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1984-02-29 第101回国会 衆議院 安全保障特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年二月二十九日(水曜日)     午後一時十八分開議 出席委員   委員長 塩川正十郎君    理事 小渕 恵三君 理事 椎名 素夫君    理事 三原 朝雄君 理事 上田  哲君    理事 前川  旦君 理事 渡部 一郎君    理事 吉田 之久君       海部 俊樹君    丹羽 雄哉君       増岡 博之君    天野  等君       関  晴正君    安井 吉典君       中川 嘉美君    橋本 文彦君       藤原哲太郎君    東中 光雄君  出席国務大臣         外 務 大 臣 安倍晋太郎君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 栗原 祐幸君  出席政府委員         防衛庁参事官  古川  清君         防衛庁参事官  西廣 整輝君         防衛庁長官官房         長       佐々 淳行君         防衛庁人事教育         局長      上野 隆史君         防衛施設庁長官 塩田  章君         外務政務次官  北川 石松君         外務省北米局長 北村  汎君  委員外出席者         安全保障特別委         員会調査室長  桂  俊夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  国の安全保障に関する件      ————◇—————
  2. 塩川正十郎

    塩川委員長 これより会議を開きます。  国の安全保障に関する件について調査を進めます。  外務大臣から、我が国安全保障問題について、また防衛庁長官から、我が国の当面の防衛政策について、それぞれ説明を求めます。安倍外務大臣
  3. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 衆議院安全保障特別委員会の開催に当たりまして、我が国安全保障問題につきまして所信一端を申し述べます。  我が国安全保障政策は、より安定した国際環境構築するための積極外交の展開、日米安全保障体制の円滑かつ効果的運用、及び節度ある質の高い防衛力整備という主要な柱により構成をされております。  本日は、我が国のかかる安全保障政策につき、私の感ずるところを申し上げ、皆様を初め国民の御理解を得たいと思います。  国家の安全を確固たるものとするに当たり外交の果たす役割は極めて大きなものがあり、我が国としては、不断に、近隣諸国を初めとする諸外国との友好関係構築に努めるとともに、積極的に、世界の平和と安全にかかわる諸問題の解決に向け、我が国の国力にふさわしい政治的、経済的役割を果たしていく必要があります。もとより、このような積極的外交努力を推進していく際には、今後とも、日米関係基軸としつつ、他の先進民主主義諸国との結束を図るという「西側一員」たる立場、並びにアジア太平洋地域を基盤とする我が外交基本姿勢を宣明していくことは当然のことであります。  東西関係を主要な軸とする今日の国際社会の中で、安定した東西関係構築を図ることは、世界の平和と安定にとり最も基本的な課題であります。東西関係は、依然として厳しい状態にあり、西側としては、西側内部結束と協調のもと、今後とも、平和を確保するための十分な抑止力維持するとともに、ソ連を初めとする東側諸国との軍縮問題を含む対話交渉を進めていくことが重要であります。