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1983-11-24 第100回国会 参議院 社会労働委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年十一月二十四日(木曜日)    午後一時三十二分開会     ─────────────    委員異動  十一月十八日     辞任         補欠選任      本岡 昭次君     矢田部 理君  十一月十九日     辞任         補欠選任      関口 恵造君     上田  稔君  十一月二十一日     辞任         補欠選任      藤井 恒男君     柳澤 錬造君  十一月二十四日     辞任         補欠選任      柳澤 錬造君     田渕 哲也君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         石本  茂君     理 事                 大坪健一郎君                 佐々木 満君                 浜本 万三君                 中野 鉄造君     委 員                 上田  稔君                 大浜 方栄君                 金丸 三郎君                 曽根田郁夫君                 田中 正巳君                 村上 正邦君                 糸久八重子君                 矢田部 理君                 和田 静夫君                 中西 珠子君                 山中 郁子君                 田渕 哲也君                 柳澤 錬造君                 前島英三郎君            発議者  中西 珠子君            発議者  糸久八重子君    委員以外の議員            発議者 目黒朝次郎君    国務大臣        農林水産大臣   金子 岩三君        運 輸 大 臣  長谷川 峻君        郵 政 大 臣  桧垣徳太郎君        労 働 大 臣  大野  明君    政府委員        大蔵政務次官   遠藤 政夫君        労働大臣官房長  小粥 義朗君        労働大臣官房審        議官       平賀 俊行君        労働省労政局長  谷口 隆志君    事務局側        常任委員会専門        員        今藤 省三君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会議決を求めるの件(鉄道労働組合関係)(第九十九回国会内閣提出、第百回国会衆議院送付) ○公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会議決を求めるの件(国鉄労働組合関係)(第九十九回国会内閣提出、第百回国会衆議院送付) ○公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会議決を求めるの件(国鉄動力車労働組合関係)(第九十九回国会内閣提出、第百回国会衆議院送付) ○公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会議決を求めるの件(全国鉄施設労働組合関係)(第九十九回国会内閣提出、第百回国会衆議院送付) ○公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会議決を求めるの件(全国鉄動力車労働組合連合会関係)(第九十九回国会内閣提出、第百回国会衆議院送付) ○公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会議決を求めるの件(国鉄千葉動力車労働組合関係)(第九十九回国会内閣提出、第百回国会衆議院送付) ○公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会議決を求めるの件(日本電信電話労働組合関係)(第九十九回国会内閣提出、第百回国会衆議院送付) ○公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会議決を求めるの件(全国電気通信労働組合関係)(第九十九回国会内閣提出、第百回国会衆議院送付) ○公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会議決を求めるの件(全専売労働組合関係)(第九十九回国会内閣提出、第百回国会衆議院送付) ○公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会議決を求めるの件(全日本郵政労働組合関係)(第九十九回国会内閣提出、第百回国会衆議院送付) ○公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会議決を求めるの件(全逓信労働組合関係)(第九十九回国会内閣提出、第百回国会衆議院送付) ○公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会議決を求めるの件(日本林業労働組合関係定員内職員及び常勤作業員常勤作業員処遇を受ける常用作業員を含む。)」)(第九十九回国会内閣提出、第百回国会衆議院送付) ○公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会議決を求めるの件(日本林業労働組合関係基幹作業職員常用作業員常勤作業員処遇を受ける者を除く。)及び定期作業員」)(第九十九回国会内閣提出、第百回国会衆議院送付) ○公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会議決を求めるの件(全林野労働組合関係定員内職員及び常勤作業員常勤作業員処遇を受ける常用作業員を含む。)」)(第九十九回国会内閣提出、第百回国会衆議院送付) ○公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会議決を求めるの件(全林野労働組合関係基幹作業職員常用作業員常勤作業員処遇を受ける者を除く。)及び定期作業員」)(第九十九回国会内閣提出、第百回国会衆議院送付) ○公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会議決を求めるの件(全印刷局労働組合関係)(第九十九回国会内閣提出、第百回国会衆議院送付) ○公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会議決を求めるの件(全造幣労働組合関係)(第九十九回国会内閣提出、第百回国会衆議院送付) ○男女雇用平等法案中西珠子君外一名発議) ○林業労働法案目黒朝次郎君外五名発議) ○雇用における男女平等取扱い促進に関する法律案糸久八重子君外三名発議) ○保育所制度充実に関する請願(第二一号外七 件) ○民間保育事業振興に関する請願(第二三号) ○国立腎じんセンター設立に関する請願(第二七号) ○保育行政充実に関する請願(第九九号外四件) ○食品添加物規制基準緩和反対等に関する請願(第一五五号) ○慢性及び神経疾患児童生徒療育給付拡大等に関する請願(第一六〇号) ○厚生行政をただし、国民医療改善に関する請願(第二〇四号外二九件) ○国立病院療養所廃止及び地方移管民営化反対等に関する請願(第二〇六号外四件) ○二分脊椎(せきつい)症児(者)の医療充実改善に関する請願(第二〇七号) ○被爆者援護法早期制定に関する請願(第二二〇号) ○日雇労働者健康保険制度に関する請願(第二二六号) ○医療保険制度改革に関する請願(第四五七号) ○食品添加物規制に関する請願(第四五八号) ○日雇労働者健康保険制度に関する請願(第四五九号) ○医療保険抜本改悪反対に関する請願(第五八八号外三〇〇件) ○福祉関係予算確保に関する請願(第五九四号) ○社会保障制度の拡充に関する請願(第六〇一号) ○肢体障害者生活保障に関する請願(第六四三号外四件) ○優生保護法の一部改正反対に関する請願(第六四七号外三二件) ○パートタイマーに対する労働行政改善に関する請願(第六九五号外一件) ○医療保険制度改悪阻止に関する請願(第八三三号外六六件) ○仲裁裁定即時完全実施に関する請願(第八三五号) ○医療保険制度改正に関する請願(第一〇一七号) ○国民医療改善に関する請願(第一一三二号外一件) ○自動車交通労働者労働条件改善に関する請願(第一一六一号外六六件) ○医療保険改悪反対充実改善に関する請願(第一三三五号外三八件) ○国立病院療養所の統合・廃止反対等に関する請願(第一三八四号外二六件) ○国民年金法における障害年金支給要件緩和に関する請願(第一五二八号) ○民間保育事業振興に関する請願(第一五七六号外二七件) ○仲裁裁定完全実施等に関する請願(第一七三三号) ○女性タクシー運転者に対する深夜労働禁止適用除外に関する請願(第一八〇七号外八件) ○医療保険の大改悪反対等に関する請願(第一九六一号) ○老人医療無料制度復活等に関する請願(第一九六二号外二件) ○身体障害者福祉法改正に関する請願(第二〇二一号) ○健康保険の十割給付切下げ反対等に関する請願(第二〇九〇号) ○腎(じん疾患総合対策早期確立に関する請願(第二一〇七号) ○豊かな福祉人権尊重医療に関する請願(第二一六二号外二件) ○療術の制度化促進に関する請願(第二二一九号外一件) ○医療年金抜本改悪反対等に関する請願(第二二三四号外三六件) ○建設国保組合改善に関する請願(第二四一七号外三四件) ○継続調査要求に関する件     ─────────────
  2. 石本茂

