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1983-11-18 第100回国会 参議院 本会議 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年十一月十八日(金曜日)    午後三時四十一分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第七号     ―――――――――――――   昭和五十八年十一月十八日    午後二時 本会議     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、故元議員池信三君に対し弔詞贈呈の件  一、故元本院議長河野謙三君に対し弔詞贈呈の   件  一、政治倫理に関する協議会設置に関する報   告  一、日程第一  一、議員辞職の件      ―――――・―――――
  2. 木村睦男

    議長木村睦男君) これより会議を開きます。  さき院議をもって永年在職議員として表彰されました元議員池信三君は、去る十月七日逝去されました。まことに痛惜哀悼至りにたえません。  同君に対しましては、すでに弔詞を贈呈いたしました。  ここにその弔詞を朗読いたします。    〔総員起立〕  参議院わが国民主政治発展のため力を尽くし特に院議をもつて永年の功労を表彰せられさき法務委員長予算委員長の要職に就かれまた国務大臣としての重任にあたられました元議員正三位勲一等池信三君の長逝に対しつつしんで哀悼の意を表しうやうやしく弔詞をささげます      ―――――・―――――
  3. 木村睦男

    議長木村睦男君) 元本院議長河野謙三君は、去る十月十六日逝去されました。まことに痛惜哀悼至りにたえません。  同君に対しましては、すでに弔詞を贈呈いたしました。  ここにその弔詞を朗読いたします。    〔総員起立〕  参議院さき参議院議長として憲政の発揚に  つとめられまた特に院議をもつて永年の功労を  表彰せられました従二位勲一等河野謙三君の長  逝に対しつつしんで哀悼の意を表しうやうやし  く弔詞をささげます      ―――――・―――――
  4. 木村睦男

    議長木村睦男君) 議院運営委員長から、政治倫理に関する協議会設置に関し、発言を求められております。この際、発言を許します。議院運営委員長遠藤要君。    〔遠藤要登壇拍手
  5. 遠藤要

    遠藤要君 政治倫理に関する協議会設置について御報告申し上げます。  皆様御承知のとおり、国会運営正常化のため、木村本院議長福田衆議院議長協議の上、各党党首の方々とお話し合いを進められました。その結果に基づきまして、両院議長として、各会派に対し「速やかに両院政治倫理確立のための具体策を講ずる機関を設けるべきである」との御提案がございました。  この要請を受けまして、本院では、議院運営委員長から議院運営委員会理事会に提示しました試案を各会派検討にゆだねていたところでございますが、このたび大方の会派代表者から議長に対し、この試案により政治倫理に関する協議会設置されたいとの申し出がございました。  これを受けて、議長から改めて議院運営委員会に対し検討の依頼がございました。同委員会理事会協議した結果、政治倫理に関する協議会設置について最終的な合意が得られました。本日の同委員会において、政治倫理に関する協議会設置要綱が決定され、直ちに同協議会設置された次第でございます。  政治倫理協議会設置要綱の要旨は、議長の管掌のもとに、政治倫理確立のための具体策につき調査検討することを目的とする政治倫理協議会設置すること。同協議会協議員は二十名以内とし、議院運営委員会理事会協議に基づき議長が委嘱すること。同協議会においてその意見を決定するに当たっては全会一致となるように努め、またその結果が議長に報告されたときは、議長はこれを各会派代表者懇談会に諮って適切な措置をとるものとすることであります。  なお、議院運営委員会における政治倫理協議会設置に際しましては、議院運営委員長から、同協議会設置が、提出されておりました二つ決議案に関する問題について、また今後そういった種類の要求を拘束するものではないと申し上げたということを皆様方に申し添えておきたいと思います。右のような点で、この二つ決議案に対してもこの協議会が隠れみのかのごときささやきもございますけれども、そのようなことではございませんことを改めて申し添えておきたいと思います。  さような点で、以上報告申し上げ、同協議会が所期の成果を上げられますように、各位の御協力を心からお願いいたします。(拍手)      ―――――・―――――
  6. 木村睦男

    議長木村睦男君) 日程第一 国家行政組織法の一部を改正する法律案国家行政組織法の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整理等に関する法律案総務庁設置法案総理府設置法の一部を改正する等の法律案総務庁設置法等の一部を改正する法律案並びに行政事務簡素合理化及び整理に関する法律案趣旨説明)六案について、提出者から順次趣旨説明を求めます。齋藤国務大臣。    〔国務大臣齋藤邦吉登壇拍手
  7. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 国家行政組織法の一部を改正する法律案国家行政組織法の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整理等に関する法律案総務庁設置法案総務庁設置法等の一部を改正する法律案及び行政事務簡素合理化及び整理に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  初めに国家行政組織法の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。  行政改革推進は、政府の当面する最重要課題であります。政府としては従来から行政機構簡素効率化に努めてきたところでありますが、最近における行政をめぐる内外の厳しい諸情勢のもとで、行政機構の膨脹や行政運営固定化を防止し、その一層の簡素効率化を継続的に促進する必要があります。  このため、昭和五十七年七月三十日に行われました臨時行政調査会行政改革に関する第三次答申に沿って、行政需要変化に即応した効率的な行政実現に資するため、行政機関組織編成の一層の弾力化を図り、あわせて行政機関組織基準をさらに明確にすることとし、この法律案提出した次第であります。  次に、この法律案概要について御説明申し上げます。  第一に、府、省等組織所掌事務範囲現行どおり法律で定めるという原則は維持しながら、府、省等に配分された行政事務を所掌する官房、局及び部の設置及び所掌事務範囲については政令で定めることとしております。  第二に、府、省、委員会及び庁には、法律または政令の定めるところにより、審議会等及び施設等機関を置くことができるものとし、また、特に必要がある場合には、法律の定めるところにより特別の機関を置くことができるものとしております。  第三に、庁次長官房長及び局、部または委員会事務局に置かれる次長並びに大臣庁以外の庁に置かれる総括整理職設置政令で定めることとしております。  第四に、政府は、少なくとも毎年一回国の行政機関組織一覧表を官報で公示するものとしております。  第五に、当分の間、府、省及び大臣庁官房及び局の総数の最高限度は、百二十八とすることとしております。  なお、以上のほか、その他所要規定整備を行うこととしております。  政府といたしましては、以上を内容とする法律案提出した次第でありますが、衆議院におきまして次のとおりの修正が行われております。  その第一は、政府は、この法律により政令設置することとされた組織等につき、その新設、改正及び廃止をしたときは、その状況を次の国会に報告しなければならないこととすること。  第二は、政府は、これら組織並びに省庁内部部局官房及び局について、この法律に定める最高限度につき、この法律施行の日から五年を経過した後、速やかに総合的検討を行い、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすることであります。  次に、国家行政組織法の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整理等に関する法律案について申し上げます。  この法律案は、国家行政組織法について、行政需要変化に即応した効率的な行政実現に資するため、国の行政機関組織編成弾力性を高めるとともに、あわせてその基準を一層明確にするための改正を行うことに伴いまして、各省庁設置法等関係法律二百三件につき必要な整理等を行おうとするものであります。  次に、この法律案内容について御説明申し上げます。  第一に、国家行政組織法の一部を改正する法律施行期日を、昭和五十九年七月一日と定めることとしております。  第二に、各省庁設置法等改正であります。  その一は、新たに各省庁全体の所掌事務規定を設けるとともに、官房、局及び部の規定を削ることとしております。  その二は、庁次長、局、部の次長国務大臣を長としない庁に置かれる総括整理職等政令で定めることとされた職の規定を削ることとしております。  その三は、附属機関その他の機関審議会等施設等機関及び特別の機関に区分し、審議会等及び施設等機関について法律で定めることを要しないものについて、その規定を削ることとしております。  その四は、地方支分部局のうち、ブロック単位設置された機関等の個別の名称、位置、管轄区域及び内部組織政令規定することとし、これらについての規定を削ることとしております。  以上のほか、各省庁設置法等について所要規定整備を図ることとしております。  第三に、各省庁設置法等改正に関連する諸法律について所要改正を行うこととしております。  なお、総理府設置法及び行政管理庁設置法等については、別に提出している総務庁設置法案及び総理府設置法の一部を改正する等の法律案において本法律案と同じく整理等を行うこととしております。  次に、総務庁設置法案につきまして申し上げます。  この法律案は、最近における行政需要変化に即応し、総合的かつ効率的な行政推進を図るため、臨時行政調査会答申基本的方向に沿って、総理府本府及び行政管理庁組織機能統合再編成し、総理府外局として総務庁設置しようとするものであります。  総務庁は、各種総合調整機能相互補完関係をより緊密なものとするという基本的考え方に基づき、行政機関人事機構定員及び運営総合調整機能行政監察機能総合的運用を図るとともに、青少年対策等特定行政施策総合調整機能をあわせ有するものとし、政府における全体としての総合調整機能活性化総合的発揮を図ることとしております。  さらに、統計重要性にかんがみ、総理府及び行政管理庁統計行政機構統合再編して、統計行政における中枢的機能を確立するとともに、恩給に関する事務を含めて、これらを一体的に遂行することとしております。  次に、この法律案内容概要について御説明申し上げます。  第一は、総務庁所掌事務及び権限についてであります。  総務庁は、まず、各行政機関が行う国家公務員等人事管理に関する方針計画等総合調整等人事行政に関する事務行政制度一般に関する基本的事項企画行政機関機構定員及び運営総合調整等組織定員管理に関する事務、各行政機関業務についての監察に関する事務を行うこととしております。  また、恩給を受ける権利の裁定等恩給に関する事務のほか、統計制度基本的事項に関する企画その他統計に関する総合調整及び国勢調査その他の基幹的統計調査実施等統計に関する事務を行うこととしております。  以上のほか、交通安全対策老人対策地域改善対策事業青少年対策及び北方対策など特定行政分野における事務総合調整等を行うこととしております。  第二に、総務庁の長は、総務庁長官とし、国務大臣をもって充てることとしております。総務庁長官は、所掌事務に関し、各行政機関の長に対し資料の提出及び説明を求め、また、随時、内閣総理大臣または関係行政機関の長に対し意見を述べることができることとしております。さらに、総務庁長官は、監察を行うため必要な範囲において各行政機関業務について実地に調査することができることなど行政監察機能効果を確保するための権限を行使できることとしております。  第三に、総務庁に、公務員制度審議会を置くほか、特別の機関として、青少年対策本部及び北方対策本部を置き、その長にはそれぞれ総務庁長官たる国務大臣をもって充てることとしております。  さらに、地方支分部局として、管区行政監察局地方行政監察局等を置き、行政機関業務監察行政相談等事務を分掌するほか、必要に応じ行政機関機構定員及び運営に関する調査等事務を分掌することができることとしております。  最後に、総務庁は、昭和五十九年七月一日から発足することといたしております。  次に、府県単位機関整理合理化のための総務庁設置法等の一部を改正する法律案について申し上げます。  各省庁地方支分部局整理合理化につきましては、去る三月の臨時行政調査会の第五次答申において各般の改革方策提言が行われているところでありますが、その一環として、ブロック機関のもとに置かれている府県単位機関について、そのあり方を見直し、簡素な現地的事務処理機関とするべき旨の提案が行われているところであります。  政府は、この提言を踏まえつつ地方支分部局整理合理化を進めることとし、当面まず府県単位機関のうち法律改正を要する地方行政監察局を初め三機関について速やかに所要措置を講ずることとし、ここにこの法律案提出した次第であります。  次に、この法律案内容について御説明申し上げます。  第一に、地方行政監察局地方公安調査局及び財務部整理合理化を図るため、これらをそれぞれ行政監察事務所公安調査事務所及び財務事務所と改め、所要現地事務を処理させることといたしております。  第二に、この法律は、昭和五十九年十月一日から施行することといたしております。  最後に、行政事務簡素合理化及び整理に関する法律案につきまして申し上げます。  先般、政府は、臨時行政調査会の第五次答申に至る全答申を踏まえた行政改革具体化に関する新たな方針を決定いたしております。  その一環として、同調査会の第三次答申及び第五次答申に係る規制及び監督行政適正化、国と地方公共団体機能分担合理化等事項実現に資するため、関係行政事務簡素合理化及び整理を行うこととし、ここにこの法律案提出した次第であります。  次に、法律案内容について御説明申し上げます。  第一に、規制及び監督行政適正化のための許可等整理合理化に関する事項といたしまして、資格制度、検査・検定制度事業規制及びその他の分野に係る許可等事務について、廃止規制の緩和、民間等への委譲などの合理化を行うこととし、漁船法の一部改正による漁船の登録の簡素化エネルギーの使用の合理化に関する法律の一部改正によるエネルギー管理士試験事務民間団体への委譲その他の改正を定めております。  第二に、国と地方公共団体機能分担合理化等のための事項といたしまして、地方公共団体の長等に委任されておる国の事務については、社会経済情勢変化に伴い必要性の乏しくなっていると認められる事務廃止または縮小、地方公共団体事務としてすでに同化、定着していると認められる事務当該地方公共団体事務への移行、都道府県知事事務市町村長への委譲などを行うこととし、興行場法の一部改正住民基本台帳法の一部改正その他の改正を定めております。  この法律案は、以上の方針により十四省庁五十八法律にわたる改正を一括取りまとめたものであります。  なお、この法律は、一部を除き原則として公布の日から施行することといたしております。  以上、五法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第でございます。(拍手)     ━━━━━━━━━━━━━
  8. 木村睦男

  9. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) 総理府設置法の一部を改正する等の法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。  今回別途御提案申し上げております総務庁設置法案において、総理府本府及び行政管理庁組織及び機能統合再編成し、総理府外局として総務庁設置することといたしておりますが、本法律案は、総務庁設置に当たり、総理府本府の組織及び機能整序を図るため、所掌事務整理総理府総務長官及び総理府総務長官廃止審議会等の各省庁への移管等措置を講ずるとともに、行政管理庁廃止するほか、関係法律規定整理等を行おうとするものであります。  次に、この法律案内容概要を御説明申し上げます。  第一は、総務庁設置により、総理府本府から、人事行政恩給及び統計に関する事務並びに交通安全対策老人対策地域改善対策事業青少年対策及び北方地域に関する事務総合調整等に関する事務総務庁へ移管することに伴い、総理府設置法等関係法律について所要改正を行うことといたしております。  第二は、行政管理庁所掌事務総務庁へ移管することに伴い、行政管理庁設置法廃止することといたしております。  第三は、総理府総務長官及び総理府総務長官廃止することとし、これに伴い、内閣官房長官内閣総理大臣を助けて府務整理総理府本府の事務監督等を行うこと、内閣官房長官内閣総理大臣の定めるところにより内閣官房長官を助けること、さらに、総理府総理府次長を置き、内閣官房長官及び内閣官房長官を補佐し、事務総括を行うことといたしております。  第四は、総理府本府に置かれている審議会等のうち、公務員制度審議会等審議会等総務庁へ、雇用審議会等審議会等労働省等省庁へそれぞれ移管することとし、これに伴い、雇用審議会設置法等関係法律について所要改正を行うことといたしております。  第五は、国家行政組織法の一部を改正する法律施行に伴う総理府設置法等関係法律規定整理を行うほか、所要規定整備を行うことといたしております。  第六は、この法律は、総務庁設置法施行の日から施行することといたしております。  以上が、総理府設置法の一部を改正する等の法律案趣旨でございます。(拍手)     ━━━━━━━━━━━━━
  10. 木村睦男

