○
政府委員(豊島格君) 大変おくれまして、申しわけございませんでした。
お手元に
長期需給見通しと
エネルギー政策の総点検について資料をお配りしておりますが、これに沿いながら申し上げたいと思います。
最近の
エネルギー情勢につきましては、すでに御承知のように、
自由世界の
石油需要が非常に落ち込んでおる。これは
世界景気の回復のおくれとか、あるいは省
エネルギーとか、あるいは
代替エネルギーの
導入等が進んだ結果でございます。その結果、一九八二年――これはまだ資料の前でございますが、八二年の
自由世界の
石油需要というのは、大体四千六百万バレル一日当たりまで落ち込みまして、第二次
石油ショックの起きました一九七九年に比べて大体六百万バレル落ちるということでございます。その中で、さらに
OPECについて見ますと、その倍に当たる千二百万バレルがこの七九年以来八二年にかけまして落ちておるということでございまして、これが一つの大きな問題になったわけでございます。これは先ほど申し上げました六百万バレルの需要の減退のほかに、アメリカ、メキシコ、それから
北海等、非
OPECの石油の生産がふえたこと、あるいは在庫を
需給緩和に伴いましてみんな吐き出したというようなこともございまして、千二百万バレル、いわゆる需要の減の倍が
OPECの
石油生産の減としてあらわれたことが一つございます。
そこで起こりましたことは、
OPEC諸国、いずれも
石油収入によりまして膨大なる
経済計画を立てておるということでございまして、何とかして自分のところだけはたくさん売りたいということがございまして、いわゆる価格が非常に弱含みになるということになったわけでございます。その結果、ことしの三月十四日に
OPEC結成以来初めて
バレル当たり五ドルの
石油価格の引き下げということが行われ、また一方、生産の上限を千七百五十万バレルに決める、こういうような
OPEC総会の決議が行われたということでございます。その後若干一進一退でございまして、現在の生産は千八百万バレルを超えておるということでございまして、一時堅調であった石油も、最近は若干価格がスポットから安くなっているというような情勢もあります。まあしかし、いずれにいたしましても、これまで石油と言えばタイトで、あるいは値段は上がる一方であったというところが、まあここへ来て初めて
公式価格が下がる、五ドル下がる、大きな情勢の変化だと言えると思います。
それから、一方国内の情勢について見ますと、
石油ショック前までは非常な安い石油をもとにしまして
高度成長を遂げたわけですが、第一次
石油ショック、第二次
ショックと回を重ねまして、特に一九七九年の第二次
ショック以降は、
GNPは毎年三%ずつ伸びるという中にありまして、まあこれは低成長とは言いますが、三%絶対値伸びているわけでございますが、これに対しまして、
エネルギーの
消費量は毎年三%以上減るというような、そういう事態が生じたわけでございます。したがいまして、昨年の四月に
総合エネルギー調査会でつくりました一九九〇年、昭和六十五年度に
原油換算で五億九千万キロリットルという日本の
エネルギー総需要というのは、最近の情勢によりまして非常に現実との乖離が大きくなったということが言えると思います。
それからさらに、
エネルギーにつきましては
セキュリティーというのが非常に大事だということは、今度の
石油ショック以後皆感じておるわけでございますが、最近ではやはり
コストも非常に重要視すべきだ。特に
基礎素材産業等エネルギー多
消費産業におきましては、いわゆる不況の原因というのはいろいろあるわけでございますが、その一つとして
エネルギーコストが高いということが挙げられまして、何とか
コストを引き下げるべきじゃないか、こういうような要望が強く出たわけであります。
こういういま申し上げましたような内外の
エネルギー情勢の変化といいますかを踏まえまして、ことしの四月に、
通産大臣の
諮問機関でございます
総合エネルギー調査会に
長期エネルギー需給見通し、それから
エネルギー政策の総点検をお願いいたしたわけでございます。その結果、その
調査会の中の基本懇の
基本政策分科会、それから
総合エネルギー調査会の
需給部会というのが四月以降八回にわたって検討され、八月二十二日に
中間報告として
通産大臣に報告されましたのがお手元の資料でございます総点検の内容でございます。
総点検の中身を簡単に申し上げますと、後で資料に沿って若干敷衍さしていただきたいと思いますが、いま申し上げたような情勢を背景といたしまして、今後の
エネルギー政策につきましては、需要に応じた
エネルギーの量的、価格的な
安定供給の確保を目的として
セキュリティーを第一に考える。これはまあ当然のことでございます。第二に、
