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1983-10-13 第100回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年十月十三日(木曜日)     午後一時八分開議  出席委員    委員長 上原 康助君    理事 逢沢 英雄君 理事 工藤  巖君    理事 佐藤  隆君 理事 高鳥  修君    理事 池端 清一君 理事 田中 恒利君    理事 柴田  弘君 理事 横手 文雄君       石原慎太郎君    越智 伊平君       木村武千代君    北村 義和君       笹山 登生君    高橋 辰夫君       近岡理一郎君    東家 嘉幸君       渡辺 栄一君    井上 普方君       上田  哲君    小川 省吾君       鈴木  強君    中野 寛成君       中島 武敏君    野間 友一君       田島  衛君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国土庁長官) 加藤 六月君  出席政府委員         国土庁長官官房         審議官     田中  暁君         農林水産大臣官         房審議官    田中 宏尚君  委員外出席者         防衛庁防衛局運         用第一課長   江間 清二君         国土庁土地局国         土調査課長   小泉 恵二君         国土庁地方振興         局過疎対策室長 仁科 英麿君         国土庁地方振興         局離島振興課長 植苗 竹司君         国税庁直税部所         得税課長    岡本 吉司君         文部省管理局教         育施設部助成課         長       逸見 博昌君         厚生省環境衛生         局水道環境部水         道整備課長   森下 忠幸君         厚生省環境衛生         局水道環境部環         境整備課長   小林 康彦君         厚生省社会局施         設課長     近藤純五郎君         厚生省児童家庭         局母子福祉課長 佐野 利昭君         農林水産省経済         局金融課長   眞鍋 武紀君         農林水産省構造         改善局建設部防         災課長     吉川  汎君         中小企業庁小規         模企業部参事官 小川 忠夫君         海上保安庁警備         救難部海上防災         課長      竹内寿太郎君         気象庁観測部地         震課長     山川 宜男君         建設省都市局都         市防災対策室長 浦上 和彦君         建設省河川局治         水課長     玉光 弘明君         建設省河川局開         発課長     志水 茂明君         建設省河川局防         災課長     狩野  昇君         建設省住宅局住         宅建設課長   高橋  徹君         自治大臣官房参         事官      二橋 正弘君     ───────────── 委員の異動 十月六日  辞任         補欠選任   米沢  隆君     中野 寛成君 同月七日  辞任         補欠選任   中野 寛成君     米沢  隆君 同月十三日  辞任         補欠選任   鴨田利太郎君     渡辺 栄一君   木村 守男君     北村 義和君   桜井  新君     石原慎太郎君   伊賀 定盛君     井上 普方君   佐藤 敬治君     上田  哲君   渡辺  朗君     中野 寛成君   林  百郎君     中島 武敏君 同日  辞任         補欠選任   石原慎太郎君     桜井  新君   北村 義和君     木村 守男君   渡辺 栄一君     鴨田利太郎君   井上 普方君     伊賀 定盛君   上田  哲君     佐藤 敬治君   中野 寛成君     渡辺  朗君   中島 武敏君     林  百郎君     ───────────── 十月六日  総合的な災害防止対策等に関する陳情書(第一七一号)  集中豪雨に対する災害対策に関する陳情書(第一七二号) は本委員会に参考送付された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  災害対策に関する件  派遣委員からの報告聴取      ────◇─────
  2. 上原康助

    上原委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  この際、去る十月七日、昭和五十八年三宅島噴火による被害状況調査のため、東京三宅島に本委員会から委員を派遣いたしましたので、派遣委員から報告を聴取いたしたいと存じます。工藤巖君。
  3. 工藤巖

    工藤委員 昭和五十八年三宅島噴火による被害状況調査のため、議長の承認を得て、去る十月七日三宅島に派遣されました委員を代表いたしまして、私から調査の概要を御報告申し上げます。  派遣委員は、上原委員長を団長として、自由民主党の逢沢英雄君、日本社会党池端清一君、公明党・国民会議柴田弘君、民社党・国民連合中野寛成君、日本共産党野間友一君、そして私、工藤巖の七名と、地元東京都選出の新自由クラブ田島衞君の御参加を得まして、現地の実情を調査いたしてまいりました。  まず、噴火発生状況について申し上げます。  去る三日の午後二時ごろから、三宅島では連続的に微小地震発生し、続いて断続的に有感地震発生し始めました。  このため測候所が、火山性地震であるとして臨時火山情報を出す準備を始めたところ、午後三時三十分ごろ突然二十一年ぶりの大噴火発生いたしました。  これは島の中央にある雄山から南西側中腹の通称二男山付近で、帯状に十数カ所噴火口から次々と溶岩を噴き上げたものであります。  噴煙は八千メートル以上の高さまで達し、すさまじい勢いで噴出した溶岩は、島の南西側に流れ込み、山火事発生させながら、三宅島最大集落であり島随一観光地阿古地区に流入したため、阿古集落の五百二十三戸のうち八割近くの四百戸が溶岩流の下に完全に埋まり焼失するという大きな被害発生いたしました。  このような大噴火にもかかわらず、住民の適切な避難の結果、一人の死傷者も出なかったことはまことに不幸中の幸いであり、関係各位の御努力に心から敬意を表するものであります。  また、噴火に伴う火山灰南西の風に乗り、島の南東部に降り注いだため、坪田地区中心に二十センチ以上も積もり、空港は使用不能となるとともに、全島で水道ガス電気道路、人家、農作物等に大きな被害発生させました。  さらに、溶岩流噴火後に発生した地震による土砂崩れ等により、島の海岸沿いを一周する幹線道路数カ所で通行不能となりました。  このような状況下にあるため、派遣団海上保安庁陸上自衛隊のヘリコプターに搭乗して東京を立ち、まず機上から噴火による惨状を視察いたしました。  最も被害の大きかった阿古地区では、雄山中腹から流れ出た真っ黒な溶岩が途中で数本の帯状に分かれており、うち阿古集落を襲った溶岩流は、二百メートル以上の幅で多数の家々を埋没させながら海岸近くまで達しており、その先では消防団員が海水をかけて溶岩を冷やし、その流動をとめようとしておりました。  また、粟辺地区に向かった溶岩流も、大きく広がりながら新澪池を埋め尽くして海中に流れ込み、さらに新鼻の先には海中から新たな噴火口が浮き上がっており、今回の噴火の激しさを物語っておりました。  引き続き、火山灰による被害が大きい坪田地区と、雄山から点々と続く噴火口状況を見た後、三宅中学校校庭に着陸し、東京三宅支庁において、支庁長及び三宅村助役から、噴火による被害状況復旧対策等について説明を聴取いたしました。  現地での説明によりますと、噴火の直後に東京都及び三宅当局災害対策本部を設置し、同日午後六時三十分に災害救助法三宅村に適用して、被災者の救援を行うとともに、現在、海上保安庁、消防庁、警察庁、自衛隊等の応援を得て、復旧活動及び二次災害防止に全力を尽くしているとのことでした。また、最重要課題は、小中学校早期再開住民流出防止のための過疎対策であるとし、生活相談所を開設し、被災者生活住宅教育等相談に応じているとの説明がありました。  なお、今回の災害が村の過疎化を進めないためにも、復旧活動促進とともに、島内の産業の育成、発展を図ることができるようにという切なる要望がございました。  噴火による被害額につきましては、東京都の現地対策本部によりますと、公共施設関係が四十三億円、農林水産関係が九十二億円、宅地、家屋家財等が七十五億円で、その他を含め総額としては二百十七億円にも達する見込みであります。  次いで、調査団は、千人近い阿古地区住民避難している三宅小中学校を訪れ、突然発生した噴火により住宅財産等を焼失された方々にお見舞いと激励の言葉を申し上げてまいりました。  なお、後日、東京都知事より上原委員長に対し、一、激甚災害早期指定、二、火山観測体制充実強化という要望がありましたので、申し添えます。  最後に、被災地早期復興を念ずるとともに、調査に際し御協力をいただきました関係各方面の方々に深く感謝申し上げまして、私の報告を終わります。
  4. 上原康助

    上原委員長 以上で派遣委員報告は終わりました。  派遣委員各位にはまことに御苦労さまでした。     ─────────────
  5. 上原康助

    上原委員長 これより災害対策に関する件について質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石原慎太郎君。
  6. 石原慎太郎

    石原(慎)委員 今回の三宅島の噴火災害に関しまして、早速、加藤大臣陣頭指揮のもとに、関係省庁また当委員会の各委員が御視察いただきまして、現地を代表いたしましてお礼を申させていただきます。  しかし、予想外被害が非常に大きく、今後の復興が大変困難視されておりますけれども、それに関しまして八つほどの点についてお聞きしたいと思いますが、一問一答しておりますと時間を食いますので、先に質問を私、列挙させていただきますので、後に大臣並びに政府委員の方からお答え願いたいと思います。  第一は、今回の災害激甚災害指定の問題でございますが、何分被害額が大きく、また村の経済そのものが非常に弱小でありまして、同時に都の負担もかなりのものと思いますので、この激甚指定に関してぜひひとつ格段の御配慮を願いたいと思います。これについて、大臣から後にひとつ見解をお述べいただきたいと思います。  第二は、この溶岩埋没地域をどうするかということでございますけれども集団移転促進事業というものをぜひ適用していただきたい。非常に危険な、そして孤立している島で今回の災害に遭ったわけでありますが、中には自分の一生のうちにもう三度目だという人もおられるわけでありますけれども、今後こういうことがないといいますか、不幸を繰り返さないように、ひとつ安全な地域防災のための集団移転事業というものを適用していただいて、九〇%溶岩に埋まってしまった阿古地域住民たちがこの島で将来希望を持って生活できますように、これの適用をお願いしたいと思うわけでございます。  第三は、現在、活動火山対策特別措置法がございますが、これは降灰に関する規定はございますけれども、今回のように溶岩についての規定がどうも不備でありまして、避難施設緊急整備地域指定に関する見直しを積極的に行っていただきたいと思いますが、この点についてお伺いしたいと思います。  第四は、防災都市計画についてであります。これも国土庁だと思いますけれども、今回の状況を見ますと、流れてきた溶岩が案外もろそうなブロック塀にかかわらずそこでとまっていたり、それから鉄筋コンクリートの校舎によってかなりの量の溶岩がせきとめられたりしているわけであります。もし、前に質問いたしました集団移転というものが可能になりましたならば、やはり噴火口可能性のある地域に近いところにこういう鉄筋のわりと強度公共施設などを置きまして、万が一のときにも防災がそこでできるような、そういう都市計画というものを積極的に検討していただきたいと思うわけでございます。これは、これから起こるかもしらぬ災害に耐え得る防災都市というものの計画計画としても早期に進行いたしますと、いま島を離れている人たちが将来に希望を持って帰ってくるということでの過疎化防止にもなると思いますので、ひとつ積極的に検討願いたいと思うわけでございます。  第五は、テレビ等々では溶岩に埋もれて焼失した阿古地域が非常に映し出されておりますけれども先ほど報告にもありましたように、坪田地域降灰量というものは想像以上のものであります。しかも、これが有珠山などの灰と大分性質が違って、有珠山の場合には、地元の同僚の国会議員に聞きますと、灰の性質がアルカリ性なので木を植えたら予想以上に早く育ってしまった、不幸中の幸いがあったようですけれども、今回はそういう灰と性質が違うようで、どうかそういう問題に対する農林省の積極的な分析配慮というものをお願いしたいと思うわけでございます。  第六は仮設住宅であります。これは、大体の基準全壊戸数の三〇%ということのようですけれども、今回は戸数もずいぶんやられましたが、同時に残っている家屋も、現地に行ってみるとわかりますけれども溶岩溶岩に挟まれてもう身動きできない、水道も行かなければ電気も来ない、ゴーストタウンでありまして、これを住宅として使用しろと言うことはしょせん無理でありますので、全壊家屋そのものも数が多うございますが、倒壊してない家屋でも使用不可能なものはその対象に置いて、かつ全壊戸数の三〇%という基準を非常に弾力的に運用していただきたいとお願いする次第でございます。  それから、これから仮設住宅の後、本住宅を建てなければいかぬわけですが、先ほど申しました防災都市計画あるいは集団移転というものが可能になるならば、仮設住宅が本住宅建設に邪魔にならないような配慮をしていただきたいと思います。  最後に、これは非常にむずかしいと聞いておりますけれども火山活動観測強化というものはやはりしていただきませんと、一生のうちに三度も四度も——罹災するのは仕方ないにしてみても、今回はうまくいきましたけれども、思いがけぬ被害が出ないとも限りません。私の知人の外国人新聞記者が取材をして、あの規模災害でありながら一人の人命も失われず、一人のけが人も出なかったというのは、さすがに日本であると感嘆をしておりました。世界にそういう範を示したわけでありますので、その後の復興にも賢明で冷静であった島民の諸君の期待にこたえるべく、どうかひとつ加藤大臣陣頭指揮のもとに、関係省庁の早急な十分な手当てを心からお願いし、質問とお願いをいたしまして、私の質問を終わります。  以上、八つの点についてお答え願いたいと思います。
  7. 加藤六月

    加藤国務大臣 私に関係するものあるいは関係省庁政府委員等からお答えいたすものもあると思いますが、主な点についてまずお答えさせていただきたいと思います。  三宅島の噴火災害激甚災害指定見込みはどうか、ぜひしろ、こういう第一問でございました。  激甚災害指定につきましては、現在関係省庁におきまして鋭意被害状況調査中でございます。現段階でその見通しについて申し上げられないことをまず御了承願いたいと思います。今後さらに調査を急ぎまして、その結果を待って所要の手続を速やかに講じたい、こう考えておるわけでございます。島民皆さん方にたくましく立ち上がっていただくためのあらゆる方法は講じたい、このように考えております。  それから、その次の集団移転問題については、後から政府委員にお答えいたさせたいと思います。  三番目は、活動火山対策特別措置法降灰対策中心ではないか、溶岩流被害その他についての対策が不十分ではないかということで、具体的例を挙げて御質問になったわけでございます。  ある面では御指摘のとおり、現在、活動火山対策特別措置法に基づいて実施しております対策降灰対策中心でございますが、同法は降灰対策だけでなく、避難施設防災営農施設等整備についても規定いたしておるわけでございます。今回の三宅島火山噴火災害については、当面この活動火山対策特別措置法を含め、まず現行法制のもとで可能な限り努力していきたいと考えております。しかし、この場合、御指摘のような溶岩流対策を含めて、今回の三宅島火山噴火災害対策として不十分な点があるとするならば、関係地方公共団体意向等も確認いたした上で、その実施可能性を踏まえて所要改善策について検討してまいりたい、このように考えております。  それから、一番最後火山観測監視体制強化についての御意見と御質問がございました。  わが国は、七十七の活火山を有する世界有数火山国でございます。これらの火山観測監視体制強化がきわめて重要なことであることは、先生と全く同感でございます。国土庁としましては、中曽根内閣総理大臣の指示を踏まえまして十月四日に関係省庁に対し、火山に対しての観測体制火山情報伝達体制等について、総点検してほしい旨を要請したところでございまして、近く気象庁等関係省庁による連絡会議を開催するため、その準備を進めているところでございます。  それ以外の防災都市計画降灰問題、仮設住宅問題等につきましては、各省政府委員にお答えさせたいと思います。
  8. 石原慎太郎

    石原(慎)委員 ちょっと質問のときに言い忘れましたが、埋没地域溶岩に覆われた地域を、集団移転に関して国で何とか買い上げてもらえないかという要望現地では非常に強いということも、申し添えさせていただきます。
  9. 田中暁

    田中(暁)政府委員 阿古地区防災集団移転事業を適用してほしいという御質問がございましたが、お答え申し上げます。  先生御承知のとおり、国土庁がやっております防災集団移転促進事業と申しますのは、今回のような災害を受けました地域あるいは今後災害発生のおそれのある地域につきまして、市町村がある程度の規模の団地を安全な地域に造成をいたしまして、そこへ被災地域等住民全員に集団的に移転していただくことによりまして、移転促進しようという制度でございます。したがいまして、この事業は、まず被災地域等住民全員が一致して移転をしたいという合意が形成されることが基本になるわけでございますが、今後住民意向がまとまって要望が出てまいりました場合には、都や村とも十分緊密な連絡をとりながら、積極的に対応してまいりたいと考えている次第でございます。  跡地買い取りの問題でございますが、現在の防災集団移転促進事業の内容といたしまして移転跡地買い取りという制度がございまして、これは事業実施主体でございます市町村あるいは都道府県が、移転跡地買い取りを行うことが事業全体を実施する上で適当であるというように判断いたした場合に行われることになっております。この場合におきまして、移転者全員が一致して移転跡地買い取り希望することが要件となっておりますので、これは御理解いただきたいと思いますが、買い取りの価格は時価ということに相なっております。  お尋ねの阿古地区につきましても、将来そのような希望が出てまいりました場合には、都や村と十分連絡をとりまして適切に対処いたしたい、かように考えている次第でございます。
  10. 吉川汎

    吉川説明員 第五番目の御質問坪田地区火山灰除去の問題でございますが、降灰農地につきましては、当然一定の基準に合致いたしますと、その火山灰除去につきましては、暫定法対象として補助対象になるようになっております。  なお、今回の火山灰は非常に強酸性というふうに伺っておりますので、実態を十分調査した上で、土壌改良剤投与等を含めまして復旧計画を立ててまいるように、対策を講じてまいりたいと思っております。
  11. 石原慎太郎

    石原(慎)委員 局長にお伺いしますけれども強度の酸性というのは一般的に言っていかなる植物、農作物を含めて、その育成にきわめて不利な特性ということでございましょうか。
  12. 吉川汎

    吉川説明員 作物に適正なのは、PHが大体六ないし六・五と伺っております。今回の三宅島の火山灰によりまして、PHが四・二、三というふうに現在のところ報告を受けております。ただし、まだ実態を全部調査し終わっておりませんので、全体をよく調査した上で対策を講じてまいりたいと考えております。
  13. 浦上和彦

    浦上説明員 都市防災計画の件でございますが、私どもは従来から地震防災対策が重要でございますので、震災対策に重点を置きまして、市街地不燃化でありますとか避難地避難路整備等防災対策を推進してきております。  ところで、今回の三宅島の災害でございますが、火山そのもの市街地が形成されているというふうな特別の立地条件もございますので、都市計画上の対策だけで完全に対応できるかどうかにつきまして、今後検討を続けていきたいと思っておりますが、いま東京都に連絡をとっておりますが、復興計画についても検討いたしておるようでございますので、十分連絡を密にいたしまして、今回のような災害に強い町づくり対策につきまして研究をしていきたいと思っております。
  14. 近藤純五郎

    近藤説明員 仮設住宅につきましてお答え申し上げます。  応急仮設住宅は、住家が全壊した場合に自分の資力では回復できない、こういう人たちにつきまして住居を提供するというものでございまして、いまの基準では全壊世帯の三割以内というふうなことでつくってよろしいということになっているわけでございます。これは、住民経済能力でございますとか公営住宅への吸収能力でございますとか、あるいは公的融資による住宅というようなものを勘案いたしまして、全国平均的に定めた基準であるわけでございます。ですから、市町村状態あるいは被害の程度、こういったものによりまして、画一的に取り扱うということは非常にむずかしい場合があるわけでございますので、厚生大臣事前承認という形で弾力的にいま対応しているわけでございます。  ところで、三宅島の場合でございますけれども溶岩流出ということで土地そのものもなくなったということでございますし、阿古地域全体が壊滅状態になったとかあるいは村営住宅への入居というのも非常にむずかしいというふうなことでございますので、私どもといたしましては、財政当局東京都と御相談申し上げまして三割にこだわらないという形でやりたいと思っておりますが、先ほど先生が言われました残っている家でございますけれども、現在島の北部にすでに建設に着手しておりますけれども、残りの仮設住宅につきましては阿古地域の下錆地区というところにつくることになっておりまして、そこに建物ができ、きょうも電気が通ったようでございますけれども電気水道が通るようになれば、ほかの残った住居というのは大体使えるのじゃないかというふうにも考えられますので、その点も今後考慮しながら私どもとしては検討を進めたいというふうに考えております。
  15. 石原慎太郎

    石原(慎)委員 質問最後は、いま非常にむずかしい作業と思いますけれども火山活動観測強化充実についてお伺いしましたが、運輸省……。
  16. 山川宜男

    山川説明員 ただいま御指摘があったことでございますが、日本世界有数火山国でございます。そういう意味で、気象庁はこれまでも火山監視体制強化充実ということにつきましては、気象庁の業務の重要な柱の一つとして施策を進めてまいったわけでございますけれども、ただいま御指摘もございましたように、今回の噴火にかんがみまして今後も一層努力するつもりでございます。それには、各関係省庁とも協力していかなければなりませんので、測地学審議会それから火山噴火予知連等の組織も活用させていただきまして、一層努力していきたいと思っております。
  17. 石原慎太郎

