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1983-10-05 第100回国会 衆議院 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年十月五日(水曜日)    午前十時五分開議  出席委員    委員長 中野 四郎君    理事 小沢 一郎君 理事 奥野 誠亮君    理事 片岡 清一君 理事 小泉純一郎君    理事 佐藤 観樹君 理事 山花 貞夫君    理事 伏木 和雄君 理事 中井  洽君       足立 篤郎君    大西 正男君       大村 襄治君    住  栄作君       田名部匡省君    渡海元三郎君       浜田卓二郎君    粟山  明君       小野 信一君    栂野 泰二君       部谷 孝之君    安藤  巖君       伊藤 公介君  出席国務大臣         自 治 大 臣 山本 幸雄君  出席政府委員         警察庁刑事局審         議官      高田 朗雄君         自治省行政局長 大林 勝臣君         自治省行政局選         挙部長     岩田  脩君  委員外出席者         議     員 片岡 清一君         議     員 住  栄作君         議     員 天野 公義君         衆議院法制局第         一部長     相川 清治君         自治省行政局選         挙部選挙課長  小笠原臣也君         自治省行政局選         挙部管理課長  平林 忠正君         特別委員会第二         調査室長    秋山陽一郎君     ───────────── 委員の異動 十月五日  辞任         補欠選任   岡田 正勝君     部谷 孝之君   河野 洋平君     伊藤 公介君 同日  辞任         補欠選任   部谷 孝之君     岡田 正勝君   伊藤 公介君     河野 洋平君     ───────────── 十月四日  公職選挙法の一部を改正する法律案天野公義君外七名提出衆法第一号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  公職選挙法の一部を改正する法律案天野公義君外七名提出衆法第一号)      ────◇─────
  2. 中野四郎

    中野委員長 これより会議を開きます。  この際、午前十時三十分再開することとし、休憩をいたします。     午前十時六分休憩      ────◇─────     午後二時三十八分開議
  3. 中野四郎

    中野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  天野公義君他七名提出公職選挙法の一部を改正する法律案議題とし、審査を行います。  提出者より提案理由説明を聴取いたします。片岡清一君。     ─────────────  公職選挙法の一部を改正する法律案     〔本号末尾掲載〕     ─────────────
  4. 片岡清一

    片岡議員 ただいま議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由内容の概略を御説明申し上げます。  この法律案は、最近の選挙実情にかんがみ、選挙制度の改善を図るとともに、金のかからない選挙の実現に資するため、選挙運動期間短縮立候補届け出期間短縮経歴放送の回数の増加及び立会演説会制度の廃止その他所要の改正を行おうとするものであります。  次に、この法律案内容について御説明申し上げます。  第一は、最近の選挙実情にかんがみ、各選挙選挙運動期間短縮することとし、衆議院議員選挙については二十日間を十五日間に、参議院議員選挙については二十三日間を十八日間に、都道府県議会議員選挙については十二日間を九日間に、都道府県知事選挙については二十五日間を二十日間に、指定都市議会議員選挙については十二日間を九日間に、指定都市の長の選挙については二十日間を十五日間に、指定都市以外の市の議会議員及び長の選挙については十日間を七日間に、町村の議会議員及び長の選挙については七日間を五日間にそれぞれ改めることといたしました。  第二は、選挙運動期間短縮に合わせて立候補届け出期間現行の二日間から一日間とし、また、選挙公報掲載文申請期間現行の四日間から二日間に短縮することといたしました。  第三は、連呼行為街頭演説及び街頭政談演説を行うことができる時間について、現行の午前七時から午後八時までを、午前八時から午後八時までとすることといたしました。  第四は、経歴放送に関する事項についてでありますが、衆議院議員参議院選挙選出議員及び都道府県知事選挙においては、新たに、日本放送協会によるテレビジョンの経歴放送候補者一人について一回行うことといたしました。  第五は、立会演説会に関する事項でありますが、最近の立会演説会の実態にかんがみ、この際立会演説会制度を廃止することといたしました。  最後に、この法律は公布の日から施行することとし、衆議院議員及び参議院議員選挙については施行日以後初めて行われる選挙から、その他の選挙については施行日から起算して三月を経過した日以後行われる選挙から適用することといたしております。  以上がこの法律案の要旨であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手)
  5. 中野四郎

    中野委員長 これにて提案理由説明は終わりました。     ─────────────
  6. 中野四郎

    中野委員長 これより質疑に入るのでありますが、日本社会党及び日本共産党所属委員出席がございません。事務局をして出席を要請いたしますので、しばらくお待ちください。——ただいま、事務局をして日本社会党及び日本共産党所属委員出席を要請いたしましたが、いまだ出席がありません。もう一度事務局をして出席を要請いたしますので、お待ちください。——先刻来、再三にわたり日本社会党及び日本共産党委員出席を要請いたしておりましたが、日本社会党委員出席がいまだにありません。やむを得ず議事を進めます。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。  なお、質疑順序は、日本社会党所属委員出席がありませんので、やむを得ず繰り上げて行います。伏木和雄君。
  7. 伏木和雄

    伏木委員 社会党さんがお見えにならないようでございますので、先に質問をさせていただきます。  ただいま自民党から御提案いただきました公職選挙法の一部を改正する法律案及びそれに関連する幾つかの問題について質問をさせていただきます。  先ほどの御提案案件につきまして、第一から第五まで内容がございますが、そのうち第四の経歴放送及び政見放送、この追加につきましては一歩前進というように私ども理解をいたしますが、その他の四項目につきましては、ことごとく規制である、このようにわれわれはとっておる次第でございます。     〔委員長退席小沢(一)委員長代理着席〕  本来、選挙運動というのは自由化を目指すべきであり、選挙民がより行動しやすく、よりさまざまな手段を用いて公正な選挙ができるようにするのが、本来公職選挙法であらねばならない、われわれはこう理解をいたしておりますが、こういう自由化へ向かうのではなくて逆に規制の強化であるという観点から、われわれ賛成いたしかねる内容が盛り込まれている、こう思っております。  そこで、いまこのような選挙民選挙自由化を後退させるような法案をなぜここで早急に提案しなければならないのか、むしろ私どもは、いま有権者の中から早急に改善してもらいたいという幾つかの強い要望、緊急を要する要望事項がたくさんございます、こうしたものを優先すべきではないか、このように考えておりますが、この点につきまして提案者並び担当大臣の方から御説明をいただきたい、お答えをいただきたいと思います。
  8. 片岡清一

    片岡議員 ただいま伏木委員からお話がありましたように、選挙はできるだけ闊達に、そして自由に選挙民意見を聞いて選挙をする人を選ぶ、そういうことであることは、これは当然の原理であり、原則であると存じます。ただしかし、今回選挙運動期間短縮を主として図りましたゆえんのものは、御承知のように衆議院において選挙運動期間二十日、それから参議院において二十三日、これは衆議院の場合は、昭和三十三年に改正せられて二十日になってからすでに二十五年たっておる。それから参議院の場合は、三十七年に二十三日ということになりましてすでに二十年余たっておる、こういう状況でございます。  その間、交通機関それから道路が画期的に改善せられまして、もうへんぴなところへも自由に自動車が行ける、山の中へも短時間で行けるというように、交通が改善せられました。そのほかに通信機関においても、ラジオ、テレビ等の発達によって画期的な進歩が出てまいりまして、二十年、三十年前に比べまして、十分選挙運動選挙民の方々に徹底できるという状況が出ておるわけでございます。  そういうことを主眼にいたしまして、やはり時勢に即応するように、できるだけ選挙費用がかからない、金のかからない選挙、金のかからない選挙ということは選挙を正しくし、そして政治倫理を確立していく基本である、私はこういうふうに思っておりまして、そういう立場から今回それらの事情を勘案いたしまして、できるだけ金のかからない選挙、こういう意味提案をいたした次第でございます。御了承賜りたいと思います。
  9. 山本幸雄

    山本国務大臣 いまの提案者とほぼ同じ意見でございますが、確かにおっしゃるように、選挙というのは自由にやらなければならない。そして同時に、選ぶ方の側の立場に立って考えなければならないというのは、これは当然のことであると思います。  ただ、いま御説明のように、時代の進展とともに、交通手段あるいは通信手段あるいは教育の向上によって非常に政治意識も高くなってきて、ふだんから政治に対する関心度というものも著しく国民の間に広まってきた、私は、こういういろいろな諸条件考え合わせますれば、この期間短縮等を初めとするものがすべて規制であって、選挙民の選択の幅を非常に狭めるものであるとも思えないのでありまして、むしろ時代に即応して新しい選挙のあり方というものを考えられた制度改正ではないのか、こういうような感じでおるわけでございます。  したがいまして、私どもも今回の御提案については妥当な線である、こう思っておるところであります。
  10. 伏木和雄

    伏木委員 改正案内容については後ほど数点お伺いいたすといたしまして、ただいま私が申し上げたのは、今回この改正案を出すというのであればもっと緊急にやるべきこと、重要な案件がたくさんあるのではないか、そういう問題に触れずに都合のいいところだけをなぜお出しになったのか、緊急課題があるではないか。自民党さんの方では、いま公正な選挙制度民主主義確立のために緊急課題があるとお考えでしょうか。それより、こちらの方が大事なんだということでございましょうか。
  11. 片岡清一

    片岡議員 私も、またわが党といたしましても、今回提案いたしましたものよりももっと重要な、たとえば一票の重みというようなことが国民の間に非常に問題になっておりまして、いわゆる定数是正というようなことが一番先に考えられなければならない基本問題であると存じますし、また、今年の六月初めて行われました比例代表制、これらについてもやってみまして、いろいろ見直さなければならぬ点があるのではないかということも問題になっております。公明党さんにおかれましても、いろいろ御意見のあるところはあるようでございます。その他、海外在留日本人選挙権の問題であるとか、基本的にいろいろ考え直さなければならない、見直さなければならない問題がたくさんあると思います。  そういう意味において、われわれ自民党としても、かねて選挙制度調査会におきまして三つの小委員会をつくりまして、それらの問題全般にわたりましてずっと検討を続けてきております。いまお話のございましたような基本問題についても、真摯な調査研究を進めておるところでございます。ところが、これらの問題は、いずれも非常に重要な基本問題にかかわる問題でございまして、党内でも非常に意見が分かれます。なかなか容易に一致を見ない点も多うございます。さらに、これらの問題については今後とも十分あらゆる方面から検討を重ねて、そして合理的な選挙の土俵ができるようにしていかなければならぬ、こう思っておりまして、今後その問題についても、引き続き中長期の問題について検討をしていくつもりでおります。  ただ、その間に、今回提案いたしましたような問題につきましては、おおよその党内コンセンサスが得られるような状況になったわけでございまして、これはやはりコンセンサスが得られるならできるだけ早く合理的に改めていく、こういうようなことになりまして、いま提案いたしました五つの問題につきまして合理的に早く改めた方がいいだろう、こういう結論になりまして、野党皆様方にも御相談を申し上げ、そしていろいろ御意見を承りながら、これは全面的な賛成ということではなかったのですが、おおよそのコンセンサスを得られるという状況になりましたので、今回提案に及んだ次第でございます。御理解賜りたいと思います。
  12. 伏木和雄

    伏木委員 法案内容は、先ほど申し上げましたように自由化を目指すということであるならば、私どもも、もう少しスムーズに審議ができるのではないか、こう思っております。それよりもむしろ大事なのは、憲法問題にも議論が発展しております定数でございます。  ただいまお話もございましたが、御承知のように憲法十四条では、すべての国民は法のもとに平等と規定をされているわけでございます。ところが、この国民基本的権利ともいうべき最重要事項である衆議院定数の問題が、五十五年の国調では、最大格差は、千葉四区と兵庫五区が四・五倍でございました。しかし、それから三年経過し、本年の七月現在で見てまいりますと、四・七五倍にまで格差は広がってきております。したがいまして、もはや政治問題を越えて憲法論争にまで入ってきております。  御承知のように、五十五年の選挙の結果につきまして、東京高裁あるいは大阪高裁違憲判決を出しております、違憲宣言をいたしております。しかも東京高裁におきましては、二倍以上はもう憲法違反だ、ここまで明確に違憲宣言が出ておるわけでございます。このまま放置すれば、これは国会の怠慢と言わざるを得ないと私ども考えるわけでございます。もちろん、政党間のことでございますが、やはり政府与党といたしまして、自民党も相当の責任をお感じになっていただかなければならない、私どもはこのように考えますが、この点いかがでございましょうか。
  13. 片岡清一

    片岡議員 御指摘のようにこの定数の問題は、憲法論議にまで及んでおる重要課題であることはわれわれも十分認識をし、先ほど申し上げたように党の選挙制度調査会においては、この問題で大変長いことすでに検討を進めております。  御承知のように衆議院選挙制定数については、過去二回にわたって各党合意に基づいて、不均衡の著しい選挙区について是正が行われました。そしてその後、東京大阪兵庫ですか神戸ですか、あるいは千葉、埼玉というところで、やはり訴訟がいま最高裁で係争中であり、近くお話のように結果が出るというような状況になってきておりますので、この問題は、本当に与党としても差し迫って何とかやらなければならぬ問題であると存じます。  しかしながら、この問題は、大変選挙の根幹に触れる問題になります。単に数学的な数字だけの問題ではございませんで、中選挙区制をそのまま維持していいのか、また何かもっといい方法があるのか、あるいはこれは人口割りだけでいくのか、地域の広さ等も勘案しながらいくのか。あるいは、前二回の定数是正は、いずれも定員をふやして是正をしたわけでございますが、今日行革が非常に大きな問題になっておりますときに、定員をふやしてこれを直していくことはとうていできないと思います。  これはどうしても数を考えながら、少なくとも減らすか現状維持か、それらの問題も非常に大きな問題になるわけでございまして、これらの問題については、先ほど申し上げましたように一生懸命努力をいたしておりますので、近いうちに何とか結論を得て、また各野党皆さん方に御相談をする時期はできるだけ早くやりたい、かように思っておる次第でございます。
  14. 伏木和雄

    伏木委員 前回の定数改正されたのは五十一年選挙でございましたが、その際、昭和四十五年の選挙のときの格差は四・八倍でございまして、私ども定数是正ということを声を大にして叫んだわけでございます。その結果、ようやく五十一年選挙では、若干の定数是正が行われたという結果になったわけでございますが、いままたその四十五年選挙と全く同じ格差が出ているわけです。ですから、伝えられる解散、総選挙あるいは来年の六月任期満了でございますが、この選挙まではいたし方がないといたしまして、少なくとも次の次の選挙、ここには定数是正しなければならない。自民党としても、責任を持ってこれに結論を出していくというお約束がいただけるかどうか、あわせて政府の方も、近々の総選挙は別として、次の選挙に間に合うようになるかどうか。  同時に、重ねてお伺いいたしますが、参議院地方区の定数アンバランスも同じようでございまして、私どもの神奈川県は五分の一の権利しか持たない、五対一というきわめて異常なアンバランスを生じております。これも次の参議院選挙までには定数是正していくという、自民党そして政府のお考えがあるかどうか。われわれはもうどうしてもやらなければならぬ、いつまでも政党間の議論だけでこの問題をうやむやにすべきではない、もう期限を切って精力的に、具体的スケジュールにのせてこの定数是正をやるべきだ、こう考えますが、政府並びに自民党さんのお考えを承りたいと思います。
  15. 山本幸雄

    山本国務大臣 この問題については、現行選挙制度の中でも最大の問題だろう。ただ、それだけに非常にむずかしい点がある。しかも、各党間で、それぞれの党の立っている立場がいろいろ違いますから、その辺でなかなか御意見がむずかしいのではないかと思います。思いますが、しかしいまお話しのように格差はだんだん広がるばかりでありますし、憲法問題でもあるということでございますので、これは何とか是正をしなければならないものだと思うのです。  ただ、やるとすればいまのお話のように、まず総定員は一体どういうふうに考えるのか、それから、では総定員はこういうふうにしたらいいではないかということになったときに、今度は選挙区割りの問題、いまはたとえば百三十ある選挙区の中で一つ選挙区に三、四、五とそれぞれ定員がございます。では、そういう数は一体どうするのか、区割りの問題になってきますとそれは個々の個人の問題に振りかかってきますから、皆さんそれぞれに御意見が出てまいります。     〔小沢(一)委員長代理退席委員長着席〕 これはゲリマンダーとか、改正案がずいぶん前に出たときも、いろんなそういう批評がございまして、提案者が仮に提案いたしましても、それぞれの利害でいろいろな議論が出るわけでございます。  そこで、私どもは、ぜひひとつ国会の場でいろいろ御審議をいただく中で、各党でまずその大枠を御相談いただいたらどうだろうか、そういう大枠が御相談いただければ、私ども政府としましてもその枠の中でいろいろやりようはあるかもしれない。しかし、その前提条件というのがこれがまた大変でございまして、ぜひこの点については国会の場で、あるいは各党でひとつお話し合いいただいて、合意を形成していただきたい。そうするのが事が進んでいく上において一番現実的であろう、また、皆様方の御意見を伺って事を進めていくという上では最も民主的であろう、こう思っておるわけでございます。事の重要であるという認識については、私どもも十分に心得ておるつもりでございます。
  16. 片岡清一

