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1984-04-24 第101回国会 衆議院 安全保障特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月二十四日(火曜日)     午後零時四十六分開議 出席委員   委員長 塩川正十郎君    理事 小渕 恵三君 理事 椎名 素夫君    理事 玉沢徳一郎君 理事 三原 朝雄君    理事 上田  哲君 理事 前川  旦君    理事 渡部 一郎君       石原慎太郎君    海部 俊樹君       坂田 道太君    丹羽 雄哉君       平沼 赳夫君    左近 正男君       関  晴正君    安井 吉典君       中川 嘉美君    橋本 文彦君       藤原哲太郎君    東中 光雄君  出席国務大臣         外 務 大 臣 安倍晋太郎君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 栗原 祐幸君  出席政府委員         防衛庁参事官  古川  清君         防衛庁参事官  西廣 整輝君         防衛庁参事官  友藤 一隆君         防衛庁長官官房         長       佐々 淳行君         防衛庁防衛局長 矢崎 新二君         防衛庁経理局長 宍倉 宗夫君         防衛庁装備局長 木下 博生君         防衛施設庁長官 塩田  章君         防衛施設庁総務         部長      梅岡  弘君         防衛施設庁施設         部長      千秋  健君         外務大臣官房審         議官      山下新太郎君         外務大臣官房審         議官      都甲 岳洋君         外務省北米局長 北村  汎君         外務省中近東ア         フリカ局長   波多野敬雄君         外務省経済協力         局長      柳  健一君         外務省条約局長 小和田 恒君         外務省国際連合         局長      山田 中正君  委員外出席者         特別委員会第三         調査室長    桂  俊夫君     ――――――――――――― 委員の異動 四月二十四日  辞任       補欠選任   三塚  博君     平沼 赳夫君 同日  辞任       補欠選任   平沼 越夫君     三塚  博君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国の安全保障に関する件      ――――◇―――――
  2. 塩川正十郎

    塩川委員長 これより会議を開きます。  国の安全保障に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。平沼赳夫君。
  3. 平沼赳夫

    平沼委員 我が国防衛政策につきまして、関係大臣及び関係官庁にいろいろと質問をしてみたいと思うわけであります。  我が国防衛政策基本というのは、言うまでもなく、いかに侵略を未然に阻止するか、そういうところだと思います。言葉をかえて言えば、いかに抑止するか、これが基本にあると思うわけであります。戦後四十年近くたちましたけれども、この抑止という問題を考えたときに、我が国は、日米安全保障条約というものを確固たるものにし、そしてまた必要最小限範囲自衛力を着実に整備をしていく、こういうことで確保してきたと思います。このことは歴史が証明しているわけでありまして、約四十年近い間、この日本にあのチェコやハンガリーやアフガニスタンのような悲劇がなかった、こういうことで私は大いに評価していいことだと思います。  しかし、国内にはいろんな意見がございまして、いわゆる戦争紛争に巻き込まれる、そういう紛争巻き込まれ論というのがあるわけであります。国会の場でもしばしばこの点が強調されているわけでありますけれども、例えば米軍施設がこの日本にあるから日本紛争に巻き込まれるのだ、あるいはまた米軍核関係通信施設があるから日本核戦争に巻き込まれるぞ、そういうような紛争に巻き込まれ論が横行しているわけでございます。しかし、この論点というのは、いわゆる抑止ということを論ずる場合に、抑止ということを論じないで、敗れたときばかりを論じている。いかに国の安全、そして国の平和というものを保つ、そういう方法論というものが非常に欠けている論議じゃないかと思います。こういう論議から発展して、さらに飛躍した考え方として、一部言われている非武装中立論、こういうものがあるわけでございます。  例えば、わかりやすく言うと、原爆水爆のこの核の時代に、いかに通常兵器を持っても、それはしょせん蟷螂のおのにすぎない、無意味である、だからそういうむだなことはやめてしまって、もっと平和的な別の目的にそういう費用というものを使った方がいいじゃないか、こういう議論があるわけであります。また、それじゃ非武装中立になったときこの日本をどうするか、この日本の平和をどうやって担保するか、こういうことになりますと、それはあらゆる国と友好関係を樹立して平和条約を結んでいくのだ、こういう一つ議論でございます。  そこで、念のために私は防衛庁当局にお伺いしたいのですけれども、戦後三十九年たったわけでございますが、この三十九年間に世界でいわゆる紛争戦争というものが一体何回起こっているか、そのことをちょっと資料をもとに御報告をいただきたいと思うのです。
  4. 古川清

    古川政府委員 お答え申し上げます。  この紛争の数え方につきましては、若干方法論的な問題もあるわけでございまして、どの程度の大きな規模紛争であるか、あるいは紛争が時としまして同じ国と国との間で数回にわたってある期間を置いて行われることもございます。例えばインド、パキスタンとの間にはそういう戦争も何回か起こったわけでございます。そういった点も考慮いたしまして、常識的には第二次大戦の後にかなり大規模な、また重要や意味を持つ紛争としましてはおおむね七十前後というふうに考えておるわけでございまして、実はこの防衛白書の付録の資料の中にも、大体七十件の国際紛争を掲示してあるわけでございます。
  5. 平沼赳夫

    平沼委員 大きな紛争だけ数えても大体七十以上ある。小さな紛争を入れますと、別の統計によると百八十数回あった。言葉をかえて言えば、戦後の世界で核を使用しないいわゆる限定的な戦争というものが日常茶飯事のように行われている。そうすると、原爆水爆時代通常兵器を持つのは無意味だということは、かけがえのない日本の安全と平和を考えたときに非常に飛躍した論理になると思うわけでございます。  さらに進んで、そうやって非武装にしたときに、その後どうするかということは、あらゆる国と友好関係を樹立して平和条約を結べばいい、確かに耳ざわりのいい言葉でありますけれども現実にあらゆる国と平和条約を結ぶ場合、どういった国々とどういった内容で、そしていつまでの期間にというようなことになりますと、この論理には全く具体的な方策というものが立てられていない。卑近な例で言いますと、懸案でありました日中の国交昭和四十七年に回復をいたしました。その後両国ムードが非常に盛り上がって、平和条約を結ばなければならないということになったわけですけれども、いろいろな紆余曲折があった。自民党の内閣でも三代の内閣を経てようやく平和条約が諦結されたという経緯があるわけであります。  そこで、外務省に念のためにお聞きしますけれども、あの日中国交回復から平和条約締結までに一体どれだけの年月がかかり、そしてまたどういった問題点がその交渉過程で出てきて大変苦労したか、その辺、明らかにしていただきたいと思うわけであります。
  6. 小和田恒

    小和田政府委員 ただいまお尋ね日中国交回復から日中平和友好条約締結までの経緯でございますが、御承知のとおり、日中国交正常化が行われましたのが一九七二年でございます。平和友好条約締結されましたのが一九七八年でございます。その間約六年の年号をけみしたわけでございますが、基本的な問題といたしましては、日中双方外交基本政策としておりますところをお互いに維持しつつ、かつ同時に、日本中国との間に永遠の平和友好関係をいかにして築き上げるかということにあったわけでございます。  その過程におきましては、平沼委員承知のとおり、新聞等でも報道されましたような、例えば反覇権条項取り扱いというようなことが一つの大きな問題になったわけでございますけれども、この反覇権条項取り扱いと申しますのは、その実質におきましては、結局のところ、我が国我が国としての自主的な外交政策というものを他国の影響を受けることなしに遂行し得る自由というものを確保する、他方中国におきましても、中国が考えておりますところの基本的な外交政策というものを遂行する、この両者の立場というものを主権独立、平等の原則に基づいて確保するということにあったわけでございまして、その間いろいろのことがございましたけれども、六年の交渉の結果として、お互い立場をそれぞれ正しく理解し、尊重するという基本的な原則的な了解、合意が成立いたしまして条約締結に至ったわけでございます。したがいまして、この条約の精神といたしておりますところの日本中国との間に子々孫々にわたる永久的な平和友好関係を築き上げるという目的がそのことによって達成される、こういう経緯でございます。
  7. 平沼赳夫

    平沼委員 あのときのことを振り返ってみますと、当時の田中総理大臣が北京におり立って、そして歴史的な国交回復の第一歩が始まったわけであります。両国友好ムードが非常に盛り上がりまして、今考えますと日本でも、ランラン、カンカン、そんな非常に奉祝ムードがありました。新聞の第一面にランラン、カンカンが発情して厳粛な営みを行うというような記事が出て、非常に奉祝ムードだったわけでありますけれども、しかし、今御説明のとおり、結果的には六年の歳月をけみしたわけであります。  非常に条件が整ったそういう友好関係にあるこの日中両国でも、やはり実際に平和条約を最終的に結ぶということになると、これだけの歳月がかかった。そうすると、あらゆる国と友好関係を樹立し、平和条約を結んでいけば日本の安全と平和は担保できるという論理、私は重要な部分が欠落していると思うわけであります。日本だけが非常に世界から愛されるような存在であって、我が国が手を差し伸べればあらゆる国が手を差し伸べてくれる、そういう状況であれば、それはいいでしょう。しかし、国際場裏というのは非常に利害得失が絡み合って、ある意味では弱肉強食の世界であります。  政治というのは現実でありますから、現実選択の中であらゆる国と平和条約を結んで、そして日本の平和と安全を担保するということ、そのことを考えたら、私は、まずソ連平和条約を結ぶのが、一番安全と平和を担保するような形をつくれると思います。それはソ連を敵国視するわけじゃありませんけれども、しかし、潜在的な脅威という形になると、やはりソ連というものは日本にとっては非常に無視できない国であります。それじゃソ連現実の中で平和条約を結ぶとなったら、中国とでさえ六年の歳月がかかった、そしてソ連と結ぶことによって最大の友好国のアメリカは恐らく黙っていないと思いますし、自由主義をいわゆる国是とするECの諸国も黙っていない。そうなってくると、そのソ連との平和条約一つとっても、これは何十年かかるか想像できないような、そういう一つの見方も私、できると思います。  ソ連のみならず、北朝鮮とも平和条約を結ばなければなりません。そうすると、今友好関係にある韓国が果たして黙っているでしょうか。あるいはあらゆる国ということになれば、今国としては残念なことに外交上認めておりません中華民国、こういったところとも関係を樹立するとしたら、中華人民共和国も黙っていないと私は思う。そうなってくると、本当に日本の安全と平和を考えた場合に、今言った非武装中立という一つ考え方というのは現実に即していない、そういうことだと思うわけであります。  紛争巻き込まれ論、このことを考えるときに、先ほども指摘をしましたけれども紛争が起こった、抑止が破壊されたとき以降のことしか論じてないで、いかに抑止をするかという具体的な方法論に欠けているわけであります。そういう意味で私は、日本の戦後の安全と平和というものは、あくまでも日米安全保障条約を堅持し、そしてまた自衛力整備するということで確保されてきた、それが抑止力の確保であった、こういうふうに思うわけであります。  今国会の中のいろいろな論議で、特に紛争巻き込まれ論というものを考えますと三つ選択しかない、私はそう思います。非武装中立選択するか、あるいは武装中立選択するか、あるいはソ連との同盟関係に今のアメリカとの同盟関係を置換するか、この三つしか出てこない。しかし、日米安保条約というものは大変な実績と重みを持ち、今非常に安定的に推移しているわけで、日米関係というのは非常に成熟した形になってきているわけであります。  私は、あくまでも現実の中でよりよき道を選択していくというところに政治基本があり、そしてまた国の安全と平和の政策基本がある、そういうふうに思うわけでございまして、ちょうどいい機会でございますから、防衛庁長官外務大臣から、この我が国防衛政策基本についてぜひお伺いをしたいと思うわけであります。
  8. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 今貴重な御意見を拝聴いたしました。私どもは、日本の平和と安全を保つ、このために全力を尽くさなければならぬと思います。その場合に最大抑止力は何かといいますと、国民の自分の国は自分で守るという気概、その気概の上に憲法の許す範囲内で必要な防衛力整備をしていく、これが基本だと思います。しかし、現実世界情勢を見ますと、一国だけではなかなか守り切れないというのも御存じのとおりです。日本はそこでアメリカとの間に安保条約を結んで、日本の有事の際に支援を願う、そういう体制をとっております。これが現実我が国の平和と安全を保障する最大の要素ではないか、そういうふうに考えております。
  9. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 我が国は戦後三十数年、日米安保条約、それから必要最小限度自衛力によりまして、他国からの軍事力を背景とした政治的圧力を受けることなく、自由な民主主義体制のもとで繁栄を享受しておるわけであります。  紛争巻き込まれ論、これは、いろいろ議論がありましたが、抑止が破れた場合の危機感を表明しているものであると考えますが、今日の国際社会抑止と均衡を基礎としていることは否定できない現実でありますし、政府としても何よりも考えなくてはならないことは、抑止を万全なものとしまして、紛争巻き込まれ以前に、そもそも紛争の発生を防止するということである、こういうふうに考えております。  今日の国際社会現実のもとでは、いかなる国も米国との直接的な軍事的対立を回避せんとしているのも、まさにこうした抑止力によるものでありますが、政府としては、今後とも民主主義と自由という共通の価値観を共有する米国との安保体制を堅持し、必要最小限自衛力整備しまして、もって我が国の平和と安全を確保していきたい、こういうふうに考えております。
  10. 平沼赳夫

    平沼委員 両大臣基本的な考え方をお伺いしまして私も安心をしたわけでございますけれども、次に、抑止を前提として私はまた皆様方質問をさせていただきたい、そのように思うわけでございます。  国会論議を通じて気づくことは、今世界が非常に危機状態になっている、しかし、その危機状態を現出しているのは主にアメリカ覇権主義あるいは軍拡にその重立った原因がある、こういう議論が非常に強いわけでございます。しかし、こういう世界の平和と安全に関する問題というのは、一つの大きな因果関係の中で現出をしている問題だと私は思うわけであります。     〔委員長退席椎名委員長代理着席〕  抑止ということを考えたときに、抑止をいかに確保するかということを議論することは、この日本にとって、やはりソ連軍事政策動向と切り離して論じていいのかどうか、こういうことになると思うわけであります。  例えば、今アメリカトマホーク型巡航ミサイルを太平洋に配備しようとしている。これは二百五十キロトンの核弾頭を装備するんだ、そうすると、これはソ連危機感を募らせて、そしてソ連をいたずらに刺激して日本の安全と平和が脅かされるんだ、こういう論議があるわけでありますけれども、しかし、その前段として、あのデタント以降のソ連の一方的な軍事力増強ということがこの論議には欠落している。  極東ソ連軍を例にとりましても、百五十キロトンを三発装着いたしますSS20という非常に精度の高いミサイルというものが、既に現在確認されているだけで百四十四基も配備されている。そして、これは極東のみならず、ヨーロッパにも大変大きな脅威を与えている。そういうことで、日本の安全と平和を担保するための抑止力ということを考えたときに、どうしてもソ連のそういう軍備状況や国柄や動向というものを無視し得ないと私は思うわけでございます。  そこで、防衛庁当局にお伺いしたいことは、特にデタント以降のソ連極東艦隊増強ぶりについて、具体的に御説明をいただきたいと思います。
  11. 古川清

    古川政府委員 お答え申し上げます。  ソ連の一貫した軍事力増強というのは、陸海空それぞれにおいて極めて顕著なものがあるわけでございますけれども、特に海につきましては、例えば一九七〇年を一つデタントの象徴的な年というぐあいに考えてみますと、極東ソ連海軍軍事力、これは隻数におきましては現在八百二十隻と我々は考えておりますけれども、一九七〇年におきましては七百二十隻でございました。しかしながら、トン数におきましては、ソ連は七〇年には百万トンでございましたけれども、現在百六十二万トンというふうに急激にふえておるということでございます。  他方アメリカの方を御参考までに申し上げますと、一九七〇年に隻数としては百五十隻ございましたけれども、現在は六十五隻、それからトン数におきましては、七〇年にアメリカは百十万トンという大きな海軍兵力極東に持っていたわけでございますが、現在は六十七万トンというふうに非常に下がっておる。つまり、ソ連の方が傾向的にずっと上昇傾向を続けておりまして、今それが下がる傾向にはない。他方アメリカの方は非常に下がってきて、最近におきましては総トン数横ばい状況にある、こういったふうに考えてよろしいかと存じます。
  12. 平沼赳夫

    平沼委員 デタント以降、大体一九七〇年以降現在に至るまで、ソ連総トン数で大変な増強をなし遂げた。約六〇%増しぐらいの大増強をしておる。一方、アメリカは半分ぐらいに総トン数で落ちてきているし、しかもその内容というものは、ソ連なんかはどんどんリニューして新しいタイプ艦隊ができてきている。ミンスクを初めとするいわゆる航空母艦も入ってきているわけであります。  もう一つ、我々は看過できないことは北方四島であります。私もあの根室半島に参りまして、そして遠くにかすんでいる北方四島を視察をしてまいりましたけれども、一番近いところではわずか十六・四キロしか離れていない。私の選挙区で言えば、私の瀬戸内海の島からちょうど小豆島ぐらいのところに北方四島が存在をしておる。ここも本当に逐次戦力は増強されてきているわけであります。この北方四島の極東ソ連軍の現状、防衛庁が把握しているその状況というものをお知らせいただきたいと思います。
  13. 古川清

    古川政府委員 お答え申し上げます。  現在、北方四島におきますソ連配置状況といいますものは、まず陸上兵力におきましてはおおむね師団レベル配置を行っていると私どもは把握しておりまして、内容的に申し上げますと、戦車であるとか対空ミサイルであるとか、それから輸送機も持っておるようでございます。さらには、多用途のヘリでございますけれども、大型のミル24ハインドというタイプのヘリコプターも配置をされておる。非常に特徴的なのは、百三十ミリのカノン砲が置かれておる。これは非常に長距離の、特に艦船に対しますところの破壊能力のある火砲でございまして、通常師団であればこんなものは配備されていないわけでございますが、これが非常に特徴的であります。このほか、約三千名の規模の国境警備隊を持っておるということでございます。  さらに、私ども関心を引きますのは飛行機の配備状況でございまして、昨年の八月と九月にかけましてミグ23、これは第三世代、第三世代に属すると申しますのは、一九七五年ぐらいまでに設計が終了したという最新鋭機でございますが、このミグ23がおおむね二十機以上と我々踏んでおりますけれども、これが配備されております。その前年にはミグ21、前々年にはミグ17という、一年ごとに世代が更新しておるような非常に急激な近代化がこの北方四島において図られておる。これが私ども関心を非常に強く呼び起こす次第でございます。
  14. 平沼赳夫

    平沼委員 今の御説明で大変な増強ぶりだということがクリアになったと思うわけでございます。  これに関連しまして、北方四島もソ連は最精強の部隊で構築をしている。そしてまた、極東ソ連軍にはSS20が百四十基以上も配備されている。また、今日本カラオケ文化時代でございまして、津軽海峡冬景色というようなことで歌っておりますけれども、実際、津軽海峡ソ連艦船大通りというような例えもあるわけでありまして、いわゆる海峡通過、これも頻繁に行われていると思います。さらにまた、どうして新聞が余り報道しないかと思うのですけれども、いわゆる緊急発進スクランブルというものも年間相当な数行われている、そういう非常に緊迫した状況にあるわけでございますけれども防衛庁当局の方から海峡通過の具体的な数字と、そしてスクランブル回数、その辺、数字でお示しいただければと思います。
  15. 古川清

    古川政府委員 まず、ソ連艦艇の宗谷、津軽、対馬三海峡通過状況についてお答え申し上げますと、これは私ども発表しておりますのは、その年度からさかのぼりますところの五年の平均値ということで出しておるわけでございますが、一番最新の集計が終わっておりますのは実は五十七年でございまして、それからさかのぼることの五年の平均が対馬海峡では百六十五隻、津軽海峡では六十隻、宗谷海峡では二百三十隻、合計五年間の平均が四百五十五隻というぐあいに把握をしております。  その五十七年さかのぼることの五年の平均が四百五十五隻でございますけれども、これを五十三年からずっと同じような集計をして傾向的な点を把握いただきますと、五十三年には三百二十隻がそれ以前の五年の平均、五十四年については三百六十隻、五十五年については四百五隻、五十六年については四百三十隻というぐあいになっておりまして、年々通過量は激増しておるということでございます。
  16. 矢崎新二

