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1984-06-29 第101回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年六月二十九日(金曜日)     午前九時五十分開議 出席委員   委員長 渡辺  朗君    理事 上草 義輝君 理事 國場 幸昌君    理事 高橋 辰夫君 理事 深谷 隆司君    理事 川崎 寛治君 理事 玉城 栄一君    理事 青山  丘君       大島 理森君    鈴木 宗男君       中川 昭一君    仲村 正治君       野中 広務君    町村 信孝君       村上 茂利君    上原 康助君       加藤 万吉君    有島 重武君       瀬長亀次郎君  出席国務大臣         外 務 大 臣 安倍晋太郎君  出席政府委員         北方対策本部審         議官      橋本  豊君         防衛庁参事官  西廣 整輝君         防衛施設庁総務         部長      梅岡  弘君         防衛施設庁施設         部長      千秋  健君         外務大臣官房審         議官      山下新太郎君         外務大臣官房審         議官      都甲 岳洋君         外務省欧亜局長 西山 健彦君         外務省条約局長 小和田 恒君  委員外出席者         防衛庁防衛局調         査第二課長   三井 康有君         沖縄開発庁振興         局振興第三課長 藤森 研一君         運輸省自動車局         業務部旅客課長 豊田  実君         運輸省航空局管         制保安部管制課         長       小山 昌夫君         特別委員会第一         調査室長    内野 林郎君     ――――――――――――― 委員の異動 五月二十二日  辞任         補欠選任   村田敬次郎君     鈴木 宗男君     ――――――――――――― 五月十四日  沖縄トリイ通信施設への特殊作戦部隊配備反対  に関する陳情書  (第三一一号)  北方領土早期返還に関する陳情書  (第三一二号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  沖縄及び北方問題に関する件      ――――◇―――――
  2. 渡辺朗

    渡辺委員長 これより会議を開きます。  沖縄及び北方問題に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川崎寛治君。
  3. 川崎寛治

    川崎委員 安倍外務大臣が大変精力的に世界各国を走っておられます、その努力には敬意を表したいと思います。ただ、この長い通常国会の中で延長国会まで外務大臣が本委員会担当大臣として出席ができなかったということは大変遺憾であります。その点は、自民党の理事さんたち、いろいろありますけれどもひとつ苦言を呈しておきたい、こういうふうに思います。  きょうは核トマホークの問題を中心に質問をいたしますが、まず冒頭にグリーンベレー部隊沖縄配備の問題について、外務大臣が三月、本院の内閣委員会において、特殊訓練部隊であるが抑止力という面から配備にそれだけの意味がある、こういうふうに答弁をしておりますし、まだ安保効果的運用だ、こういうふうなことで答弁をいたしておるわけでありますが、ゲリラ、テロ等に対するそうした忍者部隊抑止力のいかなる役割を果たすのであるか、外務大臣見解を伺いたいと思います。
  4. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 グリーンベレー部隊というのは今さら申し上げるまでもないわけですが、ベトナム戦のときでも活躍したと言われておるわけであります。この部隊はかつて沖縄にも配備されたことがありますし、また今回わずかではありますけれども配備をされる、こういうことになりましたが、これはいわば少数精鋭の特殊な部隊でありますし、それだけにいわゆる安保条約効果的運用という面から日本防衛あるいはまた日本に対する侵略の抑止といった面についてそれなり役割を果たすものである、私はこういうふうに確信しております。
  5. 川崎寛治

    川崎委員 専守防衛日本自衛隊専守防衛とうたっておる安保条約、そういうものの上から、グリーンベレー部隊は今大臣答弁のようにベトナムで悪名をはせた大量殺人部隊であるわけですね。それがなぜ日本沖縄に必要なのか。そこで自衛隊一緒共同訓練をやるということに何の意味があるのか。それは治安対策上ですか。私は、大臣抑止力としての役割、こういう見解については納得できません。いかがですか。
  6. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 これは軍隊ですから、治安対策とかそういうものではないわけですし、あくまでも軍隊としての、特に最近アメリカの国内においてもこの部隊有用性というものが高く評価をされておる、こういうことで、それなり日本における抑止力日米安保条約を効果的に運用するという立場から見てそれだけの価値がある、私はこういうふうに考えております。
  7. 川崎寛治

    川崎委員 これは議論しておると時間がたちますから、この程度において、いずれ上原委員からも質問があると思いますので、それに譲りたいと思います。  次に、核トマホーク実戦配備を二十七日アメリカ国防総省報道部が発表いたしました。この核トマホーク実戦配備というものについて外務大臣はどう評価をされるのか、それから事前連絡があったのか、伺いたいと思います。これは官房長官も談話を出しているわけです。だから、外務大臣見解というものを国民は注目しておると思う。事前連絡があったかどうかだけまず答えてください。
  8. 山下新太郎

    山下(新)政府委員 私からちょっと一言、事実関係だけ御説明したいと思います。  二十七日にアメリカ国防総省が、数日前に一部の艦艇に対して核搭載トマホーク運用能力が付与された、そういう趣旨の発表を行ったことは私ども承知をいたしております。ただ、これが事前連絡があったかと申しますと、今のところは私ども受けていない次第であります。  ただ、既に御承知かと思いますけれども、この核搭載トマホーク運用能力の付与がことしの六月に予定されているということは従前来明らかにされていた次第であります。
  9. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 核トマホークのいわゆる艦艇に対する装備につきましてはアメリカとしても前から準備を進めておりまして、昨年から通常兵器としてのトマホーク装備、あるいはまたことしに入って今説明がありましたように核つきトマホーク装備といった装備が行われるであろうということは我々としても承知をいたしておるわけであります。私がアメリカから聞いた話では、トマホークの大部分は通常兵器である、こういうふうに聞いておるわけですが、もちろん核つきトマホークということもあり得ると思います。アメリカのいわゆる世界戦略といった立場からこうした装備が行われることは、アメリカ自身国防の問題あるいは世界戦略の問題として我々は理解をしておるわけであります。
  10. 川崎寛治

    川崎委員 核トマホーク目標は何ですか。
  11. 山下新太郎

    山下(新)政府委員 先生御承知のとおり、トマホークには三種類ございまして、その三種類のうちの二つが非核でございます。それは艦対艦、射程四百五十キロメートル程度のものと、艦対地のものがございます。これが九百から千四百くらいだったかと思いますが、これも非核でございます。それからもう一つ、二千五百ほどの射程がございます核のトマホークがございます。これは艦対地でございます。
  12. 川崎寛治

    川崎委員 その艦対地は、要するに艦対艦じゃないわけです、そうしますと、この核トマホークというのはソ連艦隊ではない、つまり明らかに対ソの配備になっているわけでありますから、ソ連本土戦略目標というものをねらう以外にはない。そうですね。
  13. 山下新太郎

    山下(新)政府委員 アメリカ側が核装備しておりますトマホークにつきまして、発表されている文章等によりますと確かに戦略予備といったような考え方があるようでございます。その辺の意味は、先ほど申し上げましたようにこれは艦載のものでございますので艦から地ということになりますが、射程が二千五百程度でございまして、その射程範囲内に果たして戦略的意味を持つような標的が存在するかどうかという問題もあるのではないかと思います。
  14. 川崎寛治

    川崎委員 それじゃ日本自衛隊非核トマホーク装備できますか。
  15. 山下新太郎

    山下(新)政府委員 自衛隊のことでございまして、ちょっと私からお答え申し上げるのが適当かどうかわからないのでございますが、従前来の国会等におきまして政府で申し上げておりましたのは、結局攻撃的兵器の場合に関しましては自衛隊は持てないということであると理解いたしております。
  16. 川崎寛治

    川崎委員 そのとおりだと思いますね。そうしましたら、領海外で核を装備した、トマホーク装備した艦船との共同訓練はあり得る、いいんだというのが予算委員会における総理の答弁であったと思いますが、攻撃用の、しかも核トマホークは二千七百キロ、戦略予備だと、こう言われる。その任務を持った兵器装備しておる艦船共同訓練をやるということになりますと、それは明らかに安保条約に反するんじゃないですか。
  17. 小和田恒

    小和田政府委員 お答えいたします。  共同訓練ということの具体的内容がどういうことであるか、非常に抽象的な一般的な形で御質問がございますので、一般的にお答えすることはなかなか難しいかと思いますけれども、共同訓練態様いかんによりまして、日本自衛隊が持っております任務、それから憲法上許されております範囲、その範囲内における共同訓練ということでありますれば、憲法上許されるということになると思います。
  18. 川崎寛治

    川崎委員 核トマホークは艦対艦でない、艦対空でない、艦対地だというのですよ。この艦対地装備をした艦船訓練が、どうして態様が変わりますか。艦対地ですよ。
  19. 小和田恒

    小和田政府委員 委員承知のとおり、自衛隊が持っております任務は、我が国防衛のために憲法上の範囲内において必要最小限のことを行う、こういうことでございます。それから、安保条約第五条に基づく共同対処事態におきましては、日本防衛するために日米共同対処を行うということはあり得るわけでございます。したがいまして、その訓練という状況におきまして、日本自衛隊が行うべき任務と、それから米軍が行うべき任務との具体的な内容がどういうものになるかということを想定いたしませんと委員の御質問になかなか具体的にお答えすることは難しいかと思うのですが、アメリカ自身が行います行動と、それから日本個別的自衛権行使として行う行動と、それが共同対処状況において双方が同時に行われる、あるいは同じ状況のもとにおいてそれぞれが行使するという形というものが想定されるわけでございますので、そういう前提で考えます限りにおきましては、日本共同訓練に参加するということはあり得ることであろうというふうに考えます。
  20. 川崎寛治

    川崎委員 ことしの二月二十三日、アメリカ上院軍事委員会米太平洋軍司令官のW・J・クラウ海軍大将証言をしておる。この証言については御存じだと思います。その中で、米太平洋軍における軍事努力は、生き残り能力のある信頼できる核抑止力、すなわち弾道ミサイルをおさめておる深く潜航する戦略核原潜使命達成を保護することなのである、こういうふうにクラウ海軍大将は二月の二十三日、太平洋つまり第七艦隊役割について言っておるわけです。  そうしますと、空並びに水上戦闘艦艇任務戦略原潜任務達成の保護だ、これがクラウ海軍大将アメリカ上院軍事委員会における証言です。そのことはお認めになりますね。
  21. 山下新太郎

    山下(新)政府委員 今御指摘になりましたクラウ大将証言でございますが、そういう趣旨証言が行われたやに私も記憶いたしておりますが、手元にちょっと資料を持っておりませんので、申しわけございませんが、この場で確認ができない次第でございます。
  22. 川崎寛治

    川崎委員 きょうは核トマホーク議論をするのですから、核トマホークに関するそうしたアメリカ証言なりアメリカ考え方なり、そういうものをきちっと踏まえて議論しなければ議論にならぬわけですよ。準備が悪いじゃないですか。それを出してください。この国会クラウ海軍大将証言もひとつ委員に配ってもらうようにお願いします。
  23. 山下新太郎

    山下(新)政府委員 可及的速やかに取り寄せまして、お配りするようにいたしたいと思います。
  24. 川崎寛治

    川崎委員 外務大臣、私、鹿児島ですが、三年前に鹿児島の甑島の沖で貨物船日昇丸戦略原子力潜水艦ジョージワシントン当て逃げをされて二人亡くなりました。私はその御遺族を、枕崎に行き、お参りもしてきました、つまり、この戦略原子力潜水艦が、よもやと思った鹿児島の甑島の沖で当て逃げをやった。つまり韓国の近海に行く途中、事件を起こしたわけです。そうしますと、今日本列島の周辺をそのようなアメリカ戦略原子力潜水艦、ソビエトの原潜、これがうごめいているわけです。  今回戦闘配備された、実戦配備された核トマホークというのは、そのアメリカ原子力潜水艦を守る、任務達成のために守る役割を持っておるんだ、こうクラウ海軍大将証言をしておるわけです。そうしますと、共同訓練をやる、領海外でやると言うけれども、その領海外共同訓練というのは、戦略原潜が果たす役割、つまり任務達成のための訓練をしておる、それを防護するわけですね。任務達成のためにそれを守る、その訓練をやっておる。だからP3C、つまり、あのときのジョージワシントン訓練をしたP3Cとの関係についてもそうですね。  そうしますと、安保条約上の任務だ、こういうふうに外務大臣は言われました。しかし、明らかに戦略原潜任務達成のための、つまり空それから海上の艦船役割、しかもこの核トマホーク艦対地である。そうしますと、それは従来安保条約上の任務だとか言っておったそのことと違う。つまり明らかに攻撃のための訓練一緒にやる、こういうことになるのじゃないですか。いかがですか。
  25. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 私は、やはり日米共同訓練というのは、日米安保条約の枠内、さらにまた日本憲法の枠内、個別的自衛権の枠内において行われるものであれば、この共同訓練というものは、これは合法的である、こういうふうに考えております。
  26. 川崎寛治

    川崎委員 そういう抽象的なことじゃないんですよ。  では、クラウ海軍大将の、つまり空並びに水上艦艇役割が何かということ、それから核トマホーク役割は何か。今、核トマホーク役割は明らかになったのですよ。艦対艦じゃない、艦対空じゃない。では、その艦対艦、艦対空でない、艦対地の核ミサイルであるということについては外務大臣もお認めになりますか。
  27. 山下新太郎

