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○
下田京子君 もう一カ月以上たっておるのですね。一国の
総理の
公選法違反容疑にかかわる問題ですよ。これはやっぱり速やかに、厳正に
調査を
進めることが必要ではないかと思うのですけれども、
自治大臣。
-
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○
下田京子君
外国法人であるという点でただいまの
団体も含まれているように思うのですが、いかがですか。
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○
政府委員(
岩田脩君)
政治資金規正法の第二十六条の二に
罰則の
規定がございまして、ただいま読み上げました第二十二条の五、つまり
外国人等からの
寄附の禁止でございますけれども、これに
違反をした者は「三年以下の禁錮(こ)又は二十万円以下の罰金に処する。」ことになっております。
-
-
○
政府委員(
岩田脩君) これまでも繰り返し同趣旨の御
答弁をしてきましたので御
承知とは思いますけれども、
自治省と申しますか、
政治資金を公表する
立場にありますわれわれといたしましては、各
団体からの届け出をそのまま公表するのがわれわれの仕事でございまして、それぞれの
寄附者の
団体につきまして、その内容につきましてまで
調査をする権限も、またその
立場にもありませんので、その点は御了解をいただきたいと存じます。
-
○
下田京子君
調査をいただきたいということで、権利がなくはなくて、いまのように
法違反の
容疑が明らかなわけですから、その
団体等も含めて
調査をいただきたいわけです。これは
収支報告書によれば五十六年の十二月九日に受け取っているわけではっきりしているわけです、
自治大臣。
-
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-
-
○
政府委員(
金澤昭雄君) 警察といたしましては、具体的な事実、これが法に触れるかどうかという点を証拠に基づいて判断をすると、こういう
立場でございます。いまのところ、いま初めてお伺いいたした
事案でございますので、今後検討さしていただきたいと思います。
-
-
○
国務大臣(
瀬戸山三男君)
共産党の皆さんが
暴力問題についてどういう
行動に出ておられるかということは私は詳細に知りませんが、いつでしたか、
赤旗新聞にどなたかの論文か提言かありまして、
暴力否定の記事が載っておったことを
承知しております。
もちろん
学校にかかわらずどこにかかわらず、
暴力はこれ
民主主義社会、
人間社会では否定されなきゃならないものでありますから、
文部省としては、いまの問題だけでなしに、従来からいろいろ
校内暴力、あるいは
青少年非行問題、いろんな手だてをして進んできたわけでございますけれども、特に最近の
御存じの事象が、異常と思われるようなショッキングな現象が起こりました。でありますから、従来のやり方がどの
程度欠陥があったのかということも検討しなきゃならない。そこで、緊急に各方面の識者をお招きして、いろんな
意見を聞き、当面の
対策を立て、なお省内にも
プロジェクトチームをつくりまして、御
承知だと思いますが、緊急な
措置をとることにしました。
それから先月でしたか、十日に全国の
教育長さん方、都道府県あるいは
指定都市の
教育長さん方お集まり願って、これは非常な将来に向かって
子供の大事な問題であるし、
教育上の大事な問題であるから、
全力を挙げて
対応してもらいたい、
学校、
家庭、
地域社会、
全力を挙げてこの
非行対策に対処してもらいたいと、こういうことをいま進めておるわけでございます。
なお、これはいろんな
原因がありますから、当面の
対策、あるいは中長期的にいろんな問題を
根本原因を突きとめて
対策を構じなきゃなりませんから、一刀両断にというわけにはいかない問題もあると、かように考えていま進めております。
-
○
国務大臣(
丹羽兵助君) ただいま
文部大臣から
先生にお答えしていただきましたが、まあ私、
総務長官としても同
意見でございまして、
青少年の
非行防止ということは広く考えなくちゃならぬこ
とでございますけれども、特に
先生の御
指摘の
校内の
暴力、これなんかは私は最もこれは慎むべきことであって、私どもとしてはこうしたことの一日も早くなくなるように、
学校はもちろんでございますけれども、
社会も、
家庭も考えていかなくちゃならぬと、こう考えておりますが、特に私は、
学校の中で
先生に
暴力をふるうとかなんかということは、これはもうとうから何と申しますか、残念と申しまするか、あっちゃならぬことだと私は考えております。そういうことがどこから起きてくるかということは、大いにひとつみんなして考えなくちゃならぬと、かように考えております。
-
-
○
政府委員(
鈴木勲君) ただいま
大臣がお話しいただきましたように、具体的な
対応といたしましては、従来からこの
生徒指導の基本的な
対処方針と申しますか、そういう点についての通達を五十五年に出しているわけでございますが、それは、
学校の
教育活動を充実すること、それから
校内体制を
一致協力の
体制をとって一致して当たること、それから
学校のみならず、
社会の各
機関と連携をとること、まあこの三点を中心に
校内暴力等の
非行に
対応するような
方針を示しているわけでございますけれども、過般の二つの異常なケースにかんがみまして早急に開きました、最近の
学校における
問題行動に関する
懇談会におきまして、三回にわたりまして審議をいたしました結果、提言をいただいたわけでございますが、その提言をいただきました趣旨を、さらに三月十日の都道府県・
指定都市の
教育長会議におきまして、私どもの方から具体的に示しまして、指導いたしたわけでございます。
その内容は、第一は、特に
問題行動を起こし、かつ、起こすおそれのある
学校に対しましては、
生徒指導体制を中心とする
校内体制のあり方を見直して、点検を行うことと、それから問題を抱えている
学校に対しては重点的な指導を行うと。これは豪あ人事とかいろんな面の配慮を含めて、重点的な指導を行う。それから第三は、やはり
学校が単に
学校内で解決するということではなくて、関係の
機関と十分な連絡をとること。そのほか、
学校の特別活動でございますとか、道徳
教育でございますとか、そのほかの
教育活動を充実すること、のようなことを十分に徹底いたしまして、当面の問題となっている
校内暴力等の
非行を早急に解消すると同時に、恒久的な
対策としては
生徒指導の徹底を図るということを指導したわけでございます。
-
○
政府委員(瀧澤博三君) お答えいたします。
校内暴力の問題につきましては、まずは基本的には
教師と
生徒間の問題でございますから、
教育委員会あるいは
学校におきまして、その背景に応じたそれぞれの
措置がとられることと思います、いま初中
局長から御
答弁があったところでございますが。ただ、その
原因、背景ということにつきましては、非常に
家庭、
社会にわたります根の深い問題があると思っております。そういう
立場で、
総理府といたしましても関係の省庁と常々連絡をとって、基本的な
対応策を進めているわけでございますが、特に、今回異常な事件が重なったということもございまして、当面緊急にとるべき
措置について、関係省庁と、これは
総理府に置いております
局長レベルで構成されております
非行対策の推進連絡会議におきまして相談をいたしまして、当面とるべき五項目の
措置について申し合わせをしたわけでございます。
これは、一つには、やはり
地域ぐるみの住民の方々の御努力が必要だということで、全国民的な運動を喚起していきたいということが一つ。それから二番目には、
学校と警察との連絡を初め、
地域の関係
機関が十分な連絡をとっていくということが一つ。それから三番目でございますが、これは
暴力的な
非行集団の解体補導の徹底を図るということ。それから四番目には、環境浄化活動の推進を図っていこう。それから五番目でございますが、これは全教職員一体の
生徒指導体制の確立と
学校における豊かな
教育活動の展開という五項目でございます。
これは三月の四日に申し合わせをいたしましたが、これに基づきまして、早速関係省庁がそれぞれ関係の
機関に対しまして指導の通達を出し、あるいは関係の
課長会議、あるいは
教育長の会議を招集いたしまして、それぞれ必要な指導を行ったということでございます。
-
○
下田京子君
文部省、
総理府ともに具体的な
対応をされていることを承りました。特に、その中で両省庁とも言われていることは、
学校における
教師の
一致協力した
対応というふうなことも特に強調されていると思うんです。すでに現場ではこういうことでいろいろ苦労もされて、またある一定の成果もおさめられていると思うんです。
文部省、三月三日でしたか、数回にわたる
懇談会の一つに当たると思うんですけれども、東京都の葛飾区立奥戸中の実践が校長
先生からその
懇談会の席で報告されていると思うんで、この奥戸中の実践につきまして、事件が起きた経緯等を踏まえて、つい最近までどのような苦労をされてきたのか、御報告いただきたいと思います。
-
○
政府委員(
鈴木勲君) 奥戸中
学校のケースにつきましては、これは三月三日の、先ほど御報告申し上げました最近の
学校における
問題行動に関する
懇談会の席上におきまして、奥戸中
学校の
生徒指導担当の
先生からお話があったわけでございます。これは、五十五年の五月に、同中
学校におきまして
教師に対する
暴力事件が発生いたしまして、五名の
生徒が逮捕をされたわけでございますが、これに関連いたしまして、同校におきましては、校長、教頭を中心といたしまして、
生徒指導主事その他教員が
一致協力体制をしきまして取り組んでまいったわけでございまして、そのほかクラブ活動の充実でございますとか、あるいは
地域懇談会、保護者との連絡会など、
家庭との連絡を密にいたしましてこの問題に真剣に対処いたしました結果、そのときの御報告によりますと、これをあきらめないで継続的に粘り強い
取り組みをいたしました結果、現在、
学校は立ち直っているというような趣旨の御発表をいただいたわけでございます。
-
○
下田京子君 大変簡単にお述べになりましたけれども、いまのところまで至るのにはいろんな苦労もされております。特に、私もこの奥戸中の実践については詳しくお聞きしているわけなんです。その際に、
先生方はまずできるところから一致してやる、それから
生徒との話し合いを、それからまた父兄との話し合いを大事にしていくということで、大変苦労されてきておるようです。
文部大臣、ところがここはやっぱりマンモス校なんですよ。そこの
先生から早速陳情をいただきました。職員室が広くてマイクを使わないと会議ができない。ですから、じっくり話し合いするために図書室に集まりまして、六つのグループに分かれて
先生方は話し合いをしたとか、あるいはまた、たびたび
家庭訪問も夜間にわたる広
地域の中で大変苦労されている実態とか、それからまたマンモス校であるという点で、
生徒と話し合いをする際に自分の
学校の
生徒なのかどうかということを全員
教師が把握するという点がかなりむずかしい。こういうことを出されまして、やっぱりいろんな問題がある中で一定の成果を上げ前進をしてきている。そこの
先生方から、とにかくいま急いで
行政側としてマンモス校の解消、あるいは四十人学級の早期実現をやってくれと、こういう訴えが出ているわけですけれども、この訴えに
大臣こたえるべきじゃないかと思うのですが。
-
○
国務大臣(
瀬戸山三男君)
学校の
生徒が非常に多過ぎるというのは、なかなか
教育の指導上は楽でないと思います。たまたまこの間起こりました町田市の忠生中
学校は何か千人以上、千二百人ぐらいという話でございますが、いわゆるマンモス校、
生徒数が多いから必ずそうなるというわけでもないんですけれども、やはり一つの
原因にはなっておる。やっぱりいまのような行き届いた指導、語り合いが簡単にできないようなこともあると思います。でありますから、できるだけそうい
うものは解消する方向に努めていく方がよろしい、かように考えております。
どういう程度のものが標準的であるか、いろいろあるわけでございますが、そういう点は事務当局から細かく申し上げますが、いわゆる四十人学級、これも
御存じのとおり五十五年から十二年計画で進めておるわけでございますけれども、現在たまたま五十七、八、九、いわゆる財政再建期間はそれを多少ダウンさせようと、
法律でそういうふうに決まっておるわけでございまして、しかし、六十六年までには何とかこの計画を進めたいということで、
文部省としては六十六年までの計画でございますから、四十人学級を実現したいと、今後も努力を続けていかなければならない、かように考えております。
-
○
下田京子君
大臣、改めてお聞きしたいんです。
学校長を中心にして、教員が相互的に連携を強めて本当にいい
教育ができるという点で、
大臣自身は適正な
学校規模とはどのように御認識されていますか。
〔
委員長退席、理事嶋崎均君着席〕
-
○
国務大臣(
瀬戸山三男君)
学校教育法という
法律があって、その施行規則ですか、それにはどのぐらいでしょうか、七、八百人中心がいいんじゃないかという、十二学級とか十何学級とか書いてありますけれども、私素人でございますが、まあ七、八百人ぐらいの
学校が一番やりやすいんじゃないかと、こう考えております。しかし、それには金がかかることで、だからマンモス
学校を解消するといいましても、なかなかこういうところは人の集まる場所の
学校でございまして、いわゆる校地の問題をどうするかとか、あるいは校区をどうするか、そう簡単に数字だけでは割り切れない問題があって、市町村といいますか、そういうところが苦労されておると思います。そういう計画が出れば
文部省としては積極的に協力をしていきたい、かような
立場であります。
-
○
下田京子君
大臣は
文部大臣ですから、素人なんてことじゃなくて頼みますよ。
昭和三十二年の「
学校統合実施の手びき」、これに第四のところで大規模
学校の問題と、第五のところで
学校の適正規模のところにいろいろ理由が述べられていると思うのですが、ちょっと御紹介ください。
-
○
政府委員(
鈴木勲君) お挙げになりましたのは、三十二年に
文部省が作成いたしました「
学校統合実施の手びき」の中の項目ではないかと存じますが、第四項には「大規模校の問題」といたしましてこのように書いてございます。
小
学校・中
学校ともに、
学校規模が大きくなるほど効率的であることはすでに述べたところであるが、限度をこえて過大となる場合は、じゅうぶんな
教育効果が期待できないのみでなく、
学校経費も必ずしも軽減されないので、望ましくない。
というような
指摘がございます。
その次は、
すなわち教員組織の面について、二四学級程度をこえる場合は、教員の配当率はさほど変化がみられず、一方規模の過大となることによる事務量の増加に伴い教授負担量の過重となることが考えられ、特に校長の教員に対する掌握がじゅうぶんでなく、また教員相互の連係も困難になり、
学校全体としての一体的活動ができにくくなる。施設・設備等についても、たとえば特別教室などは、学級数に応じ等差級数的に増加する必要があるものが多く、過大規模の
学校では
学校経費もさほど合理化されることにはならない。このような見地から、少なくとも三〇学級をこえるような
学校は過大であり、したがって、これらの
学校にさらに小規模
学校を統合することは望ましくなく、むしろ分割を考慮すべきである。
第五が「
学校の適正規模」でございますが、
以上
学校統合の基準としての
学校の適正規模を決定するおもな条件について検討した結果から明らかなように、五学級以下の小規模
学校は、
教育的にも経費の合理化を図る見地からも望ましくなく、また、二五学級以上の大規模の
学校については、校長、教員、児童
生徒が一つの
社会集団としての有機的
教育活動を営むことはむずかしく、したがって、
教育の徹底を期することは困難であり、また
学校経費の上からもさほど合理化されるとも考えられない。
以上のような点から考え、
学校規模は、小・中
学校ともにおおむね一二学級ないし一八学級を標準とすべきである。もちろん、これは標準であって、
地域社会の各種の条件を考慮し、ある程度の巾が認められることは当然である。
かように書いてございます。
-
○
下田京子君
大臣、いまお聞きになっておわかりだと思うのですが、大規模校、これは教職員の連携は困難だと、校長
先生も教員に対するリーダーシップ大変だ、できないと、こう言っているわけであります。適正な
学校規模について、なぜそれが必要なのかということは明確に述べられているわけですね。問題は、統合の際にこのように適正規模にせよという手引まで出して指導されているわけなのです。ところが、大規模校の解消につきましては何ら明確な
方針が出されてないと。これはやっぱり問題だと思うのですね。ですから、この大規模校、つまり二十四学級以上、こういうものを解消していくということの手だてが必要じゃないかと思うのですが、現在どのくらいになっていますか。
-
○
政府委員(阿部充夫君) いわゆる大規模校の実態でございますけれども、全国的に見まして、小
学校全体で二万四千八百校余りございますが、その中で三十学級を超えるものが千七百四十七校、比率にいたしまして七%ぐらいということでございます。中
学校の方は全国で一万二百校余りございますが、その中で三十一学級以上、つまり三十学級を超えているものが五百八十一校でございまして、五・七%ということになっております。
なお、こういった過大規模校につきましては、逐次解消に努めてきておるところでございますけれども、児童、
生徒の急増期にぶつかったというようなこともございまして、小
学校は五十六年で急増のピークが過ぎたということもございますので、その後減少しているという傾向が出ているわけでございますが、中
学校は六十一年がピークだというようなこともございますので、現在のところ若干増加の傾向があるわけでございます。
文部省といたしましては、これにつきまして、先ほど初中
局長から申し上げましたような、適正な規模の方に向けて逐次解消を図っていくことが望ましいということで、毎年施設関係の主管
課長会議を開きます際に
管理局長名で通知文を渡しておりますが、その中で、適正規模の方に向けていくことについて、そういうたぐいの補助申請についてはこれを優先的に採択をするということを明確にいたしまして、指導の充実徹底を図っているところでございます。
-
○
下田京子君 私は二十四学級以上の大規模校はどうかということでお尋ねしているわけで、その数字をお知らせください。
それから、具体的な
地域名を挙げてお尋ねしたいのですが、福島県のいわき市、それから大阪の堺市の場合に大規模校はどうなっておりますでしょうか。
-
○
政府委員(阿部充夫君) お答えをいたします。
ただいま手元に持っております資料が、
先生二十四学級以上とおっしゃいましたが、二十四学級を超えるものということで二十五学級以上の数字を持っておりますので、それでお答えをさせていただきたいと思いますが、小
学校の場合に、二十五学級以上のものというのが四千四百五十一校で、比率にいたしまして全国の小
学校のうち一七・九%でございます。それから中
学校につきましては、同じく二十五学級以上のものが千五百六十二校、パーセンテージにいたしまして一五・二%、こういうことになっております。
なお、具体にいわき市と堺市についてのお尋ねでございますが、いわき市につきましては、ただいま申し上げました数字と比較して申しますと、二十五学級以上のところで、パーセンテージで申
し上げるのが適当かと思いますが、小
学校では一六・七%、それから中
学校では一四・六%のものが二十五学級以上ということになっておりますので、全国の比率から見まして大体同じぐらいか、ややそれよりいいというような状況かと思います。それから堺市の場合で申し上げますと、堺市の場合には二十五学級以上のものの比率が六一・二%、小
学校でございます。それから中
学校の方の比率が同じく二十五学級以上で六七・六%ということでございますので、全国の比率に比べますと、ここでは大規模校の率が非常に多いという状況になっております。
-
○
下田京子君 大阪の堺市がかなり多い。いわきの場合には全国より若干落ちている。私はいわきをなぜ挙げたかといいますと、ここは過密と過疎が同居しているところなのですよ。そういう中にあって、じゃ同
