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1983-11-24 第100回国会 参議院 内閣委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年十一月二十四日(木曜日)    午前十時十七分開会     ─────────────    委員異動  十月十一日     辞任         補欠選任      近藤 忠孝君     内藤  功君  十一月十八日     辞任         補欠選任      野田  哲君     片山 甚市君      矢田部 理君     本岡 昭次君  十一月二十四日     辞任         補欠選任      片山 甚市君     野田  哲君      本岡 昭次君     矢田部 理君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         高平 公友君     理 事                 亀長 友義君                 坂野 重信君                 小野  明君     委 員                 板垣  正君                 岡田  広君                 源田  実君                 沢田 一精君                 林  寛子君                 林  ゆう君                 堀江 正夫君                 穐山  篤君                 片山 甚市君                 本岡 昭次君                 太田 淳夫君                 峯山 昭範君                 内藤  功君                 柄谷 道一君    国務大臣        大 蔵 大 臣  竹下  登君    政府委員        大蔵省主計局次        長        兼内閣審議官   保田  博君        厚生大臣官房審        議官        兼内閣審議官   古賀 章介君        自治省行政局公        務員部長     中島 忠能君    事務局側        常任委員会専門        員        林  利雄君    説明員        厚生省年金局年        金課長      山口 剛彦君        日本国有鉄道共        済事務局長    岩崎 雄一君        日本電信電話公        社厚生局長    中原 道朗君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○国家公務員及び公共企業体職員に係る共済組合制度統合等を図るための国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案(第九十八回国会内閣提出、第百回国会衆議院送付)     ─────────────
  2. 高平公友

    委員長高平公友君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十八日、野田哲君及び矢田部理君が委員辞任され、その補欠として片山甚市君及び本岡昭次君が選任されました。     ─────────────
  3. 高平公友

    委員長高平公友君) 国家公務員及び公共企業体職員に係る共済組合制度統合等を図るための国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましてはすでに趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 片山甚市

    片山甚市君 私は、本法案質疑に当たりまして、今国会が異常な事態のままで今日まで至りましたために、質疑など非常に大きな制約を受けていることはまことに遺憾と思うものであります。  衆議院における審議過程でも明らかなように、端的に言いますと、一つは、高齢化社会を展望しての公的年金一元化について明雄な内容を持った方針がないこと。二つ目には、国鉄共済年金財政破綻国家公務員公共企業体共済組合員に転嫁するのみで、国の責任を全く放棄した無責任きわまるものであること。三つ、統合することによって負担は引き上げ、給付水準は引き下げるという手法で、共済組合員既得権期待権を踏みにじり、国民年金に対する信頼を失わせるものであると言わざるを得ません。これらについて徹底的な究明をすることがなければ納得できるものではありません。  以下、大きく分けて六項目にまとめ質問しますが、これらについてはすでに関係者の間でかなり時間をかけて論点は解明されておると聞いておりますから、その点について十分配慮をして的確な言葉で要点を簡潔に御答弁を願いたいことをまず申し上げます。  そこで、具体的な内容をただす前に、まず前提として次の点について聞きたい。各省庁にはさまざまな諮問機関、たとえば審議会等を設置しておりますが、それらの結論、答申が出された場合にはどのように取り扱われているか、お答え願いたい。
  5. 保田博

    政府委員保田博君) 先生指摘のように、現在、政府に関連しまして各種審議会なり諮問機関がございます。もちろん、これらの審議会なり諮問機関は、それぞれ設けられました目的性格によりまして、一概に申せませんけれども、いずれにしましても、制度の変更その他にかかわります重要な事項につきまして学識経験者にお忙しい中を貴重な御意見をいただくわけでございますから、当然政府といたしましては、いただきました御意見なり答申なりというものは尊重しなければならないと、こういうふうに考えております。
  6. 片山甚市

    片山甚市君 一概には言えないがという一概とは何であって、尊重するということについてはどのぐらいの程度の重さを持っているんですか。尊重するとおっしゃいましたが、一概には言えないかと、一概という一概の概はどういうことですか。おおむね……。
  7. 保田博

    政府委員保田博君) お答えいたします。  そのどんなにかというところがなかなか一概に言えないので、一概に申し上げにくいと申し上げたわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、基本的に政府としてできる限りの尊重をすべきであるという態度でございます。
  8. 片山甚市

    片山甚市君 次長のお言葉は、できる限り尊重したいという基本的な考えだというように聞きました。できる限りということでこれから議論をしていきます。  そこで、社会保障制度審議会の設置の意義、その答申は今日までどのように取り扱われてきたかについて、厚生省からまず伺いたい。
  9. 古賀章介

    政府委員古賀章介君) 厚生省におきますところの年金関係審議会としましては、社会保険審議会とそれから国民年金審議会がございまして、これまで改正の都度それぞれの審議会から御意見答申をいただいておるわけであります。その両審議会答申を得ました後で社会保障制度審議会の御答申をいただいて、法案作成をいたし、国会提出をするということになっております。私どもは、改正案の策定、法案提出に際しましては、これらの審議会の御議論を十分尊重いたしまして制度改正を行ってきたところでございます。
  10. 片山甚市

  11. 保田博

    政府委員保田博君) ただいま厚生省当局から御答弁いたしたとおりでございます。
  12. 片山甚市

    片山甚市君 それでは、厚生省、今日までどのように審議をされたかについて、例を挙げて説明してください。
  13. 山口剛彦

    説明員山口剛彦君) 制度的にはただいま申し上げたとおりでございますけれども、これまで私ども年金制度改正につきましては、四年あるいは場合によっては三年という間隔を置きまして財政計算を行い、制度改正をいたしております。その都度、最近では昭和五十五年が大きな制度改正でございますけれども、いずれも、先ほど申し上げましたように、専門審議会であります社会保険審議会国民年金審議会で、まず改正の前に審議会の方から自主的に次の改正に向けての御意見をいただきまして、その御意見を踏まえて私どもが案をつくりまして、案ができた段階で正式に諮問をするという手続をとりまして、御議論をいただきました上、正式に政府案として国会提出をするという段取りをずっととってきております。その間、いただきました御意見あるいは審議過程で御議論いただきましたことにつきまして、厚生省としては最大限尊重をするという態度で対処をしてきたつもりでございます。
  14. 片山甚市

    片山甚市君 厚生省からの答弁によると、尊重してきたということでありますが、今度の制度審答申につきましても尊重さるべきだと思いますか。共済年金統合についての答申について尊重さるべきだと思いますか。
  15. 山口剛彦

    説明員山口剛彦君) このたびの共済組合関係審議会の御答申につきましては、厚生省としては直接の関係を持っておりませんので、私どもからそれについて申し上げる立場にはございませんので、この点は御理解をいただきたいと思います。
  16. 片山甚市

    片山甚市君 いままでは答申について尊重してきたというお答えがあったと思いますが、いかがですか。
  17. 山口剛彦

    説明員山口剛彦君) 社会保障制度審議会でも、これまで私ども関係をする事項につきましては何回か御答申、御意見をいただいているわけでございますが、それに対しましては私ども精いっぱい尊軍するという態度を変えておりません。ただ、今回の具体的な御答申につきましては、共済関係についての制度審議会の御意見でございますので、このなにつきましては、先ほど申し上げましたように、私どもが御意見を言う立場にはないということでございます。
  18. 片山甚市

    片山甚市君 それでは、大蔵省に聞きますが、厚生省は従来まで制度審答申された事案については尊重してきた。そこで、今回、制度審共済年金に対する統合法案についての答申大蔵省としては尊重したと言い切れますか。お答え願います。
  19. 保田博

    政府委員保田博君) 今回の共済統合法案作成に当たりまして、制度審に御意見を伺いました。その際、先生指摘のようないろいろな御意見がございました。政府に対して、いろいろな御注文があったわけでございます。それらについて完全無欠にこたえ得たかどうかということになりますと、私としても完全無欠でございますと胸を張れるほどりっぱなものではなかったかもしれませんが、国鉄共済組合の窮状、それに対する救済緊急性、それからそれに対する救済の方策として政府が御相談申し上げたような案でまことにやむを得ないといった点につきましては一応御了解を得られたものであると、こういうふうに理解をいたしております。
  20. 片山甚市

    片山甚市君 そういうことを言うならば、尊重しなかったということですね。
  21. 保田博

    政府委員保田博君) 基本的に尊重をしたつもりでございます。
  22. 片山甚市

    片山甚市君 法案審議の中で明らかにしますが、したかどうかを明らかにきりきり白状させますが、大体、衆議院においても哲学がどうだのとかなんとか言って切り抜けていますが、非常に不当なことは、制度審の従来の答申につきましては、厚生省が言うように、大蔵省でなければ全体的に尊重したのにかかわらず、大蔵省は今回全くこれを尊重しなかった、こういうふうに私は断定するんですが、もう一度抗弁するならしてください。
  23. 保田博

    政府委員保田博君) 立場によりまして、いろいろな御見解があろうかと思います。 そのことまでを私ここで否定するつもりはございませんけれども政府としては極力尊重をさせていただいたと、そういうふうに考えております。
  24. 片山甚市

    片山甚市君 それならば、昭和五十八年三月二十九日、総社第三八号によって、大蔵大臣運輸大臣郵政大臣にあてた社会保障制度審議会会長大河内さんから出された文書を一読してください。読んでください、みんなの前で。全部読んでください、時間はあるんだから。
  25. 保田博

    政府委員保田博君) では、読み上げます。     国家公務員共済組合法等の一部改正について(答申)   昭和五十八年三月一日蔵計第三五九号で諮問のあった標記の件について、本審議会意見は下記のとおりである。      記  一 現行の各種公的年金制度は、将来、収支の著しい不均衡から行き詰まりを来すおそれがあり、それを解決するためには、速やかに総合的な対策を確立することが必要である。その場合には、国民年金制度への信頼を損なうことがあつてはならないことはいうまでもない。  二 これまで、国は、公的年金制度全般の将来展望を明らかにしていないにもかかわらず、今回の諮問公的年金制度の再編・統合の第一段階として位置づけていることは、甚だ理解に苦しむところである。  三 本審議会は、長期にわたり安定した国民年金体制を確立するために、既に再度にわたり公的年金体制に関する新しい全体構想について建議を行つたところであるが、政府は、これら建議の意図するところを踏まえて、早急に公的年金制度の将来の在り方の具体策改革の手順を含めて明らかにするよう強く要望する。  四 公的年金制度改革を進めるに当たつて、国は、年金制度の技術的、制度的調整を図り、関係者の十分な理解基本的合意前提として案をまとめるべきである。そのような観点から今回の諮問経過を見るとき、これらの努力が著しく不足していたことを指摘せざるを得ない。  五 今回諮問のあつた制度改正要綱は、国鉄共済組合財政対策緊急性を考慮すれば、一つ対策としてやむを得ないものと考えられる。    しかし、国鉄共済組合危機的状況については、かなり以前から予測されていたところであり、本審議会もその解決策を構ずべきことを繰り返し指摘してきた。それにもかかわらず、今日まで国の責任にも触れた具体案が提示されていないことは遺憾であり、さらに国としての格段の配慮が望まれる。  六 制度改正要綱について特に指摘すべき主な事項は、次のとおりである。   (一) 公共企業体職員年金給付水準国家公務員並みにそろえるに当たつては、可能な限り経過的措置を設ける等の配慮が必要である。なお、既裁定年金の取扱いについては、制度の切替えに際し、既得権尊重への観点から特にきめ細かな配慮が必要であることを指摘しておきたい。   (二) 制度改正要綱に基づく試算によれば、次の財政計算期保険料率を一挙に大幅に引き上げることになつているが、これについては段階的に引き上げるような経過措置を設けるべきである。   (三) 財政調整事業を円滑に実施するために設けられる財政調整事業運営委員会の構成及び運営については、実情に即し、広く組合員の意向が反映されるように留意すべきである。改正後の国家公務員等共済組合審議会についても同様である。  おつて、今回の諮問に先立ち、地方公務員等共済組合法改正案が本審議会諮問されたが、これと今回の改正案は共に財政調整を図ろうとしているにかかわらず、その間に重要な点において整合性を欠いていることが目立つことを付記する。   以上であります。
  26. 片山甚市

    片山甚市君 いま次長が読んだように、一概には言えないが尊重するということでありますが、そういうことであれば、その各項目については非常に重い意味を持っておるし、答申については政府としては便宜的に都合のいいところだけつまみ取りをするということは許されないと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  27. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 各審議会ということになりますと、御案内のとおり、それぞれ多少の違いはございましても、法案提出する場合にその意見を聞くとか、あるいは尊重しなければならぬとか、私どもの記憶で、何年何月とは正確に記憶しておりませんが、無答申に終わったというようなことはたしか米価審議会で一度ぐらいあったかなと思います。が、今回の場合、いま保田次長が読み上げましたように、もろもろの努力不足、不備な点等指摘されつつもこの答申そのものをいただいたということは、やはり私は、諸般の環境が一〇〇%熟しておるとは言えないにしても、いまや国鉄共済救済措置等時間を置くべき課題ではない。だから、少なくともわれわれの意見を率直に申し述べた内容、すなわち政府側から見ればかなり手厳しい指摘をしつつも、答申そのものをして法律案国会提出する手続だけでも整えてやろうという、もう一つ大きな配慮というものが私は全体から痛感をされておるわけでありますので、その限りにおいて、この意見に照らし、このように御提案申し上げ、御審議をいただける経過に至ったというふうに私は理解をしております。
  28. 片山甚市

    片山甚市君 それでは、もう一つ重ねてお聞きしますが、この際、制度審答申については今後とも尊重していくつもりですか。今回できなくても、これから政令を出す場合にそれを受け入れて努力されますか。尊重するということは、ただこの場所だけでなくて、これからの運営委員会もございますし、いろんな場所があるんですが、答申された問題をあらゆる場所尊重していくように努力大臣としては続けていくつもりですか。
  29. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 社保審そのものは、これは御案内のように総理大臣諮問機関でございますが、問題ごとに、たとえばこのたびは国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案でございますので、大蔵大臣の私と運輸大臣郵政大臣あてにこの答申をいただいたわけでございますが、こうした権威のある審議会答申尊重すべきは当然でありまして、今後この運営等について関係方面意見を聞きつつ尊重するという基本線を堅持して対応していくべきは私どもに課せられた使命ではなかろうかというふうに考えております。
  30. 片山甚市

    片山甚市君 冒頭に申し上げたように、今回の審議時間は至って不当な抑圧の中でしておるのでありますから、委曲を尽くしたいんですが、時間がないために言えません。  そこで、緊急避難的な問題があって、私たちも涙をのんで、この法案についてはしかるべき措置がとられることだろうと思っていますが、しかしとられておる措置制度審で求めておるものとかけ離れた内容財政上持っておるのであります。それをこれから大蔵省を含め、関係者たち制度審指摘するような措置にできるだけ近づけていく、尊重していく、こういうことの気持ちのあらわれと解してよろしゅうございますか。
  31. 竹下登

    国務大臣竹下登君) やはり御趣旨として、いま片山委員指摘の筋は私どもとしても心得て対応すべき責任がある、このように考えております。
  32. 片山甚市

    片山甚市君 それでは、法案についての質疑に入りますが、若干形式的になりますけれども年金制度意義目的について。年金制度といいますと、御承知のように年金担当大臣厚生大臣でありますから、厚生省からまず年金制度意義目的についてどういうものかということについてお聞きをしたいと思います。
  33. 古賀章介

    政府委員古賀章介君) 公的年金制度は、現在、三種類、八制度に分かれておるわけでございますけれども高齢化が急速に進みます中におきまして、公的年金制度の果たす役割りというものは、今後ますます重要性を増してくるであろうというふうに考えております。  公的年金とはどういうものかということでございますけれども老後社会生活を支える支柱である、平均的な老後市民生活を支えるところの基本的な部分、それを担うという性格のものであろうと思います。公的年金だけですべての老後生活保障するというわけには必ずしもまいらないわけでございます。個々老人方々ニーズというものが異なるわけでありますから、そのニーズに応じまして、企業年金でありますとか、貯蓄、個人年金というふうなものを組み合わせながら多様な個々老人方々ニーズにこたえていく。しかしながら、公的年金というのはあくまでも老後社会生活の基本的な部分を支えるものであるというふうに理解をいたしております。
  34. 片山甚市

    片山甚市君 大蔵省はどうお考えですか。
  35. 保田博

    政府委員保田博君) ただいま厚生省当局お答えをしたとおりと理解をしております。
  36. 片山甚市

    片山甚市君 羊頭狗肉ということで、厚生省がいま社会保障に重点を置いていますが、いわゆる大蔵省の場合は財政管理、お金のつじつま合わせということになっておると思うんです。特に、給付制限等を見てみましても、社会保障制度になじまない問題でありますが、これは後刻質問します。  ただ、大蔵省考えることと厚生省考えておることについては違いがあるように思いますが、大臣から先ほども答申尊重していく行政的な立場をとられるということでありますから、これ以上聞きません。  そこで、高齢化社会になった時代の年金制度についてどう考えるかということで、一つは、高齢化社会とは健康で働くことについて生きがいを感ずる生活時間が長くなった人間社会、いわゆる働くことができる時間が長くなったということでありまして、労働者が六十歳以上になりましても普通に働くことができるように今日では仕事によれば相当延びたと、そういうことでありますから、高齢化社会というのは歓迎されるべきであります。高齢化社会になったら何か要らぬものが生きておるというふうな大変めんどうなことが起こったと、こういうふうに思いますが、それは制度のあり方を変えなきゃならぬことであって、いわゆる高齢化社会は歓迎されるべきだ。特殊の支配階級の人だけが長寿であればいい、働く人たちは早く死んでしまったらいいというふうな考え方はいただけない。特に、年金制度とは、まだ十分に働く意欲がある者については働かして、年金を出すから働かなくてよろしいというのじゃなくて、働ける者には働く条件をつくる。そして、働けない高齢者方々には、生活ができるだけの基本的な年金が国家的に保障されるということではないだろうかと思います。  それで、私たちは、働く意思がある者が働く条件ができれば、労働保障されておれば、世代間の公平性の問題も、年金財政健全化も、互助精神の確立も十分に可能だと思うんです。いわゆる働ける者に働くなと言って年金もやらないというふうないまの今日のやり方は納得できない。たとえば六十歳定年制も完全ではありませんだけじゃなくて、六十五歳になっても働く。中曽根内閣大臣を見てもらってもわかるとおり、大半が六十五歳以上です。年金でやめたらいいというのなら、やめてもらっていいんです。そうしたら内閣成立しませんね。皆さんは六十五歳以上でもがんばれるのだけれども、いわゆる一般の庶民は働く場所がない。こんなことでは大変でありますが、大臣、いかがでしょう。私が申し上げるのは、働ける者には働ける条件をつくりながら、年金の掛金も掛けてもらいながら、そして老後についての保障ができる社会保障年金というものをこれからつくっていくべきだと思いますが、いかがですか。
  37. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 基本的には、私はいまの御意見に反対する何物もございません。賛成でございます。  およそ、いま問題になっておりますのは、急激に訪れた高齢化社会、確かに私ども昭和二十二年でございますか、初めて平均寿命が五十歳を超したと思います。私が国会に出ました昭和三十三年は男性が六十三歳、女性が六十九歳、したがって十・何歳か二十五年間で延びております。世界じゅうで見ましても、日本の次がアイスランド、スウェーデン、ノルウェー、オランダ、イスラエル、デンマーク、スイス、カナダ、ギリシャ、イギリスと、こういう順番で、これは私が演説の勉強をするために覚えさしていただきましたが、七十歳以上の国がございまして、日本がそれの最高になり、そしてそれが急速度になったというところにいろいろな問題が生じておると私は思っております。  基本的に、御指摘になりました勤労意欲ある国民がその能力、適性に応じて職場のある社会、これは私は本当に福祉国家の理念である。同感でございます。しかし、その勤労意欲というものを制限するものは、生まれながらとか、あるいは疾病とか、障害とか、やっぱり老齢というものも一つの要素だと思います。そこに、いまおっしゃいました年金制度等がこれを補完いたしまして本当の意味における私は福祉国家というものの理想図が将来描かれていくのではないか。そういう方向でもってやはり不断の努力を積み上げていかなければならぬ。いまのような意見に絶えず耳を傾けて為政者たる者は対応しなければならぬというふうに考えております。
  38. 片山甚市

    片山甚市君 大臣お答えでありますから私からつけ加えることはありませんが、特に六十歳以上の方々について、健康状態、知能の発揮の場所条件がありますけれども、やはり高齢者に対してはいままで持ったところの知識、技能、能力を発揮できる場所を国家的にも社会的にもつくっていくことが高齢化社会における有意義な人生を全うさせ、年金制度をして崩壊せしめず、若い人人にのみ負担をかけるという一方的な言いがかりを解決することになり、公的年金が基本的に老後保障たる年金を支給できるようになるものと思いますが、もう一度お伺いしますが、いかがですか。
  39. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは基本的に、私はおっしゃる意味理解をいたします。私ども、やはりそこに一つ考えなきゃならぬのは、したがって、それがいまも御指摘のありましたような世代間の抗争とまでは申しませんが、不公平な負担感とか、そういうようなものを避けるようにするのは当然のことでございますので、そこで基本的にいわゆる将来像の問題が出てくると思うのであります。いまお互いが頭の中であるいは観念的にあるいは実際的に描く理想像というものに現実の姿がかなり離れたものであると私も思っております。したがって、それをできるだけ近づけていくという努力というものが今後の将来像、あるいはそれに向かっての当面、今日御審議いただいておる法律案の中身、そういうふうな位置づけで御理解をいただけたらなと、こういう期待を持っております。
  40. 片山甚市

