運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1983-11-25 第100回国会 参議院 行政改革に関する特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年十一月二十五日(金曜日)    午後四時六分開会     ─────────────    委員異動  十一月二十四日     辞任         補欠選任      柄谷 道一君     抜山 映子君  十一月二十五日     辞任         補欠選任      塩出 啓典君     中西 珠子君      青木  茂君     前島英三郎君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         田中 正巳君     理 事                 岩崎 純三君                 長田 裕二君                 上條 勝久君                 成相 善十君                 佐藤 三吾君                 矢田部 理君                 中野  明君                 神谷信之助君                 伊藤 郁男君     委 員                 岡部 三郎君                 梶原  清君                 工藤万砂美君                 佐々木 満君                 鈴木 省吾君                 関口 恵造君                 竹内  潔君                 竹山  裕君                 林  ゆう君                 藤井 孝男君                 宮澤  弘君                 宮島  滉君                 柳川 覺治君                 稲村 稔夫君                 梶原 敬義君                 久保田真苗君                 菅野 久光君                 飯田 忠雄君                 中西 珠子君                 和田 教美君                 近藤 忠孝君                 前島英三郎君                 野末 陳平君    国務大臣        内閣総理大臣   中曽根康弘君        大 蔵 大 臣  竹下  登君        厚 生 大 臣  林  義郎君        農林水産大臣   金子 岩三君        通商産業大臣   宇野 宗佑君        労 働 大 臣  大野  明君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    山本 幸雄君        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)       丹羽 兵助君        国 務 大 臣        (行政管理庁長        官)       齋藤 邦吉君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       塩崎  潤君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       安田 隆明君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  梶木 又三君    政府委員        内閣審議官    手塚 康夫君        内閣審議官    百崎  英君        内閣法制局長官  茂串  俊君        内閣総理大臣官        房総務審議官   橋本  豊君        総理府統計局長  時田 政之君        警察庁刑事局長  金澤 昭雄君        警察庁刑事局保        安部長      鈴木 良一君        警察庁交通局長  久本 禮一君        行政管理庁長官        官房総務審議官  竹村  晟君        行政管理庁長官        官房審議官    古橋源六郎君        行政管理庁行政        管理局長     門田 英郎君        行政管理庁行政        監察局長     中  庄二君        経済企画庁国民        生活局長     及川 昭伍君        科学技術庁長官        官房長      安田 佳三君        環境庁長官官房        長        加藤 陸美君        環境庁大気保全        局長       林部  弘君        環境庁水質保全        局長       佐竹 五六君        外務省経済局次        長        妹尾 正毅君        大蔵大臣官房審        議官       川崎 正道君        大蔵大臣官房審        議官       水野  勝君        大蔵大臣官房審        議官       大山 綱明君        大蔵省主計局次        長        平澤 貞昭君        大蔵省主計局次        長        兼内閣審議官   保田  博君        大蔵省銀行局長  宮本 保孝君        大蔵省国際金融        局長       酒井 健三君        国税庁直税部長  渡辺 幸則君        厚生大臣官房総        務審議官     小林 功典君        厚生大臣官房審        議官        兼内閣審議官   古賀 章介君        厚生省環境衛生        局長       竹中 浩治君        厚生省薬務局長  正木  馨君        厚生省社会局長  持永 和見君        社会保険庁年金        保険部長        兼内閣審議官   朝本 信明君        農林水産省農蚕        園芸局長     小島 和義君        通商産業大臣官        房審議官     山田 勝久君        通商産業省基礎        産業局長     野々内 隆君        通商産業省生活        産業局長     黒田  真君        中小企業庁次長  篠島 義明君        労働省職業安定        局長       加藤  孝君        建設省住宅局長  松谷蒼一郎君        自治大臣官房審        議官       田井 順之君        自治大臣官房審        議官       津田  正君        自治省行政局公        務員部長     中島 忠能君    事務局側        常任委員会専門        員        林  利雄君        常任委員会専門        員        高池 忠和君     ─────────────   本日の会議に付した案件国家行政組織法の一部を改正する法律案(第九十八回国会内閣提出、第百回国会衆議院送付) ○国家行政組織法の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整理等に関する法律案内閣提出衆議院送付) ○総務庁設置法案内閣提出衆議院送付) ○総理府設置法の一部を改正する等の法律案内閣提出衆議院送付) ○総務庁設置法等の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○行政事務簡素合理化及び整理に関する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 田中正巳

    委員長田中正巳君) ただいまから行政改革に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨二十四日、柄谷道一君が委員辞任され、その補欠として抜山映子君が選任されました。  また本日、塩出啓典君及び青木茂君が委員辞任され、その補欠として中西珠子君及び前島英三郎君が選任されました。     ─────────────
  3. 田中正巳

    委員長田中正巳君) 国家行政組織法の一部を改正する法律案国家行政組織法の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整理等に関する法律案総務庁設置法案総理府設置法の一部を改正する等の法律案総務庁設置法等の一部を改正する法律案及び行政事務簡素合理化及び整理に関する法律案の各案を一括して議題といたします。     ─────────────
  4. 田中正巳

    委員長田中正巳君) この際、委員長から申し上げます。  先般来問題になっておりました総理発言問題に関しましては、理事会の申し合わせにより、私から議運委員長に対し本件について協議をするように申し入れました。こうしたこともありまして議院運営委員会理事会は、本日正午より本件について協議をいたした由であります。その内容は、議長との絡みにおいては、総理大臣からあの当時の国会事情から国会を正常化すること、そして各法案を全案件これを議了することを強く議長に申し入れた由であります。これに対し、参議院議長は肯定も否定もしなかったというのが当時の実情だということを議運委員長がこれを調べた結果報告をいたしております。  よって、各般の事情考えるときに、あの速記に載っている部分については、必ずしも客観的な、正確な発言というふうに受けとめがたいということになりまして、この点について官房長官が種々釈明をいたし、議院運営委員長官房長官に対し厳重に注意をいたした由であります。 こうした経緯を踏まえて、日本共産党の皆さんは別でございますが、これを除きますが、他の各党は、これをこの問題について一応の落着を見たというふうに評価をしている由でございます。  以上、いままでの本問題についての懸案について御報告を申し上げます。     ─────────────
  5. 田中正巳

    委員長田中正巳君) これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。梶原敬義君。
  6. 梶原敬義

    梶原敬義君 総理大臣に最初にお尋ねいたします。  レーガンが来たり胡耀邦さんが来たりして、非常に格調高い演説が続いた中で、内政の問題、少しじめじめした問題になるかと思いますが、先般の委員会総理大臣政治倫理倫理とリンリン言わずに、ひとつ内政の問題も議論をしてほしい、こういうこともおっしゃられました。そういう線に沿って、田中問題、政治倫理の大異は残しながらも、私は内政問題を中心にして質問をさしていただきたいと思います。  コールさんが来たり、レーガン胡耀邦さんが来たり、あるいは総理大臣が韓国やアメリカに飛んで、日本列島不沈空母あるいは三海峡封鎖運命共同体、こういう非常に物騒なお話もありましたが、どうも私どもが見ている限りにおいては、外交とか安保とか、こういう問題につきましては大変力を入れて、あるいは答弁も言葉が多いのでありますが、内政問題について、特に経済社会国民生活、こういう問題について、本当に少し総理大臣は手を抜いているというかやっぱり弱いのではないか、力が入ってないのではないかと、こういう感じがしてなりませんので、冒頭この点についての総理大臣の所感をお聞きしたいと思います。
  7. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 力を抜いているとは毛頭思いません。行政改革については懸命の努力をして、中曽根内閣ができた大きな理由の一つ行政改革にありと、そういうことを言いまして、いまも臨時国会をお願いし、七法案を成立させるために全力投球をして、あらゆる艱難辛苦に耐えても成立させる、石にかじりついても地をはっても行政改革法案を成立させる、重要法案を成立させる、そう言って懸命の努力をしておるのであります。あるいは減税につきましてもかねてからの公約であり、これを実行しなければならぬというので、年内減税というのは非常にむずかしい線が財政当局からはあったのでありますが、一千五百億に及ぶ年内減税をやると、そういうようなことで、これも公約をいま実行しておるところでございます。  そのほか、景気対策にいたしましても、十月二十一日には一連景気対策をやり、公定歩合引き下げ、そして一兆八千八百億円に及ぶ公共事業費追加、それにさらに電力投資で約六千億円の追加投資をやらして、この下半期における景気回復にはずみをつけょうということでいま努力をやっておる最中でございます。こういう一連のことをごらんいただけば、内政についても力を入れてやっているということを御認識いただけるのではないかと思います。
  8. 梶原敬義

    梶原敬義君 内政の具体的な問題につきまして、経済問題やあるいは国民生活の問題について後で入りますが、その前に一つちょっとお尋ねしたいと思いますが、ドル高是正の問題ですが、レーガン大統領が訪日した際に、総理日の出山荘やあるいはあちこちで会談をされましたが、要するにいま世界経済の混乱の一番大きな原因になっておりますアメリカドル高是正の問題について、私は日本は相当、先般のレーガン訪日前後譲るものは譲った、こう見ておるのですが、このドル高是正の問題というのはやはり強く主張され、早くドル高アメリカ是正してもらう、こういう必要があると思うのですが、この点について総理大臣がどれだけレーガンに迫ったか、そこをひとつ明確にお聞きしたいと思います。
  9. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 今度の日米会談でわれわれが特に主張しました点が三つあります。  一つは農産物の牛肉、オレンジの問題で、できることはできるができないことはできない、そういう原則をさらに強く申しまして、農産物問題についてはいままでどおり静かに専門家の間でこれを討議してもらう、そういうことを強く言ってそのとおりしてもらっておるわけです。  それから第二は、ユニタリータックスの問題でありまして、あれは日本企業進出を妨害する大変な保護主義的なやり方である、ユニタリータックスはぜひやめてもらいたい、これが第二であります。  第三に、向こう金利高から来ているドル高という問題について論及いたしまして、ここ一年近くのアメリカTBレート上がり下がり、いわゆるアメリカ財務証券の利率の上がり下がりと円・ドル為替レート上がり下がりグラフを見せまして、大体アメリカTBレートに連動して円とドルの値が上がったり下がったりしているわけで、これはまさにアメリカTBレート、つまり高金利影響である、その証明を相手方に見せまして、そして日本側原因があるのではない、アメリカ側高金利にあるのではないか、シュルツさんどう思いますか、レーガンさんどう思いますか、そう言ってそのグラフを見せながら相手側に対して考えを迫り、検討を要望したわけであります。向こうは、なるほど向こうの金利問題もあるがまたほかのいろいろな問題もあるというような表現をしておりましたが、しかしあのグラフを突きつけられたのにはびっくりしたようでありまして、まことにそのとおり円・ドル関係が動いているのを見て大分わかったのではないかと思います。  現にきょう見ましても、マルクが、一番円が安かったときは一マルクが百六円から百七円ぐらいいった、きょうは八十六円から八十七円ぐらいです。つまり円がきわめて強くなってきてマルクは落ちている。それでドルとの関係は二百三十五円であります。これを見ても、これは円安というものよりもドル高である、これがマルクとの関係を見ればわかりますし、ポンドとの関係やスイス・フランとの関係を見ましても同じ現象が出ておるのです。だからこれは円が安いというのではないドルが高いのだ、その証拠にはマルクやそのほかはうんと下がってきている、そういうような事実でも証明されると思うのであります。  そういう点を強くわれわれは主張いたしまして、日本の言うべきことはやっぱり堂々と言っておかなきゃならぬと思ったわけです。
  10. 梶原敬義

    梶原敬義君 もうこれはそう御返答は要りませんが、引き続いてドル高是正については総理大臣を先頭にやってもらう、こういうことでいいですね。  先ほど総理大臣から内政の問題に力を入れているという力強いお話がありましたが、私は今日まで、特に中曽根総理大臣になりまして、総理大臣行政管理庁長官行革行革とこう言いながら、その後総理大臣になって以降の国内の経済指標なり国民生活というのはずっと悪くなったという数字大分用意をしておりますから、場合によりましては各省庁からその数字を新しく出してもらいながら、やはり反省するところは反省して、手の打ちどころがおくれた点についてはやっぱり率直に認めていただきたいし、きょうは九十分間の予定でということでありましたが一時間になりましたので、できるだけ答弁も要点にしぼって、口だけじゃなくて心でぜひ答えていただきたいと思います。  まず倒産状況ですが、通産省、通産大臣の所轄になるのではないかと思いますが、最近の三カ月の倒産状況、もう私の方で大体調べておりますから申し上げますと、八月が千六百七件、九月が千七百七件、十月が千七百八十六件。このままでいきますと大体年間一万九千件、いわば戦後最高に近いような倒産件数になるのではないか。 ちなみに、五十六年度は一万七千三百九十七件、五十七年が一万七千三百五十一件。ほぼ二年間横ばいであったのがことし急激にふえておるわけであります。また負債総額が、これは統計に出ているのが一千万以上でありますから、一千万以下のもう本当に小さな零細というのはまだがちゃがちゃいっていると思うのですね。こういうような状況になった。  確かに、先月の二十一日ですか、経済対策をやったと言いますが、やはりいろいろ言っている間にそういう大変厳しい状況になってきていると思うのです。目立った倒産大型倒産は最近はもう一段落しましたが、小さいところがこう続いておりますから余りあなたたちは心を痛めないのじゃないかと思うのだが、実際はそうじゃない。  この点について、総理の方から状況を実際にひとつお認めになっていただいて、その点について何かお考えがあれば伺わしていただきたいと思います。
  11. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 御指摘のとおり、大型倒産はございませんが、いわゆる小規模の企業倒産は高水準にあるということは事実でございまして、私たちも心を痛めております。  原因は幾つもございまして、景気はようやく明るさを取り戻しつつございますが、何分にもアメリカ高金利ということが非常にわが国におきましても金利政策に大きな影響を与えておりましたから、われわれといたしましても、一日も早く公定歩合引き下げがなされて、同時に諸関連金利引き下げ、これが必要だなと思っておりましたが、高金利わが国における公定歩合引き下げということはとりもなおさずまた円安というふうな状態を招くと。このような悪循環があるいはある時期におきましては重なっておったかもしれません。  したがいまして、私たちといたしましては、幸い日銀も公定歩合引き下げを同時にしてくれましたが、先ほど申されました十月二十一日の総合経済対策によりまして、中小企業に対しましては政府金融機関金利引き下げあるいは枠の拡大等々やりました。なおかつ、倒産対策貸し付けの実施ということも実はやっております。もう一つは、倒産防止特別相談事業の推進等々もやっておりまして、貸付限度は実は中小公庫で三千万、国民公庫で七百万、こんなことで五十七年度は百三十億ばかりを出しまして、極力関連企業倒産に巻き込まれないように努力をいたしておる次第でございます。五十八年は四月、九月が出ておりますが、やはり昨年よりはこの貸し付けも、五十二億ばかりでございますけれどもふえておると思うのでございます。  また、いわゆる倒産の懸念ありといったときには、商工会議所商工会等を通じましてその手当てをしていただいておりますが、五十七年度におきましては実に三千七百九件そうした相談がありまして、そうした相談によりましてやはり救っている面もたくさんあるということでございますので、今後ともそうした面におきましては細心の注意を払いたい、かように考えております。
  12. 梶原敬義

    梶原敬義君 通産大臣、いろいろ言うことないと思うのですが、結果として悪くなった後こうするということはだれでもできるのですね。だから、結果が一万九千件にもなるような、あるいはそういうような大変な状況になる前にやっぱり手を打つべきではなかったのか。結果なって、ああなったからやるというのはだれでもやり切るわけですよ。そこのところはひとつ……。  それから商工会議所云々の三千何百件の問題も、私も民間の出身ですからよく知っていますが、こんなやっている数字は微々たるものですよ。実際にそういうことでなかなか救えるような状況ではありません。  次にいきます。  中小企業について、行革財政再建と、こう言っておるでしょう。財政再建やり方にはいろんな、要するに経費を削減するやり方と、税収をもっとふやすやり方、まあいろいろあるでしょう。税収でも、税金をたくさんかけるという形じゃなくて、景気がよくなれば法人税が上がってきますからね。特に中小企業が非常にいま厳しいわけですよね。 いま日本中小企業の数は一体幾らあって、そこに働いている就業者従業員の数は一体どのぐらいおるかということが第一点、わかれば教えてください。  そしてその中で、これは大蔵省関係になるかもわかりませんが、中小企業から取っております——国のことですから、納めていただいております所得税ですね、これは大企業中小企業に分けて一体どのくらいになっているのか。 あるいは、何千万かおりますその中小企業に働いております人たち従業員が払っている税収に占める源泉所得割合源泉所得の中に占める中小企業が払っている割合、こういう数字があれば出していただきたいと思うのです。要するに、ここをほったらかしておって税収上げようと言ったって、すそ野の広い中小企業問題をほったらかしておってなかなか簡単にはいかない数字が出ると思うのですが、説明してください。
  13. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 詳細な数字次長の方から申し上げまして、お聞き願いたいと思いますが、もちろん総括的に考えましたときに、中小企業わが国産業の中核でございます。したがいまして、景気がよいか悪いか、あるいは物価が高いか安いか、そうした問題も言うならば中小企業のところで決まる、こういうふうに私は考えております。 それだけに、やはり中小企業に対しましては私はその活力は絶えずみなぎらせておかなければならないと考えておりますし、特に、今日貿易問題もやはり大きな問題でございますが、日本は黒字にいわばいろいろと対策を講じなくちゃなりませんが、たとえば輸入百億ドルを増大をするというときになりますと、少なくともGNPはその十倍のものを求めなくちゃならない。  こういうふうに考えてまいりますと、百億ドルの十倍千億ドル、二百三十円といたしましても二十三兆円、このGNPを創出する力はどこから生み出すかということも考えていかなくてはなりません。私は中小企業に負うところが多いと思うのであります。したがいまして、倒産、そうした問題に対する配慮も当然でございますが、将来に対しましては、中小企業がそうした意味合いにおきましても積極的にいろいろと設備をするなり、あるいはまた技術の革新を図るなり、そうした面に対しましても私たちは細かな配慮をして、そして総合的なわが国中小企業の充実はすなわち産業の原動力としての大きな使命を果たさしめる、こういうことが私たち考え方であることをこの際申し述べておきます。  なお、数字次長の方から申し述べさせます。
  14. 篠島義明

