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1983-10-04 第100回国会 衆議院 内閣委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和五十八年九月八日)(木曜日 )(午前零時現在)における本委員は、次のとお りである。   委員長 橋口  隆君    理事 愛野興一郎君 理事 佐藤 信二君    理事 田名部匡省君 理事 堀之内久男君    理事 矢山 有作君 理事 渡部 行雄君    理事 市川 雄一君 理事 和田 一仁君       有馬 元治君    池田 行彦君       石井  一君    上草 義輝君       小沢 一郎君    小渡 三郎君       狩野 明男君    始関 伊平君       吹田  愰君    堀内 光雄君       宮崎 茂一君    山中 貞則君       上原 康助君    角屋堅次郎君       嶋崎  譲君    山花 貞夫君       鈴切 康雄君    木下敬之助君       榊  利夫君    中路 雅弘君       河野 洋平―――――――――――――――――――――― 昭和五十八年十月四日(火曜日)     午前十時四十分開議  出席委員   委員長 橋口  隆君    理事 愛野興一郎君 理事 佐藤 信二君    理事 田名部匡省君 理事 堀之内久男君    理事 渡部 行雄君 理事 市川 雄一君       池田 行彦君    小渡 三郎君       狩野 明男君    始関 伊平君       吹田  愰君    堀内 光雄君       宮崎 茂一君    上原 康助君       木下敬之助君    中路 雅弘君       河野 洋平君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 谷川 和穗君  出席政府委員         防衛庁参事官  新井 弘一君         防衛庁参事官  西廣 整輝君         防衛庁参事官  友藤 一隆君         防衛庁参事官  冨田  泉君         防衛庁長官官房         長       佐々 淳行君         防衛庁防衛局長 矢崎 新二君         防衛庁人事教育         局長      上野 隆史君         防衛庁衛生局長 島田  晋君         防衛庁経理局長 宍倉 宗夫君         防衛庁装備局長 木下 博生君         防衛施設庁長官 塩田  章君         防衛施設庁施設         部長      千秋  健君         外務大臣官房長 枝村 純郎君  委員外出席者         警視庁警備局公         安第二課  長 常石 和夫君         内閣委員会調査         室長      緒方 良光君     ――――――――――――― 委員の異動 九月二十日  辞任         補欠選任   池田 行彦君      栗原 祐幸君   上草 義輝君      根本龍太郎君   狩野 明男君      砂田 重民君 同日  辞任         補欠選任   栗原 祐幸君      池田 行彦君   砂田 重民君      狩野 明男君   根本龍太郎君      上草 義輝君 十月四日  辞任         補欠選任   榊  利夫君      三浦  久君     ――――――――――――― 九月八日  行政機関公文書公開に関する法律案中路  雅弘君外一名提出、第九十四回国会衆法第三五  号)  国の行政機関職員等に対する営利企業への就  職の制限等に関する法律案中路雅弘君外一名  提出、第九十四回国会衆法第三六号)  情報公開法案横山利秋君外六名提出、第九十  四回国会衆法第三七号)  公文書公開法案鈴切康雄君外七名提出、第九  十四回国会衆法第四五号)  沖縄県における駐留軍用地等の返還及び駐留軍  用地跡地等の利用の促進に関する特別措置法案  (上原康助君外八名提出、第九十六回国会衆法  第一五号)  国家公務員法の一部を改正する法律案岩垂寿  喜男君外二名提出、第九十六回国会衆法第一八  号)  一般職職員給与に関する法律の一部を改正  する法律案矢山有作君外五名提出、第九十八  回国会衆法第三号)  国家公務員法の一部を改正する法律案和田一  仁君外二名提出、第九十八回国会衆法第一七  号)  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法  律案内閣提出、第九十八回国会閣法第二〇号  )  防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内  閣提出、第九十八回国会閣法第二一号)  国家行政組織法の一部を改正する法律案内閣  提出、第九十八回国会閣法第三九号) は本委員会に付託された。 九月二十日  国家行政組織法の一部を改正する法律案内閣  提出、第九十八回国会閣法第三九号) は行政改革に関する特別委員会に付託替えされ た。 九月二十七日  ミッドウェー艦載機下総基地使用反対に関す  る請願中路雅弘紹介)(第一号)  北海道外に居住するアイヌの対策等に関する請  願(岡田利春紹介)(第五六号)  旧軍人恩給改定等に関する請願三塚博紹介  )(第五七号)  同(大原一三紹介)(第六九号)  同外十件(小沢辰男紹介)(第七〇号)  同(大西正男紹介)(第一四二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  小委員会設置に関する件  小委員会における参考人出頭要求に関する件  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法  律案内閣提出、第九十八回国会閣法第二〇号  )  防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内  閣提出、第九十八回国会閣法第二一号)      ――――◇―――――
  2. 橋口隆

    橋口委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  今会期中、国の行政の改善を図り、公務員制度及び給与の適正を期する等のため  一、行政機構並びにその運営に関する事項  二、恩給及び法制一般に関する事項  三、公務員制度及び給与に関する事項  四、栄典に関する事項以上の各事項について、小委員会設置、関係各方面からの説明聴取及び資料の要求等の方法により、国政調査を行うこととし、議長にその承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 橋口隆

    橋口委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ――――◇―――――
  4. 橋口隆

    橋口委員長 次に、小委員会設置の件についてお諮りいたします。  恩給等調査のため小委員十三名からなる恩給等に関する小委員会及び  在外公館にかかわる諸問題を調査するため小委員十三名からなる在外公館に関する小委員会を、それぞれ設置いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 橋口隆

    橋口委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、小委員及び小委員長選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 橋口隆

    橋口委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  小委員及び小委員長は、追って指名の上、公報をもってお知らせいたします。  また、小委員及び小委員長辞任の許可及び補欠選任並びに委員辞任に伴う補欠選任につきましては、あらかじめ委員長に御一任願っておきたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 橋口隆

    橋口委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  また、小委員会において参考人から意見を聴取する必要が生じた場合、参考人出席を求めることとし、その日時、人選等につきましては、あらかじめ委員長に御一任願っておきたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 橋口隆

    橋口委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ――――◇―――――
  9. 橋口隆

    橋口委員長 内閣提出、第九十八回国会閣法第二〇号、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案及び第九十八回国会閣法第二一号、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  両案の趣旨説明につきましては、第九十八回国会において聴取いたしておりますので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 橋口隆

    橋口委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案  防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  11. 橋口隆