    山下(新)政府委員 ちょっとその前に一言御説明させていただきたいのでございますが、先ほど申し上げましたようにトマホークは三種類ありまして、そのうちの核を装着したもの、これが確かに二千五百で戦略的予備といったような考え方対象にもなる、かつ艦対地であるということは、先ほど来御説明申し上げたとおりでございます。  ところが、これは先ほども申しましたが二千五百程度射程しかないわけでございますけれども、アメリカ側フォースマルチプライヤーという概念をまた別途言っておりまして、これはソ連といたしまして対処しなければならない核を積んだ戦略的な兵器、これがかなり広く、言うなればいろいろな船に積載されるということの結果、抑止力が増すという考え方をしているわけでございます。アメリカ側は、御承知のとおり抑止というものがその戦略の基礎になっておりまして、従前来この核を装着したトマホークが存在しない状態におきましては、海におきましてはいわゆるSSBNだけであったわけでございますが、水上艦艇あるいは潜水艦等トマホークが積載される結果、ソ連として対処すべき対象がふえる、それをフォースマルチプライヤーといったような言い方をしておりまして、むしろそういう効用をかなり大きく考えているのではないか、こう思われる次第でございます。
  28. 川崎寛治

    川崎委員 それは私の質問に対する答えじゃないですよ。それは後で入港の問題とも絡んでくるわけだ。それをあなた今もう答弁したわけです。ソ連の方がきょう記者発表していることをあなたが説明したことにもなるわけだけれども。  だから艦対地核トマホーク装備をした艦船との共同訓練ですよ。しかもそれはクラウ海軍大将が言っているように、米戦略原潜任務達成を守るための役割だ、こう言っておる。そうすると、その核トマホーク装備をした原潜なり巡洋艦なりあるいは戦艦なりというものの役割はもう明らかなんです。そうでしょう。その艦対地攻撃訓練日本自衛艦一緒になってやる。これは違うじゃないですか。外務大臣どうですか、個別的自衛権ですか。
  29. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 なかなかこれは難しい問題だと思いますが、私は、やはり共同訓練アメリカアメリカなりの、アメリカ国防目的、あるいは世界戦略、あるいは有事の際のために行うわけですから、日本はそれに対して安保条約の枠内において、あるいは個別的自衛権の枠内においてアメリカとの間で共同訓練をするという場合は、これはまた差し支えない、こういうふうに思うわけです。
  30. 川崎寛治

    川崎委員 それはわかってないんですよ、あなた。戦術核というのは、今までは、やられた後からやり返す、こういう役割だったんだけれども、命中度が非常に正確になってきた、長距離飛ぶようになってきた。そこで戦術核役割というのは変わってきた。だから八一年のレーガン大統領の指示というものも、そういうことで、これから三千数百基のうち八百基に及ぶ核トマホーク配備されようとしているわけです。明らかに今はヨーロッパと、ヨーロッパは陸上ですね、太平洋は海です、両方で一つの大きな転換点に来ているわけです。その実戦配備についたというわけなんですから、従来の国会における議論と違うわけです。そして、私の聞いているのも具体的なことを聞いているのですから、個別的自衛権がどうだ、安保条約がどうだという逃げた条約の解釈で答弁したってだめですよ。明らかに艦対地のその戦略、つまり攻撃訓練に対してやるとするなら、これは集団自衛権ですよ。何が個別的自衛権ですか。そうじゃないですか。
  31. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 だから私はあくまでも個別的自衛権日本憲法ということを言っているわけで、アメリカアメリカ目的訓練をするわけですね。それに対して日本日本目的、その目的というのはあくまでも憲法とかあるいは個別的自衛権の枠内でなければならぬわけで、そういう目的でお互いにやっておる、そういう中での共同訓練というのはあり得てもいいんじゃないか、私はこういうふうに言っているわけです。
  32. 川崎寛治

    川崎委員 違うじゃないですか。この核トマホーク役割は違う。クラウ海軍大将が言っておるその役割というものからするなら明らかに違うわけですよ。これはまさに集団自衛権ですよ。だから憲法上できないんですよ。憲法共同訓練をやること自体が問題なんですよ。条約局長どうですか。
  33. 小和田恒

    小和田政府委員 先ほど来お答えしておりますように、共同訓練というものがどういう内容のものであるかということが一つ問題だと思いますが、共同訓練と申しましてもその内容はいろいろございますので、どういう状況を想定するかという具体的な状況設定なしに一般的にお答えすることはなかなか難しいと思うのですが、そういう問題について具体的な状況について私自身が御説明する立場にございませんので、理論的な一般的な状況という形で御説明するといたしますと、先ほど大臣からお答えいたしましたように、我が国は確かに委員指摘のとおり、他国に対して武力攻撃が行われたときに、我が国がそれに参加をして防衛行動に当たるという集団的自衛権行使憲法上許されていないわけでございます。他方、これも御承知のとおり我が国に対して武力攻撃が行われた場合に我が国個別的自衛権行使するということは認められる。そのための専守防衛手段として我が国自衛隊が存在しているわけでございますから、その自衛隊がそういう能力を発揮するため、一たん事あって我が国に対して武力攻撃が加えられた場合において、それを排除するための訓練というものを平時の場合において行っておくということはまた十分認められるわけでございます。そこで、そういう安保条約第五条に基づきまして日米共同対処をするという事態に備えて、我が国自衛隊我が国憲法上許されております個別的自衛権範囲内においてその第五条事態にどう対処するかということをアメリカとの間に平時において共同訓練をしておくことは十分認められるわけでございます。  そこで、今御質問トマホーク装備した米艦船日本とが共同訓練をすることはそういう範囲に入るのか入らないのかという御質問だと思いますが、先ほど大臣もお答え申し上げましたように、我が国の行う行動我が国憲法認められております個別的自衛権範囲内にとどまっておるものである限りにおいて、アメリカ側行使する防衛手段態様というものは我が国憲法上の制約によって制約されるわけではございませんので、したがって、そういうアメリカ防衛行動態様というものを想定しつつも、我が国自衛隊我が国自衛隊に許されておる権限の範囲内において共同訓練を行うことは憲法上差し支えないのではないかということをお答えしているわけでございます。
  34. 川崎寛治

    川崎委員 まさにそれは論理の遊戯にしかすぎない。この戦術核というのは明らかに変わったわけですね。つまり命中度からしますと、例えば先ほど言いましたように稚内から発射しますと枕崎にちょうど二千七百ですよ。今、命中度というのはつまり枕崎テニスコートにずばり第一撃で当てる、こういう命中度なんですね。そうしますと、これは明らかに艦対地という場合のその地は、防衛ではなくて先制攻撃力、つまり先制攻撃力としての敵の司令部やあるいは兵たん物資集積所を爆撃するという兵器としての役割を果たす、そのことがアメリカ戦略原潜を守る、こういうことになるわけなんですから、想定をしておるものが明らかに個別的自衛権範囲を逸脱しておる、集団自衛権、そういう方向にある、こう思います。これもあと十分しかありませんから、事前協議の問題を少ししておかなければいけませんので、この議論は残しておきます。つまり、個別的自衛権集団自衛権のこれからの鋭い争いの一つの問題ですから指摘をし、そしてこれはこれから党を挙げて論争していこう、こういうふうに思います。  そこで外務大臣、とにかく横須賀横山市長には会いましたか。
  35. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 お目にかかりました。
  36. 川崎寛治

    川崎委員 いつ。
  37. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 先週だったと思います。
  38. 川崎寛治

    川崎委員 核のあるなしを調べる方法はどういう方法がありますか。
  39. 山下新太郎

    山下(新)政府委員 おっしゃっておられる御趣旨を必ずしも私、正確に理解しているかどうか、ちょっとわからないのでございますが、軍艦が搭載しているか否かという御質問だと理解いたしますと、例えば外国の軍艦に対しまして日本政府が物理的に艦内に入っていってそれを調べるといったようなことは国際法認められていない次第でございます。
  40. 川崎寛治

    川崎委員 では、私の方から質問します。  核のあるなしというのを調べる方法三つあると私は思うのです。つまり、条約というのは政府を縛るとともに国民を縛ります。今、国民核トマホーク実戦配備ということに対して大変不安を持ち、横須賀横山市長もそういう立場から市民を代表して来ているわけですね。核のあるなしを調べる方法三つある。一つは普通の外交チャンネル。第二番目には安保条約第四条の随時協議ですね。第三番目が事前協議、この三つだと思います。どうですか、そういう三つ方法で核のあるなしを調べられる、こう私は思いますが、どう思いますか。
  41. 小和田恒

    小和田政府委員 委員が今御質問になりました、核の有無を調べるために具体的にどういうチャンネルを通じてやるかという問題は一応別にいたしまして、御承知のとおり安保条約におきましては、第六条の実施に関する交換公文というもので事前協議という制度が定められておるわけでございます。この事前協議の制度は対象になる三つの事項がございますけれども、その中の一つは……(川崎委員「そんなことは聞いていないよ、時間がないんだ」と呼ぶ)簡単にいたします。その中の一つは、核の持ち込みに当たる場合については事前協議をしなければならない、こういうことになっておるわけでございますので、条約の仕組みから申し上げますれば、原則的に核の存否に関しては事前協議の制度によるというのが条約の建前であろうと考えます。
  42. 川崎寛治

    川崎委員 それは違うのですよ。愛知外務大臣国会随時協議もと答えているのですよ。事前協議もあります、随時協議もありますと。どうですか、愛知外務大臣がかつて答えたことがあるということを認めますか。
  43. 小和田恒

    小和田政府委員 先ほどお答えいたしましたように、実際にそれをどういう形でやるかというチャンネルの問題は一応別にするということを申し上げましたのは、具体的にそれをどういう手段で、どういうチャンネルを通じてやるかということについては、いろいろなやり方があろうと思います。ただ、条約の建前としては、これは事前協議対象であるから、アメリカがそういうことを日本に対して協議してこなければならない、こういう仕組みになっておるということを申し上げたわけでございます。
  44. 川崎寛治

    川崎委員 六月二十日の衆議院外務委員会で土井たか子社会党副委員長が、事前協議日米双方から申し出ることができる、これはこれまでの答弁でもあるのだ、こういうことで質問したことに対して安倍外務大臣は、大事なことなので十分検討し研究する、こういうふうにお答えになっておるのでございますが、どういうふうに検討し研究されましたか。これは外務大臣が答えなければいかぬ、外務大臣が検討したのだから。
  45. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 私も、土井委員質問を承りまして、かつて政府委員事前協議について日本から申し入れることができる、こういう発言をしておるという御指摘があって、非常に大事な質問であるから検討します、こういうことを申し上げたわけでございます。その後いろいろと速記録等も調べてみました。確かにそういうこともありましたが、しかし政府のその後の一貫した姿勢、態度は、事前協議についてはあくまでもアメリカからの申し出によるものである、こういう解釈に立っておるわけでございます。  そこで、速記録等いろいろ調べて、これまでの政府委員等の発言につきましては、日本からも申し出ができるということについても、政府がその後訂正をしておりまして、最終的な今日の統一した政府見解としては、事前協議についてはあくまでもアメリカの要請を待って、アメリカの申し出によってこれを行う、こういうことに統一しているわけであります。
  46. 川崎寛治

    川崎委員 大変時間が迫りましたので、一つ一つ細かに詰める時間がなくなって残念ですが、三十六年四月の中川条約局長答弁、三十八年六月の予算委員会における志賀防衛庁長官の答弁、それから三十九年の大平外務大臣の、事前協議の申し出は当方からもできると承知いたしておりますという答弁、そういうふうな答弁が幾つかずっとあるわけです。愛知見解というのは恐らくずっと外務省の一つのベースになってきていると思うけれども、愛知外務大臣すらも、できる、随時協議でやれるということを言っておるし、また政治的、実質的に言えば日本側にも提案権がある、こういうことを愛知外務大臣もそのときに答えておるわけです。これまで、できる、提案権があると言ったのを、アメリカ側が一方的に申し出ると、政府はいつアメリカとそういう協議をして確定をしたのですか。国民立場でやるべきものを放棄した大変屈辱的な解釈の方向じゃないですか。いつですか。それを両方明らかにしてほしい。
  47. 小和田恒