    石原(慎)委員 終わります。どうもありがとうございました。
  18. 上原康助

    上原委員長 次に、渡辺栄一君。
  19. 渡辺栄一

    渡辺(栄)委員 本日は早速、衆議院の災害対策委員会をお開きいただきまして、昭和五十八年の台風第十号につきましていろいろ御審議をいただく機会をいただきまして、心から委員長初め委員の各位に感謝を申し上げます。  なお、自民党災害対策特別委員会、また建設省の高秀技監以下調査団、またそれぞれのお立場におきまして早速現地を御調査並びに激励をちょうだいいたしましたことを、この機会に厚くお礼を申し上げたいと存じます。  台風第十号は、長野県御岳山など四百六十四ミリという、断続的な大量の雨を伴いまして全国的に大きな被害をもたらしたのでございますが、岐阜県におきましても五百三十億に上る災害を起こしておりまして、なおこれが増加しつつある現状であります。公共施設等につきましても相当な被害が出ておりまして、今後何かと委員会の御配慮を賜らねばならぬと存じますが、きょうは特に岐阜県の美濃加茂市、坂祝町のこうむりました木曽川未曾有の大洪水に伴いまする水害につきまして、お願いをいたしたいと存じます。時間の関係でなるべく簡潔に申しますので、よろしくお願いしたいと存じます。  台風第十号によりまする上流部、木曽、飛騨方面の豪雨によりまして、木曽川が急激に増水をいたしまして、美濃加茂市の中心市街地及び坂祝町の木曽川沿いのほとんどが濁流にのまれまして、きわめて甚大な被害発生をいたしたのでございます。  特に、水没地区が市町の中心部でございますために、一般家屋はもちろんでございますが、商工業施設のほか、市におきましては郵便局、電報電話局、公共職業安定所、法務局、市役所、公民館、文化会館、図書館、保育所、小学校など各種公共施設、並びに農協、商工会館、銀行、病院、市営住宅など都市的中枢機能が壊滅的な被害を受けたわけでございます。  なお、その被害は順次ふえておりますけれども、現在のところ死者一名、全壊三戸、半壊十一戸、流失一戸、床上浸水千七百七戸、床下百七十九戸、被災人員七千百二十九人、農業被害が一億五千百九十九万円、商工業の被害が百十三億六千九百九十二万円、市の公共建物が三億七百二十三万円等でございまして、非常に局地的でございますが、甚大な被害を受けておるわけであります。  特に、今回の洪水の特徴といたしましては、当市町の降雨量は百ミリ程度でございましてそれほど多くないのでございますが、先ほど申しましたように長野県、岐阜県の飛騨地域におきまして三百ミリを超える豪雨を得まして、これらのものが集中的に木曽川、飛騨川で合流をいたしまして、美濃加茂市、坂祝町に一挙に襲いかかってまいりまして、異常な速さで、また未曾有の雨量で、またきわめて多量な泥が堆積をいたしまして、町じゅうがごみと泥の海と化し、被害を大きくいたしてきたわけでございます。  このような状況でございますので、順次お願いをしてまいりたいと存じておりますが、まず、きょうは国土庁長官お忙しいところおいでになっておりますのでお願いいたしたいと思うのでありますが、このような災害状況にかんがみまして、ぜひ激甚災害の御調査が済み次第、速やかに局地激甚の御指定をいただき万全の措置をお願いいたしたいと思っておりますが、よろしくお願いしたいと思います。
  20. 加藤六月

    加藤国務大臣 今回の台風十号、三十九府県に及ぶ膨大なものでございます。その中で長野県、岐阜県は、特に被害甚大であったと承っております。また、渡辺先生御自身の自宅も災害に遭われたそうでございます。罹災された関係者の皆さま方に対し、心からお見舞い申し上げる次第でございます。  ただいま台風十号による美濃加茂市、坂祝町の激甚災害指定の見通しいかん、こういう御質問でございましたが、被害についていま全体的な調査、特に中小企業中心についてその詳細な調査中でございます。しかとしたことをこの席で申し上げられないわけでございますが、いずれにいたしましても局地的に甚大な被害を受けたということは承知いたしておりますので、調査結果を待ってなるべく早く所要の措置を講じたいと考えておるところでございます。
  21. 渡辺栄一

    渡辺(栄)委員 そこで、非常に異常な洪水であったと申しましたのは、今回は九月二十八日の十八時に七千トン、二十時に一万七百トン、二十二時に一万二千六百トン、二十三時三十分に一万四千八百トン、そして二十九日になりますが、一時三十分にはすでに一万一千五百トンに減水しかけまして、朝の五時には六千百トンに完全に減水をいたしておるわけであります。非常に急激に増水をして、また急激に減水をいたしておるわけでございますが、被害は相当長期間冠水をしたくらいの大きな被害でございまして、水の去りました後は家は全くがらんどうが残っただけでございまして、壁は落ちる、畳はもちろんでございますが床をはねる、家財、衣類はほとんどすべて放棄せざるを得ない、しかも生活再建、特に中小企業でございますので、商工業関係者は全く再起不能という現状でございます。いま長官からも局地激甚につきまして、特に商工関係等についてはいろいろ御配慮願っておるようでありますが、今後におきましてぜひ格別な御配慮をちょうだいしたいと思います。  そこで、建設省にちょっとお伺いしたいと思いますが、いま申しましたように非常に急激に増水をいたしまして、ほとんど退避あるいは家財を持ち出す余裕がなかったという現状でございますので、率直に申しまして、正確な資料はございませんが八十年前に相当な被害があったという経緯がございますけれども、今回はそのときの被害よりもはるかに甚大でございまして、まさに最近の資料のある中では、岐阜県におきましてもそうでありますが、木曽川始まって以来の大洪水ということになるわけでございます。その間におきますたとえば洪水情報あるいはその連絡が果たして的確に行われておったのかどうかということにつきましては、十分当時の問題につきましても御調査を願い、私は今後の万全を期していただく必要があるのではないかと考えておるのであります。  同時に、木曽川も飛騨川も、実は皆たくさんのダムを抱えておるわけでございますが、ダムの洪水に対します調整機能が果たしていかなるものであるか、今回そういうことにつきまして大変われわれ懸念をいたしておるわけでありますが、そういう問題とあわせてダムの運営管理が十全であったかどうか、なお今後の問題につきまして十分な御検討をいただく必要があるのではないかと思います。この点について、後ほど御意見を承りたいと存じます。  なお、今回、計画洪水量が一万二千五百トンでございますけれども、実際に洪水を見ましたのは一万四千トンを超えておるわけであります。想像以上の水が集中をしたわけでございますので、これらに対しましていろいろ御検討を願いまして、将来このようなことの絶無を期する意味におきます抜本的な治水対策を、早急に総合的にひとつ確立をお願いしたいと思います。そのためには、たとえば激特事業等の御指定によります護岸の完成という問題、あるいは排水機等が果たしてあれで十分であったか、あるいは放水路の問題、そういうような問題につきましても、木曽川本川の問題でございますので十分な御配慮をちょうだいしなければならぬと思いますが、御当局の御見解を承りたいと思います。
  22. 志水茂明

    ○志水説明員 ただいま先生指摘のとおり、木曽川におきます今回の出水は、丸山ダムというダムがございますが、この地点におきまして最大流入量が毎秒八千二百十七立方メートルということで、計画の六千六百立方メートルに比べてこれを非常に上回る異常洪水でございました。そのため、ダムの操作は、このような事態に対応して定められております規定に基づきまして行ったものでございます。  また、水防法によります警報の発令につきましても、水位、流量の増加がきわめて急激でございましたために、警報の発令から浸水が始まるまでの時間が結果的に三十分程度ということになってしまいました。今回の出水にかんがみまして、今後は特に木曽川の治水対策とあわせて、このような異常出水時におきます通報、それから特に未改修地区に対します通報のあり方、こういったものにつきまして速やかに検討していきたいと考えております。
  23. 玉光弘明

    玉光説明員 木曽川の美濃加茂市地先の河川改修につきまして述べさせていただきたいと思います。  この地先の改修につきましては、昭和五十年から直轄に編入しまして改修を促進してきたところでございますが、まさに文字どおり未曾有の洪水でございまして、この地点での計画流量を超す、また計画洪水を超すものになったわけでございます。したがいまして、これにかんがみまして、今回の出水状況を十分に調査いたしまして、再度災害防止されるように緊急改修計画を立案したいと思っております。その中にはもちろん、激特事業の採択条件にも十分合いますので、これを取り入れ、さらにそれを含めました河川改修を鋭意検討してまいりたいと思います。  それから、内水の話もございますが、外水があふれないような状態にしたときに内水をどう処置したらいいかということを十分調査いたしまして、適切な対応策を立てたい、こういうふうに考えております。
  24. 渡辺栄一

    渡辺(栄)委員 私も記憶をしておりますが、昭和十三年に相当な災害がございました。それ以後は丸山ダムができまして、丸山ダムのおかげで洪水は免れてきたというのが実態でございます。自来、率直に言いまして、洪水というものに対します関心が薄れておったということも反省をしなければならぬと思いますが、そういう経緯がございますだけに、いまいろいろ承りましたけれども、ダムの問題につきましては真剣にひとつ御配慮を願いたい、こう思っております。  なお、時間の関係もございますが、こういう機会でございますので、今回、十号台風で相当な施設災害も出ておりまして、恐らくことしは七千億近い災害が起きておるのではないかと私は思いますが、長官もおられますので、この機会にぜひ追加補正予算を組まれまして、災害対策等もひとつ万全を期していただきたいと思っておりますが、御所見がありましたら承りたい。
  25. 加藤六月

    加藤国務大臣 いまだ、日本海中地震、七月集中豪雨、五号、六号台風、そして十号台風、あるいは三宅島の噴火等で、関係省庁においてそれぞれの立場でがんばっていただいております。必要な財政需要額はどのようになるかということもまだ確定いたしておりませんが、要は、災害復旧あらしめ、二次災害防止し、関係住民皆さん方に安心して住んでいただくような措置を講じなくてはならないと考え、関係方面にも働きかけていきたいと考えておるところでございます。
  26. 渡辺栄一

    渡辺(栄)委員 先ほど申しましたように、今回は中小企業商工業者の被害がまことに甚大でございます。百億を超える中小企業の被害でございまして、私どもは、中小企業の局地激甚の指定は当然なるものと確信はいたしておりますが、なるべく速やかに御指定をいただきまして、中小企業の緊急融資あるいは税の減免等につきまして特別な御配慮がいただきたいと思っておりますので、その点につきまして承りたいと存じます。  なお、住宅融資につきましては、早速住宅金融公庫から現地におきまして受け付けを開始されておりますので、必要資金の確保について万全を期していただきたい、こう考えております。  なお、これに続きまして、先ほど申しましたように非常にごみが多いわけでありまして、約三万八千立米になっております。これは美濃加茂市の約六年間分のごみに相当するわけでありますので、大変に困惑をしておりますと同時に、その処理の莫大な経費に当惑をしております。こういう問題につきまして格別の補助と配慮を賜りたい、こう思っておりますので、中小企業の問題あるいはごみの処理等の問題につきまして、それぞれ御意見を承りたいと思います。
  27. 小川忠夫

    小川説明員 被災中小企業者に対します金融措置の点でございますが、今回の台風十号による被災中小企業者に対しましては、すでに十月三日付で政府系の中小企業金融三機関に災害貸付制度を発動いたしまして、一般貸し付けとは別枠で貸付限度を設定する等、貸付条件の緩和あるいは担保の徴求の弾力化、既往債務の償還猶予等の、個々の企業の実情に応じました措置を講じているところでございます。また、同日付で岐阜県に対しまして、中小企業体質強化資金助成制度の活用につきましても指示したところでございます。  それから、先ほど先生おっしゃいました中小企業関係激甚災害指定の問題でございますが、先ほど国土庁長官からお答えございましたように、現在実態調査中でございます。私どもとしましては、その実態調査を踏まえまして、できる限り迅速に所要の措置を講じてまいる考えでございますが、仮に激甚災害指定された場合には、御承知のように、激災法等に基づきまして一千万円を限度とする低利の災害貸し付け、あるいは信用保証の特例及び中小企業設備近代化資金の償還期限の延長等の特例措置を講ずるということになろうかと思います。また、岐阜県とも協力いたしまして、被災中小企業者の早期再建に努めてまいる所存でございます。
  28. 岡本吉司

    ○岡本説明員 災害によります税の減免につきましてお答え申し上げさせていただきます。  今回の十号台風によりまして各地の方が相当の被害を受けられたということは承知しておりまして、このため現地の各国税局あるいは税務署では、こういった被害を受けられました方々に対しまして税金の面でどのような救済措置が得られるかということにつきまして広報に努めているところでございますし、また、被害を受けられました方々からの相談につきまして万全の体制をとっているところでございます。  それで、風水害等によりまして被害を受けられました方々に対します税金の救済措置といたしましては、まず何と申しましても所得税の減免というものが最大のものであろうかと思うわけでございますが、これにつきましては、災害を受けました資産が事業用の資産であるのかあるいは生活用の資産であるのかというところによりまして、税法上やや取り扱いを異にしているわけでございます。  事業用資産の場合には、店舗とか事務所とか棚卸し資産、こういったものが災害に遭った場合には、資産そのものの損失額のほかに、そういったものの取り片づけ費用等も含めまして一切、その事業所得の必要経費として所得から差し引くことができる、こういうことになっております。  なお、その損失額がその年に差し引けないといった場合、つまり赤字になりまして差し引く金額に至らないといった場合には、その控除し切れなかった金額を翌年以降三年間にわたりまして、繰り越して控除することができるというような規定もございますし、またさらに、青色申告をとっていただいております納税者の場合には、前年に繰り戻しまして納付した税金を還付することができる、こういう規定になっております。  なお、こういった事業用資産ではなくて、住宅とか家財等生活用資産の場合には、これは所得税法の雑損控除の規定と、それから災害減免法によります所得税の減免措置と両方ございまして、いずれか有利な方をとっていただけるということになっております。所得税の方が雑損控除でございまして、概要を申し上げますと、住宅とか家財等生活用資産の受けました損害額、この額が合計所得金額の一割を超えるといった場合に、その超える金額につきまして雑損控除ということで控除できるということでございます。  なお、災害減免法の方の減免措置につきましては、住宅または家財がその価額の半分以上、五〇%以上の損害を受けた場合、かつ、その被災者の合計所得金額が四百万円以下という場合につきまして、それぞれ所定の減免額が受けられるということでございます。納税者の方は、このいずれか有利な方をとっていただければと思っております。  なお、冒頭申し上げましたように、広報あるいは相談等の体制につきましては、それぞれの署におきまして万全の体制をとってやっている、こういうことでございます。
  29. 小林康彦

    ○小林説明員 ごみの問題につきましてお答え申し上げます。  災害発生いたしましたごみを市町村が収集、運搬、処分をしました場合、それに要した経費に対します国庫補助の制度が現在ございます。補助の対象は、市町村の申請に基づきまして取り扱ったごみに対し、大蔵省財務局とともに実地調査の上、対象事業費を算定し補助することとしておりますので、この制度によりまして適切な対応を図ってまいりたいというふうに考えております。
  30. 渡辺栄一

    渡辺(栄)委員 時間が参りましたので、最後に一つだけお願いをいたしまして質問を終わりたいと存じます。  いま、いろいろお話を承りました中で、現実にお借りができるとなりましても担保の問題で行き詰まることがございますので、その点につきましてはいろいろと金融機関の御指導をいただきたいことをお願いしておきたいと存じます。  なお、いまいろいろと御配慮をちょうだいしてまいりましたが、結局は市町は御承知のような災害対策に膨大な経費が必要でございます。また反面、今後の税収というものが全く期待できないわけでありまして、地方財政は非常に極度な窮迫に直面をしておるわけでありますので、災害の実情あるいは財政事情等を勘案されまして、特に地方債の配分また特別交付税の措置、こういうものにつきまして格別な御配慮を賜りたい。  なお、何とかして普通交付税の交付につきましては繰り上げ交付を実施していただきたい、このことをお願いいたしたいと存じます。  なお、小学校の躯体の復旧の問題でありますとか、自動車の五千台ぐらいはほとんど全部流失、破損をしておるわけであります。なお、相当の泥が出ましてこの処理にも困っておりますが、それらにつきましても、私の希望といたしましては、今後格別な御配慮をちょうだいしたいと思っております。  この機会に時間もございませんが、何とか自治省からだけでも御回答をいただきまして、質問を終わりたいと思います。よろしくお願いいたします。
  31. 二橋正弘

    ○二橋説明員 被災をいたしました地方団体に対します財政措置でございますが、今後地方団体が行います災害復旧事業等に要します経費につきましては、実情を十分調査をいたしまして、被害状況あるいは財政状況を勘案しながら、地方債の配分、特別交付税措置を通じて、適切に対処してまいりたいと思います。  お尋ねのございました普通交付税の繰り上げ交付につきましては、実情を把握の上、近日中に繰り上げ交付を行う予定でございます。
  32. 渡辺栄一

    渡辺(栄)委員 どうもありがとうございました。
  33. 上原康助

    上原委員長 次に、上田哲君。
  34. 上田哲

    上田(哲)委員 三宅島噴火災害についてお尋ねをいたします。  まず、地元といたしまして、この災害に遭われました多くの皆さんに、同じ立場で心からお見舞いを申し上げたいと思います。  また、当委員会は、上原委員長を初め各委員の皆様方、さらには国土庁長官災害対策本部長として、私たちの申し入れを速やかに実施していただくために現地に訪れていただくなど、大変精力的に取り組んでいただいておりますことに、きょうは地元の議会、役場代表も見えておりますけれども、深くお礼を申し上げておきたいと思います。  私も、早速現地に参りましてつぶさに実情を視察いたしましたけれども、惨状目を覆うばかりでありまして、ひとつ一層、特別の御配慮、施策をお願いしておきたいと思います。  私は、具体的にお伺いしたいと思うのでありますが、東京都庁の計算では、公共施設中心にして被害総額は、十月十三日現在二百十七億というふうに報告されておりますけれども、これは民間の個人災害等々のものが十分に積算されておりません。私が三宅に参りましたときには百六十億なんという話が出ていたのが、もう二百十七億になるわけでありますから、日々この数字は上がっていく。大体、村当局としては、五百億ぐらいになるのじゃないかと見ておりますが、いかが御推定でありますか。
  35. 加藤六月

    加藤国務大臣 まず冒頭、社会党並びに上田委員、早速私のところに申し入れいただきまして、その点については政府は、誠心誠意させていただいておるということを申させていただきたいと思います。  御説のとおり、東京都からは、きょう現在二百十七億の被害であるという報告は承っております。これに対しまして、関係各省庁がその裏をとるべく、いま鋭意調査中でございます。
  36. 上田哲

    上田(哲)委員 五百億でもまだ足りないのではないかと私は思っておりますが、鋭意ひとつ御調査の上、しかるべき措置をとっていただきたいと思います。  具体的に伺うのでありますが、第一点は、何としても目の前の仮設住宅であります。仮設住宅は、東京都を中心にいたします災害対策本部の計算、計画といたしましては、三百七十戸つくるということになっているんですが、これは災害救助法基準その他の問題があって、そのまま着工することをお認めになるのではないのじゃないかと心配をいたします。元来三割という基準がありまして、もとより三割を超えなければならないというのは当然当局がお持ちでありますけれども、具体的にずばっとお伺いしたいのですが、いま神着で着工いたしました五十戸を入れて三百七十戸着工ということは、踏み切っていただけるわけでしょうか。
  37. 近藤純五郎

    近藤説明員 仮設住宅についてお答え申し上げます。  仮設住宅は現在神着に五十戸、それから三百二十戸を阿古地区につくりたいということで私ども聞いております。  三割という基準につきましては、先ほどお答え申し上げましたように全国一律の基準でございますので、この辺は私ども財政当局その他と御相談申し上げまして、具体的に検討したいというふうに考えているわけでございます。  現在、全壊世帯数は東京都の公式発表では四百戸ということになっておりますけれども、実際はどうもこれより少ないようでございまして、今後どの程度つくられるかというのは、さらに東京都の方でまだお詰めになっているということでございまして、三百二十そのものはまだ流動的というふうに私どもは聞いております。ですから、つくるつくらないは東京都の判断でございまして、あとの財政負担というのをどういうふうに国と都で負担するかという問題になろうかと思うわけでございます。
  38. 上田哲

    上田(哲)委員 とんでもない言い方なんですよ。つくるつくらないは東京都では困るのですよ。大体、村は年間予算が二十億しかないのですから、村では力がないわけです。だから東京都が乗り出す、これはいいのです。これは東京都と国がやらなければいけない。問題は、金がなければできないのだから、二分の一ということになるのですね。そうすると、いま基準になっているのは二十三・一平米、これは九十二万一千円のものでしょう。九十二万一千円のものを三百七十戸建てるというなら、その半額は国が持つのだということがしっかりしているなら、東京都が建てるのだから東京都の都合だということじゃなくて、とにかく二分の一については問題があるけれども、九十二万一千円についても問題があるけれども、三百七十戸は建てるということは国はオーケーなんですね。しっかりしてください。
  39. 近藤純五郎

    近藤説明員 東京都でも一応のめどとして、三百二十戸これからつくりたいというのは聞いておりますけれども、これはまだ流動的であって今後の調査結果にまつということでございまして、私どもとしては、その段階で協議に応じたいというふうに考えておるわけでございます。
  40. 上田哲

    上田(哲)委員 これは長官からお答えいただきたいのであります。これは政治判断ですよ。大体四百戸という数字が、基礎が間違っているのです。これは全部で五百三十戸です。それから、これは先ほどの質問にもありましたけれども溶岩が流れてとまったので、海っぺりに六十戸残っている。これは使えといったって使えやしませんよ。電気も行かなければ、水道も行かない。だから、これも同じように加えてもらわなければならないのだから、四百戸というのはおかしい。  しかも、四百戸はどうも少し増しじゃないかみたいな表現は、はなはだおかしい。元来ならば五百三十戸ということにしてくれなければ、ばらばらになりますよ。不公平が起きますよ。ですから、そういう中でぎりぎりしぼって三百七十戸。いまそのうち五十戸着工しているのだから、三百七十戸やるんだ、都がやるなら勝手ですよじゃなくて、ぎりぎりのところだけれども、いま災害救助法のレベルですからね。そのレベルの中で二分の一ということになって非常に少ないのだけれども、いまここで聞きたいのは一つ、三百七十戸は建てることに対しては国はオーケーだ、長官ひとつそれでいいですか。
  41. 近藤純五郎