    片山甚市君 そこで、本法案についての目的はどういうものかについて説明願いたい。
  41. 保田博

    政府委員保田博君) 今回御提案申し上げております法律案目的は、大別して二つございます。  一つは、国家公務員及び公共企業体職員にかかわる共済組合制度統合するということでございます。統合といいますのは、平たく言えば給付の要件あるいは給付の算定方法等を同一にするということでございます。  それから第二点は、あわせまして、現在窮迫を告げております国鉄共済組合財政に対しまして国共済及び電電、専売の両公企体共済組合から財政調整事業を行う、平たく言いますれば国鉄共済組合に対する財政的な援助の仕組みをつくりたい、こういうことでございます。
  42. 片山甚市

    片山甚市君 そこで、公的年金制度の再編統合の第一段階ということを説明しておりますが、制度審では第一段階ではないではないか、最後の段階がわからないではないか、こじつけではないか、こう言われておることについて、いわゆる再編統合の全体像を示すことによって答えてもらいたい。答えられなければ、まず欠陥法案の第一になります。この法案がいわゆる制度審は第一段階でない、こう書いてありますね。これについて第一段階だという強弁を、一遍、保田さんしてください。
  43. 保田博

    政府委員保田博君) 現在、わが国の社会保障制度上の最大の問題点は、先ほど来先生指摘のように、本格的な高齢化社会の到来を控えまして、公的年金制度の長期的な安定化を図るということにございます。長期的な安定を図るための方策といいますと、第一には、まず給付と負担の両面にわたりまして、八つの制度に分かれております各年金制度を通じました抜本的な見直しを行う。第二に、それらを前提といたしまして、公的年金制度全体の再編統合を図ってまいらなければならない。そういう方向で公的年金制度全体の改革について計画的に政府として現在検討を進めておるわけでございます。  政府といたしましては、本年の五月に、この公的年金制度全体の改革のスケュールといったものを閣議で御決定をいただいておるわけでございます。かいつまんで申し上げますれば、昭和七十年度を目途に公的年金制度全体の一元化を完了させるという大きな目標を立てておるわけでございます。それをさらに具体的に分けますと、三つの段階に分かれようかと思うわけでございます。  その第一段階昭和五十八年度における措置でございまして、その一つが、今回御提案を申し上げております国家公務員と公共公業休職員の共済組合制度統合を行う、あわせて国鉄共済組合に対する財政上の対策を行うということでございます。それから、同時に、地方公務員の共済組合制度内の財政単位の一元化を図るということでございまして、後者につきましてはすでに前通常国会におきまして法案として成立を見たわけでございます。  その第二の段階でございますけれども、これは昭和五十九年から六十一年度にかけてのものでございまして、先ほど申し上げました公的年金制度の一元化を展望する。その展望の上に立ちまして、国民年金と厚生年金保険及び船員保険の関係調整を行う。さらには、共済年金制度につきましても、先ほど申し上げました国民年金、厚生年金等の関係整理を横目に見ながら、その趣旨に沿いつつそれらの制度との関係調整を行うわけでございます。  以上によりまして、給付面の統一化が行われ、進められるわけでございますが、それに合わせまして負担面の制度間の調整をさらに進めまして、最終的には昭和七十年度の公的年金制度全体の一元化を完了させたい。こういうふうに考えておるわけでございまして、今回御提案申し上げております法案は、政府全体といたしましては、そういう大きな年金制度改革の方向に向けての作業の最初のステップであると、こういうふうに理解をいたしております。
  44. 片山甚市

    片山甚市君 それでは、昭和七十年における給付水準内容保険料率の負担の内容、落ちつくところは幾らになるんですか。今回提案しておるのは、国鉄救済する等についての具体的な料率などを、粗い試算でありますが、出されております。それでは、いま落ちつく先、昭和七十年には統一さしたい、統合さしたいと、こう言っておるんですが、それについての説明を願いたい。終着駅がわからぬでは出発できませんから、あなたは勝手に出発しておるけれども。ターミナルで、最後をお答え願いたい。
  45. 保田博

    政府委員保田博君) その点につきましては、先ほど読み上げました社会保障制度審議会におきましていろいろな御指摘があったわけでございますが、政府としましては、非常に急いでおります統合法案作成並びに国会への堤川の作業と並行いたしまして、先ほど来申し上げております公的年金制度全体の改革についての検討を行っておるわけでございます。政府としまして、年金担当大臣を指名いたしまして目下鋭意その具体案を検討しておる段階でございまして、御質問にございましたような昭和七十年度における給付の水準でございますとか、保険料の負担の水準といったようなものをいまここでお示しをできるというところまで検討は進んでいるとは言いがたい、こういうふうにお答え申し上げます。
  46. 片山甚市

    片山甚市君 行き先不明の列車が駅を発車しようとしておりますから大変危険な第一段階、こういうことで制度審が警告を発したものと思いますが、厚生省は、ならば、あなたの方がいま検討しておる厚生年金国民年金を中心としていわゆる公的年金の九〇%を管掌するところの厚生省年金担当大臣としての立場から、いまの言葉について、保田次長の言う、どこへ行くかわかりませんが、とりあえず国鉄を救わしてください、国鉄の列車がつぶれますから、こういうことを言っておることについては、素直であればよろしいんですが、そうでありませんから、あなたの方が、行き先は決まっていますなら決まっています、行くところは地獄か極楽かわかりませんが、とりあえず発車しますというのかどうか、お答え願いたい。
  47. 古賀章介

    政府委員古賀章介君) 公的年金制度統合再編の現時点において考えられておりますスケジュールは、先ほど大蔵省から御答弁のあったとおりでございます。しかし、今後の統合再編の具体的内容、手順等につきましては、五十八年度末までに成案を得るということになっておるわけでございます。  いま先生言われましたように、公的年金制度の九割を占めます厚生年金国民年金改正案を次期通常国会に提案すべく現在最大限の努力をいたしておるところでございますけれども、その厚年、国年の改正案が固まりますればこれに沿った共済年金との関係整理が行われまして、さらには公的年金制度のおおよその方向が定まっていくというふうにも考えておるわけでございます。したがいまして、今後の方向というのは、先ほど大蔵省の御答弁にありましたとおりでございますけれども、その九割を占めます厚年、国年の改正案内容が固まる、そういうことによって今後の方向というものが固まっていくということが言えるというふうに考えております。
  48. 片山甚市

    片山甚市君 いま厚生省が説明したとおり、公的年金の今後のあり方、全体像がまだ定かでないということが明らかになりました。  そういうことで、大蔵省が言う第一段階ということについては、国鉄共済を救うということなら意味はわかりますが、国鉄を除くと言いませんが、国家公務員共済組合、公共企業体の共済組合の財源をどうするかというようなことは、すなわち給付の問題を含めて厚生年金国民年金等の公的年金の全体がまとまったときに全体的に考えるべきであって、いまその段階でないと考えます。しかし、先ほど大蔵大臣は緊急なことがあって何としてもこれは成立さしたいという意味のことをおっしゃっておりますが、大臣、やはり年金の全体像が明らかにならないときに国家公務員あるいは公共企業体の組合に対して負担だけ増加させる、制度を崩壊させるような法案に終わることがないようにしてもらいたいと思いますが、いかがですか。
  49. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 確かに、いろいろな御指摘にもございましたように、最終的な一つの図柄が描かれて、そしてその前の段階、またその前の段階という意味においてこれが第一歩であるというふうな位置づけにするのが私もいいと思います、率直に言って。いまの場合、だれしも思っておりますのは、高齢化社会というものの急速な到来に基づいて、いずれ何とかしなきゃならぬ。それは、おおよその理想像とでも申しますか、概念的にはだれも描いておる。それを考えてきた場合に終着点と考えれば、その前の段階があり、その前の段階があって、そういう意味における第一歩であるというふうに御理解がいただけないかというふうにお願いをしてきているわけであります。  終局的には、これはこれからのことでございますし、年金担当大臣、私どもももろもろの意見を吐きつつもそこに理想像が描かれていくわけでございますけれども、そういう閣議で決めましたそういう今後の段階的手法というものを前提とすれば第一歩であるというふうに御理解をいただきたいし、今後の運営については関係方面、なかんずく本院における議論等を参考にしながら対応していくべき課題であるというふうに理解をいたしております。
  50. 片山甚市

    片山甚市君 先ほどから申しますように、公的年金の九割を占めるいわゆる厚生年金国民年金の今後のあり方がまだ決まっていない。間もなく示されるというときになぜ急いでやるのかということについては、財政当局が国鉄共済年金救済させなきゃならぬ至上命令から無理をしておると思います。第二段階がどうなっていくのか、第三段階、最終段階どうなるのかということがあって、初めて安心してこの第一段階と言われるものが議論できるんですが、非常に不安を持ち、そして特に給付制限を中心に負担増だけが押しつけられておる。これについては立場を変えるのじゃなくて、国民全体が年金に対する信顕感を失うおそれがある法案である。この法案審議内容によっては裁判闘争になり得る個人的な権利も発生する、こういうことを恐れますから、せっかく国会審議するならば、国民から不信と思われるような制度改正はやめた方がいい。  いま私が申し上げるのは、冒頭に言ったように、経過措置等を踏まえて政令にゆだねる部分について相当配慮を持ってやるべきで、そうしなければ不測の事態が起きるし、年金に対して、これからの厚生年金国民年金統合について、また公的年金全体の七十年に向けての合意が得られないような状態が起こるのじゃないか。いわゆる高齢社会は働ける者に働く場所を与えなから、いわゆる年金の掛金も納められるようにしながらお互いが互助精神をすべきじゃないかという私の説には大臣は賛成しておるんですから、私のこの考え方はいかがですか。大臣お答え願いたい。
  51. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 考え方は、私は否定をいたしません。したがって、確かに、いま御指摘なすったように、理想像があって、そしてその前の段階、そしてその第一歩としてあるならば非常に国民にも明確に理解がしやすい。しかし、いまはいわゆる手順だけが決まって、理想像というものそのものは描かれていないままの手順としての第一段階というもので、それが国民の皆さん方の中に年金の最終的な長期構想というものが描かれないままに出されておれば、ある種の不安とか、そういうものを感ずるおそれがある。これは私も否定いたしません。したがって、それについては、いま訴訟問題というお言葉もありましたが、既得権とかあるいは期待権とか、そういうものでそのようなことがあったならば、より理解を深めていただくための障害となる。そのようなことがないためにも関係方面、なかんずく本院等の御議論を通じながら、運営に当たって十分話し合いでやっていかなきゃならぬという基本的な姿勢は、私も御指摘のとおり持つべきものであるというふうに考えております。
  52. 片山甚市

    片山甚市君 そこで、公的年金のうち地方公務員共済統合についても、御承知のように警察と教職員を残しておりますが、公的年金統一という関係から見たらどういうようなこれから展望を持つのでしょうか。今度の場合は国家公務員等の問題でありますが、非常に数の多い方々の問題であるし、これについては日程的にどのような関係を持たれるのか、お聞きをしたい。そして、具体的にそういう合意が得られるような状態でこの間の統合ができたのかどうか。  国家公務員の場合は、国共審で御承知のように、今井さんが言うように、何とむちゃくちゃなことだろう、仕方ないから意見だけ述べてやろう、こういう答申をして大蔵大臣の顔を立てたことは事実でありますが、しかし今度の場合、地方公務員の場合は制度的に相当民主的な要素がありますから、大蔵省みたいにがんじがらめの大蔵プロパーで何でもかんでも勝手にやろうというような、こんなえげつないことには御免、御免と、こうなるのじゃないですか。むしろ厚生年金とか、いまの公共企業体年金とか、地方共済組合年金とかの運営の方法をとらなければ大変むずかしいのであります。  後刻、私の方からこの運営についての民主的なあり方について御質問申し上げる計画でありますが、いま申し上げるのは、地方公務員共済統合についてなぜ警察と教員を残したのか、理由についてこれは参考に聞いておきたい。第一段階が始まるときに、第二段階、第三段階が始まるときのことがどうなるのか、ちょっと怪しい雲行きでありますから、お聞きいたします。
  53. 保田博

    政府委員保田博君) 地方公務員共済組合に対します政府の監督権限は自治大佐でございますので、私の方から公的な見解を述べることはいかがかと思うわけでございますけれども、前国会で成立いたしました地方公務員共済組合統合法案は、御承知のような内容で非常にたくさん、財政単位としてたしか十六ぐらいに分立していた地方共済組合について財政の一元化を図るということと、若干の財政調整が行われるといったような内容であったかと思いますが、その際、なぜ警察あるいは学校なんかの共済組合統合されなかったかということにつきましては、やはり各共済制度がそれぞれ非常に長い歴史と沿革を持っておりまして、それぞれ独立の運用をしてきたということもございますので、これを一挙に統合するということにつきましては、既裁定年金の扱いでございますとか、あるいは各組合が持っております年金積立金なんかの移管の問題といったようなことについての調整が容易でなかったのではないか、そういうふうに理解をいたしております。
  54. 片山甚市

    片山甚市君 次長の方から地方公務員共済についての歴史を考えてこれはできなかった、こういうことでありますから、今後この法案審議するときに引き続いて質問します。これはお聞きするところです。  そういうことで、先ほどこの目的として、共済組合全体の財政安定を図るために考えた、給付の水準を統一するということでやっていきたい、もう一つ国鉄救済したいということが目的だったようですが、今度給付をそろえるということで、むしろ逆に国鉄救済をするために国家公務員共済組合、公企体の共済組合財政的な破綻が早まることになるということだと思いますが、そうすると、それをしてでもなおかつ今度の法案目的国鉄救済目的があると理解をしてよろしいか。  大臣の方は、素直にやはりそうおっしゃっておると思うんです。今度の法案の中心は、国鉄共済救済することのできる状態をつくりたい。この間も衆議院で連帯ということをやってもらって涙が出るほどうれしいとおっしゃっておるんですが、連帯の方に相当主力を置いてお話がありますから、それについて国鉄救済をこの法案が最大限実現しなきゃならぬ目標と思いますが、いかがですか。
  55. 保田博

    政府委員保田博君) ただいま先生指摘のように、今回御提案申し上げております法案の大きなねらいは国鉄共済組合に対する財政的な援助であるということはもちろん否定するつもりはございませんが、同時に、もう一つ目的でございます国家公務員及び公企休職員にかかわる共済組合統合、言いかえますと、給付面における統一ということも非常に大きな目的でございます。
  56. 片山甚市

    片山甚市君 そのことによって、国家公務員とか公共企業体の共済組合年金財政が安定し、かつ長期に給付ができる条件ですか。それで安定するんですか。
  57. 保田博

    政府委員保田博君) 二つに分けてお答えをいたします。  公企体の共済、すなわち電電と専売公社につきましては、給付水準が引き下げられることによりまして共済組合財政にはかなりのプラスの効果があろうかと思います。  残る国家公務員共済組合連合会につきましては、給付水準は現在のままでございます。ただ、今回の財政援助の具体的な内容が今後運営委員会において決められるわけでございますが、その拠出をどうするかということは、いわば国家公務員共済組合財政と切り離したかっこうで、言いかえますと、連合会の財政に悪影響を与えないような形で具体的な援助の方策が決められるということを期待いたしておるわけでございます。
  58. 片山甚市

    片山甚市君 今度の法案国鉄共済救済のみでなく、大部分は後世代のためだと言うのなら、昭和六十五年以降の国鉄共済の赤字額、また各共済組合の長期給付事業の財政状態はどうなっておるのか明らかにしてもらいたい。現行制度でならばどうなっていくのか、今次の法案によるとどうなるかについての御説明を願いたい。
  59. 保田博

    政府委員保田博君) 先生御心配のとおり、国家公務員共済組合並びに公共企業体職員にかかわる各共済組合財政につきましても前途はなかなか楽観を許さないわけでございます。  簡単に数字で御説明をいたしますと、現在の保険料率を変えないという前提に立ちますと、国家公務員共済組合連合会は昭和七十五年、専売の場合は七十二年、電電の場合は七十八年あたりでいわゆる各組合の持っております積立金を食いつぶして賦課方式に移行せざるを得ないということになろうかと思います。  保険料率据え置きというのはいかにも前提として非現実的ではないかということでございますので、されば、その保険料率を引き上げるという前提計算をしてはどうかということでございますが、その計算をいたしましたものがございます。これは前回の財政計算のときの基礎資料をもとにしまして、ベースアップでございますとか年金のスライドを大体年五%程度という前提で試算をしたものでございますが、それによりますと、現在の保険料率を大体二倍程度に五年置き、財政計算のたびごとに引き上げるということをいたしましても、連合会の場合には昭和八十二年、専売公社の場合で八十四年、電電公社の場合で八十六年ころには先ほど申し上げましたような賦課方式に移行せざるを得ない、こういったような財政状況が予想されるわけでございます。
  60. 片山甚市

    片山甚市君 そこで、国鉄に対する赤字の補てん額は、昭和六十年から七十年の間を見ると幾ら程度電電とか国共済が出すのですか、予定として。
  61. 保田博

    政府委員保田博君) 前提がいろいろございますけれども、この統合法案を策定するに当たりまして、各方面で具体的な国鉄共済組合に対する財政援助の仕方を御検討いただくという参考として大蔵省が試算した資料によりますと、大体、連合会、電電、専売の三組合から年平均六百億円程度の財政援助を国鉄共済組合に対してやっていけば昭和六十年から六十四年までは何とかやっていけるのではないか、こういうふうに試算いたしております。
  62. 片山甚市

    片山甚市君 だから、六十年から七十年と言っておるように、六十四年まではわかりましたから、六十五年から七十年までにトータルは幾ら要るのか。あなたの方は、列車は昭和七十年に終着駅へ到達したい、厚生省とぐるになってやりたい、共謀してやりたいと言っておるんですから、やるなら七十年までの間のお金が要るやつについて説明してください。試算ができないようなことないでしょう、大蔵省は何でも金取るの好きだから。ちょっと説明してください。
  63. 保田博

    政府委員保田博君) 昭和六十五年以降、いわば今回の統合法案で予定しております第一期の財政調整五カ年計画を経過した後の国鉄共済組合財政状況につきましては、国鉄の経営形態が果たしてどうなるのか、あるいは従業員の規模がどうなるのかといったような非常に大きな不確定要因がございますので、現在われわれとして試算したものはございません。  ただ、直観的に言えますのは、現在御提案しておりますような統合法案でわれわれが考えておりますような財政調整事業が行われるといたしましても、昭和六十五年以降、連合会、電電、専売の三つの保険集団で国鉄共済組合財政を支えていくということはかなりむずかしいと、そういうふうに考えております。
  64. 片山甚市

    片山甚市君 そうすると、七十年までのことがわからなくて、いわゆる七十年の話をしたんですが、今度は六十四年までしか見通しがないことも明らかになった。  これは電電の資料を見ると、先ほど保田さんが言った新しい方法をとるとしても、国鉄共済へ他の共済組合が拠出しなきゃならない金額は六十年から十年間で総額約五兆円に上り、そのうち二兆円を電電共済が、三兆円を国家公務員共済連合会がそれぞれ負担することになると想定されると言っておるんですが、おおむね間違いないですか。
  65. 保田博

    政府委員保田博君) 先生が御指摘の数字は、われわれちょっと聞いたことのない数字でございます。
  66. 片山甚市

    片山甚市君 それでは、やっぱり六十四年までの間は六百億円を出してもらえば事足りる、それから先はわからぬから、それではよしなに扱え、わしは知らない、わしも次長でおらないし、どこかの政治家になっているかわからぬと、こういうことですな。まあ気安くやろうじゃないか、余り気張るなと。
  67. 保田博

    政府委員保田博君) 先ほど、今後の年金改革についての大まかなスケジュールを申し上げました。その中に、第二段階としまして、昭和五十九年から六十一年にかけまして、厚生省当局を中心とした御努力によりまして国民年金、厚生年金保険等の関係整理が行われるわけでございます。その趣旨に沿いまして、共済年金につきましてもこれら国民年金、厚生年金との間の関係整理を行うということになっております。したがいまして、昭和六十五年以降の国鉄共済組合に対する財政援助のあり方等につきましては、この年金改革の第二段階段階で十分慎重に検討をしてまいりたい、こういうふうに考えているわけであります。
  68. 片山甚市

    片山甚市君 大蔵省考え方はわかりましたが、どうしても納得できないのは、昭和七十年に公的年金をいわゆる統合して、国民に安心をしてもらった年金を、間もなく厚生年金国民年金を基本にして出そうというときに、おれは関係ない、六十四年まで金取ればいいんだ、ひったくるんだ、ぶったくるんだ、悪代官をやればいいんだと、こういうふうにとれますから、そう言わないで、厚生省の御指示に従いまして、大蔵省はまじめに社会保障年金については考えます、こう言ってほしいんです。とにかくおれの持ち分だから、おれのエリアだから、テリトリーだから他に侵入させない、こう言っていますが、御承知のように、地方共済組合の問題にとっても納得できないという制度審答申がありますわね。指摘されておるんですね。自治大臣のエリアだから知らぬと言っても、整合性を求めてこれから全的統合しようじゃないかというときに、おれのところだけ何とかなったらいい、とりあえず六十五年まで何とかなったらいいというような考え方についてはいただけませんから、答弁要りません。いただけません。そういう考えは納得できない。  次の質問に移ります。  各共済年金財政は、国鉄を除けば、この法案が成立することにより現行より破綻の時期が早く来ることは言うまでもありません。国鉄共済救済ということで、年金制度に対する信頼をつなぎとめる意味から必要でありますけれども、その救済が他の共済を不安定にするということについてはどうお考えになりますか。いわゆる国鉄を救うことについて反対しません、大臣も連帯ということが実ったということでこの法案意義があるということを衆議院で御答弁していますから。われわれもそうですが、その救い方について、救ったけれども、こちらもミイラ取りがミイラになって、ずっとあちらへ行ってしまって、流される、おだぶつになるような仕組みを早めるということですが、それでも楽しゅうございますか。保田さん、そんなことをしても楽しゅうございますか、提案者。
  69. 保田博