    小和田政府委員 ただいま大臣からお答えいたしましたように、事前協議というものは、事柄の性格上、アメリカ側日米安保条約第六条に基づいて、その枠内において許されると考えられる行動につきまして三つのことを挙げて、そのことについてはアメリカが自由にやってもらっては困るのだ、日本側の同意を得た上でなければそういう行動をとってもらっては困るということで、歯どめをかける意味でこの三つの事項についての事前協議の制度ができていることは、委員承知のとおりでございます。したがいまして、そういう行動をとりたいとアメリカが考えたとき、あるいはとることを頭に置いたときに、それは日本に対して相談をするという事柄の性格上、アメリカとしてはそれを日本に対して申し出てくるというのが事前協議の制度でございます。したがって、そういう事前協議制度の本質から考えましてアメリカから言ってくるのが建前であろうというのが政府考え方でございまして、これは安保条約を審議した昭和三十五年の安保国会におきましても、岸総理大臣、藤山外務大臣等からその趣旨答弁があったと承知しております。  他方、委員が御指摘になりましたように、その間におきまして、協議の性格から考えて、協議というものは何も片方から言い出すものでなくたってできるではないかという趣旨で、一般論、実質論といたしまして、どっちからだってそういう問題について話し合いをする道は開かれておるのだ、こういう答弁がございました。それはおっしゃるとおり、第四条の随時協議をすることができるという規定も踏まえまして、安保条約の枠内において、問題はアメリカ側からだけしか提起できないのではないんだという趣旨答弁があることも事実でございます。ただ、第六条の事前協議という制度そのものについて、厳格な意味で申しますれば、事柄の性格上アメリカ側から日本側に相談を持ちかけるべき筋合いの話であるという趣旨で、政府は従来から一貫してそういう答弁をしてきておる。その間におきまして、さっき委員から御指摘のありましたような問題につきまして質問がございまして、政府はその辺のことを統一してたびたび答弁しておりますが、一つ具体的な例で申し上げますれば、昭和四十三年の衆議院外務委員会で従来の見解とも合わせて統一的な考え方を示しているということがございます。
  48. 川崎寛治

    川崎委員 そういうふうになっているんだというならば、総理大臣は二月十四日、核・非核両用があり得ると報ぜられている、将来日本寄港の際はその辺のところをよく確認して入港を認める、こういうふうに答弁をしておるわけなんです。だから当然なんですね。大平外務大臣も当然だ、両方で協議できるのが当たり前だ、こう言っている。何で日本側からそれができないというふうに締めてしまうのですか。しかも、いよいよ実戦配備だ、三千数百基の核トマホークをこれから第七艦隊を初め太平洋艦隊にやろう、こう言っているわけでしょう。そういうときに日本側は、向こうから言わぬからもういいです。これは去年横須賀にどれだけ入ったか、どういうものに装備をされるのか、そういうことも細かに詰めなければいかぬ、もう時間がありませんからできませんけれども。総理大臣も二月の十四日に答弁しているんですよ。よく確認をして認めます、こう言う。よく確認をします、つまり協議するということなんです。この協議するという権限を日本側が放棄する。そうすると、これからは要するに核配備装備しているかどうかという問題についてはアメリカ側からしてこない、こういうことになりますと、ライシャワー発言がありますね。要するに持って入ってくることは黙認しているんだ。五十六年の五月、ライシャワー元大使が、核積載艦船、航空機が日本の領海、領空を通過することは持ち込みとは別問題だ、こういうことで、核の持ち込みについては黙認、ライシャワー発言のとおり、こういうふうに見てよろしいですね。
  49. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 これは日米安保条約事前協議というのがありまして、核の持ち込みについてアメリカ事前協議をしなければならないという義務があるわけですね。ですから、核を持ち込むときはアメリカは必ず事前協議をしなければならない。それに対して、国会でもしばしば申し上げているとおり、日本政府の態度は、核持ち込みに対しては非核三原則の趣旨に従ってノーである、こういうことでございます。したがって、日米間はこの安保条約を守るというお互いの信頼関係で成り立っておるわけですから、アメリカが核を持ち込むという場合に事前協議を経ずして持ち込むということはあり得ないわけですから、我々としては事前協議のない場合の艦艇の入港等については核の持ち込みはあり得ないという確信の上に立ってこれを認めておるわけでございます。  ただ一般的には、国民の中で非常な議論がある、国会の中で非常な議論がある。やはりアメリカに対して日本非核三原則を堅持しておるんだ、そして事前協議というものを非常に大事にしているんだ、こういうことを注意を喚起しなければならぬ。こういうときには日本としては、私も去年マンスフィールド大使を招致いたしましてこの点について確認をいたしましたが、そういうことをやって、アメリカに対して日本非核三原則というものを再確認をさせる、あるいはまた日米安保条約の関連規定というものを遵守させる、そういう遵守するということをアメリカとの間ではっきりと確認し合うということはしばしばやってきたところでございます。
  50. 川崎寛治

    川崎委員 もう時間があれですから終わりますけれども、要するに日本列島の周辺は、この核トマホーク装備しまして、いつでも攻撃をする、つまり核の基地になるわけなんです。そういう中での、あるかないかわからぬということがソ連に対する抑止力になるんだ、こういうことをアメリカ国防自身も言っているわけです。そして先ほどもそういう答弁もあったわけでありますが、そうなりますと、まさにヨーロッパは、今や米ソの核の相合い傘の中に入っているんですよ。日本日本列島周辺の米ソの核の相合い傘の中にすっぽりはまってくる、そういう状況にあるわけです。その不安に対して日本側が事前協議する、できる権利を放棄をするということは、条約の執行上、国民に対する義務を果たしていない、こう思います。  私は、では今後これをどういうふうに、そういう状況をどう解消するかという安倍外交の方向を聞こうと思っておりましたが、時間がありませんからできません。改めていたしますが、ハワイにおける安保協議においても中曽根内閣は物わかりがいいということでアメリカから評価をされておるようでございますが、そういうまさに太平洋におけるアメリカの核戦略体制を強化をする、核軍拡の方向に進んでおる。核軍縮と違う核軍拡の方向に進んでおる、進まざるを得ない、こう思いますが、最後に外務大臣答弁を聞きます。核軍縮の方向なのか、核軍拡の方向なのか、どうですか。
  51. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 御承知のように、今残念ながら世界の情勢、特に東西、米ソ間というのは、むしろ軍縮というよりは軍拡という方向へ事態が進んでおると言わざるを得ない。STARTであるとかINFとかそういう核軍縮交渉が中断しておる。これも我々としては非常に憂慮いたしておるわけでございます。したがって、何としても世界の平和をこれから維持していくあるいは日本の平和と安全を守っていくためには、米ソが核軍縮の方向へ進んでいかなければならないと私は思います。そのために日本としても最大の努力をしていくことは当然のことであります。
  52. 川崎寛治

    川崎委員 済みません、最後に。これはもう答弁要りませんが、私は、中曽根外交と違うニューリーダーとしての安倍外交というものがもう少し出るかと思ったけれども、残念ながら出ておりません。大変残念に思って、質問を終わります。
  53. 渡辺朗

  54. 上原康助

    上原委員 今の川崎先生の質問とちょっと関連してお尋ねするのですが、外務大臣の御答弁を聞いても、審議官あるいは条約局長の御答弁を聞いても、非常に矛盾するわけですよ。これでは国民も納得しないし、恐らくここで聞いておられる方々もそういうお気持ちだと思うのですよ。非核三原則がありながら、核の有無について我が方から確かめる条約上の根拠もまたその姿勢もないとなると、非核三原則を守られておるという実証にならないんじゃないですか。  それと、審議官がおっしゃったように、第三国の軍艦に対して核を搭載しているかどうかを国際法上確かめることはできない、これはいつからそうなっているんですか。
  55. 小和田恒

    小和田政府委員 一般国際法上の立場からお答えいたしますが、御承知のとおり軍艦につきましては不可侵権というものが一般国際法認められておるわけでございます。したがいまして、相手国の主権の象徴であります軍艦に対して他国がそれを臨検するとかあるいは調査をするとかいうことは認められないというのは、一般国際法の原則でございます。
  56. 上原康助

    上原委員 六条について事前協議制度がある。しかし、国際法上それは成文化されたものじゃないと思う。恐らく慣習的にでしょう。そうしますと、核の有無についてアメリカ側が申し入れをしない限りそれを信頼する以外にないとすると、条約上の根拠というのはもともとなかったということになるんじゃないですか。持たず、持ち込ませず、つくらずと言ってみたって、もう明らかに最近の核トマホーク実戦配備をしたという段階においては国民の疑惑にこたえていくには、入港するものが搭載しているかどうかを確かめる主体的独立国家としての主権行使というものがないと国民が信頼できないんじゃないですか。皆さんだけの感覚でこの問題をうやむやにしてはいけないと思うんですよ。一方において非核三原則はあります、これは守ります、遵守します。しかし、条約上はアメリカが申し入れなければそれはないものと我々は信頼する以外にない。また、第三国の軍艦については国際法上それが核を積んでいるかどうかを確かめることはできないということになると、もともとできないということしかなかったということになるんじゃないか。大臣、これはどういう御見解を持ちますか。
  57. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 条約とか協定というのはお互いの国が信頼し合わなきゃ意味がないわけなんですね。そこで、日米関係には安保条約という条約がございます。その安保条約事前協議という大事な制度があるわけで、核の持ち込みについてはアメリカ事前協議制度によって日本に協議をしなきゃならぬと明確な約束があるわけですから、これはお互いが守るというところに前提があるわけですね。基本があるわけで、アメリカはこれまでもしばしば日本の国是ともいうべき非核三原則は十分尊重します、なおかつ安保条約、その関連規定はこれを守りますということを言ってきているわけですから、したがってこの事前協議制度を守り、そして核をもし持ち込むということになれば、これはアメリカ日本に相談なしには持ち込めない。持ち込まないということはアメリカははっきり日本に対して約束をしておるわけです。この事前協議をしない限りアメリカの核持ち込みはあり得ないということを我々が信ずることは、日米間の信頼関係、また儼乎とした条約の存在から見て当然至極のことである、私はそういう意味において毫末も疑いを持っておらないわけであります。
  58. 上原康助

    上原委員 外務大臣、そういうこじつけ論法は通りませんよ。しかし、現に原潜に積んであるということを言っているわけでしょう。それが横須賀や、我が国の港には入港するわけでしょう。タニーだってこの間入港している。それがどこかでおろしてきますか。  では逆に、さっきのお話だが、なぜそれを我が方から事前協議を提起することができないのですか。時にはできる、双務協定だと言って、ではまさに安保ただ乗り論をやっているのはアメリカじゃないですか。そこに国民は疑問を持っておるのだ。我々もこれは解明してもらいたい。特に核トマホーク実戦配備という段階においては、アメリカ事前協議をしてこないから核が持ち込まれていないんだというだけでは通らないところに来ているわけですよ。なぜ我が方からこれを確かめることはできないのですか。日米安保条約、双務協定なら双方から協議することができるわけですよ、四条にしても。皆さんが勝手にこれを我が方から提起できないと、いつから変えたのですか。中曽根内閣になってからこれを変えたのか、この件についてはもっと明確にしていただきたい。そして今後提起しないのかどうか。核が持ち込まれないという実証を国民の前にどう明らかにしていくか、外務大臣として、中曽根内閣としてはっきりさせていただきたい。
  59. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 どうも、アメリカを信用しない、あるいはまた安保条約を信用しないという前提に立てばそういうことですけれども、我々はあくまでも日米のいわゆる同盟関係というものの上に立って日米安保条約があるということに確信を持っておるわけであります。そして、日米安保条約はそうした日米の信頼関係において成り立っておるということについても確信を持っておる。ですから、事前協議制度というものは厳正に運用されておるということですから、その事前協議制度というものがある以上は核の持ち込みというのはあり得ない。核トマホーク実戦配備されたとしても、通常トマホークの場合もありますし、核トマホークの場合もあります。通常トマホークの場合はあるいは日本に入ってくるかもしれませんけれども、核トマホークの場合は事前協議なしには入ってこないということは条約趣旨になっているのですから、それを犯してまでアメリカ日本に無断で入れるということはあり得ないわけでございます。これははっきり申し上げておきます。
  60. 上原康助

    上原委員 これは信用する、信用しないの問題じゃない。現実の物の見方ですよ一非核もあれば核もある。じゃ、原潜は核だけ積んでくるのか、非核も積んでいるかもしらぬ、それはチェックしてみなければわからぬわけでしょう。国民が納得しないですよ。  そこで、この問題だけやるわけにいきませんので、逆にこれだけ確かめておきたいのですが、安保ただ乗り論とか、いろいろ日米間で言われているわけでしょう。そういうものに対して事前協議を我が方から提起できないというのはどうしてですか。これだけ国民なり国会議論になっている、しかもトマホーク実戦配備されたという段階では、核が持ち込まれている疑惑が大きいと見ている。これに対して政府は答えていかなければいけない。アメリカを信用する以外にないというよりも、核トマホーク実戦配備をされた段階で、非核三原則を国是として守るということであるならば、核持ち込みに対しては、アメリカ側は持ち込んでいないという立証をするための協議を改めて米側となさいますか、その程度の話し合いはいたしますか。
  61. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 これは先ほどから条約局長答弁しましたように、事前協議はその対象は大きく分けて三つあるわけですね。重要な装備の変更、いわゆる核持ち込み、これは結局事柄の性格上アメリカがやるわけですから、日本がやるわけじゃないわけですから、アメリカの大きな装備の変更、そういうことをやる場合は、やはりアメリカとしては日本に対して相談をする、協議をする義務があるわけですよ。これはやはり事前協議においてはっきりしているわけですから、ですから事前協議の性格上から見て日本が申し込むとかなんとかいうものではない、アメリカが相談をしなければならぬ義務、これが事前協議ということだ、私はそういうふうに考えております。
  62. 上原康助