    近藤説明員 先ほども申し上げましたように、(上田(哲)委員「さっきのことは要らないんだ、結論だけだ」と呼ぶ)三百七十戸つくりたいということであれば、私どもとしてはその辺の資料を持ってきて協議していただきたいということでございまして、現在のところまだそこまでの事務的な手続は進んでないというものでございます。
  42. 上田哲

    上田(哲)委員 長官にひとつ伺いたいのです。  これは雨も降るのですよ。風も吹くのですよ。台風も来るのですよ。まだ終わらないなんということじゃ困るんだな。三百七十戸いいというなら、金の話は後になるのだから、そこのところは、いま災害救助法のレベルで私はやっているのだ。これは激甚災害法の問題になるし、特別立法の問題にならなければ全然進まないのだ。それは三段階先だから後の話にするが、いまは災害救助法というところでやっているのだから、災害救助法の範囲で三百七十戸はすぐやれということでなかったら、これはこれから調査して、皆さんの言うとおりだったら百戸までいかないのだ。三割を幾らかプラスしても、いままでの例からいったら百戸を超えるか超えないかが精いっぱいだ。どこに住むのですか。  これは政治判断として、本部長としての長官、厚生省がいろいろ言っているけれども、事務官としてはあれ以上言いようがないだろうが、とにかく三百七十戸は建てることでいいのだよということをちゃんと約束してください。
  43. 加藤六月

    加藤国務大臣 私、一昨日鈴木知事とお会いしましたときに、そういったお話が出ました。そこで、関係省庁においてさらに詰めさせていただきますということと、ある程度臨機応変にいきましょうということを申し上げておいたところでございます。
  44. 上田哲

    上田(哲)委員 いまの臨機応変という言葉を私は最大限に理解いたします。  長官が現地まで行ってくれたのだから、三百七十戸を半分にしたり三分の一にするようなことはしないでもらいたい。これは二十三平米しかないのです。二間しかないのです。ふろはないのです。二年間たったら、その家が建っていても出されてしまうのですよ。これが災害救助法の限界なのですよ。こういうものにいま住まわそうというときに百戸、二百戸、三百戸、これを適当なところで削ってもらっては困る。このことをいまのお約束の中で私ははっきり了解いたしました。がんばってください。  ついでに、厚生省に伺っておくのだけれども、九十二万一千円、これでは家は建たないのだな。東京都が算出しているのは二百万、厚生省は大体百五十万ぐらいじゃないかと思っているらしいが、この差額をどうするのか、一戸どれぐらいに見ておるのか。
  45. 近藤純五郎

    近藤説明員 単価につきましては、東京都からまだ詳しいことは聞いてございませんけれども、二百万ぐらいになるのだろうかというふうなお話は聞いております。  それで、私ども基準としてつくっておりますのは、一般基準で九十二万一千円でございまして、特別基準で、日本海中地震のときからでございますけれども、多人数世帯について増額しようということで、四人世帯の場合で百十五万、それから五人世帯以上の場合で百二十五万というふうな基準でできておりまして、全国的には大体これでやっていただいております。ですから、東京都の場合に雨水の問題とか風の問題とか輸送費、こういった問題があるわけでございまして、その辺の特殊事情はあろうかと思いますけれども、基本的には基準の範囲内でやっていただきたいと私どもとしては考えているわけでございます。
  46. 上田哲

    上田(哲)委員 よし、わかった。厚生省もわかっているのだね。あそこは普通のところとは違うのです。九十二万円ではできないのです。つまり、これは雨のことをやらなければいけない、風がある、それから輸送費がかかる。輸送費は別な問題としてやってくれるのなら、それで結構なのですけれども、そういう問題としてちゃんとやっていただきたい。  そこで、九十二万から上へ出た分は、仮設住宅費ということじゃなくて、輸送費であるとかその他の問題としてやってくれるのだということを確認していいですね。
  47. 近藤純五郎

    近藤説明員 私どもとしましては、本体部分についてはいまの国の基準で賄えるだろう。その他につきましてどれだけ必要かということは、これから私どもも詳しく説明を聞かせていただきまして、これも財政当局と詰めなければいかぬと考えております。
  48. 上田哲

    上田(哲)委員 その次に、一番問題なのは火山灰ですよ。火山灰というのは、行ってみれば大変なことだというのがわかるわけですけれども、化学分析云々の話がありましたけれども、これが強酸性である等々のことは非常に大きな問題をさらに付加するものであります。問題は、この火山灰火山灰などという言葉じゃちょっと表現できないような、豪雪地帯で積もっている雪が真っ黒だというような状態なわけですね。こういう火山灰をどけるのはだれがやるのだ。災害救助法を適用してこれをどけることができますか。できませんね、厚生省。——時間がもったいないので、そこにいてくれよ。だめだよ、そこにいなければ。大臣のそばに座りなさい。
  49. 近藤純五郎

    近藤説明員 災害救助法でできます範囲は、自分の家からの土砂の除去だけでございます。
  50. 上田哲

    上田(哲)委員 災害救助法でできない。——そこにいなさい。時間がもったいない。救助が間に合わない。そうすると、これはどういう法律に基づいて、どういう費用が出て、だれが除去するのですか。
  51. 田中暁

    田中(暁)政府委員 ある程度の厚みの灰がたまりました場合には、公共土木施設災害復旧費国庫負担法でございますか、これの規定によりまして補助事業とされておりまして、現在坪田地区等で降灰除去作業をやっておりますが、これはこの規定に基づいてやっておるわけでございます。  なお、経常的に灰が降るという場合、現在、桜島とかの地域でそういった現象が起こっておるわけでございますが、これは活動火山対策特別措置法に基づきます要件に該当いたします場合には、やはり補助事業として行われることに相なっております。
  52. 上田哲

    上田(哲)委員 全然足りないのだから。実情からいったら、とてもいまの法制じゃできないのですよ。だから、桜島の俗称活火山法で準用できるのですか。これはあいまいな答弁じゃ困るのだ。あれはいつも噴煙を噴き上げるところの法律なのです。これは一回だけということになって適用されなかったら困るのだから。いいですか。桜島につくっている活火山法という特別立法、これは議員立法だね。この議員立法を今回の三宅島にも適用するのかしないのか、はっきりしてください。
  53. 田中暁

    田中(暁)政府委員 現在の活火山法の地域指定、これは避難施設整備します地域降灰防除事業を行います地域と二通りあるわけでございますが、その地域指定制度がございまして、御承知のように現在三宅島はその対象になっておりませんので、この法律を適用いたします場合には、その地域指定が必要と相なるわけでございます。この点につきましては、都や村の意向等も十分お聞きいたしまして検討してまいりたいと思っております。
  54. 上田哲

    上田(哲)委員 十分検討してでは間に合わないのですよ。また台風が来るかもしれないでしょう。とにかく現地へ行ってみれば、屋根の灰おろしだけでも大変なことなのです。これを机の上で検討しているのじゃ間に合わぬのですよ。  私は、厳しいことを言うつもりはないが、現場の立場を考えれば、桜島の活火山法はだめなのでしょう。だめだとすれば、一日も早くあのうずたかくたまった、一反歩に九トンですよ、飛行場には三十センチから五十センチも積もったわけですよ、これを除去するということは、公共施設はともかくも、個人のところは大変なことだ。もうくたくただ。活火山法なんという桜島の話はできっこないのだから、それができないのなら、どの法規を適用して急いでちゃんとやってみせる、そのことを約束してください。法規が見つからないなら見つからないでもいいから、必ず何らかの法規を適用してやる、そうでなければ特別立法しかない。はっきり答えてください。
  55. 田中暁

    田中(暁)政府委員 最初お答え申し上げたところでございますが、道路上等に積もりました灰の除去につきましては現在国庫補助の制度がございまして、坪田地区等でそういった規定を適用して現在除去いたしておるところでございます。
  56. 上田哲

    上田(哲)委員 道路じゃないのですよ。屋根の上で、人間がつぶれるのだ。いまのところ、法規の解釈の問題は別にしましょう。これはぜひ長官、努力するということを一言でいいから……。
  57. 加藤六月

    加藤国務大臣 私も、その問題につきまして何か救済するいい制度はないかとやったのですが、御質問のように、現在のところそれを特別に救済する制度がございません。されば個人の負担に全部任せていいのかというと、大変なことだと思っておりますので、御質問にそのままお答えするとするならば、さらに努力いたしたいと考えております。
  58. 上田哲

    上田(哲)委員 はい、結構です。長官に期待しますからね。いま法律はないのですよ。桜島の話でごまかされては困るのだ。ぜひ、そこのところをしっかりしていただきたい。  時間を節約するためにぽんぽん聞きますから、イエスかノーかで答えていただきたい。  生活資金の困窮が起こってくるわけでありますから、災害援護資金、上限が百八十万円でありますが、これは国と都という形でいまのところどんどん出すことに心配はありませんね。
  59. 近藤純五郎

    近藤説明員 災害援護資金につきましては、村の方で国と都の負担によりまして出すということでございまして、いまもう金はありませんけれども、予備費あるいは補正予算で対応するというものでございます。
  60. 上田哲

    上田(哲)委員 いま、金がないと心配しているわけですよ。とにかく心配をさせないようにやってくれる。百八十万円で足りるとは言いませんから、これはまた後の交渉にいたします。  その次、阿古地区阿古保育園、子供が困っているんです。みんな島へ帰りたいんです。帰ってきた子供の行くところがないんです。阿古保育園を再興したい。阿古保育園を再興することについて、財政的な心配はないと言い切ってください。
  61. 佐野利昭

    ○佐野説明員 阿古保育園の再建につきましては、まだ東京都の方で具体策を持っていないようでございますけれども東京都と相談いたしまして対応していきたいと思っております。
  62. 上田哲

    上田(哲)委員 そんなことではだめだ。保育園ですよ。これは今日の大きな財政の中ではすぐできるのだから。法規を出して議論するというなら議論しますけれども、これは何回もない、唯一の貴重な国会での、島民がみんな見ている場なんだから、保育園は大丈夫だと厚生省が答えられなかったら、文部省から前向きにしっかりした答えを出してください。建つのか建たないのか。
  63. 佐野利昭

    ○佐野説明員 住民が今後どういう形で対応するかという形がまだ決まっておりませんので、それを踏まえた上で、どういう形のどれくらいの規模のものをつくるかということは、東京都と十分相談いたします。
  64. 上田哲

    上田(哲)委員 つくってくれるわけですね。
  65. 佐野利昭

    ○佐野説明員 東京都の要望に応じて、できるだけ対応いたしたいと思います。
  66. 上田哲

    上田(哲)委員 はい、保育園はできた。  その次に護岸、これは島にとってみれば死活の問題なわけです。いま個人個人の家の除去で精いっぱいだけれども道路護岸、これがないと三宅島というのは生活機能が失われるわけです。護岸については十分な処置をとれる、そういう御確認をいただきたいと思います。
  67. 狩野昇

    ○狩野説明員 お答えいたします。  いま先生指摘の護岸というのは、道路を守るための擁壁等の意味と解釈させていただきますと、道路につきましては、現在鋭意被害実態調査中でございますが、溶岩流によって途絶されました阿古部落につきましては、すでに応急復旧を完了いたしまして確保しております。それ以外の地区につきましては、溶岩の土の地熱あるいは噴気の鎮静化等を待ちまして、開通させたいというぐあいに考えております。  その他、路面の上に堆積しました瓦れきの除去につきましては、交通に支障がある場合には負担法で対応するという先ほどの答弁でございまして、現在、都道あるいは村道について全力を挙げてやっている最中でございます。
  68. 上田哲

    上田(哲)委員 あわせて簡易水道、これは厚生省だな。水の問題は島は非常に大事ですから、簡易水道を一刻も早く完全復旧するということについて、しっかりお約束をいただきたい。
  69. 森下忠幸

    ○森下説明員 お答えいたします。  水源が使えなくなったものもございますし、全体として簡易水道の流れの向きを変えるというふうな大手術をすることになると思いますけれども、できるだけ島の財政負担を少なくする方向で努力したいと考えております。
  70. 上田哲

    上田(哲)委員 島の財政負担というのは困るな。島の財政負担なんかとうていできないですよ。とにかく国で責任を持って、都と協力をしてちゃんとやるということを不安のないように答えてください。
  71. 森下忠幸

    ○森下説明員 水道施設災害復旧につきましては、国庫補助で二分の一ということでやっておりますけれども、今回のような火山噴火あるいは地震のような場合には、これに対してかさ上げをした経緯がございます。そういうことでございますので、このような過去の事例を参考といたしながら、今後努力してまいりたいと考えております。
  72. 上田哲

    上田(哲)委員 しっかりやってください。  そこで、さっきからいろいろお願いをして、大変前向きにやっていただくので感謝をします。感謝をするのですが、それでも足りないのですね。問題がたくさんありますから一つだけ取り上げるのだが、さっき百五十万円か二百万円かという議論がありましたけれども仮設住宅一つにしても、国が認めているのは二十三・一平米、そして九十六万一千円、これでは建たないという問題があるわけですね。  そもそもそういうことになると、一戸百五十万なり二百万なりということになってしまえば、建てたはいいが後どこへ行くのかという問題が出てくるわけです。災害救助法というのは、元来は明治三十二年の罹災救助基金法というのでなったものだから、当面助けなければならぬということでありますから、災害復旧ということには大きな力にならぬ。したがって、これは当然激甚災害法の指定を受けなければならない。  激甚災害法の発動ということに対しては、大変いろいろな手順が要りますね。このままいきますと、本年度末でなければならぬということになってしまう。時間を省くために私が申し上げるけれども三宅島の標準税収の二億三千七百万円を超えるような被害にならなければだめだということになりますね。これは見込みというと悪いけれども、大体の推定で行政的なスピードを上げなければならないと私は思いますから、一日も早く復旧のためのプランニングを軌道に乗せるために、各建設省なりあるいは農林水産省、中小企業庁なりからの積算があると思いますけれども、本部長、ひとつここで、きわめて早く激甚災害法、これは当然適用されると思いますけれども、その見通しをつけるということについて御確認をいただきたいと思います。
  73. 加藤六月

    加藤国務大臣 私も、災害があった場合には、当該市町村の地方税は幾らであるかというのを一番先に聞くわけでございます。そして、それから後の経過は御存じのとおりでございます。  そこで、三宅島の激甚災害の推定見込みはどうかという御質問でございますが、先ほども石原委員にお答えいたしたとおりでございまして、激甚災害指定につきましては、現在関係省庁において鋭意被害状況調査中でございます。そこで、現段階でその見通しについて申し上げることができないということは御了承いただきたいと思うわけでございますが、今後さらに調査を急ぎまして、その結果を待って所要の手続を速やかに講じたい、このように考えておるところでございます。
  74. 上田哲

    上田(哲)委員 前向きの御答弁として受け取らせていただきたいと思います。  これは種別で言いますと、本激と局激という中の局激に入るわけですね。特に激甚な局激でありますから、その御推定はおありだと思いますけれども、政令指定が年度末になるということでは作業が非常に渋滞をしてしまう。いつというようなことは言えないでありましょうけれども、遅くも年内にはその見通しをしっかり立てていただく。五十八年債の見通しもあるでありましょうけれども、これはひとつ高度な政治判断としてこの場で、激甚災害法の政令指定というところはぐっと前向きに行けるぞ、そういうふうな範囲を含むのだというところを政治判断として、本部長から胸をたたいていただきたいと思います。
  75. 加藤六月

    加藤国務大臣 いままでの被害状況調査、そしてまた査定等のいろいろな手続を急がしていきたいと思います。先ほど申し上げましたように、できるだけ早く処置を講じたいと考えておるところでございます。
  76. 上田哲

    上田(哲)委員 遅くも年内というふうに私は理解いたしますが、よろしゅうございますか。
  77. 加藤六月

    加藤国務大臣 調査の進展は図りますけれども、この場でいついつごろまでと申し上げることができないのを大変申しわけなく思っております。
  78. 上田哲

    上田(哲)委員 本部長の表情から、これまでの有珠山の場合でありますとか山陰豪雨の場合でありますとかの前例に従うならば、当然年内よりももっと速やかにこの方向が明示されるものと私は理解をいたしました。島民の政治への信頼を裏切らないように御処置をいただくことをお願いをいたしておきます。  そこで、阿古地区の今後の問題なのでありますけれども阿古地区では三十万平米が溶岩の下敷きになってしまった。火事でありますと家が焼けても土地が残る、水害でも荒れてもとにかく土地が残るわけですが、上にこれがかぶってしまったというのは、私も現場で驚きましたけれども、猛烈な熱風が吹き上げてくる。私は初めて現場に入ったのでありますけれども、こんなところでは本当に土地が失われたというのが実感でありましょう。したがって、この土地を何とかしてやらないことには、阿古地区人たちのこれからの生きがいがない。そういう意味で、この三十万平米を買い取ってもらいたい、国に買い取ってもらえないかということが痛切な希望なのであります。  いろいろ先ほど来議論が出されております中で、防災移転事業云々という言葉があるのですが、この防災移転事業云々というのはどうも解釈が違っているようです。そういう意味ではないのであります。これは、ここには住めないから、阿古地区人たちをまとめてどこかに連れていこうなんていう問題じゃなくて、何としてもそういう前例をうまく援用していただいて、この三十万平米の土地を国に買い上げてもらって、その方法としての移転事業というものが適用できないかというのが真意なのでありまして、全部どこかにごそっと移転するよということが目的ではないのです。  これはひとつ、法律の解釈を曲げろとは言いませんけれども、法律の解釈だけで違う方向へいってもらっちゃ困る。阿古人たちは非常に団結力も強く、しかも阿古の港というのは生きているわけです。この港を中心に生きていきたいという気持ちが強いわけだから、ぜひとも遠くへ行かないようにしたい。こういうために、第一のお願いというのが、この三十万平米を買い取ってもらいたい、こういうところに問題があるわけでありまして、前例がないということはわかりますけれども、しかしこういう災害が前例がないのだから、こういう前例のない災害に対して、実はこれ四十三億ですよ。試算いたしますと四十三億です。四十三億をひとつ勇断をもって買い取っていただくというような処置をとっていただけないであろうか。
  79. 田中暁

    田中(暁)政府委員 一般的にこのようなケースの場合に、跡地を全部ほかの条件なしに買い取るということは、現在の財政事情のもとにおきましては大変困難であろうと存じます。ただ、防災集団移転を行います場合には、先生御承知のとおり跡地買い上げの制度がございまして、この場合に移転適地としてどこがいいのか、移転促進地域としてどの範囲をとるべきかという点が問題になろうかと思いますが、その点につきましては十分弾力的に配意してまいりたい、このように考えている次第でございます。
  80. 上田哲

    上田(哲)委員 弾力的ということの中には、地元住民の意思を第一に尊重するんだということは当然ですね。
  81. 田中暁

    田中(暁)政府委員 住民の意思も含めまして、弾力的に配意してまいりたいという趣旨でございます。
  82. 上田哲

    上田(哲)委員 ちょっと気になるな。含めましてということは、つけ足してというふうに受けとめては私は困る。そこに住む人たちの気持ちを大事にして、第一にしてくれるのでなければ、これは政治としては意味がないですよ。そんな、含めましてなんて、上から下に向かって物を言うようなことじゃなくて、住民の意思を第一に尊重してがんばりますと言ってください。
  83. 田中暁

    田中(暁)政府委員 防災集団移転事業自身、まさに先生おっしゃるように住民の御意思というのがまず第一でございまして、全員方々がそういった意思を固められないとこの事業は進みません。そういうことが大前提でございまして、そのほかの要件につきましても弾力的に考えてまいりたい、こういう趣旨でございます。
  84. 上田哲

    上田(哲)委員 そうしますと、この阿古地区皆さん方は、何とかして阿古の港を中心にあの土地を離れないで一致して生活をしていきたい、生業を成り立てていきたいというふうにお考えになっているわけです。そういう意味では、これをまとめて防災移転事業の一つにしてなんてことで、とんとんと話を進められてしまって、とんでもない方向にいってしまっては困るわけであります。  そして、いま東京都が提供しようとしている仮設住宅は、私たちにとっては大変ゆかりの深い社会党の浅沼元委員長の生地の中であるとか、あるいは足立区が所有している公有地に建てる、こういうことではなくて、ひとつ住民希望を最大限に取り上げて配慮していただくということは確認していいですね。
  85. 田中暁

    田中(暁)政府委員 この間、都からお伺いしたところでも、応急仮設住宅建設候補地と、それからその後の恒久的な新しい集落と申しますか町づくりの候補地とは、必ずしも一致していないというように聞き及んでおります。もし、防災集団移転という制度になりますと、その移ります土地を公的に造成するということになっておりますので、その点で十分住民の皆さんの御希望も考えて決定されるべきものだと考えております。
  86. 上田哲

    上田(哲)委員 もう一つの問題は、これは国土調査法に基づく地籍調査が途中なんですな。これは住民が非常に心配していることです。本来ならば、ことしの末までに地籍調査は完了して認証事務が完了する予定であった。ところが、その直前にこういう溶岩の攻撃を受けてしまった。いま字地図から地籍図もでき上がっているわけで、これを登記所へ持っていく寸前だったわけですね。この辺の問題が所有権との関係も微妙に絡んで、この後どういうふうになるのだろうかということが住民の非常に具体的な不安であります。  私は伺いたいが、この地籍調査が完了してないまでの災害であったけれども、そのこと自体は、いま新住宅地をつくろうということについての問題あるいは土地の振りかえ等々に支障はありませんね。
  87. 小泉恵二

