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大出委員 私も
質問する限りはわかり過ぎて聞いているつもりなんですが、これはぜひ検討を願わなければならぬ、こう思います。
それから、少しここで数字を挙げて、最後に私は
減税問題で
皆さんの御見解を承りたい。
国税総収入に占める、つまり源泉課税されている方々の割合、ここらをはっきりさせたいのでありますが、国税総収入というのは
昭和五十三年から本年まで——五十三年という
意味は、
昭和五十二年に四人世帯なら二百一万五千円という課税最低限を決めた。御存じのとおり課税最低限というのは、生活費には税金をかけないという原則に基づいて、四人世帯の二百一万五千円までは生活費である、しかも、四十二年の税制
調査会答申で、この生活費は最低生活費を
意味するのじゃない、標準的生活費だという答申が出ています。
ところが、五十三年から実施された四人世帯二百一万五千円は今年まで全く据え置きであります。その間に国税の総収入は八四・九%ふえている。ところがサラリーマンの、
給与と言った方が
皆さんにおわかりいただけやすいのでありますが、サラリーマンの
給与は二・四倍であります。これは五十八年七月の大蔵省が税調に出した資料がここにある、その資料に基づいて申し上げているのです。この点が一つ。
つまり、この資料によりますと、五十三年当時はサラリーマンの
給与というのは総額で国税総収入の六分の一足らずだった。ところが、足かけ六年間据え置かれているために、所得税がどんどんふえ過ぎまして、何と六分の一足らずが四分の一になっちゃったのです。まさにサラリーマンの所得税の自然増収頼りの財政だということになっているのです。こんな不公平なことを私は放任はできない。これはおたくの資料で言っているのですから、違いがあれば途中で言ってください、後で、一括お認めいただけるかと言いますから。
次に、いまサラリーマンの
皆さんが百人集まりますというと、その
うちの八十七・三人、まあ九十人近い方々が全部所得税を払っているわけであります。
昭和五十二年では二千七百九十八万人払っておりましたが、いま三千六百六十三万人、これは八八・一%、五十八年度はまだ途中でございますからあれですけれども、五十七年で百人中八十七・三人の方、五十八年度は八十八・一人、だから九十人近い、こういうことになります。ところが、さて自営業をやっている方々はどうか。自営業をやっている方々は、悪いというのじゃないですよ、制度がそうなんだ。税金を払っている方は百人の
うち三十八人。サラリーマンは九十人近い。自営業は三十八人。農業従事者はどうか。百人の
うち十二人、これしか払っていない。サラリーマンは九十人近いのですね。だから、六年間も据え置いていますから、所得税自然増収依存型の財政です。これをもって不公平と言わずして世の中に不公平があるかと言いたい。そうでしょう、これは。
さて、ここに問題があります。つまり、これは財源があるとかないとかの問題じゃない。ひとしく
国民である限りは権利義務、平等であります。税制上の不公平、これは私に言わせれば
憲法違反だ。そういうことです。
なぜこうなるか、理由だけ明確にしておきます。自営業の方や農業所得の方々は所得の分散ができるからです。法律上の従業員をつくる。奥さん、子供さん、親戚に所得を分散する。累進課税でございますから、いずれも課税限度額に達しないから払わぬでいい、こうなる。これが悪いというのじゃない。そういう制度なんだ。農業従事者もそうであります。だから、百人で十二人が農業従事者の方々の納税人数。百人で三十八人しか払ってないというのが自営業者の方々の人数。サラリーマンというのは百人の
うち八十八・一名払っている、これは大変な不公平であります。
もう一つ、必要経費の計算が、物価がどんどん上がっておりますから、その物価上昇に合わせて高く見積もれるから、だから納税者が減ってしまう。われわれ源泉だからそれができない、不公平であります。
さて、ここに一つの数字があります。五十八年度、これは補正後を指しているのだと思うのでありますが、三十二兆三千百五十億円の、つまり補正後の税収に対して、一兆八千三百七十億円の増収を
政府は見込んでいる。ところが、一兆八千三百億円というのは、例の税制
改正による増収分三百三十億円と関税引き下げの減収分二百六十億円を相殺しますからね。そうすると、自然増収額の残りは一兆八千三百億円。一兆八千三百億の自然増収を見込んでいるのだが、この中の何と五六・六%の一兆三百六十億円が所得税の自然増収分だ。一兆八千三百億の
