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1983-09-27 第100回国会 衆議院 大蔵委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和五十八年九月八日)(木曜日 )(午前零時現在)における本委員は、次のとお りである。   委員長 森  美秀君    理事 越智 伊平君 理事 大原 一三君    理事 中西 啓介君 理事 中村正三郎君    理事 伊藤  茂君 理事 野口 幸一君    理事 鳥居 一雄君 理事 米沢  隆君       麻生 太郎君    今枝 敬雄君       粕谷  茂君    木村武千代君       熊川 次男君    小泉純一郎君       笹山 登生君    椎名 素夫君       塩川正十郎君    白川 勝彦君       平泉  渉君    平沼 赳夫君       藤井 勝志君    森  喜朗君       森田  一君    柳沢 伯夫君       山崎武三郎君    与謝野 馨君       阿部 助哉君    上田 卓三君       塚田 庄平君    戸田 菊雄君       広瀬 秀吉君    堀  昌雄君       武藤 山治君    柴田  弘君       正木 良明君    玉置 一弥君       正森 成二君    簑輪 幸代君       小杉  隆君 ————————————————————— 昭和五十八年九月二十七日(火曜日)     午前十一時五十分開議 出席委員   委員長 森  美秀君    理事 越智 伊平君 理事 大原 一三君    理事 中西 啓介君 理事 中村正三郎君    理事 伊藤  茂君 理事 野口 幸一君    理事 鳥居 一雄君 理事 米沢  隆君       麻生 太郎君    今枝 敬雄君       粕谷  茂君    木村武千代君       小泉純一郎君    椎名 素夫君       塩川正十郎君    白川 勝彦君       平泉  渉君    藤井 勝志君       森  喜朗君    柳沢 伯夫君       山崎武三郎君    与謝野 馨君       阿部 助哉君    塚田 庄平君       戸田 菊雄君    広瀬 秀吉君       堀  昌雄君    武藤 山治君       柴田  弘君    玉置 一弥君       正森 成二君    簑輪 幸代君       小杉  隆君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 竹下  登君  出席政府委員         大蔵政務次官  塚原 俊平君         大蔵省主計局次         長       保田  博君         大蔵省理財局長 西垣  昭君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 棚橋  泰君  委員外出席者         厚生省年金局年         金課長     山口 剛彦君         厚生省年金局資         金課長     熊代 昭彦君         日本国有鉄道常         務理事     三坂 健康君         日本国有鉄道共         済事務局長   岩崎 雄一君         大蔵委員会調査         室長      矢島錦一郎君     ————————————— 委員異動 九月十九日  辞任         補欠選任   堀  昌雄君     佐藤 観樹君   正木 良明君     矢野 絢也君 同日  辞任         補欠選任   佐藤 観樹君     堀  昌雄君 同月二十日  辞任         補欠選任   矢野 絢也君     正木 良明君 同月二十七日  辞任         補欠選任   与謝野 馨君     山中 貞則君 同日  辞任         補欠選任   山中 貞則君     与謝野 馨君     ————————————— 九月八日  所得税物価調整制度に関する法律案堀昌雄  君外七名提出、第九十六回国会衆法第三号)  国家公務員及び公共企業体職員に係る共済組合  制度統合等を図るための国家公務員共済組合  法等の一部を改正する法律案内閣提出、第九  十八回国会閣法第五三号) 同月二十日  国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に  伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案  (内閣提出第六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  小委員会設置に関する件  国家公務員及び公共企業体職員に係る共済組合  制度統合等を図るための国家公務員共済組合  法等の一部を改正する法律案内閣提出、第九  十八回国会閣法第五三号)      ————◇—————
  2. 森美秀

    森委員長 これより会議を開きます。  まず、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  国の会計に関する事項  税制に関する事項  関税に関する事項  金融に関する事項  証券取引に関する事項  外国為替に関する事項  国有財産に関する事項  専売事業に関する事項  印刷事業に関する事項  造幣事業に関する事項 の各事項につきまして、今会期中国政に関する調査を行うため、議長に対し、国政調査承認要求を行うこととし、その手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 森美秀

    森委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  4. 森美秀

    森委員長 次に、小委員会設置に関する件についてお諮りいたします。  理事会において協議いたしましたとおり、それぞれ小委員十六名よりなる  税制及び税の執行に関する小委員会  金融及び証券に関する小委員会  財政制度に関する小委員会  金融機関の週休二日制に関する小委員会を設置することとし、各小委員及び小委員長委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 森美秀

    森委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  小委員及び小委員長は、追って指名の上、公報をもってお知らせいたします。  なお、委員異動に伴う小委員及び小委員長補欠選任並びに小委員及び小委員長辞任の許可、それに伴う補欠選任につきましては、あらかじめ委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 森美秀

    森委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  7. 森美秀

    森委員長 国家公務員及び公共企業体職員に係る共済組合制度統合等を図るための国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  お諮りいたします。  本案の提案理由説明につきましては、第九十八回国会において聴取いたしておりますので、この際、省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 森美秀

    森委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————  国家公務員及び公共企業体職員に係る共済組合   制度統合等を図るための国家公務員共済組   合法等の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  9. 森美秀

    森委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。正森成二君。
  10. 正森成二

    ○正森委員 共済組合制度統合法案に対して質疑をさせていただきます。  これまで同僚委員から、国共審における混乱の原因及び答申までの審議経過とかさまざまな問題について、私も拝聴させていただきましたが、非常に真剣な論議が行われました。私は、審議経過等については、時間の関係もございますので、いろいろお聞きしたいことがございますが、重複を避けて省略したいと思います。これから数点について伺いますが、それについてもすでに一、二の議員がお聞きになった点があるのは非常に遺憾なのですが、多少質問の観点も違いますので、重複の点はお許し願いたいと思います。  まず第一に伺いたいと思いますが、今度の法案国鉄共済が事実上、言葉は悪いですけれどもパンクをする、それを、将来展望は別として、似通ったところが統合することによって救済するということからそもそもは出てきたというように言われておりますが、そういうように国鉄共済が非常に早くパンクしたという原因がどこにあったと思われますか、念のためにもう一度重ねて伺いたいと思います。
  11. 三坂健康

    三坂説明員 国鉄共済財政悪化いたしました原因は、他の年金共済制度に共通な問題と国鉄に独自なものと二点に分かれるかと思います。  第一の、他の年金制度に共通な問題といたしましては、やはり毎年のインフレスライドによりまして年金不足財源が増大していくということでございます。  次に、国鉄固有の問題といたしましては、国鉄成熟度が異常に高度化いたしまして、今年度にはほぼ一〇〇%に達するかと思われるわけであります。この成熟度が非常に高度化いたしました原因は、一つには、国鉄輸送量が年々激減をしてまいりまして、これに対応して職員数合理化減少を来しておるわけでございますが、さらに国鉄財政健全化のために、六十年に向けてその再建計画で要員を縮減する計画を立てておることが一つでございます。第二点は、戦争中、戦後に非常にたくさんの人間を採用いたしまして、その方たちがちょうど退職時期を迎えております。平均的ですと、四十万の国鉄の規模では毎年一万一千人くらいの退職人員が理想とされておるのでありますが、現在は毎年二万人を超える大量の退職者が発生しておりまして、これがすべて新規年金受給者となるわけでございまして、それらの点によりまして国鉄年金財政が急速に悪化をいたしておるわけでございます。
  12. 正森成二

    ○正森委員 いま国鉄の方から答弁があったわけですが、その点は国鉄自身も非常によく知っているところで、特に戦争中からの遺産の引き継ぎという点については——おたくの国鉄共済事務局管理課長長野さんという人がいますか、もうやめましたか。
  13. 三坂健康

    三坂説明員 長野新幹線総局の方に転勤をいたしております。
  14. 正森成二

    ○正森委員 その方が「季刊人事行政」の一九八三年一月号に指摘しておられるのですが、こういう言葉で言っておられます。  現在国鉄は、戦前から戦中にかけて大量に採用した職員退職時期をむかえている。   当時、国鉄応召外地派遣の補充と戦時輸送力増強のため大量の新規採用を行ない、  戦後しばらくの間も、復員者外地引揚者の吸収を行なった。このため職員構成上大きな歪みが  発生したが、これらの職員が五十三年から十年。間の間に年平均二万人のペースで退職してい  る。このことが成熟度を急速に高めつつある大きな要因となっている。   他方、組合員職員)は年々減少を続けている。新法が施行された昭和三十一年の時点で四  十九万人が現在四十万人を割り、六十年には三十二万人に落とすよう計画を推進中である。 云々、こういうように言われているのですね。  そうすると、これは両方とも共済組合自身の問題ではなしに、戦時中の問題はまさにあの太平洋戦争国策遂行のためである。戦後の問題、特に現在の三十二万人に落とそうというのは、国鉄合理化あるいはモータリゼーション影響をもろに受けたことが原因であって、共済組合自身自助勢力が足りないという問題ではないのですね。ですから、こういう問題についてはやはり政府が考えていかなければならない問題であるというように思うのですね。  さらに今度は、共済組合ではなしに国鉄本体についても伺いますが、国鉄本体につきましても、この共済組合をどうするか、あるいは給付金をどうやって賄うかという点については非常に困難な問題が多々あると思うのですね。本来国の責任であるべきものが国鉄給付負担になっておるという問題について、御意見があろうかと思いますが、国鉄から御遠慮なく意見を述べてください。
  15. 三坂健康

