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1983-07-27 第99回国会 衆議院 文教委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年七月二十三日(土曜日)委員長の指 名で、次のとおり小委員及び小委員長を選任した。  義務教育学校等における育児休業に関する小委員       臼井日出男君    久保田円次君       高村 正彦君    坂本三十次君       中村  靖君    野上  徹君       船田  元君    三塚  博君       渡辺 栄一君    伊賀 定盛君       佐藤  誼君    長谷川正三君       鍛冶  清君    三浦  隆君       栗田  翠君    河野 洋平君  義務教育学校等における育児休業に関する小委員長            中村  靖君  幼児教育に関する小委員       石橋 一弥君    臼井日出男君       浦野 烋興君    狩野 明男君       久保田円次君    中村  靖君       西岡 武夫君    船田  元君       渡辺 栄一君    中西 績介君       馬場  昇君    湯山  勇君       有島 重武君    三浦  隆君       山原健二郎君    河野 洋平君  幼児教育に関する小委員長   西岡 武夫君  商業用レコード公衆への貸与に関する著作者等権利に関する法律案審査小委員       青木 正久君    石橋 一弥君       浦野 烋興君    奥田 敬和君       狩野 明男君    坂田 道太君       西岡 武夫君    野上  徹君       三塚  博君    中西 績介君       馬場  昇君    湯山  勇君       有島 重武君    三浦  隆君       山原健二郎君    河野 洋平君  商業用レコード公衆への貸与に関する著作者等権利に関する法律案審査小委員長                 青木 正久君 ────────────────────── 昭和五十八年七月二十七日(水曜日)     午前十時十五分開議  出席委員    委員長 葉梨 信行君    理事 石橋 一弥君 理事 狩野 明男君    理事 中村  靖君 理事 船田  元君    理事 佐藤  誼君 理事 三浦  隆君       青木 正久君    臼井日出男君       奥田 敬和君    久保田円次君       高村 正彦君    坂田 道太君       坂本三十次君    西岡 武夫君       三塚  博君    渡辺 栄一君       伊賀 定盛君    中西 績介君       湯山  勇君    有島 重武君       栗田  翠君    山原健二郎君       河野 洋平君  出席国務大臣         文 部 大 臣 瀬戸山三男君  委員外出席者         警察庁刑事局捜         査第一課長   三上 和幸君         警察庁刑事局捜         査第二課長   森廣 英一君         行政管理庁行政         監察局監察官  竹内 幹吉君         法務省刑事局刑         事課長     飛田 清弘君         外務省情報文化         局文化第二課長 松井  啓君         国税庁直税部所         得税課長    岡本 吉司君         文部大臣官房長 西崎 清久君         文部省初等中等         教育局長    高石 邦男君         文部省大学局長 宮地 貫一君         文部省管理局長 阿部 充夫君         厚生省医務局医         事課長     横尾 和子君         厚生省児童家庭         局育成課長   蒲地 清弘君         参  考  人         (日本私学振興         財団理事)   早田  肇君         文教委員会調査         室長      中嶋 米夫君     ───────────── 七月二十二日  一、日本学術会議法の一部を改正する法律案(第九十八回国会内閣提出第五七号、参議院送付)  二、児童生徒急増地域に係る公立の小学校、中学校及び高等学校施設整備に関する特別措置法案長谷川正三君外三名提出、第九十三回国会衆法第一号)  三、学校教育法等の一部を改正する法律案中西績介君外四名提出、第九十四回国会衆法第二号)  四、学校教育法の一部を改正する法律案中西績介君外四名提出、第九十四回国会衆法第七号)  五、公立障害児教育学校学級編制及び教職員定数標準等に関する法律案馬場昇君外四名提出、第九十四回国会衆法第一一号)  六、公立幼稚園学級編制及び教職員定数標準に関する法律案中西績介君外三名提出、第九十六回国会衆法第六号)  七、商業用レコード公衆への貸与に関する著作者等権利に関する法律案石橋一弥君外三名提出、第九十六回国会衆法第三七号)  八、文教行政基本施策に関する件  九、学校教育に関する件  一〇、社会教育に関する件  一一、体育に関する件  一二、学術研究及び宗教に関する件  一三、国際文化交流に関する件  一四、文化財保護に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  文教行政基本施策に関する件      ────◇─────
  2. 葉梨信行

    葉梨委員長 これより会議を開きます。  文教行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。臼井日出男君。
  3. 臼井日出男

    臼井委員 自民党を代表いたしまして、幾つかの質問をさせていただきたいと存じます。  今日、青少年非行を初めとして、私学、教科書、学制等わが国教育に関する記事が毎日のように新聞紙上をにぎわしておるわけでございます。このことは今日の教育に対する国民関心の高さを示すと同時に、わが国教育界が抱えているさまざまな問題を端的に示しているというふうに思うわけでございます。このように国政の最大の課題の一つであるわが国教育が今日、直面をしている問題について、具体的な例を挙げて御質問をさしていただきたいと思いますが、冒頭に、文部大臣おいででございますので、こうした一連私大不祥事件について大臣の御所見をお伺いをしておきたいと思います。
  4. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 お答えをいたします。  私は、申し上げるまでもなく、教育というものは、人間社会を構成する、人間教育するといいますか、育てるといいますか、そういう意味でありますから、人間社会においては最も大事な部署であると思います。  その教育行政を担当する責任者といたしまして、いま臼井さんから御指摘のように、最近、国公立その他にいわゆる学生非行あるいは暴力問題あるいは私学等をめぐる一連の忌まわしい問題、国民皆さんに非常に関心を持たれ、なお非常に心配をかけるような事態が起こっているということについては、まことに申しわけないことだと思って、非常に遺憾なことだと思っております。  私は、教育国家社会基礎条件である、かような認識に立っておりますが、このままではいけない。これほど問題になりますのは、いま御指摘のとおりに、国民皆さん教育が大事であるという視点から、重大な関心を持っておられるというあらわれであると思いますので、これはわれわれももちろんでございますが、衆知を集めてこの対応策を考え、正常な教育をつくり上げなければならない、かような考えでおりますことを申し上げておきます。
  5. 臼井日出男

    臼井委員 続きまして、最近起こりました私大不祥事件、このうち本日は、九州産業大学の問題、国士館大学の問題、東京医科歯科大学の問題、この三点についてお伺いをいたしたいと思っております。  初めに、九州産業大学補助金不正受給問題について、お伺いをいたしたいと思っております。  本委員会でも取り上げられて、いろいろ議論をされてまいってきているわけでございますけれども、この不正受給一連の問題、そして不正隠し、このことは私学に対する不信というものを非常に増幅させていると私は考えております。私大経理問題については、いわゆる四つ監視の目というものがあるわけでございますけれども九州産業大学において六年間も引き続いて不正受給が行われてきている。このことは、経理に対する監視体制が甘い、こう言われてもいたし方ないと思うわけであります。こうした点について、何か改善策があるかどうか、お尋ねをしたいと思います。
  6. 阿部充夫

    阿部説明員 お答えをいたします。  学校法人中村産業学園に関しまして、日本私学振興財団からの経常費補助金受給について不正があったということを初めといたしまして、当該法人につきまして、学校法人運営上いろいろ問題を生じてまいりました。まことに遺憾に思っておるところでございます。文部省といたしましては、すでに私学振興財団とも御相談をいたしまして、この補助金関連いたしましては、二十五億円の返還を命じ、すでにそれを返還させておるということのほかに、理事体制の刷新を含めます数項目について厳しい指導を行い、現在その実現を促している途上でございます。それにいたしましても、このような事態が起こったということはまことに遺憾なことでございますので、文部省私学振興財団、協力をいたしまして、補助金交付等関連事業につきましてこの際見直しを行い、一層厳しい状況をつくり上げていこうということで努力をしておるわけでございます。  補助金交付関連をいたしましては、現在までの補助金交付方法改善を加えまして、たとえば各学園から補助金交付に当たってのヒヤリングを一層慎重にやるとか、あるいは現地調査を従来以上に回数をふやして実施をする等々のことも検討しておるところでございます。また、こういった不正に対する制裁措置強化というようなことも現在検討をしておるところでございます。その他、学園自体の中での、先生おっしゃいました四つ監視の目という話がございましたけれども、中での監査機能というものを十分充実していく必要があるということで、監事あるいは評議員といったような監査機関があるわけでございますけれども、こういった機関方々努力を促す意味も持ちまして、今年度からすでにこういった方々を集めまして、言葉が適切かどうかわかりませんけれども研修会のごときものも開始をいたしておるわけでございます。その他、公認会計士による監査ということがあるわけでございますが、公認会計士協会の方とも密接な連絡をとっておりまして、協会の側からも各所属の公認会計士あるいは監査法人に対しまして、厳正に対処をするようにということを促していただいているというようなことをあわせて行っているわけでございます。その他、この機会に私学関係のいろいろな問題について検討を加え、改善すべきは改善をしてまいりたい、このような決意でおる次第でございます。
  7. 臼井日出男

    臼井委員 いま私は、監査機構の甘さということを御指摘をしたわけでございますが、いま一つの原因として、いまお話もございましたけれども、不正に対するペナルティーの甘さということが指摘されると思います。たとえば、漏れ伺いますと、今春の九州産業大学につきましては、補助金辞退をしている。こういうことによって不交付処分というものを逃れることができるのだというふうなことも聞いております。こういうことでありますと、制度の実効というのは上がらないわけであります。こういう点についてどう考えておられましょうか。
  8. 阿部充夫

    阿部説明員 不祥事等を起こしました者に対する制裁措置でございますけれども、御案内のように、これまでの仕組みといたしましては、補助金に絡む不正等がございました場合には、過去にさかのぼって補助金相当額利息等を付して返還を命ずるというような仕組み中心実施をしてまいりました。またそのほかに、こういった事由によりまして不交付となった場合には、翌年度以降数年間は交付をしないというような原則も設けておるわけでございます。しかしながら、この原則につきましても、事前に辞退をする等のケースもあるというようなこともございますし、それからまた、毎年毎年の補助金交付でございますので、その年度年度末になって初めて、ことしはこの大学には交付しないということが決まるというような点で、私どもも、現在考えてみますとやや歯がゆいような仕組みでもあったというふうに反省をしておるわけでございまして、現在検討しております厳正な措置といたしましては、問題を起こした大学に対しましては今後何年かの間にわたって補助金交付しないという原則を明確にする、そういうことの決定をあらかじめその時点で行うというようなことで、そういうことを行うことによりまして問題の解決と、文部省指導事項等実現ということを促進するためにも役立とうかと思っておるわけでございまして、そういった方向で、あらましそんなことを考えておるわけでございますが、いま、私学振興財団の方と具体的な措置についての御相談をしているところでございます。
  9. 臼井日出男

    臼井委員 私どもといたしましては、こうした不正な事件が再び起こることのないように、補助金審査方法改善不正受給等に係る制裁措置強化、いまお話もございましたけれども、そうしたものを一層図っていく必要があるというふうに考えております。また、この事件をきっかけに学内でいろいろごたごたがあるように聞いております。同大の正常化が一日も早く図られるように文部省として大学指導すべきであると考えておりますが、いかがでしょうか。
  10. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 いま管理局長からもお答えをいたしましたが、私といたしましては、たび重なる私学関係のいろんな運営上といいますか経営体制の問題とか、あるいは補助金受給の問題、経理の問題、忌まわしい事件が重なっておりますから、従来の行政あり方あるいは私学振興財団あり方では、どこかに欠陥があるのじゃないか、こういう観点から再検討を進めておるわけでございます。特に、御承知のとおりに、つい先般行政監察関係行政管理庁から、私学補助金行政等について各般の指摘がなされております。私学全般がそうであるとは私は思いませんし、また思いたくないのでございます。しかし、社会では私学全般がそうであるかのごとく疑念を持たれてもやむを得ないという状況がある。これでは、教育という面について非常に残念至極でありますから、私学重要性もあるわけでございますので、この際これを立て直すにはどうあるべきかということで関心を持って、それこそ大学、高校、幼稚園に至るまで全私学関係に一種の通達を出しまして、そしてそれに自信を持って対応できるのかどうか、あらかじめ警告を発しております。そして、先ほど申し上げましたように、振興財団あり方についても再検討しておりますが、もしそういうことに違背した場合は将来にわたって私学助成は打ち切る、こういうくらいの決意を持ってやりたい、かように考えておるわけでございます。
  11. 臼井日出男

    臼井委員 いま、大臣の強い御決意を伺って、私も非常に心強く感ずるものでございます。こうした一連事件によって私学一般国民から誤解をされることのないよう、文部省としても一層の御努力をお願いいたしたいと思います。  次に、国士館大学問題についてお伺いをいたしたいと思いますけれども、先日安高常務理事が刺殺されるというまことに不幸な事件が起きたわけでございますけれども、その背景には、大学運営についていわゆる十年戦争と言われている不正常な状態が続いてきたというふうに指摘されております。文部省は、伝えられている教職員人事問題等、いままでの大学運営実態について大学から何か報告を求めているでしょうか。また、その内容はどうでしょうか。また、報告に基づいてどのような指導を行ったか、お聞かせいただきたいと思います。
  12. 宮地貫一

    宮地説明員 国士館の問題については、まことに御指摘のような大変遺憾な事態があるわけでございますが、従来の経緯でございますけれども、五十三年四月でございますが、国士館大学教職員から、柴田総長教授会意向を無視した独断的決定が多いというような事柄学生の引き起こした暴力事件が多発しているということなど、不正常な大学運営が行われているということにつきまして、その改善方について文部大臣あて上申書が出されたわけでございます。それに基づきまして、大学側から事情聴取を行いまして、同年六月に柴田総長に対しまして、当時混乱しておりました政経学部教授会正常化学内規程整備と運用の適正、教職員の身分の慎重な取り扱い及び手続の厳正、入学者選抜の公正、学生暴力行為根絶等いわゆる六項目につきまして指導いたしたわけでございます。  その後の状況でございますが、教授会正常化入学者選抜公正等一応の解決を見ているものもございますし、また学生暴力事件が、たとえば五十年度二十九件でございましたものが、五十五年度は二件、五十七年度は一件というようなことで、減少をしているというようなことなど、改善を見ている事柄もあるわけでございます。しかしながら、なお残されている問題が多いことから、残された問題中心専任理事から事情を聞き、さらに五十六年二月に柴田総長を呼び事情聴取を行って、必要な指導を行ってきたところでございまして、経理規程等の若干の規程整備が行われてきたというぐあいに聞いております。  五十六年、七年、八年度において、教員の昇格、学部長発令等について理事者側教授会決定を長期にわたって保留するなどの問題がございまして、毎年数回にわたり専任理事から事情を聞くとともに、円滑な人事処理等、直接教育研究に携わる教学側意向を尊重して教員人事を行う学内のルールの確立について指導をしてきたところでございます。  以上でございます。
  13. 臼井日出男

    臼井委員 ブラジル等武道館建設するという目的国外送金が行われているというふうに聞いておりますが、その実態について何か掌握しておるのでしょうか。
  14. 阿部充夫

    阿部説明員 ブラジル等の問題でございますけれども国士館大学側から数回にわたりまして事情等を聴取いたしました結果、概要を申し上げますと、昭和五十五年度から五十七年度までの間に海外で、ブラジルエジプトアメリカと三つあるわけでございますけれどもブラジルに関しましては武道館建設するということで、その経費として約十億円、それからエジプト関係、これはエジプトのカイロでございますけれども同様に武道館建設するということで約三億四千万円余り、それからアメリカ関係武道館ではございませんで、国士館大学アメリカに置かれております支部建物を購入するということの経費として一億一千万円余り、こういったことで合計約十四億円余り国士館大学から海外送金されておるわけでございます。  このうちブラジル関係につきましては、武道館というような施設国士館大学みずからがブラジルに持つということが現地の法制ではむずかしいという事情があるそうでございますので、そのために現地におきまして現地法人をつくりまして、その法人建物として武道館建設を行ったということでございまして、国士館からその法人に対しまして送られました約十億円は貸付金ということで国士館側の方では処理を行っておるものでございます。いずれもすでに武道館建築が終わって動き始めているというふうに聞いております。  それからエジプト関係につきましては、これまた武道館建設でございますが、これにつきましては国士館大学そのもの施設現地につくるという考え方でございますので、そういう経費として送金を行っておりまして、現地で現在建築が行われている途上にあるというふうに理解をしております。  それからアメリカ関係につきましては、支部建物ということで一億円余りのものをすでに購入いたしまして、支部建物として使用されているというような状況でございます。  私ども文部省といたしましては、こういった武道国際交流というようなことを念頭に置いての事業というのは、武道あるいは体育にかなり中心的なウエートを持たせております国士館大学というものの性格から見て、一概に非難すべきものではないというふうに考えておるわけでございますが、それにいたしましても、これだけ多額の経費を先方に送るにつきましては、大学財政状況、特に本体である大学教育研究等に支障がないかどうかといったような点あるいは将来の全体計画についての十分な検討といったようなことが十分行われて慎重に行われるべき性格のものであるというふうに考えておるわけでございまして、そういった点からは遺憾ながらそういう慎重な検討が行われ全体計画が明確になっているという状況とも認められないわけでございますので、そういった点から国士館大学当局に対しましては、慎重に対応するようにということを指導を続けているところでございます。
  15. 臼井日出男

    臼井委員 私の調べたところでも、いまお話があったようなブラジルエジプトニューヨーク送金がされているわけでございまして、いまお話がございましたとおり、武道振興それ自体は何ら目的として不都合なことはないわけでございますが、たとえばブラジル送金の十億四百万円の中で体育館建設土地買収費、それ以外に使途不明金と言われるものが三億四千万円もあるというふうに言われております。またエジプト送金の三億三千万円、この送金はされているけれども、実際上現地ではまだ土台しか建っていないというふうに聞いております。また、ニューヨーク送金の件につきましても、支部をつくるという名目で土地家屋を購入した。この登記総長個人名義になっているというふうなことも聞いております。こういうことになってまいりますと、本当に総合大学としての自主的な計画がこういうことでやっていいのかということも非常に疑念が持たれるわでけございます。  こうした使途不明金等について文部省では何か掌握しているでしょうか。
  16. 阿部充夫

    阿部説明員 ただいま御指摘のございました使途不明金というようなケースにつきましても、文部省として大学当局には再三問い合わせをいたしておりますけれども、それからまた、そのほかにも現地へ送ったお金が送り返されてきたのではないかというような御指摘もあったりいろいろなことがございまして、問い合わせをし、確認をいたしておりますが、そのようなケースはないということで大学からの回答を得ておるわけでございます。  なお、ただいまのニューヨーク個人名義登記云々ということにつきましては、私もただいま初めて伺いましたことでもございますので、そういった点を含めまして国士館大学側からさらにこういう関係につきましての事情聴取は進め、事態が正常なものとして運営されるように努力をしてまいりたい、かように考えております。
  17. 臼井日出男

    臼井委員 一刻も早くこうした疑問の点が解決されるように当局の御努力をお願いいたしたいと思います。  先般、新聞報道によりますと、瀬戸山文部大臣はこうした一連不祥事に対して、私立学校法による学校法人解散命令、そういったものも含めての強硬な行政処分をもって臨むというふうな記事が出ておりました。この記事の真意と、また、こうした一連不祥事に対する文部大臣としての事に当たる御決意をひとつお聞きいたしたいと思います。
  18. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 一部新聞に、九産大のことでしたでしょうか、何か解散命令云々ということを私が考えておるような記事がありましたことは事実でありますが、私はさような発言もしておりませんし、さような感触を示したこともございません。私立学校でございますから、文部省指導監督をできるには限度がありまして、率直に申し上げて歯がゆいような感じがいたしますが、直接強硬な手段を講ずることがそう簡単にできる制度ではございません。  しかし、先ほど来申し上げておりますように、私学の経営体系あるいは経理体系その他、忌まわしいことがありますし、私学重要性を認めて貴重な国民の税金をもって助成し育成しておるわけでございますから、こういうだらしのない状況ではいけない、こういう考えから先ほど申し上げたような措置も進めておるわけでございますが、法令上といいますか法規上可能な限りの処置をしたい、かような考えを持っておりますけれども、直ちに解散命令というのはそう簡単にできるものではありませんし、また、多数の学生のおることでありますから、そういうことも考えながら学校に対しては対応しなければならない、かように考えておるわけでございます。
  19. 臼井日出男

    臼井委員 文部省がし得る行政処分、いろいろな段階があるというふうに考えられるわけでございますが、第一段階ということであるならば、大学の健全化というものを目指して役員の退職勧告等が考えられますけれども、この国士館大学の現況についてこうしたことがあり得るかどうか、お伺いをしたいと思います。
  20. 阿部充夫

    阿部説明員 国士館大学のこのたびの安高理事の刺殺事件に関しましては、先生御案内のように、現在、司直の手によりまして捜査が進められている段階にあるわけでございまして、文部省といたしましてもすでに関係理事等に何回か来省を願って事情聴取等を開始いたしておりますけれども、全体の状況、背後関係等々を把握するまでにはまだ至っておらないわけでございます。今後、こういう関係につきまして全体の事実関係を十分把握した上でこれに対する対処の手段は考えなければならないと考えておりますので、現在の段階でどういう措置をとるかということについてはお答えを差し控えさせていただきたいと思うわけでございますが、事実関係に即しまして厳正に対処をするという基本精神だけは持っておるつもりでございます。
  21. 臼井日出男

    臼井委員 かつて昭和二十九年には、名城大学紛争事件というのがあったわけでございますが、この際には、紛争解決のために政府が二年間の時限立法をつくってこの紛争を解決したこともあるわけでございます。やはり政府の毅然とした行政の姿勢というものがこうした紛争解決のきわめて有力なかぎになると私は思います。ぜひとも一層の文部当局の御努力をお願いいたしたいと思います。  こうした九州産業大学問題、国士館大学問題等、私学不祥事が相次いでいるわけでございますけれども、こうした事態が再び起こることのないよう、全私学に対して注意を喚起するなど積極的な指導を行う必要があると思います。先ほど大臣からも御発言がございました、また私学に対する社会的な不信感を払拭するため、私学関係団体の自主的な対応を要請していく必要があると思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
  22. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 先ほど申し上げましたように、どこそこの私学ということでなくて、全私学に対して連絡をとり、さような反省を求め、自粛を求め、そしていわゆる教育の本領を発揮してもらいたいという趣旨で措置をとる方針でおります。と同時に、各種私学連合会がありますから、近くそういう連合会の代表者と懇談する機会を持つようにしておりますから、十分話し合いをいたしたい、かように考えておるわけでございます。
  23. 臼井日出男

    臼井委員 先般、行政管理庁で私立大学、私立高校への国の経常費補助金実態について監察を行ったというふうに聞いております。その結果、そしてこれに基づいていかなる指導を行ったか、お聞かせいただきたいと思います。
  24. 竹内幹吉

    ○竹内説明員 行政管理庁におきましては、昨年の四月から六月までの間に学校法人に対します実態調査、それから九月までの間に私学振興財団調査を行っておりまして、その結果につきましては、去る七月四日に文部大臣に対して勧告を行ったところでございます。  勧告の概要でございますが、最近、学校法人の経営は非常に改善されてきている、しかし、こういった国家財政が非常に厳しい折でございますので、経常費補助金については当分の間総額を抑制することとしてその見直しをすること、それから補助金の配分基準につきまして、その減額、増額の調整が不十分なものとなっておりますので、その見直しをすることなどを求めております。このほかに、補助金交付事務の改善あるいは学校法人の会計経理や管理につきましてその適正化の指導、こういったことについても指摘いたしております。
  25. 臼井日出男

    臼井委員 こうした御指摘文部大臣の方にもすでにお話が通っておるようでございますので、こうしたことを踏まえて一層の御努力をお願いしたいと思います。  いままで二つの大学不祥事について質問をしてきたわけでございますけれども、こうした事件を一刻も早く根を絶ちまして、教育というものが本当に国民の信頼を回復できるような、そういうことを私も望んでやまないものでございます。  と同時に、こうした一部不正事件というものをてこに、昭和五十年にできました私学振興助成法に基づきまして、その精神によって発展をしてまいりました私学助成の本旨というものがなおざりにされて、いたずらに私学経常費補助の削減というものが取りざたされるということがあってはならないと私は思います。この際、私学振興に対する大臣の御所見をお伺いをしておきたいと思います。
  26. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、教育はまさに国家社会基礎条件であると考えております。わが国ではその教育の大半を担っておるのがいわゆる私学でございます。でありますから、いかに私学わが国社会、経済、文化の構成に重要な役割りを果たしておるか、この認識に立って政治といいますか文教行政をすべきであるという前提に立って物を考えておりますが、それにいたしましても、私学の中で、先ほど来問題になっておりますように、また行政管理庁から指摘されましたように、行政管理庁指摘は、たくさんの私学でありますから、当然のことでありますが、これはサンプル調査であります。その中でもあれほどの指摘があるくらいでありますから、全部は疑いませんけれども、その他にもあり得る問題であるという考えから、私は、全私学に対して先ほど来の措置をとる、こういうことにしておるわけでございますが、それはなぜかというと私学を重視するからであります。そういう意味でありまして、こういう事態があるから私学を軽視して、私学に対する助成を軽視すればいいというわけにはまいらない。ただし、その助成をする効果が国民の期待にこたえられるようにならなければ、貴重な国民の負担にかかわるわけでございますから、その点を十分明確にするという措置をとって今後進めたい、かように考えておるわけでございます。
  27. 臼井日出男

    臼井委員 次に、東京医科歯科大学の問題についてお伺いをしたいと思いますけれども、今朝の新聞を見ましても、また新しく酒井博士がお金を贈った選考委員がいるというふうな記事も出ておりまして、ここのところ毎日毎日状況が変わってきているわけでございます。現在、この問題について文部省が把握している事実関係をお聞かせをいただきたいと思います。
  28. 西崎清久

    ○西崎説明員 今回の事件大学自治の根幹にかかわる教授選考についての問題でございまして、当該大学事態を深刻に受けとめて、報道がなされましてから、直ちに第一外科教授選考過程調査委員会を設けまして、みずからの手による事態の解明ということに努力を傾けておるところでございます。  四回の調査委員会が開かれまして、その結果、私どもが現在報告を受けております内容は、まず第一点で、教授選考の過程で酒井昭義氏から選考委員である池園教授に対し、五十八年二月九日、池園教授室で三百万円の金銭が渡され、その金銭は三月三十日に返却されたということについては両当事者の意見も一致しておりますし、調査委員会においてもこれが事実であるというふうな確認をいたしておるということが第一点でございます。  それから第二点で、報道で伝えられております百万円の授受につきましては、調査委員会調査の経過では、事実の確認がまだできていないというふうに聞いておるわけでございます。これらの点につきまして、金銭の授受の目的その他、まだ調査委員会として今後解明をしなければならない問題が残っておるわけでございまして、私どもとしてはなお医科歯科大学において調査委員会を続行しまして、そして事態の解明をもう少し詰めてもらいたいというふうな考えでおるわけでございます。  それから、先生お話ございました本日の紙上で報道されましたもう一人の教授にかかわる疑惑の問題、この点につきましては、本日十時から調査委員会が開かれる予定になっておりまして、私どもがけさ聞いております範囲では、当該教授を調査委員会に呼んで、本日報道の事実関係について調査解明に努めたい、こういうふうに承知しておるわけでございます。  以上でございます。
  29. 臼井日出男

    臼井委員 いまお話がございましたけれども大学には現在、第一外科教授選考過程調査委員会というものが置かれているというふうに聞いております。同委員会の権限はどの程度のものなんでしょうか。また、いまお話ございましたけれども委員会による調査過程についてお聞きをいたしたいと思います。
  30. 西崎清久

    ○西崎説明員 ただいま先生のお話の第一外科教授選考過程調査委員会教授会によって設けられたものでございまして、その任務は本件に関する事実関係調査検討を行い、これを教授会報告することということになっておるわけでございます。したがいまして、先週末までに四回の調査委員会をやりました結果は、日曜日の教授会報告をしたというふうな経緯になっておるわけでございますが、私どもは一昨日、大学学部長その他関係者と人事課あるいは大学局の担当官が協議を行いまして、なお調査委員会において検討すべき事項が残っておる、紙上では、調査委員会があるいはこの段階で調査を中止するのではないかという一部報道もございましたが、なお調査委員会はその任務に基づいて調査を続行するということの確認をいたしまして、さらに、先ほど申し上げましたように、本日も調査委員会を行い、その結果の解明に努め、随時教授会報告をする、こういうふうな形で今後の作業が進むというふうに理解しております。
  31. 臼井日出男

    臼井委員 いまお話ございましたように、四回の調査というふうなことでございます。新聞を見てみますと、警視庁の事情聴取等と調査委員会調査新聞記事が一緒になっておりまして、事情聴取というから警視庁かなと思うと、実はそうじゃなくて、学内調査委員会のものだったというふうなことでありまして、どうも調査委員会が結論を急ぎ過ぎていると新聞にも出ておりました。したがって、事実関係新聞等で毎日くるくる変わっているわけでありまして、こういう状態はむしろ国民の不信感を増幅させているというふうな感じもあるようであります。したがいまして、私は、これからの調査委員会調査、こうしたものは非常に慎重を期すべきだというふうな考えを持っておりますが、この点についてはいかがでしょうか。
  32. 西崎清久

    ○西崎説明員 調査委員会設置の際には、当面三週間を目途に調査の結果の結論を出したいということで発足しておったわけでございます。しかし、ただいま先生御指摘のように、いろいろな事態が予測されざる事態として起きておる現状でございます。したがいまして、恐らく日時を三週間と限ることなく、しかもその事態がいろいろと動いておるわけでございまして、これらに合わせて調査委員会は慎重に検討をいたさねばならないということであろうかと思います。  ただ、国民の皆様が大変関心を持っておられる事態でございますし、調査委員会調査のプロセスについては、学部長その他が中心になって記者会見等でいろいろとお話をしておるわけでございますが、事態の解明に支障のない限りにおいてはお話をするという姿勢を保ちつつ、しかし慎重な姿勢で事態の解明に当たる、こういう心構えは御指摘のとおり必要かと存ずる次第でございます。
  33. 臼井日出男

    臼井委員 仮に伝えられている金銭の授受、これが事実だとするとどのような法的措置が考えられるのでしょうか。
  34. 西崎清久

    ○西崎説明員 金銭の授受につきまして、調査委員会報告におきましても、三百万円に限りましては受け取ったということ、返還したことということの事実は確認されているわけでございます。大学の教授として、教授選考にかかわる一つの金銭の授受があったということは大変重大な事態でございます。国家公務員法に基づく懲戒事由に該当するということも考えられるわけでございまして、評議会におきまして処分小委員会というものが先般設けられまして、池園教授にかかるこれらの件について、大学として懲戒処分の事由に該当するかどうか、該当すると考えられる場合にどのような手続をとるかということについては、処分に関する小委員会でこれからの検討が行われるというふうに私どもは理解をしておるわけでございます。  一方、池園教授から辞職願が出ておることは御承知のとおりでございますが、学長がこれは一時預かりということになっておるわけでございまして、仮に懲戒処分が行われる場合には、この辞職願の受理は行われないというふうな道行きになろうかというふうに考えております。
  35. 臼井日出男

    臼井委員 教授選考、特に医科系教授選考については他にも同様のことが行われているやに報道されております。文部省はこうした疑惑を国民に与えないよう、何らかの対応をすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  36. 宮地貫一

    宮地説明員 医学部、特に附属病院の管理運営等につきまして、従来から御批判なり御叱正をいただいている点についてはまことに遺憾に存じておるところでございます。それらの点については、従来からもいろいろな機会をとらえまして、関係者に対して指導助言を行っておるわけでございます。ただ、今回の件は、先ほど官房長からもお答えしましたように、従来とは異なりまして、いわば大学の自治の根幹にかかわる教授選考に関して金品の授受があったというようなことで、きわめて深刻に受けとめているわけでございます。私どもといたしましては、今回のような事例がほかにもあるとは、現時点では承知もしておりませんし、決してそのようなことはないものと確信をいたしておるわけでございます。しかしながら、今回の事件の報道を契機としてそのような疑惑が持たれるに至っているということもきわめて遺憾なことでございまして、私どもは今回の件については、大学当局がその自浄能力を発揮して厳正に対処することにより、大学の自治に対する社会の信頼を回復することが最善の解決策であるというぐあいに感じております。私どもといたしましては、引き続き大学当局の対応を見守りながら、適時適切な指導助言を行ってまいることにいたしたい、かように考えております。  なお、従来から医学部あるいは病院の問題について御指摘のありました点については、先ほども申し上げましたように、機会あるごとにそのことについて注意を喚起してきておるわけでございまして、五十五年以降で申せば附属病院長会議でございますとか、学長会議の機会でございますとか、医学部長会議というような機会に、あらゆる機会をつかまえまして、私どもとしては趣旨の徹底について、いわゆる綱紀の粛正について、五十五年以降二十数回にわたって、いろいろな会議の機会に徹底を図っているわけでございます。  なお今回のこの問題については、ただいまのところ、先ほど申しましたように、大学当局大学の自治に対する社会の信頼を回復することに最重点を置いて取り組んでいただいているわけでございまして、他の大学に対しましても、それらの点については厳に大学の自治を損なうことのないような対応で臨むように私どもとしてもいたしたい、かように考えております。
  37. 臼井日出男

    臼井委員 次に、戸塚ヨットスクールのことについてお伺いをしたいというふうに考えております。  戸塚ヨットスクールは、家庭内暴力をふるう情緒障害児等にヨット訓練を施すことによって社会復帰を目指す訓練施設というふうに理解をしているわけでありますけれども、この実体は株式会社でありまして、したがって、文部省としては直接関与するところではないというふうなことも聞いておりますけれども、しかし、現実に学齢期児童が中に収容されておったりするわけでありますので、当然、こうした暴力事件で死亡者まで出すという事態に至ったときには、文部省はそれなりの対応をすべきであるというふうに考えておりますが、いかがでしょうか。
  38. 高石邦男

    ○高石説明員 いまお話のございましたように、株式会社方式で、登校拒否であるとか非行のある子供ないしは家庭内暴力等を起こす者を中心に収容しているというふうに新聞でも伝えられているわけでございます。ただわれわれといたしまして、直接にその学校について、学校という形態での運営をやっていないものですから、調査をし、具体的な内容を掌握するということができない現状でございます。いま御指摘のありましたように、中学生ないしは高校生で在学している子供が登校拒否をして学校に来なくてそういう施設に行っているというような点については、学校教育の側から対応すべき問題があるというふうに考えているわけでございます。  ただ、学校側といたしましては、現に学校に来ない登校拒否の子供がどういう状態でいるかということがなかなか掌握しにくいということで、これは家庭との協力関係を一層密接にして、そういう児童生徒がいることの実態把握にまず努める、そして努めて、その状況がわかった段階で、その児童生徒に対しては、学校の場で教育という形でできるだけ正常な形での学校教育が受けられる状態に努力をしていくということが必要であり、また非行その他の問題につきましては、教育的な配慮を加えながら対応していくということが基本的に必要であるというふうに思っているわけでございます。
  39. 臼井日出男

    臼井委員 この問題については未成年者が当然入っているわけでございますので、児童福祉法上の問題もあろうかと思いますが、その点についてはいかがでしょうか。厚生省からどなたか見えていますか。
  40. 蒲地清弘

