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1984-05-11 第101回国会 衆議院 運輸委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年五月十一日(金曜日)     午前十一時十三分開議 出席委員   委員長代理理事 鹿野 道彦君    理事 久間 章生君 理事 浜野  剛君    理事 三塚  博君 理事 小林 恒人君    理事 吉原 米治君 理事 近江巳記夫君    理事 中村 正雄君       小山 長規君    田中 直紀君       近岡理一郎君    中馬 弘毅君       林  大幹君    増岡 博之君       若林 正俊君    左近 正男君       関山 信之君    田並 胤明君       富塚 三夫君    森田 景一君       梅田  勝君    辻  第一君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 細田 吉藏君  出席政府委員         運輸政務次官  津島 雄二君         運輸省港湾局長 小野寺駿一君  委員外出席者         警察庁刑事局保         安部保安課長  加美山利弘君         大蔵省関税局監         視課長     森  厚治君         農林水産省農蚕         園芸局植物防疫         課長      管原 敏夫君         運輸省港湾局審         議官      阿部 雅昭君         運輸省港湾局港         政課長     一色 昭造君         運輸委員会調査         室長      荻生 敬一君     ――――――――――――― 五月十日  軽車両等運送事業者タクシー営業類似行為規  制に関する請願池田行彦紹介)(第四三七  五号)  同(上村千一郎紹介)(第四三七六号)  同(北口博紹介)(第四三七七号)  同(原田昇左右紹介)(第四三七八号)  同(高橋辰夫紹介)(第四四九〇号)  同外一件(近岡理一郎紹介)(第四四九一号  )同(野田毅紹介)(第四四九二号)  同外一件(山岡謙蔵紹介)(第四四九三号) 同月十一日  軽車両等運送事業者タクシー営業類似行為規  制に関する請願鍵田忠三郎紹介)(第四五  四四号)  同外一件(堀内光雄紹介)(第四五四五号)  同(伊東正義紹介)(第四六一六号)  同(稲村利幸紹介)(第四六一七号)  同(小此木彦三郎紹介)(第四六一八号)  同(田中秀征紹介)(第四六一九号)  同(箕輪登紹介)(第四六二〇号)  同(宮崎茂一紹介)(第四六二一号)  同(武藤嘉文紹介)(第四六二二号)  同(山本幸雄紹介)(第四六二三号)  同(若林正俊紹介)(第四六二四号)  同(伊藤宗一郎紹介)(第四七八二号)  同(今井勇紹介)(第四七八三号)  同外一件(越智伊平紹介)(第四七八四号)  同外二件(小渕正義紹介)(第四七八五号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第四七八六号)  同(藤本孝雄紹介)(第四七八七号)  ハイヤー・タクシー等安全輸送確保に関する  請願吉原米治紹介)(第四六一五号)  脊髄損傷者に対する運輸行政改善に関する請願  (林義郎紹介)(第四六八七号)  同(若林正俊紹介)(第四六八八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  港湾運送事業法の一部を改正する法律案内閣  提出第七〇号)      ――――◇―――――
  2. 鹿野道彦

    鹿野委員長代理 これより会議を開きます。  本日は、委員長が所用のため出席できませんので、指名により私が委員長の職務を行います。  内閣提出港湾運送事業法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。関山信之君。
  3. 関山信之

    関山委員 御案内の方も大勢いらっしゃると思いますが、過日、全国の港湾労働者は四十八時間のストライキをもって立ち上がりました。例年の春闘でありますけれども、ことしの港湾労働者のこのストライキは、今回上程されております港湾運送事業法の一部改正に対して強く抗議するという中身を持ったストライキであったことは御承知のとおりでありますけれども、顧みて、昭和四十二年にコンテナの第一船が配船をされまして以来、港湾事業における技術革新はまさにトラスチックとしか呼びようのない大変なすさまじい展開を遂げてきておるわけであります。このことは、同時に、日本高度経済成長というものを支えた大きな要因である。貿易立国でありますから、まさにこの港湾技術革新が大きく日本経済の下支えをしたということは紛れもない事実だろうと思うのです。  しかし、一方でこのトラスチック革新荷役進展というものが、港湾労働、そこで働く労働者にとってはまさしくいわば厳しい状況展開でございまして、経済大国、今日まさに世界に誇り得る日本経済力を実現した陰で、この港湾労働者の雇用の問題が日々不安を強めていくという過程があったことが、今日この法案改正に当たって港湾労働者がこの港湾運送事業の将来について一層の不安を強めている、まさにそのことのいわば抗議の表現だったと思うのです。  今回の法律が提案されるに当たって政府側お話を伺っておりますと、こうした革新荷役進展に伴って事業法法律の各条文が実態との間にいろいろな乖離を生じている、そのことを埋めるために本改正が提案されているんだ、こういう御説明がされておるわけでありますけれども、このことが将来にわたってまさに事業法根幹を揺るがすよう事態になっては大変なわけでありますし、そこに多くの関係者の不安があるわけであります。  そこで、改めてこの法律改正目的というものについてお伺いしたいと思うのです。     〔鹿野委員長代理退席浜野委員長代理     着席〕  少なくとも、港湾運送事業法というものが、この公益事業である港湾運送事業をまさに公益立場から規制し、公益立場から保護育成をする、そういう性格の法律として私ども理解をしてまいったわけでありますし、また法律の第一条の「目的」においても、「港湾運送に関する秩序を確立し、港湾運送事業の健全な発達を図りこといったようなことが明確に書かれておるわけでありますから、私はそのことについて、既に提案理由の御説明もありましたけれども、改めて大臣の御見解を承りたいと思っておったのですが、いまだにおいでになりません。港湾局長にかわって御答弁をいただくほかないと思いますけれども、御見解を賜りたいと思います。
  4. 小野寺駿一

    小野寺政府委員 ただいまの御質問でございますが、まず第一点が今回の港湾運送事業法改正趣旨という点であろうかと思いますが、この点につきましては、昭和四十一年に港湾運送事業法改正されまして、それ以降実質的な改正が行われずに今日に至っておるわけでございます。ところが、今先生お話ございましたように、その後コンテナ化などの荷役革新が非常に進みまして港の様相は一変しておるということでございまして、各種規制状況実態との間に非常に大きな乖離が生じてきておるということでございますので、この乖離を埋めることが課題になってきているわけでございます。この点、さきの臨時行政調査会答申におきましても指摘されたわけでございます。このため、最近での荷役革新進展対応して効率的な港運体制整備を図るために、現行の規制について不合理あるいは不適正な点がある点の見直しを行うというのが今回の法律改正趣旨でございます。  それで、その際に港湾運送事業法に求められておりますところの根幹的な課題というのが、必要な規制を加えるというところにあるわけでございますが、その規制緩和するということを考えておるかというのが第二の御質問だと思います。  この点につきましては、港湾運送事業につきましては、海陸輸送結節点である港湾での物流機能を担っておるのが港湾運送事業であって、我が国経済社会発展あるいは国民生活の向上にこの港湾運送事業は多大の貢献をしてきておるというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、港湾運送事業法は、このよう港湾運送重要性あるいは公益性、さらには港湾運送事業中小零細企業が非常に多いという点、あるいは季節変動等、不安定な面が非常に多いというふうなことを配慮いたしまして制定されたものであるというふうに考えておりまして、これらの諸事情、特殊性等につきましては、今日におきましても全く変わらない基本的な重要な課題であるというふうに考えておりますので、このよう特殊性対応しての制度というものを将来に向かって維持し、秩序ある効率的な港湾運送サービスを確保するということが、我が国の今後の発展のためにもどうしても重要であるというふうに考えておるわけでございます。こういう意味で、事業免許制あるいは料金認可制といったよう事業規制にかかわる根幹部分につきましては、今度の改正におきまして、全くさわることなく維持してまいる必要があるというふうに考えておるところでございます。
  5. 関山信之

    関山委員 局長から冒頭、極めて明確な御答弁がございまして、私も大変安心をするところなんでありますけれども、決して疑うわけでも何でもございませんけれども、しかし、この法案をめぐる状況というものは、必ずしもおっしゃったよう方向ばかりには動いていないということが幾つかあるわけですよ。  そこで、私は、この際、今局長の御答弁もございましたが、大臣もお見えになりましたし、改めて幾つかの心配事についてお尋ねをしながら、今局長から御答弁がありました法の根幹は守り切るんだということが明らかになればありがたいと思っておるのですけれども。  その一つは、今もお話がございましたように、規制緩和という問題についてなんですけれども臨調の方針についてお話がございましたが、一九八一年七月に運政審答申が出ております。「長期展望に基づく総合的な交通政策基本方向」、これはかなり交通運輸政策全般にわたっての物の考え方というものを指し示した答申だと思うのです。いわば許認可行政中心にして、いろんな制度的な規制をもって今守られている運送事業について、いわゆる競争原理導入というようなものを中心にして新しい秩序をつくり上げていかなければいかぬといったようなことが趣旨になっておるわけであります。  しかも加えて、八二年には、公正取引委員会のこれまた一つ見解が示されておりまして、ここでもまたこの運輸事業について、例えば参入規制といったような問題については、今後事業者の創意を生かせるように、規制簡素化及び緩和を図ることを検討する必要がある、あるいは料金認可制自由化方向検討する必要がある、こういった見解が出されてくるわけです。もちろん、これは港湾運送事業だけではございませんけれども。  そして、さらに加えて、行政管理庁の勧告が一九八二年の十二月に出されてくる。ここでは具体的に規制緩和とか、料金自由化ということの指摘はございませんけれども、しかし、事業規制のあり方についても検討をする必要があるというよう一連の経過がございまして、臨調の第五次答申、こういう一つ流れがございまして、既に局長答弁の中でお話があったわけでありますけれども、こういう流れの中に即してなお港湾事業法のいわば根幹は守っていくんだというふうに理解をさしていただきたいと私は思うのですけれども、この点、重ねて一連流れとのかかわりで、事業法の問題についての御見解を賜りたいと思います。
  6. 細田吉藏

    細田国務大臣 参議院の本会議のため遅くなりまして申しわけありません。  港湾局長が御答弁を申し上げたと存じますが、私から基本的な点について申し上げてみたいと思います。  私どもの方は、許認可が非常に多いということで、これまでも随分といろいろ議論をされ、指摘も受けておるところでございます。しかしながら、港湾運送業にしましても、あるいは各種の旅客、貨物の自動車の運送業にしましても、倉庫業にいたしましても、いろいろな点で私どもの方の仕事は、基本的な部分において参入規制をやっておる、料金規制をやっておる、これが一番基本的なものでございますが、これはなぜこうなったかということを私たちはよく考えなければならぬと思うのです。  それは、古くは第一次大戦ごろから日本資本主義はだんだん大きくなってきた、そういう新しい交通機関が入ってきた、そういうときから非常な混乱状態にあったということなんでございまして、この混乱状態を、戦争中の統制の場合は別としまして、その時期を除きますと、やはり混乱させてはいけないのでございまして、そういった意味で、何か今、規制だけの面を強く見られる方は、その前の状態、混乱した状態というものについては、古いことになりました関係から必ずしもおっしゃいませんので、いろいろ、いわゆる自由化自由化というか、規制緩和ということをおっしゃるような感じがないでもございません。  ですから、私は、基本的な点については、過去のいろいろな苦い経験から見まして、私ども関係業界については基本的な線はやっぱりはっきり守っていってもらわなければいかぬ。しかし、その中でしゃくし定規でやるというわけにはまいりません。それからまた、既存のものを擁護するということが主体となって、それにこだわってもいけない。そういう点で、いろいろ考えていかなければならぬ点は多々あると思います。それから簡単な認可等の問題については、これは大いに簡素化をしなければならぬ、こういうことも間違いございませんが、私は基本的にはそのよう考え方でおりますので、港湾局長答弁とどういうふうに結びついておりますか、私ちょっとおりませんでしたが、根本においてそういう考え方であるということ、そしてその中において非常に窮屈な状態になったり、古いものにとらわれ過ぎたりするようなことがないように、社会の進運といろいろなものの進展に十分対応していけるように対処していく、こういうことだと考えておる次第でございます。
  7. 関山信之

    関山委員 大臣からも重ねてそういう御答弁がございましたが、なおもう一つ二つ心配側面について、この際でありますからお尋ねをしておきたいと思うのです。  これは大臣、十分御承知のところなんでありますけれども昭和二十六年にこの法律制定をされまして、制定当時は業は登録制でございましたし、料金届け出料金だったわけでありますが、その後二十八年、三十四年、四十一年というふうに改正が行われておりまして、その都度、法の適用範囲拡大でありますとか、あるいは適用港湾拡大、三十四年には今日の免許制導入料金認可制運送約款認可制といったよう発展をしてくる、四十一年には免許基準整備下請規制の強化。こういう流れを見ておりますと、まさに港湾運送事業法というものがこの一連法改正流れに沿いながら一貫直営体制の確立ということをもって業界秩序を確立しながら、企業集約化に努めながら企業基盤というものを強化していく、こういう方向法律というものが流れてきておるということが私ども承知できるわけであります。  そこで、関係者一つ心配は、まさに新たな技術革新時代を迎えて港湾の大変な変貌というものがありまして、これは専門の皆さんは詳しいわけでありますけれども、実は昭和四十七年のいわゆる八・一八報告、ここでこれまたかなり大きな港湾運送事業のありようについての皆さん方考え方の提示があったわけであります。これは、御案内のとおり一つには経済合理性の追求、免許規制弾力化物流システム産業育成、それから一種免許一種元請とその他の各業種との間の二重構造の解消、競争原理導入業種の一本化、そして一種元請を特定港湾運送事業として言うなればこういう形で展開をしてきた今日の港湾運送事業の枠組みを少し変えていく、一種元請だけをいわば特別な業態扱いしながら新しい秩序を再編していこうではないか、こういう答申があったものですから、今回の法改正、とりわけ十六条関連でいえばどうもそこらあたりをねらったのではないかという心配が絶えずつきまとってきている。その辺のところについては、八・一八報告とのかかわりで私どもは今回のこの法改正というものをどういうふうに理解をしておけばいいか。この点についてもひとつお聞かせをいただきたいわけであります。
  8. 小野寺駿一

    小野寺政府委員 ただいま先生から昭和四十八年の運輸政策審議会物流部会での答申の件についての御質問でございますが、御質問にございますように四十八年の物流部会におきましては、港湾運送事業の将来の方向につきまして、技術革新埠頭のオペレーションについて免許等規制弾力化を図るということがありますとか、物流システム業者育成を図ることでありますとか、あるいは余剰はしけの整理を図ることでありますとか、あるいは一般港湾運送事業を廃止するというふうなことを内容とする答申があったわけでございます。  これは四十八年の答申であるわけでございますが、この当時は、御承知よう我が国経済が大変なスピードで発展をしておるいわゆる高度成長の真っただ中でございまして、港湾を初め我が国貨物輸送全体が大変な勢いでふえておるというよう状況であったわけでございます。そういう貨物の量が非常にふえていくという状況のもとで、それぞれの輸送分野における荷役革新等進展していくというふうな状況の中で将来どうあるべきかということが検討されて、その結果として今申し上げたよう答申がその段階としては出ておるというのが実態でございます。  さて、ところで、今日現在、高度成長時代が終わりまして貨物の量が非常な勢いでこれからふえるという状態ではなくなってきて、貨物それ自体は多品種のものをきめ細かくサービスしていかなければならないというふうな課題が出てきておるわけでございまして、それらの課題に対しまして効率的にきめ細かく対応するということが求められておるという状況のもとにおきましてどうあるべきか、こう考えましたときには、港湾運送事業法根幹でありますところの参入規制でありますとか料金認可制とかいうふうなことを今の段階で外すのは望ましくないというふうに現段階では考えておるわけでございます。
  9. 関山信之

    関山委員 これは言われておりますように八・一八報告の焼き直したという指摘はもう間違いだ、こういうふうに理解をしてよろしゅうございますか。
  10. 小野寺駿一

    小野寺政府委員 間違いというふうに申し述べるかどうかということは別といたしまして、昭和四十八年時点における経済情勢貨物輸送情勢と、今日現在の情勢とは非常に違う、そして、今日あるべき姿というものを考えるにつきましては、今日を前提とし将来を見ながら考えていかなければならないということであるというふうに考えております。
  11. 関山信之

    関山委員 もう一つあります。これはいずれもそれぞれ申し上げたようなことの背景にある実態流れなわけでありますけれども、これまた私から申し上げるまでもなく、コンテナリゼーションの進展に伴って国際複合一貫輸送体制というものが事実上いろいろな形で進展をしておるわけであります。  関係者のもう一つ心配側面は、今申し上げましたよう一つ一連運輸行政上の考え方流れ、そして八・一八答申があり、また今日実態としての国際複合一貫輸送体制への事実上の移行というものがございまして、何よりもこの事実上のそういう体制への移行が一体どうなっていくのだろうかということが、この法改正とのかかわりの中でやはり心配になってきていると思うのです。  そこで、私どもこの新しいジャンルについて、大変専門的な分野でもございますから余り詳しく承知もしておらぬわけでありますけれども、今この国際複合一貫輸送体制というものについて法律的な制約というものは現実にはないまま、それなりに事実上展開をしているということだと思うのでありますが、運送責任の一元化の問題でありますとかスルーBLの問題でありますとかスルーレートの問題でありますとか、かなり法律的にも対応を急がなければならぬという状況にもなってきているのじゃないかと思うのですけれども、こうした事態について運輸省としてはどのように見ていらっしゃるのか、この際お伺いしておきたいと思うわけです。
  12. 小野寺駿一

    小野寺政府委員 ただいま先生の御質問にありましたように、今日現在国際的な貨物輸送に関しましてコンテナ化が非常に進んでいるということを背景といたしまして、この輸送形態あるいは契約形態というふうな点に関しまして大きく変化をしつつあるわけでございます。それで、利用者の例あるいは利用者ニーズというふうな面におきましても、国際的な貨物輸送を一貫した責任のもとでまた一賛した運賃のもとで、複数の輸送手段を用いてドア・ツー・ドアの総合的なサービスをしてもらいたいというふうな要請が非常に強く出てきているわけでございます。これは国際複合一貫輸送というふうに申すわけでございますが、先生指摘がございましたように、現在の段階ではこういうものを統一的に扱う法規制制度というものはないわけでございます。したがいまして、このことに関連いたします個別の事業法によって対応していくというのが現状であるわけでございます。そして、実態的には今申し上げましたように個々の事業法によって対応し、事業者といたしましては、例えば港湾運送事業者でありますとか、船社でありますとか、陸運会社でありますとか、あるいは倉庫会社などが、そういう国際複合一貫輸送の面に既に進出したりあるいは進出したいというふうに考えておるというふうに私ども伺っておるわけでございます。  こういう現況であるわけでございますが、将来に向かいまして運輸省としてこれをどう対処するのかという課題でございます。これにつきましては、こういうニーズは一層高まるというふうに考えられるわけでございますし、またその重要性も高まってくるというふうに考えるわけでございますので、さらに一層物流ニーズ多様化あるいは高度化というふうな状況対応し、陸海空にまたがる総合的な貨物流通サービス提供というものができる体制整備しなければならないという観点から、運輸省としましてはことしの七月に運輸省組織改正が行われることになっておりまして、貨物流通局というふうな局もできることになっておりまして、そういう新しい体制、新しい組織のもとに、総合的な物流事業育成のための実態調査を行うとか、あるいはそういう一貫輸送体制業界育成の方法を検討するとか、その他行政的に必要な諸対策を調査し、検討し、対応策を講ずるというふうなことをやっていこうという考え方でございまして、なおその際に、御指摘ございました複合運送証券でございますとか、あるいは運送責任の問題でありますとか、あるいは通し運賃の設定の問題でありますとかというふうな重要な課題につきましても、新しい体制のもとでの検討課題になろうかというふうに思うわけでございます。
  13. 関山信之

    関山委員 この問題については、運輸省としては従来特定なプロジェクトを組んで実態調査をする、研究をするあるいは一定の方向づけを検討し始めるというような、過去のこの問題への組織的な取り組みというのでしょうか、そういうものはあるのでしょうか。今局長お話がございましたように、今回の機構改革と合わせて、今後そうしたものを省内に設けて具体的な対応をしていくということになるのか、今日この問題をめぐっての運輸省サイドでの、これは局長にお伺いするのが適当なのかどうかもちょっとわかりませんけれども、どういう状況にあるのか、今後の見通しについてもう少し具体的にお聞かせをいただけるとありがたいと思います。
  14. 小野寺駿一

