどんなことをしても反対だという人も、また相当にあるわけです。  原子力船の母港の問題で、関根浜の漁民は大したことないだろうと見くびって強引にあそこを決定して、今日なお悩んで苦しみもがいているのが今の姿でしょう。それ以上に、あの下北半島特に東通村白糠の漁民の人たちというのは、原発を受けるか受けないかということよりも、その調査を受けるか受けないかということだけでも採決をして、やっと過半数を超えることわずかに九票ということで通っていっているわけであります。補償の問題に至っては、今度はとても安くてそんなものにくみするわけにはいかない、こうまたなっているわけです。そういうところに再処理工場だあるいは廃棄物の処理場だ、それぞれそこへ攻め込めと、こういうようなことが起こってきているものですから、青森県の下北半島の将来というものはどうなるんだろうか。  さらに、むつ小川開発というものを担当しておるむつ小川開発株式会社というのがあります。この会社は、もう破産するしかないでしょう。むつ小川開発計画というものが破産をして、会社が残るなんということは難しいことだろうと思うのです。でもこの会社は、残りたいばかりに、ウランの濃縮工場でも来てくれないか、廃棄物の処理場にするならしてくれないか、三千ヘクタールも土地があるんだからどうぞお使いくださいと言わんばかりに宣伝に走っているわけですよ。  私はこのときに申し上げたいことは、むつ小川開発というのは、言うなれば閣議の決定に基づいて、あの地域において、石油シリーズと申しましょうか、石油産業の大工業地帯にするというのがこの開発計画内容であるわけです。石油精製、石油化学、石油による発電所、その三つがすべて軽んじゃった。見通しがなくなっちゃった。そこで今度は会社が破産する。この会社は、今日千三百億を超える借金ですよ。その借金の四割は北東公庫が持っておる。よくもまあ出し続けてきたものだ、こう思っております。  それらの批判並びに検討はまた後日やりますけれども、問題は、むつ小川原地域の開発というものには開発一つの目的があって、私はその目的を放棄しなさいと言っているのだけれども、長期的立場に立ってまだ放棄はしないと国は言っている。国はそういう方針でいるときに、会社の社長が走り回って、この場所をどうだ、こう言って歩いている。しかも、今また電事連の代表が行こうなんということになると、国の決めた、閣議決定によるむつ小川開発計画というものと、あの場所を廃棄物の処理場に、あるいはウランの濃縮工場に、あるいは再処理工場にということは、あの土地を取得するときに農民にも、また漁場を取得するときに漁民にも一つもなかった話です。約束した仕事のけりもつけないうちに、今度は願いもしない危険なものをどっと青森県にぶつけようとする、これはとても許される行政ではないだろうと私は思っているわけです。それが四月二十日に行くとか、国会がうるさいから五月終わってから。行こうとか、いろいろなことで考えておられるのでしょうが、さて行っても具体的な話は難しいなというところにもまたあるのではないだろうかとも思っております。いずれにしても、むつ小川開発の目的というもの、閣議決定の内容というものと全然異質のことで出かけることや出かけさせることについては問題があるんじゃないか、こう私は思うわけであります。  そういう点については、長官もよく経緯を承知の上でこの問題についての取り組みが必要であろう、こう思いますので、まず長官から取り組みの問題についてのお考えをいただきたいし、後、国土庁からおいでになっていると思いますから、国土庁はむつ小川開発の決定をする責任の省庁でありますので、これについての責任のあるお考えもまたいただきたい、こう思っております。
  169. 岩動道行

    岩動国務大臣 下北半島全体の開発振興計画は青森県でお立てになっているわけでございまして、私どもはそれに関心は持っております。  そういう中におきまして、ただいま下北半島では、東通村で御案内のとおり東京電力と東北電力が原子力発電所の建設計画を持っております。また大間では、今立地環境調査が行われています新型転換炉、いわゆるATRというものの実証炉の建設計画があります。また一方、原子力船「むつ」は関根浜でということで、港の建設も進められている。こういったようなことで、私どもは、まず現在進められている計画が着実に地元の方々の御了解を得ながら、そして御協力をいただきながら円満に進められることが最も大事である、かように考えております。  一方、日本原子力政策といたしましては、核燃料サイクルの確立ということは絶対に進めなければいけない重要な課題でございます。もうそろそろ具体的にこの問題を展開していかなければならない時期に入ってきておるわけでございますし、いたずらに海外に再処理をお願いしたり何かするわけにはまいらない。そういうようなことで、核燃料サイクルにつきましては、私ども原子力政策のこれからの大きな課題として考えております。  これにつきまして、具体的にそれではどこにどうするかということになりますと、これは何と申しましても電力業界、企業者自体がまずどうするかということが大事でございまして、私どもはどこにどうするというようなことを指示もいたしておりませんし、また具体的にどこにするという話も聞いておりません。これは、まず第一に何と申しましても電気事業者が御自身でお考えになっていくべきことであり、それに対して私どもは、それならば安全性はどうであるかとか、日本全体の計画として適切なものであるかどうか、そういうような検討をすることになるわけでございまして、私の方から積極的にむつ小川原にどうこうしろというようなことを申しているわけでもございません。
  170. 石井武

    ○石井説明員 お答え申し上げます。  むつ小川開発株式会社は、むつ小川原地域の開発に関し土地の取得、造成及び分譲を行うことを役割といたしておりまして、このため、核燃料サイクル施設の立地問題については、電力業界等と内々に接触してきたものと承知いたしております。したがいまして、国土庁からの特別の指示とかあるいは指導によるものではございません。  なお、当該施設のむつ小川原地区への立地を当庁はどのように考えているかとのお尋ねでございますけれども、むつ小川原地区を含む周辺地区が核燃料サイクル基地の候補地の一つとして、現在電力業界など関係者の間で検討されているということを承知をいたしております。当庁といたしましては、当該地区への核燃料サイクル施設の立地問題は、第一義的には電力業界など関係者意向、それから受け入れ側としての青森県など地元関係者意向を尊重すべき問題であるというふうに考えておりまして、現段階ではその検討の成り行きを注意深く見守っているという段階でございます。
  171. 関晴正

    ○関委員 国土庁の今の御答弁ですけれども、これは極めて責任を持たない答弁だと私は思う。国土庁というのは、むつ小川開発について閣議決定を提案した庁であるのですよ。そうしてこれは、私前にも申し上げたとおり、その方針というものはもうほとんど挫折したであろう。何と答えているかというと、そうじゃないと答えているわけですね。長い目で見てこの目的を果たさせるのだ、こうきている。  だとするならば、その目的のためには今のような、あの地域に廃棄物の処理場なんてお話が出ているのに黙っているというわけにはいかないでしょう。あるいはウランの濃縮工場ができるということについても、注意深く見るとかなんとかという表現をしているけれども、またそれについての一つのかかわりというものを持たなければならないでしょう。そうして行政上進めなければならない手続というものがあるはずです。それを何もしないで、そうしてむつ小川開発株式会社が今破産しそうだから土地を売らなければならない、売り先はもうどこでもいい、買ってくれるところがあるならばだれでもいいというようなやり方で走っていることについて、何の指導も何の抑制もしないで、それで国土庁というのがお勤まりになるのだろうか。国土庁だって一枚かんでこの仕事に加担しているのじゃないですか、よしゃれやれと。その辺どうです。
  172. 石井武

    ○石井説明員 さきの建設委員会におきまして稻村大臣から御答弁申し上げましたのは、むつ小川原地区というのが全国でも数少ないかけがえのない地域でありますので、今後ともむつ小川原地域の開発という観点から積極的に推進していかなければならないというふうに申し述べたわけでございまして、手続上の問題といたしましては、仮にむつ小川原地区への立地問題が明確になった場合にはという前提でございますけれども、そのような場合を想定いたしますと、現行計画の変更の問題が当然検討課題として顕在化してまいるものというふうに私たち存じております。
  173. 関晴正

