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1984-04-20 第101回国会 衆議院 運輸委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月二十日(金曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長代理理事 鹿野 道彦君    理事 久間 章生君 理事 浜野  剛君    理事 三塚  博君 理事 小林 恒人君    理事 吉原 米治君 理事 近江巳記夫君    理事 中村 正雄君       加藤 六月君    小山 長規君       佐藤 文生君    田中 直紀君       近岡理一郎君    中馬 弘毅君       中山 正輝君    林  大幹君       若林 正俊君    兒玉 末男君       左近 正男君    関山 信之君       田並 胤明君    富塚 三夫君       西中  清君    森田 景一君       梅田  勝君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 細田 吉藏君  出席政府委員         運輸政務次官  津島 雄二君         運輸省鉄道監督         局長      永光 洋一君         運輸省航空局長 山本  長君  委員外出席者         行政管理庁行政         管理局管理官  稲葉 清毅君         防衛庁防衛局運         用第二課長   上田 秀明君         経済企画庁総合         計画局計画官  藤田  修君         環境庁企画調整         局環境影響審査         課長      加治  隆君         運輸省航空局飛         行場部長    松村 義弘君         建設省計画局地         域計画官    光岡  毅君         自治省行政局振         興課長     小島 重喜君         自治省財政局調         整室長     前川 尚美君         日本国有鉄道常         務理事     岡田  宏君         参  考  人         (新東京国際空         港公団総裁)  秋富 公正君         運輸委員会調査         室長      荻生 敬一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  関西国際空港株式会社法案内閣提出第三五号  )  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 鹿野道彦

    鹿野委員長代理 これより会議を開きます。  本日は、委員長が所用のため出席できませんので、指名により私が委員長の職務を行います。  去る十八日、内閣提出関西国際空港株式会社法案審査参考に資するため、大阪府に委員を派遣いたしました。  この際、派遣委員から報告を聴取いたします。浜野剛君。
  3. 浜野剛

    浜野委員 団長福家委員長にかわって、私が派遣委員を代表して御報告申し上げます。  派遣委員は、団長福家俊一君、鹿野道彦君、久間章生君、吉原米治君、児玉末男君、森田景一君、河村勝君、梅田勝君、それに私の九名でありますが、現地において、近江巳記夫君、中村正雄君、中馬弘毅君、中山王陣君、左近正男君、塩川正十郎君、玉置和郎君、中西啓介君、原田憲君、正木良明君、藤田スミ君の十一名が参加されました。  四月十八日午前九時五十五分、大阪国際空港に到着した後、直ちに同空港事務所において大阪航空局長末永明君から、同空港の沿革、経緯、現況及び航空機騒音対策概況環境対策事業実施状況等について報告を聴取いたしました。  午前十時四十分、同空港を立ち、バスにてロイヤルホテルに向かい、同ホテルにおいて同十一時二十分より地元代表者六人から関西国際空港株式会社法案に対する意見及び要望を聴取いたしました。  最初に、大阪府副知事中川和雄君からあいさつがあり、新空港必要性が強調された後、本法案早期成立、新会社への地方公共団体出資に必要な財源措置地元参加による協議会組織設置環境監視体制の確立、関係省庁の一体的な取り組みによる地域整備推進及び必要な財源措置など、事業主体環境保全地域整備に係る要望がなされ、次いで、大阪府議会議長浦浜恭一君から、無公害、二十四時間運用可能な空港実現要望するあいさつがありました。  続いて、和歌山企画部長勅使河原文雄君から、同県の社会資本投資の立ちおくれ、飛行コースの間近に位置する立場から、新空港計画推進とあわせて環境対策及び漁業振興推進並びに交通アクセスを中心とする地域整備についての要望があり、また、兵庫県副知事貝原俊民君から、大阪府、和歌山県と同様の要望に加え、漁業補償に十分配慮すること、大阪国際空港周辺整備機構の統廃合に伴う現大阪国際空港環境対策の後退をしないこと、さらに神戸沖地方空港早期実現についての特段の要望がなされました。  次に、貝塚市長吉道勇君から、泉南広域行政協議会長立場から、地域と共存共栄できる空港であること等を前提として新会社経営地元意向が反映されるような協議会設置事業実施段階での環境影響評価実施と、関係市町村代表構成員に加えた常時監視組織設置、そのほか関連地域整備、行財政上の助成措置についての要望がなされました。  次に、大阪商工会議所会頭里井達三良君が、関西国際空港実現は積年の悲願であるとして、その意義を述べるとともに、事業主体となる株式会社について、地元関西の官・公・民が協力して空港実現を目指すことは必要で、当然であるとした上、経済界として出資等に協力する意思を表明するとともに、本法案に盛られた助成特例措置実現湾岸道路等アクセス整備について要望が述べられました。  引き続き、事業主体株式会社になったこと、地元財政負担に対する助成措置成田並みでないこと、土取り場を極力公有地にすべきことのほか、環境監視機関具体的性格、八市五町の下水道の普及率及び整備に伴う地元負担額、新会社への人材派遣の問題、現大阪国際空港存廃問題等について熱心な質疑がなされ、午後零時三十分滞りなく、地元代表者との懇談を終了いたしました。  午後一時五分、同ホテルからバスにて大阪港に向かい、同一時四十分、ヘリコプター搭載海上保安庁巡視船「うらが」(三千八百トン)に乗船し、空港建設予定海域まで、往復二時間五十分の現地海上視察実施いたしました。その間、大阪企業局長浦西良介君から、地元泉州地域都市基盤整備のおくれなどの状況説明を、第三港湾建設局長前田進君から、空港調査概況説明を聴取した後、映画「海上空港建設に向って」を見、さらに、第五管区海上保安本部長新谷智人君から、海上保安業務概況説明を聴取いたしました。  また、四班に分かれてのヘリコプター搭乗による空中からの現地視察を行いました。  午後五時十分大阪国際空港に戻り、同空港において記者会見を行った後、同六時三十分発の航空機にて帰京いたしました。  以上をもって、派遣委員報告を終わります。
  4. 鹿野道彦

    鹿野委員長代理 これにて派遣委員からの報告は終わりました。      ————◇—————
  5. 鹿野道彦

    鹿野委員長代理 内閣提出関西国際空港株式会社法案を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案について、本日、新東京国際空港公団総裁秋富公正、君を参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 鹿野道彦

    鹿野委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  7. 鹿野道彦

    鹿野委員長代理 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中馬弘毅君。
  8. 中馬弘毅

    中馬委員 昭和三十年代の後半に日本航空需要が急増し、また一方でその騒音公害の問題も多発してきたような次第でもあります。その中にありまして、関西における公害のない空港という構想が浮かび上がりましてから二十年、ようやくここに一つの具体的な法案という形で実施の運びになったことを私ども喜んでおります。この委員会でも、常々何度か私もいろいろな提言をなし、このあり方についても質問をいたしてまいりました。大体その方向で今回の法案がまとまりましたことをこれまた評価するものでございます。しかし、これが実施に移るに当たりまして、まだまだ詰めておかなければいけない問題がかなりございます。そうしなければ、これを任された株式会社経営陣にいたしましても、これが実際にどういう形で経営したらいいのか、どういう条件を付与しなければいけないのか、非常に困るような事態にもなろうかと思いますので、その辺も少し詰めてまいりたいと思います。  まず、この関西国際空港性格でございますけれども、第二条には「国際航空路線に必要な公共用飛行場」こうなっております。「国際航空路線」と書いておりますが、国際路線専用なのか、あるいは国内路線併用さすのか。これは伊丹との関係がございまして、伊丹は御存じのように騒音公害の問題から一応廃港を前提として関西国際空港、こういう形になっております。しかし、それ以降機材の改良もあり、騒音被害も非常に少なくなってきております。狭くなってきております。そういう中でまたこの伊丹があの地域に定着しているということもあって、地域の住民のほとんどの方は現在においてはあそこを廃港さす気持ちはほとんどないと思います。ただ、そこで協定したあの廃港を前提とするという一文の紙だけが生きてきて、そして何か奥歯に物が挟まったような形で今回の審議も行われているわけでございます。ここではっきりその点も含めて、国際路線専用ではなくて国内路線併用、しかもそれも伊丹とのバランスの上にということを明確にする必要があるんじゃないか。大臣にひとつ、今後関西国際空港性格といったものを少しここではっきりさしていただきたいと思います。     〔鹿野委員長代理退席浜野委員長代理     着席〕
  9. 山本長

    山本(長)政府委員 法案に盛られておりますごとく、関西国際空港は第一種空港として空港整備法上は位置づける、こういうふうにさしていただいておるわけでございます。したがいまして、といいますか、国際航空路線に必要な空港として整備するというものでございますから、そういうふうな位置づけにしておるわけでございます。  先生お尋ねの、それならば国際線専用なのか、こういうお尋ねでございますけれども、現在の関西地区航空状況、将来の航空状況を展望いたしまして関西国際空港というものを国際線専用空港にするという計画ではございません。将来を展望いたしましたときに、また現状を踏まえた場合に、国際線のための空港ではありますけれども、同時に菌内線空港としても機能する、つまり国際線国内線併用空港であり、かつそのロケーションからして拠点空港として整備をしていきたい、こういうふうな計画でございます。  それから伊丹空港との関係でございますけれども、過去の経緯については詳しく申し上げませんが、運輸省の現在の方針は、これは地元のいろいろな団体との約束事がございますので、この約束事に従って処理していく、こういう考え方でございます。約束事と申しますのは、この関西国際空港建設が決定された以降速やかに諸般の調査を行いまして、地元公共団体等意見も十分聴取し、そして本空港開港までに決定する、こういう内容でございますが、しかしながら、この存廃問題の地域社会に与える影響等考えますと、やはり早期にこの問題について検討調査を行い、結論はやはりできるだけ早期に出すというのが適切であろうというふうに考えておりまして、この空港のこういう法案審議段階でございますけれども、もう既に調査の着手に取りかかっておる、こういうことでございます。
  10. 中馬弘毅

    中馬委員 その問題が解決しなければ、建前としてはなかなか言いにくい問題かもしれませんが、この伊丹空港との役割分担をはっきりしておかなければ、例えば全部廃港して新空港に移してしまうならこれは別ですけれども、この存続ということを前提にするならば、どの便をあるいはどの程度の割合を伊丹に残し、あるいは拠点のどの線を新空港に持ってくるのか、そして伊丹と新空港とのアクセスを例えばヘリでやるのかあるいは鉄道でやるのか、いろいろな方法が考えられるわけですね。しかし、これも開港になってからというのでは、これはおよそ設備の敷設もできないわけですから、やはりそういうことを早急に決めておかないと、ここを担当された方々は非常に困るのではないかと思っております。御答弁は要りませんが、このことを要望いたしておきます。  それからもう一つ、全くナンセンスな話なんですけれども、最近では反対のための反対方々、中核の連中あたりがああいう爆破事件を起こしたりもいたしております。その中であそこの空港軍事空港にするんだといったような、ためにするPRがなされているわけですね。軍事目的空港でないことをやはりこの際政府として明言しておくべきだと思います。一部の政治家で私的な発言ですけれども、ある場所軍事空港にも使えるというような発言をされるからそれに利用されているわけでございまして、その点を大臣はっきりしておいてください。
  11. 細田吉藏

    細田国務大臣 前段につきましては、今航空局長からお答えしたことで尽きておりますけれども、補足いたしますと、現在の伊丹空港の廃止を前提としてつくるということに一応なっておるわけです。今の時点ではそうなっておるわけでございます。しかし、そういうことができるかどうかということについては、先ほど航空局長が申し上げたことからお察しがつくとおりでございまして、早急にこれは現空港をどうするかということを決める、こういうことになっておりますので、今直ちにここでもう残った場合にどうするというお答えがしてないわけなんでございます。  しかしながら、これから地元とも相談し、あるいは航空輸送需要とかいろいろなものを考えながら伊丹をどうするかを決めるわけでございますが、万一新空港のほかに現空港を残すということにすればどうするかという問題は非常に重大な問題でございます。これは現時点で、今お答えするということにはなりませんけれども、もし万一そういうことになれば、おのずから役割分担は、一方が非常な騒音公害というようなことで悩まされておるということを考え、また地域の便利さは伊丹の方がある程度便利がいいということも考え、そういうことから国内航空をどうするかということについては相当慎重に検討しなければならぬ、こういうふうに思っております。しかし、おっしやるようにはっきりさせなければならぬことは、これは間違いないことでございまして、今後検討を進めてまいりたい、こういうことでございます。  それから二番目の問題は、これはそういう心配はないということをはっきり申し上げて、新国際空港については、これは自衛隊が使う空港にはいたさないということで御理解をいただきたいと思います。
  12. 中馬弘毅

    中馬委員 私どもは大阪ほどの大都市になりますと、当然国際的に見ましても空港は二つは要るわけで、伊丹が存続されることを前提にしてきょうの議論は続けていきたいと思いますが、まず伊丹との連絡、これはヘリコプターでやるのか、鉄道でやるのか。一つヘリコプターあたりが考えられるのではないかと思います。だから今それをどちらかということを聞くわけではございませんが、それを受け入れる施設がちゃんと新空港に組み込まれるかどうかということなんです。と申しますのは、これだけの問題ではなくて、この間視察に行きましても、兵庫県から要望が出ておりますのは、やはり神戸沖という話も出てくるわけですね。一つには神戸方々兵庫県の方々は新空港までの道のりが非常に遠い。大阪市内のあの交通混雑を通り抜けてしかも堺を通って新空港まで行くと、下手をすると三時間ほどかかってしまう。だから、余り身近に考えておられないのじゃないかという節があるわけでございます。  一方、これは海上につくる空港でございますから、神戸からも、あるいは淡路島、徳島からも直線で海上を結べば非常に近距離なんですね。この神戸淡路徳島、こういったところから高速海上交通機関で結ぶのが一つ方法として考えられるわけです。また、ヘリコプターを飛ばすことも考えられるわけですね。そういたしますと非常に身近なものになってくる。  あるいは航空貨物のことを考えましても、これまたずっと大阪を通りあるいは泉南市を通って新空港まで運びますと、相当なトラック交通混雑が予想されます。しかし、これは大阪南港でちゃんとそこで通関して、そして後は船に載せて空港島に横づけしてそこからすぐに航空貨物飛行機に積み込むということも具体的に考えられるわけでございます。あるいは大阪南港から、神戸から直接空港島へ接岸、積み込み、こうすれば大阪湾岸周辺都市からは非常に身近な空港ということになってくるわけです。そのような船着き場あるいはヘリポート、こういったものが新空港アクセスを考える上におきましてもちゃんと新空港計画の中に組み込まれているかどうか、その辺ひとつお答えを願います。
  13. 山本長

    山本(長)政府委員 新空港の機能を維持するために、また利便性を確保するためにもこのアクセス問題というのは極めて重要な問題でございます。  先生お尋ねのまず海上アクセスの問題でございますけれども、海上位置する空港でもあり、各都市との関係を考えればやはり海上アクセスというものを整備する必要があると考えております。神戸というのも一つの大きな需要源でございますし、淡路あるいは場合によっては四国方面ということも考え得ると思います。したがいまして、そういった地点からのこの空港への海上アクセス空港において受け入れるということがもちろん必要でございます。その空港の中にこの船着き場と申しますか、そういうものを計画をいたしております。その具体的なはっきりした位置につきましては今検討中でございますけれども、ただその位置につきましては、やはり飛行機が離発着する空域制限との関係とか、あるいは波当たりが強ければ利便性が阻害されるというところから、波当たりの強さというふうなことも考えなければいけませんし、また着いてからターミナルまでの距離を短くした方がいいということ、それから将来の空港施設計画等の展開との関連というものを考えなければなりません。こういった点から、具体的な位置については今最終的な詰めを急いでおる段階でございますけれども、場所といたしましては空港島の北端の地域が適当ではないかというふうに考えておる次第でございます。  それから、ヘリコプターによるアクセス輸送でございますが、ヘリコプターというものも外国においては旅客輸送として相当普及しつつございますし、また、外国の例えばケネディ空港といった大きな空港におきましてはヘリコプターによる旅客アクセスというものが行われておりますけれども、これにつきましては、空港の中でヘリコプターを発着させるという施設はこれは十分可能でございます。ただ、空域との関係について今後検討しなければならぬ問題がございますけれども、これはヘリコプターによる空路アクセスというものについて空港として受け入れるだけの計画をしていくつもりでございます。  それから、そのほかに貨物ターミナルの問題、旅客ターミナルの問題、御質問ございましたけれども、これにつきましては道路整備関係あるいはその貨物旅客なりのダウンタウン拠点として適切な位置というものの選定も必要でございますが、この辺につきましては関係者十分協議をしながらそういった施設整備というものを計画し、図っていかなければならぬと考えておる次第でございます。
  14. 中馬弘毅

    中馬委員 これは関西空港と銘打っておりますように、ただ大飯の空港ではなくて大阪湾岸都市方々利便にも非常に寄与するものでありますから、そういうことをもう少しはっきりさせて、大方の理解を得られんがためにも具体的に早期構想を打ち上げていただきたい、このように願う次第でございます。  それから国鉄にお聞きいたしますが、新大阪接続した新幹線構想、これがあるわけでございますけれども、もちろん今の国鉄として自分の力でお金がないから敷けませんということになるのかと思いますが、金のあるなしは別として、資金の出どころは別として、これは新幹線を敷いたとして、今の見込まれている航空需要あるいは利用度、そして泉南地域方々あるいは大阪市内の方方の利便も含めて、これが採算点あたりからの可能性の是非を少しお聞かせ願いたいと思います。
  15. 岡田宏

    岡田説明員 関西国際空港への国鉄を使ってのアクセスにつきましては、新空港の具体的な計画深度化に合わせまして、また国、地元等関西国際空港の立地に伴う地域整備考え方とも整合性をとりつつ、輸送需要あるいは投資採算性などを含め、今先生からお話のございましたことも含めまして、今後慎重に検討していきたいということで現在勉強段階でございます。
  16. 中馬弘毅

    中馬委員 少し勉強されているならいいのですが、勉強だけではなくて具体的に一新空港開港には八年かかるとは言うものの、では新幹線を具体的に敷くとなるとこれまた八年や十年かかってしまうわけですから、開港のときにはアクセスがないという今の成田の愚を繰り返すことになります。これも早急に実現に向けてのはっきりした結論を、やらないならやらないで別のアクセスを考えなければいけないわけですから、そういうことの結論をはっきりさせていただきたいと思います。  同時に、これから八年後といいますと相当技術の進歩もございます。現在行われておりますリニアモーターカー開発状況、そして八年後あたり実現めど、これを少しお聞かせください。
  17. 岡田宏

    岡田説明員 超電導磁気浮上方式によりますリニアモーターカーにつきましては、四十七年に技研の構内で公開実験をいたしまして、五十二年度からは宮崎実験線場所を移しまして、約七キロメーターの実験線を敷設いたしまして鋭意実験を重ねているところでございます。逆下型のガイドウェーでは五百十七キロ、U型の走行路では三百五キロという速度達成をいたしておりまして、現在の段階を申し上げますと、いわゆる交通機関としての基本でございます高速で安定に走行する、またそれを安全な距離の中でとめるという基本的な問題につきましては基礎的な研究段階、基礎的な実験段階を既に終了していると申し上げても差し支えないと思っております。  しかしながら、これを長時間、長距離営業運転で経済的に成功する乗り物ということで実用に供しますためには、より技術的に効率化を図らなければいけないという部分が幾つかございまして、そういったものを現在の宮崎実験線でさらに研究を重ねていく必要があるというふうに考えておりますし、また、快適な乗り物ということで御利用いただくために、車の中におられるお客様の居住性を高めるという意味におきましても、今後いろいろ研究を図っていく必要があるというふうに考えております。今の見通し、今後のこれらの研究開発についてくる予算のつき方にも大いに関係があるわけでございますけれども、なお技術的に実用化めどが得られますのにはまだ数年を必要とするというふうに考えております。さらに、この新しい方式によりますリニアモーターカーの収支の問題あるいは採算性の問題ということを、今後そういった技術的な検討と並行いたしまして勉強していく必要があるというふうに考えております。
  18. 中馬弘毅

    中馬委員 建設省はいますか。  道路アクセスにつきましては、もう大分はっきりしておりますが、湾岸道路はまだ途中までで、それから南の方に計画決定がなされておりません。今のペースでいきますと、新空港との有機的な接続が八年後にできるのかどうか少し疑問に思っておりますが、これを現在の計画ではまだ考えられないでしょうけれども、これは要望も含めて、有機的な接続ということを開港時に間に合わすべきだと思っております。これについて少し御見解をお願いいたします。
  19. 光岡毅

    光岡説明員 御説明申し上げます。  国際空港アクセス道路としては、まず近畿自動車道と第二阪和道路、それから先生のおっしゃいました湾岸道路でございます。  近畿自動車道に関しましては、現在事業中でございまして、文化財等を調査しつつ鋭意建設に取り組んでおるわけでございます。それから第二阪和に関しましては、昨年十二月に阪南町まで既に完成を見ておるところでございます。そして、湾岸道路に関しましては、大阪湾に沿いまして神戸市垂水区から大阪府の泉佐野市に至る九十キロメーターの幹線道路計画されておるわけでございます。  大阪湾岸道路は、内陸部の交通混雑を緩和し、臨海部の土地利用の高度化に資する役割を持つものでありまして、関連地域の交通需要や土地利用状況を勘案しながら、整備必要性の高い区間からこれまで逐次計画を固め、事業に取り組んでまいっております。  現在、大阪市港区の港晴から堺市の三宝まで約八キロメーターに関しましては既に供用しておりまして、現在堺市の三宝から出島西町の約四キロメーター、これについては第九次五カ年計画の中で供用を図りたく、今鋭意事業を進めておるわけでございます。そして、出島西町から泉大津市臨海町の間約七キロメーターについては、四十九年から調査に着手して、五十八年度より事業に具体的に着手しております。それから、南の泉大津市臨海町から泉佐野市に至る区間については、昭和五十四年から調査に着手しておりまして、現在、阪南港の港湾計画の調整、それから大阪府下の貴重な海水浴場であります二色ケ浜公園との調整、これを現在調査を進めつつ調整を図っております。  そして、その路線計画を策定するための調整でございますが、関西空港の具体化によって今後調査の一層の促進を図っていきたい。そのためにも速やかに関係機関との調整を進め、できるだけ早く路線計画を確定し、その事業に取り組んでいきたいというふうに考えております。関西空港に関しましてこの路線は非常に重要であるということは、重々認識しておるところでございます。
  20. 中馬弘毅

    中馬委員 経済企画庁、こういったアクセスの問題もございます。また、地域に対するいろいろな関連投資もございます。こういった関西経済圏に及ぼす経済効果、これはもちろん本体建設に伴う経済効果であったりあるいは今の関連設備に伴う効果、それからまた開港後のいろんな経済効果、いろいろ試算等もあるようでございますけれども、経済企画庁としてはどうお考えでございますか。
  21. 藤田修

    藤田説明員 お答えいたします。  公共投資実施が経済に及ぼす影響というものにつきましては、実施される状況によりまして当然異なってくるわけでございます。そういうわけで、一義的に明らかにすることはできないわけでございますけれども、一般的に次のような効果があるというふうに言われておるわけでございます。一つは需要創出効果でございまして、他の政策手段、例えば減税なんかよりも公共投資の方が景気への波及効果は大きいということでございます。  それから二番目には、生産誘発効果と申しまして、関連する諸産業の生産活動にさまざまな影響を与えまして、業種的に申し上げますと、特に関西地方では相対的にウエートの高い素材型の産業等への影響が大きいというふうに言われております。  それから、当然雇用効果というものもございまして、近年の就業者数の増加数の約四割というのが公共投資への依存度の高い建設業において吸収されているというような試算もあります。  それから税収面でございますが、税収効果というのもございまして、例えば名目公共投資一兆円なら一兆円というものを持続的に増加させた場合、国税とか地方税等を含んだマクロベースの税収で、初年度から三年にわたって約一兆五千億円の税収増があるというような試算もございます。  こういったもろもろの経済効果がございまして、こういったことが地域の発展に大きく寄与するというふうに当然私ども考えておるわけでございます。  お尋ね関西空港プロジェクトにつきましては、企画庁として個別具体的に特別の分析を行っているわけではございませんが、投資規模といたしまして一兆円云々ということも聞いておりまして、今問題になっておりますアクセスの交通手段とかその他関連する地域整備について相当程度の投資が行われるということでございますので、先ほど申し上げましたような、地域に与えます生産誘発効果でございますとか雇用効果とか税収効果等々、もろもろの経済効果につきましても相当大きいものがあるというように私どもも考えておるわけでございます。
  22. 中馬弘毅

    中馬委員 近畿地域の生産、雇用をかなり高い率でかさ上げすることもいろんな試算から見ても大体考えられるところでございます。  今度は、その空港島自体の地方自治体の帰属の問題なんですね。自治省にお尋ねいたしますが、その前に、この間この空港視察のときにも向こうから出てまいりましたのは、地元大阪府と兵庫県と和歌山県、大阪市と泉南、泉北八市五町ですか、この関連地方公共団体というのをどこまでに限定されているのか、ちょっと航空局か運輸省に聞きたいと思うのですけれども、奈良県や徳島県とやはり直接間接、関係するのじゃないかと思うのですが、一応、今のところ対象にされているのは先ほど言いました大阪兵庫和歌山となっておりますけれども、そのあたりを少し説明してください。
  23. 山本長

    山本(長)政府委員 関係する地方公共団体がどこまでかというお尋ねでございますが、これは理屈の上からどこまでが妥当であるとか、適当であるというふうなことをなかなか申し上げにくいと思います。ただ、この空港は、もう先生御存じのように。十何年この計画について調査をし、検討をし、諸般の地方公共団体との協議を運輸省がやってきたわけでございます。このときにやってまいりました地方公共団体といたしましては、大阪府、兵庫県、和歌山県の三府県を運輸省との折衝の相手方の地方公共団体として長年やってきておるわけでございます。そのほかのそれよりもさらに広い地域における地方公共団体関係でないとも言い切れないと思いますけれども、やはりそういった今までの経緯を考えて、地方公共団体とのいろいろな関係を考えますときに、私たちとしてはやはり第一義的にはこの三府県というものを地元の府県というふうに考えて対処いたしてまいりたいというふうに考えております。ただし、ほかのところが含まれないという意味ではございません。  それからさらに、市町レベルの問題でございます。これは空港との関連で、これもどこまでだとなかなか線を切るわけにはまいりませんが、私たち運輸省といたしましては、国の関係の意思を伝え、あるいは地方公共団体の意志を国に伝える、そしてそこでの連絡調整をやる場合のその範囲の決め方につきましては、府なり県の御判断によってやっていただいておる、こういうことでございます。今後ともそういったやり方でやっていくのが私たちといたしましてはいいのではないかと今のところ考えておる次第でございます。
  24. 中馬弘毅

    中馬委員 大阪の南の方にできるわけでございまして、あちらには大きな河川もございません。水の問題がございます。わざわざ琵琶湖から引っ張ってくるというようなことになるわけでございまして、一番望ましいのは、隣の和歌山県や奈良県、こういったところは相当の多雨地帯でもございます。そこから水を引くというようなことも考えた場合には、やはり奈良県なんかはかなり直接的な関係を持たざるを得なくなってくるのじゃないかと思います。これは指摘だけをいたしておきます。  そういう自治体の関係でございますが、空港島の島はどの自治体に入るか、これはどうお考えでございますか。
  25. 小島重喜

