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1983-11-24 第100回国会 参議院 文教委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年十一月二十四日(木曜日)    午前十時十一分開会     ─────────────    委員異動  十一月二十四日     辞任         補欠選任      藏内 修治君     吉村 真事君      世耕 政隆君     志村 哲良君      秦野  章君     松岡満寿男君      久保  亘君     菅野 久光君      粕谷 照美君     梶原 敬義君      高木健太郎君     伏見 康治君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         長谷川 信君     理 事                 杉山 令肇君                 田沢 智治君                 久保  亘君                 吉川 春子君     委 員                 大島 友治君                 山東 昭子君                 志村 哲良君                 仲川 幸男君                 林 健太郎君                 松岡満寿男君                 柳川 覺治君                 吉村 真事君                 梶原 敬義君                 粕谷 照美君                 菅野 久光君                 中村  哲君                 安永 英雄君                 高木健太郎君                 高桑 栄松君                 伏見 康治君                 小西 博行君    衆議院議員        文教委員長代理  石橋 一弥君    国務大臣        文 部 大 臣  瀬戸山三男君        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)       丹羽 兵助君    政府委員        内閣総理大臣官        房総務審議官   橋本  豊君        日本学術会議事        務局長      藤江 弘一君        文部大臣官房長  西崎 清久君        文部省大学局長  宮地 貫一君        文化庁長官    鈴木  勲君        文化庁次長    加戸 守行君        厚生省医務局長  吉崎 正義君    事務局側        常任委員会専門        員        佐々木定典君    説明員        内閣総理大臣官        房参事官     高岡 完治君        科学技術庁計画        局計画課長    川崎 雅弘君    参考人        日本学術会議会        長        塚田 裕三君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○商業用レコード公衆への貸与に関する著作者等権利に関する暫定措置法案衆議院提出) ○参考人出席要求に関する件 ○日本学術会議法の一部を改正する法律案(第九十八回国会内閣提出、第百回国会衆議院送付) ○私学助成大幅増額に関する請願(第二二号外六件) ○教育施策と青少年の健全育成に関する請願(第五〇号) ○私学学費値上げ抑制父母負担軽減等に関する請願(第七八号外八件) ○公立学校に勤務する女子事務職員育児休業制度適用に関する請願(第一二二号外三件) ○私学に対する公費助成大幅増額等に関する請願(第一五〇号) ○教育関係予算の確保に関する請願(第五九三号) ○過大規模小・中学校解消のための財政特別措置に関する請願(第一五二七号) ○義務教育教科書統制強化反対等に関する請願(第一七三二号) ○私学学費値上げ抑制等に関する請願(第一七五二号外五〇件) ○大学院における教育研究条件改善等に関する請願(第一八七五号) ○私学助成大幅増額に関する請願(第一八七六号外二件) ○国立大学学費値上げ反対等に関する請願(第一八七七号外一件) ○公立大学学費値上げ反対等に関する請願(第一八七八号外一件) ○学費値上げ抑制等に関する請願(第一八七九号外一件) ○四十人学級の早期実現等に関する請願(第一九六〇号) ○継続調査要求に関する件     ─────────────
  2. 長谷川信

    委員長長谷川信君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告をいたします。  本日、藏内修治君、世耕政隆君、秦野章君及び高木健太郎君が委員を辞任され、その補欠として吉村真事君、志村哲良君、松岡満寿男君及び伏見康治君が選任をされました。     ─────────────
  3. 長谷川信

    委員長長谷川信君) 引き続きまして、商業用レコード公衆への貸与に関する著作者等権利に関する暫定措置法案議題とし、衆議院文教委員長代理石橋一弥君から趣旨説明聴取いたします。石橋一弥君。
  4. 石橋一弥

    衆議院議員石橋一弥君) ただいま議題となりました衆議院提出商業用レコード公衆への貸与に関する著作者等権利に関する暫定措置法案について、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  この法律案は、商業用レコード公衆有償貸与する行為に関し、著作者実演家及びレコード製作者権利を定め、これらの者の複製権録音権保護に資することを目的とするものであります。  商業用レコード販売価格よりはるかに安い価格公衆貸与することを業とするいわゆる貸しレコード業は、昭和五十五年六月ごろ東京三鷹に出現して以来、全国的に急速な普及を見て、現在では約千七百店舗あると言われています。  その貸しレコード利用者の多くが借りたレコードからテープに録音しているためにレコード売り上げ減少を来し、著作者実演家及びレコード製作者がその収入影響を受けるという事態が生じるに至っています。  このような影響を放置する場合には、音楽文化創造リサイクルを乱し、ひいては、わが国音楽文化発展を妨げるのではないかということが懸念されます。  よって、商業用レコードに関して、著作者実演家及びレコード製作特に新たな権利を設定し、その公正な行使により関係者の間の円満な秩序の形成を図るため、新たにこの法律を制定することといたしました。  ただ、御承知のとおり、現在政府において貸しレコード問題を含め、著作権法改正作業が進められておりますので、その進行状況も考慮し、この措置改正著作権法の制定までの暫定措置とすることとし、この法律案を提出した次第であります。  次に、本法律案内容について申し上げます。  第一は、商業用レコード録音されている著作物実演またはレコード録音について複製権録音権を持つ者は、新たに商業用レコード公衆への有償貸与についての許諾権を享有することといたしました。なお、商業用レコード複製されているレコードのうち、著作権法第八条第三号に掲げるもの、すなわちレコード保護条約によりわが国保護義務を負うレコードについては、このような許諾権は同条約保護内容とされていないので、これを許諾権対象から除くことといたしております。  第二は、そのような許諾権を設定した結果として、商業用レコード公衆有償貸与しようとする者は、商業用レコード国内最初に販売された日から政令で定める期間を経過するまでの間は、これら許諾権を有する者の許諾を得なければならないことといたしました。  第三は、許諾を得ないで商業用レコード公衆への貸与を行った場合には、複製権録音権を侵害する行為とみなして、著作権法上の民事救済及び罰則の規定を適用することといたしました。  第四は、この法律施行期日は、実施の準備のための期間を考慮し、公布の日から起算して六カ月を経過した日から施行することといたしました。  第五は、経過措置として、この法律施行前に国内で販売された商業用レコードについては、この法律は適用しないことといたしました。  以上が、この法律案を提出いたしました理由及びその内容概要であります。  なお、この法律案暫定措置法とし、前述第二の許諾を得なければならない期間を「政令で定める期間」とした点は、衆議院文教委員会における修正に基づくものであることを申し添えます。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛成くださるようお願い申し上げます。     ─────────────
  5. 長谷川信

  6. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) ただいま議題となりました日本学術会議法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  日本学術会議は、わが国科学者の内外に対する代表機関として、科学向上発達を図り、行政、産業及び国民生活科学を反映、浸透させることを目的として設置された機関であります。  昨今の科学発展には目覚ましいものがあり、学術研究多様化が進む一方で、学術研究細分化専門化も多く見られるところであります。これらの学術研究進歩発展対応し、日本学術会議目的を果たすために、日本学術会議会員選出方法を改めるほか、日本学術会議組織等改正を図ることとし、ここに、この法律案を提出した次第であります。  次に、法律案概要について申し上げます。  まず第一点は、学術研究多様化細分化等対応するため、日本学術会議会員選出方法を、日本学術会議に登録された一定の要件を備える科学者団体を基礎とする研究連絡委員会ごと推薦制に改めようとするものであります。  第二点は、日本学術会議会員となることができる者の資格を五年以上の研究歴を有し、その分野ですぐれた研究または業績がある科学者とすることに改めようとするものであります。  第三点は、日本学術会議会員選出方法推薦制に改めることに伴い、日本学術会議会員推薦管理会を置くこととし、会員候補者資格の認定その他会員推薦に関する事務を行わせようとするものであります。  第四点は、学術研究多様化細分化等対応するため、日本学術会議会員部別専門別定員は、政令で定めることに改めようとするものであります。  第五点は、日本学術会議職務遂行の充実を図るため、研究連絡委員会等に関する規定整備を行おうとするものであります。  このほか、所要の規定整備を図ることとしております。  以上が、この法律案提案理由と及びその内容概要でございます。  なお、この法律案では、現に会員である者の任期を、昭和五十九年一月二十日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日の前日まで延長することといたしておりましたが、衆議院において、これを一年六月を越えない範囲内において政令で定める日の前日までとすることに修正されております。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださるようお願いいたします。
  7. 長谷川信

    委員長長谷川信君) 以上で両案の説明聴取を終わりました。     ─────────────
  8. 長谷川信

    委員長長谷川信君) 次に、商業用レコード公衆への貸与に関する著作者等権利に関する暫定措置法案議題とし、質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  9. 粕谷照美

    粕谷照美君 ただいま御提案をいただきました商業用レコード公衆への貸与に関する著作者等権利に関する暫定措置法案、本案は全会派一致衆議院から回ってきたということは十分に承知をしております。しかし、衆議院におきましては、これは小委員会を設置をして何回も事情聴取をするなどの審議をしているわけであります。ところが、参議院はどうでしょう、閉会寸前に持ち込まれてきたわけですね。審議をする時間がありません。関係する各団体意見を私どもは聞くことができません。まことに残念でありまして、これは提案者に申し上げてもしようのないことだというふうに思いますけれども、このような法律提案については私は非常に不満を表明をしておきたいと、こう思いながら次に質問に入ります。  まず最初に、文化庁の進めております著作権法改正作業の中で、九月九日に「著作権審議会第一小委員会審議結果について」というのが第一小委員会から第三十九回著作権審議会総会報告をされて、さらに文化庁答申がなされております。この第一小委員会討議の柱というのは何だったのでしょうか。
  10. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 著作権審議会の第一小委員会主要審議事項といたしましては、一つ著作物複製物貸与取り扱い、大きい問題といたしましては貸しレコードの問題が中心となりますが、それを含めました著作物複製物貸与の問題、それに関連いたします映画の頒布権の見直しというのが第一のテーマでございます。それから、第二のテーマ貸しレコードに関します実演家レコード製作者権利取り扱い。それから、第三点が私的使用のための複製規定いたしました三十条の規定明確化等ということでございまして、そのほか、隣接権条約への加入の問題も取り上げる予定でございましたが、先送りにいたしまして、いま申し上げました第三点までの事項を主として審議いたしまして、九月九日に報告をちょうだいしたという次第でございます。
  11. 粕谷照美

    粕谷照美君 文化庁にお伺いしますけれども文化庁はその答申を受けまして具体的な著作権法改正作業を行って次期国会に上程をするといいますけれども、その作業の見通しなどはどのようになっておりますか。
  12. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 第一小委員会報告を受けまして現在著作権法の一部改正案準備中でございまして、事柄の性質が権利者側あるいは使用者側相当影響を及ぼす問題でもございますので、できますれば今月いっぱいには文化庁試案という形で著作権法改正案を公表いたしまして、関係団体意見聴取して、その上で次期通常国会提案したいと、そのような手順を考えている次第でございます。
  13. 粕谷照美

    粕谷照美君 その試案の提起に伴って各関係団体から意見聴取をするわけですけれども、四つの柱全部に触れますか。貸しレコードはいま暫定法ということで出しておりますけれども、この問題については、やはりきちんと出していかれる予定でありますか。それと関連して提案者にお伺いいたしますが、その辺のところはどのように文化庁と詰めていかれるのですか。
  14. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 先ほどお答え申し上げましたように、隣接権条約の問題は先送りにいたしておりますので、先ほど御説明申し上げました第三点までの委員会報告を受けました点はすべてカバーした形で著作権法改正案準備中でございます。もちろん、その中には貸しレコードの問題が大きな主要問題として取り入れられるわけでございますが、ただいま御審議いただいております議員提案議員立法との関係もございますので、その接続がうまくいきますようにこの内容を取り入れた形で法案準備を進めているということでございます。
  15. 粕谷照美

    粕谷照美君 来春にはこの法律が出せると確約できますか。
  16. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 文化庁といたしましては、次の通常国会提案をいたしたいということで進めている次第でございます。
  17. 粕谷照美

    粕谷照美君 次の通常国会には提案をすると。こういう情勢のもとになぜこの貸しレコードのみが今回法律として出されてきたのか。この辺をお伺いします。
  18. 石橋一弥

    衆議院議員石橋一弥君) 著作物複製物貸与行為のことでございますが、特にこの貸しレコードにつきましては、先ほどの提案理由説明の中にも申し上げましたとおり、五十五年の六月ごろから始まったわけであります。それが急速に増加をいたしまして、提案のときには約千七百軒程度あるだろうと申し上げたのですが、その後の調査等を実施いたしますと、それよりもさらに百店舗くらいまたふえてきているのが実情でございます。そういうことで、著作者実演家レコード製作者の経済的な利益に大きな影響を与えていることが実際問題でございます。こうしたことを考え合わせまして、政府貸与行為一般中心著作権制度対応する前に、貸しレコード問題のみにしぼって緊急に対処したわけでございます。そしてまた、その他の問題につきましては文化庁に本格的な対応についてはお願いをいたしている次第でございます。
  19. 粕谷照美

    粕谷照美君 小委員会報告を拝見いたしますと、小委員会の小委員長報告ですね、いまお話があったようなことが触れられているわけですけれども、十分御討議をいただいたのではないかと思いますが、たとえば実演家収入に大きな影響を与えている。具体的にどういう調査をなさったのか。レコード協会もそうである、それから著作者もそうであるという、この辺の調査は、国民がなるほどそうだなあと思うような調査をなさっているかどうかお伺いします。
  20. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 事実関係でございますので、こちらから答弁さしていただきますが、直接の因果関係ということは非常に立証しにくいわけでございますけれども、この提案されました当時の情勢判断といたしまして、レコード売り上げが五十五年をピークといたしまして年々減少を来していく実態がございますし、それから音楽著作権協会におきます著作権使用料につきましても、ディスクレコードに関します部分収入が大幅に減少してきている。そういった実態等を踏まえまして、貸しレコードが直接の原因であるかどうかという問題はさておきましても、そういうような貸しレコード実態に伴います著作者あるいは実演家、あるいはレコード制作者側におきます経済的利益減少という情勢を踏まえて、このような提案がなされたのではないかと理解している次第でございます。
  21. 粕谷照美

    粕谷照美君 たとえばレコード売り上げが減ったということの報告はわかりますよね、数字が出るわけですから。それでは、その数字が出たものが本当に、貸しレコード屋が急速に伸びてきたから減ったのであるか、その他の原因は一切ないのか。この辺はまだ国民にはよくわからないところでございます。  それから実演家実態についても、いまの報告では私には納得がいきません。どのような調査をされたのかということについてもう一度御回答いただきたい。
  22. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) これは通産省とそれからレコード協会それぞれの調査でございますが、一つの例といたしまして、貸しレコード店が開店されました場合のその近辺におきますレコード小売商売り上げが二割ないし三割程度減少したということが、たとえば通産省は四百店のレコード店対象とした調査でございまして、レコード協会側も六百店弱の小売店対象とした調査の結果が出ているわけでございまして、その辺の因果関係は定かでございませんが、いまの売り上げ減少ということがございますれば、たとえば、実演家につきましては歌唱印税というのがレコードの一枚ごと売り上げについて入るわけでございますので、その部分減少するということは相関関係として言えるわけでございます。ただ粕谷先生御指摘のように、その原因貸しレコードによってレコード売り上げが減ったという直接的な因果関係を立証することははなはだむずかしい問題ではないかと考えております。
  23. 粕谷照美

    粕谷照美君 私は文化というものに大変弱いんですけれども、「音楽文化創造リサイクルを乱し」と、こう小委員長報告にあるわけでございます。「音楽文化創造リサイクル」というものは、一体どういうことを言うのでしょうか。「わが国音楽文化活動の妨げになる」ということは、一体どのようなことを指して言うのでありましょうか。
  24. 石橋一弥

    衆議院議員石橋一弥君) お答えいたします。  この商業用レコード公衆への貸与に関する法律でありますが、要は先ほども説明いたしましたとおり、結局著作権者原著作権者に対して、商業用レコード等が売れた場合に、それ相当著作料が原著作権者並び隣接著作権者に入るわけであります。御承知のとおりでございます。  ところが、いわゆるこの貸しレコードの場合は、そのような著作権料を支払わない中において貸与行為が行われているわけであります。そういたしますと、結果的にはその支払わない中におきますところの貸与行為というものがどんどんふえていった場合は、御推察のとおり、いわゆる原著作権者、そしてまた隣接著作権者への著作料は、減っていくのは間違いない事実だと思います。一方、貸しレコード業者というものがあらわれて営業をしていることも、これまた否定することのできない事実であるわけであります。  そこで、この法律の中において、許諾をするという行為の中において、そして貸しレコード業者に対しても、まあ認知と申しますか、正式によろしいでしょうよという考え方に立っていただいて、そのかわり実際的な話し合いの中において、やはり貸しレコード業者もいわゆる著作権者に対する著作権料等を支払っていただけるような話し合いをいたしまして、その上に立ってこの業界全体の秩序を維持してやってほしいということでございます。  なおつけ加えて申し上げますが、これが間もなく本法ができるのに、なぜ急ぐんだという御趣旨も、わかります。しかし、いずれにいたしましても、この法律を出してからもう、これはたしか九十八国会議員提案で出したわけでございます。その間一年有余これが通らないままになっていままで来てしまったということで、それこそ来国会までもう間もないのになぜかという御議論、これも提案者にもよくわかりますですが、以上申し上げましたようなことで、いずれにいたしましても著作権全体の問題の中において、そして秩序がとにかく乱れ始めた。これを何とかして両方が共存共栄の形の中においてリサイクルをきちっとなるようなふうにするにはいかがいたしたらいますぐの対応の手段としてよろしいかと、こういうことでやったわけでございますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
  25. 粕谷照美

    粕谷照美君 私の質問趣旨がわかるとおっしゃるわけですけれども、わかるならば、なぜ出したかという、そこのところの御回答がどうもストンと落ちないわけですね。  それで、音楽文化創造というものがいままでの秩序そのままで未来永劫に続く、それが音楽文化を創造する秩序なんだという、この判断というのは、私は非常に不満だという意見を申し上げたいと思います。これからもどのようなことが起きてくるかもわからないときに、いままでの形が、これがもう音楽文化を創造する根源であるというこの小委員長報告というものは、どうも私には納得がいきません。  しかし、いままで著作権者及び隣接権者たちの力があったからこそいまの音楽文化が創造できてきたんだということについては、私も全く同意見であります。  それと同時に、いまお話をいただきましたけれども、そうすると、その貸しレコード屋を中に入れてというのは、貸しレコード人たち国民大衆の中に音楽を広めていくという意味では非常に大きな貢献があるということを、いままでは認めたくなかったけれども法律をつくって認めていきたいということでしょうか。どうなんですか。
  26. 石橋一弥

    衆議院議員石橋一弥君) 本質的な問題でありますが、もちろん私ども提案者といたしましても、次から次へと新しい機器が生まれる。そして、その機器を利用して音楽文化というものを国民全般に広く伝えていく効能、効果、これは間違いなくあるという結論であります。  しかし、だからといってそれのみで進めていった場合、何らかの形の著作権料というものが著作権者あるいは原著作権者隣接著作権者に入らないままの形でそれが進められていってしまうということは果たしていかがだろうか。そうした場合に一番もとが、いや、おれは音楽が好きだから、だから音符をつくり、そしてまた歌詞を書くんだと、好きだからやるということの考え方も、これはもう当然あると思いますが、やはりそのような部門のみでなく全般の原著作権者隣接著作権者にも生活の元というものをやはり考えていかなければ相ならないだろうと。この二つの考え方を兼ね備えながら、これからますます音楽文化というものを普及していくにはどのような形か。そこでまず貸しレコードを取り上げまして、先ほど御答弁申し上げましたような考え方に沿ってまずこの立案を申し上げた、こういうことでございますので、よろしくお願いいたします。
  27. 粕谷照美

    粕谷照美君 私は、この法律審議をされるに至る経過というものを書類によって見ました。これを拝見いたしまして、私は、この法律案レコード協会、日本音楽著作権協会、芸能実演団体協会の要請を受けて審議を開催し、法律をまとめてきたと、こう読むわけなんですけれども、どうですか。
  28. 石橋一弥

    衆議院議員石橋一弥君) 粕谷委員御指摘のことでありますけれども、要請を受けてということになりますと、そこから言われたのでそれをやったということに相なるわけですが、もちろんこのような問題が起きて、われわれといたしますと困っておりますという陳情等もございます。そしてまた、貸しレコード業界そのものからも十分意見の聞き取りをいたして、そしてとにかく両者の成り立つような、しかも音楽文化が普及できるような形にするにはどのようなことにしたらよろしいか、こういうことであります。
  29. 粕谷照美

    粕谷照美君 私もちょっと、この資料がどこからいただいたのかよくわからないんですけれども、これを見てみますと、いま質問したようなことで出ているんだというふうにしか考えられないわけです。  貸しレコード店側の意見も入れて、とあります。確かに五十七年の九月ですか、日本レコードレンタル協会が、同協会加盟店が新譜レコードを購入される際は日本音楽著作権協会、日本芸能実演家団体、日本レコード協会の三団体に対し、使用料として仕入れ額の一〇%を支払うという理事会提案文化庁及び三団体と交渉する方針を決定した、こうありますけれども、この決定したということについて文化庁お話を伺っておりますか。申し入れなどありましたでしょうか。
  30. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 正式にはお聞きいたしておりませんが、そのような動きがあったという事実関係を仄聞いたしております。
  31. 粕谷照美

    粕谷照美君 提案者の側、日本レコードレンタル協会からの申し入れあるいは事情聴取など、いま私が話したことについては御記憶がありますか。
  32. 石橋一弥

    衆議院議員石橋一弥君) ございます。
  33. 粕谷照美

    粕谷照美君 この貸しレコード店側からの意見も入れたということについて私は了解をいたしましたが、しかし、この貸しレコード業界が急成長してきているというのは、消費者の支持があったからこそこれほど大きくなってきたんだというふうに思うわけですね。私は、このレンタル業界からの主張も読みました。こちらの言うこともよくわかるんですよね。また逆に、この「音楽資源を荒廃から守るために」ということで著作権の側の方々からの資料もいただきました。これもよくわかるんですけれどもね。どうも、この提案そのものが著作権法の一部改正ですからね。やっぱり著作者、隣接権者の方に重点があるような感じがしてなりませんのでね。何か貸しレコード屋いじめみたいな法律の感じがしてならないわけですよね。その辺の配慮に若干欠けたものがあるんではないかという批判を持ちながらも、よくここまで意見をまときてきたなという感じであります。  ところで、一枚二千八百円のLP盤レコードが一日に二百円、延長すれば一日五十円、こういう簡単な手続で借りられる貸しレコード店がはやるというのは私はもう当然のことだというふうに思うわけです。消費者のニーズに合った——どんな商売をやったって消費者にそっぽ向かれたらこれだめなんですからね。そうしますと、いままでの音楽文化創造のいわゆる体制というものにもやっぱり問題があったんではないかという感じがするわけであります。  さて、この貸しレコード店を相手に、レコード協会著作権協会と一緒になって訴訟を起こしている事件があります。現行著作権法三十条あるいは百二条との関連で、文化庁はこれに対してどのような考え方をお持ちか、コメントを伺いたい。
  34. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) レコード会社側十三社が貸しレコード業者四社を相手といたしまして、昭和五十六年に、貸しレコード行為レコード製作者複製権を侵害すると訴訟が提起されております。それから、日本音楽著作権協会の方から、翌年、貸しレコード業者を相手といたしまして、同じく貸しレコード行為著作者複製権を侵害するという、二つの訴訟が係属されているわけでございますが、係争中の事件でございまして、文化庁がこの点に関する意見を申し上げるのは適切ではないと思います。  ただ、権利者側から見れば梅利侵害という御主張であり、貸しレコード会社側からすれば、現行法上は適法であるという主張が対立した状態でございまして、そういう意味で、現在の議員提案あるいは政府準備をしています法案がこの問題の解決に資するということを期待している次第でございます。
  35. 粕谷照美

