○正
森委員 いまの課長の御
指摘は、その限りでは正しいと思いますね。私もあなたの
議論はそうだと思います。しかし同時に、私が申し上げたことも、数字その他正確であるということはおっしゃいました。
大臣に申し上げますが、日本は欧米と違いまして、特に
年金というものを考えますと、これからまだまだ成熟していくということで、欧米のように完全に成熟していないんですね。そして老齢化人口は、六十歳以上にするか六十五歳にするか
議論はあるにしても、統計上もますますふえていくことは非常にはっきりしているんで、こういう事態に対して、われわれ国政に関与する者が、長年御苦労なさったお年寄りが老後不安を抱かなくてもいいような年全体系をどういうぐあいに考えていくかということは、知恵を寄り寄り出して考えていかなければならないことで、その問題は、いま現に
法案として出ております、当面
国鉄の
共済の危機をどういうぐあいに救うかということにとどまらず、非常に重要なことであるというように考えて問題提起をしているわけですね。
そういう点から言いますと、この間、九月十五日に「老人の日」がございました。そこで、約十名のお年寄りの方が代表してなかなかりっぱなスピーチをなさったんですね。そのスピーチを私はほとんど全部拝聴しておりましたが、その中で何人かの老人は、やっぱり老齢になっても働ける間は働ける職場が欲しい、そのことによって自分自身の生きがい、誇り、そして収入というようなものが両立するというような
意見表明がございまして、満場におられたお年寄りが一斉に拍手をしておられるというような状況がありました。
私どもは、それだからといって、
年金支給開始
年齢をどんどんと高齢にしろということを決して主張するわけではございませんけれども、元気で働ける老人が、六十歳になったからやめなければならないというんではなしに、やっぱり老人にふさわしい職場を延長して、少なくとも六十三歳、六十四歳、場合によったら六十五歳までというように考えていくことは、そしてそういう場合に
年金の支給をどう現役の給与と関連させていくかということは非常に大事なことであると思います。
同時に、結局この
年金の問題は、現役世代と老齢化世代との、ある
意味での世代間の利害をどう調整するかという問題ですから、元気で第一線で働いている若者の可処分所得より
年金が高くなるとかいうことになれば、これは労働意欲の点からいっても問題がありますので、そういう点は十分調整していかなければならないと思いますけれども、そのやり方は、やっぱりお年寄りの、一生懸命働いてこられた方々の老後を、生活できるようにいろいろ配慮していくという方向でなければならないというように思います。
次の論点に移りますが、時間がだんだんなくなってまいりましたので……。
保険料が非常に高くなる高くなるということを言われるんですね。いま課長が言われた数字も、いま数字を探しましたら出てきました。三四・何%、一定の仮定を置いてですよ、というのが出てきました。そのことから逆算して
保険料が非常に高くなければならぬという
議論なんですが、これについても私は前提があると思うのです。たとえば
厚生年金の場合には、いま従業員と
企業が半々で持っているんですね。こういうところは世界でも余りないんではないかということをやっぱり
指摘せざるを得ないんですね。ごく大ざっぱな
議論でございますが、多くの先進諸国の
年金保険料の労使
負担割合は、フランスは三対七・五、もちろん使用者が七・五ですね。イタリアは六・九対
一三・七五、イギリスは五・七五対八・七五というように、事業主
負担が非常に高目に設定されているんですね。こういうように変えますと、従業員の
保険料をそう急速に上げないでも賄える場合があり得る。
別の面からいいましてもそうでございまして、これはILOの「ザ・コスト・オブ・ソシアル・セキュリティー」という統計でございますけれども、それを見ますと、「各国の
社会保障費用負担区分」というのがあります。これで見ますと、たとえば西ドイツの場合には、全体を一〇〇といたしますと、被
保険者が二九・二で事業主が四二・九、フランスは被
保険者が一八・八で事業主は七〇・二、イタリアは被
保険者が一四・四で事業主は六一・八というようになっているのですね。これは一九六七年から一九七一年をILOでまとめたものです。
わが国はどうかといいますと、厚生省企画室の「
社会保障給付費」一九七七年七月ですが、被
保険者が二五・三で事業主が二九という統計が出ているのですね。これは公費
負担も全部含めて、これを一〇〇としたものでの比率です。こういう数字が出ております。
あるいは別の統計もございまして、「主要国の労働
費用の構成」というのがあるのです。この中で、私がいまから引用しますのは、一九七五年の「レーバー・コスト・イン・インダストリー」というECの統計局の統計ですね。わが国の場合には、労働省の「労働者福祉施設
制度等
調査」というものですが、それを見ますと、使用者が払っている法定福利費、これの比率ですが、日本の場合は、労働
費用全体を一〇〇といたしますと、賃金部分が異常に高いのですね、八六とか八四とか。そして法定福利費というのは非常に低くて、一九八一年をとりましても一〇〇のうち七。四なんでTね。ところが、西ドイツは法定福利費が一〇〇のうち一七、あるいはフランスの場合は二三というようにECの統計局ではなっています。このことは、非常に使用者が
——私は資本家という
言葉はあえて避けますけれども、使用者が結局労使折半ということで、諸外国の文明国に比べて非常に
負担の程度が少なくて済んでおる。そのことが結局労働者の
保険料を非常に高くしておるということになると思うのですね。しかも、そういうように使用者は恩典を得ている上に、従業員等が納めた
厚生年金、これは現在では四十兆を超える撮み立てがあるのですが、それを主として
大蔵省を通じて、自分自身のいろんな利益になる事業のために、財投資金等々として使っておるというようなことになりますと、これはわが国の
年金を考える上でも非常な反省を要することではないかというように思わざるを得ないのです。
そこで、えらい申して失礼ですが、
厚生年金の積立金でも四十兆あるのですが、これの利回りを考える場合に、これはいずれは賦課方式になりますから、積立方式は消えていくと思いますが、その利回りをどういうぐあいにするかというのは非常に大事な問題である。五・五%にこだわっていくというようなことは必ずしもする必要はないのではないか。民間よりは低くなければならないけれども、五・五%というように非常に低くして、それでしか運用できないということになれば、いまでこそインフレ率が少ないけれども、インフレ率の高いときには非常な目減りをしたということは非常にはっきりしているのですね。そういう問題についていかがお考えになりますか、お伺いいたしまして終わりたいと思うのです。