    政府委員篠島義明君) ただいま御質問数字でございますが、中小企業企業数、これは全体の九九%を超えておりまして六百万強でございます。従業員数でございますが、これは全体の約八〇%、三千五百万人程度でございます。  なお、税金の関係でございますが、これについては数字を私持っておりません。もし必要があれば、大蔵省と打ち合わせた上で正確な数字を後ほど出したいと思います。
  15. 梶原敬義

    梶原敬義君 大蔵省わかりますか。
  16. 渡辺幸則

    政府委員(渡辺幸則君) 国税庁の方から中小企業に関連いたします税金の数字を申し上げます。  税金の方は、私どもは一応資本金一億円未満の会社及び個人を中小企業と見まして計算をいたしますると、資本金一億円未満の会社につきましては、従事員からいただいておる源泉所得税が二兆四千八十六億円でございます。それから、個人の方が四千八百三十九億円でございます。 それから、会社の方につきましては法人税があるわけでございますが、これはただいま正確な数字を持ち合わせませんが、大体三兆円でございます。それから個人の方につきましては、大体三千億円ということになっております。
  17. 梶原敬義

    梶原敬義君 こういう状況で、通産大臣おとといかテレビに出ていまして、えらいしゃあしゃあといろいろなことを、意気揚々と夜しゃべっていましたね。こういう非常に厳しい、中小企業がつぶれていく、そしてこういうような状況中小企業は税金も払えない、働いておる労働者の賃金も上がらない、こういう状況の中で、私はテレビ見て、あなたは大したものだと思ったのですよ、心が痛んでないのじゃないかなと。これはもう答弁要りませんからね。そう感じました。  総理大臣中小企業がこんなに厳しいというのは、私はやっぱり内需の伸び悩み、これに最大の原因があるだろうと思うのですよね。ですから、こういう点では一兆円減税、年内に景気浮揚に役立つような一兆円減税をやると、こういう約束もありながら、結局見送ってしまったり、あるいは人勧の問題にしても、これは労働の対価でありますが、これをいろいろ言って二%に削ったり、こういうような形でやっておるのですが、過去からいまこういう厳しい状況になったというのは、国のトップに立つ総理大臣経済政策の手落ちというか、総理大臣だけじゃなく各大臣やわれわれだって責任があるのですが、やはりそこのところは率直に反省をしていただけないですか。
  18. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 中小企業倒産が大体多い月で千四百件ぐらいであったのが、最近千六百件から千七百件ぐらいに及んでおるのを見まして胸を痛めておる次第でございます。特に、建設業とか中小企業の中でも零細な方の方々が大分痛手を受けているという状況でございますので、政府関係機関そのほかを動員したり、あるいは公共事業費あるいは地方の単独事業等々も促進してせっかく努力しておるところでございますが、今後年末を控えましてさらに努力を継続していきたいと思っておる次第でございます。
  19. 梶原敬義

    梶原敬義君 次に、雇用問題であります。  労働大臣から若干現在の状況、雇用指数の状況、あるいは失業率、失業者数が最近ずっと悪くなっておりますね。特に中高年の雇用状況も非常に悪くなっておりますが、この辺についてわかりやすく簡単に御説明をしていただきたいと思います。
  20. 大野明

    国務大臣(大野明君) 最近の雇用、失業状況でございますが、現在雇用者は増加しておるのです。しかし、一方において失業率が二・八一%、完全失業者が百六十六万人と、これは本年九月でございます。そして有効求人倍率が〇・五九倍となかなか厳しい水準にあることは事実でございます。これは一つには、景気の停滞が大変長引いたということでございますが、ここ四カ月間ばかりは求人が前年水準よりも大幅に上回ってきておるというところでございまして、明るい兆しもある。しかしながら、景気と雇用、失業情勢というのは多少のタイムラグというものはどうしてもございますので、そういうような多少の明るい兆しというものが明確化されるのはもう少し時間がかかるのではないか、このように考え、いろいろ対策を講じておるところでございます。
  21. 梶原敬義

    梶原敬義君 ちょっと数字はいま出されましたが、本年の九月現在で失業率が二・八一%、失業者数が百六十六万人ですね。率、数とも非常にこれは大変な数字になっております。  それから、特に高齢者の雇用状況は非常に依然として厳しいわけです。この点について労働大臣は、一体こういう状況についてどのように労働大臣になられて——こういう状況というのは推測できるわけですからね、こういう厳しい状況というのは、倒産もふえておりますし、どういうような努力をこれまでなさってきたのか。特に高齢者対策ですね、中高年、高齢者、こういう人たち対策について簡単に御回答をお願いしたいと思います。
  22. 大野明

    国務大臣(大野明君) 御指摘のように、この厳しい失業情勢の中で、特に五十五歳以上の方々というものに対してはより以上の厳しさがあることは十二分に承知いたしております。  私どもといたしましては、高齢者の方々に対してのあらゆる助成を行っておるのですが、特に最近は就業構造、産業構造等も変わったために高齢者の方々の再就職というものが大変にむずかしい、厳しい。また同時に、不況業種、不況地域等の中においてはなおさらということでございますので、特に高齢者の方々に対しては、その前に本当は職業訓練というものをもっと充実しなきゃならぬということも考えておりましたが、現況いま一生懸命努力もいたしておりますし、高齢者対策についてはあらゆる手だてをいたしておる次第でございますが、何分にもこういう求人が厳しいときでございますので簡単にまいらないというところが、非常に私どもが苦慮いたしておるところでございます。
  23. 梶原敬義

    梶原敬義君 総理大臣にお尋ねしますが、いま労働大臣からもありましたように、厳しい、厳しいという話が。これはお互いに現状認識は一致できると思うのですが、まずそれはいかがでしょうか。  それから次に、六十五歳以上の人たちが非常に厳しい。その厳しい状況の反映といたしまして、ずっとある程度引き続いてでありますが、六十五歳以上の方の自殺率というのが非常に高いですね。 これはやっぱり病気がもとにある、こう言いながら、結局は先の希望、経済の問題、生活不安、これが基本になっていると思うのですが、ことしの警察白書の中にも書いております。十万人に対して六十五歳以上の自殺者というのは四二・五ですか、非常に高い数字になっておるのです。こういう状況がやはりずっと続いておるのですね。だからこういうような点について、国のトップに立つ総理として一体どう考え、どうしよう、これまでの努力、これからどうするか、これについて決意をお伺いしたいと思います。
  24. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 高年齢者対策、これに伴う老後の年金対策、定年対策というものは焦眉の問題になってきておると思っております。  それで、年金にいたしましても、国民年金は六十五歳から、公務員の年金は五十五歳であったのが六十からと。 厚生年金は男が六十、女が五十五でございますか、そういうようにいろいろ落差がある。これらを統合しようというのでいま政府全体で力を入れ、とりあえず国家公務員等の公的年金に手をつけて御審議をお願いしておるわけでございます。  いずれにせよ、老後の問題というのは最大の問題にいま登場しつつありまして、一面においてこれらの制度が持続的に安定的に維持されていくようにわれわれはここであんばいをやり、必要な編成がえをまた怠るべきではない。と同時に、負担の公平という点からも考えまして、その改変について公平にいくような、またある意味においては既得権を持っているところもございますが、既得権を持っている人とそれらを持たぬ人との間のバランスをどうとるか、若年と高年との負担のバランスをどういうふうにとるか、そういうような非常にむずかしい問題がございますが、これは時間の要素を入れなから、終局的には大きな意味における大統合に向かって段階的に経過措置も十分考えつつ進んでいくという考えが正しいのではないかと思って、ともかく老後の問題と高齢者対策については真剣に取り組んでまいるつもりです。  私は、人生八十年ということを言っておりまして、人生八十年に設計変更しようと、その準備をやろうということを唱えておるものでございます。
  25. 梶原敬義

    梶原敬義君 この点につきましては総理大臣行革三味、行革行革と、こう言われておりますが、行革の反面では年金の支給年限を下げていくとかあるいは福祉の問題、切り下げとか、こういう問題が当然絡んでくるのですが、相矛盾するような内容も含んでおりますが、そこのところは先ほど答弁にありましたように、福祉やあるいは高齢者の問題についてはいささかなりとも粗末にしない、真剣に考えると、こういう認識でいいのですか。
  26. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) そのとおりでございます。
  27. 梶原敬義

    梶原敬義君 次に、これもまた悪い状況一つの説明になると思うのですが、国民生活関係する問題であります。経済企画庁長官から若干説明をしていただきたいのですが、実質可処分所得の推移が一体どうなっているのか、それから実質任意可処分所得というのを経済企画庁は今度の国民生活白書で使われましたね。要するに実質可処分所得から住宅取得のローンとかあるいはいろんな借金を返して、実際にあと残って使える自由裁量のお金は一体どのくらいになっているのか。これは統計的にこう出ておりますが、その実態を簡単にわかりやすく説明をしてください。
  28. 塩崎潤

    国務大臣(塩崎潤君) 梶原委員にお答え申し上げます。  梶原委員、私どもが作成いたしまして世に問いました国民生活白書を勉強していま御指摘があったと思います。  最初に私、ちょっと気がついたのでございますが、何と申しますか、この実質任意可処分所得の動向といったようなもので生活水準の向上全体を判断することはいろいろ問題がある。この点は白書にも指摘しているところでございまして、いま最初に何か悪い方向に向かっていると、こういう御指摘でございましたが、私は、一つの前提を置いて見ていただきますれば、そういった御判断は一つ大変な問題をはらんでいるような気がするわけでございます。統計的にはもう御案内のように、五十年を指数を一〇〇といたしまして最近の指標を見ますと、収入におきましては一二%ぐらい伸びておりますけれども、社会保険料さらにまた税金を引きました個人の可処分所得は五%程度。しかしながら、任意可処分所得は確かにローンなどがふえてまいりましたので大体横ばい程度、ちょっと上回ったぐらいである、こういったところから厳しさを言われるんだと思うのでございます。しかしながら、確かに所得税あるいは社会保険料は減税が行われておりませんために、可処分所得はふえることが少なくなってきたことも事実でございます。この点は、今回のまた減税によっても救われると思います。  それからもう一つ問題は、任意可処分所得の問題だと思います。これは私は生活水準の見方に一つの新しい見方を入れた。つまり消費者信用というものが大変発達してきた現状を示すものだと思うのでございます。かつては随意の、任意の楽しみに基づくところの裁量でございましたところの契約、これらに基づいて後で金を払っていく。これはもう当然、先に楽しんだツケは後で回ってくるということをあらわしているんだと思うのでございます。 中国のことわざの先憂後楽の逆で先楽後憂というのでしょうか、そのツケが回ってきただけでありまして、初め楽しんだのだから後のツケは仕方がないということの御判断もひとつ入れていただきますれば、この点は一つの見方。しかし、ゆとりあるいは裁量度の見方のために私どもがこのような御提案を申し上げているわけでございます。
  29. 梶原敬義

    梶原敬義君 大体私も読んでいますから、余り詳しく説明されなくてもいいのです。ただ、四十八年から五十七年における実質任意可処分所得というのは〇・五%ふえていますね、おたくの国民生活白書では。それから四十年から四十八年に五・九%ふえています。五十七年はマイナス一・二%になっている。だから、ここのところちょっと物価が下がって、油も下がっておりますから少し数字は上がりつつあるかと思いますが、そういう外的な要素を除けば必ずしもそうはいかない。 だから、ちょっと長く見ていただくとわかりますように、やはりこれから物を買うといったって、あるいは家を買うといったって、生活必需品を中心にしてまずそこで節約していく。それから大型の土地を買ったり家を買ったりするというのは、なかなかそんな力がなくなってきている、こういう状況には変わりないのじゃないですか。ありますか。違いますか。違うならもう家どんどん建つはずじゃないですか。
  30. 塩崎潤

    国務大臣(塩崎潤君) おっしゃるように住宅ローンが大変発展いたしまして、住宅ローンのウエートが家計調査の中で占めてきた。 さらにまた、過去において耐久消費財を買ったようなために生じたところの過去の債務、それをローンで払っていく。その債務がふえてきたことによって任意可処分所得が確かに圧迫されていることは事実でございます。昔ならば、これはもうわずかな金を任意の形でためていって、最後にぱっと買うというような形でございますから、私は、いままでと違った消費者金融の発展によって、このような形の生活水準の示し方があるという考え方を示したものだと思っておるところでございます。
  31. 梶原敬義

    梶原敬義君 それは言い方にはいろいろあるでしょう。しかし、生活白書の七十六ページですかね、労働者の住宅の取得能力というのが昭和五十年は可処分所得に対して約七倍であったものが、八二年には十一倍になっておるのですよ。それだけ買いにくくなっているという数字を、それは余りごまかされたら困るですね。いいですか。  それから教育費の関係も、私は田舎ですが、東京周辺では子弟を公立中学校から私立の高校に入れたら、大体家計支出は二一%ぐらいふえるというような数字が、何か政府統計でも出ておりましたが、実際にあなたが感じている感じとわれわれが本当に国民が生活しているところでみんなが感じているというのと、いま経済企画庁長官が言われた間のその差が物すごく大きく感じられるのですね。だから、国民はそう思っておりませんよ、あなたの言っているようによくなっているなんというふうには。  それから低所得層、低分位層、第一分位というのですか、ここの昭和五十五年、五十六年、五十七年、この第一分位の人たちは連続三年間貯蓄が純減しているというような家計調査、どこか数字が出ておりましたね。こういう状況を総合してみると、やはり低位所得に行けば行くほど非常に厳しくなっておるのじゃないですか、家計は。
  32. 塩崎潤

    国務大臣(塩崎潤君) 私は、最近の所得の上昇の程度が、かつての高度成長時代に比べて低迷し鈍化しているために、消費支出もそのために圧迫を受けている事実は認めるわけでございます。しかしながら、先ほど申し上げましたように徐々ではございまするけれども、実質可処分所得は五%程度ふえているということを申し上げたところでございます。  いま、住宅取得能力のお話がございました。これも私どもは一つ研究いたしましたものでございまして、五十年と五十七年を比較いたしますと、七倍と十一倍の比較はございまするけれども、これは一方建てた家の面積がふえておりますこと、そしてまた建築費等の上昇もございまして、その上昇がこの中にあらわれている点もございます。私どもは、常にいま生活水準の向上も考えての一つの生活水準、一定のところに固定したところでないところの見方をとろうとしておりますのでこうなったのでございまして、かつての住宅取得能力そのままを基礎にいたしまして七倍が十一倍になったというふうに見ていただきますと、大変ここに問題があろうかと思うわけでございます。
  33. 梶原敬義

    梶原敬義君 数字の論争をもうちょっとしたいのですが、時間がないから私は言いっ放しになるかもわかりませんが、実質可処分所得というのは七月にはマイナス三・〇%なんですね。八月に一・一%プラス。九月に一・六%、これはいろいろ言ったって対前年同月で比較してこういう状況ですからね、これはあなた何ぼそう言ったって伸び悩みじゃないですか。  それから個人住宅の取得の問題は、そういう数字があるなら建坪が何ぼになってどうなったか、それを一回出してくださいよ。あなたたち国民生活白書の中にはそういうことは一つも書いていませんね。しかし、私が感じている、この東京で土地を買ってそして家を建てる、そういう数字を見ますと、かつて三千万ぐらいでやっていたのが五千万、六千万に上がっておるというのは事実でしょう。それに対して所得の上がりぐあいというのは、昭和五十年以降というのはどんどん鈍化してきているでしょう、実質所得が下がっている、こういう状況ですからね。だから、七倍が十一倍、それが十一が十になるかもわからぬが、それは少しはあなた方の言う大きさによって差があるかもわからぬけれどもね、実際はそうじゃないんじゃないですか。  総理、ここの国民生活の問題については、本当に企画庁長官がいろいろ言われておっても、実際にこういうふうに書いている数字から言っても、厳しくなっているという数字がずっと出ているのだから、総理認めますか、国民生活苦しくなっているというのは。
  34. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 失業の率の増大や可処分所得の動向等々を見ますと、われわれは特にこの年末にかけて配慮していかなきゃならぬと思っております。ただ、物価が非常に安定している。これは実質賃金の方にもプラスに作用しておりまして、この傾向はさらに強化していかなければいかぬと思っております。
  35. 梶原敬義