    橋口委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。堀之内久男君。
  12. 堀之内久男

    堀之内委員 前国会から継続審査になっております防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案並び防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案についてただいまから質疑を行いたいと思うわけでありますが、その前に、前国会予算委員会におきまして、われわれ同僚議員と申しますか、国会議員であります楢崎弥之助議員が、去る二月二十一日に防衛庁並び自衛隊クーデター事件についての発言がございました。私どもも大変この点については驚きを感じ、また国民自衛隊に対し大変な不信感を持ったものだ、かように考えます。  常々われわれは、防衛庁並び自衛隊においては、国民の信託、負託にこたえて国の安全という立場において日夜その職務遂行努力をいたしておるということで、かねがね深い敬意を表しておったやさきに当たって、こうした楢崎議員発言を聞きまして、われわれは驚きを感じたわけでありますが、その後、警察庁の御努力というか、五月五日付の「週刊新潮」の記事によって、官名詐称の疑いがあるということで警察庁の方でこの捜査に入られたと承っておるわけでございますが、その後におきまして、今回のこの楯崎議員予算委員会における発言は全く事実無根、そして神聖な自衛隊並び防衛庁に対して国民にきわめて不信を与えたということが判明をいたしたわけであります。私ども新聞等報道によってその大まかなところは存じ上げておるわけでありますが、警察庁当局のこれまでの経過についてお伺いをいたしたいと存じます。
  13. 常石和夫

    常石説明員 お答え申し上げます。  お尋ねの事案につきまして、これまでの捜査経過を申し上げます。  まず、この事件の発端でございますが、御承知のように本年の二月二十一日に開催されました衆議院予算委員会での楢崎弥之助先生の御質問の中で、昭和五十五年六月X日決行予定日とした自衛隊員によるクーデター計画があった、その内容は、一個師団、約一万人を用いて首相官邸を爆破し、国会NHK自民党本部社会党本部などを占拠し、首都の道路、海上を封鎖、制圧するという趣旨のものでございました。  この質問マスコミ各社は大きく取り上げまして、中でも「週刊サンケイ」は三月十七日号及び三月二十四日号で、また東京新聞は三月五、六の両日、いずれもクーデター計画は実在したという立場からの報道がなされました。  一方、「週刊新潮」は三月二十四日号で、クーデター計画ガセネタと、疑問を示す記事を掲載し、続いて五月五日号では、名古屋市に居住する杉山公一なる人物自衛官を名のって、楢崎代議士東京新聞、「週刊サンケイ」等ににせの自衛隊クーデター計画を流したという報道がなされております。この「週刊新潮」の記事によりまして、愛知警察では、杉山公一に係る官名詐称容疑事件ということで捜査を開始いたしました。  その結果、杉山公一なる人物は、実は本籍地福岡市住吉町でありますところの岩橋孝という四十二歳になる人物で、昭和四十九年ごろから名古屋市に居住していたが、本年の四月ごろから所在不明となっている人物であるということが判別いたしました。  なお捜査を続けました結果、この岩橋孝は、昭和五十四年に交通事故をでっち上げて保険金をだまし取っていることが判川しましたので、六月十七日にこの詐欺事件につきまして全国指名手配をしたわけでございます。引き続き本人の所在を追及しておりましたところ、岩橋孝は、七月十一日、NHK名古屋支局員に伴われまして愛知警察に出頭してきたのであります。したがいまして、同日、本人を通常逮捕し、以後、本格的な取り調べ及び必要な裏づけ捜査を進めてきたわけであります。  その結果、まず岩橋孝供述の要点でございますが、本人は、現職自衛官を名のって楢崎議員並びに同議員秘書楢崎欣弥氏及び東京新聞記者日本テレビ放送網記者に、また、元陸幕勤務員を名のって「週刊サンケイ記者にそれぞれ面接をして、いわゆるにせの自衛隊クーデター計画を流したと言っております。また、今回の犯行には共犯者はいなく、自分一人の単独犯行で、複数を装ってやったのだ。それからまた、このうち楢崎代議士とは、二月四日東京都内議員宿舎で、また楢崎欣弥秘書には、二月三日福岡の事務所で、いずれも航空自衛隊の制服を着用し、航空自衛隊幹部と名のって面会をした。事件の動機は金もうけであり、にせの情報を流して金をだまし取ろうとしてやったのだ。それから金の面では、「週刊サンケイ」からは三十一万五千円を受け取った、しかし東京新聞日本テレビからは、楢崎代議士を助ける目的で提供したので金は受け取っていない。岩橋は、大要以上のように述べております。  このような岩橋供述に基づきまして愛知警察は必要な裏づけ捜査を行った結果、その事実が認められましたので、八月二十七日、詐欺及び官名詐称名古屋地方検察庁に送致いたしました。  その中身は、楢崎議員並びに同人秘書楢崎欣弥氏に対する官名詐称、「週刊サンケイ記者に対する詐欺東京新聞日本テレビ記者に対する官名詐称であります。名古屋地検では、これを受けまして、九月二十二日、岩橋を「週刊サンケイ記者に対する詐欺及び東京新聞日本テレビ記者に対する官名詐称名古屋地方裁判所に起訴しております。  なお、楢崎議員並びに同秘書に対する官名詐称事件については、名古屋地方検察庁で引き続き捜査中であると聞いております。  この間、愛知警察は、楢崎議員につきましては七月二十八日及び八月九日に、同秘書楢崎欣弥氏に対しては八月十日に、それぞれ事情をお伺いいたしました。これに対して両人はいずれも、われわれが会った人物岩橋孝ではない、しかし、その後に電話でいろいろと情報を提供した人物岩橋孝であるといたしまして、会った人物電話をかけてきた人物は別人であると主張しておられますが、私ども捜査結果では事件岩橋孝単独犯であると認めて、送致をいたしたわけであります。なお、現在岩橋孝未決勾留中であります。  以上で終わります。
  14. 堀之内久男

    堀之内委員 事件経過は大体承知したところでございますが、われわれも今日の日本防衛庁自衛隊考えますときに、日本の現状ほど開かれた自衛隊あるいは開かれた行政組織はないと私どもは確信をいたしております。したがって、常識的に考えても、いまの日本防衛庁自衛隊クーデターのごときを計画できるかできないかということ自体、一般人たちでも想像できる、かように考えられるわけであります。  今回、岩橋なる者のこうしたにせ情報によって、予算委員会という国会の最も大事な場所でこうした質疑がなされ、国民に大きな疑惑を与えたことについては、われわれもこれをただ過ちであったと見逃すわけにはいかない、かように私自身考えておるわけであります。特に今回の事件では、岩橋なる者の金銭的な行動だということがただいまの警察庁の御答弁判明をいたしたわけでありますが、とすれば、岩橋楢崎議員との間には金銭授受はなされなかったのかどうか。この点がなかったようでありますが、これを改めてお尋ねをいたします。
  15. 常石和夫

    常石説明員 お答えいたします。  被疑者岩橋孝は、直接ではありませんが、楢崎議員側から金を受け取ったと本人供述をしております。一方、楢崎議員及び同秘書は、金を渡した事実はないと主張しておられます。したがいまして、被害の事実が証明されませんので、詐欺罪としては立件しておりません。
  16. 堀之内久男