    片岡議員 大体先生のおっしゃったように、われわれ自由民主党の選挙制度調査会においても、これは避けて通れない、何とか早く対策を講じなければならぬ問題であるという認識は十分持っておりまして、その方向に向かって今後とも皆さんと御相談しながら努力をして、いま政府からお話がありましたように、相ともに、皆さんとともに話を進めていきたい、かように思っておる次第でございます。
  17. 伏木和雄

    伏木委員 定数の問題になりますと、総理も、いま自治大臣もおっしゃっておりましたが、すぐに政党間での話し合い、こういうことで肩がわりをしてしまう。政党間の話し合いと言っても、絶対多数を持っている与党が手をつけようとしない限り、なかなか話し合いは進むものではない。いま私申し上げたのは、中身は別として、具体的スケジュールとしていつまでにやるのだ、この日程、近々の選挙は間に合わないにしても、その次の選挙のときは必ず定数是正するのだというスケジュールをきちっとした上で各党間で話を進めないことには、いつまでたっても結論が出ないのではないか。  もう一つ、これは提案でございますが、実際定数の問題にいたしましても、別表でもって、国勢調査によって定める、見直すとあるだけでして、定数に対する法律的裏づけを持っていないところに、いつも重要な憲法問題が政治問題にすりかえられてしまってうやむやにされている、私はこう考えるわけでございます。したがいまして、何とか公職選挙法の中にこの定数規定しなければいかぬ、規定する法律を定めたらどうだ。  地方ですと、地方議会人口によって定数を定める規定がございます。しかし、国会の方はこれがないわけですね。ですから、どのくらいの格差までは法律的に容認できるのかという考え方が全く法律の上に出てきていないということで、選挙法改正いたしまして定数格差法律で定めていくということにならないものだろうか。これは一つ提案でございますが、自民党の御意見を承りたいと思います。
  18. 片岡清一

    片岡議員 ただいまの御提案は大変重要な御提案でございまして、これは私がいまどうする、こうするということを言える問題ではございません。しかし、この御提案をわれわれ調査会参考といたしまして、本当にこれは何とか、恐らくことしの暮れには最高裁判決が出るんじゃないかというようなことが言われておりますので、これはやはりいつまでもほっておくわけにはまいりません。これは緊急に何とかしなければならぬ、与党として何とかしなければならぬ問題であると存じますので、今後精力的に皆さんとともにまた御相談をしていきたい、かように思っております。
  19. 伏木和雄

    伏木委員 ちなみに申し上げますと、西ドイツでは国民代表法、これは常任選挙委員会というのがございまして、国民代表法によりまして原則的に三三%、つまり三分の一の偏差が出たときは修正する、このように定められているそうでございます。あるいは英国では議席再配分法議員一人当たりの人口基本として、可能な限りそれに近づけるというように規定をされておりまして、選挙確定委員会がこれを検討するというようになっているそうでございますが、政党間でやっておりますとどうしても党利党略が出てくるということから、こうした第三者機関検討をすべきではないか、このように思いますが、いかがでございましょうか。
  20. 片岡清一

    片岡議員 ただいまお話のありましたように、私も昨年比例代表制施行前に当たりまして、比例代表制を実施しているスウェーデン、イギリス、ドイツ等へ行って調査してまいりました。仰せのような、ある一定の格差が出たときに、一つの基準を決める調査会のようなもの、あるいはそれに準ずる方法によって自動的といいますか、ある程度自動的に是正をしていくというようなことが行われておることを見てまいりました。それらの点も参考にいたしまして、先ほどから申し上げておりますように、精力的に何とかやっていきたい、かように存じておる次第でございます。
  21. 伏木和雄

    伏木委員 定数の問題、以上にいたしますが、どうでしょうか、来年じゅうにも定数是正するという方向だけでもお考えになりませんか。どうでしょう。
  22. 片岡清一

    片岡議員 十分その方向で進んでいきたいと思います。
  23. 伏木和雄

    伏木委員 それでは、緊急な課題として、政治資金規正法について若干触れてみたいと思います。  政治資金規正法の附則第八条、「この法律施行後五年を経過した場合においては、新法の施行状況を勘案し、政治資金の個人による拠出を一層強化するための方途及び会社、労働組合その他の団体が拠出する政治資金のあり方について、更に検討を加えるものとする。」御承知の条文でございます。このように明確に政治資金は個人の方向へということを示唆いたしております。これは第五次選挙制度議会の答申の中に五年をめどにと明記されました。政府の審議会の答申でございます。それがようやく五十年の改正の際に五年の見直し規定というものを入れたわけでございますから、当然五十六年には見直しをしなければならない、われわれこのように理解しております。  これは自民党さんも、当時選挙制度議会の中に特別委員を出していらっしゃったのですから、この審議会の答申の内容はおわかりでございますし、この附則八条の規定をなぜ入れたかという経緯についても、十分党としても御理解をしているのではないか。そこで、わざわざこの見直し規定を入れたわけです。この見直しをやりまして、もう二年経過いたしました。本来、五十六年一月一日からは見直しの期間に入っているわけですが、もう二年以上、約三年近くを経過したわけでありますが、この八条の見直し規定について、これは政治資金は、やはり公正な選挙をやるためには必ずしも運動面だけではなくて、公正な資金によって選挙を行うというところに選挙運動の公正さが出てくるし、これは民主主義の原点にもなる重要な問題である、このように考えるわけでございます。  したがいまして、この規定において、自民党さん、どのようにお考えになっておるか、これは前回も大臣に聞きましたが、この改正案各党間で議論してもらいたいという大臣の意向もございましたが、これは閣法で出てきているわけですから、まあ大臣おりませんが、政府の方はどういうお考えか、党の方からまずお伺いしたいと思います。
  24. 片岡清一

    片岡議員 これは、いまお話しのように法で決まっておりまして、見直さなければならぬタイムリミットがあったわけでございますが、われわれの調査会においても、これらの問題についても検討いたしました。  ところが、あの見直しの規定は、個人献金というものを主体にするというようなことがうたわれておるわけでございまして、法人の献金は悪であるということが主体になっておるような状況でございまして、政治献金というものは、政治資金というものは、これは必ずしも私は、法人が法人格を持って社会に活動しておる以上、法人が全然政治に対して責任といいますか、無関心であっていいというものではない。ですから、この法人の献金が悪であるという前提に立つ考え方については、やはり党内でもいろいろの意見がございまして、なかなか意見がまとまらない。  と同時に、この間本会議において総理からもお話がありました政党法の制定等によって、西ドイツがやっているような、一部国の費用で選挙費用というか政治運動費用というか、そういうものを負担してもらって、そして経理の内容もその透明度を明らかにするということも一つ考え方ではないかということも、いま党内において論議をしておるところでございまして、これがなかなかむずかしいところでございますので、なかなかその党内コンセンサスが得られないという状況にあることを率直に申し上げまして、これもやはり何とかしなければならぬ問題だとは思っておりますが、十分今後とも御意見のように考えながら、しっかり結論を得るようにしていきたい、かように思っておる次第でございます。
  25. 岩田脩

    ○岩田政府委員 お答えを申し上げます。  御承知のとおり、御指摘の附則の第八条には、施行後五年を経過したときには、それまでの実績にかんがみて見直しをするものとするという規定がございます。私どもも、五年を経過した時点におきまして、過去五年間の公表の実績をもとにいたしましていろいろ検討をし、勉強もしておるわけでございますけれども、ただ、具体的にその問題を振り返ってみますと、たとえばこの席でもしばしば申し上げましたとおり、その五年間の個人献金の金額というものは、各政党の御努力にもかかわらず、一定のパーセンテージからほとんど動かないわけでございます。結局、ある意味で申し上げますれば、その個人献金をふやすと言うても、どうも一定の限界があるように見えます。  制度の上から見ましても、たとえば個人献金はある範囲内で税法上の特典を受けておるわけでありますけれども、すでにそれだけの優遇を受けておりますものを、さらに個人献金を励ますためにその優遇の枠を広げるといいましても、ちょっと適当な手段をすぐには思いつかない状態があるわけでございます。  繰り返し申し上げておりますように、そういう目から各党の収支を見ました場合、それぞれの政党のよって立つ経済的な基盤は違いますし、それを一律に政府の側からこうしたらというような案もなかなか思いつかない。そういう意味で、ひとつこれは各党の間での御論議をまずいただきまして、そういったあらかたの合議、合意に従いまして話を進めていくのがいいのではないかということを従来申し上げておるところでございまして、私どもとしましても、今後とももちろん勉強をやめるつもりはございませんけれども、ひとつ各党の間での御論議を進めていただきたいというのが現在の立場でございます。
  26. 伏木和雄

    伏木委員 いま選挙部長お話でございますが、政府が審議会に答申をいたしまして、そして審議会がこういう方向で政治資金を改正しろというように参りまして、政府みずからがその方向であることを期待し、五年たったならば見直すということを閣法として政府提出法律の中に盛り込んできているわけです。ですから、それをなぜ政党にすりかえるのか。政府みずからが受けた答申に忠実であるべきである、私はこのように考えるわけでございます。  それから、各政党間の収支の状況を見てみると、ほとんど個人でなくて団体の寄附というようでございますが、それは間違いじゃないでしょうか。公明党のをちょっと言ってください。
  27. 岩田脩

    ○岩田政府委員 誤解を招いたかもしれませんけれども各党政治資金の公表を全体として見るとここ数年間個人献金の率は一定で動かない、また、個々別々に見るとそれぞれの政党のよって立つところは大変違う、こう申し上げたわけでございます。
  28. 伏木和雄

    伏木委員 公明党のは、一〇〇%個人献金と言わなきゃだめです。  それでは、時間も余りありませんので、改正案の問題に若干触れてみたいと思うわけでございます。  先ほども申し上げましたように、選挙期間の短縮や運動の短縮、これはやはり国民の知る権利を奪う、短縮してしまう、われわれこう理解いたしております。したがいまして、余りこういうものを狭めますと知る機会が短縮されるわけです。余り選挙規制があって何でもかんでも抑え込んでしまう、あるいは自由に行動できないということになると、結局は裏で買収行為がふえていくのではないか、私はこの危険性があると思うんです、余りこう選挙運動を制約いたしますと。しかも、相当広範囲であれば徹底して回れないというようなことになりますと、勢い買収行為というようなものが多くなっていく可能性が出てくるのではないか。この点配慮されているのか、お答えいただきたいと思います。
  29. 住栄作

    ○住議員 先ほど来から話がございますように、選挙はできるだけ自由でなければならない。それと同時に、これは年がら年じゅうやっておるわけではないので、土俵をつくる、こういうことがやっぱり選挙運動期間だとかそういったところで出ておるわけだろうと思うのです。まず有権者の立場に立っての知る権利とそれから候補者立場に立っての公正さ、ここをどう調和させるか、こういう問題だろうと思うのです。  御承知のように現在の選挙運動期間、たとえばこれは二十五年間あるいは二十一年間固定されている。その間、非常に交通機関だとか通信機関の発達があった。そういう意味で非常に密度の高いものになってきておる。そういうところから考えてみますと、たとえば五日間の短縮、いままで以上にそういうものを制限する、こういうことにはならないんじゃないだろうか、むしろそういう情勢を考えるとそれぐらいのところで適当じゃないか、私はこういうように考え提案をいたしておるわけでございます。
  30. 伏木和雄

    伏木委員 ただいま、交通通信が発達しているので当然だというお話がございましたが、これはもう二十年間やってきて大体定着していて、選挙運動の期間というのは、お休みが何回あって、だから次の休みにはどうするとかということでスケジュールをおのおの組むようになっております。そういうことから、必ずしも二十年たったからこれを縮めなければならないという理由にはなりません。また、通信網が発達したといっても、前回も、テレビがふえたからビラを規制した方がいいじゃないかとか、テレビ放送があるのだから車の台数を減らすべきではないかということで、たったテレビの政見放送がちょこっとふえただけぐらいをもってあれもこれも規制していってしまう、ここに問題が残ると私は思います。  このようにしていきますと、確かに新人の候補者にとってはマイナスである、私はこのように考えますが、これは自民党さんも新人を抱えることでしょうし、大いに派閥をふやさなければいけないんでしょうから新人も出すことでしょうが、新人にとって不利ではないか、こう考えます。どうでしょう。
  31. 住栄作

    ○住議員 新人にとって不利かどうかということ、これは見方によっていろいろ言えるのじゃないか。新人でも相当前から準備もやっておられるし、(「それは選挙違反だ」と呼ぶ者あり)いや、政治活動ですから、あるいは後援会活動でございますから、そういうことは私は候補者に公正であれば、その点はそれで差し支えないのじゃないか。  それから、いまも御指摘ございましたが知る権利、有権者の立場に立てば、できるだけマスメディアだとかそういうものをふやして補っていく、テレビ、ラジオを通じてたった二回という、あるいは経歴放送一回、こういう御指摘だろうと思うのでございますが、そういうようなところを相補って、そう制約が強化されたというようには私は考えていないのでございます。
  32. 伏木和雄

    伏木委員 私は、こういう規制が、自由化に向かってこういう拡大をしたから、だからこの部分は短縮しても、十分運動面で拡大できたからいいではないかという議論であるならば、まだそこに日にちの短縮ということも考えないわけではないんですが、何でもかんでもだんだんだんだん運動を規制しながら日にちを詰めてしまう、ここに一番問題があると思うわけでございます。  特に、この運動期間を短縮するということで、これは衆議院を十五日あるいは参議院を十八日という、これはこれといたしまして、一番問題は町村議会の五日間、ここに大きな問題があるのではないかと私ども考えております。と申し上げるのは、この法案の中にもございますように、今度は公報の届け出が四日間が二日間、これも短縮されましたが、仮に最短距離の二日間に短縮いたしましても、一日目に立候補締め切り、二日目に公報を締め切ります。そうしますと、選挙管理委員会はこの締め切った公報をもとにいたしまして有権者に配布するための印刷、そうして部落等を経由してか自治会を経由してか、その地域によって違うと思いますが、郵送しているところは余りないようでございますが、仮に郵送するとしたらこれはもう間に合いません。自治会にいたしましても、町内会長さんが一日ちょっと留守したら、もうこれは行き渡らないのじゃないか。三日間で、印刷して、各部落なり町内会に渡して、町内会長さんがその部落に配って歩く、これを三日間でできるとお思いでしょうか。この点を非常に心配する。  そういうことから選挙の公正さを欠いてしまう、結局知らされるものが知らされないままに投票日を迎えてしまうのではないかという、非常に私、危惧を持っているわけでございますが、この点、自治省の選管の方としても、どういうお考えか、自民党さんはどこまでこういった調査をした上でこの法案提出されたのか、お伺いしたいと思います。
  33. 住栄作

    ○住議員 御指摘の点、私どももそういうことはあるのじゃなかろうかということで、慎重に検討をいたしました。  選挙公報が適当な時期に印刷され、配布されるか、こういうことでございますが、最近、写真印刷その他印刷技術が非常に進歩した、そして、配布についても、町村の地域であれば、この五日の期間内に、三日なら三日の期間内に十分やれます、こういうようなことも実はわが党としては確信を得たわけでございまして、そういうことから各級選挙についてそれぞれ相応の短縮考え提案をしておる次第でございます。
  34. 伏木和雄

    伏木委員 自民党さんがどこかで聞いてきて確信を持っただけじゃ、これはちょっと、法律をここで決めて、拘束してしまうのですから、そんな簡単なわけにいかないと思うのですが、何かこういう地方の団体から文書か何かで明確に回答をとっていらっしゃるのですか。  まず、どこでそれを調査したか、十分三日間で大丈夫だという調査をどこでおやりになったか、それから、明確に公式の文書でもってそれをおとりになっていらっしゃるのか。
  35. 住栄作

    ○住議員 調べましたのは、意見を聞きましたのは、全国の町村長会、それから町村議長会、その代表の方、事務局の方、こういう方から十分意見をちょうだいいたしました。  御指摘の、文書で回答を求めたか、これはいたしておりません。
  36. 伏木和雄