    梶原敬義君 だから、要するに減税をやると。一千五百億の減税やそこらでは今日いまの状況における国内消費、内需の拡大、個人消費を伸ばすにはなかなか厳しい状況になっているんじゃないでしょうか。その原因はやはり税負担、昭和五十二年から五十八年、課税最低限度額二百一万五千円というのはこれはずっと変えてないのですね、課税最低限度額。ここが結局一番大きな問題じゃないですか。所得は上がっても所得の倍近く税金が上がる、社会保障費がまた上がる、こういう状況。一方ではなかなかベースアップもできない、こういう状況なんですよ。そういう状況から今日の実質可処分所得が落ち、任意可処分所得もどんどん落ちてきて、これがなかなか内需、物を買おうといっても買えないような国民の生活の状況、実態になっている。このことを率直に認めて、やはり政府の責任でいままでおくれたことはおくれたと、これからはやる、こういう決意と受けとめていいのですか、総理大臣
  36. 塩崎潤

    国務大臣(塩崎潤君) 可処分所得の伸び悩みは、言うまでもなく減税がおくれたことによることは事実でございます。しかしながら、それは国の財政事情によって、国から与えるサービスに回るところの税金がそこで徴収されたわけでございますが、その点につきましては、先ほど総理も言われましたように、一兆二千百億円の所得税及び住民税の減税が行われることによって、それに対する考え方は示されていると考えております。
  37. 梶原敬義

    梶原敬義君 まあいずれにしても、本当に低所得層に行けば行くほど生活が厳しくなっているのは間違いないと思うのです。  そこで、税調の中期答申の中に、間接税を上げていって、酒、しょうちゅうを中心にして四千億増税するというような話がありましたよね。そういう数字がどこか出ていました新聞に。切り抜いていますけれども。五十八年、ことしの十一月十九日の日経を見ますと、「サラリーマンやOL 二人に一人がストレス」「仕事の質・量に悩む 酒や雑談で気晴らし」と、こういう記事が載った、お読みになったと思うのだけれども。  これは大蔵大臣、しょうちゅういま幾らしているか知っていますか、しょうちゅうのいまの値段は。この安いしょうちゅう、安くてうまいしょうちゅう、労働者、働く低所得者の本当唯一の楽しみのこのしょうちゅうに、今度は思い切って税金をかけるというような、そういう答申がなされておりますが、これに対してちょっとお考えを聞きたいのですが。
  38. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 「今後の税制のあり方についての答申」というところには、「し好品課税」として、「酒類については、特殊なし好品としての性格に着目して、古くから財政物資として他の物品よりも高率の税負担を求めてきたところであるが、今後とも適正な税負担水準を確保することができるよう随時見直しを行っていくべきである。」と、こう書かれておりまして、それからいま仮にしょうちゅうということで具体例でお示しになりました新聞記事、観測記事の出どころの基礎に仮になるといたしますならば、「近年、所得水準の上昇、平準化等を背景に酒類消費が多様化、均質化するに伴い、これまでのいわゆる「高級酒」、「大衆酒」といった分け方のもつ意味は弱まり、現実にも、低価格酒の伸びが相対的に大きくなる傾向がみられる。このような事情等を考慮すれば、酒類について適正な税負担水準を確保するための見直しを行う際には、酒類間及び級別間の税負担格差の縮小を図ることが適当である。」、こういうことからいまの記事が構築されたというふうに考えまして、別に来年度のしょうちゅうの税率の引き上げをやれと、こう言われておるわけじゃございません。  それで、結局いつも申し上げますように、この中期答申というのは今後の税制のあり方というまさに中期答申でございますので、酒税についてどういうふうな考え方を持つかということになりますと、各方面の意見を伺いながら来年度以降の税制改正の場で検討がされるものでありまして、この種の定性的な中期答申に対して個別の税目を論ずる段階でもないし、また答申にしょうちゅうを上げるというふうにはなされておりません。
  39. 梶原敬義

    梶原敬義君 時間がないから、大蔵大臣大変失礼なんですけれども前の言葉は僕は要らぬのです。結論だけでいい。  十一月十七日の日経に「一兆円増税の内訳」とこの答申の中身が書いてある。酒税四千億、清酒二級、しょうちゅう、こうなっている。しょうちゅうは一升一・八リットル、乙がいま二十五度で九百六十円、甲が八百九十円、二級酒がいま千三百五十円ですね。この税率というのは非常に低いですよ。十二・何%か何か、低いんですね。いまのお考えでは、もう私はまじめに取ります、かけないということですね。だから、ここをいじるということはないということですね。いいでしょう、それで。
  40. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 重ねて申し上げますように、私も造り酒屋のせがれでございまして、その辺はかなりやむを得ず詳しいわけでございますが、酒税というものをいまの段階で個別にこれはどうします、ああしますと、やっぱり五十九年度税制のあり方とかあるいは六十年度税制のあり方とか、そういうのが今度個別に出てくるわけですからね。その際、各方面の意見を聞きながら検討すべきものであると。ただ、定性的な中期答申がなされておるというふうに御理解をいただければ結構だと思います。
  41. 梶原敬義

    梶原敬義君 わかりました。総理大臣いいですか、総理大臣、眠っちゃいかぬですよ。総理大臣、さっきからずっと言っているように、生活が苦しくなっておりますから、あなたの口から、安くて、本当に働いている人の楽しみのしょうちゅうに総理大臣の姿勢として税金はかけるようなことはしませんと、ひとつお答えください。
  42. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私は、年来のしょうちゅう党でありまして、特に鹿児島から九州にかけてのしょうちゅうを非常に愛好しております。「六調子」なんというのは年じゅう飲んでおるものであります。最近は麦しょうちゅう、そばしょうちゅう、いいのができてきまして非常に堪能しておりまして、ああいうものに税金をかけるのはなるたけ回避するように心から祈っておる次第であります。
  43. 梶原敬義

    梶原敬義君 それはそれで、今度上がったらやかましゅう言いますよ。  次に、国民生活の苦しさの反映として、サラ金というか、高金利の金を借りて生活をしている状況というのが大変いまクローズアップされています。新聞にも出ておりましたが、昭和二十八年に庶民金融貸金業者の数が一万三千八百五件、それが五十七年の十二月には二十一万二千二百六十九、無届けを入れるともっと多いですがね。しかも、この中で、貸金業者から国民が金を借りている分が昭和五十二年は四千二百億、一般の金融機関、銀行、相互銀行、信用金庫から借りているのが四千四百七十億。これが五十六年には、貸金業者から金を借りているのが一兆二百五十億、金融機関から借りているのが八千七百二十億。もうまさに逆転をしているのですね。これもずっと統計的に見ますといろいろよくなりましたと、こうバラ色に言いますが、非常に厳しい状況になっているのではないですか、国民生活が。だから、そこがもとでサラ金の悲劇とか、あるいはサラ金が絡む凶悪犯罪とか、知能犯が後を絶たない。なかなかサラ金二法では解決ができないような生活の実態に立ち至っておる。これは総理大臣お認めになりますか。
  44. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) いま御指摘になりました……
  45. 梶原敬義

    梶原敬義君 大蔵大臣短く言うてください、あなた長いよ。
  46. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 旧出資法第七条に基づく貸金業者の届け出状況によればいまおっしゃっている数字になるわけでございます。本来は、これは金融機関がそれぞれの場において、消費者金融というのは、それは手続もめんどうでございましょう、しかしそれに精を出すというのがあるべき姿である。したがって、これは議員立法でサラ金規制法等ができましたので、別の意味におけるいわゆる悲劇というような問題につきましては、この新法に基づいてこれからそういうことが起こらないような努力を傾けてまいるということであります。
  47. 梶原敬義

    梶原敬義君 新法でどうせいということを言っているのではなくて、こういうような状況がやっぱり生活が苦しくなっているその反映ではないかと言っているのです。それはお認めにならないのですか。
  48. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) そういう状態が皆無ではないと私も思います。
  49. 梶原敬義

    梶原敬義君 次に、刑法犯罪、これも総理大臣、昭和二十三年、四年に非常に刑法犯罪が多かった。それがまた去年、ことしになってずっと伸びておるのですよ。これは警察の白書の中にも出ておりますが、この点について、やはりいろいろこう言っていてもいまの世相が非常に厳しくなってきている。これは内政の乱れ、ここのところにやっぱり反省をしなきゃならぬ点があるのではないかと思うのです。詳しくは、グラフで見ますればこういうようにずっと上がっていますからね、一時ずっと減ってきたのが。どうでしょうか。
  50. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 犯罪白書等を読みますと、最近の刑事犯の増加というのは、自動車関係とか、モーターバイクとか、二輪車とか、かっぱらいとか、それに関連する犯罪が非常にふえてきておるようです。これは結局青少年との絡みも出てきておりまして、青少年犯罪が激増してきている半面でもあると思うのです。これは国の前途のために大変憂うべきポイントでございまして、せっかく減ってきた犯罪がまたそういう面でふえてきたということは、厳重にチェックして対策を講じていかなければならぬと考えております。
  51. 梶原敬義

    梶原敬義君 大体お認めになりましたから、以上、時間が来ましたので、結論的には、総理大臣を先頭にして非常に華々しい首脳外交の展開とか、あるいは行革行革、こういう一方的なおっしゃり方とか、あるいは非武装中立をめぐっての論戦では、聞いてないことまでどんどんお答えになるとか、たとえば首脳外交でも、三人ですか四人ですか、レーガンさんや胡耀邦さんが訪問されましたが、まさに主演俳優みたいな中曽根総理大臣が立ち居振る舞いを一方ではされておりますが、国民生活企業倒産にしてもあるいは失業者の続出、高齢者の問題、あるいはいまの実質生活の問題、あるいは犯罪がふえておる、あるいはサラ金の借入金額がどんどんふえている、非常に厳しい内政状況が浮き彫りに出ている。 しかも国民生活白書やあるいは警察白書の中等々でずっと出ております。この点については、外交とか安保とか、そういうような問題も問題であるが、それよりももっと内政の問題に総理大臣が本気になって力を入れなければならなかった問題であったのではないか、しかもこれから早急に入れなけりゃならない問題であるのではないか、こう思うのですが、総理大臣答弁をお願いします。
  52. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 御趣旨に沿った線で努力をしてまいりたいと思っております。中曽根内閣の閣僚は腕ききの閣僚が多いと思っております。皆さんがみんなその持ち場を死守していただきまして、そして国民の期待にこたえるような福祉政策なり社会安定政策をますます推進していくように努力していきたいと思っております。
  53. 田中正巳

    委員長田中正巳君) 梶原君、時間オーバーしましたので……。
  54. 梶原敬義

    梶原敬義君 わかりました。答弁が長いから、皆さんの。  ひとつ大蔵大臣、大蔵省の方でこれはちょっと九州の問題ですが、福岡の財務支局……
  55. 田中正巳

    委員長田中正巳君) 梶原君、時間がオーバーしているから、これでやめてください。
  56. 梶原敬義

    梶原敬義君 はい、わかりました。 それじゃやめます。福岡の財務支局の廃止の問題については地元の財界の要望もありますし、慎重に検討してください、お願いします。  以上。
  57. 田中正巳

    委員長田中正巳君) 次に、飯田忠雄君。
  58. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 行政改革につきましては、公明党は積極的に推進することに賛成するものでございますけれども、具体的に出てまいりました法案につきまして、いろいろ疑問に思う点もございますのでお尋ねをいたしたいと思います。 きょうは、行政事務簡素合理化及び整理に関する法律案、これと、それから総務庁設置法案、それから国家行政組織法の一部を改正する法律案、この三つにつきましてお尋ねを申し上げます。  まず最初に、重要な問題からお尋ねします。 私の立場からは行政事務の簡素化、整理、これは非常に重要ですので、お尋ねいたします。  総理及び関係各大臣にお尋ねするわけですが、わが国の憲法は人権保障ということを一番強く要求しております。 人権の中で一番大切なのは、やっぱり人間の命だと思います。 その人間の命につきまして、生命につきまして、これを統一的に所管する官庁がいまのところないわけでございますが、御承知のように、新聞などの情報を見ますと、最近ごみでございますね、生活から出たごみ。このごみを清掃工場で焼却するわけですが、その中から猛毒物質が出るということが出ております。ダイオキシンというようなものが、これが松山市の清掃工場から出たとか、あるいは水銀につきましては東京都の清掃工場全部から出たということでございます。こういうものは、人間の命を非常に侵害する物質でございますが、こういうものにつきまして、これを民間に任せるということでは、大変な努力をいたしましてもうまくまいりません。これは政府が取り上げて根本的に積極的に対策を講ずべき問題であろうと思うわけであります。  今度の行政事務簡素合理化法案を見ますると、現在あるものについてなるほど簡素化しようとしている努力はありますが、今度の行政改革というものはただ省を減らせばいいというものじゃなくて、仕事を減らせばいいというものではなくて、要らぬ仕事は減らして重要な仕事はこれを十分できるようにするというのがたてまえではないか、こう思うものでございます。  そこで、細かい点につきましては、これから順を追ってお尋ねをいたしますが、根本的な問題としまして、こういう生命に関する、生命管理の問題につきまして、どのような防衛手段をとってくださるお気持ちがあるのか、どういう機構を講じて今後やっていかれるのか、大まかなことでよろしゅうございますので、お教えを願いたいと思います。総理大臣、ひとつもしお差し支えなかったらお聞かせください。
  59. 林義郎

    国務大臣(林義郎君) 総理への御質問でございますが、私のところが大変関係しておりますから、便宜私からお答えをさしていただきます。  いま先生お話がありましたダイオキシンのような話、愛媛大学の方でいろいろ研究をしておられた方がおられましたし、大変有名な方でございまして、私も前から御存じ申し上げておりますが、大変猛毒のものが出ているということの報告があります。ありますが、先生、まだそれではすぐに人間の体にどうだこうだという話ではない数量でございまして、どういうふうな形でこれが発生してきたのか、またこれからどういうふうな形になってやったならば一番効果的な規制ができるのかということをいまから研究していくべきことだろうと思っておるところでございます。  申しますと、そういった毒物その他の物につきましては、毒物及び劇物取締法というのがございまして、それの規制を直接にやっているわけであります。ただし、物の具体的なところになりますと、たとえば食品などにつきまして有害物が入っては困る、こういうことがありますし、また食品が腐敗したり何かしたら困るということでございますから、それは食品衛生法という形でもって統括してやっておる。それから子供さんが、赤ちゃんのおしゃぶりみたいなものをなめたり何かして害が及んだら困る、こういうふうな形で、家庭用品についての有毒物質の規制ということもございます。それから、かつてPCBというようなものがありましたが、ああいった化学的物質は、新しい化学物質の規制というものも別の法律でやっていく。それから、廃棄物清掃工場等でよくよくそういったものが出てきますし、それがほかに拡散したり何かするということになりましたら困りますから、これは清掃法であるとか廃棄物処理場に関するいろんな規制をやっている、こういうのがございます。  それから、一般的に申しますと、大気汚染であるとか、あるいは水質汚濁であるとか、それぞれの形で規制をやっておりまして、これは私の方ではございませんが、そういったような各省にわたりましていろんな規制をやっているところでございまして、先生御指摘のように、人間の健康というものは一番大切なことでもございますから、それは政府としては十分に健康第一ということでいろんな諸施策をやっているところでございます。  もう一つ申し上げますと、いろんな点で複雑にダブっているところが出てくると思います。その辺は各省いろいろと連絡を、協議をしながら対策の万全を期す、こういうふうな形でやっているのが基本的な考え方だと考えていただければありがたいと思っております。    〔委員長退席、理事長田裕二君着席〕
  60. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 大体現在の現状はわかったような気もいたしますが、問題は、発生するダイオキシンというもの、現在発生しておるわけですから、これが一体現実にどういう影響を人間に及ぼしておるかという、そういう問題の調査がなされておるかどうか。なされていないとすると、こういうものを今後どこで調査し、早急に人体に影響を及ぼさないような措置を講じていただけるのか、そういう問題はいかがでございましょうか。
  61. 林義郎