    堀之内委員 楢崎議員は否定されましても、岩橋なる者が受け取ったという金額幾らでしょうか。
  17. 常石和夫

    常石説明員 百数十万と言っております。
  18. 堀之内久男

    堀之内委員 岩橋なる者が百数十万というと、百二十万から百六十万か七十万までを百数十万というのだが、これは大分間が大きいわけですね。その辺はっきり――楢崎さんは、やらなかったと言えばそれで証拠がないから、いいじゃないですか。もらった方は、はっきりもらったという金額は必ず言っているわけです。恐らくあなた方は、百数十万で、そうだったかと言って認めるはずはないのです。はっきり言えと言っているはずだから、その数字をはっきり教えていただきたいと思います。
  19. 常石和夫

    常石説明員 本人は一回だけでないと述べておりまして、その額がはっきりしておりませんので、百数十万ということで御了承願いたいと思います。
  20. 堀之内久男

    堀之内委員 この辺は非常に微妙なところで、まだ楢崎議員が認めておられませんので、恐らく警察庁当局でもはっきりした数字が言えないかと存じますが、それも一回ではなくて数回ということになると、これはまた話が大変込み入ってくるのじゃないかと思います。  いままで警察庁取り調べでは、岩橋なる者はただ電話だけだったという先ほどの御答弁のようでありますが、岩橋という者を、これが岩橋だと電話でよく楢崎議員理解をされたものだなということをちょっと不思議に思うような気がいたします。一回会ってその後の電話ならば、この声ならば岩橋だということはわかると思うのですが、その辺の疑問はお感じにならなかったのかどうか。楢崎議員からいろいろと事情聴取はなされたと承っておりましたが、しかもその後、楢崎議員取り調べられたそうした調書というか、そういうものも本人は拒否されておるのかどうか、その辺を改めて教えていただきたいと思います。
  21. 常石和夫

    常石説明員 お答えいたします。  金銭授受につきましては、先ほど来申し上げますように真っ向から対立をしております。その内容につきましても、楢崎議員側におきましては一切金銭に関しては出していない、こういう趣旨でございますので、御了承願いたいと思います。
  22. 堀之内久男

    堀之内委員 常識的に言って、警察庁もそうお考えになっておると思いますが、いろいろな選挙違反が出ましても、もらった方がもらったと言えば、くれた方がやらなかったと言っても必ず両方送検するのがいままでの警察庁のとってこられた行動なんです。くれた人は、私がやったと言った人は一人もいないのです。幾ら否認しても、もらった方を信用するのですよ。それは楢崎議員はいまとなってはやらなかった一点張りでいくでしょう。これは将来とも証拠は出てこないと思います。私は、幾ら国会議員といえどもそんな卑劣なことになったら、はっきり自分がこれはうかつだったとおっしゃるならば、われわれも同僚議員でありますからこれを責めるのは酷だと思っておるのですが、それはだれよりもいいネタをもらったということで、恐らく楢崎議員もそれこそ喜び勇んで予算委員会でやられたと思うのです。しかし、普通の人ならもう一回、果たして岩橋なる者が自衛隊に存在するかどうかくらいは確かめていただくべきであった、かように考えておるのです。内容は尋ねる必要はありませんが、これはやはり航空自衛隊にだれかがおるから、岩橋なる一尉がおるのかおらないのか、それくらいは確実に調べてみると、これがにせ情報であるか、ないか、普通クーデターということはそうたやすくできるものでもないし、また先ほど申し上げましたように日本防衛庁自衛隊機構からいって、開かれたマスコミの発達した今日において、こうしたことが露見しないはずがないわけであって、こんなことはわれわれが普通考えても想像できない。そうしたことを考えるときに、私は今回の楢崎議員のとられた行動というのはきわめて軽率であった、こういうように断ぜざるを得ないのであります。  そこで、防衛庁自衛隊というものが国民の大きな信頼の上に成り立っておることは御承知のとおりなんです。その防衛庁自衛隊に対して大きな不信、そして自衛隊にとっての大きな不名誉な発言をされたということは、まことにわれわれも同じ防衛に携わる者としても大変憤りを感じたわけであります。社会通念として、こういう事実無根のことがしかも全国紙に一斉に報道されるということになると、その被疑に立たされた方というものはきわめて名誉を傷つけられたことになるわけです。  たとえば、例としてあるいはどうかと思いますが、昨年の十一月のわが自民党総裁選挙において、時事放談で、ある方がある先輩方金銭が動いたのどうのと言ったことが報道されたことは御承知のとおりです。しかも、それを発言された方と言われた人はきわめてじっこんの間柄だった。しかし、それでも事実無根なことを言われたということにおいては自分の名誉のために告訴もし、そして謝罪広告も要求されたことは、これまた新聞報道されたとおりです。やはりこれは当然のことだ。したがって、東京新聞においては、まことに申しわけないということで、三月五日付の自衛隊計画報道全文取り消しと、七月十三日には本社の編集局長以下九人の処分がなされておるわけです。これは報道に携わる者の、またマスコミとしての責任をはっきり明確に出された。私は当然なこととして深い敬意を表しておるわけであります。  そこで、長官お尋ねをいたしますが、防衛庁自衛隊としては警察庁努力によって事実無根であったということが確認をされたわけでありますが、岩橋なる者は、それだけの司直の処罰を受けるべくいま告発をされておるわけです。その発言をされた楢崎議員は何らそのまま放置されておる。したがって、防衛庁としては、あるいは告発ということはなかなか無理かもしれませんが、このような事実が判明した段階において、長官としてはどのように理解をし、またどのように将来この名誉回復防衛庁としてお考えになっておられるか、お尋ねをしたいと存じます。
  23. 谷川和穗

    谷川国務大臣 国の独立を確保して安全を維持していくという仕事を私どもは仰せつかっております。私は、その仕事をいたしまする防衛庁長官といたしまして、実力集団でありまする自衛隊を統括をいたしております。  いま先生の御指摘のございましたにせクーデター計画問題につきましては、私といたしましては直ちにあらゆる手だてをもちまして庁内におきまして調査を命じまして、その結果、すでに数次にわたって国会において答弁をさしていただきましたように、防衛庁内部調査では全くの事実無根でございました。その後、警察当局からも再三の調査によって、ただいま指摘のあったごとく全くの虚構であったことが判明をいたしたわけでございます。  しかし、この事件は、少なくとも国会に関する限り国会議員国会の中における御発言でございまして、防衛庁長官といたしましては、国会内部議員発言にかかわる問題に関しては国会内部で御処理をいただくことが至当であろうかと考えておる次第でございます。
  24. 堀之内久男