    小野寺政府委員 ただいま御質問のありました一貫物流体制整備というふうな点につきまして、過去におきまして運輸省では大臣官房の中に物流担当計画官が置かれておりまして、そのもとで必要な調査等が進められてまいりました。したがいまして、従来それなりの勉強は進めてまいったということは言えると思います。しかしながら、新しい組織体制整備に伴いまして、新しい課題が一層前向きに強力に推進されることになるのではないか、あるいはなる予定であるということを今申し上げておるところでございます。
  15. 関山信之

    関山委員 いずれにせよ、これからの問題だというふうに理解をしておいてよろしゅうございますね。  そこで、この問題がいわば今後、これは港湾運送事業にとどまらず全体的な大きな運輸事業における枠組みを変えていく一つのテーマになっていくんだと思うのですが、このことを横目ににらみながら、今回の運輸省機構改革、今お話ございましたけれども、縦割り行政から横割り行政へと、許認可行政からまさに誘導行政へという形で政策官庁への脱皮を図るということで、それ自体大変結構なことなんでありますけれども、ここでも一連規制業務について、またこの誘導行政という形で対応が少しずつ変わっていくんじゃないだろうかという心配が――国際複合一貫輸送体制と直接かかわるわけじゃございませんけれども、一方で機構の変更の中にそういう心配を読み取っている向きもあるわけですし、またもう一つ国際複合一貫輸送体制そのものとかかわって言えば、現在港湾運送事業につきましては、いわゆる認可運賃制度というものがあるわけでございまして、これがいずれの日か、こういうものに組み込まれてどういう形になっていくのだろうか。一体港運事業というものがこの国際複合一貫輸送体制の中でどういう位置づけを持っていくのであろうかということが三つ目の心配側面として指摘をされておるわけです。  しかし、局長お話ようにこれは今後の検討課題ということであれば、なかなか今日、今、明確な御答弁はいただけないかもしれませんが、しかしそこは私見で結構でございますが、将来に向けてこういういわば一連の中で港湾運送事業というものの置かれていく位置というものはどういうものになっていくのか、この際お聞かせいただければありがたいと思うのです。  それから、あわせてお尋ねをしておきたいと思うのですけれども、先般、日米海運協議というのがございましたようですが、そこでもアメリカの側から日本におけるこの種運輸行政について、非常に参入が難しい、厳しい、貿易摩擦じゃありませんけれども、その辺はもっと自由化すべきだというような要求が出ておったようでございますが、新聞でちょっと拝見をいたしたわけでございますけれども、これは運輸省の方でいわばはねつけている、そういう結果に終わっておるようでありますから、この時点では今直ちにそのことをもって心配の種とすることもないのかもしれませんけれども、いずれにせよ、そういう国際複合一貫輸送体制の進捗に伴ってそういう圧力が強まってくるんじゃないだろうか。そうなったときのことをこれまた心配をしながら、今この法案を見詰めているという側面もありまして、なお重ねてこの問題についての御見解を賜ればありがたいと思います。
  16. 小野寺駿一

    小野寺政府委員 国際複合一貫輸送というものが一層発展し、拡充していくという過程で、港湾運送事業法の位置づけあるいは港湾運送事業法の中での根幹となっておる参入規制料金認可制という事柄の位置づけが変わるかどうかというところが御質問のポイントだろうと思います。  おっしゃるように、国際複合一貫輸送というのはこれから大いに発展するあるいは重要性を一層増してくるというふうに考えておるわけであります。そういう中で、それがどのよう発展いたしましても、国際複合一貫輸送全体を構成しておりますところの中の非常に重要な要素であるところの港湾運送事業というものの重要性は一向に変わらないというふうに考えておりますし、一貫輸送全体の中での今申し上げました港湾運送事業の抱えておる課題、先ほど来申し上げておりますような、ともすればその仕事の波動がかなりある、あるいは不安定である、あるいは企業の形が中小企業あるいは零細企業であるというような特性がある、そのような特性、特殊性というものからくる課題というものにつきましてはそう一朝一夕に変わってくるということではないのではないかというふうに考えておるわけでございます。そういう観点から、国際複合一貫輸送が非常に発展していく過程におきましても、港湾運送事業法のいわば根幹となっておる事柄につきまして、これを変えるということにはならないのではないかというふうに考えておるわけでございます。  それから、もう一つ国際複合一貫輸送発展していく過程におきまして、港湾運送事業者の中から国際複合一貫輸送を担っていく各社というものも出てくることも想像されるというふうに考えておるわけでございます。その場合におきましても、そのよう港湾運送事業者国際複合一貫輸送をする場合におきましても、その中での港湾運送事業を遂行していくについての秩序というものはやはり港湾運送事業法に基づいて行われなければならないということについては、これまた一向に変わらないのではないかというふうに考える次第でございます。  それから、次の御質問でございますが、日米海運協議の中での自由化に関する要請というものがあった、それに関連する港湾運送事業自由化に関する考え方はどうか、こういう御質問だろうと思いますけれども、日米海運協議に関連いたしまして港湾運送事業自由化に関する要請というものは、私どもは、現段階においては伺っていないわけでございます。
  17. 関山信之

    関山委員 くどいほど一連心配事についてお尋ねをし、念を押させていただいたわけでありますが、大臣局長ともども、この事業法のいわば従来歴史的に持っている枠組みや根幹は守る、こういうお答えをいただいておりますので、先へ進ませていただきたいと思います。  次に、具体的な法改正の問題点について、少し細かくなるかもしれませんがお尋ねをしておきたいと思うのですけれども、まず第三条関係についてですけれども、この法律改正業界に対してどういう影響を及ぼすだろうか、一般的に、概括的にお伺いをしておきたいと思うわけであります。
  18. 小野寺駿一

    小野寺政府委員 今回の港湾運送事業法の第三条の改正につきましては、船内荷役事業と沿岸荷役事業を統合いたしまして港湾荷役事業というふうな新しい事業に統合しようということでございます。  これの基本的な考え方といたしましては、従来、御承知ように、特に主要な港湾におきまして、外国貿易の貨物港湾において荷役するという場合には、陸岸における沿岸荷役と、船舶からの貨物の積みおろしにかかわる船内荷役が存在し、その間にはしけ荷役が存在するというのが大部分状況であったわけでございます。ところが、最近の情勢からしますと、はしけ荷役を挟むことなく、沿岸荷役と船内荷役とが連続して、あるいは一体的に遂行されるというふうな場面がもう圧倒的に多くなってきたということに関連いたしまして、船内荷役と沿岸荷役を統合しようということで三条の改正を提案申し上げているわけでございます。  その場合に、法律ができました途端に著しく大きな変化が生じてくるということでは困るわけでございますので、経過措置を置きまして、今回の場合には、本法の施行後六カ月以内に一定の事項を届け出ることによりまして、従来の事業の範囲に限定されました港湾荷役事業の免許を受けたものとみなすということにいたしまして、既得権の保護の点を全うするという考え方でございます。
  19. 関山信之

    関山委員 私もちょっとよくわからないのですけれども、一方で船内、沿岸の区分けがつけにくくなっている、そこはわかるのですよ。ですから、これは一つにまとめてかかる。  ただ、私が思うに、いわば港湾運送事業法は、全体として需給関係のバランスというものを絶えず押さえながら全体の仕事の配分をやっておるわけでありますから、今どんどん貨物がふえていくという状態なら新しい事態展開というのもあるのでありましょうけれども、そうでない限りは大体入れ物は決まっておる。その中でどう業法のいわば建前を整理をするかということなんだと思うのですけれども、一方で、限定として経過措置の中で、船内、沿岸それぞれ単独で免許を持っている人たちはそのまま残すというわけです。そうしますと、今ここで二つ一緒にしなければならない理由というのは一体何なんだろうかという感じがするわけです。これはまさに素人の感じでありますから……。将来に向かって新しい事態展開をしていくということに向けて今そうするんだということになれば、これまたわからぬわけではありませんが、現実の当面の問題としては、従来もそうしてきたのだし、これからも当分そういう事態が続くとすれば、何でそういう法律の整理をしなければならぬのかという感じがいたします。  そこで、そのこととあわせてお伺いをしたいのですけれども、第二種と第四種を共有していらっしゃる業者の方がかなりな救いらっしゃるわけであります。こういう業種皆さんには、とりあえず限定でそれぞれ免許は確保していけという指導を皆さん方はされているようでありますけれども、ある一定の期間内にはこれはスムーズに新しい港湾運送荷役事業というものに移行していく、転換をしていくというふうに理解をしておいていいのでしょうか。そこのところ二点について、これは局長でなくて結構ですから。
  20. 阿部雅昭

    ○阿部説明員 お答えいたします。  第一点の、船内と沿岸を余り申請も多くない時点で統合する意味があるのかという御質問でございますが、確かに、申請その他が港湾運送に関しまして非常に多いとか事業者がどんどんふえているという状況ではございません。しかし、最近の情勢によりますと、一貫して荷役を行う体制が主流となっている、こういう時点におきましては、法の建前といたしましては、やはりそのよう事業を一本としてとらえる方がより合理的である、また、将来的にはそういう事業者が育っていくことが必要であるという考え方に立ちまして統合するわけでございます。  ただ、既存事業者に関しまして一挙に、統合したことによってその部分事業として行えるとかいうようなことにいたしますと、非常に混乱が起こる可能性もございますし、あるいは、既に免許を受けている既得権の保護という観点も十分私どもは配慮しなければならないということから経過措置を設けたということでございます。  それともう一点、今後両方を持っている人はどうなるかという御指摘でございますが、この方々につきましても一定期間、これは六カ月以内ということを予定しておりますが、一定の届け出事項、届け出事項は省令で定めますけれども、簡単な、現在どのよう事業をやっているのか、どのよう免許基準に適合した形での事業運営がなされているかという届け出をしていただければ、現在の船内あるいは沿岸の限定を受けたという形での事業継続をそのまま認めまして、その方々が新規の限定のない港湾運送事業港湾荷役事業というものに進まれる場合には免許申請の手続を踏んでいただく。この辺は先生の御指摘がありますように、沿岸あるいは船内だけを持っている方とのバランス上そのような経過措置を設けましたので、そういう方々との間に余り極端な差を設けることは必ずしも適当でない、新規の港湾荷役事業の免許を取るにはやはり免許申請をとっていただくということを定めましたので、若干その辺の法制上のバランス論といいますか、そういう観点からそのような規定になった次第でございます。そういう方々は、将来的に申請をされれば、両方持っている方々はほぼ港湾荷役事業の免許に移行できる実態ではないかというふうに考えております。
  21. 関山信之

    関山委員 ちょっと変な聞き方をして悪いのですけれども、「ほぼ」という意味はどういう意味ですか。
  22. 阿部雅昭

    ○阿部説明員 船内と沿岸を一貫して行うということにつきましては、現在船内の免許を持っている、沿岸の免許を持っているということだけではなしに、やはりそれを一貫して行い得る体制があるかどうかということは免許に当たってチェックする必要があろうと思います。現実にはそういう方々はそういう連続した作業をやっておられるということがほとんどであろうという想定がございまして、その点おおむねというような言葉を使いましたが、実際には、一本化することによって一貫した荷役ができるかどうかということは、免許の際にチェックしたいという観点からそのように申し上げた次第でございます。
  23. 関山信之

    関山委員 そこで、今二つ持っている人とそれぞれ片方ずつ持っている人との間にアンバランスがあっては困るということで、法制的に配慮をした。しかし、法制的に配慮をしていただくこともさることながら、実態的に配慮がございませんとこれは大変なんじゃないかという気がするのですね。  心配事一つは、つまり新しい港湾荷役事業、これの免許基準はどうなりますか。そして認可料金などはどのようになるのか、この辺を承りたいと思うのです。昨年の暮れに免許基準改正が行われて、かなり労働者数などは切り下げられるというか切り上げられるというのでしょうか、少なくなっているわけですけれども、例えば京浜地区において船内は五十、沿岸は三十五、足して八十五という数字があるわけですから、港湾荷役事業の方は足して八十五が八十に下がる、七十に下がる、下がった方は相変わらず個別の治岸業者あるいは船内荷役業者といろいろな面で競争関係に立つわけですから、そのことによって生じるいわば不公平、アンバランスということの方が実は私は心配なんですけれども、その辺は今日の時点でどのよう対応されることになっておるのか、お聞かせをいただきたいと思うわけです。
  24. 阿部雅昭

    ○阿部説明員 免許基準の点でございますが、昨年の九月に免許基準の改定をいたしました。これは行管勧告あるいは臨調答申にもございましたが、免許基準自身が長く放置されていておかしいのではないかという指摘がございまして、私ども港の状況あるいは港ごとの貨物の種類あるいはその港ごとの荷役の機械化の状況等を加味いたしまして、どのよう状況であるかということを前提に免許基準の見直しを行ったわけでございます。  したがいまして、根本的な見直しがその段階で済んでおりますので、例えば船内、沿岸の免許基準と、新たにできます港湾荷役事業免許基準との関係がどうなるかということにつきましては、私ども、原則としてはその両者を足し合わせた数、今先生おっしゃいましたが、五十と三十五を足したものが八十五でございますが、これをベースにこれに近い線で決めること、また、そういう方向で今後省令あるいは通達を定めるという方向での検討を進めたいというふうに考えております。
  25. 関山信之

    関山委員 やはり原則とかベースとかくっつきますと気になるわけでして、これは下がることはない、下がるという意味は、三十五足す五十が八十になったり七十五になったりすることはない、こういうふうに言い切れますか。
  26. 阿部雅昭

    ○阿部説明員 これを具体的にどのように定めますかは、今後の私ども検討課題でございますので、そのとおりに決めるということはここでお答えしにくいわけでございますが、やはり両部門それぞれ異なった形態での作業にはなっておりますし、ただ、一貫して行われることが、例えば共通的な部門がどの程度出てくるかといったようなことを、もう少し現場に即応して検討したいというふうに考えております。  したがいまして、大幅に減るとかいうようなことは私ども頭にございませんが、例えば実態的にその辺足したものと、共通部門としてどの程度のものが合理化されるか。現在、例で申しますと、両方が一貫して行われる場合の運賃の立て方といたしましては、一貫運賃の場合は五%引きといった制度もございます。こういうようなことも一つ頭に入れながら、両方の基準と新しい港湾荷役事業免許基準といったものは今後実態に即してさらに検討する必要があるというふうに考えております。
  27. 関山信之

    関山委員 今後の課題ということであれば、その辺のところは申し上げている趣旨は十分御理解いただけると思いますので、ぜひともそういう側面を慎重に対処をしていただきたいと思うのです。現実的に船内、沿岸業者との間に、個別免許の業者との間に競争力の差を生じせしめるということになれば、やはり業者間の競争を激化させることになりますし、これまた、言うたとおりじゃないか、何のことはない、やはり自然淘汰をねらっての一つ法律改正じゃないかということになってしまうのじゃないでしょうかね。  その辺のところが問題だと思いますので、慎重に御対応いただきたいと思うのですが、特に沿岸だけの免許を持つ業者がかなりな数になっているわけですね。私もちょっと関係者に伺いましたところ、この業界というのはとりわけ中小の業者が多いというふうに伺っておるわけでありまして、いかだもだんだん少なくなっている。ましてやはしけがなくなっていくわ、沿岸の方も、中小の方はそうやっておけば自然にそのうちなくなっていくのじゃないかというあたりがやはりこの法改正の裏側にあるのじゃないかというふうに実はつい勘ぐりたくもなるのですけれども、この辺の特に沿岸だけの免許を持つ業者に対する対策、対策というよりはまずは一体どうなっていくのかということについての見通し、そして私どもとしてはやはりその辺はかなり問題が発生をしてくるのじゃないだろうかということを懸念いたしますだけに、あらかじめ行政の側がこの辺のところは雇用不安などについて十分対応できる行政措置というものを準備しておいていただかなければいかぬのじゃないか、こう思うものでありますから、この点についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  28. 阿部雅昭

    ○阿部説明員 お答えいたします。  沿岸につきましては、確かに先生指摘ように小さい事業者が多い。これは必ずしも六大港といった大きい港だけではなしに、大きい港の川筋あるいはそれよりも瀬戸内海の小さい港、そこにおきます内航船を主体とした荷役を扱っている事業者が多いわけでございます。  それで、現在の沿岸の定義でございますが、五百トン未満の船舶が陸上で陸上の機械を使って荷役する行為、これは船内というよりは沿岸という形での行為としてとらえ、沿岸荷役事業の免許を持っているという方々でございます。また、今後もそのよう輸送需要というものは非常に安定的にあるのではないかというふうに考えておりますので、船内、沿岸が統合されるということによりましても、その方々は、沿岸の限定にはなりますけれども、やはりそれなりの現在やっておりますような仕事は継続し、またそれなりの機能を果たしていっていただけるのではないか。したがいまして、統合すること自身が、すぐ例えば強力な船内業者によって駆逐されるとか非常に窮地に陥るというようなことはない。港ごとにはいろいろ異なる点があろうかとは思いますけれども、一般的にはそのよう事態がすぐ問題となるということではないというふうに考えております。
  29. 関山信之

    関山委員 私も実態を詳しく承知いたしておりませんから、そういう中小の沿岸業者にもそういう職域が、ジャンルが確保されるということであれば心配はないわけでありますけれども、この間法改正に伴ってそういう事態が起こり得ることも予想しながら行政の側としては対応をしていただくことを、この機会にお願いをしておきたいと思います。  なお、これまた少し細かい話ですけれども、こういう機会でございますのでお尋ねをしておきたいのですが、まとめて伺います。  沿岸、船内混然一体となってしまっているというようなこともあるのですけれども、現場からのいわば指摘によれば、工場専用埠頭なんかでまさに船内、沿岸との区別が不明確になっていて、工場内の諸作業と混然サービスを求められているというようなことがあるわけなんですけれども、それはある意味で言えば、そういう事業区分というものを行政指導のサイドから明確にしていくということがありませんと、その辺が実態的に崩れていくのじゃないか。あるいは五百総トン未満の船舶についての積みおろし、これは沿岸の分野で担当するわけでありますけれども、そこでもだんだん船舶の大型化に伴って、五百トン未満というリミットが六百トンになったり、七百トンになったりという実態もあるやに承っているのですけれどもそこらあたり実情を踏まえて、これは今港湾荷役事業という形に整理をされるわけでありますけれども、しかし現実には限定として残されているわけでありますし、現状の中で残っている問題もなお継続をしていくわけでありますから、この辺のことの整理についてのお考えを、だんだん問題細かくなってきますから、なんなら一色さんでも結構でございますけれども、お伺いをしたいと思います。  なお、あわせてこれは私不勉強で、この機会にお尋ねをしておきたいのですが、この港湾運送事業法適用港湾というものは限られておるわけでありますから、いわゆる適用港湾以外の港湾荷役事業というものについて、この法律というものがどういう役割を果たしているのか、このことについてもあわせてお聞かせをいただいておきたいと存じます。
  30. 一色昭造

    ○一色説明員 それではお答えいたします。  ただいまの御質問は二点だろうと思いますが、まず、初めの方の港湾荷役事業をつくるのならば、今回の港湾運送事業法に基づきます定義といいますか、業の定義、エリアというものを変えたらどうかという御質問だろうと思います。  現在の港湾運送事業法の定義は、昭和二十六年法律制定されました折からほぼ変わってございません。それで新しい荷役形態、例えば大型の革新荷役でございますとか、コンテナでございますとか、そういうものが出た折に、定義も見直したらどうかという御意見もございまして、私ども検討もいたしましたけれども、やはり昭和二十六年から今日まで港湾運送のエリアといいますか、範疇というものはこういうものだということが、今日まで相当程度定着しております。そういう定着を見まして、あるいは港湾運送と他の陸上運送といいますか、トラック業とのエリアの問題、業域といいますか、そういう問題につきましても、やはりこの際は変えない方がいいのではないかというようなことを総合的に勘案いたしまして、今回港湾荷役事業をつくるということにいたしましたけれども、その折に港湾運送の定義のエリアというものは原則的に変えないという措置でまいっております。それが一点目でございます。  それから二点目の、港湾運送事業法適用港湾は限られているではないかということでございます。御指摘のとおり、現在の港湾運送事業法は、我が国に約千近く港がございますが、その中の主として大きな港、外国貿易に携わっている港というようなところを中心にいたしまして、現在のところ指定港湾ということで九十七の港を指定してございます。その九十七の港で漏れたところ、例えば木材だけを扱う港があるではないかというようなことに対して、港湾運送事業法はどう適用していくのかということでございますが、我々としては、その漏れている港で相当程度の貨物の扱い量が出てまいりますれば、その港を適宜適切に湾湾運送事業法の指定港にしていきたいというふうに考えてございます。
  31. 関山信之