地域が実際の児童、
生徒の急増地に指定されているかどうか。
-
○
政府委員(阿部充夫君) お答えいたします。
いわき市につきましては指定を受けていなかったかと思いますが、それから、堺市につきましては五十七年度まで指定を受けておるという状況でございます。小
学校の場合でございます。
-
○
下田京子君 指定を受けてないとなかなか自治体で、申請すれば建てますよと言いますけれども、苦労されていると思うのですね。何か問題でなかなかその建設、分離ができないでいるというふうに
承知していますでしょう。
-
○
政府委員(阿部充夫君) お答えをいたします。
それぞれの
地域によりまして、いろいろ事情はさまざまあろうかと思いますし、たとえば急増によりまして、その急増がすぐにまた急減をしていく見込みであるというようなケースもあろうかと思いますが、多くの場合、土地の確保の問題ということに大きな問題があろうかと思います。この土地の確保の問題につきましては、その用地自体がそもそも見当たらないというケースもございますし、それからまた、候補地はあるけれども所有者が売ってくれないというケースもございますし、あるいは非常に高くてなかなか入手できないというようなケース等々、それぞれの
地域によりましていろいろな事情があるというふうに理解をしておるところでございます。
-
○
下田京子君 土地問題が一番大きなお話だということは私も伺っております。なお、所有者が売ってくれない等々の問題もあるでしょうけれども、経費の方も大変なんですね。十八学級規模の
学校新設に要する、小
学校、中
学校別にどのぐらい用地費がかかるか、お知らせください。
-
○
政府委員(阿部充夫君) お答えをいたします。
ちょっと手元に数字が見当たりませんけれども、校舎費と校地と両方合わせまして、中
学校を建設する場合の経費が約十七億でございますが、そのうち約十億が用地費の関係というふうに理解をしております。
小
学校の場合が約十四億ぐらいが総計であったかと思います。若干、恐縮でございますが、手元の数字が見当たりませんので、小
学校の内訳がちょっとあれでございますけれども、大体その程度のものであろうかと思っております。
-
○
下田京子君 それだけの用地買収費がかかるわけですね。堺の場合、これはいわきもそうなんですけれども、指定を受けていないというために用地買収費の補助が全然つかないわけですね。これは大変困難なことだと思うんですけれども、その辺の実態は
調査されていますか。
-
○
政府委員(阿部充夫君) お答えをいたします。
用地の購入費につきましては、急増
地域の場合には用地費の補助があるわけでございまして、この補助といたしまして、国が三分の一国庫補助をするという原則になっており、残りの経費のうちの五%は交付税で見られ、残りさらに九五%、あとの全額が義務
教育債によって保障されているというようなことがあるわけでございます。
もちろん、このいわき市の場合、あるいは堺市の場合にも、急増指定期間中に必要な
措置が講ぜられておれば、これだけのことがなされたわけでございますが、急増の指定が外れたという状況にございますので、そうなりますと用地費の補助がつかないということになりまして、ただ義務
教育債におきまして九〇%の地方債の起債が認められているということで、土地の手当てが行われておるわけでございます。
そういうような仕組みになっているということを御説明させていただきました。
-
○
下田京子君 仕組みを聞いたのではなくて、なぜ建てられないでいるかということで、当局の
意見も聞いているでしょうし、
調査もなさっているんじゃないかということを聞いたんです。
大臣、いまいわきや堺の例を出しましたけれども、具体的に急増の指定外の
地域にありましても建設が可能な方向で実態を
調査して、具体的な
対応をすべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
-
○
国務大臣(
瀬戸山三男君) 実態
調査することは必要だと思いますが、いまのような状態でも用地は起債でできるわけでございますから、やはりそれぞれの市町村、
教育委員会で立案されてやればできないはずはないんです。ただ、校地がなかなか得られないと先ほどもお話が出ましたが、あるいは
学校区をどうするかということで、非常に現実の問題としては困難な問題があると思いますが、しかし
教育は大事な問題でありますから、その困難を乗り切って地方で推進してもらって、それに対しては起債でやる。なお、その起債は交付税でだんだん償還していくという制度があるわけでございます。
-
○
下田京子君
調査の必要性はお認めになっているわけなんですけれども、
調査するということは、やっぱり具体的な検討をやろうという、そういうお気持ちだと思うんですよ。いま言うように、用地買収費がかなりかかっているということは事実なんですよ。三分の一の補助がつくかっかないかということは、これはもう地方
行政にとって重大なことだと思うんです。そういう意味で、やはり
調査をして検討すべきじゃないかどうかということなんで、
大臣、もう一度。
-
○
国務大臣(
瀬戸山三男君) 補助金がつくことは好ましいことであると思います。しかし、先ほどもお話がありましたが、四十人学級もストップしなきゃならぬ、これは国民の税金の負担でございますから、財政が非常に困難なときに新たにそういう補助の制度を創立するということはきわめて困難である、将来に向かっては検討すべき問題であると、かように考えております。
-
○
下田京子君 将来に向かって検討すべきということですが、遠い将来じゃなくて、具体的にはもう緊急を要することなんだということは、もういままでのお話のことで
大臣も御
承知だと思うんですよ。ですから、急を要する問題として私はお願いしたいんですが、去る二十五日ですか、衆議院の文教
委員会でも、全会派の共同提案によりまして、この過大規模校を分離していこうという旨の決議もされていると思うんです。
大臣は、そのことについて鋭意検討いたしますとお約束されているはずですよ。ですから、遠い将来ではなくて、直ちにやはり検討に入るべきだと、こう思います。再度。
-
○
国務大臣(
瀬戸山三男君) 公立諸
学校の施設法については、そういう附帯条件がついております。しかし、いま申し上げましたように、国民の負担能力の回復を見ませんと、直ちにやるというわけにいきませんから、できるだけそういう時期が早く来ることを期待して検討すると、こういうことでございます。
-
○
下田京子君 できるだけ期待にこたえたいと、それを期待いたします。
さらに、四十人学級の問題なんですけれども、これは当初一括法で三年間ということだったんですけれども、もうこれ、六十年から解除ということでやっていかれますか。
-
○
政府委員(
鈴木勲君) 四十人学級の計画の問題でございますけれども、これはたびたび申し上げておりますように、財政再建期間中はその実施を抑制するということになっているわけでございますが、計画全体の改善
措置、改善規模でございま
すとか、六十六年度までの達成期間は変更していないわけでございます。ただ、その六十六年度以降どのようにするかということにつきましては今後の問題でございますので、私どもとしては、全体の計画を変更しないという大
方針が立っておりますので、それを目標に検討してまいりたい、かように考えています。
-
○
下田京子君
文部大臣と行管
庁長官にお尋ねしたいんですが、長官、お聞きのとおり、長官はいわき市なんですが、そういう実態だというふうなことで御
承知だと思います。これは臨調も急を要するものはやっぱり検討せいということを言っておると思うんで、その辺を踏まえまして
文部大臣の方も
調査をし、できるだけこたえたいというふうなことですので、その方向で行管
庁長官としても応援をいただきたいということで、御
答弁をお願いします。
-
○
国務大臣(齋藤
邦吉君) いわき市のお話はいま十分承りました。
そこで、四十人学級の抑制
措置は、五十七年度から五十九年度、いまのような状況ではいまにわかにこれをやめるというわけにはいきますまい。いまの財政は御
承知のように危機的な財政にあるわけでございますから、五十七年から五十九年という三年ですね、これをいまにわかに廃止するというわけにはいかぬと思います。その後どうするかということになりますと、これは事の必要性ということもありましょうが、まあそれまでの国の財政がどうなりますか、そういうことを十分考えていかなければならぬ問題だと私は思っておりますので、五十九年度以降——六十年度以降ですか、どうなりますか、いまのところお答えすることは差し控えさしていただきたい、こういうふうに考えております。
-
-
○
国務大臣(
瀬戸山三男君)
文部省としては、できるだけ早く四十人学級が実現するように努力をしたいと思っております。ただし、これは
文部省だけの力ではいけませんので、国民の財政負担力等を勘案しながらやらなきゃならない。できるだけその方に努力をしたいと、こういうことでございます。
-
○
下田京子君 一方で、ゆとりある
教育とか、一人一人を大事にするというふうなことを言いつつ、すべて財政の問題を理由に挙げながら先送りになるということは大変問題であることは、私ども繰り返し
指摘をしてきているわけですが、いよいよそれがはっきりしてきているわけです。
それで、日本の
子供たちにはいまそういうことで先送りと。一方、厚木基地の米軍の
子供たちには、思いやりと称しまして二十五人学級の教室をもう増設してきている。これは他の
委員会でも
指摘したところです。ここにはっきりやはり国民犠牲と、そしてまたアメリカ追随という姿勢があらわれているんじゃないかと思うんですよ。
外務省にお聞きしたいんですが、在日米軍のために日本の費用負担、五十六年度実績でどのようになっておりますでしょうか。マンスフィールド駐日大使によりますと、日本が在日米軍のために年間十億ドルの費用負担をしていると、こう発言をされております。この十億ドルの内訳について各省取りまとめた形で御報告ください。
-
○
政府委員(
北村汎君) ただいま御質問の、五十六年度の日本側の負担駐留米軍経費のまず所管省別の内訳を申し上げます。
防衛施設庁約千六百三十億円、それから
自治省約百七十七億円、それから労働省約三十一億円。このほかに施設、区域の普通財産、これは主として国有財産でございますが、それを借り上げた場合の試算額というものを加えますと約十億ドル、日本円にして約二千三百億円程度になるということでございます。
-
○
下田京子君 配付の資料をごらんいただきたいと思うんですけれども、いまの外務省からの御説明どおり、約十億ドル、日本円にいたしますと二千二百三十七億円という莫大なお金がつぎ込まれているわけです。
ところで、五十六年度の在日米軍人は何人おりますでしょうか。それから念のために、西ドイツの場合には何人の米軍人がおりまして、その米軍人のために幾ら支出されているか。
-
○
政府委員(
北村汎君)
昭和五十七年六日三十日現在でございますが、四万八千八百六十五人ということでございます。
続いて西独について申し上げますが、約二十四万人というところでございます。
-
-
○
政府委員(
北村汎君) アメリカ側の言っておるところによりますと約十三億ドルを使っておると、こういうことでございます。
-
○
下田京子君 いまの御報告ですと、西ドイツの場合には米軍人一人当たり約五千四百ドルという負担になると思うんです。日本の場合には、西ドイツに比較いたしますと米軍人一人当たりに対する負担というのが約四倍、こういうことですね。にもかかわらず、ピンクニー准将が、在日米軍に必要な経費十四億ドルのうち、米軍人の給与以外はすべて日本に持たせるのが目標であると、こういうことを米議会の中で述べておるわけでございます。
外務省にお尋ねしますけれども、一九七九会計年度で在日米軍の十四億ドルの経費の内訳ですね。これは米軍人給与とそれ以外のものと、どういうふうになっておるか。
-
○
政府委員(
北村汎君) ただいま五十四年度の米側支出についてお尋ねがございまして、これは人件費が約六億五千三百万ドル、日本円にして一千三百六億円ぐらい。それから運用維持費と称するものが六億八千七百万ドル、約千三百七十四億円。それから軍事建設費として千三百万ドル、二十六億円というものがございまして、そのほか軍属の給与、これに五千二百四十万ドル、これは百四億八千万円ぐらいになります。それから燃料、油脂、そういう費用で二億六千八百万ドル、約五百三十六億円になりますが、こういうものを合計いたしますと約十七億程度ということになります。
-
○
下田京子君 先ほど配ってある資料の下段を見ていただくとわかるんですが、これは外務省からお聞きしたところでまとめているわけなんですが、給与以外のものにいたしますと約八億ドルになる。そうですね。
-
○
政府委員(
北村汎君) 先ほど申し上げました軍属の給与あるいは燃料、そういうものを取り除いたものは約十四億ドルでございますから、その中で人件費が約六億幾らですから、そのほかのものは八億になる、こういうことでございます。
-
○
下田京子君 今度はわかります。この八億ドル、日本円にしますと約二千億円近いそういう莫大な金額になるわけですが、これを米側は日本で持てと、こういうふうに言ってきているわけですね。このような調子でいきますと、日本の負担はもう際限なく広がるということになると思うんですが、一体その歯どめはどのように考えていらっしゃいますか。
-
○
政府委員(
北村汎君) お答え申し上げますが、政府が在日米軍にいろいろ施設、あるいは労務その他いろんなところで経費を負担しておりますのは、これは地位協定第二十四条によって負担をしておるわけでございます。それで、もちろんそういう必要が生じました場合、あるいはアメリカ側からそういう要請がありました場合には、まず地位協定の趣旨に照らし、財政状況も考えますし、あるいは経済
社会状況も考えて、すべての点を勘案して、そうして予算に組んで、毎年度のこの国会での御審議を経て決めておるわけでございますので、これは決して歯どめのないということではございません。
-
○
下田京子君 いまの地位協定の二十四条の問題はここで議論するつもりはございませんけれども、しばしばこのことについて拡大解釈で大きな問題になっていることは御
承知のとおりだと思うんですよ。決して歯どめがないことはないというお話なんですけれども、といいますと、現在どういう項目は負担しているのか、あるいは今後はど
ういう項目は負担しないと言えるのか。
-
○
政府委員(塩田章君) 二十四条に基づきます日本側の負担、大きく分けて施設費と労務費でございますが、まず労務費について申し上げますと、日本側は給与等の一部、これは格差給でありますとか、語学手当でありますとか、あるいは退職手当の一部、こういったものを日本側が負担しております。それから福利関係費、これは法定福利関係費及び任意福利関係費、そういったもの。それからいわゆる事務管理費でございます。こういったものについて日本側が負担しておりまして、これは現在のところ地位協定に基づく負担項目としてはこれが限度いっぱいであると、これ以上負担項目を広げることはできないという
立場に立っております。
それから、もう一つの施設経費につきましては、先ほど外務省から御
答弁がありましたように、個々の施設の要望につきまして毎年度米側と調整いたしまして、必要最小限度と思われるものを調整の上で毎年予算でお願いをしておると、こういうことでございます。
-
○
下田京子君 地位協定二十四条に基づいているということを前提にしてお話しになっておりますけれども、それで解釈するのはむずかしいだろうということで、これはいわゆる思いやり分担というふうなことで出そうかなと、こんな話も出てきまして、たとえば日本人の給与等につきましては、これは五十三年度から従業員の給与の一部を持つというかっこうでやってきていると思うんですよ。
いまのお話なんですけれども、
委員長、ちょっと具体的なことで資料要求をお願いしたいんです。
-
○理事(嶋崎均君)
下田君、質問の内容がよくわかりませんが、もう一遍。
-
○
下田京子君 いま御説明ありましたことが抽象的でよくわからないんで、現在何を日本が負担しているのか、今後はどの項目については負担できないのかとこう言っているのか、その辺がわかる資料が欲しいということでございます。
-
○
政府委員(塩田章君) 必要な資料は提出いたしますけれども、いまのお尋ねが具体的にどういう資料を希望しておられるのかよくわかりませんので、それを承りました上で提供できるものは提供さしていただきたいと思います。
-
○
下田京子君 資料要求のところでまたぐだぐだ説明していると時間がなくなっちゃうんで、言ってみれば米側が人件費以外の点で八億ドル要求してきているわけですよ。現にいまいろいろやっているのがあるわけで、その項目、それから今後はこれはもう無理だというそういう項目。必要に応じてということなので、これは要求しておきたいと思います。
次に、いま問題の一つに
指摘しておきましたけれども、いわゆる思いやり分担というかっこうで、五十三年からは日本人の基地の従業員の給与の一部、それから五十四年からは米軍の隊舎、宿舎、あるいはF15用のシェルターなんかもどんどん建設されてきている。しかも、その予算の中身を見ますと、五十八年度では沖縄のキャンプ・コートニーに教会を建設するということになっているわけなんです。過去にどのような事例がありますか。
-
○
政府委員(塩田章君) 現在までに移設工事で米側に対しまして教会を建設して提供した例は七件ございます。一つ一つ申し上げますと、四十九年度に横田飛行場、四十九年度に嘉手納飛行場、五十一年度に横田飛行場、五十三年度に横須賀海軍施設、五十三年度にトリイ通信施設、五十四年度に根岸住宅地区、五十五年度に嘉手納飛行場、計七カ所の教会を、これは移設工事による提供でございます。
-
○
下田京子君 移設と言っても、結局新しく建設されているということは間違いないわけです。五十八年度の予算も含めまして総額でどのぐらいになっておりますでしょうか。
-
○
政府委員(塩田章君) 先ほど読み上げました順に金額を申し上げてみますと、横田が三億八千二百万、嘉手納が二億八千九百万、横田が一億九千五百万、横須賀が三億八千万、トリイが四千七百万、根岸が一億六千三百万、嘉手納が一億三千二百万、計七カ所でございまして、いまトータルの合計額を持っておりませんので、いまの個々の御説明でかえさせていただきます。
-
○
下田京子君 大変な金額だと思いますよ。
五十三年度から始まった日本人の基地従業員の給与などで制服等の購入費も負担されているわけです。すでに配った資料をごらんいただきたいんですけれども、対象品目が百三十二品目、うち実際の購入品目が百十八品目、間違いございませんでしょうか。
-
-
○
下田京子君 この中でピストルベルトとありますけれども、これは何のためにお使いになっているんでしょう。それから何個購入されていますか。
-
○
政府委員(木梨一雄君) お答えいたします。
制服の一部といたしましてピストルのベルトがあるわけでございますけれども、その制服のベルトが必要なゆえんのものは、日本人従業員のうちに警備員という職域がございまして、その警備員は必要によって拳銃を所持するわけでございますので、そういう者のために制服の一部として拳銃ベルトがあるわけでございます。私、個数については正確にいまちょっと記憶がございませんが、たしか四百から五百ぐらいの間であったであろうと思います。
以上でございます。
-
○
下田京子君 これは大変問題だと思います。先日沖特
委員会でわが党の立木議員がこのことについてお尋ねしているわけなんですが、これはまた後に譲るとします。
次に、ネクタイピンとかヘアバンド、一体これは制服なんでしょうか。それからどのように使っておりますか。
-
○
政府委員(木梨一雄君) お答えいたします。
ネクタイとかネクタイピンでございますが、これもまさに制服の一部として従来から、米軍時代から定められたものでございまして、これはたとえば、私も具体的に詳しくいま存じておりませんが、たとえばガードマンもたしかネクタイを締めて、ネクタイピンをつけていると思いますけれども、そういうふうなものでございます。
-
○
下田京子君 タキシードの支給も入っているんですが、一体だれが何のために使っているんでしょうか。
-
○
政府委員(木梨一雄君) お答えいたします。
従業員の中には、地位協定の十五条の諸
機関、いわゆるPXとか食堂とか、そういうところに勤務する者があるわけでございますが、その食堂等に勤務する者のために一部そういうふうな衣類が制服として定められておると、こういうふうに