    委員長石本茂君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十一月十八日、本岡昭次君が、翌十九日、関口恵造君が、また、二十一日、藤井恒男君が委員辞任され、その補欠として矢田部理君、上田稔君及び柳澤錬造君がそれぞれ選任されました。     ─────────────
  3. 石本茂

  4. 大野明

    国務大臣大野明君) ただいま議題となりました、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会議決を求めるの件(鉄道労働組合関係)外十六件につきまして、一括して提案理由を御説明申し上げます。  昭和五十八年二月十九日以降、公共企業体等関係労働組合は、昭和五十八年四月一日以降の賃金引き上げに関する要求を各公共企業体等に対し提出し、団体交渉を重ねましたが、解決が困難な事態となり、四月二十七日以降、関係労働組合または当事者双方申請により公共企業体等労働委員会の調停が行われ、さらに五月十七日同委員会の決議により仲裁手続に移行しました。  同委員会は、六月三日、公共企業体等関係組合に対し、本件仲裁裁定を行ったのであります。  本件仲裁裁定は、職員基準内賃金を、本年四月一日以降、一人当たり基準内賃金の一・二七%相当額に千百四十円を加えた額の原資をもって引き上げること等を内容とするものであります。  政府といたしましては、現状におきまして、本件仲裁裁定実施予算上可能であるとは断定できません。したがいまして、公共企業体等労働関係法第十六条第一項に該当するものと認められますので、同条第二項の規定により、国会に付議し、御審議を願う次第であります。  何とぞ、よろしく御審議の上、国会の御意思の表明を願いたいと存ずる次第であります。     ─────────────
  5. 石本茂