    ○小島説明員 お答え申し上げます。  今、空港が予定されておりますのは、法律上は「大阪府の地先水面で政令で定める」こういうことになっておりますが、大阪府のあそこは公有水面でございまして、現在のところ、はっきりとした市町村の境界が確定をしておりません。言うならば、いずれかの市町村には属するわけでありますけれども、境界未定地域ということでございまして、これは地方自治法の手続によりまして、大阪府知事がどうするかということを基本的にお決めいただく、こういう仕組みになっております。
  26. 中馬弘毅

    中馬委員 一般的にやられるのは、この海岸線の境界線から真っすぐ垂直に引いてそこをもって境界と普通されるケースが多いのですね。しかし、これは空港と同時に株式会社でもあるわけですが、管理される側からいいますと、やはり一つの自治体が望ましいのですね。しかし現実には、それをただ線を引きますと、泉佐野、田尻町、それから泉南市、この三つに引っかかると思うのですが、それを真っすぐ延ばしたとして、五百ヘクタールのそれぞれの割合はどのぐらいになるのですか。
  27. 小島重喜

    ○小島説明員 私どもまだ空港の具体的な計画が一体どこからどこまでの範囲かということがわかりませんものですから、そういうことは計算を具体的にはしてございません。それと、今御指摘がございましたような境界の定め方にはいろいろな方法がございまして、やはり関係の自治体の間の合意ということが最終的にどうしても必要でございますので、私どもの方からこういう方法がいいとか、相談があれば別でございますけれども、自治省としてある方法を特定するということはいまだしておりませんし、ただ、今先生御指摘のございますように、空港の一体的運営というようなことも十分配慮した上で大阪府知事が適切な措置をとられるもの、こういうように私どもは考えております。
  28. 中馬弘毅

    中馬委員 先ほど申しましたように、直接境界を延ばしていきますと三つに分かれてしまうわけです。一方、これまた申しましたように、管理体制としては一つの自治体が望ましいわけでございまして、そうするならば、これはこちらの希望でございますけれども、この三市町をむしろ合併させるべきではないか。泉佐野、人口が九万二千、泉南が五万五千、田尻が七千です。この二市一町を合わせますと十五万五千、これはその少し上にあります岸和田十八万二千、そう大きな都市ではございませんが、三つ合わせてもそれにも満たないぐらいの、そのくらいの市になるわけですね。そして面積もほぼ一緒ぐらいになります。一方、岸和田、この規模の自治体ですと市会議員が三十人おります。泉佐野に三十人、泉南に三十人、田尻町に十四人、合わせると七十四人、倍以上の数字があるのですね。これが一体化してすぐに減るとは申しませんけれども、少なくともこれは地方の行政改革にもなってくる。  もちろん地域方々がお決めになることですから、自治省がここでどうこうということじゃございませんけれども、しかし提言だけを申し上げておきますが、やはりこれは上記二市一町が合併することが望ましいのじゃなかろうか。その方が、空港との関連でも、あるいは地域開発においても、あるいは先ほど言いました行革の関連や、あるいは都市計画上の問題、それから地域住民の利便、こういったことからも一体化が望ましい、こういうことを指摘だけをいたしておきます。  ただ、一般論として自治省にお伺いしたいのですが、市町村合併、これを過去にはかなり推進をされました。市町村合併法もつくられました。現在では四十年に制定されました市町村合併の特例に関する法律、これは十年間の時限立法でございまして、五十年に一度延長いたしております。しかしこれも六十年三月、あと一年で切れてしまうわけですね。六十年三月末で期限切れとなります。これを一つの契機として、現在中央も地方も行政改革という時代でございます。交通的な利便も相当変わってまいりました。隣の町に行くのに今までは一時間かかっておったかもしれぬけれども、今では十五分でも行ける、五分でも行けるといったような時代に、細かく行政を区割りして、それぞれに議員を抱えて、そしてそれぞれに市長がいて、それぞれに役員がいる、これをもう一度少し見直す意味においても、先ほど言いましたここの三市町の問題ではなくて、広く日本全体の問題ではございますけれども、市町村合併の促進を全体的な立場から指導する時期ではないかと思いますが、いかがでございますか。
  29. 小島重喜

    ○小島説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘の点は、最近そういう意見が大変強うございまして、一昨年でございますか臨時行政調査会の基本答申、さらには昨年地方制度調査会の小委員会報告等におきましても、昭和二十八年に合併を全国的に進めましてから既に三十年を経過しておるわけでございまして、その後ただいま御指摘がございましたようにいろいろな社会的な情勢の変化がございます。そういう点で、実は一昨日も地方制度調査会がございましたが、そこでも委員先生方からの御意見はかなり御指摘のような点が強うございました。  これは、何と申しましても先ほど御指摘がございましたように基本的には地元が考えるべきことではございますが、特に行政の合理化という面もございますが、さらには自治の最も基盤でございます市町村の基盤の強化という点からも、そういう雰囲気が醸成されておるところは合併が進められるということが私どもといたしましては望ましいと考えております。
  30. 中馬弘毅

    中馬委員 このことは、この空港の問題とは離れて自治省に強く要望いたしておきます。  次に、空港採算性の問題ですが、この法案を見ますと利益が出た場合のことが事細かに規定してございます。しかし相当希望的な要素を入れての試算のようでございまして、現実には利益が出ることは非常に見込みが薄いのではないかと思うのです。  前回にも質問をいたしましたが、大体償却資産でもない空港の島そのものを株式会社という一つの利益配当を目的とする会社形態をとりながら、そこに全部負わせてしまうのがいいのかどうか、いまだに疑問に思っております。資金調達から金利負担、償還までこの株式会社に負担させるわけです。これは全く運輸省の試算どおりにいけばいいですけれども、そういう見込みが薄い中で赤字が出た場合、それをまた借金で埋める、その金利をまた借金で埋めていく、累積債務は雪だるま式にふくれていく、結局第二の国鉄になってしまいます。せっかくの民間の活力で民間的な利益が出るという前提のもとに努力するという意欲もなくなってしまいます。そういうことからもやはりもう少し現実的に利益が出る方法を考えるべきじゃなかろうかと思うのです。  今回の場合には、あらかじめある土地を購入してということではございません。新しい、しかもかなり大きな島をつくるわけです。大国主命がどこからかちゃんと国引きをしてくるみたいなものです。あるいは松下幸之助さんじゃないが、国土創成をやるわけです。これは、やはり一株式会社じゃなくて国の責任だと思うのです。島本体のほかの、基礎を打って滑走路をつくっていろいろな施設をつくる、これは株式会社の責任でやればいいと思うのですけれども、この島本体はやはり国がやるべきだ、そういう気がいたしております。  そういう観点から、島本体を国の資金負担で造成した場合の試算をこの間ちょっとお願いしておったのですけれども、どうですか。そういう島本体の資金負担その他は国が責任を持つといった場合には単年度黒字はいつからか、現在の計画ですと単年度黒字が五年で配当可能が十年後、こうなっておりますけれども、これがどの程度縮まるか、ひとつ試算の結果をお願いします。
  31. 山本長

    山本(長)政府委員 土地を国がつくりまして、そして土地の上に施設をつくって管理し運営するという部分を会社で行ったらどうなるか、こういうお尋ねでございますが、この空港は第一期計画の事業費約一兆円、そのように計画しておるわけでございますが、土地づくりを国が行いましてその上の施設整備会社が行うということだけにとどめますとその事業費は約四千億円になります。ただ、この金をどういう資金でもってどうして出資をしていくかあるいは借入金の割合をどうするか、借入金の利率についてどういうふうな財政面の援助を与えるかとか、本空港について考えられております無利子の資金を国が入れていくというふうなことをやるのかやらないのか、税制面でどういう扱いにしていくのか、こういうことによって収支試算というのは大幅に変わってくるわけでございまして、そういったことについて相当細かく前提を置きませんと、収支がどうなるということは定量的には出てまいりません。  それからさらにもう一つは、国が土地をつくった場合、その土地を無償で使わせるのか有償で貸すのか、土地の借料の設定をどうするか、これも一応大きな要素でございます。そういうところでございますので、先生お尋ねの配当の時期は何年になるというふうなことについて定量的にお答えするのは、そういう前提条件がなかなか詰まり切りませんので、そういう前提を置いて考えることはなかなか困難でございますから具体的にはお答えすることができないのでございます。  例えば土地を国がつくりましてそしてそれを無償で会社に使わせるということにいたしますと、事業費は約四千億になってしまう。それからその事業運営に伴う収入というものは本会社法の収入とほぼ変わらないわけでございますが、これはもう収支採算上から見れば非常にいい収支採算が生じてくるということだけは確かだと思います。
  32. 中馬弘毅

    中馬委員 大臣にお願いかだがた申し上げておきますが、大蔵省、今金がないことはわかっておりますから、なかなか援助はしないでしょうけれども、しかしやはり基本はそうでないと思うのです。やはり新しく日本の国土を広げたわけですから、その分は国が責任を持って、ただそこに賃借料を幾らにするかという問題はございましょうけれども、ある程度の金額をとったとしても大幅に単年度黒字あるいは配当可能な年も早まってまいります。大体運航開始後二、三年から配当が可能になることも十分試算でできるのです。そういうことをもう一度大蔵省とお詰め願えないでしょうか、大臣、いかがですか。
  33. 細田吉藏

    細田国務大臣 中馬先生既に御承知のとおり、関西空港につきましては基本的な部分については公団で設置をし、附属的な部分について第三セクター、このような案で運輸省は一時進めておったわけでございます。それに対して民間活力の導入ということから新しい一つの試みとして法律による特殊法人としての会社にいたしたということでございますので、これは本当に新しい試みなのでございます。  そういった今御心配になるような点が、国が直接やるよりは公側、公団がやるよりは株式会社とだんだん心配が大きくなるわけでございますが、そういう点につきましてはいろいろ今後の資金の面、出資の面、それから借入金をどういう条件にするかといったような面、あるいは課税の面、いろいろな点で十分国が責任を持って配慮をしてあげなければならないのではなかろうか、単純な株式会社といって投げっ放すというわけにはまいらないのではなかろうか、かように考えておりますので、法律の中にも一部ございますが、今後もできるだけの手当てをしてまいりたい、このように考えておる次第でございます。御心配はごもっともなんでございますが、そういう点を今後会社の運営の上で考えていく、こういうことでございます。
  34. 中馬弘毅

    中馬委員 今のこの法案を出されている大臣立場としてはわかりますけれども、今大臣がおっしゃったのとは逆に、ある程度公共的な面だとか、そういったところを国がしっかり、ちゃんと一つのげたを履かすなら履かして、その上はむしろ本当に私企業的なやり方で自由にやっていく、またやらしていく、ちゃんと責任を持たす、そのことの方がいいと思うのです。逆に、今おっしゃったように、運営面でそれぞれ何か出たら全部手当てをしていくということであれば、結局公社公団と変わらないじゃないですか。民間の活力だとかあるいは民間的な競争条件の手法だとか、そういったことがなくて、結局、国に甘えてしまうことになることを私たちは恐れているのです。むしろ、はっきりとした、国が持つべきところは国にちゃんと、例えば今私が申しましたように、島の部分は国がつくるから、あとは一つの民間会社ということでやっていきなさい、こうすることの方が効率もあるいはまたサービス面までも含めて民間的なよさが発揮できるのではないかと思うのですが、大臣、もう一度お願いいたします。
  35. 細田吉藏

    細田国務大臣 白紙で議論をいたすことになれば、あなたのおっしゃっておるような点も貴重な御意見だと思います。私どもは、その点については十分検討いたしましてこういう特殊会社にしようということにしたわけでございます。附帯的な仕事なりあるいは仕事のやり方自体を、民営的要素を公団より一層強いものを入れれば、これは企業性といいましょうか、そういうものが発揮できる、こういうふうに考えましたので、株式会社という方策をとろうということにしたわけでございます。  しかし、何といっても大きな投資が要るわけでございますから、そこで、単純に株式会社というわけにはまいらない、ここのところを、御心配になっておるような点を十分配慮をして、資金なりあるいは借入金の扱い方なり、どこから借りるとかあるいはどういうふうにする、あるいは地方債の問題もございましょう、いろいろな点がございますが、十分配慮をしていけばこれでやっていける、こう考えたので、実はこういたしたわけなんでございますが、御意見は、御趣旨はよくわかります。そのような趣旨を株式会社という形で生かすということで御了承いただく以外は、法案をこういう形で出しておりますので、私どもとしてはどうもこれ以上のことはできないわけでございますので、御了承賜りたいと思います。
  36. 中馬弘毅

    中馬委員 次に、出資の割り振りについてお伺いいたしますが、政府が八百、民間二百、自治体二百、民間と自治体の分でございますけれども、それぞれどの範囲、どのような基準で割り振るのか、あるいは今後のことであるとするならば内諾を得ているのであるか、その辺のところを少し状況をお聞かせください。
  37. 山本長

    山本(長)政府委員 会社設立段階では、先生のおっしゃる割り振りと申しますか引受先というものを当然確定していかなければならぬわけでございます。設立準備の過程で、設立委員あるいは関係者間の協議の上でこの割り振りが具体的に決められていくということになるわけでございます。現在、その割り当てというものが決まった段階ではございません。ただ、民間部分につきましては、これも先生御存じだと思いますけれども、経済界の中で出資促進委員会というものをつくり、現在、こういう法案審議段階でございますから、公式な活動ではもちろんございませんけれども、そういった検討、準備をしていただいておる段階でございます。  それから、地方公共団体出資につきましては、関係地方公共団体から御意見を伺っております。が、これも、どの地方公共団体にする、あるいはどの地方公共団体を幾らにするというところまで詰まり切っておりません。やはりこれも今まで御相談をいたしてきておりました関係地方公共団体を中心にいたしまして、この設立段階で、期間は短うございますけれども、その間で調整を行って割り振りを決めていくことになるものと思います。
  38. 中馬弘毅

    中馬委員 前回、この場でも申し上げましたが、株式会社ということで、多くの市民の方々、個人の資格で自分たちも株を買えないのかといったようなことがあることを御披露いたしましたところ、大臣も、非常に貴重なことで、場合によってはという話がございました。  それからもう少し敷衍いたしますけれども、大阪にはどうもそういう土壌があるのですね。大阪城がございます。この天守閣をつくりましたのが昭和の初めですが、そのときには当時の関市長が市民に呼びかけた形で寄附を募っております。もちろん、住友その他大口の寄附もございましたが、一般の市民が二十銭、五十銭と何万人も出して、それがほんの半年あたりで、当時の金で百五十万円集まっております。現在にすれば、百五十億くらいの金が寄附で集まっております。こういう土壌がある上に、今後、地域性の強い事業その他にはそういう道を開いた方がおもしろいのじゃなかろうか。多くの市民に地域の共有財産的な意識を持たす意味においても、やはりそういう希望があるのであれば、希望者にはどんどん出資をしてもらう。もちろん、当面、すぐ配当があるわけではございませんから、そういう意味での採算を目的とした、あるいは何か利益を目的としたことではなくて、郷土意識あるいは何か参加意識からやるということに道を開くことも、地域の公共事業を進めていく上には、非常に大事なことではないかと思っております。そういうことから、これの検討もお願いしておったわけでございますが、それは進めておられますか。
  39. 細田吉藏

    細田国務大臣 先ほどの御質問で御心配になったように、これは建設期間が長うございますし、配当するといってもかなり先になるわけでございます。そういった意味で、通常は一般の方の株式応募というような道を仮に開いても、なかなか困難ではなかろうかというふうに考えておりますけれども、地元中馬先生が、いや、そういうことはない、やはり相当そういう株式を保有して参加していこうじゃないかという空気も非常にあるのだというような御意見であれば、これは我々としては大変歓迎すべきことではないか、かように考えております。  ただ、方法その他につきましては、これから会社の準備の段階に入りますので、関係の向き、特に地元地方公共団体なりあるいは今までいろいろ関与してごあっせんをいただいておる民間の方方と十分相談をしてはどうか、することがよろしいのではないか、かように、考えております。
  40. 中馬弘毅

    中馬委員 それと、あとこの間の地元視察のときに泉南広域行政協議会の方から出ておりました、地元住民の要望を話し合う協議会設置してほしい、あるいは環境問題での監視組織をつくってほしいという要望が出ておりまして、これに対しての具体的な対応策は何か考えておられますか。
  41. 細田吉藏

    細田国務大臣 予算委員会の際にもその御質問も出たわけでございますが、今度の関西空港株式会社には地方公共団体が参加をする、それから地元からも相当民間も参加をされるということで、ある程度の意見の反映はできると存ずるのでございますけれども、さらにこの会社の持っております仕事の公共性、重要性、そういうことから考えまして、地元の皆さん方の御意見が反映することがいいのではないかということなんでございまして、私どもそれは結構なことだ、そうあるべきことだと考えておりまして、会社ができましたらば、例えば執行機関に対する諮問的な機関を設けるというようなことをして、そういった地元の皆さん方の意見を反映するようなものをつくるということが適当ではなかろうかと考えております。しかし何しろ具体的な問題につきましては会社の自主性ということも尊重しなければなりませんので、私どもとしましてはそれ以上のところまでは立ち入っては今申し上げかねる状態でございます。趣旨は大変貴重な御意見で結構ではないかと政府としては考えておるわけでございます。
  42. 中馬弘毅

    中馬委員 以上、多くの提言を交えまして、まだまだこれを発足さしていくについての問題点あるいは関係することが余りにも多い。ただ単に運輸省だけの問題じゃなくなってきているのです。自治省の問題であり、建設省でありあるいは経済企画庁であり、こういうところも取りまとめていただくのが担当大臣の運輸大臣ではないかと思います。そういうことをひとつ積極的にお詰め願いまして、早期に効率的にしかも効果的な空港ができ上がりますことを心から祈念をいたしまして、質問を終わらしていただきます。
  43. 浜野剛

  44. 吉原米治

    吉原委員 関西国際空港株式会社法案に対して同僚議員それぞれ質問をされておりますので、できるだけ重複しないように御質問をいたします。質問時間は一時間ですから、答弁はひとつできるだけ簡略にお願いしたいと思います。  まず、最初に尋ねたいのは、この法案の三条二項でいう運輸大臣が定める「基本計画に関し必要な事項は、政令で定める。」こうなっておりますが、いつごろ、どういう内容をもってこの基本計画が発表できるのか、その時期、大まかな内容等について最初にお尋ねをしたいと思います。
  45. 山本長

    山本(長)政府委員 政令で定める時期は、これは法案を国会で御承認願いまして、公布後できるだけ速やかに政令を定めたいというふうに考えております。  ここで定められます「必要な事項」というところでございますけれども、私たちが現在考えておりますのは、滑走路の数、配置、長さ、幅、方向及び強度並びに着陸帯の幅、二、空港敷地の面積、形状、三、航空保安施設の種類、四、工事完成の予定、五、逆用時間等を考えておるところでございます。
  46. 吉原米治

    吉原委員 今航空局長の御答弁は、新東京国際空港公団法の施行令、この中の四つ、五つを今お答えになったのですが、「その他必要な基本的事項」というのが国際空港の公団法にも載っておるわけでございますが、「その他必要な基本的事項」の中に一今回の株式会社方式による空港の運営等に対して、過日、地元現地調査をやった場合にも、どの自治体の首長さんも大変心配なさっていらっしゃる課題は、株式会社なるがゆえに非常に公共性あるいは環境問題等々について大変心配の向きがありました。したがって地元要望の中で大変強く出されておりました、先ほど中馬議員の質問にもありましたけれども、この会社の設立、運営に当たってはひとつぜひ地元参加の運営協議会的なものを設置してほしい。住民の皆さんの声が、あるいは不安が解消できるようなそういう機関をつくってほしい。  またこの関連事業の進展に応じた環境監視体制を——これから計画段階が終わればやがて工事実施、そして供用開始、そして飛行機が離発着するときになりますと、それはまたそれで騒音公害、これからずっと公害問題が半永久的に、地元民としては大変心配な課題が残っていく。そういう意味で環境の監視体制、監視委員会とでもいいますか、そういうものをそれぞれつくってほしい。これが現地調査の席で具体的に大阪府あるいは和歌山県、また泉州の八市五町の代表によってそれぞれ意見開陳がなされました。  この事業主体株式会社の中に、一体どういう権限と、そして会社に対して間違いなくお手前盛りでなくて、きちっと公平な判断なりができるような機関、これはどういう形のものを地元の方は望んでいらっしゃるのか、こういう質問もしたところでございますが、それは議員の皆さんで知恵を出していただきたい、こういう発言も実はあったのです。  民間の出資でございますから、株式会社の運営に参画するというようなことになりますと、これは株主でなければならないわけでございまして、株主は株主総会という場があるわけですから、発言場所はおのずとある。ところが出資はしてないけれども、関係の自治体の首長などについては、出資をしてないから発言の場はない、しかし住民からいろいろな不安や問題を持ち込まれて困る、会社へ行ってもあなたは社外の人だからあなたの言うことについては聞くわけにまいらぬ、こういうことになって、実は設置をしてほしいという気持ちはわかるのですけれども、具体的にそういう機関をどのような方法でつくるのか。現地でも、株式会社の定款の中に例えば挿入するという方法もあるんじゃなかろうか。  ところが、株式会社の筆頭株主である政府、今回は運輸大臣がそのキャップになるわけでございますから、当然定款の中にもその他のそういった種類の機関を設けるということは、これは会社の意志でできることじゃないか、こう思いますが、大臣、どういうお考えでございますか、お聞かせを願いたい。
  47. 山本長

    山本(長)政府委員 御質問の言葉をかりれば、運営委員会あるいは公害監視の委員会というふうなものが必要ではないか、どういう組織でもって具体的にどういうことが考えられるか、こういう御質問でございますが、まず、この会社の運営が、特殊会社である、株式会社であるとはいえ、公共的な性格が極めて強いものでございますから、しかもまだ、地元にかかわり合いが非常に大きい仕事をやるわけでございますから、先生御指摘のように、また地域方々もおっしゃっておりますように、地域意見というものをやはり会社の運営の中に反映させていくということが必要であるというふうなことは、私たちも全く同じ考えでございます。  それが具体的にどういう方法が一番いいかという具体論の問題でございますけれども、先生お尋ねのような、例えば定款の中に会社の執行機関の諮問的機関としてそういう機関を設ける、その中に地元の代表者も入っていただくというふうな決め方をして機関をつくるということは、一つ方法であろうと思います。また、もう少しその機関というものを弾力的に考えるという意味で、定款事項とはしないで、会社の内部の組織としてこれは会社の執行機関がつくるわけでございますから、その会社の内部の組織として、執行機関がこういう方々意見を聞きながら事務を執行するのだという、自分で自分の組織をつくっていく、こういうやり方もあろうかと思います。  いずれの方法がいいかということについては今後検討いたしたいと思いますけれども、いずれにいたしましても、地域方々が参画された、そういった会社意見を言える機関というものについて検討をしたいというふうに思っております。これは、基本的には先ほど大臣お答えになったところでございます。  それからもう一つ先生公害の監視の委員会の問題でございますけれども、この関西空港計画自身が、先生も御存じのように、公害の防止というものを非常に配慮してやっておるわけでございますので、そして、こういう計画であれば環境に与える影響がこの程度にとどまるということを皆様方にも公表していく、そういったことがコンセンサスづくりになってきておるわけでございますから、そういった予測した評価というものが現実においてどうなっているか、予測が狂っていないかどうかということを建設段階あるいは運営段階においてチェックをしていくということは、これもぜひとも必要だと思います。  現に、これは一つの例でございますけれども、大阪空港周辺におきましても、これは空港管理者の一つ施設として、騒音を常時監視をしている施設を十カ所ばかり持って、そしてそこのデータを皆さん方に公表している、こういう方式をとっておりますし、また、空港から出る大気汚染の量を調べるために、大気汚染を調べまして、そしてデータを常に公表している、これは空港管理者の管理の立場からやっておる、こういう方式もあるわけでございます。  しかし、そういう方式がいいのか、あるいはそういう方式をとって監視をしたデータを、例えば先ほどの運営協議会というところに常に御報告していくという方法がいいのか、いろいろな方法があり得ると思います。基本的には、先生の御指摘のように、公害の監視というものについて建設段階、運営段階においてやっていくという何らかの組織というものをつくる必要があり、そういう点について運輸省といたしましても会社を指導していくという考え方でございます。
  48. 吉原米治

    吉原委員 会社内部の組織、こう言いますと、公害監視にしてもそうですが、とかくお手盛りになってしまう、あるいはせっかく出されたデータも極めて信憑性が薄らいでくる、そういう問題点をはらむだけに、地元の皆さんの心配はわかるし、何とかこの地元の桁さんのそういう意味の不安を解消させてあげたい。あるいは、株式会社といえども、営利追求型になってしまって公共性などもう一切構ったことではないというような、ちまたにある株式会社のようなやり方はしない、あくまでも特殊会社なんだから、政府が過半数を握っておる株式会社なんだから、極めて住民の皆さんの意向は素直に吸い上げます、こう言ってみても、社内の組織であり社内の機構である、皆さんそれぞれ会社から給料をもらっていらっしゃる社員だということになりますと、とかく公平さという面では、幾ら公平なことを意見を言っても、そうじゃないじゃないかという疑いが恐らく出てくると思うのです。  ですから私は、ぜひひとつ定款の中にそういった機関を設けるように一項定めていただいて、そして、運営協議会、これは仮称でございますが、監視委員会にしましても、それぞれ会社とは全く関係のない公平な判断ができる、そういう方々にこの委員会協議会の中に参画してもらって、そして、日々の例えば公害というか環境の変化等については会社から毎日データを上げてもらう、その月で締め切って一定の期間の報告をこの監視委員会にしてもらう、こういうやり方の方がより公平なやり方になるのではなかろうかと思います。よく民間の任意の団体、組織がございますが、そういったものでなくて、やはり会社の定款の中にこういうものを位置づけて、先ほど言いましたような趣旨にのっとって機関を設ける、そういうように、定款できちっと機関の位置づけをしてやるべきじゃないか、こう思います。しかもそれは、構成メンバー、あるいは何人ぐらいが適当なのか、もしお考えがあったらひとつお聞かせ願いたいと思います。
  49. 山本長

    山本(長)政府委員 考え方として先ほど申し上げたような考えでございますけれども、先生おっしゃいますように、こういう問題については、監視の手法でございますとか、あるいはその手法自身を会社が決めて、会社がよしとしてやるということではなくて、その手法もやはり第三者の意見を聞いた上での手法をとるとか、あるいは結果をオープンにするというふうなやり方ということが非常に重要だろうと思います。  先生は、何人ぐらいで構成メンバーをどういうふうにするんだ、こういうお尋ねでございますけれども、現在、そういう基本的な考え方を持ち、会社の設立準備に当たり、かつ会社を指導していく、こういう考え方でございますが、そのメンバーを何人にするか、あるいは構成をどういう方々に入っていただくかというふうなことについては、具体的なところまでまだ行っておりません。ただ、御趣旨が、やはり地元意見を反映できるように、それから、公害といってもこれは地元の問題でございますから、地元方々にそれが監視という形でわかり得るようにするようにというふうなことを十分に配慮して構成メンバーなどを考えていく必要がある、こういうふうに考えております。
  50. 吉原米治