エネルギーの
コストの低減にも努めるべきだ。そして、その
エネルギーの
セキュリティーと
コストの
バランスのとれた
最適エネルギー需給構造を実現すべきである、こういうことでございまして、それが全体に流れておる思想でございます。
若干時間もございますようでございますので、お手元の資料によっていま申し上げたことに敷衍さしていただきたいと思います。
五ページをお開きいただきたいと思います。「我が国を巡る
内外エネルギー情勢の変化と展望」、「
国際石油需給の緩和」、これは私がいま大体申し上げたとおりのことが書いてございまして、大体数字がいろいろと出ておりますが、先ほど申し上げた数字でございます。
それから六ページで、「
エネルギー需要及び
エネルギー需要構造の変化」ということでございまして、二行目から申し上げますと、昭和五十七年度、昨年度の
原油換算の
エネルギー消費量は三億八千九百万キロ
リッターということでございまして、一一%「その次の行からございますが、第一次
石油ショックまでは大体年率一一%で伸びておった
エネルギーの伸びが、一次
ショック以降は三%に落ちている。さらに二次
ショック以降になりますと、毎年三%ずつ減るということになっておる、こういう大きな変化があったということでございます。
それから、七ページに移らしていただきまして、「
石油依存度の低下と
エネルギー源多様化の進展」ということで、四十八年度七八%でありました
石油依存度は、五十七年度には六二%と一六%落ちております。その低下の理由は、そこの次に書いてございますが、一つは、
石油消費の節減が進んだということでございます。それからもう一つは、
代替エネルギーの導入が進んだということでございます。具体的にどういうことかと言いますと、八ページをごらんいただきますと、二行目の後半でございますが、石炭については、一般炭の供給が四十八年度から五十七年度にかけまして二・三倍と大幅にふえております。これは電力、
セメント等の
石炭利用がふえたとか、
セメントはほとんど
オイルレスになったということでございます。それから、その次の行の
天然ガスについてでございますが、その期間に七・五倍にふえたということでございまして、これは電力、ガスで使った。それから、もう少し下がっていただきますと、
原子力でございますが、これは四十八年度に全体の
発電電力量のシェアが二・四%でございましたが、五十七年度には一九・五%に上がったということで、こういうふうに
代替エネルギーの利用がふえた、これが
石油依存度の低下につながっているわけです。
それからその次に、一次
エネルギーの価格の動向は今後どうなるだろうかということでございまますが、これは非常にむずかしい問題でございますが、その次のページにございますように、一九八〇年代の後半以降から一九九〇年にかけて上昇していくだろう。大体八五年ぐらいまではいまの水準でいくかもわからないけれども、それ以降は需給もタイト化し、上がっていくということでございます。
それから十ページに、「
エネルギーコストの増大と
我が国経済への影響」ということでございまして、これは一般の景気の問題もございますが、
エネルギー価格が上がったということで、第一パラグラフの後半にございますが、たとえばアルミの製錬は、五十七年度には五十四年に比して七割も減った。それから
石油化学は、五十七年は五十四年に比して
エチレン生産が三割落ち込んだということで、特に電力多
消費産業には大きな影響を与えているということでございます。
それから、第二節といいますか、第二章では、「
エネルギー対策の新たな課題と対応の方向」ということでございまして、十一ページでございますが、下の方の(2)でございますが、
エネルギー対策の目的は、需要に応じて
エネルギーの量的かつ価格的な
安定供給を図ることにあるということで、単に量だけではなくて、価格も安定的に持っていく必要があるということでございます。それは具体的にどういうことになるかといいますと、十二ページから十三ページに書いてございますが、
五行目あたりから、先ほど私が申し上げましたが、第一に
セキュリティーの確保を図る。それから第二に、その下の方にございますが、
エネルギーコストの低減を図っていくように努力しなくちゃいけない。それから、十三ページの四行目からございますが、
セキュリティーと
コスト等との
最適バランスの確保が必要である。もちろん
セキュリティー確保には費用を要するものですが、余りそれを急いで過大な負担になってはいけないということと、それからやはり今後の
エネルギー政策の進め方として、これを矛盾なくやっていく方法もあるんだということがございまして、そういうことでその三つの視点を踏まえて
エネルギー需給構造の変革を強力に推進していくことが必要であるということでございます。