承知しております。
-
○
下田京子君 制服等購入費というかっこうで百三十二項目にもわたるようなこういうものが購入されているわけです。しかも、これが五十三年から五十七年度の間にもう四年間で六倍にもふえているわけですよ。もちろん、日本人基地従業員の待遇改善というのは当然必要だと思うんですよ。しかし、これは当然米側が持つべき
性格のものじゃございませんでしょうか。ここまで思いやり予算が進んできていると。
行管
庁長官、まず削るとしたらこういうものを対象外とするんじゃなくて、正規とするんじゃなくて、こんなものからやっぱり見直していく必要があると思うんです。
-
○
国務大臣(齋藤
邦吉君) 施設の提供とか労務費、そうしたものは、先ほど来お話のように、地位協定に基づいて必要なものは出さなくちゃならぬということでございますから、いろいろ見方はございましょうが、国会の御承認をいただいて出す予算はむだはないと、こういうふうにお考えいただきたいと思います。
-
○
下田京子君 思いやりと称して、この五年間の間に何と六十一億九千万円から五十八年度で六百八億円と、十倍にも予算が伸びているんです。で
すから大変米軍には思いやり、日本の皆さんにはがまんせいと、こういうかっこうでやられているわけです。その一つが老人医療の問題であると思うんです。
老人医療の問題でお尋ねいたしますけれども、沢内村の実践というのは昨年の当
委員会でも私が御質問しております。厚生
大臣も
御存じかと思うんですけれども、この沢内村を初めとして、幾つかの自治体でもってこの二月一日から施行された老人保健法のもとにあっても医療費の無料化等続けているわけなんですけれども、こういう点での単独事業ですね、この単独事業が一体老人保健法に
違反するかどうか、厚生
大臣並びに
自治大臣にお聞きします。
-
○
国務大臣(林義郎君)
下田議員にお答え申し上げます。
老人保健法は、老人が健康にやっぱり過ごしていただかなければならない、そのためには予防の段階からいろいろやっていこうということで考えて昨年に成立した法案でございます。その中で、やはり若干の負担を老人の方々にも持っていただきましょうと、こういうことでやったわけでございまして、いまのお話の沢内村云々というようなところでございますが、これは各市町村それぞれのお
立場で考えておられるわけでございますが、老人保健法の趣旨といたしましては、やはり若干の負担を老人の方々にしてもらう方がいいだろうと、こういうことでやったわけでございます。
法律の中にもはっきり「地方公共
団体の責務」ということで書いてございますから、私の方はそういうふうにやっていただくのがいいんではないかと思います。しかし、
先生の御
指摘のように、
違反かどうかということになりますと、これはやっぱり各市町村その他の御判断でございますから、
違反ということは、
法律に
違反とかなんとかということではない。しかし、
法律の趣旨には私の方としては余りふさわしくないものである、こういうふうに考えております。
-
○
国務大臣(
山本幸雄君) ただいまの厚生
大臣のお考えと同じことでございますが、条例というのは、これは
法律に
違反しない限りはおつくりになってよろしいと、こういうたてまえになっており、いまの老人保健法のたてまえから言えば、一概にこれが
違反であると、こう決めつけるわけにもいくまいと思っております。
-
○
下田京子君 老人保健法に単独事業が
違反しない、これは明確でありましたね。
厚生
大臣、その趣旨には反するんじゃないかということ、その法の趣旨、改めてお聞かせください。
-
○
政府委員(吉原健二君) 老人保健法の一部負担でございますが、先ほど
大臣からもお答え申し上げましたように、老人の方々に健康への自覚を持っていただくと同時に、やはり老人医療費というものを国民みんなで公平に負担するということでこの老人保健法が制定をされたわけでございまして、やはりそういった考え方は各市町村、各都道府県を通じて同じ扱いでなければならないということで、各市町村にも単独事業につきましては一部負担というものはこの
法律の趣旨に即して、それに整合性を持った形で見直しをお願いしたいということでやっているわけでございます。
-
○
下田京子君 具体的にお尋ねしますが、
大臣、沢内村の場合、医療費の無料化によりまして老人医療費は軽減されています。それから老人の健康に対する自覚も高まっております。そういう点で、これは森下前厚生
大臣も大変すばらしい実践だとお述べになっておりますが、ただいまのお話のように法の趣旨にこの沢内村は反しますか。
-
○
政府委員(吉原健二君) 沢内村がもう二十年も前から予防に大変力を入れられまして老人の健康、予防
対策をやってこられたという点につきましては、私ども大変敬意を表しておりますし、評価をしているわけでございますけれども、ただ、この
法律は、そういった市町村でそれぞれやっておりました老人の医療というものを国の制度として全国共通のものとしてこれからやっていこうということでございまして、沢内村の老人の医療費につきましても、大部分は国なり都道府県なり、それから各保険者の拠出金で賄われるという仕組みになっているわけでございます。したがいまして、費用の負担につきましてもそういった
法律の仕組みに従いまして負担をしていく、老人の方にも一部負担をお願いするということでございますので、一部負担につきましてはやはりこの
法律の趣旨に即して考えてやっていただきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
-
-
○
国務大臣(林義郎君) 沢内村の件でございますが、私は、いま保健
部長からお答え申し上げましたように、老人医療というのは、単に病気になったからどうするんだこうするんだということでない、前からいろんな予防なり保健なり、いろんなことをやっていかなければならない、そうした形で老人の健康を維持していくということが必要だろうと、こういう形で沢内村でいろいろやっておられるわけでございますから、私はそういったことはその
地域、
地域でやっておられる話がございますから、その
地域でいろんな特性を考えてやっていられることについてまでどうだこうだということはありません。ただ、全国一律に考えてみるならば、先ほど申しましたように、一部の負担をしていただくということが望ましいことではないかというふうに考えているところでございます。
-
○
下田京子君 沢内の実践というのは、いまのいろんな御説明の中で法の趣旨にのっとっているんですね。これはもう否定できなかった。ところが今度、老人保健臨時財政調整補助金の国庫補助対象、この中に、無料化をやっているところがもう嫌がらせというかっこうで外されている。これはやめるべきだと思うんです。
-
○
国務大臣(林義郎君) 臨時調整補助金の問題は、考えましたのは、老人保健法が施行になりますと市町村その他のところの負担がふえてくると、こういうことでございますし、財政事情が非常に悪いというところも市町村の中にはあるわけでございますから、その悪いところにつきましては援助をいたそう、こういう形のものでございます。したがって、これは別にそれでもって沢内村をどうこうし、嫌がらせをしようとかというような趣旨のものではない。全く市町村の財政の事情に応じましてやっていこうというのがこの制度の趣旨でございます。
-
○
下田京子君 嫌がらせはしていないということなんですが、ちょっとこの補助のところのやつ、読んでみてください。
-
○
政府委員(吉原健二君) 老人保健の臨時財政調整補助金の交付要件といいますか、交付対象でございますが、考え方といたしましては、先ほど
大臣からお答え申し上げましたように、老人保健法を実施することによって、老人保健法の施行によって市町村の一般財源の負担が急激に負担するのを緩和する、特に財政力の弱い市町村を対象に緩和をするという特別な
措置でございますけれども、具体的な要件といたしましては、国民健康保険事業における高額療養費の支給割合が県平均に比べて高い、大体一割以上高いということが第一。
第二が、老人福祉法による医療費の支給対象者数、いままでの従来の制度に比べまして老人保健法による医療受給対象者数が著しくふえる、具体的には三%程度ぐらいのことを考えておりますが、それが第二の要件。
三番目に、国民健康保険事業において医療費適正化
対策を講じているということ、これが三番目でございます。
それから四番目に、老人保健法による医療の実施が適正に行われている、
法律の医療の実施というものが適正に行われている、これを四番目の要件として考えているわけでございます。
-
○
下田京子君
大臣、いまのようなお話で、嫌がらせやっているんですよ。財政が困難なところに出すのいいんです。嫌がらせはおやめになりませんか。
-
○
国務大臣(林義郎君) 私は別に嫌がらせをやっているとは思っておりません。そういったいろい
ろなケースがありまして、地方単独でいろいろおやりになるというところは財政事情が悪ければなかなかできる話でもないと思うんです。そういったところで、それぞれの地方の実情を勘案してこれからやっていかなければならない、特に財政事情が非常に厳しいところがございますから、そういったところに金額を優先的に持っていこう、こういうのがこの趣旨でございますので、別に嫌がらせとかなんとかいうことは私の方は考えていないところでございます。
-
○
下田京子君 財政事情だけでなくて、そこの自治体の姿勢なんですね。そこのところを理解と協力を求めると言いつつ、単独事業をつぶすような、攻撃するような嫌がらせ、これはやっぱりやめるべきだと思います。
-
○
国務大臣(林義郎君) 御質問の趣旨がどうもよくはっきりともうひとつわからないんですけれども、私の方は自治体のいろんな財政事情を考えてやっていく、そして
法律にもやっぱりこの老人保健法の趣旨にのっとってやってもらいたいということが「地方公共
団体の責務」として書いてございますから、そういった趣旨にのっとってやってもらいたい、こういうことを申し上げておるわけでございまして、何か嫁いびりのような話をしているつもりは毫もございません。
-
○
下田京子君 時間がなくなっちゃったんで、この嫌がらせの部分を削りなさいということなんです。これは強く要求をしておきます。
次に、財政優先でいろいろやられているわけなんですけれども、医療費の適正化ということで、いま臨調で償還方式移行なんかも検討しているということなんですが、具体的に償還方式ってどういうことでしょう。
-
○
国務大臣(林義郎君) 償還方式というのは、
外国でもそういった形をやっておりますが、臨調で御
指摘になっておりますのは、普通の保険の場合には、たとえば火災保険がある、そうすると火災の事故に遭った人が幾ら幾らかかったということで保険会社に請求する、医療の場合で言いますと患者さんが一遍お医者さんにお払いをして、レシートをもらって、そのレシートでもって請求をしていくという形にしたらどうかというのが償還方式ではないかというふうに考えております。
-
○
下田京子君 人工透析を受けている腎臓病患者の場合、月平均どのぐらいかかりますか。
-
○
政府委員(吉村仁君) 症状等によって個々に異なると思いますが、平均いたしますと一月五十七万円ぐらいでございます。
-
○
下田京子君 そうしますと、人工透析患者、償還払い方式とられますとこれは大変なことになりますね。
-
-
○
下田京子君 お手紙も来ておりますので、そういうことがとられないような
対応をしていただきたい。
-
○
国務大臣(林義郎君) 償還払い方式をとるかどうかという問題につきましては、先ほどお話し申し上げましたように、諸
外国でも償還払いというのが普通の形でありますし、一般の保険でしたら私は償還払いというのが普通の形だろうと思うんです。ただ、医療、いま
先生御
指摘になりましたように非常に高額にかかる、そのほかにたくさん高額にかかるところもありますから、一時的にはその患者の方が、あるいは患者の
家庭の方が御負担いただかなければならないというような問題が出ます。また、変更いたしますと患者一人一人で請求するということで事務的な問題もあります。実はそういった問題も含めまして臨調の答申の精神にのっとってこれから検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
-
○
下田京子君 最後に一言。
医療のお金の切れ目が命の切れ目にならぬように、よく検討いただきたいと思います。
-
○理事(嶋崎均君) 以上で
下田京子君の質疑は終了いたしました。
─────────────
-
-
○
小西博行君 きょうは、まず原油の値下げの関係について御質問を申し上げたいと思います。
このたび、OPEC総会におきまして、原油の値下げという、わが国にとりましては大変好都合なことが実は起きたわけであります。そういった意味では大変喜んでおる自分でありますけれども、この価格そのものの動向というのが大変今後の施策の上に大きな影響を与えるんじゃないかというように考えておりまして、その点からまずお伺いしたいと思います。
-
○
国務大臣(山中
貞則君) これはもうおっしゃるとおり、中期的に見ても長期的に見ても、私たちにとっては千天の慈雨、前方に一条の光明をともしてくださったということですね、私たちは何もできないわけですから。そういう意味で、これが国民経済を通じて国民生活まできっちりわが国の未来に役に立つように処理をしていきたいと考えております。
-
○
小西博行君 そういった意味では、財政再建という非常に厳しい情勢の中に現在ありまして、私はいつも財政再建を思うたびに、内部節約という、いまの行財政改革じゃありませんけれども、何としても内部の節約をして、そして、つまりインプットの方をうんと小さくしてアウトプットを大きくしていくという、そして生産性を上げるという、この論理というのは、いつが来ても変わらないと思うんです、いつの時代も変わらない。そういった意味で、どうしてもこのアウトプット、海外に対する輸出ということ当然あるわけでありますが、これは何としても、いろんなものをつくる場合の原価を下げるためにも、非常に私は原油価格の引き下げというのは大きな要因になるというように考えるわけです。そういった意味で、日本経済、特に産業活性化という面で大変私は有利な影響があるんじゃないか。その影響についてできれば具体的にお聞きしたいと思います。
-
○
国務大臣(山中
貞則君) 結果的には同じでございますが、私はいまそれぞれ産業別その他について作業をさしております。ですけれども、その前提が、かつて二ドルであった石油、それが私どもは第一次、第二次ショックという、ということは、私たちはそんなことを予想していなかったのでということでそういう言葉も生まれたと思うんですが、しかし相手国の
立場に立ってみると、いずれ有限の物資を戦略的に使うことはあり得ることだったわけですよね。そのことを気がつかなかったからショックと言っているんでしょうが、それを経て三十四ドルになった、そして、それから六ドル下がったということを前提にしてやりなさい、しかも、これは日本だけじゃなくて世界的にそれだけ下がったんだということを前提に、考え方が三十四ドルから二十九ドルになったんだという、そこだけじゃなくて、一遍物すごい上がり方をして少し戻った、しかも行く先いまのところ若干不安定な問題がある、そういう考え方でとらえております。
-
○
小西博行君 メリットの面じゃなくて、デメリットの面どのように予測されていらっしゃるか、これもお聞きしたいと思います。
-
○
国務大臣(山中
貞則君) 日本の場合に具体的なデメリットというのはすぐには出てこないと思うんですが、しかし六ドル安くなったことによって、意欲の問題としてとらえるならば、代替エネルギーへのわれわれは懸命な努力をいまいたしておりますが、この問題が、ことに民間の方が非常にリードタイムの長いものもありますし、少し及び腰になりゃせぬか。現に、アメリカと日本と一緒にやろうと言った石炭液化なんかについては、アメリカがやめたと言っておりちゃったわけですからね。ですから、そういう意味でやっぱり代替エネというものについては、いずれ来る終局の日、有限の、限りの日の来る日、その日はあるわけですから、子孫のためにも考えておいてやらなきゃなりませんが、通産省の現在の直接の影響で言いますと、従価税三・五%に決めておりますから、量の面がいまは
昭和四十五年、石油ショックの起こる四年前ぐらいの数量に落ち込んでいます
から、まず従量税の関税が減る。これは直接でないにしても、代替エネの財源にしておる三・五%が今度は明確に価格まで減るとなると当然税収減ですよね。これは目的税としてつくったわけではありませんが、目的税的に使っておりますので、来年度予算の編成に当たってはここらのところを、政府みずからの姿勢が後退しては民間はなお後退してしまうということで、大蔵省とよく相談・をして詰めていきたいと思います。
-
○
小西博行君 最近少し産業が活性化を欠いている面がかなりあります。そういうことになりますと、うっかりすると原子力発電一つとらえても、これは計画から言えば大幅におくれてしまっている。しかも、経営者にいろいろ聞いてみますと、電力の需要があって初めて元気が出てがんばるわけでして、それがだんだん少なくなっているという現状に際しまして、何となくそれが停滞ぎみである、そういう感じが実はするわけですね。そういう意味におきまして、特にこの代替エネルギー、私は、こういう時期だからよけいにこの代替エネルギーにつきましては、いまのこのチャンスを逃す手はないという感じで実はいるわけですね。そういう意味では、いま政府でも相当いろんな分野で資源開発投資といいますか、特に海外炭であるとか天然ガス、こういうものに対して投資もされ、そして協力もされていると思うのです。その現状についてお伺いしたいというふうに思います。
-
○
政府委員(豊島格君) 海外炭について申し上げますと、実は五ドルぐらい値段は下がったわけでございますが、鉄鋼、セメント等重油から石炭に転換したというものにつきましては、この程度であれば逆転換というのは起こり得ないと。二十ドルとか、そこまでいけば別でございますが、そんな状況でございます。ただし、景気が悪い、したがって電力需要も伸びない、セメント、鉄鋼の生産も伸びないということで、石炭に対する需要というのは落ちておるということで、海外炭開発につきましては若干スローダウンせざるを得ないという現状でございますが、しかし、せっかく将来に向けて石油が需給逼迫するときに、それに備えるべく長期的に開発しているそういうプロジェクトがいわば途中で挫折しないような、そういうことは十分考えていかなくちゃいけない。そういう意味で新エネルギー総合開発機構でいろいろな助成策を講じておりますが、それを活用しつつ長期的な観点から海外炭開発は進めていかなくちゃいけない、こう考えております。
それから、LNGでございますが、LNGにつきましても、これは石油と大体価格はスライドするということですが、ユーザーにとっては、もちろんもう一回石油に戻るということはないし、これはテーク・オア・ペイといいますか、長期的に購入計画はやっておりますので減らない。ただし、やっぱり価格が下がればLNGの価格も下がる、原油価格にスライドするということになると、やっぱり炭鉱開発については不利な点も出てくると、こういうことでございます。ただ、現状を申しますと、一九九〇年、
昭和六十五年度までのLNGの供給確保については十分手が打ってございますので、その点では心配は要らないと思いますが、その後の問題についてはこれまで同様安定確保の観点から
対策を進めていかなくちゃいけないと、このように考えております。
-
○
小西博行君 特に私は気になるのは、海外特にアメリカにいたしましても、オーストラリアにしても、石油以外のエネルギーということでずいぶん大規模なプロジェクトを組んでやっておられますね。特にアメリカの場合はアラスカ天然ガスを何とかというので、七千キロですか、非常に長距離を運搬しようというようなことでありますけれども、これは、全部どうも原油の価格が値下がりしているものですから価格的にどうしても競争できないという感じが多分あるのではないかと思うのですが、一応全部ストップになっている。恐らく日本からもずいぶんのお金もいろいろな形で投入されているのではないかというふうに考えているのですが、これは通産
大臣にまずお願いしたい。
と同時に、これは大蔵
大臣の方にも、私は投資の経理のやり方は、公団を通じてとかいろいろな方法があると思うのですが、もしそういう方法、