    上原委員 失礼な言い方だが、まさに本末転倒ですよ。外務大臣、被害を受けるのは日本ですよ、日本国民ですよ、核を持ち込まれて、この核を使用されたという段階においては。核戦争に巻き込まれるかもしれないという不安や危機感があるから、核トマホークの問題についてこれだけ国際世論になっている。被害を受けるのは日本なんだから、相手が義務があれば、こっちに権利があるのは当たり前じゃないですか。皆さんは権利だけ主張せずに義務をと言う。相手に義務がある、我が方に権利があるのは当たり前じゃないですか。被害を受けるのは日本ですよ、大臣。あなた、それじゃ外務大臣として、日本のニューリーダーとして、さっきの川崎先生のあれじゃないけれども、疑問を持たれますよ。そういう言い方ではこれはかみ合わないんじゃないですか。これまでの答弁の仕方にしても、非核三原則にしても、いろいろな問題で皆さんの方に無理があるのですよ。被害を受けるのは日本なんですよ。アメリカの核使用によって核戦争に巻き込まれるかもしらぬ、しかも限定核戦争というのはソ連にしてもアメリカにしても、自分たちのメーンランド、本国に対する核攻撃というのをいかに抑止するかということで今、東西の核戦略は成り立とうとしている。その中間にある日本や朝鮮半島や、そういうところが被害を受けるんだよ、大臣。これを解明していただかないと困る。相手に義務があれば我が方に権利があると思うのですが、主権国家として当然条約を履行させていく上においても、核の有無について、本当に政府が言っているように信頼に値することであるならば、この時点において改めて米側と話すのが私は外交姿勢だと思うのですが、もう一度御見解を聞いておきたいと思います。
  63. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 条約上の解釈の問題ですから後でまた局長にも答弁させますが、被害を受けるのは日本であると言いますけれども、結局日本の平和と安全が保たれているのは、日米安保条約による、いわゆる核の抑止力によって日本の平和がまた保たれているわけですから、被害を受けることばかり考えるというのはおかしいので、むしろ平和が保たれておるところに日米安保条約の存在があるということを御理解いただきたいと思うわけです。そういう中で、事前協議というのは、日米安保条約日本が基地の提供とか、あるいはまたアメリカ軍隊の駐留を認めておる、しかし、その認めておる限界というのが日米安保条約でいろいろと規定されておるわけですが、そういう中で特にアメリカが例えば重要な装備の変更といったような、アメリカ軍が大きな変更等、配置の変更とか装備の変更とか、そういう大きな変更を行おうというときは、これはアメリカ日本に対して相談をかけなければならぬ筋合いのものであって、日本はわからないわけですからね。そういうことをやる場合はアメリカがむしろこれは義務として当然にあるというのが事前協議一つの前提になっておるということですから、決してこれが一方通行で、何か非常に屈辱的なものであるとか、そういうものじゃ全くないわけで、いわゆる事前協議の性格から見てそうだ。ですから、日本の主権はあくまでも儼乎として存在しておるということは間違いのない事実であることを御理解いただきたいと思います。
  64. 上原康助

    上原委員 そういう解釈でそう思っておられる人は本当に幸福かなと私は思うね、失礼ですが。それは私だって、この問題はある程度やっていますからわかります。重要な変更、そういうような事前協議対象になるああいう取り決めの問題は、今の段階では起こらないです。装備にしてもだんだん近代化されるし、核兵器そのものは縮小されていく、精鋭化していくからね。それをあたかもあるかのように、虚構の上に積み重ねた事前協議というところに問題があることを強く指摘しておきたいと思います。  そうしますと、日米安保条約事前協議制というのは我が方から協議をする権限はないという解釈に立っているというふうにとらえていいですか。それが一つと、核の有無について改めて確かめる意思もお持ちでないのかどうか。
  65. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 これはもうしばしば申し上げておりますし、土井委員の外務委員会における質問に対しましても、統一見解として政府も示したわけでありますが、事前協議につきましては、事柄の性格上、政府としてはこれはアメリカから協議すべきものである、こういうふうに理解をしております。  それからもう一つは核の有無について、これはあくまでも事前協議というものがございまして、アメリカからの核の事前協議がない限りにおいては、日本としてはアメリカの核の持ち込みというものはあり得ないというのが日本の確信であります。
  66. 上原康助

    上原委員 そうしますと、さっき前段でお述べになったことは政府の統一見解として見ていいわけですか。
  67. 小和田恒

    小和田政府委員 先ほど来お答えしておりますように、従来から政府が述べております事前協議制度の性格に関する考え方でございます。
  68. 上原康助

    上原委員 恐らくそれだけでは事が済まない問題が次から次へ起きていくと思いますが、また機会を見ていろいろ取り上げていきたいと思います。  そこで、この問題と関連しますが、沖縄の場合も核が存在するかしないかということで大変沖縄国会から議論されて、今日までその疑惑というのは晴れていないわけですね。改めて聞きたいのですが、復帰前は沖縄に核が存在しておったことは、政府はお認めになりますか。
  69. 山下新太郎

    山下(新)政府委員 手元に具体的資料を持っておりませんのであれでございますが、私が記憶いたします限りにおきましては、上原先生も十分御承知のとおり、例えばメースBといったようなものが存在したというふうに理解いたしております。
  70. 上原康助

    上原委員 核が存在しておったから核抜きをやると言ったんでしょうね。大臣、その点はどうですか。
  71. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 全くそのとおりだと思います。
  72. 上原康助

    上原委員 じゃ、あったということですね。
  73. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 核つきか核抜きかということで大議論があったわけですから、やはり沖縄にそういう可能性が十分あったということを大前提にしての議論であったと思います。
  74. 上原康助

    上原委員 そういうことになると、なかなか用心深い答弁をする。  それで、最近もまたこの核問題が非常に出てきているわけです。私たちも、ずいぶんそれを実証するために国会でもいろいろ実態調査をしたり取り上げたりしてまいりましたが、なかなかこれは爆発したら困るし、その有無についてはこれまでうやむやにされているわけです。最近の現地での米海軍の発言なりあるいは嘉手納町長がいろいろ確かめたことによりますと、AUWショップというのがあって、弾薬庫の番号までもあるようですが、ここに核爆雷、対潜ミサイルを貯蔵した最新型水中兵器というものが存在をしているということが明らかになっているわけですね。  私らも、かつていろいろなことをやりましたが、八四年の米軍電話番号にもそのことははっきりと明記されている。八二年というあれもあるが、私はいろいろ調べてみましたが、八四年の電話ブックにもそれは載っている。このことについては政府は御存じですか。
  75. 山下新太郎

    山下(新)政府委員 ただいま御指摘ございましたのは、例えば六月二十六日付の沖縄タイムス等にも報道されておりまして、私どももAUWショップと称されるものが嘉手納にあるかないかといったようなことにつきまして、嘉手納の町議会でございますかで議論されたということは承知いたしております。  AUWにつきましては、先ほど上原委員おっしゃったとおりに進んだ水中兵器ということを意味しておりまして、これは特に核兵器意味するものではなく、例えば通常弾頭を搭載しておりますMK46のモード5という魚雷なども含まれるものだというふうに承知いたしております。  AUW整備所は、このようなAUW兵器の整備をするところでございまして、通常、海外を含め、対潜部隊の所在している施設に設けられているようでございます。したがいまして、嘉手納にもこの施設があるわけでございます。  私どもといたしましては、米軍我が国におきまして効果的にその駐留目的を果たしていく上で、このようなAUW整備所を設けるということは別に何の問題もない、こう考えている次第でございます。
  76. 上原康助

    上原委員 別に何の問題もない、そんな言い方じゃ身もふたもないんじゃないですか。何の問題もあるから国会で聞くのですよ。そんな横着な答弁がありますか。  P3Cは核を積載しますか。搭載しますか。P3Cは明らかに核、非核を搭載しますよね、それはルルを。恐らくこのAUWショップ、その一帯の貯蔵庫というのは核爆雷ルルを貯蔵していると私は思う。  そして、あわせて疑いが出てきたことは、非核トマホーク配備ということにおいては、トマホークの陸上貯蔵ということも場合によってはあり得ると思う。皆さんはこういう問題を出されても、いやそれは核じゃない非核だ、設備があっても核があるという証拠にはならないということで逃げてきていますが、もし非核専用だけであったら何もそんなものをつくる必要はないと思うのですよ。  艦船については国際法上確かめることができなかった。これはまさに日本の領土ですね、嘉手納の弾薬庫というのは陸上だから。これは確かめようと思えば確かめることができるわけでしょう。どうですか。
  77. 小和田恒

    小和田政府委員 一般国際法上、外国に駐留する軍隊につきましては、その所在国からの管轄権の免除ということが原則になっております。その趣旨で、日米安保条約に基づく地位協定にも、第三条の規定によりまして管理権というものが米軍に与えられておる、こういうことでございますので、そういう一般国際法上の建前を尊重する立場我が国はあるわけでございます。
  78. 上原康助

    上原委員 この議論を私もたくさんやってきました。管理権、確かにあるでしょう。しかし、同時に、我が方の法律を尊重しなければいかないという規定もあるわけでしょう。アメリカだけが管理権があってアメリカの法律だけを信用しなさいということは書いてないはずなんだよ。同時に我が方の法律についてもアメリカは信用しなければいけない。適用できる。それは姿勢の問題なんですよ。時間もありませんので大変残念なんですが、こういうことについては、これだけ核問題が出て、核トマホーク配備をされ、核爆雷ルルというものがあるという疑いが出て、ちゃんとアメリカ側もそれを認めている。しかし、核の存否については明らかにできないと逃げているわけです。大臣、これについては確かめてみてくださいよ、外交チャンネルを通して。それぐらいのことをやっていただかなければ困る。
  79. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 どうも上原さんは沖縄の嘉手納基地に核があるというふうに信じておられるのか、非常に疑っておられるのか、そういうふうに思われる。大前提が違うのですよ。沖縄に核はないわけです。ないというのは、日米安保条約関連規定、そして核を持ち込む場合は事前協議があるわけですから、その事前協議を経ずしてアメリカが核を持ち込むことはあり得ないわけですから、沖縄には核はありません。
  80. 上原康助

    上原委員 大臣、そういう断定の仕方はいささか……。きょうは相当質問がきついし、答えにくいからね。あなただって良心ある政治家で、内心はやはり相当無理な答弁政府はあるんだということにお気づきだから、そういう顔にもなり、そういう答弁の仕方になると思うのです。ないと言って断定しちゃ困りますよ、大臣。ですから、ないのかどうか聞いてもらいたいと言っているわけですよ、私は。聞く意思もないですか。
  81. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 いや、これは聞くまでもないし、安保条約というのがありますから、事前協議という制度がありますから、聞くまでもないわけなんです。
  82. 上原康助

    上原委員 これじゃ、核軍縮とか平和の安定維持というもの、国際緊張をどうするのか、あるいは県民の不安、国民の疑惑にどう誠意を持ってこたえていこうというあれはまさに全くないですね。これじゃ困りますよ、外務大臣。困りますよ。そういう態度ではますます問題の本質を隠ぺいすることにしかならない。そのことを強く指摘をして、これは我々としては非常に重要、核が依然として存在する疑いが濃いということを指摘しておきたいと思います。  それと、防衛施設庁来ていると思うのですが、米海軍の言い分によりますと、このAUWショップというのは一九七五年P3Cが那覇空港から嘉手納に移駐した段階で設置されたと言っているわけですね。そうしますと、これは恐らく日本政府のリロケーション、そういう予算で建設されたと思うのですが、その点はどうですか。
  83. 千秋健

    ○千秋政府委員 先ほど外務省の方が簡単に御説明しましたように、当時の嘉手納の米海軍の司令官が説明したところによりますと、このAUWショップの建物ナンバーが四一〇〇という番号でございますが、この建物は、当時四十八年から五十年にかけまして那覇海軍航空施設の建物を移設した際に私どもで建設した建物でございます。
  84. 上原康助

    上原委員 建物だけじゃなくして、それに付随する弾薬庫があるでしょう、貯蔵庫、イグルー、それはどのくらいですか。
  85. 千秋健

    ○千秋政府委員 ただいま御指摘のAUWショップは、四一〇〇という私どものつくりました工場建ての建物でございまして、イグルー形式の弾薬庫等についてはちょっと承知しておりません。
  86. 上原康助

    上原委員 それは調べて後で報告してください。あります、それは。そこが問題なんだ。日本側がつくってあるものはどういう構造か、全部明らかにしてもらいたい。  それで、きょうは時間がありませんので、あと読谷におけるパラシュート降下訓練の問題あるいは川崎先生が冒頭に取り上げられたグリーンベレーの問題とかいろいろお尋ねしたがったのですが、さらに機関銃事件あるいは那覇空港における自衛隊機の離陸失敗による事故というか、もうたび重なっているわけですよね。こういう状態で核の疑惑もあるのに、さっきのような外務大臣答弁では、それはいささか……。もう今までにも相当質問もし、相当外務大臣防衛庁長官やほかの方々ともやってきたが、そんなぶっきらぼうな御答弁初めてだ。これは歴史に残るかもしらぬよ、本当に。(「答弁を短くやったんだよ」と呼ぶ者あり)いや、短くは笑ってやってもできるのですよ。やさしくやったって短くできる。それは人柄の問題です。  バス問題を最後にちょっと聞いておきます、沖特ですから。このことについては相当問題解決をやらなければいかぬ。沖縄の第二次振計あるいは観光産業の振興の面からも考えておるわけですが、ようやく、緊急避難的措置とはいいながらも、二十六日に県知事が琉球バスと那覇交通の統合問題を提起しているわけですね。しかし、これだけでは根本解決にはつながらない、基本的な問題は先送りしたような感じを受けて残念なんですが、この提言に対しては時宜を得たことなので、政府としても積極的に協力をしたいということですが、私は今はバス問題を解決していくにはチャンスだと思うのです。したがって、地元でもそういう関係者が動き出しているので、この際、開発庁も運輸省も積極的にあらゆる角度から沖縄のバス企業の健全化に向けて努力をしてもらいたい。そのためにどういう手だてをこれからやっていかれるのか、それぞれお答えをいただきたいと思います。
  87. 藤森研一

