運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1983-09-28 第100回国会 参議院 環境特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年九月二十八日(水曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  九月二十二日     辞任         補欠選任      野末 陳平君     宇都宮徳馬君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         穐山  篤君     理 事                 山東 昭子君                 原 文兵衛君                 丸谷 金保君                 飯田 忠雄君     委 員                 石本  茂君                 河本嘉久蔵君                 竹山  裕君                 星  長治君                 矢野俊比古君                 柳川 覺治君                 吉川  博君                 秋山 長造君                 片山 甚市君                 近藤 忠孝君                 中村 鋭一君                 美濃部亮吉君    政府委員        環境庁長官官房        長        加藤 陸美君        環境庁水質保全        局長       佐竹 五六君    事務局側        常任委員会専門        員        桐澤  猛君    説明員        厚生省環境衛生        局水道環境部水        道整備課長    森下 忠幸君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○公害及び環境保全対策樹立に関する調査  (派遣委員報告)  (地下水汚染実態調査に関する件)     ─────────────
  2. 穐山篤

    委員長穐山篤君) ただいまから環境特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る二十二日、野末陳平君が委員を辞任され、その補欠として宇都宮徳馬君が選任されました。     ─────────────
  3. 穐山篤

    委員長穐山篤君) 公害及び環境保全対策樹立に関する調査を議題といたします。  まず、先般当委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員報告を聴取いたします。山東昭子君。
  4. 山東昭子

    山東昭子君 委員派遣報告を申し上げます。  穐山委員長丸谷理事飯田理事竹山委員近藤委員及び私山東の六名で、八月三十日から九月二日までの四日間、北海道札幌苫小牧、網走、釧路各地において環境行政概況説明の聴取並びに自然環境保全状況の視察をしたほか、自然保護団体との懇談を行ってまいりました。  以下、今回の調査事項等に対する現地説明などをもとにその概要報告いたします。  第一は、北海道環境影響評価条例実施状況についてであります。  本条例昭和五十四年一月に施行され、大規模開発事業に伴う環境への影響を事前に予測、評価し、適切な環境保全を図るための手続を定めたものであり、現在までに道路、ダム、飛行場の建設や原子力発電を含む電源の開発等環境影響評価を実施するとともに、苫小牧東部地区規模工業基地及び石狩湾新港地域環境保全上の観点から特定地域として指定し、また、当該地域において行われる個別の事業などを合わせて現在までに三十一件の環境影響評価が実施されております。  第二に、道内生活雑排水対策について申し上げます。  北海道においても、一般家庭から排出される生活雑排水による水質汚濁及びこれに伴う水辺の悪化が見られ、速やかに水質改善を必要とする水域関係市町村に対し、それぞれの地域の実情に即した処理施設などの導入についての指導、沈でん槽設置排水路清掃などが行われています。  また、富栄養化による水質汚濁を未然に防止するため、昭和五十五年三月には燐を含む合成洗剤対策推進要綱制定、同年四月から燐を含む合成洗剤使用抑制措置が講じられています。