大臣の方でどのようにつかんでおられるのか。恐らくメキシコあたりには、これはどうなんでしょうか、余り投資していないと思うのですけれども、各国に対するかなりの投資金額がいっているのではないか。どうやってこれを回収しようかという非常に大きな問題があるような気が私はするのですが、その辺あわせて御
意見をいただければと思います。
-
○
国務大臣(山中
貞則君) アメリカの方は、石油については輸出を禁止する
法律が九月まであるわけですね。しかし、いまおっしゃいましたのは天然ガス、これについては民間が主体でやっておりますけれども、インフラ整備というのは大変金を要するということで、今度の石油の値下げによってそれが停滞しているわけではございませんで、なかなかむずかしい問題である、そういうものが背景にあると思います。
それから豪州との間でも、ことに石炭液化も豪州とはやっておりますし、原料炭とかいろいろありますが、政権が労働党政権になりましてから、
外国との取引については、ことに日本が一番中心になりますが、そのような問題については政府がその長期契約の改定とか価格に介入するということを新しい
総理が申しました。それに対してクイーンズランド州の首相あたりはそれは反対である、自由にやるべきだという
意見が対立しておるとは聞きますが、何しろ州首相よりもそれは連邦首相の方が上ですから、ここらのところは要注意だなと思って見ております。
-
○
国務大臣(竹下登君) カナダあるいはメキシコに限らず、インフラストラクチュアの問題、それからフィージビリティースタディー、そういういろいろなアプローチがあるわけでございますが、私の方は財政当局でございますので、いまのような通産
大臣の最初のお答えにもございましたように、代替エネルギーに対する意欲が喪失されてきやしないか、そういうような観点から組み立てられました施策に応じてその都度協議していくべきものであるというふうに考えております。
-
○
小西博行君 当分の間はやっぱり原子力発電ということになろうと思いますね。この計画を見ますと、六十五年で大体五千百から五千三百万という非常に大きな発電量を依然として計画変更なしにずっとやっているわけです。恐らく最近の原子力発電なんか考えてみますと、やっぱり完成まで十年から十五年かかるだろう、そういうような日程を食うような大きなプロジェクトですから、現在手をつけておっても間に合わないような発電所も実は出てくるわけですね。それを全部見ましても、恐らく三千万前後じゃないかというふうに私考えているわけですが、その辺に対する計画変更という問題をどういうふうに考えるのか、あるいはそれをどういう形で予定どおりやれるとすればやっていかれるのか、その辺のことをちょっとお聞きしたいと思います。
-
○
国務大臣(山中
貞則君) 長期エネルギー計画については、いまおっしゃいましたような点も踏まえながら改定作業を命じております。ただ、原子力発電については賛否両論ありますが、しかしわが国のような、原材料を武力を背景として獲得するとか、あるいは乗り出していっておどしじゃなくて本当に取ってしまうとか、過去はそういう
行動を日本がとったことがありますが、そういうことのできない国として、なお世界の指導国として認められるという国になるためには、やはり宇宙開発と海底資源の開発と原子力の平和利用、その中で平和利用の最たるものはいま実用化されている原子力発電である、こういうような考え方を拠点として、そういう視野で物をとらえて考えておりますが、原子力開発の実態というものは、いまおっしゃいましたように、最初の立地難から大変むずかしい問題が
御存じのとおりありますから省略するとして、ある意味では計画達成はどうかと言われた場合に、改定をしなければならないとい
うことは前の計画どおりには絶望的な状態にある、絶望と言っちゃ悪いですが、達成できないという正直なお答えを申し上げざるを得ない、そういう気でおります。
-
○
小西博行君 やっぱり私は原子力関係大いに賛成という方で今日までやってまいったわけです。これは「むつ」問題もそうでありました。ところが、どうも管理
体制という面が、一般産業の中での管理
体制、この辺が非常にやっぱり問題がまだ残っている。当然、科枝庁の長官も来ていただいておるわけですけれども、やっぱり私はもう少し謙虚にこの安全という問題をとらえてやらなければ、何か見つかるとうるさいからということで、臭い物にふたをするというやり方というのはやっぱりあるんじゃないかと思うんですね。
ましてや、たとえば九電力そのものにつきましては非常に大きな組織でありますし、安全ということは当然に相当進んでいると思いますね。ところが、実際に整備とかいう段階に入りますと、やっぱり外注関係を使っていくわけですね。その段階で私は安全のチェックというのが十分にいっていないんじゃないか、そういう意味では私はもう管理
体制というものさえ本当に的確にシステム的にぴしっと押さえておけば、ある程度もう九九%は安全についてはキャッチできるんじゃないかという実は感じを持っているわけです。どうも人間のチェックするという機能、これがシステム的にうまくいってないのか、あるいはそれを安全ということに対して余り過敏になり過ぎると、下請で働いておる方々の、ある許容量以上になりますと逆に働けないという、その面が両方ありまして、お互いの満足度のためにまあ少々見逃そうという、そういう姿勢が私あるんじゃないかという感じがしてならないわけです。
敦賀の発電所の問題でも相当いろんな問題を教訓として、非常に高い私は値段だったと思うんですけれども、この際ですから私はもっと管理
体制というもの、安全に対する管理
体制、これについてやっぱり通産あたりは相当指導的な
立場でやらないと私は問題はまだまだ消えないだろう、やっぱり企業の方はどうしてもメリットということが中心になりますから、私はその辺を特に外注関係の管理
体制、この辺をぜひやっていただきたい。それに対する考え方を聞かしてください。
-
○
国務大臣(山中
貞則君) これは問題なしとしません。やはり原子力発電については、世界唯一の被爆国たる日本の底辺にある共通の感情というものを踏まえていなきゃなりませんから、よその国以上に安全であることの証明、しかも動き出した後も絶対に安全であることの事実というものを示していかなければだめだと思うんです。
いまおっしゃったような管理
体制と一概に片づけていいかどうかわかりませんが、定期検査などでちょっと修理をしなきゃならぬ程度のものが見つかったときに、いままで全部報告していたかという点になりますと、問題が私はある。したがって、これからは発見してすぐその場で直せた問題であっても、故障は故障、事故は事故というものは全部いかなるささいなものでも上に上げなさいということで、ことしに入ってから全部報告をさせております。ということは、その裏に安全性が揺らぐのを、信頼が揺らぐのを恐れる余り、全くささいなものであったら報告しない方がいいという気が反面あるのではないか。ですから、そこを私はきちっと、いかなるささいなものでも報告しなさい、何の被害が起こらなくても報告しなさいということをいまやっておりますから、これからはその点は管理
体制といいますか、直接修理その他に携わる者たちも正常でない場合は全部報告するということにさせておりますから、今後その点は大分改善されるのじゃないでしょうか。
-
○
小西博行君 特にそういうように期待したいと思いますし、それから特にエネルギーの問題というのは短期的に物を見るというのじゃなくて、非常に私は特に日本の場合は大切な問題だというふうに思います。特に私は、永久にエネルギーが確保されるというのが非常に大事なことなんですけれども、同時にやっぱり安くやらなければ、資源がもともとございませんので、いろんなものをつくる場合でもどうしてもエネルギーというのが大きなコストに占めていく、そのように考えておりますから、何としてもまず原子力発電ということを中心に、十分に安全に気をつけてひとつやっていただきたいとお願いします。
科技庁の長官来ていただいておりますが、そういう安全についての御確認いつもしていただいておりますけれども、長官の考え方を最後にひとつお願いします。
-
○
国務大臣(安田隆明君) いま山中通産
大臣からお話しございましたが、本当に三十八年に初めて原子力の火がともりましたわが国ではいま二十四基動いておるわけでありますけれども、いままでの事故はと、こうなりまするというと、私、日本の安全規制というのは、いわゆる規制法に基づいて非常にこれ他の国よりかより厳しい枠組みの中で管理が行われているわけであります。したがって今日まで人身事故がない。
ただ、
小西先生がおっしゃいますように、いささかトラブルが起こる。このトラブルを見ているというと、設計、施工、このダブルチェックの中においてはこれはもう本当に間違いないだろう、ただ
小西先生がおっしゃるように、管理運営の中においていささか初歩的なミスが起こる、ここが一番問題であって、だからして本当にいま山中通産
大臣もおっしゃいましたように、これは絶対もう不断のやはり管理運営
体制というものに烱眼を持ってこれに
対応する、これ以外に方法ないと思っております。だからして、再びああいうふうなわれわれから言うと初歩的なミス、こういうようにわれわれ思っているんですよ、気の緩みと。これは絶対もう烱眼を、目を離さないように、おのおの監督官庁もそれから設置者も、
小西先生がおっしゃるようなところでわれわれは今後
対応していかなきゃならぬと、そういう気持ちでおります。御了解願いたいと思います。
-
○
小西博行君 とにかく原子力関係というのは非常にある意味では安全について相当慎重に考えていないと大変なことになる。特に私は「むつ」問題なんかでいろいろやっていまして、何でこんなに時間がえらいおくれてしまったんだろうかなと、せっかくやってですね。つまりこれやっぱりそういうチェックが十分でなかったということが言えると思うんですね。そういう意味で、新しいこういう技術というのは一回失敗を起こすともう取り返しがつかないぐらい後退になってしまうという面を一番憂えておる人間の一人なんです。そういうことで、ぜひとも考えていただきたいというように思います。
次に移りたいと思います。
科技庁の関係ひとつお願いします。実は中川長官時代にいつも私は言っておったわけですが、やっぱり日本の優秀な技術、先端技術ですね、これを何としてでも開発していかないと、これから世界全体を考えた場合に日本の将来の生きる道というのはやっぱりだんだん狭まってくるんじゃないか、だからいまの商品の輸出という態勢じゃなくて、むしろ技術の指導だとかサービスだとか、そういうもので日本が飯が食っていけるような態勢になれば一番いいなというふうに私思っているわけです。ただ残念なことに、いろんな研究の部門というのが、たとえば大学ですと
文部省の関係になっておりますね。それから理化学研究所なんというのは非常に優秀な部門がありますが、これは科技庁、あるいは工業技術院だとか、これ通産ですね。いろんな分野に分かれているわけですね。したがって、本当に本来的日本の将来の技術のためにこうだという一つのテーマを決めても、みんなそれぞれ、特に大学の場合は自分の好きなことをやっていいんですね。学問、研究の自由なんですね。そういうことで、せっかく能力ある者が予算とかその他で制約を受けて将来のためにつながっていないというのが実は現状だと私は思うんです。
そういった意味では、五十六年の十月でしたか、流動研究システムによる創造科学の確立といいますか、こういう非常に私はいいものができた
と思うんです。これもちろん産、官、学、あるいは
外国人、ここまで最近入っているわけですね。そういうようなことでテーマも大体毎年四つぐらいのテーマをふやしていきたいというようなことで今日まで来ているんですが、現実には五十六年に四テーマまずできまして、それから五十七年が一テーマです。五十八年からもう一テーマということで六テーマということなんですね。これは私、数が少ないだけじゃなくて、これは今後どういうような計画になっているか、なぜ現在まで六テーマしかやっていないのか、こういうことをあわせてお聞きしたいと思います。
-
○
政府委員(
原田稔君) お答え申し上げます。
創造科学技術推進制度は当初
先生のおっしゃるような構想といいますか、科学技術庁側の願望といいますか、そういう形で発足しておりまして、現在六テーマ実施いたすことになっております。テーマの数が少ないではないかという御
指摘でございますが、一つは財政事情もございますが、もう一つは、やはりこういうシーズ探索研究でありましても、やはりなるべくめどのついたもの、なるべくめどのつきやすいもの、あるいはリーダーの質が非常に大事でございますから、リーダーの
先生方をよく厳選すると申しますか、なるべくりっぱな
先生になっていただくということもありまして現在六テーマということになっております。
今後ともこれは科学技術庁としても最重点項目の一つでございますので、この拡充につきましては努力をしていきたいと思っております。
-
○
小西博行君 一つのテーマの中に五十七年十月に発足しておりますバイオホロニクスプロジェクトという非常にむずかしいのがあるわけですが、この予算を見ていますと、年間で九千七百六十万円、多分予算としては十月にスタートしておるものですから、これはそういう意味で予算が非常に少ないのかというように私は思っているわけですが、それでよろしいのでしょうか、予算的に。
-
○
政府委員(
原田稔君) 五十七年度に発足をいたしましたバイオホロニクス、確かに一億弱でございます。初年度発足のプロジェクトは大体その年度の後半ぐらいから実施に入るものでございますからどうしても予算的には額が小さく感ぜられますが、これで初年度の研究費としては十分ではないかと考えております。
-
○
小西博行君 このちょうど四テーマだけはもうすでに五十六年十月からスタートしているわけですが、具体的にいろんな研究の成果なんかも、あるいは成果というところまでいかなくても、大体どういうような形で編成してやっておられるというようなことは、これは報告はされているのでしょうか、それお聞きしたいと思います。
-
○
政府委員(
原田稔君) まだ具体的な成果というところまではいっておりません。しかし特許の出願件数も、二、三のテーマ全体合計でございますが、五十数件に上っております。私恐らく近い将来におきましてりっぱな成果が公表できるような段階になるのではないかと、かように期待いたしております。
-
○
小西博行君 予算の中をいろいろ調べてみたわけなんですが、流動研究システムの五十八年度予算額というのは二十二億一千万円、各プロジェクト別の内訳はそれぞれのテーマによって多少違うというように聞いておるわけですが、その点について一点お聞きしたいと思うんです。
テーマによってそれぞれの予算額が違うのだろうと思うんです。私の調べでは五十六年度に発足した四プロジェクトのうちにわずかに完全結晶プロジェクトのみが前年度の対比が六・一%増、残りの三プロジェクトというのは全部マイナスです。研究費がマイナスになっております。中でも特殊構造物質プロジェクト、これは前年に比べて一二%マイナスになっている、こういう実態があるわけなんです。その辺についてどうなんでしょうか、研究はスムーズにそれでいっているのでしょうか。
-
○
政府委員(
原田稔君) 五十八年度の予算は全体で二十二億一千万円でございます。五十七年度に比べまして約一二%程度の伸びになっておりまして、科学技術庁全体がたしか三・一%程度でございますから、かなり科学技術庁としては重点的に配分している、こういうことだと思います。
各テーマごとの予算はそれぞれの必要に応じましてかなり違っております。全体で五億数千万円に上るようなものもございますし、先ほどのバイオホロニクスのように第一年度は小さいわけでございますが、第二年度には約三億というような額に上るものもあるわけでございますが、私どもといたしましては、大体この額の中で十分と申しますか、かなりの研究が遂行できるのではないか、かように考えております。
-
○
小西博行君 とにかくこの流動研究システムというのは、当初申し上げましたように、将来におきまして非常に大切な私は研究の一つのモデルと言ってもいいんだと思うんですね。各省庁縦割りでやっておったやつを、優秀な人を集めて、しかも目的はもう明確にされておりますからね。そういう意味では非常にプラスになる私はシステムじゃないかというように考えておるわけですけれども、その場合にどうしても予算的な問題ですね。これがやっぱり私は大きな要因になるのではないかと思うんです。
というのは、長官、理化学研究所なんかへ行きましても、いろんな研究者に聞きますと、たとえば遺伝子組みかえなんかもそうなんですけれども、いま大体トップクラスの学者というのは数人おられると思うんです。ところが、将来どうですかとお聞きしますと、やっぱり予算的な制約で新しい実験の器具を買えないというのがあるんですね。ですから若いオーバードクターなんかが米国へ行って、いろんな向こうの著名な
先生の弟子になって、いつの間にかずっと優秀な学者になっているわけです。日本の場合はそれ思い切ってやれないからなかなかいいのができない。恐らくいまはトップでおっても三年か四年かするともう二流になるでしょうということを研究者の皆さん方がもうすでに言っているわけですね。今回の場合でも予算が少し足りないというような不満の声が出ておるわけですね。こういうものに対しては私はやっぱり十分聞いてあげる必要があるのじゃないか。
たとえば東京大学の名誉教授の佐々学
先生というのがいらっしゃいますけれども、この
先生なんかでも、やっぱり日本の将来において特に創造的な何か開発していくためにはどうしても大型プロジェクト細まにゃいかぬわけです。そのときどうしてもいつも予算を渋る、予算がないということで思い切ったことが全然できないんですね。そういう実態があるために、世界一流の学者はいてもなかなかいいものができないという点が私はあるのじゃないかと思うんですが、その辺に対する御認識はいかがですか。
-
○
国務大臣(安田隆明君) 私も着任いたしまして科学技術振興政策の全体像を一遍これ総ざらいに見ました。
〔理事嶋崎均君退席、
委員長着席〕
そうして、この中でいま
小西先生おっしゃいますように、本当にこの制度は、産、学、官、一体の受け皿をつくっちゃって、新しい種を何としてもこれ芽を出しちゃう、こういう制度で、私は本当にこれはすばらしいりっぱな制度を科技庁は手の中に持っている。こういうわけで非常にこれに大きな期待を持っております。
そこで財政の問題、予算の問題と、こうなるわけでありますが、非常に厳しい財政の中で財政当局は非常に理解を示してくれました。やはり今日の三・一%という、こういうマイナスシーリングの中でこの予算だけは一一・六%、約一二%の伸びをいただいておるわけであります。しかし、
先生おっしゃいますように、これをもってわれわれは足れりとせずと、こういうわけで引き続き財政当局の御理解を得まして
先生の御期待にこたえたい、こういう気持ちいっぱいでおります。これは大事な仕事だと、こういう認識の上に立って今後とも努力をいたします。
-
○
小西博行君 いや、そんなにたくさん私は出してもらってないと思うんです。というのは科学技
術予算見てみますと、どうしても科学博とか、それから今度「むつ」問題ですね。この辺に大幅な予算が入っておりまして、実際の研究といいますか、一般の基礎的な研究といいますか、そういうものに対しては私はまだまだ不満だというように実際は考えておりまして、その話は結構でございますけれども、私はそういうふうに考えております。
ただ大蔵
大臣、この問題で最後に御質問申し上げるわけです。お願いと言った方がいいかもわかりませんけれども、ちょうど中川さんが長官をされていた時代、渡辺大蔵
大臣ですね、大蔵省。そのお二人の中で、とにかくこれから先、新しいそういう創造科学といいますか、先端技術について日本やらなきゃいかぬ、それについては流動研究システムなんだ、そのために予算をもっとふやしてほしいという内々のいろいろお話がありまして、これ新聞にも出ましたけれども、将来は五百億ぐらいいきたい、こういう話があるものですから、ぜひとも大蔵
大臣、その辺をよく御認識していただいて、ぜひともよろしくお願いしたいと思いますが、その点に対しての御
意見をぜひお聞きしたいと思います。
-
○
国務大臣(竹下登君) これ五十六年度予算、あのときにいわゆる基礎研究の科学技術振興調整費と、それからいま御
指摘になっております創造科学技術推進事業、これが芽を出したということが科学技術立国とかあるいは科学技術振興元年とか言われたゆえんのものだろうと、私もそういうふうに理解しております。御