    関山委員 それでは、次に十六条関係について少しお伺いをいたしたいと思いますけれども、これも最初に、一般的にどういう影響、変化が出てくるのか、あらかじめひとつお尋ねをしたいと思います。
  32. 小野寺駿一

    小野寺政府委員 十六条関係の改定の要旨でございますが、従来港湾運送事業法の中の第一種事業者につきましては、船内荷役、はしけ荷役あるいは沿岸荷役等のいずれか一つにつきまして、ある一定量以上を直営するということを前提として、それ以外の仕事につきましては、関連下請会社に下請させることができるという定めになっておりまして、下請をさせるにつきましての秩序をそこに求めておるわけでございます。  今回の改正におきましては、そのような従来直営をある一定量を行うという点につきましては、これを基盤と申し述べておるわけでございますけれども、その基盤といたしまして、新しくコンテナ埠頭などの革新荷役の埠頭におきまして、相当量の貨物港湾運送をみずから統括管理する行為を行うということであって、しかもその扱い量を、一定量以上の扱い量を扱うという場合には、これを新しい基盤というふうに設定いたしまして、それ以外の仕事に関しましては、関連下請に下請させることができるというふうなことにいたそうということでございます。  このことについての効果ということでございますが、最近におきましては、従来の意味での基盤といたしまして、はしけ運送を基盤といたしておる会社がかなりたくさんあるわけでございますが、現実には先ほど申し上げましたように、はしけ荷役、はしけ輸送、はしけ運送というものが非常に減ってきておる。しかしながら、基盤であるがゆえに、はしけも維持しなければならないという面での実態との乖離が非常に激しくなってきておるということが一つ。その乖離を埋めるということと、最近ではコンテナ荷役等の機械荷役というものが非常に大きな意味を持ち、内容を持ってきておるということでございますので、それを新しく基盤として評価することによって、将来に向かっての港湾運送事業の近代化というふうなものに資するということにいたしたいというのが趣旨でございます。
  33. 関山信之

    関山委員 影響等については余り御説明もなかったわけですが、今後この後逐次お伺いすることにしたいと思いますけれども港湾運送を統括管理する行為、これはどういう中身でありますか。
  34. 阿部雅昭

    ○阿部説明員 お答えいたします。  統括管理する行為と申しますのは、例えばコンテナ埠頭等の近代的な施設におきまして、一連港湾運送作業といったものを総合的に管理しているといったような行為を指すわけでございますが、その具体的な内容につきましては、コンテナ荷役の場合、あるいは自動車専用船の荷役の場合、あるいはサイロの荷役の場合等、若干そのやり方等が違うよう形態がとられるといったような実情にございます。  したがいまして、統括管理という言葉これ自身、かなり抽象的な言葉という御印象を持たれておるかと思いますが、私ども運輸省令で定めるところにより」というふうに書きまして、個別の荷役形態に応じました、できるだけ具体的な表現を省令で定めることが適切である。法律でそこまで細かくはなかなか書き切れないということで、省令で具体的には書かしていただくことにしたわけでございます。  統括管理、あわせて共通的な要素というようなことを申し上げますならば、荷役についての企画を行い、あるいはその荷役行為についての具体的な指示を行い、あるいは必要な調整を行うといったような行為が中核となるというふうに考えております。
  35. 関山信之

    関山委員 まことに抽象的でわかりにくいわけなんですね。これは皆さん方が日港協で御説明になった説明内容を拝見をさせていただいて、何となくわかったようなわからないようなという感じなんですが、ここでは施設基盤を持つ、そこで一定量の貨物を扱う、それから統括管理をする行為、この三つが合わさって今回の統括管理の実態として存在をするのだといったようなことが書かれているのですが、もう少しわかりやすいイメージで話をしていただけませんか。
  36. 阿部雅昭

    ○阿部説明員 統括管理について、例えばコンテナ埠頭を例にとりましてもう少し具体的なイメージで申し上げたいと思います。  コンテナ埠頭、運輸委員会でも来週御視察いただけるということでございますので私どもそこでも説明させていただきたいというふうに思いますが、どのような行為がそこで行われているかということを申し上げますと、まず港湾運送事業者コンテナの積みつけの計画を定めまして、ゲートから入ってくる荷物、コンテナでございますが、コンテナにつきまして、その目的別あるいは内容等個別にチェックいたしまして、まずヤード内のコンテナにきちっとした配列の計画を決めるということをやります。それから、そこに並んだ荷役につきまして、入ってくる船ごとにどのような順番でどのような積み方をするか、安全面にも配慮をした積み方についての積みつけの計画をつくります。また、その作業のやり方についての具体的な手配、手順等を作成して具体的な作業行為者にあるいはその責任者に示すということをいたしております。また、そのような作業がきちっと行われているかどうかにつきましては、コントロールセンターが全コンテナヤードを見渡せるところにありまして、そこからモニターを使いながらコンテナの積みつけについての具体的な作業を指示、監督するというよう体制がとられております。また、荷役が終了いたしますと、その積みつけ状況の点検等を行うといった一連の行為、このようなものを私どもコンテナ輸送に関する統括管理という形で見ております。
  37. 関山信之

    関山委員 そこで、これは港湾運送事業法に新しい港湾運送事業のジャンルが加わった。従来は沿岸、船内という概念の中でおやりになってきているのかもしれませんけれども、しかし、そういうものとして整理がつくなら、何も法律改正をしなくていいわけでありまして、この法律というのは第二条でこれこれこういうものが港湾運送事業ですよというふうに書いて、第三条に行って初めて前条のこれとこれは一般港湾運送事業ですよ、これとこれは沿岸ですよ、これとこれははしけですよという法律の立て方になっているわけです。そういたしますと、いわば新しく基盤としてこれを取り上げる以上は、当然この港湾運送事業法の第二条に施設基盤についての定義がきちっと書かれておかれなければならないんじゃないだろうかというふうに思うのですね。法律技術上のことですから私もそこで議論をしようとは思いませんけれども、まあまあ常識的にそう思うのです。この点についてはどういうことだったのでしょうか、お聞かせをいただきたいと思います。
  38. 阿部雅昭

    ○阿部説明員 御説明申し上げます。  先生指摘港湾運送事業法の第二条では、「定義」におきまして「「港湾運送」とはこということで一号から八号までの行為を港湾運送という形で定義いたしております。この港湾運送の定義の中で、ただいま申しました一種事業者が行う統括管理行為というものはどれに当たるかといったような御質問でもあろうかと思いますが、この一号で書いてありますのがいわゆる一般港湾運送行為でございまして、一般港湾運送事業者が自分の事業として行う行為でございますが、この行為というのは「荷主又は船舶運航事業者の委託を受け、船舶により運送された貨物港湾における船舶からの受取若しくは荷主への引渡」といった行為及びこれらと関連する次号から五号に掲げる行為を一貫して行う行為というような定義になっておりますが、私ども現在書きました統括管理行為と申しますのは、この一般港湾運送事業者が行う一般港湾運送行為、この中の最近における一つの典型的な行為、従来は例えばこのようなコンピューターを使って管理するとかいうような行為は行われずに、具体的な行為としましては、沿岸、船内、はしけといったような個々の作業自身をとらえてそれをつなぎ合わしていくといった行為、それ以上の管理的な行為は余りなかったわけですが、最近の港がこのよう荷役方式が発展したということにおきまして、非常に高度化された管理のもとに置かれるようになっている。それは一般港湾運送事業者が行う一般港湾運送行為の中核的な行為になっているということで、統括管理行為自身は一号の中に含まれて読めるものというふうに私ども考えまして、十六条ではその具体的な下請行為についての作業のやり方等に関する規定でございますので、この一般港湾運送事業者が行う行為の最近におきます中核的部分を抜き出して、そのような行為を行っている者については、その他の具体的な実作業は関連下請に任せることができるというような定め方をしたわけでございます。
  39. 関山信之

    関山委員 逆に裏側から聞きますけれども、そうしますと、新しい施設基盤というものについての免許基準、これは逆にそこが出てこないと、免許基準という考え方が出てくるのかこないのかということが問題になると思うのです。しかし、現実的にはこれを直営することによってあとは下請していいということになるわけですから、そこでの免許基準がおのずとはっきりされてこなければ、ならないと思うのです。この辺はどうなりますか。
  40. 一色昭造

    ○一色説明員 十六条のいわゆるターミナル基盤といいますか施設基盤というものを定めるのならば、それを免許基準に書き込むべきじゃないかという御質問だろうと思います。 十六条の、私どもが今回統括管理行為をお願いしておりますのは、一般港湾運送事業者の引き受けた貨物の仕事の処理の仕方と申しますか、仕事のやり方を規制した条項でございます。先生質問よう免許基準にそれを書き込みますと、その免許基準といいますものは、港運事業者といいますか港運事業者になろうとする場合、あるいは港運事業者の免許を受けた方すべてにかかる基準でございます。そういうことからいきますと、今回のターミナル基盤といいますか統括基盤を適用しない方にもその基準がかかる可能性があるというようなことで、私どもとしては、十六条はあくまでも一般港湾運送事業者が受けた貨物の仕事のやり方を規制した条項でございますから、それは免許基準に盛り込むのが適当でなくて、むしろ十六条としてそういう施設をどう担保していくかという担保のやり方は十六条で別個に担保すべきではないかというふうに考えております。  具体的に申しますと、統括管理基盤をやりたいという方に対しましては、事業計画の中で盛り込むということで個々に海運局が事業計画の変更認可という法律行為をもちまして具体的にチェックしていくという考えでございます。  それから、それではどういう施設、例えばコンテナターミナルとか具体的な施設がそういう基準を充足する可能性があるのかという点につきましては、運輸省令で定めることとしております。
  41. 関山信之

    関山委員 今おっしゃった意味が素人でちょっとわかりにくいのですけれども、施設基盤についての免許基準を設けると一般的な港湾運送事業者全体にかかわっていくという意味はどういう意味なんでしょうか。現実には、施設基盤についても、皆さん方の方は取扱貨物量についてのこれこれだけはやりなさいよということを、いずれ政令できちっとしなければならぬというふうにお考えになっているわけでしょう。その辺の中身もお聞かせいただきたいと思うのです。
  42. 一色昭造

    ○一色説明員 免許基準に書き込みますと、その十六条で今まで、きょう現在と同じようにはしけ基盤の方あるいは船内基盤の方、沿岸基盤の方、要するにターミナル基盤によらない方、これらについてもかかる可能性が出てまいります。そういうことでは過分な負担になりますので、我々としてはターミナル基盤に移行する方だけに対してかければいいんじゃないかということで、十六条だけで担保すべきではないかと考えております。
  43. 関山信之

    関山委員 技術論になりますから私もこれ以上押しませんが、ざっと見て、政令の中で特定して、施設基盤について免許基準をはっきり書くということが別に問題にもならないでしょうし、いずれにしても書かなければならぬでしょうし、逆にそういうものとして存在をしなければ、これまた言うなれば施設基盤を持っていれば現実に仕事をしなくても、全部下請に出して、皆さんが、関係者の人たちが心配をしているようなフォワーダー的なものに変質をしていくという心配がこの側面から出てくるのじゃないかという気もするのですね。この辺で余り押したり引いたりしていると時間がなくなってしまうものですから、あれですが……  いずれにせよ、そういう点では、きちっとした施設基盤についても一定の事業量を確保させてということになるわけですね。それは、一般港運業者にかかっている免許基準、四十五万トンですか、そういうものの中で決まりをつけていくということなんでしょうか。
  44. 阿部雅昭

    ○阿部説明員 お答えいたします。  先ほどの免許基準の点についてもう一度触れさせていただきたいと思いますが、免許基準と全く関係ないということではございませんで、免許基準は第六条で書いてあるわけでございます。この三号で「当該事業の遂行上適切な計画を有するものであること。」というまさに免許基準があるわけでございますが、この計画の中でそれぞれ一般港湾運送事業者については何を基盤として事業をやるのかということを書かせますので、このような、従来のようなはしけ基盤の方ならばしけをどのような形で保有し、どのよう労働者を抱えておるかということをチェックするわけでございますし、新しい施設基盤で免許を申請したいという人は、その計画の中に、このような施設を持って、このような統括管理を行うということを書かせるわけでございます。したがいまして、そういう意味では、抽象的には免許基準の中の計画としてチェックするということでございますので、ちょっとその点、先ほどの点を補足させていただくわけでございます。  それで、今御指摘貨物量につきましては、当然免許基準等、京浜港の場合は四十五万トンという基準がありますので、どのような基盤を持ちましょうとも、そのような基準に該当しなければ免許が得られないということでございます。  また、先生から先ほど御指摘がございましたが、このような統括管理をやればその他は全部下請に出すということになるのではないかということでございますが、むしろ統括管理という行為、これは現場を見ていただけばわかるわけでございますが、労働者もコンピューターの作業、いろいろプログラマーとかその作業をやる方たくさんおります。むしろ、一種業者が従来はしけといったものを中心としてその関係の人を抱えていたよりも多くの数の方を抱えてそういう統括管理行為をやっているのが実情でございまして、昔から全部下請ということで、自分がほとんど人間を使わないで丸ごと下請に出してピンはねをしているということではいけないということで、十六条の下請制限の規定が設けられたわけでございます。  そういう観点からいきますと、現在のはしけを基盤とするよりも、むしろ施設基盤にする方がたくさんの機械、施設とともに労働者も抱え、そのような仕事をきちっと責任を持ってやっている、対外的にも荷主に対しても船社に関してもきちっとした責任体制をもってそういう仕事に取り組んでいるというのが実情でございまして、丸ごと下請に出すとかいったよう体制ではないということをお答えしたいと思います。
  45. 関山信之

    関山委員 そうお答えをいただけばいいのですけれども、その裏側の政令で書かれる分がはっきりしませんと、いわゆる統括管理行為だけで、私どもは少なくとも今日の段階では港湾労働のオーガナイザーとしての役割を外してしまったら大変なことになるということがあるものでありますから、くどく伺っておるわけであります。  今の御説明で言えば、そういう機能を免除することにはならないというふうに理解していいわけですね。  あわせて、この際伺っておきたいと思いますけれども、関連下請について、これもいろいろと細かな規定があるのですけれども、これは通達で港政第二百十二号というのだそうですけれども、関連下請に関して細かな規定があります。長期契約、専属契約、これに類する契約といったような分類で、それなりに中身をきちっと規定していらっしゃるようですけれども、この辺のところは今度の法律改正に伴ってきちっと守っていくんだという点はいかがでしょうか。これは簡単にお答えください。
  46. 一色昭造

    ○一色説明員 関連下請契約の規定が先生おっしゃいますように通達で出でございます。それで、今回のターミナル基盤を創設いたしましても、私どもはこの規定を変えるつもりはございません。それで、関連下請契約を結ぶ場合には、ターミナル基盤の方々に対しましてもこの規定を適用していきたいというふうに考えてございます。具体的には、事業計画の変更で海運局が個々具体的にチェックしてまいりたいというふうに考えてございます。
  47. 関山信之

    関山委員 そこで、なお二、三伺っておきたいと思いますが、従前の基盤から新基盤へ移行する業者というのはどの程度あるのか。  それから、これはおわかりにならなければ仕方がありませんけれども、新規参入というものについては、新しい基盤の変更によってどういうことが見通せるのか。そこらあたり、もし皆さん方の方で材料をお持ちでしたら、この機会にお聞かせをいただきたいと思います。  なお、あわせて、ここでは、第三条関係については沿岸の中小の業者のことが問題だと申し上げたわけですけれども、はしけ基盤の切り捨てがどうなっていくのかというのがやはり一番気になるところでありましょうし、これに対する対応策もあわせお伺いをして、この関係については終わりたいと思うのです。
  48. 阿部雅昭

    ○阿部説明員 お答えいたします。  新しい基盤にどの程度の事業者移行するであろうかということにつきまして、私ども、主として五大港で一般港湾運送事業をやっておられる方々が対象になる可能性が大きいということで、個別に調査したわけでございますが、五大港で一般港湾運送事業の無限定の営業を行っている会社が百六社ございます。これらの会社の実情、どのようなターミナルあるいは近代的な埠頭施設において一定量以上の貨物を管理し、一定の統括管理的な業務を行っているかというチェックをしたところによりますと、四十五社程度のものがそのような転換が可能であろうというふうに見ております。  また、新規参入の可能性という御指摘がございましたが、このような埠頭基盤のよう事業につきましてはそう急激に進出できるという情勢ではございません。新しい港の造成なり新しい輸送基地ができるといったような場合には考えられるかと思いますが、新規の事業者というものが当面すぐ出てくることはそれほど多くないといいますかほとんどないのではないか、個別の港の事情に応じて、あるいは一社、二社といったようなものがあり得るかということかと思います。  それから、基盤を変更した場合に、はしけに対してどのような影響が出るかということでございますが、私どももただいま申し上げました事業者のはしけ従業員がどの程度いるかということを見てみますと、約六百八十名のはしけの労働者がおられます。この中で転換可能と認められるものにつきましての数字を見ますと、百八十名程度と推定いたしております。したがいまして、私どもこのような方々が、はしけ基盤の変更によってすぐ離職を強いられることのないように、これらの方々についても、その会社としては他の職種への転換といいますか、あるいははしけを関連下請に出した場合に、その関連下請の中で、効率的なはしけ運営体制の中で働いていただけるための対策といったものを中心に考えていきたいと考えておりますが、どうしてもその職を離れなければならないという方々については、いろいろな施策、例えば港湾運送の中でもはしけですとかいかだですとか構造的な不況業種というものがございまして、これらについては政府としてでき得るいろいろな不況対策の中の適用業種として必要な対策を講じております。また、港運の中におきましては、労使間の協定、これは五十四年に五・三〇協定という形で、雇用、生活の保障に関する協定が業界と組合ベースでできておるわけでございます。そのよう労働者の生活、雇用問題についてのいろいろな施策、これはことしの春闘時におきましてもかなり大幅な前進を見たと私ども評価をいたしておるわけでございますが、このような全体的な雇用対策の中で十分配慮してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  49. 関山信之

    関山委員 そうこうしているうちに時間がなくなりましたので、次の問題に移らしていただきますけれども、今申し上げてきたよう状況の中でコンテナリゼーションの進展に伴って職域の確保という問題がだんだん厳しくなっているということが今最大の問題だろうと思うのですけれども、この点についてちょっと警察庁、税関、農林省からそれぞれおいでをいただいておりますのでお伺いしておきたいと思うのです。  問題は、コンテナリゼーションが進むに従ってこの港頭地区におけるいわばコンテナのチェックというものがなかなかできにくくなって、いわゆるバンニング、デバンニングの内陸での作業がだんだんふえていっているという実態があるわけでありまして、それが内陸の方へ移ろうと港頭地区におけるチェックがきちっとできておれば、それぞれ税関、植物防疫その他それはそれでいいのかもしれませんけれども実態はそういうコンテナ流れに沿ってそういう港頭におけるチェック体制というのが非常に変わってきておるんじゃないかというような問題がございます。これは職域確保という観点もさることながら、国民の側からすれば大変大きな問題でありまして、先般四月十一日にコンテナによる短銃の密輸事件などがございました。これは警察の方にお伺いしたいのですが、簡単にお答えをいただければ結構ですが、この種のコンテナを使った密輸事件、これは短銃に限らず麻薬だとかその他あるわけでしょうけれども、この種のトラブルは今日までどういう状況にあるのか、今後の対応はどうなっているのか。あわせて税関の検査体制、今回の事件などは警察サイドによってチェックをされて発覚をしているという状況ようでありますけれども、特に港頭地区における場合と港頭地区以外でとそれぞれ検査率はどの程度になっているのかということをお聞かせをいただきたいと思いますし、農林省の方からは植物検疫について、これは事務局レベルでは間違いなく港頭地区でやっています、こういう御答弁もあるのですけれども、しかし事実上どの程度チェックの体制がとられているのか、検査率はどの程度のものなのか、それぞれ簡単にお答えをいただければと思います。
  50. 加美山利弘

