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1983-10-06 第100回国会 参議院 エネルギー対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年十月六日(木曜日)    午後一時七分開会     ─────────────    委員異動  十月五日     辞任         補欠選任      熊谷太三郎君     岩動 道行君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         井上  孝君     理 事                 夏目 忠雄君                 小柳  勇君                 馬場  富君     委 員                 岩動 道行君                 岡野  裕君                 工藤万砂美君                 福岡日出麿君                 藤井 裕久君                 宮島  滉君                 山本 富雄君                 吉川 芳男君                 大森  昭君                 対馬 孝且君                 小笠原貞子君                 山田耕三郎君    国務大臣        通商産業大臣   宇野 宗佑君    政府委員        経済企画庁調整        局審議官     丸茂 明則君        経済企画庁総合        計画局審議官   星野 進保君        外務省中近東ア        フリカ局長    波多野敬雄君        通商産業省通商        政策局次長    村岡 茂生君        通商産業省機械        情報産業局長   志賀  学君        資源エネルギー        庁長官      豊島  格君        資源エネルギー        庁石炭部長    村田 文男君        資源エネルギー        庁公益事業部長  小川 邦夫君        労働省職業安定        局高齢者対策部        長        守屋 孝一君        自治大臣官房審        議官       津田  正君    事務局側        常任委員会専門        員        町田 正利君    説明員        大蔵省主税局税        制第二課長    小川  是君        通商産業大臣官        房参事官     島田 隆志君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○エネルギー対策樹立に関する調査  (長期エネルギー需給見通しエネルギー政策の総点検に関する件)  (石炭政策推進に関する決議の件)     ─────────────
  2. 井上孝

    委員長井上孝君) ただいまからエネルギー対策特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨十月五日、熊谷太三郎君が委員を辞任され、その補欠として岩動道行君が選任されました。  ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  3. 井上孝

    委員長井上孝君) 速記を起こして。     ─────────────
  4. 井上孝

    委員長井上孝君) エネルギー対策樹立に関する調査を議題といたします。  エネルギー対策樹立に関する調査のうち、長期エネルギー需給見通しエネルギー政策の総点検に関する件について、政府から報告を聴取いたします。豊島資源エネルギー庁長官
  5. 豊島格

    政府委員(豊島格君) 大変おくれまして、申しわけございませんでした。  お手元に長期需給見通しエネルギー政策の総点検について資料をお配りしておりますが、これに沿いながら申し上げたいと思います。  最近のエネルギー情勢につきましては、すでに御承知のように、自由世界石油需要が非常に落ち込んでおる。これは世界景気の回復のおくれとか、あるいは省エネルギーとか、あるいは代替エネルギー導入等が進んだ結果でございます。その結果、一九八二年――これはまだ資料の前でございますが、八二年の自由世界石油需要というのは、大体四千六百万バレル一日当たりまで落ち込みまして、第二次石油ショックの起きました一九七九年に比べて大体六百万バレル落ちるということでございます。その中で、さらにOPECについて見ますと、その倍に当たる千二百万バレルがこの七九年以来八二年にかけまして落ちておるということでございまして、これが一つの大きな問題になったわけでございます。これは先ほど申し上げました六百万バレルの需要の減退のほかに、アメリカ、メキシコ、それから北海等、非OPECの石油の生産がふえたこと、あるいは在庫を需給緩和に伴いましてみんな吐き出したというようなこともございまして、千二百万バレル、いわゆる需要の減の倍がOPEC石油生産の減としてあらわれたことが一つございます。  そこで起こりましたことは、OPEC諸国、いずれも石油収入によりまして膨大なる経済計画を立てておるということでございまして、何とかして自分のところだけはたくさん売りたいということがございまして、いわゆる価格が非常に弱含みになるということになったわけでございます。その結果、ことしの三月十四日にOPEC結成以来初めてバレル当たり五ドルの石油価格の引き下げということが行われ、また一方、生産の上限を千七百五十万バレルに決める、こういうようなOPEC総会の決議が行われたということでございます。その後若干一進一退でございまして、現在の生産は千八百万バレルを超えておるということでございまして、一時堅調であった石油も、最近は若干価格がスポットから安くなっているというような情勢もあります。まあしかし、いずれにいたしましても、これまで石油と言えばタイトで、あるいは値段は上がる一方であったというところが、まあここへ来て初めて公式価格が下がる、五ドル下がる、大きな情勢の変化だと言えると思います。  それから、一方国内の情勢について見ますと、石油ショック前までは非常な安い石油をもとにしまして高度成長を遂げたわけですが、第一次石油ショック、第二次ショックと回を重ねまして、特に一九七九年の第二次ショック以降は、GNPは毎年三%ずつ伸びるという中にありまして、まあこれは低成長とは言いますが、三%絶対値伸びているわけでございますが、これに対しまして、エネルギー消費量は毎年三%以上減るというような、そういう事態が生じたわけでございます。したがいまして、昨年の四月に総合エネルギー調査会でつくりました一九九〇年、昭和六十五年度に原油換算で五億九千万キロリットルという日本のエネルギー総需要というのは、最近の情勢によりまして非常に現実との乖離が大きくなったということが言えると思います。  それからさらに、エネルギーにつきましてはセキュリティーというのが非常に大事だということは、今度の石油ショック以後皆感じておるわけでございますが、最近ではやはりコストも非常に重要視すべきだ。特に基礎素材産業等エネルギー消費産業におきましては、いわゆる不況の原因というのはいろいろあるわけでございますが、その一つとしてエネルギーコストが高いということが挙げられまして、何とかコストを引き下げるべきじゃないか、こういうような要望が強く出たわけであります。  こういういま申し上げましたような内外のエネルギー情勢の変化といいますかを踏まえまして、ことしの四月に、通産大臣諮問機関でございます総合エネルギー調査会長期エネルギー需給見通し、それからエネルギー政策の総点検をお願いいたしたわけでございます。その結果、その調査会の中の基本懇の基本政策分科会、それから総合エネルギー調査会需給部会というのが四月以降八回にわたって検討され、八月二十二日に中間報告として通産大臣に報告されましたのがお手元の資料でございます総点検の内容でございます。  総点検の中身を簡単に申し上げますと、後で資料に沿って若干敷衍さしていただきたいと思いますが、いま申し上げたような情勢を背景といたしまして、今後のエネルギー政策につきましては、需要に応じたエネルギーの量的、価格的な安定供給の確保を目的としてセキュリティーを第一に考える。これはまあ当然のことでございます。第二に、エネルギーコストの低減にも努めるべきだ。そして、そのエネルギーセキュリティーコストバランスのとれた最適エネルギー需給構造を実現すべきである、こういうことでございまして、それが全体に流れておる思想でございます。  若干時間もございますようでございますので、お手元の資料によっていま申し上げたことに敷衍さしていただきたいと思います。  五ページをお開きいただきたいと思います。「我が国を巡る内外エネルギー情勢の変化と展望」、「国際石油需給の緩和」、これは私がいま大体申し上げたとおりのことが書いてございまして、大体数字がいろいろと出ておりますが、先ほど申し上げた数字でございます。  それから六ページで、「エネルギー需要及びエネルギー需要構造の変化」ということでございまして、二行目から申し上げますと、昭和五十七年度、昨年度の原油換算エネルギー消費量は三億八千九百万キロリッターということでございまして、一一%「その次の行からございますが、第一次石油ショックまでは大体年率一一%で伸びておったエネルギーの伸びが、一次ショック以降は三%に落ちている。さらに二次ショック以降になりますと、毎年三%ずつ減るということになっておる、こういう大きな変化があったということでございます。  それから、七ページに移らしていただきまして、「石油依存度の低下とエネルギー源多様化の進展」ということで、四十八年度七八%でありました石油依存度は、五十七年度には六二%と一六%落ちております。その低下の理由は、そこの次に書いてございますが、一つは、石油消費の節減が進んだということでございます。それからもう一つは、代替エネルギーの導入が進んだということでございます。具体的にどういうことかと言いますと、八ページをごらんいただきますと、二行目の後半でございますが、石炭については、一般炭の供給が四十八年度から五十七年度にかけまして二・三倍と大幅にふえております。これは電力、セメント等石炭利用がふえたとか、セメントはほとんどオイルレスになったということでございます。それから、その次の行の天然ガスについてでございますが、その期間に七・五倍にふえたということでございまして、これは電力、ガスで使った。それから、もう少し下がっていただきますと、原子力でございますが、これは四十八年度に全体の発電電力量のシェアが二・四%でございましたが、五十七年度には一九・五%に上がったということで、こういうふうに代替エネルギーの利用がふえた、これが石油依存度の低下につながっているわけです。  それからその次に、一次エネルギーの価格の動向は今後どうなるだろうかということでございまますが、これは非常にむずかしい問題でございますが、その次のページにございますように、一九八〇年代の後半以降から一九九〇年にかけて上昇していくだろう。大体八五年ぐらいまではいまの水準でいくかもわからないけれども、それ以降は需給もタイト化し、上がっていくということでございます。  それから十ページに、「エネルギーコストの増大と我が国経済への影響」ということでございまして、これは一般の景気の問題もございますが、エネルギー価格が上がったということで、第一パラグラフの後半にございますが、たとえばアルミの製錬は、五十七年度には五十四年に比して七割も減った。それから石油化学は、五十七年は五十四年に比してエチレン生産が三割落ち込んだということで、特に電力多消費産業には大きな影響を与えているということでございます。  それから、第二節といいますか、第二章では、「エネルギー対策の新たな課題と対応の方向」ということでございまして、十一ページでございますが、下の方の(2)でございますが、エネルギー対策の目的は、需要に応じてエネルギーの量的かつ価格的な安定供給を図ることにあるということで、単に量だけではなくて、価格も安定的に持っていく必要があるということでございます。それは具体的にどういうことになるかといいますと、十二ページから十三ページに書いてございますが、五行目あたりから、先ほど私が申し上げましたが、第一にセキュリティーの確保を図る。それから第二に、その下の方にございますが、エネルギーコストの低減を図っていくように努力しなくちゃいけない。それから、十三ページの四行目からございますが、セキュリティーコスト等との最適バランスの確保が必要である。もちろんセキュリティー確保には費用を要するものですが、余りそれを急いで過大な負担になってはいけないということと、それからやはり今後のエネルギー政策の進め方として、これを矛盾なくやっていく方法もあるんだということがございまして、そういうことでその三つの視点を踏まえてエネルギー需給構造の変革を強力に推進していくことが必要であるということでございます。  それから、十四ページ以下に、エネルギーコストの低減について、今後も大いにやっていかなきゃいけないんですが、これまでどういうことが行われてきたかということを若干数字をもって具体的に示してございます。(2)の①でございますが、昭和五十四年度から五十七年度、三年間というこの間におきましてGNP原単位が非常に下がったということで、昭和五十七年度エネルギー需要量は一億六百万程度圧縮されている。これを全部石油で節約した。石油が一番高うございます。そうすれば大体六兆円程度に当たるということが、下から四行目から三行目に書いてございます。  それから十五ページ、②の四行目でございますが、製造業における燃料転換によって六・八%、三千百億円のエネルギーコストの低減が行われたということです。五十二年度から五十六年度で、ちょっと時系列が違います。  それから③で、電力部門における代替エネルギー――原子力、石炭、LNG等代替電源の導入によりまして約六千億から七千億、一次危機前に比べまして五十七年度はコスト抑制効果があった、こういうことが示してあります。  それから、十六ページから十七ページにかけまして、各エネルギー源役割りということでございまして、先ほど来申し上げておりますように、エネルギー安定供給の確保を基本としつつも時代の要請である供給コストの低減をも十分考慮するということになりますと、それぞれのエネルギー源役割りとか位置づけをこの際明確にしておく必要があるんじゃないかということでございます。  そこで、まず(2)でございますが、石油は将来、後ほど申し上げますように、五割を切るように持っていくわけでございますが、やはり何といいましても最大のエネルギー源でございまして、しかも固有の需要分野があるということで、今後もある程度脱石油と言いながらも石油に頼る部分が大きい、そういうことでございます。それから、短期的に需要の変動にも弾力的に対応することができるということでございまして、中長期的には依存度は下げていくんだけれども、ある程度石油に頼っていかなくちゃいけない部門もあるということでございます。  それから、石油代替エネルギー、新エネルギー等についての位置づけをその次にしておるわけでございます。十八ページでございます。特に表が細かいのでピックアップして申し上げたいと思いますが、たとえば石炭につきましては、供給の安定性から言いますと、御承知のように先進国中心に豊富に賦存しており、石油のように中東というようなところに集まっておらないということで、そういう意味で安定性がある。それから賦存量も大きいし、技術開発によって利用炭種も拡大する。それから経済性でございますが、いまや石油に比べて価格で非常に優位になっておるというようなことでございます。  原子力天然ガス、水力、地熱についても書いてございますが、原子力につきましては、特に資本費比率が高いので、初年度の有利性はさることながら、経過年数がたつにつれて長期的にはさらに有利になる。それから、天然ガスにつきましては、非常に埋蔵量も多いわけでございますが、価格が石油等価であって、テーク・オア・ペイ条項、需要がなくても必ず引き取らなくてはいけないというような条件もあって、非常にクリーンエネルギーとしては大事なものであるけれども、代替エネルギーとしてはやや経済性に問題があるのではないか等々でございます。  それから二節の四番として、「エネルギー産業効率化」でございますが、これは当然のことながらエネルギーの量的、価格的な安定供給のためには、エネルギーを担っていく産業がちゃんとしなくてはいけないということでございますが、これは後ほど出てまいりますので、説明は省略させていただきたいと思います。  それで第五として、二十ページでございますが、「最適エネルギー需給構造の実現」ということでございます。今後のエネルギーの需給の見通しについては、適切な需要の見通しに基づいて、政策効果をも織り込んで、セキュリティーコストバランスのとれたものにするということが必要でございます。  まず第一としましては、やはり現実的な総需要を見込む。余り大き過ぎず、もちろん小さ過ぎる需要を見込んだのではセキュリティーが問題でございますが、そうかといって大きければ大きいほどいいということではないわけでございまして、一応適切な需要を見込んで現実的なものを見込んでいきたい。特に、六十五年度につきましては予測的なものでございますが、今後の政策を考えまして七十年度あるいは七十五年度、二〇〇〇年の展望もあわせてやるということが指摘されております。それから最終需要段階におけるエネルギー源別の需要につきましては、それぞれの需要に応じた適切な供給力が必要だということが指摘されております。  それから、二十一ページの下の方にございます「セキュリティーの観点から」ということで、エネルギー政策につきましては、何といっても脆弱なる日本のエネルギー供給構造を改善するためには、石油依存度の低減ということを見込むことが必要でございます。そういう意味で、やはり今回も石油依存度ということを考えたわけですが、まあその後の需要の伸び等もいろいろございまして、一応五割程度に六十五年には持っていく。それから、七十年度には政策的な効果も織り込んで五割以下に下げるということを考えております。それから、代替エネルギーにつきましては、原子力、LNG、石炭というものを中心として、さらに経済性のある新エネルギーから、経済性のあるものから導入していこうということでございます。  それで、二十三ページに、その結果、暫定的な見通しの表がございまして、これをちょっとごらんいただきたいと思います。  五十七年度、これが実績でございまして、全体の供給合計は三億八千九百万キロリッター、一番左の欄の数字で、実績でございます。その中で石油、これは原油だけでなくて輸入される石油製品等も入っておりますが、これが大体二億四千万キロリッター、それから代替エネルギーが一億四千九百万キロリッター、これが六二%の石油依存度でございます。  六十五年、次になるわけでございますが、六十五年につきましては、去年の四月に総合エネ調から出ました見通しでは、供給合計、一番下にございますが、前回とございますが、五億九千万キロリッター。そのうち石油が二億九千万キロリッター代替エネルギーが三億キロリッター、こういうことになっておりまして、石油依存度が四九・一ということでございましたが、今回はその全体の規模が大体四億五千万キロリッターないし四億八千万キロリッターということで、どちらかというとその低目の方にいくだろうということでございます。これは一応の暫定でございまして、今後総合エネ調需給部会企画専門委員会で検討されることになっておりますが、一応この四億五千万に近い方になるんじゃないか。石油はその中で横ばいでございまして、増加分代替エネルギーでふえるということで、それがその一番上に書いてございまして、二億二千万ないし二億三千万キロリッターでございます。  それから、七十年につきましては、大体全体で五億ないし五億五千万キロリッター。それから石油はほぼ横ばい増加分は代エネでいく、こういうことでございまして、石油につきましては今後余りふえない。それから、供給合計といいますか、原油換算の需要というものは、大体七十年になっても去年の四月につくりました五億九千万キロリッターというのは達成できない、五年以上おくれるという、それぐらいのエネルギーの伸びであるということでございます。  それから、個別に若干中の数字を見ていただきますと、石炭、原子力天然ガス、水力、地熱と、こういうふうにございますが、いずれも全体のエネルギーの伸びが落ちる。それから、現実のたとえば発電所建設等もおくれているというようなこともございまして、いずれも下方修正になっておるわけでございますが、原子力等につきましては、たとえば七十年度には、ことしの四月、六十五年度を目標としたものよりは上回るということで、若干の、二年おくれぐらいのあれになろうかと、このように感ぜられます。それから、天然ガスにつきましても少し下方修正されますが、大体二年おくれぐらいでは達成して、その後またふえていくということでございます。  若干問題は石炭でございまして、石炭につきましては、まあ全体的な鉄鋼、セメント等、石炭を使う業種が非常に生産がふるわないということと、それからいわゆる石炭を使う単位当たりの原単位が落ちるというようなこと、それから火力発電等におきましても電力の需要の伸びが落ちておる、あるいは地元の建設すべき土地の取得等々の問題がございまして、これが一番おくれるということになりまして、七十年以降に石炭の需要の伸びは期待される、むしろ期待しなければならないと、こういう状況でございます。  それから、「エネルギー分野における資金の確保」というのは6にございまして、これにつきましては膨大な資金が要るということでございまして、暫定試算ということで、(1)の下から二行目ぐらいに書いてございますが、十年間で九十兆、これはあらゆる民間資金も導入した数字でございます。それで、民間資金の調達の円滑化も図る必要があるわけですが、やはりリスクの多い石油探鉱開発あるいは備蓄、代替エネルギー関係技術開発等々、リスクもありリードタイムも長いものにつきましては公的資金が要るわけでございます。これにつきましては、総合的な広い観点からこの確保策について検討しなくちゃいけないということが指摘されております。  それから三番目、二十六ページ以降は、「総合エネルギー対策の重点的、効率的な推進」という点について幾つか触れておりまして、第一が二十六ページの上でございますが、石油の安定供給の確保ということでございまして、脱石油を図っていくわけでございますが、やはり石油というものは今後とも一番大きなエネルギー源であるということで、その安定供給の確保が必要であるということでございます。これにつきましては、この(1)の真ん中以下に書いてございますが、需要構造変化等を踏まえまして、特に需要の軽質化、供給の重質化ということを踏まえまして、設備の高度化が必要であるし、また構造改善、いわゆる集約化等における構造改善が必要であるということを指摘されております。  それから、二十七ページの石油の備蓄でございます。備蓄に関しましては、五十三年から当調査会で三千万キロリッター国家備蓄を六十三年までにする、それから九十日の民間備蓄ということが決まっておるわけです。これにつきましては、最近の石油情勢の変化にもかかわらず、いろいろと中東情勢その他もあるわけでございますが、やはり引き続きこの方針を続けていくべきである。ただ、国家備蓄につきましては、そこにございますが、厳しい財政状況等に照らせば、相対的にコストの高いタンカー備蓄の陸揚げ、民間の原油タンクの余剰能力の有効利用、それから国家備蓄基地の完成時期の若干の延期等弾力的にやるべきじゃないか、こういうことが指摘されております。  それから、石油の自主開発については、これもこれまで同様一生懸命やれということでございます。  それから、二十九ページでございます。「中長期的な経済性をも重視した石油代替エネルギー等の開発・導入の推進」ということでございまして、新エネルギー等の開発につきましては、初期の段階におきましてはいろいろなものに手を出すといいますか、幅広く検討する必要があるわけですが、それをステージアップ、一つ一つ研究開発の段階をふやして引き上げていく段階においては、やはり経済性ということも十分考えてしぼっていくということも必要ではなかろうかということでございます。  その二十九ページの①という真ん中から下にございますが、今後とも積極的に進めるプロジェクトとしては、石炭液化・ガス化、それから太陽光発電、燃料電池、オイルシェール等でございます。当面ステージアップを行わないプロジェクトとして太陽熱発電、電気分解法による水素とございまして、太陽熱発電につきましては、すでに第一次段階を終えましたが、日本のような気象条件等におきましては経済性に問題があるということで、それ以上大きな次のプロジェクトには移らない。それから、電気分解水素につきましても、経済性の問題がございますので、一応中断ということでございます。  それから、上の石炭液化につきましては、括弧の中で、瀝青炭液化プロジェクトについて、従来の三方式を新NEDO方式に一本化ということでございまして、従来の実験プラントから五十九年度以降二百五十トンぐらいのパイロットプラントの段階へ移るということでございますが、従来の三方式をそれぞれやるということは非常に経済的に問題がございますので、それの長所を取り入れまして、一つにしぼって効率的にやっていくというようなことが必要であるということをここに指摘されております。  それから、三十ページから三十一ページにかけまして、代替エネルギーについて若干触れておるわけでございますが、LNGにつきましては、(2)でございますが、非常に重要な代替エネルギー源でございますが、いわゆる価格が石油スライドということと、それからテーク・オア・ペイ条項等がありまして、条件的に問題があるということで、その条件の改定が必要だ。それから、石炭につきましては、先ほど申しましたように、一次的に鈍化しておるわけですが、将来必ずや必要になってくるわけでございまして、せっかく手をつけた海外炭等の資源開発が途中でしぼんでしまって、将来禍根を残さないようないろいろなことを考えていかなくちゃいけない。それから、ウランにつきましても自主開発を進める必要があるということを指摘しておるわけでございます。  それから、三十二ページにおきまして、「中長期的な視点に立った省エネルギー対策の推進」ということが入っておりますが、省エネルギーというのは、緊急避難的なものから今後は構造的な省エネルギーへの転換、いわゆる本格的な、一次的ながまんとかそういう知恵を働かすのではなく、本格的な省エネルギーの推進が必要であろうか、こういうことでございます。  それから、三十三ページ以降は、「供給コストの低減を目指した電源多様化等の推進」ということでございまして、(2)以下いろいろと書いてございますが、(2)に書いてございますのは、個々の電源コストを下げる必要があるということでございまして、特に原子力につきましては、最近建設費の高騰が云々されておりますので、これを何とか工夫をして、たとえばここにございますように標準化の推進、設計の合理化、建設工期の短縮等々で一割程度といいますか、一割以上引き下げていく必要があるのではないか。あるいは火力発電所の熱効率その他の向上というような個々の電源別の供給コストの低減が指摘してございます。  それから、三十四ページでございますが、いわゆる電源の組み合わせによってセキュリティーの確保とともに電力コストの低減を図るということについての指摘が(3)でなされております。第二パラグラフでございますが、「かかる総合的な視点に基づく」ということですが、いわゆるベースロードにつきましては原子力発電と石炭火力ということで、これは建設費がわりとかかるわけですが、燃料費がたとえば原子力とか石炭は非常に少ないわけでございますから、そういう意味でベースロードにするということを考えております。それから下から二行目、「ミドルの供給としては」ということで、ちょっと専門的になりますが、一日じゅう動いているのと、それから一日のうちのある時間動くということでございますが、そういうものとしては石炭火力とかLNGというものを主体に今後はするのがいいであろう、すべきであろう。それから、三十五ページにかかりまして、上から五行目ぐらいに、ピークということになりますと、これはLNGを利用することも一つ大事であるし、それから石油というものが非常に意味があるということでございます。特に石油につきましては燃料費が高いわけですが、資本費が非常に安いということで、一日のうちごくわずかだけ動かすということにおいては石油も意味があるということが指摘されております。そのほか揚水発電等につきましても、経済性の点からよく考えるべきだ等々が書いてございます。もちろん水力、地熱については、先ほど役割りというところで述べましたが、貴重な国産エネルギーとして開発を着実に進めるべきであるというようなことで書いてございます。  これは供給サイドから見る電力コストの引き下げでございますが、三十六ページから需要サイドに着目した電力コストの引き下げということでございまして、これは御承知のように、夏になりますとクーラーが使われるということで最大電力が非常に上がります。しかし、そういうピーク時に備えて設備をしなくちゃいけないわけですが、そのために稼働率が非常に下がるということが問題でございまして、そこで、できるだけ電力の需要を平準化するということに各国とも努力されておるわけで、これが非常に大事なことでございまして、これをやるように電力需要の誘導をするということが非常に必要であるということです。例として(4)の下から四行目ぐらいに書いてございますが、いわゆる電力需給契約等をさらに拡大してそのシフトを図る、あるいは蓄熱式のヒートポンプということで、いわゆる夜の電力を使いまして昼の冷房需要等に充てるというようなことを考える。  そういうために、電気料金制度につきましても、三十六ページの(5)ですが、原価主義、公平の原則という基本原則はそのまま踏襲といいますか守らなくちゃいけませんが、十分その範囲内でいま申し上げたような需要の誘導のできるようなことを考えるべきであるということが指摘されております。  三十七ページでございますが、「セキュリティーコスト等バランスした長期エネルギー需給見通しの策定」ということで、これまでのことを踏まえましてそういうものをつくれということでございまして、ただここで、最後の三十八ページの(3)でございますが、従来一たん計画をつくりますと非常にそれを絶対的なものとして動かさないというような議論もあろうかと思いますが、一応目標年度におけるその需要見通しというのはどういう性格かということでございまして、いわゆる長期需給見通しにおいて定められた目標は、エネルギー政策に具体的ビジョンを与える観点から数値として示したものであって、流動的な今後の経済社会情勢のもとにおけるエネルギー政策には現実的かつ弾力的な対処が要求される折から、硬直的なものとしてではなく、幅を持って理解すべきであるということが最後に指摘されておるわけでございます。  ちょっと時間がございませんので少しはしょったかもわかりませんが、最初に申し上げましたように、エネルギーセキュリティーということは今後ともますます重要さを増すわけですが、同時にコストも考え、そのバランスのとれたエネルギー政策を推進する、それから需給見通しも現実に合ったものに改定するというのがこの内容でございます。  どうも長時間ありがとうございました。
  6. 井上孝