    ○関委員 その場合に、再処理工場、廃棄物処理場そうしてウランの濃縮工場、こういうような三ついずれでも結構だというお考えで臨むつもりですか。
  174. 石井武

    ○石井説明員 先ほど御答弁を申し述べましたとおり、現段階では、電力業界等関係者の間で核燃料サイクル施設の候補地の選定段階であるというふうに承っておりますので、その辺の意向が明確になった段階で、我が国における核燃料に係る政策の方向を踏まえつつ、同時に地域開発の観点から具体的に検討してまいらなければならぬというふうに私たち存じております。
  175. 関晴正

    ○関委員 大変な話だと私は思うのです。あなた方があそこを工業開発するんだと言って、そうして掲げたことがちっとも行われないで、最後には使用済み核燃料の再処理工場だとか、あるいは低レベルであれ高レベルであれそういう廃棄物の処理場とかいうことにされても構わないんだというお考えになっているとするならば、これは重大な責任だと思うのです。漁民から漁業権を奪い、補償金を払い、農民から農地を取り、そうして金を払い、あの地域を出稼ぎせぬでもいいようにするから、孫子がみんな働く場所を得るような工場地帯にするから、こう言って奪ってきた土地というものが、今そういう廃棄物の処理場になります、再処理工場になります、それでも国土庁は黙っているということになるとするならば、無責任というよりも背信行為になりませんか。
  176. 石井武

    ○石井説明員 現段階では候補地の選定の段階であるというふうに心得ておりますので、今お答えを申し上げたわけでございますが、核燃料サイクル施設を当地区に立地するかどうかという問題は受け入れ側としての青森県など地元関係者意向にかかわる問題でありまして、この点を最大限に尊重してまいらなければならないことは申し上げるまでもないことであろうと思います。ただ、その段階に達しますと同時に、国土庁といたしましても、核燃料に係る国の政策の方向を十分踏まえつつ、地域開発の観点から鋭意検討を進めてまいりたいという段取りになろうということは申すまでもないことでございます。
  177. 関晴正

    ○関委員 これは室長と論じてもこれ以上進まない話だと思います。でも、これは国土庁長官においてもまた政府においても、重要な一つの青森県民に対する背信行為につながる。青森県民ならどうやってもいいのだ、こう思って行政を進めようというようなことは私は断じて許さない。すべき手続やすべき一つの手順、これをおろそかにしては困るということについて強く申し上げておきます。あわせて、そういうような行為に出る者についても、そちらにお任せだということじゃなくて、国土庁は国土庁なりの責任もとにひとつ当たっていかなければならないものだ、こう思いますので、この点については大臣に特に申し上げてほしい、こう思います。  それから科技庁長官においても、この問題について、なるほどサイクル問題は今や懸案の問題であるし、解決しなければならないのだ。だがしかし、そういうようなむつ小川開発地域というものの将来展望、それが描いた夢が無残に砕かれて、そうして廃棄物の処理場でございました、あるいは再処理工場でございましたということにさせてしまうならば、これは政治の大変な無責任性を指摘せざるを得ない結果になるのではないか、こう思いますし、その点については閣議において必ず論ぜられることにもなろうと思いますので、その点についての配慮は十分にして私は当たっていただきたい。  その次に再処理工場の問題ですけれども、再処理工場の問題は、もうどこもないからどうしても青森県だ、こう定めてしまっているのかどうか、伺っておきたいと思います。
  178. 岩動道行

    岩動国務大臣 再処理工場の問題は、先ほどから申しておりますように、これは企業者の方がどのように核燃料サイクルの施設をこれから進めるかというところにかかっておりますので、私どもがむつや下北半島でどうこうしなさいとかどうあるべきだということは何ら指示もいたしておりません。これはまず第一義的に、何と申しましても核燃料サイクルを必要とする電力業界の課題でございます。  先ほど来、むつ小川原の開発についてお話がございました。これは国土庁が責任を持ってやられるお仕事でございますが、一つ私申し上げておきたいのは、あそこは石油化学等のコンビナートとしての構想があったと思います。ところが、その後国際的に産業構造が大きく変わってまいりました。日本もその中にあったわけでございます。したがって、いわゆる石油化学コンビナートといったようなものは、発展途上国とかあるいはサウジアラビアとかあるいはイランとか、そういうところでどんどん現地でも石油化学の産業が興る、またこれに日本協力してやる、こういう体制になってきた。そのように大きな産業構造の変化というものが日本に起こってまいりました。そのあらしの中に実はむつ小川原地区の開発というものが巻き込まれてしまったわけでございます。したがって、そういう経済状況、産業状況の変化というものはやはり冷厳に受けとめなければならない。いたずらに、一遍計画したからそれをどうしてもやらなければいかぬ、民間にやってもらう、なかなかそれはうまくいくものでもございません。そういうようなことで、そういう産業構造の変化、このことを踏まえながら、いかにして下北あるいはむつ小川原の開発振興を図っていくかということで新しい観点から見直さなければならないのではないだろうか。したがって、青森県でおつくりになっているこの下北半島等の開発計画について十分に念査をしていただき、そしてまた民間がどのような地域に対する期待を持っているかということも念頭に置いて、県、民間、そしてまたそれぞれの地方市町村等関係のところ、そして国とが一体となって新しい観点からこれらの問題に対応していく時期に来たのではないだろうか、こういう認識を持っておるわけでございまして、いずれ国土庁がその取りまとめをして、そしてまた閣議等においてこの問題が取り上げられるときには、私も十分にその点を配慮しながら対応をしてまいりたい、かように考えております。
  179. 関晴正