    政府委員保田博君) 楽しいとか楽しくないということではございませんで、国民の求めております公的年金制度の長期的な安定のために日夜腐心をいたしておるわけでございます。
  70. 片山甚市

    片山甚市君 現実に国鉄救済することによって、他の共済は同じように連帯ですから早く崩壊することになるということには御了解得ますか。
  71. 保田博

    政府委員保田博君) 国鉄共済組合につきましては申し述べませんが、電電と専売につきましては、先ほど御答弁いたしましたように、今回の統合法案が成立いたしますれば給付の水準が国家公務員並みに調整をされるわけでございまして、そのこと自体は電電と専売の共済組合財政に対してプラスの効果を生むのではないかと思います。国家公務員共済組合連合会につきましては、給付の水準が変わりませんから、電電、専売について先ほど申し上げましたようなプラスの財政効果は期待できないわけであります。  国鉄に対して財政援助をしなければならない、その金が国家公務員共済組合連合会あるいは電電、専売の将来の年金財政に悪影響を与えるようなことがあってはなりませんので、われわれとしては国鉄に対する拠出金の出し方がそれぞれの共済組合の将来の財政に対してマイナス効果とならないような拠出制度考えていただければ幸いである、こういうふうに考えておるわけであります。
  72. 片山甚市

    片山甚市君 いま御答弁があったように、マイナス効果を及ぼさないように財政運営をやってもらう考え方もあると、こういうことでよろしゅうございますね。  それでは、次のことに移りますが、本法の第一条の目的に相互救済が明記されておりますが、その互助精神で一部が救済されると同時に他の大部分はより悪くなるということについて、互助という立場と相互救済ということについては合致しましょうか。相互救済、相互に救済されるんですが、救済した方かつぶれていくような形になる。あなたがおっしゃるように、いわゆる給付水準を下げることを含めて既得権をなくしていく、あるいは期待権を失っていくような形をストレートにとるとすれば、今度の法案がそうなっていますが、それは納得できないと思いますが、もう一度、非常にくどいけれども、そこのところが聞きたいんです。お答え願いたいと思います。
  73. 保田博

    政府委員保田博君) 国家公務員共済組合連合会につきましては、先生が御指摘のような給付水準の切り下げといったようなことはないわけでございます。先生の御心配になっておりますのは、電電と専売の共済組合の長期給付の水準がどうなるかという御心配であろうかと思うわけでございます。  確かに、これらの組合の給付の要件は国家公務員並みにさや寄せされるわけでございますが、そのこと自体はそれぞれの共済組合の将来の財政の長期的安定にプラスになる改革なのでございます。わが国の年金制度全般を通じて言えますことは、非常に困難なこととして将来懸念されますのは、給付と負担のアンバランスということが最大の懸念なんでございます。今回の統合法案は、少なくとも公企体共済につきまして、負担との関係で長期的に見る限り、非常にアンバランスに高い給付の水準を調整させていくことによりましてこれらの共済組合財政健全化に資するものである、こういうふうに考えております。
  74. 片山甚市

    片山甚市君 給付の水準を下げることによって財政の安定を図りたいということについては納得できません。なぜならば、制度審指摘するように、その措置をとるとしても、いわゆる激変緩和措置をできるだけとれと言っているにかかわらず、それは単に現給持ち込みだけでありますし、納得しません。  そこで、もう一度くどいけれども申し上げますが、側度審も指摘しているとおり、国鉄救済の赤字は本来国の責任において解消されるべきものでありましたにかかわらず、このようなやり方で共済組合員はもとより、国民年金に対する不信感を増大させるのではないか。特に、国鉄救済のため各共済組合の大きな犠牲のもとに協力して救済しようということでありますから、国は何にも手を差し伸べてない、給付水準を下げる、保険料を上げる、こういうことしかないのでありますが、そういうふうに伺ってよろしゅうございますね。何か国が特別の措置をとりましたか。国鉄当局は国と違うんですから、保険者ですから、国が何か国鉄を救うために特別の措置をとりましたか。
  75. 保田博

    政府委員保田博君) 年金制度の負担、年金給付の財源というのは、保険料であるか、あるいは租税を財源とする国庫の負担か、いずれにしましても国民の負担にはね返る。それ以外に逃げ道はないわけでございまして、国庫が安易に今回問題になっております国鉄共済組合に負担をすれば事足りるということではないわけでございまして、国庫が直接国鉄共済組合に対して助成を行うということになれば、その負担はやがて国民に租税というかっこうで返ってくるわけでございまして、果たしてそれが国民の望むところなのかどうか、われわれは非常に大きな疑問を感じておるわけでございます。まさに共済の原点に立ち返りまして、社会連帯の精神に従って、沿革なり運用の相類似します国共済と電電、専売の二公社の共済組合とで国鉄共済組合を支えていくというのがとるべき最もいい道ではないか、われわれはそういうふうに考えておるわけでございます。
  76. 片山甚市

    片山甚市君 税金は使うべきでないし、保険者の方で被保険者と相談をして給付を下げるなり保険料を上げたらいいじゃないか、こうおっしゃっておるようですが、制度春はこのように言いました。先ほど読んだのを忘れておると思います。「国鉄共済組合危機的状況については、かなり以前から予測されていたところであり、本審議会もその解決策を構ずべきことを繰り返し指摘してきた。それにもかかわらず、今日まで国の責任にも触れた具体案が提示されていないことは遺憾であり、さらに国としての格段の配慮が望まれる。」、こう言うています。  いまのお話は木で鼻をくくったというか、悪代官の標本らしく、金を取り立てることはするが、金を使うのはおれが使うんだからおまえにやらぬぞといったようなものです。しかし、「国としての格段の配慮が望まれる。」と言っておるんですから、これはどういうことをされるのかと言ったら、しないと言うのですから、制度審尊重するという立場からいえば、大臣、何か一工夫も、私はお金だけじゃないと思うんですが、相当国鉄についてのことについては考えてもらわなきゃならぬ、こう思います。昭和六十四年までしかめんどう見られない、あと六十四年になれば民間になるかどうなるかわからぬものをそういい顔はできないという先ほどのお話でありますが、大臣、これは思案をしてみるとどんな、長考一番じゃなくて短考一番ぱっと、長考やられると時間かかりますから、お答え願えませんでしょうか。制度審が答えたことですね。
  77. 保田博

    政府委員保田博君) 社会保障のための巨額の財源を税金で賄うべきか、あるいは保険料で賄うべきかという問題につきましては、実は昭和三十七年に社会保障制度審議会答申があるわけでございます。  この答申はいろいろ示唆に富む内容を持っておるわけでございますが、税金、国庫の金を社会保障の分野でまず使うべきは最貧階層に対する公的扶助、平たく言いますと生活扶助にまず第一に金を割くべきである、そう言っておられます。第二は、貧困階層のさらにちょっと上ではあるけれども低所得階層、自分たちだけではなかなか生活をやっていけない人たちに対するいろんな配慮のために国庫、税金を使うべきである。第三番目に、これは対象が国民全般に及ぶわけでございますけれども、その事業の性質から税金以外には期待できない公衆衛生の分野が第三番目である。社会保険、いわば医療保険でございますとか、今日問題になっております年金といった社会保険というものは、一応それぞれが通常の生活を維持できる人たち、それらの人たちが何か保険事故、たとえば病気であるとか、ある一定の年齢に達して所得がなくなったといったようなことに備えるための社会保険制度というものは、本来しかるべき階層の方々の集団なんでありますから、みずからの保険料で賄うのが基本である。その社会保障の分野に対する国庫負担というのは限定的に考えるべきである。  そういうふうな御指摘をいただいておるわけでございまして、そういう意味からしますと、今回の国鉄共済組合に対する援助というものも、広く社会全般をカバーする年金、保険制度をもちまして、相互扶助の精神に基づいて援助を行っていくというのがやはり基本的に最も適切な方策であると、そういうふうにわれわれは考えておるわけです。
  78. 片山甚市

    片山甚市君 税金の使い方など説明してくれなどと言ったのじゃありませんよ。勝手なことをのうのうと言う時間だけ、委員長、時間延ばしてください。  大体、私が聞いておるのはこういうことですよ。「今日まで国の責任にも触れた具体案が提示されていない」、これは遺憾であると言っております。「さらに国としての格段の配慮が望まれる。」と言っておるのだから、大蔵省としてどないされるんですか。私は、お金をくれと言っておるのじゃないですよ。何とか金が出しやすいようにすることもいいんじゃないですか、大臣。金出す方が、国鉄を救おうじゃないか、こんなことは大変だよというような状態をつくることが国として格段の配慮じゃないですか。そう思うんですよ。  先ほど言ったように、国民関係の連合会では三兆円程度、電電は二兆円ほどの金をこの十年間出さなきゃならぬと、こう言っておるわけです。そんなことおれは聞いたことない、一年間六百億円だと。それで済むのかと言うたら、六十四年までだ、後は知るか、こんなことを聞かれてもおれは関係ない、おれやめたらしまいだと言わんばかりの——言いませんよ、こんなことは。私が勝手に言うんです。こういうことでは納得できないので、何も言質とったのではありませんよ。先ほど大臣が言われたように、何としてもお金を出す方の側に了解をしてもらえるような国の施策というもの、弾力性というものが必要だと思うんです。これが制度審が求めておる、いわゆるやむを得ない、国鉄を救おうじゃないか、頼むよと、こういったことじゃないでしょうか。これは大臣、政策問題ですから、大所高所で一言お答え願いたいんですが、いかがですか。
  79. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 私もこの指摘を見れば、いわゆる共済制度という点について限って見た場合、これは確かにもっと早くこれに対しての措置を行えという指摘はたびたびいただいてきた。政府全体として考えますと、国鉄当局が共済組合に対して支出されるという意味においては、国鉄全体の財政の中ではいろいろ議論をし、それなりの手当てをしてきたと今日思うのであります。共済組合のためにということではなく、国鉄経営全体のためにという意味においてはそれなりの、その都度いろんな議論をしながらやってきたと私は思っております。  そうして、私ども途中議論したことがございますが、たとえば国鉄共済が今日の状態になったのはいろんな問題ございますけれども、非常に限定的に考えれば、ちょうど私ぐらいの年配の者が、満鉄だ、朝鮮鉄道だ、いろいろおりまして、それが帰ってきて、当時雇用の場としては第一級の雇用の場であった。それがちょうどもらうような、給付を受ける、退職する年齢になっておる。したがって、そういう意味において一つの要因になっておるというような事態に対しての議論もいたしました。  しかし、さればとて、それだけを取り上げてやって一つ救済措置をやるかといえば、全体を救うような状態にはそれではならぬというような議論もいたしながら、国鉄全体の経営の中でそれなりの措置をしながら今日まで来ましたが、御指摘を受けたように、もっと早くやればよかったのじゃないか。それは全体の理解がそこまでいっておるならばもっと早くやっておくべきものであったという指摘を受けても、それは不可能なことでありましたとは言えぬではないかというふうに思います。  したがって、国鉄共済のみに限って見た場合、これに対して、いわば負担者も国民、利益を受ける者もまた国民でございますから、いわゆる租税収入をもって幾ばくかのものを与えていこうということをここで申し上げるわけにはいきませんが、国鉄共済そのものが今日まで推移してきた経過についての理解は十分持ちながら、今後は相互連帯の中で、いずれは七十年の全体的な統合も見ながら救済していく措置を行っていかなければならぬではないかというふうに考えております。
  80. 片山甚市

    片山甚市君 大臣にどうしてもお答えを願えないんですが、さらに国として特別に格段のいわゆる配慮が望まれると言っておることにお答えありませんが、実はこれから高齢化社会に差しかかろうという集団は、大臣もおっしゃるように、戦後経済を支えてきた最大の担い手であり、しかもそのところでは世界のGNPの一〇%までつくってきたんです、国の富を。ですから、私はそういう人たちに対して、栄光のある人生の最終ラウンドに入るんですから、どこにおる人たちにもということで昭和七十年には公的年金保障しようではないかと言っておる段階です。  先ほど冒頭に言っておるように、国鉄に限定しておりません。国鉄を救うのは、国共済関係や公企共済にいま入っておる人たちが、大臣がおっしゃるように、力を合わせて助けようじゃないかということでなければできないと言っておるんですから、できやすいように大臣はお考えになりますか。連帯というのは言葉じゃないんですから、がんばれと言ってもらえるようなことになるんですか。私は、税金をいまくださいと言っていませんよ。共済組合が力を出して何とか国鉄を救おうじゃないかと言えるようにするのか、大蔵の統制で金を出せ、給付を下げるというようなことだけしか言わないんですか、これを聞いておるわけです。大臣、いかがでしょう。
  81. 保田博

    政府委員保田博君) 国鉄共済組合に対しまする連合会等の財政援助の仕方につきましては、本法案が成立、施行されました段階で連合会の中に長期給付財政の調整事業にかかわる委員会ができるわけでございまして、その委員会におきまして具体的な援助の方策が検討されるということでございまして、われわれは一定の考えを押しつけるというつもりは毛頭ございません。
  82. 片山甚市

    片山甚市君 大臣が答えてほしいところは、時間は大臣も大事にしますからお答え願うけれども、私は政策的に言えば、ほかの共済組合国鉄を救おうじゃないかという気持ちが出るような、法律で縛られるから文句を言わぬけれども、仕方ないというのじゃなくて、協力しようじゃないかということでなけりゃ十年ももたない、五年ももたないと思うんです。中曽根内閣は十年もつつもりでおるんでしょうけれども、そんなことは竹下総理大臣ができるかわからぬ時代にあり得ないことですから。  そういうことで、私が言いますと、このような多くの犠牲を伴う制度であるからこそ、互助精神に基づく各共済組合の支援に対してはそれぞれの組合員が納得できるさまざまな工夫をいま一番求めているのではないかと思いますが、大臣の御所見を賜りたい。
  83. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これはまさにポイントでございまして、私が衆議院お答えいたしました言葉を御引用なすっておりますが、今度の国共審の答申というようなものは、私は連帯意識がなかったらあれは出なかったと思っております。いずれにせよ、連帯意識というものを最終的にわれわれが理解したその姿勢を示すためには、まさに中間報告をもって答申にかえるというようなことは、法案作成の進みぐあいを考慮していただいて、まさに連帯そのものが背景にあったから出た答申とおまえらはこれをして受けとめてもいいぞと言わぬばかりの配意があったのじゃないかと思うのであります。  したがって、それはやっぱりこの法案提出するに当たって、私も労働側、学識経験者等の委員さんともお会いいたしました。本当にこれは連帯の思想というものがこういう支えになるのだなということをしみじみと感じたわけです。そうなると、そういう連帯の精神が今後の運営の中に生かされていくようなことに対してわれわれがいささかも邪魔をするようなことをしちゃいかぬ。むしろ、そういう連帯の思想というものが現実問題として、合理的な成果を得るための協力とでも申しますか、そういうことはわれわれの立場として基本的に考えておかなければならぬという感じを、その当時も、なお今日も私は持っております。
  84. 片山甚市

    片山甚市君 私の意見に大体御賛同のようでありますから繰り返して申しませんが、各共済組合が工夫をこらしてでも国鉄を救っていこうじゃないかというような状態ができるように、法案ができましたならば、保田さんも言われたように運営委員会等でも十分委曲を尽くしてもらい、官僚統制だとか押しつけだとか言われないように十分に配慮してもらいたいと思います。運営審議会運営協議会等々がありまして、組合員意見を聞くところの場所がある。その意見が十分に整合性を持って施行されるように期待をして次の問題に移ります。  そこで、各共済の単独運営についてですが、法案によりますと、当分の間それぞれの組合が長期給付事業を行うとしておりますが、当分の間とは、とりあえず公的年金の全的統合が成る予定の昭和七十年を目指しておると理解してよろしゅうございましょうか。
  85. 保田博

    政府委員保田博君) 今回の共済統合法案は、本則におきましては財源の算定単位まで一本化するという前提に立っておりますけれども、いま先生が御指摘になりましたように、附則におきまして当分の間は国共済、各公企体共済の財源の算定単位をそれぞれ別にするものといたしております。平たく言いますと、財布を別にして自主的な運営を行うということにいたしておるわけでございます。  その当分の間とは具体的に何を言うかということでございますが、われわれとしますと、財政調整事業にかかわる部分を含めまして国鉄共済組合と他の共済組合組合員の負担水準がある程度近づく、かつそれによりまして他の諸条件の整価とともに各組合の合意が得られる段階で完全統合が行われる、それまでの間はそれぞれの組合が長期給付事業を独立して行うというふうに理解をいたしておるわけでございます。具体的な年限につきましては、先ほど来御答弁いたしておりますように、政府全体として昭和七十年度を目途に公的年金制度全体の一元化を完了したいということでございますから、最大限昭和七十年程度までに終わるというふうに考えております。
  86. 片山甚市

    片山甚市君 そこで、先ほど地方共済年金の問題について触れたときのことにかかわるんですが、それぞれの組合が長期給付事業を行うということになりますと、それぞれの共済組合の歴史、沿革というものも相違があることを認めたものと思いますが、いかがでしょう。
  87. 保田博

    政府委員保田博君) 御指摘のとおりでございます。  今回の統合法案では、国家公務員と三公社の共済組合制度につきまして給付内容を一致させるということのほか、三公社の共済組合も含めた国家公務員共済組合の長期給付については原則として国家公務員等の共済組合連合会において一元的に行うということをたてまえといたしておるわけでございます。ただ、しかしながら、国共済も各公企体共済もそれぞれに長い歴史を持っておりまして、今日まで独立した運営を行ってきたわけでございます。したがいまして、その財政状況も違いますし、それぞれがまたいろんな経緯を持った年金の積立金を持っておるわけでございます。したがいまして、これらを一挙に財布を一緒にするということまで踏み切りますと、負担が急激に変わる組合が出てくるとか、あるいは年金積立金をその多寡を問わず一緒にしてしまうということが果たして現実的であるかどうかといったようなことを考えまして、先ほど先生から御指摘いただきましたように、当分の間は三公社の共済組合の独立性を認めるということにしたものでございます。
  88. 片山甚市

    片山甚市君 そこで、長期給付事業については単独で自主的に行い、最終の到達点、一番長くかかっても昭和七十年ですが、一本に統一されれば大体目標は達成されると思うんですが、そういうように理解してよろしゅうございますか。
  89. 保田博

    政府委員保田博君) 公的年金制度全体の見直しの作業のテンポにもちろんかかわるわけでございますが、基本的には先生のおっしゃったとおりでございます。
  90. 片山甚市

    片山甚市君 それぞれが行うということは、少なくとも他の共済に迷惑をかけるようなことがなければよろしいというように理解を——日本語で言いますよ。他の共済に給付が違ったりなんかすることができませんわね、勝手にいろんな。そういうことがなければ運営上の問題については自主権がある、こういうように理解をしてよろしゅうございますか。
  91. 保田博

    政府委員保田博君) 財布が別であるということでございますが、先ほど来申し上げておりますように、政府としては全体としての公的年金制度の完全統合昭和七十年を目標として進めていきたいということでございますから、その完全統合趣旨、抽象的で申しわけございませんけれども、その趣旨に反しない限りにおきまして各組合の独自的な運営を認めるということでございます。
  92. 片山甚市

    片山甚市君 統一をしていく完全統合趣旨というのはどういうことですか。法律に書いてあるんですか。
  93. 保田博

    政府委員保田博君) 基本的には給付と負担の統一ということではなかろうかと思います。給付の水準が上がれば負担が当然高くなるわけでございますが、逆に給付が一定であるとすれば、たとえば資産の運用といったようなことを考えますと、これはできる限り有利に運用できれば保険料率は安く済むということでございます。しかしながら、この資産の運用といったようなことでございますれば、これはまた保険料というかっこうで被保険者が拠出した貴重な財産でございますので、その運用についてはやはり有利であると同時に安全確実なものでなければならないといったようなことで、運用面についても当然一定の制約があろうかと思います。
  94. 片山甚市

    片山甚市君 そういうことを言って、大蔵省が財布の中へ手を突っ込むようなことはやめてもらいたい。私は、公共企業体の場合でもそうですが、運営協議会等がありまして、そこで安全かどうかも考えるし、これから運営委員会もできますし、セレクトされるところはたくさんあるんですが、当該共済組合組合員の納得と意思統一のもとで運営していくというふうに考える。ごく一部の人が考えるのじゃなくて、全体の会議でそのようなことをやっていくのだというふうに考えてよろしゅうございますか。これは政策の基本になる。先ほど言ったように、痛みを感じて金を出そうというときに、金を出す工夫ができるような状態をつくってほしい。それが格段の配慮を国がするということになるのじゃないか。いわゆる給付の問題については後で議論しますから、お金を出す場合には出しやすいような状態にしてもらいたいと思うんですが、大臣、いかがでしょう。
  95. 保田博

    政府委員保田博君) 資産運用の点でございますが、やはり有利であると同時に資産に対して確実な運用するということでなければならぬと思うわけでございます。株式なんかもその資産の運用対象としてはどうかという御議論も確かにあるわけでございます。あるいは外国の債券についてどうであろうかといったようなこともございますけれども、これらの資産は安全性という点からいうとやはり問題がないわけではないとわれわれは理解しておるわけでございます。とにかく年金積立金の有利運用は大事なことではございますけれども、またその安全という点も非常に重要なことであるというふうに理解をしておりまして、その面からの限界がやはりあるのではないか、こういうふうに考えます。
  96. 片山甚市