    吉原委員 せっかくそういう意味でつくってもらった機関が、公平な判断のできる機関でなければ意味がないし、また会社もそういった定款で決めた機関からいろいろな意見が提言される、それを素直に受けとめるようなそういう性格のものでないと意味がないと思うのですね。ですから私は、くどいようですが、あえてこの構成メンバーというのは学者あるいはそういった意味の権威者、また住民の意向を代弁する関係の自治体の首長、場合によっては市の議長というふうな人も入るだろうし、あるいは地元民の代表と思われるような人も当然参画をさせていいだろう。より公正な判断ができるそういう性格委員会にぜひしてもらいたい。二人や三人の人数でなくてできるだけ許される範囲の、例えば十名とか二十名とかいう程度の規模に私はしていただきたい。  これでこそ、初めて公正な判断ができるし、会社はあんなことを言って地元の住民をごまかしておるのじゃないかとか、あるいは出されたデータはもっともらしいデータだけれども、これはもういいかげんなものだとか、そういう判断をされるのならこれはまた意味ないことであって、私もそういう意味で、株式会社なんだから株式会社経営を右に持っていくとか左に持っていくとかいう経営方針にいろいろいちゃもんをつけるのは株主となってもらって言ってもらわなければしょうがない問題になりますから、そういう意味でなくて、また地元の皆さんも経営にまではもちろん口出しをしようとは思わぬ、こういうことをはっきり言っておるわけでありまして、そういう意味で私は公正な会社の手による機関を設けていただきたい。  それがためには、委員会を開くときの日当等についてもそれは会社がお払いにならなければいかぬだろうけれども、少なくとも常時会社に雇用される身分でその委員会に所属しておったのでは会社に対して物が言えぬのじゃないか、こういう気がしてなりませんので、私は公平なそういう機関をぜひつくってもらい、そのことによって、株式会社であるけれども安心しておれる、いつでも委員会を通じて我々の意見を反映できるのだ、こういう安心感を持たすべきではないか、こう思うのですが、大臣いかがですか。
  51. 細田吉藏

    細田国務大臣 吉原先生のおっしゃる御心配、地元の人たちの御心配、ごもっともだと思います。また何らかの機関をつくるにしても、それがいわゆる会社の御用機関みたいな格好でなあなあの機関であってはこれは何もならぬことはおっしゃるとおりでございます。ですから、公正に地元意見が反映することが確保されなければならない、この説については私どもも全く同感でございます。そういう意味でございまするので、考え方については異議がございませんので、これをどういう形にするかというような点についてはもうしばらく検討させていただきたい、かように考えておる次第でございます。御趣旨はもうそのままちょうだいいたし、尊重いたしたい、かように考える次第でございます。
  52. 吉原米治

    吉原委員 大体前向きに取り組んでいただけるようでございますから、第一の問題についてはこれでひとつ質問をおきたいと思います。  ところで、今までの同僚議員の質問を聞いておりまして、安全性、公共性、こういったものに対する数々の地元民の不安に対していかがなものか、できたらひとつ公団方式でやってほしい。私どもも公団方式ならこれだけ余分な神経を使わぬで済んだのですけれども、特殊会社といえども株式会社であるということで、安全問題や公害問題について非常に余分な心配をしなければならぬわけでございますが、そういった質問に対して何回も大臣は心配要りません、政府が、国が全責任を持ってやります、こう答弁を繰り返していらっしゃいますが、私は株式会社で同じように発足をしたあの日本航空の実態をよく把握しておりますもので、非常に心配をしておるわけです。  なるほど、発足当初は過半数を占める政府出資によってスタートはいたしますものの、だんだん株式会社としての妙味といいますかメリットといいますか、そういうものが自力で出てくるようなときになりますと、だんだん政府の持ち株が日航の例のように減されてしまう、より株式会社としての姿勢が強くなってくる、その結果、一体、日航の職場へ入りましてもそうですが、政府の指令、指示、監督、こういったものも必ずしも十分に行われていないのではないか。そんな実情を考えてみるときに、将来とも政府の持ち株は減さない、これは先の話ですからどうなるかわかりませんけれども、少なくとも今の段階で、たとえそういうことになったとしても政府の持ち株は減さないということが確約できますか。
  53. 山本長

    山本(長)政府委員 この会社に対する政府の持ち株比率につきましては、法律におきまして二分の一以上は持っていなければならないという義務を政府に課しております。もう一つは、会社の資金計画として私たちが考え、また、この間御承認願った五十九年度予算においてもそうなっておるわけでございますけれども、全体の株式の中で計画といたしましては三分の二を政府が保有する、当然法律の二分の一以上に該当するわけでございますが、そういう全体的な資金計画をもってこの空港を完成させていこうとしておるわけでございます。  法律的な歯どめというものは二分の一以上というところでございますが、その三分の二ということにつきましては、これは資金計画上の問題ではございますけれども、私たちこの会社建設、運営というものが適切に行われ、かつまた後々の利払いあるいは配当等というものがうまく回転していくためには、政府の持ち旅として先ほど申し上げました三分の二は必要であるというふうに考えておりまして、これにつきましては先生御懸念のようなそれを手放すというふうな計画というか考え方というものは持っておりません。
  54. 吉原米治

    吉原委員 今の段階から、場合によってはそういうこともあり得るのだ、私の質問の趣旨のようなことが起こり得るのだなんという答弁を私も期待しておりません。少なくともスタートの段階ですから、それはもう当然発足の趣旨、経過等を考えて、特殊会社、非常に公共性の強い株式会社なんだという趣旨は、これはもう貫いてもらわなきゃなりませんが、今法律でそうなっておるから安心だ、歯どめは効いておるんだ、こうおっしゃいますが、法律というのは、これは改正することだってできるわけです。日航法がいい例でしょう。定款の改廃あるいは事業計画、毎年度の事業計画ですね、あるいは監査役の選任というようなものは、すべてこれは大臣の承認事項になっている、これは当然だと思いますね。ところが事業計画、毎年毎年事業計画大臣の承認の判こをもらわなきゃ仕事ができぬ、小回りがきかぬ、だからもう事業計画も定款の変更等についても、これはもう会社独自でやらしてほしいという声が先々出そうな感じなんですよ。  そういう例が日航にあるわけでございますから、そういう意味で、私は、大臣着席されておりますが、安全問題、公害問題あるいは公共性の問題等々は、政府がひとつ全責任を持ってやるんだからという答弁を、同僚議員の質問に対して何回となくお答えになっていらっしゃる。日航のようにだんだん持ち株が減ってきますと、政府の声がなかなか届かない、会社独自でひとり歩きする、そういうことになってしまうおそれがあるから、私は今この段階で特に大臣考え方をただしておきたい、そう思うのです。
  55. 細田吉藏

    細田国務大臣 御承知のように、日本航空については、政府出資ができるということになっておりまして、今度の法律のような二分の一以上を持たなければならないという法律ではない。法律の形も違います。また、航空事業と空港建設運営する事業とは私は違うと思っております。  したがって、日航については、やはり民間的な要素をもっと強くしてくれというような要望がありましたり、いろいろ航空会社というのは、アメリカは御承知のように民間航空でございますが、民間航空というよりは準民間でございますね、それで競争とかいろんなこともやらなきゃならぬというような立場もあるので、なるべく政府からの制肘を軽くしてくれ、そういう要請があって、日航については持ち株の比率がだんだん下がってきてまいっておると思っております。これもいいか悪いかは議論があるところではあると思っております。我々の内部でも議論はあるのです。しかし、傾向としては、そういう傾向で政府の持ち株が減ってまいっておるということだと思います。  しかしながら、空港というのは、航空会社飛行機の運営をやるのとは違います。したがって、私は法律にあっても安心ができないじゃないかというお話でございますけれども、ほかの第一種空港は国がやる、それかげ成田の新東京国際空港については公団がやる、こういう横並びのものでございますので、御心配があると言えば、あなたがあるとおっしゃるのはそういうことなんでございましょうけれども、我々としては、安易にこの法律を改正したりなどするという考え方はございません。空港性格というものを横並びから見ましても、これは公共性を航空会社などよりはより強く維持する必要がある、かように考えておる次第でございます。
  56. 吉原米治

    吉原委員 日航法は今ちょっと手元にございませんから、私も何とも言えませんが、私の記憶では、やはり持ち株というのは発足当初の法律の中に決められておったはずなんです。たびたびの改正によって、先ほど大臣いみじくもおっしゃったように、株式会社としての看板にふさわしいような、一々政府に介入されてはかなわぬという、そういう意見が出てきて、法律改正をなされてきた、私はそういうふうに理解をしておるのでございますが、そういう意味からいきまして、ここ十年や十五年そういう声は出ないにしても、株式会社法でスタートしたものですから、何年か先に必ず看板どおりのやり方をやらせる、こういう声が出てくると思うのです。少なくとも今の政府・自民党の体質からいたしますと、その声を、いやそれはだめだ、発足当初はこういうことで、第三セクター的な性格の特殊会社なんだから、その発足の当初の意思を曲げるわけにはいかぬということで断固突っぱねられるかどうか、私は極めて疑問に思っておるのです。  私の取り越し苦労に終われば、それはそれで幸いだと思いますが、そういう心配からあえて申し上げたわけでございまして、幾ら政府が責任を持ちます、どうしますと、こう言われてみても、日航の実態等を考えますと、必ずしも政府の意向が正しく反映されてない。その例を挙げれば切りがありませんけれども、そういう心配の上で私は今大臣のお考えを聞いたわけでございますが、発足当初の段階ですから、先々のことを予測しての御答弁は難しいだろうと思いますから、私の危惧した点を率直に申し上げておきたいと思います。  さて、三つ目の問題でございますが、よく天下り人事という表現がございまして、過去の東京国際空港もそうでございますが、あるいは関連施設等々に、運輸省のOBの方、それぞれ航空問題にそれぞれのベテランの役員等が人事配転をされておるわけでございまして、私はまた再びそういう天下りと言われるような人事がこの会社をめぐって、あるいは関連施設をめぐって行われるんじゃないかという私の心配なんですが、もちろん空港の運営管理、こういうものについてベテランの運輸省のそれぞれの役職の方もたくさんいらっしゃいます。ですから、そういう人を実質責任者として派遣をされることについては、私は異議を挟むものじゃないのですが、ただ単なる俗に言われております渡り島とかいう、一年か二年おって退職金をもらって次のまた会社へ移っていくという、そういう形式的な人事はやるべきじゃないとかねてから思っておるのですが、これから開港に向かって、あるいは工事中も特にそうでございましょうが、少なくとも今僕が申し上げましたような不評を買わないような、そういう人事配置をしていただきたい。  特にまた地元は、こういった施設ができることによって、雇用の創出等々についてかなり大きく期待をしておるわけでございますから、地元事情に精通をしたそういう役職員を地元でひとつ雇用すべきじゃないか、こういう考え方を持っておりますが、これから一体、会社発足に伴って、どういう人事配置構想でいこうとされておるのか、お考えを聞きたいのです。
  57. 細田吉藏

    細田国務大臣 大事につきましてはこれからの問題でございまして、何といっても適材適所、少数精鋭でやっていかなければならぬ、このことには間違いございません。また、地元の問題が非常に重要な問題ですから、地元のその方面の仕事に明るい人をできるだけ入れていかなければならぬということもごもっともなことと存じております。  いわゆる天下りとか渡り鳥とかと言われておるものの言葉の解釈にもよるのでございましょうが、例えば私どもの方の役所の航空局、港湾局というような仕事は、何といいましても飛行場の専門家でございます。どこにもかしこにも飛行場の専門家がおるわけではございませんので、私の方としては、むしろ人材は、そう出したくない場合でも場合によっては出さざるを得ないというふうに、空港建設していったりあるいは運営していったりするのに必要な人を、適材を割愛しなければいかぬ場合があり得るということなので、これは今おっしゃった天下りとか渡り鳥の部類に入るものであるとは考えておりません。ただ、縁もゆかりもない人が突如として重要なポストを占めて、航空関係空港関係も素人が何か役所の人事の都合上やった、こういうのを天下りと言うのだと思うので、そういうことはないようにしなければならぬ。ことに、いつ黒字になるかわからぬというような株式会社でございますから、そういう点についてむだがあってはいけませんし、役所の都合でそういうことはいたしません。はっきり申し上げておきます。  ただ、適任者がおって、これをくれというような話にむしろなる場合に、やるとかやらぬとか、こちらは割愛するかどうかといったような問題は十分あり得るのでございまして、それはもちろんお話の中に入っておらないと思いますので、そういうことは考えていかなければならぬと思っております。
  58. 吉原米治

    吉原委員 ぜひ地元の期待にこたえるように、雇用の拡大といいますか創出を、この場をかりましてお願いをしておきたいと思います。  だんだん時間がたってまいりますが、四つ目にただしたいのは、今も質問も出ておったところですが、現伊丹空港ですね。御案内のように。四十九年八月の答申によりますと、「大阪国際空港の廃止を前提として、」関西空港を云々、こういう文言が実は短い答申の中に三カ所もあるわけです。私は、伊丹空港については、昨日も行ってきたところですが、たびたび利用させていただいて現状をよく知っておるのですけれども、この四十九年の航空審議会の一次答申の中身というのは、少なくとも騒音公害訴訟等々に見られますように、ああいった連檐地の中に設置をされた空港だ、わかりやすく言いますと欠陥空港だ、だから、早く新しい場所公害のない住民の迷惑しない位置に移すべきだ、また、そういう空港を別の地点につくるべきだという発想から、今度の泉州沖の立地になったと私は思っておるのです。  そういう認識を持っておったところでございますが、改めて今伊丹空港の存廃問題でどうするかこうするか、新しい国際空港開港までには何とか結論を出したい、そういうことが今航空局長の答弁の中にも出ております。この廃止を前提にして新しい空港にやっとの思いで決めた、立地をしたという経緯からいきますと、今さらという感じがしてならぬです。  私は、現状、伊丹空港を廃止しようということを言おうとは思わぬけれども、そうは言ってみたって、とても廃止はできっこないとは思ってはおりますものの、こういった「廃止を前提にして、」ということからいきますと、存廃をめぐる論争というのはあるのがおかしい。しかし、現実はとても廃止をできないだろう。あの地域でたくさんの業者も入り込んでおるし、八千人とか言われる働いておる職員の方もいらっしゃる。こんなものを廃止したら大変なことになると思いますが、今さら存廃問題を論議するというのは、私に言わせれば筋の通らない話だなと思いますが、この点いかがですか。大臣でも航空局長でも結構です。
  59. 山本長

    山本(長)政府委員 四十九年八月の航空審議会答申の先生お読み上げになりました「大阪国際空港の廃止を前提として、」というこの言葉は、非常にいろいろな意見のあるところでございますが、これは私たち、この答申の原案を作成された状態からずっと審議の過程をたどり、かつまたその答申の起草に当たられ、その取りまとめに当たられた方々の当時の経緯等をも聞きまして、この「廃止を前提として、」という言葉は、大阪国際空港の当時の状況から見まして、新しい空港というものは大阪国際空港が廃止されてもその機能をかわって受け持つことができるような空港として計画し、設置をすべきだ、こういうふうなことであって、審議会としてその廃止を提言したということではないというふうに理解をいたしておるのでございます。ただ、先生おっしゃるように、この言葉についてはいろいろな論議があることは事実でございますけれども、経緯等を調べてみますとそういうことであるというふうに私たちは理解をいたしておるところでございます。  また、今先生、存廃問題について今さらと、こういうふうなお尋ねでございますけれども、この問題も実は地域方々から、調停団と私は言っておりますけれども、これは団が複数ございますけれども、合計二万名の方々と私たちとの間におきましても、総理府の公害等調整委員会の場において五十五年六月末に公害等調整委員会の調停として成立いたしておりまして、調停という場を介在して地域と私たちとの約束事になっておる、その約束事におきましても、この存廃問題については、関西国際空港建設が決定されてから速やかに諸般の調査を行い、かつ地域地方公共団体意見も十分聞いて、そして開港までには決定するものとする、こういうふうな約束事になっておるのでございます。この言葉の読み方によりまして先生のような今さらというふうな御疑念が出ることもごもっともかと思いますけれども、私たちの考え方はそういうことであり、また地域との約束事といいますか、存廃問題についての約束事も今申し上げたような手続で進めるという約束事になっておる、それに従って私たちはやっておるところであるということを御説明申し上げたいと思います。
  60. 吉原米治

    吉原委員 よくこの種のプロジェクトの前段に、大臣の諮問機関といいますか、そういうものを設けて審議をしてもらう、そこから出た答申というのは、今度の臨調答申ではございませんが、政府は大変忠実に履行なさる。この関西空港航空審議会の一次答申は、そういう意味では「廃止を前提として、」という字句は実は三カ所あるのですが、その一カ所は今航空局長おっしゃった文言にもなっておるのですが、「大阪国際空港の騒音問題の抜本的な解決を図ることが緊急な課題であり、したがって、新しい空港は、大阪国際空港の廃止を前提として、同空港の機能を代わって受け持つ能力のあるものとしなければならない」、こういう認識に至ったと書いてあるのですね。同じような文言が短い文章の中に三カ所も使ってあります。  そういうことからいたしますと、この「廃止を前提として、」ということは、絶対に廃止をするんだということではないんだ、そういうふうに皆さんの方は受けとめていらっしゃる。したがって、今後関係方面といろいろ協議をなさる必要もあると私は思いますが、協議の結果、私どもは率直に申し上げて、廃止はなかなかできっこない、廃止をすることになるとまた大騒動になるんじゃないかと思っておるぐらいなんで、とても廃止をすることはできぬとは思いますが、これから協議を重ねて残される場合はあり得るのでございますね。そこだけ確認しておきます。
  61. 細田吉藏

    細田国務大臣 答申の出たのは昭和四十九年でございます。御質問の中にもあったように、伊丹空港はやめてどこかへ行ってしまってくれというのが圧倒的な声であったというふうに私は理解しております。当時の地元世論はそういうものであったと思います。そういうものを前提にしてその答申は出ておると見なければいかぬと思うのです。その後、出てから十年たっておるわけでございまして、騒音の状況も違っております。それから騒音の訴訟あるいは調停というものも非常に前進を見ておるところでございます。  そこで、議論するまでもないじゃないかというわけにまいらないのは、実は答申というのは生きておるものでございますから、ですから一応検討するということを申し上げているわけでございまして、あなたがおっしゃるように、これはなかなか簡単にいかない問題だと思うのです。しかし、今ここでこれがどちらになるということを申し上げるという時点にないということだけなんでございます。したがって、なるべく早い時期にこの問題についてはどういうふうにするかということを決めたいと申しておるわけでございまして、本当はここのところまでどうしたいということを、私個人の意見などはあるわけですけれども、それは建前の議論としては言えない議論なんでございます。ですから、なるべく早く伊丹をどうするかということを決めないと、これまた不安をいろいろ生じますから、ですから早く決めましょう、かように申しておるわけでございますので、御了承いただきたいと思っております。
  62. 吉原米治

    吉原委員 大臣の気持ちは手にとるようにわかるわけですが、こういう公式の場ですから、私見はなかなか言えないだろうと思います。  ただ、私は別に関西の人をとやかく言おうとは思わぬし、関西の人とは仲よくしておるつもりなんですが、率直に申し上げて、今地方空港をたくさん建設を予定しておる。私の選挙区にも率直に申し上げて一カ所、早く空港をつくってほしいという希望があるのです。そういう地方空港建設要望箇所は、今まだ俎上にのっていないけれども、一体どのくらい把握されておりますか。
  63. 山本長

    山本(長)政府委員 空港建設といいましても、新たにつくりたい、新たな空港をつくりたいという要望とか今の空港をもう少し大きく拡張したいという要望がありますけれども、とっさでございますので、正確にこの場で何空港とちょっと申し上げかねますが……(吉原委員「数はいい」と呼ぶ)相当ございます。
  64. 吉原米治

    吉原委員 これは箇所は調べればすぐ出てくるでしょうから、そういう問題を私はお答えに期待しておったわけではないのですが、たくさんあることは事実なんです。  ところが、結果的に伊丹空港と今度泉州沖につくる空港と、大きい空港が二カ所完成する。かなりの財源を投入するわけですからね。人口が多いのだから空港が二つあったって需要はとても賄い切れぬ、だから二つあっていいのじゃないか、それはわかるのですよ。おとといも、実は現地へ行って兵庫県の側は、神戸沖にもう一カ所つくってほしい、こういう意見も出ておるわけですね。何で関西地域に三つも大きな空港をつくらなければならぬのか。その必要性はわかるけれども、地方の空港をもっとつくってほしい、その何十分の一かの金をかければ空港はできるじゃないかという声だって実はあるわけです。  ですから、そういう意味で、私は今度の空港設置については反対はしません。必要があるのだからおつくりになるのは結構ですが、それと同時に地方の空港建設についても、運輸省航空局は関西だけに目をとらまえられずに地方の方にもひとつ日を転じていただきたい、このことを特に強く申し上げて私の質問を終わりたいと思います。
  65. 浜野剛

    浜野委員長代理 関山信之君。
  66. 関山信之

    ○関山委員 せっかく大臣出席でございますので、冒頭ひとつお尋ねをいたしたいわけでありますが、まさに「初めに臨調ありき」という感じがする昨今でございまして、そういう意味ではこの関西空港も臨調の枠組みの中であらわれてきた代物でありましょうが、それにしても一兆円の巨大プロジェクト、こういうものの新規採択というのはまさに異例のことでありましょう。  ともあれ、それが私どもの日本の国際社会に向けての必要な空港であるという点については、今先輩議員からお話がございましたように、私ども基本的に反対をしておるわけではございませんし、まさに第一種空港として国の責任においてこれを実現をすることをしておらないわけでありますけれども、しかし十六年間の準備期間、私もここ二年ばかりのこの問題を取り上げた新聞の切り抜きなどを拝見をさしていただいたわけでありますが、随分といろいろなことがあったようであります。行ったり、来たり、押したり、戻したり、あるいは時になだめたり、すかしたり、おどかしたり、いろんなやりとりの中で、とにもかくにも財政難の中でもこの今回のスタートが、大変危ぶまれてきたこの構想が土壇場で一転をして実現をすることになった。  当初、いろいろな構想がありましたが、株式会社法という新しいやり方を選択をなさった。また計画そのものも、当初一期工事においては事業費一兆二千億、これを一兆円に縮める、あるいは埋立地も六百ヘクタールから五百ヘクタール、滑走路も四千メートルから三千三百に減らすといったように縮小しながら、とにもかくにもしゃにむに実現をさしたという感じが否定できないのですけれども、この間の流れを変えたこの一年ばかりの動きの中に中曽根内閣の登場が大きく影響をして、この空港も政治空港の色合いを強めたといったような論評もあるのですけれども、私は今そのことについてお尋ねをしようと思いません。しかし、これまでの一連の議論を経て、特に資金計画あるいは採算性など先行きの見通しについてやはり余りにも不透明な部分が多いんじゃないか。これで今御議論がございましたような公共性、安全性というものが一体本当に担保できるんだろうかという不安を抱かざるを得ないわけです。  大臣はいみじくも、小さく生んで大きく育てるという御発言をある新聞の座談会の中でなさっておいでになりましたが、この間のいろいろな経緯を踏まえて率直な大臣の御感想をまず伺いたいと思うのです。特に資金計画採算性、先行きの見通しについて、大きく育てるということについていかが自信をお持ちなのか、確信をお持ちなのか、今までも議論のあったところではありますけれども、もう一遍冒頭にちょっと大臣のお考えをお聞かせをいただきたいと思います。
  67. 細田吉藏

    細田国務大臣 国際空港必要性というものが今日本航空界にとって焦眉の問題であるということは、これはもうるる説明を申し上げなくてもおわかり願えると思います。成田空港の第二期工事の問題などもございますけれども、いずれにしても日本として国際空港が絶対的に足りない、なるべく早くつくらなければならぬということが一つ。  それから、関西について関西空港状況がこのままではもう九時までというような制限もありますし、周辺のいろいろな問題を含んでおりますから、これも何とかしなければならぬ、こういうことでございまして、私どもはこの両方の観点から見て、このような予算の窮屈な時代、臨調の答申その他あって、大プロジェクトについてはどちらかというともう政府は非常に消極的であるという時代でございますけれども、これはどうしてもやってもらわなければならぬ、こういうことで、先ほど中曽根内閣の政治的な云々というようなお話もございましたが、私は、そのようなことはないんで、たまたま中曽根さんの内閣の時代にこれはもういろいろなところで懸案になっておったものが話がついてこれは解消されることになった、このように思っておるわけでございます。  こういったような財政難の中でございますし、大きなプロジェクトをやるということについてはどちらかというと消極的な場合に新しく興すということであるために、資金計画その他についてもいろいろな構想が出て、株式会社構想というようなものが出てまいった、このように一般的には考えておる次第でございます。
  68. 関山信之

    ○関山委員 私はこれから主として資金計画あるいは採算性の問題についてお尋ねをするわけですけれども、私のお尋ねした趣旨は、とにもかくにも発車をしなければならぬというお気持ちもわかりますし、私どもも基本的な必要性については、今申し上げましたように否定をしておるわけではないわけであります。しかし、いずれにいたしましても将来見通しを欠いて資金繰りや採算性を軽視をした見切り発車は、将来に大きな禍根を残すという指摘などもあるわけでございますけれども、この点についてのお考えを伺ったところであります。  これも幾たびか質問のあったことでありますが、重ねてちょっと伺っておきたいのですけれども、民間活力の導入という言葉が最近しばしば使われるのですけれども、先般来同僚議員の左近議員の質問やあるいは中山委員質問などに答えて、私の拝聴しておりました限りでは、まあともかく早くつくらなければいかぬということでこの方式の採用をしたんだというような御答弁もあったんですけれども、この民間活力を生かしていくというのはどういう意味なのか。私もこの答弁をつくづく眺めながら、ともかくこういう方式がスタートのチャンスになればそれでいいということじゃなかろうかなんという非常に意地の悪い見方もてきかねない、そんな状況も先ほど来申し上げたような経過の中で感じられたものですから、改めて大臣、民間活力とはさまざまな側面からあると思うのですが、企業性の発揮とか効率性とかいろいろなことが言葉の上としては言われるのですけれども、今回の民間活力というものを導入してスタートを切ったということのこの民間活力という意味はどういうことなんでしょうか。
  69. 細田吉藏

    細田国務大臣 今申し上げたような一般的な財政の窮屈な状態も反映しておると思いますが、民間活力という形は、まず出資の面において民間にある程度のものを仰ぐということは、これは民間活力ということだと思います。  それから空港をやっていく上にやはり地方の皆さん方と協調をし、御協力をいただかなければならぬ。これは成田でも大分懲りているわけですが、何としても御協力を願わなければならぬ。これには民間がやはり一枚加わっていただいてひとつ大いに頑張っていただくということも、これは民間活力だ、かように思うのでございます。  それから空港ができ上がった後のいろいろな面での活用というような面が、国がつくった空港あるいは公団がつくった空港というようなものと違って、いろいろ附帯事業やその他のものについても民間が創意工夫をもっていろいろ増収を図ることができれば、これは会社の成績がよくなって借金がそれだけ早く返せるような状況にもなりますし、そのようなこと、そのほかにもいろいろあると思いますが、ざっとしたところでもそのように民間が入るということによるメリットがある、このように考えておる次第でございます。
  70. 関山信之

    ○関山委員 大臣の御答弁で、資本参加、地方の協力、附帯事業、こういうお話がありました。もちろん地方の協力だとかいうものは、これはいつの場合でも、民間が入る、入らないに限らず、当然そういう協力の体制というものはとるべくしてとっていかなければならぬということだろうと思いますし、附帯事業の方は今まででも羽田にせよ成田にせよ、これはいろいろな形はあるようでございますけれども、いずれにせよ民間がやっておられることですから、改めてここで民間活力というふうに言うほどのことではないんじゃないかというふうにも思うのですが、まあ問題はやはり資金というところにあるんでしょうか。     〔浜野委員長代理退席、鹿野委員長代理着席〕
  71. 細田吉藏