また、道内でのこの種の合成洗剤出荷量は、昭和五十五年五月には洗剤全体の八八%を占めていたが、五十七年十二月には三四%と低下しております。  第三に、北海道管内市町村における排水規制上乗せ状況について申し上げます。  工場等水質汚濁防止法に定める一律の排水基準を遵守してもなお環境基準を維持達成することが困難な水域について、北海道条例でいわゆる上乗せ排水基準が設けられており、現在石狩川など四十九水域において上乗せが実施されています。  なお、道庁から、湖沼水質保全特別措置法早期制定等項目についての要望がありました。  次に、札幌市におけるスパイクタイヤによる被害対応策について申し上げます。  札幌市では昭和五十二、三年ごろからスパイクタイヤによる被害が問題化し、一冬の道路の摩耗が三、四センチに達することもあり、道路清掃に要した経費は一億七千万円、うちアスファルト粉によるものが約七割と推定されています。  かかる現況への対応策として、夏タイヤへの早期履きかえの呼びかけ、春期における啓蒙ポスターの作成と市民へのPR、耐摩耗舗装材の研究、道路清掃回数の増加、スパイクタイヤ使用期間の制限、四月二十日から十一月二十日、を行うこととしています。  なお、五十八年四月調査スパイクタイヤ着装率は一・三%で、昨年同月の一三・七%に比し大幅な減少を示しています。  次に、札幌市の地盤沈下現況対策について申し上げます。  札幌市の地盤については、国鉄函館本線以北軟弱地盤地域沈下が見られ、その原因としては、恒常的地下水のくみ上げのほか、北海道特有の泥炭の土質特性地下掘削工事に伴う工事排水などが複雑に絡み合って生じていることが徐々に明らかになってきています。  その対策としては、雨水の地下浸透の促進、合理的な地下水使用の普及、地下掘削工事における排水の軽減を三本柱とした当面の実施方針を五十七年十二月に策定し、可能なものから実施されています。  次に、苫小牧市における環境行政概況について申し上げます。  同市は早くから紙パルプ、木材などを中心とする産業があり、道央地区の物流の門戸としての西港地区と、大規模工業港湾としての開発を進めている東港地区があります。立地企業としては北海道電力、石油備蓄基地などがあり、企業の発展に伴い環境保全必要性の認識が高まり、昭和四十七年三月には市公害防止条例制定、四十八年十一月には人間環境都市宣言がなされました。  苫小牧西部地区においては、四十八年の公害防止センター設置に伴い、大気汚染自動測定局十二を整備し、常時の監視体制をとっており、五十七年度の測定結果としては、二酸化硫黄二酸化窒素浮遊粉じん一酸化炭素ともに、その濃度年平均値経年変化はおおむね横ばいの傾向にあります。  また、河川、海域の水質保全については、四十七年以後数回にわたり各水域環境基準水域類型指定を行い、以来排水改善も見られ、おおむね環境基準に適合するに至っております。  また、苫小牧地域における公害防止計画を担保するため、西部及び東部工業地域に立地する主要企業十六については、関係行政機関企業との間で公害防止協定が締結され、可能な範囲で汚染物質抑制への努力がなされています。  次に、北海道自然環境保全状況について申し上げます。  北海道は総面積の約七割が天然林中心とした森林で覆われ、比較的自然そのままの状態をとどめており、学術的にも重要な動植物が数多く残されている一方、人々の自然保護への関心も一層高まってきていることは言うまでもありません。  以下、今回視察いたしました自然公園などについてその主なものを申し上げます。  第一は、ウトナイ湖バードサンクチュアリーであります。  ウトナイ湖は苫小牧工業地帯に隣接しており、野鳥の種類は二百以上と言われ、全国屈指の渡り鳥の中継地となっています。周辺の原野、森林を含めた約五百十一ヘクタールの自然を守ろうと自然保護団体などの活動も活発に行われています。  現地を訪れた際、苫小牧自然保護協会代表から、ウトナイ湖に注ぐ美々川の水を、水害防止等の見地から、直接太平洋に注ごうとする太平洋放水路計画なるものがあるやに聞くが、ウトナイ湖の自然が損なわれないよう配慮してほしい旨の要望がありました。  第二に、知床国立公園について申し上げます。  同地区斜里町、羅臼町の行政区域に属し、総面積は三万九千七百三十一ヘクタール、うち約九四%が国有地で占められています。  知床半島は、中央を背骨のように千五百メートルクラスの山脈が貫き、半島を二分しており、ために宇登呂側羅臼側では気象条件も大きく異なっております。