    ○関委員 大臣がそういうお話をすると、どうしてもまた論が戻らなければならなくなっちゃうのですが、余り戻りたくないのです、私は。ただ、非常に大きいバラ色の夢を自民党政府が見せてあげて、青森県民の出稼ぎをなくし、青森県民の所得の向上を図るために大都市をつくってあげますよと言ったんですよ。それがゆえに大事な農作物を手放して、農地も手放して、漁業も捨てて、漁業に生きるしかない漁民、農業に生きるしかない農民が国家のためならばといって協力したわけですよ。それが何のこともないままにしてしまって、今度は経済が変わったから、情勢が変わったからといって、そう気楽に言えるなんという人は本当に幸せだと思いますよ。日本政府というものは大臣が毎年かわるのだから、大臣はそのときそのとき答えておけば済むかもしれない。しかし、そこに命をかけてきている農民、漁民にしてみれば大変な気持ちなんだ。自民党でなければならないと思っておられる方々も、こんなに自民党が我々を欺くのかなということで、大変な不信なんです。この状態というものをまずどう解決するか、政治の責任性、そういう住民の持っている不信性、それをどう取り除くかということが政治の衝にある者の仕事なんだ。そういうことをお構いなくわきに置いちゃって、石油の情勢が変わったから、さっきの話の、世の中が変わったから、こう言っただけで事を済ますなんということは私は適当でない。  だから、その意味においては、すべき手続、すべき手順、すべき手当て、これをした上で次の道を選ぶならば選べばいい。そういうこともしないうちに、あらあらといううちに電事連が走ってきました、あっ原燃サービスが走ってきました、事がこうなっていったんじゃ私は余りにも情けない、こう思うわけです。そうして、あそこの住民たちの生活の困窮度あるいは村の財政の弱体、それをいいことにして、金さえまけば事が解決するであろうというこの物の考え方、大体むつ小川開発というのはそこから出発したのですから。途方もないいい値段をつけて、一反歩七十八万円だとかということであの当時買ってあげたのですよ。余りいい値段だものだから、売りたくない人もみんな売った。金で買っちゃったんだ。そうしてまた金が入ってくるのかと思ったら、今度はおしまいですよ。このことについての行政の責任というものを強く持って当たってもらわないことにはどうにもならない、こう思っておりますので、先ほどの長官のお答えについては、時代が変わったんだからという言葉だけで安易にそうですかと言うわけにはいかないということだけは返しておいて、閣議においてもひとつ政府の感ずべき責任、負うべき責任、そういうものについてはたっぷり負うていただいて、新しい手を出すならば新しい手を出して対処してもらわなければならない、私はこう思っておりますので、これは意見として申し上げておきます。  次に一まだ待ってください、もう終わってしまいますから。あなたの答弁をもらうと時間がなくなってしまう。十分しかありませんので、せっかく原子力事業団のお方もお見えになっているのですから、ここでそちらの方に質問を向けたいと思うのです。  これはこの間、私はあなたの方に申し上げておきましたよね、長崎県の佐世保から二十億の金をいつまでも置かないで早く取り立てたらいいだろう。佐世保から船は出ていく金は残るなんていうことはおかしいじゃないか。煙は残るというのは前にも申し上げたけれども、きょうもまた申し上げておくのですが、二十億ですよ。風聞による魚価の低落防止のために二十億の金をあなた方はぽんと置いてきたのです。青森県にはあなた方は三億の金しか置いてないでしょう。あとで十七億来たのかなと思ったら、十七億は借りた場合に利子補給をするというだけでしょう。船と一緒にその二十億もしょってきて、魚価対策で置いておけばよさそうなものなのに、そういうことをしない。それで私は、何でそんなことになるんだろうかということで、会計検査院はなぜこれをいじめないかと言ったら、会計検査院もいろいろ困りまして、そうして調べた結果のこれは問題です。何と書いてあるか。私もこれには驚きました。「原子力船「むつ」関連魚価安定対策事業実施要領 五三水研第二九八号 昭和五十三年十月十六日 農林水産事務次官依命通達」なるものにおいて、目的なり種目なり事業内容なりをうたっておりますが、その中の四項、「長崎県知事は、農林水産大臣原子力船「むつ」による佐世保港の使用が終了することにより風評による魚介類の価格が低落するおそれがなくなったと認定した場合において、基金に残額があるときは、当該残額のうち国庫補助金に相当する額を返還するものとする。」こうあるわけです。それを八月三十一日に青森に向かうことが決まったその日の一週間前、一週間には足りませんよ、八月二十五日、五十七年の八月二十五日に、二段目のところの、「むつ」に「よる」から「佐世保港の使用が終了することにより」、この項目を削って「原子力船「むつ」に係る」、「係る」という二字に直して「原子力船「むつ」に係る風評による魚介類の」こう訂正したわけです。頭のいい人がやりましたね。官僚の頭よしが手伝いしたのか、政治家の悪知恵が作用したのか知りませんよ。二十億を守るために二字にして、「佐世保港」というところを削っちゃったわけだ。これはだれのしわざです。
  180. 中村守孝

    ○中村(守)政府委員 原子力船「むつ」は、長崎の佐世保港に入港して修理するにつきましてはいろいろ長崎県側におきましても御尽力ございまして、当初約三年間で修理を行うという約束で、昭和五十三年七月二十一日五者協定を結んで、その協定のもとで五十三年十月に佐世保港に入ったわけでございます。しかしながら実際の修理はおくれまして、いろいろな事情もございましたが、実際の修理開始が昭和五十五年八月ということになりまして、最初お約束しました修理期間中には修理ができなくなる。修理の延長をお願いしなければならなくなったわけでございます。この修理期間を延長することにつきましては、当初佐世保港に入れることにつきましてもいろいろ地元で問題もございまして、これをさらに延長するということにつきましては、やはり地元関係者関係方面、いろいろな議論があったわけでございます。  そういうことで、五十七年八月三十一日までに約十カ月半延長するということで長崎側にお願いいたしまして、この修理期間を延長するという過程におきまして長崎側からは、この修理期間の延長をするけれども、魚価安定基金が「むつ」が佐世保にいなくなった途端になくなるということではなくて、この点については出港後においても残しておくようにという要望も出されました。  こういうような修理期間の延長にかかわる過程のお話もございまして、修理期間延長については地元も誠意を持って御協力していただいたわけでございますので、私どももこれに対しては、当時中川長官のときでございましたが、誠意を持っておこたえすべきであるという立場に立ちまして、「むつ」の佐世保港出港後においても直ちに返還ということでなく、経過措置としてしばらくは基金を残しておく、こういうことで関係省庁にいろいろ御相談を申し上げて、先ほど先生が御指摘なさいましたような補助金の実施要領を水産庁に変更していただいたわけでございます。
  181. 関晴正

    ○関委員 私の聞いていることに答えてください。だれがこういう名文をつくったのですか。局長がやったのですか。
  182. 中村守孝

    ○中村(守)政府委員 今申し上げました事情の中で、私どもと水産庁との方で協議してできたものでございます。
  183. 関晴正

    ○関委員 とにかく船が出ていく六日前に、八月二十五日に、今のように、言うなればこれは手心を加えたと言ってもいいでしょう、何の要もないのに、功績賞じゃないですよ、功労金じゃないですよ、これは。あなた方の金の使い方がこういうことにおいてもなってないから、原子力船というものを早くやめてしまって、それでせいせいしなさいと言っているでしょう。港づくりなどというむだなことをまたするのは適当じゃない、こうまた言っているわけですよ。こういうようにあなた方は仕事ができない。二十億の金を当然船と一緒に積んで青森の港へ入るときにやればいい。それを向こうに金は置いていってくれと言えば、はい、わかりましたと言って置いていく。じゃ、青森県も二十億一緒に金を置いてくれるのかと言ったら、青森県の場合はお金は上げません、ですよ。そのかわり三億だ。三億に十七億事業費を加えておいて、その利子補給だけはしましょう、大変な差別ですよね。そんな苦労をしなくてもいいのです。向こうから持ってくればそれでいいのです。どうしてこうしたつまらないことをするのでしょう。これはもっと申し上げたいけれども、もう時間がないから。  こういうようなことをして、私はこの間、会計検査院が指摘しないのはおかしいとあなた方に言った。そうしたらあなた方は、指摘はされませんと開き直ったから、おかしいなと思って調べたらこの事実があらわれてきたのですよ。知らなければいいと思って、いつまでもだましておくようなことはやめてください。  そこで理事長、あなたは、この間青森県に十八億の補償金を払ったときに、補償金の算定の基礎を言ってくださいと言っても、言えないと言って逃げてしまった。これから払う金の話ならばまだ考えるということもあるけれども、払ってしまった金ですよ。あなたのお金ならば逃げてもいいですよ。これは国民の税金ですよ。国の予算ですよ。十八億の算定の基礎、根拠だけはひとつきょうは明確にしてください。
  184. 井上啓次郎

    ○井上参考人 漁業補償金の十八億につきまして先生の御質問でございますけれども、この補償金を決めたときに北村県知事のごあっせんででき上がったものでございます。しかもそのときに、青森県では漁業補償の内容というものにつきまして配分が終わるまでは公表しない、そういう慣例になっておりますからというお話もございまして、私も、そういうふうな意味では、先生の御指摘のような問題ではございますけれども、地元の慣例ということを尊重いたしまして、そのように取り計らってきたのでございます。
  185. 関晴正

    ○関委員 青森県の金ならばこれはいいですよ、慣例でも何例でも。これは青森県の金じゃないのです。国民の金なんですよ。そして十八億の補償をした、その補償の算定の基礎を申し上げてくださいと言っているんですよ。何もあなた北村知事に仕えているんじゃないのだから。そうでしょう。この金の算定の基礎を言ってください。慣例によって出さない、そんな慣例なんてありませんよ。補償金にはみんな、共同漁業権にかかわる件、影響補償にかかわる件、消滅にかかわる件、漁獲高にかかわる件と、ちゃんと算定があるんですよ。それを言ってください。でたらめに十八億やったんですか。言っては困るというのは、何が困るのです。だれが困るのです。国民の金ですよ。
  186. 井上啓次郎

