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1983-10-07 第100回国会 衆議院 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年十月七日(金曜日)     午前十時三分開議  出席委員    委員長 中野 四郎君    理事 小沢 一郎君 理事 奥野 誠亮君    理事 片岡 清一君 理事 小泉純一郎君    理事 佐藤 観樹君 理事 山花 貞夫君    理事 伏木 和雄君 理事 中井  洽君       足立 篤郎君    大西 正男君       大村 襄治君    住  栄作君       田名部匡省君    渡海元三郎君       浜田卓二郎君    粟山  明君       小野 信一君    栂野 泰二君       堀  昌雄君    坂井 弘一君       岡田 正勝君    安藤  巖君       伊藤 公介君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     山本 幸雄君  出席政府委員         警察庁刑事局審         議官      高田 朗雄君         自治省行政局選         挙部長     岩田  脩君  委員外出席者         議     員 片岡 清一君         議     員 住  栄作君         議     員 天野 公義君         衆議院法制局第         一部長     相川 清治君         法務省刑事局刑         事課長     飛田 清弘君         郵政省電波監理         局放送部企画課         長       岡  利定君         自治省行政局選         挙部選挙課長  小笠原臣也君         自治省行政局選         挙部管理課長  平林 忠正君         参  考  人         (全国市区選挙         管理委員会連合         会会長)    亀井 重光君         参  考  人         (都道府県選挙         管理委員会連合         会会長)    鈴木  匡君         参  考  人         (日本青年団協         議会会長)  小野寺喜一郎君         特別委員会第二         調査室長    秋山陽一郎君     ───────────── 委員の異動 十月七日  辞任         補欠選任   河野 洋平君     伊藤 公介君     ───────────── 十月七日  公職選挙法改悪反対に関する請願(岩佐恵美紹介)(第三八四号)  同(金子満広紹介)(第三八五号)  同(小林政子紹介)(第三八六号)  同(榊利夫紹介)(第三八七号)  同(中路雅弘紹介)(第三八八号)  同(中島武敏紹介)(第三八九号)  同(林百郎君紹介)(第三九〇号)  同(不破哲三紹介)(第三九一号)  同(松本善明紹介)(第三九二号)  同(渡辺貢紹介)(第三九三号) は本委員会に付託された。     ───────────── 十月六日  選挙常時啓発費に対する補助金交付の存続に関する陳情書(第一七三号)  参議院選挙選出議員定数是正推進に関する陳情書(第一七四号) は本委員会に参考送付された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  公職選挙法の一部を改正する法律案天野公義君外七名提出衆法第一号)      ────◇─────
  2. 中野四郎

    中野委員長 これより会議を開きます。  日本社会党所属委員出席がございません。事務局をして出席を要請いたしますので、しばらくお待ちください。——ただいま事務局をして日本社会党所属委員出席を要請いたしましたが、いまだ出席がありません。やむを得ず、議事を進めます。  天野公義君外七名提出公職選挙法の一部を改正する法律案議題とし、審査を行います。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  すなわち、ただいま議題となっております天野公義君外七名提出公職選挙法の一部を改正する法律案審査のため、本日、参考人として日本青年団協議会会長小野寺喜一郎君、全国市区選挙管理委員会連合会会長亀井重光君及び都道府県選挙管理委員会連合会会長鈴木匡君、以上の方々の御出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中野四郎

    中野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────
  4. 中野四郎

    中野委員長 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。  参考人の皆様には、それぞれのお立場から、どうか忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願い申し上げます。  なお、小野寺参考人は、列車遅延のため、出席がおくれるとのことでございますので、出席次第御意見を聴取することといたします。  議事順序でありますが、亀井参考人鈴木参考人小野寺参考人順序で行い、御意見開陳はお一人十分程度に取りまとめてお述べいただき、次に委員質疑に対しお答えをいただきたいと存じます。  なお、念のため申し上げますが、発言の際は委員長の許可を得ることになっております。また、参考人委員に対し質疑をすることはできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきを願います。  それでは、全国市区選挙管理委員会連合会会長亀井参考人お願いいたします。
  5. 亀井重光

    亀井参考人 私は、全国市区選挙管理委員会連合会会長であり、世田谷選挙管理委員会委員長を務めておりますが、今回の改正案に関しましては、当連合会といたしまして意見のまとまったものもありますが、その多くは連合会として意思決定を経ていないものであります。また、きわめて急なお話でありましたので、主要な役員の意見をお聞きする暇もないままここに参ったのでございます。多分に私のこれまで得てまいりました各市区選挙管理委員会の感触や私の体験に基づいて意見を申し上げることとなりますので、あらかじめ御了承のほどをお願い申し上げておきます。  まず、選挙運動期間短縮についてでありますが、短縮いたしましても、選挙管理執行上特別の支障は生じないものと思っております。  短縮いたしました場合、最も問題となると思われますのは任意制選挙公報発行する場合ですが、申請期限告示から二日目、条例にて配布期限投票日の前日とするならば、印刷、配布に五日間ありまして、新聞折り込みなどを活用いたしますれば、一応ぎりぎりではありますが、可能であると思われるのであります。地域によりましては若干工夫が必要になる場合もあるかもしれませんが、大半は大きな支障はないものと考えております。  立候補届け出期間を一日間とするということでございますが、これらは別に支障はないものと思っております。  立会演説会は、全国市区長選挙におきましては相当数が行われておりますが、私はその実態のすべてを掌握しておりません。候補者選びの場として基本的にはよいといたしましても、現実聴衆が集まらず、非常に低調であり、特定候補者演説が終わると退場し、他の候補者のときには聴衆が入れかわっておるというような状態であり、人集めPRに苦労するものであり、このような状態では余り効果は上がらないのではないかと言われております。  連呼行為等につきましては、現代社会における生活リズムを乱し、騒音として受け取られるようになりました。毎回選挙の行われる都度、選挙管理委員会に対し、住民からの苦情が非常に多くなっております。したがいまして当連合会といたしましても、連呼行為等の時間を短縮するよう要望いたしておる次第であります。  以上でございます。(拍手
  6. 中野四郎

    中野委員長 どうもありがとうございました。  次に、都道府県選挙管理委員会連合会会長鈴木参考人お願いいたします。
  7. 鈴木匡

    鈴木参考人 ただいま御紹介をいただきました鈴木匡でございます。  公職選挙法一部改正案を御審議されるに当たりまして意見陳述機会を与えていただきましたことは、まことに光栄に存ずるところでございます。  しかし、何分にも急な話でございましたので、各都道府県意見を取りまとめる余裕がございませんでした。そこで、私が委員長をいたしております愛知県の実態を中心にいたしまして、私の経験に基づいたものを申し上げさせていただきたいと存じます。  今回の改正案は、大きく分けて七項目あろうかと存じます。つきましては順次それについて意見開陳させていただきたいと思いますが、まず選挙運動期間についてでございます。  改正案は現在より二日ないし五日その期間短縮しようとするもののようでございます。県の選挙管理委員会が管理いたします国政選挙及び知事並びに県議会議員選挙につきましては、これを直接管理執行してまいりました経験から見まして、国政選挙については問題はないと思われますし、また知事選挙県議会議員選挙につきましても、今回の程度の若干の期間短縮は、管理執行上問題となるようなものはないと思います。  地方選挙のうち市の選挙、町村の選挙につきましては、県が直接管理執行するものではございませんので断定的なことを申し上げることは差し控えさせていただきたいと存じますが、個人的な所感といたしましては、確かに管理執行上日程が若干窮屈になることは事実でございますが、先ほど全国市区連会長さんのお述べにもございましたように、工夫次第でこれに対処できるのではないかと存ずるところでございます。  次に、立候補届け出期間についてでございます。  現在、立候補届け出期間は、公示または告示の日から二日間となっているのを、公示または告示の日一日間とする改正案でございますが、従来におきましても、立候補される方はほとんど大部分の方が公示または告示の日に届け出をされるのが実情でございまして、二日目に届け出される方はきわめて少ないのであります。一方、届け出期間が二日間となっておりますために、選挙管理委員会は二日目もその態勢を維持しなければならないので、貴重な時間をむなしく過ごすという実感が強く、したがって、立候補届け出期間を一日に改正するという案には賛成でございます。  また、選挙公報掲載申請期間についても、現在公示または告示のあった日から四日間とあるのを二日間にするという改正案でございますが、この期間短縮は立候補者に対し無理な要求ではないと思いますし、反面、選挙管理委員会にとりましてはそのメリットは大きく、この改正案に賛成する次第でございます。  次に、立会演説会の廃止についてでございます。  立会演説会市町村選挙管理委員会が実施していますが、県の選挙管理委員会としましては、現実に会場に立ち会ったり、また市町村選挙管理委員会からいろいろ話を伺う機会も多いのでございますが、この経験からいたしますれば、聴衆は少ないときには二十数名となったり、ある候補者演説が終わると大ぜいの方が退場されたりなど、ほとんど形骸化しているようにも思われますし、制度自体の縮小をかねてから要求してまいりました経緯からいたしまして、私ども趣旨に沿うものと存ずるところでございます。  また、今回の改正案では、政見放送経歴放送回数増加も行われるように伺っております。  次に、街頭演説等の時間制限についてでございます。  街頭演説連呼行為などにつきましては、朝早くかち夜間に至るまで行われ、騒がしいから何とかならないかという苦情をよく耳にいたしてまいりました。付近の静穏を保持するという観点からいたしまして、かねてから要望してまいったところでございまして、この線に沿うものと存ずるのでございます。  なお、せっかくの機会でございますので、この際一、二の点についてお願いを申し上げたいと存じます。  第一は、経費の面についてでございます。今回の改正によりますと、期間短縮されたり制度が廃止されたりいたしますので、当然国からの交付金内容につきましても減額の要素となるのは理解できますが、一方短期間に密度の高いスケジュールで事務処理をしなければならなくなりますので、そのための経費の増額については御配慮をお願いしたいと存じます。また、選挙管理委員会事務合理化についても、かねてから私ども検討を要望いたしておりますので、この点についてもよろしくお願い申し上げたいと存じます。  以上、今回の改正案について意見を申し述べましたが、選挙管理委員会は、選挙に先立ちまして立候補予定者説明会を開催いたしております。あるいは選挙届け出に当たりましては、事前審査方法もとっております。今後もこうした制度を活用いたしまして、今回改正されました暁には、その趣旨に手落ちのないように努力してまいりたいと存ずる次第でございます。(拍手
  8. 中野四郎

    中野委員長 ありがとうございました。  次に、日本青年団協議会会長小野寺参考人からお願いをいたします。
  9. 小野寺喜一郎

    小野寺参考人 日本青年団協議会会長小野寺喜一郎でございます。  きのうの午後、突然のことながら委員会よりお招きを受けましたので、取り急ぎ山形県の遊佐町からやってまいりました。途中、夜行列車が故障で六時間ほどおくれまして、大変遅くなったことをおわび申し上げたいというふうに思っております。  日青協政治団体ではありません。しかし、次代を担う青年組織として、一人の有権者という立場からも、政党的には中立を守りながら、その都度政策法案に対してささやかながら発言をしてまいりました。私たちは、日本における議会制民主主義を守り、この制度から成り立つ政治の舞台を通じて青年生活を高め、日本と世界の平和のために寄与せんとして政治教育活動を続けておるところでございます。このような見地から、このたびの公職選挙法改正案について幾つかの所見を述べさせていただきます。  まず第一に、私たちは一貫して、選挙制度議会制民主主義の根幹にかかわる重要なものであるという見地に立ち、法案制度改定に当たっては、選挙運動などに国民自身が携わるようにする方法が望ましい、しかも、国民納得のいくように時間をかけて慎重を期するべきと考えております。  たとえば、どんなスポーツを取り上げましても、争う場合においても対戦者同士がそのルール不満を持ちながら争えば、フェアなプレーが望めないことは当然であります。しかも、その競技を見る観衆がそのルールを熟知しておらねば、その競技に対する魅力が薄れ、競技そのもの国民スポーツとして大衆化されないことは明白であります。  このような観点からすれば、このたびの改正案が、たとえ百歩譲ってりっぱなものであったとしても、その内容と意義を十分理解し合えるような審議を粘り強く続けるべきであります。さらに、国民の圧倒的多数に知れ渡ってから施行されるべきであると考えます。  この点から申しますと、九月二十日に自由民主党が選挙制度調査会総会を開き、議員立法として国会提出することを決定してから、わずか十七日しかたっていない今日にでもこの委員会で可決しようという方法は、余りにも性急過ぎると言わざるを得ません。  第二には、選挙主権者である国民主権を行使する重要な機会であるために、それだけに選挙の際は、国民にその候補者政党政派政策人柄を知る条件を保障し、できるだけ政治活動の自由を保障すべきであると考えてまいりました。特に、欧米諸国がきわめて自由に選挙活動ができるという実態を知るたびに、この感慨を強くしているわけであります。  ところが、これまでの改定は、戸別訪問禁止、チラシやステッカーの規制、戦況中は政党に関係のない市民団体機関紙誌までその影響を受ける。いわゆる政治活動を行う団体規制が強化されてきたばかりか、このたびさらに目や耳を覆う立会演説会禁止等で、選挙期間内の活動等を一層制限しようとしていることは重大であります。  どういう議会制度が最も民主的であるかと論じますと、可能であれば、すべての国民が一堂に会し、国の進路を決定する方法が最上と考えます。しかし、それが現実的に不可能であるがゆえに、代議制民主主義制度が導入されているはずであります。したがって、このルールはできるだけ国民の手の届く方向国民ができるだけ政治に参加する方向で検討されなければならないものと考えます。  この立場から申しますと、多くの候補者政見演説を聞き比べ、しかも候補者の表情を見、じかに接する機会を閉ざす方向は、全く時代にも、民主主義ルールからも脱線していると言わざるを得ません。  立会演説会が隆盛をきわめている状況でないことは、私もよく認識をいたしております。しかし、ここ数回の国政選挙で著しく聴衆が減少しているかのような説明は、見当外れであると考えます。  自治省が把握している衆議院選挙立会演説会開催度数聴衆人員調べによりますと、一回平均立会演説会に参加した聴衆最高は、昭和二十七年の八百七十名、最低は昭和三十五年の三百三十八名で、それ以降はむしろ増加している傾向にあります。昭和二十七年から五十五年までの十二回の平均は六百四十三名で、前回の総選挙は七百五名と、平均を上回っているのであります。  減少しているのは聴衆ではなく、開催度数であります。最高時六千六百六十一回あった立会演説会は、昭和五十五年には千三百四十回に激減していることを考えますと、選挙民よりむしろ開催度数を減少させた方に問題があるのではないでしょうか。  したがって、私たちは、立会演説会が衰退しているから廃止するという理由はとても納得がいかないという点を申し上げておきます。しかも、全国青年団は、明正選挙運動棄権防止運動のみならず、市町村における選挙公営化運動や、市町村における立会演説会必要性を訴えております。あえて申し添えさせていただきます。  第三には、政治家政治姿勢について申し上げます。  国民代弁者たる政治家は、正々堂々と国民の前で政策を明らかにし、その政策を問う形で選挙戦を展開すべきと考えます。この点がまさにないがしろにされ、相手候補誹謗中傷国民を愚弄する買収による選挙が横行しているところに、今日の国民政治離れが進んでいると言っても過言ではありません。  私は、政治家国民にもっともっと接するべきだと考えます。みずからの政見を直接国民に伝える機会を喜んでつくるべきだと考えます。政治家みずからが国民からかけ離れていく方向に終始し、国民に対し政治離れを批判するのは主客転倒ではないでしょうか。  国民政治から逃避する傾向は、まさに議会制民主主義危機的状況であります。だとすれば、まずもって政治家みずからがこの危機を克服するために努力すべきではないでしょうか。このことを放置して、政治家手間暇を省略するといった考えがあるとすれば、民主政治にとってきわめて危険な徴候を指摘する多くのマスコミの論評も、至極当然であると言わなければなりません。  日本青年団協議会の会員を対象とした、今日の政治についてどう受けとめているかという調査を見ますと、満足とやや満足を合わせてみましてもわずか八・八%にすぎず、圧倒的多くは政治不満ないし不信を抱いております。また、政党支持があるかという問いには、あると答えた者は二六・三%で、多くは支持政党を持っていないことがわかりました。  つまり、私たちの仲間の多くは、政治には不満を持ちながらも、いまの議会制度政党政治の中でその不満を解決する道に気がついていない、またはそれに希望を持っていないということが言えると思います。これは私たちだけの傾向ではなく、他の多くの調査を見ても顕著にあらわれていることであります。  次代を担う青年をこのまま放置して、日本の未来を論ずることが果たしてできるのでしょうか。私も青年団体にかかわる者として、何としてもこの状況を克服したいと思いつつ運動している昨今であります。  私は、これらを克服する道の第一は、政治家みずからがいま一度これまでの政治姿勢を振り返り、政治倫理を確立するとともに、多くの国民が望んでいる、しかも憲法違反の判決まで出た一票の重みの格差の是正や、政治腐敗の根源である企業・団体献金禁止、多くの国々で実施されている十八歳選挙権の実現こそ、最優先の課題として国会で議論されることを強く要望するとともに、このたびの法案党利党略強行採決などという方法で可決されることがないよう諸先生方の議論を期待し、発言を終えたいと思います。どうもありがとうございました。(拍手
  10. 中野四郎

    中野委員長 どうもありがとうございました。  以上で参考人の御意見開陳は終わりました。     ─────────────
  11. 中野四郎

    中野委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小泉純一郎君。
  12. 小泉純一郎

    小泉委員 参考人におかれましては、お忙しいところ、本日、本委員会に御出席をいただきましてまことにありがとうございました。短時間でありますので、少しく御意見を聞かせていただきたいと思います。  まず、それぞれの参考人にお一人ずつお聞きしたいんですが、国政選挙でもあるいは地方議会選挙でも全く一面識もない候補者が出た場合、何を一番重視されるのか。よく党か人かということがあります。政党を一番重視する、その本人の人柄なりを重視する、あるいは公報を重視する、政見放送を聞いてから決める、立会演説会へ行ってそれぞれの候補者意見を聞いて決める、あるいはだれか知っている人から頼まれた、電話で依頼があった、街頭演説している姿を見た、決める基準がいろいろあると思うのです。そういう際、皆さん方管理委員会会長とか協議会会長をされていますけれども、別に参考人個人意見として、自分はどれを一番重視するか。一つでもいいです、あるいはこれとこれを重視する、どれでもいいんですけれども個人的な見解として皆さんは何を一番重視されるか。それぞれ発言された順番で結構でありますから、御意見を聞かしていただきたいと思います。
  13. 亀井重光

    亀井参考人 ただいま小泉先生の方からいろいろお話がありました。確かに、候補者を選ぶ段階としてはいろいろな問題があろうかと思います。  そこで、個人意見とおっしゃられましたので、私の考え方を申し述べさせていただきますが、私たち候補者を選ぶについても、いまお話があったようにいろいろの線があるわけでございますが、ではその中で、最近の状況の中で一体一番何がいいのかというように考えましたときに、私はやはり文書をもって見る。たとえば、公報のようなものによって判断するのが一番いいんじゃないか。ということは、文書にしてもそうなんですが、お話の中ですと、とり方あるいはまた言い方等によってもニュアンスの違うことがたまたまあるわけなので、そういったことよりもむしろ文書にあらわれた中で自分が判断するのが一番いいんではないか、こんなふうに考えます。したがいまして、私は公報によって選ぶ。  これは私の考えを申し上げるのですが、またそういうような私の考えの中から、世田谷区におきましても区議会公報発行を二期前から行うようになりまして、それが非常に一般の方々からも選ぶ資料として喜ばれておるように聞いておりますので、私としてはそれが一番いいんじゃないかというように思うわけでございます。
  14. 鈴木匡

    鈴木参考人 一面識もない方が立候補された場合に、何をもって判断するかという御趣旨のお尋ねのように拝承いたしましたが、いま行われます各種の選挙運動によってそれぞれ見たり読んだりした事実などから総合して決めますので、ときには選挙公報がよかったとかあるいは政見放送を伺っておったとか、最も多い機会は、やはり私ども職業柄もありましょうが政見放送を必ず聞いておりますので、これが一番印象に残る問題だろうというふうにも考えております。あるいはまた、同時に公報発行手続どもいたしますので、これはいずれも全部読むということになりまするから、個人意見とはいえ、そういう問題も加味されて出てくる結論だろうと思いますが、最終的にはいろいろなことから判断さしていただいておるという事情でございます。
  15. 小野寺喜一郎

    小野寺参考人 前二人とほぼ同じような考えなんですけれども、その選挙によって選ぶ基準というのは個々変わってくるのじゃないかなというふうに思っております。しかしながら、全く私の個人的な考えですけれども選挙公報やたとえば立会演説会、さらにはさまざまな街頭での行動に対しての見識を参考にしながら、総合的な判断で投票する候補者を選びたいというふうに思っております。
  16. 小泉純一郎

    小泉委員 どうもありがとうございました。  それでは、また個人的な見解で結構なんですが、衆議院、参議院のいわゆる国政選挙候補者と、県会議員、市会議員あるいは町村議会議員、いわゆる地方議会候補者と意識して区別されているかどうか、基準を変えておられるかどうか、重視する点を変えておられるかどうか、その点について簡単で結構でありますから、それぞれお一人ずつお聞きしたいと思います。
  17. 亀井重光

    亀井参考人 私は、要するに選挙、またそこで当選されてお働きになってくださる方々は、地方、国会を問わずあらゆる面で重要な方でございますので、国会だからあるいは地方の、特に私どもの方は区会議員になるわけでございますけれども、これらについて判断、あるいはそういったことに区別はいたしておりません。
  18. 鈴木匡

    鈴木参考人 鈴木でございます。  これも個人意見ということでございますけれども、やはり管理委員をいたしております関係で、どうしても国政に携わられる方のお名前などは一番よく耳にも入りますし、関係も深い。あるいは県知事さん、あるいは議会議員さん、これも県の選管が管理いたしますので、個人とはいえ、やはりその人のお名前なんかをよく知るという立場にはございます。町村では、自分の居住しているところしか多くは関係をしないという点では違いはございますけれども、いずれにいたしましても、投票に当たりましては、先ほど申しましたような諸般のことを総合して、どなたにお願いしたらいいかということを決めさしていただいておるような状況でございます。
  19. 小野寺喜一郎

    小野寺参考人 基本的原則としては、たとえば公明正大な方とか将来展望に立つ方、それから国政、県政、市町村レベルにおいてのそれなりの卓越した見識を持っている方、そのものに関しては、私は一貫性があるというふうに思っております。ただ、選ぶ場合においては、その原則にのっとってどういう方を選ぶかということに関しては、さまざまな総合的な判断の中で私はやっております。  以上です。
  20. 小泉純一郎

    小泉委員 それでは、政策とか政党とかを離れまして、いろんな選挙皆さん経験されたと思うのですが、選挙運動をしている候補者の姿を見まして、自分で、ああ非常にさわやかな感じを持ったなあ、あの選挙運動の姿というのは好感が持てるなあ、どういう点が一番好感が持てるか。逆に、あんな運動は非常に候補者として恥ずかしいとか非常に不快感を持った、いやらしいというような感じを持ったことがあったら、お一つでもお二つでも結構であります、こういう運動というのは非常に好感が持てるとか、あるいはこういう運動というのは非常に不快だというような点がもしあったら御意見を具体的に、こういうのがいいというのがあったら教えていただきたい。
  21. 亀井重光

    亀井参考人 私は、そういうことを感じたこともありませんし、こうだということもございませんので、ちょっとお答えしかねます。
  22. 鈴木匡

    鈴木参考人 私も、どれについては悪感だとかどれが好感だということは、立場もございますし、いずれにしましても、定められた選挙運動をおやりになっていただいておる方々運動については、敬意を持って見たり聞いたりいたしておる次第でございます。
  23. 小野寺喜一郎

    小野寺参考人 好感を持った選挙運動に関しては、われわれの仲間が手弁当で個人演説会等を開きながらやっておる選挙運動には、非常に好感を持てました。不快感というのはいまちょっと思い出せませんので、失礼させてもらいたいと思います。
  24. 小泉純一郎

    小泉委員 われわれは候補者になった場合、どういう運動をすれば、またどういう行動をとれば有権者から共鳴を得られるか、あるいは投票してもらえるか、非常に気になるところなんです。私、個人的な考えからいいますと、連呼行為、たとえば私、小泉ですから、小泉純一郎でありますとかと言って回って、選挙になりますと限られた時間の中でやるのですが、名前を聞いたから入れてくれるなんて私は夢にも思っていないのですよ。しかし、いろいろ支持者の意見を聞いてみますと、もしこういう連呼行為で各地域に来ないと、何をやっているのか、選挙運動をやっているのかどうかわからぬ、あるいは、本当にもう選挙なんというのは楽々当選すると思っているのか、熱心に応援している人に限って、さびしい、もっとたくさん来てくれとか、声を聞きたいというのが、よく苦情といいますか注文があるのですよ。  ところが、大体選挙運動に余り興味のない方あるいは人を応援するのが好きでない方、こういう方は、もうあんなのうるさくてしようがない、あんなうるさいのだったら、名前を聞いて、ああいうマイクでやるのは逆に絶対入れないからという意見も聞くわけです。  非常にそういう面において、人によって受け取り方が違う。なかなか、多くの人にこれがいいというのは決めかねているわけであります。私自身、できるだけ多くの有権者が候補者に接する機会を持った方がいいというふうには思っていますが、特に選挙管理委員会の責任者であられます鈴木参考人亀井参考人におかれまして、立会演説会は必ず出席されて聞いていると思うのですね。ところが、中には非常に静かに、ある特定の候補者演説が終わっても退席しないで聞いておられる立会演説会場もある。逆に熱気むんむん、これはすごい、きょうは入っているなと思って期待してやっていると、自分の前の候補者が終わるとぞろぞろ帰っていっちゃう。残った人はもうやじばっかり。こういう極端な例もあるわけですね。  それで、立会演説会として、いまこの法案でも議論されておりますけれども参考人三人の方々がどれを重視するかということを聞かれても、一人もまず立会演説会に行って意見を聞いてから決めるという方はおられない。私も、これは大体全選挙有権者の大方の意向じゃないか。立会演説会に来ようという人のほとんどは、事前にもう候補者を決めちゃっている。応援しようか、やじり倒そうか、どっちかに決めている人は、静かに聞いてから演説が終わってから冷静に決めようという人よりも、そういう人の方がはるかに多いと思うのですね。  つぶさに、幾たびかの立会演説会を管理され、間近に見ておられる鈴木亀井参考人におかれましては、いままで行われた立会演説会のよさといいますか、あるいは悪さといいますか、両方の点、何かお気づきになったら、一言ずつお二人からお聞きしたいと思うのです。
  25. 亀井重光