それから、十四ページ以下に、
エネルギーコストの低減について、今後も大いにやっていかなきゃいけないんですが、これまでどういうことが行われてきたかということを若干数字をもって具体的に示してございます。(2)の①でございますが、昭和五十四年度から五十七年度、三年間というこの間におきまして
GNP原単位が非常に下がったということで、昭和五十七年度
エネルギー需要量は一億六百万程度圧縮されている。これを全部石油で節約した。石油が一番高うございます。そうすれば大体六兆円程度に当たるということが、下から四行目から三行目に書いてございます。
それから十五ページ、②の四行目でございますが、製造業における
燃料転換によって六・八%、三千百億円の
エネルギーコストの低減が行われたということです。五十二年度から五十六年度で、ちょっと時系列が違います。
それから③で、
電力部門における
代替エネルギー――
原子力、石炭、
LNG等の
代替電源の導入によりまして約六千億から七千億、一次危機前に比べまして五十七年度は
コストの
抑制効果があった、こういうことが示してあります。
それから、十六ページから十七ページにかけまして、各
エネルギー源の
役割りということでございまして、先ほど来申し上げておりますように、
エネルギーの
安定供給の確保を基本としつつも時代の要請である
供給コストの低減をも十分考慮するということになりますと、それぞれの
エネルギー源の
役割りとか
位置づけをこの際明確にしておく必要があるんじゃないかということでございます。
そこで、まず(2)でございますが、石油は将来、後ほど申し上げますように、五割を切るように持っていくわけでございますが、やはり何といいましても最大の
エネルギー源でございまして、しかも固有の
需要分野があるということで、今後もある程度脱石油と言いながらも石油に頼る部分が大きい、そういうことでございます。それから、短期的に需要の変動にも弾力的に対応することができるということでございまして、中長期的には
依存度は下げていくんだけれども、ある程度石油に頼っていかなくちゃいけない部門もあるということでございます。
それから、
石油代替エネルギー、新
エネルギー等についての
位置づけをその次にしておるわけでございます。十八ページでございます。特に表が細かいのでピックアップして申し上げたいと思いますが、たとえば石炭につきましては、供給の
安定性から言いますと、御承知のように
先進国中心に豊富に賦存しており、石油のように中東というようなところに集まっておらないということで、そういう意味で
安定性がある。それから
賦存量も大きいし、
技術開発によって
利用炭種も拡大する。それから
経済性でございますが、いまや石油に比べて価格で非常に優位になっておるというようなことでございます。
原子力、
天然ガス、水力、地熱についても書いてございますが、
原子力につきましては、特に
資本費比率が高いので、初年度の
有利性はさることながら、
経過年数がたつにつれて長期的にはさらに有利になる。それから、
天然ガスにつきましては、非常に
埋蔵量も多いわけでございますが、価格が石油等価であって、
テーク・オア・ペイ条項、需要がなくても必ず引き取らなくてはいけないというような条件もあって、非常に
クリーンエネルギーとしては大事なものであるけれども、
代替エネルギーとしてはやや
経済性に問題があるのではないか等々でございます。
それから二節の四番として、「
エネルギー産業の
効率化」でございますが、これは当然のことながら
エネルギーの量的、価格的な
安定供給のためには、
エネルギーを担っていく産業がちゃんとしなくてはいけないということでございますが、これは後ほど出てまいりますので、説明は省略させていただきたいと思います。
それで第五として、二十ページでございますが、「
最適エネルギー需給構造の実現」ということでございます。今後の
エネルギーの需給の
見通しについては、適切な需要の
見通しに基づいて、
政策効果をも織り込んで、
セキュリティーと
コストの
バランスのとれたものにするということが必要でございます。
まず第一としましては、やはり現実的な総需要を見込む。余り大き過ぎず、もちろん小さ過ぎる需要を見込んだのでは
セキュリティーが問題でございますが、そうかといって大きければ大きいほどいいということではないわけでございまして、一応適切な需要を見込んで現実的なものを見込んでいきたい。特に、六十五年度につきましては予測的なものでございますが、今後の政策を考えまして七十年度あるいは七十五年度、二〇〇〇年の展望もあわせてやるということが指摘されております。それから
最終需要段階における
エネルギー源別の需要につきましては、それぞれの需要に応じた適切な