我が国としても、先般の私の訪米等を通じまして、ソ連との対話を重視するとの米国姿勢を支持するとともに、ソ連の新政権に対しても、故アンドロポフ書記長葬儀参列のため私が訪ソした際、対話重要性を強調し、軍縮緊張緩和のため努力するよう期待を表明したところであります。特に、核軍縮中心とする東西間の軍備管理軍縮交渉については、中距離核戦力交渉戦略兵器削減交渉が依然中断されたまま進展の兆候が見られません。我が国は、ソ連が速やかにこれらの交渉の再開に応じ、早期にその実質的進展が図られるよう希望するものであります。  このように我が国は、今後とも、東西間の軍縮交渉の促進を働きかけていくとともに、核実験全面禁止、核不拡散体制維持強化を初めとする核軍縮中心とする具体的軍縮措置の実現に向け、国連、軍縮会議等の場を通じ、積極的貢献を行っていく所存であります。  第三世界における紛争と混乱を未然に防止し、地域安定的発展確保していくためには、これら諸国政治的、経済的、社会的強靱性を高めることが肝要であります。我が国としては、今後とも経済協力、なかんずく政府開発援助実施が、我が国国際的責任であるのみならず、我が国の総合的な安全保障政策の重要な一環であるとの認識もとで、新中期目標もと、その拡充に努力していく所存であります。  また、国家間あるいは民族間の対立を減ずることは重要であり、イラン・イラク紛争に関しては、私は、昨年夏両国を同時訪問し、紛争エスカレーション回避及び早期平和的解決必要性を訴えましたが、今後とも、政治対話を通じ、双方に自制を働きかけ、和平への環境づくり努力する決意であります。  以上述べましたような外交我が国が積極的に推進するに当たっては、我が国自身が、我が国の置かれた国際情勢に関する的確な判断力を有することが不可欠であり、このため今後とも、情報機能強化を初めとする外交実施体制強化に努める所存であります。  日米安保体制は、我が国安全保障基軸であります。  日米安保体制は、ひとり我が国の安全のみならず、極東における平和と安全のための基本的な枠組みを構成しており、その円滑かつ効果的な運用確保し、その信頼性を高めることは、この地域の平和と安定の維持にも寄与するものであります。  日米安保体制信頼性を高めるためには、我が国武力攻撃を受けた際に米国が来援しやすいような体制整備する努力を継続していくとともに、我が国を防衛することが米国基本的国益に沿うゆえんであることを米国民に心から納得させ得るような良好な日米関係維持することが極めて肝要であると考えます。  かかる観点からも、政府としましては、昨年の日米両国首脳相互訪問、先般の私の訪米等の成果を踏まえ、今後とも日米友好協力関係を一層緊密なものとするよう、真剣に努力を行ってまいる所存であります。  我が国は、日米安保体制の円滑かつ効果的運用を図る一方、みずから自衛のための必要最小限防衛力整備に努めています。我が国が、平和憲法もと、専守防衛に徹し、近隣諸国に脅威を与えるような軍事大国とならず、さらに非核三原則を堅持するとの基本方針に従い、防衛力向上に努めることは、自由主義国の有力な一員である我が国の責務でありますが、今後ともかかる防衛努力を通じ、我が国の安全を確固たるものとし、もってアジアの平和と安定にも寄与していく必要があります。  以上、我が国安全保障政策あり方につき所信一端を申し上げました。政府としましては、今後とも国民皆様理解を得つつ、我が国の平和と安全の確保に真剣に取り組んでいく所存であります。  ここに、改めて委員長初め委員各位の格段の御指導と力強い支援を賜わりたく、お願い申し上げる次第であります。(拍手
  4. 塩川正十郎

