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神谷信之助君 私は、日本共産党を代表して、
国家行政組織法改正案など、いわゆる
行革関連六
法案に対し、一括して
反対の討論を行うものであります。
日本共産党は、今日まで一貫して
国民本位の
行政改革を主張し、汚職腐敗を生み出す
行政上の要因をただし、ガラス張りで清潔な政治に改めること、むだと浪費をなくし、簡素効率的な機構で
国民サービスの向上を図ること、地方自治体に大胆に権限を移し、二重
行政の弊害をなくすることなどを具体的に提起してまいりました。しかし、この
法案はその
内容のみならず、これを提出した
政府の基本姿勢において、また、その
審議の経過においても、全くこの方向に逆行するものと言わざるを得ないのであります。
まず第一に、中曽根内閣は、その基本において
行革の原点を欠落させています。
本来、
行政改革は汚職腐敗政治の根絶と清潔な政治の実現を原点とすべきものであります。ところが、中曽根内閣は一〇・一二
田中判決後も議員辞職と政界引退を求める
国民世論に背を向け、議員辞職勧告決議の上程を頑迷に拒否し続けてきました。その上、中曽根
総理は
田中元
総理と会談し、あたかも議員辞職で話し合ったかのようなポーズをとりながら、これでけじめがついたと称して、悪法の一斉強行採決など、
田中擁護のいわゆる中央突破を図ってきたのであります。これは刑事被告人
田中角榮議員の自民党支配ばかりか、自民党政治に深く根ざした腐敗汚職の構造の温存を
意味するものであり、わが党の糾弾せざるを得ないところであります。
第二に、本
法案の容認は
国民生活への犠牲の押しつけと、その一方での軍拡、財界奉仕の
臨調路線を一層進めることになるからであります。
中曽根内閣は、増税なき財政再建は堅持すると言いながら、みずからが約束してきた景気浮揚に役立つ相当規模の減税からははるかに遠い見せかけの減税を提案し、その裏で酒税、物品税の増税など低所得者泣かせの増税を
計画しています。また、健康保険に本人負担を持ち込む大改悪や私学助成の大幅削減も
計画する一方、自衛官の大幅増員を目指す防衛二法改悪の強行、日米首脳会談に見る軍事分担の増大と軍事費の聖域化など、軍拡路線が進められています。土光敏夫氏が社長、会長を務めた東芝など巨大企業に対し、
国民の血税を使った多額の補助金を出す仕組みや大企業に対する優遇税制の是正には何ら手をつけようとしていないのであります。わが党は、このような
国民犠牲、財界奉仕、軍拡の政治を絶対認めることはできないのであります。
第三に、この
法案審議の過程で明らかになった
政府・自民党の一連の乱暴な議会制民主主義のじゅうりんの問題であります。
中曽根
首相は、
国会の最優先課題である
田中議員辞職勧告決議の
審議は拒み続けながら、野党が昼寝して苦労するとか、
田中問題以外の他の課題に応じないことこそ政治家固有の政治倫理にもとるなどという、すりかえ論理に終始してきました。その上、解散までも
田中擁護に利用して、十二月十八日投票の総選挙日程を前提に、十一月二十八日までの会期延長を強行、両院議長の保証を得たとして全
法案の成立を強行しようとしています。もし仮に、中曽根
首相の言う両院議長の保証が事実であるとすれば、それは参議院が何ら
審議に入らない前に、
法案の成立を議長が
行政府の長に約束したことになり、これこそ立法府の自殺行為、
審議権の重大な侵害と言わざるを得ないのであります。
ところが、当
委員会では、わが党の主張に反して、議長は肯定も否定もしなかったとの見解により、真偽をはっきりしないまま
審議再開が強行されたのであります。そして、わが党の近藤
委員の質問に対し、
総理は、福田
衆議院議長が判断を示した、木村参議院議長は発言しなかったが、訂正する必要はないと強弁したのであります。これが事実とすれば、参議院で全
法案を成立させる保証を木村議長が黙認したこととなり、木村議長の責任が問われることになります。わが党は、この問題の重大性にかんがみ、
行革法案の
審議に優先して、この真偽をはっきりさせるべきことを強く主張してきたところであります。
また、わが党は、
委員長の不信任動議の提案理由説明で明らかにしたごとく、きわめて不十分な
審議のまま終局に至ったことは、本院の歴史に汚点を残すものとして、まことに遺憾であります。
第四に、この
法案の
内容の問題であります。
国家
行政組織二
法案は、
各省庁の部局の設置規制を
法律事項から政令事項に格下げし、軍拡、
国民犠牲の
臨調行革に即した
行政機構の再編を、
国会のコントロールなしでできるようにすることを最大の眼目としたものであり、国権の最高機関としての
国会への重大な挑戦であります。また、
総務庁設置法案は、
臨調の総合管理庁構想に沿い、
行政管理庁に
総理府の人事機能を移し、機構と人事管理を総合的機能的に強化し、
行革推進の中核機関を設置しようとするものであります。
府県単位機関
整理法案は、国と地方の二重
行政排除の期待に反して、住民に必要な部門の人員は縮減する一方、違憲のスパイ弾圧機関である地方公安
調査庁については縮小でなく看板の塗りかえだけを行うなど、こうして六
法案は
国民不在の
行政改革推進のてことなるものであります。
以上、私は具体的な
反対理由を明らかにいたしました。このような反
国民的な六
法案に
反対し、あくまでも
国民のための真の
行政改革実現を目指す日本共産党の決意を表明して、私の討論を終わります。(拍手)