    蒲地説明員 戸塚ヨットスクールの問題につきましては、従来から愛知県当局に対しまして、警察当局等とも連絡を密にして、入所児童の状況、入所児童の親の状況など、実情の把握に努めるよう指示してきたところでございます。愛知県当局におきましては、児童福祉、教育、警察等の関係部局から成ります青少年対策本部が中心となりまして対応しているところでございます。  児童福祉サイドにおきましては、戸塚ヨットスクールの所在する愛知県美浜町を管轄する半田児童相談所におきまして、入所児童の調査等を行うとともに、逃亡児童の一時保護及び保護者に対する指導等に力を入れているところでございます。今後とも入所児童の実態を十分に把握いたしますとともに、その状況に応じまして、一時保護所への保護あるいは情緒障害児短期治療施設等への収容など適切な措置が講じられるように十分配慮してまいりたいというふうに考えております。
  41. 臼井日出男

    臼井委員 この所管がはっきりしないので、私ども質問に非常に困るのですが、たとえば厚生省あたりでも、一体未成年者がどういう年齢構成の者が入っているか、はっきりとらえておらないということを言っておりました。現在このスクールでは何人ぐらい訓練を受けて、未成年者というのは一体どれくらいおるのでしょうか。警察庁からどなたか見えておられますか。
  42. 三上和幸

    ○三上説明員 戸塚ヨットスクールの事件につきましては、現在把握をいたしております状況について申し上げますと、七月二十五日に事件関係で捜索をいたしました際には、在校生が三十五名であります。詳細まだつかんでおりませんが、昨年の十二月に傷害致死事件がございまして、その際に把握をいたしました入校生は八十一名であります。そのうち成人が八名で残りは七十三名、つまりこれが少年ということで、九割が少年でございます。その中で、中学生三十四名、高校生三十五名という状況でございますので、中心となっておりますのは中、高校生と申しましょうか、そういった者が収容されているという状況でございますが、現在そのときどきの事件によって把握をいたしておりますので、通常どういう状況で入っておるかということは、私どもとしてはそういう事件を通じて把握をしておるということでございます。
  43. 臼井日出男

    臼井委員 いまお話伺いますと、実に驚くべきことに、中心はほとんど中、高校生であるということでございます。同スクールは、未成年者に対する訓練ということからするならば、広い意味での教育行為であるということになるのではないかと思います。文部省の所管にかかわることではないかと思いますが、文部省として今後行政指導等をどういうふうに行っていくのか。また、この件についてはひとつ文部大臣にも御所見をお伺いしておきたいと思います。
  44. 高石邦男

    ○高石説明員 確かにいま御指摘のございますように、中学生、高校生を対象としてそういう訓練をやっているという実態でございますけれども、この戸塚ヨットスクール自体学校に準ずる各種学校みたいな形の教育機関と考えるかどうかというのがまず基本的な問題だと思うのです。ただ、各種学校として考える場合については一定の要件がありますし、どうもいまの状況の運営ではその要件に直ちに該当しないということが考えられるわけであります。  しからば、そうでない分野で民間の事業活動として、子供に対するいろいろな訓練とか教育というものがいろいろな形で存在し得るわけでございます。したがいまして、その存在自体が法律上許される合法的な活動であれば特に問題はございませんが、先ほど警察庁の方からも話がありましたように、その中で行われる行為が違法である、適正を欠くというようなことであれば、そっちの観点からの対応をしなければならないということを考えるわけでございまして、戸塚ヨットスクールを直ちに教育機関であるというふうに考えることは、現時点では無理であろうと考えております。
  45. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 戸塚ヨットスクールというものについての新聞記事をたまに見ることがありますが、これは学校でもないし教育場でもないしというような、ちょっといまの日本の社会でどう把握すればいいのか私自身がわかりかねておるわけでございます。  しかし、いま初めてその内容を私承ったのですけれども、警察庁のお話では、小学校、いわゆる義務教育の対象の小学校生徒がおる、これは私放置できないと思うのです。どういう小学校におった生徒、児童がそこに来ておるのか、なぜ来ておるのか、そういう点は可能な限り私の方で教育委員会等を通じて調査をしてみたいと思います。そうでなければ、学校教育場、義務教育場を離れてなぜそうなっておるのか、それをどうしてそうしなければならないかということは教育上重大な問題だと私も思いますから、そういう点は今後調査を可能な限りしてみたい、かように考えております。
  46. 臼井日出男

    臼井委員 非常に心強い御返答をいただいて私も非常にうれしく思います。こういうどこの所管かわからない、しかも子供たちが虐待を受けている現実がある以上、所管云々ということではなくて、やはり厚生省なり文部省が積極的に乗り出していくというところに解決の道が開かれてくるのではないかと思います。  そういう意味におきまして、この問題についてはぜひとも積極的な調査をひとつお願いをいたしたいというふうに考えております。  実は、この後に、この前に質問いたしました日教組の救援基金問題でお伺いをしたいということでお願いをしておったのですが、時間がなくなりましたので、また改めてさせていただきますが、先般質問をいたしました際に、このような救援基金について果たして掌握をしているのか、していないのかという問題について伺ったわけでございますが、ただその点だけひとつきょうはお聞かせをいただきたいと思います。
  47. 岡本吉司

    ○岡本説明員 先生御指摘のそういった基金があるということはわれわれ承知しておりますし、おおよそ伝えられておりますような、先生前回御質問のときのような額があるということも漏れ承っております。そういう状況でございます。
  48. 臼井日出男

    臼井委員 私は、約百七十億に上る日教組の個人に対する給付、こうしたものはいま国がお金がなくて困っておるわけでありますから、相当はっきりと掌握すべきであると考えております。そういう点について私はぜひとも大蔵省あるいは主税局等のしっかりした態度を示していただきたいと思っております。この点についてはまた機会があったらさせていただきたいと思いますが、きょうの質問はこれでもって終わらせていただきます。ありがとうございました。     ─────────────
  49. 葉梨信行

    葉梨委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  すなわち、本件調査のため、本日、日本私学振興財団理事早田肇君に参考人として御出席を願い、御意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 葉梨信行

    葉梨委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人からの御意見は質疑応答の形式でお聞きすることにいたしたいと存じますので、さよう御了承願います。     ─────────────
  51. 葉梨信行

  52. 中西績介

    中西(績)委員 先般七月四日であったかと思いますけれども国士館大学におきまして殺人行為が行われたという不祥事が発生をいたしました。この案件につきましては、国士館問題につきましては、私自身も五十三年十月における質問、さらに五十五年三月における質問等を重ねてまいったところであります。そして国会におきましても五十三年以降八回にわたって論議がなされておるという実態にあるわけであります。  なぜ私がこの質問をしたかと申しますと、御存じのように五十三年六月に国士館大学におきまして暴力事件が発生をする、その結果、その学生の父親が焼身自殺未遂事件を起こすというような事態が起こり、それから以降多くの問題を提起することになってまいりました。そして学内諸問題対策委員会なるものが設置をされまして、ここでもって具体的な討論がされていくようになってきたわけであります。  そうした経過を経まして、私は五十三年十月におきましてこの場において質問をいたしました際に、国士館大学関係者二名も、そしていま問題になっております柴田総長もあわせて参考人として出頭を願ったわけでありますけれども柴田総長だけは出席を拒否されまして、他の二名においでいただきました。一名は岡澤参考人、そしてもう一名は粕谷参考人、二名に来ていただきまして詳しくその事情等についてお聞かせを願ったわけであります。  そうした結果、最終的には、私がここで強く指摘をいたしましたのは、こうした私学におけるこの種諸問題に対する文部省の対応がどうあるべきかということをここで論議をいたしました。そして砂田文部大臣の方からお答えをいただきましたのは、大学みずからが大学の自治を守っていく中でこうした問題を解決すると同時に、きわめて強い姿勢で臨む決心をしておるのだということをこのときには回答いただいたわけであります。  そして私がなぜ五十五年三月七日に二度目のこうした質問をこの場で討論をいたしたかといいますと、このような学内諸問題対策委員会が二十回にわたりまして検討いたしました学内民主化のためのいろいろな問題点、暴力問題対策部会、教学問題、法人あるいは事務機構検討部会、更生、中学校高等学校問題というように六つの検討対策部会を設置いたしましてつくり上げた案があるわけです。これが全然機能し得ないという状況にあるために、もう一度私はあえてここでこうした討論をいたしたわけであります。そのときに、いま思えばこれが当たっておったわけでありますけれども、私はあえて議事録を読み上げますけれども、私の質疑の中で前の内藤文部大臣あるいは砂田大臣がいろいろそうした答弁をしておりますし、特に内藤文部大臣の場合には、こういう学校が日本にあるのかと驚いた、運営の根本は何といっても理事会なんだ、一番大事な理事会が健全な運営をすることがまず当面の課題だということを答えておるわけなんですね。であるにもかかわらず、認めておる対策委員会でこうして討論し、つくり上げたものが全然機能していない。  それはなぜかというと、ここに私は言っておるわけでありますけれども、それを読みます。「先ほどからの皆さんの認識というのは大変甘いと思うのです。」これは文部省に対してです。あるいは私学財団に対してです。このときには早田参考人も来ておるわけですから。「ですから、少なくとも先ほど申し上げました基本法あるいは学教法、私学法、こういうものに基づいて、このような状況にある――しかも、先ほども申し上げた」ここからが大事です。「右翼的な中村某なる者は、前回も暴力をふるおうとして中に入った人を突き飛ばしてけがをさせるという状況だって学内にあるわけですから、それがまたこうしてやっておるという事実があるわけですから、そういうことになってまいりますと、学校の中で普通の発言、正常な発言はできないというのが理事会の実態ではないですか。そういうことを考え合わせてまいりますと、いま言うように、この三つの法に関係して、私は」云々ということを申し上げました。そして特に、いろいろ討論をしましたけれども余りにも明快な回答が出てきませんから、「慎重でなくて、認識の点で甘さがあるわけですね。先ほどから何回か答弁がありましたけれども、全部私たちの認識との間においては大きな開きがあるところに問題がある。この点をぜひ私は改めるべきだと思います。」ということを指摘いたしたわけです。  その結果が今度は、七月四日の殺人事件を起こしたのはこのときに出てきた中村某なんですね。このことの認識は、文部省、いたしますか。どういうように認識しますか。
  53. 阿部充夫

    阿部説明員 国士館大学につきましては、四十八年当時あるいは五十三年から五十五年にかけていろいろ国会でも御論議がございました。その間に生じた諸問題につきましては、私どもといたしましても全力を挙げて関係者に対する指導を重ねてまいったわけでございまして、前回の先生のその御発言ももちろん私どもも十分承知をしておるわけでございます。その間、関係大学に対しましてはそういうことを、国会での御指摘等を伝えまして留意を促し、改善努力するように促してまいったわけでございますが、結果としてこういう事件が起こりましたということを大変遺憾に思っておる次第でございます。
  54. 中西績介

    中西(績)委員 このように指摘をし、他の委員も、五十三年以降八回、私は二回ですから、他に六回こうした問題についてやっているわけですね。特に私は、こうした学内における教学部門が民主的な措置をされておらないところには学校の運営というものは成り立たぬということを指摘をしてきたわけですね。ところが、いまこうしてまいりますと、言ったとおりのことが出てきたということしか私たちは認識ができないわけなんですね、以前から指摘してきたことが。  そこで、私は再度お聞きをいたしますけれども、こうした問題について、特にさきに答弁がありましたが、文部省としては、五十三年の六月七日、柴田梵天総長を呼んで六項目改善指示項目を出しておるはずですね。詳しく分けますと大体八項目にわたる中身になっています。この点については、文部省は出しておるということを先ほど言っておりましたからわかりますが、その後私たちからこのように何回となく指摘をされて、そうした問題について改善を求めていくという対策はどのように具体的になされたのか、この点についてお答えください。
  55. 宮地貫一

    宮地説明員 先ほどもお答えをしたわけでございますが、五十三年六月に政経学部教授会の速やかな正常化など六項目について改善方を要望したわけでございます。これを受けまして大学側は、政経学部教授会正常化、入試の公正な実施についてはそれぞれ要望の趣旨に沿って改善が図られ、解決を見てきていると私どもは考えているわけでございます。また、学生暴力行為の減少ということなども先ほど御答弁申し上げたとおりでございます。ただ、学内規程整備教職員の身分の慎重な取り扱い及び手続の厳正、法人及び大学全体の円滑な運営というような問題については解決を見ていない問題というぐあいに私どもも考えております。そして、これらの問題については全学的な検討が必要ということで学内諸問題対策委員会を設けてその審議を重ねて、五十三年十一月に同委員会から理事会側に成案が提示をされているわけでございます。理事会では、その内容、取り扱いについて学内役員会を設けて検討し、対応案をつくったわけでございますけれども、各事項が相互に関連しておりまして、また、大学運営の基本にかかわる面もありますので、理事会で再度検討しておってまだ決定を見ていないというぐあいに聞いているわけでございます。  文部省といたしましては、これらの六項目のうちにまだ実施をされていない項目についても大学として早急な対応をするよう指導しているわけでございます。特に教員の昇格でございますとか学部長等の発令を長期にわたって保留をしておりますような例については、それぞれ担当理事を呼んで指導を行ってきておるというのが今日までの対応でございます。
  56. 中西績介

    中西(績)委員 五十五年のときにも私たちは指摘をしたわけでありますが、そのときの大学局長が答えておるのだけれども、いまあなたが最後に言われたような理事会で対応案について検討したとかなんとかというそのことは、この対策委員会側には何も出されてないわけなんですね。だから学内ではだれも知らないわけですよ、特定の何人かだけしかわかっていないわけだからね。そのようにしておるというその根拠は、はっきりしておかなくてはならぬのは、いいですか、柴田さんが理事長であり、学長であり、短大の学長であり、中学、高等学校の校長であり、中の三つの研究所の研究所長であり、国際部長であり、硬式野球の部長なんだという、何もかも全部一手独占し、そしてこの人の発言なり認識がなければ何もできないという仕組みになっておるところにこの問題があるということ、私は前からこれは指摘しておることですね。前々からこれは指摘しておることです。  いま言うようなことでは、六項目改善の問題についても、じゃ具体的に何ができたのですか。たとえば政経学部教授会正常化などということがありますけれども、この問題についても、一時期はできたとしても、またいまは部長を認めないという状況が具体的には出てきておるでしょう。五十七年の四月以降全学部長を認めず、五十七年九月になって文、工、教養学部長、三学部長を認めたけれども、ほかの学部長を認めぬという実態が出てきているのではないですか。ということになりますと、教授会で決めたってそのことが全く常識として通らないという実態になっておるということを認識しなければいかぬですよ。ですから、これはもう全然でき上がっていない。それから今度は、教職員身分の慎重な取り扱いと手続の厳正化などにつきましても、五十三年以前に全然教授会などの議を経ずにやられた者が二十一名、以後百十八名に達したわけですね。教員二百六十名ですよ。そのうちの約半数に近い人たちは全然議にかかっていないんです。そしてようよう解決した者は何名かありまして、現在未解決が七十二名依然として残っているじゃありませんか。ですから教授会で全然――たとえば講師になる場合の条件は何ですか。あるいは助教授になる、あるいは教授になる、これは学部によって違いがあると思いますけれども、私が聞いておるところでは、たとえば講師なら三年間なら三年間、そして八点のそうした論文が審査されて確認されなければだめだ、こうした認識が、学校の中にはちゃんと規則があるはずなんですね。そういうことが完全に無視されてやられておるという状況でしょう。さらにまた、入学選抜の公正化等につきましても、私たちは前回から指摘をしておるにもかかわらず、またこれが五十七年には出ているじゃありませんか。しかも卒業単位がない者が卒業させられたり、そういうことが平気でされているわけでしょう。学生暴力行為の根絶についてもそうです。政経学部教授会正常化、挙げていくと一番最後の法人全体の管理運営の円滑化などというのは全くされてないということになれば、何がされたということになりますか。  しかも私たちがこれを指摘をしたのは、最初に問題が起こったのは四十八年ですよ。四十八年に学生暴力問題が出てから、参議院であるいは衆議院でそれぞれ取り上げられて、近代化委員会の設置がされまして、そうした中から第一回の総会が四十八年六月二十九日に開かれた。そして近代化委員会の答申が四十九年の一月十日に出されています。しかし、これは完全に無視をされています。そしてその結果が、五十一年から二年にかけまして大変な問題を次々に引き起こしていったわけであります。その中では、今度は教授会そのものを否認をしたわけですね。特別運営委員会なるものを設置をいたしまして、勝手に何人かの人で教授会に代行するといって全部やり始めたでしょう。それから出てきたのが勝手気ままにどんどん教授を首にしたり、あるいは単位のない者を卒業認定させたり、一挙に十六名も全然教授会にかからない人を教授だとか助教授に採用してみたり、もうむちゃくちゃなんですよ、やり方は。こうしたことがあったから、そしていまなおあるから私たちは何回もこれを取り上げてきたんです。  こうした点について、文部省、本当に私たちが指摘をしたことがそのとおりであるということを認識をしてそれに対応するという意思があったかどうか、その点、お答えください。
  57. 宮地貫一

    宮地説明員 私どもとしては、国会で御指摘をいただきました点についてはまさにそのとおりだという認識をいたしまして、大学に対しての指導についても先ほど来御答弁を申し上げたようなことで対応しているわけでございます。たとえば教官人事の問題につきましても、御指摘のように傾向としては、一時方向としてはいい方向へ来ておって、さらにまた最近事態正常化の方向へ向かっていないというようなことが見受けられている点は御指摘のとおりでございます。それらの点については、私どもとしても大変遺憾に思っておりまして、大学に対する文部省指導の体制としては私どもとしても厳正な対応で臨むべきものという点で、その点は先生御指摘の点と全く変わるものはございません。
  58. 中西績介

    中西(績)委員 ですから私は、今度の殺人事件というのは、国士館大学の体質そのものをあらわしたし、結果的にはそうならざるを得なかったという、大変残念だけれどもこうした認識を私はしておるのですが、この点はどうです。
  59. 宮地貫一

    宮地説明員 理事の刺殺というような信じられないような事態が起こったということは、本当に遺憾に存じております。国士館大学自体の体質を改善して本来の大学としての姿を取り戻すように、教学を中心とした努力がさらに一層、私どもとしても大学運営として大学の自治を守っているという姿が、国士館大学においてもまさに必要な求められる事柄ではないか、かように考えております。
  60. 中西績介

    中西(績)委員 だから私たちは、いままでそのように何回となく指摘をして問題だということを言ってきたし、特に柴田梵天総長のごときは本人自身が学位の論文盗作、しかも二百万出して東京大学と京都大学の何がしかにこれを依頼をして、そうした報酬まで出して書かしておるわけでしょう。しかも、その内容は盗作だと言われている。そうしたものによって本人は経済学博士という博士号を取ったわけですよ。しかもそれを通した人たち、そういう者は、ではどういう状況かというと、大学院のメンバーをまさに見てください。文部省はわかっていますか。大学院のメンバーは、いまここで、この学校では大体七十二歳が定年ですね。そして特任教授として期間更新をして七十五歳までが専任教員としての任期があるということになっていますよ。ところがこれに違反をしている人、大学院ですよ、みんな。九十六歳、九十四歳、九十二歳、そして一番下が七十九歳です。十一名おります。自分が決めたその中身を全部破棄してこんなことをやっているわけでしょう。  それから、先ほど申し上げた十数名にわたる人を学部教授会などの議を全く経ずに教授にして大学院の教員にしているわけです。そうなりますと、ここの大学院というのは、学部との関係はどうなっていますか、おわかりですか。私は、少なくともそこに学部が存在して大学院というものが存在すると思いますよ。これとは全く無関係大学院というものが存在している。そこでもってでき上がった学位論文を通していくのでしょう。これが大学ですか、お答えください。
  61. 宮地貫一

    宮地説明員 御質問の趣旨を必ずしも明確に把握していない点がもしございましたらおわびをいたしたいと思いますが、大学院のあり方そのものについては、それぞれの大学でたとえば大学院を担当する教官がいるということが、いること自身は問題ではない、かように考えております。  それから御指摘の、大変高齢の者がおって定年規定違反ではないかということでございますが、確かに御指摘のような非常に高齢の方がおられるということについて、通常の感覚からすれば必ずしも適切でないということは言えるかと思うわけでございます。ただ、いわばそれらについては特任の教官として対応しているのであれば定年制の違反ということには必ずしもならないのではないか、かように理解をしております。
  62. 中西績介

    中西(績)委員 では、大学院と学部との関係はどうですか。そこに学部があって大学院というものが存在するのでしょう。それともう一つは、定年というのは学則によってみずからが決めているのです、この人は。七十二歳です。そして特任教授期間は二度更新は許されています。ですから、七十五歳で専任教員任期は終わるのです。そういうふうになっているのです。そう学校で決めているのです。それなのに、いま申し上げる最低が七十九歳で最高が九十六歳まで十一名もおるということ、こういうことが常識的に考えられますかと私は言っているのです。ですから、文部省にこういうものが全部届けられておると思いますけれども、いずれにしても全然教授会なり何なりで審議した経過も何にもないのですね。治外法権的になっているのですよ。そこでこうした学位が盗作であろうと何であろうと依然としていまそのことが認められて、経済学博士としておるわけですね。ですから、政経学部は今度は柴田総長を教授から除外をするという解任の決議までしているわけですよ。しかし、依然としてそれはそのまま残っているわけでしょう。だから私は、こういう形態が大学と言えるかどうかということを聞いているわけです。
  63. 宮地貫一

    宮地説明員 基本的なあり方として、たとえばただいま御指摘のような大変高齢の方ばかりが大学院の担当の教官であるということが通例適切かどうかと言えば、それは必ずしも通例適切なものとは言えないのではないか、かように理解をいたします。ただ、大学院担当の教官がいるということ自体については、それは学部の上に大学院というものが置かれるわけでございますけれども大学院のみを担当する教官がいること自体は、そのことが大学院の体をなしていないということにはならない、かように考えます。  ほかに、先生御指摘のようなこの国士館大学大学としてふさわしい大学か、体質から見れば大変いろいろと御指摘になっているような点について遺憾な点が多いことも事実でございます。そしてそれらの点については、かねてから是正について指導を続けてきておる、その指導が手ぬるいではないかという御批判があろうかと思いますけれども、私どもとしては、御指摘いただいております点については、かねて大学に対して十分の対応をするように指導をしてき、そしてまた大学の対応が、六項目についても若干は改善がなされたわけでございますが、なお改善されていない点が多々あるということも御指摘のとおりと考えておるわけでございまして、それらの点については今後とも私どもとしても十分指導してまいりたい、かように考えております。
  64. 中西績介

    中西(績)委員 私は、さっき申し上げるように、高齢だから云々ということだけではないのです。その学校にはちゃんと学則というものがあって、それで決めておることに本人が違反してそういう人たちを集めておる、このことに問題があるのではないですかと僕は常識的に言っているのです。そういうことには大学局長は全然答えないですね。そこに、いま言うように、私たちが指摘をすることに対してごまかしをするところに文部省の体質があるから、こうした問題が出ますよということを私は言い続けてきておるのに、それに対応していない。認識が全然私たちと違うのです。だから、こうした殺人事件まで起こしたという責任があなたたちにはあるのです。そのことを自覚していますか、どうですか。
  65. 宮地貫一

    宮地説明員 殺人事件というような大学においてあるまじきことが起こったということについては、まことに遺憾なことだというぐあいに……(中西(績)委員「責任を感じているか」と呼ぶ)それは、国士館大学がそういう体質を持ってきておったということが遠因の一つというぐあいに言えるかと思います。それの是正については、かねて指導もし、今後とも厳正な対応で指導いたしたい、かように申し上げているわけでございます。
  66. 中西績介

    中西(績)委員 私は、こうした体質が殺人事件の遠因であったというところの認識が私たちと違うと言うのです。さっきから私が何回も言っているのはそこですね。大学当局に対する現状認識というものが全然一致せぬわけだ、私たちと文部省との間においては。そこに大きな開きがあった。だから、こうして何回となく、四十八年からいたしますと十回も指摘をしておるのに、その問題が解決されずに来て、その結果がこうして殺人事件までに発展をしたということなんです。その責任の一半も私は文部省が負うべきだと思うのです。そのくらいの覚悟がなければ私は決意ができないから言っているわけです。どうですか。
  67. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 先ほど来だんだんのお話を承っておるわけでございますが、私は不敏にしてそれほど詳細ないきさつはきょう初めて聞いております。しかし、国士館大学がなかなかむずかしい大学であるなということの認識は、事務当局からはいろいろ説明を聞いてわかっております。  ただ、そこでいま殺人事件の問題について文部省が責任があるのだということについては、これはなかなか問題じゃないかと思います。ただ、私は国士館大学、特に国士館大学でありますが、これのみならず、私学に対する文部省のいわゆる指導助言というものがどこにまでできるのか、平素から非常に悩んでおるわけです。限界に実は悩んでおるわけでございます。  国士館大学については、率直に申し上げて事務当局は非常に苦心惨たんをしておる。先ほど来たびたび立ち上がって御説明しておるようでございますが、指導助言という限界の中でしばしばその措置をとっておるようでありますが、私からもたびたび確かめたことがありますけれども、その指導助言がまだ相当残っておりますということであります。これはほかのことでありますが、九産大学についてもやはり同じことが繰り返されておる。そこに一体私学に対する文部行政というものの限界がどこにあるのだ、私はこれを深刻に考えて、おっしゃることはよくわかるのです。それではいけない、いけないのならばどうあるべきか、どういうことができるのだということを、私、深刻に制度として考えてみたいと思います。
  68. 中西績介

    中西(績)委員 私は、ただ一つ大臣お聞きください。たとえば五十二年に特別運営委員会決定をして、七月二十一日に大西教授ほか三名の教授を解任をしました。ところが、この問題等については依然として、ほかのものはある程度解決をしたと先ほどから言っている部分もありますけれども、さらにまたこれを見ますと、事件が起こった以降に何名かの人をまた助教授だとか講師だとかなんとかに任命していますね。そういうぐあいにして、事が何かあったときに初めてそういうことが起こっていくわけですけれども、依然としてこの教授だけは、学部長であったのですけれども、別個学部長を選任をいたしまして対立をさせておいて、そして五十三年のこうした問題が出て以降になりまして取り消しまして、この人を学部長ということに、一応学部での選挙の形の中では残りましたけれども、解任して非常勤講師にしてしまっているのですよ。そして途中で、今度は学部を集めるときには、その人に学部を集めてくれと言っているのですよ。それで教授会を開かしたり何かやっているわけです。学部長に選ばれておるにもかかわらずこれを認定をせずに、教授までも解任をして非常勤にしておりながら、いまでも、今度学部を集めるときに――いまでもというのは、この後ですね、そういうことをやったり何かするという非常識なことが平気で行われておるわけなんです。ですから私は、これは余りにも非常識な例ですから、いま一つこうして例を挙げましたけれども、五十三年にそういうことがなくなったと思っておったところが、次々に今度は、五十五年には全員を認めたが、五十七年になってから全学部長を否認をする。そしてまた五十七年の九月になってから三つの部長を認めるというようなやり方です。本当にこのやり方というのは、大学という学校の体をなしておらないということを言っておるわけです。  ですから私はあくまでも、ここで私はぜひ皆さんにお願い申したいのは、私たちが受けておる私学に対する一般の国民の世論が、こういう例が出るために大変な不信感を持ち始めたということ、そうした危険な対応に対する認識こういう暴力団が横行し平気で入り得るような体質、そういうものに対する私たちの危機感、こういうものが文部省と私たちの認識の中に大きな差があるということを私はさっきから指摘をしておるわけです。この点については、今度は殺人まで出たわけですから、そこには差はないでしょうね。大臣、どうですか。
  69. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 その認識がどの程度に一致しておるかということがきわめて問題でありますけれども国士館大学に殺人の体質があるというようなことは考えてもみなかったですが、暴力的といいますか、そういうなかなか世間では通用しない体質があるということは文部省の諸君も全部認識しておるようです。そこに困難さがある、こういうことを私はキャッチしております。  ただ、そういう際に、学校法人という一種の公益法人でありますが、自主性に基づいてやっておる学校法人をどこまでいわゆる文部行政として采配が振れるのかというところに大きな悩みを持っておるわけでございます。その事情はよくわかっているといいますか、教育機関である私学がいかにあるべきかということはわかっておりますが、それを全部こちらが采配を振れるというわけではないことは中西さん御承知のとおりです。そこら辺の兼ね合い、九産大にいたしましてもこの国士館大学にいたしましても、理事体制、あるいは理事体制と教学体制が調和がとれておらない、こういうところに最大の問題があると私は思いますが、そういう際、いわゆる文部省がどこまで介入できるか、そこに限界がある、かようなことを考えておるわけでございます。
  70. 中西績介

    中西(績)委員 その問題はまた後で論議をいたします。  そこで、時間がありませんから、先般の参議院における五十八年四月そして五月の海外に対する国士館の投資の問題でありますけれども、この点をちょっと私は確認をしておきたいと思います。  ブラジルの柳森という人に借用書を書かせまして十億円、そして実際的には三徳は貸し付けで七億は寄附、それを全部借入金として理事会を通したということでもって強制的に借用書を書かせた、こうした事件があるわけであります。そして、そこでのトータルは、実際に使われておるのは九億二千万と七千三百万円という海外からの報告がなされておるということを聞いています。それからもう一つはカイロの武道センターの場合でありますけれども、三億四千余万円。五十七年の一月二億六千万、そして五十八年の二月に八千万追加しておるわけですから、これが三億四千万になるわけでありますけれども、この分について着工しているらしいというような情報しかまだ入っていないという報告がされていますね。それから、ニューヨーク関係については一億二千万、そしてこれはブロンクスビル住宅街、最高級地にあるものだそうですけれども、四百四十平米の一部四階建てのれんがづくり、写真入りで報道されていましたね。こういうものが購入されておる。しかも、これは国士館大学協会の持ち物としておりますけれども、在住OB柔道家が管理をしておる。これはそれを何らかほかに使うというようなあれは全然いまありませんというようなことがありますね。それからサイパン問題いろいろありますけれども、こうした問題を全部総トータルいたしますと十四億六千万、一応おたくが言われた分ですね、こういうことが言われています。ところが、いまのブラジルの場合だって、購入した土地代だけで六徳の金額になっておる。そして、二十万坪か何かを買ったようでありますけれども、これが二倍から三倍の金額だというような事柄が次々に出ています。  そこで私はお聞きします。警察庁、お見えでしょう。この分については今後どのように対応していくのか、いろいろ疑惑が持たれておるということはおわかりだと思いますが、この点はこれからどう処置をしていくつもりですか。
  71. 森廣英一

    森廣説明員 国士館大学海外への送金について疑惑があるがというお尋ねでございますけれども、私どもといたしましては、殺人事件を捜査している以外の点につきましては、関心を持って見守っておりますが、現にいかなる犯罪があるのかということにつきましても明らかではないわけでございまして、いまのところ関心を持って見ておるというふうにお答えする以外にはないものでございます。
  72. 中西績介

    中西(績)委員 ところが、参議院でも指摘されておりますように、たとえばブラジルの問題ですけれども、ミスで貸付金が寄附金となっておったということでありますが、とうてい返済などということはいまのブラジルの体制からすると不可能だということははっきりしております。しかも、こうしておりながら、今度は、先ほど申しましたように柳森という人には十億円という借用書を入れさせた、そして理事会もそれを通させておるというのにこうしたミスでこういうものが済まされるかという問題があるわけですから、こうした問題等を含めまして、私はきわめて作為的なものであるという認識をしますので、この点が一つと、それから、一億二千万円のニューヨークの住宅等につきましても、本当に追及すればいろいろ問題が出るわけですから、先ほども出ておりましたし、これは十分検討する余地があると思います。いずれにしましても、そこに出されておる総トータルは、いま申し上げましたように約十五億、十四億六千万という、学校法人としては大変財政的に厳しい中でこうしたことが行われておるわけですから、このことを文部省側は十分考えておるということは先ほどもちょっと言っておりましたから、後でまとめてお聞きをします。  そこで、文部省にもう一つお聞きをしておきますけれども、莫大な出資をする中で同窓会の会館建設をやっていますね。六徳三千万。これは全部学校法人で出資をしています。地下二階地上四階、こういうことがあります。そして、学内における皆さんには全然説明なし。狭い世田谷校舎内にこれを建築しておる。その名称を一名柴田会館とも言っております。これは御存じですね。御存じかどうかだけ伺いたい。
  73. 阿部充夫

    阿部説明員 国士館大学におきまして柴田会館という名称の建物建築しているということは確かでございますし、その中に一部同窓会の事務所があるということはあるようでございますけれども、会館そのものは大学建物として設けられ、大学の管理利用規程によって運営されておる、このような報告を受けております。
  74. 中西績介

    中西(績)委員 報告というのは理事報告でしょう。その点だけちょっと。
  75. 阿部充夫

    阿部説明員 ある理事から報告を受けたわけでございます。
  76. 中西績介

    中西(績)委員 ですから、文部省の場合には、全部そういうふうにして機能していない、先ほどから私があれほど言い続けてきた、そうした人たちから話を聞いて全部それでもって対応しておる、ここに一番問題があると私は思うのですね。しかも、さっき申し上げた海外出費の問題についても全く同じ中身です。総トータルしますと、これだけで二十億九千万でしょう。先ほど申し上げた海外出費とこの柴田会館というきわめて個人的な色彩の濃いこうした建物、こうしたものを合わせるだけで約二十一億です。それがいかに学校法人に影響を与えるかということは、早田さんおわかりいただけますか。財政上大変厳しいということ、どうですか。
  77. 早田肇

    ○早田参考人 学校の財政上大変であるということは十分わかる気持ちでございます。
  78. 中西績介

    中西(績)委員 そこで、こういうことを盛んにやりますが、そうした金が学校の設備なり生徒に還元されているかどうか、ここが教育研究との関係でどうなのかということが文部省が考えなければならない一番の問題点ではないかと私は思うわけであります。それはどうでしょう。
  79. 阿部充夫

    阿部説明員 大学経費でございますのでいろいろな方面に使用されるわけでございますけれども、私どもとしては、学生教育大学の研究という一番重要な点に最大の力が注がれるべきであると考えております。
  80. 中西績介

    中西(績)委員 そのとおりだと思います。ところがどうですか。学校施設、教室だとか研究室だとか生徒の更衣室だとか、そういうものが文部省報告されている。その結果と実態とを比べ合わせてみたことがありますか。そして、大学設置法に照らしてどうなんだということを具体的に調査したことがございますか。
  81. 宮地貫一

    宮地説明員 国士館大学施設が設置基準に照らしてどうかという趣旨のお尋ねかと思います。  最近の時点では、五十三年度大学の学部の学科増あるいは収容定員の変更の認可申請が出ました際に提出されております。設置基準で必要な校舎の基準面積を定めておるわけでございますが、国士館大学の必要校舎面積は全体で三万五百四十二平米でございます。現有校舎面積は五万五百十六平米ということで、基準を下回るものではないというぐあいに理解をしております。  ただ、設置基準では必要な施設としてたとえば学生自習室、学生控え室等を例示しておるわけでございますが、国士館大学の場合、学生自習室が十分ではないということはございますけれども、先ほど申しましたように全体の面積から申せば下回っている点はございません。  以上でございます。
  82. 中西績介