    国務大臣(林義郎君) ただいまお答え申し上げましたように、ダイオキシンというのは愛媛大学の立川先生からの御報告があったところでございまして、あの出ております数字程度のものは諸外国でも普通に見られるところの数字であります。ただ、わずかなところで出たわけでございまして、出る可能性というものは否定できない。しかし、もしも大量に出たならば大変なことになりますから、そういったことのないようなことをいろいろ考えていかなければならないであろう。 それから対策その他も考えていく、こういうことでやっておりますが、詳しくは担当局長の方から御答弁をさせます。
  62. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 大臣がいまお答えになりましたように、当面は心配ないのじゃないかと思っておりますが、将来の問題といたしまして、特に私どもごみ焼却場の担当でございますので、ごみ焼却場を中心にしたダイオキシンの問題につきまして、場合によれば専門家会議を持って、今後どう対応していくかということを検討いたしたいと思っておりますし、それからダイオキシン全体の問題につきましては、環境庁その他関係の官庁がございますので、そういうところとよく相談をいたしまして対応策を考えていきたいと思っております。
  63. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 このダイオキシンというものはどうして発生するか、焼却炉から出るということなんですが、何を燃したら出てくるかという点について御研究になっておるでしょうか。もしそれが全国共通のものであるとすると、これは大変なことだと思いますけれども、いかがですか。
  64. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) ごみ焼却場におきますダイオキシンの生成の機序でございますけれども、実はアメリカでもいろいろ議論が行われておりますが、まだ最終的に、これがこうなって、したがってダイオキシンが出てくるのだというところまではわかっておりません。先生も御承知のように、愛媛大学の立川先生なんかはプラスチックの燃焼によるのじゃないかという推測をしておられると聞いております。
  65. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 このダイオキシンといいますのは、人間の遺伝にも影響するような猛毒だというふうに聞いておりますが、こういうものが清掃工場から出るということが明らかになったわけですが、これが明らかになる前に、こういう問題は常日ごろから調査されておらねばならぬ問題だと思います。いまお話を承っておりますと、いままでこれについての十分な調査は出ていないようにお聞きしたわけですが、そういうようなことで一体人間の命を保証できるかという問題です。これは行政のあり方についての根本的な問題だろうと思います。こういう点につきまして、政府ではどういうふうに行政組織の問題、こういう問題を取り扱う行政組織の問題をどういうふうに考えておられ、これからどうされるのかお尋ねをいたしま す。
  66. 林義郎

    国務大臣(林義郎君) いま御答弁を申し上げましたように、いろいろな形でこれから調査をしていかなければならないと申し上げましたが、全然わかってなかったわけではございませんので、アメリカ、オランダその他のところでいろいろと問題が出ておる。特にこの問題はベトナム戦争が生んだというような話もあったわけでございますから、そういったふうな状況というものは私の方でも把握をしておるところでございます。  ただ、具体的に日本の中でこういうふうに立川先生の御指摘によりましてあったわけでありますから、現実にその被害が出ているわけでもございませんし、それをこれからどういうふうにしてやっていくかというのは、関係者の英知を集めて、対策なりこれからの本体の解明等をやっていくべきものだろう、こういうふうに考えておるところでございます。
  67. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 この問題につきまして御研究不足なことをお認めになったことはいいわけなんですが、それでは国民の生命はとても保護できないと思うわけです。ことに、現実にどの程度の影響を及ぼしておるかということがわからないということなんですが、それはわからぬのは当然で、ある一定期間たたないと出てこない、その影響は。ですから、こういう問題について積極的に、こういう問題が起こる前から、こういうことが起こらないようにする手段が講ぜられておらなきゃならぬはずでございます。そういう官庁はむしろ大きくして、十分な施策を講じてくださるのがいいのではないか。それに要する人員ぐらいは、ほかの要らぬところがずいぶんありますから、そういうところを削っていくということもできると私は思うわけなんですが、これは、いままでやっておいでにならぬものをいまさら文句を言うてもしようがございませんので、この問題はこの程度にしておきます。  東京都の焼却場から水銀が出たと、こういうことが言われております。水銀が出まして、それを肥料にあれするわけですか、焼却したものを。ダイオキシンの場合も同じですよ。土地にまくわけです。まいた場合にそれがどのような生物循環をするのか、物質循環をするのか、こういうような問題について御研究になる機関は国にありますか。
  68. 梶木又三

    国務大臣(梶木又三君) いまのダイオキシンあるいは水銀ですね、確かにお話のとおり、若干問題にはなっておりますが、いままででも有害物質につきましては、大気汚染防止法あるいは水質汚濁防止法あるいは廃棄物の処理法、こういう法律に基づきましてそれぞれ担当部局を持っておりますから、そこでいろいろ検討いたしておったわけでございます。  いまお話しの水銀にいたしましても、まだ人体にシビアに響くというほどじゃないと私聞いておるのですけれども、いま飯田委員お話しのように、ひどくなってきましたらこれは大変でございますから、当然検討をこれから続けていかなければならない問題だと、かように思っております。だから、ダイオキシンにいたしましてもこれも同じで、愛媛大学の立川さんがいろいろ研究報告を出されましたけれども、立川教授自身も、いまの段階ではそれほどどうのこうの言う段階じゃないということをおっしゃっておるわけでございます。しかしわれわれ、水銀にいたしましてもダイオキシンにしても、これは大変な猛毒ですから、人体に被害が出てしまってはこれはもう取り返しができない重大問題ですから、それぞれの立場で専門的な分野で考えたい。 私どもも手をこまねいておるわけではございません。  それから、先ほど人員の問題もございましたけれども、専門家の連中を持っておりますから、その分野でこの問題に、この間公明党から申し入れが私のところにございました。飯田さんもおいでになったのですが、あのときもお答えしたごとく、分析方法なりいろんな点につきまして早急に検討体制は整えたい、かように考えておるところでございます。
  69. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 現実には被害が起こっておらぬとしましても、水俣病の例もございまして、海に少しずつ水銀が流されて、長年の間に大変なことになったという例もございますので、どうかこの問題については対岸の火災視しないで、現実に自分の身が危ういんだというぐらいの考え方を持って機構を整備していただきたいと思うわけでございます。  総理大臣はこの点についてどのようにお考えでしょうか。
  70. 林義郎

    国務大臣(林義郎君) 先ほど来申し上げておりますように、健康の問題というのはやはり非常に大切なことでありますし、環境庁長官からも御答弁がありましたように、いまのところは、学問的に報告をされた先生も、すぐにどうだという話ではないがということでございますから、各省のそれぞれの担当のところで十分に相談をし、またいろんな専門家の方々も入っていただきまして、どういうふうな対策をするかということをやるのが一番現実的な対応ではないだろうか、こういうふうに考えておるところでございます。
  71. 梶木又三

    国務大臣(梶木又三君) 先ほど申し上げましたし、いま厚生大臣からもお話ございましたが、それぞれのやっぱり専門的分野、分野ございまして、単独でやるというわけじゃございません。私どもも厚生省と密に連絡しつつですけれども、やっぱり一元化というものは余りよくないのじゃないか、こういう感じもいたしております。しかし、密接に連絡し合う、これはもう大切でございますから、厚生省なり、あるいは廃棄物でございましたら実際やっておる自治省もございますから、そういうようなところとよく連絡しつつ対処していきたい、かように考えております。
  72. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 それでは、この法案の内容についてもう少しお尋ねをしましてから、行政機構の問題ですのでぜひ総理の御答弁もいただきたいと思いますが、まずその前に各省大臣の御見解をお尋ねします。  この行政事務簡素合理化及び整理に関する法律案、これの中で毒物及び劇物取締法の一部改正、麻薬取締法の一部改正、それから農薬取締法の一部改正、こういうのがございます。 こういう三つの法律、これは大変人体に影響を及ぼす毒に関するものですが、これの取扱者の許可権限を都道府県知事に移す。一般的な、言葉はちょっと、法によっても違いますので、言いますが、まあ移すということですね。そういうことになっておりますが、こういう重要な毒物についての知識経験を持った職員が都道府県に十分あるかどうか、すべての都道府県に整っておるかどうかということが問題だと思いますが、これは御調査になったでしょうか。
  73. 林義郎

    国務大臣(林義郎君) お答え申し上げますが、今回毒物劇物取締法の事務の一部を都道府県に移す、こういうことでございますが、移す内容は法律上、特定毒物研究者の許可権限、こういうことでございます。特定毒物研究者と申しますのは、たとえば衛生試験所であるとか農薬の試験所など、大体常識的に考えてそういったものを研究してやってもらって適当であるというところで毒物を取り扱うときに、いままで一々厚生大臣に来ておったわけでありますが、それはもう客観的に見て都道府県知事でもおわかりになるでありましょうから、そういった方々が取り扱いをするかどうかということにつきましては、これは知事にお任せした方がいいではないかと、こういうことでございます。  もう一つは、毒物劇物の原体は、いろいろ製造はこれは当然厚生本省でやりますが、その原体の小分けをいたします、小さく分ける、あるいはそれからカプセルをかけたりなんかする、製剤をすると、こういうふうな言葉になっておりますが、そういった製剤事業をするというような仕事のものを都道府県にお願いする、こういうことでございまして、現在では、都道府県で毒物劇物監視員という形で実地調査の事務をこれらの方々にお願いして現在でもやっているところでございます。  申し上げますならば、都道府県において画一的に処理が可能なものを対象にして委譲すると、こういうことにしたわけでございまして、現在ありますところの毒物劇物監視員がいままでも調査を実際にはやっておっていただいたわけでございますから、十分にいま持っているところの知識経験で対応できるものだ、こういうふうに考えているところでございます。
  74. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 この三つの法律についての権限を都道府県知事に移すというわけでございますが、従来各省で持っておいでになったのですから、専門家を、少数の者で全部見ることができたわけなんですが、これを各省に移しますと、その少数の人じゃだめなんで、少なくとも各都道府県の数だけの人が要るのではないか、こういうことになりますね。  それからもう一つは、毒物の知識と麻薬の知識と農薬の知識と違うのではないか。一人の人間で全部三つ兼ねることができるかということになりますと、これは都道府県としては相当な負担になりませんか。いかがですか。
  75. 小島和義

    政府委員(小島和義君) ただいま厚生大臣から毒物劇物取締法及び麻薬取締法の関係のお答えがございましたが、私どもの方では、農薬取締法の権限のうち防除業者の届け出の受理、それからその届け出に伴います若干の監督事務を都道府県知事にお願いするということにいたしております。  都道府県の事務の体制といたしましては、平均いたしますと三人程度の植物防疫係というのがございまして、これは厚生省所管の担当とは別な担当がやっておるわけでございます。ただいまも農林大臣に対する届け出は省令の定めるところによりまして、都道府県知事を経由して提出していただくということになっておりますので、都道府県段階におきましてはそれの事前審査と申しますか、内容を審査いたしました上で農林大臣に提出をいたしておるわけでございますけれども、県の仕事といたしまして格別増加をするというふうなことはございませんし、またそういう事務を担当するための専門の職員というのも、現に都道府県段階におるわけでございますので、その意味で、県の事務負担ということにはならないように理解をいたしております。    〔理事長田裕二君退席、委員長着席〕
  76. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 それではその問題は一応了解することにしまして、最近東京都の地下水を検査したことがございますが、地下水の中にがんを発生する性質の物質がまざっている、こういうことが新聞に載っておりまして、私ども環境委員も調査に行ったわけでございます。これは東京都だけの問題ではなくて、全国的な問題だということになりますと、大変なことであろうと思います。 こういう地下水汚染ということが生ずる前に早く手を打つべきことであったと思いますけれども、現実には汚染されてしまった。まだ汚染されてない地下水もあることはあるらしいです、層によって。層によって皆違うらしい。汚染されていないもろもろを汚さないというためには、結局いままで私が質問してまいりましたものを土地にまかないことじゃないか、そういうことを監督するということはいいかげんな処置を講じておくべき問題ではなくて、相当本腰を入れてやっていただかないと、命の問題は保証できないと思います。こういう問題につきまして、本当に本腰を入れた機構改革をなさるのかどうか、ひとつ御答弁を願います。
  77. 梶木又三

    国務大臣(梶木又三君) 報告を受けております。これにつきましては専門的な問題でございますので、担当の局長から答弁さしたいと思います。
  78. 佐竹五六

    政府委員(佐竹五六君) 先生御指摘の地下水汚染の問題でございますが、これはテトラクロロエチレンあるいはトリクロロエチレンというような発がん性を有する物質が検出されたことは事実でございます。これにつきましては環境庁におきましても、その汚染のメカニズムがどのような形で発生したかというようなことも引き続き調査することといたします。地下水の問題につきましては、国土庁それから環境庁を中心にいたしまして、これに関連いたします建設省それから農水省、通産省、協議の場も持っておりまして、そのような場も活用しながら適切に対応してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  79. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 従来の政府の機構で最善の道を講じておられると思いますけれども、やはり行政機構はもう一度考え直す必要があるのではないかという気もいたしますが、これは総理大臣、お答えになるのはどうもお嫌いのようだけれども、ひとつ何か言ってくださいよ、この問題について。
  80. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) がんの問題は、私は非常な関心を持っておりまして、がんの退治をやろうと。それでがん撲滅十カ年計画もつくりまして、内閣に閣僚協もつくって推進しておるところでございますので、その問題につきましては関係各省を督励いたしまして、間違いがないように努めてまいりたいと思います。
  81. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 それでは、その行政事務の簡素化の問題は、法律はこれでこのぐらいにしておきまして、もう時間もないことですから次の問題に移ります。  次は、総務庁設置法に関する問題で疑問点をお尋ねいたしますが、総務庁設置法案を見ますると、その所掌事務とか権限というものは国家の行政組織の基本的な重要部門を所管しておるように見えます。国の中枢に位する分野だというふうに私どもには読めるわけでございます。こういう重要な官庁が総理府の外局にされる。しかもその総理府本府を見てみましたら内容のないものになっております。これはいかがなことかと思いますが、本府とされる総理府、この内容を見ましても、審議会とか特別の機関が少しありまして、あとは大きな外局なんですね、外局が並んでいると、こういうことでございます。 この総理府の内容は、内閣官房の所管事項と重複する部分もどうもあるように思われるわけですが、総理府というものは総理大臣のもとの事務機構ですから、内閣も同じですから、これを一つにすることはできなかったのかどうか。内閣法に言う内閣ですね、それと総理府というものは一つにしていけばいいのではないかというふうに素人考えでは思われますが、何か特別にそうではいけない理由がございましょうか。
  82. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) 御承知のように、現在の内閣法によりましては、行政事務というものは各省大臣に分担管理さしていくというたてまえにすべてなっておるわけでございます。そこで、行政事務は各省が分担管理しておりまして、しかしながら各省に、数省にまたがる事項とか、各省だけでやれないものとか、総合調整とか、こういう仕事は総理大臣の所管に残るわけでございます。  そこで、総理大臣が各省の、数省にまたがる事項だとか、そういうものを所掌するわけでございまして、内閣というのは御承知のように合議体、国務大臣の合議体の行政機関でございますから、その下にそういう機構を設けるということは適当ではない。こういうわけでございますから、総務庁というのはいわゆる総理大臣の総合調整の機関をその下に持つということ。内閣が持つべきものではない、内閣というのは各省大臣の合議体の行政組織でございますから、その方にそういう仕事を与えるということはできない、こういう現在の内閣法の仕組みでそういうふうにいたしておるわけでございます。
  83. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 内閣法との関係はわかりましたが、総務庁というものの内容を見ますと、これは従来の総理府の一番重要な部門を全部持っておるように見えますね。こういうものを外局にするというのはちょっとおかしいのではないか、むしろ総務庁そのものが総理府の本府であって、そのほかのものは附属機関ぐらいにしておいてもいいものと思われますが、この点はどういうことになって、こういう原案のようなことになったのでしょうか。
  84. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) 今回の構想は、臨調答申に基づきまして総合管理庁という構想を打ち出されておったわけでございますが、そういうものを基本としながら、総理府の組織、機能と行政管理庁の組織、機能を一本化してやっていこう、そしてまとめていこう、こういうことで総務庁という構想ができ上がってきたわけでございます。  そこで、それじゃ総務庁というのはみんな総理府に入ったらいいじゃないか、こういうお尋ねのように承りましたが、そうなりますと、総理大臣総理府を所管するわけですね。ところが総理大臣は、とてもこれだけの膨大な機構をやっていくということは困難であり、むしろ総理大臣の総合調整機能というものはできるだけ簡素にして、そして行政事務はすべて各省庁に分担管理させるという組織論から言って、それが適当であるということで総務庁という外局をつくったわけでございます。
  85. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 これは議論しても時間が来るばかりですから、これぐらいにしておきますがね。  次は、国家行政組織法の一部を改正する法律案というのがございますね。この法律、説明書を見ましても、どうもはっきりしない点があるのですよ。といいますのは、内部部局の設置及び所掌事務の範囲を定める手段を、これを法律じゃなくて政令にする、こうなっていますね。国家行政組織法の第三条第一項を見ますと、国の行政機関の組織を法律事項としておるわけなんですが、同条の第二項によりますというと、行政組織のため置かれる国の行政機関の設置、廃止もまた法律事項だと、こうなっておる、現行法は。それから同法の四条を見ますと、行政機関の所掌事務の範囲及び権限は法律事項だと、こうなっていますね。全部法律事項としているのです。  この法律事項を外してしまうわけでしょう。それで政令にしてしまうわけですね。政令で所掌事務を決めてしまうということになりますと、法律で定めた所掌事務の範囲内でなければならぬのに、それを外すということになると、それは一体どういうことになるのだろうかと、ちょっと疑問に思えるのですよ。所掌事務というものは法律の範囲内において決めなければいかぬ、ところが、それを法律によらぬで政令でいいのだ、こういう話でしょう。ことに内部部局の課、室の所掌事務の範囲というものは、これは法律の範囲内というものは削ってもいいんだ、削ってしまって政令だけでやる、こうなりますね。  そうなりますと、いままでは法律の範囲内でやれ、こうなっておったものを、法律の範囲内という言葉は削りますよということは、言いかえれば、法律の範囲内ということはもうそんなことは考えないでいいのだ、そういうものは超越して、政令で定めたものによればいいのだ、こういうことになりますね。つまり、いままであった規定を外すんですから。ということは、そういうものは要らぬのだということでしょう。政令だけでいいということになりますね。こういうことになりますというと、これは昔の独立命令を認めることになるような気がするのですがね。どうでしょうか。
  86. 門田英郎

