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堀内委員 建設省において、非常に前向きにこの問題に取り組んでいただいていますことに対しましては敬意を表するわけでございますが、いまのお話は中間的な
報告ということでありますが、中間的
報告は最終的
報告に近づいていくこともあると思いますので、そういう点からいまの中間的
報告をもとにして、ちょっと私の疑問とするような問題について
質疑を行いたいと思うわけであります。
ただいまの
対応策、中間的なものでありますが、それを伺っておりますと、
水位を二メートルぐらい下げておいたらどうだろうかというのが一つ。それともう一つは、二十トンぐらいの放水を行っていったらどうだろうかというようなことが一つの柱になっているようであります。大体、
水位を二メートル下げて二十トンぐらいということになりますと、
建設省の数字は、大体七十センチぐらい
平水位より上がったところにピークがいくのではないかということになっているやに聞いております。
そういうことを考えますと、いまの答弁の内容をわかりやすく考えますと、ことしは
平水位よりも約一メートル下げていた、一メートル六センチまで下げていて、
台風を迎えてピーク時に二メートル八十三センチにまで
水位が上がってしまったということでありますから、締めて約三メートル九十センチ、八十九センチというものが増水をしたことになるわけであります。そして、いまの
対策の御答弁を考えますと、一メートル下げておきまして二十トンの放水を行いますと、大体六十六センチぐらい
平水位よりも上でおさまってくるということは、三メートル八十九から二メートル六十六を引きますと一メートル二十三センチ、放水量をふやすことによって一メートル二十三センチぐらいのものが減少して、そして基準
水位を一メートル下げることによって予防策を行う。そして、さらに六十六センチぐらいのものは増水してもやむを得ないのじゃないか、このぐらいはがまんしなさいというような、三つの部分からことしの増水に対する
対応というものが出てきておるように考えるわけであります。
このうちの二番目の
平水位を一メートルことしよりも下げる、ことしが一メートル下げていたわけでありますから約二メートル下げる、あらかじめ二メートル下げておくという
対策につきましては、これはなかなか大変な問題だというふうに思うわけであります。
河口湖の基準
水位というのは八百三十三・五メートルでありまして、これは明治時代、それ以前からも大体そういうところが常識になっておりましたが、明治時代に定められて、それ以来八十年近く
地元になじんできた
水位であるわけであります。
河口湖というのは、今回の水害でおわかりのように完全な閉鎖水域であったわけであります。昔から異常
豪雨のようなものが参りますたびに、湖岸の
住民は水害に悩まされてきた。古文書にもいろいろ水害のものが出ておりますが、明治四十年には大水害というのに見舞われました。大変大きな
被害を受けたわけでありますが、そのときに、こういうような異常増水から
住民を守るために治水組合というものをつくって、この根本的な
対策をしようではないかということになりました。県、
地元、国が協力をし合いまして、放水のための隧道が開削されたわけであります。これは明治四十年から大正三年にかけて開削をされた隧道で、先ほどのお話にもありました県庁隧道というものであります。そのときに、古くから常識的に考えられていた八百三十三・五メートルという基準
水位を、明確に基準
水位として設定をいたしました。
この県庁隧道というのは、この基準
水位を上回る水を吸収する、のみ込むというようなことで設計をされているわけであります。つまり、古い非常に長い間の歴史の中で、八百三十三・五メートルという
水位が最も好ましい
水位であるということになって結論が出てきているものでありまして、明治四十一年に基準
水位を定めて、これから以来はずっとこの地域の産業にも
生活にも社会環境にも、すべてこの八百三十三・五メートルというものが溶け込み、定着をしているわけであります。
先ほどの改善策によりますと、この基準
水位を、ことしは一メートル下げたが、さらに一メートル下げて、二メートルにしておいたらどうだろうかという考え方であります。これを仮に二メートル下げまして、
台風が来なかったということになりますと、これは基準
水位二メートル下げたまま、ずっと今度つながっていってしまうということになるわけであります。そうなりますと、たとえばこの地域の農業の水はこの湖の水に頼っているわけでありますが、この揚水ポンプというものは一切使えなくなってしまう。湖底の
溶岩は表に露出してしまいまして、湖が見るも無残な姿になる。漁業の方でも、ワカサギその他の問題が出てくる。遊覧船は航路を変更しなければならぬということになる。名物の逆さ富士も、見る角度がみんな変わってしまうということにもなりかねないわけでありまして、この地域一番の観光産業というものが大変なダメージを受けることになるわけであります。このように考えますと、基準
水位というものは、一般的にちょっと外で考えられておりますような問題ではなくて、この地域の人々にとっては大変な問題だということをよく御理解をいただかなければならないと思うわけであります。
ことし、あらかじめ一メートル下げていたではないかということでありますが、これは昨年の水害というものを見まして、その抜本的
対策というものがまだ行われていない、その
対応策ができていないという現状においては、ことしもまた昨年のような水害に遭ったら大変だということで、やむにやまれぬ気持ちで一メートル下げたというのが
実情であります。したがいまして、ただ単に基準
水位を二メートル下げることによって、今度の水害予防の
対策というようなものの柱にするということでは、これはまことにもって
地元にとっては大変な問題であるということをよく御理解をいただいていなければ困ると思うわけであります。
時間がありませんので、この問題についての御答弁は最後に一緒にまとめて伺うことにいたしたいと思いますが、この基準
水位というものを下げてのアジャスト、これはぜひこの
対策の柱にはしないでもらいたいという切実な
地元の声をひとつ理解していただきたいと思うわけであります。
そうなりますと、基準
水位をことし下げた実績の一メートル程度でおさめる、あるいはその前後にしておくということになりますと、この基準
水位による調整というものを小さく持ってまいりますれば、今度は最高の、ピークの
水位を下げるためには、これを先ほどの
建設省の考えである七十センチ程度にとめようということにするためには、当然放水量をいまのお考えの二十トンからもっと上の三十トンぐらいまで上げていかなければ、成り立たなくなってくるわけであります。
そこで、山梨県の試算による放水量と
水位との
関係を示す表によりますと、初期
水位を仮にマイナス一・五メートルに置いた場合、放水量を三十トン毎秒というところまで持ち上げてセットをしますと、ピーク時の
水位は先ほどの
建設省のお考えの七十センチ程度というものに一致するという数字が出ているわけでございます。そういう
意味で、いまのこのマイナス一・五メートルがいいのか悪いのかは別といたしまして、少なくとも三十トンあたりというものが
恒久対策として浮かび上がってくる妥当な線ではないかというふうに考えるわけであります。
くどいようですが、初期
水位による調整というものは、地域
住民の
生活環境に与える影響が非常に大きい。したがいまして、放水量の方にウエートを置いて、先ほどの二十トンにこだわらずに三十トンぐらいの放水を前提とした検討、
調査というものを進めてもらいたいと思いますが、いかがでありますか。ひとつ局長から
お願いいたします。