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1983-10-05 第100回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年十月五日(水曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 土井たか子君    理事 青木 正久君 理事 狩野 明男君    理事 城地 豊司君 理事 武部  文君    理事 岡本 富夫君       小澤  潔君    田名部匡省君       長野 祐也君    五十嵐広三君       長田 武士君    塩田  晋君       岩佐 恵美君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      塩崎  潤君  出席政府委員         総理府統計局長 時田 政之君         経済企画庁調整         局長      谷村 昭一君         経済企画庁物価         局長      赤羽 隆夫君         経済企画庁調査         局長      廣江 運弘君         資源エネルギー         庁石油部長   松尾 邦彦君         資源エネルギー         庁公益事業部長 小川 邦夫君  委員外出席者         厚生省環境衛生         局乳肉衛生課長 難波  江君         厚生省環境衛生         局食品化学課長 市川 和孝君         資源エネルギー         庁石油部流通課         長       広瀬 勝貞君     ───────────── 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件      ────◇─────
  2. 土井たか子

    土井委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので順次これを許します。城地豊司君。
  3. 城地豊司

    城地委員 ことしの四月の五日に当委員会で、原油価格値下がりによる国内石油製品価格の動向ということでいろいろと質疑がありました。ちょうどあれから六カ月たったわけであって、あの時点での私ども質疑を行ったときの見通しでは、原油が一バレル当たり五ドル値下がりをする、それによって生み出される日本の国としての利益といいますかプラス面といいますか、そういうものがいろいろな形で国内に浸透するだろう。しかも、私自身、あの質疑を通じて、この好影響といいますか、日本経済に及ぼす好影響は、石油業界、そしてさらには石油販売業界、そして消費者と、それぞれにいい形で還元されるものであるというふうに考えておりましたし、またさらには、そういうことであのようないい状況があったのですから、三方一両得というような方策がないかということも経済企画庁長官にもお尋ねをいたしました。そういう妙手はないが、とにかく日本経済にとっていいことであるからということで質疑があったと存じています。  しかし、あの時点で、だれもがその半年後、きょうこの委員会でこの問題をさらに取り上げて、今日のような事態になるということを想像した人は恐らくいなかったのではないかというような感じが率直にしておったのであります。といいますのは、あの時点から原油価格値下げ傾向というのはそのまま続いています。いろいろな各種の資料を見ましても、原油価格値下がり傾向にある、値下がって、そして横ばい、そしてまた若干下がる。毎月毎月の統計がこれを示しているところでございます。しかるに八月から九月の段階で、特に石油製品の中でもガソリンにしぼりますけれどもガソリンの値上がりというようなものがあって、そういう意味では日本経済の中で非常に大きな問題になっているということであります。こういう状況になったこの半年間、たったの半年間でそういう状況にまでなったというこの原因を、関係省庁としてはどういうふうに把握をしておられるか。この問題については通産省経済企画庁と両方、どちらからも異なった意見があるかもしれませんし、同じ意見かもしれませんが、その原因をどのように把握しておられるか、まず伺いたいと思います。
  4. 松尾邦彦

    松尾(邦)政府委員 ただいま先生指摘のように、原油の五ドル値下げに伴いまして、本年四月から石油業界におきましては製品価格引き下げを行ったわけでございますけれども、その後の状況について見ますると、四月以降、元売り石油会社が打ち出しました値下げをはるかに超えまして、製品価格下落傾向が続いておったわけでございます。  このような石油製品価格下落傾向の中で、石油業界経営状況は、元売り業界販売業界大変悪化をしてまいっておりましたので、先般九月から、石油元売り会社の方では、製品価格を四月のレベルまで値戻しをするということにいたしたわけでございますが、もとより私どもといたしましては、原油の五ドルの引き下げのメリットは国民経済に還元さるべきものと存じております。本年四月の石油業界の対応はそのようなものであったと存じますけれども、その後の製品価格下落傾向は、その五ドルの値下げをはるかに超えるような勢いで続いていたことが今回の値戻しに至った経緯であろうと存じております。
  5. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 ただいま石油価格については通産省の方から御説明がございましたが、私も石油価格につきましては、事実といたしましておっしゃられたような方向で動いている、こういうように見ているところでございます。  あのとき私どもは、原油一バレル五ドルの引き下げは、御案内のように一兆四、五千億のGNPの増加要因となるというようなことを申し上げました。そして、そのような傾向がいま各方面にあらわれて、いい影響を来していると私は思うのでございます。特に卸売物価は、御案内のように四月—六月でもう前年同期比でマイナス二%、七月、八月も依然として低下傾向でございまして、二・四、二・九とマイナスでございます。  こんなような傾向を示しておりますとともに、消費者物価も世界一低水準で終始しているような状況でございまして、四—六では一・八%前年同期比増、七月は一・七、八月は一・二、九月は一・六と、こんなふうな動きを示しておる。これは生鮮食品を除く総合でございます。消費者物価全体は四—六で二・一、七月で二・二、八月で一・二、九月でさらに下落いたしまして〇・七という数値でございました。生鮮食品を除く総合では初めに申し上げましたような傾向でございます。  このようなところから判断いたしまして、私は物価面において原油価格値下がり円レートの、円安傾向の去年に比べての修正傾向からいい影響をもたらしている、こういうふうに見ているところでございます。
  6. 城地豊司

    城地委員 御説明の中でありましたけれども、要するに元売り販売とも経営悪化をした、そして値戻しのために九月からいろいろな施策をとったということでありますけれども、昨年の十一月ごろから、そういう意味では非常にガソリン値段が急激に下がってきた。そして、前回当委員会で審議した四月ごろも下がっている傾向にあった。非常に好ましい傾向だと私たちは思っていました。といいますのは、原油が下がる以上に下がるというようなことは普通商売では考えられません。もとが下がってくるからそれに応じて下がってくるということで考えるのが普通でありますから、そういう意味で、下がってきたことは好ましい、いい傾向だ、いいことだというふうにとらまえておったわけでございますけれども、いまの説明でいきますと、下落傾向が続いたために元売り販売業界経営が非常に悪化をしたという説明でございます。  そういうことでいきましたならば、昨年末からことし八月まで毎月毎月、一応いろいろな統計資料もとっておられるでしょうが、そういう価格流れをどういうふうに見たらいいんだろうか。私たちは、ある意味では適正に推移をしてきたんじゃないかという感じを持っているんですが、そういうふうに元売り販売もどちらも業績悪化をするということだとすれば、どこかに問題があるんじゃないか。逆に言いますと、適正な価格ではなくて、むしろ過当競争で乱売の傾向にあったのかなとも考えるわけでありますけれども、そういう流れについてどういうふうに見ておられるか、御説明をいただきたいと思います。
  7. 松尾邦彦

    松尾(邦)政府委員 ガソリン小売価格は、昨年の末からことしの八月まで一貫して下落傾向を続けてまいったことは、ただいま先生指摘のとおりでございます。  昨年の末からことしの三月ごろまでの値下がり背景といたしましては、昨年秋以降、為替レート円安がある程度修正されてきたという背景、あるいは原油値段が国際的に安くなるのではないかという先安観などの情勢を酌み取りまして、いわばコストの低下を先取りするような形での値下がりが生じておったのではないかと存じます。  先ほどお話の出ました四月以降のところにつきましては、原油価格引き下げられたことに伴う製品値下げという形で元売り石油会社が打ち出したわけでございますけれども、四月を過ぎましてこの八月に至る逐月の価格低下という点になりますと、これは昨年末来本年春までに見られましたような円安修正とか原油価格先安観といったものは、一応春までに大体出ておったわけでございまして、その先についてこのようなことがさらに生ずるという感じは基本的にはなかったと思いますので、そういう中で逐月小売価格が下がっていったということは、やはり石油業界過当競争体質に根差します安値競争の様相を強く帯びたものではないかというふうに考えております。これは、過当競争体質は、元売り段階小売段階、双方にあるかと存じますけれども、そのような過当競争体質が、元売り段階小売段階相乗作用を起こして、ここに下落傾向をもたらしたものというふうに理解しております。
  8. 城地豊司

    城地委員 逐月下落していったと言うのですが、だとすれば、昨年の十一月からことしの八月までの毎月のいわゆる平均的な価格を教えていただきたいと思います。
  9. 松尾邦彦

    松尾(邦)政府委員 小売価格統計はいろいろございますけれども、代表的なものとして総理府小売物価統計東京都区部を例にとって申しますと、昨年は、九月から十二月まではリットル当たり百七十七円でございました。ことしに入りまして、順次申し上げますと、一月は百七十六円、二月は百七十二円、三月は百六十八円、四月は百五十九円、五月、百五十五円、六月、百五十三円、七月、百五十円、八月、百四十六円ということに、毎月値下がりを見たわけでございます。
  10. 城地豊司

    城地委員 そういうことだとすれば、百七十七円から、一応この総理府統計資料で百四十六円まで下がってきたという数字を見て、監督官庁としては、当時どういうような方策考えておられたのか。こういう傾向を恐らく毎月毎月チェックしておられるのでしょうから、そういう中で、この傾向に対してはどういうお考えでおられたのか。余り下がり過ぎる、おかしいなというふうに考えられたのか、それとも、まあいい影響があらわれてどんどん下がっていくなというふうに考えられたのか、どちらのお考えだったでしょう。
  11. 松尾邦彦

    松尾(邦)政府委員 石油製品価格、ただいま御指摘ガソリンについても同様でございますけれども、基本的には市場メカニズムを通じて形成されることが基本であるということで、私どもといたしましては、価格推移を見守ってきておったのが従来のところでございますけれども、ただ、ことしの五月の石油審議会におきましても、今回の原油価格の五ドルの低下の効果につきましては、市場メカニズムを通じて国民経済へ還元するという要請にこたえることはもとよりであるけれども石油業界みずからの過当競争体質により、いたずらに経営体質を疲弊させることなく、強靱で信頼される石油産業の形成にも努めていかなければならないというような指摘もございまして、そのような御指摘も踏まえながら見守っておったということでございます。
  12. 城地豊司

    城地委員 いまのお答えだとちょっとわからないのですが、要するに私は、数字の上からいってこういうふうにどんどん下がっていく、そのことを監督官庁、専門の人であれば、これはおかしいなとか、これはまあいい方向へ進んでいるということは、この値段それから原油価格等から類推してそういう考え方が出るのじゃないかと思うのです。ですから、七月、八月、これは後ほど質問しますけれども、いろいろな手を七月、八月段階で打たれてくるということであるのですが、たとえば極端な県で伺いますが、六月の時点で、ことしに入って半年間どんどん下がってくる。この数字だけ見ても、一月の百七十六円からとにかく二十円以上下がってくる。そのことについて、これはいいことだと考えられたのか、それともちょっと異常だなと考えられたのか、その辺のことを伺っているわけです。
  13. 松尾邦彦

    松尾(邦)政府委員 先ほど申し上げましたように、基本的には市場メカニズムという前提で見守っておりましたけれども石油審議会先ほど説明申し上げました御指摘がございましたという観点から、このような姿が果たして石油審議会の御指摘の線に沿っているのかどうかという点について非常に危惧の念を持って見守っておった次第でございます。
  14. 城地豊司

    城地委員 それで、具体的には五月から七月というような段階で、石油販売関係会社倒産とかいろいろな事象が日本全国のあちらこちらにちょこちょこ出始めたというふうに、細かい資料はありませんが、そういうように把握をしているのですが、具体的にあらわれた倒産とか、そういう現象はどういうふうに把握していらっしゃいますか。
  15. 広瀬勝貞

    広瀬説明員 石油販売業界の最近の経営状況につきまして私ども細かなデータを持ち合わせておりませんけれども、たとえば東京都につきまして石油販売業界が調べたデータによりますと、本年に入りまして廃業した給油所が二十五軒になっております。本年の一月から六月までの数字でございますが、二十五軒ということになっております。これを前年の同期に比べますと、前年の同期が二十一軒でございますので、若干ふえておるということでございます。そのほか、最近でございますけれども経営状況についていろいろ関係者からヒヤリングをしたところでは、非常に最近の価格競争等背景としまして経営が苦しくなっておるという実情を訴えておる者が多かったようでございます。
  16. 城地豊司

    城地委員 いまの倒産その他の傾向では若干ふえたというだけの状況ですが、先ほどお答えの中でありましたように、原油価格は下がっている。そうすれば、原油を精製して売る元売り販売業もどちらも業績悪化したということが、私は民間企業の出身ですから、どうしてもそのことについては納得ができないというよりわからないわけです。たとえば元売りというのは石油をリッター百四十円で売る。すると販売者はそれに手数料、人件費必要経費利益を含めて百五十円で売るというのが一応の商売だというふうに思うのです。ですから、百四十円で仕入れて百五十円で売れば、その差十円のものがいわば粗利益というか、人件費込み経費プラス利益ということで出てくるというのがいわゆる商売の常識的な判断だと思うのです。そういうことでいけば、その十円の中には経費も含まれる、たとえ一円でも一円五十銭でも利益が含まれるということで考えているわけでありますから、商売というのはそういうことだと思うのです。  ところが、先ほどもちょっと言われましたが、業界過当競争体質ということで、競争に勝つためには何が何でも安く売る、安く売れば安い方に購買力流れてくるということで、安く売った方が勝ちだということになりそうでありますけれども、それにしても商売をやる人が仕入れ値段よりも安く売るなんというのは、これはそんなことはとうてい考えられないと私ども思うのですが、どうして元売り販売業もどちらも経営悪化したというふうに考えられたのか。何かそういう意味での経済的な指標とか経営分析資料等がありましたら、皆さん方判断をされたもので結構ですからお示しをいただきたいと思います。
  17. 松尾邦彦