    ○藤森説明員 お答えいたします。  去る六月二十六日に、西銘知事が、一定の措置を前提に琉球バス株式会社と那覇交通株式会社の合併を期待する旨の提言を行ったところであります。  今回の県知事提言につきましては、現下のバス企業の窮状と、バス交通が県経済、県民生活に占める重要性にかんがみれば、時宜を得た適切な提言と考えております。そういうことでございまして、当庁といたしましては、両者の経営の健全化につきまして、関係者が最大限の努力を払われることを前提に関係機関と密接な連携を図り、できるだけ努力を傾けてまいりたいというふうに考えております。ひとつよろしくお願いいたします。
  88. 豊田実

    ○豊田説明員 お答えします。  運輸省といたしましても、今回の県知事の御提言、非常に適切な御提言だと考えております。今後、話の進展に応じまして、私ども運輸省としましても、沖縄開発庁あるいは県とも十分連絡をとりながら対応させていただきたいと思います。
  89. 上原康助

    上原委員 これで終えますが、やはり物事を解決し、進展をさせていくのにはタイミングというものがあるのですよ。同時に、組合側、従業員の方も今のバス企業の実態というものを理解して、そういう動きもあるのだということで、春闘も片づかないけれどもストを中止して前向きに問題解決に当たろうとしておる、ここいらのことも行政当局も十分御理解をいただいて、この問題解決には誠意を持って御努力いただきますことを強く要望して、質問を終えたいと思います。
  90. 渡辺朗

    渡辺委員長 玉城栄一君。
  91. 玉城栄一

    ○玉城委員 ただいまも質疑が出ておりました在沖米海軍報道部が公式に確認したというAUWショップという施設について私もちょっと伺って、おきたいわけですが、これは先ほど山下さんが、別に問題の施設ではないというふうなこともおっしゃっておられたということは、そういう施設が存在していることを外務省も当然確認しているということになるわけですね、いかがですか。
  92. 山下新太郎

    山下(新)政府委員 先ほど申し上げましたとおり、私どもこういう施設が嘉手納の中に存在しているということを確認いたしております。
  93. 玉城栄一

    ○玉城委員 そこでお伺いしたいのは、先ほども条約局長さんもお話ありましたけれども、我が国日米安保条約に基づいて米軍に施設とか区域を提供してますね。また地位協定三条などによって、提供施設、区域の基地内においてはあらゆる権限が米軍に与えられている。それもそれなりに理解するわけですが、そこでちょっとお伺いしておきたいのは、そういうことであったにしても、我が国の国益に照らして好ましくないというような施設をもし米側がつくろうとした場合、それについてはやはり我が国政府としてそういうのをつくってはちょっと困るということを米側に申し入れるとか、そういうことが地位協定上できる何らかの手段があるのかどうか、その辺いかがでしょうか。
  94. 山下新太郎

    山下(新)政府委員 施設、区域を提供いたします目的は、言うまでもなく安保条約第六条にございまして、あそこに書いてございますように、日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和と安全の維持に寄与するため、我が国は合衆国軍隊に対して施設、区域の使用を許しているわけでございます。したがいまして、その目的に反すると思われる場合におきましてはいろいろ意見を申し述べることはあり得るかと思います。現実に沖縄返還の際にそういうことでいろいろ議論があったことは御承知のとおりでございます。  それからさらにまた、具体的にそれでは施設、区域を提供する際には別途、御承知の地位協定二条がございまして、個別的に提供する、しないという合意を合同委員会を通じまして両国政府間で合意する、こういうことになっている次第でございます。
  95. 玉城栄一

    ○玉城委員 今おっしゃることは、日米安保条約目的等に照らして、それに反するような場合については我が国としても米側にそういうものをつくっちゃ困るという異議を申し立てることが地位協定上できるその根拠はどこですか、条項とか。
  96. 山下新太郎

    山下(新)政府委員 今申し上げましたのは、地位協定上何条という根拠があってそういう異議を申し立てるということを申し上げたわけではございませんで、そもそも施設、区域を使用することを米国に、合衆国軍隊認めている趣旨安保条約第六条にあるわけでございますから、その六条との関係で問題があるといったようなものであれば、私どもとして意見を申し述べ適宜協議するということは十分可能か、こう考えるわけでございます。
  97. 玉城栄一

    ○玉城委員 それでは具体的に、例えば先ほどのAUWショップに関連してですが、そういう米軍の基地内において、施設内において米側が核専用施設をつくろうという場合、それについては地位協定上我が国政府としてどういうふうな、いわゆる意見とか申し出とか異議だとか、そういうことができるのですか。
  98. 山下新太郎

    山下(新)政府委員 先生おっしゃる核専用施設の意味は、ちょっと私、明確に把握できないのでございますけれども、事前協議対象として合衆国軍隊装備における重要な変更というのがその対象一つになっているわけでございますが、それの意味内容いかんによるかと思いますけれども、そこに該当するものであればこれは事前協議対象でございまして、地位協定上の根拠云々ということ以前に安保条約第六条の実施に関する交換公文の規定によりまして、先ほど来いろいろ御説明申し上げておりますように合衆国側は日本側に事前協議越す義務があるというふうに私ども考えているわけで、その際核弾頭等であればノーということが政府の確立した今までの方針であるということだと思います。
  99. 玉城栄一

    ○玉城委員 核弾頭等についてはそういうことでしょうが、事前協議対象として、カテゴリーの二番目にあります「「装備における重要な変更」の場合 核弾頭及び中・長距離ミサイルの持込み並びにそれらの基地の建設」というふうに書かれていますが、そうしますと、そういう核専用施設は、この「それらの基地の建設」というふうなことに入るというふうに理解していいわけですか。
  100. 小和田恒

    小和田政府委員 先ほど北米局審議官から御答弁いたしましたように、今おっしゃっておられる施設というものが具体的にどういうものであるかということが問題になろうかと思いますが、事前協議対象になっておりますのは、今委員指摘になりましたように「核弾頭及び中・長距離ミサイルの持込み並びにそれらの基地の建設」ということでございますので、例えば中・長距離ミサイルの基地をつくるというようなことでありますならば、当然事前協議対象になってくるということでございます。  それから安保条約第六条、先ほど北米局審議官から申し上げましたように、これは施設、区域の提供を義務づけているわけでありますけれども、その目的はあくまでも第六条に書いてある日米安保条約の枠内の目的に限られる、こういうことでございますので、その範囲において具体的に地位協定に基づく施設、区域の提供が行われる、その過程において日米間で話し合いが行われるということがございますから、その意味で具体的な提供の手続については日米間の話し合いによるということになりますけれども、先ほど御質問のありました核専用の施設ということにつきましては、事前協議対象になっておりますそれらの基地の建設に当たるというようなものでありますならば、事前協議対象として当然アメリカ側からの協議の申し出があって、日本側の承認がなければできない、こういうことであり、かつその場合には、日本側としてはそれについてノーである、こういうことになっておるわけでございます。
  101. 玉城栄一

    ○玉城委員 ですから、核そのものについてはよくわかりますが、私が伺っているのは、この施設について核専用施設、専用と申し上げておるわけですけれども、先ほど出ましたAUWショップという施設、先ほど山下さんは通常兵器の云々だから別に問題はないということですが、例えばこの施設が核についての貯蔵とかそういう能力を持つ施設であった場合、例えばの話ですよ、具体的にそういう場合は当然事前協議対象というふうに理解すべきなのかということをお伺いしておるわけです。
  102. 小和田恒

    小和田政府委員 一般的にお答えするのは非常に難しいかと思いますけれども、あえて申し上げますれば、核兵器の基地の建設というのはあくまでも核兵器の存在を前提にする、核兵器の存在が不可分にそれに結びついておる、こういうことでございますので、例えば整備するための施設があるとか核兵器を貯蔵することができる施設があるとかというようなことでございますと、当然に核兵器があることと必然的に結びつくということにならないのではないかというふうに考えられると思います。
  103. 玉城栄一

    ○玉城委員 今最後の部分は、そういう核そのものが存在しているという前提の場合はそういう施設は事前協議対象になるが、存在してないという場合はそういう能力のある施設であったにしてもそれは通常兵器というふうに理解すべきだ、こういうことでよろしいわけですか、受け取り方として。
  104. 小和田恒

    小和田政府委員 先ほど申し上げましたように一般的に申し上げることは非常に難しいのですが、あえて申し上げますれば、核兵器を貯蔵することができるような施設ということだけでありますれば、それは核兵器が存在するということと必然的に結びつくわけではございませんので事前協議対象にはなってこないのではないかというふうに考えるわけです。
  105. 玉城栄一

    ○玉城委員 まあこれはまた別の機会に勉強しながらお伺いしていきたいと思いますが、ただ、先ほど私申し上げましたとおり、地位協定というのは、皆さん方は非常にオールマイティー的な考え方のようですが、三条等によって米側にそういうオールマイティー的な権限が与えられているにもせよ、国益に基づいて好ましくないという施設等をつくろうという場合には、やはり我が国としてはこういうものはだめだということをちゃんと言う必要があると思いますね。  それはそれで、今度はソビエトの方の問題について伺いたいのですが、実は二十六日に、例の日ソ漁業協力協定については、これは日ソサケ・マス漁業協定の親協定になるわけですが、今年限りで失効をするのだという通告がされたということが報道されているわけです。これは、ついこの間もサケ・マス協定を審議したばかりで、いきなり親協定を今年限りで失効するというようなことになりますと非常にけしからぬ話だということで、なぜこういうことになったのか、事前に外務省とされてこういう問題を把握しておられたのか、その点をまずお伺いいたします。
  106. 西山健彦

    ○西山政府委員 お答え申し上げます。  現在私どもがソ連との間に持っております漁業協力に関係します協定は、これは一九七八年四月に署名されたものでございまして、建前といたしましては一九八二年十二月三十一日まで効力を有するというものでございます。その後につきましては、六カ月前までにこれを終了させるという意思表示をどちらかがしない限り自動的に順次一年効力を継続していく、そういう性質のものでございます。ところが、ソ連側はことしの三月から、海洋法条約に基づく経済水域というものを適用するという態度を明らかにいたしまして、したがって、現行の漁業協力協定の前提となっておりました法的な立場が変わったので、これを改定したいということを言ってきたわけでございます。この考え方それ自身につきましては、実は四月から五月に行われましたサケ・マス交渉の場でも、先方から既にそういうことを言っておりまして、そのために私どもといたしましては、その協定改定のための第一回協議というものを、この五月の末から六月の初めにかけましてモスクワで行っていたわけでございます。この協議自体は現在も継続しておりまして、七月に東京において第二回の協議を開催すべくソ連側と話していたわけでございまして、そういう交渉過程におきまして先方が、協定上問題はない手続きではあるとはいえ一方的に終了通告を行ってきたということ自体は建設的な態度とは言えないので、遺憾であるというふうに考えております。しかしながら、これはあくまでも漁業についての問題について双方間の立場が異なるということでございまして、あくまでも漁業の枠内でこの問題は交渉の上解決していきたいというふうに考えております。したがいまして、先ほど申し上げましたように、来る第二回の協議などを通じまして、本年末には現行協定が終了するということを念頭に置きつつ早急に新しい協定を締結すべく努力してまいりたい、かように考えております。
  107. 玉城栄一

    ○玉城委員 そういう話がこの間のサケ・マス交渉の中でもソ連側から出てきて、交渉中こういう終了宣言のような通告ということで、外交交渉として建設的な態度でない、遺憾であるというお話ですが、本当にそれはそのとおりだと思います。特に、こういうサケ・マスの交渉に際しても、これまで我が国としても、いわゆる漁業協力費ですか、二百五十数億もこの七年ないし八年で向こうに払っているわけですからね。ただ、やはり心配なのは、そういうことで来年以降の、これまでのようなサケ・マスの確保というものが心配されてくるわけですが、その辺の見通しと、新協定を締結するんだという、そういう見通しなどを絡めて、どのように理解しておけばいいのですか。
  108. 西山健彦

    ○西山政府委員 海洋法の規定それ自体におきましては、いわゆる遡河性の魚種、つまりサケ・マスの公海における採取というのは全面的に禁止するということになっております。しかし、そのただし書きがございまして、それまで操業をしていた国に著しい経済的な損失を与えるような場合には母川国と操業国が取り決めを行いまして操業継続が可能である、そういう規定がございます。したがいまして、私どもといたしましては、そういうただし書きの立場を踏まえてソ連側と交渉をしてまいりたい、こういうふうに考えておるわけであります。ソ連側もこういう我が方の立場については交渉する用意があるというふうに私どもは受けとめております。
  109. 玉城栄一