    亀井参考人 いま小泉先生からお話がありましたように、確かにいろいろの角度でいろいろに皆さんもお考えになっていると思われます。立会演説会がどうかといういまお話でございますが、冒頭私も申し述べましたように、まずこれは、多くのことは私はわかりませんが、特に世田谷での立会演説会におきましては、非常に聴衆が少なくて低調だということです。あわせて、いま先生もおっしゃられましたように、特定の候補者演説を聞きますと、ばたばたと立っていってしまう。そしてまた、次の候補者のときにはかわった方々が入っておる、こういうような状態があるということは確かです。  そういうふうな中で、私たちとしては、本当にこれでは先ほども言うように効果が上がらないんじゃないかという心配の中から、一体どうしたらいいのかということでPR、あるいはまた動員と言うとちょっとおかしいのですけれども、どうして大ぜいの方々に聞いてもらうようにしたらいいのかということに苦慮しているわけでございまして、どれがいいと言われましても、ちょっと私が、こういう方法がというのは、いまのところまだ思い当たってないわけでございます。
  26. 鈴木匡

    鈴木参考人 ただいま連呼行為のこともございましたが、それについて両方の意見のあることもお話がございました。私も、そのようなことになるだろうと思いますが、ただ、一方から、早くからやかましくてしようがないが何とかならないだろうかという苦情を聞いていることも事実でございます。  ですから、私どももかねてから、もう少しく時間の短縮ができないだろうかというような見解を持っておったのは、よく委員会で話題に出たことなんですが、ちょうどそういうことで、今回一時間、朝の方で短縮されるということで、この程度なら別段差し支えないんじゃなかろうか、むしろそういう苦情を防ぐのにはいいんじゃないかというような感じを申し上げて先ほど意見を述べさせていただいた次第でございます。  それから、立会演説会の長短につきましても、先ほどいろいろお話がございましたとおりでございます。ただ、お話にもございましたように、私どもから見ておって、もう初めからどなたに入れるかということを決定された人がこの会場で聞き、また次の会場へ移動されるという現象が多いのではないかというような実情といいますか、実感を持つわけでございます。それから、御指摘にもございましたように、ある候補者の方にはたくさんお見えになりますけれども、それが終わるとさっと立ってしまわれる。管理いたします立場の方から見ますと、また中には立候補された方から苦情が出たりするような事例などもございます。  そういうことなどから考えてみますと、むしろこの立会演説会の回数減少に至った経過を見ますと、テレビが普及してきた、それから続いて今度はカラーテレビになってきた、そのテレビがさらに一般にたくさん各家庭に持たれるようになってきたというようなことからして、むしろ政見放送などでテレビやラジオを活用していただいたらどうだろうということが一般の意見として出てきて、そういうことでだんだん立会演説会の回数が減らされてきたというようなことなどからも考えてみましたり、現在の実情から考えてみますと、もうこれは形骸化しているのではないか。他の方法でむしろできるのではないか。  一方また、立候補される方々の御意見を伺いますと、立会演説会の会場がどこになるかによって、それぞれの先生方選挙運動の日程が決まるのだというふうにも伺っております。それによって束縛されるというような御意見ども伺ったりいたしますと、むしろ今日、それよりも自由に候補者方々に、選挙運動自分の最も有効と信ずる方法によっておやりいただいた方が効果的ではなかろうかというような感じも持ったりいたしておる次第でございます。
  27. 小泉純一郎

    小泉委員 どうもありがとうございました。質問を終わります。
  28. 中野四郎

    中野委員長 伏木和雄君。
  29. 伏木和雄

    ○伏木委員 参考人の皆様には、当委員会の都合で急なおいでを願いまして、まことにありがとうございます。  若干お伺いをさせていただきたいと思いますが、初めに、私、選挙というのはやはり民主主義の原点であり、有権者の皆さんが心から参加できるようにしていかなければならない、このように考える次第でございます。しかるに、わが国の選挙法は、選挙運動規制が各国に見られないほどやかましくなって、手を縛り足を縛り、有権者の側からいたしますと、あれやってはいけないんではないか、これやってはいけないんではないかということから、思い切って選挙運動ができるということに至っていないのではないかと考えるわけでございます。  したがいまして、基本的には選挙運動というのは極力自由にすべきである、選挙法というのは自由化を目指して進まなければならない、これが私の考えでございますが、この点につきまして参考人の御意見を承りたいと考える次第です。
  30. 亀井重光

    亀井参考人 全くそのとおりだと思います。私たちもそうあるべきだということから、選挙管理執行には平等かつまた円滑に行うというように心がけております。
  31. 鈴木匡

    鈴木参考人 鈴木でございます。  ただいまお尋ねのございました自由化を目指すべきではないかということになると、これはむしろ制度がそうあるべきではないかというふうに理解いたすわけでございますが、私どもは、先ほど意見を申しましたのは、選挙管理委員会立場管理執行の面からして、今度の改正案についてはやっていけるのかというような御趣旨でお尋ねいただいたことと考えまして、意見を述べておった次第でございます。  制度の問題になりますと、私どもよりもいろいろまた先生方に御協議いただくことになると思いますけれども、自由化を目指しながらもそれによっていろいろな弊害が出てきたのがチェックされてきたのが現状ではなかろうかというふうにも考えられますので、これはひとり選挙運動をされる方ばかりでなく、有権者の側から見ても、自由化されてもそれでいけるというような状態になるまで、お互いが選挙意識を高め、あるいは選挙道徳を高めるというふうに努力することが必要ではなかろうかと考えております。
  32. 小野寺喜一郎

    小野寺参考人 全く同じ考えでございます。  選挙は、本来議会制民主主義の中で大変重要なものであって、規制をするということよりは、もっと自由な選挙運動、自由な選挙活動の中で、候補者を選べるような状況をつくり出していくということが肝要だと私は考えております。
  33. 伏木和雄

    ○伏木委員 それではひとつ具体的にお伺いしたいと思うのですが、よく議論される戸別訪問の問題でございます。  先ほどからもお話がございますように、テレビを通すとかあるいはマスコミを通しまして有権者が知っていく、これも確かに一つではございますけれども、私は、候補者本人とひざ突き合わして話し合える、あるいはその候補者を支持する支持者と選挙民とがお互いに会話できるというところに、候補者を選ぶ何よりの手だてが出てくるのではないか、こう考えております。しかし、現行法におきましてはこれは完全に禁止されております。その理由を聞いてまいりますと、戸別訪問があるとどうも買収行為が出てくるのではないかという考えのもとに、水際で押さえるということで戸別訪問禁止ということですが、私は、この考え方というのは有権者をばかにしたといいますか、有権者に対してはなはだ失礼な考え方ではないか。  いま、確かに選挙が終わりますと一部買収行為が出てくる場合もございますが、大多数の選挙民は、買収行為があればむしろ反発するというところが圧倒的ではないか。また、買収行為をやればかえってばかにされるというような点もございますし、また、戸別訪問をやったから買収行為が直ちにはんらんするんだというような考え方は、全くナンセンスと言わざるを得ないと思うのです。したがいまして、候補者選びに有権者の側から見て候補者政策なり人柄なり、じかにひざ詰めで聞いていくという機会の尤たるものが戸別訪問であると私は思います。この戸別訪問につきまして、参考人の御意見を承りたいと思います。
  34. 亀井重光

    亀井参考人 確かにおっしゃられるように、各家庭でひざ詰めでお話しすれば、人物的にもあるいは政策的にも一番理解をしていただけるものだと思います。しかし、私たちは、戸別訪問はまかりならぬという制度のもとで長年来ておりますので、それでは戸別訪問をどうしたらというようなことは余り考えたことがございません。役目柄、特に戸別訪問はまかりならぬということが頭の中に強いのですが、いまお話しのように戸別にお話しすることは、理解していただくには確かに一番いいことではなかろうかというふうに考えております。
  35. 鈴木匡

    鈴木参考人 戸別訪問は、御意見のような有益といいましょうか、効果的な面だけが出てくるような状況になれば、それは私は結構だと思いますけれども、今日では、御指摘のございましたような、あるいは買収が行われるのではないか、そういう危険があるのではないかとか、そのほかに、日本人といたしましては、まだ選挙意識が、どちらかというとこの点については低いと申しましょうか、義理人情ということに多くとらわれやすい。私のところへは来てもらえたけれどもあそこは来てもらっておらぬとか、あるいは隣は来てもらえたけれども私のところは来てもらえなかったというようなことになりますと、立候補者の方も大変だろうし、とうていそれは順調にいくことでもない。と同時に、いままでの、かつての弊害などをもあわせ考えますと、やはり現行のように禁止されておるのは、いまのような実情をしんしゃくした上のことではなかろうか。これもまあ、私が申し上げるのは制度のことでございますのであれですが、そんなような感じを持っておる次第でございます。
  36. 小野寺喜一郎

    小野寺参考人 戸別訪問に関しては、私たちの組織の中では議論をしておりません。確かに、有権者と候補者がひざ詰めでやるということに対しては、非常にいい効果があるのじゃないのかと思っておりますけれども、組織としては議論しておりませんので、これに対して結論は持っておりません。  ただ、買収等がまだ横行されておる現状に関しては、やはり選挙意識の高揚や政治に参画するための政治教育等が必要であるというふうに考えております。
  37. 伏木和雄

    ○伏木委員 それでは、提案されている法案の中身について若干お伺いいたしたいと思います。  先ほどからも御意見を承っておりまして、この選挙期間短縮の問題でございますが、私は、これは二十日なら完壁なんだ、十五日なら欠陥がある、あるいは二十五日にした方がいいんだとか、これはいろいろ見解の相違はあると思うのです。しかし、問題は、選挙が公正に行われなければならない、また候補者政策が徹底されていかなければならない、いかに合理的に運営されたといたしましても、肝心の候補者政見の徹底がない選挙などというのは、これはおかしなものでございます。そういう意味から、果たしてこの期間でできるのであろうか、特に、きょうは町村の選挙管理委員の方はお見えになっておりませんが、実際、選挙理事務を担当いたしまして、若干町村の問題もおわかりにはなると思います。  そこで、お伺いいたしますが、この町村を五日に限定してしまう。第一日目に届け出を締め切り、第二日目に選挙公報の締め切りをやる。選管で二日目に締め切りましてから、これを印刷いたします。そして有権者に配布する、有権者がそれを検討する。中には、公報を見て、ああ、この人どういう人なんだか、一遍街頭演説でも聞いてみたい。ところが、これだけのことを三日間でやってしまうという。一日目で締め切って、二日目に公報を締め切りまして、残り三日間しかないところを果たしてこれがうまくできるんだろうか、相当無理をしてやるのではないか。そうなってくると、せっかく公報を出しながら、その公報が完全に活用されないままに終わってしまうのではないだろうかという危惧を非常に持っているわけでございます。  こういう点から、特に選挙理事務を担当されている選管のお二人と、一方、有権者の側に立ちまして、この五日間で選挙運動というものが進められるのだろうか、小野寺さんからもあわせてお伺いいたしたいと思います。
  38. 亀井重光

    亀井参考人 町村のことにつきましては、私からどうもちょっと言いにくいものがあるわけでございますが、先ほども申しましたように、私が担当しております区あるいはまた連合会会長という立場で市区の問題について申し上げたわけでございますが、五日間の中でできる町村もあるかもしれませんし、無理な町村もあるかもしれませんし、私にとりまして五日がいいとか悪いとかということは、ここではちょっと申し上げかねるわけでございます。
  39. 鈴木匡

    鈴木参考人 確かに、町村の選挙は五日間ということでございますので、多少窮屈になろうかということは想像されます。その中で、しかし、立候補の届け出期日が、お話にもございましたように一日になりました。一日浮くと言うと語弊がありますけれども、前よりは余裕ができてくるということになりましょうし、たしか私の記憶ですと公報は字数が五百字だったと思います。それから、実際の場合は、多くは顔と候補者の名前が大きく出たりして、これでというよりむしろ町村の選挙段階では、地域社会の平素の生活上の親しみがあって、立候補された人は、仮に初め面識がなくても、村同士の話ですぐわかるのじゃないかというようなのが実情じゃないかというふうにも考えますし、この手続をとられる町村におきましては、私の方も尋ねてみましたけれども、何とかできますというような意見は伺ってはおります。ただし、今後も、県の選挙管理委員会も十分協力すべきところは協力していこうという考えでおります。
  40. 小野寺喜一郎

    小野寺参考人 選挙期間短縮については、これは何日がいいかということは多くの議論があるというふうに私は思っております。しかしながら、基本的にはやはり有権者と多くの接する機会を求めなくてはならないということが肝要だというふうに思っていますし、何日がいいということに関しては、それぞれなりの立場でおありかと思いますけれども、私たちは、ある程度の接する機会を多く持つ必要があるという基本的な考えを持っております。
  41. 伏木和雄

    ○伏木委員 それでは、立会演説会についてお伺いいたします。  先ほど来、立会演説会の集まりが少なくなってきたということでございますが、私は、これはこれなりに一つの制度として定着をしているし、それから、この立会演説会を期待している人もたくさんおられると思うわけでございます。したがいまして、国政選挙知事選挙においては、これは法律で立会演説会を規定しておりますが、その他についてはこれは任意制ということになっております。その任意制であるにもかかわらず、県議選で十一カ所あるいは市区長選で四百二十五カ所、町村長選挙で一千十一カ所、このようにわざわざ条例をつくって、この立会演説会を規定しているところがあるということは、必ずしも法律があるから仕方なしにやるということではなくて、必要を感じてこの立会演説会を条例化し、進めているのではないかと思うのであります。  先ほどの選挙公報にいたしましても、これは同じ任意制で、やるところはどんどんやっているということであります。ですから、こういう団体においては、やはり町民、村民の皆さんから期待があればこそ、こういう制度があって、特に任意でやっておりながら廃止をしていないという結果になっているのではないかと思います。  したがいまして、何か全国的なトータルの人数が少なくなったからというだけでもってこれは軽々には考えられない。先ほど御指摘がありましたように、トータル的人数が少なくなったというのは、立会演説会の回数が少なくなったという結果から出てきている現象でございますから、やはりこの立会演説会というのは存続すべきではないかと私ども考えておりますが、皆さんの御意見を承りたいと思います。
  42. 亀井重光

    亀井参考人 立会演説会の問題につきましては、先ほども申し上げましたが、非常に聴衆の集まりが悪いということが私たちの方でも一番懸念されるところでございます。  ちなみに、世田谷区で区長選挙において条例を設定して立会演説会を行ったわけでございますが、当時やはり一般有権者の方々から立会演説会という御希望が多かったので、こういう制度を設けて始めたわけです。しかし、五十年の四月、これは御承知のように区長が公選になった年でございますが、その時点におきまして世田谷では四カ所の区長の立会演説を行ったわけです。そうして、世田谷の中心で最高に入っておったのが百八十一名、最低ですと百一名、延べで二百二十三名、こういう悲しい数字が出てきているわけです。したがいまして、その後におきましては、立候補者の二名の中で一名の方が辞退されたというようなことで、立会演説会は行っておりません。  ただ、ことしの六月に行われました参議院の選挙におきましても、これもいま申し上げましたように世田谷の中心地区一カ所でございますが、最高で百九十名、最低は百八名の延べ七百三十三ということは、先ほども申し上げましたように入れかわりが多いものですからこういう数字になったのではなかろうか。  それやこれやのことから、当委員会といたしましても、先ほど申し上げましたように、どうもこういう状態では余り効果も上がらないのじゃないか、何とかしなくちゃならぬというので、いろいろと苦慮しているところでございますが、これといったいい方法がいまのところまだ見当たらないという状態でございます。
  43. 鈴木匡

    鈴木参考人 鈴木でございます。  ただいま立会演説会、特に町村段階あたりの任意制の立会演説会についてのお尋ねの御趣旨だと理解したわけでございますが、先ほど私が、立会演説会の回数が減少してきた経過としてテレビの政見放送を挙げましたが、そのほかに個人演説会の自由化がされたので、この活用の方がよくはないかということもあって、立会演説会回数減の一つの理由になったやに記憶いたしております。もし私の記憶が間違えれば別ですけれども、そのように記憶いたしております。  ことに町村段階でございますれば、むしろ個人演説会の開催を御自由におやりになった方がというような感じもいたしますし、先ほど来のいろいろなマイナス面を考えますと、今回は公営の制度が廃止されれば、自然にこの任意制も廃止されていくからという結果になるということでございますが、それだけにとどまちず、いま申し上げたような点から考えましても、私は他に効果的な方法があるのではないかというふうな感じを持っておる次第でございます。
  44. 小野寺喜一郎

    小野寺参考人 先ほど申しましたように、立会演説会がむしろ増加の傾向にあると私は申し述べました。それは、昭和二十七年八百七十名、最低が三十五年の三百三十八名、ところが前回の総選挙では七百五名というふうに増加をしております。立会演説会の回数が、最高時は六千六百六十一回あったのが千三百四十回にむしろ減少してきている現実があるのじゃないかというふうに思っていますし、私たちとしては、立会演説会市町村の中でもより開くような、選挙をもっと公営化するような運動も行ってきておりますので、多くの候補者政見考え方を聞く機会を多く持てるためには、立会演説会というものはぜひ必要ではないかという考えを持っております。
  45. 伏木和雄

    ○伏木委員 終わります。ありがとうございました。
  46. 中野四郎

    中野委員長 中井洽君。
  47. 中井洽

    ○中井委員 民社党の中井洽でございます。  お忙しいところ、急遽の御出席お願いいたしまして、本当にありがとうございます。  せっかく御出席をいただきましたが、ごらんのとおり社会党さんが自分の党の御都合で出てきておられません。大変申しわけない状態お話をお聞きしなければならないことをおわび申し上げます。ただ、小野寺参考人さんのおっしゃるような強行採決とかそんな雰囲気の中で審議が行われているのではありませんので、どうぞ御安心を賜りたい。よけいごとでありますが、申し上げます。  実は私どもの党は、この法案に対してまだ賛否を決めておりません。選挙法でありますから、選挙お願いする私ども政党立場、御判断をいただく有権者、国民のお立場、そして選挙を執行していただく選挙管理委員会のお立場、それぞれいろいろな方たちから御意見を賜り、できるだけ公平なルールをつくっていく、これが当然のことであろうかと考えております。  そういった意味で、本日、亀井鈴木参考人の御意見を聞きまして、私自身は実はちょっとショックを受けているところでございます。お二人とも立会演説会現実から見て廃止をした方がいいんじゃないか、構わないのじゃないか、こういう御意見でございます。私どもも実際、この立会演説会に動員をするということで大変苦労をいたしておりますし、私自身の選挙区なんか、二班に分かれて立会演説会が行われる。まあ、自分の地元なんかへ来るとたくさん入ってくれるけれども、離れてしまうと全然入らないとか、大変な状態でございます。隣の選挙区なんかでは六回無競争なものですから、立会演説会に出る国会議員は小物やと言われて全部代理人でやるとか、何かわけのわからないことがあるのも十分承知はいたしておるわけであります。  しかし、会場、会場へ行きますと、私どもは、いわゆるサクラや動員じゃない方々が熱心にお聞きをいただいているのも散見をするわけでありますし、候補者がそろってそれぞれの党の政策個人政策開陳するのも、ただ一つ、こういう場所であります。テレビがあるとはいえ、テレビはまあ四分半か五分というような短い時間でございます。したがって、形骸化しておると言われるこの立会演説会を何とか有効に活用していく道はないのだろうか、あるいはこれにかわる代替措置が考えられないのかというところで悩んでいるのが事実でございます。  御専門の亀井鈴木お二人のお方から、それぞれのお立場で、立会演説会に人がたくさん入るように選管としてどんな御努力をなさっておるのか、あるいはこういうことをやれば立会演説会がひょっとしたら生き返るんじゃないか、そういったことを個人的な御意見も含めてで結構であります、お聞かせをいただきたいと思います。
  48. 亀井重光

    亀井参考人 ただいまのお言葉の中で、私の方も廃止というふうなお言葉が出たのですけれども、私どもは決して立会演説会をやめるということを言っておるわけではございません。先ほどから先生方の御質問にもお答えしていますように、どうも人が集まらぬ。それから、具体的に、先ほども言うように候補者によってもいろいろと変わってくる。世田谷の例も挙げてお話ししたわけですが、そういったような中で、このままの状態では効果が上がらない、したがって、何かいい方法はないかというのでいま苦慮しておるわけでございますけれども、どうもそのいい方法が見つからないので困っているんだということをお話ししたわけでございます。  再三、同じようなことを申し上げて失礼でございますが……(中井委員「どんなことをおやりになっていらっしゃいますか」と呼ぶ)どんなことというか、ですから、いまも言うように、これをどうしたらいいかというのでいろいろとやっているのですが、それがなかなか出てこないというのは、要するに皆さん御承知のように、ポスターによって立会演説会を知らせるとか、あるいは候補者によって立会演説会が何時にどこであるのだ、そういう方法だけでいままでやってきているわけです。したがって、これに加えてもう少し何かやったらどうかというように思っておるわけでございます。  先ほど申し上げましたように、世田谷区の有権者はすでに約五十九万になろうとしているわけです。その中で、先ほどお示ししたようなわずかな人数しか集まってこないというのは、私たちの力が及ばないのか、もう少し何とかしなければならぬということで苦慮しているということを申し上げているわけで、決して廃止に賛成しているわけではございませんので、御了承願いたいと思います。
  49. 鈴木匡

    鈴木参考人 鈴木でございます。  ただいまお尋ねいただきました立会演説会開催についての啓発はどうしているかということでございますが、御案内のようにこれは市区の選管が実施いたしますので、そちらにおいてそれぞれおやりになっていただくのが主でございまして、いま全国市区連会長さんのお話にもございましたような方法がとられておろうかと思いますが、なおそれ以外に、私どももすでにそういう日程を組みまして、それが決まると報道機関の方へも連絡をいたしまして、それが常時掲載されもしておりますので、新聞紙をごらんいただくならばすぐわかるような状態にもなっております。その他機会を通じて、いろいろな会合のときでも通じまして啓発の努力はいたしております。
  50. 中井洽

    ○中井委員 御努力をいただいておるのは私ども承知をいたしているわけでありますが、たとえば一会場たしかポスター五十枚じゃないかなという感じがいたします。小さな字でほとんど目立たない。昨今ポスターの多い時代でありますのに、目立たないポスターでおやりになっていらっしゃる。それから、選管が車で走って、何時何分からどこどこでやる、お知らせをいただいておりますが、もう選挙のあのすさまじい宣伝カーに比べたら、ちり紙交換よりか小さなマイクが大半でございますから、ほとんど聞こえない。そういう状況にあります。  私が申し上げますのは、たとえば地域地域の立会演説会が低調であろうと何であろうと、投票率というのがまたその立会の人数の多さ少なさにかかわらずたくさん入る、そういう町村あるいは市がたくさんある。見ておると、そういう市町村の選管の方々は、投票率アップに一生懸命おやりになられる。私は、この間この委員会でも質問したのでありますが、もう九〇%を超えるような投票なんというのは強制だ、こういうわけであります。逆な意味で、民主主義じゃないのじゃないかという気がいたしておる。特に、日本の地方の町村へ行けばそういう傾向が見られる。そういったところでは、立会をやっても昼間だから行けない、努力もしない。しかし、投票率に関しては、有線放送なんかでどんどんくどいほど、投票に行け、投票に行けという形でやっておられる。立会演説会というのは、やりようによっては、あるいはみんなが努力をすれば、私らでも候補者が努力をすれば人が入るわけであります。だから私は、やりようによってはもう少し何とかなるのじゃないか、こういう感じがいたすのでありますが、再度で恐縮でありますが、どちらかの参考人、御意見をお聞かせいただけますか。
  51. 亀井重光

    亀井参考人 確かに、立会演説会に大ぜいの聴衆が入るということは、それだけ選挙が盛り上がるわけですから、投票率のアップにもなろうかと思います。それが私たちとしては一番願うところなんですが、立会演説会でなく、いまお話しのように投票率アップということでは、どこの選管でも非常に苦労していると思うのです。  世田谷でも、御案内の方もいらっしゃると思いますが、今回の地方選挙におきましては、セスナで空から呼びかけたり、あるいはまた日本でも初めてだと言われる広告飛行船ですか、あれを飛ばしまして一般に呼びかけた。これには区民の皆さんからも、何かそんなのはむだじゃないかというお声もあったのですけれども、私たちとしては、飛行船の金というよりも、あれを取り上げてくだすった新聞社の方々が大きく写真入りでやってくださいました。したがって、各家庭でいま新聞をとってない家はないくらいでございますから、相当PRができたというふうに喜んでおり、その結果を見ておったわけでございますけれども、悲しいかな、余り成績は、いつもよりも悪かったというようなことなんです。  そんなような状態で、何とか私たちは、それやこれやを考えながら、立会演説会に大ぜい出ることが結局は選挙を盛り上げて投票率もアップしてくるんだというので、再三申し上げますけれども、苦労に苦労を重ねているところでございますので、よろしくお願いいたします。
  52. 中井洽

    ○中井委員 小野寺参考人にお尋ねをいたします。  この法案に対して大体反対の御意見だったようにお聞きしたわけでありますが、この法案の中で、私がどこへ行って聞きましても、あるいは私どもの党も、この夏、数千人の方々にアンケートをとったわけでありますが、日数を短縮するということ、あるいはマイクを使用できる時間を短くするということについては、実は圧倒的な賛成があったわけであります。  先ほど、印象に残ったいい選挙はどんなのだ、こういう自民党の小泉先生の御質問に対して、手弁当で仲間が選挙をやったやつだということを、さわやかにお答えをいただきました。私も、そういう選挙が理想的であろうかと思うのです。しかし、いま日本じゅう、皆さんほとんどがお働きになっていらっしゃる。そういう中で、たとえば衆議院なら衆議院二十日間、町村会議員さん一週間という期間選挙がやられて、たとえば特定の候補者に、議員でありますから一回だけ出ただけでいいということではないと思うのですね。二回、三回と当選回数を重ねていかなければならない、そういうときに長期の間、手弁当でいつまでもいつまでも運動というものをしてもらえるだろうか、こういったことを考えると、私はこの日数の削減というのは、たとえば法案に反対しても結構なことじゃないかという感じを持っているわけであります。  逆に、先ほど鈴木さんでしたか、町村の議会の方はもう短くてもいいんだ。私なんかは、町村は場合によったらもう三日にしてマイク使用禁止だ。騒音公害というのは、場合によったら市会議員、町村会議員さんの場合が多いのです。特定の地域でどんどん何十人という候補者がやられる。実はそういうことすら考えております。法案全体の方向に対しての小野寺さんの御意見は別にいたしまして、日数とマイクの使用時間についての率直な御意見を承らせていただきます。
  53. 小野寺喜一郎