    三坂説明員 先生御指摘のとおり、その年金負担金国鉄財政にとりまして大変大きな問題でございます。昭和五十七年度の決算におきまして、追加費用三千六百九十二億円、事業主負担金九百九十七億円、これは国庫負担当分も含んでおりますが、それらを合わせまして四千六百八十九億円の多額に達しておりまして、これは再建途上国鉄にとりまして大変な重荷であることは事実でございます。また、今回の統合法案によりまして、新たに公的負担給付負担切りかえ、あるいは追加費用当年度払い等を実施することによりまして、六十年度から六十四年度までの五年間に一年平均で約千五百億円程度の費用が増加をすることになります。  国鉄といたしましては、従来からも巨額な年金負担を何とかしていただきたいということを政府にお願いをいたしておったわけでありますが、国鉄再建監理委員会が本年度六月発足をいたしまして、この場におきまして国鉄経営上の非常に大きい問題でありますこれらの年金負担財政をどうするかということが、今後御審議いただけるものと考えております。
  16. 正森成二

    ○正森委員 竹下大蔵大臣、御苦労さまでございます。いかに職務とはいえ、昼の休息もなしにおいでになりまして。ただ、お体は大事にしていただかなければなりませんので、最小限の自然現象の場合にはどうか御退席いただきましても、私の方は結構でございますから、あらかじめ申し上げておきます  いま御答弁があったのですけれども、国鉄年金関係負担昭和五十九年には約六千億円にも達するというように言われているのですね。  そこで大蔵省に伺っておきたいと思うのですが、これも長野さんの論文から引用させていただきますが、追加費用についてこう言っているのです。   追加費用昭和三十一年以前の恩給及び旧法時代給付に対する負担金である。鉄道院鉄道省時代に、他の官庁と同様に国塚職員に対して約束した恩給等給付義務国鉄が継示したものと云える。よく云われる満鉄引揚げや、戦時中の応召による外地鉄道期間軍人期間等もこの中に含まれている。これらの給付国鉄共済負担にはなっていないが、国鉄財政にとって大きな負担となっている訳である。   戦後一時は六十万人にも達した職員数も、間もなくその半分になろうとしている。この小さくなった国鉄が、過去の満鉄等をも含めた鉄道省時代の大きな義務を継承することは極めて困難なことである。   かりに国鉄を民営にすると云うのであれば、それを引き受ける経営者は当然これらの負担を除外してくれと主張するに違いない。臨調でもこの問題が大きくとり上げられた訳であるが、これらの追加費用負担の全額もしくは一部妥当な負担金額を超えるものは当然国庫負担して然るべきものであろう。 こう言っております。  これは私は、決して国鉄が身びいきを言っているのではなしに、きわめて筋の通った議論であるというように思うのです。大蔵省は、余りにも、国鉄国有鉄道であるということで、国が本来責任を持つべきことについて国鉄に甘え過ぎているのではないですか。
  17. 保田博

    保田政府委員 国鉄共済組合財政悪化ということの原因につきましては、いろいろありますけれども、国鉄特有原因があります。これにつきましては正森委員指摘のとおりだと思います。しかしながら、そのウエートがどこにより大きいかということになりますけれども、われわれとしましては、基本的には給付負担という関係が長期的にやはり安定したものではない、負担に比べて給付が過大であるという。ことであります。それから、年金保険基礎一つ企業に求めているということ、その企業を取り巻く環境の変化が企業経営に対して非常に大きな影響を与えているということ、それが結果として、親ガメが転げればといったようなことにもなっているのではないかと思うわけであります。  したがいまして、その特別な負担が多少あるかもしれませんけれども、やはり基本的には、年金基礎を個別の企業体を中心としたものに置くことなく、いろいろな保険がまとまりまして、国民経済全体の総合保険の考え方でやっていくべきではないか。安易に国の負担に行きますと、結果としてこれはまた国民税金ということで、国民負担を非常に重くさせるわけでもございますし、われわれとしては社会保険制度を拡大することによって救済を行うべきである、こういうふうに考えております。
  18. 正森成二

    ○正森委員 いまの保田次長答弁には二つ問題点があると思うのですね。  一つは、給付が過大であったと言われますが、三公社については大きな差異はない。それなのに国鉄だけがこういうぐあいに危機的な状況になったのは、いま私が指摘したほぼ二点ほどの、国鉄特有国策によるゆがみがあったわけで、それは単なる個別企業責任ではないということを申しておかなければならないと思うのですね。  それからまた、保険財政がいろいろ苦しくなったときに、被保険者集団を大きくすることによって切り抜けていくというのは、保険学といいますか、保険の一番基礎であって、たとえば炭鉱の坑内夫がかつて三十万を超えていたのがいま三万そこそこである、だけれども、だれも年金をもらうことについて心配をしていないのは、厚生年金全体という大きな被保険者集団の中で守られているからで、それは保険理論から言って当然なんですね。しかし一般論として、そうであるからといって追加費用というような、一般厚生年金なんかにもないような特殊なもの、当然国家が補てんすべきものを一つ企業に負わせていくということを正当化することはできないのではないかという念を禁じ得ないですね。特にその点は、国庫負担分国鉄に負わせているということにおいて非常にあらわれていると思うのです。国庫負担分というのを国有鉄道なるがゆえに負わせていくということは、いかな谷意味から言うても均衡を欠いておるのではないですか、その年金というのが社会保障制度であって労務管理ではないとすれば。そういうことが言えるんではありませんか。
  19. 保田博

    保田政府委員 公企体共済組合の場合に、公共企業体公経済主体といった立場から費用負担しているわけでございますが、この点につきましては、公共企業体が、その沿革及び企業の態様、さらには事業収入の性格といったようなことを考えまして、所属する職員に対する関係公経済主体としての責任を負うということは、またやむを得ないことではないか、こういうふうに考えます。
  20. 正森成二

    ○正森委員 今井一男さんという人がおられますが、その方はどういう役職をしておられる方ですか。
  21. 保田博

  22. 正森成二

    ○正森委員 正確に申しますと、国家公務員共済組合審議会会長ですね。同時に、社団法人共済組合連盟会長でもありますね。この今井一男さんがいろいろなところで論文を書いておられますが、その中で、大蔵省のいわゆる公経済論というのを、こういう責任あるポストにいる方が痛烈に批判しているということは御存じですか。  念のためにその論文を読み上げます。これは共済新報の五十七年八月号「共済年金基本問題研究会を終えて」という論文であります。その中でこう言っておられるのですね。「国庫負担について若干述べる。」こう言われまして、三行ほど省略しますが、「大蔵省公経済論理由の保乏しいことは、いまさらのように痛感された。」よく聞いておきなさいよ、保田さん。  戦前には、特別会計公企体公経済としてこれに負担させても、それなりに根拠があった。  だがいまはちがう。労働管理ではなく、社会保障だからである。社会保障となると再分配が重点となるから、どうしても税から賄わなければ、理屈は通らない。新日鉄日立日銀から各種公団までが、その年金の二割をわれわれの納める税金で支弁しておきながら、鉄道、煙草、電話利用者だけに、この特別な負担がかかるとは、どうあっても不公平であって承服しかねる。財政再建時代であっても、この筋は改むべきである。こう言っておられます。  つまり、その観点は、なぜ新日鉄やら日立やら日銀やら各種公団というものが年金の二割を税金で出してもらっているのに、鉄道たばこ電話利用者、つまり、年金が結局のところは三公社負担だということは、鉄道に乗る場合の切符代たばこを吸う場合のたばこ代電話をかけるときの電話代にかかってくるんだ、これは著しく不公平ではないか、こういうことを要職にある今井さんが言っておられるのですね。これは審議審議を重ねて議論をした上での結論をこの論文に書いておられるのです。  私はこの論文を読んで、それはまことに当然であると思うのですね。追加費用といい国庫負担といい、当然国が、財政再建という厳しい中にあっても、筋を通したら持たなければいかぬと今井さんでさえ言っておられるようなことを、国有だからといってどんどん持たせていく。だから、かわいそうにと言うといけませんが、国鉄赤字赤字でさんざんたたかれているのに、昭和五十八年度で約五千億円、五十九年度は六千億円という、本来負担しなくてもいいものを負担しているということになっているんですね。そして、かてて加えて戦争中のあの輸送力増強のしりぬぐい、現在の政府モータリゼーションと、赤字だからという合理化政策によって、被保険者集団が三十二万人にも減少してしまう。将来、成熟度は一二六%にもなるでしょう。そういう状態では、国鉄がやっていけないのはあたりまえだ。それを財政再建だからといってまるまる国鉄におっかぶせている大蔵省というのは、「おしん」じゃないけれども、あのしゅうとめよりひどいじゃないか。国鉄おしん論を言うのもどうかと思いますが、そういう感じですね。しゅうとめ竹下大蔵大臣、いかがですか。
  23. 竹下登

    竹下国務大臣 確かに、先ほど御指摘がありましたように、ちょうど私の年齢が満鉄におりましたり、いろいろおりました。それが輸送力増強国家的目標、そして終戦後、雇用の場として一番大きな役割りを果たしたのは国鉄と、もう一つは私の所管の税務署であります。だから、税務署も五十歳以上がやたらと多くて、四十歳代が少なくて、三十歳代がまた多いというようないびつな年齢構成になっております。したがって、そういう経過については、ちょうど私がその年齢対象でございますので、世間におればぼちぼち定年というところでございますが、国会議員は比較的平均年齢が高いので、まだ定年になっていないわけでございます。  そういうことを考えてみますと、いろいろ意見のあるところでありますが、いま今井さんの論文にございましたけれども、今井さんが会長として、それで労使それぞれ懇談会を数回持って御議論をいただきました。時には感情対立——感情対立というか、言葉の上でそういう場面もございましたけれども、結局は皆さん方がある種の連帯という精神の上に立ってこの御結論をお出しいただいた。私は、今日の時点においてはこれが、言ってみれば年金統合のまさに第一歩であると同時に、国鉄共済救済という意味において、いまとり得る最善の施策ではなかろうかと考えております。国鉄おしんさんであって、大蔵省がいびりをしておるというふうには考えません。相当なおしんさんでございまして、少々いびったぐらいで世の中が済むというふうな状態ではなかろうと考えます。
  24. 正森成二