    ○小泉説明員 お答えいたします。  阿古地区の地籍調査の成果は、すでに法務当局に仮送付されておりまして、現在事実上利用されております。したがいまして、この災害復旧等にもこれが十分活用し得るものというように考えております。
  88. 上田哲

    上田(哲)委員 じゃ心配はないと。くれぐれも言いますけれども防災集団移転事業というような、そこに当てはめて買い取り四十三億ができないか、こういうことが希望なんでありまして、ほかへ行きたいなどということではないのでありますから、移転なんていう言葉の方にウエートを置かないで、ぜひとも住民意向を酌んで、あのきれいな阿古の港のそばで、いままでどおり先祖以来の生活ができるような処置をひとつとっていただくことを特にお願いいたしておきます。  さて、そういうことになってきますと、災害救助法ではとうてい間に合わない。それから激甚災害法を指定しても、これは個人の問題にはならないわけですから、公共事業、すぐれて地方自治体への問題になるわけですから、そういうことになりますと、どうしても三宅復興というのはこれではだめだ、この問題なんですよ。このままでは、いまの既成法規の中では三宅島はだめになる、復旧できない、年間二十億の予算で。  それは、こういう場合には市町村の負担はありませんよ、都道府県と国とが一生懸命やってくれるというのが慣例だから、二十億を出せなんてことになるとは思っていないが、この小さな島でこのままの程度の既成法規の中でのどのような援用拡大をしていただいても、三宅島は大きく復旧できない、どうしても特別立法が必要になるだろう。また、特別立法ということの中でなければ、三十万平米、四十三億円という買い取りなんていうこともできないだろう。  桜島なんていう話が出てきて、使いようもないような言葉を使ってもらっても困るのでありまして、長官、これはぜひひとつ、これまでに例のない火山噴火災害でありますから、これに対して特別立法を考えていただいて、いま私が指摘した幾つかの問題、前向きに答えていただいたのは結構だが、幾ら前向きでも処理できない幾つかの問題を完全に解消する、こういう立場で三宅島噴火災害に対する臨時特別立法をぜひ立案するというところを御開示いただけませんか。
  89. 田中暁

    田中(暁)政府委員 すでに三宅村の村議会の議長さんから、三宅島噴火災害に対する時限立法を制定する意見書の提出を受けておるところでございます。  三宅島の復興を本格的にやってまいりますためには、やはりしっかりした計画を立て、その手法と申しますかやり方につきましても、関係地方公共団体の御意向も十分お聞きしながら、着実に推進する必要があると考えておるわけでございますが、この場合におきまして現行の法制で対応できない問題があるといたしますと、その際に時限立法も含めた対策検討していかなければならない、こういうように考えておる次第でございます。
  90. 上田哲

    上田(哲)委員 これは私は評価します、いまの発言は。そうなくてはならぬ。私も質問した意味がありましたよ。まさにここで、日本じゅうが本当に心配しておるのです。私たち街頭で募金をしましたよ。普通の募金とは比較にならないぐらい、十倍二十倍の人々の心配が集まりましたよ。いまこそ、こうした問題に政治が目を開かなければならぬ。こういうことでありますから、私は、いまの段階は災害救助法のレベル、これを激甚災害法のレベルに上げるのが当然。長官も約束をされた。まだこれでも足りないのだ。  問題は、いかなる法規を援用、適用するかではなくて、三宅島を救うかどうかということなんだから、救わなければ政治の努力というものの意味がない。救ってもらうには、大したお金ではないわけです。そのお金がすいすいと出ていくために、特別立法を急いでやってもらうことは考えるべきであるといま御発言になったことを私は非常に評価する。これは党派も何もないわけでありますから、長官ひとつ胸をたたいていただいて、そうした立案に努力をするということを一言いただければ、島民に対する大変温かい言葉になるだろうと私どもは思うのです。
  91. 加藤六月

    加藤国務大臣 最初、三宅島の議長さんの意見書をいただいたときに戸惑いました。しかしよく考えてみましたら、先ほど審議官に答弁させたとおりのことだと考えておるところでございます。
  92. 上田哲

    上田(哲)委員 いや結構ですよ。私たちは、もうとにかく与党、野党の立場では、非常に激しい対決をしなければならない政治課題はありますけれども、その中で、きょう異常な政治状況の中で、これだけは別だと国民的期待で開かれた上原委員長以下のこの審議の場で、自民党の大臣がそうした立場を超えて臨時立法にまで踏み切る、特別立法にまで踏み切る決意を示されたということは、私は非常に評価をいたします。細かいことは申しませんから、いま私がほぼ十項目にわたって挙げた非常に具体的な、しかもさまざまな問題について御努力をいただくということをお願いをしておきます。  最後に、今回の災害は全く前ぶれがなかったのに、一人の死者もなく、しかも体の不自由な方々を優先してみんなが救い出したという、その島の団結に大変感動する一人であります。現地へ行きますと、本当にその言葉を聞きます。よかったと思うのだけれども、しかし、いかに災害は知らないときにやってくると言っても、地震の上に寝ているような日本列島でありますから、こういう状況に対する予知能力というものはどんなにお金をかけてもかけ過ぎることはない。そういう意味で、今回の予知体制としてはどうだったのか、またこれから先は何らかの方途というものを講ずる道があるのか、この点をひとつまとめてお答えいただきたい。
  93. 山川宜男

    山川説明員 お答え申し上げます。  いま先生指摘火山噴火予知の問題でございますが、火山噴火と申しますのは各火山によって特性が違いますし、同じ火山でも時期によって噴火の様式が違いますので、予知は非常にむずかしいわけでございますけれども、一応気象庁といたしましては、噴火予知を目指しまして、火山監視を気象庁の重点業務の一つといたしましてずっと整備を進めてまいりました。  今回に関しましては、三宅島に高倍率の地震計を設備しておりまして、三宅島のような玄武岩質の火山噴火は、噴火のごく直前、一、二時間前にしか地震のような前兆現象があらわれてこないわけでございますけれども、一応一時間余り前に地震の方の異常があらわれているということを察知いたしまして、まず三宅島村役場を通じまして都の防災機関に、異常が起こりましたから注意してください、警戒してくださいというような、警戒のお知らせをやったわけでございます。  今後も、こういうことも含めまして、できるだけ監視体制強化してまいりたいと思っております。
  94. 上田哲

    上田(哲)委員 いろいろ伺いましたけれども火山灰の問題あるいは保育園の問題、道路の問題、それから簡易水道の問題、護岸の問題、大変前向きにお答えをいただいたので、私はそのことを評価して御努力を期待するのでありますが、最後にもう一遍、地震の予知その他についても努力をしていただくというような将来の問題、中長期にわたる将来の問題は当然でありますが、やはり何といっても家がないのだから、私も行ってびっくりしたのだけれども。ここでとまっているところはまだいいが、そこまで全部なくなってしまっている。地獄図ですね。帰る家がない。こういう人たちに当然生活の光を与えなければならぬということになりますと、仮設住宅というのが一番シンボリックな問題だと思うのです。  私は、三段階の一番下である災害救助法というレベルでの議論では、これは国の施策としても限界はあるとは思うけれども、やはりそこのところ、国は建てる家の半分は持つのだと言うけれども、建てる家の基準の価格が現在の時価の半分なんだから、結果的には四分の一になってしまう。それじゃどうなるのだろうかという不安が一つあったところへ、きのうきょう具体的に調べてみると、国当局が理解されているのが四百戸という数字であり、四百戸もどうもちょっと多いのじゃないか、こういう話になってくると、算定の根拠、データの集め方にはなはだ不安を生じました。五百三十戸が本当なのであります。  そして、家が残っているじゃないかと言われては困るのでありまして、溶岩があそこでとまったけれども溶岩に阻まれた、海っぺりに残った家にどうやってこれから暮らせるのか。家の形は残っているけれども、これはちゃんと災害家屋の中に入れていただかなければ本当の対策ではない。こういうことも含めて、ひとつ長官に最後にもう一遍、いま苦しんでいる方々に対する具体的なメッセージとして、いままでの規定で言えば二三・一平米であり、九十二万一千円であるということはわかるけれども、しかし実際にはそれでは建たぬ。二間しかないわけで、ふろもないようなそういう仮設住宅、二年たったら出なければならない。せめてこのくらいは、きちっと心配ないようにつくっていただくということが一点。  そしてその数字は、三割でいったら百戸ないのですから、百戸にいくのじゃなくて、最低いま東京都が言っている三百七十戸までは建てる、財政的な措置は後からしっかりやる、こういうことを長官からきっちりひとつ、きょう現在で胸をたたいていただきたいと思います。
  95. 加藤六月

    加藤国務大臣 先ほどもお答えいたしましたように、一昨日鈴木都知事とお話しした際にもその問題をいろいろやりました。また、先ほど上田委員の御質問にお答えしたとおりでございます。関係省庁においてさらに詰めてもらいまして、そうしてある面では臨機応変に処していきたい、このように考えておるところでございます。
  96. 上田哲

    上田(哲)委員 関係省庁は多岐にわたるわけでありますが、そうした激甚災害法の政令発動についても、そうした積算が一日おくれるということは島にとっては二日おくれることになるわけでありますから、政府の統一的な施策の形としての災害対策本部長、加藤長官の卓抜な指導性をぜひひとつ発揮していただき、各省庁はそこに向かって一元的に努力をしていただくことをお約束をいただき、私たち地元としても全力をふるって三宅島救済のために努力をいたしますので、一層の御奮闘をいただくことを強くお願いいたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。
  97. 上原康助

    上原委員長 次に、井上普方君。
  98. 井上普方

    井上(普)委員 いまも災害が各地において起こっております。これは、天が日本の政治それ自体に対して怒っておるのではなかろうかというような気がいたすのであります。  いずれにいたしましても、日本全土にわたりましてこのように災害が起こっておりますが、しかし、これを国が取り上げるのは均等でなければならないと私は思うのであります。もちろん、三宅島のような大災害がありますけれども、数のみならず実質的な面から見ますと、非常に厳しい災害が起こっておることを一例を挙げてひとつお伺いいたしたいのであります。  九月二十八日に十号の台風が参りました。私ども地元徳島県というところは、御承知のように台風の常襲地帯なのであります。常襲地帯でございますから、普通の台風でございますと、もう住民もそれの訓練ができておるし、あるいはまた公共施設あるいは農業施設、個人が持っております施設にいたしましても、十分な対策がかねてからつくられておる地帯であります。しかしながら、そのいままでの常識以上の五時間のうちに三百六十ミリというような雨が降りまして、鉄砲水が起こってまいりました。ために、この山城町でございますと、流失家屋が二十五、六戸に上ったのであります。  この山城町という町は、これは加藤長官、過疎地帯の最たるところでありまして、三十年には一万四千人の人口があったのが、いまでは七千二百人、半分に減っておるのであります。しかもその町の人口構成を見てみますと、実は六十五歳以上のお年寄りが一八%を占めておる。国よりも倍だけ老人人口がふえておるというような過疎地帯におきまして災害が起こった。  その災害といいますのも、これはちょっとほかの地域では少ないのでございますが、実は五、六百メートルから七、八百メートルの山にべったりと急斜面に張りついておる家なのであります。その唯一の交通機関といいますと、河川沿いの県道あるいはまた町道、林道。これが唯一の交通機関。ところが、これが全部流されてしまった。一つの谷が全部やられた。道路がやられてしまった。いまだにこの道路は復旧いたしておりません。もうすでに十五、六日たっておるのですが、まだその部落には通じていないのであります。  その山城町自体というものが、年間予算が大体三十五、六億でございましょう。ところが、被害総額が、公共土木あるいは公共施設を除きまして実は四十億に上るのであります。でございますから、町村財政といたしましても、これを復旧するには大変な金がかかる。こういうようなことになりまして、一体どうすればいいか。  先日、私もその地帯に参りましたところが、ともかく非常な境遇にどうすれば村は再建できるであろうか、一年間の町の予算をぶち込んでも金が足らない、こういうような話が関係各位からどんどんと聞かされたのであります。たとえばその部落、山城町におきまして、道路の決壊場所が八十カ所もあるのです。この間も知事がそれを視察いたしました。ところが、その部落に行くには、実は自動車をおりて三キロ半、一里近くは歩かなければ、すなわち県道あるいは町村道がだっと落ちてしまっているのですから、行けない。川の中をぼこぼこと歩きながら、四キロ近くを歩いて初めて視察ができたというような地域になっておるのであります。いまだに孤立しておる。  しかし、それに対しまして、一体どうなんだろう。幸いにいたしまして、先ほども申しましたように非常に住民は訓練ができております。災害に対して訓練ができている。でございますから、鉄砲水が来まして、そして流失する、あるいは床上浸水をいたしましても、これは不幸中の幸いと申しますか、ともかく重傷は出ましたけれども、死者は全然ない。常日ごろの訓練が行き届いておるわけであります。家が半壊いたしましたのは二十七、八戸でありますけれども、実際問題といたしまして、これはその地域自体を見ますと災害救助法の適用は当然である、激甚災をするのは当然であると私は思うのでありますが、何かむずかしいような話が伝わってきておるのであります。  でございますから、どういたしましてもこの村を復興さすためには、局地激甚災害指定してもらわなければならない、そうでなければこの復興はとてもできない、こう申しておるのでありますが、聞くところによると、えらい中央は冷たいような話を承る。まことにもって不届き至極だと思います。これは数の問題やそんなんじゃない。流失した戸数が幾らであるから何やら一戸とか二戸とか基準に足らぬや言うて、あほなことをよう言いよるものだ。小役人の机上の計算で言いよるのだろうと思うのです。  しかし、地域全体を見たならば、この過疎地帯は一体どうするんだろうか。町村財政もこんなに少なくなって、弱いところで、復興もできないじゃないか。被害を見ますと、公共施設は除いて、被害総額というものは町村財政に大体匹敵する、それ以上にやられておる。この山城町を見ますと気の毒だと思うのは理の当然であります。しかも、先ほども申しましたように、老人人口が一八%以上、そしてまた三十一年といまとの人口を見ますと半分になっている。こういうような地帯は恐らくちょっと少ないのではなかろうか。  そういうところの災害でありますので、どういたしましても災害指定、局地激甚災害指定は当然にこの山城町にはすべきであるし、私らも当然あるものと思っておったんです。ところが、さあ流失家屋が三分の一戸足らぬとかへったくれとかいうようなどうもつまらぬことを言ってやっておるようでございますが、この点についての、過疎地帯に特にこういうように集中的に行われた災害に対しましてはどういうようなお考えで臨まれるのか、特にこの山城町につきましてお伺いいたしたいと思うのであります。
  99. 加藤六月

    加藤国務大臣 先生が具体的数字を挙げられ、徳島県山城町の実情をいま詳しく承りました。そして局激の指定の見通しいかん、こういうところではないかと思うわけでございます。  激甚災害指定につきましては、現在関係省庁において鋭意被害状況調査中でございます。現段階では、その見通しについて申し上げられないことをひとつ御理解いただきたいと思うわけであります。  ただ、山城町については、ただいま先生の御説明もございましたが、公共土木施設被害が相当激甚であったと聞いております。今後さらに調査を急ぎまして、その結果を待って所要の手続を講じたいと考えております。  また、こういう災害が山間過疎地に起こった場合一番心配されるのが、先生指摘になった過疎対策といった問題でございます。実は私もきのう、この山城町と同じようなところを視察に行っておりまして、これは村でございましたが、村長さん以下もう茫然自失、村を挙げて復興の意欲をなくしておられるような感じでありましたので、逆に強くお慰め申し上げまして、ひとつ県当局相談されて、災害からの復興計画並びに今後の振興計画をあわせて考えてもらいたい、国としたら県と相談してぜひ十二分の措置を講じ、子供や孫が夢と希望が持てるような村の開発プランをつくっていただきたいと、私の方からきのう逆にお願いする一幕があったわけでございます。  山城町におきましても、ひとつぜひ県当局と十二分に相談していただき、たくましく立ち直っていただきたい。そのために国としたらできるだけのことをいたしたいということを申させていただきたいと思います。
  100. 井上普方

    井上(普)委員 それはだめだ。大体、県と相談してやれなんということで、国は何もやらないつもりなんかいな。そんなあほな話あるもんか。大体このような災害は、数字の上で小役人が小さい数字をはじいて、流失家屋が三分の一戸とか基準に合わぬから、ともかくこれは局地激甚災の指定ができないというようなくだらぬことを言っている。おおよその数字までは大体来ているけれども、三分の一戸とか足らないからやらないなんと言う。そして、しかも床上浸水、半壊の家屋は三戸をもって一戸とみなすんだ。こんな数字の計算の上で、足らぬだの足るだのと言っている。  しかも、いままでにこんな過疎地が県の施策によって解決しているのなら、これはいいですよ。できやしないことはわかり切っているんだ。地方の財政にほぼ匹敵するくらいの被害をこうむっておる。それを、徳島県といえども御承知のとおり貧乏県だ。その貧乏県に全部任すんだなんと言って、できるものではない。どうですか加藤さん、ともかくこういうような局地激甚災の指定をあなた自身で鉛筆なめながら調べてごらんなさいよ、いかに小役人の考えるのはひどいものかということがよくわかる。まあ、大政治家になろうとする加藤六月君、ひとつもう一度この点は考え直していただきたい。
  101. 加藤六月

    加藤国務大臣 先ほど私が申し上げた意味をよくお考えいただければいいんじゃないか。後半申し上げたのは過疎問題について申し上げたわけでございまして、この山城町においての公共事業被害が非常に多いということを十分知っておりますとお答えしたところに、ひとつ御理解いただきたいと思うわけでございます。
  102. 井上普方

    井上(普)委員 公共事業被害がたくさんある、そのことについて重きはある、えらい含みのあるような、三木さんの言葉みたいに、何ぞ言葉の裏を読めというような答弁でございますが、われわれは単刀直入にひとつお伺いしたい。  局地激甚災害指定はなさるのかなさらないのか。いま話を聞けば、何ですか、各省庁と連絡の上、調査がまだ済んでおらないと言うけれども、二十八日に災害が起こって、もうきょうは十二日を過ぎているのですよ。日本最大の災害が起こった十二日を過ぎて、十三日になっているのですよ。二週間以上たっているんだ。にもかかわらず、それについての調査をまだやるとかというようなお話では、どうもいただけない。  これはやはり公共事業にそれだけの被害がある、あるいはまた流失家屋というものも、いまだにまだそこには到達できない、ヘリコプターでなければ物を運べない、孤立している家屋は二百五十戸に上る、こういうようなことを考えるならば、当然局地激甚災害指定があってしかるべきだと私は思う。大臣いかがですか。
  103. 加藤六月

    加藤国務大臣 今回の十号台風の被害というのは、三十九府県に及んでおるわけでございます。この三十九府県をいま各関係省庁が、それぞれの被害場所において鋭意調査中でございます。そして、その調査の結果を、出た数字を踏まえないと私としては、はっきりこうこうでございますということを申し上げることができないのを大変残念に思っているわけでございますが、山城町に限って言わしていただきますと、大変な被害が出たということはよく存じ上げておるということでございます。
  104. 井上普方

    井上(普)委員 まだ言えないけれども、私の言葉の真意を、裏を読んでくれ、えらい含みのあるお話だ、こう理解いたします。  それから同時に、このごろの台風というのは、雨台風の場合は筋をなして実はやってくるようでございまして、この山城町におきましても、白川谷川という川、それが全部やられている。その通過した地点におきましても、また池田町においてもやられている。池田町においても、これは財政再建計画の中へ入るか入らぬか、指定になるかならぬかなんという話もあるのでございますが、そこにおいても大きな被害をこうむっておるのであります。  こういうようなことを勘案しながらひとつ大臣も、まあ全国的な問題ではあります、ではありますけれども、まあ予算をけちけちするな。いま予算が少ないから災害の予算を削ろうやいうような考え方じゃなくて、やはり国民にはなるべく等しい、被害を受けた人は同じなんですからね。被害を受けた町村も同じなんだ。規模が大きいか小さいかだけの話なんです。でございますので、被害を受けた人は同じ国民であるということをお考えの上で、ひとつ御処置をされんことを強く要求いたしまして、私の質問を終わります。
  105. 上原康助

    上原委員長 次に、柴田弘君。
  106. 柴田弘

    柴田委員 私は、三宅島の大噴火災害にしぼって質問をさしていただきたいと思います。  加藤長官には、大噴火直後、直ちに現地に視察に行かれまして、被災者の見舞い等々に御尽力をいただきましたことに心から敬意を表したいと思いますし、また私どもも、公明党といたしまして、いち早く三宅島大噴火についての災害対策本部を設置をいたしました。現地調査団を派遣し、つぶさに調査をしてまいりました。きょうはそれをもとにいたしまして、現地の被災住民の皆様方が一日も早く復興されますことを心から念じながら、その要望の線に沿って何点かにわたり質問をしたいと思います。  また、当委員会といたしましても、上原委員長以下各党の代表が三宅島の方へ行ってまいりました。私も、その一員として参加をさしていただいたわけであります。  そこで、質問の第一は、今回のこの災害に対しまして、先ほど来質問も出ておったわけでありますが、激甚災害指定の見通しについてお伺いをしたいわけであります。  東京都の鈴木知事は、これはもちろん激甚災害指定になるであろう、こんなようなことを言っているわけでございます。先ほど来の長官の御答弁は、いま関係省庁被害調査をしている、査定をやって、できるだけ早くこの措置をしたい、こんなようなお考えであるわけでございますが、この辺、私どもも、公明党といたしましても、やはり現地住民要望に沿って一日も早く激甚災害指定要望申し上げるわけでありますが、改めてこの問題につきまして御質問をさしていただきたいと思います。
  107. 加藤六月