    ○井上参考人 算定の基礎につきましては、はっきりした方針でやりました、第一は漁業権の消滅することに対する補償、その次は工事中に航行の制限をいたしますからそれに対する補償、それから工事に伴っていろいろの影響が漁場に出ますから、それに対する漁業への影響という項目が一つございます。さらに、港づくりによって漁場価値の減少というものを考慮いたしまして、その金額も計上してございます。  したがいまして、算定基礎はございますけれども、数字につきまして今お尋ねと思いますけれども、これは現在関根浜漁業組合におきまして、三十八人の方々が集まって配分委員会で検討しております。中身につきましては私は存じておりませんけれども、西口組合長におきましては、責任を持って適正にこれを配分するというお約束になっておりますのを信じまして、現在の状態で推移しているのでございます。
  187. 関晴正

    ○関委員 我が国の予算の執行に当たって、十八億の補償金を払って補償の算定の基礎がこの国会の場で言えないということがありますか。区分けしたんでしょう。その区分けしたものに従って金額を言ってくださいよ。  今配分委員会が何でもめているのか、どういう算定でこの金を出したのかが知りたいと言っているんです、配分委員会は。それをきちんとしないうちに配分できないと言っている。ところが、悪いやつらはそれがきちんとすれば困るから、今のうちに配分しちゃえと言っているのです。あなた        し方は悪い方の手塚毎日しているわけだ。悪人に手伝いをするものじゃない。善人に手伝いをしなさい。善人というのは、今漁場を失い、漁獲高が減り、大きな損害を受ける人なんです。一年間三百六十五日漁業をやっている人。悪人というのは、二日か三日昆布とりに行ったか行かないかでみんな正組合員にしちゃって、昆布とりならぬ補償とりに加わっている諸君です。そうして頭割りで七割だというのです。あなた方頭割り七割という金額を決めましたか。そして漁獲割り三割と決めましたか。三割を漁獲割りにして配分しようというんだ。そうして漁民の人たちは、三割のうちの何ぼおれにくるべか、こう言っているのですよ。魚をとらない諸君たちが漁獲割りにもあずかるべし、魚を何にもとらない諸君が頭割りにもあずかるべし、そんなうまい汁を、きちんと働いている漁民の犠牲のもとに配分されるなんということが出てきたら承知できないことなんですよ。  だから、きちんとさせるためにも、あなたの方でこうやりましたよと言えば、わかりましたと言って向こうも分けるのです。あなた方の方は隠して悪人の味方をするものだから、配分委員会はますます紛糾、とても大変な状態です。ですから、知事が何と言ったか知らぬけれども、こちらの考え方からいけば、国会というところは知事の言うことを聞くところじゃないんだから、国民の要求に従って国会というところは動いていくところなんだから、強く算定の基礎を言えと言うんだから、あなた言ってくださいよ。あなた、あくまでも隠すなんということではいけませんから、もう一遍場を与えますから、答えてください。
  188. 井上啓次郎

    ○井上参考人 先生のせっかくのお話でございますけれども、西口組合長と協定書を結びました。その中に、漁業補償金の配分につきましては組合長の責任において公平かつ適正に配分するということが明記されております。さらに、組合員の中から異議の申し立てあるいは苦情がありましたら西口組合長の責任においてこれを処理する、解決するということが明記をされております。  私の申し上げていることは、内容を申し上げて、配分委員会でそういう議論が沸騰する、言葉は悪いのでございますけれども、無用の摩擦を起こすおそれがあると私も感じまして今申し上げてないのでございまして、その点、御理解願いたいと思います。
  189. 関晴正

    ○関委員 もう時間ありません。申しわけありません。とにかく今の答弁で了承するわけにはいきません。  今はしなくも西口組合長との密約云々ということだったのですが、この西口組合長というのは船一そうもないのですよ。網一つもない男ですよ。采配は振るっていますよ。これはもう悪人の方に近いでしょう。とにかく国の金をごまかして取ろうという者にあなた方まで加担して、そして口をつぐんで語らないなんというのは、これは民主主義ですか。  私は、非上さんは善良な人だから、宇宙の役員になるときに、この人ならいいだろうと言って賛成した一人ですよ。善人な人でも、政治が悪くなればこんなにあなたを悪くしてしまうかなと思って悲しまざるを得ません。涙が出るぐらいです。あなただって、お年をとって、うそ言わなければならない、隠さなければならないなんということは嫌でしょう、人生幾ばくもあとないんだから。こういうおしまいに、言いたいことも言えないで、そして十八億のことでいじめられているというのは損じゃないの。吐き出した方がよっぽどいい。長生きしますよ。  この点についてはどうしても言わないと言うんだが、名委員長、ひとつ言わせるように、理事会で御相談の上で取り組んでいただければと思いますので、以上申し上げて終わります。
  190. 大野潔

    大野委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後一時二十八分休憩      ――――◇―――――     午後三時九分開議
  191. 大野潔

    大野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。吉田之久君。
  192. 吉田之久

    ○吉田委員 最近当委員会におきましては、大野委員長の御努力で各関係専門領域の専門家や学者などに次々においでいただいて、委員会の名において勉強会的なものをやっていただいております。これは大変勉強になるわけでございます。  特に、この間、宇宙開発の問題につきまして大林辰蔵先生のお話を聞きました。この先生の説によりますと、地球上の人口は年率二%ずつ増加しておる。したがって百年もたたないうちに現在と比べて十倍以上の五百億という人口に地球はなる。食糧の不足、資源やエネルギーの枯渇はもう目前に迫っているのだ。二十一世紀中に人類は宇宙に進出するとして、次の幾つかの問題に対して答えを考えてみる必要がある。まず移住場所でありますけれども、月や惑星に行って住むと考えたのはSF時代の話だ。そんな小さな天体、狭い空間に行って住むのではない。もっと広大なラグランジュ空間、重力平衡領域と申すそうでございますけれども、を目指すことにするのだ。それからエネルギーと資源は、エネルギー(電力)はふんだんに降り注いでいる太陽光エネルギーを使うことで十分であろう。天然資源は月岩石の中にあることがアポロ計画で判明した。また、テクノロジーとしては、スペースシャトルの成功によって宇宙への運搬手段については明るい見通しを得た。必要経費は、世界の人々が百年以内にすべてスペースコロニーに移住を完了するとして、それに必要な年間の投資額はGNPの一%程度あれば十分であると見積もられている。こういう壮大なお話を承っているわけなんでございますが、二十一世紀は果たしてそういう時代になるのであろうか、長官はどうお考えでございますか。
  193. 岩動道行

    岩動国務大臣 今、この委員会で、科学技術の主要な分野について委員先生方が大変御勉強なさっておりまして、私どもは、むしろ先生方に見通しを教えていただいて、政策を立てていきたいように思うわけでございます。  今お話があったような、宇宙というものが、もうそんなに遠いものではなくなってきた、人類の知恵、科学技術の手の届くところに来つつある。特に、衛星を打ち上げるというようなことあるいは月面に到達したこと、さらに宇宙基地計画というものが具体化する、こういったようなことを考えますと、やはり人類がこの空気のある地球の上で開発研究をしてきた、人間から生物からいろいろな資材等が宇宙でどのように活用できるのかというこの研究開発はかなり期待ができると思います。人類の無限の希望もそこにあるかと思います。  ただ、大変巨大なプロジェクトでございますので、資金の面でも相当の制約が出てくると思いますので、これらは着実に進めていかなければなりませんし、日本もまた、できるだけ自主技術の中において、国際協力の分野で、そのような手の届く宇宙を広げていく時代にまさに到達している、こういう認識でこれからも進めたいと思っておりますので、ひとつよろしく御指導をお願いしたいと思います。
  194. 吉田之久

