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神谷信之助君 これは非常に私は
政治を担当しているわれわれにとっては大変大事な問題、重要な問題になると思うのですよ。
たとえば物品税についてこの税調答申では「物品税は、消費のもつ担税力に着目し、物品を課税対象として製造段階又は小売段階において課している」、こういうふうに言っていますが、特に「戦後における
税制改正の過程を通じ、主としてしゃし品ないし比較的高価な便益品や趣味・娯楽品にしぼられ、」、これが課税対象になっている、だから化粧品だとかカメラとかそういう種類のものでしたね。昔は皆少なかったわけだ。奢侈品なりあるいは担税能力のある、比較的そういうものが高価なものであった時期に着目してかけた。ところが、いまもう生活用品ですね。大衆的な生活用品になっている。だから本来着目したその
趣旨から言えば課税対象から外してもしかるべきものであって、ダイヤモンドとかなんとか、もっと高級な物にするとかというように限っていくのが戦後の物品税の課税対象を決めるときの基準だったわけです。逆に今度は税調はもっとふやせ、広げろと言っているでしょう。だから、物品税を引き上げるということは庶民大衆の日常の生活に必要なものに税金をかける、そして引き上げる、こういうことになってくる。
酒税なんかもそうですよね。今度の酒税の引き上げはしょうちゅうだとか二級酒が対象になっている。だから、言うなれば
減税はしてやるよと言うけれ
ども、所得の少ないところは
減税額自身も少ないのに、その日常的な生活用品であったり、消費物、消費財、これは金持ちの人が逆立ちしたって、そんなよけい酒飲めるわけはないので、一定限度がある。そういうところは余りこたえぬかしらぬけれ
ども、庶民大衆に大きくかかってくる。そういうものにかけるわけですからね。これは片一方で
減税をやると言いながら間接税の引き上げというのはきわめて私は重要な問題だというように思うのです。
特に私が指摘したいのは、そういう
所得税や
住民税を払えないような低所得者、この人たちは先ほど税務局長言うように今度は
減税の恩典はないわけですよ。税金払ってないのですから、払えないままですから、ゼロのままでしょう。しかし酒の税金は上がるのだし、物品税は上がるのだし、こうなるわけですよ。だから日常生活の増税の方だけはかぶってくるわけだ。だから、あなた方、税金を払えないような低所得層の人は酒の税金は上げませんというようなことはできないわけでしょう。技術的にもできないわけだ。そうしたら増税だけが残るわけです。だから間接税の引き上げというのはきわめて慎重にしなければいかぬし、特に
減税と引きかえにそういうものを抱き合わせにするということは
減税の効果自身を抹殺するものだ。だからこの点は私は特にはっきりしておきたいというふうに思うのですけれ
ども、この辺はどうですか。
たとえば仮に三千億の
減税分を、まあ歳出カット当然やるとおっしゃるから、三千億まるまる税でまた補てんをするということでないだろうと思いますが、仮にそうしたとしたら、一億一千万で割ってみて、そして四人世帯で見たら大体約一万円ぐらいの増税を片一方ではせんならぬ、
減税を増税で賄うとしたら片一方では四人世帯で一万円ぐらいの増税をやらなければならぬ。せんならぬ。こういうことになってきて、先ほど言いました年収三百万の人で
住民税の
減税が八千四百円してもらったといっても間接税の引き上げで一万円とられておったのでは差し引き千六百円の増税に実際にはなるわけでしょう。家計をそれだけ圧迫するわけだ。しかも国税庁の調べによりますと年収三百万円以下の世帯というのが全体の五五・八%です。だから半分以上の人はまるまる仮に間接税の引き上げで補てんをするとしたら損をしちゃう。
これは朝も瀬島さんに私が質問したのですけれ
ども、こんなばかなことはこれは増税なき財政再建の範疇には入らぬと思うけれ
どもどうじゃと言ったら、それはそのとおりですと。だからやっぱり歳出カットうんとしてくれと、こうなってくるのですね。歳出カットはどこをするかというのは別にまた問題あるのだけれ
ども、ここのところ実際に十分閣議の中でも検討してもらって、安易に流れないように私はしてもらいたいというように思うのです。
それで、なぜそうなるのかというと、結局は私は先ほ
ども言いましたけれ
ども、軍事費だけは聖域化し、大企業に対するそういう奉仕制度はそのままにし、汚職構造にもメスは入れないし、そういうメスを入れなければいかぬところをこれを聖域化してそのまま温存をし、そこはふやしていくという、そして他のところに財源を求めようとするから、
福祉、教育の切り捨てや増税という、そこに走らざるを得ないというように思うのですが、この辺ひとつ
大臣、基本的な問題で、仮にいま言いましたように
見解が違っても具体的に実施をしていく、進めていく場合にやっぱりそういうふうに十分な配慮を私はすべきだと思うので、この点について
見解を聞いておきたいと思います。