植生としてはトドマツ、エゾマツ、ミズナラなどの針葉樹、広葉樹の混合林が広く山麓部を覆っており、また厳しい気象条件のため比較的低い標高地点高山植物が見られ、全森林の九〇%以上が人手の加わらない原生林で占められています。生息動物としてはヒグマ、シマフクロウ、オジロワシなどの繁殖可能な原生的環境がそのまま残されています。また冬季には海岸にトド、アザラシの回遊が見られます。この豊かな自然に触れようと、年間約百六十万人が知床五湖、知床横断道路中心に当地を訪れています。この自然を守るため、地元斜里町を中心自然保護団体などの運動も活発に行われています。  ここで、知床国立公園内の百平方メートル運動について若干説明をいたしておきます。  この運動は、知床国立公園乱開発から守るため、公園内の民有地を買い上げて原始林再生をするための資金づくりを目的とし、百平方メートルを単位として一口八千円とし、参加者ごとの土地の分筆や所有権移転登記は行わず、斜里町名義として一括管理することとし、五十二年三月から斜里町が主体となって開始し、本年八月二十三日現在、参加者数一万七千四十四人、寄附金総額一億七千二百九十三万六千円となっています。  また、この運動推進に当たっての今後の課題として、当運動公益信託事業への移行、今後の民有地保全対策などにつき斜里町から問題が提起されています。  さらに、知床半島全体の自然保護については、自然保護団体より、知床横断道路自然環境への影響を考慮し、当該道路を完全な通過型道路とし、知床峠初め沿線を無施設地帯とすべきであるなどの意見が出されました。  次に、釧路湿原について申し上げます。  釧路湿原は、北海道東部釧路市の背後に展開するわが国最大低層湿原であり、その面積は約二万九千ヘクタールあり、キタヨシなど約二百種の植物が自生し、動物タンチョウなど鳥類百六十八種を数え、多数の動物が確認されています。  この湿原保全対策として、湿原主要地域約五千ヘクタールは国設鳥獣保護区及び天然記念物に指定され、昭和五十五年には、特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約の登録湿原に指定されています。  タンチョウ生息状況としては、昭和二十七年に三十三羽認められたものが、五十七年には三百二十羽が確認されています。これはタンチョウに対する給餌活動の成果であるとも考えられます。なお、現在、道及び国の補助事業として、釧路管内など十一市町三十カ所において給餌活動が行われています。  以上御報告申し上げます。
  5. 穐山篤

    委員長穐山篤君) これにて派遣委員報告は終了いたします。     ─────────────
  6. 穐山篤

    委員長穐山篤君) 次に、地下水汚染実態調査について政府から報告を聴取いたします。  まず、環境庁佐竹水質保全局長
  7. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 環境庁は五十七年度に全国十五都市において地下水質実態調査を行いました。その結果の概要について御報告申し上げます。  お手元に「地下水汚染問題について」という一枚紙と「昭和五十七年度地下水汚染実態調査結果」というプリントがお配りしてあると思いますが、これに即して御説明申し上げたいと思います。  まず、「五十七年度地下水汚染実態調査結果」をお開きいただきたいと思います。まず環境庁がこのような調査を取り上げるに至りました経緯でございますが、地下水につきましては、ここに書いてございますように、生活用水工業用水農業用水として多量に使用されており、このうち生活用水としての利用量年間二十九・五億立米、全生活用水利用量の二三・九%というウエートを持っているわけでございます。これにつきましては、従来地下水に関する環境問題といたしましてはもっぱら地下水の過剰くみ上げ等に起因する地盤沈下の問題のみが認識されてまいったわけでございますが、八〇年のアメリカ環境白書地下水汚染問題が大きく取り上げられました。また、わが国の若干の調査事例等から、地下水自体汚染問題が懸念されるようになってまいったわけでございます。このような観点から五十七年度に地下水水質実態調査を行った次第でございます。  調査内容といたしましては、2に書きましたように、全国十五都市を取り上げております。取り上げました都市は、おおむね政令指定都市とそれぞれの地域のブロックの代表都市を取り上げております。  なお、東京につきましては後刻厚生省から御報告がございますように、東京都において水道水質問題に関連して独自の調査が行われておりました関係から、私ども調査ではこれを取り上げないことといたしております。  