    粕谷照美君 しかし、現行法上は違法でないというのは普通国民にはぴたっとわかるわけなんですけれどもね。ただし、私自身も貸しレコード業者のみが貸与について利を待て、実演家等が関与できないということは著作権保護の上から言えば問題があるというふうに思います。そのことは認めますけれども、現行法上は私は問題ないんじゃないかというふうに思うんです。  それでは、ただいま御提案いただきました附則の経過措置、「2 第四条及び第五条の規定は、この法律施行前に国内で販売された商業用レコードについては適用しない。」と。これはわかりやすく言うと、どういうことを言うのですか。
  36. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) ちょっと法律技術的な事柄でございますので、私どもの方の理解を申し上げさしていただきたいと思いますが、この法律案議員立法の中で書いております事柄は、レコード最初に発売されてから政令で定める期間までの間の貸与行為について権利者の許諾を得なければならないものといたしておりますので、通常の法体系といたしますれば、さかのぼって適用いたしますということを避けた考え方がこの附則二項であろうと理解しております。  ただ、一般の法原則はそうでございますが、現在政府案として準備を進めておりますものの考え方としては、過去にさかのぼって、すでに発売されたものであっても法の適用をするという考え方で、その点がこの議員立法といま政府準備しようとしている考え方との違いはございますが、緊急立法として現在の臨時措置を講ずる場合に、この法律施行後に発売されたものだけを押さえていこうというのも一つ考え方でありますし、その適否については申し上げる限りでないと判断しております。
  37. 粕谷照美

    粕谷照美君 いえ、私が先ほど質問いたしましたでしょう。いま四点具体的にもう訴訟を受けているわけでしょう。この法律は全会派一致なんですから通るでしょう、時期が来ればね。通りますと、この経過措置というのが生きるわけですね。生きていきますとどういうことになるんですか、その四点の問題なんかについては。
  38. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 現在係争中のものにつきましては、この議員立法施行される以前に発売されたレコードに関するものでございますから、直接的にはその係争中の案件につきましてこの法律が適用されるという事態にはならないわけでございまして、議員立法施行された後に発売されたレコードだけの法律関係を規制する、そういうことになるわけでございます。そういう意味で直接的に、現在係争中の事案の解決にストレートに結びつくわけではございませんが、考え方としてこのような法秩序ができ上がっていけば、訴訟上の問題も当然和解その他の方法によって手打ちがなされることになるのではないかと、そういう意味の期待もあるわけでございます。
  39. 粕谷照美

    粕谷照美君 私は当然そうだろうというふうに思いまして、了解をいたしました。  それでは、この法律の中にあります許諾権についてお伺いをいたします。  実演家レコード製作者は著作隣接権者であって、現行法上は二次使用料を請求する権利を認められているだけですね、九十五条と九十七条で。そして、使用についての許諾権はないはずなんですね。じゃ、なぜこの許諾権を与えるということになったのかという、ここで疑問が出てくるわけです。なぜかなれば、第一小委員会では、当初、報酬請求権と考えられたこともあったと思います。七百万人を超える貸しレコード利用者ですね、この会員許諾権に大変な熱い視線を注いで見守っているわけですが、これはなぜ許諾権というふうになったのですか。
  40. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) ちょっと現行法の構成という観点から私どもの方から先にお答えさせていただきたいと思いますが、現在の著作権法上の著作隣接権制度といたしましては、基本的な複製権あるいは録音、録画といった行為につきましては、実演家あるいはレコード製作者許諾権を与えているわけでございます。それのいわゆる二次使用的な観点で、レコードが放送に使用された場合とか有線放送に利用された場合につきましては、二次使用料という、言うなれば報酬請求権的な権利規定されているわけでございまして、法体系としては隣接権の内容も、許諾権あり報酬請求権ありという立て方でございます。  多分、私の理解でございますが、現行の議員立法がこの許諾権を取り入れました考え方は、この法体系もそうでございますが、貸しレコード行為自体が複製権録音権の延長線上のものといたしまして、レコードのレンタル行為複製権あるいは録音権を侵害する行為とみなすという考え方に立ちまして許諾権の性質が規定されたと、このように理解しておる次第でございます。
  41. 粕谷照美

    粕谷照美君 さて、その許諾権期間についてでございますけれども、いわゆる貸しレコード業者著作権者等から許諾を得なければならない期間は原案では一年となっていたものが、「政令で定める期間」と確かに修正されてこちらに回ってまいりました。この理由というのは一体何かということを明確にしていただきたいし、また一年より延びるのか、一年より短くなるのか、この辺のところはどのような討議の経過があったかお伺いしたいと思います。
  42. 石橋一弥

    衆議院議員石橋一弥君) まさにいま粕谷委員指摘の「政令で定める期間」、これが大変に小委員会の中でも議論のあったところであります。そして、一年間という原案であったわけでありますが、要するに許諾ということは、いま加戸次長から法律の法体系の御説明がございましたが、許諾ということは、結局、著作権者等が非常に強い立場になると思います。そこで、一年を経過する日までの間はだめだということになりますと、今度は借りる方ですね、これは大変な制約を受けてしまうということで、いろんな議論がそこであったわけでございますが、結局、この法律制定後、できる限り両者の意見を十分尊重して、そして両方が立つような形の中でということ、それを考え合わせまして、各党が、一年ということでなく、「政令で定める期間」ということにして、十分両者の意見を聞き合意点を見出そうという考え方が「政令で定める期間」というふうに直った原因でございます。
  43. 粕谷照美

    粕谷照美君 期間、長くなるのか短くなるのか。
  44. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) ただいま粕谷先生の方の御質問で、一年より延びるのか短くなるのかという御質問がございましたものですから、この法律が成立いたしました先に政令で定める段階でどのようなことを考えているのかという御質問と受けとめましてお答えさせていただきます。  ただいま石橋先生からの御答弁ございましたように、これから関係団体意見を聞いて、それを踏まえて対応するわけでございますが、ただこの期間につきましては二通りの性格がございまして、政令で定める期間内に許諾をするかしないかという著作者あるいは著作隣接権者側の意向にかかわらしめられるという意味が一つございますと同時に、政令で定める期間におきましては、許諾があった場合にはその使用料の支払い義務が生ずる、許諾とうらはらの関係で使用料の支払い義務が生ずるわけでございますので、その使用料の算定の基礎となる期間であるという両面の性格を持っているわけでございます。そういう意味で、政令で定める期間イコール禁止期間というわけでは必ずしもないわけでございますので、そういった両方の側面を勘案しながら、原案におきましては当初一年を想定したという事実も踏まえまして、今後検討すべき事柄であろうと理解しているわけでございます。
  45. 粕谷照美

    粕谷照美君 不勉強で私初めてわかったんですけれども政令で定める期間イコール禁止期間ではない、これでよろしいんですか。
  46. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 政令で定める期間がその許諾権の動く期間でございますので、レンタルを認めるか認めないかの判断権利者側に留保されるわけでございます。ただ、衆議院文教委員会の、貸しレコード委員会の小委員長報告の中にもございますように、円満な利用秩序の形成ということが報告に載っているわけでございまして、そういった視点からも全面禁止として動く期間と は理解していないわけでございまして、その場合には利用される場合の使用料の算定の基礎になる期間という意味もかなりウエートも高いのではないか、そういう理解をしているという意味でございます。
  47. 粕谷照美

    粕谷照美君 文化庁もそろそろ中間報告を出すわけですね。そうしますと、その期間などは政令にというふうに考えていまのところいらっしゃるのか、やっぱり一年ぐらいというのがよろしいというような意見が強いのか。私は一年なんてとんでもない話だというふうに思うんですよ、もっと短くしていかなければ一方の方かつぶれていくというふうに思いますんでね。この辺はどんな討議がいまなされておりますか。報告が出ますと、話し合いというのが、そちらの中間報告などに引っ張られていくおそれが大きいと思います。
  48. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 現在、政府原案につきましては鋭意準備中でございますが、現在このような議員立法提案され、かつその期間が「政令で定める期間」となっております関係上、それとの接続も考える必要がございますし、それから、関係団体意見を煮詰める段階に至っておりませんので、現在の考え方といたしましては、政府原案で、原則としては報酬請求権を隣接権に認めながら、短期間許諾権という著作権審議会第一小委員会報告を受けまして、作業中の原案として文化庁試案として公表できるのは、多分期間をブランクにした形で公表することになろうかと考えております。現段階では、著作権法改正案の中で政令でゆだねるという考え方はございません。いずれにしも、それは政府原案提出までの間に一定のて期間、短期間期間というものを具体的に定める方向で努力したいと考えておる状況でございます。
  49. 粕谷照美

    粕谷照美君 小委員長にお伺いしますけれども、短期間というのですね。一年間は短期間ではない、長期間だという判断に立って政令になったんだと思いますが、討議の中でこの短期間というのは、たとえば一カ月とか三カ月とか半年とかというようなことについての討議はありませんでしたか。
  50. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 私、小委員会に出席しておりましたその審議の状況の中では、具体的な年数、月数という御議論はございませんでした。要するに、関係団体意見を十分尊重して円滑にいくように考えてほしい、そういうような御議論だったと理解しております。
  51. 粕谷照美

    粕谷照美君 しかし、レコードの売上状況などというものを科学的に見ていけば、その期間は私はおのずから話し合いの中の焦点としてある程度出てくるように思うわけです。十分に御討議をいただきたいわけですが、この実演家レコード製作者にも、貸与についての許諾権という、先ほど委員長提案のように、非常に強い権利が与えられるわけです。そして、協議ですから、一社でも反対に回ればこの許諾権というのは行使されないのではないかという不安がありますが、それはどうですか。
  52. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) これからのことでございますので予測は非常にむずかしいわけでございますが、実際問題、理論上といたしましては、粕谷先生おっしゃいますとおり、だれかが、あるいは会社の一社が、これはだめだと言えばレンタル行為ができないということになるわけでございますが、実務的な観点で考えますと、恐らくは、権利者側使用者側との間の包括的な契約が結ばれ、その場合に、このレコードについては、この期間は差し控えてほしい、そのほかの場合はレンタルしてよろしいというような、ある程度の方向づけが出るものであろうという考え方で見ているわけでございまして、そういった円滑な利用関係というものが、この法秩序が形成されました後にでき上がっていって、恣意的な形で、あるいは一方的に強い権利として動くということでないように、音楽文化の世界といたしまして、権利者、使用者が、双方それぞれ良識ある考え方で利用関係を形成していくことを期待しているということでございます。
  53. 粕谷照美

    粕谷照美君 いま理諭的に言えばというふうにおっしゃいましたけれども、私、そういうこともあり得るのではないかという強い懸念を持つものですから伺ったわけですが、実務的に言えば恣意的なことはないであろう、そういうことを期待しているという、事実やってないわけですからわからないわけですけれどもね。事実上、反対に一つでも回っていけば貸与は許されない。逆を言うと、長引いていけば事実上の拒否権になるわけでありまして、貸しレコード業が廃業に追い込まれていく。七百万人の会員に大きな影響を与える。音楽愛好者に大きな影響を与える。音楽文化創造の底辺ですね、こういうことも考えてみますと、本当に恣意的な権利行使などというものがないようにお願いをしたいと思います。  ぜひ文化庁としては入っていただかなきゃならないと思いますが、もう一つ、一方では、それでは使用料を払うことで結構ですと、しかし、その使用料の額が気に入りませんよということで、レンタル業が成り立たないような高い使用料を払わせられるというようなことがありはしないかと思いますが、この辺はどうですか。
  54. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) いまの問題、ちょっと二つに分けてお答え申し上げたいと思いますが、一つは作詩、作曲家側の、言うなれば著作権者側の問題につきましては、音楽著作権のほとんどが現在日本音楽著作権協会という団体権利行使の委任、委託等が行われておりまして、この場合には著作権ニ関スル仲介業務ニ関スル法律がございまして、文化庁長官の監督下にあるわけでございまして、著作物使用料規程というものを、文化庁長官の許可を得て使用料を取るというたてまえになっておりますので、その限りにおきましては、音楽著作権協会権利行使に関する部分文化庁長官の規制が動くわけでございます。残ります実演家並びにレコード製作者につきましては、こういった法体系の中には包含されておりませんので、その限りにおいては、当事者間の話し合いによって決まる問題でございますが、事実問題といたしますれば、文化庁としても、話がうまくいくように、事実上のあっせんの労はとりたいと考えているわけでございます。
  55. 粕谷照美

    粕谷照美君 文化庁があっせんの労をとるということは、公正な使用料が決まる、使用料は公正に決められると、こう理解してよろしいですか。
  56. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 世の中にいろいろな著作物の利用態様あるいは著作隣接権対象物の利用態様というのがあるわけでございますけれども、いずれの分野におきましても、それぞれの営業利益の中の一定のパーセンテージというものが社会常識上あり得るわけでございまして、そういったような著作物等の利用行為が営業として成り立ち得る範囲内において、権利者の利益をどの程度十分にカバーするのかということでございまして、一律には申し上げることは困難でございますけれども、利用体系、利用秩序がいろんな分野であるわけでございますので、そういった諸般の状況等も勘案すれば、おのずから常識的な線というのはあり得るのじゃないかと考えております。
  57. 粕谷照美

    粕谷照美君 この貸しレコード業界も、いままでばらばらだったようですけれども、十月の二十六日に商業組合が設立されているわけですね。私はその活動方針を見てみました。十日の二十六日に霞が関ビルの三十三階で結成大会を開いて、役員などもきちんと決まっているんですね。そして、商業組合の位置づけを明確にし、商業組合としての当面の活動方針を決めております。一つ著作権対策委員会の設置であります。ここが中心になって多分この問題に取り組んで、今後は文化庁なんかとも折衝するのではないかなという感じがあるわけです。そして二番目に、百万人署名運動をやるというんです。その署名用紙を私、見てみたんですけれども、おもしろいですね。「著作権法の公正な改正によって、レコードレンタル業を音楽産業の一つとして正しい位置づけをしてください。」と、こういう一つの柱です。もう一つは、「レコードレンタル産業が適正な著作権料を支払うことで、日本の音楽文化をさらに活性化さ せることを期待します。」、「多くの消費者(音楽ファン)の声を反映した公正な法改正を求めます」と、こんな署名運動やっているわけです。私は、貸しレコード業界も前向きに音楽文化創造の道を歩き出したという感じを非常に強く持っているわけでありますが、その中で、一つは店頭ダビング機器撤去の呼びかけをやっているんですね。これは非常に厳しく批判をされているところだったんですが、自浄作用をなしているわけです。みずからでみずからの体質を改善していこうと、これは非常にすばらしいことだというふうに思います。適正な著作権料も支払います、こういうことを言っているわけです。そして音楽産業として認めてほしいということも言っているわけでありますから、これからいろいろと話し合いをする私は対象になるのではないか、この協会が。文化庁、どうですか。
  58. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 御承知のように、現在レコード会社側あるいは音楽著作権協会側との間におきまして訴訟がございまして、その意味におきましては当事者間でトラブルがあるという状況でございまして、現在まではそういった権利者、使用者間の話し合いの場というのは存在しなかったわけでございますけれども、いま粕谷先生数々御指摘なさいましたような、今回設立されましたレコードレンタル商業組合側におきまして、著作権使用料の支払い等も前提とした話し合いに入りたいという考え方、私ども非常に歓迎すべきことだと考えておりますし、そういう意味で、この団体を通じて権利団体との間に円滑な調整が行われるよう期待しておるところでございます。
  59. 粕谷照美

    粕谷照美君 文化庁にもう一つお願いをしたいと思うのですが、多分、この法律をつくり上げられるまでの間にいろいろと審議されたでありましょう通産省の「貸レコード店開店前と開店後のレコード売上げ変化について」というのを見ましたけれども、大変精力的に取り組んだのでしょうけれども、ちょっと問題ですね。たとえば、「貸レコード店開店前と開店後のレコード売上げ変化について」というのの図式の下を読んでみますと、「貸レコード開店前と開店後においてレコード売上げに変化があったかどうかについては、意識上は「大いに減少した」と感じている店が七割近くを占めており、「特に変化はない」と答えた店は僅か二%となっている。」、「意識上」というもので通産省が資料を出している。それを利用して法律討議にするということは問題だと思うんですね。数字の上できちんと出してもらわなきゃ困ると思うんです。  それからまた、審議の間に置かれました資料の利用などについても、文化庁そのもののあれを見てみますと、やっぱり日本レコード協会調査を常に利用しているように思いますね。日本レコード協会の話によりますれば、レンタル協会の発表はもうでたらめもいいところだと、こういうふうに批判をしているわけでありますから、両方やっぱり見て、何か文化庁自身の私は判断審議が行われるように、次期国会には多分提案されるでありましょうから、そういう配慮というものをやっていただきたいと、こう思います。  時間は余りましたけれども、一応賛成法案でありますので、ここで私の質疑を終わりたいと思います。
  60. 吉川春子

    ○吉川春子君 それでは、商業用レコード公衆への貸与に関する著作者等権利に関する暫定措置法案についてお伺いいたします。  きょうは非常に私に割り当てられております時間が短いので、私はほんの一、二基本的なことについてお考えをお聞きするにとどめ、後日また引き続きこの問題についてはやっていきたい、そして余った時間については学術会議法の質問時間に回したいというふうに考えておりますので、お願いいたします。  まず、一番最初に、著作権者側の利益文化の普及という二つの一致点をどこに求めるかというのは非常にむずかしい面もあり、著作権者とそれから貸しレコード業者側の利害の一致を求めるという大変困難な面もあると思いますけれども、そういう中で、政令にゆだねられている期間を定めるについて、著作権者側、貸しレコード業者側の双方の十分な合意に達するような努力をしていただかなきゃならないと思うんですが、その点についてまず見解をお伺いいたします。
  61. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) これは衆議院側におきます貸しレコード委員会委員長報告にもございますように、円満なる利用秩序の形成ということが報告されているわけでございますし、その意味におきまして、政令期間を定める場合につきましては、権利者側使用者側双方の御意見をちょうだいしながら、先ほど粕谷先生にもお答え申し上げましたけれども許諾の有無の期間であると同時に、使用料算定の基礎となる期間、使用料支払いのベースとなる期間であるという点も踏まえまして詰めていきたいと考えているわけでございます。
  62. 吉川春子

    ○吉川春子君 それで、二番目に、貸しビデオ等の著作物複製物貸与の問題、それから著作権法第三十条の規定私的使用のための複製など、著作権に関する法体系が現状に追いついていないという点があると思うんです。こういう問題について早急に著作権法改正が求められていると思いますけれども、その点についていかがですか。
  63. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) すでに九月九日に著作権審議会の第一小委員会報告をちょうだいしておりますので、その報告の線に沿いまして、商業用貸しレコードのみならず、著作物複製物のレンタル行為につきまして、一般的な法体系として著作権法改正に取り組むと同時に、三十条関連といたしましては、現在コピー機器あるいは高速ダビング機器の設置によりまして公衆の利用に供している機器の設置者に対しまして、これは著作権法上の複製権あるいは録音、録画権が機能するという形での法改正準備中でございます。
  64. 吉川春子

    ○吉川春子君 三番目でございますが、いろいろな経過はあるにしても、今後ますます録音テープによる録音というようなこと、録画というようなことはふえる傾向にあると予想されますし、同時に、こういうものを大量に取り入れなければ貸しレコード業界としてもやっていけないという側面もあるというふうな意見も私ちょっと聞いておりますが、そこで、録音、録画機器に対する賦課金制度について、外国等においてはすでにやられている国もあるわけですけれども、この点についてわが国でも早急にこの制度を求める必要があるというふうに私は考えますけれども、そういう制度を設けることを考えておられるのかどうか。もし考えておられるとすれば、どの程度までその作業が進んでいるのか、それをお伺いいたします。  それで質問は終わりです。
  65. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 私的複製に係りますその録音、録画問題でございますが、すでに五十六年の六日に著作権審議会第五小委員会報告をちょうだいしておりまして、この問題に取り組む必要性が指摘されると同時に、国民の間におきます法意識を徹底させること、あるいは関係団体の、関係者間におきます合意の形成に向けての努力をすべきことという御指摘がございまして、そういった小委員会報告を受けた形でございますが、現在、昨年の二日に著作権資料協会の中で著作権問題に関する懇談会、いわゆる民間の機関といたしまして、関係団体の専門家あるいは学識経験者等をもって構成されます著作権問題懇談会で、この録音、録画機器に関します問題を中心とした私的複製の問題についての話し合いが進められているところでございまして、この懇談会の一応の考え方を受けまして、文化庁としてもこの私的複製の問題に抜本的に取り組む必要性があることを認識している次第でございます。  なお、今回の著作権審議会の第一小委員会報告におきましても、最終的な付言でございますが、この家庭内における録音、録画問題についての抜本的解決を図るため、制度面での対応が早急に必要であるという点については異論がないという御指摘もございますし、この御報告を直接体しまして努力を続けたいと考えている段階でございます。
  66. 長谷川信

    委員長長谷川信君) 本案に対する質疑は、この程度といたします。  午後一時まで休憩をいたします。    午前十一時二十二分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会
  67. 長谷川信

    委員長長谷川信君) ただいまから文教委員会を再開いたします。  まず、参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  日本学術会議法の一部を改正する法律案審議のため、本日、参考人として日本学術会議会長塚田裕三君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 長谷川信

    委員長長谷川信君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  69. 長谷川信

    委員長長谷川信君) 日本学術会議法の一部を改正する法律案議題とし、質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  70. 粕谷照美