    委員長石本茂君) 続きまして、男女雇用平等法案林業労働法案及び雇用における男女平等取扱い促進に関する法律案、以上三案を議題とし、それぞれ発議者から趣旨説明を聴取いたします。中西珠子君。
  6. 中西珠子

    中西珠子君 ただいま議題となりました男女雇用平等法案につきまして、公明党国民会議を代表して、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  産業経済社会の進展に伴って、婦人に対する労働需要が急速に増加するとともに、婦人社会参加意識は急速に高まっております。そのような状況を反映して、勤労婦人増加は著しく、その就業分野も拡大しており、経済社会における婦人役割り増大しつつあります。しかしながら、職場においては、男女機会均等待遇の平等が十分に確保されているとはいえず、意欲能力のある婦人の活用が阻まれています。また、一方、職場における男女差別は、婦人就労意欲職業能 力の向上並びに職業意識の変革の大きな阻害要因となっております。  男女の平等については、日本国憲法のみならず国際連合憲章世界人権宣言、また日本昭和五十四年に批准した国際人権規約のうたっているところであり、昭和五十四年に国際連合で採択され同五十五年に日本も署名した婦人に対するあらゆる形態の差別撤廃に関する条約も、その第十一条で、「締約国は、男女の平等を基礎として、同一権利、特に次の権利確保するため、雇用分野における婦人に対する差別撤廃するためのすべての適当な措置をとる。」とし、「労働権利同一雇用機会についての権利職業を自由に選択する権利昇進雇用保障、役務に係る給付条件についての権利職業訓練及び再訓練を受ける権利同一価値の労働についての同一報酬・同一待遇についての権利等」を掲げているところであります。  また、欧米各国においては、昭和五十年の国際婦人年をきっかけに、男女平等政策意欲的に進め、雇用機会から職場における待遇に至るまで平等を保障する制度が確立されつつあります。また、婦人差別撤廃条約の批准や加入を行った国はすでに五十一カ国に達しております。  しかるに、わが国においては、男女差別をなくすための国内法整備がおくれ、労働分野では、職業安定法で「均等待遇」、労働基準法で「男女同一賃金原則」を定めているほかには明文の規定がなく、就業機会訓練昇進等についてなお多くの差別実態が存在しております。  労働分野におけるこのような差別の解消を図るには、国際的視野に立った男女雇用平等法制を確立する必要があります。  以上の内外の情勢にかんがみ、雇用における男女機会均等待遇の平等の確保を図るため、使用者等による性別理由とする差別禁止するとともに、その差別を迅速かつ適正な手続により是正するため有効な措置を講ずる必要があると考え、ここに公明党国民会議は独自の男女雇用平等法案を立案し、提出する次第であります。  次に、この法律案内容について、その概要を御説明申し上げます。  まず第一に、募集、採用、賃金、配置、昇進、定年、退職その他の労働条件職業紹介職業訓練等について、性別理由とする差別禁止することとしております。  第二に、性別理由とする差別に対する監督機関として婦人少年室雇用平等監督官を置き、雇用平等監督官は、事業場公共職業安定所その他の施設に対して立入検査をする権限を有し、この法律規定に違反する事犯について司法警察員の職務を行うこととしております。  第三に、婦人少年室長は、差別禁止違反差別がある旨の労働者からの申告または職権に基づき調査をし、必要と認めるときは、使用者等に対してその是正のための勧告、命令等を行うことができ、また、差別について適当な措置をとるべき旨の労働者からの申請があったときは、相当の期間内に適当な措置をとるか、とらない旨の決定をしなければならないこととしております。  第四に、婦人少年室長処分に対する不服申し立て審査機関として、中央中央雇用平等審査会を、都道府県地方雇用平等審査会を置き、それぞれの雇用平等審査会は、労働者委員使用者委員及び公益委員の三者構成とし、各側委員男女同数としております。  第五に、婦人少年室長処分に不服がある使用者労働者は、まず、地方雇用平等審査会に対して審査請求をすることができることとなっております。地方雇用平等審査会においては、原則として公開の審理を行い、行政不服審査法第四十条に定める審査請求の棄却、処分取り消し等裁決をするわけでありますが、その際、同法によれば上級行政庁に限って原処分を変更する裁決を行うことができるのに対し、この法律案では、地方雇用平等審査会は原処分を変更する裁決ができることとしております。次に、この地方雇用平等審査会裁決に不服がある者は、中央雇用平等審査会に対して再審査請求をすることができることとしております。なお、処分または裁決取り消しの訴えは、中央雇用平等審査会裁決を経た後でなければ提起することができないこととしております。  なお、この法律の実効を確保するために所要罰則を設けております。  また、この法律案雇用職業上の男女平等を確保するための基本的な法律として御提案しておりますので、関係法律所要改正をもあわせて行うものであります。  以上がこの法律案提案理由及び内容概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  7. 石本茂