    矢崎政府委員 お尋ねスクランブル回数でございますが、五十八年度の数字を申し上げますと、日本全国で六百七十五回のスクランブルを実施しておりますが、そのうち北部航空方面隊におきます実施回数は、二百六十七回という回数になっております。
  17. 平沼赳夫

    平沼委員 大変な回数になっているということが、よく御説明いただいた数字でわかったわけでございます。  それから、この問題に若干関連をいたしますけれども、いわゆる日本近海で操業をする漁船の問題があるわけであります。ソ連漁船の問題であります。このソ連漁船は、最近新聞でもちょっと出ましたけれども小名浜寄港というような問題がある。この小名浜寄港に関しては、仄聞するところによりますと、大体外務省局長レベルでこういう重要な問題を決めてしまった、こんな経緯があるようでございますけれども、この小名浜寄港に関しての各役所間の調整がどうなっているか、この辺も教えていただきたいところでありますし、また一つの情報によりますと、東京都に所属します小笠原、この小笠原では近海ソ連漁船が居座って漁業活動をしている。小笠原の漁民が見たところによると、何にも魚はとってない、何かしているけれどもずっといるんだ、こういった情報もあるわけでございまして、こういった一連の漁船を使った謀報活動といいますか、あるいはさきにお答えいただきたいと言った漁船小名浜寄港の問題、こういったことを含めてお答えいただきたいと思います。
  18. 都甲岳洋

    ○都甲政府委員 お答え申し上げます。  ソ連漁船小名浜寄港につきましては、昨年末の日ソ、ソ日の二百海里に相互に入り合う漁業交渉の場におきましてソ連側から漁獲量の不均衡を指摘されまして、日本側の漁獲を認めるためには小名浜寄港を認めてほしいという強い要請がありまして、政府部内でもちろん十分調整を図った上で、やむを得ない措置として、昨年限りの措置として、いろいろな条件を付して認めたということでございます。そういうことで、調整の過程において手抜きがあったのじゃないかというような御趣旨の御指摘もございましたけれども、私どもとしては、通常の手続に従いまして十分に政府部内の調整を図った上で行った決定だと考えております。  小笠原につきましては、一昨年の漁業交渉の際にソ連側のマグロ漁船の入漁を認めたという経緯があったと記憶しておりますけれども、その実態につきまして私ども十分に把握していない状態でございます。
  19. 平沼赳夫

    平沼委員 小笠原は、現地の漁民の見たところがそういう形で情報として入ってきております。私はいろいろ心配をしますと、あの辺は活火山の場所でありますから、もし第二明神礁みたいなものができて、そこにいち早くソ連の国旗を立ててしまったら、二百海里の時代日本にとっては国益上大きな問題になると思うわけでありまして、この辺は耳の長い調査能力を持っていると任じている防衛庁、よく実態の調査をしていただいて、そういった本当に正体不明の漁船団なんかも把握をしておいていただきたい、これは希望で申し上げておくわけであります。  先ほど、前の部分で申しましたけれども抑止、これが日本防衛政策基本であります。抑止をいかに確保するかという議論をした場合には、今一連お聞きしたように、どうしても日本の平和と安全のためには、ソ連軍事政策動向、国柄、こういったもの等は切り離して考えることはできない、そういう問題だと思うわけであります。そういうことを踏まえた上で、日本を取り巻くこういう厳しい国際環境、この中で防衛庁長官に決意としてお尋ねしておきたいのは、こういったソ連軍の顕著な増強等厳しい国際情勢にかんがみて、「防衛計画の大綱」を早急に達成すべきでないか、そう私は思うわけでありますけれども、長官の御所信を承りたいと思います。
  20. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 先ほどもちょっとお話がございましたが、平和の問題で非常に重要なのは、体制の違いというのがあるのですね。自由主義社会の場合にはよく物がわかるわけです。ところが、全体主義の国になりますと、言論が極度に統制されておりますからそれがわからない、そういう中で極東ソ連軍増強されておるということは、我々にとりまして大変重大なことだと考えております。これは重大な関心を持たざるを得ないわけであります。それやこれや全般的に考えまして、我が国の防衛体制を確立するためには御指摘のとおり「防衛計画の大綱」を一刻も早く整備をいたしたい、そういう所存でございます。
  21. 平沼赳夫

    平沼委員 ぜひその決意で我が国の安全と平和のために御努力をしていただきたい、このように思うわけであります。  次に、抑止力を確実なものとするために、今一連るる申し上げましたけれども自衛力整備、日米安保の信頼性の維持向上を図る、これが大前提になるわけですけれども、今一連の御質問をさせていただいた中で明らかになりましたけれどもソ連の軍拡、そしてソ連の行動パターン、あるいはソ連といった国の国柄、これをどうとらえるかということがもう一つ基本にあると思います。これは毎年毎年の防衛予算をどうするかというそれだけでなくて、我が国が着実な自衛力整備を図って、そしてさらに日米安保の信頼性向上のために努力をしていくこと、そういったことが本当にこれから必要になってくることじゃないかと思います。  例えばスウェーデン、スイスという国、永世中立のスイス、スウェーデンが何か桃源郷のような、本当に非武装中立のようなことで永世中立を維持している国、こういう誤解が日本国民の中に非常にあると思うのです。しかし、現実にスウェーデンにしてもスイスにしても、国民皆兵、大変な軍事予算を割いている。また、スウェーデンという国は、世界のどの地域の紛争でも自国の安全と平和には不可分の存在である、こういうことで率先して国連軍に参加をして、真っ先に世界紛争地帯に駆けつける。こういった常々の姿勢というものが世界に評価され、そしてある意味ではスウェーデンという国の永世中立を本当に世界の国が認めているというのは、こういった努力が大きな要素になっていると私は思うわけであります。地政学上の意味ももちろんあると思いますけれども、スイス、国民皆兵で、そして本当に厳しい国の平和と安全を守るための体制をしいている。日本がそのまままねする必要はないと思いますけれども、そういう一つの姿勢というものが国際場裏の中で評価をされて、長い間の独立、そして平和、そういったものを維持できていると思うわけであります。  そういうことを考えたときに、防衛予算をふやすということにとどまらず、防衛予算というものは着実に充実していく必要はありますけれども、例えば世界が見てだれもが納得するような応分の負担というものも日本はしていかなければならぬ。例えば経費分担という問題が今クローズアップされておりますけれども、こういった問題の背景にある本質、それを外務大臣はどういうふうにとらえられているか、その辺、大臣の御所見を承りたいと思うわけであります。
  22. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 今スウェーデンとかスイスの話をされましたが、世界各国、安全保障政策というものはそれぞれ独自なものがあるわけです。日本の場合は、御承知のような最小限の防衛力、そして安保体制というものが日本安全保障の根幹をなしておる、私はこれが日本の今日の平和と安全を確保した最大の要因であった、こういうふうに確信してはばかりませんし、日本の将来を考えても、防衛力を国情に応じて整備する、同時にまた安保体制というものを強化していく、この効率的な運用を図っていくことが大事であるし、その前提として、外交関係では日米の外交関係をがっちりしたものに置くということが大事であろう、こういうふうに思うわけでございまして、我々はそうした基本的な立場、前提のもとに、これからの世界が非常に大きく変化していきますが、そういうものに対して適宜対応していけばいいのじゃないか。基本をしっかりすることがまず一番大事なことであろう、こういうふうに思います。
  23. 平沼赳夫

    平沼委員 今の大臣の御答弁の中に、経費分担の点もそういう日本の安全と平和のためには努力を積み重ねていかなければいかぬ、そういう意味が込められていたと私は解釈をするわけであります。  さらに質問を続けさせていただきますけれども、最近顕著になってきた議論に、アメリカはどれだけ信頼に値するか、そういう疑問が投げかけられた議論が出てきているわけであります。アメリカというのは本当に信頼できるのか。米国の核の傘というのは本当に有効に作用するものかどうか。ある人がアメリカのそういう中枢の司令所みたいなところに行って、全世界アメリカ抑止のためのミサイルシステムの司令室みたいなところに入ってみましたら、そういうアメリカの核抑止ミサイルシステムは、日本なんというものはちょっとどうも除外されているような電気のつき方だぞ、愕然としておれは帰ってきたんだ、こういった報告も私は聞いているわけでございますけれども、そういう一連の議論の中でアメリカはどこまで信頼できるか、そして本当にアメリカ日本を守ってくれるか、守ってくれないんじゃないか、だからもう一つの超大国であるソ連にも日本としては保険をかけておく必要があるんじゃないか、こういう議論が最近非常によく出てまいるわけでございますけれども、こういった論点について外務大臣、どういうふうにお考えになるか、御所見をお伺いしたいと思います。     〔椎名委員長代理退席、委員長着席〕
  24. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 私は、日米関係というものは信頼関係でつながれていると思いますし、この信頼関係をさらに強固にしていかなければならぬ、そしてただ単に安保条約があるからといって日本を守ってくれる、こういうことでもないと思います。お互いがその信頼関係を発展させるために努力をしていくというその努力がなければ、幾ら強固な条約があっても一朝有事の際には雲散霧消してしまう。世界の歴史がこれを証明しておるわけです。  今の日米関係の姿を見ておりますと、政府間においてはもちろんでありますが、国民の間においてもお互いの理解がだんだん進んできている、共通の自由民主主義という価値観を担っておる、そういう中での信頼関係というのがだんだんと定着をし、成熟をしてきておる、こういうふうに私は思っておりますし、同時にまた、世界の全体の姿を見ておりましても、日米というものががっちり手を組んでいく、あるいはまた、日本が西側の一員ということに対していろいろと批判もありますけれども、しかし、日本自由主義陣営の一角として、日本アメリカ、そしてヨーロッパ、それが一体となって世界の平和あるいはまた世界の安定に大きく寄与しておる、この一体感というものが世界の平和を構築している一つ基本的なスタンスである、こういうのがアメリカ日本、ヨーロッパ、そういう中でだんだんと根を張ってきておるのじゃないだろうか、こういうふうに私は思うわけです。  この前のウィリアムズバーグのサミットでのああした政治声明につきましても、西側自由主義陣営というものが一体となってこれからの平和に向かって努力していこう、それが結局世界の軍縮を達成をし、あるいはまた世界の平和を現実的に進める最大の力になってくるんだ、こういうことで日本もあえて軍縮の達成、平和の実現のために積極的な姿勢をとったわけですが、私は、こういう努力を積み重ねていくということがこれからの日米関係の信頼感をさらに深める、そして安保条約抑止力存在というものがさらに強固なものになっていく、こういうふうに思っております。やはり前提は何としても信頼、その信頼をつくり上げるためのお互いの国民の努力、政府の努力というものが大事じゃないか、こういうふうに私は思っております。
  25. 平沼赳夫

    平沼委員 外務大臣の御答弁を伺って、私も本当に安心をいたしました。ぜひそういう形で我が国のために外務大臣として頑張っていただきたいと思います。  次に、「防衛計画の大綱」の達成、先ほど大臣が決意を表明してくだすったわけでありますけれども、それに先立って新聞で拝見をしたのですが、この二十一日、土曜日でございましたけれども大臣、御苦労さまでございました。北海道の部隊をずっと視察なさいまして、そして稚内で記者会見をされまして、五九中業に触れられまして連休明けにもこの問題に関して指示を出したい、こういった新聞報道を読ませていただきましたが、これについてちょっとお伺いしたいと思うのです。そのようなことは事実だったのでございましょうか。
  26. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 稚内で記者会見いたしまして、五九中業はいつやるんだ、こういう話がございましたので、国会で五九中業いつやるか、このことについては今までずっとまだ決めていないと答弁をしてきたわけです。しかし同時に、五六中業は四月の末にやったわけです。ですから、それと余りかけ離れるようなことはないということも申し上げておいた。まあいろいろ考えてみて連休後あたりにそういうものを出すのが適当ではないかな、まだ確定したわけではございませんが、そういう思いを込めて、そこら辺に出すようにすべきではないかなという思いを述べたわけでございます。
  27. 平沼赳夫

    平沼委員 長官指示にはどのような内容が盛り込まれるか、そういうことについてもしお答えになれる範囲がございましたら、ひとつお答えいただきたいと思います。
  28. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 これもまだ時期と同じように、どういうことというふうに決めてあるわけではございませんが、今までの国会答弁で申し上げておりましたが、正面と後方のバランスをとっていく、そこら辺を主軸としまして、いろいろと技術なんかも国際的に非常に進歩しておりますので、質の高い防衛力整備をするにはどうしたらいいかということを中心として長官指示を出すべきではないかな、こういうふうに考えております。
  29. 平沼赳夫

    平沼委員 今防衛庁長官の御答弁の中に正面、それと同時に後方も、こういうお話がございましたので、それに関連して、「防衛計画の大綱」のいわゆる達成に当たりまして、私は、後方施策といいますか、そういったものに関して若干質問をさせていただきたいと思うのです。  抑止が有効に機能するためには、私は後方というものは大変大事だと思うのです。後方なくして本当の抑止力というものは発揮できない、そういう考えでございますけれども、例えば、確かに我が航空自衛隊は最新鋭のそういうジェット戦闘機を持っているわけであります。しかしこれがどうも、例えばスウェーデンだとかアメリカはすべてシェルターの中に入れる、スウェーデンなんかは岩石の中に深いトンネルをつくっていて、そこに滑走路が直結されていて、そこから有事の際は飛び立っていく、そういう大変ないわゆる後方の設備というものがあるわけですけれども、我が自衛隊の場合、今こういった航空機のいわゆる掩体に関してはどのような形で、また今後どうしようとしておるか。  さらに、それに付随しまして、日本は専守防衛の国であります。したがって、ともかく耳を長くして、日本の安全と平和に関することだったら逐一情報を把握する。あの大韓航空のときにもある程度の優秀性が証明されたわけでありますけれども、レーダーサイトの問題がある。このレーダーサイトというものは、丸裸で置いておいたら手投げ弾一発で機能が麻痺してしまう。そしてもう全く真っ暗やみに我が国が立たされてしまう。そういう状況になってしまう。こういった問題、これも大きな問題だと思うわけであります。  こういった後方の問題について、今言った二点について、防衛庁の方から現状及び将来に関してひとつお答えをいただきたいと思います。
  30. 矢崎新二

    矢崎政府委員 ただいまお尋ねをいただきました問題は、いわゆる自衛隊の抗堪性をいかに確保していくかという問題についての御指摘ではないかと思います。確かに、基地等に攻撃がありました場合に、この被害を局限するということは非常に重要な問題でございますし、それから、仮に被害があってもそれを迅速に復旧していくということは非常に大事な課題でございまして、私どもとしてはこれを重視していかなければならないと思っております。  ただ、現状は必ずしも十分ではございませんで、私どもが今五六中業によって事業を進めておる中では、こういった問題をできるだけ取り上げていきたいということで今着手をしておるところでございます。具体的に申し上げますと、航空機用の掩体、これの整備も数年前から進めております。それから滑走路の被害復旧マットの整備もやっておりますし、それからやはり基地防空ということも大事でございますから、航空基地あるいはレーダーサイトの防空能力を向上するために、基地を防空するための火器、防空用火器、これはいわゆる短SAMと申します射程の短いものでありますが対空ミサイル、あるいは携帯用の対空ミサイル、あるいは機関砲、そういったものの整備を今逐次進めているところでございます。この点につきましては今後ともさらに努力を続けたいというのが現状でございます。
  31. 平沼赳夫

    平沼委員 まだ現状は非常に厳しいということがわかりましたけれども、こういう後方装備というものをぴっちりしておきませんと、仏つくって魂入れず、こういうことになると私は思いますので、防衛計画大綱の達成、この一つの大きな枠の中で十分な御努力をいただきたいと思います。  最後に、私は通信衛星利用の問題について若干意見を申し述べ、御意見を承りたいと思います。  日本の安全と平和というのは、高度に発達したいわゆる通信衛星の時代、これが宇宙開発事業団法の「平和の目的に限り、」ということが足かせになってしまって、そして自衛隊の使用、そういうものに関して非常に制限が加えられようとしているわけであります。しかし、今の一つの、絶対あってはなりませんけれども、そういう戦争体系の中では、情報の収集というものがその死命を制するわけであります。そのときに科学技術の最先端であるいわゆる通信衛星というものを利用できないということになると、これはゆゆしき一大事だと思います。自衛隊法第三条では、御承知のように、我が国の平和とそして独立を守ることが自衛隊の任務である。平和を守ることなんです。したがって、宇宙開発事業団法の平和利用に限るというのもこの範疇に入れていかなければいかぬ。そういった中で、これから通信衛星の利用というものがこの日本の防衛上非常に大きな意味を持つ、こういうふうに信じて疑わないわけでございます。  そういうことで、通信衛星の利用の通信メリットというものをどういうふうに認識をされているか。そして、今通信衛星を利用できないために部隊訓練上どんなデメリットが生じているか。そういった問題についてぜひひとつ御見解をお伺いして、質問を終わりたいと思うわけであります。どうぞよろしくお願いします。
  32. 木下博生

    ○木下政府委員 通信衛星一般につきましては、今先生からお話がございましたように、最近の技術の発展に基づきまして非常に広く使われるようになってきておるわけでございます。通信衛星は、一般的に申し上げますと、距離や地形の制約を受けることはなく、質のよい長距離の通信ができる。また、遠く離れた艦船など移動体との通信回線あるいは臨時通信回線等の確保もできるということで、大きなメリットを有しておるわけでございます。  そのようなことで、現在、防衛庁といたしましては、訓練等を行います場合に、短波通信等の利用を通じて通信を行うために非常な不便を受けておるわけでございますが、今御指摘ございましたように、衛星の利用につきましては、過去、国会決議や宇宙開発事業団法の目的に入っております「平和の目的に限り、」というようなものがございますので、それをどのように理解するかということも考えまして、御指摘の線に沿いまして、防衛庁といたしましてもしっかり本問題を研究いたしまして、関係各方面の御理解を得ていきたいというふうに考えております。
  33. 平沼赳夫

    平沼委員 専守防衛の枠内で質の高い防衛力を保持するということが本当にこの衛星利用の一つの大きなポイントだと思うわけでありまして、この辺はよく関係部署と調整をとった上で、国民が本当に安心してこの国で暮らせるような、そういう体制をひとつ早急にとっていただきたい。そのことを希望し、そしてやはり国の安全と平和というのは、たとえその確率が一万分の一であろうとも、本当に責任を持ってそれに対処していくことが本当の防衛の基本である、そのことを両大臣に再認識をしていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  34. 塩川正十郎

    塩川委員長 安井吉典君。
  35. 安井吉典

    ○安井委員 短い割り当て時間でございますので、一、二重点的に伺いますが、初めに、五九中業のことについて今御質問がございました。その進め方について、防衛庁長官は、大綱の見直しは絡めない、そういうふうなおっしゃり方をかつてしていたようにも私は思います。ということは、現在の防衛計画大綱水準の達成ということに目標を定めておられるということではないかと思うのですが、その辺はどうなのか。  それから、GNP一%枠を堅持するというその立場を当然貫くべきだと思うのですが、その点についてはどうなのか、まず、それから伺います。
  36. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 五九中業につきましては、ただいまも申し上げましたとおり、まだ具体的にその内容を決めておりません。今まで申し述べたようなことを頭の中で考えているという段階でございます。また、「防衛計画の大綱」との関係でございますが、今のところ、大綱を見直すという考え方はございません。  それから、一%の問題でございますけれども、これは五九中業との関連で言うと五九中業はまだ内容がはっきりしていないということもございますが、三木内閣のときの防衛費に関する閣議決定、この方針を守っていく、こういうことでございます。
  37. 安井吉典

    ○安井委員 中曽根首相は、現内閣の間に一%枠を変えるという考え方はないというのですから、中曽根首相がやめてからでなければ枠突破の計画はできない、こういうことだと思いますから、今の御答弁のようなことになるのじゃないかと思うのですが、たしか中期業務見積もりの基本方針をお決めになった場合は、国防会議の了承を受けてから作業にかかるというような仕方があったのではないかと思うのですが、その辺はどうですか。
  38. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 長官指示を出す前にどういう手続をするかということがあるわけでございますが、五六中業では国防会議に報告をして了承をいただいたという経緯がございますので、今度の五九中業でもそういうふうにいたしたいと思っております。
  39. 安井吉典

