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1983-10-06 第100回国会 衆議院 科学技術委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和五十八年九月八日)(木曜日 )(午前零時現在)における本委員は、次のとお りである。   委員長 永田 亮一君   理事 岸田 文武君 理事 小宮山重四郎君    理事 保利 耕輔君 理事 与謝野 馨君    理事 小林 恒人君 理事 関  晴正君    理事 草川 昭三君 理事 吉田 之久君       佐々木義武君    櫻内 義雄君       笹山 登生君    平沼 赳夫君       前田 正男君    村上  勇君       森山 欽司君    保岡 興治君       村山 喜一君    山田 耻目君       山本 幸一君    斎藤  実者       林  保夫君    山原健二郎君       菅  直人君 ————————————————————— 昭和五十八年十月六日(木曜日)     午前十時十分開議 出席委員   委員長 永田 亮一君    理事 岸田 文武君 理事 保利 耕輔君    理事 与謝野 馨君 理事 関  晴正君    理事 草川 昭三君 理事 吉田 之久君       櫻内 義雄君    平沼 赳夫君       小野 信一君    村山 喜一君       斎藤  実君    山原健二郎君       菅  直人君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      安田 隆明君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     安田 佳三君         科学技術庁計画         局長      赤羽 信久君         科学技術庁研究         調整局長    福島 公夫君         科学技術庁原子         力局長     高岡 敬展君         運輸省港湾局長 小野寺駿一君  委員外出席者         防衛庁装備局通         信課長     鈴木 正孝君         環境庁大気保全         局大気規制課長 加藤 三郎君         水産庁漁政部長 大坪 敏男君         通商産業省機械         情報産業局電気         機器課長    野口 昌吾君         郵政省電気通信         政策局業務課長 品川 万里君         郵政省電波監理         局宇宙通信企画         課長      江川 晃正君         労働省労働基準         局安全衛生部安         全課長     加来 利一君         参  考  人         (日本原子力船         研究開発事業団         理事長)    井上啓次郎君         参  考  人         (日本原子力船         研究開発事業団         専務理事)   福永  博君         参  考  人         (宇宙開発事業         団副理事長)  大澤 弘之君         参  考  人         (日本原子力研         究所理事)   吉田 節生君         科学技術委員会         調査室長    曽根原幸雄君     ————————————— 委員の異動 九月十九日  辞任         補欠選任   山原健二郎君     金子 満広君 同月二十日  辞任         補欠選任   林  保夫君     竹本 孫一君   金子 満広君     山原健二郎君 同日  辞任         補欠選任   竹本 孫一君     林  保夫君 同月二十一日  辞任         補欠選任   山原健二郎君     渡辺  貢君 同日  辞任         補欠選任   渡辺  貢君     山原健二郎君 十月五日  辞任         補欠選任   平沼 赳夫君     毛利 松平君   林  保夫君     小渕 正義君 同日  辞任         補欠選任   毛利 松平君     平沼 赳夫君   小渕 正義君     林  保夫君 同月六日  辞任         補欠選任   山田 耻目君     小野 信一君 同日  辞任         補欠選任   小野 信一君     山田 耻目君     ————————————— 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  科学技術振興基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 永田亮一

    永田委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  科学技術振興基本施策に関する事項  原子力開発利用とその安全確保に関する事項  宇宙開発に関する事項  海洋開発に関する事項  生命科学に関する事項  新エネルギーの研究開発に関する事項 以上各事項につきまして、本会期調査をいたしたいと存じます。  つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 永田亮一

    永田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  4. 永田亮一

    永田委員長 科学技術振興基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として、日本原子力船研究開発事業団理事長井上啓次郎君、同専務理事福永博君、宇宙開発事業団理事長大澤弘之君及び日本原子力研究所理事吉田節生君から意見を聴取したいと存じますが、御異議ありません     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 永田亮一

    永田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  6. 永田亮一

    永田委員長 これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。関晴正君。
  7. 関晴正

    関委員 先に通信衛星にかかわる件をお尋ねしておきたい、こう思います。  宇宙開発事業団法の第一条「目的」というところがありまして、「宇宙開発事業団は、平和の目的に限り、人工衛星及び人工衛星打上げ用ロケット開発、打上げ及び追跡を総合的、計画的かつ効率的に行ない、宇宙開発及び利用の促進に寄与することを目的として設立されるものとする。」この事業団法の第一条によりますと、事業団の仕事というものは「平和の目的に限りこというふうにうたわれているわけであります。そういう点から、通信衛星としてのさくら二号の利用が、今度自衛隊においても利用に供する、そういう方向が出ているようでありますが、この点について事業団はどのような討議、どのような御検討、どのような御論議がなされておったのか、伺いたいと思います。
  8. 大澤弘之

    大澤参考人 お答え申し上げます。  ただいま御質問がございました宇宙開発事業団法第一条の目的につきましては、私どもは、事業団といたしまして、平和の目的に限りまして人工衛星開発、打ち上げ、追跡等を常時行っておるわけでございます。  ただいまお話がございました通信衛星二号につきましては、これも、開発の当初におきまして、この衛星公衆電気通信役務提供ということで電電公社が御利用なさるということを承知いたしまして私ども開発を進め、また打ち上げたものでございます。電電公社公衆電気通信役務提供ということは、私どもは平和の目的に限るということに沿っておるものというふうな結論に達した次第でございます。
  9. 関晴正

    関委員 そうしますと、事業団としては、「平和の目的に限りこという利用の限界、制限、そういうものを付して電電公社の方にお預けしているものなり、こういう御認識、お考えと理解してよろしゅうございますか。
  10. 大澤弘之

    大澤参考人 ただいまお話がございました点につきましては、私どもは、直接電電公社ということではなく、通信放送衛星機構というところにCS2、通信衛星の管理を委託をしておる、打ち上がりました後は委託をしておる、こういうことでございます。
  11. 関晴正

    関委員 そうしますと、事業団としては、打ち上げられた通信衛星自衛隊に使われるようなことに、まだなってはおりませんが、なるということになれば、どのようにそれを理解いたしますか。
  12. 大澤弘之

    大澤参考人 お答えをいたします。  ただいま私申し上げましたように、電電公社公衆電気通信役務提供するということは、私ども、これは平和の目的に沿っておるものというふうに解釈をいたしておる次第でございます。
  13. 関晴正

    関委員 ちょっと質問お答えになっておられないようなんですが、せっかく事業団法の第一条を遵守すべく理事長が運営に力を向けておるのに、それがその目的に反するような方向に進むことは適当ではない。その場合に、自衛隊が使うようになることも構わないんだ、こうお考えになって、平和の目的に反するものではないんだというようなお考えでございましょうか。
  14. 大澤弘之

    大澤参考人 お答えを申し上げます。  私どもは、電電公社公衆電気通信というのは、何人もこれが利用できるということでなされておるものと思っておりますので、これは平和の目的に従ってやっておる事業というふうに考えておりますので、私ども電電公社提供しておりますのは、平和の目的に限るという事業団法一条に沿っておるものというふうに考えております。
  15. 関晴正

    関委員 そうしますと、事業団としては、自衛隊が使う云々ということは別に聞いてもおらないし、そういうことについてはわれわれは参与もしておらないんだ、こういうことでございますか。
  16. 大澤弘之

    大澤参考人 お答えをいたします。  私ども電電公社と当初開発の話をいたしましたときも、それ以降も、そういうことにつきましては直接電電公社との話はいたしておりません。
  17. 関晴正

    関委員 わかりました。  郵政省の方にお尋ねをしたいと思うのですが、宇宙開発事業団法のこういうような第一条の規定、これを受けて郵政省は、郵政省の法の範囲内で差別するわけにはいかないんだからどなたに貸してもいいんだ、こういうことで事を進めているようでありますが、事業団法の第一条に抵触しないことで活用する、利用に供するというのが本来のあり方だと私は思うのですけれども、その点について郵政省においてはどう考え、どう検討し、どう位置づけたのでございましょうか。
  18. 江川晃正

    江川説明員 この件につきましては、郵政省だけではありませんで、関係省庁が寄り集まって検討したところでございます。そういう意味で、関係省庁検討した結果を申し上げさせていただきたいと思います。  問題は、宇宙開発事業団開発いたしまして打ち上げる通信衛星二号、CS2でございますが、これを電電公社提供させること、それが一点。それから、電電公社公衆電気通信役務提供の一環として防衛庁に対してCS2の利用による同役務硫黄島について提供すること、これが二つ目三つ目といたしまして、防衛庁公社から当該役務提供を受けることは、先生御指摘のような宇宙開発事業団法一条との関係でどうなのかということを、検討の対象にしたわけでございます。  それにつきましては、結論といたしまして、第一条に反するものではないという結論を得たところでございます。  その理由は、電電公社公衆電気通信業務といいますのは、「他人通信を媒介し、その他電気通信設備他人通信の用に供する」、公衆電気通保信の世界の専門語でちょっと恐縮でございますが、そういう他人通信の用に供する役務提供する業務だというように規定されております。こういう業務というのが平和の目的に反するものであるとは言えないということが一つ。また、公社CS2の利用による公衆電気通信役務何人提供したとしても、そのことによって電電公社のいま申し上げました業務性格が変わるものではないということが一つございます。そして、硫黄島について利用者申し込みに応じまして公衆電気通信役務提供するということは、公衆電気通信法に定める公衆電気通信業務に関する枠組みの中で行われるものでありますから、特段の問題はないではないか。さらに、電電公社公衆電気通信業務というのは、公衆電気通信法によって、公衆電気通信役務提供についてあまねく、公平にこれを行いなさい、かつ、差別的取り扱いをしてはならないというふうにされております。したがいまして、防衛庁一般の者と同様の地位においてCS2の利用による公衆電気通信役務提供を受けようというのであればこれは別異に取り扱ういわれはないという理由によりまして、冒頭申し上げました宇宙開発事業団法一条とのかかわりにおいて反するものではない、そういう結論に達した次第でございます。
  19. 関晴正

    関委員 硫黄島にはどれだけの国民がおられるのですか。
  20. 鈴木正孝

    鈴木説明員 お答えいたします。  硫黄島には、現在、海上自衛隊の第四航空群という部隊が厚木にございますけれども、その隷下部隊でございます航空基地隊が所在しておりまして、その関連の人員が現在は約百二十名ほどおります。それ以外に、ただいま現地におきまして硫黄島を訓練基地として使用するということでいろいろと整備を進めておりますので、その関係工事関係業者工事に携わっている方々が約百八十人程度おるように承知しております。
  21. 関晴正

    関委員 私は自衛隊のおる数を聞いているのじゃないのです。国民がどれだけ生活して住んでおられますかと聞いているのです。郵政省の方で電話加入区域として定めるに当たっては、国民が住んでおるから加入区域としての方針をとったのでしょうから、その際これを利用する国民というのがどれだけおられるのかということを聞いているわけです。何人の用に供するべく考えている措置であるのかということなんです。  そうすると、自衛隊の方は、ただいまのお答えでは、海上の方が百二十名、その他の方が百八十名、合わせますと三百名ということなんですが、この数字は間違いないのかどうか、これは後でお答えいただきます。そういう意味で、一般国民がどれだけ住んでおるのですか、お答えください。
  22. 鈴木正孝

    鈴木説明員 お答えいたします。  硫黄島におきましては、ただいま日本国民といたしまして一国民としてというお尋ねでございますので、自衛隊隊員ももちろん日本国民でございますが、それを含めましてただいまお話ししました数が現在おる、そういうことでございます。
  23. 関晴正

    関委員 何名です。
  24. 鈴木正孝

    鈴木説明員 海上自衛隊員が約百二十名程度、それから一般工事に携わっている方々が約百八十人程度ということでございます。
  25. 関晴正

    関委員 そうすると、この所管は全部防衛庁にかかわる方々の人数で、その他の方々はおられない、こう理解してよろしゅうございますか。
  26. 品川万里

    品川説明員 お答え申し上げます。  ただいま硫黄島にどういう方々が住んでいるかという件についての先生お尋ねでございますが、電話サービス等電気通信役務提供につきましては、これは公衆電気通信法枠組みの中で行うというのが私ども当然の責務であるわけでございます。今回硫黄島につきましては、衛星利用して役務提供することについていかがか、これにつきましては、宇宙開発事業団法の「平和の目的」の趣旨に反するものではないという一つ関係省庁結論を得たわけでございます。そういう立場で、電電公社はこの前提に立ちまして役務提供をするわけでございますが、公衆電気通信法によりまして、およそ一加入者として役務提供を受けたいという申し出がありました場合には、これは防衛庁だからとかあるいはだれだからということでは判断できないものでございまして、あくまであまねく、公平に、かつ、差別取り扱いをせずに申し込みに応じなければならないということでございます。したがいまして、防衛庁、これは国の機関でございます、あるいは隊員の方でありましょうとも、一加入者としてお申し出があれば、これはそのことをもって拒否するというわけにはまいらない、別に取り扱うわけにはまいらないというのが、私ども公衆電気通信法に従事する者、またこれに基づいて役務提供する者の責務でございます。  以上でございます。
  27. 関晴正

    関委員 いよいよ一般国民の住んでいない硫黄島だということがはっきりしたと思う。言うなれば、防衛庁関係にかかわる陸上自衛隊海上自衛隊あるいは航空自衛隊、その詳細は私はわかりません、わかりませんけれども、それらの諸君の利用に供するためにこの通信衛星が使われるのだ、これは明らかであるわけですね。そうなりますと、事業団法の第一条における「平和の目的に限りこというこのことをすっかり忘れちゃって、硫黄島における自衛隊供与するためにこれが使われるのだ。その他の方々というのは住んでいない。  そうしますと、郵政省考え方というものは、一般的にだれからでも加入申し込みがあればこれにこたえるという一般論はわかります。しかも、すべて借りようとする者はこの島の場合は自衛隊関係者である。こうなりますと、事業団法の第一条に定める「平和の目的に限りこということと明らかに抵触することになるのにもかかわらず、あえてそれを抵触するものではないという言い方は、これは一部の法をとらえまして、言うなれば電気通信法における法の範囲内においてはそういう理解が立つでありましょうが、元請と下請の関係で見ますと、事業団というものは「平和の目的に限りこという原則のもとにこれは利用に供することになっているわけです。ですから、事業団の意思にあらざる方向において郵政省電電公社の方が、差別してはならないのだからと言って使わせようということの意味は、全く自衛隊のために供するということになっちゃっているのにもかかわらず、何かごまかして、歪曲して、一般的なあり方と何の違いもないんだというこの言い方というものは、きわめて不親切というよりも不忠実であるのじゃないだろうか、こう思います。促そういう意味においては、このさくら二号の利用というものは、自衛隊に供するものであるということが明らかである以上、これはよほど相談をしまして、やはり事業団法の第一条というものを尊重しなければならないのじゃないでしょうか。しかも、いま幸いにも事業団の副理事長さんがお話しになったように、そこまではわれわれは関与していない、そういう御相談には事業団は乗っていない。乗っていないことをいいことにして、おれたちのものになったんだから利用供与はおれたちの法律でやるんだ、これは余りにも法を軽視していませんか。この点について郵政省の方にひとつお答えをいただきたいと思います。
  28. 品川万里