    政府委員(門田英郎君) 飯田先生の御指摘、二点あったかと存じますのですが、まず第一点でございます。  今回、省庁あるいは委員会というものの内部部局、これについて政令委任をしていただきたいということで御提案を申し上げておるわけでございます。御指摘の現行国家行政組織法第三条によって設置されました府、省、委員会、庁、いわゆる各省庁でございますね。こういった各省庁の所掌事務というのは、この組織法第四条、これは今回改正を御提案している改正案におきましても同様、改正を志してはいないわけでございます。この三条、四条に基づきまして設置され、そして各省庁の設置法という形で具体的にそれぞれの所掌事務を規定するということに相なっているわけでございまして、その内部部局は第七条によって決められているわけでございますが、御指摘の第七条第五項の改正におきまして、法律の範囲内でとこう明示しておりませんのは、当然のことながら、組織法三条、四条によって法律で定めることになっております。したがって、設置法で明定されます府、省、庁の所掌事務、内部部局でございますから、その範囲内でしか決まらないわけでございます。今回の改正に当たって特に明示をしなかった、かように御理解をお願いしたいわけであります。  御質問の第二点でございます。  同じく第七条の第六項、官房でございますとか、あるいは局、部のさらに下に置かれます課でございます。この課あるいはこれに準ずる室の設置、これは従来から政令によって設置するということに相なっているわけでございますが、現行法では、そこに「法律の範囲内で、」というふうに規定していることは御指摘のとおりでございます。今回これにつきまして、この「法律の範囲内で、」という字を削除させていただいたのは、ただいま申し上げました第五項で、官房あるいは局、部というものの設置を政令にゆだねていただくということとの権衡上「、法律の範囲内で、」ということを削除さしていただいたわけでございまして、これまたそれぞれの政令で決まります官房あるいは局、部、こういったものの所掌事務の範囲内で決められてくるということが当然であって、いわば従来決められていたのは念のための規定である、かように考えまして削除さしていただいたということでございます。先生御指摘のように、決してそれぞれの法律で定められている所掌事務というものを逸脱するというものではございません。
  87. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 その点はわかったようなわからないようなものですけれども、現行法の第四条を見ますと、これには「行政機関の所掌事務の範囲及び権限は、別に法律でこれを定める。」こう書いてありますね。「別に法律でこれを定める。」というこの言葉は、これは変更になっておりませんのでそのままだと思いますが、「別に」ということは別のではないですね。別の法律で定めるということと別に法律で定めるということは意味が違いますね。だから、別の法律ということになれば各省設置法で決める、こうなりますが、別に法律で定めるとなりますと、各省設置法もそうだけれども、この国家行政組織法の別の条文で決めるということもそれに入るわけですね。そうしますというと、現行の第七条、八条との関係、これはどういうことになりましょうか。
  88. 門田英郎

    政府委員(門田英郎君) 第四条の規定についてお示しがあったわけでございますが、「別に法律でこれを定める。」こうなっておりますのは、おおむねの各省庁は各省庁設置法でその所掌事務を定めているということでございます。したがいまして、この各省庁設置法、これによりまして定められた所掌事務、その範囲内で第七条に規定するそれぞれの内部組織、これのそれぞれの所掌事務、分掌事務というものが決まってくる、かように御理解をお願いしたいわけであります。
  89. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 まだたくさん質問が残りましたけれども、もう時間が来ましたので御無礼いたします。  それじゃ、これで終わります。
  90. 田中正巳

    委員長田中正巳君) 近藤忠孝君。
  91. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 冒頭に田中委員長から報告がございました十八日の本院本会議における総理発言については、委員長報告にもありますようにわが党は了承できませんし、また決着がついたと思っておりません。事は参議院の審議権の根幹にかかわる問題について、総理の事実に反する発言があり、それが訂正されないまま過ごされるという、こういう問題であります。きわめて重大なことと言わなければならないからであります。  そこで、お尋ねしたいと思います。  本院木村参議院議長は、総理国会の正常化と全法案の成立を強く要請した、そのために総理は人心の一新が必要であると言った。それに対して私は肯定も否定もしなかったと言っているわけであります。要するに、判断は示さなかったわけであります。官房長官のきょう午後議運理事会における釈明は、この議長発言を認めたわけでありますが、認めながらもこう言っております。  総理がそう言っている趣旨は、議長に会って、国会の正常化、政府として全法案の成立をぜひともさせたいと熱心に要請した気持ちから、議長が保証したように感得したということであり、本会議答弁はそのように理解願いたい、訂正の気持ちはないということで問題をうやむやにしたままであります。  総理発言というのは、これは本会議場においてはっきりとこういったわけですね。両院議長の御判断をいただいた、あるいは御判断のお示しをいただいた、あるいは私はその保証をいただきました。これは上條議員の質問に対する答弁であります。それから中野議員の質問に対する答弁としては、両院議長から御判断をいただきまして、私はこれを尊重しただけでございます。「議長さんの御判断の中にもその点に関する保証があったように考えております。」  ですから、明らかに議長の判断が示され、保証があったというのが総理発言の中身であります。議長の保証などしていないという、こういう事実とこれは明らかに矛盾するのじゃないでしょうか。したがって、この事実に反する総理発言は本会議で訂正するのが当然だと思いますが、どうですか。
  92. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 訂正の意思はありません。  私は、私なりに判断を感得したのであって、議長議長で自由におっしゃって、そのとおりだろうと思いますが、私自体は、私がまたそういう解釈をし判断をした、そういうことであります。
  93. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 総理答弁は、判断を示されたというのですよね、議長が。しかし、議長はそんな判断を示してないと言うのですから、明らかに事実に反するのです。  そこで総理、それでいいのでしょうか。というのは、訂正しない限り、本会議発言としては、議長が判断を示し、成立の保証をしたという記録が残ってしまうのです。国会としては重大問題で、これは議会制民主主義の根幹にかかわる問題ですが、議長それでもいいのか。 正直というのは政治家にとって徳目でないという秦野さんの言葉もございましたけれども、私は本当に正直であってほしいと思うのですが、そういう事実に反する総理発言が残ったままで本当にいいのだろうか、そういう意味で改めてお伺いします。
  94. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) あのときは、両院議長と私と自民党幹事長、国対委員長等がお会いしたこともありました。そのときにいろいろそういう微妙な話もあったわけですが、木村議長はそのときは余り御発言にならないで、福田衆議院議長がほとんど御発言になっておった。 だから、木村議長はイエスもノーも言われなかったという雰囲気にあったと私も思っております。 しかし、大部分は福田議長が、衆議院のことですから、人心一新とかなんとかというのは主として衆議院に関係する部分だろうと想像しますが、そういう面から福田議長は御発言になったのだろう、そう思っております。
  95. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 要するに、両院議長のと言うのですから、しかも、事は参議院の審議に関して全法案の成立云々、こういうことでありますので、私は大変残念だと思うのです。これは、やはりずうっと永久に総理発言は歴史に残りますので、記録に残りますので、ひとつそのおつもりでいていただきたいと思いますが、大変遺憾だということを申し上げて次の質問に入りたいと思います。  そこで、まず行政改革との関係で、高級官僚の天下り人事問題について総理にお伺いしたいと思うのです。  すでに広く指摘されておりますように、天下り高級官僚は、ロッキード事件を初めとする一連の構造汚職事件や鉄建公団、KDD事件など、七九年以降相次いで露呈した特殊法人における底なしの不正、乱脈問題の背景で政、財、官癒着のベルトの役割りを果たしてきたと思います。中でも特殊法人役員への天下り問題が、官僚植民地とやゆされていることは御承知のところだと思うのです。  そこで、行革の問題ですが、いかに行政機構が効率的になったといたしましても、特殊法人役員などへの天下り問題が放置されていたのでは、これでは真に国民のための行政は実現しないと思います。総理は、この天下り問題について行政改革との関係でどう位置づけられておられるか、これが第一点であります。  第二点は、政府は法殊法人役員の人事について、天下り役員の総数制限、たらい回し的異動の禁止、年齢制限、長期留任制限など、閣議決定を行っております。しかし、実際にはこの閣議決定はほとんど守られていないと思うのです。天下り役員の比率は今日なお五五・六%に上っておりますし、天下り役員が役員ポストのすべてを占領している法人は十七法人にも上っています。年齢制限に違反する総裁が十五人、長期留任制限に違反する総裁と理事は十九人に及んでいるわけであります。  そこで、政府はみずから決めたことを本当に実行する意思があるのかどうか。実行する意思があるとするならば、一体いつまでにこれを一〇〇%閣議決定どおりに実現するのか、これについてお答えいただきたいと思います。
  96. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) 公務員であった方がおやめになった後、役人時代のいろいろな経験なり学識等を特殊法人において生かしていただくということは、私は必要なことであると考えております。したがって、天下りという言葉はいいかどうかは別といたしまして、それは全部悪であるというふうな解釈はとるべきではない、私はさように考えておるものでございます。  しかしながら、そういう公務員の経験者が特殊法人の役員になった場合に、どの程度の期間働いていいであろうかとか、年齢とかいろんな問題等については、閣議決定がございましてそれぞれの規制をいたしておるわけでございまして、そういうふうな閣議決定の方針に従って今日実行をいたしておるわけでございます。しかし、まだあの閣議決定ができました後、そのとおり全部できているとは私は申し上げることはできませんが、そういう方向で今後とも努力をしていくべきであると、かように考えております。
  97. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 齋藤長官の発言、衆議院でもありまして、それはまた改めて指摘をしますが、総理のお考えはどうですか。
  98. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) いわゆる高級公務員の天下り等々につきましては、内閣でも基準を決めまして、いろいろ励行してきております。顕著な成績はまだ示されておりませんけれども、それでも一歩一歩改革は進められつつあるようであります。このテンポを早めるようにしたいと思っております。
  99. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 齋藤長官は、本院では比較的控え目に発言されましたけれども、衆議院ではこう言っておるのですね。「天下り、天下りと言いますけれども、役人であった時代の経験なり知識なり有能な知識を活用するということは、人材経済の上からいって私は大事なことだと考えておりますから、天下りは絶対悪いものだと、そういう認識には私は立っておりません。」、大変強い調子で申されましたのですね。  これは行政改革に携わる長官として、天下り問題のいろんな指摘されているマイナス面をまず認識をした上で控え目におっしゃるのならまだいいのですけれども、これは少し問題がありはしないかと私は思うのです。「有能な知識を活用する」云云と言うのですが、たとえば談合問題とかあるいは汚職問題などを見てみますと、これは逆なんです。  たとえば新薬スパイ事件、これは国立予防衛生研究所の鈴木清をそそのかして資料を盗み出し、また国立衛生試験所薬品部長で薬事審議会の委員でもある江島昭から新薬承認申請書類の提供を受け、賄賂を贈っていたということで贈賄容疑で逮捕された帝三製薬常任顧問の中川輝彦、これは厚生省OBなんですね。齋藤長官「役人であった時代の経験なり知識なり」と言うのですが、これは要するにそのときの顔を大いに活用をしてスパイ活動をしておった、こういうことになるわけで、長官としては、こういう天下りなどによる官民癒着の温床となっているこの面について、大いに目を光らせるべきだと、こういうことを私は指摘したいと思うのです。  問題はそのことについての答弁ではなくて具体的な事例についてお伺いしたいと思います。  そこで、これはちょっとわかりやすくするために図を書いてきましたので、ごらんいただきたいと思います。  これは本年六月の役員異動でありますが、日本原子力研究所の理事を約六年勤めた人が日本原子力船研究開発事業団専務理事へ、それからいま申し上げた原子力船事業団の専務理事が財団法人核物質管理センター専務理事に、そしてその核物質管理センター専務理事が、一番先に申し上げました原子力研究所の理事の後任にという、これこそまさにたらい回しですね。こういう役員異動が行われました。  そこで、科学技術庁長官、これにつきましては、特殊法人間のたらい回し的異動は原則として行わないという、これは七七年十二月二十三日の閣議決定がありますが、これに明らかに反するのじゃないかと思うのですが、どうですか。
  100. 安田隆明

    国務大臣安田明君) いまほど御指摘ございましたケースでございますけれども、いわゆるたらい回し云々ということは、いま行管長官並びに総理から御答弁ございました、われわれもそれも念頭に置いてやっているわけであります。そして、その運用に当たりましては、円滑にかつまた効率的にやらなきゃならない、こういうことをも十分考慮しながら、特殊法人につきましてはやむを得ざるものは云々と、こういうおきてが、これもまた閣議その他でもって合意を得ているわけであります。  いまの具体的なケースでございますが、これは特殊法人間一回と、こういうことでございますから、これは「止むを得ない」というそのケースの中であり得ることということで、この任命につきましては特殊法人の理事長が選任をいたしまして、そうして総理の承認を求めなきゃならないという手続でございますけれども、そういう事情がございますから、だからそれを念頭に置いて私たちはつぶさにこれを審査し、やむを得ないということで総理の御決済を得た、こういうことでございます。  ただ、この核物質管理センターにつきましては、これは財団法人、いわゆる民間公益法人でございますから、これは当たらないものと、こういうことで御了解いただける、こう思います。そして、いまほどお話しのとおり、われわれは今後の運営につきましては絶えずそういうことはやっぱり頭の中に置かなきゃならないと、こういうことを念頭に置きながら一面やむを得ざるものと、やむを得ざるものというのは、これはもう近藤先生よくおわかりだと思います。これは船とそれから原子力と、この知見を兼ね備えた、なかなかこれはむずかしい人選でございましたが、もうこれは両面の知見を持っておらる人ということでわれわれは総理の御了解を求めた、こういうことで御了解を願いたいと思います。
  101. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 ちょっと重ねてお伺いしますが、要するにやむを得なかったという事情でございますね。もう一度。
  102. 安田佳三

    政府委員安田佳三君) やむを得ないと申しますと、日本原子力船開発事業団と申しますと非常にむずかしい仕事を抱えておるわけでございます。さきの閣議決定におきまして、六十年三月末までに他の原子力関係の機関と統合するというような事情もございます。そういう事情がございますので、この専務理事に要求される項目といたしましては、いま大臣からお話がありましたように、船の関係の知識それから原子力関係の知識、さらには統合に伴います諸般の行政的手腕というようなものが必要になるわけでございます。そういう資格のある者をいろいろ探し求めました。  そこで、やはりこの人でなければほかには適当な人がいないということで、これは内閣の方にも認可していいかどうかを伺いまして認可いたしたような次第でございまして、まことに「止むを得ない」という事情に該当すると思います。
  103. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 大臣もまた官房長答弁も一番大事な面が落ちているんです。点数とすれば六十点上げられるかどうかという答弁ですね。なぜかと申しますと、一番最初に閣議決定が少し後退したと思うのですが、七九年の十二月十八日の閣議了解によりますと、こう書いていますね。「特殊法人相互間のたらい回し的異動に関する例外については、」例外として認めたと言うのですが、やむを得ないと言うのですが、これはこう書いてあります。「真に止むを得ないものに限る」、やむを得ないじゃだめなんですよ。やむを得ないというのはたくさんあるのです、その辺にね。これは「真に止むを得ない」と。だからもういま言った程度の船と原子力両方知っているというだけじゃだめなんで、それよりもっと一回り上のやむを得ない事情。だから私はもう先ほどの答弁から、要するに単にやむを得なかったのだと言うのですから、これはやっぱりこれに明らかに反すると思うのです。現に私も、先ほど官房長からこの人物、具体的にもう名前出さざるを得ませんが、福永さんという人物ですね、調べてみたのですが、これは原研に在任した間は、総務、国際協力、建設関係の仕事をしておりまして、これは技術屋じゃありませんから、原子力船のことはようわからぬですよ。そういう意味では私はこれは失格だと思うのですが、総理、この辺のことを十分御審査にならなかったのでしょうか。
  104. 安田隆明