うちで一兆三百六十億。法人税は一体幾ら自然増収を見込んでいるかというと、わずかに四千四百億円。所得税の自然増収が一兆三百六十億、つまり圧倒的にサラリーマンの所得税の自然増収で
政府のいまの自然増収見積もりは成り立っている。厳然たる事実でしょう。こういうことを放任はできません。
さて、
公務員の方の平均賃金、あれは人事院が勧告なさいます。人事院が
おいでになりますから、いけなければおっしゃってください。私は念のために調べてみた。例の四人世帯、課税最低限二百一万五千円を実施した年は五十三年でございますから、五十三年の人事院勧告に基づく全職員の平均
給与は幾らか。十九万三千七百八十五円でございます。これは一体年収にすると幾らか、三百三十万円でございます。賃金が全職員平均で十九万三千七百八十五円、したがって年収は三百三十万円でございます。これが五十三年。
そこで、ことしの人事院勧告を見ますと、全職員二十三万九千七百七十五円と勧告をされている。年齢は四十一・二歳です。そうすると、この二十三万九千七百七十五円の方の年収は四百十万円です。そうすると、先ほど申し上げましたこの六年前の人事院勧告に基づく平均
給与十九万三千七百八十五円が二十三万九千七百七十五円に、インフレのために物価が上がってここまできた。どういう相関
関係を持つか。
賃金の方は、三百三十万という年収が四百十万になった。二四・二%賃金がふえた。ところが、税負担はどうか。所得税、住民税合計で、年収三百三十万なら、六年前に十五万二千円税金を取られていた。ことしの勧告の方、平均賃金もらう方、二十三万九千円の方、これは幾らになったか。年収四百十万でありますが、はね上がって約倍です。三十万一千円取られている。六年前には三百三十万の収入で、これは平均なんですから、十五万二千円税金を払っていればよかった。六年間課税最低限は据え置きだから、今度は、賃金はインフレで四百十万になった、二四・二%ふえたが、税金は倍の三十万一千円になった。賃金の方は二四・二%だが、税金の負担のふえ方は九八%、約二倍。これで苦しくないはずはないのです。おわかりになるでしょう。
一括最後に承りますが、現行の課税最低限というのは一体どうなっているかというと、一人は八十三万一千円、これは一カ月に直しますと四万八千八百円。単身貴族、独身貴族、熟年貧乏と大蔵省は言うけれども、八十三万一千円、これが一人の課税最低限。これは月給に直しますと四万八千八百円。幾ら独身者だって、若い人だって、はだしで会社へ行くわけにいかない。裸で会社に行けない。部屋も借りなければいけない。これは、いまちょっと手当が削られまして、手当が五カ月をちょっと切れるところもありますけれども、おおむね手当五カ月。十二カ月の給料プラス手当五カ月ですから、十七カ月計算をいたします。これが通常であります。そうすると、月額四万八千八百円。これでは独身貴族じゃございませんね。生活できませんよ。
百十三万六千円というのが二人の方の年収の課税最低限。夫婦二人。これは月の金額に直しますと六万六千八百円。三人の場合、百五十六万九千円が課税最低限でございますが、月に直しますと九万二千二百九十円。子供さんができて三人で月に九万円でやっていけないですよ。六年間課税最低限を据え置いているからこうなる。四人世帯は御存じのとおり二百一万五千円。これを月に直すと十一万八千五百二十九円。四人世帯で家を借りて、いま公団住宅に申し込んだって、二DKなら家賃も六万円取られる。十一万八千五百二十九円でやっていけないでしょう。着る物も着ないわけにいかないのだし、食べる物も食べなきゃいかぬのだから。これが現行の課税最低限。何と言われてもこれは直してもらわなければ困る、上げてもらわなければ。
そこで、課税最低限の推移に触れておきます。
課税最低限を据え置いたというのは二回。
昭和三十年—三十五年、この間四年間いじらなかった。それから、
昭和四十九年のところですね。四十九年、五十年、この二年間が百八十三万円で同じ額でございまして、据え置き。過去にはこれだけです。そして、昔も間が二年だけ。そして、
昭和五十二年に決めたいま申し上げた課税最低限が延々と、五十三年から実施されましたが、五十三、五十四、五十五、五十六、五十七、五十八年、ずっと据え置きです。こんなことは過去にない。あなた方は、所得税の自然増収取りっ放し。それでも、約束しているにかかわらず