    堀之内委員 防衛庁としては、また長官としては当然のことだ、こういうように考えます。ただいま長官から御指摘がありましたように、われわれ国会議員の中の問題でありますので、今後われわれも党の方に申し上げ、またそれぞれ野党の皆さん方とも協議して、しかるべき処置、行動をとっていただくように強くお願いを申し上げておきたいと思います。  いずれにいたしましても、三月二日官房長宵が否定されたことが、あるいは長官予算委員会で否定されたことが、警察庁当局取り調べによってこれが確認されたということは、このことによって自衛隊信頼をまたから得、あるいは特にいま言われておるシビリアンコントロールということで防衛庁の内局においても非常にこれでまた信頼を回復できた、私はこういうように思います。今日防衛が特にやかましく言われる段階で、実力集団がああいうようなことがうやむやで済んだということになってしまうと、幾ら官房長官が否定しようが防衛庁長官が否定しようが、それがはっき力否定され事実無根であったということが立証をされないとなかなか国民は納得できなかったと思いますが、そういう意味では、警察御当局の今回の取り調べ、またマスコミのそうした御協力に対しては、われわれも深く敬意を表する次第でございます。  それでは本題に入りたいと存じますが、きょうは久方ぶりの防衛庁に対する質疑でございまして、今後、私の後に野党の皆さん方もそれぞれ御質問がいただけると思います。防衛庁に対してこの委員会質問することは、恐らくもう一年近く延びておったのじゃないかと存じます。  そこで、きょうは万般にわたりまして飛び飛びに御質問申し上げたいと思いますのは、最近のソ連軍の拡張というか、質、量ともにわたって大変な増強が行われておりますので、この方面にわたり、また防衛庁の今後の対応というか、これに対する認識について御質問をしてまいりたいと思います。  恐らく国民皆さん方も心ある人は承知していただいておると思いますが、大部分の方はそうしたソ連軍の状況というものを余り御承知ない、かように考えておりますので、最近の極東ソ連軍の増強状況というもの、艦艇及び航空機が、アジア地域、そしてまた太平洋地域に進出をいたしまして相当な活動をいたしております。さらに最近では、新たにSS20の基地等の建設も行われているやに承っておりますし、また長距離爆撃機でありますバックファイア等のわが国周辺においての進出というか、姿をあらわしておる状況もたまに防衛庁の方で報道されておりますが、最近特にまた、わが国固有の領土であります国後、択捉の基地に対し、新鋭機であるミグ23戦闘機も飛来しているやに承っております。  こういう事例を含めまして、最近の極東ソ連軍の動向について防衛庁はどのような評価をなされ、またどのような対応をされておるか、そして、わが国に対する潜在脅威というか、これが以前より増大しておると認識されておるのかどうか、お伺いをいたしたいと存じます。
  25. 谷川和穗

    谷川国務大臣 極東ソ連軍は全軍種にわたって質、量両面にわたって一貫した増強を続けておることは、これは事実でございます。そして、その中には中距離核戦力の増強、あるいは地上軍あるいは海上兵力あるいは航空兵力その他の増強、いずれも顕著でございます。この兵力配備の増強の状況につきましては後ほど政府委員から逐一御報告申し上げさせていただくことにいたしますが、私は、このような極東ソ連軍の軍籍力の急激な増強並びに現在の極東ソ連軍の活動の動向は、わが国の安全保障にとって潜在的脅威の増大につながっておる、こういうふうに受けとめておる次第でございます。  それでは兵力配備その他につきましては、政府委員から答弁をお許しをいただきたいと存じます。
  26. 新井弘一

    ○新井政府委員 ただいまの長官の御発言を受けまして、若干その具体的な内容について御説明したいと思います。  御承知のとおり、アジア・極東地域には、ソ連軍が核、通常戦力を含め約三分の一から四分の一配備しております。さらに、中距離核ミサイルにつきましては、現在極東地域では百八基でございます。ヨーロッパ部では二百四十三でございますから、SS20に関してはその比率は二分の一近くになっている。と同時に、ただいま堀之内先生御自身おっしゃいましたけれども、SS20についてさらに三つの基地が建設中であるというふうに言われております。したがいまして、これができますと極東地域におけるSS20の数はさらにふえる、恐らく百三十五ぐらいになるだろうというふうに考えております。  それからさらに、バックファイアにつきましては七十機以上、これも約三分の一弱でございます。  それからさらに、通常兵力について言いますと、中ソ国境等を含めますと陸上兵力は五十二個師団、四十七万人、そのうちバイカル湖以東の極東に限定いたしますと三十七万人、四十師団ということでございます。それから海軍につきましては、御承知のとおりソ連の太平洋艦隊、四つの艦隊の中の最大の艦隊であって、トン数にいたしまして百六十二万トン、八百二十隻というふうにわれわれはカウントしております。それからさらに、航空兵力につきましては約二千百機でございます。  そこで、先生先ほど最近の増強ということに着目されて御室言がありましたのでちょっと敷衍いたしますと、これをたとえば約十年前、一九七〇年、華やかなデタントのはしりの時期でございますけれども、そのころは、バイカル湖以東の極東における通常兵力というのは約二十二個師団でございますから、陸上兵力については約倍増近くなっている。それから海軍につきましては、一九七〇年約百万トンであったわけでございます。したがいまして、六割強。航空兵力につきましては、千八百数十機ということでございますから一割強ということになりますが、ただ、中身を見ますと、戦闘機、爆撃機、六割以上がいわゆる第三世代に属する新鋭機ということになっております。  加えまして北方領土につきましては、先生承知のとおり、七八年以降一個師団規模の陸上兵力を配備しているほか、最近八月二十二日にミグ23が十数機、それから、つい先日九月二十五日ごろさらに十数機新たに配備された、こういう状況でございます。
  27. 堀之内久男

    堀之内委員 ただいま防衛庁皆さん方長官初め参事官から御説明いただきましたように、おおむね十年前からすると約二倍ないし一・六倍、さらにまた、航空機によってはもう第三世代の近代兵器ということになりますし、さらにまた、わが北方領土の周辺にも最新鋭のミグ23戦闘機が配置される、このようにソ連軍のきわめて急速な増強が目立っておるわけでありまして、それに対し、わが防衛庁におかれましても、五三中業、五六中業に従っていろいろと整備はなされつつあるところでありますが、こうしたソ連軍の急増に対して日本の単独の力ではとうてい対抗はできないわけであります。したがって、日本としては日米安保条約を基軸にして日米安保条約の力の中でそれ相応の努力をいたしておるわけでありますが、幸いにして米軍においても、その抑止力の信頼性あるいはこれを強化を図るという立場から最近急速な増強をなされつつあるように承っておるところでありますが、こういう米国の対応努力に対して防衛庁としてはどのような評価をなされておられるか、率直に御意見を承っておきたいと存じます。
  28. 新井弘一