    議長木村睦男君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。上條勝久君。    〔上條勝久登壇拍手
  11. 上條勝久

    上條勝久君 自由民主党・自由国民会議を代表して、ただいま趣旨説明法案に限定をいたしまして、総理並びに関係大臣に質問を行いたいのでありますが、まず冒頭に、当面する内外の問題について総理の御見解をただしておきたいのであります。  すなわち、米ソ核戦力制限交渉の成り行き、ソ連大韓航空機撃墜事件、ラングーンにおける爆弾テロ事件による朝鮮半島の緊張、ソ連核ミサイルSS20を含む極東での軍事力増強等わが国を取り巻く国際情勢はまさに緊迫の状況にあります。  このときに当たり、中曽根総理レーガンコール首脳わが国に迎えられ、両国との友好関係を深められるとともに、コール首相とは西側陣営の結束による世界の平和と安定の維持を確認され、さらにレーガン大統領とはサミット参加七カ国の安全保障は一体不可分であるとの五月サミット政治声明を再確認し、米ソ中距離核戦力制限交渉をめぐって、アジアを犠牲にしないことを再度確認されたことは、これを高く評価しなければなりません。  しかしながら、わが国を取り巻く緊迫する国際情勢の中にあって、国民信託にこたえなければならない行政改革臨時国会が、一カ月有余の長きにわたって空転の状態にありましたことは、その理由のいかんにかかわらず、国民から預かっている国政審議権をみずから放棄するものであり、断じて許さるべきことではないと考えます。  政治倫理国政基本であることは、国民道徳国民生活基本であると同様に、きわめて重要であることは申すまでもありません。有権者信託によって国会の一員となった議員の一人一人が、常に足元を見て行動し、いやしくも信託された有権者の批判を受けるようなことのないように自戒自重することが政治家倫理であり、その集積が政治倫理であると確信するものであります。  このような状況のもとにおいて、今日の国際情勢に今後どのように対応されるのか、防衛、経済問題を含む首脳会談の結果をどう受けとめておられるか、さらには今国会空転政治倫理に対する考え方人心一新のための衆議院解散、総選挙の意義について、この機会に国民各位に向けて中曽根総理の率直な所信を述べていただきたいのであります。  さて、行政改革は内政における最大の国民的課題であります。次の時代創造力と活力に満ちた社会となるためには、社会経済情勢変化に即応して、国、地方行政全般について新たな角度から見直しを行って、時代要請にこたえ、国民から見てむだのない効率的な行政をつくり上げることが必要であります。国民もまた、この行政改革にいまだかつてない関心と期待を寄せ、政府の取り組みと国会の対応を見守っております。わが党といたしましても、今般の土光臨調の五次にわたる答申を妥当な内容提言と受けとめ、答申に沿った改革推進に努力しているところであります。政府においては臨調答申を最大限に尊重するという基本方針を踏まえて、すでに国鉄改革年金改革等に熱意を持って取り組んでおられることを多とするものであります。  しかしながら、言行一致行政改革の断行は容易なものではありません。行革の成否は、一に今後における総理の強い統率力にかかっているのであります。前鈴木内閣における第二次臨時行政調査会設置以来、行革中曽根の名を広く印象づけられた中曽根総理が、内閣を率いて力強く行革の本土俵に上がられていることに対し、国民各位とともに大きな期待を寄せるものであります。  そこで、ただいま提案された行革法案は、新行革大綱に基づいて、今後政府が取り組む全体構想の中でどのような位置づけを持つものであるか、総理の御見解を承りたいのであります。  本来、行政改革は、機構、仕事、人、予算合理的削減を図って、時代に対応できる簡素で効率的な行政を目指すことが基本的な目的であり、効果と考えます。しかるに、法案ではこの点が不明確であり、国民によく理解していただく意味において政府説明を求めたいのであります。  まず、総務庁設置法案は、臨調の第三次答申を踏まえ、総合調整機能強化方策一環として重要な意味を持つものであり、本法案内容は、同答申にある総合管理庁構想に比較して、若干多面的な機能総務庁に付与するものであると考えます。そこで、総務庁構想が今後の行政改革推進に真に寄与することになるのかどうか、さらには臨調答申趣旨に沿った運用ができるのかどうか、再編成の基本的趣旨について総理の御所見を伺いたいと思います。  次に、国家行政組織法の一部改正法案は、国の行政組織に関する規制に幅を持たせることによって、行政需要変化に敏速に対応できるよう、行政組織機動的再編を促進することをねらいとするものであり、激動する今日の社会経済情勢のもとで、行政がこれに順応する体制をつくることはまことに時宜にかなったものであります。このことに対し、国会による統制機能を妨げるものとの立場から反対の意見もありますが、行政組織の根幹をなす省庁設置については当然として、その内部部局についてまでも法律事項とされている現行制度については、この際改めることが適当であると考えます。その点について政府所見を伺います。問題は、今回の改正を生かして、今後どのようにして時代変化に対応し得る機構簡素化及び合理化のための再編が行われるかどうかということであります。臨調最終答申では、八省庁に及ぶ内部部局再編や、ブロック機関整理合理化提言が行われておりますが、この点、今後どのような手順で進められるのか、総理の御見解を伺います。  次いで、府県単位機関整理法案について伺います。  これにより、出先行政機関の局や部の一部が事務所に改められることとなっておりますが、問題は名称ではなく、行革の本旨にのっとり実質的にも各機関整理合理化が行われなければなりません。この点についてはわが党としても今後厳しく見守ってまいりますが、この際、行政管理庁長官見解をただしておきたいのであります。  また、国民の活力に深い関係を持つ行政事務簡素合理化法案においては、臨調最終答申提言された許認可の整理合理化のうち、早急に措置すべき事項を取り上げておりますが、政府は、今般積み残されたものについて今後どのような手順で実施に移されるのか。許認可整理については、臨調の指摘をまつまでもなく、即時即応の構えで政府において積極的に取り組むべきものであると考えますが、あわせて長官見解をお伺いいたします。  次に、財政改革関係について質問をいたします。  わが国の財政はいまや破綻に瀕し、国債発行残高は今年度末には約百十兆円に達しようとしており、その歳出規模が五十兆円を超える一方で、租税収入は三十二兆円と、その三分の二にも満たない状況であり、しかも歳出のうち八兆円が国債の利払いに充てられているのであります。単純にたとえて言えば、三十二万円の月収で月々五十万円以上の支出をしており、そのうちの八万円は借金の利子であるという、まことに異常な事態にあると申せましょう。  巨額の公債は財政のみの問題ではなく、将来にわたって国の経済や国民生活にいろいろな弊害を引き起こす心配もあります。公債の償還は結局は税金によることからすれば、公債発行は負担を後世代に転嫁することとなりますが、彼らの時代をみずからの選択で形成できる形で財政を引き継ぐべきであって、子や孫に借金を背負わせるようなぶざまな事態は断じて避けなければなりません。したがって、財政改革推進し財政の対応力を回復することは、国の発展と安定上ぜひともやり遂げなければならないこれまた大きな国民的課題であります。  これがためには、行政府、国会、政党、さらには国民各層各位が、総論賛成各論反対に陥ることなく、痛みを等しくするとの見地に立って、制度、施策の根本にメスを入れ、歳入歳出構造の見直しを行うべきものと考えますが、この点に関し総理及び大蔵大臣の御決意のほどを伺います。  さき政府は「一九八〇年代経済社会の展望と指針」において、「対象期間中に特例公債依存体質からの脱却と公債依存度の引下げに努める」との努力目標を設定しましたが、これは財政改革に対する意気込みを示すものとして評価するとともに、当局がこの目標に向けて最大限の努力を傾けることを強く期待するものであります。  そこで、この努力目標達成の具体的計画の策定は流動する経済情勢の中では困難であるといたしましても、財政改革を進める手がかりとなる何らかの中期的な財政展望は示すべきであると考えます。この点、大蔵大臣の御所見を伺います。  関連をして、行政改革と財政需要の問題でありますが、行革を進めるに当たっては国の規制や関与は極力これを緩和し、行政が個人の自立や民間の邪魔をしないで、自主的活力を引き出すことが重要なことは申すまでもありません。政府は、行財政改革を強力に推進する中にあっても、国民生活の安定、国の安全保障社会資本の充実、科学技術の振興、国際関係等の見地から特に必要な行政需要にはこたえる責務があります。すなわち、民間活力を導入した行革を断行して、行政需要は全体として抑制しながらも、真に必要な需要については財政で措置しなければなりません。  わが国の財政は、六十五年度赤字国債依存脱却を目指していよいよ厳しくなることが予想されますが、政府は財政再建下の行政改革と、真に必要な行政需要との関係にどう対応されるのか、総理及び大蔵大臣の見解を求めたいのであります。  終わりに、行政改革は、当面する財政再建とともに国家将来の政治的大計であります。変転と進歩の激しい時代には、従来の発想や慣行、手法にとらわれることなく、時代を先取りした展望を開くことが緊要であります。このためには、多少の犠牲、痛みもありましょう。しかしながら、政府施策の内容を広く国民に伝え、国民各位の理解と協力があれば、この困難は必ず乗り切れるものと確信をいたします。  中曽根内閣は、この国民的課題である行政改革達成のために、格段の決意で当たられ、国民各位の強い期待にこたえられんことを切に希望して、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣中曽根康弘君登壇拍手
  12. 中曽根康弘