    片山甚市君 安全ということで大蔵省が規制をしたいというように言っておるというようにとれます。  そこで、それなら、それだけ心配するのならば、お金のこと全部大蔵省は見たらどうですか。お金のめんどうは見れぬが、おまえの財布の中の使い方は心配だということ、運営審議会とか運営協議会があって、しかも共済組合を担当する企業があるんですから、どういう運営をするかについて任されないということを言っておるんですね。信用できない。それはむちゃくちゃなことしませんよ。簡易保険の運用の問題でもあのような状態もありますし、私たちとしてはここで運営委員会とか、運営審議会とか、運営協議会で審議することを議論しておるのじゃないんです。思いやりをし、信用するということをするんですかしないんですか。信用しないというのは保田さんの言い方です。おまえらすることはあらかたわかった、投機のようなことになるのと違うか、大蔵省としてはおれの金にしたいんだと、こういうふうにとれるんですが、納得できません。  財政運用はついて言う前に、私は共済組合から国鉄救済するお金が出しやすいような状態にしてほしい。そして、そういうものがありながら五年間でしょう、当面は。その次、五年間でしょう。そのうち統合するんでしょう。みんな財布一緒になるんでしょう。違うんですか、大臣。何か大蔵大臣のところでいつまでも金を持ちたいように思うけれども厚生大臣になるのか、年金大臣になるのか、だれか持つのだから、それまでに瑕疵というか傷がつかぬように監督するのはいいけれども運営について信用できないような言い方は、大臣、納得できません。  私は、大体物わかりがいいというか、ほかの人みたいに遠慮しないで個別に質問して具体的に聞いておるんです。哲学論議はしていません。できぬことないんです。そんなことないですよ。緊急必要なことについて、われわれは何がいま大切か。各共済組合がどこが困っても、一人が困っても助けようじゃないかという気持ちが起こらなきゃならぬ。起こすのにはその当事者が——あなたのところも困る困ると言うておる。私の方も言われておる。これを最大限、当局も納得できるし、私たちも入れる範囲内で、言葉としてはできるだけそういう方向で協力するよ、一〇〇%ないぞと言うのならいいけれども、初めから保田次長のように主計局だからおれの金だよ、おまえらやかましゅう言うな、金は出さぬけれどもおまえらの財布の中身だけ調べてやろうかと、こんな検察官的な態度はないと思うんです。  私が大臣にこれで三回か四回尋ねておるのは、政策的な立場で言うと、何とかそこに温かい、共済組合長が、国会でも言うてくれたけれども、羽目を外さないから何とか努力するよという話し合いができるような、大蔵省と各共済の組合長とが話ができるような状態に置いてほしい、命令するのじゃなくて。おまえらばかだから投機するのだろう、おまえらばかだから株式にするのだろう、こんな言い方をしてはいかぬと思うんです。株が悪いならこういう方法がある、こんな方法がある、ちょっとでもお金をつくってくれ、国民の税金使えぬのだからと。そのかわり、おまえのところの給付はきちんと見てくれよ。これはいいですけれども、給付は締める、金の運用はおれが勝手にやる、金がなかったら保険料だけ上げろ。これは現代の生きた悪代官ですよ。赤城山の忠治じゃないけれども、切り殺してやりたいような気持ちになりますよ。義賊になるわけにいきませんしね、国会議員だから、言論でやらなければならぬから。  保田さんに答えてもらってもしようがないですが、大臣、何とか前へ進むために一言お答え願えませんか。無理でしょうか。
  97. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 連帯の責任、連帯意識というものが根底にあってこのような答申が、答申ならざる答申と申しましょうか、中間報告をもって答申にかえていただいてこういう法律ができた。そこで、基本的に、私ども財政当局といえども姿勢としてはいま御指摘のような姿勢を持つべきだと思います。  ただ、資産運用ということになりますと、これは私もこの点につきましては、資産運用の有利運用というのは実際問題としてわれわれも外為特会とかいろんなものを預かりながら、これほどむずかしいものはございません。ときに有利運用問題、年金によらず、あるいは郵貯によらず、いろいろ議論をしてみますと、おのずからそこに限界というものがあるということを議論しながらつくづくと感ずるわけであります。したがって、いわゆる有利にして安全確実な運用ということになりますと、もちろん専門的知識も要りますし、この問題について私は、運用の問題をすべて自主的にゆだねるということに対しては、有利かつ確実安全という点から考えた場合、これは財政当局ということもさることながら、金融財政全体を扱っておるときにやはり問題の多い課題ではないかというふうに思っております。
  98. 片山甚市

    片山甚市君 それでは、資産運用については現行以上に拘束するというつもりはない、現行、いまのやっておる運用については大体認めていきたい、こういうことですね。
  99. 保田博

    政府委員保田博君) 現在以上に規制を厳しくしようというつもりはさらさらございません。
  100. 片山甚市

    片山甚市君 大臣が政策的な考え方を述べましたから、それ以上追及しても……。一遍言うたことは返らぬですから。  私が申し上げるのは、お金をつくることができるようにすることと資産が安全であることは言うまでもありません。そんなことはどうでもいいなどと思っておる保険組合の組合長がおるとすればとんでもないことだと思います。私は、そういうことについては組合員も賛成しないけれども運営審議会や協議会も賛成しないと思うんです。大蔵省が言う前に幾つかのことが出ると思います。これを信頼してほしい。あなたの方は、そう言っても大蔵省の権限だと思っておるようですから、これ以上きょうは詰めませんけれども、後の質問者のところで、もし許されるならできると思うんです。  そこで、今日まで修正率そのものは、国共審においてもすぐれて改定期における経験的あるいは組合員の負担などに対する配慮として現実的対処がなされてきたというように思いますが、この際現行修正率で対処すべきであると思いますが、いかがでしょう。
  101. 保田博

    政府委員保田博君) 国家公務員共済組合連合会の場合は来年の十月に財政計算が行われるわけでございまして、その際に財源率並びに保険料率の決定が行われるわけでございますが、保険料率については当然引き上げなければならないわけでございます。  引き上げの一つの要因は、前回の財政計算の後に公務員のベースアップが行われ、年金のベースアップも行われております。いろんな制度改正が行われましたことが年金財政に対してやはりそれ相応の負担を求めるわけでございます。と同時に、また前回の財政計算におきまして御指摘の修正率を本来ならば一・〇とすべきところを〇・八と切り下げたことに伴いまして保険財政に大きな穴があいておるわけでございますから、それを穴埋めするための保険料率の引き上げが必要になるわけであります。それが一つというか、二つというか、数え方でございますが、そういうものがあります。  そのほかに、御指摘のように、この次の財政計算のときにわれわれとしては修正率を現行の〇・八から〇・九に引き上げてはどうかということを織り込みまして、今回の法案の御審議をいただく材料として国鉄共済組合に対する救済策を御検討いただくためのわれわれの試算として提出したものの中には、確かに修正率を〇・八から〇・九に引き上げた試算があるわけであります。  それから、三番目といいますか四番目に、国鉄共済組合に対する援助のための保険料の引き上げ。  大きく分けてそういうような要因がかみ合いまして、この次の財政計算期にはかなりの保険料率の引き上げが必要になってくる。この点は、それぞれの共済組合の将来にわたる財政を健全に維持するために必要であるということと、それから後世代との間の世代間の公平といった問題がございます。われわれは、この二つの観点から考えまするならば、修正率につきましてもできることならばこれを一・〇にしたい、それができないとしても〇・九程度にはぜひともしていただきたいというのがわれわれの希望であります。
  102. 片山甚市

    片山甚市君 そこで、共済組合掛金の急激な負担増加を緩和するためにも、国鉄救済するためにも、今日財政当局が言われることをすれば、救済をする専売の方が保険料率国鉄よりも高くなる状態が出る。そうすると、救済する側よりも救済される側の方が掛金率が少なくなっていくような状態の改定ということはいかがなものか。政策的にすぐれて当面、これはここの議決事項でありませんけれども政府態度として現行を据え置く、そして国鉄救済に当面努力をする。財政計算はきちんとやるんですから、ここの事態においては〇・八を据え置くように大臣としては政策的にお考えを願えませんでしょうか。当局が言うのは、財政を安定させるためだと言っていますが、それならば金を出す方は大変な額になる。ところが、給付は下げると、こう言う。こういうことは納得できませんから、掛金額の急激な増加を防ぐためにもいわゆる修正率を現行にとどめてもらいたい。もう一度、大臣お答えをお願いします。
  103. 保田博

    政府委員保田博君) 技術的にわたる部分につきまして、私の方から御答弁いたします。  先ほど来申し上げておりますように、この次の財政計算期には、国鉄共済は当然のことでございますけれども国家公務員共済組合あるいは電電、専売の両共済組合につきましても保険料率の大幅な引き上げは不可避であろうかと思うわけでございます。それは基本的には、先ほど申し上げましたように、それぞれの共済組合財政を将来にわたって自分たち年金制度財政を健全に維持するために必要なものであるというのが第一点。それから第二点は、先ほど簡単に申し上げましたが、いわゆる後世代との間の負担の公平といった問題なのであります。  先ほど御答弁いたしましたように、国共済につきましても、電電、専売の共済につきましても、いずれにいたしましても、現在持っております年金の積立金を食いつぶして賦課方式に移行せざるを得ない時期というのは遠くないわけでございます。その賦課方式に移行する時期は、また人口の高齢化が進みまして、年金の負担が現役の方に非常に大きくのしかかってくる時期なのでもあるわけであります。現代の世代が保険料率を安くするということは、いわば後代の負担において現代の世代が楽をする、保険料の負担という面で楽をするということでありまして、人口の高齢化が近づいて、年金制度が賦課方式に移行する時期が近いということを考えますと、やはりわれわれとしては後世代のために現代の世代もアンバランスにならない程度には保険料を負担していただかなければならないのではないか、これがわれわれとして保険料率の大幅な引き上げをやむを得ないとする立場なのでございますが、先生指摘のように、片一方では現役の皆さん方が負担する保険料率が余りにも大幅に上がり過ぎるのではないかという御指摘もあるわけでございます。  先ほど来議論の対象となっておりますのは、われわれの単なる試算でございます。したがいまして、これが来年の財政計算期に具体的にどんな数字になるかということにつきまして、現在われわれがその数字をお示しするわけにはまいりませんけれども、われわれとしては、先ほど来申し上げておりますような将来の年金財政健全化という要請、それからもう一つは、後世代との間の負担の公平といった問題から大幅な引き上げを要請する声と、現実に引き上がる保険料を負担する現役の方々の保険料の激変緩和を求める声とのいわば綱の引き合いみたいな感じになるのではないか。後者の意見についてわれわれとして全然耳を傾けないというつもりはございません。
  104. 片山甚市

    片山甚市君 また、私の方の委員の方で具体的に最終的にも政府当局とお話をする、ここで質問いたしますから、そのときにもできるだけ私たち国鉄共済を救っていきたい、そのためには当面納得できる条件をつくっていく中で逐次安定さしていくということについて言っておる。〇・八というのは、現状を踏まえて、そして国鉄の必要な金を出そうと、こういうことでありますから、その点では、これで私の意見はとりあえず置いておきますが、検討を加えてもらいたいと思うんです。  そこで、法案の具体的な運用についてですが、政府は法律を尊重するということは言うまでもないと思いますが、この法案によれば、長期給付財政調整事業は、一つ国鉄共済救済を行うものであること、二つ目には調整事業の事業計画、業務の運用に関する重要事項等は運営委員会で定める、三つ目に調整事業は運営委員会が五カ年計画を定めて具体化していくということになっておると思いますが、いかがですか。そのとおりですか。
  105. 保田博

    政府委員保田博君) おっしゃるとおりです。
  106. 片山甚市

    片山甚市君 つまり国鉄共済救済の方法は、これからこの法律が施行された後に設置される運営委員会で決められるものだと思いますが、いかがですか。
  107. 保田博

    政府委員保田博君) おっしゃるとおりでございます。
  108. 片山甚市

    片山甚市君 したがって、大蔵省の出している数字はあくまでも参考として受けとめてよいでしょうか。  さらに、その試算にしても、たとえば毎年五%程度の給与改定が行われるような仮定の上で成り立っていますが、この試算の数字自体は、一九八一年から八四年に向けての状態を見ると修正されなきゃならぬ、五%も上がっていませんから。ということで、粗い試算そのものも本当の試算だということで理解してよろしゅうございますか。
  109. 保田博

    政府委員保田博君) 御理解のとおりであります。
  110. 片山甚市

    片山甚市君 そうなりますと、要は、国鉄共済救済をすることがこの運営委員会では最も大きなことであり、それを中心として給付をいわゆる均一化させることによって他の共済組合財政を安定させよう、こういうように大蔵省考えたと理解してよろしゅうございますか。
  111. 保田博

    政府委員保田博君) おっしゃるとおりであります。
  112. 片山甚市

    片山甚市君 先ほど申しましたけれども国鉄共済救済のための所要資金としては年度別にどういうような試算がされますか。先ほど言うように、運営委員会で決めることでありますから、ここで言ったからといって確たるものではありませんが、心覚えとしてどのぐらいになる予定で主計局としてはつくられていますか。
  113. 保田博

    政府委員保田博君) 国鉄共済組合に対する国共済と電電、専売の両公企体共済からの援助額につきましては、先ほど来答弁の中にも出ておりますが、法案作成する段階あるいは法案を御審議していただく段階での御参考のために非常に粗い試算をわれわれが行ったものでございますから、いろんな数字が変わり得るものでございますけれども、一応われわれの試算では年間約六百億円と考えております。
  114. 片山甚市

    片山甚市君 何ぼ聞いても年度別に言わないで平均率を出しておるから、それは運営委員会でやることですからそれ以上聞きません。  そこで、救済の方法はいろいろありますが、みんなが損をしない方法で英知をしぼるべきだと思いますが、先ほどの資産の運用との関係があるんですが、そのような考え方でよろしゅうございますか。
  115. 保田博

    政府委員保田博君) ちょっと最後のところが聞き取れなかったので、申しわけありませんが……。
  116. 片山甚市

    片山甚市君 それは、みんなが損をしない方法で英知をしぼるべきだと思うが、どうか。資産運用についての意見もありますが、考え方はよろしゅうございますか。
  117. 保田博

    政府委員保田博君) 基本的にはおっしゃるとおりだと思います。
  118. 片山甚市

    片山甚市君 さて、国鉄共済についてお伺いしますが、自助努力をどのようにされておるか。国鉄当局から、簡単でよろしゅうございますから、お願いいたします。
  119. 岩崎雄一

    説明員(岩崎雄一君) 国鉄共済財政悪化いたしましたのは五十年代に入ってからでございますが、それに対する対策といたしまして、今日までに大体四回保険料の引き上げをやっておりますほか、追加費用の繰り入れ方式の変更による国鉄負担の増を行うという形で財源確保に努めてまいりましたが、これが財政悪化のテンポに追いつくことができなかった、そして今日のような状況になったわけでございます。今回、この法案によりまして、国鉄共済について具体的な御措置をいただくべくここで御審議いただいておるわけでありますが、大変御迷惑をおかけして恐縮に存じております。また、他共済の組合には財調という形で御援助いただくことになっておりますので、これも大変心苦しく思っておりますが、先ほど来お話しになっておりますように状況はきわめて残念ながら切迫をいたしておりますので、何とぞ御救済の手を差し伸べていただきたい、このように切望しておるわけでございます。  なお、国鉄として御救済をいただく以上、できる限りの自助努力を行いたい、こういうことで、すでに先ほど来の財調試算の前提になっておりますが、五十八年十月から——それまで一七七でございました財源率、これは掛金は七四でございますが、それを五十八年先月から二〇八、掛金で八七・五というように引き上げをいたしております。  このほか、今後財調委員会で最終的には議論されるわけでありますが、われわれの心づもりといたしましては、国鉄本体の負担増ということで千四百億ばかりの財源確保を図る。これは一つは追加費用、現在は一年おくれで実例を翌年繰り入れるという方式をとっておりますが、これを当年度繰り入れに変更するということと、それから国庫負担相当分、現在は拠出時に対する一五・八五%という比率になっておりますが、これを給付時の負担に切りかえる。こういうことで、国鉄本体が一年当たり千四百億の負担増をすることになっております。  このほか、国鉄共済自身の自助努力といたしましては、先ほど先月引き上げを行ったと申し上げましたが、五十九年の十月からはこれをさらに、掛金で申し上げますと一〇二に引き上げを行う、こういう決意を固めておる次第でございます。ただ、それだけではこれはなかなか相償いませんのでOBにも負担の一端を担ってもらう、こういうことで年金改定をしばらく停止するというようなことを考えております。
  120. 片山甚市

    片山甚市君 そこで、保険料を引き上げるときに、運輸大臣提出するとき組合のサイン、了解を得ずに提出したというふうに聞いていますが、そういうような不心得な、労使の問題ですが、国鉄当局がそのようなことをしたように聞くんですが、そんなことはありませんか。
  121. 岩崎雄一

    説明員(岩崎雄一君) ことしの初めから論議をしてまいりまして、運営審議会の十分の議を経たということで運輸大臣に認可申請をいたしております。
  122. 片山甚市

    片山甚市君 労働組合との間に、判を押したりしてちゃんと書式を整えるようになっておるにもかかわらず、二名以上あればよろしいなどというようなことで藉口して労働組合の印もとってないということですから、大体ふまじめで権力的だと思いますから、それ以上聞きませんが、しかりおきます。けしからぬですね。時間がありませんから、このくらいにしておきます。  そこで、財政調整運営委員会についてですが、財政調整運営委員会財政調整事業の計画を実行するための重要な手続だと考えます。民主主義は手続が重要であるという大蔵大臣の御意見を受けとめて、運営委員会運営や決定は連合会や各共済組合員理解と納得が得られなければならないと考えるがどうか。  二つ目に、委員会の構成は六名以内とした理由についてはどういうことか、また人選する場合の基準は何か。こういうことについて、二つお答え願いたいと思います。
  123. 保田博

    政府委員保田博君) 法案が成立いたしました後にできます財政調整のための運営委員会が民主的に運営されるべきである、構成する各共済組合員の意向も十分踏まえたような運営がなされるべきであるということについては先生指摘のとおりでございまして、われわれとしてもその方向で十分の努力をさせていただきたいと思っております。  二番目、ちょっと聞き損ねたのでございますが……。
  124. 片山甚市

    片山甚市君 運営委員会の構成員を六名にしたのはどういうことか。委員会のメンバー。
  125. 保田博

    政府委員保田博君) 連合会並びに国鉄、電電、専売の各共済組合の代表者がいわば保険者の代表としてその利害を背にして御意見を述べられるというのは当然のことでございますので、参加される四つの共済組合の代表者を入れる、それから学識経験者としまして中立的な立場財政運営委員会について御意見を述べ、場合によっては調整的な機能も期待できるような方々として二名、そのうちの一名は委員長の職責も担っていただかなければならない方、こういうふうに考えて六人としたわけであります。
  126. 片山甚市

    片山甚市君 人事にわたりますからちょっと聞きますが、大蔵大臣は去る十月五日の衆議院大蔵委員会で、大蔵委員会の意見を踏まえ対処する、運営委員会は民主的に行う、ある種の予見を持つべきではないと答弁されていますが、そういうことで具体化するとすれば、大蔵省プロパーの人だけで運営委員を占めるということがないように十分に配慮するようにしてもらいたい。これについてはまた引き続き私の方から再質問すると思いますから、ひとつ検討してもらいたいと思います。よろしゅうございますか。
  127. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 再質問の際お答えをすべく検討さしていただきます。
  128. 片山甚市

    片山甚市君 いまおっしゃったように、委員の人選については、公正な判断、組合員意見が反映するようにしてもらいたいということで申し上げておるわけでございまして、個々の問題については後で議論があろうかと思います。  そこで、激変緩和措置ですが、年金に対する組合員既得権とか期待権についてどう考えておられるのか。非常にいままで議論してきましたから、簡単に大蔵省としての考え方を述べてもらいたい。四十五分になると私の持ち時間終わりますので、あと二問ぐらいありますから、ひとつ簡略に答えてもらいたいんですが。
  129. 保田博

    政府委員保田博君) 今回の統合法案内容といたしまして、公企体職員の卒業生並びにこれから卒業される方々年金給付の水準が国家公務員にさや寄せされるわけでございます。いかなる制度におきましてもそうでございますけれども、とりわけ過去の長い歴史を持っております年金制度につきまして制度改正をいたしますという際に、改正の前と改正の後とで程度の差がありましても有利不利の問題が残るということは、これまたまことにやむを得ないことなのではないかと考えております。できるだけそういうものはない方がいいわけでございます。  社会保障制度審議会の御指摘もあるわけでございますけれども、今回の統合法案では、やはり国共済と公企体共済との給付水準の相違の多くは、いわば官官格差とも言われておりまする公企体共済制度年金制度国家公務員制度に比べましてやはり非常に有利である。そして、それがまた負担との関係において長期的に見てバランスを失しているほど有利であるといったことを是正するのが今回の法案目的でございますので、今回の共済法案ではできるだけ公企体共済と国共済との間の格差を解消したい、国共済給付水準に統一したいというふうに考えておるわけであります。過去におきまして年金制度改正されますときには、多くの場合御指摘のように経過措置がとられたわけでございますけれども、今回の法案趣旨から考えまして、そういう経過措置はきわめて限られたものにせざるを得ない、これが基本でございます。
  130. 片山甚市

    片山甚市君 それは納得できませんが、年金制度というのは組合員と保険者との間の契約でありますから、一方的に権利を消滅させるような法律をつくって押しつけるならば、激変緩和措置がとられてこれだけしなきゃならぬということをするべきであって、いまのような形で問答無益で一刀両断切り捨てることについては賛成ができません。年金制度は設立以来何度か改正を行ってきましたけれども、いま次長が言うとおり、それぞれ経過措置がとられてきました。経過措置をとるということは、契約をした者に対して納得させるということでありますから、今日の法案をつくるときに特に制度審経過措置をとりなさいということを指摘しておるのですが、制度審に対しては、従うことができなかった理由は別として、従わなかったと言っていいですね。
  131. 保田博