    品川説明員 重ねてのお答えになるかもしれませんけれども、先ほど事業団の方からもお話がございましたが、CS2の利用につきましては、公社公衆電気通信業務が、他人通信を媒介し、その他電気通信設備他人通信の用に供する役務提供することでございまして、このような業務衛星を使うということは平和の目的に反するものではないという関係省庁での一つ結論を得まして、その前提に立ちまして電電公社役務提供に当たるわけでございます。  ところで、電電公社役務提供に当たる、また私ども郵政省としてはこれの指導監督等に当たるわけでございますが、その際には、私ども公衆電気通信役務提供に当たりましては、公衆電気通信法という法の枠組みの中でこれに対処しなければならないものでございます。その公衆電気通信法の求めるところと申しますのは、役務提供に当たりましてはあまねく、かつ、公平に行わなければならない、それからまた、だれが使うというようなことで差別取り扱いをしてはならないというのが大原則でございます。私どもは、この原則に立ちましてこの問題に対処しているわけでございます。御理解いただきたいと思います。  以上でございます。
  29. 関晴正

    関委員 あなたの答弁はさっきと同じじゃありませんか。どこが違いますか。私の言っていることは、あなたの方の利用に供するこの物件衛星は、「平和の目的に限りこという前提条件のある物件ですよ。自衛隊への供与は、これは「平和の目的に限りこというところに抵触するのじゃないですかとわれわれは言っているのです。それは抵触しないのですか。そこですよ、聞いているのは。これは抵触しないものと判断したからやった、その点どうです。
  30. 江川晃正

    江川説明員 繰り返しになるようでまことに恐縮でございますが、問題の検討の切り口といいますか、それは、宇宙開発事業団開発し打ち上げる通信衛星、まあ打ち上げましたから、打ち上げたと過去で言った方がいいかもしれませんが、その通信衛星電電公社利用させること、これが平和の目的に反するか反しないかということでわれわれは議論したわけでございます。  繰り返しになって恐縮でございますから、理由の部分は省略させていただきますが、電電公社公衆電気通信業務というものが平和の目的に反するものではないというふうに考える、またそれが何人提供されたとしてもその性格が変わるものではないということから、宇宙開発事業団電電公社のために打ち上げるということは平和の目的に反するものではないというふうに判断したわけでございます。
  31. 関晴正

    関委員 どうしてこんなに物がわからないのでしょうね。本気になって言っているのですか、いいかげんに言っているのですか。  借りできますよ、その借りてきたものは、あくまでも「平和の目的に限り、」借りてきているのですよ、この前提は。その前提を認めますか、認めませんか。お答えください、郵政省
  32. 江川晃正

    江川説明員 借りてくるという意味がよく私わかりませんが、検討いたしましたのは、宇宙開発事業団電電公社のために打ち上げる、それを電電公社利用させるということでございます。それは一条に反しないというふうに結論を得たという次第でございます。
  33. 関晴正

    関委員 あなた、何を言っているのです。これでも、そこに住んでいる住民があって、九割も国民が使う、一割の自衛隊に使わせるのはこの際考えなければならぬのじゃないか、こうなればある程度わかりますよ。こちらにだけ貸しておって自衛隊に貸さないというわけにもいかないから。だからといって、そのときはちゃんと歯どめがあるわけです。国会決議というものもあるし、そして事業団法の第一条というものもあるし、自衛隊に貸すことが平和の目的に抵触するかしないかということについてどう考えたかということなんですよ。  差別してはならないということはわかりましたよ。ところが、これは差別じゃないでしょう、特別でしょう、何も一般国民が使うのしゃないですもの。その辺の物の言い方というのは、明らかに自衛隊供与するものなんです。そのためにわざわざ用を足そうとしているのでしょう。その場合に、この「平和の目的に限りこということを——何も一般論として電電公社が借りることはだれもとがめていませんよ。その次に自衛隊供与するとこうなるから、この事業団法の第一条が障害として出てくるはずなんです。迂回出資ならば、出資目的が第一次において適当でなくても、別な人が貸すのであれば、ここから出るときはAからBに貸す、BからCに貸すときには差し支えないという論理でしょう、あなたの論理は。AはCには貸してはならない、だがAはBには貸せる、借りたBがAの貸してはならないところに何と言ったって貸すことはBの自由じゃないか、こういう論理に立っていると思うのですよ。私は、この論理が少なくとも国会決議事業団法の第一条に忠実なものではない、こう思っているのです。  しかも、あなた方のただいまのお話を聞きますと、肝心の、事業団法責任を持って運営しておる宇宙事業団の方がそっちのけじゃありませんか。極端に言えば事業団宇宙の方へ行っちゃって、地上の者どもがやっているのでしょう。そういうやり方自体おかしいじゃありませんか。三者でお話をしたと言う。これは科学技術庁長官にも責任がある。でも、科学技術庁長官はこの間の答弁の中では、私どもはこの法を踏まえて電電公社の方に使わせることについては、そちらにお上げした。この答弁でいいというわけじやありません、これとて妥当であるかということになると、妥当でないものがあります。ありますけれども郵政省の物の考え方に至っては、最も不当なやり方になってしまっているのじゃないか。  この点について、先般の行革の委員会において防衛庁長官は、私どもの解釈においては抵触するものではない、有権解釈はわれにありということでお答えがあった。だけれども、これは一応取り消しましたからね。取り消しましたということは、誤ったということなんでしょう。だから、有権解釈われにありということで進めたことが、有権解釈あなたになし、有権解釈国会にありと、こうなったのです。誤った解釈のもとに事を進めているわけですから、これはやはりここで改めざるを得ないわけです。国会の解釈が出てくるまでは待たなければならないだろう、こう思うわけなんですが、その点について、郵政省どう考えていますか。
  34. 江川晃正

    江川説明員 先生の御質問が、おっしゃることが、そうだと思われる部分もありますが、われわれの検討のかかわりにおいて見ますと、必ずしもそうでもないという部分もございます。率直なところ、そこを申し上げさせていただきたいと思います。  この論理は、AがBに貸したら、Bの勝手でCに貸せる、AがCに貸すのはだめだが、A、B、Cを通ればよろしいじゃないかという論理と同じだという趣旨で御質問なさったかと思います。そこで、私の方はそういう論理ではございませんということを明確に申し上げておきたいと思います。  再三繰り返すようで恐縮でございますが、問題は、宇宙開発事業団電電公社のためにCS2を打ち上げました、これを電電公社のために利用させるという事実、そのことがどうなのかというふうに問われたわけでございます。その問われたことについて検討してみると、先ほど来電気通信の専門的な用語を申し上げて恐縮でございますが、あえて繰り返させていただきますと、電電公社提供する公衆電気通信業務というものは、他人通信を媒介し、その他電気通信設備を用いて他人通信の用に供する役務提供するという業務なわけでございますが、こういう業務は平和の目的に反するものではないと考えられるわけであります。また、そういう業務によって提供を受けるものが何人に対して提供されたとしても、この性格が変わるものではないと判断される。この判断の上に立ちますと、あとは電電公社提供する公衆電気通信サービスの枠組みの中で検討されるべきことになります。その枠組みを定めているのが公衆電気通信法でございますので、その公衆電気通信法の仕組みに忠実に従って電電公社がサービスを提供するという事実を検討してみたときに、先ほど来申し上げましたが、あまねく、かつ、公平に提供しろという大前提があったり、差別取り扱いをしてはいけないというような大原則があったりということから、電電公社防衛庁のために提供するということがあったとしても、これは抵触するものではない、そう考えたということでございます。  以上です。(関委員「まだある。有権解釈の話だ」と呼ぶ)ちょっとお待ちください。国会決議の問題につきましては、私ではなく、科学技術庁の方からお答えいただこうかと思います。
  35. 関晴正

    関委員 私、まだ長官に答弁を求めてないのですよ。とにかく、この間三者の代表が私どもに説明したときに、自衛隊の使うのは軍事ではない、使って何が悪いか、こう言うのですよ。これは、自衛隊の方で使うことは軍事ではないのだという理解で、これを使うことについては問題なしと、こうお考えになって踏み込んでいるんでございましょうか。
  36. 鈴木正孝

    鈴木説明員 お答えいたします。  先ほど来、宇宙開発事業団法あるいは公衆電気通信法という大きな枠組みお話がございましたので、それは省略さしていただきまして、自衛隊利用することが軍事であるかあるいは非軍事であるかということと思いますので、軍事ということにつきまして、抽象的に考えてみますと、概念というものが非常に明確ではございません。先生、それは御承知のことと思いますけれども、確立された明確な定義というものがあるわけではございませんので、自衛隊利用が即軍事であるとか非軍事であるとかというようなことは、なかなか明確には申し上げられないということでございますけれども自衛隊利用というものは、あくまでも自衛隊の任務遂行あるいは島におります隊員の福利厚生という観点から行いたいという希望でございまして、それを出るものではないということを御答弁申し上げたい、そのように思います。
  37. 関晴正

    関委員 そこで、この利用にかかわる御相談をされまして、そしてあなた方の方で出したメモというものがありますね。このメモによりますと、とにかく「硫黄島について提供すること及び防衛庁公社から当該役務提供を受けることは、いずれも宇宙開発事業団法第一条及び国会決議に反するものではない。」こう踏み切って、おやりになった。しかしながら、いま問われてみますと、いろいろと問題が出てきた。事業団法第一条にかかわる方からは、そんなことにオーケーをした覚えはない。借りていった者、利用しようとする者においては、事業団法第一条に抵触するものではない。この抵触するものではないという意味は、言うなれば、非軍事に利用させることにおいて抵触するものではない、こう考えていなきゃならないと思う。団法の第一条の「平和の目的に限り」というのは、どこまでもこれはくっついていくものなんです。郵政省の方に所管される分野に入るとこれは忘れてもいいというものではない。これを顧みなくてもいいというものではない。これはおしまいまでついて回るものですよ、「平和の目的に限りこというのは。しかも、「平和の目的に限りこというのは、非核であり、非軍事であると言って四十四年の国会決議の際に明確に打ち出しているわけです。それを直すことをし、それを正すことをされた上でなければ、そこに踏み込むというわけにはいかないと思う。それを踏み込んじゃって何が悪いかというかっこうなんですから、これだと国会決議も法律の規定もあったものじゃない。  なるほど、公衆電話あるいは一般電話、これは自衛隊は使っていますよ。使うなとわれわれは言っておりません。しかし、こういうような人工衛星利用については、いまのような規定があるから細心の注意をして当たってもらわなければならないと私どもは思う。たかがいまの電話の六回線ぐらい何だ、あるいは二十回線ぐらい何だと、こう思っておられるかもしれません。しかしながら、このことがこの大前提を崩す始めになるわけです。一回崩すと、もうそれがあたりまえになる。いまの自衛隊だって、あの当時警察予備隊だったでしょう。それから保安隊に変わったでしょう。それからやがて自衛隊になったでしょう。いまや押しも押されもせぬ軍事力でしょう。そこのけそこのけ軍事が通るという世の中にいまなってきつつあるでしょう。それと同じように、思わずして、一般国民に公正に供与するのだから何が悪いかと、私ども善意に解釈してあげても、そこに国民がいないんですよ、一般国民が。自衛隊国民でないという意味じゃありません。言うなれば、そこにおるのは、演習のために自衛隊がそこに置かれて、その自衛隊の諸君に供するためにその利用をあたりまえのごとくするということなんだから、これはちょっと待ってくれ、これは考えてもらわなければいけない、こういうことで私ども社会党の方からも、科学技術政策委員長の名のもとに科学技術庁長官に、そういうことについてはそういかぬようにと言って申し入れもしておったわけであります。  この際、以上の論議の経緯を見まして、科学技術庁長官から、おやりになったことと、これからのことについてどうしなければならないと思っておられるか、しゃにむに何が何でも進めるのだ、こう思っているのか、やはり問われますとこれについては考えなければならないものがあるとするならば、その点についてひとつまとめてお考えのところをお出しいただければと思います。
  38. 安田隆明

    安田国務大臣 いろいろいま御質問がございました。私が明確にお答えいたしてまいりましたとおり、われわれが打ち上げる衛星というものは、これは団法に違反してはいけない、こういうことで平和目的のためにのみわれわれは星を上げる、この根底、この基調にはいささかも変わりはございません。そして、たまたま今度打ち上げましたCS2、これにつきましては、先ほど来いろいろお話がございました。とにかく、いずれにいたしましても、役務供与する、そしてこれを電電公社利用する、こういうことにつきましては、あの公衆電気通信法枠組みの中において行うということは、これは性格を変えるものではない、現在の法体系の中においてはこれは団法には違反するものではない、こういうことでわれわれは結論を得たわけであります。そういうことでひとつ御了解をいただきたいし、同時に、いま関先生おっしゃいますように、団法、これは忠実にわれわれは守って今後宇宙開発に取り組む、こういうことを申し上げたいわけであります。  以上であります。
  39. 関晴正

    関委員 行革の特別委員会における論戦を踏まえて、そして今後どうあるべきかということについてのお答えとしては、ただいまの長官はお答えというものに私はならないと思うのです。国会の議決、言うなれば非核、非軍事に限るというこの使わせ方、利用の基本方針、それが、硫黄島という国民のおらないところで自衛隊の演習に供するために使う。自衛隊がそこにおる。そういう諸君のために供与をする。あらゆる部面から見ましても、自衛隊への供与のためにのみ使われることなんですから、非軍事に限るというこの規定、この方針に抵触することになるでしょう。自衛隊の使うことを、一般的な物の使い方をとがめているのじゃありません。  この衛星の場合には、事業団法の第一条というものと国会の議決というものがあるのだから、この議決の制限を受けて利用されなければならない。この制限なんか受けなくてもいいのだという考えであるとするなら、私は、長官もとんでもない間違いをしていると思う。長官の意思を受ければ、自衛隊だけに供するような通信衛星利用の仕方、され方というものはやはり適当ではない、この際これは凍結するしかないだろう、こうあるべきじゃないだろうかと思うし、解釈においては有権解釈政府にありなんと言い、あるいは中曽根が自民党の議員と相談して差し支えないと思ったから云々というようなお答えがありましたが、そういう構えで進んだものがその構えが取り消されているわけだ。取り消されている以上は、やはりこの問題については現在は凍結すべきものなり、進めるというわけにはいかないものなり、私はそう思うのですが、長官、いかがです。
  40. 安田隆明