    国務大臣安田明君) 近藤先生のいまのお話の中で、ちょっと私の理解とあるいは食い違いになるかもわかりませんけれども、御本人はこれは運輸省の船舶関係でございます、御存じのとおり。だから船舶行政についてはずいぶん知見を持った方であります。そしていわゆる日本が初めて原子力に手をつける、こういうときに原子力政策に関与した、こういうわけで、長い間の知見の集積者。船舶、コンパクトの炉、こういうことの知見の。だから本当にこの人の知見というものは舶並びに原子力の兼備した知見者と、こういうことでやむを得ない、余人をもってかえがたいと……
  105. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 「真に」です、「真に」。
  106. 安田隆明

    国務大臣安田明君) 「真に止むを得ない」です、こういうことになります。
  107. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 要するになかなか「真に」が出てこないところにやっぱりこの問題の問題点があるのですが、先に急ぎます。  それからもう一つは、この核物質管理センターが特殊法人でないと言うのですが、総理、これは抜け穴なんです。と申しますのは、このセンターはわが国の核兵器不拡散条約、その関係でこれができた。これは政府と民間の支援で設立された法人ですが、政府を技術的に支援する機関として、指定情報処理機関としてのいろんな作業を行う等等、公的なセンターなんですね。そして、現に昭和五十三年一月九日、科学技術庁告示第一号をもって指定情報処理機関に指定されております。これは唯一のものです。  それから、年間七億の予算ですが、五十八年度予算で見てみますと、政府よりの補助金が四億三千八百万円。要するに、もう半分から三分の二に近いのが政府の補助金ですよね。 だから、これはもう実質的には特殊法人と全く同じようなもの。要するに、名目的にいわゆる特殊法人じゃないということだけの理由で閣議決定の対象外にしちゃったのです。 これは私は、要するに脱法だろうと思うのですね。そこで、さすがにと言っては少し語弊ありますけれども、第二臨調答申ではこの点ちゃんと言っていますね。「認可法人についてもこれに準じた措置を講ずる」こと、そしてさらに、特殊法人間のたらい回し的異動については重ねてこれは指摘をしておるということで、恐らくこういうものもおもんぱかっておるんじゃないかと思うのです。  そこで総理、こういう抜け穴的なもの、これを認めたら幾らでもどんどんどんどんたらい回しが行われちゃいますよ。それがたまたま特殊法人でない、実質的には全く同じものであっても、そうでないという理由でこれが行われておったら、せっかく閣議で一定の枠をはめて、規模だけじゃない、人事もしっかりやろうという目的が全くもうたれ流しになっちゃうのですが、そういう問題についての所見をお伺いしたいと思うのです。
  108. 安田隆明

    国務大臣安田明君) 近藤先生の御指摘のような考え方とちょっとその辺は私の方は食い違いがございまして、これこそもう先取りの行革である、こういうふうに私は理解しておるわけであります。とにかく産官一体の中で処理せなくちゃならない。そういう場合に、むしろ電事連、この人たちが、これが主力をなしてやらなきゃならない。しかし、そこにはやはり知見の集積という研究開発分野が残っておりますから、一部ありますから、だからそういうことで財政援助の一部が行っている、こういうことですから、だから私たちはむしろ電事連を中心に、民間中心型で今後これはやるべきものだ、こういう理解に立っております。そういうことで御理解願いたいと思います。
  109. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) この特殊法人並びに認可法人、臨調の答申におきましても十分その人事について規制するようにという御意見があったことは私も承知しております。しかしながら、これはいろんな監督の体制あるいは国の監督の体制、それぞれの特殊法人なり認可法人等において違っておりますために、一律にどうするということは今回の法律改正に際しては考えておりませんでしたが、今後この問題は十分検討していくべき問題であろうと、かように考えております。
  110. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 要するに、もう唯一の指定処理機関であるという点とか、それから予算の大半が政府の補助金である。言うなればやはりこれは少なくとも人事に関しては政府——この場合には科技庁のほぼ言いなりになる可能性がやっぱりあるんだと思うのです。そこでの人事ですから、やっぱりこれは特殊法人と準じて、あるいは同列として考えるべきだと思うのですが、いまの長官の答弁はそういう趣旨に伺ってよろしいのですか。
  111. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) 特殊法人に準じてそういう問題を考えていくべきであろうと、かように考えております。
  112. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 やっと私の趣旨に合った答弁が出てまいったわけですが、そこでこの問題でもう一つ指摘しますと、先ほど指摘した三名の人については、原子力船事業団専務理事をしておった人は八年、それが準特殊法人に当たるようなところへやっぱり行くわけですね。 また何年勤められるのか。それから原子力研究所理事をしておった方は六年。それから実質的に特殊法人と同一視できる核物質管理センターに勤務しておった方が十一年。それが今度特殊法人に行くのですからね。そういう点では、まさに年数制限にこれは明らかに反する、これまた脱法行為じゃないかと思うのですが、その点どうですか。  それに加えて、退職金が、原子力船の場合には二千八百四万円、原子力研究所の方は一千八百四十三万円というのですから、まさにこれは世間から指摘されるとおりなんですよ。あわせて答弁いただきたいと思います。
  113. 安田佳三

    政府委員安田佳三君) 五十二年の閣議決定におきまして役員の長期留任は避けるということでございます。したがいまして、その線に沿ってやっているわけでございます。 理事につきましておおむね六年を限度としますが、理事長または副理事長の場合で特別の事情がある場合は八年を限度とするとの例外規定がございます。  御指摘の専務理事は副理事長に相当する職であると了解しております。先ほど申しましたように、専務理事として最適任者を任用したものでございますので、専務理事としては通算期間も八年未満でございますし、閣議決定の趣旨は十分に尊重しているというふうに考えております。  なお、退職金でございますが、退職金につきましては、これは余りにも個人の問題にわたりますので、答弁を控えさせていただきたいと存じます。
  114. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 時間も追ってきましたので、最後に法案に即した問題を一点だけ指摘したいと思います。  局や部を政令事項にすることについて、憲法上の問題がいろいろ指摘されてまいりました。それにつきまして齋藤長官は衆議院でこういう答弁をしていますね。当時の金森国務大臣の言葉を引用して、金森さんは、省庁の設置はこれはもう当然法律でいかなければならないけれども、大臣のもとにおける補助機関というものは法律を要しないで政令でもいいではないかというふうにはっきり言っておるわけでございますと、こういう答弁なんです。しかし、これは私は憲法制定議会のときの金森さんの発言を全部見てみますと、これは確かにそう言っている部分もあります。  しかし、その後が大事なんですね。その後が大事なんで、そう言いながらも、「国の重大なる組織を決めますときに、政府一存で、たとえば政令で決めるのがよいか、あるいは国会の議を経て法律で決めるのがよいかを云々する妥当論になりますと、おのずから問題が変わってくる」といたしまして、「現在考えております方針は、行政に関しますいろいろな事項として重立ったことはそれが政令で書けるような種類のことであっても法律で書こうという希望を持っております。」この答弁と、そして本当に国会を国権の最高機関とすべしという憲法の趣旨にのっとった参議院での修正ですね、これはやっぱり国会の立法政策に対する一つの意思であり、一つの憲法解釈だと思うのです。齋藤長官の先ほど引用した発言は、本当にこの金森さんの、いや前段の問題、真に言いたいことは、理論的にはこれは法律事項でなくても、憲法の趣旨を体して本当にその趣旨にのっとって行政組織を考えるならば、これは法律事項にすべきだ、そこに真意があるのです。齋藤さんの答弁は、この国会政府答弁をすりかえるものだし、これは変えてしまったんじゃないかと思うのですが、私はこれはむしろ撤回すべきじゃなかろうかと思うのです。いかがですか。
  115. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) 私は衆議院の行革特別委員会において御答弁を申し上げましたが、それは現在の憲法の解釈について、金森さんが、省庁の設置等については、当然法律でやろう、しかしながら、官庁の内部における補助組織というものは、必ずしも法律をもってしなければならないという当然の結論は起こらないであろう、こういう趣旨で私は答えておるわけでございます。しかしながら、あの当時、昭和二十三年でございますか、この当時は御承知のように新しい憲法ができたばかりでございますし、行政組織に対する政党政治というものと申しますか、議院内閣制というものは、まだ十分成熟もしておりませんでしたから、その当時においては旧憲法下における行政組織の規制の問題に対する反省等もあって、こういう解釈であってもやはり立法政策の問題として法律で規制をするということは、その当時はその当時としてりっぱな理屈、理由があったと私は思います。  しかしながら、その後もう数十年たちまして、三十何年たちまして議院内閣制というものが成熟してまいりましたし、そしてまた、そういうことによって行政組織に対する国会のコントロールというものも非常に強くなってまいってきておりますし、また一方、政府においても行政組織の規制に対する管理能力というものも強くなってきた、こういうふうなこともあり、また一面、御承知のように、行政需要の変化に対応して機動的にやっていくべきではないか、こういう考えも強くなってまいりましたので、この際、そういう立法政策の上においてあの当時は法律ということでありましたが、政令に御委任を願いたい、こういうことで今回の法律ができている、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。立法政策の問題である、私はそのとおり理解をいたしております。
  116. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 それじゃ、時間が来ましたので。ただ、いま言った国会のコントロール云々につきましては反論がありますが、時間が来たので次の質問者に譲りたいと思います。
  117. 田中正巳

    委員長田中正巳君) 次に、伊藤郁男君。
  118. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 まず総理に、私は統計局の分割、それから附属機関化の問題についてお伺いをしたいわけですが、この問題につきましては衆議院の行革委員会におきましてわが党の議員がもうしばしば取り上げてきているわけですが、いまの疑問点が解けないわけでございます。  そこで総理行革の基本理念は、機構その他を統合、再編成いたしまして、そして合理化を図って行政の効率を高める、こういうことではないかと思うのですが、ところが統計局の二分割案ですね、一つのものを二つにばらばらにする、これは統合、再編ではなくてばらばら事件ではないか。まあ時間がありませんので結論的な言い方で恐縮でございますけれども、総理の言う行革の理念とは全く反した方向ではないか、こういうように思うわけです。行革を言うならば、私はまず各省庁ばらばらに行われている統計業務、これを改革するのが筋ではないか、こう思うわけであります。  私は、統計局の現場も実は見てきたわけです。現在の統計局は非常に合理化が進んでいるわけですね、各省庁の中で一番先に電算機を導入したわけですから。これは昭和三十六年ですから。そして、昭和三十五年の国勢調査時点においては職員は臨時も含めまして約三千名いたわけです。ところが、今日は急速に合理化が進みまして、いまでは千九百人ですから、しかもこの人員で従来以上の業務を消化し、かつ結果の発表については数倍のスピードでこなすことができる、こういう形になっているわけです。まさしく統計局は私は行革の先駆をなした、こういうように評価してもいいと思うのです。しかもそれは、この二十年間にわたるたゆまぬ職員の努力かつ企画部門と集計部門との連携によってなし遂げ得たものだと、こういうように思うわけです。そして、いまきわめて近代的な理想的な職場になっている、こういうように思います。  たとえば、統計局の現状とほかの省のを比べてみますと、農林省の場合は統計情報事務所が九千百七十六人でやっているわけですから、これは一目瞭然ではないか、こう思います。私は、なお次に統計局がなぜ総務庁でなければならないのか、いまだにそれがわからないのでありまして、これは臨調の答申にも、橋本試案にもなかったわけですね、実は。むしろ橋本試案は総理府の内部部局として一本化されたという案であったわけですね。これが変形をいたしまして、結局総務庁へ持ってきたために内部部局とこの附属機関とに分割せざるを得なくなった、こういうように思うわけです。  総理、御存じだと思いますけれども、統計一連の流れ作業で行われるわけですね。統計調査というのは調査の企画、それから調査票の設計、地方への委託、そして現地における調査、これが統計局に吸い上げられてきまして、そして集計、分析、公表と、こういう一連の流れ作業で完成されるわけですね。特に今日のように電算機の時代におきましては、調査票等の集計部門の精密な技術をもって設計が行われる、こういうことになっておるわけですね。そして、この段階においては調査部と製表部との共同作業、これは不可欠のものなんです。  ところが、今回の案によりますと、調査と製表を分断する、切り離すと。これは近代的な職場機能を破壊するものであり、現状を無視するものだ、こういうように思うのですが、この法案が通ったと仮定いたしまして、来年の七月の政令段階までは余裕があるわけですから、総理、この辺はひとつ再考は願えないものだろうか。これが質問の第一点でございます。
  119. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) 今回総務庁の設置に当たりまして、総理府の組織機能と行政管理庁の組織機能というものを一体的に把握いたしまして、内閣全体としての総合調整機能を強化し、その活性化を図ろう、こういうことで総務庁設置ということに相なったわけでございます。そういうふうな総合調整、内閣全体としての総合調整の機能強化ということになってまいりますと、特に統計においてその重要性は非常なものでございますので、統計局もその対象といたしたわけでございます。  そこで、新統計局は、もうすでに御承知のように、行政管理庁が行っておりまする各省の統計調査の総合調整、それと旧統計局が行っておりまする仕事というのは国政の基幹的な統計、労働力調査、国勢調査、そういうふうな基幹的な統計を行っておるわけでございまして、国政の基幹的なものであると考えております。そういうふうなことで、総合調整機能と統計の基幹的中枢的機能というものを一緒に所管をして、統計の重要性という要請にこたえていくということが必要であると考えられましたので、新統計局というものになったわけでございます。  それで、その新統計局の立案に当たりましては、政府部内において本当に慎重に検討いたしたわけでございます。いま先生がお述べになりましたようなことも十分頭に入れたわけでございますが、この際やはり国勢調査等の基幹的な統計の企画と製表という作業部門を分けていくことが適当であろう、これは慎重に考えた結果そういう結論を出したわけでございます。  しかしながら、さればといって国勢調査とか、労働力の調査等を行うに当たりまして、やはり製表部門と企画部門とが緊密な連絡をとっていくということは、これはもう非常に大事な、お述べになりましたとおりに本当に大事なことでございますから、新統計局と製表部門だけを専門的に管理する組織とは緊密な連絡をとりながら、所期の目的を達成していくというふうにしなくちゃならぬであろうと、かように考えておるわけでございます。これはまあ慎重な検討の上でかような結論を出した次第でございますので、御理解を賜りたいと考えておる次第でございます。
  120. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 長官の御意見、お話はわからないわけではないわけです。しかし、私が心配するのは、統計業務というのはわれわれ素人が考えているほど単純なものではないと思うのですね。特に統計主幹、要するに統計の素人が総合調整をやろうと思っても、私はそれはできるものではないと思うのですよ。そこに心配の第一点がある。そこで、私も時間がありませんので結論的な乱暴な言い方になりますけれども、私は今回の統計局の分断は確実に統計行政を阻害するものだと思う。阻害するだろうと思う。  そこで、時間がありませんので具体的に提案したいのですが、長官の御意見は十分にわかるとして、百歩譲りまして、この統計主幹を官房に移し、そして総理統計局はいまの形で運営していく、こうしたらどうだろうか、こういうように私は提案をしたいわけです。そして、来年七月の政令段階でそのような方向を検討材料の一つとしてお考えをいただけないだろうかと、こういうことでございますが、御意見をお伺いしたいと思います。
  121. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) 新統計局の設置についての立案に当たりましては、いまお述べになりましたようなことも十分検討いたしたのです。検討いたしました。しかしながら、そういうことによって統計の重要性に対する要請というものにこたえるゆえんではない、否むしろ統計の総合調整と基幹的な統計の基幹部門を一緒にして統計部門、統計行政を強化するということが適当である、こういう結論になったわけでございまして、先生のおっしゃることも十分私ども考えたのです。慎重に検討いたしました。しかしその結果、やはり統計の機能を総合調整機能と中枢的な機能を一緒にする方がむしろ統計の強化につながるのではないか、こういう結論を出したわけでございますから、その点はどうか御理解を賜りたいと、かように考えておる次第でございます。
  122. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 まあ私が結論的に申し上げましたけれども、たとえば統計行政に支障が今後生じてきたというときに一体だれが責任をとるのだろうか、そこまで物を発展さしていかなければならぬような問題だと思います。  そこで、この問題に関する質問の最後ですが、統計行政の一元化を図るための構想があると聞いているわけでございますけれども、あるとすれば、その内容についてお伺いをしたいわけです。 たとえば、今回の統計センターの設置が、将来の統計庁構想につながるものであるのかどうだろうか、この点端的にお伺いをしたい。
  123. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) 統計の製表部門の施設は、国勢調査等の製表を行うほかに、各省から委託を受けてやっているものも現実にあるわけでございます。しかし、それによってすべて内閣全体の各省の統計全体をまとめていく中央的なものにするということはいまのところ考えておりません。現在のままで統合していこうということにすぎないということをお考えいただきたいと思います。
  124. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 それで次にお伺いをしたいのですが、自治大臣、これは自治省、私は地方公務員給与の問題でお伺いをしたいのですが、自治省は一昨年の十一月に、ラスパイレス指数が一一五を超える堺市を初め百五十三の市町村に対しまして高級与是正計画を提出させまして、その後、この計画に沿って給与水準を引き下げるよう再三にわたって個別指導をしてきた、これを承知しているわけですが、結果はどうなのかということでございます。これは簡単にお伺いします。
  125. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 当該団体につきまして、自治省の方では非常に強力に指導しておりますけれども、一部の団体におきましては五十七年度にベースアップが実施されなかったこと、そのことを前提として計画をつくっておりましたので、計画が実施されていないところもございます。しかし、私たちの方では当該団体につきましても、それらの団体につきましても是正計画に従って改善していくように現在指導しているところでございます。
  126. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 この結果を見ますと、大臣、百五十三市町村のうち三十七の市町村は計画に全く手をつけなかった、こういう結果が出ていますね。そしてまた、百五十三市町村の大半は計画の実行が全般的におくれている、こういう結果なんです。是正計画というのは、これは自治省が指導をしているのは、五十七年から五十九年の三年間で国家公務員並みにしよう、すると、これが各百五十三市町村の計画になっているわけですが、この現状から推移いたしますと、もう五十八年終わりになるわけですから、五十九年度に国公並みにするというのは絶望的な状況ではないかと思うのです。そういう状況を踏まえまして、こういう地方公務員の高給与是正の問題について何か思い切った手を打つつもりなのか、それがありましたらお伺いをしたい。  また、関連をいたしまして、大蔵省はこれら市町村に対しまして地方財政対策費を削減するという考えがあるのかどうか、この点をお伺いをしたい。
  127. 山本幸雄