指摘のようなよいアイデアでありますが、これから現在あります六つのプロジェクトというものの推移を見守っていくというのもまた一つの見識でもあろうかと思いますので、そういう実績などを見ながら十分これに検討、配慮を加えるべき問題であるというふうに理解をさしていただいております。
-
○
小西博行君 研究員の問題について少し質問さしていただきたいのですが、時間が余りないものですからはしょって一、二点だけお願いしたいと思います。
このプロジェクトなんですけれども、先ほど申し上げた流動研究システムのプロジェクトなんですが、現在で九十一名の研究者がおられるんですね。そして、その中で二十一名が国立大学のOBですね。
先生はそのうち二名です。そういう中で特にオーバードクターというのが非常に数が多いんですよ。十九名おるんです。だから、九十一名の学者の中にオーバードクターと称される非常に若い人、これ十九名おられますね。ところが、実際このシステムというのは大体五年間で元の職場へ帰るということになっているんですね。永遠に保障するんじゃないんですね。聞いてみますと将来の方向というのは全然定まっていないということなんですが、このオーバードクターの十九名の皆さん方に対して五年後はどういうふうに扱っていかれるのか、これをまずお伺いしたいと思います。
-
○
政府委員(
原田稔君) いま
先生御
指摘の問題は一つの問題点でございます。
私どもは、この五年間の期間にできるだけりっぱな成果を上げていただいて、その成果を上げれば恐らく各界から非常に引っ張りだこになるような、そういう人材を集めてもおりますので、そういう形で、ひとつ研究の成果を上げるということを通じて、新しい道を開いていくということが一つございます。それから、やはりリーダーの方方、なかなかりっぱな方々でございますし、各界にも非常に広い顔を持っておられますので、そういう方々とも私ども一緒に協力いたしまして、五年たった後の保障の問題につきましては努力をしていきたい、かように思っております。
-
○
小西博行君 研究室というのはどこでもそうですけれども、なかなか個性の強い人が、個性の強い学者がみんな集まるわけでして、どうしてもうっかりすると派閥構成みたいになってみたり、年が上だからあの人にはかなわないとか、案外保守的な世界だというふうに、私も経験がありますからそのように思います。そういう意味では、特に今度の面は、若い人をたくさん入れられたという面では私は大変すばらしいと思うんです。あとは周辺の環境整備さえやってあげれば非常に私はおもしろい研究がこれから次々出てくるんではないかというように思います。
それからもう一点は、どうしても研究というのは先急ぎますから、ですから何にも出ないからもうやめたとか、そういうことのないように、長期的なビジョンに立った上でやっぱり着々と伸びるような形をぜひとっていただきたい。
そして、
外国人の研究者も数名おられるんですね。その方のやっぱり私は入ってきた経緯をちょっと聞きたいですね。採用基準といいますか、いろんな学者の人を、あなたどうぞということで選ばれるのでしょうけれども、何かそこに一 つの採用の基準といいますか、あるいはそこで新しい発明発見ができた場合にどういうふうにでき上がったものに対して処理していくといいますか、こういう面と二点だけお伺いしたいと思います。
-
○
政府委員(
原田稔君) 一つは採用の基準でございますが、明確に採用の基準について内規があるわけではございませんが、この研究システムはリーダーの方々のリーダーシップというのが非常に大事でございます。したがいまして、基本的にはリーダーになった
先生がすでに国際的な活躍をしておられますから、そのいわば活躍のいろいろな御経験を通じましてりっぱな方を選んできたということはございます。それからもう一つは、日本でこういうりっぱなことをやっているからぜひ参加したいということで入ってくる方もおられます。基本的にはなるべくりっぱな方を、しかも比較的中堅どころの若い方にぜひ参加していただく、こういうことでいたしております。
-
○
小西博行君 大学別に見ますと、国立大学というのは非常にしぼられておるように思うんですが、これ私のデータが間違いだったら許してもらいたいのですが、東大、名古屋大学、京大、千葉大、この四つですか、四つにしぼられておるように思うんですけれども、そのほかの
先生方が優秀じゃないということはないと思うんですが、これどういう経緯なんでしょうか。それだけちょっと。
-
○
政府委員(
原田稔君) 特別に経緯はございません。結果的にそうなったというわけでございます。
それから、
先生の先ほどの御質問の中で、成果の取り扱いの問題でございますが、これは研究の成果につきましては、事業団と発明者と申しますか、発明者との間の共有という形になっております。
-
○
小西博行君 どうも発明者の共有ですか、事業団と。発明者というのはそのブロックという意味ですか。それなら結構です。
私は、昔例のICだとか超LSIの研究というのは各省庁で大変成功した例がありますね。あれは基本設計そのものがアメリカから買ったという経緯があったから非常に私は成功したと思うんです。今回の場合は全く新しいものを研究開発しようという非常に画期的なことですから、でき上がったものに対してよほどうまくやらないと非常に私は将来問題が残るのじゃないだろうかなと。特にそういう研究開発となりますと、海外の方々というのは日本人に対して非常に疑問視をしているわけですね。いいものだけ持っていくのじゃないか、それからわれわれに対してはもう余りいいものはくれないのじゃないかというようないろんな評価があるだけに、やっぱりその辺の整備をぴしっとしておかないと後で問題が起きるのじゃないか、このように考えます。一応、これもっとやりたいのですけれども、特に研究者の処遇の問題とかいうことについてはぜひとも科技庁の方でも考えていただきたいというふうに思います。
じゃ、次に移ります。最後になろうかと思うんですけれども、これ実はきょうは食糧安保の問題をいろいろとらえて、果たして日本の将来のために現在のままでいいんだろうかという問題がございまして、その問題をやりたいと思っておったんですが、急遽一、二点だけ先にその前に農水関係
でお願いしたいんですが、実は一時手当、林野の年度末手当、この問題がもうせっぱ詰まっているというように思うんですけれども、電電とか郵政関係ですね。これはもう二十六日妥結ということになっておりますね。それで、林野関係だけがこれまだ、まあ国鉄もそうですか、残されておるというように聞いているんですが、この見通しはどうなんでしょうか。大体もうすぐ結論は出るんでしょうか、これお聞きしたいと思いますが。
-
○
政府委員(秋山智英君) お答えします。
国有林野事業の年度末手当につきましては、ただいま国有林の財務事情あるいは公務員の給与に関する一般的な世論等も総合的に現在検討している最中でございます。できるだけ早く労使の自主的交渉で決めてまいりたい、かように考えております。
-
○
小西博行君 これは労使の協議の場にずっとゆだねられておるわけですね。ですから、その辺で早く結論を出していただきたい、一生懸命がんばっているわけですから。何も林野だけがおくれているということではないと思いますけれども、やっぱり早くその辺の処置をしてあげてほしいということを要望しておきたいと思います。
農水関係にそれでは移っていきたいというふうに思います。わが国は先進諸国の中でやっぱり食糧の輸入依存度というのが非常にウエートが高いというように私ども考えておるわけです。こういうことで将来果たしてどうなんだろうかなと。これはもう最近いろいろ議論されておるわけでありますけれども、わが国の不測の事態といいますか、余り起こっちゃいけないのですけれども、そういう事態に対してどのようなそれ以外の問題点が発生する可能性があるのか、この辺からお伺いしたいと思います。
-
○
政府委員(
角道謙一君) お答えを申し上げます。
食糧の不足するような不測の事態というものにつきましては、かねてから私ども部内で検討いたしておるわけでございますが、
昭和五十五年の十月に農政審議会から答申がございまして、それに基づきまして、専門家のレベルでいろいろ議論をしていただいたわけでございます。その結果、昨年の八月、農政審議会の報告ということで「「八〇年代の農政の基本方向」の推進について」ということでまとめられております。
この中で不測の事態につきましては、私ども考えられますのは、国内で自給している米等につきましては異常気象あるいは台風等によりまして不作が続くというような事態がございますし、またいま御
指摘のように、穀物、特に飼料穀物、小麦等につきましては海外に非常に依存しているという状態から見まして、これが輸送上の困難があったり、これはたとえば港湾ストとか、カナダ、アメリカの五湖の凍結等でございますが、こういうような場合で輸送上の困難、支障が生じたり、あるいは不作が続くとか、これは不作は生産国だけじゃなしにソ連あるいは中国、インドのように需要国の側の不作があるとか、あるいは政治的要因によりまして輸送が抑えられるというような状態が考えられるかと考えております。
これにつきまして、私ども平素から国内におきまして不測の事態に備えましてできるだけ食糧の自給力、これは優良の農用地を確保するとか、あるいは水資源を確保するとか、そういう形で、一方においては生産基盤を充実させていく。と同時に、食生活におきましてもできるだけ国内で生産できるもの、これはただ栄養的面から見ましても必要なものということでございますので、私ども日本型食生活というものにつきましても定着を図るということで、平素から不測の事態に備えて食糧自給力の維持強化を図る必要がある。
他方、輸入等に備えましてはできるだけ食糧輸入の安定を図っていく。これには安定的輸入を確保するとか、あるいは世界的にやはり発展途上国におきまして特に農業生産力が弱いものでございますから、これにつきましては平素から国際協力、特に技術協力を通じまして生産力の増強を図っていくというようなことも必要かと思いますし、また国際的には現在世界食糧備蓄機構というのがございますが、そういうところで国際備蓄というものを考えていくというようなこともあろうかと思っています。
また、もう一つの問題といたしましては、不測の事態に備えまして、国内におきまして特に輸入に依存しております飼料穀物、小麦、大豆等につきましては国内備蓄を図っていくというような方向で現在いろいろな施策を講じておるところでございます。
-
○
小西博行君 何もかも全部答えていただきましたので、大変時間が節約できたと思います。
私は食糧関係だけは十分検討しておく必要がある、特にアメリカが減反政策を思い切ってとっていくということが最近新聞に出ておりますので、その点も含めて考えていただきたいと思います。この問題はまたの機会にじっくりやらしていただきたいと思います。
きょうは
自治大臣に来ていただいておりますので、最後になりますけれども、
選挙の関係ですね。どうもわが党の塚本書記長も実はこの間質問されたと思うし、
社会党の
先生方も質問されておりますけれども、とにかく最近の全国区の問題に対してえらいやり過ぎじゃないかというように思うんですね。特に私は
自治省の中にもそういう動きが大いにあるということを聞きまして、実はびっくりしたわけですが、その件に対しての認識はどうでしょうか、
大臣。
-
○
国務大臣(
山本幸雄君) 新しい比例代表制度というものができて、それの施行をめぐっていろいろな動きが出てきたように思うのですが、その中でいま御
指摘のようなお話も承るわけでございますが、私どもは少なくも役所の中ではさようなことは行われていない、こう確信をしているわけです。
-
○
小西博行君 こういうものが出ておるのですね。この中に書いていることが、また非常にえげつないことを書いておりまして、余りこういうことをやらない方がいいだろうと思うのですよ。だから、ある
団体が一生懸命に票集めしなきゃいかぬということでやっておるのですけれども、文句が喜んでやっておるというのじゃないんです、当然。もうやむを得ずやるんですというような感じで党員の拡大、あるいは票の集めということをやっているのですね。せめて
自治省だけでもぱちっとひとつやっていただきたいと思うんですが、どうでしょうか。
-
○
国務大臣(
山本幸雄君)
自治省を退職した人がそういう
団体の推薦を受けてやっておられるわけでございまして、少なくも役所の中ではそういうようなことの運動にはかかわっていないものと、先ほど申し上げたとおりでございます。
-
-
-
○
小西博行君 大変それは締めつけが厳しいわけですね。ですから、その点を十分考えてやっていただきたい。そうしないと、姿勢を正すことになりませんよ。
そのことを申し上げまして、大変時間が少なくて、あっちこっち飛びましたけれども、質問を終わりたいと思います。(拍手)
-
○
委員長(
土屋義彦君) 以上で
小西博行君の質疑は終了いたしました。
午前の質疑はこれまでとし、午後一時三十分まで休憩をいたします。
午後零時二十五分休憩
─────・─────
午後一時三十六分開会
-
-
○粕谷照美君 これまで何回も国会で問題になってきました旧日本赤十字社救護看護婦、旧陸海軍
従軍看護婦の処遇、すなわち慰労給付金制度についてお尋ねをいたします。
この従軍看護婦さんたちの慰労給付金制度というものができてきましたその経過並びに意義、そしてこの概要というものを御説明をいただきたい。
そして、
総理府総務長官からは、この救護看護婦、従軍看護婦の処遇問題についての御認識をお伺いしたいと思います。
-
○
政府委員(菊池貞二君) この旧日赤看護婦及び旧陸海軍従軍看護婦につきましては、女性の身でありながら軍の命令によって戦地、事変地に派遣され、旧陸海軍の戦時衛生勤務に従事した、こういう特殊事情を考えまして、旧日赤の救護看護婦につきましては
昭和五十四年度から、それから旧陸海軍従軍看護婦につきましては
昭和五十六年度から慰労給付金を支給することになったわけでございます。
-
○
国務大臣(
丹羽兵助君) ただいま
先生からお尋ねの、旧日赤看護婦及び旧陸海軍従軍看護婦さんについてどのような認識を持っておるかというお尋ねでございますが、ただいま政府の事務当局からお答え申し上げましたのではございまするが、重ねて私からはっきり申し上げておきたいと思いますのは、いまも申し上げましたように、日赤救護看護婦及び陸海軍従軍看護婦さんは、女性の身でありながら軍の命令に従って戦地、事変地に派遣され、陸海軍の戦時衛生勤務に従事してくださった。また戦後においては抑留され、長期にわたって非常に御苦労をかけたというこの気持ち、非常に御苦労をかけたということから、特殊事情にあることを特に考慮いたしまして、その労苦に報いるために慰労給付金というのを支給させていただいたのでございます。いま申し上げましたように、非常に御苦労願ったんだと、この方々に対して、特にこういう特殊な事情の中にあって御苦労いただいたからということでやらせていただいたのでございます。
-
○粕谷照美君 先ほど私は、この経過と同時に慰労金の支給概要をお願いしたい、こういうふうにお尋ねしたわけですが……。
-
○
政府委員(菊池貞二君) 慰労給付金の給付状況でございますが、
昭和五十七年度における慰労給付金の支給対象者は、旧日赤看護婦、旧陸海軍看護婦合わせまして二千百五十三人でございます。
金額といたしましては二億六千七百三十二万八千円ということになっておりまして、内訳を申し上げますと、実勤務年数が三年から五年勤務された方が千四百九十名、六年から八年勤務をされた方が二百八十四名、九年から十一年にかけて勤務された方が二百九十七名、十二年から十四年にかけて勤務された方が六十三人、それから十五年から十七年にかけて勤務された方が十六人、十八年以上は三人となっております。
-
○粕谷照美君 ずいぶんこれ人数ふえてきたというふうに思うんですけれども、該当者を見つけ出すことができたということは大変うれしいと思うんですが、三年から五年、六年から八年、九年から十一年というこの区分の基準というものは何をもとにしてやられたものですか。
-
○
政府委員(菊池貞二君) 実勤務年数でございます。
-
○粕谷照美君 それならなぜ三年の人は何人、五年の人は何人というふうにしなかったのかということですね。三年から五年、六年から八年というこの区分は何を基準にしてやられたのですか。
-
○
政府委員(菊池貞二君) この区分は恩給法に準じまして、兵の恩給に準じまして、その金額を定めるときに定めた期間でございます。
-
○粕谷照美君 区分は恩給に準じてということがいま明確になったと思います。私はこの慰労給付金が最低が年額十万円、最高で三十万円、三十万円といいますと、月にすると二万五千円、十万円だったら月八千円、こういう低額性をどうしても問題にしていかなければならないというふうに考えているところです。
それで、いま御報告がありましたように、三年から五年で十万円支給される方は千四百七十人ですか、もう圧倒的に多いわけですね。そして十八年以上の最高の三十万円の方がたった三人だと。そうしてもう一つは、この制度が発足してから一度も増額がされないで、改善されないで今日に至っているということは非常に問題だ、こういうふうに思うものですから、増額改善をされなかった理由、特に物価がずっとその間上昇しているわけです、実質価値というものはずっと目減りをして余儀なくされているというふうに思うのですが、低額プラス目減り、これではもうダブルパンチではないか、こう思うものですから、その理由をお伺いしたいと思います。
-
○
国務大臣(
丹羽兵助君) ただいま
先生から、せっかく給付金としてお与えしておるのが一向物価等の変動によって変わってないじゃないかと、どういう気持ちかという、また、今後どういう考えを持っておるかというお尋ねのように拝聴いたしましたので、それについて私どもの考えを申し述べさしていただきたい、こう考えております。
先ほど私が申し上げましたように、この方々は、いわゆる戦時衛生勤務に従事していただいた特殊な事情を考慮して、日本赤十字社が支給することとしたものでありまして、これによって所得の保障という年金的な
性格を有するものでないので、増額は困難のようにいまのところは思っております。しかしながら、増額は困難だとは思っておりますけれども、しかし、さきの国会の方で、
委員会で附帯決議をされておりまするので、この趣旨を十分私どもは尊重いたし、引き続き、そうしたものでございますけれども、附帯決議の趣旨を尊重いたしまして引き続き検討をいたしてまいりたい。また将来、
社会経済情勢の大きな変化があれば、慰労給付金の額の改善について日本赤十字社の意向等も十分参酌しながら、慎重にひとつ考えていかなくちゃならぬ、かように考えております。
-
○粕谷照美君 国会の附帯決議を尊重していきたいと言われる
総務長官のお答えは、私は非常にありがたいと思っております。しかし、将来大きな変動があれば考えるという、その大きな変動という意味がよくわからないわけであります。現実にもう物価は上がっているわけでありますし、経済状況も次から次へと上昇している状況がありますので、この点については早急に考え直していただきたい、こういうふうに思っております。
ところで、それにしても慰労金は所得保障という年金的なものではない、こういうことで過去の御苦労に対する
措置だというふうに逃げているのは、やっぱり許せないというふうに思っているわけであります。それで、慰労金給付制度は恩給に準ずるものだと、私議事録を調べてみましたけれども、常に
答弁をされているわけであります。恩給に準ずるという、その準ずるの意味を御説明ください。
-
○
政府委員(菊池貞二君) ただいま恩給に準じているということの意味のお尋ねございましたが、慰労給付金の恩給に準じている
措置といたしましては四つほどございまして、一つが、実勤務期間に加算年を加えた年数が十二年以上であるという一つの要件。それから二番目に、戦地または事変地の区域の範囲というものを恩給に合わせておる。三番目に支給開始年齢を五十五歳としているわけでございます。それから四番目に、その額は兵たる旧軍人に支給する普通恩給の額を考慮して、実勤務期間の長短に応じて算出をしているということでございます。
-
○粕谷照美君 一項目から三項目まではわかりました。
その最後のところなんですけれども、兵たる云々のところのその兵はいま恩給支給額がどのくらいになっておりますか。
-
○
政府委員(菊池貞二君) 申しわけございませんが、ちょっと担当でもありませんので、資料を持っておりません。
-
○粕谷照美君 参議院内閣
委員会の
調査室が昨年の三月に出しました恩給法等の一部を改正する
法律案