    安田国務大臣 せっかくの御質問でございますけれども、新たな役務がここに供与され、そして電気通信法という枠組みの中で行われる、こういうものはその性格を変えるものではないし、これは、団法はもちろんでございますけれども国会決議に反するものでもない、こういう理解に私たちは立っております。ただし、いま繰り返し質問がございました国会決議に云々という問題につきましては、これはいま国会で御検討中、こういうふうに承っております。
  41. 関晴正

    関委員 だから、御検討中ですから、この検討が終わらないうちには事を進めるわけにはいかないであろう、凍結するしかないだろう、こう聞いておるわけです。どうです。
  42. 安田隆明

    安田国務大臣 この結論を早く出していただき  ますようにわれわれはこれを見守っております。そういうことで御了解願いたいと思います。
  43. 関晴正

    関委員 そうしますと、それまでは進めるわけにはいかない、こう理解してよろしゅうございますか。
  44. 安田隆明

    安田国務大臣 なるべく早く結論を出していただきますようにこれを見守っております、こういうことでございます。
  45. 関晴正

    関委員 まだまだこの論戦をしたいのですけれども、予定されている時間が余りありません。本当はこれは三十分ぐらいの予定だったのですが、意外に時間を食ってしまいました。  とにかく申し上げておきたいことは、私は先ほどA、B、Cの論理を言いましたが、世間によくあることなんです。AとCとは敵対関係にある、だがAとBとは友好関係にある、その場合、AからCにはやれないがAからBにやってBがCにやるということは世間一般にあるわけです。あるいは出資の仕方にしても、直接にはやれないがそちらを通してやる、いわゆる迂回出資というのがあります。私は、これは迂回利用の典型的な見本だと思っているのです。そして国会の目や団法の趣旨というものを逃れて事を運ぼうとしているわけですから、この際ひとつ開発事業団としても第一条に忠実であるようにということについての監視のあり方、監視の仕方を強めていただいて、いまの問題についてはさらに誤った方向に行かぬよう、初めが大事でありますので、この点については、開発事業団の、きょうは理事長がお見えになりません、副理事長さんがお見えになっていますが、理事会においても御検討しておいていただきたい。これは他人ごとじゃない。外へ回してしまったものだからおれの方はかかわりがない、何せ科学技術庁のやることだから、政府のやることだから、事業団はいろんなことを考えているのだが、事業団がしゃべったって予算をもらってくるときにまた困るのだからという遠慮もあって黙っているなんということはやはり道を誤ることになります。  私どもは、宇宙開発を大いにやるべしとの立場であります。日本の宇宙開発がおくれて、そしてアメリカやソ連にいつまでも世話になったり競争したりするということよりは、自主的な開発に踏み込まなければならないし、そういうことができる力があるわけですから、その力が軍事に利用されるということからまた論議になって、障害が残って、そこに停滞がされるということであってはこれはわれわれ本意じゃありませんので、ひとつ平和の目的に限り、全人類のために働くのだ、貢献するのだという高邁なところに立って、安っぽいところに流されないようにして、方針というものを持って、また科学技術庁長官にも誤りのないように御進言をしていただいて、長官も踏み込んじゃっているものですからなかなか戻れないでいま困っているわけなので、その点は私はひとつ一体となって当たっていただきたいし、郵政省考え方は、おれが物にすれば何でもできるのだというような詭弁でこのことを運ぶことは適当ではない、私はこう思いますので、この後もひとつ十二分に御検討して対処していただきたい、こう思います。  次に、原子力船「むつ」の問題についてお尋ねをいたしたい、こう思いますので、宇宙開発の方はどうぞ。ありがとうございました。  先般、安田長官が青森県に参りまして、そうして県当局の皆様方に大変な感謝の意を表されまして、お帰りになられました。二十三億の漁業補償というものをとにかくすることになって、この補償で事が終わった、こうお思いのようでありますが、この二十三億円は、初めは六億という補償であったと思います。六億が九億になり、九億が十五億になり、十五億が十八億になり、おしまいには二十三億、こうした金額のはね上がり、また、この漁業補償で事が解決するというような問題には実はなっていないことを申し上げたい。  その第一は、この二十三億によって漁業権を放棄するということにおいての総会がありました。総会における出席組合員数は二百四十一名であります。二百四十一名の方が投票いたされまして、結果として投票総数というものは二百二十三、賛成百五十九、反対七十四であります。この二百三十三に照らし合わせますと、三分の二はわずかに超えるでありましょう。しかし、出席組合員の二百四十一名というものの中から八名が投票しないままに終わっているわけであります。そうしますと、二百四十一名というものに対しての三分の二は、二百三十三にはなっておらない、二票ばかり足りないようであります。その点についてそれぞれにまた疑念もあったりしているのですが、こういうような事実、実態というものについてどうお考えになっておられますか。三分の二の議決、終わり、もうひたすら方針どおり進もう、こういうことなんでしょうか。
  46. 大坪敏男

    ○大坪説明員 ただいまの件につきましては、総会の議決に関しまして、水産業協同組合法に基づきまして、関係漁民の方から青森県知事に対しまして総会の議決の取り消し請求がなされておりまして、すでにそれについての処分は出されておるわけでございますが、私の方からその間の事情についてまず御説明させていただきたいと存じます。  確かに、先生御指摘のように、青森県当局からの報告によりますと、本件に関します総会議決の取り消し請求におきまして、正組合員と申しますか出席組合員の数が問題となっているわけでございます。この点につきまして、青森県当局におきましてはすでに処分をいたしておるわけでございますが、その内容等から見ますると、県の判断といたしましては、議案の中でまず第一号議案でございますが、これにつきましては出席組合員数は二百四十一名である。その中で議長は議決から除きますので、議決権総数は二百四十名であった。これに対して賛成は百六十八であったということでございまして、内容的には三分の二以上の同意は得た形になっておるということでございます。  続きまして、争点といたしまして、第二号並びに第三、第四号につきましては、一部の組合員が途中で退席をしたということがございまして、これが果たして三分の二以上の同意があったかどうかということが争点となっておるわけでございますが、県当局におきましては現地調査等もやったようでございますが、第二号議案以下の議決の際には一部退席がございまして、その段階での出席者は二百三十二名であったということでございまして、その際の賛成は百五十九であるということでございますから、これから見まする限り三分の二の同意は一応得ておるというふうに承知しておるわけでございます。
  47. 関晴正

    関委員 二百四十一名の出席組合員数というものを総会において確認しておるわけです。そうして、投票のときには、その出席組合員数を確認した上で行っているわけです。投票の結果が八票不足で、投票総数二百三十三で、その結果の分かれが百五十九対七十四。なるほど二百三十三という投票数に比べれば三分の一あるでしょう。しかし、出席組合員数の三分の二というのが定款じゃないでしょうか。投票総数の三分の二と定款がございましょうか。定款には何と書いておりますか。
  48. 大坪敏男

    ○大坪説明員 私ども、水産業協同組合法の解釈によりますと、議決の際の出席者の数をもって判断をするというふうに考えておりますし、そういう線に沿って指導しているわけでございます。
  49. 関晴正

    関委員 では、出席の数からいけば、出席組合員数と照らし合わせるというと三分の二になっていないでしょう。
  50. 大坪敏男

    ○大坪説明員 ただいま申しました出席した組合員の数と申しますのは、その議決を行う段階での出席者の数でございます。したがいまして、これにつきましては先ほど申し上げましたように県当局も現地調査等をやったようでございますが、第二号議案ないしは第四号議案の採決の際の出席者の数は二百三十三名であったというふうに承知しております。
  51. 関晴正

    関委員 いまのお話は、ちょっと出席者の数と投票者の数と同じにしているのじゃないですか。投票者の数は、それは二百三十三ですよ。出席者の数は二百四十一ですよ。ですから、八人は棄権しているわけですよね。それを何も踏まえないで、二百三十三の三分の二を超えるからいいんだということは成り立たないのじゃないでしょうか。どうですか、これは。
  52. 大坪敏男

    ○大坪説明員 ただいまの点は本件総会議決取り消し請求の大きな争点でございますので、県も慎重を期しまして現地調査をやったようでございますが、二百四十一名と二百三十三名の差につきましては、途中退場したというふうに県当局は判断したようでございます。
  53. 関晴正

    関委員 出席組合員数二百四十一を、途中退席した者を認めて二百三十三名という宣言はされていますか。出席組合員二百三十三名と修正されていますか。
  54. 大坪敏男

    ○大坪説明員 第二号ないしは第四号議案の採決の際の出席者の数につきましては、県当局から聞いたところによりますと、県は、総会終了後でございますが、総会議決の取り消し請求があり、これに対して判断を下す際に、現地調査を行って確認をとったということでございます。
  55. 関晴正

    関委員 どういう確認をとったのですか。
  56. 大坪敏男

    ○大坪説明員 その点につきましては詳細は承知しておりませんが、県からの報告によりますと、担当職員を二度にわたりまして現地に派遣し調査をしたというふうに承知をしております。
  57. 関晴正

    関委員 二百四十一名で進めて、出席組合員数が八名減って二百三十三で投票したというならば、何の文句も申しません。八名がどこへ行ったかはだれも知らぬわけです。座ったままであったものか、投票しなかったものか、帰ったものか、いずれにしろ総会は二百四十一名の出席組合員というものを確認して事を運んだ。それで一号議案については先ほどのように、二号議案についてはただいまのように意思表示がなされたわけなんです。ですから、ここで非常に問題があったということだけはおわかりになるかと思うのですが、そこでもっと重大なことがある。  それは、この組合が賛成の組合員をふやすために、準組合員を正組合員にするということで、ことしの四月の末に三十九名を準組合員から正組合員に格上げいたしました。昨年もまたやりました。昨年は、一年に十日以上働いている者を準から正に上げてやりますよ、こう言って組み入れました。それでも三分の二の多数を得ることがむずかしいものですから、今度は、ことしになって三十九名追加いたしました。大体、一年に十日ぐらいで準がら正にするなんということは、水協法の定めにもありません。水協法では、九十日以上をもって正組合員とするという水協法の改正がさきに行われているわけです。また、水産庁も県もそういう指導をしているわけです。ところが、この原子力船「むつ」の母港を承認させるためには、何が何でも多数をとらなければならない。こういうところから、昨年一年に昆布とりにわずか二日間、長官も原子力事業団の方もよく聞いてくださいよ、わずか二日間しか出ていない。昆布とりですよ。そういう諸君が三十九名もあるというので、それらの諸君は正組合員としての資格に欠けるじゃないか。これは水産庁、年二日でも正組合員にしていいことになっているのですか。お答えいただきます。
  58. 大坪敏男

    ○大坪説明員 ただいまお尋ねの件につきまして、正組合員資格の問題、特にその資格としての日数の問題が問題となっているわけでございます。この点につきましては、いま御質疑がございます本件総会議決の取り消し請求におきましても争点の一つになっているわけでございますが、青森県当局からの報告によりますと、本件に関しまして処分を行う際には十分調査した上で判断をしたというふうに承知しているわけでございます。そこで、ただいま先生の御指摘のように、正組合員たる資格としての日数についてどう考えるかという点でございますが、漁業協同組合の正組合員たる資格につきましては、水産業協同組合法第十八条第一項に規定があるわけでございまして、その第一号におきましては、「組合の地区内に住所を有し、かつ、漁業を営み又はこれに従事する日数が一年を通じて九十日から百二十日までの間で定款で定める日数をこえる漁民」というふうに規定されているところでございます。  ただ、この場合一番問題となりますのは、一体その者が何日程度漁業を営みあるいは従事をしているかという点の判断でございますが、私どもといたしましては、従来から、この日数の判断につきましては、単に機械的にその審査時点から過去の一定期間においての日数等によって判断するのではなく、あくまでも現在あるいは将来にわたりましてのその者の漁業を営みあるいは従事することについての意思なり能力、その他客観的な状況を総合的に勘案して判断するようにという指導をいたしてきておるわけでございます。  また、組合員資格の有無の認定につきましては、業務執行者でございます理事、通常でございますと理事会になるわけでございますが、ここで判定をすることになるわけでございますが、その審査の公正を期するということから、理事会の諮問機関として、組合員代表あるいは学識経験者等から構成されます組合員資格審査委員会を設けて行うような指導もしている次第でございます。  そこで、本件の場合でございますが、青森県当局からの報告によりますと、当該漁協におきましては、定款によっていま申しました審査委員会を設けておりまして、ただいま先生御指摘の三十九名の正組合員の問題につきましては、ことしの四月において審査委員会を二回、理事会を二回開いて判定をし、御指摘のように準組合員から正組合員にしたというふうな事実があるようでございます。県当局も、当然のことながら、総会議決取り消し請求に関して処分を行うに当たりまして現地調査もやったようでございますが、その際には、この認定自体適正なものであったと判断したというふうに承知をしているわけでございます。
  59. 関晴正

    関委員 資格審査委員会で審議をして、困っちゃったと言うのですよ。一年に二日しか昆布をとらぬ者に資格を付与するというわけにはいかない。資格審査委員会は会議を開きまして、困っちゃった。委員長も、どうすればいいかわからぬ、判断できかねる、こういうことで意見を述べております。理事会の方にその旨を申しております。理事会の方は、審査委員会が判断できないといったって、二日だっていいじゃないか、やっちゃえ、こういうことで多数をもってやられました。  そこで、九十日から百日以上も漁業に働かなければ正組合員にはなれないのですよというこの水協法の定め、それを全然わきまえず、二日か三日昆布とりに、しかも行ったか行かないかも明らかじゃありません、それらの三十九名を全部だれだれ、だれだれと名指しで申し立てておるのにもかかわらず、申し立てた団体の二十九名の諸君のところには、県の職員が二名か三名連れ立って出かけて、おまえはこの申し立てに本当に判こを押したのか、そういう申し立てをいつまでもするのか、間違いないかと一言って意思の確認をしました。では、三十九名のところにも二名ないし三名県庁の役人が出かけていって、おまえさんたち、一年にどのくらい漁業をしているかということを調査したか、二日か三日しかしていないよという訴えがあるがどうかということについては、行ったものやら行かないものやら、影も姿も見えない。どういう調査をしてこれらの諸君を認めたのかもわかりません。正しい方、水協法に忠実であろうとする漁民、漁業によって生き抜こうとしているこの正しい諸君たちが、こうした不当なことにおいていじめられて、それでもがまんしなきゃならないものでしょうかとの訴えが私のところにしょっちゅう来ます。  そういう意味からいくと、まさに法を全然無視して正組合員をにわかに製造し、急造し、その数百五十名に至るであろうと言っているのですよ。事業団も長官もよく聞いておいてくださいよ。あなた方は、原子力船の母港さえ着工すれば、後は野となれ山となれということで、東京でお住まいになってのうのうと暮らせるかもしれませんが、これらの漁民は、海から追われたときあすはどこへ行くかということを考えると、昆布とり二日や三日の諸君は、それは出面取りでもあるいは出稼ぎでも、まだいいでしょう。三分の一という漁業に生きているところの漁民は、漁業に生きていない諸君のためにこんなにわれわれがやらなければならないのか、法はだれのためにあるのだろうかと言って、私にぶつけてくる。農林水産省という役所がある、これはわれわれを守るためにあるんじゃないでしょうか先生と、こうくる。そうだ、守るためにある。しかし、その農林水産省も県庁の悪漢どもにくみしてわれわれをいじめているようで実はがまんなりません、こう言ってきているわけであります。  そこで、私はきょうは水産庁長官にぜひ出てくれと申し上げておいたのですが、かわりの方は水産庁長官と同様にお答えもできるりっぱな方だと言うから、じゃわかったということでいま質疑を交わしているわけでありますけれども、こういうような法に忠実でないやり方でしゃにむに、議決がございました、有効でございますなんと言って進めてよいものでございましょうか。これは農林水産大臣に聞きたいのですけれども、大臣はおりませんので、水産庁長官にかわってのあなたにお答えいただきたいと思います。
  60. 大坪敏男

