○竹本孫一君 私は、民社党・
国民連合を代表して、
現下の
わが国が直面する重要な問題について
質問をいたします。
私ども民社党は、今回の
ソ連の非武装かつ無抵抗の
大韓航空機撃墜の暴挙に対しまして、限りなき憤りを感じております。その野蛮な行為によって犠牲となられました皆様、その御家族に対し、心から哀悼の意を表したいと思います。また、亡くなられた方々の御冥福を心からお祈りをいたします。
ソ連一流のごまかしの多い本件の真相が一日も早く
究明されること、再びかかる惨事の繰り返されないように
政府が安全保障を取りつけること、また御遺族に対する補償の確保のために全力を挙げられることを強く求めております。
質問の第一は、核
軍縮、平和への
努力の問題であります。
今日、世界には五万を超える核弾頭がございまして、しかも毎日その数を増し、その質を高め、人類はいまやいわば滅亡への道をはく進しておるようであります。しかし、他方におきましては、前の西ドイツのブラントさんも叫ぶがごとく、二秒間ごとに一人の子供が病気と飢餓で死んでおるのであります。イギリスの前の首相であるアトリーさんが、いまは全くマッド、気違いの時代であると申しましたが、全く同感であります。
一体、米ソの間には、今日、いまなおミサイルギャップが大きく存在するのであろうか。また、あるかないかを別といたしまして、今日は、グローバルなソリューションを求めて核の競争をまず凍結する、その上で、
拡大均衡によってではなく、縮小均衡によって世界の平和と安全の確保を目指すべきだと思いますが、
総理のお
考えはいかがでありますか。(
拍手)
日本は平和国家である。
日本の外交の重点はあくまで米ソをして戦わしめざることである。そのための具体的な
努力を
総理にお願いしたいのであります。
この秋十一月、
レーガン大統領が来日されるのでありますが、その際には、パルメ・スウェーデン首相やイタリアのペルチーニ大統領も言っておられるように、
政治家たるもの、指導者たるものはまず広島を訪問すべきであるという
考え方に立ちまして、レーガンさんにも広島訪問を要請してはいかがであろうか。
総理にお伺いいたします。(
拍手)
また、今日、
米国におきましては、五八%までの人が米ソの即時相互の核凍結を求め、
賛成しておるようであります。したがって、この冬、欧州へのパーシングⅡの配備の問題につきましては、慎重の上にも慎重を期して、
決意はもちろん断固たるものでなければなりませんけれども、
最後の瞬間までアメリカは米ソの合意達成のために
努力すべきであります。このことを
日本としても強くレーガンさんに
要求してもらいたいと思いますが、
総理のお
考えはいかがでありますか。(
拍手)
いま米ソの間には、
信頼関係はゼロに近く、軍備拡張の競争が激化しております。しかし、皆さん、毎年毎年三千億ドル前後の国防費を費やすということは、アメリカにとっても
ソ連にとっても重大な問題でありまして、私は、米ソそれぞれ財政の破綻は必然的だと思っております。したがって、米ソは、いまのままいくならば、極端に申しますと、戦争による滅亡か財政破綻による亡国の道であります。
私は、そういう意味におきまして、この際、三つのことを叫びたい。
一つは、米ソは、それぞれみずからの体制に強い自信を持つならば、静かなる
対応によって世界の平和を守ってもらいたい。二つは、米ソは、核の縮小均衡を目指して、まず即時相互に、かつ、実証できる形において核の全面的凍結をやってもらいたい。三つは、米ソは、その国防
予算の一部、たとえば五%を南の途上国の救済に充ててもらいたい。
日本は、自由国家群に属する国際国家として、米ソいずれに対しましても、毅然たる態度で世界平和のためにこれを訴えるべきであると思いますが、
総理のお
考えはいかがでございますか。(
拍手)
次に、今回の
事件によりまして、北方領土の重要性というものが特に浮かび上がってまいりました。
政府は、アメリカの具体的な協力も得て、この北方領土問題の早期解決のために
努力をされるお
考えはありませんか。また、今回の
事件にもかかわらず、
中曽根総理は、
日本のため、世界平和のために、アメリカの次には
