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上坂委員 ことしの五月、九十八
国会で、
海外商品取引の問題について
質問をいたしました。ちょうどことしの一月に、
海外商品取引受託規制法が施行になりました。それに基づいて、その後のいろいろな問題が出てきておりますので取り上げたわけであります。そのときに、
プラングッド・インベストメント・ジャパン株式会社、これは農水省が立入検査をやった
事件であります。それから、
日本貴金属株式会社、これは
通産省が
業務停止命令を下したわけであります。もう
一つ、
東海交易というのを
悪徳商社として取り上げました。そして特に、
商品取引のまがい
商法といいますか、
豊田商事というのを取り上げたわけでありますが、きょうは、この
豊田商事に特にしぼって
質問をいたしたいと思います。
いままで
商品取引においては、
先物におきましても、またブラック、
現物まがい商法と言われるその市場におきましても、非常に多くの
被害が出ておりますが、その
被害者の
相談相手になって精神的な支柱を務めてきました
悪徳商法被害者対策委員会というのがあります。そこに最近、金の
現物取引まがい商法で
被害を受けた
人たちの訴えが、というよりも
相談がたくさん集まっておるわけであります。
昨年、五十七年の一月から十二月までの一年間にどのくらいの
相談があったかと申しますと、
男子で二十件、
女子が八十件、
合計百件であります。その
被害総額は三億二千九百万円に達しておる。一人
平均三百三十万円になっています。問題なのは、このうち、その
被害に遭っている
人たちがどういう
年齢構成になっているかということでありますが、五十五歳以上の人が四十三名おりまして、そのうち
男子が十一名、
女子が三十二名であります。特に、この五十五歳以上の中で六十歳以上という人が三分の一を占めております。
それから、ことしに入りまして、一月から八月までの八カ月間に、すでに
男子十九人、
女子五十九人、
合計七十八件の
苦情が
対策委員会に寄せられている。その
総額が二兆五千百万円であります。一人
平均で昨年同様三百二十万円に達しています。そして、そのうちの五十五歳以上の
年齢構成が、男の人が十一人、女の人が二十五人で三十六人、そして、この三十六人のうちのやはり三分の一が六十歳以上のお
年寄り、一番ひどい人になると八十三歳という人がおります。
このことはどういうことを意味しているかというと、
先物取引ではなくていわゆる
現物のまがい
商法をやる場合には、
女性が非常に
被害が多いということ、それからもう
一つは、お
年寄りが非常に
被害者になっているということです。ねらっているところは、正常な判断を下すような人ではなくて、むしろまあ
一人暮らしをしている
女性とか
老人とか、だれにも
相談をすることができないというような
人たちとか、それから病床に入っていてだれも
めんどうを見てくれないので困っている人、そういう人が対象になっているというところに問題があるわけであります。
私は、ここに
一つの
被害者の実例を持っているのでありますが、この
豊田商事というところのいわゆる何というか、
勧誘員というのですか、
外務員というのです
かね、そういうのが
訪問をして、まあ言ってみれば
お金を巻き上げている。この
人たち、精神分裂症の
奥さんがいる。そして
老人性痴呆症の
お母さんがいる。この
お母さんが八十一歳。そしてその
金額ですね。
奥さんの方は、娘さんですね、五十三歳でありますが、百万円。それから八十一歳の
お母さんの方は二百三十八万九千七百円、これだけ金(
きん)を
見せ金にしてその
代金として持っていってしまう、こういうのが出てきました。それで、これはいま私が言いました病状でありますが、ここに西宮市甲子園の
池田医院というところの院長の
診断書があります。
老人性痴呆症という八十一歳の御婦人、それからもう一人は茨木市高田町の医師の
診断書があります。これが第一の例であります。
第二の例は、これも同じ
豊田商事の
被害者でありますが、これは
一人暮らしの七十九歳のお
年寄り、東京都に住んでおるわけですが、この人も
老人性の
痴呆症、
診断書があります。この人はことしの四月に六百八十六万円、金(
きん)を
見せ金にして、金(
きん)を買ったことになるわけでありますが、六百八十六万円取られている。そして五十八年の八月にまた六百八十万円ほど取られそうになったのですが、ここではそこの近所にいた娘さんが気づいてこれをとめて警察の方にも届けを出したのですが、これは
刑事事件にはならなかったわけであります。
こういうふうに非常に
被害が多くなってまいりまして、これからその
被害がどんどん出てくると
自殺者なんかも出てくるおそれがあるんじゃないかというふうに私は心配をしているわけであります。
そこで、問題なのはどういうことかというと、この
豊田商事は金(
きん)を
勧誘員が持ってきて、そしてお
年寄りに見せるわけです、こういう金(
きん)がありますと。そしてこの金(
きん)は、あなたが幾ら幾ら買えば——六百万円ですと大体二キロになりますか、一キロですと三百万円ちょっとで、それを見せて一キロお
買いになりますか、二キロお
買いになりますかという