    政府委員保田博君) 基本的には今回の法案考え方を変えるわけにはまいりません。同じ法律体系の中で特定のグループの給付水準だけを優遇するということは、やはり制度としての整合性を著しく損なうことになるわけであります。社会保障制度審議会におきまして経過措置を十分とるようにという御指摘はございましたが、そういう観点からいたしますと、われわれはいわゆる既裁定年金、現在すでに年金を受給しておられる方々につきましてのみ現在の受け取っておられる年金額を保障する、従前禍保障をするということにさせていただいておるわけであります。既裁定年金について国共済年金水準に裁定がえが行われる、来年の四月から行われをことになるわけでございますが、それでは現に受給している年金額を減少させることとなるという方々のためには、その激変を緩和するために従前額を保障するということで最低限の既得権の侵害はないというふうに措置をさせていただいたつもりであります。  なお、法律の施行後OBとなる新規裁定者につきましては、退職手当につきましていわゆる三%減額の措置を来年から廃止するというふうなことでバランスをとらせていただきたいと、こういうふうに考えておるわけであります。
  132. 片山甚市

    片山甚市君 全面的に賛成できませんが、制度審答申についてはここではしなくも尊重しない態度が明らかになったと思います。何回も言いましたように、制度審についてそれは尊重するかどうか。経過措置をとりなさいと言っておるのですが、経過措置が現給保障程度のものであれば納得できませんし、また衆議院における堀議員の質問の中で、「今年公企体をやめた人は、退職金は三%カットされ、年金は現額保障はされるものの、来年の年金はスライド停止されてしまう。踏んだりけったりではないか。」ということについて、大臣考えるとも考えないともとれる意見を言っていますが、これは考えられるのですか。
  133. 保田博

    政府委員保田博君) 衆議院の大蔵委員会におきまして御指摘のような質疑が堀委員大蔵大臣との間でございました。そのときの御指摘の問題点、それに対する大蔵省考え方は現在も変わっておりません。法制局等々関係者の間におきまして法技術的にそれが可能であるかどうか検討をさせていただいておるわけであります。
  134. 片山甚市

    片山甚市君 検討課題ということで聞きましたが、新しい給付への切りかえに当たっては側度審が示したところの何らかの経過措置をとるべきだと思いますが、とれませんか、新しい給付の方々に対して。既裁定の問題についてはお答えを願ったんですが。具体的に言うと、既裁定は三%の年金をもとへ返してもらうわけにいかぬのでしょう。返るのですか。既裁定の方々に過去にさかのぼっていわゆる退職金を返すんですか。
  135. 保田博

    政府委員保田博君) 既裁定の年金を受け取っておられる方に対して退職年金の三%カットをもとに戻すという措置考えるわけにはまいらぬと思います。社会保障制度審議会経過措置について考えるという御指摘をわれわれとして厳重にこれを受けとめましてつくりましたのが現在の案でございます。公企体共済のOBあるいはこれからOBになられる方々年金制度をさらに優遇を続けるということは、世の中でよく言われますいわゆる年金の官官格差というものを残存することになるわけでもありますし、そういうふうに民間の公的年金に対して異常に高い年金水準をそのまま放置しておきまして、将来の八つの分立する年金制度統合を進めるということはなかなかむずかしいわけでございまして、今回考えております年金制度改革は、いわばそういう意味での給付と負担について国民全体の年金制度の統一を図るという観点からいたしますと、経過措置について非常に厳しい態度をとらざるを得なかったということについては何とか御理解をいただかなきゃならぬのではないかと、こういうふうに考えております。
  136. 片山甚市

    片山甚市君 問題は、やはりお金を出す側について、なるほど痛みはお互いに分かち合うものだなということになるような経過措置が何としてもとられるべきだと考えます。それでもお金のことだから勘定したら合わないじゃないか、法律つくったんだからいいじゃないか。法律つくらなければいままでどおりです。法律つくって統一するだけのことです。問答無益でやることについては反対だ。私は、統一することに反対言いませんでしたね。そういう血の通わぬことをしておるから、国会などというところについては山師が集まったようなところだと国民が言うのであります。自分の金もうけになるようなことだったら一生懸命やっておるけれども、人のことだったら踏んだりけったりだと、こういうようになりますから、私も国会議員の一人ですから、そう言われないためには、若干の工夫を加えて、保険者の方が、いわゆる健康保険制度を持っておる、共済組合制度を持っておる組合長あたりが、まあそれでいいじゃないか、当然じゃないかと言ってもらわなけりゃ……。大蔵省は金取ることには大変勇敢ですね。たとえば特別納付金を電電につけてみたりなんとかというようなことをして不当にも一年に二年分取ってみたり、法律に書いてないこともどんどんやれるんです。ところが、そこで働いた人に対しては何にもない。こんな冷たいことで、後生はよくないですよ、いつまでもそんなことしておったら。人間というのは若干は仏心があって、御苦労でした、いままで戦後これだけのいわゆる事業をつくってくれた、また国鉄を含めて大変な御苦労を願った。国鉄を見なさい。ちょっと事故が起こったらすぐ刑事問題です。命かけてやっていますよ。  そういう意味で、演説はこのぐらいにしますが、給付についての問題は、激変緩和をしてもらいたいということで、いままでの既裁定の方々には五年程度は最低現状のものをよこすようにしながら直してもらいたい。そういうようなことを言うてきましたから、ここでもう一度強く言いません。何回も、十年という言葉を使ったり、五年と言いましたけれども、やらないということが最も正しいのだという意味ですから、これは私たちとしては、この法案について反対する根拠です。  新規裁定の問題についても、いわゆる退職金を三%カットしておるのをいわゆる今度返すからそれでいいじゃないかと言われましても、それでは、制度はつくったものではありませんで、私たちとしては納得できません。官官格差をなくするという言い方で、国家公務員方々がたくさんおられるんですから、百何万と七十何万と対比したら数が多い方が勝ったということはわかりました。そういう言い方だと思うんです。私たちは納得できませんが、次の問題に移ります。  給付制限ですが、年金社会保障立場に立つならば、公的年金統合の際、国民年金、厚生年金との統合が大きな課題となります。その場合に、厚生年金のレベルに統一されることにして、現行としては、公的年金統合時まで少なくとも各共済の特殊性を踏まえ現行を維持すべきではないだろうか。先ほど、歴史と沿革がありまして、国鉄の場合、運転をしておると、事件が起こるとすぐに刑事問題になる。それは、大蔵省におって刑事問題になるというのは、それこそ仕事の上で泥棒でもせぬ限りありませんわな。ところが、国鉄の場合はちょっと信号の都合だとか機関車の都合によったら入れられたりする。そういうことがありますから、そういう意味で、私は給付制限の問題については、処分をすることによって一つのセクションが済んでおるんですから、年金において二重の制限をするようなことはやめてもらいたい。こう思うんですが、簡単でよろしいから御答弁願いたい。
  137. 保田博

    政府委員保田博君) 国家公務員共済組合並びに公企体共済組合というのは二つの実は側面を持っておるわけであります。一つの側面は、社会保障制度の一環として老後の所得保障を行うという面であります。と同時に、先生が御指摘になりましたように、国家公務員としてあるいは公共企業体の共済組合の職員として公正に能率的に職務を行っていくための制度の一環としての側面を持っておるわけでございます。  今回、国家公務員と公企体共済組合共済組合統合が行われるわけでございまして、一つの体系に年金制度がおさまるわけでございますから、できることであれば、給付の面あるいはその給付の制限の面につきましてもできるだけこれが統一されることが望ましいわけであります。ただ、御指摘のように、国家公務員と公企体職員との間Kはやはりいろんな意味での差があることを否定するわけにはまいりません。法案が成立いたしまして、その施行のための政令案をつくります段階におきまして、いろんな意味での御要請等も考慮しながらこの問題については検討をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  138. 片山甚市

    片山甚市君 大臣、それでよろしゅうございますね、いまの答弁で。
  139. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 次長が申し上げたとおりでございます。
  140. 片山甚市

    片山甚市君 最後の質問に移ります。  共済組合員である船員の取り扱いですが、社会保険審議会船員保険部会の昭和五十八年七月二十七日の答審によると、「船員保険(年金)のあり方について」、厚生年金との統合に当たってその特殊性を配慮すべきとあり、共済組合員である船員についても、また船員保険年金に準ずる給付内容が厚生年金と異なる点は、その業務に起因した特殊性を配慮したものではないかと思います。そういうことを考えますと、国家公務員共済組合統合される国鉄共済組合員が、その特殊性、給付額の決定方法が船員期間を三分の四に換算することですが、これを放棄するのは、国公共済の援助を受ける者として当然であるということで考えておられますか。
  141. 保田博

    政府委員保田博君) 現行の公共企業体共済法では、船員であります組合員の船員であった組合員期間について三分の四倍とする、そのことが給付水準の引き上げにつながるわけでございますが、そういうことになっておりますが、国共済の場合、国共済で船員といいますと、海上保安庁の職員でございますとか、あるいは国立大学なんかの船員の場合でございますけれども、こういう国共済の船員についてはそのような措置が構じられていないわけでございます。今回の統合法の主たる目的が公企体職員の共済年金の給付要件等を国家公務員共済年金の給付要件等に一致させるという基本的な方向をとっておりますので、公企体の船員の皆さんについて御要望のあったような経過措置を講ずることはなかなかむずかしいのではないか、こういうふうに考えます。
  142. 片山甚市

    片山甚市君 なかなかむずかしいのじゃなくて、やりたくなかったということなんです。  実は、救済される側に立っておるんだから国鉄の場合はやるべきでないというようなお話があったんですが、そんなことはありませんか。国鉄の船員についてそういうことを適用する必要はない、国鉄救済しておるんだから。こういうようなことはありませんか。
  143. 保田博

    政府委員保田博君) 御指摘のようなことを私耳にしたことはございません。
  144. 片山甚市

    片山甚市君 国鉄には昭和五十七年の末で千七百二十三名、電電の場合は二百六十八名海底線敷設船その他の人たちがおられまして、船員保険の適用を受ける負担分を持っております。該当者の数は大したことはないと思っておられるとすれば大問題でありまして、船底は板子一枚で地獄の仕事であります。いま相当安定しておるといっても大変なことでありますから、船員保険を先ほど申しましたように変えていくという状態であれば、その時期にそれらを考えてやるべきではないだろうか。船員に対するすべての特殊性を一切認めない措置はとるべきでない。数が少ないから財政に影響がありません。今度厚生年金を変えるときには船員の保険はそうするんですね。先鞭つけるんですよ。海員組合賛成しますか。  これは大変ですよね。日本の貿易の荷物は、戦後、飛行機でなくて船で運んだんです。輸出大国で御苦労願ったでしょう。この人たちはもう要らなくなったんですね。アメリカの航空会社を使ってやるんですか。この人たちが三分の四になっておるのには特殊性があるんです。それは、どこかの研究所は特殊性がないのかもわからぬけれども、遊んでおるかもわからぬけれども、船員組合はそんな簡単和組合じゃないですよ。整合性とれますか。国家公務員だから特権階級だというのならいざ知らず、公企体は現場です。次長大蔵省と違いますよ。現場で郵便配達したり、電報配達したり、電話をかけたり、運転をしたり、機関車を動かしたりしておる。その仕事は私鉄の皆さんと変わらないし、船員組合と変わらないし、海底線敷設船の場合、どんな場合でもやっておるんです。  私は、数が少ないから、そうして声が出ないからいいことにして切り捨てることについては反対です。財政に幾ばくの負担がかかるんですか。これは厚生年金の問題が出て調整されるときにやるべきことであって、いまはそうっと置いておいてほしい。財政に直接関係ありません。国鉄の数で言えばいま申しますように千七百二十三名、いわゆる電電の場合には二n六十八名でありますが、私はそういう意味で申し上げているのです。大臣が人間的な血の通う大臣であれば、このことについては実行の段階で検討してもらいたい。十分に海員組合と話をしてもらいたい。海員組合というとおかしいけれども、当該者と話をしてもらいたい。船員の諸君の特殊性というのを認めないなどといって通るなら通ってもいいけれども、政治的な圧力が加わってから初めてあわてて何かすることになったら大変です。厚生年金国民年金、船員保険など統合するときに支障を来さないようにするためには、これはそうっと置いておいてほしい。私の意見です。これ以上言いません、時間が来たら時間を守るのは社会党の議員の徳性でありますから。  もっと言いたいことあったんですが、激変緩和の問題、その他の問題言いたいんですが、あとの委員もおりまして、私より優秀な者がおりますから、きちんと言ってくれる。民主的運営の問題についても、保田次長のように鉄面皮な何でもかんでもやる人と違って、われわれのハートは温かいんですから、社会党というのは。皆さんみたいに、法律を解釈したら人間が生活できるなどと思ったらもってのほかです。  演説はこのくらいにしますが、どうか、先ほど言ったように十分に受けとめて大臣の方で努力をしてもらいたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。長話をして大変御苦労願いましたが、二時間半ほどやりましたので、私の意見について御所見があったら聞いて終わります。
  145. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 各般にわたっての御高見を承りました。それは私なりにありがたいことだと思っております。
  146. 高平公友

    委員長高平公友君) 午前の質疑はこの程度とし、午後三時十五分まで休憩いたします。    午後零時四十五分休憩      ─────・─────    午後三時十五分開会
  147. 高平公友

    委員長高平公友君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、国家公務員及び公共企業体職員に係る共済組合制度統合等を図るための国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  148. 本岡昭次

    本岡昭次君 本法案にかかわる基本的な問題点は、午前中わが党の片山委員が詳細にわたり政府にただしましたので、私は残された若干の問題点、またこの法案の基本にかかわる周辺の問題について質問をさせていただきます。予定された質問時間がただいま大幅に縮小されて持ち時間の三分の一がなくなったということで、質問も簡便にいたしますが、答弁の方もそのつもりでお願いしたいと思いますし、質問を予定しておりました中身を次々削ってまいりますので失礼になるかと思いますが、了解を初め賜っておきたいと思います。  まず、午前中の審議で、社会保障制度審議会答申の意向がどのように本法案尊重され、本法案の中に反映されているかということをめぐって、片山委員政府との間で多くの議論が行われました。私は、それを聞いておりまして、片山委員と同じく、大蔵大臣保田次長答弁からはどうしても答申尊重され、あるいは答申の意向が本法案に反映されたとは受けとめることができないのであります。結論として、こうした答申の軽視、さらに国の責任を回避して、国鉄救済にかこつけて関係共済組合年金水準を低下させ、あるいはまた組合員の負担増を図っていくということでは全く納得ができません。そういう立場で、私も一点、この答申に関連して質問をしたいと思います。  この答申にはいろんなことが書いてありますが、「制度改正要綱について特に」ということを断りながら、「指摘すべき主な事項」を三点挙げております。それは答申の六でありますが、その中の第三項は次のように書いてあります。「財政調整事業を円滑に実施するために設けられる財政調整専業運営委員会の構成及び運営については、実情に即し、広く組合員の意向が反映されるように留意すべきである。改正後の国家公務員等共済組合審議会についても同様である。」、特に指摘すべき事項としてこのように述べられておるわけですが、この中にあるように、「広く組合員の意向が反映されるように留意すべきである。」とありますが、この指摘事項は本法案にどのように具体的に生かされているのか、まず質問をしたいと思います。
  149. 保田博

    政府委員保田博君) お答えいたします。  御提案申し上げております統合法案が成立いたしますと、その施行に伴いまして財政調整事業運営委員会が構成されることになるわけでございます。この運営委員会委員につきましては、午前中の御質問に対して私の方から御答弁いたしましたが、要するに、学識経験を有する者二名、そのうちの一人が運営委員会委員長となるべき方を含めましてでございますけれども二名、それから連合会、各公企体の共済の保険者を代表する者四名、合計六名で構成されるということになるわけでございます。  この委員会の非常に大きな役割りは、国鉄共済組合に対しまする財政援助の具体的な内容を決めることでございますけれども、その財政援助の中身を具体的に作成するに当たりましては、それらの事項は当然のことながら連合会ないしは各公企体共済組合の事業計画なり予算なりに非常に重要な関連を持っておりますから、当然その援助の具体的内容作成する段階でこれらの公企体に御相談があるはずでございます。その際には、連合会の場合には運営協議会、それから国鉄、電電、専売の公企体共済組合の場合にはそれぞれ運営審議会というものが設置をなされておるわけでございまして、これらの運営協議会なり審議会には組合員の代表も、おおむね半数がこの代表として御参加をいただいておるわけでございまして、そういう組合員の参加のありますこれら協議会なり審議会で十分御審議をいただけるものと考えております。  さらに、五カ年計画といいますか、具体的な内容を最終的に大蔵大臣が認可をいたします際には、当然国共審にお諮りをすることになっておるわけでございます。現在、国共審の委員は九名でございまして、そのうち三人は組合の代表者でございます。今回の法案が成立いたしますとこの九人の人数は十五名に増員されまして、これに伴いまして組合の代表者も五名になるわけでございます。したがいまして、運営委員会での国鉄共済組合に対する財政援助の具体的内容について大蔵大臣が認可をいたします際には、これらの組合の代表の御参加をいただいております国共審でも十分御議論をいただいて、その上で認可をさせていただく。そういう意味で、各段階におきまして組合員の意向を十分くみ上げながら民主的、自主的な運営に努めてまいりたいと、こういうふうに考えております。
  150. 本岡昭次

    本岡昭次君 答申の文章を正確に読みますと、「財政調整事業運営委員会の構成及び運営については、実情に即し、広く組合員の意向が反映されるように留意すべきである。」、こう書いてあるわけで、あなたがいま言ったのは、全体として組合員の意向というものがくみ上げられる形になっておりますという説明であるわけです。ここで留意せよと言っているのは、財政調整事業運営委員会の構成及び運営について広く組合員の意向が反映されるように留意せよと、そのものずばり書いてあるのです。そのことの答弁にはいまなってないですよね。全体の仕組みとしてはそういうふうになりますよ、財政検討委員会そうしますよと、こういうことなんです。だから、ずばり聞きますが、広く組合員の意向を反映させるということは、組合員の代表をその中に加えるということがそのものずばり一番広く組合員の意向が反映されると、こういうことになるのではないかと思うんですが、それはどうですか。
  151. 保田博

    政府委員保田博君) 御指摘のように、運営委員会の構成をどうするかということにつきましてはいろいろ御意見もあろうかと思いますが、われわれといたしましては、先ほど御答弁いたしましたように、各保険者を代表する者を各連合会あるいは公企体の共済から代表者一名ずつを参加させていただく、それに中立委員学識経験者二名をもって構成するということにさせていただいておるわけでございます。その運営につきましては、先生指摘のように民主的な運営に十分努めていきたいと、こういうことでございます。
  152. 本岡昭次

    本岡昭次君 組合員の代表を加えるということは検討の余地がないと、こういうことですか。
  153. 保田博

    政府委員保田博君) 先生がお読み上げになりましたような社会保障制度審議会の御意見を参考にいたしながら、政府としては今回御提案申し上げておるような財政調整事業運営委員会の構成が適当であろうと判断したわけでございまして、運営については民主的運営をもってその精神の活用を図りたいと、こういうふうに考えておるわけであります。
  154. 本岡昭次

    本岡昭次君 納得できませんが、時間がありませんから、これだけにかかわっておれませんので次に参ります。  そこで、それは組合の代表を入れられない、加えることができない、こういうことで、それはどうしてもおかしいと思うのですけれどもね。しかし、いまのところそれができないから、そこで各共済に事前にそれぞれ相談するというふうなことがありましたが、具体的に各共済との関係において、財政調整事業運営委員会というのはどういうふうに相談をし、意見を聞き、やっていくんですか。一番最後の意見を聞くという段階じゃなしに、五カ年の事業計画を立てる前にどういう形でかかわっていくのか。いまあなたが事前に相談をするというふうなことをおっしゃいましたが、どうやるんですか。
  155. 保田博

    政府委員保田博君) 財政調整事業運営委員会の主たる仕事は、国鉄共済組合に対する財政援助の五カ年計画をつくることがまず最初でございます。この五カ年計画を作成いたします段階で、国共済国鉄、電電、専売といった各組合に対しまして、五カ年計画の具体的な内容、対象の期間でございますとか、拠出金をどの程度にするか、あるいはその額をどのように各組合に割り当てるかといったようなことにつきまして下相談をするわけでございます。その下相談の段階におきまして、連合会なり国鉄、電電、専売の各公企体共済組合の代表者はそれぞれ運営協議会なり運営審議会に御相談になるであろう、その際に共済組合組合員の代表者の御意見も十分これをくみ取るということができるのではないか、こういうふうに考えております。それらの意見をくみ上げた後に五カ年計画の具体的な案が作成されるわけでございます。  それで、これが大蔵大臣に認可を求めるという手続が行われるわけでございますが、その際には、先ほど申し上げましたような国共審に諮問をし、その御意見を捌くという段階手続を経ることになっております。その際に、先ほど申し上げましたように、国共審には組合員の意向を強力に代表する先輩がおられます。また、それらの先輩の数もまた三人から五人にふえるということでございますので、それらの方々の御意見も十分参考にしながら認可の手続を進める、こういうことでございます。
  156. 本岡昭次

    本岡昭次君 財政調整事業運営委員会の構成については納得できませんが、一応次に進みます。  そこで、いま最後に言われたように、国家公務員等共済組合審議会に最後の段階意見を聞くということもありましたが、それは九名を十五名に増員するということでありますが、その際、労働者代表、使用者代表、公益代表という形でその人数を案分をしていくようになると思います。現在は三、三、三という割合でありますが、それをそのまま踏襲すれば労働者代表五、使用者代表五、公益代表五、こういうふうになるかと思いますが、そういうふうにされますか。
  157. 保田博

