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後藤田国務大臣 行政改革というのは、本来的には行政組織、
機構の中の合理化、効率化を図っていく、これが本来的な
意味での行政改革なんですね。ところが、今進められておる臨時行政
調査会の答申に基づく行政改革は、これの発足が財政再建ということと絡み合って出てきたという
経緯がございます。そこで、本来政治の分野である政策
課題にまでメスを入れた改革、答申ということになっておるわけです。したがって、一口に言えば行財政改革ということでございますから、
昭和三十九年の佐藤
調査会の答申よりはやや幅が広くて深い、こういうことで、現在の国が置かれておる客観情勢から見ればこういう改革意見にならざるを得ぬな、こう思いますけれ
ども、それだけに従来以上に、総論は賛成であってもいざとなれば困難を伴う、こういう性格を持っておると私は思います。
いずれにいたしましても、こういった行財政改革というのは、今日肥大化しておる行政の組織、運営、そしてまた
制度、施策の基本にまで、つまり政策
課題にまで切り込んだ改革ということは、
現状から見て私はやらなければならぬ仕事だと思います。そういう面ではどうしてもネガティブな印象を与えがちなのが今日の行財政改革であろう、こう思いますが、それではいけません。やはり切るべきものは切らなければならない。しかし同時に、それは新しい時代への変化への対応、これを
考えなければ本当の
意味での行財政改革は成らぬ、私はこう
考えているのです。ところが、世の中どんどん進みますから、切るべきものを切らないで、それに対応して組織も拡大する、国なり地方なりが手を伸ばしていかなければならない
課題がふえていくということになると、
国民の負担がたまらなくなるということにならざるを得ないわけですから、変化への対応ということを絶対忘れてはなりませんけれ
ども、同時に、今日の肥大化した面は削減をしていく、こういうことであろうと思います。
したがって、今お話しの例にもございましたが、
日本は資源のない海洋の国家である、こういった国家はやはり賢い
外交の選択と
国内の安定が必要だ、そして先を見て
考えなければ立っていけなくなる国だ。今日の
状況から見れば、一番肝心なのは先導的な技術の研究開発、これにはまずそれがための戦略
目標を立てて対応していくべきであるということを最近私が
主張しておるのも、こういった変化への対応のことを
考えなければ本当の
意味での行財政改革ではない、私はこういう
考え方で進めさせていただいておりますので、その点をぜひ御
理解をしておいていただきたい、かように思うわけでございます。