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1983-11-24 第100回国会 参議院 地方行政委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年十一月二十四日(木曜日)    午前十時二十一分開会     ─────────────    委員の異動  十一月二十一日     辞任         補欠選任      神谷信之助君     佐藤 昭夫君  十一月二十二日     辞任         補欠選任      佐藤 昭夫君     神谷信之助君  十一月二十四日     辞任         補欠選任      上條 勝久君     仲川 幸男君      名尾 良孝君     村上 正邦君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長        大河原太一郎君     理 事                 井上  裕君                 真鍋 賢二君                 志苫  裕君                 三治 重信君     委 員                 井上  孝君                 加藤 武徳君                 古賀雷四郎君                 出口 廣光君                 名尾 良孝君                 仲川 幸男君                 松浦  功君                 村上 正邦君                 吉川 芳男君                 秋山 長造君                 小山 一平君                 佐藤 三吾君                 中野  明君                 原田  立君                 神谷信之助君    国務大臣        自 治 大 臣  山本 幸雄君    政府委員        警察庁交通局長  久本 禮一君        警察庁警備局長  山田 英雄君        自治大臣官房審        議官       吉住 俊彦君        自治省行政局長  大林 勝臣君        自治省財政局長  石原 信雄君        自治省税務局長  関根 則之君        消防庁長官    砂子田 隆君    事務局側        常任委員会専門        員        高池 忠和君    説明員        経済企画庁調整        局調整課長    田中  努君        経済企画庁調整        局財政金融課長  服藤  収君        経済企画庁調査        局内国調査第一        課長       宮本 邦男君        大蔵省主計局主        計官       藤井  威君        大蔵省主税局税        制第三課長    津野  修君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○個人住民税に係る地方税法臨時特例に関する法律案内閣提出衆議院送付) ○個人事業税に係る税制度改正に関する請願(第二二五号) ○事業主報酬事業税に認めることに関する請願(第三九四号外九件) ○警察官の増員に関する請願(第五五三号) ○地方財政の確立に関する請願(第五九二号) ○交通安全確保に関する請願(第七八六号) ○留置施設法案反対に関する請願(第一九五八号) ○住居表示に関する法律改正に関する請願(第二六六六号) ○継続調査要求に関する件     ─────────────
  2. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  個人住民税に係る地方税法臨時特例に関する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。山本自治大臣
  3. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) ただいま議題となりました個人住民税に係る地方税法臨時特例に関する法律案提案理由とその要旨につきまして御説明申し上げます。  個人住民税のあり方につきましては、先般、税制調査会から報告をいただいたところであり、その具体的内容につきましては、今後、同調査会において昭和五十九年度以降の税制改正に関して審議されるものであります。  政府としては、その審議の結論を踏まえて、適切に対処してまいる所存でありますが、最近における社会経済情勢にかんがみ、地方財政実情等を勘案しつつ、この際、昭和五十八年分の所得税に係る臨時特例措置対応して、昭和五十八年度分の個人住民税に係る負担の軽減を図るための措置に相応する措置として、昭和五十九年度分の個人住民税について特別の減税を行うこととし、地方税法特例を定めようとするものであります。  以上が、この法律案を提案いたしました理由であります。  続きまして、この法律案要旨につきまして御説明申し上げます。  第一は、基礎控除額等特例を設けることであります。昭和五十九年度分の個人住民税に限り、配偶者控除額扶養控除額または基礎控除額は、地方税法に定める金額にそれぞれ七千円を加算した金額とすることといたしております。  第二は、控除対象配偶者等の範囲の特例を設けることであります。昭和五十九年度分の個人住民税に限り、配偶者控除及び扶養控除適用対象となる者の所得要件について給与所得等に係る所得限度額を三十万円に引き上げることといたしております。  そのほか、所要の規定を設けることといたしております。  以上の措置によりまして、昭和五十九年度分の個人住民税につきましては、約六百億円の減税になるものと見込まれます。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  4. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 志苫裕

    志苫裕君 ちょっと法案に入る前に二、三伺っておきますが、まず自治大臣、いわゆる政治倫理の問題、田中総理出処進退をめぐって御承知のような状況にあるわけでありますけれども、この問題についての自治大臣としての所見閣僚一員でもあるし、政治家個人でもあるし、どのような立場でもよろしいのだが、あなたの何か所見があればまず伺っておきたい。
  6. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) これはいままでもずいぶんいろいろな見解を求められたことでございますが、判決につきましてはこれは私どもただいまは行政サイドにあることでありますから、この判決について何らかの意見を申し述べることは差し控えたいと考えるのであります。この問題はやはり国会議員としての政治倫理を踏まえてそれぞれお考えがあることでございますし、それぞれのお考えに従って行動されることであろうと、こう思うのでありまして、私ども立場からいろいろコメントすることは差し控えたい、こう思っておるところであります。
  7. 志苫裕

    志苫裕君 余りくどい問いかけはしませんけれども、刑事問題は、これはそれこそ二審も三審もあることですから、被告人として無罪を推定して争うということにわれわれどうこう言っておるわけでもないわけだし、しかし元総理大臣といえば世の中で言うと偉い人なわけでして、そういう者が犯罪に触れて、そして政治的には依然として実力を行使しておるということの社会的に与える影響、あるいは道義に与える影響というものが国政全般社会政治あるいは教育、あらゆる分野に与える影響として何かお感じになりませんか。
  8. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) もとより政治家政治倫理という問題を常に念頭に置きながら行動をしなければならぬものであることは言うまでもない、私どももそういう点は厳しく受けとめていかなければならぬことである、こう思っております。
  9. 志苫裕

    志苫裕君 あなたは閣僚一員ですし、余り個人山本見解はそう欲しくないわけですが、内閣を構成しておる者の一員としてやっぱりそれなり発言が閣内その他にあってもしかるべきだろうという気持ちでお伺いしたのですが、余り大したものが出てこないようですが。  じゃ、次に参りますが、これも例の日教組岡山大会をめぐってずいぶん騒がしかったわけですが、これに対する岡山県の対応というものは、われわれとしては納得のいかない出来事であったわけです。で、大臣が、あれはだれの質問だったか、本会議でこれについての見解を述べておるのですが、一口に言うと、いろいろあるけれども、それも自治体裁量の問題だろうということで終わっておるのですが、私はこれはどうもやっぱり納得ができない。事柄は憲法二十一条でしたかの「集会結社及び言論」の自由、これはもう国民はもちろんだし、あらゆるところが不断に憲法趣旨の発揚に努めなければならぬという前提を置いて考えますと、この憲法二十一条に対する公然たる暴力の挑戦があるというケースなわけです。  これについて、それはただ自治体裁量だよと言うだけではどうもすとんと落ちないわけです。この点についてもう一度所見を伺いましょう。
  10. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) この問題は県の施設の貸与ということでありますが、後ほど私ども行政局長から詳しくその間の事情の説明を申し上げてもいいのですが、県側はすでに武道館あるいは体育館というそういう目的、つまりスポーツ関係団体から借り入れの申し込みを受けていたというふうに聞いております。これは県当局県民のためにつくった武道館あるいは体育館であり、またその環境は県民のために公園緑地的な施設の中にこの二つが建っているという話でありまして、そういう全体の利用も含めて県民サイドからお考えになったことであろうと思うのです。県議会も、私は、恐らく県民から選ばれた議会でありますから、そういう県民立場をお考えになって態度をお決めになったものであろうと思います。  したがいまして、確かにいま仰せのように、憲法の二十一条の表現の自由という関係もいま仰せられましたが、しかしそういう全体の中で考えれば、私は必ずしも憲法二十一条を犯すつもりでやったものでは決してないだろうと、こう思うのであります。  そういう意味からしますと、ああいう措置をとったことは日教組にとっては不満があったろうと思いますけれども、全体的な地方行政立場から知事なりあるいは県議会がそういう御判断をなされたことについて私どもがこれもかれこれ言うことでもないのではないか、あるいはその判断については私どもとしてこれに対して何らかの見解を差し挟む余地はないのではなかろうか、やむを得ない措置であったのではないか、こう思っているのであります。
  11. 志苫裕

    志苫裕君 こんなことを余り長くやる気はないのですが、自治体、県なり県議会のああいう状況における判断についてあれこれ言う余地はない、ちょうど日本政府のアメリカのグレナダ侵攻みたいに理解できるというような答弁なんですが、私は理解できるというものでないのじゃないかと思うのですね。日教組という結社団体が気に入る気に入らぬとか、そういう問題ではない。どんな自由な集団であれ、それはそれぞれの価値観を持っているわけですが、現にそういう集会結社言論の自由というものがとにかく暴力的に拘束を受けるという状況についてまずどう思いますか。
  12. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) 地方自治体というのはやっぱりそれぞれ住民に直接いろいろ関連のある施設をつくって、そして住民の適切な利用に供している、一つのこれは私は行政サービスであろうと思うのです。それが正常に運営されることを県当局なりあるいは議会は私は願って運営をしておるものであろうと思うのですよ。  そういう意味からしますと、住民全体の福祉という立場福祉本来の目的の適正な利用をやっていくという場合にいろいろ具体的なケースが起こってくるわけなんですけれども、その個々の判断はやはりそれぞれその施設を管理しておる県当局なりあるいは県議会の御判断でおやり願うほかないのではないだろうか、もとより憲法規定に違反するようなことは断じて許されないわけでございますから、それは重々私はお考えになりながらおやりになったことであろうと、こう思っております。
  13. 志苫裕

    志苫裕君 その自治体は一方ではその騒ぎを起こしておるグループに対して会場を貸した、これはまずかったなというので取り消すとか裁判になるとかいろいろないききつがありました。要するにそのことはいまここで直接問題にしません。  問題にしたいのは、現にそういう右翼の目に見えた暴力、まあ暴力の仕方はいろいろありますけれども、というふうなもので憲法条章現実危殆に瀕しておる。それが自治体という舞台、場でそういうことが展開をされているということについて、また自治省にあれこれ命令せいと言っているのじゃないのでありますが、しかしそういうことについては国たると地方たるとを問わず、全力を挙げてそういうものは排除しなければならぬ、憲法で言う「不断の努力」によって憲法が生きるようにしなければならぬということは、どのポジションにいようと私は義務を背負っていると思う。これは責任があると思うのです。  そういう意味で、別に自治省自治体上下関係とかなんとかいうのじゃなくて、自治省もまたいわばそういうことについて、一方では警察も持っているわけだし、さまざまな対応もあると思うのですが、やっぱりそれを所管する大臣毅然としてそういうことは許さない、こういう圧迫で言論が妨げられる、あるいは集会結社の自由が拘束を受けるということは許されないというふうな毅然とした態度表明というのは、それはまたそれなり意味のあることであって、それに勇気づけられて立ち上がる者も出るでしょう。そういう視点で私は問題にしているわけで、それを大臣が、まあいろいろあったのだろうけれども会場も詰まっていたようだしと、まあ会場詰まっていたかどうか、人に貸せるものがあったのだから詰まってなかったのだと思うけれども、そういう手続とか出来事で大きい憲法条章危殆に瀕するということについてあえて目をつむるという姿勢は納得できない。  で、それはいまたまたま行革でいろいろなことをやっていますが、行革絡みのことについては自治省はわざわざ通達を出したり書簡を出したり、議会では聞かれもせぬことまで大仰に答弁をしたりして、いろいろな意味での影響力行使にこれ努めているわけだ、直接命令はできぬにしても。それはそれで皆さん判断でやっているのですが、同時にやっぱりそういう意味での何というかアピールというものはあっていい。日教組大会のみならず、この種のことはどうも最近世相はおかしいですから、これからもあちこちに出るかもしれない。そうやってだんだん自由が制限を受けていくわけでありますから、こういう点について、やっぱり公安委員長でもあるのだから、毅然とした態度表明があるべきだという意味であえて聞いているわけですが、もう一度どうぞ。
  14. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) このことは、事は一つの県の施設運営に関することでございますから、そこは県あるいは議会の良識で私は運営されておるものだろうと思うのです。もとより憲法条章に違うようなことはおやりにならない。また、民主主義の原点であるはずの地方自治体でございますから、決して日本民主主義を阻害するようなお考えというものは私は毛頭持っておられないだろうと信用していてしかるべきものだろうと思うのです。  そういう意味で、一つの県の持っている施設の具体的な貸し借りという運営の問題でございますから、それは私は基本的なそういう憲法あるいは民主主義の原則というものは十分に府県当局なりあるいは議会というものはよく理解された上で施設運営をされておるものと信用するほかない、こう思っておるのでございます。もとより私どもは、そういう点につきましては十分にひとつ地方自治体考え、十分にひとつそういう精神で県政の運営をしていただきたいとは思っておるわけであります。
  15. 志苫裕

    志苫裕君 運営とか手続とか、あえて行政局長に聞きませんけれども、そういうものの前にやっぱり理念があるだろう、自由を守るためには千万人といえどもわれ行かんというぐらいの自治体見識があったっていいわけだ。また大臣見識があったっていいわけで、そういう手続とか運営になにしないで、今日大きな勢いでそういうものが拘束を受けそうだというものに、現実日教組集会というものを一つの題材にして、そういう不安がそこにあるわけですから、これに毅然として対処するというものがなければ、これは一つ一つ領土が狭まってしまうという意味で申し上げているので、これはあなたとこれ以上やりとりしておっても、どうもあなたはそこから出ないみたいだから。  ちょっと警察庁警備局長、その当時の右翼集結状況であるとか、特に暴力、いやがらせの状況とか、それに対する警備の応対の仕方とか、ちょっと報告いただけますか。
  16. 山田英雄

    政府委員山田英雄君) 岡山日教組大会に対します右翼反対動向でございますが、八月に開催されましたけれども、それに先立つ五カ月前の三月の半ばごろから、どうも岡山県内で開催されそうだということで、岡山市内中心日教組大会反対街宣活動が始まっておりました。そして知事とか県議会岡山市長、市議会、それに対しまして右翼公共施設を貸すなということの要請陳情活動もあわせて行ったわけでございます。それで、八月の初旬以降は現地の湯原町に活動中心を移しまして、いろいろ街頭宣伝活動を行っておりました。大会期間中まで通算いたしますと延べ千九十団体、七千人に及ぶ右翼岡山県内において各種活動を行ったわけでございます。それに対しまして、もちろん違法行為を鎮圧、検挙するという警察立場から厳重な警戒態勢をとりまして、四十六件、四十八人の右翼違法事犯を検挙いたしております。  ただ、大変残念だったのは、日教組側湯原町においてプレハブ施設を建てて大会を開催するということを警戒の任に当たりますわれわれ警察当局に対して通報されたのは直前でありまして、岡山警察は定員わずか二千八百人でございます。警戒態勢をとることに大変難渋いたしまして、六割を超える千八百人の警戒態勢を県としてとりまして、それでは十分でないということで、われわれ警察庁としても全国警察運営のあれこれを勘案して近県の警察官一日千二百人、これを動員して、一日当たり三千人の警戒態勢をとりました。応援部隊応援警察官延べ七千三百人、全体の警備に当たりました警察官延べ二万人でございます。そういう意味で、いろいろな各般の事象に対処したわけでございますが、できるものであれば、右翼反対行動というのが日教組大会に対してある以上、万全の警戒をとるために警察当局にはやはり大会開催の具体的な内容について早目に緊密な御連絡をとっていただければありがたかったというのが偽らざる感想でございます。
  17. 志苫裕

    志苫裕君 大臣、いまもちょっとお話が出ましたように、公共施設を貸すなということはずいぶん早くから右翼の方はこれはアピールをしているわけですね。そのときに会場が詰まっていたとかというものではない。やっぱりそういう状況全体を通して見ると、悪いけれども自治体に勇気がない、自由を守るという気概と決意が十分でなかったということを私は言いたいわけでして、そういう問題、当面何か何となくこわそうなやつがいると、それにイージーに屈服をして流れるということは非常に恐ろしい状況だということについて篤とひとつ頭に入れておいて今後の対応に役立ててもらいたい。きょう要望にとどめます。  いま警備当局も、どうも日教組の方ももう少しよく連携をとってくれればよかったのにというふうなことを言っておりますが、話ちょっと横へ持っていって悪いのですが、レーガン大統領訪日に当たっての警備態勢はどういうものだったのですか。
  18. 山田英雄

    政府委員山田英雄君) 過般のレーガン米国大統領訪日につきましては、極左暴力集団を初めとして来日絶対反対という反対行動がとられたわけでございます。そして現実に幾つかのゲリラ事案も起きましたし、全国延べ九千五百人という極左暴力集団が結集していろいろな大衆闘争も展開したわけでございます。したがいまして、警察としては大統領の身辺の絶対安全を期する、その他各般の行事の円滑な進行を期するという立場から、日程は都内でございましたので、管轄の警視庁におきまして期間延べ九万人の警備態勢をもって万全の警備に当たりました。
  19. 志苫裕

    志苫裕君 延べ九万人、それだけの大事をとることについてどうこう言いませんが、これ費用はどれぐらいかかりましたか。その財政措置はどうなっていますか。
  20. 山田英雄

    政府委員山田英雄君) 費用につきましては、その正確な額はまだつまびらかにしておりませんが、警戒警備に要した経費、車両の借り上げ等諸般経費を含めて約三億円の費用は要したと思っております。
  21. 志苫裕

    志苫裕君 それの財源措置はどうしたのですか。
  22. 山田英雄

    政府委員山田英雄君) 予備費を要求いたしまして、予備費によって賄われるものと承知しております。
  23. 志苫裕

    志苫裕君 ちょっと重箱の隅をつつくようで恐縮ですが、日の出山荘というところへ行きましたよね。二人で何かちゃんちゃんこみたいのを着て写真写っていましたね。普通、これはいろいろな話ですが、何もあんな山の中まで行かないで、その辺におってくれたら、行革のこの御時世につまらぬ警備態勢も要らなかったし、金もかからなかったのにというふうに言っている人もいる。中曽根さんやレーガンさんはほいほいと行くのだろうけれども、裏方は大変だろうと思う。で、悪いけれども、この部分にどれくらいの警備態勢とか動員態勢とか費用とかをかけたのですか。
  24. 山田英雄

    政府委員山田英雄君) 国賓についての警備でございますから、つまらぬ警備だとかいうふうなことは思っておりません。これは大変重要な職務だと思って、警視庁においても、また全国警察においても警備を実施したわけでございます。  ただいまお尋ねの日の出山荘についてはどうかという、その一つ一つの場所について区分した態勢なり警備費用というのはちょっといま資料を持ち合わせておりません。警視庁におきましても相当長い準備期間を置きまして、総合警備態勢をしいて、その態勢の一環として局所的に当たっておるわけでございまして、トータルのものとしてわれわれ把握しておりません。
  25. 志苫裕

    志苫裕君 いや、それはトータルなんでしょう。だけれども、積み上げるのじゃないの。日の出へ行く分で、途中の沿道の警備だとか山の中の警備だとか何とかいろいろなことあるでしょう。そういうものの積み上げはいまわからぬという意味ですか。全部どんぶり勘定になっていてわからぬという意味ですか。
  26. 山田英雄

    政府委員山田英雄君) そういう面もあるわけでございます。厳密に申し上げれば、日の出山荘の周辺に何人の警察官をもって警備に当てたかということは区分して集計すればわかるわけでございますけれども、しかしその警察官動員にかかった費用日の出山荘のためにだけかかったかということは、これまた厳密に申し上げるとそうはならない。その日のうちにいろいろ移動しておりますし、そういう意味では局所的に幾らということは出にくいのではないかと思います。
  27. 志苫裕

    志苫裕君 国賓である友好国の大統領に厳重な警備対応をとることはもちろん大事です。しかし国内における民主主義一つ一つはがされていくというものについて軽く扱うということは許せないという意味で私はこの問題二つを取り上げました。ここらひとつそういう問題の提起ということで受けとめておいてほしいと思います。  もう一つ済みませんが、静岡県掛川市のヤマハスポーツランドのプロパンガス事故ですね。原因なんかよくわからないそうですから、いまどんな規模とかどんな被害があるということは時間がありませんからいいですが、一応皆さんの方で、いままでのところで問題点はここだったのだなというような点にしぼって、ちょっと所見を述べてもらえませんか。
  28. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) 掛川市におきますヤマハレジャーランドのLPガスの爆発に関しまして、こういう事件が起きましたことまことに遺憾と存じますし、亡くなられた方々には心から御冥福をお祈りいたしたいと存じます。  ただいまお話がございましたが、ガスの爆発事故についての所見ではありますが、もともとこういうガスの爆発に関しましては、ガスの漏洩のための検知器その他が備えられておるわけでありまして、こういうものが作動いたしたときには速やかにそれなりの処置をとるか、まず人命をどうやって守るかということに重点を置くべきでありまして、そういう点に若干ぬかりがあったのではないかと新聞報道なり消防の機関から受けている感じでは受けております。  いずれにいたしましても、こういう災害というのは人間の最も弱い部分から起きるものでありまして、そういうところに常に注意を払っておくのが一般の防火管理者なりこういうところの経営者の問題であろうと思いますし、このことはすでに多くの過去の災害からも類推のできることでありますから、やはりそういう危険というものが常にどこからでも起きてくるのだということを心がけておくことが非常に大事であろうと思っております。
  29. 志苫裕

    志苫裕君 私はまだ現地を見てないし、話を伺ってないのですが、報道によりますといろいろなことを言っているのですが、もうにおいがしたのにどうも経営者が鈍感であったとか、対応がまずかったとか、いろいろなことを言っております。  特に言われておりますのが、いずれにしてもどこぞでガスが漏れて、地下だったのか、どうも一々タコの足みたいに引っ張っておる方じゃなくて、地下の元栓からの配管だろうということを言っておりますが、ともかくいま言われておりますのは、あれ何と言うのですか、自動遮断装置というのか、都市ガスにある自動遮断装置というふうなものをこのプロパンにも持ってこなければならぬのじゃないか、何か開発もおくれているようだけれども、そういうことが言われているようです。  かつて都市ガスに自動遮断装置というものが考えられて、プロパンにはまだそこまで考えが及ばなかったというか、具体的に手をつけなかったということになるのか、私専門家じゃないからわかりませんが、プロパンの方が空気の中の容量が少なくてもボンといくわけで、何か二、三%くらい、四%といいましたか、それくらいでボンといく。ということになると、都市ガスよりも液化ガスの方がそういうガスが漏れたら自動的に閉まっちゃうというようなことが先行しておってもよかったのかなという素人なりの感じがするのですが、その議論というものは前にもおたくの方にはなかったのですか。
  30. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) ガスの漏洩に関しましては御案内のとおり通産省の所管でございますから、私の方から詳しく申し上げるわけにはとてもまいらぬだろうと思っておりますが、御案内のとおり液化ガスというのは空気より重い存在でありまして、少なくとも空気の一・五倍ぐらいある。普通都市ガスですと空気よりも軽いですから、〇・五くらいですが、恐らくガスが空中に発散していくものを捕らえることができるかどうかということの対応がプロパンガスではむずかしかったのだろうと思っております。  この点に関しましては、こういう事件が起きまして、プロパンガスに対する今後の規制なりそういう問題につきまして恐らく通産省の方でも十分お考えいただくことだと思いますが、私の方からもいまお話がありましたようなことをよくお伝えをしておきたいと存じます。
  31. 志苫裕

    志苫裕君 これはもう少し原因、因果関係がはっきりしたところで、いずれまた私ども現場を見なければならぬし、留保しておきます。  で、減税ですけれども大臣、六百億というのですけれども所得税の方は千五百億なんだが、五十八年度景気に役立つ相当規模の減税、これがうたい文句だったわけですね。議長もこれに一枚かんだわけだし、苦労もしたわけだし、野党の幹事長もこの相談に乗って、人様はそういうものかなというふうに期待もしておったわけだ。しかし、どうもこの地方税分野だけで言えば六百億、それもことしじゃなくて来年、およそ前宣伝やあるいは与野党間の合意、議長の裁定というようなものに見合ったものでない、これはそうお感じになりますか。
  32. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) これはいまお話しのように、議長見解を踏まえて与野党の幹事長書記長会談でお話し合いになったそれに基づいて政府が実施をしておるというわけでありますが、その際いまお話しのような点も与党の幹事長の話として出たということは私ども承知をいたしております。  そこで、この問題はいままず地方税につきまして五十八年中ということでありますけれども、これはもう御案内のように、いまの地方税の住民税の徴収方法から言いまして、五十八年度に実施するということは実際問題としてむずかしい問題がいっぱいあるということであったわけでありまして、その点をまずひとつ私は御理解を得ておきたい、こう思うのです。  それから、景気浮揚ということがございますが、これは確かに景気浮揚に役立つようにということはあったわけで、それはどれくらいかということについては、またこれはいろいろ私は見解も分かれることであろう、また景気というのはいろいろな要素が複合的に重なり合って、その上でやはり景気というのはよくなることであろうと思う。それで、政府としましては総合経済対策というものを作成しまして、それに基づいて諸般の政策をただいま推進しておるところでありますが、その一環として減税という問題ももちろん取り上げられているわけであります。  いまのところ、私ども地方財政立場から言えば、いま非常に厳しい状態にあることは御承知のとおりでございますから、そういう非常に厳しい中で、私は一兆円の中身、来年度は三千億の減税をするということをお約束しておるわけでございますが、そういう意味では現状の地方財政という立場から言えばかなり私どもとしては勉強した、こういうふうに思っておるわけでありまして、これによって私どもは国民が一つの期待感を持っていただいて景気浮揚の方向にいくようにということを願っているわけでございます。
  33. 志苫裕