    ○正森委員 いま大蔵大臣から御答弁もございましたので、時間の関係で次の論点に移らせていただきたいと思います。  そこで、いま大蔵大臣の御答弁もあったのですけれども、今度の統合というのは、単に国鉄共済の危機を救うという意味だけではなしに、いろいろ段階があるのですが、昭和七十年までに共済関係を大同団結して、そしてやっていこうというのが出ているのです。しかしながら、その場合の将来展望年金財源がどういうぐあいになり、給付がどういうぐあいになりというようなことが、残念ながら現段階では明らかになっていないのです。  そこに非常な不安がありまして、たとえば今度統合される電電などは、今度の統合がなければずっと先まで電電の共済が持つ。ところが、今度で国鉄の分までかぶり、いろいろな負担がふえるので、そうするとパンクの時期が非常に早まる。一体いつまでいまのような自分の負担を持っていかなければならないのか。しかも電電については、私どもは賛成はいたしませんが、民営というような声も上がっておる。民営ということになれば厚生の方に移るのは当然なのに、わざわざ今度国家公務員などと一緒になるというような展望はいかがであろうか。そういうものが示されないので電電としては納得できないのだということを、電電の課長が相当激烈な言葉を使って論文で書いておりますね。持ってきましたが、もう読みません。そういう点については、政府としてはいかがお考えですか。
  25. 保田博

    保田政府委員 政府といたしましてはことしの五月に閣議で決定をいたしたわけですが、昭和七十年を目途といたしまして、公的年金制度の一元化を完了するということにしておるわけであります。  その前段階といたしまして五十八年度、今年度におきましては国家公務員公共企業体職員共済組合制度統合を行う、そして同時に国鉄共済組合に対する財政上の対策を図る、あわせて地方公務員の共済制度財政単位の一元化を図るということをとりあえずやっていく。その上に立ちまして、昭和五十九年度から六十一年度にかけまして国民年金、それから厚生年金関係の整理を図る。さらにその上に立ちまして、共済年金につきましても同様の趣旨で、これら国民年金厚生年金との関係整理を図る。そういうことでじざいまして、一応政府としては、将来の展望を描く第一段階として共済年金制度に手をつけようとしておる、こういうことでございます。
  26. 正森成二

    ○正森委員 そこで、これは厚生省になるのかもしれませんが、いま保田次長がお答えになったのと別の意味で将来展望を考えておられるのですね。その中で私がいま手元に持っておりますのは、二十一世紀の年金を考える」というのが年金局から出ております。その中のものを読んでみますと、(2)の「給付保険負担 ア、給付水準の現状」というところには、わが国の厚生年金は「欧米諸国と比べ遜色のない水準に達しています。」という表現がございますが、これは何を根拠にしてこういうことを言っておられるのですか。
  27. 山口剛彦

    ○山口説明員 先生御指摘ありましたように、厚生省ではいま、制度の長期的な安定を図るための制度改革に取り組んでおりますけれども、その場合の一つの大きなポイントとして、給付水準をどうするか、また負担をどうするかという問題が非常に大きな問題だと考えております。  したがいまして、いまの年金制度の水準というものをどういうふうに考えていったらいいかということで、その一つの指標としまして、国際的に見た場合どうであろうかということで比べてみましたのが、いま先生御指摘のあったものでございます。諸外国と制度もいろいろ違いますので、なかなか年金水準を単純に比べるということは困難なわけですけれども、一応サラリーマンのごく典型的な年金の水準というものを、現役の方との比較において、現に支給されておるものでございますが、これを比べてみたらどんなことになるだろうかということでお示しをしておりますのが、いまのものでございます。  それを概観をいたしますと、年金制度が成熟をしているという先進諸国の水準を見ましても、現役のサラリーマンの大体四割ちょっとのところ、四十数%の水準が平均的な年金の水準だということが出てまいります。わが国の厚生年金の場合、五十七年の三月現在でございますが、ごく平均的にサラリーマン生活を送ってこられた方の年金の水準が月額約十一万円でございまして、当時の現役のサラリーマンの方の賃金、ボーナスも含めたものでございますけれども、四四・二%という数字になります。こういうことでございますので、一応現在支給されている典型的なサラリーマンの年金の水準としては、国際的に見ましてもほほいい線を行っているというふうに判断をしていいのではないかというのが私どもの認識でございます。  ただ、つけ加えておきますと、現実には、典型的なサラリーマン生活を送られた方の年金の水準というのは月額十一万円程度になっておりますけれども、そのほかの国民年金等の水準が、現実には二万数千円という非常に低い水準にございます。また厚生年金におきましても、特例で年金等を受給しておられる方も現実にはたくさんおられまして、そういう方の年金の水準がそこまで達していない、まだそういう方が大ぜいおられるということは、私どもも十分認識をしているところでございます。
  28. 正森成二

    ○正森委員 いまの答弁者は比較的——比較的ですが、正直な答弁をされておりますね。いままでの政府答弁者の中では、最後の一言をつけ加えられたということは評価したいと思うのです。  答弁者がそういうぐあいに言われたら、こちらも余り厳しく言うのはいかがかと思いますけれども、念のために申しておきますと、厚生省が比較している外国の年金水準というのは、各国の全年金受給者平均なんですね。ところがわが国の場合は、老齢年金受給者の二割程度にすぎない厚生年金のみを出しておりまして、残りの八割というのは、いまも答弁にありましたように、この比較から省いているわけなんですね。  わが国の場合は、各種の公的年金制度の受給権者が約千六百万人ございますけれども、老齢年金の受給権者が約千二百万人もありまして、そのうちには無拠出の老齢福祉年金受給者が約三百万人、拠出制の国民年金受給者が約五百六十万人で、合計八百六十万人というのは月額二万五千円程度にすぎないことは、非常によく知られたことなんです。ですから、八二年度の全公的年金年金給付費総額というのは十兆七千億円前後だと思いますが、これを全年金受給者千六百万人の一人当たりの平均月額で見ますと五万五千円なんですね。ですから、厚生省は比較のときに相当高い数字を出しまして、全受給者平均十万八千円という数字を出してそれでやっているのですが、実際はここは五万五千円ということでなければならないので、そうするとパーセンテージもうんと下がってくるということはやはり指摘しなければならないと思うのです。だから、あなた方が言っておられる、欧米諸国に比して遜色のない水準であるというのは、サラリーマンだけを取り上げてやっておられるわけで、年金受給者全体から見るとまだまだ欧米の水準に達していないというのは非常にはっきりしているのです。  さらに申しますと、外国の年金額。厚生省の言っているのは、国民の実際に手に入れている年金額の実態を示さずに、低く見せかけている点がある。たとえば、法にもあるようですが、スウェーデンの付加年金法律によってすべての雇用労働者に加入を義務づけられているこういう制度は、フランス、イギリス、西ドイツでも広がっているわけですけれども、そういう点が加味されていないうらみがある。  さらに、その円換算された各国の年金額が、実質購買力を示していないという問題もあります。労働省や日経連が、各国の実質賃金比較のために、生計費指数をもとにした実質購買力指数というのを出しておりますが、これによりますと、わが国の千円の生計費は、アメリカでは七百円、西ドイツでは七百七十円、イギリスでは五百五十円というように推計されているのですね。これは労働省や日経連が言っていることであります。  そういうぐあいに考えてみますと、欧米諸国に比して遜色がない水準に達したと言っておりますけれども、これは全年金受給者をカバーしていないという点でも、あるいは実質購買力という点から見ましても、国民が自分の実際の体験から見でなかなか納得し得る議論ではないということが言えるので、安易に、欧米諸国に比して遜色のない水準に達しているのだから、これを老齢化社会に向けて若干削ったりなんかしてもいいのではないかというように考えるのはいかがなものであろうかということを指摘したいと思います。もちろん。年金給付水準については年金負担料の問題もありますから、それを考えないと公正ではないということは最後に申しておきますが、そういう点があるということを申しておきたいと思うのですね。  そこで、次の論点に移りたいと思います。  社会保険審議会厚生年金保険部会というのがこの七月十五日に、「厚生年金保険制度改正に関する意見」、これは長たらしいので、以下社保審の意見と申しますが、こういうものを出して、厚生大臣に提出いたしましたね。これは、基本的な考え方と三つの課題、そのほかに、具体的改正事項として約十八項目を掲げております。私の見るところでは、これは、昨年十一月に厚生省が発表した、いま私が申しました「二十一世紀の年金を考える」という文書の中で、末尾に「参考案」として書いておりますが、A、B二案があります。そのB案の考え方にきわめて近いものであるというように思いますが、いかがですか。
  29. 山口剛彦

    ○山口説明員 先ほど申し上げましたように、私どもいま年金改革の準備を進めておるところでございますが、その一環として、先ほど先生御指摘のありました「二十一世紀の年金を考える」というパンフレットで、現状と問題点をできるだけ多くの方に認識をしていただきたいということでお示しをしたものでございます。  いまお触れになりましたそのときの参考案、これは必ずしも厚生省案ということでもございません。そこにも書いてございますけれども、いままでいろいろ年金改革をめぐって御提言がございましたものを現段階で一応整理して、一つの具体像を描いてみて、アンケート調査をいたしましたので、それのお答えをいただく場合の参考にしていただければということでお示しをしたものでございます。したがいまして、その水準、負担等も一つの仮定を置いた数字でございますので、厚生省の考え方ということではございません。  で、そういうものも参考にしていただきまして、この御指摘のありました社保審の厚年部会の意見ですけれども、労・使・公益の三者構成の審議会で、厚生年金関係を中心に次期制度改正に向けて厚生省が改革案をつくるときに、こういう基本方針で改革案の準備をせよということで御意見をいただいたものでございます。したがいまして、私どもは、いま話をしました参考案、それももちろん参考にはしていただいたと思いますけれども、それとは全く離れて御議論をいただいた結果を御意見としていただいたというふうに受けとめております。
  30. 正森成二