    政府委員保田博君) おっしゃるとおりでございます。
  158. 本岡昭次

    本岡昭次君 それで、これまで各種委員会に組合代表を選んだ場合に、組合の代表の中には在籍専従、離籍専従、いろいろあるわけでございまして、あるいはまた専従していない組合代表もある。いろんな資格があると思いますが、今回こうした法案改正されたということをもって新しいそうした委員会に役員を選出するについての制限を加える、こういうようなことはありませんね。
  159. 保田博

    政府委員保田博君) 先生の御懸念は、各共済組合運営審議会委員あるいは連合会の審査会、さらには運営協議会の組合員を代表する者がいずれも共済組合員である限り組合専従者だからといって委員の選任に当たり制限をされるということはないのかどうか、こういう御懸念であろうかと思いますけれども、このことに関しましては、従来から政府としてそういう指導をしたことはございませんし、今後ともそういうことをするつもりはございません。
  160. 本岡昭次

    本岡昭次君 それから、あと一点。  これまで郵政あるいは三公社のそれぞれの共済にあった審議会、それはそのままの形で存続をさせていくことは言うまでもないと思いますが、そのとおりですね。
  161. 保田博

    政府委員保田博君) 御質問は、審査会のことでございますか。
  162. 本岡昭次

    本岡昭次君 審査会です。
  163. 保田博

    政府委員保田博君) 現在の国家公務員共済組合法では、組合員の給付あるいは保険料の徴収あるいは組合員資格といったようなことについて争いが生じましたときに審査会を設けて審査を行っておるわけでございますが、これらの事業は、長期給付を行っております連合会と郵政省の共済組合並びに三つの公企体の共済組合でそれぞれが設けておるわけでございます。今度の統合法案が成立いたしますと、長期給付は連合会で一括して行うことになっておるわけでございます。本則はそういうことでございます。ただ、当分の間、長期給付は各公企体の共済組合が行うということになっておりますけれども、そういう期間でございましても審査会は連合会に一元化するというつもりでおります。
  164. 本岡昭次

    本岡昭次君 それぞれの共済は連合した形で国鉄救済の問題はともに当たる、あるいはまた、その給付の水準等々はばらばらであってはいかぬから一つに合わせるとかいうふうないろんな調整はあるにしても、いままでの三公社のそれぞれの共済は、当分の間というあれがついておっても、自主的にということがあるのになぜ審査会を一本にまとめ上げてしまうんですか。残さなければ、その自主性というふうなものも確保されないのじゃないですか。
  165. 保田博

    政府委員保田博君) 審査会の仕事は、先ほど来ごく簡単に触れましたけれども、いわば一種の司法的な性格を有するものでございまして、現在国共済の例でございますと三者構成をとっておりまして、組合の代表者が三人入っておるわけでございますが、これらの組合を代表する者が参加しておりますその理由といいますのは、不服審査の請求がありました個々の事案につきまして、個々組合員でございますとか、あるいは個々の組合の利害を代表するということのためでは実はないわけでございまして、そういう特定の事案についての利害関係者ということではなくて、広く共済組合の事業全体の立場からの御判断をいただくということでございます。  したがいまして、全組合員を代表する立場から審査が行われるということでありますれば、連合会のほかに個々の公企体の共済組合がそれぞれ審査会を持つという必要はないのではないか。実際の事案といたしますと、せいぜい年間数件程度のことでございますし、連合会に一元化されましても被保険者の救済について特に不利になるといったようなことは御懸念に及ばないのではないか、こういうふうに考えております。
  166. 本岡昭次

    本岡昭次君 それは、どこで決められるんですか。いままでの論議の中になかったことだから、当然三公社は三公社のそうした審査会として存続するというふうにわれわれ理解しておったんですが、いま新しく一つにまとめてしまうというのはどこでそういうことをこれから決めていくんですか。それは法案の中にあるんですか。
  167. 保田博

    政府委員保田博君) 法案の中にそういうふうになっております。そういうことにするにつきましては、もちろん法案の具体的な内容でございますので、関係の各省庁なり関係の組合の代表の方方等とも十分調整をいたしました上でそういう原案をつくったものでございます。
  168. 本岡昭次

    本岡昭次君 ここでは、先ほど言いましたように、さらにちょっと疑問の点もあるんですが詰められませんので、一応そういうことだというふうに聞いておきますが、それでは次の問題に入っていきます。  先ほどの片山委員質疑の中で出てきた問題なんですが、昭和六十五年以降国鉄年金救済については年金改革スケジュールの第二段階の課題として検討をさせてもらうという答弁があったわけで、そのときにならないとわからない、こういうことのようでありますが、そのときに検討の課題として出されるのは、地共済といま連合させようとする国家公務員共済組合連合会との関係調整、関係整理、そうしたものがこの第二段階の課題となるというふうに考えておられるのかどうか、はっきりとそこは言っておいていただきたいと思います。
  169. 保田博

    政府委員保田博君) 午前中の御質疑の中で明らかにしましたように、政府としては昭和七十年時点を目標としまして公的年金制度全体の統合を目指して作業を進めてまいっておるわけでございますが、第二段階と申しますのは、先生指摘のように昭和五十九年から六十一年にかけまして厚生年金、それから国民年金、船員保険についての関係整理を行うということでございます。あわせまして、共済組合につきましても、それらの作業を見ながら、その趣旨尊重しながらこれらとの関係調整を進めていく、こういうことになるわけであります。  地方公務員共済組合をどうするかということがいずれ大きな問題になると思うわけでございますが、これにつきましては、厚生大臣が現在年金担当大臣として指名をされておるわけでございまして、この年金担当大臣のもとで厚生省当局、自治省当局、それから大蔵省も参加いたしまして、どの段階でいかなる内容のもとにその年金統合の一翼を担うかということについては今後検討を進めていかなければならない、避けて通るわけにはいかない問題である、こういうふうに理解をいたしております。
  170. 本岡昭次

    本岡昭次君 そうすると、いまの答弁は、地共済と国公共済関係において関係整理というんですか、統合一元化という問題については避けて通ることはできない、いずれその段階が来るであろうということなんですが、それは昭和六十五年のその段階、いわば五年計画が終わった段階でというふうに考えていいのかどうか、こう言っている。
  171. 保田博

    政府委員保田博君) 厚生省当局を中心として検討を続けられておりまする年金改革の具体的な内容、それの実施の具体的なスケジュールが決まらないことには共済グループの厚生年金なり国民年金なりとの関係整理のスケジュールも決まらないということでございます。鋭意その前段階前提条件をなします厚生年金国民年金あるいは船員保険についての改革具体案づくりが進められておると、こういう段階でございます。
  172. 本岡昭次

    本岡昭次君 厚生省にそれではお尋ねしますが、厚生省はそれではいつそうした地共済と国公共済との関係整理、いまのような形での統合するというふうなスケジュールをどの段階で出されるんですか。
  173. 古賀章介

    政府委員古賀章介君) 大蔵省が御答弁になりましたように、昭和五十九年から六十一年にかけまして二つのことをやることが政府の方針として決まっておるわけでございます。  一つは、国民年金、厚生年金及び船員保険の関係整理を図る。午前中も御答弁申し上げましたように、現在厚生省におきまして三制度改正案というものを鋭意努力を重ねておりまして、成案を得次第、関係審議会諮問をいたすことになっておるわけであります。  その第二番目は、この改革趣旨に沿いまして共済年金につきましても関係整理を行うということでございますので、厚年、国年、船保の改革案、これが固まりますれば、共済年金につきましてもこの改革趣旨にのっとって関係整理が行われるものと期待をいたしておるわけであります。当面の時点といたしましては、昭和六十一年までに厚年、国年、船保の改正案趣旨にのっとった改革共済年金についても行われるというふうに考えております。
  174. 本岡昭次

    本岡昭次君 そのときには、社会保障制度審議会も言っておりますように、公的年金制度全般の将来展望を明らかにするという問題ですね。昭和五十九年から六十一年までに、いまおっしゃったようにするその段階で、いまのように将来展望もないまま、全体像もないまま、ただ国鉄救済のためにとか、どこかの年金制度が破綻を来すからそれをまた救わなければならぬとかという形じゃなくて、そのときには厚生省として自信を持って将来こういう公的年金全体の具体的な中身を出しますと、こういうことを前提としていまおっしゃっているんですか。
  175. 古賀章介

    政府委員古賀章介君) 公的年金制度改革の具体的内容、手順等につきましては、すでに閣議決定を見ておりますように、五十八年度末までにその成案を得るということになっております。それで、その成案を得るに際しましては、公的年金制度の九割を占めます厚年、国年、船保の改革案というものが固まりますれば将来の公的年金制度の再編統合のおよその方向が固まるであろうというふうに考えられますので、五十八年度末までに策定いたしますところのその成案、それに昭和七十年までの統合の具体的内容、手順等が当然に盛り込まれるということになるわけであります。
  176. 本岡昭次

    本岡昭次君 確認しますが、五十八年度末、来年の三月までに出る厚生年金国民年金、船員年金関係整理統合というんですか、それを出す段階昭和七十年を目途とする年金改革の全体像、具体的な内容、そういうようなものも示して、そして六十一年までに共済年金国家公務員関係とそれから地方公務員関係、これも関係整理をする方向へ持っていけるようにする、こういうことをいまあなたはおっしゃったのだと理解してよろしいですね。
  177. 古賀章介

    政府委員古賀章介君) 年金改革の具体的内容、手順等についての成案というのは五十八年度末でございますけれども、厚年、国年、船保の改正案は次期通常国会に提案するわけでございますので、これは提案いたします前に関係審議会諮問をいたし、御答申を得なければいかぬわけでありますから、先ほど来申し上げております成案よりも前に関係審議会諮問する厚生省案というものは明らかになるということでございます。
  178. 本岡昭次

    本岡昭次君 それで、厚生省案でありますが、現在私たちが知り得る範囲というのは、「二十一世紀の年金考える」ということの中で、アンケート調査をされたその中に一つの試算があって、その試算の意味するところは基礎的年金制導入ということが示唆されているんですが、その改革内容は基礎年金制の導入と考えてよろしいですか。
  179. 古賀章介

    政府委員古賀章介君) 先生がいま御引用になりました試算A、Bの問題でございますが、その試算A、Bが盛り込まれておりますのは「二十一世紀の年金考える」という冊子の末尾に掲げられておるものでございます。この冊子は、昨年の暮れに有識者調査をやりました際に添えたものでございまして、これは給付と負担の組み合わせを二つほど例にとりまして試算をして回答に便利なようにするために設けたものでございまして、決して試算A、Bというのは厚生省案ではないということを申し上げておきたいと思うのでございます。  それで、今度の厚年、国年、船保の改正案のやはり大きな柱と申しますのは、公的年金制度の再編成というものに向けてどういうように体系づけるかということでございます。それからやはり給付水準の適正化という問題でございます。それから三番目には婦人の年金権をいかにして確立するかということでございます。  それで、第一番目の体系の問題といたしましては、去る七月に社会保険審議会意見書を提出しております。それは「各制度に共通する給付を導入するという考え方の下に、全体として整合性のとれた制度」とする必要があるということとともに、各制度に共通した給付というものを導入することを示唆しておるわけでございます。各制度に共通した制度というものは、やはり基礎的な年金の導入を示唆したものであるというふうに考えられますので、私どもはこの意見書を十分尊重してまいりたいというふうに考えております。
  180. 本岡昭次

    本岡昭次君 最後の結論だけ言ってもらえばいいんだよ、衆議院と同じことをあなたは言っているんだから。私はそれを読んで、基礎的年金を導入するという考えを持っているのだろうと聞いているのだから、最後のことだけ言えばいいじゃないですか。  それで、基礎的年金ということなんですが、五万円程度とか、あるいはまた四万五千円程度とかいうようなものがここに出ておりますが、この四万五千円とか五万円とかいうこの定額部分の金額、これは何を基礎としてここに出したんですか。つかみで出したんですか、それとも何か算定基準があって出したんですか。
  181. 古賀章介

    政府委員古賀章介君) 基礎的年金部分の額につきましては、現行の国民年金におきまして最低資格期間二十五年を満たした者への年金額が四万七千百二十四円、これは五十七年度価格でございますけれども、ということになっております。これを勘案いたしまして、試算Aでは一応仮に月額五万円といたしまして、試算Bでは一割程度減じまして仮に四万五千円というふうにしたものでございます。
  182. 本岡昭次

    本岡昭次君 そういう仮にというふうな形で出すべきものじゃないと思うんです。基礎的年金というふうなものは、一方では先ほど言った厚年部会の答申では平均賃金の六〇%というふうなところを水準に置いて出すべきだというふうなことを言っている中で、それではここにも四万五千円であれば全体の直近男子被保険者の平均標準報酬月額の六〇から六五%、あるいは基礎的年金部分五万円程度であるならばそれが七〇から七五%程度と、こうなっている。これは計算の結果こうなるというふうなことじゃないと思うんです、年金というのは。基礎的年金部分というのは、それでは逆に直近男子被保険者の平均標準報酬月額の何%程度ということがなければ、これは厚生省としてまことに無責任なこういう試算をしたということになります。一体、何%をそれでは基礎的年金額というふうに頭に置いてこれからやろうとするんですか。
  183. 古賀章介

    政府委員古賀章介君) 先ほども申し上げましたように、関係審議会諮問をいたします案を現在私ども固めつつある段階でございます。したがって、諮問いたします場合にはそれが固まるわけでございますけれども、この試算A、Bというのは、試算Aにつきましては七〇から七五%程度、試算Bは六〇から六五%程度というものを、仮にそれを想定いたしまして計算したものでございます。
  184. 本岡昭次

    本岡昭次君 こうした二階建ての年金考える場合には、基礎的年金部分というものそれ自体が平均標準報酬月額の何%というふうなことをはっきりさせなければもらう側にとっては全然見当がつかない、そういうことになります。だから、このままここに書いてある金額で計算すると、五万円部分は二一・六五%、四万五千円は一九・四八%というふうになるわけで、ここから考えられることは、基礎的年金部分というものを大体一九%から二〇%前後のところに持っていこうとしているのだなということになっていきます。だから、そこのところは非常に重要な部分で、そこをはっきりとさせてほしいということを要望として強く出しておきます。  それから、もう時間もありませんから、あと一点聞いておきますが、四十年加入で何%というふうな形が出てきつつありますが、二十年で年金を受給する資格ができる、だから通常二十年でそれでは平均標準報酬月額の何%、三十年で何%、四十年で何%と、こういうふうな形が出てきて初めて年金をもらう国民なり労働者は具体的に年金を想定ができるわけなんです。だから、ここで四十年加入で六〇%というふうになれば、三十年の加入期間の者は一体何ぼなのか、二十年であれば何ぼなのかというふうなことがわからない。だから、ここの部分についてももっとはっきりさせるべきだというふうに思いますが、一体、この六〇%という想定は、これは四十年の拠出期間のものを出しているのか、三十年のものを指して言っているのか、それはどうなんでしょうか。
  185. 古賀章介

    政府委員古賀章介君) これは、これから四十年加入が一般化する段階、すなわち成熟した段階の状態を相定いたしましてはじいたものでございます。したがいまして、四十年加入が一般化した、成熟化した段階、これは昭和百年の試算でございますけれども、その時点での年金額の平均標準報酬に対する割合でございます。
  186. 本岡昭次

    本岡昭次君 もう一遍、最後のところ。
  187. 古賀章介

    政府委員古賀章介君) 年金額が平均標準報酬に占める比率、それは加入年数が四十年が一般化した、成熟化した段階におけるものでございますから、四十年加入を前提にいたしております。
  188. 本岡昭次

    本岡昭次君 そうすると、四十年加入で六〇%というものを想定してこれから考えようとしているということなんですか。
  189. 古賀章介

    政府委員古賀章介君) これはあくまでも想定といいますか、冒頭申し上げましたように試算でございます。私どもは、やはり現在のまま推移いたしますならば、五十五年計算におきましても平均標準報酬の八三%、任意加入を入れますと二〇%になるという状況になるわけでございますから、それを妥当な線に持っていこうと、こういうことでございます。さきに申しました七月の意見書におきましても、現役の平均標準報酬の六〇%程度が妥当であろうということが述べられておることは先生も御承知のとおりでございます。
  190. 本岡昭次

    本岡昭次君 最後に。  いま厚生省との議論短かったものですから中途半端になってしまいましたが、要するにいま出されている試算、恐らくこれは厚生省がこれから出してくる原案になると私は見ます。そこから想定されることは、四十年加入で厚生年金が三八%、国民年金が三四%程度引き下げる内容というものになってくる可能性が非常に強い。これは大変な年金の改悪であり、水準を低下さしていくということで、ILO百二十八号条約という部分から見てもこれは許しがたい中身のものが考えられているようで、どうしてもこれは私たちとしては納得のできないものになるということが想定されます。出てみなければわかりませんが、いまの段階でそのようなものを国民の前に提示すること、そのこと自体をやめるべきであるという警告を発しておきたいと思います。  最後に、せっかくの機会ですから、大蔵大臣に所信を聞いて私の質問は終わります。  大蔵大臣は、午前中の片山委員の質問に対して、繰り返して制度審答申尊重していくという基本線で今後の運営を行っていきたいと言われ、また次のようにも答弁しています。連帯の思想を生かしていくような今後の運営が必要というふうな言葉も出された。連帯の思想を生かしていく、この連帯という言葉は本会議でも大臣答弁の中に使っておられますが、私はこの際、この連帯の思想というものは一体何なのかということなんですが、やはりこれから連合すべき各共済組合がそれぞれの考え方や行動を持っているけれども、それは一つには国鉄救済というものもあろうし、これからの年金制度というものをより適正なものにしていこうということについてお互いに信頼し合って、そして強いつながりを持っていこうと、こういうことが本当の意味の私は真の連帯だと思うんですが、連帯という言葉にはもう一つ意味もあって、国鉄救済について連合する各共済組合がとにかく強い責任を持てということもこの連帯の思想という一つの側面としてあるわけで、大蔵大臣考えというのは前者であろうというふうに私は思います。  それだけに、これから、先ほどもありましたように、いろんな共済組合、各年金制度統合一元化という日程に組み込まれていきます。その際やはり大事なことは、各年金、厚生年金国民年金共済組合、さまざまな過去の歴史と経験を持つその立場、そうしたものの自主性というものを尊重していきながら、いま言いました真の連帯、そして助け合い、こうしたものを僕はやっていかなければ成功しないと思います。そういう意味で、一体何が大事かということを一言で言えば、やはり私は運営の民主化のこの一語に尽きるのではないかというふうに思うんですが、大蔵大臣、最後に、あなたがおっしゃった連帯の思想というふうな言葉のこれからの裏づけになるべき具体的な言葉をひとついただいて終わりたい、このように思います。
  191. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 私がたびたび連帯ということを申し上げましたのは、特に印象強かったのは、国共審の審議会答申をいただく前に、いろいろ各共済組合ごとの問題を抱えながらも最終的には、この場合あるいは労働者連帯とでも申した方が適当かもしれませんが、そういう背景が曲がりなりにも答申をいただけたなと、こういう印象が非常に強かったわけであります。基本的にこの共済制度そのものは、いままさに御指摘がございましたとおり、これは労働者連帯というようなものではなく、社会連帯あるいは国民的連帯、こういうものの中に当然のこととして成り立ち得るものであります。したがって、それが運営に当たってはもとより民主的であらなければならぬ。それはやっぱり社会連帯の基本として運営の民主化というようなもの、あるいは民主的運営というものはポイントとして存在しておるという認識においては相違かないと思います。
  192. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは、かわりまして質問をさせていただきます。  現行の八種の公的年金制度にはそれぞれ長い歴史的な沿革があるわけでございます。したがいまして、これらの統合一元化に当たりましては関係者の十分な合意と理解が必要だと思います。ところが、この法律案諮問されました国家公務員共済組合審議会及び社会保障制度審議会答申を見ますと、この点の努力が著しく不足をしていたのじゃないか、こう言わざるを得ません。両審議会答申の経緯並びに関係者理解と合意を得るための政府の基本的な考え方をお伺いしたいと思います。
  193. 保田博