    委員長井上孝君) 速記をとめてください。    〔速記中止
  7. 井上孝

    委員長井上孝君) 速記を起こしてください。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 いまの長期エネルギー見通し基本問題の点で質問申し上げようと思いますが、大臣がまだ来ておりませんから、基本問題はひとつ大臣が来てからということで質問いたします。  その前に、私は原発問題の点について二、三質問したい。  まず、しばしば当委員会でも私も指摘をいたしておりますが、言うまでもなく、原子力開発というのは民主、公開の原則に従って安全性をどう貫くかということが基本でありまして、そういう意味では安全性の疑問がある発電所の立地、当然石炭地熱、新エネルギーというのがいまも説明ございましたけれども、どうも石炭需要見通し、全体にエネルギー需要見通しを下方に修正しておるにかかわらず、原子力発電の方は依然として三千万キロワットアワーというのが維持されている。むしろ石炭の比率と原子力の比率を見ると、石炭低下とそれから原子力の下がっている部分の割合を見ていきますと、原発の方だけこれが維持されている。それはちょっとやっぱり問題であるんじゃないか。むしろ危険で安全が疑問であるというならば、いまあなたが説明したように、安全性のある石炭の方にウエートをかけていくというのが当然のことじゃないですか。この点どういうふうにお考えですか。
  9. 豊島格

    政府委員豊島格君) 原子力発電の推進当たりましては、先生御指摘の安全性の問題につきましては、これを何よりも大事に考えて進めるということでございまして、従来から関係法令等に基づきまして、通産省で厳重な審査を行うだけでなく、原子力安全委員会でもダブルチェックを行うというようなことで審査されておりますし、安全性のための研究等も実行しておるところでございます。  それで、先生の御指摘は、なぜ原子力がそのまま余り落ちないで石炭が非常に落ちているのか、こういうことであろうかと存じますが、御承知のように、原子力につきましては、非常に建設に当たりまして長期のリードタイムが要るということでございまして、現在着工ないしは地点も決まって着工に移るようなそういうものだけを考えましても、というのは逆かもわかりませんが、いずれにしても六十五年に完成、六十五年から入るということになりますと、もうすでに何らかの意味で現在手がついておるものでございまして、決定しておるものでございます。それだけで三千五百万ぐらいになろうか、こういうことでございまして、大体いまやっているのをそのまま続けるだけで、それ以上ふやせられないわけですし、ふやしておらないわけです。  それに対しまして、石炭につきましては、リードタイムがもう少し短いということもございまして、現実電力需要低下に伴いましてそれだけの供給力の増強ということをする必要がないといいますか、それから現実の問題としましても、地元との立地に関する話し合いもまだ十分進んでないというようなこともございまして、落ち幅が大きいということでございます。ただし、石炭につきましては、特に六十五年以降といいますか、一九九〇年以降あるいは九〇年の後半以降におきましては非常に重要なエネルギー源電力につきましても同様でございまして、その辺から相当ふえてくることをわれわれも期待しておりますし、そういうふうに進めていきたいと考えております。
  10. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 長官、それは理屈にならないんだね。やっぱり理論が通っていないね。先ほどの説明でいくと、代替エネルギーの中で石炭が低廉でかつ一番安全性がある、こういうことを明確におっしゃっているわけでしょう。それに対して、危険性がある原子力がむしろ数量的には上になっている。いまあなたは、二十一世紀につなぐ段階で石炭にウエート、重点を置いていくのだ、こういう言い方ですけれども、これはどうもやっぱり納得できないね。むしろ先ほどの長期見通しの中では、この対象の中で石炭が一番低廉でかつ安全性がある、第一番にこう言っておいて、そして、いやいまはなかなか電力の立地が進んでないからとかいろんなことをおっしゃるけれども、どうも筋が通ってないのじゃないんですか、言っていることが。これ納得しませんよ、素人が聞いたって。ちょっとぴんとこないね。
  11. 豊島格

    政府委員豊島格君) 石炭原子力との経済比較でございますが、経済比較だけからいたしますと、これは炭価にもよるわけでございますが、五十八年度運転稼働する石炭火力、それから原子力火力と比較いたしますと、原子力火力の方が石炭価格が今日下がりましてもやはりやや安いということが一つ言えるわけでございます。さらに、石炭火力と原子力火力を比較いたしますと、建設費といいますか資本費の割合は原子力の方が非常に多いわけでございます。したがいまして、初年度だけでなくて長期間その寿命の間を考えてコストをはじきますと、さらに原子力が有利になる、こういうふうにわれわれの試算ではできております。しかし、石炭石油火力、LNGに比べまして非常に経済性が高いわけでございますから、原子力とともに進めていく必要があるということはわれわれ当然考えておるわけで、現在の若干の優位性はもちろん原子力にあるとは言え、石炭も非常に大事だと思っております。  ただ、先ほど申し上げましたように、リードタイムが長いということでございまして、現在着工しておるものだけで原子力は三千五百万キロワットぐらいいくということで、大体それ以上のものが六十五年も織り込んでないわけでございまして、一方石炭につきましては、需要の減退に伴い、あるいは地元との折衝等におきまして立地が困難ということで、その辺が自然におくれるということでございます。
  12. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 「エコノミスト」の十月四日号に、「石油危機後十年の現在」ということで討論を交わしておりますね。向坂エネルギー経済研究所会長も言っておりますけれども、私も読ましてもらったが、これから言ったって、原子力コストというものが石炭コストという面では非常に接近してきている。将来的には、これは廃棄物の処理の問題等の問題を全部原価計算、コストに換算していった場合には、むしろ原子力が高くなるだろう。そういう趨勢をやっぱり見抜かなければいかぬだろうということを指摘していますね。そういう論理からいくと、ちょっと通らないんだよね。むしろ危険であり、高額な方向にいくだろうと、原子力の方向がね。そういうことを指摘していますね。私もこれ読んだから間違いないわけです。そうすると、日本のこのエネルギーの権威者が集まって、石油危機十年後を顧みて、将来的趨勢というのはむしろ石炭なりあるいは代替エネルギーというものは定着させる必要があるんだと、こう言っているわけですよ。これはまた後で私申し上げますけれどもね。  だから、その流れからいくと、ちょっとやっぱり――アメリカは戦略的に、二十一世紀以降は新エネルギーというものを基本に据えながらいくけれども、当面のつなぎとして石炭を一定の期間、一九九〇年あるいは二十一世紀につなぐ段階として重点をそこに置くと、こう言っていますね、アメリカのエネルギー政策の戦略を。私もこ持っていますけれども。そういう位置づけなら位置づけだと、こうはっきり言えばいいのだけれども、どうもいまあなたのおっしゃるのは、低廉にして安全性だと言うから、そういう分析なら、安全性にして低廉だとおっしゃるならば、石炭の方がより安全で低廉である。これはそれぞれエネルギー権威者もそういう方向にいくと言っているのですから。ただ、日本エネルギー政策がいままで下方修正した観点は、むしろ二十一世紀のその新たなる新エネルギー時代に対応する戦略として石炭をそこに位置づけるのだと。これならばこれでひとつアメリカ戦略、これがいいか悪いかは別にして、見方はあるけれども、私はエネルギー展望としてそういう説はあり得る。これは私も本を持っていますよ。その点だけちょっと明確にしておいてもらいたい。そういう意味でならそれでまた私は一応の、いいというのじゃないですよ、そういう判断ならそれも一つの材料だと、こういうわけです。
  13. 豊島格

    政府委員豊島格君) 各国のエネルギー政策のあり方というのは、それぞれの国の特徴が違うわけでございますが、私どもとしても、日本としても、石油代替エネルギーの三本柱というのは、やはり原子力石炭LNG、この三つで量的に確保していくわけでございますが、それぞれの役割りがございまして、LNGにはLNG役割りクリーンエネルギーというような役割りがある。原子力には原子力としてのコスト経済性の問題、あるいは準国産エネルギー、核燃料サイクルの確立を前提といたしまして準国産エネルギーとしての役割りがある。それから、石炭には石炭としての役割りがございまして、それをいかにうまくミックスさしていくかということでございまして、たまたま石炭につきましては、今回の需要が非常に落ちるといいますか、その中において少し後ろ送りになっているというのは現実でございますが、この点で石炭をいささかも軽視したり問題があるということではございません。
  14. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 時間がないから、そのことだけやっているわけにはいきませんが、一応そういう視点であるとするならば、やっぱり石炭のウエートを見直していく方向に検討を加えていただきたい、これを私は提起しておきます。そうでないと論理的に合わないですよ。私がいま言った長期エネルギー需給見通しの、あなたが答弁している基礎的な考え方から流れとして言うならばそれは筋が通らない、これだけ一つ申し上げておきます。  そこで、北海道の泊原発に関連しておるものですからちょっと申し上げたいんですが、今年の五月十三、十四日の二日間、島根方式ということで、原発の第二次ヒヤリングやりましたね。そのことについて、端的でいいですが、これはどういうふうに評価をされているか、まずこれをひとつ。
  15. 小川邦夫

    政府委員小川邦夫君) 島根方式につきましては、反対の意見を持つ住民の方も参加する初めての方式として、これは非常に有意義であると基本的には考えております。ただ、具体的な方法についてまだ工夫をすべき、運営の方法につきまして工夫すべき面もあったかという感じはしております。ただ、このヒヤリングが原子力安全委員会の主催の会議でございますので、安全委員会とよくその運営のあり方については相談していく必要があろうと考えております。
  16. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 言うまでもなく原子力基本法、先ほども申しましたように、民主、自主、公開の原則ということで、私は泊原発に関連しまして、五十二年ですか、大分早いころに、河本通産大臣時代のこの会議録、ちょっといま持っていますけれども、やりとりしておったんですが、住民参加ということを大事にすべきだということを私申し上げて、全くそのとおりだと。民主、自主、公開の原則プラス住民参加ということは非常にやっぱり重要視をして対応すべきものであると、この原則を河本通産大臣は是認をされました。これは会議録に載っています。読めというなら私読んでもいいですがね。  そこで問題は、私が言いたいのは、島根方式はそのように評価されているといまあなたおっしゃったね。評価されているとするならば、当時の新聞論調を見ますと、五月に行われましたときの新聞論調を私全部、朝日等中央三紙の論調をずっと読ましていただきました。これを見ますと、こう言っていますね。どうもやっぱり官僚的発想であって、住民の不安、安全について住民側の立場に立っていない、異口同音に朝日も毎日も読売もそう指摘していますね。住民側がなぜ原発に対して不安を持つか、安全性に問題がある。そういう住民の痛み、悩み、苦しみというものにどうもこたえていない。この点がやっぱり問題ではないかという、これは社説ですが、異口同音に言われていますね。  だから、問題は何かと言えば、第二次ヒヤリングは原子力安全委員会でおやりになることですけれども、問題は安全性だけが問題じゃなくて、当然第一次の段階で、もちろん立地条件あるいは温排水の漁業補償の問題、あるいは泊で言うならば、あの地域は火山地帯であり地層である。それは私もこの委員会でも、科技特でもやっていますけれども、そういう地層条件の中でやっぱり安全性というのは守っていかなきゃいかぬ。適地なのかどうか。これだって第一次はやりましたけれども、第一次はああいう状態で、一万方人動員で一昨年の十二月、ああいう対決したわけですから。なぜそれを私求めるかというと、そういう問題は単に安全性だけの住民の参加でなくて、私が言いたいのは、たとえば立地条件の可否がどうだったのか、あるいは大丈夫なのか、あの地層として大丈夫なのか。あるいは、特にあの岩内沿岸というのは、御案内のとおりのスケソウダラの産卵地帯なんです。あそこの漁場を失うことは北海道の漁民にとっては致命的ですよ、まさに命を断たれるわけですから。  そういう問題があるから、これは全般的に質問があると思うんです、これは陳述をされるときに。だから、何かこの島根方式の場合は、そういう関係のないものは質問、答弁するのはけしからぬと、こういうことで一時乱闘状態というよりも大混乱状態に陥ったというようなことがここに出ているのだけれども、やっぱり新聞はよく世論をつかまえていると思うんだ。この島根方式を前進するかしないかまた後で聞きますけれども、私はもう少し住民側の立場に立って納得いく回答を出してやろう、あるいは納得いかなければ後ほど文書ででもそういう疑問点に答えてやろうという、つまり住民側の立場に立った対応の仕方というのはあなた方はどうお考えになっているのか。むしろそういう世論に対してこれは反省をして改革をするという意思がおありなのかどうか、その点をお伺いをしたいと思います。
  17. 小川邦夫