    伏木委員 やはり私は、これは公式の機関で公式にこういう重要な問題は聞いていくべきではないか、したがいまして、われわれ委員会審議の中でも、こういう方々に来ていただいて、こういった公的機関において意見が聞けるように、委員長、これから考えていっていただきたい、こう思うわけであります。  私は、いかに簡単に印刷技術が写真でいくからといっても、選挙公報ですから、選挙管理委員会は、これに誤植があったら大変なことになりますから、ミスプリントがありましたらそれこそ選挙の裁判問題に、選挙後、当落が決まった後で公報に誤字があるようなことがあれば、裁判問題にまで発展いたします。ですから、選管とすれば、いかに印刷が写真でいくからといったって、校正をやるにも大変慎重にやっていくのではないか、こう考えます。  われわれの常識では、三日間で、印刷して、すべての住民にまで徹底できるというのは不可能ではないか、あるいは、いったとしても、投票日の前日、もうぎりぎりのところで公報が回ってくる、前日出張か何かあったら、もう公報にも目を通さずに投票所へ行くような結果になるのではないか、こう考える次第でございます。したがいまして、この町村の五日間というのは、正味五日間じゃないわけですから、公報などを考えますと正味三日間ですから、正味五日間ぐらいの活動ができるようにしておかないと、ちょっと将来禍根を残すのではないか、こう考える次第でございます。  次に、締め切りの一日にするという問題ですが、私どもも、よく地方へ参りますと、第一日目の立候補者の様子を見て、第一日目の様子を見た上で、ああ、ああいう顔ぶれならおれも出ようか、私も出ようかというような考えの人もいる。まあこれは、それがいいか悪いかは別といたしまして、これも被選挙権の、立候補する側の自由な裁量のうちでございます。そういうことができなくなってしまうということで……。  大体、これを一日で締め切るというところにどういうメリットがあるのですか。この立候補の届け出を二日間を一日に詰める、これは何の必要があってそれをやらなきゃならないのか、私どもちょっと理解に苦しむのです。候補者の締め切りは、それは幾日まででは困りますけれども、いままで二日間で締め切っているものをなぜわざわざ一日にしなければならぬ、その詰める理由が、どんなところにメリットを感じて、こういうところまで手をお伸ばしになるのか、伺いたいと思います。
  37. 住栄作

    ○住議員 これも、ずっとデータを調べてみますと、二日目の届け出というのは、大体、御承知のとおり立候補者数の一%ぐらいが実績でございます。そういうことを考えまして、まあいやしくも立候補する人は、次の日までというようなことではなくて、もう公示、告示の日の当日に届け出していただいていいんじゃなかろうか、こういうようなこともございますし、それから、もう一つは、選挙管理の面から考えても、いま申し上げましたように、ほとんど一%程度の人のために二日間選挙管理の事務がとれないというようなことも、これも管理の立場から考えても問題があるんじゃないか。  それから、もう一つは、率直に申し上げまして、十五日になって、政見放送をふやすとかということになりますと、早く立候補者を確定して、録画それから政見放送の編成、こういうことに入るのが、スムーズにラジオ、テレビを使っていける、こういうようなことも考えて、従来の二日を一日にしたということでございます。
  38. 伏木和雄

    伏木委員 最後に一問だけお伺いいたします。  立会演説会の件でございますが、私どもは、この立会演説会、これはいい制度ではないか、一堂に候補者が会して、すべての候補者意見を聞けるということは、これは存続してもいいんではないかという考えでございます。しかし、指定都市選挙管理委員会連合会、ここから来ている要望書を見てみましたら、立会演説会を廃止するかまたはその開催回数を大幅に減少されたい、こういうようになっておるのですね。理由はなぜか、こう聞きましたら、来る人が少ないから、これだけの理由であります。この制度自体の問題というよりも、来る人が少ないから。であれば、来るようにすればいいのであって、あるいはこの立会演説が多くの人の目に映るように直していけばいいのです。  ですから、立会演説会は一遍やって、それをビデオに収録して放映する。立会演説会を放映するのは時間がないとおっしゃるかもしれませんが、五分三十秒の政見放送は同じものを三遍繰り返すわけですが、あれも視聴率は余りよくないようであります。世論調査を見ますと、どうやって候補者を選ぶかというのには、ビデオでというのは確かにありますけれども、実際同じものが三回流されるわけですね。それであるならば、その時間を集約して立会演説会をビデオ撮りにして放映したらどうか。そうすれば、茶の間にいながら立会演説会を聞くことができるということになるのではないか。これは、こういうふうに改めるようなお考えがないかどうか、お伺いしたいと思います。
  39. 山本幸雄

    山本国務大臣 できるだけテレビに乗せるというのは新しいやり方だと思うので、そういう方に広げていくというのは一つの方向だと思っておるのです。ただ、テレビの時間帯がなかなかとれない。たとえば立会演説会にしますれば、やはり一人の候補者か相当——相当というか、ある程度の時間はないと政見も発表できない。余り短くてはぐあいが悪い。しかし、それが候補者皆さん方全部がおやりになる時間になりますと、相当の長い時間になってくるということになりまして、NHKを初め、テレビとしてはなかなかそれだけの時間帯をとって、しかも何回もそれを放送してくれなんということになってきますと、非常にむずかしい問題になってくるという現実の問題に行き当たる。いままでのテレビ放送を広げる交渉をしている過程において、どうもそういうようになりそうだ、こういう感じが非常に強くするわけでございます。
  40. 伏木和雄

    伏木委員 政見放送が大体五分三十秒ですから、もちろん民放も使う関係がありますけれども、期間を通じて一人三回で十六分三十秒やるわけです。立会演説会はその地方によって異なりますけれども、十五分ないし二十分立会演説会の持ち時間がある、そういうところがございます。知事選挙のような選挙になりますと、三十分程度立会演説会をやっておりますが、普通の選挙ですと大体十五分から二十分、この程度が一人の持ち時間になります。したがって、全体的な枠としてはそう変わりがないのではないか、こう私ども考えているわけであります。  そういうことで、何とかこういった立会演説会制度を生かしながら、より有権者の皆さんの目に触れられるように、方法を改めていくのではなく、もっと前向きに選挙制度というのは改正していかなければならない。運動方法というのは、選挙民の側に立ってより知らされるような方向で改正をすべきである、こういう意見を述べまして、あとまだございますが、次の回に質問をさせていただいて、本日はこの程度にいたしておきます。  以上です。
  41. 中野四郎

    中野委員長 中井洽君。
  42. 中井洽

    ○中井委員 きょうは、大変残念なことに社会党さんがきのうの話し合いと中身を変えまして、冒頭から公聴会をセットしなければ委員会審議に応じない、こういうことで朝から各党いろいろな接触をしたわけでありますが、結局ごらんのように社会党欠席のままで順番を繰り上げて、公明党さん、私どもから質疑に入ることになりました。  去年の選挙法改正のときにも、しばしば公明党さんやら共産党さんがいない状態でも審議が行われましたが、選挙法審議というのは、民主主義のルールをつくる大事な審議であります。それは党利党略も少しは出てくるでしょうが、なるべくそういったことが除かれて、あるいはエゴが省かれて、国民が納得のいくような形でルールづくりができるようにやらなければならないと思うわけであります。そういった意味で、これからも円満な審議ができるように御努力いただきますよう、冒頭委員長にお願いをいたすわけでございます。  それにつきまして、理事会あるいは先ほどの提案者の御答弁等を聞いておりますと、今回の法案提出に関して事前に各野党の御意見を承った、こういう言葉が聞かれます。選挙法について提案をなさいます前に、改正について各政党間でるる話し合う、これは私は大変結構なことだと思うのであります。しかし、今回の改正法案もそれから去年の参議院選挙制度改正法案も、私どもの党は一向御相談にあずかったような記憶もございませんし、特に去年なんかは、ずいぶん唐突に国会を延長して、強引に無理やりやられたなというような感じをいまだに持っておるわけでございます。そういった不信感がありまして、私どもは党全体としましても、選挙制度改正についていろいろな意見は持っていながら、なかなかじくじたるものがあります。  また、今回のこの問題に関しましても、社会党さんがおっしゃるように、何か選挙前に唐突に他の大事なものを置いといて出てきたのではないか。どうも自民党さん、自分らの都合のいいものだけ相談した、相談したと言って出してくる、率直に言ってそういう感じがあるわけでございます。そういった意味で、そういった誤解ができる限り審議で解けるように、提案者の方もあるいは自民党の方も、日程あるいは審議の中身、十分尽くしていただきたい、冒頭要望をいたします。提案者の方、それについてお答えをいただきたいと思います。
  43. 片岡清一

    片岡議員 選挙法というのは、民主主義の一番根幹である選挙、すなわち各政党の共同の土俵をつくって、その土俵の上で戦いをすると言うと言葉は少しきついのですが、とにかく勝敗を決しよう、こういう土俵づくりの問題でございますので、これは各党にとっても大変利害が相反し、いろいろ御意見のある点はわれわれも十分知っておるわけでございます。  この前の比例代表についても、民社党の皆様方にもいろいろの御意見がある点、よく承りました。ただ、それを全部くみ上げてやるということについてはなかなかむずかしいところがあるわけで、おおよそのところで手を打っていただく以外に手がないのじゃないかと思うわけでございます。しかしながら、私は今度は少なくとも皆様方とひとつ十分御論議をいただいて、そしてできるだけコンセンサスをいただくようにしたいということで、党として決定をするずっと前の段階において御相談を申し上げ、そしていろいろ御意見を承り、できるだけそのコンセンサスが得られるようにと努めてまいったわけでございまして、その点はぜひひとつ御理解をいただきたいと存じます。  今後の問題についても、いまお話しのように、十分、できるだけ皆様方と力を合わせ、理解を得ながらやっていくという方向に進んでいきたい、かように思っておる次第でございます。
  44. 中井洽

    ○中井委員 もう各党がすべて、選挙法改正に関して一番必要なのは衆参の定数是正の問題である、こういうことを言っているわけであります。これに関して、何回も何回もこの委員会でも質疑がされました。また、予算委員会等でも質疑がなされております。そのたびに総理大臣あるいは関係大臣の御答弁は、各党間で国会話し合いを、こういうことだけで終始をしておったわけでありますが、山本自治大臣が過般委員会で私が質問をいたしましたときに、何か一歩踏み込んで、時代の流れ等を見て定数をふやさない形で考えたらどうだろうというようなことをお答えになりました。また、きょう先ほど伏木先生の質疑の中で、聞いておりますと、三、四、五という定数の問題をどうするか、これについて大枠各党間で相談をしてほしい、そうすればできるんじゃないか、こういった御趣旨の発言があったように私はそばで聞いておったわけであります。  再度確認をいたしますが、大臣のおっしゃることは、定数をふやすということではない。そして、この三、四、五のいまの行われておる百三十の各選挙区の定数の問題についてどうするか。この二つのこと、あるいはあと一つ二つの大きな枠を国会なら国会で話し合って先に決めろ、こういうことで理解してよろしゅうございますか。
  45. 山本幸雄

    山本国務大臣 私が申し上げましたのは、要するにこの問題は非常に重要な問題だということは、みんな同じような問題意識は持っている。しかし、さてそれでは具体的な問題になってまいりますれば、これはやはり各党にいたしましても、今度は区割りになりましたら個人個人、皆さんにもそれぞれにまた御意見が出てくるものなので、こういう区割りを変えるというようなときには、いままでもずいぶんいろいろな論議が行われて、私もちょっと申し上げたように、ゲリマンダーだというようなことをすぐ言う。たしか鳩山内閣のときだったと思うのですが、ハトマンダーと言われたものだと思うのです。それだけに、非常にむずかしい問題をたくさん持っております。  私がきょう先ほど申し上げたのは、皆さん方各党で御相談を願う場合に、そういう一つ基本的な問題があるのではなかろうか、こういう意味で申し上げた。全体の総定数をどうするかというのが、まずどうしてもそれが最初に問題になるのか。いろいろやってみた結果、やっぱりこれだけはふやさなければならぬとか、あるいはこれでやれるとかという結論が最終に出てくるのかもしれないのです。それは皆さん方のおやり願う、御相談願う段取りだろうと思うのですが、しかしいずれにしろ、この問題は選挙制度の根幹に触れる問題ですから、これは大変な論議を皆さん方各党でやっていただかなければ、日の目を見るようなものがなかなかできない、私はこう思うのであります。  そういう意味で、私は、まず総定員というのはやはり問題ではなかろうか、しかもそれは、今日の世論の動向あるいは行政改革という問題が大きな政治課題になっているときに、一体どういう考え方ができるんだろうかという一つの疑問といいますか、そういう問題を投げかけたようなことであります。それからさらに、三、四、五というのは、区割りをどうするかというときには、現行のままでいいかどうかということがまた問題になるであろうという、いわば例示の話を申し上げたのでありまして、それさえできれば何でも進んでいくというわけでは毛頭ないつもりでございまして、そういう問題提起をいたしましたという程度にひとつ受け取っておいていただきたい、こう思います。
  46. 中井洽

    ○中井委員 各党間にとって、一つ一つ選挙区の定数を含めて大変重要な問題であるわけでありまして、いつでも例に出てまいります一番少ない兵庫五区というのは、私ども委員長の佐々木良作が実はそこの出身でございます。この定数是正を言うについても、ぶっちゃけたところを言えば、やはり佐々木委員長にいろいろな形での了解もとられ、納得もいただきながら言っていかなければならない。各党間それぞれあろうかと思うのであります。  しかし、いつまでもそれがむずかしいがゆえにということでほっておいたのでは、これまた本当に国民の信頼をなくす、あるいは政治に対する関心を薄れさす大きな要因になろうかと思うのであります。先ほどから大臣が言われたようなことが、話し合う意味での一番大事なポイントでもあろうかと思うのです。こういうポイントを踏まえて、自民党さんの方から各党間に具体的に話し合おう、こういった呼びかけをなさるつもりは提案者の方でございませんか、お聞きをいたします。
  47. 片岡清一

    片岡議員 この問題は、先ほどからお話がありますように、大変いろいろ意見の多い問題でございます。党内においてもなかなかむずかしいものでございますから、いわんや各党間のお話し合いをするというためには、大変ないろいろの問題が多いと思います。したがいまして、われわれが野党皆様方に御相談を申し上げる段階に至るまでにも、党内で少なくともある程度のコンセンサスが得られたおおよその案が固まってまいりませんと、なかなか皆様方に申し上げるような段階になりにくいのじゃないか。  中井先生はその前に、もっとざっくばらんに話してみるのも一つ方法だという御意見なのかも存じませんが、それらの問題を、ひとつ御意見のあるところを調査会において皆さんと御相談をしながら、できるだけまだ案が固まる前に粗っぽい意見の交換というのも一つ方法だと思いますので、そういう段階もやはり考える必要があるかと存じます。それらの点もあわせながら、今後至急、これは余りいつまでもほっておけない問題でありますことは、先ほど申し上げたとおりでございます。できるだけ早くまた御相談に上がりたい、こう思っております。
  48. 中井洽

    ○中井委員 片岡先生が誠実なお方であるというのはよくわかっておるわけでありますし、自民党さんの中でも協議を始めておられる、こういうことについては私ども承知をいたしているわけでありますが、自民党内で定数是正について調整ができたからといって出されたら、それはもう過去の例に、あるいはまた先ほどからお話のありましたように大混乱になって、自民党党利党略だということでまた日の目を見ない、こういう結果に終わるんだと私は思います。  したがって、各党それぞれ定数是正についてはいろいろな意見があるわけでありますから、その前に先ほど大臣がおっしゃったような形の大枠のつくり方、つくれるものかどうか、そういったことについて私は話し合って、それを前提に各党がいろいろな案を考えてみる、それも一案じゃないかと思うのであります。そういった意味で、真剣にお考えをいただきたいと思います。  もう一つ、こういう改正をやる前に、私はぜひ御議論をいただきたいのは、参議院の比例代表の問題であろうか、このように思います。  私どもは、あの法案に反対ということで取り組みました。しかし、その中でも幾つかの点について、きわめて建設的な意見を申し上げてきたつもりであります。残念なことに、一度やってからということでお取り上げいただかずに、法案どおりの形で過般選挙が行われた。私どもは、実はこれを申し上げますと大変誤解を受けるわけでありますが、あの法案最大の欠点は政党法なしに政党選挙というものを実施をした、ここにあると考えております。  議会制民主主義において、やはり政党国民の信頼を得ていく、政党が政策を立案をする能力を持っておる、あるいは自浄能力を持っておる。そして、党で政策をつくるんだ、党内で、国民から疑惑を持たれるような行動があったら、それを党自体が制裁をしていくんだ、処理をしていくんだ、そういったことがうまくやられて初めて政党国民の信頼を得る、あるいは投票の対象になろうか、このように思うのであります。  ところが、過般の選挙法では、御承知のようにお金、候補者の数、これだけあれば、どっちかあれば、実際政党というものが認められるわけであります。私どもはああいうやり方は反対だけれども、こんな政党の要件ならば、とんでもない政党まで出てきて苦労するよ、こういうことを申し上げました。現実に、大変失礼な言い方ではありますけれども政党としていささかどうであろうかと国民が率直に思うような政党がたくさん出て、逆に投票率を低下せしめた。逆に言えば、おもしろい政党も出てきて、既成政党がどぎもを抜かれるような投票もとられた、こういったようなプラス面もあったかと思います。  しかし、ああいう選挙をやるならば、やはり政党法というものを真剣にお考えをいただかなければならないと思うわけであります。一度やりましたから、もう三年後にも同じ体制でやるということでありましょうが、この間にやはり各党間で日本における政党法のあり方について議論をすべきだと私は思いますが、提案者皆さん方はいかがお考えでしょうか。
  49. 片岡清一