    志苫裕君 いや、それはあなた、これはあっさりそう言うたけれども、なかなかうまくもいかぬと言うのなら、これかわい気あるのだが、そうもなっておらぬのに何だかんだ言うから、ついついこっちも言いたくなっちゃうのだけれども、あなたの景気浮揚に役立つ相当規模の減税、まあ言葉をあなた分解しちゃって、景気浮揚の方はいろいろなことを総合的にやっておるので、そのうちの一部としての減税という言い方をすると、景気浮揚全体がうまくいっていれば減税が小さくてもいいことになるわけ。そうじゃない。  それはそれでいろいろなことをやるでしょうけれども、ストレートに減税そのものが景気浮揚に役立つ相当規模というものがあの合意なんでして、景気浮揚に役立つ総合政策の中の一部として減税というニュアンスではあれはないのですよ。あなたのいまの答弁ですと、減税も含めていろいろなことをやって景気をよくするということを言っておるから約束違反でないような言い方をしますが、それはどうも納得できませんね。そのうちの地方税六百億ですから、千五百億の本体の方がその議論を本格的にやるのでしょうから、これ以上詰めませんが、なぜ個人住民税六百億円なんですか。その根拠も聞かしてください。
  34. 関根則之

    政府委員(関根則之君) 減税の規模をどうするかという問題は、国及び地方の置かれております財政の状況等との兼ね合いももちろんございますし、国民からの減税に対する強い期待ということを、国会における与野党間の折衝等を踏まえて私どもとしてはできる限りその規模につきましても精いっぱいの努力をしたつもりでございます。  しかし、全般的に全体といたしまして一兆円ベース、それを年度内といいますか、五十八年におきましては国税、地方税で二千百億程度ということを頭に置きまして、国税が千五百億ということに大体決定を見ましたので、所得税住民税との収入の大きさの割合が大体七対三になってきているということも考えまして、いわばその体の大きさに見合って荷物を分担し合おうというような考え方もございまして、大体国税の千五百億に見合うものとしては六百億程度ということを考えて決めたものでございます。
  35. 志苫裕

    志苫裕君 五十八年度に二千百億程度のことをしよう、そうすると所得税とこの住民税の割合がいままで七、三ぐらいになっておるから、これはあなた方の受け持ち分担は三の部分だから六百だ、それはそれで説明つくのですよ。  じゃ、なぜ二千百億なのか。それも二千百億というと、これ小さく聞こえるのだが、ところが、まとめちゃって一兆二千百億円というと、こればかにでかいように見える。一兆二千百億円という語感がぽんと来るわけ。よくよく見るというと二千百億なんであって、そのうちの六百億円というのは来年にお預け、こういうようになってくるので、人様はほんと出た数字で、おう相当のことをするじゃないかと、こう思うのだけれども、よく見るというと何か非常につまらぬ話になっているわけでしょう。  これ大蔵に聞いたらいいのか、なぜじゃことし二千百億円なんですか。これどこが答えられますか、どちらでもいいですよ。
  36. 津野修

    説明員(津野修君) 今回の減税につきましては、財政事情等いろいろ現下の厳しい状況考えまして、今回といいますか千五百億というものを決めたものでございます。
  37. 志苫裕

    志苫裕君 あなた、それ答弁になっていないじゃないか。  まあどっちかというと政治ベースで、皆さんこんな勘定わかるわけないんだ、何で二千百億、答弁できるかもしれぬけれども、恐らくいろいろ与野党の約束もあるし、政治のレベルでと言うのだろうと思うのだけれども、この財政の厳しいことを言えば二千百億も出ないという説明だってつくわけで、財政が厳しいがそっちの方に価値判断置いて五千億にしますということだってできるわけで、なぜ二千百億円か、だれもわからぬよ、こんなもの。いま大蔵の答弁だと、ああそうですかと言う者だれもいやせぬのでね。ちっとも答弁になっていないでしょう。  で、この一兆二千百億円という語感、これに合わせるために地方税六百億円というものが、あれないと一兆一千五百億でしょう。あれ取っちゃうと本当はこれことし来ない。ことし来る金でもないのに、来年の分も入れて一兆二千億円と、こう言う。ことしの分だけでも二千億円です。一兆一千五百億というのは何となく半端で、一兆二千億の大台に乗せるには何かそっちで工夫せいやというので出てきたのじゃないのか、これ。どういうのですか。
  38. 関根則之

    政府委員(関根則之君) 先生お話がありましたように、この減税規模を決めるに当たりましては直接的にはもうすでに二年近くいろいろな国会での減税についての議論もいただいておるというふうに私どもは理解をいたしております。  その過程におきまして与野党の書記長幹事長会談を何遍も開くというようなこともございましたし、議長見解も出されたというようなそういう政治的な経緯も踏まえて、私どもとしては財政の許す限り、大変厳しいところではございますが、精いっぱいの規模を確保していこう、こういうことでおのずから出てきた額が、今年度におきましては、今年度といいますか、五十八年度の分としてどうするかということを国税千五百億、地方税それに見合う六百億というふうに一応決め、平年度レベルでは七千と三千合わせて一兆円、こういうことで考えたわけでございまして、住民税の六百億は、国税の千五百億と平年度の一兆円足して一兆一千五百億、それでは語感が悪いからそれに六百億を乗せた、そういう発想の順序ではないわけでございます。  ともかく早く減税をやるべきだという国民の声も強い、政治的な要請もあるということをまず理解をし、国税につきましては一応千五百億円という年内減税の規模が決まった、地方税としては技術的に事務的にも年度途中での減税というのは不可能でございますので、それを実際に現実減税額として出すわけにはまいりませんけれども、なるべく早い時期にそれを減税する、そういうことを国税の年内減税対応して地方税でも決めていこう、それは幾らであるべきかということを考えますと、国税が千五百億なら六百億ぐらいが適当であろうということで一応の一対の制度といいますか措置として考えまして千五百と六百というものを設定したわけでございます。
  39. 志苫裕

    志苫裕君 それはあなたの答弁を聞いていれば、いろいろないきさつがあって一日も早く減税ができるようにと言うたって、あなた、しょせん年内に実益をもたらさないのだから、年内に地方税について実益があるわけじゃないのだから、そうでしょう。いかにもこれは説明がつかないんだな。  大臣、あなたいろいろさっき答弁されたが、年内に実益をもたらさない減税というのは少なくとも景気に役立つ内容でないでしょう。これくらいはお認めになりますか。大臣どうですか。どうもこれ役所の発想じゃないんだ、政治家の発想だろう、これ。
  40. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) これは景気浮揚を呼び起こす一つの期待感も来年度の減税に持っていただくということを、景気浮揚という考え方で来年度一兆円という問題を考えておるのでありまして、そういう意味に今回の減税措置は御理解をいただきたいと思っております。
  41. 志苫裕

    志苫裕君 これ念のため聞いておくが、私もむずかしいと思うが、それでもどのくらいいるのか、千九百八十万人、約二千万人近い地方税の納税者だと思いますが、そうじゃないかな。それで、これは地方税だけについて見ればラーメン減税というぐらいのものだが、この年内減税が困難だという根拠、あるいは手続とか、あるいは費用効果とか、そういうものでちょっと説明してくれますか。
  42. 関根則之

    政府委員(関根則之君) 住民税につきましては納税者の数は全部で四千二百万人ございます。大変な数になるわけでございます。  そこで、なぜ年度内ないしは年度途中で住民税減税ができないかということでございますが、所得税住民税、国民の所得というものに着目している税だから仕組みが同じなんじゃないかというような感覚で受けとめられている国民の方々も多いわけでございますが、基本的にその仕組みが違いまして、所得税におきましてはあくまでも申告納付という手続をとっております。住民税は賦課課税でございまして、徴税権者の方から賦課をいたしまして、それに基づいて納税をしていただく、こういう仕組みになっているわけです。  賦課ということになりますと、各個人ごとの税額の計算をすべて課税権者が行う、具体的には市町村長が市町村の市役所なり役場なりにおいて行うという仕組みになっているわけです。そこのところが、自動的に納税者から申告書と一緒に税金が入ってくる、あるいは給与支払い者の段階で源泉徴収という形で税額計算をし、かつ税額を納めていただく所得税と違うわけでございます。そのために、賦課事務というのは毎年一月末の段階で大体企業からの給与支払い通知が役場に参りまして、それをもとに、税法改正がありますときには改正法案内容をできるだけ早くつかみまして、それに基づいて計算をして、給与支払い者の場合、五月の連休明けぐらいまでには各企業に通知をしておく、その間四カ月の日時を要する、そういった手間がかかっているわけでございます。  そういう相当大きな事務量を要する賦課事務が住民税には伴いますので、これを年度途中でぽんとやってくれ、やり直せということになりますと、大変な労力を要する。もう一回もとに返って計算のやり直しをしなければいかぬ。役場でその計算をしまして、それを企業に通知する、企業はそれを受けまして差し引きのためのプログラムの編成変えをやるといったような仕事が出てきます。その間にはもちろん郵便での何百万通というような往復がなされるというような問題もございまして、時間的にも経費的にも、それから実際その作業をやる地方公務員の超過勤務なり手当をどうするか、そういったような問題も含めますと大変な費用もかかるわけでございますので、実際問題として私ども行革の時期でもございますし、そういうことはやれないという判断に立ったわけでございまして、各方面の御理解をいただいたような形で、年度途中の減税だけは御勘弁をいただきたいというふうに考えているわけでございます。
  43. 志苫裕

    志苫裕君 ちょっと大蔵省、確かにいまお話がありましたように、賦課事務を一枚一枚懇切丁寧にやるつもりならできぬわけでもないのですが、実際はしかし恐らく六百億円戻すために何百億かかるぐらいの話になっちゃって、何やっているのかわからないみたいな話になると思うのですよ。したがってことし戻せない。そこで来年ということなんですが、そういうものも含めて二千百億円、実際は、それ六百億ないような話なのよ。だけれども、どうしてもことし二千百億円と言わなければならぬという判断はどこから来たのか。実際六百億ない。
  44. 津野修

    説明員(津野修君) 二千百億円ということにつきましては、六百億円につきましてはその所得税の千五百億円に対応するものとして地方税が六百億円減税になるということは法案の第一条の「趣旨」に書いてございますが、そういう趣旨を踏まえて両方を合わせまして二千百億円というふうに決めておるものでございます。
  45. 志苫裕

    志苫裕君 そうすると、六百億というのは自動的に出てきた額であって、千五百億といって国税さんの方が言うたら、地方税の方がもう自動的に数学みたいになって六百億というふうに出てきたのですか。ここがわからぬ。最初にやっぱり二千億台というものがあってそういう操作になったのか。地方税のことは知らぬよ、とにかく六百億だ、自動的に仕組みがあって六百億になるのだということ、その前後関係聞きたいわけだ。どっちですか。
  46. 関根則之

    政府委員(関根則之君) 先ほどから申し上げておりますように、この減税の規模をどう決めていくかということがきわめて背景の深いといいますか、長い経緯を持って、しかももちろん政治的な場におきましてのいろいろな御発言、御論議を背景として出てきたということでございまして、絶対的に一兆二千百億という数字が論理的に積み上げられたものでは私は必ずしもないであろうというふうに考えております。  財政は国も地方も非常に厳しい、そういう中で、しかし国民の減税に対する期待は強いわけですから、できるだけ減税の規模というものは可能な限り大きくしたいという政治的な要請もありますし、私どももいろいろ税制のことを考えてみますと、どうせ減税をやるならば、いろいろな問題が積み重なっておるわけでございますから、この際できるだけ基本的な税制改正をやりたいという希望も事務的にはもちろんございます。そういう要請の中から、できるだけ減税規模を大きくしたいという要請と、財政が苦しいという二つの要請を、まあいろいろな要因を組み合わせながら一兆二千百億という数字が私は出てきたものというふうに理解をいたしております。  その際、具体的に年内減税及び年内減税対応する住民税減税というのは、まず国税の千五百億というのが決まり、それに対応する六百億というのが決まり、合わせて二千百億円になったというふうに御理解をいただけるとありがたいと思います。
  47. 志苫裕

    志苫裕君 まあつじつまの合わぬ話聞いてもしようがないが。  で、ちょっと先いきますが、来年度三千億円減税というふうに書面が出ているのですね。そこで、どうなりますか。五十九年だけについて見ると、三千億とことしの分の六百億がいっちゃうから三千六百億でしょう。年を越しますと、その六百億円分はないわけだから、三千億になるね。そうでしょう。そうしますと、六十年という年は六百億円増税になるという勘定だね。どうなの。
  48. 関根則之

    政府委員(関根則之君) 減税を財源面から眺めました場合には、おっしゃるとおり五十九年度は平年度ベースの減税が三千億実施されます。それにことしのいま御審議をいただいております特例的な減税が六百億円入ってまいりますので、合わせて三千六百億円規模の減税が五十九年度に実施されるということになります。しかし、この特例的な減税はあくまでも単年度限りの、あくまでも特例的な減税でございますので、六十年にはそれは適用されません。したがって、六十年には本格的な平年度ベース三千億円の減税だけが残るということでございますから、財源的には減ってしまう、減税額が三千六百億円から三千億円に減ってしまうということはございます。  ただ、具体的にその間の税制をどう仕組むかという問題につきましては、われわれもそこで逆に増税感が出てくるということのないように何かうまい工夫をこらさなければいけない、その辺のところの税制上の不合理が生じないように、これから税制調査会におきましても御審議をいただき、私ども自身も検討をしていかなければならない課題であるというふうに考えております。
  49. 志苫裕

    志苫裕君 現実にトータルで六百億円ですね。どこから取るかわからぬが、これよけい取られるわけで、それが個々には増税感が出ないように、何だ、去年安かったら、ことしまたほんと六百億よけい取られたというのじゃだめだから、何かうまい工夫を考えるというのだけれども、さあ、そんな考えがあるかどうか。ちょっとその次にいってからまたここへ戻ります。  そこで、三万円程度各三控除を引き上げるということになっているのですが、そうすると、課税最低限幾らになりますか。
  50. 関根則之

    政府委員(関根則之君) いまの私どもの基本的な方針といたしましては三千億円の平年度ベースの減税を本格減税として実施したいということでございまして、その際には課税最低限の引き上げといいますか、それに直接影響いたします所得三控除の引き上げを、できるだけそこを中心にやっていきたいという考え方を持っております。そこで、しかしそれじゃ具体的に幾ら上がるのかということがいまの時点では細かい法律の仕組みが決まっておりませんので申し上げられないわけでございます。  そこで、考え方としては、しかしそうは言いましても少なくとも三万円程度の所得三控除の引き上げはしたいという意図があの文章にはあらわれているものというふうに御理解いただきたいのですが、仮にもし三万円上げた場合の夫婦子供二人の課税最低限は、現時点で計算をいたしますと、おおむね百七十七方円程度になるものというふうに見込んでおります。
  51. 志苫裕

    志苫裕君 これ、幹事長書記長会談でしたのだな。少なくとも各控除それぞれ三万円程度引き上げ、あわせて税率構造云々でしょう。それで百七十七方程度。さあ、そうしますと、生活保護基準は幾らになるの、このときは。
  52. 関根則之

    政府委員(関根則之君) 生活保護基準は昭和五十九年度で考えなければいけませんから、そうなりますと、一年前の五十八年度におきます生活保護基準が比較対象になるわけでございますが、その額は百九十三万八千円ということになると思います。
  53. 志苫裕

    志苫裕君 そうすると、大臣、三万円程度三控除を引き上げる、そうしますと現行百五十八万のやつが百七十七方、かれこれ二十万上がる。しかし依然としていま生活保護基準百八十六万ばかりなんだけれども、これが来年は百九十三万ぐらいになるというと、依然としてこの生活保護基準よりは低いということになりますね。  そこで、そういう矛盾をなくするための非課税限度額、いま百八十八万五千円というのを設けておるのですが、これはちょうど財政局長が税務局長のときだったか、この問題が出てきて、これは本格的な減税の制度改正にいくまでの緊急避難の措置みたいなものなんで、こんなものが余り長く続くのは、はっきり言わなかったけれども、余りかっこうのいい話じゃなかったわけだ。われわれの理解としてはやはり一時的な措置、こういう足切りのような仕組みは一時的な措置というふうにこの委員会でも承知をしておった。ところが本格減税ということで、本格減税をやっても依然としてその矛盾は残るということになると、これはどういうことになるのですか。どうするのですか、これは。
  54. 関根則之

    政府委員(関根則之君) 現在課税最低限との兼ね合いにおきまして、低所得層に対する住民税の負担の軽減というものを図りますために非課税措置というものが講じられておるわけでございます。この措置につきましては、法律上単年度の措置といたしまして昭和五十六年度以降続けさしていただいておるものでございます。  もともとの税の基本から申し上げますと、こういう制度ではなしに、課税最低限を大幅に引き上げるということが望ましいということは言えると思いますけれども、何せ地方財政が大変厳しい状況にございまして、大幅な減税額を出していく、それに耐えられるような状況ではないという状況がございますので、この生活保護基準をはるかに上回るような課税最低限を設定するということは実際問題として困難であるというふうに考えざるを得ないわけでございます。  そこで、今回の税制調査会における中期答申におきましても、必要に応じてこの制度の存続を図ることもまた必要ではないかというような趣旨の御答申をいただいております。具体的にしかしどうするのかということは今後の税制調査会の各年度の答申を受けて決めていきたいというふうに考えておりますけれども、いまの私どもの三千億減税によりましては、生活保護基準をクリアするということはむずかしいものというふうに思われますので、この措置につきましては存続する方向で検討せざるを得ないのではないかというふうに考えております。
  55. 志苫裕

    志苫裕君 それで、いま税務局長が言っておることがこの税調答申の二十四ページの一番下段末尾の方に載っておる。さしずめこれは自治省がいろいろ知恵つけて入れさした文章じゃないかと私これ読みながら思っていましたがね。これは矛盾をなくする方法はあるわけですよ。私は、これは非課税限度額というこの制度はあくまでも本格減税までの一時的な措置というふうに説明されておったのだし、今度本格減税とうたってやるときにはその矛盾はなくするべきだというふうに主張をします。  で、仮にこの課税最低限が百九十万相当になるには、逆算ですが、百九十方相当になるには三控除どれぐらいを上げますとこの額になりますか。そして減税総額は何千億ぐらいになりますか。逆算してみてください。
  56. 関根則之

    政府委員(関根則之君) 現在、ことしの生活保護基準が百九十三万八千円でございますから、来年に移して物を考えましてやりますと、その百九十三万八千円をオーバーするための課税最低限を設定するということになりますと、余り細かい課税最低限に端数をつけるというのも変なものですが、課税最低限といいますか所得三控除に細かい端数をつけるというのはかっこうがおかしくなりますので、切りのいいところをとってみますと、各基礎三控除を六万円ずつ上げなければいけないということになります。  そうなりますと、課税最低限が、ほかの条件を同一にした場合でございますけれども、百九十五万三千円になります。そこでクリアできるということですが、そのための財源といたしましては平年度ベースで四千九百六十七億円という計算が出ておりますので、概して五千億程度の財源を必要とするというふうに考えられます。    〔委員長退席、理事真鍋賢二君着席〕
  57. 志苫裕

    志苫裕君 でしょう。五千億減税をやれば、これその矛盾はなくなる。最低それが私は本格減税だと思う。私らのところはちょっとこれより安くて四千億と言っておったので、ちょっと少な過ぎたかなと思っているのですが、これはやっぱりいままでの話の進みぐあいから言っても、けつの方の矛盾は、これはなくしよう、本格減税のときにはそういう不自然な制度は残らないという脈絡から言って、また一方で政治的な約束である景気というようなものも考慮したり、あるいはここ五、六年下がとまっておるという、そういうふうな総合的な要素を考えると、やっぱり四、五千億ということなら話のつじつまが合うじゃないか。  で、三千億でしょう。それに六百億分の扱いがまだ残っています。仮に来年六百億減らして再来年ふえるというのじゃかっこうつかぬから、これ減らさぬようにしようということになれば三千六百億だ。あと一千億がんばれば制度的にもすっきりする、話の筋も通る、納得もいくということに、大臣、なりませんか、どうですか。
  58. 関根則之

    政府委員(関根則之君) この課税最低限をこの際一挙に来年度の生活保護基準をクリアするまで引き上げる、もちろんそういうことができれば税制上としてはきれいな形になることは間違いございません。  ただ、問題は地方財政が大変厳しい状況でございますので、一口に五千億ということを申し上げましても、なかなかそれだけの財源をひねり出すということが非常にむずかしい。地方財政の厳しい状況の中から、われわれとしては可能な限りの規模として三千億というものを考えたわけでございますので、減税規模は大きい方がいいのだという意味においては、それは多々ますます弁ずであろうと思いますけれども、    〔理事真鍋賢二君退席、委員長着席〕 なかなかそこのところ、それほど大きな規模の減税を実施することができないということでございますので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。  それから、先ほどの説明があるいは舌足らずであったと思いますので、つけ加えて御説明申し上げますが、五十九年度は平年度の三千億円と今回の特例の六百億が重なりますので三千六百億になります。六十年度は、これは六百億の単年度限りの措置はとれてしまいますから、あくまでも三千億になってしまうわけでございます。三千億の減税しか残らないということになるわけです。先ほど申し上げましたのは、その際に税制上、たとえば課税最低限その他において、細かいいろいろな入り組みが出てくるといいますか、ぎくしゃくしてくる。そこのところは、われわれとしてはできるだけ余りおかしな税制上の変化が出てこないように工夫をしましょうという意味でございまして、減税規模を三千六百億から三千億に下がるのをやめてしまおうという意味ではございませんので、御理解をお願いしたいと思います。
  59. 志苫裕

    志苫裕君 これはどうも税金というのは役所のレベルだけじゃないので、その上に政治があるようですからあれですが、仮に五千億というふうにしますと、それを今度は逆に国税の方へ持っていくと、一兆円といわぬで一兆五千億というと勘定も合うわけだ。それで全部合わせれば二兆円、自民党の中でも有力な人は三兆円と、こう言っているのだから、そうびっくりするような額でもないわけ。どこまでいっても非常に整合性のある話だ。  これはまだ先のあることですから、われわれとしても要求をしていきますけれども、しかしどうですか。いまあなたまた答弁を後で補足したが、六百億円を三千億円に上乗せをして来年やるわけだが、そうすると、三千六百億円の減税の規模に見合う控除額あるいは課税最低限というふうに見ただけでも、いまの百八十六万の生活保護基準ぐらいのところにはいきますね、ことしの分の三千六百億円だけで。そうなるのですが、私は三千億の財源補てんも三千六百億の財源補てんも決定的な違いはないと思うのだけれども、三千億ができて三千六百億はなぜできませんか。
  60. 関根則之

    政府委員(関根則之君) 財政の問題というのは、たとえば三千億が出てきたというときに、なぜ三千百億は出ないのだ、三千二百億ならどうなんだと、一定の金額の線を引きますと、そのボーダーラインのところではいろいろいまお話のありましたような議論が出てくるわけでございますが、私どもといたしましては、もちろんこれは財政の問題にも絡む話ではございますが、三千億でも精いっぱいということでございますから、それを上回るということになると、これはもう限界を超えてしまうという意味でございまして、決してその差が六百億なんだから三千億と三千六百億変わらないではないかと、こういう議論はちょっと私どもの方としては無理なわけでございます。
  61. 志苫裕

    志苫裕君 無理であるかどうかは、その上にまた政治があるのだけれども大臣どうですか。
  62. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) 確かにこれは税務局長の立場から言いましたら、課税最低限が生活保護基準額より下回っているというのは余り感心した形じゃない、これは税務局長の気持ちも私はわかるのです。しかし一方において財政的な立場がありますから、そう簡単にはいかないということ。  そこで、ひとつこういう議論が出ますのは、つまり生活保護を受けている方々の税について考えるという、そういうところに着目をいたします。そういうところに着目して、私は今度の非課税措置というものが出てきて、少なくも百八十何万円までの生活保護家庭には税はかけない、こういうことをやっているわけです。そこで、課税最低限の問題、いわゆる人的控除の三控除というのは、これは全納税者に全部及ぶわけです。それで減税額が割合に大きくなってくるわけでございます。非課税限度の措置だけの場合ならば、そう大した税額のマイナスには私なっていないと思うのですよ。ですから、つまり全納税者、高額所得者においても全部その三控除は波及します。税の体系としては非常にそれはきれいになりますけれども、一方財政という立場考えながらやっていく、そしていまおっしゃるお考えの中に私は最も大きくあると思うのですけれども、生活保護を受けている家庭の税ということについて考えるというならば、単年度ながら財政の厳しい間はこういう措置でひとつやらしていただくほかなかろう、こう私ども思っておるわけであります。
  63. 志苫裕

