○鈴木説明員 ただいま御
指摘になりました国政
調査でおいでになりました現地の各施設の
実情は、先生のおっしゃられたとおりでございます。
これらの施設の中で、少年鑑別所は、主としてこれは家庭
裁判所からの依頼に応じまして、少年の資質がどうなっておるのか、あるいはどういう問題を持っておるのかということを
調査いたしまして、その結果を家庭
裁判所に
報告する。これは家庭
裁判所だけではなくて、ほかの機関からも同様な依頼を受けるわけでございますが、そういう子供を直すということを直接の目的にはいたしておりませんで、そういう性格、資質等を、さっきの言葉の問題がございますが、鑑別する、こういうことを目的にしておるわけでございます。
ほかの二つの少年院と少年刑務所、その少年院の方は、家庭
裁判所から
保護処分としての少年送致を受けた者を収容して教育する。それから少年刑務所の方は、刑事裁判で有罪になって懲役あるいは禁錮になった少年を収容して刑の執行をする。しかし、刑の執行ではありますけれ
ども、基本は教育、すなわち真人間になって社会に帰すということを目指しておるわけでございます。先ほど松本少年刑務所長の
お話がございましたが、この所長さんは長いこと少年院の教官あるいは院長ということで
仕事をなさってきたわけでありまして、そういう少年院でやってきたことをこの少年刑務所でもやってみたいという理想に燃えて
仕事をなさっておるわけでございます。
少年院の教育につきましては、先ほど先生おっしゃいましたように、やはり厳しい面と、それから親身になって子供のことを
考えるという二つの面が必要であろうと思っております。現在、少年院に入ってくる子供たちの大部分について見ますと、一方では非常に放任されてきておる、あるいはやりたいことは全部できるような生活環境で育ってきておる。したがって、非常に自己中心的な面、それからだらしのない面、こういうのが多いわけでございます。それとともに、他方見ますと、この少年たちの多くは家庭ではのけものにされ、学校へ行きますと落ちこぼれということで邪魔者扱いにされる。そういう意味で、社会においてはだれも自分のことを
考えてくれないというような
状況のために、結局非行の道に走ったという者が非常に多いわけでございます。
そういうことでございますので、少年院におきましての基本的な
考え方といたしましては、一方では厳しいしつけをする、しゃんとさせるということを
考えますとともに、それはただ単に厳しくするということではなしに、本人に対する思いやりを十分に持った上で厳しい
措置をとるときは厳しい
措置をとる、それからさらに、愛情と申しますか、本人の気持ちを酌んでという面ではそういう温かい
措置をとるという、二つの面を中心に処遇を行っておるわけでございます。
これは戸塚ヨットスクールとの
比較という問題になりますけれ
ども、私
ども戸塚ヨットスクールの実態についてとやかく言うことはございませんが、私
どもにわかっております
範囲でも、これはもう暴力を使って、直そうという目的はあるのかもしれませんけれ
ども、暴力ということでやっておるわけでございまして、暴力を使っていろいろな矯正をするということは、この少年院の教育においては全く問題にならない。そういうことは絶対にすべきではないというように私
どもは
考えておるわけでございます。
それから、戸塚ヨットスクールと私
ども少年院に参ります少年との間には、これは対象も違いますし、親なら親が戸塚へ入れるか少年院に入れるかという選択を持っているわけでもございません。それから、戸塚ヨットスクールの場合は情緒障害児という自閉症等の情緒障害児が中心のようでございますが、少年院は必ずしも自閉症ではなく、むしろ自閉症というような子供は少ないわけでございます。ただ、少年院に入ってくる子供は多かれ少なかれ情緒障害を持っておるわけでございますので、そういう点についての配慮は十分していかなければいけないというように
考えておるわけでございます。
それから名前の問題でございますが、少年院につきましては、先ほど先生御
指摘のとおり、
法律上は少年院でありますが、組織法上の名前としては、何々学院であるとか何々学園であるとか何々寮であるとか何々の家であるとか、そういうものを使っておるのが約四割ございます。
それから、鑑別所につきましては、この鑑別という言葉がもうすでに戦前、昭和一けたの
時代から使われておる言葉でございまして、当時感化院から教護院というのに
制度が変わりましたときに、教護院の中へ鑑別機関を設けることができるというのが始まりでございまして、私
ども仕事をしております者の間では非常になれた言葉になっておるわけでございますが、ただいま先生御
指摘のように、鶏の鑑別というようなニュアンスも多少ないわけではございません。これは医学の面でも使っておる言葉でございますのでなんでございますが、そういう言葉を使っておるうちに汚れたりあるいは嫌な連想を生じさせるということは必ずしも好ましいことではございませんので、この点はまた先生の御示唆も受けながら、どういういい名前があるのかということを
考えてまいりたいと思っております。
それから、少年刑務所につきまして、すぐさま変えた方がいいということはちょっと私申し上げかねますけれ
ども、これも
一つの課題として
検討させていただきたいと思っております。