    政府委員小川邦夫君) 島根の場合、開催の趣旨が安全委員会による安全性についてのヒヤリングという構えをはっきりとっておったところへ、まさに先生御指摘のように、住民の気持ちとしては、幾ら会議が安全にしぼっても、ほかの問題について議論したいという形で、会議の趣旨と住民の希望とにずれがあったことが混乱の一つの原因になったというふうに承知しております。  実際に安全以外についてどういう手順でやるかという手順につきましては、一次ヒヤリングで安全以外の問題、環境問題等を中心に議論をする、二次ヒヤリングで安全という基本的なフレームがございますが、先ほど御指摘がありましたように、第一次の場合には反対の方々の参加がなかったことから、実際上その問題が議論をされてないという反対側住民の意識が残っておるということは承知しております。具体的にどうするかというのは、まさに地元関係者ともよく相談しながら考えていくことでございますので、いま具体的にこうするという案を持っておるわけではございませんが、そういった問題について真摯に受けとめて考えてまいりたい、検討してまいりたいと考えております。
  18. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 いま原子力安全委員会の方からは、慎重にそういうものを踏まえて改善の方向で検討してまいりたいと、よろしゅうございますか。  長官、それじゃちょっとお伺いするのだけれども、これはいま聞くところによりますと、これはお答えしてもらっていいんですけれども、泊原発の第二次ヒヤリングが十一月下旬ごろに想定されておる。想定というのは五十日間前に告示ですから。だからその点からいくと、これはいま北海道は重大な、最大の政治課題というよりも住民の環境課題だというものですからお伺いするのですけれども、これはこの前十二月に私も参加しました。約八千人、泊の現地で八千人、私も徹夜でその行動に参加をしたわけですが、あそこは行ってわかるとおり、あそこに八千人入ったら、もう一メーターがけを越えるとすぐ海ですからね。あのとき僕は重大な心配をしたのだけれども、もしあそこで大激突でもあったらこれはもう相当な犠牲出ますよ、命を失うことになりますから。そういうことがあってはならないということが特にあるものだから、私としてはこの第二次ヒヤリングが近く想定されているということを、いま現地からもずいぶん来ているものですから、それをあえてここで質問するのですけれども、島根方式は必ずしも、先ほど私言ったように、新聞論調見ても住民側の立場に立った姿勢ではないというような指摘があるのだから――私がいま言ったのは、その安全性だけを言うのじゃなくて、やっぱり第二次段階では専門的な立場で答えてもらわなきゃならぬという立場にもあるわけですよ。これはもう大臣は当時の長官をやった経験もありますからよく御存じだと思うんだけれども、そういう点からいくと、この島根方式というものは一つの前進だと評価をしているのであれば、その点を住民の参加ということを踏まえて十分そこらあたりを、安全性の問題だから安全性以外の答弁はしないとかでなく、陳述者をふやして、二日が三日になろうとそれに対して専門的な答えを出してやるという誠意、これが本当の住民参加だと思うんだね、私は。民主的な住民参加だと思うんです。そういうことを検討されることが、――私は原発誘致反対でありますから、いまここで明確にしておきますけれども、しかし、そういう中にあっても、住民の混乱を起こさないようにどうしたら住民参加ができるかというものが見出せるのかどうか。なければ僕は、この前第一次でやったように、これは八千人が一万人でも行って対決せざるを得ないんだ。動員、これはわれわれだけでなくて、住民がそうですからね。そういうような考え方についてこの機会に聞いておきたいんですよ。長官にひとつお答え願いたい。
  19. 豊島格

    政府委員豊島格君) 第二次ヒヤリングにつきましては、安全委員会の方でお決めになることでございまして、まだいつの日に決まるかということについては私ども正式には承っておりません。ただ、先生御指摘のように、安全性以外は何も答えないのがいいかどうかというお話でございますが、公開ヒヤリングの性格等もございまして、どこまでその場で運営するのがいいかということにつきましてはいろいろいろ議論があろうかと思いますが、そういうヒヤリングの場を通じるのか通じないのか、いずれにいたしましても、いろいろな住民の方が心配しておられるとか疑問に思っておられることにつきまして、十分説明できるような機会はあった方がいいし、あるべきである。ただ、それがヒヤリングの中でやるのか外でやるのか、これはまた科学技術庁の方ともよく御相談をしなくてはいけないと思いますが、そういうことは非常に必要なことであると思っております。
  20. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 大臣は科学技術庁長官の経験者ですから、いま私が申し上げておりますように、住民のコンセンサスを得るための住民参加で、ヒヤリングをより住民の納得、理解を得て、そして前進をして、それが安全性をチェックし、あるいは前進していく、こういう基本姿勢に立つとするならば、いまのやりとりをお聞きになっていると思いますけれども、島根方式をより改革、前進していくことが望ましいのではないかという私の考えですが、大臣の所見としてどうお考えですか。
  21. 宇野宗佑

    ○国務大臣(宇野宗佑君) 私も何年か前に科枝庁長官をやっておりますが、確かに原発をつくらんがためにはやはり地元の方々の最大の理解が必要でございます。そして、今後の運営におきましてもそのことは大切だと、かように思っておりますから、先ほどから言っていらっしゃるお話はごもっともだと私は拝聴いたしておりました。
  22. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 それじゃ、原子力安全委員会の方はもちろんですけれども、ひとつ長官、そういうことで改善策について一応具体的に示していただきたい。それによって現地がどう判断するか、これは御自由でありますが、現地はどういう判断をされるかは別にして、そういう反省の上に立って改善をすべき提案を出してもらいたい。このことを申し上げておきますが、よろしゅうございますね。
  23. 豊島格

    政府委員豊島格君) 先ほど公益部長も答弁いたしましたが、いろいろと先生の御趣旨を体して検討してみたいと思います。
  24. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 それじゃ、基本問題にひとつ入りたいと思います、大臣も来ましたので。  先ほど長期エネルギー需給見通しの約四十分にわたる説明を聞きました。かねて私は、この問題はエネルギー政策全般の根幹にかかわる問題であると、しばしばこの委員会でも申し上げてまいりました。これはまあ御案内のとおりに、五十七年四月に暫定見通しを出しておるわけですね。そして短期間の、一年ちょっとの間に大幅修正をせざるを得なかったということになるわけでありますが、この点、政府見通しが非常に狂ったということは、ある意味ではずさんだったということにもなるんですが、問題は、このエネルギー問題の資源開発、発電所建設に多額の資金投入という、きわめて長い準備期間を要するわけで、そういう一面もあると思うんですが、国民経済に大きな影響を与えるだけに、先ほども話が出ましたように、電気料金だ、灯油だと、国民生活に影響があるだけに、政府としてこの修正問題についてどういうふうに大臣お考えになっているか、まず基本的な見方、考え方をお伺いしたい。
  25. 宇野宗佑

    ○国務大臣(宇野宗佑君) 何分にも前回の見通し昭和五十五年を基準といたしております。そしてまた、成長率も五%。ところがその後、御承知のような事情で成長率は三%にとどまっておりますが、本来ならば成長率とエネルギー消費量は正比例すべきが、まあわが国におきましては、特に代替エネルギーが開発され、あるいは国民の方々も省エネに努められたと、そういう結果、マイナスの結果になってしまった。そこに大きな乖離ができたということを、私はこれは隠すわけにまいらない。その点は、確かにおっしゃるとおり見通しを誤っておるではないかということになるかもしれませんが、何分にも世界的な問題でありまして、急激な変化を来しましたので、したがいまして、現状に合うようにひとつ長中期の見通しをもう一回やり直そうということでございますから、御理解願いたいと思います。
  26. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 いま大臣が素直にそう言われておりますから。  問題は、ここでも私は申し上げたことがあるんですが、経済成長率は当時五%ラインですね。本当にこれを維持できるのかということも申し上げたことがあるし、それから原発先行型のエネルギー政策というものはやがて行き詰まりもくるし、需要も素材産業も含めて相当電力の消費が停滞している、落ち込んでいる。これからいったら、なかなかそういう需給見通しにはならないんじゃないかと、私はこれは五十五年の時点で申し上げておりますよ。ところが、いや絶対そうなるんだというこのときの長官のお言葉でしたが、しかし、結果的に二〇%を下方修正したわけでしょう。二〇%、これは間違いありませんね、いまの説明を見ましても。  つまり、昭和六十五年度エネルギー需給見通し原油換算でいきますと五億九千万キロリッター、それから今度四億五千万ないし四億八千万に修正をしたわけですね。ところが、結果的には二〇%減になるわけですね。そこで、この二〇%の需給の修正をしなければならなかったということは、いま言った経済成長率が四%ないし三%台、景気の落ち込みということと相まってなっているということなんです。  そこで、この点の問題点は何かと言いますと、先ほど代替エネルギーの関係、これは長官の説明からいくとちょっと私は矛盾しているんじゃないかと思うんですよ。それは、先ほども十月四日の「エコノミスト」の「石油危機後十年の現在」、これは向坂さんもここで討論されておりますね。私もこれを読ましていただきましたけれども、その中にも出てくるのは、現在では六〇%を超えている石油の依存体質から脱却を図る、こうなっているんですね、方向性としては。ところが、六十五年度の前回と比べてみますと、石油の方でいくと二億九千万キロリッター二億四千万―二億五千万に修正した。ところが、代替エネルギーの方は三億キロリッターから二億二千万―二億三千万になっているんですね、これを見ると。そうすると、逆に言うと、どうもやはり何かせつな的というよりも、当面オイルが五ドル下がった、そういう何か安易な石油に対する依存度が相変わらず体質的に変わっていないんじゃないか。むしろ石油の、オイルの落ち込みよりも代替エネルギーの落ち込みの方が強くなっている。  これは、私は五十八年九月参議院調査室で出した資料をいま持っておりますが、これからいくと、大体前回の五十七年四月とことしの八月を対比をしてみますと、全体で六十五年度を目標にして考えますと、石油の方は四九、四八ぐらいで、逆に代替エネルギーは五二とこうなるんだけれども、そうならないんじゃないんですか、これでいくと。ならない結果になるでしょう。逆に石油の方は二億九千万から二億四、五千万に落としているけれども、代替エネルギーは三億から二億二千万―二億三千万に落としていったら、比率としてはむしろ代替エネルギーの方が落ち込んでいる。  こういう結果で推移すれば、言葉では代替エネルギーを重要視をしておると言うが、結果的に見ますと、やはり、経済合理性というか、安ければいいという、安上がりエネルギー政策というか、何かそういうように、ちょっとオイルの値段が下がるとまた政府石油の依存体質の方に流れていく、代替エネルギーはどちらかというと軽視していくという、そういう感じにとられるんだけれども、この点どうですか。
  27. 豊島格

    政府委員豊島格君) 先生御指摘のように、石油の減り方とそれから代替エネルギーの減り方と、代替エネルギーの減り方が大きいんじゃないか、それは脱石油という石油依存脱却について緩めたといいますか、若干代替エネルギーの促進をおくらしたんじゃないか、こういう御指摘かと思います。  ただ、先ほどの説明にも申し上げましたが、石油には固有の分野がございまして、たとえば交通とかその他の分野、あるいは暖房その他の分野等固有の分野がございまして、これはほかのエネルギーでかえられない分野が相当あるわけでございまして、したがって石油は二億九千万から四千万落としたというのは、そういう固有の分野が相当あったということ、それからあるいは火力発電等々につきましては、ピーク時にはやっぱり石油火力を使うのが一番いいというようなこともございましてこれだけしか減らなかったということかと思います。  ただ、従来から代替エネルギーの開発ということになりますと、やはりふえていくエネルギーの中で、しかも石油を使わなくていい分をかえていくというような考え方でございまして、そういう意味から言いますと、五億九千万キロリッターから四億五千万―四億八千万に下がっちゃった。そこで、石油はもうこれ以上ふやさない。そういう中で代替エネルギーを最大限やっていくという結果がこういうことになったわけでございまして、脱石油あるいは石油依存度低減というのは今後とも続けていくわけでございますが、その中において精いっぱいやったのがこういう数字かと思います。  もちろん経済性を全く無視した、ちょっと言い過ぎかもわかりませんが、既存の火力発電所を全部壊して石炭火力を、まあ立地条件もありますからそう簡単にいきませんが、そういうことをしてやっていくとか、あるいはうんと高い石油にかわるエネルギーを使ってこれをエネルギーに使うということをすれば、これ以上びた一文代替エネルギーはふえないかと言えば、そうでございません。そこは長期的な観点からだんだんやっていけばいいんで、そこまでやることが果たしてエネルギー政策としていいかどうか、こういう感じがいたしまして、われわれとしては、現実妥当的なものとして最大限代替エネルギー導入を促進したと、このように考えております。
  28. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 通産省が出した「エネルギー'81」という通産省編さんの本があるんですが、五十五年に私もここで議論したから申し上げるんですけど、明確になっているんですよ。石油代替エネルギー元年として位置づける。昭和五十五年五月、石油代替エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律が国会で成立し、公布、施行されました。 まさしくその意味では、五十五年はわが国にとって石油代替エネルギー元年として位置づけるものでありますと、きわめて明確にこのときはそういうふうに言うんだ。だから僕は言うんだよ。そういう法案などを提出して通すときは、石油代替エネルギー元年なんてかなり意欲的なことをぱっと示して、下方修正してみれば、結果的にはやっぱりまだ油の方に――このときはまさしく代替エネルギー、それこそ革命が起きるがごときことを、これはあなた方でもってはっきり答弁しているんだよ、もう変わったけれども。ところが、いざ今日の下方修正になるとやっぱり石油――先ほどあなた言ったでしょう、どう言ったって石油というものは頼るところが多うございまして、今日の状況でと。こういう五十五年の当時の発想から言うなら、やっぱり後退していると、これは素直に、率直に指摘しているんですよ、私は。このときの、五十五年のときの代替エネルギー元年とあなた方が主張されたその方針を採用するならば、いま下方修正されたこの問題は、やっぱり代替エネルギーの方は後退をしている。これは率直に認めた方がいいよ、あなた現実にそう言っているんだから。元年からたった三年足らずのうちに、ちょっとよくなったらまた油中心だ、油依存だ、こうあなた言っているじゃないですか。  そういう感じがぬぐい去れないから、何も僕は責任を追及するとか、それを指摘して言葉じりをとらえるなんて、そんなみみっちい考え方を持っていませんよ。むしろ、このときの精神に立って、石油代替エネルギー、特に先ほど石炭は後退しているとあなた方認めているわけだから、そうなるとやっぱり代替エネルギー石炭位置づけというものをこの際はっきりしてやってもらいたい。当時の精神に返ってもらいたい。五十五年の当時の精神に立ち戻ってもらいたい。これは私書いたんじゃない、あなた方が編さんして出したわけですよ。
  29. 豊島格

    政府委員豊島格君) 先生御指摘のお考え方も十分われわれは理解するものでありますが、いずれにいたしましても、石油自身につきましても、五十五年をベースとして昨年つくったときは二億九千万キロリッター、その石油の絶対量を相当減らしておるわけで、石油をあのとき考えたよりもよけい使おう、こういうことでは決してなくて、むしろそれは当然減らしておりますし、最近の情勢を見ましても石油伸びは非常に落ちるわけでございまして、代替エネルギーである石炭あるいは電力あるいは産業LNGにまあ石油業界に言わせれば相当食われている、こういうこと言っておるわけでありまして、石油は必要最小限度の需要供給ということにこの計画でもなっておるわけです。  それで、先生十分おわかりなので私申し上げる必要もないかと思いますが、この代替エネルギーが減った中には、石炭が相当大きく減っておるんですが、その中で、これは電力用の石炭ばかりじゃございませんで、一般炭と原料炭と比べると、原料炭と一般炭同じぐらい減っております。それで、一般炭の中にもセメントもあるわけでございまして、そういうセメントとか鉄鋼の実際の不況といいますか、あるいは使用量減退の構造、そういうのも大きく入っておるわけでして、発電においては正直言って順調に伸びておるという点も御理解いただきたいと思います。
  30. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 いま長官もお答えになっていますから。  いずれにしましても、私が言ったように、五十五年当時の代替エネルギー政策のむしろ元年から出発をしてというこの姿勢を踏まえていただいて、一年たたずにまた下方修正だ、また修正だということのないように、エネルギー政策というのは長期戦略を持ってもらって、これはもちろん生き物ですから私は断定しませんけれども、やっぱり中長期の計画を一たん組んだらそう変わったらだめですよ。われわれが指摘したとおりになっているじゃないですか、現実に。だから、私はあえて言っているんであって、なお責めようと思いませんけれども、そこらを踏まえてひとつやってもらいたい。よろしゅうございますね。  そこで問題は、大臣にひとつお伺いしなきゃならぬのは、第七次政策石炭位置づけなんです。その前段で私は聞いたわけですよ。先ほど大臣来る前に長官も、確かに石炭は全体の長期需給見通しの当初の計画から言えば、ほかのエネルギーとの対比からいくと落としている、これは是認したいと言うんでありますけれども、しかし問題は、七次政策の二千万トン体制という原則、ここで私は八月四日に大臣に、七次政策は尊重されますかと言ったら、全く尊重いたしますと、会議録きょうも私持ってきていますけれども、そういう答弁をされているわけです。そうなると、七次政策というのを守るということになれば、石炭の位置というもの、二千万トンを目安にしてというこの考え方には変わりはないか、このことをひとつ確認しておきたい。
  31. 宇野宗佑

    ○国務大臣(宇野宗佑君) 過般もお答えいたしましたとおり、七次政策は尊重し、千八百万トンから二千万トン、これを目途とし現状を維持する、これには変わりございません。
  32. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 大臣は明確にそうお答えされていますから。  そうしますと、それを裏づける政策がなきゃならぬでしょう、大臣。これは決して理屈言うとかそんな意味で私は言っておるんじゃない。ただ、現在の山を閉山せしめない、現在既存の炭鉱を閉山せしめないという前提に立たないと、千八百万―二千万に足らないんですよ。これをつぶしていったんでは、とてもこれマイナスアルファになっちゃってだめなんですよ。  そこで、私が申し上げたいのは、いま大臣から明確にお答え願っていますから、そのとおり私も受けとめます。そういうことの堅持をするとするならば、やっぱりこのことはやってもらわなければいかぬですね。  一つは、炭価の是正を早急にやってもらいたいということ、もう時間ないから、理屈は全部私も知っていますから申し上げませんが、炭価をいつをめどにどういう是正をするのかということが一点。  それからもう一つは体制問題、これはいますぐ答えを出せとかということは言いません。やっぱり将来的にはだんだん深部になって深くなっていくわけですね。この前も提起しましたけれども、試験探鉱と体制問題というのは一回政策的に議論してもらいたい、検討してもらいたい。どういうことかと申しますと、もうあの石狩炭田というのは、私はドイツを見習った方がいいと思うんです。これは何もここ二、三年のことを言っておるわけじゃないんですよ。長期的に見ると、やっぱりいい山と悪い山があるわけですから、炭層群というのはもう決まっているわけですよ。夕張夾炭層あるいは若辺層あるいは美唄夾炭層という層というのはこれいずれもつながって、たまたま三井、三菱という明治以来の資本の構造で鉱区になってできたもので、これはしょせん資源は国民、人民のものである、言ってしまえば。そう極論を私は言うつもりはないけれども、将来的にはやっぱり石狩炭田が一社化していく、こういう構想は、これは政策的な課題として政府も一回検討すべきじゃないか。  それとあわせて、周辺開発の発掘と、もう一つはやっぱり何と言っても現状ある山をどうして運営していくか。これは大臣が言われたように、千八百万トンにならないわけですから、二千万トンにならないわけですから、やっぱり現状の山をつぶさない。そうなると、周辺開発、浅瀬の鉱区の開発と一元的な一体化開発をする以外に道はない。これはもう言うまでもなく、私が言っておるだけでなくて、これは学識経験者も異口同音このことを言っておるんだ。  ただ、いつの時点でそういう展望が見出せるか、こういう戦略をわが国も持たないとやっぱりだめなんです、今日の時点では。ただ、夕張新鉱がある時期になったらやっぱりつぶれて、やがて第二の夕張新鉱があらわれては困ると、こういう意味で私は申し上げているんであって、基本的には、一つは体制問題、そして資源再開発のための鉱区の開放、調整、そして炭価問題ということにぜひひとつ対応してもらいたい。時間がありませんから、ひとつポイントだけ答えてください。
  33. 村田文男