    国務大臣(中曽根康弘君) 上條議員の御質問にお答えを申し上げます。  まず、現在の国際情勢下におけるわが国の外交方針でございます。  現在の状況は、お示しのように、レバノンにおける紛争あるいはイラン・イラク戦争、あるいはビルマにおける爆弾事件、あるいはあの韓国の大韓航空機の事件、さまざまなそのような問題が起きております。また、カリブ海におきましても、いまお話がありますように問題も起きておるわけでございます。その中におきまして、INF交渉、中距離核戦力制限交渉はいま非常に重大な段階を迎えておる。こういうときに当たりまして、日本といたしましては、ウィリアムズバーグの頂上会談で決めました基本原則にのっとりまして、自由世界が平和と世界の繁栄をもたらすためにここで結束をして、そしてアメリカ及びそのほか各国が一致連帯のもとに平和を招来するように全力を注ごう、そういう原則を確認していまその努力を継続しておるところでございます。  そこで、先般、コール西独首相、レーガン米国大統領来日を機に、これらの問題につきまして隔意なき懇談をいたしました。コール首相との間にはいわゆる東京声明というものを発出いたしまして、世界に向かってこの両首脳考え方を明らかにした次第なのでございます。  その趣旨とするところは、ウィリアムズバーグで決めた基本原則にのっとって、そして平和と繁栄と世界経済の再活力化というものを中心に持続的に今後も努力をしていく。そして、あのソ連のSS20の中距離弾道弾の解決処理の問題につきましては、日本やアジアを犠牲にして解決することはさせない、全地球的規模においてこれは解決さるべきであるということを確認をいたしました。  それと同時に、特にこの声明を発出いたしましたゆえんのものは、この文章に書いておりますが、「我々は、国際的な紛争あるいは懸案に関しては、話し合いのテーブルについて相互に相手の主張に真摯に耳を傾け、理性に基づく対話と交渉により、意見の対立を和らげ、かつ、克服するよう常に努力を続けていくべきであると確信する。」、「当事者は、終局的合意をもとめて着実かつ現実的な努力を行うものとし、究極的目的達成のための段階的措置、あるいは漸進的解決策の探求をいとってはならないと信ずる。」、このことを特に強調したのでございます。それは、今月の二十三日からいよいよパーシングⅡがドイツその他に展開されることになっておりまして、非常にINFの前途もむずかしくなりつつあります。しかし、そのような危機的な状況のもとにあっても、当事者は常に不屈不撓の構えをもって交渉を継続すべきである、交渉のテーブルから去るべきではない、対話を常に行うべきであるということをここで特にわれわれは世界に向かって指摘したのでございます。  レーガン大統領が参りましたので、この東京声明について賛同を求めましたところ、レーガン大統領も完全に賛成をしていただきました。近くカナダからトルドー首相が参りまして、あした私は会談する予定でございますが、カナダのトルドー首相にもこの声明の考え方に御意見を伺い賛成していただきたい、このように考えておるところでございます。  次に、国会空転政治倫理の問題でございます。いわゆる辞職勧告決議案の処理をめぐりまして、一カ月近くも国会空転いたしましたことはまことに遺憾でございます。国民皆様方に申しわけないと思う次第でございます。  しかし、国会議員の身分の問題でこういう問題が起きておるわけでございますけれども、やはり国会議員の身分の問題は、憲法あるいは国会法、法律によりまして保障されておるものはあくまでこれを尊重していかなければならないし、また議会制民主主義のたてまえからいたしましても、その進退そのものは本人の意思によって決めるかあるいは選挙民の考え方によって決まるということも重大な民主主義の原則であるとわれわれは考えて、このような問題は軽々に扱うべきではないと私は考えておる、これは前から申し上げたところでございます。  しかし、一面において、政治倫理の問題は政治家ないし政党として、これは個人の行動とは別に、政党としてあるいは政治家として考うべき重大なる課題であると思います。そういう意味から、私は先般自由民主党に対しまして、総裁として次の六項目について考えを示して検討を願ったわけであります。  一つは閣僚及び政務次官等の資産公開をやったらどうだ。第二は議院証言法の改正に積極的に取り組むべきではないか。第三番目は政治倫理に関する両院協議会設置しよう。第四番目は、比例代表の全国区も出てまいりまして、政党法というものをこの際検討すべきときに入っているのではないか、特に政治資金との絡みにおいても考うべき点はないか。次に、政治の悪は選挙から来ている点が多分にございます。金のかかる選挙をやめなければならぬ。そういう意味において選挙法の改正という点も検討していただきたい。最後議員定数の問題がございます。先般最高裁の判決も出ました。これは判決の前の話でございますが、議員定数の問題についても取り組むべきである、この六つの点を党の首脳部に提示いたしまして検討を願ったわけでございます。  ただいまここで、本院におきまして倫理協議会設置の御決定を見まして、私は自由民主党の総裁としてこれに全く同感であり、これを全面的に支持したい気持ちでいっぱいであります。  なおまた、新自由クラブとの間におきまして、昨日来政治倫理、政界浄化につきまして六項目について合意が成立いたしまして、私が先ほど申し上げましたような内容も多分に盛られまして両党の合意ができましたことは、政治倫理のために大きな前進がこれから考えられると思っておる次第でございます。政府は、今回におきまする行政改革の諸法案、さらに減税法案国民に公約してまいりました減税法案等を成立いたしまして、そして国民に対する公約を果たそうと思って必死にいままで努力しているところであり、全法案の成立を期待しておるわけでございます。  私は、今度の国会は減税と行革国会であるから、石にかじりついても地をはっても、この全法案を成立させようということを申し上げてまいりました。韓信のまたくぐりも辞せぬとも申し上げた。そういう気持ちで、ともかく全法案を成立させるというのが私の念願でございます。そういう意味におきまして、先般来、両院議長さんの御判断をいただきまして、全法案の成立、国会の正常化ということにつきましてある意味における御判断のお示しをいただきました。私は、その保証をいただきまして、今後どういうふうな政局対処を行うかということは、いまの全法案が成立するかどうか、国会の審議が正常化するかどうかということを重大な関心を持って見守りながら政局に対処する考えをまとめていきたいと考えておる次第でございます。  次に、今回の行革法案の全体構想の中における位置づけでございます。  行政改革は、戦後三十数年たちまして、特に高度成長以来肥大化いたしました行政機構及びその機能をここで全面的に刷新して、新しい時代に対応できるような機能機構をつくり上げよう、特に国民の力を多分に活力に満ちたものにして、その力を余すところなく発揮していただくような体制に転換しようということで、この中心線をいま走っておるわけでございます。そして、すでに五回にわたって臨調から御答申をいただきまして、国会を開き、皆様方にお願いをして、一つ一つ法律を成立させ、努力をしてきておるところでございます。  今回の行革関連の各法案は、いずれもこの全体関連の一環として、その重大なる第一歩として提出させていただいたものなのでございます。行政機構及び行政事務の簡素能率化等を中心にいたしましてまとめたものでございますので、ぜひ御理解と御支持をお願いいたしたいと考えておる次第でございます。  なお、次のコースは、専売あるいは電電の改革、あるいは年金問題の総合的な一元統合化の問題、あるいは地方事務官制度の問題、あるいは特殊法人の整理合理化の問題等々、あるいはさらに大きな国鉄問題の処理という問題を抱えておりまして、これらは、われわれの先般つくりました新行政改革大綱のスケジュールに沿いまして着実に一歩一歩前進してまいる次第であります。私たちは、政権を担当させていただいている政党あるいは政府といたしまして、ともかく国民の生命財産を守り、現実的に国民に実りのある政策を一歩一歩実現して成果を上げることが政治の責任であると、このように考えておりまして、皆様方の御協力をお願いいたしたいと思っておるところでございます。  総務庁につきましては、臨調答申趣旨に沿いまして、さらに臨調答申より一歩前進した考え方によりまして、行政管理庁総理府総務庁を合併して大臣を一人浮かし、副長官二人はこれは廃止する。あるいはさらに、これが統合いたす場合には部局、部課等につきましても合理化再編成を行う考え方でおるのでございます。これは人事機構行政監察、それから特殊の部分における総合調整機能、たとえば北方問題であるとか青少年対策であるとかその他の総合調整機能を持たせました新しい統合調整官庁として活躍できるものと考えておる次第でございます。  なお、省庁内部部局政令化に関しましていろいろ御議論いただいておりますが、ともかく定員法と同じように官房及び中央省庁の局は百二十八に限定いたしまして、もうこれ以上はふやせない、そしてこれ以下にさらにわれわれは政府として努力をしていく。そして各省庁が自主的に自分たちの自己改革を行えるように、その百二十八の範囲内におきましては国会の御審議を要せずして政府の責任においてやれるようにしていただく。これは自主、自律的に時代に対応し得るように自己改革を進めようという考えであり、それは国会に御報告するということにもなっておるのでございます。  今日のように議会政治が進みまして、国会の民主的コントロールがこれぐらい大きく完全になってまいりまして、昭和二十二年あるいは二十四年の当時とまるきり違った状況になっておるものでございますから、私はこの程度の力を政府にお分けいただいても決して国会の民主的統制を乱すというようなことはない、むしろ政府の弾力的な機動的な活躍が期待できる、このように考えておる次第でございます。  以上で大体私の分担するところは終わりますが、行政改革に取り組む決意を問うというのが最後にございました。  この点につきましては、先ほど来申し上げましたように、日本の戦後の改革の中で最も重大な改革の時期に遭遇し、それを責任を持って引き受けさせていただいていると考えておりまして、自分の全精力、自分の全能全知を傾けましてこれを断行いたしまして、国民の御期待におこたえいたしたいと考えておる次第でございます。よろしく御協力をお願いいたします。(拍手)    〔国務大臣齋藤邦吉登壇拍手
  13. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 上條議員にお答えを申し上げます。  臨調答申に基づきます八省庁内部部局再編成及びブロック機関整理合理化につきましては、昭和五十九年度の予算編成過程において具体的な成案を得るようにいたしたいと考えておる次第でございます。  次は、今回の行政改革法案では機構とか人事とか予算、特に人事予算の削減がはっきりしていないではないかという御質問がございましたが、この法律案は、御承知のように行政機構改革行政事務簡素合理化等当面緊急に法律改正を行うべき事項について取りまとめたものでございまして、予算とか人員等の合理化を図るということを直接目的としたものではなく、行政改革のための制度面の基礎づくりということが主眼でございます。しかしながら、予算、人員の削減合理化というのは非常に大事なことでございますから、この点につきましては、昭和五十九年度の予算編成の過程において人員の削減、予算の縮減等を図っていくようにいたしたいと考えておる次第でございます。  次は、府県単位機関整理合理化に関してのお尋ねでございますが、これはすでに御承知のように、地方における府県行政監察局、地方公安調査局及び財務部の三つの府県単位機関をそれぞれその事務を縮小改組いたしていきたいと考えておりまして、それらの機関が持っておりました業務をできるだけブロック機関に集中していくようにいたしたいと考えておりますし、同時にまた、その三機関に勤めておられる方々の要員規模もそれに応じて縮減をしていく、こういうふうなやり方をいたしたいと考えておる次第でございます。  なお、臨調答申の許認可整理事項についての積み残し等の事項はどういうふうに今後やっていくのかというお尋ねでございました。  臨調第五次答申におきましては、当面改革を要するものとして二百二十二の事項の改善指摘がなされまして、このうち法律改正をしなければならない事項は七十二事項でございましたが、その七十二の事項の中には相当困難なものもございますが、大体その半数、三十五事項を今回の法律案にまとめて提案をいたしておる次第でございます。残余の法律改正を要する事項や、あるいは政令、省令等によって改正をしなければならぬそういう問題につきましても、新行革大綱方針に沿って今後とも改善を推進していく考えでございます。  しかし、許認可事項につきましては、臨調の指摘事項以外のものもこれは当然考えなければなりませんことでございますので、行政事務簡素合理化あるいは国民負担の軽減、こういうふうな観点から十分に見直しを行いまして、答申がなくても許認可事項整理合理化に今後とも一層努力をいたしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。(拍手)    〔国務大臣竹下登君登壇拍手
  14. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 私に対する御質問は三点あります。  まず、財政改革に対する決意のほどを聞きたいということであります。  御指摘のように、国債発行残高また税収の割合、まさに異例に厳しい環境にあります。したがって、本来期待される諸機能の発揮を財政が十全には行い得ない、このような状態にあります。したがって、金利問題などにも経済全体として好ましからざる影響を及ぼしておるということも事実であります。したがって、御指摘のように後世代の方々にみずからの選択、その幅をいかに残しておくかということでありましょう。まさに避けて通ることのできない国民的課題であります。  したがって、やはり行財政の守備範囲の見直し、あるいは既存制度の施策についての改革、また、国と地方との間の役割り分担、これらの問題を徹底的に見直すとともに、税外収入等歳入面においての見直しも行いながら、国民皆様方の理解と協力を得るためにも、まず政府みずからがやるべきことをやっていかなければならぬ、このように考えております。  次のお尋ねは、中期的な財政展望を示すべきであるというお考えであります。  なるほど私ども考えてみましても、言ってみれば経済全体が流動的である、こういう中においては経済の一部分である財政の将来について、あらかじめ定量的な実行計画を策定するということはきわめて困難なことであります。しかしながら、少なくとも私ども五十九年度予算編成後、中期的な財政展望を作成いたしまして、今後の財政改革を進めていく上での基本となる考え方を明らかにしようということで、今日臨調答申及び「展望と指針」を踏まえながら、これらと整合性のある検討を行うべく財政制度審議会に小委員会設置していただきまして、中期的な財政運営の諸問題を検討していただいておるまさにさなかにございます。  そして次の問題は、いわば財政再建下であっても行政改革と真に必要な行政需要との関係に対する対応の方針を問う、こういうことであります。  私どもとして行財政改革は避けて通れない国民的課題であるという認識の上に立ちつつも、真に必要な施策には配慮しなければならぬ、このような基本的な考え方に立ちまして、真に必要な行政需要については重点的配慮をしなければならぬ、このように考えております。  以上でお答えを終わります。(拍手)     ━━━━━━━━━━━━━
  15. 木村睦男

    議長木村睦男君) 佐藤三吾君。    〔佐藤三吾君登壇拍手
  16. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 私は、日本社会党を代表し、ただいま議題となりました国家行政組織法の一部を改正する法律案等いわゆる行革関連法案を中心に、田中有罪判決、レーガン来日など内外の諸問題について、総理並びに関係大臣に質問いたしたいと思います。  先月十二日以来、一カ月以上にわたり国会空転を続けたわけでありますが、ようやく開かれたこの国会で、肝心な田中辞任勧告決議案は先送りのまま解散、年内総選挙によって国民に信が問われようとしています。    〔議長退席、副議長着席〕  懲役四年、実刑有罪の犯罪人が国権の最高機関である立法府に居座り、三審制の結審までは無罪とうそぶく。公務員の最高の地位を占め、広範かつ強力な権限を持ち、最高の公正さと倫理、道義が求められる内閣総理大臣の犯罪であるだけに、犯罪人の即時議員辞任と政治倫理の確立を求める圧倒的な国民の要求となったのは当然であります。  しかるに総理国民の圧倒的な要求に挑戦し、居直り、犯罪人を擁護し、守り、野党こぞっての要求である田中辞任勧告決議、政治倫理確立の決議さえ審議を引き延ばし、国会空転させてきたのがほかならぬ政府自民党であり、その総裁である中曽根総理あなたであることは周知の事実であります。いかがでありますか。私は、国会議員の一人として身のふるえる怒りを覚えるのであります。同時に、野党の非力とはいえ、国会自体がけじめをつけ得ないまま今日に至ったことも国民の皆さんに申しわけない、そういう気持ちでいっぱいであります。  総理、あなたは今国会の所信表明で、「議会制民主主義の発展には政治倫理の確立は必須」と強調し、「政治倫理は、一面、政治家がいかに高い道徳性を発揮するか、他面、政党がいかにして国民の納得のいく清潔澄明な活動と機能を確保するかにある」、こう表明したのです。その言やよし。だが、あなたは国会論戦が始まると、政治倫理の中核とも言うべき田中問題に対し三権分立論で逃げ、事件の結果は最高裁で確定すると、あたかも一審判決を否定するかのごとき言辞を弄し、有罪判決後は長考一番沈黙する。田中辞任説得に政治生命をかけるとふれ込んだホテルでの密室会議は、犯罪人に対し「側隠の情を禁じ得ない」とは何たることですか。茶番劇もはなはだしいと言わざるを得ないのであります。先ほど、石にかじりついてもと強調しておりました。ならば、この田中辞任問題になぜ職を賭して石にかじりついても辞任に追い込まないのですか。  先日来、ドイツのコール首相レーガン米大統領の来日する中で、総理は世界の政治家あるいはリーダーと、こう自認しておりますが、ニクソン米大統領をみずからの良心に基づいて罷免した米連邦議会の高い倫理観や、秘書のスパイ事件でみずから連邦首相を辞任したブラント西独社民党党首の政治責任のとり方を見るときに、あなたとは全くまさに月とスッポン、ためにする論理を振り回し、田中辞任勧告決議案を葬り去らんとしている総理の態度に私は寒々としたものを感ずるのであります。総理所見を伺いたいと存じます。  さらに、秦野法務大臣がみずから法の番人を放棄し、犯罪人擁護の放言を行っていることは断じて許すわけにはまいりません。総理見解をお聞きしたいのであります。  次に、レーガン米大統領の来日にかかわって最も基本的な問題について質問いたします。  それは、グレナダに対するアメリカ軍の侵略問題であります。ソ連軍のアフガニスタン侵攻に対し、政府はこれを批判し厳しい対ソ経済制裁をいまも続けております。これに対し、グレナダにおける米人救出、カリブ海六カ国の要請などを口実に、独立国家に米軍が侵略したことについては「理解できる」として国連総会の決議に棄権をする、一体どのような論理ですか。西側の一員であるフランス、西ドイツ、英国においても強い批判が米国に加えられているときに、何ら合法性を持ち得ない米軍侵攻は明らかに侵略であります。これを「理解できる」などということは、日米安保条約を結ぶわが国に対し、逆の足かせを国民に一層課するものであります。総理並びに外務大臣の答弁をいただきたいと存じます。  次に、行政改革に関する幾つかの基本問題について質問いたします。  まず第一に、去る八月、政府が明らかにした「一九八〇年代経済社会の展望と指針」について質問いたします。  これまでの経済計画と大きく異なり、今回の「展望と指針」は、実質経済成長率年平均四%程度、名目成長率六から七%程度、消費者物価年平均上昇率三%程度、卸売物価一%程度という数値しか示しておりません。国民所得、公共投資額、社会保障移転費、租税負担など、国民にとってきわめて関心のある数値は一切捨象されています。ネオキャピタリストを自認する総理にとって、計画なる言葉は社会主義を想起させ、数値の提示は市場経済への介入、民間活力の阻害だと言いたいのでありましょうが、古典的夜警国家ならいざ知らず、現代資本主義国家において、国民にとってきわめて関心のある数値を捨象したということは計画的政策運営の放棄にも等しいものと考えますが、総理並びに経済企画長官所見を伺いたいと存じます。  第二は、行政改革と「展望と指針」との関係についてであります。  総理はみずからを行革内閣と称していることから、一連の臨調答申の実行は総理の政治生命の根幹をなしていると同時に、政治的には「展望と指針」及び臨調答申は一体をなしておると考えます。それならば、臨調答申の前提をなしている租税及び社会保障にかかわる国民負担率も、当然のことながら「展望と指針」に組み込まれていると考えるのがあたりまえでありますが、総理並びに経済企画長官、いかがでありましょう。  すなわち、現行三五%の国民負担率を四〇%から四五%に引き上げることが臨調答申の前提とされています。現時点でこれを計算すれば、一〇%引き上げることによる国民負担額はおおよそ二十七兆円となり、これを「展望と指針」に沿って八年間で段階的に達成しますと、毎年三兆四千億もの巨額の負担を国民に課していくことになるではありませんか。論理的にはこのような新たな負担を国民に課していかざるを得ないにもかかわらず、「展望と指針」において全くこれをネグレクトしていることは、国民を愚弄するものだと言わざるを得ません。  そればかりか、こうした数値が明らかになるからこそ、政府は従来の経済計画とは大きく趣を変え、抽象的な「展望と指針」に変形させ、国民から政策的なフリーハンドを得ようとしたのではありませんか。総理並びに経企庁長官の答弁をいただきたいと存じます。  さて、五十九年度予算編成にかかわるマイナスシーリングによっても、なおかつ財政中期試算に基づく要調整額四兆一千六百億円の削減効果は一兆四千億にとどまり、巨額な財源不足は避けられないこととなっております。この不足額は、先ほど私が指摘した国民負担の引き上げ額に近い数字であることはあえて言うまでもありません。市場面から見た公債増発の制約なども勘案すれば、政府がどのようにごまかそうとも、早晩、臨調答申の言うように、そしてまた十一月十六日に発表されました税調答申に沿って四五%から四〇%の国民負担ラインに向けて走ることは明らかであります。  増税なき財政再建を口にし、臨調答申の言う国民負担率増を政府はとらないと強弁するならば、来年度予算編成においては一切の増税及び社会保障負担の引き上げは行わないことを言明すべきだと考えますが、総理並びに大蔵大臣の確たる答弁をいただきたいと存じます。  第三に、「展望と指針」において地域経済振興が強調されておりましたが、これと地方財政との関連においてお尋ねします。  地域経済振興がわが国経済の改革と発展の大きなかぎであることは、かねがねわが党が主張してきたところであります。しかし、地域経済と地方財政が表裏一体の関係にあることを考えれば、約六十兆円もの借金を抱える地方財政の健全化がまず必須条件であるにもかかわらず、「展望と指針」ではその具体的な方策を何ら示しておりません。今後地方財政は公共投資全体の中でどのような負担と役割りを占めるのか、また健全化はどのように推進するのか、自治大臣並びに経企庁長官からお示しいただきたいと存じます。  第四に、許認可事務整理合理化についてお尋ねします。  臨調答申は、「制度の濫設防止及び規制廃止又は緩和」、「事務民間団体への委譲」、「制度の仕組みの簡素化」、「運営合理化」の四つの整理合理化基準を定めて、具体的事項を列記いたしております。ところが、提案された行政事務簡素合理化及び整理に関する法律案においては、先ほども答弁があったように、答申どおり簡素合理化した省庁は皆無であります。それどころか、運輸、労働、農林水産省においては最も答申をネグレクトしていると言っても過言ではありません。この際、総理は次期国会において改正案を提出することを確約すべきだと考えますが、決意のほどを伺いたいと存じます。  最後に、行政監査に関連しつつ、総務庁設置法案の問題について質問いたします。  現代国家が行政国家への傾斜を深めつつあるとき、行政監査機能行政府から独立した国民的監査機関にゆだねることは国際的な潮流であります。現行の行政管理庁国民行政監査と何ら制度的接点を持ち得ないばかりか、他方では行政権の肥大化が著しく高進している今日、わが国行政管理を国民行政監査に移行させることは緊急な課題であります。  ところが、今回の総務庁設置法案においては、こうした国際的傾向はもとより、国民的願望は物のみごとに裏切られているのであります。人事管理という行政監査を一元化し内閣の内ふところに再編するなどということは暴挙と言わざるを得ません。権力主義的発想に立つ中曽根内閣の本質がまさにここに露呈されており、これによって国民は、行政に対する民主的なチェックの権利をいままで以上に奪われることとなるのであります。総理の答弁をいただきたいと思います。  以上、私は幾つかの質問を申し上げました。今国会を通じ国民の政治不信と政治に対する絶望感は限界に達しておると感じます。総理はこのことを正しく受けとめ、言行一致国政に対処されんことを切望して終わりたいと思います。(拍手)    〔国務大臣中曽根康弘君登壇拍手
  17. 中曽根康弘