    ○加美山説明員 お答えいたします。  コンテナを利用したけん銃の密輸につきましては、今回の警視庁の事例を除き、これまでにコンテナ利用による事件を検挙したという報告は受けておりません。なお、覚せい剤につきましては過去に昭和五十六年でございますが、コンテナの中にポリプロピレン製の袋、化学繊維の袋を約四万枚積み込みまして、その中に覚せい剤約二十五キロを隠して密輸入したという事犯がございます。  次に対応でございますが、密輸入事犯につきましてはコンテナに限らず基本的にはけん銃が空港または海港に到着した段階において水際でしっかり押さえるということで努めておるところでございます。具体的には密輸入に関するあらゆる情報収集に努める、密輸入を行うおそれのある者に対する視察、内偵を徹底する、それからけん銃の不法所持で検挙した被疑者の捜査を徹底し、その突き上げ捜査により密売のルート、密輸のルートを追及する、それから押収したけん銃の製造国、名称、型式、銃番号等によりまして、製造国に対してその販売経路等を照会いたしまして、密輸入被疑者の追及、割り出しを行うなどの諸対策を展開して、今後とも税関などの関係機関と密接な連携を図り、密輸入事犯の水際検挙に努めていく所存でございます。
  51. 森厚治

    ○森説明員 コンテナ詰め貨物についての検査の実態についての御質問でございますが、コンテナ詰めの貨物の輸入は年々増加の一途をたどっておりまして、他方、税関の定員事情というのは、御承知ような極めて厳しい状況にございます。こうしたよう状況に当たりまして、私ども税関当局といたしましては、銃砲あるいは覚せい割といったようないわゆる社会悪事犯の水際における摘発というものを最重点目標といたしまして、情報収集活動の強化あるいは取り締まり機器の整備充実ということを図りまして、他方、警察等関係取り締まり機関との連携を密にしながら、重点的、かつ効率的な取り締まりを行っていきたいというふうに考えておるところでございます。今後ともこのよう方向で一層取り締まりの万全を期したいというふうに考えている次第でございます。  コンテナについての具体的な検査の対応でございますけれどもコンテナによりまして本邦に到着いたしました貨物、このうち約七割は港頭地区においてコンテナから取りおろしまして輸入申告がされ、これについては他の一般の輸入貨物と同様の検査を行っているところでございます。残りの三割につきましては、コンテナ詰めのまま、実入りの状態で輸入申告をすることを認めているものでございますが、これにつきましては輸入者が信用があると認められるものなどの場合に限ってこういうことを認めておりまして、この場合にも必要な検査を行っているところでございます。この実入りのまま輸入申告をされたものについては、大体六%程度検査を行っているというのが実態でございます。  最近のピストルの大量密輸事件でございますが、こうしたものにつきましても、今後コンテナの中に社会悪物品が隠匿されるということが十分想定されますところから、適正通関を確保する見地から、今後とも輸入通関時における検査体制を十分充実していきたいというふうに考えております。  今回の事件につきましては、警察と連携いたしまして適宜情報などを交換して取り締まりに当たっていたものでございますが、摘発そのものは税関の検査において摘発しております。
  52. 管原敏夫

    ○管原説明員 植物検疫でございますけれどもコンテナも一般の貨物と同じようにすべて検査対象でございまして、すべて実物で検査しておるわけでございます。ただ、これはサンプル検査でございまして、例えば十コンテナ程度の荷物でございますと、三コンテナ程度をあけてみる。それから数量で見ますと、これは品物によって違うわけでございまして、苗木とかそういうものですと非常に抽出率が高いわけで五〇%以上ということになるわけですが、生果実等の場合は二%以上、その程度の抽出をやっております。それから検査場所はすべてコンテナヤードで行っているわけでございます。
  53. 関山信之

    関山委員 時間がなくて、それぞれについて詳しいお尋ねを重ねることができなくなりましたけれども、今申し上げたサイドはそれぞれの分野におけるチェックの観点から港頭地域でのコンテナの扱いというものに重点を置いてほしいということに尽きますが、問題はやはりバンニング、デバンニングについて港頭地域における職域の確保ということについては、御案内のとおり日港協が荷主に対する申し入れなども行っておるわけでありますし、運輸省の方としても一体どの程度の実態にあるのか、これはきちっとひとつお調べをいただきながら、既に七〇%が内陸部に持ち込まれてしまっていて、港頭地区で残るコンテナの作業は三〇%だという数字が関係者からあるわけですけれども、この辺も実態をきちっと踏まえていただきながら、少なくとも半分くらいはやはり港頭地域で確保するということが僕はなければならぬだろうと思いますし、また、この辺はなかなか議論としても難しいところかもしれませんが、港湾の区域の法律的な定めというのはないわけですね。ないということは、逆に言えばいわば一定の行政の指導でもって、ここからここまでは港頭地区ですよというふうにもまた言えるわけなんであります。専門家の御意見などを伺ってみましても、かなり広いエリアでこの港頭地域というものを設定してもいいんじゃないかという御意見もありますし、またアメリカなどでは、州の裁判所でアメリカの港湾労働者が五十マイル規制というものを裁判で争ってから取った、そういう実態もあるわけでありますから、ぜひともこの辺については明確な指針をお出しをいただきたいということをお願いしながら、なおひとつこの問題について御答弁をいただきたいと思うのです。
  54. 阿部雅昭

    ○阿部説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生の御指摘された点、ことしの春闘時におきましても日港協と組合との間でも非常に大きな検討課題となった事項でございます。最終的には、その実態もよく解明してその対応を考えようという合意になっておりますので、私どももその実態調査といったものをもう少し徹底してやるということが必要だろうと考えますので、そのようなことについての調査の支援等について十分配慮してまいりたいと考えております。  なお、先生お触れになりましたアメリカの五十マイルルールといった御指摘でございますが、この辺につきましても、アメリカにおきましても裁判なり行政訴訟なりといったいろいろな問題を引き起こしておりまして、関連事業者との間でのあるいは労働者間の仕事の奪い合いといった面もございますので、いろいろ非常に難しい問題がございます。これもアメリカでもなお係争中であると聞いておりますし、アメリカのルールが日本にそのまま適用できるものではないという事情もあると思います。私ども非常に大きい問題ではあると思いますので、その実態解明を前提に、今後港湾の政策、港湾整備ですとかあるいは港頭地域の整備といったような問題ともあわせまして、どういう対策が効果的に講じられるのかということにつきましては今後十分検討させていただきたいというふうに考える次第でございます。
  55. 関山信之

    関山委員 随分長い時間、この法案をめぐってのいろいろな将来起こり得るであろう、起こっては困る事態について御指摘を申し上げました。冒頭に大臣並びに局長から、この港湾運送事業法の精神にのっとってこの法の根幹だけはしっかり守っていくのだ、どういう事態展開があろうとこの辺については心配ないのだという御答弁もいただいておりますので、重ねてお尋ねもいたしませんけれども、どうかひとつその辺に対しまして慎重な対処をお願い申し上げまして、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
  56. 浜野剛

    浜野委員長代理 午後一時三十分より再開することとし、休憩いたします。     午後零時五十四分休憩      ――――◇―――――     午後一時三十七分開議
  57. 鹿野道彦

    鹿野委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。小林恒人君。
  58. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 午前中、同僚議員からも全般的な部分で御質問申し上げましたけれども、本法を昭和二十六年に制定してから以降、中間的に三回の改正を行いながら現在に至っているわけですけれども、特に港湾運送事業法の沿革、とりわけ戦前戦後を含めて非常に多様な時期を経過してきていると思うのでありまするけれども、現在の体制というものを認識する場合、沿革との相関関係の中で、例えば俗っぽく言うと物流本体が変化をしてきた、こういう表現をされているわけですけれども、この点に対する認識をまず冒頭に御質問しておきたいと思います。
  59. 小野寺駿一

    小野寺政府委員 大変広範な内容を持った御質問であったわけでございますが、御承知ように、戦後の我が国の物流というものを考えますときには、やはりまず第一に、経済的な面でございますけれども、戦後の復興期というものがあったと思います。昭和三十年ごろまでが戦後の復興期だと思いますが、昭和三十年ごろには、既に戦前の経済水準、経済規模にまで我が国は復したというふうに考えられると思います。その間に、ちょうど我が国貨物輸送全体につきましてもおおむね戦前の域に達した、港湾貨物につきましてもそういうことであろうかと思います。その状況のもとにおきましては、やはり港湾運送実態といたしましては、戦後の混乱の中にあってまさにいろいろな面での混乱がこの復興期にあったのではないかと思うわけです。その中で一つ秩序というものがぜひ必要であるという観点から、まず昭和二十六年に法律制定されたということが一つあろうかと思います。  昭和三十年以降の段階では、順次我が国経済発展をさせていくわけでありますけれども、特に三十五年以降我が国高度成長が進んでいく、それに伴って港湾貨物量もどんどんふえていくということでありますけれども、その前段階昭和三十年代の前半におきましては、そのよう高度成長の始まる直前の段階であるわけでございまして、この間におきましては、やはりいわゆる港湾貨物が非常にふえていく前夜におきましては、これまた我が国発展に伴って必要な役割を果たすべき港湾運送が必要な秩序をきちんと持つ必要があるというふうに強く感ぜられた時期なのではないかというふうに私ども思うわけでございます。したがいまして、そのような時期、昭和三十四年におきまして港湾運送事業法の大改正があって、新規参入を規制するあるいは料金についての認可制をとるというふうな、非常に大規模な改正が行われたということになろうかと思います。  その後、高度成長の時期に順次進んでまいるわけでございますが、その高度成長に円滑にこたえていくあるいは円滑にそれを推進していくというふうな観点での港湾運送事業法改正が、十六条を中心として昭和四十一年に行われたということであろうかと思います。その四十一年の港湾運送事業法改正とちょうど偶然的に時期を同じくして、国際的なコンテナ輸送というものが日本にあらわれ、日本もこれに対して積極的に受けとめていくという体制づくりを進め、その後コンテナ輸送の拡充を図るということが昭和四十一年以降に行われてきたと思います。その間にあって、経済全体は高度成長貨物輸送の伸びも非常な勢いで伸びる、コンテナリゼーションも順次進むという時期であります。  その後、昭和五十年代に入りましてからは、高度成長時代が終わりまして、いろんな面での経済の調整の時代、これに関連して貨物の動きという点に関しましても、高度成長時代とは違った貨物輸送の動きというものが進むよう状況になっておるわけでございますが、この間、四十一年以降、港湾運送事業法をさわることなく今日に至った。したがいまして、この間に法律規制実態との間にかなり大きな乖離が生じたまま今日に至っておる、こういうことであろうかと思います。
  60. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 沿革についてはわかりました。  そこで、昭和二十六年以降、港湾運送事業法制定をして、特に事業免許制、さらに運賃料金認可制、こういった基本がずっと貫かれてきているわけですけれども、こういった港湾運送事業法の基本そのものについて、現状との対比の中でどのように考えられておりますか。
  61. 小野寺駿一

    小野寺政府委員 港湾運送事業法根幹的な部分につきましては、今先生指摘がございましたように、新規参入を規制する、いわゆる免許制という形で規制する、料金については大臣認可制ということで規制していくというところが非常に大きな根幹であり、ポイントであろうかと思います。  そのよう規制を、我が国港湾運送事業に対して行う必要があるという、その必要性という点につきましては、我が国が四面海に囲まれており、資源が乏しいという状況のもとで、港湾における海陸輸送結節点としての港湾運送事業というものが我が国経済を支える上でまことに重要であるという点、さらにその港湾運送事業がともすると中小企業あるいは零細企業の多くの人たちによって支えられているという特殊性があるということ、そしてまた、これが自由化しておくという形をとるならば、重層下請というものが起きる可能性があるということ、あるいは貨物の流動に関しまして、特に季節的な変動が多いというようなことなどなどの観点からすると、どうしても新規参入というものについて、これをきちっと規制しておく必要があり、かつまた料金規制しておく必要があるということであろうと思うわけであります。  このことにつきましては、我が国経済情勢が戦後今日までいろいろな曲折を経ながら変わってきた。また、それに伴って海上輸送港湾貨物の動きというものがそのときどき変わってきたというふうな事実はありますけれども、今の点につきましての港湾運送事業法においてそのよう規制をきちっとしておく必要性という点につきましては、今日まで変わっていないというふうに考えるわけであります。
  62. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 そこで、一つお伺いをしておきたいのでありますが、もちろん、我が国は海運立国としてその位置づけを明確にされてまいりましたけれども、特にアメリカ、イギリス、オーストラリアなど、さらに東南アジアの主要港湾を持っている国々、こういったところの港湾運送実態規制の現状というのはどのようになっているのか、お知らせいただきたいと思います。
  63. 一色昭造

    ○一色説明員 お答えいたします。  まず、現行の港湾運送事業法根幹でございます参入規制といいますか免許制、それから料金規制がどうなっておるかという点を中心に諸外国の例を報告させていただきます。 現在、日本では御案内ように、港湾運送事業法という事業法がございますが、これに類するよう法律は、諸外国、特にアメリカ、イギリス、西ドイツ、フランス、オランダというような欧米の先進諸国には事業法は一切ございません。そういう点で非常に日本と異なってございます。  具体的に申し上げますと、まずアメリカでございますけれども、アメリカは東海岸と西海岸では若干様相が異なっておるようでございます。  まず、東海岸でございますけれども、東海岸につきましては、日本よう港湾運送事業法というものはございませんで、港湾施設を港湾管理者から借用する際に、施設を借り受けるという立場からの資力、信用をチェックされるというようなことがございますので、それが一つの参入障壁になっておるのではないかというふうに我々見でございます。  それから、もう一つアメリカのシステムが日本と大幅に違います点は、日本の場合でございますと、港湾運送事業者というものが港湾労働者の方を直接雇用されておるというシステムをとってございますが、アメリカの場合は、そういう事業者港湾労働者を直接雇用するという形はとっておりませんで、東海岸でございますと、ILAという労働組合に直接雇用されておる。そこから港湾運送事業者が必要な労働者さんを必要の都度借り出すという形で、俗にハイヤリングホールと我々呼んでおりますが、そういうシステムになっておるという点が一番大きな点ではなかろうかと考えでございます。それから、西海岸につきましても、ILWUという労働組合がございまして、東岸とほぼ似たようなシステムになってございます。  それから、アメリカで一つの問題になろうかと思います点は、アメリカの東海岸につきましては、要するに港湾労働者の職域といいますか、俗に言う五十マイルルールが適用されている。これについては、裁判に係争中とかあるいは決着がついたとかいろいろな考え方がございますけれども、アメリカの東岸ではそういう五十マイルルールがあるという点でございますひ  それから、もう一つの問題の料金認可制はどうなっているのかという点でございますが、アメリカにつきましては、料金規制はございません。  それから、次にイギリスでございますけれども、イギリスにつきましても、事業規制はございませんが、ロンドン港におきましては、港湾労働者を雇用するためには港湾管理者の免許が必要だというような形になってございます。俗に言うポートオーソリティーの許可といいますか、そういう免許が要るということになってございます。それから、イギリスでは、港湾管理者が逆に直接港湾運送事業主体になっているという例も一部の港で見られております。特にロンドン港におきましては、PLAというものが最大の港運業者でございます。それから、イギリスにおきましても、日本よう料金規制は一切ございません。  それから、次に西ドイツでございますが、西ドイツもやはりアメリカと似ております点は、港湾施設を港湾管理者から借用する際に、一応の資力、信用その他のチェックがなされるという点になってございます。ハンブルク港におきましては、市が一〇〇%出資の港運会社、これは倉庫も兼営してございますが、HHLAという会社がございまして、これが最大手の港運業者でございます。ハンブルク港におきましては、それ以外に若干の弱小業者、大体三百という港運業者が存在すると言われております。  それから、西ドイツにおきましても、日本ようなそういう確たる料金規制はございませんけれども、ただ、ここは、先ほど言いましたように、事業者の数が三百ぐらいあるというようなこともある関係がもわかりませんが、一応事業者団体が港湾運送の統一的なタリフを決めている。政府がオーソライズしたものではございませんけれども事業者団体で統一的なタリフを決めているという点でございます。  それから、フランスについてでございますが、フランスにつきましても、やはり港湾施設については港湾管理者から借り受けるということで、ルアーブルにつきましては、私企業が大体三十社ぐらいあるのではないかというよう状況でございます。それから、フランスにつきましても、料金規制は一切ございません。フリーでございます。  それから、オランダでございますが、オランダの特にロッテルダム港におきましては、労働監督的な観点から登録制というものがしかれております。港湾施設につきましては、いずれも港湾管理者から借り受けることとなっておりまして、会社数が大体六十ぐらい、そのうちの約千社が大手ではないかという状況でございます。それから、オランダにつきましても、料金規制はございません。  そういうように、世界各国を見ましても、やはり港湾整備の仕方あるいは歴史的な沿革あるいは港湾労働者に対する配慮の仕方というようなものがそれぞれの国情で違いますものですから、なかなか日本ような、港湾運送事業法があって、そこでいろいろな事業規制をしているというような、日本と似たような国は世界じゅうないという状況でございます。
  64. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 そこで、特にOECDなどでは、この規制緩和問題については保護主義はいけない、こういう認識があり、そういう方向での作業が進んでいく、こういったことが具体化をしていっているわけですけれども、いわゆる自由化への方向をどのように見るのか。現行、我が国港湾運送事業法というものを堅持をしつつ、諸外国が進めている自由化への、あるいは自由競争への弊害というものを特に感じているのかどうなのか。この点について、お考えがあったら明らかにしていただきたいと思います。
  65. 阿部雅昭

    ○阿部説明員 お答えいたします。  先生指摘のOECDの動きですとかあるいはアメリカにおけるいろいろな動きというものは、私どもも非常に関心を持って見ているわけでございます。しかしながら、このよう自由化といったよう方向を、特に港湾運送というような、我が国のこういう港湾における一つ事業に当てはめることができるかどうかというようなことにつきまして我々が見ますと、先ほど局長がお答えいたしましたように、非常に零細性があるとかあるいは非常に波動性がある、なかなか難しい事業でございますし、また、そこに働く方々の問題というものもございます。そこに過当競争が起こりますと非常な弊害が起こるということは、我々身にしみて感じておるわけでございまして、単に自由化というようなことが打ち出されましても、港湾にすぐそういうものを導入するということについては非常に問題があるというふうに私どもは認識いたしておる次第でございます。
  66. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 先ほど午前中の質疑の中でも、同僚議員の質問に答えて、物流の中における港湾運送事業そのものの重要性については、湾港局長並びに運輸大臣の方からも、極めて重要だという認識、今後もこれは変わることはないだろうという答弁があるわけですけれども実態として、OECD等がこの規制緩和方向について非常に強い要望を打ち出している。問題点はどこだとお考えになりますか。
  67. 一色昭造

    ○一色説明員 お答えいたします。  そのOECDあるいは日本におきますと公正取引委員会が、私ども港湾運送事業を初め十六業種について、政府規制緩和といいますか見直しということを提言されております。この考え方の根底は、やはりある程度競争を導入した方が望ましいシステムができるのではないかという基本的なお考えに立っているのではないかという気がいたします。これにつきましては、我々は必ずしもそういう見解には立っておりませんけれども、OECDなり公正取引委員会見解は、基本的にはそういうところに論点の立脚があるのではないかというふうに考えております。  それで、なぜそういうお考えに立つかという点でもう一歩突っ込んでみますと、やはり政府のいろいろな規制というものは、制定されました折は最適のシステムとして導入されるのであろうけれども、それが時とともに、あるいは時代とともに変わっていった折に、周囲の環境に必ずしも政府の規制というものは対応できていない嫌いがある、俗に言う一たん導入されると役所のいろいろな規則はなかなか変えられないというようなところで、時の経過とともに、望ましいそういう規制も、逆に時間がたつと事業者なりあるいは個々の民間の負担になる、俗に言う民間の活力をそぐのではないか、そういう点で、逆に政府の規制は小さい方がいいといいますか、できるだけ規制緩和した方がいいのではないかという基本的なお考えに立っているのではないか、そういうように考えております。
  68. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 考え方については非常によくわかりましたが、しからば、この規制措置というものの必要性、こういったことが現実対応の中で極めて重要だ、こういう認識の中で、今回、三条関連、十六条関連についてのみ一部改正をしようとした考え方の基本は一体どこにあるのだろうか。むしろもう少し大幅な全体的な改正の必要があったのではないのかなという気がしますけれども、この点についてはどうですか。
  69. 小野寺駿一