    ○玉城委員 先ほどちょっとおっしゃいました、国連の海洋法条約ソ連は署名をした、法的な土台が変わったからというお話があったので、その国連の海洋法条約というもののこれまた見通しはどうなんでしょう。これはアメリカはまだ署名してませんね。現時点でどれくらいの国がそれに署名をしているのか、アメリカの署名の見通しはあるのか、その辺の見通しについてお伺いいたします。
  110. 小和田恒

    小和田政府委員 お答えいたします。  ただいま正確な資料を手元に持っておりませんので、正確な数字は後で御連絡いたしますけれども、アメリカは御指摘のとおりこの条約には署名をしておりません。署名していないのみならず、実はこれについては反対であるという立場をとつておりますので、署名の見通しというのはなかなか難しいであろうと思います。ちなみに、この条約に今まで署名をいたしました国及び地域も合わせまして、全体で百三十四でございます。ただし、これはもちろん批准をいたしませんと発効しないわけですが、批准の数はまだ十二でございまして、これが全部で六十になって初めてそれから一年後に発効する、こういうことになっておりますので、ただいまの見通しといたしましては、直ちにこの条約が近い将来に発効をするということは見通しとして立てがたいであろうという感じがいたします。他方、この条約の規定は非常に長い時間をかけて交渉をいたしまして採択したものでございますので、大筋におきましては、特に漁業の問題であるとか領海の問題であるとか公海の問題であるとかいうようなところにつきましては、大体において現在の国際社会のコンセンサスに近いものを代表しておるというふうに受けとめられておりますので、その意味で、ソ連がこの条約に署名をし我が国も署名をしたという状況におきまして、形式的に法律的にこの条約に拘束されるわけではございませんけれども、内容的には、そこに書いてあることを大体妥当なラインとして考えていくということは言えるかと思います。
  111. 玉城栄一

    ○玉城委員 ですから、私はさっきも申し上げましたとおり懸念しますのは、ソ連側というのは、日ソサケ・マス漁業協定の親協定の漁業協力協定は今年いっぱいで終わりなんだという、終了宣言みたいなことを言っているわけでしょう。このままの状態だったら当然来年から無協定状態ということになります。そうしますと我が国は、従来八年間にわたって本当にソ連側と話し合いをしながらサケ・マスということをやってきたわけですから、来年から一体どうなるのかという不安が当然出てきますね。交渉はするんだというお話ですけれども、そういう点について、どのように我々は理解しておればいいかということをお伺いしておきたいのです。
  112. 西山健彦

    ○西山政府委員 この問題はこれから鋭意交渉していく問題でございますけれども、しかしながらソ連側も本件終了通告をしてくる際に、新協定締結のための交渉をしたいと言って向こうから提案しているわけでございます。したがいまして、向こう側も新しい協定のもとに従来のような操業が可能になるような何らかの取り決めをする用意はあるというふうに我々は考えているわけでございます。したがいまして、これからはもっぱらその交渉をどういうふうに進めていって我々に最も有利な結論をとるか、そういうことになろうと存じます。
  113. 玉城栄一

    ○玉城委員 それでは確認としまして、当然これは冷静に外務省とされてはソ連側と、来年から協定がなくなってそういうサケ・マスが確保できないような状況のないように、当然これは努力されるわけですが、大臣、今の件について大臣とされてどういう自信をお持ちであるか、お伺いいたします。
  114. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 漁業協定につきましてソ連側がああいう態度をとったことは非常に残念に思いますが、しかし、まだこれは交渉の余地は残されておると私は思っております。そして、日ソ間では漁業問題は日ソ間のいろいろなほかの問題とは切り離してこれまでもずっと連続して折衝もし、そしてまた解決もしてきたことですから、これは日ソ間で努をすれば解決はできるし、また解決をしていかなければならぬ、こういうふうに思います。  同時にまた、日ソ間全般につきましても、今環境としては非常に厳しいわけですが、それだけに対話の方向もいろいろ出ておるわけでありますし、政府政府間の対話あるいはまた議会間の対話、さらにまた民間の間の対話、いろいろな動きが出ておりますから、そういうものともあわせて、この問題が両国の納得のいく形で合意されることを期待もし、我々もそのために努力をしてまいりたいと考えております。
  115. 玉城栄一

    ○玉城委員 次はまた問題を変えまして、これは沖縄米軍基地に関係する問題ですが、日本人警備員の短銃携帯ということで、これはたしか昨年、私も二回ぐらい外務委員会でもやりました。とにかくアメリカと違いまして日本社会というのは、沖縄も含めて、そういう武器なき社会なんですよね。ピストルを持ってどうのこうのという、まあ警察官だとか、そういう特殊な場合は別にして、一般社会の中では武器を携帯しないというのは日本の社会のいいところでもあるわけですね。ですから、せっかくそういうことをしなかったわけですから、米軍基地につきましても警備員についてはそのままでいいじゃないか、むしろそういう携帯をさせることによっていろいろな問題が起きかねませんよということを指摘もしてまいったわけですが、やはり今月の一日に、短銃を携帯しておる警備員が暴漢に襲われて重傷を負って、けん銃も、それから実弾も奪われたという不幸な事件も起きているわけですが、その経過と、今後外務省の方はどうされるつもりでいらっしゃるのか、ひとつお伺いいたします。
  116. 山下新太郎

    山下(新)政府委員 ただいま御指摘ございましたように、六月一日のたしか早暁だったと思いますが、キャンプ瑞慶覧の喜舎場という住宅地区を警備中の日本人警備員の安次富さんという方が、確かにピストルを持って警備しておられて、何者かによってそれを強奪されたという事件が起こったことは私どもも重々承知している次第でございます。無論このような事件が起こることはまことに遺憾でございまして、できるだけ早くこの事件が解決することを期待かつ希望いたしている次第でございます。  ただ、この事件はそういうことだと考えている次第でございますが、まさに玉城委員指摘のとおり、地位協定三条第一項におきまして、施設、区域内につきましては、設定、運営、警護、管理のために必要なすべての措置をとることが米側に認められている次第でございまして、そういう権限の一環といたしまして、米軍が必要だと判断する場合には日本人の警備員にけん銃を携帯させまして施設、区域内においで警護に当たらせるということはできるというふうに考えておる次第でございます。
  117. 玉城栄一

    ○玉城委員 山下さん、私が申し上げているのは、そういうけん銃を携帯する必要性というのは今の社会の中にはないんだということを申し上げているわけですね。ですからそれをひとつ、きょうあす、どうのこうのと私申し上げません。そう申し上げても何でしょうけれども、検討されたらどうですか。山下さん、検討してみたら。
  118. 山下新太郎

    山下(新)政府委員 私どもが承知しておりますところでは、沖縄県の当局とアメリカ側との間でいろいろ協議をおやりになっている、こういうふうに聞いております。それで私どもが承知している範囲では、海兵隊側といたしまして、警備員の銃砲の携帯による警備箇所を減らすとか、あるいは銃砲を警棒へかえるとか、あるいは、この事件は実は一人で警備しておられて起こった事件なので、これを二人で警備する体制に変えるといったようなことをいろいろやっておられるというふうに承知いたしております。
  119. 玉城栄一

    ○玉城委員 長い間これは携帯していなかったわけですから、それを去年から携帯しようということになった。こういう事件も起きているわけですから、かえってそういう問題を起こすようなことをしない方がいいということは去年から申し上げておるわけです。ひとつぜひ検討していただきたいと思います。  それから次にもう一つは、この間また例のキャンプ・シュワブで重機関銃の被弾事件が起きたわけでありますが、この件はやはりこれと同じように五十三年にもそういう事件が起きまして、五十三年の十二月二十九日ですが、私は五十四年に予算委員会で取り上げました。同じところで、そういう基地外に実弾が飛び越してきて、裏側にある民間地域に機関銃がばあっと乱射されたという事件があって、その問題を取り上げまして、この演習場はもう不適当じゃないか、ちょっとでも間違うと実弾が飛び越してくるんだ。今回の事件もやはりそれに似たようなことですね。角度制御装置をつければどうのこうのとか、あるいはまた装薬というのですか、その量を減らせばそんなに遠く飛んでいかないから安全だとか、そんなことでいろいろやっているんですが、それでいいのかどうか。いかがですか。
  120. 山下新太郎

    山下(新)政府委員 申し上げるまでもなく、この種の事件が起こるということは極めて遺憾なことでございまして、私どもといたしましても、この事件が起こりまして直ちに日米合同委員会、これの事務局に遺憾の意を表明した次第でございますが、それと同時に、早急に事実関係調査するということを強く申し入れたわけでございます。さらにまた、事件が深刻であるということもございますので、アメリカ大使館に対しましても同じ日に同様の申し入れをした次第でございます。  米側はその後、いかにしたらかかる事故の再発を防止し得るかということを鋭意検討していたと承知している次第でございますが、昨日も実は合同委員会が開催されまして、その場で私どもより、同じような事故が再発することは極めて困る、それを防止する措置をとってほしい、とるべきであるということを申し入れた次第でございます。これに対しましてアメリカ側は、言うまでもなく遺憾の意を表明したわけでございますが、さらに再発防止に必要ないろいろな措置を実は既にとっているということを言っているわけでございます。その中に、御指摘の射角制御装置、これを装着するといったようなことも含まれているわけでございます。果たしてそれで十分なのかどうか、いろいろ問題もあり得るかと考えまして、現在外務省も含めまして、さらに彼らが考えております措置を検討している、こういう段階でございます。
  121. 玉城栄一

    ○玉城委員 大臣、今のことで、私は五十四年に当時園田外務大臣にも申し上げたわけですが、これは演習場としてその射程が、実弾演習しますね、ちょっと間違いますと目標から飛び越していくわけです、その裏側に民間地域があるわけですから。だからこれは、こういう演習場は不適格でしようということを申し上げましたら、それはそうだということを当時園田さんもおっしゃっておられたわけです。ですから、射角制御装置だとかいろいろなことで安全だということを前からおっしゃっているわけですが、やはりこの演習場はどうしても検討していただかないと、もしもう一回またこういう事故が起きたら一体どうするのか、地元では非常にそういう不安が当然出てきますね。これは大臣、検討してみる必要が十分あると思います、これは演習場として適当であるのかどうか。いろいろな安全装置がどうのこうのという以前の問題だと思いますが、いかがですか。
  122. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 事故が起こっていろいろと民間の方に御迷惑をかけるということは甚だ好ましくないことでありますので、これを防ぐために米軍としても対策をとってもらいたいということを合同委員会等を通じまして日本側からも強く申し入れておりますし、米軍もこれに対しては今後気をつけると思いますが、しかし今お話しのように事故が頻発をする、これからも将来頻発をしていくということになれば、やはり射撃場のそうした用地が適地であるかどうかということもあわせていろいろと検討しなければならぬ課題であろう、こういうふうに私も思います。
  123. 玉城栄一

    ○玉城委員 時間が参りましたので、大臣一言最後に。大臣も御存じのとおり、沖縄戦の記録フィルムですが、来月の四日に別館の講堂の方で外務委員会主催で試写会をやるということになっております。大臣も韓国行き等外交日程大変お忙しいと思いますが、ごらんになったらいかがですか。
  124. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 時間が許せば見させていただきたいと思います。
  125. 玉城栄一

    ○玉城委員 以上です。
  126. 渡辺朗

    渡辺委員長 青山丘君。
  127. 青山丘

    ○青山委員 外務大臣の貴重な時間を割いていただきましたので、できるだけ大臣にお答えいただきたいと思いますが、最近、ソ連の反体制物理学者サハロフ博士夫妻の安否がいろいろと気遣われております。博士の御子息御夫妻も東京へ来られまして、関係のところへいろいろと要請を繰り返しておられるようです。先般ミッテラン・フランス大統領がクレムリンを訪問されたときも、この問題が出ました。今、国際的にいろいろと関心が寄せられているところでありますが、日本外務大臣として、博士夫妻の状況の改善のために安全を確認しておられるのかどうか、状況の改善のためにどんな考え方を持っておられるのか、まずお聞きをしたいと思います。
  128. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 我が国は、あらゆる国民の人権が擁護されるべきである、こういう基本的な立場に立ちまして、これまでも種々の機会に民主主義、人権擁護の必要性を強調しております。  サハロフ博士夫妻をめぐる現下の状況につきましても、大きな関心を政府としては持っておるわけでございます。こうした認識から、去る二十三日に松永事務次官が私の代理としましてセミョーノフ夫妻にお目にかかった際に、同次官より、政府として深い同情の念と政府としての重大な関心を表明したところでございまして、今、政府はいろいろと状況等を総合的に判断をいたしまして、このサハロフ博士夫妻の問題について何ができるか、その可能性を検討してまいっておるところでございます。  なおサハロフ博士の消息につきましては、これまでに外電とかあるいはまたソ連側発表等で種々情報が紹介をされておりますが、遺憾ながら事の性質上今のところこれ以上の情報は有していない次第であります。
  129. 青山丘