次に調査対象検体数でございますが、原則として各都市検体全国千四百九十九検体を取り上げております。その内訳といたしましては、浅井戸主体にいたしまして千八十三、深井戸が二百七十七、またこれと対照いたすため、特に河川につきましても百三十九調査を行っているわけでございます。  調査項目といたしましては、ここに掲げましたような十八物質についてこれを取り上げておるわけでございます。この取り上げました調査物質でございますが、取り上げられた理由といたしましては、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素等を除きましては、大体内外の調査結果から汚染が懸念されるもの、それからまた揮発性の高い物質であって地下水に滞留しやすいもの、それから三番目としては、市街地内の事業所において多種多様な用途に利用されているもの、こういうような観点から有機塩素系化学物質中心に十八物質を取り上げた次第でございます。これらの各物質の性状、それから用途出荷量等につきましては二十二ページ以下にその概要が記されておりますので、後刻御参照いただきたいと思います。  調査結果でございますが、調査結果の概要といたしましては、検出率の高い物質硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素、これは検体数の八七%について検出されておるわけでございます。これらの物質は比較的自然界に存在している物質でございます。まあ当然の結果とも言えるかと思います。それから二番目の特徴といたしましては、トリクロロエチレン、それから三番目にテトラクロロエチレン、これらの検出率がかなり高くなっております。それぞれ二八%、二七%でございます。それから四番目にクロロホルム、それから一、一、一―トリクロロエタン、四塩化炭素、かような状態になっておりまして、それらの詳細につきましては四ページの表一、それから五ページにそれぞれ詳細が記録してございます。  問題は、これらの検出された物質が果たして人間の健康にとってどのような影響を持つかということでございますが、この点につきましては、水道法水質基準値またはWHOガイドラインというものが一つの判断の基準となりますので、これに対照してみたわけでございます。これにつきましては以下文章で書いてございますが、六ページをごらんいただきますとわかりやすいかと思いますので、六ページの表に即して御説明いたします。  なお、このWHOガイドライン性格でございますが、これにつきましては、二十八ページをちょっとお開きいただきたいと思います。参考の2といたしまして、「世界保健機構WHO飲料水水質ガイドライン(案)について」ということで、このガイドライン性格について記述しております。特にここで御注意いただきたいと思いますのは、1の「経緯」の真ん中以下のなお書きのところでございまして、「ガイドラインは、各国が飲料水の安全を保証する基準を策定する際の基礎資料として利用されるべく作られたものであり、定められたガイドラインの値はいわゆる基準ではない。」、いわばそれぞれの国々の食生活の特性等の問題もございますので、その数値基準にして、これを具体化する際の目安ということでつくられたものでございます。  さらに、もう一点御注意いただきたいのは、二十八ページの2の「発がん性の疑いのある物質に係るガイドライン」の(1)「設定の考え方」、③といたしまして「ガイドラインの値は、一日二リットルの水を飲用する場合、一生を通して、その人の発がん危険率が十万分の一に対応する濃度である。」かようなことになっているわけでございます。  特に今回の調査検出率が高かったトリクロロエチレンテトラクロロエチレンにつきましてはいずれも暫定値でございまして、二十九ページの(4)のところに書いてございますように、ガイドラインそのものがただいま申し上げました性格である上に、さらにこの(4)の②、③に書きましたような根拠から設定されたものであって、暫定的なガイドラインということで、相当程度安全率を見込んだものであるということをあらかじめ御承知おき願いたいと思います。  それではもとに戻りまして、六ページに戻っていただきたいと思います。先ほど申し上げましたように、検出された値を判断する目安として水道法基準値、これは硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素についてでございますが、それ以外の物質についてはWHOガイドラインと比較した表がこれでございまして、基準値またはガイドライン案を超えた検体数がここに書いてございます。  