    国務大臣(中曽根康弘君) 佐藤議員にお答えを申し上げます。  まず、政治倫理及び秦野発言の問題でございます。  ともかく、国会が三十日余にわたりまして空転いたしましたことは、まことに国民皆様方に申しわけなく、遺憾に存ずる次第でございます。しかし、この原因にはやはり与野党間における考えの相違というものがございまして、それが埋められなかったということはまことに残念な次第なのでございます。  田中議員の進退に関する問題でございましたけれども、いわゆる田中辞職勧告決議案というものは、前からしばしばここで申し上げておりますように、憲法あるいは国会法によりまして国会議員の身分は非常に保障されておるわけでございます。除名するにしても、あるいは資格争訟によって国会から外へ放逐するにいたしましても、三分の二の多数を要する。一回除名して外へほうり出しても、選挙民が当選させてきたらこれを拒むことができないとまた書いてあります。  これらはいずれも、国権の最高機関であるこの国会を構成する機能の中で、少数者の保護あるいは言論の自由の確保のためにそのような配慮がされておるとわれわれは考えるのであります。したがいまして、事実上政治的に二分の一の多数で国会議員をそのように辞職させるという効果を及ぼすようなことがあれば、憲法や国会法の保障が空文に帰するおそれがあります。  かつて、日本の国会は、軍部華やかなりしころ、粛軍演説をやりました齋藤隆夫先輩をほとんど大多数で除名したのであります。そのときには、国民もあるいは新聞も恐らく一致して、そのときの熱情に駆られてやったと思うのでありますが、後で考えれば重大なる間違いを時の国会は犯しておったのであります。したがって、われわれは、長期的に国会の尊厳性や国会の保障している重要なポイントについては譲るべからざるものが政治家としてなければならぬと、そのように考えておるわけなのでございます。  仮に、多数党がその自分たちの考えによって、二分の一で同じような決議案をどんどん出して、少数党の党のリーダーその他を同じような目に遭わせたら、国会はめちゃめちゃになってしまいます。そういう面からも、われわれは自粛自戒して、少数者保護、言論の自由の確保という議会政治の真骨頂を守らなければならぬと、そのようにわれわれは考えてやった次第なのでございます。  議員の進退は、前から申し上げますように、終局的には選挙民の意思あるいは本人の意思でしかるべきでありまして、第三者が憲法や国会法にそぐわない方法によって強制すべきことはなじまないと私は考えてきておる次第でございます。しかし、政治家としてあるいは政党として、政治倫理の問題は重大な問題でございます。個人の進退は個人が行うべき問題でございますけれども、政治倫理全体はやはり政党や政治家が真剣に取り組まなければならぬ問題なのであります。  そこで、先般来われわれは、先ほど申し上げました考えを私は党の幹部にもお示しし、また昨日来、新自由クラブとの間でこれに関する話し合いが成立いたしまして、政治倫理協議会の創設、それから懲罰事案に対する国会法の改正、大臣等の資産公開の義務づけ、政党法の制定検討議員定数不均衡是正問題に対する措置、情報公開制度等の創設協議、この数点にわたりまして新自由クラブと意見の一致を見まして、そしてこれを国の、われわれの指針として実行していく、一つ一つ実現していくという約束をしたのでございまして、私はこれが政治倫理の一番大事な点になるのではないか、そのように考えておるところでございます。  次に、グレナダの問題でございますけれども、この事件が起こりましたときに、私は、このような武力行使を行ったことは遺憾である。しかし、いろいろ調べてみると、あのカリビアン機構の諸国の要請、あるいは住民の保護、こういう点を見ると、ソ連がアフガニスタンに侵入したのとは状態がまるっきり違う。アフガニスタン侵入の場合にはちゃんと政府があったわけでございますけれども、グレナダの場合にはほとんど無政府状態になって、住民の生命、財産が脅かされておった、そういうような情勢等も踏まえまして、理解はできる、しかし遺憾である、速やかにこれが常態に復することを期待すると、そのように私申しました。  アメリカはその後努力いたしまして、撤兵を次々に行い、また新しい内閣も形成されるという状態になってきたわけでございます。そういう状態を見まして、今度出ました決議案内容を見ますと、それらの情勢が必ずしも忠実に反映されていない部分がございました。したがいまして、われわれはこれに対しては態度を留保した態度、それをとったというところなのでございます。  次に、「一九八〇年代経済社会の展望と指針」の問題について御質問をいただきました。  現在の経済社会全般を見ますと、きわめて流動性がございますし、また新しい技術革新等の展望もございまして、どういうものが出てくるかなかなか予断できないような情勢でもございます。そういう点からいたしまして、定量的な性格のものをつくるということはまだまだ不安定要因が多過ぎる、したがいまして定性的判断のものにしたい、そういう考えに基づきましていまのような「展望と指針」にした次第なのでございます。  そして、国民負担の問題につきましては、来年度予算編成等々におきましても、われわれは増税なき財政再建という原則を守ってまいるつもりでございまして、原則として国民負担はこの度合いは変えない、こういう考えでまいります。これが臨調答申の指示している点でもございます。この国民負担の割合というものは変えない、その原則を貫いてまいりたいと思っております。  さらに、許認可整理の問題でございますが、この許認可事務につきましては、国民負担軽減等から見ましても思い切ってやらなければならぬところでございます。  臨調は、全許認可等について審議しました結果、当面改革を要するものとして第五次答申において二百二十二の事項を指摘してまいりました。今回の法律改正は、その事項の中で法律改正を要する七十二事項についてその半分を整理しよう、そういう考えで御提案を申し上げている次第でございます。なお、さらにわれわれは、新行革大綱に基づきましてこれらの整理を次々に進めてまいる考えでおります。  次に、行政監査のための今度の機構改革の点でございます。今回の総務庁設置法行政監査の目的から逆行するのではないかというところでございます。  人事管理あるいは機構定員管理等に関する総合調整機能、それから行政監察機能という面で総合的な統括を行う。行政管理庁総務庁総理府外局でありまして、行政管理庁という名前、総務庁という名前を持ってきたわけでございまして、この総合総括という機能においては私は適当であると考えております。  最後に、秦野発言の問題がございました。  私は、秦野法務大臣を呼びまして注意をしたところでございます。あの内容を読んでみますと、なかなかいいことを言っている面もございます。しかし、やはり大臣としては懇切を欠き、説明不十分の点もあったと思います。懇切を欠き説明不十分であった。いま八百屋と魚屋の話が出ましたが、ああいう部分もそうだと私は思っています。そういう点は以後注意するようにと、しかし秦野法務大臣は非常に正直者で、私は相当な情熱家で正義漢で、そして特に法務大臣として人権擁護に非常な心を砕いている善人であると思っております。したがいまして、注意をいたしましたのでそれでたくさんである。以後注意するようにということで、本人もそのようにいたしますということでございますから、御了承願いたいと思う次第であります。(拍手)    〔国務大臣安倍晋太郎君登壇拍手
  18. 安倍晋太郎

    国務大臣(安倍晋太郎君) グレナダ事件につきましては、すでに総理から申し上げたとおりでございます。  わが方としては、これまですでに何回か申し上げましたように、実力行使を含む事態の発生を見るに至ったことは遺憾であると考えておりますが、一方、今回の米国の行動については、米国人の安全確保の問題や、あるいは関係諸国の強い要請の事情があったと理解をいたしております。国連総会における決議案の投票に当たっては、同決議案に右の事情に対する配慮が反映されてないと、こういうふうに考えましたので棄権をいたしたわけであります。  いずれにいたしましても、事態が安定化し、米国を含む外国軍隊の撤兵が一日も早く完了することを望んでおるわけでございます。(拍手)    〔国務大臣塩崎潤君登壇拍手
  19. 塩崎潤

    国務大臣(塩崎潤君) 佐藤議員の御質問にお答えいたします。  まず第一に、今回の「展望と指針」は、一九八〇年代の経済社会の構図と政策運営の指針をできる限り内容的に、いわば定性的にとらえることに重点を置いたのでございます。しかし、数量的には、最も基本的な重要な要素でございますところの成長、物価、雇用について数値、目標を示しているところでございます。このことはただいま総理がお答え申し上げたところでございますが、内外における経済社会の非常に速い、しかもときに大きな変化に常に弾力的に対応していくためと考えるところであります。  しかし、これまでの経済計画に見られましたような各部門におきますところの数値等につきましては、必要に応じまして、また適当な時期にできる限りリボルビングといったような具体的な適切な形で示すことを考えているところでございます。  次は、わが国国民負担率の問題でございます。  わが国国民負担率はヨーロッパ諸国のそれよりも相当低位にあるという現状認識の上に立ちまして、これを、ただいま総理も言われましたが、できる限り守っていく、負担増加を極力避けるという考え方をとりまして、今回の「展望と指針」では、国民負担率はヨーロッパ諸国の水準よりかなり低い水準にとどめることが望ましい、このような考え方をとっているところでございます。五十九年度予算編成においてもこのような考え方で行われるものと考えます。  第三に、地方財政の問題でございます。  「展望と指針」では、厳しい地方財政の現状を踏まえまして、国の行財政改革と同じような考え方から、徹底した見直し、合理化に努めることによって「交付税特別会計における借入金依存からの脱却と地方債依存度の引下げに努め、収支の均衡を回復するよう、その健全化を推進する。」このような方針を打ち出しているところでございます。  以上でございます。(拍手)    〔国務大臣竹下登君登壇拍手
  20. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 私に対する御質問、いわゆる増税なき財政再建という理念、これらから考えた場合の税調の中期答申なり今後の考え方についてのお尋ねであったと理解をいたします。  今回の中期答申はまさに税制調査会答申でありますが、第一に、財政改革を進めるに当たってはまず徹底した経費の節減合理化による歳出の抑制に努むべきである、その際は、まさに制度、施策の基本にまで立ち返った歳出構造の抜本的見直しが必要であるという要請がまずされております。そして歳入面になりますと、社会経済情勢変化に対応して絶えず見直しを行い、税制をより公平かつ経済に中立的なものとして努めるべきである、こういう基本認識のもとで、個別税目について今後の検討の方向を示されております。これはきわめて私は基本的な考え方であり、常識的なものであると思います。  こうした答申考え方は、したがいまして増税なき財政再建という基本理念のもとに、安易に増税を念頭に置いてはならぬ、まず行財政の守備範囲を見直すべきだという私どもの考え方基本的に相通ずるものである、このように考えております。  なお、中期答申は、中長期的観点から見た税制のあり方につきまして定性的な指針を示された、言ってみれば税制哲学と、こういうことが明瞭にされておるというふうに認識すべきであると考えております。したがって、来年度の問題につきましてはいま具体的なことを申し上げる段階には、税調審議等に予見を与えることになるわけでございますけれども、少なくとも増税なき財政再建を基本理念とし、いわゆる一般消費税(仮称)、このような手法はとらないということはかねて政府が申し上げておるところであります。  以上でお答えを終わります。(拍手)    〔国務大臣山本幸雄君登壇拍手
  21. 山本幸雄