    政府委員(村田文男君) 炭価につきましては、今年度の炭価は御指摘のようにまだ決まっておりません。九月の九日に石鉱審の需給価格部会の専門分科会を開きまして需給をまず決めました。その後、炭価につきまして需要供給両面から意見を聞いておるところでございます。できるだけ早い機会に七次答申の精神にのっとった適切な炭価を決めてまいりたいと考えておる次第でございます。  それから、体制問題あるいは共同化の問題だと理解をいたしておりますけれども、御指摘のように、七次答申でも、個別企業、もちろん私企業体制が前提でございますけれども、合理化を共同でやるということがうたわれております。それを受けまして昨年の五月から石炭協会に、一番やりやすいのは北空知、御指摘の北空知でございますので、北空知四山の代表を集めまして、数回にわたり共同化のテーマの検討を続けておりますが、残念ながらまだ各社の利害が完全に一致する、これをやろうというような、これならいけるというテーマをいまだ見出していないというのが実情でございますが、引き続き真剣に検討を重ねてまいりたい、こういうふうに考えております。  それから、周辺ボーリングといいますか、周辺開発、一体開発ということでございますけれども、これの必要性も十分認識いたしておりまして、今年度も周辺ボーリングの予算を効率的に使いまして、今後とも必要なボーリングは続けてまいり、将来の開発に備えたい、こういうふうに考えております。
  34. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 なぜそれを言うかというと、私は、当面基本問題をそこに据えながら個別対策ということを――個別格差というのは七次答申にもあるわけです。格差是正、これは言葉であって、まあそれはいまそれなりに前進していますよ。坑内骨格構造、保安補助金、安定補給金とあるけれども、これはわかるけれども、私はこれだけではとても石炭の企業は維持できない。  そこで、提起なんだけれども、安定調整金制度というものをつくったらどうだと。つまり、格差是正のためのいま一歩、枠内で転がすというんじゃなくって、たとえばいい山から、太平洋あるいは三井から持ってきて安定補給金で調整するという、コップの中の調整ではなくて、要するに予算措置としてこういう格差是正のための枠を設定をして、安定調整金制度というものをつくったらどうだと。これは炭労側の主張もあるし、われわれもかねてしゃべってきたことだけれども、これはいまことしの予算にはもちろん間に合いませんけれども、そこまで来ているんじゃないか。これは肩がわりと言いたいけれども、肩がわりというわけにもいかぬだろうから、そういう意味ではやっぱり安定調整金で格差是正というものをやる。いまもちろんそれは枠内でやっているだけですから、三井と松島と太平洋の分持ってきて、安定調整金、片方の方にやるというだけの話であって、それはそれなりの、意味がないわけではないけれども、もう一歩前進して、予算枠を超えての発想というものをひとつ立ててもらいたい。  これとあわせて、個別格差是正をしながら将来の一元的構想に、共同開発というものに――誤ってもらっては困りますよ。共同開発を目指して当面格差是正をどうするかと、こういうふうに長期的なことと短期的な石炭政策を持たなければ、これは空知四山だってもうこれは第二の夕張にならないという保証ないですよ。赤平にしたって、これはもうはっきり言って、幌内でももちろんやってますけれども、砂川、芦別にしたって同じでしょう。急傾斜採炭、深部、こういう状況は同じですからね。そうなると、結果的に空知四山は大変なことになりますよ。そういう意味で私は言っているわけです。その点ひとつどうですか。そういう検討をひとつこれからしてもらいたいという考えを持っているんですがね。
  35. 村田文男

    政府委員(村田文男君) 調整金の趣旨は、単に炭鉱間の金のやりとりということじゃなくて財政資金から出せということであろうと思いますが、今回、来年度の要求におきましても、決して海岸炭鉱から削った分だけを回すというだけではなくて、やはり二億程度新しく国庫から持ち出すという要求になっておりますので、その辺も御理解いただきたいと思っております。
  36. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 それは、坑内骨格構造補助金、保安補助金、それは石炭部長の言うとおり二億確かにふえてきている。それはあなた方の努力だということは評価します。私の言うのは、安定調整金というのはそういう枠のもちろんプラスアルファもあるけれども、そういう格差を直していくための一定の制度資金がここまで来たら政府としても検討してもらいたいと思うのだね、私は。きょうすぐ答えを求めようとは思いません。それをひとつ検討していただく。どういう結果が出るか別にして、それをぜひ検討してください。
  37. 村田文男

    政府委員(村田文男君) 検討いたしますが、非常に財源が苦しゅうございまして、既存の政策をやるにも精いっぱいというのが実情でございますので、それもお含みいただきたいと思います。
  38. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 ひとつこういう問題をやらないと、長官が、大臣もおっしゃったけれども、七次政策は尊重し、これを実現しますと言葉で言ったって、裏打ちしていかないと、予算的裏打ちをしていかないと、これはつぶれちゃうわけでしょう。九州田川市も同じです。したがってそういうことを言っているんであって、言葉では尊重するとか、政策は堅持しますと言ったって、それを裏打ちする政策をやらなければ、これはどんなことをやったってつぶれちゃうんじゃないですか。つぶれたらはいそれまでになっちゃうんだから、そこを言っているんだから。そういう意味でひとつ検討してもらいたい、こう言っているわけです。よろしゅうございますね。  時間もあともう少ししかありませんので、夕張再開発断念のときに、大臣に八月四日、ここで申し上げました。私は、少なくとも再開発を断念したことにおいて、あなたの責任としてやるべきことは事後処理を完全にやることである。それがせめて九十三名の亡くなった方々と夕張新鉱の皆さん方に、市民あるいは従業員の皆さんにこたえる道ではないか。大臣は、全く明快な御答弁を私になさっているんですけれども、その後通産省はそれなりに対応した経過を私どもも知っています、百も。  ただそこで、はっきり申し上げますけれども、雇用対策にしても三百の枠は出したけれども、私は資料も持っていますけれども、九月十五日現在で百四名、三百名という手形を出したけれども、百四名よりないんですよ。通産省としては三百名ぽんと出したって、ほかの炭鉱に三百名出したけれども、現在ただいま九月十五日現在では百四名、あとの二百名はまだ来年どうなるかわからないわけです。これが一つだ。  それから、もう一つ言いたいことは、夕張市からも北海道からも来ていますよ。前進したものもありますよ。前進したものもありますけれども、やっぱり問題は地域振興でしょう、産炭地振興。たとえば老朽住宅の問題、これは一つ解決したようでありますけれども、私はやっぱり何と言ってもこの年齢構成を見てわかると思う。後から労働省にも申し上げますけれども、四十五歳以上という年齢構成が、高年齢者が多いわけです。私は二日に山へ行ってきました。新夕張炭鉱の閉山式です。テレビをごらんになった方もおりますけれども、涙の出る思いで私どもは参加しましたけれども、ただいま七百七十三名残っているんですよ、九月十五日現在で。あのときの大臣の言葉をかりれば、私は事後処理に責任を持つことがこの責任を果たす道である、こう言っていただいた。いままでも努力してもらっているけれども、いまだに七百七十三名まだ就職が確定してないんですよ、はっきり申し上げて。こういうものについて、通産省としてどういうこれから最後の対策をとろうとしているのか。それから、企業誘致だって企業誘致を何とか三百でも五百でもやってもらいたいとずいぶん言ったはずです。それからズリ山緑化対策、旧炭鉱の事業主体を全部解体して、あるいは緑化対策をやれば大体三百二十人労働者が二年間飯を食える。これも夕張市役所から出ています。市長もこの間も行くたびに僕に言われるんだけれども、これは何も前進してないでしょう、まっきり言ったら。企業誘致も前進もしてないし、緑化対策における当面の炭鉱自体の再配置の問題、あるいはズリ山――九州ではボタ山、北海道ではズリ山というけれども、ズリ山を整地して、そのことによって一定の労働者が採用される、こういう問題だってこれは何も前進してないね。私はこの点ひとつ積極的に取り組んでもらいたい。これは大臣の言った言葉と実際に今日の段階では、まだそこまでいっていない。山をつぶしたときは、再開発断念は遺憾だった、今度は後のことはひとつ任してくれよ、責任持つと言ったけれども、これもふたを開いてみたらそういうことになってないじゃないかと、私二日の日に行ったら責められたわけですよ。また裏切られたという感じを持っているんですよ。せめて残った人のことだけは責任を持たないと――これはすぐできるものとできないものはずいぶんあるだろう、そんなことは知っています。この点についてひとつ具体的にお答えください。
  39. 村田文男

    政府委員(村田文男君) 夕張閉山に伴います離職者対策あるいは地元振興対策全般につきましては、先月末、各省連絡会議を開きまして、八項目にわたる対策を取りまとめたわけでございます。それを地方の地方部会で道並びに夕張市にも御説明を終えたところでございます。  そのうち、先生御指摘の項目につきまして若干説明いたしたいと思いますが、まず離職者対策でございますけれども、通産省が直接いたしました分野といたしまして、炭鉱離職者の就職あっせん、炭鉱への職場の確保の問題がございますが、これにつきましては、石炭協会を通じまして各社ぎりぎりまで協力してもらった結果、来年度の上期までに約三百九十名余りの求人を確保したわけでございまして、いずれも職安を通じまして求人が出ておるところでございます。このうち内定いたした者あるいは決定した者を含めまして、九月末現在で百六十名を若干超えていると伺っております。  それから、この過程で労働者が大変北海道の炭鉱に就職したいという希望が強いことが判明したものですから、道内の中小炭鉱にもあわせて求人を依頼をいたしまして、三十名程度の求人が出ておるというふうに聞いております。  それから、企業誘致の問題でございますが、これにつきましては道、市が大変熱心にやっておられますし、地域振興整備公団でも大変熱心にやっております。販売条件の緩和とか、あるいは産炭設備資金の貸し付けの条件を緩めるというようなことをもやっておりまして、大変熱心にやっております。その結果、七月以降大体二件ぐらいが内定ないし決定したというふうに聞いておりまして、必ずしも大きなものではございませんけれども、進みつつあるというのが実情でございます。  それから、ボタ山の除去の問題を御指摘になりましたけれども、これにつきましては、現在、御案内のとおり危険なボタ山につきましては市町村の行う保全工事につきまして国が補助する制度がございますけれども、夕張の市内のボタ山というのは、いずれも通産省の調査では危険ボタ山とは言えないということで、これはやはり跡地利用との関連で今後検討していくべき問題と、こういうふうに考えておる次第でございます。
  40. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 いずれにしても、私が聞いているのとはちょっと数字が違うんだが、これは職員が入ってという意味でしょうな。これは労働者だけで言うと百四名なんで、いまあなたの数字で言うと百六十三名ですか。これはちょっと数字が食い違うんだけれども、恐らく職員のことを含めて言っていると思うんだけれども、当面いま言ったとおり七百七十何名まだいるんだ、石炭部長。そういうことだと思うけれども、三百何名とかいろいろなことを言うけれども、これはやっぱり安定労働者でないんだよ。組夫みたいな下請もみんなもう含めちゃって、数だけそろえばいいというやり方じゃ困ると言っているんです。やっぱり長期的な安定した雇用というものを保障してもらいたいと、このことを言っているわけだから、これひとつはっきりして――四十五歳以上だからかなり高齢者が多いんだから、現地に安住を求める以外ないんだ。これはっきり申し上げておきますよ。  それから、自治省来ているでしょう。夕張市の問題で再三要請をして、努力はされているようだけれども、問題は、炭鉱病院を市へ移管したでしょう。この問題があり、いまも言ったように、今度は福利施設、水道、屎尿処理、こういう問題がたくさんありまして、これの措置として、つまり償還の猶予の延長をしてもらいたい。一つは、この起債による債務の措置を講じてもらいたい、それが一点です。第二は、北炭の所有地の先行投資に対する財政措置、つまり過疎債の特別配慮をしてくれないか。それから第三は、更生債権の措置の問題、この三つが当面緊急問題だということで、市はもうこれでパンクしてしまうというような状況なものだから、もしこれがなければまた福利施設あるいは水道とかそういうものができなくなっちゃうんです。こういう点についてどうですか。
  41. 津田正

    政府委員(津田正君) お答えいたします。  まず、起債の償還期限の延長、借りかえの問題でございますが、これは政府資金、公庫資金につきましては、もともと二十年なり三十年なりかなり長期でございます。御承知のとおり、現在資金事情が非常に厳しいものでございますからできないと思います。民間債につきましては、これは十年物でございます。大体十年だと思います。これにつきましては、金融機関との話し合いいかんによっては耐用年数の範囲内であればできるものでございます。  それから、過疎債で土地の先行取得をというようなお話でございますが、これは過疎債の充当事業というのは、御承知のとおり法令で決まっております。どうも御提案のものは入らない、このように考えております。  それから、更生債権相当額を起債措置というようなお話ですが、これは御承知のとおり、地方債は建設事業に対するものでございまして、更生債権を地方債で措置することはできないということでございます。  ついでに、夕張市の地方財政対策ということの基本的な点を申し上げたいと思いますが、私どもとしては、節約できるものは節約するとしましても、払わなければならないものは払うこととして、財政運営上どういうような支障があるか、重大な支障があれば道とも連絡しつつ措置するつもりでございます。
  42. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 時間がないからね。財政に余裕がないからこれ出しているのであって、余裕があればこんなものは出すわけないんだ。もちろんこれは、国の関係だけでなく道の関係もあるので、道もいま臨時議会やってますから、これは対応することで、国との関係でタイアップするということで、これは横路知事も最善の努力を払うということでやっていますからね。いずれにしましても、自治省も最大限の財政的な運用を、あるいは配慮をしてやらないとこれはパンクしちゃうよ。 パンクするということは住民が壊滅するということだから、そういう面をひとつ踏まえて対処してもらいたい、これが一点です。  大臣、いまお聞きのとおり、それなりに石炭部長も長官も努力されてますよ。いますけれども、やっぱりいまなお七百何名残っているということを踏まえて、早く現地を基本にした安定雇用というものを考えてもらいたい、これが一つ。  それから、労働省きておりますから、最後になりますけれども、いままで労働省もそれなりに職業訓練あるいは就職促進手当の来年度の引き上げ、加えて管理人三十名の確保というものを出されておりますけれども、なお個別対策にひとつ全力を挙げてもらいたい、そのことを申し上げて終わります。
  43. 宇野宗佑

    ○国務大臣(宇野宗佑君) お聞きのとおり、今日までも各省連絡を密にいたしまして努力してまいりましたが、今後も最大の努力をいたします。
  44. 津田正

    政府委員(津田正君) 個々の問題につきましては、法令等の制約がございますが、全体として夕張市の地方財政がもつように私どもも、もちろん通産省の対応の仕方もございますし、また道との連絡というものを十分しながらやってまいりたいと、かように考えております。
  45. 守屋孝一

    政府委員(守屋孝一君) 先生の御趣旨を体しまして、私どももより一層きめの細かい個別の対策を進めていきたい、こういうふうに考えております。
  46. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 終わります。
  47. 岩動道行

    岩動道行君 最初に、通産大臣に伺いますが、本日はくしくも十年前に第四次中東戦争が勃発をして、そして今日までの十年の石油危機の引き金となった十月六日であります。まことにくしき日にこのエネ特が開かれたことは、われわれエネルギー問題を論ずる立場から非常に大事な委員会であるというふうに認識をいたすわけであります。  そこで本日は、先般八月の二十二日にまとめられた長期エネルギー需給見通しエネルギー政策の総点検報告中心として質問をいたしたいと思いますが、その前に大臣にお伺いをいたします。  この十年間の石油危機、これに対するどのような教訓を学びとられ、そしてどのような政策基本的にこれからおとりになっていくか、伺っておきたいと思います。
  48. 宇野宗佑

    ○国務大臣(宇野宗佑君) 石油一つを考えますと、わが国は資源小国で、石油に対する海外依存度はきわめて高いということを常に考えておかなければならないと思います。しかも、その石油自体もきわめて短期の有限の資源である、こういうふうに私は認識しなければならないと思います。 同時に、いまちょうど十年前の歴史的背景をお述べになったわけでございますが、今日もなお中東情勢は私は決して楽観を許さずと考えております。特にイラン・イラクの国際的紛争というものがどういう展開を見せるか、極力平和に終わるということを私たちは念願いたしますけれども、どのように展開するか、これまた予断を許さないものがあると思います。そうしたことが万一にもあす起こればどうするかということを常に考えて、やはり私たちは、石油に対しましてはきわめてわが国の立場は脆弱なものであるということを思いながら、着実な備蓄を常に心がけつつ安定的な供給を図っていかなければならないと考える次第でございますが、同時にそれと並行して、やはり石油代替エネルギーの着実な開発、研究、推進、これは大切なことではないかと、かように考えております。したがいまして、そうした見通しのもとに今回のいろいろと長中期にわたる私たちの考えをまとめさしていただいたわけでございまして、一番大切なエネルギーに関しましては、今後も最大の注意を払いつつ最大の努力をするというのが私の考え方であります。
  49. 岩動道行

    岩動道行君 ちょうど十年前、私が「エネルギー危機への挑戦」という本の原稿を印刷屋に渡した、その直後にこの中東戦争が始まった。そこで私は、若干原稿の内容を変えて出版したわけでありますが、そのときと十年たった今日とでは、基本的なエネルギー事情は日本においては全く変わっていない。若干十年間の間に代替エネルギー推進を図り、省エネを図り、そして石油依存度を減らしてはまいりましたけれども、いま大臣もおっしゃったように、やはり日本の一次エネルギーの大宗は、何といいましても石油であります。しかも、今回の見通し点検におきましても、エネルギーの中で石油の占める割合は、六十五年度で五〇%を割るという前の計画は、五二%程度というふうに、その割合が上がってきている。こういう観点からも、石油を悪いものだと、そういう見方をすることは誤りであろうと私は思いまするし、そういう認識は政府もお持ちだと思います。  そこで、大臣がこの委員会を去られるのが三時十五分ということを伺っておりますので、その前に、私の質問の順番を変えて、石油問題から入らしていただきたいと思います。  そこで、いま大臣も触れられましたが、中東情勢というものはきわめて私どもにとっては憂慮すべき事態にあると思います。しかも、ペルシャ湾から日本中東の油は八〇%も取引をしているわけであります。したがって、このペルシャ湾の安全航行というものが確保されなければ、日本エネルギーの問題は大混乱を起こすわけであります。  そこでまず、外務省中近東局長がお見えでございますので、イラン・イラク戦争の見通しといいますか、和平の見通しと、それからペルシャ湾が何らかの問題をきっかけとして封鎖をされるおそれがないのかどうか、このペルシャ湾を通しての油の輸送は外交的に見てどのように見たらいいのか、この点について外務省の見解を伺っておきたいと思います。
  50. 波多野敬雄