    ○大坪説明員 ただいま先生御指摘の点につきましては、まさしく当該漁協の組合員の一部の方の中にはそれに同調できない方もいらっしゃるわけでございまして、そのために水産業協同組合法上認められておりますところの総会の議決の取り消し請求が行われたということでございます。  ただ、先生御案内のように、水産業協同組合法上、当該漁協のように都道府県の区域を超えない組合につきましては、第一義的に指導監督に当たるのは都道府県知事ということになっておるわけでございまして、通常、当該都道府県内での水産業協同組合の運営等につきましては、当該県の知事が指導監督しているという状況にあるわけでございます。したがいまして、私どもとしては、今般の知事の処分につきましては、それなりに県知事として事実関係も調べ、それなりの判断として下したものと理解しておるわけでございます。  ただ、私どもといたしましては、先生御案内のように、この種の処分に関しましては、不服審査法上、農林水産大臣に対しまして請求人が審査の請求を行うというふうな道も開かれておるわけでございまして、仮にそのような審査請求が提出されるような状況のもとにおきましては、私どもなりに事実関係も調べ、かつ、県の判断あるいは県の判断のよりどころとなった根拠等につきまして十分調査した上で、しかるべく対処をしたいと考えておるわけでございます。
  61. 関晴正

    関委員 この六十日以内の不服審査法に基づく審査なんというのはまどろこしくて待っていられないのですよ。これは青森県の六ケ所村の泊という漁協でいろいろとまた補償問題がありまして、そのときにも自衛隊とのトラブルがありまして、私は知っています。そういう意味で、じゃ待って不服審査法でやるかと言えば、それはやるでしょう。しかし、それよりも、こんな不法なことがなされていいかというので、法律に訴えて行政訴訟をすると言っています。  私があなたに聞いているのは、法の権限の話じゃなくて、実際に法律をつくっているあなた方はいまのようなことをどう見ますかと聞いているのです。わずか二日しか昆布とりをしていない者が、しかもあなた、先ほど言いましたよ。「単に機械的に一定の審査対象期間のみを判断の基準とするのではなく、現在及び将来における意思及び能力その他客観的状況をも勘案し、その者が何日程度漁業を営み、又はこれに従事するような者であるかを総合的に判断しており、当該資格審査は」県に言わせれば「適正であったと認められる」、こう言っているのですよ。このでたらめ性、これにあなた方もくみして、そしてゆっくり臨むつもりですか。事は急を要するのです。ゆっくりしているうちに事業団はやりますよ。やる事業団にはこの次質問しますけれども、そうなると、あなたには水協法という法律を遵守し漁民を守る立場にあるという任務がある。少なくとも私は国会において責任を持ってここで申し上げているわけです。その辺の立ち話で申しているのじゃないですよ。れっきとして、二日か三日しか昆布とりをしていない者も今度はなれるのですよということに道を開きますよ。水協法が音を立てて崩れてしまうのじゃないですか。青森県にだけはそれが適用される、そんなことはないでしょう。法律は普遍的なものですよ。二日でも正組合員になれますと言ったら、あなた方のつくった法律は泣くのじゃありませんか。穴があいちゃうじゃないか。これほど申し上げても、そういうようなことをちっとも考えないのですか。  これらの諸君は、昆布とりが目的じゃない、いま補償とりなんですよ。二十三億、一人頭三百万ぐらい来ないかなと思って待っているのですよ。昆布とりよりも補償とりなんです。それに手伝いするような水産庁の姿勢というものはないでしょう。文句があるならば出てくるだろう。文句があれば出てくるというのは、よほどのこと、そして時間のかかること。これは官僚のよくやる手。国民を思うならば、進んでどうなんだと行かなければならないのじゃないですか。北村知事なんというのは、どうでもこうでも母港ができることであれば、何でも言うことを聞く、何でも持ち出すという性格の人間ですよ、これは。私と会うというと、話すこともできないほど興奮する。スペインのべこが赤旗で怒るというけれども、ちょうどそれに似たようなところがある。まともに話もできない。この間貨物駅の問題で実態調査に行ったけれども、知事室におりながらも、われわれ調査団に副知事を向けて、どんな重要なお客さんが来ておったかわからぬが、会う約束さえ踏みにじっております。平気でやっていますよ。  ですから、この水協法というものに忠実に水産庁長官が当たって、この間の行革において適正に監督するし監視すると言ったのですから、そういうことで臨んでいただきたいと私は思うのです。どうですか、臨めますか。
  62. 大坪敏男

    ○大坪説明員 先ほど来申し上げていますように、青森県知事といたしましては、水協法によって管内の組合を指導監督する立場におきまして、それなりの見識と責任において判断を下したものと考えるわけでございます。  したがいまして、私どもといたしましては、本件の取り扱いにつきましては、もちろんのことながら訴訟の道もあるわけでございますが、仮に請求人の方が農林水産大臣に審査請求をお出しになるという状況になれば、私どもなりに再度事実関係等について調べた上適正な対応をいたしたい、かように考えておるわけでございます。
  63. 関晴正

    関委員 あなた、一年に二日しか昆布をとっていない者を認めるのが良識のある知事ですか、お答えください。いつまでもばかなことを言うんじゃないよ。
  64. 大坪敏男

    ○大坪説明員 先ほど申し上げましたし、かつまた先生も先ほどお読みいただいたわけでございますが、日数の解釈につきましては、私ども、単に機械的に判断することなく、将来、過去等を踏まえまして、本人の意思、能力等を総合勘案して判断するようにという指導をしておるわけでございまして、本件につきましては、私ども現地に行ったわけではございませんが、県なりに現地に赴きましてそういう観点からの判断をいたしたものと考えておるわけでございます。
  65. 関晴正

    関委員 あなた、人のした判断を聞いているのじゃない。これからますます漁業区域が狭められ、漁業権が失われて、長期的に何がふえていく可能性がありますか。常識でしょう、わかり切ったことじゃないですか。それでも水産庁は見て見ないふりしておきたいというのでしょう。何です、その姿勢、なっていないじゃないの。二日でもいいと言うのですか、答えてくださいよ、あなた。規定は「九十日から百二十日」と言っているでしょう。二日でもいいとどこに書いてありますか。それでも、一割程度削って九割ぐらいならがまんするとかというなら、これは常識的な話。二日か三日ですよ。これを水産庁は認めるのですか。知事が認めれば認めるのですか。そこだけ答えてください。
  66. 大坪敏男

    ○大坪説明員 漁業を営みあるいは漁業に従事する日数の問題でございますが、これはあくまでも当該地域での漁業の実態あるいは当該者の意思なり能力等々を総合的に勘案して判断すべきものと考えておるわけでございまして、ただいま先生御指摘の二日ではどうかという御質問には、申しわけございませんが、にわかにお答えいたしかねるわけでございます。
  67. 関晴正

    関委員 政府の役人の答弁とはこういうものですよ。委員長、ひどいでしょう。これできっと月給取っているのでしょう。月給が惜しいよ。もうこんな話ばかりすると次へ進みませんが、良心があるならもう少し良心的に答えなさい、あなた。漁民を守ろうと思ったら、そういう諸君の集団に食い物にされる専業漁民の立場というものをあなたは考えられませんか。何が、あなた、水産庁の指導するほどの責任の重いところに座っているというりっぱな人になりますか。青森県の知事がこわいのですか。青森県の知事が間違ってやっていることを指導するのがあなた方の力でしょう。任務でしょう。もうこれ以上そんな話は私はしません。よく大臣に申し上げて、あすにでも来て青森県の知事を指導するように要望しておきます。  そこで、事業団、あなた方はいよいよ着工しようと言っていますが、二十三億の金はいつお払いになるのですか。
  68. 井上啓次郎

    ○井上参考人 お答え申し上げます。  二十二億の協定は、九月五日に西口組合長と私と調印いたしまして、立会人といたしまして北村県知事、そういうことで協定ができております。それに基づきまして、手続としましては、補償金の十八億は手続が終わり次第請求する。私の方へは十月一日に請求が来ておりますので、所要の手続が終わっておるということを確認の上三十日以内に支払うということになっております。
  69. 関晴正

    関委員 工事をしなくても支払うつもりですか。
  70. 井上啓次郎

    ○井上参考人 工事はしないということは全然考えておりませんし、しかも五者協定では関根浜新定係港をなるべく早く建設するという約束になっておりますので、私はその線に沿って忠実に実行したいと思っております。
  71. 関晴正

    関委員 したいということとできるということは別個ですよ、理事長。ですから、工事をしなくても三十日の期間のうちにお払いするということでございましょうかと聞いているのです。工事がなければそれまではできません、こう答えればいいと思うのですが、どうですか。
  72. 井上啓次郎

    ○井上参考人 重ねての御質問でございますけれども工事を着工するという予定は、私の方では十月中には必ずやりたいと思っております。したがいまして、その線に沿って、いまの先生お話では、工事がなくても私の方ではその約束に従って支払うという立場でございます。
  73. 関晴正

    関委員 この母港建設のために建設のスケジュールというのができていますね。いつから着工する予定でございますか。
  74. 福永博

    福永参考人 専務理事福永でございます。  お答えいたします。工事の着工をいつからどういうふうなスケジュールでやるかという御質問かと存じます。若干事務的な御説明になろうかと思いますが、一つには、公有水面の埋め立ての免許というものをちょうだいしなければなりません。引き続きまして、国有財産使用、つまり公共水域を使用させていただく、こういう免許がございます。その前段の方の埋め立て免許の方でございますが、これは去る九月二十七日にちょうだいいたしました。それから国有財産使用の許可でございますが、これはただいま申請中でございまして、きわめて近いうちに許可をちょうだいできるのではないかと思っております。したがいまして、先ほど理事長が申し上げましたように、今月中には事務的に着工できる、こういう段取りをつくってございます。
  75. 関晴正

    関委員 今月中に陸上部の土地の収用ができますか。取得ができますか。
  76. 福永博

    福永参考人 土地の収用につきましては、私ども、陸上に関連する附帯施設をつくらなければならないわけでございますが、そのために、その施設のための用地といたしまして、実はいま買収の交渉を県の開発公社委託しているわけでございますが、約十六万平米ぐらいのものをお願いしてございます。それから、そこに至る道路がございます。この道路も、延べ二・七キロぐらいでございますが、この部分についても新たに買収を進めなければならないわけでございます。その両者につきまして昨年来県の開発公社に買収の交渉をお願いしているわけでございますが、現在のところ、大変ラフな数字ではございますが、大体七割方ぐらい進捗しておりまして、三割方ぐらいがまだ交渉中、こういう段階でございます。
  77. 関晴正

    関委員 七割ということは、面積にしてどのくらいになっていますか。
  78. 福永博

    福永参考人 ただいまの説明をもう少し細かく補足させていただきますと、施設用地が、先ほど申し上げましたように交渉の対象地域が約十六万平米でございます。そのうち約七割と申しますと十一万平米余りでございます。それから道路につきましては、五万平米足らずでございますが、そのうち、正確に申しますと七三%ぐらいでございますが、面積にいたしまして三万五千平米ぐらいでございます。
  79. 関晴正

    関委員 実は、ここのところの共有地、一般民有地、二色ありますね。共有地の取得ということは、一人でも反対するとむずかしい問題が起きますね。ましてここには一人ぐらいじゃない、何人もいます。それから今度は、絶対に土地は手放さないという方々がおりますね。こういう方々から手放させる方法ということで、土地収用法の適用でも考えているのでしょうか。
  80. 福永博

    福永参考人 先生御案内のように、共有地の部分もございます。持ち分権利者が三十八人いらっしゃる部分が実は一番大きい部分でございます。そのほかにも、農道等多数の共用地がございますけれども先生いまお話しの件は、この三十八人分、約八万五千平米の話ではないかと存じます。その方々のうち、確かに若干の方がまだ価格で折り合わないとか、あるいは、八万五千平米でございますので、これが必ずしも全部、私どもがぜひぜひ譲っていただきたい、こういうわけではないわけでございますけれども、共有地でございますから皆さんに御相談申し上げなければいけない、こういう事情にあるわけでございます。そこで、先ほど申し上げましたように、県の開発公社の方にそういった交渉をお願いしておるところでございますが、私どもが受けております県の報告では、いまのところ問題になっておりますのは、価格面で折り合わないとかあるいは相続の関係があるとか、そういったようなところだと承知しております。
  81. 関晴正

    関委員 聞いていることに簡潔に答えてください。土地収用法でもかけてやるのですか。そこです。
  82. 福永博

    福永参考人 どうも失礼いたしました。私ども事業団法には土地収用法の規定は適用されておりません。
  83. 関晴正

    関委員 だから、どうしても土地の取得ができなければ土地収用法というものを考えなければならないが、そうなるとあなた方の方に権限がない。権限がないから、いろいろなことをまた考えておられるのじゃないだろうか。ちっとも考えていませんか。土地収用法は全くやらない、こう思っていますか。
  84. 高岡敬展

    ○高岡政府委員 いま事業団の方からお答えがございましたように、事業団法あるいは土地収用法三条の関連で原子力研究開発事業団業務というのは収用法の対象にはなっておりません。そういうことでございますし、現在のところ、私ども法律を変えて土地収用法の対象にしようという考えはございません。
  85. 関晴正

    関委員 ありがとうございました。  港湾法に基づいてこの母港を一般港にでもして、言うなれば地方港湾ということにでも持っていって、港湾法に基づく港湾の性格を変えていって、その上で土地収用法を考えようというようなことは図られていませんか。これは港湾局の方に、そういうような申請を県の方で考えていると聞いていますので、あわせてこの点を問うておきたいと思います。
  86. 小野寺駿一