    ○正森委員 離れて御議論はあったのですが、B案に非常に似ていることは事実でしょう。
  31. 山口剛彦

    ○山口説明員 A、Bという参考案で数字を示しておりますけれども、その前提といたしまして、年金制度をどう再編成をするかという問題がございます。この問題につきましては、意見書では必ずしも具体的にこういう構想でということは言っておりません。ただ、そういう問題を考える場合の基本的な方向としまして、公的年金制度を再編成しなければならない、そのときに共通の給付を導入をするという考え方をとったらどうかという御指摘がございます。また、給付の水準あるいは給付単位の考え方につきましても、参考案でお示しをしたものと、考え方の上ではかなり共通の部分も確かにございます。それから水準の問題につきましても、一応現役の方の給与の六割程度を基準にして将来の年金の水準を考えていくのが適当ではないかという御指摘もいただいておりますので、確かに参考案でお示しをした思想と近いものが出ているという見方もあろうかと思いますけれども、一応別のものというふうに御判断をいただきたいと思っております。
  32. 正森成二

    ○正森委員 まあ厚生省がそうおっしゃるなら、B案とほとんどそっくりというように見ているのですけれども、そういうぐあいに承っておきましょう。  そこで次に伺いたいのですが、この社保審の意見では現行水準の給付を続ければ保険負担は三倍以上になる、こういうふうに言っているのですね。しかし、その内容については余り触れていない。そこで私どもがいろいろ考えますのに、どうやらその社保審の意見の下敷きになったのは、八〇年の年金再計算をもとにして厚生省の年金局が推計しにものではないか、こういうぐあいに思うのですね。この私の前提を否定されれば、いやいや厚生省の年金局と社保審の意見とは全然別物でございますと言われれば議論が前進しませんので、厚生省の年金局の推計というものから聞いていきたいと思うのです。  この年金局の推計というのは、前提は、大体が給付費増は八〇年価格によって、受給者増を加入期間の伸びに合わせ、被保険者増は人口推計をもとにしたものでしょう。ところが、この一番問題は、その推計に基づく年金給付費が、国民総生産あるいは国民所得の変動と全く切り離されて計算されているということにあるのじゃないですか。前提が、私の拝見した限りでは、国民総生産も国民所得も現在の水準にきちっと固定して、一人当たりの国民所得の割合もいまのままであるということで二十年先、三十年先を計算している。そういうことになれば、結果が非常に偏ったものになるというのは非常にはっきりしているんじゃないですか。国民総生産の伸びや国民所得の伸びを全く考えていないでしょう。
  33. 山口剛彦

    ○山口説明員 確かに厚年部会の意見書等の参考の資料にされたものは、私どもが昭和五十五年、前回の再計算期に再計算をいたしまして、将来の推計をして幾つかの試算を公表いたしております。それをベースにお考えをいただいて御意見をいただいたということだろうと思います。  ただ、この再計算の数字でじざいますけれども、先生御指摘がありましたように、いわゆる静態で計算をするということもいたしておりますけれども、一つの試算として、いわゆる賃金上昇率あるいは物価の上昇率等も、一定の仮定を置いた場合にはどうなるかという計算もいたしておりまして、その仮定自体がいいかどうかという御議論はあろうかと思いますけれども、一応そういう動態の計算もあわせて参考にしていただいて御意見をいただいたというふうに考えております。
  34. 正森成二

    ○正森委員 そうおっしゃいますけれども、「週刊社会保障」の五十七年五月十日号というのがありますが、「わが国年金制度の概要−厚生省年金局−」というのを出しておりますね。これの六十四ページには、表十二に「年金給付費の見通し(昭和五十五年度価格)」なんというのが載っておりますけれどもね。これの考え方というのは、GNPも国民所得の伸びも考えないで、現在の静態のもとで、いま私が言いましたような、給付費増は八〇年価格により、受給者増を加入期間の伸びに合わせ、被保険者増は人口推計をもとにしたものということでやっているんでしょう。だから、そういう前提を置けば、あなた方の数字はまさに正しいですよ。それは認めますのですけれども、そのこと自体、大体がGNPの伸びもとまっているわ、国民所得の伸びも考えないわというような、あり得ないことを前提にした、そういう静態の上での数字じゃないのですか。そういう数字をもとに、保険料の負担が三倍以上になるとかなんとか言ってみても、これは説得力を持たないんじゃないですか。いまいろいろ考えているようですが、これは仮定の問題ですから、仮定が間違っておれば、それは結論は間違えますよ。しかし、私が読んだ限りでは、GNPも国民所得も一定とした静態のもとにおける二十年、三十年先を考えているわけですから、これが現実からはるかに離れているということは、もう論をまたないと思うんですね。  そこで私どもも、非常に大ざっぱでございますが、GNPとそれから国民所得——政府は「一九八〇年代経済社会の展望と指針」というのをお出しになりましたが、数字を隠しているということで、予算委員会で私が大分言いましたが、きょうはそのことは申しません。出ている数字で、GNPは六ないし七%程度となっておりますから、その中位の六・五%というものをとる。それから消費者物価は三%程度上昇するということですから、年金の物価スライドを三%で行っていくという前提を置く、その他は考えないということで考えてみますと、私の知人の専門家の方が計算をやったのですけれども、これは前提の置き方で違ってきますが、そういう前提で考えますと、二〇〇〇年、いまから約二十年先にはGNPは八百二十八兆六千億円になる、そして物価スライドをした年金給付費は約四十一兆一千億円になるということで、対GNP比は五%前後であるということになるわけですね。一九八〇年はどうかと言えば、GNPは、これは実績で二百三十五兆八千億円、そして年金給付費の総額は合計で七兆八千億円ですから、比率にすると約三・三%ということになります。三・三%と五%を比べると約一・五倍ぐらいであって、賃金の上昇が年金給付額にはね返ってきますから、そこら辺の細かい計算で、これは一・五倍よりも若干ふえると思いますけれども、大体二倍以内におさまるのではないかという計算も出てくるわけです、動態から考えますと。  だから、あなた方が、将来保険料が高くなる高くなる、これは必然であると言うのも、やはり二十年、三十年先——老齢化が一番ピークに達するのは二〇二〇年とか二〇三〇年前後と言われているのですから、これからまだ四十年あるのですね。そんなものを静態でやられたのでは、それこそ科学は日進月歩、生産性も日進月歩ということになるのに、実体を反映しない。いたずらに国民に対して、われわれが一生懸命働いても、将来はもう灰色一色であるというようなことで、勇気と展望を与えないということになるのじゃないか。それはいま政権をとっている自由民主党にとっても、必ずしも有利にならないのじゃないか。私の方からこういうことを言う必要はないのかもしれませんけれども、資料などを読んでいると、そう思わざるを得ないのですね。  答弁、ちょっとあれのようですから……。されますか。
  35. 山口剛彦

    ○山口説明員 五十五年の再計算の結果、静態計算だけではないかという御指摘でございますけれども、後ほどまた詳しく御説明をさせていただきたいと思いますが、一つの数字だけ申し上げますと、仮に標準報酬の上昇率、簡単に言えば賃金あるいは国民所得の上昇率でございますが、これを七%と仮定をする。当時の平均的な水準をそんなところに見るというのがかなり常識的な線でございましたので、七%で仮定を置きまして、物価上昇率も五%ということで、あと利回りがかなり大きく効いできますが、これも一応六%ということで仮定をいたしまして動態計算をいたしますと、簡単に申し上げますと、高齢化のピークを迎える昭和九十五年とか百年ぐらいになりますと、いまの制度をそのままにしておくと、その当時の計算で、料率にしますと厚生年金のいまの男子の保険料率が一〇・六%ですが、これが三四・九%になるという数字がございます。私どもはこれをまた新人口推計等に基づいて再計算をしているわけでございますけれども、その後も高齢化は続いておりますので、いまの見通しとしましては、三五%近くになるという前回の推計がもう少し高くなるのではないかということで、私どもの計算では一応そういう前提において計算をしておりますので、また後ほど御説明に上がりたいと思います。
  36. 正森成二

