○赤羽(隆)
政府委員 最近の物価動向でございますけれ
ども、
消費者物価につきましては、
東京都区部速報、先日発表になりましたものによりますと、去年の九月に比べまして〇・七%の上昇、こういうことになっております。これは
生鮮食品の
価格の寄与が大きゅうございまして、
生鮮食品を除く
総合、これが物価の実勢をほぼあらわしている、こういうふうに理解しておりますけれ
ども、それによりますと一・六%の上昇、こういうことでございます。五十八年度の
消費者物価の見通し、昨年末につくりました
時点におきまして三・三%、ただいま
先生が御
指摘されたとおりでございますけれ
ども、それに比べますと大体半分くらいの上昇率、こういうところに来ておることは事実でございます。
私
どもとして分析しております点は、これは
石油の
値下がりと、それから
為替レートが円高の方へ戻った。私
どもとしては、現在の
為替レートはまだまだ期待されたほど円高ではないと
考えておりますけれ
ども、昨年の見通しを作成した
時点に想定しましたよりは高くなっている、こういうことで、海外輸入原材料
価格の
低下、この要因が
かなりある、こういうふうに理解しております。
最近の輸入物価は、これは円ベースでございますけれ
ども、一年前に比べまして、約一割
低下をしております。これは機械的な計算ではございますけれ
ども、産業連関表を使いまして、
消費者物価のうちで輸入コストがどれくらいあるのか、これを試算してみますと、約一五%程度という
数字が出ます。一五%のものが約一割下がっている、こういうことでございますので、一・五%くらいが輸入
価格の低落の寄与である、こういうことになります。もちろん原材料の形で下がってまいりました輸入物価が、直ちに
消費者物価の
段階に波及するわけではない、その間に時間的なタイムラグが必要でございますから、ちょっと大ざっぱに過ぎる計算ではございますけれ
ども、こういうことで輸入品の
価格低落が一番大きい、こういうふうに理解しております。この点は、ただいま申しましたように、輸入原材料
価格の
低下が起こった、それは主として五ドルの
原油価格の
引き下げと
円安がやや
修正された、この
影響が大きい、こういうふうに思います。
それから
卸売物価でございますけれ
ども、
卸売物価は九月上旬の値で申しますと、昨年の一年前同期に比べまして三・〇%の
低下、こういうことになっております。
卸売物価は、この
統計の技術的な性質から、輸入物価の
影響をやや過大に反映をする、過敏に反映をする、こういう性格がございます。
そこで、輸入物価でございますけれ
ども、これが約九・九%、約一割
低下をしている、こういうことでございまして、やはり輸入物価の低落の
影響が大きい、こういうことでございます。したがいまして、現在の
段階での物価の実勢は大体二%を切る、一%の半ばくらいの
状況、こういうふうに理解をしております。
これから先の見通しということになりますけれ
ども、
消費者物価について申しますと、これは天候の
影響を受けます
生鮮食品、これが攪乱要因になるわけでございますけれ
ども、ことしはそれほど心配がない、こういう前提をもって
考えますと、ほぼ二%程度の実勢で年度末まで
推移をする、こういうふうに理解をしております。もちろん最近アメリカの熱波などで穀物相場が上がっている、こういう
影響がございますし、それから最近やや一服ぎみではございますけれ
ども、先進国の景気の回復に伴いまして非鉄金属などの原材料品も若干上がる、こういう要因があろうかと思います。ただ、これから先の円のレートがやや円高の
方向へ向かうという希望も最近出てまいりました。そういうことを勘案いたしますと、輸入物価はこれから先も多少上がるとしても、やはり
原油の五ドルの
引き下げ、この効果がおもしになりまして、全体として輸入物価の上昇というのが
国内、特に
消費者物価の
段階に大きな
影響を及ぼすというふうには見ていない、こういうふうに分析している次第でございます。
卸売物価につきましては、これは
先ほど申しましたように、輸入物価の
影響というのをやや過敏に反映をするということがございますので、現在の、一年前に比べまして三%を下回るというような点は若干上昇する、こういうことだと思いますけれ
ども、年間を通じましてやはり前年を下回る水準、こういうことではないかな、こういうふうに思います。