    委員長石本茂君) 続きまして、目黒朝次郎君。
  8. 目黒今朝次郎

    委員以外の議員目黒朝次郎君) ただいま議題となりました林業労働法案につきまして、日本社会党を代表して、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  わが国森林は、国土面積の七〇%に当たる約二千五百万ヘクタールを占めておりますが、このうち人工林面積は約一千万ヘクタールに及び、その蓄積は十億立方メートルと全森林蓄積の四割を超えるまでに達しております。  この豊かな森林は、木材などを生産し、建設資材、家具、紙などの形で国民生活必需物資供給を担う等の経済的機能を果たしているほか、国土保全水資源の涵養、大気の浄化、自然環境保全保健休養等の多面的な公益機能など、はかり知れない重要な役割りを果たしております。ことに、国土開発に伴う山地災害多発化水需要増大さらには都市への人口集中などによる生活環境悪化等から、森林公益的機能充実が一層重要となっております。  しかしながら、森林林業を取り巻く状況は近年非常に厳しく、危機的状態を強めております。すなわち、木材需要の七〇%に及ぶ外材輸入住宅建設の大幅な落ち込み等による国産材需要の不振、山村過疎化の進行による林業労働者減少等により、森林資源保全管理機能は著しく低下しております。このため、造林の育成に不可欠の除伐、間伐の立ちおくれ、脆弱な森林増加、さらには山地崩壊、水害などの国土災害危険性増大水資源の不足といった状況を現出させておるのであります。  二十一世紀へ向けて人類が避けて通れない課題は、資源環境だと言われます。わが国においては、まさに林業こそが森林育成を通してこの二つの課題にこたえ得るのであります。そして、この森林育成に不可欠なのは、その生産の担い手である林業労働者安定的維持確保であります。  ところで、林業労働者、とりわけ民間林業労働者の置かれている労働実態は、きわめて憂慮すべきものとなっております。すなわち、民間林業労働者は、季節的、短期的雇用が多いため不安定であり、健康保険厚生年金等被用者保険適用はごく少数であり、賃金は他産業に比べて低い上に、出来高払い制のため労働強化を強いられ、振動病罹病者は毎年増加するという状況にあります。また、労働基準法さえ適用されないなど、まさに劣悪過酷な労働条件のもとで重筋労働に従事しております。  このような民間林業労働者労働環境のもとでは、新規学卒者若年労働者就労は皆無に等しく、労働力高齢化女子化が進んでおり、このまま推移するならば、わが国森林林業危機的状況は一層深刻なものとなることは明白であります。  世界的な森林減少による環境変化が懸念されている中で、今後わが国森林管理を適正に実行し、国産材供給能力を飛躍的に向上させ国産材時代への展望を切り開いていくためには、何といってもその生産労働力確保対策が重要であります。  しかるに、現行労働関係の諸法律やその運用の みでは、林業労働特質から来る諸問題は解決し得ないところであります。  したがって、民間林業労働者雇用安定、労働条件改善安全衛生福祉面での施策整備充実等のためには、林業労働特質を踏まえた新たな立法が必要であります。  これが日本社会党林業労働法案を提案する理由であります。  次に、法律案の主なる内容について御説明申し上げます。  第一に、この法律は、林業労働者雇用の安定、労働条件改善安全衛生確保福祉増進等に関する施策を講ずることにより、林業労働者の地位の向上を図るとともに、山村地域振興に寄与することを目的としております。  第二は、林業労働計画の策定であります。すなわち、労働大臣は、本法の目的を達成するため、基本となるべき事項について五年ごとに全国林業労働計画を策定し、都道府県知事は、全国林業労働計画に即して毎年市町村長が策定した市町村林業労働計画に基づいて都道府県林業労働計画を策定することとしております。市町村長が策定する市町村林業労働計画では、林業事業の量、林業労働者雇用の安定及び福祉増進に関し必要な事項について規定し、山村経済の発展のための林業振興及び林業労働者雇用開発について配慮することにしております。  第三に、専業労働者とは、常用労働者以外の林業労働者で一年間に通常九十日以上雇用される者を言い、兼業労働者とは、常用労働者及び専業労働者以外の林業労働者で時期を定めて一年間に通常三十日以上雇用される者を言うこととしておりますが、公共職業安定所長は、林業労働者について、専業労働者及び兼業労働者別林業労働者登録簿に登録するとともに、林業事業体の届け出に基づき林業事業体登録簿を作成することとしております。また、林業事業体は、公共職業安定所紹介を受けて雇い入れた者でなければ林業労働者として林業の業務に使用してはならないものとしております。  第四に、林業労働者に対して、一年間のうち最低限の雇用確保されなかった場合及び本年度雇用実績が前年度雇用実績を下回った場合においては、雇用の安定を図るため、雇用保障手当を支給することとしております。雇用保障手当費用については、一定規模以上の森林所有者林業事業体及び登録林業労働者から納付金を徴収するとともに、国が費用の三分の一を補助することとしております。  第五に、振動機械を使用する登録林業労働者等について定期及び特殊の健康診断を義務づけるとともに、振動障害を予防するため、出来高払い制禁止振動機械の操作時間の規制等を行うこととしております。また、振動障害者福祉増進のため、国は療養施設等の設置、軽快者雇用安定のための助成、援助、職業転換希望者に対する職業訓練等について、それぞれ適切な措置を講ずるよう努めなければならないこととしております。  その他、政府労働保険及び社会保険制度について検討を加え、その結果に基づき速やかに必要な措置を講ずるものとし、また、労働基準法労働時間、休憩及び休日に関する規定林業労働者にも適用するために、労働基準法の一部改正を行うことのほか、監督罰則等について所要規定を設けることとしております。  以上がこの法律案提案理由及び内容概要であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御可決くださるようお願い申し上げます。
  9. 石本茂