    ○正森委員 いま一応の答弁があったのですが、私がさきに申し上げました数字は、明らかにGNPの伸びや国民所得の伸び、一人当たり国民所得の額を考えない静態での試算であったということは間違いない。それ以外に動態のも計算しているということですが、その数字も、いまの停滞経済から見たら全然離れた数字ですし、インプットする材料が違えば結論も違ってまいりますので、そういう点は与野党とも、あるいは政府も民間団体も謙虚に研究をし直してみることが必要だと思うのですね。  さらに次の問題に移らせていただきますが、老齢化が進むので、年金問題について、いまにして抜本的な解決をしなければうまくいかないというのが、大方が言われていることなんです。確かに老齢化が非常に進行するということではございますけれども、この点について、一方的に老齢化老齢化と言うことが正しいのであろうかという問題点があるのではないでしょうか。  たとえば、老齢化と言いますが、一番問題になるのは、従属人口といわれている未成熟の子供、それから六十五歳以上のお年寄り、これは生産から一応外れているわけですから、この比率と、生産人口である二十歳から六十四歳までの動きがどういうぐあいになるかによって、国民所得、GNPというか社会的に生み出される生産の量が決まってくるわけです。そういう点から言いますと、年齢構造係数などの推移と将来推計を見てみますと、たとえば一九八〇年をとりますと、六十五歳以上は九・一%なんですね。それから、仮に二〇〇〇年をとりますと、六十五歳以上は一五・六%にふえます。それから、二〇一〇年になりますとこれは一八・八%にふえます。確かに老齢化は著しいわけですが、それならば二十歳から六十四歳の生産人口はどうかというと、一九八〇年は六〇・三%なんですね。それから二〇〇〇年は六一・三%で、逆に一%ふえるのです。二〇一〇年に至っても五七・数%で、少なくも二〇〇〇年をとりますと生産人口は減少しないということになるのです。  それでは、どこが変動するのかというと、先ほど言いました零歳から十九歳まで、これが減少するのですね。どういうぐあいに減少するかというと、一九八〇年には十九歳までの方が三〇・六%もあるのです。それが二〇〇〇年には二三二一%に減ります。つまり、七%以上、七・五%近く減るわけですね。  このことを考えますと、老齢化老齢化と非常に厳しく言われますけれども、確かに老齢人口がふえるのは統計上非常にはっきりしているのです、九・一が一五、六%、将来は二〇%を若干超えるわけですから。しかし同様に、零歳から十九歳までの——このごろ教育が発達しておりますから、零歳から十九歳をとりますと、一九八〇年の三〇%台から二三、二四%ぐらいに低下する。この変動は非常に著しくて、たとえば一九五〇年、戦争が終わって五年後のことを見ますと、零歳から十九歳が何と四五・七%もあるのです。このときは二十歳から六十四歳の生産人口は四九・三%しかない。そして、六十五歳以上の老人はわずか四・九%であった。つまり、このときは戦争中の影響がありまして、戦後爆発的にベビーブームなどが起こって子供が圧倒的に多いのですね。それがだんだん子供が減って、現在は三〇%台で、将来老齢化が進むころには二三、四%になるということです。  このことは、経済学的には何を意味しているかと言えば、社会的に生産された生産物が子供の養育費や教育費に大量に向けられるということが徐々になくなって、その比率が成熟度に従って老齢化した人の、たとえば老後を扶養する方に回るという移動が行われるということなんですね。ですから、このことを抜きにして、老齢化人口が一方的に幾らにふえるということだけを言って、そのことによって将来二〇〇〇年になれば、二〇一〇年になれば大変なことになるということのみを宣伝することは、ある意味ではあしき誇大広告であって、科学的に生産人口と従属人口を眺めていくという観点から見れば、これは反省すべきことではなかろうかというように思わざるを得ないのですね。私のこの人口動態というのは、ごまかしも何もできない数字なんで、私が引用した数字は非常に正確なんですね。いかがですか。
  37. 山口剛彦

    ○山口説明員 先生に御指摘をいただきました数字はそのとおりだと思います。  ただ、先生が前提に置いておられますのが、二十から六十四歳までの数字をとられたと思うのですが、私どもの一つの認識としましては、いまの年金制度上の支給開始年齢が六十歳ということでございます。それから、世の辛もまだ六十歳定年を目指していろいろ雇用対策等も講じられているということでございますので、もう一つの見方としましては、こういう年金制度なり雇用施策の面では二十から六十までの層の方が、制度的にはいまの世の中を支えているんだという見方も一つできょうかと思います。そういう年金制度等もそのままにしておいて、雇用対策もそういう状態のままで二十一世紀を迎えるということになりますと、この数字がかなり違ってまいります。確かに、高齢化が進む一方で子供の数が減るという状況がございますけれども、二十から五十九歳までという階層をとりますと、二十一世紀になると国民の半数を割るというような、社会を支える階層の比重が急激に減少してくるという状況がございます。したがいまして、私ども年金の立場からいたしますと、制度的に将来年金給付開始年齢はいかにあるべきかというところに関連をしてくるわけでございますけれども、やはり先生御指摘のように、二十から六十四歳くらいの方までが社会を支える層に回るという世の中を想定して、年金制度というものを考えていったらいいんじゃないかという認識を一つ持っております。  それから、高齢化が進んだ場合に、若い人たちとの比重の問題が一つございますけれども、年金というサイドから見ますと、寿命が延びるということは、もし支給開始年齢をそのままにしておきますと、年金をもらわれる期間がそれだけ長くなるということもございますので、そういう意味でもこの高齢化の二十一世紀の推移というものほかなり注意深く見守りながら、年金制度についてもそれに対応した対策を講じていくことがどうしても必要じゃないかという認識を持っております。先生御指摘の点は十分意識しておりますけれども、そういう見方もあるということだけ申し上げさせていただきます。
  38. 正森成二

    ○正森委員 いまの課長の御指摘は、その限りでは正しいと思いますね。私もあなたの議論はそうだと思います。しかし同時に、私が申し上げたことも、数字その他正確であるということはおっしゃいました。  大臣に申し上げますが、日本は欧米と違いまして、特に年金というものを考えますと、これからまだまだ成熟していくということで、欧米のように完全に成熟していないんですね。そして老齢化人口は、六十歳以上にするか六十五歳にするか議論はあるにしても、統計上もますますふえていくことは非常にはっきりしているんで、こういう事態に対して、われわれ国政に関与する者が、長年御苦労なさったお年寄りが老後不安を抱かなくてもいいような年全体系をどういうぐあいに考えていくかということは、知恵を寄り寄り出して考えていかなければならないことで、その問題は、いま現に法案として出ております、当面国鉄共済の危機をどういうぐあいに救うかということにとどまらず、非常に重要なことであるというように考えて問題提起をしているわけですね。  そういう点から言いますと、この間、九月十五日に「老人の日」がございました。そこで、約十名のお年寄りの方が代表してなかなかりっぱなスピーチをなさったんですね。そのスピーチを私はほとんど全部拝聴しておりましたが、その中で何人かの老人は、やっぱり老齢になっても働ける間は働ける職場が欲しい、そのことによって自分自身の生きがい、誇り、そして収入というようなものが両立するというような意見表明がございまして、満場におられたお年寄りが一斉に拍手をしておられるというような状況がありました。  私どもは、それだからといって、年金支給開始年齢をどんどんと高齢にしろということを決して主張するわけではございませんけれども、元気で働ける老人が、六十歳になったからやめなければならないというんではなしに、やっぱり老人にふさわしい職場を延長して、少なくとも六十三歳、六十四歳、場合によったら六十五歳までというように考えていくことは、そしてそういう場合に年金の支給をどう現役の給与と関連させていくかということは非常に大事なことであると思います。  同時に、結局この年金の問題は、現役世代と老齢化世代との、ある意味での世代間の利害をどう調整するかという問題ですから、元気で第一線で働いている若者の可処分所得より年金が高くなるとかいうことになれば、これは労働意欲の点からいっても問題がありますので、そういう点は十分調整していかなければならないと思いますけれども、そのやり方は、やっぱりお年寄りの、一生懸命働いてこられた方々の老後を、生活できるようにいろいろ配慮していくという方向でなければならないというように思います。  次の論点に移りますが、時間がだんだんなくなってまいりましたので……。保険料が非常に高くなる高くなるということを言われるんですね。いま課長が言われた数字も、いま数字を探しましたら出てきました。三四・何%、一定の仮定を置いてですよ、というのが出てきました。そのことから逆算して保険料が非常に高くなければならぬという議論なんですが、これについても私は前提があると思うのです。たとえば厚生年金の場合には、いま従業員と企業が半々で持っているんですね。こういうところは世界でも余りないんではないかということをやっぱり指摘せざるを得ないんですね。ごく大ざっぱな議論でございますが、多くの先進諸国の年金保険料の労使負担割合は、フランスは三対七・五、もちろん使用者が七・五ですね。イタリアは六・九対一三・七五、イギリスは五・七五対八・七五というように、事業主負担が非常に高目に設定されているんですね。こういうように変えますと、従業員の保険料をそう急速に上げないでも賄える場合があり得る。  別の面からいいましてもそうでございまして、これはILOの「ザ・コスト・オブ・ソシアル・セキュリティー」という統計でございますけれども、それを見ますと、「各国の社会保障費用負担区分」というのがあります。これで見ますと、たとえば西ドイツの場合には、全体を一〇〇といたしますと、被保険者が二九・二で事業主が四二・九、フランスは被保険者が一八・八で事業主は七〇・二、イタリアは被保険者が一四・四で事業主は六一・八というようになっているのですね。これは一九六七年から一九七一年をILOでまとめたものです。  わが国はどうかといいますと、厚生省企画室の「社会保障給付費」一九七七年七月ですが、被保険者が二五・三で事業主が二九という統計が出ているのですね。これは公費負担も全部含めて、これを一〇〇としたものでの比率です。こういう数字が出ております。  あるいは別の統計もございまして、「主要国の労働費用の構成」というのがあるのです。この中で、私がいまから引用しますのは、一九七五年の「レーバー・コスト・イン・インダストリー」というECの統計局の統計ですね。わが国の場合には、労働省の「労働者福祉施設制度調査」というものですが、それを見ますと、使用者が払っている法定福利費、これの比率ですが、日本の場合は、労働費用全体を一〇〇といたしますと、賃金部分が異常に高いのですね、八六とか八四とか。そして法定福利費というのは非常に低くて、一九八一年をとりましても一〇〇のうち七。四なんでTね。ところが、西ドイツは法定福利費が一〇〇のうち一七、あるいはフランスの場合は二三というようにECの統計局ではなっています。このことは、非常に使用者が——私は資本家という言葉はあえて避けますけれども、使用者が結局労使折半ということで、諸外国の文明国に比べて非常に負担の程度が少なくて済んでおる。そのことが結局労働者の保険料を非常に高くしておるということになると思うのですね。しかも、そういうように使用者は恩典を得ている上に、従業員等が納めた厚生年金、これは現在では四十兆を超える撮み立てがあるのですが、それを主として大蔵省を通じて、自分自身のいろんな利益になる事業のために、財投資金等々として使っておるというようなことになりますと、これはわが国の年金を考える上でも非常な反省を要することではないかというように思わざるを得ないのです。  そこで、えらい申して失礼ですが、厚生年金の積立金でも四十兆あるのですが、これの利回りを考える場合に、これはいずれは賦課方式になりますから、積立方式は消えていくと思いますが、その利回りをどういうぐあいにするかというのは非常に大事な問題である。五・五%にこだわっていくというようなことは必ずしもする必要はないのではないか。民間よりは低くなければならないけれども、五・五%というように非常に低くして、それでしか運用できないということになれば、いまでこそインフレ率が少ないけれども、インフレ率の高いときには非常な目減りをしたということは非常にはっきりしているのですね。そういう問題についていかがお考えになりますか、お伺いいたしまして終わりたいと思うのです。
  39. 山口剛彦