    ○吉田委員 この間、二月十九日の日経新聞に「デスクの目」という欄がございます。この記事もなかなか興味があると思うのです。「八〇年代はエレクトロニクス全盛、その次はバイオテクノロジーといわれてきたが、今おぼろげながら巨大な姿を現しつつあるのが宇宙だ。米国が恒久的な布人宇宙基地(スペースステーション)建設に動き出し、各国の産業界がいろめきたち始め、宇宙産業の時代を迎えようとしている。」こういう書き出しでありまして、さらに「宇宙基地は、宇宙が生活、生産の場になることを意味する。魚類が水中から地上に進出し、人類の祖先たちが森林から草原におずおずと姿を現したときほどの意味がある。」こういう表現を使っているわけなんでございます。  こうした背景を受けて、長官は、宇宙政策大綱を新たに改定されましたけれども、今後具体的にどのようなスケジュールで我が国の宇宙政策を展開していこうとなさるのか、まずその概要を承りたいと思います。
  195. 岩動道行

    岩動国務大臣 宇宙開発計画につきましては、それができ上がってから既に数年たって、時代がすっかり変ってまいりました。科学技術の急速な進歩によってそれに対応した政策を新しくつくらなければならない、また、実用化が非常に進んできております。そういう中において、また財政的ないろいろな制約というものも考えなければならない。したがいまして、さきの計画大綱を見直して、整理をして、そして日本としてやれるものあるいは国際協力によってやるものといったような仕分けをして、新時代に向かって宇宙開発計画を進める、こういうことで計画を改定したわけでございますが、具体的なことは担当局長から申し上げます。
  196. 福島公夫

    福島政府委員 ただいま大臣の方から御答弁いたしましたとおりでございますが、その具体的な考え方といたしましては、この政策大綱というのは、御存じのように、既に今から六年前につくられたわけでございます。その間、先ほど先生もおっしゃられましたように、アメリカ宇宙基地計画というような壮大な計画が入ったこともございまして、我が国の宇宙開発をめぐる国内外の情勢が非常に変わってきたということもございます。もう一つは、宇宙開発そのものが、我が国にどういうことが現実にできるのかということが非常にはっきりしてきたこともございまして、大綱の改正に踏み切ったわけでございますが、この作業を行うに当たりまして、一年前から長期ビジョン特別部会で長期ビジョンというのを作成をしてきたわけでございます。  そこで、今後十五年間といいますか、今世紀中にどういったものが日本で求められているかといことを作業をしていただきました。これには当然のことながら、産学官全部集まって知恵を絞ってやっていただいたわけでございますけれども、そこで出てきたニーズというものに対応しまして、それを実現すべくスケジュールを立てたわけでございます。  一つの例を挙げますと、人工衛星の大型化というものが実用化に向かって求められているわけでございますけれども、そのときに例えば二トン級の静止衛星というものが必要だというような、それが一九九〇年代の初めごろ、そういう技術が必要だということが求められましたので、それに対する開発計画を進めることになりまして、こういうことは既に五十九年度の予算の中にも組み込まれて一歩進めております。ただ、宇宙開発は、全体につきましては、二十一世紀まで全部ということでございますので、随分先のことにつきましては、本当にこれから日を追ってだんだんと具現化するのではなかろうか、それに合わせた開発を進めていこう、大体こういうような考え方で進めておるわけでございます。
  197. 吉田之久

    ○吉田委員 二十一世紀の本格的な宇宙時代へのアプローチ、その中でとりわけ世界が今日本に何を求めているかというようなことにこたえての政策大綱の改定だと思いますが、その中で特に我が国の自主開発、その面に非常に力点が置かれているように我々は印象を受けているわけなんでございますが、この自主開発と、それから世界との提携、関連、この辺につきまして、もう少し御説明いただけませんでしょうか。
  198. 福島公夫

    福島政府委員 宇宙開発というのは確かに技術それから人的資源、それにお金、いろいろなものを非常に大量に必要とするものでございます。我我としましては、できることならば、すべての物を自分でつくれる技術というものを持ちたいとは考えておりますけれども、やはり経済的な効率的な観点に立ちますと、何を一番大事にすべきかということをまず考えたわけでございますが、最低日本としてこれだけの技術は持ちたいというものについては、いわゆる自主技術によって得よう。これはどういうことかといいますと、人工衛星あるいは大型ロケットのデザインオーソリティーと言われるもの、つまり自分たちで設計しっくり上げていくという技術を最低持ちたいと考えているわけでございます。  したがいまして、もちろん個々のコンポーネントにつきましても国内で供給を受けられる体制にするのが最も好ましいわけでございますけれども、これはある意味では国際的に分業といいましょうか、国際的にはいろいろなすぐれた技術がございますので、そういうものをプロキュアメントするといいますか集めて、自分の欲する衛星あるいはロケットをデザインしていくということをやりたいと考えておりますし、それから現在のみずからの置かれた立場を考えますと、有人宇宙活動につきましては、これは国際協力をもって進めていくべきではないか、こう判断いたしまして、例えばスペースシャトルを使った材料実験あるいはただいま話題になっております宇宙基地計画、こういうものは国際協力で進むべきである、そういうふうに考えて分けておるわけでございます。
  199. 吉田之久

    ○吉田委員 次に、具体的に政府は実用衛星の将来の需要をどの程度に見込んでいらっしゃいますか。まずその辺のところをお伺いいたします。
  200. 福島公夫

    福島政府委員 先ほども説明申し上げました長期ビジョン特別部会で検討していただいたのでございますが、おおよそ今世紀中に五十個ぐらい実用衛星が必要なんじゃなかろうかと言われております。その中身は、通信衛星放送側星、気象観測衛星あるいは地球観測衛星といろいろございますが、これらの中には、寿命もございますので、打ち上げた開発の後のリプレースということでございますが、そういったものも含めまして大体五十個ぐらい必要なんじゃなかろうかと言われておりまして、私どももその数字を使っていろいろな政策考えているわけでございます。
  201. 吉田之久

    ○吉田委員 五十個と申しますと、年に二、三個ずつは上げていく。大体上げ方というのは、そんなに一遍に五個も十個も上げるということはまだ不可能なんでしょうね。それはそれとして、そういうユーザーの意思に基づいて計画を立てないと、ただ花火みたいに上げるわけにはいかないと思うのですね。その辺のすり合わせと申しますか、政府側とユーザーの方とのいろんな協議と申しますか、その辺は具体的にどういうふうに詰められていくのでございましょうか。
  202. 福島公夫

    福島政府委員 ただいま五十個の需要があると申し上げましたのは、これは長期ビジョンの特別部会ですり合わせたものでございまして、この中には、経団連あるいは財界の人、それから大学の先生方電電公社あるいはNHKの方、ほかの官庁の方々みんな含まれておりまして、そこでの要望を入れてつくったわけでございますが、いかんせん、宇宙開発というものは非常な勢いで進歩しておりますので、今後はその需要がもっと早まるかもしれないし、あるいはもっと整理されるかもしれないしということもございますので、今後とも我々はユーザーとの間で、これは宇宙開発委員会を中心にやるわけでございますが、ユーザーとのすり合わせというのは密接にやっていきたいと考えております。
  203. 吉田之久

    ○吉田委員 それから特に、先ほどもお話ありましたけれども宇宙開発委員会としては今後重さ二トン級の静止衛星打ち上げ能力を持つ国産の大型ロケットⅡの開発を急ぎ、六十五年度の完成を目指す、そして国際協力を進め、米国の有人宇宙基地計画に積極的に参加する、こういうことを新政策大綱にも盛り込んでいらっしゃるようでございます。そういうことと並行して、今ひまわり二号がああいうことになりまして、一号がまたもとに復帰して活躍しているようでございますが、この三号の打ち上げ計画等につきまして、この機会に少し御説明をいただきたいと思います。
  204. 福島公夫