    志苫裕君 もう一つ、平年度三千億でしょう。初年度幾らですか。
  64. 関根則之

    政府委員(関根則之君) 先日の自民党幹事長から野党の書記長、幹事長に対して提示をいたしました政府の方針に基づきますと、あくまでも平年度三千億という考え方でございます。そうして具体的なその税制の仕組みをどうするかということにつきましてはまだ決まっておりません。これから考えていくわけでございまして、たとえば課税最低限を決定づけます所得三控除につきましても、少なくとも三万円ということを言っているだけのことでございまして、具体的に三万円にするのか、もう少し上げられるのかということはまだ決まってないわけです。そういうものを決めてきませんと、初年度が具体的にどうなるのかということは実は決まらないわけでございます。  したがって、最終的にはこれからの税制調査会における五十九年度税制改正の結論を踏まえて決定をしてまいりますが、私どものいまの気持ちといたしましては、初年度から平年度と同じ三千億円が出てくるような税制の仕組みを何とかとってもらえないかということで物を考えていきたいと思いますし、各方面へもそういう仕組みについての御検討とお願いをしていきたいと思っております。
  65. 志苫裕

    志苫裕君 そうすると、自治省考え方としては平年度三千億となっているが、初年度から三千億という工夫をするということですね。
  66. 関根則之

    政府委員(関根則之君) 簡単に申してそういうことでございますが、御承知のとおり住民税のいわば住民税年度というようなものがございます。申告納付の事業をやっていらっしゃるような方々は、これは会計年度内にその年度分の住民税が完全に入ってまいります。しかし給与所得者につきましては最初のころは会計年度内に全額その年度分の住民税が入るようになっていたのですけれども、十年ほど前に、翌年の四月、五月にかけて取るというふうに十二カ月徴収に切りかえました。その関係で一部会計年度とずれております。したがって、会計年度との兼ね合いでどうかということになりますと少しずれがありますが、あくまでも住民税年度としては初年度から三千億ベースでいきたい、そういう努力をしていきたいと思います。
  67. 志苫裕

    志苫裕君 大蔵省、その点国税の方はどうなるのですか、所得税の方は。
  68. 津野修

    説明員(津野修君) 所得税の方に関しましては、先ほど税務局長からもお答えがありましたように、来年度の七千億の内訳というのはまだ確たるものが決まっているわけではございませんので、具体的に決まりましてから初年度がどうなるかというようなことが決まってまいりますので、現在どういうふうになるかは確答はできない状況でございます。
  69. 志苫裕

    志苫裕君 ただ、いま普通の人は平年度とか初年度とか言うても、国税、地方税合わせまして来年一兆円やると言ったら一兆円やるものだと、こう思っているわけですね。しかし何か役所のめんどうな計算があって、そうじゃないのだというようなことを後から言ったのじゃ、何かうそをついたような話になるので、その辺の点は、国税、地方税とも素直に来年それだけあるというふうに受け取っておいていいわけですね、両方とも。
  70. 関根則之

    政府委員(関根則之君) 何遍も繰り返しになるようで申しわけございませんが、少なくも最終的な具体的な仕組みはこれから決めることでございますので、いまの時点できちっとこうなりますということは申し上げられませんが、私どもの作業の目標といたしましては、昭和五十九年度の住民税につきまして平年度三千億の分がまるまる効果を出し、かついまお願いをしております特例分の六百億がその上に上積みのような形で減税がなされる、そういう形で昭和五十九年度からスタートしたい、そういうことで努力をしていきたいということでございます。
  71. 志苫裕

    志苫裕君 大蔵もそういう受けとめ方でいいですね。
  72. 津野修

    説明員(津野修君) 昭和五十九年度におきましては平年度七千億規模の本格的な所得減税を実施するということが決まっておるわけでございます。したがいまして、六十年の一—三月分を含めますと、昭和五十九年度減税総額は約八千億円になるというようなことに先回の合意で決まっておるわけでございます。
  73. 志苫裕

    志苫裕君 ですから、その七千億分というのは動かないというふうに一応承っておきます。  次、税率構造にちょっと入りますが、税調答申の二十九ページにいわば所得税の税率構造のことがあって、それから三十一ページに住民税所得割の税率構造のことが触れてありますが、その点を指摘しておきまして、この答申に沿って来年所得税の方が七千億、個人住民税の方が三千億という減税をやるのですか。これとは別なんですか。
  74. 関根則之

    政府委員(関根則之君) 実は減税の方針が決まりましたのはこの答申が出る前でございます。しかし、この答申に盛られております所得税住民税考え方は、その前に出されました所得税住民税部会の報告、これを受けまして総会で決定を見て提出されたものがございます。その所得税住民税部会報告に基づいて減税法案を決定したわけでございまして、少なくも所得税の年内減税、これは答弁能力私にはございませんが、それに対応するいまお願いをしておりますこの六百億の住民税減税というのは、あくまでも政府の責任においてやるという形になっております。その際にも所得税住民税部会の基本的な物の考え方に反しないような方向で、基本的にその線に沿って考えていくべきだ、こういう部会報告をいただいておりますので、その線に沿っていまの問題は決めたわけです。  さて、これからの本格減税をどうするかという問題でございますが、これは確かにこの中期答申という考え方、中期答申がなされております。したがって、これはもちろん尊重されるべきものではありますけれども、それを受けて具体的に五十九年度の本格減税をどう仕組むか、この問題につきましては今後審議が行われます五十九年度税制改正に関する税制調査会の結論というものがこの後でまた出てくるわけでございますので、それをもとにして決めていきたいというふうに考えているわけでございます。
  75. 志苫裕

    志苫裕君 大蔵も大体そんな考え方ですか、七千億分。
  76. 津野修

    説明員(津野修君) さきに提出されました税制調査会所得税住民税部会報告につきましては、これは中長期的に見た所得税制のあるべき姿を示しておりますとともに、減税を行う場合も財政改革の方向に矛盾しないようなものでなければならないというようなことを言いながら、減税の具体的な内容につきましては五十九年度以降の税制改正審議の中で税調とかいろいろなところで確定されるべきものであるということでありまして、五十八年度内の問題につきましては政府に一任するということになっております。  今回の減税に関する政府与党の決定についてのこれは、この答申の趣旨に沿ったものと考えております。
  77. 志苫裕

    志苫裕君 いま不透明な部分があるのですが、中期答申とは言っても、これは恐らくにらむのでしょう。税務局長の答弁からいってもそういうニュアンスはするのですが、そうなりますと、当然税率構造が変わってくることが考えられる。  一説には下をどうするとか上をどうするとかいう話もありますからね。あるいは段階区分をどうするかというようないろいろな意見がちらほら出ていますが、いずれにしましても国税の方のカーブと地方税のカーブというのは現にあるわけです。これに変化が生ずるわけですね。同じものでいくわけがないので、国税と地方税は性格が違うのですから、国税がカーブを直しても地方税がそれに見合って必ずカーブを直すとは限らないわけですから。そういうふうになってきますと、このカーブの変化が出ますと、同じ財源つついているわけですから、その財源割合が変わることも考えられる。  先ほど来局長の答弁は、七、三、こういう話でしたね。これが〇・一か二、どっちかいったりきたりするということは十分に考えられる。われわれは前から皆さんも御存じのようにこの割合は五分五分にせいと言うておるのだけれども、これは七、三がしばらく変わらない。中曽根総理行革は官から民へ、国から地方へと、こう言っておるのだから、当然そのカーブの描き方を変えるときに、その配分割合ぐらいは変えてもらいたいものだという希望は地方の側にあるのは当然だし、われわれもまたそのことは主張します。ですが、このカーブの描き方で変わることがあり得る。われわれの主張は五分五分だけれども自治省としては少なくとも七、三の割合が減ってもらっては困るという考えは持っているのでしょう。  これは局長の答弁もさることながら、大臣、ここのところはあなたの方もきちっと対応をするという返事をもらわぬとちょっと承知できないのだが、その点どうですか。
  78. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) いまのようなお話は、確かに地方公共団体の場合はそういう需要に応じていくための自主財源というのはやはり確保する必要は大いにあるわけでございますから、税率構造等の見直しに当たりましても、少なくとも現行の所得課税における住民税の配分割合が低くなるようなことは避けなければならない、こう思っております。
  79. 志苫裕

    志苫裕君 そこで、所得税の税率構造を、高額者を上の方を引き下げる、出ている話では七五を七〇ぐらいにというような説がある。これはあくまでも説ですが、あるいは単身者というのですか、単身者が一〇%のやつを一二%にとか、いろいろな話が出ていまして、その中堅所得のところの平準化を図るというような、いろいろな話が出ておるのですが、私らはああそうですかと言うわけにはいかない問題点があるということはこの際明らかにしておきますが、いずれにしましても所得税についてそういう話が出ておる。  この考え方を地方税の税率構造に持ち込むということはわれわれはこれは承服できない。国税には国税の応能負担という性格があり、地方税には地方税の応益負担の性格があるわけで、この性格の違うものを似たような形でやってもらっては困るという強い意見を、同列に諭ずべきではないという意見を私は持っていますが、その点いかがですか。
  80. 関根則之

    政府委員(関根則之君) 税率構造をどうしていくかということも、これは具体的にはこれからの年度答申に基づいて私どもとしては決定をしていきたいと考えております。現時点でどういうふうに税率構造を動かすかということについて確たるお話を申し上げる段階にはないわけでございます。  ただ、問題は、今回の中期答申におきまして税率構造の問題についても触れられております。しかし、その税調の中期答申におきましても所得税住民税は違うことが書いてあるわけでございまして、住民税につきましては、たとえば最高税率については府県税、市町村税合わせて一八%なんだから基本的な見直しをする必要はない、「必ずしも高いものとは言えないとの考え方もあるので、当面、据え置くことが適当である。」、こういった言い方もなされているわけです。  これはこのまま法律になるわけじゃございませんけれども、そういう言い方もなされておるということにもあらわれておりますように、税調も住民税独自のいろいろな所得税とは違う性格を踏まえて御議論をなさっていただけるものと考えておりますし、私ども住民税の持っている本来的な性格、すなわち地域の住民が地域に要する経費を広く分担し合う、そういった性格を持っておるということを根本に据えて、住民税にふさわしい税制のあり方について結論を得て実施に移していきたいというふうに考えているわけでございます。
  81. 志苫裕

    志苫裕君 いまの話はそれで了承しましたが、ところが、ここに「市町村民税及び道府県民税を通ずる税率構造について最低税率の引上げ及び税率適用所得階級の刻み方の調整を図ることが適当である」、この最低税率のところに私は率直に言ってこだわっているわけです。  ですが、この点はいまわれわれの考え方を明らかにしておきますが、じゃ、さわらぬでいいかというとそうでもないわけでありまして、特に前に改正をしてどうも矛盾だなと思っているのは、所得四百万程度のところ、あそこのところ、まあ百五十万ぐらいのところかな、これが一挙に二から四になるでしょう。これは二から四というと小さいと言えば小さいけれども、二から四は倍ですからね。これは非常にがくっとしているわけ。取られたなという感じがするわけ。  この辺の調整は、前からも指摘しておったわけだけれども、こういうものはあるいは少し手を加えるとか、あるいは道府県民税の、なた割りになっているものだから、まあ平らと言えば平らなんだけれども、また所得割でないと言えばそうなんだけれども、それにしてもこれは二段階区分のやつは少し考えてもいいのではないかというのは前からも出ているのですが、この点はどっちみち来年全般的に見直さなければならぬわけですから、これは考慮に入れておきますか、いま言った二つの点は。
  82. 関根則之

    政府委員(関根則之君) 道府県民税の方の二段階税率につきましては、いままでも当委員会におきましても相当厳しい御意見、御論議をいただいておるということはわれわれもよく承知をいたしております。ただ、具体的に道府県民税をどう考えていったらいいのかということにつきましてはいろいろ基本的な問題があるわけでございまして、いまの制度も、発想の基本におきましては道府県民税は一本税率でいいのではないかということが、どうも物の本を読んでみますと、従来の経緯を読んでみますと基本的にあったような感じがするわけです。  ただ、そうは言ったって百万ぐらいの所得者と何億という所得者の間で全然税率が変わらないのはおかしいじゃないかという議論も片方にありまして、それならば一定の所得段階以上の者は少し高い税率にしたらどうかということで結果的に二段階税率になっている。全体としての累進構造については、住民税全体といたしまして市町村民税も含めて考えていったらいいのじゃないか、そういうことが基本的な議論の根っこにある考え方だったというふうに理解をしておるわけです。したがって、いま御指摘の道府県民税の二段階税率、しかも二%、四%というものをどうするかということにつきましては、これはなかなかいまの時点で具体的にこうしますという答えが出るような性格の話ではないし、また今回の税制改正において大きく手が入れられる性格の話ではないのじゃないか、私はそんな感じが実はしております。  ただ、もちろん市町村民税の方の税率の刻みにつきましては、御指摘いただきましたように、五十五年の改正のときにちょっとぎくしゃくをいたしております。三十万、十五万、二十五万、三十万と、こういう刻み方でございまして、通常は大体あの幅は二十万から出れば次が三十万なり四十万になる、だんだんふえていくというのが所得税の方の刻み方でございますし、住民税における従来からのそういうやり方をしておりますので、できればこの際はあそこのところはそういう一般的な通則のように直した方がいいのではないかなという感じを持っております。ただ、最終的にはもちろん今後の税制調査会における年度答申を待って具体的に物事を考えていきたい。ただ考え方の基本としてそういう考え方を持っておるということだけを申し上げさしていただきました。
  83. 志苫裕

    志苫裕君 何でも税制調査会の結論を待ってと言うのだが、税制調査会一つの意見ですよ。国会で出ている意見もこれはりっぱな意見なんで、おまえの方は聞かぬが向こうは聞くなんという態度はだめですよ、それは。ちゃんとわれわれの意見も聞いてもらうということにしておいてほしいのです。  それで、最後に財源対策の方に入りますが、まず所得税が千五百億減らしますと、当然交付税が四百六十億ばかり減ってくる勘定になりますね。それで私の主張は、政策減税なのでありますから、当然にこの交付税の減に見合う四百六十億というのは財源措置が行われてしかるべしという主張に立つわけですが、これについてのまず自治省と大蔵省の考え方をちょっと聞かしてください。
  84. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 先生も御指摘になったことと関連するわけでございますが、過去におきまして年度途中に所得税減税が行われた場合におきましてはそれに伴う地方交付税の減収分については全額国の責任で補てんするという扱いがなされてきております。  今回の千五百億円の所得税減税につきまして、これを補正予算の上で具体的にどのようにするのか、他の歳出、他の歳入要素がどうなるのか、これはまだ全く大蔵省の方から示されておりません。したがいまして、計算上は千五百億の三二%四百八十億円の交付税減が生ずるという計算ができるわけでありますが、その具体の扱いをどうするかはまだ詳細に決まっていない状況でございます。また、私ども考え方としては従来の扱いも十分念頭に置いて臨まなければならないし、何よりも五十八年度の地方財政運営に支障がないようにしていかなければいけない、こういう基本の立場に立ってこの問題に対処していきたい、こう考えております。
  85. 志苫裕

    志苫裕君 大蔵省どうですか。
  86. 藤井威

    説明員(藤井威君) 減税に伴います交付税の減の問題でございますが、ただいま財政局長から御答弁がございましたように、まだその取り扱い、補正予算の歳入をどのように取り扱うかという点が決まっておりませんので、具体策を自治省と御相談するところまで至っておりません。ただ、われわれも財政局長と同じ考えでございまして、地方財政の円滑な運営に支障がないような方策は検討してまいりたいと思っております。
  87. 志苫裕

    志苫裕君 次に、この六百億円分は、財政局長、これはどういう考え方ですか。
  88. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 六百億円の減税は、具体的な減収を生ずるのは、先ほどの税務局長の答弁にもありましたように五十九年六月以降の税務執行上生じてくるわけでありますから、歳入上の扱いは五十九年度、特別徴収分につきましては一部六十年度にわたってくると思いますけれども、五十九年度あるいは六十年度の地方財政対策全体の中でこの扱いが決まっていくものと、このように理解しております。
  89. 志苫裕

    志苫裕君 ですから、六十年の地方財政全体の中で減らした六百億円分というのは出てくるわけだ。それを全部節約せいとかいう形になっても困るから、全体の中でといったって、このための費用というのはわかっているわけですからね。全体を切り詰めて、その中にみんなもぐらしちゃったということでも困るわけで、私は少し明確になるような形で地方財政対策がきちっと講じられていくべきだというふうに思っておるのですが、そうすると、いまの財政局長の考えですと、六十年にいってこの六百億円分の減収も含めて地方財政全体の出入りが幾らかということで、その従来手法による地方財政対策の相談の中に入る、こういう意味ですか。
  90. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 従来所得税減税が行われた場合に、それに伴う地方交付税の減収をどうするかという扱いにつきましては……
  91. 志苫裕

    志苫裕君 いや、それじゃなくて六百億円分。
  92. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 年度内の減税の場合には、ただいま申し上げましたように切り離してストレートで補てん措置を講ずるというやり方をしておりますが、その政策的な所得税減税の減収でも翌年度、平年度になって生ずる部分につきましては、それと切り離して、その分をどうするという扱いではなくて、全体としての歳入歳出の見通しの中で地方財政対策の一環としてその扱いに触れてきたというのがいままでの扱いでございます。  ですから、六百億円につきましては、これは五十八年度の減税という考え方で処理されておるわけでありますけれども、これは具体に減収が立つのは五十九年度ないし六十年度でございますから、六百億だけを切り離して、年度内に生ずる——失礼しました。六百億はこれは住民税でございますので、住民税の方は、いずれにしても従来も住民税減税があった場合には歳入歳出全体の中でその各年度の地財対策の一環として対応を決めてきております。ですから住民税減税の減収分を取り出して別途交付税などで補てん措置をするという扱いは従来はいたしておりません。
  93. 志苫裕

    志苫裕君 で、五十九年度の財政の収支見通し、あるときに三兆円足らぬと言ったり、あるときに二兆円足らぬのではないかと言ったりしていますね。いまの段階でどんな見通し立っておりますか。
  94. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 私ども翌年度の地方財政収支の見通しを立てる上で一番大事なポイントになる要素は経済成長率がどうなるのか、税収見通しがどうなるのか、税制改正がどうなるのか、こういったことが中心でございます。歳出の方は、ある程度政府の方針で八月末に各省の概算要求が出ておりますから、その概算要求によってある程度の線が占えるわけでありますけれども、歳入の方は経済企画庁から経済見通し等が明らかになり、それに基づいて国税、地方税の収入見通しが出てまいりませんと何とも見通しの枠組みができない、現在ではそういう状況でございます。  したがいまして、正確にどうなんだとお尋ねがありますと、正確なお答えができないのでありますが、ただその出発点としては、五十八年度の地方財政は交付税特別会計の利子負担の問題は別としまして二兆九千九百億円の財源不足があったわけであります。それについていろいろな措置が講じられた。五十九年度の地方財政も一応このような状態がベースになって、歳入歳出の出入りで収支の状況が明らかになるということではないかと思います。  そういうことで、いろいろその不確定な要素を念頭に置きながら考えておるわけでありますけれども、ただ五十九年度もかなりの財源不足が生ずることは避けられないのではないか、こういう見通しでございます。
  95. 志苫裕

    志苫裕君 ちょっと答弁してないのと同じことでね。そういうことがあって、どれぐらいと見ているのですかと聞いているのです。
  96. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 恐縮でございますが、ここで数字的に何兆円程度だというようなことを申し上げるには余りにも前提要件がまだ不確定である、材料不足であるということでございます。
  97. 志苫裕

    志苫裕君 だって、自治省はあれは夏の段階だったかな、あの予算要求出すころ、あのころは三兆円足らぬとか言っておったでしょう。最近何か二兆円ぐらいかなということを言っている。だれが音出すのか知らぬが、ときどき新聞に載るじゃないですか。あれはどの辺が音を出しておるのですか。
  98. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 夏のころもいまも自治省としての収支見通しは一遍も申し上げたことはございません。ただ新聞等で報道されておりますのは、前年度の財源不足というものを前提にしまして、部分部分の、たとえば交付税の精算減額八千五百億円がなくなるじゃないかとか、あるいは現行制度で言えば交付税五百億の精算増が出てくるはずだとか、給与改定が行われればその平年度付加分が上乗せになるとか、こういう歳入歳出の増減要素の各部分部分をそれぞれにマスコミなどが取り上げて、それぞれに計算して予測の報道をしているのではないかと思っております。私どもも、それらの予測が全く見当違いというふうには申し上げておりませんけれども、ただ政府立場でどの程度と申し上げるには余りにも材料が不足しているということで御理解いただきたいと思います。
  99. 志苫裕

    志苫裕君 まあ無責任なマスコミの報道も見当違いでないという話をしておったから、われわれもその辺から見当違いでない数字を判断するのですが、いずれにしても相当規模の二、三兆円ぐらいになるかもしれませんが、そのほかに地方税三千億円、それから所得税を七千億円減らすというと、それの三二%だから二千二百四十億円ぐらいになりますね。足すと五千二百四十億円、仮に二兆円だとすれば、それに五千億円上積みになるという、これは単純計算ですが、そういうことにいまなっていって、これからしのぎを削るのでしょう。  大臣、まさに綱引きが始まると思うのですが、少なくとも地方税の減税分三千億円、これはやっぱり一時的なしろものでなくて地方税源で保障する、あるいはまた交付税のはね返り分というふうなものも、たとえば法人税の税源補てんとか、いずれにしても制度として税源としてこれは手当てをする、そういうものを全部もう十把一からげにしまして、やっつけ仕事で財源をいわば従来型の地方財政対策ということではくくれない、これぐらいになりますからくくりにくいですから、この点は大臣しかとしてもらいたいと思いますが、いかがですか。
  100. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) いま財政局長がお答えしましたように、五十九年度の地方財政計画をどういうふうに組むかというのはいろいろ前提要件がまだ不確定なところが多い、だから、これだという結論めいたものにはなかなかいま到達しがたいという状況にあるわけなんです。しかし決して五十九年度になって地方財政が好転するものとは思われない、しかし状況はやっぱり若干ずつ変化はするだろう、そこで何としましても歳入をどう見積もるか、いまお話しのように、歳入見積もりのときは何と言ったって経済見通しがどうなるのか、成長率はどうなるのかというのがまず先で、しかしこれも新聞には何かいろいろな数字が出るようですけれども、経済企画庁でいま景気の状況をどう判断してどう見通しを立てるかというのはまだまだ立たないだろうと思います。  そういう不確定要素がありますからなかなか歳入の見通しも立たない。しかし一方においてやっぱり歳出を考えていかなければならぬのじゃないだろうか、行政改革も地方の方はやはり財政にある程度影響のあるような地方行政改革も考えていかなければならないのではないのか、しかし一方においてやはり地方財政というのは国と予算の中身が違いますから、大体においては地方それぞれの住民行政サービスというものに経費を使っているわけですから、そういう歳出の切り方もなかなか私はむずかしい点があるだろうと思いますが、しかしいずれにしろ、そういう歳出の再検討というのは相当徹底してやっていかなければならないのじゃないだろうかと思っておるのです。  そこで、もう一ついまのお尋ねの地方税源をふやせ、ふやしたらどうか、こういうお話がありました。まあ言えば、私は国税の場合は国という巨大なる組織で一本ですから、それはそれなり考えがあると思うのですけれども、地方公共団体の場合は三千三百に余るものが大小いろいろありますから、仮に税源というものを与えても、それぞれに今度はそこで対象になるものが一体あるのかないのかということになってくれば、これ全く種々さまざまな税収の姿になってくるので簡単にこれはいかないと思いますね。  そういうことを考えていきますと、やはり一つはそういうものを調整する機能というもので何とかカバーするほかはないのではないか、そうすればやっぱり交付税というものをひとつしっかり考えていかなければならぬ、そうなってくると国との財政上の区分といいますか、配分といいますか、そういう問題も大いに考えなければならない、こう思っておるのでありまして、ストレートにこれだけ穴があいているから、すぐに税源というのには国と地方とは大分私は事情が違う、こう思っておりまして、そういう全体の中で考えていきたい、こう思っておるところであります。
  101. 志苫裕