減税をしない。
そこで、結果はどうなったか。あなた方が税調に出した資料には、真ん中をうろ抜いていますから、それで六百万から一千万円を手直しする、こう言いますが、そうはいかない。それなら五百万の方はどうなるんだということになる。年収五百万の方。十七カ月計算をいたしますと、月給は二十九万四千円、三十万ない。年収五百万で二十九万四千円の月給しかもらってないサラリーマンが所得税、住民税を一体幾ら取られるか。四十八万九千九百円取られるのですよ。二十九万四千円ですよ、月給は。四十八万九千九百円、一・七カ月分近いですよ。一・七カ月分税金のために払っている。そんなばかなことはないでしょう。だから、五百万のところは重税感がない、そんなことはない。
さらに、四百万の方。いま申し上げましたが、もう一遍言いますが、年収四百万なら月給は二十三万五千円、正確に言えは二十三万五千二百九十四円。この方の税金は、所得税、住民税で二十八万七千円、一・二二カ月分税金です。四百万だってちっとも軽くない、大変な重税感がございます。
しかも、この四百万、五百万という方はサラリーマンの中心なんだが、みんな四人世帯で、二十五歳くらいで子供さんをお持ちになると、その子供さんが高校からいまやまさに大学へというところ、子供が大きくなったから家が狭い、何とかというのでローンによって家をという時期、金が一番かかる。ここでみごとにこれだけ課税最低限を六年間ぶん延ばしているために、大変な所得税の自然増収を取り上げている。これは人道的に許せぬ。
国民の権利義務は平等です。
念のために六百万円の方。年収六百万円の方は月給三十五万二千九百四十一円でございます。高い給料じゃない。この方の所得税が四十二万二千円、住民税が三十万四千円、何と年間七十二万六千円税金を取られているのです。二カ月分税金で持っていかれてしまう。年収六百万ですよ、月給三十五万二千九百四十一円ですよ。どうですか、これは。
念のために七百万の方も申し上げておきます。七百万の方の月給は四十一万一千七百六十四円。四十一万円の月給もらっている方、サラリーマンで古い方はこのくらいもらいます。この方は所得税、住民税を幾ら取られるか。年間百二万八千三百円取られる。なぜこういうことになったか。不公平も不公平、とんでもない不公平です。放任できる不公平ではない。
それで熟年貧乏、独身貴族。独身貴族といったって八十三万一千円でしょう、独身者の課税最低限は。月給にしてみれば四万八千八百円でしょう。だから結論は、課税最低限をまず上げなければしょうがないのだ。上げなければしょうがない。上げてください。あなた方はしきりに答えない方法をおとりになるから、私はいま具体的例を挙げて申し上げているのです。聞いておいていただいて結論を求めます。
ところで、私は念のために、新聞発表でございますが、大蔵省が、物価上昇というのはこの六年間で二八・九%上がっている、もちろん本年度は見込みでございます。二八・九%。五十二年に決めた四人世帯の課税最低限二百一万五千円を二八・九%物価スライドをさせるとどうなるか。課税最低限は二百六十万になります。毎年調整してきているとすれば、いま二百六十万台になっていなければいけないのですよ。過去にみんなそうやってきたのだから。二回しか外してないのだから。そうでしょう。そうすると、どういうことになるか。四人世帯の課税最低限二百一万五千円、
昭和五十二年に決めて五十三年から実施した。これっきり六年据え置いているために、上がってないのだから、これを物価上昇分二八・九%だけ上げると二百六十万円。
この場合に四百万円の人はどうなるか、所得税だけ申し上げます。その方がいいと思いますから。収入が年間四百万の方は、さっき申し上げましたように月給が二十三万五千円ばかりございます。この方は、二百一万五千円の五十三年のときは十六万四千円税金を取られていた。いまの税金はもうすでに申し上げましたから言いませんが、二百一万五千円で十六万四千円税金を取られる。ところが、この二百六十万になりますと税金が幾らかかるかというと、年間十一万三千円しかかからない。毎年物価調整してきていれば、いま十六万四千円も払っているのだけれども十一万三千円でいい。五万一千円減ってしまう。そうでしょう。五万一千円少なくなるのですよ。
では、年間五百万の方は、月給二十九万四千百十七円ですけれども、二百一万五千円のままだから、いま二十八万二千円税金を取られている。この方を二百六十万に上げるとどうなるか。二十二万です。六万二千円安くなる。これは所得税だけですよ。住民税というのは所得税の比率の約七割くらいですからね。