    ○安井委員 そういたしますと、連休明けから作業が、今長官のお話しになりましたような国防会議の了承の後で始まるということのように思うわけでありますが、今度はその中身の問題です。  シーレーン防衛優先という考え方を打ち出していかれるというふうにも伝えられておりますが、その辺はどうなのでしょうか。  それからまた、シーレーンというのは相対的なもので、大綱を超える強化も必要があるというような言い方も予算委員会等であるわけであります。五九中業の場合は、一体その問題はどの辺までお見込みになるおつもりなのか、それを伺います。
  40. 矢崎新二

    矢崎政府委員 五九中業でどういうふうになっていくかということについては、まだ検討に着手をしておりませんので、具体的に申し上げられる段階にはなってはいないわけでございます。  ただ、従来から一貫して申し上げておりますように、我が国防衛力整備に当たりましては、均衡のとれた防衛力整備を図っていく必要があるということが基本にあるわけでございまして、したがいまして、基本的な考え方といたしましては、五九中業におきましても、陸海空のバランスをとった整備ということが必要になるのではないかと思っておるわけでございます。もっとも、その中にシーレーン防衛能力の整備ということが含まれることは当然でございますけれども、シーレーン防衛だけを強化していくというふうに考えているわけではないわけでございます。  それから第二点の、シーレーン防衛をやっていけば、あるいはシーレーン防衛能力を整備していくことは大綱を超えていくことではないかというような御懸念があるわけでございますが、それはそういうことではございませんで、私どもはあくまでも日本防衛力整備というのは「防衛計画の大綱」の大きな枠の中で整備を現在進めておるわけでございます。大綱で考えております防衛力の中に、いわゆるシーレーンの防衛能力の整備ということも含まれておるわけでございます。  具体的に申し上げますと、「防衛計画の大綱」の別表におきまして、海上防衛力の部隊でございますとか主要装備の数を決めておるわけでございますが、これは大綱の本文の方で、いろいろな海上自衛隊の態勢を整備するということを明記してございまして、それを踏まえて整備量が決まっておるものでございます。これはいわゆるシーレーン防衛能力の諸機能を整備するという考え方に立って決められているものでございまして、「防衛計画の大綱」の中でシーレーン防衛能力の充実強化を図ってきているというのが、現在の我が国防衛力整備の一分野であるというふうに御理解をいただきたいと思います。
  41. 安井吉典

    ○安井委員 いわゆるシーレーン防衛の問題については、それの法的な位置づけについても私ども疑問を持っておりますし、また、そのあり方が果たして戦術的に成功するのかどうかという疑問もあります。その他いろいろあるのですけれども、とりわけ、ここまでやればいいということにならないだけに、とめどない防衛力の拡大にいってしまうのではないか、そういう心配を持っているわけであります。きょうは議論をするいとまがありませんので、私は、国民はどんどんどんどん、これでも足りないこれでも足りないということで、軍事大国への道に踏み込むのではないかという心配を持っているので、そういうことにならないような配慮をぜひ要求しておきたいと思います。  それから、先ほど自衛隊の衛星利用の問題について御発言がございましたが、国会の決議や事業団法のいわゆる平和目的に限るというその言葉、平和目的というのはイコール非軍事だ、そういう解釈で今日までずっと定着しておるわけですから、それを突き崩すわけにはいかない、私どもはそう思います。  そこで、この人工衛星の利用の問題までを五九中業の中に位置づけるようなお気持ちはまさかないと思うのですけれども、報道によっては、その利用の位置づけを長官が指示されるかもしれないというふうなのもあるわけですね。これは大変重大な問題だと思うのですが、いかがですか。
  42. 矢崎新二

    矢崎政府委員 ただいま申し上げましたように、五九中業につきましてはまだ具体的な作業に着手をしていないわけでございまして、ただいま御指摘のような具体的な問題について現時点におきまして申し上げる状況にはないことを御理解賜りたいと思います。
  43. 安井吉典

    ○安井委員 いろいろお尋ねしたいところがあるのですけれども、後また機会を見てにいたします。  次に、いわゆる海峡封鎖の問題について伺いたいと思います。  三海峡封鎖あるいは通峡阻止、そういう言い方でされているわけでありますが、シーレーン作戦の一環としての存在なのかその他いろいろな見方があるわけでありますけれども、私は、どうもそういう作戦が日本の本土を守るという上においてメリットがあるようには思えないのですね。デメリットが多くてメリットがないのではないかと思うのですが、その辺をまず伺います。
  44. 矢崎新二

    矢崎政府委員 通峡阻止のための作戦の問題を御指摘いただいているわけでございますけれども、これは海上交通の安全を確保していくといういわゆるシーレーン防衛の作戦の一環として私どもは考えているものでございます。我が国の国民の生存を維持し、あるいは継戦能力を確保していくという観点からいいますと、海上交通の安全を確保していくということは極めて重要な我が国防衛政策でございます。こういった目的を達成するためには、例えば海峡の防備であるとか港湾の防備あるいは哨戒、護衛等々のいろいろな作戦を組み合わせて、その累積効果によって海上交通安全の確保を図っていくということが必要になるわけでございます。そういった作戦の一環といたしまして、海峡の通峡の阻止ということを必要に応じて実施することもあり得るというふうに私どもは考えておるわけでございます。  この作戦は、今申し上げましたように、我が国の防衛のために必要なものでございまして、日本が有事の際、武力攻撃を受けた場合には、ただいま申し上げましたような諸作戦の一環としてやはり必要性のあるものであって、日本の防衛のためにこれをやらないということを申し上げるわけにはいかないと考えておるわけでございます。
  45. 安井吉典

    ○安井委員 私は、どうもその点、納得ができないのですね。  それからもう一つは、いわゆる海上封鎖というのは、アメリカの要求によって、あるいはまたアメリカ軍の手によっての封鎖というケースも一応予想されて、政府の見解も出ているわけです、もちろんたくさんの歯どめをつけてですけれどもアメリカの軍事戦略、あるいははるか向こうのNATOの防衛にもつながる、世界戦略の一環としての日本の三海峡封鎖、こういう位置づけも現にあるわけですね。したがって、単に日本のシーレーンを守るというそれだけのものではないというところに、もう一つ大きな問題があるのではないかと思います。  そこで、封鎖作戦というのは、それを封鎖されたら敵側は困るわけですから、したがって封鎖させまいという、つまり敵側の先制的な侵攻を誘発するわけです。そのことはどういうふうにお考えですか。
  46. 矢崎新二

    矢崎政府委員 我が国の自衛隊が海上交通の安全を確保していくためのいわゆるシーレーン防衛の作戦の一環といたしまして通峡阻止等の作戦を実施いたしますのは、あくまでも我が国が武力攻撃を受けた場合にそれを排除するための一つの手段として実施をしていくということでございますから、これは我が国防衛のために実施される不可欠の作戦であるというふうに御理解をいただけると思います。したがいまして、封鎖をした、あるいは通峡阻止をしたから日本戦争に巻き込まれるという問題ではございませんで、逆に、私ども日本が武力攻撃を受けた場合にこれを排除するため、自衛のため必要最小限範囲内で通峡阻止の作戦をすることがあり得るということでございます。  その場合に、今御指摘のありましたような我々の、日本の自衛のための活動といたしまして実施する通峡阻止の作戦に対抗するために、一つの可能性として、我々の相手国がその海峡付近に対する侵攻を企図するという可能性というものは、理論的にはあり得ないわけではないと思います。しかしながら、それは相手国の日本に対する侵攻行動の一環でございますから、当然にこれは我が国といたしましても排除のための行動をとるべき対象でございます。そういった場合には陸海空の防衛力をそこにまた結集いたしまして、そういったものを排除するというための態勢をとる必要があると思いますし、そういったような構えを平素からつくっておくということが、すなわち抑止力の強化にも資するというふうに私どもは考えている次第でございます。
  47. 安井吉典

    ○安井委員 これはもう法律論もいろいろあるのですね。アメリカ関係で、それと行動をともにする場合は集団自衛権の発動として違憲だとか、専守防衛の範囲を逸脱するんじゃないかとか、いろいろあるのですけれども、私は、むしろきょうは現実論として、そこに住んでいる人の立場から問題提起を進めてみたいと思います。この封鎖作戦というのは、こちら側に領海がありますね。間に公海があるでしょう。宗谷海峡などの場合には向こうにソ連側の領海がありますね。その三つをそれぞれ全部封鎖するんですか。これはアメリカの封鎖を許す、日本がオーケーする場合も例外的にあるという政府は解釈なんですけれども、その場合はどうなんですか。この三つに分けて、どこまで封鎖の対象になるんですか。
  48. 小和田恒

    小和田政府委員 安井委員お尋ねのケースは仮定の問題でございますので、余り具体的な形でお答えすることは適当ではないかと思いますが、先ほど防衛局長からお答えいたしましたように、我が国自身が武力攻撃の対象になっております場合は我が国自身の個別的自衛権、我が国が固有の権利として持っております個別的自衛権の発動として行うわけでございます。他方米国米国自身の自衛権の行使として封鎖を行うケースについて我が国の同意を求めてくるというケースは、我が国自身が武力攻撃の対象になっているわけではございませんので、したがって、我が国自身の自衛権の発動という問題はないわけでございます。  その二つのケースに従いまして、委員が今お尋ねになりました問題に対するお答えは必ずしも一様ではないかと思いますが、ただいま委員が、米国がそういう措置をとる場合にというお言葉がございましたので、その場合に限定して国際的な見地から見ればどういうことになるかということを申し上げますと、そもそもアメリカはこの海峡との関連におきましては第三国の立場にあるわけでございます。日本がございまして、それから海峡を挾んで相手側にあるもう一つ別な国がございます。その間に公海がある、こういうケースでございます。  その場合に、昨年の三月八日の政府統一見解でお答え申し上げましたのは、アメリカがその公海の部分において封鎖を行うケースについて我が国の了承を求めてくる、こういう話をしているわけでございまして、アメリカは第三国でございますから、当然のことながら、海峡の沿岸国である我が国あるいは海峡の向こう側にあります沿岸国の領海に対して機雷を敷設したりその他封鎖の、通航の阻止の措置をとる権利は持っていないわけでございますので、昨年の三月八日の政府見解は、あくまでもこの海峡の公海部分における米国の行動についての政府の判断を申し上げたものというふうに御理解いただきたいと思います。
  49. 安井吉典

    ○安井委員 いやもう一つ日本軍による封鎖は同じなんですか。
  50. 小和田恒

    小和田政府委員 日本の自衛隊による行動につきましては防衛庁の方からお答えすることが適当かと思いますが、基本的な考え方を申し上げれば、日本の個別的自衛権が許される範囲において必要最小限度の実力の行使、こういうことになりますので、我が国の領海内における行動はもちろん許されます。それから公海における行動というものも、それが個別的な自衛権の範囲内であるというふうに認められる限りにおいては、あり得ることであろうと思います。
  51. 安井吉典

    ○安井委員 もっと詰めたいのですけれども、短い時間の提起ですから、後でまたやります。  この防衛白書のコピーですけれども、「通峡阻止の作戦は、敵艦艇の行動を制約し、その作戦効率を阻害する等の効果を持つことから、敵が通峡の自由を確保するため、海峡周辺地域に対する侵攻を企図するおそれもあり、」とあります。これはどういうケースを考えてお書きになったのですか。
  52. 矢崎新二

    矢崎政府委員 ただいま御指摘の点は、先ほども申し上げましたように、我が国が海上交通の安全を確保するためのシーレーン防衛作戦の一環といたしまして通峡阻止の作戦をとる場合があり得るわけでございますが、そういったような行動をとった場合、これはあくまでも大前提は、日本が武力攻撃を受けた日本有事の場合でございますが、そういった場合に、相手国としては、我が国のそういう通峡阻止の作戦をさらに排除して、自分の方に都合のいいような自由通航を確保したいというふうに考える可能性は当然にあるわけでございます。  そうしますと、相手国としては、そのための作戦としていろいろあり得るんでしょうが、一つのやり方としては、海峡付近を自分たちの力によって自由に確保できるようにしたいと思う場合があるだろうと思います。それがすなわち海峡付近に対する相手国による侵攻というケースになろうかと思います。そういったケースがあり得るということを理論的な問題として白書の中にも解説をしているわけでございます。  しかしながら、我が国といたしましては、そういったようなケースが仮に起こりそうな場合には、それに十分に対抗をしてその侵攻を排除するということも当然に我が国防衛のための作戦の一つとして必要なことでございますから、そういった態勢をあらかじめ整備しておくことが我が国防衛力整備に当たっても一つの着眼点ではないかということを考えておるわけでございます。そういった措置をとることが抑止力にもなるということでございます。
  53. 安井吉典

    ○安井委員 それは問題が後先になっているんですね。つまり、私が聞いているのは、私は北海道なんですけれども、北海道は三海峡のうち二つの海峡に挟まれているのです。特に宗谷海峡、私はさっきからこちらの領海と公海と向こうの領海、こういう言い方をしたのは、宗谷海峡を念頭に置いているから言うわけですよ。だから、私が言いたいのは、通峡阻止、有事になったらなんと言うけれども、何にもないときに日本にだれが攻めできますか。私は、通峡阻止という作戦をすることによって日本は有事の中に陥れられる、そう思います。そうですよ。これをやれば、やられますよ。あなたは、やられると言ったじゃないですか。白書の中に海峡周辺地域に対して被害があるということを書いたのは、ことしが初めてなんだ。敵の侵攻を予想しているわけですよ。だからあなた方は、北海道の稚内や北部五十キロぐらいは相手方の軍隊によって占領されることも想定に入れて海峡封鎖作戦をお立てになっているわけですよ。そうでしょう。ここにはっきり書いてあるじゃないですか。予想しているのでしょう。
  54. 矢崎新二

    矢崎政府委員 自衛隊が考えております海上交通の阻止という作戦の態様としては、あくまでも日本が攻撃を受けた場合に我が国防衛のため必要最小限度範囲で実施する作戦の態様としてそれを考えているわけでございます。したがいまして、日本が攻撃を受ける前に通峡阻止の作戦だけを実施するということではございません。その点は十分御理解を賜りたいと思います。
  55. 安井吉典

    ○安井委員 しかし、それにしても、あなた方はどうしても、どんなことがあっても封鎖するんだから、封鎖すれば北海道の北部の占領ということは当然あり得る、そう考えているんでしょう。その点を聞いているのですよ。
  56. 矢崎新二

    矢崎政府委員 先ほども申し上げましたように、我が国が武力攻撃を受けた場合において、我が国防衛のための必要最小限度範囲において通峡阻止の作戦を実施することがあり得るということを申し上げているわけでございまして、その場合に、相手国がその我が国の作戦をさらに排除するために海峡周辺を支配するための作戦を企図することがあり得る、そのことを申し上げているわけでございます。しかしながら、それに対して我が国は有効に防衛するだけの力をやはり持つべきでありますし、そういう力を持つこと自体が、そういった行為を抑制する効果があると考えておるわけでございます。
  57. 安井吉典

    ○安井委員 もうあなた方は、初めから作戦の上の予想で、そこは占領されるつもりでいるのですね。沖縄の海兵隊を呼んできて、北海道への上陸作戦を考えて、今までも演習もおやりになるし、来年もおやりになるわけでしょう。つまり、占領をされているのを取り返すんだから、こういうわけですね。リムパックで今度艦砲射撃をおやりになるそうですね。艦砲射撃というのは、もう敵を撃ち込むはずなんですよ。専守防衛の国がそんなことできるわけないじゃないですか。だから、それは一たん北海道を占領させておいて、北海道と北海道に住んでいる道民、その地域に艦砲射撃でぶち込むのですよ。そういう想定の上に立ってあなた方は演習をやっているじゃないですか。図工作戦もみんなやっているじゃないですか。  だから、私が申し上げたいのは、そんなにたやすく本土を攻めてくるものは私はないと思うし、また本当に攻めてくる気なら、三海峡を封鎖したって、そこだけじゃないですよ、全く日本の土手っ腹に対して、これは大変な戦争ですよ。あそこを封鎖して、ソ連ならソ連の太平洋艦隊をそこに押し込めるなんといったら、それは大変ですよ。SS20がこっちを向いて、本土そのものがやられる、そういうことにならざるを得ないと思いますよ。これはそういう恐ろしい作戦なんですよ。それを簡単に防衛白書の中にも書いたりしているということ、私はそのことが問題だと思うわけであります。ですから、これはもうアメリカの軍事戦略の中で日本が役立ち得るのはそれしかありませんからというようなことでロン・ヤス約束、私はそうなっているのではないかと思わざるを得ません。  そこで、これは外務省がおまとめになったそうですが、三月八日の例の通峡阻止問題に関する政府の統一見解ですね、これも文章が非常におかしいので、時間があればやるのですが、まあやめますが。  最後のところに、通峡阻止の問題は、自主的な判断は政府でやるんだと書きながら、「その際国民の意思を体して十分に慎重に対処すべきであることは当然である。」こうありますね。「国民の意思を体して」というのは、世論調査でもやるのか、どういうふうなことで国民の意思を体して対処されるのか、それを伺います。
  58. 小和田恒

    小和田政府委員 委員が御指摘になりました昨年三月八日の通峡阻止問題についての政府の統一見解、内容は御承知のとおりでございますが、いずれにしましても結論といたしまして、米国の要請に対する我が国の対応は、我が国自身の安全の確保という国益の観点から自主的判断でやりますということが一点。その場合に、基本的には政府の責任でいたします、これが二点でございます。ただし、第三点として、その際には国民の意思を体して十分慎重に対処するということが書いてあるわけでございます。  この背景になりましたのは昨年二月の衆議院予算委員会における中曽根総理大臣の答弁でございますが、その中で総理が御答弁になっておりますのは、やはり非常にこれは例外的な場合であるけれども日本自身が武力攻撃の対象になっていない、しかしながら日本に武力攻撃がまさに非常に危機として迫っておるというような状況におきまして日本がイエスかノーかを言う対応を迫られるという非常に例外的な状況を想定しているわけでございますけれども、その場合に、中曽根総理の答弁といたしまして、「国民の意見を聞いて政治家が考えるのがいいのではないか。」「そのときの国情あるいは国民世論あるいは議会筋のお考え方、そういうものをよくお聞きして判断する余地を残しておいた方がいい」というようなこと、あるいは別な場所でございますけれども、「そのときの国民世論とか、あるいは議会の御意見とか、あるいは国際世論とか、その一番大事なのは国民世論であります。そういうような、騒然としてきたり、物資が逼迫して国民生活が全く絶望的になるという危険性が出てくるという場合に国民が何を望むであろうか、その国民世論というものもよく考えなければならぬというので、これはそれを見る必要がある」、こういう趣旨でございます。
  59. 安井吉典

    ○安井委員 国民世論もあるけれども、この海峡封鎖をやれば、北海道がやられるのですよ。対馬海峡がやられれば、あの周辺みんなやられるわけですからね。やられるのがわかっていたら、避難命令だとかなんかというようなことになるわけじゃないですか。だから、その地域の住民の気持ちを明確にすべきではないかと思いますね、少なくともそこの知事だとか市町村長だとか。それがなければこういう無謀な作戦をやるべきじゃないですよ。その点、どうですか。
  60. 小和田恒

    小和田政府委員 先ほども申し上げましたように、基本的に政府が考えるべきことは、我が国自身の安全の確保ということであるわけでございます。その場合に、我が国自身の安全の確保という見地の中には、安井委員が御指摘になりましたような、そのことによって非常に大きい影響を受けるであろう地域住民の考え方というものも、当然考慮の中に入ってこなければならないと思います。しかしながら、事は我が国自身が武力攻撃にさらされようとしておる、こういう状況でございますので、国全体としての安全確保のために何が一番いいことであり、何が一番必要なことであるかという判断を、政府政府自身の責任において国民のお気持ちをしんしゃくしながら決定をする、こういう趣旨でございます。
  61. 安井吉典