    粕谷照美君 私は、第九十八国会の五月十二日の文教委員会で、本法案科学者国民の合意を得ずに政府・自民党が独走して提出した法案と言わざるを得ない、特に、この十八日から開催予定の学術会議総会の討議の経過も見ぬまま強引に裁決することは、学術会議の独立性、自主性を侵すものであるという反対討論をいたしました。その後、法律衆議院に送られました。衆議院での審議経過について御報告をいただきたい。
  71. 橋本豊

    政府委員(橋本豊君) 本法案は、本院において可決された翌五月十三日、衆議院へ送付されましたが、本会議における趣旨説明取り扱いについての各党協議が調わず、その協議が調った五月二十五日に文教委員会に付託されましたが、文教委員会においては結局提案理由説明を行うことはできず、継続審査とすることが決められて、翌五月二十六日に第九十八回国会は閉会されました。七月十八日召集された第九十九回臨時国会では審議は全く行われず、継続審査とすることが決められただけでありました。さらにその後、九月八日に召集された第百回国会では、十月五日に衆議院文教委員会提案理由説明が行われ、翌十一月二日に三人の参考人意見陳述と質疑が行われた後可決されました。  なお、その際、新制度への移行をさらに円滑にすることを配慮されて、政府原案で会員の任期を一年延長することとしていたものを、さらに六カ月延長して一年六カ月とすることに修正されました。修正されました本法案は十一月十七日、衆議院会議で可決され、直ちに本院に送付されたというのが概略の経緯でございます。
  72. 粕谷照美

    粕谷照美君 もう少々、十月の二日ですか、文教委員会質疑の状況について御報告いただきたいし、本会議における採決の状況ももっときちんとした報告をいただきたいと思います。
  73. 橋本豊

    政府委員(橋本豊君) 十一月の二日の衆議院文教委員会でございますけれども、その前日に理事懇が開かれまして、各党にぜひ参加をしてほしいと当文教委員長からお話がありまして、その理事懇には民社党もおいでになっておられたようでございます。さらに新自由クラブもおいでになっておられたようでございますけれども、それぞれ党へ持ち帰って御相談になったというふうに聞いております。それで、当日の二日には十一時から委員会が開催されるということになっておりましたが、委員長は各党ができるだけ出席してくれるようにということで時間を延ばされまして、それぞれの党に出席方の呼びかけを行われました。結局十一時八分ごろになりまして、御出席にならないということで開会が宣されました。その結果、出席されたのは自民党の委員だけということで、参考人三人に対する意見聴取、それから自民党の船田委員による質疑ということで、十二時四十分少し前ぐらいに採決に至ったということでございます。  以上でございます。
  74. 粕谷照美

    粕谷照美君 長官にお伺いをしたいと思いますが、きわめて重要な法案で、国民注視の的であります。そして、激しい討論質疑が展開をされた法律が、衆議院においては全く審議をされないと言ってもいいと思いますね。自民党の出席があったと言いますけれども、これは政府・与党でありますから、もう事前にその法律についてはこれは通さなければならないという態度を決定している。そういう一つの政党のみが出席をして質疑をし、そして採決をして回してくる。こういうことをどのようにお考えになりますか。
  75. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) 先生のお尋ねでございますからお答えさしていただきますが、政府としては、この法律改正していただくことが学術会議にとっても重要なことだ、どうしても改正をしていただきたいという、そうした考えで法案の提出をいたして御審議を願っておるのでございますが、その御審議の方法と申しますか、過程につきましては、委員長を初めとして委員の先生方々の適切な運営と申しまするか、御審議の方法によってなされるのでございますから、いまここで先生から私がどう思っておるというようなお尋ねをいただきましても、やはり委員会委員会としての独自の立場で委員長中心にして理事会、委員の先生方の考えによってなされたことでございますから、とやかく言うことは差し控えさしていただきたいと、こう考えております。
  76. 粕谷照美

    粕谷照美君 参議院においては賛成をされた政党もあるわけですからね。衆議院だってきちんとやろうと思えば私はやれないことはなかったというふうに思うわけでありまして、そのような単独採決などということが行われないように今後は十分注意をしていただきたい。私は遺憾の意を表明をしておきたいと思います。  それで、学術会議の広報委員会の発しましたこの報告書を見ましても、第九十一回総会の報告でありますが、会長が口頭報告で、改正法案は十月五日の衆議院文教委員会趣旨説明が行われたが、その後審議がなく進展なし。国会が正常化すれば衆議院文教委員会が開かれるから、国会で十分審議が尽くされることを期待したいと、こう述べていられるわけです。私どもも十分審議が尽くされるという条件を確保をしていただきたかった、またいかなければならないと、こういうふうに思っているものですから、冒頭にその意見を申し上げて質疑に入ります。  昨年の十月に日本学術会議日本学術会議改革要綱なるものを出しました。私どもは、この要綱は学術会議の意思である、態度であると、こういうふうに受け取っておりましたので、学術会議の意思を大事にして、自主性を尊重してこの法律審議をしていかなければならない、こういう立場に立ちました。したがって、四月の十四日から十五日の総会では、学術会議は本法案に対して賛否の態度を表明することができなかった。そして、五日の十八、十九、二十日にこの法律に対する態度を明確にするということでありましたから、十八日の前の五日の十二日の文教委員会におきまして、私が先ほど申し上げたような態度を強調していたわけであります。したがって、参議院の審議は五月の十八、十九、二十日というところに、私自身は針を戻して質問をいたします。  この三日間にわたって開催されました日本学術会議第八十九回総会の議題中心は本法律案であったということですが、その審議の状況について御報告をいただきたい。
  77. 藤江弘一

    政府委員(藤江弘一君) お答えいたします。  第八十九回総会での審議中心議題は、ただいま御指摘のとおり日本学術会議法の一部を改正する法律案についてでありまして、これについての質疑、討論が行われました後、会長提案、第五部を除く有志会員二十五名の提案、第五部提案の三つの声明案が提出されまして、これらについて採決が行われました。第五部提案については反対多数、有志提案につきましては賛成多数、会長提案につきましては、賛成多数ではありましたけれども過半数に達せずということで、有志提案の「日 本学術会議法の一部を改正する法律案について」が採択されたわけでございます。この結果、久保会長は、今後の職務遂行ができないということで辞意を表明いたしまして、両副会長も同じく辞意表明。総会はこれを了承いたしまして、新三役の選挙が行われたわけでございます。以上でございます。
  78. 粕谷照美

    粕谷照美君 もう少々、会長提案、五部提案、それから有志提案、この内容、主張するところの大まかな柱を御報告ください。
  79. 藤江弘一

    政府委員(藤江弘一君) 三つの提案につきまして内容を御説明申し上げます。  まず第五部提案でございますが、政府においても、本会議とも慎重に協議しつつ法案を作成し、国会提案するに至ったが、その法案は評価すべき内容を持つので、決意を新たに改革の早期実現に向けて一層の努力を続けようとするものであるということでございます。  次に会長提案でございますが、会長は現在の学術会議をめぐる状況が深刻であるという情勢判断に基づきまして、詳しく見解を述べ、法案国会審議されている現段階においては、われわれとしては国民を代表する国会の意思決定をまつほかはないが、国会が十分審議を尽くされることを望むものである。また、日本の今後の科学技術のあり方に重大な使命を担うべき日本学術会議は、みずからの改革に一層の努力を続けるというものでございます。  最後に有志提案でございますが、同法案が事前に本会議の同意を得ることなく性急に国会に提出され、手続自体、本会議の独立性と自主性を侵すものであると言わざるを得ないとし、改正法案内容につきまして、改正理由改正の骨子との関係及び全面推薦制をとる積極的利点が不明確である。本会議の存在理由を左右する公選制が全く否定されている。有権者の意向をほとんど聞くことなく、その選挙権、被選挙権を失わしめる。本会議が学会連合に変質する。あるいは学会、協会の内外に不測の混乱をもたらし、健全な学会活動が阻害される危険がある。分野によっては会員推薦制度が実施困難ないし不可能に陥るおそれがある。したがいまして、改正法案は本会議の存在理由をおびやかし、目的、職務の遂行に重大な疑義があるというものでございます。
  80. 粕谷照美

    粕谷照美君 私なりにもっと簡単に言いますと、会長提案は、この法案に反対するものではないと。しかし、賛否両論あるので大変に困難な状況だという分析の中で、もう国会審議にまつ以外にない、こういうふうに読み取ってよろしゅうございますか。「国会の意思決定をまつほかはないが、国会が充分審議をつくされることを望むものである。」、こう書いておりますね、私の資料によれば。  それから第五部提案は、積極的な賛意を表している、この法律に対してね。  それから、いわゆる採択をされた有志提案というものは、賛成しがたい、法案に疑義があると、こう書いております。私ども考え方で言えば法案に反対だと、こう読み取れるのですが、そのことが書いてないということは一体どういうことなのかという疑問なんです。いかがですか。
  81. 塚田裕三

    参考人(塚田裕三君) ただいまの問題でございますけれども、いま有志提案というお話でございますが、有志提案提案者の中には、この法案に反対であるという方ももちろんいらっしゃいますし、しかし、非常にまあ私ども会員にとりましては当時、唐突でございましたので、十分その中身を検討したい。同時に、さっと見たところいろいろ問題点があるという指摘がございまして、そういったその段階においていろいろな問題点があり疑義があるという意味の方と、それから反対であるという方と、そういう方が一緒にその中に含まれているというわけでございまして、その提案趣旨といたしますところは、自主改革要綱ができている段階で直ちにその法案を支持するわけにはいかないけれども、しかし、何が何でも反対だというふうには私どもは理解していないわけでございまして、かなり幅のある方々が一緒になった提案であるというふうに私は理解いたしております。
  82. 粕谷照美

    粕谷照美君 幅があるということは、学術会議の態度が決定できなかったということなのでありますか。私は、法案には疑義がある、疑義があるんですから、この疑義がただされない限りだめだというように受け取っているのですけれども、そのことが書いてないんですね。事務当局はこれどのように処理しておりますか。正直にそのとおり、その文章のとおり下へおろして、態度はこうであるというように言っているのですか。——意味がよくわかりませんか。  有志提案というものは、私の頭で考えれば、態度が明確ではないと思うんです、法案に対して。疑義があるというのですから、私は、疑義があるんだったら、それはもういままでの審議の経過の中で明らかになってないわけですから、当然これは反対だというふうに言っていらっしゃると思うんですけれども、言われないんですね。だから、学術会議の態度は、この法律に対して賛成なのか反対なのかよくわからないから、もう国会に任せたのか、そこのところをお伺いしたいわけなんです。
  83. 藤江弘一

    政府委員(藤江弘一君) 私ども事務局は、あくまでも会長初め執行機関の補助機関でございます。その意味で、会長のお考えあるいは指示に従いまして行動をとっているつもりでございます。
  84. 粕谷照美

    粕谷照美君 それでは、会長にお伺いしますけれども、この総会が終わった後で共同の記者会見をなされまして、各新聞にそのときの会長の談話なるものが載っておりました。私は、短い文章ですから、その標題なり内容なりが正しく会長のお話しになったことを表現しているかどうかについてもよくわかりません。  というのは、各紙それぞれにいろいろなニュアンスがあったものですから、テレビなんかも見ておりましても、部分部分しか出てまいりませんから、なおさらわからないのであります。塚田会長の真意が伝わってきませんので、その採択されました法改正への声明について、当時一会員でもありました会長の、会長を承諾をしたという、その承諾をした以上は何らかの方針を持って執行部として進まなければならないと思いますが、御意見、お考えをお伺いしたいと思います。
  85. 塚田裕三

    参考人(塚田裕三君) 一会員の立場と会長という立場とは、私、ずいぶん違うものであるというふうにいまでも考えておりまして、当時、会長になれという、選挙でございましたけれども、結果がそうなったわけでございますが、しかし私はあくまで固辞をいたしたわけでございますけれども、しかし何としてでもどなたかがやらなければいけないということでございまして、私としてはワンポイントリリーフというようなつもりでお引き受けをいたしたつもりでございます。  それで、会長という職につきましたからには、とにかく学術会議総体の意見としては、法案に対する意見はさまざまでありましても、学術会議を活性化し、そしてよりよいものに育てていかなければいけないんだという点では私、会員全員が一致した意見だったと思います。それを認識をいたしまして、私としては採択されました声明の線に沿って会長としての職務を果たしていきたいということで、当時いろいろな新聞報道、テレビ報道などがなされたということでございます。
  86. 粕谷照美

    粕谷照美君 学術会議の月報二十四巻第五号、これ見ますと、「会長の就任に当たって」というお言葉があります。本当にその苦悩がよく出ているごあいさつだというふうに思って拝見をしているわけですけれどもね。広報委員会の出した報告を見てみますと、会長は、「従来どおり、総理府との折衝、協議を続けることを再確認した。」と、こう出ておりますね。私は、折衝することは当然だというふうに思いますけれども、その折衝に当たっての態度というのは、この法律が通るかもしれない、学術会議としてはこういう賛成論もある、反対論もあるという折衝になるのですか、こういうふうにしてもらいたいという、こういう折衝になるのですか。そのときの一体物差しになる ものは何なのでしょうか。お伺いします。
  87. 塚田裕三

    参考人(塚田裕三君) 私が会長に就任いたしましたときにはすでにこの法案国会にかかっておりますし、すでに参議院では可決されていたという状況がございます。総理府におかれては、すでに国会に提出をされておりますので、総理府と私どもの間で具体的な法案内容についての折衝という余地はもうほとんど残されていなかったという状況でございます。  したがいまして、私といたしましては、採択されました声明の線に沿いまして、できるだけ問題点を解明し、そして慎重な御審議をいただくようにお願いをしてほしいという意味の折衝が中心になったというわけでございます。
  88. 粕谷照美

    粕谷照美君 そうすると、慎重な審議お願いしたいということであって、会長としてはこの法律には反対ではないと、こう理解してよろしいわけですか。
  89. 塚田裕三

    参考人(塚田裕三君) 先ほども申し述べましたように、問題点はある。確かにあると思うんでございますが、しかし、そうかといって、私としては、もう何が何でもこの法律に反対をしていくという態度ではないということでございます。
  90. 粕谷照美

    粕谷照美君 第八十九回総会の採択をされました声明文、これを読んでみますと、上段において、「手続き自体、すでに本会議の独立性と自主性をおかすものといわざるをえない。」だから、私はこういうふうだというのは反対というふうに普通の人は読むと思います。  それから、内容について言えばということで、一から六まで問題点を挙げまして、「重大な問題点をはらんでいる。」のですから、この「重大な問題点」は当然解明をされなければならないと、こう思います。したがって、解明されないうちにこの法律が上がることについては反対だ。だから慎重審議だということになるんだと思います。最後に、「「改正法案」は本会議の存在理由をおびやかし、目的、職務の遂行に重大な疑義をはらむものと判断せざるをえない。」こう断じているわけで、学術会議の存在理由を脅かすような法律は、私はこれは当然学術会議としては反対しなければならないのだというふうに考えているわけですが、どうもその辺のところが不明確であります。じゃ、不明確になった理由は一体何か、こう考えてみますと、どうも採決の票数にあるんではないかと、こう思います。事務局、採決の票数について御報告いただきたい。
  91. 藤江弘一

    政府委員(藤江弘一君) 採決内容につきまして御報告申し上げたいと思います。  第五部提案につきましては、賛成五十二、反対百六、白票十。有志提案は、これは採択されたものでございますが、賛成九十一、反対七十一、白票六でございます。会長提案につきましては、賛成八十、反対七十三、白票十五でございます。
  92. 粕谷照美

    粕谷照美君 私は、塚田会長の悩みというのはそこにあったのだと思いますが、これからも折衝を続けていきたいという久保会長の提案が、反対が七十三ですね。有志提案は反対が七十一、ほんの二票差なんですね。賛成というのは、有志提案が九十一で会長提案が八十。その十一の差は一体どこへ行ったかといいますと、二票が反対に回り、あと九票が白票の方に回っている。学術会議の中というのは大変なんだなと、こうしみじみ思うんですが、そう考えてみますと、よくこの改革要綱まとまったものだなというふうに思うんですよね。この辺が門外漢には不思議でならないところであります。  さて、それではこの問題については後でまた関連する質問がありますので一応この辺にとどめまして、その後六月の二十日に第九十回総会が臨時に開催されて、十三期会員選挙日程変更を決定をしております。その理由を御説明ください。
  93. 藤江弘一

    政府委員(藤江弘一君) 第九十回総会は、ただいま御指摘のように、十三期の会員選挙の実施に関しましての特例措置を定めるための規則の制定のための総会であったわけでございます。その趣旨とするところは、現行法では来年一月十九日が現会員の任期満了になるわけでございまして、そのために選挙の手続を進める必要があるということでございます。  一方、改正法案が提出されておりましたので、中央選挙管理委員会では実務等についておくらせていたというのが実態でございます。ところが、法案が成立しなかったために、次の臨時国会で成立するかしないか不明の状態でございまして、もし仮に成立しなかった場合に、その時点から選挙手続を進行させたのでは間に合わないという実情がございましたので、手続等におくれがございましたので、その補整をいたしまして選挙の執行を並行して進めるという趣旨で選挙日程の特例を定めたものでございます。
  94. 粕谷照美

    粕谷照美君 簡単に言うとこういうことですか。第九十八国会法律が成立すると、こう考えて選挙準備を見合わせていた。ところが成立しなかった。そのためにこういうことになっていったわけでありますが、規則でいくとどういうことになるんですか。法律が成立するとかしないとかにかかわらず、規則でいけばどういうことになるんですか、事務手続は。
  95. 藤江弘一

    政府委員(藤江弘一君) 規則で定められている手続等については進めていたわけでございます。
  96. 粕谷照美

    粕谷照美君 当然準備が進められていたならば、そのまま何もこんなに延長する必要なしに選挙をやれたんではないですか。
  97. 藤江弘一

    政府委員(藤江弘一君) 登録のための新たな申請等の審査の事務を中央選管でやっていただくことになっておりまして、それを事実上おくらせていたということでございます。
  98. 粕谷照美

    粕谷照美君 よく聞こえないんですが、事実上何ですか。
  99. 藤江弘一

    政府委員(藤江弘一君) おくらせていたということでございまして、規則違反にはなっておりません。
  100. 粕谷照美

    粕谷照美君 規則違反にはなっておりませんと、こういうことでありますけれども、しかし、わざわざこの臨時総会を開いて、そして選挙日程を変更しなければならないような状況をつくり出す、つまりそのようにおくらせていたということは私は怠慢じゃないか、こう思いますが、どうですか。
  101. 藤江弘一

    政府委員(藤江弘一君) その点につきましては、中央選挙管理委員会で御審議、決定いただいたものでございます。
  102. 粕谷照美

    粕谷照美君 中央選挙管理委員会はそれではそのことについては怠慢ではなかった、こういう判断をしているのですか。規則違反でないから、こういうことをやっても構わないんだという態度だったわけですか。
  103. 藤江弘一

    政府委員(藤江弘一君) 法律案が提出されていた段階におきましては、やむを得ない措置と考えられたものと思います。
  104. 粕谷照美

    粕谷照美君 私はそれはおかしいと思うんですね。それじゃ、いま法律案が提出されて審議をしています。またサボっているんですか。
  105. 藤江弘一

    政府委員(藤江弘一君) ただいまの執行につきましては、臨時特例に関する規則の定めるところによりまして規則どおり実施いたしておるものでございます。
  106. 粕谷照美

    粕谷照美君 私は、だから先回は規則どおりにやるべきであった、違反ではないけれども、きちんとやるべきであった、こういうことを先ほどから申し上げているわけであります。  じゃ、いま規則どおりにやっているとすれば、すでに事務はある程度進められているわけですが、どの辺まで行っておりますか。
  107. 藤江弘一

    政府委員(藤江弘一君) 御説明申し上げます。  立候補の届け出等も締め切りまして、公示も行いまして、現在投票用紙の発送等の準備段階にあるわけでございまして、これから発送いたす予定になっております。  なお、投票の締め切りが十二月の十九日でございます。その後十二月の二十四日に中央選挙管理委員会が開かれまして、最終的な当選人が確定されるということになるわけでございます。
  108. 粕谷照美

    粕谷照美君 その第九十回総会で同時に選挙用はがきの廃止の問題、通算四選以上自粛申し合わ せ問題が提案をされたというふうに聞いております。この審議の状況について報告いただきたい。
  109. 藤江弘一

    政府委員(藤江弘一君) この九十回総会におきまして、選挙期日の臨時特例に関する案件のほか、ただいま御指摘のように選挙用はがきの廃止と、それから第十三期会員選挙に当たって通算三期を超えて会員となることの自粛の申し合わせの二案が提案されたわけでございますけれども審議の結果いずれも否決されております。
  110. 粕谷照美

    粕谷照美君 私はこの問題については、学術会議みずからがまとめた改革要綱の中にきちんと入っていた問題ではないかというふうに思うんですね。  その否決されたという討論は、一体どういうことでありましたか。
  111. 藤江弘一

    政府委員(藤江弘一君) この案につきましての反対論の骨子を申し上げますと、申し合わせに拘束力はないから、候補者間に混乱や不均衡を生ずる上、有権者の立候補権や推薦権を実質的に侵害することになりかねない。また、緊急の次期選挙に際して、この申し合わせの結果候補者の確保が困難となるおそれも出てくることなどでございます。  また、選挙用はがきの廃止問題につきましての反対論の骨子を申し上げますと、選挙の差し迫った時期に、しかも選挙はがきの制限枚数を五千枚以下と定めて、いまだ一度も実施されていない時期に改革要綱のこの部分だけを抜き出して実施することは適当ではなく、現在は現行規則のまま手続を進めるべきであるということでございます。
  112. 粕谷照美

    粕谷照美君 そうしますと、学術会議というところは不思議なところなんですね。自分たちで申し合わせして選挙用のはがきは五千枚以下にしようといったことが一度も守られたことがない。ちょうど国会における年賀状の虚礼廃止みたいな、そんな感じなんですけれどもね。この権威ある学術会議なんですから、その辺のところはもうちょっと、そんなことが国民の前に明らかになられるような討論が展開されるなんという、私はその辺はおかしいというふうに思いますけれども、会長いかがですか。
  113. 塚田裕三

    参考人(塚田裕三君) ただいまの御指摘でございますけれども、確かに改革要綱の中には、はがきをやめよう、それから四選禁止にしようということをうたっておるわけでございます。しかし、ただいま事務局長から御報告申し上げましたように、この時期と申しますのは、非常に選挙が差し迫った時期に要綱の中のはがきの問題とか四選禁止の問題だけを取り出して、それだけを申し合わせ的に決めるということに対しましては、会員の多くの方々の賛成が得られなかったというふうに私は考えておるわけでございます。改革要綱と申しますのは、これは改革要綱全体で一つのセットという考え方でございまして、その中の一部分だけを、私もそのこと自身は非常にいいことだと思っておるわけでございますけれども、この差し迫った選挙の前に一度もまだ行われていない、五千枚にしたのは、ちょうど前期の選挙が終わりましたすぐ後で五千枚というふうに規則を改正しまして、その新しい改正に基づいた選挙は一度も行われていないわけでございます。ですから、まだ一度も行われていない規則をまたそこで変えてしまうというようなことに対する疑義の念があったというようなこともあるんではないかと思いますので、私は、いま先生御指摘のように、それほど不見識なことをやっているんだというふうに私自身は思っておりません。
  114. 粕谷照美