    ○山口説明員 年金の積立金の問題につきましては、先生御指摘がありましたけれども、先ほどございました厚生年金部会の意見書におきましても、年金の積立金というのは強制徴収によって集められた労使の保険料の集積であり、その運用収入は年金の支払いに充てられる重要な財源であるので、拠出者の意向を反映させつつ、極力有利運用を図る必要があるという、かねてからの御意見を繰り返し強く述べておられ、さらに自主運用を基本とする方式を採用することによってこの有利運用を図机という御指摘をいただいております。私どもも、これから年金制度改革に取り組むわけでございますけれども、いずれにいたしましても、これからの方に年金制度を支えていただくために御負担をいただかなければならないわけですから、それをできる限り軽減をしていくという努力も大変重要なことだと考えております。  いま資金運用部に一括預託をするといったてまえがとられておりますけれども、ぜひこれを現状以上に有利に運用をするための工夫をするというのは、今回の制度改正の一つの大きな課題というふうに受けとめて検討しております。
  40. 正森成二

    ○正森委員 これで終わらせていただきますが、大蔵大臣、資金運用部への預託金利が非常に低率なんですね。そのことから、拠出者である労働者は不利益になっております。積立金が一定規模となった七〇年以降の毎年の金利を一%だけ高く運用するということで計算してみますと、その累積は二兆二千億円に達するのですね。これだけでも大変なことであります。  こういう点についての御配慮についてお願いいたしまして、二言お答え願えれば結構ですが、私の質問を終わらしていただきます。
  41. 竹下登

    竹下国務大臣 いわゆる年金積立金、これは国の責任において強制力をもって徴収したものである、それは当然のこととして拠出した国民の利益に合致するような形で運用されなければならぬ。と同時に、それが有利運用であらねばならぬということは、まさに私も鉄則だと思っております。  そこで、運用問題、自主運用云々の問題については言及することを差し控えますが、従来とも統合運用の中においてこそ初めて国民全体の政策遂行の上に優位性がつきやすいというメリットもそれはあろうかと思っております。しかしながら、現実それに対応しておられる皆さん方が、素朴な感情で言えば、徴収に当たった者がまたその運用にも参画したいという希望も、これは現実存在しておるということもよく承知いたしております。したがって、いま私はここで運用の一元化というものを否定する考えはございません。一元化運用の中でも、それが有利安全であるという意味においては、私どもも、金利の問題も含めて十分念頭に置いていかなければならない課題である。その点は正森さんと大きく意見が離れておるとは思いません。
  42. 正森成二

    ○正森委員 終わります。
  43. 森美秀

    森委員長 小杉隆君。
  44. 小杉隆

    小杉委員 すでに各党からそれぞれ質問がございましたので、ほぼ論点は出尽くしているような感じがありますし、また、大蔵大臣も行革特別委員会とかけ持ちで大変だと思いますから、なるべく簡潔に質問をしたいと思います。  まず、今度の共済統合の問題ですが、私は、これからの全体のプログラムをやはり示すべきだと思うわけです。今度の統合は、将来の年金制度全般の統合の第一段階だということですが、これはなかなか言葉だけでは、果たしてこれが第一段階なのかどうかということが納得できないわけでございます。  そこで、今度の「公的年金制度改革の進め方について」という、ことし四月一日の公的年金制度に関する関係閣僚懇談会の決定では、今回は国家公務員公企体職員統合を行う。それから、五十九年から六十一年にかけて国民年金厚生年金その他の関係整理を図るということになっていますが、これは何か昨年九月に閣議決定された行革大綱からちょっと後退しているように思うのですね。昨年九月の行革大綱では、五十八年度じゅうに将来の二九化を展望しつつ成案を得るということになっておりましたけれども、なぜこういうふうに変わってきたのか、まず伺いたいのです。
  45. 山口剛彦

    ○山口説明員 年金課長でございますが、内閣審議官も兼務をいたしておりますのでこその立場でお答えをさしていただきます。  昨年のいわゆる行革大綱におきましては、先生御指摘のように、将来の年金制度の改革につきましては、「一元化を展望しつつ、給付負担関係制度全般の在り方について見直しを行い、昭和五十八年度末までに改革の具体的内容、手順等について成案を得るものとする。」ということで、これからどういう具体的なスケジュールで、また具体的な構想のもとにこの一元化を展望しながら制度改革をしていくかという、その構想を政府として五十八年度末までに明らかにするという方針を決めているわけでございます。その基本方針に沿いまして、関係省集まって議論をしておるわけでございますけれども、その改革の具体的内容、手順等についての成案を得るためにも、一応おおよその目安といいますか、段取りというようなものを決めておいた方が今後の検討のためにもいい、成案を得るためにもいいという判断をいたしまして、四月一日に、いま先生御指摘のありました「公的年金制度改革の進め方について」という文書を関係者で取り決め、閣議にも御報告をさしていただいたような経緯でございます。したがいまして、行革大綱を実施するための一つの検討作業の一環として出てまいった文書というふうに受けとめていただければと思います。
  46. 小杉隆

    小杉委員 なぜおくれたのかということですね。その点をもうちょっと簡潔に答えていただきたいと思う。
  47. 山口剛彦

    ○山口説明員 私どもは、いま申し上げましたように、行革大綱の五十八年度末までに成案を得るという方針に従いまして作業をしておりますので、おくれたという意識は全くございません。成案を五十八年度末、五十九年三月に得ることを目指して、いまも作業中でございます。
  48. 小杉隆

    小杉委員 五十九年から六十一年にかけて関係整理を図るというふうになっていますね。そうすると、これで見ると何か五十八年度じゅうには成案ができないのじゃないかという懸念を持つわけですが、それは五十八年度じゅうにちゃんと出るのですか。
  49. 山口剛彦

    ○山口説明員 「公的年金制度改革の進め方について」ということでお示しをしておりますように、今後の制度改革の手順、おおよその目安として、三段階に分けて大体方針を決定いたしたわけでございます。現に、五十八年度分につきましては先国会、今国会を通じて具体的な措置を講じつつあるわけでございますが、五十九年から六十一年にかけての具体的な構想をどうするかという点につきましても、この方針に従いまして、私どもが中心になりましていま検討作業を進めておるところでございます。それが煮詰まってまいりますと、より具体的な改革の内容、手順等につきましても明らかになっていくのではないかと思っております。そのめどとしまして、お約束もしておりますので、五十八年度末までには、政府として将来どうするんだという方向も、この文書以上に具体的なものが決定できるのではないかと考えまして、いまいろいろな作業をしているところでございます。
  50. 小杉隆

    小杉委員 ちょっとよくわからないのですけれども、それじゃ五十八年度末までには具体的にどういうことを成案として決めるのか、それから五十九年度から六十一年度までには何を決めるのか、その辺、もう少し整理してお答えいただきたい。
  51. 山口剛彦

    ○山口説明員 五十八年度末の段階を考えてみますと、五十八年度に次の措置を講ずるという第一段階については、順調に行けば結論が出ているということになろうかと思います。  そういたしますと、五十九年度以降公的年金制度を一体どういう方向に持っていくのかということで、厚生省は現在国民年金厚生年金を中心にした大きな制度改革を検討中でございますので、現段階でまだその構想をお話しできるような段階ではございませんけれども、五十八年度末までには国会にも提出をしたいということでいま作業をしておりますので、五十九年における厚生年金国民年金等の改正の具体的内容が明らかになるはずでございます。その改革の内容を受けまして、共済年金につきましてもその趣旨に沿った関係整理をするという方針でいまいろいろ検討しておりますので、そういうものについてもある程度の方向が示されることになろうかと思います。そういたしますと、六十一年までには何ができるかということもいま以上にはっきりしてまいると思いますので、その先、一応七十年を目途に一元化をするということをめどとして検討しておりますけれども、その辺も含めて最終的なスケジュールについての成案を得たいというのが大体の感じでございます。
  52. 小杉隆

    小杉委員 もう五十八年度も後半に入っているわけですが、五十八年度中に成案を得るという内容は、大体どんなことが想定されるのか。     〔委員長退席、中西(啓)委員長代理着席〕
  53. 山口剛彦