    加藤国務大臣 先ほど来、両先生に対してお答え申し上げたと同じ答えになるので大変恐縮でございますけれども、現在関係省庁で鋭意被害状況調査中でございます。したがいまして、現段階で見通しについて申し上げることができないのを御了解いただきたい、こう思うわけでございます。  そこで、今後さらに調査を急ぎまして、その結果を踏まえて所要の手続を速やかに講じたいと考えておるところでございます。どうぞその言葉の裏にある意味を十二分に御理解いただきたいと思うところでございます。
  108. 柴田弘

    柴田委員 加藤長官、今回のこの三宅島の問題だけではなくて、かつての山陰の集中豪雨のときにも同じような答弁をいただきまして、結果的には激甚災害指定をしていただきました。ですから、言葉の裏を読んでくれということでございますので、私は確信を持って激甚災害指定になるものと考えております。どうか、私ども要望でございますし、これは島全体の要望でもあるのでございまして、前向きに対応していただきたいということを心から要望さしていただきたいと思います。  そこで、先般の委員会においても質問をいたしましたが、今回のこの大噴火災害に対しまして、政府としては、いち早く五項目にわたっての緊急対策を講じられました。この点については、私も、その御努力に対して一定の評価をさしていただくにはやぶさかではないわけでありますが、やはり根本的には、ただ単に災害の復旧、目先的な緊急対策だけではなくて、三宅島の将来というものをどうしていくかといういわゆる三宅地域振興対策、あるいはまた復興計画というものがなければならない。  お聞きすると、長官は、現地へ行かれましたときに、三宅島の新離島計画というものが必要だということもおっしゃったということを風聞するわけでありますし、先回のこの委員会における長官の御答弁でも、国土庁の振興局というのですか、そこにもその三宅島の地域振興対策につきまして検討指示をした、こういうようなお話もあったわけでありますが、長官からまずその辺の取り組みについての御説明を受け、担当の方から具体的な諸問題について、現在ここで答弁できるものがあればお聞かせをいただきたいと思うわけであります。
  109. 加藤六月

    加藤国務大臣 前回お答えいたしましたところと同じでございますが、私は、今回の三宅島の噴火に際しまして、災害担当だけでなしに、国土庁地方振興局離島振興課というのがございます。その離島振興課におきまして、三宅島の振興開発計画というものが東京都を経由して出てきております。その計画を見直すかどうかという問題を含めて、離島振興課の方に作業に入るということと、それから離島振興に基づくいろいろな補助制度というものと、今回の三宅島噴火に伴ういろいろな助成との関係について調査し、勉強し、どちらがいいかということを検討するようにという指示をいたしたところでございます。
  110. 植苗竹司

    ○植苗説明員 ただいま大臣がお答え申しましたように、現在三宅島の実態につきましてその把握に努めますとともに、東京都と緊密な連携をとりつつ、三宅島の今後の振興方策につきまして検討をいたしておる段階でございます。
  111. 柴田弘

    柴田委員 先般三宅島を訪れまして、三宅支庁長さん、それから三宅村の助役さんと、いろいろと今後の復興ということについてお話をさしていただいたわけでありますが、現在三宅島の年間のGNPは約百億だ。そのうち農業が六億、漁業が六億八千万、それから観光が約四十数億、あと残りは公務員なりお役人の手当だ、こんなようなことを言っておりましたね。  でありますから、やはりこの三宅島の将来の振興というものを考える場合は、当然こういった噴火等々のいわゆる災害対策というものをまずきちっとしていくということと同時に、年間約百人の若者が離島をしていくという現実、そして農業、漁業、観光、こういったものを含めた本当に島民の皆様方が明るく楽しく生活できる、そして観光の皆さん方も安心して島に来れる、こういったことになろうか、こういうふうに思うわけであります。  現在、国土庁の方といたしましては、地域振興課あるいは離島振興課等々で実態把握に努めて今後の対策を立てていく、こういうことでありますが、しからばその具体的な内容と、いま一つは、いつまでにきちっとそういった実態把握を完了してその対策を立てて、その事業の推進を図っていかれるのか、そこら辺の見通しをこの際承りたい、こういうふうに思うわけであります。
  112. 植苗竹司

    ○植苗説明員 お答えいたします。  私どもの担当しております離島振興計画は長期的視点に立った計画でございまして、現在のところ復旧作業が先行いたしております。したがいまして、それと同時並行的に実態の把握に努めておりまして、できる限り計画の改定等につきまして東京都と一緒に作業してまいりたい、こういうことでございます。  時期といたしましては、やはりある程度の復旧作業の後、それから実態等を勘案した上でということでございますので、正確な時期は申し上げられませんが、われわれといたしましては最大限の努力を払ってまいりたいと思っております。
  113. 柴田弘

    柴田委員 どうか最大限の御努力をいただきまして、島民皆さん方が安心して明るく楽しく生活できるような対策を打ち立てていただきますことを、心からお願い申し上げる次第でございます。  それから、先ほども時限立法あるいは特別立法というお話がありましたが、私もそのように思うわけであります。今回の噴火によりまして大量の溶岩流出をいたしまして、南西部の阿古地区では九〇%が焼失、埋没した、壊滅的な被害を受けたわけであります。さらに東南部の坪田地区におきましては、噴火に伴う降灰によりまして住宅、農地等に大被害発生をし、島内一円が被害をこうむった。だから、いままでのような復旧あるいは災害に対する財政上の措置だけでなく、やはり将来の振興計画を含めたいわゆる被害救済全部に網がかかるような特別な時限立法を制定し、復興に当たるべきである、このように私も考えているわけであります。  そこで、先ほど御答弁がありましたように、この三宅村の議会議長の方から「三宅島噴火災害復興に対する時限立法を制定する意見書」が提出をされております。私はもっともだ、こう思っているわけでありますが、「離島に永住する後世の子孫のため、安心して定住する施策を行なうよう国において特別な時限立法を制定し、この復興を推進されるよう強く要望する。」このようにあります。でありますから、国土庁の方で考えているいわゆる地域振興対策、これは当然こういった時限立法、特別立法の範疇といいますか、それに大きな関連を持ってくる問題であると私は思いますが、その辺を含めまして、この措置につきましての長官の明快な御見解をこの際ひとつお伺いをしてまいりたいと思います。
  114. 田中暁

    田中(暁)政府委員 三宅村の村議会からの意見書はこの前御説明したとおりでございますが、ただ、その時限立法の内容につきましては、意見書の中には触れられていないことは御承知のとおりだと思うのでございます。  三宅島の復旧対策につきましては、その具体化に向けての計画を立てまして、その手法等につきましても、関係地方公共団体等の意向を踏まえまして推進する必要があると考えておるわけでございますが、この場合、もし現行法制で対応できないような問題点があれば、その際には時限立法をも含めた対策検討してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  115. 柴田弘

    柴田委員 長官、どうですか。
  116. 加藤六月

    加藤国務大臣 先ほど離島振興課長並びに審議官からお答えいたしたわけでありますが、離島振興法の延長に伴いまして、東京都下の離島振興に対する計画を出していただきまして、この春それを政府、国として認めたところでございますが、離島振興課長のお答えの中で説明が足らなかったという点は、この春決定しました離島振興計画三宅島における分については、今後応急復旧をやる過程において、ひとつ見直しをしたらどうだろうかということが含まれておるというように御理解いただきたいと思います。  それから特別立法につきましても、いま審議官からお答えいたさせたわけでございますが、当面現存する関係法規、関係省庁の間で全力を傾注して復興に取り組みたい。しかし、現行のものでどうしても対応できないものがあるとするならば、ひとつ特別立法をも含め検討していきたいというところでございます。要は、三宅島の住民皆さん方に将来の生活希望を持っていただくような方法を講じていくというところに、本当のねらいがあるというように御理解いただきたいと思うところでございます。     〔委員長退席、池端委員長代理着席〕
  117. 柴田弘

    柴田委員 よく理解をいたしました。  それから、阿古地区の土地が溶岩で埋まってしまって、もうその上に家を建てることができない、その場合に、現行の法律では救済措置がない、こんなようなことだと思います。先ほど来応急仮設住宅の着工、建設が問題になっているわけでありますが、この仮住まいはいつまでか、あるいはその後の被災者住宅というのは一体どうするのか、これはいろいろな問題が含まれておると思います。この点を一体どうされるのか、これが一つであります。  それからもう一つは、やはり三宅島の噴火のこういった特殊事情にかんがみまして、国がこの土地を買い上げる、こういった特別措置で救済する。土地を買い上げるというのは御答弁をいただいたわけでありますが、私どもの党の方針でもありますので、御答弁が重複するかと思いますが、重ねて質問をいたすわけでございます。  二点についてひとつお願いします。
  118. 田中暁

    田中(暁)政府委員 上田委員のお尋ねにもお答え申し上げたとおりでございますが、現時点におきまして、埋没いたしました土地を他の条件なしに買い上げるという制度を設けるということは、現在の財政事情のもとにおきましては、これは大変困難であろうと考えておるわけでございます。  ただ、防災集落移転制度がございまして、この運用によりましては、住民方々の御希望に沿ったような形での集落の再建ということも可能ではないかというようにわれわれは見ておるわけでございまして、この制度に乗っかりました場合には跡地買い上げの制度がございます。ただ、この跡地買い上げを行いますのは地方公共団体でございまして、その買い上げました地方公共団体の経費に対しまして国が四分の三の助成をする、こういう制度になっておるわけでございます。この制度などの活用によりまして、先生指摘のような問題にはできるだけの対応をしてまいりたい、このように考えております。
  119. 近藤純五郎

    近藤説明員 当面の住宅の確保につきましては、応急仮設住宅があるわけでございまして、現在避難所で大変御苦労されているわけでございます。私どもとしても、早く仮設住宅をつくってくれということで東京都にお願いしているわけでございます。ただ、用地の問題がございまして、とりあえずは神着地区に五十戸つくっておりますけれども地元住民の強い要望がございまして、現在の山林のところに残りの仮設住宅をつくるということもございますので、その辺の整地等にかなり時間がかかるということで、私どもとしてはできるだけ早くつくってくれということで要望しているわけですが、かなりの期間を要するというふうに聞いております。一日でも早く仮設住宅をつくりまして、そちらの方に移っていただくようにということで、これからも努力していきたいというふうに考えております。
  120. 柴田弘

    柴田委員 私が聞いておりますのは、仮設住宅はいまの三百七十戸つくられる、それはよくわかるわけでありますが、仮住まいをするのはいつまでしておらなければいかぬかという問題がある。見通しが全然立たないわけですね。いま、こういう質問をするのは酷かもしれませんが、やはり恒久的な解決というものもしていかなければいけない。これは前の質問と関連してくるかもしれませんが、そこら辺の見通し。  それからもう一つは、やはり仮設住宅に関連をして多額の出費を要するわけでありまして、これは都としても超過負担、大きな財源を必要とするわけであります。これについての国による特別な財政措置、こういったことが問題になってくると思いますが、この辺の対応についても厚生省に要望したいと思いますけれども、どう考えていらっしゃるのか、お聞きしたいわけです。
  121. 近藤純五郎

    近藤説明員 財政負担の関係でございますけれども仮設住宅は先ほども申し上げましたように全壊世帯の三割というのが基準になっておりまして、それから金額も百万円前後ということでございまして、都の完全な要望どおりというわけにはいかないわけでございますけれども、今後財政当局東京都と相談いたしまして、私どもとしては最大限努力いたしたいというふうに考えております。
  122. 柴田弘

    柴田委員 次に、農林水産省にお聞きしていきますが、今回降灰によりまして農家の被害は甚大である、こういうことであります。この点について、農水省としてはどういうふうに御調査されているかという点が一つ。  それから、降灰による農家への救済措置というものは具体的にどう考えているかということ。  それから、畑等の土地は全滅をしている、来年の種もとれない、しかも収入がない、こういった農民への救済、金融措置を含めてどういった救済措置を考えているのか、この際、お聞きしておきたいわけであります。
  123. 眞鍋武紀

    眞鍋説明員 お答えいたします。  農林水産省といたしましては、現在農作物被害調査中でございますが、これはやはり灰に埋まっておるとかいろいろな関係がございまして、鋭意、早期把握に努めておるところでございます。  それから、今後の営農についてどういうふうにしていくかということも含めまして東京都とよく相談をいたしまして、被災者の資金対策等々につきまして、被害の実情に応じた適切な対処をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  124. 柴田弘

    柴田委員 現在の段階ではその程度の答弁しかできないかもしれませんが、いずれにいたしましても、農民の救済について万全の措置を今後とっていただきますことを御要望してまいりたいと思います。  それから、厚生省にお尋ねしますが、水道の問題。  離島であるという点から、水道の完全復旧というのは非常に急務であると考えます。この復旧の具体的な計画、完全復旧はいつまでにできてきちっとするのか、そこら辺の見通しをお尋ねしたいわけであります。
  125. 森下忠幸

    ○森下説明員 お答えいたします。  現在、阿古、神着、伊豆、伊ケ谷、それぞれの地区で、合計いたしまして千二百七十九戸が断水中でございます。あそこの三宅村の水道は、先生もごらんいただきましたように、南の方に大路池というのがございまして、その大路池と阿古地区にございます南風平という二つの水源を水源といたします右回りの配水系統が一つございます。この系統は、阿古、伊ケ谷、伊豆、神着、そして見取畑まで行っておりまして、このうち阿古地区がやられたわけでございます。そういうことで、いま申し上げました阿古、神着、伊豆、伊ケ谷がとまっております。  それから、もう一つ左回りの給水系統がございまして、これは八重間、三池を水源といたしまして、坪田、三池地区を経由いたしまして、御子敷まで行っております。道路は環状線になっておりますけれども水道は実は環状線になっておりません。一部とぎれておりまして、右回りの見取畑と左回りの御子敷の間が実は切れております。  まず、応急復旧でございますけれども、この見取畑と御子敷の間は三千八百メートルございますけれども、これをつながなければならない。これをつなぎまして、いままで右回りに回っておった水を、一部左回りに流すということで応急復旧を考えております。こういたしますと、神着、伊豆、伊ケ谷地区は給水できるようになります。しかし、流れが一部逆になるものですから圧力のぐあいが変わる。いままで低かったところが高い圧力をかけなければならぬとか、パイプの材質によりましては、一部、ある期間でございますけれども、濁りが出ることもございますから、いろいろ注意しなければなりませんけれども、そういうことで応急復旧を今月いっぱいをめどに完成させたいと考えております。  それから応急の仮設住宅が予定されております錆ケ浜地区でございますけれども、これにつきましては、阿古地区に残っております南風平水源、これがまだ残っておりますが、電気がきのうまで来ておりませんでした。本日、恐らく電気が来ると思いますが、電気が参りましたら揚水テストをいたします。それから、水質が大丈夫かどうかということもテストをいたしまして、こういうことを調査いたしました後、仮設住宅建設に合わせまして応急復旧をするということで考えております。  それから、本復旧でございますが、これは阿古地区被害状況、まだ十分調査が済んでおりません。これを調査いたしまして、それからまた、今後住宅がどのように建設されていくのかということを十分検討いたしまして、これらの調整を図りながら計画をつくっていただくわけでございますけれども、この計画につきまして、私どもも技術面からいろいろと御援助していきたいと考えております。いずれにいたしましても、早期に本復旧の方もできるように、私どもも努力したいと考えております。
  126. 柴田弘

    柴田委員 それから、文部省にお尋ねしておきますけれども小中学校の復旧、それから高校がありましたね、三宅高校、先般、視察をしていろいろ話を聞いたときには、今週から開校したい、こういう話でありましたが、残念ながら、台風十三号で開校がおくれたということですね。あとお聞きをしますと、阿古の地区の小学校、中学校の人たち三宅小学校、中学校の方へやるのだ、授業には支障がない、こんなような話だったのですね。小学校、中学校の児童生徒が東京とかいろいろなところへどんどん転校してきた。皆さん方希望としては、やはり前の小学校、中学校で何とか授業を再開していただいて、そこでやりたいという要望が強いだろうと私は思いますね。  阿古地区、ああいうふうに溶岩で埋まってしまったわけでありますが、いままでは一つの高校、三つの中学、三つの小学校があったわけでありますが、とりあえずの学校再開の考え方と、どういうふうに再開をされているのか。将来、やはり前にあったような方向で小学校、中学校が近くに建てられて、いま保育園の話もあったわけでありますが、こういった教育施設建設、それから教育の実施について、どういった考え方で文部省としては取り組んでいかれるのか、お聞かせをいただきたいわけであります。
  127. 逸見博昌

    ○逸見説明員 お答えいたします。  先生御案内のとおり、三宅島には小学校が三校、中学校三校、高等学校一校、合計七校ございます。このうち最も大きな被害を受けましたのが、阿古地域小中学校でございます。ここは完全にいわゆる全壊という状況でございました。そこでは授業を行うことは全く不可能である。それから、その次の被害坪田地域小中学校、それから三宅高校でございます。これは降灰でございます。これにつきましては、鋭意努力をされまして、やっと灰を取り除きまして、個々の学校においてこの場で授業再開が可能になっております。昨日から授業を再開しております。  それから、いわゆる三宅地域、ここにつきましては、主として阿古地区住民方々避難場所になっておりまして、当分使えなかったわけでございますが、いまその方々もほとんど外に出ていただけたようでございます。ということで、三宅小学校、中学校も昨日から授業を再開している。それから、阿古地域の子供たち、これも三宅小中学校の特別教室あるいは屋内運動場、そういったものを利用しながら、何とか授業にこぎつけているということで、三つの地域、それぞれの子供たち、昨日から授業再開ということになっているところでございます。  今後の一番の問題は、先生指摘になりましたとおり、阿古小中学校、これを今後どういうふうに持っていくのか、こういう問題だと思っております。これにつきましては、阿古地域に対して一体住民がどういうふうにお帰りになって、どういった地域にお住まいになるか、これがまず先行しまして、そういった場所と密接に関係します通学可能な範囲に学校をつくる必要がございますので、その阿古地区住宅等の復旧、それが決まり次第場所を設定して、通学可能な範囲に仮設校舎を建設する、そういったふうな指導を現在やっておるところでございます。
  128. 柴田弘

    柴田委員 わかりました。  では、建設省、簡単に道路について。  島内一周三十キロ、それで溶岩をかぶったり降灰ということで大変だと思いますが、この復旧については、やはり一日一日を要する大事な道路であるということを思いますが、ここら辺の復旧のめど、簡単でいいですからお聞かせをいただきたい。
  129. 狩野昇

    ○狩野説明員 お答えいたします。  先生指摘のように、一番重要な道路は、三宅島の都道三宅循環線という道路でございます。この道路のうち、溶岩流で埋没した個所が二カ所ございます。火山礫によるものが一カ所、それから小規模な土砂崩壊三カ所となっております。小規模な土砂崩壊は、それぞれ応急復旧、引き続いて本復旧いたしますが、溶岩流によって埋まりました二カ所につきましては、そのうち一カ所はすでに溶岩の上を、まだ中の方は相当熱いのでございますが、ならしまして、土砂を敷いて緊急に応急道路として交通開放をいたしております。  もう一カ所につきましては、今後の問題でございますが、先ほど来問題になっております阿古部落の復興計画ともにらみ合わせていきたいと思いますが、仮設の方につきましては、地熱がおさまった段階で、その個所はできるだけ早くやりたいというぐあいに考えております。本復旧につきましては、阿古地区につきましては、まさに部落の復興計画について、それからその他の個所につきましては、地熱あるいは噴気が出ておりますので、そういった状況の鎮静化を待ちまして本復旧いたしたいというふうに考えております。
  130. 柴田弘

    柴田委員 次は、観測体制の問題です。  先般も本委員会におきまして、ちょっと観測体制に問題があったんじゃないかということを指摘しました。それで、この三宅島は、玄武岩とか安山岩といった土質であるために噴火の仕方に一つの特徴があり、なかなか噴火の予知というものができない、こういうことであるわけであります。ここは常時観測ということでありますが、今回は臨時火山情報というのが間に合わなかったということを聞いている。私は、こういった観測体制を何とか充実をして、計器観測噴火前兆の微小地震をとらえて位置を判断し、噴火が切迫すれば自動的に警報が鳴る自動警報セットというのができないかということを考えているわけでありますけれども、この辺はどうでしょうか。
  131. 山川宜男

    山川説明員 ただいま先生指摘臨時火山情報が出せなかった、間に合わなかったんじゃないかという御指摘でございますけれども三宅島測候所といたしましては、火山性地震があらわれたということで、たしか噴火の四、五十分前に、前々からの防災関係者で打ち合わせておりましたルートに従いまして、三宅島村役場の方に、火山性地震という異常があらわれておりますので御警戒くださいという御注意を申し上げたわけでございます。これは三宅支庁を通じまして、東京での災害対策本部をつくりまして、私どもにも意見を求められてきておりますので、これは非常に注意をしなければいけない状態だということを、三時前には私どもの方からも東京都の災害対策本部の方にも申し上げたわけでございます。  いま、先生指摘の自動警報装置の件でございますけれども、私どもそういうことも含めまして、今後測地学審議会それから火山噴火予知連絡会の場で知恵を出し合って、検討を進めていきたいと思います。  それから、いま先生も御指摘があったわけでございますけれども三宅火山は玄武岩質の火山でございまして、前兆が非常に短時間前にしかあらわれないという特徴がございます。そういう意味で、地震の震源の位置なんかを決めております前に、まず異常を防災機関に御連絡する方が私どもとしては大事じゃないかと思っているわけでございます。
  132. 柴田弘