    小野寺政府委員 先生のいまの御質問の中に一般港湾という言葉がございました。昨日、青森県におきまして、港湾法の五十六条に基づくところの水域の指定を行うという考え方につきまして土木常任委員会において説明されたということがございます。このことは港湾法五十六条に基づく水域の公告のことを述べておるのでありまして、青森県知事にこの水域におけるところの監督権限というものを持たせるということを意味しております。しかし、このことは港湾法に基づく地方港湾に指定するということとは全然関係ございませんし、また、そのことが土地収用法に関連してくるということもございません。
  87. 関晴正

    関委員 最後に長官に申し上げておきます。  こういうような事情だから、長官が幾ら頭を下げて誠意を持ってお願いしても、この土地の取得というのは私は不可能だと思っております。そうして、この土地の取得をしたいところの一番いい地点に反対の諸君たちが土地を持っております。これらの諸君は大体漁業権を放棄する二十三億に反対している者ですから、それに賛成するならば土地の協力もあるけれども、これに反対している諸君なんだから、何と言ったってこれは賛成するわけにはいかない、こう言っておるのです。  そうなりますと、いまの工事が陸からできなくて、それでやむなく海からやって、その隣の漁協の諸君に何とか道をあけて歩かせてくれと言っていま懇願していますよね。このかっこうも大変なかっこうです。その上、仮に得たとしても、陸上部を得るという見通しはいまのところ全くありません。七割はあるなんて言っているけれども、どこにどう七割あるのかだって定かではありません、共有地の関係で。これはいろいろとまた紛争を持ってきます。ですから、いまは手がつけられない現状にあると私は思います。それを二十三億の金を上げたいばかりに、あるいは一隻でも船が走ればやったということにでもして補償金を払うお考えなのかもしれません。私は何も補償金にけちをつけるつもりはありません。しかし、国民の大事な税金を使うことでありますから、そして今日行革の時点でありますから、事を運ぶのには、一誤り、二誤り、三誤り、おしまいまで誤って原子力船の母港というものがあるいは原子力船「むつ」というものの行政が終わりましたということであってはならない。ちゃんと了解を得てその上で事を進めるのでなければ全くなっていないことになると私は思うのです。  そういう点で、あなたはこの間行革でも誠意を持って当たると言ったが、誠意では片づかない。あなた方が不誠意で、反対派の諸君たちを切り崩すために、金の力、権力でいいかげんなことをやっているものですから直らぬのです。ですから、取得することは本当にむずかしい。それを承知しながらでも金を払いたければしようということになるかもしれませんけれども、重要な問題だと思いますので、長官、この点についてひとつお考えを示していただければと思います。
  88. 安田隆明

    安田国務大臣 関先生は教育行政の第一線で、私も長い間地方行政をやっておりましたが、地方行政の中におきましては立場は同じであるわけであります。そして、長い間地方行政をやってまいりますると、開発行政、いわゆる開発行為を行うときにはこういう問題が地権者の問題あるいは有権者の問題で必ず起きてまいりまして、これにはやはり当事者は非常に苦慮する。幸いでございますけれども、今度の定係港の問題につきましては、地元の漁協、それからむつの市長さん、それから北村知事さん初め関係者の皆様方の御理解と御協力を得まして、ようやく先般合意を見たわけであります。  いま関先生おっしゃいますように、われわれはあくまでも地元の理解と協力のもとにこれを行う、こういうかたい決意を私たちは持っております。だからして、いま用地の問題が云々とおっしゃいました。そのとおりでございましょう。しかし、知事さんは誠意を持ってこれに対応する、こういうことをおっしゃっていますし、地元の皆様方も、いま一部このような状況でございますけれども、本当に誠意を持って知事さんには対応していただいておりますし、私たちももう誠意を持ってあの五者協定の線を踏まえながらひとつ御迷惑をかけないようにやらせていただきたいというのが私のかたい決意でございます。御了解いただきたいと思います。
  89. 関晴正

    関委員 終わります。
  90. 永田亮一

  91. 草川昭三

    草川委員 公明党・国民会議草川昭三でございます。私は、いま産業用の基幹になりますところのボイラーの問題について少し触れていきたいと思うのです。  御存じのとおり、ボイラーというのは企業の生産活動にとって欠かせない熱のエネルギーを供給するわけでございまして、ボイラーが故障すればその工場全体がとまるというような非常に大きな問題になるわけでございます。ところが、ボイラーというのも大型あるいは小型、いろいろなのがあるわけでございますが、オイルショックを契機にして、大型ボイラーというものは設備投資の削減の対象になっておりまして不況の渦中にあるわけであります。ところが、最近新しい現象が出てまいりまして、従来の大型ボイラーではなくて、大気汚染防止法等の法律逃れの小型の貫流ボイラーというものが非常に伸びてまいりました。しかも、小型の貫流ボイラーというのをたくさん備える多缶設置というのが目覚ましく発展をしてきておるわけであります。これは大気汚染防止法の適用外になるわけでありますし、C重油の生だきにもなるわけでありますし、労働省にも関係しますし通産省にも関係しますが、性能検査費あるいはばいじん測定費等が不要になってくるわけでございまして、非常に問題なことが多いわけです。  そこで、きょうは、この産業用ボイラーの最近の設置状況というものがどうなっているのか、きょうは時間がございませんので、水管式ボイラーの四十八年なり五十五年の比較あるいは炉筒煙管式ボイラーあるいは小型貫流ボイラー等の推移を、これは通産省ですかね、お伺いしたいと思います。どうでしょう。労働省でもいいですよ。どちらでもいいですよ。
  92. 野口昌吾

    ○野口説明員 御説明申し上げます。  先生御指摘の貫流ボイラーの数字でございます。最近の生産動態統計、通産省の統計でございますが、それによりまして数字を申し上げますと、五十七年で台数にいたしまして九千七百二十三台でございます。金額にいたしますと七千九百七十五億円のボイラーがいま生産をされてございます。一般用のボイラーと比較いたしますと、台数では大体六八・七%、金額ではまだ少のうございまして四%程度にとどまっております。
  93. 草川昭三

    草川委員 いま産業用ボイラーの具体的な数字の説明がないわけでございますけれども、私どもが調べた数字でいきますと、たとえば昭和四十八年に水管式ボイラーは千台から千四百台ありました。これが昭和五十五年になりますと半分の五百から六百台に減っております。あるいは炉筒煙管式ボイラーというのを見ますと、昭和四十八年には総蒸発量一時間当たり八千のボイラーが二千三百台あったのが五十八年には六百台に減っております。ところが、いまもお話がありました小型貫流ボイラーは、四十八年に一万二千台、これが五十五年に一万五千台、五十八年に一万七千台とふえてきておるわけです。どうして小型貫流ボイラーのみがふえていくのかという問題をきょうは主題にしたいわけであります。  まず、小型貫流ボイラーが増加をするのは、これは労働省にもちょっとお伺いをいたしますが、設置届だけで検査が不要だということが宣伝をされておりますが、事実かどうか。それからボイラーのメンテナンスをするところのいわゆるボイラー技士というものが無資格でいいのかどうか。それから三番目に、点検等についても自主検査だけでいいのかどうか、整備のための資格者が要らないと言われておるが、その点どうでしょう。まず、労働省にお伺いをします。
  94. 加来利一

    ○加来説明員 お答えいたします。  まず、小型の貫流ボイラーについて申し上げますと、ボイラーにつきましては小型のボイラーと大型のボイラーとに分けられておりまして、大型のボイラーにつきましては、その取り扱いについて免許を必要とするわけでございますけれども、小型の貫流ボイラーに該当するものにつきましては、小型という範囲においては免許は必要としない、このようになっております。  それから、性能検査のことについてでございますが、それにつきましても同様でございまして、性能検査は法的には必要とされない、このようになっておるわけでございます。  それからさらに、定期自主検査につきましても、小型の貫流ボイラーの中でさらに小さいものにつきましては、定期の自主検査も必要でないと  いう部分もあるわけでございます。
  95. 草川昭三

    草川委員 では、ついでに環境庁にお伺いをいたしますけれども、この小型貫流ボイラーを採用すると、公害等の大気汚染防止法とかさまざまな法規制が環境庁にはあるわけでありますが、こういうような点について公害関係についての届け出は不要だと言われておりますが、それは事実ですか。
  96. 加藤三郎

    ○加藤説明員 先生御案内のとおり、大気汚染防止法におきましては伝熱面積が十平米以上のボイラーがはい煙発生施設に指定されておりまして、各種の大気規制を受けておるわけでございます。御指摘の小型貫流ボイラー、これが伝熱面積が十平米未満でありますとばい煙発生施設には該当いたしません。したがいまして、届け出とかあるいは大防法上の規制はかかっておりません。
  97. 草川昭三

    草川委員 念のために小型ボイラーの宣伝文を見ますと、いま環境庁から答弁がありました十平米未満というところを巧みについて、九・九というぎりぎりのボイラーの伝熱面積を売り物にしておるわけであります。これは一流の経済新聞等でございますが、その点を特に強調して大きく新聞等に広告をしておるわけであります。具体的にも、たとえば炉筒煙管ボイラーだと二直でボイラー技士が四名必要だったのだけれども、それが今回の小型貫流ボイラーをたくさん設置する、たとえばいままでの一つのボイラーを十に分けて一個ずつを申請するという形にするならば、申請はしないわけですけれども、分けてやるとするならば、ボイラーの技士も二名に減ってしまいました、これは大変利益がありますよ、こういう宣伝をしておるわけであります。こういう事実を環境庁は御承知かどうか、お伺いをしたいと思います。
  98. 加藤三郎

    ○加藤説明員 メーカーの中に、そういうことを宣伝の一つにしておるという事実は存じております。
  99. 草川昭三

    草川委員 存じておるということは、非常に結構だと環境庁はお褒めになっておられるのか、ないしは苦々しくお思いになっておるのか、素直な感想をひとつ述べていただきたいと思います。
  100. 加藤三郎

    ○加藤説明員 大気汚染防止の観点からは、伝熱面積は小さくともばい煙排出量の多い施設が規制の対象外となるような状況が広がったり、あるいは、伝熱面積十平米以上のボイラーが規制対象となるのに対し、十平米未満のボイラーの多缶設置が規制対象とはならないというような不均衡といいますか不公平が生ずることは好ましくないというふうに考えております。
  101. 草川昭三

    草川委員 きょうはそこに主題を置きますから、環境庁としての対応もこれはぜひ強化をしてもらわなければいけないと思うわけであります。  そこで、今度は通産省にお伺いをいたしますけれども、通産省の機械情報産業局長の私的諮問委員会から「ボイラーの安全化・無公害化に関する報告書」というのがことしの三月二十四日に報告されております。この中をずっと拝見いたしますと、これは後でももう一回申し上げますけれども、ボイラーに関する公害規制で規制対象規模を伝熱面積で規定しているということは、規制対象外の小容量のボイラーをたくさん設置するという問題になってくるので矛盾が生じるのではないか、これは大気清浄化に対する所期の目的達成も非常にむずかしくなるというような言い方をしておるわけでございますが、このような報告が出ておるのかどうか、事実確認をお願いしたいと思います。
  102. 野口昌吾

    ○野口説明員 御説明申し上げます。  先生いま御指摘をされましたように、私どもの機械情報産業局長の諮問機関でございますが、機械安全化・無公害化委員会というのがございまして、先生から御説明いただきましたように、私ども実はことしの三月二十四日に報告書をいただいております。これは、一般のボイラーメーカー、それからいま先生が御指摘しておられます小型の貫流ボイラーメーカーも含めた委員会で、いろいろ御審議をいただいたわけでございます。その報告書の中には、過去の、つまり伝熱面積で規制をした時代と現在と比較いたしますと、いろいろな経済的要因、技術的要因が変わってきておりますので、必ずしも実態にそぐわない面が出てきているということにつきましては報告書の中で指摘をされて、ございます。
  103. 草川昭三

    草川委員 たまたまここの会社、小型の貫流ボイラーのメーカー等がパンフレットを配っておるのですが、Q&Aですね、たとえば質問で「ボイラの伝熱面積が十平方メートル以下のものを使用すると、大気汚染防止法の適用を受けないというのは事実か。」これを非常に大きくセールスポイントにしておるわけですね。答えとしては、国の法律では規制外になっておる云々というようなことで、詳しくは代理店で説明しますよという言い方になっております。これは私は非常に問題だと思いますし、また、このような点について工業会の方からも通産大臣に昨年の四月に、このような小型貫流ボイラーが多缶設置をされるということになるとばいじん規制に差が生ずる、ボイラー業界にとってもこれは困るのだというような陳情書、要請文が出ております。これは環境庁にも同様な文書が出ておりますが、ただいまのところノーアンサーだということでございますが、何か真剣に対応を立ててみえるのですか、どうでしょう。これは環境庁と通産省にお伺いします。
  104. 加藤三郎

    ○加藤説明員 環境庁は大気汚染防止という観点から行政を担当させていただいておるわけでございますが、その大気汚染防止の観点から、小型貫流ボイラーの普及による大気環境にどのような影響を与えるか、あるいは規制対象施設の捕捉にはどういう方法があるであろうか、そんなことにつきまして現在内部的に検討し出しております。そういう状況でございます。
  105. 野口昌吾

    ○野口説明員 環境庁から御説明がございましたように、私どももその陳情を受けておりまして、その趣旨につきましては、不公平さがあることにつきましては十分承知いたしております。宣伝材料につきましても好ましくないことはわかっておりますので、その辺は環境庁及び労働省といま協議をしておるところでございます。
  106. 草川昭三

    草川委員 そういう態度があるならば、そのような行政指導を明確に積極的にやる必要がある、こう思うわけでございますので、特に強く要望しておきたいと思うのです。  そこで、きょうは余り時間がございませんので、今度は労働省にお伺いをいたしますけれども、ボイラーについては、安全衛生上これまた非常に厳しいいろいろな届け出義務等もあるわけでありますし、検査義務があるわけであります。まず、小型貫流ボイラーの場合、メーカーの検定検査数は一体どの程度あるのか。これは労働安全衛生法を見てまいりますと設置届の義務があるわけでありますけれども、届け出数と検定検査数との間に乖離が少しあり過ぎるのではないかというわけで、先ほども通産省の方の答弁もあり、こちらが数字を申し上げたわけですが、小型貫流ボイラーを五十二年の数字で見ますと、ボイラー年鑑では一万九百六十という数字が出ております。五十六年になりますと一万九十六というのがボイラー年鑑の数字に出ておりますから、これは労働省御存じのとおりだと思います。     〔委員長退席、与謝野委員長代理着席〕ところが、設置届の方で見てまいりますと、残念ながらボイラー年鑑では五十二年以降は数字が出ていませんけれども、五十二年の数字では四千三百という数字になるわけです。五十二年の一万九百六十という検定件数に比べると届け出が半分しかないわけでございまして、こういうような面では安全面での行政上も非常に問題があるのではないか、こう思うわけでございますが、どうでしょうか。
  107. 加来利一