供給力が必要だということが指摘されております。
それから、二十一ページの下の方にございます「
セキュリティーの観点から」ということで、
エネルギー政策につきましては、何といっても脆弱なる日本の
エネルギー供給構造を改善するためには、
石油依存度の低減ということを見込むことが必要でございます。そういう意味で、やはり今回も
石油依存度ということを考えたわけですが、まあその後の需要の
伸び等もいろいろございまして、一応五割程度に六十五年には持っていく。それから、七十年度には政策的な効果も織り込んで五割以下に下げるということを考えております。それから、
代替エネルギーにつきましては、
原子力、LNG、石炭というものを中心として、さらに
経済性のある新
エネルギーから、
経済性のあるものから導入していこうということでございます。
それで、二十三ページに、その結果、暫定的な
見通しの表がございまして、これをちょっとごらんいただきたいと思います。
五十七年度、これが実績でございまして、全体の
供給合計は三億八千九百万キロ
リッター、一番左の欄の数字で、実績でございます。その中で石油、これは原油だけでなくて輸入される
石油製品等も入っておりますが、これが大体二億四千万キロ
リッター、それから
代替エネルギーが一億四千九百万キロ
リッター、これが六二%の
石油依存度でございます。
六十五年、次になるわけでございますが、六十五年につきましては、去年の四月に
総合エネ調から出ました
見通しでは、
供給合計、一番下にございますが、前回とございますが、五億九千万キロ
リッター。そのうち石油が二億九千万キロ
リッター、
代替エネルギーが三億キロ
リッター、こういうことになっておりまして、
石油依存度が四九・一ということでございましたが、今回はその全体の規模が大体四億五千万キロ
リッターないし四億八千万キロ
リッターということで、どちらかというとその低目の方にいくだろうということでございます。これは一応の暫定でございまして、今後
総合エネ調の
需給部会の
企画専門委員会で検討されることになっておりますが、一応この四億五千万に近い方になるんじゃないか。石油はその中で
横ばいでございまして、
増加分は
代替エネルギーでふえるということで、それがその一番上に書いてございまして、二億二千万ないし二億三千万キロ
リッターでございます。
それから、七十年につきましては、大体全体で五億ないし五億五千万キロ
リッター。それから石油はほぼ
横ばい、
増加分は代エネでいく、こういうことでございまして、石油につきましては今後余りふえない。それから、
供給合計といいますか、
原油換算の需要というものは、大体七十年になっても去年の四月につくりました五億九千万キロ
リッターというのは達成できない、五年以上おくれるという、それぐらいの
エネルギーの伸びであるということでございます。
それから、個別に若干中の数字を見ていただきますと、石炭、
原子力、
天然ガス、水力、地熱と、こういうふうにございますが、いずれも全体の
エネルギーの伸びが落ちる。それから、現実のたとえば
発電所の
建設等もおくれているというようなこともございまして、いずれも
下方修正になっておるわけでございますが、
原子力等につきましては、たとえば七十年度には、ことしの四月、六十五年度を目標としたものよりは上回るということで、若干の、二年おくれぐらいのあれになろうかと、このように感ぜられます。それから、
天然ガスにつきましても少し
下方修正されますが、大体二年おくれぐらいでは達成して、その後またふえていくということでございます。
若干問題は石炭でございまして、石炭につきましては、まあ全体的な鉄鋼、
セメント等、石炭を使う業種が非常に生産がふるわないということと、それからいわゆる石炭を使う
単位当たりの原単位が落ちるというようなこと、それから
火力発電等におきましても電力の需要の伸びが落ちておる、あるいは地元の建設すべき土地の取得等々の問題がございまして、これが一番おくれるということになりまして、七十年以降に石炭の需要の伸びは期待される、むしろ期待しなければならないと、こういう状況でございます。
それから、「
エネルギー分野における資金の確保」というのは6にございまして、これにつきましては膨大な資金が要るということでございまして、
暫定試算ということで、(1)の下から二行目ぐらいに書いてございますが、十年間で九十兆、これはあらゆる
民間資金も導入した数字でございます。それで、
民間資金の調達の
円滑化も図る必要があるわけですが、やはり
リスクの多い
石油探鉱開発あるいは備蓄、
代替エネルギー関係の
技術開発等々、
リスクもあり
リードタイムも長いものにつきましては