    志苫裕君 いずれにしても綱引きが始まるので、自治体は政策的な減税をやる能力も持っていないのだし、こっちを減らしたら、ほいほいと財源を探す能力もないわけであって、でありますから自治省の役割りも大変大きいわけでして、われわれも与野党なんというものじゃなく、これは地方の側に立って綱引きの応援ぐらいはするから、これはやっぱり大臣しかとして対応しないと、これも全部みんな込みにしちゃって応急の財源対策という従来手法では困る、きちっとした税源で保障してもらわぬと困るということはひとつ覚悟のほどを決めて対応してもらいたい。それまであなたが自治大臣でいるかどうかわからぬが、選挙もあることだし、わからぬが、しかし自治省の腹構えというふうなものはそういう対応でいってもらいたいというふうに申し上げておきます。  最後にしておきます。時間もなくなったので飛ばしますが、たばこ専売の改正、いろいろなことを言っていますね。自民党案が出たり臨調が物を言うたりしておるのですが、その制度のありようそのものはともかくとしまして、たばこ消費税という、あれは八千億くらいありましたか、相当な金目のものがどっち向くかというので大変な関心事になるわけで、これについての自治省のいまの考え方があったらちょっと聞かしてください。
  102. 関根則之

    政府委員(関根則之君) 御指摘をいただきましたように、たばこ消費税は現在地方税といたしまして県、市町村にきわめて重要な税源になっているわけでございます。  今回、臨調の答申に基づきまして専売公社の改組問題が議題に上っておりまして検討がなされており、民営形態に変更をするという方向で議論がなされるものと考えておりますが、一方におきまして輸入たばこが自由化されるといったような問題も入ってきて、いわば流通専売が必ずしも維持できないというような形になる可能性があるわけです。そうなりますと、輸入たばこに対してどう地方のたばこ消費税を課税していくのかという問題を考えなければいけないわけでございまして、そういった問題を含めて地方たばこ消費税の見直し問題というのが起こってきているわけでございます。  私どもといたしましては、最初に申し上げましたように貴重な地方の独立税でございますので、いろいろな議論はあろうかと思いますが、これからも地方の独立税として維持をしていきたい、こういうふうに考えておりますし、また税収におきましても少なくとも現行税制において確保できる税額というものは確保していく、そういう方向で各方面と折衝もし、成案を得ていきたいというふうに考えております。
  103. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後一時二十分まで休憩いたします。    午後零時十九分休憩      ─────・─────    午後一時四十四分開会
  104. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。  個人住民税に係る地方税法臨時特例に関する法律案議題といたします。  休憩前に引き続き質疑を行います。質疑のある方は順次御発言を願います。
  105. 原田立

    ○原田立君 大臣、質問に入る前に一言申し上げておきたいのですけれども、要するに今回政府減税の約束をしたのは、五十八年中に景気浮揚に役立つそういうものをつくるというのが三月の初めに合意された、これは基本だと思うのですね。ところが実際問題、五十八年減税はその実施時期、減税額ともわれわれが要求していたようなものとは非常にかけ離れたものであり、まことにひどい内容であるというふうに私は感じております。  ただいまも申し上げるように「国民世論の動向にこたえ、景気浮揚に役立つ相当規模の減税を実施するための財源を確保し、所得税及び住民税減税についての法律案を、五十八年中に国会に提出する」と、こう明言してあるわけですが、ところが、実際問題は五十八年中に行われるものというのは実際所得税の千五百億円だけでしょう。それは景気浮揚に役立つということを胸を張って言えるのかどうか。局長はこの前ちょっと口を滑らして委員長室で言うておったけれども所得税の千五百億に見合うための六百億の地方税の減額なんですなんということをあなた言うたけれども、そういうふうな考え方をしておるとなると、この合意事項が全くうそになるし、言葉は悪いけれども、ペテンにひっかけたような感じをわれわれは持たせられるわけです。  そこで、局長に聞く前に、これは政治的な問題ですからまず一番初めに大臣にお伺いしたい。
  106. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) 確かにおっしゃるように議長見解がありまして、その後各政党の幹事長書記長会談が行われ、そこで与党の幹事長からもそういう意見が出てお約束をした、こういうことだと思います。それで、それは二つあると思うのですね。一つは五十八年中にやるということ、いまもう一つは景気浮揚に役立つ規模である、こういうことだと思うのです。  それで、五十八年中というのは、これは国税の方はしばらくさておきまして、地方税の方は御存じのような徴税の仕組みになっておりますから、これは五十八年中にやれと仰せられても事実問題として不可能に近い、こういうことであるわけなんです。そこまで御認識をいただいた上でお約束ができたのかどうか私も存じませんけれども、少なくもそういう地方税、住民税の徴収の方法、これは国税と全く違うので、市町村で税額を四千二百万について全部計算するという方式なんです。これがいいのか悪いのかということが私は一つの検討課題だと思っているのですけれども、しかし現行はそういう制度になっておりまして、年度途中でそういう減税措置をするというのは実際問題としてはむずかしい。少なくも地方税につきましてはそういうことなのであります。  それから、もう一つは景気浮揚に役立つようにということでございます。これは先ほども私はお叱りをこうむりましたけれども、景気浮揚というのはやっぱり全体としてやらなければならないということである、減税というものも確かに個人消費を刺激して景気浮揚に役立てる一つの政策手段であるということは間違いないのであります。そこで、それはできるだけ奮発すればそれにこしたことはないのでありますけれども、国の方もいま大変厳しい財政状態にあるということで、結局ああいう金額になった。それに対応して地方税は奮発すればいいじゃないかということかもしれませんけれども、それはやっぱり国税と地方税との均衡はありますから、そういうことに最後落ちつかざるを得なかったのだと思いますね。  そこで、これは五十八年度中はそういうことでございますけれども、五十九年度につきましては一兆円というものをお約束をしまして、そういう減税をいたします、通常国会には必ず法律案を出します、こう言っているのですから、それに対して御期待をかけていただいて、景気浮揚に役に立つ、いまは財政の厳しい中で精いっぱい勉強したのでありますと、こういうことでひとつ御理解をいただきたいと思うのであります。
  107. 原田立

    ○原田立君 大臣、お伺いしますけれども、「五十八年中に国会に提出するとの確約が」云々というのは、これは後藤田官房長官が三月二日の委員会で話をしているのでありますけれども、五十八年中に提出するというのは五十八年度中に減税というのじゃなくて、五十八年もちょこっとやりますけれども、五十九年度は多々やるのですよと、こういう意味ですか、これは。
  108. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) その点は私も詳しい折衝の当事者になったわけじゃありませんけれども、やや考え方が食い違っていたようなふうにも聞いております。  つまり官房長官が予算委員会で読み上げましたのは、法律案は五十八年中に出しますということを申し上げたというつもりだというふうに私は聞いておるのです。しかしそうではなくて、幹事長書記長会談では五十八年中に法律案は出すということと、もう一つは五十八年中に実施するのだ、こういうことになったと聞いております。しかし官房長官が読み上げたのは、私どもの聞いておったのは五十八年中に法律案を出すのだ、こういうふうに聞いたわけでして、その辺は少し食い違っておりますけれども、しかし結論としてはやっぱり五十八年中に実施するというのはいわゆる与野党間のお約束であったと、こういうふうに私ども聞いております。
  109. 原田立

    ○原田立君 大体それは基本でしょう。そうすると、所得税は千五百億円、これは年内やりますね。だけれども住民税についてはいま大臣が言われるまでもなく私も承知しておりますが、前年度の所得に対して次年度にかけるわけですから。だけれども、千五百億がさっきも言うように「景気浮揚に役立つ相当規模の減税」というそういうものに相当しますか。私は五十八年度中に所得税七千億円、住民税三千億円、仮にこういうふうに出したとしたならばある程度のものはあるなという感じはするのですけれども所得税千五百億円で住民税の六百億円は来年の六月からだと、こう言ったら、まるまる減税になるのは千五百億円だけですよ。景気浮揚だなんというものにさらさら縁のない金額であるというふうに私は思うのですけれども、どうですか大臣。それとも強弁なさって千五百億、これは景気浮揚に十分役立つ金額である、相当する金額であると言われますか。
  110. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) それは五十八年と五十九年度合わせて一兆二千百億であります、そういう減税をいたしますと、こういうことを申し上げておるのであって、そういうことについては五十九年度には必ず一兆円の減税は実施されるということでありますから、それらを考え合わせていただいて、来年度は必ず一兆円減税がある、こういう一つの期待感を持って景気浮揚に気持ちの上でひとつそういう御期待を願う、もってその景気浮揚に何がしか、まあ何がしかといいますか、役に立つ、こういう気持ちでいるわけであります。
  111. 原田立

    ○原田立君 それは大臣は期待感を持って大いに待っててくれと、こう言う。それはあなた、大臣で与党で行政府ですから、出す方ですからそういうことを言われるのだけれども、もらう方の側、国民の側はそうはいきませんよ。はあ、もらえるんだな、ありがたいなと思っていたのがすぽっと千五百億円だけで終わりといったら、これは余りひどいと思いませんか。
  112. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) そこのところはいろいろ認識にもよると思いますけれども政府としましては一兆二千百億という減税をやります、こういうことで、いま財政事情の非常な厳しい、これは国の財政も地方財政も全く厳しい中でそういう勉強をしたということをお認めをいただいて、全体としては景気浮揚に役に立つ、こういうふうに政府考えているということであります。
  113. 原田立

    ○原田立君 せっかくの御答弁だけれども、全然それを私は容認する気持ちはありません。  ところで、千五百億円の所得税減税で一体どれだけの景気浮揚につながるのですか。
  114. 津野修

    説明員(津野修君) 千五百億円の所得税減税につきましてどれだけ景気浮揚につながるかというお尋ねでございますが、景気浮揚につきましてはこれは経済に対して定量的に見てどの程度影響を与えるかということでございますが、減税内容とか減税に対する期待形成の態様とか、経済情勢のいかん等いろいろ複雑な要素がございますので、定量的に試算することは直ちにはきわめて困難でありますし、またそういうことが必ずしも適当であるとは考えておりません。
  115. 原田立

    ○原田立君 三百万円の収入の人は現行税額が六万六千円、改正税額六万一千二百円、減税額四千八百円、これは夫婦子供二人の給与所得者の場合ですよ。五百万円の人は六千四百円、七百万円の人は八千四百円、このくらいのもので景気浮揚に役立つとはさらさら思わないのですけれども、どう思いますか。
  116. 津野修

    説明員(津野修君) 今回の減税につきましては全体として一兆二千百億円ということで決まっておるわけでございまして、本年度の千五百億円ということだけを切り離して景気浮揚の観点というようなことで御議論願うのはいかがかということが第一点でございます。  さらに一兆二千百億円という減税規模でございますので、これはことしの年内に千五百億、それから来年の平年度でさらに七千億、そういうふうに所得税だけについて言いますとそれだけの減税をされるわけでございますから、いずれにいたしましても消費支出とかそういう可処分所得がふえますことによる影響というものは必ずあるわけでございますし、さらに今回の所得税制の改正というものが単に短期的な景気浮揚というだけではございませんで、中長期的に社会経済の実態に即して所得税改正を行うということになっておりますので、中長期的に見ましても経済に対していい影響が出てくるであろうというふうにわれわれは考えております。
  117. 原田立

    ○原田立君 本法律案の提出理由の中で「個人住民税に係る税負担の現状にかんがみ、地方財政実情等を勘案しつつ」云々というふうな理由説明をしてありますけれども、これは一体どういうことなんですか。
  118. 関根則之

    政府委員(関根則之君) 地方税の住民税特例の御審議をいただいております法律案を提出するに当たりまして、「個人住民税に係る税負担の現状にかんがみ、地方財政実情等を勘案しつつ」ということで理由を述べているわけでございますが、その意味するところは、要するに個人住民税につきましては昭和五十二年にある程度相当大きな減税所得税とあわせてやりまして、その後も実は五十四年と五十五年に減税を実施しております。ただ、しかしそれの規模はそれほど大きなものではございませんが、ただそうは言いましても課税最低限等は逐次引き上げを図ってきております。  しかし、五十五年度の改正で設定をいたしました標準世帯における住民税の課税最低限は百五十八万四千円でございますから、その後所得水準なりあるいは社会保障制度等の充実が図られまして、それらとのいろいろな関連を考慮いたしますと、やはり相対的に相当低いものになってしまっておる。それから、五十五年にたとえば三百万程度の収入があったという人たちが、その後年収はベースアップ等によって多少ふえてはおりますけれども、年収がふえますと税額はそれを上回ってふえてくる、そのために実質の可処分所得というのが必ずしも年収の名目伸び率ほどは伸びないというような数字もいろいろな方面で提示されているわけでございますが、そういったような状況考えますと、やはりこの際減税を実施する必要がある。減税実施の背景として私どもはそういう住民負担の実情というものを認識しておるということを述べているわけでございます。  「地方財政の実情」というのは、これも御承知のとおりでございますけれども昭和五十八年度末の地方団体の借入金の総額というものが五十八兆円にも達するというようなこともございまして、大変厳しい地方財政状況に置かれておる、これの健全化を図ることが急務となっておる、こういう状況がございますので、減税につきましては国民の要望にこたえるためにはできるだけ大きな減税をするということが望ましいということが言えるのかも知れませんけれども、一方地方財政状況考えますと必ずしもそれほど大幅な財源を許さないというようなことでございますので、その辺のところの要請も考えながら法律案作成に当たった、そういう意味で「理由」に述べさしていただいたわけでございます。
  119. 原田立

    ○原田立君 この六百億円の住民税減税、この程度で来年六月から減税になった場合に一体一人当たりどのぐらいになるのですか。
  120. 関根則之

    政府委員(関根則之君) 来年度以降の平年度三千億円の具体的な減税の仕方というのがまだ最終的に決まっておりません。今後税制調査会の御審議を待った上で具体的に確定をしていきたいということでございますので、たとえば課税最低限を幾らにするかということの内容もまだ詰まっていない状況であるわけです。  ただ、そういうことでございますけれども、私どもは、この際減税をやります以上はできる限り課税最低限の引き上げに重点的に配慮をしていきたいということを考えております。したがって、その中で課税最低限に直接響きますのは所得三控除を引き上げるということが一番いいわけでございますので、中心にその問題を据えまして、少なくとも基礎、扶養、配偶者各控除は三万円ぐらいは引き上げますと、こういう物の言い方をしているわけでございます。各控除を三万円引き上げました場合の標準世帯における課税最低限は百七十七方円程度になるものと見込んでおります。
  121. 原田立

    ○原田立君 局長、僕は課税最低限の話聞いているのじゃないのですよ。六百億円を来年六月から減額するでしょう。そうすると、年間にわたって減額されるのが一体六百億に相当するものが幾らなんですかと、それを聞いているのですよ。課税最低限度額の話を聞いているのじゃないのですよ。私の質問事項前に通知してあるから間違って答弁しているのじゃないのですか、あなた。
  122. 関根則之

    政府委員(関根則之君) 大変失礼を申し上げました。六百億円の減税を実施いたしますと、所得段階によりまして、三百万円の年収の夫婦子供二人の給与世帯の場合、税額として年間千九百六十円の減税になります。
  123. 原田立

    ○原田立君 千九百六十円ですね。四百万円の人は三千八十円でしょう。五百万円の人は三千三百六十円、それぞれの月給が五十九年六月から一年間にわたって月々わずか百六十三円、または二百五十七円、二百八十円だけふえる勘定になる。これは景気浮揚に値する金額とは言えないのじゃないですか。あなた、はしなくも千五百億所得税やったから、それに見合って六百億やったのですって、見合ってという言葉に非常に僕は不信感を持つのですけれども、景気浮揚に値する減額じゃないでしょう、六百億なんというのは。どうですか。
  124. 関根則之

    政府委員(関根則之君) 減税の規模をどうするかという問題につきましては、国、地方を通じて大変厳しい財政状況のもとでございますので、それとの兼ね合いの中でやっぱり判断せざるを得ないということでございます。できるだけ規模を大きくしていきたいというもちろん意図はございますけれども、なかなか財政状況がそれを許さないというようなことで、全体の減税規模を政府としては確定したものというふうに考えております。したがって、従来の国会におけるいろいろ論議等の背景との兼ね合いで、どういうふうに景気浮揚策を考えるのかということでございますけれども、これは全体の平年度国税七千億、地方税三千億、それから五十八年中の所得税減税、それからそれに対応する住民税減税、そういうもの全体をひっくるめまして果たして景気浮揚に役立ち得る減税と言えるのかどうかということで御判断をいただきたいものというふうに考えております。  今回の六百億円の住民税減税だけを切り離して、これで景気浮揚に役立つのかどうかということを切り離して考えることは必ずしも適当ではないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  125. 原田立

    ○原田立君 それは適当でないのじゃなくて、景気浮揚に値しない金額なんですよ。あなた自分で知っていながらしゃべっているのです。  それじゃ、経企庁に伺いますけれども、七月二十七日に経企庁は景気は底離れしたという宣言をなさっておられますけれども、その当時の状況、それからその後の推移、現況、これをひとつ。
  126. 宮本邦男

    説明員(宮本邦男君) いま先生が五十八年七月に景気底離れとおっしゃいましたことでございますけれども、これは私どもが景気動向指数というのを計算して二カ月おくれで発表いたしておるのでございますけれども、七月に五月の指数を発表いたしたわけでございます。そのときに先行指数、それから一致指数というのがございますけれども、両系列とも五月まで三カ月連続して五〇%の水準を上回っていたという事実を私どもで発表いたしたわけでございますが、それを新聞等報道機関が景気底離れと報道いたしたわけでございます。その後、私どもで景気動向指数、そのほかの景気の諸指標を検討いたしまして、これは八月でございましたけれども、今回の景気循環局面における景気の谷をことしの二月であるというふうに判定いたしたわけでございます。  その後の経済の動きを見ますと、たとえば輸出でございますけれども、これがことしに入りましてから数量ベースで増加傾向に転じておりますし、それを主な牽引力といたしまして、鉱工業生産もほぼ時を同じくして増加傾向に転じております。四—六で前期一・六%増、七—九月期で三・三%増ということで、鉱工業生産の増加傾向が続いておるわけでございます。また、ずっと一進一退ということでまいりました輸入でございますが、これも数量ベースで見まして七—九月期は前期二・七%増、さらに前年水準と比べましても、七—九月期には五十七年一—三月期以来前年水準を上回るということで持ち直してきているというふうに見ております。  以上のようなことでございまして、二月に底を打ちましたわが国の景気全体としましては、緩やかに回復しているというふうに認識いたしております。  ただ、内需を見ますと、個人消費の伸びは依然として緩やかでございますし、そのほか国内の投資活動も先行き若干ここに来て動意が見られておりますが、現状ではなお横ばいということでございまして、国内需要の回復力がなお盛り上がりを欠いている、そういったことを受けまして、業種別、地域別にも景気動向になお跛行性が残っているというのが現状でございます。
  127. 原田立

    ○原田立君 輸出がふえたということ、それで少し上向きになった、だけれども内需の拡大についてはまだ緩やかであって、まだまだそんないいという段階ではない、それが現在まで続いている、そういうように概略認識していいのだろうと思いますけれども、そうすると、経企庁が七月に発表になったのを新聞社が底離れ宣言というふうに受け取ったというふうな、そういう表現をしただけであって、経企庁としては必ずしも底離れをしたという宣言ではないというふうにとらえていいのですか。
  128. 宮本邦男

    説明員(宮本邦男君) ただいま申し上げましたように、景気の底は二月と申しますか、全体を見ますればことしの一—三月期に底を打ったということでございまして、その後全体として見ますと緩やかに回復しているという認識でございます。
  129. 原田立

    ○原田立君 最初から急激なぱっと景気がよくなるなんていう、そんなことはないと思う。最初は緩やかなんでしょう。その緩やかなのは、もっと内需が、まあ日本の内外の情勢から言えば余り輸出増に頼ったような景気がよくなるということは日本立場としても好まないわけですね。そうなると、果たして今後ずっとまだもう少しよくなるという、そういう見通しはございますか。
  130. 田中努

    説明員田中努君) 景気の見通しでございますが、現在まだ内需の回復力が盛り上がりを欠いておりますが、先行き御指摘の輸出の回復でございますとか、あるいはこのところ物価が安定していることでございますとか、そういった点で若干の明るさが見られるということもございまして、十月二十一日に決定いたしました総合経済対策の効果も加わりまして、景気が今後順次回復に向かうというふうに考えております。
  131. 原田立

    ○原田立君 いまお話あったけれども、輸出はこれからまだ伸びるのですか。
  132. 田中努

    説明員田中努君) これはアメリカを中心といたします世界各国の景気の拡大回復がどの程度の速度で進行するかということにかなりかかっておりまして、アメリカの経済は現在非常に急速に回復をしておりまして、これが現在の速度で回復を続けるということについては不確定な要素もございますけれども、世界経済は全体として回復に向かうというふうに見ておりまして、したがいまして、輸出の伸びにつきましても現在のような急速な回復ではないにしても基調としては回復に向かうというふうに考えておりますし、またこれが内需に対して影響を与えてきて、内需が現在の盛り上がりを欠く状態からもう少し活発な状態になっていくことを期待しておるわけでございます。
  133. 原田立

    ○原田立君 アメリカ向けの貿易、輸出、前から見て、いまずっとどんどん自動車やなんかが制限されているわけですね。だけれども現実には約三割ぐらいふえている。それで、いまアメリカはかんかんになって怒っているというのが現状でしょう。それで、なおかつまた輸出がふえるというふうに予測なさるのですか。
  134. 田中努

    説明員田中努君) 個々の品目につきまして特定の市場について考えますと、ただいま御指摘の自動車のように先行き問題のあるものもあるかと思います。自動車につきましては年間の数量が制限されておりまして、これが年度当初に早目に出ていくという点がございますので、そのままの勢いが年度の残りにつきまして継続をするというふうには考えておらないわけでございます。スローダウンはするだろう、しかしながらアメリカ及びヨーロッパの経済の全般的な回復に伴いまして日本の輸出が今後回復傾向にあるという、私どもそのように考えておるわけでございます。
  135. 原田立

    ○原田立君 通産省の杉山事務次官は七月二十八日の記者会見で、景気はとても底離れしたと言えるような状態ではない、こういうふうな異論を言うておりますけれども、経企庁は景気底離れ宣言なんと言った覚えはないのだけれどもマスコミがこう書いた、だけれども、まあまあ緩やかに上昇しているのだという、これ非常に対比して見ると、経企庁は旗振りでずいぶん緩やかな物の話しているなというふうな感じを持つのですけれども、どうですか。
  136. 宮本邦男

    説明員(宮本邦男君) 先ほど来申し上げておりますように、ことしの二月が底でございまして、それ以降全体としては緩やかに回復いたしておるわけでございますが、回復過程が緩やかである、それから輸出増からの生産の回復というのが目立っているということがありまして、業種別、地域別にまだなお景況観にかなりの跛行性があるわけでございます。  業種別に見ますと、やはり輸出に関連いたしました製造業等はよろしいのでございますが、建設とか土木が不振でございますし、地域別には北海道の景気はなお停滞ということでございますし、それから西の方では中国、四国などの景気は足踏み状態であるということで、やはり経済全体に跛行性があるということが立場により人によって見方が分かれてくる一つの原因かと思うわけでございますけれども、私どもは全体として景気を見ますと、ことしの初めを底に緩やかながら回復をしている、現段階ではそのように見ているわけでございます。
  137. 原田立

    ○原田立君 杉山事務次官のその指摘についてはどう答えますか。
  138. 宮本邦男

    説明員(宮本邦男君) 先ほど申しましたとおりでございまして、年初を底に緩やかに回復しているという判断でございます。
  139. 原田立

    ○原田立君 そういうふうに経企庁が言っているのに対して、杉山さんがこう批判しているわけだ。まああなたに言ったってこれ以上答弁出てこないから、これ先へ進めます。  十月二十一日に六本柱の総合経済対策が出されておりますけれども、六項目からなっていますが、これ経企庁の方から聞いていると時間ばかりたってしまうのですけれども減税一兆二千百億円、公共投資追加が一兆八千八百億円ということが第一項目で「内需拡大による景気振興」としてうたい上げられているわけでありますけれども、これが一体どのぐらいの影響度を持つのですか。
  140. 服藤収

    説明員服藤収君) 恐らく御質問の趣旨はそれの計数的な影響を答えよということじゃないかと思うのでございますが、いま御指摘ありました公共投資の追加それから減税のうち、いまのいろいろな与えられた条件のもとでそれなりに計測可能なのは公共投資等の追加の影響でございます。  私が申し上げるまでもなく、経済のシステムというのは無数の経済変数がございまして、これが相互に関連し合って決定され、動いているわけでございます。したがって、あるところで刺激を与えたときにそれが全体にどういうふうに波及していくかというのは、実は定性的にはいろいろ言えるわけでございますが、定量的には非常にその把握がむずかしいわけでございます。しかし、そうは言ってもそれなりの数字をつかまえて議論しなければいけません。そこで、非常に大胆な仮定を置きまして、計量モデルというようなものを用いて、それを操作して一つの実験を行って、その結果を見ていろいろ議論するわけでございます。  経済企画庁で世界経済モデルというのがございます。それで今回の対策のうちの公共投資等の影響をはじきますと、向こう一年間実質GNPを〇・八%程度引き上げるというような試算結果が出てございます。
  141. 原田立