    ○加来説明員 先生がいまボイラー年鑑を引用されました数字につきましてはそのとおりでございます。それから設置届の方につきましては、実は現在都道府県の労働基準局までは設置届が出されておるわけでございますけれども、私ども本省の方でそれを集計するという作業をやっておりませんので、残念ながら現在、数を把握しておりません。
  108. 草川昭三

    草川委員 私はボイラー年鑑の数字で申し上げておりますが、問題は、ボイラーは当然のことながら定期検査というのが一般的には義務づけられているわけですし、国の方も一回当たり三万五千円の定期検査に対して二分の一の一万七千五百円を補助しておるわけであります。それだけにこのボイラーの安全というものについて非常に厳しい指導があるわけでありますが、一方の九・九、十平米以下の、法を巧みに抜けるという小型貫流ボイラーの場合は、そのようなことが何らなされてなくて、一般の工場にたくさん設置をされている傾向があるわけであります。  一番最初に申し上げましたように、いまはかなり大企業においても、この小型貫流ボイラーの方が利益が上がる、メンテナンスの費用が少ないというので、堂々とこういう一流新聞にそのような実績が報道をされるというようなことになり、先ほどから問題になっておりますようにいろいろと不公平さが出てくるわけであります。こういうのは今日の近代工業国家としては非常に問題になると思いますし、小型貫流ボイラー等についても事故の報告というのが全然出ておりません。それは質が高いから事故がないのか、あるいは事故があっても、ただいまのところでは、小型ボイラーの事故報告義務ということは明確に書いてあるわけでありますけれども、小型貫流の場合はその抜け穴というのですか、そういうことになっているのではないかと思うのです。ただいま小型貫流ボイラーについての事故報告についても労働省は的確に把握をしてみえるかどうか、お伺いをしたいと思います。
  109. 加来利一

    ○加来説明員 小型ボイラーの事故につきましては、先生おっしゃられましたとおり事故報告が出ることになっておりますが、その事故は破裂に限られるわけでございます。したがいまして、小型ボイラーの破裂の事故は現在ちょっと数字を確認できませんが、たしか一昨年十四件というように記憶しておりますが、その事故の中には小型の貫流ボイラーに関するものはございません。
  110. 草川昭三

    草川委員 ですから、小型貫流ボイラーの事故は必ずあるわけでありますけれども、一番最初に申し上げたように、メーカーで最初の検査をして、後の検定というのですか、設置の届け出の義務が半分しか実行されていないわけですから、行政上としてもわからぬわけですよ。だから、わからないところで事故があってもわからない、こういうことになるわけでありまして、従来の十平米以上という規則が今日の実態に即応できないのではないだろうか。いわゆる安全面に対する法規制の見直しが必要になってくるのではないかと思うのですが、この点はどういうようにお考えになられますか。
  111. 加来利一

    ○加来説明員 先生御指摘の点につきましては、私どもも、小型貫流ボイラーに限りませんが、小型ボイラー全般の問題、それからさらには技術革新の中でのボイラーの革新といいますか、そういった問題を含めまして安全性に関する検討をやはりしなければならないというふうに認識をしております。私ども労働省労働基準局の中に研究会を設置いたしまして、専門の大学の先生方の御意見をちょうだいして、さらに安全性を高めるために何をすべきであるかといったことについての御意見を現在ちょうだいしているところでございます。
  112. 草川昭三

    草川委員 その次に、もう一つ、ボイラーの設置に伴う各種の届け出について、片一方はいまのように非常に厳しいいろいろな届け出があるわけでありますが、一方ではしり抜けがあることを放置をするということも、私はいかがなものかという感じがするわけでありますから、全体的に同じように、水管ボイラーにしたってあるいは炉筒煙管ボイラーについてもあるいは貫流ボイラー等についても同じような次元で検査もする、あるいは届け出もする、あるいは大気汚染防止法に基づくところの規制も同様にかぶせていくことが必要だと思います。  私は、いまもここの中にいろいろな新聞をたくさん持ってきておりますけれども、中には堂々と小型ボイラーで大型ボイラーに挑戦をする。いま申し上げましたように、無免許でやれますよ、無検査で使用できるからボイラー技士が不必要ですよ。これは労働省にとっても、無検査で使用できる、ボイラー技士というものが不要だということは、単なる技術革新で不要になったのならいざ知らず、十平米というものを九・九と規制の網をくぐるということでやるということが新聞の一面に堂々とまかり通るような事態は、私は非常に問題があると思うのです。しかも、小型ボイラーを複数で設置をするとなぜ得かということまで書いてあるわけですから、得だったらいいじゃないかということです。しかし、それは厳格に大気汚染防止法、あれだけ日本の公害問題等について大騒ぎがあったわけでございますけれども、小型ボイラーで大型ボイラーに挑戦というのは、逆に国に対する挑戦をしているということにもつながりかねないわけでございますし、こういうことが許されるならば、日本の企業が一斉にこの小型貫流ボイラーを多缶設置をするということになったら、これは環境庁としてもゆるがせにできないことだと私は思うのですが、環境庁の見解をお伺いしたいと思うのです。
  113. 加藤三郎

    ○加藤説明員 先ほども申しましたように、環境庁といたしましては、大気保全という立場から小型であれ大型であれ臨んできているわけでございますが、先生いま御指摘のそういった事態が散見されますことにつきましては好ましくないというふうに考え、先ほど申しましたように内部的に検討いたしておるわけでございます。
  114. 草川昭三

    草川委員 そこで、通産省にお伺いいたしますが、新聞等の広告なりPR資料の中で公然と小型貫流ボイラーのメリットというものを、十平米という網をくぐる九・九ということを売り物にすることは、製造メーカーを監督行政する立場から私は非常に重要な問題だと思いますし、先ほど課長も一定の御見解を示されておるわけでありますから、早急にまずこういうようなPRをやめさせるべきだと思うわけでございますが、その点についてはどのようにお考えになられますか。
  115. 野口昌吾

    ○野口説明員 先生がるる御指摘されましたように、確かに脱法ということを誇大に宣伝いたしまして商売をすることにつきましては、私どもとしては非常に好ましくないと考えておりますので、すでに工業会その他には話をいたしておりますが、先生が御指摘しておられますような企業は、どちらかといいますと工業会にも属さない企業も一部ございます。そういうこともありまして指導が不十分ではございますけれども、そういう宣伝をしている企業についても、私ども社名を承知しておりますので、できるだけ早い時期に、少なくとも宣伝につきましては慎むよう指導してまいりたいと思っております。
  116. 草川昭三

    草川委員 これは工業会に入っていないからこそ実は問題なので、当該のメ一カーはかなり大きなメーカーであります。ですから、これはもう堂々と通産省が呼びつけて、これは法に対する挑戦だということで厳重な対応を早急に立てられたいと思うわけであります。  それから、先ほど労働省の方に、小型貫流ボイラーの事故の届け出がないという立場で事故率がゼロじゃないか、それはおかしいじゃないかという意味で私は言ったわけでありますが、先ほど触れました通産省の「ボイラーの安全化・無公害化に関する報告書」の中にも、百五十六ページに「小型ボイラーは、技術レベルの低い小規模のユーザーが多く、自主点検保が不徹底である」という問題点の注意をしておるわけです。同時に、「小型ボイラーでの事故は、他のボイラーと同じ傾向で、圧力容器部よりも主にバーナー関係に集中しており、」、いわゆる付随の部品等に事故の点が多いわけだからより一層の検討が必要だというような趣旨のことが書いてあるわけであります。  こういうようなことがあるわけでございますので、きょうは時間がございませんのでこの程度で終わりますが、関係するのはメーカー直接の通産省あるいは大気汚染関係で環境庁、これはぜひ一段と厳しくやっていただかなければいかぬわけですし、不公平さがあってはいけないわけです。とにかく、一つのボイラーがあったのをそれを十に分けて煙を出して、しかも、いままでのボイラーだったらC重油は使えなかったのを、今度はC重油の安い重油を使ってやるわけですから、排出量は明らかに悪いわけですから、こういう点についても十平米以上という基準を再検討しなければならなくなっていることは事実であります。同時に、労働省の方も、メンテナンス、維持の面でも重要なことになってくるわけでございますので、各省それぞれがこの私の問題提起について一段と真剣な対応を立てていただくことを強く要望して、私の本日の質疑を終わりたい、こう思います。  以上です。
  117. 与謝野馨

  118. 山原健二郎

    ○山原委員 最初に原研の当局に伺います。  原研当局と労働組合との間で争われていました動力試験炉のロックアウト裁判、これが本年の六月十三日に最高裁判所におきまして、原子炉ロックアウトは不当なものであったとして労働組合の主張を全面的に認める判決が出ております。これに対して原研当局としては労働組合に対して、求められているお金は払うが謝罪する必要はないという態度をとっております。私どもも裁判を経験しておりますけれども一般的に、裁判の結果が出ました場合には、少なくともそれに対応する姿勢を当局がとるというのは当然のことだと思います。まして、この原子力研究所は、御承知のようにまさに先端科学の研究開発の機関でございますし、最も民主的なしかも近代的な職場であろうと思うのですが、お聞きしますと、この裁判が始まって以来十数年にわたって、原研の理事長は組合との話し合いにも応じていないというふうにお聞きしておりますが、これは間違いだったら間違いだと言ってください。たとえば、意見は食い違いましても、文部大臣と日教組の幹部が会うとか、あるいは労働大臣と労働組合が会うとかいうことはあたりまえのことなんですね。  そういう点から考えまして、きょうは時間がございませんから、冒頭に理事長に、やはり組合とお会いをしまして話し合いをして、民主的なルールをつくっていくという立場をぜひとっていただきたいと思いますが、その点、現在どのようにお考えになっておるでしょうか。
  119. 吉田節生

    吉田参考人 原研の人事労務を担当しております理事吉田でございます。  原研内部の労使関係につきまして大変御心労をおかけいたしまして恐縮に存じております。本件につきましては、すでに科学技術産業労働組合協議会の幹部も同席の団体交渉におきましていろいろと話し合ったところでございます。また、先生すでに御案内のとおり、団体交渉の持ち方につきましては、一般的にはいろいろと労働協約あるいは長年の労使慣行等がございますが、当研究所におきましては、常に人事労務担当理事以下の交渉員が出席いたしまして交渉に当たることになっております。いずれにいたしましても、こういう事柄のために研究所の目的達成に支障を来すようなことは好ましいことではございませんので、労使関係の改善には今後とも努めてまいりたいと思っております。  また、理事長との話し合いの件でございますけれども、本件に関しましても、私ども原研のことにつきましていろいろとおっしゃる趣旨はよく心にとめておきたいと思いますが、何分にも具体的な労使間の話し合いのことにつきましては、当方のルールもございまして、その辺に沿ってお任せいただきたいと思っております。その辺を御理解賜りたいと存じます。長年の労使慣行に基づきまして進めてまいりたいと思っております。
  120. 山原健二郎

    ○山原委員 労使慣行があると言いましても、文部大臣だって会っているのですよ。理事長はそれほど偉いことないのです。  もう一回お尋ねしますけれども、十数年間お互いが主張し合って裁判、あなた方は水戸地裁でも敗北して、東京高等裁判所でも敗北して、そして今回最高裁判所で敗北した。その間に国費をずいぶん使っているわけでしょう。そして十数年の争いの中で、お互いに主張すべきことは主張し合って裁判所が決定した以上は、その問題について理事長も出て話し合いをするのは当然だと思います。理事長が出て話し合いをしてください。それが一つ。できないというなら、私はあした行政改革特別委員会の締めくくり総括質問に出ますから、そのときにもう一回人事問題を含めて尋ねるつもりです。回答によってはそういう覚悟をして出てきておりますが、もう一度お答えください。
  121. 吉田節生

    吉田参考人 本件はきわめて古く個別的な事柄でございまして、当時あのような争議手段をとらざるを得なかったことは大変遺憾に存じておりますが、ただいまの御指摘を心にとめまして、具体的な進め方につきましてはやはり労使慣行にのっとって進めさせていただきたいと思っております。
  122. 山原健二郎

    ○山原委員 ずいぶん頑固な理事者ですね。私は、原研の今度の人事異動のたらい回しについてあした質問しますよ。それほど理事長がいばっておれるような状態じゃないのです。十数年両方が闘ってきたのですから、ずいぶん国費も使っているのです。それ。については責任も追及されますよ。だから、重要な問題について最高の責任者が働く人が組織している労働組合と会うというのは憲法上も当然のことでして、それも会わない、労使慣行だと言う。文部大臣と労働組合が直接団体交渉をやるわけじゃありませんが、話し合いはしていますよ。一遍も出ないなんて、そんな理事者がありますか。そんなばかな話はないのです。もう一回聞きますが、どうですか。
  123. 吉田節生

    吉田参考人 十数年来の労使慣行で、人事労務担当理事がすべてを任されまして労働組合と話し合うことになっておりますので、本件に関しましてもそのように進めさせていただきたいと思っております。
  124. 山原健二郎

    ○山原委員 とにかく近代的な産業というか研究機関ですから、一番話し合いをしていくべき場所だと思いますよ。民主的に運営をしていくという立場でなければ本当の学問あるいは科学の進歩はないと私は思いますから、あえて言っておりますが、それ以上出られないのだったら、理事長に出てきていただかなければ話になりませんからきょうはこれで置きます。強く要求しておきますし、また状態を見ていきたいと思います。  次に、「むつ」の問題でございますが、これから続いて「むつ」を開発をするとしました場合にどれくらいの費用が必要かという問題で、少し数字があいまいになっておりますからお尋ねしますが、八月二十五日に自民党の科学技術部会におきまして高岡局長はこういうふうに説明をしております。新母港建設に五百ないし六百億、来年度は百億という予算の計上、本年は七十六億、二番目に試験研究費として二百二十億、三番目に、実験完了後の「むつ」の処理を関根浜で行うと仮定すれば六十億、人件費として毎年十億と説明をいたしております。船体建設費などこれまでに使った五百二十億と合わせまして総計千五百億円前後となると説明をいたしておりますが、これはおおむね適切な数字と考えてよろしいでしょうか。
  125. 高岡敬展

    ○高岡政府委員 いま御指摘ございましたような御説明を申し上げました。それで、いまおっしゃいます数字は、私の記憶にあります限り正確なものだと考えます。
  126. 山原健二郎

    ○山原委員 ところで、関先生からも質問がありましたようにずいぶん問題を含んでおるわけですが、仮に関根浜が万事オーケーとなりまして、政府の想定どおり「むつ」開発を進めたとした場合に、実験航海にどれくらい日時を要するとお考えになっているでしょうか。
  127. 福永博