    ○安井委員 あと上田委員に五分間だけ差し上げているものですから、私の持ち時間が切れてしまって深く掘り下げられないのは残念ですが、外務大臣、この統一見解は外務省でおまとめになったのだそうですね。ですから、私は今の答弁では、国全体のためにはその地域の住民は犠牲になってもしようがないのだと受けとめざるを得ないような意味ではなかろうかと思うわけです。やはり国民の意思を体するという中に地域住民の意思を踏みにじるという意味合いまであるのじゃ、私は理解できないわけです。統一見解をおまとめになったお立場でその点お答え願いたいし、ついでにというと悪いが、原子力空母エンタープライズの横須賀来日の報道があるわけですが、今まではずっと政府は拒否していたと思います。ですから、今度も当然拒否ということになるのではないかと思いますが、その辺、どうでしょうか。
  62. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 まず、エンタープライズの寄港については、全く政府としては承知しておりませんし、何らのアメリカからも通報はありません。したがって、そういうふうな寄港はない、こういうふうに承知しております。  先ほどの三海峡通峡阻止の問題でございますが、これは統一見解を出しておりますが、米国の要請に対する我が国の対応は、我が国自身の安全の確保という、先ほど条約局長が申し上げましたように国益の観点から自主的判断に基づいて、基本的には政府の責任において行われるべきものであると考えるわけでありますが、その際国民の意思を体して十分慎重に判断すべきである、国全体としての国民の意思というものを慎重に体さなければならぬことは当然でありますし、また、国民の意思の反映である国民世論であるとかあるいはまた国会筋の意向を勘案して対処すべきである、こういうことであります。
  63. 安井吉典

    ○安井委員 私がお聞きしているのは、一番被害を受けて死ぬかもしれないのですよ、その地域住民はじゅうりんされるかもしれないのですよ、そこの地域住民の気持ちは踏みにじったままでいいのかどうかということですよ。お答えがなければ、それでもいいというお考えとしか受け取れませんが、どうですか。
  64. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 もちろん、これは踏みにじってもいいというようなことはあり得ようはずはないわけでありますが、しかし、具体的にどうするかということについては、個々の事情に即しまして最も適切と考えられる方法で対処していかなければならぬ、こういうことであろうと思います。
  65. 安井吉典

    ○安井委員 それこそ大変不満な御答弁でしかないわけです。ちょっと短い時間で余り大きな問題であり過ぎたかもしれませんけれども、後に残します。終わります。
  66. 塩川正十郎

    塩川委員長 上田哲君。
  67. 上田哲

    ○上田(哲)委員 安井先生、どうも貴重な時間をありがとうございます。  質問いたします。  三宅島は緊迫をしております。三宅島では、五月二日、緊急村民大会が予定されております。そこで、緊急に質問いたします。あらかじめ書面をもって質問通告をしてありますので、各項について的確に答えてください。  第一、四月十八日、防衛庁が三宅村当局に対し、ミッドウェー艦載機の夜間発着訓練飛行場建設の要請を行おうとしたことは極めて不可解な要素を含んでいる。既に三宅村当局が拒否の意向を明らかにしているにもかかわらず、このような申し入れに出たについては、今回新しく説明を付加するに足る情勢、条件の変化があったのか、あったとすればそれは何か。  第二、今回の要請は、米軍側からの三宅島への強い要請があったものと報道をされている。事実はどうか。三宅案について米軍側とはどのような話し合いをしているか。  第三、改選前の村議会が極めて唐突な受け入れ議決を行い、それを政府に申し入れをした背景には、防衛庁側からの下工作が強く働きかけられたものとの風説が強い。事実はどうか。また、今後そのようなことがあり得るか。  第四、四月十八日の三宅村長の拒否は最終的なものであり、かつ村議会、村民の意思を代表していると受け取るべきである。防衛庁もそのように理解しているか。  第五、村長、村議会の意思は第一に尊重さるべきであり、それが拒否である限り、それを無視して一切の強行手段をとらないことを明確に約束されたい。  第六、目下防衛庁が構想する三宅島訓練飛行場の三つの案について、位置、規模、住民被害、経費、建設期間等を明らかにされたい。詳細は速やかに資料で提出されたい。  第七、厚木にかわるタッチ・アンド・ゴー飛行場は、いつまでの完成を目指すのか。  第八、伊豆諸島、小笠原は、いわゆるシーレーン戦略上極めて重要とされる。三宅島にこれを置くことはどのような関連を持つか。  第九、三宅島が唯一の候補地であるか。他にも候補地があるか。また、それについての交渉を持っているか。海上飛行場はどうか。  第十、タッチ・アンド・ゴー訓練飛行場の建設そのものを断念する考えはないか。
  68. 塩田章

    ○塩田政府委員 お答えいたします。  まず第一点、村当局に四月十八日、防衛庁の職員が要請に行った、新しい情勢の変化があったかということでございますが、別に新しく説明を付加するに足る情勢の変化、条件の変化等があったわけではございません。伺いましたのは、村長が病気をしておられまして、治って執務されるに至りました。また、その間島をこの問題についていろいろお騒がせをしておりますので、表敬訪問に伺い、あわせて、国の大きな問題でございますので、我々に説明する機会を与えていただきたいということをお話ししに行ったわけでございまして、率直に申し上げて、まだこの建設問題を要請しに行くという段階ではないと我々は考えております。  第二点につきましては、三宅島について米側から強い要請があったという報道があるが事実かということでございますが、この点、米側はNLP問題の解決についていろいろ強く要請をしてきておりますけれども、三宅島とかそういうふうな具体の場所を地名を挙げての要請はございません。  それから第三点は、昨年の十二月、改選前の村議会が、先生のお話ですと唐突な議決を行った、その間に防衛庁側からの下工作が強く行われたのではないかといった風説が強いが事実はどうか、今後またそういうことがあり得るかということでございますが、これは従前から私ども三つのテーマで調査いたしております第二のテーマ、新しく新設する飛行場の適地はないかという場合に、伊豆七島が対象の範囲の中に入っておるということは事実でございまして、従前からそういう意味では関心を持っておりましたけれども、改選前の十二月二十一日の村議会の議決について私どもが具体的な何らかの工作をしたということはございません。今後どうかということでございますが、今後とも私どもは慎重に、村当局を初め村の方々に対しまして、この訓練の実態といったものについては御説明させていただく機会を欲しいと思っております。そのための努力は続けていきたいと考えております。  それから、四月十八日の村長の拒否は最終的なものであって、村の意思を代表するものである、防衛庁もそのように理解しているかということ、それからその次の、村長のあるいは村議会の意思は第一に尊重されるべきものであるということについてのお尋ねでございますが、村長の今回の訪問に対しての回答というものは、当然村長の言葉としてそれなりに受けとめるべきものであると考えております。ただ、先ほど申し上げましたように、私ども立場としましては、今後とも村当局初め関係者に御説明をし、話し合いをしていく機会が欲しいということは、今後ともそのための努力を続けていきたいと思っております。  なお、第五点の、村長あるいは村議会の意思を無視して強行手段をとらないかという点でございますが、これは一般的に言いまして、三宅島に限らず共通の問題でございますけれども、この種の問題は、関係地方公共団体あるいは村民の方々の御理解、御協力がなければ実現できるものではございません。そういう点を私どもは十分、百も承知をいたしております。したがいまして、三宅島につきましても、村当局及び村民の方々の理解をいただくような努力を今後とも最大限にしていくべきであると考えております。  それから、防衛庁が三宅島の訓練場について三つの案を持っておって、その位置、規模、住民の被害、経費、建設期間等についての詳細なデータを出せという御要望でございますが、今申し上げましたような段階でございまして、私ども、三宅島につきましても、三宅島のどこというふうにまだ具体的な調査をしておる段階ではございません。したがいまして、御指摘のような具体的な騒音の及ぶ範囲でありますとか、建設のためのいろいろな期間でありますとか経費でありますとか、そういったようなことについてまだ具体的に資料をお出しするような段階には至っておりません。  それから、このタッチ・アンド・ゴーの飛行場はいつまでの完成を目指すのかというのが第七問だったと思いますが、この点は非常に差し迫った緊急な課題でありますけれども、この種の事柄からいきましても、具体的に期限をつけていつまでに解決すべきであるといってもなかなかできないのも現実でございまして、なるべく早くという気持ちは私ども非常に強く持っておりますけれども、具体的な期限をつけて対処しようとしておるわけではございません。  それから第八問、伊豆七島あるいは小笠原、こういったシーレーンの戦略上極めて重要とされるこの地区、三宅島にこういう話があるということはシーレーン問題とどういう関連をするのかということでございますが、私どもは、現在やっておりますのは、厚木における艦載機訓練場の問題の解決のためにどこがいいかということで調査いたしておるわけでございまして、シーレーンのことを念頭に置いているものではございません。  それから、三宅島が唯一の候補地か、ほかにも候補地があるか、交渉しておるのか、あるいは海上飛行場はどうかといったようなお尋ねが次の問題であったと思いますが、毎々申し上げておりますように、三つのテーマによりましていろいろなところにいろいろなテーマで調査をいたしております。したがいまして、候補地につきましても複数持っておるわけでございますけれども、三宅島もその中の一つであると御理解をいただきたいと思います。ただし現時点では、三宅島も含めましてどこに絞るということが言えるような段階にまで至っておりません。  それから最後に、このタッチ・アンド・ゴーの訓練飛行場の建設そのものを断念する考えはないかという御趣旨だったと思いますが、私ども、この問題は米軍のパイロットの練度維持という観点から、ひいては日米安保体制の効果的運用という問題に大きくつながっておる非常に重要な問題であると考えております。したがいまして、私どもは、大変困難な現状にございますけれども、何とかこの問題の解決を見出すべく努力をしていきたいと考えております。
  69. 塩川正十郎

    塩川委員長 関晴正君。
  70. 関晴正

    ○関委員 私は、昭和五十七年九月三十日、我が国アメリカの申し入れを受けましてF16を三沢に配備することについて口頭で回答した、この問題について外務大臣並びに防衛庁長官お尋ねをしたい。  口頭でアメリカから申し入れがあって、日本政府がまた口頭でお返しをした。しかも、この問題は六月に出てきた問題で、回答は九月三十日である。我が国の基地における重要なアメリカの装備の変更であり、配備の変更である、そういうようなことが単に口頭でなされて、そうして口頭で答えられている。その間の記録というものが少しもない。この飛行場がどんな機能を持ち、この飛行機がどんな役割を持ち、この飛行機がどんな影響を我が国民に与えるのかというようなことが少しも語られていない。まことにおかしな外交の姿勢である、こう思うわけであります。  私ども日本の国の中で事を起こす場合あるいは物を願う場合に、どんな小さなことといえども、それぞれ文書というものが出、その文書を処理して行政は執行されている、私はこう思っているわけです。ところが、これほどの重要なことが、どんな文書がアメリカから出されたのですかと聞いても、文書がないと言う。我が国はどんなふうにして文書で答えたのですかと言うと、これもまたないと言う。この問題について余りにも軽く扱い過ぎているのではないだろうか、また扱われ過ぎているのではないだろうか、こうもまた思うわけでありまして、まずその点についてお答えをいただきたいと思います。
  71. 塩川正十郎

  72. 関晴正

    ○関委員 外務大臣に聞いているのですよ、外務大臣に。
  73. 塩川正十郎

    塩川委員長 北村北米局長
  74. 北村汎

    ○北村政府委員 お答え申し上げます。  この問題につきましては、昭和五十七年六月ごろに、在日米軍司令部を通じまして、アメリカ側から配備計画の説明日本政府施設面での協力の要請がございました。また同時に、アメリカ側からは、日本政府としての基本的な方針というものを十月初めには回答を得たいという要望がございました。  そこで、政府といたしましては関係省庁間において鋭意検討を進めまして、そして、この措置が日米安保条約の信頼性を高め、抑止力を強化し、我が国及び極東における平和と安全に寄与するものであるということを考えまして、基本的に本計画に協力することといたしまして、そうして、同年九月に防衛庁長官が訪米をされました際にこの検討結果をアメリカ側に伝えた次第でございます。  そこで、先ほど委員から、口頭で申し入れがあり、口頭で回答したということを質問された次第でございますが、こういう問題につきましては、通常日米間におきましては関係当局から関係当局に対し口頭で行われる場合が多うございまして、外交慣例上こういう権限ある関係当局間の連絡並びに回答というものは、口頭であれ文書であれ同じ効果を持つものというふうに考えております。
  75. 関晴正

    ○関委員 口頭であれ文書であれ同じ効果を持つ。効力においてそうでしょう。しかし、国と国との間の話し合いは、子供の話し合いじゃないですよ。少なくとも国家と国家との間の話ですよ。それが口頭で行われて、しかもこの内容というものはただごとでないでしょう。  F16というのはどんな飛行機で、これがここに配備されることによってどういう影響があるか、あなた方は三カ月か四カ月かの間に吟味したというのだが、この問題についての吟味、検討にどの程度時間としてかけられましたか。
  76. 北村汎

    ○北村政府委員 先ほど御答弁をいたしましたように、六月ころにアメリカ側からの配備計画の説明を受けまして、またこういう配備計画を実施する場合には、今度は施設面でどういう協力が日本側からなし得るかということを含めまして関係省庁の間で鋭意検討いたしまして、そして九月末にアメリカ側に回答いたしました。したがって、三カ月間検討をいたしたわけでございます。
  77. 関晴正

    ○関委員 時間としての三カ月はわかっているけれども、検討の内容です。検討して、どういう覚悟をして御返事をするということに至ったのか、その内容を言ってください。
  78. 北村汎

    ○北村政府委員 この点も先ほど簡単に触れた次第でございますが、関係省庁におきましては、米側からの説明を聴取しつつ、本計画の目的規模、それから配備スケジュールというような内容に加えて、それが我が国安全保障に与える影響及び我が国としての協力の可能性、こういう点を検討したわけでございます。その結果、この計画というものが我が国及び極東における平和と安全の維持に寄与するものであるという私どもの判断をいたしました。その判断に基づき、今後地元の御協力を得なければならないけれども政府としては基本的にこれに協力するという結論に達した次第でございます。そこで、その結論を九月の伊藤防衛庁長官の訪米の際に米側に伝えた次第でございます。
  79. 関晴正

    ○関委員 協力させられる部面というのは、金の計算をするとどのくらいになると覚悟しましたか。
  80. 塩田章

    ○塩田政府委員 当時私どもが聞きましたのは、飛行機の配備数が四十ないし五十機ということで、これに関連をしまして人員が、軍人軍属、家族を含めて約三千五百名になるだろうということ、そのための隊舎でありますとかあるいは家族の住宅でありますとか、さらにそれに関連します生活関連施設、そういったものをアメリカ側からすれば要望してくるであろうというようなことは当時考えられたわけでございます。同時に、それはもちろん単年度ということではございませんで、おおむね四年あるいは五年といった期間にそういったことが要望されてくるであろうというようなことは想定をされたわけでございますが、具体的にその時点で幾らというふうに話があったわけではございません。今申し上げたような数字で話があったわけでございます。
  81. 関晴正

    ○関委員 じゃ、今計算してどうなっていますか。
  82. 塩田章

    ○塩田政府委員 私どもは、アメリカ側からそういうトータルでそのくらいの話はございましたけれども、いずれにいたしましても我が方がこれを受け入れるという場合には、当然のことながら、毎年行っております提供施設整備費の中で対処していこうということで考えておりまして、三沢のこの問題につきましても五十九年度の予算ということで、先般成立させていただきました予算で五十九年度分はとりあえず金額的に言えば六十五億ばかりのものを計上させていただいておりますが、六十年度以降の分につきましては、私どもとしましては今後の毎年の予算の中で決めていくという考え方でございまして、トータルで幾ら日本側が持つというような考えを持っているわけではございません。
  83. 関晴正

    ○関委員 とにかく、あなた方は国の金をどのくらい持ち出さなければならぬかという計算もろくにしないで、今言われてもこのくらいかかるということも答えられず、そうして、幾らかかったつでアメリカの言うことなら聞いていくんだという姿勢で終わっているわけですよね。  外務大臣、六月に話があって九月三十日に取り決められて、そうしてこの間の事情は地元にどのようにお話しされておったものでございますか。
  84. 塩田章

    ○塩田政府委員 この問題につきまして地元にお話ししましたのは、十月一日に仙台防衛施設局長が知事並びに地元の市町村長を訪問いたしまして、御協力を要請したわけでございます。
  85. 関晴正

    ○関委員 何ということです、これは。青森県の三沢に配備する、そうした内容であれば、青森県の自治体の長あるいは三沢の市長、それらの諸君にも事前にお話をするのは当然のことじゃないでしょうか。終わった後報告に来る、そういうことで行政を行っていいのですか。これは外務大臣、答えてください。こういうような問題についてあなた方は三カ月以上も協議をした。そういうことについて地元にちっとも相談をしない、何の話もなさない、地元なんというのは黙って決めたことについてこい、こういう姿勢で事がうまくいきますか。なぜ何も言わないのです。外務大臣に聞きたいと思うのですよ。外交交渉をしながら、その影響を受ける自治体についてどういう話をしておったものか、何の話もしないなんということが正常なことなのか。何にもしてなかったのか、しておったのか、答えてください。
  86. 塩田章

    ○塩田政府委員 先ほど申し上げましたように十月一日に地元にお話ししましたが、その前に、伊藤元防衛庁長官アメリカに返答いたしました際に、当然のことながらこの問題は地元の御協力が要りますということを含めて、その前提におきまして基本的に協力するという政府の見解を相手方に伝えたわけでございます。
  87. 関晴正

    ○関委員 ちょっとそこのところもう一遍言ってください。御協力を得なければならない、そう思っておった。思っておったことを御協力を得るようなお話を事前にしたのですか、しないのですか。しなくてもいいと思っているのですか。どうですか。
  88. 塩田章

    ○塩田政府委員 ですから、地元には十月一日にお話ししたわけですから、アメリカ側に言いますときに、この問題は地元の御協力が要るんだということをつけ加えて、アメリカ側に対する日本政府の回答を申したわけでございます。
  89. 関晴正

    ○関委員 何もアメリカにそんなことは言わなくてもいいことだ。日本の国の中で言ったらいいじゃないか。なぜ三沢市長なり青森県の知事なりに、あなたの方にこういう御迷惑をかけることになるけれどもよろしくとかという話をアメリカに行く前に言わないのですか。アメリカに行って地元の協力を得なければならないけれどもなんて、そんな話、何にも用のない話ですよ。そういうことが当たり前ですか。そういうことが民主主義ですか。そういうことが行政の当然のやり方ですか。これは外務省、答えてくださいよ、黙っていないで。何も言わないで抜き打ちにこんな発表をして、今もって外務大臣は何も言ってないでしょう。私どもにとってはこのことがわからないのだ。いや、本当は言ったんだよ、言ったんだけれども言わないことにしているのだというならそれでもいいですよ。どうです、本当のこと。
  90. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 これは先ほど局長が答弁しましたように、五十七年の六月ごろに在日米軍司令部を通じて米側から説明、さらに日本政府施設面での協力要請があった。それから三カ月ぐらいいろいろと慎重に協議をしてきたわけです。同時にまた、米側から、日本政府としての基本方針を同年十月初めに回答を得たい、こういう要望があったので、政府として鋭意検討を進めた結果、これは日米安保条約の信頼性を高めていく、抑止力を強化する、我が国極東における平和と安全に寄与するものである、こういうことにかんがみまして本計画に協力をすることとして、そこで防衛庁長官アメリカへ行ったときにアメリカ側にこのことを伝えた。同時に、もちろん今防衛施設庁長官が申し述べましたように、地元にもそのことを伝えたということですから、私は、手続的に見て日本政府としてやるべきことはやった、こういうふうに思っております。
  91. 関晴正

    ○関委員 冗談じゃない。大臣、やるべきことをやったとは何です。置かれる自治体には何の話もなくても、それはやるべきことをやったということになっているのですか、大臣。そういうような外交上の話をする場合には、当然青森県の知事なり三沢の市長なりにもこれについての意見を問うておく、また、こういうことがあっておるということを話されて、その上で結論を出して臨むということがあり方じゃないのですか。尽くすべき手だてを尽くしたなんて、何を尽くしたことになりますか。尽くしていないじゃないですか。どうです。
  92. 塩田章

    ○塩田政府委員 先ほどもお答えしましたが、アメリカに伊藤元防衛庁長官日本政府の見解を申し述べたときに、今後地元の協力をもお願いしなければならないが、基本的に本計画に協力するという言い方をしたわけです。その基本的にという意味は、地元の問題もありますし、もちろん日本側の財政負担の問題もありますから、そういう意味を含めまして基本的に協力するというふうにアメリカに申し入れたわけであります。
  93. 関晴正