    ○山口説明員 ただいま申し上げましたように、今後の年金制度の改革がどんな方向を向いていくのかという点につきましては「公的年金制度改革の進め方について」でも明らかにしておりますように、五十九年における国民年金厚生年金を中心とした改革がどんなものになるかというのが、非常に大きなウエートを占めるかと考えております。この点につきましては、現在検討中でございますので内容を申し上げられませんけれども、先ほどもお話にございましたように、厚生年金関係審議会から次の制度改正に向けての基本的な考え方というものをいただきまして、それをベースにして私どもいま検討を進めておりますので、その御指摘をいただいた課題というのを簡単に申し上げますと、一つはいまの三種八制度に分かれている年金制度を、将来はばらばらのままではなくて、各制度に共通する給付を導入するという考え方のもとに、公的年金全体として整合性のとれた制度にしなさいという御指摘をいただいております。ただ、現行制度からの円滑な移行ということには十分配慮をしろ、そのほか社会保険方式を維持しろというような御指摘もいただいていますが、その公的年金制度を、各制度に共通する給付を導入するといった考え方のもとに、どうやって再編成をしていくかという問題が一つの大きな問題であろうと思います。  それからもう一つは、年金給付単位の問題。世帯単位、個人単位へ各制度によってまちまちでございます。また、そのために婦人の年金の問題等につきましてもいろいろ問題が指摘されております。そういった問題についても、公的年金制度全体を通じた整理が必要だという御指摘もいただいておりまして、これは二つ目の大きな課題だと思います。  それからもう一つは、先ほど来御議論がございますように、いまの年金給付の水準を、負担とのバランスの関係で、将来このままにしておいてもいいんだろうかという点については、いまのままでは現役の人たちの負担とのバランスというような観点から見ても相当問題があるという御指摘をいただいていますので、この給付水準を将来に向けてどういうふうに適正化をしていくかというのがもう一つの大きな課題ではなかろうかと思います。  そういった問題につきまして、できるだけ早い時期に私どもの構想というものをお示しをしまして、できればその線に沿ってほかの年金制度についても関係の整理が図られていくということになりますれば、将来構想もより具体的になってくるんではないかというふうに考えまして、いまその厚生年金国民年金を中心とした制度改革の準備に取り組んでいるところでございます。
  54. 小杉隆

    小杉委員 将来統合していく場合にいろいろな格差があるわけでして、いま課長が挙げられたいろいろな面と、さらに保険料率とか、支給開始年齢とか、厚生年金における男女格差とか、いろいろな側面があろうと思うのですね。  それで、いま共済年金については五十五歳の開始年齢を六十歳までに段階的に引き上げでいこうということですが、これはいつまでにやろうとしているわけですか。
  55. 保田博

    保田政府委員 現在のところ、昭和七十五年を目途といたしております。
  56. 小杉隆

    小杉委員 つまり、厚生年金の開始年齢である六十歳に合わせようとするのに、昭和五十六年から二十年かからなければ六十歳にならない。これだけ時間がかかるわけですよね。そうしますと、先ほどの統合の目標というのは、昭和七十年を目標としているのに、この支給開始年齢の点一つとっても七十五年までかかるということになると、非常に矛盾するんじゃないか。この辺はどういうふうに説明されるのですか。
  57. 保田博

    保田政府委員 いずれにしましても、先ほど山口課長から御説明いたしましたように、五十九年から六十一年にかけまして厚生年金国民年金等の関係整理が図られるわけであります。共済年金につきましても、御指摘のような年齢引き上げの問題がございますけれども、この点につきましても、五十九年から六十一年にかけての関係整理の段階で十分検討してまいりたい、かように考えております。
  58. 小杉隆

    小杉委員 そうすると、すでに始まっている共済年金の開始年齢の引き上げというのは、七十五年ではなくて、これを七十年の統合開始期までに早めよう、こういうふうに理解してよろしいですか。
  59. 保田博

    保田政府委員 現在まだその辺について決心をしているわけではございません。いずれにいたしましても、先ほど申し上げました国民年金厚生年金との関係整理の段階におきまして検討してまいりたいと思っております。
  60. 小杉隆

    小杉委員 国民年金は現在六十五歳で、これもやはり格差があるわけですが、これは将来どういうふうに扱おうという考えでしょうか。     〔中西(啓)委員長代理退席、委員長着席〕
  61. 山口剛彦

    ○山口説明員 御指摘のように、国民年金は支給開始年齢が六十五歳でございます。厚生年金は六十歳でございますが、例外的に五十五歳というふうなものもございます。将来の年金制度のあり方としまして、一元化を目指して作業をしているわけでございますけれども、一元化というのが本当に各制度をすべて一つにしてしまう、支給開始年齢につきましても、自営業者、農業をやっておられる方あるいは普通の一般サラリーマンの方すべて全く一律の支給開始年齢にするというのが、果たして将来年金制度が目指すべきものかという点については、いろいろ御議論があるところだろうと思います。いまサラリーマンの支給開始年齢が六十で国民年金が六十五だということにつきましても、サラリーマンは首を切られればすぐ次の生活に困るということでございますけれども、自営業、農業の方というのは老後も生産手段等あるのが一般的でございますから、サラリーマンとはちょっと違うのじゃないかということで、六十五歳になっているわけでございますし、また厚生年金の支給開始年齢につきましても、雇用の情勢等を考えながら、いまの六十歳という問題につきましても将来の検討が必要じゃないかという御指摘も大勢を占めておりますので、この点につきましては現段階でまだ、昭和七十年に何歳支給を目指して各制度一本にするとかいう方針を明らかにするのは適当でないと思いますし、また、そういう判断をすることについては慎重でなければならないと思っております。  そういう意味で、一元化という言葉を使っておりますけれども、ほかの面も含めまして、私どもも、形式的にすべてぴしっとそろえるということが必ずしも一元化ではないし、また年金制度の目指すべき方向ではない、それぞれ理由があれば、差があっても、それは一元化ということに必ずしも矛盾をしたものでないというふうに考えております。
  62. 小杉隆

    小杉委員 これはちょっと重要だと思うのですよ。余り簡単な問題じゃないと思うんですね。五歳引き上げるだけでも二十年もかかるということでやっている、七十年を目標にしているのに、いまだにそういうところまで決まらないということでは、そういうむずかしい問題は全部先送りにして、とにかく国鉄さえ救済すればいいんだということで、何か国鉄救済だけに焦点——緊急性のあることは認めますけれども、それだけに目を奪われて、本当に長く時間のかかる、こういう開始年齢の問題一つとっても、もうちょっといまの段階で明確になっていなければ、そう簡単にできる問題ではありませんから、そういう検討はいつごろまでに済ませられるのか。その支給開始年齢の問題、具体的に例を一つだけ挙げましたけれども、そういう問題についてもどう考えるかというのは、五十八年度じゅうに成案を得る見込みがあるのかどうか。
  63. 保田博

    保田政府委員 先ほど山口課長から御答弁いたしましたように、五十八年度末までに決められますものは年金制度改革の基本的な構想でございまして、それらを踏まえまして国民年金厚生年金あるいは共済年金との間の関係整理を図るための検討をいたしますのは、五十九年から六十一年にかけまして、先ほどの、今年度末に決められます成案をもとにいたしまして検討をいたしたいというふうに考えております。
  64. 小杉隆

    小杉委員 議論になることは言わないつもりでおりますが、やはり第一段階というならば、そのぐらいのことはもう少しはっきりさせておいた方がいいのじゃないかと思うのですね。  それからもう一つ、係国家公務員共済公企体が一緒になっても約二百万人ですね。これを分母を大きくすることによって財政をよくしていこうということならば、国家公務員とか公企体と比較的近い地方共済、これは三百二十五万九千人ですか、こういう非常に大ぜいの人がいるわけです。今回地方共済の方は地方共済として中の整理をいろいろ図ったわけですけれども、私は、今回国家公務員公企体統合されたとした場合には、七十年に至るまでのプロセスの間に、一刻も早く地方共済との再編統合ということを考えるべきじゃないかと考えるのですが、その点については大体めどというか目標年次というか、そういうようなことはいまのところないものなのかどうか。
  65. 保田博

    保田政府委員 おっしゃるとおり、今回御提案いたしました法案は、沿革的にも具体的内容におきましても非常に似通ったもの同士の統合でございます。非常に分立しておりまする年金制度を一挙に統合するわけにはまいりませんので、似たもの同士順次その統合を進めてまいりたい。したがいまして、国家公務員共済組合及び公企体共済組合が今回の法案統合ができました暁には、地方共済等々との統合問題が当然検討の課題になってくると思っております。
  66. 小杉隆

    小杉委員 この点に関しては自民党の田中正巳さんですか、調査会か委員会か知りませんが、そこでは一応六十五年に国と地方の統合を図るというふうな試案が出されているようですが、これについてはどういう御見解をお持ちですか。
  67. 保田博

    保田政府委員 自民党の公的年金制度問題調査会でございましたか、そこでの御検討の結果は私たちも承知いたしておりますけれども、政府として現在いろいろな今後の統合問題についての検討の段階を決めておりますのは、先ほど来申し上げておることにとどまっておりまして、国共済と地共済との統合の時期につきましてはまだ白紙でございまして、ただいま言及の段階ではございません。
  68. 小杉隆

    小杉委員 それでは次の質問に移ります。  今度の法案によりますと、これからの給付額が五年間で九千二百億円、その差額二千六百億円を埋めよう、こういう法案になっておりますが、この案によりますと、たとえば国鉄負担分が千四百億円ということになっております。国鉄のいまの財政状況から見て、果たしてその千四百億円というものが賄えるのかどうか、これをひとつ国鉄の方、来ていますれば伺っておきたいと思います。
  69. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 今回お願いをいたしております法案が成立をいたしますと、五カ年間の単位で財政調整をお願いすることになるわけでございますが、その際に、その財政調整の中身がどうなるかということは、もう少し先にお決めをいただくということでございますので、いま先生御指摘の千四百億になるのかどのくらいになるのかは、正確なところはまだ出ていないわけでございますけれども、法案の説明上大蔵省の方で御試算になりましたところでは、御指摘のように一応千四百億国鉄の新たな負担になる、こういうことになっておるわけでございます。  そこで、それではこの千四百億円が払えるのかという御指摘でございますが、これはこの法律ができましたら、国鉄が法に基づきまして当然共済組合に支払わなければならない額でございますので、それにつきましては、国鉄は年間五兆に近い予算を組んでおるわけでございますが、その中でこれを支弁するように計上いたしまして国会提出をする、そして御承認をいただいて支出をするということになると思っております。
  70. 小杉隆