    福永参考人 御質問のように、私どもが計画しておりますとおり「むつ」の開発が進んでまいりますと、六十一年に新定係港の方に回航いたします。それから諸般の準備を進めまして、出力上昇試験、実験航海と、こう移っていくわけでございます。最初の実験航海といいますのは、文字どおり実験をしながら航海をするわけでございますので、大体実験航海の期間としては二年程度考えております。
  128. 山原健二郎

    ○山原委員 二年で実験航海をいたしましてデータを集める、また乗組員もそれに習熟をするということが目的なんですね、これは実験船でございますから。それでこの「むつ」の任務は一応終わるのではないか。事業団そのものは六十年三月に解散するわけでございますから、その余のことについてはどこが責任を持つんでしょうかね。
  129. 高岡敬展

    ○高岡政府委員 もちろん原子力研究開発事業団が実施機関でございますけれども、政府の中でその監督指導に当たっておりますのは科学技術庁の原子力局でございます。この問題につきましては、基本的には原子力委員会で、長期的な原子力船の研究開発の方針というものが、昨年の六月にまとまりました新しい長期計画というもので示されております。それにのっとって仕事を進めておるということでございます。
  130. 山原健二郎

    ○山原委員 自民党の中にも「考える会」ができておりますように、千五百億というお金、そしてずいぶんつまずきを生じながらこの十数年来「むつ」は全くただ漂流をしているという状態の上に、これからまた六百億のお金をつぎ込みまして施設をつくるというわけですが、しかし、「むつ」の実験は二年間ということで、実験期間が終われば「むつ」の任務は一応果たしたんじゃないか、任務は終わるんじゃないかと思いますが、それからも何か実験を繰り返すとかいうようなこと、それはどこが責任を持って一体どういう資料を作成するためにやるのか、かいもく私にもわかりませんが、それはどうなんでしょう。
  131. 高岡敬展

    ○高岡政府委員 現在のところ、いま御質問ございましたような具体的な「むつ」の実験計画というものが確定しておるわけではございません。ございませんけれども、二、三年前かと思いますが、原子力委員会の専門部会で、「むつ」完成後の実験、出力上昇試験あるいは実験航海というものについて議論された経緯がございます。  それによりますと、先ほど事業団の方からお答え申し上げましたように、いまの炉心といいますか、現在の原子炉炉心のままで出力上昇試験、あるいは二、三年の期間かかると思いますけれども、実験航海というのをまずやる。その上での話でございますが、炉心の改造をいたしまして、言うなれば第二次炉心と申しますかそういうものを使いまして、同じく出力上昇試験あるいは実験航海をやってはどうかという案がございます。  私どもは、それを念頭に置いて今後の「むつ」の開発なりあるいは新しい舶用炉の開発というようなことを考えておりますけれども、この問題につきましては、改めて原子力委員会で詳細かつ長期的な計画を固めていただくということで現在準備をいたしておるところでございます。
  132. 山原健二郎

    ○山原委員 陸上施設二百数十億、港湾施設三百数十億という数字も出ているわけでございますが、膨大な施設ができる、「むつ」は航海実験が終わる、そしてデータ並びに所期の目的を達する、それから後の使い方はわからない、施設は残る、こういう状態ですね。次の舶用炉の開発、MARCH計画が出ているわけですが、これは船はつくらないわけですね。船は要らないのですね。
  133. 高岡敬展

    ○高岡政府委員 現在、原子力研究開発事業団の方で、御指摘のMARCH計画というものの検討が進んでおりますけれども、これは政府のレベルでオーソライズされたものでも何でもございません。事業団の方で、長期的な舶用炉あるいは原子力船の開発を進めるという責任を持っておる立場で独自に研究をされておるものというふうに承知をいたしております。
  134. 山原健二郎

    ○山原委員 これもお答えにはなれないと思いますけれども、次の第二船のできる見通しというのはあるのでしょうか。
  135. 高岡敬展

    ○高岡政府委員 原子力船の実用化の見通しにつきましては、現在のところ明確にいつごろということは申し上げられる状況ではないと思っております。先ほど申し上げました原子力委員会がまとめました新しい長期計画におきましても、二十一世紀初頭においてそういう実用化ということが期待できるのではないかという程度の見通してございます。  お尋ねの第二船でございますが、これにつきましては、現在の時点でいつごろにどういうものをという具体的な見通しが立つ状況ではございません。
  136. 山原健二郎

    ○山原委員 そうしますと、二十一世紀の課題というのも出ているのですけれども、これだって根拠のないものですし、いまおっしゃったように、大変あいまいな希望的観測にすぎないということはまあ事実ですね。また、現在の実情を見ましたら、本当にそうだろうと私は思います。  ところが、それなら、新定係港をつくりまして、「むつ」は一定の任務は終わる、それから先はどうするかわからないが、とにかく実験めいたものをやるとか言っていますけれども、オット・ハーンだって八年で廃船ですし、サバンナも廃船になっています。廃船の時期というのはいずれそう長くない。しかも「むつ」というのは全く旧式で、オット・ハーンに比べれば、積載量からもあるいは重量からいっても、これはもう全く旧式、こんなものを研究したってどうにもならぬというぐらいの状態なんですね。それなら、六百億つけてつくられるその新定係港は一体どうなるのですか。どうなるかと言えば、皆さんの資料によりますと、将来は、原子力船第二船が開発された場合に使うあるいは公共用として活用される。この第二船の問題は全くいまお話しになりましたような状態でございますし、この前、関先生の関根浜は公共用になるのかあるいは専用港になるのかという質問に対して、石渡原子力局長は、あくまでも地元の御意向でございます、ところが青森の知事は、専用港だ、一般港にはとてもなれない、こう言うわけですね。しかも、関根浜に膨大な港湾をつくりましても——この八月に出されました、これです、行政管理庁の行政監察報告書、これは全国の主要港湾について監察をしていますが、ひどいものですね、有効に使われていないという報告が、名前が出ている。その名前の中に、典型的な八戸が出ているのですね。私のところはいま港湾問題が大問題になっているわけですけれども、港湾をつくっても荷物がない。関根浜のような寒村で、果たしてそんなものが公共用に使えるかというようなこと、もう全く夢のような話なんですね。     〔与謝野委員長代理退席、委員長着席〕しかも、この財政危機の中で、行政管理庁の監察結果の中にも、ずいぶんたくさんの施設がほとんど有効に活用されていない、その典型が八戸であるというぐらいの指摘がなされておるときに、六百億という支出がいま必要なのかどうか、これは当然考えておくべきことでございまして、全くむだ遣いになるのじゃないかという心配があるのは当然のことなんですね。  そしてその施設が、陸奥湾の任務は終わってしまう、施設は残る。だれが使うか。まかり間違えば、これは四海峡封鎖と関係があって、軍事目的に使われる可能性だって出てこないという保証はないのですよ。安田長官、まさかそんなことはないと思いますけれども、もう船の任務はなくなる、しかし施設はある、そういう事態のときに、米軍が寄港さしてもらいたい、また国を守るためには軍事的目的に使ってもやむを得ないというような、今度のさくら二号の問題で先ほど質問がありましたけれども、そんなふうになってきますと、六百億の金をつぎ込むことがいま本当にあらゆる面から考えて正しいのかどうか、これは検討する必要があると私は思います。軍事目的などに使う意思は全くないとお答えになると思いますけれども、しかし、将来その可能性がないとは言えないということまで考えざるを得ないのが今日の情勢ですね。長官、何かお考えがございますでしょうか、いまの私の意見に対して。
  137. 安田隆明

    安田国務大臣 将来これは軍事用に使うとか防衛庁が使うか、こういう問題は現時点ではとてもわれわれは想定しておりません。ただ一刻も早く定係港に着手をいたしまして、先進国、最先端国として知見を持たないのはわれわれ日本だけでございますから、もう私たちは新定係港に取りつくだけのことでいっぱい、こういうことで御了解願いたいと思います。
  138. 山原健二郎

    ○山原委員 そうお答えになると思います。  ところで、「考える会」、ここにいらっしゃる科学技術委員会の自民党の理事の方もお入りになっているわけでして、これはやはり大きいと思うのです。自民党という政党がいろいろな御意見がある政党であることは、これはわかります。しかしそれは、たとえば安保条約についてどういう意見があるとかあるいは平和、核の問題についてこういう意見があるとかいうことでなくて、百十八名の方が少なくともいま、一度立ちどまって原子力開発あり方と、それから「空前の財政難と国民が行政改革の断行を強く要望しているいま、惰性のみによって予算措置を行ってゆくことは大きな疑問があると考えております。」という、この「考える会」に百十八名の方が参加しておるという事実、しかも政権を握っておる政党の中でこれだけの集団が、賛否はともかくとして、一応考えなければならぬという立場に立っておられることは、内閣総理大臣中曽根康弘氏にとっても重大な問題でありますし、また安田長官にとっても大変重大な問題だと思います。したがって、この「考える会」から長官に対して何か要請があったのでしょうか。あるいはまた、十月に一定の提案を出されるという報道がなされておりますが、その提案に対してどう対処するお気持ちであるか。また、この「考える会」について、どういう見解を持っておられるか、伺っておきたいのであります。
  139. 高岡敬展

    ○高岡政府委員 「考える会」につきましては、御指摘のような活動が始まっておるわけでございます。すでに三回ほど会合をお持ちになっているというふうに承っております。  それで、第二回目、九月二十日だったと思いますが、私どもの出席を求められまして、科学技術庁としての今後の「むつ」の開発問題についての考え方について意見を求められましたので、私どもの立場を御説明申し上げました。そういう状況でございます。  それで、結論が出た場合にどういう対応をするかということでございますが、この「考える会」の先生方としては十月いっぱいにはお考えをおまとめになるというふうに承っております。現在審議中の問題でございますので、御意見がまとまったところで、それに対して謙虚に適切に対応を考えたいという立場でございます。
  140. 安田隆明

    安田国務大臣 いまほど局長が御答弁申し上げましたが、先ほど関先生から、この「むつ」の定係港の問題については、地元の理解、協力を十分求めなさいよという厳しい御指摘がございました。そのとおりでございます。そして、われわれ党内におきましてと、こういうことでございます。これはもう御承知のとおり、自民党は大多数、すばらしい政策集団でございますから、いろいろな勉強をすること、考える会は、もうあってしかるべきことと、こういうことでございます。だからしてこれに耳を傾けなければならない。  これにどう対応するかということでございますけれども、本院の本会議でもって社会党の上坂先生ですか、代表質問で御質問があり、総理が答弁されたとおりでございます。おっしゃるとおり財政は非常に厳しい中でございますから、われわれは効率的な財政の運営ということには十分配意しなければならない、これは当然のことでしょう。そういう中において、総理が本会議答弁しましたとおり、内閣はそういう方針でもって今後ともこれに対応していく、こういうことで御了解願いたいと思います。
  141. 山原健二郎

    ○山原委員 もう時間が、ございませんけれども考えてみますと、第二船はいつできるかわからぬ。その第二船にしましても、恐らく今度の「むつ」の経験はそう役に立たないと思うのですよ。オット・ハーンの場合は一体型でありますけれども、そういう古い、しかも重い、しかも途中で事故を起こして、さらに三百五十トンも重くするような重量というものが果たして、第二船の建設が仮にあるとしても、それに耐えられるものではないと私は思いますね。そんなものに対して六百億の金を出して施設をつくる。その施設は、第二船がいつできるかわからないから将来使うか使わぬかわかりません。つくったものは公共用にするというふうにあなた方は書いておりますけれども、公共用になんかとてもなりません。いま、行政管理庁の監察結果が出ておりますように、公共用の埠頭で全く役に立ってないところがたくさんあるわけですからね。それを、ましていわんや「むつ」のためにつくったものが公共用になるなんということは夢物語です。  そう考えますと、しかも来年の予算は概算要求百十一億円が出ておりますから、私は本当に青森県民はたまったものではないと思うのです。実際、予算は概算要求が出ている。ところが、野党の中にももちろん反対の意見がある、また自民党の中にもこういう「考える会」が出てまいりまして、一遍見直さなければならぬ、こういうふうになってくると、これは余りにも愚弄した話だと思うのです。したがって、そういう意味で、「考える会」の人たちも公然と論議に参加をしていただいて、この問題については与党も野党も一緒になって、本当に、この財政難、行政改革等盛んに言われておる時期に、どうすればいいかという問題を考える必要がある。そこまで来たと思いますね。これが「むつ」のいまの実態だと思うのです。それをやたらに、いま関さんがお話しになりましたように、地元の実情も無視し相当無理ですよね。先ほど言いました組合員の資格認定なんというのは大変なことなんだ、そんなことを無理してやるような時期ではないと私は思います。私は、むしろこれは本当にむだ遣いだというふうにまで考えるわけでございますが、これについて御見解を伺いまして、私の質問を終わります。
  142. 高岡敬展

    ○高岡政府委員 新定係港につきましては、もちろん第一義的な目的は現在の原子力船「むつ」の母港ということでございまして、それが役に立つかどうかという御指摘でございますが、これにつきましては、確かに現在の「むつ」の設計というのは古うございますけれども、その設計いたしました設計値と運転あるいは運航をして確認されたデータとの対応をきちっとつけていくということが、第二船計画以降の研究開発を進める上できわめて大事なものだ、これは海外から購入することはできないものだというふうに考えております。  それから第二船の問題につきまして、誤解がないと思いますけれども念のために申し上げておきますが、現在の時点でいつどういうものをつくるという具体的な計画はございませんと申し上げたわけでございまして、二十一世紀初頭に原子力船の実用化を想定しておるということは、いつと具体的に申し上げかねますけれども、ある時期に第二船の計画は具体化すべきものだというふうに考えております。その母港としても関根浜の母港が使えるようにという配慮をいたしておるわけでございます。  それから、原子力船以外の目的のための用途でございますが、これにつきましても青森県としてもいろいろな検討が進んでおります。下北地域の開発との関連におきまして、ほかの目的への利用ということがいろいろ検討されておるわけでございます。こういった席で具体的に申し上げるところまで固まっておりませんけれども、関根浜を拠点にした北海道との間の高速フェリーの運航でありますとか、そういうことが構想としては議論の対象になっておるというふうに承知をいたしております。
  143. 山原健二郎

    ○山原委員 十分納得しませんけれども、時間がございませんから終わります。
  144. 永田亮一

    永田委員長 午後一時二十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時四十八分休憩      ————◇—————     午後一時二十分開議
  145. 永田亮一