    細田国務大臣 一般の方々の御協力を得るのに民間の方が入っていただいているということ、それから特に地方公共団体も入っていただいておるということは非常に大きく影響する、政府がやっておる、単純に公団がやっておるということよりは違う、御協力がそれだけ得やすくなるというふうに私どもは考えております。  それから、附帯事業は民間がやっているから云云というお話でございますが、民間がやって、そう言っては何ですがかなりいい商売になっているという面がありますね。それをこの会社がやればそれだけ借金を返したりするようなことが早くなるわけですから、その点は大いに違うということになると私どもは見ておるわけなんでございます。
  72. 関山信之

    ○関山委員 わかりました。  次に資金計画についてお伺いをしてまいりたいと存じますが、私どもがいただいておる資料は一兆円という事業量に対して一定の資金調達の計画が示されておるわけでありますけれども、わからぬ点が幾つかあるわけであります。特に、全体の出資が千二百億、したがって残った八八%の八千八百億というものの中身がわからぬわけですが、まず大まかな御説明をいただいて、順次お尋ねをいたしたいと思います。
  73. 松村義弘

    ○松村説明員 八千八百億、借入金に依存するという資料を提出さしていただいておると思います。この八千八百億円の内訳につきましてはいろいろ今後の情勢によって変化があり得ると思いますけれども、現段階で我々が考えております考え方に基づいて内容を申し上げたいと思います。  一番大宗を占めますものが政府保証債でございます。三千七百億円程度を考えております。開銀融資千二百億円程度、合計しますと財政融資が四千九百億円になります。あと残りの二千九百億円は民間及び地方公共団体の長期低利の資金に依存したいと考えております。
  74. 関山信之

    ○関山委員 そこで、今の民間の二千九百億、これは社債と長期借り入れという割合についてはどんなことになるでしょうか。あわせて、これはいずれ会社が発足してからということになるのかもしれませんが、社債の発行条件などについて今お考えになっていることがあればお聞かせをいただきたいと思います。
  75. 松村義弘

    ○松村説明員 社債とそれから直接借り受ける借入金と二つに分けられると思いますけれども、現在我々が想定しておりますのは、社債に大きく依存しようと考えております。  社債の発行条件でございますけれども、これは現段階でどのような発行条件になるかということで御説明させていただきたいと思います。政府保証がつきました社債は表面利回りが七・四%でございます。これは、発行手数料いろいろありますので発行者の利回りは七・八%になろうかと思っております。その他民間から借り入れます、もしくは地方公共団体から借り入れます社債につきましては、この社債をどういうふうに位置づけるかによって発行条件は変わってまいります。我々としましては、極力低金利の有利な条件に発行させていただきたいと思っておりますけれども、もし我々の努力が実りますと表面金利は七・五%、発行者利回りで八・一%になろうかと思っております。
  76. 関山信之

    ○関山委員 そこで、社債と長期借り入れの割り振りはまだ数字的にははっきり示せないけれども多くはその社債でいきたい、こういうことでございますね。  問題は三〇%相当の無利子資金ですが、これにつきましては国が千二百億ということになっておりますから、したがって自治体と民間でこれはこの前航空局長の御答弁にありました全体として三〇%の無利子資金の確保という計算からいきますと、資本金を除いて政府の無利子資金千二百億というものを引いた残りを自治体と民間で三百億ずつそれぞれが負担をする、こういうことになるわけでございますね。この辺のやりくりについて今御説明があったこととかかわるわけでしょうけれども、御説明をいただきたいと思います。
  77. 松村義弘

    ○松村説明員 本会社の収支採算を予測するに当たりまして、我々は三〇%の無償資金を実質確保したいという考え方を持っております。その三〇%のうち一二%、金額にいたしまして千二百億円程度でございますけれども、これは出資に依存しようと思っております。残りの千八百億円、そのうち千二百億円を政府から無利子貸付ということで我々は考えております。残りましたのが六百億円でございまして、それを民間と地方公共団体おのおの三百億円ずつ負担していただきたいと思っております。これはもし金利がつかないという仮定の上に立っての数字でございます。したがいまして、もしも何らかの金利をつけますと、より多くの資金を御融資いただかないと実質三百億円の無利子資金とは言えません。例えばの話でございますけれども、四%の年利でお引き受けいただきますと、三百億円の無利子資金に相当する効果を出すためには六百億円の資金をお引き受けいただければいいかと思います。また、六%の年利の場合には千二百億円になろうかと思っております。
  78. 関山信之

    ○関山委員 もう一つ確かめておきたいのですが、政府の持ち分千二百億という無利子資金、それから出資の八百億、いわゆる空港特会からの持ち分というのはこれを足した二千億というふうに承知をしておいてよろしゅうございますか。
  79. 松村義弘

    ○松村説明員 先生の御質問のとおりでございます。
  80. 関山信之

    ○関山委員 それから開発銀行の持ち分ですけれども、先ほど千二百億という数字が示されておりますが、新聞は千三百億という数字で開銀の総裁でしたか何か出ておるのですけれども、そこらあたりの数字の食い違いと、それからもう一つ開銀総裁の関西での講演の中身を聞いておりますと、この出資対象はいわゆる附帯施設というのでしょうか利便施設というのでしょうか、そういうものを対象にすると限定していらっしゃるようですけれども、そこらあたりの話し合いはどうなっているのですか。
  81. 松村義弘

    ○松村説明員 私、先ほど開発銀行の融資期待額といたしまして千二百億円と御説明いたしましたけれども、これは千二百五十億円というのは我々の手元のデータでございます。政府保証債の方も申し上げますと三千六百五十億円となっております。この二つを合わせますと四千九百億円。その四千九百億円を正確に申し上げるために、政府保証債の方を四捨五入で上に上げまして、開銀融資の方を五捨六入ということで切り捨てたわけでございます。千二百五十億円でございます。  次に、対象になる碓物等でございますけれども、先生質問のとおり、利便施設それからターミナルビル等の機能施設、連絡橋等に対して開銀の融資を受けたいと我々は希望しております。
  82. 関山信之

    ○関山委員 全体が大きいからといって五十億丸めてもらったのでは、これは余りにも大き過ぎますから、億の単位でございますから、そう余り気軽に丸めないで教えていただきたいと思うのですけれども、大体大まかな内訳はわかりました。民間調達の分についての内訳はいずれこれからということなんでありましょうが、ただ、そこらあたり具体的な資金調達上の問題点というものが、これだけ伺ってみてもいろいろと疑問が残るわけですね。  そこで、幾つかお尋ねをしたいと思うのですけれども、まず一つは、空港特会の関係です。これは私ども承知をいたしております限りでも、この硬直化というものが年々厳しくなっているというふうに承知をいたしております。空港の使用料は伸び悩むし、なかなか値上げも困難だし、加えて一般会計の繰り入れも頭打ちだし、また資金運用部資金の借り入れもこの時期なかなか困難だということになるのだと思うのでありますけれども、この辺の見通しについてどのようにお考えになっているのか、まずお伺いをいたしたいと思います。
  83. 山本長

    山本(長)政府委員 空港整備特別会計の今後の見通しといたしまして、この関西空港というものを手がけていく、羽田あるいは成田ということも手がけていかなければならぬ、さらにまた、地方空港の事情も大きゅうございますから、全体的に六十年代の前半程度、半ばまでは相当大きな資金需要が生ずると予想しております。  一方、歳入面につきましては、現在の航空需要の停滞によりましてここ一、二年非常に伸び悩んではおりますけれども、航空輸送全体の将来の展望を考えましたときに、なお空港整備を行うことによりまして、抑えられている航空需要が顕在化していくというふうな面もございますし、さらにまた、全般的な景気回復に伴いまして航空輸送需要というものも、今までほどではございませんけれども、伸びを示していくだろうというふうに考えております。そういった意味において、自己財源的な歳入というものも今までほどではないにいたしましても伸びていくであろうというふうに考えておるところでございます。  そこで、大きな資金需要が生ずる大きなプロジェクトにつきましては、これはこの関西国際空港方式でもそうでございますけれども、これらの資金需要のうちかなりの部分が財政投融資あるいは民間ベースでの借入金というもので貯えていくという事情がございます。これは空港自体の収支採算というものが前提になっておるわけでございますけれども、この関西国際空港にいたしましても、必要資金の出資と無利子貸し付け等を含めまして二割というものを空整特会が受け持つということでございますから、必要資金の二割を持てばこれが遂行できる。成田の場合もほぼ同じでございます。そういった借入金というものでもって賄っていけるということ、それからもう一つの大きな要素といたしまして、環境対策事業というものは今後も鋭意推進していかなければならぬわけでございますけれども、これは峠に差しかかったと申しますか、予算的にはむしろ峠を越してきておる。それからさらに、その環境対策費の中で最も大きな金のウエートを占めております民家防音工事も六十年度には希望者に行き渡るというふうな計画で進んできておりますので、この面から峠を越えてきた、こういうことが言えると思います。  こういった前提でもって収支を考えてみますと、その年次年次において若干のでこぼこがあり、年次においては計画を若干落とさざるを得ないようなところもありますけれども、十年タームで考えました場合には必ずしも著しい特別会計収支の不均衡を生ずるというようなことはないというように考えております。こういうふうな見通してございますので、こういった見通しを踏まえながらその年々の適切な手を打っていかなければならぬと考えております。例えば五十九年度の予算でございますれば特別会計の中に二百億の借入金をしておるというふうな、こういった手は適宜適切に打っていかなければならないというふうに考えますけれども、長期的には著しい不均衡というものは生じないでこなせていけるのではないかというふうに考えておるのでございます。
  84. 関山信之

    ○関山委員 局長の御判断としては承っておきますけれども、例えば空港使用料ですね、着陸料の資料なんかを見ますと、オーストラリアは別格といたしまして日本は世界で最高ですな。そういう意味では二番目ということになるのですか。着陸料などというものはこれから先どうなんでしょうか。見通しとしてこれ以上着陸料を値上げをしていくという可能性はおありになると思いますか。
  85. 山本長

    山本(長)政府委員 先生おっしゃる日本の着陸料と言われるのは現在の成田の着陸料というものの御質問であろうかと思いますけれども、確かにハイレベルであるということは否定するわけにはまいらないと思います。この着陸料というものはやはり航空会社経営というものも考えていかなければならぬ問題でございます。余り上げ過ぎますと困った事態が起きますけれども、しかしながら、現段階においても国際線については年にわずかずつでございますが、成田についてはアップをしておるような状態です。  国内線につきましては、現在国内の需要が非常に停滞をしておる、それからまた会社の採算も現在非常に悪い状態でございますので、当面これをどうこうするというふうなことを言えるような時期ではないというふうに考えております。しかし、これは絶対的なものではございませんで、状況によりまして、特別会計の中身を見ながら、また会社経営というものを考えながら、またこれをいじりますと運賃という面にも影響をしてくるものでございますから、そういった全般の影響というものも考えながら、時宜に即して措置をしていくということが適切であるというふうに考えておるのでございます。
  86. 関山信之

    ○関山委員 局長の御判断は御判断として承るにしても、この時期、一般的に航空の需要がそう急速に伸びていくという趨勢にないことはお認めのとおりでありますし、しかも一般会計の繰り入れも先ほど申し上げましたように頭打ちだし、借入金が始まっていること自体が五十七年度からですか、始まっているわけですから、こういう状況を見ておりますと、一体、この新しいプロジェクトをのみ込みながら今後空港特会というものはどうなるのだろうかということが心配なわけですね。  そこで、羽田沖、成田第二期、そのほかにもあるのですけれども、地方空港の問題も先ほど来御指摘がありますが、この羽田沖展開、成田第二期というのは、事業強はそれぞれどのくらいなものなのでしょうかお伺いをしたいと思いますし、これが第四次空整では、成田三千二百億、羽田と関西、丸めて三千億で、一般が三千百億という事業費の内訳になっているようでありますけれども、第五次空整の見通しは一体どうなるのだろうか。これも御案内のとおり、第四次空整そのものが当初三兆三百三十億という運輸省要望に対して、結果として一兆七千百億という数字で落ちついているわけですね。しかも、私、この間の第四次五カ年の進捗状況を拝見をいたしてみますと、空港整備は既に最終年度を目の前にして、二六・九%という進捗率なわけですね。これはどういう事情があるのか、私もこの数字だけしかわかりませんから、その辺の事情もお聞かせをいただきたいと思いますけれども、これは現実にさまざまなシーリングがかかる中で、予算的な制約があって事業が進まないという、そういう側面ばかりではないと思いますけれども、それにしても極めて低い比率になっておるわけですよ。  今申し上げたような羽田沖展開、成田の第二期、こういったようなものに加えてこの関西空港の二千億という銭をのみ込みながら、局長は、それは全体一兆円のうちわずか二〇%なんだから、そっちの方は心配ないとさっき、こういうお話がありましたが、私は今、空港特会だけの話をしているわけですから、その辺のところは十分御承知おきの上御答弁もいただきたいと思うのですけれども、この三事業の資金需要というものは一体どうなっていくのだろうか。そして、この二千億というものは少なくとも六十七年までにこの中で消化をしていかなければならぬわけですから、第五次空整から第六次空整にかけてということになるのでしょう。しかも、お話がありましたように、成田第二期にいたしましても、沖合展開にいたしましても、局長自身がお話しになっていらっしゃる速記を読みますと、大体六十年代前半ぐらいの課題としてやっていくのだというようなお話もあるわけでありますから、ここしばらくの計画は極めて集中をして展開をされるということになりますだけに、この空港特会がそれこそパンクをしやせぬかという率直な心配があります。その辺の見通しについてこの際お聞かせをいただきたいわけです。
  87. 山本長

    山本(長)政府委員 お尋ねの項目が幾つか、大分あったと思うのですが、いわゆる三大プロジェクトと言われておる関西以外の新東東、羽田の沖展の事業薮はどれくらいに見込まれておるのだというのが一つあったと思うのです。成田、新東京国際空港の第二期工事に入りまして、それを完成させるための事業費として現在試算されておりますのが、六千三百億円ぐらいでございます。それから、羽田沖合展開の最終に至るまでの所要の投資額は約五千二百億円というところでございます。  それから、先生お尋ねの第四次空港整備五カ年計画の進捗率が非常に低い、そして、それがやはり財源的な面での問題があったのではないか、こういうふうな観点からのお尋ねのように伺いましたけれども、第四次空整五カ年計画の進捗率をもう少し細かく見てみますと、環境対策事業費などについては非常に順調に資金が投入されております。これはどこまでくれば一番順調にいっているかというのが一つの問題でございますけれども、等率で伸ばして一兆九千百億というものが達成されるためには年率何ぼで伸びていけばいいかという計算ができています。そういうふうな計算をすれば、約八割程度になっておれば順調に伸びている、こういうことが言えるのです。それで、その八割程度になっているかどうかということによって判断をいたしますと、環境対策それから一般空港につきましてはほぼ順調に推移をしているということが言えます。先生が言われました非常に極端に進捗率が低いではないかと言われます原因は、この三大プロジェクトがおくれているということでございます。
  88. 関山信之

    ○関山委員 大分まとめて質問したものですから。  そこで、今お話のありました成田、羽田の事業量はわかりましたけれども、これは全部空港特会へ行くわけではありませんけれども、この第四次が間もなく終わるわけですが、第五次にかけてこの三つの事業がこの空港特会の中で取り込んでいかなければならない金額というのは、資金需要というのはどの程度のものになるのか、第五次空整に向けてどういう展望を今お持ちになっていらっしゃるのか、この点。
  89. 山本長

    山本(長)政府委員 この三つのプロジェクトはそれぞれ、それなりの緊要性、必要性があって推進しなければならないものでございますから、第五次空整の中にもこのプロジェクトは取り入れられていくというふうに考えております。それからさらに、これ以外の要素といたしまして一般空港整備というふうな要請も強うございますから、これも取り入れていかなければならぬと思っております。それらを全体としてとらえまして、そして収入面とそれから特別会計への負担、これは事業の執行の仕方によって不確定要素がございますけれども、大まかな試算をいたしまして、そして十年間程度の推移をある仮定を置いて考えますと、年々によりまして借入金をする必要があるという年が出てまいりますけれども、先ほど申し上げましたように、全般的に見て資金面において大きなギャップというものなく何とかやっていけるのではないかというふうに見通しておるのでございます。
  90. 関山信之

    ○関山委員 三事業の空港特会における必要資金量というのは、大まかな数字でも今わかりませんか。
  91. 松村義弘

    ○松村説明員 新東京国際空港公団の場合には、事業費の二〇%を政府出資しております。そうしますと、総事業費が六千三百億円でございますので、千二百六十億円が空港整備特別会計の負担になるかと思います。  また、関西国際空港につきましても、ほぼ二割の資金を負担するということになりますので、一兆円のプロジェクトを遂行するためには二千億円の空港整備負担が出てきます。  次に、羽田の沖合展開の事業費が五千二百億円でございますけれども、これにつきましては、もしも国が直轄でもってこの拡張工事を行うとすれば五千二百億円丸々空港整備特別会計の負担になるという状態でございます。
  92. 関山信之

    ○関山委員 こういう数字を見ておりますと、先ほど来申し上げましたように、関西空港の二千億円分だけ第四次空整がどれだけ伸びるかということはありますけれども、第四次空整で言えば六千二百億という枠組みでありますから、かなりな資金需要がこの面で出てきて、空港特会も容易じゃないのじゃないかなという気がするものですから、そういう観点からお伺いをしたわけですけれども、この時期、最終的に二千億の消化は可能だ、こういうふうにお答えをいただけるのでしょうか、一言だけ。時間もだんだんなくなってきましたので。
  93. 山本長

    山本(長)政府委員 これはどうしてもやっていかなければならないプロジェクトというものはそれなりの資金手当てをしていかなければならない。やはりそれが国としての責務であろうというふうに考えております。  現在の財政事情から見て、将来空港整備の中に国の会計としてどれだけここに導入できるかという財政の見通しは、十年先の見通しということになりますので非常に不確定要素がございます。しかしながら、いずれの事業にいたしましても緊要な事業でございますしおくれておる事業でございますから、運輸省といたしましては、必要な事業については必要な資金量というものをあらゆる努力をして確保していく、こういう意欲を含めた見通しの上に立って事業をやっていかなければならぬというふうに考えておるわけでございます。
  94. 関山信之

    ○関山委員 ここで押し問答しておってもしようがありませんから、先へ進みます。  民間資金の調達について先ほど御説明をいただいたわけですけれども、自治体、民間合わせて三百億ずつの無利子相当のお金を調達する。これは事実上はかなりな低利なお金を、四%なら六百億、六%なら千二百億、自治体、民間がそれぞれ資金調達をしてこなければ無利子三〇%という枠組みが守れないわけです。この点につきましては、皆さん方の方は一定の目安がついているのですか。
  95. 松村義弘

    ○松村説明員 先ほど私から御説明いたしました六百億円、千二百億円の調達の件でございますけれども、いろいろ難しい問題があろうかと思います。地方公共団体によりまして財政事情もまた異なりますし、民間の方々におかれましてもなかなか難しい問題があろうかと思います。しかしながら、地方公共団体の中で主導的立場をおとりになられると思われます大阪府、それから民間の場合でも在阪五団体から全力を挙げて協力する旨の御確約をいただいております。私どもといたしましては何とか確保していただけるものと考えております。
  96. 関山信之

    ○関山委員 自治省からおいでいただいておりますが、地方自治体の負担分について既に出資金などについて起債を認める方向であるやの大臣答弁もあるようなんですけれども、これはなおちょっと伺っておきたいのですが、この地方債の発行についてはどういう枠組みをお考えになっているのか。新しい起債枠を設けなければならないわけですけれども、起債の資金手当てなどはどういう性格のものになるのか。今の段階で一定の方向があればお聞かせをいただきたいと思うのです。
  97. 前川尚美

    ○前川説明員 地方公共団体がこの会社出資をする場合の資金手当ての方途でございますが、いろいろなことが考えられるわけでありますけれども、現在の財政制度に即して考えますと、一般的な制度として地方債というのが妥当であろうかと思うわけでございます。そういう意味で大臣もそういうお答えを申し上げているわけでございます。  具体的には、これは当該年度における事業計画の内容なりあるいは団体の財政事情なり資金事情なりというものを総合的に勘案しながら地方団体からの申し出に応じて検討をさせていただくということになるわけでございますが、私どもこの会社出資金の手当てに当たりましても、現行の財政の枠組みの中で考えますと、地方債計画上計上されておる地方債として一般単独事業債というのがございまして、通常出資金の財源として地方債を充てる場合にはその地方債を予定するということになっております。今回の事業につきましても、関係団体からの申し出があればそういう方向で検討を進めていくということになろうかと存じます。
  98. 関山信之

    ○関山委員 政府資金なり縁故債なり、そういう資金手当ての関係などはどうでしょうか。
  99. 前川尚美

    ○前川説明員 資金手当てにつきましてまだ具体的な検討に入るところまで参っておりませんけれども、現在の政府資金の状況等々、私ども毎年度毎年度の地方財政計画策定上の問題点として検討しております経緯等々に照らして考えますと、国の資金事情も大変厳しいということもございます。今回のこの会社に対する地方債の資金として何を考えるかということは今後の課題でございますけれども、私どもは政府資金以外の資金ということにならざるを得ない面が現在の段階ではあるのではないかという見方をいたしております。政府資金以外の縁故債の可能性が強いと思います。
  100. 関山信之

    ○関山委員 それから建設利息の問題について伺っておきたいと思うのですが、これは二月二十一日事務次官の御発言として報道の中にあるのですが、これはどういう形で落ちつくことになりそうでありますか。
  101. 山本長

    山本(長)政府委員 商法の規定の中に建設利息という制度があるのですが、実例は非常に少ないと思うのですけれども、出資をいたしましてから建設期間あるいは配当に至るまでの期間が相当長いということもあり、出資に対して利息をつけることによって出資の意欲を大きくさせるというふうな観点からこの建設利息というものをつけることを考えてはどうか、こういう意見があることは事実でございます。  これは、この関西国際空港への予定の出資というものを確保する上においてそこまで必要であるのかどうかという判断によって決まってくるものでございます。これにつきましては現在民間側におきましても出資促進委員会というものも、まだ非公式段階でございますけれども、関西国際空港が通って準備段階に入ったときのその準備としていろいろ相談をされておるところでございます。したがいまして、私たちもこの準備段階におきまして設立委員関係者等の意見も十分聞きながら、この点については判断をしていく必要があるというふうに考えております。現在のところそれについて建設利息をどうするということは関係者の間ではっきり決まったというものではございません。そういう意見があるということでございます。
  102. 関山信之

    ○関山委員 これはいろいろと資金調達の問題について心配になる事柄を伺ってきているわけですが、仕事が過程にあるわけですから、はっきり詰まらぬ部分があるのはやむを得ないとしても、私は基本的に守っていただかなければならないというところは一つあると思うのです。その点は、お話ございましたように採算性の問題だと思うのです。三〇%の無利子相当の資金が本当に確保できるのだろうかということの中で、今言ったような話まで出てくるわけですから、無利子相当の出資金に建設利息をつけるかつけないかなんという話がもうすぐ出てくるわけです。これはまさに民間活力ですよ。こういう民間活力でこの全体計画が進んでいったら一体どうなるのだろうかという心配があるわけなんですけれども、その辺は時間がなくなってきましたのであれですが、採算性の問題について今の問題もあわせてまたお答えをいただきたいと思うのです。  もう一つ、私は今までの議論を聞いておりましてこれはどういうものでしょうかと思うのは、建設工事の見積もりについてなんです。八千二百億ですか、皆さんの方は大変都合がいいのでありまして、収入の方はいろいろ政府の経済見通しか何か掛けたり足したりしながら需要見通しを見ていらっしゃる。一方で建設の方は現在時点の価格で算定をされておるわけです。これは東北新幹線の場合八千八百億が二兆八千億にふくれ上がった、それから青函トンネルは二千億が五千三百億に膨れ上がった、これはもう大臣、御承知のとおりであります。  関西空港の場合、本当に、収支採算性について、今の時点で新しい株式会社を発足させるに当たって、一定の根拠を持って、一定の見通しを立ててということになれば、こういう収支見通しを私どもの前に出して、何とかなりますわというのは随分いいかげんな話になるのじゃないだろうか。これは、単純に八千二百億、最近インフレが落ちついている、物価上昇が落ちついているといっても、物価上昇分だけ見たってかなり上がっていくのだが、この辺の心配は一体どうなっているのか、このことを聞くことは酷かもしれませんけれども、やはり納得のいく説明がなければ、私どもはこれでいいなということにならないのじゃないでしょうか。  特に、この際、成田の場合なんか一体どうなったのかと、私、調査室に聞いて、運輸省の方の意向を聞かしてもらうようにいろいろ聞いたのだが、これは数字を教えてもらえませんでしたが成田の場合なんかどうなんですか、第一期工事。最初の見通しと完工時ではどのくらいの乖離があったのか、こういう問題について、ひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  103. 山本長

    山本(長)政府委員 成田の例の見通しと実績の乖離、私、手持ちがございませんので、ちょっと御容赦を願いたいと思いますが、御質問の中で、最初の基本的な問題がございました。  確かに、建設費というものは、何年時点の建設費でございます。しかし、その建設費を前提とするところの収支計算上の収入の前提も、その時点における前提でございます。つまり、収入というのは、着陸料にいたしましても、いろいろなテナント借料にいたしましても、やはりインフレがあればインフレに即応するように全般的には上昇をしていく傾向がございます。建設費についても同じでございます。つまり、一時点で停止をさせて、その時点における単価等を基礎に置いて計算をしておるわけであります。先生おっしゃるように、建設費についてインフレ効果を見るならば、収入についてもインフレ効果を見ていく、こういう計算方法になるわけでございます。  これについては、将来のインフレをどう見るかというのは非常に難しい要素がございます。したがって、収支計算というものの前提は、収入も支出も、その時点における単価を採用してやっていく、これは普通のやり方ではないかと私たち考えております。先生おっしゃるように、インフレも見込んで収入も支出も見るという方法もあろうかと思いますけれども、これはまた非常に複雑であり、大きな前提といいますか条件を置いて、不確定な収支計算になってしまうと考えるものでございます。
  104. 関山信之

    ○関山委員 ちょっと大臣、御退席なさるそうですから、一つだけ伺っておきたいことがございます。  神戸沖空港関係なんですが、この一連の経過の中で、調査をお認めになったようなんですけれども、これはある新聞の会見の中では、調査の結果やれるということになればやれということになる、しかし、かなり先だろう、こういうやりとりがあるのですが、その点はそういうこととして受けとめてよろしいですか。
  105. 細田吉藏

    細田国務大臣 大阪和歌山兵庫、三県の知事といろいろ折衝をしている段階で、兵庫県知事との会談で神戸沖の問題が出てまいっておるわけでございます。神戸沖空港を設けることで、調査をいたしたい、御協力を願いたいということでございます。これは、運輸省が協力しなければ調査もできませんから、協力はいたします。しかし、つくるとかつくらぬとかいうことを、別段約束もしなければ、何も言っているわけではございません。調査に対する協力ということでございます。  これからの問題でございますが、かなり専門的に見ると、相当な困難な条件が種々あるように私は聞いております。
  106. 関山信之