    柴田委員 最後質問になりますが、先般も問題点を指摘して長官から御答弁をいただきましたが、火山噴火予知体制の確立の問題であります。長官は、全火山地帯の観測の総点検を行うように指示された、こういうわけでありますが、六十七カ所全部行うのかどうか。それから三宅島においても、集中観測して異常なしの噴火であった。九月八日に異常なし、こう出した。ところが噴火をした。だから私は、同じような機械などを利用して観測したとしても予知は不可能ではないか、こんなふうに考えているわけであります。予知観測体制の新しい開発研究を含めて、ぴしっとした観測体制の充実を行っていただきますように要望したいわけであります。これが一点。  それから二点目は、たとえば重点観測地帯の四カ所、浅間山、伊豆大島、桜島、阿蘇山など、どの地域観光地であり、観光客も非常に訪れるというところである。でありますから、本当に安心して観光に来ていただけますような情報伝達、避難等の訓練を含めた体制の確立というものがやはり必要である。ひとつ、行政指導を含めて長官のお考えを一遍お聞かせいただきまして、質問を終わります。
  133. 加藤六月

    加藤国務大臣 先般の当委員会におきましても柴田先生の御質問にお答えいたしたところでございますが、観測体制火山活動の情報伝達体制等を含めまして総点検を行いたい。したがいまして、近々気象庁関係省庁にお集まりいただいて、どのようにどうやってやるかという問題等の検討を進めていただきたい、このように考えておるところでございます。  そして、いま第二問でおっしゃいましたように、どこもそういうところは非常に観光客がたくさんおいでになるところでございます。そういう意味における避難ごうであるとか、避難関係、情報伝達体制関係というのは、さらに一層強化しないといけないのではないかと考えております。
  134. 柴田弘

    柴田委員 時間が参りましたので、これで終わります。ありがとうございました。
  135. 池端清一

    池端委員長代理 次に、中野寛成君。
  136. 中野寛成

    中野(寛)委員 まず、各論に入ります前に一点お尋ねをしたいと思いますが、今後の対策、また今後いかに防止するか、これが基本になるわけでございますけれども、もう一つ、島民の皆さんが意欲を持って再建に取りかかっていただくその決意、その意欲が今後の三宅島の将来を占うことにつながると思うわけであります。  そして、その意欲を大いに燃やしていただくためには、まず一人一人の今後の生活をどのように再建していくか。具体的な要望等について把握することがまず何よりも大事だと思います。住民個々の相談を受ける体制等を早速講じられたわけでありますけれども、このような住民の皆さんの要望、そして今後再建への意欲、このようなことについてどのように把握し、そして今後連携を持っていこうとしておられるか、そのことについて基本論としてお聞きしたいと思います。
  137. 加藤六月

    加藤国務大臣 東京都からの要望は、まず三宅島の早期復興を図るための激甚災害指定火山観測体制充実強化等について承っております。  それから三宅村からは、三宅島噴火災害に対する時限立法制定についての要望を受けておるところでございます。また、島民の幅広いいろいろな御意見等はございますけれども、やはり三宅島は墳墓の地である、祖先伝来の地である、どうしてもそこで生活していきたいという幅広い意見等も承っております。特に、私がお見舞いした寝たきり老人のうちの一人の方に、東京都内の特別養護老人ホームにお移りになってはいかがですか、都に言うて手当てさせますが、こう申し上げたときに、私はこの島で死にたい、こういう御意見等もじかに承ったり何かいたしたわけでございます。  そういうもろもろの問題を含めまして、政府としては非常災害対策本部を設置し、関係省庁が緊密な連絡をとって災害応急対策を強力にいま推進しておるところでございますが、先生おっしゃいましたように、一日も早く被災者方々の静穏な日常生活が回復され、被災地の復旧が図られるように、東京都等とも緊密な連絡をとりながら、そういう三宅島の再建についての皆さん方要望を踏まえながら、全力を挙げて対策に取り組んでいきたいと考えておるところでございます。
  138. 中野寛成

    中野(寛)委員 今後の再建なんですが、島民の皆さんの御要望、これは可能であるか不可能であるかは別にして、本来であれば溶岩を全部取り除いてもとに戻してほしい、言うならばこれが理想であります。実際上はそれは不可能であります。しかしながら、阿古地区などのように溶岩地域全体が埋まってしまった。しかし、そこで生まれ、そこで育った人たちにとって、たとえそれが不可能でも、できることならば溶岩除去して再びあそこに住むことができないかという気持ちを持つのは人の情だと思います。  このようなことについて、その近くに新たな地域開発をすること、これは一番現実的で可能な方法ですし、またそれを目指しているとも思いますけれども、できる限りのもとの形へ戻す努力、それはできるのはごく一部かもしれませんが、そのようなことについてどのようにお考えでしょうか。
  139. 加藤六月

    加藤国務大臣 先ほど来応急住宅問題がいろいろ言われておりましたが、東京都から承ったところ、あの阿古地区皆さん方は、新しい場所じゃなしにやはり阿古地区へ将来生活の本拠を構え、あそこで生活したいんだという御要望があったことを承りました。  実は、私もそこら辺を踏まえまして、噴火のあった当日、三宅島における国有地、都有地、村有地は一体どういう分布状態になっておるか、すぐ調べてほしいということで調べたり何かして、将来の島民皆さん方生活あるいは応急仮設住宅等どうしたらいいかということを考えておった瞬間は、阿古地区皆さん方の御要望を考えずに、全体的にまず案を練らなければいかぬな、こう思ったわけであります。東京都を通じてそういう住民皆さん方の御意思を承ったわけでございますが、それについては最大限、住民皆さん方の御意見、御希望に沿うようにしてあげたいなという気持ちを持っておるところでございます。
  140. 中野寛成

    中野(寛)委員 この問題について、長官からでなくても結構なんですが、財政的または技術的にもとの状態への復帰というのは、もしやろうとしたらどの程度可能なものでしょうか。それは金に糸目をつけずにやれば、また日にちをかけてやればいろいろなことができるでしょうけれども、そうもいきません。いま考えられ得る最大限の努力をして、どの程度可能だというふうにお考えでしょうか。
  141. 田中暁

    田中(暁)政府委員 私ども大臣がお答え申し上げましたように、われわれといたしましても、できるだけいままで住んでおられたところの近くに住みたいという住民方々のお気持ちを酌んで、対策に当たらなければならないというように心得ておるわけでございます。財政的には、そのためのいろいろな方法があろうかと思います。たとえば、公営住宅を近くに建設するというようなのも一法であろうと思うわけでございますが、恐らく、現在ございますいろいろな制度のうちで最も手厚い制度というのは、防災集団移転制度であろうと思うわけでございます。  ただ、この制度を適用するに当たりましては、移転促進地域住民方々全員が安全なところに移転していただくということが必要でございますので、まずその住民方々の一致した合意というものが必要でございます。また、その移転先につきましては、安全な個所ということでございますが、その辺につきましては、現在の被災地域との距離が非常に離れてなければいけないというような運用をすることは必ずしも必要ないのではないか、できるだけ弾力的な運用をしていくべきではないか、このように考えている次第でございます。
  142. 中野寛成

    中野(寛)委員 そのことはわかるのです。それは一番現実的なやり方ですし、そうであろうと思うのです。ただ、私が聞いておりますのは、夢物語みたいなものかもしれないけれども島民の皆さんの心情を思うときに、たとえ何%かでももとに戻るということは可能か不可能か。もっと簡単に言うと、溶岩を幾らかでも取り除いてもとへ復帰するなんということが幾らかでも可能なのか、またそういうことも検討しているか、考えているか、そのことについてお聞きしたいと思います。
  143. 田中暁

    田中(暁)政府委員 今回の噴火によります流出溶岩の量は、御承知のとおり大変膨大なものでございまして、われわれといたしましては、これを除去いたしましてその跡地にそのまま再建するという方法は、現実的ではないというように考えております。
  144. 中野寛成

    中野(寛)委員 わかりました。  それから、先ほど来溶岩部分に当たる土地の買い取り等の問題について特別立法等のことが論議をされ、また御検討もされているようでありますし、要望もあるようであります。また、激甚災害法の適用のことについても、長官の方から意のあるところを酌み取ってくれということで御答弁がございました。私は、いわゆる局地激甚災害の適用ということでその結論が出されるものと思いますが、これをやるということだけでは足りないわけですね。その適用がされるのは、どういう内容で、いつごろに結論が出されて、どういうふうに運用されていくか、そのことが一日も早く明確にされることによって将来計画が立てられるし、島民希望というものもそこから生まれてくるわけです。  ですから、私は、先ほど来の質疑応答から一歩進めて、現在調査されていることはよく存じております。調査の正確さも必要でしょう。しかしながら、その結論、そして見通し、これらのことについておおよその段取りを一日も早くつけることが必要です。現在どうお考えでしょうか。
  145. 田中暁

    田中(暁)政府委員 激甚の指定の時期の見通しでございますが、いまの激甚の制度と申しますのは、いずれも一方におきまして被害額といいますか被害状況を把握して、これとたとえば標税でございますとか、そういったものと比較して適用の有無を決定するということになっております。したがいまして、被害状況の把握が前提になるわけでございます。現在、各省庁で被害状況の把握を急いでいる段階でございまして、まだその把握が完了していないわけでございます。できるだけ急いで行いたいと思いますが、この三宅島のケースの場合に、適用が想定されますいわゆる局激の制度につきましては、これはいわゆる本激と違いまして、査定見込み額ではなくて査定額そのものでございます。  そういうことでございますので、これまでのケースにおきましても、その年度の終わりに近い時期でないとはっきりしたことが正式には言えない、こういうことに相なっておるわけでございます。ただ、被害額がはっきりいたしますと、おのずからその適用の見通しというものはうかがい知れるような状態になってまいるのが現実でございますので、できるだけ被害額の把握を急ぎたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  146. 中野寛成

    中野(寛)委員 一生懸命急いで調査をして見積もりができた、計算ができた、そしてこれから指定をしますというのではなくて、いまの住民の皆さんのお気持ち、またその復興に携わっておられる担当者の方々のお気持ちを察しながら、それこそいつまでに結論を急ぐんだ、いつを目標とするというぐらいの強い意気込みが必要だと思うのですね。正式には年度末にならないと、ということですし、正式にはというふうにおっしゃったということは、中間地点でめどをつけようというお気持ちがあるからだと思います。そういう意欲は、私は決して無視しませんが、むしろ先ほど申し上げたように、時期的目標を設定するぐらいの意欲が必要ではないか、こういうことを申し上げたいわけですが、長官いかがでしょうか。
  147. 加藤六月

    加藤国務大臣 私も、先生のおっしゃったお考えには実は賛成でございまして、日本海中地震のときには宮城沖地震よりか何日間早くとか、それから七月の集中豪雨のときには、去年の長崎災害指定したときよりか何日間ぐらい早くやってほしい、こういうことはそれぞれ言ってきたわけでございます。  三宅島につきましても、なるべく早くして差し上げたいところでございますが、御存じのようにその前の十号台風の関係等もあり、幅広くいろいろな役所の関係もございますので、当面応急復旧に万全を尽くすとともに、その被害額調査等も大急ぎでやってもらって、早く一定の方針を出したいと考えておるところでございますが、きょうこの席では何月何日というようなことを申し上げられないのを非常に残念に思い、かつ御理解いただきたい、こう思っておるところでございまして、役所に対しては急ぐように急ぐようにということは、たびたび言っておるところでこざいます。
  148. 中野寛成

    中野(寛)委員 しつこいようですが、一週間でできるものですか、一年かかるものですか。まあ、年度末には正式にということですから、正式なやつの大体のめどはついておるようなものですけれども、それとも一カ月かかりますか、ことしじゅうにできますか。いま長官おっしゃったように、何月何日というお答えを求めようとは思いませんけれども、どういうめどでいらっしゃるのか、重ねてお聞きしたいと思います。
  149. 田中暁

    田中(暁)政府委員 御承知のように、激甚の指定と申しましてもいろいろな項目がございまして、私が主として申し上げましたのはいわゆる公共土木施設の点でございます。そのほか中小企業被害とかそういった問題、いろいろございます。  公共土木関係につきましては、これははっきりしたことはさっきお答え申し上げましたとおりでございますが、他の項目の中にはそこまで待たなくてもはっきりする、適用の有無が決まるというものもございます。この点は、たとえば相当広い範囲の災害等におきましては、大体激甚の政令を指定するまで二カ月ぐらいが従来の傾向でございます。できるだけその期間を縮めますように努力いたしたい、このように考えております。
  150. 中野寛成

    中野(寛)委員 わかりました。  次に、先日も現地へ参りましたときに、農業、漁業、林業等を含めて今後の復旧に国や都の力をかしていただきたい、こういうことでしたが、復旧ということだけではなくて、先ほど来論議がされておりますけれども三宅島全体の中長期にわたっての計画を立てて、そしてその中でいわゆる都市計画的な手法をといいましょうか、この復旧が単なる復旧ではなくて、言うならば災い転じて福となす、この機会に三宅島の将来展望というものが明確にされる、それに基づいて着々と計画的に作業が進められる、このことが必要だと思いますが、いわゆる離島振興を含めて計画を立てられるということになろうと思いますけれども、これらのことについての現在の状況はいかがになっておりますでしょうか。
  151. 植苗竹司

    ○植苗説明員 お答えいまします。  現在、三宅島の振興につきましては、東京都知事の作成に係ります伊豆諸島地域振興計画に基づいて諸事業を実施しております。ところが、今回の災害によりましてその策定時と事情は一変しておりますので、現在、国土庁といたしましては、復旧作業とともに実態の把握に努めますとともに、東京都と緊密な連携をとりまして、三宅島の今後の振興策につきまして詰めておるところでございます。
  152. 中野寛成

    中野(寛)委員 詰めていらっしゃるその計画はわかりますが、これはまたどういう目標を立てておられるのですか。内容をすべてとは申しませんが、時期的なことを含めてお答えいただきたい。
  153. 植苗竹司

    ○植苗説明員 お答えいたします。  災害実態でございますが、これはまだ復旧作業等ございまして、実態が十分に把握されておりません。したがいまして、明確なところはまだ検討中と申し上げるほかございませんが、現在の災害状況で大ざっぱなところを見ますと、先生指摘ございました農業、水産業、それから観光業等の被害が非常に大きいのではないかと思いますし、また、先ほど申し上げました計画の中にいろいろな事業がございます。たとえば、屋外レクリエーション公園の構想なんかがございますが、こういう地域は恐らく壊滅したのではなかろうかというような感じがいたします。これは、住民のニーズ並びに観光用に考えられていたものでございますが、こういうようなことがございますので、そういう実態を十分把握した上で、いま申し上げました諸産業につきまして十分な計画を立てたいと思っております。
  154. 中野寛成

    中野(寛)委員 これ以上申し上げませんが、物事が壊された、それを復旧するということは大事なんですが、むしろそういうときにこそ、全体の計画を立てる一つのチャンスにもしなければならない。むしろ物事をすべて積極的に考え、それに対応していく必要があると思います。まして今回、こういう被害をこれからも受けるであろうという場所で、貴重な犠牲と体験をしたわけであります。私は、そういう意味でより一層力を注いで対策を講じていただきたい、このように要望しておきたいと思います。  それからもう一つ、そういう全体計画と同時に、住民の皆さんの何といっても住む場所を確保する。いま応急措置が考えられているわけでありますが、本格的な住宅建設という時期をやはり近い将来に迎えなければいけないわけですね。この仮設住宅後の住宅建設についての将来展望と、それからまたそのために助成措置等をも含めての配慮というものが必要であろうと思いますが、これらのことについてはどうお考えでしょうか。
  155. 高橋徹

    高橋説明員 住宅の恒久的な対策についてのお尋ねでございますが、何せ、もとの市街地があのとおり、四百棟以上、三百戸以上が集団となって埋まってしまったというような状況にございます。現地復興すべきか、あるいは全村どうするかというような御議論が、いまこれから続いていくのであろうかと思うわけでございますが、私どもといたしましては、たとえば持ち家の必要な方に対しましては、住宅金融公庫がこういう災害のときに発動いたします特別の貸付制度がございまして、すでにこれは発動してございます。  また、大ぜいの中には、低額所得者の方で、賃貸住宅によるほか住宅を確保する道のない方もいらっしゃると思います。この方々のためには、東京都自体が、そういう災害公営住宅という制度がございまして、それが必要であるという判断をすでに持っておりまして、そのために、これも現地で建てるかどうかというような検討も含めて、東京当局それから村当局計画のお取りまとめをいただいているところでございます。そのような要請が参りますれば、早急に対処したいと考えております。
  156. 中野寛成

    中野(寛)委員 わかりました。ひとつ、できるだけきめ細かい配慮要望しておきたいと思います。  それから、将来、全体的な計画を立てていく中で、きょうの最初の石原委員質問の中でも触れられたのですが、活火山であることは間違いないわけです。そして、将来こういうことを繰り返すということもまた十分考えられるわけです。先般見ておりますと、あれは阿古地区の学校の校庭でしょうか、ずいぶん溶岩が流れ込んでいる。しかし、あの幾つかの建物でそれがストップされている。こういうのを見ながら、こういう溶岩が流れる火山生活をするときに、生活の知恵として、溶岩が流れてきたとき、これは膨大なものですからちっとやそっとで防げるものではないかもしれないけれども、しかし上から下へ流れるものですから、決して手の打てないものではない。そのことを考えて対策を講じる必要があるのではないか。  たとえば防波堤だとか防潮堤だとか、いろいろありますね、そういうものをつくれないものだろうか。別に万里の長城みたいに膨大なものを考えるわけではないのですが、やはりこれからは危険性があるというところ、町並みの山手の方を何らかの形で防御していくことが、言うならばあの島に住む上においてはどうしても必要なことなんではないのかしら。全部防ぐことはできませんが、これは土木工学的に研究をすれば、でき得る限り安い経費で、また溶岩の逃げ道等をも配慮しながらつくれば、そういう可能性があるのではないだろうかということも思いました。  われわれは、二度と同じことを繰り返したくない、また繰り返してはならない、こう思います。自分の家の地下からぽんと噴き上げてくれば、これはもうどうしようもありませんけれども、少なくとも流れてくる溶岩に巻き込まれることを防ぐ、その方途というものはやはりあきらめないで考えるべきではないか、また具体的な方法を講ずるべきではないか、このように思いますけれども、いかがでございましょう。
  157. 田中暁

    田中(暁)政府委員 せっかくの御提言でございます。溶岩流から集落を守るための防止堤というようなことであろうかと思います。ただ、千度というような大変な高熱でございますし、現実には一部とまったというような事例を先生指摘になったわけでございますが、一般的にそういった施設が技術的に可能なものかどうか。また三宅島は、これも御承知と思いますが、実は溶岩の噴出地点が非常に一定していない、いわばどこからでも火を噴く可能性があるというタイプの火山でございますので、あらかじめ予定した防止堤をつくるということが可能なのかどうか、そういった点にいろいろ問題があろうかと考えるわけでございますが、いずれにいたしましても御提言でございますので、関係省庁ともよく相談して研究を進めてまいりたいと存じます。
  158. 中野寛成

    中野(寛)委員 本当に、亀裂を生じたところから何カ所も噴出してくるわけですから、また噴火するたびに場所が違うわけですから、それはなかなか特定することはむずかしい、これは事実だ、おっしゃるとおりです。ただ、少なくとも上から下へ流れることだけは事実ですね。先ほど申し上げたように、自分の足元から噴火してくるやつはどうしようもないけれども、町並みをつくるとすれば、その町並みの上にそういうものを工夫するということは可能ではないのかというふうに考えるわけで、いま御答弁がございましたので重ねて申し上げませんけれども、私はぜひ前向きの御検討をお願いしたいと思います。  さて、次にいきたいと思いますが、先般来この状況調査等に自衛隊の活躍も大変なものだったと思うのです。ただ、私どもの同僚議員の話等も聞いてみますと、自衛隊の方で自主的な判断で、その状況調査するために現地にすぐ飛んでいるわけですね。しかしながら、それを見ながら、もちろんその状況報告するということはしているわけですけれども、具体的に手を下して対策を講じるためには、法律上は知事からの出動要請がないとできないわけですね。  一部防衛庁の皆さんの中には、その辺のことについてもっと早く要請がしてもらえないものか、またはそういう緊急災害ですから、戦争のときの出動命令と違いまして、災害のときに自衛隊が一番機動力を持っているわけですから、そのためのいろいろな備品等々もある程度そろえておいて、まずできる限りの応急処置をするというふうなことの幅というものはやはり必要なんではないか、現行法制また現行制度のもとでまだその辺が不十分なところがあるんではないだろうかというふうな指摘が実は出ておったわけであります。これらについてどのようにお考えであるか、防衛庁と国土庁と双方からお聞きをしたいと思います。
  159. 江間清二