    ○新井政府委員 お答えいたします。  先ほど申し上げましたようなソ連軍の質、量両面にわたるきわめて劇的な兵力の増強というものに対応するために、まさに先生おっしゃいましたけれども、昨今来、これはカーター政権の末期、特にレーガン政権になってからでございますけれども、アメリカとしても兵力の近代化、それから態勢の強化に努めている。特にわが国の周辺水域等に関連して言いますと、例のいわゆる柔軟作戦、フレキシブルオペレーションという名のもとに、近来、空母機動群を基幹といたします海軍力の展開を強めているというのがきわめて特徴的なことでございます。  他方、わが国に直接関連することでは、御承知のとおりF16の三沢配備、これを八五年度以降四年間にわたって実施する等々の努力をアメリカがやっている。さらに近来、特に去年の秋ごろからでございますけれども、北西太平洋あるいは日本海等におけるアメリカの海軍の訓練、展開というものも活発化しているということでございます。  私どもといたしましては、こういったアメリカの具体的な措置というものが極東におけるバランスの改善を図り、そしてアメリカの持つ抑止力の信頼性を著しく向上させる、これはとりもなおさずわが国の安全保障あるいは極東における平和と安定に資するという意味で、われわれはこれを評価しているわけでございます。  以上でございます。
  29. 堀之内久男

    堀之内委員 先般、大韓航空機撃墜事件で、まことに忌まわしい不祥な事件でございましたが、しかし、こうした撃墜事件というものをソ連が渋々ながらも認めざるを得なかったということは、これは私は、今回の航空自衛隊のレーダーサイトのきわめて高度な訓練の成果であった、こういうように思いましたときに、不幸な事件ではありましたが、国民自衛隊に対し改めて信頼を増してくれたということにおいては不幸中の中の一つの光明として、私は大変評価をいたしておる一人であります。しかし、やはり国防でありますから、でき得るならば、手のうちというか、そうしたものは発表しない方が今後の国防という立場からはきわめて重要でありましたけれども、しかし、あれだけの事件が起こってもそれを覆い隠そうとする、あるいはまた絶対に責任をとろうとしない国家があるとするならば、やはりそれ相応の備えをしなければならないということを見せつけた事件であったことも事実であります。したがって、国民自体も国防の重要性を深く認識いただいたのが、この前の大韓航空機撃墜事件であったと思います。  私は、ただいま参事官から御答弁ありまして、アメリカ軍はそれ相応の大変な努力をしながら、厳しい事情の中で極東の安全のため、アジア地域の安全のために、平和のために米軍自体も最大の努力をされておるわけでありますが、最近の北方領土へのミグ23の飛来、あるいはまたこういう無防備の民間機撃墜事件、こういうものを考えるときに、やはりわが国をめぐる軍事環境というものはきわめて厳しさを増しておると思います。これまでもそうした警戒態勢というものは万全を期して行われておるということは、一つはこの前の大韓航空機撃墜事件で示してはいただきましたが、ここで念のためにもう一回、最近のこうした軍事環境に対して、わが国がとっておられる、現在防衛庁としてやっておられる最大限のこうした情報収集あるいは警戒態勢、これがいかなる状況になっておるか、ここでお伺いをいたしておきたいと存じます。
  30. 矢崎新二

    ○矢崎政府委員 お答え申し上げます。  国家の安全保障を保持していくためには、平時におきます警戒監視態勢あるいは十分なる情報収集というものが重要であることはもう先生指摘のとおりでございますが、特にわが国の場合は、専守防衛ということを本旨といたしまして防衛政策を展開しておるという国でございますから、この辺の領域あるいはその周辺におきます警戒監視とか、あるいは情報収集活動というものがきわめて重要であるということは言うをまたないところでございまして、平時、有事を問わず、常続的にこういった活動を実施していかなければならないというふうに考えておるわけでございます。  そういった活動がどういうふうに展開をされているかということについて、若干御説明をさせていただきたいと思います。  まず一つは、航空自衛隊の関係でございますが、これは全国二十八カ所のレーダーサイトにおきまして、わが国及びその周辺の上空を飛行いたします航空機を常時監視いたしております。そういたしまして、領空侵犯のおそれのある航空機を発見いたしますと、地上に待機をしております戦闘機を緊急発進させまして、領空侵犯機であることを確認した場合には、その航空機を領空外に退去させたり、あるいは場合によっては最寄りの飛行場に着陸させるための必要な措置をとるといったような対応をとることにいたしておるわけでございます。  こういった航空機に対します警戒監視能力を強化するために、いろいろな手だてをいま講じつつあるわけでございます。その一つがいわゆるバッジシステムの近代化というものでございます。これは御承知のように、レーダーサイト二十八カ所を全部統合いたしまして敵機の発見それから追跡等を有機的に行うという組織でございますが、近年それがかなり古くなってきたということもございまして、五十八年度予算におきましてそれの近代化事業に着手をいたしておるわけでございます。これによりまして、二十八カ所のレーダーサイトを全部自動化をするとかあるいは航跡処理能力を増大させるとかあるいは要撃管制のできる数を大幅にふやすとかといったような、いろいろな近代化のレベルアップを考えておるわけでございます。それからまた、早期警戒機E2Cの整備をいま始めております。これは、地上レーダーではキャッチできない低空侵入機を早期に発見すること等を目的といたしまして空中で警戒待機をする飛行機でございますが、これを整備をすることをいま着々とやっておりまして、六十年度までに八機を整備をいたしまして、警戒航空隊を六十年度に編成をしたいということで進めているわけでございます。  それから次に、主要な海峡を通過する艦船に対する警戒監視の問題でございますが、これは一つは、海峡の両岸に置かれております陸上自衛隊の沿岸監視隊及び海上自衛隊の警備所、これによりまして常続的な警戒監視を行っておりますし、それからまたこれを補う措置といたしまして、艦艇を海峡部分に常続的に配備をするという措置もやっておるわけでございまして、これは五十三年度から津軽海峡、対馬海峡で実施をいたしておりますし、本年度からは宗谷海峡においてもこういった活動を始めているわけでございます。こういった監視機能の強化を図るために、たとえば沿岸監視隊や警備所のレーダーの近代化を図るとか、あるいは艦艇に暗視装置、夜見えるための機械でございますが、そういったものを装備するとか、そういったようなことも実施をいたしておるわけでございます。  それからさらに、わが国周辺海域を行動いたします艦艇に対する措置でございますが、これは固定翼対潜機、P2JでありますとかP3Cでございますとか、これによる警戒監視の活動を常時実施をいたしております。日本海におきましては一日一機、東シナ海及び北海道周辺の海域では二日に一機の割合でこういった活動を実施しておるわけでございます。  それから最後に、こういった常続的な警戒監視のほかに、必要の都度艦艇や航空機による警戒監視も実施をしておるわけでございます。  以上申し上げましたような各種の手だてを講じまして、私ども日本周辺における警戒監視機能を常時すき間なく行っていくように極力努力をいたしておる次第でございます。
  31. 堀之内久男