    委員長石本茂君) 続きまして、糸久八重子君。
  10. 糸久八重子

    糸久八重子君 ただいま議題となりました雇用における男女平等取扱い促進に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  個人の尊厳と男女の平等は、国連憲章、世界人権宣言にうたわれている人類普遍の原理であります。わが国の憲法におきましても、すべて国民は個人として尊重され、法のもとに平等であって、性別によって政治的、経済的または社会的関係において差別されることがない旨を明定しております。また、一九七九年六月にわが国が批准しました国際人権規約におきましても、A規約及びB規約の双方において、経済的、社会的、文化的、政治的及び市民的権利において男女の平等を保障すべきである旨を規定しております。さらにまた、同年十二月に第三十四回国連総会におきまして、婦人に対するあらゆる形態の差別撤廃に関する条約を採択しました。  しかるに、わが国における法制は、雇用分野を含めて実際に男女の平等を確保する上でいまだに不十分であることは否めません。アメリカでは、一九七二年に雇用機会平等法を、イギリスでは、一九七五年に性差別禁止法を、スウェーデンでは、一九七九年に男女雇用平等法を制定いたしました。また、その他欧米諸国を初め多くの国でも、雇用分野における女性の地位の平等化を目指して各種の法律制度を設けて国が積極的に対応しております。  一九七五年の国際婦人年世界会議で採択された世界行動計画及びメキシコ宣言並びに同年のILO総会で採択された行動計画は、いずれも女子の労働における平等の権利を確認し、かつ強調しておりますし、さらにILOの行動計画は、雇用における男女機会及び待遇の均等を促進するため、国の制度として女子の参加を含む三者構成の機関を設立すべきことを勧告しております。一九八〇年開催の国連婦人の十年中間年世界会議においては、わが国を含め七十五カ国が婦人に対するあらゆる形態の差別撤廃に関する条約に署名をしております。そしてこの条約は、一九八一年九月に発効し、現在では批准、加入国はすでに五十一カ国に及んでおります。わが国も批准を急ぐよう各方面から要望されております。  ところで、わが国における女子労働者の地位が憲法の趣意に照らしいまだ満足すべき状況になく、国際水準に照らしても改善すべき点が数多くあります。近年わが国の女子雇用者の数がますます増加の一途をたどり、全雇用者の三分の一を占め、日本経済にとって欠くことのできない労働力となりつつあるにもかかわらず、雇用に関する不平等はむしろ増大しつつあります。こうした実情に効果的に対処し、かつまた、前述のように女子の労働における地位の平等化を目指して活発な努力を示している国際的動向にも対応するため、国は当面の優先的政策課題として、雇用分野における女子の差別的取り扱いを禁止するとともに、その差別的取り扱いからの救済制度を設けることにより、女子労働者の地位の平等化の促進を図る施策を推進していくべきものと考えます。私たちは、ここに雇用における男女の平等取り扱いの促進に関する法律案を提案し、上述の政策課題に対応すべく、私たちの態度を明らかにすべきであるとの結論に達しました。  次に、この法律案内容について、その概要を御説明申し上げます。  まず第一に、この法律案の骨子は、使用者等が女子を差別的に取り扱うことを法律禁止する旨を明定することと、女子をそうした差別的取り扱いから救済するための制度を設けることの二点であります。なお、ここで重要でありますことは、この救済制度は、労働基準法において予定されておりますような官憲的保護により労働条件の適正化を図っていこうとするのと異なり、雇用における男女の平等は、女子労働者及び使用者双方のたゆみない自主的な努力によって実現されていくべきことを期待しつつ、それを補う支柱として、女子から申し立てがあった場合には、迅速かつ適正な手続により救済をしていこうとするものであることであります。  