    福島政府委員 三号につきまして、この夏、八月期でございますが、ここで打ち上げる準備を今進めておるところでございます。二号のいろいろなふぐあい原因究明しておるところでございますが、かなりの分野のことがわかってまいりましたので、そのふぐあいにつきまして三号、もちろん三号もほとんどでき上がっておるわけでございますが、ある部品等については新しいものに取りかえる等のことの作業をしておりまして、この八月には打ち上げるということになっております。
  205. 吉田之久

    ○吉田委員 そうすると、打ち上げられた三号がまた機能を果たすことになるわけでしょうが、一号はそのままほっておく。この辺の衛星の寿命というのはどうなるのでしょうか。
  206. 福島公夫

    福島政府委員 一号というのは、今ピンチヒッターになって活躍しているものでございますが、静止衛星の寿命というのは、その静止軌道にとどまることができる調整するための燃料が尽きるときをもって一応物理的な寿命となっておるわけでございますが、それが設計したときの計算上ではかなり厳しいということもございまして、恐らくことしいっぱい使えば静止軌道にとどまるための調整する燃料がなくなるのではないかと今考えられております。したがいまして、それがなくなると8の字がだんだん大きくなっていって最後は気象衛星としての利用はできなくなる、こういうものだと考えております。
  207. 吉田之久

    ○吉田委員 一号が今役立ってくれておって、本当によかったと思うわけですが、それにしても今お話しのとおりタイムリミットがだんだん近づいてきておるようでございまして、三号の打ち上げの成功を国民もみんな期待をしていると思います。  次いで、宇宙開発は多額の資金を必要とすることは当然でございますけれども、限られた科学技術予算の中でどれだけを宇宙開発に回すかについては、科学技術庁長官としてもなかなか御苦労なところだと思うのです。政府は、今後宇宙開発にどれくらいの公的資金を投入していく計画なのであるか、あるいはまた、その確保について十分めどを立てていらっしゃるのかどうか。まず資金面を伺います。
  208. 福島公夫

    福島政府委員 御高承のとおり、現在の日本宇宙開発につきましては、国庫ベースで、今年度五十九年度を見ますと千里二十億円という数字でございます。それからNHKとか電電公社の金を含めますと千三百四十億円になっております。確かに、政策大綱をつくり、こういうことをやれということにはなりましても、じゃいつまで幾らの金を確保できたのかと言われますと、これは御存じのように、毎年の予算で財政当局と財政事情を勘案しながら決めていくということをせざるを得ないわけでございます。  ただ、政策大綱を改正したときにより現実的な計画に直したというふうに先ほど申し上げましたけれども、それは、例えば現在開発していますロケットはHIロケット、これは五百五十キロの静止衛星を打ち上げるロケットでございます。最初それのb型ということで、八百キロクラスのものを開発したいというような話もありました。それから二トンあるいは四トン、いろいろ希望はあったわけでございますけれども、それらを全部開発することになると三倍も四倍も金がかかるわけでありまして、そういうことを考え、また日本の今の技術レベルというものも考え、それからユーザーのニーズというものも考えて、これなら何とかできるのではないか、それほど大きな背伸びをしなくてもできるのではないかという形で、二トンの静止衛星を打ち上げる大型ロケットというものに踏み切る、こういうふうな考え方でやっておりまして、これは一つの例でございますけれども、大体そういった形の考え方で進めているわけでございます。したがいまして、確保できたのかと言われると、できましたとは申し上げられませんけれども、この程度の計画であるならば、財政当局と毎年相談しながら何とかやっていける計画ではなかろうかと考えておるわけでございます。
  209. 吉田之久

    ○吉田委員 先ほどからお話ありましたとおり、衛星だけでも今世紀中に五十個ほど打ち上げていかなければならないのでしょう。ですから、現在一千億円余りの宇宙開発に関する予算では、ちょっとこのままではこなし切れないのではないかと思うわけなんです。特に、日本航空宇宙工業会会長末永聡一郎さんでありますけれども、この方でも、宇宙産業振興のため政府に対し、宇宙関連予算を現在の三倍の三千億円まで早急に引き上げ、将来は一兆円に増額してほしい、こういう希望が出ておるのも無理のないことだと思うわけなんです。先ほどの大林先生のGNPの一%としたら三兆円ぐらいになるのでしょうか、なかなかそこまでは急にいかないと思いますけれども、だんだんオーダーが変わってくるのではないかと思うわけなんです。  しかし、我が国の財政事情は、お互い知り尽くしておりますとおり大変厳しい現状にあります。こういう中で長官としては、今後そういう予算規模をどのように努力しながら拡大していこうとなさるのか、あるいは政府だけではなしにいわゆる民間の資金というものをどのように協力、活用を求めていこうとなさるのか。この辺のところがかなりしっかり定まってこないと、ただその言やよし、大変壮大なことをみんな言っているのだけれども、なかなかにはかどらない、世界に対しても十分役割を果たしていることにならなくなっては大変だと思うわけでございまして、その辺いかがでしょうか。
  210. 岩動道行

    岩動国務大臣 まさに宇宙時代に突入をしているわけでございます。しかも、急速な実用化の段階にも入っております。したがって、私どもがこの間改定した大綱を寒行するにも相当の財政的な基盤がなければならないわけでございますが、幸いにして今日まで毎年の宇宙開発に関する予算の伸びは七%の半ば以上、八%に近いところまでいくような状況でございます。五十九年度の予算におきましても、総事業費におきましては七・七%、千百三十億円で、宇宙関係予算は前年より伸びておる。これは一般の予算が抑え込まれてマイナスシーリングになっている中でそこまでいっておりますので――ちょっと間違いました、五十九年度は前年比〇・四%のマイナスになっております。科学技術の予算の中に占める割合は七%を超し七・七%でございます。これはいろいろ節約をしながら効率的にやるという中ででき上がっておりますが、いずれにいたしましても、これから厳しい予算の中で私どもは最善の努力を払っていかなければなりませんし、いろいろ工夫もしなければならない。特に、御指摘のありましたような民間ユーザーの分担の割合をやはりある程度ふやしていくことによって計画を着実に実行に移していく、こういうやり方も相当強く進めていかなければならないと考えております。  いずれにいたしましても、諸外国に比べてもかなり少ない。アメリカはもう一兆六千億円というオーダーの違いがございますが、ESAの方で千八百億円程度、それからフランスが千百億円程度でございますから、まあまあフランス並み、あるいはそれよりも若干余計財政投資予算の方は計上されておるわけでございますが、いずれにいたしましても、これから一層の努力をしなければなりません。この意味において国会の先生方の一層の御支援もまたお願いしなければならないと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
  211. 吉田之久

    ○吉田委員 今長官最初間違っておっしゃったような八%ずつぐらい仮に伸びても、十年かかって倍ぐらいにしかならないですね。マイナスではもう縮んでしかいかないという理屈になりますね。  いろいろ事情はわかっておりますけれども、今お話ありましたとおり、諸外国、せめてヨーロッパの国々とは絶えず比肩しながら、その水準が著しくおくれないように、同時に将来に向かって極めて重要な宇宙開発ということでございますから、特にやはり長官がよく閣議等でも説明をなさいまして、コンスタントに科学予算はこのシェアを持ち、その中で宇宙開発はこの程度の領域を守りながら、かっこのように膨らんでいくのだ、何かその辺が安定しませんと先々ちょっと心配な気がするわけでございまして、御苦労のほどは察しておりますけれども、特段の御努力をお願い申し上げたいと思う次第でございます。  次に、白土開発の方針を先ほどお伺いいたしましたけれども、それは国際的な技術摩擦を生ずるおそれが他面にあるわけでございます。米国は将来日本が国際市場に進出することを懸念していると聞いておりますが、この問題に関しまして日米間で十分協議が行われているのかどうか。また、日本に対して米国は通信衛星本体の購入要求していると聞いておりますけれども、そういう向こうの要求に対して今後どのように対処なさろうとするのか、この辺のところを伺っておきます。
  212. 岩動道行