    政府委員波多野敬雄君) まず、イラン・イラク紛争の見通しでございますけれども、現状では戦場における戦いに関する限りは膠着状態ということで、今後とも一進一退の状況が続くのではないかと思っております。ただし、これが消耗戦に入ってまいりました場合には、イラン側としては、イラク側の経済力がそう長続きしないのではないだろうかという希望的観測を、希望的見通しを持っているようでございます。ただし、イラク側としましては、あと十年でも戦う用意がある、戦える力があるということをわれわれの方には申し越してきております。  八月に、安倍大臣、イラン、イラク及びトルコを訪問されまして、イラン、イラクの最高指導者に対しまして、戦争の早期終結を訴えました。イランもイラクも日本とは非常にいい関係にございますので、両国最高首脳も、わが方の意見には傾聴してくれたように思います。その意味では手ごたえがあったと申し上げていいかと思います。ただし、もちろんその場でそれじゃ戦争をやめましょうというような話にはとうていならなかったわけでございます。  イランとしましては、戦争終結のための三つの条件というものを出しておりまして、すなわちイラク軍のイラン領内からの撤兵、第二にしかるべき賠償の支払い、そして第三に戦争責任者の処罰という条件を出しておりまして、この条件の細目についても、われわれはイラン及びイラクと話し合いましたけれども、いまのところ、イランはこの条件を後退させる用意を見せておりません。  さらに大臣は、九月の終わり、国連におきまして、イラン、イラク両国の外務大臣とまた話をされまして、再び戦争の早期終結を訴えたわけでございます。今後ともわれわれとしましては、この努力を続けていくつもりでございます。一部の調停に当たった国は、機が熟していないから機が熟するのを待つほかない、いまのところは何をしてもむだだというようなことを言う国が多いわけでございますけれども、日本としましては、微力なりとも機が熟するように働きかける、機が熟するのを漫然と手をこまねいて待つということでなくて、機が熟するようにできる限りの働きかけを今後とも行っていくつもりでございます。  これに関連いたしまして、第二の御質問とも関連いたしますけれども、今週末からイランの環境大臣が日本に参りますので、石油の流失問題とあわせまして、イラン・イラク関係についてもハイレベルの協議を続けるつもりでございます。  第二の御質問でございますけれども、フランスが現在シュペールエタンダールという戦闘爆撃機五機ないし六機をイラクに売却する話し合いを進めております。イラクがもしもこれを使って、イランのカーグ島の石油基地ないしそこへ航行するタンカー等を攻撃するような場合には、イランがこれに対抗措置をとる可能性がございます。イランとしましては、ペルシャ湾がイランにとって航行不能になった場合には、イランのみならず世界じゅうの船がペルシャ湾を航行できないようにするということを言っております。軍事的に見ますと、ペルシャ湾の封鎖というのは非常にむずかしいことでございまして、果たしてイランが独力でペルシャ湾の軍事的封鎖ができるかどうかについては、世界の専門家も疑問にいたしておりますけれども、しかし、イランが封鎖を宣言し、場合によっては機雷を敷設し、場合によっては浮遊機雷を流す等の措置を講じた場合には、この結果、ペルシャ湾航行のための保険料が暴騰いたしまして、または心理的にペルシャ湾を航行することに対する抵抗が非常に船舶関係者の中で高まりまして、結果的にペルシャ湾の航行がきわめて困難な状態になる、ペルシャ湾から原油を従来どおり輸入しにくいような状況になり得るという事態はあり得ないことではないと考えております。
  51. 岩動道行

    岩動道行君 いまの外務省の見解、大変重要な問題を含んでいるわけです。  そこで、その石油を扱っておられる通産省として、このペルシャ湾に余りにも依存し過ぎてはいないかということです。もうヨーロッパはほとんどペルシャ湾を使わないで油を輸入するようになった。そこで、このペルシャ湾を使わないで原油を輸入するようなことについての具体的な検討はどうしておられるのか。これは、やはり後で申し上げるそのセキュリティー、安全供給確保ということは大変重大な問題でありますから、この点についてどうお考えになり、どのようにしていこうと思っているのか。
  52. 豊島格

    政府委員豊島格君) 日本中東依存度というのは、かつて八割ぐらいあったわけですが、それにつきましては現在七割程度まで下げておるということで、当然ペルシャ湾、そのうちで大部分、六十数%に現在でもなっておるという状態でございます。これを何とかほかの地域へダイバーシファイするということが必要なわけでございまして、そういう観点から、御承知のように、インドネシアとかあるいは中国とか、かつてはペルーとか、そのほかいろいろな中東以外の地域の石油開発を行うとか、あるいは長期契約による石油の輸入を行うとか、そういう観点でいろいろな諸施策をやっておるわけでございます。最近、日米関係で問題となっておりますアラスカ原油等も、これはペルシャ湾を通らない、いわゆる中東からの脱却という点では非常に重要な意義を持つのではないかと思っています。
  53. 岩動道行

    岩動道行君 それは、中東原油への依存度を分散させるということは、これは当然なんで、したがってアラスカ原油の問題もあるけれども、いろんな附帯条件が出てきて、大臣が一生懸命やっておられてもなかなか結論はそう簡単には出ないと思う。そんな問題は即効薬にならぬと思いますよ。私が言っているのは、そのペルシャ湾を使わないであの辺の湾岸諸国の油にやはり相当依存していかなければいけない。そこで、別の方にパイプでこれをとって、そして日本に持ってくる、こういうことを具体的にお考えになっているかどうか、これが問題なんです。
  54. 豊島格

    政府委員豊島格君) ホルムズを通らないルートとしては、たとえば紅海側へ出すとか、いろいろとその国々がやっておりますし、それからたとえばイランはインド洋に出すとか、そういう計画を持っておるわけでございます。しかし、日本として、他国の領土内のことでございますので、具体的にそういうものに対して主導権を持ってやるというわけにはいかないんじゃないかと思いますが、そういうプロジェクトについては、過去においてもいろいろと話があった場合に、積極的に協力するというような態度も示したことがあると記憶いたしております。しかし、現在、具体的に日本がどういうふうにやるということまでは至っていないと思いますが、非常に重要な問題かと存じます。
  55. 岩動道行

    岩動道行君 私は、日本エネルギーの安全保障ということを考えた場合には、ペルシャ湾に依存する割合をできるだけ減らすという戦略がなければいけない。この点どうですか、大臣。
  56. 宇野宗佑

    ○国務大臣(宇野宗佑君) 私もいろいろと考えておりますと、御指摘の点が一番大切じゃないか。現にわが国にはそういうものがございませんから、ペルシャ湾、ホルムズ海峡封鎖、たちどころにして油断である、こうなってしまいますから、したがいまして、いろいろと外交問題もございますが、そうした問題は今後積極的に調査を進め、なおかつ現実の問題としてやはり取り扱わなければならない重大な問題だと考えております。
  57. 岩動道行

    岩動道行君 これは、ひとつ本気になって具体的に検討をやっていただきたいと思います。  そういう中で、やはり私は、アラブ諸国と日本との外交関係をさらに深く広く濃密なものにしておくということが大事だろうと思いますので、先ほどは安倍外務大臣が大変積極的にイラン・イラク戦争の終結に向かっての重大な提案をされたことを私は評価をいたします。しかし、なかなか簡単に問題は解決しないと思う。それだけにペルシャ湾依存度を減らすということは、これは国を挙げて、政府を挙げて努力をすべきことである。どうかこれは通産当局だけでなく、外務省も、また関係の部局挙げてひとつ努力をしていただくことをこの機会にお願いを申し上げておきます。  外務省、これで結構でございます。  そこで、石油問題について若干大臣中心に意見を伺っていきたいんでありますが、最近、欧米の石油産業調査団が帰ってまいりまして、大変重大な示唆に富んだ報告をしております。  それは、いまのような石油需給価格動向については、政府の考え方あるいは今度の報告とそう変わりはないと思います。しかし、石油産業に対する姿勢というものが、あるいは日本石油産業界というものが新しい時代にどう対応するかという認識が、欧米と日本では大変食い違っているのではないか、その点、私は大変心配をするわけであります。  というのは、欧米の石油産業は、すでに量の拡大から収益性の確保というように、量より質へと大きな転換をし、そして効率的な石油産業にする。ということは、油の需要が中軽質化してきておる、それに対応するための生き残りのための戦略を展開してきている。したがって、下流部門での徹底的な合理化、効率化を図っている。したがって、製油所の整理、これは単に一つの製油所の中でパイプをとめるとか締めておく、そういったような安易なやり方ではなくて、第二次処理、つまり重質油の分解装置を重点にして、そしてそれに合うような製油所を残していく。合わないやつはこれはもうつぶしてしまう、スクラップ化する。こういう思い切った措置をとって、そしてもうすでにその対応は終わっている。  ところが、日本の場合にも油の消費需要が減ってきております。それに対応して、おおよそ一日百万バレルですか、百万バレル・パー・デーの設備を減らすという対応をすでにおおむね達成されています。しかし、その内容は、単にすべての製油所の一部分のパイプをとめるという程度であって、製油所の効率化ということは全く考えられていない。そして一方、重質油の分解装置の方は余り進んでいない。  大臣がおっしゃるように、アラスカの原油を持ってくるならば分解施設が必要でしょう。あるいは近くの中国から買っている油だって重質油でしょう。分解装置がなければならぬでしょう。もう時代はそのように変わってきているんです。中東の軽い油だけではもう間に合わない。  そういうことから、私は、日本の能力がある程度合理化の数字にはいっていますけれども、中身が全くなっていない。このことについて大臣は、これからどのように石油産業界のあり方を進めていかれるのか、大事な問題ですからひとつお答えをいただきたい。
  58. 宇野宗佑

    ○国務大臣(宇野宗佑君) 御指摘のとおりでございます。  特に、欧米の調査団の報告書にも、欧米の石油業界におきましては徹底した減量化、合理化を進めておる。そのことはわが国におきましてはなお一層大きく学ばなければならない、私はこう考えております。  したがいまして、やはりこれからの石油供給源を多角化しなくちゃなりませんし、また重質化するわけでございますから、そういうものも含めまして、われわれといたしましてはやはり徹底した産業構造改善、これが必要ではないだろうか。あるいは元売りの集約化等も図っていかなければならないんじゃないだろうか。そういうふうな考えを持っておりますが、いずれにいたしましても、審議会でこの問題は現在究明をしていただいて、りっぱなひとつ今後の産業構造改善のプランを出していただきたい、かように思っておりますので、政府といたしましても、いまの御質問の趣旨に沿いまして、われわれといたしましても最大の努力をしなければならない、かように考えております。
  59. 岩動道行

    岩動道行君 ぜひそのように進めていただきたいわけでありますが、日本石油業界というのは若干甘ったれていると思います。石油業法によって何かあれば政府が助けてくれる、そういう甘い心がどこかにある。石油価格が上がれば採算がとれないから何とかしてくれ、為替が安くなれば何とかしてほしいとか、いろいろなそのときそのときの要望が出てまいります。そして、体質の改善ということになるとみんな何もやらない。やったようで実質は何もやっていない、こういう結果に終わっています。ここはやはり石油業法というものを余り頼りにさせないで、むしろこれを眠らせておいて、企業自体が自分で自分の体質を改善するという、自主的な対応をぜひやらせるように、厳しく指導をしていただかなければならない。でなければ、私は分解装置に対する税制上のいろいろな措置であるとか、あるいは金融の問題であるとか、こういうことも甘やかしておいちゃだめだと思うんです。本気になってやる。そうすれば政府も税制上あるいは金融上特別な対応も考えられる。いまのままの体質ではこれはなかなか、租税特別措置をやってやるとか、あるいは金融上金利の安いものを出してやるとか、なかなか私どもは踏み切れないような実態ではないかと思うんです。  そこで、この点については十分に対応していただきたいわけでございますが、石油業法を少し見直してごらんになったらどうでしょうか。私はいますぐ廃止しろとは申しません。しかし、いわば石油業界における食管法みたいなものです。ですから、いざというときには大事な需給計画、供給計画というものは確保しなければなりません。あるいは非常事態においてはこの法律によって配給もしなければならなくなりましょう。こういう対応は最後の切り札であって、その前の段階のものは、これは自由主義経済、市場経済の原理によって体質をよくして、世界の石油情勢に対応できるようなものにしなければならない、かように考えているわけです。基本的なことでございますので、重ねて大臣から御答弁をいただいて御退席をいただいて結構でございます。
  60. 宇野宗佑

    ○国務大臣(宇野宗佑君) ついこの間も、小売業界におきましては大変な大混乱を起こしております。これもひとえに過当競争というふうなものがその主因でございました。したがいまして私たちは、あくまでも石油価格等々に関しましては市場メカニズムというものを尊重していかなければなりませんから、通産省は一切介入しなかったわけでございますが、しかしさりとて、石油の長中期にわたる供給安定というものを考え、そのためには構造改善が必要であるという立場に立ちましたときには、やはりわれわれは政府としての責任もまた果たしていかなければならない、かように考えております。したがいまして、いまおっしゃいましたこと等を十二分に念頭に置きまして努力をいたしたいと考えておる次第であります。
  61. 岩動道行

    岩動道行君 それでは本論に戻りますが、最初に、この長期エネルギー需給見通し、これについては余り数字が出てないわけでありますが、しかし六十五年度あるいは七十年度ということについての一応の数字ははじき出されているわけですね、暫定的に。その基礎になっているのは、この間の「一九八〇年代経済社会の展望と指針」というものが基礎になっていると思いますが、いかがですか。
  62. 豊島格

    政府委員豊島格君) 昨年四月に提出されました「長期エネルギー需給見通し」、これもその前の経済計画をもとにして、大体五%の成長率でございました。  それで、今回はどうかということでございますが、もちろんその展望と指針の四%という一つの目安といいますか、その経済成長一つの要素であるということは事実でございますが、それ以外にこのエネルギー、たとえば産業用あるいは民生用あるいは運輸用等々のそういうエネルギーの今後の見通しといいますか、将来の姿というものをそれぞれ積み上げたことも事実でございまして、その辺を総合的に判断して六十五年、七十年の見通しをつくっておるということでございます。
  63. 岩動道行

    岩動道行君 そこで、経企庁見えておられますね。経企庁に伺いますが、今回の展望と指針では、ローリングプランといいますか、リボルビングシステムといいますか、何か毎年見直していくんだと。きわめて不透明な時代だから毎年見直していくと、こういうことになっていると思うんですが、これは具体的にどういうことを考えているわけですか。
  64. 星野進保

    政府委員(星野進保君) お答え申し上げます。  先生御指摘のように、今回の展望と指針におきましては、事態は非常に流動的でございますので、国際環境それから国内的な状況その他流動的な状況を反映いたしまして、極力弾力性のある計画ということを基本的な趣旨といたしまして、御指摘のようにリボルビングという手法で、年々実態の透明度に応じましてそれぞれ充足するものは充足、あるいはある程度訂正すべきものは訂正するという、弾力性を持たせて計画そのものを運営していきたいということでございます。  それで、先生御質問の中核でございます、どういうふうにやっていくのかということでございますが、実は私ども、具体性につきましては、経済審議会にお諮りいたしまして、どういうかっこうでやっていったらいいかということをこれから検討していきたいと思っております。基本的には、先生も御指摘ございましたように、こういう不透明な状況でございますので、なるだけ弾力的に対応していくということを基礎といたしまして、リボルビングという手法を活用していきたいということでございます。
  65. 岩動道行

    岩動道行君 そこで、経済は生き物で動いていきますね。いまは若干景気が回復基調にある。しかし、本物かどうか、だれもまだわからない。したがって、日銀も金利の引き下げをどうしたらいいかまだ迷っているというような、いわばまだ不透明な経済状況です。しかし、これでアメリカの経済が本格的によくなり、そして日本もそれと並んでよくなっていくということになれば、四%というのがあるいは四・五%になる可能性もあるわけですね、実質で。名目では六、七%、八%になるかもしれない。そうなったときには、あなたの方のエネルギー数字をどのように対応さしていかれますか。
  66. 豊島格

    政府委員豊島格君) 長期エネルギー需給見通しにつきまして、一応現在考えられ得るいろいろの諸条件を前提として六十五年、七十年の見通しを幅を持ってつくったわけでございます。現在さらにそれの緻精なものをやろうということで、総合エネ調需給部会の中の企画専門委員会で検討中であるわけでございますが、いずれにいたしましても、そういう見通しというものは、内外の経済情勢変化によって適切でなくなったという場合には、当然のことながらその事態に応じて現実的なものに見直していく必要があろうかと思います。  ただ、先ほど私説明さしていただきましたこの総点検におきまして、最後のところに書いてございますが、政策的な目標年度におけるエネルギー見通しというものは、一つエネルギー政策のビジョンを与えるための数値として示されるもので、流動的な今後の社会経済情勢のもと、エネルギー政策には現実的かつ弾力的対処が……
  67. 岩動道行

    岩動道行君 長官、その辺わかっているから、数字を直すのか直さないのか、そこを端的に答えればいいんだ。
  68. 豊島格

    政府委員豊島格君) 非常に小幅な場合はその幅をもって考えればいいと思いますが、ある程度以上の枠を超えた食い違いができるということになれば当然直すということでございます。
  69. 岩動道行

    岩動道行君 小幅がどの程度かということは問題だと思うんですが、やっぱりGNPはわれわれの経済あるいはその他の産業活動については大変大事な指針でありますから、それが〇・一とか二ならまだいいですよ、しかし〇・五も動けばこれはかなりのものなんですね。そういう意味で、私はあなたの方もやはり絶えずこの長期見通しについても見直しをする、そして適切な対応をする、これが基本的に今度の報告の中身でもあろうと思うんです。だから余り具体的な数字も出しておられないのだろう。だから何々程度というような表現も使っておられる。  そこで、この点はその程度にしますが、セキュリティーコスト低減というのは、今回の報告の非常に大きなベースになっておるわけです。セキュリティーを大事にすればコストを顧みず供給確保需要を満たしていかなければいけない、こういうことになるわけですね。ですから、そのセキュリティーコストをどのように調和させるのか。そのためにこの報告では、その実現に当たりできる限り市場メカニズムを活用し、民間活力を最大限に引き出すということを言っているわけですが、これは具体的にはどういうことでしょうか。
  70. 豊島格

    政府委員豊島格君) 先生御指摘のように、セキュリティーコストは矛盾する、セキュリティー確保するためにはそれだけ費用がかかる、これは一般的なことだと思います。ただその中で、御承知のとおりでございますが、たとえば原子力とか石炭というものは、エネルギー源として石油に比べてセキュリティーが高いということでございますが、同時にコストも安いということで、エネルギーの選択あるいはその組み合わせによってセキュリティーと同時にコストも下げ得るという道が一つあろうかと思います。  それから、特に先生御指摘の市場メカニズムの活用と民間活力を最大限に引き出すということでございますが、これはなかなか具体的にどうするのかという点についてはむずかしい点も多いかと思いますが、やはり民間の活力といいますか、たとえば技術開発等におきましても、民間を大いに活用してその技術を活用するとかということも一つかと思います。それから、市場メカニズムにつきましては、たとえば代替エネルギー導入につきまして、ソーラーとか産業LNGとか、若干の政府の補完的な措置は必要でございますが、それを大いに価格効果も考えましてやっておるところでございます。  それから、たとえば電力の負荷の平準化というものにつきましては、コストも下がるわけでございますが、これにつきましては、電気料金制度といいますか、いわゆる需給調整契約をさらにメニューを多くして拡大する。あるいは蓄熱用ヒートポンプ等につきましての適切な料金の設定ということで、むしろ需要をピークからオフピークにシフトさせていく。それによって、これは価格誘導でございますが、それによってコストを引き下げるということでございまして、いろいろあらうかと思いますが、そういうことはやってやれないわけじゃないし、この中でも幾つか指摘されておりますが、またさらに検討すべきことかと思います。
  71. 岩動道行

    岩動道行君 今度の需要想定ですが、これが五十六年は経済成長率は下がっているし、対前年度比三%減ですが、それから五十七年度は対前年度比五%減、こういったようなことで、エネルギー需給を見る場合の発射台が、大変低いところ、つまり五十七年というものをベースにして将来の見通しをつくっておられるわけですね。この前の計画は五十七年の四月であったわけですが、このときには、五十五年の大体実績として四億二千九百万キロリットルですか、これがそのベースだったんですね。今度は五十七年がベース、発射台になっているわけです。それが三億八千九百万キロリッター、大変低いわけですね。そこから今度はスタートしようと、こういうことなんですが、私ちょっと気になるのは、マクロに見て果たしてこれからの日本経済、世界経済、そういう低い発射台から物を見ていいのかなあという感じもするのですが、これは私のちょっとした疑問なので、それでいいのかどうかはこれから先を見なければわからないのですけれども、しかしおつくりになった以上はいいのだという一つの経済に対する見方があると思うのですが、これはどうなんでしょうね。簡単に答えてください。
  72. 豊島格