    永田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。菅直人君。
  146. 菅直人

    ○菅委員 きょうは、この科学技術委員会におきまして、短い時間ですが、一つは遺伝子の組みかえの基準等について幾つかの質問をさせていただき、またもう一つは、時間があれば科学博について少しお聞きをいたしたいと思います。  まず、大臣に少し一般論お話を伺いたいのですが、私は、今回の第百国会で中曽根総理が所信表明演説をされまして、その中にこの遺伝子組みかえの問題が入っているのにいささか驚いたというか、何ともいろいろなことを言われるけれどもよくそこまで手が回ったなというか、そんな気も率直なところしたわけです。私は、科学技術というものは、その発展が人類にとって大変大きな夢を与え、また人間の幸せにつながるという面があると同時に、その扱い方を間違うと大変に大きな人類の滅亡の原因にもなりかねない。この委員会でずっと審議がされております核の開発の問題なども、まさに大変大きな可能性を持つと同時に、扱い方を誤れば大変に悲惨なことになりかねない。そういう意味では、この遺伝子組みかえといったような新しい分野も、そういった非常に厳しい問題があると思うわけです。  中曽根総理は、自分は先進国首脳会議で遺伝子組みかえについて問題提起した、こういった問題は方法を誤れば人間の尊厳にもかかわってくるというふうに所信表明で述べられておりますけれども、大臣の、この遺伝子あるいは生物科学等に対する、そういった面での基本的なお考えをお伺いしたいと思うのです。
  147. 安田隆明

    安田国務大臣 菅先生からいま御指摘、御質問がございましたけれども、いささかこれは私見でございますけれども、二十一世紀に向かって世界の最先端、それの最終の勝利者はだれになるのだろうかな、私はいろいろ考えてみればみるほど、このDNA、ライフサイエンス、この分野で最先端の知見を集積した者が最終の勝利者だ。それだけこれは分野は広いし、人類に与える影響はきわめて貢献度は大きいし、反面その道を誤るというとこれは大変なことになるということで、総理はあのような所信を述べているわけであります。だから、科学技術会議におきまして積極的にその線に沿ってわれわれは研究開発は努力いたしますが、その指針を誤らないように科学技術会議においても検討していただいている、こういうことでございます。私の考え方はそういうことでございます。
  148. 菅直人

    ○菅委員 それでは、その科学技術会議を通して審議をされ、出されております「組換えDNA実験指針」というものがここにありますけれども、一この指針がどういう法律的な位置づけをなされて、あるいはその拘束力といいましょうか、この指針に沿ってやらない場合にはどういうふうな、一種の制裁といいましょうか、そういうものが用意されているのか、この指針の法的な位置づけ等について説明をいただきたいと思います。
  149. 赤羽信久

    ○赤羽(信)政府委員 この指針は、科学技術会議が、まず昭和五十二年に第六号の答申としまして「長期的展望に立った総合的科学技術政策の基本について」、こういう総括的な答申がございますが、ここでまず指摘しておりまして、具体的には五十四年八月のいわゆる第八号「遺伝子組換え研究の推進方策の基本について」という答申で、安全性に十分慎重な対策を講じながら積極的に推進しろということが言われておるわけでございます。この答申に基づきまして「組換えDNA実験指針」、御指摘の指針を一応総理大臣の決定ということで定めたわけでございます。  これの運用に当たりましては、関係各省庁、それから研究機関、それから民間に対しましてはそれぞれのルートを通じまして周知徹底を図りまして、現在までは法律に基づかないでこの指針に従って行うよう指導しているわけでございます。
  150. 菅直人

    ○菅委員 文部省でも似たような指針のようなものが出されているというふうに伺っていますけれども、それとの関係についてはどうなっていますか。
  151. 赤羽信久

    ○赤羽(信)政府委員 この研究は大学系統がわりあい先行したということもございまして、文部省関係の学術審議会で学者同士が知識、実験結果を持ち寄りまして、まず指針の基礎をつくったという経過がございます。しかしながら、科学技術会議が全体的な指針の案を出しまして現在実行しておるわけでございまして、先ほど申し上げました関係各省庁、中には文部大臣も入っておりまして、文部省もこの指針に基づいて政府共通の指針でやっておるところでございます。
  152. 菅直人

    ○菅委員 先ほど、法律に基づかないで各省庁あるいはいろいろな機関に対して周知徹底をしているというふうにおっしゃいましたけれども、国立のいろいろなものについては直接の指揮権を総理大臣も持っておるわけですから、それはそれで法律にかわるべきものと見ていいのかもしれませんが、民間のいろいろな機関について、こういう実験をしているところはどういうところが一般的にあり得るのか、また、そういうところに対してこの指針の遵守といいましょうか、それを守っている状況というのはどのようにして把握をされているのか、その点についてお伺いしたいと思います。
  153. 赤羽信久

    ○赤羽(信)政府委員 民間機関に対しましては各関係大臣のもとで、あるいは直接には経団連等のルートを通じまして周知徹底を図っております。そしてその際、毎年実験の状況を私どもに報告するように促しているところでございます。法律に基づく行為ではございませんから、御指摘のように罰則に基づく担保はしてないわけでございますが、この問題が、先ほど御指摘ございましたように非常に注目を受けている。現在、指針にもございますように、明らかに危険の可能性がないという範囲に厳重にしぼってやっておるということでございますので、これに反したような行為は専門家の間でも許されるわけではございませんし、それからさらに、そのようなことを行えば社会的にも非常に批判を受けるわけでございまして、そういう意味では、私どもに対して全面的な情報、報告の協力が現在得られていると考えております。それからまた、必要に応じましては私どもは専門家を実験室に派遣しまして、そのとおり行われているということを確認しておりますので、十分守られているものと確信しておるところでございます。
  154. 菅直人

    ○菅委員 この分野というのは、一般的に製薬メーカー等がかなり新しい薬の開発に関連して実験をしているというふうに伺っているわけですけれども、そうしますと、たとえば製薬メーカーなんかに関しては、関係大臣ということですから、科学技術庁が直接やられるのではなくて、厚生大臣が監督責任を持っているというふうに理解をしていいのですか。  また、実験状況の報告は、各大臣のところに上がるのでしょうか、それとも科学技術庁まで上がってきているのでしょうか。
  155. 赤羽信久

    ○赤羽(信)政府委員 当面は、科学技術会議の意向を受けまして、科学技術庁が一括して総合的に見るという申し合わせを各省から受けておりまして、製薬メーカーあるいはその他生物を利用しますメーカー、すべて報告は私どもが直接受けております。もちろん間接的には御指導を各省庁にお願いしているわけでございますけれども、実験指針の適用状況、それからやったことの報告、これは直接現在のところ行っております。
  156. 菅直人

    ○菅委員 きょうは、この問題についてはそういった大きな事故というのはまだ聞いてはおりませんけれども、やはり中身が中身ですので、そういった民間機関の実施状況についてもぜひ十分に把握をされるようにお願いをしたいのです。  もう一つ、この実験指針の中で、基準が決まっていない六項目の内容があって、これを次第に緩和をするような方向にいこうというふうに聞いておりますけれども、何といいましょうか、順次改定されている改定がどういう趣旨で進んでいるのか、この問題とあわせてお答えをいただきたいと思います。
  157. 赤羽信久

    ○赤羽(信)政府委員 現在までの指針は、御承知のとおり、扱える生物の種類それからそれを扱う場合の物理的封じ込めと申しておりますけれども、設備、運用の仕方、大別してその両方になるわけでございます。  最近まで、五回の改定を行ってまいりました。これは生物の種類を拡大するということが主でございましたけれども、当初生物の種類を指定しましたのは、そのものの本質的な性質として危険性を持っていない、それからもう一つは、それに宿主—ベクター系として実験する必要性が明らかに挙げられている、そういう二つの条件で指定してきているわけでございます。したがいまして、安全性のデータがさらに深まってくるとか、あるいはもう安全であることがわかっていてもまだ必要性がないために掲げてなかったもの、こういったものが、内外の情報がふえるに従いまして順次追加されていくということでございます。その生物のビヘービアがわかってまいりますと同時に、物理的な封じ込めにつきましての段階も緩い方に移すことが可能であるということがはっきりしたものにつきましては、グレードを下げている。今後保もその方向、要するに内外の情報が集まり次第、確認しつつ基準を充実させていくという方向になるものと思われます。
  158. 菅直人

    ○菅委員 そうしますと、いま基準が示されていない六項目の項目についても、順次緩和をしていくという方向考えられるわけですか。
  159. 赤羽信久

    ○赤羽(信)政府委員 御指摘のように、この六項目は、まだはっきりしない、情報が十分でないということにつきまして個別に指導、具体的に申しますと個別の審査をしながらやっているわけでございます。そういう過程を通しましてだんだん知見が集積されていくわけでございます。集積された結果、一般論としていっていいという確認をした上で基準に組み入れていくわけでございます。御指摘のような方向になると思います。
  160. 菅直人

    ○菅委員 この問題、きょうはこの程度にいたしておきますけれども、この六項目についても中身を見るとなかなかいろいろ入っておりまして、組みかえ体の自然界への散布を含む実験、あるいは二十リットルよりも大きい規模の実験とか、あるいは脊椎動物等の遺伝子のクローン化実験ですか、最近ときどき映画などではクローン人間などということも出ておりますけれども、もしやるとするとこういったかなり心配なものもこういう中に入っているわけでして、そういう点は、これはこの委員会または科学技術庁ががんばられたからといってそれだけでなるものかどうかわかりませんが、科学技術の進展というものが核兵器を招くような形でこの遺伝子組みかえがまた変なものをつくり出さないように、ぜひ十分慎重に対応をしていただきたいと思います。  残りの時間を科学博についてお聞きをしたいのです。  科学博の準備状況について、特に輸送体系が、あそこまで行くのには常磐線と高速道路があるわけですが、また水戸街道か何かありましょうが、常磐線も一般的に言うと輸送量がかなり限界に近い、いまの状況ではそうだというように聞いておりますし、高速道路も部分開通でまだ東京までつながっていない状況だと思います。また、あわせて、宿泊施設などもどのような状況になっているのか、輸送体系、宿泊施設を中心に準備状況をお伺いしたいと思います。
  161. 赤羽信久

    ○赤羽(信)政府委員 まず輸送でございます。御指摘のように、やはり鉄道が一番大事になるわけでございますが、これは現在の常磐線、牛久と荒川沖両駅の中間に専用の臨時駅をつくる、そして、従来から国鉄に通勤輸送の改善計画がございまして、あの辺に参りますいわゆる中距離電車を、現在十二両のを十五両にし、回数も大いに増発してくれるということで取り組んでいきたい。道路につきましては、常磐高速道を首都高速道路につなげる工事を現在進めておりまして、これが十分に間に合って完成する予定でございますし、それから会場付近には常磐高速道に臨時の出口を設ける、それから会場の周辺の道路を整備しましてそこでつっかえることがないようにする、そういった配慮をいたしておるわけでございます。特に御注目いただいておりますのは、臨時駅から会場までスムーズに運べるかということでございまして、最近、連節バスというトレーラー型の大型バス、大ざっぱに申しまして鉄道車両約一両分に相当するような大きいバスを百台スウェーデンから導入し、一般のバスとあわせて運行する。このバスの通路にも広い専用の道、そして立体交差等の対策を講じまして、臨時駅から会場までスムーズに運べるようにという対策を進めておるところでございます。それにしましても、ある日、たとえば夏休み中の日曜日というようなピーク時にはかなりの混雑も予想されるものですから、できるだけ平日にも平準化して観客に来ていただくような策もあわせて必要かと考えておるところでございます。  それから宿泊対策でございますが、これは、端的に申し上げまして、茨城県内あるいは会場付近というのは宿泊能力が限られておりまして、やはり相当部分を東京に依存しなければならない。東京では収容能力はほぼ十分あると考えております。むしろ御指摘の輸送対策の方が重要であるということでございます。ただ、会場周辺の方も、繰り返して入場したいというお客さんもありますし、それから中で関係者が勤めるということもございますので、現在茨城県が音頭を取ってくださいまして、旅館、民宿、こういったものを強化し、かつ組織化する。それからさらに、新しい試みとしまして、ボランティア活動的な民泊提供ということも呼びかけておるという努力はしておるところでございます。しかし、大宗はやはり東京に依存しなければならないということでございます。
  162. 菅直人

    ○菅委員 あともう一つ、内外の出展計画の中で、外国からの出展が予想よりも少ないのではないかというふうな指摘もありますが、その点を一つと、それから入場者の予測ですね、どの程度の入場者が予測をされているのか。あわせて、もう前売りが始まっているようですけれども、前売り券の販売状況、この三点について伺いたいと思います。
  163. 赤羽信久

    ○赤羽(信)政府委員 外国出展、現在までにはっきりいたしましたのは二十一カ国、四国際機関でございます。これが少ないかどうかということでございますけれども、ちょうど来週から各国代表者会議というのを招集しておりまして、ここには現在六十カ国以上、なお申し込みがふえておりますけれども、出席が予定されております。各国がなり高い関心を持っているということでございますので、今後さらにふえていくと思います。ただし、大型出展国、いわゆる先進国でございますが、ここがほぼ出そろいまして、展示の内容の充実という観点からはすでに体制ができている。あとは、この博覧会の趣旨からしまして、できるだけたくさんの国々に参加していただきたいと考えておるわけでございますし、また、小規模の出展につきましては、負担が軽くなるような、たとえば会場の費用とかいうものが軽くなるような対策を講じて、さらに招請を進めるというふうに考えております。  入場の予測は、現在まだ、それを二千万人と申しておりましたのを変える要素が特にございませんので、まだしばらくはこれでやっていくという考えております。  前売り券の発売につきましては、約五千余りの店舗で委託してやっておりますので、販売結果は翌月末でないとわからない。九月十七日に始めたばかりですので、九月の売れ行きというのは十月末でないと集計できないわけでございます。しかし、いま協会等が電話等で感触を当たっておりますが、まあまあの売れ行きかなという感じでございます。もっと爆発的に売れてもいいんではないかという御指摘もあるようでございますけれども、世の中落ちついておりまして、そう熱狂的にならないという面があるかとも思われます。  それからもう一つ、二割引きということのメリットを受けようとする場合には、来年の二月十五日ですか、二月の半ばが締め切りになりますので、その近くになって、実際のメリットを追う需要というのはそのころ発生してくるのではないかと考えております。全体としまして特に悲観的なものとは考えておりません。
  164. 菅直人

    ○菅委員 もう時間もなくなりましたので、これで終わりにしますが、万博のときには予想の倍に近いといいましょうか、最初の予想から倍を超える入場者があったそうです。しかし海洋博では七割程度。今回は二千万という予測ですから、万博の当初予測の三千万に近い入場予測をされておるようですけれども、せっかくこういう科学博に相当の費用をかけてやられるのですから、できるだけ国民的関心が高い催し物にしていただきたいということは当然お願いをしなければいけないのですけれども、それに伴う、先ほど申し上げた輸送問題、宿泊問題、あるいはきょうは申しませんでしたけれども、それに関連するいろんな関連事業等について、時間的な問題もあわせ、あるいは時折いろんなうわさも流れ飛ぶこともありますけれども、公正な形でこういう事業が行われるように特に申し上げまして、私のきょうの質問を終わりたいと思います。
  165. 永田亮一

    永田委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後一時四十五分散会