  5. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 先般、防衛庁長官を拝命いたしました栗原祐幸でございます。  厳しい内外の情勢下に国の基本にかかわる防衛行政を担うことになり、責任の重大さをひしひしと感じております。  微力ではございますが、委員長を初め委員各位の御鞭撻のもとに全力を挙げてこの大任に取り組む覚悟でございます。  重ねて各位の御理解と御協力をお願いして就任のごあいさつといたします。  次に、我が国当面の防衛政策につき若干所見を申し述べさせていただきたいと思います。  御案内のとおり米、ソ両大国を軸といたしまして東西両陣営に強い不信感が存在し、国際情勢流動化の中で、世界各地紛争緊張が続いておりますことは冷厳な事実であります。  特に我が国周辺におきましてはソ連極東軍の増強が顕著であり、我が国といたしましても重大な関心を持たざるを得ない状況でございます。  我が国西側諸国の有力な一員として現実的に世界の平和と安定に寄与しなければならぬと考えますが、このためには、まずもって憲法の許容する範囲において、みずからの国はみずからが守るの気概で、防衛力整備を着実に図らねばならぬと考えております。  もちろん、米国との協力関係を揺るぎなきものとするため、日米安全保障体制を堅持し、その円滑な運用に努めてまいることは当然であります。かかる観点に立って我が国防衛力の現状を見ますと「防衛計画大綱水準にいまだ到着しておらぬのみか、装備の老朽化継戦能力、抗堪性、あるいは即応態勢不足等、改善を要する点が多く残されております。  昭和五十九年度防衛予算は  (1) 五六中業の第二年度として引き続き質の高い防衛力の着実な整備に努めること。  (2) 練度維持向上等、現態勢維持に努めること。  (3) 基地周辺対策及び提供施設整備等に必要な経費の確保に努めること。  以上、三点を基本方針として作成いたしましたが、大綱水準への到達にぎりぎりの努力をしたものでございます。  厳しい財政状態ではありまするが、国防の重要性にかんがみ、各位の御理解と御協力を切に願うものであります。  言うまでもなく、国の安全保障政治経済教育文化等各部門が整然として秩序ある営みをすることによって実現されるものでございますが、その中で、他国からの侵略を排し、国民の平和と安全を守る自衛力整備は極めて重要な役割であります。  国民各位にこの認識をさらに深めていただけるかどうかが今後の防衛政策の大きな課題でございます。  このため、私は自衛隊統括責任者として、シビリアンコントロールに意を用い、隊の規律を厳正にし、教育訓練に力を用い、国民各位から頼りにされる存在になるよう、自衛隊指導をする所存でございます。  当委員会文字どおり安全保障に関し、自由な御論議を開陳され、国政に大きな寄与をされる場と承知をしております。  御論議を通じ、いろいろと御指導、御忠告をいただければ甚だ幸いであります。  一言申し述べましてごあいさつといたします。(拍手)  なお、先般の事件事故等について付言をいたしたいと思います。  二月二十七日午前十一時五十分ごろ、山口所在陸上自衛隊第十七普通科連隊所属の兼信雄一二等陸士、二十一歳でございますが、駐屯地近傍所在する山口射撃場において射撃訓練実施中に突然後方等に向け小銃を発射し、付近にいた自衛隊員四名に負傷させ、そのまま射場外に逃走いたしましたが、十六時四十四分ごろ捜索中の警察官に逮捕されました。  なお、負傷した隊員一名はその後死亡いたしました。  また、同日午前十一時四十分ごろ、岩国市所在海上自衛隊第三一航空群第三一航空隊所属PS1型対潜哨戒機(〇3号機)が、射爆撃訓練のため、日向灘に向け飛行中、瀬戸内海伊予灘青島付近海上に墜落し、乗員三名が殉職し、九名が行方不明になり、目下鋭意行方不明者捜索中でございます。  武器を使用する集団として特に規律厳正であるべき自衛隊において、訓練中に隊員小銃を他の隊員に向け発射するという事件を引き起こし、国民皆様に大きな不安を与えましたこと、また昨年四月のPS1型機の事故から一年を経ないうちに再びかかる墜落事故を起こし、貴重な隊員と航空機を失ったことは、まことに申しわけない次第でございます。  私は、このような事件が起こった事情や墜落事故の原因を徹底して調査した上で、教育訓練あり方等について正すべきものは正すとともに事故再発防止に努め、国民皆様自衛隊に対する信頼を失うことのないよう努力する所存でございます。  以上でございます。
  6. 塩川正十郎

    塩川委員長 以上で説明は終わりました。  この際、外務政務次官より発言を求められておりますので、これを許します。北川外務政務次官
  7. 北川石松

    北川政府委員 外務政務次官を拝命いたしました北川石松であります。  国の安全、安定こそ国民の最大の幸せであることをわきまえ、大臣所信表明を受けましてよくお仕えをし、委員長を初め委員各位の御趣旨を体しましてその職責を全うする所存でございます。  どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。(拍手
  8. 塩川正十郎

    塩川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時三十一分散会