    ○原田立君 〇・八%ぐらい押し上げるというのは、公共事業追加と電力の設備投資追加の合計二兆三千百億円だけでしょう。それで、僕が聞きたいのは、要するに減税一兆二千百億円、これは一体どのぐらいの押し上げになりますかと聞いているのです。
  142. 服藤収

    説明員服藤収君) お答え申し上げます。  いま申し上げました〇・八%というのは、つまりいわゆる公共投資と、それから公共的投資の性格の強い電力事業の投資の前倒し分、これらの効果でございます。  それから、御指摘の減税の効果についてでございますが、今回の対策では先ほど来御議論されておりますように、減税が本年度それから来年度二年度にわたっているわけでございます。これをそれぞれ切り離してモデル等を用いて計測できるのかどうか、あるいは一緒に取り扱って議論すべきものなのかどうか、これ自身一つの問題でございますが、しかし一応こういった対策の効果を考えるときには、それの対策をとったことが経済構造の主体、この場合は個人消費者になるのでありましょうけれども、メンタルな側面に与える影響、これをかなり経済分析の立場からは重視せざるを得ないのではないかというふうに考えます。そういたしますと、これは対策の中に両年度にわたる減税というのが一緒にセットとして盛り込まれて、かつアナウンスされたわけでございますから、やはり一体としてその効果を考えるのが適当ではなかろうかというふうに考えております。  それじゃ、その効果はどうなんだということでありますけれども、今回の御処置というのがいずれにしましても数年ぶりの課税最低限の引き上げである、しばらく上げなかった課税最低限の数年ぶりの引き上げであるというような本格的な減税であるということでありますから、その引き上げ自身が消費の源泉になります可処分所得自体をふやすわけでございます。その効果がまず一つあるだろう、それから、そういったことが行われるということの消費者への影響、消費マインドへの影響、こういったものが両々相まちまして、全体として個人消費を押し上げる、私どもいま何とか浮揚を図りたいと考えておる景気に好ましい影響を持ってくれるのではないかというふうに期待しておるわけでございます。それから、やや中期長期の観点からこの効果というものを考えてみますと、先ほど主税局の方から答弁がございましたけれども、今回の減税措置というのは課税最低限の引き上げと、社会経済の変化に対応いたしまして所得税制全体をより中立的あるいは公平なものにすることをねらいとして改正考えられておるというふうなこともございますので、中長期的に見ましても経済に対しましては好ましい影響を与えるというふうに期待してよろしいのではないかというふうに考えるわけでございます。  それから、具体的にはその計数が出ないかということでございますけれども、それは先ほど申し上げましたように、非常に消費者のメンタルな面への効果というのが今回の措置については期待できるわけでございまして、そういったものを計量的に把握して、方程式のかっこうでとらえまして効果をはかるというのは非常にむずかしゅうございます。そういった期待形成の行われ方、それを計量的に把握することはむずかしいということ、それに加えまして、財政的対応と申しますか、この一兆二千何がしの財源をどういうふうにして手当てするのか、そういった財源の手当て自身、それ自身また経済にそれなりのインパクトを持つわけでございますから、今回の減税の全体としての効果を見るためには、そういうふうに減税自身の効果、あるいは減税の裏側にある措置の効果、それらを一体的にとらえぬといけませんが、それがなかなか計量的に把握することがむずかしいということで御理解いただきたいと思います。
  143. 原田立

    ○原田立君 大変長い御説明をいただいたのですけれども、要するに、さっきからずっと経企庁の方の話もみんな聞いているのだけれども、輸出の増大、それによって今後はよくなるだろうという話がまずはっきりしているのですね。それから内需の拡大ということについては、いまのお話ですと、まあまあある程度あるだろうけれども、それは一つ減税というのが内需の振興ということに役立つだろうと言うけれども、それは余り漠としていてはっきり言えない、そういう話なんだけれども、いまこれ減税法案審議しているのですから、減税のことについてもっとはっきり言ってもらわないと困るのですよ。  根っこは今年度行う千五百億の所得税、六百億の住民税、来年行われるところの七千億の所得税住民税の三千億円、この減税額一兆二千百億円が一体どういうふうな景気の内需拡大にプラスになるか、そこを実はさっきから言っている。要点はそこを聞きたいのです。  それで、さっきあなたから答弁もあったけれども、今回景気がよくなったと言うけれども、中身は輸出の増大によってある程度よくなったという面がうかがえるし、今後もそういう方向が見えると言う。だけれども、それじゃ今年末、いろいろ私データとか見てみると、何か二百二、三十億ドルですか、要するにアメリカの方に輸出増になって、アメリカからも大変強いことを言われるであろうということが言われているわけなんだけれども、それじゃ困るわけだ。内需の拡大を図る、その意味で景気の浮揚を図る、景気の浮揚を図るというその根っこは減税でしっかり個人消費の拡大を図ろう、こういうふうにつながっているわけなんだ。だから輸出の増大で景気が浮揚になるという話じゃ困る。それから減税についてしかとした見通し、はっきりした答弁が得られないのでは全くわからない。もっとはっきりしてください。
  144. 田中努

    説明員田中努君) 輸出がふえると国際収支の日本側の黒字が累積いたしまして、アメリカ等の諸外国からいろいろ批判をこうむるという御指摘がございましたが、まことにそのとおりでございます。私ども年初国際収支のうち経常収支の黒字額の見通しを推計いたしました折には、およそ九十億ドルの黒字にとどまるであろうというふうに考えておったわけでございますけれども、その後石油価格の引き下げ等がございまして、これだけによりまして六十数億ドルの黒字が日本側に生ずるというような事情も加わりまして、現在の段階では当初の九十億ドルという経常収支の黒字見通しを相当上回る程度の黒字が今年度におきまして生ずるであろうという見通しになってきております。  そこで、十月二十一日の対策を講じました際にも、内需を拡大することによって国内の景気を振興することはもとよりでございますけれども、この内需の拡大によりまして輸入も増大させるということによりまして国際収支面にも好影響を期待するということを念頭に置いたわけでございます。これにつきましては対策の中で内需の拡大に加えましてさらに市場の開放でございますとか、輸入の促進でございますとか、あるいは資本の流入の促進を通じまして円高に誘導することによりまして国際収支の黒字をなるべく減らしていこうというふうな各般措置を講じまして、総合的に国内景気の振興と対外的な均衡の回復という両方の目標の達成に寄与することをねらったわけでございます。  そのうち、内需の拡大につきましては公共投資の一兆八千八百億円の拡大を初めといたしまして、減税ももちろんでございますが、そのほかに公共的事業分野への民間活力の導入の促進でございますとか、あるいは開発銀行の融資枠の追加、それから電力業界の設備投資の追加六千二百億円というふうな措置、さらに中小企業対策の促進、さらには金融政策の機動的運営ということによりまして、公定歩合を初めとする金利水準の引き下げというようなことを一つのセットといたしまして内需対策として講ずることを決めたわけでございまして、このうちたとえば金利の引き下げ等につきましてはすでに実現を見ているところでございまして、そういった各種の措置によりまして内需が振興されるということを期待しておるところでございます。
  145. 原田立

    ○原田立君 もう時間がないから、ほかの人の答弁を得たいと思うけれども、先へ進めます。  減税といっても、しょせんその裏づけとなる財源を何によってプールするのかということが最重要課題でしょう。減税の裏づけとなる財源をどういうふうに確保するか、お伺いしたい。
  146. 関根則之

    政府委員(関根則之君) 減税の裏づけ財源の問題でございますけれども地方財政大変厳しい折ではございます。財源をちゃんとしていく必要があろうと考えておるわけでございますが、地方団体は三千三百の団体に分かれておりまして、その財政のやり方といいますか、財政運営等についてもいろいろな問題があるわけでございますので、今後の具体的な財源措置につきましては来年度の予算編成の過程におきまして地方財政対策その他を通じまして、歳出の節減合理化を含めて適切な処置を講じていくべきものというふうに考えております。
  147. 原田立

    ○原田立君 大蔵省、五十八年度の税収の見通しについて、所得税、法人税、酒税、それぞれについて当初の計画と実際年度末行ってどのぐらいになるのか、そこら辺の見通し。
  148. 津野修

    説明員(津野修君) 今年度の税収総額及び所得、法人、酒税のそれぞれの税収の見通し等でございますが、当初の税収見込み額はこれは予算に書いてございますけれども所得税で十三兆八千五十億円、法人税で九兆四千九百七十億円、酒税で一兆八千六百億円でございます。一般会計分全体といたしまして三十二兆三千百五十億円、これが予算額として当初の見込みとして出ておる数字でございます。  ところで、五十八年度のこれらの税収の見通しでございますけれども、現在九月末までの税収はわかっておりますが、この九月末までの税収はほぼ予算額の三分の一程度、全体で税収総額の約三分の一程度の額になっております。したがいまして、この三分の一程度の現段階におきまして、最終的に税収総額が幾らになるかというような見通しを現時点において申し上げることは、今後の経済情勢等の動向もございますので、確たることをいま申し上げることは困難でございます。
  149. 原田立

    ○原田立君 かなり減収するのじゃないかということを巷間言われているのですけれども、そういう心配はありませんか。
  150. 津野修

    説明員(津野修君) 全体の話でございますが、いま申しました所得税、法人税、酒税を中心に申し上げますと、所得税につきましては春闘あるいは夏期ボーナス等が低調に終わっておりますが、これも年末のボーナス等の動向がどうなるかという不確定要因がございまして、これも何ともまだ最終的なことは言えないかと思います。それから、いまのは源泉所得税でございますけれども、申告所得税につきましては、これは毎年三月になるまでなかなか確定申告でございますのではっきりしたことが出ていない。  それから、法人税につきましては、これはまさに今後の景気動向によりますものですから、現段階では三月の決算がどうなるかということ次第でありまして、必ずしも楽観的な見通しも立たないということでございます。  さらに、酒税につきましても、今後夏のビールの好調があらわれてくるということもありますけれども、これもなかなか楽観的なことも言えないというようなことでございまして、全体的に割り込むのか、あるいは自然増収が出てくるのかというようなことも、いまのところでははっきり申し上げる段階にないということでございます。
  151. 原田立

    ○原田立君 何を聞いてもわからないでは困るのだけれども、そんな返事では。要するに景気の動向もさっき経企庁の方からずっと事細かに聞いたのだけれども、緩やかによくなるというような意味であって、余りよくなるとは言えない、もしかすると、下手すると、がくっと落ちるようなおそれもあるのじゃないかということを心配するわけだ。そういうことがなければ結構なんだけれども。  個々の問題聞く前に、大臣にお伺いするのですけれども、もうこの二十数年来、地方交付税の所得税、法人税、酒税の三二%はもう地方の固有の財源であるということを議論して、二十数年前に決まっている話なんだけれども、この話はいまもいわゆる聖域視されているものであって、壊されることはないでしょうね。
  152. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) 地方交付税につきましては、これは大蔵省もそういう同じように認識だと思いますが、地方の固有の財源である、こういうことになっております。
  153. 原田立

    ○原田立君 要するに大丈夫だということですね。ところが、巷間、その途中の十四、五年ぐらい前のときにはこの三二%を三〇%に引き下げるのだといってずいぶんやかましいときがあったのですよ。その当時の自治大臣大いに努力してもらって三二%、今日までずっと続いているわけだけれども、今後もその点は間違いありませんね。
  154. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) 地方交付税というものは、全体の地方税とそれから国税との関連において地方交付税は地方の固有の財源であるということには間違いない。ただ、その率の問題は、これはたしか二十年近く前に三二が決まって、自来そのとおりやってきておるわけでございますが、国会の論議の中でもいろいろございまして、やっぱりこれは上げるべきだという御議論もあるのでありまして、率の問題はまたこれはいろいろ御論議のあるところだろうと思うのです。ただ、地方交付税の性格そのものについては、これは先ほど来お話のとおりであります。
  155. 原田立

    ○原田立君 いま大変大臣力強い御返事で、三二%を三四%ぐらいにすることもという、大変地方にとってはありがたい話だと思うのだけれども、それならそれでいいのだけれども、減らすという話が巷間非常に強かったのですよ。大蔵省の方からの詰めが強かったのですよ。だから心配しているのです。いままた同じように財源圧迫化した今日において三二%をまた減らすのだなんというようなことを大蔵省の方から大段平を振りかざしてやられたときに、自治省自治大臣は先頭に立ってそんなことをはね返してもらわなければいけない。大丈夫ですか。
  156. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) 最近とまでは申しませんけれども、やっぱりマスコミにいろいろな情報が流れますね。しかし、それを聞いたときにまだ事務的にも一つも連絡も話も何も出てないというのはよくあるのです。ですから、私どもは新聞に出たからすぐ余り神経とがらすこともないのかなと、こうも思っているわけなんでして、それは地方財政の円滑な運営という大目的に向かって邁進するということしかないだろうと思います。
  157. 原田立

    ○原田立君 じゃ、マスコミが先走っているから何も言われない場合があるという話だけれども、その前段のところを外して、それで地方交付税三二%は地方の固有の財源である、これはもう絶対に守っていく、自治省はそれはもう自治省の焦点にしていく、これはよろしいですか。
  158. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) 地方交付税というものの性格論はそうだと思うのですよ。性格は固有の財源である、こういうこと。率三二をそれも固定したものであるとまで考えなくてもいいのではないか、率は率であろう、こう思うのです。
  159. 原田立

    ○原田立君 大臣、ちょっと言葉は悪くて恐縮なんですけれども、そこいら辺が非常に不安に思うのですよ。怪しく思うのですよ。地方交付税は固有の財源だ、だけれども率についてはその時代によって変わっていくのだという御答弁でしょう。変わっていくというのも、よくなっていくならば結構だけれども、悪くなっては困るのですよ。それをそうしては困りますよ、しっかりしてくださいよということを僕はさっきから何度も言っているわけなんです。僕は財源の補てんの問題でまだほかに聞きたいこと幾らもあるのですよ。だけれども、しょっぱなのところでいまつっかえているのですよ。お答え願いたい。
  160. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) いや、実は三二%を上げるという国会の議論もあるのですよ。ですから、先生のおっしゃるように、三二が固定的だよとおっしゃられてはそういう議論は成り立たなくなるので、三二%はやっぱり率は率である、こういう考え方で私はいいのじゃないかと思っております。
  161. 原田立

    ○原田立君 じゃ、逆に聞きますけれども、三二%以下には絶対にしないということは言えますか。
  162. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) 率は率であるということでありまして、性格論とは私はその考え方は少し違っていいのじゃないか、こう思っておるわけであります。しかし減らすとかふやすとかいう議論は、それはそのときの情勢に応じてまた議論はあるはずである、それはたとえば国税三税というものが動いてくれば、またこれ議論は違ってくるわけなんでして、そう固定的に私は余り考えなくてもいいことではないかと思っております。
  163. 原田立

    ○原田立君 どうもこれ以上答弁進まないみたいですね。山本大臣の話は、三二%は固定しているのじゃないから、ふえるかもしれないけれどもまた減るかもしれないよ、だからしっかりしろというふうな意味のように私は受け取れる。だけれども、ふえることについては私何ら異論を差し挟まないけれども、減らすようなことについては断じて困る。それは自治省大臣は変わっても自治省の変わらない方針にしてもらいたいと思うのですよ。
  164. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) 重ねてのお尋ねですから、三二よりは減らすというようなことについては私どもはそういうことのないように努力したい、努力する、こう思っております。
  165. 原田立

    ○原田立君 最初からそう答えていただければ何もくどくど言わなかったのですけれども。  税収減に伴い各自治体の交付金もあるいは金額で削られたり、その上、減税に絡む支出増というダブルパンチでは、現在ですら厳しい地方財政は加えてますます逼迫することは明らかである。だからさっきから何度も聞いているように、また志苫委員からも話があったように、過去のそういう減税なった場合の補てんの方法、特別会計で繰り入れしてやったということも十分承知しています。今回の六百億ないし三千億、この減収、これについての財源の補てんはどうなさいますか。
  166. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) これは地方財政全体の中で考える、歳入と歳出をやっぱり両方考える。歳入の面は、先ほど来いろいろ景気の動向についてもお話がありましたが、私は景気の動向によってはやっぱり歳入は動くと思うのです。どういうふうに動くかはそれは景気の状況によるところもある。それから歳出の面は、やはりいまの地方財政から言うと行政改革もやる、これはなるべく地方財政に貢献するような実のある行政改革を国に比べても地方はもっとやっていかなければならぬのかなと、こう思うのです。  どうしても地方財政計画を来年度組むというときもまだ不確定要素がたくさんありますから、そうかっちりしたことはまだ私は申し上げる段階にはないと思います。しかし、そういういろいろな要素を合わせながら、やっぱり財源対策というものを全体の中で考えていくべきものであろう、こう思っているわけなんです。これからの全体の財政計画の中でそういう点を十分考えながらこれの対策をひとつ立てていきたいと思っております。
  167. 原田立

    ○原田立君 実は過日政令指定都市の方々から要望をお聞きしたのでありますけれども住民税所得税減税に伴う地方税及び地方交付税の減収について、地方財政の厳しい状況にかんがみ完全な補てん措置を講ずることということを強く訴えておりました。何らかの形で国が対応してやるべきではないか、こう思うのですけれども、どうですか。
  168. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 所得税及び住民税減税に伴う地方財源の減少についてどのように対処していくかということでございますが、さっき午前中の答弁でも申し上げましたように、所得税の年度内減税に伴う地方交付税の減少につきましては、従来はその減少相当額を交付税特別会計の借り入れによって補てんし、その元利償還金を将来国、一般会計が負担するという形で処理してまいりました。五十八年度の今回の所得税減税に伴う交付税の減少分についてどのような扱いにするのか、まだ補正予算が決まっておりませんから方針決まっておりませんけれども、私どもはいずれにしても国の政策的な減税による減収は最終的に地方財政運営に支障のないような措置がなされなければならない、こういう考え方で今後の対策に臨みたいと思っております。  それから、平年度の所得税及び住民税減税並びに五十八年度分の住民税減税、これはいずれも五十九年度あるいは六十年度にその財源の減少の影響が出てまいります。そこで、これにつきましてはただいま大臣からも御答弁申し上げましたように、他の歳入歳出全体をにらみながら、とにかく全体としての地方財政運営に支障のないような措置地方財政対策の中で講じていきたい、このように考えております。
  169. 原田立

    ○原田立君 小倉税調会長は今度の中間答申で、大型間接税は来年はやらないけれども、ただし酒税は一、二割、あるいは物品税は税率アップをしていきたい、また何らかの新税を設けていきたい、こういうふうなことを言っているのですけれども、そうすると、この減税分はこういう新規の税の創設あるいは既存の税の率のアップ、要するに増税ですね。増税で賄うという、そんなふうなように小倉税調会長の言い方は受け取られるのでありますけれども山本自治大臣はどうですか。自治省住民税の三千億、それから六百億の今年度のやつ、これらの問題について税源確保について増税をして、税の枠を拡大して、そしてそれに補てんするのだという考えはないだろうと思いますけれども、お考えをお聞きしたい。
  170. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) 今回の税制調査会のこれからの税制のあり方についての答申は、これはやはり中長期的な税制のあり方についての答申であるということに性格づけられている。そこで、たとえば五十九年度以降の毎年毎年の税制のあり方については、そのときどきでまた税制調査会の答申をひとついただく、こういうことになっていると私は考えております。ですから、この税制調査会の答申の中が何もストレートにすぐ何とか進んでいくというところまでは私ども考えていないわけであります。  そこで、来年度の減税の財源穴埋めについては、先ほど来申し上げておりますように、全体の地方財政計画を立てる中でひとつ考えていきますというにはまだまだ不確定な要素が多うございますから、その中でひとつ考えていきますと、それは歳入もふやしていきたいし、また歳出をこれはやはり考え直し再検討をずいぶんしなければならぬところがあるだろう、こう思うのです。  それからもう一つは、やはり国の財政と地方の財政とは違う。やっぱり地方は三千三百という小さい団体、単位でありますから、そういうものを締めくくっていくのには地方交付税というものは私は調整の役割りというものを非常に大きく持っているだろうと思うのです。そういうことなど全体を考え合わせまして、結論としては地方財政運営に支障を来さないように私どもは万全の努力をする、こういう目標でいきたい、こう思っております。
  171. 原田立

    ○原田立君 万全の努力は払う、それは結構ですよ。だけれども以前からの約束事項は増税なき財政再建と、こうあるのですね。ところが行革委や何かでも、中曽根総理大臣もあるいはまた竹下大蔵大臣山本自治大臣答弁としては増税はしませんということははっきり言っていませんよね。そこに非常に一種の不安を感じるわけなんです。  というのは、今回の減税で行われるのが、巷間伝えられるところ、いろいろな資料を見ると、低収入、低所得者にはちょっぴりしか減税がなくて、高額の人にはぐんと恩典が与えられるというような話のようなことが報道されておりまして聞いています。そうすると、さあ減税は成った、ああよかったねとか言っていても、あちこちで酒税の率を上げられたり物品税を上げられたり、あるいは自動車運転免許税だなんていうようなものも何かつくるような話も巷間伝えられておりますけれども、そういうようなことをすると減税やったけれどもみんな低所得層の人は吹っ飛んでしまう。こういうおそれを感じているわけです。だからそんなことがあってはなりませんよ、だから増税なき財政再建というものはしっかりやってもらいたいということで聞いているわけなんです。  ところが、小倉税調会長の話では、いまも言うように酒税一、二割、物品税上げる、ほかの新税も考えるというふうなことを言っている。これ何と言ったって政府は税調の答申を金科玉条のごとく立てていうのですから、大変僕はおそれているわけなんです。その点の不安を解消するような御説明をお願いしたい。
  172. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) 増税なき財政再建というのはこれは中曽根総理がしっかり守っていく、こういうことを答弁をしておられますから、これは私は内閣としてはその線で努力をしていくべきものであろう、こう思っております。  そこで、地方財政の場合は国の財政と少し違いますから、先ほど来申し上げますように小さな単位でありますから、仮にですが、仮に税源を与えてもその対象はないというところもやっぱりある。ですから私は結局最後は歳入と歳出をよくにらみながら地方財政に支障のないようにしていくという締めくくりはやっぱり私は交付税で調整をするものではないかと思っておるわけです。ですから先ほど来申し上げておりまするように、全体の地方財政計画の中でそういうものを、減税の財源というものを見つけていくようなやり方でひとつ今後の努力をしていきたい、こう思っておるところであります。
  173. 原田立

    ○原田立君 願わくは増税なき財政再建ということで進めていってもらいたいことを強く要望しておきます。いろいろな人の意見もありますよ。増税なき財政再建というのがいいのか悪いのか、あるいはできるのかできないのかなんていうようなこともいろいろな議論がある。十分承知しています。だけれども、さっきも言ったようなことで、減税してもらってありがたやと思ったらば、ぱっと税上げられちゃって全然マイナスになってしまったではかわいそうじゃないですか。それを申し上げているわけです。  次に進めますけれども、先ほど志苫委員も言っておりましたけれども、生活保護基準一級地、夫婦子供二人百八十六万四千五百十円、これがいままで現在そういうふうな状態になっていると聞いていますが、これを百八十八万五千円までは住民税はかけないという法律事項に入っているようでありますが、今回五十九年度は減税の問題なんか入れますと百九十三万八千九百二十円になるだろうというふうにこれまた言われているのです。そうすると、七万四千四百十円アップしちゃうわけですね。これは要するに見直しというようなことをして、生活保護世帯には税金がかからないようにいままではしてきているけれども、今後もそのことは十分おやりになりますね。
  174. 関根則之

    政府委員(関根則之君) 今回の税制調査会の答申にも、必要に応じて存続することが適当であるといった趣旨が述べられているところでございまして、私ども今後減税を具体的にどうやるかとの兼ね合いもあるわけでございますけれども、平年度三千億程度の減税ということでは課税最低限をそう大幅に引き上げるということも不可能でございますので、その際に生活保護基準程度の収入しかない人たちに住民税が課税されるということになっては困りますので、このような制度を存置し、そういう低所得層に対して住民税が課税されないような、そういう措置をとっていく必要があるものというふうに考えております。
  175. 原田立

    ○原田立君 それから、電電公社のような公共的なものについては固定資産税を二分の一に優遇してあるわけでありますけれども、これを国の方で要するにもうかって大変利潤を上げているから剰余金として取り上げたといういきさつが過去にあるわけですけれども、非常に地元はこのことについて憤慨しているのですけれども、国の方へ持っていくのじゃなくて、それは地方の方へ返してもらいたい、こういう強い要請もありますけれども、これは大臣いかがお考えですか。
  176. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) この問題は毎年税制調査会でいろいろ御論議をいただいてきておるところなのであります。電電公社との接触は保っております。保っておりますが、臨調の答申で一体電電公社の経営形態というものがどうなるのか、公共企業体というものから少し様変わりしてくるのかなと、そういう要素もうかがわれるわけなので、そういうことの中で一体この問題はどう対処していったらいいかということを私ども考えていきたいと思っております。  それで、一つはやっぱり電電公社は、私のやや個人的な考えですけれども、最近通話料を引き下げなさるということも出ておりますから、将来の電電公社の運営上の問題を恒久的な長い計画をお立てになるときにはこの問題もひとつ頭の中に入れてお立てを願いたい、こういう気持ちは私どもも持っておるわけなんです。長い間の問題だけに解決といいますか、これには時間かかるかもしれませんけれども、私ども今後ともこの問題に関心を持ってやっていきたいと思っております。
  177. 原田立