    小野寺参考人 私が申し上げたのは、この法案に対する基本的なあり方の問題で意見を述べました。私たちの中でも、この法案に対して一つ議論をしました。議論をした経過の中では、いま日本選挙制度に対してさまざまな問題があることも確かですし、また直さなければならないこともあります。しかし、選挙制度を直す場合にはもっと多くの審議を、慎重な審議をする方がいいのじゃないのか。たとえば日数や時間の問題、ただそれだけでいまこの選挙制度がよくなるのか、選挙がもっと公営化されてよくなるのか、ただそれだけではないだろう、もっと多くの問題がありはしないかということで、私は基本的態度を述べたわけなんです。  したがって、この選挙法の改正に対してもっと多くの議論をしていったらどうなのかなという、それはこの場でもそうですし、国民の間でももっと周知徹底をするような時間が欲しいな、そういう見解を持っていました。さらには政治資金の規正法の問題、さらには一票の重みの問題等も含めた、そういった幅広い議論を私は提案をしたわけであります。私たちの組織の中でも時間の問題、さらには日数の問題等も賛否がありましたことも事実であります。
  54. 中井洽

    ○中井委員 私どもも国会議員として、いま公職選挙法でいろいろと直していかなければならない問題、定数の問題、参議院の比例代表の問題、いろいろ重要な問題がある、それをやろう。議論をしていますし、自民党さんにも誘いかけをいたしております。何といいましても自民党さんが最大の政党でありますし、絶対多数を持っていらっしゃるものですから、自民党内は議論をされておる、こう言われておるわけでありますが、なかなか進んでいないのが現実であります。しかし、国会としては出された法案を審議しないわけにはいきません。審議を尽くした以上は、賛否を決めていかなければなりません。きょうは小野寺さん、別にしつこく聞くわけじゃないんですけれども、あなたの個人的な御意見で結構ですから、日数とマイクの問題についてお聞かせをいただければありがたい、重ねてお願いいたします。
  55. 小野寺喜一郎

    小野寺参考人 あくまでも私の個人的な考え方になりますけれども、時間の問題等に関しては、いま勤労青年が多くなってきているし、国民的に働いている人が多いので、短縮されるとそういった弊害もありはしないかという懸念が一つあります。ただ、朝早くから連呼だけのそういう選挙運動はいかがなものかというふうにも思っております。  日数に関しても、先ほど言ったように、手続上の問題は抜きにしても、事前運動の激化になりやしないか、日数が短縮されることによってかえって激化をしないかという懸念もありますし、そういった意味からも、いまの状況の中でも十分やれるのじゃないかという考えを持っております。
  56. 中井洽

    ○中井委員 ありがとうございました。終わります。
  57. 中野四郎

    中野委員長 安藤巖君。
  58. 安藤巖

    ○安藤委員 参考人方々には、本当に急なことでしたけれども出席いただきまして、本当にありがとうございます。これからお尋ねをして御意見をお伺いしたいと思います。  まず最初に三人の方にお伺いをしたいと思いますが、投票率をアップするために、亀井さん、鈴木さんの方は一生懸命努力をしておられる。小野寺さんも、投票率の低下あるいは青年政治離れの問題、いろいろ気にしておられる。そこで、投票率がそういう御努力にもかかわらず、たとえばこの前の参議院の選挙は五七%、参議院選挙史上最低、こうなっているわけですね。それから四月に行われた知事選挙、県会議選挙、政令指定都市を除く市町村選挙、これも史上最低。それから二年前に行われました東京の都議会議選挙では五六・何%でやはり史上最低と、非常に成績が悪いわけですね。だから、私もこれは非常に残念、遺憾で、何とかならぬのかなと思っておるのですけれども、どういうところに原因があるのだというふうに考えておられるのか。上げるには一体どうしたらいいというふうにお考えになっておられるのか、まずお伺いしたいというふうに思います。
  59. 亀井重光

    亀井参考人 投票率のアップの問題につきましては本当に私たちも困っているのでございますが、先ほどの先生にもお話し申し上げましたように、いろいろの角度から選挙民に呼びかけて投票をしてもらうようにやっておるわけでございますが、いまの段階において一体どこにあるのかというのはなかなかつかみにくいわけです。いま私たちの方で、大体こういうところに難点があるのだというように押さえましたのは、御承知の、いまどこの地区でもそうだと思いますけれども、学生さんが多いブロックがあると思うんです、選挙区の中に。どうしてもそういうところの投票所は投票率が悪いように感じます。したがって、若い人の、要するに若年層にそういうものが多いんじゃなかろうか。  今後は、こういうものに対して強く呼びかけていくようにしようという話はしておりますけれども、いまの段階において、先ほどから再三申し上げるように、非常に苦しいところでございまして、これは、全選連といたしましてもよく話題になるんですけれども、まあ何とかというところでいつも話が終わってしまうような状態で、そんなことじゃいけませんので、より一層私たちも勉強して低下の究明をしていきたい、かように存じておるわけでございます。
  60. 鈴木匡

    鈴木参考人 鈴木でございます。  ただいま投票率の問題で、その原因、投票率が下がってくるのはどういうところに原因があるのかという趣旨のお尋ねでございましたが、まず第一に、投票率を見てみますと、昭和五十一年十二月の衆議院議員の選挙は、全国平均が七三・四五%、五十四年十月の選挙では六八・〇一%、五十五年六月の選挙では七四・五七%、こうなっておりまして、この投票率を比較いたしますと、五十四年が一番低くて、五十五年が一番高くなっている、五十一年がその次、衆議院はこういう順序になっております。それから参議院の関係で見てみますと、五十二年が六八・四九%、五十五年が七四・五四%、五十八年の六月が五七%、これは全国の統計でございますが、そういう率になっております。  どういう原因で投票率が悪いのかということになりますと、これはいろいろな原因があろうかと思います。この投票率を読み上げましたように、五十五年の衆参議員同時選挙のときには、衆議院が七四・五七%、参議院が七四・五四%、こういうように、これらの各選挙ごとの比率から比べますとずいぶん高くなってきているというようなこともございますので、いろいろな原因があろうかと思います。  あるいは初めから大体結果が予測されておったとか、あるいは天候が非常に悪かったとかよかったとか、あるいは日曜日で人が出てしまったとか、あるいは競争が非常に激しかったとか、いろいろな原因もあろうかと思いますので、何が原因かということは一概には言い切れませんが、ただ、私どもが一番心配いたしますのは、有権者の方が政治選挙に無関心になっていかれることは何とか防ぎたい。選挙政治については大いに関心を持っていただいて、みずから進んで投票に参加していただかないことには健全な民主政治は育たないのではないかということを基本にして、ふだんそういう努力も重ね、選挙時には選挙時としての啓発活動を進めているというのが現状でございますので、御了承いただきたいと思います。
  61. 小野寺喜一郎

    小野寺参考人 最近の総理府のアンケート調査やNHK等を含めたさまざまな調査の中で、青年政治離れというのが非常に顕著にあらわれてきております。年齢が低くなれば低くなるほど、投票率が低下をしてきている現象もあります。これは、分析の中でさまざま言われていますけれども、私の個人的な考えになるかと思いますが、やはり政治に対して自分たちが参加をして国の政治や地域社会が変わるという実感を持っていないというのが、青年たちに圧倒的に多いというふうに私は思っております。言うなれば政治教育の薄さ、さらには民主教育の薄さというものから、政治から、投票率からどんどん遠ざかっていくという現象が一面ではあるのではないかなというふうに思っております。私たちはこういったものに対して、選挙の大切さ、民主政治の大切さ、さらには投票の大切さ等も訴えて運動をしておりますが、年々青少年の政治離れ選挙離れというものも顕著にあらわれてきていることもあります。
  62. 安藤巖

    ○安藤委員 どうもありがとうございました。いろいろ御努力をしておられるということはよくわかるわけでございますが、引き続き御努力をお願いしたいというふうに思います。  そこで、亀井さん、鈴木さんお二方からは、選挙を管理、運営するという立場から、投票率をアップするためにいろいろ努力もしておられるわけですが、青年政治離れ、それから先ほどのお話で、学生の方がどうもというようなお話がありましたが、やはり青年に夢と希望をというところを政治の分野でも大いに生かそう、まあたとえばの話ですよ、こういうようないろいろな訴えとかいうようなことも必要じゃないのかなと思うのですが、そのためにはやはりそれぞれの政党、それぞれの候補者政策を掲げ、あるいは公約を訴え、そして有権者の皆さん方、もちろん特に青年方々にも力を入れなければなりませんが、そういうふうに政策論争というものをしっかり展開することが私は一番大事じゃないかなという気がするのですね。  その点は御異論がないんじゃないかと思いますが、そこで、政策論争をやって政策を訴え、これを有権者の皆さん方に問う必要があるんだ、これは先ほど小野寺さんの方からお伺いしましたので、この関係について亀井さん、鈴木さんにお尋ねをしたいのです。やはり政策論争をやって有権者の人たちにしっかり聞いてもらう、そして選択してもらう、判断してもらう、選別してもらうというようなことのためには、できるだけその機会を多くするということがどうしても必要だと思うのですね。  先ほど、テレビが政見放送もおやりになるから、それで大分いろいろ判断をなさるという場合も多いのじゃないかというお話がありました。ほかにも、個人演説会とかいろいろな媒体といいますか材料、機会というのがあるわけですが、テレビですと、御承知のように衆議院の場合ですと五分三十秒、そして、時間が限られておりますし、放映をする時間帯というのもまた限定されているわけですね。だから、そういうような機会にうまいことめぐり合えるかどうかという問題もありますし、立会演説のように、先ほど私が言いましたような政策を、ほかの党がこう言った、ほかの候補者がこう言った、だからそれに対してはこういうふうに切り返して、その疑問点はこうだというような政策論争がテレビではできないと思うのですね、一回放映したらそのままですから。  だから、そういうことから考えますと、立会演説会も含めて運動期間の範囲を短縮するということになれば、そういう政策論争で判断をする機会というのもやはり短くなるのじゃないのかというふうに思うわけです。だから、これは投票率をアップさせる問題、これとも絡めてお尋ねするわけですが、そういうような政策論争の活発化という点は必要だというふうにお考えになっておられるのかどうか、お伺いします。
  63. 亀井重光

    亀井参考人 そのことにつきましては、私、最初から申し上げておりますが、何としても立会演説会に大ぜいの方が入ることによって投票率もアップするというようなことから、その点で苦慮していると申し上げたとおりでございます。  なお、候補者の選考その他につきましては、公報あるいは立会演説会、そういったものが必要であるということはるる申し上げております。しかし、いまここでも申し上げましたように、どうも立会演説会の人たちが少ないので、私たちのそういった努力というか先生方が本気になって政策発表されるのが、いろいろの角度から何か薄らぐような気がするわけです。その聴衆の出入りだとかあるいはそういった人の集まりとか、そういうようなことから、何とかここに大ぜいの人が入ってもらうように努力していきたいんだということを、私は先ほどから申し上げておるわけでございます。
  64. 鈴木匡

    鈴木参考人 政党なり候補者政策論争が、非常に有権者に対していい資料を提供するものではないかというような御趣旨のお尋ねだと思いますが、有権者に対しましてあるいは広く国民に対しまして、各政党方々あるいは候補者方々から所見なり政策なりをお知らせいただくということは、平素からもいろいろ有益なことだろうと思います。また同時に、平素からそういうことで政党政治活動ども行われておるのではなかろうかと思います。ただ、選挙時に当たりましては、選挙法の範囲でいろいろのことをおやりいただくことになろうかと思いますので、御承知のとおりだと思いますが、そういうことからいたしまして、勢い結局は立会演説会でそういう機会が得られるのではないかということを含めてのお尋ねかというふうに存ずるわけでございます。  ただ、立会演説会につきましては、先ほど申しましたように非常に最近では聴衆が減ってきている。それから、動員というと言葉が悪いかもしれませんが、そんなようなときにはばたっと見えて、そして支持する方の演説が終わるとさっと退場される事例などもございます。それから、いろいろな場合が出てきて、たとえば突然に欠席されて後の人が困られるとか、あるいは遅刻されて順序が変わるというような事実上の問題も出たりする。と同時に、立候補される方では、これによって自分選挙運動がいろいろ規制されてくるというような、むしろ自由にした方がいいのじゃないかという御意見もあったりして、そういうことから考えてみますと、立会演説会が廃止になるなら代替措置はないのかというようなお尋ねもさっきちょっとあったように思いますが、今回テレビ、ラジオの放送を一回ずつふやされたのも、この案によりますとですが、ふやされたのも、その代替措置と見られるのかどうか、そういうような意味合いもあろうかと思ってこの条文を読んでおった次第でございますが、やはり連合会におきましても、立会演説会はもう形骸化しているというような見解になっておるわけでございます。  続いて投票率の問題でございますが、投票率は、先ほど申しましたようないろいろな原因によってきておりますので、立会演説会が即つながるとまでは言えないかもしれませんし、あるいはまたそれのない場合にかえって投票率の高い、なくても投票率の高いということも考えられましょうから一概には言えませんが、いずれにしましても、御心配いただいております投票率の低いという点については私ども十分考えております。  先ほどちょっと言葉を漏らしましたが、投票率が低いじゃないかという点で、先般行われました五十八年六月の参議院選挙の投票率が全国が五七%であり、これを愛知県で見ますと五四・一七%で確かに低いわけでございますが、この比率は、前回とかその前とかの比率と比較するのでなくて、同じような条件になります十二年前の選挙、ということは、統一地方選挙の終わった後の参議院選挙ということから比較してみますと、愛知県では、昭和四十六年の六月の選挙の投票率が五一・四五%になっております。ところが、五十八年の場合は五四・一七%になっておりまして、そういう比較をいたしますと、五十八年の方が投票率が上がっておるということにもなります。したがって、何が原因ということは一概には申し上げられません。同時に、私どもも、常時有権者が投票に参加していただくような運動を怠ってはならないという感じを深くいたしておるところでございます。
  65. 安藤巖

    ○安藤委員 最後に簡単に、買収の問題ですが、これは残念ながら後を絶ってない。買収の関係では、小野寺さんも先ほど、最初の意見陳述で申し述べられましたが、買収をなくする方法、何かいい妙案があったら亀井先生と鈴木さんにお尋ねしたい。  それから、立会演説会の形骸化ということがあるのですが、小野寺さんに、山形の方の立会演説会状況が一体どうなっておるのか、お尋ねをしたいと思います。
  66. 亀井重光

    亀井参考人 買収行為をなくするということですけれども、これは確かにないのが一番いいのですが、どうも新聞などを見ても、あれが出てくる。私たち、直接自分の方の選挙区でなくても、全国の中でもああいう記事を見ますと、何か自分たちが責められているような感じさえ受けるわけで、これはなくなるのが一番いいのでございますけれども、いい方法はと申されますが、これについては私たちも、何としても個人のなににお任せする以外にないんじゃないかというふうに考えております。私たちとしては取り締まりの立場、あるいはまたやった時点においては警察の線ですが、こういったものはいけないんだということは常にやっておりますし、また、御承知と思いますけれども、全選連の方から出しておる「有権者としてこれだけは知っておきたい」というような小冊子、その他の中にも詳しく書いてPRをしている次第でございます。
  67. 鈴木匡

    鈴木参考人 お尋ねの点でございますが、この点につきましては、私どもも民間にも啓発団体がございますので、それとタイアップしたりなどいたしまして、明るい選挙の実現にふだん努力をいたしておるわけでございますが、お互いに全部の協力が必要かと思いますので、今後もそのような努力を続けてまいりたいと思っております。
  68. 小野寺喜一郎

    小野寺参考人 立会演説会の件に関してですけれども昭和二十四年に六千あったのが昭和三十二年から一千台に激減をしております。  私がここで申し上げたいのは、回数が減ってきているので参加者が少ないということを繰り返し申し上げたいというふうに思っていますし、私の山形においても、若い青年層を含めて立会演説会への参加等がどんどんふえておりますし、さらには市町村会議員においては立会演説会がないものですから、合同の個人演説会を催した候補者等もいるという現状もあります。  以上です。
  69. 安藤巖

    ○安藤委員 どうもありがとうございました。終わります。
  70. 中野四郎

  71. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 長い時間、参考人の皆様、大変御苦労さまです。遠方からもおいでいただいたわけでございまして、厚く感謝を申し上げます。  私は一昨日以来、発議者の片岡、住両先生ともここで御議論をいたしました。冒頭に私の考え方をちょっと申し上げておきたいと思うのですが、国民から選ばれた国会議員が、いまこれだけ行革だと言っているときに、この程度選挙改正なんかをやっているような、こんな感覚だから、みんなが投票に行かない、立会演説会に行ったってみんな来てくれない。これは、皆さんいろいろな議論がありましたけれども、魅力のある政治家で、日本の将来、世界の中でどうやっていくか、いまの皆さん生活はどうなっているか、どういうひずみがあるか、そういうことを違う政党の人たちが本音で白熱した立会演説会をやったら、これは立会演説会の会場満杯になりますよ。  僕ら大学時代の講義だって、眠ったような講義をしている先生のところはみんな授業に出ないんだから。すばらしい講義をする先生のときなんか、五百人入れる会場にいつもいっぱいになっていましたよ。だから、選管なんか何も責任ないんだよ。選管なんか全然責任ないんだ、一生懸命やっているんだから。われわれ政治家に問題がある。われわれ政治家の方が、立会演説会に行って一目見よう、あいつの演説を聞きたい、こういう政治家がいないことが問題なんだ、僕はそう思う。  それで、相手の人たちが来て、みんな帰っていってしまうという話がありましたね。確かに、私のところもそういう傾向はありますよ。あるけれども、他党の帰りかけた人たちがみんな聞いていくんだから、あいつ何を言うんだろうと。  そして、僕は正直言って、立会演説会で票が一票ふえるなんて思ってないですよ。しかし、他党の、たとえば共産党さんとか公明党さんの皆さんと、この間の選挙からもう三年半、現職の国会議員同士でも一緒になることは少ないのですよね。本当に少ない。だから、意見の違った者同士が大衆の前で堂々と意見を述べ合う、そしてできることなら、立場が違う、違う先生を支持している人たちが集まっているところで自分意見を言う、そうすると、票は入れないでしょう、伊藤公介なんて。入れないかもしれない。だけれども、あいつなかなかいいじゃないか、おらが先生におらはいつも投票しているし、今度も投票するけれども、しかし敵ながらなかなかいい、やはりそういうことも僕らにとっては大事なのです。  だから、私のときにはみんな帰りませんよ。帰らないけれども、やじと怒号です。だけれども、やじと怒号の中で、意見の違う大衆の中で、私を支持してくれない人たちの中で意見を言うのは、私の生きがいなんですよ。だから、立会演説会にかわるもっといいものがあって、テレビ討論かなんかで一時間、二時間やらしてくれるとか、もっとかわるいいものがあればあしたにでもかえてもらっていいけれども、そのかわるものがないというのに立会演説会、全部なくなってしまうわけでしょう。テレビが一回ふえたといったって、テレビではどんなにいい女優さんだって握手できないですよ。「おしん」は確かに魅力があって、みんな見ているけれども、「おしん」が目の前に来て握手して、「おしん」と話をした方がいいんだ。リンゴだってミカンだって、自分で手にとってみて、これは品物がいいかどうか、うまいかどうか。やはり生ですよ。だから、私は、立会演説会だけは残してもらいたい。  立会演説会に、実際には人数は少ないけれども、非常に選挙通の人たちも来ているのですよ。そして、この人たちは非常に公平なんだ。聞いて、あの政治家は若いけれどもなかなか将来性があるとか、もうそろそろあの人は引退した方がいいとか、こういう人たちが世論をつくっていくんですよ。選挙屋と言われるけれども、これは非常に中立の人たちで、毎日お茶飲み会やりながら、選挙が好きだから、政治が好きだから、あいつはどうだとかこいつはどうだとか。だから立会演説会というものは、そういう数字だけじゃなくて、日本政治状況の中ではぜひ残していく制度。残さなければいけない。  さっき世田谷の例がありましたけれども、これはお話を伺っていると区長さんでしょう。区長さんの話を聞きに行くというのは少ないかもしれない。それから参議院選挙というけれども、これだって野末陳平さんは出なかったでしょう。野末陳平が行ったら、みんな黙っていたって二、三百人ばあっと集まるのだから。それが、何だかわけのわからない者が三十人も四十人も出ていて、話を聞きたい人のものを聞くまでに一時間も待たされたら、これはみんな行かないですよ。だから、こんなものは参考にならないよ。  世田谷の例でもしお持ちだったら、前回の衆議院選挙は投票率はよかったですね。この間の衆議院選挙のときの立会演説会の数字がもしあったら、ちょっと教えてくださいよ。ほかのときの数字は百八十位で最低百位とか教えてもらったけれども、この間の衆議院選挙世田谷、うちの方は小杉君が出ているし、小坂さんが出ているし、越智通雄さん、ほかに社会党や共産党もいるけれども、なかなかいい人たちがいるのだ。僕は、もうちょっと立会演説会に行っている人は多いと思うのだけれども、どうですか。数字をお持ちでいらっしゃったらちょっと教えてください、この間の衆議院選挙
  72. 亀井重光

    亀井参考人 きょうは改正の問題で参りました関係から、そういったデータを持ってきておりませんので、あしからず御了承願いたいと思います。
  73. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 ひとつお帰りになられて、この間の衆議院選挙立会演説会はどのくらい集まっていたか、ぜひお調べいただきたい。いまここで教えていただいた数字よりは、必ず人数は多いと私は思いますよ。そういう意味で、立会演説会を残してください。伊藤公介政治活動をやって、これはもう生きがいなんだから。ぜひ残してもらいたい。  日数の問題。日数は、私も実際衆議院選挙を四回やってみて、二十日間というのは、途中五日間くらい中だるみですよ。これは、相撲は十五日間。二十日間だったらいいというものじゃない。やはり十五日がいい。野球は九回。みんなの知恵でやってきて、これは話を聞いていると、やはり皆さんは日数は大体このくらいがいいのじゃないか、大体合意ができている。これは私もほぼ賛成です。  それから、戸別訪問の話があった。参考人皆さんは背後にたくさんの人たちを抱えているから、私の意見を申し上げておきたいのですけれども戸別訪問なんていま禁止している国は世界でどこもないですよ。さっき言ったように、本人と話をさせないでいいか悪いかわからないのだから。これは、自民党さんの中にだって賛成の方は多いのですよ、住先生や片岡先生が署名して賛成だと言っているのだから。だけれども意見の中にはいろいろある。いま言った買収の問題、買収なんかしませんよ。した者はみんな落ちるのだから。  それと、もう一つは、ここに公明党さん、共産党さんがいるけれども、この人たちはなかなかオルグが上手だから、国会でみんな一生懸命やっている間に創価学会や共産党員が毎日毎日戸別訪問されたのじゃ、先生方はおちおちここで国会質疑をやっていられない、そういう心配がある。だけれども、いまはみんなレベルが高いですよ。婦人有権者同盟なんて方がここに見えているけれども、レベルが高い。そんなにしつこくどこかの党員が毎日毎日来たら、そんな人には絶対入れないですよ。さわやかに自分政見を短い中で述べて、そして心あったらぜひ投票してくださいという人に入れますよ。そんなしつこいところには絶対入れない。  だから、こんなことにおどおどする必要はありません。ひとつ堂々と、開かれた選挙法ができるように、私は戸別訪問は自由化した方がいい。外国に行って、僕はアメリカの大統領選挙のときに向こうに住んでいた。学生の連中も徹底した戸別をやるのですよ。そうしなかったら、大統領は何を言っているか、どうなっているかわからないのだから。文盲の人だっているのだから、アメリカは。日本はもうないですね。戸別訪問について、限られた時間ですけれども、ちょっと御意見をもう一度聞かせてください。私は、こんなものは自由にしたらいい、いずれこういう案になっていくと思いますよ。だから、皆さんがここで発言をして、自分の本当の気持ちを言ってください、それが非常に生きてくるから。短い時間で恐縮ですが、どうぞお一人ずつ。
  74. 亀井重光

    亀井参考人 戸別訪問の問題につきましては、さきの先生にもお答えしたのですけれども、確かに個々のおうちに行ってひざ詰めで話をすることが一番よくわかってもらえる。しかし、先生方のつくられた法律に私たちは縛られている関係で、いいとも悪いとも言えないのが現状でございます。(伊藤(公)委員個人的な意見を自由に言っていいのだ」と呼ぶ)いや、言えないのが現状でございます。あえて言えといっても、いまの私の立場ではちょっとそのことは口に出しかねますので、御了承願いたいと思います。
  75. 鈴木匡

    鈴木参考人 先ほども申し上げましたように、きょうの関係では改正案に対して選挙管理委員会としてどう考えるかということで伺ったのでございますので、制度の問題はむしろ先生方でいろいろ御検討いただくことだと思いまして、また御指摘ございますような弊害がないということであれば、自然にそのような方向に向かっていくだろうと思いますけれども、現在のところは、恐らくまだ弊害が多いということで現行上法律が残っておるのではなかろうかというふうに考えられますので、私どもといたしましては、それに基づいて行っているという実情でございます。
  76. 小野寺喜一郎