    政府委員保田博君) 共済年金制度につきましては、実はかなり古くからその将来が危惧されておったわけでございますが、その発端となりましたのは、昭和四十八年に年金制度についてスライド制が導入されたということが発端であったわけでございます。そういうことで、国共審におきましては懇談会等を設けまして、将来の共済年金財政の健全性を維持するためにはいかがあるべきかということについていろいろ御議論がなされておりたわけでございます。  ところが、その後、昭和五十年代に入りますと国鉄共済組合財政問題が急速に顕在化してまいったわけでございます。そこで、その国鉄共済組合に対しましては、国鉄の御当局におきまして他の共済組合よりも大幅な財源率の引き上げ、言いかえれば保険料率の引き上げについての御努力をなさいましたし、さらには追加費用繰り入れ方式の変更でございますとか、過去の繰り入れ不足分の集中的繰り入れの措置といったようなことを構じられまして年金財政の収支均衡に御努力をなさったわけでございます。しかしながら、これらの措置だけではどうしてもやはり抜本的な解決にはならないということが次第に判明することになりました。  そこで、昭和五十三年から国鉄におきましては国鉄共済組合年金財政安定化のための研究会が設けられ、それから運輸省におきましては同鉄共済年金問題懇談会が設けられまして、将来の抜本策につきましていろいろ御検討が進められてまいったわけでございます。その結果、国鉄共済単独での対応には限りがある、共済年金制度全体の関連から検討が必要であるという御結論が得られたようでございます。  このような事情を背景としまして、大蔵省としましても、関鉄問題が大きな発端になったわけでございますけれども、先ほど申し上げましたような年金についてのスライド制の導入といったようなことから共済年金制度全体の見直し検討作業に取り組んでいくことになったわけであります。昭和五十五年六月、共済年金制度基本問題研究会というのが大蔵大臣の私的諮問機関として設けられることになりました。その後、約二年間にわたりまして四十四回の御検討をいただいたわけでございます。その結果、昨年の七月、国家公務員と公企体職員の両共済年金統合を図るという御意見をちょうだいしたわけであります。また同時に、ほぼ時期を同じくいたしまして、臨調の第三次答申におきまして国鉄共済年金と類似共済制度との統合を図るということが御提案になったわけでございます。  政府といたしましては、これらの研究会における御意見あるいは臨調における答申趣旨尊重いたしまして、国鉄に対する財政援助の方策並びに国家公務員共済組合と公企体共済組合との統合ということを主たる内容とする今回の統合法案の骨格を定めたわけでございまして、昨年七月以来、この原案をもちまして関係各省、関係共済組合方々と十分なる協議を尽くしたつもりでございます。  その後、国共審にかけられました。国共審では昨年の暮れ以来懇談会を含めまして十回以上の御議論をいただいて御意見をちょうだいし、さらにその上で社会保障制度審議会諮問をして御承知おきのような御答申をいただいたわけでございます。  それで、国共審における審議段階、あるいはそのいただきました御意見、あるいは社会保障制度審議会の御答申にごらんいただきますように、立場によりましていろいろ御議論があったわけでございます。その手続等につきましてわれわれとしては最大限の努力をしたつもりでございますけれども、なお足らざるところがあったという御指摘を受けておりますことは御承知おきのとおりでございます。  しかしながら、そういう御指摘にもかかわらず、今回の統合法案政府としてまとめて国会にお出ししたということは、とりもなおさず現在の共済年金制度財政、特に国鉄共済組合財政状況の逼迫を何としてでも早く解決してあげなければならない、これが崩壊するといったようなことになりますと、わが国の年金制度全体に対する信頼感を失わせてしまうということにもなりかねないということでございまして、何よりもその緊急性が高かったということで御理解をいただきたい、こういうふうに考えております。
  194. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そこで、午前中に同僚委員からも質疑がございましたけれども、この法案によりまして国鉄共済年金のために財政調整を行うことになっているわけですね。五十九年十月がその再計算期に当たるということですけれども大蔵省の試算によりましても、この二重の要因によって来年の十月から各共済組合保険料率が大幅にアップするということを示されております。社会保障制度審議会答申でも、保険料率の引き上げにつきましては「段階的に引き上げるような経過措置を設けるべきである。」、このように出ておりますけれども、私もそのようにすべきだと思っていますが、大蔵大臣、どのようにお考えでしょうか。また修正率〇・九につきましても、これは従来の経緯からいっても私は再考を求めたい。そのように考えておりますが、その点はどうでしょうか。
  195. 保田博

    政府委員保田博君) 先生指摘のように、来年の十月が国共済等の財政計算の時期に当たっておるわけでございます。先生指摘のように、またその際には財源率の大幅な引き上げ、平たく言いますと保険料率の大幅な引き上げを回避することは不可能であろう、こういうふうに考えるわけでございますが、午前中にも御答弁申し上げましたが、その際に財源率ないしは保険料率の引き上げの要因として考えられるものが大別して三つあるわけであります。もちろん、財政計算の中身、それから国鉄に対する財政援助の中身は、今後それぞれ保険料率の算定委員会とかあるいは財政調整事業運営委員会で御検討いただくわけでございますから、現在私たちがその数字を具体的にお示しするわけにはまいりませんが、一応本法案作成いたします際に、関係者の御勉強の便宜のため、あるいはさらには法案の御審議をいただくための御便宜のために作成いたしました、先生御承知のようなごく粗っぽい大蔵省の試算というものがあるわけでございます。  それに基づいて御説明をいたしますと、来年度の保険料率のアップの要因の第一は、前回の財政計算期以後ベースアップが行われております。給与は引き上げられ、年金についてもベースアップが行われるということによりまして、そのことが連合会なり公企体の各共済組合財政事情に対して当然大きな需要を呼び起こすわけでございます。と同時に、また前回の財政計算のときには標準的な財源率に対しまして修正率〇・八というものを乗じたわけでございまして、この〇・八を乗じますことによりまして将来の年金財政に大きな穴があいておるわけでございます。その穴埋めをしなければならない。そういうことでございまして、その二つの要因からいわば連合会、公企体共済のそれぞれの組合の財政を将来にわたって健全に保つために必要な保険料率の引き上げがあるわけでございます。これが第一。  それから第二は、先生指摘のように、先ほど来議論の対象になっております大蔵省の粗い試算では修正率を〇・八から〇・九に引き上げておる。それに伴う保険料率の引き上げもかなりの数字になろうかと思います。これはそういう修正率を引き上げるというと結局保険料率のアップ率が大きくなるということなんでございますが、それをなぜわれわれはその粗い試算の中に織り込んだかということでございますが、これについてはごく簡単に御説明をいたしますと、本来ならば将来の保険給付の財源は被保険者から徴収される保険料とその運用収入をもとにして標準的な給付を将来にわたってずっと確保できるというそういう保険料率であるべきなのでございますが、わが国の各年金制度では、そういった平準保険料率をまるまるとるということは実はしていないわけでございまして、共済年金の場合にはそれが〇・八に現在なっておるわけでございます。しかし、その〇・八にとどめておるということは、現役の皆さんの保険料率をそれだけ安くしておるわけでございますけれども、将来の年金給付の財源をそれだけ乏しくしておるということなのであります。  その結果、国共済に例をとりますと、たしか昭和八十二年ぐらいには保険料率をかなり引き上げるとしましても現在持っております積立金を全部使い尽くして賦課方式に移行せざるを得ないという状況になっておるわけでございます。その賦課方式に移行せざるを得ない時期というのは、年金制度財政といった観点から申しますと、その時期がまたわが国の高齢化が非常に進行する、現実に保険料を納められる現役の方々に対してOBが非常にふえるというその時期でありまして、いわばその将来の現役の労働者、勤労者は保険料を納めて、それが自分たちの将来の年金財源になるということではなくて、まるまるその時期のOBの年金のためのお金を払っていかなきゃならぬ、そういう時期でもあるわけです。そして、現役に対するOBの割合が非常に大きくなって、そのための年金保険料負担が非常に大きくなるという時期でもあるわけでございます。現在の現役の勤労者なり労働者保険料率を安くするということは、二重の意味におきまして後世代に対してアンバランスな負担を残すということにもなるわけでございまして、そういう意味ではわれわれとしては修正率というのはできるだけ高い方がいい、余り大きな修正をしない方がいい、そういうふうに考えておるわけでございます。  第三に、その保険料率引き上げの要因として考えられますのが、国鉄共済組合に対する拠出金を賄うための保険料の引き上げでございます。  いずれにつきましても、先ほど来申し上げましたように、今後、財政計算を実際に行う際、あるいは国鉄に対する救済の問題につきましては、長期給付財政の調整のための運営委員会で御審議をいただくわけでございますけれども、先ほど来申し上げました三つの要因のうち大きなものは前二者でございまして、連合会なり公企体の共済組合の将来の年金財政健全化するという観点、それから後世代と現代の世代との年金負担のバランスをできるだけ公平に維持したい、こういう観点からの引き上げ、そういうふうに御理解をいただきたいと思っております。
  196. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いまいろいろと説明していただきましたけれども、やはり急激な負担増ということを回避することも必要じゃないかと思います。また、共済組合の自主性を尊重する上からも、この財政計算期は当面、私たちとしては従来の時期を踏襲してもらいたい、こういうふうに思うわけです。来年十月に改定するのは国共済連合会のみにとどめて、電電または専売については昭和六十一年の四月からすることを検討すべきじゃないか。少なくとも電電及び専売共済の自由にこれはゆだねるべきじゃないか、このように思いますが、その点どうでしょうか。
  197. 保田博

    政府委員保田博君) 先ほど来、この次の財政計算期には保険料率の大幅な引き上げが不可避であるということを申し上げました。その非常に大きな部分は、将来の年金財政の健全性を保つため、それからもう一つは後世代との年金保険料負担の公平を図るためということでございますが、先生指摘のように、現実の問題としますと、そのわれわれの粗い試算によりますと保険料率のアップは非常に高いものになるわけでございまして、現役の皆様方がそれではとても負担し切れないよという声もあるやに聞いておりますので、この点につきましては、今後なお財政計算を実際に実施いたすまでの間、あるいは財政調整運営委員会国鉄に対する救済策を御検討いただくまでの間にわれわれとしてもいろいろな声を聞きながら、上げたいという要請、それから現実に負担し切れないよという要請のバランスを考えさせていただきたいと考えます。  それから、三公社等について財政計算の時期を一年半繰り上げるのはいかがか、こういう御指摘でございますけれども財政計算というものの意義は、実は大別して二つあるわけでございます。  一つは、保険料の計算上さまざまな前提条件を置いておるわけであります。たとえば死亡率でございますとか、退職率あるいは給与の指数といったようなものでございますけれども、これが前回の財政計算の後いろいろ変化をいたしますならば、これは将来の年金財政を健全に維持するためにしかるべき時期には見直しをしなければならない。これは当然のことでございまして、そのしかるべき時期は少なくとも五年以内に行わなければならないというのが国共済法上決められておるわけでございます。国鉄とか電電、専売につきましては法律上の規定はございませんけれども、国共済の例にならいまして五年ごとに原則としてその再計算が行われておるわけでございます。  先生御承知のように、今回の統合法案によりまして国共済と公企体共済統合が行われるわけでございまして、その際には給付面において相当大幅な改正も行われるということでございます。財政計算は、先ほど申し上げましたような定例的な再計算のほかに、ただいま申し上げましたような大幅な制度改正が行われるということになりますと、それを織り込んだ財政計算を行うというのがこれまた従来の慣例でもございます。国共済について来年の十月に再計算が行われるわけでございますし、本法案が成立いたしますならば、公企体の共済組合につきまして給付要件あるいは給付の算定方式等についてもかなり大幅な改正が行われるわけでございますので、同一の法律の共済制度といたしますと、時期を同じくして来年の十月には財政計算を実施していただきたい、そういうふうに考えておるわけでございます。
  198. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 大蔵省の試算によりますと、五十九年十月からの保険料率の予想というのは国共済及び電電が一七〇程度、専売が一九四程度、国鉄が二〇二程度と、こういうふうになっていますけれども、現行の保険料率との引き上げ幅を見ますと、国共済と電電が六三、専売が七八、それに対しまして助けられる側の国鉄はわずか二七と、こういうふうになっているわけですけれども、五十七年度を見ましても、仲裁裁定は実施されておりますけれども、助ける側の五十七年度の人事院勧告はこれは見送りとされた点でいろいろな感情論もそこにありますし、これは何も国鉄保険料率の引き上げ幅が少ない、そう言って国鉄を責めるわけではないんですけれども関係者の十分な理解と合意を示せるよう、ことしの昭和五十八年度の人事院勧告、これを完全実施するのが筋道じゃなかったかと思うんです。そうすることによって助ける側と助けられる側との整合性も図ることができるのじゃないかと、このように思うわけですけれども、給与は年金制度と直接の関係はないという皆さん方の答弁というのは許されないと思うんです。大蔵大臣、どのようにお考えでしょうか。
  199. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 今回のこの統合法案公的年金制度の再編統合の一環であるというところから、共済年金制度上の問題でありますという意味においては給与改定とは直接関係はないというふうに考えられるわけであります。  そこで、いまおっしゃった意味を判読いたしますと、たとえば公務員給与は、今年の場合は厳しい財政事情の中に、経済情勢、国民世論等を総合的に勘案して四月一日から平均二%の改定を行うと、こういうことで給与法の御審議をお願いしているわけですが、いまの御質問の中で見ますと、たとえば仲裁裁定といたしますと、これはいまの国会の判断がどうなるかということはまだ決まっていないから外に置くといたしまして、いままで言ってみれば全部が一括して付議された場合、これは俗に言う完全実施の議決になっております、先例からすれば。そうすると、そこに本給においては各公社それぞれ差がつかない。が、別の問題におきまして、給与全体であるいわゆる期末手当の関係では最初が〇・〇一と〇・一でございましたか、そういうことから発しまして今度で三年目になりますか、そういうようないろいろな、これは当事者間でお決めになることでございますけれども、そういう結果が出ておる。そうしますと、各公共企業体である種の差がついておるということ。それが今度は公務員の場合は、昨年の場合見送ったわけでございますから、さらに差がついておる。そういう本来的な給与のあり方からして個個がある種の矛盾を感ずるということは私もあるだろうと思います、率直に言って。  でございますが、今回のこの法律自体の問題とは直ちにこの給与問題が関係しておるわけではないわけでございますので、本来的には財政改革を行い、そして各公企体が、将来の姿は別といたしまして、それぞれ健全な財務内容を持つようになって、感情論というと少し非札に当たるかとも思いますが、そうしたもろもろのうやむやな気分とでも申しましょうか、そういうことがないことが私も好ましいと思っております。お説を判読した場合の私の気持ちの上では理解できる話であります。
  200. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 関係者理解と合意につきましては今後の問題がありますので申し上げておきますけれども、この法律案公的年金制度の再編統合の第一段階、このように位置づけられておるわけでございますけれども、そうなりますと、当然近近第二段階改正が予想されるということですが、その際に今回のこの国家公務員共済組合審議会に見られるような審議のごたごたを起こしてはならないと、そのように思いますし、次回のそういった第二段階改正に当たりましては、事前、事後、いずれも関係者の十分な理解と合意を得ることがいまから必要とされるのじゃないか、このように思います。その点について、大蔵大臣から次回には万遺漏なきことをお約束していただきたい、このように思うんですけれども
  201. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 確かに答申いただきます際に、私も感心して見ておりましたが、まず国共審におかれて——国共審というのはいままでは同家公務日共済審議会でありますが、そういう立場にありながらも三公社等の労使双方をたびたびお呼びになりまして、それも運営を見ておりますと呼びつけたという感じが全くなく、もともとから同じ審議会のメンバーであったような雰囲気でたびたび懇談会が持たれておりました。しかし、その回数はたびたびでございましたが、ときに意見の対立もありましたりして、結果として先ほど来申し上げておりますような中間経過を略記して答申にかえる、こういうようなことになったわけです。  私の読み取りましたのは、再三申し上げるように、とは言え、いわゆる連帯という問題が、急ぐだろうから中間経過を略記して答申にかえてやろうというところまでの最大公約数となったのはやっぱり連帯の精神じゃなかったかなと、こういう気持ちで私なりに感じておったわけであります。したがって、この種の問題、これは歴史的経過からございまして、それはきちんとようかんを切ったような形で整理できない問題がたくさんございます。が、私は運営がスムーズに行われるように、またわれわれにできる可能性があるとしたら、そういう環境に対して政策当局は政策当局としての態度で対応していかなきゃならぬのかなと、こういうふうに考えております。
  202. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 臨時の第三次答申は、三公社の民営化を指摘するとともに、国共済と公企体共済統合並びに「統合後の共済制度は、三公社の経営形態変更後も、当分の間継続する。」こととしているわけです。また、共済年金制度基本問題研究会の意見は、「経営形態の変更にかかわりなく、当面共済年金制度の適用を続け、かつ、合併を行っていくのが現実的な方策ではないかと考える。」、このようにしているわけです。  そこで、臨調答申趣旨に沿って、現政府は電電を初め専売や国鉄についても経営形態についての検討をされているようでありますけれども、一応の成案がまとまって次期通常国会には、また選挙後の特別国会、それはちょっとわかりませんけれども提出されるかもしれぬとも言われておりますけれども、今回の法案によりますと、公企体共済法はこれは廃止してしまいまして、現在の三公社の職員は国共済法が適用されることになっておりますけれども、電電なり専売公社の経営形態が仮に特殊会社になっても、その特殊会社の職員にはこの国家公務員共済組合法を引き続き適用させるのか、それとも厚生年金制度を適用させるのか。その点、大蔵省はどのように考えておりますか。
  203. 保田博

    政府委員保田博君) 各種年金制度の適用区分と経営形態というのは必ずしも現在明確に一致をしているわけではないわけでございます。ただ、原則として民間部門の被用者には厚生年金、公共部門の被用者には共済年金が適用されるというのが非常に多くの例でございますが、冒頭申し上げましたように例外もあるわけでございまして、年金制度には非常に古い歴史や沿革がございますので、公共部門でも公団、公庫等では厚生年金が適用されております。民間部門でも、私立学校でありますとか農林漁業団体には共済年金が適用されておるということでございます。  厚生年金共済年金というものを比べてみますと、給付の要件等が非常に大きく異なっておりますし、この非常に大きなグループを厚生年金から共済年金に、あるいは共済年金から厚生年金に移すという場合には、それぞれの年金資金の積立金を実際どう扱うのがいいのか、あるいは給付の評価をどうするのがいいかといったような、非常に現実問題としては解決のむずかしい問題が実はあるわけでございます。  そういう面につきまして御専門の皆様方の御意見も聞きました結果、今後仮に三公社の経営形態が変更されるといったような場合でも、公的年金制度全体の再編統合が完了するまでの間は引き続き共済組合制度の適用を継続していくことが現実的であり適当であるというふうに考えておりまして、先生先ほど御指摘のような臨調の答申とか共済年金制度基本問題研究会の御意見もそういうことになっておるわけでございます。政府としては、今回の統合法案でも、そういうつもりで統合法案内容を検討し確定をして国会に御提出をしたと、こういうことでございます。
  204. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 アルコール専売が民営化されたときは厚生年金の適用に移行したということも言われておりますけれども、臨調答申では三公社の経営形態変更後も当分の間は共済年金制度を適用させるべきだと、こうしているわけです。しかし、わが国の現在の年金体系から見ると、民間には厚生年金制度を適用するのがこれが原則じゃないか、このようにも言われております。  そこで、電電公社の一部分だけの経営形態、仮に特殊会社、現在のKDDのようなものに変わった場合でも共済制度は適用されるんでしょうか。
  205. 保田博

    政府委員保田博君) 電電公社が例として引かれておるわけでございますが、電電公社の経営形態が今後どういうふうなものになるのか、われわれも正確には了知していないわけでございますけれども、少なくとも昭和七十年の公的年金の再編統合の時期までは現在の国共済に残っていただくことが、結局被保険者の方々にとりましても結果的にはいいことであろうと思うわけです。仮に民間移行の段階でも卒業生等が、共済から厚生年金に移ってしまうということでございますと、その将来のための給付の財源は現在電電公社の共済組合が持っている積立資産しかないわけです。現役の方々が厚生年金に行ってしまいますと、その方方の保険料というのは厚生年金の方へ積み立てられるわけです。したがって、OBの方々の受け取られる年金資金の財源というのはしかるべき段階で残っている年金資金しかないわけです。それを使い尽くしますともはや年金給付のための財源がないといったようなことにもなりかねないわけでして、そういうことを考えますと、電電公社が民間に経営形態を変更したからといって共済年金制度から厚生年金制度へ適用を変えるということは必ずしも組合員のためにならないのではないか、こういうふうに考えておるわけであります。
  206. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 電電公社の経営形態は、今後どうなるかまだわからない点があります。臨調答申にもありますように、たとえそういう特殊会社になったとしても、これは合理化をやっていかなきゃならないということが迫られているわけですけれども、これからも電電としては新規事業に進出をしていく面もあろうかと思うんですが、その点、電電はどのように考えましょうか。
  207. 中原道朗

    説明員(中原道朗君) 電電公社の経営形態を改める法案につきましては、政府におかれまして現在御検討中であるというふうに承知しておりますが、新たな経営形態下におきまして、先生指摘のような事態というものが生じることはあり得ようかというふうに想定はいたしております。これがスムーズに推移し、機能するには年金が同一制度上にあるということが私ども必須ではなかろうかと考えております。また、あえて年金制度を異にするものとしましたならば、この適用いかんによりまして、組合員の異常減少等によりまして共済組合年金財政は急速に悪化する。また、その一方、移籍あるいは出向、いろいろ形はございましょうけれども、その職員等は共済組合の強制脱退というようなことによる不利益を余儀なくされようかと案じております。したがって、私どもといたしましては、新しい経営形態とそれから共済年金制度との間に多分発生するであろう種々の矛盾点につきましては、どうしても必要な措置を事前に構じていただきたいものであるというふうに考えておるところでございます。
  208. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 まだこれは現実化した問題でないもので、明快な答弁は期待されませんけれども厚生省としてはどう考えますか。
  209. 古賀章介

    政府委員古賀章介君) わが国の公的年金制度では、先ほど来お話がございますように、職域に応じて加入する制度が定まっておるわけでございまして、民間被用者は原則として厚生年金保険を適用するのがたてまえでございます。民間部門で共済制度をとっておるところがあることは先ほどお話があったとおりでございます。しかしながら、今後仮に公社の経営形態が民営になった場合におきましてその適用制度をどうするかということにつきましては、原則厚生年金であるけれどもやはり政策的な選択の余地があるであろうというふうに考えておりまして、引き続き共済組合としての適用を継続していくのも一つの対応の仕方であろうということを考えております。  それから、子会社を設けた場合の年金適用の問題でございますけれども、本件につきましてのいままでの経緯、行政改革趣旨などを考慮いたしますれば、原則論だけを貫くことだけでは問題解決にはならないのではないかという認識を持っております。
  210. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは、国鉄共済年金の悪化の原因とこれまで国鉄共済組合が自主的に行ってきた保険料率の引き上げの努力、これについて御説明願いたいと思います。
  211. 岩崎雄一