    堀之内委員 谷川長官は、先般の八月末ですか、日米防衛首脳定期協議のために訪米をされたところでありますが、さらにまた、ワインバーガー長官が訪中の途次日本に寄られまして、会談が行われたようであります。私は、日米安保体制の信頼性の維持とか向上のためにお互いがこうした間断なき対話を続けるということはきわめて有効だ、われわれもそう承知をいたしておりますので、今後も機会をとらえて日米両国首脳がこうした定期協議を持たれるということは非常に有効だ、かように考えます。こうしたときに当たって恐らくワインバーガー長官からも具体的にいろいろな意見が出たと思うわけでありますが、発表できる範囲内で、新聞ではわれわれも承知はいたしておりますが、米国が日本防衛努力というものに対して評価はしたとなっておりますが、どのように評価をしたのか、あるいは今後の日本防衛体制についてどのような希望が述べられたのか。ここでお話しできる範囲内で結構でございますから、お聞かせいただければありがたいと存じます。
  32. 谷川和穗

    谷川国務大臣 私は、かねがね安全保障に関します日米の間断なき対話の重要性について、ただいま御指摘のような、全くそのとおりと考えておりまして、その意味では、幸いにいたしましてことしの夏に一回、それから秋に入って一回と日米防衛首脳協議が可能となったわけでございますが、さらに今後とも各種のレベルにおいて率直な意見交換が行われて、日米間の一層の意思疎通が図られるよう私自身も努力をし続けていきたい、こう考えておる次第でございます。  八月二十二日に行われました日米防衛首脳定期協議の際には、ワインバーガー長官としては、わが国の防衛努力については実は八四年度、昭和で言い直したらよろしいと思いますが、五十九年度の概算要求枠六・九%について評価をしておるけれども、インフレ率を考えると実質ではもっと低くなるのではなかろうか、そういう意味では必ずしも十分ではないと見ている旨、御発言がございました。それから、日本がみずから自分の島、という意味は日本列島のことを指すと思いますが、みずから増分の島とシーレーンの防衛が適切に行われるような予算ができるように期待している旨の御発言がございました。さらに、ワインバーガー長官から、日本がもう少し防衛努力を行うべきではないかという米議会の感触を指摘しながら、米国は米国の責任を日本に肩がわりさせているというわけではないのだ、日本に肩がわりを求めているわけではないということははっきり言われまして、日本日本の国を自分で守るというための自衛力整備をできるだけ早いペースで、早い期間内に行うことを期待をいたしておる、こういう趣旨の御発言がございました。  私自身は、ワインバーガー長官に対しましては特に戦後日本の状態も説明をいたしまして、わが国は軍備放棄という占領下の体験もこれあり、国民防衛力の増強については必ずしも積極的ではなかったという事情がずっと続いてきたのだという現実を実は指摘をしておいたわけでございます。そして、私自身としては防衛力整備にはおのずから一つの節度というものがあろうと思うということも申し述べました。それは、もしそういう節度あるいは防衛力整備について何らかのめどというものがあるとすれば、これは非常に総括的な表現でございますけれども、政治的、社会的安定を損なわない限度で、国民理解を得ながら着実にこれを進めていく必要があるのだということを実は申し述べたわけでございます。そして、わが国としては当然でございますが、これまでに計画しております防衛の基本的な路線を達成するため、今後ともぎりぎりの努力を続けていくのだということを申し述べておきました。  なお、秋九月二十四日にワインバーガー長官が訪中の途次日本へ立ち寄られた際のわが国の防衛力に関する意見交換は、実は一番最初にワインバーガー長官から、防衛費の問題について日本側の努力を評価いたしたわけでございます。そのときには、五十九年度の概算要求が財政当局に提出された直後の話でございましたが、防衛力整備は時間のかかる問題であり、政治的には必ずしもポピュラーではないが、やはりこれはどうしても必要なものであるので、両国ともに努力していく必要があろうと自分は思うという趣旨の御発言をワインバーガー長官がいたされました。私といたしましては、五十九年度予算が最終的に政府原案として決まるまでは、どういう形になるかこの九月二十四日の時点ではこれを明らかに申し述べることはできないが、しかし私自身としては防衛力整備については今後各方面に積極的に説明し、理解を得ていく覚悟であるということを率直に申し述べた次第でございます。  以上でございます。
  33. 堀之内久男

    堀之内委員 ただいま長官から、ワインバーガー長官との会談の内容について一部、全部とは言わなくても大体米国側の希望等を教えていただきましたが、私どもも当然だと思います。本当にわが防衛計画というものが米国の肩がわりをするというのではなくて、みずからの国はみずから守る、そのための体制づくりをやっておるというのがいまの「防衛計画の大綱」の遂行だ、こういうふうに理解をいたしておるわけでありますが、一部国民の中に、また一部政治家の中には、いや防衛費が突出したとかなんとか言っていろいろ騒がれる面もありますが、これはただいま長官のお話のように、気長に今後国際情勢の状況というものを踏まえながら、何もアメリカの圧力によってやっておるのではない、やはり独立国としての日本を守り得る、それの必要最小限度の防衛力整備をするんだ、こういうことで今後とも国民理解をいただき、あるいはまた防衛庁自体でも、厳しい財政状況の中でありましょうが、最大の努力をお願いする次第でございます。  次に有事法制の問題についてちょっとお尋ねをしておきたいと思いますが、五十六年の四月、第一分類、すなわち防衛庁所管の法律については中間報告がなされました。その後第二分類の他省庁所管の法制についての検討を進めておるということを承っておるところでありますが、第一分類が報告されてからもう二年半を超えているわけですが、私は有事法制というのはきわめて大事なことで、有事に備えての法制をしっかり整えておくということはきわめて大事だと思うのです。これは何も財政がどうのということではありません。金のかかる問題ではないわけでありますが、この段階において、今日までどのような方向で検討が進んでおるのか、成果があるとするならばここで教えていただければありがたいと思います。これは詳しくでなくても、一応できているならできている、成案を得つつある、これくらいで御答弁いただければ結構でございます。
  34. 谷川和穗