    松尾(邦)政府委員 石油精製元売り業界販売業界もともに企業の数がたくさんございまして、過当競争の基本的な体質を備えていることは先ほど申し上げたとおりでございますけれども、その石油精製元売り業界につきましては、五十六年度に三千五百億弱の大幅な経常赤字を出して大変経営体質が弱まったのでございますけれども、五十七年度にはそのうちのある部分については回復をすることができましたが、依然としてかなり赤字を抱えた状態で五十八年度に入ったわけでございます。五十八年度に入りましてからの精製元売り会社決算数字というのは、まだ正確なところはわかりませんけれども、私どもが私どもなりに企業から聞いたところ、あるいは一般の新聞などにも決算予想として伝えられるところによりますと、またかなり経常赤字が出るのではないかというふうに言われているわけでございます。  そこで、末端販売業界の方は、まあなかなか計数的にも十分な捕捉がむずかしゅうございますけれども先ほど流通課長から御説明申し上げましたように、昨年に比べましても倒産の、廃業の件数は増加しているというような傾向にもなってきておりますが、ただ、過当競争でどんどん安売りをすれば、基本的にはもっと倒産続出ということが起こるのではないかという考え方が通常の考え方だろうと存じますけれども、この点になりますと、石油精製元売り業界販売業界との間の取引慣行が、そのような倒産続出を大変抑制したような形になっておったと考えられます。つまりこれは、元売り会社石油製品販売業界に売るに当たりまして、引き渡しの前に値決めを行う慣行が本来近代的な経営としては行われるべきでございましたところ、現実には引き渡し前の値決めが徹底せず、末端販売業界安売りをいたしますと、その安売りに伴いまして仕入れ価格引き下げをしてもらわないと販売業界はやっていけないということで、元売り会社の方に事後的に仕入れ価格調整を求める。私どもの言葉では、いわゆる元売り仕切り価格事後調整というふうに申しておりますけれども、このような形を通じまして販売業界は大変な過当競争安売りをしたにもかかわりませず、そのツケが元売り業界の方に相当程度回っておった。  したがいまして、元売り業界ではまだ上期の決算は出ておりませんけれども、そのような過程で相当な赤字を抱え込んでおるように見受けられるということでございまして、石油審議会におきましても、こういう商品引き渡し前に極力値決めを行う慣行を確立していく、そういう取引慣行合理化を図るべきだとかねてから指摘されていた問題点がございますが、その問題点との関係においては、私どもとしてもきわめて遺憾な状態が続いておったというふうに考えます。
  18. 城地豊司

    城地委員 いまの説明を伺いますと、とにかく販売業界というのは何でもいいからどんどん安く売る、そして安く売ってしまったから元売りに向かって、たとえば百四十円のものを百三十円にしてくれというと、仕切り事後調整ということで元売りは百三十円、それならばそうしましょうということでやったというふうに判断していいわけですか。
  19. 松尾邦彦

    松尾(邦)政府委員 具体的な価格はともかくといたしまして、基本的な仕組みはおっしゃったとおりでございます。
  20. 城地豊司

    城地委員 では、その過当競争体質というのは、いま言われているのはそういう会社が非常に多い。十三社かあって、最大の会社シェアも一七%ぐらいであるから、ドングリの背比べと言ってはなんですが、シェアが五%、八%、一〇%というようなところがしのぎを削ってやっているのがこの石油業界であるというふうな一般的な認識でいるわけです。  私ども一般消費者の立場として考えますと、過当競争といいましても、たとえば車に乗る人が、車をいままで百キロしか走らなかったのが、今度ガソリンが安いから二百キロ走るという考えにはならないと思うのですね。それが半分になるとか三分の一になるとすればそういうことにもなるのです。たとえば、いまいろいろなスーパーや何かで安売りとか、それから朝市、夕市なんというのをやっています。朝市は、朝早くから行けば普通のものの半分の値段で、ある特定のものが買える。それで客を寄せておいて、安いものは確かに安いけれども、その他一般のものもついでだから買うというようなこととか、それから目玉商品ということで、安いものもあるが、そのかわり一般値段のものもあるということでやっているのは、これは商売としてそういう目玉、客を集めるためにいろいろな方法をやることは考えられるわけですけれども、このガソリン問題に例をとりますと、たとえば、ガソリンが少し安いからといって必要以上に走るということはまずない、車の例をとってもですね。それから買いだめというようなことで、安いからいま買っておいてやるほど安くない。たとえば、三円、五円安いからといって、十リッターのものを二十リッター買って自分の家に蓄えておくというようなことはない。とすれば、過当競争はどうして生まれるのだろうかということに疑問があるわけです。  ただ、三軒店が並んでいて、百五十円、百四十円、百三十円と店が並んでいれば、それは百三十円のところで買うということは私は常識だと思うのですね。だれも百五十円のところで買わない。しかしそれだけであって、百四十円と百五十円のところは売れないということだけの問題なんですね。しからば今度は、百五十円のところが、百三十円じゃなくて百二十円に下げる、百四十円のところは百十円に下げるとすれば、その次に来た人は百十円が安いから百十円で買うということで、過当競争といいましても、絶対量がそれによって増減するというような要素ではないというように考えるのですが、そういう考え方でいいわけですか。
  21. 松尾邦彦

    松尾(邦)政府委員 一般的な考え方といたしましては、やはりガソリン値段がある程度下がれば需要もある程度はふえるという一般的な関係はあるかと思いますけれども、それは非常に鋭敏な関係というよりは、一般的にそういう傾向にあるということではなかろうかと存じます。  それで問題は、いま先生指摘のように、安く売れば需要がどんどんふえるのかという点になりますと、最近石油需要というのはずっと低迷しておりまして、そうどんどんふえるような勢いにないことは御案内のとおりでございますが、限られた需要の中でだれがパイの大きな切れ端を手に入れるかという点においては、全体の需要が伸びなくても、むしろ伸びないからこそよけい一層自分シェアだけは確保しておきたい、あるいはシェアをふやして需要の低迷をカバーしたいという意欲が働いていることは当然のことだろうと存じます。おまけに、先ほどお話がございましたけれどもガソリン大変個性のない、差別性のない製品でございますので、競争の手段となりますと、結局値段を安くするかしないかというところが決め手になるような関係もございまして、価格には大変敏感な販売にならざるを得ないということではなかろうかと存じます。
  22. 城地豊司

    城地委員 去年の八月とことしの八月のガソリン消費量といいますか、それの統計資料で見ますと、九・三%量が多くなったという資料がございます。しかもこれは何年かぶりである。ですから、一年間で、ことしの八月と去年の八月を比べて九・三%多い。一〇%以下でありますから、そんな程度だとすれば、いわゆる総量的に量が多いとかなんとかいうことではなくて、結局安くする、安くする、安くするという競争販売業界赤字体質元売り赤字体質になったのだと判断するしか道はないわけですね。だとすれば、もっと極端な言い方をすると、元売り赤字が出る、販売赤字が出るとすれば、黒字が出たのはだれなのだろうということで考えていきますと、その分の黒字ガソリンを買った人がそれだけもうけたといいますか黒字を出したといいますか、そういうことで判断するしかどこも逃れ場がないわけですが、そういうふうなお考えですか。
  23. 松尾邦彦

    松尾(邦)政府委員 御指摘のように、八月のガソリン販売量かなり前年同月を上回る伸びでございましたけれども、これは、昨年はその前から起こっておりました値上げの反動、需要減があり、ことしの八月は九月からの値戻しの前倒し需要がありということで、非常に異常な月であったかと存じますが、私ども感じでは、上期全体を通してならしてみますと、前年同月の一%かそこらの増程度の状態になるのじゃないかというふうに思っております。  それから、石油元売り業界販売業界がなぜこのような赤字の中で営業を続けてきたかということになりますと、結局先生指摘のように、精製元売り業界企業はたくさんありますし、末端小売業界も数がたくさんございまして、それぞれに限られた需要の中で生き残っていくためには、どうやって自分たちの商圏を確保していくかという意味でしのぎを削った過当競争が行われておったと考えられるわけでありまして、結局それは形式的には、先生指摘のとおり、両業界赤字の効果というものは消費者の方が受けられたのではないかと存じますけれども、私どもといたしましては、石油産業というものは、ガソリンもそうでございますけれども、他のいろいろな石油製品ともども、国民生活あるいは産業活動の基本をなす大事な基礎的な物資でもございますので、これの安定供給を図るための石油産業体質としましては、かねて石油審議会でも指摘をされておりますように、少々のことではくじけない強靱で信頼される産業体質であってほしいというふうに思っておりますが、残念ながら実情と私ども考えておりますことに差があるというのが実態でございます。
  24. 城地豊司

    城地委員 そのことは一応わかりました。後ほどまた問題の提起をいたします。  最初に質問しましたように、一連のこの値下がり、そして元売りやさらに販売業関係のそういう赤字といいますか、非常に経営的に問題がある、経営悪化をしているという状況を見て、エネルギー庁として、七月二十七日から八月四日まで販売担当役員の仕切りのヒヤリングをやられたり、さらに八月八日から全元売りの社長のヒヤリングをやられたり、八月二十五日に通産局石油課長会議をやられたり、八月二十六日から八月三十一日まで各通産局による元売り支店別のヒヤリングをやられた。これは先ほども伺いましたが、このままの状態では石油業界石油販売業界、どうにもならなくなるのじゃないかというふうな御心配で、こういう一連のヒヤリングやこの種の会議をやられたのかどうか、お伺いしたいと思います。
  25. 松尾邦彦

    松尾(邦)政府委員 先生指摘石油企業からのヒヤリングや通産局との会合等につきましては、先ほども御説明申し上げた石油審議会でかねがね指摘されておりました、商品引き渡し前に極力値決めを行う慣行を確立していくなど、取引慣行合理化を図るべき旨の政策方向との乖離も著しいという実情にございましたので、そのような事後調整等が本当にどのように行われて問題になっているのかという実態の把握をし、不合理な取引慣行の是正を促すということを行うための作業でございました。
  26. 城地豊司

    城地委員 事後調整の実態調査把握、これも一連の会議の中でそれぞれ実態は完全に把握できたわけですか。
  27. 松尾邦彦

    松尾(邦)政府委員 事後調整あるいは期末調整という仕組みはかねて業界の中にあった慣行ではありましたけれども、今回各企業から聴取してみますと、最近その事後調整をきわめて広範かつ大幅に行わざるを得なくなってきている。これは何ゆえかと申せば、ある競争企業が値引きをすれば受けて立たざるを得ないというようなことで、ずるずる進めてきてしまいましたが、これは自分たちとしては大変問題があり、何とか是正したいのだけれども、なかなか是正し切れないで今日に至っている、きわめて問題だと認識しておる、そういうようなのがヒヤリングから得た概要でございます。
  28. 城地豊司

    城地委員 そうすると、事後調整というようなことは、かなり公然と広範にほとんど行われていたという実態はつかめているということと、さらには五月の石油審議会等では、こういうような状態原因は幾つかあるのでしょうが、その一番大きなこととしては、仕切り価格事後調整というようなものがその原因であると結論づけられているわけですか。
  29. 松尾邦彦

    松尾(邦)政府委員 五月の石油審議会での御指摘は、必ずしも事後調整をずばり指摘したものではございませんけれども、いたずらに過当競争を通じてみずからの体質を弱めるということはいかがなものかという御指摘にとどまっておりまして、五十六年の十二月に石油審議会で出された報告に、先ほど申し上げたような事後調整のような取引慣行はできるだけ是正して近代的な慣行にすべきである、こういう指摘があったわけでございます。それで、具体的には過当競争元売り段階小売段階にあればこそこのようなことが起こったわけでございますけれども、そのような過当競争がどういうメカニズムでどんどん進行したかという原因といたしましては、御指摘事後調整にあったということになろうと存じます。
  30. 城地豊司

    城地委員 いままで日本の国全体の経済の中で、石油販売関係でいろいろな問題があった。いまの事後調整の問題もその一つでしょうが、そういう問題の解決というものが大体値下がりする方でいろいろ調整されたというのは、ここ十数年来、大きな意味で今回が初めてじゃないかというふうな感じがするのですね。大体石油がどんどん値上がりしてくる中でやられた。ですから、値下がり傾向の中で大問題が起こったのは今回が初めてである、私はそういう認識なんですが、その認識が誤っているかどうか、お尋ねをしたいと思います。
  31. 松尾邦彦

    松尾(邦)政府委員 過去の例すべてについて知悉しているわけではございませんけれども、私どもこういう形で事後調整問題で自覚を企業に促したのは従来例がなかったかと存じます。
  32. 城地豊司