    ○関山委員 重ねて恐縮ですけれども、調査の結果がやれということになればやるということになるのでしょうか。論理的にはそういうことになりそうなんですけれども。
  107. 細田吉藏

    細田国務大臣 それは別問題でございまして、今の時点でやるというようなことを全然申しておりません。調査に協力してくれということまででございます。後は全体の中でどうするか、第何次空港計画というようなものの中で入れるかどうかというようなことでございます。しかし、そこまで参る前に、実はいろいろな問題があるやに聞いております。特に、航空路の問題で非常に難しい立地になっておるような話も聞いておりますので、とにかく兵庫県は熱心で調査をしたいということなものでございますから、調査には御協力申し上げる、こういうことにいたしておるわけでございます。率直に申し上げております。
  108. 関山信之

    ○関山委員 それはその程度にしておきましょう。  時間もなくなりましたが、ことしの最終的な、関西空港の問題をめぐっての予算確定の時期に、大蔵省と運輸省の方で折衝があったようでありまして、これも新聞報道によれば、大臣は退席されましたから直接聞けなくなりましたけれども、それは航空局長、きちっとお答えをいただきたいのですが、今年度の予算編成に向けて、一定のやりとりがあって覚書が結ばれていると、私、事務当局に聞きましたら、覚書なんかないなどとこう言って返事が返ってきておりますけれども、しかし、現実にそういうふうに報道もされておりますし、問題は、関西財界から出資及び長期低利融資等について協力する旨の閣議決定がなされていることが一つ、二番目に、特殊法人として設置するかわりに、スクラップの方をやるということと、三番目に、関西国際空港建設に当たっては今後とも工事費の削減に努める等、会社採算性の確保を図るよう会社を指導することという三番目の項目があるのですね。これは大蔵省からおいでいただいておりますので、それぞれからちょっとお答えをいただきたいのですけれども、どういう意味を含むのでしょうか。  実は、先ほど来、工事費の見積もりについて、かなり過小な見積もりではないか、将来的には当然上がっていくのじゃないかという問題を提起をしているわけですけれども、逆に、この間、関係閣僚会議等で決定を見ておりますこの計画が、今後縮小をされるようなことはないのか、その辺のところについて、このやりとりとの関連でお聞かせをいただきたい。
  109. 山本長

    山本(長)政府委員 新聞に報道されていること、私も見たきりでございますが、あそこに書かれておるような記事につきまして、私たちと大蔵省との間でいろいろ意見調整といいますか、協議調整したことは事実でございます。大蔵省と我々の意見の調整の過程で出てきた議論でございます。しかし、その新聞記事にございますように、何か大臣大臣との間の覚書があるというふうな記事でございますけれども、そういうような覚書というものはございません。  それから第二番目の、工事費を削減するというふうに書かれておって、それが現在の運輸省が持っております、あるいは公にしております第一期計画をさらに縮小するという意味ではないかという御質問でございますけれども、そういったことはございません。むしろ工程管理あるいは資材調達、いろいろな面で工夫をして、その第一期計画というものを、我々は工事費ベースでは八千二百億円、事業費ベースでは一兆円というふうに試算をしておるのでございますけれども、これについて今後の努力によってできるだけそれを安くするような工夫をしていくという、今後の努力ということはそこにあらわれておるようなことでございまして、その考え方というのは、私たちもそういう考え方でいくべきであるというふうに考えております。
  110. 関山信之

    ○関山委員 時間が参りましたので、残余の質問は同僚議員に譲って終わります。ありがとうございました。
  111. 鹿野道彦

    鹿野委員長代理 この際、暫時休憩いたします。     午後一時十分休憩      ————◇—————     午後二時五十二分開議
  112. 鹿野道彦

    鹿野委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。近江巳記夫君。
  113. 近江巳記夫

    ○近江委員 十八日には現地視察も行いました。本委員会の実質的な審議も、参考人に対する聴取も終えました、中盤に入ってきたわけでございます。現地へ参りまして、現地の皆様方からもいろいろな陳情なり貴重な参考意見を承ったわけでございます。  そういう中で、一貫して現地の皆さんが非常に不安を訴えておられた問題は、何といいましても三点セットの中における地域整備の問題であります。     〔鹿野委員長代理退席久間委員長代理     着席〕 御承知のように、本法案についても地域整備に対する条項がございませんし、今後地域において計画を固め、いろいろとそこにおいて住民の皆さんの意見も反映されながら立派な地域整備計画ができ上がる、このように思うわけでございますが、それに対する政府助成措置、これが本委員会においても、いわゆる成田方式はとらない、かさ上げはしない、そういう点で非常に不安が渦巻いてきている。これは実際にこの会社が発足をして地域整備計画がなされ、進捗されていく、こういう中において現実のものとなって迫ってくるわけでございます。そういう点、非常に不安を覚えるわけでございます。この条文にも地域整備のことが入っていないわけでございまして、政府として今後この地域整備に対してどこまで本腰を入れてなさるのか、これをしかと承りたいと思うのです。
  114. 山本長

    山本(長)政府委員 お答え申し上げます。  空港というものが地域社会と調和のとれたものでなければならないことは申すまでもございませんし、地元がこの空港立地を機に地域の開発整備を進めたいという強い希望を持っておられることも十分承知をいたしておるところでございます。  関西国際空港の立地に伴う関連施設整備の進め方については、関西国際空港関係閣僚会議がことしの二月に開催されまして、そこにおいて了解されたところのものがございます。一つは「空港アクセスとして根幹となる交通施設については、国が地方公共団体等の協力を得て計画面の調整を行い、国を含む関係の機関及び地方公共団体等が相互に協力して整備を行う」、また「空港の立地に伴い必要となる関連公共施設に関する計画の策定及び推進については、今後、国と地方公共団体との間で協議・調整を図っていく」という基本的な考え方が了承されたのでございます。この基本的な考え方に基づきまして、今後関係機関の間で協議、調整を図りつつ具体策を検討していくことにしておるのでございます。  地域整備のうちで、特に町づくりといわれておるものにつきましては、基本的には関係する地方公共団体地域の特性を生かしつつみずからの創意により計画の策定、そして推進がなされるべきものと考えており、これらについて国が所要の協力をしていくという進め方が妥当であると考えておるところでございます。個々の事項につきましては、そのプロジェクトの緊要性それから熟度を勘案して関係省庁のもとで必要な措置が講じられるということになっていくわけでありますけれども、運輸省といたしましては、空港設置、管理するということについて推進をいたす省庁として、関係省庁に対しこの地域整備問題について積極的に働きかけ、空港地域社会の共存また繁栄ということについて努力をいたしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  115. 近江巳記夫

    ○近江委員 いわゆる法律の条項にはないけれども、フォローするものとして閣議了解事項が骨になるわけですね。そうすると、この閣議了解事項で取り組みの姿勢というか、それは出ておるわけでございますが、現実にそういう成田方式はとらない、かさ上げはしない、そうなってきますと、いわゆる政府のとるバックアップとして一体どういうことをやってくれるのか、具体論に踏み込んだときに非常に不安があるわけですよ。具体論としてどういうバックアップをされるのですか。
  116. 山本長

    山本(長)政府委員 関連の公共施設整備してまいりますときに、地方公共団体としての財政上の負担が生じてくるわけでございますが、これについては地元の方から、新たな財政上の特例措置を講じてもらうことを希望しておられることは承知いたしておるところでございます。しかしながら、現在の財政事情から見まして、新しい特例措置を講じていくということは非常に困難であると考えられます。現在の既存の地方公共団体に対する財政上の諸措置を通じまして、またその既存の財政上の措置において、地域においてぜひとも必要となるところの施設整備に伴う財源措置につきましては、自治省などにおきまして、あるいは関係省庁などにおきまして、それについての優先的な採択というものを講じていただくと、運輸省といたしましてその地域との間に立ちまして円滑な整備が図られるように努力をしていきたいというふうに考えております。
  117. 近江巳記夫

    ○近江委員 自治省さんなり大蔵省さんも来ていらっしゃると思うのですが、非常に地域はそういう不安を覚えておるわけですね。今、運輸省は仲立ちをして自治省さん等に大いに協力してもらわなければならぬ、これは自治省さんはどういう協力をしていただくのですか。具体的にひとつ答えてください。
  118. 前川尚美

    ○前川説明員 関西空港の立地に伴います関連の公共施設整備につきましては、ただいまも運輸省の方からお答えがございましたように具体的な計画はこれからの問題でございます。今の時点でかくかくの事業についてこれこれと具体的に申し上げるところまでは至ってないわけでございますが、私ども基本的な考え方といたしましては、今後国と関係地方公共団体の間で関連公共施設整備事業の計画について協議が進められていく中で私どもも国庫補助対象として採択さるべきものは、これは積極的に関係省庁に国庫補助の対象として取り上げていただくようにお願いをしたいと思っておりますし、また、その裏の負担といいますか、その裏の負担について、これは適債事業でございますれば地方債を活用していくということも検討してまいりたいと考えております。
  119. 近江巳記夫

    ○近江委員 今地方債起債のお話があったわけでございますが、こういう起債——起債といったところでこれは借金で、本当に残っていくわけでございますし、この起債のいわゆる枠の拡大、どういうことがあるのですか、ちょっと一遍言ってみてくださいよ。どういうバックアップの仕方があるのですか。これは既存の措置という一括した表現で言えるわけですけれども、それじゃ既存の措置はどういうものがあるのですか。
  120. 前川尚美

    ○前川説明員 空港関連の公共施設整備事業となりますと、一般的に想定されますのは公共事業の関係でございます。通常国庫補助対象として、あるいは国庫負担の対象として取り上げる事業が多いということになってまいると思いますけれども、その裏負担といいますか、地方団体が負担すべき部分については一般公共事業債をもって対応するということが可能であると考えております。
  121. 近江巳記夫

    ○近江委員 例えばその判断の仕方で、これは当然空港に伴ってくる公共事業であると地元が判断をした、ところが政府としては間接にはそうかもしれないけれどもというような場面も出てくる、いろいろなあらゆることがこれから想定されると思うのですよ。私は後ほどまた地域に及ぼす影響等聞いていきますけれども。  だから、そういう点で今後の地域整備の問題について非常に地域は心配しておられるわけです。この十八日の視察のときもどの人もそのことを訴えておられたわけですね。ですから、こういう点閣議了解でただ一括した、そういうことだけじゃなく、現実に今後想定されることは皆さん方も成田を初め、空港建設を今までやってきておるわけですから、今後どういうような地域整備が進んでいくかというのは、もちろんこれは地域から上がってくるわけでございますけれども、当然想定されるわけでございまして、ですからこういうこと、こういうことが想定される、それは地域計画の決定にまつわけですけれども、こういうこともあるということぐらい皆さんの方から、これに対してはこのくらいの金が要ると思います、これに対しては政府としてはこれだけは準備したいと思います、こういう三点セットという基本的な考え方をあなた方は出しているのですから。そういうふうなことは想定もなさっていないのですか。これは地域から出てくれば、それから考えればいい、こういう感じですか。その点はいかがですか。
  122. 山本長

    山本(長)政府委員 私たち、府県を窓口にいたしまして地域の御要望というものをお聞きしております。これらの御要望を整理し、そしてそれを一つ計画という形でまとめていくという作業を、大阪府下におきましては大阪府において現在、将来のこの空港地域整備のかかわり合いを勘案しつつ地域整備の進め方というものについてプランをまとめられつつあるというふうに聞いておるところでございます。個別の話としていろいろなことを私たち耳にしております。聞いております。  それを、今申し上げましたように、府において整理をし、それをそこにおける優先度、緊急度あるいは計画整合性というものを図りつつ、一つ地域の将来の計画としてまとめられつつある段階でございますので、運輸省といたしましては、それをまた府から受けまして、またその整備の中身と申しますのは恐らく関係各省に多岐にわたった項目になるのではないかというふうに考えております。運輸省としてできるもの、それから他省庁に運輸省としては空港との関連においてこれはぜひ応援していただきたいというふうなものということに分けられていくんじゃなかろうかと思っております。したがいましてこれらの問題につきましては、運輸省としては先ほど申し上げましたような態度で各省庁にお願いをしていく。  さらにまたこの問題につきましては関係閣僚会議というものがございますものですから、それをいつ、どういう時期においてその場を活用していただけるかという問題がございますけれども、運輸省といたしましては必要とあらばそういうような場を活用させていただいて、この問題の推進について運輸省として努力していきたい、現在そんな考え方でおるところでございます。
  123. 近江巳記夫

    ○近江委員 関係閣僚会議というのは、これは大臣ですからね、そんな余り細かいところまで、補助をどうするかとか、これは閣議了解事項でアバウトなんですよね。したがいまして関係各省よく相談してとおっしゃっておるわけですから、関係閣僚会議がここにあるわけですから、運輸省が中心となって地域整備に対する関係各省連絡会議というものをぜひとも設置をして、そしてきめ細かにそれをフォローしてもらわなければいかぬ。こう思うのですが、いかがですか。
  124. 山本長

    山本(長)政府委員 お答え申し上げます。  この地域整備の問題を中心といたしまして、相当前からでございますけれども、関係の省庁におきまして、これは本省の課長レベルの段階でございますけれども、関連する主要な省庁が入っておりますが、連絡調整をする場というものがつくられております。しかしながらこれは課長会議の場でございますから、さらに先生のおっしゃった関係閣僚会議の間には大きな段差があるわけでございます。その中間の段差といたしまして、関係閣僚会議の中には幹事会というものが置かれておりますけれども、それを活用するのも一つ方法かと思います。さらに省庁間におきまして中間実務者レベルにおきましてそういう会議を持っていくということが必要かと思っております。現に、これは先生おっしゃるように一般的というか網羅的な省庁での例えば局長なり部長なりのクラスの協議の場というのはいまだ設けられておりませんけれども、個別の省庁との間におきましては実際上の連絡を緊密にいたしておりますし、また近くそういう省と省との間の連絡会議を設けようという話も現在あるところでございます。そういう場を通じまして、先ほど申し上げましたような考え方運輸省として対処していきたいと考えております。
  125. 近江巳記夫

    ○近江委員 今局長もおっしゃったように、閣僚会議事項を受けて実務者レベルの各省庁の連絡会議設置したい、こういうお話があったわけですが、これはぜひやってもらいたい。大臣も閣僚会議のこういう了解事項は十分御承知のとおりでございますし、実際のそういう実務者レベルの連絡調整というバックアップ体制ということは極めて重要でございますし、当然局長あたりが中心になられると思いますが、まず何といいましても最初のフォローからしていくことが大事でございますので、早急に設置していただきたい、このように思います。  大臣、ひとつそのフォローの御意見をお聞きしたいと思います。ぜひそれを早急に進めていただきたい。
  126. 細田吉藏

    細田国務大臣 地域整備の重要性についてはもうお説のとおりでございますし、私も非常に重要であると考えております。ただ、今非常に漠然としておるじゃないかという御指摘がございましたが、それはある程度認めざるを得ないと思うのです。ということは、空港そのものをどうするかということがなかなか決まらなかった、こういうことでございまして、今やっと法律ができて、いよいよ出す。関係地方公共団体も、地方の方々と相談しながらやっと協力をするというところまで来た。そこで、やはりどうしてもそれに伴うものというのは若干おくれるのだと思います。  しかし、おっしゃるようにそういう不安があってはいけませんし、なるべく早く決めなくてはいけません。そういった意味で、今局長からもお答えをしておりますが、実務的に関係する省がかなり多いと思いますので、きっちりしたものをなるべく早く皆さんの不安がないように固めていく必要がある、かように思っておる次第でございます。決めていくのは、関係閣僚会議で決めさせていただく、こういうようなことにお願いしたいと思っております。
  127. 近江巳記夫

    ○近江委員 大臣の答弁は結構であったと思います。やはり地域はそういうように非常に不安を覚えておる、その受け皿というか、各省庁において運輸省が中心となってこういう受け皿をして皆さん方の心配に対してはこたえる、それが誠意だと思うのです。ですから、局長大臣も明確に答弁していただいたわけでございますので、その立派な実務者レベル会議、連絡会議を早急に設置していただきたい、強く要望いたしておきます。  また、この地域整備の中で非常に大きな問題というのは、アクセス、それからまた前島の問題ではないかと思うわけでございます。先般も私が本委員会におきまして、また同僚の正木議員からも質疑をしたわけでございますが、近畿自動車道でいけるのじゃないかという政府の御答弁でございましたが、今後の内外の乗降客、こういうことを考えますと、どうしても湾岸道路というものは開港時までに多少の困難があっても推進しなければならぬ、このように思うわけでございます。先般も聞いておるわけでございますが、建設省さんとしては我々のこういう意見をただ聞き逃しにされているのか、その後本当にそれを実施するために真剣な討議をされたのかどうか、またその結果はいかがであるか、この点をお伺いいたしたいと思います。
  128. 光岡毅

    光岡説明員 お答えいたします。  先般お答え申し上げましたが、この湾岸道路に関しましては、大阪湾に沿って神戸市垂水区から大阪府の泉佐野市に至る九十キロメーターの非常に重要な道路計画でございます。したがって、この道路は内陸部の交通の混雑を緩和し、臨海部の土地利用の高度化に資する役割を持つものでありまして、関連地域の交通事情や土地利用状況等を勘案しながら、これまで整備必要性の高い区間から逐次計画を固めて専業を進めてまいってきております。  現在、大阪市の港区の港晴から堺市の三宝に当たる約八キロメーターについて阪神高速道路大阪湾岸線として既に供用しておりますし、それから堺市三宝から出島西町約四キロメーターにつきましては第九次五カ年計画の期内に供用をするべく鋭意事業を進めているところでございます。  それから堺市の出島西町から泉大津市の臨海町約七キロメーターについては、昭和四十九年に調査に着手いたしまして、五十八年、九年目に事業化に着手しておるところでございます。現在、これについては鋭意事業を進めておるところでございます。  それからその先の空港までに至る泉大津市の臨海町から泉佐野市に至る区間でございますが、これは先の方の調査は一部は残っております。昭和五十四年度からこの区間の調査を着手しております。現在、阪南港の港湾計画がございますが、これとの調整を鋭意やっております。  それからもう一つ、下がりまして大阪府下の貴重な海水浴場でございます二色ケ浜公園と、これは現在どういうふうな形の構造物にもっていったらいいのか、トンネルの方がいいのかあるいはオープンでいけるのかというような調整、それからもちろんこの地域には工場群が相当ございます。こういった意味で、路線計画が非常に難しゅうございます。その計画を策定する調査を今進めておるわけです。  その間、関西空港計画が具体化してまいっておりまして、今後この道路の重要性を非常に考えておりまして、調査の一腰の促進を図って関係機関との調整を急いで進めて、できるだけ早く路線計画を策定してその事業化に取り組みたいと考えております。
  129. 近江巳記夫

    ○近江委員 ニュアンスとしては大分前進したように思うのですね。開港時までにこの湾岸道路はぜひとも、建設省ほど力のある省はないと言えばちょっと大げさでございますが、非常に期待をしておるわけでございまして、ぜひ努力をしていただいて完成をさせていただきたい、このように思います。大臣も一切の取りまとめの総責任者として強く要望したいと思いますので、ひとつうんと力を入れていただきたい、このように思います。大臣、ちょっと一言。
  130. 細田吉藏

    細田国務大臣 どうしても湾岸道路をやってもらわなければならぬと私は思っておりますので、力を入れてまいりたいと思っております。
  131. 近江巳記夫

    ○近江委員 だんだんとそういう現実を踏まえた大臣の答弁が出てきたように思います。  それから近畿自動車道のインターから前蔦まで来るわけですが、その道路建設備がつくるのですか、どこがつくるのですか。
  132. 光岡毅

    光岡説明員 一応陸地の内部に関しましては建設省ということで考えて、今これから調査を進めようというふうに考えております。
  133. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから鉄道の問題ですが、南海あるいは阪和、このどっちから引くのかわかりませんが、一つはどちらから引く可能性が強いのか、またそれはどこがやるのか、このことについてお伺いします。
  134. 山本長

    山本(長)政府委員 関西国際空港空港計画面から見ますと、鉄道が海岸線に近いところで南海本線、若干山手のところに阪和線が通っております。この鉄道はどちらも軌道幅が同じでございまして、電圧も同じというところで空港への取りつけというものは、もちろん各鉄道に取りつける部分は違いますけれども、共用できる部分が相当多うございます。また空港の面から見まして、道路アクセスだけではなく鉄道アクセスもぜひやはり必要だというふうに書いております。将来的には両線と空港を結ぶ連絡鉄道というものが望ましいというふうに考えておるところでございます。  空港計画面ではそういった計画にいたしたいというふうに考えておるところでございますが、何分、御存じのように鉄道事業についてはいろいろ困難な問題を抱えておられるわけでございます。両線、開港までにということは非常に望ましいことでございますが、若干私たち不安を持っております。しかしながら、空港開港時までには鉄道空港の中に入れていく、その場合にはやはり現在の鉄道事情を考えれば南海本線ということが比較的早いのではなかろうかというふうに考えておるところでございます。この一つの連絡鉄道につきましては、できるだけといいますか、ぜひとも開港時までには間に合わせたいというふうに考えております。  それからその連絡鉄道事業主体の問題でございますけれども、常識的にはこれは鉄道事業主体が行うというのが常識でございますけれども、これまた相当の投資でございまして、鉄道事業の面からの事情も勘案しなければなりません。そういった観点から鉄道事業者、それから地域としての地方公共団体、それから空港の管理主体であるこの企業体によるところの第三セクター方式による鉄道敷設というものが他にも例がございますので、そういった方法検討課題であるというふうに考えておるところでございます。
  135. 近江巳記夫

    ○近江委員 最近の傾向として、鉄道の新設ということについては鉄監局というのは非常にシビアな見方をするようでございますけれども、この空港の連絡鉄道についてはどういう受け取り方をされているのか、鉄監局長がおられなければ大臣からお伺いをしたいと思います。
  136. 永光洋一

    ○永光政府委員 今、先生も言われましたが、鉄道の、特に国鉄関係は財政状況も厳しいものですから、なかなか新規投資というものに対しては厳しく対応いたしておるわけでございますが、また南海につきましてもやはり私鉄事業者ぞありますので、私鉄事業者の一つの能力の範囲というものもあると思います。ただ、今回のこういうプロジェクトは国家的なプロジェクトでありますので、鉄道アクセスという面から何らかの財政的な問題等も含めながら積極的に我々鉄道側としても協力をいたしたい、こういうふうに考えております。
  137. 近江巳記夫

    ○近江委員 局長さんも積極的に取り組んでいきたいという御答弁がありましたので、それをぜひ開港時には実現できるように努力をしていただきたい、このように思います。  それから次の問題は、何といいましても株式会社方式による第一種空港であります。本来は、皆さんに申し上げなくても国がやるべき国際空港であります。それだけに株式会社法でやるということについての不安というものは常につきまとうわけであります。その最大のものは何といいましても公共性の確保の問題であります。この問題については、公害問題等については常時監視体制をつくるとか、いろいろなことがあろうかと思います。あるいはまた、地元の皆さんを入れた運営協議会、こういうものをつくる必要があろうかと思います。こういう公共性の確保ということにつきまして、私が申し上げた二点等も踏まえまして、具体的にそういうことをやるかどうか等を踏まえてひとつ御答弁いただきたいと思います。
  138. 山本長

    山本(長)政府委員 この特殊会社たる株式会社構想も、民間の活力を積極的に活用するというふうな点も重要な点でございますが、同時に、先生のおっしゃる公共性の確保という点については、これはさらに重要な問題でございます。この会社の運営、具体的には建設建設後の空港の管理等につきまして、公共性の確保ということが特に重要でございます。そういった面からいいまして、法律の中におきましても、この基本施設及び保安施設の管理につきましては、運輸大臣の定める基本計画に従ってやっていかなければならぬというふうな義務づけを会社にいたしておりますと同時に、細かく申しませんが、所要の監督措置というものを講じておるところでございます。そういった監督措置を講じまして、またその公共性を発揮するためにも、また会社経営基盤というものが重要でございます。そのために財政的あるいは税制的な特例措置を設けまして、そして会社経営基盤と企業体の基盤というものも強化をしていく、こういうふうな配慮を払っておるところでございます。  それから、さらに先生の御質問の、この会社の事業運営につきまして、地元のいろいろな意見というものを反映させていく必要があるという点につきましては、私たちも全くそういうふうに考えておりまして、その具体的な手法というものにつきましては、今後十分検討させていただきたいと思いますけれども、その方向におきましては同じ考えでございます。その何らかの機関につきまして構成をどうするかというようなことにつきましては、細部を詰めさせていただきたい、また、会社も指導してまいりたい、こういうふうに考えておりますけれども、十分検討させていただきたいと思います。  それからもう一つ公害監視と申しますか、空港建設段階、それから建設が終わりまして運営されて、後からの公審の発生がないように、また、あったならば、それを是正するというための監視の問題がございます。公害問題の防止につきましては、この空港計画の当初からの基本事項でございまして、そのために位置もああいう位置にし、いろいろな配慮をしておるわけでございます。また、工事のやり方についても相当の工夫をいたしておるつもりでございます。そういった計画面における配慮によりまして、公害の発生というものについては十分措置をいたしておるつもりではございますけれども、しかしながら事後におきまして、そういう配慮をしつつも、なお起こり得る可能性というものを防止するために監視組織をつくるということは必要であろうと思っております。水質、騒音、大気等々の事項があろうと思います。  これにつきましては、やはりずっと継続してやらなければいけませんし、また、それなりの施設なり体制が必要でございますので、そういう監視業務の基礎データを得る仕事というものは、やはりこの企業体でやっていく必要があるのではなかろうかと思いますけれども、しかしこの事業主体がやっていきます場合におきましても、その監視の手法、方法、それから得られましたデータの公開と申しますか、そういうふうな点につきましては、外から見て問題のない形で体制をつくっていかなければならぬというふうに考えております。これも具体的な問題につきましては今後検討させていただきたいと思いますが、基本的な考え方は、そういう考え方運輸省も対処し、また会社にもそういう考え方で対処していただくように指導をしていくという考え方でございます。
  139. 近江巳記夫

    ○近江委員 ぜひそのようにお願いしたいと思います。同僚議員の関連がございますので、早く進めて終わりたいと思います。  もう一つの大事な問題は、これはナショナル空港であります。しかし、何といいましてもこれは関西空港であります。それだけに、現地性の優先といいますか、こういうことは非常に大事な問題だと思うのです。そうしますと、少なくとも空港大阪にできるわけでございますし、だれが考えてもこれはやはり本社は大阪に置くべきでありますし、また役員等を初めといたしまして、地元に明るい有能なそういう人材というものはぜひとも参画させなければいけないんじゃないか、このように思います。あるいはまた、この仕事等におきましても、やはり地元の皆さんがそこで仕事ができるようなそういう態勢が必要であろうかと思います。また、中小企業の皆さんも特に重点としてこれは考えてやらなければならない問題であります。そういういろいろな現地性の確保といいますか、こういうことが非常に問題であろうかと思います。こういう点につきまして、ひとつ簡潔にお願いしたいと思います。
  140. 細田吉藏

    細田国務大臣 これは大阪地区に本社を置くことにすることが一番適当ではないかと考えております。  それから人員の構成ですが、もちろん全部とはいかないかもしれませんが、相当な部分は地元との関連、また地元に明るい方々が必要だと思いますので、そういう形にならざるを得ないし、そうすべきだ、かように思っております。  また、中小企業の問題もございましたが、なるべく地元の経済開発、振興に寄与するような方向が望ましいものと考えております。
  141. 近江巳記夫