    政府委員豊島格君) 発射台は一応五十七年度ということに形式上はなっております、したがいまして、先生のおっしゃるように、異常に沈滞しているいまの状態を前提としてやるのがいいかどうかというのは、当然問題があろうかと思います。そこで現在、四億五千万キロリッターから四億八千万キロリッターという幅をもって六十五年を予測しておるわけですが、その中でこれをどこの辺に落ちつけるかというのは、今後総合エネ調の専門家によって検討されるんですが、その場合、果たして各産業が将来どうなるかということは、産業の中でもいろいろ電力消費産業――鉄とか石油化学とかアルミがどうなるかという、そういう個別のものも踏まえ、さらに運輸とか個人消費というのを踏まえて、再度精緻にやってもらう必要があるんじゃないか、このように考えております。  その結果、経済成長との関係でいくと弾性値というのがどうなるかということでございまして、この辺私どもの感じとしては、四億五千から四億八千と幅を持たしたのは、そういう将来の、いま御指摘のようなことも踏まえて正確にもう少し勉強してもらおうということでございます。したがって、現状が非常に低過ぎるということは、その場合にも十分考慮さるべきファクターじゃないかと存じております。
  73. 岩動道行

    岩動道行君 いま僕の方から質問しようと思ったが、あなたの方から弾性値の話を出されたんですが、前回の五十七年の四月には弾性値を〇・六四、こういうことですべてをはじき出しておられるんですね。今度はそのことが表へ出てない。しかし、私がちょっと計算してみますと、大体〇・四五から〇・六七の幅と考えられるんですが、これはそのように考えていいかどうか。イエスかノーかで結構ですから。
  74. 豊島格

    政府委員豊島格君) 計算上は大体そういう数字でございます。
  75. 岩動道行

    岩動道行君 見通しというのはできるだけ正確で、大きくなければ小さくもないと。いままでは大き過ぎたんだ。大体企画庁のGNPの見方がいつでも希望の数字であって現実に即してなかったんです。それでみんなだまされて、それに引きずられているから、エネルギー計画もみんな狂ってきちゃっている。だから、去年の四月につくったやつがもうすでに見直ししなければいけないし、それからことしの、あれは四月ですか、代替エネルギーの計画、これはもう閣議決定しているんですね。それがもうすでにここで見直ししなけりゃいけないと、まことにくるくるくるくる変わっていくんです。これはやっぱりエネ庁はそれを基礎にせざるを得ないかもしれないけれども、そこは別途自信を持っておやりになってもいいのかもしれない。政府の中に意思統一が欠けるということになるかもしれない。と同時に、経企庁の方ももっと現実見通しをするようにしなければいけない。まあローリングプランというものをお考えになっているから、これからはそういう現実的なもので日本経済の基本的なものは動いていけるんだ、こういうことをぜひ十分に念頭に置いて数字をおつくりをいただきたい。このことを要望しておきます。  時間もありませんから簡単に触れてまいりますが、原子力については前回、つまり昨年の四月の見通しでは四千六百万キロワットでありましたが、それを千百万キロワット減らして三千五百万キロワット程度というふうに想定をしておられるわけですね。私はもう何回もこのことについても過大な見積もり、見通しはいけませんよということを申し上げてきた。今度千百万キロワット下方修正されていますけれども、本当に三千五百万キロワットは達成できるのかという問題なんです。時間があればもっと細かいことを申し上げますよ、どこの発電所はいま計画準備中であるとか、どこはどこまで進んでいると。しかし、これも六十五年度までの具体的な地点を点検していくと三千三百万までしかいかない。三千五百万という数字は出てこない。これはひとつ十分に政府で検討して、いま暫定数字だと言いますから――余りにも暫定暫定でいいかげんなことをやられちゃ困る。そして、それぞれ電調審を通って具体的な計画に上ってくるものいろいろあるんですから、もう少しここら辺は緻密な数字が出せるように検討をしていただきたい。いま暫定見通しだから三千五百万キロワット程度で、それはまあいいですよ。だけど、私が点検した限りにおいては三千三百万までしかないんです。あとは六十五年を越しちゃっているんです。それまでこの中に入っていると思うんだ。百万キロ、二百万キロというのは大きいですよ。そのためにどれだけの人々が努力をしなければならないのか。安全性の問題とか、先ほど対馬先生もおっしゃったが、大変なことなんですから、そこら辺はもっと国民にもよくわかる具体的な数字をお出しいただくように要望しておきます。  次に地熱ですが、これもまた少し見方が大きいんじゃないかと思うんですね。五十七年度、これは私がもらっている資料では、石油換算で今回の暫定試算は百五十万ないし二百万キロリットルとあるんですね。これはキロワットで言うとどうなりますか。
  76. 小川邦夫

    政府委員小川邦夫君) 百五十万ないし二百万キロリッターに対応しますのは、これは実は電力以外の熱水有効利用分も入っておりますが、電力として私どもこの数字の中で見込んでおりますキロワットは大体七十万キロワットでございます。
  77. 岩動道行

    岩動道行君 それは七十ないし百でなくて、七十と見たらいいんですね。そうしますと、五十七年四月のときは三百万キロワット見込んでいたんですね。大変な下方修正もいいところじゃないですか。私はこの前にもずいぶん厳しく甘い見通し、幻をやっちゃいけないよということを申し上げた。今度は大丈夫ですね。
  78. 小川邦夫

    政府委員小川邦夫君) 今度の百五十万ないし二百万キロリッターという数字は、電力の施設計画等から見ますと、かなりその数字よりは上回っております。その上回っている部分は、実は私どもとして、デベロッパーが現在一応調査井を掘るなど開発の準備をしておるようなもので有望なものを念頭に置きながら、こういった幾つかのプロジェクトが六十五年度には間に合うのではないかという観点からこの数字を積み上げておるわけでございます。したがって、非常に確実かどうかという点につきましては、この数字に到達するにはデベロッパー自身の努力あるいはデベロッパーと電力との協力体制、これに対する私ども政府としての支援というものが前提になっておりますので、こういった諸要素がフルに発揮されることが必要である、そういう数字でございます。しかし、私どもの考えとしては、そういう政策的努力、関係者の努力でこういった数字が六十五年度に実現することを願っておりますし、見通しとして必ずしも無理ではないというふうに考えております。
  79. 岩動道行

    岩動道行君 いつでもこういう計画、見通しが出るときには、官民挙げて、総力を挙げてやっていくんだと、これはもう決まり文句なんですね。しかし、その結果は、一年、二年たつとまるっきり違ったものしか実績として出てこない。まあ余り気張らぬでもいいけれども、もう少し官民の協力体制をやるというなら、実質的におやりなさいよ。そして、NEDOも十分活用されたらいい。せっかくつくったんですから、新エネ機構だって。  そこで、新エネルギー開発について、今回は財政上の理由もあって、これには優先順位をつけておられることは大変結構で、かねてから私が申し上げたことが若干今度取り入れられたということでありますが、しかし私は、かねてから石炭の液化というものは果たして日本エネルギーとしてどの程度役割りを果たすのか。ことに非常に資金が足りなくなってきている今日、石油税の収入が一千億も減ってしまう、こういうときにこの計画に莫大な資金を投入することはいかがであろうかという疑問は依然として残るわけです。したがって、この石炭液化に対する位置づけについては、私は直せとは申しませんけれども、しかし金の投入については十分に検討をする必要があるということをこの機会に要望申し上げて、答弁は要りません。よく聞いておいてそれを実行していただくようにお願いしたい。相談に来てください。  石油問題については、先ほど大部分触れましたが、一つはガソリンスタンドです。これは欧米では非常に大きく減らして、需要が余り伸びない、したがって効率化を図るということでスタンドの整理が相当厳しく行われていますが、日本の場合には逆の方向に行っている。したがって、ガソリンの安値売りが起こって、過当競争が起こる。それを追いかけているのがあなた方なんです。そういうことはやはりもう任しておいて、つぶれるものはつぶれると。これは合理化を本気になってやるかどうかという、その人の問題だろうと思うんです。政府がいつまでも中小企業だから助けてやると、甘えを与えてはいけないと思う。したがって、先般ガソリンの値上げが行われたときに、行政指導があったとかないとかということまでいろいろ言われる。こういうことは、通産省としては、エネ庁としては心外だと思うんです。しかし、そこにはやはりガソリンスタンドの効率化ということを十分に考えて、これから流通の段階でも十分な対応をしていただきたいということをこの機会に要望をいたしておきます。  最後に、石油備蓄でございますが、五十八年度の備蓄の実施状況、民間そして国家備蓄がどのように実行されてきているのか。そして五十九年度は一体どうなるのか。これは石油税の収入が大幅に減ったということから、この報告でも具体的なことは言っておりませんけれども、新聞紙上では、通産省は二年くらい国家備蓄は延ばさざるを得ないだろうと、こういうことをおっしゃっているようであります。しかし私は、まあタンカー備蓄、これなんか大変むだな金を使って備蓄をやっているわけですから、速やかに陸上備蓄に移していかなければいけないと思う。この点についても具体的にどういう措置をおとりになっているのか。これは大事な資金、大事な税金の使い方のむだになっている。したがって、これは速やかに陸上に移すことを実行していただきたい。  そして、三千万キロリットルという国家備蓄、これはこの春、前通産大臣の山中貞則さんにも私は、この計画は日本石油事情、エネルギー事情から計画年次に従って間違いなく実施をしていくべきものだということを申し上げ、山中大臣も、きっちりとそれは国民にいろんなことを言われないようにやってまいりますと、こういう答弁をやっておられるわけです。そこで、いま二年くらいずらそうかという話もあるかに聞いておりますが、この点は前の大臣と今度の報告とは若干ニュアンスが違うというか、意見が違ってしまったというふうにも受け取れるんですが、この備蓄についての基本的な考え方を伺っておきたい。
  80. 豊島格

    政府委員豊島格君) 国家備蓄につきましては、五十七年度までに千二百五十万キロリッター石油国家備蓄をいたしております。洋上備蓄と民間のタンクを借りた陸上備蓄とに分けられますが、その中で五十八年につきましてはさらに国家備蓄を二百五十万キロリットルふやす、こういうことになっております。  そこで、先生御指摘のタンカー備蓄についてでございますが、これは御承知のように、陸上の備蓄は民間タンクを使うのに比べまして大体キロリッター当たり二千円ぐらい高いという経済性の問題もございまして、当初はやむを得なかったと思うんですが、そういうことで五十七年度に三十五隻から二十七隻と八隻減らして、五十八年度にさらに八隻を減らす、陸揚げする。さらに、五十九年度も現在のところ同じぐらい陸に揚げるということで、一挙に全部というわけにいきませんが、その程度、相当急ピッチに陸揚げを進める、こういうことにしております。  それから、備蓄の量及び目標年次でございますが、実は先ほどの説明が舌足らずであったかと思いますが、六十三年度三千万キロリットルの国家備蓄の達成ということにつきましては、われわれはその計画を変えておりません。ただ、財政資金相当苦しい折から、国家備蓄基地の整備につきましては、現在民間でも相当空きタンクがあるということでございますので、そういうものを活用して国家備蓄基地の建設を二年程度工期をずらすということで、備蓄量そのものにつきましては三千万キロリットル、六十三年度変えているわけでは決してございません。
  81. 岩動道行

    岩動道行君 それじゃこれで終わりますが、いまのお話で私も安心をしたんですが、六十三年三千万キロリットル国家備蓄は必ず達成しますと。そこで、国家の備蓄の基地の設備投資とかなんとかということは、なるほど財政上問題があるからこれは若干見送ってもいい。民間に大分余りがあるんですね。むつ小川原もあれば、北海道もあれば、あるいは沖縄もある。これをできるだけ活用するということをぜひやっていただきたいので、その点についてエネ庁長官のお答えをいただいて私の質問を終わります。
  82. 豊島格

    政府委員豊島格君) 先ほどお答え申し上げましたように、まだ国家備蓄基地は十分できておりませんし、今後も先ほど申し上げたように少しおくらしていくということでございまして、その間を利用いたしまして民間の空きタンクを活用するということは計画として考えておるわけでございます。
  83. 井上孝

    委員長井上孝君) 速記をとめて。    〔午後三時四十七分速記中止〕    〔午後四時十二分速記開始〕
  84. 井上孝

    委員長井上孝君) 速記を起こして。  質疑を続けます。
  85. 馬場富

    ○馬場富君 大臣についてはまた見えたときに質問することにいたしまして、まず最初に当局にお尋ねいたします。  最初、今回の需給見通しの改定につきまして、従来の見通しに対する考え方と今回変化があったということからの改定であるということですね。そういう点で、あなた方の説明書の中を見ましても、石油危機以降のエネルギー政策というのは、石油依存体質から脱却することが一つであった。もう一つは、セキュリティー確保を図ることが中心であった。だがしかし、昨年四月の見通し以来非常に現実との点で乖離してきておる。そういうことから、特にエネルギーコスト低減という時代の要請に基づいて、やはりこれは積極的に取り組まなきゃならぬということから、今回の需給見通しの改正が必要であるということを言っておるわけですけれども、ここらあたりの石油依存体質からの脱却とセキュリティー確保を図ることが中心であったという過去の石油政策の考え方、今回、やはりこれにも増して、特に原油価格低下等からエネルギーコスト低減ということが非常に重要課題となった、ここらあたりの考え方の違いというのをひとつ説明してもらいたいと思います。
  86. 豊島格

    政府委員豊島格君) 第一次石油ショックが起こるまでは、先生御承知のように、安いエネルギーということでふんだんに使うということだったわけですが、当然石油ショック起こりましてから省エネルギーということ、それから脱石油、あるいはそれがうらはらをなすわけですが、代替エネルギーの促進ということでございまして、どちらかというと量の確保セキュリティーというのは量の確保にどちらかというと重点があったということだと思います。ただ、最近の情勢から見まして、当然石油需給緩和したということは一つの要素ではございますが、しかし、これももちろんいつまで続くかということでございますし、また中東情勢等もいろいろと不安、不穏でございまして、そういう意味から、基本的にはセキュリティー確保、量の確保ということにつきまして基本的な問題が変わっているわけでは決してないと思います。  ただ、エネルギーにつきましては、ただ単に量さえ確保できればどんなに高くてもいい、あるいは石油でなければ何でもいいということではございませんで、やっぱりそれに依存していく国民経済、産業、民生というものは、やはりできるだけ安いエネルギー確保ということも必要なわけでございまして、そういう意味で、何とかセキュリティー確保基本としつつもコストにも注目するということで考えたのが今回の背景でございます。  それからもう一つは、いわゆる省エネといいますか、産業構造の変化といいますか、そういうことから、従来石油を含めるエネルギーというのは、GNPとともに相当な伸びを示しておったわけでございます。五十五年度以降、すなわち第二次石油ショックを契機といたしまして、むしろGNP伸びるけれどもエネルギーの消費は落ちるというような新しい時代、これはまあいつまでも続くわけでございますが、そういう客観情勢変化がございまして、去年の四月に総合エネルギー調査会で出されました見通しというのは、現実との乖離が大きくなり過ぎたということで、そういう新しい事態も踏まえまして、現実に合ったエネルギー見通しをつくるということももう一つの目標であったわけでございます。
  87. 馬場富

    ○馬場富君 だから、過去の見通しの要素の中には、セキュリティー確保やあるいは石油依存の体質から脱却するという一つの柱があった。特に今回はエネルギーコスト低減ということが時代の要請であるというのを強く出しておるわけですけれども、そういう点で私は、過去の需給見通しの立案について、それじゃわれわれは資本主義の時代にコストを考えずに、コストの問題をおろそかにして需給見通しが立てられたとしたら、これは非常に問題ではないか。現在はコストに非常に重きを置く。過去、五十七年以前においてはコストという問題は案外軽く見積もられてきたかという論議になるわけです。  過去に、先ほど岩動さんからも出ておりましたが、われわれが商工やエネルギー委員会で第一次、第二次オイルショック以来ずっと論議してきたことは、いずれどんな新エネルギーが出ようとも、われわれの時代ではやはりコストを抜きにしたいわゆる新エネルギーというものは考えられない。どんなにりっぱなエネルギーが出たとしても、それは全然コスト的にだめだとしたら、これはやはり実用化されないじゃないかと。そういう論議の中でわれわれは考えるとしたら、やはり採算的に考えれば石炭と、あるいは可能性があるのは原子力、それからもう一つ天然ガス、この三つの要素しかないんじゃないか。あるとしたら、それはコストを抜きにして、経済問題を抜きにして長期間研究しこれを開発していくという問題なら別だがという、こういう論議を盛んに私たちはやつたわけです。そこらあたりの考え方は、以前といまとどうでしょうか。
  88. 豊島格

    政府委員豊島格君) いま先生の御指摘の原子力LNG、それから石炭、これは在来のエネルギーでございます。ただ、今後のエネルギー情勢を考えますときに、それだけでは十分足らないということがございまして、新しいエネルギーの開発は非常に必要なわけでございます。そのためにはいろいろな分野で研究開発を進めていくわけでございますが、そのコスト問題につきましては、ほかのエネルギーコストの将来の上昇あるいは技術開発推進に伴いまして経済性をかなえていくということが基本的な方針であるわけでございます。  それで、従来、新エネルギーについてはコストは余り考えなかったんじゃないかということでございますが、この点につきましては、もちろん採算の合うようにならなければなかなか導入できないということは当然でございますが、しかし研究の初期の段階におきましては経済性というのはなかなかわからない。将来のものでございますからわからないということでございまして、われわれとしましては、たまたま最近そういう研究しているものが次のステージアップ、たとえば実験的な段階からパイロットプラントというふうに段階を上げていく、その段階でコストの問題というのは相当明らかになってくる面が多うございますので、そういう観点から、いわゆるステージアップの段階においては、中長期的な見通しから経済性も考慮して重点的にしぼっていく、こういうことになっておるわけでございます。従来全くコストを考えなかったというのはもう言い過ぎでございますが、コストを十分考える時代に非常になってきておる、こういうことかと思います。もちろん先生御指摘のような点はいろいろあろうかと思います。
  89. 馬場富

    ○馬場富君 そこで、今回のこの提言の何点かの、三十七ページあたりにも今回の需給見通しの改定の意義づけ等が記述してありますし、またこの改定の重要性というのがるる述べられておるわけですけれども、こういうものから考えていきますと、非常に私は今回の改定についても、過去のがそういうような扱い方をされておるとしたら、私らはやはり今度の改定についても大変疑問を持つわけです。そういう点で、やはりコスト軽減のために、今回のこの見直しの中には、そういう面を含めてかなり削られたりなんかしておる面がある。そういう点を私は一つずつ拾い上げながら質問していきたいと思うんです。  最初に、LNGについて質問いたしますが、従来の石油代替エネルギーとして、クリーンということでこのエネルギーがかなり重宝されたし、この需給見通しの中にも大きい位置を占めておったわけです。ところが、コスト高であるという理由で積極的に開発を推し進められないというようにあなた方の説明の中にはあるわけです。  LNGは開発に多額の資金を要する実はエネルギーでございます。そして、二十年前後の長期契約などが実は条件となってくるわけです。そうした場合に、このLNG需要は、電力源にしても都市ガスにしてもかなりの量にいま及んでおるわけです。このように需給が広がっているLNGが、利用幅がかなりの範囲に拡大してきておるというときに、一時的に需給情勢緩和されたからといって、経済性のみを理由としてこういう導入推進等を根本から洗い直す方向というのは、もっともっとやはりこれは慎重に行わなきゃいかぬじゃないか、この点どうでしょうか。
  90. 豊島格