    城地委員 その問題は、一応最後の結論のところで申し上げたいと思いますので、次の質問に入ります。  九月一日を初めとして九月の十日ということで、元売り関係仕切り値段がそれぞれ値上げされてきているわけであります。先ほど質問いたしましたエネルギー庁のヒヤリングの経過は、必ずしもそういう値上げに関係のあることではなくて、値上げとか値下げとかいうことに直接監督官庁関係するわけはないということは私どもも十分承知をしておりますが、一連の流れ、そういう中でいろんな話し合いがなされたり、こういう点はまずいんじゃないかというような指摘をされたり、このままでいったらとんでもないことになるよという話をしたり、いろいろしている中で、しかも七月から八月の段階でこういうことが行われ、そして九月の一日から値上げして、大手でも九月の十日にリッター当たり約二十円くらい仕切り値段を上げられた。これについては監督官庁としてはどういうようなお考えをお持ちでございますか。
  33. 松尾邦彦

    松尾(邦)政府委員 私どもは、先ほど申し上げたような作業で、元売り企業に対する事後調整という望ましくない取引慣行を是正するようにという自覚を促した経緯はございますけれども石油元売り企業の自主的な判断で、九月から、日にちはいろいろございましたが、値戻しが行われたものというふうに理解しているわけでございます。たまたまヒヤリングを行いますころ合いに、ある元売り企業が値戻しをするということを発表いたしたわけでございますが、それをきっかけに、従来の厭戦気分あるいは経営体質に対する危機感がその口火を切った元売り企業への追随を促して、各企業の自主的判断でそのような値戻し、値上げが各社において行われたのではないかと思います。いずれにいたしましても、口火を切った元売り企業に追随していった結果であろうと存じます。
  34. 城地豊司

    城地委員 言葉として、値上げじゃなくて値戻しといいますか、どんどん下がってきた値段をもとへ戻すというので値戻しという言葉で、石油関係の各機関紙なんか、値上げという言葉はほとんど使っていない。値戻しという言葉であるんですが、ずっと下がってきたこの時点からすると値上げということなんですね。しかし値上げという言葉を使わないで値戻しという言葉を使っているわけです。どちらも日本語として通用する言葉なんですが、どうも値上げを値戻しと言っているのもおかしなものだというふうに感じますが、その値上げと値戻しという言葉の関係についてエネ庁としてはどういうふうに考えられるか、お考えをいただきたいということと、それからもう一つは、この値戻しをしたとして、事後調整というような問題は、この九月一日から値段をそれだけ、二十円近く戻すということなんですが、事後調整問題は、業界はどういうふうに考えておられるのか。また、七月から八月の段階にかけていろいろなものでやられたのですけれども、今度値戻しをされた後、エネ庁としてはどういうふうに考えて指導されるおつもりですか。
  35. 松尾邦彦

    松尾(邦)政府委員 今度の値戻しという点につきましての言葉の意義づけかと思いますけれども、これは口火を切りました元売り会社が、まず四月の原油価格五ドル引き下げに伴って下がった製品価格の水準まで値を戻していくという発表の仕方をしたのを、他の企業も同じような言葉を使って発表して値戻しという言葉が使われているのだろうと存じます。  私どもも、先ほど申し上げましたように、原油の五ドルの値下げのメリットは国民経済に還元されるべきですけれども、いたずらに過当競争体質でみずからの体力を弱めるということについては危惧の念を持っておったものですから、そういう意味で還元さるべきものは還元するけれども、わが身を削って行き過ぎた競争を行うことに対する懸念という観点からいたしますと、値段が戻ったという言葉自体は自然な言葉ではないかというふうに受けとめております。  それから、事後調整につきましては、先ほど来申し上げておりますように、石油審議会からかねてその是正について御指摘をいただいておるわけでございますので、今般のヒヤリングを通じましても、各企業ともこういうものがあっては望ましくない、何とか是正したいという気持を持っておりましたし、現に九月の値戻しを発表するに際しましては、今後は石油審議会の御指摘にあるように、引き渡し前に極力値決めを行う慣行の確立ということを図っていきたいという観点から、事後調整は今後は行わないというふうに企業も各販売店に通告しているようでございますが、私どもとしてもそのような企業の態度は、先ほど来のお話に出ました石油審議会考え方にも即したものでありますので、そのような方向が定着して取引慣行が合理的になり、過当競争の根が断たれることを心から期待しているわけでございます。
  36. 城地豊司

    城地委員 それでは別な観点から質問いたしますが、時間が余りありませんので、簡単にお答えをいただきたいと思います。  ある一部の学者、経済専門家の間では、ガソリン価格の国際比較で、日本の場合は割り高ではないのかという意見かなりあるようであります。ですが、この問題はただ単に表面にあらわれたそういうことだけで比較ができない、その国のいろいろな置かれている条件によって違いますから、私も一概にただ表面上の数字だけで比べることは適当ではないと思いますけれども、ある試算によりますと、昨年の七月現在、一ドル二百五十円で計算してみた場合ですが、リッター当たりイギリスでは百五十二円、アメリカが八十二円、西ドイツが百三十七円という試算の結果が出ています。そういうものと比べて日本ガソリン価格というものは割り高ではないかという指摘があるのですが、エネルギー庁としてはこの問題についてはどのようにお考えですか。
  37. 広瀬勝貞

    広瀬説明員 先生指摘のとおり、ガソリン価格の国際比較をする場合に、その国ごとの油種別の需要構成とか、あるいは取引の形態とか為替レートからの影響とか、あるいは税制とか、大変いろいろ違う面がございますので、一概に比較するのは非常にむずかしい面がございます。しかしながら、いろいろ外国の雑誌等から集めた資料で試算をしてみますと、五十八年の七月でございますけれども、リッター当たり日本が百四十五円に対しまして、アメリカが九十二円、イギリスが百四十七円、フランスが百五十四円、イタリアが百九十一円というような数字が出ておりまして、これはいろいろな前提を置いての数字でございますけれども、国際比較で見た場合に、概して申し上げればアメリカが最も低い水準にありますが、日本の水準というのはおおむね欧米の水準と考えてよろしいのではないかというふうに思っております。
  38. 城地豊司

    城地委員 次に、経済企画庁にお伺いをいたしますが、去る九月十六日、全国消費者団体連絡会、消団連というのですか、ここが公正取引委員会に対して「石油製品価格に関する調査請求書」というのを出しました。この中に数字があるのでありますけれども、リッター当たり二十円の値上げは家計に対して二万円の圧迫となる、今後の他の物価の値上がりを引き起こす導火線となるおそれがあるという消団連の見解なんですが、この中でリッター当たり二十円上がると、日本のマイカー一台当たり約千リッター使うということで家計費負担が約二万円になるという概算であろうと思うのです。そういうことで、家計費の負担増になるとすれば、そのことが——先ほど経済企画庁長官から物価の安定している数字がいろいろ説明がありました。確かに物価は、卸売、消費者とも安定しているという状況を私どもも非常にいい傾向だと思うのですが、このガソリンの値上げが家計費の負担増となることによって、全般的な物価値上げの導火線にならないかという心配をこの消団連の場合にはしているわけであります。その点についての考え方を伺いたいと思います。
  39. 赤羽隆夫

    ○赤羽(隆)政府委員 お答えいたします。  消団連の数字でございますけれども、これは計算の根拠を調べてみますと、陸運統計月報によりまして五十七年度の普通乗用車一台当たりの年間使用量を調べてみますと千三十九リットル、こういうことでございますので、二十円上がればこれが約二万円ということはそのとおりでございます。ただし、この普通乗用車一台当たりというのは、あるいは会社でありますとか官庁でありますとか、そういったようなところの普通乗用車の使用も含んでおります。そこで、家計調査報告によって調べてみますと、五十七暦年でございますが、二百八十七リットル、こういうことでございますから、これに二十円という数字を掛け合わせますと五千七百四十円、こういうことだと思います。ただ、家計調査の場合、たとえばお小遣いでガソリンを買うというようなこともあるいは間々あるかと思いますので若干数字が小さいのかと思いますが、この二万円のような大きな数字にはならない、こういうふうに考えます。  これが物価に対する影響ということでございますけれども、最近の物価が落ちついておりますのは、先ほどからいろいろお話がございましたように、単にガソリンのような一つの物資の価格が、過当競争、こういったようなことで、五ドルの原油価格引き下げ、それから若干の円安修正、こういうことから合理化できる水準を超えまして値下がりをしていた、それが若干戻る、こういうことが物価の導火線になる、こういうふうには理解していないわけでございます。
  40. 城地豊司

    城地委員 エネルギー庁にお伺いいたしますが、十月一日からエッソが仕切り価格キロリットル当たり二千円再値上げをするというのが石油業界の新聞に出ておりましたが、この問題についてはどのように把握をされておるのですか。
  41. 広瀬勝貞

    広瀬説明員 御指摘のエッソの件でございますけれども、エッソは八月の段階で、たしかキロリットル当たり六千円の値戻しをやったはずでございます。そのときには地域的な格差というのはとりあえず無視しまして六千円の値上げをやったようでございますが、その後、非常に安く売られておった地域、高く売られておった地域の格差の是正をするという意味で、平均しますと千五百円の再値上げをしたということでございまして、これは全国一律にやったということではございません。したがいまして、地域格差の是正でございますから、値段が安かったところについて値上げをしたということでございます。それが全国平均になりますと、大体キロリットル当たり千五百円ぐらいの値上げということのようでございます。
  42. 城地豊司

    城地委員 十月一日、つい数日前ですが、それがさらにまた全体に波及するということの懸念があるのですが、その辺についてはどうですか。
  43. 広瀬勝貞

    広瀬説明員 エッソの十月一日からの措置につきましては、いま御説明申し上げましたように、地域的な格差の是正ということでございますので、これまで他の元売り各社がやってきました値戻しの一環というふうに考えております。これが端緒になってほかの各社がまた上げる動きがあるようには、いま聞いておりません。
  44. 城地豊司

    城地委員 時間が六十分でありますから余り突っ込んだ質疑ができませんし、同僚議員が後にも控えておりますから、そちらの方からもいろいろとこれらの問題についての解明があるかと思いますけれども、いま説明を受けた範囲では、やはり何といいましてもこの石油産業というものは、森林を持っていない製材産業だと学者の間で言われている。自分で森林を持っていない製材産業でありますから、その製材のもとになるものは全部他に依存するということでありますので、過当競争体質は自然に出てくるということでの評価がされているようでありますけれども、そういう過当競争体質を是正できないのかというような問題、さらには、これもついせんだって外国を回ってきた人の報告書によりますと、日本の場合に、給油所の約六万軒というものは、日本全体のいろいろな意味での規模からしても若干多過ぎるのじゃないか、それが過当競争を生み出しているのじゃないかというような問題点指摘がございます。  それから、先ほど何度もお話のありました事後調整問題というような問題があるとすれば、これは商売関係仕切り価格というものが決まったら、それは値引き交渉とかなんとかいうので、後から、大変だから何とかしてくれということでやるのはどういう商売の場合でもあります。しかし、最初から仕切り値段がないと同然で、全部売ってしまってから、売った値段で仕入れの値段を何とかしてくれなどという商売は大体ないわけであって、そういう意味からいたしますと、元売り販売店との間のいろいろな問題点というようなものも、正常な点で解決をしなければ、これはどこまでいっても解決にならぬ。一方的にどんどんそれに引きずられるということになるし、元売りにしても販売業にしても、どちらのためにもならないというふうに考えるわけであります。  そういう問題や、石油審議会お話先ほど出ましたが、石油審議会からは石油業界の再編成の問題についての指摘があったり、また、ある学者の人たちに言わせますと、石油業界のそういう再編成問題は、石油業界と金融業界との関連に問題があるのじゃないかと指摘する学者もいらっしゃいます。  そういう点や、さらには、私自身いまのところ余り専門的にわかりませんが、エネルギー庁の行政指導は、若干この石油業界に温か過ぎるのではないか。過保護と言う人がありますが、過保護まではいきませんが、そういう意味ではもう少し厳しく行政指導をやった方がよくなるのじゃないかという指摘をする人もあるわけであります。  そういうふうに、今後の課題としてたくさんの問題がある。これはいずれまた時を改めていろいろと質疑を行い、ある意味ではこうしたらいいじゃないかというような献策もしたいと考えておりますが、きょうは時間がありませんのでこの程度でとどめておきたいと思いますが、ただ一つ心配なのは、ガソリンがこういうふうに上がってくる。十月一日からエッソはさらに再引き上げをした。せっかくわれわれは明るい材料として原油値下がり考えてきた。ところが、値下がってきて大分国民としては、消費者としては、そういう利益を得てやれやれというふうに思っていた。しかも、そのことが間接的には物価の安定にもつながってきた。ところが、今度また九月以降どんどん値戻しと称して値上げが強行される。ガソリンだけにとどまらず、この後いよいよ十月から十一月、十二月と寒い冬の季節になりますと、ガソリンというとすぐ灯油ということになるのですが、灯油の問題についても心配はないのかということがあるわけであります。灯油なんかは特に国民生活の中の必要中の必要な物資でありますし、そういう意味での心配もするというようなことで考えていきますと、まだまだ心配が絶えないわけだし、今後の課題としてもたくさんあるということでございます。  どうかそういう意味で、先ほど言われた事後調整などをなくしていく、過当競争体質を改めていくというようなことも、過当競争があるから問題なんだということも言われている模様でありますから、それらの問題については後日に譲ることとして、それらの問題点については十分実態を踏まえて、国民生活に支障のないように、ぜひともあらゆる面での指導、さらには御教示、そういうものをお願いをしたいということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  45. 土井たか子