    中西(績)委員 たとえば教室などにつきましても、上に柔道場があってその下で講義をやっているわけですから、どんどん音がして講義にならないのです。文部省はそういう実態を知らないわけです。ここに一番の問題があると私は先ほどから指摘しているわけです。学生のために全然還元されてないわけでしょう。教育という視点はここにはなくなってくるわけです。そして暴力が横行するわけですからそこには自由がない、こういう状況を私たちは知らなければならぬと思うのです。  時間がないからそういうことを指摘しまして、次に、そこにいる教授の資格問題、たとえば九州産業大学と同じように補助金の不正取得がありはしないかということで調べてもらったのです。  一つの例ですが、この前辞任をしたという野木将典という人がおります。この人の場合には、職員であるけれども附属研究所の助教授。あとはもう名前を言いません。あと三名は、職員であるけれども講師であり助手が二名。これは後で資料として提出を求めますけれども、聞くところによると五十六年は職員で補助金を申請しておるわけです。ところが、五十七年の申請は、今度はこういうように教員で申請をしたわけですね。ところが、私学財団の方では助成対象からは、五十六年は職員であったから外したと言っています。しかし、一人はそうじゃない。佐藤尋生という人がおりますね。この人は教務課長大学院の事務長で、日本政教研究所の助教授になっている。この人のあれを見ますと、修士課程は確かに卒業しておるけれども、講師としては一応可といたしましても、業績なんか全然論議をせずに助教授になっているわけですね。それなのに申請を認可している。この人は全然授業をやってないわけですよ。授業はやってないけれども、研究所の助教授だからちゃんと補助金対象にして認可をしておる。  このように挙げてまいりますと、先ほどから私は幾つかの例を申し上げましたように、依然として大変な数になるわけでありますけれども、七十数名、そうした実績だとかなんとかを全然討議もせずに全部教員に選任をしていっているわけでしょう、教授会の議を経てないですから。そういうようなものが全体的に出されておるのではないかと私は思います。これは国士館大学の政経学部の便覧でありますけれども、この中にはそれぞれのあれが全部出ているはずです。したがって、そういうものを、今度は九州産業大学と同じように全部調査をしていただきまして、実態としてどうなのか、そして、果たして講師であり助教授であり教授であり助手であるのか、そうした内容についての全部の再度の確認を、私はきょう願いたいと思います。この点については、きょう言ったっていまここでは答弁できませんから、私はあえてこの五名だけを一応皆さんにはお聞きしたのです。しかし、その中にもこうして問題があるわけですね。  この点は今度は文部省に聞きますけれども、このようにして私たちの常識からするならば全く認められないと思うものが教授であり何でありということですから、教員の数が普通の大学の講座よりもものすごく多くなっているだろうと私は思うのですね。そうした問題等を考え合わせていきますと、果たして大学教授会で認められない人がこのようにして実際にいるということ、それが今度は申請すれば認められる、こういうことが正常であるかどうか、この点についてお答えいただくことと、いま申し上げるように本当にどういう中身であるかということを、実際授業をしておるのかどうか、どういう仕事をなさっているかということを含めてもう一度、こういうように全部、九州産業大学と同じように調べ上げていただきたいと思いますが、この点についてお答えください。まず早田さん。
  83. 早田肇

    ○早田参考人 先生お話しございました数多くの教員につきまして、先生の御指示ございました調査をいたす分にはやぶさかでございません。
  84. 阿部充夫

    阿部説明員 教員の数が多いからいけないというわけではないと思います。現在私学振興財団で対応しております場合にも、大学教員としてふさわしい教育研究に従事しているかどうかということを判断をいたしまして、それに該当するものについて補助をするという仕組みでやっておるわけでございます。しかしながら、御指摘の点につきましては、ただいま財団の方からお答えいたしましたように、財団とも協力をいたしまして事実関係は調べたい、かように考えております。
  85. 中西績介

    中西(績)委員 実際に授業をしているかどうか、そうした問題等を含めまして、いま管理局長実態としてあるようなお答えをしたのだけれども、それは私はないと思いますよ。ですからそこら辺が、私たちを納得させるための発言をされるということは、私はこの前のときにもそのことを指摘したのですけれども、発言の仕方を心がけていただきたいと思います。これは注文をつけます。  したがって、たとえば学則によれば教授会で認められるべきはずなんですけれども教授会が認めておらない研究所などというのが七つございます。それでいまその七つについて申し上げますけれども、宗教研究所、総合経済研究所、東西文化研究所、海外子女教育研究所、ブラジル研究所、イラク研究所、それから武徳研究所、こういうところがあるわけです。そして日本政教研というのは前からあったそうであります。ここにいる人が二十七名おるのです。いま言ったように教授会では全く知らない七つの研究所、そしてそこには二十七名の方たちがおるわけですね。こういうことが全然学校の中では知らされておらなくて実際に運営されている、こういう状況があるわけです。先へ急ぎますが、この点も含んで十分検討してくださいよ。資格があるかどうかということも十分考えられていないというところに問題があるわけでありますから、特にこの点を十分あれしてください。  そしてもう一つは職員の数ですね。職員の数が五十一年は二百八十二名、その後は学生数は変わらず、教員数も大体変わらず、なのに五十八年はいま職員の数が四百七十八名、したがって百九十六名ふえています。ところが、そのうちに自衛官であった者、自衛隊出身者が百五十一名入っています。大部分がそうです。したがってこうした結果が、先ほど申し上げるように人件費が、五十七年度は決算が出ておると思いますが、六二・四%になっています。この学校はもう経済的に大変な状況になっておるということを私は認識しています。この点についても果たして適当かどうか。教授の数は云々と言いますけれども、十分この点を御調査いただきたいと思います。  それからもう一つ、二五%問題です。二五%カットを五年継続しておると言いますけれども、これは基準は何ですか。簡単にお答えください。
  86. 早田肇

    ○早田参考人 私学振興助成法第五条の、管理運営等が適正を欠く場合には減額をすることができるという法令の規定に基づきまして、財団の中で理事長裁定ということで管理運営等について問題のある法人につきまして減額する場合は、一応原則といたしまして五〇%減または二五%減を適用するということになっております。
  87. 中西績介

    中西(績)委員 この二五%カットというものが制裁措置的なものになっているけれども、実際にはなっていないと私は思います。というのはなぜかというと、依然としてこういうことが平気で続けられておるということですからね。ですから、ペナルティーというものをただ単に金額面だけでやりますと、ほかに抜け道を考え始めたらまた生徒に多大な損害をかけていくということになるわけですから、私は根本的なものを考えなくてはならぬのじゃないかと思います。しかも、私が先ほどから四十八年以降の歴史的なものをずっと申し述べてきたこと、時間がありませんから不十分でありましたが、これをお考えいただきますと、それでは二五%カットでこの学校正常化されるとお考えになったかどうか。どうです。
  88. 早田肇

    ○早田参考人 御指摘のとおり、五年間二五%カットを続けたわけでございますが、文部省の六項目の御指摘その他ございまして、学校におきまして一部について改善されたことは事実でございますといたしましても、全体を勘案いたしますと、その改善が必ずしも十分でないということは私どもも理解できるわけでございます。  この辺の措置につきましては、今後の問題とも関連いたすわけでございますが、現在の二五%、五〇%という減額の措置そのものを文部省とも十分御相談いたしまして、少し考え直していかなければならない時期に来ていると考えておるわけでございます。
  89. 中西績介

    中西(績)委員 ですから、ただカットすることのみでなくて、文部省はほかのことを十分考えなくてはならぬと私は思っています。  と申しますのは、警察庁の第一の方にお聞きしたいと思いますが、ただ単に内部における競争原理あるいは対抗的なものによってこうしたものが発生したとか、骨肉の権力争いだとかいろいろ報道されておりますけれども、この背景というものはそうしたものだけではなしに、そうした暴力を許す体質、それから暴力を認める体質、そしてそういうことを行使することを平気でやる人たちだということで物を発想していかなければならぬと私は思っています。そうしなければこの解決はつかないと思う。ただ単に骨肉の権力争いというふうに矮小化されたら背景が間違ってしまう。  そういう点を十分考えていただきたいと思うのですけれども、柴田梵天氏は知らぬ存ぜぬという言い方でもってこれを過ごしていくということになりますと、文部省はこれはいろいろ措置ができないと言っているわけですから、体質の変革などということはできません。したがって、少なくとも国民の信頼にこたえ、国士館大学学生あるいは教職員皆さんの信頼にこたえる警察当局のこれからの対応はどのようにお考えになっておるのか、お答えください。
  90. 三上和幸

    ○三上説明員 警察の立場といたしましては、具体的な殺人事件というその事件に対する捜査を行っておるわけでありまして、その殺人事件に伴います背後関係と申しましょうか、そうしたものにつきましても当然捜査をいたしておるわけでありますが、現在までのところこの殺人事件につきましては、中村の偶発的な単独犯行ということと考えております。
  91. 中西績介

    中西(績)委員 おかしいよ。いいですか。だから、私はいままで聞かなかったのですけれども、五十五年に私が質問した際にも暴力事件を起こしているのですよ。そうしたものが全部背後にあって、金から全部賄われてやっておるということが明らかになっておるわけですから、そこにこうしたものを温存させ、そして許すという体質が警察庁にもあるということなんです。このことを私は指摘したいと思うのですよ。(「偶発じゃないよ」と呼ぶ者あり)いま言うように偶発じゃないのですよ。これは完全に仕組まれた中身であるということですね。もう一つは後で聞きます。  そこで、文部省に聞きます。  いよいよこの八月四日に理事の選任をしなければならぬことになっていますね。これはおわかりですか。五名のうち一名欠けたわけだから八月四日までに理事選任をする時期が来ます。ですから、そのときにどうするかということを考えないとこれは大変なことになります。ですから私学振興助成法の十二条四号、これは前にも主張したのですけれども、結局その点で完全に勧告のできる内容を十分検討いただきたいと思います。そうしないと、これがこのまま放置されるということになると日本の私学は死んでしまいます。これを理由にして私学助成から何から全部いま討論されていくわけですから、私は何としてもこうしたものをいち早く措置をされなければならぬと思うのです。大臣どうでしょう。
  92. 阿部充夫

    阿部説明員 国士館に対する文部省措置につきましては、先ほどもお答え申し上げましたように、現在、今回の事件あるいはそれをめぐる諸般の状況等についての検討事情聴取等を開始しているところでございまして、まだそれを把握しという段階まで至っておらないわけでございます。もちろん基本的には厳正に対応するつもりでございますけれども、現在の段階でどういう措置をとるということは、そういう状況の段階でもございますので、差し控えさせていただきたいと思います。
  93. 中西績介

    中西(績)委員 私は大臣に聞いたのです。
  94. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 いまの状態は御承知のとおりに刑事事件として警察が捜査中でございます。事態の真相が明らかになりまして、教育行政上やるべきことがあれば最大限のことをやりたい、私はかように考えております。
  95. 中西績介

    中西(績)委員 最後に、九州産業大学問題で三つの点からお聞かせいただきたいと思います。  文部省にお聞かせいただきたいのは、六月からまた再びいろいろな動きが始まりました。学園長構想問題から始まり、ちょっと機嫌がよくなる、さらに今度はその結果補助金申請報道などがなされました。この補助金申請報道したといったって、まだこれはレクチュアもしておらないということですから、とうていできる問題ではありません、こういうことを知っての上です。  さらに私は学生便覧についてぜひ知っていただきたいと思いますけれども、この前のこの委員会で八三年の中に学内における体制を変えるということで、総務部から始まり財務部、いろいろ部がありますけれども、全然部長というものが任命されていない、部長代理だとか次長だとかによって置きかえられておる、これはうそだということを私は指摘をした。ところが案の定、八三年の正誤表が出ています。この中に今度はちゃんと全部もとどおりの部長になっています。これは後でお返しいただきますけれども、私がお渡ししますから見てください。こういうこと等を含めまして、あるいはこの図書館長の発令を拒否したり、いろいろ出ています。そしていまいろいろなビラが配られている。怪文書が流れている。そしてそこでねらい撃ちがまた始まりました。会報というのが出されておる。その会報が後になればなるほど特定の人物、組合の攻撃、そういうもので徹底してそれが流され始めています。特に学長指名のことが非常に強まっています。こういうことに対応してどのように考えられておるのか、私はぜひお答えいただきたいと思うのです。  それからもう一つ警察庁に。国際経営学科、私文書偽造等あるいはこの補助金不正受給、こうした問題についてどのように今後追及していくのか。ほかにもあったのだけれども、それらのことについては手を触れるつもりがあるのかどうか。  私学振興財団にお聞きします。補助金申請報道がなされておりますけれども、これについてはまだまだ説明すらも行っておらないということを聞いていますが、今後どのように対応していくのか。  以上です。
  96. 阿部充夫

    阿部説明員 九州産業大学のその後の状況でございますけれども、すでに御案内のように、二月の末日に先方から参りました回答のうちの一番基本的な部分が文部省から指導した趣旨に沿っていないということで再検討を指示をしたと申しますか、お願いをしたわけでございますが、その後大学関係者とは何回か連絡をとり、その実現に向けて督促を重ねているところでございまして、学園側におきましても具体に検討しているという感触は得ておるわけでございます。引き続きそういう方向で努力をしてまいりたい、こう考えております。  ただいま先生から御指摘がございました学生便覧の問題等につきましても、つい先般大学関係者を呼びまして状況等も確かめたわけでございます。学生便覧につきましては、事務体制の整備刷新ということを文部省指導しております関係上、近日中にできるだけ結論を得て、そこのいろいろ兼務が多い関係等を整理をし体制を整えたいという関係上その部長等の名称を削っておったけれども、逆にそれがあたかもごまかしているような疑いを持たれたので、正誤表を出して当面はこうなっているということを明らかにしたということのようでございまして、事務体制の改善を図るということについては現在検討を具体にしているというような回答を得ておるわけでございます。  なお、その他の点につきましても、国士館大学ケース等も例に引きまして、学内でそういうことがないようにという注意は十分いたしたつもりでございます。
  97. 森廣英一

    森廣説明員 九州産業大学の私文書偽造事件というお尋ねでございますが、昭和五十五年六月に九州産業大学文部省に対しまして経営学部国際経営学科の設置認可申請をいたしておりますけれども、この認可申請書類に添付いたしました教職員等の履歴書、就任承諾書、職務調書等につきまして私文書偽造の容疑があるという点であろうかと思います。この点につきましては、現在大学の当該履歴書等の記載のございます教授、職員等につきまして相当数の者から事情を聴取しておりまして、近く捜査を完了することができるというような段階でございます。  それからいま一点お尋ねの、補助金交付に当たりまして虚偽の申請をいたしまして不正に補助金を取得した補助金の不正取得事件でございますが、この点につきましてはすでに五千万余の不正取得額で事件を送致しておりましたけれども、その後追加の捜査をいたしまして、従来送致した額よりも四百万円近く上回る不正取得があるということが明らかになってまいっておりまして、現在その補充の捜査をしておりまして、これも近く捜査を終了することになろうという段階でございます。
  98. 早田肇

    ○早田参考人 九州産業大学に対しましては、先般各大学実施いたしました来年度補助金の手続の変更に伴う面接を実施いたさなかったことは、先生の御指摘のとおりでございます。現在の段階におきまして財団は、文部省が行われました五項目改善事項に対する九州産業大学の対応等も十分見つつ、今後文部省とも十分御協議し、これらの点を検討して結論を出していきたいと思っております。
  99. 中西績介

    中西(績)委員 終わりますが、最後に一つだけ要望したいと思います。  それは警察庁にもあるいは私学財団にもあるいは文部省にもですが、いずれにしましても、こういう体質の学校というのはトップにある者が一手に握って全部を支配できる体制になっておる、そこから出てきておるということの認識をしていただく。そうしないと、先ほども査第一課長が言っておるように、中村だけに、全部そこで集約して終わるということになったときには、もう何にもできないわけです。  さらにまた、この九州産業大学でいうならば、いま言うように補助金申請についても、あるいはきょうの新聞にも出ていますけれども、国際経営学科の増設の申請書についても、何か課長がそういうことをやったのだというような報道がもうなされ始めていますよ。だから全部、そういうように肝心なところには全然手を触れずに終わらせてしまうというのがいままでのやり方なのです。あるいは振興財団だってそうですよ。だから、こういうことが依然として行われる限り、この改善がなされるなどということはとうていあり得ないということを銘記していただきたいと思うのです。そうしないと解決は全然できないということ、過去私が指摘をしてきておるにもかかわらず、こうして出てきているのですから、私は、これが再び起こらないように、九州産業大学国士館のようなことが再び起こらないようにするための措置は何なのかということを十分検討してやっていただくことをぜひお願いすると同時に要求をしたいと思います。  特に大臣、その点についての決意を一言だけ言ってください。
  100. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 特に九州産業大学の改革問題については、中西さんと同じような気持ちを私は持っておりますが、それだけでも済まない体質があるということを前提にして考えております。
  101. 中西績介

    中西(績)委員 終わります。
  102. 葉梨信行

    葉梨委員長 午後一時に再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十一分休憩      ────◇─────     午後一時一分開議
  103. 葉梨信行

    葉梨委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  文教行政基本施策に関する件について質疑を続行いたします。佐藤誼君。
  104. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 私は最初に文部大臣にお尋ねしますが、つまり教科書無償制度に関してです。  義務教育の教科書無償制度は、憲法二十六条の精神にのっとり今後も継続すべきだと私は考えます。文部大臣はことしの三月二日衆議院文教常任委員会で無償継続についての決意を述べておりますが、ここで改めて文部大臣決意を伺っておきたいと思います。
  105. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 お答えいたします。  教科書問題については佐藤さん御承知のとおりに、いま世間では、あるいは自民党内にもありますけれども、この無償制度を続けるのが適当かどうかということについて意見があります。ありますが、文部大臣私としては、これは現行の無償制度を続けるのが正しい筋道である、かような考えを持っております。憲法に規定がある、間接的に二十六条にあるということでこの制度ができておるわけでありますが、私は憲法以前のものであるという考えを持っておる。憲法はその以前のものを文章にあらわしただけである。義務教育については、教科書は教育の食糧だと私は思っておりますから、食糧はまず小さなときに親が与えるものだ、かように考えておりますので、私は、そういう精神を憲法がうたっておるのだ、かように考えております。ただし、いろいろな意見がありますから、そういう意見等も聞きながら今後最終決定をしなければなりませんが、いまどうだとおっしゃれば、いま申し上げたとおりであります。
  106. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 文部大臣の考え方、決意はわかりました。時間があれば後ほど関連して質問いたします。  次の質問は、国民が注目をしております東京医科歯科大学の教授の選考をめぐっての金銭授受の疑惑の事件でございます。大変重要な事件であることは申すまでもないし、国民関心を引いている問題であることはもちろんでありますが、ただ残念ながら、事の真相がわからない、これが現状ではないか。それだけに国民はその真相の究明に対して期待を持ちながらもいら立ちを持っておるのではないかというふうに私は思います。  御案内のとおり、この事件大学内に起きた事件でございまして、大学の自治という関係から、歯科医科大学におきましては、みずから学長を中心といたしまして調査委員会を設置し、そして調査の結果を逐一文部省報告をしている状況にあるやに聞いております。しかしその経緯を見ますと、当事者であります池園教授、酒井博士、この二人の意見が当初は食い違っておったやに見えたところが、その後は一致したということで文部省報告があり、事実上そこで一段落ついたやに見えたわけであります。ところがその後、それぞれの機関調査等の中でさらに金銭の授受について疑惑が深まり、その調査委員会を継続し調査するということになった。ところが昨日二十七日の新聞等によれば、新たにこの酒井博士が横川教授等にも現金を渡したというような報道がなされているわけです。そして、新聞の報道する限りではありますけれども、どの辺までこれが広がるや、疑惑が深まるばかりだというのが現況ではないかと思うのです。  そこで、いまそれに関連する文部省大学当局、それから警視庁等を考えてみると、文部省の場合には、いま申し上げたような大学の自治の関係から自分たちの大学内部で捜査し、それの報告を受ける、それを受けて指導するといいますか、そういう間接的な形になっている。それから警視庁の場合には、事件の捜査が任意捜査で現在進行している状況下に見えているわけです。そうなりますと、事の真相を明らかにしてほしいというそのことにいま最も端的にこたえ得るのは、私は、みずからが自主的に捜査をしている歯科医科大学調査委員会、つまり大学当局だと思うのです。そういう意味できょう歯科医科大学の前島医学部長を政府の説明員としてここに来ていただくように私は申し入れをしておったのでありますが、残念ながら病気で倒れたということで来られないということなんです。そこで急遽学長をということも考えましたけれども、残念ながらおいでにならないという結果になってしまった。私は、いまのような文部省の置かれている立場、警視庁の捜査の状況等を考えますと、いま国民の疑惑にこたえて、現時点の真相を国民に伝える立場にあるのは、これは歯科医科大学当局だと思うのです。ところがいまのような事情で出れないということは、きわめて私は残念だと言わざるを得ないので、きょうは物理的にいたし方ありませんけれども、何かこの事件はこれからも尾を引きそうでございますので、今後こういう質問の機会に、あるいは文教委員会で取り上げた機会には、私は、歯科医科大学当局から直接、大学の自治を尊重しながらも、ぜひ聞きたいというふうに思っておりますので、その点をまず最初に申し上げておきたいというふうに思います。なお、その点について後ほどの質問との関連の中で、文部省の考え方も披瀝していただければ大変ありがたいというふうに思います。  そこで、そういう事情になっておりますので端的に文部省に聞かざるを得ないわけであります。そこで文部省にお尋ねいたしますけれども文部省は歯科医科大学からいま言ったような経過の中で逐一事情を聞いたと思いますが、その文部省として歯科医科大学から事情を聴取したことに立っての事実関係をどう押さえているのか、このこと、それからもう一つは、当然その事情聴取とあわせて指導をされてきたと思うのですが、どういう指導をなされてきたのか。それからもう一つは、いま申し上げたようにいろいろな紆余曲折を経て、簡単に言えば現在霧の中のような状況にあるわけです。これから文部省は事の真相をどのように明らかにしていくつもりなのか。その辺のところ、時間も関係ありますから、以上まとめて質問しておきたいと思います。
  107. 西崎清久

    ○西崎説明員 ただいま先生から三点のお尋ねがございましたので、あわせて御説明を申し上げたいと思います。  まず、新聞紙上で報道がされましたのが七月十九日でございます。したがいまして、私どもとしては、大学自治の根幹にかかわる重大な事態でございますので、当日、医科歯科大学学部長等の来省を求めまして、二点の指導をいたしております。  第一点につきましては、大学自治の基本にかかわる国立大学の教授選考に関することであるので、現金の授受があったとすればきわめて遺憾で、早急に厳正な調査その他の措置をとる必要があるというのが第一点でございます。それから、第二点の指導といたしましては、本件について速やかに適切な措置を講じ、広く社会に対し医科歯科大学大学の自治を担う能力を有するものであることを明らかにすべきであるということを申し上げておるわけであります。厳正な措置等につきましては、仮に現金の授受等がある場合の処分問題等について、大学自治の観点に立つ大学の考え方の究明ということも含めて指導を行っておるというのが第一点でございます。  そして、第二の問題として、その後事実関係がどうなったかということでございますが、先生御指摘調査委員会が設けられまして、先週末までに四回の調査が行われまして、池園教授と酒井昭義氏双方からの意見を聴取しております。そこで明らかになりました点は、三百万円の授受の事実につきましては、これが事実としてあったということがはっきりいたしました。それから、第二点の百万円の授受については事実がないということで調査委員会としては承知をしたようでございますが、その後の事実関係はその点についての問題疑惑があるというわけでございまして、その点については分明でないというのが実情でございます。  そこで、私どもは、一昨日月曜日に大学側の来省を求めまして、四回の調査委員会の結果と教授会への報告事項について報告を受けたわけでございます。そのときに、以上二点についての話がございました。  そこで、私ども指導としては、調査委員会が四回の調査調査を終えたかのごとき印象があるとすれば、それは遺憾なことである、したがいまして、調査委員会としては、金銭授受の目的その他事実関係など調査すべき事項があるということを考え、調査をなお続行することが必要ではないかということを話したわけでございますが、大学側も当然調査委員会をそこで中止する考えはないということをはっきり申しておりまして、なお継続して調査を進めるというふうに申しております。調査委員会の出発の当初は、約三週間ということで出発したようでございますが、先生御指摘のようにその後いろいろな事実関係が派生しておることも考えますれば、なお調査委員会が鋭意この事態の解明に努力をする必要があるということを私どもは考えておる次第でございます。  以上でございます。
  108. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 先ほどの質問の中で、ちょっと固有名詞を間違えました。東京歯科医科と言いましたが、医科歯科大学でございますので訂正させていただきます。それから学部長を前島と言いましたけれども、前田でございますので、固有名詞でありますから訂正をさせていただきます。  そこで、事情聴取並びに指導の経過はいま話があったとおりでございますが、文部省としても、教育公務員特例法などから照らしての大学の自治の問題がありますから、なかなか踏み込めない一線があることは私も理解しますけれども、しかし、いまの状況を見ていると、大学当局、つまり調査委員会で本当に国民が期待し得るような真相究明ができるのかどうか、非常に疑問に思わざるを得ないわけです。これは先ほども質問した中に申したように、経過から見ても紆余曲折、新聞を見ている国民はわからぬ、しかも最終的には、われわれの調査にも限界がありますのでということで一応閉じた形にしている。続けるとは言っていますけれどもね。ところがその後、先ほど申し上げたような横川教授の事件が出てきたり、どこまで広がるかわからぬということで、私は、監督官庁である文部省がこういう重大な事件について本当にどこまで真相究明できると考えているのか、いろいろ制約条件はありますけれども。  それから、これは警視庁といったって、本来からいうならば大学みずからの自浄作用で真相を明らかにして、そして国民に襟を正し、みずからが新しい方策を立てることを私は期待したいけれども、どうもいまの状況を見るとそれが期待外れに終わりそうな感じがいたします。これは文部省として重大な立場にいま立っていると思いますので、もちろん担当の官房長もそうですけれども文部大臣からもその辺の決意といいますか、考え方といいますか、私は先ほど大学当局から説明員として来てほしいということを申し上げましたのですが、その辺も含めて、後で文部大臣からひとつ申し述べていただきたいと思います。
  109. 西崎清久

    ○西崎説明員 お答えいたします。  事態の解明についてどれくらいの決意で臨むかという端的なお尋ねでございますが、大学が国立大学として、文部省所轄機関として自治の形で運営が行われておるというところはやはり一つの基本でございまして、本件につきましても、その自治の基本にかかわる教授選考の問題である、事態は大変重大な問題でございます。したがいまして、その自治の基本を明らかにする意味におきましても、本件についての事態の究明はまず大学側において努力をし、国民世論の納得が得られる形での調査の結果をまとめ、そしてそれに対する大学の考え方を明らかにする、それが医科歯科大学の信頼を回復するゆえんであろうかというふうに私どもは思うわけでございます。  したがいまして、現段階における大学への指導助言も大学の自治という根底に立った上での私ども指導助言でございますが、大学自体事態を深刻に受けとめまして、当日、直ちに調査委員会を設ける、そして評議会の中でも処分に関する小委員会というものを設けまして、並行して、事実関係が明らかになると同時に恐らく評議会における処分小委員会の動きも始まるというふうに思うわけでございます。それらに合わせまして大学全体としての事態解明が進むものと期待しているわけでございまして、私どもとしては、大学自治を前提にしつつ文部省の立場で指導助言に努めて事態の解明に努力したい、こういう考え方が基本でございます。
  110. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 東京医科歯科大学の御指摘の問題は、非常に遺憾なことだと思っております。国立にかかわらず、少なくとも大学と言われるところは国民から尊敬され信頼されることは非常に大事だ、これは教育の原点である、かように私は考えております。特に、国民の税金で全部賄っております国立大学、こういうところで伝えられるような事件といいますか、行為があったということは、しかも常に大学の自治を唱えておる大学の内部の教授選考に絡まって金銭の授受があった。率直に言って、まだ全体の真相は明らかでないと思います。ただし、いまもるる官房長から申し上げましたように、また佐藤さん御存じのとおり、文部省が強く立ち入って取り調べをするなんという関係ではないし、またそういう事態は不適当である、かように考えます。大学人が、先ほど申し上げましたように国民から最高といいましょうか強い尊敬と信頼を受けるべき立場にありますから、その自覚のもとで真相を明らかにして、そしてそれに対する厳正なやるべき措置はとってもらいたい。私ども、そういう観点と申しますか立場で指導助言をいたしておる、こういうことでございます。  一面、これは申し上げるまでもなく、もし教授選考についての金銭授受であれば明らかに刑法の問題であり犯罪の問題でありますから、犯罪として当然に警察あるいは検察の捜査を必要とする、そういう面にも私は強い期待を持ってこの問題の真相を明らかにいたしたいものだ、かように考えております。
  111. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 この事件はいま申し上げたような進行中の事件でありますし、また大学自治に絡むものですから、非常に、真相究明をはやることは国民ひとしくそうなんですけれども、慎重を期さなければならぬ部分もあるわけです。そこで、警察庁がこの事件についていろいろそれなりに捜査をしていると思うのですけれども、現時点でわかっている事実関係、あるいは現在どのような捜査をしているのか、その辺について現在ここで説明できる状況について説明していただきたいと思います。
  112. 森廣英一

    森廣説明員 警察といたしましては、この東京医科歯科大学に絡む疑惑の問題につきましては警視庁に捜査を現在させております。しかしながら、どういうような捜査をしておるか、あるいはどういう事実関係がいままでにわかったか、あるいは今後どうするかというような点につきましては、すべて今後の捜査にかかわることでございますので、現時点で公の席で答弁をするということは許されませんので、捜査をしておるということで御了解をいただきたいと存じます。
  113. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 それはそれなりに理解できるのですが、この事件の真相究明は非常にむずかしいのですけれども、しかし先ほど言ったように、大学大学状況があります、まあこれから期待はしておりますけれども文部省文部省のそういう大学自治とのかかわりで一定の距離を置かなければならぬ問題があります。そうすると私は、国民は、非常に残念な面でもありますけれども、警察庁の事実究明の捜査というものを期待している面もあると思うのですよ。これは事実関係を明らかにしてしかるべく手を打たないと大変な問題になると思うのです。これは国民教育や医学に対する信頼という問題にかかわっておりますから、したがって、この事件に対して警察庁が、国民の信頼回復にこたえ、真相究明と教育、医学の信頼回復ということについてこれからどのような立場と決意で捜査を進める考えであるのか、その辺の考え方をひとつ披瀝をしていただきたいと私は思うのです。
  114. 森廣英一

    森廣説明員 捜査をいたすわけでございますから、法律上許された適正な手続に従いまして鋭意捜査を進めてまいる所存でございます。しかし、結論につきましては、もしそこに犯罪があるという場合には当然ながら厳正に対処をしてまいるということでございます。
  115. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 事実の調査なり真相究明の状況は動いている状況ですし、そこで文部省という指導の立場にある、特に大臣に対し、私は次のような見解を述べて質問をしておきたいと思うのです。  それは私から申すまでもなく、このたびの事件は起こったのが人の命を扱う医学の分野であり、しかも人を育てる教育の分野、そのクロスするところの、しかも頂点に立つ国立大学で起こった、こういう点では、国民にとってはショッキングな事件であるというこのことを、私たちはきわめて重大なものとして受けとめなければならぬのではないかということを考えるわけでございます。特に加えて、この事件が偶発的な事件ではない、言うなれば今日よく言われる白い巨塔の構造的腐敗の一面ではないか、言うなれば氷山の一角と見られているところにこの問題の構造的な根の深さ、救いがたさがあると私は思う。したがって、そういう点から事の真相を徹底的に究明をすると同時に、人の命、人を育てる医学と教育国民の信頼を回復するという立場で徹底的に究明し、また、いまの構造的な点から考えると、類似する事件はないのか、もっと広く全国的に関係方面を調査する必要があるのではないかということを私は考えるわけであります。そしてその上に立って、再びこういう事態が起こらないように、その再発防止についてまさに心機一転、新しい決意と方策でもって対応しないと、上塗りのような形でこのことに対応し対処していっても、次々同じような事件が起こるのではないかと思うのです。そういう意味で、いま申し上げたような真相の徹底究明、そして関連する類似事件がないのか、この際全国的にこれを調べるということと、二度と再びこういうことが起こらないように、国民教育と医学に対する信頼を回復するということで、抜本的、長期的な対策を立てる必要があるというふうに私はこの事件を契機にして考えるものでありますが、その辺の文部大臣のこの事件に対する決意を伺っておきたいと思うのです。
  116. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 先ほども申し上げましたように、教育の府であり、しかも国立大学、最高学府でかような事態が伝えられるということは非常に遺憾至極であるということを申し上げ、同じような感想を持っておるわけでございます。これが氷山の一角でないことを願っておりますが、しかし、そうばかりも言っておられぬのじゃないかという、また別の感想も浮かぶわけでございまして、これがもう少し真相あるいはその仕組みなりがだんだん明らかになってくると思いますが、それに応じて今後どうあるべきかを検討してみたい、いま直ちに全大学がそうであるという前提に立って物は申し上げたくないのであります。
  117. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 私は事実の真相究明が先だと思いますが、この機会でありますので重ねて意見を表明しながら申し述べたいのでありますけれども、この事件を考えてみたときに、よく言われるような今日の巨額の寄附金が動き、積まれているという医者の養成制度の問題それから非常に根深いところの例の医学界、医学教育における学閥の争い、それからもう一つは、いまの事件に象徴される医学界におけるところの地位や利権が金で、しかも金を媒介にして動かされている、しかも、ある報道等によれば、もう常識化されて麻痺しているというまでに言われているわけです。こういう問題は、国民が非常に大きく関心を持ちながら疑惑を持っている点だけれども、なかなかその点がメスが入れられないという問題だと思うのです。この機会に、こういう国民が持っている疑惑を晴らすために、先ほど文部大臣が言われましたけれども、真相究明とともに、この問題については抜本的に対策を立てていただきたい、このことを私は重ねて文部大臣に強く要望しておきたいと思いますが、文部大臣どうですか。
  118. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 先ほどお答えしたと同じでありますが、佐藤さんのお気持ちを十分心に置いて今後の行政を進めたい、かように考えております。
  119. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 それでは次の質問に移ります。  実は、ことしの六月の十二日、朝日新聞が、「「業者テスト拒んだ」 先生十九人を戒告処分 鹿児島県教委 校長命令に違反で」、こういう見出しで報道しております。つまり、これは何かというと、文部大臣関係者、皆さんが御承知かと思いますけれども、鹿児島県下で起こったことで、業者テストを校長が実施するように命令したら、それを拒否をしたので、職務命令違反で県教委が戒告処分をしたという事件であります。  続けてこの朝日新聞の報道の一部を読みますと、次のように書いてあります。   偏差値が幅をきかせる教育に批判が高まっている折、鹿児島県教委は十一日、民間業者の県内統一テストに学級を参加させなかった中学校の教師十九人を「公務員の職務上の義務に違反した」として懲戒戒告処分にした。民間業者テストによる生徒のランク付けなどの弊害を反省して、その廃止や教師手作りの到達度診断テストに切り替える動きがある中で、文部省も「聞いたことがない」という異例の処分理由。鹿児島県教職員組合は近く人事委員会に処分取り消しを申し立てる。 こういう報道がなされているわけです。  事実はそのとおりだと思いますが、言うなれば、これを端的に申し上げますと、つまりこの事件は、校長が民間業者の標準学力テストを実施するように所属職員に業務命令をした、ところが、その教員は民間業者のテストをやらなかった、したがって、職務命令違反で処分したという。新聞報道になっておりますから文部大臣は知っていると思いますが、しかもこれに対して、新聞報道によれば、文部省も、聞いたことがない異例の処分理由であるというように言っているというふうに報道していますね。  そこで、私は、この事実を文部省は知っているか、そしてまた、このような異例な処分に対して文部省はどのように考えているか、まずそれを最初にお聞きしたい。
  120. 高石邦男

