○
服部政府委員 その点につきまして、私
どもの
考え方を申し述べさせていただきたいと思います。
まず、現在
陸運事務所が所掌しております
事務のうちの検査登録
事務について申し上げてみたいと思いますが、自動車の登録というのは、
先生も御
承知のとおり、所有権の公証行為でございまして、例えば不動産登記でありますとか航空機の登録でありますとか、そういった
事務と同様に、国の
事務として処理することが最も適当な
事務だというふうに考えます。
それから検査でございますが、検査の水準を全国均一のレベルに維持することがぜひとも必要だというふうに考えておりますが、そのためには自動車の検査基準、検査技術及び検査のための施設のレベルにつきましても、これを全国的に均一の水準にするなど、全国を統一的に処理する必要があるというふうに考えておるものでございます。
さらに申し上げますと、そういった検査登録
事務につきましては、現在では
中央で管理しておりますコンピューターによりまして、オンライン・リアルタイム方式という格好で即時一括処理が図られておりまして、極めて効率的な処理が行われているという実態もございますし、また、検査登録
事務は、全国を包括しましてすべて
特別会計によって運営処理されているというような
事情がございまして、そういった点から考え合わせましても、これを国の
事務として処理することが最も効率的ではないかというふうに考えるわけでございます。
それから続きまして、そういった保安
行政事務と並行して
陸運事務所で現在処理しております自動車、陸運に関します監理
行政事務について申し上げてみたいと思いますが、最前来
先生が御指摘なさっておられますとおり、これまで
陸運事務所で処理してまいりましたこういった
行政事務というのは、言うまでもなく
地域住民の
日常生活に極めて密接なかかわり合いを持つ
地域性の強い業務であるという認識は私
どもも持っております。しかしながら、他面におきまして、御
承知のとおり自動車活動の広域化というものが進んでおります。そして旅客及び貨物の両輸送分野における自動車輸送のウエートは今日飛躍的に増大をしてまいっておりまして、自動車輸送業務と申しますか、そういった自動車活動が我が国の国民経済、社会活動の重要な基盤としての地歩を占めるに至っておるというふうに考えるわけでございますが、そうした自動車輸送活動を対象とする自動車輸送
行政につきましても、従来以上に総合性のある
交通政策の観点からのアプローチがより強く要請されてきている
状況にある。言いかえますと、そういった業務の
地域性を踏まえながらも、その上でかつ総合性と広域性の観点を踏まえた
運輸交通行政の実現が社会的に強く求められているという認識を持っているところでございます。そういった
意味におきましても、自動車輸送
関係の監理
行政事務というのは、これまで
運輸省、
地方運輸局そして
陸運事務所といった縦の系統で各レベルを通じて一貫的に一体的に処理されてきているわけでありますが、それを今後も維持いたしまして、こういった
事務は国において処理することが適当であるというふうに考えているところでございます。
さらに付言して申し上げますと、こういった輸送
行政事務というものを国で処理することの
意味合いというのは、例えば、先ほど来申しました
車検登録事務といったような保安
行政との一体性を確保し得るゆえんでありますし、また将来さらに進展の度を強めると考えられます自動車の広域的な活動への対応という
意味からも
意味のあることでございます。さらには、そういった輸送
行政事務の末端における合理的な振り分けとか分割というものが実際的に申しましてかなり困難性を伴う、ないしは
陸運事務所が所掌しております輸送
関係事務を取り出して、あるいはそれをさらに細分してその一部を取り出して、
地方自治体に移譲するという形をとりますときは、どうしても
行政の二重性を生ずると申しますか、
行政窓口の二元化を招来するわけでありまして、そういったデメリットも考えられるというようなことも種々考え合わせますと、現段階では少なくとも私
どもは、こういった
事務は国において処理することがより妥当であるというような
基本的な
考え方、認識を持っておるところでございます。