    谷川国務大臣 幸いにいたしまして、わが国の場合には今日平和欠落の状態に追い込まれるというような緊迫したところへ立ち至っておりませんが、御指摘のように、こういう時期にこそ、常に有事を想定しながら法制の研究においても努力すべきであるというふうには考えております。  しかし何分、実を言いますると関係するところが多々ございまして、これは半分言いわけだというふうにお聞き取りになるかもしれませんが、第一分類についてはすでに細部の検討を行ったわけでございますが、第二分類の他省庁所管の法令につきましては、実は防衛庁としての立場から問題点の拾い出しに重点を置いて今日まで検討を続けてまいりまして、この問題点の抽出については防衛庁としての立場からある程度の拾い出しはもうすでに完了いたしておりますが、関係法令の条文の解釈や、有事の際の適用関連関係を関係省庁に照会するなどの作業に相当の時間をいま要しておるところでございます。  ちなみに、関係法令は数において約五十、関係省庁は数において約十と相当多岐になるため、検討成果を得るためにはまだいましばらく時間をちょうだいしなければならぬ状態がと存じております。もちろん鋭意努力をいたしまして、今後ともこの検討を進め、まとまり次第、国会を通じ国民の皆様方にも明らかにしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  35. 堀之内久男

    堀之内委員 ただいま第二類については鋭意検討を進めておるということですが、これは前からも検討は進めていらっしゃることだとは存じておりますし、各省にまたがりますので、大変厳しいこともわかります。そこで、これはなかなか防衛庁だけでできるものでないということもわれわれも承知をいたしておりますので、ぜひこれは総理府、官房長官あたりのところで何とか早急に進める方法をやらないと、どうもほかの省は、はれものにさわるような気がいたしまして、さわらぬ神にたたりなしで、事防衛となると野党の先生方からつつかれるものだから、もう逃げの一手でやっているのが今日の状況だと思う。それが一向にこの第二類の有事法制の検討が進まない大きなゆえんであると思います。幸い中曽根総理は国防問題についてはきわめて厳しい識見を持って対応し、臨んでおられるわけでありますから、中曽根内閣のときにこの有事法制の検討が進まなければ、これからの総理大臣はあるいはそれ以上の方もおられるかとは存じますが、現在までの状況ではなかなか進まなかった、これはもう事実であります。だからこの点、さらに長官の御努力を御希望申し上げておきたいと思います。  さらに、これからもう一つお尋ねしますのは基地問題でございますが、基地は、申すまでもなく、自衛隊並びに在日米軍あるいは太平洋にプレゼンスするアメリカ艦隊の活動の拠点になるわけでありまして、防衛に欠くことのできない最大の問題であります。したがって、自衛隊及び米軍がその機能を十分発揮するためにも、基地周辺住民の理解と協力を得ることがまず肝要でございます。その中で、いろいろ努力はされておるわけでありますが、週辺住民の生活に大きな影響を及ぼしておるものが飛行場周辺の飛行機の騒音でございます。  この航空機騒音の問題については、昭和四十八年十二月、政府は、公害対策基本法第九条に基づいて、航空機騒音に係る環境基準等々を示されました。その達成期間も定められたところであります。そこで、この騒音にかかる環境基準によりますと、自衛隊が使用する飛行場についても、当然公共用の飛行場の区分に準じてこれを達成しなければならないことになっておりますが、いよいよこれが昭和五十八年十二月に到来ということになっております。したがって、最近のそうした周辺の航空機騒音に対する整備状況と、今年十二月にその達成基準が示されておりますが、それが達成できるのかどうか、これをお尋ねしておきたいと存じます。
  36. 塩田章

    ○塩田政府委員 お答えを申し上げます。  航空機騒音に係る環境基準につきましては、自衛隊が使用します飛行場についても、ただいま御指摘がありましたように、公共用飛行場の区分に準じて所定の期間内に達成されるように努めるということにされておりまして、われわれも努力してまいったところでございます。  ただ、自衛隊の飛行場の場合は、公共用の飛行場と違って特殊な事情がございます。と申しますのは、たとえば音源対策でありますとかあるいは運航対策といったような問題につきまして、一般の民間用航空機と同じような対策がとりがたいという面がございまして、環境基準の達成そのものの対策が十分にとりにくいといった状況がございます。そこで、防衛施設庁といたしましては、住宅防音工事等を実施することによりまして、その同じ環境基準で示されております改善目標である屋内環境の維持ということに極力努めてまいっておるという状況でございます。  その状況を申し上げますと、防衛施設庁が実施いたします住宅防音工事の対象となる世帯は膨大な数であるために、私どもといたしましては、まず、一室または二室の工事をできるだけ重点的に実施するということに当面の目標を置いて努力をしておるところでございますが、まずは八十五WECPNL以上の区域につきましては、昭和五十五年度までに希望のあった世帯はすべて完了いたしておりまして、その後希望があった世帯はその都度実施するということで、八十五以上はまず達成しておると申し上げてよろしいかと思います。次の八十WECPNL以上八十五未満の区域の一室または二室の工事につきましては、これを昭和五十四年度から実施いたしておりますが、五十八年度中に約八〇%実施できるという計画で現在進めておりまして、これをさらに延ばしまして、五十九年度末にはおおむね完了するというところに持っていきたいというふうに考えております。  ただいま申し上げたのは八十以上でございますが、七十五以上につきましては、残念ながら必ずしも進んでおりませんで、五十七年度から実施いたしておりますけれども、今後とも引き続き重点を置いて努力をしてまいりたいと思っております。  なお、いわゆる全室化、一室、二室じゃなくて全室を希望されるという方につきましても逐次工事を進めておりますが、これも八十五WECPNL以上の区域につきましては、昭和五十八年度までに約四〇%が実施できるという見込みでございます。  以上申し上げましたような状況でございまして、環境基準に掲げます改善目標期間がことしの十二月二十六日まででございますので、その間にすべてを完了させるということはきわめて困難であるというのが実情でございます。  当庁といたしましては、こういった財政事情ではございますけれども、住宅防音対策については超重点を置いて予算を要求いたしておりますし、今後ともその努力を続けてまいりたいと存じております。
  37. 堀之内久男