    粕谷照美君 了解しました。五千枚決まってから一度も選挙をやっていないということですね。それならわかりました。私自身もこの要綱そのものはセットであるというふうに思っておりますから、その部分だけを取り上げて変えようということについてはやっぱり問題があろうというふうに考えておりましたので、その御説明でよくわかりました。  しかし、そういうことで言えば、選挙制度そのものが学術会議考え方とこの法律は違っておるわけですから、否定をされている法案なんですから、やっぱりこれは反対ということが明確にならなければならないというふうに思っておりますけれどもね、会長いかがですかそれは、セットなんですから。
  115. 塚田裕三

    参考人(塚田裕三君) いまの学術会議会員の選挙の問題でございますけれども、改革要綱の中では三分の二を公選制、三分の一を推薦制にしようというふうにうたっているわけでございます。この点と今度の法案との間には大きな隔たりがあることは事実でございまして、その後、法案の検討をいたしました中でも、この点が非常に大きな論点になっているということでございます。しかしながら、公選三分の二を公選ゼロにするということに関しまして、一体それが改革要綱の線と全く相反するものであるのか、少し理解を広げるとすれば改革要綱の中にある程度組み込めるものなのか、その辺の議論がいろいろされまして、ある程度具体的に検討がされたわけでございますけれども、これは両論ございまして、改革要綱の範囲内に入り得るというような理解をなさる方、やはりこれは全く異質なものであるというお考えの方、その辺の意見が分かれておるわけでございまして、その辺は報告書にも書いてあるところでございます。
  116. 長谷川信

    委員長長谷川信君) 粕谷委員の関連質問で、中村君。
  117. 中村哲

    ○中村哲君 私は社会党の一員としまして、この学術会議法案に関して必ずしも御質問といって、そしてお答え願えることがあるなら答えていただきたいけれども、私の方も用意して通告しておりませんので、私の意見を述べたいと思います。答えられるところは答えていただきたいと思います。  結論的に言いますと、この日本学術会議というものは終戦後間もなくできまして、私ども学会におります者は多かれ少なかれ関係しているんですが、私は一回も出たことはありません。出るほどの余裕がありませんので出ませんでしたが、大体今日までの学術会議のたどってきた道というものは知っているつもりであります。今度の改正案というものを、このままの形で通すようなものでは私はないというのが結論でありまして、ただ、私が六月に国会に出ます前に、すでに参議院社会党はこの法案についての見解を出し、そしてそれが衆議院に回っておりまして、またここへ戻ってきたのでありまして、そのときの参議院の審議の問題点等については十分知っておりませんので、先ほどの粕谷委員の発言されたそういう社会党の立場の枠外に出るものではありません。しかし質問したいことが幾つかあるんです。お答え願う必要もないこともあるんですが、というのは、今度の改正案を見ますと、前の改正案にない内閣総理大臣が任命しというような非常に私にとっては唐突とした言葉が出ております。第六章雑則第二十五条「内閣総理大臣は、会員から病気その他やむを得ない事由による辞職の申出があったときは、日本学術会議の同意を得て、その辞職を承認することができる。」、次の第二十六条もやはり「内閣総理大臣は、」、途中を抜かしますけれども、「当該会員を退職させることができる。」、これは前のそれに相当するところでは「総会の議決」でとなっているんですが、まあ、中曽根首相自身がだれを会員にするとかそういうことの選択を必ずしもするわけじゃありませんでしょうけれども、実際にはそれに類似したことが起こるぐらい中曽根首相というのはタレントでありまして、なかなか学術のことも芸術のことも発言しております。これは、芸術院賞だとか芸術院会員とかいうのはそれぞれ機関があるけども、やはり政府の方針、政府の中でリーダーシップをとっている者の発言というものは影響を持っておりますから、したがって、事によってはそこまで発言しましても別に違法ではないわけです。  それで、私がちょっと心配するのは、現在の段階で、昨日でありましたか、中曽根首相自身が国際関係のことを一言したときにゲーム理論のことを発言しました。このゲーム理論というのは国際政治学者がよく使う言葉でありまして、また国際政治学の現況がゲーム理論に傾斜しておる。このゲーム理論というのは、仮想の相手を決めて、そのストラテジーを、戦術を考える、そういうゲームの、対立の、力関係の理論でありまして、いまの国際政治学者は、われわれ政治学一般の学者とも違って、そのことを非常に追求しているというふうに見られております。  このゲーム理論に関連しては、アメリカにおきましても非常に問題にされている。なぜなら、この原爆の時代に、対立する者との間の国際関係、それを戦術的に考える。もっと高い次元の平和とか、あるいは人類の将来とか、そういうことを考えない。それがゲーム理論に対する今日の批判でありますけれども、先般、中曽根氏自身がすでにゲーム理論によってと、こういうふうに発言している。まさにレーガン自身がそういう立場をとっておりまして、そうして日本から——よけいなことを言うようですけれども、日本から韓国へ行きますと、最前線まで出ていって、そして望遠鏡でのぞいている。そういうレーガンの最近の性格というものは、ヨーロッパの目から見ますと、たとえば英国の「エコノミスト」の表紙は、御承知の方もあるかと思いますけれども、レーガンがハリウッドの俳優だったときにピストルを持って構えているあの写真を正面に掲げておりまして、レーガンの登場というのはそういう西部劇的なセンスで出てきているところがあって、これがアメリカをいま代表している。御承知のように、アメリカにもケネディ大統領あり、その他いろんな学会の空気がありまして、決してレーガンによって代表されているわけじゃないし、またゲーム理論によって代表されているわけじゃない。  しかし、論理は飛躍するようだけれども、この法案の提出理由の中に、特に三行目のところにおいて「日本学術会議は、我が国の科学者の内外に対する代表機関として、」と、国の代表機関でありますけれども国際的な関係のことを言っているが、その国際的関係という中に国際政治学の学会の事情も反映しているんでありましょう。  そういうふうなことで、政治学関係一つをとりましても、内閣の方で学者を会員として決めるときに、国際政治学のゲーム理論に非常に通暁した人を入れるとか、そういうふうに自然になってくるのでありまして、そういう時代の、ことに権勢を背景とした空気に対して、学術というものは毅然としていなければならない。そのつもりで実は最初の学術会議の出発のときに、文部省に直属させるとかそういうのじゃなくて、内閣直属にしましたところ、それが内閣総理大臣直属という形で、逆に非常に政治的介入を予想させるような改正案の条文になってきている。このことを非常に私は憂慮するわけであります。  この学術会議は英文ではサイエンス・カウンシル・オブ・ジャパンとなっておりまして、サイエンスという概念は、これはどちらかと言えば自然科学に傾斜しておりまして、また日本の学術会議もどちらかと言えば自然科学の方に傾斜する考え方が強いのではないかと思うんです。  日本のそういう学術の最高の機関としては、別に日本学士院というものがあります。芸術の関係では芸術院というものがあります。そういうものと並ぶような形で、サイエンスの最高のこういう審議機関にしようというのでありましょうが、それは一つ考え方でありますけれども、そのサイエンスというものが今日、内外の物理学者が非常に憂慮するような核兵器の問題など、そういう技術的なことに進んでいきますと、それをチェックする、それについての価値判断をする要素、そういうものが同時に学術会議の中に強くなければならないけれども、何かそういう科学技術——科学と技術ということになりますと、先ほどからの政治学の中にもゲーム理論がずっと強く入ってきている、こういう時代でありますだけに、一たびこういう形で改正が行われたときに、何がチェックできるのかという点で非常に疑問を持ちます。  そして、いままでの選挙にかわりまして——いままでの選挙も、終戦後長い月日がたちますと、最初趣旨から離れてだんだん空虚になってきていることがないとは言えない、私どもそう思いますけれども、それをどう改正するかというときに、内閣直属で、内閣総理大臣が会員まで決定する形になっている、そういう改正法案を、御承知のようなこういう国際関係が非常に微妙な時期に改正するということに対して憂慮するのでありまして、以上は私の考えであります。  ただ、この選挙にかわって——こういう会員を選ぶのは、私の理解しているのでは、一種の学会などから選ぼうとしているんだと思うけれども、学会といいましても、例をとりますと、国際政治学会があり、政治学会があり、その他政治史の学会もあり、一人が幾つも兼ねているわけです。いままでのように、学術会議の選挙権というのは一人一票だけれども、いろんなものを兼ねていて、そこから代表が出てくる。一体そういう学会的なものを期待したときにどういうふうに判断するのか、その判断の有権的解釈は内閣、そして総理府にあるという、この点が私はせめて文部省にあれば、文部省は何といいましても大学関係のことをよく知っておりますから——そういうところとも違って、総務長官のもとに、政治的な決定をする、そこのところにこの学術会議が所属していて、先ほどのようなことだっていうことは、一体、いま改正にいろいろ理由をつけておりますけれども、これから一遍出発したときに、こういうことじゃなかったというときに、どうして、国民が反対し、政党がそれに気がついたときに、批判できるかということを心配します。  最後に、お聞きするところとしては、実際に会員を決めるときの手続はどうするか、この手続が非常にむずかしいのでありまして、それらの点については細かく案を持っておられると思うが、その案を出されないと最終的にこれを判断することができない。  私は十年前後文部省関係審議会にずっと出ておりまして、審議会の会員の決定、選挙で決まるところもありますし等々、そういう審議会の実情から見ますと、学術会議のように一般の学者から選挙されるんじゃなくて、やはり官庁の方が行政指導で決めたり、また会員を決めたりということが強いのがこれが審議会。その審議会よりもさらに強く内閣総理大臣に直属していると、これはどうもいただけない、まあ、そんなことであります。お答えいただかなくてもそういうことだと思います。
  118. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) いま先生からいろいろなことをお聞かせいただいたんですが、冒頭おっしゃいましたように、粕谷先生のお許しを得て、御了承を得て関連質問で通告もなしでするんだから答弁の要はない、よく聞いておけ、こういうことでございますけれども、しかし聞かしていただいた以上はちょっと申し上げるだけのことは一言、二言申し上げさしていただきたいと思いますけれども、特に今回の改革そのものは、学術会議が先生のおっしゃいましたように真に科学者代表機関としてその本来の機能を十分果たすことができるようにするため会員選出方法等を改めるものでございまして、その会員選出方法も、いまお話がありましたが、内閣総理大臣による会員の任命行為というものはあくまでも形式的なものでございまして、会員の任命に当たりましては、学協会等における自主的な選出結果を十分尊重し、推薦された者をそのまま会員として任命するということにしております。  だから、会員選出方法等を改めるということであって、その心配はないと思いまするし、いまお話がありましたように、学術会議の性格、目的、任務等に少しも変更を加えるものではない。  特に、総理のもとに置く、総理府に置くよりは文部省の方に移した方がいいではないか、こういう先生の御意見もございます。先生はそういう御意見でございましょうし、そういう考えを持っていらっしゃる方もあるでしょうが、私の方としては、先ほど申し上げましたように、政府としては、学術会議が真に科学者代表機関としてということでございますから、そうした専門的な文部省の所管よりは政府である内閣に、総理府の、総理のもとに置いた方が代表機関としての権限がある、また責任を大きく感じていただける、そういう意味で私どもは従来どおりの総理府に置かしていただきたい、こういう考えでございますから御了承をいただきたいと思います。
  119. 中村哲

    ○中村哲君 おっしゃるように、いま文部省と言ったのは私の見解であって、別に社会党の見解じゃありませんけれども、しかし、いまや学術会議法を改正しようという大きな、そしていまの中曽根内閣の政治的な課題として出してきたというのは、やはり学術会議が事ごとに平和の問題その他核兵器の問題等に発言するということがあるからでありまして、それでなかったらこれはそういうことはしないんではないか。だから、やはり苦言を呈するという機関がきちんとあることが必要でありまして、戦争中、日本の学者たちがいろいろ内外の攻撃を受けましたときに、末弘厳太郎という先生が、大学というものは、学者というものは天下の御意見番なんだ。そういう御意見番として核兵器の問題なんかに発言しているとき、そういうものが政治に発言するからどうも、新聞なんか見ると学術会議はどうだと、こういうふうになっておりますし、そして首相自身が決めるんじゃないけれども、やはり首相の名目のもとでどこかが決める、そういうことに問題がある、こういうふうに思います。
  120. 粕谷照美

    粕谷照美君 高度の理論展開をされました後で法律の具体的なところに入ると非常に問題があるわけですけれども、私は教育学会に所属をしておりまして、季刊的に発行される本なんかもよく読ましていただいておりますが、ばたばたしているもんですから会費も払わない年があったりしまして、ことし、あなたの去年の会費は納まっておりませんと、ウン千円納めてくれれば選挙権ありますよというような御通知をいただきまして、そしてあわてて払ったということもあるわけですが、学術会議がとにかく活性化するためには、どうしても一人一人二十三万会員が投票するということが大事なんだと、こういう討論を展開される方々がいらっしゃる。私も本当にそうだと思うんですよね。選挙もしないで、金も納めないで、とにかく学協会を代表してどなたかが推薦をされたというふうな、そういうシステムになれば、ますます逆を言えば学術会議離れをするのではないかという気持ちを持っているわけです。  これだけ討論がされ、これだけマスコミが取り上げ、やってきた学術会議の選挙、立候補、一体どんな状況なんですか。さすがに、今度はおれが出ていって変えていかなければならないと、こういう状況の中で立候補されていらっしゃるんじゃないかと思います。会員も、僕も私も有権者、選挙権を持っているんだといって登録がどんどん進んでいくというような実態は出ておりますか、御報告ください。
  121. 藤江弘一

    政府委員(藤江弘一君) 第十三期会員選挙の立候補状況につきまして御報告申し上げたいと思います。  最初のといいますか、その後定員に満たないために追加公示したわけでございますが、最初の締め切り時点で二百二十九名でございます。定数につきましては御承知のとおり二百十名でございます。この中から後で二人の方が辞退しておられます。その後候補者が定員に満たない、官報公示を行いまして、九月二十四日までに六名の方の届け出がありまして、合わせて二百三十三名となられたわけでございます。競争率にいたしますと一・一一倍ということになります。
  122. 粕谷照美

    粕谷照美君 率などというのは私は余り興味がないんですけれども、九月の十九日に出されましたニューズ・レターのナンバー十四を拝見をいたしますと、いまの御報告のようなことのほかに、「ただし、第7部は総数としては3名欠けている。第1部から第6部までは定数に満ちるか、超えている。」、こういう報告がありました。「地方区については第3部の中部、中国・四国及び第4部の近畿の3地方区で欠けている。」。定員に足りなかったわけですね。その「上記欠員6名について補充立候補を認めることになる。」。それでいまの御報告があって、みんな出ましたよということになるわけです。  いままでの選挙の中で、こんな定員に満たないなんていう状況がずっとあったのですか。それと、こういう状況がもしなくて今回だけこういう定員に満たないことがあったというようなことになりますと、その原因は一体どこにあるのか、分析していただきたいと思います。
  123. 藤江弘一

    政府委員(藤江弘一君) 正確なただいまデータを持っておりませんので正確なお答えはできませんけれども、定員に満たなかったことはこれまでにございます。
  124. 粕谷照美

    粕谷照美君 しかし、二百十名の定員のうち、六人も欠員であるなんという状況は、私はそんな学術会議に対する学者の方々の関心が高まったとは言えないというふうに思っております。  有権者登録なんかどんな状況ですか。
  125. 藤江弘一

    政府委員(藤江弘一君) 今回の有権者登録の総数、締め切りました結果では二十四万ということでございまして、前回の登録人員から四万五千ばかり上積みされております。
  126. 粕谷照美

    粕谷照美君 私は、学術会議会員の方々にぜひ大きな、何というか学術会議の権威を高めるための運動といいますか、独自性を認めていただく運動といいますか、そういうものを大きく出していただきたいというふうに考えるんですね。イギリスの「ネーチャー」ですか、その中に大変よく調査をして、分析をしていらっしゃるなと思うんですけれども、その中の一つに、「数少ない著名な科学者である久保亮五教授」と、こうありますから、ほかの人が何か著名でないような感じで問題だなというふうに思いますけれども、「「学術会議の地盤沈下の犯人は日本の科学者自身である。」と述べている。彼は、まじめな研究者が学術会議への関心を失っていることを批判し、「学術会議がまだ重要な役割りを果たしていた時代においてすら、学部全体の決定として学術会議会員選挙に一切参加しないことを決めたこともあった。」とも述べている。」と、こういうことが出されているわけです。まあ、そのことも踏まえて、今回の選挙立候補者の様子を伺いながら、本当にその学術会議会員を選ぶということが活性化につながるような方途というものを会長には私は探っていただきたいという要望をするわけであります。  ところで、八十九回総会で採択されました日本学術会議法の一部を改正する法律案についての声明は、最後の締めくくりとして、「「改正法案」は本会議の存在理由を脅かし、目的、職務の遂行に重大な疑義をはらむものと判断せざるを得ない。」と、こう言っているわけですが、この「疑義をはらむ」ということに関して、会長の要請に基づくいわゆる検討分科会が設けられ、そして九月の二日に報告書を出しておりますね。私、この報告書を読んでよくわからないのですけれども、何か両論併記みたいな感じですが、報告書をどういうふうに受け取って私どもが読んだらよろしいんですか。
  127. 塚田裕三

    参考人(塚田裕三君) 声明が出されまして、その声明にうたわれております内容について具体的な検討をしていただきたいということで改革委員会お願いをして、改革委員会では夏休み返上ということで大変一生懸命御検討をいただいた、その報告書がいま御指摘の報告書なんでございます。  それで、この報告書にうたわれておりますことは、その声明に出しました問題点についていろいろ議論されておるわけでございますので、どうしても問題点というふうに考える方、大した問題ではないと考える方、いろいろな方が、学者それぞれの意見があるわけでございまして、そういう考え方をここに書き上げたというわけでございますので、その内容としては確かに両論併記的な、こういう考えもある、ああいう考えもあるということになっておるわけでございますが、まあ、しかしながら一言で申し上げますと、公選制というものこそ学術会議の存在意義であるという認識に立たれる方からはそういう立場のまた御意見が出ますし、公選制でなくても学者の内外に対する代表 を推薦でできるんだというお考えの方の場合には、その規則、政令というものをいかにうまくつくるかということが非常に問題なんだというような御指摘があるわけでございまして、そういう意味での声明の具体的な検討というふうにお受け取りをいただければ幸いだと存じます。
  128. 粕谷照美

    粕谷照美君 もう学術会議国会の場に審議を任せる、慎重にその審議をしてもらいたい、こういうふうにおっしゃっているわけですから、私どもは私どもの立場で申し上げなければなりませんが、特にいま会長から御報告をいただきました公選制についてですけれども、やっぱり公選制を堅持すべきである。その公選制のあり方    〔委員長退席、理事田沢智治君着席〕 についてはすでに改革要綱が出ているわけですから、そのことを主柱にして政府と折衝を重ねていただきたい、こう思うのですけれども、特にこの報告書の中の五ページにこういうことを指摘しているのがあるわけです。  一つは、今度は「学・協会推薦制になると、実態面で総合的審議機関としての役割が低くなるのではないか」、こういう指摘があります。この辺をどういうふうにお考えになっていらっしゃるか。  もう一つは、独立性の問題であります。(4)に載っております。「公選制がなくなれば、本会議の独立性が危くなるのではないかという指摘に対し、」、そうではないという意見もあるというふうなことですけれども、私たちはこの独立性は侵されるのではないか、侵されるということを身をもって感じているわけであります。前に教育委員会が公選制でありましたね。この教育委員会が公選制でなくなるという法律が出されてきて、国会の中で大激論になって、もう大変な全国的な討論を巻き起こしながら、最終的には教育委員会が公選制から任命制に切りかわった。切りかわっていった途端にずいぶん教育委員会の姿勢が変わっているというのを私はこの目で見てきているわけであります。だから、学術会議がこの公選制を外されるということになりますと、学術会議の独立性、自主性なんというものが侵されるんではないかという危険を非常に強く感じております。  いま私が申し上げました教育委員会の公選制については国土社から「教育」という本が出ておりまして、そこに伊ケ崎さんという方が「学問・教育の自由の危機に抗して」という論文を寄せておられます。その論文の中に、任命制に教育委員会がなって一年経過してどのようにその性格が変化していったかということについて朝日新聞の社説を挙げて指摘をしております。「このわだちをふまないという保障はまったくない。」と、こう断言をしておりますが、そういう意味で十分に会長からはこの点を留意をしていただきまして、事に処していただくように要望をしておきます。  さて最後に、この報告書の中に「むすび」というのがありまして、たくさん問題があるんですけれども、時間がありませんから、この「むすび」というところに入っていきますと、一つに、この推薦制の担い手となる学協会の意向把握というものが非常に大事だと。幾らこっちの方でやりましょう、やりましょうなんて法律をつくったところで、相手がそういうものを受け入れる体制がなければどうにもならないわけであります。この辺のところの折衝というものは一体どのようになされてきたかということが一つ。  もう一つは、十七ページに出ておりますが、予算の問題でございます。今回の予算案見ますと、大体においてどの省庁も一〇%削減、五%削減、一律やられているわけですけれども審議関係費増減ゼロ、国際学術交流関係費、これはプラスになっていますね、八百七十三万四千円、これは国際分担金でありますけれども国内開催費はゼロです。諸物価高騰の折から国内開催がゼロというのは一体どういうことか。マイナスにならぬだけありがたく思えという、こういう考え方かもしれませんけれども。それから会員推薦関係費、これが大幅に上がって六千六百万円。また研究連絡費、ここのところが一番の問題点だと思うんですけれども、この研究連絡費が一千二百万円。しかも二カ月分でこれだけ上積みをされるというのは並み並みならぬ予算、決意のあらわれではないか、こういうふうに考えていますが、逆を言いますと、最後のところの選挙関係費が一億円余りばさっとゼロになっている。プラスマイナスで最終的には千八百万円ほど予算はマイナスということになっている。なかなかうまく考えているなというふうに、選挙に金を使うのはもったいないし、選挙をやらない方がかえってやりやすいという考え方が明らかに出ているというふうに思いますけれども、この予算についての、長官、御苦労があったんだろうと思うんですよ、折衝が、大蔵省と、その辺のところをお話しいただきたい。
  129. 橋本豊