審査資料というものを私持ってきているわけなんですけれども、六十五歳以上の者に給する普
通恩給、六年未満というのが現行三十七万四千五百円、これを五十七年五月以降三十九万五千百円にしていきたい。増加額は二万六百円だ。あるいは六十五歳未満の者でというものの中には現行三十七万四千五百円を三十九万五千百円、増加額は二万六百円だと、こういう資料を持っているわけなんですけれども、その額に準ずると、こういうことで理解してよろしいですか。
-
○
政府委員(菊池貞二君) いまお話しのことでございますが、これは旧日赤救護看護婦に対する給付金を支給しますときに定めましたのは、
昭和五十四年のときの恩給の兵の処遇状況を勘案してつくったものでございます。
-
○粕谷照美君
昭和五十四年の資料を私は持ってきていませんから、いま五十七年の資料でこういうふうに話ししたわけですけれども、その額で計算をいたしましても非常に低いというふうに考えているんですよね。四分の一であります。確かに恩給ではないでしょう。しかし、準ずるんですから、半分とかあるいは八割とかいうなら話がわかりますけれども、こういう低額だという根拠が全然わからないわけであります。
-
○
政府委員(菊池貞二君)
昭和五十四年度のときの兵の恩給年額等非常に細かくあるんでございますが、一応それに準じまして、先ほど申し上げましたように、実勤務年数が三年から五年の方は十万という形で算定をいたしたわけでございます。
-
○粕谷照美君
総務長官、こういう額で準ずるというふうに理解してよろしいでしょうか。
-
○
国務大臣(
丹羽兵助君) 私の考えを率直に申しますと、私の方のお答えしておる考え方と、
先生から御
指摘くださるお気持ちとはどうも食い違いがあるようであります。しかし、いま役所としてはそういう考え方をしておりますが、せっかく参議院の方でも衆議院の方でも
委員会で決議されておることでございますから、先ほど申し上げましたように、十分それらのことも踏まえて今後検討してまいりたい、かように思っております。
-
○粕谷照美君 ぜひそのことについては御審議をお願いしたいと思います。
さらに、この慰労給付金制度の対象から外されている人たちの人数はどのくらいになっておりますか。
-
○
政府委員(菊池貞二君) お尋ねの件は資格の要件でございます加算年を加えても十二年未満というふうに思ってお答えいたしますが、日赤の旧看護婦の方の関係では、十二年未満の方が八千九百六十七名、旧陸海軍の関係でございますと四千六百二十一名いらっしゃいます。
-
○粕谷照美君 恩給不適格者という方が相当数いらっしゃる。この問題は内閣
委員会でも大変問題になっています。
いま恩給に準じてこの慰労給付金をもらわれてない方々が八千九百あるいは四千六百といらっしゃることについて、非常に私は心の痛むものがあるわけでありますが、先日、アメリカで日系強制収容
調査委員会が、弁解の余地なきわが国政府の犯罪行為であったと。こうして太平洋岸に住む日本人は一世、二世を問わず即刻強制収容所に隔離せよというルーズベルト大統領の
行政命令第九百六十六号に対する戦時中のことについての判断、最終結論をこう出された。ニュースによれば、米国政府の公式謝罪と国家補償が打ち出されることが確実になったのではないかと、こういうふうに言われているわけでありますけれども、
総務長官にお伺いをしますけれども、長官の私的諮問
機関であります戦後処理問題
懇談会は、五十七年、五十八年度各五百万円の予算がついておりますけれども、この検討項目、検討状況、そして結論をいつごろに出されるのかお伺いいたします。
-
○
政府委員(
禿河徹映君) お答え申し上げます。
戦後処理問題
懇談会は昨年の六月三十日の第一回の会合以来、現在まで大体月一回くらいのペースで開かれておりまして、ただいままで六回終了いたしております。
その間におきましては、まず各省庁がこれまでとってまいりましたいろいろな
措置、これについてのヒヤリングをやろうということで、戦後とってまいりました援護関係の
措置、それからシベリア抑留者の問題、在外財産処理の問題、さらに恩給欠格者の問題等々につきまして、これまでヒヤリングを行ってきたわけでございます。戦後処理問題と申しますのは、これはまたとらえ方によりましてその範囲というものはいろいろございます。幅広くとれば大変広いことにもなりますし、大変複雑で困難な問題でございます。
そういうことで、まずいろいろここでヒヤリングを行いまして、これまでの
措置についていろいろ検討を加えまして、そして論議を重ねていこう、こういう姿勢で取り組んでいただいておりまして、当初こういう問題につきまして御論議をいただきましたときに、大変むずかしい複雑困難な問題であるだけに、よほど慎重に検討を重ねなくてはなるまいということで、各
委員の
先生方のお感じでは、これは少なくともやはり二年程度はかかるんではなかろうかというのが大方のお感じでございました。
-
○粕谷照美君 こういう
懇談会、諮問
機関を持ったということは、やっぱりやるという姿勢があるからこそ持ったんだと思うんですけれども、その辺はどうなんですか。
-
○
政府委員(
禿河徹映君)
先生すでに御
承知だと存じますけれども、戦後処理の問題につきましては、
昭和四十二年の引揚者に対します特別の
措置をもって、政府といたしましては一応全部決着がついたものというふうに判断いたし、そのような国会
答弁等々も行ってきたところでございます。
しかし、やはりその後におきましていろいろな問題が起こり、各方面からの御要望等がありまして、先ほどお話し申し上げました三つの問題、シベリア抑留者の問題、在外財産の問題及び恩給欠格者の問題というものにつきまして、やはり御要望というものが非常に高くなってまいりました。そういうふうな事態を踏まえまして、この問題を中心に、戦後処理問題というものは一体いかにあるべきかという基本論から、もう一度ここで御検討いただこうということでこの
懇談会が設けられたわけでございます。
したがいまして、論議の先行きにつきまして、あらゆる予断なしにこの
懇談会でいろいろ自由に中立的な角度から御検討いただいて、その結論を待って政府の
対応策を考えたい、こういうことでございます。
-
○粕谷照美君 そうすると、本年いっぱいということになりますか、二年間といいますと。
-
○
政府委員(
禿河徹映君) 第一回目の
懇談会の開催が昨年の六月末でございましたもんですから、単純にそれから二年と申しましても、やはり来年の夏ということに相なろうかと思います。
-
○粕谷照美君 そこのところで審議される事項というのは
委員の方々がおやりになるというふうに思いますけれども、恩給欠格者の救済が挙げられているわけですから、これが審議の対象となっているならば、当然従軍看護婦の慰労給付金欠格者ですね、この方々も含まれてしかるべきだと、こういうふうに考えますけれども、いかがでしょう。
-
○
政府委員(
禿河徹映君) ただいま
先生からお話がありましたとおり、
懇談会でどういう問題を取り上げていこうかということは、また
懇談会の各
先生の御
意見で決められていく面が大変多い、そういう
性格のものであろうとは存じます。
ただ、いまお話がありました旧日赤看護婦並びに陸海軍の従軍看護婦の問題は、当
懇談会におきましても恩給の欠格者の問題と絡みまして、すでにそのとってきた
措置の状況、経緯というものにつきまして御報告はいたしてございます。
それで、今後どうなるかということは、もうまさに
懇談会の方でお決めいただかなくてはならない事柄でございまして、私どもが現在の
立場でとやかく申し上げるのは適当でないと存じますが、一般的に申しましてこの
懇談会の
性格が戦後処理問題というのは一体いかにあるべきかという非常に広範、困難な問題を総括的に御論議をいただこうと、こういう場でございますので、一般論で申しました場合には、各省庁がこれまでとってきま
した各種制度、
措置というものについての個々具体的な運用と申しますか、その改定と申しますか、そういうところにまで、森羅万象にわたって立ち入って論議というわけにはなかなかいきかねる、こういう問題ではあろうと思います。
ただ、いま申しましたとおり、この問題につきましては恩給の問題とあわせてこの
懇談会にも御報告申し上げ、各
委員の方々も問題意識はお持ちのことであろうと、かように存じております。
-
○粕谷照美君
総理府のやってこられたことでありますから、本当に私は御苦労だと思って喜んでいるわけでありますけれども、ぜひ一緒に、恩給に準じてということになっているわけですから、
対策をとっていただきたいと、こう思うわけですけれども、いまここにもそれぞれの従軍看護婦の方々、救護看護婦の方々からの請願書があるわけであります。紹介議員板垣正氏だとか、目黒今朝次郎氏だとか、大変切実な要望になっているわけでございまして、
総務長官のこの問題に対する御
答弁をお伺いして終わりたいと思います。
-
○
国務大臣(
丹羽兵助君) 先ほど当局からお答えさしていただきましたように、
昭和四十二年の引揚者等に対する特別交付金の支給に関する
法律をお決めいただいたときに、戦後処理はこれで一切解決したことにはなっておりまするが、その後
先生から御
指摘のようないろいろの問題が近年戦後処理としてまた出てまいりましたので、お答えしましたようにこの
懇談会をつくりまして、この恩給欠格者の問題等を含めて、さらに三、四の問題に取り組んでおっていただきます。
そこで、恩給欠格者の経緯をお話しするときに、この問題を、
先生の御
指摘の看護婦さんたちとの問題の話も十分伝えてございますので、当然私の
懇談会のやっていただくことでございますけれども、そうした問題もこちらで話してありまするから、取り上げていただけるものと期待はしておりまするし、また私どももそういう気持ちでできるだけ努力さしていただきたいと、かように考えております。
-
○粕谷照美君 私は、この問題は戦争があって、その戦争の中でこういうものが出てきたんだというふうに理解をしておりますので、本当に大きな戦後処理の一つであった、こういうふうに判断をしているわけであります。
それと直接の関連ではありませんけれども、次に日系ブラジル一世の移民に対する政府の
対応策についてお伺いをしたいと思います。
去年、現地の老人クラブ大会で議決をされました日本の老齢福祉年金の支給要請についてというのがあるわけですが、この問題については、五十一年の五月の七日に、目黒今朝次郎議員が当時の
三木総理及び
田中厚生
大臣に対して質問をしているわけであります。その際に、前向きに検討するという御
答弁があったわけですけれども、この七年間にどのような検討及び研究がなされましたか、お伺いいたします。
-
○
政府委員(
山口新一郎君) お答え申し上げます。
先生ただいま五十一年の当院の
委員会におきまする質疑のことのお話があったわけでございますが、その翌年の四月にも同じ問題が目黒
先生から御提案がございました。そのときに当時の渡辺厚生
大臣がお答えをしているわけでございますが、その中で、ちょっとその点を朗読さしていただきますと、
日本の老齢福祉年金は無拠出でございますが、これは所得制限等もついております。したがって、向こうで本当に困った者をどういうふうに救うか、どういうふうに調べるかという手段方法というのが現実にはない。また、あんまり
外国政府の中まで干渉するようなこともいかがなものかというようなこと等もあって、外務省の予算で、
云々というお答えを申し上げております。いまの御提案の問題は
社会保障関係の制度を施政権の及ばない
地域にまでどう適用するのかというような問題にかかわる根本的な問題でございます。所得制限の場合にはいろいろ把握のための事務等ございますので、そういうことも考えますと、一般的な制度であります福祉年金としてはなかなか
対応がむずかしいのではないかというふうに私どもは考えております。
-
○粕谷照美君 確かに御説明にありましたように、現行の制度では老齢福祉年金が支給できないということはわかっているわけであります。しかし、政府がやる気があればそのほかの形で実質的な支給ができるのではないかということをお尋ねしているわけであります。たとえば西ドイツ方式だとか、あるいは宮城県方式だとかというのがあるわけですけれども、こういうものを参考にされないでしょうか。
-
○
政府委員(
山口新一郎君) お答え申し上げます。
ただいまお話のありました西ドイツのやり方とか、宮城県方式というのを私はよく存じ上げておりませんが、五十二年の
委員会の渡辺厚生
大臣のときのお答えから推測いたしますと、この関係は在外邦人に対する援護
対策をどうするかということで、むしろ厚生省の分野というよりは外務省の分野で
対応するというようなふうに私どもは伺ってきたわけでございます。
-
○粕谷照美君 去年の五月十日に「ブラジル老壮の友」という新聞の百発刊を記念いたしまして、サンパウロ総領事の言葉が載っているわけであります。この藪領事は、老人クラブの日本の老齢福祉年金の支給要請の決議に対して、結論としてこういうことを言っておられます。実現ははなはだ困難。日本側の制度改正に望みを託するよりむしろブラジルの福祉年金制度を活用することを考えてほしい、こういうものでございます。政府はもう、この問題については結論を出している、そうしてもう一切ブラジルのものをもらった方がいいんだ、こういうふうに考えているのでしょうか。
-
○
説明員(藤本芳男君) 移住者の老人福祉問題というのは大変に大事な問題でございまして、私ども外務省におきまして日夜心を痛めております。藪総領事の答えがあったというお話でございますが、ただいまの厚生省らの御
答弁にもございましたように、ブラジル自体の老人福祉
対策というものがございますわけで、それに対する介入と申しましょうか、関与というものはこれは限界があるということが一つございます。ただ、私どもが認めてもらっております移住関係の予算におきまして、老人福祉関係の要請がありました場合には、その予算の範囲内で努力をいたしたいと思っております。サントスにおきまして、もともと移住者援護の施設がございましたものを、老人ホームのために譲渡いたしましたこともございますし、また、そのほか移住地におきましてはもろもろの福祉
対策をやっている次第でございます。
-
○粕谷照美君 この藪総領事がやっぱりブラジルの制度を利用した方がよろしいと、こう言う中にはブラジルの制度そのものの説明も載っているわけでございますが、しかし、地の方々にお伺いをいたしますと、大変この制度がめんどうになってきている、そうして日系移民がどの程度この制度を利用しているかなどというような把握も、多分外務省してないのではないだろうか、こういうことを言っているんですが、かがですか。
-
○
説明員(藤本芳男君) ブラジルの制度そのものを利用しております日系人は若干ございまして、いまの私どもの把握しております範囲では四十名前後でございます。他方、日系人
社会が自前で持っております福祉関係の
団体がやっております老人ホームその他におきましては、約三百名の日系の老人が世話になっておるというような統計を持っております。
-
○粕谷照美君 いま私は、外務省にきちんとした原点を見詰めていただきたいと思いますのは、第二次世界大戦ではブラジルは日本の敵国であったわけです。その結果、日本の大使館、領事館は移住者を残したまま日本に引き揚げてきたわけで、無政府状態に置かれた日系移民の
社会は
昭和三十年ごろまで混乱状況が続いてきている、こういう過去の事実は現在でも非常に強い不信感として残
っているわけで、こういう原罪というものを忘れて、制度が日本の制度に当てはまらないからできないんだというようなことはやっぱり問題だというふうに思うわけであります。外務
大臣、この辺いかがお考えですか。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) 確かに過去はいまおっしゃるように、戦後大変混乱をしたことは事実でありますが、その後、日本とブラジルとの間の国交も回復して、大使館も置かれて交流が進んでおります。そういう状況の中で、いまブラジルの日系
社会ではやはりそれなりの相互扶助組織というのが相当発達をしておると、もちろんブラジルはブラジルなりの
社会福祉施策を講じておられるわけですが、
〔
委員長退席、理事嶋崎均君着席〕
日系
社会でも非常に日系人が多くなっておりますから、そうした相互扶助
体制というのが発達をしておりまして、われわれが聞いておる範囲ではこの邦人の困窮者は、そういう相互組織の援助によって、困窮者というのは相当少なくなっておるというふうなことではございますが、しかし先ほどから説明しておりますような老人
対策等では、いろいろと老人ホームというようなこともそうした
対策の中で進めておるわけでございますし、また、政府としても何もしてないということじゃなくて、一般的に生活困窮者に対しては保護謝金を供与するとか、あるいはまた医療費等の支払いに困難を感じておる移住者には更生資金等も貸与をしておると、こういうことでございます。
-
○粕谷照美君 確かにそうですけれども、ブラジルのインフレというのは非常に急激だということを聞いているわけでありまして、五十六年の二千九百十三万円に対して五十七年は二千二百九十六万円と保護謝金が減っているんですね。五十八年はどうなっていますか。
-
○
説明員(藤本芳男君) 数字が減っておりますのは、第四・四半期の送金ができてなかったというふうな事情があったのではないかと思うわけでございまして、
昭和五十六年に保護謝金の大幅な増額が認められましてから、私がいま数字を
承知している限りでは五千百万円程度の金額でもって推移しているはずでございます。
-
○粕谷照美君 それから、ブラジル日系移民の高齢者の要望は、一つには、老齢福祉年金支給のほかに里帰りと、帰国者に対する費用援助などが挙げられているわけであります。国援法による帰国者の数及び生活困窮者に帰国費を貸し付ける制度などというものがあるのか、あるいはまた返済能力に対する疑問を持つ人たちが多いわけですが、こういう返済状況、貸付状況はどのようになっておりますか。
-
○
説明員(藤本芳男君) 日本に帰国する場合に困窮のために旅費が払えないという場合には、私ども通常国援法、国の援助に関する
法律という頭文字だけとりまして国援法と通称いたしておりますけれども、この国援法による旅費の貸し付けがございます。また、ブラジルにおきまして保護謝金、あるいは医療関係の謝金を受けておる人数は、大体南米全体の半分以上ということでございます。
-
○粕谷照美君 先ほどから何回も言っておりますように、このブラジルの問題も国策としての移民であった。そして戦争が終わってからの問題点も二つ絡まりまして、私は戦後処理の一つの一環としてきちんと取り組んでいただきたいと、こういうふうに考えているところでございます。
では、次に移ります。慶州ナザレ園の問題について伺います。
外務
大臣にお伺いしますけれども、韓国の
社会福祉施設であります慶州ナザレ園の禹浩栄常務理事に対して感謝状を贈っていらっしゃるわけであります。私は昨年末にこの関係の方からいろいろなお話をいただきまして非常に気にしていたところに、
総理がいらっしゃって二百万ウォンを寄付された、外務
大臣が感謝状を贈られたということを報道で聞きましたけれども、この感謝状を贈られました経緯あるいは内容というものをどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) 現在、御
承知のように、ナザレ園に身を寄せておられるところの日本人妻の方々につきましては、大変、朝鮮動乱等の激動の中にあって夫と死別、離別するとか、いろいろと言葉には言い尽くせない御苦労をされておるわけでございます。こうした身寄りのない方々が年をとられ、さびしい境遇にあるところを韓国の方々が非常に同情を寄せられまして、物心両面にわたって手を差し伸べてくださっておると、こういうことに対して、政府としては深い敬意と感謝の念を持っております。政府としましても、もちろんこれらの日本人妻の方々については、従来より邦人保護の観点から深い関心を持ちまして財政的な援助は行っておりますが、さらにまたこの釜山の総領事もたびたびナザレ園を訪問いたしまして、これらの方々に対して慰問、激励等を行っておるわけでございます。そういう状況の中で、このナザレ園の常務理事である禹浩栄氏が日本においでになると。こういうことで、日本政府としても何らか感謝の意を表したいということで、韓国に居住する不遇な日本婦人を多年にわたり誠心誠意世話され、日韓友好親善に貢献したということで、私から感謝状を送ったわけでございまして、禹浩栄氏も日本政府のそうした