かっこうになるわけですね。そして、一キロ買うということになれば、それを売ったことにして、
お金を取るわけです。ところが、その
お金は取るんだけれ
ども、その金(
きん)は置いていくかというと絶対に置いていかないのです。置いていったのではこれは
現物取引ですから、これはどこで買ってもいいわけですから、置いていかないのです。そして、その金(
きん)をもう一回、あなたが持っていたのでは盗難に遭ったりすると危ないからこれは置いていかない、私の方で預かって運用しましょう。そして、金(
きん)は値が上がりますからきっと利益が出るから私の方で預かって運用します。これはスイスとか何かに預けるというようなことを言うらしいですね。そしてそのかわり、その
純金を預けますという形になれば
純金ファミリー証券という預かり証をちゃんと出すわけです。
そして、その金(
きん)を預かっただけではなくて、これを
豊田商事の方は賃借りをする。賃料を払って借ります、こういう
かっこうになって、大体一割の
賃借料というんですか、それを置いていくわけです。ですから、三百万円というと三十万円置いていくわけです。二キロの場合には、六百万円もらえば、六十万円置いていくわけです。そういう
やり方をして、そしてその金(
きん一は置いていかないで持っていってしまう。そうすると、何というんですか、お客の方は六十万円あるいは三十万円とか一割もらって、そして三百万円とか六百万円は向こうに預けてしまう、こういう形になっているわけです。
それで不安になりまして、途中で
解約をするという申し込みをしますと、どういうことになるかというと、前にやったのが
賃借料で、途中で金(
きん)を返すことになるんだから前の預けた三十万円を下さい。三十万円くれ。そしてそのほかに三百万円のいわゆる三割、九十万円ですね、九十万円は
違約金として下さい、こうなるわけです。ですから百二十万円取られてしまうという
かっこうになってしまう。ですから、百二十万円取られたんじゃこれはかなわないから、そこでみんな、じゃあというんで、何というんですか、考え直すというのか、また続けてしまう、こういう形になるわけです。
そして今度は、大体契約の場合には一年後に
解約をしようとすると、そのときにまた金(
きん)は持ってくる場合もあるし、持ってこない場合もあるけれ
ども、同じようにして絶対に
相手には渡さないのです。そして継続をさせてしまうという
やり方をしておるわけです。
こういう
やり方で、実はこの
会社は去年は二十数店の支店を持っていたんですが、ことしは実に四十数店に増加をしていて、この四年くらいの間に実はいま
従業員が四千人から五千人くらいいるんじゃないかというふうに言われておるわけです。その人が九州から北海道まで全国的に散らばって、そして
勧誘をやっているわけです。ここの
サンシャインというところに行きますと、何階ですかわかりません、私の知人が行って
調べてきたんですが、見てきたんですが、
サンシャインのフロアを
一つ借りまして、そこではもう百人くらいの女の人がひっきりなしに電話を無差別にかけているわけですね。そしてちょっとでも脈があって、話を聞きましょうというような
かっこうになったら、もう
外務員といいますか、
勧誘員がぱっと飛んでいく、こういうシステムになっているわけです。
私がおそれるのは、こういう
かっこうで集めた金(
かね)が一体どういうふうに使われているのだろうか、また、もし一年後の
解約のときにすべての人がみんなで取り立てをして金(
かね)をくれ、こういうことになった場合に、果たして渡すだけの金(
きん)があるのか。金(
きん〉は運用しますから、売ったり買ったりしていますから、なくなる場合があると思うのです。その場合にはそれに見合うところの返す
お金が一体あるのかどうか、ここは非常に問題だ。もしなかったとすれば、これはえらいことになる。
そこでこの前の
質問のときも、私は
擬装倒産などということも考えられて、そのときには大変なパニック的な状況が起きるのではないか。集めた金(
かね)が、巷間うわさされるところによりますと、四百億か五百億かというふうに言われております。あるいはそんなものじゃない、一千億ぐらいになっているんじゃないか、こう言う人も実はいるわけであります。こんなところで問題が起きたら大変なことになりますから私はおそれるわけであります。
したがって、
豊田商事が本当に良心的な
会社であるならば、その裏づけとしての金(
きん)を保有し、あるいはまた
金額をちゃんと準備する、そこまでいけばこれはりっぱな商売になるだろうと私は思うのですが、そういうものができないということになりますとこれは大変な問題でありまして、これは放置するわけにはいかないのではないか。そういう点でお聞きをしたいわけでありますが、これは
エネルギー庁の
鉱業課で扱っているそうでありますが、こういう
実態を一体どの程度把握しているのか、ここのところをひとつ、
通産省としての考え、いままでのお
調べになったことについて、あるいは
苦情を受けたものについての
報告をいただきたいと思います。
それからもう
一つは、そういう
苦情なり
報告なり
調査なりを通じてどういう
対策をやってきたのか、これをひとつお聞かせいただきたいと思います。
まず先にこの二つだけ聞きまして、その後
質問をしたいと思います。