○一色
説明員 お答えいたします。
まず、現行の
港湾運送事業法の
根幹でございます
参入規制といいますか
免許制、それから
料金規制がどうなっておるかという点を
中心に諸外国の例を
報告させていただきます。 現在、
日本では御
案内の
ように、
港湾運送事業法という
事業法がございますが、これに類する
ような
法律は、諸外国、特にアメリカ、イギリス、西ドイツ、フランス、オランダという
ような欧米の先進諸国には
事業法は一切ございません。そういう点で非常に
日本と異なってございます。
具体的に申し上げますと、まずアメリカでございますけれ
ども、アメリカは東海岸と西海岸では若干様相が異なっておる
ようでございます。
まず、東海岸でございますけれ
ども、東海岸につきましては、
日本の
ような
港湾運送事業法というものはございませんで、
港湾施設を
港湾管理者から借用する際に、施設を借り受けるという
立場からの資力、信用をチェックされるという
ようなことがございますので、それが
一つの参入障壁になっておるのではないかというふうに我々見でございます。
それから、もう
一つアメリカのシステムが
日本と大幅に違います点は、
日本の場合でございますと、
港湾運送事業者というものが
港湾労働者の方を直接雇用されておるというシステムをとってございますが、アメリカの場合は、そういう
事業者が
港湾労働者を直接雇用するという形はとっておりませんで、東海岸でございますと、ILAという労働組合に直接雇用されておる。そこから
港湾運送事業者が必要な
労働者さんを必要の都度借り出すという形で、俗にハイヤリングホールと我々呼んでおりますが、そういうシステムになっておるという点が一番大きな点ではなかろうかと考えでございます。それから、西海岸につきましても、ILWUという労働組合がございまして、東岸とほぼ似た
ようなシステムになってございます。
それから、アメリカで
一つの問題になろうかと思います点は、アメリカの東海岸につきましては、要するに
港湾労働者の職域といいますか、俗に言う五十マイルルールが適用されている。これについては、裁判に係争中とかあるいは決着がついたとかいろいろな
考え方がございますけれ
ども、アメリカの東岸ではそういう五十マイルルールがあるという点でございますひ
それから、もう
一つの問題の
料金の
認可制はどうなっているのかという点でございますが、アメリカにつきましては、
料金規制はございません。
それから、次にイギリスでございますけれ
ども、イギリスにつきましても、
事業規制はございませんが、ロンドン港におきましては、
港湾労働者を雇用するためには
港湾管理者の免許が必要だという
ような形になってございます。俗に言うポートオーソリティーの許可といいますか、そういう免許が要るということになってございます。それから、イギリスでは、
港湾管理者が逆に直接
港湾運送の
事業主体になっているという例も一部の港で見られております。特にロンドン港におきましては、PLAというものが最大の港運業者でございます。それから、イギリスにおきましても、
日本の
ような
料金規制は一切ございません。
それから、次に西ドイツでございますが、西ドイツもやはりアメリカと似ております点は、
港湾施設を
港湾管理者から借用する際に、一応の資力、信用その他のチェックがなされるという点になってございます。ハンブルク港におきましては、市が一〇〇%出資の港運会社、これは倉庫も兼営してございますが、HHLAという会社がございまして、これが最大手の港運業者でございます。ハンブルク港におきましては、それ以外に若干の弱小業者、大体三百という港運業者が存在すると言われております。
それから、西ドイツにおきましても、
日本の
ようなそういう確たる
料金規制はございませんけれ
ども、ただ、ここは、先ほど言いました
ように、
事業者の数が三百ぐらいあるという
ようなこともある
関係がもわかりませんが、一応
事業者団体が
港湾運送の統一的なタリフを決めている。政府がオーソライズしたものではございませんけれ
ども、
事業者団体で統一的なタリフを決めているという点でございます。
それから、フランスについてでございますが、フランスにつきましても、やはり
港湾施設については
港湾管理者から借り受けるということで、ルアーブルにつきましては、私
企業が大体三十社ぐらいあるのではないかという
ような
状況でございます。それから、フランスにつきましても、
料金規制は一切ございません。フリーでございます。
それから、オランダでございますが、オランダの特にロッテルダム港におきましては、労働監督的な観点から
登録制というものがしかれております。
港湾施設につきましては、いずれも
港湾管理者から借り受けることとなっておりまして、会社数が大体六十ぐらい、そのうちの約千社が大手ではないかという
状況でございます。それから、オランダにつきましても、
料金規制はございません。
そういう
ように、世界各国を見ましても、やはり
港湾の
整備の仕方あるいは歴史的な沿革あるいは
港湾労働者に対する配慮の仕方という
ようなものがそれぞれの国情で違いますものですから、なかなか
日本の
ような、
港湾運送事業法があって、そこでいろいろな
事業規制をしているという
ような、
日本と似た
ような国は世界じゅうないという
状況でございます。