    小野寺政府委員 港湾運送事業法根幹となるべき規制の内容という点については、るる申し上げたとおりであるわけでございますが、そういう規制の必要性というものは、港湾運送事業法制定以来今日に至るまで、時代の変化あるいは港湾のいろんな変化にもかかわらず、非常に重要であり必要であるという点については変わらなかった。しかしながら、特に昭和四十年代以降の我が国経済発展あるいはそれに伴う我が国貨物輸送の増大あるいは港湾貨物の増大、それに伴う輸送の方式の変化、近代化、合理化というふうなことに伴って、港湾運送の内容というものについては変化してきておるわけでございます。その変化した中身が規制の中身とずれてきておる、いわゆる乖離が生じてきておるという場面があるわけでございまして、その乖離の甚だしい場面をとらまえて今回の法律改正をお願いいたしておる、こういうことでございます。その場合、第三条の部分と第十六条の部分とあるわけでございます。  第三条の部分につきましては、船内荷役と沿岸荷役というものとの間に昔ははしけ荷役というものがさらに挟まって、そして全体的な港湾運送というものが行われておったわけでございますが、最近におきましては、船内荷役と沿岸荷役というものとが一貫して、あるいは順次相互に関連を持ちながら進められていくというふうなことになってきておりますので、その方向を将来に向かって一層進められるよう体制をつくっておく必要があるのではないかという点が一つでございます。  それと、十六条に関しましては、いわゆる基盤制度を設定して、その基盤に関しては直営を守るわけでありますけれども、基盤以外の部分に関しましては、関連下請に下請させることができるという規定になっておる。その場合、はしけ荷役に関する部分を基盤としている各社が多いわけでありますが、実態的にははしけが非常に減ってきておるという実態と、反面、コンテナ埠頭なりあるいは自動車専用埠頭なりサイロなりの近代的な埠頭における近代的な荷役というものが進行し、その近代的な荷役が進行するについては、いわゆる統括管理というふうな行為が一つのポイントになっているというところに着目し、それを新しい基盤に加えるということであって、そのことが今日現在、現実と規制との乖離を埋める事柄であるとともに、将来に向かってそういう方向づけをこの段階でしておくということが必要であるというふうに考えられたわけでございます。
  70. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 内容的に言いますと、昭和五十七年十二月に行政管理庁が「港湾整備及び港湾運送事業に関する行政監察結果報告書」を出しているわけですけれども、こういったものを見るとき、その意味では今回一部改正として提起をされているものももちろんありまするけれども、特に認可料金制度等については、随分多くの指摘事項がこの監査報告書の中にはきめ細かく記載をされているわけです。実態からいいますると、確定料金制度は守られているのかどうなのか。料金というのは非常にあいまいになってきているのではないですか。この点についていかがですか。
  71. 阿部雅昭

    ○阿部説明員 お答えいたします。  認可料金制度になっているけれども、それが実態が守られているか、そのような御指摘をいただきました。行政管理庁の勧告の中にも、そのような事例が挙げられております。私ども、その勧告を受けまして以来、認可料金である以上、それはきちっと守られるべきものであるということを強く業界にも注意を喚起いたしまして、役所サイドは役所サイドで、独自で強力な監査を行うという方針を打ち出したわけでございます。私ども、昨年以来、官民挙げてこの港湾料金中心とする法令遵守運動という形での展開をしてまいりましたが、私ども運輸省におきましても、五十八年度、料金監査に重点を置いた抜き打ち監査を実施するという計画を立てまして、違反事実が認められた場合には、事業者に対して警告書を発する、さらに、改善措置を講ずるように指導し、引き続き改善の状況を監査するということを現在やっておる最中でございます。  ちなみに、五十八年度に料金監査を実施した事業者の数を申し上げますと、本省分二十四事業者、二百七十七品目、各海運局でやりました分が九十四事業者、七百二十六品目ございます。  監査の結果の概要を申し上げますと、いわゆるバースターム契約と申しますか、船社との契約に基づきます料金の支払い状況につきましてはおおむね良好であったということでございますが、荷主とのいわゆるFIO契約に基づく契約の中では、特に不況業種に当たります品目、例えば鋼材ですとか木材ですとかあるいは飼料、肥料といったようなものにつきまして、料金が必ずしもきちっと守られていないという事例が見受けられました。私ども、それらにつきましては、認可料金の遵守についての勧告書を渡し、その後の改善を求め、荷主サイドとの交渉を事業者でも精力的に行い、かなり解決の方向への努力が重ねられているというのが現状でございます。
  72. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 随分努力している割合には二六・一%しか料金は守られていない。この数字が一体何をあらわすかと言えば、結局は港頭荷役に従事する労働者の労働条件の悪化あるいは失業、こういったことにつながっていくのではないのかなと懸念をされるわけです。ダンピングの実態――なるほど物流本体の質的な変化があるわけですから、そういう意味では、この質の変化に伴って、認可料金制度そのものについてはここは大きくメスを入れておかなくてはいけない部分ではないのかなという気がしますけれども、この点はいかがですか。
  73. 一色昭造

    ○一色説明員 港湾運送料金が守られていない、その原因はどこにあるのだ、結局は業者間の足の引っ張り合いのダンピングではないかという点だろうと思います。私どもとしては、去年、おととしと港湾運送取扱貨物量が対前年比マイナスということで、港湾運送事業者の扱いますパイがふえていない、逆に言えばコストは年々上がってくる、それに対しまして取扱量がふえないということで、港運業者さんの経営が非常に苦しくなる、そのために港運業者さん間で貨物の取り合いといいますかダンピング競争が起きるのではないかという懸念を実はいたしたわけでございます。そのために、昨年から官民挙げてと申し上げておりますが、日本港運協会を中心に法令遵守運動をやって、そういうことがないようにという指導を実は強めているわけでございます。     〔鹿野委員長代理退席浜野委員長代理着席〕  それからもう一つ、そういうダンピングを引き起こします要因といたしましては、業者間の足の引っ張り合いのほかに、やはりどうしても港運事業者さんの料金交渉における立場が弱い。相手は何さま貨物を持っている荷主さんである。荷主の方から値引きを強要されるのではないかというような懸念もございまして、私ども運輸省の方から各荷主団体に対しまして、港運料金は認可料金である、この重みを十分理解してちゃんとお払いくださいというようなお願いといいますか、協力依頼も種々の方策を通じてやっているところでございます。
  74. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 努力をしていただくことは結構なんですけれども、この行管の勧告の内容というのは、認可料金だけではなしに、免許基準事業計画の変更等非常に幅広く指摘をしているわけです。  問題は、運輸大臣、この勧告についてどのような受けとめをしているのか。この勧告の趣旨そのものが考え方として自由化方向を示唆したものだという受けとめ方をするのか、あるいは規制の遵守、秩序の維持をより強化をしていくための提言、このように受けとめるのか、受けとめ方について所管大臣としての御見解を賜りたいと思います。
  75. 細田吉藏

    細田国務大臣 原則に立ち返りまして、一体日本港湾運送事業というのはうまくいっているのかいってないのか。私は大局的に見て、うまくいっている、諸外国と比べて決して劣るものでないところか、最優秀の部類に属しておる、かように考えておるのでございます。港の設備も世界でやはり相当なところへいっておると考えておるのでございます。  それで、行政管理庁の勧告がございますが、これは私は必ずしも自由化という方向を目指したものであるとは考えておりません。けさほども私申しましたように、過去におけるいろいろな苦い経験にかんがみてこの制度ができておるのでありまして、この根幹については変える必要はない、かように思っております。  ただ、輸送形態が変わってまいりました。例えば重量物資が減るとか、はしけによる荷役が減るとか、これは港湾の設備がよくなったり、船が変わったり、またコンテナが出てきたり、こういうことでございます。そこで、私どもは、最小限度の必要なところは、今回の港湾運送事業法法律で、ただいま御審議願っている法律で出しておるところでございます。  それでは、今の免許なりあるいは運賃なりの問題について、全然それには欠点がないのかということになると、これは私は運用上の問題としてはいろいろ考えなきゃならぬ点がある、そういう点について行管の指摘があったというふうに思っておるのであります。したがって、制度をつくると、制度というものは固定化しますから、時代に合わなくなる。例えば、権利の上に非常に眠って、既存の業者が不当にといいましょうか、もっと例えば新規参入がある港についてあった方がいい、客観的に見て、というような場合に、そのときには考え直さなくちゃいかん。それを何でもかんでも旧套を墨守するというだけではいけない、そう思うのでございます。  それから、認可運賃料金は、これは諸外国よりも日本の認可運賃料金は安いわけです。それから船舶の港における停泊時間、荷役時間も短い、ストライキも非常に少ない、こういう格好をしているわけですね。ですから、認可運賃料金については、逆に行管で言っておられるのは、取らないじゃないか、これは業界の足の引っ張り合いというふうに今課長が申しましたが、業界の競争、これは荷物が少なくなったための競争、これは陸上でも同じことでございます。陸上のトラック運賃でも皆同じことでございますが、荷主さんの方にも御自覚をいただかないと、これは直らないのです。ですから、これは始終やっておりませんと、この問題は直らないので、行管はそれを強く指示していただいておるもの、かように考えておるわけでございます。  全般論として、基本的な考え方を申し上げたわけであります。
  76. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 大臣の御認識についてはよくわかりましたし、したがって、運輸省としてのこれからの進め方というものについては認識をいたしましたが、だとすると、この料金体系について非常に数多くの問題点が指摘をされている、問題が存在をする、料金体系の見直しを今後早急に推し進めるという考え方はございますか。
  77. 一色昭造

    ○一色説明員 現行の認可料金は、一昨年の四月に改定されております。それ以降一年以上たっているわけでございまして、我々も常日ごろ望ましいといいますか、あるべき料金体系はいかにあるべきかという研究を続けているところでございます。  現在の港湾運送料金の最大の欠点と強いて申し上げますならば、要するに、荷役をやってみなければ料金がわからないという懸念が若干ございます。例えば普通のユーザーさんであれば、荷役をする前に自分が荷役をお願いしたものの料金が幾らになるのかということがある程度確定的に決まらなければ、年間予算も立ちませんし、あるいはその月の営業収支のバランスも見れないというようなことだろうと思いますが、残念ながら港湾運送につきましては、荷役を終わってみて幾らというような、そういう面が若干ございます。例えば、雨が降れば料金が五割増し、それから土曜日に荷役がずれ込むと一割増しとか、あるいはそれがさらに日曜日に荷役がずれ込むと十割増しというように、非常に割り増し料金が欠きゅうございます。ここら辺は、やはりこれからできるだけそういうことは、年間を通して基本料金に織り込んでいくべきではないかというふうに考えてございます。  それは代表的な例でございますけれども、でき得るならば、次期料金改定に対しては、そういう点を中心に見直して、あらかじめ自分が頼む港湾運送料金が幾らかということが確定できる、あるいはそれがそんなに誤差がないというよう料金体系にしていきたいというふうに考えてございます。
  78. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 そこで、特に船輸送コンテナ化されてくる、非常にコンテナが多くなってくる、いわゆるコンテナリゼーションというのでしょうか、こういった状況の中で、先ほども同僚委員からちょっと質問がありましたけれども、あけてびっくり、コンテナの中から飛び出してきたのは、表示されていたものとは違って、ピストルが二百五十五丁もぞろぞろと飛び出してきた、四月の十二日の朝日新聞にこういった報道がなされてみたり、それから旬日を経て四月の二十一日には、よくよく調べてみたら二月にもピストルが百丁も密輸をされていた、こういった新聞報道があります。また、一昨年ですが、農産品輸入をめぐってミバ工事件等が発生をした。先ほど来のお答えを伺っておりますと、水際チェックというものを十分にするというお答えなのでありまするけれども、警察庁にしても大蔵省にしても、水際チェックをしっかりします、これからこういった事件が再発をすることを防止をしていきたいという決意はわかりましたけれども、具体的にどのように推し進めようとしているのか。例えば省令を変更するというようなことを既に考えられたのか、これから考えようとしているのか、それぞれお答えをいただきたいと思います。
  79. 加美山利弘

    ○加美山説明員 お答えいたします。  けん銃密輸事犯の水際検挙の問題でございますが、けん銃の密輸事犯につきましては、その持つ危険性から治安上の重要な問題としてとらえ、基本的にはけん銃が空港または海港に到着した段階において、いわゆる水際で検挙する、しっかり押さえるというべく努めているところでございます。  具体的には、密輸入に関するあらゆる情報収集に努める。次に、密輸入を行うおそれのある者に対する視察、内偵を徹底する。次に、けん銃の不法所持で検挙した被疑者の捜査を徹底しまして、その突き上げ捜査により密売のルート、密輸のルートを追及する。さらには、押収したけん銃の製造国、名称、型式、銃番号等によりまして、製造国に対してその販売経路等を照会し、密輸入被疑者の追及、割り出しを行うなどの諸対策を展開しまして、今後とも税関等の関係機関と密接な連携、協力を図りながら、密輸入事犯の水際徹底検挙に努めていく所存でございます。
  80. 森厚治

    ○森説明員 税関当局といたしましては、特に港頭地区におけみコンテナ詰めの貨物の検査につきまして、従来から輸入が年々増加しているところでございます。他方、税関の定員事情というのは、御承知ように大変厳しい事情にございまして、どうしても極めて重点を絞った効率の高い検査をしなければいけないというふうに心がけているところでございます。現状では銃砲、覚せい割といったようないわゆる社会悪物品の水際における摘発を最重点目標としておるところでございます。  今後どういうふうに効果的な措置をとっていくつもりかという御質問でございますが、私どもとしては、限られた定員で最大限の効果を上げるために、まず第一に情報収集活動を強化する。これは海外との情報収集活動も含むわけでございますが、こういった方面から情報収集活動によって事前に情報を得ておきたい。さらに、取り締まり機器の整備充実を図っていく。片方、警察等関係取り締まり機関との連携を密にしていきたい、こういった措置をとりまして、できるだけ重点的かつ効率的な取り締まりを行っていきたいというふうに考えているところでございます。
  81. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 これも警察、税関それぞれ決意のほどについてはわかりましたけれども、例えばコンテナ等の港頭チェックなどについては、コンテナ総体の五%程度しか水際チェックはできていない、こういう実態で情報収集をすれば、現状のままでもこの種違法事件というのは再発を防止することができると判断をされますか。
  82. 森厚治

    ○森説明員 ただいま御指摘のとおり、港頭地区におけるコンテナの検査率というのは現状では必ずしも余り高くありませんし、満足できるものとは私ども考えておりません。したがいまして、限られた人員ではございますけれども、今後とも検査率を高めていきたい、高める努力をしていきたいというふうに考えている次第でございます。それとあわせまして、情報収集活動の強化あるいは関係機関との連携ということを通じまして、今後とも最大限の努力を傾注して万全を期していきたいというふうに考えている次第でございます。
  83. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 答えは同じなんですよ。検査率を高めたいと言っているだけで、具体的にどうしようとしているのかと聞いているのです。いいですか。情報収集をより的確にします、税関、警察情報の密なる連携をさらに強めますということはわかったんですよ。具体的に何をやるのですか。
  84. 森厚治

    ○森説明員 御指摘のところは私どもとしても大変難しい問題でございまして、従来から限られた人員、予算の中でどうやったら最大限の効率を上げられるかということに日夜腐心しておるところでございます。  どういう具体的な新しい知恵があるのかという御指摘でございますけれども、私どもとしては、確かに今申し上げたことの繰り返しになってしまうのかもしれませんけれども、具体的には、やはりコンテナの検査率を高める、高めるに当たっても、これは職員に対して、例えば税番チェックあるいは品目のチェック、品質のチェック、つまり税金の通説という観点からの検査があることは当然でございますが、それ以外に、例えば申告書に書かれているものがそこにあれば、それで税金が納められるからいいというような検査だけでは適切ではない。やはり具体的に社会悪物品がどこに隠匿されているかわからない。つまり申告書どおり申告してあればそれでいいということではなくて、どこに何が隠されているかわからないから、そういう監視的な観点からも検査を行いなさいということに従来から重点を置いておるところでございます。  具体的には、検査に当たりましては、輸入部の職員だけにとどまらず、監視部の職員も適宜派遣して、共同検査チームを組むというようなところで検査を行っているところでございます。こういったようなところを通じまして、少しでも効率のある重点的な検査という理想に向かって近づけるように従来から努力しておるところでございますし、今後ともその方向でやっていきたいと考えているところでございます。
  85. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 定員は非常に厳しいと冒頭に言われているわけですよ。しかし、一方では、検査率は高めたい、さらにそれでもまだ不十分であれば共同検査部を設定して。しかし、精いっぱい頑張ってみたって一人の人間がやれることというのは限界があるんじゃないですか。  そこで、具体的にお伺いをしたいと思うわけですが、港頭チェックのみではなしに、出張チェックもやられているようですね。どの程度の頻度で行われているのでしょうか。
  86. 森厚治

    ○森説明員 コンテナ検査につきましては、港頭チェックのみならず御指摘ような取りおろし場所まで出向いての検査というのをやっております。ただ、試験的にやっておる段階でございまして、ちょっと数字はつまびらかにしておりませんが、割合といたしましては極めて低いものであるというふうに承知しております。
  87. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 ちょっと不親切な答弁で困るのですが、全然質問趣旨に答えてくれない。試行的にやられていろんならやられていいですよ。例えば、今出張旅費はどこが持っているのですか。
  88. 森厚治

    ○森説明員 出張旅費は税関において負担しております。
  89. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 間違いありませんね。出張旅費は税関が持っている。警察庁が行けば警察庁が持つ、こういうことになるのですね。業者には迷惑をかけていない、こういうことになりますね。確認しますよ。  いわゆる社会悪、こういったものをなくしていく。それだけではなしに、港における秩序を守っていくということは、社会悪を撲滅するだけではなしに、安定経済を推し進めていく上での基本になっていくだろうと判断するのです。その意味では、引き続いて試行というだけではない、万全の体制をもう少し整備をする必要があるように思いますから、特に私の方から要望をつけ加えておきたいと思うのです。  そこで、時間もありませんから先を急ぎますけれども、五十七年十二月に行管の行政監察結果報告書が提起をされて以降、翌年五十八年三月十四日に臨調の最終答申が出されました。この趣旨は、先ほどちょっと議論しましたけれども自由化という方向との関連で示されたものなのかどうなのかということについては、いささか私ども受けとめ方として、読んだ感じとして疑問を感じざるを得ないのでありますけれども港湾局としてどのような受けとめ方をされておりますか。
  90. 小野寺駿一

    小野寺政府委員 行管の勧告並びに臨時行政調査会答申については、港湾運送事業に関しては、自由化を求めているものというふうには私どもは受けとめておりませんで、これは現実の実態規制の内容というものについてかなり乖離が出てきておる、その乖離を早く埋めることが、我が国発展のために資する港湾運送事業のあり方という点からして重要であるという意味指摘されたというふうに受けとめておりまして、その対応策を講じようといたしておるわけでございます。
  91. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 いわゆる港湾運送事業の中での規制という問題と、もう一つ見逃してはいけないことは、そこに働く労働者の雇用という問題を取り上げなくてはいけないと思うのです。安心して働ける職場、いわゆる職域確保という問題でありますけれども、ILO百三十七号条約というのがありますが、これを批准する考え方運輸省にございますか。
  92. 阿部雅昭

    ○阿部説明員 ILO百三十七号条約の批准の問題でございますが、労働省からお答えいただくのが適当かと思いますが、この問題についても、私ども労働省と常時連絡をとり合いながら相談をしているところでございます。  御承知ように、この百三十七号条約は、港湾における技術革新が進行する中にあって港湾労働者の雇用及び所得の安定を図るという観点から、常用化の促進あるいは登録制導入といったようなことを主な内容とするものでございます。我が国としましては、現在批准はいたしておりませんが、同条約の内容については、港湾労働法その他の関係法令によりましておおむね実施されているというふうには考えておりますが、なお細部については検討の必要がある。また、技術革新に伴う労働対策の費用の負担について、港湾関係者の間での意見の一致を見ていない、この辺についても基本的にある程度の合意が必要であるというふうに考えております。  また、現在、港湾労働政策全般について港湾調整審議会の場での検討が続けられておりますので、それらの結論を待って対応すべきであるというふうにも考えております。  以上のような理由から、現在我が国ではまだ批准しておらないわけでございますが、運輸省といたしましては、港湾関係者の動向、あるいは先ほど申しました港湾調整審議会での審議状況を見守りつつ、労働省と今後十分調整をして、この問題について検討していきたいというふうに考えております。
  93. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 ILO百三十七号条約に示された内容について、おおむね港湾労働法等云々という御答弁がありましたけれども実態はどうなのかというと、おおむねフォローされているものだとすれば、労働不安、雇用不安というのは起こらないわけです。現実に起こっているのではありませんか。加えて、港頭近代化などが進む過程では、これで終わりだとは思いませんから、さらに近代化政策が推し進められていくのではないかと想定されるだけに、雇用不安というのは決してなくなっているとは私は思わないのですよ。ここらはどうですか。
  94. 阿部雅昭