    片岡議員 特に比例代表という制度がとられた段階では、御意見のように、やはり政党法というものが何らかの形に制定されることがたてまえであるというふうに思われるわけでございますが、ただしかし、政党法も国によっていろいろ違った決め方をしておるわけでございまして、これらの問題についてもいろいろ検討を要するものがあると思います。いまお話しのように、政党法をつくるのがいいか悪いか、また、つくるとすればどういうふうにやっていくかというようなことも党が決定する、決定といいますか、話しする前に各党に働きかけて意見を聞いてくれぬかというような御意見についても、われわれは十分傾聴すべき点がありますので、党においてもこの政党法の問題についても今後検討するということになっておるわけでございます。なっておるといいますか、まだそう具体的なものにはなっておりませんが、党の幹部の方からもそういうお話がございますので、いずれそういう問題について党の研究を進めていかなければならぬと思っておりますので、適当な段階で皆様方とまた御相談したい、こういうふうに思っておるわけであります。
  50. 中井洽

    ○中井委員 それでは、法案の中身に入らしていただきます。  私どもは、いまこの法案についていろいろな議論をしている最中でありますが、一番最初の、日にちを短くするということについては大体党内でもいいんじゃないか、こういう議論が圧倒的に多いわけでございます。実際私自身の——私も余りたくさん選挙をやったわけじゃありませんが、経験や、あるいはその間、運動を手伝ってくれる運動員の皆さん、こういった声を聞きましても、短くするというのは大変いいことだ、こんなふうに言われております。しかし問題は、先ほど伏木先生のお話にありましたように、十五日間にして、あるいは他の選挙等についても短くして選挙管理委員会の御準備等がきちっといけるかどうか、こういったことを考えていかなければなりません。提案なさる前に十分お調べにはなったと思いますが、自治省の方でこの日数で十分選挙をやれる、こういうことをひとつ御答弁をいただけますか。
  51. 岩田脩

    ○岩田政府委員 私どもも、折に触れまして各県の選挙管理委員会から意見を聞き、お話もしているわけでございますけれども、そういう感触をもとにして申し上げまして、現在の選挙の場合、今回は、たとえば早い話が立候補期間が一日短くなる、ということは、選挙管理の事務のスタートといたしましては、その分だけ一日早くなるという面も持っておりますし、あとは、かつてこの期間が定められまして以来二十年間の事務的な手なれといいますか、それから一般社会のそういう仕事の運び方のスピード、そういったものでほぼ吸収できるだろうというように考えております。
  52. 中井洽

    ○中井委員 先ほどの住先生の御答弁の中にございました、二日目の立候補が平均一%ぐらいだ、こういうのは国政選挙ですか、それとも市町村、全部の選挙を含めての一%でしょうか。
  53. 岩田脩

    ○岩田政府委員 先ほどの数字は国政選挙についてでございまして、国政選挙についてさえそういう状態になったということが全体の立候補の形といいますか、姿をあらわすものであろうということになるのではないかと思います。
  54. 中井洽

    ○中井委員 過般行われました統一地方選挙で、県、市町村議会で無競争に終わった選挙というのは幾つぐらいあるのでしょうか、おわかりですか。
  55. 岩田脩

    ○岩田政府委員 選挙区単位の話になりますので、ただいまちょっと具体的な数字を持っておりませんが、調べさせていただきます。
  56. 中井洽

    ○中井委員 届け出の締め切りを一日にするというのは、国政選挙の場合に大体それでもいいか、こんなふうに私は思いますが、市町村議会の場合には昨今非常に競争率が低下してきて、特に無競争というのがずいぶん多くなってきました。逆に言えば、ときどき無競争にするためにおかしな工作まで行われるということも聞いたり、あるいはそれによって不祥事件が起こったりしているのも事実でございます。そういう人たちにいろいろな話を聞きますと、とにかく今度の改正案で僕らがびっくりいたしますのは、市町村あるいは県会議員皆さん方が立候補の届け出締め切りを一日にするというのは非常に喜んでいるのですね。何でかといったら、無競争、またこうなる、こういうわけでございます。そういった意味で、国政選挙地方議会選挙の届け出の受け付けの期間を変えるというようなことはできないのか、あるいはお考えになったことはないのか、あるいは御提案になる前に、地方議会での無競争化をより促進させてしまうのじゃないか、こういったことについて御心配なさらなかったのか、お答えをいただきます。
  57. 住栄作

    ○住議員 この届け出期間の問題、先ほども申し上げましたように二日目の届け出、ちょっといま資料が手元にございませんが、現実非常に少ないということを確認をしております。立候補する人は、やはりそれなりに選挙戦をやるわけですから、十分そういうことを考慮に入れていただければ、たとえ二日が一日になったとしてもそんな影響を及ぼすものではない。それで、特に選挙期間を各級選挙について縮めた。それでさらに、届け出期間を従来どおりにしておくということになりますと、選挙管理のスタートの観点から考えましても大変問題がある。そういうように余り現実を無視したものにはならないと同時に、選挙管理のスタートもできるだけ速やかにやっていってもらう、そして円滑に選挙を行ってもらう、こういうことをいろいろの面から検討した結果、御提案のようなものにしたわけでございます。
  58. 岩田脩

    ○岩田政府委員 先ほどのお尋ねのそのものずばりの数字ではございませんが、資料がありましたのでお答えを申し上げます。  国の選挙におきましては、五十八年参議院選挙地方区で申し上げますと、公示日の届け出者は二百二十九名、翌日の届け出者は十名でありました。五十五年ダブルのときの……(中井委員「国政はいいんだ、地方だ」と呼ぶ)はい。それから、五十八年の統一地方選挙幾つか申し上げますと、五十八年統一地方選挙の際の知事選挙では、告示日の届け出者三十六名、翌日の届け出者二名、都道府県議会議員の場合、当日の届け出者四千五百四十五名、翌日の届け出者十名、指定都市の市長は当日四名でその後ございません。それから指定都市以外の市の市長が、当日二百七十七名、翌日二名、指定都市以外の市の議員が、当日一万三千七百十七名に対しまして翌日十六名、それから町村長が、当日千四十八名に対しまして翌日十二名、町村の議会議員が、当日二万四千八百十五名に対しまして翌日九十一名という程度の数字になっております。実際には多少、死亡者とか辞退者とかいうでこぼこがございますから厳密ではございませんが、ほぼそういう感じでございます。
  59. 中井洽

    ○中井委員 ありがとうございました。  こういう考えもあるということだけ、ひとつお考えをいただきたいと思うのです。昨今、本当に市議会や町村会議員に立候補する人が少ないんですね。まあまあ、初日大体定数になっちゃった。定数いっぱいで選挙がないというなら出る。選挙をやるべきだ、そのために立候補するんだという方がかなり各地方おられるのです。定数を超えて選挙があるなら自分は出ないんだ、こういう方がおられます。市政選挙においては、これはもうあり得ないことである。国政選挙においては、住先生のおっしゃったような一日の締め切りでいいかと私は思いますが、これからも町村議会に立候補の方がどんどんふえていくという傾向にはならないと思うわけであります。  それじゃ無競争でいいかといいますと、私は、無競争というのは本当にこの議会制民主主義の中でよくない。また逆に言えば、首長さんなんかが無競争になるためのことだけを考え政治をやるというのも、いろんな悪癖を残す大きな原因となっておると私は思います。そういった意味で、この届け出期間というものを国政と地方と一遍分けて考えてみる、そういったこともひとつ御判断をいただければありがたい、こんなことを申し上げておきます。  それからもう一つ、自治省あるいは発議者どちらでも結構でありますが、衆議院なら衆議院五日間、参議院なら参議院も五日間ずつ短くして、国の費用、選挙の費用はどのくらい安くなると御計算になっていらっしゃいますか。
  60. 岩田脩

    ○岩田政府委員 いわゆる執行経費、各都道府県及び市町村が国の選挙をやってくださるときに国がこれの事務費として、所要経費として支払う経費がどれくらい減るかということでございますけれども、これは目下のところ、実は計算中でありまして、それぞれの場合に幾ら減るか、たとえばこういう規模の投票所であったら五日間縮んだらどれだけ事務費が減るだろうということは実は計算をしまして、すでにお手元の改正案の中に一部入っているわけでありますけれども、ただ、そういう投票所が全国に幾つあってというかっこうの積み上げをやらなければいけませんので、その意味での作業がまだでき上がっておりません。ただ、実際には、そのことによりまして、期間が短縮しますと、それから先ほどの立会演説会の廃止などがありますから、何億円か減るのではないだろうかというように思っております。
  61. 中井洽

    ○中井委員 発議者、提案者のどちらでも結構なんですけれども、日にちを短くする最大の理由の中にお金のかからない選挙にするんだ、こういうことがございます。先生方の御経験から見て、これだけ日数が減ったら大体費用はどのくらい減るとお考えなのか、金額じゃなしでも結構です、少しお聞かせください。
  62. 片岡清一

    片岡議員 どういう計算をするかというとなかなかむずかしいのですが、単純計算でいきますと、とにかく四分の一減るわけでございます。基礎的な経費も入りますので、なかなか正確には出ないのですが、少なくとも現に相当減るということだけははっきり言えるのじゃないか。やはり最後に相当馬力をかけなければならぬとなると、よけい金を張り込んでやるということに——それは、法定費用がありますからそうでたらめなことはできないのですが、そういうことになりますと、気持ちの上でも一番最後のところにいろいろ金がよけい要るというような漠とした感じからいいますと、相当安上がりになるなという感じがあるわけでございます。私は、どうも余り金を使う柄ではございませんので、その感じがよくわかりませんけれども、気分的にはかなり節約になると思います。
  63. 中井洽

    ○中井委員 片岡先生のおっしゃるように、最後がなくなるわけじゃないですからまあまあだと思いますが、ひとつお考えをいただきたいのは、本当に選挙はお金がかかると思うのであります。情けないことであります。しかし、かけないとまた当選もしないという逆の面もございます。そしてお互いが候補者で、本当に法定費用の枠というのを守っているのだろうか、これは真剣に考えなければいけないことだと思うのです。やはりあの枠を現実に合わせていくのか、あるいはわれわれがあの枠をどうしても守ってきちっとやっていくのかということを議論していくと、あの枠が少し現実離れをしていないか、私は、こういうことも言えると思うのであります。  そういう意味で、幾らでもお金はかかるのだから枠をどんどんふやすということじゃなしに、だれから見ても大体これくらいの枠だろうというようなことをみんなで協議し合って、そしてきちっとそれを守る、届け出にごまかしはだめだ、それも一つきちっと厳しい選挙違反の規定にひっかかるんだ、そういう形に変えていくのが、政治に対する、あるいは選挙運動に対する国民の信頼というものを取り戻す大きな原動力になると私は考えるわけでございます。たとえば、選挙法規定の中に、運動員あるいは運動員に提出できる食事とかの規定がございます。こんなものは全く現実離れをいたしております。そういうものを現実に合わしていくというのも、私は一つ選挙改正のやり方じゃないかと思うのです。それをいつまでも置いておくというのは怠慢じゃないか、こんなふうに考えますが、いかがでございますか。
  64. 中野四郎

  65. 中井洽

    ○中井委員 それは提案者が答えてくださいよ。選挙部長は関係ない。あなたよりも皆さんに聞いている。
  66. 片岡清一

    片岡議員 その費用弁償その他の額がやや実際離れをしておるという感じは、私も持っております。したがいまして、まあそんなことを言うとおかしいのですが、本当に法定費用内でやれている方というのは、市川房枝さんのような方ならこれはいくかも存じませんが、はっきりと法定費用内でやっておるということは実際問題としてなかなかむずかしいことであるというふうに思っておるので、やはり何とかできるだけ現実に合うように改定をして、実行のできないことでなしに本当にきちんと実行のできる範囲に改めてほしいなということを感じるのは、率直に申しますと私もそういうふうに思うわけでございます。
  67. 中井洽

    ○中井委員 次に、立会演説会の廃止についてお尋ねをいたします。  私ども党内がこの法案に対して賛否を決めかねております最大の理由は、この立会演説会廃止という思い切った御提案にあるわけでございます。御提案の理由、いろいろと承っておりますと、現実に人が入らない、形骸化をしておる、この一点であるやに思います。しかし、私ども選挙をやらしていただいている者あるいはお選びいただく方々から見れば、立会演説会というものの持っておる精神あるいは目的、大変すばらしいものがあると思うのであります。私どもは、全党員の、選挙に関係をしておる者あるいは議員候補者あるいは婦人モニター、全国に四千人ほどいるわけであります、そういった人たちに、この夏に選挙法についてのいろいろなアンケートをいたしました。この中で立会演説会の廃止ということについては、反対という声がやはり圧倒的に多いわけでございます。  私も、立会演説会の現実のむなしさというのをよく承知をいたしております。たとえば、山本大臣と私とは同じ選挙区でございまして、ところが立会演説会山本先生と一緒になったことが一回もないんじゃないかと思うのです。私どもは二班に分かれるのですね。コースも全部すれ違い、立会にならないわけです。しかし、管理をしていただく選挙管理委員からすれば、それ以外に十人出たら長時間になって、六時から十時までやらなければならない、とうていできないから半分に分けるんだ、こういったようなことを考えると本当にむずかしい問題だなと思わざるを得ません。  自民党さんが、すっぱりとやめるんだ、こういう形だけで提案をなすった法案でございますが、自民党さんとしては何とかこれを有効に生かす方法あるいは活性化をする方法、代案措置、そういったことを御討議なさらなかったのでしょうか。あるいは、これからもそういったことについて話し合いをなさろうとせずに、このまま法案審議されていこうとするのか、そういった点についてお尋ねをいたします。
  68. 住栄作

    ○住議員 立会演説の制度、これは諸外国に比較して日本の選挙の特異な制度でございます。ずっとやってまいりまして、当初からの経過を見てみますと、指導もあったのでしょうけれども、回数も減ってまいっております。一回当たりの人数等についても、減少ぎみではございますけれども、そう変化はないのじゃないかなと思っておるのでございますが、いまも御指摘ございましたように、私どもも何回か選挙をやりまして、どうも立会演説というのはむなしい。これは三十年以上ずっと続いておる制度ですから、どうかして活性化しよう、こういう努力選挙管理委員会もおやりになったわけでございますし、それなりの工夫がされたのだろうと私は思うのでございますが、現実は、いまも一端をお漏らしになりましたけれども、そういうような状態でどうも余り生かされてはいない。  そしてまた、生かそうとしてもこれはなかなかむずかしいのじゃないかということも考えまして、むしろこの立会演説を廃止することによって候補者が、これはそれなりに余裕が出てまいりますから、候補者の独自の選挙運動、これに対していろいろまた廃止によって知恵も出てくるのじゃないか、その方がむしろ有効なのじゃないか、こういうような判断等も行いまして、この際廃止するというように考えたわけでございます。
  69. 中井洽

    ○中井委員 この廃止のかわりというわけじゃないのでありますが、代替措置みたいな形なんですか、話し合いでテレビ、ラジオを各一回ふやしていただく、経歴放送を一度独自に切り離してやっていただく、こういうことになっておるやに聞いております。しかし、テレビ放送も一度録画したものを同じ形でやるわけでございますし、これを先ほどの伏木先生のように、立会を映してとか、各党候補者一つのスタジオで寄って議論をしてとか、いろいろありますが、それも時間的になかなかむずかしい技術的な問題があろうか、こういうことを考えますと、私どもは、立会演説会の精神だとか目的とか、そういったいい面を残していく方法は何かないかと考えるわけでありますが、なかなか困難かという問題があるわけであります。いま発議者の住先生の方から、個人で工夫をしてそれぞれ選挙を守り立てろ、こう言いましたけれども、これもなかなかむずかしいところでございます。  この法案に反対の政党皆さん方は、立会の廃止と選挙期間の短縮と二つ重なると有権者との接触が減るじゃないか、あるいは運動量が減るじゃないか、こういう形での反対が多いわけでございます。そこで、その中で私ども候補者もそれぞれ工夫をいたしますが、たとえば現行のいろいろな公営選挙の枠を代替措置として広げていく、そういったことをお考えいただけないか、あるいは各党間での話し合いができないかと私は思うのであります。真剣に提案を申しあげますので、ひとつお考えをいただきたい。  たとえば、参議院になりますと、各候補者、無所属の方もいらっしゃいますが、政党公認で大体選挙に出ます。また、個人でそれぞれ政見発表をいたしますが、政党が大きく掲げた政策の枠の中で国政選挙というものは争われるわけでございます。したがって、テレビを個人の政見放送以外に、たとえば衆議院選挙のときに中央において、過般参議院で行われたような形での各政党政見放送を行う、あるいは政党間の討論会をきちっと義務としてやっていく、こういったことができないかどうか。あるいは、現行五回でしたか、新聞広告の枠がある。これをもう少しふやす方法はないか。  あるいは推薦はがき、たとえば私ども選挙区では、衆議院では三万五千枚ですか、これを、やはり三万五千枚ではみんなに渡らないわけでありますから、もう少し広げることはできないか。あるいは法定ビラも二種類、二万掛ける定数ですか、これをもう少し広げることはできないか。たとえば、参議院選挙なら三種類の法定ビラを比例代表区は何枚まいてもいいんだ、衆議院は数を制限するんだ、これもまたおかしなことです。あるいは、これをまく範囲はどうだ。これも限られておる。こんなもの、どこでまいたっていいじゃないか、お金をまくわけじゃないのですから。  そういったことを含めてこの法案審議の中で話し合いをしていただきたいと、私どもは実は真剣に提案を申し上げるわけであります。その点について、提案者の方からひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  70. 片岡清一