    小野寺参考人 私は、さっきも申したように、基本的に選挙は大いに自由にあるべきだというふうに思っています。そういった意味からも、戸別訪問のみならず、欧米、諸外国の選挙法も学びながら、もっともっと自由濶達な選挙運動国民と一緒になってやるべきだというふうに思っております。  以上です。
  77. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 もう一問。私は冒頭に、この程度選挙改正では、有権者の皆さんがますます国会議員さんは何やっているんだ、こう言われると思いますよ。私、この間も申し上げたけれども、いま地方議会はもう一万五千人も議員を減らしているのですよ。私の町田でも隣の多摩ニュータウンでも、みんな市議会で、市議会の定数を削減しようというのがどんどん次々通っている。そのときに、これは行革国会でしょう。この行革国会だと言っているときに、行革国会の先にやることはまず議会がやることだ、模範を示すことだ。国会議員……(発言する者あり)いや、私の意見です。だから意見を聞いておきたい。  だから、私は正直なところ、議会がそれを率先してやるべきだと思っているのです。だけれども、たとえば参議院の定数もアメリカに比べれば多いとか、衆議院も定数は本来であれば、公職選挙法四条でいけば四百七十一だとか、やはり国会議員みずからやるべきじゃないか、こう僕らは思っているわけです。  もう時間がなくなりました。ひとつお一方ずつ、選挙法のこれからの将来の改正に向けて、そういう方向を示すべきだと僕らは思っているわけですが、御感想を伺いたい。
  78. 亀井重光

    亀井参考人 制度上の問題でございますので、私からとやかく言える義理合いではございませんので、その点につきましては、あえて私個人といっても、いまの制度そのものが、要するにこのままでいいのか悪いのかということになろうかと思いますが、そういうことから皆様方もこうした選挙運動改正案が出てきたんじゃなかろうか、そういう中でひとつ十分御討議いただきまして、私たちの仕事がやりやすいようにお決めいただければより幸いだと思いますので、よろしくお願いします。
  79. 鈴木匡

    鈴木参考人 いろいろ貴重な御意見を拝聴いたした次第でございますが、それらの問題につきましてはどうか先生方で十分御検討いただきまして、そのお決めいただきましたところに従いまして、管理、執行をさせていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
  80. 小野寺喜一郎

    小野寺参考人 青年政治離れが進んでおる現実の中で、国民から政治が離れないように、青年たち政治にもっと参画しやすいような、ひとつ政治家自身の姿勢も含めて、さらにわれわれ選挙民としての政治に対する政治学習も含めて、高めていきたいというふうに思っておりますし、議会制民主主義の確立、さらに一票の重みや政治資金の規制の問題やいろいろな問題も含めて、今後、選挙制度さらに議会制民主主義を守るためにがんばってほしいというふうに思っております。  以上です。
  81. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 どうもありがとうございました。
  82. 中野四郎

    中野委員長 以上をもちまして、参考人に対する質疑は終了いたしました。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  参考人各位には、御多用中のところ、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。(拍手)  この際、暫時休憩をいたします。     午後零時五分休憩      ────◇─────     午後三時十四分開議
  83. 中野四郎

    中野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  天野公義君外七名提出公職選挙法の一部を改正する法律案について質疑を続行いたします。堀昌雄君。
  84. 堀昌雄

    ○堀委員 公職選挙法改正案議題となっておるわけでありますが、法律案の審議に先立ちまして、前回の国会の終わりに短時間ではございましたけれども取り上げさしていただいた福岡県における選挙違反事件について、国家公安委員長並びに警察庁に少しお尋ねをいたします。  国家公安委員長、ちょっと私、最初に基本的なことでお伺いをするのでありますけれども選挙というのは憲法が約束をいたしております国民の非常に重要な権利でございますね、どういうふうに御理解になっておるか。選挙権といいますか、憲法が国民に約束をしておる非常に基本的な重大な権利だと私は思うのでありますが、いかがでございましょうか。
  85. 山本幸雄

    ○山本国務大臣 私は、選挙というのは、やはり議会制民主主義の根幹といいますか根本であります。選挙は、常に公正に国民の意思が正しく反映するように行われる方法、そういうもので行われなければならないものであって、常に選挙についてはそのやり方の上で適切な方法改正すべきところは改正をしながら、国民のそうした選挙に対する御要請にこたえて、もって議会制民主主義を維持をしていく、こういうものであると思っております。
  86. 堀昌雄

    ○堀委員 それは、後の法律の方をお答えならそれでいいのですが、私が伺っているのは、この春の地方選挙で行われた福岡県におけるいわゆるお布施事件に関連して、要するに選挙権というのは、憲法が保障しておるきわめて重要な国民の権利ではないでしょうかということを伺っているので、いま、ですから特に断って自治大臣としてお尋ねをしたのではなくて、国家公安委員長である山本さんに伺った。それは、そういう基本的な権利であるべき選挙権というものについての考えを承ったのでありまして、もう一回恐れ入りますがお答えいただけませんか。
  87. 山本幸雄

    ○山本国務大臣 国民の参政権というのは、これは国民の基本的な憲法上保障された権利でありますから、選挙権というものは国民がすべて公正に行使をしていただいて、もって正当な選挙を行え、正しい意味での国民の代表をひとつ選んでいただくというのが根本主義であろうと思います。
  88. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで、私、選挙法を長く当委員会で勉強しておるわけでありますけれども、残念ながら世界の選挙制度、先進国は、おおむね政党本位の選挙制度になっておりまして、個人本位の選挙制度というのをとっておるのは、私は、先進国では日本以外には余り承知をしていないわけでございます。選挙部長、ちょっとそれ答えてください。私はそういう認識なんですが、先進国の中で個人本位の選挙制度をとっておる国はほかにあるのかどうか。
  89. 岩田脩

    ○岩田政府委員 実際には、たとえば比例代表制を採用する場合のように、制度としてそういった政党本位のあれを保障しているところもあれば、あるいは現実政党の発達の度合いに応じまして、選挙政党本位になっているという側面もあるかと思います。ですから、ほかにないかと言われますとちょっと困りますが、ほとんどの国は政党中心になった選挙で行われているというように承知しております。
  90. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで要するに、日本個人本位の選挙制度になっておるために、日本選挙法というのは制限選挙法なんですね。べからず、べからず、べからずというのが実は選挙法なんですよ。なぜそういうふうになっているかというと、私は、このべからずという選挙法の基本は、まさに個人本位の選挙制度というものがもたらしておる結果だ、こういうふうに認識をしておるのですが、山本国家公安委員長いかがでしょうか。
  91. 山本幸雄

    ○山本国務大臣 選挙現実の姿に即して選挙法ができている面も否定できないと私は思う。一つの理想を追いながら、そして現実と妥協をしながら一つの制度ができている、こう思うのです。そういう意味では、いまお話しのように選挙というのはやはり自由にやるのが本筋であろう、しかしながら、現実を見ながら公正に、正しい選挙が行われるようにという点から考えて、ある程度の制限といいますか規制というものが今日は行われている、こう思うのであります。
  92. 堀昌雄

    ○堀委員 私は、今度の比例代表選挙は、大変そういう点で取り締まりの対象になる事案は少なかったのではないか、こう思っておるわけですが、警察庁、これに答えてください。そのポイントだけでいいです。
  93. 高田朗雄

    ○高田政府委員 いまお話しの比例代表制の部分につきましては、違反事件は前回の全国区に比べまして激減をいたしました。
  94. 堀昌雄

    ○堀委員 ですから、私はそういう意味で、制度が変わらなければなかなか簡単にいかない問題だと思うのですが、しかし、法律の運用上の問題としても行き過ぎがあってはならない。要するに、制限は制限として認めながらも、それはあくまで選挙人である人たちの人権を尊重し、全体としてその問題について、選挙違反についての判断その他をやる場合にも公正中立的でなければならない、こんなふうな感じがするのでありますけれども、公安委員長、いかがでしょうか。
  95. 山本幸雄

    ○山本国務大臣 それは確かに、おっしゃるように選挙が行われる場合に選挙人、選挙をする人が自由に行われる。しかしながら、その自由に行われる中でやはり公正という点を考えて、そして実際のやり方を規制もある程度やっていくしかないのではないか。しかし、その場合に、選挙運動というのはいろいろな面からの考え方もありますから、実際自由に行われるべきであるという理想はよくわかるのですけれども、しかし若干の規制というものもやはり存在して、そして、いわゆる選挙の秩序が正しく選挙が行われるということを望んでおるものであろう、こう思います。
  96. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで、私は前回当委員会の質問でお布施問題に触れまして、真宗本願寺におけるお布施というものは、お布施を差し上げてそれに対して何らかの反対給付は一切考えないというのが、本願寺の真宗の皆さんのお考えでございました。私も、ここへ参考人に来ていただこうと思ったのですが、なかなかそういかなかったわけでありますけれども、この問題は、ある意味では一つは裁判になっておることであります。  私は、裁判になっている問題について触れる気は毛頭ないのでありますけれども、実は本願寺の方で調べていただきますと、当該事件で福岡教区というところで取り調べられた皆さんにつきましては、寺院の数で四百十五寺院が対象になりまして、対象人員は六百六十九名プラスアルファだという資料をいただいておるわけであります。そうして、取り調べを受けた時間は大体六時間ないし八時間、それがともかくも三日か四日間続いたのが相当にあるわけであります。ですから私は、あのときも法務省の方にも伺ったのですけれども、これだけたくさんのお寺とこれだけたくさんの寺の方を警察に呼び出して、長時間にわたって実は取り調べを行った。この中で、あの直接の該当者を除いて、寺の側において起訴になった人があるのかどうか、ちょっと警察庁聞かせてください。
  97. 高田朗雄

    ○高田政府委員 お答え申し上げます。  奥田派の違反事件でありますが、寺側につきましては起訴になった者はございません。
  98. 堀昌雄

    ○堀委員 お布施を上げた金額は大体五千円ということでありまして、本願寺へ行って私は、今日五千円というお布施は一般の常識的なお布施でしょうかというふうに聞きました。そうしたら、まあ大体福岡県のような地方においては五千円のお布施というのはやや少ない方でございます、平均的にはもう少し高いのではないかと思います、こういうお話でございました。  お寺の側にすると、門徒がお参りに来て布施を置いていく、これを受け取るのは私はお寺として当然の行為だと思う。ですから、私があの議論をしたときは、まだ不起訴か起訴かは確定しておりませんでしたが、私は法務省の方に、買収事犯というのは、買収と被買収があって買収事犯ではないでしょうかという質問をしたら、そうでない場合もあるのだという答弁が出てきたわけです。私は、その答弁が出たことをもってこれは不起訴になる見通しだな、こうあの時点で判断をしたわけです。  いまのは福岡教区でありますけれども、北豊教区というのでしょうか、ここで調べられた寺院数は、全寺院数が百七十三寺で対象寺院が百五十寺院というのですから、大方八割ぐらいですかが対象になって、その対象人員は被疑者として七十名、参考人として百三十名、取り調べ時間は、この北豊教区では被疑者は一名につき約二十時間、参考人約五時間、こういうふうに本願寺から資料をいただいておるわけです。  警察は一体、一般的常識的な門徒が寺へ来て、そうしてお布施を上げたという、そのお布施を買収対象として調査をしたのかどうか。これは一体、どういう意味でこのように長時間にわたって取り調べを行って、その延べ数は八百六十九名に達しておるのです。そうして、この人たちを二十時間もあるいは六時間から八時間ずつ三日間も調べて不起訴になりました、大変御苦労さんでしたと言って帰して、国家公安委員長、そういう国家権力の使用の仕方があるでしょうかね。福岡県警の本部長は、これらの皆さんに大変御迷惑をかけましたと何らかの釈明をしたのかどうか、お答えをいただきたい。
  99. 高田朗雄

    ○高田政府委員 警察といたしましては、この事件につきまして送致をいたしましたのが被供与罪ということで、私どもは買収を構成するものとして九十六件、それからいわゆる買収の申し込みということで、金を持っていった人は申し込み罪でいかぬということでありますが、もらった人はその情を十分に理解していないということでこちらの方を落としましたのが二十一件、合計百三十七件について結果を出したところでございます。  本件につきましては、お布施という名目ではございましても、その供与された経緯あるいはまた授受の状況あるいはまた当事者の意思といったようなものを総合的に見まして、買収罪を構成する容疑事件であるというふうに考えまして、しかも、それがかなり広範囲にわたっておりますので、たくさんの方から事情を聞いた上でしぼりをかけたものでございまして、警察に何度もお出ましいただいた方については、特に何もなかった方については大変お気の毒だとは思いますけれども、私どもとしては、所要の必要な捜査をやらせていただいたというふうに考えておる次第でございます。
  100. 堀昌雄

    ○堀委員 この事案、起訴猶予になっているというのなら話は別なんですね。不起訴になっているということは、検察側としては犯罪について起訴しないということですから、犯罪がなかったということじゃないですか。警察庁どうですか、不起訴というのは、犯罪があってもなおかつ不起訴だということですか。
  101. 高田朗雄

    ○高田政府委員 検察庁の処分された結果につきましては、事情等をつまびらかにいたしませんのでお答えがいたしかねますけれども、起訴猶予あるいは嫌疑不十分という両方が不起訴の中にはあるように存じております。
  102. 堀昌雄

    ○堀委員 ちょっと、私の質問時間中に法務省を入れてください。いまの件は少し後へ残して、前へ参ります。  要するに私は、初めから常識的に見て——配った人がどういう意図であったか、この方は私は触れる気はないのです。しかもお寺の側は、お寺でちゃんと普通にしていたところが、門徒が来て、そしてお参りをしてお布施を置いていった。手渡したのもあるかもしれないが、一般的にお布施というのは、ちゃんとお供えして帰るのが通例ですから、お供えして帰った。そしたら、突然警察から出てこいと言われて、あのお布施は何だ、こういう話になったのだろうと思うのです。  私は、これらの取り調べを受けた方に直接お会いしておりませんで、要するに本願寺の方に話を聞いただけでありますけれども、恐らくそんなことだろうと思うのです。直接受け取っていろいろ話をしたことがあるかもしれないが、全然知らない人も相当あったのじゃないか。これだけの寺の数ですからね。いまのあれでは九十六件、問題は二十一件とかいろいろありましたけれども、取り調べをした数は、いま私が申し上げた数とほぼ近いのではないかと思うのですが、あなたの方の調べでは一体、全体で何人取り調べたのですか。
  103. 高田朗雄

    ○高田政府委員 先生の方で詳細にお調べいただいたのを私ども、実はフォローする資料を持っておりませんで、参考人を何名調べたか、把握いたしておりません。  ただ、この種の事件につきましては、釈迦に説法になりますけれども、いわゆる必要的共犯事件というので、供与があって受供与がある。もらった方と渡した方とが双方その趣旨を認識し合っている場合には双方が違反になる、こういうことに相なります。渡した方はそのつもりで渡したということだけれども、もらった方はその意思が通じていない、情を知らないというものにつきましては、先ほど先生のお話しになりました申し込みというか、渡した方だけが罪となって、受け取った方は認識がないということになるわけでございます。  そういう過程でございますので、やはり皆さん、金を渡した、もらったという状況があるか、あるいは非常にある疑いがある場合には、もらっていないかとか渡していないかということを調べるために、かなり広範にわたったことは事実でございますが、最終的には先ほど申し上げた結果で処理をいたした、かような次第でございます。
  104. 堀昌雄

    ○堀委員 その程度のことに六時間も八時間もかかるのですかね、警察というところは。どうも私は警察というのは、一般の市民を取り調べるときには、参考人か被疑者かは別としても、犯罪人という角度で取り調べをしている感じがしてならないのですよね。しかし、一般の国民、特にこういう人たちが初めから犯罪人であるわけもないし、さっき言ったようにこれは選挙に関する問題でして、要するにその他のあれではないわけですから。少なくとも選挙というのは、憲法が国民に約束をしておるところの基本的な重要な権利である。その選挙権に関する問題について、要するにこのような、初めから買収容疑者のような態度で取り調べをすることになるので、六時間も八時間もかかるのじゃないだろうか。  そんなにむずかしい問題じゃないのですよ。あなたはお布施をもらいましたね、お布施はいただきました、あなたはそれについて何か頼まれましたかと。恐らく頼まれた人は、お寺の方ですから、頼まれたと言うでしょう。頼まれていない人は、頼まれていないと言うでしょう。そんなことはないでしょう、それは頼んだはずだ、わからないけれども恐らく警察ではそう言われて、いや、私は頼まれた覚えはありませんと言うと、いや、それはこうではないか、ああではないかで六時間も八時間もかかる。  この選挙違反で取り調べを受けた人は——私は、私自身かつての二回目の選挙のときに、私自身は今日もこうやって、初めから選挙違反などやる気は毛頭ないしするのですけれども、沖縄県人会の会合に安保問題で選挙の約二カ月ぐらい前に話に行って、そして沖縄と安保という話をそこでやったわけですが、その同じ会場で、選挙中に実は個人演説会をやった。  そうしたところが、この調べられた人たちは、前の方の二カ月前のときは選挙に何も関係がないので、それを司会をした市会議員の方が——その後みんなで、沖縄の方が集まったので、しょうちゅうとすしで食事をして帰った。ところが、同じ場所で選挙中に私が個人演説会をやったものだから、関係者が私に、あとの方はそうでもなかったと言っているのだけれども、警察で、いや、そんなはずはない、言っているやつがおるぞ、あの個人演説会の後で、しょうちゅう飲んで、すし食ったじゃないかといってやられて、もう私らこわうてこわうてしょうがありませんから、警察から言われたらもうしようがありません、それはそうですと言うて、それでなきゃ帰さぬ、こう言われて言いましたという話で、結局私の仲間の市会議員は裁判になって、市会議員を辞職をして、高等裁判所で執行猶予になって、その次の選挙に出てもらうと。  私はそのときに、この関係者を一人一人呼んでつぶさに聞いてみて、警察の選挙違反に対する取り調べがどういうものかということを、私自身が経験しておりますからね。それは私がやったのではなくて、事実いまのその市会議員もやっていないのだけれども、たまたま場所が同じであって、それはもういろいろな人がいるものだから、錯覚を起こして、あそこであの日、済んだらしょうちゅうで、すしを食いましたと言うのが一人いると、あとはみんな言ったぞと、これで、実はそういうことが起こったという歴史的な経過を私は持っているわけです。ですから私は、この問題が起きたときに、これは大変なことだなと。  私は奥田派の問題については、前回も今回も、この人たちが何を意図し、どうしたかということを触れる気はないけれども、このお寺の皆さんは大変気の毒な立場なんですね。そういう人たち運動の中に巻き込まれて、何らそういう意思もなかったのに呼び出されて、六時間から八時間、三日、四日と調べられて、結果は不起訴になっているということは、私は、これは特にお布施というような宗教的な問題にも関連をしたことでありますから、このお寺の皆さんは非常にお気の毒な思いをされたなあというのが、率直ないまの気持ちなんですね。  ですから、山本国家公安委員長、あなたは警察を代表して、この取り調べに当たって、いまの八百人余りの方に大変御迷惑をかけました、警察も今後はこういうようなことのないようにしたいと思うというお答えをひとつ公式の場でお願いをしたい、こう思うのですが、いかがでございましょう。
  105. 山本幸雄

    ○山本国務大臣 私の立場は、具体的に一々の捜査の事案について捜査の指揮をするわけでもありませんし、委員長というものはそういう職責を持っておりません。ですから、警察庁の方からその事案の内容、指揮の状況というのについては御答弁をいたします。  ただ、いまいろいろお話しの中で私の一つの感じを申し上げさしていただくならば、お布施は先生おっしゃるように、確かにお寺に差し上げるのだ。これは、お寺にお参りするときお布施を持っていくのはある程度あたりまえのことであろう。ただ、この場合は選挙の最中であります。候補者に関係のある人、一つのお寺にお参りするばかりじゃなくて、わりあいにたくさんのお寺にお参りをされる、しかも同じパターンで、五千円は全部同じ金額を包んで歩かれる。だから一つのお布施を持っていく行為というものを捨象するというだけで、この事案の判断はできない。やはり周囲のそのときに行われたいろいろな事象というもの全体を通覧して判断をしたものであろう、私はこう思うのです。  それから調べが大変長かったというお話で、これは私もそういうことであったのか、つまびらかにいたしておりませんが、やはり被疑者で調べる場合と参考人で調べる場合と多少違うと私も思うのです。それで、一つの犯罪の容疑でもし調べるとすれば、やはりそれだけの内容について調書も書かなければならぬでしょうから、中身はしっかりと詰めた内容でなければならないと思うのです。それに必要な時間というのはどれくらいかかるかということになれば、それは個々によって違うと思うのです。  全部が全部そういうことであったのかどうか、私もどれだけの時間をかけたのかどうか存じませんけれども、それは警察は警察として捜査上それだけの時間をかける必要があったことであろう、こう私は判断をするのであります。個々の事態、事案が一つ一つどういうことであったのか私もわかりませんので、私のお答えが果たして正しいと御判断いただけるかどうかわかりませんけれども、私の感じを申し上げさしていただければそういうことであります。
  106. 堀昌雄

    ○堀委員 特に、この福岡教区では組名という名前で、三門南という組では、妊婦、老人まで特に厳しく調べられた、こう書いてあるのですね。人権問題なのです。私は、何も国家公安委員長に責任を求めようとか、そういう気持ちは毛頭ないのですよ。しかし皆さん、これは確かに配った方は、たくさん行ったのでしょう、しかし、受け取った方は一人なんですよ。お寺一つなんですよ。そのお寺の側にすれば、たくさんあっちこっちへいろいろ配ってきた中の一人だなんてことはわからぬわけですからね。ただお供えがあったから受け取った、それを老人、妊婦も特に厳しく調べられたという。時間数も長く書いてありますけれども、これは私は大変行き過ぎた問題がある、こう思っているのですよ。だから私は、何も配った方については触れないと言っているのです。受け取ったと言われて調べられた人というのは、これは選挙に何にも関係のない人なんです。警察庁、そうでしょう。
  107. 高田朗雄

    ○高田政府委員 おっしゃいますように、お寺の住職さんがお留守であるというようなところで、奥様だとか、あるいは大き目の子供さんなんかがおられるところにつきましては、そういう受け取った方について事情を聞いたという事実はあるように聞いております。ただ、特にそういうものを厳しく調べたかということにつきましては、受け取られる側と、した側とのちょっと意見の違いがあるのかと思いますが、それなりに考えてやっておったであろうと、私の方はこれは推測でございます。  ただ、一般に取り調べなり事情聴取という問題自体につきましては、選挙に限らず、私どもの捜査の手段あるいは方法といたしましてそれなりに、実態的な真実を解明するためには今後とも不可欠の手段でもございますし、それだけに取り調べというものの適正妥当という問題につきましては、私どもかねてから関心を持ち、そしてまた徹底した指導を図ってまいっておるところでございますけれども、今後とも取り調べにつきましての適正妥当という問題の指導につきましては、なお従来以上に力を入れてやっていきたいというふうに考えておるところでございます。
  108. 堀昌雄

    ○堀委員 警察庁から、今後は少し考えたいということでありますから、要するに、どれでも同じというのはまずいと思うのですよ。案件自体について、常識的な判断、考慮が払われなければならぬというふうに私は思っているわけです。取り調べてはいかぬと言っているわけではない。ただ、取り調べのあり方が少なくとももう少し常識的であっていいのではないかということを特に申し添えます。私も資料をいただいているだけですから、それがどうだったかということを本人から聞いているわけではありませんけれども、特にここに特記してあるわけですよ。妊婦、老人まで特に厳しくなんて書いてあると、これはちょっと常識的でないなと思うのは当然なので、後でちょっと法務省のあれを最後に聞くことにして、いまのこの問題についての質問はここで終わりたいと思います。  次は、法案について、ひとつ自民党の提案者の方にお伺いをいたします。  これは、一九八三年十月七日、選挙改正運動協議会、主婦連合会日本青年団協議会日本婦人有権者同盟、理想選挙推進協議会全国地域婦人団体連絡協議会というところから私どもに、「自民党「公職選挙法改正案」を廃案とすることを要望する」という文書をちょうだいをいたしておるわけであります。   選挙改正運動協議会団体は、衆議院公職選挙法改正調査特別委員会で審議中の、自民党公選法改正案に反対し、廃案にすることを要求します。     理 由  一、本案は、主権者である有権者の選ぶ権利を著しく阻害します。    選挙運動期間短縮立会演説会の廃止、選挙運動時間の繰下げは、いずれも有権者が、候補者政策政治姿勢を知る機会を減少させ、不利益をもたらします。  一、選挙制度審議会も開かず、公聴会もなしで、通過成立をはかることは、有権者、国民を完全に無視するものです。  一、田中ロッキード判決前に短期成立をはかるなど、余りに見えすいた党利党略であり、これを強行すれば国民政党国会不信は極限に達するでしょう。 こう書いてあるのですね。  片岡先生、これに対してはどういうふうにお答えになるか、ひとつこの文書についてまずお答えをいただきたい、こう思います。
  109. 片岡清一

    片岡議員 ただいまお読みいただきましたが、一般の方、特に公正選挙について関心を持っておられる方々から言えば、確かにそういう見方が出てくると思います。  しかしながら、今回提案いたしましたものは、決して突如としてわれわれが出してきたものではございませんで、党内において長い時間をかけて十分検討いたしました。そしてまた、ある程度の党内のコンセンサスを得られた段階で野党各党の皆様方にも大体の方向を申し上げて、そして御意見をいただくというような手続もいたしましたし、また、地方の選挙にも関係が非常に深うございますし、また、一般の選挙民の方を代表するという意味で、知事、市長、それから府県、市町村というような各段階のいわゆる地方六団体皆さん方にも御相談をいたしまして、御意見を聞き、慎重のうちにまとめ上げたものでございます。  そして、中にはいろいろさらに論議を尽くさなければならぬ、重要といいますか、中長期にわたって結論を得なければなかなか出ないというようなものもございます。そういうものも一緒にいろいろ検討をいたしまして、結局、その中でコンセンサスを得られた六項目、七項目の問題につきまして今回御提案を申し上げた、こういう次第でございまして、決して思いつきですぐ出してきたというようなものでないことをまずもってひとつ御理解を賜りたいと思います。  それから、今度出したものはいずれも選ばれる方の都合のいいことが主じゃないか、こういうことは確かにございます。この点も、われわれは非常に配慮いたしました。ただ、しかし、選挙というものはどこまでも、選挙する方が自由濶達に、選挙する人の人選び、これを自由にやっていただくことが大事であることは言うまでもございません。  しかしながら、自由濶達という点も、おのずから選挙運動にはかなりの大きな経費を要する、この経費をどの程度で、知る人の権利を重んじながらどこで調整をとっていくかという問題だと思うわけでございまして、やはり選挙民主主義の基本をなすものでございます。これに金がよけいかかり過ぎるということは、結局そのために、いろいろの好ましからざる金を集めたり、あるいは不浄の金によってそれが賄われるということになりますと、選挙の公正を害するのみならず、政治の根幹を乱すものになるわけでございまして、そういう点で、できるだけ金のかからない選挙にしながら、国民の皆様方に自由濶達にやっていただくということへの調整を図っていく、そういう見地から今回、案を提出したような次第でございます。  これらの問題については、われわれとしては相当の検討をし、関係の方面の意見を聞きながら、これなら妥当であるというような問題を選んで提案した次第でございます。その点、御理解を賜りたいと思います。
  110. 堀昌雄