    説明員(岩崎雄一君) 国鉄年金財政が非常に悪化をいたしましたのは、石油ショック後の非常に大幅な年金改定、ちょうどそのころから退職者がふえてまいりました、五十年代に入ってからのことでございますが。その後、これに対する対策といたしまして、五十一年四月以降四回の保険料の財源率の引き上げをやっておりますほか、先ほどもお話しいたしましたが、国鉄の追加費用の繰り入れ方式の変更等による財源確保策を構じていろいろとやってまいったわけでありますが、遺憾なから財政悪化のテンポがそれらの措置を上回って今日の事態を招いたと、こういうことでございます。  この原因がどういうところにあるかということにつきまして、基本的には、先ほど来話が出ておりますが、給付と負担というものが必ずしもバランスしていないというところに根本的な原因があろうかというように存じますが、これは各年金とも共通の問題だと思いますが、国鉄の固有の原因といたしましては、輸送構造の変化に伴いまして国鉄本体の減量化施策を現在進めておりますが、それによりまして現職の組合員数が非常に減少してきておる。一方で戦中戦後に、これは国鉄はそのときまさに国そのものであったわけでありますが、復員者等を含めまして当時の雇用政策を積極的に推進した。そのことによりまして団塊年齢層ができたわけでありますが、それがちょうどいま退職時期を迎えておる。国鉄で平均いたしますと一年大体一万人ちょっとぐらいというのが平均の退職人員数、計算上の数字なんでありますが、現在二万数千名の退職がここのところ続いておる。その人たちがほとんど年金受給者になる。そういうことによる年金費の増高ということが大きな影響を与えておるわけであります。かてて加えまして、この年金制度国鉄の一事業内の制度でありますので、いま申し上げましたような構造的変化というものがなかなか吸収し切れなかった、ストレートにそういう構造的変化が年金財政に影響を及ぼした、そして支払い側である分母がやせ細り、受け取り側の分子が非常にふえた、こういうことが今日国鉄が非常に早く年金財政が破綻する原因ではなかったかと、こういうように考えております。  いままでどういう努力をしてきたのかという御質問があったかと思いますが、先ほど申し上げましたように、保険料の引き上げ、それから国鉄の本体の共済組合に対する繰り入れ負担増というような施策を数回にわたってとってきておるわけでございますけれども、このままいきますと六十年度には単独運営がきわめて困難な状況になるということでございます。そういう財源確保策を構ずる一方で、先ほどもちょっとお話が出たかと思いますが、五十三年四月に国鉄の中に研究会を設置いたしまして、近い将来に破綻が予測されるこの財政をいかにして再建すればいいのかということを諮問いたしておりますが、五十五年五月にその結論として統合一元化という答えが出されたわけでありますが、こういう趣旨にのっとりまして関係各方面にその実現方をお願いしてきたと、こういうような経過を経ております。  それから、今後今回の施策によりお助けをいただくわけでありますが、他共済には財調という形で資金援助をいただくわけでございまして、大変心苦しく思っておる次第でございますが、状況はただいま申し上げたような次第でございますので、何とぞ、ひとつ御救済の手を差し伸べていただきたい、このように切望しておる次第でございます。
  212. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 国鉄年金の悪化の原因につきましてはいろいろありますけれども、その主たる原因を何に求めるかは立場によってこれは異なってくると思うんです。政府は、主として国鉄共済が小単位であることと給付水準に見合った負担が行われていなかったことを挙げておられますけれども、私はそれを主たる原因とすることは非常に酷ではないかと思います。国の雇用政策としての国鉄への大量採用がありましたし、及び昨今の合理化あるいはいま挙げられました大幅な輸送構造の変化、常に他共済より高い保険料率の負担等は、これは国鉄年金考える上で決して見逃すことのできない問題じゃないかと思うんです。公企体共済法は国鉄とともに電電、専売にも適用されておりますけれども国鉄年金のみ二公社と分離して給付水準を下げることは現実問題として許されるわけはないと思うんです。受給者から見れば電電、専売と同一の給付を受けているにすぎないわけでございます。共済年金社会保険制度ですから保険料で賄うべきであるという原則のみを強調する政府答弁というのは、実態を無視したこれはたてまえ答弁じゃないかと思うんです。私は、国鉄年金悪化の一端は政府にもあることをこの際率直に認めて、その上でできることとできないことを明確にして財政調整等をお願いするのが筋じゃないかと思うわけです。そういった点で、国鉄年金悪化に対する国の責任について大蔵大臣の率直な所見を承りたいと思うんです。
  213. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 国鉄共済そのものの問題につきましては、いまお答えがあっておりました。政府自体として考えてみましても、確かにちょうど私どもの年配が一番その多い対象になったわけでありますけれども、当時、雇用政策としてそれなりに大きな意義を果たされたと思います。それがちょうどいま私も要するに退職年齢に達しておるわけであります。したがって、そういうことが一つの要因になっておるということもわかりますが、基本的には大体、これは一企業の年金保険集団で運営してきたために産業構造の変化に適切に対応し得なかったということが主因でありて、そうしてこの問題は国鉄のみならずわが国の公的年金制度がそれぞれ抱えている問題であると思います。  国鉄そのものの年金制度を別として、包含した問題としましては、私は確かにそれなりの意義を果たしてこられたし、たしか昭和三十九年ぐらいまで——ちょうど三十九年に佐藤内閣ができまして、私、内閣官房副長官にそのときなりまして、国鉄出身の人が総理大臣になったら途端に赤字になりましたという話を、これは思い出話として持っておるわけです。その後、産業構造の変化にどう対応していくかということに対しては、国鉄そのものの私はそれなりの労使ともの努力はあったと思います。それに対してもっと前からいろいろ考えましたものの、それに対応する言ってみればタイミングがおくれたのではないかと言われれば、私はその指摘はこれは決して国鉄労使だけに負わすべきものでもなく、政府全体としてもその責任は背負うべきものであるという姿勢に立って、労使双方のやり方が悪かっただけを追及するような考えは全くございません。
  214. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それで、従来からこれは各方面からも指摘されているわけですけれども、この国鉄共済年金につきましては、国の社会保険の代行部分、あるいは国の戦後処理政策の代行部分、こういう部分については国の財源負担を検討すべきであると、そのように言われておりますし、私もそのように思うわけです。特に、軍人及び満鉄等の外国特殊法人等の期間に対する長期給付額に相当する部分につきましては、これは元来国が財源措置をすべき性格のものでありますから、これは何らかの措置を要望したい。また、その財源措置を行ったとしても決して国鉄年金だけに対するこれは特別な助成とは言えない、このように思うわけです。年金問題を国鉄再建の桎梏としないためにも、その点について大蔵大臣はどのようにお考えでしょうか。
  215. 保田博

    政府委員保田博君) 社会保障制度の分野におきまする国庫負担のあり方については、立場により人によりさまざまな御意見があることは先生御承知おきのとおりでございますが、実は昭和三十七年に社会保障制度審議会総理大臣答申・勧告を出しておられます。そこで審議会としての御意見をちょうだいしておるわけでございます。  社会保障制度の分野におきまする国庫、結局租税財源の配分のすべき第一は、貧困階層に対する公的扶助が最優先である。平たく言いますと生活保護階層に対する補助がこれがまず第一だと、こういうことであります。その次が、低所得階層に対する社会福祉対策、最貧階層ではないですけれども、自分たちだけではなかなか健康で文化的な生活を営むことができない階層に対する福祉施策がその第二のグループである。それから第三に、そういう対象が特定の階層に限定されるわけではありませんけれども、事業の性格からして租税をもってしか賄うことができない公衆衛生の分野、これが第三である。現在、問題になっておりまする年金制度は、医療保険制度とともにいわば社会保険で必要財源を基本的に賄っていくべきである、こういうふうな御答申をいただいているわけでございます。  その基本的な考え方は何かと申しますと、こういう最貧階層ではない、その上のいわゆる低所得階層ではない、そういうグループの方々というのは、本来自力で通常の生活を営める一般所得階層であるわけであります。それらの方々が病気にかかるとか、あるいは年をとりまして現役を引退し稼得能力がなくなった場合に必要な所得保障をどうするかという年金制度の問題が起きた場合に、そういうような、保険制度で言えば事故といったような場合に備えて相互扶助の精神に基づき社会的集団的な方法で対処する、これが社会保険制度であると、こういうふうに考えておられるようでございます。したがいまして、一般的な所得階層の社会保険制度に対する国庫の負担というのは、最貧階層とかあるいは低所得階層に対する施策のように国費あるいは公費を財源とするよりも、目的税的な保険料を拠出していただくことによってその財源を賄うことが原則である、こういうふうな基本的な考え方に立っておられるようでございます。  われわれも、そういうお考えも大変尊重するというかっこうで実は財政運営に当たっておるわけでございますが、社会保障社会保険、年金の分野におきまする国庫負担というのはそういう意味で非常に限定的に考えるべきである。ただ、その年金制度を最低限維持することのできないような方々に対するいわば限定的な補助制度ということがやはり一つ考え方としてはあるのではないかと、こういうふうに考えておるわけであります。
  216. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 社会保障制度審議会答申については同僚の委員からもいろいろと質疑が行われてきましたが、やはりこの答申にありますように、今回の諮問公的年金制度の再編統合の第一段階として位置づけることについてははなはだ理解に苦しむということでございます。私どももそのように思いますが、やはり第一段階と言う以上は、早く全体的な将来展望というものを示す必要があろうと思います。新行革大綱では昭和五十八年度末までにその成案を得ることとしておりますけれども、そこで給付と負担問題を中心に、政府の基本的な考え方並びに現在の成案策定作業はどのような進行状態にあるのか、それを説明してもらいたいと思います。
  217. 古賀章介

    政府委員古賀章介君) 先生のいま御指摘になりました五十八年度末までに得るところの成案、これは現在、関係各省間で協議を進めておるところでございます。先ほども申しましたように、やはり公的年金制度の九割を占めますところの厚生年金国民年金、船員保険、これの改革というものを五十九年に行うべく現在準備を進めておるわけでございます。その内容が固まりますれば、その改革趣旨に沿って共済年金関係整理を行う、しかも、それは六十一年までに行うということになっておりますので、厚年、国年、船保の改革案が固まりましたとき以降来年の三月までの間に成案を得ると、こういうことになろうかと思うわけでございます。
  218. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 どの程度までいま進んでいますか。
  219. 古賀章介

    政府委員古賀章介君) それで、厚生年金国民年金等の改正案につきましてはできるだけ早く成案を得る、しかる後に関係審議会諮問をするということで鋭意現在努力を重ねておるところでございます。間もなくその成案を得て、諮問をいたし、答申を得て、来年の通常国会には法案提出すると、こういうことになるわけでございます。厚生省案をできるだけ早くまとめて諮問をいたしたいと、こういうことで努力をいたしているところでございます。
  220. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 なかなか五十八年度末までにはむずかしいのじゃないかという話がありますけれども、その点は大丈夫ですか。  次に、この法律案に対して本会議で質疑がありましたけれども、そこでわが党の同僚議員は、福祉社会トータルプランで公表しました国民基本年金構想と政府の一元化構想との関係をただしているわけです。私は、日本国民すべてを一つ年金制度で律する年金一元化というのは現実的ではないと思いますし、これはやろうとしてもなかなかできないことじゃないかと思うんです。実際的に行われる可能性のあるのは、これは手前みそではございませんけれども、わが党の年金構想または制度間の財政調整じゃないかと思うんですが、中曽根総理も、この年金構想に対しまして見直しの過程で十分検討していきたいと、このように答弁しておりますけれども、その点、われわれの提示しております年金構想及び統合一元化のあり方について、厚生省及び大蔵大臣はどのようにお考えでしょうか。
  221. 古賀章介

    政府委員古賀章介君) いま作業を進めておりますところの厚生年金国民年金改正案をつくります際の一番大きな問題の一つが、やはり公的年金制度の一元化と申しますか、それの再編統合観点に立っていかにこの体系を整えていくかということでございます。  それで、昨年七月の臨調答申におきましても、全国民を基礎とする統一的制度により、基礎的年金を公平に国民保障することを目標としながら改革を進めるという指摘がございますし、七月の社会保険審議会意見書におきましても、各制度に共通する給付を導入するという考え方のもとに、全体として整合性のとれた制度とすることという指摘をいただいております。これは基礎的年金を導入するということを述べたものであるというふうに理解しております。基礎的年金の上に各制度独自の給付を上乗せするという、いわゆる二階建て方式というものを意見書は示唆したものというふうに受けとめておるわけでございまして、私どもはこの意見書を十分尊重して案をつくっておるところでございます。  先生のいまおっしゃいました、公明党のすでに御提唱になっております年金構想、これもこういう基礎的な年金の上に上積みするということでございますので、そういう意味におきましては、この意見書の考え方も似通った共通の意識を持っておるというふうに考えられるわけでございます。
  222. 保田博

    政府委員保田博君) 年金改革構想の具体的な中身につきましては、必ずしも公明党の二階建て年金構想と一致しない部分があるいはあるかもしれませんが、基本的な部分についての政府態度ということでございますれば、ただいま厚生省当局から御答弁したとおりでございまして、われわれとしても公明党の構想を念頭に置きながら、厚生省当局といかにりっぱな年金改革構想をつくるかということについて協議を進めてまいりたいと、こういうふうに考えております。
  223. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それから、この法案によって公企体の共済法は国共済法に統合されることになるわけですけれども統合法本来の趣旨給付水準の同一化にあるわけですから、三公社職員に懲戒等による給付制限を公務員と同一にすることはこれは不適当ではないか、このように思うわけです。まして厚年法と公企体を統合するようになれば、もともと給付制限ないわけですから、関係政令を定めるに当たりましては、この点特段の配慮をすべき必要があるのじゃないか、このように思いますが、その点どうですか。
  224. 保田博

    政府委員保田博君) 現在の共済年金制度は、いわば二つの側面を持っておるわけでございます。一つは、当然のことながら公的年金制度の一環としまして、老後の所得保障を行うという社会保障制度の一環としての側面でございます。と同時に、他方で公務あるいは公企体の業務の円滑公正な運営に資するという国家公務員制度または公共企業体制度の一環でもある、そういう側面も兼ね備えておるわけでございます。したがいまして、国の行政または公企体の企業経営の円滑公正な運営に資する目的と相入れないような職員の法令違反行為、そういったようなものがあるといたしますと、従来から一定の給付制限を行うということが行われてまいったわけでございまして、その基本的な態度につきましては、今回の統合法案におきましても特段の変更を予定しておるものではございません。  ただ、公企体職員については、従来の公企体共済法という同一の法律の適用を受けてはおりましても、共済制度の上では各公社ともいわば独立の長期給付、財政運営を行ってきたわけでございますが、今回の統合法案によりまして、少なくとも本則におきましては全く同一の給付条件に基づきまして長期給付事業を行うということでございます。したがいまして、同一の年金制度のもとにある国家公務員ないしは公企体の職員につきましては、先ほど来申し上げましたような給付の制限といったような点につきましても、できればこれは統一できることが基本的には私は望ましいものであろうと思うわけでございます。ただ、職場におきましては、いろいろその特殊性もございましょうし、それぞれ労働慣行として、その他の慣行としていろいろな差異が行われていたということも事実でございます。これらの点につきましては、先ほど来申し上げましたような制度目的、それから法令違反行為の態様といったようなことを考えながら、今後国共審等におきまする御審議をいただきながら政府として検討をしてまいりたいと、こういうふうに考えております。
  225. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 もう一つ、ちょっと公企体共済統合に当たりまして配慮をしてもらいたい問題があるわけですけれども、この共済年金には企業年金部分が含まれているということで、企業年金そのものを共済制度で設立することはできないんです。しかし、公企体を厚年へ移行させるなら企業年金を設立できるわけですから、そういうような組合が存在する場合には、七十年一元化までの過程においてどういう年金制度をつくっていくかということも今後検討を加えていかなきゃならない。たとえば五年後にそういう問題について再検討をしていくとか、そういうこともこれは必要になろうかと思うんですが、その点についての大蔵省あるいは電電公社の所見を伺いたいと思います。
  226. 保田博

    政府委員保田博君) 電電公社の例でございますが、公社の形態が民間に移行するといったような場合にも共済年金制度に残っていただくことが職員のためにもいいのではないかということは先ほど来申し上げてきたわけでございますが、その共済年金制度には、さきほどから申し上げてありますように、社会保障的な側面といわば職域年金的な側面があるということを申し上げてきたわけでございます。公企体の職員につきましても、あるいは国共済の職員につきましても、現在の年金額、給付の水準というものについてはその職域的な観点も加味して現在の給付水準が設定されておるというふうに御理解をいただきたいと思うわけでございます。  今後、公的年金制度全体の改革が進められていくわけでございますが、基本的には、今年度中ということを目標として、厚生省を中心とした厚生年金国民年金等の改革具体案ができた段階共済年金制度についての関係制度考えなきゃいかぬということになると思います。したがいまして、現在の段階で職域年金的なものをどうするかといったことについて明確な見通しないしは具体案を持ち合わせておるわけではございませんけれども年金制度全体の二階建て構想あるいは三階建て構想といったものもあるかもしれませんが、そういうものが具体的に進んでいく段階までは少なくとも現在の職域年金的なものにさらに上積みをするということはなかなかむずかしいことではないかと、こういうふうに考えております。それは、将来の問題としてはあるいは考えられるかもしれません。
  227. 中原道朗

    説明員(中原道朗君) ただいま大蔵御当局から御答弁のあったように存じておりますが、企業年金自体を企業あるいは職員の努力によってつくり上げていくということ自体はこれは可能なことなのではないかと思います。ただ、それがふさわしいことであるかどうかということを含めまして、そのときどき持っている年金制度全体との中で考えていかなくちゃいけないことであろうかと思っております。
  228. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 国家公務員共済組合法第一条は同法の目的を定めておりますけれども、本統合法案でも実質的にその目的を継承することとしているわけです。いずれも「相互救済目的とする共済組合制度」と定めておりますけれども、このように定められたのは、その給付が組合員の相互出捐を基本にして、これに国が使用主及び公経済主体としての負担を行うべきことを示していると言われております。したがって、共済組合制度運営に当たりましてはその自主性が最大限度尊重されなければならない。先ほども同僚委員から再三その点が主張されておりましたけれども、私もその点をさらに確認をしておきたいと思います。  そこで、現行の共済法はもとより、本法律案におきましてもその設置が要請されております各種機関は最大限共済組合員の意向が反映されるように運営されなければならないと、このように考えております。いろいろなそこに審議会あるいは評議員会等はございますけれども、いずれもそのことが要請されるわけです。そこで、いわゆる議決機関、これに対しましては組合員の意向を反映させるために必ず加えることにすべきだと私たちも主張したいと思いますが、その点、再度御答弁いただきたいと思います。
  229. 保田博

    政府委員保田博君) 共済組合制度は民主的に能率的に自主的に運営されるべきであるという点については全く同意見でございまして、われわれとしてもその方向で十分努力をさせていただきたいと考えておるわけでございます。  共済組合制度に関しましては、各種諮問機関でございますとか、あるいは審議会、あるいは運営協議会、運営審議会といったような諸制度がございまして、組合員の意向をくみ上げる制度はすでにかなり整備されていると思います。したがいまして、やはり制度はつくられた目的に沿うように民主的に自主的は運営されるように努力することが早道なのではないかと、こういうふうに考えております。
  230. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 この法律案に関しまして大蔵省に確認をしておきますけれども、私ども遺憾に思っていることが一つあるわけですけれども、それは本来、財政調整運営委員会の五カ年計画で定められるような事柄が大蔵試案として、あたかも財政調整運営委員会の追認を期待するかのような形でひとり歩きをしている。財調のための五カ年計画というのは、これは運営委員会が本法律案の規定に基づいて自主的に策定をして、一連の手続を経て大蔵大臣が認可すべきものであると、このように思います。また、その間、大蔵当局等の不当な介入があってはならない、すべて運営委員会での検討、決定に従うべきであると、このように私たちは思いますが、今回の場合は大蔵試案があたかもひとり歩きをしている、その点を非常に遺憾に思うわけですが、その点、どのようにお考えでしょうか。
  231. 保田博

    政府委員保田博君) 先生御懸念の試算は、先ほど来も御答弁申し上げておりますように、この統合法案作成する段階におきまして、関係者のいろんな御検討をいただくための参考資料として、それからまた本国会におきまして御審議をいただく際の手がかりとなるものとして、大蔵省大蔵省なりの素材を材料としてごく粗く試算をいたしたものにすぎないわけでございます。われわれがこの試算をもって、法案成立後構成されまする財政調整事業運営委員会の御検討の方向を拘束するといったつもりはさらさらないわけでございまして、われわれとしては連合会初め各公企体の共済組合が将来とも健全な財政運営が行われるように、かつまた窮迫を告げております国鉄共済組合に対しまして、しかるべき財政援助の具体的な方法が、先ほど申し上げましたような各公企体あるいは連合会の共済組合の健全性を損なわないような方向で案ができるということを期待しておるだけのことでございまして、試算の内容にこだわるものでは決してございません。
  232. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 最後に、大蔵大臣の御意見をお聞きして終わります。
  233. 竹下登

    国務大臣竹下登君) いま保田次長から申し上げましたように、大蔵省という役所、財政当局でございますので、とかく財政主導型の政策展開だというときにはやり玉にも上がるわけでございますけれども、根がみんな、顔を見ておりましてもやさしい顔もしておりますし、そして元来、予算そのものと申しましても、いわば予算編成全体は政府一体の責任で行うべきものでございますので、本委員会等でいまのような具体的な例示を含めて御提示されたというような問題につきましては十分意を体して対応すべきものである。したがって、いろいろな段階において、試算等で私どもがお出ししますものが絶対なるものだというほどおこがましくはございませんので、これからもどしどし御注文をお願いをいたします。
  234. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 終わります。
  235. 高平公友

    委員長高平公友君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十九分散会