    土井委員長 塩田晋君。
  46. 塩田晋

    ○塩田委員 最近の日本経済の動向につきまして主としてお伺いいたします。  まず物価の動向でございますが、消費者物価卸売物価、それぞれ経済見通しによりますと、消費者物価対前年比三・三%、卸売物価一・一%ということでございます。これは昨年末の見通しによるものと思いますが、その後の物価の動向を分析されて現在の動向はどうなっておるか、大体今年度どういう程度に推移するか、そしてその後の状況はどうなると見ておられるか、お伺いいたします。
  47. 赤羽隆夫

    ○赤羽(隆)政府委員 最近の物価動向でございますけれども消費者物価につきましては、東京都区部速報、先日発表になりましたものによりますと、去年の九月に比べまして〇・七%の上昇、こういうことになっております。これは生鮮食品価格の寄与が大きゅうございまして、生鮮食品を除く総合、これが物価の実勢をほぼあらわしている、こういうふうに理解しておりますけれども、それによりますと一・六%の上昇、こういうことでございます。五十八年度の消費者物価の見通し、昨年末につくりました時点におきまして三・三%、ただいま先生が御指摘されたとおりでございますけれども、それに比べますと大体半分くらいの上昇率、こういうところに来ておることは事実でございます。  私どもとして分析しております点は、これは石油値下がりと、それから為替レートが円高の方へ戻った。私どもとしては、現在の為替レートはまだまだ期待されたほど円高ではないと考えておりますけれども、昨年の見通しを作成した時点に想定しましたよりは高くなっている、こういうことで、海外輸入原材料価格低下、この要因がかなりある、こういうふうに理解しております。  最近の輸入物価は、これは円ベースでございますけれども、一年前に比べまして、約一割低下をしております。これは機械的な計算ではございますけれども、産業連関表を使いまして、消費者物価のうちで輸入コストがどれくらいあるのか、これを試算してみますと、約一五%程度という数字が出ます。一五%のものが約一割下がっている、こういうことでございますので、一・五%くらいが輸入価格の低落の寄与である、こういうことになります。もちろん原材料の形で下がってまいりました輸入物価が、直ちに消費者物価段階に波及するわけではない、その間に時間的なタイムラグが必要でございますから、ちょっと大ざっぱに過ぎる計算ではございますけれども、こういうことで輸入品の価格低落が一番大きい、こういうふうに理解しております。この点は、ただいま申しましたように、輸入原材料価格低下が起こった、それは主として五ドルの原油価格引き下げ円安がやや修正された、この影響が大きい、こういうふうに思います。  それから卸売物価でございますけれども卸売物価は九月上旬の値で申しますと、昨年の一年前同期に比べまして三・〇%の低下、こういうことになっております。卸売物価は、この統計の技術的な性質から、輸入物価の影響をやや過大に反映をする、過敏に反映をする、こういう性格がございます。  そこで、輸入物価でございますけれども、これが約九・九%、約一割低下をしている、こういうことでございまして、やはり輸入物価の低落の影響が大きい、こういうことでございます。したがいまして、現在の段階での物価の実勢は大体二%を切る、一%の半ばくらいの状況、こういうふうに理解をしております。  これから先の見通しということになりますけれども消費者物価について申しますと、これは天候の影響を受けます生鮮食品、これが攪乱要因になるわけでございますけれども、ことしはそれほど心配がない、こういう前提をもって考えますと、ほぼ二%程度の実勢で年度末まで推移をする、こういうふうに理解をしております。もちろん最近アメリカの熱波などで穀物相場が上がっている、こういう影響がございますし、それから最近やや一服ぎみではございますけれども、先進国の景気の回復に伴いまして非鉄金属などの原材料品も若干上がる、こういう要因があろうかと思います。ただ、これから先の円のレートがやや円高の方向へ向かうという希望も最近出てまいりました。そういうことを勘案いたしますと、輸入物価はこれから先も多少上がるとしても、やはり原油の五ドルの引き下げ、この効果がおもしになりまして、全体として輸入物価の上昇というのが国内、特に消費者物価段階に大きな影響を及ぼすというふうには見ていない、こういうふうに分析している次第でございます。  卸売物価につきましては、これは先ほど申しましたように、輸入物価の影響というのをやや過敏に反映をするということがございますので、現在の、一年前に比べまして三%を下回るというような点は若干上昇する、こういうことだと思いますけれども、年間を通じましてやはり前年を下回る水準、こういうことではないかな、こういうふうに思います。
  48. 塩田晋

    ○塩田委員 いま御説明ございましたように、CPIも卸売物価も当初の見通しよりはかなり安定的に推移している。卸売物価に至っては前年を下回るというような状況推移しておるわけでございまして、これは各方面にいい経済効果を与えているものと考えるわけでございます。もちろん石油値下がり、これが十分に消費生活の面に浸透していない面があるということでいろいろ指摘があると思います。ガソリンの値動きあるいは灯油の問題等々があろうかと思いますが、それは別といたしまして、全体的に消費者物価が安定的に推移しておる、しかもその背後にある卸売物価に至ってはなお一層安定しているということだと思います。  そこで、石油値下がりにつきまして、世界的に再値上げの動きがあるのではないかという観測が一部にあるわけでこざいますが、これについてどのように考えておりますか。
  49. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 いまのお尋ねの石油価格の今後の動向でございますが、確かに、いろいろの説が流れて、そのような動向があるというようなことを私も知ったわけでございます。これは非常にデリケートな話でございます。産油国側からでは、いまの二十九ドルでは開発ができない、やはり開発投資を進めていかなければならぬ、そんなこととすれば二十九ドル以下に下げることはできないのみならず、将来は引き上げなければならないというようなことを言っておるというふうに私も聞いております。  さらにまた、最近アメリカが石油を大変積み増ししておる。これは中東情勢を考えてのことだ、こういうふうに伺っているのでございますが、そのようなことに関連して、この次またショックが起こったならば九十ドルくらいに上がるのではないかというような情報を流した調査書があったように見たわけでございます。これはもう確たる根拠があるとは私は思いませんけれども、こんなような説が流れている程度で、政府としてこれが上がるというようなことをいま考えてもおりませんし、私は二十九ドルでしばらく安定的に推移するものだ、こういうふうに見ております。
  50. 塩田晋

    ○塩田委員 九十ドルということになりますと、一挙に三倍以上ということで、そういう説は非常に少ないんじゃないかと思うのですけれども、そういう説が流れるほどこの石油価格というものは不安定な推移をするわけでございます。下がることがまれで、上がるときは、確かに過去の推移から見ましても数倍もぽんぽん上がっていく。これは経済原則にはない政治的な要素その他絡んでの動きだと思うのでございますが、石油そのものはそれこそ産業経済全体の血液でありますし、不可欠のものであります。その石油価格の動向というものは非常に甚大な影響を各部門に与えるものだということは、過去の一次、二次の石油ショック、その後の状況を見ましても明らかなところでございます。  それから、為替レートの見通しにつきましても毎回質問しておりますが、なかなかわかりませんということで、だれもわからないと言っていいぐらいこの為替レートも変動しております。これも政治的な要素も絡んで複雑な動きをするものでございます。もちろん、経済の実勢の反映というものは非常に大きいと思うのですけれども、それにしてもなかなか見通しがつかない、これが実情であり、その二つの大きな要因、石油価格為替レート円レートがどのように変化するかということが本当に見通しがつかない状況の中におきまして、今日日本の経済が、CPI、卸売物価ともにこのように安定的に推移をしてきておる、当初の見通しよりも低く安定的に推移しているということは、塩崎経済企画庁長官の財政、経済運営がよろしきを得たということで、大臣としてはこれは自慢されてもいいところ、まあたまたまそういう時期に当たられた幸運もあるかもわかりませんけれども、結構なことだと私は思っております。  ところで、これに関連いたしまして、エネルギー、中でも電気とかガスが石油価格なりあるいは円レートに非常に関連をしておる。しかも、その電気、ガス等は国民生活並びに産業経済にとりまして、これもまた重要な各方面に影響を与える要素でございます。こういった非常に変動の激しいものに依存しておる電力、ガスの料金につきまして、これは直接の主管大臣でありませんので塩崎大臣はお答えしにくいかもわかりません、通産大臣にお尋ねしなければならぬことでございますけれども、いま通産大臣おられませんので、物価担当大臣といたしましてそのような問題、一般論として現時点に立ってどのように考えておられるか。具体的に値上げなり値下げの話が出てきますと、物価閣僚会議を主宰される経済企画庁長官でございますから、もちろんこれについての確たる意見をお持ちでなければならないと思うのですが、いかがお考えでございますか。
  51. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 塩田委員御指摘のように、電力料金あるいはガス料金、いわゆる公益事業関係の料金は、大変エネルギーに関係したものでございます。しかもまた、公益事業という理由で通産省が第一次の官庁でございますけれども、私どもも認可に当たって通産省から協議を受けるような仕組みになっておりますので、これに対しては意見がなければならないというお話がございましたが、私もそのどおりだと思いまして、いろいろ考えているところでございます。  これもたびたび申し上げましたが、まず現在の石油価格、まあ二十九ドルで安定したところでございまするけれども、しかしながらこの二十九ドルに一五%値下がりしたことは、大体四月ぐらいから実現したように見えます。それまでのいろいろの、高く買ったものもあったり、棚卸し資産としての払い出しと申しますか、原価に織り込む仕方が、まだまだ完全に二十九ドルに見ていいのかどうか、こんなところはこれから企業経理にあらわれてくることだと思います。  それから円レートは、御案内のように二百四十二円というところで電力料金などは計算されているように思うわけでございますけれども、これが非常に不安定な状態で、二百四十円台から二百二十円台、大変動揺しておりますので、この影響はまだまだ定かではないところでございます。  私どもは、電力料金にいたしましてもガス料金にいたしましても、さきの通常国会で申し上げましたように、やはり長期安定的な価格を維持していきたいということを強く考えているところでございます。そしてまた、そのために私どもは経理の動向等を十分注意していく。かつてのような、線香花火のような割引的なものをやって、そしてまたすぐ値上げをするというようなことが絶対ないように、そしてまた半面、収益の動向等がよければできる限り、いままでおくれてまいりました修繕、設備の維持といった面を含めて設備投資に投下していただくようなことも考えていただかなければならない、こういうふうに考えて、現在その経理に及ぼす動向等を注視しているところでございます。
  52. 塩田晋

    ○塩田委員 ただいまの塩崎長官の御答弁につきましては、私自身も非常に近い考え方でございまして、これは、各種名簿が塩崎と塩田といつも隣であるということだけでなく、非常に近い考え方でございます。確かに長期安定的な価格の維持ということが経済活動のすべての基本にならなければならないと思います。そういった考え方でひとつ対処をしていただきたいと思います。  それからなお、いつも言うことでございますが、電力、ガスの業界会社がもうかれば、もうかっているのはけしからぬとは言わぬけれども、当然価格を下げる方に向けるべきだとか、もうかっているのがやり玉に上げられるような議論については私はくみしないところでございまして、各企業というものが合理化をし、そして必死に経営努力をして業績を上げる。業績を上げるその一番の指標は、やはり会社利益になってあらわれるわけでございまして、利益を出すところほど褒められるべきでございます。国鉄のように赤字を出して、もう国民の税金を毎年二兆円もつぎ込んでなお赤字を累積していっているような状況で、しかもその働きについてとかくの批判があるような状況はよしとはされないのでありまして、やはり電力、ガス会社、労使挙げて真剣に取り組んで合理化に努力をし、経営の安定、発展に一致協力した努力をしておられる、このことがむしろ見習わるべきでありまして、国鉄その他の公共企業体、とかくの批判のあるところは、むしろそういったところに見習うべきだと私は思うのでございます。  そしてまた、得られた利益は税金として国に大きく貢献していると思います。しかしながら、将来の経営の強化のためにも、あるいは将来の電力需要の問題、あるいは安定的な電力供給、ガスエネルギーの供給等を考えますと、技術革新に対応した必要な設備投資はやはり行われなければならない。そのためにもそういった経営努力がなされるべきであると思うのでございます。これはこれといたしまして、長官のただいまの御意見につきましては、私はそういう態度を堅持して物価問題に当たっていただきたいと強く要望いたしておきます。  次に、日本の経済の動向でございますが、景気の回復がかなり順調に行われようとしておる。この間の企画庁長官の表現では、底離れしつつある、こういうことでございますが、最近の景気動向につきまして、主要な景気の要素につきまして、その動向を御説明いただきたいと思います。
  53. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 たびたび私ども企画庁から申し上げておりますけれども、景気底離れ宣言をしたというような表現にとられていろいろと御批判があったことも存じておりますが、しかしながら、四月—六月の国民所得統計速報からおわかりのとおり、幸いにいたしまして輸出から景気が回復しつつある、そして生産にも増加の傾向をもたらしつつある。ところが、御案内のように、内需面は大変不活発な面がございます。そのような意味で、外需依存というふうな言われ方があるぐらいの状況でございます。  御案内のように、企画庁は五十八年度は三・四%の成長を見ておりましたけれども、四—六のQEからこれを年率に換算いたしますと三・六%、そのうちの内需部分が一・六で外需部分が二・〇ということになるわけでございます。企画庁の当初見積もりは三・四%でございましたが、そのときは逆でございまして、内需が二・八%、外需が〇・六と、こういうふうに八〇%以上は内需と見ておりましたけれども、四—六のQEから推定いたしますると、その関係は約六〇%が外需で四〇%が内需というふうに地位が転倒しておる、こんなことが言えるかと思うのでございます。もちろんこれからいろいろとこの趨勢も変わってまいりますし、政策の進め方によって当然また変化が出てくると私は思いますので、今後どうなるかわかりませんが、現在のところこのような状況で内需は少し盛り上がりを欠いておりますけれども、輸出面から回復して、それが全体に波及することがいま期待されるような状況であると私は考えておるところでございます。
  54. 塩田晋