    ○近江委員 本当に時間がなくなってまいりました。  最後に、前島、これは御承知のように、あの空港のいわゆる空港島がございまして、その前岸ですね、我々も視察をしたわけでございますけれども、非常に山が迫っておる。そういうことからいきますと、前島というものは絶対に必要じゃないか、こういうように思うわけです。大阪府も、前島はどうしてもやらなければ一ごみ処理であるとかし尿の処理であるとかその他いろいろな空港機能を発揮さすためのあらゆる施設というのも今後考えられるわけでございまして、一体どこに置くかとなれば、ないわけですね。そういういろいろな必要不可決な条件として前島が必要である。これをつくるという上におきましては、これは環境庁さんの管轄にもなってくるわけでございますし、こういう点、主体は当然大阪府になろうかと思いますが、環境庁としてはどういうとらえ方をなさっているか、これを最後にお聞きして、同僚議員に譲りたいと思います。
  142. 加治隆

    ○加治説明員 お答えいたします。  御指摘の埋立計画についてでございますが、まだその計画について聞いておりません。したがいまして、環境庁としての考え方を述べることができませんので、御理解いただきたいと思います。
  143. 近江巳記夫

    ○近江委員 だから、まだ具体的にはそれは出てないにしたって、先般来参考人大阪府知事もお見えになって、それは一体のものであるという、そういう御意見も出ているわけでございますし、それは具体化してくるわけでございますから、必要不可欠な条件等として環境庁さんとしては十分対処されるべきではないかと思うのです。ですから、基本姿勢だけ聞かしていただいて、私は終わります。
  144. 加治隆

    ○加治説明員 ただいま申し上げましたとおり、まだ内容的には承知いたしておりません。また、先ほどの閣僚会議等でもまだ議題になっておりませんので、現時点では我々の考え方を御説明できませんので、御了承いただきたいと思います。
  145. 近江巳記夫

    ○近江委員 では、終わります。
  146. 久間章生

    久間委員長代理 関連して、森田景一君。
  147. 森田景一

    森田(景)委員 関西空港株式会社設置、管理される、こういうふうになりました一番大きな要因は、新東京国際空港、いわゆる成田空港が公団によって設置、管理をされているわけでございますけれども、その成田空港がなかなか思うように機能発揮できない、そういうところから、今度は株式会社でやろう、こういう方向に最終的に固まったのではないかと私は推測しているわけでございます。新東京国際空港公団としては非常に責任が重いのではないか。先ほども近江委員質問にありましたように、本来ならば一種空港は国が直轄してやる、こうなっているわけでございます。それが、直轄方式が公団方式に変わり、さらに株式会社に変わる、こういうことは今までのやり方に非常にまずい面がたくさん出てきたのではないか、こういうふうに考えるわけでございますので、最初に、直轄方式の利点と欠点、それから公団方式の利点と欠点、株式会社の利点と欠点、こういうものを恐らく十分審議をして株式会社、こうなったのだと思いますから、その辺のところをひとつ最初に明確にしておいていただきたいと思います。
  148. 山本長

    山本(長)政府委員 空港整備法におきましては、第一種空港位置づけられておりますものにつきましては国が設置、管理する、こうなっておるのであります。したがいまして、いわゆる政府直轄方式というのが空港整備法の建前ということになっておるのであります。しかしながら、国の直轄方式と申しますような方式でやります場合には、やはりある限度があるというふうに考えております。事業が非常に大きくなり、また企業性があり、比較的短い期間で事業を達成する、また多額の資金が要る、こういう事業におきましては、やはり資金調達という面におきまして多様化を図っていかなければなりませんし、外部の資金を導入するというふうな方式も図っていかなければなりません。  また、事業執行体制におきましても、国家公務員の定員法の枠内で国家公務員の定員をどんどんふやしていくというふうな方式でもなかなかやりにくい、したがって事業執行の弾力性に欠ける、こういううらみもございます。したがって、事業が大規模になってまいりますと、政府直轄方式ではなかなかやりにくい、これは現実の問題としてそうなってくるわけでございます。  公団方式の場合は、それに比べまして財政面、税制面でいろいろな優遇の措置を受けつつ、また資金調達面では借入金方式を導入するという方式で財政資金なりあるいは民間資金の導入が可能になり、また運営体制面でも、政府の直轄方式に比べまして比較的弾力的に行い得るという点がございます。  株式会社による場合は、この公団方式に比較いたしましてさらに民間からの出資が得られるというふうな面から見まして、資金調達がさらに多様化されるという利点があると思います。執行体制の面でも、この特殊会社たる株式会社方式は弾力性があるということが言えますし、また民間の資本が入る、同時に民間のいろいろな面での参画がここに入ってくるということによりまして、民間の創意工夫というものが導入しやすいという法人形態でございます。  また、単なる会社でございませんで、特殊会社といたしたことによりまして所要の監督制度を設け、国の意思を会社の運営に反映する、そして公共性を確保するということも可能でございます。また、この特殊会社たる会社方式は、従来の株式会社には認められていなかったような種々の財政上、税制上の援助措置といいましょうか、特例措置が講ぜられておるわけでございまして、公団方式の利点も取り入れながらも、さらにより以上の利点をも取り入れているということでございまして、総合的に見まして、今回のこの方式は、私たちといたしましては現在の社会情勢に適合したやり方であろうと考えておる次第でございます。  比較がどうも手前みそのような御答弁になりましたけれども、比較の問題も含めましてお答えいたしたわけでございます。
  149. 森田景一

    森田(景)委員 ただいまの答弁をお聞きしておりますと、国がやるよりは公団がやった方が身軽だ、公団よりは株式会社の方がもっと身軽だ、こういう結論になると思うのです。この是非につきましてはとても今話しできませんので、また機会がありましたら後でお話ししたいと思います。  現在、成山空港が一部供用開始しているわけでございますけれども、非常に整備がおくれていることは御存じのとおりでございます。用地買収の状況は、総面積が千六十五ヘクタールのうち正二十二ヘクタール買収済み、約九七%の用地取得は済んでいるということでございます。計画ではA滑走路四千メーターが一本、B滑走路二千五百メーターが一本、それから横風用のC滑走路三千二百メーターが一本、こういうことになっておりますけれども、現在はA滑走路四千メーター一本だけで発着を繰り返しているわけでございます。これを早く全面開港にしていかなければ公団としての面目はないんじゃないか、こう私は考えているわけです。とにかく短い期間に公団総裁も何人もかわられました。こんなことでいつになったらこの成田空港が全面的に整備完了できるのか、こういうふうに危惧しているわけでございます。  時間の都合がありますので、いろいろ申し上げたいことがありますが、特に、先ほど来関西空港地域整備の問題が論議されているわけでございます。この成田空港地域整備が非常におくれております。私は、きょう三点だけ申し上げておきたいと思いますので、それについてお答えをいただきたいと思います。  一つは、空港開港のときに関係市町村、また千葉県等からも要望されているものに、航空博物館をつくってほしいという要望がありました。これは本年、財団法人を設立する予定だというふうに聞き及んでおるわけでございますが、いつ発足させる予定なのか、着工の時期はいつなのか、そういうところをきちんとしていく必要があるだろうと思います。  それから第二点が、先ほど申し上げましたB、C滑走路、これはまだ工事に入っておりませんけれども、この騒音対策も早急にしなきゃならない。騒音防止法に基づく騒音区域の指定をいつ行うのか、いつ告示するのか、こういう問題につきましても非常に大事な問題だと私は思っております。特に告示した前後でその区域の中に新しく住居を求めるとか新しく建設するとかいろいろな問題が起こるわけでございますから、やはり滑走路の建設が予定されている以上は早く告示をしておくべきではないか、このように考えるわけでございますが、その時期についてお答えいただきたいと思います。  第三点が、関西空港でもアクセスの問題が非常に重要な問題になっているわけでございます。成田アクセスでは非常に難航してまいりました。特に、この空港の下には新幹線用、新幹線なのか新線なのかよくわかりませんけれども、予算は新幹線用の予算でつくったと言われておるわけですが、立派な駅があります。それから、それに入る、何といいますか鉄道用地も建設されているんですけれども、これが使用できる見通しかないということ。特に千葉県の方からはA、B案のどちらかを早く決めてほしい、こういう要請もあるわけでございます。もう御存じと思いますけれども、A案というのが国鉄の案でございます。今の新幹線用の駅を使って、千葉ニュータウンを遮りこれからできる京葉線を通して東京に入るというのがA案でございます。それから、B案が民鉄案でございまして、北総開発鉄道ルート、これはこの間日本で初めてという住宅・都市整備公団が一つの駅だけ開通させましたけれども、これを空港まで延長させるというB案。C案が在来線を利用するという案。この三つの案があるわけですけれども、千葉県としてはA、B両案のうちどちらか早く決めてもらいたい、こういう強い要望運輸省の方に来ているはずでございます。この三つについて簡潔にお答えをいただきたいと思います。
  150. 山本長

    山本(長)政府委員 三点の御質問のうち前の二点につきましてお答え申し上げます。  いわゆる航空博物館建設問題につきましては、昨年の十一月に、それまでの検討の最終結果として「航空思想普及施設建設基本構想」というものが取りまとめられたところでございまして、現在この構想に従いまして、施設建設運営に当たる新しい財団法人、仮称でございますが、航空科学振興財団の設立準備が進められておりまして、本年六月発足を目途としております。また、航空博物館建設工事につきましては、この法人設立後、この法人が中心となりまして関係者の調整を図りながらできるだけ早く着工したいと考えておりまして、六十一年度の施設の完成、開館を目途に整備推進する計画でございます。  第二点のB、C滑走路の騒音防止法に基づく騒音区域の指定の告示の時期はどうか、こういうお尋ねでございますが、このB、Cランウエーの騒音区域については本年度内に指定の告示を行うことを目途として現在、区域指定案作成の前提条件について検討を進めているところでございます。本年度内の指定、告示を目途としております。
  151. 永光洋一

    ○永光政府委員 第三点につきましては、A案、B案の内容は今先生がおっしゃいましたとおりでございます。それぞれ長短がございまして、その比較検討につきまして積極的に検討いたしております。  A案と申しますのは、運営主体としては国鉄一本でございますので単一主体として問題がないわけでございますが、非常に建設資金がかかりますので、現在の財政状況からの問題もありますし、それから沿線の他の事業者への影響というものもございます。B案の方は、ある程度既設の鉄道を利用するということから投資的にはA案よりも若干問題がないのでありますが、逆に、複数の関連事業者の関係で、例えば直通の空港行きの特急を走らせるときにどういう運営をするかという運営上の問題等がございます。  A、Bを比べました場合に、Bについては長所もあるのでありますが、特に複数の関係事業者の調整がまだ若干我々としても詰め切れないところがあるものですから、今公団を中心にして関連事業者、千葉県、東京都も集めましてそういう調整の問題についていろいろ話し合いなり詰めを行っております。その当たりを早期に詰めまして、そして改めてA、Bいずれかということを早期に決めて、先生おっしゃいますように、今まで長い間投資をいたしましたものがある意味では眠っておるわけでございますので、そういうものを活用して千葉県と東京を結ぶ通勤通学輸送及び空港アクセスにぜひ活用いたしたいと思っておりますので、確かに長引いておりますけれども、もう少し時間をかしていただきたいと考えております。
  152. 森田景一

    森田(景)委員 きょうはお忙しいところ公団総裁にもおいでいただいております。とにかくいろいろな経過がありましたけれども、あの成田空港を一日も早く整備を完了させて有効に利用させていかなければならない、こういうことで周辺の十六の市町村も促進決議をやっております。千葉県もやっております。そこで、総裁としていつまでに二期工事は完了させる、あるいは着工させる、こういう決意のほどを最後にお聞かせいただきたいと思います。
  153. 秋富公正

    秋富参考人 ただいま先生から御指摘のとおり、昨年の夏以来成田市または県、また昨年の暮れからことしにかけまして周辺十七の県市町村から、二期工事完成の御決議をいただいておるわけでございます。私たちはかねがね地元方々と共存共栄の公団ということを念願としておったわけでございまして、困難な中でそういった御決議をいただきましたことに深く敬意を表しますとともに、私たち関係者、公団の役職員といたしまして感謝いたしておるところでございます。  おかげで航空需要も大変ふえまして、一期の空港は順調に伸びておりますが、今後の航空需要を考えますと、できるだけ速やかに工事に着工し、これを完成しなければならないと思っております。現在区域内に十二の農家がおられますが、この方々と話し合いをさらに進めまして一日も早く完成する決意でございます。
  154. 森田景一

    森田(景)委員 時間が参りましたので、質問はこれで終わります。ひとつ運輸大臣初め関係の皆さん方の積極的な活躍を心からお願いする次第でございます。
  155. 久間章生

    久間委員長代理 田並胤明君
  156. 田並胤明

    ○田並委員 関西国際空港の問題について幾つか質問いたします。  先ほど来、関西国際空港位置づけなり性格については大臣なり局長の方から答弁がありました。まず法律の目的等から見れば、いかに関西国際空港が重要であるかということについて私も認識をいたしますし、この整備については長年の懸案でありますから、これは何としてもやらなくちゃならぬということには同意であります。しかしながら、第一種空港であるにもかかわらず、国もしくは公団が建設、管理をしないで新しい特殊法人たる会社にやらせることについて若干の疑念がありますので、その点を中心にして幾つかお伺いしたいと思います。  まず第一に、この関西国際空港位置づけなり性格づけについて、その重要性を大臣の方からもう一度お聞かせ願いたいと思います。それとあわせて、この特殊法人たる関西国際空港株式会社は公共性が優先されるのか、企業性が優先されるのか、その辺についても御答弁をお願いしたいと思います。
  157. 細田吉藏

    細田国務大臣 現在、日本国際空港の能力というものはもう限界に来ております。前の御質問にもございましたが、今、成田は二期工事が一向に進まないということで行き詰まっております。関西国際空港は、端的なことで申し上げれば、これはもう午後九時までで使えない、また能力的にもいっぱいであるということでございますので、新しくつくろうとしております関西空港日本国際空港であるという意味を第一義的には持っておると考えております。新東京国際空港、並びに羽田もこれから沖合展開をやろうといたしておりますが、大きく言えば、新東京国際空港と東西並んで日本の代表的な、しかも二十四時間使える国際空港であるということがまず第一義だと思います。  第二番目には、これは当然のことでございますけれども、日本の西の地域にある、関西にあるという意義を持っておるものと考えます。関西は経済的にも文化的にも相当重要なウエートを持っておる地域でございまして、ここに立地される国際空港である、あわせて国内空港の役割も果たし得る空港をつくるということでございます。  位置づけはいろいろございましょうけれども、私どもはこの二つの意味を持っておると考えておる次第でございます。
  158. 田並胤明

    ○田並委員 公共性と企業性のどちらを優先するかという指摘についてはいかがですか。
  159. 細田吉藏

    細田国務大臣 空港でございますから、これは公共性を徹底的に重視してもらわないと困るわけで、公共性の範囲の中で企業性を出してもらうということでございます。これははっきりいたしておることと考えております。
  160. 田並胤明

    ○田並委員 航空局長にお伺いしますが、今大臣の方から言われた公共性を最重視してその中に企業性も含めていくという回答はそのとおりだと思うのですけれども、それならば経営形態として、これは第一種空港ですから当然——三十一年四月にできた空港整備法の第三条から第五条までの中に、第一種空港、第二種空港、第三種空港のそれぞれを設置、管理する主体が決まっています。新東京国際空港公団が新しい新東京国際空港を管理するという四十年に法律改正されるまでは、第一種空港は国が直接設置し管理するようになっていたわけだと思うのです。そうすると、それから一歩踏み出して、公団をつくって新東京国際空港を設置し管理するというふうに法律改正を四十年にされたわけですが、このときの法律改正の趣旨は恐らく公共性と企業性を両方追求するという立場でのものであったと思うのです。この立法の趣旨、法改正の趣旨というものをもう一回、局長の方から明らかにしてもらいたいと思うのです。
  161. 山本長

    山本(長)政府委員 お答え申し上げます。  空港整備法ができましたときに、第一種空港として指定されましたのが羽田空港伊丹空港でございます。これらの空港は、その指定されるときと申しますか、戦前からあった空港を若干整備をし、空港として運用していたものでございます。その後、成田空港建設が必要になってきた、こういうことでございますが、その際に、そういった国の直轄直営方式というものをとらないで公団方式にしたというのは、やはり事業の規模が相当に大規模でございます。所要の資金も非常に大きいというところから、これが直轄直営方式でございますと、すべて国のその年の歳入の範囲内で賄う歳出の中で処理をしなければならぬわけでございますが、その資金調達というものを国の限られた予算の中で処理するよりは、公団というところに出資という財源を与えて、それをもとにして資金調達というものを、債券を出す、あるいは直借りをするというふうな形で資金調達を図っていくということが一つの大きなねらいであったと思うのでございます。  それからもう一つは、企業経営の弾力的な運営と申しますか、国家行政組織と申しますのは、やはりこれも御存じのように、きちっと法律、政令、省令でもって決められ、かつその定員管理というものも厳しい管理の中にあるわけでございます。空港建設をやっていきますときには最初は建設の部隊が要る、後は運営の部隊になっていくという、その事業の拡張に応じてふやしていくことと同時に、またその中における人間の転換を図っていくというような、運営面における弾力性というものがございませんと、やはり事業がうまくいかないという点があったと思います。大きく分けまして、そういった資金調達の多様化、それから事業運営の弾力的遂行と申しましょうか、こういうところが主眼であったというふうに私どもは理解をいたしておるところでございます。
  162. 田並胤明

    ○田並委員 今の局長の答弁を聞いていて、それならば今度の関西国際空港設置主体と管理主体をなぜ株式会社にしなくちゃいけないのか、ちょっとわからないんですね。今言われたように、公団方式にした理由というのは、資金調達を容易にすることであり、しかも事業運営を弾力的にするためなんだ。資金調達の容易性と事業運営の弾力性を持たせるという点について、特殊法人たる株式会社と従来の公団と何がどう違うのですか。
  163. 山本長

    山本(長)政府委員 一つは、特殊法人たる株式会社にいたすことによりまして、民間の資本というものを借入金でもって導入するということではなく、資本として導入するというところが根本的に違っておると思うのです。資本として導入すると同時に、従来の公団方式によるところの借入金による民間資金の調達ということも可能でございますから、そういう意味で資金の調達の多様性というものがより高まったということは言えると思います。  もう一つは、資本として導入されるということは、同時に経営に参画をするということになってくるわけでございます。こういった資金調達、借入金の徴求ということではなくて資本としての導入という面をも図りながら、かつ経営に参画をするというふうなところが根本的に違うところでございまして、その点において、民間の経営手法なり、いわゆる活力と申しておるところでございますけれども、そういった民間の経営のいい面というものをこの会社の運営の中に反映できるという要素が根本的に違うと思います。  それからもう一つは、先生これも御承知と思いますが、公団の組織というのは株式会社、これは特殊法人でございますが、会社の中のいろいろな機関というものは株式会社法によるわけでございますから、役員の選出にいたしましても、大臣が任命する、あるいは任命された方が任命した者を大臣が認可するというような、上からの選出と言うとちょっと語弊があるかもしれませんけれども、そういうふうな形ではなく、株主から選出されるという点が基本的に違う。もちろん株主の中に、国の資本が多うございますから、国の意思がそこに反映できるということはあろうと思いますが、そういった役員の選出というものも、株主という会社を構成する一最小単位と申しますか、下から上がった意思として役員が構成されるという点がやはり基本的に違っておると思います。また仕事の運営におきましても、株主総会に対して責任を負う。もちろん監督がございますから、運輸大臣の監督、規制というものも受けるわけでございますが、そういった株主に対して責任を負うというところがやはり事業の運営という面において基本的に違うところであると思います。  そういった株式会社の組織というものを通ずる公共事業でございますけれども、この空港の運営というものをやることによりまして、規制、監督というものを通じて公共性を確保しつつ、株式会社という形を採用することによりまして、企業性と申しますか、あるいは効率性と申しますか、民間活力の活用を図り得る、こういうふうなところが利点であろうというふうに考えております。
  164. 田並胤明

    ○田並委員 何ぼ聞いても最初答弁したのと同じなんですよ。要するに、資金調達を容易にするということと企業経営に弾力性を持たせる、これは公団だってできることなんですね。特段、改めて会社にする必要もない内容だと思います。  そこで、行管庁さん来ていると思うのですが、特殊法人たる会社方式にする理由として、運輸省は、民間活力の導入を提言をした臨調答申の趣旨を生かすんだ、その趣旨等にかんがみということが理由の中に付されているのですが、最近どうも政府の行政施策、ほとんどの施策の中に、臨調答申、臨調答申、これが出てくるんですね。これはもちろん、それこそ私ども議会に携わる者も、行政に携わる者も、今のままで行財政がいいとは思っておりません。しかし、何かというと臨調答申というものが隠れみのみたいな格好になって出てくる、こういう気がしてならないんですね。そこで行管庁として、官業の分野に民間活力の導入というのはどの範囲まで考えておられるのか、認識をされておられるのか、まずそれを聞かしてもらいたいと思うのです。
  165. 稲葉清毅

    ○稲葉説明員 ただいまお尋ねございましたように、私ども行政管理庁では、臨調答申の線に沿って行政改革を進めていく、あるいは新しい行政に対して対応していくということを基本にしておりますが、これはやはり何といっても未曾有の財政危機に直面いたしまして、現在の行財政のすべてについて見直しをしなければならない。そういうところで臨時行政調査会が設けられ、国民の多数の参画を得ていろいろ審議が行われて出た結論である、そういうところから私どもも臨調答申を基本としているわけでございます。  お尋ねの、どの程度まで民間活力を導入していくかという点でございますけれども、答申そのものを引用させていただきますと、臨調答申では、今後の行政のあり方については変化への対応が必要である、つまり行政機関というのはどうしても硬直化しがちなのであって、それに比べると市場原理というものを優先している民間は変化に対して素早く対応している、そういう点で変化への対応をし、かつ、簡素にして効率的な仕組みづくりが必要であるというのが答申の基本でございます。そこで民間活力の導入という考え方が出てくるわけなんでございますけれども、この考え方は、そういった変化への対応あるいは簡素な行政づくりといった観点から行政の責任領域というものを見直しまして、民間でできることは極力民間でやっていただく。例えば今のお話にもありましたように、資金の面でも、あるいは経営技術の面でも、民間でできるものは極力民間の力を利用して、それによりまして、一方で行政を簡素合理化していくとともに、新しい行政需要に対して弾力的に対応していく、こういったことで今後の行政施策の基本方針の方向を示したもの、このように受けとめているわけでございます。  お尋ねの、いかなる分野においてどの程度民間活力を利用していくかという点でございますけれども、これは答申にももちろんそういった基準というものは示されておりませんし、私どもといたしましても、やはりそれは個々の事業の性格、すなわち個々の事業がどの程度市場性になじむかということが基本であると思いますが、個々の事業の性格あるいは採算の見通し、そういったものを総合的にケースごとに勘案しまして判断されるべきことと存じております。  具体的に、関西国際空港事業主体ということに関連して申しますれば、ただいま運輸省の方からのお答えにございましたように、今後、大規模かつ緊急に生じております行政需要に対して弾力的効率的に対応するとともに、運営を民間の経営技術によって効率的に行っていく。あわせて資金につきましても、調達の多様化、しかも単に資金の量だけを確保するのでなくて、経営責任を伴った資金を導入する。そういった面から民間並びに地方の積極的な参画をしていくことが望ましい。そういった点を踏まえまして、特殊法人でございますから公共性が優先されていることは先ほど申したとおりでございますけれども、そういった特殊法人の中でも、最も民間の活力というものを導入しやすい特殊会社方式、その設立が望ましいというふうに考えた次第でございます。
  166. 田並胤明

    ○田並委員 せっかく行管庁さん来ていますので、もう一つお伺いしたいのですが、市場性、採算性、いろいろ総合的に判断をして、どの分野まで民間活力を導入したらいいか、こういう判断をされるというのですが、例えば市場性というのを一つ考えてみても、やはり競争原理が働かないところに市場性はないと思うのですよ。何もないのに市場性なんか発揮できるわけないのですから。例えば、市場性を発揮するために競争原理を導入する、イコール民間活力の導入、こういう筋書きになると思うのですが、空港というのは競争原理が働くものですかね。例えば、伊丹空港と新関西国際空港飛行機の取りっこをするなんということはないと思うのですな、市場性の問題、いわゆる競争原理の導入ということになると。  例えば、電電公社あるいは専売公社、これは民間会社にすることによって、民間の会社が参入することを承知をして、どんどん競争させていい製品をしかも非常に安く提供するというような、そういう市場性が大いに発揮できる分野かもしれません。それに賛成する、しないは別として、一般論として。ところが空港の場合は、そういうものがどう考えてもないような気がするのですね。したがって、市場性の導入、採算性の問題、いろいろ言われても、どうもなかなか理解がつかないのであります。
  167. 稲葉清毅

    ○稲葉説明員 ただいま民間活力の導入ということを申し上げましたけれども、私どもとしてはいわゆる民間法人化と同義で使っているわけでは決してございません。ただいまのお尋ねのように完全に市場原理が働く分野でございましたら、これは民間活力の導入というよりもむしろ民間そのものが行うべき事業分野というふうに私どもの方では考えるはずでございます。同じく民間活力の導入といいましてもいろいろな形態がございまして、事業主体を民間にいたしまして、これに一切規制を加えないという方法、あるいは公益法人のように一定のルールのもとに民間の事業主体に行わせるという方法もございます。  ただ、空港のような場合は成田の場合でも特殊法人方式をとっておりまして、これは一〇〇%国の出資でございますけれども、特殊会社というのは半官半民方式でございまして、半官半民方式の中でも民間が主導で官が従的なもの、例えば国際電電株式会社のように国自体としては全然出資をしていないものもございますし、あるいは今度御提案している関西国際空港のように二分の一以上は政府が株式を持つようなことが法律で明定されているような、いわゆる官主民従的とでも申しましょうか、そういった形でのもの等、いろいろな経営形態があると思うわけであります。私どもがこの株式会社に対しまして民間活力を導入しようと申しておりますのは、まさにそういった点で市場で自由競争させるということばかりでございませんで、これは附帯業務あるいは目的達成業務の一部等にはそういうものも当然出てこようと思いますけれども、全体として民間の経営技術なり民間の資金なりを導入いたしまして、いささかでも効率的な事業が行い得るような経営主体にしたい、こういうことから提案している次第でございますので、よろしくお願いいたします。
  168. 田並胤明

    ○田並委員 行管庁の方の答弁と先ほどの航空局長の答弁、どうも余り変わりがないような気がするのですね。先ほども言ったように、資金が大量に民間から導入できるとかあるいは経営に弾力性が持てるとか、それの繰り返しをされているような感じを受けるのです。  そこで航空局長にお伺いしたいのは、先ほどから言っているように臨調、臨調ということですべての行政施策の中へこの臨調が出てきます。臨調第一次答申から第五次答申までずっと見て、この答申の中で運輸省関係で特に航空関係、具体的な事例としてどういうものが指摘をされているのか。運輸省関係の中の特に航空部門、これをちょっとお聞かせ願いたいと思うのです。今言った民間活力の導入というのはごく一般的なそれこそ臨調答申の中の背骨のようなものです、流れとしては。今度はその背骨に合わせて、各省庁、特殊法人等々について、具体的にこうやりなさいというのが一次から五次までの答申の中に出ておるのですが、運輸省管轄の航空関係、この中ではどういう答申が具体的に示されているのか、答申内容についてお知らせを願いたいと思うのです。
  169. 山本長