    ○原田立君 関心を持ってやっていきたいというのが結論のようですけれども、竿頭をいま一歩進めて、地方の言うように、地方に返してもらいたいという、そういうところまでひとつ話を進めてもらえれば地方は大変喜ぶのじゃないか、こう思いますので一言添えておきます。  で、要約して、いま先ほどから一時間半にわたってお聞きしているのですけれども、何となくはっきりしない。財源措置についても、まず地方自治体の財源補てん問題についてもはっきりした御返事がないし、また直接税の住民税所得税、これも減税になった場合のそれの今度は財源補てんについては、もう明らかに間接税を大幅増税導入してやっていこうというふうな姿がありありとうかがえる。私その点ははっきりと解明したいと思って質問したのですけれども、はっきりしないのです。  だから、どうかひとつ大臣、この最後二つまとめて要点だけ挙げたけれども、この御答弁大臣からお伺いして、私は質問終わりたいと思います。
  178. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) 来年度のことはまだ通常国会に本格的減税について法律案を出すわけでございますから、同時にまた地方財政計画もまだほとんどコンクリートなところまでいっておりませんから、そういう中で考えるという御答弁しかできないものですから、何かはっきりしないというお考えでございましょうが、来年度の地方財政計画を組むときにはそういう問題をやはり全体の中で解決をした形を出していかなければならぬものだ、こう思っております。ただ、今日の段階ではまだそれをここではっきり申し上げるところまで進んでおりませんので、御満足のいくような答弁にならなかったのだと、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。
  179. 神谷信之助

    神谷信之助君 行革の特別委員会に出たりしておりましたから、若干いままでの同僚議員の質問と重なる部分が出てくるかと思いますが、その点はあらかじめお断りしておきます。  で、国民の要求している減税、これは御承知のように所得税で一兆円、住民税で四千億ということであります。これは所得税住民税減税が過去六年間行われなかった、それによって実質数万円からの増税になっているという状況ですから、同時にまたこれが名目所得の方はふえても実質の所得はそれほど伸びない、逆に目減りの状況があらわれているわけですから、不況もなかなか解決しない今日、この減税要求というのは当然のものであったと思うのです。  ところが、出てきた減税の中身、暮れになって出てきたら所得税の方はわずか千五百億で、四人世帯でわずか五千円足らずという状況だ、住民税の方もそれに見合ってやるのだというのだけれども、これは実際に効果が出てくるのは来年の話、鬼が笑う話ですね。だから、これは住民税の方は特にもういまの時期になったら技術的に年内に実施するのは困難なんだ、こういう理由でありますけれども、これも国民の側から言うと勝手な言い分だということになると思います。もう昨年もことしも続けて要求されていたし、そうしてやる気になったらやれるのだということで、あとは財源も示して要求してきたので、今年度の当初予算にちゃんと計上すればもうことしからちゃんとやれたわけです。政府・自民党の方でいままでおくらしてきて、そうして住民税はもういまとなってはできません、来年回しです、その分は来年にいたしますというのでは、これは政府が無責任だと言われても仕方がないというように思うのですね。  この点ひとつ大臣どういうようにお考えかということと、そうして実際にこれは住民税の出されているいまのこの法案は、いま急いで決めなければならぬものなのか、次の通常国会で本格減税とあわせて提案をしても十分間に合う性格のものか、ただ、結局は千五百億で余りにも少ないから先付小切手みたいに六百億をつけて二千百億円減税ですという選挙のための見せかけのこの国会に対する法案の提出ではないのか、こう思うのですけれども、この二つの点について大臣見解をお聞きします。
  180. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) 減税政府としてはなるべくそのときどきのタイムリーにやっぱりやっていきたいという考えはもちろんあるわけでございますが、そういうことを許すほどの財政事情ではいまはない。地方財政にいたしましても歳入をカットするというときには、地方には軍事費なんというようなものはないのですから、やっぱりすべて地方住民行政サービスをやる、身近なところの仕事をサービスする、こういう面がほとんどでありますから、それだけに非常にむずかしいことがあるわけなんです。  したがいまして、地方財政の均衡を図ろうというときに、ここのところ数年はずっと不均衡の状態が続いておるというわけですから、その中で減税をやるということについてはいろいろ問題点はあった、したがって、やりたいのはやまやまであったけれども、財政がそれを許さなかった、私は決して政府が怠慢であるとまでは思わないのであります。そういうやむにやまれない困難な事情があったがために今日までやってきた、こういうふうに思っているわけでございますが、今回はそういう非常に厳しい財政事情の中でひとつこれだけの減税をやろう、こういうことでございますので、その点はひとつ私は御理解をいただいておきたいと、こう思うのであります。  それからもう一つは、この法律案は結局これは与野党間でお話し合いになりまして、そしてすべて御要求は国税と地方税と合わして幾らと、こういう御要求がすべて今日まで出ておるわけなんで、やはりこれはいわば車の両輪みたいに所得税減税住民税の所得割の減税というものは並行してやらなければならない、そういう観点から法律案も同じような考え方で出したのでありまして、決して見せかけにするとか、そういうつもりは私どもはいささかもございません。
  181. 神谷信之助

    神谷信之助君 財政が厳しくて財源がなかったのでこうなったのだというようにおっしゃるわけですね。しかし、たとえばことしの当初予算でも軍事費のうちで正面装備をやめるだけでも一兆二千億の財源ができるのですよ。だから財政が厳しい状況の中でも正面装備の方は一兆二千億の予算は組む、しかし減税財源にはそれを回すことはできない、そこに私は根本の問題があるというように思います。これは見解が違うわけですから指摘だけしておきます。  そこで、具体的に五十九年度の住民税減税、平年度分で三千億プラスことしの所得税減税に見合う分が六百億、合計三千六百億ということですが、報道によりますと基礎控除、配偶者控除扶養控除、これらを三万から四万ぐらいアップしたいというように報道されているし、税務局長の意見では何か四万円ぐらいには上げたいというような、努力をしたいというような報道もあったりしているのですけれども、これはどういう状況になっていますか。
  182. 関根則之

    政府委員(関根則之君) 来年度の本格減税の三千億の減税の具体的なやり方につきましては実はまだ決定を見ていないわけでございます。これから税制調査会の意見等も聞きながら固めていきたいと思います。  しかし、私どもはできる限り課税最低限の引き上げ幅を同じ財源であればよけいに持っていきたいというふうに考えております。課税最低限の引き上げに直接結びつくのは所得三控除を上げることでございますので、そこに重点を置いていきたいというふうに考えています。そういう考え方のもとに少なくとも三万円程度は引き上げられるものというふうに考えておりまして、財政の仕組みのやり方いかんによってはもう少し上げられないかということを私どもは前向きに取り組んでいってみたいというふうに考えているわけでございます。しかし、その具体的内容、現時点においてこの辺まで上げられそうですというお話は、現時点では申し上げられないということでございます。
  183. 神谷信之助

    神谷信之助君 そうすると、自治省としては所得三控除の額をできるだけ上げたいということですね。四万になれば四万にしたいということだろうし、三万円以上にとにかく上げていきたいという、そういう方向でこの問題は対処したいということになるわけでしょう。そうすると、三万円アップということであれば四人世帯の課税最低限が百七十七万ですか。そして四万円アップということになると約百八十五万ぐらいになるのですか。大体そういうことですか。
  184. 関根則之

    政府委員(関根則之君) 所得三控除をそれぞれ三万円ずつ引き上げました場合には、ほかの給与所得控除とか何とか、そういうものを全然現状のまま置いた場合でございますけれども、百七十六万九千円でございますので、百七十七万程度ということになると思います。四万円引き上げます場合には課税最低限は百八十三万円ということでございます。
  185. 神谷信之助

    神谷信之助君 そうすると、三万円から四万円という三控除、ほかのところは別にして、三控除引き上げただけでは現行の非課税限度額百八十八万五千円よりもまだ下回りますね。だから三控除の額の三万や四万の引き上げだけでは結局減税が低所得者層には恩典がないということになってきますね。だから、この辺のところは一体どういうように考えられますか。
  186. 関根則之

    政府委員(関根則之君) 課税最低限が現在百五十八万四千円でございますので、それをそれぞれ所得の基礎的な三控除を引き上げれば、低所得層にも当然のことながらそれなり減税効果が及んでくるわけでございます。  多分先生の御指摘になっていらっしゃるのは、百八十八万五千円とこの百七十七万との間のところということだと思いますけれども、こういう人たちについては現在住民税をいただいてないわけでございますから、いただいてない人に対しての効果ということはちょっとわれわれとしては考えられないと思いますし、それから、当然来年課税最低限を引き上げ、なおかつ引き上げてもそれが来年度において比較すべき生活保護基準を下回ってしまっておるということであれば、それについては現在の百八十八万五千円の非課税限度額というものにもやはり手を加えていかなければいけないというふうに考えておりますので、そういう意味において税額が課税されない層というものは現在よりも所得段階で上に来る、そういう意味で、そういうランクの低所得者層にも何らかの効果を及ぼすような方法というものは考えていかなければいけないのだろうというふうに考えております。
  187. 神谷信之助

    神谷信之助君 いまは非課税限度額が百八十八万五千円ですからね。だから現在は住民税の所得割は徴収してない。だから控除額上げてもらっても別にプラスというのはないわけだ、税金を払わぬでいいという状況のままということだから。そこで、この非課税限度額というのは、これ大体所得税減税なり住民税減税をやらなかったために生活保護基準額が上がっていくのに応じて生じた矛盾を解決するための、言うたら便法ですね。そういう便法をしなくてもいいように私は三控除の額というのをうんと引き上げるべきだ、いわゆる非課税限度額を上げるべきだというように思うのですね。  その点で言いますと、たとえば先ほども話が出ていましたが、生活保護基準が次は百九十三万八千円ぐらいになるという話のようですけれども、仮に非課税限度額を設けないというところまで課税最低限を引き上げるという措置をしようとすれば、どれだけの減税予算が必要になるということになりますか。
  188. 関根則之

    政府委員(関根則之君) 百九十三万八千円の昭和五十八年度生活保護基準を上回る課税最低限を設定しようといたします場合には、基礎三控除を各六万円引き上げなければいけないということでございますので、現時点での試算によりますと、それに要する財源といいますか減収額は四千九百六十七億円と試算されますので、約五千億円程度の財源が必要だということになると思います。
  189. 神谷信之助

    神谷信之助君 ところが、はるかにそれを下回る三千億減税だということですから、ここに一つやっぱり矛盾が起こって、いまもお話があるように、非課税限度額をやっぱり設けざるを得ないということになるようですね。  そこで、現在の百九十三万八千円、これを二万円程度上回るところに非課税限度額を設けたとして試算をしてもらうと、減税総額が約二十二億ですか、減収額は。対象人員は四十六万ほどふえるにすぎないという状況なんですよ。だから仮に非課税限度額をそこまで持っていってもそう大きな恩典ということにならない状況が生じるように思うのですが、それはどうですか。間違いないですか。
  190. 関根則之

    政府委員(関根則之君) お示しの数字は大体そういうことであろうと思います。非課税限度額の引き上げという措置につきましてはそれほど大きな財源は必要にならないわけでございます。  しかし、財源が必要にならないからそのランクの人たちに対しての恩恵が少ないではないかということのお話がございましたが、私ども厳しい地方財政の中で一定の財源しか出せない、そのときにどういう財源の使い方をするかということでございますが、低所得者層に配慮をするということは当然のことでございますけれども、課税最低限を引き上げる、所得三控除を引き上げてそれを高くするということもちろん必要なことではございますけれども、それを上げるということは、よく言われますように松下幸之助さんの所得控除の額も上がってしまう、限界税率が高いものですからかえってそちらの方々の方の減税額が大きくなってしまう。そういう問題があるわけでございます。  したがって、もちろん財政に余裕があって減税のための原資がうんと使えるというときにはきれいな形でやるということも実際問題として可能であろうと思うのですが、やはりこういう限られた財源の中で何とか効果を出していこうということになりますと、こういう非課税限度額というような措置をとることによって、本当の生活保護基準程度の収入しかない人たちに対してどういう措置をとっていくか、そのために少ない財源ではありますけれども措置がとれる、そういうことを加味しながらやっていくのも一つの知恵の出し方ではないかというふうに実は考えているわけでございます。
  191. 神谷信之助

    神谷信之助君 この点いろいろ見解がありますけれども、それはそれとして、問題はいずれにしてもそういう減税をやる、三千億なら三千億の減税をやるにしても、その財源ほどうなるかということ。  これも同僚議員からいろいろお聞きになっていたようですけれども、この三千六百億という減税に要する財源をどうするかという問題では、先ほどの大臣答弁では歳入歳出全体の中で考えてみたいと、こうおっしゃるのですね。それも一つの理屈です。しかし現実には税調答申で、特に地方税に係る部分でも引き上げの検討が指摘をされている部分が非常に多いですね。固定資産税、料飲税、それから娯楽施設利用税、不動産取得税、自動車税、軽自動車税、こういった既存の地方税の税率の引き上げの検討というものが出てきている。これが年末の税調答申で来年度にはこれをやれというのがどのようになるかというのはこれからの問題ですから、それはいま聞いてみてもいままでと同じような答弁かと思いますが、しかし年末に税調がそういう来年度の税制について答申を出すときには、当然地方税について自治省見解というのを聞くだろうと思う。自治省見解も聞かないで頭越しにやるということはないだろうと思う。  それで、自治省は聞かれた場合、いま言いました固定資産税、料欲税、娯楽施設利用税、不動産取得税、自動車税、軽自動車税、こういったものについて引き上げるべきか引き上げるべきでないのか、こういった点についてはどういうような見解を持って臨もうとするのか。この辺はどうですか。
  192. 関根則之

    政府委員(関根則之君) 確かに御指摘いただきましたように、税調の中期答申におきましては、以上のような、お話のありましたような税目についての将来のあり方について論及されているわけでございます。今後具体的にこれらについての審議がなされてくるものというふうに考えておりますけれども、先ほど来申し上げておりますように、今回の減税をやります際の財源につきましては歳入歳出全般を通じまして地方財政の収支の状況を見ながらどうするかを検討すべき問題でございます。ストレートにいま申し上げましたような税目をそれに充てていくというような物の考え方をしているわけではないわけでございまして、私どもも現時点において御指摘のありましたような税目についての具体的なやり方、持っていき方についての考え方があるものではございません。
  193. 神谷信之助

    神谷信之助君 これは後で触れようと思いますけれども、しかし来年度の地方財政の財源不足の予想が二兆円とも三兆円ともいろいろ言われておりますね。だから財源不足がそれだけできてくる、しかも三千六百億の減税は地方税でやる、こうなるわけでしょう。そうすると、交付税率三二%をもっとふやせとか、交付税会計に借り入れをよこせとか、あるいは一定分は地方債に回すとかいうような従来の手法だけではなしに、今度はいよいよ地方税自身を引き上げろ、あるいは新設の税としては運転免許税の問題も出て、    〔委員長退席、理事真鍋賢二君着席〕 これは後で聞きますけれども、そういう新税も考えるとかいうような問題が今度は従来とは違って税調からも強くその辺の見解を問われるだろうし、また大蔵省との来年度の地方財政計画をどうするかという問題でも当然それが焦点になってくると思う。  だから、そういう点では地方税のそういう増収を図るためのいわゆる税率のアップ、これを考えざるを得ないところへきているのじゃないか。あなた方の立場からいえば、僕らの立場からいうと違いますけれども、あなた方の立場からいうと、そうならざるを得ないところにきておるのじゃないか。この点どうですか。
  194. 関根則之

    政府委員(関根則之君) 地方財政は大変厳しい状況にはあるわけでございますけれども、今回行おうとしております減税の財源はあくまでもストレートに考えるのではなくて、歳入歳出全般を眺め回して、たとえば歳出の節減合理化、現在国においても行革が進められておるわけでございますが、地方においても実際問題としてもう少し歳出の削減ができるのかできないのか、その辺との兼ね合いの問題がございます。歳入につきましては、今後の景気動向にもよりますけれども、収入見通しとして多少の自然増収が得られるのか得られないのか、その辺の見通しの確定を待ってでありませんと具体的に来年度以降の地方財政計画というのは組めないわけでございます。  そういったいろいろな要素の変化の中から具体的に財源措置をどうしていくのかということを煮詰めていきたいというふうに考えているわけでございます。現時点におきまして、情勢が変わったから具体的に減税財源を税目でというようなそういう考え方をストレートにとる考え方はございません。全般の中であくまでも考えていくということで考えているわけでございます。
  195. 神谷信之助

    神谷信之助君 それでは、ちょっとついでに聞いておきますけれども、運転免許税の問題、これは新設するのかどうか、あるいは報道なんかによりますと、警察庁なんかは反対の意見が強いというように出ておりますが、それ事実かどうか、どういう理由反対ということになっているのか、警察庁の方、聞いておられるかどうか知りませんが、その辺ひとつお願いします。
  196. 関根則之

    政府委員(関根則之君) 中期答申におきまして、自動車運転免許に関する税について導入すべきであるというやや積極サイドの意見と、導入することは適当でないとする反対サイドの意見とが両論併記のような形で書かれているわけでございます。しかしこれは具体的に税制として導入することについての結論が出たとか、そういう問題ではございません。そういう議論がなされた、その意見の所在が答申に書かれたものというふうに理解をいたしております。具体的に今後どうするかについては、もちろん各年度の税調の具体的な審議の場で議論をしていくということでございます。  そういう状況の中で、私ども正式に運転免許税をつくろうというような話をしたこともございませんし、正式に警察反対だというような意見も聞いておりません。そういう状況でございますので、御理解をいただきたいと思います。
  197. 神谷信之助

    神谷信之助君 それじゃ、これはちょっと大臣にお聞きします、事務当局としてはそれ以上のあれは答えられないだろうと思いますから。  きょうも行革特別委員会で臨調の瀬島さんに参考人として来てもらって午前中やっていたのですけれども、増税なき財政再建というのは租税負担率を上げないことなんだ、だから直間比率の見直しは入るのだ、個々の税目について増税もしくは増収があっても、それは租税負担率全体としてふえなければ増税なきということになるのだと、そういう見解をおっしゃっている。この間十八日の参議院本会議でわが党の安武議員の質問に対しても、総理は租税負担率はいじらぬ、それが動くような増税はやらないということであって、具体的ないわゆる直間比率の見直しというのまでやらないとはおっしゃっていない。そして税調の答申では、所得税住民税減税対応して間接税の見直し、物品税を初め先ほど言いました地方税も含めまして、これに触れているわけです。  この点は、だから国の財政も地方の財政も赤字で、火の車で動きがもうとれぬという状況になってきている、そういう状況の中では直間比率の見直しということで対処せざるを得ない、そういうように考えておられるというように受け取らざるを得ないのですが、この点はいかがですか。端的に言うならばどうなりますか。
  198. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) 私はきょうの質疑応答がどういうことであったのか存じませんので、私が余りここでコメントしてもどうかと思いますけれども……
  199. 神谷信之助

    神谷信之助君 いや、これは衆議院のときも同じこと言っていますよ。
  200. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) 増税なき財政再建というのは、やはり中曽根内閣としては一つの金看板である、しかし一切いじれぬのかということになってくると、いろいろまたこれ問題があると思うのですよ。いじると言えばそれは大変なことになる。うかうかしたことは言えない。いまの直間比率がどうこうというようなことは、実は私どもの守備範囲から離れておるということなんで、これは国税の方でどうお考えになるかということにも私どもは大きく影響されて考えざるを得ない、そういうことだと思うのです。  また、これは私の個人的な意見かもしれないのだけれども、場合によりましては、たとえば不公平税制を直せということはずいぶんあるわけなんです。税としてはやっぱり公平を旨としなければならない。不公平税制を直そうとしたときに、やっぱり不公平だったのだと、こう決めつけるわけなんだけれども、しかし今度納税する場合にはおれのところは増税だった、こういうことが言われるわけでございましょうから、増税という言葉の概念の中に一体どこまでどういうことが入っているのか、こういうのはどうも私どももいろいろのケースといいますか、いろいろな考え方を少し整理してみないというと、増税とは何ぞやというようなことになってきたら、非常にむずかしい問題だなと思う。  いまお話の租税負担率の範囲内でというのは、これは全体としてはそういう考え方も確かに一つの私は考え方だろうと思うのですけれども、いや、それでそのとおりやればいいよというふうに簡単にいくかどうか。それも具体的な問題になってくると、税の性質がいろいろありますから、簡単に私は申し上げるわけにはまいらない。しかし少なくとも中曽根内閣は増税なき財政再建という看板は掲げておりますから、その趣旨で私どもはやらなければならぬということには間違いないと思っております。
  201. 神谷信之助

    神谷信之助君 いろいろ言われたの、もうひとつわかりませんが、端的に聞きますが、増税なき財政再建の増税なきというのは租税負担率を上げないということであるということ、これは間違いないですか。
  202. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) 増税なき財政再建ということが即租税負担率を上げないことであって、それで終わりだと、こう簡単にも私は言えないような気がするわけなんです。だから、それは一つ一つの税についてよく考えてみなければ簡単に言えないのではないか。それは先ほど申し上げた不公平税制なんかは、じゃ、もう直せないのかと言われても、これも困ることでありますから、その辺のところはもう少し具体的に物を考えていかなければならぬのではないか、こう思っております。    〔理事真鍋賢二君退席、委員長着席〕
  203. 神谷信之助

    神谷信之助君 いや、具体的に言えば答えないのでしょう。たとえば具体的に聞きましょうか。物品税は上げるのですか上げないのですか。物品税を上げるということは増税になるのかならないのか、これはどうですか。
  204. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) それは物品税というのは私どもの守備範囲じゃないから、ここで私が大蔵大臣みたいなことを言うても始まりませんからお答えしない方がいいと思っております。ですから、先ほど来の私が申し上げたところでひとつ御理解をいただいておきたいと思います。
  205. 神谷信之助

    神谷信之助君 それじゃ、大臣の守備範囲でいきましょうか。  料飲税を上げるということは増税になりますか。いやそれは増税にならないということになるのですか。
  206. 関根則之

    政府委員(関根則之君) 増税なき財政再建という言葉は臨調の答申に典型的に出てきている言葉であるわけです。それからそれを受けまして、政府の基本方針として増税なき財政再建の基本理念を堅持する、こういう言葉がいろいろなところで言われているわけでございます。その直接受けておりますのは、臨調の答申での増税なき財政再建という言葉の意味内容というふうに私は受けとめるのが一番自然ではなかろうかと思います。その臨調の答申というのは、言葉は正確ではございませんが、租税負担率とは国民所得に対する税収の割合としておいて、租税負担率の引き上げをもたらすような税制上の新たな措置は全体としてはとらない、こういう意味で定義がなされているわけです。したがって、使われる場合によってもずいぶん違うと思うのですけれども、一般的にいま言われております増税なき財政再建というものがいま申し上げた臨調の定義に基づく概念ではなかろうかというふうに受けとめております。  ただ問題は、使われる場合の増税というのはいろいろなケースで使われておるわけでございまして、大臣が申しましたように、不公平税制の是正で企業課税のいま特例措置がとられておるものを廃止するということになりますと、その特例措置を廃止される企業側にとってはそれは一つの増税になる、これもまた税制上明らかなこと、間違いないことであるわけでございます。したがって、お尋ねの料欲税についてこれを増税した場合に増税になるのかどうかということでございますと、そういう税制上の普通の意味におきましてはこれは増税であることは間違いないだろうと思います。
  207. 神谷信之助