    ○堀委員 いま、六団体ですか、県とかいろいろなところの意見も聞いたとおっしゃるのですが、これはどちらかというと、選挙を管理する側の立場の人たちでございますね。いわゆる選挙民ではございませんね。公職選挙法第一条は、「この法律は、日本国憲法の精神に則り、衆議院議員、参議院議員並びに地方公共団体の議会の議員及び長を公選する選挙制度を確立し、その選挙選挙人の自由に表明せる意思によって公明且つ適正に行われることを確保し、もつて民主政治の健全な発達を期することを目的とする。」こう書いておるわけですね。「その選挙選挙人の自由に表明せる意思によつて公明且つ適正に行われることを確保し、」ということは、選挙民が要するに、候補者意見を十分に聞く機会が与えられて、初めて自由にして公正な判断ができると思うのです。  ですから、いまのお話を聞いておりますと、御相談になったのは、選挙を管理する側の県とか市とか町村とかの団体は、それはまあ短くなったり立会演説がなくなったら、事務の手続は簡素化されて大変楽になる。国もそうでしょうが、自治体も費用が減って助かるだろう。これは、いまの選挙法が持っております基本的な、選挙人が中心なのであって、要するに、私ども選挙をされる側とか選挙の管理、執行をやる側というのが前へ出て物を処理するものではないのではないのか、選挙法というのは。あくまでも選挙人の側に立って公正、適切に行われる必要がある、こういうふうに私は考えるのです。  ですから、このいまの選挙改正運動協議会団体というのが、まさに選挙人を代表する団体であって、この団体意見こそ尊重されるべきであって、選挙管理、執行の側の六団体意見を聞いたから、そこは瑕疵はないのだとおっしゃる点については、私はいささか意見を異にするわけでございます。しかし、今日、ここでもうすでに法案として提案されておりますので、そこのところは一応私の意見として申し上げるのでありますが、非常に重要な点は、わが党が強く主張しております点と、この皆さん文書が一致しておる点なんですね。「選挙制度審議会も開かず、公聴会もなしで、通過成立をはかることは、有権者、国民を完全に無視するものである。」  きょう、参考人をお呼びになったのですね。ちょっと参考人出席者の名前とあれを見せてください。——きょう参考人を三人お呼びになったようであります。一人は日本青年団協議会会長、どういう御意見をお述べになったのか、私ども出席をしておりませんでしたのでちょっとわかりませんが、これはどうやら日本青年団協議会という、この文書にあるものと同じなんでしょうね、日本青年団協議会会長。これどこか事務当局の方で答えてくれないかな、これは同一なのか。——片岡先生、お答えいただけますか。文書の方は、日本青年団協議会というのが選挙改正運動協議会団体の中に入っているのですね。この文書だけで見ると、日本青年団協議会会長ですから、小野寺喜一郎さんというのは。ここへ反対意見を述べるために参考人としておいでになったのかどうか。
  111. 片岡清一

    片岡議員 きょう来てもらいました日本青年団協議会会長というのは、各市町村にございます地域の青年団、そういう地域青年団協議会会長、こういうふうに私は理解をいたしておりますので、まあ大方の国内の各市町村におる若い人たち意見を代弁する、こういうふうに考えておるわけでございます。
  112. 堀昌雄

    ○堀委員 ちょっとこれ、よくわかりませんのであれですが、いまの「廃案とすることを要望する」という中には日本青年団協議会、こうありますので、恐らく同じ名前の日本青年団協議会というのは二つあるようには思えないので、どのような公述をなすったのかわかりませんが、それはさておいて、その次が全国市区選挙管理委員会連合会会長都道府県選挙管理委員会連合会会長、私がさっき申し上げたように、これは選挙を管理、執行する側の代表者でありまして、これは選挙人の代表じゃないですよね。  もし選挙人の代表とすれば、この三人の参考人の中の小野寺さんというのは、選挙人の代表だと思います、おっしゃるように、その日本青年団協議会というのは。しかし、その団体はどうやら、「廃案にする」ようにという文書がここに出ているということになりますと、どういうふうにおっしゃったのか、会議録で後ほど拝見をいたしますが、どうも大変矛盾に満ちておるのではないかという気がします。  しかし、どちらにしても、私どもが公聴会を要望してきておりますのは、選挙管理執行者などを参考人に呼んだって、それは選挙法第一条が示しておるし、同時に選挙法の基本でありますところの選挙というのは選挙人が主体なのであって、選挙管理執行者やわれわれは主体じゃなくて、要するに受ける側なんですね。だからその点を考えますと、私は公正な形の公聴会が開かれてしかるべきである、こういうふうに思いますけれども、いかがでございましょうか。
  113. 片岡清一

    片岡議員 ただいまお話しでございましたきょうお持ちいただいたその団体の御意見その他、新聞紙上においていろいろの意見が出ております。そして、広く選挙する者の立場から考えると、このべからず集みたいな自由な運動を制限するようなやり方については、やはり批判的であることは私も存じております。しかしながら、われわれが平素各地域を回りまして、それからまた選挙管理委員会というのも、それぞれの市町村において広く選挙についての意見を集約するという役目も果たしておるようでございます。したがいまして、それらの団体から平素いろいろの意見がわれわれの方へ出されております。  その中には、必ずしもいまお話のあったような意見だけでなしに、どうも長い間、朝から晩まで少し声を張り上げてあちらこちらと回っておる、そしてことに候補者の数が多い、それから府県、市町村選挙になると、その密度がさらに加わってくるので非常に静ひつを害する。今日、テレビ、ラジオその他のマスメディアが昔と違って非常に発達をし、そしてまた昔は山の中に行くのには、大きなトラックに乗ってがたがた道を相当時間がかかった、今日はもう道路が四通八達をしておる、こういう段階において、もう少し文明の利器を利用しながら合理的な選挙運動ができないかという声も、われわれのところへ入ってきております。われわれはそういうものも、党においていろいろ自民党の地方組織その他の団体を通じて手元にいただいております。そういうものを参酌いたしまして今日の案をまとめたような次第でございまして、御理解を賜りたいと思います。
  114. 堀昌雄

    ○堀委員 自治大臣の退席の問題が出ておりますので、ちょっと話の中に——法務省出席をしていただきましたね。福岡におけるいわゆるお布施事件というので、大変たくさんの人が警察の取り調べを受けました。そうして、私の手元にあるのは、参考人も被疑者も含めての人数でありますが、五百六十五寺、八百六十九人の人が取り調べを受けた、こういうふうに本願寺の方から調査の資料をいただいておるわけです。しかし、この方たちは全部不起訴になって、起訴された者はないというふうに警察庁はいま答えておりますね。  不起訴というのは、犯罪として裁判に付する必要はないという判断で実は不起訴になったんだ、こう私は思ったのですが、警察庁では、不起訴の中にはいろいろランクでございますか何かがあるようだということなので、それでこの案件についてちょっと急に法務省に来ていただくことにしたわけです。  私はこの問題は、お布施を置いた人たちのことは初めから触れてないのです。要するに、それは何らかの意図を持って動いたのでありましょうから、それが犯罪の事実に該当するかしないかを含めて、これは私は全然タッチをする気持ちはないのですが、お寺の側からしましたら、たまたまそういう人たちがやってきてお布施を置いていった。門徒が来ているわけですから、門徒が来て、そしてお寺で拝んでお布施を置いていったというだけですね。  しかし、そこでこれだけの人が警察において六ないし八時間、三日ないし四日にわたって取り調べを受けた、ある地域では妊婦や老人までも厳しく取り調べを受けた、こういう事態なものだから、この人たちは大変お気の毒だったな、お布施というものは本来が本願寺派では、真宗では何らかの対価、対価というとおかしいですね、何らかの給付というか、何かを考えてお供えをするというようなものじゃないのです。純粋な気持ちでお布施を差し上げておるというのに、それがこういうことになったのは大変残念なことだというのが、本願寺の皆さん意見なんですね。  その不起訴というのは、この該当者の何人がどうだったかわからないのですけれども参考人と被疑者と両方ありますからね、そこのところはどうだったのか、法務省に簡単にお答えをいただいて、自治大臣にもう一言お答えをいただいたら退席していただこうと思います。
  115. 飛田清弘

    ○飛田説明員 ただいまのお話の問題は、事実関係で、いまの御質問の内容と私どもの把握しているのと若干食い違いがあるかもしれません。と申しますのは、ただ信徒としてお参りしたのかどうか、法廷では恐らくその際にいわゆる法定外選挙文書をばらまきまして、それと一緒にお布施を置いていったというふうな認定がされているようでございますから、完全純粋に信徒としてだけお参りしたのかどうか、その辺のところは若干の違いがあるかもしれません。しかし、結果的には、先ほど来御質問がございましたように、住職の方々は全員不起訴になっております。  その不起訴の内容は、こういうお尋ねでございますからさらに申しますと、五千円ずつ受け取られた住職さんの中には、受け取る意思が最初から全くなくすぐお返しになった方とか、知らない間に置いていかれて気がついてすぐお返しになった方とかいう方がございます。こういう方々は、初めから受け取るおつもりがなかったわけでございますから、これは犯意がないわけでございます。犯意がないということは犯罪にならないわけでございまして、嫌疑がないということになるかと思います。  それから、中には若干犯意が、法律的に見れば受け取るつもりで受け取られたというふうな感じの方もあるようでございます。しかし、そういう方は、一応法律的にはいわゆる供与を受けた罪という二百二十一条でございますか、あれに当たることは当たるのでございますけれども、情状その他からしまして、お布施を受け取ったときの状況とか金額とかその他諸般の状況を勘案いたしまして、一応犯罪には該当はするけれども、これは起訴するほどのものではないということで起訴猶予という処分になっておりまして、九十何名かの方だろうと思いますが、それらの方々の個別的な状況に応じて同じ不起訴でも区別して処分されている、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
  116. 堀昌雄

    ○堀委員 そうしますと、結局問題は、嫌疑がなかった、犯意がなかった人というのはこの中で何件ですか、ちょっとそれを答えてください。
  117. 飛田清弘

    ○飛田説明員 これはいま突然のお話でございまして、私ども詳しく調べておりません。概括的に申しますと、いま申されたようないろいろな方がおありになって、それぞれに応じて処分されているということで、いまちょっと手持ちがございませんので御勘弁いただきます。
  118. 堀昌雄

    ○堀委員 後日、当委員会にいまの問題については資料で、要するにいまの警察で調べた者の中で被疑者、参考人は別ですね、被疑者で、そして嫌疑のなかった者、それから起訴猶予になった者、それを資料として一応提出をいただきたいと思います。  そこで自治大臣、いまの問題の中で嫌疑がなかった方と参考人として呼ばれた方は何としても大変お気の毒だった、私こう思うのです。だから私は、国家公安委員長としてどうこうと聞きませんけれども、要するに山本さんとしては、気の毒だったという気持ちはおありじゃないかと思うのです。国家公安委員会を代表してなどと言うと、あなたは物が言いにくいだろうから、自治大臣個人でもいいけれども、やはりそういう参考人で問題のなかった方あるいは犯意のなかった方が長時間調べられたということは、私は大変お気の毒なことだったと思うのですが、その点だけひとつお答えをいただいて退席していただいて結構でございます。
  119. 山本幸雄

    ○山本国務大臣 いま法務省の方からもお答えがありましたが、受け取ったか受け取らぬのか、とにかく置いていかれた方のお寺側から言えば、いまのお答えでは二種類に分けられた。一つは不起訴である。これはそういう意思が全然なかった。しかし、片っ方は何がしか意識というのか意思があった、しかし情状酌量して起訴猶予にしたのだ、こういう振り分けをしたような御答弁でございました。さすれば、警察の方で調べたときは、それだけの意思を捜査の上において確かめる必要はやはりあったのかなという感じが、いまの法務省のお答えを聞いていて私はするわけです。  そこで、それを今度は法務省の方で受け取り、検察庁が受け取られてそこのところを振り分けをせられて、一方は不起訴、一方は起訴猶予。そういう意味からすれば、不起訴になった方々は全く御苦労さまでございました、御迷惑でございましたと言うほかはないと私も思うのです。しかし、捜査の過程におきましては、そういう振り分けをするだけの捜査というのか調べはやはりしなくてはならなかったということは、私は警察の立場から言えば申し上げなければならぬだろう、こう思うのです。
  120. 堀昌雄

    ○堀委員 私は、調べたのがよくないと言っているのじゃないですよ。それは立場上調べざるを得ないですね。しかし、参考人というのは初めから被疑者じゃないのだから、取り扱いに区別があったのだろうと私は思うのです、被疑者と参考人というのは違うはずだから。しかし、それにしても結構長時間、参考人も五時間ぐらい調べられたと書いてあるわけです。それと結果的に、調べた結果だけれども、全然犯意がなかったという人は、今日から振り返ってみますと、いま大臣おっしゃったように本当にお気の毒だったという気がするものだから、それはもういまの御答弁で結構ですが、要するに何らか公権力がそういうふうな処理をしたけれども、それはちょっと行き過ぎもあったというふうに私は認識をするものですから、それでこれを取り上げて、公権力としての立場としても大変お気の毒でございましたということはあってよかろうというのが、本日の質問の趣旨でございます。  これは、基本的人権の一つの選挙権というものに関連しておるがゆえに、これがその他の刑法上の問題ならいろいろ違うと私は思うのですが、非常に重要な民主政治の根幹をなす選挙権という問題と関連してこの問題がああいうかっこうで処理をされたことは大変残念なことである、私はこういう認識なものですから、その点は法務省、検察庁も十分受けとめていただきたいというのがこの質問の真意です。  時間がありませんから、最後に一つだけ郵政省。今度立会演説会をやめるという話が出ておりますね。私は、今度の改正の中で一番大きな問題点だと思っておりますよ。立会演説会というのは、少なくとも候補者日本のような個人本位の選挙制度であるならば、自由民主党から三人出ておられてもおのおの物の考え方が違うわけですね。私どもだって、私の選挙区では私と土井さんと二人出ているわけですから、社会党の政策については一緒だけれども個人的な考え方もある、こうなるわけで、立会演説会の持っておる性格というものは大変私は重要な問題だと思っておる。  ところが、これは取りやめる。取りやめるのは、来る人たちがいろいろ問題があるということなので、首都圏でたとえば十分間だけ立会演説をやったらどうかという話をしたら、首都圏では候補者がたくさんいてとてもできないという話。しかし、いまテレビのあいてるチャンネルがありますね。このあいてるチャンネルを使って、そこはほかの放送に関係がないわけだから、ひとつあいてるチャンネルを使って二十分、一人二十分やらなくても十分でもいいから放送するということはできないかどうかということだけ、ちょっとお答えください。
  121. 岡利定

    ○岡説明員 お答え申し上げます。  東京で使っておるチャンネル、たとえば1と3の間に2があいてるということでございますが、周波数の事情で、東京のは近隣のところで同じような使用をやっておりまして、そこを使いますと今度はその辺に混信が起こるということで、いわゆる1から12までのVHF帯では不可能でございます。  UHF帯になりますと周波数の数も多いわけでございますが、首都圏につきましては、東京タワーを中心として、たとえばNHKの場合でございますが、百数十の局で首都圏を全部カバーしておりますので、各地域に漏れなく放送するということになりますと、やはりそれだけの周波数がよけい要るということになるわけですが、現実にその周波数はわが国の周波数事情から無理であるということでございます。  もう一つは、仮に東京でUHFが虫食いでございますけれどもあいておったといたしましても、たとえば東京の場合にはUHF帯のアンテナをつけてないとかあるいは受信機がないとかというような事情がございますので、首都圏でUHFのあいてるところを使う、選挙にお使いになるのはかなりむずかしいというように考えてございます。
  122. 堀昌雄

    ○堀委員 お約束の時間が来ましたから質問を終わりますが、ただし、私は今度の改正は大変国民の知る権利を阻害するという点で、やはり公聴会で一遍選挙人の意見を聞くということは大変重要だということを申し上げて、質問を終わります。
  123. 中野四郎

    中野委員長 山花貞夫君。
  124. 山花貞夫

    ○山花委員 これまでの質問を受けまして、若干の質疑お願い申し上げます。  今日、国民選挙法、選挙制度について持っている関心の最大のものは、一つは金権選挙に対する批判、一つは定数是正にかかわる問題ではないかと私は考えます。今回の六点にわたる法改正の提案は、こうした国民の求めている選挙制度の改善とは縁がないというよりもむしろこれに逆行するものではないか、こうした観点から、私は反対の立場で以下質疑をする次第であります。  実は、最近の選挙制度を振り返りますと、いま申し上げました金権選挙と定数是正の問題これが国民から批判を受ける中で、一つの大きな問題として国民政治離れということが起こっているのではなかろうか、こういう気がいたします。まさに民主主義の根幹にかかわる問題ではないか。そうした観点からいたしますと、むしろ今日必要なことは、先ほども選挙が自由に濶達に行われるのが望ましいというお話がありましたけれども選挙の権利を拡大する、選挙運動をさらに自由化する方向で本来議論がなされるべきではなかろうか、こういうように思います。  実は、今回の提案に関連いたしまして、われわれが従来主張してまいりましたような選挙の自由化、選挙運動を拡大するという方向につきましては、法改正に当たり何らの考慮をする機会もなかったのかどうか、この点について冒頭お伺いいたしたいと思います。
  125. 片岡清一

    片岡議員 お話のように選挙の原則は、どこまでも国民の皆様方に自由濶達に候補者の中からこれという人を選んでもらう、そういうことが目標であります。したがって、できるだけそういう線に沿うた改正をしなければならぬ。  特に、いま一つの例としてお話しになりました一票の重み、定数是正の問題等につきましても、これは非常に重要な問題でございまして、ことにいまやこの定数是正の問題は、衆議院としては過去二回にわたって是正が行われておりますわけですが、その後やはり経済的あるいは文化的、いろいろな発展の中に地域の格差が相当出ております。そういう点で、やはりこれを是正をして一票の重みの格差をなくすることが、まず第一の国民選挙権を尊重するという立場から必要な点であることは、私も同感でございます。  しかも、これは憲法違反の問題と絡みまして、すでに埼玉、千葉、東京、兵庫、大阪といったところに、それぞれ裁判の中に係争されておる問題でございまして、いずれこれは近く最高裁の判決が出るという段階に来ておるようでございまして、これらの問題については避けて通ることのできない問題であると存じます。したがいまして、われわれ自由民主党といたしましても、選挙制度調査会においてこの問題を、基本問題小委員会という委員会で、もうすでに一年以上にわたりまして検討を進めております。  しかしながら、これは非常に重要な問題でございまして、定数というものは必ずしも人口だけではいかない。あるいは経済の情勢にも関係いたしましょうし、あるいは地域の広さというような問題もございましょうし、その他選挙制度そのものにもいろいろ関係する問題でございまして、選挙の根幹に触れる問題になってまいります。したがいまして、そのコンセンサスを得るということはむずかしい問題でございまして、党内においてもなかなか甲論乙駁でまとまりません。  しかし、さっき言いましたように、これをいつまでもほっておくわけにはまいりませんので、できるだけ早い機会に何らかの対案をまとめて、そしてある程度の段階ではひとつ各党の皆様方にも御相談をしていかなければならぬ。それで、ことに行政改革が行われております今日、きのうからの御質問の中にも、議員の定数を減らすべきではないか、地方の議会では相当減らしておるじゃないか、こういう問題も出ております。したがいまして、これらの問題もあわせて考えまして、そうしてできるだけ早い機会に成案を得たい、かように一生懸命に努力をしておるところでございます。  なお、選挙人の選ぶ権利をもっと拡張するという意味で、戸別訪問を許すべきでないかというような御意見もいろいろ出ております。これらの問題についても、いろいろの場合を検討しながらやっておりますが、これの自由化についてもかなりいろいろの問題がございますので、容易にこれを自由化するということについては結論が得られない段階でございます。これらの問題等についても十分検討しながら、一定の時期が来ましたら皆様方に御相談をして、相ともに共通の土俵で論議を進めていきたい、かように思っておる次第でございます。
  126. 山花貞夫

    ○山花委員 いま一定の時期というお話がありましたけれども、実は当委員会におきまして私も、この問題を幾度か取り上げた経験があります。実は、大変失礼な言い方かもしれませんけれども、一歩も前進がないのではないかというのが率直な印象でありまして、この点自治大臣にも、特に最近の裁判の流れとのかかわりでお伺いしておきたいと思うのですが、参議院の選挙についての定数是正問題これまで幾度かもう触れられました。衆議院の選挙につきましては、いまの御説明にもありましたとおり、本年七月十三日に大法廷が口頭弁論を開きまして、解散、総選挙の時期とのかかわりもありますけれども、その前に最高裁の衆議院にかかわる定数是正問題について、いわば上級審としての最後の判決がなされるであろう、こういうことが予想されている大変大事な時期を迎えています。  加えて、こうした問題につきましては、単に国会段階での議論だけではないわけでありまして、昭和五十二年度あたりではなかったかと思いますけれども、私が当委員会におきまして、たとえば地方議会における同じ問題、東京都の都議の定数の問題について問題提起をした記憶がございます。そして、もし都議定数についても放置しておくならば、国政段階の選挙と同じように裁判が次々と起こってくるのではなかろうか、こう申し上げた記憶があるわけであります。現実に一部修正がありましたけれども、依然として大きな格差が残っておる。こういうことから、本年七月二十五日、東京の高等裁判所でありますが、今日の東京都議選、この条例につきましては公職選挙法に違反している、そして違憲、違法であるということについて明確な判断がなされました。  時間の関係がありますから詳しい内容について触れることは避けますけれども、こうして国政段階の選挙は当然のこととして、いま地方自治体の議員の選挙につきましても定数是正の問題が裁判所で明確に違法である、事情判決ということで現実の救済はされておりますけれども、判断がなされ、いわば行政府における怠慢が司法の場から厳しく責められておる、これが現状ではなかろうかと思います。こうした全体の問題につきまして、自治省、自治大臣としてはどのようにお考えか、見解をお伺いしておきたいと思います。
  127. 山本幸雄

    ○山本国務大臣 定数是正問題というのは、現在のわが国における選挙の中の最大の課題であろうとは思うのです。裁判所で違憲判決が出るというようなことについては、やはりそれなりの対応をしていかなければならぬことであろうと思うのです。  ただ、じゃこの問題を論議する場合に、先ほどもお話がございましたが、全体の定数をどう考えるのか、衆議院の場合の五百十一というのはどういうふうに考えていくのか、私は、この問題が一つ、まずと言っていいかもしれないのですが、あると思うのです。あるいは、制度の中身をいろいろ検討していて、最終的に、結論的には定数はこれだけだ、こういう考え方もあるいはあるかもしれません。しかし、いずれにしろ定数を一体どのくらいにする、どの程度にするんだということが、まず私はどうしても頭に浮かんでくるのであります。それは一体どう考えていくのか。  それから、今度は衆議院の場合はやはり区割りの問題であります。いまの中選挙区制というものは一体どういうふうな考え方をするんだ。中選挙区というものをどうするか。大きくするのか小さくするのか、あるいは現行で維持するのかわかりませんが、その辺のところは一体どうするのかという問題がまず頭に浮かんでくるわけなんです。  その問題は、各党はそれぞれお考えがずいぶん違う。これは、各党のそれぞれの選挙に立つ基盤が何がしか違いますから、それぞれ私はお考えが違うと思うのです。そういう意味からしますと、どうしても私ども国会の場でいろいろ御審議をいただいて、そうして各党の間でいろいろお話をいただく、みんなでひとつ考えていこうじゃないかという体制でやっていただくことが一番現実的である、また、やり方としては民主的だというお答えで、いままでやってきたのであります。今日も、その点では余り変わった考え方は出ておりません。そういう考え方で現在おるわけであります。
  128. 山花貞夫

    ○山花委員 なお議論しなければならない問題があると思います。実はそうした答弁だけでこのまま時日を過ごしたならば、いよいよ責めを国会の場が負わなければならない、こういうことになるのではないでしょうか。機会がありましたら、重ねてこの問題について提起さしていただきたいと思いますが、法案について入りたいと思います。  実は、法案の提案理由を拝見いたしますと、今回の六点の改正の理由について、一言で言いますと「金のかからない選挙の実現に資するため、」そのことを通じて選挙制度の改善を図る、こう書かれております。しかし、今回の六つの改正点について見ますと、六番目のテレビ、ラジオの拡充の問題は、五番目の立会演説会との振りかえという観点もありますから、若干別枠になるのではないかと思いますけれども、一項から五項をずっと見てみまして、本当にこの提案の理由にある「金のかからない選挙」ということに資するものであるかどうか、私は大変疑問に思わないわけにはいきません。  まず、第一の選挙期間短縮の問題についてでありますけれども、二十五年間慣行的に行われてきた、制度として確立された、たとえば衆議院の選挙についてならば、二十日を五日短くする、こうしたことをいたしますと、いわば本番の期間というものが少なくなるわけでありますから、事前運動が大変激化するということになるのではないでしょうか。私どもの身近な経験をおきましても、ある特定の軍団と言われているところに所属している候補者は億の金をばらまいている。新聞紙上を通じても、三億の金を準備したとか、たとえば各陣中見舞いに三十万持っていったとか、公然と新聞紙上に報道されるような荒っぽい事前運動を重ねております。  私たちは、もしこれで選挙期間が短くなるということになるならば、逆に選挙期間が短くなるから事前運動をしっかりやっておかなければ選挙にならぬ、当選することができない、よけい金がかかるというような現象がその次には出てくるのじゃなかろうか。確かに、たとえば衆議院ならば五日間短くなるということにつきましては、単純計算でそれだけ金がかからなくなるということになるかもしれませんけれども、五日短くなったかわりに一年間事前運動をよけいにするということになれば、何倍かの金がかかることになるんじゃないでしょうか。根本の金権政治についての問題を解決することなくして、単なる期間短縮ということだけでは、金がかからないということにはならないのではないか。  事前に金がかかるのではないかということについてどうお考えかということを一つと、もう一つの問題といたしましては、二項、三項、四項というところでありますけれども、立候補の届け出を二日から一日にする、あるいは公報の掲載申請を四日から二日にする、立会演説会をなくす、このことによって一体金がどれだけ節約される、こういうようにお考えなんでしょうか。この点について御説明いただきたいと思います。
  129. 片岡清一