    政府委員豊島格君) LNGにつきましては、先生御承知のとおり、クリーンエネルギーということで、硫黄を全く含んでおらないわけですから非常にクリーンである。それから、たとえば燃焼温度が低いということで、窒素化合物も発生が少ないということでございます。したがいまして、環境規制の厳しい大都市周辺の火力発電において大いに利用される意義があるわけでございまして、また都市ガス等におきましても、クリーンなほかに熱量が倍あるということで、一定の導管で倍運べるという経済性もあろうかと思います。  ただ、このLNGにつきましては、現在は石油等価ということで大体石油が上がれば上がるというようなことになっております。それからもう一つテーク・オア・ペイ条項ということでございまして、これは先生御指摘のように、長期にわたって大きな資本を投入していくということで、これの償却もあるわけでございますが、一応約束したら必ず引き取らなくちゃいけない。たとえば、需要が減退して要らなくなっても、石油のように買わないというわけにいかない。したがって、引き取らないなら金を払え、金を払った以上は当然引き取るということになろうかと思います。  そこで、クリーンエネルギーとして非常に大事でございますが、コストという点から考えますと、代替エネルギーの中で原子力とか石炭に比べて非常にそういう面では不利な面があるということと、それから石油に比べても、値段が同じですが、供給条件が硬直性があるということで、簡単に需給の調整ができない。こういう観点からいたしまして、先ほど申しました特定の需要に対しては必要であるということで、現在いろいろな点で計画されておりますLNG発電所あるいは都市ガスのための供給につきましては、このために、この確保に最大限の努力をする必要があるわけですが、そういうところでない分野におきまして、たとえば原子力石炭等と比べますと、いまの条件では必ずしもコスト的によくない。したがって、われわれとしてはLNGの重要性は否定しているわけではないんですが、LNGを今後購入していくためには、むしろそういう条件の改善をして入れていくということが国民経済的にも非常に大事なことである、こういうことをこの中で指摘されておるというわけでございまして、LNGの重要性が薄れたということではないというふうに御理解いただきたいと思います。
  91. 馬場富

    ○馬場富君 これは先ほども言っておるように、五十七年の見直しのときも重要なエネルギーとしてクローズアップはされたし、それからまだいま、あなたがいま説明していらっしゃるのは短期じゃなくて長期の見通しですよ。長期ですよ、いいですか。そういう長期の見通しの中に果たして、石油の有限性の問題もまだありますし、それから石油とあわせてこの天然ガスというのは同量の埋蔵量ということも考えられておる。そういう点で、石油の使用とあわせてガスの使用というのは自然的な状況からいって当然だし、また石油価格がこれだけでみんな終わったわけじゃないと私は思う。だから、本当に近距離的なあなた方の見方で、今度はコストをとらえるといえばコストだけをとらえる。五十七年のときはコストを案外考えずにそういう見通しを立てたというような点で、私たちは、いまのLNGにしても、いわゆる公害の問題についても利点がありますよ。埋蔵量の点についても将来性がありますし、特に最近は渤海湾にしてもサハリンにしても、この日本海近海にいこれから開発されようとする石油源についても、そこに同量のガスが埋蔵されておるとも推定されておるわけですよ。  そういう点で、必ずこれは私はかなり大きいエネルギーの中で位置を占めていく問題でもあるし、実際使っておる面でコストを乗り越えるものが、クリーンだとかいろんな面でかなりプラス面もあるという点で、やはりいまの、先ほどあなたがおっしゃった契約や取引の条件を一つは変えていけば可能性もあるということは、業者たちも皆言っておるわけですね。そういう点で、これはすぐ変えるということじゃなしに、そういう契約やそういうものの改善方法にもっと力を入れるべきじゃないかと思うが、この点どうでしょうか。
  92. 豊島格

    政府委員豊島格君) 先生御指摘のとおりでございます。  特に、値段、条件等は、日本が世界貿易の七五%を占めておるわけで、日本がどちらかというと決めてきたようなものでございますので、当然のことながら従来のものについてうんと改善するというのは、どこまでできるかということにつきましてはいろいろあらうかと思いますが、これも努力する。それから新規におきましては最大の努力をする。それによってむしろ条件がよくなればもっともっと買える、こういう事態が出現するんではないかと思います。そういう努力は続けていくべきだ考えます。
  93. 馬場富

    ○馬場富君 そこで、これにつけ加えまして、最近マスコミ等の報道の中で、LNGに課税をするという動きがあるということが論じられておりますが、税制調査会などではこういう問題が議論されたかどうか、過去に。  それからまた、今後課税の方向で政府は検討しておるかどうかという点について、大蔵省の御説明をお聞きしたいと思います。
  94. 小川是

    説明員小川是君) 税制調査会は、ただいま中期税制について審議を行っておりますが、石油税について具体的な検討を行っている段階ではございません。  それから、かつてLNGについて議論が行われたことがないかという御質問でございますが、昭和五十三年に石油税法がつくられましたときに、課税対象の問題といたしまして天然ガス等を石油税の課税に際していかに処理すべきかについては、立法の過程で十分政府の部内で検討するようにと、その検討の結果を踏まえまして現在の税法ができ上がっていると承知しております。  なお、今後の五十九年度の税制改正につきましては、当然のことながら、今後の予算編成の過程において議論されるべき問題でございまして、現段階においてとかく申し上げる段階にないということを御理解いただきたいと思います。
  95. 馬場富

    ○馬場富君 これは大臣にお尋ねいたしますが、税金の問題ですが、原油価格と等価であるということで、実はLNG火力は石油火力に次いで発電のコスト高だと、こういうふうに実はいま言われて問題になっておるわけですけれども、このLNGに課税するというような状況が起こったとしたら、やはりLNG火力の経済性をさらに悪化させるということに私はなると思うんですが、大臣、こういうような点について、今後こういう問題が出たときにはどのように考えてみえるか、お尋ねいたします。
  96. 宇野宗佑

    ○国務大臣(宇野宗佑君) いろいろとすぐにそういう課税問題があるいはどこからか飛び出すかもしれませんが、産業を預かっている者といたしましては、そうした増税には常に反対の立場をとっていきたいと考えております。
  97. 馬場富

    ○馬場富君 それから次に、今回の需給見通しの中では、新燃料あるいは新エネルギー供給見通しが大幅に低下しております。特に新エネルギー開発は長期化に取り組む必要性があるわけです。だが、政府の今回の一つの考え方は、一時的な石油需要緩和によって長期的な新エネルギー開発の計画というのを修正する面が各所に出ておりますけれども、これはどういう理由でしょうか。
  98. 豊島格

    政府委員豊島格君) 先生御指摘の点、ちょっと私十分理解していなかったらお許しいただきたいのでございますが、いろいろなエネルギーの今後の政策につきましては、基本はやはり変わらないということでございまして、一時的な石油需給緩和あるいは価格の引き下げということによって今後のエネルギー政策、すなわち省エネルギーあるいは代替エネルギー推進ということは基本的には変わらない。しかし、その中において、先ほど来議論になっておりますように、セキュリティー確保しながらもコスト面も考えていくということを考慮に入れて、バランスのとれたエネルギー政策を進めていくということであらうかと存じます。
  99. 馬場富

    ○馬場富君 それでは、具体的な例を説明しますと、政府は新エネルギー開発について、今回のこの提案の中で、中長期の経済性を重視した再評価を行う時期であるとして、この新エネルギーのプロジェクトの廃止、縮小を行っておるわけです。そういう点で、これは技術開発を含む石油及び石油代替エネルギー対策勘定の財源である石油税が石油価格の下落及び輸入量の減少から減収となっておる、こういう見通しがあってこういう点が出てきておるという考え方が強いわけです。資金が豊富なときには各種の技術開発をやる、だが資金が不足してきたら計画を縮小するとしかわれわれにはとれないわけですよ。この点どうでしょうか。
  100. 豊島格

    政府委員豊島格君) 確かに、石油税は従価税でございますので、五ドル引き下げ、あるいは量も余り伸びないということで税収が減っておる。そういう中で、エネルギー政策につきましては、新技術、新エネルギーの開発を含めてあらゆる分野でできるだけ効率的、重点的にやるということは必要なことであろうかと思います。そういう意味での一般的な検討ということは当然でございます。ただ、今回新エネルギーにつきまして、たとえば太陽熱発電あるいは水素プロジェクトについては一応ステージアップは行わないということにつきましては、やはりそれだけでなくて、従来からも、ステージアップの段階ではやはり経済性等に合わせて評価していくということが必要だということは、従来からも理論的には言われておるわけでございまして、そういう観点から、もちろん税収その他も考えましてやったわけでございます。  それで、従来はなぜやらなかったかということがもう一つ御質問の趣旨かと思いますが、研究開発の初期の段階におきましては、その経済性というのはなかなかわからない面が非常に多いわけでございます。たとえば太陽熱発電、一定規模の実験プラント等をつくりましてそこで明らかになるという点もあるわけでございます。そういうステージアップの段階で一つ一つ評価していくということでございまして、必ずしも税金が足りないから、収入が足らないから、財源がないから、本当に必要であってもやめるということでは必ずしもない、この点については申し上げられると存じます。
  101. 馬場富

    ○馬場富君 この点大臣に質問しますが、先ほども岩動議員の質問にもあったように、たとえば私たちが石油危機で商工委員会等で論議した中でも、やはり新エネルギー開発やあるいは新燃料の開発の問題については、われわれが考えてみてもかなり無理な要素のものがたくさんあったわけですよ。それが果たして実現が可能かどうか。先ほどの石炭の液化でもそうです。それからいまの、今度問題になっております太陽熱発電でも、あるいは水素の問題でもそうですけれども、当初からこれはやはり無理があったわけですよ。経済効果を考えたらこれは初めから出発できなかったわけですよ。それに、これだけじゃありませんけれども、たとえば水素あたりだと六十三億投入していますし、あるいは太陽熱においては四百五十八億も投入していますね。それは熱の関係も光の関係もあって、これは両面からありますけれども、こういう大きい投入がなされるんなら、もっともっと私たちが言いたいのは、いま断念するよりも最初のときにもっと慎重に行うべきじゃなかったか。そういうことが大変、その当時われわれが議論した中であなた方が承知の上でこれを組まれたんだから、その点はちょっと軽率ではなかったかと思うんですが、どうですか。
  102. 豊島格

    政府委員豊島格君) 先生御指摘のように、最初から慎重にいろいろやるべきであるという御意見につきましては、私ども今後ともそういう点には十分留意していきたいと存じておる次第でございます。ただ、いろいろと初期の段階においては未知数の問題もございまして、必ずしもその段階から経済性が初めからないということがわからない分野もありまして、技術開発あるいはその開発の進展によっては、とても物にならないというもので実用化されたものも幾つもあるわけでございまして、そういうことからいたしまして、いろいろと当初は可能性のあるものを追及していくということは必要であるという点も御理解いただきたいと思います。しかし、それがある一定のものがはっきりわかった段階では、はっきりやめるべきものはやめる、伸ばすべきものは伸ばすという判断も的確にやる必要がある、このように感じております。
  103. 馬場富

    ○馬場富君 大臣にここで質問しておきますが、五十七年度のとき、以前の見直しのときでもそうですけれども、やはり研究してまだ物になっていないものを計画の中に入れるということは、僕はその計画はずさんだと思うんです。そういう点で私は、研究は研究としてこれは将来に向けて開発については続けなければならぬ問題もあると思うんです。だから、やはり需給見通しの中に挙げていくものは、先ほどお話し申し上げましたように、代替にしても実際エネルギー化して実用化されるという見通しの立ったものについて私は計画に入れるべきだと思う。ここらあたりが、やはりいままでの需給見通しの中に新エネルギーの何か政策的なものを入れてしまったというのが、ちょっと私は需給見通しの甘さではなかったかと思いますが、これはいかがでしょうか。
  104. 宇野宗佑

    ○国務大臣(宇野宗佑君) 私は御指摘のとおりだと思うんです。私も実は科技庁長官としてあるいは責任者の一人かもしれませんが、あらゆるフィージビリティーを追求するためにいろんな新しいエネルギーの開発に乗り出したことは事実でございます。しかし、国民の間には一部におきまして大混乱を来しました、率直に言って。たとえばいまもう原子力はすでに利用されておる。これの必要性を唱えましても、もっと安全なものとして太陽熱があるじゃないか、こういうふうな議論がすぐ出たりいたしました。しかしながら、太陽熱も必要でございましょうが、経済性なりあるいは多量のエネルギーとして供給するにはまだまだ勉強不足である、こういうふうなことがございましたから、したがいまして今回の見直し等々を通じましてそうしたものを一応今回は省略をさせていただいた。決して夢は捨てたわけではありませんが、しかし現実にはいま間に合わないものはやはり整理整とんしておこうと、こういうことでございますので、当然われわれもそういうつもりで今後慎重を期してやってまいりたいと思います。
  105. 馬場富

    ○馬場富君 次に、石油公団が行っております石油開発事業に対する投融資の問題で、かなり需要が多くて、そして資金不足という点が出ております。特に財源である石油税が激減しておるという点でこの資金難の問題があるとされておりますけれども、この財源である石油税は今年度約一千二百億円の減収が見込まれると言われておるわけでございますが、こうした中で先月、杉山通産事務次官が経団連の会館で講演した中で、石油税の引き上げは避けて通れないという引き上げ方針を公式に明らかにしてみえますが、このエネルギー政策石油税の引き上げについて通産大臣のお考えを聞きたいと思います。
  106. 宇野宗佑

    ○国務大臣(宇野宗佑君) 杉山次官の発言は私も、すぐに次官みずからが大臣室に参りまして、このような発言をしたことはなかったんでございますが、このような報道をなされましてまことに私といたしましても残念でございましたという報告がございました。したがいまして今日、私を含めまして石油税の値上げを発言した者は通産省においては一名もございません。  ただ、いま申されましたとおりに、五ドル下がったということは、従価税でございますから、それだけ石特会計におきましては歳入減を来しておることは事実でございます。しかし、歳入減を来したからすぐに補てんだというふうな短絡的な考え方であっていいのだろうか。また、そこに歳出ありき、だから当然その補てんは税によるべしということであっていいのだろうか。いま太陽熱等々もわれわれといたしましては一応整理をさせていただきましたと同じように、まず歳出の効率化、合理化、そうしたことを徹底して洗ってみてはどうだろうかと、私はこういうふうに考えております。なおかつ、歳出の中におきましてもやはりいろいろと議論があったでございましょうが、石油備蓄という問題に関しましても、今日は需給緩和だからもうこんなものいいんじゃないかという説もありますし、いやそうじゃない、先ほどの与党の質問にもありましたとおり、イラン・イラクの問題等々もございますし、あるいは為替レートの変動もございます。いろんなことを考えまして、私は総合的に今後判断していきたいと考えておりますので、そうした問題に関しましては、まだまだわれわれは引き上げ等々を考えておりません。
  107. 馬場富

    ○馬場富君 来月はレーガン大統領も訪日します。それから先般はエネルギー長官が来まして、大臣とも会っています。こういう中で、アメリカ政府が最近貿易摩擦解消の一つの対象として西部炭を買いつけてほしいということを日本に要望しておるという点がございますが、かなりこれは奥地であるためにコスト高になるという点が業界でも心配されておるわけでございますが、この点について、大臣はアメリカとどのようなお話があったか、お尋ねいたします。
  108. 宇野宗佑

    ○国務大臣(宇野宗佑君) むしろアメリカ側からは西部炭の引き取りに関しまして常に強い要請がございます。率直に申しますと、国際価格の上におきましては他国よりも高いことは御承知のとおりでございます。だから、その運送に関しまして知恵をしぼるのならばあるいは国際価格一般並みになるのではないかという話もございます。そうしたこと等を通じましていろいろ話し合いをいたしておりますが、現在は製鉄あるいは電気等々非常に事業が落ち込んでおりまして、したがいまして石炭等々もそれほど需要を高めておるわけでありません、むしろ減っております。だから、既契約分までも果たして引き取りできるかどうかというむずかしい状態にあるよと、だから短期的にはこれは非常にむずかしい問題なんですと。しかしながら、わが国はやはりエネルギーというものを必要といたしますから、長中期にわたりまして十二分にその供給というものをわれわれも期待いたしますから、今後検討いたしておきましょうと、こういうふうなことで、現在は日米間でワーキンググループをつくりまして、そこで非常に円満な話し合いをいまさせておるというところであります。
  109. 馬場富

    ○馬場富君 最後に、先ほどの対馬議員の質問の中で大臣は、今度の需給見通しの改正については五十七年四月のときよりもいろんな情勢変化したということですんなりお答えしていらっしゃいましたけれども、需給見通しが改定になったときに――実はOPECでの三十四ドルから二十九ドルの五ドルの低下、あれは五十八年三月でした。だが、これはそういう値下がりの環境がずっとあったから実はOPECは下げたわけです。だからその以前に、実質世界の石油市場ではずっとやはり五十年あたりから、いわゆるスポットが五十年末には四十三ドルあたりであったのが、実は五十七年四月あたりには三十四ドルあたりまで下がってくるという非常に下降の状況にあったわけです。あの時期に、五十七年の四月にあのような需給見通しが出されたときに、われわれは、政府というのは前の考え方を、もう変化しているときに、研究してもらったものだから発表するものかと、私は大きい疑問を持ったんです。しかも、今回のこの中に長期見通しの堂々たる意義づけがしてあるわけですよ。だから、そういうものならそのようにもっともっと私たちは恒久的なものを考えていかなきゃいかぬし、いまあなた方が答弁しておる中を見ると、短期中距離的にまず当座の考え方というような要素もずいぶん含まれておるわけです。ここらあたり非常に疑問を持つわけです。だから私は、今回についてもそういう点で本当にこのような見通しに立っておるのか、それともやはり多少常識の線から言ったら今後も検討し改善していくものなのか。その期間は一年四カ月でした。もうそのときには石油価格が世界市場でダウンに入っておった。そのときにあのような上がるような需給見通しを発表したというところは、大変私は慎重さにおいて欠けておったんじゃないかと思いますが、大臣いかがですか。
  110. 宇野宗佑

    ○国務大臣(宇野宗佑君) 先ほども対馬委員にお答えいたしましたとおりに、五十五年の経済見通し等々を基準といたしまして、特に成長率は、いろいろ御意見があったでございましょうが、五%というものを求めてやったものでございますから、その成長率にも及ばず、大体三%で推移したわけでございますが、私たちの従来の見方では、成長率はすなわち石油消費量に正比例する、こういうふうに考えておりましたが、あにはからんやわが国におきましては消費が非常に停滞いたしまして、むしろ省エネというふうなことで国民の方々の協力を得ましたので、成長率は三%程度成長したが、むしろエネルギー消費量は三%減った。こういうふうなことでありまして、この点は非常に省エネは徹底した、あるいは一部は代替エネルギーによってそうした結果を得たものだと思いまして、その点は私は一つの大きなメリットではないかと思いますが、しかし見通しといたしましては、確かにおっしゃるとおりのことであった。したがいまして、われわれといたしましては慎重を期しまして今後の見通しを立てたというのが経緯でございます。
  111. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 長期エネルギー需給見通しを拝見いたしますと、そこで指摘しなければならない問題点多々ございますけれども、本日は時間もございませんので、国内炭の位置づけが非常に弱いというのが私の感じなんです。そういう立場から具体的に伺っていきたいと思います。  北炭夕張の大災害がございましたが、夕張の山、北炭系というのは非常に災害が多いというのが特徴でございます。この北炭系の重要災害の件数と、そしてそこで何人が殺されちゃったか。それからもう一つは新鉱の災害、五十六年十月十六日のあの大災害の後事故が何件起こって何人亡くなっているか、数字で簡単にお答えいただきたいと思います。
  112. 島田隆志