まず浅井戸について見てまいりますと、千八十三調査数がございまして、そのうち硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素については百十六検体、約一一%がその基準値を上回っているということでございまして、さらに下の方を見ていただきますと、トリクロロエチレンテトラクロロエチレン、これらが二十六、四十一ということで二%、四%ガイドラインを上回っているわけでございます。また深井戸につきましては、二百七十七の検体数うち、やはりトリクロロエチレンテトラクロロエチレンが十四件あるいは十二件、五%、四%ガイドラインを上回っていることになるわけでございます。参考までにとりました河川調査でございますが、河川調査につきましては、これらの化学物質につきましては一件も検出されておらないわけでございます。恐らくこれらの物質揮発性が高いというようなことから検出されなかったのではないか、かような推定をいたしております。  右に基準値またはガイドライン数字がそれぞれ書いてございますが、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素については十ミリグラム・パー・リットルということでございますが、以下の物質につきましてはマイクログラム・パー・リッターでございまして、ミリグラムの千分の一の単位ということでございますから、私どものなじんだ数量で申しますと、たとえばクロロホルムについていえば、おおむねでございますが、水千トンに対して三十グラムの量がこのガイドライン、こういうことになっているわけでございまして、きわめて微量な数値であるということは御理解いただけるかと思います。  それでは本文の方に戻りまして、三ページをお開きいただきたいと思います。  (3)の「まとめ」でございますけれども、(i)といたしまして、今回の調査結果によりますと、地下水汚染状況は、まず、浅井戸深井戸による差が余り顕著でなかったということが一つ特徴でございます。私ども深井戸の場合と浅井戸の区別はおおむね不透水層の上にあるか下にあるかということで区分しております。したがいまして、不透水層の、水を通さない地質の層の下にある深層地下水については汚染が進んでいないのではないかということを予想いたしました。もっぱら浅層、浅井戸の問題ではないかということを予想したわけでございますが、浅井戸深井戸の区分なく検出されたということは一つ特徴かというふうに思われるわけでございます。また、この検出された化学物質全国各地で使用されているということであることから見て、地下水汚染が予想した以上に広範な規模で進んでいるということが一応懸念されるわけでございます。  それから(ii)といたしましては、すでに御説明いたしましたように、問題の物質といたしましてはトリクロロエチレンテトラクロロエチレンが問題になるわけでございます。  この物質につきましては、念のためにちょっと触れておきますと、二十五ページをお開きいただきたいと思います。二十五ページの一番上にトリクロロエチレンについての概要が記述してございます。物性といたしましては、ここに書きましたように、クロロホルム臭のある無色透明の揮発性不燃性液体、水には溶解しない、エーテル、エタノールなど大抵の有機溶剤と混和するということでございます。出荷量はここに書きましたような数字が出荷されております。用途といたしましては、金属、機械部品などの脱脂洗浄剤一般溶剤というようなことが注目されるわけでございます。  それからさらに、テトラクロロエチレンでございますが、これにつきましても、物性は、ここに書きましたように、無色透明のエーテル様芳香のある重い液体、以下ここに記述したようなことでございます。出荷量は同じく五万トン台でございます。用途といたしましては、ドライクリーニング用洗浄剤というようなことで、比較的一般市街地でかなり使われていることが予想されるわけでございます。  かような物質がかなり検出率が高かったということが注目されるところでございます。  それから(iii)といたしまして、今回の調査では、検出された化学物質地下水に至るまでの挙動、どうやって地下水に検出されるようになったか、あるいは地下水中挙動――地下水も流動することがわかっておりますが、それがどのように動いてどういうふうに汚染が広がっているかというような調査についてはまだ行っておりません。