    ○塩田委員 景気の回復につきまして、内需と外需の当初見通しが逆転したような動きになりながら景気回復が行われつつあるということでございますが、内需につきましても、確かに生産の増あるいは出荷の増は見られるわけでございますが、これはことしの夏がかなり暑かったという特別の要因がかなり加わっての動きであって、年間を通じて底がたいものであるかどうか、この点はいかがでございましょうか。
  55. 廣江運弘

    廣江政府委員 御指摘のように、ことしの夏のいろいろの経済指標を見ますときには、気象の要因というのを忘れることはできないと思います。ただ、それだけかとおっしゃいますと、そうではないのではないかと思います。生産を見てみますと、四—六が前期比に対しまして一・六%の増加でございますが、七月が〇・二で、八月は御承知のように先ほど発表されました速報では約二・八でございますが、この二・八あたりを分析をしてまいりますと、一つは先ほど来議論になっております輸出の要因というのが寄与をいたしておると思います。  それからもう一つは、言われました気象の要因というのも一部に、たとえば清涼飲料あたりの生産あたりに寄与していると思います。それからもう一つは、やはり経済の自律回復力といいますか、在庫調整がほぼ終わったということがきいているとかいろいろのものがございましょうが、大体こういうものが関連しておるわけでございまして、この夏天候が非常に盛り返したということだけではない要素があって、徐々にではありますが自律回復力が出てきているというような点も加味しなければいけない、こう思うわけでございます。
  56. 塩田晋

    ○塩田委員 自律回復力がかなり寄与している、季節的要因もあるけれども、余り大きく見なくてよろしい、こういうことでございますが、問題は、輸出主導でなくして内需がもう一つだということ、これも長官が言われたところでございますが、やはり内需は昨年来盛んに議論をしてまいりました所得減税の問題、これをいつまでもぐずぐず渋ってやろうとされない、そこに問題があると思うのです。景気回復に役立つ大幅減税ということが与野党間でも合意されておりますけれども、大幅とは何兆円なのかという規模がまだ明らかにされていない。年内にはやりますということになっていますけれども、どういう手続でどういう規模でやられるかわからない、こういう状況でございますが、ここは経済企画庁長官の一番力の発揮の場所でございますので、もっと声を大きく各閣僚を説得して、われわれは住民税を含めて所得税中心に最低一兆四千億円と言っておりますけれども、自民党内の有力な方の中にも大幅減税、特に景気回復に役立つ減税というのは一兆そこそこではない、現在の経済規模、三百兆に近いGNPの状況から言えば、三兆円や五兆円の減税をやらなければ景気回復、特に内需の拡大に役立たないという有力な主張があることは御存じのとおりでございます。これについて企画庁長官はいかがお考えでございますか。
  57. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 塩田委員御指摘のとおり、内需拡大の方策として、所得税減税は私は最も強力なる効果のある方策だと大変期待しているところでございます。これをどんなに大きくしたって、外国から貿易摩擦とかあるいは集中豪雨的輸出とかいうようなことが言われることがない内需拡大の方策だと私は思うわけでございます。しかし、大蔵省が恐らくいま苦労いたしておりますのは、赤字公債に頼らないで減税をする、その財源で大変苦労しているのではないか、こんなふうに私は見ているところでございます。そのために税制調査会からの答申が大変おくれている、これは無理からぬことだと思いますので、その点の考え方、これが大変むずかしいので、私は所得税減税、住民税減税の問題がこれまでおくれている、こういうふうに見ておるのでございますが、しかし、政党間の国会での約束でございますので、私は所得税減税は必ず行われるもの、こういうふうに期待しているところでございます。
  58. 塩田晋

    ○塩田委員 三兆円ないし五兆円ということを印刷にして、ある雑誌に発表されております。河本前長官でございますか、これは個人的意見であると思いますけれども、堂々と大胆に発表しておられます。塩崎長官は現職でございますから、なかなか政府としての立場で言いにくい点がある。特にまた大蔵省出身なものですから、財源に苦労するだろうということで非常に同情的です。それは捨てて、長官として本当にどうすればいいか、どう考えておられるか、その本音を教えていただきたいのです。
  59. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 河本前長官は、現長官である大変憶病な私に激励の言葉をいただいておるような気がして、私もあの論文は詳細に検討さしていただきました。確かに河本長官らしく大変雄大なお考えでございますし、私は現在の内需の状況ならば、そのような方向も大きな方向だと考えているのでございます。しかしながら、あの案を詳細に見ますと、これは私が大蔵省出身だから言っておると思われると大変私は残念でございまするけれども赤字公債からの脱却、財政再建ということは、やはり所得税減税以上の、以前の大きな方向だと考えているわけでございます。そして、河本先生の御案だと、所得税減税を三兆やれば、いずれは自然増収が六兆、七兆円出てくるんだからという論拠でございます。私は、まず赤字公債脱却ということは、企画庁としても、そしてまた内閣としても大事な政策で基本となる政策でございますから、そのような自信のある自然増収が生ずるならば、これが採用をちゅうちょするはずはないと考えるのでございます。  さて、現在の経済状況のもとで三兆円の減税をすれば、現在は一兆五千億円ぐらいの自然増収しか生じないところの所得税あるいは税制が、税制全般に生ずると思いますが、六兆も七兆も生ずるというほどの大胆さはこの塩崎潤にはございませんので、その財源の観点から憶病にならざるを得ないというのが第一点でございます。それはもう何としても所得税減税というのは赤字公債に直結する一般会計の問題でございますから、やはり私は赤字公債の問題を考えざるを得ない。赤字公債でやるならわけないでございましょう。しかし、赤字公債で五十三年度からふやしてやってきて、現在自然増収がこの程度に縮んできた。かつて四兆六千億も生じた自然増収がいまや一兆五千億に減ってきたことを考えたら、所得税減税だけで自然増収がかつてのように回復するというふうな計算をするだけの自信は、恐らく私が筆頭かもしれませんけれども、長らく大蔵省で税金しかやらない貧弱な私でございましたが、その経験から考えられないのが第一点でございます。  それから第二点は、私は内需拡大の方向として、本当に消費に対する刺激が欲しいと思います。しかしながら所得税減税以外に、それだけの金を使うならばほかにないかと言って考えてみたならば、私は別な、たとえば公共投資、この方が適当ではないか、それこそ三兆円の金を投ずるというならば、公共投資の方がより景気に対する刺激効果があるのではないか。これはもう理由は言うまでもなく、所得税減税は、レーガン大統領の言うように貯蓄をふやす、そして供給力をふやすためにやる。つまり所得というのは貯蓄と消費に分かれるわけでございますから、減税すればこれが消費に全部回るわけじゃない。貯蓄に回る。しかし日本はむしろ貯蓄過剰で、いまその貯蓄を消化し切れなくて弱っているんじゃなかろうか。しかし、公共投資ならば、所得税を納めないような所得の低い人にも雇用の機会を与え、所得を増加するだけの効果がある。企画庁の見通しだと、〇・二が所得税の減税の効果ならば、公共投資なら〇・五だと言っていることから考えても、私はそういう考え方ができないか。しかも公共投資の方は、御案内のように財源が赤字公債で賄われていない。これは目的税と、そしてまた建設公債で賄われているわけでございますから、一番頭を悩ます財源の問題では考え方が所得税減税よりも楽になるのではなかろうか、私はこういうふうに考えるところでございます。  しかもまた、かてて加えて、貯蓄は余って外国へ流出しているような状況でございますから、民間資金の活用としてでも投資先を探すとすれば公共投資分野だ。そして規制を緩和して、生命保険会社の金を都市の再開発に使うというようなこと、あるいは住宅に使うというようなことは、所得税の減税財源を探すより楽じゃないか、こういうふうに私は考えております。  かてて加えて、また社会資本の整備は、設備投資の方はもう過剰設備と言われるぐらいなところが出ておって、容易に民間の設備投資は私は起こると考えないわけでございますから、そうなったら、おくれておる社会資本の整備をするのがいま最も適当な時期ではないかと思いまして、塩田委員も御承知だと思いますが、公共投資の方に賛成しておるようなわけでございます。
  60. 塩田晋

    ○塩田委員 塩崎大臣、率直な御意見を披露していただきまして、ありがとうございます。ただ、第一の自然増収の問題、これにつきましては、もう少し楽観的に見ていいんじゃないかなと私は思うのでございます。  それから、税金を取る立場から見られますと、これは本当に第一線で徴税に当たっておられる方々の御苦労は大変でございまして、それをまた身にしみて塩崎長官は感じておられると思うので、余り無理なことをという感じがあろうかと思います。しかし、まだまだ税金は取るところへ行けば取れるものはあると思います。これは、議論しますと長くなりますから、おきます。  それから、減税の効果よりは景気の刺激にはやはり公共投資がいい、これは率直に私お聞かせしていただきまして、ややケインジアン的な発想かと思いますが、その公共投資の乗数効果につきましても、やはり最近は以前と違うという議論もなされておるところでございまして、これも問題はあろうかと思うのです。しかし、いずれにいたしましても減税、そして公共投資、それから投資の刺激のための公定歩合の引き下げ等々、あるいは投資につきましても中小企業対策向けの投資減税、あるいは住宅ローンの問題とか、こういったものをきめ細かくやりながら、ひとつ塩崎積極経済政策を大胆に打ち出していただきたいと思います。よろしく御奮闘のほどをお祈り申し上げます。  それから、日本経済が回復基調にあるとするその大きな要因が当面輸出の増大であるということでございますが、世界経済全体の動きがどのように推移していっているか。特にその指導力をなすところの二〇%を占めるアメリカ経済、これがどのような動きをしていると見ておられますか、お尋ねいたします。
  61. 廣江運弘

    廣江政府委員 アメリカでは、この四月—六月期のGNPの報告では、前期比でございますが、年率にして九・七%と言われております。先ほど日本が三・六という議論があった同じ期でございます。そして七—九月は、これは全くのフラッシュエスチメートと言っておりますが、暫定推計でございますが、七%と言われております。いずれもかなり高い数字でございまして、いわば、一口で言いますと、景気は力強い回復を続けているということになろうかと思います。ただ、いろいろ言われますように、ここへ来まして若干景気回復速度が鈍化したのではないか。高い水準ながら、やや一服ぎみの指標が消費等に出ていることも事実ではございますが、それはかえってこれからの持続成長のためにはいいのではないかという評価もあるようでございまして、総体の数字はそういうところでございます。  雇用は依然厳しいわけではございますが、失業率も少し低下をしておりまして、一〇%を超しておりましたものが、一〇・七と言っておったようなものが、いま九・四というように落ち込んできております。やや改善が見られる。物価は低水準で安定をしているということです。  では、次に貿易では、これまでのドル高や、アメリカが他国に比べまして景気回復速度が非常に早いというようなこと等から輸入が急速に増加をいたしまして、一方、輸出が伸び悩んでおりまして、貿易赤字が拡大をしているというような状況でございます。  そして金利でございますが、七月、八月とかなり異常に上がったのでございますが、ここへ来てマネーサプライの伸びの鈍化等から、最近は若干緩みぎみ、低下をしているというようなのが総体の感じでございます。
  62. 塩田晋

    ○塩田委員 アメリカ経済が力強い回復基調という表現をされましたけれども、確かに明らかに上昇に向かっておるということは言えると思います。その原因、要素、それはどういうふうに見ておられるかということでございますが、レーガン政権大幅の軍事費の増大、そしてあわせまして大幅な減税、所得減税をやってきておる。毎年一〇%ないし五%ずつ減税をしてきておる。そしてその総額も、すでに日本円にしますと百七十兆円にも上るというようなことも報ぜられておりますが、この二つの要素がどういうふうに絡んでいると見ておられますか。
  63. 廣江運弘

