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政府委員(
保田博君)
先生御
指摘のように、来年の十月が国
共済等の
財政再
計算の時期に当たっておるわけでございます。
先生御
指摘のように、またその際には財源率の大幅な引き上げ、平たく言いますと
保険料率の大幅な引き上げを回避することは不可能であろう、こういうふうに
考えるわけでございますが、午前中にも御
答弁申し上げましたが、その際に財源率ないしは
保険料率の引き上げの要因として
考えられるものが大別して三つあるわけであります。もちろん、
財政再
計算の中身、それから
国鉄に対する
財政援助の中身は、今後それぞれ
保険料率の算定
委員会とかあるいは
財政調整事業の
運営委員会で御検討いただくわけでございますから、現在私
たちがその数字を具体的にお示しするわけにはまいりませんが、一応本
法案を
作成いたします際に、
関係者の御勉強の便宜のため、あるいはさらには
法案の御
審議をいただくための御便宜のために
作成いたしました、
先生御承知のようなごく粗っぽい
大蔵省の試算というものがあるわけでございます。
それに基づいて御説明をいたしますと、来年度の
保険料率のアップの要因の第一は、前回の
財政再
計算期以後ベースアップが行われております。給与は引き上げられ、
年金についてもベースアップが行われるということによりまして、そのことが連合会なり公企体の各
共済組合の
財政事情に対して当然大きな需要を呼び起こすわけでございます。と同時に、また前回の
財政再
計算のときには標準的な財源率に対しまして修正率〇・八というものを乗じたわけでございまして、この〇・八を乗じますことによりまして将来の
年金財政に大きな穴があいておるわけでございます。その穴埋めをしなければならない。そういうことでございまして、その二つの要因からいわば連合会、公企体
共済のそれぞれの組合の
財政を将来にわたって健全に保つために必要な
保険料率の引き上げがあるわけでございます。これが第一。
それから第二は、
先生御
指摘のように、先ほど来
議論の対象になっております
大蔵省の粗い試算では修正率を〇・八から〇・九に引き上げておる。それに伴う
保険料率の引き上げもかなりの数字になろうかと思います。これはそういう修正率を引き上げるというと結局
保険料率のアップ率が大きくなるということなんでございますが、それをなぜわれわれはその粗い試算の中に織り込んだかということでございますが、これについてはごく簡単に御説明をいたしますと、本来ならば将来の保険給付の財源は被保険者から徴収される保険料とその運用収入をもとにして標準的な給付を将来にわたってずっと確保できるというそういう
保険料率であるべきなのでございますが、わが国の各
年金制度では、そういった平準
保険料率をまるまるとるということは実はしていないわけでございまして、
共済年金の場合にはそれが〇・八に現在なっておるわけでございます。しかし、その〇・八にとどめておるということは、現役の皆さんの
保険料率をそれだけ安くしておるわけでございますけれ
ども、将来の
年金給付の財源をそれだけ乏しくしておるということなのであります。
その結果、国
共済に例をとりますと、たしか
昭和八十二年ぐらいには
保険料率をかなり引き上げるとしましても現在持っております積立金を全部使い尽くして賦課方式に移行せざるを得ないという状況になっておるわけでございます。その賦課方式に移行せざるを得ない時期というのは、
年金制度の
財政といった
観点から申しますと、その時期がまたわが国の
高齢化が非常に進行する、現実に保険料を納められる現役の
方々に対してOBが非常にふえるというその時期でありまして、いわばその将来の現役の
労働者、勤労者は保険料を納めて、それが自分
たちの将来の
年金財源になるということではなくて、まるまるその時期のOBの
年金のためのお金を払っていかなきゃならぬ、そういう時期でもあるわけです。そして、現役に対するOBの割合が非常に大きくなって、そのための
年金保険料負担が非常に大きくなるという時期でもあるわけでございます。現在の現役の勤労者なり
労働者の
保険料率を安くするということは、二重の
意味におきまして後世代に対してアンバランスな負担を残すということにもなるわけでございまして、そういう
意味ではわれわれとしては修正率というのはできるだけ高い方がいい、余り大きな修正をしない方がいい、そういうふうに
考えておるわけでございます。
第三に、その
保険料率引き上げの要因として
考えられますのが、
国鉄共済組合に対する拠出金を賄うための保険料の引き上げでございます。
いずれにつきましても、先ほど来申し上げましたように、今後、
財政再
計算を実際に行う際、あるいは
国鉄に対する
救済の問題につきましては、長期給付
財政の調整のための
運営委員会で御
審議をいただくわけでございますけれ
ども、先ほど来申し上げました三つの要因のうち大きなものは前二者でございまして、連合会なり公企体の
共済組合の将来の
年金財政を
健全化するという
観点、それから後世代と現代の世代との
年金負担のバランスをできるだけ公平に維持したい、こういう
観点からの引き上げ、そういうふうに御
理解をいただきたいと思っております。