    片岡議員 今回の提案のほかに、野党皆さん方からそれぞれいまお話しになりましたようないろいろの問題がやはり提起せられておりますが、残念ながら、これからまた皆様方合意に達するように話し合うというためには、時間がまた相当かかると思います。そういうことでございますので、いまお話しのような問題、その他にもいろいろな技術的な問題で御意見が出ております点は、やはり将来、各党の間の理事懇なり、あるいはそれに該当するような話し合いの機関をつくるなり、お話し合いを進めていく何らかの機会をつくりまして、そして、われわれはその調査会の中においてもすでにそれらの問題について調査を進めておる段階でございますので、両々相まちまして、それらの問題をひとつ総ざらい的に検討を進めていく必要がある、かように存じておりますので、そういう方向に向かって進んでいきたいと思っております。
  71. 中井洽

    ○中井委員 真剣に御検討をいただくということについては、それは疑問を差し挟むわけでありませんけれども、私がお願いを申し上げ、あるいは御提案申し上げておりますのは、この国会審議中において、衆議院に置こうが参議院に置こうがどちらでも結構でございます、立会演説会を廃止するという思い切った案の代替措置として何か枠拡大というものを各党間で話し合うべきじゃないか、このようなことを御提案申し上げているわけであります。  先生は、この法案が通ったらまた自民党の何やら、調査会でとかいって、こんなのはしてくれるわけがないのでありまして、これは前の参議院のときにようけいだまされておりますので……。ごめんなさい。大変失礼なことを申し上げましたけれども、やはりこの法案審議の最中にお考えをいただいた方がいい。皆さん方自民党提案で出された法案が一党だけの賛成でしかも選挙前に急に通った、これは余り国民に対して胸を張れるものじゃない、このように思うのであります。やはり選挙法案でありますから、反対の党もあるけれども幾つかの賛成の党もあるんだ、こういう形できちっと審議が行われる、私はそうあるべきだと思うのであります。  冒頭申し上げましたように、私どもも、日にち短縮等については結構だ、しかし、日にち短縮立会演説会の廃止、こういうのが二つばたっと重なりますと、いかにも唐突じゃないか、あるいはこの立会演説会という日本独自のものの精神、そういったものまで要らないんだという形で押し流すのはどうだろう、こういった気がするわけであります。そういったものにかわる措置としてこういうこともある、こういうこともできるんだ、こういうことをお考えをいただきたい。  テレビの枠が一つふえたよ、こうおっしゃるけれども、さっき言いましたように、テレビの政見放送の視聴率というのは、そんなに高いものでもないと私どもは伺っております。また、枠にはまったものであります。したがって、それぞれ選挙をやる皆さん方でありますから、知恵を出せばそんなにお金もかけず、あるいは協議する時間もかけずにできるものがあると私は思うのであります。そういったことについて、提案者の方で柔軟に話し合いに応じる御姿勢がおありかどうか、もう一度お尋ねをいたします。
  72. 片岡清一

    片岡議員 お話のようなことを実現するということになれば、結局修正案についてお話し合いをするということになるわけでございます。ところが、いまお話しのようないろいろな項目について、修正案について各党ともお話し合いをするということになりますれば、これはなかなか時間を要することであり、そうおいそれとコンセンサスが得られて、うまい案が出てくるというふうには思われません。  ただしかし、皆様方のいま御質問なり、この御審議の途中でいろいろの御意見が出てまいります。そこで理事会等で、あの話はいいじゃないか、それじゃみんなであの方向でやろうやというコンセンサスが出てくるなら、それは、われわれは何とか修正という形でも、とにかく皆様方とお話し合いをすることについては、決してやぶさかでないわけでございます。ただ、それを全部が全部やり遂げるということは、かなり実際問題として困難であろうかと思うわけでございまして、それ以外のことは、やはりこれからの問題としてまた御相談をしていきたい。  それで、どうもそんなことを言うと、おまえは言い逃がれをして、後はやらないんだろうとおっしゃるが、これはやることに、参議院の方でも党内で話が出ておりますし、衆議院の側においても、やはりそういうことをぜひやっていかなければならぬ、こういうふうに思っておる、誠意だけは持っておることを、ひとつ御承認いただきたいと存じます。
  73. 中井洽

    ○中井委員 終わります。
  74. 中野四郎

    中野委員長 安藤巖君。
  75. 安藤巖

    ○安藤委員 まず最初に、委員長にお尋ねしたいと思うのです。  選挙法といいますのは、申し上げるまでもなく、議会制民主主義のルールをつくるものですね。その選挙法審議の冒頭から社会党が欠席、こういう不正常な状態で審議が進められております。委員会の運営は、各会派合意の上で行われるという民主的なルールがあると思いますが、こういうような不正常な状態ではやはり非常に遺憾で、ルールに反しておるのではないかと思うのです。だから、早速この審議は中止をなさって、理事会を開いて委員会の運営について協議をなさるべきではないかと思うのですが、いかがですか。
  76. 中野四郎

    中野委員長 お答えを申し上げます。  この委員会を開会するに当たりましては、理事会において十分御相談申し上げた結果、多数の御意見によって開会することに決定したものでありまして、決して私は非民主的な動向ではないと考えております。したがって、この委員会を中止する気持ちはございません。どうぞひとつ、共産党におかれましても質疑を行っていただきまして、十分に御意見を聞いていただきたい、かように思っております。
  77. 安藤巖

    ○安藤委員 大方の賛同を得たというふうにおっしゃるのですが、やはり全会一致のルールに反しておるのではないかというふうに申し上げておきます。  もう一つお尋ねしたいのですが、この法案につきましては、後でも質疑の中で申し上げますけれども幾つかの新聞が社説その他で論調、論陣を張っております。なかなか批判的でございますね。そして、多くの団体あるいは労働組合なども強く反対の意向を表明しております。もともとこの法案自民党の方からの議員提案、選ばれる側からの提案ですね。だから、選ばれる側からの言い分ばかりではなくて、やはり選ぶ側、主権者である選ぶ側の意見というものもしっかり審議に反映をするということが必要だと思うのですね。  そういう関係で、私どもは公聴会をぜひとも開催をすべきだというふうに強く要請をしてまいったのですが、参考人というようなお話もありますけれども参考人といいますのは、委員会が必要であるという場合は委員会において人選をして呼ぶ、こういうことに国会法はなっていますね。公聴会といいますのは、もちろん公募をして、そして応募をした人の中からしかるべき人を選んで意見を聞く、これはたてまえが全然違っているわけです。ですから、私は早速公聴会も開くというふうにしていただきたいのですが、委員長は、公聴会を開くというお気持ちはあるのかないのか、お尋ねします。
  78. 中野四郎

    中野委員長 それはこの委員会質疑が終わった後で、理事会において十分御協議をいたしたいと思っております。
  79. 安藤巖

    ○安藤委員 そこで中身に入ってお尋ねをしたいと思いますが、提案者の方では、先ほども申し上げたのですが、いろいろ世論がこの改正案に対して厳しい批判をしております。こういう世論というものはどういうふうにお考えになったのか、有権者、選ぶ側の方の意見というものはどういうふうにお考えになっておられるのか、まずお尋ねします。
  80. 片岡清一

    片岡議員 世論は、いろいろの立場から批判が出てまいります。これは大変いいことでございまして、私は、新聞で出ていない世論の中にもいろいろあると思いますよ。それは、今日のように交通が発達し、そしてマスコミの進歩も非常に遂げた現段階において、いつまでもあの長い選挙期間をわいわい言うて歩いてもらうのは、非常に迷惑だというようなことをわれわれはときどき聞くわけでございます。ですから、時代とともにやはり選挙のやり方を合理的に変えていくということも必要である、そういうことに対して非常な賛意を表しておる声なき多くの世論もあると私は思います。  したがいまして、新聞やその他に出ておる批判だけが、あるいはそういう世論だけが私は世論であるとは思っておりませんので、しかし、そういう世論についても十分傾聴すべきものは傾聴していかなければならぬと思いますが、今回提案いたしましたものについては、これはやはり時代の進運とともに合理的な選挙の枠組みをつくって、土俵をつくって、できるだけ選挙に金のかからないようにしていこう、こういう目的からはこれは非常に妥当な案である、かように思って提案をいたした次第であります。
  81. 安藤巖

    ○安藤委員 声なき声ということもおっしゃっておるのですが、念のために申し上げますと、これは朝日新聞、中身は読みませんが、「「目隠し選挙」にするな」、こういう社説ですね。それから東京新聞でも「有権者不在の公選法改正」、それからこれは毎日新聞「選挙期間の短縮への疑念」、これはサンケイ新聞「動機不純な公選法改正案」、こういうふうに論陣を張っておられるわけですが、これはやはり大新聞でありますし、圧倒的な世論ではないかというふうに思うのですよ。  それから日本婦人有権者同盟、これは相当大きな組織です。ここでも「自民党提案の「公職選挙法改正案」に反対し衆参両院議員定数不均衡是正要望する」、もう中身は全部紹介しませんが、「今回の改正案は、「選ぶ側」の有権者の意見が全く無視され、「選ばれる側」の論理、特に現職優先の党利党略案であり、絶対に容認できません。」こういうふうにきつくこの法案に対して反対を表明している。  それから日本青年団協議会、これは日本全国の青年団の集まりですね。ここも常任理事会で、公選法改正案に対する日青協、日本青年団協議会の略ですが、「日青協の声明」、声明まで出して、「党利党略による選挙法の改定には断固として反対することを表明するものである。同時に、憲法違反判決まで出た「一票の重みの格差」、定数の不均衡の是正や、政治腐敗の根源である企業・団体献金の禁止こそ緊急の課題であると考える。」  こういうふうに歴然と多くの世論は、この改正案なるものに対して強く批判あるいは反対という態度を表明しておるのです。なぜ、こういうような批判あるいは反対というのが出てきておるのだろうか、こういうことはお考えになったことはありませんかね。声なき声があるから、その方はいいのだというわけにはまいらぬでしょう。これだけの反対の意見が盛り上がってきておる。そのほかにも、たくさんの労働組合から私のところにもたくさんの要請書が来ています。反対してくれ、がんばってくれ。だから、こういうような世論は無視してもいいというふうにお考えなんでしょうか。
  82. 片岡清一

    片岡議員 先ほどから申し上げておりますように、そういう御意見、御批判に対しては、われわれは十分耳を傾けて聞かなければならぬ。私も拝聴するにやぶさかではありません。しかし、選挙というものは、何というても民主主義の基盤をつくっていくところのものでございます。したがいまして、やはりできるだけよけいな金を使わない、そしてできるだけ金のかからない選挙というのが、政治の倫理を確立していく上における一つの基盤である、私はこれはかたく信じておるのでありまして、したがいまして、先ほど言いましたように、そういう立場からの批判を持っておる、意見を持っておる人も非常にたくさんあって、私もよく聞きます。  そして、それらの人たちはやはり、どうも二十日間は長いじゃないか、二十五日は長いじゃないか、また、ずっとああいう長い間大きな声を張り上げられて、社会の静ひつを邪魔されるのは困ったというようなことも言われておるわけでございまして、そういう声なき声というものもあることは、これはわれわれも十分知らなければならぬと思うわけでございまして、私はそういういろいろの点を彼此勘案して、そして今回こういう時代の進運に合ったところの、交通通信の機関の十分発達した今日においてこういうふうに改めていくことが適当である、こういうふうな信念に基づいて御提案を申し上げた次第でございます。
  83. 安藤巖

    ○安藤委員 いまのお話ですと、何か選挙というのはやかましくてしようがないんだみたいな話ですね。これはまさに有権者の人たちが直接選挙権を行使して、市政なり県政なり町政なり国政なりに直接参加するという非常に大事なことなんですよ。そして、そのための運動期間というのが設けられておる。それをいまの片岡さんのお話によると、選挙というのはやかましくてしようがないんだみたいな話です。これはやはり問題だと思いますね。  そこで、今度は、期間短縮、時間短縮、立会演説廃止、これはこれまで幾たびかにわたって公職選挙法というのが改悪に改悪を重ねられて、べからず法案というふうにまでなっているというふうに言われているわけですよ。全部は言いませんが、昭和二十七年、戸別訪問がここで全面禁止になっているのです。それから四十五年、選挙中の政治活動ビラは、国会議員三種類、その他は二種類というふうに制限されている。シンボルマークが規制されている。五十年になって、選挙に関する報道、評論を載せた機関紙号外が禁止された。それから昭和五十六年、選挙中の政党機関紙誌、宣伝カーの禁止、後援会連絡所ステッカー禁止、後援会看板の規制、こういうふうに矢継ぎ早に規制がされてきておるのですよ。だから、ここへもってきてさらに運動期間を短縮する、立会演説全廃ということになったら、これは選ぶ方の立場というのは一体どうなるんだ、こういう危機感を持つのは当然だと思いますよ。  そこで大臣、選挙の公正を保つために一生懸命努力をされるお役目を持っておられるわけですね。こういうような規制をさらに加えるということは、まさに有権者の立場、選ぶ方の側、この人たちを無視する、あえてその人たちのそういうような気持ち、おれはどの政党がどういう政策、どの候補者がどういう公約、その候補者の人柄をよう知りたいんだという、そういう有権者の選挙に参加する、政治に参加する、そういう権利を行使するということに対して挑戦的な態度じゃないかと思うのですが、これは大臣としてどういうふうにお考えですか。
  84. 山本幸雄

    山本国務大臣 選挙というのはやはり民主主義の一番根底にある問題であって、これは議会制民主主義を維持していく上においては最も大切なものだと私は思うのです。それだけに、選挙は公正に行われなければならないというのは当然のことであります。しかし、今回の改正は、何せ二十五年、約四分の一世紀にわたって期間というものは改められていない。しかし、この四分の一世紀の間に社会のいろいろな取り巻く環境というものがずいぶん変わってきた。先ほどのお話のように交通機関あるいは通信手段、それから私は、もう一つ国民政治意識が目覚ましく向上したと思いますね。だから、そういう観点から政治をごらんになる目というものは非常に肥えてきていらっしゃる。私は、それは高く評価しなきゃならない。  そういういろいろなことを考えてまいりますと、政治的といいますか、あるいは社会的といいますか、そういう状況の変化に対応して選挙が行われてもいいではないか。いつまでたっても同じようなやり方というわけでもあるまい、改めるところは改めて、より適切な、より時代に合った選挙制度改正をしていく。制度というのは、いつまでたっても一つのところにとどまるものではありません。やはり流動的に考えていいものではないか、こう私は思うのであります。  そういう意味で、必ずしも今度の改正選挙の公正を脅かすものであるとまでは思いません。むしろ私は、今度の改正によって、やり方を変えることによって、選挙はむしろいい方向に向かうというふうにも思えるのでありまして、私は妥当な線である、こう先ほど来申し上げておるわけであります。
  85. 安藤巖

    ○安藤委員 先ほど私が紹介しました新聞の論調、それから日本青年団協議会、それから婦人有権者同盟の人たち、この人たちもいまの時代に生きているのですよ。そして、いまおっしゃる交通事情とかマスメディアとか何かのことを全部踏まえて、その上でこういうふうに言っておられるのですよね。だから、道路状況がようなったとか、マスメディアがどうのこうのというのは、これはやはり自民党の独断じゃないかと思いますよ。全くそういうようなことは、じゃそれを反対している人、批判している人は、こういうような情勢を全然踏まえていないのか。いま生きている人たち、この世代で生活している有権者の人たちの声なんですよ。これは。ですから、その辺のところは十分踏まえなければいけない、このことを強く強調しておきます。  そこで、先ほどの声明あるいは要請書の中にもありました、それから幾つかの新聞論調の中にもありましたが、こういうような規制を加えるということよりもさらにもっと前にやることがあるんじゃないのか。いろいろ言われておりますね。  定数是正というのが、どうしても最初に出てくるわけですね。この定数是正の問題、これはあえて申し上げるまでもないと思うのですが、よく比較される千葉四区と兵庫五区、これは一対四・五四。これは議員一人当たりの人口の割合。それから、同じ千葉四区、兵庫五区の関係で議員一人当たりの有権者の数、これはやはり一対四・二四。多いですよ。これは衆議院参議院では神奈川と鳥取、これでいくと一対五・五〇、こういうふうに差があるんですね。これは、近いうちに是正しなければならぬというふうにお考えになるのか。だとすれば、具体的にどういうふうに是正をすることを自民党としては考えておられるのか、提案者にお尋ねします。
  86. 片岡清一