第二に、差別的取り扱いの禁止については、まず労働条件等について、「使用者は、労働者が女子であることを理由として、募集若しくは採用又は賃金昇進、定年、退職その他の労働条件について、男子と差別してはならない。」と規定し、その他職業紹介職業訓練等についての差別的取り扱 いをも禁止する旨を定めております。具体的にどういう行為が差別的取り扱いであるかを判断していく上に必要な指針は、別に中央雇用平等委員会が定める準則において漸次展開されていくことが予定されております。  第三に、救済機関であります雇用平等委員会は、中央に国家行政組織法第三条の委員会として中央雇用平等委員会を、都道府県に地方雇用平等委員会を設置し、それぞれの雇用平等委員会は、使用者委員労働者委員及び公益委員の三者構成とし、各側委員の二分の一以上は女子でなければならないこととし、さらに中央雇用平等委員会公益委員の任命につきましては、両議院の同意を得なければならないことといたしております。現行の労働委員会に類似した組織でありますが、二分の一以上の女子委員を含まなければならないとしている点が大きな特徴であります。  第四に、差別的取り扱いからの救済手続は、次のとおりであります。  原則として二審制を採用し、初審は地方雇用平等委員会が、再審査は中央雇用平等委員会が行うことといたしております。手続は、女子労働者から管轄地方雇用平等委員会に救済の申し立てがあったときに開始いたします。以後当事者双方の意見を聞いた上、相当と認めるときは、被申し立て人に対し、申し立て人を差別的取り扱いから救済するため適当な措置を勧告することができることとし、当該勧告の内容相当する合意が当事者間に成立したときは申し立ては取り下げられたものとみなし、迅速な解決を図ることといたしております。それに至らない場合には、当事者の立ち会いのもとに審問を行い、証拠調べ、事実の調査を経て、申し立てに理由があると認められるときは、当該地方雇用平等委員会はその裁量により原職復帰、バック・ペイの支払い等女子労働者差別的取り扱いから救済するために必要な措置を決定で命ずべきことにいたしております。この地方雇用平等委員会の決定に不服がある当事者は、さらに中央雇用平等委員会へ再審査の申し立てができることといたしており、また前述の勧告は、中央雇用平等委員会も行うことができることとしております。なお、初審及び再審査いずれの手続におきましても、使用者委員労働者委員は審問に参与できることにいたしております。また救済の申し立ての相手方当事者が職業安定機関であります場合には、決定にかえて勧告をすることにいたしております。  第五に、取り消しの訴えとの関係についてでありますが、地方雇用平等委員会の決定に対しては出訴を認めず、ただ中央雇用平等委員会の決定に対してのみ東京高等裁判所へ取り消しの訴えを提起できることといたしました。女子労働者差別的取り扱いからの救済の制度としては、使用者委員労働者委員双方の参与のもとの審問手続が予定されている行政委員会方式が合理的であるとの判断から、こうした雇用平等委員会による救済の制度を設けました以上は、地方雇用平等委員会の決定に対し直ちに出訴の道を開くのは妥当でなく、中央雇用平等委員会による再審査を経由させるべきである、との趣意に出るものにほかなりません。  このほか、中央雇用平等委員会の重要な権限の一つとして、雇用における男女の平等取り扱いの促進に関し講ずべき施策につき労働大臣に建議ができることにいたしております。  また、中央雇用平等委員会による国会への事務処理状況の報告、地方雇用平等委員会による苦情相談に関する事務処理の取り扱い、啓発宣伝活動、不利益取り扱いの禁止等に関し所要規定整備いたしております。  なお、この法律規定は、国及び地方公共団体の公務員であります女子職員につきましても適用があり、その差別的取り扱いに関しましても、雇用平等委員会の決定により原職復帰等の救済が与えられることにいたしております。  最後に、救済手続の実効性を確保するため罰則を設けております。  以上がこの法律案提案理由及び内容概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  11. 石本茂