    政府委員(橋本豊君) 予算についてのお尋ねでございますが、現在五十九年度の予算は概算要求内容を取りまとめまして大蔵省の方に提出している段階でございまして、その最終的な詰めは今後なされるわけでございます。  それから、先ほど研連の予算と選挙の予算との比較がなされましたけれども最初の年度の予算がそこに、いま先生がおっしゃった金額でございまして、これが平年度化されるともっと大きな金額になりますので、必ずしも選挙の予算が落っこちて節約になったということにはならないと思います。ちょっとその事務的な説明をさしていただきました。
  130. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) ただいま先生から御注意と申しますか、御要請と申しまするか、強く学術会議そのもののことを考えて大変御熱心にこの予算のことについてお尋ねがあり、強い御要請がございました。だから、このことについては、いまの事務的な来年度の予算折衝については総務審議官から述べたような交渉をいたしております。    〔理事田沢智治君退席、委員長着席〕 しかし、この責任者である私、長官としてはどういう考えを持っているかということでございますから、予算をお願いするについての私の気持ちをここで申し上げさしていただきたいと思いますが、先生も御承知のように現下の厳しい財政状況のもとにおきまして、なかなかむずかしい問題ではございまするが、責任者である私といたしましては、必要な予算につきましては、誠心誠意と申しますか、誠意を持って最大限の努力をさせていただく、必要な経費については最大限の努力をさしていただくと、それも心込めてやらしていただくということをいまの段階では申し上げる以外に答弁の余地はございませんので、御了承をいただきたいと思います。
  131. 粕谷照美

    粕谷照美君 推薦制の、学協会のその折衝……。
  132. 藤江弘一

    政府委員(藤江弘一君) 学術会議は、申すまでもなく科学者代表機関でございます。その意味におきまして、学協会とは絶えず密接な努力を維持するということが当然の責務としてあるわけでございまして、その意味で学協会との懇談会を常時といいますか、たとえば総会等が終わった段階、あるいは法案等が問題になった段階等で開いているわけでございます。そのほか、各部単位で学協会との懇談会というふうなものも開いているということでございます。また、改革でただいま問題になっております研究連絡委員会は、これは学協会からの推薦によりまして委員等を選出いたしておるわけでございまして、研連の場において学協会との接触、あるいは学協会からの意見を吸い上げるというふうな努力をいたしているわけでございます。今度の改革の問題につきましても、今後できるだけその意味では密着した協議が必要でございますが、その点は当然学術会議としていたされるものと考えております。
  133. 粕谷照美

    粕谷照美君 先ほど中村委員の方からも指摘がありましたけれども、この報告書の中でも出ておりますことの一つに、私、非常に政令部分が多過ぎると。これ第九十八国会の中でも各会派それぞれ御質問なさいましたけれども、この政令部分が多過ぎるということについて、会長、接触の状況はどのようになっておりますか。
  134. 塚田裕三

    参考人(塚田裕三君) 先ほどもちょっと申し上げましたように、この法案はすでに総理府の手を離れておりまして国会ということでございますので、久保前会長の時代には、この政令、規則の問題で、できるだけ政令を規則の方へということで、総理府とかなり折衝をなすったというお話は承っておりますが、私がなりましてからは、その問題について具体的に総理府とは折衝はいたしておりません。
  135. 粕谷照美

    粕谷照美君 私ども社会党は、いままでの質疑で明らかになったと思いますけれども、この法律そのものにやっぱり提出過程においても問題があった。審議の状況の中においても、衆議院のあの異常な審議の形態などということについては問題があった。いまここへ来ましていろいろな資料を拝見をいたしましても、私たちが疑問に思っていることが解決をされていない。それと同時に非常に不満に思いますことは、学術会議自体の考え方がはっきりしないということも絡まってくるわけですが、もっと慎重に審議していく中から学術会議の私は態度がはっきりしてくるんではないんだろうか、こういう感じがしてなりません。そのことを意見を申し上げまして、質疑を終わりたいと思います。
  136. 伏見康治

    伏見康治君 私はこういう委員会お話をいたしますのは初めての経験でございまして、それからまたきょうは学術会議の問題で、私自身は学術会議に非常にコミットしておりまして、あるいは申し上げることに不適当なことがあるかともひそかに恐れているわけでございますが、その節はどうぞ御注意願いたいと思います。  私は、通算二十六年間学術会議会員をやっております。最近には、副会長を二期務め、会長を一期半務めさせていただいております。そういうわけで、学術会議の裏も表もよく知っているつもりでございますので、そういう立場から少し意見を申し上げて、また長官等に御質問申し上げてみたいと思っているわけです。  この私の長い経験から申しまして、学術会議というものは当初の意気軒高たる状態をだんだん失ってまいりまして、どうしても時勢の流れにさお差し切れなくなって時勢の勢いから取り残されているという面がございまして、何か改革しなければならないという議論はずいぶん早くから行われてまいったわけでございます。特に、八期以来もう十何年になりますんですが、学術会議をもっと活性化するためにはどうしたらいいかという議論を続けてまいったわけでございますが、しかし初めのころは、学術会議は、うっかり法律をいじると、その法律をいじることによって非常に圧迫されるのではないかという恐怖心がございまして、法律をいじらないという範囲内での学術会議の改革ということを議論しておったわけでございます。ところが最近になりまして、もはやそういうこそくないわば手段では改革の実を上げることができないということがはっきりしてまいりまして、ごく最近の段階になりまして、特に第十二期になりましてからは、総会の決議をいたしまして抜本的な、つまり法改正をもあえていとわないような抜本的な改正をしようというわけで一生懸命改革委員会中心にして改革要綱なるものをつくっていただいたんでございます。それが約一年ほど前の十月の総会でまとまった議論でございますが、形の上ではそれを政府にお届けいたしまして、政府においてそれをたたき台にして新しい学術会議法律をつくっていただきたいというのがその当時の私の考えでございました。ただし、そのころに私をめぐるいろいろな客観情勢が非常にむずかしくなってまいりまして、この法案要綱をひっ提げまして政府当局と渡り合うということが私としては非常にやりにくい状態になりましたものですから、はなはだ無責任な話ではありますけれども、その段階で私は会長をやめさせていただいたわけであります。そういういろいろないきさつがございますので、私の言うことは事によると私個人の色めがねで物を見ているといったようなことがあるのかもいたしませんが、できるだけそうならないように公正な立場で申し上げてみたいと思っているわけです。  その学術会議がっくりました改革要綱というのと政府案というのとを比較してみますというと、もちろんいろんな点で学術会議の申したことを取り上げておられる面がございます。たとえば、研究連絡委員会といったようなものを非常に重視してくださるというような点では、学術会議が前から考えておりましたことをお取り上げくださって感謝にたえない点でございますが、何といっても学術会議が公選ということを非常に大事にしておりますのに対しまして、その会員の決め方が全部推薦によるという、政府の任命によるものであるというところが非常に問題点になるわけでございます。しかしながら、政府としては学術会議政府と独立して仕事をするんだというその条項はちゃんと保存されておりますので、学術会議の本来の性格というものは十分御認識の上で、形の上で推薦に基づく任命という形をお採用になったものであると考えます。  それで、まず第一に長官に特に、再度ということになるかもしれませんが、御確認していただきたいのは、政府と独立して学術会議科学者の代表として行動するんだという点を、それをひとつ御確認していただきたいということがまず第一のお願いでございます。
  137. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) お答えさしていただきます。  今回のこの改革そのものは、学術会議が真に科学者の、お話しになりましたように代表機関としてその本来の機能を十分果たしていただかなくちゃならない、またそうするために、いまの会員の選出の方法が世間でいろいろと言われておりまするし、意見もありまするし、特にまた学者離れというような傾向と申しまするか、そういう考えも耳にいたしまするので、先ほど先生も申され、私も申し上げましたように、学術会議が真に科学者代表機関としてのその本来機能を果たしていただくためにはこの会員選出方法を改めなくてはならない。そういうことで、この学術会議のことを考えて会員選出方法を改めるものでございまして、学術会議そのものの性格あるいは目的、そして任務、これら大事なことについては少しも変更を加える考えはございません。そういうものではございません。明らかに申し上げておきたいと思います。
  138. 伏見康治

    伏見康治君 ありがとうございました。私は実は文部省の学術審議会の委員も長らく務めておりまして、十年以上やったんではないかと思いますが、その前身になります学術奨励審議会というのにも十年近くおりましたので、各省庁に属している審議会というものがどういう性格のものであるかということもよく承知しているつもりでございます。そして、この学術会議の働きというものと各省庁に属しております審議会の働きというものはそれぞれ持ち場が違っておりまして、それが並行して存在するということに、私は長らく両方の委員を務めながら違和感を感じたことがございませんので、その点をお考え願い、学術会議というものはそれだけで独立した存在理由が十分あるんだということを御認識願いたいと思います。そして、たとえ任命制になりましても、ただいま長官が御確認していただきましたように、ちょうど国立大学の学長が政府の任命であるけれども、しかし実際は推薦に基づいて機械的に任命していただけるという、その例にならっていただけるように切にお願いいたしたいと思います。  次に、このたびのこの改正法案は、何と申しましてもいささか時間的に急ぎ過ぎているのではないかという点がございます。私のところへもいろいろな有権者の方々やあるいは現在立候補されている方々からいろいろとお問い合わせが参りまして、つまり現に一方では次の十三期の選挙をやりかかりながら、そういう非常に忙しい最中に法律改正するという非常にきわどい芸当をやっているわけですが、なぜそういうふうに急がなくちゃならないかというのが実は余りよくわかりません。特に、現在二十四万ばかりの有権者があるんだそうでございますが、その有権者の方々には学術会議会員を選ぶという権利を持っておられたはずなんですが、それが卒然としてなくなるということは相当異常なことでございまして、そのためには事前によく有権者の方々の権利喪失に至る事由が皆さんに納得できるという期間が必要だと思うのでございますが、そういうことができないような非常にあわただしい状況の中で法改正が行われるということがなかなか疑問ではないかと思うのでございますが、その点について何か御釈明があるでしょうか。これは橋本さんでも結構ですが。
  139. 橋本豊

    政府委員(橋本豊君) 先生もよく御存じでございますように、学術会議の改革につきましては、学術会議はもちろんでございますけれども、そのほかにも、これまで各方面において長い間種々の論議が行われてきております。総理府としては、いま御指摘のような、直接有権者からの意見聴取という形こそとっておりませんけれども、これら各方面における論議を十分踏まえ、学術会議の自主性に配意しつつその意見を十分伺いながら、今回の改正法案を取りまとめたということでございます。やはり改革の機運が出てきているときに改革を実現すべきものだというふうに考えております。
  140. 伏見康治

    伏見康治君 いまの御説明ということになるんでしょうけれども、私はそれでは十分納得は実はしていないんでございますが、ただ現実の問題として、ここまで来てしまったわけですから、何とかこの法律を日本の科学者の全体のできるだけ納得してくださる形で進めるということがぜひ必要だろうと思います。そのためには、何かこの法律の修正案というのができたそうでございまして、一年の準備期間というのを一年半に延ばしていただいたようでございますが、その一年半の期間をいわばフルに利用していただいて、ちゃんとした改革案を実際上つくり上げていただくということに全力を尽くしていただきたいと思います。できればもっと時間を長くしていただきたいくらいにも思うんですが、その上に審議の段階での、実際上の改正審議のために相当のやっぱりお金がかかるはずだと私は思いますので、改正が済んだ後の予算の手当はもちろんでございますけれども審議の過程での予算ですね、それを十分御留意ひとつ願いたいと思うんですが、その点いかがでございましょうか、長官。
  141. 橋本豊

    政府委員(橋本豊君) 学術会議の方と十分相談をしながら、どういうふうに対応していくか考えてまいりたいと思います。
  142. 伏見康治

    伏見康治君 日本学術会議の活動がだんだん先ほど申し上げましたように低下してきて、われながら腹が立つということがしばしばあったんでございますが、それの非常に大きな要因というものは、結局お金で苦しんだということでございます。学者というものは大変貧乏性でございまして、よけいなお金を使うまいと絶えず心がけているものでございますから、要求すべきこともしばしば要求せずに済ましてがまんしてしまう。いろんな審議会を自腹でやるというようなことをしばしばやってまいりまして、私は心がけとしては大変いい心がけであったと思うんですが、その精進がいわば裏目に出てしまいまして、学術会議の予算がだんだんに減ってきたと私は思います。学術会議の会長として非常に残念でたまりませんのは、何月何日何委員会を開きます、ただし旅費は差し上げませんので御了承くださいといったような、そういう通知を絶えず出しているわけですね。つまり皆さんの自腹においていろんな委員会を開催してきているわけでございまして、これはもう本当に情けない経験でございました。それで、学術会議の活動をとにかく上向きにしていただくためには、適正な予算をつけていただくということがきわめて大事だと思うんですが、私きょう特に申し上げたいのは、一つは学術会議の広報活動についてもっとちゃんとした予算をつけていただきたいということです。「学術会議月報」というのがございまして、先ほど粕谷さんもそれを引用しておられたわけですが、ああいう小さな新聞のようなものが出ておりますけれども、これは全く形式的な議事録的なものが載っているだけでございまして、一般の方々がお読みになってもちっとも興味を感じないような、味もそっけもないものでございます。そういうものではなくして、誌上でもっと生き生きした学術政策論争というものが行われ得るような、そういうタイプのメディアがぜひ必要だと思って私は誌上学術会議といったようなものが出ることを長い間心の中で温めてきたのでございますが、それをついに実現することができませんでしたのは非常に残念だと思っているわけですが、もしそういうものが今後ともできますならば、日本の科学者全体というものと学術会議というものがもっとぴったりした密着性を持つのではないかと思いますので、新しい制度が発足いたします段階では、そういうこともひとつお考え願いたいと思いますが、いかがでございましょうか。どなたでも。
  143. 藤江弘一

    政府委員(藤江弘一君) 先生御承知のとおり、広報予算につきましては私ども大変に乏しい額の中からやりくりしているというのが実情でございます。ただ、おっしゃいましたように、学協会あるいは有権者、広く科学者に学術会議についてのいろいろな意味での周知方を徹底するということは確かに必要なことであり、かつ学協会等からの意見も吸い上げるということも、これもまた大切なことであろうかと思います。その意味で、たとえば去年は、御承知だと思いますけれども、選挙のためのPRの媒体を利用しまして有権者等にいろいろな働きかけをしたというふうなこともございます。したがいまして、そのような意味で、いまの規定の予算の中で、できるだけ工夫をこらして、有効なコミュニケーションの手段を講ずるということが一つと、それとおっしゃいましたような広報予算の拡充につきまして一層の努力をいたしたいと、かように考えております。
  144. 伏見康治

    伏見康治君 次に、研究連絡委員会について意見を申し上げてみたいと思います。  この学術会議の改革問題が起こりまして、多くの先輩の先生方、たとえば茅誠司先生とか和達清夫先生とかいう前の会長をお務めになりた老先生方に学術会議のあり方について御意見を伺いましたところが、非常に一致した御意見として出てくるのは、研究連絡委員会を重視せよと、それを基準にして考えるべきであるというのが私の得たお答えでございました。ところがこの研究連絡委員会というのは学術会議の中ではいわば私生児でございまして認知されていなかったわけです。  ちょっと歴史を申し上げますと、日本学術会議の前身でございます学術研究会議というのが帝国学士院の下にあった時代がございますのですが、そのときに研究連絡委員会というものに相当するものでございまして、それがいわば遺産として日本学術会議の中に伝えられただけであって、日本学術会議法律面には研究連絡委員会という言葉が出てまいりません。にもかかわらず、その前身からの預かり物としてそれを育ててきたわけでございますが、実際はその預かり物の方が実は非常に重大な働きをしてきたというのが、学術会議の中で働いた方々はどなたでも御存じのことでございます。この非常に重大な研究連絡委員会なるものを今回の法律で初めて堂々と法律の上に書いていただきまして、このことは非常に歓迎すべき点であると思っております。  その研究連絡委員会について少し御注文を申し上げたいと思うんでございますが、この研究連絡委員会というものと、それから従来の学術会議というものが共存しておりましたのは、大ざっぱに言えばこういうことであろうかと思います。つまり研究連絡委員会というのはそれぞれの専門家の集まり、つまりスペシャリストの集団である。それから学術会議会員の方はスペシャリストというよりはジェネラリスト、つまりいろんな分野の学問に物を言うことができる人間、そういうジェネラリストというものであろうと思います。このジェネラリストとスペシャリストとの有機的な結合というものが学術会議を運営してきたんだろうと私は思います、そしてそのことが非常によかったと思っているわけですが。そういうことが今後の新しい改正の中でもぜひジェネラリストとスペシャリストとの組み合わせが上手にいくようにひとつ考えていただきたいと思うわけでございますが、それはそれとして、もう一つ研究連絡委員会にはこういう性格があるということを御注意申し上げたいと思います。  それは二色の研究連絡委員会がございまして、二種類ございまして、一つはディシプリン、ディシプリン、つまり物理学とかあるいは化学とかいうそういう研究領域ごとにできている研究連絡委員会というのがございますが、それともう一つプロジェクトという、研究、いわば課題ごとにできているものとがございます。たとえば電波に関する研連というのがございますが、これは世界的な意味での電波による通信ということが土台になってできたものでございまして、そのところに参加する方は単に電気技術者が参加するのではなくして、気象庁の方も参加する、運輸省の方も参加するという非常に幅広いことで、つまり領域的には非常に幅が広い。しかし、テーマは非常に限られたものになる、そういう課題ごとの研連というのと二種類ございますのですが、この二種類の研連があるということを今度の改革の中でも十分ひとつ念頭に置いてやっていただきたいと思うわけです。この二つの種類があるということを十分頭に入れてやりませんと、せっかくの研連の活動というものが非常に阻害されるおそれがあると思います。今度の改正法案では研連というものは、研究連絡委員会というものは、その会員を選び出す途中の手段として使われているわけでございますが、その方は主としてディシプリンごと研究連絡委員会が恐らく当たることになると思いますので、その方ばかりに重点を置かれますとプロジェクトごとの、課題ごと研究連絡委員会の方の影が薄くなるおそれがあると私には思えるわけです。その点何かお考えございますか、局長。
  145. 藤江弘一

    政府委員(藤江弘一君) ただいま御指摘のとおり、これまでの学術会議の中での研究連絡委員会の設置の形態等につきましては、御指摘の点もございますし、また現在研連検討委員会で検討しておりますのも、そのような構想があるやに聞いているわけでございます。しかし、いずれにしましても、これらはこの法案の中身では規則で定められるところでございまして、学術会議の中で、その意味で十分な検討と英知を尽くして設置されるものと考えているわけでございます。  なお、この法案の中での区分といたしまして研究連絡委員会には選出にかかわりのあるものとないものと二つに分けているわけでございます。これはただいまの研究領域ごとのものあるいはプロジェクトごとのもの、それに完全に一致するものであるかどうかは断定はできませんけれども、おおよそのところそのようなものを想定していると言って差し支えないかと存じます。
  146. 伏見康治

    伏見康治君 研連の大方針はそれで結構だと思うんですが、ただ一番問題になりますのは、実は現時点でも大蔵省が予算的に認めている研連というのと、それから実際上学術会議の中で運営されている研連の数というものは非常な差があるわけですね。そして、このいわば実行上つくった研究連絡委員会と言うと語弊があるかもしれませんが、それをちゃんと認知して、ちゃんと予算をつけて活動させるということが今度の改革案を実行する上においても非常に大事なことだと思いますので、その予算の手当てについてどうなっているか伺いたいと思います。
  147. 藤江弘一

    政府委員(藤江弘一君) 今度の法案の柱はまさに推薦制研究連絡委員会の充実との二本であるわけでございます。しかも、それは相互に関連し合っているということで、私どもとしましては、来年度の概算要求のもちろん最重点項目として強く要請いたしておるところでございます。
  148. 伏見康治