    ○関委員 どうしてあなた方はそんなわからないことを言うのです。尽くすべき手だてを尽くしたかというと、そういう尽くし方は不十分じゃないですか。地元は何も知らないで、もっと悪く勘ぐれば、九月というのは青森県の三沢の市長選挙のさなかですよ。市長の候補は何と言っておったか。今の市長の小檜山君は、一日も早くこの三沢に静かなる夜を取り返したい、タッチ・アンド・ゴーで騒音で市民は参っておる、その市民の参っていることから一日でも一刻でも静かなる夜を取り返したい、これが三沢の市長の小檜山さんの公約です。同じ立っている候補者も同様の公約です。そういう公約を掲げて選挙をやっているのだ。選挙が終わって二週間たったらこいつが飛んできた。寝耳に水だと青森県の北村知事も言いましたよ。三沢の市長も寝耳に水だと言って驚いた。  あなた方は、アメリカと話をすれば何でもいいと思っているかもしれない。青森県民なんというのは虫けらのごとくしか思っていないのでしょう。尊重する姿勢がどこにもないじゃないか。もしあなた方がそういう交渉を受けてここにF16が来るということになるならば、それをめぐっての市長選にもまたなったでしょう。あなた方はそれを恐れたのでしょう。知らないわけはない。言えない事情がそこにもまたあったでしょう。男らしくないじゃないですか、そんなことは。こういう事情にあることぐらいは知らせておいて、それで市民の選択を待ったらいいでしょう。  そこで、私はそういう行政の民主主義の問題で今あなた方に問うているわけなんだ。一事が万事、今の自民党の政治の姿勢というものは、名前は自由民主党だけれども、自由もなければ民主主義もないとある人は言っている。これなんか一つの例でしょう。全く民主主義がない。  そこでもう一つ。この飛行機は核搭載を主任務とする飛行機でしょう。これは装備の重要な変更ですよ。配備の変更でもあるし、装備の変更でもある。一個師団以内であれば配備の変更には属さないなどというような勝手な話をして、事前協議の対象にもこれをしないで、こそこそ事を進めておる。我が国の中に核は許さず、その姿勢で、持たず、つくらず、持ち込まずというのが三原則でしょう。この飛行機は、言うなればソ連の軍備に対抗する意味において位置づけるのだ、向こうのレベルもこちらのレベルも同じようにしたいのだ、そういう点からいくというと、核搭載のこのF16というものを置くことにおいて意義がある。しかしながら、我が国には非核三原則という方針がある。そこでいろいろと考えあぐんだはずです。にもかかわらず、事前協議の対象としないことにしてやってしまった。  これは外務大臣安保条約に基づくところの事前協議制の趣旨からいっても、取り決めからいっても、こういう核搭載を通常のものとするような飛行機を三沢市に配備するようなことは、対象にすべきものじゃないでしょうか。なぜしないのです。しないということよりも、すべきだということにおいて私は取り組むべきだと思うのですが、どうでございましょう。
  94. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 先ほどからお話を承ったのですが、三沢へF16の配備は、何も政府がこそこそやっているわけじゃありません。これは堂々とやっているわけであります。  それから、今の配備における重要な変更ではないか、こういうことでございますが、合衆国軍隊の配置における重要な変更とは、空軍については陸上部隊の一個師団程度に相当するものの我が国への配置をいうことが日米間で了解をされておるわけであります。したがって、現在のこの三沢配備の配置状況からすれば、これは事前協議の対象となるところの合衆国軍隊の配置における重要な変更には該当しない、こういうことです。  なお、核の持ち込みについては今さら申し上げるまでもないわけですが、核の持ち込みが行われる前には事前協議において日本がこれをノーと言うことは明らかであります。非核三原則もあります。日米間で安保条約、その関連規定をお互いに守ろう、遵守しようというかたい約束があるわけでございます。したがって、我が国に対する核の持ち込み等はあり得ない、こういうことであります。
  95. 関晴正

    ○関委員 核の持ち込みもないような飛行機であれば、特別国は金をかけ、また特別アメリカが金をかけて、そうしてソビエトのSS20に対抗するために置くのだというようなことは用のないことなんだ。目的は、しかしそこにあるでしょう。目的はそこにあって、だからその機能を主とするところの飛行機に核装備はさせないからいいのだ、そんなことでとぼけた答弁したって困りますよ。  この飛行機、見てごらん。この飛行機の主たる任務は何であるかということ、これは楢崎君が五十七年十月七日の安保の特別委員会でるる述べております。秘密資料に基づいてるる述べておりますよ。秘密資料だからあなた方はこれを我々にも見せないで、きょうだって私はその秘密資料を持ってこい、こう言っても出せない出せないと言っておるけれども、楢崎君が持って示しているのだ。天下公知の資料ですよ。それによりますと、これは核攻撃を主とし、それが任務の飛行機、それゆえに尊重される飛行機、その飛行機に核搭載もさせないで持ってくるならば、何の意味もないでしょう。そんなのに金をかける必要もまたない。言うなれば、この飛行機というもののごまかしを見抜いたならば、再吟味をして、役に立たない飛行機だと思うならお断りをする。何も金をかける必要はない。F15で間に合う。  しかし、F16でなければならないものがあるから認めたのでしょう。それは相手の陣地を核攻撃できるという、この特別の機能を持っている飛行機なんです。そういう意味からいきますと、先ほど一個師団に当たらないから事前協議の対象にならない、そんなことを決めておったかもしれないけれども、これは一個師団以上の重要な武器ですよ。重要な飛行機ですよ。装備からいくならば、重要な装備の変更です。そうでもないならば用のないものですよ。用のないものに何で金かける必要があるのです。何百億も。国民の大事な税金をかけてまでする必要さえない。先ほど防衛局長が答えておったようだけれども、どのくらい金をかけるかしれないけれども、金の計算もしていない。だがしかし、多額の国民負担がこれによって伴ってくるわけです。多額の金ばかりではない、大きく核武装化させられる、その道を選んでいるのではないか、私はこう思うのです。  今安倍外務大臣が、核は抜いてくるからいいとか、核は抜かせるからいいとかと言っているけれども、核を抜いてくるようなF16では意味がないのですから、そういう意味において、あなた方のやっておることは大変な矛盾です。誤りです。そういう点については、当然事前協議の対象にすべきものだ。また、事前協議の対象にすべきものについての研究がこれから必要ではないでしょうか。一個師団というのはいつのときに考えて打ち出したものか知りませんけれども、この飛行機の持つ機能からいって、これもやはり事前協議の対象にすべきものと私は思いますので、この後もひとつその点についてはあなた方の方も検討してください。  なお、この問題についてさらに申し上げたいこともあるけれども、時間もありませんから、あとわずかの時間で次のことに移りたいと思います。  同じく三沢の基地がございますけれども、膨大な三沢の基地のフェンスの外に何の利用にも供せられない土地が十町歩ございます。そのうちの四町歩は防衛庁の持っているもの、六町歩は民間のものです。しかもそこに六千万円も金を払われておる。何の使用にも供せられておらない。私はこれは前にも何度も述べましたよ。何度も述べましたけれども、今度はF16が来れば使うのかなと思ったら、全然使い道のあるような土地ではありませんから、これまた投げたままでしょう。何十年こういうことを続けさせておくのです。これは北村知事ファミリーの諸君が土地使用料をいただいています。大変な金額です。知事に気兼ねをして、こういうことについて開放することもちゅうちよしているんでしょうか。  むだ遣いはよそうというのが今の国の大方針でしょう。中曽根総理が行革進め進め、むだ遣いやめろ、こう言っておる。この際、むだ遣いをやめさせるためにも、すっきりこの土地はお返ししたらいいではありませんか。使いものにならないもの、年に一度か二度、アメリカの家族の諸君たちがバーベキューのために使っているなんということでは、情けなくてしようがない。よくもこういうのを何十年もそのままにしてきたものだと私は思っているわけであります。  防衛庁長官、この問題について答えてください。
  96. 塩田章

    ○塩田政府委員 三沢基地のフェンス外の土地の問題でございますが、当地は現在御指摘の地区の使用計画につきまして米側と調整中でありますが、将来とも米側において使用する見込みがない地域については、返還をさせるように措置をとってまいりたいと思っております。
  97. 関晴正

    ○関委員 これは聞くたびごとに、向こうに交渉しておりますけれどもいい返事が来ない、今ようやく腰を上げてまた当たります――行ってみたらわかるでしょう。一般の自動車の駐車場にされておって、北村ファミリーが駐車料を取っているかどうかまではわからぬけれども、知事にかかわる土地だからといって遠慮することはない。六町歩ですよ、公有地四町歩、合わせて十町歩ですよ。フェンスの外にそれほどの土地を何の使用にも供することもなく、払ってきた金だけでも何億です。大変な金でしょう。即刻当たってください。  長官からも、この点についてひとつ御答弁いただきたい。
  98. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 よく事情を聞きまして、指示すべきことがあったら指示をいたしたいと思います。
  99. 関晴正

    ○関委員 ありがとうございました。歴代の長官がやろうとしてもやれなかったことですから、栗原長官、ひとつ善処してください。  三つ目、天ケ森射爆場というのがあります。今度F16が来ることにおいて、これは対地攻撃を専門とする飛行機ですから、この攻撃の訓練が余計にまた強く激しくなるでありましょう。これによって三沢における民間航空の利用度も、また制限を受けてくるでありましょう。  そのうち天ケ森の射爆場の漁業補償というものは、制限区域において制限を受ける者に漁業補償というものは与えられるべきもの。ところが、あなた方が与えている漁業補償というのは、制限区域の諸君よりも制限区域の外にある諸君の、言うならば漁業権を盾に漁業協同組合の諸君にどっさり金をおろしているでしょう。これは我が国アメリカとの間に結んでいるところの法律においても違法行為です。日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約に基づき日本国にあるアメリカ合衆国の軍隊の水面の使用に伴う漁船の操業制限等に関する法律というのがあります。昭和二十七年七月二十二日法律第二百四十三号、この第二条によりますと、明らかに損失の補償は、「漁業を営んでいた者が漁業経営上こうむった損失を補償する。」とある。それを漁業を営んでおるこの制限区域内の者に金を与えるということよりも、区域外の漁業権を振り回しておる漁業協同組合の諸君たちがいいかげんに金を取っているわけです。  こうしたやり方がありますかと何度言っても、手がつけられないと言っておる。人の奥さんのおっぱいに手をつけるようなもので、とても手がつけられない、こう言っている。ひどい表現で天ケ森の漁民にあなた方は言っていますよ。漁民たちは怒っています。  なぜ制限区域の中における漁民のための補償が外の者にまでも行かなければならないのですか。しかもここの三沢の漁協は一割ピンはねしているじゃありませんか。なぜそれを放置し、それを黙認しているのですか。この法律に基づいて、法の二条に従って厳正に漁業補償というものは支出されなければならない。でたらめ過ぎますよ。青森県は無法地帯ではないのだから、やはり法はきちっと守ってもらいたい。するべきことについての監督はきちっとやってもらいたい。このことについては塩田君にも私は再度申し上げてきている経過があるはずだ。そのことの問題だって一向進んでいませんよ。  今の問題について、適正に漁業補償が行われるように私は強く要求したいと思うし、それに向かってあなた方は姿勢を正して当たってほしいと思いますので、お答えをいただきます。
  100. 千秋健

    ○千秋政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘になりました天ケ森対地射爆撃場におきます漁業補償につきましては、二種類の漁業補償を行っておるわけでございますが、漁業者が漁業法に基づきまして許可を得てやっておる漁業につきましては、ただいま先生御指摘になりました漁船の操業制限法、この法律に基づきまして制限が課せられておりまして、それで個々の漁業者が漁業経営上受けた損失につきまして補償するという手続を行っております。これらのものにつきましては、許可を受けております漁業者個々人に損失補償申請書を出していただきまして、それに基づいて個々人に補償するという建前でございますが、この場合、約六十人ぐらいの漁業者が漁業協同組合長に権利を委任しまして補償申請手続を行っておるという実態でございます。  なお、もう一つのものは、漁業法に基づきます免許漁業でございますが、これは漁業法に基づきまして三沢市漁業協同組合がここに共同漁業権の権利を得ておるわけでございまして、この権利の主体であります漁業協同組合を相手に契約を結びまして、漁業の制限を行っておるわけでございます。この結果、私どもとしましては、損失補償金はこの漁業協同組合に契約に基づいて支払うという形になっておりまして、それぞれ組合長に委任されて個々に払う補償金と、組合に対します補償金と二種類あるわけでございますが、そういう形で組合を通じた形になっております。  我々としましては、それぞれの委任を受けました組合長または権利者である組合の代表者である組合長に補償金を支払いますと、その後の組合内部におきます補償金の配分、これはやはり組合の中で決められるものでございますので、私どもとしてはこれに積極的に口を挟むとか、そういう指導は非常にしにくい問題でございます。先生御指摘のような問題がこれらの組合内部で従来からあるということは私ども承知しておりますので、この点、従来から非常に関心を持ちまして、損失に対する補償でございますので、しかるべき補償になるようにいろいろ指導はしておるわけでございますが、十分なっていないという点はあると思います。  なお、許可漁業の方の個人の申請につきまして不満があったわけでございますが、これにつきましては、私どもは、組合長に委任する、しないはそれぞれの申請者の自由でございますから、個別に申請してまいりました天ケ森の方には個別に支払うという形で解決しております。
  101. 関晴正

    ○関委員 本当は時間で、もう終わらなければならないのですが、ただいまの答弁を聞くと、自分たちの方でも手が届かないようなことを当然視しているようでは、私は困ります。人の奥さんのおっぱいに手をつけるようなことはしない、これはっけちゃいけませんよ。しかしながら、出す方の側が、一たん組合に行けば組合がどう分けたって構わないんだということはないでしょう、ちゃんと目的があって支出しているのですから。一割ピンはねしても手をつけられないというばかなことはないでしょう。しかも、その配分について、一番被害を受けるところの人たちの点数がだんだん下げられて、それでも手がつけられないなんということはないでしょう。十分手をつけてやってくださいよ。それを望んでおきます。
  102. 千秋健

    ○千秋政府委員 私どもとしましては、組合長に委任しまして申請してきております許可・自由関係の漁業補償につきまして、これらの申請手続その他の経費につきまして、損失補償受領者が組合に拠出しておるということは承知しておりますが、ただいま先生御指摘のような一〇%、一割拠出しているかどうかまでちょっと確認しておりませんが、その辺も今後勉強してまいりたいと思います。  なお、免許漁業の方につきましては、これはあくまで組合に対する権利漁業の補償でございますので、その中で各部落ごとの配分につきましてまでちょっと私どもとしては、これに介入するといいますか、そこまで明確に指導する立場にはないというふうに思っております。
  103. 関晴正

    ○関委員 終わります。
  104. 塩川正十郎

    塩川委員長 中川嘉美君。
  105. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 まず、五九中業ですね。先ほどから既に大分論議が交わされているわけでございますが、この五九中業の策定についての長官の指示ということで御答弁があったわけですけれども、二十一日の記者会見によりますと、長官としてもかなり腹が固まっているような、また記事そのものもかなり確定的な要素を感じたわけですけれども、連休明けの八日に指示が行われる、このように受けとめてよろしいかどうか、もう一度お答えをいただきたいと思います。
  106. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 日にちはまだ特定しておりませんが、連休明けに指示が出せたら出したいものだ、そういう思いでおります。  内容につきましては、先ほど来申し上げたとおりまだ固まっているわけじゃございませんけれども、正面と後方とのバランスをとっていく。そして今国際的にいろいろの技術面も進歩しておりますので、質の高い防衛力整備をするのにはどういうふうにしたらいいかということを考えながら長官指示を出したいものだ、こう考えております。
  107. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 長官のただいま言われた正面と後方のバランス、こういったものをとりながら質の高い防衛力整備、これはわかるような気がいたします。先ほどの防衛庁局長の答弁によりましても、陸海空のバランスをとった整備というような表現も使われているわけですけれども、いずれにしても、こういったそれぞれの表現だけでは全く具体性がない、そのように感ぜざるを得ないわけですが、去る二十三日付の報道によりますと、空中給油機の導入の問題、五九中業でこの問題を検討するということも伝えられているわけですけれども、そのような考え方を持っておられるのかどうか。  この報道によりましても、「五九中業で実現めざす」、このような見出しから説明がされております。「防衛庁は二十二日までに、米国から強く要請されているシーレーン防衛の一環として洋上防空体制整備を図るため、空中給油機を導入する方向で近く本格的な研究を進める方針を固めた。」さらに、「連休直後にも策定作業が始まる五九中期業務見積もり期間中に実現したい意向だ。」こんなようなことが既に報道されているわけですが、先ほどのいわゆる陸海空のバランス云々という、むしろ具体性に欠けた御答弁に対してこのような報道がなされておる、これについてどのように考えられますか。
  108. 矢崎新二

    矢崎政府委員 五九中業につきましては、ただいまも大臣からお答え申し上げましたように、具体的内容についてまだ検討をしているわけではございませんので、ただいま御引用になりました記事につきましては、防衛庁としてはまだ何ら検討をしていないというふうにお答え申し上げる必要があると思います。  ただ、空中給油の問題と申しますのは、本国会におきましてもしばしば御質問がございまして、何回かお答え申し上げております。私どもといたしましては、最近の軍事技術の向上進歩というものを考慮いたしますと、高高度高速侵入とか超低空侵入といったものの可能性が非常にふえてきているということがございますので、そういった事態を踏まえて考えますと、将来の問題といたしましては、我が国の防空戦闘機が空中において待機をする、空中待機の態勢をとることの必要性がますます増大していくであろうというふうに見通しを立てておるわけでございまして、そういう意味からいいますと、そういった空中待機の態勢を維持するために空中給油の機能を持つということの重要性については否定をすることはできないだろうと思っております。  ただ、これは将来の問題としてそういう可能性があるということを申し上げているだけでございまして、現在のところ、具体的に空中給油機をどうするということを決めているわけではございません。最初に申し上げましたように、五九中業自体内容的にはまだ何ら検討が進んでおりませんので、具体的にどうだということを申し上げ得る段階ではございません。
  109. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 火のないところに何とかが立たないというわけじゃありませんけれども、これだけの記事がきちっと掲載されておる。今の御答弁ですと、記事そのものを肯定しておられるのか否定なのか、全くさっぱりわからない。今までの国会論議においてこうだったということはわかりますけれども現実にこれだけの具体的な記事、しかも五九中業で実現を目指すんだというふうに報道されている以上、今の答弁で推しはかると、報道の信遍性を疑わざるを得ないようなことになってきてしまう。  こういうような機種を買うにしても、一機二百億円である。そういう点を考えると、航空自衛隊の構想でいけば十機で二千億円。既にこういう数字までここではじかれているわけですね。したがって、私は、こういうことも含めて五九中業についての基本的な考え方というものを伺いたいんだ。先ほど来の答弁では具体性に非常に欠けていると私は申しましたけれども、私はそのための安保特別委員会ではなかろうかと思うのですが、いかがですか。
  110. 矢崎新二