    岩動国務大臣 アメリカといたしましては、昨年の夏以来、特に電電公社の調達問題を契機といたしまして強く我が国に通信衛星購入を要請してきております。これに対しまして私どもは、先ほど来申しておりますように、まず、宇宙開発については日本が国際的に果たす役割の立場上、できるだけ自主開発技術というものを持つ、こういう基本政策を持っておるわけでございます。この点につきましては、アメリカ日本のこのような基本政策理解を示しております。しかしながら、一方民間等で実需があるならばそれを買ったらどうかという強い御要請でございます。私ども政策大綱で決められた予定の宇宙開発事業というものはやはり私どもの手でやっていく、しかし、相当の部分はアメリカから輸入をして導入しなければならない分もあるわけでございます。衛星本体につきましては、民間で実際に必要だ、需要があるということでございますならば、それが計画を阻害しない限り私どもはそれを認めないというわけではございません。また、既にそのような方向で、通信衛星については関係の法案の整理をして改正をしてそのような道も開こうということでただいま準備を進めているわけでございますので、その点においてはアメリカ通信衛星等購入する道は開ける、こういう姿勢で進んでまいりたいと思っております。
  213. 吉田之久

    ○吉田委員 この辺の問題も非常に微妙な問題であろうと思いますが、しかし、我々は我が国の科学技術を振興する立場にあるわけでございますから、やはり可能なる限り自主開発でどんどん進めていく。余り気を使い過ぎることは世界のためにならないというぐらいの気概も堅持しなければならないのではないか。部品等の購入は向こうの方が安いから買うんだという商業ベースで判断する場合は別でありますけれども、いろいろ難しい問題でありますけれども、その辺の指導も長官としてよろしく対処していただきたいものだと思います。  次に、宇宙開発の国際分業を検討しなければならないわけなんですけれども、特に我が国はこの辺のところをポジションとすべきである、その辺がそろそろいろいろおぼろげながら定まってくるのではないかと思うわけなんですけれども、その辺の検討はいかがですか。
  214. 福島公夫

    福島政府委員 我が国の宇宙開発というのは本当に開発段階にあるということでございまして、残念ながらまだ産業に対してどうこうという時期ではないということでございます。しかしながら、政府開発をしているわけでございますが、政府からいろいろと開発の委託を受けて民間企業も手伝って開発しているということで、自然に民間企業も力をつけつつあるということでございます。  現在の段階では、ロケットにしましても衛星にしましても、全体的なものについて国際的レベルに完全に達したとは残念ながらまだ言えない段階ではございますけれども、この中のコンポーネントにつきましては、例えば電子機器関係技術等につきましてはかなり高度な技術を持って、それであるものはアメリカ衛星の方にも部品をもう既に売っているというような形のものもございますし、また、衛星との間の通信をやります地上施設等につきましては、むしろ世界の市場を日本技術でもってかなりのものをカバーしておるというようなこともございます。この問題につきましては、だんだん技術がついてくる段階でおのずから日本の役割というのが決まってくると思いますが、ただ、最初に申し上げましたように、現在はまだ開発という段階でございますので、産業界にどういう技術を持たせようというような意味での政策はやっておらないわけでございます。
  215. 吉田之久

    ○吉田委員 事情はよくわかります。しかし、そういう状況のままで今後もその延長線上で進んでいくのですか。どこかで、日本はこういう点で非常にすぐれているからこの分だけは特段に分担してくれとか、そういうお互い線引きといいますか領界の区分といいますか、何かそういう時代に入らないと、全体としての世界の宇宙計画というのはばらばらなものになるんじゃないのでしょうか。その辺の国際的な協議検討機関というのはあるのですか。
  216. 福島公夫

    福島政府委員 宇宙開発というのは、ある意味ではその国の国家的なセキュリティーというものにもかかわる問題でございまして、国際分業とはいいましても、最低のこういった技術はやはり自主的に持っておきたいというものがあるんではなかろうか。そういうことで、我々は、一つのレベルをどこに置くかということで今後十五年間、今世紀中での技術はとりあえず、大きさで言えば二トンクラスの静止衛星を自分で開発する、それから、それを打ち上げる技術を持ちたいということを目標にやってきているわけでございます。  それで、その先のことになりますとなかなか難しい。例えば日本の場合は、打ち上げる種子島という場所の制約もございますし、それから漁業対策等によって打ち上げる期間というものも非常に制限を受けておりますし、それ以上背伸びしたものを考えていくというのは、まだまだこれから大分先にならなければ見当がつかないのではないかと思っております。先ほど言いましたように、電子部品というかエレクトロニクスの技術については、日本の場合は世界に対してもかなり貢献できるというふうに考えておりますが、現在の段階ではその程度のことしかわかっておらないということでございます。
  217. 吉田之久

    ○吉田委員 具体的な一つのプロジェクトとして米国の有人宇宙基地計画がありますね。過日、ベッグズNASA長官が訪日されて総理にもお会いになっておりますし、このとき長官も同席されたと聞いておりますが、この具体的な計画に対して我が国は今後どのような参加の形をとっていくか。同時に、その基地の運営方法とか計画への我が国の発言権はどのようになるのかというようなことにつきまして承りたいと思います。
  218. 福島公夫

    福島政府委員 宇宙基地計画につきましては、先生おっしゃられましたように、先月ベッグズ長官が来まして、中曽根総理及び科学技術庁長官の方にも来ていただきまして、ぜひ参加してほしいというふうに申し入れがございました。それで詳細な御説明もいただいたわけでございます。そういうことで、我々としましては、これに参画する場合にはいろいろの問題点を突き詰めなければならないということで検討を開始しているわけでございますし、また、そういう意味で事務的にもNASAの方と連絡をとり、いろいろとアメリカ側考え方等をただしているところでございます。  今先生の申されました参加した場合の基地の運営方法とか発言権につきましては、NASAはかなり明確に申しておりまして、これは日本だけではなく、とにかく参加する各国の意見というものをできるだけ早い時期から、例えば予備設計の段階、またその以前の段階からいろいろと意見を聞きたいということでございますので、日本側も機会をつかまえて日本考え方を述べたいと考えておるわけでございます。  また運営方法につきましても、もし参加するとすれば、どういう形のもので参加するかということにもよりますけれども、その参加したものについては当然資金あるいは技術及びその運営の責任というものも参加した国が持つべきであるというふうに言われているわけでございます。そういうことで、先生の言われるような責任、つまり責任があるということは発言権も持てるということでございますので、その点はNASAが割合明快に我々に説明しているところでございます。
  219. 吉田之久

    ○吉田委員 先方が言うとおり、なるべく早い段階日本意見を出してくれ、それは適切な向こうの意見だと思います。だとすれば、その意見を我々がこの国で早くまとめなければなりませんね。この辺の時期、方法長官はどうお考えになっているのか。  それから、日本だけで一つのモジュールを持ちたいと考えているやに聞いておりますけれども、その辺まで決断なさろうとしているのか、あるいは日本側が分担する研究テーマなどはそろそろ絞られ始めているのか、その辺のところを。
  220. 岩動道行