    伏見康治君 さらに、もう一遍くどいようですが、研究連絡委員会というものは実は単独では行動できないわけでして、絶えず、研究連絡委員会は、それをつくり上げた基礎になります学協会の方々と緊密な連絡をとりながら仕事をしていかなきゃならないわけですが、それも従来はもっぱら相手の学協会のサービスでやってきたという感じがいたしますんですが、今回は学術会議がもう少し前に出て、自分の費用でそういういろいろな会合を持てるようにぜひしていただきたいと思うんですが、その点どうぞよろしくお願いいたします。  時間がどんどん迫ってまいりましたので、次に国際交流についてお伺いしたいと思うんですが、学術会議は内外に対して日本の科学者を代表することになっておりますので、つまり仕事の半分は国際交流にあると思うんですが、その国際交流が従来は必ずしも十分なされておらなかったと思います。まず、先ほどの粕谷さんの御質問を伺いながら、粕谷さんは必ずしも十分正確に理解しておられないと思いましたことは、国際学術団体への加入ということですね。それの何か予算がふえたということを指摘しておられましたんですが、これがふえたのは実は非常に単純なお話でございまして、加入費というものがインフレでどんどん単価が上がっていくために自動的に上がっていくというのに即応しているだけのお話でございます。それから、インフレに即応する面と、それから日本が経済大国になったということのために、国際団体の中における位置づけが日本としてはだんだん高くなってきたわけです。それで、それに応じて、いままでよりはよけいな会費を払わなけりゃならないという形になってきているわけでございまして、その二つの要因でいわば自動的にお金がふえているだけのことでございまして、特に大蔵省が振る舞ってくれたということではなかろうと私は思います。  この際私が申し上げたいのは、日本が敗戦直後にこういう国際学術団体から締め出されるのではないかと私たち科学者は非常に心配しておったわけですが、非常に早い時期に、たとえば私は物理学者でございますが、インターナショナル・ユニオン・オブ・ピュアー・アンド・アプライド・フィジックス、国際純正応用物理学連合というのがございますが、そこへ日本から小谷正雄先生が代表者として出席されまして、要するにオブザーバーとして出席されて、日本の科学者もこれの仲間入りができるんでしょうかというお伺いを立てたところ、非常に寛大な返答がやってまいりまして、日本は会費さえ払えばいつでも入れてあげられるんだということを言って、非常に感激して帰ってこられたことをいまでもよく思い出すわけですが、戦争直後には日本の科学者に対する同情というものがきわめて厚うございまして、最低の会費をもってそういうところにみんな加入することが許されたわけです。ところが、今日のように経済大国として成長してみますというと、その低い水準での加入というものは余りにもみっともないお話だと思います。ぜひ、少なくともヨーロッパ諸国と対等の立場で会費が払えるように御尽力をお願いいたしたいと思いますが、いかがでしょうか。  余り時間がありませんので、お答えを得ないままに注文だけつけて終わりにいたしたいと思いますが、国際会議の開催の問題というのがございますが、これについても学術会議の会長といたしまして大変苦労した面があることを申し上げておきたいと思います。  学術会議が主催という形で年に四つぐらいの国際会議を催すことができるようになっておりますが、それに対して政府から何がしかのお金がつくわけでございますけれども、それはその会議を実際開催するのに必要なお金の一割か二割ぐらいしかないわけです。あとのお金は要するに民間の援助に頼らざるを得ないわけですが、この援助に頼りましたところが、その手続がいささかまずかったせいか、国家機関が民間の寄附金に頼るとはけしからぬではないかというおしかりを受けた覚えがございます。会長として大変苦労したことをいまでもまざまざと思い出すわけでございますが、もし国際会議といったようなものを学術会議の主催という形でやっていただけるのならば、そういう寄附金などは仰がなくても済むような形で将来はぜひ国際会議が開けるように御尽力をお願いいたしたいと思うんですが、長官どうぞよろしくお願いいたします。  大体時間が参りましたので、この辺で私の質問は終わります。  ありがとうございました。
  149. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 質疑に入ります前に、さっき中村先生に対して私ちょっと間違ってお教えしたようでしたので、日本学術会議の英文でございますけれども、サイエンス・カウンシル・オブ・ジャパンということでございますので、皆様にも誤解があるといけませんので訂正させていただきます。  私も現在学術会議会員をしております。四期目でございますが、学術会議わが国科学者の内外に対する代表機関であって、その職務、権限を行うために独立した機能を持っているということがうたわれておりまして、先ほど来総務長官もそれは確認していただいております。これは大変大事なことであろうかと存じます。  ところで、今度の改正案につきまして一番大事なところは、先ほど来しばしば指摘しておられますように会員選出の方法でございます。第一回目は昭和二十四年に第一期が出ましたけれども、私の恩師が立候補されまして、私は助教授でございましたので、恩師を当選させるためにはどうしたらいいのかと大変苦労いたしました。学校の先生は徳目をより高いレベルで求められているように思っておりますので、大変選挙は学校の先生にはなじまないように私は思っておりました。しかし、自来三十五年たちまして、この公選制度もかなりな意味でなじんできたかと思っておりましたが、今度推薦制に変わるということであります。私は、私自身はどちらでもいいと言うと大変無責任でございますけれども、いずれもベストではないと思っておりますので、今度の推薦制そのものも運用のいかんによっては十分いい制度となり得るのではないかと、こういうふうに思います。したがいまして、結諭的に申し上げれば、前回の参議院の際に出ました附帯決議ですね、これは出してくださるようでございますが、これを十分に尊重していただいて、熱意を持って実行していただければ、学術会議は総務長官がさっき言われましたように機能するはずであると、私そんなふうに実は思っております。  そこで、会員選出の方法で、ただいま伏見先生からもお話しございましたけれども、研連——研究連絡委員会ごと推薦制をとるということでありますが、現在の有権者が二十四万人、私は七部、医学、歯学、薬学の関連でございますが、七部だけで有権者が約十万人ございます。しかるに、その研連というのが全部でいま五十八ございまして、そのうちの六つが第七部でございます。つまり七部は、研連というものの、有権者の割合から見るときわめて少ない。学会も、皆様御承知のように、内科というと大変でかいわけで、それが細分化されておりますので百数十、二百くらいあるのじゃないかと思いますが、そういった学会、協会をベースにして選出されないおそれがあるということでございますので、そのためには、新しい方法で選出をするためには、その改組に十分な時間と費用がかかると思います。  それで、時間の方は、一年半現会員の任期を延期するということで、その間に準備をするということになろうかと思いますが、問題はやはり予算だろうと思うんです。先ほど伏見先生から言われましたが、各種委員会は、しょっちゅう旅費は支給できませんからあしからずと、われわれはあしからず委員会と言っておりまして、私は北海道でございますから、あしからずと書いてあるときは大抵出ないということになっておりますが、それでは十分な全日本的な議論ができませんので、やはりこれは改組に当たって、まず十分な予算を組んでいただいて、十分な人間を集めて、時間が少ないという意味におきましては、積極的に会議を開いていただいて、この改組に対処していただきたいということを、私は、これは希望する次第でございますが、総務長官いかがでございましょう。
  150. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) 先ほど、何と申しましょうか、いまの先生の御要望について事務局からお答えをいたしましたように、私どもはあしからず委員会ではとてもりっぱな会議を願うことは、これは無理であると、こう考えまするし、その他の経費等も会議の運営上必要な額というものは理解できまするので、先ほど私が申し上げましたように、必要な経費、必要と考えられる経費は、財政大変厳しい中ではございますけれども、きょうの委員会の先生の御意見等を踏まえて、しっかりと交渉するよういたしたいと考えております。
  151. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 それでは次の質問に移りたいと思いますが、第四条に「政府は、」「学術会議に諮問することができる。」とございます。これは日本の科学振興あるいは研究研究費等の予算編成等々につきまして諮問をすることができるとなっておりますが、昭和二十四年の第一期から今日まで、政府の諮問に答申をした件数が八十六件ございます。それを各期別に見ますと、第一期、これは二十二件ございました。第二期が十五件でございます。それからどんどん件数が少なくなりまして、第六期以降は一期で三件、またはそれ以下、つまり一年一件ということになっております。大変諮問が少なくなってしまいましたが、あしからずということかもしれませんけれども、この実態についてどのようにこれをお考えになるか、これも総務長官にお願いしたいと思います。
  152. 橋本豊

    政府委員(橋本豊君) 先生のおっしゃいます諮問が減っていることにつきましてはそのとおりでございまして、まことに残念なことではありますけれども、いろいろな理由によりまして政府と学術会議との間に相互不信感というものが助長されてきて、そのためにも諮問も減ってしまってきたのではないかというふうにも思われます。今回の改革を契機にしまして、政府の方からも耳の痛いことがあってもその意見をよく聞きたいというふうな学術会議になるように期待をしたいと考えております。
  153. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 ただいまの件でございますけれども、学術会議は独立して職務権限を行使するというふうに書いてございますし、やはりいろんな意味で政府と学術会議がほどよい緊張関係を保ちながら協力していくという姿がやっぱり一番望ましいのではないかと私は思います。  それから、いまの不信感の問題が出ましたけれども、今度出ますのは新しい選出方法によるものでございますので、十分満足のできる会員が選出されることかと私は思います。したがいまして、この際、わが国のすぐれた頭脳を十分活用されるように、私は政府に要望する次第でございます。そのことについてもひとつお考えを述べていただきたいと思います。
  154. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) ただいま、さきのお尋ねについては審議官からお答えを申し上げましたが、関連をしておるようであり、先生の強い何と申しますか、要請に基づくお考えの御意見がございましたし、お尋ねでございますから申し上げておきたいと思います。  学術会議が今回の改革を契機としてその体制を整えて、学者のみならず、いまお話のありましたように、広く国民全体の期待にこたえて十分その機能を発揮していくことを心から願っておるのであります。そのような意味合いにおいて、学術会議の機能を一層活用するよう私どももこれまた御指摘のありましたように、学術会議とともに手を携えて努力をしてまいりたいと考えております。
  155. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 それでは同じようなことでございますが、第五条に、「学術会議は、」「政府に勧告することができる。」ということが載っております。これはもちろん内容科学の振興、技術の発達、それから研究成果の活用、科学研究者の養成、それから行政に反映する、及び産業並びに国民生活科学を浸透させる、こういった等々の方策について学術会議政府に勧告することができる、これも非常に大切な機能でございます。先ほど来総務長官は、学術会議が十分にその機能を果たすことを期待すると言うておられますので、このことについてやはり一応過去を振り返りまして、今度の新しい体制のもとで、この刷新というのかどうか知りませんが、新しい顔ぶれで登場す る学術会議の今後の活性化を期待しまして、若干反省しながら質問をさしていただきたいと思います。  勧告及びこれに準ずるものに要望、申し入れ等がございます。今後とも政府はそれを尊重し、適切に対処すべきものであると思いますけれども、この基本的な考え方について御意見を承りたいと存じます。
  156. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) お答えさしていただきます。  いまさら申し上げるまでもないことではございまするが、学術会議の勧告等によって内外から高く評価されておりまする研究施設等が実現した例は、いまもお話にありましたように少なくないわけであります。  また、最近におきましては当委員会で御審議の上、去る第九十八回国会に成立いたしました医学及び歯学の教育のための献体に関する法律も、学術会議の献体登録の法制化の促進についての勧告に端を発したものと承知いたしております。  このように有意義な勧告が出されておりますことを、私といたしましては高く高く評価いたしたいと考えております。今後とも学術会議から出された勧告等につきましては、これを十分尊重し、誠意をもって対処してまいりたい考えでございます。  お答えさしていただきました。
  157. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 ただいまのお話を承りましたけれども、やはり数字で見ますと、勧告、要望、申し入れ等は今日までで六百四十六件行われております。これをもう少し何というか分類してというか、その実施状況についてはどのようなぐあいになっているか、数字的にもし示していただけるならばお伺いしたいと思いますが、科学技術庁長官、どうぞひとつ。
  158. 川崎雅弘

    説明員(川崎雅弘君) 昭和二十四年以降のデータについてはあいにく持ち合わせがございませんが、昭和四十八年度から昭和五十七年度までの十年間につきましては、勧告と称されるものが四十七件出てございまして、このうちの四十一件につきましては科学技術庁が主宰いたします関係省庁連絡会議におきまして、その勧告の御趣旨を踏まえての最もふさわしい省庁において処理方針を立てられるように処理が行われておりまして、その結果につきましてそれぞれ取りまとめました上で学術会議の方に御報告をさせていただいております。そういう意味では勧告の御趣旨につきましては何らかの形でその実現が図られているというふうに私どもでは承知をいたしておるところでございます。
  159. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 ただいま御説明がございましたが、昭和四十八年以降というと、この最近の十年ということになりますが、六百四十六件という数の中でどのようなことになっているか。もちろん内容は多岐にわたっておりますので、数字でと申し上げたので、いまのようなお答えが返ってきたのではないかと思いますが、私の方で引き出しました数字を少し挙げてみたいと思います。  これはデータがはっきりしている研究所の設立等についての勧告でございますが、今日まで五十八件出ております。そのうち設立されたのが十六件ということでありますので、パーセントで言うと二八%ということでございます。これはやっぱり見方によっては、これだけできたという見方もございましょうが、勧告する側にとりましては大変実現率が低いのではないかというふうに考えるわけですが、六百四十六件というほかの、他の分類に入るようなものについても実現率というのはやっぱり大体こんなものと見てよろしいのでしょうか、いかがでしょう。
  160. 川崎雅弘

    説明員(川崎雅弘君) 大変むずかしい御質問でございますが、私どもの方で処理と申しておりますのは、御趣旨を体しまして、新しく機関を設立すべきか、あるいは既存の機関、既存の機能をそういう方向で改編するかというような点までを含めて、言葉は悪うございますが、勧告の御趣旨を生かすというような点を各省庁で考えておられますので、研究機関が設立されなかったから勧告が十分尊重されていないというふうに一方的に御説明をするということは非常に不適切ではないかというふうに、取りまとめの省庁としては考えておる次第でございます。
  161. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 ただいまのお話、しごくもっとものように承りますけれども、実は行政管理庁の調査報告書が出ております。これを拝見いたしますと、例はエネルギー工学研究所の勧告の例でございますけれども、このように記載されております。「勧告が関係省庁において具体的に取り上げられた形跡もない」、これはやっぱり勧告をする権限を与えられている学術会議の勧告でございますので、「具体的に取り上げられた形跡もない」という行管庁の報告では、はなはだ私は遺憾であると言わざるを得ないのではないかと思います。  そこで、これはこれといたしまして、私は自分の関連する第七部の勧告例を具体的に取り上げまして質問をしたいと思います。  私はこれで四期目でございますが、第九期には七部、医学、歯学、薬学を包括しておりますが、七部附置の卒前教育委員会委員長をさせられております。第十期、十一期、現在の十二期、この三期にわたりまして生涯教育問題小委員会委員長を務めてまいりました。  その中で、私たちは生涯教育の理念に立脚をして、長期的展望のもとに、医学、歯学、薬学を包含いたしまして、つまり健康にかかわる職業の教育ということでございますけれども、医学教育全般をこれ含んでということですが、これを総合的に推進するための体制を確立する必要がある。ということは、諸外国におきましても、医学教育は、それこそ年々歳々新しい医学教育を目指して改革をされております。それは、医学の急速な進歩に対応して、医学教育も当然それに即応しなければならない。社会のニーズもそこにあるし、それから疾病構造が変わってまいります。十年一日の教育ではいけない。そして、いまあるベストだと思っている医学教育自身も、近い将来やはり再び改革をされねばならないという宿命をしょっているものだと、われわれ医学教育関係者はそう痛感をしております。  そういう意味で、私たちはその方策ということで、次のような申し入れ及び勧告を学術会議を通しまして行いました。第十期では「医学教育制度の総合的運営及び体制の整備について」、これは申し入れでございます。昭和五十二年十一月二十五日付です。第十一期では「医学教育会議(仮称)の設置について」の勧告でございます。これは昭和五十五年十一月一日付でございます。これについては、全国の医学部長、病院長会議、これは国公私立大学を含みます。その発行した医学教育白書、昭和五十四年でございますが、これに詳しく理由を挙げ、データを付して要望されております。同じことが歯科大学学長会議、薬学部長会議、薬学の教育委員会等々におきまして、同じことが期せずしてと申しますか、一緒になってと言った方が本当かと思いますが、要望をしてまいりました。  こういったことでおわかりになったと思いますが、私が生涯教育の小委員長をやって三期目、三、三が九年でございますけれども、十年来の医学教育関係者の悲願とも言うべきものでございます。  この間も十二期の、多分これで終わりだろうと、次の選挙があるから、まあ懇親会やろうというようなことになりましたが、そのときある教授が、ある会員が立ちまして、医学教育会議がとうとう日の目を見なかったことは本当に残念である、こういう演説をぶちまして、私は、いや、これはどうしても私から質問の形でこの実現を皆様にお願いするからというふうにお話をしてまいりました。きょうは、その宿題を片づけさせていただくということでございますが、これに対しまして科学技術庁長官通知が昭和五十六年五月一日付で参りました。その処理省庁は文部省及び厚生省ということになっております。したがいまして、それから勧告が出ましてからちょうど三年が経過しております。文部省、厚生省、それぞれその間どのようにこれに対処され、検討されてきたか、具体的にひとつ説明を承りたいと思います。
  162. 宮地貫一

    政府委員(宮地貫一君) 先生御指摘の医学教育会議の設置についての勧告は、ただいまお話しのとおり、五十五年十一月一日付で勧告がなされておりまして、私ども基本的には医学教育が医の倫理に立脚して生涯教育を前提とするものであるから、卒前卒後を踏まえました一貫した方針のもとに行われなければならないということを、内容的にはそういうことが言われているわけでございます。そして、そのことはまさに勧告に指摘をされているとおりであろうかと思っております。したがって、そのような見地から、私ども、まあ、もちろん文部、厚生両省におきましても、従来からそれぞれの関係審議会、たとえば文部省の場合で申しますと大学設置審議会でございますが、その審議会の中に厚生省の医務局長にメンバーに入っていただくというようなことで、それぞれ医師養成にかかわる教育なり研修の一貫性の確保のために両省の審議会等にメンバーに加わっていただくというようなことで具体的な対応をいたしておるわけでございます。そしてまた、これはあるいは厚生省の方からお答えのあることかと思いますが、国家試験の改善につきましても、五十七年十一月以来検討が進められておりまして、文部省としてもその検討に加わりまして、卒前教育との一貫性の確保というようなことについて具体的に対応をしてきておるわけでございます。  今後ともその趣旨は十分生かしてまいらなければならないと考えておりますが、御指摘の医学教育会議という新たな組織、機構の設置ということにつきましては、その点については実際問題として新たな組織、機構を設けるという問題については、はなはだいろんな点から考えましてもなかなか直ちに着手できるというような状況にはないということは率直に申し上げて御理解を賜りたい、かように考えているわけでございます。  具体的にどういう点をやってきたかというようなお尋ねでございますので、若干、私ども対応してきた点で申し上げますれば、たとえば文部省の関係で申し上げますと、昭和五十四年四月でございますけれども、新しく財団法人で医学教育振興財団というものがつくられたわけでございます。そして、五十五年以来、たとえば具体的に医学教育と医師国家試験でございますとか、あるいは卒前教育と卒後教育というようなことで、勧告において問題とされております事項を取り上げまして、医学教育関係者の参加を得まして、具体的にシンポジウムを実施をいたしております。もちろん、厚生省にも積極的に加わっていただいておるわけでございます。五十五年度が医学教育の将来、五十六年度が医学教育と医師国家試験、五十七年度が卒前教育と卒後教育、五十八年度、本年度でございますが、英国の医学教育というようなことで、その財団で具体的な取り組みは私どもしてきておる心づもりはいたしております。先ほども申しましたように、組織の新たな設置という点についてはなかなか困難な点がございますが、勧告で言われております具体的な内容の実現につきましては、私ども厚生省とも十分協力しながら進めているというのが今日までの状況でございます。
  163. 吉崎正義

    政府委員(吉崎正義君) 医学教育会議の設置につきましては、ただいま文部省からお話がございましたとおりでございまして、私の方でも諸般の事情によりまして検討は十分に進んでいない状況でございます。ですけれども、これも文部省からもお話がありましたが、生涯教育、一貫教育の重要性につきましては御指摘のとおりであると考えておりまして、医療関係者審議会におきまして鋭意検討を進め、できるところから実施に移しておるところでございます。当該審議会に臨床研修部会と医師部会がございまして、臨床研修及び国家試験等について御審議をいただいておるのでございますけれども、両部会の部会長の先生がたまたま先ほど御発言のありました生涯教育問題小委員会委員でもいらっしゃいまして、医師部会の方は先刻御辞任になりましたけれども、十分この学術会議趣旨を尊重して審議を進めておるところでございます。  なお、この生涯教育の一環といたしまして、現場の第一線でそういう研修の場と機会を設けることが必要であると考えまして、地域医療研修センターという構想を立てまして、地域の中核的な病院にこれを設置をいたしまして、その整備を図っておるところでございます。  厚生省といたしましては、今後とも医学教育関係者、専門団体、文部省等、関係方面との連絡を密にいたしまして、一貫した医学教育についての検討を進め、できるところから実施をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  164. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 時間が大分もう迫りましたので、これだけの論議というわけにまいりませんが、ただいま吉崎局長がくしくも指摘されましたけれども、私の方の生涯教育問題小委員会というのは大変大先生がたくさん集まって、十人でございますけれども集まっておられまして、厚生省、文部省それぞれの主催する審議会、委員会等の委員長あるいは審議委員等々でおられまして、その先生方が一致してこれを設けるとおっしゃっておられますので、それも念頭に置いていただきたいと思っております。  それから、私も大学設置基準審議会の専門委員を六年やらされましたし、医学視学官を八年やらされましたので、私も皆さんと同じようにいろんなことを存じ上げているつもりです。私もその重要性とかそのむずかしさもいろいろ承知しておりますけれども、それをあえて承知の上でいまのようなことを申し上げているわけです。  それから、これを一例として私申し上げましたので、新しい制度によってできる学術会議、私はいま現会員といたしまして、本当にこれがより機能を発揮できるような状態に持っていっていただきたい。それには、いま私が終わりの方で質問申し上げましたが、諮問、それから勧告、それから申し入れ、要望等につきまして、本当に十分にこれを尊重し、熱意を持って実行していただくということが非常に大事かと思います。  それから、予算はやはり、先ほど来伏見先生も申されましたけれども、何といっても予算がなければやっぱり行動ができません。ですから、予算についても十分な予算措置をしていただきたいということを最後に要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  165. 吉川春子

    ○吉川春子君 それでは、日本学術会議法の一部を改正する法案について質問を申し上げます。  まず、この法案衆議院文教委員会で自民党が単独で審議をし採決されているという問題ですが、大変重要な法案をこういう形で処理したということに対して、私ども日本共産党は強く抗議いたします。しかも、自民党の呼んだ参考人、塚田学術会議会長以下三人の方が徹底的な審議をしてほしいと要望なさった、その直後に採決を強行しておりまして、暴挙と言わなくてはならないと思います。良識の府とも言われております参議院で徹底的に審議することが、そういう点からも必要であると思います。私たちはそのことを要求します。もし、衆議院でああいうことをおやりになり、参議院でも、いままでの慎重審議の慣例を被って、ごく短期間でこの法案を無理やりに通すというようなことになれば、国会の自殺行為になりかねないというふうに思うわけです。そのことを最初にまず申し上げまして、一、二の点について塚田参考人に御質問申し上げたいと思います。  まず第一に、十一月二日の会長談話についてでございますが、JSCニューズ・レターナンバー十五で、「私としては、本会議の将来に重要な意味をもつ本法案が、国民代表議会の場において、さまざまな角度から慎重に審議されることを強く希望し、且つ期待していた。ところが、衆議院文教委員会において、単一政党のみで審議可決されたことは、はなはだ残念である。今後のことは、事態の推移を見守って、運営審議会等その他正規な機関に諮りながら検討していきたい。」これは確認したいんですけれども、このとおりでございますか。
  166. 塚田裕三

    参考人(塚田裕三君) 新聞記者の諸君にそういうお話をしたことは事実でございます。
  167. 吉川春子

    ○吉川春子君 そのとおりですか。
  168. 塚田裕三

    参考人(塚田裕三君) そのとおりでございます。
  169. 吉川春子

    ○吉川春子君 それから、二番目ですが、五月の十九日に第八十九回学術会議総会で採択されました有志提案、二十五氏による「日本学術会議法の一部を改正する法律案について」という声明がありますが、この中で、「「改正法案」は本会議の存在理由をおびやかし、目的、職務の遂行に重大な疑義をはらむものと判断せざるをえない。」と、これが学術会議の総会の意思であるということを確認したいんですけれども
  170. 塚田裕三

    参考人(塚田裕三君) ただいまの第八十九回総会の声明、これが学術会議の採択された声明でございますので、学術会議の意思であるというふうにお考えいただいて結構でございます。
  171. 吉川春子

    ○吉川春子君 そして、二の声明の中で、法案内容について六つの重大な問題を挙げておられるわけです。そして、その六つの重大な問題を挙げた上で、「政府および国会は、本会議の意のあるところを十分汲みとられたい。」としておりますけれども、これについて政府から正式な、公式な回答がありましたでしょうか。
  172. 塚田裕三

    参考人(塚田裕三君) 正式とおっしゃいます意味、私はよくわかりませんけれども、私の時代になりましてからも、総理府には数回伺って、総務長官あるいは副長官にお目にかかってお互いの意思疎通を図ってきたということでございます。
  173. 吉川春子

    ○吉川春子君 私が伺いましたのは、会長が総理府といろいろな折衝をしたとかどうかということではなくて、いま会長がお認めになりましたように、総会の意思としてこういうものが採択されている、その中に六つの重大な疑義があるんだけれども、このことについて会長個人ではなくて、総会に政府の方から公式に何らかの回答があったのか、その点についてお伺いしたいんですが。
  174. 塚田裕三