    ○高石説明員 お尋ねの鹿児島県における事件でございますが、県の教育委員会は、従来から、県下の児童生徒の学力を客観的に把握したい、そして、学習指導に役立てるために標準学力検査を行うという方針でこのテストをやってきているわけでございます。  五十七年度は、小学校六百五校のうち、この県の方針に基づいて実施しました小学校は六百二校、九九・五%、ほとんどの小学校でこのテストが実施された。それから中学校では、二百九十二校のうち二百六十九校、九二・一%、こういう形で実施されております。したがいまして、従来から県の教育委員会は、総合的に県下の児童生徒の学力を客観的に把握するデータとしてこの調査を行ってきたというのが従来の経緯でございます。  そこで、そういう状況下にありまして、公立の中学校の校長がこの標準学力検査の実施を命じましたところ、教諭十九名がその命令に違反し、これを拒否したということから、県の教育委員会は懲戒処分としての戒告処分をしたというふうに聞いているわけであります。文部省がどういうコメントをしたかわかりませんが、こういう種類の形での懲戒処分は初めてということでございまして、これが法律上適当でないとか行き過ぎである、そういうコメントをしているわけではございません。
  121. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 私、事実経過を特に求めているわけじゃないので、それはあなたの方で調べてもらって結構ですが、私は、この事件の特色というものをきちっと押さえてもらいたいわけです。いまも申し述べたように、民間業者の学力テストですよ。簡単に言えば、営利を求めている法人、業者の学力テストです。それを業務命令でやらせること自体大体問題があるのじゃないか。しかも、内容を調べてみると、あなたの方も調べたかもしれませんけれども、その標準学力テストは教研式という特定の商品を使うようにあわせて命令されているのですね。そういうものをやらなかったからといって、つまり民間業者の特定の商品を使ってテストをやれということに対して、命令すること自体が問題ですが、それを拒否したからといって処分するなどということが私は前代未聞の出来事ではないかと思うので、その点について文部省はどう考えるかということを私は聞いている。
  122. 高石邦男

    ○高石説明員 それぞれの児童生徒の学力をどういう形で把握していくかということは、教育行政上きわめて重要な課題であります。したがいまして、鹿児島県は、従来県内一斉に、学習指導要領の基準に基づいてどの程度の学力が児童生徒についているかを調査するということで繰り返してきたテストであるわけです。  そこで、その際に、そのテストをどういうものを使うかという判断があると思います。それは、みずから県の教育委員会とか校長会がつくった問題でテストをするような形式もございましょうし、信頼できる民間の学問的な体系によるテストを利用するということも当然あり得ると思うのです。したがいまして、県の教育委員会としては、この際は民間でつくられている標準学力検査によって県内の学力の実態をつかみたいという方針のもとに、学校はそれぞれの教育計画に基づいてテストをしたというふうに聞いておりますので、そのこと自体特に問題にすべき問題ではないというふうに思っております。
  123. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 最後、問題にすべき点ではないということを言われたけれども、私はよく考えてもらいたいと思うのですが、私後ほど触れますけれども、大体弊害が多いと言われる業者の学力テストを県教委が指導してやっているということ自体一つ問題なんだけれども、そのことはいまさておいても、そのことを仮にやってほしいと言われた、これはそれなりの議論のあるところであろうけれども、それに加えて業者テストを業務命令でやらせるなどということが考えられるのかというのです。しかも、それをやらなかったから処分するなどという二重の処置をとるなどということは、文部省としてどう考えるのかということです。業者のテストを業務命令でやらせる。しかも追い打ちをかけるように、やらなかったら処分するなんて、その点、文部省としてはっきりしてくださいよ。どうなんですか、見解……。
  124. 高石邦男

    ○高石説明員 先ほども申し上げましたように、学校一つ教育計画に基づきまして、そういうデータを利用してテストをやるということは当然あり得ることでございます。
  125. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 私の質問に適切に答えてくださいよ。やっている事実経過を言っているのじゃなくて、後で触れますけれども、今日弊害が多いという民間の利益を求める、利潤を求める法人がやっている業者テストをやってほしいということ自体が問題です。しかし、仮に百歩譲っても、やってほしいということを言ったとしても、今度それを業務命令でやらして、やらなければ処分するなどということは、大体私は業務命令になじまない問題であると思うし、処分権の乱用ではないかと思う。学校の現場で何をやってもいいなんということはないと思うのですよ。どうなんですか。
  126. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 私が出る幕じゃないかもしれないのですけれども、この朝日新聞記事を見たときに私は非常に不思議に思ったのです、率直に。佐藤さんあたりは教育の専門家ですからおわかりだったかもしれませんが、私は恐縮ですけれどもそういう問題については素人ですから、そういう業者テストに参加しなかったから処分云々と大々的に朝日新聞に書いてありましたから、学校というのはどういうところなんだろうかなという感じがしたのです。いま業者テストだとか輪切りだとか、何とかテストだとかいうことで、塾だとか教育産業だとかいろいろ問題にされておるときに、業者テストに参加しなかったから云々ということを非常に不思議に思いました、率直に。  そこで、文部省にこの事態の説明を聞いたのですけれども、確かに率直に言って、ちょっと新聞記事が私はおかしいと思う、間違っておると思う、この受け取り方から見ますと。というのは、これから先は私の考えですけれども、小学校にしろ中学校にしろ、あるいは高校でもどこでも同じでしょうけれども教育をしてどの程度その教育が理解されておるかということを見るのがテストといいますか、これで鹿児島県あるいはどこの県の中学校の何年生はどのくらいの理解度がついておるかということを客観的といいますか統一的といいますか、そういういわゆる学力テスト、進度のテストというのでしょうか、それをやるのも教育にはきわめて必要な、大切なことであろうと私は思います。  だから、問題は、これを聞きましたときに業者テストという言葉が、文字がありましたから、そういう客観的に第何学年はどの程度の学力になっておればまあまあ教育が理解されておるなということのテストを研究しておる会社というのでしょうか、いわゆる民間業者というのですか、そういうのが何社かあるのだそうです。私は初めて聞きました。それで、教育委員会とか教育関係のある人が、これならばいいテストの方式だ、こういうことを考えて、ある会社のテスト方式を用いて県下の中学何年とかいうことにテストをされることがあるそうでございます。どこの会社を採用するかは県教委あるいは学校の校長先生の考えかもしれませんが、それであると業者が鹿児島県に来てテストをするのじゃなくて、そういうちゃんとできたテストペーパーを用いてテストをしたのだということの説明を受けました。それなら別に不思議なことはない。  あるいは、私はこういうことも聞いてみました。そんなことは県教育委員会で、この学年はこのくらいのテストをしてみたらどうだ、県全体に教育委員会で研究したテストペーパーでやったらどうか、あるいは、学校の校長先生、学校の教師の中で統一的なものをつくってテストをしたらどうか。いや、それもできる、それをやっているところもある、こういう説明で私もよく納得したのですが、それよりもずっと専門的に研究して、この学年ならこの程度のものでやってみると大体わかるのだ、こういうのをやっておる会社があるのだそうでありますが、業者が行ってやるのじゃなくて、そういう材料を使ってテストをしたんだ、それをテストの業務命令を出しておる、やらなかったのは処分された。私は、これは私の理解ではちっとも不思議なことではない、かように考えております。
  127. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 文部大臣、ちっとも不思議でないというところが大体問題があるのでありまして、私はテストをやること自体おかしいなんて言っているのじゃないのですよ。教育をやるためには一定の目標に向かって材料を使って、教材を使って、そして生徒の発達に応じて指導していくわけですから、それが適切であるかどうか、どの程度その目標を達したかということを調べるのは当然テストですよ。こんなことはだれも否定しませんよ。ただし、テストの方法にはいろいろあります。教師みずからつくる、あるいはその地域の学校の先生方が集まってつくる、教育委員会標準を示す、業者がやっておる、いろいろありますよ。ありますが、私は、業者テストという場合にいま非常に問題になっておるのじゃないかということをまず指摘したいのです。テストをやるなと私は言っておるのじゃないですよ。必要だと言っておるのですよ。この業者テストが問題だということは、文部大臣はよく研究してもらいたいのだけれども、業者テストがもたらす偏差値信仰の教育的風潮、これが今日の受験競争をあおり、知育偏重の評価によって落ちこぼれをつくり、さらに高等学校に序列をつくるという今日の教育の荒廃のたくさんの原因になっておるということはあまねく世人が指摘するところなんです。そういう問題状況にあるということをまず文部大臣なり関係当局はよく認識してほしいし、調べてもらいたい。  そういう問題の業者テスト、しかも特定銘柄を指定して、業務命令でやらせるなどということが大体おかしいのではないかということを言っておるのです。弊害の多いそういう業者テストをやること自体問題があるのですが、それを今度は業務命令でやらせる。しかも、それをやらなかったからといって処分するという二重、三重の追い打ちをかけた扱いの仕方というのは逸脱しておるのじゃないかと私は言っておるのです。そこのところを大臣に混同してもらっては困るのです。  だから、あえて言いたいのは、業者テストを私はあえて否定するものではない。しかし、今日の業者テストは、いま言ったように今日の教育の弊害のたくさんの原因になっておるというふうに指摘されておるということです。これを今度は業務命令でやらせて、違反者は処分するなどということは屋上屋を重ねた問題を提起しておるのじゃないかと私はあえて言いたい。このことを言っておるのです。  それで、時間もありませんので、私はあえてもう一度つけ加えて言っておきますけれども、大体いまのような状況で、いまもちょっとありましたけれども、心ある県の小中学校長会などは申し合わせをして、自粛をしようとか、回数を減らそうとか、いついつまでこういうものはなくそうとか、そういうことがいまずっと議論されておるのです。いまもちょっとありましたが、香川県の中学校長会では、約三十年近くやったのだけれども、これを全廃するということを言っておるのです。こういう状況なのに、さっきも言ったように、繰り返しますが、そういう業者テストをやらせること自体が問題なのに業務命令でやらせて処分するなどという、こんなことは文部大臣、よく考えてもらいたいですよ。  もう一つは、中間を除いて質問を続行しますから、その前によく考えておいてもらいたい、問題提起しておきますから。  文部省が出した昭和五十一年の初中局長の通達「学校における業者テストの取扱い等について」という中で、これはあなたの方にもあると思いますが、次のように指導しておるのじゃないですか。「記」の中に「学習の評価は、学校指導計画に基づき教師自らが適切に行うべきものであり、」以下ずっとありまして、「安易に業者テストに依存することがあってはならないこと。」とあるのじゃないですか。五十一年の通達ですよ。それから、「業者テストを授業時間中に行うことは、」以下ありまして、「望ましくないものであること。」、このたびの事件は授業時間中に行っておるのでしょう。三番目が、「教師が金品等の報酬を得て業者テストの」以下云々、こういうふうに書いてあります。  そして、ずっと行きまして、今度は同じく昭和五十一年の十一月二十二日、初中局職業教育課長の通知では、いろいろ各県のデータがありまして、つまり業者テストに対する都道府県教育委員会の対応という次に「校長会等の動き」として、「(1)業者テストの全廃を申し合わせた……(二)」「業者テストの実施回数を削減することや、授業時間中に行わない等の申し合わせをした……(二二)」以下ずっとあるのです。これはよく見ておいてください。  業者テストに対して一面においてこういう指導をしながら、やっておることは最も理解できる、しかも業務命令でやること、あるいはそれに対して処分したことも何ら問題がないみたいな受けとめ方だと、これは重大だと思う。  私は、ここで一応質問を切りますけれども、これから約三十分間他の方が質問したら、また引き続いて質問いたしますから、その間よく考えておいて、答弁していただきたいと思います。  以上です。
  128. 葉梨信行

  129. 河野洋平

    河野委員 まず最初に、当初予定されていた質問順位を繰り上げさせていただいた委員長及び理事会の皆様方の御理解に、感謝を申し上げたいと思います。  以下、若干の質問をさせていただきますが、まず冒頭に、東京医科歯科大学の問題を一点だけ伺います。  新聞その他で事態がだんだん明らかになってきておりまして、国立大学の中で金銭の授受、公的ないすをめぐっての金銭の授受ですから、これは国家公務員法その他に触れる事態が明らかになってきた。当然文部省としては処分をしなければならぬと思いますけれども、この処分、どうされますか。いつごろどんな処分をなさいますか。
  130. 西崎清久

    ○西崎説明員 処分問題につきましては、先ほどもお答えしたところでございまして、私ども自体が出発しましたときに、もし金銭の授受があるとすれば懲戒処分の問題についても検討する必要があるということは大学側にも話をしたところでございます。  その後、三百万円についての授受があったということが調査委員会でも明らかになりました。その後のいろいろな推移で、今後も事態がいろいろと解明されるところで、三百万円以外の問題が派生してくることが考えられるわけでございます。  そういたしますと、どの時点で事実関係を押さえ、締めくくるかという問題がございますが、その事実関係の締めくくりの時期と内容につきまして、医科歯科大学の評議会に置かれております処分小委員会というのがございます。恐らくそこで、大学自治の問題として、処分問題についてどういうふうに考えていくかということの検討が行われると思います。その処分小委員会で行われた検討の結果は評議会に報告され、評議会の審査が行われるわけでございます。評議会の審査が行われた結果に基づいて、学長から処分の問題が文部省の方へ上がってくる。そこで私ども文部省の立場で処分を行う、こういうふうな段取りになろうかと思います。  したがいまして、いつの時点で処分を行うかにつきましては、事態の解明の時点と結果、内容というところにかかわるわけでございまして、その後のいま申し上げました手順に従いましてそういう事態が必要になれば、文部省としても十分検討して行う、こういうことになろうかと思います。
  131. 河野洋平

    河野委員 わかりました。  次に、九州産業大学あるいは国士館大学、こういった私立大学の運営をめぐって学内理事会、あるいはいわば学内が非常に混乱をする、こういう混乱に対して文部省指導をするというのは実際問題なかなかむずかしいのだろう。法的根拠がなかなかない。どの程度指導ができますか、実際は。
  132. 宮地貫一

    宮地説明員 大学の運営につきまして、それぞれ根拠になる法令の規定があるわけでございます。それらに基づいて適切な運営が行われているかどうかというようなことがもとより基本になるわけでございますが、それ以外に、御指摘いただいておりますような管理運営全般について、いろいろと問題点が指摘をされるわけでございます。  定例的に行っております大学に対する指導の一般的な形で申し上げれば、たとえば設置審議会で認可になりました後、設置審議会の委員でございますとか、そういう方々指導に参るケースがまず一般的に行われるケースでございます。そのほか、各専門分野について視学委員をお願いしてあるわけでございますが、そういう視学委員方々に実際の大学に出向いていっていただきまして、それぞれ大学の運営その他について指導助言をいただくというようなケースが一番一般的なケースであるわけでございます。そのほか、設置認可の際に問題点を指摘されておりますような事柄については、アフターケアといたしまして、完成年度まで毎年指導に参るというようなケースも中にはあるわけでございます。
  133. 河野洋平

    河野委員 いま局長からお話がありましたような指導助言、こういったようなものは学校私学それ自体がやや正常な形で運営をされている、たとえば命令系統がはっきりしているとか、責任の所在がはっきりしているとかいう場合に効果があるのであって、責任の所在がよくわからぬ、あるいは命令系統もめちゃめちゃになってしまっている、学校の存在自体が非常にあやふやだというようなときには、文部省の現行法による指導助言というのはなかなか効果を発揮しないのではないか。学校の中が二つに割れて互いに非難し合っているような状況でうまくいかないのじゃないかということになりますと、少し古い話で恐縮ですが、昭和四十何年でしたか、例の学校法人の紛争の調停等に関する法律というのが時限立法でつくられたことがございます。例の名城大学ですかの紛争を調停したあの法律でございます。これは時限立法ですからもう現在はないわけですが、ああした法律をつくらないと、いまの局長が御説明のような法律的根拠に基づいての指導助言ではとてもなまぬるくて、この種の私立大学のごたごたは収拾できないのじゃないかとすら思いたくなるような昨今の状況なのです。局長の御判断で、いや、そんなことまでする必要はない、いまの法律で十分指導助言して、すっきりだれから見ても不安のない学校の状態が回復できるとお考えになりますか。あるいはまた、もう少し強い法的根拠がないと修復はむずかしいと、これは予見するのがなかなかむずかしいかもわかりませんけれども、その辺は感想はどうですか。
  134. 宮地貫一

    宮地説明員 御指摘のように、私、先ほど御説明しましたケースは、いわば正常に機能していると申しますか、そういうような場合に通用する手法ではないかという御指摘かと思います。お話しのように学内が二つに割れておって、それを現在の法制下では文部省としては指導が十分できない、恐らく限界があるのではないかという御指摘ではないかと思いますが、名城大学の場合のケース、これは学校法人の内部自体理事会が成立しないというような事態がそれぞれあって、御指摘のような時限立法で解決をしたというケースがあるわけでございます。確かに、そういうような事態に対しては現在の法制での指導については限界があるということは御指摘のとおりかと思います。  ただいま言われておりますそれぞれの大学学校法人の運営と申しますか、法人側と教学側といいますか、いわば両者の間で問題がむしろあるような感じがいたしておるわけでございまして、そういうケースについて、私どもとしても学校法人責任者から事情を聞くことはもとよりでございますけれども、やはり教学側責任者から意見を聞きますとか、あるいは場合によりましては教職員組合の方々からも意見を聞くというようなことで、広く関係者から意見を十分聞いた上で対応を進めるというようなことももちろん必要なことではないかというぐあいに感じております。  ただいまのところは、私ども、現行制度のもとで全力を挙げて対応いたしたい、かように考えております。
  135. 河野洋平

    河野委員 直接の担当ではない、現在は違いましたね。御無礼しました。直接の担当局長さんにできればもう一度伺いたいと思いますが、私は、もうそろそろそういう法律を時限立法でつくらなければならぬ時期かもしれないなと。この手の問題を余りに放置し過ぎると、先ほども同僚議員からもお話がありましたけれども、私立大学の権威といいますか、あるいは社会的信用というものがだんだんうせていってしまうのではないか。本来から言えば、自浄能力を持ってそれぞれの学校が自主的に解決をしてくれることが一番いいわけでございますけれども、限度があるのじゃないかというふうに思うのです。たしかあのときの時限立法は内閣提出の法律であったと思いますが、これはひとつ文部省当局もどこまでがまんをするかという、まだ現行法でやれるのじゃないかと、いまじっとがまんをしている時期なのだろうと思いますけれども、私はやはりがまんには限界があるぞというふうに考えていることを申し上げて、次へ進みます。  その次に、戸塚ヨットスクールの問題をひとつ伺いますが、これもけさ臼井議員から御質問があって、大臣から御答弁がありました。戸塚ヨットスクールをどうするか、これはなかなか簡単ではないのですが、大臣、戸塚ヨットスクールあるいは戸塚ヨットスクール事件と言ってもいいかもわかりませんが、この問題についての御感想をもう一遍お聞かせいただきたい。
  136. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 その前に、これは特にお尋ねということじゃなかったですけれども、私立大学の問題について、先ほど午前中に各氏からいろいろ、文部省が何か怠慢のような、という考えはないけれどもそう受け取れるような御指摘がありましたけれども、これは限界がありますということを二回私は申し上げましたが、一体これでいいのかなと。さればといって、私学、特に教育の問題は余り干渉がましいことをするのは適当じゃありませんし、私立大学はそれぞれ私人の力でやっておる、特色ある学校をつくるという形式の学校でありますから、特にそういう干渉といいますか、介入がましいことは適当でないという前提に立って私は考えておりますが、さればといって、教育という重大な問題、国民の信頼、世間の信頼というものは非常に大切な問題で、失礼でありますけれども、一遍できた学校は、理事者の性格その他によるともうどうにもならないという学校も、これは困ったものじゃというのが、現にそういう感想を持っているものがあるわけです。でありますから、これは任免権があるわけでも何でもありませんから、何とか方法はありませんか、それじゃ世間は承知しませんよという、いわゆる指導、先ほど私は苦心惨たんしてやっておりますということを言ったのですけれども、まさに限界があるのじゃないかと。私学に対する最高の監督は、これはどうしても学校として不適当だと言えば、閉鎖命令、あるいはこういうものはもうよけいなものだということで解散命令というのがありますけれども、これは異常事態のとき以外にないわけでありますから、そういうことに至らない前に適当な措置ができる制度といいますか、恒久的なものでなくても、あるいは特別な場合は特別立法をする必要があるのじゃないかということを私は考えております。これは皆さんの知恵もかりなければならない事態があると思いますが、一つつけ加えておきます。  それから戸塚ヨットスクール、戸塚というとそこにあるものですからすぐ錯覚を起こすのですけれども、名古屋にあるのだそうでございますが、これは先ほど来どなたかからもお話があり、私からも申し上げましたけれども性格はいわゆる株式会社で、憲法上営業の自由の中でやられておる問題でありますが、刑事事件があれば警察の、児童の問題があれば児童、労働の問題は労働省、教育の問題となると、直ちにこれは介入といいますか関与できない立場にあるのじゃないかと私も考えております。  ただ、先ほど警察庁からのお話で、中学校の生徒などもおるということで、義務教育の生徒が四十何人かおるということを聞きまして、これはどういう理由であるかということ、どういう学校か、どういうふうにしてこうなっておるのか、これは調査をして実態を把握する必要があるなということを感じてさようなことを申し上げておるのですけれども、これはいま直ちに私からどうあるべきかということを残念ながらお答えする能力を持たないわけでございます。
  137. 河野洋平

    河野委員 戸塚ヨットスクールの問題は、いま文部行政に携わる人間としてよく考えなければならぬことが二つあると思うのです。一つは、いまも大臣お話しになったように、民間会社だ、民間会社のやっていることで何とも、つまり、先ほどもこれは局長の御答弁にありましたが、法的にこれも余り根拠がないということですね。戸塚ヨットスクールが各種学校の資格を持っているわけでもないし、法的にこれを捕捉のしようがないのだという御答弁がありましたが、まさにそれはそのとおりなんですが、しかしいま、考えてみますと、大臣教育問題で文部省が捕捉できない、あるいは文部省が法律でかかわり合えない教育問題というのが実は物すごくふえたわけですね。たとえば塾、塾産業と言われるこの塾一つとってみても、昨今教育産業の中における塾産業というものが新聞の経済欄に出てくる。私の記憶が間違いでなければ、ある塾の昨年一年間の純益が八十億円ですよ。生徒数が百万人を超える塾が現にある。そして生徒数百万人、純益八十億円という塾産業、これは一社ですよ、それが経済欄に出てくる。それでいながら文部省は、法律的根拠がないから法律で捕捉ができない。特定の塾はできますよ。特定の塾はできるけれども、いわゆる塾と言われるものには文部省は手も足も出ないでしょう。戸塚ヨットスクールだって、現に、本来から言えば教育で直していかなければならない人たちがいて、しかしその人たちを受け入れる教育機関がどこもない。やむを得ずあそこに行っているという説明だ。そして、現にまだもっと入りたいと言ってウエーティングリストで待っている人がいる。そして、社会の批判を浴びても、守る会というものができて、こういうものがなくなったら大変だ、こういう場所がなくなったらいまここに入れている子供の行き先がないなんということも言っている。  日本の教育を預かる文部省として、これは感想がないんじゃ困るのです。これは民間会社ですから私らは手も出ませんというだけでは済まないのです。情緒障害である、非行歴がある、あるいは登校拒否、こういった人たちがあそこに行っている。文部省だって情緒障害の子供を預かる教育施設をつくっていますよね。先ほどちょっと関係者の方に伺いましたけれども、情緒障害の子供を引き受ける教育機関文部省、いま全国に十幾つあるというのでしょう。ただそれが少な過ぎること、それから短期間であってとてもそれじゃ完全な教育ができない、し切れないということがあって、現にああした子供を持っている親はどこかで教育をしたいと願っているけれども行き先ないのです。で、民間会社でやろうというからそこへ預けちゃう。  私が申し上げたい二つの角度というのは、一つは、いま申し上げた塾産業にしても、戸塚ヨットスクールなどという一種のこういう教育を施すような場所、設備施設、そういうものの法的根拠がないから文部省は何ともできませんよ。しかし、それはいわゆる日本の一般の教育の中でその部分がどんどんふえている。ふえているけれども文部省は、私の所管はここで、こっちは法的根拠がないからできませんよ、こう言っている。この問題が一つ。もう一つは、戸塚ヨットスクールなどへ行かなければならないような子供をつくってしまった教育ですね。これは親の教育もあるし社会教育もあるし学校教育もある。だから文部省は、そういう子供ができてしまったのは一体文部省がやってきた教育のどこに欠陥があったのかということを真剣に考えなければいけないし、それから、そういう子供が現にいるならば、その子供たちをどういうふうに立ち直らせていくか、その子供たちの個性をどういうふうに伸ばしていくかという教育機関を、自分がやるか、自分がやらないならどこかやる機関をつくってもらって、それに対して文部省がどういう指導助言あるいは力をかしていくか、この二つだと私は思うのですね。  あの戸塚ヨットスクールへ行っている子供たちがどういう経過でできてしまったのか。あの子供たちはあの子供たちなりにつらい厳しい成長過程があったのかもしれない。そのつらい厳しい成長過程がどういうものであったのかということを、教育に携わる人がちゃんと確認しなければだめですよ。ああいうのがあそこに行くのだからと言うだけではどんどんそういう子供ができていくかもしれない、情緒障害を初めとして。なぜああいう子供ができたのか。ああいう子供ができないような教育をやっていく努力。もう一つは、そういう子供たちがどうなればいいのかということをあの親たちにだって教えなければ、親たちは戸塚ヨットスクールにすがりついて、ここがだめになったらもう行き先はないのですということで、そのままにしておいてはこれはぐあいが悪いのじゃないですか。私は戸塚ヨットスクールのことをきょうここで大臣と議論するつもりはないので、これは私の感想を申し上げます。  いま文教行政は非常に多岐にわたるさまざまな社会的環境、子供たち、親たちあるいは社会そのものの教育に対する期待も非常に複雑多岐にわたっている中で、いまのような学校教育制度だけで対応できないのではないか。私が承りますと、文部省は学制改革にもかなり意欲的だ、六・三制についてももう一度見直そうというお話がありました。その話を少し、これは官房長でもどなたでも結構ですけれども文部省として、いま私が申し上げたようなことも学制改革に取り組まなければならない一つの背景だと私は思いますから、私は学制改革に非常な期待をしているのです。ただ、従来やってきた中高一貫教育といういわゆる六・三・三の三・三の部分について、三・三をどう組み合わせるかという議論がいままでかなりありましたね。文部省もそういう指導なり何なりなさってこられた。そういうものが一方にある。今度は六・三制について考える。これは義務教育ですからね。六・三制について特にお考えになるというふうに私は伺いましたけれども、その辺はどうですか。その辺御答弁願います。
  138. 西崎清久

    ○西崎説明員 学校制度改革につきましてのただいま河野先生のお話でございますが、先般、七月二十二日付でございますが、事務次官をキャップにいたしまして初中局長、大学局長、管理局長、官房長という構成メンバーで、児童生徒の急増急減に対処するための施策の連絡会議文部省内に大臣裁定で設けたところでございます。この児童生徒の急増急減という問題は、今後高校生の急増、そして大学就学年齢層等の急増という問題を抱えますし、一方、幼児数の減少、小中学生の減少という事態があるわけでございます。この児童生徒、教育対象者の増減の問題は幅広く、教育内容の問題もございますし、学校制度自体の問題もございます。端的に申せば、施設設備の問題、教職員の問題、そして学校制度の問題では特に入学試験の問題、幅広くすべてに及んでくるということが予想されるわけでございまして、文部省といたしましては、この時期に、事務当局としてこれら幅広い学校制度を含む諸問題についてプロジェクトチームという形で取り組んでまいりたいということで、大臣裁定による連絡会議を設けたところでございます。ただいま先生がおっしゃいました中高の問題とか、その辺の中等教育の問題も今後取り上げるべき一つ検討課題になろうかと思うわけでございますが、近々第一回の連絡会議を開きまして、幹事会をどういうふうに構成していくか、作業部会をどう設けるか、選択すべき課題というものをどういうふうにとらえるか、そして選択した課題をどういう手順と方法で詰めてまいるか、これを順次固めてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。  以上でございます。
  139. 河野洋平

    河野委員 私は、学制改革を文部省が省内でそういう形できちっとなさることを歓迎しているのです。大いに議論をしてもらいたいと思うのです。従来の学校制度ではもう入り切れない、対応し切れない、そういう認識に立っているからでございまして、特に私は文部省皆さんにもう一点だけ注文をいたしますが、塾ですね、この塾の問題を逃げないでもらいたい。私は、どうも文部省は逃げ腰だと思えて仕方がない。もし逃げ腰でないとおっしゃるなら、塾の担当局長はどなたですか、その方と一遍議論したいから。
  140. 西崎清久

    ○西崎説明員 私が塾の担当局長ではございませんが、考え方といたしまして申し上げますれば、やはり文部省が預かる課題というのは学校教育である。そして、その学校教育においての私どもの責任は父母の信頼にこたえる公教育を確立していかなければならない。父母の信頼にこたえる公教育を確立していくその手段方法としては、教育内容の問題もありますし、先生の問題もある。したがいまして、私どもが第一義的に考えるべきは、父母が塾などに通わさないで済むような公教育文部省の責任において都道府県、市町村とともに確立していくということであろうかというふうに思うわけでございます。  以上でございます。
  141. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 ちょっと私の感想を申し上げておきます。  塾、塾といいましても、そろばん塾とか書道塾とか、これは私、そう気にしないのです。  いま問題になっているのは、さっき塾産業の話をされましたけれども、いわゆる受験塾だと思うのです。私は、こういうものができたところにどこか根本的な間違いがあるのじゃないかと思っておるのです。学制改革その他の問題をこれから検討しようということで検討してもらいますが、小中学校教育を受けて、そのほかに塾に行かなければならぬというのは学校に何か欠陥がある。あるいは受験地獄といわれている、そこに欠陥がある。こういうものを総合して、いわゆる塾というものが社会に必要だからお父さん方、お母さん方がやっておるのでしょう。二重の苦しみをしておるのです。ですから、そういう問題を含めて、塾を公認するとか塾の課をつくるとかじゃなくて、私は、これがなくても済むようなものを考え出すべき問題だ、かように感じております。
  142. 河野洋平

    河野委員 時間がありませんので質問をやめますが、それはもう大臣のおっしゃることが正しいと思います。正しいと思いますが、現実は、先ほど私が申し上げたように、塾産業というものはもう新聞の経済欄にまで堂々と出て、塾産業の売り上げが日本経済の動きの中にまで顔を出すという事実があるのですね。いま日本の教育を語るときに、塾を語らずして日本の教育は語れませんよ。それなのに文部省は、いまだに塾はどこの局が担当するか、局がないのですよ、大臣。塾の問題で何か議論をしようとしたら、私が塾の問題の担当ですと言う局長はいませんよ。そして、いまの官房長の答弁が文部省の一番正しい答弁です、学校教育がわれわれの仕事です。だけれども、いま大臣がおっしゃったように、日本のいまの学校教育は塾を抜きには語れないんだ。だから私は、特に文部省は、これからの文部省内の議論の中で、塾であるとか戸塚ヨットスクールと固有名詞を言うつもりはありませんけれども、あれは民間会社がやっていることで、文部省は所管官庁ではないのですというような議論では教育を預かっていると言えないのです。日本の教育を預かると胸を張ってお考えになるなら、そこまでぜひお考えになって、文部省内でひとつ、お母さん、お父さんあるいは子供たち本人のその気持ちをもう少し酌んでやってほしい。  あるマスコミの記事を見ると、茨城県のある女学生に、あなたがよかった、幸せだと思うのはいつだと聞くと、朝、目が覚めて雨が降るときだ、雨が降っているとよかったと思う。なぜだ、雨が降っているとレーンコートを着て学校に行くことができる、レーンコートを着ると制服が見えないからいい、レーンコートを着ないで制服を着て学校に行くのは、あいつは二流だ、三流だと後ろで指を指されているような気がして本当に私は嫌だ、雨の降る日がうれしいと言った女学生の話が載っている。  ここにやはり、文部省皆さんにぜひぜひ考えていただかなければならぬ本当にいま日本の学校教育の危機がある。そういったものが、文部省の所管をはみ出るようなさまざまな教育の問題を引き起こしているということを、ぜひ大臣を初め文部省の首脳部の方に御理解をいただきたいということを申し上げて、質問を終わります。
  143. 葉梨信行

    葉梨委員長 佐藤誼君。
  144. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 いま河野委員から塾産業ということが言われましたが、私から言えば、関連するのがテスト産業でありまして、先ほど業者テストの問題点を指摘いたしましたが、時間がありませんから、まず端的に、先ほど私が申し述べた点について担当と大臣から答弁をいただいて、それからまた質問を続けたいと思います。
  145. 高石邦男

    ○高石説明員 先生の御指摘の業者テストというものと、それから鹿児島県がやっている標準学力検査、これは別に考えているわけでございます。したがいまして、一般的な業者テストというふうに言われるものは、業者が問題を作成し、そして採点処理を業者が行い、その結果をそれぞれの学校に送付する、ある希望者であるとか特定の学年であるとか、こういう形の、本来そういうものに対して行うということが行われるのが業者テストでありまして、一斉に三年生、二年生の学力の全体を把握するという観点で行われるのを標準学力検査というふうに言っているわけでございます。この標準学力検査をつくっているところが、民間でつくられるものもあるし、それから県の教育委員会でつくっているのもあるということの差があるわけでございます。したがいまして、文部省が業者テストをみだりに使うなという初中局長通達を五十一年九月に出しておりますのは、先ほど申し上げました前者のような業者テストのことを指しているわけでございます。県の教育委員会としても、この業者テストと標準学力検査をすっきり使い分けをして対応しているというふうに聞いているわけでございます。  したがいまして、そういう角度でございますれば、民間のつくった標準学力検査を資料にして県内全体の学力の状況を把握するために、県教育委員会指導をし、それぞれの学校にテストをやってもらう、年間の教育計画の中で実施してもらうという対応をしたことは問題ないというふうに考えているわけであります。
  146. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 では、私の方でなお質問を続行する中で文部大臣は答弁してもらいたいのですが、いま、業者テストと標準学力テストが違うということを言われましたけれども、私は混同しているのではないかと思うのです。つまり業者テストというのは採点を業者がやって、そしてその得点の結果を学校報告する云々と言われましたが、これが鹿児島で使っているテストです。同じなんです。これはずっと問題があって、時間配分があって、そしてストップウォッチを持ってずっとやるわけですよ。そして、これを学校で採点するわけじゃないのです。業者が採点するのですよ。そして偏差値を出して、その偏差値を各学校に送って、どの学校は何点、どの学校は何点という学力比較をやっている、簡単に言えばそういうものなんです。後でごらんになってください。あなたの方でとらえ方の事実がちょっと間違っていると思いますから。  そこで、これをいま申し上げたように一斉にやって、そして、この得点をいま申し上げたように標準偏差値から偏差値を出していって、そして各学校報告する。そうなりますと、このテストによって生徒が一定の時間にどれだけやったかということが全部ランクづけきれ、一点差によってだあっと出てくるわけですから、つまり知育偏重のテストによってその全人格が一点差でもってずっと刻み込まれていく。その結果出てくるのが例の落ちこぼれの問題だと思うのです。つまり、これをもとにして偏差値信仰の中で進学競争が熾烈になっていく。そして、偏差値何点からはどの学校、何点からはどの学校ということで学校に序列がついていく。これは、先ほど河野委員が言われたような、おれはその学校の洋服を見せたくないという、そういうところに大きな弊害を生んでいるわけです。  したがって、先ほど言ったようにこのことが教育界の問題になりまして、自粛しようじゃないか、香川のある中学校ではやめようじゃないか、みんながやめて、それぞれの学校でそれぞれの進達度を中心としながら手づくりの教育をやろうじゃないか、こういう方向に行っている。したがって、そういう点に依拠して、皆さんも五十一年にああいう初中局長の通達を出しているわけです。そういう点から言うならば、私はこの業者テストというものは問題があると思うのです。少なくとも問題があると思う。この点どうなんですか、文部大臣
  147. 高石邦男