    ○阿部説明員 参考に港湾労働者の数の推移といったものを概略説明させていただきますと、港湾労働者の不足時代というものが高度成長時代にありまして、昭和四十四年ごろまでは人手不足という時代でございまして、そのころまでは労働者の数が逐年ふえていったという状況をたどっております。四十四年の全国の港湾常用労働者の数は十万五千百五十六人というふうに私ども把握いたしておりますが、これをピークとして、このころからコンテナ化がどんどん進展するというようなことで、港湾労働者の数がかなり減ってくるという趨勢に転じました。最近の数字で申しますと、五十七年の時点においては七万九千三百人ということで、十二年間の差を申しますと二万五千八百五十六人、二四・六%の減、年平均にいたしまして二千百五十五人程度の減少があったというのが過去の港湾労働実態であると思います。  このほかに、港湾につきましては、いわゆる日雇いの労働者の方々がおられます。港湾労働法で登録制をしいていろいろ運営をしておるわけでございますが、昭和四十一年に港湾労働法が施行された時点では、定数としては約三万と定められましたが、一番新しい数字で申しますと、昭和五十九年度の定数、先般決まりましたが、これが千四百六十二という形で、数字の上だけで見ますと約九五%減っているといったよう状況にございます。  そのような中で、港湾労働者の方々が、自分たちの職が奪われてきたというような不安、不満を持たれ、あるいは今後の問題について不安を持たれていることについては、私どもも十分承知しているところでございます。しかしながら、私ども政府といたしましても、いわゆる不況業種的な対応が迫られる問題、例えばはしけ、いかだについてもそのよう対応を、国の他の不況業種と同じような形での対応をやっておりますし、特に港湾労働については、その特殊性から、日本港運協会と労働組合が全体のベースで話し合って、各企業のベースとは別に、雇用のための諸施策を講じてきています。  具体的には、五十四年に結ばれた労使間の協定に基づくいろいろな施策が講じられてきましたが、私どもそれで十分だとは思っておりません。ことしの春闘の時期におきまして私ども、そういう対応を強化するよう側面的に十分業界を指導いたしまして、かなり大幅な改善対策がとられたということもございますが、このような方策で、今後とも国の施策あるいは労使間の施策といったものが強化されて、少しでも雇用不安といったものが解消するように私どもは考えておりますし、今回の法改正に当たりましても、いたずらにそのようなものが助長することがないように私ども十分指導してまいりたいと考えておる次第でございます。
  95. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 終わります。ありがとうございました。
  96. 浜野剛

    浜野委員長代理 森田景一君。
  97. 森田景一

    ○森田(景)委員 我が国は海に浮かぶ経済人国と言われておりまして、したがって港湾整備港湾運送事業我が国国民にとっても重大な問題でございます。そういうことで、本法案改正に当たりまして若干お尋ねしておきたいのです。  先ほど、運輸大臣も、日本港湾は世界でもトップクラスである、このような表現をなさっておりましたけれども、現在第六次港湾整備五カ年計画に基づいた港湾整備が行われている、このように聞いておりますが、まずその整備状況についてお尋ねしておきたいと思います。
  98. 小野寺駿一

    小野寺政府委員 ただいま先生質問になりましたように、現在我が国港湾整備につきましては昭和五十六年度を初年度といたしますところの第六次港湾整備五カ年計画に基づいて港湾整備を鋭意進めておるところでございます。  なお、港湾整備五カ年計画につきましては、ちょうど港湾運送事業法が前回改正されましたころには第三次五カ年計画というものを進めておりましたから、第四次、五次、六次ということで、その後四回を重ねておるわけでございます。この第六次港湾整備五カ年計画につきましては、全体の投資額につきましては約四兆二千六百億円、このうち公共事業でございますところの港湾整備事業につきましては三兆二千億というふうな規模の五カ年計画という形で進めておるわけでございます。そして、最終年度は六十年度ということでございますが、五十九年度までの進捗率という点で申し上げますと五九・八%というふうなことが見込まれております。必ずしもよい進捗率とは言えないわけでございますけれども、この五カ年計画に基づきまして現在順調に仕事を進めておるということでございます。
  99. 森田景一

    ○森田(景)委員 来年この第六次五カ年計画が終わるわけでございます。あと一年を残して進捗率五九%というのは非常に低いのではないかと思います。その辺についてはどのように進めておられるか。
  100. 小野寺駿一

    小野寺政府委員 先生おっしゃいますように、この進捗率は必ずしも高いというふうには考えておりませんで、いろいろな課題を持った状況にあるというふうに言わざるを得ないと思います。しかしながら、御承知よう我が国の国全体の財政という面につきましてはかなり厳しい状況にございまして、公共事業全体につきましても、これを必要な公共事業を全部どんどん進めるというわけにはまいらないというよう状況にございます関係上、全体との関係上、この程度で現状ではやむを得ないというようなことになっておるというふうに理解いたしておるわけでございます。
  101. 森田景一

    ○森田(景)委員 いずれにしても港湾整備は非常に重要な課題でございます。しかも五カ年ごとに計画をしてくるわけですから、この第六次計画を策定した段階でも財政事情が厳しいということは、十分根底にあったはずでございます。その点含めまして、ひとつ最終年度目標達成に向かって格段の努力をされるように要望しておきたいと思います。  今回の法改正になった基盤といいますか、いわゆるコンテナ輸送、これが非常に大きなウエートを占めてきておりまして、このコンテナの埠頭整備、こういうことも当然この第六次五カ年計画の中でも進められてきていると思いますが、この整備状況についてひとつ御報告いただきたいと思います。
  102. 小野寺駿一

    小野寺政府委員 港湾整備五カ年計画によりまして各種港湾施設の整備を図っておるわけでございますが、先生指摘ようコンテナリゼーションに対応するコンテナ埠頭の整備という点につきましても、この五カ年計画の中の事業として進めておるわけでございます。中でもコンテナ埠頭の整備状況でございますが、例えば昭和四十三年における我が国でのコンテナの扱い量は貨物量にいたしまして約二十万トンということでございましたが、昭和五十年には二千四百三十万トン、それから昭和五十八年には五千九百十万トンということで大変な勢いで増加しておるわけでございます。  これに対応いたしますところのコンテナ埠頭の整備というものを従来ずっと進めてまいったわけでございまして、現段階におきまして各港に設置されておりますところのコンテナ埠頭につきましては、各地の埠頭公社あるいはコンテナ埠頭株式会社というふうなことで設置、管理させておるわけでございますが、この数は東京港で八バース、横浜港で六パース、名古屋港で三バース、四日市港一バース、大阪港五パース、神戸港十二バースということで、これらの合計が三十五バースございます。これらの供用中のものに加えまして、現在東京港、横浜港、神戸港におきましてそれぞれの埠頭公社によって新たに合計五バースのコンテナ埠頭をこの五カ年計画において整備するということで進めておるわけでございます。
  103. 森田景一

    ○森田(景)委員 この港湾運送事業法は、御承知のとおり昭和二十六年五月二十九日に制定されまして、そのときの主な内容は、目的、登録、運賃料金及び運送約款の届け出、差別取り扱い等の禁止、全部下請の禁止、港湾運送事業財団の設定等であったと聞いております。その後十数次の改正が行われてきておるようでございまして、また今回の改正となってきたわけでございますが、その制定されました当時の提案趣旨を見ますと、この港湾運送事業法制定されました三十数年前の港湾運送事業と今日の港湾運送事業と内容は違いますけれども状況としては同じよう状況ではないかと考えるわけです。  当時の提案趣旨は、皆さんに申し上げては大変失礼かもしれませんけれども、読んでみますと、   しかるにわが国における港湾運送事業の現状を見ますると、この事業に特有の波動性により常に零細化し、後進化する内在的傾向を有することとも関連いたしまして、きわめて不健全、不安定脆弱かつ後進的でありまして、一度荷動きが減少すればただちに激甚なる不当競争を展関し、この事業の重要な施設でありまするはしけや荷役機械の維持、修理すらも放擲いたしまして、混乱と無秩序の中にともだおれの危機に陥るに反し、一方輸送力の増強が強く要請されるときには、輸送上の大きなネックとなりまして、多くの問題がこの事業にしわ寄せされて来るのであります。  これは当時の提案趣旨でございます。状況が違っていると言えば、昭和二十六年当時は戦後の混乱期から立ち直りを見せた時代であったろうと思います。  先ほどお話がありました「港湾整備及び港湾運送事業に関する行政監察結果に基づく勧告」の前書きにも、「港湾運送事業については、昭和二十六年五月、港湾施設が未整備なためはしけ運送中心で、かつ、主として人力に依存する荷役形態が一般的であったこと、零細事業者の乱立等により港湾運送需要に適切な対応がなし得なかったこと、我が国経済発展にとって物流の円滑化を図ることが緊要とされたこと」、このようにあるわけでございまして、そして同じ前文の中で「今日においては、港湾施設の整備及び物流合理化の進展により、港運法制定当時においてはみられなかった各種荷役機械、コンテナ船、ロールオン・ロールオフ船等が普及し、荷役作業は近代化されたものとなってきている」、ここのところが状況が違っているだけで、あとの状況はほとんど三十数年前と変わらないのではないか、同じ状況になっているのではないか、どうも私はこのように考えるのでありますけれども大臣はどのようにお考えになるでしょうか。
  104. 細田吉藏

    細田国務大臣 おおむねおっしゃっておるとおりだと思いますが、昭和二十六年と今日の状況はいろいろな面で大変な変わり方をいたしておると思うわけでございます。第一、荷物の総量がけた違いに大きいものになっているということ、それから荷物の内容が変わってまいっておる、またコンテナ化が著しく進んでおる、その他今いろいろな近代化のことをお読み上げになりましたが、近代化しておる。港湾における荷役の態様ははしけというものがかなり大きなウエートを占めておったものが全然様子が変わってまいった、こういうことでございまして、昭和二十六年の状況と形の上では非常なさま変わりをいたしておると私は思うのでございます。  これは、考え方によりますと、昭和二十六年に港湾運送業法が制定されて港湾運送業についていろいろなことがやってこられた。その後数次の改正もございますが、こういうことによってとにもかくにも日本高度成長に伴う港湾荷役量の拡大というものに対応してきたんじゃないか、こういうことが言えると思うのでございます。そういうことでございますので、その面から見ますと様子が変わっておるわけでございます。  しかしながら、それではといいまして港湾運送事業というものは本質的に持っておる事業の脆弱性といいましょうか、困難性があるものであると私は思っております。ということは、何しろ港へ荷物が入ってきてあるいは出ていくということによる仕事でございます。あるいは天候等の影響もございます。海上の波浪等の影響もございます。そういうことでいろいろ不安定な要素が非常に多い商売だと思うのでございます。そういうことでございますので、程度と様子は違いますけれども、二十六年度当時言われたよう状況に近いといいましょうか似た状況が今日といえども依然としてあるということは、何といいましても仕事そのものに不安定性があるということがあるということが私は基本的な原因だと思うのでございます。そういった意味で、おっしゃっているのはもう御承知の上でおっしゃっておることと思いますので、そういう点では変わらないと言えば変わらないということが言えるのではなかろうか、かように存じておるわけでございます。
  105. 森田景一

    ○森田(景)委員 大臣答弁のありましたように、不安定な仕事でありながらしかし日本国民生活にとっては非常に重要な仕事である、それだけに私たちもこういう問題については真剣に取り組んでいかなければならない、こういうふうに考えるわけでございます。  そこで、「港湾整備及び港湾運送事業に関する行政監察結果に基づく勧告」というのが五十七年十二月十三日に行政管理庁から出ているわけでございます。その後、昭和五十八年三月十四日に臨時行政調査会から「行政改革に関する第五次答申」が行われておるわけでございます。この「行政監察結果に基づく勧告」も臨調答申も、ほとんど同じ内容であると私は理解しておるわけでございますが、この点はどう思いますか。
  106. 小野寺駿一

    小野寺政府委員 先生おっしゃいますように、基本的な立場及び内容につきましては大体同じであるというふうに私どもも考えております。
  107. 森田景一

    ○森田(景)委員 それで、今回の法改正臨調答申、行革関連、こういうことを理由にしているわけでございますけれども、もっと調べてみますと本質的には昭和四十七年八月に、港湾運送特別委員会専門委員会というところで「輸送革新に対応した新しい港湾運送事業について」という八・一八報告といいましょうか、これが十数年前に出ているようでございます。それから同じ昭和四十七年十月に、港湾局では「事業法改正方向」というものをまとめております。それから昭和四十八年三月には、運輸政策審議会の「輸送革新に対応した新しい港湾運送事業についての答申」こういうことが出ておりまして、一連の方策が出されてきたわけでございます。そういう方策が出されたにもかかわらず、十年以上も放置されてきましたこの法改正が今回の臨調答申のもとに提案されてきたわけでございます。  そういうことから、これは免許の自由化を目指しているのではないか、こういう危惧の声があるわけでございます。これはもう御存じと思います。そういうことで、この際、免許制料金認可制、こういった規制については根幹は堅持をしていくべきである、このように考えるわけでございますけれども、この点についての見解はいかがでしょう。
  108. 小野寺駿一

    小野寺政府委員 港湾運送事業法根幹となるべき規制につきまして、これは新規参入を規制するという面での免許制及び料金につきまして運輸大臣認可制のもとに置いておる、この二つの根幹的なポイントがあるわけでございますが、これにつきましてはその重要性、必要性についてはいささかも変化していないと私ども考えておりますので、これを変えるという考え方は持っていないわけでございます。  さて、そこで今御質問趣旨で、少しさかのぼりまして昭和四十七年、四十八年当時の考え方と、昭和五十七年、五十八年にかけての行政管理庁の勧告あるいは臨時行政調査会答申との関連性という点についての御質問があったというふうに考えるわけでございますが、その前段の昭和四十七年、四十八年における考え方、すなわちそれが昭和四十八年の運輸政策審議会の物流部会答申という形であらわれておる事柄についてこれを見ますと、これはその背景といたしまして、ちょうど我が国高度成長の最後の非常な発展段階であり、我が国各種さまざまな貨物輸送量も非常な勢いでふえており、港湾の取扱貨物量も非常にふえておる、そういう状況のもとで出た答申であるわけでございます。  この答申のポイントが四つほど挙げられると思うわけでございますが、それを申し上げますと、「技術革新埠頭のオペレーションについて免許等規制弾力化を図ること。」というのが一つ出てくる。それから「物流システム事業者育成を図ること。」それから「余剰はしけの整理を図ること。」「一般港湾運送事業を廃止すること。」こういうふうな考え方になっておるわけでございます。これは今申し上げましたように、我が国の非常な発展というものを背景としてこれらの自由化が長い目で見たときには必要になってくる、その準備をすべきである、こういう観点であったかと思います。  ところが、その後オイルショックがあるあるいは国際的な貨幣の情勢に関して大きな変動がある等々の国際的な経済社会の大きな変動、それを背景といたしますところの我が国のいろいろな経済社会上の情勢の変化というものが出てまいりまして、我が国経済発展の程度というものも変わってくる。それに伴いまして、貨物のふえ方あるいは質的内容という点に関しても変わってくる。さらにまた、エネルギー利用にかかわる合理化の問題が出てくるのにまた対応いたしまして、輸送の近代化、これは貨物の増大の段階における輸送の近代化というものももちろんあったわけでございますが、その後の貨物が非常にふえるということではない状態のもとにおいてエネルギー節約等を背景といたしながらの近代化、合理化というものを進めるというよう情勢が出てまいった。そういう昭和五十年度以降の貨物が非常にふえるという状況のもとではない状況のもとでの近代化、合理化というものをどう図っていくかという状況対応して、港湾運送事業法のあり方というものを検討したところ、その成果として行政管理庁の勧告あるいは臨時行政調査会答申というものが出てきたというふうに考えるわけでございます。  その場合には、これはやはりこの段階規制緩和するということでは業界に非常に大きな混乱を招くということになるであろうし、我が国にとって非常に重要な港湾運送事業の必要な役割を果たしていくという点に関しても非常に大きな混乱を生ぜしめる可能性が出てくるということで、この基幹的、基本的規制根幹的な筋というものを変えることなく、情勢の変化といいますか、輸送の近代化が進んだ状況におけるいろいろな事柄と規制との間の乖離というものを埋めるということが急がれるという意味での勧告並びに答申があったというふうに考えるわけでございます。
  109. 森田景一

    ○森田(景)委員 実は、四十七年以来ずっとこういう問題が放置されていて、最近になって急に出てきたという、これは運輸省自由化に向けて相当慎重な準備をしてきたのではないか、こういうふうに考えられている面もあるわけです。今御答弁ように、規制根幹は守る、こういう方針を明確にしていただくならば、これは一応問題としてはならないだろう、こういうふうに考えるわけでございますので、その精神はひとつ守っていただきたいと思います。  それから、この改正案につきましては、私が申し上げるまでもありませんが、主として第三条関係、それから第十六条関係、経過措置、この三つであろうと思います。  まず第三条では、今まで八種類の港湾運送事業のうち、船内荷役事業と沿岸荷役事業を統合して、港湾荷役事業とすることになっておるわけであります。  次に、第十六条では、基盤の新設を行って、コンテナ埠頭等における港湾運送の統括管理が新しく基盤として入ってくる。  第三点が、経過措置としては、六カ月、こういうことであろうと思います。  それで、まず最初に、なぜ港湾荷役事業に統一しなければならないか、こういうことでお尋ねしたいと思うのですね。私もいろいろと状況をお聞きしているのですけれども、船内荷役事業と沿岸荷役事業というのは、そのままにして、もしどうしても港湾荷役事業が必要ならば、この港湾荷役事業を追加すればよかったのではないか、こういうふうに考えられるわけですけれども、その点についてどうでしょうか。
  110. 阿部雅昭

    ○阿部説明員 先生指摘の、船内、沿岸をそのままにして、港湾荷役事業というのを新規の業種として追加したらどうだという御指摘につきましては、私どもも行管の勧告なり臨調答申を受けて、どういう対応が一番望ましいのかということも含めて、総合的に考えたわけでございますが、ただいまのお話にもございましたように、現在八種類に細分化されている港湾運送事業、ここにさらに一つ事業を追加するということは、いわゆる行政の簡素化といいますか、行政改革という趣旨からはかえって反することになるのではないかというふうに考え、事業の区分も統合できるものはできるだけ統合するということがやはり合理的なのではないかというふうに結論を下したわけでございます。行管勧告なり臨調答申もまさにこの統合をうたっておるわけでございまして、私どももそれが一番その要請に沿うのではないかというふうに考えた次第でございます。  また、新しい事業を設けるということになりますと、例えば船内だけの方が沿岸も拡大するとか、あるいは逆の場合に、今までの免許を返上して新しい免許を取るのか、今までの免許とダブッて取るのかといったような、かえって複雑な事態も生じ得まずし、二重の免許を受ける手間暇がかかるとか、かえって行政簡素化方向にも反するのではないかということから、船内、沿岸の統合が一番合理的であり、それを港湾荷役事業としてとらえようという改正を考えたわけでございます。
  111. 森田景一

    ○森田(景)委員 行政簡素化というのは、役所をもう少しすっきりしろというのが行政の簡素化でしょう。違いますか。
  112. 阿部雅昭

    ○阿部説明員 先生の言われるようなこともあると思いますが、許認可の整理ということも行政の簡素化でございますし、許認可の整理の中では、許可の対象などもできるだけまとめる、統合できるものは統合するということも行政の簡素化の中で我々考えておるものでございます。
  113. 森田景一

    ○森田(景)委員 問題は、許認可制度があるわけですけれども、許認可制度を統合して、それで業者、事業者等に迷惑がかからなければ私は問題ないと思うのです。そういう行政の簡素化だから許認可も簡素にしてしまおう、そのために大勢の方が迷惑を受ける、こういうことになってはこれは行政の簡素化と言えないと思うのですね。その点どうですか。
  114. 阿部雅昭

    ○阿部説明員 先生のおっしゃるとおりかと思います。しかし、行政の簡素化の中には、現在の規制状況が適正なのか、将来的に見てどういう規制にしたらいいのかということもあわせて考えていく必要があるというふうに思います。  そこで、現在のように船内事業と沿岸事業といったものを分けて免許制をとることが現在のこういう港湾情勢あるいは将来の情勢から見て適当かといいますと、それは将来的にはやはり統合した形で進むのが望ましい、そういう方向を打ち出すことが行政の簡素化になるのではないかと考えた次第でございます。したがいまして、既存事業者に関して迷惑をかけるといったような点につきましても当然私ども配慮しなければならないと思いますので、その点につきましては経過措置で十分、例えば、現在事業をやっている方が過分な負担をかけられるとか、一定の期間内に事業の内容の強い変更を迫られるといったようなことがあっては過当な義務を課されることになると思いますので、そのようなことがないように経過措置を設けたところでございます。
  115. 森田景一