    矢崎政府委員 ただいま御引用になりました報道がどういった根拠で書かれているものか、私どもとしてはちょっと推測いたしかねるわけでございます。私どもとして申し上げ得ることは、五九中業というものはまだ具体的な作業に着手しておりませんので、長官指示が出て、それから具体化の作業に入って、かなりの時間を経ていく中で煮詰められていくものでございますから、ただいま新聞で報道されたようなことについて現時点で具体的にコメントし得る材料は何もないと申し上げざるを得ない次第でございます。
  111. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 時間の関係がありますので、本件はまた改めて論議をさせていただきたいと思います。  五月にワインバーガー国防長官が来日されますけれども、当然防衛庁長官との会談は行われると思います。米側では既に、「防衛計画の大綱」は時代おくれであるということを指摘しているわけですね。この見直しを求める発言が実は相次いでいるわけですけれども、今回もワインバーガー長官が防衛大綱の見直しを求めてくることが当然予想されます。米側の要求を長官はどのように考えておられるのか、現実にそのような要求がもたらされたとき、また政府としての本件に対する対応、これもあわせてこの際伺っておきたいと思いますっ
  112. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 ワインバーガー国防長官と私との会談は、十一日の午前中に約二時間ぐらい行われると思います。そのときにどういう話をするかということにつきましては、これまた国会あるいは新聞記者の皆さんにお話をしておるわけでございますが、特定の議題を設けない、少しきざな言い方にもなるかもしれませんが、両国の防衛首脳が防衛問題に関する哲学といいますか、人生体験といいますか、人生観といいますか、そういったものを中心として論議をしてみようということでございます。したがって今のところ、御指摘のように「防衛計画の大綱」についていろいろとお話が出てくるというふうには私は予測しておりませんが、会談のはずみでございますから、何が出てくるかはわかりません。しかし、そのときには、アメリカさんのお考えは私どももよく理解しているつもりでございます。ただ、事は我が国の防衛でございますので、我が国立場を踏まえ、最終的には私の考え方を率直に申し述べたいと考えております。
  113. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 特定の議題を設けない、むしろ哲学の論議である、そういう御答弁ですけれども、ワインバーガー長官の来日は、当然防衛庁の五九中業策定という時期に米側の要求を示すのがむしろねらいじゃないか、大統領選挙を前に米側が日本への防衛努力というものを当然強く求めてくるのではないか、そして明確な実証をも求めてくるのではないか、これは十分に予想されます。先ほども述べたように、一例として、空中給油機二百億円のものが十機で二千億になるんだ、こんなようにも申しましたけれども、財政的にも直ちに導入を実現することは非常に困難でもある。「防衛計画の大綱」の枠を超えるべきじゃないと私は考えておりますけれども、このような具体的な要望というものは当然もたらされると思いますけれども、長官の御答弁をいま一度賜りたいと思います。
  114. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 これも今までの御答弁で申し上げたとおり、今のところ「防衛計画の大綱」を見直すつもりはございません。ただ、我が国といたしましても、防衛力整備について憲法の枠の中で最大限の努力をいたしたいと考えております。
  115. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 これに関連しまして、シーレーン防衛の問題、予算委員会でもたびたび取り上げられ、本委員会でも本日論議されております。日米間でも共同研究が当然行われてきておりますけれども防衛庁として、シーレーン防衛能力を確保するという目標をいつごろに置いているのかという問題です。ただシーレーン防衛能力を確保するという名目だけで、際限なく軍事力増強が正当化されていくということは非常に心配です。この問題で明確な方針を示すべきじゃないだろうかと私は考えますけれども、いかがですか。その目標をいつごろに置いておられるのか、明確に御答弁いただきたい。
  116. 矢崎新二

    矢崎政府委員 シーレーン防衛のための防衛力整備の目標と申しますと、これは「防衛計画の大綱」の中に書かれておるわけでございます。その具体的な規模の点で申し上げますと、例えば海上自衛隊の主要装備として対潜水上艦艇約六十隻、潜水艦十六隻、作戦用航空機約二百二十機というものを考えて現在進めておるわけでございます。  ただ、これを具体的にどうやっていくかということになりますと、御承知のように、防衛庁としては中期業務見積もりというものをつくりまして、具体的な一つの概算要求の参考にするというやり方をやっております。現在五六中業に基づきまして、防衛庁としてはそういった海上防衛力整備構想を進めておるわけでございますが、その五六中業によりましても、実は作戦用航空機、大綱の目標は約二百二十機とございますけれども、五六中業完成時でも約百九十機ということで、三十機ほど不足しておるのが現状でございますから、現在の五六中業ではこの未達成部分がまだ若干あるというふうに御理解いただいていいと思います。  そこで、しからばこの先どういうことになるかという問題でございますが、これは、今後どういったテンポでやっていくかということは具体的にまだ決めておらないわけでございまして、ここで明確にお示しをすることはできませんが、私どもとしてはできるだけ早くこの大綱水準を達成すべく今後とも一層の努力を払いたい、こういう考え方でございます。
  117. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 目標に対する明確な方針というものがないと、今の事情、御答弁の中からわからないわけではないわけですけれども、際限のない軍事力増強というものが当然のようにみなされてしまう。こうなってきますと、我が国にとっては重大な問題と言わざるを得ないわけです。政府として一日も早く確固たる目標を具体的に設定されるということをこの際要望しておきます。時間がありませんので細かく詰めるわけにいきません、要望の形で今言っておきますので、よろしく願いたいと思います。  次に、リムパックの問題ですが、これまたまとめて伺うような形になると思います。  来月中旬から行われるリムパック84の合同演習に対して、自衛隊は従来にない大規模な参加を予定している。最高千四百人の派遣と、そのほか今までの規模をさらに大きく上回る内容となっていることは御承知のとおりですけれども、これがどうして今回のこの膨大な規模になったかという問題、これが第一点。  それから、リムパックの参加に際して米側に支払う訓練施設等の使用料、これが二億円を超えるというふうに言われております。正確にどうなっているのかという点、総予算は幾らなのか、こういった問題も当然出てまいります。  第三点として、米軍日本海等で演習を行う場合に無償である、漁業補償についても政府持ちである。ところが、招かれて参加するリムパックには膨大な使用料が伴う、我が国としては払う、このように伝えられているわけですけれども、この問題に関する日米関係は非常に割り切れないものがあると私は思うのです。国民の立場から見ても納得のいくような説明がこの際必要であると私は思います。これが第三点。  最後に、こういったことにも関連しますが、毎年米国の陸海空の大学に留学している自衛官、これがNATO諸国のそれと比べて日本は非常に高いわけです。そこで、本件に関する事実関係はどうなっているのか、なぜNATO諸国に比べて日本の留学費用が高いのか、こういったことも当然疑問に上がってくるわけで、これも納得のいくような御答弁を、ひとつまとめて四項目についてお答えをいただきたいと思います。
  118. 西廣整輝

    西廣政府委員 まず、リムパックの件からお答えいたしますが、本年度送ります今回のリムパックの自衛隊の兵力が従来より多いのではないか、なぜ多くなったかという点についてお答えいたします。  今回派遣いたす予定のものは、艦艇が五隻、航空機八機ということで、艦艇は従来三隻が参っておりましたので五隻にふえたということでございますが、これは五隻というのが私どもの考えます一つのグループ、艦艇グループとしての最小のユニットである、我が方の自衛隊の編成上は八隻が一グループになっておりますけれども、五隻おればグループとしての戦闘訓練ができるということで、そのレベルまでのものを送りたいということで、今回五隻の派遣をしたいということで予算をお願いして、成立をしたということでございます。  なお、関連の経費でございますが、先生御指摘のように、米側に支払います経費は、糧食とかいろいろございますけれども、いわゆる教育訓練費という形で約二億二千万を支払うことになっております。この中には、訓練施設の使用料といいますか、例えばミサイルの発射試験場のそういう評定試験をするための使用料あるいは役務費といったもの、さらには派遣いたします八機の航空部隊の糧食等が向こうで支給されますので、そういったものも含めた経費として約二億二千万を米側に支払うという内訳になっております。  さらに、自衛官の米軍の学校等への派遣の人員でございますが、これは従来から米側の軍学校あるいは教育部隊といったところに派遣をいたしまして、最新の知識なり技能というものを習得させて、それによりまして自衛隊の近代化なり精強化ということに役立たせる、あるいはまた国際的な視野を持った自衛官を育てるという目的のために派遣しておるものでございます。陸海空合わせまして、昨年度、五十七年でございますが六十四名、五十六年が六十九名、五十五年が六十一名、五十四年が六十二名というように、ほぼ六十名台の人間を留学派遣いたしております。そのほかに、例えば新機種、F15でありますとかE2CでありますとかP3Cといったようなものを導入する際には、そのためのパイロット教育なり整備員教育ということで別途派遣することがございますが、これは非常にテンポラリーなものでございますし、いわゆる留学というものとはちょっと違うように私どもはとらえております。  なお、この留学の経費につきましては、後ほど外務省からお話があるかもしれませんが、御指摘のようにNATO諸国について比較的安い価格が適用された。その後、数年前でございますが、グレン決議案というのがありまして、グレン上院議員が他の友好国に対してもNATO並みの料率を適用したらどうだという決議案を提出されて、それがアメリカの議会で通ったということで、アメリカ大使館の相互防衛援助事務所の方から私どもの方にもそれを適用するようになるからということでお話がありまして、現在外務省の方で、どうやったらそれが適用されるようになるかというようなことで折衝を進めておられるというように承知をいたしております。
  119. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 もう時間が参りましたので、最後に一点だけ伺いたいと思います。  防衛庁が、宗谷海峡ソ連艦を常時識別するために強力な監視装置を極秘で配備中、こういう見出しで伝えられているわけですけれども、事実関係は一体どういったものであるか、これを説明していただきたいと思います。
  120. 矢崎新二

    矢崎政府委員 防衛庁といたしましては、沿岸監視能力の向上を図りたいということで施策を考えたわけでございまして、ただいま御指摘の問題は、五十八年度から陸上自衛隊の沿岸監視隊にレーダー監視装置の導入をすることを計画いたしまして、六十年度にこの運用を開始するという予定になっておるわけでございます。
  121. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 これは極秘で配備、こうなってしまっているわけですが、今の御答弁は非常にスムーズに出てきたように感じます。ですから、最後に防衛庁長官にも伺っておきたいと思います。  こういったことですと、ソ連側をさらに刺激する大きな材料になるのではないか、記事自体も。日本の平和と安全というものを当然脅かすという点においては、こういった記事に対して私は一つの疑問というものも感ぜざるを得ないわけですが、これをどう思われますか。日ソ関係をこれから大いに改善していこう、こういう政府の方針から見てもどのように感じられるか、最後にこの点だけ伺って、終わりたいと思います。――外務大臣が見えていたら、外務大臣にお願いします。
  122. 塩川正十郎

    塩川委員長 今質問を聞いてなかったでしょう。
  123. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 外務大臣、今ちょっと要点だけ言います。  宗谷海峡ソ連艦を常時識別するために強力な監視装置を極秘で配備するというこの方針に対して、これはソ連を非常に刺激すると思うのですが、日ソ関係の改善という点に絡んで、外務大臣としては果たしてどのように思われるか、外務大臣の感じられたところ、そして防衛庁長官も一言御答弁をいただきたいと思います。
  124. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 我が国の自衛隊は専守防衛に徹しておるわけですが、これを実行していくためには、やはり何といいましても情報を収集する長い耳を持つということは、専守防衛に徹するという立場からも非常に重要なことではないか、そういうふうに思っています。
  125. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 ソ連を挑発するような気持ちは毛頭ございませんが、必要なものは適切に処置していきたい、こう考えております。
  126. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 終わります。
  127. 塩川正十郎

    塩川委員長 橋本文彦君。
  128. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 厚木基地におきまして年々歳々騒音がひどくなっておりますが、例の厚木基地騒音訴訟問題におきまして、第一審の横浜地方裁判所で国側が敗訴した、損害賠償を支払え、こういう判決が出ておりますけれども、この判決を契機にしまして、国の方として、いわゆる厚木基地の周辺の住民の騒音に対する受忍義務というか、受忍の限界というのはあるのか、それをどのように考えているか、まず最初にお聞かせ願いたいと思います。
  129. 塩田章

    ○塩田政府委員 御指摘の訴訟で敗訴といいますか、一部過去の損害賠償の判決があったわけでございますが、この点につきましては、御承知のように現在東京高裁におきまして審理されておる事件でございますので、内容にわたりますので、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
  130. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 この裁判は昭和五十一年九月に提起されまして、口頭弁論が五十六年六月十七日で終わったわけなのです。判決が五十七年の十月。ところが、ミッドウェーのタッチ・アンド・ゴーの夜間訓練が行われたのが、口頭弁論が終わってから、五十七年の二月と聞いております。したがって、この判決には一切タッチ・アンド・ゴーの騒音は考慮されていない、こういうふうに思います。  そこで、従来の訴訟ではタッチ・アンド・ゴーは含まれていない。相当騒音の被害が大きくなっているという。しかも、その判決では市民に対して損害賠償をしろ、こう言ってきているわけですね。今の長官の答弁を聞きますと、控訴して損害賠償を支払わないように頑張りたいということなのでしょうけれども、そうしますと、騒音を受けている市民はどういうような耐え忍ぶ義務があるのか、その基本的な考え方をまず聞きたいのです。安全保障条約があるから我慢せい、ミッドウェーのパイロットの練度が落ちないように訓練をするのだからやむを得ない、住民は受忍しなさい、こういう基本姿勢でおるのか、そうでない、住民のことを考える配慮があるのか、それをまずお聞かせ願います。
  131. 塩田章

    ○塩田政府委員 この問題につきましての国の立場考え方でございますけれども、この飛行場の騒音によります。辺住民の障害につきましては、この飛行場の持っております高度の公益性、あるいは国のこれまでの騒音の防止、軽減対策といったものを考慮しますと、夜間の離着陸の差しとめや損害賠償を認めるかどうかという点で判断の基準となる受忍の限度を超えるものではないというのが私ども基本的な考え方であります。  したがいまして、国としましては、今後とも騒音対策等の周辺対策によって住民の障害の防止あるいは軽減を図っていくということが大事なことであって、周辺住民の一部の者から夜間の離着陸等の差しとめや損害賠償を求める訴訟が提起されておりますが、裁判におきましてこの飛行場における航空機の離着陸等による騒音障害が受忍の限度を超えるものであるかどうかという最終的、客観的な判断を求めたいということで、現在争っておるという段階でございます。
  132. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 いろいろな施策を踏まえて騒音の軽減に努めているという国側の配慮を考慮した上での判決でございます。今長官の答弁の中でその軽減を図っていきたいということがありましたけれども、その軽減を図るというのは具体的にどういうことなのでしょうか。
  133. 塩田章

    ○塩田政府委員 御承知のように、この点は一方で代替基地の問題が起こっております。これができれば一番よろしいわけでございまして、当然我々は今そのために全力を挙げておるわけでございますが、この飛行場の問題としましては、当面、例えば米軍の訓練に当たりまして住民に対する騒音がなるべく少なくなるように飛行パターンを決めておりまして、その飛行パターンによりまして、高度にしましても一定の限度以上を飛ぶというようなこと、あるいは時間帯にしましても午後十時以後は飛ばないといったようなこと、あるいは場周経路上の飛行機の数は二機に限定するといったようなこと、あるいはまた、同じ六時から十時まで飛ぶにしましても、飛行機の種類によって騒音のやかましいものと比較的そうでないものとがございますが、やかましいものは早い時期に飛ぶ、夜遅くなってからは比較的騒音の少ないものを飛ばすといったようないろいろなことを米側との折衝の中で決めておりまして、そういう努力はいたしておるつもりであります。一方、住宅防音等を進めておりますことは御承知のとおりでございます。
  134. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 ここに資料がございまして、昭和五十四年から五十八年までのいわゆる騒音被害の実態ということで、滑走路の北端から北一キロメートル地点の七十ホン以上の騒音が五秒以上続く件数、五十四年には一万三千五百回、五十五年には一万八千七百、五十六年には二万一千百、五十七年には二万七千七百、五十八年には三万七百というようにどんどん騒音の発生回数が増大しておる、時間も長くなってきた、こういうことがあるわけでして、今長官が答えたように一生懸命話し合いをして被害が少なくなってきているようにしておると言うけれども、実際は逆の方向に進んでおる、こう思うのです。  それはともかくとしまして、五十七年の二月から夜間の訓練が行われるようになった経緯はどうなのでしょうか。従来、三沢あるいは岩国でタッチ・アンド・ゴーが行われておった。それが突如として厚木で行われるようになったのはどういう背景からなのでしょうか、お答え願います。
  135. 塩田章

    ○塩田政府委員 厚木基地でNLPが実施されるようになった経緯ということでございますが、御承知のように、昭和四十八年十月にミッドウェーの横須賀母港化が決まりまして後、この問題になっております離発着の訓練は、今も御指摘になりましたように主として三沢及び岩国で実施されてまいっておったわけであります。主としてといいましても、実は割合からいいますと三沢の方が多くて、岩国はそれほどでもございませんけれども、ともかく二つの飛行場を使って練習をしてきておったわけであります。それが五十七年二月から厚木でも行われるようになった。現在でも三沢、岩国も使われておりますけれども、厚木でも行われるようになったということでございますが、この点につきましては、米側はかねてから、円滑な訓練を実施するために関東地方及びその周辺地域にこの訓練のできる代替施設が欲しいという要望をしてまいっておりました。  その理由としまして米側がいろいろ申しておる事情を申し上げてみますと、現在までといいますかそれ以前の三沢なり岩国を使っておりました訓練では、利用可能な夜間の飛行時間がどうしても不足するということ、それから、遠くにしかも二カ所にありますものですから支援の要員が増加する、あるいは維持修理、補給といった面で負担が大きい、あるいは距離の遠いところからきますところの運用面でのむだがある、それから、燃料代等も含めまして遠距離によることの経費の増加、それから六番目には、母艦の搭乗員及びその家族に対する配慮といったようなこと、そういうような事情を挙げまして、関東周辺でぜひやれるようにしたいという話はかねてから要望してまいったわけでございます。それを五十七年二月から厚木で実施するようになったということでございます。
  136. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 それに対しまして、国側としては、厚木基地周辺が過密な住居地域である、都市化の甚だしい中の飛行場だ、そういうことで、米軍側の要望を考え直してほしいというような形で迫ったことはないのでしょうか。
  137. 塩田章

    ○塩田政府委員 厚木で訓練をするに当たりまして、いろいろ私が先ほど申し上げましたが、騒音を軽減するためのいろんな話し合いをいたしたわけであります。その点は現在も守られておるというふうに考えております。一方、私どもとしましては、住宅防音なりそういった措置の強化を進めていくと同時に、一番抜本的な問題でありますところの代替基地の調査に取りかかった、こういうことでございます。
  138. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 そうすると、厚木基地が置かれている特殊事情、住宅の中の飛行場ということは一切米側の方には話していない、こういうことですね。要するに、騒音の被害を軽減するから厚木基地を使ってもらいたい、こういう形で言っているのですか。要するに、厚木基地の周辺が住居地域である、しかも過密化している、このことを米側の方に積極的に申し述べて、ここはまずいというようなことをやったいきさつがあるのかないのか、それを聞きたいのです。要するに、厚木は困るということですね。
  139. 塩田章

    ○塩田政府委員 今私がいろいろ申し上げたのは、実は当然のことながら厚木の周辺がそういう人口稠密地帯であるということを前提にしておるがゆえに、そういう話し合いをいたしたわけであります。また、米軍もその点はよく理解をしておりまして、厚木地区でこの訓練を実施するのは適当でないということを踏まえまして、米側としましても関東またはその周辺地区に代替施設はないかという要望を強く言っておるわけでございます。ですから、御指摘のような話し合いは、我々と米側との間で当然やってまいっております。
  140. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 せんだって厚木基地を訪問しまして、司令官とも会ってまいりました。今長官の言葉では、厚木基地は使いにくい、したがって関東周辺にというお話がありましたけれども、私が会った感触では、厚木基地は極めてすばらしい飛行場で夜間訓練には最適の飛行場である、こういう表現をしておりました。そして、パイロットにも人権があるんだ、家族との別離というのは離婚を招く、したがって近いところで訓練をしたいのだ、そんなような発言もありまして、長官の今の発言とは随分違うように思うのです。米軍の方でパイロットの人権を言うんであれば、我々も厚木基地の周辺に住んでいる住民の人権はどうなんだ、こういうことを強く言いたいと思います。いかがでしょうか。厚木基地は最高の基地である、こう言っております。     〔委員長退席、玉沢委員長代理着席〕
  141. 塩田章