    廣江政府委員 アメリカの景気回復につきましての説はいろいろあるわけでございますが、これは確定的な意見というふうではなしにお聞きをいただきたいと思いますが、今回のアメリカの昨年の暮れに底を打ちました景気回復というのは、まず在庫が動いたわけでございます。そして消費が出てきているということで、消費、住宅という金利関連のものあたりが動いておるということでございます。  四—六までは内訳がわかりますが、その四—六では設備投資にも若干動意が見える。先ほど年率の九・七の成長率と申し上げましたが、そのうち寄与度で〇・九は設備投資だというわけでございますが、基本的には在庫が動いて、それから消費住宅というものが動くというわけでございます。この辺の動き方は従来の景気回復のパターンと基本的には同じでございまして、それから後に設備投資が出てきて、緩やかに景気回復のスピードが持続的なものに移っていくということでございます。  そこで、そういう点から考えますと、在庫の問題といいますのは、これはかなり時間をかけてやった自律回復力が効いたということだと思います。  それからもう一つは、物価が非常に落ちついております。一二%を超すといったようなものがいま二%台というような形になっておりまして、これが実質所得をふやしたということも事実だと思います。  それから塩田委員が御指摘になりました減税ですね。これは個人所得減税に加えて企業減税といったようなものもかなりやっておりまして、この辺がやはりコストを下げるということに効いておると思います。  そのほか考えますと、ドルが非常に高くなっておるというような要因も加味しないといけないかと思いますが、基本的にはそういうところで考えたらよろしいかと思っておる次第でございます。
  64. 塩田晋

    ○塩田委員 米国経済につきましては世界経済の二〇%、日本が一〇%、合わせまして三割が日米で世界経済をリードしているというものでございますので、よほどこの関係を見ながら、軍事費の増大のレーガンもありますけれども、所得減税の思い切った措置をしているということについてはよくよく研究されまして、その経済への影響、まあアメリカと日本と、消費構造から経済構造、違うとは言い条、やはりそれはよく御検討いただいて、参考にして、経済政策の上に役立つようにしていただきたいと思います。  それからなお日本国内、内需の問題につきましては、塩崎長官に非常に深い判断を下していただき、また主張をしていただきたいのは、公務員の給与がいまのところ二年間据え置きになっているということ。人事院勧告の完全実施ですね、これをひとつぜひとも推進をしていただきたい。完全実施を図っていただきたいと思います。内需に大きく響きます。そして公務員諸君も一生懸命働いているのに、これは正当な対価としての、公正な第三者機関である人事院が勧告したものを二年間続いて無視するということは、これはそのこと自体が問題でございますが、内需の拡大につきましても大きな影響を及ぼしているのじゃないかと思います。  それから仲裁裁定、これは昨年は実施していただきましたが、ことしはまだ議決案件として国会に付議されているという状況でございますが、もし今国会で議決されないままに解散にでもなりますと、解散の公算がほとんどもう九九%だと思いますが、そうなりますと、仲裁裁定はもう廃案になって上げようにも上げられないという状況になりますから、公共企業体、四現業、この問題につきましてはひとつ今国会よほどよく情勢を見ながら、やる手はありますから、ひとつ時期を失しないように適切にこの問題に対処して、仲裁裁定の完全実施に向けて、経済との関係におきましても経済企画庁長官が強く主張をしていただきたいということを要望しておきます。
  65. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 塩田委員の人勧並びに仲裁裁定に対する御意見は十分承りました。大変財政的に困窮しておる政府でございますから、これはなかなか結論が出ないのは私も十分理解できるところでございます。非常に深刻な問題、大きな政治問題でございます。しかし、塩田委員の御意見は十分承りましたことをここで御答弁申し上げたいと思います。
  66. 塩田晋

    ○塩田委員 長官にはいつも財源がないからということですべて片づけられそうなんでございますが、財源というものは、あるからどう、ないからどうというものではなくして、つくるべきものでございまして、また大蔵省の優秀な官僚の皆さん方が知恵をしぼれば、これは必ずできる問題であると思うのです。たとえば昨年にしろ一昨年にしろ、三兆円の歳入欠陥で大変だ、また六兆円も歳入欠陥があって大変だ、どうしようもないということを盛んに騒いでおっても、われわれが考えも及ばぬようないろいろな操作をしてちゃんと財源をつくっておさめておられるのですね。三兆や四兆、五兆の財源がつくれぬはずはないと思うのです。問題はつくる意思があるかどうか、そういう政治的な判断に基づいて決定をされるかどうか、そこにかかっていると私は思いますので、ひとつ長官の御奮闘をお祈り申し上げまして、質問を終わります。
  67. 土井たか子

    土井委員長 岩佐恵美君。
  68. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 まず最初に、今回の行政改革の問題で伺いたいと思います。  今回の行革の中で、消費者物価指数づくりを担当している総理府統計局が、総務庁の附属機関である統計センターと、それから総務庁の統計局に分割をされることになります。従来、統計局の作業は調査の企画、その実施そして集計という仕事の流れがあったようですが、今回の機構いじりの中で調査部と製表部が分離されてしまう、そういうようなことがあり、事実上一貫作業が分断されるようなことになってしまうのではないか、今後の統計作業にこの分断が全く支障がないのかどうか、この点が大変危惧をされるということでございます。従来、調査部のマニュアルによって製表部が集計のチェックをしているそうですけれども、年間二万三千件もの疑義照会がある、調査部と製表部の密接な連携、協力がないと仕事に重要な支障が出るということも予測されるようでありますけれども、そういう仕事上の支障がないのかどうか、この点について率直にお伺いをしたいと思います。     〔委員長退席、武部委員長代理着席〕
  69. 時田政之

    ○時田政府委員 お答えいたします。  いま衆議院の方で御審議いただいております総務庁設置法案が、仮に原案どおりといいますか、確立されますと、それに基づいた政府の方針といいますものは、いま委員さんおっしゃいましたように、私ども統計局と行管庁の統計主幹部局を一緒にしまして新たな統計局をつくり、現在私どもにございます統計局の製表部が新たな統計センターになる、こういうかっこうの原案になっておるわけでございます。仮にそういった二つの組織に割れたといたしました場合におきましても、統計調査の企画から製表あるいは結果の公表まで一体的な業務でございます。いままでと同様その業務が運営できますように、仮に二つに分かれましても一体的な運用を図っていくというのが私どもの職務であろう、このように思っておるわけでございまして、いささかもマイナス面がないようなかっこうを配慮をしてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  70. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 行政改革の中で機構いじりをして、作業がよく前進をするとかうまくいくということであるならばいいわけですけれども統計局の業務に差し支えがあるというようなことになっては、行政改革がマイナスの面に働くということになるわけです。いま統計業務というのは、日本も世界的に誇るという非常に重要な任務を担っているようでございますし、この点について大臣もきちんと責任のある体制をとれるように配慮していく必要があるのではないかというふうに思いますけれども、その点いかがでしょうか。
  71. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 統計局の所管大臣ではございませんけれども、科学的な経済見通し等を作成するに当たって、統計の整備、活用は最も重要でございます。私は行革でこのような重要な統計の整備、活用に支障があってはならないと考えております。
  72. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 次に、現在消費者物価指数があらゆる統計の基礎資料として利用されているわけでございます。当然年金の物価スライドにも利用されているわけでございますけれども、年金生活者の場合には、一般世帯と年金生活者とは当然消費構造が違ってくるわけです。たとえば食費や光熱費などの必要経費のウエート、これが全体の中で高くなるということが予測をされるわけです。現在の消費者物価指数を基準に年金物価スライドを決める、そういうことになりますと、年金生活者の実態に合わないということになるわけです。このような点は世界各国とも検討して改善をしているということでございます。たとえば西ドイツの場合には、全世帯調査のほかに年金生活者だとかそういう階層別に、あるいは生活実態別に四本建てにしているということでございます。わが国でもそうした点、検討すべきだと思います。とりわけ高齢化社会を迎えて、年金生活者の問題というのは大変重要になってきていると思いますので、その点の統計局のお考えを伺いたいと思います。
  73. 時田政之

    ○時田政府委員 お答えいたします。  消費者物価指数、全世帯一本でなくて、いろいろな階層別といいますか、世帯の種類別につくったらいかがか、特に年金世帯につきましての影響等の問題を考えてそうすべきではなかろうか、こういう御意見でございます。  先生おっしゃいますように、たしか西ドイツでは三つといいますか四つといいますか、そういった階層別の指数をつくっているのは私ども承知しておるところでございます。それと同じような指数ではございませんが、私ども現在のところ、参考までに収入階級別に勤労者を五段階に分けまして、五分位別の指数をつくっているわけでございますが、この結果を見ますと余り差がないというかっこうになってきておるわけでございまして、先生おっしゃいますように年金生活者、確かにウエートが違っているという点はあるわけでございますが、結果においては、現在の指数をそのまま使うのとそれほど大きな違いはないのではないか、こう思っておるところでございます。  おっしゃいますような点につきましては、将来指数改定等の時期にそういった指数をつくるべきなのかどうなのか、そういった利用の目的がどうなのか、あるいは過去の経験等から踏まえましてウェートの作成等どのような配慮をすべきか、将来の研究課題にいたしたい、このように考えておるところでございます。
  74. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 西ドイツの場合には全家計と、それから高収入の勤労者、公務員家計、それから中程度の収入の労働者家計、それから年金、社会福祉給付金受給者家計、こんなふうに分けているようでございますけれども、ぜひこうした実態に合わせた分類というのを検討を積極的にされるように要望をしたいというふうに思います。  これで統計局の方の質問は終わりますので、あとは結構でございます。  次に、電力、ガス料金の問題についてお伺いをしたいと思います。  六年間所得減税なしの実質増税、それから地方税の三年連続減税なし、そういう中で同時に保険料も引き上がっているわけで、私鉄総連の家計調査では、税金と保険料を合わせた分が食費を上回る、そういう世帯がふえてきている、こういう指摘があるわけです。人勧凍結なども影響して、勤労者の暮らしは一層苦しくなっております。七月の勤労者世帯の家計調査では、実収入がマイナス〇・五%、それから実質がマイナス二・六%、可処分所得については名目がマイナス〇・九%、実質がマイナス三%と一年七カ月ぶりに実質がマイナスとなるという状況で、物価は安定している、こう言われているわけですが、勤労者の家計の方はますます苦しくなっているのが実態であります。そしてことしの秋には公団家賃、公営住宅あるいは都営住宅等のこうした家賃が大幅に上がりますし、私鉄運賃がいま申請が出されて大幅に上げられようとしている。ビールも上がるというような状況があります。来年の春にかけてはさらに国立大学授業料、それから私立の大学の授業料あるいは高校授業料、これが文部省の概算要求との関係で大幅な値上げというのが非常に取りざたをされている。あと国鉄の運賃値上げとか、公共料金の大幅値上げがメジロ押しの状況になっているわけです。  こういう中で、春以来の原油価格引き下げについて、電力料金やガス料金などを引き下げるということによって消費者に還元をする、このことは当然であろうというふうに私ども考えています。ことしの七月の原油価格は、CIFベースでキロリットル当たり四万四千五百二十四円、こういう状況になっておりまして、昨年の十一月、キロリットル当たり五万九千百三十一円でございましたので、これに比べると一万五千円下がっている、そういう状況になっているわけでございます。  すでに私がことしの五月に指摘をいたしましたように、原油値下げによって電力九社で五千七十五億円、それから三大ガス会社で四百六十六億円、こういう利益が入ってくる計算になります。これはまさに原油値下がりをしたということだけでありまして、いわば棚ぼた式の利益でございますので、これを家庭に還元をするというふうにいたしますと、一家庭当たりにすると年間六千円値下げをすることができる、こういう状況になるわけでありますけれども、この点について大臣はどうお考えか、伺いたいと思います。
  75. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 岩佐委員からまず消費支出の最近の低迷、そしてまた名目賃金までの低下傾向について御指摘がございました。私どもが内需拡大という線を打ち出しておりますのは、このような賃金を上昇させる、そしてまた雇用の機会をふやすような方向考えているわけでございまして、まさしくそのためと申しますか、岩佐委員が御指摘のように家計の内容が楽になるように、雇用の機会がふえ、所得水準が上がることをねらってやっているところでございます。そのために所得税の減税も考え、さらにまた所得税の減税では、所得のある、所得税を納めている人ばかりでございますから、またそれ以上に公共投資の問題も考えていこう、さらにまた民間の設備投資を期待する、このようなあらゆる需要項目から経済の全般的な活性化を図って、消費支出において言われるようなことがない方向で努力しなければならないと思っていることはもうたびたびここで申し上げたところでございます。  さて、そこでその一環として電力料金あるいはガス料金を考えてみますと、やはり長期安定的な料金を維持したいという、先ほど塩田委員にお答えしたばかりのところでございます。何としても長期安定の料金で、家計は将来見通しがつき、そしてまた家計に対する影響も安定するような料金を考え、産業もまたコストの将来見通しがつき安定する価格でいくというふうに考えておって、現在のところ原油価格低下状況、さらにまた円レートの落ちつき状況等を考えながら、その長期安定の方向からいま電力料金、ガス料金を考えているところでございますし、一方また、電力会社、ガス会社に修繕を含めての設備投資の増加を要請して、この設備投資の増加から国民経済全般が活性化して、岩佐委員御心配の名目賃金の減少がないような方向の努力を要請しているところでございます。
  76. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 電力料金の長期安定、そういうことに隠れて、実際に電力会社原油値下がり分について利益としてそのまま内蔵していく、そういう状況を一方で許しておいて、消費者のふところぐあいは悪くなる一方である。それが経済全体にとって、日本の活性化を図ることができない一つの大きな要因になっているわけですから、ここのところは本当に根本的に考え方を変えていかないとどうにもならないのではないかという気がするわけでございます。  では一体その電力会社の経理状況がどうなのかということについて、九月期決算、これはもう締め切りになっているようでありますけれども、どう考えてもかなりいい決算になるのではないかということが予測をされるわけです。一つは、先ほどから議論になっている原油の大幅な値下がりがあります。それから原発の稼働率がかなりよかったということがあります。それから、いままで需要の伸びが非常に低いということでこれが悩みの種であったわけでありますけれども、ことしの夏は猛暑で、この需要の伸びがかなり好転をしている。ことしの四月から八月で、すでに昨年に比べて一〇三・八%となっているわけです。五十八年上期の供給計画が一〇三・三%でありますので、それを上回っているという状況がもうすでに生まれている。九月に入ってからも大分猛暑が当初続いておりましたので、もっとその数字は上半期九月まで見れば伸びるということが予測をされるわけです。これは五十七年上期の需要が供給計画に対して九九・八%であった、そういう状況から見ても非常に好転をしている、好調であるということが言えるわけであります。  こういう状況がある中で、では電力、ガス会社原油値下げによる利益、これが決算上どう処理をされるのか、この点非常に問題であるわけです。これをきちんとわかるようにしておかないと、これが会社の経理の中でわからなくなってしまう。利益隠しにどんどん使われてしまうということになっては、これはもう消費者に還元をするという道が閉ざされてしまうわけですから、一体決算上どういう処理をするのか、その点について通産省の方からお伺いをしたいと思います。
  77. 小川邦夫

