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説明員(遠藤哲也君) 先生御
質問のまず第一点でございますけれ
ども、この研究会の設置目的でございますが、実は、国際連合が成立されましてからちょうど三十八年になるわけでございますけれ
ども、その中で、経済とか社会とか、そういった分野ではかなりの成果を見てきているわけでございますが、国連の第一義的な目的である国際の平和と安全につきましては、先生御承知のとおり、安全保障
理事会の拒否権等々によって必ずしも十分動いてないということから、国連の平和
維持機能を何とかして強化しなくちゃいかぬという声が出てきたわけでございます。
それで、昨年の六月にニューヨークで開かれました国連の第二回軍縮特別総会、これにおきまして、当時の鈴木総理大臣が、軍縮の一環として、軍縮を進めていくにはやはり国連の平和
維持機能を強化しなくちゃいかぬ、こういうことも
検討してもらいたい、こういうふうな演説をされまして、たまたまその年、去年の九月でございますけれ
ども、事務総長の
報告にも大体同趣旨のことが出ておるわけでございます。
そこで、こういったようなことを踏まえまして、去年の十二月三日でございますけれ
ども、国連総会で決議が成立しまして、国連の平和
維持機能を強化する必要がある、そのためには、たとえば、どうやったら国連の平和
維持機能が強化できるか有識者の
意見も聞こうじゃないか、こういうふうな決議が、これは全会一致でもって去年の十二月三日に通過したわけでございます。
そこで、日本
政府といたしましても、有識者の
意見を聞いて、どうやったら国連の平和
維持機能が強化されるかというような点から、先ほど申しました、有識者に
お願いして
意見、見解を取りまとめていただくことを依頼したわけでございます。これが研究会の設立目的でございます。
それから、第二番目に先生御
質問の、その研究会のメンバーでございますけれ
ども、七人の方に実は
お願いしたわけでございます。これは、国連問題について非常に精通しておられる有識者という観点から
お願いしたわけでございますけれ
ども、お名前を申し上げますと、緒方先生、それから香西先生——これは京都大学の先生でございますが、小谷先生、それから斎藤先生、それから佐伯先生、波多野先生、それから山室先生の七方に研究会に参加していただくように
お願いいたしまして、それで、ことしの初夏から数カ月にわたりまして討議を重ねてきたわけでございます。
討議の主な中身といたしましては、どうやったら国連平和
維持機能が強化できるかという観点から、先ほど申した国連の平和
維持機能の第一義的な責任者である安全保障
理事会、これは残念ながら余りうまく動いてないわけでございますけれ
ども、どうやったらこれが強化されるかという点、それから、事務総長に対して、事務総長のいま権限と申しますのは非常に漠としておりまして、余りはっきりしてないんでございますけれ
ども、事務総長のいわゆる
調査権限とかあるいは紛争の調停権限をどうやったら強化できるかというふうな点、それから、現在、国連平和
維持軍というのが中東あるいはキプロスに派遣されておりますけれ
ども、これも国連憲章上は必ずしもはっきりした
規定がございませんで、この国連平和
維持活動に対してもうちょっとはっきりした任務等々を与えるべきではないか、こういうふうなこと、あるいは、現在、先生御承知のとおり、ラテンアメリカには米州機構というのがございますし、アフリカにはアフリカ機構というのがございますし、それぞれの活動をしておるわけでございますけれ
ども、それといわゆる国連そのものとの平和
維持機能とをどうやったら結びつけることができるのか、こういったようなことを
検討していただいたわけでございます。その結果、先生いま御
指摘のとおり、九月八日に提言をいただきまして、いま申し上げたような大体討議項目をその提言の中にいただいたわけでございます。
それから、先生最後に御
指摘の、日本のとるべき役割りというものにつきましては、これは、事務総長——国連の総会決議自身は、国連の平和
維持機能、どうやったら強くなるかということでございまして、日本のとるべき役割りについての御提言というのは、国連総会からの依頼と申しますか、要請に対しては直接関係がございませんので、この部分は省略いたしまして、国連の平和
維持機能をどうやったら強化できるかという観点からの提言を、国連に、民間有識者の
意見としまして、外務大臣から先般国連事務総長に提出したわけでございます。