    山本(長)政府委員 臨調答申の中の特殊法人関係でかつ航空関係の事項として指摘されておりますのは、日本航空についてでございます。ちょっとそのものの文章ではございませんが、趣旨は、日本航空国際航空路線を独占的に運営している実態にかんがみ、労働条件について世間の批判を受けることのないよう効率的な経営を行うべきである旨指摘をいたしております。その後で、さらに、これがうまくいかないような場合には、特殊法人たる形態について検討すべきであるというふうなことがついていたと思います。
  170. 田並胤明

    ○田並委員 私もここに行政改革に関する第五次答申を持っておりまして、ずっと前から読ませてもらっているのですが、運輸省関係では、総括的なことと、あとは個別に運輸省関係法人ということでもって幾つか指摘をされています。今局長が言われたように、どうも航空行政関係では日航の問題しか指摘をされていないのですね。私は、臨調答申、臨調答申と言うので、多分臨調の第五次答申ぐらいには新東京国際空港公団のやり方が非常にまずいから、あるいは東京国際空港、羽田空港の、運輸省設置、管理する内容が非常にまずいから、あるいは二種空港、三種空港と言われているものの今の経営形態や設置、管理の方法がまずいから、例えば特殊法人たる株式会社にした方がいいのですよ、こういうものでも出ているのかと思ったのです、具体的に。臨調答申、臨調答申とまるきりにしきの御旗のように振りかざしている運輸省自体が、臨調答申の中に出ていないのですね、国際空港の問題については。ということは、逆説的に言えば、運輸省が今設置、管理をしている東京国際空港も、あるいは公団方式でやっている新国際東京空港も、今のままでいいのだ、決して間違っていないのだということをこの臨調答申の中では示しているのではないかというふうに読めるのですよ。にもかかわらず、なぜばたばたと急速株式会社方式というものが浮かび上がってきたのか。  しかも、聞けば聞くほど、公団だって株式会社方式だってそんなに大差はない。やりようによっては、公団だって立派に公共性と企業性と両面が発揮できるという内容になるのではないかと私は思うのです。そういう努力をされたのかどうか。ということは、新東京国際空港公団のやり方がどこか特別にまずくて、運輸省自体が判断をして、臨調答申には出ていないけれども、どう判断をしてもまずい、こういうことから会社方式にしたのか、臨調答申をにしきの御旗にしているのですから、臨調答申どおりすれば別に株式会社方式なんというのは出てこなかったのではないか、ちょっと逆説的になりますが、こういう感じがしますので、ぜひひとつその辺をお聞かせ願いたいのです。
  171. 細田吉藏

    細田国務大臣 まず、直営か公団または株式会社がという問題ですが、大きなプロジェクトを、建設段階から運営の段階と、国家公務員の形でやる、国がやるということについては、そうでない方がよかろう、これは役人の数は総定員法もございますし、どうしても小さい政府という見地からも公団の方がよかろう、これは御理解がいただけると思うのです。  そこで、公団か株式会社がという問題に集約して考えられるべきだと思うのです。私をして言わせますと、今お話があった成田の新東京国際空港公団がまずかったから今度会社にした、こういうことではないと存じます。ないと私は信じております。そういうものならば、成田の新空港公団についてもどうするかということにすぐ移らなければならぬわけでございます。さようなわけではないと思います。  公団と、特殊法人による株式会社と、どちらがよいかという比較考量の問題は、絶対的な判断というものはあり得ないと私は思っております。したがって、あなたは公団の方がいいのではなかろうか、こうおっしゃっているのも一つの理屈だと思っております。しかし株式会社にして一先ほどから臨調答申、臨調答申といろいろなときに言うのは、実は私も余り気に入らない方なのでございますが、臨調答申の中身を尊重すればいいのでございまして、余りお題目を言うことは感心しないと思っているのですけれども、臨調の精神については、今行管からやや詳しく話された。私はかなり筋の通った答弁であるというふうに思っておりますが、そういうことから考えて、今回は新大阪については株式会社、特殊会社というものによろうということに決めた、こういうことで国会に法律案として提案しておるのでございます。  現に概算要求の段階までは基本的な部分については公団によって、そして附帯的なものについては第三セクターによってやったらどうかというふうに私ども自身が考えておった。隠す必要も何もありません、公然たる事実でございますから。そういうふうに考えておったのを途中から考え隠して、先ほど行管から言われたような精神を生かす意味で、これは初めての試みでございますが、こういう形のものにして、しかし一方公共性は何らかの方法で十分大事にしていくということでやろうという提案をいたしておる、こういうことでございます。
  172. 田並胤明

    ○田並委員 大臣の答弁で、公団方式でやるのか特殊法人たる会社方式でやるのか、それは選択の問題だ、絶対的なものはないという答弁を聞いて、途中まで公田方式でやろうと思っていたけれども、行管の方のいろいろな意見を聞きながら、実は会社方式にしたのだ、こういうお話なのですね。そうすると、また行管に聞かなければならなくなってしまうのですが、そういう勧告というか、関係閣僚会議があるから行管庁長官もそれに出て恐らくそういう話になってきたのだろうと思うのですが、どう考えてみても、公団方式会社方式とそんなに差異がないような気がするのですね。  例えば、これは局長にも関連することなんですが、先ほどのうちの方の関山委員質問に答えて、局長でなくてその隣の方ですが、新東京国際空港公団に対して、その第二期工事のおおむね二〇%相当を出資する、関西国際空港についてもおおむね二〇%ですよね、一兆円に対して二千億ですから。資金の流入というものが、国の方で出すのがほぼ同じなんですよ。ただ民間のお金が相当大量に入るか入らないかという差だけであって、国が関与する部分というものは余り変わっていないのですね。ただ法律の中身を見ると、運輸大臣の監督措置というものが公団方式とは違ってかなり軽くなっています。これで大丈夫なんだろうか、公共性が守れるのかなというふうに思うような心配のあるような法律になっているところが実は幾つかあるのです。  どうも言っていることとやっていることが、お話を聞くと、民間活力を導入して株式会社方式でやった方が機動性があるし、効率性があるしあるいは経営に弾力性があるし、資金もそれなりに用意ができる、資金ばかりではなくて今度は経営権にまで民間の創造力が入ってくるのだ、こういうふうに言っておきながら、やはり公共性が強いものですから、国の資金も成田公団と同じように、新東京国際空港公団と同じような資金手当を国がしていくという、どちらかというと、一方では会社方式にしていい画があるような感じがするのですが、その経営の実態を見ると、国の方はほとんど新東京国際空港公団と同じような取り扱いをしている。逆に言えば、行管庁が言うように、もっと民間の活力を導入するのだったら、大胆にそれこそ監督措置をなるべく少なくして大いにやっていきなさい、このぐらいのことを逆にやる必要があるのではないか。そこまでやりきれないところに矛盾があって、矛盾があるから私は公団方式で十分間に合うのではないかという主張を実はしているわけなのであります。ひとつ考え方を聞かせてもらいたいと思うのです。これは行管と局長に……。
  173. 細田吉藏

    細田国務大臣 行管からお答えもあるかもしれませんけれども、私からちょっと申し上げます。  公団と今度の会社とほとんど同じじゃないかということなんですが、大いに違うんです。これは地方公共団体から資金が投入される、民間から資金が投入される、それだけ資金面で違うということは公団と極めて著しい差異であります。それから、資金面でそれだけ協力をされるということは、この空港をこしらえて運営していくことについてそれだけ地元地方公共団体地元の皆さんが協力をされる、公団でもやはり協力してもらっておるわけですしもらわなければならぬわけですけれども、公団の場合よりも一層協力をしていただけるような形態ではないか、こういうことなんです。  それから、あなたのおっしゃったもっと民間でやったらどうかということなんですが、これもざっくばらんに申し上げますと、財政も苦しいし民間活力を利用しようということで、我々がそういう方向で地方の公共団体や地方の代表者の皆さん方と話し合いをいたしたわけですけれども、なかなかこれは抵抗があると言いましょうか、空港はつくってもらいたい、つくりたいけれども地方なり地方の経済界なり地方の一般の方々が、協力していくについてはそんな大幅なものを期待されては困るぞ、なるほど公団で全部国がやってくれなくてもいい、我々は協力しましょう、財政もこういう事情でもあるし飛行場をつくるのに地方の協力も要るから、だから資金的な協力を初めやりましょうということで、そういうことを言っては大変失礼なんですけれども、随分何回も話し合った結果御承知のような出資割合がようやく決まった、こういうことなんでございます。答弁になっているかどうかわかりませんが、実情はそういうことでございます。
  174. 稲葉清毅

    ○稲葉説明員 先ほど私、極力民間活力の導入を図るべきであるというふうに臨調答申に沿って考えている、このように申し上げましたけれども、これは事業の性格によりましておのずから限界というものがあるわけでございます。ですから、例えば第一種空港というような場合に、先生おっしゃいましたようにもっと自由にした方がいいじゃないか、もっと制約をはらった方がいいじゃないかという考え方もあるのかもしれませんけれども、私どもとしてはその点について十分に検討した結果、現在の程度がちょうど中庸を得たところであろうというような点で考えておるわけでございます。  それから、内輪話的な話になって恐縮でございますけれども、これが公団方式から株式会社方式に変わりましたのは、私ども改要求を受けたわけでございまして、行政管理庁の方で株式会社方式でなければいけないというふうに申し上げたわけではございませんので、念のためにお断り申しておきます。
  175. 田並胤明

    ○田並委員 もう一つだけ行管の方にお聞きしたいのですが、これは臨調答申を出した方でなくて受けた方で、主管官庁ですから、そんなに深くまで答弁を求めても無理かもしれません。ただ、民間活力の導入の限界というのが非常にあいまいなんですね。  例えば、この間もテレビの何かの娯楽番組をちょっと見ておりましたら、今度アメリカで刑務所を民間が経営するというわけです、これは笑い事じゃなくて。それを考えていくと、確かに官庁がやらなくても今ガードマンの会社がいっぱいあるんですから、警察行政も何か頭の方だけ国家公務員で、下の方は全部民間の人でもいいんじゃないか。あるいは消防署にしても、それぞれ今は広域行政でやっていますから一種の組合方式ですね。あれだって、場合によればAという消防会社とBという消防会社があって、Bという消防会社の方がすぐ飛んできてくれる、じゃあれに頼もうじゃないか、こんな発想だってアメリカ的な発想とすれば出てくると思うのですよ。あるいは空港の管制官だってしかりですね。  ですから、私は今まで官業でしかるべきだと思っておった、その発想の転換というものが、臨調答申においてはかなり幅広いものにまで広がっていくような気がするのですよ。本来の公共性がだんだん失われて、物事がすべて採算ベース、企業ベース、これでもって処理をされるような、無限に広がっていくような気がするのです。  例えば一種空港が今回題になっていますが、第二種空港、第三種空港というのは、場合によれば、第二種空港の場合には運輸大臣設置、管理をしなくても地方公共団体がすることもできるわけです、あるいは第三種空港の場合については地方公共団体がやるということになっていますよ。この辺から民間の活力の導入をまずしてみて、これは間違いがない、公団でやらなくても大丈夫だ、こういうような検証をした上で、さらに規模の拡大というものだって一つ方法としてあったはずだと思うのですよ。ところが第三種空港や第二種空港じゃ民間がやってももうからないのじゃないですか。だから第一種空港から手をつけたのじゃないですかね。この辺の採算の問題というのはいかがなものでしょうね、局長。一種、二種、三種、それぞれありますが。
  176. 山本長

    山本(長)政府委員 こういった特殊法人たる株式会社構想実現できるには、やはりそれなりの条件が必要であると思います。お尋ねのように、二種空港あるいは場合によっては三種空港といった空港において、こういった民間資本を入れた会社方式というものを採用することはなかなかむずかしいと私は思います。それは採算性についての条件が整備されていなければこういう形態はなかなか難しいと思います。これは収益が非常によくて高率配当が期待できるという事業じゃございませんし、さらにまた公益性の見地から国からの規制というものもあるわけでございます。  そこで、事業の性格上そんなにもうかるものではございませんけれども、効率的にやることによって配当の期待があるという見通しがあって初めて会社という組織としての条件が整うということでございまして、そういう意味では、航空路線網が集中をする、そこで大勢の旅客なりが乗降してそこで相対な消費活動が行われる等々のそういった企業としての成立する条件があって初めてできるというものだと思います。先ほどの先生のおっしゃる限界といいましょうか、こういった民間資本を今まで公共的な事業として国がやっておったものあるいは金額政府出資として公団としてやっていたものについてどこまで広げられるかという一つの限界というものもそんなところからもあるのかもしれないという感じがいたすのでございますが、先生おっしゃるように二種、三種といったものについて、将来は別として現状を見渡してみまして、現在会社方式でやり得るかといえば私はなかなかむずかしかろうと思います。
  177. 田並胤明

    ○田並委員 何か局長のお話を聞いていると、もうからない部分は国もしくは地方公共団体がやって、もうかる部分は民間の活力を導入する、結論はそうですよね。要するに、企業の採算性の観点からしても二種、三種というのは今は無理だ。逆に言えば、これは臨調答申にしたって、もう少し国の方は財政百姓に努力をしなさい。採算のとれるところほど国がやったらどうなんですかね、公団でやってみたら。どうも国鉄は赤字だから民営・分割にする、関西国際空港はもうかりそうだから民間の活力を導入する、これは矛盾じゃないですか。もうかるところほどどんどん国がやってみたらどうなんですか。それで収益を上げて——国が収益を上げちゃいけないのでしょうから、公団じゃないとまずいですね。公団を通してもうかったものは、電電公社や専売公社と同じように国庫納付金でもって納めてもらう。これはもちろん会社でも国庫納付金という制度はありますけれども、どう考えてみてもちょっと矛盾をするものですから、なかなか納得がいかないのですよ。  そこで、この問題ばかりやっていると時間がなくなっちゃいますので、また別な問題に移ります。  特に、余り監督を強めちゃうと民間活力を導入したメリットがなくなってしまうという感じは非常にするのですけれども、先ほど私が言った中で、新しい関西国際空港もどんどん民間の会社に自由にやらせようということを言いたくて私は言ったんじゃないのです。要するに、片や国が相当の関与をしなければならない、片や民間の活力導入ということですから、大いに民間の力を発揮させなければいけないというこの相矛盾するものをどのように調整をしていくかということになると、企業性さらに公共性の整合性を考えれば、別に会社じゃなくて公団方式で十分間に合うじゃないかということを言いたかったために、民間にどんどんやらせたらいいじゃないか、こういう表現をしたのですから、ひとつ間違わずに受けとめていただきたいと思うのです。  そこで、運輸大臣の監督措置の問題で、先ほどもちょっと申し上げましたように、国が出資金を含めて長期の借入金だとかあるいは債務保証をして、国の方で相当担保するわけですね。これに対しての償還計画というのがこの法律の中には規定されてないと思うのですよ。償還計画についてはどこで規定するのか。株式会社ですから、株主総会を開いて、そこでこんな格好でやろうじゃないか、これであるいは済むのかもしれませんが、この償還計画についてお聞かせを願いたい。これは会社の主体性でやるんだから別に国は関与しないんだということなのかどうか。それにしては余りにも膨大な金額を国から助成をする、こういうことになっていますので、その辺のことについてお伺いしたいということが一つです。  それと、法の第十七条で事業計画はこういうふうにやるんですよというふうに規定をされておりますが、これは大臣の事業計画の認可の必要は特段規定をされてないような気がするのですが、これはどういうことなのかお聞かせを願いたいということです。  それと、財務諸表を大臣の方に提出をするということになっていますが、ただ単に財務諸表を出すということだけであって、国が相当の関与をしているという観点からすると、どうもこれだけでは不十分なんではないだろうか、こういう気がするわけであります。要するに、公団法の第二十七条に書かれているような中身、財務諸表を運輸大臣に提出するときは、これに当該事業年度の事業報告書、予算の区分に従って作成をした決算報告書等々を出させるということが一定の監督措置になるのではないだろうか、こういう気がするのでありますが、この辺の規定をされておらない理由等についてお聞かせを願いたい、このように思います。  それともう一つ、新しい法律の第六条に「事業の範囲」というのがございます。この「事業の範囲」の中に一から六まで掲げられております。そこで、読みようによっては、第一条に「関西国際空港設置及び管理を効率的に行うこと等を目的とする株式会社」なんだとあるのですが、この中に全部包含をされておるのかどうかなんです。  前の公団法によりますと、例えば騒音の問題あるいはその他防災、環境問題で何か起きたときには、それもきちっと事業として責任を持ってやっていくんだと規定をされているわけです。これから埋め立てが始まり建設が始まり、具体的にいろいろ環境問題や防災問題等について相当の配慮をしなければいけない事態になるのではないだろうか。公団法では事業の中においてその辺についての責任を明確にしているわけであります。ところが、今度の新しい法案によりますと、そのことが抜けて、事業の中には入っておらない。これらの責任の所在を明確にするために、「会社の目的」の中に「管理を効率的に行う」というふうに入っているんだからそれでいいんだということじゃなくて、やはり必要なものは必要なもので明確に、だれが読んでもわかるように法律というものをしておく必要があるのではないか、このように思いますので、その辺を今申し上げたこともひっくるめて、ひとつ御答弁をお願いをしたいと思います。
  178. 松村義弘

    ○松村説明員 まず第一に、長期借入金及び債券の償還計画につきまして運輸大臣の認可がない、これはどういう理由かという御質問でございますが、本会社につきましては、先生御指摘のとおり、長期借入金及び債券の償還計画につきまして、毎事業年度の償還計画の認可規定は設けておりません。しかしながら、長期借入金の借り入れ及び債券の発行に際しましては運輸大臣が認可をするという監督措置をとっております。したがいまして、この段階で必要に応じまして償還計画をチェックすることができます。成田公団の場合でございますけれども、それに加えまして、毎事業年度償還計画について認可によりチェックするということにしておりますけれども、本会社の場合にありましては、弾力的機動的事業運営を確保するために、制度として毎年チェックするということはしないで、必要に応じ報告聴取、運輸大臣の一般的監督、これらの措置によりまして、健全な財務体質を確保するということにしております。  第二点は、事業計画の認可はあるけれども、予算資金計画の認可規定はないという点ではないかと思いますが、本会社におきましては、民間活力の導入を最大限に図るため、その趣旨に沿いまして、会社が自主的弾力的に業務運営を確保することが適切であるため、政府の関与を必要な範囲内にとどめるという観点から、事業の適正な執行を確保するために必要な、基本になります毎年度の事業計画だけを運輸大臣の認可に係らしめることにしております。なお、毎営業年度、本会社の財務諸表の提出を受けることによりまして、財務内容の把握を通じ、必要に応じて予算資金計画等についても適切な指導ができると考えております。  第三点は、財務諸表につきまして、成田公団は大臣の承認に係らしめているけれども、本会社法では提出となっている、その理由はどうだということでございますが、この株式会社は、何と申しましても商法上の株式会社でございます。したがいまして、財務諸表の内容につきましても、株主総会の承認、監査役、会計監査人の監査によりまして、真正が確保されると考えております。大臣の承認に係らしめる必要はないといたしました。しかしながら、この空港事業の遂行に当たりましては、多額の財政資金が充てられますので、会社の財務状況を適時把握しておく必要があります。そのために、事業の適正な執行が行われておるかどうかということを厳重にチェックするために、財務諸表の提出を求めているものでございます。  次に、第四点といたしまして、成田公団につきましては、環境対策業務というものを一項目起こしまして、法律に明定してございます。しかしながら、この株式会社法ではそれが落ちております。なぜかという御質問でございます。  新東京国際空港は内陸におきます空港でございます。騒音対策事業というものは相当の規模になるということは当然予想されます。したがいまして、騒音対策事業につきまして一項目置きまして、法定をさしていただきました。関西国際空港は、環境保全に十分配慮した海上建設される空港であります。騒音対策を講じる必要のないよう位置等について配慮されておりますので、特に法定はいたしませんでした。なお、そうは申しましても万一ということはございます。したがいまして、その場合には、「関西国際空港設置及び管理」という第一号で読むということにいたしております。  また、防災業務につきまして、先生質問がありましたけれども、こういった施設設置、管理を行います者は、当然、義務といたしまして、防災に努めなければなりません。また、災害に遭いました場合には、その復旧に努める義務がございます。したがいまして、それは六条一項各号で読ましていただくようになっております。
  179. 田並胤明

    ○田並委員 もういよいよ時間がございません。大臣に強く要望しておきたいのですが、この法律案の中で、私が申し上げたように、若干不足をするような部分があるような気がするのです。その辺は運用の中で、相当多額の政府資金を投入するわけですから、万が一にも誤りのないように、ぜひひとつ十分な指導措置をお願いをしたい、このように思います。  きょうは、防衛庁さんにお願いしてありますので、一つだけ済みません、聞かしてもらいたいのですが、これは問題ないと思いますが、新しい関西国際空港の周辺空域における自衛隊並びに米軍の訓練空域関係について、今どういうような状況なのか。まあ恐らく十年後ぐらいにこの新空港ができるわけですから、それまでにまたどういうふうに変化があるかわかりませんが、いずれにしても、航空自衛隊並びにアメリカ空軍の現在の訓練空域と訓練の態様をお聞かせを願いたい。新空港の安全の問題に関連をしてお聞かせを願いたいと思います。
  180. 細田吉藏

    細田国務大臣 前段のことについてちょっとお答えを申し上げておきますが、いろいろ御心配になっておるようなところが確かに問題点だと思うのです。ですから、それをどう判断するかということで、言うならば初めての試みでございますから、こういう規定が一応でき上がっておるということでございまして、これがどういうふうになるだろうかというふうな見方によって、あなたの御心配のような考え方も出てくるわけで、したがって、最後におっしゃったように、この運用については十分な注意をもって、配慮をもってやらなければならない、かように思っておる次第でございます。
  181. 上田秀明

    ○上田説明員 お尋ねの自衛隊の、航空自衛隊が主になりますが、訓練の空域等との関連でございますが、御承知のように、昭和四十六年の雫石事故の後、運輸省と防衛庁との間で、航空自衛隊、特に高度の訓練を行うようなそういう航空機の訓練空域につきまして世、民間航空路等と画然と分けました訓練空域設置するということで、十分な連携調整のもとに行ってきているところでございます。  お尋ね関西地区と申しますと、四国の沖合の方にLという空域がございます。それから遠州灘というふうに申しておりますけれども、小牧の沖合の方にKというような空域がございます。それからこれは日本海側になりますが、小松の沖合の方にGという空域がございます。その他若干の空域がございますが、主としてそういうジェット戦闘機等によります高度の曲技飛行等に類する訓練を行っておりますのは、この場合、関西エリアでございますと、小松にファントムの部隊がございまして、それがG空域等で行っております。その頻度等は、週に百五十ソーティぐらいでございます。したがいまして、エリア的にもただいま申し上げましたように画然と分かれておりますし、また新しい民間航空路等ができますたびに、運輸省の方と十分な調整を行いまして、空域等の調整を行っておりますので、関西空港の方につきましては、いまだ具体的にあれでございますけれども、今後ともそういうことで十分な調整を行っていくという方針でございます。
  182. 田並胤明

    ○田並委員 終わります。
  183. 久間章生

    久間委員長代理 小林恒人君。
  184. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 けさほど来もう相当の分野にわたって質問が繰り広げられておりますから、その部分でちょっとまず最初に御質問申し上げておきたい事項がありますので、正確な意味でのお答えをひとつお願いをしたいと思うのであります。  休憩前の我が党の同僚議員、関山議員の方からの質問の中で、いわゆる関西空港にかかわる資金、約一兆円と呼ばれてきた資金内容について御質問申し上げましたけれども、ちょっと大ざっぱな御答弁もあったりして、五十億ぐらいだから四捨五入したというお話もあるのですが、これは大変大切な部分でございまして、この補助資料の中でも出ております、いわゆる出資金と呼ばれるものと、それからその他の部分ですね。実はその他の部分の方が大変大きい金額なものですから、八千八百億程度と想定をされる金額の内容について、もう一度正確に、どういうルートで幾らの金額を拠出をする計画があるのか、お示しをいただきたいと思います。
  185. 松村義弘

    ○松村説明員 第一期の事業費を一兆円と置いた場合に出資金、借入金がどういうことになるかということについて御説明いたします。  出資金は千二百億円を予定しております。千二百億円の内訳は、政府出資八百億円、地方公共団体出資二面億円、民間出資二百億円を想定しております。  それ以外、八千八百億円が借入金でございますけれども、その内訳を申し上げます。  空港整備特別会計から無利子でこの会社に融資することを予定しております無利子貸付金を千二百億円考えております。いわゆる財政投融資と呼ばれております政府保証債を三千六百五十億円考えております。日本開発銀行からの融資を千二百五十億円考えております。残り二千七百億円は民間及び地方公共団体からの融資でございますけれども、まず地方公共団体の融資について御説明いたします。地方公共団体からは三百億円に相当する無利子資金と同じ効果のある低利資金の融資を我々期待しておりますが、もし年率四%の金利でございましたれば、三百億円にかわりまして六百億円の融資を確保していただければ幸いでございます。それによって三百億円の無利子資金の確保と同じ経済効果が出てまいります。民間からも同じように三百億円無利子資金の確保と同じことを期待しております。年率六%と仮定いたしますと千二面億円の長期低利の御融資をいただければ幸いでございます。残り九百億円は縁故債等で調達させていただきたいと考えております。  以上、合わせますと一兆円になると思います。
  186. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 ありがとうございました。  そこで、この内容についてはよくわかりましたが、空港そのものは第一期工事なわけですね。これから物騰もあるわけですから、全体工事について余り正確にはお示しをいただけないのかとは思いまするけれども、現段階で試算をいたしますると、全体の工事経費というのはどれぐらいになりますか。
  187. 山本長

    山本(長)政府委員 一期工事事業費約一兆円といいます中身は、工事費が八千二百億円、それから一千八百億円が金利、管理費等でございます。  つまり一兆円という計算の中身には期間の計算が入っておるわけでございます。先生お尋ねの二期、三期を含めた全体の事業費を出すときには、どうしてもそういった期間計算というものが入ってこざるを得ませんが、今その期間計算をすることは難しゅうございます。そういう意味で八千二百億円という工事費に対応する金額を申し上げますと、約一兆八千億円でございます。
  188. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 その調達方法などについては、一期工事でそれぞれ振り当てた金額というのは同じように踏襲をされるのでしょうか。
  189. 山本長

    山本(長)政府委員 一期工事にかかわる資金計画については、先ほど飛行場部長から申し上げたところでございますが、二期、三期という全体を含めてまで現在のところ確定した計画というものを持っておりません。しかしながら、一期工事において考えましたこの資金構成計画、そういったものを二期、三期のときに変えるべきである、変えた方がいいという理由もないと思います。したがいまして、これは二期、三期という段階になりまして、それまでの過程における資金の構成というものを振り返ってみて、それを踏襲していけばいいということであれば踏襲をするし、あるいは少し変えた方がいいということであれば、その段階検討して妥当な結論を得るという方法もあると思いますが、今こうでなければならぬというところのものは持っておりません。
  190. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 私はなぜそんな質問をするかというと、第一には第一種空港というものは公的な空港、公共性というものを十二分に重んじられた形で建設され、さらに開港後の運営をされなければいけないだろう、このように考えるからなんです。加えて今日的なそれぞれ地方における自治体の財政事情、こういったことを考えた場合、第一期工事の中でそれぞれ振り当てられるであろう金額そのものについても、先ほど来の議論からすると、大臣の御答弁でも示されておりますように、そう簡単に拠出でき得るような状況下にはなかった、こんなお話にも示されるように大変な金額だったわけであります。全体工事がなるほど長期間にわたって推し進められるわけですから、年次別に割るとそんなに大きくないよ、こういうことになるのかもしれませんけれども、今のような御答弁だと、例えば地方における公共団体の割合というのはもう少し多くてもいいではないかというような議論が途中から曲がりくねって飛び出していくという心配はないのかどうなのか、こういったことを危惧するからなんです。この点についてはいかがなんですか。
  191. 山本長