    ○森田(景)委員 昨年九月に免許基準を大幅に改定した、こういうふうに聞いておりますけれども、その内容について御報告いただきます。
  116. 一色昭造

    ○一色説明員 港湾運送事業免許基準といいますものは、実は施設と労働者中心に組み立てられております。  それで、昨年まで適用されておりました免許基準は、実は港湾運送事業法と同じように今から十七、八年前の昭和四十一年に制定されたものでございます。今日まで十七、八年間その古い免許基準が生き続けてきたわけでございますが、御案内のとおり最近港の様相が既に一変しております。そういうことで私どもとしては、現行の免許基準を改めない限り事業者さんあるいは関係各方面に過分の負担をかけるのではないかということから、免許基準を見直そうということを実は決意したわけでございます。  その結果、全国九十七港におきまして地方海運局を通じまして荷役実態あるいはその港ごとの取り扱い品目はどういう形になっておるのか、荷役能率がどう変わってきておるのかというようなこと、あるいはさらにそれを適用した場合に個々の事業者さんにどう適用になるのだろうというようなことを実は細かく検討いたしまして、結果的には昨年九月に新しい免許基準を出しておりまして、全国の海運局に通達を出したわけでございます。  具体的に申しますと、例えば東京でございますと港湾労働者の数が減ってございますけれども、そういうよう荷役の能率に合わせて新しい免許基準、施設、労働者というものを見直していくということで改定したわけでございます。
  117. 森田景一

    ○森田(景)委員 今日の運送合理化の中で特に革新埠頭での物流システムの経済合理性が貫徹できるよう免許等規制弾力化をねらったものであり、また競争原理導入という経済原則に基づいた強い企業が残り弱い企業はつぶれるといういわゆる優勝劣敗の方向がとられようとしているのだ、実はこういう意見が今回の法改正についてもあるわけでございます。この点についてはどうでしょう。
  118. 阿部雅昭

    ○阿部説明員 私どもは、港湾運送事業免許制として特に需給関係ども厳しくチェックしてその運用に当たっているわけでございます。したがいまして、免許を受けた事業者間のサービス的な競争はもちろん行わなければなりませんし、そのような形での努力がそれぞれの事業者において日々行われておるわけです。  今回の法律改正と申しますのは、現在行われておる船内あるいは沿岸の事業は現実には一貫してやっている方々が多いということをとらえ、そういうものを新しい港湾荷役事業としてとらえる。あるいは基盤につきましても、はしけ基盤というものがはしけの減少により極めて形骸化している、一〇〇%元請がやっても実際にはしけで運送している貨物は、京浜港の場合平均しますと三%ぐらいである、基盤と言いながら実質的な基盤になっていないよう状況、これはおかしいので改定していかなければならないだろうということで改正したわけでございまして、今回の改正が何か起爆剤という形で優勝劣敗といったような問題が業界の中で起こるというふうには考えておりません。
  119. 森田景一

    ○森田(景)委員 本当に大丈夫ですか。
  120. 阿部雅昭

    ○阿部説明員 私どもは、免許を受けた事業者の健全な育成ということを原点に行政指導なりその他もやっておりますので、今回の改正先生が御心配になるよう方向ではないように十分配慮して運用し指導してまいるつもりでございます。
  121. 森田景一

    ○森田(景)委員 実際のところ、この港湾荷役事業に統一されることによって廃業に追い込まれたりあるいは吸収合併せざるを得ないよう事業者も出てくるのではないか、こう懸念されるのですけれども、そういう心配はありませんか。
  122. 小野寺駿一

    小野寺政府委員 今回のこの法律改正におきましては、船内と沿岸荷役の統合後におきましても既存の船内荷役業者あるいは沿岸荷役事業者が今までと同じよう事業を引き続いてできますように経過措置を手当でいたしておるわけでございますので、船内、沿岸の統合が直接の原因となって事業が廃業に追い込まれるというふうなことはないものと考えております。しかしながら、事業者の約八割が中小零細の事業者でございますので、このよう事業者につきましても各社の創意工夫と企業の努力で一貫荷役の担い手たる港湾荷役事業移行できますようなことになることを私どもといたしましては期待いたしておるわけでございまして、できるだけの指導支援をいたしていきたいと思います。重ねて申し上げますが、この法律改正を契機として廃業に追い込まれるというふうなことはないというふうに考えております。
  123. 森田景一

    ○森田(景)委員 それでは、この船内荷役事業、沿岸荷役事業の免許の保有状況について御報告いただきます。
  124. 阿部雅昭

    ○阿部説明員 現在の事業者の数を数字で申し上げます。  現在全国で船内または沿岸いずれかの免許を持っている方は千十七業者ございます。その中で両方の免許をあわせ持っている事業者が三百七十六、船内だけの免許を持っている事業者は二十七、沿岸だけの免許の事業者は六百十四というのが五十八年十月一日現在の免許の状況でございます。
  125. 森田景一

    ○森田(景)委員 この船内と沿岸両方の免許を持っている事業者は、問題なく今度の法改正でも港湾荷役事業ということで免許が取れるだろうと思うのです。心配なのは、それぞれ単独で免許を持っている事業者、船内荷役事業が単独で持っているところが二十七、それから沿岸荷役単独で免許を持っているところが六百十四、こういう御報告でございます。この船内二十七、沿岸六百十四の事業者のうち港湾運送事業免許を取れる可能性のある事業者幾つぐらいあるのですか。
  126. 阿部雅昭

    ○阿部説明員 お答えいたします。  現在の経過措置では、船内だけをやっておられる方あるいは沿岸だけをやっておられる方はこの法律の施行後六カ月以内に届け出をしていただけば新しい港湾荷役事業の限定という制度が現在審議中の法律案の中で認められておるわけですが、船内に関する限定あるいは沿岸に関する限定の免許を受けたという形で将来的に永続的に事業ができるという形になっております。  そういう方が、単に船内だけあるいは沿岸だけということではなしに、将来的に一貫して港湾荷役事業ができるようなことを計画し、またそのような需要に応じていこうということを期待されている方が多いかと思いますが、私ども、一方、免許基準の運用といたしましては、やはり港における一定の需給関係の判断をしなければなりませんし、また、その方々が両方の事業をやります場合には新規の荷主を獲得し、施設あるいは労働者といったものも拡大した形で持たなければならないといった要請もございますので、短期間のうちにそのような形での一貫の港湾荷役事業が営める免許を取るということは困難な方が多いと思います。しかしながら、そういう方は今後とも現在免許を持っている範囲内での事業の継続を認められておりますので、その分では事業の運営について保証されているということは経過措置で認められておるわけでございます。  ただ、その方々の中でも、私ども希望調査的なことを地方の海運局を通じてやっておるわけでございますが、完全に現在時点でどの程度の方々が、新しい分野への進出を含めて免許申請をされるかという的確な数字は持ち得ませんが、希望的なものを入れますとおおむね一割程度の方々がこの法律が施行されればとりあえず届け出をした上で限定の免許を受け、さらに将来的に拡大していこうということについて免許申請したいというような希望を持っておられるというふうに聞いております。
  127. 森田景一

    ○森田(景)委員 今、経過措置の話が出ましたけれども、この経過措置については附則で規定されているわけでございます。どういうことかと言いますと、現に船内荷役事業または治岸荷役事業の免許を受けている者は、この法律の施行の日から六月間は、新法の規定による港湾荷役事業の免許を受けないでも、当該事業を引き続き営むことができる、こうなっておりますね。もう一点は、前項に規定する者は、この法律の施行の日から六月以内に、従前の事業の範囲内で当該事業を引き続き営む旨を届け出たときは、港湾荷役事業の免許を従前の事業の範囲に限定されて受けたものとみなす。これは今御説明になったとおりでございます。  それで、経過措置なんですけれども、今経過措置があるから大丈夫だとおっしゃったんですが、実はこの経過措置が六カ月ということになっているわけです。しかも、今の御説明によりますと、単独で免許を受けている事業所の約一割ぐらいしか今のところは引き続いて免許を継続しようという意向は見当たらないという状況ですから、六カ月というのは非常にきつい経過措置だと私は思うのです。ですから、六カ月以内に新たに免許を取得しなければ廃業するかあるいは他の事業所に吸収、合併されるか、どっちかしかないわけです。  これは私、実はいろいろと港湾局の方にいただいた資料、五十八年十一月に港湾局で現行と改正の免許の一覧表をいただいたのです。最近のには「六カ月」と書いてあるのです。この十一月のを見ますと、経過措置には「○年間」とある。御存じでしょうか。
  128. 阿部雅昭

    ○阿部説明員 私ども、この経過措置をどのような形で設けたら一番適当なのかということにつきましては、昨年の秋以来いろいろ案を検討しあるいは法制局等とも相談したりいたしたわけでございます。先生のお手元に差し上げた資料、当時我々どういう形で経過措置を設けたらいいかという一つ検討過程の案を差し上げたものだと思います。その際には、経過措置としては現在船内あるいは沿岸あるいは両方持っている方すべてについて免許申請をしていただくか、それで全部審査をして免許をするということが適当なのか、こういうよう考え方をとった時点がございます。ただ、そのようなことをやるのは、通常免許基準規制が非常に厳しくなったとか、新しい免許区分が設けられたとか、あるいは許可制がつくられたとか、運輸省でもいろいろな道路運送法あるいは内航海運業法等でも過去に例があるわけでございますが、従来ない規制を加えていく場合に、そのような二年間あるいは三年間といったような経過措置を設けて、それ以内に、その範囲内で免許申請をしていただいて、免許するかしないかの判断をするというよう一つの例がございます。  私どもも、当時はそのような例に準じてやった方がいいのかということを考えましたが、今回は船内あるいは沿岸という形で既に免許を取っておられる方、そういう方が時代の要請に応じて統合する方向で免許も一本化した方がいいということですので、特に新しい厳しい基準を設けたということではございません。そういう意味では、既存事業者についてはできるだけ既得権的なものの保護を図るべきである、そのようなのが法制的にもよかろうという判断になったわけでございます。  したがいまして、六カ月間といいますのは、先ほどの例のような形での厳しい免許申請をするということではございませんで、届け出をしていただく。その届け出事項も、当面私ども考えておりますのは事業者の氏名、住所それから現在限定を付されている事業の範囲、それからどこの港湾でやるかという現にやっておる港湾の名前、それから現在免許を受けておられるその免許の基準に該当する施設、労働者の数をどれだけ保有しているかといったようないわば現状報告的なものを届け出をしていただく。そうしますと、私どもそれを受けまして、一応は書面的にはチェックいたしました上で、免許状で、ただし業務の範囲を限定した形での免許状を差し上げるという極めて手続的には負担のかからない手続であるというふうに考えております。  したがいまして、六カ月たって新しい免許をもらえなければ事業を廃止しなければならない、そういうことに追い込まれるのではないかということは当たりませんで、むしろ届け出ていただければそのまま継続して、業務の限定がつく場合はそのようなことが記載された免許状が交付されるという形になるわけでありますので、若干、私ども説明不足で、先生に十一月の段階の資料等をお配りしたために誤解を与えたかと思いますが、現在の経過措置はそのよう趣旨でございますので、御理解賜りたいと思います。
  129. 森田景一

    ○森田(景)委員 それでは、改めて確認しておきますけれども改正法が施行されましてそれから六カ月以内に船内荷役、沿岸荷役事業主の方々が届け出をすれば、将来ともにこの事業が引き続いて継続できる、こういうことでよろしいわけですね。
  130. 阿部雅昭

    ○阿部説明員 現在、免許を受けておられる事業の範囲内での事業は、将来的に継続できるということでございます。
  131. 森田景一

    ○森田(景)委員 次は、新基盤をつくることになるわけでございます。新基盤をつくることによって、それでなくとも、先ほど来の説明のとおりはしけ基盤というのはかなり減少しておるということでございます。さらに一層はしけ基盤が圧迫されてくるのではないだろうか、こう思うのですが、その点どうでしょうか。     〔浜野委員長代理退席、鹿野委員長代理     着席〕
  132. 阿部雅昭

    ○阿部説明員 新しい基盤を設けた場合に、従来はしけを基盤としながら、実際には事実上余り機能しないはしけを抱えておった、はしけを基盤としたためにその基盤を切り離せない、そのためにはしけの対策にも参加できないというよう事業者が、新しい基盤、いわゆるコンテナ埠頭等における施設基盤に切りかわるということはあり得ると思います。これらの方々の数がどの程度見込まれるかということの調査結果でございますが、五大港で一般港湾運送事業を営んでおる方々ではしけを基盤としておられる方、百六社のうち四十五社ございますが、これらのうち半分くらいの方が一年あるいは二年をかけて基盤を切りかえていくということはあり得るというふうに私ども想定いたしております。しかしながら、その影響が大幅に出るかといったようなことにつきましては、はしけに乗っておられる方で基盤の変更の対象として関係が出てくる方は二年間で百八十人程度ではないかというふうな想定をいたしております。  はしけにつきましては、非常に過剰状況であり、過去三度にわたった買い上げ等も行いましたが、なお過剰の状況だというのが現状でございますので、私どもはしけ対策というものを今後も新たなものとして検討する必要があるというふうに考えておりますが、基盤の変更によってはしけがどのよう形態になるかといった問題につきましても、はしけが共同で能率的に運航されるよう一つ輸送形態をつくり出したらどうかという検討が横浜でも行われておりますし、私ども必要なはしけは有効に機能していくことを希望しております。  ただ、どうしても過剰なはしけの中から出る労働者の雇用問題等につきましては、基盤変更というものが事業計画の変更になりますので、私ども単に申請すればすぐ基盤が変えられるということではなしに、基準を変更するための諸条件の整備状況を十分チェックする予定にしておりますし、その間につきましては、職種転換その他の労働者対策といったものが労使間でどのように話し合われたのかといったようなことについても十分チェックし、事業者の指導を行いたいと考えております。  なお、その際どうしても出る、あるいは職を離れなければならない労働者の対策といったものにつきましては、国の行っております各種の不況業種対策とあわせまして労使で合意されております雇用、生活に関する五・三〇協定の内容を強化し、そのような対策にも万全を期してまいりたい、そのような指導もしてまいりたいと考えております。
  133. 森田景一

    ○森田(景)委員 時代の変遷によりまして物流構造が変化しておる、これはやむを得ないことだと思います。しかし、行政の立場から見ればやむを得ないで済むわけではありませんで、新しい変化に対応できるように指導していくというのが行政の立場であろうと私は考えておるわけでございますが、その点はいかがですか。
  134. 小野寺駿一

    小野寺政府委員 先生指摘ように、時代が変化していく、発展していく、そういう発展に行政も対応していかなければならないというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、今回のこの法律改正に関しましてもそういう観点から、時代状況の変化、要請の変化に行政の面でも十分対応できるようにというふうな観点を十分含めて対応しているつもりでございます。
  135. 森田景一

    ○森田(景)委員 法律改正ということが、ややもしますと、大企業立場を守り、そして弱小企業が滅びていくという、そういうケースをつくり出す懸念が間々あるわけでございまして、特に先ほども答弁がありましたけれども港湾労働者事業所がつぶれてしまえば職場がなくなるわけでありまして、本法改正案に伴いまして、港湾労働者がそうした不安を抱かないで安心して働けるような、そういう適切な措置が必要だと私は考えるわけでございます。この点については先ほど答弁がありましたので、要望しておきたいと思います。  それから、先ほどのお話にありましたけれども一般港湾運送事業者の約半数がはじけ運送を基盤にしている、こういうことであるけれども、最近、はしけ運送量が減少している、こういうふうにいろいろと御報告になっているわけですが、この実態はどうなっていますか。
  136. 一色昭造

    ○一色説明員 港湾運送事業は、昨年、一昨年とも、世界景気の低迷といいますものを反映いたしまして、港湾運送全体で見ましても対前年比マイナス、具体的に申しますと、大体二・五%から三%ぐらいの低迷を来しております。その原因は、世界景気の低迷、貿易の低迷ということもさることながら、木材関係、特にローカル港におきます木材の扱いが非常に減ったというようなことでマイナスを記録してございます。その中でも特にはしけ運送につきましては、これは第三次の買い上げをやりまして需給のバランスを若干図れたということで、運送量がふえるのではないかというようなことも期待いたしましたけれども、結局は逆に、全体が二%ないし三%マイナスを記録している中で、はしけ運送については一五%ぐらいのマイナスを記録しております。そういうことで、特にはしけにつきましては構造不況が激しいというふうに我々は認識してございます。
  137. 森田景一

    ○森田(景)委員 パーセントでいろいろと話をしますと、確かにはしけ運送量は減っているように見られるわけです。私の資料で見ましても、昭和四十五年にははしけ運送がかなり大きなウエートを占めておりまして、革新運送の方は少なかったわけでございますが、それが昭和五十年になりますと、大幅に革新運送量がふえてきているわけです。しかしその後、五十年からずっと見ていきますと、確かに、全体の運送量がふえておりますから、パーセントは減っておりますけれども、この絶対量としてはそんなに減っていない、こういう資料があるわけでございます。  このパーセントと絶対数と、要するにはしけというのは、一そうについて何トン、こうなるわけだと思いますが、絶対量が減らなければそんな重大問題にはならないだろうと私は考えるのです。港湾運送量が大変ふえておりますので、パーセントは確かに小さなパーセントになっているが、この辺の見方はどうなんですか。
  138. 一色昭造

    ○一色説明員 先生指摘ように、昭和四十五年ごろでございますと、全国のはしけ運送量というものが七千九百万トンぐらいございまして、それが年々、五千万トン台に落ちまして、さらに四千万トン、さらに、五十七年でございますと三千六百万トンぐらいに落ちているということで、若干ながらといいますか、パーセントでは非常に減ってきておりますが、具体的な輸送量につきましては、現在のところ三千六百万ぐらいでとどまっております。  問題は、これがどこら辺まで落ちるのか、あるいはさらにもう少し落ちていくのかというような点、それから、現在のはしけ運送量に対しますはしけの船腹との関係、要するに、需給バランスがどれぐらい過剰なのかという二点だろうと思います。  はしけの将来に対しましては、やはり長期的に見ればこれは若干ずつ、あるいはもう少し減っていくのではないかという気がいたします。ただ、はしけの特性と申しますか、例えばプラント類のような不定型貨物、要するに、トラックで運ぶことがなかなか不可能なような、どちらかといいますと重量物の貨物、それからばら貨物、それから片舷はしけに係ります貨物というもの、あるいは例えば東京湾内のように東京と千葉との間の輸送というようなものにつきましては、やはり固有の需要がそれなりに残るのではないかというような気がいたします。現在のところ、五大港につきましてはいろいろはしけの需給回復努力をいたしておりますけれども、かた目に見ますと大体三割ぐらい、多目に見ますと大体五割、約半数がはしけの船腹がなお過剰ではないか、このように見ております。
  139. 森田景一