    ○塩田政府委員 どなたがどういうふうにおっしゃったかわかりませんけれども、厚木の基地そのものが飛行場として訓練にいい飛行場であるということは、それはそうだろうと思います。特にミッドウェーが横須賀を基地にしておりますので、一番近いところでもありますし、いろいろな修理施設、支援施設、そういった点を考えて、厚木基地がそういう意味ではいい飛行場であるということは言えるのじゃないかと思います。しかし、先ほど申し上げました周囲の人口稠密状況、そういうようなことは我々も強く言っておりますし、米側もこれは認めておりまして、そういう意味で厚木基地が訓練基地に適当でないということは、米側も認めておるわけでございます。  なお、人権問題も出たわけでございますが、先ほど私が申し述べました米側の事情の中の最後のところでも米側が言っております。しかし、その点は御指摘を待つまでもなく、これは内々の話になるかもしれませんが、米側に対しまして、何十人だか何百人だか知らない米軍のパイロットの人権もあるいは家族との関係ということも、それは配慮すべきでしょう、しかし同時に、何万、何十万という周辺の住民のことも考えるべきではないかということは、私、しばしば話し合いの中では申しているわけでございまして、そういった点はアメリカ側も理解してくれておるものと考えております。
  142. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 そういう長官の人権問題についての意見を米側に伝えてもらっているということは、大変うれしいわけでございますけれども現実的には騒音がどんどんひどくなってきているという事実、それから裁判の判決、一審でございますけれども、損害賠償を支払えと命じている事実、それから従来三沢と岩国で十分できたという過去がある、そういうことを総合しますと、やはり代替施設ができるまでは従前どおり三沢あるいは岩国で訓練をして、厚木は何とか回避していただきたい、こう思うわけでございます。  そこで、また近々ミッドウェーが来て訓練が再開されるやに聞いておりますが、具体的にいつごろになるのか、その時期をお知らせ願いたいと思います。
  143. 塩田章

    ○塩田政府委員 ミッドウェーの次期の入港時期あるいは入港に伴います次期の訓練計画等は、まだ通知を受けておりません。
  144. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 大和市では、全市を挙げてこの夜間訓練の中止を求める署名運動を五月上旬から一カ月半にわたってやろうじゃないか、こういう動きが活発でございます。したがって、その署名運動の動きからしますと、五月あるいは六月にはミッドウェーが来るのじゃないか、こう思っております。その時期までに防衛庁の方で夜間訓練は差し控えていただくようにぜひとも要望を願いたい。そういうお考えはございませんか。
  145. 塩田章

    ○塩田政府委員 御指摘の大和市のいろいろな動き等はもちろん承知しておりますし、こういう話ももちろん米側には伝えたいと思っております。先生のただいまの御趣旨は私どももよくわかっておりますし、米側に伝えることもやぶさかでございませんけれども、同時に、この種の訓練の必要性ということも我々としては認めておりますので、何とか先ほど来申し上げております代替基地の問題の早期達成に努力してまいりたい、また同時に、厚木周辺の騒音を可能な限り低減する方向への努力も今後とも続けてまいりたいというふうに考えております。
  146. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 時間が参りましたので、終わります。
  147. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員長代理 藤原哲太郎君。
  148. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 私は、きょうは防衛庁長官外務大臣の御出席をちょうだいいたしておりますが、主として外務大臣お尋ねを申し上げたいと存じます。  今まで防衛論議が出ておりましたけれども日本の平和と安全を守るという立場から将来的な考察をいたしますと、今大変重要な時期に来ておるのではないかというように思います。百一国会の外相の所信表明と申しますか方針演説の中でも、世界的な全体面を展望いたしましての所信表明があったと私は理解をいたしております。特に、外相就任以来、アメリカを初めとして西欧諸国あるいは中東、東南アジアなどいわゆる主要な国を訪問されて、それぞれの国の事情につき日本国の立場をより理解を深めるというような意味から御努力をされておることについては敬意を表したいと思います。やはり、外交の初めは会うことにあると思うのです。対話にあると思っておるわけであります。それぞれの首脳に会うことによって、相手が知らなかった面も、日本の悩みということでわかっていただく面もあるでしょうし、相手国のそういう事情というものもわかってまいるというように私は理解をいたすわけであります。そういう意味で、これからの日本の平和外交、いわゆる平和戦略というものをどこに置くべきであるか、こういうことについて私はこの機会に外務大臣に所信のほどを伺っておきたいというように思うわけでございます。  外務大臣の方針演説の中にも、今我が国が置かれておる国際社会における責任を一層鮮明に自覚して、日本世界のために何をなし得るか、こういうことの立場に立って、あるいは視点に立って考えたい、単なる経済的援助や政治面というような面ばかりではなくて、多方面に向かって考え、もって世界の平和と繁栄に積極的に外交方針を進めてまいりたい、かようなことを申されておるわけでありますが、外務大臣のこの基本的な方向について、この機会に所信を伺っておきたいと思います。
  149. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 今世界は非常に多極的また流動的であります。そういう中で、大事なことは世界の中で平和を追求し、確立をしていくということであります。また、軍縮を実行するということではないかと思います。  東西関係も、御承知のようにINF交渉であるとかSTARTの交渉が中断をしておる、こういうことで米ソ間もいまだ雪解けという状況にはありませんし、また、国際的にもイラン・イラク紛争、あるいはまたレバノンの紛争、さらに中米あるいはカンボジアといったような地域紛争が続いておるわけでございます。イラン・イラク紛争なんかは、この紛争が拡大をすれば世界的に大きな戦火となって広がる可能性すらあると我々は憂慮もいたしております。  あるいはまた、アメリカを初めとするヨーロッパの一部におきまして経済が回復の基調を見せておりますけれども、しかし、開発途上国の累積債務の問題は深刻でございます。そういう意味では、やはり南北問題というのは非常に重大であろうと思うわけであります。  そういう中で、日本としては、何といいましても世界の平和に貢献をしていくためにあらゆる努力を払っていかなければならないと思うわけでありまして、日本外交方針は、御案内のとおり、やはり日米を基軸として自由主義国家群と相協調しながら世界の平和と安定に努力していくことであり、同時にまた、日本がアジアの一員であるという立場も踏まえて、アジア外交に積極的に踏み出していくということでもあろうと思います。  同時にまた、例えばイラン・イラク等については、日本が幸いにして両国に対して非常に安定した友好関係にあります。そうした日本の持っておる独自な立場を生かして、アメリカやあるいはソ連にできないような平和努力というものを日本がやらなければならないと思います。  また、日本アメリカに次いで自由国家では世界で第二番目のGNPを持っておるわけでございますから、やはりそれに対応した経済協力、特に開発途上国に対する経済協力は、財政が厳しい中においてもさらに積極的に進めていくことが、世界の中における日本の役割を果たしていくということになろうと私は思うわけでございます。  現在、日本世界における存在というのは非常に重くなったというふうに私は痛感をいたしております。発言権もそれだけ強くなっておりますが、同時にまた国際的な責任も重みを増しておる、こういうふうに判断するわけであります。そういう中で日本の役割というのは一層重きを増し、それだけに日本は、今申し上げました立場で、これからの国際社会の中で、世界の中の日本としての積極的な活動を展開していかなければならないというのが私の考えでございます。
  150. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 ただいま安倍外相から基本方針についてのお話を伺いました。その中で私はちょっとお伺いをいたしておきたいと思いますが、今日本国民の多くの方々が一番心配しておられるのは、日本が独立国家として最小限の自衛の措置を持ち、国の構えを持つことについてはある程度の理解をしておるのではないかと私は思っておりますが、ただ、今米ソ二大超大国によりますいわゆる軍拡競争というものが果てしなく続くこの現況を見たときに、果たしてこれからどうなるであろうかというのが国民一人一人の心配ではなかろうかと私は思うわけであります。  したがって、今のような状況で超二大国が対戦になるというようなことは考えられませんけれども、しかし、第三世界によるところのいろいろの紛争というのは、先ほど来伺っておりましても数限りなく続いて、これも拡大激化の方向をたどっておるというのが現状ではないでしょうか。こういうことを考えたときに、平和憲法を持ち、世界の恒久平和を確立をするといういわゆる日本の国是に従って、これらのものにどう歯どめをかけていくかということが、これからの日本外交の大きな方向づけでなければならぬと私は考えるのでありますけれども、そのことについてのお考えがございましたら、この機会に伺っておきたいと思います。
  151. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 おっしゃるように、やはり一番大事なことは世界の平和であろうと思います。そういう中で、日本日本の役割というものの上に立った全力を尽くしての貢献をしていかなければならないと思っておるわけです。例えば米ソの対立あるいは米ソの核交渉の中断というものがあるわけでございますが、この中断が決裂をして、さらにおっしゃいますような米ソの軍拡というものが実行されれば、世界は恐るべき事態に突入することは火を見るよりも明らかでございます。したがって、日本自由主義国家群の一員としまして、こうした米ソの核の軍縮が行われるように、会談の再開あるいはまた会談の成功に向かって積極的な努力をしていく。アメリカに対しあるいはヨーロッパとともに手を組んで世界世論の喚起、あるいはまた西側陣営の積極的な軍縮への前進、さらにまたソビエトに対しましても、我々はあらゆる角度からソ連の反省を促して、そして軍縮交渉へ参加するように呼びかけていかなければならない。  私も日ソの問題に取り組んでおるわけでありますが、日ソ間には御承知のように領土問題という基本的な対立もありますし、あるいはまた極東におけるソ連の強大な最近の軍事力増強というものがあるわけでございますが、それはそれとして、日ソ関係が厳しければ厳しいほど、対話の道を模索してまいりまして、日ソ関係に話し合いのパイプを広げていく、そしてこれがまた世界の、米ソ関係その他東西関係に広がった形で、軍縮あるいはまた対話ムードというものが生まれることを期待して努力をしていかなければならぬと思います。  あるいはまた、地域紛争等につきましては、去年から私は取り組んでおりますが、イラン・イラク紛争等につきましては、日本が主導的な役割を果たして、いわば平和的な環境づくりのために貢献をし、成果も上げておりますが、さらにこれは執念深く取り組んで実効を上げてまいりたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  152. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 今安倍外相から、積極的な対話外交を推進する、そして日本立場というものを十分理解せしめる努力を積み重ねたいということでございまして、その方向づけをぜひ努力していただきたいというように思います。  今世界の中で、いわゆる社会主義国陣営と自由主義国陣営ということで、二大勢力を形成しておる形になっておるのであります。しかし、これからの世界を眺めたときに、二つが分かれておるのだという事実認識だけを持ちますと、なかなか平和の維持というのは難しくなるのではないかというように考えるのであります。  実は私、きのうガンジー首相のNHKの記者とのインタビューを見ておりまして、二つ感じたところがございました。後ほど感想を伺いたいと思いますが、中曽根総理が四月三十日から五月六日でございますか、訪印されるようでございますが、それに基づいてのインド側のガンジー首相の考え方をインタビューで答えたものでございました。これはテレビに出てまいりました。  その中で一つは、今まで保護主義ということで自由化政策はとらなかったけれども日本の経済援助をはっきりとお願いするという立場で、思い切った自由化の道をたどりたいということをはっきり言っておるわけですね。それで記者の、自由化の道をたどったら自国の関係者の経済というものが大変厳しくなるのではないかという問いに対しましては、その自由化の波を乗り越えなければ近代化ができないのですということを勇気を持って答えておりました。私もこれは見識ある首相の答えだと思っておりました。  それからもう一つは、非同盟ということで、ソ連に近寄った政策を今日までインドはとってまいりました。しかし今後、非同盟という立場からいうと、アメリカを含むいわゆる自由主義陣営との友好増進がこれに障害を与えるのではないかという問いに対しまして、ガンジー首相は、私は非同盟というのは一国だけでつき合っているものではないと思います、世界のあらゆる国と仲よくすることに基調を置きながら、そして国益を中心として、その上に立って判断をして行動をしてまいりたい、したがって、日本との歴史的な事実を見て、日本と友好親善関係、経済協力関係を結ぶことも結構、アメリカとの関係を改善することもこれまたよいことではないかという勇気ある発言をしておりました。  私はこれを見て、ああ、これからの世界は相当大きな考え方を持っていかないと、世界の恒久平和というものは実現できないなという率直な感じを持ったのでありまするが、私の感じに過ちがあるのか、あるいはまた外務大臣としてはこの考え方にどういう反応を示されるか、特に今度中曽根総理が行かれるわけでありますので、これは歴史的に見ても私はインドは大歓迎をすると思います。そして、そういう自由化にどう経済援助をして、四億なり五億のインドの民の経済的な豊かさを求めるための努力に日本がどう貢献していくか、このような命題が課せられておると思いますけれども、安倍外相の御所信のほどを伺っておきたいと思います。
  153. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 今お話を承りながら思い出したわけですが、先般中曽根総理大臣と一緒に中国を訪問した際に、我々が別れのあいさつに趙紫陽首相を訪問いたしました。そのときに趙紫陽さんがこういうことを言いました。我々は社会主義の国である、そしてあなた方は資本主義の国である、そして我々の隣には巨大な我々と同じ体制の社会主義の国がある、この国とは我々は長い間つき合っておるけれども、同じ体制でありながら最近どうもうまくいかない、しかし、全く体制の違うあなた方の国とはこんなに実はうまくいっている、これはまさに新しい歴史の新しい実験ではないかと思っているけれども、また同時に、こうした違った体制の国々が仲よくやれるというのは、これからの新しい時代というものを日本中国との関係は証明するものではないかというふうに自分は思っているということを言われまして、私は非常に感銘を受けたわけでございます。  インドにおきましても、今お話しのように、ガンジー首相が経済開放政策をとろうということで頑張っておられるわけでございます。そして、経済開放を進めればそれだけインドの経済には相当大きな苦痛を伴うわけでございますが、それを乗り越えなければ、今お話しのようにインド経済の近代化というものはできないという信念に向かってやっておられると思います。  そして、これまでのインドはどちらかというとソ連と非常に深い関係にあったわけですが、このソ連との関係基本的にはそう変わらないと思いますが、同時にやはり開放体制というものをとらなければ、日本なんかの資本の流入とかあるいは経済協力とか、日本だけではなくてアメリカその他の先進国の経済協力あるいはまた資本を受け入れるというようなことはできない、そうしなければ経済は強くならないというようなことで、恐らくガンジー首相は大きな踏み切りをされたと思います。  そして、今まさに日本の総理大臣を迎えようとしておるわけで、ガンジー首相としましては、大変大きな期待を日本にかけておると思うのでありまして、我々はこれにこたえて、同じアジアの民族でございますし、長い間のつき合いのある国でございますから、できるだけの協力はしなければならぬ、こういうふうに思います。
  154. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 それで、この例でもわかりますように、日本の周囲の中で、軍事専門家から言わせれば、一番戦争の火種というか紛争の火種は朝鮮半島にあるのではないか、こうよくうわさされるところでありますが、そういう観点から申し上げますと、韓国と北朝鮮との関係、これはいわゆる南北朝鮮の統一の問題を含みまして、日本としては非常に大きな関心事であるわけであります。幸い今韓国と中国との関係では、日本の橋渡しもあったかと思いまするけれども、スポーツあるいはオリンピック等を通じまして改善の方向がございます。このこともぜひいろいろの努力をして、しかも日本は韓国とは友好関係が保たれておりますので、この辺のことも十分配慮に入れながら、今中国でのお話もございましたけれども、これと同じような意味で北朝鮮との関係の改善というものも大切な事柄じゃないかと私は思います。  今北朝鮮との関係では、経済的にも大変、私も民間で貿易をやっておられる方からのお話など承りましても、北側の経済事情というのは厳しいようでございまして、日本がやや経済がよいからということで余り経済のことばかり押しつけるようなことになりますとまた反駁するかもしれませんけれども、やはりこういうときには経済やあるいは文化を通じてこれらの日本と北朝鮮との関係で可能な限りの努力をし、そのことが近き将来にわたって民族の悲願である韓国と北朝鮮との南北統一への道を模索ができるような道を今日本としては真剣に考える必要があるのではないか。二国間の問題であるとかあるいは中国アメリカ、あるいは日本ソ連を含めての話だとかいろいろな話がありまするけれども、しかし、できることから始めていくというようなことも外交面では必要ではないかと私は考えるわけでございまして、このことが一つ。  それから、私は今までの外交の中で、野党外交というものも評価のできる部分があったと思います。例えば日中国交の問題では、社会党の代表者も公明党の代表者も民社党の代表者も含めまして中国に渡り、国交回復に努力をいたしました。いわゆる国民的課題として取り組んだのでございました。こういうことを考えてまいりますと、例えば今度社会党の石橋委員長アメリカに行かれる、そしてまた今度は北朝鮮に行かれる。野党外交でも、もし社会党のそういう方が行くことによって北朝鮮とのパイプがよくつながり、大きな成果が上がるといたしますならば、私は、野党外交というものも、政府が直接できないような部分でそれぞれの持ち味があるわけでありますので、持ち味持ち味をある程度生かしながら日本の平和と安全に、そしてそのことが南北朝鮮の統一、紛争の火種をなくしていくという努力が必要だと思うのでありますけれども、このことについての外務大臣の所見を伺っておきたいと思います。
  155. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 北朝鮮と日本との関係は、御承知のように外交関係はございませんし、今外交関係を持つという考えもないわけでございます。そして残念ながら、ラングーン事件で北朝鮮がこれに介入したというビルマの政府の発表によりまして、世界の世論も非常に激化する。日本も国際テロは憎むべき行為であるという立場をとっております。そういうことから北朝鮮に対しては一つの措置をとったわけでございまして、そういうことを契機にいたしまして北朝鮮との関係は必ずしも好転をしない、厳しい関係にあるわけでございます。  しかし、我々日本としましては、朝鮮半島の緊張が緩和する、戦争からできるだけ遠ざかって、最終的には朝鮮半島の統一が実現されることを心から期待をいたしておるわけでございます。そして、そのためには南北のいわゆる話し合いも大事だと思います。あるいはまた、中国とあるいは韓国との間の非政治的な面での交流というのは今少しずつ芽をふいておりますが、こういうことも大いに盛り上げる必要がある。日本がそういう面でお役に立つことはしたい、こういうふうに考えて努力もいたしておるわけであります。  日本はそういう動きの中でできるだけ緊張緩和の環境ができるために努力をいたしたい、こういうふうに考えておりまして、また、そのための努力も惜しまないわけでございますが、そうした朝鮮半島の情勢を我々展望するときに、今日、日本と北朝鮮の関係というのは非常に冷たいわけでございます。しかし、今後朝鮮半島の状況変化、南北当事者の会談であるとかあるいは三者会談、四者会談、六者会談、いろいろと構想が出ておりますが、そういう一つの話し合い、あるいはまた南北の緊張緩和のための枠組み等がこれから進んでいけば、大きな意味において、これからの日本と北との間の民間の交流も少しずつ改善をされる可能性は出てくるのではないか。民間の漁業協定なんかも今打ち切られたままになっておりまして、大変我々心配はしておるわけでございますが、そうした問題等も解決されることを念願するわけです。  そういう中で、今お話がございましたように、日本政府としてできない役割というのは、野党の皆さんとかあるいはまたその他の団体の皆さん方にもあるわけで、それが日本全体のいわゆる国民外交という形で大きく今日までの外交を推進してきたことも否めない事実でございます。日中においてそうでございます。また北朝鮮との関係においても、やはり民間の交流という中で野党の存在というものは一つの大きな役割があると評価をいたしておるわけでございまして、外交というのは政府が責任を持つわけでございますが、しかし、政府だけでできるものではありませんで、国民的な基盤に立った、野党であるとか、もちろん与党であるとか各界の努力、自治体の努力、ボランティアの努力、そういうものが積み重なって我が国としての一つの大きな国民的な外交が花を開いていくものであろう、そういうふうに私は認識をいたしておるわけであります。
  156. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 私は今の外相の答えに満足をいたしますが、どうぞひとつせっかくの御努力をいただきたいというふうに思います。  さて、先ほど外務大臣からのお話の中で、核の軍縮の問題がございました。折も折、六月の七日から九日にかけましてロンドン・サミットが開催せられるわけでございまして、ここには各国の首脳が集まられるはずでございます。こういうときの主要議題といえば、今のような経済摩擦の問題とかいろいろ問題が出てこようと思います。しかも第三世界における紛争の防止の問題等々が出てくると思うのでありますけれども、私は、原爆を受けた日本として、やはり核の軍縮の問題は何が何でも日本から提案をして、そして具体的に核を凍結させていく、核を廃絶させていく、こういう運動の先端を切るのが日本立場ではなかろうかというように考えるわけでございまして、ぜひともこのロンドン・サミットにおきましては、核の軍縮に今中断をされておりますソ連をテーブルに引き出して、そしてやるような努力がなされなければならぬのではないかと私は考えます。したがいまして、このことにつきまして外務大臣にぜひ意のあるところをお酌み取りをいただいて、日本としては軍縮の問題を最重点に取り上げてそしていわゆる世界の平和の使者として日本が活躍をする場がロンドン・サミットの場面であることを期待をいたしたいと思います。安倍外務大臣の所信を伺いたいと存じます。
  157. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 サミットはまさにサミットで、先進国の首脳によって行われる外交でありますが、これまでのサミットは、経済サミットと言われるように経済が中心でありました。今度のロンドン・サミットもそういうことになると思うわけでございますが、最近の情勢からは、やはり政治は避けて通れないと思います。特に東西問題、米ソの関係、あるいは軍縮の問題も避けては通れない。首脳の会議の中で、米ソの中断されたINF交渉であるとかSTARTの交渉をどうするか、あるいはこれからの軍縮に向かって自由主義陣営がどういうふうに結束をして動いていくか、そういうことが当然大きな議題になってくるわけでございまして、今お話しのように、ロンドン・サミットを契機としましてまさに米ソがテーブルに着いて、そして核軍縮交渉が再開をされるようになることを私も心から念願をいたしておる次第であります。
  158. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 日本はまさに世界の中の日本でございまして、経済大国と言われ、世界第二位の力を誇っておるわけでございます。ただ、そういう日本ではございますけれども、その日本なるがゆえに世界の多くの国々の理解と協力を得なければならない部面というのも多々あると思います。どうぞ安倍外務大臣におかれましては、日本外務大臣としてひとつ大いに頑張っていただきますことを御期待申し上げまして、終わります。ありがとうございました。
  159. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員長代理 東中光雄君。
  160. 東中光雄