    ○江間説明員 まず先に、私どもの方からお答えを申し上げます。  自衛隊の災害派遣につきましては、現在自衛隊法の八十三条に、天災地変その他の災害に際しまして都道府県知事等から災害派遣の要請がありました場合には、事態やむを得ないと認める場合には自衛隊の部隊等を派遣することができるという規定がございます。と同時に、同条におきまして、ただし、特に緊急を要し、要請を待ついとまがないと認めるときは、要請を待たずに部隊等を派遣することができるという規定がございます。これを私ども、自主派遣というふうに通称呼んでおります。実際に、具体的にどういう自主派遣の内容を考えておるのかという御質問かと思いますけれども、私どもは、たとえば被害状況の偵察でございますとかあるいは行方不明者、被害者の救出、あるいは航空救難といったような特に緊急を要するものについては、自主派遣というもので対応をいたしたいということを考えておりまして、従来もそういう方向で進んできております。  具体的に復旧作業等の問題につきましては、これも自主派遣でやるべきではないかという考え方が一部にあるのかと思いますけれども、復旧作業の点につきましては、やはり関係省庁あるいは現地におきますところの災害対策本部との調整等を待って、効果的なその遂行ということを……(中野(寛)委員「復旧作業はいいです、むしろ救助等の問題です」と呼ぶ)特に緊急を要するということが前提でございますので、人命に特にかかわる場合というようなことについては自主派遣ということで対応できるというふうに考えております。  以上でございます。
  160. 田中暁

    田中(暁)政府委員 国土庁といたしましても、ただいま防衛庁から答弁がございましたように、制度といたしましては自衛隊法八十三条二項ただし書きという制度があるわけでございますので、要は、その解釈なり運用なりの問題であろうと考えておるわけでございます。したがいまして、もしこの解釈、運用に改善すべき点があるといたしますれば、防衛庁等とも十分相談いたしまして検討してまいりたいと考えます。
  161. 中野寛成

    中野(寛)委員 時間がありませんから先に進みます。  結局、救助、たとえば人命救助の問題もありますが、そのほかにたとえば衣類、食糧、水等々、また医療等々の問題について、今後とも迅速果敢な行動をとっていただく、このことがやはり大切だと思いますし、それから緊急避難等のことについてもできるだけ臨機応変な措置をとっていただく、こういうことを特に要請をしておきたいと思います。  最後に、運輸省にお尋ねをいたしますが、一つは気象庁。  この八月、九月に噴火の前兆があるということで調査団を派遣しておられる。しかしそれが予知できなかった。技術的な問題があるでしょう。が、本当に十分綿密な調査がなされたのだろうか、また現在の調査機器等々が十分なのだろうか、このことの疑問をどうしても払拭することができません。  あわせて常時観測体制につきましても、この基準をどういうふうにしておられるのかわかりませんけれども、やはりもっとふやす必要があるのではないのか。三宅島は、四つの重点的な観測体制の範囲の中に入っていなかった。私は、大変活発な活動を展開している火山についてもっと積極的に取り組む必要がある、財政的な問題があってしぼらざるを得ないのかもしれないけれども、金にかえられないという感じが強くいたします。しかし、限界があることは事実です。この機会に、もっと積極的に取り組む用意があるのかどうか、そのことをお聞きいたしたいと思います。  と同時に、海上保安庁、この場合は離島でございますので、海上保安庁の果たす役割りもやはり大きかったのではないか、こう思います。たとえば、気象庁との関係や自衛隊との連携等々、今回どのような役割りを果たされたのか、この二つについてお伺いをして質問にかえたいと思います。
  162. 山川宜男

    山川説明員 お答えを申し上げます。  まず最初に、先生指摘のございました八月、九月の気象庁の精密観測でございますけれども、一応この精密観測計画しましたきっかけは、昨年十二月の末でございますけれども、それから一月にかけまして、三宅島の二、三十キロメートル南の方で群発地震活動がございました。これにつきましては、私ども三宅島の方にその群発地震活動が移ってくるのじゃないかということで警戒していたわけでございますけれども、幸い地震活動そのものは三宅島に近づかないで、一月末に終わったわけでございます。  しかし、昭和三十七年にはやはり、これは三宅島にもう少し近いところだったわけでございますけれども、群発地震活動がございまして、二、三カ月たちまして噴火が起こったというような前例もございますので、東京都さんの方に、こういう前例もあるからということで、これからの三宅島の活動には警戒をしていただきたいという御注意を申し上げていたわけでございます。  そういうこともございますので、私ども予定を変更いたしまして八月、九月に精密な火山調査、これは地震だけじゃなしに、噴気とかガス分析その他いろいろな現地調査も入れているわけでございますけれども、残念ながら異状が発見できなかったわけでございます。  これは現在の火山学のレベルでは、玄武岩質の火山と申しますのは、噴火の直前一、二時間前にしか地震活動のような前兆現象があらわれないというようなことから考えまして、八月、九月の段階で見つけられなかったのは大変残念に思っておりますけれども、これにつきましては、測地学審議会それから火山噴火予知連絡会等で知恵を出し合いまして、もう少し別の方法も含めまして今後の監視体制強化していきたいと思っております。  それから、八月、九月にいろいろと現地で御意見があったようでございますけれども、ともかく、私ども東京都さんにそういうことを御注意申し上げたことがきっかけになりまして、八月の下旬に東京都さんでは防災対策、それから大規模避難訓練も行われたというふうに伺っております。  ただいま先生の御指摘のございました今後の対策監視体制強化でございますけれども、先ほど国土庁長官からの話もございましたように、私ども国土庁の方から全国の火山監視体制、それから情報伝達体制の強化、見直しということについて御指示、御連絡を受けておりますので、その線に沿って今後も一層努力をしてまいりたいと思っております。
  163. 竹内寿太郎

    ○竹内説明員 お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、三宅島その他離島は周囲すべて海に囲まれておりますので、私ども、いわば巨大な船舶という認識で対応いたしております。今般も、三宅島噴火という情報を入手いたしまして、直ちに航空機及び船艇を派遣いたしますとともに、現地対策本部を設置いたしまして救援活動に当たりました。また、東京都等の災害対策本部からの要請に直ちに対応できるような即応体制をしいてまいっております。  その結果、不幸中の幸いでございましたが、行方不明者二名全員無事救助することができましたほか、東京都等からの要請に基づきまして、水、食糧、日用品その他の救援物資の輸送あるいは復旧要員の派遣、さらには万が一の大噴火と申しますか、そういうものに備えまして船艇を配備しまして、島民の緊急避難の輸送に対応するというようなことをやってまいったわけでございます。  それから、関係機関との調整でございますけれども東京都の対策本部、さらに三宅島におきます現地対策本部にそれぞれ職員を派遣いたしまして、その中で密接な連携を関係省庁ととってまいっておりますし、さらに防衛庁とは、現地ベースでも部隊間で必要に応じまして連携をとりまして、御相談、御協力をいたしておるところでございます。  今後とも離島の災害に対しましては、このような認識に基づきまして救援の万全を期してまいりたい、こう思っております。  以上でございます。
  164. 中野寛成

    中野(寛)委員 終わります。
  165. 池端清一

    池端委員長代理 次に、中島武敏君。
  166. 中島武敏

    中島(武)委員 質問に先立って、日本共産党を代表して、被災者方々に心からお見舞い申し上げる次第であります。  わが党は、四日に党の中央に三宅島噴火災害対策本部を設置し、その日の午後、当面の緊急対策に関する四項目の申し入れを政府に対して行いました。さらに、当委員会での委員派遣に野間議員が参加しました。また、十日からきのう十二日まで三日間現地調査救援団を派遣して、折からの台風十三号の風雨をついて被災地をつぶさに調査してきました。これらの活動をも踏まえつつ、三宅災害対策の基本的な点について質問したいと思うのです。  まず最初に、激甚災害指定問題です。報告にありますように、これまでの調査だけでも被害額は二百十七億円を超えております。これは、三宅村の全住民一世帯当たり千三百万円もの被害額であります。しかも、今後調査が進むにつれてさらに増大することは確実なわけであります。そういう点で、激甚災害として早期指定することが必要なことは言うまでもありません。  先ほどからの議論を私も聞いているのですが、長官、見通しについて言えないというのは、まあ御本人も残念だ、こういうふうに言われているのですけれども、いま激甚災害指定、これを早くやってもらうということを島の人たちは非常に望んでいるのですね。そういう点で、見通しを言えないというのじゃなくて、もう少し具体的な点で答弁をいただきたいと思うのです。
  167. 加藤六月

    加藤国務大臣 諸先生方にすでにお答え申し上げた範囲を出ることができないのを私も大変残念に思い、申しわけなく思っておるところでございますけれども、結局、現在鋭意被害状況調査中であり、現段階ではその見通しを申し上げられないことを御了承いただく以外に方法がないのではないか、こうも思っておるのでございます。そこで、今後さらに調査を急ぎ、その結果を待って所要の手続を速やかに講じたいと考えておるところでございます。  もちろん、これがはっきりするまで手を抜くというのではありません。あらゆる方法を講じ、応急復旧措置というものは万全を期してやり、そして二次災害の起こらないようなこともすべて講じておるわけでございますので、そこらあたりはよろしく御理解いただきたいと思っておるところでございます。
  168. 中島武敏

    中島(武)委員 この村の財政規模は二十億円なんですね。ところが、いままで判明しているだけでも二百十七億円を超える。つまり、村の財政規模の十倍を超えるという事実なんですね。これが、さらに調査が進めばもっと大きくなっていくことは、もう申し上げるまでもないわけなんです。  いまの長官の答弁なんですが、どうですか、年内には、何ぼ遅くともちゃんと指定ができるというところにはいくものでしょうかね。これはどうでしょう。
  169. 加藤六月

    加藤国務大臣 一生懸命、急がして急がしてやっていきたいというところでお答えとさしていただきたいのであります。
  170. 中島武敏

    中島(武)委員 これはぜひ長官、もう国土庁だけではなくて、関係の省庁全部を督励して、調査を急ぎなさいということでやっていただく以外にはないのかもしれませんが、どうかひとつ大いに調査を急がしていただきたい、そして村の人たちが国の姿勢というものが非常にはっきりわかるようにしてもらいたいと思うのですね。ぜひ調査を今後とも大いに督励し、急いでいただきたいと思うのです。どうですか。
  171. 加藤六月

    加藤国務大臣 今日までも非常に急がしておるわけでございますが、さらに督励いたしたいと思います。
  172. 中島武敏

    中島(武)委員 次に、被災者生活再建問題について幾つかお尋ねしたいと思うのです。  現在、三宅中学校などで避難生活を続けている人々は、一部には畳があるとはいうものの、そのほとんどはござ敷きで、その上で寝起きをしているという非常に不自由な生活を強いられているんですね。     〔池端委員長代理退席、委員長着席〕 それで、急いで移りたい人には、御存じのように神着の湯舟グラウンドに建設中の仮設住宅、これは五十戸ですけれども、ここに移ってもらいたい。ほかの人については、下錆に建設するという三百二十戸、ここに移ってもらいたい。これは東京都がそういう計画でやっているわけです。  これも先ほどからずいぶん議論になっているので、私も十分よく聞いているんです。聞いているんですけれども、これを合わせると三百七十戸ですね。先ほど長官は、臨機応変に対処するということをも含めて答弁がありました。私も聞いていました。だから、大分前向きだなという気はするのですけれども、やっぱりあれだけ困っている人たちなんですから、三分の一という制約問題があるのは私もよく承知している。承知しているけれども、ここはすぱっと、わかったということを長官からはっきりさせるというのが、私は島のいま苦労してがんばっている人たちに対して大いに励みになると思うのですね。そういう点で、この点も長官の見解をもう一度、前進的にひとつ述べてもらいたいと思うのです。
  173. 加藤六月

    加藤国務大臣 この点につきましてもたびたび申し上げておるところでございますが、鈴木知事さんといろいろお話をさしていただきました。そこで私は、当面関係省庁の間で徹底的に詰めていただこう、そしてその上で臨機応変にやっていこう、要は島民皆さん方、特に阿古地区避難されておる皆さん方が、一日も早く正常な日常生活に復帰できるように考えようではありませんかということ等を申し上げておるところでございます。
  174. 中島武敏

    中島(武)委員 これはしかし、いま五十戸やっている、三百二十戸また新たにつくる、三百七十戸になる。そうすると、やはりそのうち削られるということは出てこないんでしょうね。これは出てくるということになると、現実問題としては東京都の方で対応が困ると思うのですよ。臨機応変、各省庁詰める、わかります、それは。わかるのですけれども、結果としてそこが削られてしまうということになったら、これは一大事だと思うのですね。もう一度、ちょっとそこのところを答弁願いたいと思うのです。
  175. 加藤六月

    加藤国務大臣 たびたび申し上げておるとおりでございますが、要は島民皆さん方が、一日も早く日常の生活活動ができるように万全の措置を講じなくてはならないと考えておるところでございます。
  176. 中島武敏

    中島(武)委員 これはぜひ削らないように、ひとつ強く御要望申し上げておきます。  これと関連して、もう一つお尋ねしたいんですけれども東京都の方では多人数世帯ですね、この問題については、何か仮設住宅二戸に分散して住んでもらおうというようなことを考えているというんですね。私は、これははなはだ遺憾だと思うのです。この点については、国土庁の方からよほど指導してもらって、家族が一緒に住めるように間取りも広げるとか面積を広げるとかいうような指導を、ぜひひとつやってもらいたいと思うのです。八月一日で基準を変えたのでしょう。こういうことのためにこれは変えたわけですよ、この間の経験に照らして。ところが、どうも東京都の方はそうなっていないという話が私らの方に聞こえてきている。これはひとつ、大いに国土庁の方から指導を願わなければならぬ点だと思うのですが、いかがですか。
  177. 近藤純五郎

    近藤説明員 仮設住宅規模でございますけれども、確かに一般の基準は七坪、二十三・一平米でございまして、これで弾力的に対応していただくということでお願いしてきたわけでございますけれども、ことし起こりました日本海中地震の機会に、多人数世帯につきましては加算すべきではないかというふうな御意見が出ました。これに対応いたしまして、四人世帯につきましては九坪、二十九・七平米、それから五人以上のものにつきましては十坪、三十三平米ということで現在指導しているところでございます。  ただ、東京都に聞きますと、すでに発注したものが全部二十三・一で規格品であるというふうなことで、なかなか応じてくれないわけでございますけれども、私どもとしましては、そんなことじゃ困る、単身者と五人世帯では全然違うじゃないかということで、いまつくっている五十戸は全部画一でございますけれども、今後のものにつきましては、ぜひ濃淡をつけるようにということで指導していきたいというふうに考えております。
  178. 中島武敏

    中島(武)委員 いま指導しておられるという話で、それは結構だと思うのですね。やはりこれは強力に指導せぬといかぬですよ。私の聞いておるところでは、ずいぶんたくさん東京都の方では契約してしまっているというのだね。しかし、契約してしまっているというのだけれども、どうやら話を聞いてみると、それは別につくられているというわけじゃないのだ。契約はした、だから契約変更すればよろしいのです。契約変更をちゃんとさせるというところまでひとつ指導してもらいたいということが一つ。  それから、五十戸つくっていますね。これの方は古い基準のやつでしょう。それで、そこのところも何かえらい注文が出ているというのですね。そういう場合には、つけ足しをちゃんと認める。ユニット方式というのですか、住民要望に応じてやはりそういうユニット方式なんかも採用するというように、ぜひひとつ指導してもらいたいと思うのですけれども、どうですか。
  179. 近藤純五郎

    近藤説明員 五十戸につきましても、まだどなたが入るかというのは決まっておりませんので、入居者名簿というのはまだ何もできておりません。ですから、その段階でどういうふうな形で対応できるか、私どもとして都と相談いたしたいというふうに考えております。
  180. 中島武敏

    中島(武)委員 それはそうだ。そうですけれども、しかしもうそういう声がどんどん上がっているのです。古い基準でつくろうとしているということは島の方にはわかっていますから、そういう声がどんどん出ているのです。これからの話というのではなくてもうわかっているのですから、もしそういうものを持ってくるという場合だったら、ユニット方式を採用してちゃんと住民要望に沿うようにしてもらいたい、これが私の言っていることです。  それから、現在契約しているというのだけれども、それもまだ契約の段階であるならば、つくってしまってないという段階であるならば、これは契約変更だってできるのですから、そういうことをきちっと指導してもらいたい、こういうことでございます。
  181. 近藤純五郎

    近藤説明員 東京都のお話を聞きますと、まだ契約まではいっていないそうです。ただ、在庫がございまして、それが全部二十三・一平米のものの規格品であるということでございます。ですから私どもとしては、当然強く要請をしたい、要請をして大きさについて濃淡をつけるようにお願いをしたいということをお約束いたします。
  182. 中島武敏

    中島(武)委員 ユニット方式はどうですか。
  183. 近藤純五郎

    近藤説明員 ユニット方式につきましては、まだその辺までわかっておりません。ただ、すでに私どもとしては、その辺をお示しした上でおやりになっているわけでございますから、その辺は運用によって考えたいというふうに考えます。
  184. 中島武敏

    中島(武)委員 やはり問題は、島民人たちの実情に適合したやり方をするということが肝心なわけですから、ぜひ今後とも東京都に対する指導も強化していただきたいと思います。  それから、応急仮設住宅に移りましても、いままで御商売をやっていたというような人たちについては、生活基盤が失われてしまって大変なんですね。これは申請によってなんですけれども、厚生省の方にお尋ねしますが、生活保護だとか、こういうものについても万全の措置を講じてもらいたいと思うのですけれども、どうでございますか。
  185. 近藤純五郎

    近藤説明員 今回の災害によりまして、確かに生活の道を断たれた方が出ようかと思いますので、従来の資産とかございますけれども、そういったものも活用してもなおだめだという方々につきましては、個々の問題でございますけれども、十分東京都とも相談いたしまして、手続に遺漏がないようにいたしたいというふうに考えております。
  186. 中島武敏

    中島(武)委員 それから、先ほどこれもずいぶん議論になっているのですが、阿古地区ですね、ここでは溶岩で家が本当に埋もれてしまっているというような事態が生まれてきているわけですね。それで、ちょっと見通しについて聞きたいのですけれども溶岩だとか堆積物だとか、これは取り除くことができるという見通しでございますか。この辺はどうなっていますか。
  187. 田中暁

    田中(暁)政府委員 何分大量の溶岩でございますので、その溶岩除去して跡地集落を再建するということはまず考えられないと思っております。
  188. 中島武敏

    中島(武)委員 まず考えられないということになりますと、これもさっきから議論になっている点でありますが、代替地の確保、あそこの人たち希望としては、よそに行くというのではなくてすぐ近いところでがんばりたいという気持ちなんですよ。これはもう、長官を初め皆さんよく御存じのとおりなんです。それで、防災集団移転事業指定ということになってくるわけですが、これはその申請があればこの事業の適用を行うという考えですね。
  189. 田中暁

    田中(暁)政府委員 御質問防災集団移転事業の適用でございますが、この事業を採択するにはいろいろな要件がございます。その基本的なものは、何と申しましてもその移転促進地域、つまり危ない地域に住んでおられたといいますか、住民方々全員移転していただくということでございます。したがいまして、皆さん全員が一致して移転をしたいという合意が形成されることが基本となるわけでございますが、新しい団地をどこに求めるかというような点につきましては、できるだけ住民の御意向等も伺いながら弾力的に措置を講じてまいりたい、このように考えている次第でございます。
  190. 中島武敏

    中島(武)委員 その際、この事業市町村が主体でやるというようになっておりますが、規模の大きい場合には都道府県が行うことができるというようになっていますね。私はその点は、あれはなかなか大規模なものでありますから、東京都が行うというのが何か適切なように思うのですが、政府の方の考え方としてはどうでございますか。
  191. 仁科英麿

    ○仁科説明員 防災集団移転事業事業主体の問題でございますけれども、一般的には市町村の境界を越えて移転する場合には都道府県、それから同じ市町村の中である場合には市町村事業主体という考え方でございますが、御指摘のように規模の大きなものにつきましては、同一市町村内でございましても都道府県が事業主体になった例もございます。したがいまして、これは実態に応じて適宜進めていく必要があると思いますので、都及び村と十分に協議をしてまいりたいと考えておるわけでございます。
  192. 中島武敏

    中島(武)委員 この場合に、宅地だけじゃなくて、当然農地も含まれると私は理解しておるのですが、それはそういう理解でよろしいですね。
  193. 仁科英麿

    ○仁科説明員 移転促進区域の中には、当然農地も含まれるわけでございます。先ほど来議論になっております跡地の買い上げにつきましても、宅地及び農地が対象になるわけでございます。
  194. 中島武敏

    中島(武)委員 今度の問題で、三宅島の村長の方から特別立法あるいは時限立法という話が出ております。現在の法制度のもとでの活用では対応し切れないというような部分というのは、どういうものがあるのですか。そういうものがきちんとある場合にはやはり特別立法をやらなければならない、村長の言うことに応じなければならないと思うのですけれども、この点についての検討はやられておりますか。
  195. 田中暁

    田中(暁)政府委員 順序といたしまして、まず村の再興をやっていきます場合に、どのような計画に基づいてどういう形で再建したらいいか、その次には、そのための手段としてはどのようなものがあるか、こういうような順番で検討していくんだろうと思います。その場合に、現在あります法律なり制度なりの運用、あるいはそれは相当弾力的な運用ということを要するかもしれませんが、いずれにいたしましても、現行制度の運用によって対応できるものはもちろんそのように対応していく。どうしてもそれによっては対応し切れないものがもしあるといたしますと、その段階で時限立法というようなことも検討しなければならないだろうということを申し上げているわけでございます。  ですから、現段階におきまして、事前にこういった問題は時限立法が要るのではないかということはお答えいたしかねるわけでございまして、村からの意見書も、そういった意味でその時限立法の内容は記載していないのではないかというように、われわれは受けとめておるわけでございます。
  196. 中島武敏