ソ連を訪ねるべきであると思いますが、訪ソのお
考えはないか、お伺いをいたします。対ソ外交は、キッシンジャーも言っておるように、断固として、しかも創造的に取り組むべきものであります。
次に、防衛費一%論について伺います。
およそ国防費は、ゼロを叫んでみてもそれは余りに理想的で、世界の現実が許しません。同時に、多々ますます弁ずというものでもありません。
日本においては、非武装論と重武装論と両極端な議論を闘わしておりまして、しかも統一、帰一を見るところがありません。これは国家の不幸であります。真理は常に中間にある。私は、その意味におきまして、鈴木
内閣が、われわれの
政治的歯どめとしての
GNP一%論を
最後まで誠実に守る
努力をされたことを高く評価いたしております。もちろん、共産主義の理論や
ソ連最近の
軍事力極東配備の状況あるいは科学技術の発達等も
考えますと、これらの事実を無視することはできません。しかし、軍備は常に相対的であります。
わが国の一%論は、その数字の一%が問題なのではなくて、そこに象徴される、防衛費を抑制するという
日本の
政治姿勢が大事なのであります。(
拍手)この
姿勢は、
非核三
原則や専守防御、武器
輸出の禁止、これらとともに、戦争放棄
日本の平和外交の四つのとりでであります。この重大なる
政治的歯どめというものを、五十九年度の
予算の
編成におきましても
政府はあくまでも守っていかれる
考えであるかどうかをお伺いいたしたいと思います。
なお、念のために申しますが、必要なる
法律の整備その他をやらないで、いたずらに物、兵器、艦船といった問題にだけ力を集中しておりますために、周辺の
法律の整備その他の条件整備ができておりませんので、十分に機能しない、質の悪い一%になっておるということも、この際警告をいたしておきます。
第二は、
減税、
景気回復の問題であります。
クレマンソーは、戦争は軍人に任せておくのには余りにも重大であると申しました。私は、今日の財政
経済問題は一部官僚に任せておくのには余りにも重大であると言いたいのであります。(
拍手)
御承知のごとく、
わが国は、五十二年以来の物価は二九%上がりました。
国民の所得は三九%ふえております。しかも課税最低限はそのままでありますために、納税人口は四千三百三十二万人、九百四十万人ふえてまいりました。租税負担率は一九・三%から二三・七%へと激増しております。これは、
考えてみれば、
法律または
法律の定める条件によらずして
増税をやった、実質的には
憲法第八十四条違反の行為であります。クロヨンその他の不公平もますます激化してまいりました。したがいまして、今日における
減税問題は、単なる
経済問題ではなくて、一つの大きな
政治問題であるということを御
認識願いたいのであります。(
拍手)
私ども民社党は、野党の各党とともに、
所得税減税一兆円、住民税
減税四千億円、この
減税を主張いたしておりますのできればそのほかに
中小企業のために、現行の省エネ、代替エネ、
設備投資減税の拡充延長、さらには新技術体化の設備投資への
減税あるいは耐用年数の圧縮、さらに、わが党がつとに主張いたしております
中小企業のための事業承継税制の
確立もあわせて行いたいのであります。もしこうした
減税を実行いたしますならば、ストックの少ない同本におきましては、直ちに四千万人の納税者の購買意欲を
拡大するのであります。
GNPの六割を占めておる個人消費を
拡大するということが、
景気回復の第一の道であるということを申し上げたいのであります。
しかるに、
政府は、財政難を理由に、これらの
減税を
実現しないだけではなく、他方、
政治的には一つの義務費とも言うべき
人勧を昨年凍結し、今回の六・四七%の
公務員給与引き上げにつきましても、また仲裁裁定につきましても、積極的な
姿勢をいまだにお示しにならないのはまことに遺憾でありますが、一体どうなさるつもりであるか、伺いたいのであります。
さらに驚くべきは、財源がないという問題であります。皆さん、財源はおよそ、あるものではなくして、つくるべきものであります。五十兆円の
予算を組んでおきながら、一兆円や二兆円の財源がないというのは、能力の問題ではなくして、実は誠意の問題であります。(