    参考人(塚田裕三君) 正式に政府の方からこの声明に対してお答えというものはいただいておりません。
  175. 吉川春子

    ○吉川春子君 わかりました。  それでもう一つ最後に、最後にといいますか、確認したいのは、やはりこの法律改正案について、参議院で慎重な審議をしていただきたいというふうにもちろんお考えでしょうね。
  176. 塚田裕三

    参考人(塚田裕三君) 声明の線に即しますと、当然私といたしましても慎重に十分な御審議を賜りたいと思っておるわけでございます。
  177. 吉川春子

    ○吉川春子君 この際、委員長にも御要望を申し上げたいんですけれども、以上お聞きのように学術会議の自主性尊重とかなんとか言いながら、全くそういうものを踏みにじってきているということと、それからこの法案審議の経過が非常に異常な状態であって、十分な審議が尽くされていないということは事実関係としてありますので、ぜひ本院におきましても徹底的な、十分な審議ができますように、文教委員長においてお取り計らいいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  178. 長谷川信

    委員長長谷川信君) 理事会でよく相談してみます。
  179. 吉川春子

    ○吉川春子君 じゃあ、理事会でよく相談して、そのような趣旨でやっていただきたいということを御要望として申し上げます。  それではその次に、政府に対する質問を幾つかさせていただきます。  さきの五月の十九日の学術会議の声明の六つの問題点についてお伺いしたいわけですけれども、この中にこういうふうに書いてあります。「さらに、「改正法案」の内容についていえば、(1)改正理由改正の骨子との関係が判然としないこと、(2)「改革要綱」の会員選出制度をしりぞけて全面推薦制をとる積極的利点が明示されていないこと、(3)本会議の独立性の制度的保障であり、その存在理由を左右する公選制が全く否定されていること、(4)二十三万の有権者の意向をほとんどきくことなくその選挙権、被選挙権を失わしめること、(5)内外に対する科学者代表機関である本会議が、学会連合に変質するだけでなく、科学者の自主的組織である各分野の学会、協会の内外に不測の混乱をもたらし、健全な学会活動が阻害される危険がある。(6)ことは、分野によっては、たとえ本法案が成立したとしても、それによる会員選出制度の骨格をなす学会、協会による会員推薦制度が実施困難ないし不可能に陥るおそれがあること、など重大な問題点をはらんでいる。」  こういうふうに声明では述べているわけですが、この六つの問題点についてなぜ政府はお答えにならないんでしょうか。長官、お伺いいたします。
  180. 橋本豊

    政府委員(橋本豊君) 学術会議の声明につきましては、私どもの方に直接具体的に答弁をしろという申し出はなかったように伺っておりますが、そのために手続的になされなかったということでございます。
  181. 吉川春子

    ○吉川春子君 政府は、これまでたびたび自主性を尊重するというふうに言われてきております。たとえば、これは五十六年十月十四日の行政改革に関する特別委員会議事録の第六号ですけれども、その中で鈴木内閣総理大臣が、中山長官から云々ということに続いて、「私は、これは独立した機関でもあるし、できるだけ学術会議の自主的な改革案というものを尊重していきたいという中山長官の考え方で、時間をかけて会長とお話をしてきたその姿勢はよかった、こういうことを閣議でも評価をしたわけでございます。」というように述べておられますけれども、この参議院で法案が可決成立して向こうへ送られて、その後に学術会議の意思としてこういう重大な声明が採択されて、そしてその問題点を指摘していることについて、やはりその自主性を尊重するということを繰り返し言っておられるのですから、これに答えてしかるべきではないかと思うのですけれども、それでは自主性の尊重というのがポーズだけであったのかというふうに指摘したくなるんですけれども、その点についていかがですか。
  182. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) お答えさせていただきますけれども、このことについてと申しまするか、本案を御審議願うについては、総理府としては、学術会議の改革に当たって二十数万というたくさんの有権者それぞれの意見を拝聴するというわけにもいきませんし、またそうすべきものとも考えませんので、それについては、意見を承るについては、まず会員と申しまするか、学術会議意見を十分聞くことが必要である、こういうので、学術会議意見を、十分お話を聞いた上で改正案を取りまとめたものでございます。もとより先生も御承知のように、学術会議の内部はもちろんのこと、各方面にいろいろな御意見があることは私どもも十分承知しておるのでありまするが、学術会議とは十分意見を交換しながら、この改正案による学術会議の改革を推進してまいりたいと考えておりまするし、なお、ただいま審議官からも申されましたように、声明は今回の改正法案の問題点を慎重に審議をしてほしいという内容でございまして、決して反対であるということを言ったものではないというように私どもは承っております。そういうように理解をしておるのでございますから、御了承をいただきたいと思います。
  183. 吉川春子

    ○吉川春子君 口で学術会議の意向を尊重するとかなんとかということは、もう何遍言っても非常にむなしいと思うんですね。それをやっぱり実行に移すという点で言えば、まさにこういう重大な声明が学術会議の意思として法案の参議院通過後にあったということについて、本当に意思を尊重しようとするならば、やっぱりそれは政府の方できちんとこの問題について答えていくという姿勢が尊重するという裏づけになると思うんです。  それから、先ほど来指摘がありますように、この声明の最後には、「「改正法案」は本会議の存在理由をおびやかし、目的、職務の遂行に重大な疑義をはらむものと判断せざるを得ない。」と、こういうふうに書いているわけですから、法案とは全く立場を異にしているわけですね。少なくとも、これを見て賛成だなどは言えないと思うんです。そういう点で私は、自主性尊重とか意思の尊重ということが非常に表面的、形式的に言っているにすぎなかったんじゃないかということを指摘したいと思うわけです。  それから、まあ、ちょっと時間の関係もあって次の質問に移りますが、いま選挙が進行しておりまして、そして候補者の公示が十月の一日に行われているわけですね。そうしますと、私どもの国政選挙で言えば、もう選挙の公示がありて、街頭でマイクで選挙戦がスタートしていると、そういう状態なんですね、いま。まだ投票日は来ないけれども、もう投票日に向かって動き出しているという状態であるわけです。こういう状態にもう入っているにもかかわらず、なぜこんなにこの法律改正を急ぐのかということが非常に不可解であると思うんです。こういう投票用紙も配られまして、いろいろな手続が進んでいると。これをすべてもう御破算にするような、途中で御破算にするような法律改正を急ぐ理由が全くないのではないかと思いますし、事実上もう百名近い当選者も決まっているわけですね。そういうものを結局この法案を強行して覆すということになるわけですけれども、この点についてどういうふうにお考えなのかということを伺います。
  184. 橋本豊

    政府委員(橋本豊君) 学術会議の改革につきましては、学術会議ばかりでなく、これまで各方面において十余年にもわたりまして種々の論議が行われてきたことは御存じのとおりでございます。現在の科学の急激な発展進歩に対応し、第一線の科学者の学術会議への関心を高める、その期待にこたえて学術会議がその機能を十分果たすためには、早急に改革を実現する必要があるというふうに考えるわけでございます。  そこで、論議の高まったこのときに改革を実現すべきでありまして、延期することは適当でないというふうに考えている次第でございます。
  185. 吉川春子

    ○吉川春子君 選挙が進行していて、もう候補者も決まっている状態の中でも、なおかつその法案の成立を強行するという態度は全く理解できないわけですが、この法案がもし強行されますと、先ほど来のお話にもありましたように、現在の会員の方の任期が一年半延長されるわけですね。そうしますと、現在の会員、有権者の意思をどう考えるのかという点をお伺いしたいと思うんです。  現在の会員でも、また次の選挙に立候補されている方もいらっしゃるけれども、四〇%以上の方が再度立候補をしないというふうに辞任の意思を表明しているわけですね。そして、いろいろありましょうけれども、御病気の方もおられるし、それから忙しくてもうこれ以上任務につけないという事情もおありでしょうけれども、とにかく御本人がもうこれでやめるという意思表示をしているのに、法律規定でもって一年半さらに学術会議会員となって活動せよ、こういうことを強制することはもう非常に人権無視ではないかと思うんです。やはり学術会議会員というその仕事は激務でありますし、そういうことを強制できるのかどうかですね。することについてどういうふうにお考えなんですか。
  186. 橋本豊

    政府委員(橋本豊君) ただいまの任期の延長でございますけれども、一年半強制するというわけではございません。御本人が退任なさりたい場合には退任の手続をとることも自由と存じております。
  187. 吉川春子

    ○吉川春子君 もしこういう暴挙というような法律改正が強行されて、多くの人が、もうこういうものには納得できないということで辞退をするという事態もあり得ますし、非常に、こういうやり方について会員の方の了解が得られないんじゃないか、そういうような混乱が起こったときに責任はどういうふうにおとりになるつもりですか。
  188. 橋本豊

    政府委員(橋本豊君) 前の御質疑の中で出ましたことをちょっと先につけ加えさしていただきますと、現在当選が決まっているというふうなお話ございましたけれども、選挙手続はただいま進行中でございまして、会員の当選が確定いたしますのは十二月の二十四日ということでございます。ですから、それまでは当選決まっているということはございませんし、手続中でも、この手続は法案改正との関係でいつ中止になるかもわからないということは周知を期しているわけでございます。ですから、二十四日までは会員の当選ということは、先生お話しでございますけれども、そういうことはないというふうに理解していただきたいと思います。
  189. 吉川春子

    ○吉川春子君 肝心なこと答えてください。
  190. 橋本豊

    政府委員(橋本豊君) 会員が退任した場合の責任ということでございますけれども、そういうことは私ども仮定のことでございますので、よくわかりませんが、恐らくそういうことはないんではないかというふうに思っております。
  191. 吉川春子

    ○吉川春子君 まあ、これで任期がもう終わるというのに、あと一年半法律で任期を延長するということ自体が非常に、選挙が進行しているさなかにそういうことが行われるということが驚くべきことだというふうに思いますが、そういうような問題も含めて、とにかく、もうどんなごり押しでもやって、もう選挙戦はスタートしているけれども、まだ投票日じゃないからということでごり押ししようとするこの態度は、全く国民納得が得られないんじゃなかろうか、私はそのように思います。  そういうことを考えますと、先ほど来申し上げますけれども、学術会議の自主性の尊重とか時々の政府の不介入というような立場が完全に踏みにじられてしまうんじゃないかという懸念があるわけです。  日本学術会議の発会式、昭和二十四年の一月のことでございますが、その中で総理大臣の祝辞として次のように述べられているわけです。まず、「新しい日本を建設することを決意した私どもは、単に自国の平和と自国民の幸福をはかるのみならず、文化の発達なかんずく科学の振興を通じて、世界の平和と人類社会の福祉に貢献しようとする大きな理想を持たなければなりません。まことに科学の振興こそ新日本再建の基礎であると共にその目標であると思うのであります。」と述べまして、そしてその「日本学術会議は勿論国の機関ではありますが、その使命達成のためには、時々の政治的便宜のための制肘を受けることのないよう、高度の自主性が与えられておるのであります。」と、こういうふうにこのときの総理大臣自身が述べているわけですが、そういうことも踏みにじって今度の法改正を急ぐ。これは、政府の意のままに動く学術会議にしようとする、悪く言えば御用機関化しようとする何物でもないというふうに思うわけです。そういう意味では学術会議の自主性尊重、自主改革尊重と言ってきたのはうそだったのじゃないかと、そういうことがこういう経過で明らかになっているんじゃないかというふうに思うんですが、今度の法の改正の中で、政令事項についても、政令事項に大分任されているわけですけれども、学術会議と相談しながら進めると言っておりますけれども、いままでのこういう経過を見てくると、もう学術会議の意思を踏みにじって政令も何か決められちゃいそうな懸念があるんですけれども、その点長官、いかがですか。
  192. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) ただいま、これが設立された当時の総理が、そのお祝いの席で述べられたあいさつでございますか、それはその気持ちと、そして学術会議がこういう性格のものであるというようなはっきりしたことを言っておられますが、そのことについてはいまも私は少しも変わった考えは持っておりません。あくまでこれは国の代表的な機関であると、学術会議こそ大切なものだという考え方政府がこれに干渉したり中傷したり運営等に口を入れるなどという考えは、少しも、ただいま申し上げましたように、総理がその当時言われたことと変わってはおりませんし、変えるべきではないと思っております。ただ、今度の改正は、そういう大事な学術会議でございますから、学術会議がりっぱに機能あるいは使命を果たしていただくために選出方法を、近ごろいろいろと選出方法について意見も出ておりまするし、また学者離れだ云々というような嫌なことも耳にしておりまするので、今度はいわゆる推薦制にしていこうということでございまして、その推薦制もちゃんと歯どめをつけて、ただ形だけの推薦制であって、学会の方から推薦をしていただいた者は拒否はしない、そのとおりの形だけの任命をしていく、こういうことでございますから、決して決して総理の言われた方針が変わったり、政府が干渉したり中傷したり、そういうものではない。先ほど公明党さんの方から御指摘があり、御注意があり、御意見が出ておりまするように、それは、私どもは先ほど公明党の伏見先生でしたかね、あのような御意見、そのとおり私どもは守っていくべきであり、守るという考え、そしてもっともっと学術会議かりっぱな、国民が真から尊敬をし、また大いに国のために、また世界の平和のためにも人類の幸福のためにも尽くしていただける学術会議であってほしい。そのためにはいまの会員選出方法だけはひとつ検討していただきたいというので法律を出しておるというだけでございますから、御了承をちょうだいいたしたいと思います。
  193. 吉川春子

    ○吉川春子君 いま長官のお言葉ですけれども、私はいままでのこの法改正進行状況を見ておりまして、非常にお言葉がむなしく響いたわけなんですね。やっぱり、言われることと行うことを一致させてほしい。本当に行動の中で自主性を尊重するということを示していただきたいと思いますが、時間の関係で次の質問に移ります。  二番目に、私は、なぜ公選制ではだめなのか、推薦制にする理由をお伺いしたいと思いますが、まず塚田参考人一つ確認をさせていただきますが、日本学術会議改革要綱、一九八二年十月に日本学術会議がお出しになったものの中に、政府に対する要望で述べられているように、この五ページですか、「会員の公選制は本会議を「日本の科学者の内外に対する代表機関」たらしめる最大の特色であり、非任命制は独立性の制度的保障である。」ということと、それから「公選制と重層構造性とはあいまって、各分野の科学者の英知を最も民主的に、公正に、かつ組織的に結集し集約するための制度的特色を生み出している。」、こういうふうに書かれています。このとおりなわけですね、塚田先生。
  194. 塚田裕三

    参考人(塚田裕三君) いま御指摘の点は改革要綱の点であろうかと思いますが、改革要綱をつくった時点においては、こういうことで三分の二の公選制というのを残すべきであるというのが改革要綱の主張でございます。
  195. 吉川春子

    ○吉川春子君 改革要綱というのが学術会議が出された案ですから、その次へ進みます。  それでは、政府に対してお伺いいたしますが、なぜ公選制ではだめで推薦制にするのか、その主な根拠を挙げていただきたいんです。
  196. 橋本豊

    政府委員(橋本豊君) 選挙制につきましては、従来から科学者の代表を選出する方法としては適当でないというふうな意見もございます。また現行の選挙の実態として、立候補者数の逐年減少、こういう実態がございますが、こういうことによる競争率の低下、無競争当選が多い等の問題がございます。いわゆる学者離れを起こしているとの指摘がございます。総務長官の私的懇談会いわゆる吉識懇談会でございますけれども、この懇談会におきましても、多数意見は、選挙制を根本的に見直す必要があり、かつ、推薦制の採用を適当とするものでございました。したがいまして、総理府としては、これまで多くの問題点が指摘されてきた選挙制にかえて、科学者が自主的に会員を選出することを基本に、科学者の活動の母体であり、その構成員である科学者の学問研究上の業績を最も適正に評価できる学会を基礎とする推薦制を適当と考えた次第でございます。
  197. 吉川春子

    ○吉川春子君 いままでの議事録を拾って私なりにちょっと理由を整理してみたんですけれども一つは、日本学術会議法の一部を改正する法律案提案理由の中にあるように、昨今の科学発展は目覚ましいものがあり、学術研究多様化が進む一方で、学術研究細分化専門化も多く見られるところである。これらの学術研究進歩発展対応するために推薦制にするというような意見一つあると思いますし、また、いまもお述べになられましたけれども丹羽総務長官が科学者の代表を選出する方法としては適切でない云々の中で学術会議の学者離れということがいま言われましたけれども、二番目にある。三番目に、総務長官の私的諮問機関である吉識委員会で結論として選挙制度の根本的な見直し、推薦制の採用を適当とするというようなことが出たんだ、簡単にこんなようなことでいいんですね、確認だけでいいですけれども
  198. 橋本豊

    政府委員(橋本豊君) いま仰せのとおりでございますが、私、先ほど申し上げましたように、学者を選ぶのに選挙そのものが適当でないというふうな意見もかなり強いと思います。
  199. 吉川春子

    ○吉川春子君 そうしますと、いまの大体、推薦制にしなきゃならないという理由が述べられたわけですけれども、まず一について提案理由の中にも書かれておりますように、細分化専門化が進む中で、推薦制導入することは手続をかえって複雑にして非常に困難にすると、こういう御意見があるわけですね。これは学術会議の改革委員会法案検討分科会の渡辺洋三委員長のもとで五十八年の十月三日にまとめられましたその参考資料のナンバー2の方に入っているわけですけれども、実際にこういうことになりますと、「この困難は学問が多様化し、また複合化すればするほど増幅する傾向にある。」ということを述べておられますし、さきの衆議院参考人の発言としても述べられているわけですね。この問題については学術会議の内部でも検討委員会がつくられ、七部制について見直したり、ノンセクション部門をつくるとかいう方向も含めて検討が進んでいるというふうに私承っておりますけれども、一方において学術会議の中で改革すれば足りるんじゃないかという問題と、それから、もし推薦制にすれば非常に逆に困難になると、一年半の中でなんかとてもできないという池田改革委員会委員の御意見に代表されるような考えもあるんですけれども、この点についていかがですか。
  200. 高岡完治

    説明員(高岡完治君) 先ほど来から総務審議官からも御答弁申し上げておりますように、推薦制といたしました一つのメリットは、現行の学術会議の選挙制と申しますものが、いわばその立候補された方の専門もよく存じあげない、顔はもちろん存じあげないというような形での投票という形をとっておるわけでございます。したがって、学問の多様化細分化という傾向が進んでまいりますと、どうしても一つの専門分野に従事される科学者の数というのは限定されてまいります。そういったことから考えてみますと、やはりどの方が学術会議会員として最もふさわしい学問的業績を持っておられるか、あるいは識見を持っておられるかということを判断するのは、どうしてもそうした限られた範囲内のいわば顔見知りの間でないといい人を選ぶということができないのではないだろうか。まあ、私どもといたしましては、現在の選挙制というのはむしろ選挙制という名に流れてしまって実を伴っていないというのが実態ではないかというふうに考えたようなわけでございます。  したがって、あくまでも推薦制度をとる場合におきましても、学者の自主性、先ほど来から先生がるるおっしゃっておられますような学者の自主性というものを十分尊重するということを一番の基本に据えまして、その上で選出をいたします方法として顔見知りの間による推薦という方法をとったのが私ども政府の原案でございます。
  201. 吉川春子

    ○吉川春子君 学術会議の内部でもこれに対応するような検討を進めているということについて、それをやればこういう点についてもいいんじゃないか、そのことを任せる方がいいんじゃないかという点についてちょっとお答えがいただけなかったので、そこについてお答えいただきたいのと、学術会議の方でそういうふうにやることがかえって困難になるということを言っておられるわけですね。政府の方もこれお読みになっていると思うんですけれども、その点についてのお答えがなくて、政府としては一方的にこう考えるんだという 押しつけのように思うんですけれども、このことについてはどうですか。
  202. 高岡完治

    説明員(高岡完治君) ただいま先生のお話につきましては、私ども決して押しつけるというようなことではございませんで、先ほども分科会の報告に出ておりますような幾つかの問題点を私ども政府側に投げられた大きな宿題であろうというぐあいに思っております。したがいまして、政令、規則等を定めるに当たりましても、この学術会議の英知が結集されました分科会の報告書を十分念頭に置きながら関係方面とも相談をしながら決めていきたいと思っております。  それから、この推薦制を具体的に実行に移していく場でいろいろの困難が想定されるのではないかという御指摘でございますが、これは衆議院文教委員会でも御議論があったわけでございますけれども、分野によってかなりの差があるというふうなお話を承っております。  端的に申し上げれば、自然科学系統はそんなに大きな問題点はないだろう。ただ、一部、二部というような文科系の、あるいは社会科学系統のところにつきましては非常に大きな問題がある。特に衆議院の方では歴史学の先生が御出席になりまして、歴史学の分野では非常に大きな問題があるというような御指摘もございましたけれども、こういった点も含めまして、一年半という期間をかけて、じっくり学術会議の中で御検討を賜りたい。  私ども非公式に承っております話によれば、こういう場で申し上げるのは適当でないかもわかりませんけれども、そういった一部、二部のきわめて困難であると言われております学問分野におきましても、一年半もかければ大体何とか結論に達するのではないかというふうは承っております。ただ、一年半で出てきた結論が最善の方法として機能していくというぐあいには常識的には考えられません。今後、学術会議の中で試行錯誤を重ねながら熟成をしていっていただきたいというふうに、私ども学術会議の方にむしろお願いをしたいというふうに考えておる次第でございます。
  203. 吉川春子

    ○吉川春子君 この点についてもう少し突っ込みたいとは思うんですけれども、一言だけ申し上げておきますと、やはり一部、二部の問題だというふうにおっしゃられましたけれども、非常に問題点が多くて学術会議側の協力も得にくいかもしれないし、一年半という中で実際にやっていくということはいろいろ検討しても本当に至難のわざというような印象がするわけですね。それをやはりやろうとする裏には、政府の案を押しつければ、まあ一年半でもできるだろう、そういうような考えがちらちら私には見えるんで、非常にその点は遺憾だというふうに思うわけです。  その次に、通称吉識委員会と呼ばれております日本学術会議の改革についての総務長官の諮問機関から出された試案で、これが推薦制を言っているんだと、こういうことを一つ推薦制導入の理由にされているわけですけれども、私が説明するまでもないんですけれども、これにはA、B、C、D案がありまして、そして全部併記してあって、どれがこの意思だというふうに決めてはいないわけですね。だから推薦制をとるということをこの中で別に言っているわけではないし、むしろこういうふうに書いてあるわけですね。「何れの案についても細部にわたり検討を要する問題が多く、これらの問題について結論を得るには今後なお相当の時日を要するものと思われる。」というふうにこれに書いてあるわけですね。それをなぜ推薦制答申したものだというふうに受け取られるんですか。非常に強引な結論づけじゃないんですか。
  204. 高岡完治