    片岡議員 選挙期間を短くするということは、これは数学的にもほとんど四分の一の日数が減るということですから、それに相応じた経費が明らかに少なくて済むということは、算術的に計算ができるわけでございます。ただしかし、それが事前運動に火をつける結果になりはせぬか、こういうことでございますが、端的に申し上げまして、五日間、三日間減したからといって、それが直ちに事前運動に大きく響いていくというようなことは、必ずしもそう出てくるものではないように思います。ただ、選挙日数、選挙運動期間というのは、これはすでに御承知のように、昭和二十五年から二十七年までは衆議院は三十日でございました。それから二十七年から三十三年までの間は二十五日になりまして、三十三年に二十日になった。それ以来二十五年たっておる、こういう段階がございます。  その段階はどうしてできたかというと、やはり道路や交通機関マスコミ、通信機関そういうものの発達から、そんなに長くやることは不必要であるというようなことで、不必要な経費を節約するという非常に大きな必要から短縮されてきた一つの歴史的経過があると思います。  そういうことを考えますと、私はやはりその期間短縮というのは、今日のような道路、通信機関、そういうものを考えながらやったときには、必ずしも不当であると言うことができないのではないかと思うわけでございます。  それから、届け出期間を一日減したとか、あるいは候補の届け出を二日減らしたとかというようなことは経費に関係ないじゃないか、こうおっしゃいますが、これは期間短縮いたしましたことに応じまして事務を簡潔にする、事務の進展をできるだけ早く簡潔にしていく、こういうことも考えてやったのでございまして、大きな意味においてはやはり一つの地方、国の経費、そういうものについての節約になるということも、あえて言うなら言えぬことはないのではないか、かように思っておる次第でございます。
  130. 山花貞夫

    ○山花委員 いま、立会演説会のお金がどれだけ節約できるのですかということをお伺いしたわけですけれども、どうもいままでのお答えの中で問題点が出ておるような気がするわけですが、むしろそこのところは事務を簡潔にする、事務手続の省略ということになっているのではないだろうか。結局、それは金を節約するということよりも、選挙執行の側の利便ということにかかわるものであって、そのことにかかわる有権者側の犠牲というものを全く無視されておるのではなかろうか、こう言わざるを得ないと思います。たとえば立会演説会にいたしましても、その廃止について大変異論があることについては御承知のとおりです。私の個人的な経験からいたしましても、戦後間もなくの立会演説会、まだ有権者でなかったころ、やみ市の跡に候補者が壇上に並んで、大きな声を出して、マイクを使わないで一生懸命やっているという、戦後民主主義の中に生まれた生き生きとした選挙制度として、大変強く印象に残っております。  あるいは当時ですと、私もどこかの小学校の教室で行った立会演説会を記憶しているわけですけれども、電灯一つない真っ暗やみの中で、わずかにちょうちん一つくらいぶら下げて、そこで行われておった、こういうような形のものも印象に残っているわけでありまして、私は、立会演説会などはいわば民主主義の根幹に触れる、直接民主主義の香りを残している少ない制度の一つではなかろうか。むしろそうするならば、任意制の立会演説会その他よりよき方向について形骸化を論ずるならば、中身を充実する方向について議論すべきが筋ではなかろうかというように思っているわけでありまして、ぜひこの点につきましては、まだ法案審議の最中でありますから、撤回という問題についてぜひ御検討いただきたいということについて、強く要請をさせていただきたいと思います。  重ねて、いま私の質問の中で、四番目に出ております時間短縮の問題に触れませんでしたので、この問題についても触れさせていただきたいと思います。実は時間短縮の問題、一時間の短縮ということは、議論といたしましては選挙期間中の選挙運動の制限という観点でとらえられるわけでありますけれども、実は実情から申し上げますとそうではないわけでありまして、日常の政治活動すべてがこの規制を受ける、こういう問題点にぜひ御留意いただきたいと思うのであります。  私どもの場合には都会の選挙区でありまして、東京都内通勤の皆さんが朝七時ごろから家を出る。八時になったら駅は、それまでの雲霞のごときと言ったら失礼かもしれませんが人波というのがぱったり切れる、こういう形になっておりまして、選挙期間中も七時から八時というものは、選挙の時間帯としては最重要な時間ということになっております。それだけではありませんでして、日常の政治活動におきましても、私たちの地元では、手前みそになりますけれども、一カ所、二カ所、三カ所、四カ所、月曜日になりますと朝七時から私たちの党の組織の者が出まして、議会の報告などをやっております。七時から始めている。七時から八時まで報告をいたしましてみんな職場につく、こういう日常の政治活動があるわけですけれども、こうした問題について実は選挙法で縛りがかかりますと、これが警察におりてまいります。  そうなりますと、警察で自動車の運行については御承知のとおり二つの許可をもらいます。放送に関する許可と、あの上の設備外の積載の許可等でありますけれども、そのときにどの地域をどう回るか、あるいは時間帯はどうかということにつきまして、選挙法で八時になったならば、いままで認めておった七時を警察が認めるはずはないわけでありまして、全部右へならえということは目に見えております。そうなってまいりますと、単に選挙運動期間中七時から八時はできなくなるということだけではありませんで、日常的な政治活動等につきまして、現実には警察との交渉ということになりますけれども、できなくなるだろう、こう言わなければならないわけでありまして、日常的な政治活動につきましても大変重大な打撃を受けるということになるわけで、この点についても何としても撤回していただかなければ、日常的な政治活動規制という大きな問題になるというようにわれわれは考えざるを得ないところであります。そうした現実の与える影響ということについて考えていただいたのだろうか、この点についてぜひお伺いをさせていただきたいと思います。
  131. 住栄作

    ○住議員 街頭演説等の開始時間あるいは終了時間、これはおっしゃるようにいろいろの御意見がございますし、それから地域によりましても、たとえば大都会でも商店街なんかの場合はどうだ、うるさいとかいろんな考え方はあると思うのでございます。そういうようなことから考えまして、いまの七時を八時にしたわけでございますが、これは選挙運動期間中の問題でございまして、私は、日常活動として行う政治活動についてこれを援用されるというのは大変筋違いじゃないかな、そういうおそれがあるという御意見のようでございますけれども、全くこれは別問題じゃないかなと思っておるわけでございます。
  132. 山花貞夫

    ○山花委員 自治省にこの点確認しておきたいと思うのですけれども、もしいま日常までしぼるということになったら筋違いである。お話を伺いますと、その部分では安心するところもあるわけですけれども、その点、立法者としてだけでなくて、自治省現実の取り扱いはいかがでしょうか。大事なことだと思うので確認したいと思います。
  133. 岩田脩

    ○岩田政府委員 御承知のとおり、公職選挙法の上での規定は、選挙が行われていないときの日常の政治活動には及びません。特殊な立て札、看板の例はございますが、いまおっしゃったような連呼の件についてはございません。もっとも、いまのお話は、警察当局ですか、車の運行を許可している方の運営がどうなるかというお話でございますので、その点については私からはお答えいたしかねますけれども、少なくとも公職選挙法の上で言えば、そういう関係はございません。
  134. 山花貞夫

    ○山花委員 それはわかっています。いま、自治省と提案者の御趣旨はわかったのです。実はここに質問が出ると思ってなかったものですから……。  警察関係の方はいらっしゃいますか、お帰りになりましたか。
  135. 中野四郎

    中野委員長 帰ったようです。
  136. 山花貞夫

    ○山花委員 ということですと、いまの提案理由、その点は後でまた詰めたいと思いますけれども、そういう問題もあるということも御認識をいただきたいと思います。  それから、御説明の中にたしかあったと思うのですけれども、たとえば早朝、駅前商店街などは、その地域の静ひつという観点からすると大変迷惑であるという意見が強いんだ。実はこういう観点から七時から八時はやめたらどうか、こういうことではないかと思うのです。しかし、やはりそれは現職のための改正ではないかと思うのは、同じような問題でいきますと、たとえば団地に行きますと、午後の一時、二時、三時というのは赤ちゃんが眠っている時間であるということで、マイクを使うのを大変嫌がられます。まさにその意味では、朝の雑踏の中のマイクよりも、午後の赤ちゃんの休んでいる時間のマイクの方が迷惑が大きいのじゃなかろうか。そういうことから、ではその時間も禁止しようかということになりかねないのではなかろうか。  やはり、どこかでの調和点というものがあるのじゃないでしょうか。国政段階の、まさに国の行方を決定し、みずからの将来にかかわってくる大事な選挙であるとするならば、そこでのぎりぎりのところとして、朝六時からというのはひどいかもしれないけれど、七時からというのは認められてよろしいのではないかというようにわれわれは考えますし、また、そうした議論があるといたしましても、たとえばそういう問題があるとするならば日曜日だけは一時間おくらして、ふだんの日と違った取り扱いをしようじゃないか、こういうことは全然議論の対象にならなかったのでしょうか。もし、改正点を議論するとするならば、当然そうした点についても議論された上で出されるべきだと思うのですけれども、その点はいかがでしょうか。
  137. 住栄作

    ○住議員 大変大事な問題でございますので、私ども党の選挙制度調査会等で、実際選挙をやっている者の立場で、いまおっしゃられましたようないろいろな意見が出ました。ただ、そういう意見を踏まえまして、これは有権者の立場もあるわけでございますが、候補者立場としてはその土俵のつくり方の問題だというような観点から、現在の七時を八時にしても差し支えないんじゃないか、こういう結論、その過程においては、いま山花先生おっしゃったような問題もすべて議論をしております。
  138. 山花貞夫

    ○山花委員 過程において議論されたということでありますけれども、しかし、あくまでも、いわば提案者のその枠の中での議論ではなかっただろうか。今日に至るまでも、先ほど来質問がありましたとおり、公聴会を開いてくれというわれわれの要求、そのことに関する諸団体からの要請書が各委員に届いていること等々考えても、やはりおっしゃったとおり、選挙ルールをつくるということでありますから、有権者の側の要求というものもその中に反映させて、ただすべき点はただしていく、こういうことが必要なのではないか、こういう気がいたします。  いま、最後に問題といたしました時間制限の問題につきましても、これはなかなか現実にはむずかしいわけでありまして、七時が八時になったということになりますと、これまでの選挙実態からいたしますと、何といったって候補者立場からいたしますと、有権者がいないところに行って運動したって役に立たないわけでありますから、朝七時から八時、八時になったら一人も有権者がいなくなる、こういう現実があるといたしますと、たとえば七時ごろから駅の前に行きまして、車は使わない、マイクも使わない、候補者はたすきをかけない、しかし、そこで朝のあいさつをする、こういうかっこうでの脱法行為が必ず出てくるんじゃないか、こういう気がいたします。  そういう立場には、選挙の質といいますか品性といいますか、いわばそういう脱法行為を候補者が次々にやるということであってはいけないのでありまして、決まったら少なくとも全候補が守れるような、いまビラその他の関係ではずいぶん脱法的違法なものが横行しておりますけれども、これだっていわば選挙違反で、ある現実を取り締まりの能力の観点から放置しているということの中で問題がずっと大きくなりつつある。そのことも、選挙に対する国民の信頼を失わせる一因となっているということじゃないかと思うのです。もし八時ということになりますと、いわば脱法的な行為がふえてくる。そのことによって選挙の品格がいよいよ落ちてきて、候補者がみんな脱法の選挙運動をやっている、こういう批判を国民から受けることになるのじゃなかろうか。こういう点についてはいかがお考えでしょうか。  実は蛇足かもしれませんけれども、最近の事前のビラにつきましては、全国的な状況については知りませんけれども、ことしの統一地方選挙で大混乱をしたというのが、私が知っている東京における実態であります。事前のビラにつきましては、従来の常識からいきますと、本番選挙になりますと全部はがされました。事前のビラにつきましては、選管から各候補者あるいは経理責任者のところに全部はがすという通知が下されまして、その通知が来ますと、来る前にはがします。候補者あるいはビラを張った者は一生懸命はがして、少なくとも選挙の始まる前は一たんきれいになって、そこから選挙のポスターが張られる、これが現実だったわけでありますけれども、ことしの春の統一地方選挙におきましてはその慣行が破られました。  実は、とにかく統一地方選挙、八三年は全部の選挙が行われるということから、すべてのビラが街頭に一斉に出まして、取り締まりの能力の限界を超えました。そしてまた、選管の能力の限界も超えました。現実に、東京における一千百万人口のもとにおける選挙実態についてみると、従来とは全く違いまして、警察もお手上げ、選管もお手上げ、これが現実ではなかったでしょうか。私が伝え聞いているところでは、各方面から聞きましたから間違いはないと思いますけれども、こうした問題について主として選管に問い合わせをいたしますと、みんなで渡ればこわくないということで、みんなが違反してしまったからどうしようもなくなった。したがって、選挙が始まってからそうした脱法文書を張った場合には厳格に取り締まりをいたします、選挙前に張ったものについては放置せざるを得ませんというのが、各選管の問い合わせにおける正式の回答だったと私は把握しております。  ビラ、ポスターにつきましては完全に選挙法が破られた、そして破られた中で選挙が行われている、こういう現実もあります。選挙法というものは、脱法行為が横行することがあってはいけないのではないでしょうか。そういう観点から時間の制限その他についてもいかがお考えか、そのことについてお伺いしたいと思います。
  139. 住栄作

    ○住議員 本質的には選挙運動を自由にする、それと公正なルールづくりということでどの程度制限するか、基本はこういう問題だろうと思うのです。現在の選挙運動の制限、いま御指摘のございましたビラの問題にしましても、あるいは機関紙誌の問題にしましても、とにかくやりたいほうだいというような、言葉はちょっと過ぎるかもしれませんが、そういうような現象がございまして、有権者あるいは国民皆さんから、これはとてもたまらぬというようなことが大きな契機になって選挙運動の制限というものが出てきた、一つ一つの選挙運動の制限をとってみますとそういうような気がするわけでございます。  ですから、運動時間の問題も、七時、八時、これはどういう弊害が起こるか、私はよくわかりませんけれども、そのルールがいいかどうかというのはここで議論していただければ結構なのですが、そういうルールができたらやはりそれに従って守っていく、こういうことがなければ、選挙運動を自由にしろ、自由にしろと言ってみても、なかなかそこにむずかしい問題があるんじゃなかろうかな、私はこういうように考えておるわけでございます。
  140. 山花貞夫

    ○山花委員 いまのお話、別に揚げ足取るつもりはありませんけれども、有権者がとてもたまらぬということで一定のルールが必要であろう、これはそのとおりだと思うのですけれども、しかし今回の法改正について見ると、二十日じゃとてもたまらぬから十五日にしてくれという有権者の声は別にないのじゃなかろうか、あるいは立候補届け出二日間をどうしても一日にしてくれという声も聞いておりませんし、公報の掲載についてもしかり、立会演説会やめてくれという有権者の署名運動が起こったことも聞いておらないわけでありまして、そうした意味におきましては、今回の改正案というものは問題があるんじゃなかろうか。  率直に申し上げまして、こうした議会での仕組みからすれば、多数決によって最終的には決せられるということになるかもしれませんけれども、その中で出てきた問題については十分検討していただく、そういう姿勢が大政党、提案者としても必要なんじゃなかろうか。この議論の中に出てきた問題については、きょう別に本会議で上げるというわけではありませんから、ぜひ検討していただき、なお公聴会要請等につきましても十分最後のぎりぎりまで御検討いただきますことを強く要請して、私の質問を終わらせていただきます。
  141. 中野四郎

    中野委員長 佐藤観樹君。
  142. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 同僚議員が大分触れられましたので、その辺の問題につきましては省かせていただきまして、若干質問しておきたいと思います。  私も本会議で申し上げましたように、今度の法律がきわめて異常なのは、戦後幾つも選挙法の改正がございましたけれども選挙があるであろうとほぼ新聞にこれだけ出ている直前に選挙法を変えるという、これは恐らく選挙改正史上私はかつてなかったことではないかと思うのであります。それについて、なぜいまやらなければいけないのか。いま山花委員からお話がございましたように、そんなに御提案がある問題が国民の側からやんややんや、そうせいという世論、私は決してないと思うのであります。  したがいまして、どうも今度の法案の中身というのが、いわば選挙の審判を受ける側のわれわれ候補者側の立場がきわめて強い法律改正ではないか、こういった意味できわめて候補者側の身勝手な改正、あるいはお手盛りではないかということを言われても仕方がないのではないかと私は思うのであります。なぜ、いまやらなければいけないか、このことを聞きますと、恐らく皆さんの方は、いや自民党の方でまとまったものだけまずやるんだ、こういうお話でございましょうから、時間の関係上その点は聞きませんけれども、ただ皆さん方が金科玉条のように地方六団体も賛成なさったんだということを盛んに言われる。一体、地方六団体というのはどこですか。
  143. 片岡清一

    片岡議員 選挙を目前にしてとおっしゃいますが、選挙は来年の六月に行われることは、これは大体確実である、それをにらみまして党内でいろいろコンセンサスの得られた問題で、しかもやはり金のかからないということでだれしもが最も関心を持つ問題でございますので、やるのなら早くやろうやということにおのずからなってまいりましたし、私は皆様方各党の御意見を聞きましても、その点については大体同じような考えでなかったかと存ずる次第でございます。そういうことでございますので、唐突として自分の好きなものだけをやったというような考えではございませんことを、まずもってひとつ御理解をいただきたいと存ずるわけでございます。  期間短縮をいたしたり、それから立会演説を廃止したり、これらのことは国民の側からはございませんけれども、先ほどの参考人の御意見の中にもございましたように、現実の姿として、ことに立会演説のごときは本当に意味のないものになった。立会演説は、御存じのように立候補した人が一堂に並んで、そしてその中から意見を聞いて甲乙をつけ、自分意見をまとめて投票に結びつける、こういうことが本当の姿であろうと思いますが、今日の現実の姿はそうではございませんで、自分の応援をしておる人のときだけやってくる、そしてそれがいなくなれば帰ってしまう、こういうことでございます。(佐藤(観)委員「詳細な話はまた後で伺いますから、六団体というのはどこですか」と呼ぶ)  六団体というのは、御承知のように、府県議会議長会、それから知事の会、それから市議会の議長の会、そして市長の会、また町村の長及び議長の会、これがいわゆる地方六団体と称するものでございます。
  144. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 いま前半にお話しになりました問題は、いろいろ議論がありますが、後で触れるといたしまして、いま片岡先生からお話がありましたように、皆さん方は、地方六団体意見も賛成だった、本法案提出するのに意見を聞いたのだということに大変大きなウエートがあるように、私たちは受け取っておるのでございますけれども、いいですか、知事都道府県の議会の議長というのは議員ですわな。それから全国の市長、市議会の議長、これも議員ですね。それから町村長、町村の議会議長、いわばこれはみんな現職でございますから、できることなら対立候補に攻撃されるような立会演説会はなるべくやりたくない。  恐らく、こういったことに出てこられる地方の方というのはお年も大分召していらっしゃるでしょうから、もちろん若い方もいらっしゃると思いますが、なるべく選挙運動も短い方がいいのじゃないか。皆さん方が聞かれた地方六団体といっても、これはわれわれと立場が一緒で、批判を受けると申しましょうか、審判を受けなければいかぬ側の立場の方の意見なのですよ。ですから、私は今度の場合に、そんなに大きな、立会演説会を絶対なくさなければ国民は迷惑しているとか、あるいは早朝の時間をどうしても八時にしなければ大変な迷惑をしているとか、それは確かに私も、付近の方、駅の前の方は大変御迷惑だと思いますが、これはいわば民主主義のコストとしてお許しをいただきたいと私は思っています。  その問題や、あるいは選挙運動期間も、山花委員が言われましたように、絶対に衆議院の場合、二十日が十五日でなければ国民が迷惑するというものではないのじゃないかと思います。そういった意味では、いま知事会以下の地方六団体も賛成をしていると言われますが、この方々も実は全部立場をかえれば立候補者なんでございまして、われわれと立場が一緒なんで、私たちが申し上げているのは、いわば審判をする側、有権者側、国民の側の意見はそんなに大きくどうしてもやめなければいかぬということになっていないのではないかというふうに私たちは思うのであります。  二番目に、事前運動の問題、先ほど山花委員からもお話ございましたけれども期間短縮しても事前運動というのはそんなには激しくならないのじゃないかと思います——私は、これはずいぶんなると思うのですね。なぜならば、とにかく衆議院の場合を例にとれば、四分の一カットでしょう。しかも時間は朝一時間という貴重な時間を削っているということになってくるわけでございます。しかも立会演説会がなくなるということで、たとえば十万票とろうと思ったら、いままで二十日間である程度浸透させていたのを十五日間でやらなければいかぬ、もたもたしていられないからなるべく早く事前にやらなければいかぬということになってくると思うのであります。私も、選挙の準備から当然そうなってくると思うのです、自分自身を例にとりまして、  そういう抽象論じゃなくて、選挙部長にちょっとお伺いしておきますが、たとえば推薦はがきですね。今度十五日間になります。そうすると、大体あれは出すのは、常識的には投票日二日か三日くらい前が一番有効ではないかということになりますと、いわば告示になってから十二、三日目に出す。そうすると、告示に入ってから推薦はがきを書いて皆さんのところにお配りをいただく。これはやはり有効にやるためには、どこでもやっていると思いますけれども、私が岩田部長に頼んで、私のことをだれだれに書いてもらうでは効果が薄いので、岩田部長から今度何々課長さんの方に、あなたの知り合いのところにまた頼んでもらう、その方がまたその次に頼んでもらうということをやって、なるべく多く、一枚の推薦はがきをたくさんの人に見てもらって、幅広くなって初めてこの推薦はがきというのは実は効果があるのですよ。  あなた選挙部長であるけれども選挙自身は余りやったことないだろうから、そういう戦術面については御存じないと思いますが、なるべくあれしようとする。そうなりますれば、十二、三日間しかない最終集約をするためには、とてもじゃないけれども現実には告示の日から推薦はがきを配っていたのでは間に合わないのですよ。そうなりますと、告示の前に推薦はがきを書いていただきたいと依頼をすることは事前運動になりますか、なりませんか。
  145. 岩田脩

    ○岩田政府委員 御指摘のとおり、実際に選挙を余りやったことがないものですから、選挙のテクニックの方はさっぱりわかりませんけれども、ただいまのお話を私なりに意訳して申し上げれば、選挙運動期間に入る前に一定の準備活動をすることはできるわけでございます。たとえば応援弁士になってくれないかとか、そういうことは可能でありますので、その範囲内にとどまるような事前の手配ならばできるだろうと思います。  ただ、ただいまのお話を聞いておりますと、これはもしかするといわゆる推薦はがきのあて名書きの依頼ではなくて、当該文書の回覧行為として問題になり得る余地があるのではないかというような気もしないわけではございません。したがって、その規模とかやり方とかという条件もある程度、抽象的で申しわけありませんけれども、保留をつけた上で、一般論としてそのようにお答えさせていただきとうございます。
  146. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 演説を頼みにいくとか、それは準備行為という範囲になると思いますが、推薦はがきでございますから何々党公認、何々選挙候補者というのは完全に入っているのですよ。したがいまして、回覧行為というのはいわば結果として起こるのでございまして、あくまで言うのは、公選法に触れないように書いていただけませんでしょうかと個人の家を訪れて書いていただくことをお願いをするのでございまして、それがその次に渡っていって、それが結果として回覧になるだけで、あくまでこれは推薦はがきを書いてもらうようにお願いに行くという行為なんですね。それを選挙中に必要な枚数、一部だけそんなことをやっている余裕はないわけでありますから事前にやるわけでございまして、これはそうすると、何々党公認、何々立候補者ということを書いたものを、事前に少量ならいいけれども多量にやることは事前運動になります、こういう見解ですか。     〔委員長退席、小沢(一)委員長代理着席〕
  147. 岩田脩

    ○岩田政府委員 分量より、やり方だろうと思います。たとえば、私が持っておりますすべてのはがきを私の二人の支援者に半分に分けて、これを用意しておいてくれよと言って渡すのなら、恐らくそんなに問題はないだろうと思います。ただ、極論をしますと、私が持っております三万枚のはがきを三万人に一枚ずつ分けるというようなことを言えば、これはまたちょっと話が違うだろうと思いますし、そこら付近の感触ではないかと思います。
  148. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 私は、本会議のときでも指摘をしましたように、一人で三万人知っている人がおるわけではないので、五十人とか百人とか書いていただくということになると思うのです。一人で二人という場合もあるでしょうけれども、書いていただく。こうなってまいりますと、いま衆議院選挙の例だけを言っているわけでございますけれども、日にちが短くなれば、どうしてもそういう時間のかかる行為というのは、なるべく早目に準備していかなければいかぬということになるわけでございまして、その際に、やはりそういう意味での、これは事前活動と言うのか何活動と言うのかよくわかりませんけれども、そういうことをやらざるを得なくなってくるわけでございます。  その意味では、いま推薦はがきの例だけを申し上げましたけれども、やはり十五日間で二十日間の運動量をやる、十万票とろうと思ったら、やはり二十日やったのを、いわば圧縮してパックしてやらなければいかぬということになりますと、それはどこにはみ出るかと言えば、やはり前にはみ出なければ、一日は二十六時間にはならないのでありますから、やらざるを得ないと思うのですね。そういう意味で、提案者の方々は、十五日間の選挙費用は確かに皆さん方の場合には大変少なくなるのかもしれませんが、事前運動というものはもっと激しくなるだろう。岩田部長の御説明にございましたように、二人に渡していくのはいい、三万人に渡すのはいかぬ、何万人まで、何人なら一体事前運動で、どこまでが事前運動じゃないか、推薦はがきをお願いして歩く場合。  事前運動というものを研究してみますと、これは非常に霧の中、これを研究していくと、先ほど堀先生からお話があったように、あるいは山花さんから御指摘があったように、結局は警察の判断ということになるから、私は余り好ましいことじゃないと思うので、余り好きじゃないのです。結局、選挙法というのはだれが監視をするかというと、警察が事前運動として判断するかどうかということになってくるわけで、形態によるわけでありますから。そういった意味で、二十日間をわれわれの選挙で十五日間にするということは、やはり絶対にもっと事前にしっかりとやっていかないと、とてもじゃないけれども、十五日になったら二週間しかないわけでありますから、間に合わないよということで、一生懸命ハッパをかけないと落選ですわ。私はそういった意味で、簡単で結構でございますから、提案者、このあたりをどう考えられたのか、お答えをいただきたいと思います。
  149. 片岡清一