    ○高石説明員 見解が分かれるところでございまして……(佐藤(誼)委員「見解なんか何も分かれていないよ。ちゃんと偏差値はみんな出ているんだから」と呼ぶ)標準学力検査というのを、総合的に全国的な状況下においてどういうような状況に置かれているかということを統計的な数理処理をして考えるということが標準学力検査のねらいであるわけです。したがって、一人一人の子供が何点取ってどう取ったということとは違うわけでございます。  鹿児島県で実施している標準学力検査は、まさに統計的な数理処理をいたしまして、当該学校の第何学年はどういうような地位にあるかということを把握し、それをもとにして今後の教育に生かしていこうというような意味実施しているわけで、進路指導であるとか、それからその子供たちの学力を個別に認定するための手段というようなものとして使っていない、そういうもので、個別の生徒の評価をするようないわゆる業者テスト、これについてはやはり望ましいことではないという方針をとっているようでございますし、香川県で廃止したのは、そういう意味の業者テスト、業者が先生のかわりに問題をつくって採点をし、そしてその結果を知らせる、そういうような業者テスト依存はやめようということを言っているわけでございまして、標準学力検査とは違う考え方で対応している、こういうふうに理解しているわけでございます。
  148. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 そうすると、これを見ますと第一問が十五分、それから第二問が九分、こういう小刻みにずっとストップウォッチでやっていって、それじゃ初中局長、これはどこで処理するのですか。
  149. 高石邦男

    ○高石説明員 自校で処理する、これは全国的な状況でございますが……(佐藤(誼)委員「鹿児島の場合だよ」と呼ぶ)鹿児島の場合に、自校処理しているのが二七・七%、それから業者が処理しているのが七二・三%ということでございます。
  150. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 ですから、そんないいかげんなことを言うなというんだよ。業者が七十何%やっているんじゃないですか、いまあなたが言うように鹿児島の場合には。むしろ学校処理しているのが二十何%でしょう。だから、これは文字どおりあなたが言うところの業者テストそのものですよ。テスト産業そのものですよ。  私はあえてもう一度聞きますけれども、その結果、どういう形で業者から学校報告されるのですか。
  151. 高石邦男

    ○高石説明員 そこが見解の分かれるところでございまして、たとえば国語のこの部分のテストをやると言って、業者がそういう特定の分野についての問題をつくって、そして採点をしてやるというようなテストと、それから学習指導要領の基準に基づいて、二年、三年の何学期ぐらいに、この調査をするためには、大体ここまでの理解度がいっているはずであるという意味で年に一回程度やって、科学的な数値処理をやって処理するというようなものがここで言う標準学力検査でございます。したがいまして、県でやっているのは、年がら年じゅうやっているわけではなくて、年一回そういう意味でのデータを整理したいということでやっているわけでございまして、その計数処理をそれぞれの学校、教師に知らせて、その学校における子供の状況は全県下のどういうところにあるかということを知らせる、そういうことはやっていると思います。
  152. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 勝手な解釈をして答弁してもらっては困る。いまあなたはいみじくも、では業者が処理しているのは何%かといったら七十数%でしょう。普通の常識からいって、業者が大部分を処理しておりますと言うのはあたりまえの話ですよ。  では、業者が処理したものはどういう形で出てきているか。これはもう常識なんだ。業者は各学校標準偏差値でずっと出してきている。しかも個人まで全部出ているのが圧倒的に多いのです。それに基づいて、先ほどから問題になっているような一点差の刻みで、このテストがどれだけできたかによって子供にずっと序列をつけてしまう。しかもそれが結果的には全人格的な評価になってしまうのです。そこに落ちこぼれの問題が出てくる。これをもとにして進学競争が熾烈になる。何点から何点の輪切りはA校、何点から何点の輪切りはB校、実態はそうでしょう。したがって私はC校の洋服は着たくない、こういう問題をずっと起こしているのです。したがって、文部省でもこういう「取扱等について」という指導をされていると思う。私はこの指導の内容は全部は賛成できないけれども、適切な指導ではなかろうかと思っているのですよ。そういう点から言うと、あなたの方で強弁しないで、こういうことが鹿児島県で、しかも県教委の指導で一斉に行われているというのは、こういう問題があるだけに行き過ぎではないかと私は少なくとも問題として指摘しているわけです。文部大臣、この点どうですか。これに問題はないのですか。
  153. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 私が聞いておるところで申し上げますと、佐藤さんの認識とこちらの認識は違うようでございますから、佐藤さんのおっしゃったようなことであれば私も余り賛成しがたい。でありますから、これは鹿児島県教委について事実をもう少しよく調査をさせてみたいと思います。
  154. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 文部大臣がいまいみじくも言われましたけれども、まずこういう前代未聞の形で業者テストが行われている。それは先ほど言ったような形で、加えて業務命令でやられている。しかも処分が行われている。これは教育の現場の中ではあり得べからざることだと思うのです。したがって、いま文部大臣実態調査したいと言われておりますが、いまの事件ももちろん処分のことについて調査をしてもらいたいのですが、同時に鹿児島の全県下で行われているこのことについてあわせて調査をし、しかるべき時点で調査結果を報告していただきたいと私は思うのです。同時に、私たちとしても、この問題は現地に事実の調査に行きたいと思っているのです。したがって、その辺を突き合わせながらこのことについての事態の解明としかるべき対処をぜひやっていきたいと思いますが、その点重ねてどうですか。
  155. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 事実がかみ合っていないようでございますから、こちらはこちらでもう少し詳細に調査いたしたいと思います。ただ、県教委から来て聞くだけでなくて、こちらは出張させて調査させます。
  156. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 いまの文部大臣のことで、私は、時間もありませんからこの問題は次回に継続していきたいと思います。ただ、私はこの際申し述べておきたいと思いますが、業者テストの持っている問題点は、先ほどヨットスクール、塾産業のことがありましたけれども、塾産業、テスト産業、同じことなんですよ。ですから、この辺の問題は教育の周辺の問題ではなくて、つまり今日の教育それ自体の問題だということで、先ほど河野洋平委員は避けるなということを言われましたけれども、私はやはり避けてもらいたくない。私たちが正面からこの問題に対処していかなければならぬ問題だということをぜひ認識をしていただきたいと思うのです。これが一つ。  もう一つは、いまの業者テストが問題を持っていることはいま指摘したとおりですが、さらにそれが、職務命令を出され、しかもそれに違反したからといって処分する、こういう一連の経過をたどってみると、私は、教育現場の直接教育指導に当たる内容について、職務命令を乱発するなどということがあってはならないことだと思うのですよ。この辺の認識をぜひ皆さんから統一しておいていただきたいと私は思うのです。  そこで、私はあえてその点に関連して申し上げますが、学校教育法の第二十八条の校長、教諭の職務規定を見ると、こういうふうに書いてあるのですよ。「校長は、校務をつかさどり、所属職員を監督する。」とあるでしょう。同じところに「教諭は、児童の教育をつかさどる。」とあるでしょう。あえて私がそれを言ったのは、一九四一年三月一日、勅令による国民学校令による校長と当時の訓導の職務、任務の規定がこれと大きく違っているということを指摘したいのです。その中に御承知のとおり、つまり国民学校令によれば「学校長ハ地方長官ノ命ヲ承ケ」とあるのですよ。そして以下同じようなことが書いてあるのです。「訓導ハ」、つまりここで言えば教諭は「学校長ノ命ヲ承ケ児童ノ教育ヲ掌ル」、つまり校長は地方長官の命を受け、教諭は、訓導は校長の命を受けるというふうに戦前の国民学校令ではなっている。学校教育法はそれぞれの命令を受けるというのがなくなっているのです。このことをわれわれはよく考えなければならぬのじゃないかと私は思うのです。これは若干意見が分かれるかもしれませんけれども教育基本法の第十条の規定の中にいろいろございます。それは教育行政の任務と限界を示していると思うのです。それは何かと言えば、学校における教育をつかさどる教諭の教員免許を持っている専門性ということを重視しているんだと思うのです。つまり教育行政の限界ということ、同時に教諭の専門性ということを尊重しているから、「命ヲ承ケ」ということがないのですよ。校長が監督することはあっても、校長は地教委の命を受け、教諭は校長の命を受けて動くのではないのです。それぞれの専門性の良識において、その専門性の良識と自由の中で教育が行われるという、このことを重視しなければ、それがいま申し上げたような教育をつかさどる直接の行為であるところのテストなどについて見ると、地教委が事実上の職務命令を出し、そして校長が教諭に命令を出してやらせるということは、私はいまの法体系にもなじまぬと思うのです。しかもそれが、先ほど言った業者のテストにおいて行われるなどということは大変な行き過ぎだと私は思いますので、ぜひこの辺についての御検討をいただきながら、そして、先ほど文部大臣から答弁ありましたけれども、鹿児島における実態調査をもとにしてさらにこの点について私は質問を続行していきたいと思いますが、きょうは時間になりましたので、同僚議員にバトンタッチをしたいと思います。  以上です。
  157. 葉梨信行

    葉梨委員長 伊賀定盛君。
  158. 伊賀定盛

    伊賀委員 時間がございませんので要点を御答弁願いたいと思います。  私は、五月十三日の文教委員会と五月二十日付の質問主意書で、大体同じような要旨でありますけれども、共通一次試験の出願期日を一カ月繰り下げること、それから試験実施日を一週間繰り下げること、そのために、文部省の入試改善会議で早急に改善してもらいたいという趣旨の質問並びに質問書を提出した。それに対しまして文部省は、入試改善会議で他の問題も含めて慎重に検討を開始しておりますので、その結果が出ますと適切に対処する、こういう答弁があったわけであります。ところが、私の質問主意書が五月二十日でありますから、その一カ月後の六月二十一日に、従来どおりの日程でやりますという発表があったわけであります。  私の調査によりますと、入試改善会議は四月二十八日に開催されておりまして、五、六、七、もういまや七月の末でありますが、この三カ月間は開かれておりません。それから、毎日新聞の報道によりますと、国大協の了承を得たので発表する、こう記載されております。そこで、高校側の意見聴取の形跡もないままに発表されたわけでありますから、その理由をこの際ひとつ明確にしていただきたい。
  159. 宮地貫一

    宮地説明員 五十九年度の共通一次の入試の期日等の問題でございますが、経過で申し上げますと、すでに昨年、五十七年の九月に入試改善会議の小委員会を開きまして、五十九年度及び六十年度入試の要綱について検討いたしたわけでございます。そしてさらに、十月に小委員会を開き、五十七年十二月に総会を開きまして、入試改善会議の結論としては、五十九年度入試についての要綱をその際に決定を見まして、それを五十八年になりまして通知をいたしたわけでございますので、その点は、今回お尋ねをいただいております事柄について、その趣旨でただいま答弁書を起案いたしている段階でございます。  したがって、その点については、私どもとしても内容的なことは先生にも十分御説明を申し上げておるわけでございますけれども事柄としてはすでに昨年の十二月の入試改善会議の総会で了解を得た点であるということでございますので、御理解を賜りたいと思います。
  160. 伊賀定盛

    伊賀委員 それから、ことしの三月三日に予算委員会で、わが党の小林進議員から、試験科目が多いので負担が重過ぎる、ことしからはアラカルト方式を導入したらどうか、こういう質問に対しまして、局長は、積極的に一日も早く改善を進めてまいりたい、こう答弁しておるわけであります。これもあわせまして再度御答弁願いたいのでありますが、いま言いますように、五月二十日から六月二十一日まで約一カ月間あるのに、この間まるまる一カ月間あったが、いま局長の答弁のようなかっこうで、それは昨年の十二月に決定したのだからもう後はいいのだ、こういう答弁があったわけであります。私がいま申し上げましたように、高等学校側の了解を得てないということでありますが、この点についてももう一度御答弁を願いたいと思います。あわせまして、いまのアラカルト方式も含めて五十九年度は見直しをというのかどうか。二点について。
  161. 宮地貫一

    宮地説明員 いわゆるアラカルト方式等を含めまして、共通一次の入試につきましてはいろいろ御意見があるわけでございます。それらについては、私ども、十分関係者の意見を踏まえて検討をしてまいるということは、かねて申し上げているとおりでございます。  問題は、五十九年度実施につきまして、これはもうすでに通知が出されている点でございまして、五十九年度についてその点を取り上げるということについては困難でございますけれども、国立大学協会、そしてまた高等学校側等についてもいろいろ御意見はいただいております。  国立大学協会の中で、従来は第二常置委員会検討をいただいておったわけでございますけれども、ついせんだっての国立大学協会の総会におきまして、国立大学協会の中に、第二常置委員会以外に、新たに入試改善について特別委員会を設けるということが決定をされたわけでございます。それに基づきまして、七月十二日でございますけれども、国立大学協会で入試改善の特別委員会の第一回の会議が開催をされるというような事柄で、それぞれ関係者において真剣に取り組んできておるわけでございます。  私どもといたしましては、そういう関係者の意見も十分伺いながら、文部省大学入試改善会議におきましても、先生の御質問の趣旨にございますような事柄を踏まえた上でその検討をお願いしているというのが現在の状況でございます。その入試改善会議の結論を得ましたならば、それを適切に対応するように処理をしてまいりたい、かように考えております。その点は、願書の提出期限の繰り下げの問題でございますとか、あるいは共通一次の入試の試験期日の繰り下げの問題等も含めて御検討をいただくつもりでございます。
  162. 伊賀定盛

    伊賀委員 お尋ねしますが、この共通一次試験というのは、国立大学協会が決めるのですか、文部省が決めるのですか、入試センターが決めるのですか、どこが決めるのですか。
  163. 宮地貫一

    宮地説明員 共通一次の問題は国立大学全体にかかわりがあるわけでございまして、関係者の合意を得ることはもちろん必要なわけでございます。したがいまして、国立大学協会においても十分内部で御検討賜りまして、その国立大学協会関係者、高等学校協会関係者、そのほか都道府県教育委員会の代表の方々、そういう事柄について関係をしております方々に、それぞれ文部省に置かれております入試改善会議にはメンバーに入っていただいておるわけでございまして、全体の作業の実施としては、それぞれの団体の御意見等も十分伺いながら、大学入試改善会議にその改善事柄をお諮りして、御理解を得て決めて、進めてまいるというような段取りで進めております。  もちろんそういう際に、かねて先生からも、文部省の都合で決めるということではおかしいではないかという御指摘がございまして、特に、受験生の立場というものを十分念頭に置くことが必要ではないか、たとえば願書の提出期限の繰り下げ等について、そういうことを考慮すべきではないかという御意見もいただいておるわけでございます。もちろん、受験生の立場を十分配慮することは必要な事柄でございます。それらについて関係者の合意を得ながら進めてまいる、そのように考えております。
  164. 伊賀定盛

    伊賀委員 短時間で申し上げます。  五十二年の共通一次の第一回、初めてですね、このときには、願書が九月一日で試験日が十二月下旬ということで確定して、公示までされておったのでありますが、時の文部大臣の海部さんが、これを現在のような状況に変えたわけであります。いま御指摘のとおり、文部大臣が最終的に決めるわけでありますから、少なくともこれからまだ、八月十日ぐらいまでに入試改善会議に諮問をして文部大臣が決められるわけですから、文部大臣、いまそういう大きな問題でありますから、招集する意思がありませんか。
  165. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 そのことは、五十九年度実施には物理的に無理なんだそうです。ですからその先を考えてやっておる、こういうことでございます。
  166. 宮地貫一

    宮地説明員 補足して申し上げますが、最初の五十二年の年というのはスタートする年の問題のことでございまして、実際の実施までにはなお二年のゆとりがあったわけでございます。御指摘の点は、私ども御意見は十分伺っておるわけでございまして、それを踏まえた方向で改善会議に議論を煮詰めていただくようにお諮りをしたい、かように考えております。
  167. 伊賀定盛

    伊賀委員 なおございますけれども、時間が参りましたので、やめます。
  168. 葉梨信行

    葉梨委員長 関連発言の申し出がありますので、伊賀委員の残り時間の範囲内でこれを許します。湯山勇君。
  169. 湯山勇

    湯山委員 大臣に要望を申し上げたいと思うのです。  きょう大学問題でいろいろございましたが、私も聞いておりまして、先ほど河野委員からありましたように、一体文部省自信があるか、法律でもつくる必要があるのじゃないかという御指摘がありました。きょういろいろ聞いておりまして、官房長からの答弁があるし、大学局長の答弁があるし、管理局長の答弁があるし、もちろん設置法、政省令に基づく分野だと思いますけれども、しかし大学教育というのはそう切り離せる問題ではありません。いまのようなことで、医科歯科大学の問題にしても、ただ分限とか服務の問題じゃなくて、もっと教育内容、運営管理、これと無関係じゃないわけです。いまのところは文部省もばらばら、それぞれ違っていますから、そこにすき間があるし、そして踏み込めないというようなもどかしさがあって対応が非常にむずかしいと思います。そこで、これをなくさなければ適切な対応もできないということを痛感いたしますので、法改正までは申しませんけれども、速やかに三局長なり、あるいは次官も加わってなり、この際一連大学対策の緊急な機関を設置するという必要が私はあると思います。大臣、そういうことを御検討になられるお気持ちはありませんか。
  170. 西崎清久

    ○西崎説明員 私からちょっとお答え申し上げたいと思うわけでございますが、医科歯科大学問題につきましては、確かに先生のおっしゃいますとおり、教授選考にかかわる部分につきましては人事課という所管で医科歯科大学との連絡調整に当たっておりますが、その際常に大学局と連携をとりまして大学局の課長あるいは審議官と官房人事課長が同席の上で大学の医学部長等とのお話をしておる、こういうふうな対応をいたしております。本日はたまたま私がお答えをいたしておりますが、大学局、官房間の調整は常に密接な連絡をとってやっておるわけでございます。  それから、国士館にかかわる私立大学関係につきましては、学校法人にかかわる問題としては管理局でございますが、大学問題自体としては大学局の問題、これまた両局が密接な連携のもとに行っておる次第でございますが、なお先生の御指摘によりまして、またわれわれは文部省内部の問題として、両局あるいは官房も含めましてより密接な連携で行政の対応が遺憾なきようにやってまいりたい、こういう決意でおります。
  171. 湯山勇

    湯山委員 官房長の答弁はいまの段階ではそうだと思います。しかし、いまのように国士館にしてもそれからいまの九州産大の問題にしても、結局法人責任者が実際は中にまで行って教授の任命その他までやっておるわけで、これはやっぱり切り離せないと思うのです。そこで、特別の機関じゃなくても連絡機関か何かを正式に大臣の命令で設置して対応するという体制がぜひ必要だ、法律までは申しませんけれども、そう感じます。これは聞いておって痛感したことです。そこで御了解を得て申し上げたいのですが、大臣、御検討願えませんか。
  172. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 各セクションはもとより文部省のセクションでございますから、担当担当で分かれておりますけれども関係するところは全部関係しておるわけでございます。でありますから、これを組織にするかしないかは別問題として、そういう気持ちで今後運営させていきたい、かように考えます。
  173. 湯山勇

    湯山委員 聞いておる人もきょう答弁を聞いておって大変不思議だと思ったはずです。一体なぜ大学局長が答えられないで管理局長が答えるのか。管理局長の答弁の後へまた大学局長が出て、また九十歳以上があってもどうというようなことになる。やっぱりおかしいです。それじゃ対応できぬのじゃないかという気持ちは皆さん持ちますから、大臣、また改めて申し上げますけれども、御検討願います。  以上です。
  174. 葉梨信行

    葉梨委員長 有島重武君。
  175. 有島重武

    有島委員 私は、私学助成の問題、それから学制改革の問題、この二点について尋ねをしたいと思います。また、時間があればその他二、三聞きたいこともあるわけですけれども、最初に私学助成の問題です。  私立大学につきましてはこのところ打ち続いて不祥事が報道されておりまして、先ほど来集中的にそれがここで論議をされてきたわけでございますが、文部大臣としては、はなはだ遺憾なことである、申しわけない、国民関心が集まっておる、英知を集めて対処をしたい、しかしこれは一つの限度もある、こういったなかなか苦しい御答弁のようでございました。しかし、こうした問題を通じて私が心配をいたしますのは、これでもって私学助成を全般的に削っていく方向にしてしまったりあるいは監督とか介入とかいうことを強めていくというようなそういうきっかけにされかねないというようなおそれを私も感じますし、多くの私学もこれを感じておるのじゃないかと思うのです。だから、そういうことはないのだということをひとつ大臣からはっきり言っておいていただきたいと思うのです。
  176. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 管理、助成について先ほどもどなたかに申し上げましたが、まず助成の問題では、私学は日本の教育の大部分を担当してもらっておるわけです。大変に貴重な公共的な存在であります。それゆえに問題が起こるとこれほど問題になる、こういうことでございまして、でありますから、そういう問題は処理していかなければなりませんけれども、したがってそれによって私学の助成を特に減らす、かような考えはございません。ただ、財政上非常に窮屈でございますからぜいたくは言えない、こういう事情でございます。  それから管理の問題、先ほどもこれは河野さんに対してお答えいたしましたが、介入するのは原則でありません。ただ、こういうどうにもならない場合どうするかということは、時と場合によっては考えなければならぬことがあり得るでしょう、こういうことでありますので、教育文部省が特別に介入する制度をつくる、こういう考えは持っておりません。     〔委員長退席、船田委員長代理着席〕
  177. 有島重武

    有島委員 私立学校振興助成法の中でもって、国は私学教育または研究のための経常的経費の二分の一以内を助成することができるということですけれども、これをめぐって、二分の一を上限としてなるべく小さくしてしまおうということではないのだ、二分の一を目標として努力していきましょう、こういう合意があったわけでございます。このことについては、大臣も、今後とも二分の一の上限に達して、さらにそれをまた突破するような法改正ができればなおさらいいことですけれども、その努力を惜しまないと理解したいのだけれども、よろしいですか。
  178. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 いまも申し上げましたように、財政全般が窮屈でございますからぜいたくを言えない時代でございます。でありますが、いま重ねて申し上げて恐縮でありますが、私学わが国の経済、文化、その他について非常に大事なものでございますから、おっしゃるように法律で「二分の一以内」と書いてありますが、できるだけそれに近づける努力をするのがわれわれの責務でございます。
  179. 有島重武

    有島委員 去る七月三日に行政管理庁から一つの勧告が出ましたですね。日本私学振興財団の業務運営に関する監督行政監察というような表題であったかと思いますけれども、この勧告に対する大臣の御所見というのをひとつ承っておきたいと思いますが。
  180. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 これも先ほどお答えしたわけでございますが、あの勧告は、たくさんの私学がある中にサンプルとして抽出された学校について調査をされておる、初めてのようでございます。私は率直に言って、行管庁から指摘されるまでもなく文部省なり私学財団があの程度のことをすべきだった、こう実感でございます。まあ指摘されてみて、全部の私学がああであるとは思いませんけれども、しかし、指摘されてみますとそういうことはあり得るであろうという感想を持っておりますので、全私学についてそういう問題について真剣に検討してもらうように近く措置をとる、こういう考えでおります。
  181. 有島重武

    有島委員 そうすると、文部省大臣を初め局長さん方一同に、これはちっと手を抜いておったな、もっとしっかりやりましょう、こういう御反省があったということですか。そう受け取ってよろしいのですね、いまの。
  182. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 指摘されたような事態が十分あり得ると考えますから、先ほど申し上げましたように、こちらが先にやるべき問題だった、かように考えておるわけでございます。
  183. 有島重武

    有島委員 私は、私学助成をこの上進めていく上に経理の公開ということがどうしても必要ではないかという考えを持っておるわけです。そういった考えを持ち続けてきたわけなんですけれども、たとえば慶應義塾を初め主な大学経理を公開しておるというふうに僕は理解をしておったわけです。文部省側におかれまして、経理公開ということを原則としようじゃないかという僕たちの提言に対してどのようにお考えになりますか。管理局長からひとつお願いしましょう。
  184. 阿部充夫

    阿部説明員 私立学校経理の問題でございますけれども私立学校は、先生御案内のように、各学校法人がみずからその公共性を自覚いたしまして自主的に健全な経営に努めていくということをやはり基本に据えて考えなければならないと思っておるわけでございまして、そういった見地からこの経理に対する監査的な制度につきましても、まずは監事あるいは評議会といった内部監査機関を設けておりまして、その機関が十分に働いてもらうということが必要であろうと思っておるわけでございますし、さらに加えまして、経常費補助金の支給を受けております学校法人の場合には公認会計士監査を受けるということも制度上義務づけておるわけでございまして、これはかなり厳しい厳格な監査が現に行われておるところでございます。また、各学校法人全体を通じまして、これも私立学校法関係の規定によりまして財務諸表を常時各学校法人は備えつけていなければならないという仕組みになっておりまして、これが関係者の閲覧に供することができるようにということで、財務諸表の備えつけということが法律上義務づけられておるわけでございます。具体にどの範囲の者に閲覧をさせるのかといったようなことにつきましては、これはもちろん当該学校法人の判断によって行うというたてまえになっておるわけでございます。  文部省といたしましては、基本的にはただいままで申し上げましたような形で各学校法人の自主的な対応にゆだねておるところでございますけれども、従来から、学校経営に関しまして、父兄でございますとかその他関係者等に実態を知ってもらうという必要もあると考えておりますので、そういう見地からは各学校が自発的にその財務の状況等につきましてそういう関係者にお示しをし説明をするというようなことが望ましいという見地に立ちまして各学校指導してまいっておるわけでございまして、現実に相当数のところでそのようなことが行われているように承知をいたしております。
  185. 有島重武

    有島委員 大臣、先ほど、行管庁の勧告について御反省があるということでございました。いま局長さんの御説明のように、学校経理というものは内部に監査機能がちゃんとあるわけですね。それからもう一つ公認会計士がちゃんと見ておる、そういうことになっているわけですね。しかも、必要な人には閲覧をさせるということにもなっておる。にもかかわらずこういったことが十分機能していないのじゃないかというのがこの行管の勧告でございますね。ですから、反省をしていらっしゃるということになりますと、これをじゃどう踏み切っていくのか、これも御研究いただかなければならぬ問題であろうと思いますね。現状の説明、いま局長さんの言われたとおりで結構だと思います。  いまの局長さんのお話の中で、自発的に公開の方向に進めていくということを指導助言していきたいというふうなニュアンスに私は受け取れたのだけれども、そういうようなことをやっていらっしゃる、今後行管の勧告に対する反省をどのように具体的にあらわすかというようなことですね、それについて大臣のお考えをひとつ承っておきたい。
  186. 阿部充夫

    阿部説明員 先に私の方から……。  行政管理庁からの勧告につきましては私どもも厳しくこれを受けとめ、必要な対応等もとっていかなければならないと思っておりますが、現在の財政状況関係、その他臨調における御議論等もございますし、また、最近の私学関係のいろいろな問題等もございまして、私どもといたしましても、ただいま先生が御指摘になっておられるような各種の問題についてはすでにこれまでいろいろな形で手をつけ、改善のための努力を進めてきておるところでございまして、たとえば、先ほど申し上げましたような内部監査機構の監事等につきましては、今年度から、これは私学振興財団中心にいたしまして監事等の役員、職員の方々に集まっていただきまして、研修会といっては失礼になるわけでございますけれども、研究会のようなかっこうで、監事が真にその責務を果たしていただけるようにという問題意識を持っていただくための会合等もすでに始めておりますし、また、公認会計士協会の方とも十分連絡をとりまして、公認会計士協会の側におかれましても、各傘下の公認会計士あるいは監査法人方々に対しまして、通知というのでしょうか通達というのでしょうか、が発せられまして、より一層厳正な監査をするようにというようなとり進めも行っていただいておるわけでございます。  それから、財政状況関係者に対する説明と申しますか、そういった点につきましても、さきに医科歯科系の大学につきまして種々問題がございました際に、文部省からの指導通知の内容といたしまして、必要に応じ関係者に明示をすることが必要だという指導も行っておるわけでございまして、この指導通知は全学校法人にも同様に配付をいたしておるわけでございまして、そういった方向での努力は進めてきておるわけでございますが、今後なお一層そういう方向で、財政状況等について関係方々、外部の方々が理解をしていただくということが私学助成を確保していく上でも大切だと思いますので、そういった努力を個々の学校法人はもとより、それからまた私学関係の団体等に対しましても御配慮を促してまいりたい、かように考えております。
  187. 有島重武

    有島委員 大臣、この公開ということについて、こういうのが経理の公開というものだというようなことが、まだいささか概念がはっきりしていないということがございます。これは整理しなければならない問題ではないかと思います。それが一つです。  それから、いま局長が、なるべく学外の方々が理解できるような方向にしていきたい、そういうように指導もしていきますということですね。それは、非常に私はそういった方向にしてもらいたいわけなのであって、方向性の問題として、私学文部省との間の密室でもって何か行われているというような印象、これはまずいと思うのですね。国士館大学の問題にいたしましても、部内の方々がいろいろな内部告発のようなものがずいぶんあったようであります。文部省の方にもそういったことはたくさんおありになったのじゃないかと思います。そういうことに関連しても、ある特定の大学においては非常にオープンな感じでもってやっている、そうでないところがある。そのそうでないところも、やはり大学側に言わせれば、全然密室ではなくて、これは公開しておるのだと言うかもしれないですな。そこら辺のところを、公開の仕方、公開の方向性ということ、これがこれ以上また助成を充実させていくための条件になるのじゃないだろうかと私は思うわけです。さっき大臣にお聞きした内容を含めて、そういった御提言を申し上げながら大臣の御所見を承っておきたいと思います。
  188. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 御承知のとおりに、いわゆる学校は公益法人でありますから、公益法人としての経理の進め方、いろいろ先ほど局長から申し上げましたとおりでございまして、そこでこれは関係者には全部明らかになるようになっておるわけでございます。でありますから、公開ということがどういう意味かちょっと私は理解しかねて聞いておるのですけれども、全然無関係の方まで全部知らせて歩くということが必要なのかどうか、法定することが必要なのかどうか、いま直ちに私は賛成をしかねるわけであります。公益法人関係者に全部明らかになるように、ただ問題は、たとえば株式会社が貸借対照表の公告などをやっておりますけれども、それだけで世間の人は経理はわからないと私は思うのです。むしろ私が問題にしておりますのは、国の助成金をもらうのに従来いろいろ問題になっておりますのは、ごまかしというのでしょうか、教授の数をごまかしたり職員の数をごまかしたりするような、何か不正と思われるような進め方という点が非常に指摘されております。そういうことがあったわけでございます。そういう問題がないようにいかに仕組みをすればよいか、いかに厳正な審査方法をするか。しかしこれは、人間の能力に限度がありますから、何百とある私学のこれを全部綿密に調べるなんということは、とてもじゃないが、事業団でも簡単でない。問題は、受ける方の姿勢の問題でありますから、そういうものについて行管庁の指摘を全部通達をして、そしてこれに違背があるかどうか、もし違背があれば、その後事後において発覚した場合でも助成金を一切将来にわたって打ち切ることがある、かような措置をとりたいと思います。問題は、良識の喚起をお願いする、こういうことでございます。
  189. 有島重武

    有島委員 やや私もまだ調査不足といいますか、こういうふうにした方がいいというところまでまだ言い切れないものですから、方向性の問題になるわけですけれども、先ほど管理局長からのお話の中でやや気になるのは、いや、経理の仕方はこういうふうにするのだといって、ますます文部省が全部抱え込んでいく方向、これは望ましくないと思うのです。やはり同じ管理局長の口から、むしろ関係者にはオープンにしていく、そういうようなことですね。そしてこの際やはり私学助成の問題としての、自分でもって監察する、管理していくその機能を強める、これが本質でしょうね。それを、文部省がますます入って、責任を持って、細かく見ていくというような方向をこの際推し進められるということは、これは方向が逆ではないか、そういうふうにその方向をだめ押しをしておきたい。いまからいろいろ工夫をなさるでしょうからね。  おわかりになりにくいでしょうか。さっき、いろいろな指導をしていらっしゃる、指導をしている中に文部省自身がどんどん乗り出していって、それで文部省も向こうのやるべき事務をこっちが肩がわりして、だんだん背負い込んでくるみたいな、確かにそういうふうにでもしなかったら責任が持てないというような方向は、これはよろしくないと思うのです。自己管理機能を強化する、こうやってもらいたい。
  190. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 あるいは私のお答え方が悪かったかもしれませんが、そういうことでなしに、いま最後に申し上げましたように、各学校法人の良識を喚起する措置をとりたい。とてもじゃないが、文部省が一々見る、私学振興財団が一々世話するなんということは物理的に不可能でございますし、そういうことを考えておるわけではございませんということです。
  191. 有島重武

    有島委員 次の問題に行きます。  医科歯科大学のある教授の不正といいますか、不正、不当な金品の授受の問題がございましたが、この問題がいま公になって問題になっておるそもそもの発端はどこから出てきたのか。いわばニュースソースですな、これはどういうふうに理解していらっしゃるのでしょうか、認識していらっしゃるのでしょうか。
  192. 西崎清久

    ○西崎説明員 七月十九日付の新聞紙上で大きく報ぜられた内容が、発端として私どもも承知し、当該大学もその報道に基づき直ちに調査委員会を発足させることにいたしました、こういうことが経緯であろうかと思います。
  193. 有島重武

    有島委員 これは、報道がなかったらわからなかったというのですが、またその新聞報道のニュースソースということは、これは余りせんさくはできない仕組みになっておりますね。確かにこの問題はけしからぬ問題である。しかし、それがどういうふうに――火事で言えば火元はどこだ。ここは自然発火か。僕たちはみんな自然発火として、こういう悪いことをしていれば自然にそれがどこかから漏れる、だからつかめた、こういうわけですね。火つけかもしれぬということもあるかもしれぬな。火つけにしても、これはいい火つけだったということもあるかもしれぬな。そうすると、これは全国的に、先ほどからこれは本当に特殊、特異な問題であるのか、ややどこにでもありそうな構造的な問題であるのか、こういった議論がいろいろありましたね。文部当局皆さん方の言い分、ちょっとややあいまいであったのですけれども、われわれの理解するところではこれはかなり構造的な問題じゃないのか、こう国民一般は思っていると思うのですね。やはりこういうことがあったな、こういう感じですね、これが正直なところであろうかと思うのですね。大臣、率直にこの種の問題が出たときにどうお感じになったのか。これは青天のへきれきだ、こう思ったのか、ショックにはショックなんだけれども、これはまずいことになったな、やはり出たか、こういう感じだったですか、本当に正直なところを……。
  194. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 実際は青天のへきれきでございます。先ほど来申し上げておりますように、最高学府、しかも国立大学の中でそういうことが行われているということは非常にショッキングでございました。しかし、よく世間で言われておりますように、あるいはそういうことがあり得るのだなということをまた感ずることも別にあるわけでございます。  どこから出たか、これはわかりません。新聞のニュースソースはもちろん聞くわけにもいきませんし、率直に言ってああいう問題は、いわゆる天網恢々疎にして漏らさずということである、かように考えますが、いつかはあらわれる、こういうことではないかと思います。
  195. 有島重武

    有島委員 ということは、まだあらわれてはいないけれども、潜在的には行われていることがあっちこっちでありそうだなというふうに大臣もお感じになっていらっしゃるわけでしょうか。
  196. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 そういうことは想像したくありません。
  197. 有島重武