    国務大臣(山本幸雄君) 今日の自治の上で、私は、やはり地方文化が根づくということとあわせて、地方経済の振興ということはきわめて大切な問題だと思っております。広域地方圏に合わせまして、今後地方経済の振興策を考えていきたいと、こういま検討をいたしておるところでございます。  先ほど塩崎長官からもお答えありましたが、「展望と指針」の中にも地方財政の問題についても一部触れてございます。しかし、いずれにいたしましても、御指摘のように地方財政は昭和五十年以来構造的な不均衡状態にございまして、これを健全化しなければならないというのは地方財政といたしましては大切な第一の課題でございます。  そこで、いまお話しのように、地方財政の健全化を図っていく上におきましては、先ほど来のお話のように地方行財政の守備範囲の見直し、あるいは行財政運営の効率化を図る、あるいは場合によっては減量化もしなきゃならないかもしれません。あるいはまた臨調の言われるように選択と負担ということも考えなければなりません。しかし、いずれにいたしましても、地方自治の自主性、自律性というものをきわめて重視をしながら、その中で私はいまのような問題を適切に処理をしながら地方財政の健全化という方向に進んでまいりたい、かように考えておるところでございます。(拍手)     ━━━━━━━━━━━━━
  22. 阿具根登

    ○副議長(阿具根登君) 中野明君。    〔中野明君登壇拍手
  23. 中野明

    ○中野明君 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、ただいま趣旨説明のありました行革関連六法案に対し、総理に質問を行います。  まず、政治倫理の問題でありますが、先ほど来お話がありますように、去る十月十二日、わが国司法史上初めて現職総理の犯罪が裁かれまして、実刑四年の有罪判決が下りました。  田中元総理は、直ちに所感なるものを出して居直り宣言を行いまして、大多数の国民はあっけにとられたのであります。そればかりでなく、与党自民党内までも批判の高まりが出てまいりました。最近では中曽根内閣の主要閣僚さえも、総選挙を前に、田中議員にやめてもらいたいと言っている始末であります。私たちは、十月十二日の判決を受けて、田中元総理の政治的、道義的責任を明らかにするために田中議員辞職勧告決議案衆議院会議に上程して田中問題のけじめをつけて、その上で山積する内外の諸問題の処理に取り組むべきであると主張してまいりました。  にもかかわらず、政府・自民党、なかんずく中曽根総理・総裁はリーダーシップを発揮せず、これらの主張に耳を傾けることなく辞職勧告決議案を棚上げし、審議を拒否し続け、この大事な一カ月を浪費させてしまったのであります。その責任は、中曽根総理を中心とする政府・自民党にあることは国民周知の事実であります。総理は、この事実に対しどう責任を感じておられるか、お答えをいただきたいと思います。  また、あろうことか、法を守るべき立場にある秦野法務大臣、ただいま総理は大変いい人だとか弁解をしておられましたが、この発言は言語道断でございます。ロッキード裁判の田中元総理をめぐる新聞報道を「巨大なリンチ」ときめつけております。あるいは先ほど来出ておりますように、正確に読んでみますと、「政治家に古典道徳の正直や清潔などという徳目を求めるのは、八百屋で魚をくれというのに等しい」、明らかに言っております。これは言葉が足りないのじゃなしに、正確に言っております。「この程度の国民なら、この程度の政治ですよ。」などと不謹慎きわまる発言を連発していることはまさに政治家としてもその資質を問われる発言であり、国民を愚弄する言語道断の暴言であります。現職法務大臣として断じて容認することのできない発言ではないでしょうか。総理は、法務大臣を罷免に値すると私どもは考えておりますが、いかに対処されるおつもりか、御答弁を求めます。  さて、行政改革と財政再建について総理基本的な考え方をお尋ねいたします。  政府はしばしば行政改革と財政再建は車の両輪との考えのもとに、財政の帳じり合わせに重点を置き、みずからの失政のツケを文教、福祉予算などにしわ寄せをして、弱者にしりぬぐいをさせようとする傾向が目立っております。真に国民の求める行政改革を断行すれば、当然財政問題が後に続いてきて解決される、このように私どもは考えております。行革基本であり、あくまで行革が根本であるという考え方が大切であると思います。総理行政改革と財政再建についての基本的な考え方をお示しいただきたいのであります。  さて、議題となっております行革関連法案は、総理の目指す行政改革の第一歩と言われておりますが、行革は、この基本となるのは高度成長下に肥大化した行政機構のぜい肉を取ることにあります。すなわち機構減らし、人減らし、金減らしであります。しかし、残念ながら今回の法案はそのいずれも欠落しております。そうであれば、この点について今後どのように考え、それをどのように進めていくのか、将来の構想が明らかにされなければならないのであります。最初にこの点について総理の確たる見解をお伺いしたいと存じます。  次に、行革関連法案についてお伺いいたします。  この行革関連六法案につきましては、すでに衆議院において、わが党初め中道四党に与党自民党が加わり、国家行政組織法改正案が修正されております。この内容は、法律事項から政令事項にゆだねられる省庁の局、部の改廃について、その状況国会へ報告する国会への報告義務、及び五年後に局、部などの総合的検討官房、局の設置数の上限百二十八の見直しなど、国会の審議権、行政関与監督権の調整が図られたものであります。総理衆議院での修正をどう考えておられますか。総理の往年の主張である行政府に対する立法府のチェック機能を重視すべきであるという持論からいきますと、まだ十分とは言えないと考えますが、総理はどうお考えでありますか、御答弁をお願いしたいと思います。  他の法律案につきましても、衆議院において公明党を初めとした中道四党の要求事項政府答弁で受け入れられましたが、改めて問題点を指摘し、政府方針をお伺いいたします。  まず、総務庁設置法案等についてであります。  今回の総務庁設置法案は、政府は、臨時行政調査会答申基本的方向に沿って、総理府本府及び行政管理庁組織機能統合再編し、総理府外局として総務庁設置する旨述べられております。しかしながら、臨調答申総理府人事局、行政管理庁及び人事院の事務の一部を統合し、人事組織による調整機能活性化とその総合的な機能発揮のため総合管理庁の設置提言しているのであります。私は、今回の総務庁設置法案は、総合調整機能の強化は色あせ、単に総理府行政管理庁の局の組みかえにすぎないと思うのでありますが、臨調答申と今回の法案との関連について総理はどのような見解を持っておられるか、お伺いいたします。  言うまでもなく、行政改革の柱は中央省庁整理統廃合であります。私は今回の総務庁設置を名実ともにその一里塚にしなければならないと考えますが、総理の御答弁をお願いいたします。  次に、地方出先機関の問題についてであります。  今回の措置は、臨調答申に基づくものとはいえ、昭和四十七年に国会で廃案となった法律案のいわば焼き直しであります。看板のかけかえにすぎないと思うのであります。臨調答申は、出先機関整理合理化について、ブロック機関府県単位機関に分けて幅広く統廃合を提言しているのでありますが、今後この地方出先機関改革についてどのような手順で推進されていくおつもりなのか、総理から明確な答弁をお願いしたいものであります。  次に、許認可等と機関委任事務整理合理化について伺います。  現在、許認可等は約一万件と言われ、法律数は五百二十から五百三十、今回はその中の三十九件、法律数にして二十六法律改正をしているにすぎないのであります。また、機関委任事務にしても、三百九十八法律あるうちわずか四十五法律改正をしているにすぎないのであります。しかも、機関委任事務整理合理化に当たって重要な視点である地方分権の推進という面に欠けているのであります。総理は今後どのような方針機関委任事務整理合理化を進めるお考えか、また地方分権の推進という視点の重要性についてどう考えておられるか、お尋ねいたします。  次に、今後の行政改革を進める上で特に重要である専売公社、電電公社の経営形態問題についてお伺いをいたします。  専売公社の経営形態問題は、さきに自民党行財政調査会は専売公社改革案をまとめましたが、この内容について、政府の臨時行政改革推進審議会から新しい組織の経営形態がはっきりしない点や民営化への将来展望が示されていないなどの点が指摘されております。総理は今後どのように指導力を発揮され、臨調答申に沿った内容に近づけていくおつもりか、お尋ねしたいのであります。  さらに、電電公社の改革についてでありますが、わが党は、かねてより電電公社の経営形態については、今後の事業発展の展望から見て、現行の公社制度から当面公益性を重視した特殊会社に変更し、電報電話事業及びデータ通信回線サービス事業等は新しい特殊会社によって一元的に行うべきであり、分割民営化は慎重にすべきと考えております。自民党行財政調査会でも特殊会社方式での結論が出されたと伝えられておりますが、電電公社の改革について次の通常国会にはどのような中身で法案提出されるおつもりか、中曽根総理見解をお伺いしたいのであります。  最後に、総理は再三にわたり、行政改革に政治生命をかけ断固やり抜くと決意を述べておられます。しかしながら、行政改革という大事業は、総理の決意も大切ではありますけれども、決意だけで成功するものではありません。一にかかって国民の政治に対する信頼と協力が大前提となります。いまほど政、官、財界を初めとして倫理の確立を求められているときはありません。私どもが真っ先に政治倫理の確立を叫ぶ理由がここにあります。  先ほど来総理は、倫理問題は大切だ、このように述べておられます。しかし、個人が倫理に外れたときにはこれはもう本人の自由に任せると言わんばかりの答弁であります。これでは国会がその機能を発揮することはできません。総理の確固たる答弁を期待して、私の質問を終わる次第でございます。(拍手)    〔国務大臣中曽根康弘君登壇拍手
  24. 中曽根康弘

    国務大臣(中曽根康弘君) 中野議員にお答えを申し上げます。  まず第一は、いわゆる田中問題に関しての御質問でございます。  国会空転しましたことは、まことに国民皆様に申しわけなく思っておる次第でございますが、この政治倫理の問題もまた非常に重要であるとかねがね申しておるとおりでございます。私は、個人の問題とそれから政治家ないし政党という観点からとらえる問題とやはり差があると思っておるのであります。  私は田中議員とは昭和二十二年に同じく国会議員になりました同僚でございまして、自来三十六年にわたりまして、独立へあるいは日本の復興へ向かって協力をし合ってきた同僚議員であり、友人であります。そういう意味におきまして、一個人として、一友人として田中議員に会いまして、約一時間四十分にわたりまして時局の状況を互いに話し合い、これに対する収拾、所見等も述べ合い、そして私個人としてできる限りの助言をいたしたというのが真相でございます。しかし、これはあくまで個人、友人としての行為であります。  しかしながら、国会としてあるいは政党としてどうするかといいますれば、先ほど来申し上げましたように、政治倫理全般をとらえましてどのように政治を澄明清潔なものにしていくか、制度的にどうするか、また個々の議員がいかに自粛自戒する方法を講ずるかということがわれわれの課題になってくると、そう思っておる次第なのでございます。  特に、先般来申し上げますように、国会議員は憲法及び国会法等におきましてその身分が保障されておるわけでございます。これはやはり言論の自由、それから国会議員としての独立性というものを考えましてそのような特別の配慮がなされておるのでございます。その背景には少数者保護という面も強くあるわけでございます。多数党の横暴を排除するために三分の二というものが特に明記されておるわけでございます。そういう意味におきまして、二分の一の過半数で政治的にある決議案を通して、ある意味における強制力、影響力を持った形でやるということが結果的にどういうことになるかということを考えてみますと、にわかに賛成することができないのであります。やはりわれわれはこの少数者の保護、言論の自由の確保という問題は議会政治の生命体であると考えておりまして、われわれはそのような見地に立ちまして行動しておる次第なのでございます。  具体的な改革問題につきましては、先ほど申し上げましたように、新自由クラブとの間におきまして話し合いができまして、あれらの項目を誠実に実行してまいりたいと思っておる次第でございます。  次に、政局に関する問題でございますが、先ほど来申し上げますように、両院議長さんから御判断をいただきまして、私はこれを尊重しておるわけでございます。解散の期日を明示したということはございません。  ともかく、中曽根内閣行革、減税等を中心にするこの全法案の成立にかけておるのでありまして、これは臨時国会をお願いするときから私が申し上げておるわけなのであります。この不退転の決意で全法律案、特に減税やら行革法案を成立させるという、この願いのもとに一切をかけて行動しておるわけでございまして、議長さんの御判断の中にもその点に関する保証があったように考えております。したがいまして、その後、国会審議の正常化の問題やら全法案の成立がどういうふうになるかという推移を見まして、この時局に関する私の判断も固めていきたいと、このように考えておるところでございます。  秦野発言につきましては、先ほど申し上げましたように、本人に以後注意と、本人も釈明してまいっておりまするので、御了承願いたいと思う次第でございます。  次に、行政改革、財政再建の基本的な考えをお尋ねいただきました。  行革と財政改革というものは車の両輪のごときものでございまして、新しい時代に対応して機動力のある、活力のある政府あるいは国民生活をつくっていくために、いまどうしても回避できない大きな仕事になっておるわけでございます。このような意味において、まず臨調答申基本にして、その臨調答申のプリンシプルに沿って財政の改革あるいは経済展望というものが出てまいるわけでございます。経済展望はすでに出てまいりました。今度は財政改革の長期構想につきまして大蔵省に鋭意検討させておるところでございます。要するに、歳入歳出構造を全般的に見直して、そして次の時代にたえ得る活力ある政府をつくっていくということが中心ではないかと思いまして、そのように努力してまいりたいと思うところでございます。  この改革につきましては、時代変化に即応した再編成によって行政機能、役割りを適切なものに改めるという趣旨のもの、今回の国家行政組織法改正総務庁設置法案がこういう性格でございます。行政の実質的な簡素化、効率化を目指すもの、これは府県単位機関整理法案あるいは許認可事務機関委任事務等の整理法案等がこれに当たります。  なお、具体的に人員等の削減問題につきましては、毎年度予算編成のときに現実的に千四百人とかあるいは千七百人とか、次第次第に実際の削減をふやしておりまして、所期の臨調答申でいただいた線に沿いまして、いま実際の人員の削減にかかっておるところでございます。  次に、国家行政組織法の問題でございますが、衆議院段階で御修正をいただきました点はわれわれもよくこれを心得まして、立法府と行政府との調和を適切に行うようにわれわれとしても努力してまいりたいと考えておるところでございます。  次に、総務庁設置問題でございますが、、これは先ほど来申し上げておりますように、人事定員の管理、それから組織の管理、それから行政監察機能、それから特定事項における総合調整機能と、こういう面で一つの役所に統合いたしまして、そして行革の実を上げたいと思って努力しておるところなのでございます。  中央省庁整理統廃合の問題でございますが、今回は総務庁設置法をお願いしておりますが、この国家行政組織法が成立いたしますれば、この法律の適用によりまして、八省庁において自己改革法案をいま用意、準備、検討しておるところでございます。たとえば運輸省は許認可官庁と言われておりますが、政策官庁に脱皮せよ、総合的な陸、海、空を通ずる政策官庁に脱皮する、そういう方向で運輸省の改革法案を準備、検討しておるところであり、八省庁において同じようにやっておるところでございまして、この法案の成立を待ちまして、そちらの方へ速やかに努力してまいりたいと思いますし、また中央省庁の統廃合は今後も引き続き検討してまいりたいと思っておるところでございます。  出先機関整理合理化につきましても、臨調答申から御指示を受けまして、今回は府県単位機関整理をやっておるところでございます。ブロック機関それから府県単位機関府県単位機関の中には支所とか出張所とか事務所とかそういうものもございますが、これらも逐次行革臨調答申の線に沿いまして整理統合をさらに進めてまいるつもりでおります。  機関委任事務につきましても、二年間に全体として少なくとも一割程度の整理合理化を進めよという第三次答申の線に沿いまして、いまそれを行っておるところでございます。なお、臨時行政改革推進審議会におきましても機関委任事務等の見直しをいまやっておりまして、われわれは次に引き続いて機関委任事務整理について邁進してまいりたいと思っておるところでございます。  専売公社の経営改革の問題は、専売公社につきましては要するに企業性とそれから労働三権の問題等がございます。そのほかにたばこの小売人あるいはたばこの耕作者の問題というのもございまして、それらを全部よくにらみながら、十一月一日開催の政府・自由民主党の行政改革推進本部常任幹事会におきまして自民党の橋本行財政調査会長から示された案をもとに、今後政府において具体的作業を進めようということで決定いたしました。公社改革基本方針といたしましては、葉たばこの耕作者あるいは小売人の立場を十分尊重し、配慮を加えながら、企業性と労働三権の問題を調整しようという考えで案をつくって、次期国会提出すべく努力しておるところでございます。  電電公社につきましても、同じようなラインで努力しておるところでございます。  最後に、行革推進する上に政治に対する信頼感が大事であるという御指摘は、まことにごもっともな御指摘であると思います。われわれもただいまの御指摘を身に体しまして、誠心誠意努力してまいりたいと思うところでございます。(拍手)     ━━━━━━━━━━━━━
  25. 阿具根登