拍手)
私は、がまんの哲学にも反対ではありません。しかし、倫理と
経済を混同してはなりません。
経済には
経済の
論理が貫徹する。だから、今日の
日本の
経済をごらんなさい。昨年に比べて、鉱工業のごときはわずかに二%の
成長である。百貨店の売れ行きのごときは、前年に比べて、下手をするとマイナスである。日銀券はわずかに五%の増である。事業債の発行は、今年上期は半分になっておる。しかも、失業者は百四十万人を超え、企業の倒産は八カ月連続して増大をしております。こうした
経済の行き詰まりの結果、財政もいよいよ行き詰まりまして、膨大なる赤字を抱えながら、なおかつ要調整額は四兆円、五兆円という状態でありまして、私は、
経済はじり貧である、このままいけば財政はとか貧であると叫んでおるわけであります。(
拍手)
特に、六十年代の財政は大変重大であります。したがいまして、この際、われわれが主張する
減税のほかに、さらに
社会開発を中心とした公共投資二、三兆円、いま直ちには困難かもしれないが、できるだけ早期に金利の思い切った引き下げ、これらを
実現いたしまして、
内需を
拡大する、これこそがこの不
景気を打開する唯一の血路であると主張いたしたいのであります。
政府は、
内需拡大のために災害の問題も含めて、この際、先ほどもお話がありました
補正予算を組むべきであります。特に私が強調したいのは、補正とは単なる財政的な補正ではなくして、
経済が長年陥没をしておる、これを補い、補完する、
社会的不公正はそのままになっておる、これを正す、財政的な補正ではなくして、
政治的、
経済的な補正を組んでもらいたいと思うのであります。(
拍手)
私は、昨年大蔵委員会に設けられました小委員会に参加いたしました。しかし、その一年かかった委員会の結論は、御承知のように、赤字公債は出さない、戻し税方式はとらない、税率構造もできれば
改正しよう、たったこれだけであります。決して
中曽根総理の言われるように、やると言ったら断固やるといったような内容では全然なかったのであります。(
拍手)特に死中活を求めるような
政治的決断は全然ありません。また、私ども野党も、ただ
要求だけすればよいという
考えではなくして、目をつぶって一定の財源案を提示したはずであります。そして
自民党の皆さんは、これに対してさまざまの批判をなさいました。しかし
自民党からは、みずからが提案をすべき順序になっておるときになっても、
最後までその提案をなさらなかったのであります。それがために小委員会はついに解散をいたしました。
一体、これはだれの
責任であるか。
総理大臣、大蔵大臣の
答弁を求めます。(
拍手)これはまた、
議長見解を軽視することにもなると思うが、いかがでございましょう。(
拍手)
しかしながら、いまや五十七年度の一般会計の決算では、約三百億円の税収増を含めまして千五百億円の剰余金が出てまいりました。さらに、油の値下がりがあります。内外
景気の好転もあります。したがいまして、これから自然増収というものも若干期待できると思うが、
政府は公約を守って、民社党初め各野党が
要求し二階堂幹事長が九月九日確認文書において明らかにされました
減税に関する三項目、これを
総理としても
責任を持って
実現する御意思があるのかどうか、より具体的に伺いたいのであります。(
拍手)
一体、
景気浮揚に役立つ大幅規模の
減税、少なくともこれは一兆円の
所得税、住民税の
減税と解してよろしいか。課税最低限は必ず引き上げられると期待してよろしいか。
関係法案の
提出は遅くとも十月、さらに、その
実施の時期は
昭和五十八年内と期待してよろしいか。財源問題も含めて明確なる御
答弁をお願いしたいと思います。(
拍手)
政府が「
増税なき
財政再建」という意味深長なる大旅のもと、税にはノータッチ、
減税もしない、公共投資もふやさない、しかも、つじつまが合わないので、毎年定率繰り入れは停止する、税外収入は無理に
拡大をする、さらに
最後には
法律を
改正して赤字公債の借りかえもやる、その上でなおかつ、赤字公債脱却の年次は無
原則にこれを引き延ばしておるというのが