公的資金が要るわけでございます。これにつきましては、総合的な広い観点からこの確保策について検討しなくちゃいけないということが指摘されております。
それから三番目、二十六ページ以降は、「
総合エネルギー対策の重点的、効率的な推進」という点について幾つか触れておりまして、第一が二十六ページの上でございますが、石油の
安定供給の確保ということでございまして、脱石油を図っていくわけでございますが、やはり石油というものは今後とも一番大きな
エネルギー源であるということで、その
安定供給の確保が必要であるということでございます。これにつきましては、この(1)の真ん中以下に書いてございますが、
需要構造の
変化等を踏まえまして、特に需要の
軽質化、供給の重質化ということを踏まえまして、設備の
高度化が必要であるし、また
構造改善、いわゆる
集約化等における
構造改善が必要であるということを指摘されております。
それから、二十七ページの石油の備蓄でございます。備蓄に関しましては、五十三年から当
調査会で三千万キロ
リッターの
国家備蓄を六十三年までにする、それから九十日の
民間備蓄ということが決まっておるわけです。これにつきましては、最近の
石油情勢の変化にもかかわらず、いろいろと
中東情勢その他もあるわけでございますが、やはり引き続きこの方針を続けていくべきである。ただ、
国家備蓄につきましては、そこにございますが、厳しい財政状況等に照らせば、相対的に
コストの高いタンカー備蓄の陸揚げ、民間の原油タンクの余剰能力の有効利用、それから
国家備蓄基地の完成時期の若干の延期等弾力的にやるべきじゃないか、こういうことが指摘されております。
それから、石油の自主開発については、これもこれまで同様一生懸命やれということでございます。
それから、二十九ページでございます。「中長期的な
経済性をも重視した
石油代替エネルギー等の開発・導入の推進」ということでございまして、新
エネルギー等の開発につきましては、初期の段階におきましてはいろいろなものに手を出すといいますか、幅広く検討する必要があるわけですが、それをステージアップ、一つ一つ研究開発の段階をふやして引き上げていく段階においては、やはり
経済性ということも十分考えてしぼっていくということも必要ではなかろうかということでございます。
その二十九ページの①という真ん中から下にございますが、今後とも積極的に進めるプロジェクトとしては、石炭液化・ガス化、それから太陽光発電、燃料電池、オイルシェール等でございます。当面ステージアップを行わないプロジェクトとして太陽熱発電、電気分解法による水素とございまして、太陽熱発電につきましては、すでに第一次段階を終えましたが、日本のような気象条件等におきましては
経済性に問題があるということで、それ以上大きな次のプロジェクトには移らない。それから、電気分解水素につきましても、
経済性の問題がございますので、一応中断ということでございます。
それから、上の石炭液化につきましては、括弧の中で、瀝青炭液化プロジェクトについて、従来の三方式を新NEDO方式に一本化ということでございまして、従来の実験プラントから五十九年度以降二百五十トンぐらいのパイロットプラントの段階へ移るということでございますが、従来の三方式をそれぞれやるということは非常に経済的に問題がございますので、それの長所を取り入れまして、一つにしぼって効率的にやっていくというようなことが必要であるということをここに指摘されております。
それから、三十ページから三十一ページにかけまして、
代替エネルギーについて若干触れておるわけでございますが、LNGにつきましては、(2)でございますが、非常に重要な
代替エネルギー源でございますが、いわゆる価格が石油スライドということと、それから
テーク・オア・ペイ条項等がありまして、条件的に問題があるということで、その条件の改定が必要だ。それから、石炭につきましては、先ほど申しましたように、一次的に鈍化しておるわけですが、将来必ずや必要になってくるわけでございまして、せっかく手をつけた海外炭等の資源開発が途中でしぼんでしまって、将来禍根を残さないようないろいろなことを考えていかなくちゃいけない。それから、ウランにつきましても自主開発を進める必要があるということを指摘しておるわけでございます。
それから、三十二ページにおきまして、「中長期的な視点に立った省
エネルギー対策の推進」ということが入っておりますが、省
エネルギーというのは、緊急避難的なものから今後は構造的な省
エネルギーへの転換、いわゆる本格的な、一次的ながまんとかそういう知恵を働かすのではなく、本格的な省
エネルギーの推進が必要であろうか、こういうことでございます。
それから、三十三ページ以降は、「
