○小杉
委員 私は、新自由クラブを代表し、議題となっております
行政改革関係法案について、一部修正の上、賛成する
立場から、討論を行います。
国家行政組織法の一部を
改正する
法律案並びにその
施行に伴う
関係法律の
整理法律案は、行政の弾力化、機動性の確保の
観点から、一応評価に値するものと考えます。行政が時代の変化に即応し常に自己の改革を図ることは、
行政改革の基本であり、私
どもが最も期待するところでもあります。
本
改正案は、省庁の内部部局の組織編成につき、従来立法府が持っていた権限を行政府に移し、自己改革を可能にしたものであります。立法府の審議権を縮小してまでこの法案に賛成するゆえんは、今回の変化への対応という趣旨が十分に生かされることを期待してのことです。したがって、問題は政府の改革に対する今後の姿勢であります。
この
法律の成立により、
体制は一応整うことにはなりますが、今後実行が伴うことが絶対の
条件であります。国民の期待するところは、単なる機構の名称変更や組みかえにあるのではなく、組織の再編成による効率化であり、その効率化による行政の減量であります。権限を委譲された行政が、この国民の意思を尊重し、本
法律の趣旨に基づき、効率化、減量化を図り、真の行革の推進を求めるものであります。
ただし、もし五年を経過した後にも実効が見られない場合には、見直し規定に基づき、われわれは直ちに国会審議にゆだねる
方法への復帰を考えざるを得ないことを表明しておきます。
また、本省の官房、局の上限規定を五年後に縮減の方向で見直すべきであります。さらに、官房、局だけでよしとするのではなく、これらに準ずるブロック機関などの主要機関についても縮小削減が必要であります。この点について、政府は今後最大限の努力をすべきであることをあわせて強調する次第です。
総務庁関係二法案につきましても、この
事情は同様であります。省庁の枠組みを越える再編成が行われることから、今国会の焦点とされている
法律案ではありますが、
法律案だけをとって見れば、単なる機構いじりにすぎないとも言える内容であります。
臨調の答申に見られる基本的な考え方は、時代の変化に即応できる行政機構の整備であり、のニーズがすでに小さくなっている部分の思い切った削減がなされなければ、国民の理解はとうてい得られないでありましよう。
今回の行革法案は本格的な
行政改革の第一歩であると政府は再三強調されておりますが、それであればなおさら、この第一歩が国民に確実に行革に向かって前進していると感じとれる内容のものでなければならないのであります。
つまり、一足す一がやはり二である、しかも大臣の一人も減らせないという内容では、行革推進への政府の決意が疑われることになり、今後に禍根を残すことになりかねないことを心配するものです。
総合調整機能、総合管理機能といった言葉だけがひとり歩きをしているとの感すらあり、この
法律案によって生まれる総務庁、新総理府のあり方によっては、
行政改革に反することにもなりかねません。今後の政府の取り組みを厳しい目で見守っていくことを申し上げておきます。
また、公安調査庁、行政管理庁、大蔵省の出先機関の看板のつけかえが行われることになりますが、名称変更だけの
総理府設置法の一部
改正案では、はなはだ不満であり、名称変更が今後の機能縮小に寄与するという保証はありません。本来手をつけるべきは、官僚の抵抗が強く、今回全く俎上に上らなかった建設、運輸、郵政などの各省出先機関の
簡素合理化であります。しかし、それでも本
法律案に賛成するのは、政府が法案の趣旨を忠実に生かし、また、今後の減量化に努力することを期待してのことであることを申し上げておきます。
行政事務の
簡素合理化法案は、最低限必要な内容とされる臨調答申に比べても不十分なものであります。もちろん、現在の行政機構を肥大化させている原因の
一つである許認可の件数を減じることは、たとえそれが一件の
整理であっても前進には違いありません。しかし、これも許認可事務一万件と言われる中で、業界・団体の了解が得られたものだけに手をつけたため、たった三十九件について
整理するにすぎず、機関委任事務についても三百九十八
法律中わずかに一割を
整理するだけという実態を、政府は恥とすべきでありましょう。
わが党は、来るべき二十一世紀に向けて、真に簡素で効率的な政府をつくるため、根本的な
行政改革の実現を全力で推進する努力を続けてまいりました。行革を実現するには国民に犠牲を求めなければならないことはやむを得ない事実であります。それならば、まず隗より始めよという精神が必要であります。行政府に血を流せと求めるのであれば、まず国会みずからが改革の第一歩を踏み出さなければなりません。
官民一体となって急激に押し寄せる高齢化社会、国際化社会の到来に対応する
行政改革を推進しようというこのとき、われわれが先頭に立つ必要を改めて強調して、私の賛成の討論を終わります。(拍手)