    有島委員 したくはないというのは、これは僕たちもそう思う。だけれども、それは願いですな、何か感情的なものですな。じゃ理性的に、さっきもこういうことはないはずだと思いたい、そういう気持ちはわかりますよ。思いたい、思いたいといったって、今度は出ちゃった。こういうことはあってもらいたくないと思っているけれども、出ちゃった。出ちゃってからいろいろ責任を感じたり、いろいろしなければならぬ。何かありそうな感じはやはりするのじゃないですか。
  198. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 ないと断言はできませんね。それはなぜかというと、私は神様じゃない。でありますから、ないと断言はできませんけれども、ないことを祈る、こういうことでございます。
  199. 有島重武

    有島委員 これはまたばかに急に理論的なことになっちゃったね。まあいいです。お気持ちは国民と大体同一歩調じゃないかと思うのですよ。  それで、金品は、これは三百万円だ、四百万円だ、こういったせんさくはここではしませんよ。しかし、これを持ってこられた先生がいるんですな。だけれども、このほかにもやはりこのポストを争っていた何人かの方々もいらっしゃるわけでしょうな。そういった周辺の問題も何か調査をしていらっしゃるわけですか。
  200. 西崎清久

    ○西崎説明員 医科歯科大学に置かれました調査委員会は、池園教授個人にかかわる調査だけではございませんで、ただいま先生御指摘のその後の事態の推移に応ずるいろいろな調査をあわせてやる、こういうふうになっておりますので、本日朝報道されております人物についても、きょう午前中に恐らく調査委員会で御本人を呼んで調査が始まっておると思うわけでございます。池園教授だけではないということを申し上げたいわけでございます。
  201. 有島重武

    有島委員 文部大臣、この種の問題で、本当に特別な例外的なものであるならばその問題に集中して、それだけでもってよろしいわけでしょう。しかし、これが構造的なものというのは、一つ学校におきましても非常に基礎部分の学問とかなんとかいうものと、それから非常に先端的な、まあ流行と言っちゃ悪いけれども、人気のあるところですな。余り人が行きたがらぬところは、その種の問題は起こらないでしょうね。そういった意味で、こういった問題が起こるならこの辺のところで起こるだろうということはわかりますね、大体察しはつくね。これは一つ構造的なものです。それから全国に似たような学校がある。そういうような横に広げていった構造的な問題といいますかな、これもあると思いますね。  そういったことを含めて、やはりこれが本当に特殊な例外的な問題だというふうに確信を持っていらっしゃるのならそれでも結構だけれども、少しでも構造的なおそれがあるのじゃなかろうかということであったらば、やはり省内にひとつ指示をなすって何か検討をしなければならない、何かアクションを起こさなければならないのじゃないですかと私思うのですけれども、その辺はどういうお考えですか。
  202. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 先ほどもどなたかに申し上げたのですけれども、いまその真相は学校大学、また一面において犯罪面の観点から警察も捜査をしておられます。それによって真相が明らかになりますと、どういう点からそういうふうになるのだといういわゆる構造的な問題があれば明らかになると思います。そうなりますと、同じような似た大学で必ずしもそういうものが絶無だと言えないことが頭に浮かんでくるかもしれません。でありますから、その真相がもう少し明らかになってきて、その事態で対応を考えなければならない、かように考えております。
  203. 有島重武

    有島委員 それでは、学校制度改革ということについて、この前、五月十三日に文教委員会がございまして、そのときに大臣にお尋ねをしたことがございました、御記憶であったかしりませんけれども。それは公明党の竹入委員長が一月の本会議の席でもって「いまや六・三制は、中等教育中心に多くの問題が明らかとなり、改革を具体的に進めなければならない段階に至ったと判断する」、どうでしょうかと。これに対して中曽根総理大臣が、確かにそういう段階に来ております、こういうことであった。それで文部大臣に私は、このことについて総理大臣お話し合いをなさいましたかということで、大臣はそのときに、まだしておらないけれどもお話し合いをしましょう、そういうことでございました。御記憶だと思います。そのときに私は注文を一つつけたんですね。それで、学校制度改革ということについてはもう昭和四十六年の中教審答申以来、文部当局としてもいまの範囲でできるような改革、改善ということについてはいろいろと努力をしていらっしゃっております。ですから、いまその具体的検討をすべき段階に入っておるというような言い方のことになれば、いよいよ具体的にどういう手順で何を進めていくのか、いつごろからどういうふうに始めていくのか、時期を選ぶ決断ですな。それに応じてその予算の措置ですね、そういったことは一体どんなふうにするのかというようなことを含めて御相談いただいたらよろしいのじゃないでしょうかということを御提案申し上げた。それでそのときに大臣は、いま総理大臣がすぐさま学制改革はこういうふうにやったらばいいというような名案をお持ちになっているとは思わないけれども、とにかくそういう認識のもとにひとつ話し合いをしましょう、こういうことでございました。その後の進展のほどを御報告いだだければありがたい。
  204. 西崎清久

    ○西崎説明員 昨年からの経緯を申し上げますと、昨年の六月でございましたか、中央教育審議会に当時の事務次官から、教育内容についての御審議を中央教育審議会でいろいろ煩わしておるところではあるけれども、あわせて学校制度についても中央教育審議会で御審議いただければ幸いであるというふうなことを中央教育審議会の質疑応答の形の際申し上げた経緯がございます。その当時文部省内部におきましても連絡課長会議、局長会議等でこの学校制度の問題を含めましていろいろな議論をいたしまして、それから約一年を経て今日に至っておるわけでございます。  この学校制度の問題につきましては、先般、児童生徒の急増急減に対処するための対策として連絡会議を設け、事務次官を中心として関係局長の連絡会議そして幹事会というものを設けることに大臣裁定でいたしたわけでございます。私ども事務当局の立場で連絡会議を設けて、そして学校制度の問題を含めまして幅広く検討を進めてまいりたいという存念でございます。  ただ、別個の問題といたしまして、中央教育審議会を初め、理産審における産業教育分科会あるいは大学入試制度に関する会議あるいは教員養成審議会というものが文部大臣の諮問機関としていろいろと御審議を願っておるところでございます。したがいまして、私どもといたしましては、このようなプロジェクトチームを設け、事務当局の立場で学校制度を含めましていろいろ広く諸問題について検討を進めると同時に、各種審議会の審議の今後のプロセスを踏まえまして、問題についての課題、あるいはその課題についての解決のための方法論、あるいはその手順、それについての準備の問題等に、文部省関係局を合わせた形で総力を挙げて取り組んでまいりたい、こういうふうな形で連絡会議が置かれたというふうに御理解をいただければ大変幸せでございます。
  205. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 経過、考え方は、いま官房長から御説明申し上げたとおりでございますが、御承知のように事態はだんだん変化をしてきておりまして、小学校、中学校あるいは高校の人口がだんだん減ってくる、大学は相当ふえてくるといういろいろな変化があります。そういう中で入学試験の問題等いろいろ問題がありますし、そこでいわゆる国公立だけでなしに、私学も含めて今後の教育制度あるいは入学試験のあり方、その他いわゆる各種学校等までを含めて総合的に、この際、いかにあるべきかを検討しなければならない。相当広範なものでありますが、その中から一つずつ結論が出たものを実施に移していくという考え方で進めよう、こういうことで、いま申し上げましたような省内の組織をつくったわけでございます。もちろん各種審議会等の並行する場合もあるし、意見を徴する場合もありますが、そういうことでやるのであって、直ちにその結論が来年度の予算に関係が出てくるということまではそう簡単なものじゃないと思っておりますので、あり得ないことじゃないか、かように考えておるわけでございます。
  206. 有島重武

    有島委員 私、いま大臣にお願いしたのは、その後どういうふうになさったのか、御報告を承りたい、こう申し上げたわけなのです。総理大臣とこの種のことをお話し合いになったのだろうと思うんですね。その後の経過報告をお伺いしたいと思います。
  207. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 中曽根総理は、有島さんから聞かれたときに、私は直接何も話を聞いておりませんと、こういうことでございましたが、その後、六・三制等について何か考えがありますかと聞いたら、いや、自分はそこまでは考えておらないけれども教育制度全般をもう考え直す時期に来ておるのじゃないか、こういう感想を聞いたわけで、私も就任以来さような考えを持っておりましたから、それでいま申し上げましたようなことを進めておる、こういうことでございます。総理は総理で、御承知のように内閣といいますか、総理大臣は、私的諮問みたいなメンバーをそろえて、総理の考えづくりをしよう、こういうことで別途にやっておられる、こういうことでございます。
  208. 有島重武

    有島委員 この前も文部大臣は、この問題は大きな問題だから、文部省だけでもって考えるというわけにもいかない、こういうことでしたね。それで、いや、具体的なことは総理が、六・三・三制を四・四・四にした方がいいとわしは思っておるからこうしろ、こういうことは絶対おっしゃらないでしょう。ただ、その以後に文化と教育の懇談会というものをおつくりになったようでございますね。これはどういうふうに評価をしていらっしゃるのですか。
  209. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 これは、いま申し上げましたように、総理の教育に対する考え方をまとめてみたいという参考にフリートーキングみたいな形で進められる。もちろんそれにはだんだん、それは数人でございますから、事務的な整理をする段階が来れば文部省等もあるいは参加しなければならぬ場合もあるかと思いますが、まだこれは経過を見なければわかりません。
  210. 有島重武

    有島委員 この教育懇談会は、これは大所高所からやってもらうのは結構である。だけれども、そこにいままで文部省がどのような積み上げをしてきたかということを理解してもらって、大所高所からそれを見てもらうということが必要なのじゃなかろうか。ことに学制改革ということについては、文部省はいまから考え出そうということではございませんで、もう中教審の答申というものを得て、これをどういうふうに展開していくのだというようなことについては、もうあらあらやっていらっしゃるわけですよね。この文化と教育の懇談会に、たと夏ば四十六年の中教審の物の考え方はこうでございました、いまの時点から見てこれはどうだとか、どういつだ御意見をいただけるでしょうかというようなふうに持っていくこともできるのじゃなかろうか、僕なんかそういうふうにしているのじゃないかなと思っているのだけれども、そういうことはあるのですか、全然ないのですか。
  211. 西崎清久

    ○西崎説明員 総理のところで設けられておる文化、教育に関する懇談会につきましては、その取り上げられるべき課題事項あるいはその審議の仕方その他について恐らく過去二回、いろいろな御意見の会合が開かれたとは承知しておりますが、いま申し上げた諸点についての明確な方法論等についてはまだこれからであるやに私どもは伺っておるわけでございます。したがいまして、総理のところに設けられております懇談会が今後どのような課題をお取り上げになり、手順でいろいろな御審議をなさるかについては、これからいろいろお決めになるでありましょう。そこで、私どもは私どもの立場で、事務的なところではございますけれども、各局個別に対応することではなくて、各局がそれぞれ集まりまして課題事項の取り上げ方その他を検討した上で、学制問題も含めていろいろな審議に入ってまいりたい、こんな考え方でございます。
  212. 有島重武

    有島委員 文部大臣、そういったことはやってないというわけですよ。それで、文部省からの考えもあり通産からの考え方もあるでしょう、いろいろ各省あるでしょう。それをたとえば文部省の官房長がこれをひとつ検討したい、こういうわけにはいかない。そういったきっかけをつくっていって、それではひとつ総理見ていただきたい、こういうようなことをやるきっかけはだれがつくるかといえば、やはり文部大臣と総理大臣お話し合いをする、その内容になるのじゃなかろうかと思いますけれども、どうでしょうか。
  213. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 いま官房長から申し上げましたように、いま総理のいわゆる懇談会は緒についたばかりでございまして、何をどうするかというところまでまだ来ておらないのです。もう少しいろいろ具体的な問題が出るようになりましたら、もちろんこれは総理府でこういう制度をつくるわけではございませんから、お互いに、担当するところはこちら、しかしこれは文部省だけの問題ではないわけでございますから、総理は総理としてのアウトラインを頭に描きたい、こういう考えでやっておられるのでありまして、必要な場合にはもちろんお互いに話し合わなければならない、かように考えておるわけでございます。
  214. 有島重武

    有島委員 できたばかりというお話でございますけれども、これから十年もゆっくりやっていこうじゃないかという話なら、できたばっかりだからせくなせくなということはありますよ。しかし、聞くところによると、大体一年くらいやろうじゃないかみたいな話ですね。そうなりますと、もうあれよという間に終わってしまう。それほどのんきなものではないでしょう。まあ文部大臣も、本当に熱心に取り組んでいかれるということであるならば、恐らくそういったきっかけをどんどんおつくりになっていって、それで配下の官僚の方々も皆ちゃんと準備万端怠りなくやっていらっしゃるわけですから、安心して突っ込んでいって大丈夫、こういうことじゃなかろうかと私は思います。だから、進めるというのだったら進めていってもらいたいと思います。  それから、省内におつくりになりましたプロジェクトチーム、このメンバーはしょっちゅう顔を合わせて話し合っているメンバーですよ。それほどかわりばえのある人じゃないのでしょう、だろうと思うのです。でもこれは、一つの形をつくってそれを発表した、こういうことになりますと、いままでと一味違ったことをするのでしょうな、私の理解するところによれば。この前の大臣に対しての質問を踏まえて、いままでも学校制度改革ないしは改善にかかわることで、いまの制度内でもってやらなければならないようなことというのは本当に積み上げて積み上げてやってきた、これからもまだやっていきます、そのほかにいよいよ何か本当に具体的にこう踏み出さなければならないという問題、このためにプロジェクトチームをつくったのじゃなかろうか。おつくりになったのは大臣がおつくりになったわけですから、これは大臣から答えていただきましょう。
  215. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 現在の文部行政は既定の方式でそれぞれセクションが担当してやっておるわけでございます。その現在の教育に関する諸制度でだんだん問題が出てきております。さっき申し上げましたように大きな変化がだんだん進んでおります。でありますから、その中で各担当が全部顔をそろえ、そして総合的に新しい文教行政あり方について検討するということでございますから、道を変えるところがあれば変えなければならない。それにはただ、そのセクションだけで考える狭い考えじゃだめですから、総合的に考えていかなければならぬということで、そういうメンバーをつくり、そして多くの課長その他の組織をつくって組織的に進めよう、それぞれ課にはいろいろ考えがありますが、局にはありますが、それだけの問題ではありませんので、全部知恵を持ち出して問題点を指摘しながら、新しい道をつくるなら新しい道をつくらなければならない、現行制度で改められるものは改めなければならない、こういう考え方でこの道を選んでおるということでございます。
  216. 有島重武

    有島委員 文部省のお考えの中でも、昭和五十八年から六十八年にかけての十年の間に人口動態がずいぶん変わるのだ、そういったことを前提としてひとつ手を打っていかなければならぬ、こういうことですね。ですから、年限は大体決まっておるといえば決まっておりますね。この間に何か具体的なことをやらなければならぬ。それで、やるのかやらぬのか、その辺のこともきわめなければならない、こういうことですね。  それで、これはずいぶん昔の文献なんですけれども昭和四十六年の九月でございましたが文部省から出されました「これからの学校教育 中教審答申一問一答」の「問1」のところに、「六・三制をどう考えたのですか。」「教育改革をなぜ必要とするのですか。」というようなことがあるわけですね。もう時間がありませんから簡単にしておくけれども、こんなことが書いてあるわけですよ。「今回の改革は、平常時に、現行制度改善充実しながら、同時に、よりすぐれた新しい制度を求めて研究開発を積み重ね、段階的に進めなければならない」、そういうむずかしい改革であること、それからもう一つは、外国をお手本にすることはもうできない状況にあるのだ、だからみずから考えていかなければならない、こういった二点のことが挙げられておる。  私ども、竹入委員長の提案に続いて、提言を八つにまとめて申し上げたわけですよ。その八つがみんな絡み合っているわけなんですけれども、こういう大きい問題を机の上で考えるのはもう十年も二十年も考えておるわけであります。小さな改善、改革は積み重ねてきたわけです。ですから、それ以上のやや大きなことに踏み出すためにはパイロット的なことをやらなければならない。きのうも、大臣ごらんになったでしょうか、夕方の五時三十分から六時にかけましてNHK第三チャンネルで、長野県諏訪市の高島小学校といいましたか、「時間割りのない学校」というような報道をやっておりましたね。何かいままでのいろいろな概念を破った授業方法をやってみておる。これは一つのパイロット的なことに位置づけてもよろしいと思うのです。それをいきなり全部全国にやったらどんなものかということは言わない。言わないけれども、いろいろな工夫をむしろ積極的に進めさせる。それも手放しに進めるのではなくて、ちゃんとその報告をとる。その分析をする。しかし、これは教育のことですから、一年やってみてうまくいかなかったからこうというようなことではなしに、やはり相当年限も与えて、三年なり六年なりを任せてやってみる。任せるについてはやはりそこの地元の教育長さんも相当しっかり責任を持ってもらわなければならない。いろいろな手だてがあると思いますね。ある場合にはそこに応援のためといいますか、それの観察のための一つのそれこそまた専門的なプロジェクトをつくらなければならぬ場合もあるかもしれませんね。私たちもこういうようなパイロット的な試みをやったらいいのじゃないかということを幾つか挙げておきましたけれども、私どもが御提示した項目に限らずいろいろな試みをやり出していく、それはどうしてもいま始めなければいけないのじゃないかと思います。いまからそういうことをやっても、大体その成果が集まるのは六年もかかるわけですからね。その後、十年先にはずいぶん子供の数は減っていく、あるいは大学、高校の方はふえていくというふうなことが起こるのは目に見えておるわけです。幼稚園児童などが非常に減っていくということについてどう手を打っていくのか。いままでもあるけれども一つの実験を踏み出す、やり出す、これはもう御決断をなさらなければだめなときですよ。決断しなければだめです。今度のプロジェクトチームでそういうような大臣の決断に基づくプロジェクトであってもらいたい。これは私は心から願うものです。もう時間が来ましたからこれで……。最後に一言。
  217. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 教育の問題は非常に重大な問題で、もちろん国民全体にかかわりがある問題でございますから、そう短兵急にはまいらないとは申しながら、いまおっしゃったように、この十年間の人口移動を資料としてあるいは差し上げてあるかもしれませんが、反面事は急を要するわけです。そして、教育実態がいろいろ問題になっておるような現状でございますから、何もかにも一遍にというわけにはまいりませんけれども一つずつ結論が出たものは実施に移すという、いまおっしゃったように決断が要ると思う。問題を一つ一つ言うわけじゃありませんが、問題ができた一年ごとにめどをつける、こういう腹構えでこのチームを動かす、かようなつもりでおるわけでございます。いまパイロットスクールのお話もありました。各方面の意見も参考にしながらあらゆる知恵をしぼらなければならない、こういうことでございますから、今後ともひとつ御教示をいただきたい、かように考えます。
  218. 有島重武

    有島委員 ありがとうございました。終わります。     〔船田委員長代理退席、委員長着席〕
  219. 葉梨信行

    葉梨委員長 三浦隆君。
  220. 三浦隆

    三浦(隆)委員 本日は、東京医科歯科大学の教授選考をめぐる贈収賄事件あるいは国士館大学事件あるいは九州産業大学事件と、三点にわたってお尋ねしようと思ったのですが、時間の都合もありますので、ポイントを東京医科歯科大学の教授選考をめぐる収賄事件にしぼってお尋ねをしたいと思います。  初めに、これまで各委員からいろんな御発言もあったわけですが、本来東京医科歯科大学というのは、昭和三年に東京高等歯科医学校ということから始まりまして、五十五年前でありまして、そして東京医科歯科大学が設置されたのは昭和二十六年、三十二年前でございます。そういう意味では、歴史の古い伝統のある大学一つであり、多くのすぐれた医師、歯科医師を養成してきましたし、他の医科歯科大学と一緒に日本の医療行政にすばらしい貢献をなしてきたと思います。そうした大学あるいはそこにいる教授の人が今回のこういう事件に巻き込まれたというか、起こしたということ、きわめて遺憾だと思いますけれども、一面大変お気の毒だなというふうな気がいたします。また同時に、こうした問題が報じられますと、一斉に各新聞の論調はほとんど池園批判ということでは一致点を見出しておるようでありますし、また文部省見解もまたほとんどそれにならっているということでございます。そういう点では、大学教員というのが一個人という立場に立ったときに、新聞にたたかれ、あるいは学内からもたたかれ、文部省からもたたかれた場合に、一人ではとてもがんばっていけるものではございませんで、恐らく本人の気が弱ければノイローゼから自殺もしかねないであろう、家族の心痛も察するに余りのあるところだというふうな感じがいたします。そういう意味では、人一人の人権といいますか、特に教員人事の問題については、私は慎重な態度で臨んでいくべきだろう、このように考えております。少なくても戦後確立しました原則は、戦前における大学でいわゆる学問の自由抑圧の中から、戦後学問の自由を確立して、そして大学の自治というたてまえで、特に一般の公務員に対して教員の身分保障というのは強く保障されてきたところであります。また、刑法一般原則にしても、疑わしきは罰せずというのがたてまえだと思います。そういうことによれば、今回まだ起訴もされておらない、もちろん有罪となったわけでもない、そうした人がいま大変な渦中の中に置かれているということであります。  そこで、まず文部大臣にお尋ねしたいのですが、お尋ねする前に、概略これまでの文部省の歩みについて触れてみたいと思います。  七月二十日付の新聞によりますと、文部省は懲戒処分を含む厳正な処置をとるようにと述べており、また七月二十三日付新聞によりますと、文部省は処分は厳しい内容となるだろう、このように述べております。そして、同じように新聞もこれに続いてきた。学内見解も同じでありまして、そして七月二十五日付の新聞によりますと、渦中の人池園教授は、収賄容疑を終始否定してはいるのですが、辞表を提出しているわけであります。しかし同七月二十五日付新聞によりますと、文部省が厳正な懲戒処分をと指導しているので、大学当局としては懲戒免に踏み切る可能性が強いとあります。そして七月二十六日新聞によりますと、文部省は最高の厳重処分でもおかしくないという判断を示して、懲戒免職の可能性を強く示唆している。また大学調査結果報告に対しては、調査の内容が甘いと指摘し、さらに厳しい態度で調査の継続を強く求めた、このようにあります。そして、けさの審議におきます臼井委員から、現金授受が事実とするならばどんな法的処置をとるのかという質問に対しては、官房長は大変重大な事態なので、国家公務員法に基づく懲戒処分も考えられる、懲戒処分に当たるかどうか大学が設けた小委員会検討されることになる、池園教授からの辞職願いが学長預かりとなっているが、仮に懲戒処分になれば辞職願いは受理しないことになると答えておるわけです。すなわち、これまでの答えを確認して、またさらに一歩進んだ形をとっております。  そこで文部大臣にお尋ねしたいのは、文部大臣としてはどのように考え、どのような処置をとられようとしているのか、お尋ねしたいと思います。
  221. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 まだ文部大臣として、処置をとるとかなんとかいう判断の時期ではないと考えているわけでございまして、先ほども申し上げましたように、真相はこれからどういう真相であるかということがわかってくるのだろうと思います。  文部省云々という新聞記事があったそうでありますが、それは、もしそれがいわゆる教授の選考に関して金銭の授受があれば、これは明らかに罰せられるべきであろうと思いますが、そういうことになればということでございまして、まだそうであるかどうか、そういう点を先ほど来申し上げておりますように学校委員会でもいろいろ究明といいますかいま調べ中でございますし、また警察は警察で、刑事事件のにおいがするということでいま捜査中でございます。そういうことが明らかになってこなければ、いかなる処置をとるべきかということは大学委員会でも判断ができないでしょうし、あるいは評議会でも判断ができませんから、それから文部省に持ってきて最終判断をする、こういうことになるのでございます。
  222. 三浦隆

    三浦(隆)委員 公務員は、国家公務員であれ地方公務員であれ特に身分の保障があるわけですが、その中でも特に教員には教育公務員特例法その他での身分の保障がされているわけです。そこで、教員の身分というものは特に保障されているのではないかということから、この教員の身分保障制度について、改めて大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  223. 西崎清久

    ○西崎説明員 今回の東京医科歯科大学に係る事件につきまして、私どもは、二十日の段階で医科歯科大学方々関係者がお会いいたしまして、この事態大学自治の根幹を揺るがすようなことでもあり、大学自治の問題として真剣に取り組んでほしい、調査をひとつぜひよろしくということと、それから仮に金銭の授受があったとすれば事は重大であり、事柄としては処分の問題についてもいろいろ厳正に考えていただく必要がありはしないかということを申し上げたことはあるわけでございます。しかし処分の内容について、たとえば懲戒免職が必要であるとか、あるいは懲戒処分は厳しくなければならないとかいうことを申し上げた経緯はございません。これはやはり国立大学の自治の問題として、処分の委員会というのが評議会の中に設けられているわけでございまして、これから評議会の中で議論が行われ、事態の解明にあわせて懲戒処分が仮に行われるとすれば、その程度その他いろいろ御議論があろうかと思うわけでございます。  それから身分保障の問題については、まさに先生おっしゃいますとおりでございまして、国立大学の教官は評議会の審査によるのでなければ懲戒処分を受けることはないということは、御指摘のとおりでございます。そして、評議会の審査に基づき学長から任命権者である文部大臣の方に申請が参る、こういうことでございます。  それから、もう一点だけつけ加えさせていただきますと、辞職願が出ておることにつきまして、これは人事院規則がございまして、本来辞職願が出ていた場合には、特に支障のない限りこれを承認するというのがたてまえでございますが、特に支障がある場合の例といたしまして、職員を懲戒処分等の処分に付すべき相当の事由がある場合には、直ちにこれを承認するということではなくて、その事態の推移を見守りつつということで預かりがあり得るということが取り扱いとしてはあるわけでございます。  以上でございます。
  224. 三浦隆

    三浦(隆)委員 個々的なことを聞いたのではないのでして、大臣に基本的に教員の身分ということについてお尋ねしたかったわけです。  いまたとえば現金の授受と言うけれども、そう簡単ではない。仮に現金の授受があったから悪いと一概に言えない。たとえば賄賂の意思を持って受け取ったのか、社交的儀礼の意思を持って受け取ったのか、同じ受け取っても天と地の違いがあるわけです。きょう委員会が終わって、ここに財布をだれか委員が忘れておった、ああこれはだれさんのテーブルだからだれ委員のだ、皆さんがいないから、では私が預かっていってあした返そうと思ってたまたまふところに入れたところが、三浦が持っていった、三浦は窃盗罪だと言われても大変困るわけであります。すなわち、現金の授受という単純なそれだけでもっていかにもクロであるという決めつけの仕方というのはきわめて危険な考え方ではないか、このように思うのであります。しかもまた、いまのお答えの中でも大学の自治と言ったけれども、軽々しく言われることにきわめて私は抵抗を感ずるのであります。もし個々の大学教員の身分についてその人の身分が是か非かということを審議するのであれば、何も文部省が発言する必要は一切ないのでありまして、個々のすぐれた教官同士が集まって是か非かを論議して、その論議した結果を文部省なりに報告すればいい。結論が出ないうちに一つの結論を先にあえてむしろ文部省が与えるような行き方自体大学の自治に対する大きな侵害なのじゃないだろうか。口に大学の自治を叫びながら、その実、大学の自治をなし崩しになくしていってしまうのではないか。その点に私は心配を感じているわけであります。  きょう恐らく国士館あるいは九州産業大学の方までは触れませんけれども、似たような考え方が行われやすいのであります。確かに異常な事態がある。理事長もけしからぬかもしれない。しかし、それに対して組合の皆さんの方が文部省に対して、大臣の名前なりをもってやめさせてくれ、みずからの力をもって、自浄作用をもってやめさせるのではなくて、時の国家権力にすがって正していただこうという姿勢そのものに、みずからが大学の自治の無力さをさらしかねない。すなわち、それでなくても昔の戦前的な文部省に復帰していこうという考えがもしあるとするなら、もちろんないと思いますけれども、これはせっかくの歴史上確立してきたところの学問の自由にとってゆゆしきことなのでありまして、そういう点でも、もちろん個々の大学のまずい点は絶対許すことができないし、直さなければならないことであるけれども、それは個別の大学の中で解決することであって、文部省がそれよりも半歩でも一歩でもあたかも先に出るかのような、そうしたような考え方自体に私は過ちがあるのだと思うのです。  あるいはまた、辞表を提出されたらば受け取るのがあたりまえだと言うけれども、本来ならば、やめないと開き直ったらどうなるか、やめろと言ってもやめないと言って開き直ったらどうなるか。これはなかなか法に基づいたいろいろと争う道が許されているのでありまして、強い人ならばがんばるかもしれぬのであります。現に個人でも強ければ、田中元首相はロッキードでがんばっているじゃありませんか。はっきりと起訴されて、はっきりと検事の論告求刑を受けて、なおかつがんばる力を個人としてでもお持ちかもしれない。あるいは国労なり動労なりが違法ストをする、処分だといってもそれを闘ってはねのける力があるかもしれない。個人であれ組織であれ、強いものがあるときはいいけれども、一個人というものは身を守ることができないものであります。  そういう点を考慮するとするならば、昨今の文部省の歩みというのはきわめてむしろ遺憾なのじゃないか。むしろ注意してもらわなければ困るのじゃないか。私にはそんな感じもいたします。と同時に、公務員であって特に処分が争われている場合に、刑事事件との関連がもし問題となるとするならば、特にまた、それには人事院規則その他の問題が絡んでくるわけであります。しかし、今度はまだ刑事事件にすらも、起訴すらもされていない事件とするならば、その規定以上に守られなければならないということであります。  たまたま文部省調査によりますと、昭和三十年来、国立大教官の収賄容疑に絡む処分は四件ある。うち二件は減給十分の一で一カ月、大変軽いです。残り二件が免職であると言っておりますが、この残り二件は、その一つが一審有罪判決が下っている。もう一つは本人が収受を認めたものであります。したがって、本件のように警察でまだ取り調べ中であって、いまだ起訴すらされていない。また、本人が終始収受の事実を認めていないということでは、比較にもならないわけであります。まさに今回の文部省の発案は、これまでにない先例を築いていこう、教員の身分にとってゆゆしき侵害とも言えるようなことをあえていま築いていこうというふうに感じられるわけであります。なぜ文部省は、そうした異例とも言えるような処置をいまお考えになり、強行されようとしているのか、改めてお尋ねしたいと思います。
  225. 西崎清久

    ○西崎説明員 今回の東京医科歯科大学にかかわる事案は、ひとり東京医科歯科大学だけの問題ではなくて、国立大学すべてにかかわる信頼性の問題、大変重大な問題ではないかというふうに私どもは考えるわけでございます。  そういう意味におきまして、大学自治を前提としつつ、東京医科歯科大学において社会的な信頼にこたえるみずからの努力が行われるべきだというところが私どもの考え方でございまして、そういう立場に立って東京医科歯科大学も御処理を願うことは当然ということでお目にかかり、指導助言をさせていただいておるというところでございます。私どもは、大学自治に強いてことさらに踏み込もうという考え方は毛頭ございません。しかし、事柄の重大性、全大学にかかわる国立大学の信頼の問題ということを重大にとらえておるというところでございます。  それから次に、起訴にかかわらない事案についての取り扱いをどうするかという問題でございますが、これはまさに大学でまず御判断いただくところでございますけれども、刑事事件とは別個の問題として、大学として本件についていかなる判断を下されるか、あるいは大学として刑事事件との関連において、つまり刑事事件になるかどうかもまだ不分明でございますが、これからその事案の推移に応じて大学として本件の取り扱いをお考えになるか、これはまだ私どもも承っておりませんし、それについて私どもの立場をサジェスト申し上げた経緯はございません。その点についてもこれから大学側がお考えになることであろうというふうに考えるわけでございます。
  226. 三浦隆

    三浦(隆)委員 各紙の報ずるところによる文部省の発言というのは、いまとはいささか違うわけであります。すなわち、いままで先例のないようなことをあえていま先例として切り開こうとしている。少なくとも新聞記事にはそのように読み取れるように書かれているわけであります。もしそうでないとするならば、新聞社に対して本意でないということを言わなければならない。すなわち、いま言ったように、これまで四つの例があった。そのうちの二例は一審の有罪判決があって初めてできた。もう一つは本人が収受を認めた。今回はまだ有罪判決はもちろんなっていない。収受を認めていないのであります。にもかかわらず懲戒免職を促しかかっているわけであります。本人は辞表を提出しているのに、その辞表を受理しようともしない。むしろ懲戒免職によって打って出ようというふうに新聞では書かれておるわけです。そこが問題だというのであります。公務員法によっても、これは特に刑事事件にやられた場合であってすらも、たとえば人事院規則一一―四の第二条、「平等取扱」という規定がありますけれども、明らかに不平等であります。平等取扱に違反する処置といっても、考えといってもおかしくないわけであります。なぜそのようなことを考えるのでしょうか。
  227. 西崎清久

    ○西崎説明員 文部省指導と助言の経緯を申し上げる必要があろうかと思いますが、七月十九日に医科歯科大学に会いましたときは、先ほど申し上げましたように、医科歯科大学大学自治に見合う能力を有するものであることを明らかにするために、本件については速やかに適切な処置を講じていただきたい、これが第一点。それから第二点といたしましては、大学自治の基本にかかわる国立大学の教授選考に関し現金の授受があったとすればきわめて遺憾であり、早急に厳正な措置がとられなければならないのではないか、それは大学のこれからの御処置にまつところである、その措置としては懲戒処分の問題が入るということを申し上げた経緯がございます。  それから第二回に、一昨日でございますが、調査委員会が四回行われた結果が教授会報告されたということを契機といたしまして、文部省においでいただき、事柄をお伺いしたわけでございます。そのときには、まだ私どもとしていろいろな事案が報道されておる時期でもございますから、調査委員会がこれ限りで終わるのではないかという一部報道等もあることにかんがみて、調査委員会はなお継続して事案の解明に努力されたいということを申し上げておるということでございます。現在までに公の形で医科歯科大学にお目にかかり、指導助言を申し上げたのは以上二回でございまして、免職云々というところの懲戒処分の程度の内容にまで踏み込んだ指導助言をしている経緯は私どもございません。
  228. 三浦隆

    三浦(隆)委員 ですから、先ほど言ったように、現金の授受があったならばと仮に言うけれども、現金の授受があったからといって、それが果たして法的な角度から見ていいか悪いかというのは、起訴されてみて、調べてみて初めてわかることなのであって、いわゆる医学部、歯学部の先生方は法律的な知識は余りお持ちにならない。これがもし法学部を持っているところでその発言が出たならばまだしもそれほどの響きはないです。よく検討することが可能だからです。ところが今回はそういう人たちではないわけです。しかも、もし大学の自治というのがあれば、こういう事件が起こった、みんなでもって集まって一生懸命話し合ってみたけれどもどうもうまい解決がつかぬ、何かいいヒントはないでしょうか、解決方法はないでしょうか、そういう相談があってから乗ってくるというのはまだ一つの考え方かもしれない。そうではなくて、事件がありました、すぐ呼びつけました、話聞きました、これはこうした方がいいのじゃなかろうかというふうに言うとするならば、それは行き過ぎだと言うのです。これまでのことにないことだからです。平等原則の取り扱いにも反するし、ないことです。  それからもう一つ、時間ですから進みますと、事件の、教授選考問題の背景の一つに、たとえば臨床医などにおける人事など、その他もそうでしょうけれども、東大対東京医科歯科大学出身者、いわゆる教官の人数に占める数その他でしっくりしない面があること、また、教授会における構成メンバーなどでもう少し若手研究者の意見がくみ入れられるよう開かれた教授会への要望があることなどが伝えられているわけであります。これは、かつて大学紛争のときには教授会はオール正教授で占めておりました。ところが、大学紛争を契機として、助教授も入る、講師も入る、場合によっては助手も入る教授会構成へと変わっているところが少なくないわけです。すなわち、閉ざされた教授会から開かれた教授会へという発想があるわけですが、そうした事件の背景の問題について文部省はどのように把握されておりますか。
  229. 西崎清久