これらについては、従来の科学的知見をもってしても十分まだ説明されていないわけでございます。  4として、「今後の課題」でございますが、地下水は従来非常に量的にも豊富でございますし、貴重な水資源でございます。また、その水質状況地表水水質とも非常に深くかかわっているわけでございます。  今回の調査によりますと、地下水有機塩素系化学物質等による汚染が認められたわけでございますが、幸いその濃度WHOガイドライン等を超えた検体はごく一部でございます。また、わが国でこれまで地下水汚染による健康影響の問題が発生したという例はほとんど見当たらないわけでございますが、しかし、地下水は一度汚染されますと、地表水と異なりまして自浄作用等が期待できない関係から、その回復はきわめて困難でございます。したがって、私どもとしては、このまま汚染が進むのを放置することではなく、早急に地下水質保全のための措置を講ずる必要があるというふうに考えておるわけでございます。  環境庁としての具体的対応でございますが、これはお手元にお配りいたしました一枚紙に書いてございますが、まず今回の調査結果でございます。本年八月に、実態調査結果を公表いたしますと同時に、全国の都道府県に対して地下水状況がこういうことであるということを周知徹底方を図り、積極的にこれに取り組むように要請したところでございます。  それから第二点といたしまして、今回調査した井戸うち汚染濃度の高かったトリクロロエチレンテトラクロロエチレンの検出された井戸につきましては、五十八年度も引き続き地方公共団体の協力を得まして追跡調査を行うことを予定しております。これにつきましては、すでに全国会議等を開いて地方公共団体に要請済みでございます。  それから第三といたしましては、今後地下水汚染機構の解明等を図るために、必要な地下水保全対策について将来の課題として検討を進めてまいりたいと、かように考えているわけでございます。なお、今回の調査うち、それぞれの物質検出率が高かった井戸うち飲用に使用されていたものにつきましては、これを厚生省の方に御連絡申し上げ、厚生省においてそれぞれ適切な措置をとられたというふうに伺っておるわけでございます。  以上、御説明を終わらせていただきます。
  8. 穐山篤

    委員長穐山篤君) 次に、厚生省森下水道整備課長
  9. 森下忠幸

    説明員(森下忠幸君) 御説明いたします。  お手元に横長の二枚紙がございます。「水道水源用井戸汚染について」。これは一つは、東京都においての水道水源中のトリクロロエチレン汚染の事例、その対策について一ページ目にまとめてございます。それから次のページに、トリクロロエチレン等による水道水の汚染に対する厚生省の対応方策を記してございます。  初めに、東京都の水道の概況についてざっと御説明申し上げたいと思いますけれども東京の水道と申しますと、従来東京都の水道局は、特別区でございます二十三区を給水区域として給水をしております。それから多摩地区につきましては、それぞれの市町村が経営主体となりまして比較的小規模の水道を設置し管理しておったわけでございます。ところが、昭和三十年ごろから多摩地区が急速に発展してまいりまして都市化が進展するということで、区部と多摩地区の間、あるいは多摩地区でも市町村の中で行政面の格差がいろいろ出てきたということでございます。  特に、水道について問題点を申し上げますと、料金などについて住民の負担がまちまちであった。あるいは、多摩地区では主な水源を地下水に頼っておりますけれども、その他下水の水位が低下して取水がなかなかむずかしくなった。それからもう一つ、市町村によりまして水道の普及の状況に差があるというふうなことで、東京都といたしましては、多摩地区を含めて水道を都へ一元化していこうということをお考えになったわけでございます。この一元化計画が昭和四十六年の十二月に発表になりまして、送配水管を含めましてこれを有機的に一体化していこうということで、四十八年の十一月から実施されておるわけでございます。  現在は都の水道は、二十三の特別区と多摩地区の二十五の市及び町を給水区域としております。そしてさらに多摩地区の四市一町に、きれいにいたしました水、浄水を臨時に分水するということをしております。多摩地区の四市一町と申しますと武蔵野、三鷹、調布、昭島の各市、それから羽村町でございます。これらの四市一町は、都の給水区域から外れまして自前の水道をまだ持っておるわけでございます。こういう状況でございます。  