    説明員(島田隆志君) お尋ねにお答えいたします。  北炭の夕張新鉱の災害がございました以降、北炭幌内、真谷地、空知炭鉱で死亡災害が十二件ございます。それから幌内の災害率でございますが、百万人当たりの災害率で申し上げますと……
  113. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そこまで聞いてない。いま聞いたのだけ答えてちょうだい。抜かしているでしょう、北炭全体でどれぐらいの件数で何人死んでいるかという数字
  114. 島田隆志

    説明員(島田隆志君) 十七名でございます。
  115. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 いや、北炭全体ですよ。それは大災害の後でしょう、いまの十七名というのは。
  116. 島田隆志

    説明員(島田隆志君) そうでございます。
  117. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そうじゃなくて、北炭系で大体どれぐらいになっているか。
  118. 島田隆志

    説明員(島田隆志君) いま、この前の事故があった以降でございますが……
  119. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 いや、以降はいまの十七名よね。だから、その前おたくの方で調べてくださいと言った数字があるでしょう。
  120. 島田隆志

    説明員(島田隆志君) ちょっと累計をしておりませんが、五十年から申し上げますと、五十年が三十七名、五十一年が六名、五十二年が八名、五十三年が八名、五十四年が十四名、五十五年が七名、五十六年、名張新鉱の災害を含めまして百四件、五十七年が九名、五十八年に入りまして現在まで五名でございます。
  121. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 私の質問時間短いんだから。きのうちゃんと通告してあるんです。そしておたくの方も資料を出してくださった。だけど、私は議事録にちゃんと出したいから質問したわけよ。だから、いまの何年間とおっしゃったけれども、おたくで出してくだすったのは昭和二十四年から五十八年までお出しいただきましたね。そしてその合計が九百九十六名でございますということです。この数字ごらんいただいても千人近くの人が二十四年以来死んじゃった。あの大災害以後でも死亡事故が十二件、十七名死んだというこのデータを見まして、私は、夕張の大災害の教訓というものがどういうふうに生かされていたのか。あの後もこんなに死んじゃっているんじゃないか、北炭系で。ということが非常にショックだったわけでございます。特に幌内で申しますと、経営が非常に安定していないということから、保安の問題、皆さんもきっと御心配なさっていらっしゃると思います。  幌内でお伺いいたしますけれども、五十七年の災害率ですが、幌内の災害率と全国平均と比べて幌内はどうなっていますか。それから、幌内の災害の発生状況はどうなっていますか。数字で簡単にお願いします。
  122. 島田隆志

    説明員(島田隆志君) 災害率、稼働延べ百万人当たりで申し上げますが、五十七年度で申し上げますと二百七十一でございます。全国平均が百十八。それからごく最近で、五十八年の一月から六月まででございますが百七十六、全国平均が九十六でございます。お尋ねの幌内の五十七年度で申し上げますと、死亡災害が取り扱い中の器材・鉱物によりまして一件でございます。そのほかは、落盤ですとか運搬ですとか、取り扱い中の器材・鉱物あるいは飛び石、転石、いわゆる頻発災害による災害がほとんどでございまして、その原因を調べてまいりますと、不注意ですとか操作ミス、あるいは不安全行為というふうなものが大部分でございます。
  123. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 大臣、お聞きいただいているわけですけれども、全国平均の災害率が百十八、幌内の場合にはいまおっしゃったように二百七十一なんです。実に二・三倍もの災害率があるわけで、非常に危険だ。それからまた、五十七年のいま伺ったわけですけれども、死者は確かに一名なんです。五十七年、死者は一人だけれども、重傷というのが百六十二人いるんです。百六十二人、毎月十人以上が重傷なんです。重傷というからどんなのかといったら、足一本なくなっちゃったとかいうような本当の重傷、これ働けないんですよね。この重傷の事故、全国のどれくらい占めているかといいますと、全国の二〇%この幌内で出しているんですね、重傷事故というものを。だから、一年見てもこれだけだということは、非常に大変な山だということでございますよね。  そういう意味で、皆さんの方も、これは大変な山だとおわかりになっていらっしゃって、いろいろと対策をやっていただいていると思いますけれども、具体的にどういうふうな対策をおとりになっているか、それを簡単にお答えいただきたいと思います。
  124. 島田隆志

    説明員(島田隆志君) いま先生の御指摘ございましたように、炭鉱としましては非常に近年着実に低下をしているわけでございますが、非常にいま申し上げましたように頻発災害等々が多いということで、私ども通産省としましては、五十八年度を初年度としまして「鉱業労働災害防止計画」をつくって、それに基づきまして炭鉱の自主保安、これは一般的な、当炭鉱だけじゃございませんが、自主保安あるいは保安教育の強化、作業環境の整備というふうなものを推進さしているわけでございますが、同鉱につきましても非常に頻発災害が多いということから、作業手順の見直しですとか、あるいは作業環境の整備、係員の定期点検強化、そういうものにつきまして、札幌鉱山保安監督局としましても監督指導の強化を図っている。  それからもう一つは、この炭鉱は非常に深い炭鉱でございますので、自然発火というふうな、そういう重大災害が起こらないようなということを重点項目としまして、ほかの炭鉱以上の監督強化を図りながらやらしております。  要は、ただあくまでも自主保安というのがわれわれ重点だと思いますので、監督の強化はやりますが、労使一体とした保安の確保の徹底を図るように指導監督をしてまいりたいと、やっておるわけでございますが、今後とも引き続いてやってまいりたいと思っております。
  125. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 私は、きょうここで言いたいことは、大臣、夕張の大災害が起きましたよね。あれと非常に似ているというのが私は本当につらいんですね。ここでまた言わなきゃならないのは。夕張の場合も非常に再建計画が順調にいかなかった。それでも出炭をしろと石鉱審からもせっつかれるというようなことで、そしてもうついにあそこまでいっちゃったわけですよね。ここも本当に似ているんです。もう計画はうまくいってない、いろいろ困難な問題がある、これでまたここで夕張の二の舞やられたらたまらないと、私そう思ってきょう特別これをお話を聞いていただこうと思っているわけなんですよね。  いろいろおたくでも重点炭鉱としていま手を打っていただいているんだけれども、おっしゃったように、幌内というのは典型的な深部ですよね。深部炭鉱で、現在、七片、八片、深部の千七十メートルまで行っているんですね。現場労働者からいろいろ聞きますと、やっぱり深くなるに従って着実に異常破砕現象というのがふえてくる。それは当然だと思うんですね。それから天盤がもろくて崩落の危険があると言っています。それから高温になりますね、深部になりますと。そういう対策というものを非常に求めているし、しなければならないと、そう思うんです。  それからもう一つは、自走支保、自走のあの支保に見られるんですけれども、四十八年物が三十五件あります。それから耐用年数が過ぎている設備もあるんですね。そうすると、いまおっしゃったように、深部に対していろいろな手を打つとおっしゃる。それもやっていただかなきゃならないんだけれども、こういうまあ古いといったら古い、耐用年数過ぎちゃったというものの一つは問題ではないかと思うんですけども、その点いかがでしょうか。
  126. 村田文男

    政府委員(村田文男君) 設備の更新につきましては、先般、九月二十日に石鉱審の経理審査小委員会でレビューいたしました計画におきましても、自走枠を初め必要な機材の更新についてそれを定めまして、必要な支援措置を近代化資金の中で措置するように処理済みでございます。
  127. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 次に、幌内の経営計画、これが私はやっぱり非常に基本になる問題だと思うんですよね。それに対して、きのううちの小沢議員に対して石炭部長、この計画で明るい見通しがあるのかと小沢議員が質問いたしましたら、いや四千二百トンは無理でないと、こう確信を持っておっしゃったわけですね。私はそれ聞いて、北海道にいらしてよくわかっているはずなのに、いやに簡単に見通しは無理でないとおっしゃったのかなあと思って、それでここでちょっときょうはもう一回きちっとしたいと思うんですよね。見通しは無理ではないんだと、四千二百トン。  しかし、これからちょっと言いますけど、まず第一、夕張の事故が起きましたね。あの事故が起きる七カ月前ですよ。そうしますと五十六年三月ですね。この五十六年三月に夕張といま問題にしている幌内、夕張と幌内の炭鉱が石鉱春の小委員会、そして通産省から何と言われたかというと、異例中の異例の措置なんだよ、普通じゃないんだよと言われて、最後の再建の道だというふうに言われて進んできたわけですよね、御承知のとおり。ところが、生産計画の大幅おくれが続きました。そして五十七年より再建計画の見直しが行われるということにならざるを得なくなったわけですね。そして五十八年の三月に石鉱審が計画の変更を認めたんですね、御承知のように。それも何年というんじゃなくて、一年分に限って認めたというのは、一年に限って石鉱審が承認したわけですね。そして見直してから半年後の九月に石鉱審から計画の大幅未達を来していると、こう指摘されたわけですね。九月三十日、石鉱審の指摘ですよ。そうすると、もうこれが異例中の異例だよと言われて、そして見直しやられて、そして出したは半年たたないうちにまたこれ指摘される、こういうふうな状態なんですよね。それなのに専門家のあなたがもう無理じゃないと、こう言われたから、私はちょっとこれは問題ではないかなと。そういう楽観でまた何か起こったら私は大変だと思うんですよね。夕張のことをどうしても私は忘れられない。あのときも計画が未達ということで、労働者に言わせれば事故が起こるよと、あの三月から告発していたでしょう。告発して、私も委員会で何回も取り上げましたよね。出炭をあおられてついに事故を起こした。  こういうことから考えますと、やっぱり何といったって保安を第一に、確実に実施できる出炭の見通し、これを含めて根本的に計画を見直していただきたい。半年でもってまた未達だなんてあおられて、今度一生懸命にがんばるという意思があるからできるんだろうということでは、私はちょっとこれは責任がなさ過ぎる、そう思うんですけどいかがですか、計画見直しについて。
  128. 村田文男

    政府委員(村田文男君) 楽観的な見通しを申し上げたという、私だけが申し上げているわけじゃございませんで、石鉱審の先生方あるいは炭鉱関係の専門家、いずれもこの鉱山の自然条件等々から見て、他の炭鉱がやっているような努力を続けてやれば十分四千二百トンは出るというふうな見方が大方の意見でございます。最近出炭不振が続いておりましたが、昨日は四千二百トンをオーバーいたしております。まあ、一時断層にぶつかっておったが、それを抜けたということでございまして、過去にも四千二百トンあるいは五十六年には五千トンというような状況もございましたし、私だけが楽観的に申し上げているわけじゃございません。  それからもう一つ、石鉱審で御審議いただいております再建計画、決して会社に無理を、保安を無視して無理をせよというようなつもりは一切ございませんで、石鉱審の御意見でも保安の確保が大前提ということは、先生御案内のように、三月の意見書にも九月の意見書にもこれは大前提というつもりでわれわれ指導、監督いたしているつもりでございます。
  129. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 いまもはからずもおっしゃったけれども、うまく経営がいかないとか出炭が進んでいかないとかいうのは、他の山並みにやればできるんだ、こういうふうにおっしゃるし、それからもう一つおっしゃるのは、労働者の出稼率が悪いんだ、こういうことですよね。確かに数字だけで見ますと低いように見えます。でもその実情をちょっと聞いてもらいたいし、頭に入れてほしいわけだ。労働者の状態を見ますと、賃金は四月から一〇ないし一五%繰り延べになっているでしょう。五十七年、五十八年はベースアップはストップですよ。ほかの大手のようにやれと言うんだったらほかの大手のように出せばいいんだけれども、賃金は大幅にダウンですよね。  それから、今度は職場環境です。深部になってくるから高温で、どれくらいあるんだといったら、三十六度から三十八度あるんですって。だから熱中症とか脱水症を起こすんですね。丈夫な人はちょっと上がって五時間くらい、半日くらい休めば何とか治るということだけれども、これをしょっちゅうやっているわけにいきません。やっぱり疲れちゃって休まないではいられないというのが出てくる。これは環境が悪いからしようがない。昼休みは十五分ですよ。残業も二時間やっている。労働者は一生懸命やるんだと言うんですよね。決してサボろうなんとは思っていない、一生懸命やるんだと。だけど、退職しても退職金をまだ払ってないじゃないか。こういうふうに見てきますと、出稼率が悪いとか他の山並みにやれなんていう簡単なものではない。やっぱりここのところに、深部に対する対応のまずさなど、会社にとっての責任が相当ここのところにあるんではないか。  それから、稼働率の問題なんかを考えましても、稼働率で言いますと目標八四%出してますね。それで現在八〇%くらいで低いと、こう言われるわけです。私も、そうだな、せめて目標ぐらいやればいいなと思ってよく調べてみたら、たとえば重傷者、先ほど言ったように重傷者が、何人でしたか、この一年で百六十何人ですよ。そうすると、ここで働いている人は一体何人かといったら千六百何ぼですわ。その千六百人が働いている中で、重傷になって足がもげちゃった、働けないという人が百六十人も出ているんです、一年で。そうすると、この人たちが重傷でなくて働いたら何%になるかと計算したら、九十何%になるんですよ。だから、稼働率が悪いというのは、重傷になってしまって働けないからなんだ。そして脱水症だ、熱中症だということになるんです。  そしてまた、七片の東向き、長さ千八百メートルの坑道は、昨年の春から約十カ月使用不能になった。そして電車運搬がとまって、現在も千八百メートルのところ百十メートルしか動かないというんですね。そうすると、幾ら昼食十五分でがんばって残業をやっても、こういうことでは上がらないのはあたりまえじゃないか。その辺のところもきちんと考えて処置をしていただかなければならない、そういうことですね。そういう実情を本当に客観的に分析してみてごらんなさい。私の言うの無理じゃないでしょう。それを考えてしっかりやってくださいよ。
  130. 村田文男

    政府委員(村田文男君) 職場環境の改善の問題につきましては、今回の計画でも坑内冷房を充実する等、それなりの努力はこれからもするつもりでございます。  それから、ちょっと私誤解を与えたかもしれませんが、努力不足というのを何か労働側だけの努力不足というふうにお聞き取りになったかもしれませんが、石鉱審の指摘でも、やはりあくまでも経営管理が適切を欠いたということと、労使一体となっての努力不足ということでございますので、いずれも労働側にすべてをしょわして考えているつもりはございません。
  131. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 これで最後ですから。  石鉱審でまさかそんなこと言っていないけれども、労働者の出稼率が悪いんだ、北炭の労働者は働かないんだ、あんな労働者雇うところはないんだとさんざん言われているんだから。だから、事実でもって私は言ったんだから、それをちゃんと頭に入れておいてください、せめて石炭部長ね。  それから最後に、幌内線の問題なんです。大臣にお願いしたいんですけれども、いま言ったように、幌内炭鉱、非常に厳しい経営をやっているわけですよね。それで今度、幌内線が第二次廃止対象になっているんです、ローカル線で。そうしますと、もう幌内炭鉱については決定的な打撃になるわけなんです。石炭の輸送量を見ますと、この幌内から年間五十万トン以上出ております。もしこれが廃止になってトラックに輸送を任せるということになりますと、調べてみると、トラック用の積み込み設備等の費用で二十七億かかるというわけです、国鉄が使えないから。そうしますと、輸送費が大幅にアップして流通コストが上がる、こういうことになりますね。  それから今度は交通量、これでどっとトラックが行きますと何台通るかと調べたら、一日当たりトラックが八百二十八台通る。そうしますと、一台の間隔ですが、三十五秒に一台走らなきゃならない、こういうことなんですね、もし廃止されると。そして幌内炭鉱は経営困難で、まだ三笠市も乏しい財政の中なんだけれども、十億いま市から借金していますね。この間も賃金払えないとかいって、また一億借りましたね。そういう、いま躍起となって一生懸命がんばっているところに、今度またコストアップになったら、これはもう致命的になってしまうということです。夕張炭鉱がもう閉山になっちゃいましたね、残念ながら。そうしますと、国内炭二千万トン体制と言っているけれども、二千万トン体制はもうすでに崩れていますけれども、ますますここのところで打撃を受けてくるのではないか。歌志内線でも空知炭鉱を抱えていますからね。そういう立場から、私は運輸ではないけれども、石炭政策の立場から、二千万トン体制を何とかして維持しようという立場から言えば、こんなむだなことはやめて、そして石炭政策上からもこの線の廃止はちょっと考えてくれということを大臣の立場でぜひ私はお考えいただきたい。  それから、この幌内で退職金の支払いがまだ残っているんですね。未払いがいままでで四十億円ですわ。そして、この間聞きましたら、計画は一年に上期下期で一億ずつ、二億ですよね。そうすると、四十億を二億ずつ払っていったら二十年かかるんです。
  132. 井上孝

    委員長井上孝君) 小笠原君、時間ですから締めくくってください。
  133. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そういうことでございますので、退職金の支払い計画も、具体的に払えるように、きちっと計画を立てさせるようにお力をかしていただきたいというのが最後のお願いでございます。どうぞよろしくお願いします。
  134. 宇野宗佑

    ○国務大臣(宇野宗佑君) 幌内線に関しましては、いままでもその重要性を考えておりますから、すでに国鉄並びに運輸省に私からもその話をいたしまして、一度小康を得ておりますが、今後のことはまた先生方の大変な御協力を仰ぎたいと私は思っている次第でございます。
  135. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 退職金。
  136. 村田文男

    政府委員(村田文男君) 退職金の問題につきましては、再建計画の中でできるだけ優先して払うように、今後とも指導してまいりたいと思っております。
  137. 井上孝

    委員長井上孝君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。  夏目君から発言を求められておりますので、これを許します。夏目君。
  138. 夏目忠雄

    ○夏目忠雄君 私は、この際、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合、参議院の会の共同提案に係る石炭政策推進に関する決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。    石炭政策推進に関する決議(案)   政府は、我が国エネルギー供給の長期安定化の観点から、国産エネルギー資源として重要な石炭に関し、第七次石炭政策の円滑な推進を図るため、次の諸点について適切な対策を講ずべきである。  一、石炭対策の重要性にかんがみ、その推進に支障を生ずることのないよう必要な財源確保に努めること。  二、基準単価設定にあたつては、需要業界の理解と協力を得て、石炭鉱業の自立達成に資する適切な基準額となるよう努めること。  三、北炭幌内炭鉱をはじめとする国内炭鉱の安定操業を確保するため、鉱山保安に万全を期し、労使の一層の努力のもとに経営改善が円滑に推進されるよう適切な指導を行うこと。  四、国産エネルギー安定供給確保のため、石炭鉱業の安定化に必要な諸施策の推進に努めるとともに、閉山のやむなきに至つた北炭夕張炭鉱について、離職者の雇用促進、地域経済の振興、地方公共団体に対する財政措置等所要の施策の実施に万全を期するよう配慮すること。  五、国鉄歌志内、幌内両線の廃止が、沿線の石炭鉱業に与える影響を十分に考慮し、その手続の進め方については慎重を期し、弾力的に対処すること。   右決議する。  以上でございます。
  139. 井上孝

    委員長井上孝君) ただいまの夏目君提出の決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  140. 井上孝

    委員長井上孝君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対しまして、宇野通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。宇野通産大臣
  141. 宇野宗佑

    ○国務大臣(宇野宗佑君) ただいまの御決議の趣旨を体し、今後とも石炭政策に全力を傾注いたしていきます。
  142. 井上孝

    委員長井上孝君) 本日はこれにて散会いたします。    午後五時十三分散会