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山口説明員 婦人の年金保障の問題でございますが、現行の
制度の中で婦人の年金保障について非常に問題があるんじゃないか、不十分な点もあるんじゃないかという御指摘がいろいろございます。
簡単に整理いたしますと、
一つは、年金というのはそもそも夫婦単位で
考えていくべきなのか、
個人単位で
考えていくべきなのかという問題がございます。現行の年金
制度におきましては、被用者年金につきましては夫婦単位で
考えるという構成がとられておりますのに、国民年金につきましては
個人単位。しかも、任意加入
制度を認めているということでございますので、その結果、世帯としては幾つも、何人分も年金をもらうというような問題も出てまいりますし、また任意加入をしておられない奥様方には、場合によっては無年金になってしまうというような問題がございます。したがいまして、これは、わが国の年金
制度を将来夫婦単位で
考えていくのか、あるいは
個人単位の年金にしていくのかという年金の基本的な問題について整理をいたす必要が
一つございます。
それからもう
一つは、給付の水準を
考えます場合にも、老夫婦としての世帯の水準をどの
程度にするのかという目標設定をしていくのか、あるいは
個人単位にばらばらにしてしまって水準を
考えるのかというようなことで、水準設定等とも
関連をいたしてまいります。そういう
意味で大変大きな問題でございますけれども、御指摘いただきますようにいろいろ問題点があることも事実でございますし、わが国の年金
制度、いま再編成のための準備をしておりますけれども、婦人の年金問題にどう対応するのかという方向づけをしない限り年金
制度の再編成の方向も決まらない、そういう大きな問題だというふうに受けとめております。
関係の審議会におきましても、基本的にはすべての婦人に年金権を確立をする方向で
制度改革に取り細めという御意見をいただいておりますので、大変むずかしい問題がございますけれども、次の
制度改正の中でこの問題についてぜひ整理をしていきたいということで、いま検討をいたしております。具体的な方向はまだお示しできませんけれども、十分意識をして作業をいたしております。
それから、国民年金の支給開始年齢との
関係で、いわゆる繰り上げ支給の方がどれくらいかということでございますが、大体七割ぐらいの方が繰り上げ支給を受けておられるというのが実態でございます。
この
制度の趣旨は、そもそも国民年金というのは自営業、農業の方を対象にした
制度でございますから、サラリーマンの場合とは支給開始年齢等についても下がってやむを得ないのではないかということで
制度ができておるわけでございますけれども、現実には厚生年金が六十歳になっておりますので、国民年金の階層の方たちでも六十からぜひ年金が欲しい、また、いただかないと生活もなかなかできないというような方もおられるだろうということで、そういう特別な事情がある方については、サラリーマンの年金との均衡からいっても、六十歳からの支給を認める
制度を設けざるを得ないだろうということでこの
制度ができておるというふうに理解をしておるわけでございますが、現実には、先ほど先生の御指摘がありましたように、もらえるものはできるだけ早くいただいた方がいい、それから、生活の糧というよりはお孫さん等に何かお小遣い等も差し上げたい、それから、周りの人がみんなもらっておるというようなことで受けておられる方が相当多数おられるというのが私どもの
調査でもわかっております。そういたしますと、
制度を置きました本来の趣旨とちょっと違ったところで機能しているということでございまして、審議会等でも、この
制度についてはちょっと見直した方がいいのじゃないかという御議論もございます。ただ一方で、こういう
制度を存続させるべきだという御要請も大変強いものでございますから、私ど
もといたしましては、年金というのは本来、生活の糧がなくなったときに本来の年金を六十五歳から受給をしていただくというのが望ましい、また、それを前提にして水準等も
考えておりますので、そうしていただきたいということで、いろいろPR等をしておりますけれども、まだまだ不十分な面がありますので、
制度は
制度といたしましても、そういう趣旨は今後とも十分PRをしてまいりたいと思っております。