    神谷信之助君 だから、きょうもその問題をめぐっていろいろ質問をしたわけですよ。そうすると、いわゆる直間比率の見直しに当たる部分といいますか、そういうものは租税負担率を国民平均所得の現在大体二四%として、とにかくそれを上回らない範囲内であるならば増税なきの範疇に入る、こういう臨調は見解なんですね。  そうしますと、たとえば住民税減税をする、これで年収三百万ぐらいのサラリーマンの四人世帯で、先ほどの三控除をそれぞれ三万円アップということでいくと、減税額は年に八千四百円ですか、それぐらい。だから年に八千四百円住民税減税を仮にしてもらっても、先ほどありました固定資産税、料飲税、娯楽施設利用税、不動産取得税、自動車税や軽自動車税、あるいは運転免許税なんかができて、一件一万円とか報道されたようなことができてきたりしたら、これ一挙にもう年間八千四百円ぐらいの住民税減税は低所得者のところは吹っ飛んでしまうわけですね。こういう状況が起こるわけでしょう。そうすると、これは減税やったって逆に増税になって、低所得者の家計にはそうなってあらわれてくるわけなんです。こうなってくるのですね。  それで、所得税の場合も、大体いま言われておるやつでいきますと、そういう状態が、年収四百万円ぐらいのところをピークにしてそれ以下の勤労者といいますか低所得者層というのは、これは逆に増税になってしまう。上は実質減税になる。上になればなるほど大幅減税になりますね。  だから、仮にさらにそれに所得税率を最低税率は二%上げ、最高税率は仮に五%下げるとしたら、これは大変なことになってくる。片方下の方は一万二千円の逆に言ったら増税になってくるし、上の方はたとえばさっき松下さんの話も出ましたけれども、昨年の長者番付で八位ですよね。年収十億円ちょっと超えていますよ。ここで五%下げてもらったら三千六百万円の減税ですよ。だから、この所得税率の最高と最低を動かす、ちょっとなぶっていかにも減税しましたというような顔をされても、そのかわりに減税財源は大衆課税である間接税で上げられる、こうなったのじゃたまったものじゃない。これはもう働いてもおもしろくないな、なかなか楽にならぬなといってやけ酒飲んだら、それだけよけい税金とられると、こうなればたまったものじゃないですよ。だから、そういうような私の言葉で言ったらペテンにかけたような減税は困る、こういうわけですね。  だとすれば、地方税におけるこのような間接税の引き上げについて自治省がどういう態度をとるのかということは、私は仮に三千億なら三千億の減税住民税でやろうとする場合でも庶民大衆には非常に大きな影響を持つ。自治大臣の責任は非常に重大になるのですよ。だから決意のほどを聞きたいと言ったのです。しかし、どうなるかわかりませんどうなるかわかりませんと言って責任を回避されては困ると思うのですよ。この点はどうですか、自治大臣
  208. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) 具体的な税についていろいろそれぞれ特殊性というのか、それぞれの性格があるものですから、その性格をよく見きわめて私ども考えていかなければならぬ。いまおっしゃられるように、大衆課税になるようなものは私どもはなるべくそれはやらないのがいいには違いないが、先ほど来申し上げるように、仮に租税負担率が上がらなければその枠まではやってもいいよということになりましても、一つ一つの税についての見きわめを私はよくしながら考えていく。いまの税務局長の話のように増税感を強く与えるようなものはもちろんそれはできないということだと思うのです。したがいまして、いまここで一つ一つの税についてどうこうと私の立場でコメントをするのは私はやや適当でなかろう、こう思うのです。
  209. 神谷信之助

    神谷信之助君 これは非常に私は政治を担当しているわれわれにとっては大変大事な問題、重要な問題になると思うのですよ。  たとえば物品税についてこの税調答申では「物品税は、消費のもつ担税力に着目し、物品を課税対象として製造段階又は小売段階において課している」、こういうふうに言っていますが、特に「戦後における税制改正の過程を通じ、主としてしゃし品ないし比較的高価な便益品や趣味・娯楽品にしぼられ、」、これが課税対象になっている、だから化粧品だとかカメラとかそういう種類のものでしたね。昔は皆少なかったわけだ。奢侈品なりあるいは担税能力のある、比較的そういうものが高価なものであった時期に着目してかけた。ところが、いまもう生活用品ですね。大衆的な生活用品になっている。だから本来着目したその趣旨から言えば課税対象から外してもしかるべきものであって、ダイヤモンドとかなんとか、もっと高級な物にするとかというように限っていくのが戦後の物品税の課税対象を決めるときの基準だったわけです。逆に今度は税調はもっとふやせ、広げろと言っているでしょう。だから、物品税を引き上げるということは庶民大衆の日常の生活に必要なものに税金をかける、そして引き上げる、こういうことになってくる。  酒税なんかもそうですよね。今度の酒税の引き上げはしょうちゅうだとか二級酒が対象になっている。だから、言うなれば減税はしてやるよと言うけれども、所得の少ないところは減税額自身も少ないのに、その日常的な生活用品であったり、消費物、消費財、これは金持ちの人が逆立ちしたって、そんなよけい酒飲めるわけはないので、一定限度がある。そういうところは余りこたえぬかしらぬけれども、庶民大衆に大きくかかってくる。そういうものにかけるわけですからね。これは片一方で減税をやると言いながら間接税の引き上げというのはきわめて私は重要な問題だというように思うのです。  特に私が指摘したいのは、そういう所得税住民税を払えないような低所得者、この人たちは先ほど税務局長言うように今度は減税の恩典はないわけですよ。税金払ってないのですから、払えないままですから、ゼロのままでしょう。しかし酒の税金は上がるのだし、物品税は上がるのだし、こうなるわけですよ。だから日常生活の増税の方だけはかぶってくるわけだ。だから、あなた方、税金を払えないような低所得層の人は酒の税金は上げませんというようなことはできないわけでしょう。技術的にもできないわけだ。そうしたら増税だけが残るわけです。だから間接税の引き上げというのはきわめて慎重にしなければいかぬし、特に減税と引きかえにそういうものを抱き合わせにするということは減税の効果自身を抹殺するものだ。だからこの点は私は特にはっきりしておきたいというふうに思うのですけれども、この辺はどうですか。  たとえば仮に三千億の減税分を、まあ歳出カット当然やるとおっしゃるから、三千億まるまる税でまた補てんをするということでないだろうと思いますが、仮にそうしたとしたら、一億一千万で割ってみて、そして四人世帯で見たら大体約一万円ぐらいの増税を片一方ではせんならぬ、減税を増税で賄うとしたら片一方では四人世帯で一万円ぐらいの増税をやらなければならぬ。せんならぬ。こういうことになってきて、先ほど言いました年収三百万の人で住民税減税が八千四百円してもらったといっても間接税の引き上げで一万円とられておったのでは差し引き千六百円の増税に実際にはなるわけでしょう。家計をそれだけ圧迫するわけだ。しかも国税庁の調べによりますと年収三百万円以下の世帯というのが全体の五五・八%です。だから半分以上の人はまるまる仮に間接税の引き上げで補てんをするとしたら損をしちゃう。  これは朝も瀬島さんに私が質問したのですけれども、こんなばかなことはこれは増税なき財政再建の範疇には入らぬと思うけれどもどうじゃと言ったら、それはそのとおりですと。だからやっぱり歳出カットうんとしてくれと、こうなってくるのですね。歳出カットはどこをするかというのは別にまた問題あるのだけれども、ここのところ実際に十分閣議の中でも検討してもらって、安易に流れないように私はしてもらいたいというように思うのです。  それで、なぜそうなるのかというと、結局は私は先ほども言いましたけれども、軍事費だけは聖域化し、大企業に対するそういう奉仕制度はそのままにし、汚職構造にもメスは入れないし、そういうメスを入れなければいかぬところをこれを聖域化してそのまま温存をし、そこはふやしていくという、そして他のところに財源を求めようとするから、福祉、教育の切り捨てや増税という、そこに走らざるを得ないというように思うのですが、この辺ひとつ大臣、基本的な問題で、仮にいま言いましたように見解が違っても具体的に実施をしていく、進めていく場合にやっぱりそういうふうに十分な配慮を私はすべきだと思うので、この点について見解を聞いておきたいと思います。
  210. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) 税の話でございますが、しかしこの財源対策についてどういうふうにするかというのをまだ考えも固まっていない、来年度の財政計画で考えていく、こういうことでございますから、的確なお答えもまだできかねるわけでございますけれども、しかし間接税というものの性格もこれはよく考えながらやらなければならぬことだと思うのです。大衆課税という非難を招かないように、要するに税はやはり公平で、そして担税力のあるところで負担をしていただくというのが基本的なルールだと思うので、そういうような点から考えながら、私どもも慎重にひとつもしそういう財政計画の上でいろいろ配慮しなければならぬことがあるとするならば、いろいろとそういったような考え方も頭の中に入れながら考えていきたいと思っております。
  211. 神谷信之助

    神谷信之助君 それから、税調答申で所得税の最低税率の引き上げを言っていますが、住民税でも最低税率の引き上げを言っていますね。それから税率適用所得階級の刻み方の調整、これを言っています。最高税率の引き下げは言ってない。これは当然のことで、所得税みたいに七五%までいっていませんからね。だから、これはそこまで厚かましくも言わなかったと思うのですけれども、この最低税率の引き上げ及び税率適用所得階級の刻み方の調整、これはどういうようにお考えなんですか。
  212. 関根則之

    政府委員(関根則之君) 何遍も繰り返すようでございますけれども、この答申そのものは考え方の基本方向を示しているというだけでありまして、具体的にどうするというものを示したものではないわけでございます。こういった基本方向の考え方のもとに今後具体的にどうしていくかということを確定をしてまいるし、審議されるものというふうに理解をいたしております。  ただ、私どもは最低税率の引き上げといいましても、住民税の場合には最低税率がもともと低いわけです。これをうかつに上げますと大変なことになってしまうというような問題もありまして、仮に国税の方でどうするか、まだもちろん決まっておりませんが、国税とは違った物の考え方をしていかなければいかぬ、そういう問題があるわけでございます。  最高税率につきましては、御指摘のように、税調でも「当面、据え置くことが適当である。」、こういうことを言っておるわけですから、所得税の方で仮にいじるといたしましても、うちの方はこれは手がつけられる問題ではないというふうに考えております。  それから、税率の刻み並びにその適用所得階級の刻み方につきましては、現在最初が三十万、次が十五万、二十五万、三十万、ちょっと変な形になっておりますので、その辺のところは何としてもこの際に少し合理的な形に直していく必要はあるという方向で考えたいと思っております。  いずれにいたしましても、その辺のところにつきましては、これからいま申し上げましたような考え方を基本に置きながら、住民税の独自性というものも十分踏まえて検討をしていくべき筋合いのものと考えます。
  213. 神谷信之助

    神谷信之助君 そうすると、住民税の方の最低税率の引き上げには消極的な考えを持っておられるということはわかりました。これは大体個々人にとっては所得税よりも住民税が高いという感覚が非常に強いですからね。そこへもってきて最低税率の引き上げということになると、これはますます大問題になるだろうということを指摘しておきたいと思います。  それから、いわゆる高額所得者に対する税額の調整の賦課制度、これをもし最高税率を下げれば見直ししなさいよと、こういう言い方をしています。これは最高税率を下げれば見直ししなさいよということはどういう意味を持つのですか。
  214. 関根則之

    政府委員(関根則之君) 結論的にはいま先生がそういうふうにお読み上げいただいたような形になっているのですが、この文章ができる過程では、税調の中でも両サイドから実は議論があったというふうに承っております。  ということは、やはり地方税だけで賦課制限の措置を処理してしまっている、所得税は表面税率でどんどん取っていって、七五までずっと取れるわけです。それで、それが実効税率八〇を超える段階になると住民税で取れなくなるという、これはやっぱり不合理じゃないかという、前々から地方団体からそういう声がございまして、そういう意見を反映した御意見と、それからもう一つの方は、むしろ所得税で税率を仮に下げた場合にそれが高額所得者に対して恩典が及ばないようだとやっぱりおかしいじゃないか、減税減税と言っても高額所得者が全然減税効果が出てこないというのもおかしなものだ、やはりそちらが下げるのなら賦課制限の八〇を下げてもいいのじゃないかというような方向での御議論と、そのほかにもいろいろあったと思いますけれども、いろいろな議論がありまして、いわば同床異夢のようにも受け取られる表現になっているものと私どもは理解をしております。  ただ、自治省としての物の考え方は、やはりこの制度は長い間議論してきた制度でもありますし、地方団体サイド、地方税サイドから考えればやはり少し問題のある制度だというふうに考えております。したがって、最高税率がどこまで下がるのかの問題とも兼ね合いがありますけれども、そう簡単にこれを下げるということはわが方としてはとても考えられないなという考え方を私ども自身現時点で持っております。しかし具体的にどうするかという問題は、繰り返しになりますが今後の年度改正の税調で議論をいただくことになると思います。
  215. 神谷信之助

    神谷信之助君 地方税関係であともう一つ質問しておきたいと思うのですが、一つは先ほど出ましたが、電電公社なり専売公社の固定資産税二分の一で例の納付金になっていますね。これは従来から税調にやかましく自治省の側からも提起をして固定資産税として当然出してくれ、こう言っているわけです。とりわけ電電公社の方は国の方に吸い上げてしまう、国が取り上げる権限がないのに法律つくって取り上げたということですからね。こっちの方は固定資産税半分にまけてやっているのに、こっちの方にはよこさぬで国が吸い上げてしまうということをこの三年間でやってきておるわけです。だから、そういう状況ですから、これはひとつことしは特にこちらの地方財政の財源自身が厳しいわけですから、どうしてももとへ戻してもらいたい。  それからもう一つの問題は、前国会で私が問題にしました電電公社の電話柱、それからその他の地下埋没線を含めた道路占用料の問題ですね。これはことしの概算要求に当たって自治省の方から建設省に対して道路局長通達をその部分を外して、そして自治体が道路占用料で道路法に基づいて当然の権限を行使できるように要望というかそういう意見を表明されたけれども、ことしはとうとうそれが実現をしませんでした。この点は地方公営企業の特に地下鉄なんかどうするのだというような問題やらいろいろ建設省の方が言っていましたけれども、これらもひとつ理論を整理をしてこれは来年度にひとつぜひ解決してもらいたい。  それからもう一つは、これも当委員会でいままで何遍もやってまいりましたけれども、日銀納付金の問題ですね。これが非常に大きな問題、特に不景気のときに自治体にとって重要な財源が入ってこないという、そういう問題がしばしばいままで起こってきています。この点についてのこの問題の解決ですね。これもひとつお願いをしておきたいと思うのですけれども、以上の点についての見解を聞きたいと思います。
  216. 関根則之

    政府委員(関根則之君) 電電公社等三公社の納付金の問題でございますが、二分の一特例の廃止につきましては地方公共団体からも長い間非常に強い撤廃すべきであるという議論が提起され、私どももそういう意向を受けまして、理屈の上からも確かにそのとおりであると思っておりますので、強く各方面に訴えてきたところでございますが、残念ながらいまだ実現を見ておらないわけでございます。  ただ、たまたま臨調の答申を受けまして公社につきましての改組問題というのが現在起こっておりまして、政府行革大綱では次期通常国会までに何らかの改組案を出すということになって、いま作業が進められている段階でございます。したがって、もしたとえば専売であるとか電電でありますとか、国鉄はしばらくちょっとむずかしいと思いますけれども、こういったものの民営移管がなされれば、これはもう、ある程度自動的に固定資産税については徴収できるようになる、そういうふうに持っていかなければいかぬと思いますから、そういう展開がなされるだろうと思っておりますので、それらの推移との兼ね合いも実は最近の問題としてあるわけです。しかし、それがもしも仮におくれるということであれば従来と同じ立場に立って私どもは私どもの主張を続けていきたい、強く押していきたいというふうに考えます。  それから、日銀納付金の問題でございますが、かつて五期連続地方の納税引当金がゼロというような時代が続きまして大騒ぎをしたことがございます。そういう税収に激変が生じるということは地方財政運営上も好ましくないということで、そういうことのないように日銀ないしは大蔵省に対しまして私ども強力な折衝をしてきたわけでございます。ここ数年といいますか、去年あたりからはその辺のところが激変を来さないような考え方のもとに銀行券の発行平残の大体一〇%程度の自己資本を内部に留保するへそういう考え方を日銀がとってきていただいておりますので、大体ある程度コンスタントに、もちろん期によって営業成績が違いますからそれはいたし方ないといたしましても、一定の営業成績を上げたときにはそれなりの税収が地方に入る、そういう内部経理の仕方をしていただいておりますので、大体落ちついているのではないかと思います。しかし油断はなりませんので、引き続き余りおかしなことにならないように私どもとしても見守ってまいりたいと思います。
  217. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 電電公社の施設に対する道路占用料の扱いにつきましては私どもも現状について疑問を持っておりまして、七月ですか、五十九年度の予算要求の段階で建設省に再検討を要請いたしております。建設省の方では電電公社の改組問題等も当面あるということで、直ちに結論が出せないと言っておりますけれども、私どもは事柄の性質上できるだけ早くこれを解決してほしいという気持ちで今後とも折衝してまいりたい、このように思っております。
  218. 神谷信之助

    神谷信之助君 一般国民は電柱が二種類あるというのもよくわかりませんからね。だから電力会社の電柱の方は占用料を払って、電電公社の方はただで使っているというようなのは余り知られていないのですね。みんなもらっているのだろうと思っておった。これはちょっと常識ではなかなか考えにくい問題です。だから電話が普及するまでの間は投資が大きいですから、そういう点では電電公社というのは赤字が大きくなったから、したがって一定の配慮も必要だったけれども、現在はそうではないわけですから、この点ではひとつ引き続いて努力をしてもらいたいというふうに思います。  その次、ひとつ来年度の地方財政全体の見通しの問題になりますが、まずことしの所得税減税に伴う地方交付税の減、四百八十億ぐらいになるのですか、これの穴埋めについて一体どうかという問題です。聞くところによると、大蔵省はこれは地方負担、地方で持てとかどうとかいう状況で、これはいずれにしても来年度の地財対策のときには折衝課題の一つにもなってくるかと思いますが、この辺についての考え方はいかがですか。これはもう論理的に言えば当然国が持たなければならぬ、いままでのなにから言えばそういうことで、だから交付税会計が借り入れを仮にしたとしても、従来どおり元利を国が持つというこの方式が論理的にも筋が通った方向なんだけれども、先ほど聞いているとなかなかそれもそう単純ではないようなんで、少し財政局長に聞きたいと思います。
  219. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 所得税の年度内減税に伴う交付税の減収補てんの扱いにつきましてはこれまで何回か例があるわけでありますが、過去においてはいずれも実質的に地方に負担をかけない、国の責任で補てんするという扱いがなされております。で、今回の千五百億円の所得税減税に伴う補正予算の扱いなどについては現段階ではまだ明らかにされておりません。通常であれば、その減税に伴う税収の落ち込みとそのほかの歳入の増減あるいは歳出の増減、いろいろな要素を総合して対策が立てられるわけであります。私どもといたしましては、補正予算の具体的な内容が固まった段階でこの補てんの措置につきまして地方財政運営に支障がないような形でその処理をしていきたい、こういう気持ちでおります。  いずれにいたしましても、まだ大蔵省の方から具体的にどうするという意思表示もありませんし、他の要素もまだ明らかではありませんから、具体の方策について御答弁申し上げかねるわけでありますけれども、基本的には国の政策減税によって地方団体の財政運営に支障が生ずることのないような適切な措置をしてまいりたい、このように考えております。
  220. 神谷信之助

    神谷信之助君 その次は五十八年度の地方税収の見通しの問題ですけれども、地財計画上は前年同月比で九月末で四・三%の伸びという状況のようですけれども、去年の三・三がことしは四・三、ただ問題は法人関係税で、計画では一・七%伸びに対して現在二・九%減にとどまっている、この点で非常に見通しがむずかしいというように聞いているのですが、税務局長、この辺どうですか。
  221. 関根則之

    政府委員(関根則之君) 地方財政計画で計上をいたしております都道府県税収を確保いたしますためには前年実績で三・三%の伸びを必要とするわけでございます。それに対しまして九月末現在では、お話のありましたように四・三%の対前年同期比実績を示しております。したがって、この数字からだけ見ますと趨勢的にはいいではないかという感じがするわけでございますが、これもお話がありましたように、法人二税では実は計画額を下回っているだけではなしに前年度よりも絶対減という状況が起こってきております。したがって、今後の景気回復の動向いかんによっては私どもは大変心配をしなければならない事態ではないかというふうに考えております。  特に、ことしの地方税の上で考えていかなければいけませんのは、五十九年三月期の決算が多分いまの状況ではわりあい企業業績がよくなってくるのではないかという見込みが各方面でなされております。そういう中で国税と地方税の仕組みが違いまして、三月期は国税ではことしの中へ入りますが、地方税では来年になってしまう。したがって、景気がもし仮に三月期でよくなったときにその税収がわが方へは入ってこないという問題がありますので、特にそういった点も含めて私どもは現状においては楽観は許されないもの、注意深く見守っていかなければならないもの、趨勢的には大体現時点では確保できるものと、そんなふうな状況把握をいたしております。
  222. 神谷信之助

    神谷信之助君 そこで、今度は全体的な問題ですけれども、来年度の財政の不足額ですね。これは大体三兆円ぐらいだという話も出ておったのですが、最近は二兆円ぐらいじゃないかというような報道が出たりしている。だから大分歳出カットを大幅になさることを考えておられるのかなと思ったりするのですけれども、その辺の歳出歳入、それから増減要因、こういった点についてはどういうようにいま考えておられますか。
  223. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 五十九年度の地方財政の収支見通しにつきましては、その前提となりますもろもろの要素、特に経済の見通しあるいは税の自然増収、税制改正内容、こういった非常に大きな前提要件が現段階では全く明らかでありません。また、歳出の方にいたしましても各省庁が大蔵省に提出した概算要求の数字というものはありますけれども、これが最終的にどういう形で処理されるのか、この辺が明らかでありませんので、結論的に申しますと、いまの時点で収支はどうなるということについて正確な御答弁を申し上げることは大変困難な実情でございます。  ただ、部分的に歳入歳出の要素の中で、ふえる要素減る要素いろいろありますから、マスコミ等の報道におきましてはその特定の要素に着目して収支の予測を行っている記事が散見されるところであります。私どもはこれらのいろいろな要素を念頭に置きながら来年度の対策をいろいろ検討しているわけでありますけれども、ただ、どういう状況になろうとも最終的には相当規模の財源不足になるのではなかろうか、こういう見通しを持っております。
  224. 神谷信之助

    神谷信之助君 そうすると、二兆円から三兆円ぐらいの財源不足になるということなんですか、見通しは。
  225. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 数字でもって二兆とか三兆とかという見通しをこの場で政府の正式の見解として御答弁するには、その前提要件となるいろいろな諸データが余りにも流動的である、不確定であるということでございまして、その点については申し上げかねるという点を御了承いただきたいと思います。  ただ、先ほど申し上げましたように、歳入の要素、歳出の要素、いろいろ勘案いたしますと、結論的には御案内のように五十八年度の地方財政対策を講ずる前の段階の財源不足、要調整額が二兆九千九百億円でございましたから、それに対して、たとえば交付税について言いますと八千五百億円の精算減がなくなるじゃないか、あるいは現行法で申しますと五十七年度分の精算増が五百億ほど出てくるじゃないか、こういうような増減の要素、あるいは五十八年度の場合には五十七年度に人勧が見送られましたから、いわゆる給与改定の平年度化というのはなかったわけですけれども、五十九年度はそういった要素が新たに加わってくるとか、あるいは定年制の施行に関連して退職者が非常にふえてくるのではないであろうかというような財源不足の増加要素、減少要素がいろいろありますので、その辺の見方によっていろいろな数字が報道されているわけでございます。  いずれにしても、私は今日ただいまの段階で具体的な数字をもってどの程度ということは御答弁申し上げかねる実情にあるということを御理解賜りたいと思います。
  226. 神谷信之助

    神谷信之助君 いまもおっしゃった来年度交付税会計でまた借り入れなければならぬ、八千億ぐらいという話も出ているのですけれども、五十八年度は三千四百四十六億円、この二分の一の利子負担を今年限りということで地方持ちになりましたね。来年は仮に八千億というと半分で四千億、それでそれを二分の一国の方は持たぬ、全額負担をせいということになってくると、ことしのような措置をやるとすると、これまたプラス四千億という、そういう問題が出てきますね。それから、来年五十九年度から、五十九年度はまた地方負担の額は九百億ぐらいですからそれほど大きくないですけれども、いよいよ始まり出して、六十年度以降はもう二千五百億前後から三千億になってきますね。  こういった問題を含めて、もうこれは前から言うのですけれども、根本的にひとつ大きく考えなければならぬ問題で、とうに早くから五十年度以来言っているわけだけれども、事務の再配分とそれから財源の再配分、こういった問題をやらなければならない段階ではないかと思うのですよ。  ちょうど所得税住民税減税があり、それで歳出カットの状況いかんによっては先ほどから言っていますような間接税の一定の増税というやつが起こってくる。若干機関委任事務なんかの地方への転嫁がありますけれども、臨調でもなかなか国と地方の事務分担の見直しというのができないままできていますから、大変むずかしい問題ではあるけれども、こういった問題、それから補助金制度の問題、こういったものがずるずる来て、そして何というか、小手先細工といいますか、とにかく当面の処理を糊塗するという、そういう状況で来ているのですが、大臣、一体いつまでこういう状況を続けていくのか。大臣自身も、もういいかげんにして中長期的な見通しを持った検討をしなければいかぬということを前の国会ではお話しになっていましたけれども、一体どういうようにこの問題の根本的な解決の方向というのを見つけ出そうとなさっているのか。この辺はいかがですか。
  227. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) 実は私は地方財政の立て直しということについて、中期的な、長期的といったって無理ですから、中期的な何か見通しといいますか、計画は立たないかなと、こういろいろ考えてみるのですけれども、全く地方財政というものは独立しているわけじゃなくて、やっぱり国の財政なり国の制度というものとの関連が非常にあるわけです。全く連動しているという面が非常にありまして、こちらだけで考えても始まらないということがあるものですから、地方財政独自の立場でこうしたいのだ、あるいはこうするのだ、よって国の方もこうしてくれ、こういう要求になれば非常に私はいいなと、こう思うのですけれども、国の方が一体どういうふうになってくるのかというのを受けて国との連動ということを考えなければならない。  国の財政にいたしましても、中期展望というのもなかなかいろいろなケース考えられるので、いまは不確定要素といいますか、むずかしい要素がたくさんあるものですから、なかなか立たないという状態の中で、じゃ、地方財政独自で一体何が考えられるか、何がやれるかということになってきますと、なかなかこれはいい知恵が出てこない。ただしかし言えることは、いまおっしゃるように、いつまでこうしてやっていくのだ、このままでは地方財政というものは借金がふえてくる、やっぱりどこかでひとつこういう悪循環を断ち切った考え方をしなければならぬのかなと、こう思うのです。思いますが、思いばかりが先に立ってなかなかいい知恵が出てこない、こういうのが実は偽らざるところであります。  しかし、そんなことばかり言っておってはおれませんから、やはり私はひとつ事務当局の皆さんにも中期的な見通しで、いろいろな前提要件を考えてみなければなりませんし、前提要件が決まりませんからあれですけれども、こういう前提だったらこういうことになるといういろいろなケースでやっぱり考えてみていかなければならぬのじゃないだろうか、こう思っているのです。非常に切実な思いでいま私どもの役所は考えている、しかしなかなかいい知恵が出てこないというのが偽らざるところだと思っております。
  228. 神谷信之助