    説明員(高岡完治君) 十五名の大変お忙しい先生方に御出席を賜りまして、八回にわたりまして総務長官の私的懇談会としての吉識懇談会が行われたわけでございます。  この案をまとめるに当たりましてはいろいろ御意見もございました。まとめ方についてはいろいろ御意見がございましたが、田邉前総務長官が八回のその懇談会に一回の欠席もなく御出席になられ、しかも最初から最後まで熱心に討議を聞かれまして、その結果示されたのがいわゆる総務長官私案ということで推薦制を骨子とするものでございました。  確かにこの報告書ではウエートづけはしておりません。しておりませんが、私どもこの事務に参加させていただきました者から申し上げれば、このA、B、Cという順番はそれなりの含みを持ってこの順番に並べて書いてあるというところでございます。したがって、その御意見等をいろいろ私ども懇談会の場で拝聴させていただきました限りにおきましては、推薦制を是とする意見が先ほど申し上げましたように多数意見であったということを御報告させていただきたいと存じます。
  205. 吉川春子

    ○吉川春子君 そうしますと、これはこの文書だけいただいて素直に読むと、どれの結論ということではやってないんだけれども、特別の読み方があるんですか、この案に、これに。
  206. 高岡完治

    説明員(高岡完治君) 読み方ということではございませんで、読み方としては確かに先生おっしゃいましたように、この最後のページに書いてございます「以上」以下の部分がいわば全員一致しての御意見という部分になるわけでございます。しかし、先ほど来も申し上げましたように、懇談会の場における意見、これは審議会と違いまして、懇談会というのはたまたま十五人の先生方が一堂に会されたというその解釈のもとに行われているものでございまして、その意見を集約するというのは、うまく皆さん方の御意見がまとまれば集約できるという形のものでございます。個々の先生方が御意見をお述べになりまして、その個々の先生方の御意見を拝聴させていただいておる限りにおいては、先ほども申し上げましたように、多数の先生方の御意見は、推薦制がいいのではないか、一々投票を依頼して歩く、あるいは投票を依頼するような行為をするというのはどうも学者の方たちは苦手とされるところでもあり、また先ほども申し上げましたようなことで、一般の有権者の方がいろいろと判断されるにしては、やはり有権者の資格の問題も含めていろいろの問題があるのではなかろうかというようなところであったわけでございます。
  207. 吉川春子

    ○吉川春子君 全員一致としての意見としては結論を得るにはまだ相当の時日を要すると思われるというものだということも認められて、そしていろいろな意見が出てまとまらなかったということも認められていまの答弁で、なおかつ個々の先生の意見を聞くと推薦制だと。全く強引な結論づけと言わざるを得ないと思うのですね。ちょっと時間がありませんので残念ですけれども、これは本当に推薦制をとる理由にはならないということだけ私は申し上げておきます。  それから三番目に、学者離れと、非常に学術会議に対する関心が低くなっているというお話ですけれども、先ほど来のいろいろなお話の中にもありましたように、まず総理府が予算を削って学者の手弁当で、あしからず委員会というのは初めて伺いましたけれども、非常に学者の先生方の負担においてこの会議が維持されてきたということは紛れもない事実ですし、また文部省もこの間いろいろ科学技術会議だとかあるいは学術審議会だとか、こういう諮問機関をつくって、そして日本学術会議については相手にせず、強く言えばですね。諮問も意見程度にずっととどめてきた。こういう形で学者離れとか関心が低いということはむしろ政府の方がつくってきて、学術会議の形骸化を図ってきたということが明らかだと思うのですね。予算も、国の予算が七十倍にこの間二十四年から今日までふえているのに、学術会議は二十倍にとどまっている。さっきもお話がありました審議や成果の普及、PRのための予算がないとか、科学者との結びつきを強めていくための予算がないからそういうものも制約されてきたとか、いろんな原因があって学者離れを実は政府の方がつくっているんだ、このことを私は申し上げておきます。  最後にではないんですけれども、次に中曽根総理大臣がこの問題について五月十二日の参議院でこのように述べられています。「やはり学問的評価というようなものは必ずしも投票になじまないものがあると思っておりました。むしろ学術的に優秀な人はそういう世俗的な投票を獲得する運動というようなものには無関心な方々が多いんです。」というふうに言われまして、「そういう面で、今回選出制度を改めまして学者同士が推薦する、そういう形になったことは、ある意味において質を高めるゆえんであろう、」「たしか向坊君が落選したという話を前に聞いて、東大総長までが落選するというのではちょっと困った話だなと当時考えた」、こういうふうに言っておられるわけですが、長官にまずお伺いいたしますけれども、この総理の発言についてどうお考えですか。やはりこれをそのまま読みますと、いまは何か推薦制じゃないから質が低いんだと、こういうふうにも受けとめられるんですけれども、長官いかがですか。
  208. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) 総理がここでお述べになったその考えは言葉に出ておるそのものだと思います。真意もそのとおりだと思いますが、ただ、いま先生が、何と申しますか、低いものだ、地位が低いものだと、そうとれるとおっしゃいますけれども、私はその点はそうは考えていない、そこまで私は想像をたくましゅうすることはできませんので、お許しをちょうだいいたしたいと思います。
  209. 吉川春子

    ○吉川春子君 そうしますと、総理大臣と意見を異にするわけですね。
  210. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) 何も私は意見は相違しておりません。総理がおっしゃったそのままだということを申し上げておりますが、私はそういうふうにはとらないというだけのことでありまして、意見は一致でございます。
  211. 吉川春子

    ○吉川春子君 その中曽根総理大臣の発言というのは非常に問題だと思うし、ある意味においては学術会議の名誉に対する侵害というか、非常によくない発言だというふうに思うわけですね。総務長官は、その質が低いとは考えないということですけれども、私は、この発言の真意について長官にお伺いするのもなんですから、総理に直接お伺いしたいということを申し上げておきたいというふうに思うわけです。総理大臣がいろいろ言われておりますけれども、このこともやはり公選制を否定する根拠にはなり得ないというふうに思うわけです。  いずれにいたしましても、政府が公選制を変える理由を幾つか挙げているわけですけれども、どれも推薦制にしなきゃならないという理由にはならないことは明らかだというふうに思うわけです。だから、この推薦制にするねらいは、政府が学術会議に介入するその道を開くために、御用機関にする、そういうことをねらうとしかいままでの論議を通じては私は理解できないわけですね。  それで、まだこの問題についてたとえば法案の問題についてはたださなければならない問題がたくさんあるわけです。たとえば政令にゆだねられている事項がたくさんありますけれども、その一つ一つについても非常に問題が多いわけだし、また先ほど来問題になっております総理大臣が任命する、この任命権についても問題が多い。それから推薦制を具体的に実施していく問題についてもお伺いしたいし、会員推薦管理会の問題あるいは研連の問題、まだまだ非常にこの法案について審議しなければならない問題が多いと思うんですが、私は十時間程度審議を要求しておりますが、きょうはもう時間がないという事務局からのメモが参りましたので、きょうは途中ですけれどもこれで終わりまして、また引き続きこの問題については今後の機会に徹底的にお伺いして明らかにしていきたいということを申し上げて、とりあえずきょうは質問を終わります。
  212. 長谷川信

    委員長長谷川信君) 本案に対する質疑はこの程度といたします。  暫時休憩をいたします。    午後四時十九分休憩      ─────・─────    午後五時十五分開会
  213. 長谷川信

    委員長長谷川信君) ただいまから文教委員会を再開いたします。  この際、委員異動について御報告をいたします。  ただいま久保亘君及び粕谷照美君が委員を辞任され、その補欠として菅野久光君及び梶原敬義君が選任をされました。     ─────────────
  214. 長谷川信

    委員長長谷川信君) 商業用レコード公衆への貸与に関する著作着筆の権利に関する暫定措置法案議題といたします。  この際、お諮りをいたします。  本案の質疑は終局をいたしたものと認め、異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  215. 長谷川信

    委員長長谷川信君) 異議ないと認め、これより討論に入ります。  別に御意見がなければ、これより直ちに採決に入ります。  商業用レコード公衆への貸与に関する著作者等権利に関する暫定措置法案は賛成の方の挙手をお願いいたします。    〔賛成者挙手〕
  216. 長谷川信

    委員長長谷川信君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。  安永君から発言を求められておりますので、これを許します。安永君。
  217. 安永英雄

    ○安永英雄君 私は、ただいま可決されました商業用レコード公衆への貸与に関する著作者等権利に関する暫定措置法案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。    商業用レコード公衆への貸与に関する著作者等権利に関する暫定措置法案に対する附帯決議(案)   政府は、商業用レコードの公正かつ円滑な利用に留意しつつ、著作者等権利保護を図るため、左記事項について、適切な措置を講ずべきである。  一、著作者等許諾権の行使にあたっては、公正な使用料によりて許諾することとし、関係者の間の円満な秩序の形成を図ること。  二、著作者等から許諾を得なければならない期間政令で定めるにあたっては、関係者と十分協議し、適正な期間とすること。   右決議する。  以上でございます。委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  218. 長谷川信

    委員長長谷川信君) ただいま安永君から提出をされました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手をお願いいたします。    〔賛成者挙手〕
  219. 長谷川信

    委員長長谷川信君) 全会一致と認めます。よって、安永君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、瀬戸山文部大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。 瀬戸山文部大臣。
  220. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) ただいまの御決議につきましては、その趣旨に十分留意して対処いたしてまいりたいと思います。     ─────────────
  221. 長谷川信

    委員長長谷川信君) 次に、日本学術会議法の一部を改正する法律案議題といたします。  この際、お諮りをいたします。本案の質疑は終局をしたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  222. 長谷川信

    委員長長谷川信君) 異議ないと認め、これより討論に入ります。  御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  223. 安永英雄

    ○安永英雄君 私は、日本社会党を代表して、本改正案に反対の討論を行います。  まず、本改正案提出に至る手続、経過についてであります。  日本学術会議は、戦後発足して三十四年、文字どおり、科学者の内外の代表機関として、科学向上発達に重要な役割りを果たしてきたのであります。しかしながら、現在までの諸科学の目覚ましい発展と国際的領域の出現、科学者数の激増、政府による他の学術関係機関の設置等、諸情勢が大きく変化する中で、学術会議がその使命をさらに達成するためには学術会議の改革が必要不可欠であるということは言をまたないところであります。  日本学術会議におきましても、一九六九年以来改革に取り組み、昨年十月には会員の三分の一については推薦制を導入するという改革要綱をまとめたところであります。しかしながら、政府は明確な理由を明らかにしないままこの改正要綱による選出制度を取り入れない本改正案を学術会議の了解も得ぬまま強圧的に提出したのであります。  ここにはこれまでの政府・自民党の学術会議に対する姿勢が背景にあります。学術会議科学者が戦前、戦中不幸にして戦争政策に協力したという痛烈な反省の上に立って、科学者の立場から平和問題についての声明などを行いましたが、政府・自民党はこのことを正しく認識せず、ことさらに学術会議を軽視し、あるいは敵視し、学術会議の権限を他の機関に移すなど、学術会議の機能の形骸化を図ってきたことは御承知のとおりであります。  特に最近では、前総理府総務長官が一連のためにする学術会議批判の発言を行い、自民党の責任者として、昨年八月には国の機関として存続したいなら公選制をやめよと脅迫まがいの政策を打ち出したことは周知のとおりであります。  本法案はこのような背景の中で科学者国民の合意を得ずに、政府・自民党が独走して提出した法案と言わざるを得ないのであります。  次に、学術研究団体を母体にした推薦制の問題点についてであります。  まず、公選制は民主主義の基礎であります。しかるに委員の選出を一切推薦にゆだねることは、学術会議の民主的組織形態を切り崩すことになります。まさに学術会議の性格の根本的変質になると言わざるを得ないのであります。また、会員は個人としてよりも学会の代表であるという色彩が強くなるため、学会を離れた個人の自由な発言、独創的な提案が行いにくくなり、いわば科学者国会から学会代表者連合へと変容せざるを得なくなり、学術会議の変質、機能低下が危惧されるのであります。  また、各学会からの会員候補者には、いわゆるボス、またはその声がかかった者が送り出され、若手、女性、地方大学、民間研究機関等の研究者の確保は一層困難になり、科学者の総意を反映することはむずかしくなる危惧がきわめて強いのであります。  最後に、本制度による推薦制の技術上の難点についてであります。  登録を認める学会には会員数や活動歴、地域的規模等で一定の条件をつける方針のようでありますが、現在一千を超えると言われる学会に対してどこに一線を引くのか、その引き方によってはさまざまな弊害が危惧されるのであります。一体、学会、協会による推薦が技術的に可能なのかどうか、こういう疑問は依然として解明せられないのであります。  さらに問題なのは、推薦活動の中核となる研究連絡委員会についてであります。部門ごとに組織されているものもあれば、研究プロジェクトごとに組織されているものもあり、また分野によっては組織されていないといった状況にあります。いずれにしても、研究連絡委員会推薦母体にするためには大幅な再編成が必要であり、短期間に行うことは非常に困難であろうと思うのであります。  こうした問題があるため、学術会議は五月の総会において、事実上の反対ともとれる法案に対する批判的見解を声明として出しました。そして衆議院においては、ロッキード判決をめぐっての空転の中で、野党が一言も質問をしない本法案を自民党が強行採決したのであります。  こうした異常な経過の中で、根本的な多くの問題点を残したまま強引に本法案の成立を図ろうとすることは、学術会議の統制に道を開こうとするものであり、わが国の学術体制、学術行政上、きわめて危険なものと言わざるを得ないのであります。  以上をもちまして、本案に対する反対討論を終わります。
  224. 吉川春子

    ○吉川春子君 私はまず、わが党の慎重審議の要求にもかかわらず、この採決が強行されるということについて、強く抗議します。  理事会でも、私は審議の続行を強く要求しましたけれども、そしてまた質疑打ち切り反対動議に対する意見の陳述の場も認められない、私一人のそれを葬られたということについて、怒りを禁じ得ません。私は、理事としては一人だけれども百万に近い国民の意思を背景にしているし、そういうものを理事会でも踏みにじってこの委員会を強行に開いたということについて、私は心から怒りを禁じ得ないし、抗議するものです。  本改正案は、日本学術会議の根本的性格を変えて、学問の自由、学術会議の自主性、独立性を侵すきわめて危険な法案であることは、短い審議時間ではありましたけれども質疑を通じてきわめて重要な問題が多く明らかになっています。それにもかかわらず、このように採決を強行することは、参議院文教委員会の歴史に汚点を残すものであることを初めに指摘したいと思います。  第一に、日本学術会議の同意を得ないまま、政府が一方的に提案するという提案手続自体が日本学術会議の自主性、独立性を踏みにじるものであります。さらに、本法案が参議院で強行採決された直後、五月十九日、日本学術会議が、本法案が学術会議の存在理由を脅かし、目的職務遂行に重大な疑義があるという反対声明を採択し、総会の意思が表明されたのであります。  この声明は、手続自体がすでに本会議の独立性と自主性を侵すものといわざるをえないと指摘した上で、改正理由改正の骨子との関係が判然としない、二、改革要綱の会員選出制度を退けて全面的な推薦性にする積極的な利点が明らかにされていない、三、本会議の独立性の制度的保障であり、その存在理由とする公選制が全く否定されていることなど、六つの重大な問題点を提起し、最後に次のように結んでいるのであります。政府及び国会は、本会議の意のあるところを十分に酌み取ってほしい。すなわち、政府に対して、また国会に対してもなされている声明であります。  しかも、衆議院審議に参加した参考人諸氏が慎重審議を要求し、かつまた元学士院院長を含む日本の科学者の多数が反対を表明しているものであります。  しかるに、政府はこれらの重大な問題点に何ら答えることなく、かつまた国会自身も衆議院では自民単独で、しかもなおざりの質問で強行採決をしたのであります。参議院においても、これら重大な問題点の解明をほとんどなされないまま、私どもの慎重審議要求にもかかわらず、質疑を議了し、採決に入るがごときは、国会を形骸化させることのみならず、まさにファッショ的な暴挙である、このように言わざるを得ません。これこそ学術会議の意向を無視した、学術会議への介入そのものでなくて何でしょうか。かかる行為は、参議院の自殺行為であり、議会制民主主義への挑戦であります。  国民に選ばれて初めての文教委員会でかかる事態を迎え、激しい憤りを感じないわけにはいきませんし、また、深い悲しみも禁じ得ません。  次に、法案内容であります。  この法案の根幹は、これまでの公選制を廃止し、全面推薦に変えるということであります。言うまでもなく、学術会議政府から独立して職務を行うためには、公選制こそがその制度的な保障であります。これを推薦制に変えることは、選挙という民主的な原則を踏みにじるとともに、学術会議をきわめて細分化された学会の利益代表機関に変質させるものにほかなりません。そのことは、時の政府から独立して科学、学術の総合的、長期的な発展を広い視野から審議するという学術会議国民に負っている重要な職務の遂行を不可能にするものです。そして、日本の科学、学術の発展に重大な障害をもたらすものであり、断じて容認することはできません。  第三に、部の定員、専門別の定員、学協会の候補者及び推薦人の届け出、会員推薦管理等、学術会議のあり方及び推薦方法の根幹が政令にゆだねられております。二重三重に政府の統制を強めるものになっているわけです。学術会議の独立性、自主性を奪うとともに、憲法に保障された学問の自由を奪うものとなっているわけです。  そもそも学術会議は、第二次世界大戦に際し、わが国科学者がその自主性を失い、戦争に協力したことへの深刻な反省があって、そこから生まれたものであります。だからこそ、わが国科学者代表機関として選挙によって会員は選ばれ、政府から独立して科学向上発達を図り、行政、産業及び国民生活科学を反映浸透させることを目的として一九四九年に発足したものであります。  学術会議科学者の立場から戦争と平和の問題を取り上げ、原子力の研究と利用に関し公開、民主、自主の原則を要求する声明、そして原水爆の禁止、核兵器の廃棄についての世界の科学者に訴えるなどの声明を採択してきたことは当然のことであります。また、プラズマ研究所や霊長類研究所など、今日の重要な共同利用研究などは、学術会議の勧告に基づいてできたものです。  ところが、政府と自民党は、こうした学術会議に対し攻撃を繰り返してきました。学術会議の予算を徹底して抑えて、五九年には科学技術会議、六七年には学術審議会、日本学術振興会を発足させ、学術会議の機能を他の機関に移し、学術会議の形骸化を図ってきたわけです。今日、政府・自民党が学者離れだとか形骸化などと声高に批判していますけれども、その責任の一切は政府・自民党にあることは明白であります。それこそ、これを理由に法改正を行い、公選制を推薦制に変えるごときは、まさに党利党略に基づく学術会議の御用機関化を図るものであり、今日進められている臨調下の軍拡、大企業奉仕に対する科学の従属であり、学術統制に道を開くことは言うまでもないことであり、わが党としては断固として反対することを表明いたします。
  225. 長谷川信

    委員長長谷川信君) 他に御意見もなければ、討論は終局いたしたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  226. 長谷川信

    委員長長谷川信君) 御異議ないものと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  日本学術会議法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手をお願いいたします。    〔賛成者挙手〕
  227. 長谷川信

    委員長長谷川信君) 賛成多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと決定をいたしました。  田沢君から発言を求められておりますので、これを許します。田沢君。
  228. 田沢智治

    ○田沢智治君 私は、ただいま可決されました日本学術会議法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     附帯決議(案)   日本学術会議が、我が国の科学者の内外に対する代表機関として、その機能を十分発揮できるよう、政府及び日本学術会議は、左記事項について特段の配慮をすべきである。  一、会員部別専門別定員推薦等に関して政令を定めるに当たっては、日本学術会議の自主性尊重を基本として十分協議すること。    なお、内閣総理大臣が会員の任命をする際には、日本学術会議側の推薦に基づくという法の趣旨を踏まえて行うこと。  二、日本学術会議は、科学者の総意を反映するため、幅広い分野から適切な会員が確保されるよう努めること。  三、日本学術会議が、その目的・職務を十分果たせるよう、必要な経費その他諸条件の整備を図ること。  四、日本学術会議科学技術会議、学術審議会、日本学術振興会その他の学術関係機関との連携協力体制の確立に努めること。特に、日本学術会議が行う勧告、答申、要望等について、政府はその趣旨を尊重して適切に対処すること。  五、本制度について、その実施結果を踏まえた見直しのため、適当な時期に国会報告すること。    右決議する。  以上でございます。委員各位の御賛同をお願い申し上げます。以上。
  229. 長谷川信

    委員長長谷川信君) ただいま田沢君から提出をされました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の諸君の挙手をお願いいたします。    〔賛成者挙手〕
  230. 長谷川信

    委員長長谷川信君) 賛成多数と認めます。よって、田沢君の提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定をいたしました。  ただいまの決議に対し、丹羽総理府総務長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。丹羽総理府総務長官
  231. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) 日本学術会議法の一部を改正する法律案の御審議お願いいたしましたところ、幅広い角度から御検討を賜り、御可決をいただきましたことを、委員長初め諸先生方に深く感謝いたしております。御審議中に賜りました貴重な御意見、また御要望につきましては、十分拝聴いたしましたので、御期待に沿うべく最大限の努力を続けてまいりたいと考えておる次第でございます。  また、同時に議決されました附帯決議につきましては、その御趣旨を踏まえつつ、制度の運用等に万全を期してまいる所存でございます。
  232. 長谷川信

    委員長長谷川信君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  233. 長谷川信

    委員長長谷川信君) 御異議ないものと認め、さよう決定をいたします。     ─────────────
  234. 長谷川信

    委員長長谷川信君) これより請願の審査を行います。  第二二号私学助成大幅増額に関する請願外八十六件を議題といたします。  速記をとめてください。    〔速記中止〕
  235. 長谷川信

    委員長長谷川信君) 速記を起こしてください。  第二二号私学助成大幅増額に関する請願外八件は議院の会議に付するを要するものにして内閣に送付するを要するものとし、第七八号私学学費値上げ抑制父母負担軽減等に関する請願外七十七件は保留と決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  236. 長谷川信

    委員長長谷川信君) 異議ないものと認め、さよう決定をいたします。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任をいただきたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  237. 長谷川信

    委員長長谷川信君) 異議ないものと認め、さよう決定をいたします。     ─────────────
  238. 長谷川信

    委員長長谷川信君) 継続調査要求に関する件につきましてお諮りをいたします。  教育文化及び学術に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出をいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  239. 長谷川信

    委員長長谷川信君) 異議ないものと認め、さよう決定をいたします。  なお、本要求書の作成につきましては委員長に御一任をいただきたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  240. 長谷川信

    委員長長谷川信君) 異議ないものと認め、さよう決定をいたします。  本日はこれにて散会をいたします。    午後五時四十三分散会