    ○青山委員 大臣としてひとつぜひ責任を担っていただきたいと思います。  実は先般、札幌での記者会見がありましたが、ソ連との対話の拡大強化を目指す意向を安倍外務大臣は表明しておられます。この点に関してお尋ねをしたいと思いますが、今日の日ソ関係というのは非常に厳しい状況にあります。その原因となっておるものは、第一に七九年末のソ連によるアフガニスタンの侵攻でありました。またポーランドにおける一連のソ連行動あるいは北方領土問題に対するソ連の態度、解決済みであるというような、こうしたかたくなな態度、さらには七八年以降の北方領土への軍事力の増強、SS20など極東ソ連軍の増強、そして大韓航空機撃墜事件など、一連のこうした問題がたび重なってきました。  この日ソ関係に立ちはだかっておる基本問題は一体改善されているのかどうか。私の立場で少し触れさせていただきますが、北方領土問題については一九七三年の田中・ブレジネフ会談では、当時、共同声明の中に「未解決の諸問題を解決して」云々と、こういう中に、当時の田中総理は、領土問題も入りますねと再三確認をされた。ブレジネフ当時の書記長はうなずかれて、口頭でその点を認めておられたと聞いております。にもかかわらず、その後、解決済みであるとか存在しない、こういう態度をとり続けてきました。  さらに、先般の高島駐ソ大使が天皇誕生日に当たってソ連国民へのテレビ演説の際に、北方領土に関する部分が昨年と同じような内容であったにもかかわらず、修正削除を要求されてきた。こういうようなことでもわかりますように、ソ連側はむしろ従来より日本側に対して厳しい姿勢を見せていると思います。  さらにアフガンでは軍事的圧力を抑制するどころか新たな兵力を投入して大攻勢を展開していることが伝えられております。  さらに大韓航空機事件についても、当時グロムイコ外相が、世界はそのうち忘れるであろう。世界はそのうち忘れるであろうと言ったとおり、事件については何らの謝罪、賠償は得られておりません。  また北方領土へのソ連軍の増強、極東へのSS20の増強等々、やはり依然として軍事力の強化を図っております。  こういう状況の中で、日ソ間に立ちはだかっておる基本的な問題は一体改善されているのかどうか。いやむしろ、それよりは厳しい状況になってきておる。にもかかわらず、こういう状況大臣の方から対話の手を差し伸べていかれる。その意図は一体どんなところなのか、ぜひひとつ御説明がいただきたいと思います。
  130. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 おっしゃるとおり日ソ間は非常に厳しい状況にあるわけでございます。領土問題につきましても、今お話しのように、これは日本としては懸案問題である、日ソ間でテーブルに着いてこの問題を討議し解決をしたい、これが日本の念願でございますが、ソ連はこの問題はもう解決済みである、こういうふうに言っておりまして、これまでの約束とは違うわけであります。あるいはまたアフガニスタンに対する介入は依然として続いておりますし、また大韓航空機事件の後遺症も尾を引いておる、さらに極東におけるソ連の軍事力は増強されておる、こういうふうな状況で大変厳しいわけでございます。しかし、何としても日本の隣国の大国でありますし、日本ソ連は体制は違いますけれども、こうした厳しい環境にあればあるほど我々としては対話の道を何とか探っていかなければならない。これが日ソの平和というものにつながるだけではなくて、やはりアジア全体の平和あるいは世界の平和にも貢献することになる、こういうふうに考えております。  そういう意味で、実は事あるごとに話をしておりまして、議論の行き違いも随分多いわけでありますけれども、しかしソ連側としても対話を拒否しているわけではございませんで、例えば政府間における高級事務レベルの対話であるとか、あるいはまた最終的にはこの九月の国際連合の総会においてグロムイコ外相が私にも喜んで会いたい、こういうことでございます。こうした政府間の対話、あるいはまた議会間の対話もソ連が強く求めておりますので、これは国会の御判断でございますが、ぜひとも実現をしていただきたい。あるいはまた民間の経済関係の協議、対話ということも進めて、厳しい状況にはありますけれども一歩一歩改善の道を進めてまいりたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
  131. 青山丘

    ○青山委員 隣の大国と対話をすることはそれなりに意義がある、改善の道を探っていきたい。ただ、こういう状況になってきたのは、アフガン侵攻、ポーランドの干渉、こうした一連の行動がなされて対ソ措置という形を日本がとったわけです。その日本側から対話を拡大強化していくという姿勢、一体そういう方向になってきた背景は何か。むしろソ連日本に対して厳しい態度をとってきているのに、そういう恫喝された状況日本が屈していくのか。私は決して対話を批判するつもりはありません。対話は結構です。ただ、そういう一連の行動の中に日本側から手を差し伸べていくという立場がよくわからない。また、それまで対ソ措置としてとってきた信用供与の制限であるとか、人的交流の制限であるとか、こうしたことを緩和をしていくかどうか、この辺のお考えはいかがでしょうか。
  132. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 これは別に日本側から手を差し伸べるというふうな問題じゃないと思います。ソ連としても、厳しい情勢の中で日本とも対話を進めたい、こういう意向があることも事実でございますから、お互いにそういう雰囲気の中で改善をしていこうという具体的ないろいろの、先ほどから申し上げました協議が今これから進んでいくわけでございまして、我々は日ソ関係においてはやはり領土問題を初めとして毅然として対処しなければならない点は腰を据えてやっていかなければならぬと思いますが、一面においてはやはりお互いが隣国同士でございますし、何とか対話によって関係が改善されるならば、その方向に努力をしていくのは平和外交を推進している日本立場として当然のことじゃないだろうか、こういうふうに考えておるわけであります。
  133. 青山丘

    ○青山委員 五十一年以降北方墓参ができないのですけれども、やはりかつて北方領土に生活しておられた人たちが年々年をとっていかれます。こういう人たちは一日も早い北方墓参の実現を待ち望んでおられるわけですが、当委員会の現地への委員派遣の際にも関係者から必ず実現を強く要請されてきました。人道的見地からのその実現をぜひ図ってほしいということでございますが、外務大臣の決意をお伺いいたしたいと思います。
  134. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 北方領土への墓参団の派遣あるいはまたソ連全土への墓参団の派遣につきましては、ソ連側に便宜を図るように、実は今回もサミットからの帰りにカピッツァ次官とモスクワの空港でお目にかかりましたとき私から強く要請をしたわけでございまして、やはり日ソ対話を進めるという上におきましても、あるいは人道的な面から見ましても、ぜひともこの日本側の要望を受け入れてほしい、特に北方領土については、たしか五十一年までは非常に簡易な措置で墓参が認められておったわけですから、そういうような措置によってまた認められるように、これは強く求めてまいりましたけれども、今のところ直接返事がございませんが、その返事を待っておる、こういう段階でございます。
  135. 青山丘

    ○青山委員 ぜひひとつ進めていただきたいが、先般のモスクワのシェレメチェボ空港でカピッツァ外務次官と会われたときに、新聞報道ではイラン・イラク問題で事務レベル協議をこれから重ねていく、その中にも触れていただいたというふうに受けとめておりますが、今後事務レベル協議の中にこの問題を取り上げていただけるのかどうか、いかがでしょうか。
  136. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 この問題は、もちろん政治レベルでも取り上げておりますし、高級事務レベル等でも積極的にわが方から提起をいたしておるわけでございまして、あくまでも人道的な問題ですから、ソ連としても善処してほしいということを我々は強く、今後とも粘り強く要請してまいりたい、何としてもこれは実現をさせたい、こういうふうに考えております。
  137. 青山丘

    ○青山委員 ありがとうございます。  防衛庁、おられますね。先般、択捉島に配備されているソ連軍の主力戦闘機ミグ23が、四月に入ってこれまでの二十数機から約四十機にふえたということが確認されたと防衛庁の方で発表しております。北方領土へのソ連の軍事力がどのように増強されておりますのか、兵力、装備、基地建設等々を踏まえて北方領土におけるソ連軍の軍事力の増強の状況をひとつ御説明いただきたい。
  138. 三井康有

    ○三井説明員 北方領土におきましては、ソ連軍の地上部隊と航空部隊配備されておるわけでございます。  まず地上部隊について申し上げますと、委員承知のとおり、七八年の夏に択捉島及び国後島に地上軍の再配備が始まったわけでございまして、その翌年に色丹島にも地上軍の配備ということが見られました。その後、部隊規模の増強が見られ、八一年ごろにほぼ師団規模に達したというふうに見ております。その後今日まで、地上部隊につきましては特にこれを超えて増強をされておるというようなことはないというふうに承知いたしております。  次に航空部隊でございますが、択捉島にございます天寧という飛行場に戦後ほぼ一貫しましてソ連の戦闘機が配備されておったわけでございますけれども、八一年の春にそれまで配備されておりましたミグ17という機種が撤去されまして、その後八二年の暮れに、ここにミグ田という新しいタイプの戦闘機が配備されました。機数約十数機でございます。ところが、八三年の五月ごろになりますと、このミグ21が撤去されまして、そして去年の八月以降に御指摘のミグ23というさらに新鋭の戦闘機が飛来したわけでございます。その当時の機数は約二十数機でございました。これがことしになりまして、さらに機数の増強ということが見られ、現在約四十機に達しておるということでございます。  最近におきます新しい基地建設の動きという点でございますけれども、水晶島という島におきまして若干の動きが認められるわけでございます。その点について申し上げますと、五十八年の八月ごろでございますが、ソ連艦艇が数隻、水晶島の大崎という付近に接岸いたしまして、木材等の陸揚げを行ったようでございます。その後、ことしになりまして五月ごろでございますけれども、さらに水晶島の帆前崎というあたりにソ連艦艇が接岸いたしまして、クレーンでございますとかトラクターでございますとかといったものの陸揚げが行われて、天幕などの設置が認められております。今月に入りましてから、ここに新しい建物が建設されたのではないかというようなことが一部報道にもございましたけれども、私どもの承知しておる限りでは、それほど大がかりな建物とは見ておりませんけれども、一階建てで一部二階建てといったような建物があるようでございます。これが何かということにつきましてはなかなか確認できないわけでございますが、規模からいたしますと隊舎であるといったようなことはないのじゃなかろうか、むしろ対空レーダーですとか対海上の監視レーダーの施設などである可能性もあるのじゃなかろうかと思っております。いずれにしましても軍事施設である可能性は強いのではないか、このように考えております。
  139. 青山丘

    ○青山委員 水晶島の新しい建物も軍事施設の可能性が強い、北方領土に軍事力がだんだんと増強されてくることは憂慮にたえない次第ですが、次に北方領土の地図の記載の問題です。  外国で出版されている地図におけるところの北方領土の記載ぶりが日本の主張のとおりになっておらないものがかなりあると聞いておりますが、外務省、在外公館を通じて訂正方を申し入れてこられたはずです。その結果はどのようになっておりますか、御説明をいただきたいと思います。
  140. 西山健彦

    ○西山政府委員 世界各国の地図における北方領土の記載ぶりでございますが、これは昭和五十五年に在外公館を通じまして各国の主要な地図の総点検ということを行ったわけでございます。その結果、実は記載ぶりがさまざまであることがわかりまして、北方四島をはっきりと日本領土としているもの、あるいは北方領土の帰属については係争中であると表示しておるもの、あるいは北方四島とも帰属をソ連と表示しているもの等、さまざまなものがあることがわかったわけでございます。その時点ではっきり北方四島を日本領土としておりますのは、韓国、中国、西独、それからパナマという四カ国で、そのほか、係属中等々で日本側に有利に読めるようになっておるのが六カ国ほどございまして、合わせて十カ国程度は我が方の立場に地図の上でも理解を示しているというふうに思われたわけでございます。  その後も随時、不適当な地図を見つけますたびに、我が方在外公館を通じてその訂正方を申し入れている次第でございますけれども、地図の改訂と申しますのは、御承知のとおり申し入れてすぐ変えるというわけにはいかないわけでございまして、何年に一回かそれを変えるということでございます。また政府に申し入れましても、政府が必ずしも出版会社の上にはっきりとした管轄権を持っておるというわけでもないので、これはまた出版社の意向によるというようなこともございまして、そのたびに私どもとしては積極的に欠かさず申し入れを行っているわけでございますけれども、現在、最近の調査ではっきりしましたところでは、先ほど申し上げました状況に加えて、トルコ、インドネシアの北方領土の記載ぶりが、我が方の要請に応じてソ連領から日本領に訂正されたということがはっきりしたというのが現状でございます。
  141. 青山丘

    ○青山委員 幅広い返還運動を展開していく中では、この地図の記載を諸外国にお願いすることも非常に意義深いと思います。  もう時間がありませんので最後になりますが、北方領土隣接地振興基金の積み立てについて総理府に伺います。  北方特別措置法で、振興等基金に対する国の補助金は「昭和五十八年度から五年度以内を目途として交付する」、こういうことになっておりますが、その総額はなるほど明記されてはおりません。明記されなかった理由というのは、財政再建期間中など諸般の事情があって考慮された結果だ、したがって、提案理由の中ではっきりと、基金に係る補助は八十億円であるということが述べられておりますし、さらにこの法律案を提出する際に、施行に要する経費として基金の関係は八十億円となっております。地元北海道あるいは根室市等においても基金の総額は百億円でありますが、国の補助は八十億円だ、こういうことで了解をしております。  そこで、五十八年度、五十九年度の予算を見てまいりますと、八億円しか計上されておらない。八十億円の五年分の一つまり五分の一は本来毎年十六億円の計算になるわけでありますが、その半分である八億円しか計上されておらない。このままでは約束の半分の五十億円にされかねないという心配を現地ではしているわけです。この点について総理府のお考えをひとつぜひ示していただきたいと思います。
  142. 橋本豊