措置に対しまして大変謝意を表されて帰られた次第であります。
-
○粕谷照美君
大臣、そのナザレ園に収容されている女性の、特に年配の方々ですね、その方々の経歴といいますか、何かこの大変お気の毒なと言いますけれども、そういう単なるお気の毒という理解では私は済まないのではないかというふうに思いますけれども。私たち自身は、こういう方々は日本の植民地政策の犠牲者であったと、こういうふうに判断するんですが、いかがですか。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) 確かに、おっしゃるように戦前から韓国で大変苦労をされた方々ばかりでありまして、したがってずいぶん皆年をとられておられまするし、非常に困窮をしておられると、そういうことでございますので、まあ韓国も援助の手を差し伸べてナザレ園で非常に協力していただいておるし、日本としてもこのまま放置するわけにはいかないわけですし、財政的な援助等を行っておるわけでございますが、こうした日本人妻が韓国に一体どれぐらいいるか、まあ千人を超えるんじゃないかというふうに見られておりますが、現在、日本人妻の相互の親睦
団体ということで芙蓉会というのが組織されております。現在では七百六十九名ということでありますが、ナザレ園に収容されておる者はその中の十六名でございます。しかし、全体的には日本人妻の生活程度は非常に厳しくまた苦しいという状況にありまして、これらの点については、われわれも
調査を進めるとともに、在外邦人保護謝金制度その他いろいろな制度をひとつ活用して、できるだけのお世話はしなければならぬのじゃないかと、こういうふうに考えておりますし、またできるだけのことをいまもやっておるわけでございます。
-
○粕谷照美君
大臣が、いま千人を超すであろうと、こういうふうにおっしゃいました。芙蓉会に入ってらっしゃる人は七百六十九人だ。しかし、なぜこの差が出てくるのか。芙蓉会には会費を払わなければならないから、会費も払えないような状況の人たちがいるということがはっきりすると思います。この慶州のナザレ園は、確かに禹さんでございますけれども、そのもとになります日本ナザレ園が茨城の瓜連にあるわけですね。この会長さんとおっしゃる方が菊池政一さんで、この方は多分千百人以上であろうと、禹さんにすると千四百人ぐらいであろうと、こんなことで、外務省は全然その状況をつかんでいないわけであります。大変問題だというふうに思います。それで、外務省はいままでどのような援護
措置をとってこられたでしょうか。
-
○
説明員(藤本芳男君) 海外におります邦人の数を把握するという点が大変にむずかしいということをまず御
指摘いたしたいと思うわけであります。私ども、もちろん正確な数字を把握したい気持ちでいっぱいでございますけれども、このいま
韓国に残っておられる日本人妻の方々、私どもの推定で千人ないし千二百人というふうに考えておりますが、大使館あるいは総領事館に名前を届けてくださるということが必要なわけでございます。もちろん、私どもといたしましても、できるだけ友人関係から名前を知らせてくれということを絶えずお願いしております。これは韓国のみならずブラジルでもそうでございまして、絶えず名前をどうか在外公館に知らしてほしいということを重ねてお願いしておるわけでございます。つまり、できるだけ正確に把握して援助を提供したいと、こういうつもりでございます。
ところで、本論に入りまして、この援助の内容でございますけれども、先ほど来ちょっと申し上げました保護謝金と、それから医療関係の謝金とございます。保護謝金は一人月三万円、ただし一年間で十二万円までということの基準がございます。それから、医療関係の場合は一人月五万円までで、一年間で十八万円が限度ということでございます。ナザレ園に対しましては、総領事館の方から、
〔理事嶋崎均君退席、
委員長着席〕
ナザレ園側からの要請に応じまして希望額をそのままお渡しいたしまして、実際の使い方その他はナザレ園自体で管理しておられると、こういうことでございます。
-
○粕谷照美君 希望額をそのままと言われますけれども、本当にそういうことであろうかという疑問がたくさんあるわけであります。このナザレ園の経営というのは大きく
寄附金によって成っているわけで、私はこの決算書を見ました。会長の菊池さんという日本ナザレ園の方ですが、日本で百人のこの有志を募って、月百万円から百二十万円送って、すでにもう十三年間がんばっていらっしゃるわけであります。去年の夏から大変な経営難に陥っている。それはインフレが激しくて物価高があるからであります。だから、そういう中で
総理の二百ウォンというのはもう本当に干天の慈雨だったということを文書の中にも書いていらっしやるし、また上坂冬子さんなんかの本などで、大変日本からの観光団がこちらの方に来て、そのときにお金を置いていく、まあお金がなくなって祈っていたら、そういう意味で大変たくさんなお金が入ってきて、ボーナスも一カ月分暮れに出すことができた、こういうことを言っていらっしゃるわけですが、この菊池さんも七十五歳、もうあと何年も続かないのではないかと、非常に不安を持っていらっしゃるわけです。個人の努力に任せておくということは私いけないというふうに思うんです。この決算書を見ますと、日本から来ているのは菊池さんなどが一生懸命に集めているお金の三分の一でございます。こういう施設に対しては、たとえば日本だったら
措置費というようなものがきちんと枠組みされているわけですが、言われたとおり出しているということと、その
措置費は一体どのように基準を持って出しているかということは別だというふうに思いますので、
措置費の基準をお伺いします。
-
○
説明員(藤本芳男君) 先ほど申し上げましたこの支給の基準、枠みたいなもののほかに、この状況を私どもよく伺って、特に老齢の方々であるとか、あるいは家長が亡くなられたというふうな特殊なケースに重点を置いて資金を配分すると、こういう一応の基準を持っております。ナザレ園の場合におきましては五百万、六百万——五百万程度と思いますけれども、保護謝金をお渡ししておりますけれども、これは先ほどの繰り返しになりますが、ナザレ園の方からこれだけ欲しいという要請をしてこられておるわけでございまして、これはもし金額がさらにふえればそれなりの
対応は必要であろうかと思いますが、何分これは予算の範囲内でやっておることでございますので、限界が多少あろうかと思います。
なお、この謝金につきましては、いままで数年間全然増額していなかったものを、
昭和五十六年に五割増額していただきまして、この五十六年にそれがふえて五千百万円になったということは、実は大変に心強いことでございますので、いまのところそういうことで十分やっていけるのではないかというふうに思います。
-
○粕谷照美君 ナザレ園の定員というのは六十名収容する能力があるんですけれども、実質的には四十名しか入れることができないわけです。それはなぜかと言うと、経営が困難だからであります。そのほかに、日系婦人の非常に貧しい家に対して、わずかではありますけれども毎月一万ウォンを贈っているわけです。こういうことを考えてみますと、ナザレ園の方も、日本の政府に大変御迷惑をかけては申しわけないという気持ちもあるのだというふうに思いますが、本当に困窮している日本人妻の人たちに対する援助というものをもっと考えていただかなければならない。
中曽根総理も、私の質問に対して、今後その保護謝金の問題については考えていきたいということをおっしゃったわけですが、外務
大臣、いかがですか。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) 韓国だけではございません。ブラジルもいまお話にもありましたが、やはり日本人で外地で、異郷の地で大変困窮をしておられるということがあれば、やっぱり国としてもこれをそのまま放置するというわけにもいきません。これまでも保護謝金その他医療
対策等いろいろとやってはきておりますけれども、さらにそうした状況が今後ともはっきりしてくる、判明をする——韓国なんかでもなかなか所在のつかめない方も大変あるわけでございますが、そういう人たちは恐らく非常に困窮がひどいんじゃないかと思いますが、そういう状況等も把握をするために努めなきゃなりませんし、
調査して把握すれば、やはりそれなりのわが国としての援助の手を差し伸べていかなきゃならぬと思います。
現在ではいまの保護謝金で何とかやっていける、こういうことでありまして、ナザレ園等も要望されるだけの額は提供しておるわけですけれども、またそうした要請があればそれに
対応してわれわれも考えていくべきである、こういうふうに思いますし、これはやはり日本としても今後とも努力をして、必要なら
対策を強化をしなきゃならぬ問題であろう、こういうふうに思います。
-
○粕谷照美君 私も先ほどから申し上げましたが、外務
大臣お認めいただかなかったわけですけれども、日本の植民地政策の犠牲者であって、本人の意思にかかわらず帰国できない人たちがいるわけでありますから、ぜひその努力を大きく伸ばしていただきたいと心からお願いをいたします。
次に、体外受精の問題について質問いたします。
世界の試験管ベビー誕生からすでに五年、日本にもいつかというふうに思っておりましたけれども、東北大学で着床に成功し、順調に発育しているということでありますが、
大臣はこのことについて概括的にどのようなお考えをお持ちですか。
-
○
国務大臣(林義郎君) 粕谷
委員の御質問にお答え申し上げます。
いま
先生お話しのように、東北大学で試験管ベビーが成功いたしまして、新聞情報によりますと、ことしの秋には産まれ出てくれるんではないか、こういうふうな期待の報道がございます。
子供を産みたくても産めないというような御夫婦にとりましては大変な朗報だろう、私はこう思いますし、率直に医学の進歩の成果だと喜んでいいことだと思います。と同時に、この問題が一般化いたしますと、いろいろな問題が出てくると思います。
〔
委員長退席、理事
藤井裕久君着席〕
両親の合意に基づいて、しかもその両親の精子、卵子というものの結合であるならばいいんですが、そこにはいろんな問題があるように思いますし、また手術を失敗したときにどうするかとかいうような問題もございますし、そういった点は深く倫理的な観点からこの問題は考えていかなければならない面が多分にあるように思っておるところでございます。
-
○粕谷照美君 去年の八月に日本産科婦人科学会の見解が発表されて、十一月に日本受精着床学会が誕生して、臨床応用に入った、こういうふうに
言っております。
私はその産科婦人科学会の見解なるものをずっと読んでいったんですけれども、非常に気になることがあるわけですね。前文そのものの最後のところに、「以下の点に留意のうえで行うことを希望する」、こういうふうになっているわけです。「希望する」というようなことで体外受精に関する倫理などというものが医師の間で守ってもらえるものなんだろうか、守らなかったといって何の処分も、何にもできないのではないか、こういうことを考えるわけであります。
じゃ、どのようなことを希望するかといいますと、一項目から六項目まで入っておりますが、その五項目目の、たとえば「被実施者は、合法的に結婚している夫婦とし、非配偶者間では行わない」、こういうことがあるわけであります。この前文の中にあります「倫理的、法的、
社会的な基盤」というようなものは一体何だというふうに考えているのか、国民の前に明らかにする必要があるんじゃないかと思いますけれども、
大臣、いかがでしょうか。
-
○
国務大臣(林義郎君) いま申し上げましたように、倫理の問題ということだと思うんですね。倫理の問題というのは恐らくここには、いまお話がありました日本産科婦人科学会でのお話は、名前の示すとおり、医学者の学会でございますから、そういったことが望ましいということをおっしゃったんだろうと思うんです。倫理的にきめつけてやってはいけないとかどうだということを言っていないんですけれども、やはり産科婦人科の学会でございますから、産婦人科の
先生方が相当この学会には敬意を表し、また従ってもらえるものだということの前提でいろいろと話をしていられるものだというふうに私は思っているところでございますし、こうした形でいろんなところでこの問題についての御議論が巻き起こってきて、国民的な、一般的な倫理規範、
社会規範になることが望ましいものではないか、私はこういうふうに考えているところでございます。
-
○粕谷照美君 厚生省といたしましては、この体外受精に関してどのような問題点があるというふうにお考えになっておられますか。
-
○
国務大臣(林義郎君) 医学的な観点の問題はもちろんのこと、母体にどういうふうな影響を及ぼすであろうか、この技術がすでに確立されて、だれがやっても間違いない技術であるかどうかというようなことから、さらには、いま
先生からお話がありましたその倫理的な問題まで含めまして、いろいろと問題があるだろう。学会でも御議論いただいておりますし、また倫理的な問題になるならばやはり国民一般の広いコンセンサスが必要であろう、こう思っているところでございます。
実は役所ベースではなかなか、正直申しまして、
行政官でこういった問題を取り上げるのはいかがであろうか、こういうふうなことでございますが、私は厚生
大臣として、また国会議員の一人として、この生の問題は死の問題と一緒になって、やはり政治家がいろいろと考えていかなければならない問題のように思うわけでございます。先般粕谷
先生と同じ党の対馬
先生からも、
予算委員会の委嘱の
委員会でお話がございましたから、私は率直にそういうことを申し上げまして、私といたしましても、広く医者または宗教家、それから哲学者、倫理学者などというような方々も踏まえて、もう少し新しい感じも入れたような少し
懇談会を持ちまして、いろいろな点の分析を一遍してみたい、その上で広く皆様方にもお諮りをして、基準と申しますか
方針というものを出していくことが必要ではないか。私は、短兵急に
法律でもって規制をするとかという話は、なかなかむずかしいんじゃないかというふうに率直に思っているところであります。ただ、生の問題、死の問題というのはきわめて国民的に関心の深い問題でございますから、一つでもそういった関心の深いところに対して問題の提供ができるように、これからも努力をしてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
-
○粕谷照美君 いま
大臣がいろいろな層をお挙げになりましたけれども、その中に
法律家が入っていないんですよね。
法律で規制するしないということの以前に、やっぱり法的な問題も論議の対象にしなきゃならないと思いますが、いかがでしょうか。
-
○
国務大臣(林義郎君) 申しわけありません。
法律家には当然に入っていただいてやらなければならない問題だと思っております。
法律家の御参加もいま考えてやっているところでございます。
-
○粕谷照美君 私はいままでに、富士見産婦人科病院問題を初めといたしまして、私自身も医療一一〇番運動をやったわけですけれども、そういう中で、医療の技術の進歩が乱用されて、荒廃した医療の実態が明らかになってまいりました。また、医の倫理が大変乱れているということを知った人は多いというふうに思うわけであります。東北大学が新聞によれば大変慎重な
取り組みをしたということが報道されておりますが、この長い研究、慎重な
取り組みの中で
文部省の研究費を使ってやってきたということも知られているわけでありまして、また各大学でもこれらの問題点を研究しているようでありますけれども、
文部省として
文部大臣はどのようなお考え方をお持ちになっていますか。
-
○
国務大臣(
瀬戸山三男君) いわゆる試験管ベビー、体外受精の問題、こういうものは大学の方で約十校、東北大学あるいは徳島大学も入っておるわけですけれども、その他、十校ぐらいの大学で研究をされておるようでございます。この研究は不妊症の女性に対する治療として、臨床医学として研究をする、こういう
立場で、計画はいま記憶しておりませんが、もし必要ならば
局長から御
答弁しますけれども、国から特別の研究として助成を、研究費を出してやっておる部面がございます。
そこでこの問題は、その中に東北大学で、私は新聞で知って、先ほどお話しのように二十例ぐらい夫婦間の体外受精の研究をされたそうでございますが、一例だけがいま成功しつつあるといいますか、着床したという報道がなされておる。こういうことでありますが、いま厚生
大臣からもお話がありましたし、粕谷さんからもお話がありましたが、私は医者じゃありませんから、お医者さんは高度の医学を学んでおられる科学者でございますから、いわゆる医の倫理というものは当然にわきまえておられる方々ばかりで、また聞くところによると、一般的な医の倫理としては何かヘルシンキ宣言とかいう共通のものがあるそうでありますが、それだけでこういうことについての倫理面といいますか、扱い方というものが適当であるかどうかということを、私は医学者じゃないけれども、人間として考えなければならない問題だと思っております。といいますのは、よけいなことでありますが、私は一般論として科学技術が発達することは人間の生活においてすばらしいことであると思っております。科学技術といっても、その中に医学があり、あるいは物理学があり、あるいはいわゆる化学がある、理学がある。いろいろあるわけでございますが、これを見ておりますと、そういう科学技術の発達によって
人間社会が非常に裨益する場合がある、発達をしております。しかし、この人間の科学の知識というものは、私は大自然との調和といいますか、摂理といいましょうか、これ以上には絶対出得ないものである、こういう認識を持っておるわけでございます。ただ人知というものはその大自然の摂理といいますか、メカニズムを発見して、それをいかに人間に有効に応用するかというだけでございますが、たまたま、これは失礼な言葉になるかもしれませんけれども、科学者が研究する場合にはその特別な科学のメカニズムの開発に非常に熱心になられ、そしてその結論を得られるのは結構でありますけれども、その結論がいわゆる人類に、あるいは
社会にどういう副作用を及ぼすかということまでは、私の体験では考えが及ばない場合が非常に多い、過去において。
こう言っちゃなんですけれども、宇宙の中に安定的にあったものを引き出してきて、よけいなこ
とでありますが、原子爆弾をつくって人類がずいぶん困っておるというのはその最たるものであるといいます。でありますから、科学技術を研究するのは結構であります。結構でありますけれども、そういう場合にその結果がどうなるものか、こういうことを十分に先の先までといいましょうか、考えてやる必要があるものだと思うんです。特にこの人命に関すること、これは生命の生々発展の道程を研究してもらっておるわけでございますが、一面喜ばれるところがある、一面非常な弊害を及ぼすおそれがある。こういう関係を考えますと、これはお医者さんをけなすわけじゃありませんけれども、医学者だけでなしに、先ほどお話もありました、あるいは他の哲学者といいましょうか、宗教家といいましょうか、これは人権の問題もありますから、
法律学者も要るでしょう、いろんな
意見を総合して、将来に禍根を残さないように考えた何かの基準といいますか、考え方を決める必要があるんじゃないか、こういうような、やや長くなって恐縮でありますが、真剣に考えておりますが、厚生
大臣等とも相談して進めたいと、かように考えております。
-
○粕谷照美君 私は、いま
文部大臣がおっしゃったように、科学が進歩していく、大変いいことだと思います。学問は確かに研究も自由でありますけれども、それについてのいままで具体的にあらわれたさまざまなことに対して国民は知っているわけでありますから、不安というものも大きいわけであります。
たとえばP4の問題にいたしましても、大変な反対運動があるけれども、もう科学がこうなんだから絶対に大丈夫なんだ、こういう科学万能で国民を無理やり説得をするようなあり方などというものに対して、私は非常に不安を覚えるわけでありまして、この点についても十分な論議ができるように厚生省、
文部省しっかりとやっていただきたいと思うわけですが、いま大学で十校ほどやっているというのでありますけれども、その大学名及び研究費など明らかになりましたら御報告いただきたい。
-
○
政府委員(宮地貫一君) 先ほど
大臣が御
答弁申し上げた点に補足をいたしまして、私どもが関係者から伺っているところでは、国立では東北大学、山形大学、秋田大学、徳島大学が取り組んでいるというぐあいに伺っております。ほかに私立大学では慶応義塾大学、東海大学、東邦大学、東京歯科大学、兵庫医科大学というような大学が取り組んでいるというぐあいに伺っております。
