○
井上(普)
委員 いまも
災害が各地において起こっております。これは、天が
日本の政治それ自体に対して怒っておるのではなかろうかというような気がいたすのであります。
いずれにいたしましても、
日本全土にわたりましてこのように
災害が起こっておりますが、しかし、これを国が取り上げるのは均等でなければならないと私は思うのであります。もちろん、
三宅島のような大
災害がありますけれ
ども、数のみならず実質的な面から見ますと、非常に厳しい
災害が起こっておることを一例を挙げてひとつお伺いいたしたいのであります。
九月二十八日に十号の台風が参りました。私
どもの
地元徳島県というところは、御承知のように台風の常襲地帯なのであります。常襲地帯でございますから、普通の台風でございますと、もう
住民もそれの訓練ができておるし、あるいはまた
公共施設あるいは農業
施設、個人が持っております
施設にいたしましても、十分な
対策がかねてからつくられておる地帯であります。しかしながら、そのいままでの常識以上の五時間のうちに三百六十ミリというような雨が降りまして、鉄砲水が起こってまいりました。ために、この山城町でございますと、流失
家屋が二十五、六戸に上ったのであります。
この山城町という町は、これは
加藤長官、過疎地帯の最たるところでありまして、三十年には一万四千人の人口があったのが、いまでは七千二百人、半分に減っておるのであります。しかもその町の人口構成を見てみますと、実は六十五歳以上のお年寄りが一八%を占めておる。国よりも倍だけ老人人口がふえておるというような過疎地帯におきまして
災害が起こった。
その
災害といいますのも、これはちょっとほかの
地域では少ないのでございますが、実は五、六百メートルから七、八百メートルの山にべったりと急斜面に張りついておる家なのであります。その唯一の交通機関といいますと、河川沿いの県道あるいはまた町道、林道。これが唯一の交通機関。ところが、これが全部流されてしまった。一つの谷が全部やられた。
道路がやられてしまった。いまだにこの
道路は復旧いたしておりません。もうすでに十五、六日たっておるのですが、まだその部落には通じていないのであります。
その山城町自体というものが、年間予算が大体三十五、六億でございましょう。ところが、
被害総額が、
公共土木あるいは
公共施設を除きまして実は四十億に上るのであります。でございますから、町村財政といたしましても、これを復旧するには大変な金がかかる。こういうようなことになりまして、一体どうすればいいか。
先日、私もその地帯に参りましたところが、ともかく非常な境遇にどうすれば村は再建できるであろうか、一年間の町の予算をぶち込んでも金が足らない、こういうような話が
関係各位からどんどんと聞かされたのであります。たとえばその部落、山城町におきまして、
道路の決壊場所が八十カ所もあるのです。この間も知事がそれを視察いたしました。ところが、その部落に行くには、実は自動車をおりて三キロ半、一里近くは歩かなければ、すなわち県道あるいは町村道がだっと落ちてしまっているのですから、行けない。川の中をぼこぼこと歩きながら、四キロ近くを歩いて初めて視察ができたというような
地域になっておるのであります。いまだに孤立しておる。
しかし、それに対しまして、一体どうなんだろう。幸いにいたしまして、先ほ
ども申しましたように非常に
住民は訓練ができております。
災害に対して訓練ができている。でございますから、鉄砲水が来まして、そして流失する、あるいは床上浸水をいたしましても、これは不幸中の幸いと申しますか、ともかく重傷は出ましたけれ
ども、死者は全然ない。常日ごろの訓練が行き届いておるわけであります。家が半壊いたしましたのは二十七、八戸でありますけれ
ども、実際問題といたしまして、これはその
地域自体を見ますと
災害救助法の適用は当然である、激甚災をするのは当然であると私は思うのでありますが、何かむずかしいような話が伝わってきておるのであります。
でございますから、どういたしましてもこの村を
復興さすためには、局地
激甚災害を
指定してもらわなければならない、そうでなければこの
復興はとてもできない、こう申しておるのでありますが、聞くところによると、えらい中央は冷たいような話を承る。まことにもって不届き至極だと思います。これは数の問題やそんなんじゃない。流失した
戸数が幾らであるから何やら一戸とか二戸とか
基準に足らぬや言うて、あほなことをよう言いよるものだ。小役人の机上の計算で言いよるのだろうと思うのです。
しかし、
地域全体を見たならば、この過疎地帯は一体どうするんだろうか。町村財政もこんなに少なくなって、弱いところで、
復興もできないじゃないか。
被害を見ますと、
公共施設は除いて、
被害総額というものは町村財政に大体匹敵する、それ以上にやられておる。この山城町を見ますと気の毒だと思うのは理の当然であります。しかも、先ほ
ども申しましたように、老人人口が一八%以上、そしてまた三十一年といまとの人口を見ますと半分になっている。こういうような地帯は恐らくちょっと少ないのではなかろうか。
そういうところの
災害でありますので、どういたしましても
災害指定、局地
激甚災害の
指定は当然にこの山城町にはすべきであるし、私らも当然あるものと思っておったんです。ところが、さあ流失
家屋が三分の一戸足らぬとかへったくれとかいうようなどうもつまらぬことを言ってやっておるようでございますが、この点についての、過疎地帯に特にこういうように集中的に行われた
災害に対しましてはどういうようなお考えで臨まれるのか、特にこの山城町につきましてお伺いいたしたいと思うのであります。