    ○橋本(豊)政府委員 ただいま先生がおっしゃいましたように、法文上金額が明記されておりません。伺いますところによりますと当初案にはあったそうでございますが、法文に記載するのは適当でないという御判断で削られたというふうに理解しております。削った過程で、やはりこれは法律が議員立法でございますので、党の努力目標ないしは公約ということで努力していこうということであったのではないかというふうに理解しております。政府側としましても、その議員立法の立案過程あるいはその後におきまして、周りの環境が大変財政状態が厳しい状況でございますので、金額、基金の全体規模について、政府側としてお約束めいたようなことは申し上げられる状況にもなかったために一切申し上げてないということでございます。しかし、地元はこの問題について大変強い期待と希望を持っているということは十分承知しておりますので、総理府といたしましても、マイナスシーリングの中、最大限の努力をして、今年度も前額を下回ることのないように、最初に前額同額を取りつけたという、その努力もいたしたわけでございまして、今後とも従来同様に最大限の努力をしてまいりたいと思っております。
  143. 青山丘

    ○青山委員 時間が来ておりますからもう質問はできませんが、こうした政府の姿勢が、なるほど財政事情の厳しいことは日本じゅうみんな知っています。しかし立法の精神からしますと、隣接地の人たちは大変失望している。こういう政府の姿勢に対してむしろ返還運動の拠点の人たちが失望しているということが、考えてみますとソ連につけ込まれるすきを与えてしまってソ連お得意の分断工作にはまってしまう、こういうことになってきて、先般の根室の市議会における市長の答弁なんか見ると本当に聞くにたえない残念な答弁が出てきておるわけです。こういうことは重々御承知だと思いますけれども、政府の姿勢によって世論が大きく左右されてきておりますだけに、総理府の責任というのは非常に重い、ひとつそういう自覚をぜひ持っていただきたい。要望して終わります。
  144. 渡辺朗

  145. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 私、最初にトマホーク問題について大臣の意見をお聞きしたいと思います。  御承知のように、米国防総省は二十七日、海軍が海上、海中発射の核弾頭つき巡航ミサイル・トマホーク実戦配備を数日前に開始したと発表しております。政府はこれに対して核装備の有無、これを確認する意思があるかどうか、大臣に伺いたいと思います。
  146. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 アメリカトマホーク太平洋実戦配備いたしたとしても、それはアメリカのいわゆる世界戦略上に立った措置でありまして、日本アメリカとの間には日米安保条約もありますし、事前協議もありますし、そういう観点からこれに対応していけばいいと考えております。
  147. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 第七艦隊艦船に核装備すると既に発表されておる。第七艦隊横須賀を母港として佐世保、さらに沖縄のホワイト・ビーチなど主要な日本の軍港その他に寄港する、当然のことである。もし政府のこの態度を許すと核持ち込みが許される、となるとアメリカの核戦争計画のもとで日本を核戦場とする一歩を踏み出すというものであって、絶対にこれは容認できません。だから再び強調いたしますが、この点について核装備の有無を確認するということを強く求めて、次の質問に移ります。  次は、沖縄周辺あるいは沖縄上空にいわゆる米軍機用のアルトラブの空域があるかどうか、これについて運輸省の見解を求めたいと思います。
  148. 小山昌夫

    ○小山説明員 お答えいたします。  アルトラブは通常、ステーショナリーと申しまして一定の空域を決めたアルトラブと、そのときそのとき移動する形のアルトラブというのを設けてございます。そのときそのとき移動すると言いますのは、そのとき必要によって要請があって、その都度調整して認めるというようなタイプでございます。
  149. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 今グアムのアンダーソン基地にB52Gが十四機常駐していることはもう既に新聞報道などでもわかっています。このアンダーソン基地を発進、帰投するB52が沖縄上空あるいは周辺を通過する際、同機の作戦行動を支障なく遂行させるためこのアルトラブを使っていくのかどうか、お答え願います。
  150. 小山昌夫

    ○小山説明員 お答え申し上げます。  通常、アルトラブは米軍の要請によりましてこれを行っておるわけでございますが、B52と特定した場合には、これは米軍機の行動に関することでございますので、お答えを控えさせていただきます。
  151. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 我が党の調査でわかっているのは、B52Gに対するアルトラブを行っておるその航空路の一つに、グアムを発進して南大東島東方二百マイル、三百六十キロ、奄美大島北方三十マイル、五十四キロを通過するルートを設定している。また、全運輸省労働組合が出している「航空ふおーらむ」、これは既に御承知だと思いますが、これにも明らかに書かれているんですよ。これは「幻の空域“アルトラブ”」あなた方の公認されている労働組合の季刊誌なんです。この問題は二十四日の朝日新聞にもはっきり書かれている。今アルトラブというのはB52用であるという問題なんです。こういったことは国民周知の事実なんですよ。これに対してなぜ答え得ないのか。運輸省どうですか。
  152. 小山昌夫

    ○小山説明員 お答え申し上げます。  日米間の取り決めによりまして、米軍行動に関するものにつきましては相手側の許可なしには公表できないということになっております。
  153. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 答え得ないようになっているというのはどういう意味なんですか。ここは国会委員会なんですよ。答弁できないというのはどういうことですか。
  154. 小山昌夫

    ○小山説明員 お答え申し上げます。  これは米国との関係のことでございまして、この問題につきましては運輸省一存ではお答えできません。
  155. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 それでは、問題は米国との関係でありますので外務省にお聞きしますが、外務省はこれに対してどうお考えか。私が今言った具体的な問題、一つのルートになっているということについて。
  156. 山下新太郎

    山下(新)政府委員 運輸省御当局の方から御答弁ございましたとおり、日米間で一艦一機と申しますか、個別の軍用機等の行動に関してはこれを明らかにしないという合意があるのではないかと思います。したがいまして、アメリカ側の了承なしには御説明できないということではないかと伺っていた次第でございます。
  157. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これに詳しく書かれているんですよ。沖縄復帰十年になった今日、沖縄の空はまさにウォーニングエリアだけではなしに幻の空域があるんだ、この空域はB52などの米軍作戦機の飛行にあわせてブロックされる空域が順次移動していく移動型と固定型と二つある。これも明らかになっている。我々の調査でもそれがはっきりしております。さらに二十四日の朝日新聞にも書かれている。もう実に危険なんですよ。しかもこれに書かれているように、ひどい場合には一日に九件、三時間なら三時間、二時間なら二時間、民間機を排除する空域があるのですよ。これは管制官の血のにじむ記録なんです。あっ危ない、SR71、B52だと。  大臣、このような危険な空域があるのを御存じですか。安倍大臣いかがですか。知っておりますか、知っていないか、これだけですよ。幻の空域アルトラブ。
  158. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 今御質問を承って初めて知ったところです。
  159. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 私はそれは驚きを感ずるのです。少なくとも日本国の外務大臣ともあろう者が、これは全運輸省労働組合という公認の組合なんですよ。これにはっきり書かれておる。移動型と固定型がある、しかも危険である、一日に平均して二回、ひどいときになると九回もあった、それで二時間、三時間排除される。これを大臣が知らないとは驚きですが、大臣、今からでも遅くはないから空がどのようになっているか、安全であるのかないのかぐらいは勉強してほしいと思います。  次に移ります。どうも時間が制約されておるので、すぐ本論に入ります。  例えばガイドライン、七八年の十一月につくられたガイドライン、これは一章、二章、三章とある。この一章では大体、共同演習をやる。何のためにか、日本有事のため。三章、極東有事のため。それで極東有事の場合に、アメリカが第三国に事を構える、当然B52はアンダーソン基地から発進する。このB52は既にB52G型に全部かえられて、今十四機アンダーソン基地に待機している。もちろんこれはKC価をお供にして飛ぶ。嘉手納から飛び立ったKC135が空中給油する。これはこの前の委員会でも言いましたが、この問題。極東有事の場合に、事が起こり第三国にアメリカが事を構えていく場合に、この空域、現在の空域そのまま、いわゆる条約とか協定とか合意事項そのままで対応できるのか、新しく合意事項、協定などをつくらなくちゃいかぬのか、これをはっきりさせてください。これは大臣いかがですか。時間がありませんので大臣から聞きます。
  160. 山下新太郎

    山下(新)政府委員 B52G型がグアムにおりますことは私ども重々知っている次第でございます。  このB52G型に関しましてちょっと御説明したいと思うのでございますが、通常兵器、核兵器に限りませんで通常兵器をも搭載する能力を持っていることは言うまでもないわけでございます。先生は戦略任務が通常だという御理解で御質問いただいているのかと思いますが、通常任務の分野におきましても機能を果たしている次第でございまして、例えばハープーン等も、これは対艦ミサイルでございますが、この三月以来積むようになっていることがございます。かつ、私どもといたしまして、B52が日本の近辺を通る、飛行するといったような際に、我が国として行っております航空交通管制、その上での便宜を与えるということは何ら別に問題はない。安保条約を円滑かつ効果的に運用していく上からいきまして、安保条約の持っている抑止力といいますか、それを高める意味があるというふうに考えておる次第でございます。  なお、何らかの事態が起こった際に、現行の例えば合同委員会合意というものがございますけれども、それを変えなければ動けないのかという御質問が最後にあったかと思いますが、その必要はないんではなかろうか、こう考えております。
  161. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 今の御答弁はガイドラインの三章にありますね。この三章にあるのは、現在の「日米安保条約、その関連取極、その他の日米間の関係取極及び日本関係法令によって規律される。」この項を言っているわけですが、もう戦争状態ですよ、いいですか、私の言っていること。B52G、まさに抑止力はもう失われているのです、戦争だから。皆さんが言う抑止力は戦争をしないための抑止力を言っているわけでしょう。抑止力は完全に失効している。なくなっている。戦争だ。事を構える。その場合、第三国に対して、アメリカは極東地域で事を構える。戦争ですよ。そこでグアムから発進する。これに対して日本政府は、今のようにB52が日本の領空内も領空外も通過する空域、これを認めるのか認めぬのか、時間がないので、大臣、答えてください。
  162. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 日本としましては安保条約日米関係で結んでおるわけでございますが、あくまでも日本立場非核三原則を守る、こういうことでありますし、有事の際においてもこの核の持ち込みにつきましては、これはもちろん当然事前協議対象になるわけでありますから、事前協議対象になるとき、日本政府がこれに対してノーと言うことはこれまでも申し上げたとおりでございます。そういう立場日米安保条約を運用し、あるいはこれに関連するいろいろな事象に対して対処してまいりたい、こういうふうに考えております。
  163. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 最後にまた聞きますが、今も申し上げたように、極東有事の場合ということは核戦争ですよ。核戦争が起こる場合にグアムから飛んでくるわけだ。もうB52G型は全部核装備されている。これを現在、毎日巡回訓練をやっているのは模擬でやっているのでしょうが、もうそのときは実弾ですよ。核爆弾を搭載してアンダーソン基地から飛んでくる。そのときに空域を提供するのかしないのか、もし今のような大臣答弁になると、まさにアメリカの核戦争に日本が巻き込まれることを意味する。民族の死滅を意味する。これはだれでも同じことである、核戦争になるんだ。これに対して、B52に対して今の空域、これを特定のまた便宜を与えることが許されるのですか、大臣。いかがですか。
  164. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 いかなる場合においても、日本の領土、領空等に対する核の持ち込みは日本としてはこれを認めないというのが日本の大原則であります。
  165. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 最後に申し上げますが、それじゃ、そのときは領空通過、これは拒否するということになりますか、再確認しておきます。
  166. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 もちろん核の持ち込みであればこれは事前協議対象になりますし、日本としてはこれに対してはノーであるということであります。
  167. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 事は大きい問題で、今大臣の言ったようなあれは、核持ち込みかどうかという事前協議があるでしょう。事前協議どころの騒ぎじゃない、向こうから飛んでくるんだから、戦争なんだから。極東の有事の際に、これに対して事前協議がないから今度は核持ち込みでないということを一貫して主張されると思うのですが、そういった考えですか。
  168. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 もちろん安保条約上そういうことになっております。事前協議というのがありますし、アメリカ事前協議なしに核の持ち込みはしないということでございますし、アメリカはその義務と責任があるわけですから、その場合は日本はあくまでもノーであるということは、これまでもしばしば答弁したとおりでございます。
  169. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 時間が来ましたのでやめますが、問題は、核装備したB52が空域をやってくる場合、事前協議があるかどうか、非核三原則を厳守するかといったようなことでは答弁にならない。まさに核戦場になることを許すような政府の今の答弁に対しては容認できない。私は引き続きこの点については質疑することを重ねて申し上げて、質問を終わります。
  170. 渡辺朗

    渡辺委員長 質疑は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時三十一分散会