    ○森田(景)委員 時間が参りましたので、以上で終わります。
  140. 鹿野道彦

    鹿野委員長代理 梅田勝君。
  141. 梅田勝

    ○梅田委員 港湾運送事業法改正案につきましてお尋ねをしたいのでありますが、港湾といいますのはおかと違いまして、陸と海との接点という事情の中で違った形態があるわけであります。非常に前近代的な労務支配、かつてこれは重大な問題になったこともございます。それから、事業の波動性によりまして仕事が非常に不安定だという問題がある。それから、元請と下請の関係、そこには、認可運賃も実際は守られていないとか、労働者の賃金が非常に安い、そういった非常に重大な問題が存在をしているわけであります。  港湾運送事業法、それから港湾労働法、この二つの法律が、零細な業者の利益を大資本の横暴から守る、また労働者の賃金や労働条件をしっかりと守っていく、そういう点で重要な役割を果たす法律として今日までつくられてきた。港湾運送事業法目的に対しましても、一定の秩序を確立するとか、あるいは港湾運送事業の健全な発達というものを目的にしております以上、今回の改正におきましては、そのような法の目的としたところが生かされるよう改正でなければならないと思うわけでありますが、先ほど来随分と議論が展開されておりますので、余り重複したことは伺わないようにいたしますけれども、実際は不安を感じている方々が多いわけであります。  確かに革新荷役が出現をしましてから、形態が変わりますから、そのあり方につきましても再検討が必要だということはわかるわけでありますけれども、しかし、資本主義の世の中におきまして、資本が目指しておりますものは、常に最大限の利潤だ、工場の中では合理合理化で、とにかくビス一本でも節約しろということでやっておるわけですから、これ以上絞り出すためにはどこをねらうかということで、流通の合理化ということがねらわれてきて、今日一貫輸送体制というものがどんどん進行し出してきたと思うわけであります。  結局、資本のねらいますものは、最高の利潤の追求だ。そういう点を考えますと、いろいろ技術革新によって起こるものは、労働者技術革新によってその利益を享受するということよりも、労働者は一層過酷な条件に追い込まれて、資本の方はもうけを確保する、そういう方向になるものでありまして、この法則というものは絶対に変わらない、制度そのものがなくならない限り私は変わらないんじゃないかと思うわけであります。そういう立場で、今回の法改正というものを見詰めていく必要があるのではないかと思うわけであります。  ですから、そこに働く労働者がどうなるか、あるいは下請の業者というものが一体どうなるか、こういう観点で見ることが大事であろう。かつては暴力団が支配した港湾というものが、大企業が支配するというようになってきておるわけでありまして、そこのところを明確にする必要がある。先ほども議論があったわけでありますが、従来の基盤が新しい統括管理の基盤に移行する場合、船内と沿岸の一本化によりまして、当然新しい基準というものが設けられる。先ほども議論になっておりましたけれども、例えば船内三十五人それから沿岸が五十人という体制で、合計いたしますと八十五人だが、これを一本化したら八十五人になるのか、合理化して減るのか、そこらあたりの新しい計画の基準というものはどうなのかということで、当然疑問が出てくるわけでありまして、港湾に働く労働者は、やはり減ればそれだけ人が減るわけですから、雇用不安というものは当然起こるというように思うわけであります。  日本港運協会の常任理事会におきまして、運輸省の幹部が行ってお話しになっておりますが、その中におきましても、法改正を契機にして混乱が起きることのないようにという御心配をなさっておりますけれども、これはもう当然労働問題が起こるということを念頭に置いてやっておられるわけでありまして、そこらあたり労働者の職域が守られるように配慮すべきだと思うわけでありますが、まずこの点について運輸大臣の御見解を賜りたいと思います。
  142. 細田吉藏

    細田国務大臣 お答え申し上げます。  今御質問の中に、港湾運送業というものがいろいろやっていくと、資本家だけがもうかって労働者はいつの場合でも不利になるというようお話がございましたが、それは私どもちょうだいするわけにいかない。例えば戦争直後の状況と今日の港湾労働者状況と比較した場合には、私は、かなりな待遇改善なりあるいは収入の増加なりあるいは生活水準の向上なりがあるということだと思います。ただ、相対的、比較的に水準はどうかというお話は、あるいはかなり苦しいものがあるということも事実だと思いますが、そういう意味でならばわからぬことはありませんけれども、一概に全部悪くなってしまうんだというお話は、いただくわけにまいりません。  私どもは、今度の改正によって労働者諸君の状況が悪くなるというようなことを実は毛頭考えておりません。むしろ私たちは、港湾運送合理化によってより合理的に数量の増加に耐え得る、こういうことを考えておるのでございまして、もちろん不況で荷物が減れば、これは企業をやっておる者も、それから働いておる者もそれだけ困るわけでございますけれども、この法律改正自体によって非常に不利を招くということは、私どもは全然考えておらない。むしろそれは守られなければならないと考えておる次第でございます。
  143. 梅田勝

    ○梅田委員 技術革新がどんどん進んで、いわゆる革新荷役というのができてきた。これは確かに生産性はぐっと上がりますね。最近、海運の状況も停滞だということでありますけれども、過去と比べたらうんと事業量はふえてきている。しかし、常用労働者の推移というのをいただいておりますけれども、これが四十九年のときには九万三千百四十七人がだんだん減って、五十七年には七万九千三百人、先ほどもお話しありましたけれども、減ってきている。それからいわゆる港湾労働法による登録日雇い労働者、六大港におきまして、かつては五千百二十人おったのが今度は千四百六十二名と減ってきておるのは事実でしょう。能率が、生産性が高くなったから労働者は減るという解釈かもしれませんけれども実態としては非常に労働強化が来ている。あるいは後で読んでみますけれどもコンテナ化によりまして港湾労働者の職域が陸上運送の方に侵されてきているという実態があると思うのですが、どうですか。
  144. 小野寺駿一

    小野寺政府委員 技術革新と労働の場との関連及びその賃金水準というふうなものとの相関関係というふうなことが御質問趣旨なのではないかと思いますが、技術革新という観点からいたしますと、例えば戦後の我が国におきまして、何回かの節目になるよう事態もひっくるめながら、非常に大きな技術革新を伴いながら、我が国全体が発展してきたと思うわけでございます。そういう我が国全体の技術革新発展とあわせて、その中身として各分野における生産分野での技術革新輸送分野での技術革新というものがあり、また輸送の中におきましても海運の技術革新があり、港湾荷役にかかわる技術革新というものがあったのだろうと思います。  そういう中での港湾荷役技術革新というのは、戦後貨物が非常に増大するという状況と、それをこなすための技術革新合理化というふうなものとがかみ合って今日に至っておる。それで量的な拡大技術革新の程度というものは、製造分野あるいはサービスの提供をする分野ごとにそれぞれみんな違うわけでございますが、その中で港湾荷役の場面におきましては労働者の数がある時期をピークとしながら減少するという事態があった、こういうことなんだろうと思います。したがいまして、技術革新が進んでいるから労働力の数、職場の程度が減ったというふうなことではなくて、総体的にそれらのいろいろ現象が進んでいって、その結果として港湾に関してはこういう数字が残ったということだろうと思っております。なお、その際に、技術革新というものがもしなければどういうことになったかということを考えますと、これはいろいろな考え方があるかもしれませんけれども我が国港湾におきましては、商品の国際競争力が十分でないとかいろいろな経済社会の大きな問題を残したに違いないということは言えると思います。
  145. 梅田勝

    ○梅田委員 理想としましては、技術革新が進めば労働時間が短くなって賃金がよくなって、そして労働者の数は全体としては以前と同じかむしろふえてもいい、これが一番理想的な形態ですよ。生産性が上がったらそのかわりに人を減らす、あるいは週休二日制の問題でも、そのかわり一日当たりの労働時間を大きくするとかさまざまな形で実質的には労働強化になっているのです。数が物語っているのです。だから、これは議論しても平行線をたどるかもしれませんけれども、私はそこが一番肝心だと思うのです。港湾労働法というのは港湾で働いている労働者の職域を守るという立場でつくられたんだし、港湾運送事業法だって同じことだと思うのです、片っ方は業者のあれですけれども。  そこで、海上コンテナがどんどんふえておるわけでありますが、これによって従来の港湾労働者の職域が著しく侵害されている。それを守るため、先般、四月二十四日から三日間、港湾労働者ストライキをやりまして、ストライキというかコンテナに対しての重点闘争をやられまして、そして証明書を持っていないのはチェックした。どれくらい挙がりましたですか。
  146. 一色昭造

    ○一色説明員 要するに、港頭地区でいわゆる港湾労働者の手にかからないコンテナの搬入を阻止するという闘争だったかと記憶しております。  その本数につきましては、私ども承知しておる限りではおおむね百六十本というふうに聞いております。
  147. 梅田勝

    ○梅田委員 百六十本ですか。全国港湾のニュースによりますと、十の港湾におきまして百八十八本が搬入を阻止したという記録が出ておりますが、今のは河港ですか。
  148. 一色昭造

    ○一色説明員 もう一度確認申し上げますが、初日の二十四日が六十一本でございます。それから次の日が五十九本、最後の日が六十四本で合計百八十四本でございます。――失礼いたしました。私、申し上げましたのは、六十四のところの数字を百六十本と申し上げまして、三日目の数字の誤認でございます。港は、東京、横浜、名古屋、大阪、神戸、九州、それから清水、四日市、博多でございます。
  149. 梅田勝

    ○梅田委員 今のは九つだと思うのですね。十で百八十八本のコンテナを阻止した。言うなれば、これは法の裏をかいてきたもの、これを港湾労働者は権益を守るために頑張って阻止したということでありますが、聞いてみますと、潜ってきた、潜ろうとしたコンテナの中には日産とか松下電器、ナショナル、こういう我が国の大手が潜り込もうとしておる。だから、港湾労働者は何ぼ頑張ってもこういう無法者が通行するので職域が侵されている、これが実態だと思うのです。これを正すのが行政じゃないですか。いかがですか。
  150. 阿部雅昭

    ○阿部説明員 いわゆるドア・ツー・ドアの輸送というものの最適な輸送手段としてコンテナ進展しているということでございまして、ドア・ツー・ドアのコンテナ輸送のそのような趨勢を私ども否定するわけにはまいらないと考えております。したがいまして、現在コンテナがドア・ツー・ドアという思想のもとに工場から詰めて港を経由して諸外国に出ていくというよう輸送形態がだんだんふえてきているということは事実だろうと思います。また、そのような行為を、港湾労働者の手を経ないからという理由で私ども違法であるということを言うわけにはいかないと思います。港湾区域内でのバン詰め、バン出しあるいは沿岸荷役、船内荷役に相当するような行為を無免許でやっておるというようなことがあればそれは違法でございますが、内陸部でコンテナにバン詰めして、それを道路運送法の免許を受けた事業者が港頭地区に運び込むという行為自身は違法ではないというふうに私どもは考えております。  また、そのよう進展によりまして、港湾運送事業者の方も、港湾だけを場としてそこで作業なり労働力を提供するだけの体制であってはならないというふうに現在考えを発展させておりまして、新しいコンテナの動きに対しては自分たちも対応していかなければならない、自分たちも内陸部に道路運送法の免許を自分で取るあるいは子会社に取らせるというような形でも参加しているといったのが実態でございまして、やはり港湾労働者の方々も事業と一体的にそのような近代的な動きには対応をしていただく必要があるんじゃないか。したがいまして、先ほど百八十八本と先生おっしゃいましたが、そのようなものが違法であったから阻止されたというふうには私ども考えておりません。
  151. 梅田勝

    ○梅田委員 運輸省が大体そういう考えたから、港湾労働者の権益が守られない、だんだん労働者の数が減っていくということだと思うのです。  税関の場合は大体出張してやるのですね。これは六カ所ですか。ちゃんと保税地区を設けてやる、出張しますよ。検数だって日本貨物検数協会、それから全日本検数協会がそれぞれ内陸地区におきますコンテナ貨物の検査を出張してやっています。いただいた資料によりますと、これは余り多くありませんが、月間五万三千五百四十四トン、大体年間の総扱い量の約一%くらいですか、こういう実態ですか。
  152. 阿部雅昭

    ○阿部説明員 お答え申し上げます。  内陸部におけるコンテナのバンニングあるいはデバンニングという作業につきましても、港湾の会社あるいは検数、検量という方々がいろいろな形で出ていっているというのが実態でございます。その数字につきましては、私ども法定の報告事項というようなことで正確にとらえているわけではございませんが、最近における内陸のコンテナのバンニング、デバンニングの調査というものを検数協会等に依頼して調査資料を求めておりまして、その結果を見てみますと、こういう検数事業者等も港湾運送事業者とタイアップして業務量の増大を図るという意味から内陸の検査に立ち会っているということで、日本検数協会の場合は対象事業者百四十六社、取扱量三万八千七百八十トン、これは平均一月の量でございます。延べ人員で二百二名がそのような検査に出張しているというふうに聞いており、場所的にも東京周辺についてみますと、栃木県、埼玉県を初め神奈川県の例えば相模原市ですとか、千葉県松戸市など、臨海地区よりも相当離れた内陸まで進出しております。これを全日本検数協会の方の数字を見てみますと、検査対象社数は百五社、取扱量一万四千七百六十トン、場所も神奈川県の大和市、厚木市、千葉県松戸市、埼玉県戸田市、川口市といったような内陸部の工場等に進出して、現実にはそのような検査をやっている。そのパーセントを取扱トン数のシェアで申しますと、日本検数協会の場合はトン数シェアで四・三%、全日本検数協会の場合では三・三%というふうに承知しております。
  153. 梅田勝

    ○梅田委員 この二つの協会につきましてはそんな率ですけれども、全体としてはコンテナの数に比較いたしますとほんのわずかだということだと思うのです。結局これは、大手の会社はなるべく流通経費を少なくしたい、検数の関係でも省きたいというわけでありまして、そういう節約、節約という見地で、認可運賃についても結局ダンピングするという材料になって、ここらあたりはもともと港湾労働者が職域としていた分野でありますから、船に積んでいく以上は港湾労働者の職域という形できちっとした指導をすべきであるというように要望をしておきたいと思うわけであります。  私は時間を三十分しか与えられていない。そこで委員長にも申し上げたいのでありますが、大体重要法案については二時間以上質問をお願いしておるのでありますが、なかなかそれだけの時間がないということで三十分しか与えられていないのが非常に不満でございまして、ゆっくりやれないのが残念ですが、御答弁の方もひとつ簡単にお願い申し上げたいと思います。
  154. 鹿野道彦

    鹿野委員長代理 質問時間は理事会においてきちっと決めたことでございますから、それに従っていただきます。
  155. 梅田勝

    ○梅田委員 十六条の関係と下請問題についてお尋ねしたいのでありますが、結局これによって下請規制がうんと緩くなるんじゃないかという危惧が生まれております。そうしますと、今でも荷主と元請の関係においても認可運賃が守られない、元請から下請へいったらさらにひどい状態になる。このひどい実態については何遍も国会で議論になりまして追及されておるところでありますが、もうひとつはっきりした調査もやられていないというので、ぜひそういったものは今後調査もしていただきたいということであります。  今回、下請の問題について、基盤を持っておるものは下請については緩くなるわけです。ですから、法律でそのことを認める以上、私は下請に対する運賃料金についても認可するというような法制化を図るべきではないかと思うのでありますが、いかがでございますか。
  156. 阿部雅昭

    ○阿部説明員 お答えいたします。  不払い料金認可制にしたらどうかという御指摘でございますが、私ども事業法が第一義的に決めておりますのは、ユーザーと事業者との間の規律ということでございまして、認可についてもこのようなものを対象としてとらえるというのを第一義的なものというふうに受け取っております。さらに、内部的に元請と下請との経済関係については多種多様なものがあり、一律にこれを律することは必ずしも妥当でないということで、これを直ちに認可制とすることについてはいろいろ問題があるというふうに考えております。  ただ、内部的に不払い料金を適正にすべきだという御趣旨については、港湾審議会等からもかつて指摘があったことでもございますし、私ども日本港運協会等の指導等を通じまして、そのよう一つの基準的なものを決めて運用するようにといったような指導もしておりますので、今後とも個別、具体的に事業者を行政面でも指導するという方向で進めたいというふうに考えております。
  157. 梅田勝

    ○梅田委員 少なくとも元請がピンはねして、そして安い安いので、一番ひどいのが三十何%だったですね。これはひど過ぎるわね。何ぼ管理費が要ると育っても一割ぐらいでいいんじゃないですか。それを半分以下どころか三十何%という状態で下請が仕事をしている、これは倒産するのが当たり前ですよ。こういうことは改めるべきだと思うし、法制によって練るべきだと思うので、強く要望しておきたいと思います。  それから、時間がありませんので特殊料金についてはまだ同僚議員にやってもらうことにして、山下埠頭が陥没をしておりますね。これは時間がないのでこちらの方で申し上げますと、昭和二十八年に着工して三十八年に完成をした。たった二十年しかたっていないのに三つのパースが陥没してしまっている、百メートルにわたって落ち込んじゃっている。それで現在使用停止になっている。これは重大な損害だと思うのです。当然入るべき入港料等が入らない。この損害は幾らですか。それからもう一つは、復旧しなければなりませんが、復旧費は幾らですか、御答弁願いたいと思います。
  158. 小野寺駿一

    小野寺政府委員 お答えいたします。  横浜の山下埠頭の供用を停止しておる状況対応しての入港料あるいは使用料収入の減収額についてのお尋ねでございます。これについては、その勘定のやり方という点について大変いろいろ議論があるところかと思いますが、従来使っておりました第三、第八、第九バースの入港料、使用料というものを過去の実績を前提として仮に計算をしてみますと、五千万円ぐらいになろうかということでございます。  それから、復旧に要する費用でございますが、第三バースについては約六千万円という費用で復旧工事を現在進めております。さらに第八、第九パースについては五十九年度においてこれを復旧するということを予定いたしておりますが、それに要する費用についてはおおむね十五億円程度を計上いたしております。
  159. 梅田勝

    ○梅田委員 わずか二十年にしてこんな状態というのは大変だと私は思うのです。これは個人が経営していたんだったら大変ですよ。首つらなければならぬ。これは国家がやっているのだから、第二港建の直営でしょう、直轄でやったのですね。重大な責任ですよ。損害が五千万円、それから復旧に十五億円。行革行革、節約せい節約せいと言っているときに、これは大変な損害だと思うのですよ。  横浜には大桟橋がありますが、明治二十二年につくって二十九年に完成したという八十八年たった桟橋がしゃんとしている。近代技術を駆使したというこの岸壁が、八十二億円の金をかけてつくったのがこんな状態。私は、これはちょっと考えてもらわなければいかぬと思うのですが、運輸大臣、いかがですか。この重大な問題、どう責任を感じておられますか。
  160. 小野寺駿一

    小野寺政府委員 この横浜の山下埠頭の岸壁、桟橋が部分的に陥没しているところがあるという点について御説明させていただきたいと思います。(梅田委員「責任だけを聞いているのです」と呼ぶ)  この岸壁につきましては、先ほどお話がございましたよう昭和三十八年までの間に大体つくった岸壁でございますが、御承知ように、当時、昭和三十五年前後を中心として我が国の主要港湾においては大変な船込みがございました。この船込みに対応すべく、横浜及び神戸等においては外国貿易のための埠頭を大至急という形で整備いたしたわけでございますが、その際の一つでございます。  これは、その主要構造材料として鋼管パイルを使っておるわけでございますが、その鋼管パイルの腐食の進行が非常に速かったというところにポイントがございます。この山下埠頭における腐食の進行が異常に早かったということにつきましての原因等につきましては、現在詳細に調査をいたしているところでございます。
  161. 細田吉藏

    細田国務大臣 おっしゃるように大変重大な問題だと思う。国がやった工事がとにかくこのよう状況になっておるということについてはやはり厳重に調査をしなければならぬと思いますね。それから、ほかに起こると大変ですから、よく調査をします。直すものは早く直さなければいかぬ、かように思っております。
  162. 梅田勝

    ○梅田委員 最後に一問だけお許しをいただきたいと思うのでありますが、今の件につきましては調査なさっておるようでありますので、調査の結果が出ましたら資料をいただきますようにお願いを申し上げたいと思います。  そのようなむだが一方で行われながら、実際港湾に働いている労働者の労働条件というのは非常に厳しいわけでありまして、先日神戸の六甲アイランドの新しく埋め立ててバースでつくったところですね、RORO船が来るというので見にいきましたところ、非常に広いところで休憩所がないのですね。水を飲むところもない。弁当は立って食わなければならぬ。お便所がない。私はそこに働いている港湾労働者実態を目の当たりにして、これは何とかしなければいかぬというように思ったわけでありますが、少なくとも野外で作業をいたします場合には、便所の設置というのは最低必要じゃないか。それから雨が降りました場合の食事をする場所ですね。どうしてもすぐできぬというんだったら、移動の便所もありますから、そういうものを配置すべきじゃないか。遠い遠いところに行かぬことには便所ができないというんでは、これはもうまことに深刻な問題だと陳情を受けましたので、そのことを最後にお願いを申し上げて私の質問を終わりたいと思いますが、いかがですか。
  163. 一色昭造

    ○一色説明員 神戸港のそういう福利厚生施設の現状につきましては、私どももポートアイランドにそういう施設が不足しているということは十分認識しております。ただ、非常に新しい港でございますので、きょう現在までそこまで整備に手が回っていないということでございます。今後、力を入れていきたいと思います。
  164. 梅田勝

    ○梅田委員 その移動便所ぐらいは置いたらどうですか。それはどうですか。もう一遍言ってください。簡単でしょう。
  165. 一色昭造

    ○一色説明員 その点も含めまして検討いたします。
  166. 梅田勝

    ○梅田委員 終わります。
  167. 鹿野道彦

    鹿野委員長代理 次回は、来る十八日午前十時五十分理事会、午前十一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十三分散会