    ○小川政府委員 お答えを直接申し上げます前に、決算に直接影響を及ぼすような要素につきまして、おおむね先生指摘のとおり、原子力稼働率だとか需要の伸びだとかあるいは出水率だとか、収益の当初見通しに対して改善する状況がこの上期を眺めますと出ているということは事実でございますが、ただ、そこは厳密に見ていただきますと、必ずしも膨大な利益にそれがつながっているということではないということを御理解いただく意味で一、二申し上げますと、原子力稼働率、確かに当初の計画よりは好調にこの上期推移しておりますが、その好調な水準で対比しましても、前年度を上回るような稼働率という状況にはいまのところはまだいっておらないということで、前年度との対比で言えば、稼働率の好調ということがすぐにつながるかどうか、前年度比収益増につながるかどうかということは必ずしもはっきりしないということとか、需要の伸びでございますが、確かに夏場におきましては猛暑でございまして、他方前年度が冷夏であったこととの対比で非常に伸びております。  ただ、この伸びというものが非常にステディーな景気の回復ということに断定できるのか、あるいはかなりの部分が夏の一過的な要素であるかという点はなかなか見きわめのむずかしいところがございまして、もちろん夏のアワーのたくさん出た分が、その分は少なくとも年度収支にプラスになるのじゃないかという点は御指摘のとおりでございますが、非常にステディーな需要の回復が、そういう季節という特殊要因でなく上がっているかどうかについてはもう少し慎重に見た方がよいというふうに思っております。  区分経理をきちっとして利益隠しにならないようにという御指摘の点でございますが、まず、中間決算なり年度決算というものが御指摘のような大きな利益になるかどうかという点については、まだいまの段階、私ども断定する状況にはないわけでございます。もちろん、いまのような要素、それから五ドルの値下げ影響ということがかなりのプラス要因になることは間違いもないことでございますが、他方、ステディーなコスト増要因というものもございまして、たとえば資本費、これは償却の方も、過去の数年の償却増を見ておりましても、十数%の伸びで負担がふえておるというようなこともございますし、人件費、修繕費というものもふえる傾向にございます。そういうコスト増要因というものもございますから、いま御指摘のような要素がすべて企業の収益として、全部利益として出るかというと、そういうわけではない。差し引きした結果がどういうことになるかで、その辺はまだいろいろ予測のできないところがある。  加えて中東情勢、これはいろいろ話に出ていると思いますので繰り返しませんが、非常に不安定要素もあってまだ見きわめかねるところがございます。したがって、いまそういった区分経理をして流出させないようにするかというような具体論を考える時期ではございません。ただ、考え方として、御指摘のように、不当に社外に利益が流出しないように、長期的な料金安定に資するという意味で積み立てておくというようなことは一つの方法であろうかと私ども考えております。ただ、それを具体的にどうするかというのは、決算段階利益が実際にどういう水準になったかということを見きわめて、その段階で処理する問題だと考えております。
  78. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 電力会社各社もうかっているはずではないかということで、私も一生懸命有価証券報告書等を調べてみたわけですね。そうしましたら、役員の給与が前年に比べて三〇%も上がっているとか、あるいは関西電力の役員の退職金が平均でもって四億二千万円だとか、東電では平均で三億二千万円、東電のある役員の場合には六億円もの巨額な退職金をもらっているということで、まさに利益会社の役員を中心として山分けをされていたのではないか、そういう状況も出てきているわけです。公益事業である電力会社の退職金の額として、これは庶民には納得ができない。あるいはその庶民のベースアップはなかなか実現できない、そういう中で電力会社の役員の給与が大幅に上がる、こういうことも納得ができないことであるわけですね。そういうような山分け、まあ利益が出て、これが私たちにわからないところでもってそういう処分をされてしまう、こういうことは許されることではありませんし、こうした公益事業として多額の退職金が払われているという問題について、やはり是正をされていかなければならないというふうに思うわけです。この点について大臣のお考えを伺いたい。  それから、いま公益事業部長からお話があったその利益について別建てということも、それは場合によっては検討がされるかもしれないというような御答弁だったわけですけれども、その点について、経済企画庁長官の立場からすれば、もっと私は、はっきりとこれは国民の立場に立って使われるというものであるわけですから、経理上きちっとした処理がなされるということでお考えいただけるものと思いますけれども、その点いかがでしょうか。
  79. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 ただいま通産省の公益事業部長がお答えしたように、私も、公益事業会社の性格として、しかもまた独占会社であることの性格からして、利益が不当に社外へ流出をされるようなことがあってはならないと思いますし、またあり得ない、こう考えているところでございます。  退職金の額が幾らがいいのかというのはなかなかむずかしい問題でございまして、その人その人の働きの状況あるいは過去の勤務歴とか、いろいろの要請が働いて一概には言えないかと思いますが、私は、そういった点についても通産省が適正なる監督をされているかと思うのでございます。今後とも、そのような意味で監督は続けられる、こう見ているところでございます。  それから第二の区分経理の問題、まあ素人にも明確に区分がわかる一つの経理方法だと思います。     〔武部委員長代理退席、委員長着席〕 しかし、とにかく監督が行われておりますところの公益事業会社でございますから、方法のいかんは問わず、不当な社外流出と申しますか、特にまたそれが世間が納得しないような方向での社外流出、あるいはまた、利益が別な形で経済の正当なる拡張と申しますか、電力需要に応じたところの正当な拡張に回っていく、これが私は利益の根源だと思いますので、たとえばそれに反したような留保であっても適正なる形での留保が必要だ、こういうふうに考えております。
  80. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 通産省にちょっと伺いたいと思いますが、この退職金の問題について、これは参議院のわが党の市川議員がたしか前通産大臣に質問をしまして、社会的常識に外れるようなものについては是正しなければいけない、そういうお答えがあったようでございますけれども、その後通産省として何かされたのか、それから実効が上がっているのかどうか、その辺はいかがなんでしょうか。
  81. 小川邦夫

    ○小川政府委員 市川議員の質問に対します前大臣のお答えは、議事録を私もチェックしておりますが、そういう役員給与というものについても非常に厳しい見方をする、そういった姿勢で料金問題について当たらなければならないということで、個別具体的にその給与について取り上げるというより、その姿勢として答弁しておられると理解しております。  それはそれとして、こういう議論の出ておる役員退職金についてどのように考えておるかということになるわけでございますが、実は私ども電気事業法では、電力会社につきましては料金の査定というところでいろんな支出項目についてチェックをするということで、役員退職金につきましても、電気料金、これは改定されたのは昭和五十五年でございますが、その査定に当たっては、実は退職金について料金に織り込んでいない、料金の構成上コストとして織り込んでいないという非常に厳しい態度で料金査定をやっております。そうしますと、ではその退職金は電力会社が払っちゃいけないかということかと申しますと、そうではございません。料金上は入っておりませんが、あとは企業努力においてそれぞれの会社が退職金を払うということであります。その退職金のレベルが妥当であるかどうかということは、民間会社でございますので、その妥当さについては株主総会で役員の勤続年数だとか、会社への当該退職者の貢献度だとか、そういったものを踏まえて決められることになっておりますので、通産省が役員の退職金水準をどうあるべきかと直接干渉することは適当でない、これは株主総会の処理にゆだねることが適切であろうかというふうに考えております。
  82. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 しかし、いずれにしろ料金を決定するというのは、それは通産省の権限であるわけですから、全体として通産省が、その料金を支払っている庶民が不満に思わないような、そういうことというのは、きちっと山中通産大臣が言われたように料金のときには考えていかなければならないことである、このことは当然のことだと思います。  時間がありませんので、次の問題について伺いたいと思います。  現在、灯油の在庫はどのぐらいになっているのか、それから九月末在庫、これは一体どのぐらいになるのか、その点についてお答えをいただきたいと思います。
  83. 松尾邦彦

    松尾(邦)政府委員 八月末の数字がいま一番新しい手元にある数字でございますけれども、在庫は五百四十七万七千キロリットル程度の実績になっております。  それで今後でございますけれども先生案内のように、灯油の在庫につきましては需要期における安定供給を確保するために、かねてより石油供給計画におきまして、九月末に六百七十万キロリットルの在庫水準を確保するといたしておりますが、ことしの九月につきましても、実績値はまだきちんと出てはおりませんが、これを十分達成することになるように考えております。
  84. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 しつこいようですが、八月から九月まで百三十万キロリットル積み増しをしなければならないということになるわけですが、量の点、確保については大丈夫なんでしょうか、御確認をいただきたいと思います。
  85. 松尾邦彦

    松尾(邦)政府委員 九月末六百七十万キロリットルの在庫がきちんと確保されますよう、各精製会社の生産状況、在庫状況について綿密にチェックをいたしておりますが、十分六百七十万キロリットルの確保はできているものと考えております。
  86. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 次に、価格の問題について伺いたいと思います。  聞くところによりますと、日石と東京電力の合意コストというものがあるようですが、七月から九月についてどういうふうになっているか、それをお示しをいただきたいと思います。これは、合意コストというのは石油製品の平均コストで、それをもとにC重油のサルファ分別の価格を決める、そういう基礎となっている数字だというふうに承知をいたしておる数字でございますけれども……。
  87. 松尾邦彦

    松尾(邦)政府委員 ただいま先生指摘のように、C重油の値段につきましては、大口の需要家でございます電力、それから紙パルプと、石油業界側のチャンピオン企業日石との間で交渉が行われておりますけれども、七—九月の電力向けの硫黄分の少ない重油の値段につきましては、キロリットル当たり五万三千四百五十円の値段で契約が成立しております。
  88. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 そうではなくて、電力会社とそれから日石がC重油の価格を決めるに当たって全体の石油製品の平均コストを試算している、そういう数字があるはずだと思うのですが、それをお示しをいただきたいというふうに申し上げたのですが……。
  89. 松尾邦彦

    松尾(邦)政府委員 電力会社石油会社の間では、四半期ごとに過去の原油の輸入価格でございますとか為替レートなどを基礎にいたしまして価格交渉を行いまして、先ほど申し上げたような値段を決めているわけでございます。その際、どのような基準価格を設定したかについては個々の企業取引にかかわる問題でございますので、私どもも役所として御説明をするのはいかがかと思いますので差し控えさしていただきますが、いずれにいたしましても、一期前の原油の輸入価格でございますとかその他の諸掛かりを一期前の為替レートに合わせて計算をして、双方納得のいく線で妥結を図っているというのが実情でございます。
  90. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 それでは、私の方から数字を申し上げさしていただきたいと思いますが、CIF価格で二十九ドル四十八セント、為替一ドル二百三十八円、原油価格がキロリットル当たり四万四千四百八十九円、関税が六百四十円、石油税が千五百七十三円、金利が二千百四十八円、自家燃ロスが二千三百六十四円、精製費が三千九百十八円、販売費が四千六百五十円、備蓄防災費が八百五十五円、合計でキロリットル当たり六万六百三十七円という計算になっているようであります。平均コストとして大体妥当な線なのかというふうにこれを見ているわけでございますけれども、この点、私の方で数字を申し上げたわけでございますけれども、いかがでしょうか。
  91. 松尾邦彦