    ○副議長(阿具根登君) 安武洋子君。    〔安武洋子君登壇拍手
  26. 安武洋子

    ○安武洋子君 私は、日本共産党を代表して、行革関連六法案に関し総理に対して質問をいたします。  最初に、中曽根内閣、自民党が、田中議員辞職勧告決議案の棚上げと一連の悪法の成立を図るために、単独強行採決、単独会期延長のファッショ的暴挙を相次いで行ったことに対し、厳しく抗議をいたします。また本院でも、わが党は早くからロッキード事件に係る政治的道義的責任究明に関する決議案提出しており、本日の本会議委員会審査省略動議を議題とした上、これを上程するよう強く主張したにもかかわらず、他党の合意を得られなかったことはきわめて遺憾であります。  言うまでもなく、行革の原点は汚職、腐敗政治の根を絶ち、清潔な政治を実現することであります。そのためにいま何よりも優先すべきは、田中元総理議員辞職と政界からの引退を図ることであります。ところが、総理や自民党はさまざまの口実を設け、徹頭徹尾田中元総理を擁護し、田中戦略に沿って、解散までそれに利用しようとしているのであります。  そこで、まず総理に伺いますが、総理はわが党の宮本議長の質問に対し、ロッキード事件の政治的、道義的責任の有無を調査することが国会の役割りであると明確にした七六年四月二十一日の衆参両院議長裁定を尊重すると答弁されました。だとすれば、議長裁定に基づいて田中元総理に対する議員辞職勧告を採決することは、国会として当然の責務ではありませんか。それとも総理は、田中元総理には一切の政治的、道義的責任はないとでも言い張るのでしょうか。中曽根内閣、自民党が田中議員辞職勧告に反対し、田中擁護を図り続けることは、田中元総理の言葉をかりれば、総理は帽子にすぎず、中曽根内閣、自民党は、田中元総理と田中軍団の数の論理によって強力に支配されていることを自認するものとみなされても仕方がないのではありませんか。明確な答弁を求めます。  先般、総理は田中元総理と会談し、田中元総理に惻隠の情を示し、その経過を報告した総務会では涙まで流されました。しかし結果は、田中元総理の居直りを確認しただけなのに、それでけじめがついたとし、悪法の採決が強行されました。そこでお伺いをいたします。  一つ、何ゆえに一国の総理が刑事被告人である田中元総理とわざわざ時局諸問題について懇談をする必要があったのですか。  二つ、時局諸問題というと、解散問題についても話し合ったのですか。  三つ、友人として助言したと言っておられるが、何の問題で何の助言をしたのですか。  四つ、この会談でけじめがついたとしておられるが、何にどんなけじめがついたのですか。  以上四点について総理の明確な答弁を求めます。  さらに許しがたいのは、秦野法務大臣の暴言であります。政治家に徳目を求めるのは八百屋で魚を求めるようなものなどと汚職政治を当然視する暴言は、みずから法務大臣の資格のないことを明白にしたものであり、全国会議員に対する重大な侮辱でもあります。総理に対し即刻罷免するよう強く要求いたしますが、明快な答弁を求めます。  総理は、行革国民的な支持を受けていると強弁されています。しかしその中身は、軍拡と大企業奉仕を優先する一方で、福祉、教育、中小企業、農業など国民生活のあらゆる分野への犠牲の押しつけになっております。だからこそNHKの調査でも、国民生活へのしわ寄せが目立っているという声が圧倒的になっております。健康保険法の大改悪や私学助成の大幅切り下げなど国民生活破壊の方針を撤回するとともに、四十人学級の凍結などを決めたさき行革一括法を直ちに廃止するなど、国民生活擁護の方向に転換することこそが国民の声にこたえる道ではありませんか。答弁を求めます。  臨調行革は、増税なき財政再建を一枚看板としてきました。ところが、政府税調の新中期答申を貫くものは、増税なきどころか、まさに増税への異常な熱意であります。現に政府の減税なるものが酒税、物品税など間接税増税と抱き合わせのものであり、最低税率の引き上げも含め、圧倒的な国民にとっては減税どころか税負担の増大をもたらすものであります。  総理答申は、国民が最も知りたい租税負担率をどうするか、これについて肝心の数字を押し隠しておりますが、一体どの程度引き上げるおつもりですか、お伺いをいたします。  次に、国家行政組織法関係法案は、行政組織の改編に対する国会のコントロールを骨抜きにしようとする、憲法原則と議会制民主主義を真っ向から踏みにじるものでございます。  現行法が部局の設置法律事項としてきたのは、当時の本院決算委員長が本会議報告で、「従来の旧憲法の官制大権のごとき思想をさらりと捨てまして、すべては国民の代表たる国会におきましてこれを決定すべしとする国会至上主義の実現であります。我々憲法を最も合理的に運用せんとする考えを持つ者にとりまして、これは重大原則の確立であります。」と述べているところでも明白であります。今回の二法案は、この重大原則を突き崩そうとするものではありませんか。この点でも議会制民主主義に対する根本姿勢が問われているのであります。総理の明快な答弁を求めます。  総理さきの日米首脳会談で、レーガン大統領によれば、総理はアメリカの要請にこたえて軍事分担についての重要分担を約束したと言われております。総理は一体どのような軍事分担を約束されたのか、その内容を具体的に明らかにしていただきたい。答弁を求めます。  行革の名のもとに、国民生活の全分野にわたる犠牲を求めているそのときに、日米運命共同体路線に基づいて重要な軍事分担を約束し、さらに軍拡を進めようとする、これこそが中曽根行政改革の実態であります。いま、軍事費を削って福祉、医療、教育に回せ、この声は日米欧九カ国の世論調査の結果によってもすべての国で過半数を占め、文字どおり国際的潮流となっているのであります。軍縮こそが真の行政改革ではありませんか。  わが党は、軍拡と国民生活犠牲の中曽根行革に反対し、汚職、腐敗を一掃して真の行政改革推進するために全力を挙げて闘うことを表明し、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣中曽根康弘君登壇拍手
  27. 中曽根康弘

    国務大臣(中曽根康弘君) 安武議員にお答えをいたします。  まず、政治倫理の問題でございますが、先ほど来申し上げましたように、政治倫理政治家にとりましてもあるいは政党各派にとりましても非常に重要な問題であると心得ております。したがいまして、組織といたしまして、党といたしまして、あるいは政治家といたしまして具体的にどういうふうに政治倫理を進めるかという点につきまして、先ほど来申し上げましたように、私は党総裁として党に対して六項目にわたる考えを示し、その検討も依頼してきたところでございます。そして昨日、新自由クラブとの間におきまして話し合いが成立いたしまして、あの項目を実現することに努力してまいるつもりでございます。  私は、個人の問題はなかなかむずかしい憲法あるいは国会法上の問題もございまして、意見の対立するところもあると思いますが、いまのような制度の改革とかあるいは議院全体として行う問題等につきましては、ただいま本院におきましても協議会が成立する由でございますが、ここでいろいろお示しいただいたことをわれわれはこれを検討の上守っていく、それを実行していく、これが政治倫理実現の具体的方法ではないかと考えておりまして、そのようにいたしたいと思うところでございます。  私らが一番心配しておるのは、戦前の齋藤隆夫先生を除名したような、あのような過ちを再び国会が繰り返してはならない、少数者やあるいは言論の自由を傷つけることがあってはならない、これが最大の関心事であり、われわれの責任である、このように申し上げる次第なのでございます。  次に、総理は帽子かという御質問でございますが、私は、内閣首班と言われておるので、帽子ではなくて首じゃないかと思います。つまり頭と顔ではないかと、そう思っております。  次に、田中・中曽根会談におきましてどんな話をしたかということでございますが、これは友人といたしまして、先ほど申し上げましたようにいろいろ時局の問題を話し、かつまた政治倫理の問題も話しまして、友人としての助言をいたした次第でございます。解散問題などはもちろん話してはおりません。  次に、秦野法相の問題でございますが、私は、あの表現が必ずも適切でない、したがいまして、以後注意すべしと言いまして秦野法相に注意を与えました。秦野法相からは私に対しまして釈明がございました。これで御了承を願いたいと思う次第でございます。  次に、健康保険法の問題でございますが、医療保険制度の問題は、臨調答申等にも指摘されておるとおり、行政改革の重要な課題の一つであると思っております。中長期の観点に立ちまして、安定的にこの制度を維持できるように、医療費と負担能力の動向等に対応して給付と負担の両面にわたってバランスをとるように、そして永続的にこの制度を進めることができるように適切な改革をするときに来たと、そういう意味におきまして検討してまいりたいと思っておるところでございます。  次に、行革基本について、国民生活擁護に欠けるのではないかという御質問でございますが、そういうことはございません。やはり活力ある政府国民生活を回復していくためにいまこのような改革をしなければならぬときに来ておるわけでございます。国民皆様方にも御理解をいただいて推進してまいりたいと思いますが、幸いに土光さん等の御努力によりまして、行革に対する国民の皆さんの御理解は非常に深く進んでおると思っております。政府としては、この国民の皆さんの御意思を体しまして公平、公正な行革を進めていきたいと思っております。  私学助成の問題とかあるいはそのほかの諸問題、四十人学級の問題であるとかいろいろな問題もございますが、これらはいずれも臨調答申を受けまして私たちが推進してきた政策でございまして、御理解をいただきたいと思う次第なのでございます。  次に、税調の問題についてお話がございました。  今回の中期答申は、財政改革を進めるに当たっては、まず徹底した経費の節減合理化による歳出の抑制に努むべきであり、その際に、制度、施策の基本にまで立ち至った歳出構造の抜本的な見直しが要請されるとしております。また他面、歳入面につきましては、社会経済情勢変化に対応して絶えず見直しを行い、税制をより公平かつ経済に中立的なものにするように努力すべきである、こういう基本認識のもとに考えが打ち出された次第でございまして、多分に定性的な性格を持ちまして、定量的な性格はございません。われわれは増税なき財政再建の理念をあくまで堅持いたしまして、今後も努力してまいるつもりでございます。来年度予算編成に当たりましても、原則として総合的に負担増をもたらさないような考え方に立って編成してまいりたいと考えておるところでございます。  次に、国家行政組織法の問題でございますが、これは昭和二十二年と今日とはもう大分変わっておりまして、議会民主制、議院内閣制も相当高度に成長し、各役所に対する議会の統制力、監視力というものも画期的に増大して充実してきておるわけでございます。しかも時代は非常に変化に富んだ時代で、行政の方も新しい時代に対応するように自己改革を機動的に適切にどんどんやっていかなければならぬときに来ておるわけでございます。そういう意味から国家行政組織法改正をお願いいたしました次第で、要するに自律的な対応能力をここで認めていただきたいという趣旨に基づくものでありまして、御理解をいただきたいと思う次第でございます。  なお、レーガン大統領との話で、軍事分担について重要な分担を約束したのではないかというお話でございますが、そういうことはございません。これは記者会見に発表したとおりでございまして、これは鈴木・レーガン会談の声明、あの線に沿ってわれわれは今後も努力していくということを一貫して申し上げてきた次第であります。なお、先ほど来申し上げましたように、東京声明につきましてもいろいろ懇談をいたしまして、粘り強く相手方と交渉して、そして交渉のテーブルを離れない、中間的な段階案あるいは漸進案も辞すべきでない、そういうような点についてもレーガン大統領は共鳴していただきまして、これを支持していただくということになったわけでありまして、この線をますますわれわれは堅持してまいりたいと思う次第でございます。(拍手)     ━━━━━━━━━━━━━
  28. 阿具根登