ところで、東京都が水道水源の中でトリクロロエチレンを発見したといいましょうか、検出したということが五十七年にあったわけでございますが、そのきっかけは、実は水道水の中でトリハロメタンの対策というものを厚生省の方で重視いたしまして、昭和五十六年の三月に通知を出しまして、全国の水道事業、水道用水供給事業、専用水道、それぞれ浄水場の系統ごとに所定の回数トリハロメタンの測定をするようにという指示をいたしました。この測定を各事業者がやってまいりました。この測定はガスクロマトグラフという機械を使うわけでございますけれども、この分析の中でトリクロロエチレンも一緒にといいましょうか、その操作の中で測定ができたわけでございます。  東京都がトリハロメタンを測定しておりますときにトリクロロエチレンが実は発見されたということで、それでは全体について調査をしてみようということでなさった結果の取りまとめがお手元の表でございます。  表を見ていただきますと、左の方に「区分」とございまして「上水道」「専用水道」と分けてございます。上水道と申しますと、五千人を超えます大きな水道でございます。それから専用水道と申しますと、社宅とか寄宿舎あるいは療養所など自家用の水道で居住人口が百人を超えるもの、こういうものを専用水道と言っております。  この表を見ていただきますと、上水道につきまして多摩地区の水源の井戸は全部調べました。検査をいたしましたのは、それぞれの水道事業者、つまり多摩地区については都の水道局、それからさっき申しました独立の水道でございます四市一町の水道、これはそれぞれが検査をいたしました。検査実施期間が五十七年の九月から十一月。検査の井戸は、これは全数でございまして百五十七本。  検査の結果でございますが、まず、トリクロロエチレンが発見されませんでしたものが百九本。それからWHOガイドラインの案でございますが、これは暫定的に三十マイクログラム・パー・リッターとなっておりますけれども、これ以下であったものが四十三本、これを超えたものが五本。市別に分けますと、超えたものの五本の内訳は府中が三本、八王子が二本。御参考までにそのときの最高の値を示してございますが、府中につきましては四十、五十、九百三十マイクログラム・パー・リッター、八王子につきましては五十五、七十八という数字でございます。  これに対しまして、その対応でございますが、このガイドラインの暫定基準案を超えました井戸につきましては直ちに取水を停止いたしまして、これを河川水を源水といたします水道の系統に切りかえました。具体的には、この地区は東村山浄水場から来る水でございまして、多摩川の上流から原水を取っております。こういうことで切りかえたわけでございます。  それから専用水道につきましては、特別区と多摩地区と分けまして、それぞれ東京都衛生局が全数調査いたしました。五十七年の十月から十二月でございますが、これは専用水道の数といたしまして特別区で五十九カ所、多摩地区で九十三カ所。以下検査結果は右のとおりでございますが、ガイドラインを超えたものが特別区では一カ所、それから多摩地区で二カ所ございまして、場所は練馬区が一カ所、町田市で二カ所ということでございます。  それから、超えた値でございますけれども、練馬区は百六十マイクログラム・パー・リッター。これにつきましては取水を停止して、不足いたしますから、この分については上水道から給水する。町田市の分につきましては四十七、百四十という数値でございましたが、これは水道へ切りかえるという措置をしてございます。  それから、これは五十七年の調査でございますけれども、下の方に注2といたしまして三鷹市のことがちょっと書いてございます。三鷹市は、先ほど申しましたとおり、自前の水道を持っておりまして、東京都の水道局の給水区域外でございますけれども、先ほど申しましたように臨時の分水ができるようにパイプでつながっております。三鷹市で五十八年の八月、すなわちことしの八月に調査いたしましたところ、新たにこのトリクロロエチレンについて高い数値を示した井戸が三本あった。三本のうち最高のものは百四十マイクログラム・パー・リッターであったということで、この三つの井戸につきまして直ちに取水を停止いたしまして、水量が不足いたしますから、その分につきましては東京都水道局から分水を受けている、そういうことで補っているということでございます。  これが東京都の現状でございます。  停止いたしました井戸につきましては、その後も追跡調査を二カ月に一回ないし一カ月に一回の程度でやっておりますけれども、なかなかこの汚染状況は回復していないというふうに聞いております。  