    岩動国務大臣 まず宇宙基地計画に参加するという願望は私ども持っております。しかし、これはもう少しアメリカ側の具体的なスケジュールも聞かなければなりませんし、また六月のサミットで恐らくアメリカ側から、レーガン大統領から国際協力についての話が出るのではないかと思っております。したがいまして、それを契機としてかなり具体的な作業に入ると思いますが、いずれにいたしましても、サミットに臨む日本の首相がどういう心構えで行っていただくかということも私どもはこれから精力的に話し合いをしなければならないと思っております。財政当局その他の関係の役所との話し合いも当然必要でございます。また、政府だけでこれを持つということは財政的にもなかなか難しい点もございます。したがって、民間でも協力をしてもらうということで、民間サイドにもいろいろと御意見を聞いたり懇談をしながらそのような参加の仕方について詰めてまいりたい。そういうような中で、この九月ごろまでには相当はっきりした姿勢を出さないといけないのではないか。そして予備設計の段階に入っていくということで事務的には既にいろいろな話し合いアメリカともやる段階になっておりますが、なお具体的には、先ほど当庁の審議官が行ってきておりますので、局長の方から御説明申し上げます。
  221. 福島公夫

    福島政府委員 まず一つは、モジュールというような形で参加するという話があるがということでございますが、これはもちろん日本側として決めておるものではございません。しかし、いろいろなNASA側の要望、これはどういうことかといいますと、NASAとしては約八十億ドルというお金をもってアメリカ側のコアになる宇宙基地開発していこう、そして、協力してくれる国はヨーロッパでも日本でもカナダでも、それ以外のお金を持ってきてそれ以外の部分をつくって参加してくれ、こういう形になっておりますので、考えてみますと、これは一つの実験モジュールであったり、あるいは宇宙ラボのときのようなマニピュレーターであったりといった形のものが考えられるということでございます。  それからもう一つは、ベッグズさんが来られたときに、日本が参加する場合にはアメリカ計画の約一〇%から一五%ぐらいの規模の参加をしてくれよというような、これはもちろん日本が決めることではあるけれども、そういった形のサゼスチョンというか希望というものも言われておりまして、もしそれができるとすればちょうど一つのモジュールをつくってやっていけるというのに合うといったようなことから、我々としましては作業の段階でそういった場合はどういう問題があるかということを検討しておるわけでございます。したがいまして、実際にそれでやるかどうかというのは、当然のことながら政府全体として財政事情も考えながら最終的に決めていかなくちゃならないものだと考えておるわけでございます。  それから、スケジュールでございますが、外交ルートを通じての正式なスケジュールというのが来たわけじゃございませんが、先ほど私ども審議官NASAの方に参りまして事務的に打ち合わせた結果、私ども考えていた以上に速いテンポでアメリカ側準備が進んでおるということで、できれば予備設計に入る前に日本意見もいろいろ聞かせてほしいということで、六月ごろには日本からも人を送ってほしいというような話が出ているくらいでございまして、アメリカの方は非常にスケジュール等固まってきておるということでございます。もちろん、だからといって日本側がそれに合わせて決定できるかどうかということはこれからの問題でございますし、ヨーロッパでも同様だろうと考えております。  それから、もう一つの先生の御質問の日本はどういうものを、どういう研究をやるのかということでございますが、これはもちろんまだこれから実際のユーザーといいましょうか、例えば国立の研究機関あるいは大学あるいは民間の要望というものを踏まえて検討していかなくちゃならないわけでございます。ただ、どういう研究が行われるべきであるかといったこと、NASAの方から日本の頭脳でどういうふうなことが考えられるかということに対しましては、もう一年半前から宇宙開発委員会の中に宇宙基地の特別都会をつくっておりまして、そこでこんなミッション考えられるというようなものについては、たしか三十八テーマばかりのこういうことができるよということで、材料実験あるいはライフサイエンスの研究あるいは本当の宇宙宇宙科学の研究というようなものについての情報NASA側にも渡してありますが、ただこれは、だから日本がこれを全部やるという意味では決してございませんけれども、そういう作業はしておるところでございます。
  222. 吉田之久

    ○吉田委員 このNASA宇宙基地への参加は、そういうことでございますから、余りいつまでもぐずぐず小田原評定をしているような余裕はないと思いますね。したがって、特に日本として早く政府意向を決めるべきだ。  それから、私どもも初めはまあまあ協力する一人のお客さんみたいなつもりで行くのかなと思っておりましたけれども、今のお話では客じゃなくて、こちらもちゃんと出稼ぎに行くような感じですね。ですから、長官の方の適切な御指導が非常に必要になってくるのではないか。特に財政と絡んでくる問題でございますから、なかなか容易ではないと思いますが、同時に今長官からお話ありました今度のサミット、ロンドン・サミットですか、そこで当然、この間ベッグズ長官総理にも言われたとおり、宇宙開発の問題がかなり重要なテーマになってくるのではないかと思うのです。しかし、この宇宙開発日本が先進国家と一緒に、参加する場合に、それが平和利用に限定されるかどうか、私どもにとればもう言わずもがなのことだと思うのでございますけれども、やはり国民の側にとっては多少の心配、懸念なしとしませんね。したがって、その辺の国民への理解をどう求めていくか、これも今からの問題だと思うのです。長官のお考え方を聞きます。
  223. 岩動道行

    岩動国務大臣 仰せのとおり、宇宙基地平和利用の目的であるのかあるいは軍事利用になるのかという点は、私どもの最大の基本的な参加への条件だろうと思います。ベッグズ長官が参りましてレーガン大統領からの計画を私どもに伝えたその書簡等は、すべてこれは民生用の予算でやっていくという、まずアメリカ内外軍事費予算ではない、その支出はすべて民生用の予算としてやっていく、それからレーガン大統領も、これは民生用のためにやるのである、そして商業用に役に立つための計画である、こういうことを申しておりますし、私どもは、ベッグズ長官が来たときにも、平和利用ということをはっきりと申し上げて、そして先方もそのとおりだ、こういう話でございますので、参加の方向で検討をする、今後もこれが軍事的に使われない、日本平和利用という枠の中で参加をしなければならない、かように考えております。
  224. 吉田之久

    ○吉田委員 時間が参ったようでございますので、技術者の養成等につきまして質問したかったわけでございますが、具体的にはまた後日の機会を見つけたいと思うわけなんです。特に最近、フランスでも日本あるいはアメリカとの競争ということをかなり意識して、いろいろと先端技術で巻き返すための一つの国策的な動きが見られますし、それに比べて日本の場合、技術者、それには研究者や技能者も含むと思うのでございますけれども、この辺の実際の担当者からかなりの不満と申しますか、いろいろな焦りと申しますか、そういうものが潜在しているやに私どもは聞くわけなんでございます。科学技術日本としては、まず一番先端で頑張るこれらの技術者がしっかりしないといけません。その辺につきましての長官としての決意と申しますか、その辺のところを伺いまして、私の質問を終わらしていただきます。
  225. 岩動道行

    岩動国務大臣 私どもは資源のない国、そして人間だけが最もとうとい資源である、そしてその頭脳を十分に発揮していくことが日本の民族の生きる道である、こういう認識に立ちますと、何と申しましても科学技術の進展が一番大事であろうと思います。それにはやはり優秀な科学技術者を養成することにあると思います。私どもは、そのような観点から、特に創造性の豊かな科学技術研究者というものを養成する。したがいまして、科学技術会議におきましてもその点についてはたびたび強調し、私どももそれに沿って政府の各省庁において努力をいたしてきております。  しかし、今御指摘のように、具体的な担当の技術者、科学者がいろんな御不満を持っているということも私ども理解ができます。これは、同本の終身雇用制度等一つの社会的なシステムというものがあるものでございますから、それを科学技術の分野においては打破しながら、どうやったら若い優秀な科学技術者が向山に立派な研究ができるか、その点については今後私どもも努力をいたしますし、あるいはただいま政府考えております臨時の教育審議会等におきましても、十分にそのようなことを念頭に置いた新しい制度を盛り込んでいくことが大事ではないか、かように考えておる次第でございます。
  226. 吉田之久

    ○吉田委員 ありがとうございました。
  227. 大野潔

    大野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二分散会