    ○副議長(阿具根登君) 伊藤郁男君。    〔伊藤郁男君登壇拍手
  29. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 私は、民社党・国民連合を代表いたしまして、ただいま議題となっております行革関連六法案に関しまして、総理並びに関係閣僚に質問をいたします。  行政改革は、現下未曽有の財政危機を克服し、活力ある福祉社会建設の基盤を築くために不可避の国民的課題であります。また、行革の断行には総理のリーダーシップの発揮と国民の理解と協力が不可欠であります。そのためには、まず何よりも政治と行政に対する国民の信頼を確保することが絶対必要なのであります。この点、さきの田中元総理に対する有罪判決ほど政治に対する国民の信頼を著しく失墜させたものはありません。  わが国の将来をかけた行政改革は、ここに一大試練のときを迎えているのであります。この試練を乗り越え、行政改革推進できるかどうかは、政治倫理を確立し、国民の政治不信を払拭することができるかどうかにかかっていると言わなければなりません。そして、この点にこそ総理のリーダーシップの発揮が強く求められているのであります。  そこで、私は、まず冒頭に総理にお伺いをいたします。総理は、田中元首相の政治的、道義的責任についてどのようなけじめをつけるおつもりか。また、政治腐敗を根絶するために政府として今後どのような措置を講ぜられるのか、明快なる御答弁をいただきたいのであります。  さらに、これと関連して、さき参議院選挙においては官庁ぐるみの選挙運動が目に余るものがありました。官僚が国民の血税で賄われる補助金や公権力を選挙運動に利用することは許されません。それは国民の政治不信を一層助長させるものであります。官僚の最高の地位にある総理は、今度の総選挙において二度と再びこのような事態が繰り返されないよう厳しく監視すべきであると思いますが、総理の決意をお伺いしたいのであります。    〔副議長退席、議長着席〕  第二に、減税問題についてお伺いをいたします。  政府・自民党は、さきに五十八年一千五百億円、五十九年七千億円の所得税減税を中心とする減税案を提示されましたが、これはその実施時期、規模等あらゆる点において景気浮揚に役立つ相当規模の大幅減税実施を約した与野党合意の趣旨に全く反するものであり、きわめて遺憾であります。のみならず、政府が減税財源確保の名のもとに、来年度において間接税等の大幅増税や所得税の最低税率の引き上げをもくろんでいることはとうてい容認できません。このように小規模で、かつ増税との抱き合わせによる減税によっては、多くの国民の要望である税負担の軽減も速やかな内需主導型の景気回復もとうてい望めません。わが党は政府に対し、このような見せかけ減税の方針の撤回を要求するとともに、国民の各階層に配慮した一兆四千億円の本格的な所得減税の五十八年実施を強く求めるものでありますが、これについての総理並びに関係大臣の御所見を求めるものであります。  第三に、増税なき財政再建についてお伺いをいたします。  中曽根内閣は、これまで臨調答申のかなめとも言うべき増税なき財政再建をその最大の公約としてこられました。しかるに、最近その公約の実現に対する政府の姿勢が大きく揺らぎ、次第に増税の影を濃くし、国民の不安感、不信感を増大させていることはきわめて遺憾であります。一昨日の政府税調の中期答申は、「物品、サービス等に係る課税ベースの拡大」の検討をうたい、将来における大型間接税の導入に道を開くとともに、来年度における物品税、酒税などの大幅増税を認めたものであり、とうてい容認できるものではありません。かかる大増税路線は、政府公約たる増税なき財政再建に全く反するものであり、税負担の軽減を求める多くの国民の要望に逆行するばかりでなく、現在の景気低迷を一層長引かせることは必至であります。  さらに中期答申は、五十八年における大幅な所得減税実施の見送りを追認するのみならず、自動車運転免許税の導入、自動車関係諸税の増税など大衆増税を図ろうとしているのであります。  わが党は、積極経済政策への転換と行財政改革の断行によってあくまでも増税なき財政再建を達成すべきだと考えますが、総理はこの公約を今後も堅持していかれるのでありましょうか。また堅持の際には、増税なきの判断基準たる将来の租税負担率及び国民負担率のめどを早急に明示されるよう強く求めるものであります。  さらに政府は、さきの税調答申を受けて、来年度における物品税、酒税、自動車関係諸税の増税、自動車運転免許税の導入、退職給与引当金の圧縮等による法人課税の強化などを実施されるつもりなのか、また六十年度以降においては大型間接税を導入するつもりなのか、あわせて総理並びに関係大臣の御所見を求めるものであります。  第四に、行政改革の具体的問題点について順次お伺いいたします。  その第一は中央省庁の統廃合についてであります。臨調は、内外情勢変化に伴い、現在の一府十二省体制の改編につながる抜本的な改革案を今後の中長期的課題として提示しておりますが、政府は中央省庁の統廃合をどのように推進しようとされるのか、その計画を示していただきたいのであります。  第二に地方支分部局整理縮小についてであります。地方支分部局は今日、国、地方の二重行政のむだを生み出しているだけでなく、地方の自律性を阻害するものとなっており、将来は現業関係を除いて原則廃止方針を打ち出すべきだと考えますが、政府方針はいかがでありましょうか。  第三に補助金の整理合理化についてであります。臨調答申は、補助金総額の抑制とあわせて補助金の総合化を提言しております。これは現在の一件査定方式による国の細部にわたる過剰な干渉が地方分権を阻害し、陳情行政をはびこらせ、繁雑な事務手続に伴う行政の非効率を助長しているからであります。民社党は、このような弊害を是正するため、第二交付税制度の創設をかねてから要求してきたところでございますが、補助金の総合化について政府方針はいかがでありましょうか。  第四は公務員定数の大幅な削減についてであります。公務員定数の大幅な削減は行革の断行によって可能なはずであります。五年間で実質一割の定員削減を実現するため、私は現在の第六次定員削減計画を改定強化すべきだと考えますが、政府方針はいかがでございましょうか。  最後に、私は、行政改革に名をかりた財政の帳じり合わせに関して政府方針をお伺いいたしたいのであります。  この問題は、これまでも行革の本旨に反し、安易に国民に負担を転嫁するものとして国民の強い反発を招いてきました。にもかかわらず、政府は、来年度において地方交付税借入金の利子や生活保護費、公共事業費について地方負担を増大させるとか、健康保険の給付率を引き下げる等々の方針を示しております。徹底した行革を行わず、安易に負担を国民に転嫁することは、総理の言われる国民と等しく痛みを分かち合うという基本姿勢とは相入れないものであります。  健康保険給付率の引き下げ、地方への負担増などはこの際撤回するよう強く求め、これに対する政府方針をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣中曽根康弘君登壇拍手
  30. 中曽根康弘

    国務大臣(中曽根康弘君) 伊藤議員の御質問にお答えを申し上げます。  まず、政治倫理の問題でございますが、先ほど来申し上げておりますように、政治倫理は政党としても政治家としてもきわめて重大な問題であり、大切にしなければならないと心得ております。したがいまして、新自由クラブとの間で合意を見ました諸項目につきまして、これを誠実に実現していきたいと考えております。このような現実的な、厳にわれわれ自体がみずからを拘束するという拘束性を持たせた自主的な改革をわれわれが自分で行っていくという形で制度的にも前進させていきたいと考えておる次第でございます。  官僚の選挙運動について御質問がございましたが、国家公務員はその地位のいかんを問わず、在職中その地位を利用して選挙運動をすることは厳に禁止されているところでございまして、いやしくも在職中の国家公務員が違法な選挙運動を行っているごとき疑惑を招くような行動は厳に慎むように厳しく指導してまいります。  次に、減税の問題でございますが、今回の減税の規模は、所得税、住民税を合わせて総額一兆二千百億円に上るものでございまして、所得税につきましては、年内にその一部を実施するために、昭和五十八年分の所得税の臨時特例等に関する法律案を、またこれに関した住民税につきまして、個人の住民税に係る地方税法の臨時特例に関する法律案をそれぞれ国会提出して御審議をいただているところでございます。  減税につきましては財源が必要でございますが、大量の国債を出しておる現実下、厳しい財政事情のもとで、与野党の合意に沿いまして政府としては精いっぱいの努力を行った結果であると御理解いただきたいと思います。それと同時に、あくまで増税なき財政再建の理念を堅持いたしまして努力してまいりたいと思っております。  次に、国民負担の問題でございます。  臨調答申では、「今後、高齢化社会の進展等により、長期的には、租税負担と社会保障負担とを合わせた全体としての国民の負担率」について、先進諸国の例にもかんがみ、国民の負担率を「現在のヨーロッパ諸国の水準、約五〇%前後よりはかなり低位にとどめることが必要である。」こう指摘しておるのでございます。また「一九八〇年代経済社会の展望と指針」におきましても、同じように定性的な、望ましい方向として同様の趣旨が述べられておるところでございます。国民負担の問題は、あらかじめ数値を決めて固定的に設定することは現在の流動的な情勢から見まして必ずしも適切ではないと思いますが、この臨調答申等に示されました線に沿いまして努力してまいりたいと思っております。  次に、税調の中期答申を受けまして課税の強化をやるのではないかという御質問でございますが、税調の中期答申は、中長期的な観点から見た税制のあり方についての定性的な指針を示したものであり、直ちに来年度にどのような税法改正を行うかについて具体的に内容を示しているものではございません。来年度の問題につきましては、現在まだ具体的なことを申し上げる段階にはございません。  いずれにせよ、中期答申では課税ベースに触れておりますけれども、中長期的に見た将来の検討課題とされているものの、それをどのような形で具体化すべきかという点については触れられておりません。具体的なことは来年度以降の税制改正の審議にゆだねられることになると思いますが、税調の審議に予見を与えることは私としては差し控えたいと思いますが、課税ベースの広い間接税につきましては、従来から政府が明らかにしておりますとおり、これを念頭に置くことなく対処してまいりたいと考えておる次第でございます。  残余の御答弁は関係閣僚から答弁することにお願いいたします。(拍手)    〔国務大臣竹下登君登壇拍手
  31. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) まず、いわゆる税問題につきましては、それぞれ総理から正確なお答えがありました。  特に、このたびの、いま御審議をいただいております五十八年分の所得税の臨時特例等に関する法律案、この問題につきましては、与野党合意を背景とした衆議院議長見解、また本院における子算委員長見解、そしてまた国会における各種委員会での議論等を詳細に税制調査会の方へお送りいたしまして、それらを土台としていろいろな御議論をいただいたわけであります。したがって、減税を行うには財源が必要であるという原則から考えてみるとき、今日の御審議いただいておる法律は、与野党間の合意に沿うべく政府としてはまさに最大限の努力を行ったものである、このように御理解を賜りたいと思うのであります。  増税なき財政再建、まさに総理からお答えがありましたとおり、安易な増税を念頭に置くということではなく、行財政の守備範囲を見直す、こういう見地から徹底的にこれを堅持してまいるべきものであるというふうに考えております。  そして次には、五十九年度以降のいわゆる補助金問題等に対しての御議論もございました。  補助金というものは、一定の行政水準を維持していくためには重要な政策手段としての機能を持っております。しかし、既得権化したり惰性的運用に陥って硬直化しやすいなどの弊害も従来から指摘されているところであります。こうした弊害を除去して、まさに効率的な財政資金の使用と行政運営の能率化を図るために、すべての補助金等について見直しを行いながら整理合理化を今後とも図っていきたい、このように考えておるわけであります。なかんずく、臨調答申及び行革大綱趣旨に沿いまして、公的部門の分野に属する施策のあり方及び国と地方の間の費用分担のあり方の見直しを行いながら補助金等の総額を厳しく抑制していかなければならぬ、このように考えております。  それから、補助金の統合等の問題につきましては、かねて民社党は第二交付税制度創設等を要求しておられます。これは確かにむだや労力を省き、地方の自主性を尊重するという御趣旨からは十分理解できます。しかし、現実問題としては、たとえば道路整備交付金とか河川整備交付金というように地方団体に一括して交付するという提案にはなじまない問題もたくさんございますので、現実問題としては慎重たらざるを得ないと思っておるところであります。しかし、類似目的の補助金等これらはまさに地方公共団体の自主性の尊重あるいは資金の効率的使用、事務簡素化、そうしたことからいたしまして、極力統合メニュー化を推進してまいりたい、このように考えております。  以上で私のお答えを終わります。(拍手)    〔国務大臣齋藤邦吉登壇拍手
  32. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 私に対しての御質問にお答え申し上げます。  まず最初は、中央省庁統廃合の問題でございますが、この問題は行政改革の重要な課題の一つでございまして、今回臨調答申及び新行政改革大綱に基づきまして総務庁設置などを提案申し上げた次第でございます。今後とも内外情勢変化、事態の推移等を見詰めながら臨調答申に沿って検討してまいりたい、かように考えておる次第でございます。  次は、出先機関整理等々の問題でございますが、今回御提案申し上げておりまする法律におきましては、地方行政監察局地方公安調査局財務部の三つの府県単位の機関をそれぞれその業務の縮小改組を行い、そしてそれぞれの事務ブロック機関にこれを集中して処理していただく、こういうやり方を行い、要員の規模もこれに即応して縮減をいたしたいと考えておるわけでございますが、さらにそのほかの地方の出先機関、支所、出張所等につきましては、五十九年度からその整理合理化を積極的に進めてまいりたいと考えております。  しかし、御提案にありましたように、現業関係を除いて全廃してはどうかという御提言でございますが、この問題につきましては、国と地方の任務分担あるいは財源配分、いろいろな問題等がございますので、一律に廃止するということについてはにわかに賛同いたしかねると思います。  それから次は、公務員の定員削減の問題でもっと改定強化すべきではないか、こういう御意見でございます。  御承知のように、国家公務員の定員削減につきましては、臨調第一次答申を踏まえまして、昭和五十七年度から五年間五%削減するという第六次削減計画を現在実施しておる段階でございます。そうした削減計画の中で、たとえば国立大学の新設とかあるいは国立病院の整備といったふうな新しい緊急な行政需要にこたえながらも、今日まで相当な公務員の縮減をいたしております。たとえば五十七年度におきましては千四百三十四人、五十八年度におきましては千六百九十五人、こういうふうに公務員の数を純減して実績を上げているところでございますので、私どもといたしましてはまずこの計画を着実に実施するということが先決ではないか、こういうふうに考えております。しかしながら、今後とも私どもは定員削減につきましては積極的に努力をいたしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。(拍手)    〔国務大臣山本幸雄君登壇拍手
  33. 山本幸雄

    国務大臣(山本幸雄君) 去る十六日に税制調査会から、「今後の税制のあり方についての答申」というものがあったわけでございますが、この答申の性格につきましては先ほど総理からお話がございました。つまり、これは中長期的な観点から見た税制のあり方について基本的な方向が示されておるものだと思うのでございます。御指摘にありましたような個別の税制の問題につきましては、来年度、五十九年度以降の各年度の税制改正に当たって改めて税制調査会において十分に御審議をいただき、その結論を待って対処すべきものである、こう考えておるのでございます。  それから、民社党からかねて御提案がございまする第二交付税制度の創設ということにつきましては、先ほど大蔵大臣から御答弁がございまして、全く私も同意見であります。地方財政といたしましては、やはり補助金のメニュー化、統一化ということについてはいい方法であると思っております。ただ、公共事業についての補助金を交付税制度に変えるということについては 実際問題として、現実の問題として慎重に検討をすべき課題であるように思うのでございます。その点は先ほどの大蔵大臣の御答弁と同じ意見でございます。  それから、五十九年度予算要求に当たりまして、地方に負担を転嫁しておるのではないかというお尋ねがございました。  これは地方財政も非常な厳しい状態にあります。と同時に、国の方も私は非常に厳しい状況にあると思うのでございまして、そういう中にありまして、私どもとしましては国と地方とが協力をしながら財政を運営しなければならぬものであろう。しかしながら、単なる国から地方への負担の転嫁ということにつきましては、これはやはり排除をいたしてまいるように私どもはお願いをしていかなければならぬ、こう思っておるところでございます。  減税につきまして大蔵大臣からも御答弁がございました。地方税の関係におきましても六百億を五十八年度分としてやり、あるいは来年度は本格減税として三千億を減税するというのは、私は厳しい地方財政の現状から見まして相当思い切ってやったと、こういうふうに考えておるのでございまして、どうぞさようにひとつ御理解を賜りたい、こう思うのでございます。(拍手)    〔国務大臣林義郎君登壇拍手
  34. 林義郎