次が二ページ、二枚目でございますが、トリクロロエチレン等による水道水の汚染に対する厚生省の対応方策。先ほど環境庁の方から御説明ありましたとおり、生活用水地下水への依存度が高いわけでございますので、これについて私どもかなり積極的に取り組んでいかなきゃならぬと思っておるわけでございます。  その一つが、上に書いてございます水質基準の設定ということでございます。現在、数値を申しておりますのは、WHOガイドライン案を引き合いに出しておるわけでございまして、これは一つの目標ということで使われておるわけでございますが、厚生省といたしましては、わが国の独自の基準ということを今後つくっていきたいということで、厚生大臣の諮問機関でございます生活環境審議会の中の水質専門委員会で昨年からいろいろと研究を始めておりまして、トリクロロエチレンテトラクロロエチレン、あるいはこれよりも物質をふやすかもしれませんけれども、こういったものについて水質基準あるいは汚染監視体制、それから汚染された場合水道側でのこれを低減化させる技術的な方策、こういったものについて御審議いただいておるわけでございまして、これをぜひ審議を早めていただいて、五十八年度末を目途に取りまとめていただこうというふうに考えております。その結果によりまして、厚生省といたしましては所要の措置を講じていくということとしておるわけでございます。  それから二番目といたしまして、当面の措置。これは今回環境庁が御発表になりましたデータをもとにしてのことでございますけれども、そのことについてここで触れておりますが、今回環境庁で御発表になりました内容を厚生省の方で水道の立場から分析いたしますと、まず環境庁で対象にされました水源の井戸につきましては、すなわち水道水源用の井戸につきましては今回は、たまたまと申しましょうか、水質基準あるいはWHOガイドライン案の値を超えたものはなかったわけでございます。  それから飲用の、家庭用の井戸でございますね、家庭用の井戸の中でトリクロロエチレンまたはテトラクロロエチレンWHOガイドライン案の値を超えたものが幾つかあるわけでございますけれども、これがございます井戸は、水道の給水区域の中に存在しておるということで、水道の方に切りかえが可能であるということが判明したわけでございます。そこで私どもは、この環境庁の御発表になりました実態調査の結果を踏まえまして、また、それを拝見いたしますと大変汚染が広範囲になっているということ、そういうことで飲料水の安全性を確保するというため、八月五日付で当面の措置ということで次のような内容の通知を都道府県に対してしたわけでございます。  一つは、ここにございますように、トリハロメタンの検査というのは引き続きやっておるわけでございます。それからトリクロロエチレンテトラクロロエチレン、これらの物質はトリハロメタンの検査のときに一緒にできるということ。それから、この二つの物質は、今回の環境庁の御調査でも検出率、検出濃度とも特異的に高かったということ。それから、今回の御調査以外にも一般の苦情という形で、家庭用の井戸がこれらの物質汚染されているというふうなことも私ども情報として持っておりますものですから、今回この二つの物質についてトリハロメタンにあわせて測定をするようにというふうなこと、そして汚染実態の把握に努めるようにという指示をいたしました。  それから二つ目に、こういった検査をいたした結果高濃度汚染が出てきたという場合には、私どもに相談をしていただきまして、水源を転換するとかあるいは水処理ということでこの濃度を下げるというふうな措置を講ずるよう連絡をしてくれというふうなこと。  それからもう一つ、一般用の、家庭用の井戸でございますね、こういうものについて高濃度汚染が判明した場合には、水道への切りかえ等適切な措置を講ずるように、こういう指示をいたしてございます。  八月以後の状況でございますが、それぞれの水道事業、まあ簡単にはかれるとは申しましてもやはり準備がございますものですから、トリクロロエチレンテトラクロロエチレン測定方法について統一的なやり方を県レベル等で協議しておりまして、ぼつぼつ検査が始まっておりますが、その結果問題となりました上水道の水源等につきましては所要の措置、すなわち取水停止をするとか切りかえるとかというふうなことが行われておるわけでございます。  以上、厚生省関係の水道の対策について御説明申し上げました。
  10. 穐山篤

    委員長穐山篤君) 以上で報告の聴取を終わります。  本日はこれにて散会します。    午後一時四十六分散会