    ○東中委員 先ほど空中給油機についての質疑が行われまして、矢崎防衛局長が、空中給油機の導入については、将来空中待機の態勢を維持するために否定するということはできない、しかし現在は考えていないという御答弁があったのですけれども、空中給油機をもって長時間の作戦を継続する、そういう態勢をとっていくというようなことは、「防衛計画の大綱」の構想といいますか、計画内で一体できるのかどうか、どうお考えになっておるのか伺いたい。
  161. 矢崎新二

    矢崎政府委員 先ほども申し上げましたとおり、空中給油機の問題につきましては、現在具体的な検討をしておるわけではございませんので、今大綱との関係はどうかというふうなお尋ねがございましたが、私どもとしてはそういった検討も全くしていないわけでございます。そういった問題は将来の問題でございますので、現時点で特にどうだということを申し上げる状況ではございません。
  162. 東中光雄

    ○東中委員 中曽根総理の、空中給油機の保有について研究してみるという予算委員会での答弁がありましたね。総理大臣が答弁しているのですよ。総理大臣がそういう答弁を、研究をしてみると言っておって、そして大綱の関係でどうなるのかまだ検討もしていない。それは甚だおかしいじゃないですか。編成、主要装備等の具体的規模は大綱の別表に定めるということになっているわけですから、空中給油機を持つなんというようなことになれば、この別表のどこに入るのですか。もう余地がないじゃないですか。それを否定しないと言って、しかし検討はしていない。否定しないということはないでしょう。むしろ否定しているのじゃないですか。ちょっとはっきりしておいてほしい。
  163. 矢崎新二

    矢崎政府委員 中曽根総理が御答弁なさいましたときは、硫黄島への移動訓練に関連をいたしまして、長距離の飛行をした上で硫黄島の訓練基地へ行くことでもあるから、その際に安全のために空中給油機能というものを活用することは考えられないかというような御質問がございまして、現在の訓練態勢において特段に不安があるというわけではございませんが、せっかくの御指摘でもございますから研究課題としましょう、こういう趣旨でお答えになった経緯があるわけでございます。     〔玉沢委員長代理退席、椎名委員長代理     着席〕  そういうことでございますから、これは今後の研究課題ということでございまして、今直ちにその問題をどうこうというようなことに着手をしているわけではございません。したがいまして、大綱との関係も先ほども申し上げたようなことでございまして、そういった具体的な問題が出てきた時点でそれは関係各省庁と協議をして詰めていく、そういう段階に入るわけでございます。現時点では具体的に申し上げることのできる材料はございません。
  164. 東中光雄

    ○東中委員 私の聞いているのは大綱についてで、大綱はどういう規模の編成でと、具体的に決めているわけでしょう。具体的規模というものを決めているわけでしょう。部隊の名前が入れば、全部入っているわけでしょう。空中給油機というようなものは持つ余地があるのですか、大綱の線でいけば。大綱そのものを変えるか変えないかということは将来の問題として考える、そのときに一緒に空中給油機も考えるというんだったら、それはまたそれでいいですよ。現在ある大綱については今見直しをやるということにはなっていないはずなんだから、この大綱の線からいえば、この空中給油機の部隊なんというものを持つ余地は全くないじゃないですかということを聞いているのです。もしそういう余地があり得るんだったら、要撃部隊の中に入るんだというふうに強弁されるんだったら、それは強弁してもらったらいいんですけれども、そこのところを聞いているのですからはっきりと答えてください、ごまかさないで。
  165. 矢崎新二

    矢崎政府委員 「防衛計画の大綱」の別表におきましては、基幹部隊と主要装備といたしまして作戦用航空機の総数というものを記載をしておるわけでございます。したがいまして、個別の細かい問題になりますと、その個別の問題を検討する際に、実際には具体的な検討が行われるわけでございまして、今の時点でそういった個別の問題について未検討のままでとやかく申し上げることは差し控えたいということでございます。
  166. 東中光雄

    ○東中委員 大綱の別表では、例えば航空輸送部隊とか警戒飛行部隊とか航空偵察部隊とか要撃部隊とか具体的に列記して、しかも部隊の数までちゃんと書いてある。空中給油をやる飛行機というようなものはどの部隊に、輸送でもなければ、偵察でもなければ、要撃戦闘でもない、支援でもない。一体何ですか。あり得ないじゃないですか。少なくともここに書いてある範囲では、これは想定していないことは明白だと私は思うのですが、その点、どうなんです。それでもやはりここへ入れ込んでいく余地があるんだというふうに今お考えになっているわけですか。
  167. 矢崎新二

    矢崎政府委員 ただいま申し上げましたとおり、別表で書いてございますのは、基幹部隊として幾つかの部隊が書いてございますし、それから作戦用航空機という包括的な表現で目標とする機数が総数で書いてある乏いうことでございます。実際の部隊の編成の問題になりますと、さらに個々にブレークダウンして検討されることになるわけでございまして、現在御指摘の空中給油機の問題につきまして個々に具体的な問題として取り上げているわけではございませんので、その辺のところをどうするか、どう考えるべきかということについて今ここで特に答えを出しているわけではない、それは具体的な問題が生じたときに個々に関係省庁とも協議をした上で詰めるべき問題であると考えております。
  168. 東中光雄

    ○東中委員 どうも言われていることが、関係省庁といっても、これは防衛庁限りの問題だと思うし、作戦用航空機の中に入るか入らぬかというのも、これは防衛力範囲のことだと思うのです。そういう点で、非常に説得力のある説明じゃないですね。どれかの部隊に入らなければいかぬわけでしょう。作戦用航空機は、どこの部隊にも入らないで、ひとりはぐれガラスのように飛んでいるというわけにいかぬわけですよ。どの部隊に入るのか。入る余地がないじゃないですか。それについてはっきりした説明がないのははなはだ遺憾だと言う以外にないですね。今、具体的に総理大臣は検討すると言っている。研究してみると言っている。現に具体的な問題が起こっていないから研究もしていないと答えられるのは、極めて問題を正確に言われてないということを言っておきたいと思います。  ロンドン・サミットが近づいてきておるので、外務省にお聞きしたいのです。  昨年五月のウィリアムズバーグ・サミットで政治声明が発表されましたが、日本も署名したわけですが、この政治声明は日本に対する拘束力を持つわけですね。条約そのものではありませんけれども条約的な拘束力を持つんだと思うのですが、この点、外務大臣、いかがでしょうか。
  169. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 サミットの政治声明は、いわゆる国際約束ではなく、法的な意味での拘束力を有するものではないが、我が国を含む七カ国の首脳が一致して作成したものであり、政治的に極めて重要な意味を有する文書であります。したがって、我が国が同声明に沿って行動することが期待されていることは言うまでもありません。
  170. 東中光雄

    ○東中委員 昨年五月三十日、総理大臣が、外務大臣も同席されていた記者会見で言われておるのは、拘束されるという表現をとられ、これを誠実に実行しなければならぬ、こういう表現をされております。これが法的であるかどうかは一応別として、非常に拘束力がある、実行しなければいけないものだ、こういうふうになっておると思うのですが、その政治声明で、第一項ですが、「我々は」というのはサミット参加七カ国の指導者ですが、「我々は、いかなる攻撃をも抑止し、いかなる脅威にも対抗し、更に平和を確保するために十分な軍事力を維持する。」ということが出ております。この「いかなる脅威」「いかなる攻撃」という以上は、その中身は核攻撃、核脅威というものは当然入るんだと思うのですが、その点はいかがなんでしょうか。
  171. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 まず、昨年のウィリアムズバーグにおける政治声明というのは、条約とか交換公文とか、そういうものとは違って、私の言うのは、法的拘束力はない、しかし、それぞれの国の最高首脳が集まって申し合わせたわけですから、それだけの重要な意味を持っていることは間違いないと思うわけでございます。  それから、今の御質問ですが、本件の声明は、民主主義の基盤となっている自由と正義の擁護の必要性、平和の探求という意義のある軍備削減に対する決意と、サミット参加国として従来から有している西側の共通の認識を再確認するとともに、これらの目標に向けてのサミット参加国の結束をうたったものであります。御指摘の文言もかかる趣旨の説明の一環として述べられているものであり、今日の国際社会の平和が抑止と均衡を基盤としているとの共通の認識のもとに、サミット参加国としては今後とも平和の確保のための抑止力の維持に努めていくとの従来からの決意を表明したものであると認識しております。
  172. 東中光雄

    ○東中委員 大きな趣旨を今お聞きしているのではなしに、「いかなる攻撃」「いかなる脅威」というのは、通常戦争による脅威あるいは核戦争脅威というふうな両方が入っているんだろう、入っていなかったら「いかなる」とは言えませんからね、そういうものではないんですかとお伺いしているのです。今外務大臣が答えられたのは、何かちょっと違うことを答えておられるのです。そのこと自体はどうなんでしょう。
  173. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 これは、一々文言を詰めてどうだこうだということじゃなくて、ウィリアムズバーグの共同声明というのは、宣言というのはやはり全体的な、先ほど申し上げたような、自由主義陣営の一つの結束、平和と自由を守るための結束というものを高くうたった文章ですから、いわば首脳の一つのこれからの国際政治に臨むみんなの共通の認識といいますか、共通の決意をうたったわけで、それに対する一つの文言としてはそういう自体はありましたけれども、それを一つ一つ詰めて条約のように解釈する必要はないのじゃないか、やはり全体をふわっと大局的に判断すべきものじゃないかと私は思います。
  174. 東中光雄

    ○東中委員 いかなる攻撃をも抑止し、いかなる脅威にも対抗し得る十分なる軍事力を維持する、これは誠実に守らなければいけないんだというふうに総理大臣は記者会見で言っておられるわけですね、法的拘束力があるかないかは別として。だから、いかなる核脅威にも核攻撃にも十分対処し得る十分な軍事力を維持するということで、アメリカとも、それからその他のサミット加盟国とも日本は同じようにそういう声明を出した、こういうことですから、これは違うわけですね。それが事実上重みがあり、拘束力があるんだったら、アメリカや西ドイツやあるいはイギリスと同じように日本も十分な軍事力を維持していくことになるのじゃないかということになるわけですが、防衛庁長官にお伺いしたいのですけれども、防衛大綱は、核攻撃や核の脅威にも対抗する、そういう十分な軍事力一つとして日本の防衛あるいは自衛隊というものを持っているのかどうか。
  175. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 このウィリアムズバーグ・サミットというのは、いわば政治的な決意というものを表明しているわけですね。ですから、今東中さんのおっしゃるのに引きずられてしまいますと、何か日本がNATOの軍事的なコミットまでしているような、NATOと一緒になって安全保障体制を進める、こういうふうにも受け取れるわけですが、そういうコミットでは全然ないわけです。日本日本安全保障体制というのがあるわけですから、日本日本の憲法もあるし、防衛の原則もあるのですから、そういう中でやはり努力を重ねていくということは当然のことだと私は思いますね。別に軍事的に何もNATOと一緒になってやろうというコミットを表明した文書ではありませんから、それは。
  176. 東中光雄

    ○東中委員 全参加国七カ国の首脳は、我々は十分に対抗する軍事力を持つ、こう言っているわけですから、うちは憲法の範囲内でなんて言ってないです。そういうところに問題があるということを言っているわけであります。  防衛庁長官は、こういうことを言われても、それはまた別やというお考えですか。     〔椎名委員長代理退席、委員長着席〕
  177. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 我が国は非核三原則の政策をとっておるわけであります。核の問題につきましてはアメリカ抑止力に頼る、こういうことでございます。
  178. 東中光雄

    ○東中委員 去年の政治声明に基づいてパーシングⅡや核巡航ミサイルの欧州配備が決まった、強行されたわけですが、これに関して今日本アメリカ、カナダ、西ヨーロッパ諸国の政府高官などでつくられている四極フォーラムの共同声明では、ロンドン・サミットは五つの挑戦に対処せよというふうに共同声明を出していますね。西側諸国の政治的結束の堅固さを再確認することを提言している。また去年と同じような形での新たな政治声明で、ソ連SS20に対抗する核兵器の新たな配備、そういう方向さえ考えられるのかどうか、そういう点はどうなのでしょうか。
  179. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 今ロンドン・サミットの議題につきましては個人代表で詰めておりまして、まだ発表する段階にはなっておりませんが、サミットの目標はあくまでも経済が中心であります。しかし、政治は避けて通れないということは先ほども申し上げたとおりでありまして、去年に続いて恐らく東西問題あるいは米ソの問題、中断をしている核交渉の問題等についても議論があることは、先進国の首脳が集まるわけですから当然私はあろうと思いますし、そういう中で米ソの核軍縮の中断された交渉が再開されるという方向へ向かって、何らかの動きがロンドン・サミットを契機として始まることを私どもは心から期待をしておりますし、そのために自由主義陣営の先進国の話し合いというものは非常に重要じゃないかと思っておるわけであります。
  180. 東中光雄

    ○東中委員 いずれにしましても、去年の政治声明の第一項みたいに、それは違うのだ、日本日本の憲法の範囲内なのだ、しかしそこに書いてあること自体で言えばそうは言えないというふうなこと、そういうことは断じてやるべきじゃないということを申し上げておきたいと思います。  次に、防衛庁にお伺いしたいのですが、防衛中央指揮所の問題です。  三月三十一日から中央指揮所の運用を開始されたわけですが、平事でこれを運用していくということになりますと、一体これは法的根拠はどういうところにあるのですか、まずお伺いしたい。
  181. 矢崎新二

    矢崎政府委員 中央指揮所を整備しておりますのは、防衛庁長官が有事等の場合に情勢を迅速に把握をいたしまして部隊等に命令を迅速に下達するためのいろいろな各種通信、表示等の諸機材を備えましたいわば施設整備する、こういうことでございます。したがいまして、部隊の運用指揮等はすべて現行の自衛隊法等に基づいて実施されるわけでございまして、法律上新たな措置を伴うというものではございません。
  182. 東中光雄

    ○東中委員 そうすると、これは有事のときに防衛庁長官がそこへ行くということですか。七十六条が発動される、あるいは七十七条の待機命令段階、これは一体どういうふうになるのですか。指揮所というような立派なものができて、防衛庁長官が指揮されるわけでしょう。そういうのはどうなるのですか。
  183. 矢崎新二

    矢崎政府委員 この中央指揮所を使用いたします場合はいろいろなケースがあり得るわけでございまして、防衛出動を下令するようなおそれのある場合とか、あるいは治安出動あるいは海上における警備行動といったような事態もありますし、あるいは大災害等に対処しなければいけないといったような場合等もございます。要するに、異常な事態に対処して、長官が一元的な統一的な指揮管理を迅速効率的に行う必要が生じたような場合にこの中央指揮所を使いまして、そこに内局の幹部あるいは各幕の幹部等も集まりまして、迅速に協議をし会議をする、あるいは情報をそこでみんなで見て相談をする、そういった機能を持っているものでございます。
  184. 東中光雄

    ○東中委員 日米共同対処の場合は、日米間で作戦調整機関といいますか、実際には作戦調整所を設けることになるでしょうね。それとこの中央指揮所とはどういうふうになりますか。
  185. 矢崎新二

    矢崎政府委員 この中央指揮所は自衛隊としての活動を統一的に管理運用するということがポイントでございまして、日米共同作戦を行う場合の調整機関の問題は、この中央指揮所とは別個の問題として考えております。したがって、この中央指揮所がすなわち日米ガイドラインにおきます共同作戦の場合の調整機関になるということではございません。
  186. 東中光雄

    ○東中委員 ここの中央指揮所がそのまま日米作戦調整所になるということではない、しかし、この場所が、場所的にいえばそういう調整所になることもあり得るわけですね。全然別個でいくということですか。
  187. 矢崎新二

    矢崎政府委員 御指摘の日米共同作戦を実施するための調整機関のあり方につきましては、ガイドラインでその必要性を述べているわけでございますが、具体的にどういうふうにそれを構成していくかということは今後の研究課題でございまして、まだ具体的に決まったものがあるわけではございません。いずれにしましても、この中央指揮所そのものをそういった調整機関としてつくっているということではございません。
  188. 東中光雄

    ○東中委員 中央指揮所と米軍との連絡、電話回線、ボイスの方はつけて情報が入るようになるということは既に言われているのですが、ボイスだけじゃなく、テレファックスやテレタイプもつなぐことになる、あるいはコンピューターとコンピューターのオンラインというようなことにもなるのか、そういう場合に在日米軍とこの指揮所との連絡する相手方は一体どこになるのか、そういう点、どういう規模のものになっていくのか全然わからないのですけれども、どうでしょう。
  189. 矢崎新二

    矢崎政府委員 自衛隊と在日米軍とが連絡手段を持つことは当然に必要なことだと考えております。したがいまして、この中央指揮所につきましても米軍との間の通信連絡手段そのものは持ちたいと考えております。具体的に申し上げますと、横田にございます在日米軍司令部と中央指揮所との間に電話とかファックス等の通常の通信手段は設けたいということで、これは五十九年度の事業で現在計画を進めておるわけでございます。
  190. 東中光雄

    ○東中委員 そうすると、この夏からバッジシステムやSFシステムと各自衛隊の中がつながりますね。そして米軍ともつながる。それは全部そこの三つのスクリーンに出てくるということになるわけですか。
  191. 矢崎新二

    矢崎政府委員 米軍との連絡というのは、先ほど申し上げましたように電話とかファックスとかいったような通常の通信手段でございます。したがって、今御指摘になりましたバッジシステムあるいはSFシステムとの直接の連接がそこで行われるというようなことではございません。
  192. 東中光雄

    ○東中委員 質問を終わりますけれども、今言われた意味がちょっとわからないのですが、米軍じゃなくて、自衛隊のバッジなりSFシステムから連係をとってそのまま情報はどんどん来るのじゃないですか。来ないのですか。
  193. 矢崎新二

    矢崎政府委員 この中央指揮所そのものの機能といたしまして、三自衛隊の収集しますいろいろな情報を一カ所に集中をして見られるようにしたいということでやっていることは事実でございます。したがって、SFシステム、バッジシステムともこの中央指揮所そのものは連接をいたしまして、そこで一元的に管理運用できるようにしたいというふうに考えてはおります。しかしながら、今の御質問は、そのSFシステムなりバッジシステムの情報が直接米軍の方にただいま申し上げました通信手段をとって流れていくのかということでございましたから、それはそういうことではございませんと申し上げたわけでございます。SFシステムの情報あるいはバッジシステムの情報がそのまま米軍に流れる、そういう機構を設置する計画は持っておりません。
  194. 東中光雄

    ○東中委員 時間ですから、終わります。
  195. 塩川正十郎

    塩川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三分散会