さて、年収六百万の方、月給三十五万二千九百四十一円。いま二百一万五千円の課税最低限で一体幾ら税金を取られるかというと、四十二万二千円取られる。これが課税最低限が二百六十万になったらどうなるか。三十五万二千円で済んじゃう。ぴったり七万円減るんです、六百万の方で。これだけあなた方は搾取ですよ。
毎年上げてきた課税最低限を六年据え置いている。過去にこれを据え置いたのは二回しかないんです。だから、財政は所得税の自然増収型なんだ。五十六年に二兆八千九百億自然増収を
予算書に見積もった。それから、五十七年には一兆八千九百億自然増収を
予算書に麗々と書いている。これだけぬれ手でアワでよけい取りますよということを
予算書で書いている。こういうことを放任はできぬでしょう。おわかりいただけると私は思うのですがね。だから、まず課税最低限を上げなければいけません。
時間がなくなりますし、まだ賃金等も残っておりますから……。どうせあなたはまた税調にと答えるんだから、私はやはりサラリーマンの
皆さんに怒っていただかなければ——だからサラリーマン党ができるんでしょう。こういう状況だということを申し上げて、最後に、サラリーマンはいままで一体幾ら取られて損しているか。大蔵省がB—32という資料を出した。つまり、物価上昇は五十三年が六・八、五十四年が四・九、五十五年が六・四、五十六年が五・五、五十七年が四・七、五十八年が三・三%、これは見込み。これは大蔵省が衆議院の
予算委員会にことしの二月に出したのです。何でこれは当初見積もつの物価上昇率をここへ出しているのかというのがわからぬのだけれども、しかし、あなた方とにかく計算できない。だから、これは実際とは違う。五十五年のように六・四%の上昇見積もりが七・八になっているときもある。だから、トータルすると二%くらい上がります。
あなた方は二方法出しているけれども、五十三年に六・八%の物価上昇分に見合って課税最低限を上げていれば、国の所得税の総収は二千四百億円減る、こう言う。上げなかったんだから、逆に所得税を払っている連中は二千四百億よけい取られた。五十四年、千八百億よけい取った。五十五年、二千七百億よけい取った。五十六年、二千六百億よけい取っている。五十七年には二千三百億よけい取った。五十八年には千八百億よけい取る。ところが、五十三年の二千四百億はそのまま五十四、五十五、五十六、五十七、五十八にずっと引き続いている。五十四年の千八百億は、五十五、五十六、五十七、みんな引き続いて上積みになっている。だから、目下急激なふえ方、よけいな取られ方。ある新聞が去年あなた方がこの資料を出したときに五十七年度で計算をされているのを見ると、大変に大きな額になります。
一つだけ申し上げておかなゆればなりませんのは、さっきから申し上げておりますように、あなた方は物価上昇の確定した数字でこれを出してこない、二年とも。だから、これで計算するしか仕方がない。そうすると、ある新聞の計算によりますと、去年でサラリーマンは三兆四千億円よけい取られている。それを同じ筆法で私が計算してみたら、本年は四兆八千四百億。物価上昇は実際との間ででこぼこは多少ありますよ。ありますけれども、四兆円前後になる。それで一兆四千億でがまんする野党も野党だと河本さんに言われれば、それはそのとおりなんです。つまり河本さんの方がよっぽど利口だ。われわれはばか。
だけれども、こういう状況の中で、
総理に承りたいんだが、おためごかしと言ったら口は悪いけれども、あなたは腹づもりがあるとかなんとか言っていて、
中曽根康弘というのはこういう男です、やると言ったらやりますと言っていて、
予算委員会の席上で
質問すれば、あなたは
竹下さんの口をかりて、税調でございます、お伝えいたします、これでは政治がないと言うに等しい。
予算委員会は必要ない。
私がいま言っているのは、財源のあるとかないとかじゃない。ひとしく
国民なら、税金の制度は公平でなければならぬ。サラリーマンだけ山ほど取られて、
皆さんの自然増収の中心である、財政はそれでもっている、そういう不公平な税制を放任できますか。あなた、おわかりになるでしょう。具体的に例を挙げた。後で議事録を読んでください。だから、ここまで来たらお答えくださいよ。
総理、どうなさいますか、大幅な、相当規模の。景気浮揚に役に立つ、どうですか。