    山本(長)政府委員 第一期計画関連いたしますこの資金計画につきましては、相当関係者意見調整をいたしまして、関係者といいましても将来関係してくるであろうすべての人というわけにはまいりませんけれども、中心的な役割を果たすことになると考えられる方々に対しまして、あるいは団体に対しましては相当意見調整をして、大臣が申されたようないろいろな経緯がありましたけれども、この計画でもって進んでいこう、こういうふうな合意のもとに今この構想ができ上がっておるということでございます。  先生のおっしゃる、さらに将来にわたっての問題でございますけれども、この辺のところは第一期計画の資金構成計画につきましても、例えば運輸省があるいは政府全体が独断でこうあるべきだということで決して決められるものではないと思います。これは第一期計画の資金構成計画を決めましたときも相当いろいろな過程を経て決まっておるわけでございます。先生おっしゃるように、将来の資金構成計画につきまして、地方公共団体の財政の状況などというものは当然考えながら、これは関係者の相談、合意というものを経ながら進めていかなければならないものでございまして、先生の御危惧になります、何か一方的に決められることによって地方財政が非常に困った事態になるというふうなことは避けなければならないし、またそういう決め方というものは、こういう三者一体といいましょうか、一体となってやっていこうという構想の中では、私はでき得ないだろうというふうに考えるところであります。
  192. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 今の質問にもう少し関連をするのですけれども、さらに考えた場合に、昭和六十八年の段階では第一期工事が完成をし、開港する、こういう計画になりますね。開港しながら二期工事に着手をしていく、こういったことになった場合、その推移を見ていくと、ある意味での利益配当率、こういったものなどを勘案しながら、民間は、逆にもっと資金調達の要があるぞという、こういった方向に動き出すことも危惧をされるわけですよ。本来、公共機関としての第一種空港という位置づけからすると、今、局長が言われているように、地方公共団体も、国も、そして今回に限っては民間も、三位一体になって所期の目的を達成しよう、こういうことだとすれば、特定の箇所に二期工事以降の負担がかかったり、あるいはかけてもよいということになったり、主体そのものが不明になっていく、そういう心配はないのか、こういうことなんでございます。
  193. 細田吉藏

    細田国務大臣 御心配は大変ごもっともなんでございますが、第一期工事ができ上がるのが六十七年度、こう言っておるわけでございます。したがって、これから七年先ということでございまして、航空界の情勢も非常に変わってくると思います。また、財政の事情も、国、地方を通じて変わってまいると思います。そういったようなことでございますので、今回取り決めをいたしましたのは、あくまでも第一期工事の金の出し方、金の集め方を相談をして協議が成り立ったわけでございまして、第二期についてはどうするという相談はしておらないわけでございます。したがって、今、航空局長が申しましたように、別段のあれがなければ、この方式で続けることもということを申しましたけれども、これはどういうふうにするかということは、もう少し時間の進行に伴って、第二期工事を一体急いでやらなければならぬかどうか、三千三百というものが一体いいのかどうかといったような問題がすぐ工事の途中でも起こる可能性があるわけですね。航空界の情勢その他によって、二期工事を急がなければいかぬといったような状態も起こるかどうか、あるいは当分このままでいけるというような状態なのかどうか、こういったようなことも関連をするわけだと思うのでございます。  そういう点で、この点については、やはり改めて考えていかなければならぬ、こういうことだと思うのでございます。しかし、できるならば、第一期がこういうことでございますから、続けてやれるものならば、多少の数字の案分は違っても、この方式で続けていくことが望ましい、今の時点ではそういうことを言う以外にはないかと思っておるわけでございます。
  194. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 そこで、空港そのものの、航空輸送需要との関係ですけれども、一期工事の段階で数字だけを見ますと、離発着回数十万回体制、これが可能になる、こう示されているわけですね。現空港の場合はどうかというと、もう既に十二万八千回ぐらいの離発着があるわけですし、加えて、各国との航空協定等がさらに今後進んでいくということになっていくとすれば、ぜひ日本に乗り入れをしたいという希望国が三十三カ国もあるというのでありますから、そういう意味では、さらに、成田も使用されるでありましょうけれども、関西空港をという希望が出てくる可能性はあるわけですね。そういったものとの相関関係で二期工事、三期工事というのは出てくるのかな。  あわせて、現空港の存廃問題、これはこの法案審議が始まってから以降、随分多くの議論がなされてきた部分でありますが、航空局長はできるだけ早い時期にと言ってみたり、あるいは一期工事が完成に近づく段階ではと言ってみたり、相当でこぼこがあるように思うのでありますけれども、今、前段に私が申し上げたような経過からすると、存廃問題ともなるほどかかわるのかな、二期工事というのは一体どうなるのかなという先の見通しが非常に見えてこない。そういう状況の中で、一種空港の工事が株式会社方式でまず出発をする、こういうことになるとすれば、航空行政を監督している運輸省の基本方針というのは、一体何が主軸で動いていっているのか難しいな、わかりづらいなという気がするのですよ。その意味では、総合的な判断のもとに少なくとも計画策定された全体計画をも含めてお示しをいただいている。ただし、今回の法案審査に当たっては、一期工事に限っての議論でございますということになるのだとしても、後段の部分についても、可能な限り正確な議論をしていく必要があるように私は思うのでありますけれども、この点については航空局長、いかがですか。
  195. 山本長

    山本(長)政府委員 おわかりにくいというようなおしかりでございますが、やはり基本は、伊丹存廃問題というものが決まっていない、また今決められないという、ここが原因だろうと思います。新しくこの第一期計画、十万回と先生質問の中でおっしゃいましたけれども、開港時の想定といたしまして、十万回と置いているということでございます。第一期計画飛行機の離発着能力というのは十六万回まででございます。その辺が現在、伊丹の約十三万回ということと御勘案を願えれば、幸いだと思います。  そこで、将来計画との関係になるわけでございますけれども、私たちがここで第一期計画として考えましたものは、やはり現下のいろいろな財政事情も勘案し、また空港というものは、工事の技術的な面で許す範囲内において、これはやはり早く開港しなければならぬということが一つございます。そういう意味で、飛行場でございますから、何はともあれ一本の滑走路は必要でございます。そしてそれに付随するターミナル施設というものは、何はともあれ必要でございます。それを第一期計画としてつくりたい、こういうものでございます。  伊丹空港との関係につきましては、存廃問題というものが決着がついていない。その伊丹空港の存廃問題というものが、この新空港計画の、特に規模と申しますか、将来の拡張規模あるいは拡張のテンポというものとも関係してくると思うのでございます。その点につきましては、先ほど申し上げましたように、必要最少限のものはつくる。そしてその後の二期、三期というものの展開につきましては、これは伊丹の問題というものと極めて重要な関係があるわけでございます。したがいまして存続である、しかもこの範囲において存続であると決まれば、その範囲内において、それよりあぶれるものについてはやはり収容していかなければなりませんから、その限度において拡張テンポを考えていけばいいのではないか。万が一廃止だということになりますれば、これはその後の拡張テンポというものを急がなければならない。最初につくるものを必要最小限度というものにつくるということによって、そこで非効率といいましょうかむだなところをなくしつつ、非常に不確定であるという面をカバーするものは、事後の計画の拡張テンポによってカバーをしていく、こういう考え方が基本でございます。
  196. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 それにある意味でひっかかるのでありますが、大臣、午前中の御答弁の中で、どういう意味でこういう表現になったのかなと思うのですが、資金調達、利子配当をめぐっての御答弁の中で、いつになったら配当できるかわからない会社だ、こういう表現があるんです。これは行きがかり上こういう表現になったのかなという、私は決して言葉じりをとらえるつもりはございませんけれども、こういうことをも含めて、非常に不確定要素が大き過ぎるのかなという受けとめをせざるを得ないのでございますけれども、総合的にとにかく一期工事に着手をしたいという御熱意とあわせて、この必要性、それから将来の経営に至るまでの、公共性も含めた経営に至るまでの手順といいますか、こういった中で、今少し煮詰め方が足らない部分があるのではないかという危惧の念を持つのですけれども、この点は心配のし過ぎでございましょうか。
  197. 細田吉藏

    細田国務大臣 どうもいつになったら配当が云云というようなことは非常に常識的な話で申し上げたので、いろいろな前提を置けば、どういうことになってどういう配当ができる、どういうふうに借金が返せるという数字はございますので、これはお話し申し上げて結構なんで、極めて常識的に株にこれから参加しようという人の気持ちという意味で申し上げた、かように御理解賜りたいと思います。
  198. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 その点についてはある意味で理解できる部分でございますので、次に移らしていただきたいと思うのです。  地域整備の問題でありますけれども、これは参考人の皆さん方から御意見を伺った際にも、いわゆる成田方式でのかさ上げという問題、これらについてのいろんな意見が出ていますし、また質問も出ているわけですけれども、とりわけて株式会社方式にしたためかあるいは国の財政事情が非常に逼迫をしているからできないのかわかりませんけれども、成田とは異なった方向をたどろうとしているように見受けられてなりません。なぜ成田でてきたことが、関西国際空港の側では、成田に見られる新東京国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律、こういったようなものがこの関西空港建設されるに当たって全面的に否定をされているのか、理由を明らかに示していただきたいと思うのです。
  199. 山本長

    山本(長)政府委員 お尋ねの問題は、特殊会社であるからということが理由ではないものと理解しております。現在の財政事情におきまして、補助金についていろいろと議論がございますし、さらにこういったかさ上げというふうな法律についてもいろいろの議論があるところでございます。現在の財政事情から見まして、新たな財政上の特別措置を講ずることは、現下の情勢からして非常に難しい、こういうふうに理解をいたしておるのでございます。
  200. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 しかし、現実の問題としては、周辺整備計画というのは放置をされたままでよいというものではないわけですし、国際空港を改めて建設をする、こういう条件下では、それなりの周辺整備計画というのは推し進める必要があるのだと思うのです。その意味では、午前中の議論の中でも出ておりましたから、私の方から重複することは避けますけれども、引き続いて議論をしていくことにしたいと思います。  次の問題ですけれども、今回、関西国際空港建設するに当たって、運輸省としてはどういう省庁との間にどのような協定を結ばれたのか、できれば可能な限り細かい協定あるいは覚書の中身等についてお知らせをいただきたいと思うのです。
  201. 松村義弘

    ○松村説明員 関西国際空港株式会社法案を作成するに当たりまして、関係する各省といろいろ折衝いたしました。その際、関係各省は所管の事柄につきまして、この株式会社法の運営についているいろ注文をつけてまいりました。そういったことで、運輸省とそういった注文をつけられた関係各省との間に覚書を縮んでございます。七つの省庁でございます。順番に申しますと、環境庁、国土庁、警察庁、大蔵省、農林水産省、建設省、自治省の各省であります。  その内容でございますけれども、これは政府内部の事務的な文書でございますので、詳細、現物の御披露は遠慮させていただきたいと思いますけれども、各省共通しておる点が一つございます。それは法律の第三条で基本計画の策定を運輸大臣がするということになっておりますけれども、その基本計画の策定をする際には協議してもらいたいという点が大体各省共通しております。法案をごらんいただきますと、運輸大臣が基本計画を策定する際には、大蔵大臣と協議することが法律の中に定められております。法定協議でございます。それ以外の各省との法定協議は定められておりません。しかしながら、各省の所管事業、基本計画に非常に関係がございます。その意味で、運輸大臣が基本計画を定める際にはぜひ事前に協議をしてもらいたいという要請がございまして、そういった点を覚書の内容としておるのが大部分でございます。
  202. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 なぜこんな質問をするのかというと、本来は法律に直接関連のある覚書ないしは協定を省庁間で結ばれている、こういうことなんですから、それらはつまびらかに当委員会に提出をして、それらをも勘案をしながら法律の整合性を図っていくというのが筋議論ではないのかなという気がするのです。  しかし一方では、それは役所レベルの問題だからという、こんな御意見もあるのでしょう。そういったことのあらわれとして、私の覚書提示の要求に対してはメモという形でしか、それも環境庁と農林水産省と結んだ協定文のメモしか手元には届きませんでした。自治省であるとか建設省であるとかあるいは国土庁、警察庁、こういった重要なところとの覚書というのは示されなかったわけですけれども、例えば農林水産省との間に取り結ばれたであろう覚書の内容などを見ますと、その二項に、「会社関西国際空港の事業を行うに当たっては、農林水産業に与える影響に配慮するとともに、農林水産省と連絡調整を行うよう会社を指導する。」こういう文章があるのですね。なぜこういう覚書を取り交わさなくてはいけないのかということなんです。  株式会社自身が、一体それではどういう仕事をするのか。私どもは、例えば環境という問題を大変心配をしながら、環境監視委員会のようなものを国や地方公共団体やあるいは地域の諸団体との間でつくってはいかがかという提言を同僚議員の何人かからいたしましたけれども、それらに対する満足な回答を求めることはできませんでした。しかし現実に、運輸省そのものは関係省庁との間に、示されていない部分も含めて覚書を取り結ばれている。どういうパターンで会社を指導し、会社はどういうパターンでそれを実施をしていくのか、具体的に示されているものは法文の中には一つもないわけですね。第二十二条の中に、「会社は、運輸大臣がこの法律の定めるところに従い監督する。」「運輸大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、会社に対し、業務に対し監督上必要な命令をすることができる。」こう記されているだけなんです。これだけでできるのですか。
  203. 松村義弘

    ○松村説明員 農林水産省との間に、農林水産業に与える影響を配慮するとともに、農林水産省とよく連絡調整を行うように、会社運輸省は責任を持って指導するということにしております。これは海上につくられる空港でありますので、水産業に多大の影響が出ます。したがいまして、水産業を所管いたします農水産省といたしましては、非常に心配をしております。十分漁業者に対する影響を配慮してもらいたい、そういったことの指導を会社に対して運輸省は責任を持ってやってもらいたい、こういう要請がございました。農水産省の御要請はごもっともでございますので、我我、会社ができた暁には、会社に対して十分そういった面の指導をするということをお約束したわけでございます。  これは一つの例でございますけれども、そういうように関係各省、所管する事項につきまして、おのおの責任ある立場でございますので、心配事を多く抱えております。そういったことで、関係各省にしますと、運輸大臣の持っております監督権、指導権を使って何とか会社をいい方向に指導してもらいたいという希望が多々ございます。そういったものの処理ということで覚書が結ばれてございます。
  204. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 言われていることについてはわかるのですけれども、それではもう一つお伺いしましょう。  農林水産省のメモの中にも環境庁のメモの中にも、「関連政省令の制定等に当たっては、両省連絡・調整を図る。」このようになっているのですね。このメモは、当委員会の中で我が党の同僚議員が、政令はいつできるのか、どのような政令をつくるのかという質問をした際の答弁とは違うのですよ。省庁間では正確な意味で連絡調整を図っていきます、しかし当委員会にも説明の要はないという御判断をされたのですか。
  205. 松村義弘

    ○松村説明員 関西国際空港株式会社法を実施いたすまでには、政令、省令の制定が必要でございます。政令、省令の制定に当たりましては、関係各省に御協議申し上げるというのが政府内部の慣行になっております。そういったことから、多くの法案の作成過程におきまして、こういった文言が一つの定型的なパターンとして入るというのが行政の実態でございます。  なお、それではもう関係各省と政令、省令の協議に入っているかということを御懸念になるかもしれませんけれども、実はまだそこまで準備が進んでおりません。やはり同会におきます御議論を通じまして、いろいろ関西国際空港株式会社法の執行に留意しなくてはならないことを御注意いただきまして、それらを政令、省令に盛り込みたいと思っておりますので、まだ準備が進んでいないというのが実態でございます。
  206. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 省庁間では慣行であると。なるほど、慣行があるのだったらそのとおりに伺っておきましょう。  私は前に、大阪湾におけるフェニックス法案を議論した際にも、この省庁間協定というのを取り上げたことがあるのです。あのときはたしか今回の七つの省庁よりは多かったと記憶をしていますけれども、それぞれ省庁関協定あるいはメモの中には極めて重要な事項がたくさん記載をされているし、加えて、政令で一項も二項も起こさなくてはいけない事柄がたくさん書かれている。ある意味では、私はそのときに、こんなに縛りをかけて、やがて政令、省令でだけ始末をするというそういったやり方というのは、わかりやすい法律、国民に見える法案ではないのではないか、こういう指摘をしたことがあるのです。  そういう立場からしても、今回七つの省庁との間に運輸省関西国際空港株式会社設置するに当たって覚書を結ばれたんだとすれば、それは具体的にどういったものでありますというのを、こんな二省だけではなしに、七つ全部出していただけますか。
  207. 松村義弘

    ○松村説明員 覚書は関係各省との間の内部文書でございます。覚書に基づきまして、我々が関係各省と折衝いたしまして政令、省令を作成いたしますと、それらはすべて公報に公告されます。したがいまして、覚書の内容の提出はひとつ御勘弁をお願いしたいと思っております。
  208. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 関西国際空港株式会社法案というのは、ひとり関西人だけが注目をしているのではなくて、全国民がどういう形で法律がつくり上げられ工事が進んでいくのかということを注目しているのですよ。不特定多数の皆さん方が注目をしている内容、そういう意味では、例えば委員会の中で審議をした一つ一つの議論というのが大切にされながら、必要な事柄等については政省令の中に組み込まれていくということにもなっていくわけですね。しかし、当委員会の議事録というのは公にされるわけですからいいわけですよ。省庁間の覚書というのは当委員会にも示すことはできない、しかし、ある日突如として政省令が出されたら、その中に明記されているからいいではないかという議論になりますよ。いかがですか。
  209. 山本長

    山本(長)政府委員 一つの仕事が行われる場合に、その仕事が一有だけに終わらないで、各省庁の仕事に関係をするというのがむしろ通例でございます。飛行場部長が申し上げましたように、関西国際空港の事業を進めるに当たって、例えばその基本計画を運輸大臣が決めるという場合には、それによってまた各省庁の仕事というものが影響を受け、それを受けてまた各省庁も仕事をしていかなければならぬというふうな、そういった役所の間の仕事といいますものは、省庁でセパレートされているとはいえ、互いに密接不可分に関係をしておるわけでございます。組織を分けておるようでございますけれども、私たちの仕事と建設省の仕事というものはある面においてはくっついている面があるわけでございます。そういった省庁は違ったといっても、やはりこれは大きな意味において政府一つの組織の中で動いておるのでございまして、その組織の中で一つの仕事をしていきます場合に、横合いとの連絡調整をしながら、意見交換をしながら仕事を進めていく、こういうことはぜひ必要なことでございます。  そういう意味で、ある省が、今後運輸省が仕事をしていく上において、自分のところに関係が深いから協議をしてくれ、こういうふうなことがあるわけでございまして、そういったことが、この法律の制定というよりは案づくりのときに、お互いの議論の中で行われているのでございまして、省庁間における約束というのも、例えば運輸省の中で局間で将来のこういうことについて連絡し合うというふうなことと質的には同じ性格のものでございます。  運輸省が仕事をしていきます場合に、例えば政令をつくる、省令をつくるというふうな場合におきましても、それはもろちん当委員会での御議論とか国会におけるその場その場における御議論とかあるいは国会の外における御議論とか、その関係者の御意見というものをいろいろ聞きながら運輸省がそれを進めていくわけでございますけれども、そのときに、例えばある省の仕事にそれが影響があるというふうなことが予想されるときに、私のところにも少し事前に相談をしてくれよ、こういうふうなものがその実態でございまして、一つの組織の中における仕事を円滑にやる、ある仕事が各省のやり方によってまたほかの方がまずくなるというふうなことを避けるというふうな、組織の中における仕事を円滑にやっていこうというためのそういったいわば内部の右左の連絡調整をよくしていこう、そういう趣旨のものでございます。
  210. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 わかりませんな。全然議論が空転しているのですよ。いいですか。環境庁との間に取り結ばれたメモの第一項目は、正確に読み上げますよ。「関西国際空港の基本計画は、瀬戸内海環境保全基本計画に適合しなければならないものとすると共に、それを定めようとするときは、環境庁長官に協議する。」こうなっている。いいですか。「空港の基本計画は、瀬戸内海環境保全基本計画に適合しなければならない」というのは、本来当たり前のことでしょう。当たり前のことを書いているのですよ。当たり前のことをやるのに、なぜ運輸省は環境庁長官と協議をしなければならないのですか、それでは具体的に示してください。
  211. 松村義弘

    ○松村説明員 「瀬戸内海環境保全基本計画に適合しなければならない」ということは、ここに書いてなくても当然の話でございます。したがいまして、我々としましては、こういった関係の覚書がなくても十分我々の基本計画は当然適合するものだというふうに理解しておりますけれども、環境庁さんの方にしてみますと、何かと御心配のことがあるようでございます。それでこれを確認してきたというのが実態でございます。したがいまして、これはこういった覚書があるから適合しなければならないということではないのであって、こういった覚書があろうとなかろうと適合しなければならない、それを確認したということでございます。
  212. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 同じ議論を繰り返さなくていいのですよ。いいですか。私は当委員会に省庁間で取り結んだ覚書を提出してくださいと言っているのです。今も議論されているように、こんなものは取り締ばなくたってやることなんです。そういうのだったら破棄できるのですか。破棄するのですか。破棄してくださいよ。
  213. 松村義弘

    ○松村説明員 政府の内部で法案を作成する際には、閣議を通す必要がございます。閣議の構成メンバーに環境庁長官も入っていらっしゃいますので、環境庁の御了解を得ないと法案の作成はできません。そういったときに、単にこれは確認する文章であるからよろしいのではないかということをいろいろお話しいたしましたけれども、環境庁さんの方は、やはり確認でもいいからこういった覚書を結びたいという御要望があれば、我々といたしましては結ばざるを得ないというのが実態でございます。
  214. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 答弁になっていない、そんなものは。
  215. 細田吉藏

    細田国務大臣 私からちょっとお答えいたしましょう。  どの法律でもこういうことはあることなんでございます。法律の主務官庁を第一に決めるときにもめるということはもうざらにあることで、この間VANで大騒ぎしたのはお聞き及びになっておると思いますが、各省庁の共管にするかどうかということからもめ始める。日本の役人はみんな自分の役所を大事にいたしますので、できるだけ共管をふやそうとする傾向がございます。(「悪いことだな」と呼ぶ者あり)それからその共管の問題が一遍除かれますと、それでは法律の上にはっきり書いて協議をしようということになる。こういうことになりますと、これは今この法律にも協議と書いたのもあるわけでございますが、協議をしろ。これもまた各役所の立場、この役所も癖がありまして、いろいろ特にやかましく言う役所もありますし、役人も癖がありまして、特に自分の権限を主張する役人もおると思います。私の長い役人の経験からさようでございます。随分いろいろあるわけでございます。それでなるべくなら共管に、したい、なるべくなら協議に持っていきたい。そしてここでうんと言わなければ、この法律は次官会議を通さないぞ、閣議を通さないぞと言えば、時間的な制約がありますので、いろいろそこで話し合いが役人同士の間であるというわけなんですね。  ですから、中身について、私は非常に重大なものがあれば問題と思いますから、私もう一遍、御注意がありましたからまた目を通さなきゃいかんと思っておりますが、結局各省ばらばらなものを出すということ——これはこの法律だけではございません、全法律についてあると言ってもよろしい。権限のやや複雑な各省にまたがるような法律については、全部あると言っていいわけなんで、そういうものは出さないで、問題の中身によって、今、環境庁の話がたまたま出ましたが、こういう問題についてはどうなんだ、こういうふうな、むしろ覚書を出せという御議論でなくて、中身について建設省運輸省との関係あるいは大蔵省と運輸省との関係、環境庁と運輸省との関係、こういうものはどうかというようなお話にむしろしていただくことが、官庁のやっているやり方がいいか悪いかという問題はございますが、役所で実際の運用をしているとそういうことなんで、ばあっと一遍に、出してしまうというと、何だ、あそこの役所ではこんなことを言っているのか、おれの役所ではこういうことを断ったじゃないか、はっきり言うとそういう話にもなるわけでございます。頑張った方は協議が残って、頑張らない方は何も残っていないというようなことも出てくるわけでございまして、けしからんじゃないかというような話に相なるわけでございますから、役人が出したがらない、こういう事情であると存じておりますので、中身について御議論はいろいろしていただくことは結構だと思います。  当然していただかなければならないが、重要な関係はこういうことがあるが、例えば大蔵省との間には覚書があるのかないのかどうなんだ、こういうふうにやっていただけば、中身については御説明を申し上げる。全貌を出すというのは、そういう役所の中の事情がありますし、役所の仁義もありますから、これはやはりお認めをいただいて、実質的なものではお説のようなことでございます。重要なことを役人が勝手にどんどんやって、立法府をないがしろにするというようなことは許せない、だから委員会としては審議をするんだという筋につきましては、これはもうそのとおりである、私も長年議員をやっておりますので、そのとおりと考えております。
  216. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 大臣、非常に正直に言いますからね。私もこれ以上やりづらいのでございますけれども、出せと言えば出さない。中身を見れば書かなくてもいいようなことも書いてある。あげくの果てに、我が方が、非常に地域住民が心配をしている事柄として、例えば土取り場所などについての環境問題やあるいは環境監視委員会あるいは空港運営委員会というような形で、どこまで前広に国民的な空港にしていくのかという、こんな議論をしかけても、それらは受け入れられない、こういったことが非常に多いわけですね。  私はそれでもまだあきらめていないのです。環境監視委員会というのは、そういう意味では、これは政府やあるいは地方公共団体などを含めて、正確な意味でぜひ設置をしていただきたいと思っているのです。それは主たる要素は、今も議論をしたように、省庁との間では覚書を結び、一々協議をする。しかし、株式会社になった場合に、仮に環境問題で問題点が派生をしたとしても、会社と話をしてらちの明かない問題などが出てきた場合に、運輸大臣は一々法に示されたとおりに指導監督をしますということが行き届くのかどうなのか。大臣というのは一人しかいないのですよ。  そういう意味では、こういった事柄があるのだという現状認識について、これから恐らく起こるであろう状況について勘案をいただいて、ぜひ前向きな姿勢での取り組みをしていただきたいことを、最後に要望しておきたいと思います。
  217. 細田吉藏

    細田国務大臣 各省との話し合いの中で一番問題は、やはり環境の問題だと思います。御指摘のとおりだと思います。したがって、けさほどからもこれを頭からつくらないというふうに申しておるわけではないのでございまして、御趣旨はよくわかります。  それから、これが単に会社サイドだけに立って物を考えるようではいかぬということもわかります。したがって、どういうふうにこれをしたらよろしいかという、環境を監視するということが有効にできるような何らかの方法を考えさせていただく、こういうことにお願いをいたしたいと思います。
  218. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 ありがとうございました。終わります。
  219. 久間章生

    久間委員長代理 次回は、来る二十四日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十六分散会