    小杉委員 今度の計画をなぜ五年にしたのか、それをちょっと伺いたいのです。
  71. 保田博

    保田政府委員 幾つかの理由がございますが、一般的に財政再計算の期間というのは従来五カ年でやってきておるというのが一つでございますが、そのほか、各共済組合からの拠出金の拠出を平準化いたしまして、年度による急激な増加を避けるといったため、さらには国鉄共済年金の支払い能力を安定的に保障するといったような観点から、余り短い期間ではぐあいが悪いのではないか、こういうふうに考えたわけであります。
  72. 小杉隆

    小杉委員 大蔵大臣の昼食の時間もなくなるといけませんから、私はもうこれで切り上げますが、これは今度の一元化の第一歩ということになっておりますけれども、先ほど言った支給開始年齢の問題とか、それから、いまは特殊法人に天下ったりしても共済年金がもらえる。これは民間人にはできない点ですけれども、こういう点なんかも是正していく必要があると思うのです。  こういう点について大蔵大臣に最後にちょっと質問しますが、この国鉄負担分について、大蔵大臣としても積極的に援助していくという意向があるのかどうか、ひとつお答えいただきたいと思います。
  73. 保田博

    保田政府委員 国鉄共済年金に対して、今回の統合法案によりまして救済の手だてをとらせていただきたいと考えておるわけでございますが、具体的なその内容につきましては、この法案が成立いたしました後、国鉄共済制度、長期給付についての運営問題を議論する委員会をつくらせていただくことになっておりまして、その委員会でさらに詳細は決めさせていただきたい、こういうふうに考えております。
  74. 竹下登

    竹下国務大臣 いま保田次長から具体的な問題をお答えしたとおりでございますが、いまの御議論にもいろいろございましたように、実際この二つの審議会を通して法案をつくり、国会提出するまでの間、基本的な路線を決定した後で出すべきではないかとか、その種の議論はたくさんございました。最終的には、非常に荒っぽい言い方をすれば、さはさりながらもう時期的にも提出の時期が迫っておる、さようしからば中間報告をもって答申にかえてやろうという配慮が審議会等においてもなされたということも、いわば労働側のある種の連帯に基づく意識が、そのような中間報告をもって答申にかえるという形のものになったのではないかというようなことをかれこれ勘案いたしますと、私は、いろいろ疑問点がございますが、それに対して誠心誠意われわれがお答えすることによって、この法律案が可及的速やかに本院を通過するように御協力をいただければ、幸いこれに過ぐるものはない、このように陳情をいたしまして、私のお答えといたします。
  75. 小杉隆

    小杉委員 最後に一点だけ申し上げたいのですが、先ほど大蔵大臣は正森委員の質問に対して、今度の資金運用部資金の自主運用については非常に柔軟な答弁をされました。厚生省とか郵政省から自主運用を強く求められておりますけれども、大蔵大臣としては、先ほどの答弁のように大変柔軟な考え方で、統合して運用していくといういままでの方式を改める可能性を示唆されたと思うのですが、そういうふうに解釈してよろしいですか。
  76. 竹下登

    竹下国務大臣 これは基本的には郵政省、そしてまた厚生省等から要求が提出されました問題については、予算編成の際の十二月に答えを出すべきものでございますので、あらかじめ私が、いわゆる絶対という物の考え方を示すことは非礼にも当たるというようなことで、一般論を申し上げたわけであります。  今日の考え方はどうか、こう聞かれますならば、これは言うまでもなく、いわゆる統合一元化の運用というものこそ、国民のそれぞれのニーズにこたえて政策の優先順位を確定しつつ、これに資金配分を行っていくということが、これは臨調の答申等にもございますが、私どもが今日まで堅持し続けてきたところでありますので、いわば既存の運用範囲の拡大等について、いま聞く耳を持たないという姿勢は非礼でありますからとるべきではございませんが、私どもとしては当然のこととして、今日までの統合一元化運用というのが諸般の角度からして至当な考えであるというふうには、今日認識をいたしておるところであります。
  77. 小杉隆

    小杉委員 何か大分答弁が変わっちゃったんですけれども、先ほどは大変柔軟に対処するような御意向だったのが、またいままでの方式を堅持する、こういうことですが、大蔵大臣はそれでは退席されて結構です。あと厚生省と郵政省に……。
  78. 森美秀

    森委員長 大蔵大臣、御退席ください。
  79. 小杉隆

    小杉委員 それでは厚生省に伺います。自主運用をさせてくれということを先ほど言われましたが、もし自主運用をしたらどういうふうに運用するのか、具体的にお考えがありますか。
  80. 熊代昭彦

    熊代説明員 先ほど年金課長から御説明いたしましたとおり、現在厚生省としての最終的な五十九年度予算に対する要求案はまだ白紙で提出いたしております。厚年部会等で自主運用を基本とする方式を採用すべきであるという御意見をいただいておりますけれども、それも勘案いたしまして、年金制度の抜本的改正案を提出するときに、厚生省の自主運用に対する態度も同時に表明させていただきたい、このように考えておるわけでございます。
  81. 小杉隆

    小杉委員 まあ大蔵大臣はちょっと揺れている答弁をしたのですが、大蔵省の事務当局はどういう考え方にあるわけですか。
  82. 西垣昭

    ○西垣政府委員 分離運用の問題でございますが、この点につきましては大臣からもはっきり申し上げたところでございますけれども、郵便貯金、年金資金等、国の制度、信用を通じて集められる資金、これはいろいろございますけれども、資金運用部資金として統合し、一元的に管理運用するというのが従来からの扱いでございます。このような統合運用の原則というのは、まず第一に政策的な重要性に応じましてバランスのとれた資金配分ができる、第二に財政金融政策との整合性の確保が可能である、第三に効率的機動的な資金運用を行うということで、最も合理的な運用の仕組みであると私どもは考えております。  大臣からもちょっと触れられましたが、この問題につきましては、ことしの三月十四日に出されました臨調の最終答申におきましても、「統合運用の現状は維持されるべきである。」というふうにされております。この臨調答申につきましては、政府は新行革大綱、これは五月二十四日に決定されたものでございますけれども、この大綱におきましても、最大限に尊重することを明らかにしているところでございます。     〔委員長退席、中西(啓)委員長代理着席〕  年金資金についで自主運用を認めるべきでないかという御指摘でございますが、いま申し上げましたような理由から、資金運用部資金による現行の一元的な管理運用の仕組みを堅持する必要があると私どもは考えておりまして、五十九年度の財政投融資計画の編成も、これを堅持いたしまして編成したいというふうに考えております。
  83. 小杉隆

    小杉委員 しかし、郵政省とか厚生省から強く自主運用を追ってきているわけですが、将来の年金財政を考えますと、やはりいままでの運用の仕方にも再検討の余地があるのではないか。もし統合運用ということでこれからもやっていくというならば、従来のやり方を改めて、もう少し有利運用の方法を考えるべきではないか。その有利運用の具体策がもしあるならば、示していただきたい。
  84. 西垣昭

    ○西垣政府委員 いま申し上げましたように、資金運用部資金といたしまして統合的に運用する、その運用に当たっては公共的な運用を行うということでございますが、他方では預託者の利益を考慮いたしまして、できるだけ有利運用するということで従来からも配意してきたところでございます。  臨調の答申におきましても、「資金の運用においては公共性の観点も重要である」という御指摘がありました上で、「これまで以上に有利な運用にも配意する」ようにというふうに述べておられます。私どもといたしましては、このような臨調答申を踏まえまして、公共性とのバランスをとりながらできるだけ有利運用に努めてまいりたいというふうに考えております。  ただ、預託者の利益のために資金運用部預託金利を引き上げますのには、資金の有利運用として資金運用部融通金利を引き上げざるを得ないわけでございます。現在は預託金利と融通金利が、大ざっぱに申しますといずれも七・三%でございまして、資金運用部といたしましては利ざやを持っておりません。したがいまして、この融通金利を引き上げることになりますと、中小あるいは住宅、国民公庫等の貸出金利の引き上げを図るか、あるいは利子補給等財政負担の増大につながるか、こういう事情もございまして、私どもといたしましては慎重に検討せざるを得ないというふうに考えております。
  85. 小杉隆

    小杉委員 きょうは郵政省は見えていないのですか。——来ていない。  こういう大蔵省側の言い分に対して、厚生省側は、これから検討するんだということじゃなかなか通らないと思うのですけれども、厚生省として自主運用したいんだというもっと強い根拠というか、そういうものをもう少し言うべきじゃないかと思うのですけれどもね。
  86. 熊代昭彦

    熊代説明員 自主運用したいという根拠を言えという先生の御指摘でございますが、年金の立場からいたしますと、確かに、現在財投金利が七。三%でございますから、それよりも客観的にもう少し高い利率が可能であれば、将来の給付のために非常に有利であるということでございます。財投の仕組みの中でそれが現在可能であるかどうかということは、いま理財局長からも問題点の指摘がありましたけれども、いろいろ問題もあろうと思います。  ただ、そのような問題点を踏まえながら、年金制度の積立金の本来の趣旨である有利運用、そういうことに資する解決というものを打ち出されるかどうか、あるいは自主運用に踏み切らなければそれができないのかどうか、その辺を十分検討して今後の厚生省の態度を打ち出したい、かように考えております。
  87. 小杉隆

    小杉委員 それでは、以上で質問を終わります。
  88. 中西啓介

    中西(啓)委員長代理 本日は、これにて散会いたします。     午後一時五十一一分散会      ————◇—————