    国務大臣(山本幸雄君) 地方公務員の給与その他勤務条件というものにつきましては、最近とみに住民の批判といいますか納税者の批判というものが強くなってきておるという現状の中で、私どもの方は従来からそういう給与を中心としていろいろな指導をしてきたわけでございます。しかし、まだ不十分の点が多々あると考えておりまして、今後一層給与を初め勤務条件全般にわたりまして指導をしていきたい、地方自治体もこういう行政改革、あるいは地方財政の非常に厳しい現状を踏まえて善処を求めていかなければならない、こう思っておるところでございます。
  128. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 御指摘のとおり、地方公共団体のうちには国の基準を超える不適切な給与、退職手当を支給している団体があるようでありますが、これらの団体に対しましての是正措置ということは、いま自治大臣からお話がありました。そういう措置に対して、私どもの立場から申しますならば期待をしておるというお答えにとどまるのではなかろうかと思います。
  129. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 地方自治体の給与水準の高さが批判されているというのは、わたりとかあるいは諸手当、こういうものを条例によらずに規則で定めているところに問題があるわけですね。これは地方公務員法二十四条、二十五条違反ですね。要するに、いわゆるやみ手当なんですよ。だからやみ手当だからこれは公表されない、こういうことになるわけですね。したがって、このやみ手当を含めた地方公務員の給与水準というものは、国家公務員と比べていまさまざま公表されているものよりもっと広がっていると思うのです。それがなお二年間にわたる指導の中で是正されていない。これにはやはり思い切った何らか別の手が打たれなければこれはできないのではないか。  そこでわが党が、けさの新聞でも見たと思うのですが、新たなる立法措置を必要とするのではないかという政策も発表しているわけですが、これについてどのような御所見をお持ちか、自治大臣のお考えをお伺いしたい。
  130. 山本幸雄

    国務大臣(山本幸雄君) 給与を初め、勤務条件は条例で定めなければならないということになっているのは御指摘のとおりであります。条例で決めれば一応住民に対しても公表といいますか、わかる仕組みになる。しかし、いまのように規則でやる場合はなかなかわからないということもございます。したがいまして私どもは、勤務条件についてはやはり法律どおり条例で定め、そしてもちろん公表して住民に十分に周知をしていただく、納税者が心地よくそういう状態を認めていただくような勤務条件、給与にしていただかなければならない、こう思っておるのでございます。
  131. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 この点についてはよくまだはっきりした方針が伺えないので残念ですけれども、しかしこれが国民的な関心の的であるということは十分御承知だと思いますので、さらに一層この点について鋭意指導を強化していただきたい。これを要望しておきます。  そこで、次に通産大臣にお伺いをしたいのですが、最近の設備投資、非常に私は停滞していると思うのです。これがどのような問題を派生さしているかということはもう大臣御承知のところと思うのです。産業活力の低下、そして設備の老朽化、陳腐化が進んでいる。しかも、今日のように技術革新が急速に進展していく過程の中で、今後ますますこういう設備の陳腐化が進んでいくのではないか、こう思うのですが、それが産業の活力の低下につながっていってはいけないと、こう思っているわけです。  そこで、わが党の井上議員が提起をいたしました設備の法定耐用年数の短縮の問題について所見をお伺いをしていきたいと思うのです。  たとえば印刷機械の例ですが、これの業界は特に技術革新が激しいわけですけれども、現実の耐用年数は七年くらいですね。ところが法定耐用年数は十一年ですね。だから昭和四十年以来全面的な改定が行われていない法定耐用年数について、この際やはり見直すべきではないか、これは私どもの考え方である。西欧の例などは特に最近は耐用年数を物すごく短縮して産業の活性化というものを図っているわけですね。だからいまのような状況でいきますと国際競争力の面でも問題が生じてくるのではないかと思いますので、その点について真剣にこの点を受けとめていただきまして御検討いただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  132. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 耐用年数の問題に関しましては確かにいま申されましたような実態と、そして耐用年数という数字との間の乖離が出ておる問題もあろうと思います。だから私は、個々の問題としてこれは十分考えていくべきではなかろうか、こう考えております。ただし、現在の問題としては一律にやれという話もあったのですが、これはちょっと根幹に触れる問題でございますから、たとえば印刷機械はどうなっておるのだというふうなことになれば業界の実態を調べて、そして極力耐用年数と、そして機械の寿命と経済性、こうしたものが客観的に一致することを求めるのが私大切なことではないかと考えております。  現在といたしましては、そうした個々の問題は別として、とにかく設備投資というものが今後も産業の活性化を図る上で大切でございますから、いままでもいろいろと特別償却制度なりあるいは税額控除なりの選択制をやってきましたが、そうした個々の問題に関しましては今後も長中期にわたりまして考えなくちゃならない問題があろうかと思います。
  133. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 この問題につきまして、これは大蔵省サイドでしょうけれども、税収減を理由にして消極的な考え方のようでございますけれども、大蔵大臣、これは一時的には税収が減っても、私は長期的に見れば税収増につながるものだと思うのです。したがって、この耐用年数の短縮について消極的な考え方で対処する必要はないと思うのですが、大蔵省の、大臣のお考えをこれに関連してお伺いしておきたいと思います。
  134. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) これは伊藤委員かねて御存じのとおりのことでございますが、いわゆる法定耐用年数は資産の物理的寿命に経済的陳腐化を加味して客観的に決められておる。がしかし、いま御指摘もございましたように、技術の進歩というものが陳腐化というものを客観的に早めていく、こういうことは確かにあろうと思うのであります。が、本来税調の答申にもございますように、いわゆる耐用年数の考え方というものに、これを景気回復といった政策的観点から見た短縮というのはなじまないではないか、こういう御答申をいただいておるわけであります。そして、いまおっしゃいました耐用年数の短縮が景気回復を通じて増収につながるとの御意見でございますが、その場合、御意見は当然のこととしまして、耐用年数の短縮によって設備投資意欲が出てきて、それが促進されるということでございましょう。  が、元来設備投資を左右する主たる要因ということになりますと、受注見通しとかあるいは収益見通しとかということでございますので、耐用年数の短縮が即景気回復、そして、それから来る増収につながっていくというのは感覚的には理解できる話でございますが、現実問題として、そういうものに対する保証と申しますか、そういうことはないと言わざるを得ぬではないか。したがいまして、私、伊藤さんのかねての御持論でもある、おっしゃっている意味は理解の上でございますが、いま感覚的にそういうことがあり得ても、現実問題としてそれを税制の中に入れていくというのは、直ちに客観的情勢が整っておるとは言えないではないかというふうに考えます。
  135. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 この問題は産業界の活性化を図る意味できわめて重要な課題だと思うのです。したがいまして、いまのような大臣の御答弁ではなしに、もっと積極的に対処していただきますことを要求しておきます。  それから、これは厚生大臣にお伺いをするのですが、国民年金の保険料の納付方法ですけれども、発足当初は一人一人の年金手帳に印紙を張りつけるということであったのですが、証紙を張りつけるということですが、いまは市町村から一括して社会保険事務所に納める。しかし、納付方法は依然として印紙を張って納めているわけですね。 しかも、この十円から五万円までの印紙を何万もの台紙に一々張りつけながらやっておる。この作業をやっている現場からいけば、何てこんなばかげたことをいつまでもやっているのだろう、こういうことなんですよね。  いまはもう銀行から銀行へ何億円でも一枚の紙で送付できる、ミスも少ない、こういう現代で一一十円から五万円までの印紙を張りつけている、こういうやり方は余りにも不合理ではないか、まさにこの辺のところは行革の基本精神に従って合理化すべきではないか、こう思うのですが、その点のお考えをお聞きをします。
  136. 林義郎

    国務大臣(林義郎君) 伊藤委員御指摘のように、印紙を張ってやっているというのは大変不合理な手間のかかる話だろうと私も思うわけでございまして、先生御指摘のように、制度発足当時は金額も少なかったし、まだその当時は印紙というものもいろいろ普及をしておったのだろうと思いますが、その後いろいろな御指摘もありまして、昭和四十六年に被保険者が市町村に納付する方法を現金によることにして簡素化を図ってきたのであります。  御指摘のように、市町村と社会保険事務所との間の印紙の廃止につきましてはこれからやっていかなければならない問題だと思いますし、ただ会計上の事務取り扱い等種々の問題があることもお考えいただきたいと思うわけであります。  いずれにいたしましても、近く年金制度の大幅改定を考えておりますので、この仕組みにつきましてもひとつ先生の御指摘のような方向で前向きに検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
  137. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 最後になりますが、私は先ほどの行管庁の御答弁に必ずしも満足しているわけではありません。総理にその辺のところをお伺いをしたかったわけですが、外交日程その他さまざまありまして大分お疲れのようでございますし、そういうことで質問を遠慮しておったわけですが、私は、統計局の分割案につきましてはさらに再考をしていただきたいし、日本統計、これは世界に冠たる統計事務を今日まで築いてきたわけですから、そういう立場から今回の分割案についてはどうしてもまだ納得できるものはありません。したがって、七月まで猶予があるわけですから、そういう段階で私どもの意見を十分に反映できるようにお考えをいただきますことを要求をいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  138. 田中正巳

    委員長田中正巳君) 次に、前島英三郎君。
  139. 前島英三郎

    前島英三郎君 時間が短いので、十五分でございますからすぐ本題に入りたいと思います。  総理府と行政管理庁の組織改革に伴いまして障害者対策関係のものも影響を苦干受けるようでございます。障害者対策推進本部並びにその担当室は新総理府の方に属することになるようなんですけれども、現在は長期行動計画を踏まえまして、総理大臣が推進本部長、それから総務長官並びに厚生大臣が副本部長、こういう形になっているわけなんですけれども、しかし現在の副本部長の一人の総務長官のポストが閣僚でなくなるということでございますが、その後の手当てについてはいまだはっきりしない、線が出ていないようでございます。  一方、現在総理府に設置されております中央心身障害者対策協議会は厚生省に移される、このようにも聞いております。これは一九八一年の国際障害者年をきっかけとして、大変立ちおくれている障害者対策を世界的に推進していこうという形の中で、なるべく関係十四省庁の一つのアンテナを総理府に立ててという一つのテーマから考えますと、いろんな意味でも今後引き続き総理大臣が任命をしていくような形になるだろうと思うのですが、推進本部にせよ中心協にしましても障害者対策を、省庁の壁を越えまして内閣全体、政府全体が総合的に推進するという趣旨から設けられたことを思い起こすときに、たとえば、今回の改革案ではその趣旨から後退するおそれなきにしもあらずと、こんな危惧を私は抱くわけですけれども、まず総理にこれらの点につきましての、総理府の副本部長から新しいポストにどのような形になっているか、また長期行動計画に対する、いままでと変わらない一つのお気持ちがあるかどうかも含めまして総理に伺いたいと思います。
  140. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 障害者対策に関しまするわれわれの熱意は変わりません。われわれは、私らの身分そのほかはそのままそっくり本部長とし、あるいは副本部長等々として残っておるのでございまして、そのいままでのポジション、置きどころが変わったからといって政策の実態や内容は変わっていくというものではございません。
  141. 前島英三郎

    前島英三郎君 時間がありませんので。何か厚生大臣及び腰ですが、総務長官御意見ありますか。
  142. 丹羽兵助

    国務大臣(丹羽兵助君) お答えさしていただきます。  先生に大変御心配をいただいておるようでございますが、ただいま総理からもはっきり御答弁なさいましたように、障害者対策推進本部は昭和五十七年三月二十六日の閣議決定により設置されたものでございまして、今回の改正により廃止されるものではございません。また、現在内閣総理大臣官房において処理されている推進本部の庶務についても総理府で処理することといたしておりまして、障害者対策については従来どおり、より以上に推進してまいる考えでございます。御安心いただきたいと思います。
  143. 前島英三郎

    前島英三郎君 どうもありがとうございました。  行財政改革、確かにそれは急務だというのはわかるのですけれども、私は、長期的な展望に立ちますと非常に着ぶくれしている部分はあろうかと思うのですが、しかし一枚で非常にかぜを引きそうな部分も大変あるようにも思うのですね。ですから、四枚着ているところは二枚ぐらいはいでいただいて、かぜを引きそうなところへ一枚を着せていただくのが本当の行財政改革ではないかというような気がするのですが、一律にいろんな弱い部分にさあ一枚みんな脱ぎなさいになりますと、長期的にはかぜを引いて大変薬代もかかっていってしまうという逆効果にもなりはしないかというような、こういう気持ちを持っているのですけれども、今後も中曽根内閣は行財政改革を大きな柱としておりますから、いろんな形の改革の案も出てこようと思うのですけれども、その辺はいかがでございましょうか。
  144. 丹羽兵助

    国務大臣(丹羽兵助君) お答えさしていただきます。  前島先生は特に身体障害者のことについて御熱心に心配しておっていただきますから、ただいま御質問がございました今後の中央身障者対策協議会等の運営等についても、これはもう大変な御心配なことでございますから、はっきりここで申し上げておきたいと思いますが、今回移管を行う審議会等については、その所管事務を現行どおりいたしまして、特に物の基本的な考え方でございますけれども、内閣総理大臣または関係各大臣の諮問制あるいは意見具申制及び内閣総理大臣委員任命制についても従来と同様とすることとし、移管対象審議会等の設置目的、機能が損なわれないよう配慮をしたところでございまして、御指摘の、はっきり言ってはおられませんけれども、中央心身障害者対策協議会についても以上の措置を講じてまいり、今後とも決してこの身障者の方々にさびしい思いを抱かせるようなことのないように、先生から御指摘のように十分注意してまいりたいと考えております。
  145. 前島英三郎

    前島英三郎君 若干質問と食い違いがありますけれども、そういう意味で、つまり一枚着せることによって長期的には大変障害者の自立活力というものが生まれてくるというものが一つの所得保障制度だろうと思うのです。そこで、その障害者の生活安定のための施策の中で、九月二十二日の予算委員会におきましてもいろいろ伺ったわけでございますけれども、それを繰り返すつもりはありませんが、あの後十月の二十六日、厚生大臣は障害者の代表と直接会いまして、大変力強く激励していただいたということを伺いました。大変前向きの御発言をなさっておられたということを伺いまして、その姿勢に対して評価するものでございますけれども、そのお気持ちに変わりがないかどうか、この場でまた改めてお伺いしまして、非常に期待を持っている一つの所得保障制度の問題ですので、お答えいただければと思います。
  146. 林義郎

    国務大臣(林義郎君) 前島先生御指摘のように、十月に身体障害者の代表の方とお会いいたしまして、いろんなお話を申し上げましたが、障害者対策の基本的目標は、障害者が障害に伴うさまざまなハンディキャップを克服し、自立した社会人として健常者と平等に社会参加することを容易ならしめることであると思います。そのためには、社会全体が連帯して障害者の生活を保障していくことが必要であり、特に障害者の所得保障制度の確立は重要な課題であると考えておりますし、本年七月の障害者生活保障問題専門家会議の御報告の趣旨を踏まえて鋭意努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。  先般お話がありましたときにもいろいろと事務的にお話があり、財政的な問題その他の問題、事務的にいろいろ御議論があったところでありまして、その辺を障害者の方々が一生懸命そのお話をしていただきまして、私も胸打たれるような思いがしたところでございまして、そういった方にこたえても、私も一生懸命やらせていただくつもりでございます。
  147. 前島英三郎