現状であります。一体、これで
日本の財政はどうなるか。
日本財政の前途はまことに深憂にたえないのであります。
次に、
経済摩擦の問題について申し上げます。
ニューヨーク・タイムズはさきに、
日本国民の一人一人が
福祉を拡充されて、
社会施設も充実されて、一人一人がより肥え太るということが、
日本の国のためにも世界のためにも最も安全なる道である、「ファッターイスセーファー」という論文を掲げました。全くそのとおりであります。もし今日の
現状を続けてまいりますならば、
わが国の対米貿易の黒字は二百億ドル、対ECは百億ドルを超えるでありましょう。しかも、アメリカに大統領選挙が来年はある、ECにはすでに失業者が千二百万人おる、このことを
考えますと、
経済摩擦はいよいよ深刻になってまいるでありましょう。
そこで、
内需の
拡大が急務中の急務になります。各大臣に具体的に伺いたい。
一、
輸出を抑えるとはどこまで抑えるのであるか。どういう手段で抑えていこうというのであるか。二、輸入を飛躍的に
拡大する具体的
対策は何か。三、対外投資、産業協力を拡充する具体案はどうか。四、農産物輸入自由化についても適切なる
対応をしなければならぬが、その
具体策は何か。これらのことについて、各大臣からも明確なる御
答弁をお願いいたしたいと思うのであります。
私は、こうした対外
経済摩擦の問題も含めて、
補正予算の早急なる
編成を
要求するものであります。
次に強調すべきは円安
対策であります。
日銀総裁は、円高が最大の
景気策だ、このように申しました。私も全く同感であります。しかし
政府は、円安に対しては一体どういう手を打とうとしておるのか。大蔵大臣にも伺いたいが、円高
対策としていかなることを
考えられておるか、具体的に伺いたいのであります。
しかし、この問題は、本来ならばサミットにおいて解決すべき問題であったと思います。御承知のように、アメリカにおいては軍事費が一〇%ふえる。これはめちゃくちゃである。二千億ドルの財政赤字は大変である。この
認識に立ちまして、上下両院、二つ力を合わせて一〇%の膨張を五%に抑えるということでいま折衝が進んでおります。
私は、膨大なる赤字を削減する、膨大なる軍事費の膨張を抑える、そのことによって赤字を少なくし、金融を緩和し、ドル高を抑える、逆に円安を変える、そうした
努力がサミットにおいて行われるものと期待いたしましたけれども、これはどうにもなりませんでした。
フランスのモーロワ首相は、ドル高は第三の石油ショックであると申しました。さらに、アメリカのボルカー
議長は、最近におきましても、アメリカにおいて金利が上がる、ドルが上がる、それは金融政策の失敗のためではなくして、膨大なる財政赤字のためであると主張いたしております。前FR丑
議長のミラーさんも、最近、
日本に参りまして同じようなことを言っておられる。このことに対してメスを入れないサミットの
会議は、
経済サミットとしては全く意味がなかったと思うのであります。(
拍手)
さらに、ドル高はアメリカに対しても重大な打撃を与えております。ドル高が
日本に、ECに、発展途上国に重大なる打撃を与えておるだけではなくて、アメリカ自身にとっても輸入をふやします。農産物の
輸出さえ思うようになりません。そのために貿易の赤字はどんどんふえまして、いま月に六十億から七十億ドルである。ことしのアメリカの赤字は六、七百億ドルになると予想されておるのであります。
全くこうしたアメリカのだらしのないドル高、この金融政策に鋭いメスを入れるために、ドル高を
是正するということについて、
日本政府はアメリカの友人としてももっと強い交渉をなさるべきであると思うが、
政府のお
考えはいかがでありますか。(
拍手)
次に、
わが国の
国民のすぐれた資質、高い貯蓄率、さらに豊かなる労働力、高い科学技術水準、高度の資本の有機的構成、これらを
考えますと、
日本の産業には五%の
成長をする潜在的能力は十分にある。一時は一〇%まで行きました。五%は十分あるというのに、今回発表されました「展望と指針」によれば、これから四%
経済成長であるという。そうすれば、一%というものは