    片岡議員 お話のように、今度の提案よりもっと大事なことがあるではないか、たとえば一番国民の間に問題になる一票の重み、これは何としてもやはり定数是正という形で直さなければならないものであるということについては、私たち自民党としても十分な認識を持っておりますし、いまのお話のような格差が現に出ておる、こういうことに対して、憲法違反の問題も裁判上言われており、近く最高裁判決も出る段階になりつつあることも十分認識しております。したがいまして、この問題に何らかの措置を講じなければならないということについては十分認識をして、すでにわが党の選挙制度調査会においては基本問題小委員会をつくりまして、この問題にもうすでに長く論議を交わしております。しかしながら、この問題は、すでに二回にわたって衆議院定数是正が行われましたが、これはいずれも定員をふやして、そして是正された、こういうことでございますから、やり方としては非常にイージーなやり方であったと思います。  ところが、今日行政改革が叫ばれておるときに、定数是正をするのに定数をふやして是正するということは、これはとても国民の納得を得ていただくわけにはいかぬと思います。したがいまして、これは定数現状維持にするのか、あるいは減らすか。そしてそういうことになりますと、この問題はひとり人口に比例するということだけで問題が解決するのか、あるいは地域の広さあるいは文化の状況、経済の状況、そういうものを勘案しながらやっていかないとだめだといういろいろな考え方もございますし、そういうことからいたしますと、そしてまた同時にこれは選挙の根幹に触れる。いまの中選挙区のやり方でいいのかどうか、これらの問題もおのずから論議の議題に上ってくるわけでございまして、そういう点から考えますと、われわれ論議の中でいろいろ多種多様になりまして、これをコンセンサスを得て一つにまとめるということにはかなり骨が折れるわけでございます。これはなかなか短期に問題を解決することはできないので、少し中長期にひとつ真剣にやっていこうということで、われわれは目下それに携わって調査会において論議を進めておる最中でございます。  それが、今日まだ提案するような段階に至りませんので、まだ、各党に御意見を賜る、お話し合いをするという段階ではありません。が、しかし、これから避けて通れない問題であることを十分認識をしながらこの問題に対処して、そして行く行くの段階では野党各党皆さん方にも十分また御連絡をし、御相談もしながらこの問題の解決を図っていきたい、かように思っておる次第であります。
  87. 安藤巖

    ○安藤委員 定数是正の問題を私どもの方が言いますと、先ほどもおっしゃったように中選挙区でどうのこうの、これは後藤田さんが一番好きな言葉でございまして、小選挙区制ということも云々と、こう出てくるんですよ。だから、これはだめなんですね。そういうふうにすぐ小選挙区制と絡めて持ってくる。そういうようなことではなくて、いま自民党の中ではこうこうこういう議論をしているのだ、知恵をかしてくれというようなことで、野党の方にも話を持ってきたらどうなんですか。だから私は、そういうような話を持ってきて大いに議論しようじゃないか、それをやらないでおいて、運動期間を縮める、立会演説なし、こういう自民党の方の都合のいいメニューだけをまずぱっと先に持ってきて、そうして審議してくれ、早く通してくれというようなことではいただけませんということを申し上げておるんですよ。  しかし、いまおっしゃったように、避けて通れないとかおっしゃるのです。確かにそうです。しかし、これは緊急に、早くやってほしい、これも圧倒的多数の世論です。有権者の声ですね。だから、これはできるだけ早く話し合いの場へ持ってきていただきたい、私どもも積極的に意見を出す、こういうふうに申し上げておきます。  それからもう一つ規制規制ばかりではなくて、やはり選挙運動というのは本来自由闊達でなければならぬわけなんです。それを規制規制とばかりやってきている。だから私どもは、選挙運動の拡大ということをいつも要求しておるのですが、先ほど言いました昭和二十七年か何かのときに戸別訪問が禁止された。この戸別訪問の自由化という問題について、自由化すべきかどうかという点については自民党の中では議論になってないのか、提案者片岡先生はどう考えておられるのか、お尋ねします。
  88. 片岡清一

    片岡議員 この戸別訪問の問題は、いつも重要な議案として議題に上っております。そしてこれについては、各方面からいろいろの検討をしつつあります。  ただ、この戸別訪問を自由化するということになると、これこそ選挙する方の方、一般民衆、国民が、毎日毎日、あの党からもこの党からもどんどん波状的に訪問をされると大変迷惑をされるだろう。そういうようなことも考えると、これは選挙をしてもらうというか、われわれ議員立場からだけを考えて言うわけにはまいらぬのであります。そういう点などを考えて、どうすれば合理的にいくか。すでに御承知のように、かつて親族ないし知己、その間に限って自由訪問を許す、こういうことも一遍やってみたがどうもうまくいかなかった、そしていろいろの弊害が出てきた、こういうことでやめになりましたことは御承知のとおりでございます。  それらの問題を考えまして、この問題はさらに論議を尽くさないと、どちらがいいかということになかなかいかない。こちらの都合だけではいかない、選挙をしていただく方の立場考えなければならぬということで、非常に苦慮いたしておるという段階で、いま検討の最中であります。
  89. 安藤巖

    ○安藤委員 二年ほど前になりますか、選挙制度の調査でこの委員会から外国へ派遣をさせていただきまして、ちょうどイギリスの総選挙の真っ最中でした。そのときに、保守党、自由党、労働党、それぞれの候補者選挙事務所へもお邪魔して、それから候補者の人たちにもお会いしたのです。戸別訪問をすると——戸別訪問は自由ですよ。戸別訪問をすると、その訪問をされた有権者の人が非常に喜んでくれて、ワインを飲ませてくれてねというような話まで……。だからそれぞれの候補者も、それから運動員にしても、わざわざ来てくれたかというようなことで、これは歓迎される方法だと思うのですよ。もちろん、それぞれ一対一でいろいろ有権者の人と話し合いをして、政策の問題も話し合いをして、人柄もわかってもらえる、これは非常にいいと強調しておられましたよ。だから、いま片岡さんがおっしゃるような、そういうことではないのです。やはり、しっかり勉強していただきたいですね。  それで片岡さん、いま何か戸別訪問はなかなかいかぬのだというお話なんですが、これは一九七九年、だから四年前の十月施行の総選挙、このときに自由法曹団という団体がそれぞれの立候補者の人たちにアンケートをとったのですよ。覚えておられると思うのですが、この戸別訪問の自由化についてのアンケートで、戸別訪問の自由化に賛成というふうに回答を寄せておられる自民党議員さんもたくさんおられるのです。片岡先生はどちらに回答をお寄せになったと御記憶ですか。
  90. 片岡清一

    片岡議員 私は、どうやったかいま覚えておりません。ただ、先生いまおっしゃったイギリスにおいて戸別訪問が自由であるということでありますが、これは先生の一番お嫌いな、共産党の一番お嫌いな小選挙区です。それで、これは党と党の争いになるわけです。ですから、そういう小選挙区制にするなら私は戸別訪問大いに結構だ、こういうふうに思うのですが、先生の先ほどおれたちは小選挙区はけしからぬとおっしゃっておるのとどうも相一致しませんが、どういうことなんですか。
  91. 安藤巖

    ○安藤委員 すぐ小選挙区制という言葉が出てくるから、そこが問題なんですよ。  片岡さんにお見せします。「第三十五回総選挙候補者に対する戸別訪問をどう思うかについてのアンケート」、賛成、自民党二百五十二名、わりとたくさんみえるでしょう。その中に、最初のやつには載ってないですが、集計後また到着したアンケートの追加です。賛成十八名、片岡清一、覚えありますか。ちゃんと片岡清一と賛成に載っておるのです。あなた、賛成しておるじゃないですか。
  92. 片岡清一

    片岡議員 それは、やはり比例代表制をとったり小選挙区制をとったりしておる各国では、戸別訪問は自由だというのが世界の大勢であります。ですから、わが国においてもそういう段階になれば私はまことに結構だと思うのですが、これはやはり制度との絡み合いの問題が起こってまいります。そういう点で、国民皆さん方にも余り迷惑にならぬ、そしてまだ今日においては、いろいろ買収その他で弊害が伴う場合も出てくるというようなことが心配される段階においては、やはり考えなければならぬ。しかし、原則的には、外国でもやっておるのですから、私は、原則的にこれが行われるようになればいいなということで賛成をしたということであったろうと思います。その後いろいろ議論をしてみまして、なるほどこれはもっと考えなければ、にわかにどうも賛成はできないのだなということも認識しつつあるわけでございます。
  93. 安藤巖

    ○安藤委員 片岡さんは、四年前のアンケートに賛成というふうに回答しておられる。いまおっしゃることと大分違うのですね。そして、これは外国のことではなくて、現在の日本における選挙制度のもとにおいて、戸別訪問賛成というふうに回答しておられるのですよ。  住先生、静かにしておられるのですが、住先生もこれに名前が載っておるのですよ。小泉純一郎先生も載っている。上村先生も載っている。これは、本案の提案者の中に名前を並べておられる方々ですね。それで、戸別訪問の自由化というようなことをやらないかというふうに言うてこられないのかと不思議でしようがないのですがね。住先生、どうですか。
  94. 住栄作

    ○住議員 私は記憶がないのですけれども、そういうように資料を出していただいたら、そのときのことはよくわからぬのでございますが、私も、自民党選挙制度調査会に入りまして選挙制度の勉強をしてまいりました。いろいろ考えてみますと、先ほど来話がございましたように、戸別訪問だけを取り出して、それが自由化がいいとかどうとかということにはならない。やはり日本には日本の特殊の風土がございますし、そういうようなものを背景にして日本の選挙が行われているというようなことも考えますと、選挙は自由であると同時に公正でなければならない、こういうことも考えていかなければいかぬわけですね。  ですから、戸別訪問について本当に公正な戸別訪問ができるかどうか、あるいは不正行為の温床になるのじゃないかとか、そういうようなこと、あるいは、先ほどもお話がございましたが、有権者の方々が大変迷惑するとか、そういうことをきちっと公正にできるような条件づくりができるかどうか、これは大変な問題だろうと思うのですよ。自由化ということは、私は絶対だめだとは思っておりませんが、私どもは、そういうような知恵をしぼっていって、やはり自由化というものも考えていかなければならない、ただ裸で戸別訪問が自由化でいいのだ、こういうことには早計に判断できない、こういうように考えております。
  95. 安藤巖

    ○安藤委員 いまおっしゃることとそのアンケートにお答えになったこと、それは知らぬとおっしゃるけれども、お忘れになったのかと思うのですが、そういうことを言っておられるのですから、近いうちにわが党で戸別訪問自由化、あそこを一条削除すればいいのですから、出しますので、積極的に御賛同いただけると思うのですが、どうですか。
  96. 住栄作

    ○住議員 私どもこの提案をするに当たって、たとえば戸別訪問の自由化をどう考えるか、そのほかいろいろな選挙と文書の関係だとかあるいは連座制の問題だとか、いろいろなことを勉強したのですよ。そして、その点についてはまだまだ検討はしなければならぬだろうということで、実はこの法案には結論として出てくるまでには至りませんでした。  それじゃなぜ都合のいい、というようなことをおっしゃいますけれども、私どもは、都合がいいとか悪いとかということじゃなくて、やはりできるだけ選挙制度というものは合理的なものにしていかなければならない、そして皆さんの御賛成が得られるものならば、全部でなければならぬということはないのだから、直すべきところは直して、やはり選挙の改善を図っていくというのが務めじゃないか、こういうように考えておるわけでございます。  残念なことに、つまみ食いして出したのだというような御批判でございますが、御批判は自由でございますから結構でございますけれども、私どもの真意はそういうところから出ておるのでございまして、こういうことも酌んでいただいて、ひとつ御賛同いただきたい、こういうように思っています。
  97. 安藤巖

    ○安藤委員 先ほどからいろいろ外国の事例等々も話が出ております。私の方からもいろいろ申し上げました。そこで、今度のこの法案をおつくりになるについて、外国じゃ一体運動期間というものはどうなっておるのだろうか、事前運動はどうなっておるのだろうかというようなことをお調べになったと思うのですが、それはどういうようなことをお調べになったのでしょうか——自治省はだめです。提案者提案される以上は、ちゃんとそういうこともお調べになった上でお出しになったと思う。答えてください。
  98. 住栄作

    ○住議員 これは資料でございますから、細かく申し上げます。  アメリカ、選挙期日十一月の第一月曜日に続く火曜日前五十日まで、選挙運動期間はなし。それからイギリスは、選挙運動期間議会解散の日から選挙運動期間が始まります。それからフランスは二十日間。それから西ドイツはなし。イタリアはなし。ベルギーはなし。オランダは四十三日間。デンマークは議会解散の日から。ノルウェーはなし。スウェーデンはなし。オーストリア、スイスなし。オーストラリア、選挙令状公布以後ということでございまして、これは投票日が設定されるだけでございますから、そういうことになっております。
  99. 安藤巖

    ○安藤委員 だから、そういうことからすると、期間なしというのは、選挙運動期間とか告示があってどうのこうのというのはないわけですよね。全くの自由に、常時選挙運動ができる、こういうことですね。それからアメリカの場合でも、選挙期日前五十日、これが届け出期間だと。もともと選挙運動期間の制限はないのですよ。仮にこれが届け出てからのあれだとしても、五十日間ある。それから、先ほどおっしゃったベルギーだって、運動期間の始期とかなんとかも全くなし、全く自由ですね。  だから、そういうことをちゃんとお踏まえになった上で——これは先進資本主義国と言われている国です。こういうところでそういうふうになっている。今度は衆議院に出る場合二十日を十五日にするというのは、こういうことと比較してどうだ、ちょっとひどいじゃないかというようなことはお考えにならなかったのですか。
  100. 住栄作

    ○住議員 こういう運動期間の制度考える場合に、五十日がいいのか十日がいいのか、それぞれ各級選挙によっても違ってまいりますし、現在日本の場合は、衆議院の場合は二十日、こういうように決まっておる。そして、その前は二十五日であった。それは昭和三十三年まではそうであった。こういうように、これは時代とともに変わってきておるわけですね。だから、それじゃなぜ二十日を十五日にするのか。日本の選挙制度はいろいろなそういう社会諸情勢、そういうものを考えて、最初は三十日であった、二十五日になった、そうして二十日になった。それはどういう背景で考えたかというと、やはり交通事情だとか有権者がどれだけ知り得るか、こういうものを考えて合理的にそのときの情勢に応じて決められた、私どもはこういうように理解しておるわけです。  そうなりますと、二十五年前といまとは選挙を取り巻くそういう環境が大変違ってきておる、非常に密度も濃くなってきておる、そういうことであれば、選挙期間を外してしまえという議論であればまた別かもしれませんが、二十日なり二十五日というものを考えれば、そういう枠内では二十年前、三十年前と比べて、十五日でもその当時以上の選挙運動はできるじゃないか、こういうように考えておるわけです。
  101. 安藤巖

    ○安藤委員 何かいまのお話を伺っておりますと、先ほど挙げられた諸国では交通機関もマスメディアも全く発達していない、ど田舎みたいなことになってしまうのじゃないですか。日本は大分発達してきた。しかし、こちらの方は別に選挙運動期間の定めなし、事前運動も何ということもない、全く自由濶達に行われておる。先ほどの五十日という日数とっても、相当余裕ありますね。     〔委員長退席小沢(一)委員長代理着席〕 日本は、先ほどおっしゃるように交通機関が発達している。こちらの諸外国は、交通機関何も発達していないから、それだけ時間とっているんじゃないかみたいな話にもなりそうですね。だから、やはりそういう先進資本主義国の事例というものは、十分これは考えるべきだと思うのですよ。それを運動期間を決めておいて、それをまた短縮するというのは、これはもってのほかだと思うのです。  それで、よく事前にいろいろ運動をやっているじゃないか。いまも総選挙間近しということで、幾つかの演説会とか何かの顔入りのポスターがあちこちに張られておりますけれども、こういうようなのは選挙運動じゃないですわね。選挙運動じゃないと思うのですよ、事前運動。衆議院の場合は、選挙告示が解散になってからあるのですね。だから、事前の事前運動というのがやはり選挙運動としては禁止をされておるわけ。しかし、いろいろな自民党の話を聞きますと、政治活動をやっておるからいいではないかというような話があるのですがね。政治活動と選挙運動とは違うと思うのですね。それはどういうふうに考えておりますか。答えてください。提案者、ちゃんとそこまでお考えになってから出されたと思うのです。
  102. 住栄作

    ○住議員 これは選挙法にきちっと、選挙運動はどういうものである、政治運動とはどういうものである、それから後援会活動はどういうものである、とにかく選挙運動はどういうものであるかというのは明瞭に決まっておるわけでございますね。ですから、それは皆さんも百も御承知のとおりでございまして、それが選挙運動になっているのかどうかということは、これは別な機関の判断することでございまして、提案者の私がどういうように考えられておるかと言われてみても、それは選挙法に決まっておるとおりでございますということでございます。
  103. 安藤巖