    片岡議員 数学的に言えば、確かに算術計算でいけば、五日間減ったからそれに応じた事前運動が盛んになるだろう、こういうことになるだろうと思います。しかし、この選挙運動期間というのは、二十五年のときには三十日だったのが、それが二十五日になり、二十日になった、こういう歴史的経過がございますが、そのときにも、五日ずつ減ったときにやはりそういうことが問題になったと思います。しかし、それが減って、必ずしも五日減ったから事前運動が盛んになって、取り締まりというか選挙運動の公正が期されなくなったというようなことが問題になったかというと、必ずしもそうでなかった。  やはりそれが交通機関や通信機関、先ほどから申し上げておりますように、そういう文明の利器を使っていけば、いままで三十日やったものが二十五日で十分間に合い、二十日間で間に合い、そういう段階になったからそれがみんなに受け入れられてきたと思いますし、今度も、もうすでに二十五年たっておる、その間におけるいろいろなものが長足の進歩をいたした段階において、五日間の短縮をしたからといって、それが直ちに事前運動に大きくふくれ上がってくるというふうには、どうも残念ながら私は考えられないのであります。それは、見解の相違と言えばそうなるかも存じませんが、御理解をいただきたいと思います。
  150. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 私は、推薦はがきという選挙戦術上きわめて有効な武器を具体例に挙げて、その事前運動のことをお伺いしたわけでございます。  次に、先ほど山花委員からも御指摘があった選挙運動の開始時間の問題でございますけれども、私は、これは党利党略ではないかと思うのですね。いま社会的現象として非常に多いのは、これは一度自治省にそういう資料があったら御開陳をいただきたいと思うのでありますが、たとえば、地域によって違うと思いますが、衆議院選挙の場合ならばかなり広うございますけれども、一体何割の方が投票権を持っている地域に昼間働いていらっしゃるのだろうか。  これは、もっと市町村という単位になったら、いまの形態からいいまして、本当の純農村、山林業のところなら話は別でございますけれども、これだけ工業化が進んでいる中都市も大変多くなっているところでは、恐らく市町村なんかとったら、昼間いるところと投票権を持っているところの違い、これはどのくらい離れているのかということは、恐らく統計はないと思いますけれども、実感的には、山花委員から言われましたように、いま職場と住居とが分離をしているというのが大変多いわけでございます。  そういった面から、山花委員から御指摘がございましたように、朝八時にするということは、これは八千三百万有権者のうち、一体そういった職住分離の方々がどのくらいいらっしゃるかよくわかりませんけれども経験値からいっても、それからまた選挙というもののムードを上げるという面からいっても、私はこれは大変な影響があると思うのであります。私たちも駅前の方々には、静かだとは申しませんけれども、まあひとつ少しがまんをいただいて、御迷惑をかけることではあるけれども、お互いに気を使って、やはりボリュームをしぼったりしてやっているわけでありますから、これはひとつ耐えてもらう必要があるのではないか。こういった意味で、これは朝七時というのにぜひお戻しをいただきたいと思うのであります。  もう一つ、立会の問題でございますけれども片岡先生からお話がございましたけれども、私も片岡先生の御指摘があった点については、いやいや全くそんなことはありません、あれは生き生きとやっていますなどと断定をするつもりはございません。しかし、地域によっては千人ぐらい、本当にやんややんやで来るというところもある。それから、国会議選挙でなくて首長選挙ですね、市長選挙や町長選挙、いわばきわめて二者の対決ムードが強いものについては、立会演説会というのは、きわめて生き生きとした民主主義の息吹が感じられるものがあるところがまだまだずいぶん残っておるわけでございます。  私はその意味で、冒頭申し上げましたように、有権者の方々がいやもうとにかく立会は全く迷惑だ、あれはぜひなくさなくてはいかぬということでない限り、本会議でも申し上げましたようにそんなに費用が、平均をしてみまして最高三万四千円くらいしかかからぬことでございますから、あえてなくさなくてはいかぬことではないのではないか。  しかも、立会演説会のポスター、きょうありますよと各候補者の名前を各市町村に張りますね、あれは何枚張るのか私は知りませんけれども。こちらがそういうふうに見るのかもしれませんけれども、やはりああいう選挙管理委員会というきわめて公的な機関がポスターを張っているということは、有権者から見ますと本当に選挙になったなあ、しかもそういった候補者が、いわば何々一座じゃございませんけれども、ずらずらっと一堂に来るというと、やはり町の中、市の中の雰囲気が、選挙になったんだなあというムードが出てくる効果というものは、単なる人数で、八千三百万人のうちのたかだか百万人、立会演説会に来られるかどうかわからぬ、それも半分近く動員ですよとかなんとかという数字的な問題だけではなくて、選挙になったんだなあという感じを非常に上げる意味においては、やはり公的機関がやるものというのはあの立会演説会しかないわけでございますから、私は、そういう目に見えない、選挙というものを認識していただく効果が大変あるのではないかという気がするわけでございます。  そういった意味で、簡単で結構でございますが、大体言われることはわかっているので簡単で結構でございますが、やはりそういうことも考え、有権者の方がもうとにかくこれはやめろと言わぬ限り続けていいものではないか。何回ぐらい前の選挙でございましょうか、回数が減ってきたために、むしろますます皆さん立会というのは行かなくなったので、郡部でも一つだけじゃなくてもう少しやれば、一度行ってみようかという方が多くなるのじゃないかと私は思っているわけでございますが、その点いかがでございましょうか。
  151. 片岡清一

    片岡議員 前の午前七時の問題でございますが、これは、われわれが選挙民の方と実際選挙運動をやってみて、社会の朝の静ひつを非常に害するということでひんしゅくを買っておる姿をひしひしと感ずるのでございます。  先ほど、地方の意見選挙せられる側だけの、選挙を受ける側の意見にすぎないじゃないか、同じじゃないかということでございますが、その選挙するといいますか、選ぶ側の選挙民から受けるいろいろな批判というものは、これはやはり自分の当落に関係いたしますから非常にシビアに感ずる。そういう点からいうと、それらの人がどう感じておるか、それで平素からいろいろと批判を受けておることについては、やはり省略できるものはできるだけ省略する、そして迷惑をかけることはできるだけ少なくしよう、そういう感じから出てくる結論でございます。  それで七時の問題も、職住の離れておる現状において、確かに出勤途上の人をつかまえてやるということの方が非常に効果的でしょうけれども、多くの候補者が広報車を合わせて大きな声でがなり立てるということが、大変付近の人に迷惑であるということをわれわれも痛切に感じておりますので、この際やはりやめようというようなことで合意をしたような次第でございます。  立会演説の問題については、これはお話のように、がん首を並べて人選びをする、品定めをするということは、観念的には非常にいい結果であったし、選挙の公営にこれを使われたということの意味もそういうところにあったと私は思います。ところが、実際にやってみて、本当に初めから終わりまで、品定めにちゃんと立ち会ってやってくれる人がいなくなったということは、確かに形だけが残って実がなくなった、いわゆる形骸化したということは何とも否定のできないことでございまして、先ほどの参考人の御意見の中にも、青年の方は必ずしもそうではございませんでしたが、その点は異口同音に強く述べられておりました。そういう点で、やはりこれはこの際廃止した方がいいだろう、こういうことで結論を得た次第でございます。
  152. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 私は、廃止しなくてもいいだろうというふうに言えるのではないかと思うのであります。  ただ、いまの御答弁の中で静ひつを害するという表現もございましたけれども、逆に私は、いま大変棄権率が高くなったというのも、われわれ選挙法を扱う者として、お互いに考えなければいかぬのじゃないか。いまの選挙法のように大変静かになりますと、本当に選挙をやっているのかよくわからない。街宣カーも候補者一台しかないわけですし、町村の場合にはまだわあわあ来ますけれども、大きな選挙になるとほとんど街宣カーも来ない。目に見えるものも、たとえば衆議院の場合には個人ビラしかない、あるいは政党のパンフレットしかないということになってきますと、目に訴えるもの、耳に訴えるものが余りにもいまの場合には少な過ぎてしまって、私は、これは非常に棄権に通じてくるのではないかというふうに思うのでございます。  大変時間がないようでございますが、もう一点お伺いしておきます。  それは、今度の改正で立候補の届け出を二日間あるのを一日にするということのようでございます。私は、実態的には構わぬのではないかと思うのでありますが、ただ、ちょっといろいろ考えなければいかぬことがあるのじゃないかと思うのですよ。一つは、いついつから選挙をやるんですよというものが告示以外に公的なもので、新聞その他は別ですが、たとえば地方選挙でも、いつ告示していつ投票が行われますということを事前に、市民なり有権者の方に知らせる公的なものというのはありますか。マスコミ、新聞、テレビ等以外のものであるのですか。
  153. 岩田脩

    ○岩田政府委員 公式の手続はございません。強いて申しますると、選挙管理委員会は、いつ告示をし云々をするということを事前に会議をして決めますから、したがって、その段階で対外的に選挙期日をいつにすることに決定したという発表をしますから、それがいわば公式と言えば公式でございますが、いまの告示制度のようなものはございません。
  154. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 発表するというのは、どういう形式で発表するのですか。
  155. 岩田脩

    ○岩田政府委員 報道機関等にそういう発表をする。だれから聞かれてもそう言う。しかし、それを官報に載せてというような手続ではありません。ただ、事実上の手続としては、その後、候補者説明会をやるからいつ集まってくれという新聞広告を出してみたり、そういう手続はございます。
  156. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 そうすると、いつありますよと知らせるのは、マスコミの話は別としても、事前の説明会というのでしょうかね、説明会がいわば公的に初めて知らせるもの、こういうことになりますね。
  157. 岩田脩

    ○岩田政府委員 実際そういうようなものであろうと思います。ただ事実問題として、選挙告示の前に、いつ告示されるかということは、もう世間周知のことになっているという実際の状態はございます。
  158. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 そこで、私ちょっと不思議に思ってお伺いしたのでありますけれども、有権者の方々が法律のたてまえ上いつその告示を知ったのかというのは、そういう意味ではマスコミ以外のものということになると説明会なのかな。今度それを一日にするということになりますと、有権者の人に、おれ出ようと思ったがそんなの知らなかったと言われることに制度的になるのかなと思うのことが一つ。  それと、もう一つ、明るい選挙推進協会があるのですが、投票意思決定の時点というアンケートがあるのですね。そうしますと、候補者がそろったときまで、つまりこのそろったときというのは、告示が終わった、立候補締め切りでしょうね、そのときが六四%なんですよね。投票前日と投票日に決めたという人がわずか八%。要するに、選挙に入って締め切りが終わってから投票日の二日前までに決めるというのは二七%、四分の一の方だというわけですね。  それから、公報届け出等々をいろいろ考えてまいりますと、告示の前、何日間かは別でございますけれども、たとえばの話、よく考えての数字ではございませんが、五日前にいわば事前の届け出制というのでしょうか、選挙運動告示日から始まりますが、そういう告示日の前に事前の届け出というものを設けていいのじゃないか。そうしますと、たとえば公報の原稿もそのときまでに持ってきてくださいということにする。  そして、当然事前の届け出期間は事前運動のときでありますから、選挙運動のたぐいのものは当然やってはいけないというふうにするとしますと、選挙管理上もいいし、あるいはあらかじめ有権者の方々にも選挙がありますよと、告示の日に初めて選挙があることが示されるというようなことではなくて、事前にそのことが周知徹底をすることになるし、事務上も非常にいいのではないか。そうすれば、公報を配ったり印刷したりするのに大変無理がない。そういうことを考えるべきではないかと思いますが、これはどなたからお答えをいただくのが適当かわかりませんが、いかがでございましょう。
  159. 岩田脩

    ○岩田政府委員 ただいま佐藤先生から御指摘のありました事前届け出制というのは、選挙管理委員会の中でもしばしば話題に上る制度であります。それは管理する側の立場から申しますと、事前に人数がわかっておるというのは大変ありがたいことなのであります。ただ、そういう議論が内部で折に触れありながら、実際には選管内部としてもまとまった意見になりませんのは、一つには、選挙というものの物の勢いみたいなものを何日間か中断して、その間何もするなと、とめるなどということができるだろうかという問題が一つ。  それからもう一つは、大変技術的でございますが、そこに一定期間を置くということになりますと、その届け出たという地位ですね、自分は立候補を予告してあるぞという地位をどうやって承継さしていくのか。たとえば途中である方が亡くなったとか、おれはやめたとか、おれはこの期間で決意をしたとかいう問題が解決できませんものですから、選管の中の一種の夢みたいな話になっているわけでございます。
  160. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 問題点がいろいろとありますけれども、時間が参りましたので、きょうはこれで終わります。
  161. 小沢一郎

    ○小沢(一)委員長代理 坂井弘一君。
  162. 坂井弘一

    ○坂井委員 最初に、山本自治大臣に基本的な御認識として承っておきたいのですが、私は、選挙というのはできるだけ自由、そして明るい、かつ公正な選挙、これが一番望ましい選挙のあり方であろう、常々そう思っているわけなんですが、いかんせんわが国の選挙実態、これは公職選挙法あるいは選挙制度、それから選挙運動のあり方をずっと見まして、いま申しましたような好ましいあり方とは全く逆でございまして、とりわけ諸外国、先進民主国家に対比しますときになおさら、わが国の選挙というのはこんなに暗い、かつ自由が至るところで制限され、かつまたどうにも公正を欠く、少なくともこの三つの要件というのは、選挙の中でも非常に大事な要点だろうと思うのです。  いま申しましたように、さにあらずして日本はまるで悪い面がいっぱい出ておる。これは一体どこに原因があって、あるいは理由が存在して、このような好ましからざる選挙実態ということになっているのだろうか。一体大臣は、いまの私の認識に対してどのような御認識をお持ちか、もし私が言うように、自由とかあるいは明るさ、これがなく、かつ公正を欠くということであれば、その原因は一体どこにあるとお考えでしょうか、ひとつお答えをいただきたい。
  163. 山本幸雄

    ○山本国務大臣 選挙というのは、お話のように、できるだけ自由に選挙運動が行われて、そして国民の意思が選挙の結果に正当に反映するというのがねらいだろうと思います。自由にするということは私は理想だと思うのです。理想だと思いますが、現実選挙運動というのは、人によってあるいは政党によっていろいろやり方が違う、そういう中で現実を踏まえて選挙の秩序を保っていく。わが国の選挙というのは、決して暗いとは私は思いません。しかし、選挙の秩序を保っていく上において、ある程度規制というものもやむを得ない面はある。  それは、いろいろな点でいまあるという御指摘があるかもしれませんが、そういう規制をなるべく緩めて、自由な選挙にするという方向だけは間違いないと私は思いますが、さて、現実となりますと、先ほど来もいろいろなお話が出まして、ああもする、こうもするということになってくると、抜け道ばかり考えられて大変公正を欠く選挙になってくる。したがって、規制の面である程度枠をはめるという場合も、選挙秩序の維持あるいは結果に国民の意思が反映するような選挙でなければならないとか、そういうことからいうとある程度規制というものはやむを得ない。  しかし、現状から見まして、日本は大変暗い選挙をやっておる、暗黒選挙みたいなことをいま仰せられますけれども、そう暗い選挙ではあるまい、日本国民は自由に選挙権を行使していらっしゃる、こう私は思っております。
  164. 坂井弘一

    ○坂井委員 後ほど、その問題に触れていきたいと思うのですが、残念ながら先進民主国家といいますか、諸外国と比べますと日本選挙というのはどうも暗い、そういう感じをぬぐうことはできないわけでございます。  この前に、公職選挙法が大改正と言ったらいいのでしょうか非常に大きな改革、つまりいままで個人本位の選挙制度、これが政党本位ということで、参議院の従来の全国区というのが比例代表選挙政党選挙ということになる。これはむしろ、個人本位の選挙制度の中に一部政党というものを織り込んできた。そういう個人政党、この二つの全く立場の違う、あるいは性格の異なるものを一つの公職選挙法によって運用しよう、あるいは律しよう。実際的には、ここにかなり無理が生じてきておるのではないか。本来的に政党選挙政党本位の選挙ということになりますと、いまの個人選挙に比べますとかなり明るさが出てくる、自由が出てくる。ある意味では前進といいますか、そう見ていいだろうと思うのです。  そこで、具体的にお尋ねしたいのですが、この前の公選特委員会でわが党の伏木委員が、いまの比例代表選挙政党名を書いたたすきをかけて法定ビラを配ることは、選挙運動上許されることですかという質問に対しまして、選挙部長は、それはよろしいという御答弁であったかのように聞いておりますが、そのとおりでしょうか。
  165. 岩田脩

    ○岩田政府委員 政党政治活動用のビラを選挙運動期間中に配布する。もちろん、所定の正規のビラでございますが、それを配布するときにその配布に従事する者が、たとえば腕章とかたすきとかバッジとか党章といったようなもので自分政党所属を表示しておくことは、別に問題ではございません。ただ、そのときも申し上げたのでございますが、物の程度というものがございまして、とうていたすきとは思えない、あれは動いている看板じゃないかというようなことになりましたら、また話は別だというふうに御理解いただきたいと思います。
  166. 坂井弘一

    ○坂井委員 他党さんのことを申し上げると失礼になりますので、例を公明党としましょう。公明党のたすきをかけて街頭に出ます。どこまでの範囲をおっしゃるのか知りませんけれども、だあっと並びましょう。法定ビラを配る。いま選挙部長おっしゃる法定ビラというのは政治活動用の法定ビラ。選挙運動期間中に公明党のたすきをかけて街頭に出て、あるいは駅頭に並んで配る法定ビラというのは、まさに選挙運動中の法定ビラでありまして、通常の政治活動の法定ビラではありません。その法定ビラの中には、公明党に一票を投票してください、ぜひ公明党を御支援くださいと書いてある。これをだあっと配る、これはよろしいですか。
  167. 岩田脩

    ○岩田政府委員 あくまで個別的な判断が入ってくる余地がございますが、一般論としては支障はございません。
  168. 坂井弘一

    ○坂井委員 なるほど、一般論としては支障はない。実際の運動のあり方としては、実態に照らしても支障がございませんね。     〔小沢(一)委員長代理退席、委員長着席〕
  169. 岩田脩

    ○岩田政府委員 たてまえとして支障はございません。ただ、私がちょっと奥歯に物が挟まったようなことを申しておりますのは、選挙運動に関する文書規定などがございまして、たとえば百四十六条の規定でございますか、選挙運動用の文書に関する規制を免れる意図を持って、その候補者を支持する団体その他の名称を書いたものを掲示してはいかぬというたぐいの規定がございます。ですから、非常にレアケースか特別なケースでございましょうけれども、そのたすきというものが、本来のそういう政党ビラを配るその者の所属を示すためにつけているのだという範囲を超えているというような議論が起こる余地も、最後のところでなしとしませんので、その点にちょっと保留をつけさせていただいておるというわけで、通常の考え方からすれば問題はございません。
  170. 坂井弘一

    ○坂井委員 選挙部長、自治大臣、私は非常に大事な問題提起をしているつもりなのでして、決して大幅に取り締まれ、制約しろ、自由を制限しろという立場ではありません。政党政治活動を常時やりますね。政党は四六時中政治活動をやる、これはむしろ政党の使命でしょうね。今度の政党本位の選挙の導入によりまして、事実上公明党という政党がある意味では立候補した。通常は、私は坂井弘一だから坂井弘一のたすきをかけますよ。個人選挙政党が立候補したら公明党のたすき。そういう人がだあっと並ぶ。法定ビラを配ります。法定ビラの中には公明党にぜひ一票をと書いてある。どんどん配る。これは一般論的にいいのだ、あるいは実態的にもそれはよろしい、どうぞ御自由に伸び伸びと明るく盛大におやりください、こういう答弁を期待したい、そういうことを胸中に置きながらおっしゃっているのだろう。私は決して制限の方じゃない。それならいいのです。  しかし、現場では非常に混乱している。いまあなたおっしゃった百四十六条というのは、「何人も、選挙運動期間中は、著述、演芸等の広告その他いかなる名義をもつてするを問わず、第百四十二条((文書図画の頒布))又は第百四十三条((文書図画の掲示))の禁止を免れる行為として、公職の候補者の氏名若しくはシンボル・マーク、政党その他の政治団体の名称又は公職の候補者を推薦し、支持し若しくは反対する者の名を表示する文書図画を頒布し又は掲示することができない。」という規定ですね。いまの御答弁は、公明党というたすきはここで言う「頒布し又は掲示することができない。」というところに該当する、その心配があるかもしれない、こういうことですか。
  171. 岩田脩

    ○岩田政府委員 そういう場合があるかもしれないと申し上げたわけであります。たとえばいまの場合で申し上げまして、ビラを配るには、通行人や何やかやの状態に応じてしかるべき人数というものがございましょう。そこいら付近を著しく常識から逸脱していくと、そういうような問題もあり得るかもしれないので、わずかに保留をつけて言わしていただいているわけでございます。
  172. 坂井弘一

    ○坂井委員 だから、あるかもしれない。しかし、原則的には、一般論的には実態に照らしてみても、任意の人たち運動員や支持者がたくさん街頭に出まして、私は公明党を推薦するんだ、支持するんだ、運動するんだ、こういうわけです。そうすると、じゃ私も同じようにがんばりましょう、応援しますよ、こう言って公明党のたすきをかけた人がいっぱい街頭に出てきた。そして法定文書を配る。これは任意の、自発的な意思ですよ。それでやられるものであれば、それはいいんでしょうね。  というのは、これは現実にあったのですよ。そのときに私は、正直言ってこのことについてはためらいがあった。これはひょっとしたらまずいかもしれぬぞ。わが国の選挙法というのはどうも自由でない、制限条項が多い、べからず、べからずがいっぱいある。下手をすると、取り締まり当局側がそこに入ってくる。だから、こんなことでつまらぬトラブルを起こしてもというためらいがあったものですから、実は私はこれを制止したのです。しかし、いろいろなところの実態を聞きますと、見ますと、現実にそれをやっているのです。では、十人ならばいい、百人ならばだめだ、こんなことになりますか。ならぬでしょう。  あなたがおっしゃるように、一般論的あるいは原則論的には、そういう意思でおやりになるならば、政党が自由な政治活動あるいは選挙運動として、選挙期間中は許されるのが選挙運動です。選挙運動選挙期間以外にやってはだめなんだとか、こんなことをやっているのは日本だけでしょう。政党がやる行為は、日ごろが政治活動であり、選挙運動そのものですよ。そのことは、表裏一体の関係として常時ふだんにやっているのですよ。そういうことの中で考えてみれば、選挙運動期間中に党名の入ったたすきをかけて法定ビラをどんどん配る、これは傾向としてはむしろ結構なことじゃありませんか。どうでしょうか。だから、一定の基準があるのかないのか、もう少しわかるように教えてください。
  173. 岩田脩

    ○岩田政府委員 繰り返しになりますがもう一遍整理して申し上げますと、政党の法定ビラを選挙運動期間中に、ですからもちろん確認団体でございますが配布なさるときに、その配布に当たる方がその政党の所属員であることを示す文書図画を身につけておられましても、そのこと自身は問題ではございません。  ただ、そう言ってしまいますと、先ほどの佐藤先生の御質問ではございませんが、選挙戦術に暗いものでございますから、ありとあらゆるバリエーションをその言葉だけで一切いいんだと言われると私も困るものですから、いま申し上げた範囲ではそのとおりでございますが、それに名をかりた脱法と認められるような部分にいくと問題になる可能性はございますという、保留だけつけさせていただいているわけでこざいます。
  174. 坂井弘一

    ○坂井委員 わかりました。  それじゃ投票日に公明党のたすきをかけて投票所の近くに立っている、それはいいですか、よくありませんか。
  175. 岩田脩

    ○岩田政府委員 大変むずかしいお尋ねでございますが、まず選挙当日、投票日の近くに公明党というたすきをかけて立っておるべき理由がございませんので、それはむしろ選挙運動のための文書をつけて選挙運動に影響を与えるために立っていると認められるケースの方が多いでしょうから、まずこれは選挙違反と認定されるケースが多いと思います。
  176. 坂井弘一

    ○坂井委員 わかりました。私の言い方がよくなかったかもしれない。たまたま政党政党活動、選挙運動、これはさっき申しましたように政治活動選挙活動も一体のものです。常時やっているのです。じゃ政治活動としましょう、政治活動をやっている。たまたま投票所の近くにたすきをかけて立っておったというだけにすぎない。これは御答弁は結構です。要するに選挙部長、これは非常にむずかしいでしょう、こういうことになってくると。このことにつきましては、実は選管さんも煩わしました、自治省も煩わしました。余りぎりぎりとそう言われると、確かに前の改正とは言ったけれども、あのときにもう少し詰めておかなければならぬ問題もあったな、法の盲点というようなことでしょうか、その辺で御勘弁をというようなことも時には聞きました。  私は、いまここでこのことをあえて申し上げるということは、つまり選挙法というもの、選挙のあり方というものは、冒頭申し上げましたように、自由に伸び伸びと、明るく公正に、できるだけ有権者、選ぶ側の立場に立って、それがいま言ったような方向に行われてこそ選挙の意義がある。それが狭められるという方向というのは、決して好ましいことではない。したがって、この間の、あの政党選挙政党本位の選挙を導入した一つの、ある意味での利点といいますか、それを言うなれば、先ほどの議論の中にもありましたけれども選挙違反もかなり少なかったということですね。いままでの選挙のあり方から自由な方向に実際的には行われた。だから、それはそれなりに意味があると私は思っております。だから、今度それを余り狭めるようなことにはなってもらいたくない。ただしかし、そういうことになりますと、また公正という面からいいますと、一部の政党はそれを大々的に取り入れる、別の政党はそれはできない、またその辺で混乱が起こるのではないかという気もいたします。したがって、そういう点については今後整理をしなければいかぬだろう、このように思っております。  ついでにお尋ねをしておきたいと思いますが、いまの百四十六条一項の「何人も、選挙運動期間中は、」というこの期間中というのは、投票日を含みますか、含みませんか。
  177. 岩田脩