    国務大臣(林義郎君) 伊藤議員からお話がございましたのは、健保本人給付率の引き下げは国民に財政の張じり合わせのしりぬぐいをさせるものではないか、こういうお話でございました。  実は、日本の医療費はいま一兆円ずつ伸びておる。もう大変なことでございますし、今後もこの傾向がほうっておくと続くと言われておるところであります。もちろん人口の高齢化や成人病の増加、さらには医療技術の高度化などによりましてという面もございますが、やはり医療費を取り巻く問題というのは国民的には大変な不信をもたらしていることも事実である。いろいろな点で新聞に出たりなんかしているわけでございますから、やはり国民の信頼をかなえられるような医療制度を築き上げていかなければならない。ほうっておきますと、私は国民や国の負担能力をはるかに超えてしまうようなことになってしまうのではないかと思うわけであります。  臨調答申でも指摘しておりますように、いろいろな点はやっていかなければならない。診療報酬や薬価基準合理化、レセプト審査や指導監査の充実強化など医療費適正化対策を強力に推進していくことが必要でありますし、また不正や過剰診療をなくし、薬づけ医療の問題にもメスを入れていく方針であります。被用者本人の給付率の引き下げは、十割給付のままでは薬剤や検査が多過ぎるという弊害が出ておるわけでありまして、このような乱診乱療を抑制するためにも考えていかなければならないものだと思うわけであります。受診時に若干の負担をお願いしまして、プライスメカニズムが働くようにいたしたいというのが基本的な考え方であります。  本来、社会保険というものの果たす役割りは、病気になったときに大変多くの出費を強いられる、そうしたものにつきましてこれをカバーリングすることにあるだろうと思うわけであります。したがって、患者一人当たり五万四千円、低所得者の場合には三万円を超えるような場合には保険が全額をカバーしていこう、こういう制度になっておるわけでありまして、国民に過剰な負担となるようなことなく、病気になったときには安心して医療が受けられるような体制はぜひ堅持をしてまいりたい、こういうふうに考えておるところであります。  また、医療保険全体を通じて見ますと、被用者本人は十割、家族入院八割、外来七割、国保の入院、外来とも七割という給付について格差があります。御承知のように、国民健康保険というのは零細企業者である、自営業者である、あるいは農家の方々である、そういった方々の保険でありますから、そういった方々にしわ寄せをするようなことはいけない。やはり国民全体が公平の観点に立ってやっていかなければなりませんから、私は、給付率というものはできるだけ早い機会に一本化にしていくことが望ましいことだというふうに考えておるところであります。  こうした基本的な考え方のもとに立ちまして、今回の改正案を考えているところであります。単に財政的な観点から、その帳じり合わせのためにやったなどというものでは決してないわけでございます。この問題につきましてはいろいろな御意見がある。各方面の御意見も十分に拝聴しながら、給付と負担の両面にわたる見直しを行い、医療保険制度のトータルな改革を進め、国民の信頼のおける医療にしたいと考えているところでございます。  それからもう一つ、御質問の中でちょっとよくわからなかったのでありますが、生活保護につきましての地方負担増を考えているのではないかというような御質問があったようにお受けしましたので、この点についてお答えいたしますが、生活保護制度につきましては、来年度予算編成については特に地方負担の割合を増大させるようなことはいまのところ考えておりません。ただ、生活保護制度の運用につきましてはいろいろと問題があることも事実でありますし、その適正化を図っていかなければならない。引き続き国、地方公共団体が一体となりまして不正受給防止対策の徹底を期してまいりたいと考えております。(拍手)     ━━━━━━━━━━━━━
  35. 木村睦男

    議長木村睦男君) 青木茂君。    〔青木茂君登壇拍手
  36. 青木茂

    ○青木茂君 参議院の会を代表いたしまして、これから行革法案並びにその周辺の問題について御質問申し上げます。  総理は大変「静かな改革」という言葉をお使いになっておりますけれども、軍事だとか防衛だとか、あるいは増税、そういう問題は大変静かどころか、足音が高い。しかしながら、肝心かなめのこの行革の問題というのは少し静か過ぎて、足音が聞こえないどころか、影も見えない。今度の行革法案も、これが果たして財政再建に役立つ行革かいなという疑問はなしとしないのですね。  その間に、国民生活は非常にパニックの状態になっている。いわゆる九割中流が幻になってまいりまして、非常に生活の圧迫がひどくなってきている。時間が余りたくさん与えられておりませんから、たくさんの例は引けませんけれども、昭和四十九年においてわれわれが一カ月間に納める税金は、肉か野菜の一カ月に買う総量のどっちかを犠牲にすればよかった。ところが、いまや肉プラス野菜の合計額を犠牲にしなければならないところまで来てしまった。これは非常にパニックになっております。  しかしながら、いろいろなことをやっていく上においては、一歩一歩前進はしなければならないだろう。だから、現在の政府が御提出になっておりますところの法案、これは一歩一歩やるという意味の最初の第一歩としてあるいはやむを得ないかもしれない。しかし、これでは肺炎になりかけている患者にビタミン剤さえ与えておけばそれでいいんだという考え方なのですよ。それじゃ困るから、ここでどうしても応急手当て、抗性物質を出していただきたい、それをまず御質問を申し上げるわけなのです。つまり、現在の法案で大丈夫とお考えなのか、ここでビタミン剤に加えての抗性物質の投与が現在必要なのかどうか、そのどちらでお考えになるかということをまず第一に御質問申し上げたいと思うわけでございます。  これは必要である、何か抗生物質が必要であるというふうになりましたら、これは政府も十分いろいろな方法をお考えいただきたいし、またわれわれも考えていかなきゃならない。優秀な政府組織をもってすればできます。私はウナギ屋のせがれですけれども、いまウナギ屋がフランス料理を売っている時代なんですよ。材木屋がビル建設を請け負ってもいい時代なんですよ。そうなりますと、方法はあると思うのです。  たとえば、私は政府の減税案に上積みいたしまして、赤字国債でも建設国債でもない二兆円規模の国債を出したらどうだ、そうして、それを戻し税減税の方式でやって、毎年の脱税額というのか、漏れた税金というのか、それで返していくようにすれば、日本経済に何らの悪影響も及ぼさずに二兆円の上積みが可能だ。戻し減税ですから、国債の追加発行は必要ないんですから。そういう対案を一応持っております。国債を発行して脱税額で返していく。いま七千億円ぐらいあるわけですから、何も徴税を強化しなくても、漏れた税金が。こういう方法をおとりいただけるかどうかということを、ひとつ永田町用語でなしに一般的な辞書にある言葉でもってお答えをいただきたいのです。あるいは現首相と元首相の対話のようにわからない言葉でなしに、明確にお答えをいただきたいと思うわけです。  それから、現在の法案でいいのだ、やる必要ないのだということならば、これは私はややものぐさに過ぎると思います。ある意味におきましては内政版非武装中立論だと思います、生活パニックという敵が攻めてきているのだから。外交版非武装中立論は、まだ戦争は嫌だというロマンがあるのですよ。だが、内政版非武装中立になると、かなり私はこれは降伏論に近い。もうちょっと国民生活に思いやりを持っていただきたいと思うわけでございます。これがとにかく基本的な御質問でございます。  それから第三の御質問といたしましては、これから減税をやっていく場合におきましては、不公平な税制を打破改善するという意味におきまして、給与所得控除中心の減税が至当だと思われますけれども、そこら辺の御見解はいかがでございますか。  それから第四、増税なき財政再建。これは単なる理念として、理念という言葉が非常に出てくるのですけれども、理念としてでなしに、増税なき財政再建をこれからの政治の聖域と考えていただきたい、つまりいかなる例外も認めないという形の。これも国民にわかるような明確な御返答をいただきたいということ、第四点でございます。  第五点。行革の中心は官庁の統廃合もさることながら、やはり膨大なるところの補助金の整理、官僚の天下り機関にすぎないところの特殊法人の大幅削減、そこに主軸が置かれなければならないことは、これは当然なんです。それをどのような具体的プランで、理念的プランじゃなしに具体的プランでお進めをいただけるか。余り長考一番でなしに、速やかに具体策を出していただきたい。  とにかく、政治の原点はやはり私は国民生活の向上にあると思います。国民の家計簿を黒字にすることにあると思います。そこのところがいいかげんになってしまって、国民の不在あるいは倫理の不在、そういうことばかりやっていらっしゃったのでは、国民は初めはこれはあきれ果てるでしょう。やがては嫌悪しますよ。結局民主主義そのものを憎むかもしれない。否認しかねないかもしれない。総理は、戦後政治の総決算とおっしゃいましたけれども、これが戦後政治の総決算に逆にならずに、限りないわれわれの仲間の血を流したところの、そしてようやく獲得した戦後の議会制民主主義の総決算になりかねない。来るべきものは非常にこわいです。そこら辺のところは十分ひとつお考えをいただきたいと思います。  言い過ぎは大変どうも失礼しました。(拍手)    〔国務大臣中曽根康弘君登壇拍手
  37. 中曽根康弘

    国務大臣(中曽根康弘君) 青木議員にお答えをいたします。  現在の行革はなまぬるいじゃないか、ビタミン剤と同時に抗生物質を与えたらどうかと、こういうお話でございますが、私は抗生物質を与え過ぎると肝臓が悪くなると思います。隆の里みたいに体質改善、気力充実、これで自分からの自活能力を強めるという形が一番やはりいいのであると考えておるわけであります。多少きついことであり、つらいことではあっても、しかし体質改善、気力充実で彼はとうとう横綱までいったわけであります。  日本がこれだけ水ぶくれになりまして、どっちかと言えば糖尿病的に肥満体質になっておるのを治すには、やはり余り安易な簡便な方法に頼らないで基本的なところから改革していかなければだめだ。それには時間がかかる。しかし時間がかかるが、行革というものは三代、十年かかる、三代の内閣で十年かかると、私はそう言っておるのでございまして、うまずたゆまず引き続いてやっていくという積み重ね以外にないと思っております。  ですから、財政再建にも資するように、たとえばゼロシーリング、その次はマイナス五%シーリング、物によってはマイナス一〇%シーリング、そういうように自分でこの体質改善のためにむちを当てて財政的にも苦しいことをやりつつあるわけであります。しかし、その中で大事なことは、増税なき財政再建を堅持していくということでございまして、これはいままで答弁してきたとおり、これを守っていくことに全力を傾けてまいりたいと思っておるわけなのでございます。  次に、長期的に据え置かれておる中堅所得層の問題でございます。  この御意見については私も原則的に賛成でございます。中堅所得層、特に家庭持ちの皆さんの減税というものを次の所得税改革のときに大きく考える必要があると、このように考えております。税調の答申の中におきましても、この点に触れた点がございまして、「長期的に据え置かれてきている控除率適用対象収入範囲については、中堅所得者層を対象として若干の調整を行うのが適当」と、こう書いております。この文章をわれわれはよく注目いたしまして、中堅所得層、つまり家庭持ちのサラリーマンの減税につきまして、特に次は留意してまいりたいと考えておるところでございます。  補助金の大幅削減については私も同感でございまして、いままでも努力しているところでございますが、今後も努力してまいりたいと思うのであります。補助金の削減につきましては大体総論賛成、各論反対というのが多いのです、現実問題になりますと。したがいまして、補助金の内容にもよりますが、われわれとしてはできるだけ適正なものを選び出して削減をやりたいと思いますので、総論賛成、各論賛成というところまで御協力願いたいと思っておる次第でございます。  特殊法人の整理削減等についても、これを計画的に実行してまいりたいと思っております。新行革大綱におきましても手順を決めております。この手順に従いまして実行してまいります。  臨調答申で指定した特殊法人は七十一法人ございまして、統廃合を指摘されているのは、たとえば医療金融公庫とか国立競技場とか七法人があります。それから民間法人化するのが適当であるというのは、農林中央金庫とか中小企業投資育成株式会社とか二十法人ございます。それから事業の縮小は、雇用促進事業団とか住宅・都市整備公団と四十四法人ございます。これらのものは臨調答申どおりやっていいかどうかは精査を要するところでございますけれども、この臨調答申というものをわれわれはかなり重く見まして、特殊法人の整理統合合理化につきまして次の段階で努力してまいりたいと思っております。  残余の答弁は、大蔵大臣にお願いいたします。(拍手)    〔国務大臣竹下登君登壇拍手
  38. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 私に対する御質問に対して、総理から粗筋お答えがございました。  まず、いま青木議員、いわゆる建設国債でもなければ赤字国債でもない、減税国債とでも言うべきものを念頭に置いて戻し税方式による減税、こういう平素の御意見をまとめた御提言であったと思うのであります。  これは決して永田町言葉ではございませんが、かつて大蔵委員会減税問題に関する特別小委員会で、所得税減税の必要性は各党の意見の一致を見た、さらにその手段は恒久税制改正によることとした、こういう結論の出たこともございます。それから、そのための財源は赤字国債によらないことも意見の一致を見た。また最近の議論の中に、与野党の話し合いの中に、いわゆる戻し税はとってはならない、こういう議論もまた意見の過程ではあるわけでございます。そうしたいろいろな意見を集約いたしまして、私どもがこのたび考えておりますのは、いわゆる戻し税というのにも定義をどうするかというとむずかしい議論はございますけれども、そうした臨時的なものではなく、課税最低限の引き上げ等の恒久的制度改正によるものである、これが国民の要望しておる所得減税であるという認識の上に立って、今日御審議をいただいたり、今後また御審議をいただくことになろうであろう所得税減税ということが位置づけられると思うわけであります。  それからもう一つ、いわゆる脱税摘発額の問題がございました。これはすでに年々の税収に含まれまして歳出に充てられておりますので、新たな減税財源として予定することは、これはできない。また、これを当てにして減税を行うことはできない。すなわち、やっぱり国民は神様でありますし、性善なる、そして善良なる納税者に対してあらかじめ脱税があるではなかろうかという予見を持つということは非礼に当たるではないか、こういう考えもあるわけです。(拍手
  39. 木村睦男

    議長木村睦男君) これにて質疑は終了いたしました。      ―――――・―――――
  40. 木村睦男

    議長木村睦男君) この際、お諮りいたします。  本日、戸塚進也君から議員辞職願が提出されました。  辞表を参事に朗読させます。    〔参事朗読〕     辞職願  今般一身上の都合により議員を辞職いたしたく  御許可相成るよう御願い申し上げます   昭和五十八年十一月十八日           参議院議員 戸塚 進也    参議院議長 木村 睦男殿
  41. 木村睦男

    議長木村睦男君) 戸塚進也君の議員辞職を許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 木村睦男

    議長木村睦男君) 御異議ないと認めます。  よって、許可することに決しました。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時五十分散会