    ○安藤委員 じゃ、告示の前にポスターを張って、そこに候補者何の何がしというようなことを書けば、これは触れるのか触れないのか。  それから告示前に、一日か二日前でもいいです、一票頼むというようなことを言うて歩いたり、あるいは街頭宣伝なんかでやったというようなことになったら、これはどいうことになりますか。
  104. 岩田脩

    ○岩田政府委員 現行法の解釈絡みのお話でございますので、私から答えさせていただきます。  いまお挙げになりましたように、選挙運動期間に入る前に投票の獲得活動をやれば、明らかに選挙運動であり、事前運動の違反になります。  先ほどお話がございましたように、公職選挙法の上では選挙運動政治活動とは別物であり、恐らく先ほど提案者がおっしゃいましたのは、そういう事前の政治活動を通じて、政治家としての地位なり活動実績を積んで有権者との、地域の住民との結びつきができていくから、まあ選挙の際には、そういったものによる有権者の判断もあるだろうということをおっしゃったのではないかと思います。
  105. 安藤巖

    ○安藤委員 やはり選挙運動期間という定めがある。告示からだ。用意ドンで始まるのだとよく言われておりますね。だから、それ以前のものは事前運動になって、それはだめだ。だから、事前に政治活動ができるからそれでいいんではないか、選挙運動期間というのは縮めてもいいんではないか、こういう議論には決してならない。それ以前には選挙運動できないのですからね、いまの日本のこの法制は。だから選挙運動期間、告示になって用意ドンで始まってからしか、選挙活動できないのですよ。だからそうなると、やはりこれは選挙運動期間短縮以外の何物でもない。そして、国民の知る権利をその期間だけ、五日間今度衆議院で縮める、五日間だけその機会を奪う、これは実にはっきりしておるんですね。日本でも、やはり告示になってから選挙のムードというのが出てきて、ああ、いよいよ選挙が始まったな、こうなるわけですよ。     〔小沢(一)委員長代理退席委員長着席〕  ところが、始まったな、それで選挙の期間に有権者の人たちも街頭宣伝聞いたり立会演説聞いたり、あるいは個人演説会に行ったり公報を見たりといろいろなことをやって、そして選択をなさるわけですね。あるいは選択ばかりではなくして、職場や隣近所やあるいはマーケットへ買い物に行ったりなんかかんかして、いろいろ議論をして自分の選ぶべき人あるいは政党を選別される。そういうような期間が必要なんですよ。そういうようなこと、有権者の人たちが直接その選挙にかかわり合いを持って、そして公正な、あるいは自分で本当にこの人は間違いないなという候補者を選ぶというようなことについて、いろいろ選挙民自身も活動するんだというようなことは、お考えになったことないですか。
  106. 住栄作

    ○住議員 十分考えたわけでございます。たとえばことしの六月の参議院選挙、そうしてまた今度三年後に参議院選挙がある。その時間の経過を度外視して二十三日が十八日になるということであれば、それはまさしく私はそれなりの制限になっておる、それは言えると思うのですね。ところが、ずっと二十五年も二十一年もそういう運動期間があった、そういう大きな流れと制度の決まったときと比べてみますと、私は大きな質的変化がある。ですから十五日でも、私は著しく知る権利を阻害するとかそういうことには、三十年前、二十五年前と比べてみると、なっていないんじゃないだろうか、こういうようにも考えるわけでございます。  それと同時に、そういうような状態になれば、先ほど来いろいろなお話がございますけれども、たとえば金のかからない選挙選挙に金をかけないというようなことも一つの大きな要請でございますし、そういうものを兼ね合わせて十五日という提案をしておるわけでございまして、そこらあたりはひとつ理解をしていただきたいと思っているわけでございます。
  107. 安藤巖

    ○安藤委員 交通機関が発達したとか道路がよくなったとかというようなことでもって解消するわけにはいかぬ問題を先ほどから私は言っているのです。主権者であり有権者の人たちがいろいろな情報を得て、そしていろいろ議論をしてどうのこうの、だれがいいか、どの政党がいいか、この政党はこういうことを言っているからこうだとか、こういうふうに積極的に有権者の人たちが選挙に参加していく、まさに有権者としての清き一票を投ずるためにいろいろな活動をなさる。そういうようなことを全く考えておられないじゃないかと思うんですよ。だからそこら辺のところを、選ばれる側の立場ばかり強調されて、まあいいじゃないか、道路交通がよくなったからいいじゃないか、それは短絡的なお考えじゃないかと私は思いますよ。時間が大分迫ってきましたから、この問題はまた後で議論をしたいと思います。  それから、投票率の低下というのは、これは自治大臣も非常に気にしておられるところで、この前の参議院選挙でも投票率史上最低、そしてことしの四月に行われた一斉地方選挙での県会議員選挙、知事選挙も史上最低なんですよ。だからそういうことからすると、先ほどから私が言いました選挙民選挙に参加していく、こういうのが機会が短くなるわけですから、そうなったらよけいこれは投票率は低下するのじゃないかと思うんですよ。これは大変なことです。  これは、次の機会にしっかりやりたいと思うのですが、立会演説会のことに触れてお尋ねをしたいと思うのです。  その前に、最初に私、言うておきたいのですが、この前、NHKのテレビ討論会で、九十四万四千、約百万近くの人たちが立会演説会に参加しているということを言ったら、昔は五百万人おって減ってきたんだというお話があったわけです。これは御存じだと思うのですが、昭和二十七年のときの衆議院選挙、このときは五百三十八万六千何ぼだというようなことをおっしゃったのですが、このときは人口五万人ごと、それから都道府県選管指定の人口五千以上の町村、こういうところで立会演説会を開く、こういうことになっていたわけですよ。  それが昭和四十四年十二月二十七日の選挙のときから、いままでの立会演説会の回数を三分の一にしろ、こういうふうに法改正が行われたのです。だから、回数が三分の一に減っちゃったのですから、その関係で聴衆の人たちが少なくなるということは、これは当然考えなければいかぬことなんです。昭和四十四年十二月二十七日、八十五万九千、こういうふうになっております。しかし、その次の昭和四十七年十二月十日、これは百万をまた超している。そして五十一年十二月、百二十一万となっている。こういうふうにやはりふえているんですね。  だからそういうことからすると、いろいろもう立会演説会は形骸化したとかどうとかというようなことをおっしゃるけれども、決して形骸化なんかしていないというふうに申し上げたい。そして、立会演説会というのはもともと法律で決まっているんですね。そこで、各県あるいは市、区等々で任意に条例をつくって、そして立会演説会をやっているというところがありますね。知ってみえるでしょう。だからそういうようなところは、やはり立会演説会が必要だということでやっておられる。それで有権者の人たちから、非常に重宝がられておる。  また詳しい人数等々は次の機会にやりますけれども、これは自治省にお尋ねしたいのですが、今度の法改正立会演説会廃止ということになったら、各地方公共団体が任意で条例をつくってやっておられる立会演説会というのはどうなるのか、その条例というのは一体どうなってしまうのか、お尋ねします。
  108. 岩田脩

    ○岩田政府委員 現在の公職選挙法の中に立会演説会に関する諸規定がありまして、その一番最後に任意制立会演説会に関する規定があって、以上の規定に準ずるような立会演説会をやることができるという規定があるわけですが、今回本文が全部なくなります。かつまた、当該、準じて条例を定めることができるという根拠規定も削除されることになっておりますから、現在ある任意制立会演説会開催の条例はその根拠を失い、効力を失うことになると考えています。
  109. 安藤巖

    ○安藤委員 そうなりますと、そういうふうに立会演説会の必要性を認めて地方公共団体で、たとえば県でも十の県がやっておられるのですが、そういうのも全部だめになってしまうんですよ。これは影響が非常に大きいです。  さらに、立会演説会の模様を録画して、それでテレビで放映するというようなことをやっておられるところもあるのです。知ってみえますか。そういうところも、これはもとの立会演説がなくなってしまうのですから録画もできないですよ。となると、やはり立会演説会に行かなくても、いろいろ聞きたいな、いろいろ見比べて、あるいは聞き比べたいなという有権者の人たちの機会もなくしてしまうんですよ。これはとんでもないことだと思うんですね。立会演説会というものは、そもそもどういうような趣旨で設けられてきておるのか、その利点というのは一体どういうところにあるのか、どういうふうにお考えなのか、お尋ねします。これは提案者からです。
  110. 住栄作

    ○住議員 立会演説を設けられた趣旨は、選挙になって、できるだけ候補者意見を周知させる。それは、選挙管理委員会で人を集めていただいてそういう機会をつくっていただくわけですから、これは選挙にとっていいことじゃないか、こういうようなことで立会演説会制度というものはできたのじゃないかなと私は思っております。  先ほども御指摘がございましたように、いろいろ変遷がございまして、特に四十四年で立会演説は三分の一ぐらいになってしまった。いろいろ数字の御指摘がございましたが、回数が減っても一回当たりの人数は、最近は横ばいでございますけれども、そう変化はない。まあ七百人ぐらいというようなことになっておるわけでございます。私ども、いろいろ選挙をやってみまして、立会演説会をやりましても、私の前の候補者の演説が終わると、立会演説に集まった人が退席されるとかざわめくとかそういうようなことも実はいろいろ感じておるわけです。これは個人的な経験でございますが、どうも形骸化しておる。  それからテレビ放送でも、十五分間なら十五分間、二十分間なら二十分間全部放送してくれればいいですよ。それだけの余裕を持ってやってくれるテレビ放送、これは地域によってもさまざまでございます。そういうようなこと、これは候補者立場から言えば、大変ひがむこともなきにしもあらずでございますし、そういうようなことを考えてみますと、立会演説会、しかも公示になってから三日、四日たってから、一方的にどこでやるというような通知も来るわけですね。そういうようなことを考えますと、この廃止にかわる代替措置としてはいろいろ考えられるのでございますが、現在のテレビ、マスコミの状況から見まして、テレビの政見放送をふやすとか、あるいは新たに経歴放送を加えるとか、そういうようなことでひとつ代替措置をとって、形骸化した立会演説会というものをやめたらどうだろう、こういうことを考えたのが理由でございます。
  111. 安藤巖

    ○安藤委員 形骸化しているというようなことをおっしゃいますけれども、先ほど私が言いましたように、それぞれ地方公共団体でわざわざ条例つくってずっとやっておられる。そして放映までしておられる。それから幾つかの、この前の参議院選挙の立会演説の模様を報道した新聞の報道を見ても、非常に熱気にあふれて拍手もたくさん出て盛況だったというのがあるのですね。だからそれを一面的に、形骸化したというほんの少しの事例があるのかもしれませんよ。しかし、候補者が全部並ぶわけですから、これは選択するのに一番いいですわ。そこでまじめに聞いておられる方も相当多いのですよ。それをそういうふうにしてしまわれる。  テレビで、こうおっしゃるんですが、テレビのあれはいま衆議院ですと五分三十秒、立会演説ですと十五分から四十分やっているところもある。立会演説というのは、何回かやって、きょうはこの候補者がああいうことを言った、次はこうだということで論争が展開されるわけですよ。新聞も報道しますよ、あの候補者はきょうはああいうことを言った、これに対して次の機会にはほかの候補者はこういうふうにばっと切り返した、そういうようなことで新聞の報道にも反映されて、有権者の人たちがいろいろ選択をされる材料を提供する非常にかっこうの場ですね。  そして統計などを見ますと、幾つかのメディアがありますね、公報だとか立会演説会、個人演説会あるいは街頭演説、テレビ。その中の立会演説会というのがあって、二十人くらいに一人の割合で立会演説会非常に有効だ、これで私は材料をとっているんだ、こういうような統計もあるのですよ。だから、それを簡単に一口で形骸化したということでもって廃止するというのは、運動期間の短縮とあわせて、これこそ選挙そのものを形骸化していくものではないかと思うのですよ。その点、大臣どうですか。まさにこれこそ選挙そのものを形骸化していくのじゃないか。選挙の公正な運営を図ることを任務としておられる大臣に、きょうの質問の最後としてお尋ねして、終わります。
  112. 山本幸雄

    山本国務大臣 いま、立会演説会ということについていろいろお話がございましたが、今日の立会演説会の実態は、先ほど来いろいろお話がございます。候補者全部の話を聞いて、そしてその中から選択しようという立会演説会でなければならないと思うのだけれども、しかし今日はお目当ての候補者の応援に来る、そしてそれが済めば退席する、こういうような実態になってきて、これこそ形骸化しているのではないか、こういう感じもするわけなんです。  そこで、現在の立会演説会をもっと改善して、たくさんの方が来てくだすって、しかもすべての有権者の方々に候補者考え方が徹底するような方法が何かあるかという方向もひとつ模索してみなければならないと私は思うのですが、どうもそういう点についてはいい方法がなかなか浮かばない。そこで今度は逆に、この制度をやめにした後、候補者は一体どんな訴え方をするんだろうかということに変わってくると思いますね。その変わり方は、どんな変わり方をするのかわからない点もないではないですけれども、おおむねはいろいろな形でいろいろお考えになって、候補者の行動がやや自由になるという点は確かにあるので、そういう新しい選挙運動のやり方が生まれてくるのじゃないだろうか、そうすればむしろ各有権者がそういういろいろな選択をする上において選挙の運動が活性化して、あるいはそうしたいい方向が生まれるのではなかろうか。  選挙運動は活性化してくる、こういう感じもするわけでありまして、私は全体としましてはこういう方向で、長年やってきたことではありますけれども、この際日本の政治風土の中で選挙秩序を守りながらやっていくという点において、こういう新しい方途を見出したことであろう、こう思うのであります。
  113. 中野四郎

    中野委員長 安藤君、もう申し合わせの時間が過ぎておりますから……。
  114. 安藤巖

    ○安藤委員 一言、活性化と逆の方向へ行くということを申し上げて、時間が参りましたので次の機会に譲りたいと思います。
  115. 中野四郎

  116. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 有権者の皆さんが直接にみずからの意思表示をする唯一の方法であります投票をするのに、どういう手段で何を基準にして選ぶか。当然、選挙が一番大事になるわけでありますが、その選挙法を久しぶりに改正をする。そういう委員会が、それぞれの政党努力にもかかわらず、野党第一党の社会党が事実的には欠席のまま委員会が進むということを大変遺憾に思っております。委員長を初めわれわれも含めて各政党が、少なくとも議論を尽くす。そして、いろいろな有権者の皆さんの声を反映した選挙法改正になるように、しかも内容につきましても、事を急いでもっといいものができるのに、あるいはもっといま改正しなければならないものがあるのに、そうしたものを置き去りにしていくという選挙法改正にならないようにわれわれも努力をいたしますので、どうぞひとつ御協力をいただきたいと思うわけでございます。  いろいろ御議論がありましたけれども、最近の選挙の投票率をずっと見てまいりますと、先ごろの地方統一選挙、知事選挙や県議選の投票率は、昭和五十四年には史上最低と言われましたけれども、五十八年の地方統一選挙はさらにそれを下回るという結果になりましたし、また六月の参議院選挙は五七%という、これも史上最低でありました。特に私ども東京で言えば、参議院選挙は二人に一人は棄権をしているわけで、棄権をすることも一つの意思表示と言えばそれまででありますが、現実にはむしろ政治に対して非常に政治離れしている。投票しても自分たちの意思が反映されていない、そういう無力感がじわじわと有権者の中に積もりに積もってきて、もう投票はやめよう、そういう有権者の意識になってきているのではないかという危惧があるわけでございます。  そこで、いま御提案をされているこの法改正、私はいま有権者の立場に立って物を考えれば、選挙法をいま改正しろというなら、これは全党が挙げて改正しなければならない点が明確になっているんじゃないかと私は思うのです。大臣と発議者に、恐縮でありますけれども、短い時間の中で、いま選挙法改正しなければならない一番重要な点、いま有権者が一番関心を持っている問題はどこだと本心お考えになっておられるか。これは自由に議論できるところでありますから、ぜひ御意見を一人ずつ伺いたいと思うのであります。
  117. 山本幸雄

    山本国務大臣 先ほど来お話のあった、一つ選挙運動自由化ということ、もっと自由に選挙をやったらどうかというお考え、これは私はずいぶんあると思うのです。しかし、一つ選挙をやる上において、選挙が公正に行われるという意味選挙秩序というものも保って、公正に日本の選挙としてりっぱな選挙が行われなければならないという点もありますから、一つの理想を追っていく、それはまことにいいことでありますけれども、しかし同時に、現実も見ながら制度というものはつくっていかなければならないものだと思うのです。そういう意味で、自由化の問題もそういう観点から今後とも絶えず勉強していかなければならぬ課題であろうと思うのです。  それから、ここで各党とも皆さんお取り上げになる問題、また差し迫って、これは政党の消長とも大いに関係があると思われるのが定数是正の問題だろうと思うのです。これは、だんだんと格差が広がっていくという中で、よけて通れない問題だという皆様方の御認識であります。したがって、これはみんなで考えなければならぬ。どこかが考え出して一つ案を出しても、なかなかそう簡単にまとまらないから、みんなで考えなければだめだ。そういう意味で、各党が真剣にこの問題と取り組んでいただいたら非常にいいではないか。それも一つ国民の御要請といいますか、お気持ちに沿う道ではなかろうか、そういうようなことを考えるわけであります。
  118. 片岡清一