日本の生産力を切り捨てるというのでありますか。一%は
補助金を出して休眠させるというのでありますか。
何よりも
中曽根総理は、
所信表明演説において、
日本の
経済は二十一世紀の
経済の著しき発展を目指して
経済の効率性とダイナミズムを高めるとおっしゃった。この
所信表明と五%以上力がある
日本を四%に抑えておくということとは矛盾しておると思うが、
総理大臣、いかがでございますか。(
拍手)
さらに
経済企画庁長官にお伺いするが、五%をなぜ四%に抑えたか、その四%で完全雇用は達成できるのか、
経済摩擦は解決できるのか、財政の自然増収は期待できるのか、明確なる御
答弁を求めたいのであります。(
拍手)
経済企画庁は、あるいは通産省は五%を
考えた、大蔵省は三%しか主張しない、足して二で割って四%になったというのでは、大野伴睦先生は地下で苦笑されるかもしれないが、合理性を求める
国会の
答弁にはなりません。指針ならば指針らしく具体的な説明を願いたいのであります。
第三は、
中曽根内閣の
政治姿勢についてお伺いいたします。
私は、
総理の
行革に
政治生命をかけるという御決心に強く感銘をいたし、その御成功を祈っております。ただ、その理念について若干お伺いをいたします。
総理がたびたび強調される――臨調は
社会の情勢変化、
社会変化への
対応を説く、
総理は戦後
政治の総決算を主張される。総決算をする対象、目的、それは一体何であるか、いつ、いかにしてこれを決算し、清算をされるお
考えであるか、具体的に伺いたいのであります。
権利の主張が行き過ぎておる、甘えの構造、暴力指向、いずれもこれは戦後の民主的な解放過程における一つの副産物でありまして、私は、ある程度はやむを得ないと思います。しかしながら、この傾向に迎合したりあるいは助長したのに
政治の
責任が大きくあるということも反省したいのであります。民主主義、解放の原理は私は高く評価しておりますけれども、哲学と宗教のない場合には、それは人間を歴史と伝統から、
地域と
社会から切り離しまして、エゴとアトムの狂乱、無秩序になってしまうのであります。しかし、そのことは、
総理が
所信表明されましたように創造的な安定
社会の構築とは全く逆になるのであります。
ミルトンは、世界において人間より偉大なるものはない、人間において心より偉大なるものはないと申しました。この心の問題、人間の
基本を教える
教育の問題について、
総理は
所信表明において力強く言及されました。
しからばお伺いいたします。知育偏重である今日の受験制度、今日の大学
教育、
社会教育をいつまでにいかなる方向に切りかえていこうとされるのであるか、その具体的構想を承りたいのであります。
次に、
行革の具体的問題について。
中央省庁の統廃合は、
総理府や総務庁の今回出された
法案で終わりであるか。また電電、専売についてはいかがなさるつもりであるか。承ると、これは臨調の答申の線とは少し違った力の
要求が出ておるようであるが、いかがなさるつもりであるか。
また、中央地方の役人が五百万人もおるということは多過ぎます。しかも、先ほど
総理の御
答弁にありましたように、毎年千人程度減らしていったのでは全く前途の見通しがつきません。これは私どもは、思い切って新規採用は半分にするといったようなことで、とりあえず五%の削減を願いたいのであります。
また、
補助金につきましても、十五兆円は、三割なりあるいは五割なりというめどをつけて、しかも具体的に年次
計画を立ててこれを減らしていくのでなければ実行はほとんど不可能であると思いますが、いかがでございますか。(
拍手)
行革の問題に関連しまして、
行革デフレの問題について申し上げます。
シュンペーターという
経済の専門家が申しました。
行革デフレというものは大変な問題である、これは不満や悲惨事の発生に対して精力的に、ときには冷酷と思われるほどのエネルギーを結集して守り抜かなければできないことであると申しました。
わが国におきましても、御承知のように、明治の松方デフレは、天皇陛下に松方さんが五年間の期間を与えてもらうことを一札とって、その上でやったのであります。浜口
内閣の
行政改革は、深刻な、ついに