    松尾(邦)政府委員 私どもも、通関統計その他の数字から見ましておよその見当はつけられないわけではございませんけれども先生案内のように、価格の決定につきましては、両当事者の交渉にゆだねて決めているわけでもございますので、私どもがその交渉事につきまして、これは適当であるとか適当でないとかということを申し上げるのは、市場価格の形成に当たりまして、必ずしもいい影響を与えるとも限りませんので、基本的には、私どもとしては、両当事者が納得いくまで議論を尽くして決めた値段が現実の姿として市場において形成されておるということをもって私どもの立場をわきまえておきたいと存じておりますが、いずれにいたしましても、価格の動向につきましては、先ほどお話のございました灯油にいたしましてもC重油にいたしましても、十分注視はいたしてまいりたいと思っております。
  92. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 この平均コストというのは、一般常識的な、すべての個別の計算を積み上げてはじき出したものであるわけで、キロリットル当たり六万円台というのは、製品にした場合、平均コストとして大体こんなものである、そういうこともお答えになれないのでしょうか。その辺、いかがでしょうか。
  93. 松尾邦彦

    松尾(邦)政府委員 先生のおっしゃられました意味におきまして、私どもとしては、現在の石油会社先ほどの電力会社との間で交渉が行われて、でき上がった価格そのものにつきまして特に問題があるというふうには認識しておりません。したがいまして、その算定の基礎につきまして一々精査は差し控えますけれども、おおむね両当事者の納得しておる値段でもございますから、私どもとしても、特別それに異議を差し挟む数字ではないのではないかというふうに考えております。
  94. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 この平均コストを基礎にしまして灯油の販売価格を計算をしてみますと、小売の手数料をリッター当たり十円、一缶当たり百八十円としても、一缶当たり十八リットル千二百六十円で十分採算がとれるということになるわけです。  灯油は一般家庭にとって必需品であって、寒い地域では家計に占める割合が高く、さらに年金生活者など、限られた収入で家計をやりくりしている世帯にとっては深刻な問題でございます。価格を少しでも安くという願いは切実であるわけですが、灯油について、最近ガソリン価格、さっき議論があったように、通産省は行政指導を行って、そして百三十円台のものが一挙に百五十五円に上がるというような大幅な値上げが行われたわけでありますけれども、そういうようなことが一方的に行われるという事態というのは、これは絶対に避けなければならないというふうに思うわけですけれども、この点、通産省のお考えを伺いたいと思います。
  95. 松尾邦彦

    松尾(邦)政府委員 先ほど来申し上げておりますように、灯油にいたしましてもガソリンにいたしましても、石油製品価格につきましては市場メカニズムのもとにおいて形成されることは適当と考えており、それを基本として、私どもは今後とも価格の動向を見守っていくことにいたしたいと存じておりますが、ガソリンにつきましては、けさほど来の御議論の中にもございましたように、私どもとしては、行き過ぎた過当競争のために、五ドルの原油価格値下げに伴うメリットを国民経済に還元することはもとより必要なことであったのでございますけれども、いたずらに過当競争のためにみずからの体力を疲弊させるということは、国民経済にとってきわめて基礎的な物資でございます石油製品の安定供給を図るべき石油精製販売業界に期待された姿では必ずしもないのではないか。したがって、安定供給の担い手にふさわしい体力であることを私どもは必要と存じておりまして、そういう観点から、石油審議会の御指摘のありましたような取引慣行の是正について、実情を把握し、自覚を促したわけでございますけれども、なお灯油につきましては、先ほど申し上げましたように、まず需給面で十分な在庫の確保を通じてプライスメカニズムが円滑に作用することができるような環境を整備する、その中で動向を見守ってまいりたいというふうに考えております。
  96. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 平均コストで積み上げていってそれだけの値段で売れるという状況であるわけですから、通産省が不当な価格面での介入をしないということ、それから量を十分確保するということを、さらに重ねて要望しておきたいと思います。  それから、C重油の問題ですけれども先ほど言われたように、七—九月で五万三千四百五十円、キロリットル当たり、ということで、いわゆる平均コストよりも安い価格で売られているわけでありますが、このC重油の需要が供給計画を上回っているというふうに聞いているわけです。しかも、C重油が大手需要家に押さえられて、というのは、大手需要家の継続的な取引あるいは価格面でのメリット、そういうものもあるのだと思いますけれども、そういうところに流れていって、小口に回ってこないということが一部発生しているようでございますけれども、この点について、通産省がどういう現状認識をしておられるのか、対応は大丈夫なのか、その点を伺いたいと思います。
  97. 松尾邦彦

    松尾(邦)政府委員 先生指摘ございましたように、最近のC重油の需要を見ますと、一般産業向けを中心にいたしまして、石油供給計画で見込んだ需要量を若干上回っております。しかし、他方、生産の方も供給計画を若干上回る水準で推移しております。したがいまして、特に基本的にC重油の需給に問題があるとは存じませんが、ただ、いずれにいたしましても、需給に問題が生じてはいけませんので、私どもといたしましても、今後十分C重油の動向につきましても注視いたしまして、安定供給が確保されるよう、供給計画を踏まえました適切な対応を図ってまいることにいたしたいと存じます。
  98. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 石油、電力、これで結構でございます。  次に、亜硝酸ナトリウムの点についてお伺いをしたいと思います。  亜硝酸ナトリウム、これは八月二十七日からタラコに使用が認められるというような状況になったわけでありますけれども、亜硝酸ナトリウムは、第二級アミンの多い食品に添加をすると、強力な発がん物質であるニトロソアミンがつくられるということで、非常に問題が大きい添加物であるというふうに承知をしているわけでございます。  これは河端俊治先生等がお書きになられた「水産加工食品の保全」という小冊子の中に記載をされている事実ですが、ニトロソ化合物については、  現在、百二十種類以上の化合物が合成され、その八〇%以上が実験動物に発ガン性および変異原性を有することが知られている。その主なものを示したのが表五・一である。 これはちょっと省略をしますけれども、   この化合物の特徴としては、魚類からサルにいたるまで広範囲の動物に対して発ガン性を示すこと、突然変異性(変異原性)および経胎盤効果の強いこと、経胎盤効果というのは注がついてまして、  妊娠している動物に致死量以下の(LD50の三〇%)の物質(例えばエチルニトロソ尿素)を一回注射すると、生れた仔ラットの八〇%に二百日位で脳腫瘍が発生する。この際、毒物は胎盤を経て、胎仔に移行したものである。 そういう注がついているのですが、  経胎盤効果の強いこと、化合物の種類、投与方法、頻度などを変えることによって、人間で観察されるほとんどすべてのガンを実験動物の各種臓器(標的臓器)に定量的にしかも任意に発生させ得ること、などを挙げることができる。   一般的に発ガン物質は、細胞内で代謝し活性化され、近接発ガン物質を経て、最終発ガン物質となり、核酸を修飾して、細胞をガン化に運命づけるとされている。N—ニトロソ化合物の中でもNDMAのような対象ニトロソアミン類はまず肝臓に吸収され、そこで代謝活性を受け、最終発ガン物質となるので肝臓が標的臓器になるものと考えられており、ニトロソアミド類のように代謝活性を必要としないものは、直接に触した部位にガンを生ずるといわれている。 こういうような説明があるわけでございますけれども、その亜硝酸ナトリウムを第二級アミンの多い食品に添加をすると、こういうニトロソアミンが発生をするというふうに言われていますが、その第二級アミンの少ない食品とどの程度の違いがあるのでしょうか。これをお伺いしたいと思います。
  99. 市川和孝

    ○市川説明員 お答え申し上げます。  御指摘のニトロソアミンの食品中におきます分布というものは相当ばらついているわけでございますが、特に二級アミンの多いものにニトロソアミンが多く検出されるというような状況ではございませんで、その辺は、ニトロソアミンの食品中におきます分布と二級アミンの濃度とは必ずしも並行はいたしておりません。通常食品中によく検出されるレベルはきわめて微量でございまして、数ppbのレベル、あるいは高いもので数十ppbというレベルのニトロソアミンが検出されることがございます。
  100. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 ちょっと時間が足りなくなってきました。  亜硝酸ナトリウムの問題については厚生省といろいろ話をしたわけですが、亜硝酸ナトリウムが非常に大量に使われるということになると、タラコの場合にニトロソアミンが発生をする、そういうことはある。これはかつてこっそり使われて大問題になったということがあるようでございますけれども、今回そういう措置の中で亜硝酸ナトリウムをあえて認めるということになった経緯について、これはタラコの輸入量が非常にふえてきている。昭和五十一年には、国内で三万七千八百十二トン、輸入が五千八十トンであった。それが五十五年には国内が一万一千百トン、輸入が一万八千四百二十五トン、それから五十七年には国内が一万五千三百、輸入量が三万一千三百一トンと、非常に輸入量がふえてきた。輸入のタラコの色が芳しくない、魚卵の色がよくないということで、これに亜硝酸を使うようにしたということ。  ですから、十一品目も一挙に添加物がふやされましたけれども、このタラコもそういう点では例外ではなく、やはり外国からの輸入の商品を助けるという意味でこれが拡大をされるということになっているわけでありますけれども、私が最初に申し上げたように、亜硝酸の量の使い方、これを間違えると大変危険な発ガン物質を発生する、そういうことが十分予測をされるわけであります。とりわけ過酸化水素等についても、東京都の夏季対策衛生調査では、検出されてはいけない過酸化水素がうどんから、百六十四袋からも出る、そういうような状況もあるわけでありまして、業者に対するきちんとした指導というものが当然されなければならないわけでありますけれども、八月二十七日から使用を認めたけれども、使用指導基準、これがまだ出ていない、そういう状況である。それから使用指導基準ができても、これは業者が守るかどうかというところにかかっていて、悪いことをしようとすれば幾らでもできるという状況、それをチェックする厚生省の検査というものがいまのところ十分であるかどうか、そういうことも危ぶまれる状況にあるわけです。  ですから、そういう中で私の意見としては、こうした輸入食品を助けるための亜硝酸をなぜ使用に踏み切らなければいけなかったのか、こういうことはやめるべきではなかったのか、そういう意見であるわけです。その点について厚生省に、ちょっと申しわけないのですが、簡単にいまのことについて考えがあればお答えをいただきたいというふうに思います。  それから運輸省については、私鉄の問題、ちょっと時間がございませんのでまたの機会にさせていただくことにいたしまして、きょうはちょっと申しわけありません、時間が過ぎておりますので、御了承いただきたいと思います。
  101. 難波江

    ○難波説明員 お答えをいたします。  先生御承知のように、食品衛生法に基づきます食品の規格基準等の遵守状況の監視につきましては、各都道府県あるいは保健所を設置する市の食品衛生監視員をして行わせるというようなことになっておるわけでございます。したがいまして、今回設けられましたタラコの成分規格であるとかあるいは亜硝酸ナトリウムのタラコへの使用基準につきましても、当然これらの基準が遵守されているかどうかにつきましては食品衛生監視員が監視を行い、あるいは必要に応じて収去検査を行って確認をするということにしておるわけでございます。  特に今回タラコに亜硝酸を使用するに際しましては、その添加量を守ることが先生指摘のように何よりも重要であるわけでございまして、厚生省といたしましては、亜硝酸ナトリウムを使用する場合の適正な使用方法を確保するという観点から、製造管理マニュアルを作成いたしまして、亜硝酸ナトリウムの使用に当たっては当該マニュアルに従って製造するようにということで、関係都道府県等に対して営業者の指導の徹底について、実は九月三十日付、実際には昨日発送しておりますけれども、やったところでございます。したがいまして、先ほど申し上げました監視等に際しまして、これらの遵守状況あるいは自主検査の状況等につきましてもあわせて監視すること、点検することにいたしているわけでございます。
  102. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 これで終わりますけれども、ちょっと一点だけ私鉄運賃について、経済企画庁が、この私鉄運賃の問題については協議事項といいますか、そういうことで非常に重要な位置づけであるようでございますので大臣に。  私鉄が一六・七%上げられます。特に通学については、さっき国立大学授業料とか私学の授業料が上げられる、そういう状況の中で定期が二〇%も引き上げられる、そういう状況があるわけですね。一方、私鉄の内容を見てみると、内部留保等については十二社で三千八百億円現在あるというような状況で、大変経営内容がいいんじゃないか。それから申請でも、運輸収入の伸びというのを低目に見積もっているとか、私どもが点検してみると、いろいろ疑いというか、問題があるような状況であるわけで、その点、物価を抑える、家計を守るという立場から経済企画庁長官が非常に重要な役割りを果たされることになるようですので、御意見を伺いたいというふうに思います。
  103. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 現在私鉄の値上げ案は、運輸省で運輸審議会に諮問して検討中のようでございます。法制上のたてまえから、私どもは運輸省から協議を受けることになっております。受けましたときには、慎重にいまのお話のようなことを含めて検討してまいりたいと思っております。
  104. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 終わります。
  105. 土井たか子

    土井委員長 次回は、明六日木曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後一時二十二分散会