    片岡議員 私も、大体いま自治大臣がおっしゃったような点が一番重要だと思いますし、特に私は先ほどから申し上げております、また各党からもいろいろ御意見のあった定数是正の問題、一票の格差という問題が、国民皆さん方の最も関心を持っておられる問題であり、そしてまたこれもいつまでもほっておくわけにいかぬ問題である。こういう意味で、これから重要に取り扱って検討を進めたい、私はこう思っておる次第であります。
  119. 住栄作

    ○住議員 選挙制度は民主主義の根幹だ、それなりに公正に行われなければならぬし、自由に行われなければならぬ。これは、だれしもお考えになっておられることだろうと思うのです。しかし、現実の選挙というものとそういう理想的な考え方、これは常に試行錯誤の連続でなかろうか。だんだんいいものをつくるという意欲、そして、いいと思われるものは提案をして議論をしていただくということが、基本的に大事なことでございます。  具体的には、いろいろ問題になっております定数の問題だとか戸別訪問の自由化の問題だとか、あるいはその前提になる政党法の問題だとかあるいは政治資金規正法の問題だとか、どれ一つとっても大事な問題ばかりでございまして、私どもはそれをどのように取り上げ、どのように改善していくか、こういう姿勢が非常に大事なんじゃないだろうかと思っております。
  120. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 何をいま改正しなければならないのかということは私も同感だし、恐らくこれは皆さん同じことを考えていられると思うのです。  定数是正ですけれども、これはもうどこでも言われていることでありますからいまさら具体的な数字を申し上げませんが、まず定数是正をやれということ、これは高裁でも出ている。この十一月には、最高裁でもその判決が出るというように言われている。こんなことはわかり切っていることだから、司法で結果が出たからどうだというのではなくて、こんなことはとっくにやっていなければならない。自民党さんもやればできるのだから、そういう案こそ優先して出してもらいたい。それなら本当に、それこそ全党挙げて議論ももっと白熱するし、国民皆さんだっていよいよ国会議員も本気でやる気だ、こういうことになるわけです。  むしろ思い切ったそういう定数是正、それから定数の削減——私、東京の町田市ですけれども、町田市でもいまの市議会定数削減案が出ています。隣の多摩ニュータウンの市議会でも削減案が出ました。全国でもう一万五千人くらいの地方の市町村議員さんは減っているわけだから、続々と全国の各地方議会でやっているわけです。  僕ら参議院選挙をやりまして、街角でずいぶん言われましたよ。あんな参議院なら伊藤さん、ない方がいいじゃないか、税金のむだ遣いだ。事実、いろいろ制度の違いもありますけれども、ラフな言い方をすれば、アメリカは上院百人で日本は参議院二百五十二人じゃないか、大陸二十五分の一で人口半分で参議院は多過ぎる。やはり参議院定数考えなければいけないし、そして衆議院は本来四百七十一で、附則がついていま五百十一になっているわけだから、やはり規定どおり衆議院是正をする、もとどおり四百七十一にする、参議院定数を減らしていくというくらいのことをまず国会がやるべきですよ。これが行革のスタートだと僕は思う。  いろいろな改革の先頭に議会が、われわれがやりますということを——両先生は、特にいま政権政党自民党の、しかもこの改正案を出してこられた発議者でしょう。こういう歴史的な、画期的なものをやったら、有権者の投票率が上がりますよ。国会議員もなかなか思い切って自分たちのことをやる。ぜひ、そういうことをやってもらいたい。いま自民党の中でもそういうことが進められているとか、進められていないとかという話がありますけれども、どうですか。
  121. 片岡清一

    片岡議員 私も、いま伊藤委員がおっしゃるとおり一番重大なことであり、しかもその定数是正はどこまでも定員を削減するという方向へ進んでいかなければならぬ、こう思うのですが、いざこれを実施するとなると各党ともそれぞれ御意見がありましょうし、また……(伊藤(公)委員自民党の案を出せばいい。各党各党でそれに対して意見を言うわけだから」と呼ぶ)総員の問題ですから、それぞれ意見があるだろうし、同床異夢で一致した結果を得るためには相当苦労しなければならぬと思います。しかし、行く先は避けて通ることのできない問題でありますので、そういう方向に今後本当に真剣に努力していかなければならぬ、こう思っております。
  122. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 国民政治に対する信頼を回復するという意味でも、国会が党派を挙げてこれはやるべきですよ。そこから国民皆さん政治に対して信頼を寄せてくると、僕は正直思うのです。  それから、これは本当は国会がまずやって、地方議会へという段になるのでしょうけれども、これは新聞にも載りましたね、社会党や共産党の皆さんに恐縮ですけれども、いま地方の市議会定数を削減しょうと言うと、総じて社会党、共産党の市会議員さんは反対なんですね。民意が反映できないとか言っているけれども、いまこれこそ時代が変わった。私の地元の話をして恐縮ですが、東京の町田市はいま人口三十万です。アメリカのサンフランシスコは六十七万人。私はかつて住んでいた。そのサンフランシスコ、六十七万人で市会議員十一人ですよ。私の町は三十万、人口半分で市会議員四十人。こんなもの半分でいいですよ。いま定数四人を減らそうという案が出て、これも社会党、共産党反対ですよ。  地方議会では何を基準にしてやっているかというと、御存じのとおり地方自治法の九十条、九十一条です。これも変わってきていますから、私は見直すときが来ているのじゃないかと思うのですよ。たとえば人口四十万都市だったら、市会議員定数は上限が幾らと決まっているわけでしょう。上限も国会でやれるわけだから、基本はここだという線を見直すときに来ていると思いますよ。九十条、九十一条になるのですか、ちょっと参考一つだけ言いますけれども定数を削減する基準をぜひ示すべきだと僕は思っているのです。  時間がありませんので、基本的な考え方だけ伺いたいのですが、地方議会定数を削減していく基本になる地方自治法を国会改正するということはどうですか。大臣、それから時間がないからどちらかお一人、ひとつお答えください。見直していくということはどうですか。いまやるべきですよ。
  123. 山本幸雄

    山本国務大臣 いま地方議会は削減の方向に向かっていると思うので、これは行政改革という観点からいったら非常にいい傾向だと私どもは思っているのです。実際の法定定数から見て、人口がふえてきたからふやせるのだけれどもふやさないところもあるし、それから、実際に条例で決めてある定数から事実上削減していかれるというのもあると思うのです。私どもは、こういう観点から見て、まだまだこれからこういう傾向が強くなるだろうと思うのでございますが、そういうことを見ながらこの法律の問題は考えていきたいと思っております。
  124. 片岡清一

    片岡議員 わが国の当面の一番の重要問題は行財政の改革ということで、いま政府も一生懸命にがんばっておるわけです。こういう段階でわれわれ立法府としても、本当に国民の支持を受け信頼を受けるためには、まず隗より始めて、そして自分の方でも行政改革というか行財政改革の線に沿うた立場でこれから努力していくというのが、国民の信頼を得るもとであると思います。そういう線に沿うて、自由民主党としては一生懸命に今後定数是正の問題を考えていきたいと思っておる次第であります。
  125. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 発議者に一言だけ聞いておきたいのですが、この定数是正定員の削減、そういう案を近いうちに出されますか。そういう用意がありますか。
  126. 片岡清一

    片岡議員 これは、軽率に私がひとりで言うても実行のできない問題です。ですから、これは党内でいろいろコンセンサスを得るように努力をしながら積み重ねていかないと、なかなか実行の段階では軽率——軽率というか、実行の段階がむずかしいということですから、私がここでいまやります、やらせますということを……(伊藤(公)委員「個人的にはどうですか」と呼ぶ)決意としては言えるのであります。決意として、そういう考えでいきたいと思っております。
  127. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 全国で国会議員、市町村議員は七万人を超えているのですね。千七百人に一人はどこかでバッジをつけてうろうろしておるわけですよ。いまとにかく、国会議員から地方議員まで含めて、有権者の議員に対する信頼は落ちていますよ。もう少し国民の、有権者の立場に立って物事をスピーディーにやらなければだめですね。だから、こんな法律なんか実際に有権者が見たら、通ったって通らなくたって大して変わらないですよ。これは僕は賛成です、反対ですと言ったって、私たち選挙にそんなに影響ないと思っているし、皆さんもそう思っているからあれなんでしょうけれども、とにかく国会が範を示すということで、せっかくこの案を出したのだから、もっと強烈なのを出してください。ぜひお願いしておきます。  それから、具体的にこの法案についてちょっと伺います。  何かテレビでやるというか、テレビの時代だからいいですよ。皆さんの家庭に入れるわけだから、テレビで何回もやるのは私はいいと思います。しかし、やはり最後は生ですよ。テレビで「おしん」を見るよりは生で「おしん」を見た方がいいのだから、やはり手に取って見るのはいい。正直言って、立会演説会は、あそこで何を言ったって、票がふえたり減ったりは余りしないと私は思う。そういう意味では形骸化しているけれども、しかし、他党の人たちが他の候補者の政見を聞くチャンスなんです。  自分の選挙区で立会をやっていて私の立会のとき、公明党や共産党の人たちだって半分以上残っている。多分、あれは帰れと指令していると思いますよ。終わったら、みんな音を立てて帰れと言っているだろうけれども、帰らないのです。公明党さん、済みません。いや、それは指令しているかどうかわかりませんけれども、言い過ぎだったら失礼ですけれども、実際にはみんな帰っていく、だけれども、足をとめるのです。それは、政治家がそれだけの迫力と真心があるかどうかなんです。  だから、立会演説会をなくすというなら、それにかわるもの、もっといいものがあるならいいですよ。だって、発議の先生方だって名演説するのだから、そういう先生の話を三年か四年に一度はみんなの前で聞きたいという人だっているのだから、そして応援している人たちが他の候補者立会演説会を聞いて、ああそうか、そういう意見もあるんだな、おれたちはこっちの先生の話ばかり聞いていたけれどもああいう考えもあるんだということで、有権者にとっては勉強する絶好の機会です。そういう意味で、私は立会演説会を廃止することは絶対反対。よりいいものがあるなら結構です。よりいいものがあるなら結構ですけれども立会演説会をやめるのは私は反対です。  先生は立会演説会を余り好きじゃないですか、どうですか。
  128. 片岡清一

    片岡議員 立会演説というのは、いまおっしゃったように、候補者が全部並んで初めからおしまいまで聞いてもらうということに意味があるのですが、いまの形骸化しておる現状はそれができないのです。ここに聴衆の数が出ておりますが、これは次から次と出入りする人をみんな総計して出ておるのであって、本当に立会の意味理解して、その中からりっぱな候補者を選ぼうと思って終始一貫、ずっと聞いてくれている人が何人おるかというところに問題があるのです。そういう意味からいうと、いまや、自分の支持している人が終わるとずっと出ていってしまって、一番最後になると十人か二十人しかおらぬ、五、六人しかおらぬという極端なのもあるわけなんです。だから、それにかわるりっぱな、うまい方法があるかないかというところに問題があって、今日のような立会演説というのは形骸化しておると私は思うわけです。
  129. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 こんな話を権威ある国会でしちゃ恐縮ですけれども、落語家の話なら最後まで聞くのです。政治家がそれだけの迫力を持って、来た五百人を帰さないくらいの、そのくらいの演説をしなければだめだね。他党の人たちだって、話の内容がよかったり新鮮なものだったりしたら、見ようとか聞こうとして残りますよ。残すぐらいの迫力が政治家はなきゃだめだ。私はそういう意味で申し上げておきますが、これは修正できるかどうか知りませんが、立会演説会だけはぜひ残してください。私はこれが生きがいだから、立会演説会だけはぜひ残してもらいたい、そのことを強く言っておきます。  それから、朝の時間が八時でしょう。私の町だったら、八時ならみんな行ってしまい、だれもいなくなってしまう。六時四十五分から七時半でピークは終わってしまう。二十万人の人たちがあそこを通るのだから、八時からしかやれないというと私はちょっと困る。私、選挙が厳しかったら恨みますよ。それは冗談ですが、迷惑ということもあるでしょうけれども選挙はもっとおおらかでいいのです。さっき戸別訪問の話がありましたけれども、あんなもの何回も何回もしつこくやったら絶対投票しませんよ。絶対投票しない。心配することはない。あんなものはみんな、戸別訪問は全部自由化してください。  それから朝だって、こんなものは六時からやらしたっていいんです。六時からやった者には絶対投票しないですよ。朝の寝ているときにガーガーやったら、これは投票しない。有権者のレベルはいまは高いんですよ。やはり有権者の立場に立って、寝ているときには小さな声で、急いでいるときには急いでいるように合わしてやるわけでしょう。だからこんなことを、そんな子供の手を縛るようなことを一々やらなくたって、こんなものは自由にしておけば大丈夫です、有権者が選ぶんだから。うるさ過ぎてだめだ、そうしたら絶対にその人に入れないんだから。だから、もう少し選挙を投票する人の立場に立ってやったら、この選挙法はもっとおおらかになると思うんですよ。これは八時だと言うけれども、先生の一番大事なところの通勤の駅は、ピークは何時ですか。  私の意見だけ一つ申し述べておきます。もし、そういう手直しをまたやることがあれば、私の希望としては、せめていままでどおりやらしてもらいたい。それで、うるさいと思っているところは、われわれもちゃんと自分で判断してやりますよ。ぜひ、そういうようにお考えをいただきたいと思うのであります。  先ほど、いま申し上げた戸別訪問の禁止ということがありましたが、私、共産党とはちょっと考えが違うのだけれども、いま言うように、戸別訪問を禁止しているところ、世界でどこにありますか。僕は、アメリカの大統領選挙のさなか、四年間も向こうに住んでいた。この戸別訪問が、彼らの唯一の最も大事な選挙運動なんですよ。シェークハンド、コーヒーアワー、いかにして身近に候補者と会うか。近くへ行って話してみて、やはりあの先生はだめだ、会ってみたらなかなかいいよ、こうでしょう。やはり本物を見てみなければ、遠くの方でテレビで見たんじゃ、リンゴがうまいかまずいかわからないんだから。近くへ行って、リンゴをさわってみたり食べてみて、初めてうまいかまずいかわかるわけでしょう。  だから、先ほど先生から御説明がありましたけれども、戸別訪問、これを自由化したらうるさいだろうとか、それから買収の何とか、こんな発想、全然時代おくれですね。こんなことをして物を配ったって、いまは票を入れませんよ。また、そうしてやはり有権者を疑うわけでしょう。そこが時代おくれですよ。アメリカにだって物を配る人がいるんですよ。そういう人は必ず落選するんですよ。(「日本は当選する」と呼ぶ者あり)日本はちょっといろいろありますけれども、しかし、日本だってやり方が余り露骨なら入れませんよ。だから、戸別訪問は、さっきお話を聞いたら、先生方も個人的には賛成だそうだから、戸別訪問なんというのは全部規制をなくしちゃったらどうですか。思い切ってこれでやったらいいんですよ。こういう画期的なことをやらなければ、せっかく選挙法改正するんだから。  先生、戸別訪問どうですか。これでやれるか。これでやることはできるわね、直していけばいいんだから、お二人とも先生方賛成だと言うんだから。賛成の人、結構いますよ。(「反対もいる」と呼ぶ者あり)全然そんなの恐れることはない。選挙は、基本はもっとおおらかに堂々とやったらいいんですよ。そうして、だめな者は選ばないから。ぜひそうやってもらいたい。戸別訪問でちょっと御意見を聞かしてください。
  130. 片岡清一

    片岡議員 確かに、選挙民の方の目が肥えてきて、そして教養も進んできたから、昔のような考え方でただむちゃくちゃにやる人が果たして当選するかどうかというようなことについては、おっしゃるとおりだと思います。  ただ、先ほど、これが世界各国どこで禁じておるところがあるかとおっしゃるが、これは制度が皆違うのです。わが国は、御承知のように、世界じゅうにない中選挙区制というのをやっておるのです。同じ党で二人、三人で競争するという状況が出ておる。党と党との争いにおいてならわりあいにいいんですが、中選挙区という世界に比類のない選挙区制をとっておるというところに問題がある。したがって、この問題は、やはり制度そのものについてもいろいろ検討しなければいかぬ。比例代表制をとるようなところでは、それは自由にしてもいいし、もう明朗濶達にやっていいと思うわけでございます。そういう点で、さっきの定数是正の問題とあわせて、制度そのものについてもいろいろ検討しなければならぬというふうにも考えておるわけでございまして、それらの問題とともに検討を続けていきたいと思っております。
  131. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 質問時間が来ましたから終わりますけれども、私は発議者の両先生にぜひお願いしたい。  政権政党にいらっしゃるんだから、国民皆さんがあっというような選挙法改正を出してくださいよ。そのことがやはり政治に信頼を回復することになるから、われわれはそれに堂々と協力しますから、ぜひやってください。強く要望して終わります。
  132. 中野四郎

    中野委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後七時二十六分休憩      ────◇─────     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