    ○西崎説明員 まず前段の問題でございますが、過去の事例は確かに、刑事訴追をされ休職になり、そしてある判決が出た時点で処分が行われたというところがございます。しかし、私ども考えますに、刑事事件での訴追が行われどういう判決が下るかということとは別に、大学の教官あるいは公務員としての倫理、全体の奉仕者である教官、そういう立場において責任問題というのは、それはそれとしてやはり別個にあろうかというふうに思うわけでございます。したがいまして、大学自治の問題として、刑事休職にするかあるいは刑事訴追の結果を待ってやるか、あるいは大学みずからの判断と立場でとりあえず懲戒処分を行うかというところは判断の分かれるところかと思うわけでございまして、これから東京医科歯科大学のいろいろな御判断が出るところというふうに思うわけでございます。  それから第二点の、いわゆる学閥と申しますか、出身の学校によりまする大学の医学部等における組織の問題でございますが、これは先生も御承知のように、現在医学部におきましての教授選考のプロセスを私ども調べたところによりますと、そういうことを避けるために公募制をとっておるというところがもう九割以上でございます。したがいまして、巷間伝えられるところにおいてそういうことの事態がある場合もあろうかと思うわけでございますが、組織、システムとして教授選考にかかわる組織づくりにつきましては、できるだけ公募制を取り入れる、複数の選考の立場にある人々が十分協議を重ねる。医科歯科大学におきましても十五回の選考委員会をやっておるわけでございます。通常のケースにおいては正常なルールでそういうことで行われていい結果が得られると思うわけでございますが、今回はたまたまこういう不幸な事態になって、その結果が得られないことになり大変遺憾ではございますが、全体の姿、組織づくりのあり方としては公募制であり、複数の当事者による選考というふうないろいろな過程を経て行われることが先生御指摘のような事態を解消する一つの方途かというふうに思うわけでございます。
  230. 三浦隆

    三浦(隆)委員 たとえば複数による選考あるいは公募制ということは確かにいいことなんです。しかし、最終判断を決めるのは教授でしかないのです。また、事実三人にしぼられた中から一人を選ぶには教授でなければできないかもしれません、教授を選ぶわけですから。しかし、多くの中からみんなが推薦し、しぼって五人なり三人まで持っていく過程の中には、教授でなくても、若い人たちの意見を取り入れられてもおかしくなかろう。それすらもできないとすると、閉ざされた、結論的には複数といっても若手の見解は反映されることがない。  また一つ、私は実態を知っているわけじゃありませんが、もし当初の大学の成り行きからして東大関係皆さんが多かった、また新しい大学として自分の学校出身者が少なかったという場合、だんだん育ってくる、そういう意味では教授の位で言えば東大の人は教授が多い、下から来る人は助手なり講師なり助教授なり、なかなか教授にはなれない。そうすると、下の人はどんなに多くても、決定権を持つのは、数は少ないようであっても教授でしかないとするならば、東京医科歯科大の出身の先生方にとっては、あるいは卒業生にとってはやはり開かれたというイメージを持ち得ないのですね。ですから、もし学閥を解消するというなら、東大だ、あるいは東京医科歯科大だ、何大だではなくて、本当にすばらしい先生が集まり得るような、いまの選考規程をさらに開かれたものへとつくり変えていく努力もまたなされないと、単に一池園教授だけに問題をしぼっても事態解決されないということだろう、このように思うのですね。  次に、七月二十七日の新聞によりますと、同じ大学におきまして三点が書かれております。一つは、十年前から教授選考に絡んで現金が飛び交い始めたとささやかれ出した、第二点、五十五年から、すなわち四年前からの教授選考では現金の動きがより強い疑いで出ている、第三点、酒井氏以外にも教授のいすを金で買おうとする候補が明るみに出る可能性がある、このようにかなりの記事が載っているわけであります。文部省はこうしたことについての報告を受けていますか。
  231. 西崎清久

    ○西崎説明員 ただいま先生御指摘の点については、まだ詳細な報告は受けておりません。
  232. 三浦隆

    三浦(隆)委員 いわゆる問題を一池園教授だけにしぼるならともかくとして、そのときは新聞で報じました、すぐ大学と折衝しました、文部省はきわめて早いわけですよ。とするならば、問題はもっと奥が深い、何年も前からありそうである、また一人じゃなくて数人に及びそうであるというならば、あわせてそのことについてもお調べにならないと片手落ちじゃないでしょうか。もっと明確にお調べいただきたいと思います。  と同時に、実はこの大学だけに限りません。医学部、歯学部という大学は東京医科歯科大だけではありませんから、ほかの同じような大学にもあるいはあるやもしれない、あるいは医学、歯学だけじゃなくて芸術関係の国立系統の大学などでもあるかもしれないわけです。すなわち、こういう問題を契機として教官人事への波紋はさらに大きく広がるおそれすらあるのだろう、このように思うのですが、そういうことについても文部省はどのようにお考えですか。
  233. 西崎清久

    ○西崎説明員 前段の方のお話でございますが、私どもが七月二十日に早急に東京医科歯科大学関係者とお会いしました時点と現在の時点とは若干異なるわけでございます。  この異なる点と申しますのは、現時点におきましては医学部の教授会の中に調査委員会が設けられておるという点でございます。したがいまして、その調査委員会においては池園教授問題だけでなくて、その他いろいろ指摘される点についてはあわせて検討を行うということの一つの体制ができておるという認識を私どもはしておるわけであります。たとえばけさの新聞報道にあらわれておりました一人の教授の方も午前中に恐らく調査委員会でいろいろお話し合いが行われておるであろう。それから、先生御指摘の点についても、調査委員会があるわけでありますから、そういう点で、私どもから申し上げるまでもなく調査委員会検討が行われているはずでございます。そういう意味におきまして、私どもは、適切な時期にまたその結果をお聞きしたいというふうな考え方でおるわけでございます。
  234. 三浦隆

    三浦(隆)委員 今日各種の再審事件を通じながら、冤罪を晴らすというかそうしたことが幾つか報じられているわけです。起訴され、一審で調べ、二審でも調べ、あげくの果てはやはりこれは無実であったということすらあり得るときに、今回の池園教授が起訴されて有罪となるかどうか、これは私にも全然わからないところでありますが、もしかしてI教授の収賄罪容疑というものが取り調べの結果不起訴となった、何でもなかったということになった場合は文部省はどういうふうに責任なりをお感じになるのでしょうか。もう本人は辞表を提出してしまったわけですね。何でもないといっても身分は戻らない。それじゃなくてもみんなにいろいろと言われて、家族その他が肩身の狭い思いをするようなそうしたことは直らないんですね。もし起訴されなかった場合を考えたとき、文部省はこれまでの大学との折衝その他でいろいろと発言されてきたことの責任をどうおとりになりますか。
  235. 西崎清久

    ○西崎説明員 本事案について池園教授の件として申し上げますならば、池園教授の事案が起訴されるかどうかということは刑事事件としての判断の問題であろうかと思います。しかし、私ども国立大学というところで学校教育の所管の立場の文部省として考えますならば、刑事事件としての問題とは別個にやはり公務員の職責、公務員倫理の問題、国家公務員法における全体の奉仕者としてのふさわしい行動をとるべき義務があるわけでございます。いろいろな意味における公務員倫理の問題、秩序の問題、その職責にある、責任ある立場の方というふうな点に照らして果たしていかがであるかということは刑事問題とは別個に判断されてしかるべきものというふうに考えるわけでございます。その点がまさに国立大学としての東京医科歯科大学におけるいろいろな機関での御検討のプロセスで解明され、あるいは処理されていくことではないかというふうに考える次第でございます。
  236. 三浦隆

    三浦(隆)委員 そこで、私は先ほど述べたのです。公務員全体としても身分保障があるけれども、特に教員の身分保障は強いのだと述べたわけです。先ほどもちょっと触れましたたとえば国鉄における国労、動労の人がいろいろな考え方もあって違法ストを行った、あるいは教員の組織に所属している日教組の人がこれまたいろいろな考え方があって違法ストを行った、違法行為が明白であったという場合、刑事事件とは別個にいわゆる行政処分だってあり得るじゃないか。それじゃ、かつての総理大臣であった田中さんの、元首相の場合はどうなのか。いまはアメリカの憲法の規定によりますと、アメリカ大統領の場合、特に汚職の罪は大変重く裁かれるのでありまして、アメリカでは裁判所は一切関与いたしません。アメリカでは国会が大統領の汚職を訴追してそれを有罪と認めれば、反論することもなく大統領は失脚となってくるわけであります。ところが、わが国はいま大学の自浄作用云々と一生懸命述べておられるわけですが、同じ国会議員仲間であって、日本の国会では現実に手も足も出ない。自浄作用どころか、現実にアメリカとは違って、本来戦後アメリカの憲法の精神を十分学んだはずのわが国がそれを生かすことができなくて、起訴されて、それで論告ではかなりひどかった、この十月に下されるであろう判決も有罪であるかもしれない。刑事事件とはまた別個に、議員としての身分というものがどうなるかがもし別個だという論議ならばそれも成り立つかもしらぬのですよ。しかし、ここではそれまで触れるとまた時間がとられますので、安直に簡単に教員の身分というものを分け隔てするような考え方で考えられることは避けるべきだろう。すなわち、先ほど言ったように戦前以来教員の身分を守り抜いていくことが大学の自治の歴史であり学問の自由というふうに言われてきたから、それがなければ元も子もないのだということであります。と同時に、刑事事件においてだれが法に触れるか触れないかというのはきわめてむずかしい問題でありますので、時間が惜しまれるわけでありますけれども、簡単に法務省の方にお尋ねしたいと思います。  第一点は、刑法百九十七条におきます収賄罪というのはどういうときに成立するのでしょうか。恐れ入りますが時間がございませんし、お尋ねしたいこともたくさんありますので、簡潔にお答えいただきたいと思います。
  237. 飛田清弘

    ○飛田説明員 刑法百九十七条の収賄罪というのは、いろいろあります収賄罪の中の基本的な規定でございますが、公務員などがその職務に関し賄賂を収受しあるいは要求しもしくは約束したときには処罰される、こういう規定でございます。ですから、どういうときに成立するかというのは、公務員などの身分のある人がその職務に関して賄賂を収受した場合に処罰される、こういうことになろうかと思います。
  238. 三浦隆

    三浦(隆)委員 構成要件としての賄賂なり収受なり請託なり職務行為というふうなものがあろうかと思いますが、逆に言えば、これに触れなければ罪にはならないということでございますね。
  239. 飛田清弘

    ○飛田説明員 刑法百九十七条の規定は、先ほどちょっと申し上げましたように賄賂罪の中の基本的規定でございまして、そのバリエーションの規定がいろいろございますから、それらの規定に触れれば百九十七条に触れなくても処罰される場合があるかもしれませんけれども、これらの構成要件に該当しないような行為であれば処罰されないのは当然であります。
  240. 三浦隆

    三浦(隆)委員 社交儀礼上の贈与があると思いますがどういうことでしょうか。
  241. 飛田清弘

    ○飛田説明員 社交的儀礼と申します言葉は法律的な用語ではございませんで、むしろ裁判の実務におきまして、収賄罪が成立しないのじゃないかという反論をする側の立場から、社交的儀礼の関係のものであるから賄賂罪は成立しないという主張がなされてきた、そういうふうな意味で使われている言葉でございますが、基本的には、賄賂罪は公務員などがその職務に関して賄賂を収受した場合に処罰されるわけでございまして、形式的に社交的儀礼だということで処罰をされないというわけではないわけでございます。社交的儀礼という主張がなされる場合は、社交的なものであって職務に関する賄賂ではないのだ、そういうことを主張する一つ状況的な言葉として使用されるものでございまして、社交的儀礼だから処罰されるされないという基準のものではない、こういうふうに理解しております。
  242. 三浦隆

    三浦(隆)委員 社交的儀礼あるいは社会通念と称されるもろもろのつき合いの中でわれわれは冠婚葬祭その他で何がしかを包んでいく。仮に学校教育の現場では、子供たちがいつもお世話になっているから受け持ちの先生に盆暮れ何がしかを持っていく。場合によると、小学校六年あるいは中学三年のお母さんたちはたくさん持っていくかもしらぬ。それは実際の試験に対して内申書の持つ比重が大きければ、親心というものがありまして、みんなが持っていっているといううわさを聞くと、持っていかなければまずいのじゃなかろうかということから現実には行われておるわけです。他人に持っていくわけじゃないのです。自分の子供を預かっている先生に対して持っていくわけです。その先生は子供を教え、子供の内申書、成績証明書を書く力を持っているのです。それを知っての上で持っていくわけです。それでも、職務に関することであろうとも場合によっては許されるとするならば、いわゆる現在で言う社交儀礼上その程度まではいいじゃないかという何らかのお目こぼし的な言わず語らずのものがあるだろう。もし全面的に悪いというなら、教員の多くは現実に引っかかってしまうじゃないかというふうに考えますが、どうでしょうか。
  243. 飛田清弘

    ○飛田説明員 おっしゃいますことは、かなり具体的な事例として考えた場合に微妙な事案だと思います。しかしながら、判例としてあらわれたものの中にはなかなか微妙なことを言っている判例もございまして、大審院の判例でございますけれども、「官公立学校ノ教授ニ対シ子弟ヨリ為ス財物ノ贈答ハ純然タル儀礼ノ範囲ヲ超越セサル限リ固ヨリ咎ムヘキニ非ス寧ロ恩師ニ対スル敬慕ノ念ノ発露トシテ尊重スヘキコト我国古来ノ教訓ニシテ今仍ホ淳風美俗トシテ遵守セラルル所ナリ」としながらも、そういうふうなつけ届けを収賄罪が成立するとした大審院の判例などもあるようでございます。そういうところから考えますと、おっしゃるように非常に微妙な事案というのはあり得ると思います。しかしながら、一般的に教師に対してつけ届けをするのが社交的儀礼だから全然贈賄罪にならないのだとは言い切れないわけでございまして、やはり社会通念に照らして贈賄罪になるものとならないものというのはおのずから区別が出てくるのではなかろうか、こう考えております。
  244. 三浦隆

    三浦(隆)委員 ですから、先ほど質問しましたように、ある程度社交的儀礼というのは現実に存するわけですよ。しかもそれは、時代背景あるいは地位、身分、あるいは友人関係その他のつき合い、諸般の事情によって変わってくるわけであります。昭和十一年の判例によると十円でも超えたとひっかかっておる。昭和二十六年には五百円でひっかかっておるわけであります。いまならひっかからない金額かもしれないけれども、ひっかかる。すなわちこれは、いまの一般論ではなくてわれわれが選挙運動をしたときの買収、供応、接待何がしの場合にも、社交的儀礼の範囲何がしと言われる問題としてはあり得るわけです。これは一般論としてですよ。  そこで、こうした方ではわりと詳しいと言われております藤木英雄教授の「行政刑法」という本がありますが、その中に社交儀礼についての記述がございます。「職務に対する対価性が明白なものについては、職務の公正を疑われる程度がはっきりしているから、社交儀礼という名目があっても、社交儀礼に名をかりた賄賂とみるべきである。しかし、職務に対する対価性を完全に否定はできないとしても、それが比較的希薄であり、さらに贈与が行なわれる一応の社会生活上の正当な理由が肯定でき、かつその金額が社会通念上、贈答者相互の地位・私的交際関係などからみて相当と認められる額をいちじるしく超過しない贈与については、職務の公正を疑われる度合が刑事制裁を不要とするまでに低減されると認めることができる。」あるいは「社交儀礼性が強度で職務関連性が希薄化するときは、賄賂性が否定されることになる。」、こう言っておるわけです。  第一点、「比較的希薄」になるといったときに、形式上職務行為があったとしても実際には余り及び得ない場合、一つには、大学の教官の場合には教官を選ぶいわゆる人事規程というのがあります。教授選考規程と仮に言うものがある。それにかかわる人数がたとえば九人であった。そのうちの一人であったとすれば、これは九分の一の比重しか占めることができない。総理大臣とか各省大臣のような一人ではないのです。一人よりもよりより希薄化されたものにしかすぎなくなっているわけであります。  あるいは「贈与が行なわれる一応の社会生活上の正当な理由が肯定でき、」といった場合に、かつて同じ仲間であり、学校を追い出されそうになった者を助けた、相手は感謝しておった、そして遠くアメリカからはるばるとまた日本に戻ってきた、なつかしさが先立った、かつてお世話になったというふうなことから旧交を温めるということは、その限りにおいては決して不自然とは思えないわけであります。しかし、それにしてもその金額が社会通念上多過ぎる場合いけないというならば、その人が金額は知らないで受け取ってみたものの多過ぎた、これは大変だといって返した、いわゆる金包みなるものは仮に受け取ったかもしれぬけれども、こんな大金ではなかったはずだということで驚いて返したのだと言えば、社会儀礼の範囲としては受け取ったのかもしれぬがそれ以上の認識はないのだということになる。  あるいは教員採用も公募制だから、公募制というのはここにも規程がございますが、全国、すばらしい人にはだれにでも声をかけた方がいいわけです。かけるのが悪いのじゃない、かけた方がいいわけであります。かけた以上は一生懸命働いて規定上何も悪いことはないのであります。ただ、それはあくまでも九分の一の力にしかすぎませんから、絶対一人のオールマイティという力を持っているわけじゃないわけであります。そういう点、限界がある。そこの点、今度の事件でも果たして現金の収受があったからといって直ちに起訴され、直ちに有罪となるかどうか、この構成要件に当たるかどうかはきわめて微妙な問題があり得るだろうと考えるわけであります。  その次に、刑法百九十七条ノ四「斡旋収賄罪」についてお尋ねしたいと思います。  簡単に「斡旋収賄罪」の構成要件並びにどういうときに成立するのかを含めてお願いをしたいと思います。
  245. 飛田清弘

    ○飛田説明員 「斡旋収賄罪」の規定は刑法第百九十七条ノ四に規定されている規定でございまして、昭和三十三年に追加された規定でございます。  その構成要件は、「公務員請託ヲ受ケ他ノ公務員ヲシテ其職務上不正ノ行為ヲ為サシメ又ハ相当ノ行為ヲ為サザラシム可ク斡旋ヲ為スコト又ハ為シタルコトノ報酬トシテ賄賂ヲ収受シ又ハ之ヲ要求若クハ約束シタルトキハ」処罰される、こういうことになっております。
  246. 三浦隆

    三浦(隆)委員 続いて刑法百九十七条ノ五「没収」についてお尋ねしたいのですが、「没収」というのはどういうときに行われますか。
  247. 飛田清弘

    ○飛田説明員 「没収」の規定はただいま御指摘のとおり刑法第百九十七条ノ五に規定されているわけですが、「犯人又ハ情ヲ知リタル第三者ノ収受シタル賄賂ハ之ヲ没収ス」ということになっております。つまり収受された賄賂が没収されるわけでございます。
  248. 三浦隆

    三浦(隆)委員 それだけですと、全く条文を読んだと同じであります。みんな法律家ではありませんので、もうちょっとわかりやすい表現で簡単に御説明いただければありがたいと思います。条文だけでしたら、私が読んでも同じことになってしまうと思います。  それから刑法百九十八条「贈賄罪」について、どういうときに成立するのか、ちょっと御説明をお願いします。
  249. 飛田清弘

    ○飛田説明員 刑法の規定をわかりやすく説明しろと言われてもなかなか説明しにくいわけでございますが、「没収」というのは、もう少しくだいて申し上げますと、犯罪と一定の関係を有する特定の物件につきまして、その所有権を所有者から剥奪してこれを国庫に帰属させる処分でございます。つまり賄賂というものがそれを受け取った人の利益に帰属しているということは刑事政策上好ましくないものでございますから、それを受け取った人がいてその人が利得している場合であれば、これを取り上げて国庫に帰属させよう、こういうことが「没収」の規定の趣旨でございます。  それから「贈賄罪」でございますが、「贈賄罪」の規定は百九十七条の「単純収賄罪」やそのほかいま申し上げました「斡旋収賄罪」などに規定する賄賂を受け取る方が収賄罪として規定されていますけれども、その収賄罪が成立するような「賄賂ヲ供与シ又ハ其申込若クハ約束ヲ為シタル者ハ」処罰される、つまり賄賂を提供、供与し、あるいは供与の申し込みをし、約束をした者が処罰される、こういう規定でございます。
  250. 三浦隆

    三浦(隆)委員 「供与」と「申込」とはどこが違いますか。
  251. 飛田清弘

    ○飛田説明員 「供与」というものは賄賂を収受する、つまり公務員が収受するものと反対概念でございまして、収受をさせる、つまり受け取らせるというのが「供与」でございます。  それから「申込」というのは、受け取ってくださいということで申し込みと申しますか受け取ることを勧めるような概念でございまして、実際に相手方が受け取った場合には供与罪、受け取らずに後で返してしまったとかあるいはそのときに断ってしまったとかいうときに申し込み罪、こういうことで分けて規定されているということでございます。
  252. 三浦隆

    三浦(隆)委員 いま御説明がありました「供与」、この場合にいま具体的に話題になっているのは、池園教授に対して酒井氏なる者が何がしかの金を渡して、何とか教授に採用してくれぬかというお願いがかかっていたわけであります。このときに、供与をしても相手が収賄の意思がなければ、社交的儀礼の意思としては収受したかもしらぬけれども収賄の意思がなくしたとすれば、片一方は、むしろ池園という人は助かるかもしらぬ。しかし、申込者である、酒井氏という人は責任を免れなかろう。片一方が収賄が成立しようがしまいが、申し込んだ酒井という人の責任は、贈賄はまず免れない。と同時に、免れないとすれば、酒井さんという人の出した三百万であるか百万であるか、あわせて全額没収となるということはこの規定からして明白だろうと思いますが、どうでしょうか。
  253. 飛田清弘

    ○飛田説明員 御質問が非常に具体的に、現在問題になっておりますものと関連しながら、しかもなおかつ一般論ということで御質問なものですから、お答えする方も非常にお答えしにくいわけでございまして、そういうふうな意味で、いま問題にされております事件とは別個に、完全に抽象的なものとして答弁をお聞き取りいただきたいのでございますけれども、申し込みをしまして、賄賂を持っていきまして、相手方が受け取らずにその場で突き返した。突き返した賄賂は収賄者が収受している賄賂ではございませんから、贈賄者がまた持ち帰ったものでございますから、刑法の賄賂罪のところに規定されている没収の規定では没収はできないのだろうと思います。むしろ賄賂罪のところに規定されている没収の規定以外の、刑法で一般的に規定されております没収の規定が別にございますが、そっちの方の規定で没収の対象にはなる、こういうことだろうと思っております。
  254. 三浦隆

    三浦(隆)委員 大変時間が惜しまれてまいりましたが、大変むずかしいところでありますが、刑法六十条の共同正犯、これがどういうことなのか。あるいは共同実行の意思とはどういうことか。あるいは共謀、共同正犯とはどういうことなのか。あるいは刑法六十一条に言う教唆犯、あるいは従犯ということはどういうことなのかということを正直、実際にお尋ねしてみたかったです。時間の都合上ちょっとそれは取りやめます。  それとお尋ねしたかったというのは、これはもうお答えは要りませんですが、池園という渦中の人と、もう一つには酒井さんという人がいる。そこに、ある料亭においてOBなる者が数人集まった。その中の一人がお金を車代だと言って渡した。というふうになると、そこで一般論としましては、みんなでもしその場においてそうした教授選考のことが話題となり、話題となったことを承知の上でその中のだれか一人がお金を持っていったとすれば、みんなの共同謀議が成り立った上でその中の一人が持っていけば、全員が共同正犯にひっかかる可能性が出てくる。あるいは場合によっては、そうでなくても、教唆犯なり従犯なりの対象になるというふうに理解されるような気がいたします。とすれば、こうしたことについて酒井氏というふうな人、OBなる人はどの程度の認識を持ってこれまで自分の主張をお述べになっていたのか。法律に暗いから述べたのかどうか。私にはいささか疑問を感ずることがあります。  もう一つには、けさの新聞になりますというと、改めてもう一人話題になる人、新聞で名前が出ておりますからもう言ってもいいのでしょうが、酒井さんという教授も話題になっているようでありまして、この方ももらってすぐ返された。しかし、この人から勧めて、私だけがもらってはだめだ、池園教授にも働きかけて持っていった方がいいよと言い、言っただけではない、言われた相手はそれに従ってお金を届けたということになってきますと、この酒井という人の責任というか、刑法的な意味における責任もかなり免れないところになっていくだろう……(「酒井氏じゃないよ」と呼ぶ者あり)ごめんなさい、ここに新聞にあります横川教授でありますが、そういうことになろうかと思います。  むしろ渦中の人、池園という人が、先ほど最初に言いましたように、どこまで起訴され、有罪となるか。これはまだ取り調べの結果でわかりませんけれども、この人の場合には、場合によってはどうなるかまだわからない道があり得るのではないか。いわゆる収受についても、二月九日に受け取って三月三十日には返した、四月十三日にお金を受け取って七月二十二日には返したというふうなこと、請託も否定した、いろいろなことが一応現在のところ述べられているからであります。逆に言って、もし何でもなかったとするならば――これはわかりませんよ、ほとんどクロかもしれませんから何とも、言えません。もし何でもなかったとすれば、何でもなかったことによって実は身分、教授という地位が剥奪された、名誉が傷つけられた、信用が傷つけられた、財産的にもえらい損失をしたということになれば、逆に刑法二百三十条名誉毀損、刑法二百三十三条信用毀損、民法七百九条不法行為、次々とそういう過程も、これは仮定の論議かもしれませんけれども考えられないわけではなかろう、このように思うわけであります。  すなわち、ここで言いたかったのは、最初の文部省の見解がいとも気軽に、現金収受が云々だったら懲戒免職免れぬだろう、辞表を提出されているのだから受け取ってあたりまえだろうという話があったから、実際の問題としてはそれほど単純ではないのだということであります。すなわち、現行規定で教員保護、いわゆる身分の保障を法律をもって規定しているということは、法律を盛るには多年にわたって、それこそ国会議員なりが多くの人の見解を聞きながら、ああでもないこうでもないという多年の論議の中から積み重ねて現行法規というものは出てきているのでありまして、そういう意味では現行法規の規定というのは本当に大切に守っていかなければならない。この教授は先ほど言ったように、もし辞表を提出しなかったならばどうなりますか。やめさせようとしてもなかなかやめるものじゃないですよ。いまの田中さんじゃないけれども、やめさせようと言ったって本人がやめないと言ったら、がんばった日にはなかなか容易なことじゃない。たまたまあの人はたった一人でやった。そういうことの中に、本当にその人がクロになるかどうかわかりませんけれども、もしそれほどの人でなかったとしますと、いま言ったように新聞には一斉に書かれる、自分と仲のよかったはずの同僚の教授もにわかに冷たくなる、世間の見る目も冷たい、文部省も冷たい、まさに帰っても本当に家族ともども身を縮めるように小さくして、法律で自分の身分を争うというふうな勇気を喪失してしまっている、そして、一日も早く楽になってしまうというふうな、そういう気の弱いタイプかどうか知りませんけれども、もしそうであるとすると気の毒だなという感じもいたします。  そこで、時間のようでございますので最後に、実は厚生省の方にも、お呼びしておりましてお尋ねしたかったしいろいろとありますが、次回にまとめてお尋ねしたいと思います。文部省一つ質問をしておしまいにしたいと思います。  すなわち、社交儀礼あるいは社会通念というふうなものは、貧しい日本から豊かな日本へと発展する過程の中で、冠婚葬祭など、ほか教育分野に限らず、金銭授受に対する認識も昔と今とでは変わってまいりました。「おしん」の時代といまとは違うということです。小中高校の教員に対する父兄の盆、暮れの届け等も、現在それほど不思議ではなくなってきております。厳格に解すれば、先ほども怪しげな答えもあるけれども、しかし先ほどの怪しげな裁判の結果というか判例を全国に流したら、教員の中には恐慌を来す者が出るかもしれないくらいかなり一般化されております。したがって、池園教授個人や一個別大学の問題としてではなくて、教育者全員に対して、教育への信頼を回復し維持させるために、文部省は贈収賄禁止の趣意を盛ったところの指示を改めて全学校教職員に出すということも一つの手段だと思います。こんなことは本来出す必要もないのでしょうけれども、いま言ったようにどこからどこまでがよくて悪いかも踏まえて、基本的な考え方からその他、いまあやふやになってきているわけであります。本人が、いわゆる刑法違反の認識を持ってというか、賄賂などの認識を持って受け取っていれば処罰されてもあきらめもつきますけれども、何となく友人がみんな受け取っているからここくらいまではいいじゃないか、みんな何げなしということで受け取っていて、それでだめだったというのでは余りにもかわいそうなような気がするわけであります。ですから、処分ということも、もちろん違法だということだけでやるならいいかもしらぬけれども、処分内容を仮に軽いのではなくて厳しい処分をあえてしようとするならばするほど、この処分の前に文部省としては、かかる不祥事が二度と起こらないように再発防止のためのそうしたいわゆる教員に対して、注意した方がいいよ、どういう名目になるか知りませんが、何らかの呼びかけをしておく方が教員に対する親切というものではなかろうか。それを言っているにもかかわらず、いわゆる入学に際してあるいはその他の事例に際して、いろいろなときに金品を要求したりなんかすれば、これはもちろん許せないことですけれども、いまのところはとりあえず時代が変わりまして、認識も変わっていることですから、改めてこれこれしかじか、教員の心得的なものですが、やっていく方がむだではなく親切になるのではないかと思いますが、いかがなものでしょうか。
  255. 西崎清久

    ○西崎説明員 東京医科歯科大学の事案については、先ほど来申し上げておりますように、三百万円の授受があったことは調査委員会ではっきりしておりますが、その金額にかかわる趣旨なりあるいは目的というふうなことについてはなお調査委員会で詰めてまいるというふうに私どもは承知しておるわけでございます。しかし、三百万円という多額な金額ということにつきましては、社交儀礼という問題以上の問題がありはしないかという危惧を持つわけでございますが、私ども、一般論といたしまして、先生の御指摘お答えいたしますならば、国立大学における医学部を含む各学部の教官は自覚と責任を持って行動し、子女の教育研究に尽くしておられるというふうに信じておるわけでございます。たまたま医科歯科大学ケースとしてこのような不幸な例が生じたわけでございますが、今後の問題としては、贈収賄その他ということについての個別の自覚を促すよりも、むしろやはり人事選考にかかわるシステムの問題であるとかそのような教官人事の扱いの問題であるとか、そういうふうなところにもし改善すべき点があれば、私どもとしても大学の見解等も踏まえて検討することは必要かとも思うわけでございます。いずれにいたしましても、当面この医科歯科大学の問題についての事態の解明を、大学の処置に待って私どもは考えを進めてまいりたいというふうに思う次第でございます。  以上でございます。
  256. 三浦隆

    三浦(隆)委員 先ほどの現金の収受の問題でありますが、ある料亭で話し合った、そして酒井博士の意を酌んでOBのうちの一人が車に乗ろうとする池園教授のポケットにねじ込むように百万円入れた。この場合、百万という認識を、持っていって渡した人も果たして持っていたものかどうか。新聞で、百万とは思わなかった、数万のつもりであった。言うなれば、この人も百万であればこれは多過ぎて渡さないと言うかもしれないわけですね。という意味で、単に現金の収受であるとかあるいは受け渡しとか、そういうふうなものが、本当に金額などを知ったり、あるいはそのことの受け渡しが悪いという認識を持っているかどうかとか、その点を明らかにしてからでもいろいろな処分その他は遅くはないじゃないか。まだこれからの取り調べの結果どうなるかわからないのに先走って人一人の身分を一生だめにさせてしまうというふうなことのないようにしていただきたいし、また同じように、知らないがゆえに、たとえば中学三年の先生が父兄から金品をもらった、ちょっと多いかなとは思ったけれども、まあいいだろうともらったところがこれは超えた金額だった、だめだったと言われても気の毒でありますから、どういう名目になるかわかりませんが、文部省としては今回の事件を契機として二度とこういうふうな不祥事件の起こらないような処置を速やかにおとりいただきますことを心からお願いを申し上げて、質問を終わることにいたします。
  257. 葉梨信行

  258. 山原健二郎

    ○山原委員 最後の質問者になったわけですが、大臣以下休会中に大変御苦労でございます。国士館大学の問題について、けさからずいぶん御質問が出ておりますので、私は問題の核心にずばり入ってお聞きしたいと思うのです。  まず最初に、警察庁の方にお伺いをいたします。  今回起こりました殺人事件につきまして、中村は殺人で起訴されております。田代という人物は処分保留で釈放になっております。そこで最初にお伺いしたいのですが、柴田梵天総長、坂本事務局長、この二人は今回の事件と直接因果関係はないと新聞に報道されておりますが、柴田、坂本は全く関係なかったのかどうか、最初に伺います。
  259. 三上和幸

    ○三上説明員 二十五日に中村が起訴になっておるわけでありますが、状況におきましては中村学生相談室にありました刃物をもちましてとっさにそれを利用して殺害を行ったということで、中村の単独の犯行ということで捜査をいたしたわけであります。いまお話がありましたように、田代については処分保留ということでございます。これまでの捜査におきましては、いま御指摘のありました柴田総長並びに坂本事務局長がこの殺人事件にかかわりがあったという証拠はございません。
  260. 山原健二郎

    ○山原委員 今回の事件の核心は一つは会計の不明朗、特に海外送金をめぐる不明朗、そういうことが暴露されることをおそれまして安高常務理事にかわりまして柴田梵天氏の子息を理事に据えようとしたという問題。さらにおどしと暴力体質が暴露されるということがあるわけですが、それが今回の事件にこのような形であらわれたのではないかと思います。この点での解明は行われておりますか。
  261. 三上和幸

    ○三上説明員 私どもの捜査は、具体的な事件についてそれを通じて捜査を行うわけでありまして、今回も安高理事の殺人事件ということで、その実行行為者であります中村中心といたしまして捜査をいたしたわけでありますけれども、その背後関係等についても捜査をした結果、先ほど申し上げましたように、中村の犯行ということで捜査をいたしたということを御説明をいたした次第であります。
  262. 山原健二郎

    ○山原委員 もう一回伺いますが、中村柴田総長坂本事務局長の関係を明らかにすることにどれだけの努力をいたしましたか。二つ目は、海外送金実態を明確におつかみになりましたか。三番目、これに伴う乱脈経理を、明らかにされましたでしょうか。この三つについて伺います。
  263. 三上和幸

    ○三上説明員 第一点についてお答えを申し上げます。  私どももそういった学内のいろいろなあつれきと申しましょうか、そういうものがあるということを承知もいたしておりますので、そういう事実に基づいて行われたのではないかということも含めまして捜査をいたしましたが、中村の単独犯行ということで捜査をいたしたということでございます。
  264. 山原健二郎