    ○岩田政府委員 選挙運動期間というのは、公示の日から投票日の前日までであります。
  178. 坂井弘一

    ○坂井委員 じゃ投票日は含まない、こういうことでよろしいですね。
  179. 岩田脩

    ○岩田政府委員 そのとおりであります。
  180. 坂井弘一

    ○坂井委員 きょうは法務当局はお見えじゃないですね。じゃ結構です。  選挙というのは議会制民主主義の基本だ、普通、平等、秘密、自由、直接、この五原則に基づきまして、定数の問題でありますとか立候補制度あるいはまた選挙管理、そういう要素がございます。しかし、わが国の現行の公選法を見ますと、選挙管理、執行、これだけで、他の要素は欠けておりますね。私はそういう認識を持っておるのですが、いかがでしょうか。これは大臣にお伺いしたらいいのですか、どなたに……。
  181. 岩田脩

    ○岩田政府委員 選挙をめぐりますいろいろな原則につきましての、それぞれの御評価を下される立場立場というものがありましょうから、御質問の趣旨もわからぬわけではないわけでありますが、ただ、われわれは公職選挙法というものが、何も選挙の管理、執行についてだけ書いてある法律だとは思っておりません。
  182. 坂井弘一

    ○坂井委員 先ほど申しましたように、べからず選挙というのはふえる一方でして、そういう状況の中で、改正案というのですか、今度の場合は運動期間短縮をする、あるいは一部の運動方法、これを禁止する、またそれに新しく加わった、こういうことになってきますと、選挙に対する意欲的な活動、そういうものが大きく阻害される、それから利益誘導選挙、そういうものがなお横行するという心配はないのか。  そういうことになってきますと、白けとかあきらめあるいは無関心層というようなものがなお大きくなりまして、選挙に対する投票率もさらに低下をする、どうもそういう心配がある、こう指摘される向きが多いようですけれども、そのことについてはどうですか。そんな心配はないということでしょうか。
  183. 片岡清一

    片岡議員 余りべからず、べからずでは非常に不愉快な選挙になって、それが棄権のもとにならないだろうかという御意見だろうと思います。  先ほどから、日本選挙規定、選挙法が非常に暗い暗いとおっしゃいますが、やはりわが国の選挙個人選挙が主でありまして、主というよりも、ことしの春行われた比例代表制以外は個人選挙でございました。ところが欧米各国のは、いろいろございますが、小選挙区制等、これは政党選挙であり、比例代表制も政党本位の選挙であるというようなことから、いずれも政党本位の選挙が主体になっておるということが言えると思います。  その点、わが国の選挙個人本位の選挙であるという点でやはりいろいろ、ある程度厳しい規制をしなければならぬ。イギリスのように腐敗防止法ができて、相当長い間腐敗しておった選挙がだんだんよくなった。それがいま小選挙区制になっておりますから、イギリスにおいては腐敗防止という法の施行とともに、ほとんど汚い選挙はなくなったと言われております。  わが国の選挙は、個人選挙であるとともにもう一つ、世界に余り類例のない中選挙制度である、そして同じ政党でありながら戦いをする、争わなければならぬ、こういうことから自然選挙が過熱化してくる。そういう点でいろいろの、ほかの国に見ないようなある程度規制をしなければ公正に行われないということになるんだ、こういうふうに思うわけでございます。  それで、ある程度規制はやむを得ない、しかし、その規制の中にもできるだけ明朗濶達に選挙が行われるようにしていかなければならないわけですが、私は、棄権というのは、そういう今度決めたような運動期間短縮、その他いろいろ立会演説を廃止したということで、それが直ちに投票率を低下する、熱意を低下して、そして棄権を多くするという結果になるとは必ずしも思っておりませんで、それよりももっと大事なことは、やはり政治の倫理化、そして国民納得のいく選挙、そしてまた政治が行われる、そういうことによって国民政治に関心を持ってもらう。  そういうこととともに、やはり民主主義の原理原則、趣旨、これを若い人たちにも十分徹底させていって、そして選挙にそういう点から関心を持ってもらう、そういう教育を進めていくということがより大事なのではなかろうか、私はこう思っておる次第でございます。
  184. 坂井弘一

    ○坂井委員 お説ですけれども、私はどうもそういかぬのじゃないかという危惧が非常にいたします。  それで、べからず選挙の最たるものは戸別訪問禁止ですね。先進諸国で戸別訪問、これは大体認められておりますし、裁判所の判例を見ましても、この制限は明確に違憲である。したがって、選挙運動の自由化ということを進める場合に、やはり戸別訪問禁止をどう緩和していくのかということが一つの視点だろうと思うのです。  その場合に、一定の制限というものを設けながらも戸別訪問を許可していく、もっと運動を明るく自由にしていく。どうも戸別訪問禁止すると、非常に暗いイメージをぬぐい去ることができない。もちろん、それには買収とか供応とかいう非常に忌まわしい腐敗的な行為がつきまとうから、これを禁止せざるを得ないんだ、とりわけ、いま片岡先生がおっしゃるように、日本個人選挙、その中枢はあくまでも個人本位である、そういうことになってくると、という理屈が一方にある。  しかし、少なくとも今度の改正案を見まして、期間短縮するというならば、その一つの見返りとして、見返りといいますか、あるいは期間短縮にかわる、それを埋める一つの有効な手段方法、これは自由化というのをもう少し進めたらどうだろうか。その場合に、戸別訪問ということについて一定の制限を設けながらも、何とかもう少しこの禁止、制約を緩めていく、こういうようなことをお考えにならなかったのか、お考えはあったんだけれどもそうはなかなかうまくいかなかったということか、戸別訪問ということはわが国は全く禁止だということなのか、その辺の感触を少し聞かしていただきたい。
  185. 片岡清一

    片岡議員 戸別訪問を自由化すべきだという声は前から非常にございまして、わが党の中でも、また選挙制度調査会のいろいろの調査審議の中でもこれが非常に大きな問題になりまして、何とか自由化する方向へ行こうやということで相当検討をいたしたのでございますが、これを全体、何の規制もなしに自由化するということになると、これは際限なく、先ほど言いましたように個人個人の競争の選挙でございますので、際限なく広がっていく。  そういうことになると、選挙する方の方、有権者の方へ朝から晩まで、お願いします、お願いします、お願いにこなければ、「頼まぬ衆生は救われぬ」ということで、頼みにこないやつには投票しない、こういうことが当然一般化するだろうと思います。そうすると、どうしても一生懸命にあらゆる方法を講じても頼みに行くということになると、いろいろの支持者、団体を動員をしまして、もう時、所を構わずに戸別訪問するということになると、これは選挙民の方たちに非常に大きな迷惑になるんじゃないか。  そのことがやはり非常に問題であると同時に、かつては親戚、親族あるいは知人、そういう者に限って戸別訪問を認めるというようなことで、範囲を限って戸別訪問を許す、あるいはまた、腕章を配った者しか戸別訪問できない、こういうふうに制限をする方がいいんじゃないかというような意見もございますが、これらの問題も、結局腕章にしても、一人一人訪問をして歩くということにだんだんなって、これは大変な労力と時間とそして際限のない運動になって、したがって、非常にいろいろの点で弊害も出る可能性があり、特に先ほど申しました選挙をする人たち立場からも迷惑をするという結果にならないかということで、結局これはなかなか踏み切れないなということで、さらによく検討しよう、研究しよう、こういうことになって、私らの方の選挙調査会ではそういう結論にいまのところなっておるところでございます。
  186. 坂井弘一

    ○坂井委員 今度の改正によりまして、公営による選挙費用、それから個人選挙費用、これはかなり大きく縮減される、こういうことになりますか。
  187. 片岡清一

    片岡議員 それはなるだろう、こういうふうに思います。とにかく、日数が四分の一減るわけでございますから、その分だけは算術的にもはっきり出てくるだろう。そしてまた、いままでも二十日間ですと、どうしても中だるみがあるというようなことでいろいろ言われましたし、またその中だるみというときには、いろいろな点でよけい選挙費用がかかるというようなことやらいろいろございまして、衆議院において五日間少なくなるということは、端的に一つの費用の縮小にはなる、こういうふうに思います。
  188. 坂井弘一

    ○坂井委員 法定選挙費用も少なくなるのですか。
  189. 岩田脩

    ○岩田政府委員 御承知のとおり、法定選挙運動費用は政令で決めることになっております。政令につきまして、今度期間が五日間縮まりますので、どういうぐあいになるか、この法律が成立すれば、これから試算をしてみたいと思っておりますけれども、片一方には、その間における物価の変動というようなものもありますから、どういうことになるかいまのところよくわかりませんが、ただ日にちが縮まった影響だけを申し上げれば、その分だけ減少する理屈でございます。
  190. 坂井弘一

    ○坂井委員 それはそうでしょうな。その分だけ少なくならなければおかしいですね。そう期待をいたします。  それから、時間がございませんので急いでお尋ねしますが、今度の改正で任意制の公営をやっている町村議会がかなりありますね、たとえば立会演説会だとか選挙公報。非常に大きな制約、制約じゃなくてそれは実際問題できなくなってしまうのですが、市町村の選管の御意見を聞かれたということですか。そのほかに、特にいわゆる選ぶ側というわけですから、有権者側の意見の代表としては特にこういうところを聞いたぞ、そうした場合にいまの市町村のそういう任意、公営これらについても支障はないというようなことだったということがあれば、簡単に聞かせてください。
  191. 片岡清一

    片岡議員 選挙管理委員会意見も兼ねて、われわれの方へ各市町村から出されております要望その他が来ておりまして、それらの要望を通じまして声を聞いております。それと同時に、われわれ自身が一般の選挙運動をし、あるいはまた平素の政治活動をしております段階で、選挙民方々と常にわれわれは密着をしておるわけでございます。その間において、いろいろ選挙運動についての批判あるいは迷惑しておる点、あるいはこういう点はこう改めたらどうかというようなことについて、われわれは常に意見を聞かされておるわけでございます。そしてまた、選挙管理委員会皆さん方も、そういう一般の声も常に村で聞きながら、市町村で聞きながら、それが一つの大きな声となって、改むべきものの中へ入ってわれわれのところへ来ておる。それを十分調査をし、勘案しながら、われわれは調査を進めておったわけでございます。
  192. 坂井弘一

    ○坂井委員 時間が参りましたので終わりますが、大体外国では政治活動が即選挙運動でありましてね。立候補、告示公示、この日がある。投票日もある。しかしながら、選挙運動をそういう制約をするというようなことは余り例がないわけですね。わが国は、選挙運動政治活動というのを縦分けておる。日本選挙制度の仕組みが違うからそうなんだということでしょうが、それにしても、先ほどから申しますように政治活動、これはその表裏の関係としてそこに選挙運動、これはもう一方においては政治活動というものを伴う。こういう関係において、非常に伸び伸びと濶達に自由に公正に明るく行われておる諸外国、先進諸国に比べまして、今度の改正案を見ましても、なお制約をしていこう、しかも選ぶ側の論理というものが欠落しておるということ、これはもう否めないと思います。  とりわけ選挙制度審議会、これは実際問題諮問機関であって、構成できないからというわけででき上がってもいない、開かれないということでしょうが、本来ならば審議会を構成してここで意見を聞く、あるいは公聴会を開くという慎重さがあって当然しかるべきだろうと思いますが、そういうことが欠けた、これははなはだ遺憾だと言わざるを得ません。  いずれにいたしましても、今回の改正案につきましては、私が冒頭申しましたような自由とか明るさとか公正とかそういうことに逆行する、そういう意味合いにおいて、全く改正案ならざる改悪である、こう言わざるを得ないということを申し上げまして、質問を終わります。
  193. 中野四郎

    中野委員長 安藤巖君。
  194. 安藤巖

    ○安藤委員 この前の質疑のときに、片岡さんだったと思いますが、定数是正には中選挙区制の見直しが必要だというようなことですね。あるいは戸別訪問の自由化と小選挙区制抱き合わせのようなお話をなさったのですが、この小選挙区制といいますのは、自民党が四〇%の得票で八〇%の議席を確保しようという、これは党利党略のものだというふうに思います。ですから、これは断じて許すことができない。これと、公正な選挙を実現するための定数是正選挙運動の拡大のための戸別訪問の自由化、これとを抱き合わせにするというようなことを自民党が考えておられることだというふうに思います。これは断じて許すことができないということをまず最初に申し上げておきます。  そこで、金がかからないというためにこの法案を出したんだというふうにおっしゃるのですが、具体的な事例をひとつ申し上げたいと思うのです。  この前の参議院の選挙で、比例代表の方の名簿に登載された方ですね。これは毎日新聞です。「前文部省管理局長の柳川覚治氏 権限一手に握っていた 専修学校に大量郵送」これは文書が大量に郵送されたという記事です。その郵送された文書もここに私持っておりますけれども、「専修学校の全職員講師各位」というのがあるのです。これは相当金がかかったのだろうと思うのです。  それからもう一つは、「都道府県図書教材販売協会会員各位」ということで、これも全国図書教材販売協議会専務理事の名前で大量に送られているのですが、この中に、柳川覚治先生が文部省で文化庁次長だとか初中局審議官だとかいろいろ役をやってこられた、今度比例代表制による選挙となって全国区に出られる、これについては、新人が立候補する場合は、自民党では五万人以上の党員をつくらないと上位にランクされない。五万人以上獲得なされただろうと思いますが、上位にランクされて当選されたわけですね。  ところで、この文書にこういうように書いてあるのです。「入党申込書とともに会費も」これは党費の間違いだと思うのですが、入会費かな。「納入することになっておりますが、会費については当方(柳川後援会)で一切納入することにしております」こういう言い方ですね。党費は三千円と聞いております。入党費というのですか三千円と聞いておりますけれども、これは公知の事実です。仮に党員一万人を獲得されたとしても三千万円、五万人入党者をおつくりになったとすると一億五千万円、まさにこれこそ金がかかるんじゃないですか。  それから学校教材販売関係の方では、かねてからの懸案である学校教材法の制定を促進するためにもこれは必要だ、これはまさに地位利用でもありますね。こういうところに金がかかっていることと、金がかからないようにするための今回のこの改正案というのは、一体どういう関係があるのです。期間短縮すること、立会演説をなくする、時間を短縮する、これとは一体どういう関係があるのですか。
  195. 片岡清一

    片岡議員 選挙に幾ら金を使うかということは、それぞれの候補者自分の判断といいますか考え方でやることでございまして、そんなにたくさん使わないでも十分選挙民の支持を得て出てくる人もたくさんあるわけです。いま例に引かれたような方は一つの例であります。そういう方もおったかもしれませんが、法に触れない点においてならこれはしようのないことでございまして、それがあったから今度の提案も皆けしからぬことだという結論に持ってこられることは、ちょっとそれは飛躍しておると私は思います。
  196. 安藤巖

    ○安藤委員 いま私が申し上げたのは、まさに金がかかっているのです。こちらの方を何とかしなければならぬのだと思うのですよ。こちらの方は全然ほおかぶりしておいて、これはごく一人のとおっしゃるのですが、新聞その他にも、何人かあることもいろいろ報道されております。こういうのをほかっておいて、ここに金がかかるんだ、それを口実にして金がかからないために運動期間を縮める、一体どこからこんなのが出てくるのかさっぱりわからぬですよ。いまの御答弁もさっぱりわかりません。金がかかることとどういう関係があるのですか。これをなくするようにするのならわかりますよ。金がかからないようにするのに運動期間短縮、さっぱりわからぬですわ。  それではもう一つ、町村会議員の運動期間五日間ですね。この改正案提出をされた九月二十日、秋田県の羽後町で自民党の議員も加わって満場一致で、この改正案改悪反対という意見書を採択しているのです。なぜそういうことをしたかといいますと、ここは出稼ぎの方が多いらしいのですね。出稼ぎに行きますと、告示になってから投票用紙を出稼ぎ先に送ってもらって、出稼ぎ先の選管で投票する。そこから住民票のある、選挙権のあるところへ投票したのを送ってもらうわけです。それには六日目か七日目でないと着かぬ。それは距離によりますけれども、着かぬ。となると、五日間は完全に過ぎてしまう。投票したってむだだ。届かないのですから投票できないじゃないか。投票したってむだだというので、棄権がふえるんじゃないかということを心配しているのですよ。いまのそういう実態からすると、選挙をしたってしようがないということにならざるを得ぬでしょう。一体これどうするつもりなんですか。公正な選挙、棄権がないようにと一生懸命努力しておられる元締めであられる大臣、どうですか。どうするつもりなんですか。
  197. 岩田脩

    ○岩田政府委員 選挙運動期間が短くなれば、そういった郵送による余裕期間が短くなるのはある意味でやむを得ないことでございます。いまおっしゃるような不在者投票につきましては、現在も告示前の投票用紙の請求を認めております。そういう点で十分PRをいたしまして、公示即日直ちに送るというような形での、それからそういった出稼ぎに行っている方にも、今度は期間が短くなっているのだから、この投票用紙を受け取ったらすぐにでも最寄りの選挙管理委員会に行って投票の手続をとるようにといった、啓発活動をあわせることによって解決をしなければならぬ問題ではないかと思っております。
  198. 安藤巖

    ○安藤委員 やむを得ないことも出てくるというようなことでもって、不信があったってしようがないと言うんですか。無効になったってしようがないと言うんですか。この人たち選挙権どうするんです。これは、できなくなるのじゃないですか。大臣、どうです。
  199. 岩田脩

    ○岩田政府委員 ただいま申し上げたとおりでありまして、できるだけ早く手続を進めていくということをしなければならないと思っております。
  200. 安藤巖

    ○安藤委員 この羽後町の選挙管理委員会の書記長の人が、無効や棄権がふえるといって顔を曇らせているという言葉があるのです。何人かの人たちが、この改悪案によって、五日に短縮されることによって投票できない、したって無効だ、届かないわけですから棄権してしまう、そういう心配が出ているのですよ。これはどうするんですかと聞いているんですよ。大臣、どうしてお答えにならないのですか。お答えできないのですか。できないんだったら私、質問を留保します。
  201. 山本幸雄

    ○山本国務大臣 行使のできないことにはならないように万全の努力をする、こういうことだと思います。きわめてこれは技術的な問題ですから、いま選挙部長からお答えをいたしましたが、極力工夫をしてそういう事態にならないように努力をいたします。
  202. 安藤巖

    ○安藤委員 努力をするとおっしゃったんですが、いまの岩田選挙部長は、やむを得ない場合もあるんだということも言われたんですよ。そういうときは棄権されてもしようがない、大した数じゃないからそんなものはほかっておけみたいなことでは、基本的権利である選挙権を剥奪することになるんですよ。これは大事な問題です。提案者はどうですか。
  203. 片岡清一

    片岡議員 できるだけそういうことにならないように工夫をする、そうしていろいろな方策を講じて、選挙管理委員会としては一票の欠落もないように努力する、こういうことであります。
  204. 安藤巖

    ○安藤委員 具体的に、物理的にとてもじゃないができないということを書記長さんまで言うておるのですから、これは大変なことですよ。  それから、立会演説の関係でお尋ねしたい。形骸化している、形骸化しているというお話がありますけれども、条例で県会議選挙の立会演説を行っている県があるのですが、これは幾つあるか御存じですか、そしてどことどこか。——選挙部長じゃない、提案者。
  205. 中野四郎

    中野委員長 選挙部長からちょっとお答えいたします。
  206. 安藤巖

    ○安藤委員 いや、それは提案者じゃないとだめですよ。そんなことくらいお調べになった上で、この法案をおつくりになったと思うのです。——何もわかってないのじゃないですか。(片岡議員「ちゃんとわかっています」と呼ぶ)そうしたら答えてください、わかっているとおっしゃるなら。
  207. 片岡清一

    片岡議員 任意の立会演説ですな。それはいまのところ、府県段階では大体二〇%程度実施しております。(安藤委員「どの県がやっているかということ」と呼ぶ)それは細かいことですから、どうぞ自治省……。
  208. 岩田脩

    ○岩田政府委員 突然のお尋ねで、すぐ資料が出てこないで失礼いたしました。  現在、任意制の公営の立会演説会を行っております都道府県は十一、青森、岩手、山形、茨城、群馬、神奈川、新潟、福井、鳥取、高知、鹿児島と承知しております。
  209. 安藤巖

    ○安藤委員 そこでお尋ねしたいのですけれども、この十一の県で行われている立会演説会の様子を、提案者の方々はどういう状況だったのかということを知っておられますか。
  210. 片岡清一

    片岡議員 それぞれの県について現場についてよく存じませんが、いずれも出入りが大変多くて、だから総計の聴衆というものの数は何百人ということになりますけれども、先ほど参考人から話がありましたように、候補者によってはもう数名になってしまう。前の人は何十人、何百人と来ておるけれども、その人の演説が終わるとざあっと大波が引くように引いていって、後に残った者は十数名しかいなかったという現状であることを先ほど陳述をされておるわけであります。
  211. 安藤巖

    ○安藤委員 たとえばいまおっしゃった十一の県で、具体的にどことどこの立会演説会がこういう状況であった、ここもこうだった、そういうようなことはわかっているのですか。お調べになったことがあるのですか、ないでしょう。どうですか。
  212. 片岡清一

    片岡議員 それほど細かいことについては、写真も撮っておりませんし録音もしておりませんので、わかりません。
  213. 安藤巖

    ○安藤委員 先ほども具体的によくわかりません、一つ一つの演説会でどうなったかわからないのに、どうして形骸化しているというふうにあなた方は認識してみえるのですか。それがさっぱりわからないのです。ちゃんと人数も、いま立会演説の会場は平均七百五人だというふうな、これは衆議院、参議院のそういう国政選挙でのあれがあるのです。そして、こういうような県会議員の選挙でも条例で任意的にやっておられるということは、やはり必要だからやっておると思うのです。それを今度は、もとのところで廃止してしまうのですから、これは全部できなくなりますね。  それから、さらに市区町村長、いわゆる首長選挙で、これは私の方から言いますが、全自治体の約四四%、千四百九の自治体が首長選挙で、任意制で条例を設けてやっておるわけです。これは、それが必要だからやっているのですが、それでは、この市区町村長選挙の立会演説状況をお調べになったのですか。
  214. 片岡清一

    片岡議員 党の方の制度調査会としては、それぞれ各府県から実情を出してもらって、それに従って判断をしておるわけでありまして、一々そんなのを見に行くという、そういうのんきな余裕はありません。
  215. 安藤巖

    ○安藤委員 何を言っているんですか、あなたは。こんな大改悪案を出すのに、そんな余裕がないということがありますか。そこまでちゃんと調べて、まさにこれは本当に形骸化しているなと、全部が全部見ろとは言いませんよ。しかし数カ所でも見て、本当にそうなのかどうなのか確かめるべきじゃないですか。そんな余裕がないというのは一体どういうことですか。余裕がないという言い方がありますか。時間をつくって、金のわらじとは言いませんが、ちゃんと調べてきた上で、やはりこれは形骸化しておるということでお考えになるならわかりますよ。そんなもの知らぬ、そんな余裕ない、こんなことじゃだめじゃないですか。答弁になってませんよ。これからお調べになったらどうですか。それからもう一遍出し直したらどうですか。
  216. 片岡清一

    片岡議員 それは見に行くまでもなく、私たち自身が選挙のときに体験しておる。大体それを基本にして、各県から報告を受けたものは大体これだなという判定をするわけです。
  217. 安藤巖

    ○安藤委員 体験をしているとおっしゃるのですが、それは富山県で——お二人ともちょうど富山県の一区と二区なんだな。それは知っておられるかもしれぬ。私がいまお尋ねしている県会議員の立会演説会、市区町村長の立会演説会、これは首長ですからね。どっちとどっちを決めるのに一番大事な選挙方法運動方法ですよ、それをあなた調べないで、そんな余裕はないと、これはいけませんよ。そこまで調べなければだめですよ。調べてないんですね。調べてないのに、市区町村長選挙ですよ、あなた経験してないでしょう、どうしてそんなもの経験でわかると言えるのですか。そんなもの調べぬでもいいと言えるのですか。そんな余裕がないと言えるのですか。これはいけませんよ。  それから、時間の関係もありますから、立会演説会をテレビ放映しているところがあります。知っておりますか。いままた、あれをごらんになるだろうと思うのですが、立会演説会の模様、各候補者政策、公約等々をできるだけ大ぜいの有権者の人に知ってもらおうと、録画してテレビ放映しているんですね。それが今度もとがなくなりますから、全部だめですよ。いいですか。  それから、東京都でも、これは四年前の都知事選挙で、渋谷公会堂での立会演説会、江東公会堂での立会演説会、新宿区、立川、日比谷、八王子市民会館での立会演説会、これはちゃんと放映しているのです。これもなしになるんです、もとがなくなるから。そういう影響まで考えたことがありますか。もとがなくなったら、もちろん録画できませんから、これはどえらいことですよ。  そしてさらに、もともと立会演説会には、聴力障害の方々に手話通訳というのをやるのです。放映されるときには、それもちやんと映るのです。それもなくなってしまうのです。ですから、そういう任意でやっておられる立会演説会も全部だめ。これは条例違反になると、この前選挙部長さんがおっしゃった。もとになっている立会演説会がだめなら、録画して放映することもできない。そこまで全部だめになってしまうのですよ。そして、そういうようなことが、余裕がないから調べなかった、一々行かぬでもわかる、これじゃ通りませんよ。だめですよ、そんなのじゃ。どうです、これから調べに行くのですか、行かぬのですか。
  218. 中野四郎

    中野委員長 安藤君に御注意を申し上げますが、すでに既定の時間は経過しておりまするので、この程度で……。
  219. 安藤巖

    ○安藤委員 いや、大事なことですよ。答えられないでしょうが。提案者の資格はないですよ。
  220. 片岡清一

    片岡議員 町村のこともわれわれは、それぞれのわれわれの選挙区の中で十分心得ております。十分知っております。見聞きしております。
  221. 安藤巖

    ○安藤委員 いや、それは通りません。そんな、見聞きしているとか、余裕がなかったから行かなった、そんな必要もないというようなおっしゃり方でしょう。
  222. 片岡清一

    片岡議員 どこの県もみんな言うから、そんなことはできないでしょうと……。
  223. 安藤巖

    ○安藤委員 だから、首長選挙、せめて五つや六つぐらい調べたらどうなんですか。それも調べないで、そんな余裕はなかったでは通らぬということを私は言っているのですよ、全部なくなるのですから。だから、その辺については、私はこれからももっとしっかりお尋ねしたいと思っております。
  224. 中野四郎

    中野委員長 この際、暫時休憩をいたします。     午後六時三十一分休憩      ────◇─────     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