    神谷信之助君 国の財政再建の計画、それと、それから国と地方とのあり方、こういったものが連動するのは当然なんで、だから中曽根総理が中期的なひとつ展望をつくれと指示しているから、それが出てくればという、そう言って大臣おっしゃっていましたね。  八〇年代の日本経済の展望と指針というやつが出たのです。しかし出ましたけれども、中身はもう抽象的で、数字を書いてそれで責められたらかなわぬということで、数字は皆隠してしまって、だから今度はそれに基づいて大蔵省も計画を立て、自治省も計画を立てるというわけにはなかなかいかぬ。しかし、数字が隠れていることは事実なんです、公表されているのだから。その部分的な数字がこの国会の初めの部分で予算委員会かなんかで少し出てきていますけれども、だから、ある意味ではその点をはっきりさせなければ航路図を持たない操船をやっているようなもので、どこへ行くかわからぬ、その日暮らしで走っていますのやということでは、これは私は政権をあずかっておる内閣としては無責任きわまると思う。われわれの方はいろいろな見解が違いますからその点ではなかなか採用してもらえないけれども、部分的には私は御同意いただける面もたくさんある提起もしてきたと思うのですけれども、そういったものをやっぱり考えないということでは、これは余りにも無責任過ぎるのじゃないかと思うのですよ。そういうことを一つ指摘をしておきたいと思うのです。  あと、次の問題へ入りたいと思いますが、ちょっともう時間がないですから、一応きょうはここのところにしておきたいというように思います。
  229. 三治重信

    ○三治重信君 個人住民税に係る地方税法臨時特例に関する法律案審議でございますが、まず六百億の減税というのは、これはどういう基準で算出したのか。  所得税の方は五十七年度の剰余金が千五百億、それを本来的でいけば半分は国債の償還に充て、半分は翌年度へ繰り越すというふうになっているやつを特別に所得税減税に充てる、こういうことで、財源が五十八年度ではほかにないからそういう五十七年のやつを全額五十八年の減税へ繰り越しして充てる、こういう財源の根拠があるわけなんですが、この六百億はどういう裏づけで六百億を減税するようにしたのか。
  230. 関根則之

    政府委員(関根則之君) 減税問題につきましては、国会における与野党間の折衝等におきましても当初から所得税住民税を一対のものとして議論がなされたものというふうに理解をいたしております。そこで、官房長官の予算委員会での発言におきましても、所得税住民税減税のための法律案を今年中に国会に提出する、そういう表現がとられていたと思っております。  そういう経緯を受けまして今回減税を実施する、減税の方針を決めるという段階になりまして、国税の方の規模を千五百億ということが打ち出されたわけでございますが、そうなりますと当然地方税についても国税の年内減税千五百億に対応する減税が必要ではないか、それをやるのが国会における論議等を踏まえた素直な対応の仕方であるというふうに私どもも理解をしたわけでございます。  しかし、住民税の仕組み上、年度途中での減税はできないわけでございます。実質的には五十九年度にならざるを得ないわけでございますが、あくまでも五十八年中の所得税減税対応するものとしてともかく減税をすべきであるという、そういう考え方で今回の特例法が決まったわけでございますが、そのときの六百億というのは、国税が千五百億といたしますと、やはり税収の大きさが大体七対三でございますので、国税の千五百億を七といたしますと、それの三に当たるものが六百億円であるというようなことから、この際六百億円の住民税減税を実施するということになったというふうに理解をいたしております。
  231. 三治重信

    ○三治重信君 そうすると、一年の税収が七対三だから、国税が千五百億やると、その三になると大体六百億になる、こういう説明です。その六百億はそれは一つの理屈でいいのだが、そうすると、その六百億の減税ですね。しかしこれは五十八年ということなんだけれども、いまの説明でも地方税は五十八年には減税は事実上できないということで五十九年にする。そうすると、五十九年にすると、一年おくれでやっていくことにすると、五十八年のその六百億の五十九年度の減収に対する財源措置はどういうふうに考えられるか。
  232. 関根則之

    政府委員(関根則之君) 減税六百億円の財源措置でございますが、お話のありましたように、これは五十九年度におきまして減収額が実際出てまいります。五十九年度には後ほどまた通常国会にお願いをいたそうとしております本格減税が出てくるわけでございます。その分が平年度三千億ということになりますので、その分と合わせまして財源措置をどうするかということを五十九年度の地方財政計画の中で考えていくべきものというふうに考えております。  その際の財源につきましては、単に特定の部面で調達するということではなしに、歳入歳出全体を通じまして地方財政運営に支障を生じることのないように来年度の予算編成過程において適切に対応をしていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  233. 三治重信

    ○三治重信君 そうすると、国税が財源を持って減税したのだけれども、国税、地方税という与野党の約束だから、国税が千五百億をやるのなら三として六百億なんだけれども、来年の六百億の減収対策については五十九年の財政計画で考えるよりほかない、こういうふうな答弁と解釈していいわけなんですね。
  234. 関根則之

    政府委員(関根則之君) 国税は千四百七十一億の前年度からのいわば剰余金が財源としてストレートに対応してあるわけでございますけれども住民税減税の問題についてはそういうストレートに対応した財源というのを頭に置いて規模を決めたものではありません。現時点においては特定のものというのはないわけでございます。
  235. 三治重信

    ○三治重信君 それと、いまおっしゃった五十九年は六百億、六十年から一兆円、政府の提示した案だと一兆円とすると地方は三千億ですね。そうすると、その三千億はまた一年おくれで三千億になる、それの対応のやり方は二段階になるというふうに考えていいのですか。
  236. 関根則之

    政府委員(関根則之君) あくまでも今回の六百億の減税特例的な減税考えておりまして、したがって単年度限りのいわば臨時的な減税という考え方をとっております。したがって五十九年度の住民税についてだけこの減税がなされる、別途三千億の減税というのは、これは平年度ベースでずっと恒久的な制度として五十九年度以降開始をされる、しかも引き続き存続する、こういう考え方でございます。したがって、先生のように二段階といいますか、二つの別なものが同時に進行するといいますか、そういうものであるという理解もできると考えます。
  237. 三治重信

    ○三治重信君 二段階というのは、五十九年の歳入を考える場合の対応と六十年の歳入を考える場合の対応で、五十九年だけは臨時特例で先減税だけやっちゃうから、収支の対応は再来年が三千億になるわけだから、一年限りのやつはそれはもうネグレクトして三千億でストレートに来年からやっていく考えなのか。どうもそういう説明になると、国税と地方税との歳入の割合からそうだ、こういうことになってくると、何と申しますか、二段階といいますか、来年は国税の方はもう財源措置しちゃっているわけだが、おたくの方は来年に対しては財源措置は考慮しないでやって、六十年からの、何といいますか、三千億のやつは本格的な恒久的な歳出歳入の考慮をしなくちゃならぬというふうに考えておるのかということなんです。
  238. 関根則之

    政府委員(関根則之君) いずれにしろ、減税でございますから、その財源措置はちゃんとしてもらわなければいかぬわけでございます。ただ、減税の性格が違いますので、六百億については特例的な臨時的な減税でございますので、それに似合ったといいますか、やはりふさわしい措置を講ずる必要があるし、それから本格的な減税の三千億の減税の方は恒久的な毎年毎年五十九年度以降三千億レベルで減収額が生じてくるものでございますから、それに対応した、それにふさわしい財源措置が必要になってくると思います。  しかし、いずれにいたしましても金目の話でございますから、五十九年度の財政計画をつくる段階におきまして、全体の収入支出を考えて、五十九年度においてはほぼ三千六百億、六十年度については三千億分の財源がといいますか、収支が合うような形での地方財政対策が必要であるというふうに理解をしておるところでございます。
  239. 三治重信

    ○三治重信君 五十九年度でどうして三千六百億の考慮が必要なのかよくわからぬですが、そういう場合に、結局これ臨時的に一年限りのやつだったら、これは何とか財源的なものをそう余り考えてもらいたくなくて、われわれから見るといわゆる臨調路線で、行革で、歳出の節約やいろいろ合理化に対応してこれぐらいは節約をしてもらいたいと思うわけなんですが、それは一つつけ加えておきます。来年の財源措置というのは歳出の節約でひとつやってもらいたいと思うのです。  それから、いままでにもいわゆる税調答申についてのほかの増税路線の中身についていろいろ議論がされておったわけなんです。それの答弁としては、何も決まったことはない、具体的にはこの中期答申とあわせて五十九年についての新しい税を考えるとすれば、それは五十九年に新しくまた答申が出るはずだと、こういうことに理解しているわけなんですが、五十九年度のいわゆる税調答申は、今度は十二月十八日の投票で恐らく一番順調にいけば年末には内閣ができる、そうすると、税調でも一月上旬には五十九年度の新しい税調の答申が出ると予想されているのか、それから考えて五十九年度の財政計画をやるのに歳入が間に合うのですか。
  240. 関根則之

    政府委員(関根則之君) 御承知のように、各年度の税制のあり方を論議いたします税調は、やはり特に国の場合がそうなんですが、その翌年度といいますか、対象とする年度の財政状況がどうなっているか、足りないのか余るのか、そういったものとの兼ね合いの中で具体的な税制を論議いたしますから、予算編成のある程度わりあい近いところでないと実質的な審議ができないわけでございます。したがって、毎年の通常の例でございますと、大蔵の予算の内示がなされる二日ないし三日前ぐらいに答申がなされるというようなやり方をしております。審議期間に一月ほど、まあ年度によっても違いますが、二週間とか三週間とかいうことで上げている場合もあるわけでございます。  そういうことから考えますと、まあ政局がどういうことになるのか私どもよくわかりませんけれども、来年度の予算編成を特定の日を設定して考えました場合に、それに合うだけの日程で税調の審議は私はなされるものと考えますし、また実は逆に税調の結論が出ませんと予算編成ができないという問題も、むしろそっちの流れの方が強いのじゃないかというふうに考えます。その際には当然税調の審議期間というのはとられるわけでございますし、その間には地方財政対策の大蔵省との詰め等も行われる時間的な余裕といいますか、期間がとれるものというふうに考えております。いずれにいたしましても、税調の審議をした上で来年度の予算編成がなされていく、そういう段取りになるものと考えます。
  241. 三治重信

    ○三治重信君 それで、国の方は華々しくマイナスシーリングとかなんとか言っていろいろ報道されているわけなんだが、地方財政計画をつくる場合にでも、それと対応したいわゆる節約合理化型の財政需要計画というものを、これは余り新聞には報道されてないと思うのだが、自治省自身としては相当検討され、国のマイナスシーリングに対応するのはどこでやろうかというようなことは相当検討されているのですかどうですか。簡単に。
  242. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 私ども毎年度の地方財政対策を立てる前提といたしまして歳入歳出の見積もりを行うわけでありますが、その際、歳出の積算に当たりましては、当然国の予算編成における基本的な考え方に準じまして歳出の徹底的な見直しを行う、節減を行うべきところは行うという考え方で臨んでおります。  国の予算につきましては概算要求からたびたび新聞で報道されますけれども地方財政の方はいわばそれの裏といいましょうか、それに関連する支出、歳出が固まってまいりませんと一つのまとまったものにならないという事情がありまして、地方財政対策が取りまとめられる段階で言うなればまとめて公になる、明らかになるという事情もあって比較的じみな扱いになっていると思います。しかし基本的には私どもは国と全く同じ基調のもとに地方の歳出の見直し等も行っていくつもりでございます。
  243. 三治重信

    ○三治重信君 ぜひひとつ一般経費なんかのやつも再検討してもらって、行財政改革の線に沿う財政計画をつくってもらいたいと思うのです。  それから、ちょっと話が変わって警察庁に伺いますが、これはいま非常に議論になっておるのですが、自動車の運転免許関係の税を来年税調の方で、まあ来年とは限らぬにしても新しい税目として検討の俎上に上せられる報道がされてから非常に大きな問題として取り上げられつつあるわけなんです。これはいわゆる自動車免許を持っている人たちでももう五千万人近い人があるわけなんですが、この中でも免許を受けて五千万人ということになってくると、これは有効に自分の生活や職業で所得を増すために自動車免許を持つということより生活のためにとっておく、いわば嫁入り道具の一つとしてとっておくとか、そういう生活の便宜のためにとっておくような人が非常にだんだんふえてきているわけなんですが、そういうのを一般の課税対象にするような運転免許税というようなものがもし仮に考えられるとすると、これは相当警察の方はこういう一般的なもののやつまでやられることについて反対してもらわなければならぬとともに、もしも課税されるとなるとどういうふうになるのか。警察が税金を取り上げる、徴収するということになってくると、これは非常に手数もふえることだろうと思うのですが、そういうようなことを検討されているかどうかということなんです。こういう問題は警察の方としても新しい角度でひとつ検討をしてもらいたいと思うのですが、こういうものに対する態度をひとつ説明していただきたい。
  244. 久本禮一

    政府委員(久本禮一君) 先生お尋ねのこの免許税問題というのは大変現状でいろいろ申し上げるのはむずかしいところもございますが、御指摘のとおり現在五千万人に近い運転免許取得者がおるわけでございますし、これは警察が十分に責任を持ってその管理をしていくという行政上の地位にございますので、これに関する制度につきましては当然十分関心を持って対処してまいりたいというふうに考えております。
  245. 三治重信

    ○三治重信君 関心を持って対処するという答弁なんですが、それじゃ、ひとつ自治省にお聞きしますが、こういうような登録免許について自治省の方で適当な財源としてやられているのは、私の知っているのでは狩猟免許の狩猟者登録税なんだけれども、こういうのと自動車免許証をもらった人と同じように考えられるものか。どうですか。
  246. 関根則之

    政府委員(関根則之君) 税制論議としての自動車免許税というのは先日の中期答申で両論併記のような形で問題提起がなされているだけでございまして、現実の税制の具体的な年度税制としての議論がなされたわけではないわけでございます。したがって、私どもの方では具体的に自動車の免許というものに着目しての、いま先生御指摘のような点についての検討は現時点ではしていないところでございます。
  247. 三治重信

    ○三治重信君 いや、この免許登録税としていままで自治省がやっているのに狩猟者登録税というものが現在行われているわけでしょう。こういうようなもののかけられたときの理論というのはどういうことかということを質問している。地方税の考え方としてまだほかにもあるのか。
  248. 関根則之

    政府委員(関根則之君) 現在の税法におきましては、地方税では役所等が行います免許許可等に着目しての課税の例としては狩猟者登録税が一番典型的なものだと思います。ほかには余りぴったりの税はないと思います。ただ、国税におきましてはいわば自動車重量税というものが車検の段階において車を使用するということに着目して課税がなされておるということとか、あるいは登録免許税というのがございまして、人の資格の登記、登録の証明等に使うための、そういう登録について税金がかけられておる、こういう例がございます。  狩猟者登録税につきましては、これは非常に古い税といいますか、制度の変遷はもちろんございましたけれども、狩猟者が狩猟をするにつきましてその資格を得るための登録を要する、その登録について、免許の種類に応じて違いますけれども、三千三百円ないし一万円が課税されておる、こういう仕組みになっているものでございまして、これは一般財源になるものでございますけれども、そのこと自身に格別の何というのか税制上問題点があるというふうには理解はしていないわけでございます。
  249. 三治重信

    ○三治重信君 いまでも自動車関連の税は、いま自動車重量税のことを言われたのですが、そういう自動車そのものにも検査のたびにかかっているわけで、それをまた運転する人の方をみんなやる。はっきり言われないけれども、そういう国税でも地方税でも免許税というものはそれによって所得が期待されるから、その所得を裏づけとして税金をそういう登録のたびにひとつ納めてもらうという間接的なものだろうと思うのですよ。間接税だと思うのですね。  ところが、先ほど説明したように運転免許証でも、昔みたいに、戦前のように特別にトラックとかタクシーとか、そういう自動車の免許を取ることによって職業、所得が得られる、就職の過程として得られる、こういう人ばかりのときにはあるいはそういうことが言えるかもしれませんけれども、いまの五千万人からの免許を持っているということは、これはほとんど国民の全部であるということで、これではそういう自動車の免許を得ることによって所得を期待する、免許証で所得を期待するという根拠は何もないわけなんで、有業者全部より、また労働者よりかもっと多いということになるわけです。  これは同じ免許でも警察の方はいわゆる交通事故や治安とか、そういう別の面でこれは警察が特別やっているので、これは警察が特別所管しているようなことは、風俗営業とか何かにはそういう特別所得があるということになるかもしれませんけれども、これは同じ免許といっても性質が全然違うわけなんだから、ひとつこれは特別こういうものを対象にするというのは所得税減税から言っても所得税を納める人に全部一律に漏れなくかけるということ、またそれにプラス娘さんや奥さんにまでみんな所得を得ない人まで、夫婦まで二重にかけるというかっこうになるわけなんだから、これはこういう問題が税調に出ても、これはそういう自動車の関連の税金はもう国税地方税合わせて九種類もありとあらゆるところで取っているわけなんだから、そういう苛斂誅求なことはひとつぜひ考えないような対策をとっていただくとともに、警察の方もこれは免許税とか何とかというのはそれを受けることによって特別な所得が期待されるという場合において間接的にその所得を見てやるのがそういう免許登録税だと思うのです。  いまや警察が所管されている中でも、これは特別なそういう所得の裏づけのないものとなっているわけなんだから、ひとつがんばってもらわないと困るわけなんですが、いま一度ひとつそういうものについて特別税の対象にされぬようにひとつ再検討する、こういうようなことを言っていただくと非常に都合がいいわけです。
  250. 久本禮一

    政府委員(久本禮一君) いままでいろいろお話がございましたように、具体的にいま自動車免許税をかけるという御相談があるわけではございませんので、いま直ちに直接意見を申し上げるのはむずかしいと思いますが、御指摘になりましたような免許の性質というものを私ども十分踏まえておりますので、今後いろいろお示しの意見がございましたら、私どもとしても十分にそれに応じて検討してまいりたいというふうに考えております。
  251. 三治重信

    ○三治重信君 では最後に一つだけ。  地方交付税の配分の問題なんですけれども、これはまた来年の通常国会で私も勉強さしてもらいますけれども、最近給与の問題、退職金から給与に対する問題で、民間や国に対しても非常に高い給与を出している地方が摘発されている。きょうの新聞には大阪の堺市なんていうのも、えらい採用の初任給からわたりの給与を出しているというふうに出ているわけなんですが、こういうような問題は何と申しますか、交付税を全然出さぬでいいところばかしなのか、交付税を出しているところでもこういうことをやっているのだったら、それはひとつ交付税の対象としているやつについて、配分についてもっとやはりきちんと法令に従って、この予算執行をできているところとできていないところをはっきり区別する交付税のやり方を考えてもらうようなことができるかどうか。  それでもって終わります。
  252. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 地方交付税の算定におきましては、地方公務員の給与は国家公務員の給与に準ずべきものという前提に立ちまして単価の積算その他を行っております。しかし現実に新聞等でも取り上げられておりますように、私どもの指導に反して非常に高い給与の支給が行われている団体現実に存在することは事実であります。これらの団体につきましては特に著しく高い団体については一定の給与の是正計画をつくっていただきまして、それを実行していただくよう現在強力な指導を行っております。  で、こういった団体につきまして交付税の配分に当たってどうするかということについては以前からいろいろな議論があるわけでありますが、私どもは少なくとも現実の給与行政が国の指導基準を著しく逸脱しているような団体については、それだけ財源的には余裕がある団体というふうに考えざるを得ませんので、たとえば特別交付税の配分などに当たりましては、そういった不適切な支出についてはこれを財源余裕要因としてカウントする、こういうような扱いもいたしておりますし、またこういった団体が財政運営上困難を来したというような場合においても、やはりその給与の姿勢を正さない以上は国から安易に財政的な援助を行うということはできないという点をるる説明いたし、指導の徹底に当たっているところでございます。
  253. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 暫時休憩いたします。    午後五時一分休憩      ─────・─────    午後六時四十八分開会
  254. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。  委員の異動について御報告いたします。  本日、名尾良孝君及び上條勝久君が委員辞任され、その補欠として村上正邦君及び仲川幸男君が選任されました。     ─────────────
  255. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 休憩前に引き続き、個人住民税に係る地方税法臨時特例に関する法律案議題といたします。  他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  256. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  257. 神谷信之助

    神谷信之助君 私は、日本共産党を代表して、個人住民税に係る地方税法臨時特例に関する法律案反対の討論を行います。  この法案所得税の年内減税に見合い、人的控除を各七千円引き上げ、総額六百億円の個人住民税減税を行う、減税の方法は来年度の住民税の上乗せとし、五十九年六月以降に軽減するというものでありますが、反対理由の第一は、この減税は国民の切実な要求である所得税一兆円、住民税四千億円の年内減税実施とは大きく隔たっており、とうてい容認し得ないものであります。  この点については、わが党を除く野党と自民党との間にこの春合意された景気浮揚に役立つ相当規模の減税、年内実施の線からも著しく後退したものであることを強く指摘せざるを得ません。  第二に、この減税案は、政治的には十・一二田中判決を受けて、田中議員辞職勧告決議を国会の最優先課題とすべしとする国民世論と野党の追及に対し、ロッキード隠し、田中擁護の一環として打ち出されたものであることは周知の事実であります。  しかも衆議院では田中擁護の中央突破作戦に基づいて自民党単独で強行付託、委員会も実質審議抜きで自民党単独強行採決、本会議でも自民党と新自由クラブの強行採決と相次ぐ暴挙を重ねて参議院に送付されたものであります。このような議会民主主義の乱暴なじゅうりんをわが党は断じて許すことはできないのであります。  第三に、この法案はこれ自体独自に評価すべきものではありません。政府・自民党回答で言う来年度のいわゆる本格減税及びその財源問題、増税と一括して評価すべきものであります。  来年度の本格減税では、この委員会の審議でも明白になったとおり、課税最低限の引き上げは小幅にとどまり、依然として生活保護基準のはるか水面下にとどまっています。加えて最低税率の引き上げや均等割の見直しで低所得層には増税となる可能性が強く、最高税率の方は据え置くなど、所得の高い者ほど有利となる減税が計画されているのであります。  さらに、その財源として酒税や物品税の増税、地方税でも運転免許税の新設や自動車関係税、料飲税の増税などが云々されており、小倉税調会長の言によれば、増税と減税を差し引きして、ある程度増収となることを考えておかねばならないという状況にあります。  このことは、低所得層にとっては減税の恩典はきわめて少なく、間接税による増税の負担だけはもろにかぶるというまことに不合理な減税意味するものであります。これでは減税を期待する大多数の国民に増税をもってこたえることになるではありませんか。このような減税案には決して賛成できないのであります。  わが党は、このような増税隠し、国民泣かせの減税ではなく、軍事費の大幅削減、大企業優遇税制の見直しなど「脱財政の民主的な改革による真の大幅減税を主張して反対討論を終わります。
  258. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  259. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) それでは、これより採決に入ります。  個人住民税に係る地方税法臨時特例に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  260. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  261. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。     ─────────────
  262. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 次に、請願の審査を行います。  第二二五号個人事業税に係る税制度改正に関する請願外十五件を一括して議題といたします。  これらの請願につきましては、理事会において慎重に検討いたしました結果、いずれもその決定を保留することに意見が一致いたしました。  右、理事会申し合わせのとおり決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  263. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。     ─────────────
  264. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。  地方行政の改革に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  265. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  266. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後六時五十五分散会