供給コストの低減を目指した電源多様化等の推進」ということでございまして、(2)以下いろいろと書いてございますが、(2)に書いてございますのは、個々の電源
コストを下げる必要があるということでございまして、特に
原子力につきましては、最近建設費の高騰が云々されておりますので、これを何とか工夫をして、たとえばここにございますように標準化の推進、設計の合理化、建設工期の短縮等々で一割程度といいますか、一割以上引き下げていく必要があるのではないか。あるいは火力
発電所の熱効率その他の向上というような個々の電源別の
供給コストの低減が指摘してございます。
それから、三十四ページでございますが、いわゆる電源の組み合わせによって
セキュリティーの確保とともに電力
コストの低減を図るということについての指摘が(3)でなされております。第二パラグラフでございますが、「かかる総合的な視点に基づく」ということですが、いわゆるベースロードにつきましては
原子力発電と石炭火力ということで、これは建設費がわりとかかるわけですが、燃料費がたとえば
原子力とか石炭は非常に少ないわけでございますから、そういう意味でベースロードにするということを考えております。それから下から二行目、「ミドルの供給としては」ということで、ちょっと専門的になりますが、一日じゅう動いているのと、それから一日のうちのある時間動くということでございますが、そういうものとしては石炭火力とかLNGというものを主体に今後はするのがいいであろう、すべきであろう。それから、三十五ページにかかりまして、上から五行目ぐらいに、ピークということになりますと、これはLNGを利用することも一つ大事であるし、それから石油というものが非常に意味があるということでございます。特に石油につきましては燃料費が高いわけですが、資本費が非常に安いということで、一日のうちごくわずかだけ動かすということにおいては石油も意味があるということが指摘されております。そのほか揚水発電等につきましても、
経済性の点からよく考えるべきだ等々が書いてございます。もちろん水力、地熱については、先ほど
役割りというところで述べましたが、貴重な国産
エネルギーとして開発を着実に進めるべきであるというようなことで書いてございます。
これは供給サイドから見る電力
コストの引き下げでございますが、三十六ページから需要サイドに着目した電力
コストの引き下げということでございまして、これは御承知のように、夏になりますとクーラーが使われるということで最大電力が非常に上がります。しかし、そういうピーク時に備えて設備をしなくちゃいけないわけですが、そのために稼働率が非常に下がるということが問題でございまして、そこで、できるだけ電力の需要を平準化するということに各国とも努力されておるわけで、これが非常に大事なことでございまして、これをやるように電力需要の誘導をするということが非常に必要であるということです。例として(4)の下から四行目ぐらいに書いてございますが、いわゆる電力需給契約等をさらに拡大してそのシフトを図る、あるいは蓄熱式のヒートポンプということで、いわゆる夜の電力を使いまして昼の冷房需要等に充てるというようなことを考える。
そういうために、電気料金制度につきましても、三十六ページの(5)ですが、原価主義、公平の原則という基本原則はそのまま踏襲といいますか守らなくちゃいけませんが、十分その範囲内でいま申し上げたような需要の誘導のできるようなことを考えるべきであるということが指摘されております。
三十七ページでございますが、「
セキュリティーと
コスト等が
バランスした
長期エネルギー需給見通しの策定」ということで、これまでのことを踏まえましてそういうものをつくれということでございまして、ただここで、最後の三十八ページの(3)でございますが、従来一たん計画をつくりますと非常にそれを絶対的なものとして動かさないというような議論もあろうかと思いますが、一応目標年度におけるその需要
見通しというのはどういう性格かということでございまして、いわゆる
長期需給見通しにおいて定められた目標は、
エネルギー政策に具体的ビジョンを与える観点から数値として示したものであって、流動的な今後の経済社会情勢のもとにおける
エネルギー政策には現実的かつ弾力的な対処が要求される折から、硬直的なものとしてではなく、幅を持って理解すべきであるということが最後に指摘されておるわけでございます。
ちょっと時間がございませんので少しはしょったかもわかりませんが、最初に申し上げましたように、
エネルギーの
セキュリティーということは今後ともますます重要さを増すわけですが、同時に
コストも考え、その
バランスのとれた
エネルギー政策を推進する、それから需給
見通しも現実に合ったものに改定するというのがこの内容でございます。
どうも長時間ありがとうございました。