総理やあるいは蔵相の肉体的生命を奪ったことは御承知のとおりであります。したがいまして、これから、いま
政府がやっておられるような看板のかけかえ程度の
行革ではなくして本格的な
行革をやろうと思えば、いま申しましたような多くの犠牲と覚悟が必要であると思いますが、
総理のお
考え、御
決意はいかがであるか、伺いたいのであります。(
拍手)
また、うわさされております
国会の解散問題、これは
行革の完遂とはちょっと食い違っておると思います。両立しないと思いますが、
総理の真意はどこにあるか。解散にあるか、
行革にあるか、はっきりとお答えを願いたいと思います。(
拍手)
最後に、
政治の倫理化について申し上げます。
最近、私どもの周辺におきましては、外では金大中
事件、アキノ氏暗殺
事件、まことに過酷なる
事件が相次いで起こりまして、われわれは大きなショックを受けております。国内におきましては汚職
事件が次々に
拡大をいたしまして、
総理も、いまや高い
政治倫理の
確立が
政治必須の
課題であると叫ばれました。しかし私は、いまごろ倫理化、倫理化と叫ばれること自体が、道義
日本にとっては最大の恥辱ではないかと思うのであります。(
拍手)私どもは、敗戦
日本を
再建するについては一番大切なものは道義であると
考えておる。インドの
再建を
考えたネールさんは、かつて、インドを
再建するには鉄にあらず、電力にあらず、インド
国民が持っておるプライド・アンド・バーチュー、誇りと道義であると叫びました。私は、
日本国民のこの敗戦
日本を
再建する
基本の力は、われわれが持っておるプライドであり、われわれの道義であり、
国民の団結であると思いますが、いかがでございますか。(
拍手)
しかるに、最近におきましては、
ロッキード事件によりましてこの数年間私どもは全く憂うつであります。私事にわたって恐縮でございますが、私自身は造船汚職に憤慨して
政治に入りました。自来、ますます汚職は大きくなる、暴力は頻繁になる、全く残念でたまりません。しかし、いまやこの腐敗
政治、この金権腐敗の
政治を一挙に一掃する
最後のチャンスが
日本に参っておると思いますが、
総理のお
考えはいかがでございますか。(
拍手)
政治は最高の道徳であります。
ロッキード事件に係る
田中元
総理の辞職問題は、この上幾十幾百の証拠を必要とする刑事
事件としてではなく、ただ一片の
政治家の良心を求めておるのであります。(
拍手)
中曽根総理は、
田中さんの盟友として、また
自民党の総裁として、
内閣の首班として、この際
田中さんと腹を割ってお話し合いをいただき、この問題に対して
政治的なけじめをつけていただきたい。友情の問題でありまして、司法介入の問題ではありません。
総理の勇気と友情に大きく期待をいたすものであります。
実は、私は
田中さんに対しては非常にお気の毒に思っております。あれだけの才と手腕を持ち、日中国交回復その他あれだけの業績を上げられた
田中さんが、最近七年以上いわゆる針のむしろに座らされて批判と攻撃にさらされておる。一人の親友ありて、
田中さんに機先を制してやめるように声涙ともに下るアドバイスをなぜしないのであろうか。
田中さんの晩節を汚させないために、全うさせるために、面を冒して辞職勧告をする心のこもった真実のある仲間が一人いないのであろうか。いかでございますか。大義親を減するという。情において忍びないものがあるならば、泣いて馬謖を切るだけの勇猛心が望ましい、裁きのない世界は最も恐ろしい世界であります。
日本国会のモラルを
確立するためにも、私は、この際、
田中さんが深くやめられることを、そしてやめられることによってこの問題に
政治的なけじめをつけられることを心から願うものであります。そのために、中曽根さんは友人として最大限度の
努力をしてもらいたい。
いまや同本は、
総理の言われるように、二十一世紀に向けて静かなる
改革をたゆみなく重ねていかなければならない時期であります。私は、
中曽根内閣が厳しい自己反省、自己
改革のもとに、この
政治の困難にりっぱなけじめをつけられることを心からを求めて
質問を終わります。(
拍手)
〔
内閣総理大臣中曽根康弘君
登壇〕