    委員長石本茂君) 以上三案に対する質疑は後日に譲ります。  これにて暫時休憩いたします。    午後二時五分休憩      ─────・─────    午後四時一分開会
  12. 石本茂

    委員長石本茂君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。  委員異動について御報告をいたします。  本日、柳澤錬造君が委員辞任され、その補欠として田渕哲也君が選任されました。     ─────────────
  13. 石本茂

    委員長石本茂君) 休憩前に引き続きまして、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会議決を求めるの件(鉄道労働組合関係)外十六件を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言をお願いいたします。——別に御発言もないようですから、質疑はないものと認めます。  それでは、これより右十七件を一括して討論に入ります。  御意見のある方は御発言を願います。——別に御発言もなければ、これより採決に入ります。  公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会議決を求めるの件(鉄道労働組合関係)外十六件につきましては、公共企業体等労働委員会の裁定のとおり実施することを承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  14. 石本茂

    委員長石本茂君) 全会一致と認めます。よって、右十七件は全会一致をもって公共企業体等労働委員会の裁定のとおり実施することを承認すべきものと決定いたしました。  この際、関係大臣を代表して、労働大臣の発言を求めます。大野労働大臣
  15. 大野明

    国務大臣大野明君) ただいま御承認の議決をいただきまして、まことにありがとうございました。  私といたしましては、本会議での御承認が得られ次第、速やかに仲裁裁定実施されるよう努力する所存でございます。
  16. 石本茂

    委員長石本茂君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 石本茂

    委員長石本茂君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  18. 石本茂

    委員長石本茂君) これより請願の審査を行います。  第二一号保育所制度充実に関する請願外七百二十七件を議題といたします。  本委員会に付託されております七百二十八件の請願につきましては、理事会において協議の結果、第二一号保育所制度充実に関する請願外八十二件は議院の会議に付するを要するものにして内閣に送付するを要するものとし、第一五五号食品添加物規制基準緩和反対等に関する請願外六百四十四件は保留とすることに意見が一致いたしました。  以上のとおり決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 石本茂

    委員長石本茂君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 石本茂

    委員長石本茂君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  21. 石本茂

    委員長石本茂君) 継続調査要求に関する件に ついてお諮りいたします。  社会保障制度等に関する調査及び労働問題に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、これら二件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 石本茂

    委員長石本茂君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 石本茂

    委員長石本茂君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五分散会