    ○山原委員 警視庁捜査第一課並びに世田谷署の捜査の経過を私ども新聞報道によって見る以外にはありませんけれども、それをつぶさに読みまして整理をしてみますと、柴田と中村関係というのはこれはきわめて根深いものがあるということですね。この点は明白です。ではその問題について具体的にお尋ねをいたしますけれども、七月四日の九時に事件が発生をしております。そしてそのときに、総務課員の岩越さんという方、二十六歳の方でありますが、この方が、二人がいわゆる安高常務理事室に入りました、それを見まして、その後で常務理事室で大声が起こっているのです。で、岩越氏はこの常務理事室に入りますと、殺人が行われたことを知ったわけですね。その際、柴田総長はどこにおりましたか。
  265. 三上和幸

    ○三上説明員 お尋ねの時間帯には総長室において執務をしていたというふうに把握をいたしております。
  266. 山原健二郎

    ○山原委員 これが総長室、二階の図面であります。いま言いました岩越氏がおりましたのは総務課の部屋ですね。ここで大声が聞こえて、これが常務理事室、ここで殺人が行われているのです。それで、恐らく入ったのは八時四十五分ごろだろうと思いますけれども、九時に殺害行為が行われているのですが、その大声を聞きつけて彼はこちらへ行っておるのですね。児たら殺人が行われている。この声はこちらの人事委員会の部屋にも聞こえているのです。隣が総長室。秘書課があります。その隣が総長室です。大事件が発生をして、ここで聞こえて、そして岩越氏はここへ行って殺人行為を見ているのです。この途中に壁がありますけれども、これはベニヤ板の壁です。こんな壁じゃありません。こんな事件が発生しておるのに、柴田梵天総長はこの総長室から出ていないのです。ここにおったんですね。  そこで伺いますけれども、柴田氏はこの事件の発生を知っておったのではありませんか。その辺はお調べになりましたか。
  267. 三上和幸

    ○三上説明員 安高理事が殺害をされたということは、秘書から報告を受けて初めて事件の発生を知ったというふうに私ども聞いております。
  268. 山原健二郎

    ○山原委員 報道によりますと、総長は全く現場に行っていません。駆けつけてもいませんね。  中村は、この事件発生後、総長室に立ち寄り、坂本事務局長にも凶行を犯したことを知らせております。これは事実ですか。
  269. 三上和幸

    ○三上説明員 詳細把握をいたしておりませんが、たしかそういう経過であったというふうに思います。
  270. 山原健二郎

    ○山原委員 ここにおるわけですからね。大騒動が起こっているわけです。秘書室はここですよ。そして、中村自身も殺害したことを知らせに行っているわけですが、柴田は全く駆けつけていないのです。しかも義弟でしょう。幾ら派閥抗争があり、さまざまなことがあったといっても、殺人行為が行われておることを知ってこの総長室から動かなかった。しかも十時半になりまして安高理事の奥さんが駆けつけています。これにも見舞いにも行っていない。九時から十時半、一時間半たっています。じっとここにおるわけです。そのことは確認されましたか。
  271. 三上和幸

    ○三上説明員 中村が総長室に駆けつけたという事実は私把握をいたしておりません。  また、何時までそこに総長がおって、それに対してどういう行為があったかということまで私どもただいま把握をいたしておりません。
  272. 山原健二郎

    ○山原委員 これは重大な問題ですよ。しかも自分の最高の股肱の臣でしょう。それが犯した犯罪行為について、それを知っても動かない。恐らく私は、柴田梵天氏は事件を事前に察知していたのではないか、だからこそ、凶行に対して彼は知っても動こうとしなかったのではないか、そういうふうに判断せざるを得ません。この点警察庁はどういうふうにつかんでおりますか。
  273. 三上和幸

    ○三上説明員 なぜ動かなかったかということにつきましては、ちょっと私どもとしては申しわけありませんが、わかりません。
  274. 山原健二郎

    ○山原委員 私は警察が入ってこれだけの大事件を起こして、これはもう総長がどういう態度をとったかということは大変な問題ですよ。しかも全然動かない。亡くなった安高理事の奥さんが来ましても動いていないのです。義兄弟でしょう。葬式にも行っていない。私は、病院にも行っていないということを聞きまして、意外なことがここにあると思うのですよ。  まず第一に、文部大臣にお伺いしたいのですけれども、自分の一番の大事ないわば側近中の側近ですね、それが事件を起こして、しかも殺人行為です。どんないきさつがあったとしても常務理事である安高氏、しかも義兄弟、これが殺されたときに、すぐ隣にある総長室に引っ込んで一歩も出ないなどという、こういう人が大学の総長としてふさわしいかどうか、まず私は人間性の問題として瀬戸山文部大臣の見解を伺いたい。いかがですか。
  275. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 私に問われましてもなかなかお答えがむずかしいのですけれども、どういう心境であったか全然私ども探知しておりませんからわかりませんが、異常な状況であるという感想を持っております。
  276. 山原健二郎

    ○山原委員 私はその点を一つの大きな疑問として提起をしておきます。  また、さらにその点を深く調べてみますと、坂本事務局長は、この日の中村の行動を初めとしまして、安高派の教職員に対する一連の妨害あるいは引きおろし、この工作について大筋で了承していたことを認めています。これは新聞報道です。ということになりますと、当然のこととして、柴田総長としても同じようにこの四日に起こる事件というものを了承しておったのではないかという疑問が起こってくるのでありますが、それについてお調べになりましたか。
  277. 三上和幸

    ○三上説明員 いろいろな報道があることは承知をいたしておりますが、総長が事前にこの殺人行為を知っておったというような事実については、警察としては把握をいたしておりません。
  278. 山原健二郎

    ○山原委員 七月十二日付のサンケイ新聞ですが、捜査一課と世田谷署は十一日までに、中村、田代が事件のあった四日に安高理事と会うことを柴田が事前に知っていたことを突きとめたと書いております。そして柴田氏は側近に対して月曜日、四日ですね、月曜日には決着がつく、四日の役員会は開かないと柴田氏はこの側近の者に告げております。そして来週になればすべて決着がつく、七月になれば新しい体制になると言っていたことが報じられておりますが、この発言の事実はお調べになりましたでしょうか。
  279. 三上和幸

    ○三上説明員 先ほどもお答えをいたしましたように、総長がこの七月四日に殺人事件が行われるということについて事前に知っておったという事実は、私どもとしては把握をしておりません。
  280. 山原健二郎

    ○山原委員 四日の役員会は開かない、月曜日、四日には決着がつく、七月になれば新しい体制になるということを発言しておる。これは報道されておりますので、当然お調べになってこの点を明確にしない限り――殺人があるなんて言っていませんよ。だれが考えたって殺人があるなんということは言うわけはありません。しかし、いままでの経過から見ると、重大な問題がここで起こることを彼は知っているのですよ。安高氏に対する理事をやめろという決着をここでつけることを彼は知っているから、こういう発言になっているのだ。しかも、それが報道されている。それを明確にしないで何で犯意がないなんということが言えるのですか。なぜこの点を明確にしなかったのですか。事は殺人事件ですよ。私はだから声を荒げているのです。いかがですか。
  281. 三上和幸

    ○三上説明員 いま御指摘のような事実も含めて警視庁としては捜査を行いまして、そういう背後関係その他についての十分な捜査をした上で今回の捜査ということで、中村の単独犯行ということに結論づけたというふうに聞いております。
  282. 山原健二郎

    ○山原委員 私はその背後関係などという漠然としたことを言っているのではなくて、実際に新聞記者の皆さんが報道の中で集め、また聞き込みをやって、そして柴田氏の言動について書かれておることについては、当然警視庁としては具体的に調査をすべきだと思うのです。その点については、捜査一課長のいまの御答弁については私は満足しません。  さらに、すでに同様の事件が六月下旬に起きていたのです。これも新聞に報道されておるわけでして、大学経理をよく知っている評議員である野木将典さん、学生部次長でありますが、七月五日の毎日新聞によりますと、野木に辞任を迫る、これは中村が辞任を迫ったわけですが、その席に柴田総長も同席した。その場所は総長室であった。これは野木問題ですけれども、総長室、六月段階ですね。そして学生部次長、評議員をやめろという中村の強要に対して、柴田総長おるのですよ、野木氏は渋ったのだけれども無理やり辞表を書かされております。このことについて、七月九日に毎日新聞ではこう書いております。捜査一課並びに世田谷署の調べで、総長室ではなく世田谷の柴田梵天氏の自宅だった。自宅においてそういうことが行われたのですね。そういうふうになっていますね。自宅で、しかも圧力をかけている。こうして野木が失脚するわけですが、野木氏の失脚についても総長の関与していることは全く疑いの余地のないことなのでございますが、以上についてはお調べになったでしょうか。
  283. 三上和幸

    ○三上説明員 警視庁におきましても、こういった事情については、事情も聴取をいたしております。若干、場所等について異なる点もございますが、いま御指摘のような事情といいましょうか、そういうものは事実をつかんでおりますけれども、なお現在捜査中の事件でもございますので、詳細は答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  284. 山原健二郎

    ○山原委員 総長室であろうと世田谷の自宅であろうと、中村を先頭にして、これは脅迫ですよ。圧力をかけている。それだけだって普通は犯罪を構成しますよ。しかも、大学の総長がそこに列席している。  それだけじゃありません。過去のことになりますけれども昭和五十四年、四年前のことですが、七時間にわたる安高氏に対する中村等による監禁が行われた。いわゆる安高おろしが行われたことはもう歴然たる事実です。他の理事は、余りそんなふうにむちゃをするなという話をして、とめておる人もおりますけれども、総長の決断でついに安高氏は経理担当からやめさせられているわけです。すべて経理関係している。不明朗な、めちゃくちゃな経理を知っている者は次から次へ抹殺されていく、これが事実なんです。  今回の事件は、いわゆる総長を頂点とする国士館大学における暴力支配、学内人事を思うままにやっていく、こういう体制の中から生まれてきたのであって、ここにメスを加えずして事態を解明することはできないと私は思いますが、警察庁はどういうふうに判断をしておりますか。
  285. 三上和幸

    ○三上説明員 捜査はなお継続中でございますけれども、先ほど来お話を申し上げておりますように、総長が本件に関係をしている、本件の殺人事件に直接関与をしているという事実は、把握をいたしておりません。
  286. 山原健二郎

    ○山原委員 私は共同正犯の疑いがあると思っています。たとえ総長室であろうと自宅であろうと、不法に監禁して、そうして暴力的な強圧を加えて、そうして職務をやめさせるなどということは、学校行政の中においてあるべきことではもちろんありません。学校行政だけでなくて一般社会通念としてもあり得ることではないわけでございまして、こういう意味での総長と中村とのつながりというのはまさに不離一体の形で続いている。私はそういう意味で、ここのところは警察庁としてはいま捜査中だとお話しになりましたから、今後明確にしていただいて、そしてこの問題についての解明をすることが警察のお仕事だと思うのです。そのことを申し上げておきたいと思います。  次に、安高メモなるものが存在をしておると言われておるのでありますが、これは入手されておりますか。
  287. 三上和幸

    ○三上説明員 事件に関しましては関係個所についての捜索等を行っておりますので、必要な書類は押収をいたしております。
  288. 山原健二郎

    ○山原委員 ちょっと聞こえませんでしたが、押収しておりますか。
  289. 三上和幸

    ○三上説明員 事件に必要だと思われるところにつきましては捜索を行っておりますので、必要なものについては押収をいたしております。
  290. 山原健二郎

    ○山原委員 いまのお答えでは、恐らく押収されておると思います。五十三年より安高メモというのは克明に書かれておると言われておりますが、そしてそれは警察も入手をしておると判断をされます。  その中で、五十三年六月十四日のメモに「中村誠〝安高を殺す〟と。参議院文教委員会の参考人として申請あるもことわる」、こういう文言が出てきます。私もこの当時この問題を取り上げたのでありますけれども、「中村誠〝安高を殺す〟と。」、こう書かれて、「参議院文教委員会の参考人として申請あるもことわる」。出れないのです。国会の参考人としての招請に対しても応ずることはできない。そういう脅迫的なことが日記に残っております。さらに、五十三年七月八日に「Dより電話あり。安高を殺すとのうわさについて世田谷署より問い合わせがあった由。なお事実なら町田署」、これは安高さんが生活をしておる町の警察署でありますが、「事実なら町田署に連絡し家庭を守らねば」というふうに記述をしております。  結局、五十三年六月、七月の段階におきまして、こういう行為が、殺害を表明するかのような言動があったことを世田谷署は察知していたのではないかと思いますが、この点はいかがですか。
  291. 三上和幸

    ○三上説明員 具体的な状況で察知をしていたかどうかということは現在承知をいたしておりませんけれども、具体的な形でそういう危険な状況があるということでありますれば、私どもとしても、何らかの活動が行われたであろうというふうに思います。
  292. 山原健二郎

    ○山原委員 率直に申しまして、これは朝日ジャーナルの五十八年七月二十二日付によりますと、「地元の警察は国士館と仲がいい。一連の疑惑だって本気になって捜査していないのではないか。安高メモによると、文部省や税務署だってずいぶん総長側に、マスコミに注意しろなど、いろんなアドバイスをしている。」、総長を擁護しているのではないかという学内関係者の声がこれに載せられております。こういうことを見ますと、この前私がこの問題を取り上げましたのは、それは国士館大学におけるあの一連暴力事件について取り上げました。ちょうど十年前、奥野文部大臣のときでございましたけれども、そういう時期から何遍かこの問題が問題になって、一向に事態解決の方向に向かないばかりか、ますます事態は混迷をきわめて、そして今度の殺人事件になったわけでございますから、この安高メモについて公開することは、私は国民に対する警察の義務だと思いますが、その点も伺っておきます。いかがですか。
  293. 三上和幸

    ○三上説明員 警察として、事件関連をして押収をいたしておりますれば、それは証拠品として保管をいたしておりますので、安高メモが私どもにあるかどうかということについては申し上げませんけれども、そういう性格のものであろう事件の捜査資料としてこちらが押収をしたものにつきましてそれを公開するということはいかがというふうに思っております。
  294. 山原健二郎

    ○山原委員 この事件当時、その日に中村、田代がテープをとったと言われる記事が報道で出ておりますが、これは存在をしておりますか。
  295. 三上和幸

    ○三上説明員 事件関連をする内容でございますので、答弁は差し控えたいと思います。
  296. 山原健二郎

    ○山原委員 これは重大な殺人現場におけるテープでございますが、いまのお答えは、それが存在しておるというふうにも受け取ってもいい御発言だと思いますが、そう確認してよろしいですか。
  297. 三上和幸

    ○三上説明員 私どもとしては、必要なものにつきましては直接事件の資料として確保しておるというふうに考えていただいて結構だと思います。
  298. 山原健二郎

    ○山原委員 これは、恐らく中村は安高氏に対して理事を辞任せよということを要求し、そして、その強圧のもとで安高氏がやめますということを言う、それをテープにとってそれを恐らくだれかに報告する。その相手は恐らく柴田総長だろうと思いますが、そのテープ、もうやめますと言わされた、その言ったことをもとにして正式な辞表を書かすというためのテープではなかったか、そのためのテープが用意されておったのではないかと思いますが、その点についてお伺いをしておきます。
  299. 三上和幸

    ○三上説明員 どういう内容のものがありますか、あるいはそれがどこまでとれておるのか、あるいはそれが現在私どもの方でどういう形になっておるかというふうなことにつきましては、捜査の内容にもわたりますので、お答えを控えさせていただきます。
  300. 山原健二郎

    ○山原委員 これ以上ここではお答えにならぬと思います。時間もたちますから、その問題、私の疑点を申し上げておきたいと思います。  私は、この際、柴田梵天氏については、委員長にお願いしますけれども、過去においても参考人として招請をしたことがありますが、国会にお出になったことはありません。私は、次期委員会が開かれますときには、柴田梵天氏を少なくとも参考人としてお呼びをいただきたいということ、そしてもしこれを拒否されるならば、重大な参考人でありますから、証人としてぜひともこの国会に喚問をしていただきたいという強烈な要求を持っておりますが、この点について、私の要請に対して委員長はどのようにお考えになるか、伺いたいのであります。
  301. 葉梨信行

    葉梨委員長 この件につきましては、理事会におきまして協議をしたいと思います。
  302. 山原健二郎

    ○山原委員 そのほかに、この国士館大学における管理運営あるいは諸規則ですね。これは全くけさから中西先生初め皆さんから出ましたように、たくさんの人事問題につきましても停滞、あるいは労働委員会に提訴しなければ問題は解決しない、教授会の権限も機能も全く無視しているというような運営上の問題がありますし、また六教授会が退陣決議をしておりますが、これも無視されているという状態、また学部長が現在政経一部、二部ですか、正確にはよくわかりませんが、五十一年よりいないなどという不正常な状態、また学則につきましても、教授会に諮らずそれが変えられているというような事態がございます。  こういう点から見まして、この国士館問題を本当に論議しようとするならば、管理運営規則あるいは国士館大学における諸規程、諸規則、それは全部本委員会提出をしていただきたいと思いますが、文部省の見解を伺います。
  303. 宮地貫一

    宮地説明員 大学側と協議いたしまして、提出できるものは提出いたしたい、かように考えます。
  304. 山原健二郎

    ○山原委員 もう一つ申し上げておきますけれども、本当に側近中の側近が、どんな理由があれ、どんないきさつがあっても、殺人事件を起こす、しかも大学の大事な役職であります理事が殺されるという事件、これは本当に私は柴田総長という人は何を考えているか。側近中の側近が殺人事件を起こした、直ちに柴田総長は退陣をするか、やめるか、天下におわびをするか、少なくとも国士の名前がつくならば、それが国士のやることですよ。実際に一体どうなっているのですか。この精神状態を含めて私は聞きたいと思うのですが、文部省そのことについてはお聞きになったことがありますか。
  305. 阿部充夫

    阿部説明員 今回国士館で発生いたしました不祥事に関しましては、大変遺憾に思っておるところでございますが、現在司直の手によって捜査が進んでいるという途上でもございます。文部省といたしましては、その進展を見守っているところでございますが、なお、もちろん文部省といたしましても、これまでにすでに関係理事等の来省を願って事情の聴取を始めておりますけれども、捜査当局の捜査進行中という関連もございまして、まだ御報告できるだけの内容を聴取していないわけでございます。  今後できるだけ早い時期に事情の聴取を完了するように努力をいたしたい、かように考えております。
  306. 山原健二郎

    ○山原委員 われわれ国会議員だって、本当に自分の親しい、あるいは自分たちの秘書などが事故を起こしました場合には責任をとりますよ。これは普通の人間あり方です。まして自分の一番の側近が犯した殺人行為というものに対して、七月の四日の事件ですよ。いま七月二十七日です。何一つ人々に対して反省の発言がない。いま文部省は反省されておるとおっしゃいましたけれども、その言葉は私は柴田総長から聞きたいですね。こんなことでこの問題は解決できるはずはありません。  今度の事件を初めとして、この十数年来国士館大学の問題が国会でも取り上げられておりますけれども、その諸悪の根源はこの総長にある。私はここに勤めている教職員皆さんあるいは勉学しておる学生皆さんは本当に気の毒に思います。この諸悪の根源に対してメスを加えないで、どうしてこの国士館大学問題の明朗な解決になるでしょうか。  しかも、学校の中を見ますと、入学金、授業料だって関東で、しかも文科系で高いんですね、納入金が百万円近いというような状態です。設備の割りに納付金が高いのです。そして、学生諸君の勉学の設備その他はどうかというと、学校にいる場所がなくて廊下に座っている、こんな状態です。  いま国は助成金を七億五千万出しています。五年間ですけれども、二五%削減をしています。しかし、国が助成しておることは事実です。けれども学生諸君の勉学の条件がほとんど改善されていない。その一方で十億円を突破するブラジル国士館大学協会に対する支出、あるいはもうお話が出ましたエジプトのカイロにおける武道センター、これの総裁はカマル・ハッサン・アリ、エジプトの副首相兼外務大臣です。そして、事務局長は岡本秀樹なる国士館大学のOBでございますけれども、三億三千万の支出をして、工事が始まったといったって、六月に鉄骨が倒れてしまって初めからやり直さなくちゃならぬ。十一月には世界空手選手権大会をやるというが、そんなものに間に合うような状態ではありません。  しかも、エジプト側の関係者の話によりますと、国士館に対して日本政府が五十億、六十億の援助をして、大きな構想のものを考えているということがエジプト側から出ているのです。文部省、そんな金を出す用意があるのですか。ついでに伺っておきますが、どうですか。
  307. 阿部充夫

    阿部説明員 この件についてはすでに国士館大学側問い合わせをいたしておりますけれども国士館大学側からはすでに送金をいたしました金額以上のものを送る予定はないという回答を得ているところであります。
  308. 山原健二郎

    ○山原委員 外務省においでをいただいておりますが、これは国際的な信用問題になると思いますが、そんな心配は持っておりませんか。
  309. 松井啓

    ○松井説明員 一般に他国との相互理解を促進し親善関係を築いていくためには、政府レベルはもちろん、広く民間レベルの交流の活動が促進されることが必要でありますが、このような他国との交流活動は相手国との信頼関係に基づいて行われることが重要と考えております。  本件建設計画の今後の推移については、現在外務省としてははっきり把握し得ないところが多いのでございますが、いまのところ武道センター建設計画そのものに変更があったという話は聞いておりません。  また、工期の点ですが、先ほど御指摘がありましたように一時中断されたことはありますが、少なくとも工事関係者に聞いたところでは十一月までに完成にこぎつけ得るのではないかというような情報も得ているところでございますが、これについては見方が分かれるかと思います。しかしながら、この計画そのものは一私学である国士館大学が当事者でございますので、直ちにこの問題が二国間関係の問題となってくるという可能性はいまのところ少ないかと思われますが、相手国政府の関係もありますので、外務省としては引き続き動きを注目していきたいと思っております。
  310. 山原健二郎

    ○山原委員 北マリアナにおける関係ですが、これは昨年の十二月に国士館大学と北マリアナ政府首脳の間でサイパンに分校をつくる協定をサイパンのマントカメル校で調印をしております。それには現地の知事、副知事、上院下院議員、それから柴田氏などが署名をいたしております。しかも、北マリアナ国の上院は満場一致でこの支援決議をしております。そこへ教育センターが計画されていると報道されておりますけれども、全く計画自体が宙に浮いているという状態だと言われておるわけでございますが、これなどもまた一種の国際問題を引き起こす可能性があります。それは後で答えてください。  この際に二千万円のリベートが政治家に渡されている、これは政治家の名前ももうすでに新聞に出ております、参議院議員の玉置さん。捜査第二課からおいでいただいておりますが、これはお調べになりましたか。  さらにまた、これはサンケイ新聞でございますけれども、町田市の小野路町に体育学部の小野路校舎をつくるということで一千万円のリベートが動きまして、「警視庁の調べや学内関係者の証言で明らかになった。」と書かれております。それはもう数字や日時も出ておりまして、五十二年九月二日に理事に対して二百五十万、九月二十一日に理事に対して二百万、十月六日に柴田氏に対して二百万、十二月七日に理事に対して百五十万、五十三年七月十九日に柴田氏に対して三百万、十二月二十日に百五十万、こういう数字が出ておりまして、計千二百五十万円の工作費が出ている。五十二年十月六日の柴田氏に対する二百万円は赤坂の料亭において手土産の中に忍ばせて贈られたと報道されておりまして、日時も出ています。金額も出ています。これはお調べになりましたか。
  311. 森廣英一

    森廣説明員 ただいまお読み上げいただきましたような点につきましては、警視庁からの報告は受け取っておりません。
  312. 山原健二郎

    ○山原委員 警視庁からの報告はないということですか、ちょっと語尾が聞こえなかったものですから。
  313. 森廣英一

    森廣説明員 そのとおりでございます。
  314. 山原健二郎

    ○山原委員 全くお調べになる必要もないとお考えでしょうか。
  315. 森廣英一

    森廣説明員 いまの新聞記事の内容というものについて十分私も承知しておりませんので、それが犯罪の容疑の対象になるようなものであれば調べてみなければならぬと思いますが、よくよくその新聞記事を読みまして、犯罪の容疑性があれば当然調べるということになると思います。
  316. 山原健二郎

    ○山原委員 かなり詳しく書かれておるわけですね。そして、日時、金額などきちんと出ております。これはぜひお調べになっていただきたい。私は背任、横領となるのではないかというふうに思います。  さらに、これらの国外に対して支出する場合に、この柴田氏の国外旅行は大変なものです。昭和五十四年十一月一日から二十日までの二十日間、参加人員三十二名でブラジル訪問。調べてみますと、五十四年から五十五年の一年足らずの間に海外旅行六回、その日数八十六日。しかもその中には三十数名の団員をもって行くなどとずらっと出ているのです。これは読み上げたら切りがありませんけれども、よくもまあこんなことができるものだと思いますね。まるで大名旅行だと言われておるわけでございますが、こういう実態です。実際に学生の勉学条件も整備されないで海外に対する支出が行われる。収入はないでしょう、ほとんど収入のあるような投資じゃありませんから。  一体この学校経理はどうなっているのか。七億五千万の国の補助金というのはどういう算定のもとに行われているのか。この国士館大学の将来を考えましたときに、財政の立て直しのためには会計面でも明朗にしまして、そして立て直していくということを政府も決意をしなければならぬと思いますが、この事態をどう見ているか、経理面から私は文部省の見解を伺いたい。
  317. 阿部充夫

    阿部説明員 国士館大学が、総長以下武道等を通じまして国際交流に努めているということ自体私は悪いことだとは思わないわけでございます。しかしながら、その計画が非常に過大なものになりますと、先ほど先生の御指摘にもございましたように、大学の本来の教育なり研究なりの方に支障が来しはしないか、そういう点に危惧の念を感ずるがゆえに、大学当局に対しましては海外との交流事業については全体の計画を明確にし、そして大学財政状況その他を考えて慎重に対応してほしい、こういう指導を重ねてまいっておるわけでございます。  なお、経理の問題についてのお尋ねでございますけれども大学経理につきましては、先生御案内のように、各大学の中での予算、決算等の財務関係の書類の文部省への提出もされておるわけでございますけれども、これには私学振興助成法の規定によりまして公認会計士監査を受けなければならないという仕組みになっておるわけでございまして、公認会計士監査の結果も経理上の問題はないという報告が参っておるわけでございます。  なお、今後現実に経理的に特に問題があるという疑いが非常に強いというようなケースがございます場合には、さらに文部省としても突っ込んで調査をいたしたい、かように考えております。
  318. 山原健二郎

    ○山原委員 予算、決算はこの委員会提出できますか。
  319. 阿部充夫

    阿部説明員 大学から文部省提出されております決算関係の財務関係の書類につきましては、これは補助金交付をするためのいわば条件と申しますか、という形として文部省大学との間で交換をされておるものでございますので、これをそれ以外の目的に使うということについては差し控えさせていただきたいと思うわけでございます。
  320. 山原健二郎

    ○山原委員 管理局長、率直に言って、私は、このままでいけば理事会も事後承認の形で海外に対する送金が行われる。それは貸付金であったり寄附であったりしているわけですね。あのブラジルの十億円も三億円が貸付金であって、あとは寄附である。ほとんど支出でしょう。そして、武道場をベレンへつくったって、空手道場の小さなもの、本当に収入の入るようなものじゃありません。エジプトへつくるのだって、向こうの副首相兼外務大臣が出てくるような三億三千万。本当に日本の文化交流に資するようなものになるのかどうか、そんな点を考え、しかもそれが支出ばかり。学校の中では学生の要求は満たされない状態に置かれている。どこに欠陥があるか。どこが本当に――会計士はいらっしゃるかもしれませんけれども、ほとんどこれは独裁体制の中で、経理は公開されていないと思います。そうすると、この大学そのものが経理面で一体どうなるのかという心配をするのは当然なことです。どこかから物すごい資金が入ってくるのですか。その点はどうでしょうか。
  321. 阿部充夫

    阿部説明員 この大学の場合に、どこかから特別な資金がというようなことはないというふうに考えております。  なお、経理の問題についてでございますけれども、先ほどのお答えにややつけ加えさせていただきたいと存じますが、今回の事件等もございました関係上、この大学を担当しております公認会計士の本人の方に文部省に御来省を願いまして、その公認会計士としての判断の状況等も聞いたわけでございますけれども、会計、経理面では非常にきちんと処理をされておるという回答を得ておるわけでございます。
  322. 山原健二郎

    ○山原委員 文部大臣、私は少し具体的なことを質問をいたしまして、もちろん捜査中の問題もございますし、お答えになれない点もあることは私は知っております。けれども、私は、いままでの新聞記事、報道関係記事以外に他の資料を持っておるわけではありませんが、これを見ただけでも異常な事態であることは大臣もおわかりになると思うのです。そしてこれをこのまま放置いたしますと、また何が起こるかわからないという、これはもう十年来の経験でお互いが感じるところでございまして、この点については、私の質問をお聞きになりましてどういう御感想をお持ちになるか、大臣の御見解を伺っておきたいのであります。
  323. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 私はそういう問題については、忙しいからなんですけれども余り細かく新聞の内容を検討しておるいとまがなくて、まことに申しわけありません。  いま山原さんから新聞等をもとにしていろいろお尋ねがありましたが、聞いておりまして、正常ではないなという感じを持っております。率直な感じでございます。  学校については可能な限り詳細に、今後、事件の捜査中でありますからいま直ちにというわけにはいかぬところがあると思いますが、できるだけ学校として正常なことであるかどうかを文部省としては調べたい、かように考えております。
  324. 山原健二郎

    ○山原委員 次に、東京医科歯科大学の問題について、もう時間がございませんが、昨年の三月に東京医科歯科大学の教授選考に当たりまして幾らかのトラブルがあったことを文部省は覚えておられると思います。たとえば浅野教授、これは消化器外科の方ですが、この方が退職をされました後の人事問題ですけれども、当然その後に消化器外科の方が教授になるというふうに、ほぼ全学的な動きがあったわけですが、その方が逆転をいたしまして、就任をされましたのは心臓血管外科の方が教授になった事件がございました。このときにずいぶん怪文書が飛びましたし、また金銭の授受もあったのではないかといううわさが出たのでありますが、文部省はそのことを御承知でしょうか。
  325. 西崎清久

    ○西崎説明員 先生御指摘の事案は、五十六年の七月から十二月までの間、第二外科・胸部外科・手術部合同選考委員会というのが十一回行われております。その後で五十七年の一月十四日でございますが、一位の方、二位の方、三位の方が選考委員会決定され、五十七年の一月二十日の教授会委員会の選考経過を順位を付して報告したという経緯がございます。そして五十七年の二月三日の教授会におきまして投票を行い、教授候補者、三島教授でございますか、が決定されたというふうに聞いておるわけでございます。その間いろいろな、先生御指摘のような文書等が飛び交ったというふうなこと、新聞等の記事でも見ておる経緯があったわけでございますが、医科歯科大学としては、正常な姿で以上申し上げたような選考の経過をとって教授が決定されておるというふうに私どもは聞いておる次第でございます。
  326. 山原健二郎

    ○山原委員 酒井博士がこの池園教授とお会いになりましたときに、テープをとっておるということが新聞にも出ておりますし、かなりその中身が、もちろん作り物ではない中身が出ておりまして、私これを読みまして大変ショックを受けたわけでございますが、このテープは御承知でしょうか。
  327. 西崎清久

    ○西崎説明員 テープがあること自体についての話はいろいろな方面から聞いておりますが、現実にそのテープが存在するという確たるお話や、そのテープ自体について私どもが具体に聞いたというふうなことはございません。したがいまして、現在の私どもの認識としては、テープの存在自体について確たる認識を持ってない、こういうことでございます。
  328. 山原健二郎

    ○山原委員 警察庁の方はどうでしょうか。
  329. 森廣英一

    森廣説明員 私どもといたしましても、テープの存在を確認してはおりません。
  330. 山原健二郎

    ○山原委員 最後になりますけれども、私は、先ほど三浦先生が御質問になった大学の自治と学問の自由を守るというこの原則については、全くそのとおりです。教授に対する処分、こういうものは文部省が出過ぎるべきものではないという感じは一緒です。でも、社会的に今度の動きを見ておりますと、何となくつらいですね。まるで江戸時代の柳沢吉保の時代に返ったような感じがするのです。菓子箱の中にお金が入っておった。全くやり切れない思いがするわけでございますけれども、それほどの金銭に対する無感覚さというのはどこから出てきたのかということが一つ。  そしてもう一つは、教授の専横性、教授というものが講座制の場合は特に重要なポストを占めておることはわかりますけれども、教授でなければ人でないというこの白い巨塔の体質、これも一つ大きな問題ではなかろうかと思います。  私はお聞きしますと、たとえばいままで消化器外科の方が教授をされておって、おやめになってその後へ心臓血管外科の方が来る。こうなると体質は医局まで全く変わってくるというのです。患者も全部いままでの患者は追い出されなければならぬという事態、これだけの権限を持っているわけですね。私は、教授がこれだけの専横性を持っておる、専制性を持っておるということは、日本の医術の発展に寄与してきたかどうかわかりませんけれども、これはやはり医局を含めて、もっと教職員の声が反映できるような、民主的な体制をとることが一番大事じゃないかと思うのです。  今度の事件をずっと見ておりますと、一番健全なのは――今度職員組合の方が申し入れを出されておりますが、これは、「自治、自浄能力を発揮し、その責任において徹底した真相解明を行ない、その全容を全ての教職員にただちに明らかにすること。」、それと一つは、再び繰り返さぬため、「大学の民主的改革を一刻も早く明らかにすること。」、ここに東京医科歯科大学の今度の問題に対する展望を開こうとする一番健全な努力があるのではないかというふうに考えます。そういう意味で、きょうの新聞などを見ますと、横川教授の名前も出てまいりますが、このまま行けば犯罪要件を構成する可能性があるのじゃないかと考えますと、この問題で検察が東京医科歯科大学に入る可能性はないとは言えないと私は思うのです。私は、これは重大な問題だと思うのです。その点について文部省はどういうふうな判断をしておるでしょうか、お聞きいたしたいのであります。
  331. 西崎清久

    ○西崎説明員 先生の御指摘がありましたように、この問題は教授選考にかかわる大学自治という一つの基本的な問題にかかわることでございますので、再々申し上げておりますが、大学みずからの手で本件に関する調査を進め、本件に関する結果を出し、みずから正すべきところは正すというところが大学の責務であると私どもは考えるわけでございます。  したがいまして、司直の立場で捜査の必要上大学に立ち入る、あるいは大学に入って捜査をするというふうな事態にならないことを期待はするわけでございますが、それはそれとして、大変遺憾なことではございますが、司直の立場で必要があれば、大学はこれを受け入れて調査に協力するという立場をとることは当然必要なことと考える次第でございます。
  332. 山原健二郎

    ○山原委員 最後に文部大臣伺いたいのですが、たとえば大学の教授を決める場合に、大学全体のバランスを考え、また医局あるいは教職員の声も反映されるような形で教授会決定されるわけですが、教授会にしましても、東大の場合は講師まで入っておりますが、ここの場合は医科歯科の教授のみが構成しているというような問題もあります。評議員あるいは教授会をもっと民主的なものにしていく、そして学閥や金銭で大学の研究体制が左右されないという立場から、この問題について、せっかく自助の努力をしておるこの大学に対して、文部省としては冷静にこれを見ながら、時にはこれを励ましていくという体制をとっていただきたいのでございますが、大臣の御意見を伺いまして、私の質問を終わります。
  333. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 たびたび申し上げておりますように、大学というのは尊敬され、信頼されるところでなければならない、そのために大学の価値があるのだろうと思います。そういう意味大学の自治という強い原則が今日まで貫かれておるわけでございますから、大学自体で、なるほど大学だ、最高学府だという姿勢で進んでもらいたい、これが私どもの願いでございます。
  334. 山原健二郎

    ○山原委員 終わります。
  335. 葉梨信行

    葉梨委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後六時六分散会