    前島英三郎君 そのときの大臣の言葉が、彼らは非常に胸に感動で迎えております。それは、そういういい制度ができても、制度ができたときに死んじゃったのじゃ元も子もないよ、がんばれよと励ました言葉が、彼らは本当に涙を流さんばかりに大変感銘を受けておりますので、ぜひひとつお力添えをいただきたいと思います。  そこで、やはり財布元になるのですが、大蔵大臣に伺いますけれども、同じ障害者の代表団に今月の十二日に会っていただきまして、あのように直接障害者の声に耳を傾けていただいたことに深く感謝しております。その際、大蔵大臣も大変深い御理解を示していただきましたけれども、いまもそのお気持ちに変わりはないと思うのですが、せっかくの機会ですから、改めて、障害者自身の声をお聞きになりまして、この所得保障に対する御感想も踏まえて今後の見通しなどまた語っていただけるものなら伺いたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  148. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 前島委員のごあっせんでお会いをさせていただいたことは、私にとっても大変ありがたい機会であったと思っております。所得保障制度全般の見直しを図るべきとの報告が出されておりますし、財政当局の見方からいたしますならば、年金制度改革とも関連するものでございますから、その一環として厚生省で検討が行われて、その上で私どもは財政当局として対応するという筋道になろうかと思います。しかし、私がその際も前島委員に申し上げましたように、私も政治家としてお手伝いをさしていただきたい、このようにいまでも考えております。
  149. 前島英三郎

    前島英三郎君 非常に財政厳しい折ですから、その財源につきましていろいろ討論が出てくるだろうと思うのですけれども、現行制度の財源を活用するというその社会連帯に基づく方途を考慮することによって、この所得保障制度は何ら新たな負担を国民が負うことなく私はできるような気がいたします。そういう意味でも、ぜひとも今後もその推進にお力をかしていただきたいこと。生まれながらに重度の障害を持つ人たちが働きたくても働けないという中でやはり親にすがらざるを得ない、兄弟に生涯をすがらざるを得ない、親もこの子よりも先に死ねないという感覚の中で生涯を犠牲にする姿を見ますと、この人たちもまた国民皆年金の中の一員でただ苦しむだけという状況考えますと、ぜひひとつ前向きのお力添えをいただきたいと思います。  そこで、この一点だけちょっと厚生大臣にお尋ねしておきたいのですが、一応の時間的なめども含めまして実現に向ける見通しみたいなものがいま語られるものかどうか、その辺はいかがでございましょう。
  150. 林義郎

    国務大臣(林義郎君) お答え申し上げますが、恐らく御趣旨は、すでに幼年期から障害者に給付しているところの障害福祉年金を今度の新しい年金の中で一般的な年金に組み込むようにと、こういうふうなお話で、それはどうか、こういうふうなことだろうと思いますが、私たちは、いま年金で考えておりますのは、社会連帯の思想の中で基礎的な年金というものをつくっていこう、社会連帯の精神でございますから、そこには当然身体障害者の方もいろいろと含めて考えていかなければならないではないかという問題意識を持ちまして、現在、鋭意検討しているところでございますし、これは長年の課題でございましたから、ぜひともそういった方向で解決をいたしたい、こういうふうに思っているところでございます。年金改革の一環ということになりますので、現在、公的年金制度の改革としていろんなことをやっております。  特に、国民年金、厚生年金保険及び船員保険制度を通ずる制度改正案というものを次の通常国会にはぜひお願いをしたい、こういうふうに考えておりますので、その案の中でどうしていくかということを考えていかなければならないことだろうというふうに思っているところでございます。
  151. 前島英三郎

    前島英三郎君 じゃ、最後の質問になりますけれども、きょうは青木委員のピンチヒッターでございますから……。さっき減税国債の話が出まして、国民は神様だから漏税とか脱税を前提にした戻し税みたいなことはできないのだという大蔵大臣の御発言がありましたけれども、現実には交通違反の罰則金をあらかじめ予算立てをしているという状況も一部にあることもあわせまして、いろんな知恵を出し合うことによって財政再建あるいはまた減税という施策もできるのではないかということをも最後に申し上げたいと思うのです。国民は神様ですから非礼である。非礼であると言うならば、どうも交通違反の罰金をあらかじめ六百億、七百億予算化をしている状況もちょっと非礼ではなかろうかという気持ちもあるのですが、最後にそのことを伺って私の質問を終わりたいと思います。
  152. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) これは、青木博士から本会議で、脱税ということを前提にして赤字国債を発行してそれをもって充てたらどうか、こういうことでございましたので、私もあらかじめ脱税があるであろうということを念頭に置いて考えること自体は非礼ではございますまいかと申し上げたのです。委員会では今度は、じゃ、その言葉を変えよう、漏税にしようと、こういうことでございます。漏税となれば、いまの問題はそれは若干性格は異なってくるなと思いましたが、基本的には、一時的にせよいわば赤字国債を発行して、そしてそれを漏税をもって充てるという制度そのものに対しては私も賛成ですとは言いがたい。ただ、ユニークな発想でございますねというのが私なりの精いっぱいのお答えでありました。
  153. 田中正巳

    委員長田中正巳君) 野末陳平君。
  154. 野末陳平

    ○野末陳平君 厚生大臣に年金の問題でお聞きしますけれども、臨調の答申によりますと、御存じのとおりでして、年金の改革については昭和五十八年度末に成案を得て速やかに実施ということになっておりますね。答申どおりに順調に作業が進んでいるかどうか、まず。
  155. 林義郎

    国務大臣(林義郎君) 年金制度の全体の改革ということになりますといろいろな問題がございまして、きょう参議院で可決をしていただきましたと思いますが、国家公務員及び専売その他のところの共済を統合するという法案がありますし、この前の国会でやっていただきました地方公務員の財政の一元化の問題ありますし、そういった中で、いま御指摘のは五十八年度ということでございますから、恐らく厚生年金と国民年金法との統合のお話だと思いますが、いま鋭意詰めておるところでございまして、社会保険審議会厚生年金部会で御答申をいただきまして、その後詰めておりまして、実は情勢がこういうことになってきてしまっておるものですから、予算編成というのも、どうもことしの暮れにはなさそうではないかなということもございますし、予算編成との絡みはそう直接にはございませんが、いろんな話し合いは順調にいま進んできておる、こういうふうに御理解をいただいていいと思います。
  156. 野末陳平

    ○野末陳平君 その順調な話し合いの中で、厚生大臣の今後の年金改革の構想について二、三お聞きしたいのですが、やはりこれはかなり先の話にはなりますけれども、公的年金の成熟段階におきましてどういう形になるであろうという、特に給付の水準の問題と、それから負担の問題ですね。  そこで、負担の方のみお聞きしたいのですけれども、公的年金がいずれ成熟段階に入ると、かなり先ですが、そのときに負担が幾らになっているかという見通しなんですが、まず厚生年金についてお伺いしますと、厚生年金の場合はいまのところ労使合計で一〇・六%になっておりまして、折半ですね。この先給付水準を抑えていくという作業いかんによって違ってきますが、いずれにしても厚生年金の保険料の負担というのはかなり上がっていく。少なくも成熟段階ではいまの二倍以上になることを覚悟しなきゃならぬじゃないかというふうに考えているのですが、この辺のめどで厚生大臣はどういうふうにお考えですか。
  157. 林義郎

    国務大臣(林義郎君) 御指摘のように、厚生年金の保険料水準は、昭和五十五年の財政再計算結果によりますと、ピーク時には三五%程度という計算が出てくるわけでありまして、特に新人口推計をやりますとこれがさらに高くなる。一四〇%近くにもなるということが考えられるわけでございまして、こうしたことは現在の給付設計を前提として推計をしたものでございます。しかし、そうした場合には将来の年金水準は現役世代とのバランスを著しく欠くものとなるから、この辺の見直しは当然にしていかなければならないと思っております。  このような給付水準の見直しを将来にわたって行いつつ、ピーク時における保険料負担が過重なものにならないように配慮しなければならないことは当然のことでございまして、実は昨年十一月に実施しました有識者調査というのがございます。厚生年金保険の負担につきましては二〇%から二五%程度までとする御意見が約七割という結果もありましたので、こうした点を参考にして進めていったらどうかというふうに考えておるところでございます。
  158. 野末陳平

    ○野末陳平君 やはりどうしても二〇から二五という数字が出てこざるを得ないと思うのですが、その場合に負担と同時に支給開始の年齢ですね、これは当然、厚生年金六十歳となっておりますが、この場合にも支給開始年齢が六十歳維持できるかどうか。それについては六十五歳にならざるを得ないというふうに考えていますが、そこら辺はどうですか。
  159. 林義郎

    国務大臣(林義郎君) 六十五歳にならなければならないというものとは私どもの方では考えておりません。というのは、先生御指摘のように、今後高齢化社会に移行していけば、もう当然に高齢化の中でお年寄りも働いていただくというような社会環境が私は醸成されてくるだろうと思います。ただ、いますぐにそういったことを考えるというのもちょっと早過ぎるのではないかという気もいたしますし、また制度の長期的安定、世代内、世代間の公平性の確保を図っていく必要ということも考えるということからいたしますと、支給開始年齢をどうしましょうかというのはやはり当然議論をしなければならない問題であることは、私は先生御指摘のとおりだと思うのです。  ただ、一つには官民格差というような問題もあるわけでございまして、そこの辺をどうしていくかということもございますし、それから一般の民間におけるところの定年制の問題ということもございます。そうした点につきましてはいろいろ考えていかなければなりませんが、やはり高齢者の雇用環境の動向というものを一番優先に考えてこの辺は総合的に取り組んでいくよりほかに方法がないだろう、こういうふうに考えておるところでございます。
  160. 野末陳平

    ○野末陳平君 年齢だけを切り離して考えることはできないと思いますけれども、ただ大臣おっしゃったように、官民格差の問題がありまして、共済の方が六十に近づくに従って今度は厚年の方も六十五になんということになりますと何の意味の改正かわからなくなる。その辺で六十歳という線を動かしてほしくないというふうに考えてお聞きしているわけですね。  それから、国民年金の方も当然保険料が上がっていくわけですね、来年の四月からもう六千円超えますけれども。これもいずれ成熟段階においてはかなりの負担にならざるを得ない。当然のことながら、計算すればだれか考えたって一万円を超える国民年金の保険料というのは覚悟しなきゃならぬじゃないか。しかし、そうされても負担できるかどうかということがありますね。国民年金の保険料についての見通しは大臣はどうですか。
  161. 林義郎

    国務大臣(林義郎君) 先生御指摘のように、一万円程度のということでございますが、実は、国民年金の保険料水準につきましては、前回の五十五年の財政再計算結果によりますと、ピーク時には昭和五十九年価格で一万八千円程度という見込みになっておるわけでありまして、新人口推計によりますと、これがさらに高くなって二万円程度と、先ほど四〇%と申しましたと同じようなことになるわけでございますが、やはりそんなところになってしまったら、これはなかなか払う方もということになりますから、給付水準の見直しを将来にわたって行いつつ、ピーク時における国民年金の保険料負担が過重なものにならないように当然に配意をしていかなければならないものだというふうに考えておるところでございます。有識者調査のところで見ますと、先生先ほどお話がありました月額一万円程度までというのが三一・七%、それから一万二千円というのが二四・九%でございますから、合計合わせまして五六%ぐらいのところになっておるのです。あと上の方、一万六千円などというのは、六・七%でそれだけの負担はとてもできないだろう、こんなふうな感じでございますから、その辺を大体考えてやっていかなければならない話ではないだろうか、こう思っておるところでございます。
  162. 野末陳平

    ○野末陳平君 かなり先のことですから、保険料幾らということを決めるのはむずかしいのですが、しかしながら、もう現在でも高いといって払えなくなるというか、払いたくないというか、そういう人がふえてきているわけですね。ですから、これをいままでのように年々上げてきたものの、今後どうなるかということを早く明らかにしていくことが、掛けている人たちの将来に対する不安をなくすことになりますので、なるべく過重にならないとか、そういう抽象的なことはもうこの年金に関しては無理じゃないかと思うのですね。その辺のことを踏まえて年金の改革案その他検討してほしいと思うのです。  それから国民年金の納付の方法の一つで、三カ月まとめますね、普通。あれもいまでも三カ月まとめることはつらいので、自治体によっては一カ月にしてくれるところもあるけれども、まずそれは例外的ですよ。そうすると、今後三カ月もまとめるやり方は無理で、一カ月が当然だと思いますので、できるだけ早くそういうふうに改めなきゃいかぬと思いますが、大臣の御所見を伺います。
  163. 林義郎

    国務大臣(林義郎君) 納付を三カ月分にしますと、相当たまりますから、これだけ払うのかという話になるのでしょうから、やっぱり一カ月、一カ月というふうにやった方がいいのかとも思います。しかし、先ほど伊藤先生からもお話がありましたように、手続的に印紙を張るとかなんとかというふな話がありましたり、やっぱりその辺の問題をいろいろ解決をしていかなければならない問題は御指摘のようにたくさんあると思います。これは事務的にそれがよくできるかどうか、しかも事務的にできるだけ簡素簡便で払いやすいということが私は基本原則だろうと思いますので、そういった方向でいろんな点の改善は図っていくべきものだと考えておるところでございます。
  164. 野末陳平

    ○野末陳平君 国民年金は厚生年金と違いまして自主的に払わなきゃなりませんので、結論は払う人が便利なようにというか、払いやすいことを第一に考えてほしい、それに手続を合わせる方がむしろ当然じゃないかと、こう思うわけですね。  そこで、この負担の引き上げがいずれ現実のものになるのでしょうが、同時に国庫負担の方も当てにしなきゃなりませんからね、給付時の。ですから、そうすると、いまのいわゆる加入者の保険料の引き上げと同時に、さて今後租税負担率の方をいまの二四%ぐらいで抑えたまま年金改革の構想が成り立つかどうかということもまた心配になるのですけれども、いかがでしょうか。給付の引き下げと負担の引き上げ、このバランスだけで今後の年金改革が成り立つかどうか。端的に言えば、いまの租税負担率二四%ぐらいに抑えたままで将来の計算ができるか、安定的運用の、年金制度の。その辺が気がかりですが、大臣はどうでしょうか。
  165. 林義郎

    国務大臣(林義郎君) 租税負担率二四%というのも、大蔵大臣おられませんが、私の所管ではございませんが、一般の租税をどう負担するか、こういうふうな話でございますし、おっしゃるところは、その中に国民年金の負担部分も入っておるではないか、そうすると社会保険料負担ということになりましても社会保険料負担は別のことだ、こういうことになるので、その辺が果たしてやれるかと、こういうことでございますが、これはこれからの経済動向の推移その他をいろいろと見ていかなければ、その辺までの細かいところに入っていくまでの議論というのは、私はなかなかできないのではないかと思っているのです。  ただ、将来的な構想といたしまして私たち考えなければなりませんのは、社会保険料と租税負担とを含めまして五〇%を相当下回るところに持っていくという、この前の、五〇%を下回るようなところ、四〇%から四五%とおっしゃった瀬島さんのお話がございましたが、ああいったところへ持っていくというのが一つの目安ではないだろうかなと。しかし、その中で社会保険料負担というものをどのぐらいにしていくか、あるいは租税負担をどのぐらいにしていくかという問題は、将来問題としては、私はいろいろと議論をしていくべき話だろうと思っております。  ただ、もう一つ申し上げますなれば、年金の方はある程度まで可能でございます。一応推測ができるかもしれませんが、医療の方の社会保険負担というのがこれがどうなるかというのが、非常に正直なことを申しましてむずかしいところで、私は、これが非常に上がってくるのではないかということを実は非常に心配をしてやっておるところであることを、若干蛇足になりましたけれども申し上げさしていただきたいと思います。
  166. 野末陳平

    ○野末陳平君 おっしゃるとおりで、実は、医療の方が重要かもしれませんが、年金は少なくもある程度予測がつく、それと同時に、いま年金の将来がどうなるか、掛けているけれども大丈夫かという国民的不安といいますか、それが広がっていますので、その辺を早く明らかにすることが大事だと思っているわけです。医療についてはまた別の機会に質問さしてもらいますけれども、先ほど言いましたように、いま国民が一番不安に思っているのは、将来の高齢化社会において自分たちの生活が安定するかどうかということですから、その中でも年金というのは非常に大きな柱になってきているようです。ですから、厚生年金、国民年金を問わず、いま不安を抱いているそれを早く安心させるようなよりよい年金改革案を出してほしいと、そういうことでお願いしておきますから、よろしく。
  167. 田中正巳

    委員長田中正巳君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後七時二十七分散会