    堀之内委員 施設庁におかれても最善の努力をされておる状況についていま御説明賜りましたけれども、運輸省が所管する民間空港においては、これはよく比較されるものだから、われわれも防衛に携わる一人としてその点は大変心苦しい弁解をせざるを得ないのが状況であります。したがって厳しい予算の中でありますので防衛庁皆さん方も挙げてこの点については御苦労されておるわけでありますが、今後最大の努力をいただきまして、民間空港にも劣らないような形でなるべく努力をいただくように、これは希望を申し上げます。ただ防衛庁だけにやれやれと言うだけでは進まないわけでありますので、われわれもまたサイドの方から大きくこの予算獲得に努力をいたして、基地周辺の皆さんに本当に防衛の必要性を理解いただきながら協力をいただくにはどうしてもこれを整備する以外にはないわけでありますので、今後とも防衛庁の御努力と同時に、われわれもそうした協力を約束いたします。  この機会に、さらにもう一つ。  防衛庁で最近一番問題になっておりますのは厚木基地だと思うのです。これはいまさら申し上げる必要ありませんが、これも一気に解決できる問題じゃありませんけれども、これは長官、私は一施設庁でやれと言うのではなくて、防衛庁だけでもできないと思うのです。防衛庁だけでこの厚木基地の解決はとても無理だと思う。政府全体の課題として、日本の国防の問題の基本としてお考えいただいて、ぜひこれは政府を挙げてこの厚木基地の代替基地を解決するという方向で今後政府部内で取り上げていただかないと、あれだけのソ連軍に対抗してプレゼンスとして米軍の太平洋艦隊を充実してもらう、やはりそれは何ば航空母艦が参りましても、パイロットの訓練をせずにして積んでおったのではこれはもう有事の戦力は発揮できないわけでありますから、これはたゆまない訓練努力が必要であります。そのためにもこの厚木基地は非常に大きな役割りを果たしておるわけでありますので、このことについてもあわせて強く要望を申し上げて、今後とも、長官を先頭に防衛庁はもちろん、そして政府を挙げてこの厚木基地問題の解決に御努力をいただけますように、もちろんわれわれも与党の国会議員としても協力は惜しまないわけでありますので、これは希望を申し上げて、終わりたいと思います。  最後に、防衛二法の改正に当たりまして私はいつも考えることでありますが、むずかしいということは聞いておりますが、しかし、これは工夫によって何かできるのじゃないかとも思うのです。陸上自衛隊は総定員法で十八万人と一応枠が決められて、そしていま十五万五千人ぐらいが、予算枠で少しずつ伸ばしていただいておる。ところが海上と航空自衛隊は、新しく船ができるたびに、新しく飛行隊ができるたびにこの防衛庁設置法自衛隊法の改正をして、千人なり八百人なりの定員増をしていかなければならない。このことでこの内閣委員会は、防衛庁も御苦労されておると私は思いますが、委員会自体も似たようなことでしょっちゅうやらなければならないということには何か不合理を感じておるわけであります。これも陸上自衛隊と同じように「防衛計画大綱」に従って日本の海上、航空の整備がなされるわけで、おおよその見当はつくはずです。そんなに大幅にこれは狂うものではないと思うのです。いまのDDあるいはDGをつくるのに、将来一万トンぐらいの重巡の巡洋艦をつくるのに、そんなに計画が突然出てくるはずはないわけであります。私は、現在の海上自衛隊の規模あるいは航空自衛隊のこうした規模から考えるときに、将来の定数というものは大体予測できると思います。したがって、これを総定員法の枠を決めて、そして将来は予算措置で毎年新鋭艦ができればその分だけの定員をふやしていく、こういうような方法はとれないのかどうかということでお尋ねをしておきたいと思います。
  38. 矢崎新二

    ○矢崎政府委員 ただいまお話のございました海上自衛隊、それから航空自衛隊の場合にも、陸上自衛官の場合と同様に定数についての基本的な大枠を示しまして、その枠組みの中で装備の調達等に伴う定数のスクラップ・アンド・ビルドを行っていくというふうなお考えかと思いますが、確かにそれも一つの考え方ではあろうかというふうに。思います。  ただ、陸上自衛隊の場合と海上、航空自衛隊の場合とはかなり違った面があるように私どもは思っております。と申しますのは、海上や航空自衛隊の場合は、陸上自衛隊が人が防衛力の中心であるという性格を持っておりますのと異なりまして、防衛力の中核というものが艦艇とか航空機等の装備の数で決まってくるというような性格を持っておるわけでございます。したがって、この艦艇なり航空機等の運用に必要な自衛官の数というものは、やはり装備の更新、近代化によって変動していくという性格のものだと思っておるわけでございます。したがいまして、こういった艦艇なり航空機の数が果たして幾つ整備されるか、また、整備された場合にそれぞれのものに必要な数が幾らかといいますのは、かなり個別にまた積み上げを要することにもなるわけでございまして、そういった将来の装備の数を将来の予算におきまして毎年度本来は決めるべき性格のものでございますので、そういったものをあらかじめ先取りをして決めていくということも非常にむずかしいかというような問題があるように思うわけでございます。そういう意味で、大綱水準を維持するために必要とする海上なり航空自衛官定数をあらかじめ積み上げて固定的に示すということには、非常に困難な面があるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  39. 堀之内久男

    堀之内委員 これはこれ以上質問するつもりはありませんが、しかし防衛局長答弁で、陸上は人である、海上と航空は物である、こう言われますが、私はその解釈には納得ができないわけです。いまの陸上は、確かに人であることには間違いないが、これは音と今とは全然違うのです。やはり物が中心の陸上自衛隊にしていかなければ、人間は消耗品であったという時代は大東亜戦争以前の問題であって、これからはやはり物なんです。これは陸上も海上も航空も全く現実変わらないと思いますが、私は、そのたびにこうして出てきて皆さんが苦労するから、あなた方の時代に後輩のためにちゃんとしておけば、昔のあのときの長官以下局長は偉かったということで後輩も喜ぶだろうと思って申し上げたわけでありますが、私には痛くもかゆくもないことですから、これ以上は申し上げません。  きょうは、さらに機密保持等について、いわゆるスパイ防止法についてもお尋ねしたいと思っておりましたが、もう時間が来たようでありますので、これできょうは質問を終わりますけれども、一つだけこの機密保持について希望を申し上げておきます。  ということは、日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法というのがあるということを私も数日前知りました。これによると、一番重いのは十年以下の懲役、その次が五年以下の懲役、その次が三年以下の懲役なんです。この法律が日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法となっておりますが、これを自衛隊法にも適用できないのか、もうちょっと研究していただき、さらに、できれば国家公務員法にもこれを適用するような方向で行けば、この前のような宮永事件でだった一年で無罪放免じゃ、私は本当の国の秘密保護というのはできない、かように思います。  たまたまいま産業スパイが起きて、藤沢薬品でありますか、これは産業間でも大変な混乱を招いているときであります。国民世論としてもこの際こうした機密保護というのはいかに大事なことかということが認識をされつつありますので、野党の諸先生方の理解も得ながらやらなかったら処罰しないのだから、やったやつはこれだけの処罰をするよと、法律で少なくとも十年ぐらいはやらないと、国の安全を脅かすような者を十年ぐらい豚小屋にぶち込むことは当然だと思うのです。私は日本法律にないかと思いましたら、日米相互防衛援助協定の方にはちゃんとあるわけです。だから、この点をこの際十分研究をしておいていただき、われわれも今後党の部会等でも勉強させていただきますので、これは要望を申し上げて、私の質疑を終わらせていただきます。
  40. 橋口隆

    橋口委員長 次回は、来る六日木曜日午前九時三十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時五十九分散会