    中島(武)委員 現行制度のもとで無理なものがあった場合には、先ほどから答弁がありましたから、そのときには時限立法ということも考えるということでよろしいですね。  次の問題に入りますが、家屋とか財産、こういうものを失った人々に対する対策の問題なんです。この阿古地区は、本当に壊滅的な打撃を受けているわけですね。家屋を失う、家財を失う、大変なものなんです。いま仮設住宅ということが問題になっていますけれども仮設住宅というだけじゃなくてすぐにまた必要になってくるのは、公営住宅を建てるというようなことも問題になってくるかと思うのです。その点では、公営住宅をつくるという場合には、優先的にちゃんと国庫補助をつけた公営住宅をつくるということは、建設省としては確約できる問題ですね。
  197. 高橋徹

    高橋説明員 お答え申し上げます。  三百余戸の住宅が集団として被害を受けておられるということがございまして、東京都の住宅担当部局からは、いずれ災害により住宅を失った低額所得者のための災害公営住宅建設が必要になる、配慮を願いたいということをすでに言ってきております。私どもも、これは優先してやるべきものという認識を持っておりますが、何せあのとおりの災害状況でございますので、全体の市街地の復旧方針というものが必要でございましょうが、そういうものに即応しつつ東京都や村当局計画のお取りまとめを願っている、こういうことでございます。
  198. 中島武敏

    中島(武)委員 家屋を自力で建てるという場合に、住宅金融公庫の融資の制度災害復興住宅資金融資がありますね。確かにそういうものはあるのですけれども、しかし災害でもう何もかもなくなってしまった、また金を借りて家を建てろと言うのか、こういう声も私は当然のことだと思うのですね。  そういう点で、私は災害問題を扱うたびに、家屋家財損害見舞い金制度というのをいろいろといままでも提案をしてきておったわけなんですけれども、しかし今度のようなああいう大きな災害を見ますと、今度の噴火災害は、やはりこうした制度の必要性を何か裏づけているように私は思うのです。そういう点で、長官、どうですか。やはりこれは新しい制度なんですけれども、完全に打撃を受けてしまっている人たちに対して、それは個人の持ち物だからというようなことを言わないで、家屋家財損害見舞い金制度というのをいまや本当に考えなければならないところへ来ているんじゃないかというように思うのですが、長官の見解をお聞きしたいと思うのです。
  199. 加藤六月

    加藤国務大臣 私は、災害があるたびに、その地区の皆さん方が一体どういう保険にどの程度入っておられるかなということをいつも心配するわけであります。やはり各種保険があるわけでございますが、一つにはそういう各種保険にぜひ今後とも入っておいていただきたいなという気持ちがあります。  それからもう一つは、いまの災害弔慰金、災害見舞い金の問題について、額の問題あるいはまたそれに対するいろいろな御提案が、今日まで各界各方面で行われておることもよく存じております。今後そういった問題につきまして、さらに検討していきたいと考えておるところでございます。
  200. 中島武敏

    中島(武)委員 いまの問題なんですけれども、この委員会としても、議員立法を含めて早急に具体化するということを検討してもらうことが私は必要じゃないかというふうに思うのです。ぜひひとつ委員長の方で、この問題についてお取り計らいをいただきたいというように思うのですが。
  201. 上原康助

    上原委員長 理事会でよく協議をいたしたいと思います。
  202. 中島武敏

    中島(武)委員 次に、農漁業者の経営再建の問題についてなんです。  今回、特に火山灰や噴出物の被害が甚大であったのが、坪田地区中心とした南東海岸であることはご存じのとおりであります。特産物であるキヌサヤエンドウは壊滅的な被害を受け、農民は噴出物に埋まった畑に行くのが、もう畑を見るのも嫌だ、そういう気持ちなんですね、大変な被害状況でありますから。  それから海産物の方を見ますと、年間七億円の水揚げがある漁業のうちで、七分の一から五分の一を占めるテングサの干し場が火山灰でやられている。その灰は当然海中にも深く堆積している。トコブシなどの漁場も大きな被害予想されている。ところが、海中被害調査は全く進んでいないというのです。しかもあと一カ月たちますと、海へ入れなくなってしまう。これは非常に海が荒れるのです。それでとてもじゃないけれども、海へ入れなくなるというわけであります。それで調査もできないというので、漁民の人は非常に焦っているわけであります。  そこで農林省に伺いたいのですが、漁業被害調査、これはいつまでにやるのか、漁民の人たちにしてみると大変痛切な問題でありますので、お答えをいただきたいと思います。
  203. 田中宏尚

    田中(宏)政府委員 水産関係につきましては、東京都からの報告では約二億円の損害というようなことが報告されておりますが、いま先生指摘のように、こういう状況で、海の中の被害ということなものでございますから、現在のところ、まだうちとしても精査ができていないわけでございます。したがいまして、東京都も督励し、こちらからもいろいろ知恵も出しまして、できるだけ早く被害額の把握をぜひやってみたいというふうに思っております。
  204. 中島武敏

    中島(武)委員 ちょっと私の聞き間違いでなければいいのですが、余り被害がないという報告があるのですか。それは私の聞き間違い、調査を急がせるということでございますね。  それで、農民や漁民の人、それから民宿の経営者がつなぎ資金、これは融資という形でなくて、見舞い金とかなんとか急いでもらいたい、こういうことをいろいろ言っているのです。それは私も当然だと思うのですね。特に農民の方のキヌサヤエンドウの問題、これはさっき言ったように甚大な被害を受けているのですけれども、作付をやるのは十月いっぱいだというのです。十月いっぱいに作付をやらないとだめだというのです。ところが、火山灰が積もってしまってちょっと手がつかないというような実態になっているのです。これはもう御存じのとおりだと思うのです。それでめどは立たないし、向こう一年農作物の収入は見込むことはできないし、どうしたらいいかといって頭を抱えているというのです。これを何とかしなければいかぬと思うのです。  それで、お尋ねしたいのは天災融資法の発動、この問題も含めて、見通しについて明らかにしていただきたいと思うのです。
  205. 田中宏尚

    田中(宏)政府委員 被災農家の営農資金等の手当てにつきましては、農林漁業金融制度の場合いろいろな手だてがあるわけでございまして、その中の一つとして天災融資法があるわけでございますけれども、これは非常に規模も大きく、しかも深度の深い災害についていままでやってきておりまして、最近で言いますと、日本海中地震というものについて発動したわけでございます。  今回の場合、地域的には非常に大変な被害でございますけれども、全体的な規模からいいますと、なかなか天災融資法というわけには、正直言いまして乗ってこないのじゃないかという感じがしているわけでございます。そういう中で、いろいろあります資金制度というものを十二分に活用することと、それから東京都におきましても、いろいろ都独自の融資制度というものを持っておりまして、いろんな対応につきまして農林水産省とも相談を進めておりますので、東京都等とも十分協議をして、営農資金の手当てについて万遺漏なきを期したいと思っております。
  206. 中島武敏

    中島(武)委員 その天災融資法の発動の見通しは暗いわけですね。しかし、被害は甚大でなかなか手がつかない。キヌサヤエンドウは十月いっぱいの作付でなければならない、大変なことなんですね。局地的かもしれないけれども、非常に被害は大きい、見通しも立たない。そこで、確かにいろいろな制度があります。それの適用ということなんですけれども、その際に天災融資法が適用された場合と、天災融資法そのものが適用できないとするならば、ちょうどそれに見合う同じような措置をやることは、方法によっては可能ではないかと思うのですよ。そういう点についてどう考えていらっしゃるのか、そこを聞きたい。
  207. 田中宏尚

    田中(宏)政府委員 東京都におきましてこういう災害に機動的に対応するということで、ほぼ天災融資法に見合った都独自の制度を持っておるようでございますので、これの活用方も働きかけておりますし、東京都の方からも、先ほどお話ししましたように、そういうもので機動的に対応したいという動きでございますので、十分協議を進めてまいりたいと思います。
  208. 中島武敏

    中島(武)委員 最後に、離島火山における予知防災対策の問題についてお尋ねしたいと思うのです。  今回の三宅島噴火は、他の火山活動、とりわけ伊豆諸島の住民に非常に大きな不安を与えております。去る五日の本委員会気象庁は、火山は単独に活動するので他への影響はないと断言しておられますが、なぜ安心なのか、島民を納得させる根拠を示すことが必要だと思うのです。そのために必要なことは、火山観測予知体制の問題、それから防災体制の問題、これを非常にはっきりさせるということであると思うのです。  最初に、火山観測噴火予知体制の問題についてお尋ねをしたいと思うのです。  現在、火山観測に携わる専任者は全国でわずか五十人程度だそうですね。これでは、全国に六十七ある活火山を網羅することはできない。五十の火山が常時観測から外されている。火山機動観測班、これは火山専任者が一名入っているんだそうですが、この火山機動観測班が年に一、二カ所観測しているにすぎないという話であります。五十の火山を回るのには、これでは二十年以上かかってしまうということになりますので噴火に間に合わない、こうなります。  伊豆諸島では大島が精密観測、これは専任者が二人、三宅島が普通観測、専任者一人いるわけですが、普通観測を行っているだけで、東京防災会議が本年六月行った報告書で精密な火山観測網の充実が必要というふうに言っております八丈島に至っては、常時観測対象とさえされていないわけであります。  今回の三宅島噴火についても、その一時間半前ぐらいから前兆現象と思われる地面の微動が観測されていたが、工事などのノイズとの解析作業に手間取って噴火に間に合わなかった、あるいは去る八月に行った集中観測火山ガス解析が人手不足のため噴火後にずれ込む、これでは一体何を観測しているのかという声になっておるわけであります。しかも、火山観測噴火予知に関する予算は、今年度五億六千二百万円、前年比四千七百万円の減額となっております。  気象庁が、口では他に影響はないと幾ら断言しても、これでは島民を納得させることはできません。具体的に体制を強める努力を示してこそ、納得させられるのではないかというように考えます。それで、来年度予算で火山専任者の増員、それから深井戸による地動観測など、具体的な強化を約束していただきたいというように思います。これが一つです。  それから、時間がありませんからちょっと続けてお尋ねします。  防災体制の問題なんですが、とりわけ離島においては、火山噴火に対して避難場所は海上しかないわけですから、防災対策のいかんが観光を含めた地域振興を決定的に左右するわけであります。今回の三宅島噴火でも、阿古地区に流れ下った溶岩が、福祉センターや中学校などの堅固な建物によって流れを阻止されるという傾向が見られた。人家や生活道路溶岩流から守るためには、溶岩を他へ誘導するような防災対策をあらかじめ講じておくことが必要であると考えるが、どうですか。  それから次は、火山弾などの噴出物から人命を守る上では、退避ごうなどの整備が必要であります。このような防災対策を集中的に行うため、活動火山対策特別措置法に基づく避難施設緊急整備地域として指定をして、国の強力な援助で対策を講じることが必要であると考えます。指定検討していただきたいということであります。しかも、さらにこれを三宅島だけでなくて、他の火山についても指定を拡大することが必要であると考えますが、いかがでございますか。時間がないからたくさん並べましたけれども、どうですか。
  209. 山川宜男

    山川説明員 三宅島を含めまして全国の火山監視体制の問題でございますけれども、ただいま先生火山の監視要員は五十名弱というふうに御指摘でございましたけれども、専任は五十名弱でございますけれども、他に複合で百二十名ほどの者が火山監視を担当いたしております。三宅島は専任職員は一人でございますけれども、所長以下九名の者が複合で現在も協力し合って火山監視をやっているわけでございます。  それから、機動観測班は年間一、二火山という御指摘でございましたけれども、機動観測班は一応札幌管区気象台、仙台管区気象台、それから気象庁本庁に数班ございます。それから福岡管区気象台にもございまして、年間一、二火山ずつそれぞれの機動班が担当して、基礎調査もやっておるわけでございます。  それから、今後の強化についてでございますけれども、先ほどの国土庁長官の御答弁にもございますように、私ども国土庁から御指示、御連絡を受けておりますので、これから精いっぱい努力していきたいと思っております。
  210. 中島武敏

    中島(武)委員 長官にこの問題についてぜひお願いしたいのですが、いまの答弁でも、専任者は五十名ということには違いないようであります。やはりこういうことをきちっとやっていくということが非常に大事なんですね。長官、そういう点ではこれは所管外かもしれませんけれども、ここはやはり、よし来年度では大いに専任者もふやす、予算もつける、そして万全の観測予知体制をつくり上げる、こういうふうにぜひひとつやってもらいたいということであります。これが一つ。  それからさっき言ったように、活動火山対策特別措置法、これに基づく緊急避難施設整備地域としての指定、これもぜひやってもらいたいと思うのです。  この二つの点について長官の答弁を聞いて、私の質問を終わりにしたいと思うのです。
  211. 加藤六月

    加藤国務大臣 先ほど来、これまたたびたびお答え申し上げておるところでございますが、総理大臣の指示によりまして、私、関係省庁火山の監督体制、火山活動の情報伝達体制等についての総点検を行いたいということを申し上げておるわけでございます。そして近々、気象庁等の関係省庁にそれぞれ案をお持ち寄りいただきまして、いま申されましたようなこと等について鋭意検討していきたいと考えておるところでございます。  それから、地域指定の件に関しましては、東京都等の御意向等も十分承り、検討いたしていきたいと考えておるところでございます。
  212. 中島武敏

    中島(武)委員 終わります。
  213. 上原康助

    上原委員長 次に、田島衞君。
  214. 田島衞

    田島委員 大変長い時間にわたる委員会審議ですから、さぞかし皆様お疲れだろうと思いますので、極力時間を少なくして質問を終わりたいと思いますから、よろしくがんばってください。  大体災害というものがあれば、その復旧についてはどういう段取りになってどんな見通しになっておるか、それから、その救済はどのような手が打たれて、万全であろうかどうだろうかということと、今後そのような災害がある場合にはどのような対策が考えられるだろうか、この三つに分けられるだろうと思うのです。前段の二つについては、いままで各委員からの質疑とそれに対する答弁で私も勉強させてもらいました。ただ、必ずしも満足ではないということだけ申し上げておきます。  そこで、三つ目の今後の対策に関連してですけれども三宅島の火山噴火というのは、もちろん時期等についてはなかなか予知はできないと思いますけれども、その噴火の性格、状況といいますか、大体噴火すればどの辺だ、どういう線だ、また、その噴火状況はどういう状況なんだ。たとえば溶岩の流れる方向とか、あるいは降灰状況だとか、そういうことについてある程度予測できるのかできないのか、まずこの点ひとつ。
  215. 山川宜男

    山川説明員 御説明申し上げます。  ただいま先生の御指摘噴火の様態と申しますか、噴火する場所だとか溶岩降灰等の性質についての御質問、御指摘でございますけれども、残念ながら三宅島の場合、どちらの方向から噴火するという予測は大変むずかしゅうございます。と申しますのは、たとえば昭和十五年と三十七年は、北東に沿いますほとんど同じ割れ目から噴火したわけでございますけれども、今回は南南西側の割れ目に沿って噴火したわけでございます。  それで、たとえば非常にむずかしいことの一つの理由でございますけれども昭和十五年、昭和三十七年は北東側で割れ目噴火を起こしたわけでございますけれども、そのときに地震が起こっておりましたのは北西部分でございまして、そういう意味で非常に複雑怪奇で、私ども現在の火山学の水準では、世界及び日本火山学の技術の粋を尽くしまして、これからも監視に当たっていきたいと思っておりますけれども、現時点では大変むずかしゅうございます。ただ、降灰につきましては、そのときの上空の風向きがわかっておりますので、どちらの方面へ降灰が降るということについては、ある程度予測もできますし、御注意も申し上げることが可能でございます。  それから、噴火の様態でございますけれども日本の他の通常の火山が安山岩火山でございまして、かなり以前から火山性地震のような前兆をあらわし、それから噴火いたしますときはドカンと大きく爆発するような形で噴火するわけでございまして、大島、三宅島につきましては、ある程度爆発的なことも起こしますけれども、主体はどろどろと流れる溶岩流出ということが主体で起こる噴火でございまして、これは玄武岩質火山の特質でございます。
  216. 田島衞

    田島委員 いまのお話のように、なかなか位置だとかその性格、方向をつかみにくいということになりますと問題がなかなかむずかしい。ただ、今回の場合、幸いにして山の上の方の牧場を経営しておったところの職員の人が噴煙を発見して逆に下の方へ通報した、こういうことが相当早かったようでもありますし、それから溶岩の流れ方が、傾斜のぐあいもあるでしょうけれどもわりに緩やかで速度が鈍かった、こういうことなどもあって、まことに幸いに人的被害というものがなかった。これは本当に幸せなことだったと思うのですけれども、そういう溶岩流出の量だとか流れ出る速度、こういうものについてはある程度予測できますか。それともこれも余り予測できないのかどうか。
  217. 山川宜男

    山川説明員 溶岩の流れ出る量につきましては、前回昭和三十七年のときの溶岩流出量は約九百万立方メートルでございました。今回は溶岩の流れ出た量は七百万立方メートル、それに降灰等を含めまして千二百万立方メートルであったわけでございます。そういう意味で、過去の例が今後も通用するとしますと、一回の噴出では約千万立方メートル程度の溶岩が流れ出るということになるわけでございますけれども、今後確実に過去の例どおり起こってくれるかどうかは、いまのところではまだ予測は不可能かと存じております。     〔委員長退席、池端委員長代理着席〕
  218. 田島衞

    田島委員 そこで、まことに行儀の悪い、どこから噴き出すかわからぬ、どっちへ流れるかわからぬというこの三宅島の噴火の特性から考えて、今後の対策として、何しろ島のことですから、今度のように早く発見された、しかも溶岩の量もそんなに多くない、流れ方も遅かったというようなことがあればいいのですけれども、もしそれがそうでなかったりするような場合、それから現地の人の話だと、事前にあった地震というのは震度一くらいだった、本当に気をつけなければわからぬ程度だった、そういう状況からすると、この島に住む人たちの今後の安全というものについては大変心配な面があるわけですが、最悪の場合を考えた場合に、島の住民を危険から守るためにはどんなようなことを現在考えられておるか、そのことについてちょっと伺いたい。
  219. 浦上和彦

    浦上説明員 御説明いたします。  いま東京都と十分連絡をとりながら復興計画についても検討しておりますけれども、いまの時点では、現地復興するかどうか、あるいは別の地区で復興するかどうかにつきましても、現地住民意向を聞きながら検討中であるとのことでございまして、まだ復興計画の前提条件が定まってないというような状況でございます。  それで、先生の御指摘のような特別な事情のある条件の悪い土地でございますので、たとえば住宅とか公共建築物を不燃堅牢化いたしましてそれを適正な配置にいたしますとか、あるいは生命財産の確保が大切でございますので、避難地などの整備を行いますとかいうふうな都市計画上の対策だけで、本当に安全であるのかどうかというふうなことにつきましても見きわめまして、復興計画を確定することが必要ではないかというふうに思っております。非常にむずかしい問題でございますので、火山噴火災害の専門家の方々にもう少し詳しく御意見もお聞きいたしまして、また都市防災関係の専門家の御意見もお聞きいたしまして、このような災害に強い町づくりということについての対策につきまして、研究をしていきたいというふうに思っております。
  220. 田島衞

    田島委員 三宅溶岩性質、量からして、先ほど来も議論が出ておりますけれども、たとえば相当強固な、パラペットというのか防壁をつくったらそれである程度守れるのか、とめられるのか、そんなものは全然問題になりませんということになるか、その点はどうですか。
  221. 浦上和彦

    浦上説明員 確定的なことは申し上げられないのが残念ですけれども、一つのアイデアとして、そういうふうなことはあるのではないかというふうに思っております。
  222. 田島衞

    田島委員 どこから噴き出すかわからぬということになると、万一それが有効だとしてもむずかしいことだとは思いますけれども、たとえば今度の場合も含めてですが、過去の噴火によって溶岩が流れ出したところを除いた地区に大変強固な擁壁をつくるということなら、ある程度、もしそれが有効ならの話だけれども、考えられるかなと思うので、その点はぜひひとつお考えをいただきたい。  それからもう一つ、確かに大変な量の溶岩ですから、これを全部取り除くなどということは不可能ですけれども、ぜひとももとのところへ住みたい、だけれどもそこには溶岩があるという場所についての対策として、技術的に溶岩性質からして傾斜地の階段状のような宅地造成といいますか、そういうことが不可能か可能か、それはどうですか。
  223. 浦上和彦

    浦上説明員 すでに溶岩で埋まっておるところがございますが、東京都から聞きますと、その溶岩が非常にもろい性格もあるというふうなことでございますので、その場所につきまして階段状にできるかどうか、ちょっと何とも言えないような状況でございます。
  224. 田島衞

    田島委員 大変かたさの強いものだとそれは無理でしょうけれども、そうじゃないみたいですから、ある程度崩してブルをかける、あるいはそこへ一緒に凝結剤をやって固めてしまう、言うならば現地の材料を使った舗装ですか、そんなような形で宅地造成をやったら、特に漁業を目的にしている人だったら現地へまた戻れるのじゃないかな、こういうことも考えるのですけれども、ぜひひとつ御検討をいただきたいと思います。  冒頭申し上げたとおり、皆さんお疲れでしょうから、これでやめます。
  225. 池端清一

    池端委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十六分散会