-
○粕谷照美君 お金、研究費。
-
○
政府委員(宮地貫一君) 金額については、先ほど東北大学の場合が科学研究費で採択されておりますものが五十七年度が「ヒトの初期発生に関する研究」ということで五百五十万交付されているというのが、これは科学研究費の一般研究Bで交付をされているわけでございますが、そのほかについては
承知をいたしておりません。
-
○粕谷照美君 これも新聞報道でありますけれども、読みますと、慶応大学の医学部は顕微鏡下の手術で卵管閉塞症の人たちを手術をいたしまして、五分の一は体外受精に頼る以外ないけれども、五分の四は治すことができるようになったということが書いてあるわけです。できるならば、こういう体外受精でなくて、とにかく不妊の治療をやっていって、最後の手段が体外受精だというふうに私は考えていきたいと思いますが、いかがでしょうか。
-
○
国務大臣(林義郎君) 医学の話でございますから、私も専門家でないんですが、できるならばそういったいま
先生のお話のような形でやったらいいだろうという、ほかの方法があるならばそちらの方向でやった方がいいんだろうということは、一般常識としては言えるんだろうと思います。ただし、いまのお話のような技術がどの程度まで確立されているか、そちらによって別の副作用なり変な問題が出てくるということになるとやはりまた問題がありますから、そういったものを比較考量をしながら私はやっていかなければならない問題ではないか、こういうふうに考えております。
-
○粕谷照美君 考えているうちにどんどんどんどん研究が開発されて、作業が進んでいくわけでありまして、また、これをぜひ希望して自分自身が体外受精を受けたいという女性も大ぜいだというふうに考えるわけでありますけれども、これ保険の適用になるというような条件というのはあるんでしょうか。
-
○
国務大臣(林義郎君) 全くまだ始まったばかりの話でもございますし、専門家の御
意見もいろいろとございますでしょうから、そういったものを聞きました上で保険の適用の問題については対処いたしたい、こういうふうに考えております。
-
○粕谷照美君 そうすると、何ていうんですか、体外受精が受床しない場合もあるわけで、何回かやるわけですね。現実に東北大でももう二十人近くの方がやられたというわけでありますけれども、費用は無料なのでしょうか。
文部大臣、この辺のところを御
調査なさったでしょうか。厚生省
御存じでしょうか。
-
○
政府委員(大谷藤郎君) これは研究費で行われたものと聞いております。
-
○粕谷照美君 そうしますと、このことを希望しても研究費の枠がこれだけですから、あなたはだめですよというような状況が出てくるのですか。
-
○
政府委員(大谷藤郎君) 先ほど来
大臣からも御
答弁がありましたように、この問題につきましてはいろいろな問題がございまして、学会等におきましてもいろんな面から十分検討を加えた上で行うということになっております。したがいまして、現在の段階では研究の段階ということでございますが、技術の開発、先ほど
先生もおっしゃいましたように、たとえば着床率につきましてはわずか八%、あるいはその他流産等の危険性は非常に多いわけでございまして、そういった面からそういう技術がもっともっと開発されまして、普遍化していくということになりますれば、またその点については十分検討する必要があろうかと存じます。
-
○粕谷照美君
文部大臣、そういたしますと、まだまだ研究の段階であるわけですから、希望しても研究費がないからできませんよということがあろうかと思います。しかし研究費がなくても、それに必要なお金だったら私払いますからお願いしますという御夫婦もあろうかと思うわけでして、この辺のところは、それぞれの大学でばらばらな医療費などということになったら一体どういうふうになるんだろうか、私は非常に心配でなりません。こういうことについていかがお考えですか。
-
○
国務大臣(
瀬戸山三男君) あちらこちらでそういう治療を受けるということになりますと、これは厚生大任の所管ということだと思います。
文部省としては、大学を指定いたしまして、先ほど申し上げましたように、その受精の何といいますか、メカニズムの研究をする、そういうことで、研究を委託といいますか、研究費を出しておるわけでございますから、全部の大学に研究してもらうなんという金はございませんので。あとは医学の問題でございます、医学治療の問題でございますから、厚生
大臣にお尋ねをいただいた方がいいんじゃないかと思います。
-
○粕谷照美君 それでは厚生
大臣はどのようにお考えでございますか。
-
○
国務大臣(林義郎君) 大学で研究をしていただいているわけですから、研究費というものはやはり研究費という形で出すというのがたてまえでありますし、研究費であるならば予算の制約その他のものもございますから、しぼられる。実際問題としては、私のところも
子供が産まれないから何とか早くしてくれよと、こういうふうなお話は出てくるだろうと思うんですね。先ほど来お話し申し上げておりますように、
先生もまた御
指摘になりましたように、本当に確立されて、絶対安全だという医学でもまだありませんし、それからもう一つには倫理の問題もございますから、そういったところを待ってやっぱりやらないといかぬのではないかなと。一応新聞に発表されたから、あしたからすぐにというわけにもなかなかまいらないというのが私は実情だと思いますし、相当確立さ
れてくれば、私はこれはいろんな形で一般化していっていい話だろうと思いますし、先ほどお話がありましたように、健康保険の適用とかなんとかという問題も、その段階でやはり考えていかなければならない問題だろうと思っています。
もう少し早くやれと、こういうお話でございますが、実は先ほども御
答弁しましたように、生命と倫理に関する
懇談会というのを私のところで学者にお願いをいたしまして、四月にも第一回の会合を持とうと思って準備をいましておるところでございます。そういった会合でやはり全体としての
体制を考えながらこれから進めてまいりたい、こういうふうに思っているところであります。
-
○粕谷照美君 そうしますと、当分の間は研究としてこのことが実行されていって、治療費というものは取らないというふうに理解してよろしゅうございますか。
-
○
政府委員(大谷藤郎君) やはり先ほど申し上げましたように、この問題につきましては現在いろんな点から研究中であるというのが私どもの考えでございまして、まだその時期ではないというふうに考えているわけでございます。しかし、医学の進歩によりまして、その問題については、先ほど
大臣も申されましたように、専門家の方々の御
意見を聞いてやはり検討すべき時期が来れば検討しなければならないというふうに考えるわけでございます。
-
○粕谷照美君 私の質問ちょっとわかりづらかったでしょうかね。検討すべき時期が来たら検討するんじゃなくて、その検討している結論が出るまでの間に、この実験というものは次から次へと行われるかもしれない、そのときに研究なんですからお金を取らないと、こういうふうに考えてよろしいかということを言っているわけです。
-
○
政府委員(大谷藤郎君) お金を取る取らぬの問題につきましては、現在ほとんどの医療が保険適用で行われているわけでございますが、そういった観点からいたしますならば、これはやはりそういった関係の方面の十分
意見も聞いて進めていかなければならないということでございます。しかし、基本的に医療行為というものは、医師と患者の関係におきまして、医師の医学的判断によって行われた場合の医療行為ということになりますれば、それは別のことでございますけれども、事がこういった非常に専門的な分野にまたがっているわけでございますから、いかに一人のお医者さんが十分治療行為として成り立ち得るというふうにお考えになるということについては、これはなかなかむずかしい問題があるのではなかろうか。そういう点で、現在ではやはり大学でいろんな方々が十分道徳的問題も含めまして論議を尽くされて研究ということにおいて行われているというふうに考えておりまして、
先生御
指摘のように、一人の医師が医行為として行って、それに医療費を払うか払わないかというふうな問題の時点ではまだないのではないかというふうに考えるわけでございます。
-
○粕谷照美君 了解いたしました。
そこで、私は、先ほど午前中に
小西委員も取り上げられましたけれども、非常に日本の研究費は少ないのではないかということについて
意見を申し上げ、大蔵
大臣に研究費に対する国の考え方というものをお伺いしたいと思うんですけれども、
〔理事
藤井裕久君退席、
委員長着席〕
たとえば阪大の教授ら三十人に対するやみ謝礼金数千万円の問題が昨年五月の二十日の日に大きく新聞紙上に取り上げられました。また、つい最近は、東京医大に根室市の病院が年間六千万円の派遣協力金を支払ってきた、こういう問題は何も東京医大だけではなくて、国立の大学にもあるということが報道されているわけですが、そういうお金を、個人としてお使いになった方もいらっしゃるかもしれませんけれども、個人的に使わないで、動物実験だとか、あるいは器材購入などに使っているということが新聞紙上に載っておりました。しかしまた、こういう
先生方が学会に出席のときに旅費だとか、ホテル代などを薬品メーカーなどから出してもらうとか、いろいろな問題があるわけでありまして……
-
-
○粕谷照美君 ぜひ研究費を大幅に増額するようにお願いをしたいと思いますが、いかがでございましょう。
-
○
国務大臣(竹下登君) いわゆる大学の研究費、あるいはそれぞれの省庁における研究費、科学技術庁における研究調整費、いろいろな分野があると思いますが、一般論として世間からとかくの
指摘を受けるようなことがないような配慮、これはそれぞれの所管省においてもなされるでございましょうし、それに
対応した態度で臨まなければならない課題であるというふうな認識でございます。
-
○
委員長(
土屋義彦君) 以上で粕谷君の質疑は終了いたしました。(拍手)
─────────────
-
-
○
原田立君 まず最初に、経済、景気
対策についてお伺いしますが、
昭和五十八年度の経済見通しが作成されたのは去年の十二月でありますが、いまの時点までの変動要素、つまり米国の景気回復とか原油価格の値下がり、または円相場の値上がりなどを見てみると、五十七年度、五十八年度の経常収支、貿易収支の政府見通しとは相当異なると思うんですが、いかがですか。
-
○
国務大臣(塩崎潤君) お答え申し上げます。
御
指摘のように、原油の値下げ、アメリカの経済の顕著な回復、これらは昨年の予算編成時期の状況とは違ったところでございます。しかしながら、いろいろな要素の関連もございまして、現在のところ私どもはまだまだ的確なる予測を立てて、たとえば経常収支の黒字が幾ら積み増しされるか、このようなことはまだ正確な計測を立てることは適当ではない、まだまだ様子を十分に見ていくべきである、こんなふうに考えております。
-
○
原田立君 原油値下げ等に加えて米国の景気が悪いときており、貿易黒字幅が政府見通しより相当大きくなる心配があるという声が伝えられておりますし、事実と考えておりますが、今日の原油値下げの影響で五十七年度、五十八年度の貿易収支はどの程度になるのか。
-
○
国務大臣(塩崎潤君) 私どもは六十五億ドルばかり原油代金の節約ができる、こういうふうに見ておるところでございますが、これはフルに働いた場合の想定でございまして、五十八年度にこれが全面的に出るわけでございません。五十八年度はまだまだ高い原油が入っておる状況でございますので、私どもは様子を十分に見きわめて、どれぐらい貿易収支の何と申しますか、輸入代金の節約が行われ、これがどのようにまた輸入の増加につながるかということを見ていかなければならないと思っております。
-
○
原田立君 六十五億ドルということでございますが、貿易収支の黒字幅が非常に多くなる、このことによってアメリカ並びにECからいろいろと問題をつけられているわけでありますけれども、そうなると政府としていわゆる輸入拡大策、これはどういうふうにお立てになるんですか。これは経企
庁長官と通産
大臣。
-
○
国務大臣(塩崎潤君) お答え申し上げます。
昨年の十二月に、御案内のように市場開放問題といたしまして関税率の引き下げ、あるいは輸入手続の簡素化等の処理をいたしましたし、先般、検証手続、基準等の問題についての検討
対策本部を設けまして、各種の輸入品にかかりますところの輸入手続等についての、あるいは輸入商品の基準等についての簡素化、あるいは国際化についての方向を定めたところでございます。このようなことによって私どもは輸入を拡大する方向で、少なくとも輸入について各国から非難のない方向で努力しているところでございます。しかし、いま輸入代金の節約があると申しましたが、これらについて私どもはまたいろいろの観点から、今後どのように影響を及ぼすかという観点を込めて輸入
の増加、特に製品輸入について努力をする必要がある、こんなふうに考えております。
-
○
国務大臣(山中
貞則君) 私の方は製品輸入も問題でありますが、原料輸入の方、それに国家的には全体としてはただいま経企
庁長官が申されましたような、産油国からのオイルダラーと言えばそういう表現になりましょうが、日本の支出が減るという形にはなりますが、しかし、それらが原材料を輸入する際に個々の企業、業界としてどのように有利になるか不利になるか。代替エネルギー等の原料は石炭とかそういうものになりますし、そこらのところは業種ごとにいま作業をいたしておりますが、傾向としては輸入しやすい国家環境にはなるだろう、そういうふうに見ております。
-
○
原田立君 五月に先進国首脳会議が行われるわけでありますけれども、これはミッテラン大統領が言ったといって伝えられているのに、日本の市場開放、輸出自粛の努力を要求すると伝えられていることから、政府は内需拡大による輸入拡大のより具体的具体策を示し実行しなければ、もう世界的な
立場でもたたかれるといいますか、批判される、そういう
立場になるおそれがありはしないかと心配するんですが、いかがですか。
-
○
国務大臣(山中
貞則君) これはEC各国あるいは加盟十カ国それぞれにニュアンスが違いますし、あるいはアメリカ、オセアニアそれぞれのまた感覚も違うようでありますが、きょうもアメリカの約八名の国会議員の諸君と朝いろんな突っ込んだ
意見の交換をやってきたんですが、とにかく日本が失業を輸出しておる、しかも買う方はいろんな遮蔽物をつくって入れないようにしておるというような、そういう誤解があるようですし、日本の悪口を言えば拍手が起こって選手に有利だというようなことなども昨年は言われたわけですね。ですから、もっと与野党も含めて、議会と議会との接触というものがある程度なけりゃいかぬのじゃないかなという気がしておりまして、近くまた会いますが、そういうようなふだんの絶えざる対話というものによって、やはり日本という国をもっと相手に知ってもらう、私たちもまた相手の国民感情を知らなければならぬ、そういうことでお互いが絶えず問題が起こった品目だけについて話し合うのじゃなくて、全体の日本の生きていく行き方——FOBという言葉を知らないでもアメリカでは大企業の社長が務まり得る、すなわち原材料も豊富だし、そして消費する方も世界一高い所得水準の国民の二億を超えるマーケットがある。したがって、巨大生産、巨大供給、巨大消費というようなことは一国限りで回せる国であるんですね。そのアメリカの人たちの輸出に対する感じというものは、ちょっとどうもまだわれわれつかみかねておる。私たちが原材料を輸入して輸出しなければ生きていけない国であるということもまた向こうの方もよく理解してない、こういうところがあるようです。したがって、ここらのところで、今回の油の値下がりというものが国際経済
社会にもそれぞれに寄与するならば、この機会に日本側もそういう行き方を含めてよく話し合いをするようにしなければいかぬ。やはり日本が一国の理論だけで世界じゅうを走り回るということは許されない環境になったような気がしております。
-
○
原田立君 三月十九日に経済関係閣僚
懇談会を開き、総合景気
対策が決められたわけでありますけれども、きのうはまたそれなりに内容を政府並びに自民党で詰められたということが新聞で公表されておりますが、これやってみなきゃわからないと言えばそれっきりの話なんですけれども、そんな無責任なことじゃなしに、やっぱりよくするための責任を持っての発言でなければならない、計画でなければならない。そういう点において、果たしてこれだけのことで効果が上がるのかどうかと危惧を持つんですが、いかがですか。
-
○
国務大臣(山中
貞則君) この会議はいま一回開いたばかりでございまして、各関係の省庁でつくりましたものを関係閣僚が述べ合いまして、そして垣根を取っ払って、たとえば通産
大臣が建設省の公共事業の話をするとか、きのう
総理がその断片を遊説で話しておられるのでありますが、民間の活力は確かにあるんだけれども、それを政府の諸規制——建築関係とかいろんなもので抑えつけているところがあるじゃないかと、そういうような問題も議論がありましたし、ある程度公定歩合も議論にはなりましたが、これは日銀専管事項ということで、対象とはするが、しかし、そこで決めるというような事柄ではないというようなことでおおよそ終わりまして、
官房長官のまとめの発表をやりました。これは経企
庁長官に発言してもらった方がいいんですが、きのうは基準、認証制度について
法律を十七件一括して今国会に提出をして、世界じゅうから、アメリカ、EC等から言われている非関税障壁というものについて日本も完全に相互性、透明性を持ちましたよというだけの内容を与野党の皆様に御理解を願わなければならぬ。速やかにこれを通すための関係者による決定を行ったということでございます。
-
○
原田立君 竹下蔵相もいわゆる所得税減税については前向きに対処すると、こういう話があった。それからまた、まあちょっと話があっちこっちになりますけれども、公定歩合の問題については、これは日銀の専管事項だからよう言わぬのじゃということをいまも仰せになっているし、経企
庁長官も言われる。だけど新聞にはもう大々的に「公定歩合〇・七五%下げ要請」なんて出ているんです。日銀はだけども抵抗していや〇・五%以下だめですよと、それも何とも言えませんと、こう言っている。それでまた予算案が成立してからでなきゃやらないと言う。まるでおちょくっているような感じがするんです。もしこんなふうにはっきりしているんだったらば、ちゃんともう発言をきちっとなさったらいかがですか。
-
○
国務大臣(竹下登君) 所得税減税問題につきましては、与野党間の合意を踏まえて、かねがね当
委員会におきましても
答弁をしておるとおりでございます。議長見解の裏づけもございますので、十分尊重をすると、こういうことを申し上げておるわけであります。
それから公定歩合の問題でございますが、これは
法律をきちんと精査いたしましても、やはり日本銀行の専権事項であるということは、これは長い歴史の中でそのように定着をしております。従来とも、文章にします場合は弾力的、機動的運営というにとどまっておるわけであります。ただ公定歩合問題というのは、したがって、ずっと古い歴史をひもといてみますと、いわば政治の場で議論をされないで、まさに専管事項である時代があったと、それは私はあるいは政友会、民政党というような時代においては、三井とか三菱とか巨大財閥というものがございまして、したがって、ある種の投機が起こるとかいうようなこともあったかと思うんであります。いまはこれほど経済運営全体が国際化しておりますので、金融政策の一環として公定歩合問題がいろいろ議論されます。議論されますが、その決定権はあくまでも日本銀行に所属するものであるという考え方の上に立てば、推測記事は別といたしまして、われわれの発言にはおのずから限界のあることであろうと、こういうふうに理解をいたしておるところであります。
それから、話が長くなりますが、三番目のいわゆる国会、なかんずく最善、最良のものとして御提出申し上げて、これが審議されておる段階においていろいろなことが出てくる、これは私は検討をするのは大いに必要だと思うんでありますが、公式に策として発表する場合は、院の議決を得て議了、成立した後というのがやっぱり立法府に対する
行政府のあるべき姿ではないかと、こういうふうに理解をいたしております。
-
○
原田立君 わかったようなわからないような御返事でありますけれども、それはそれでいいでしょう。
ところで、景気浮揚に一昨年、昨年に続き三度失敗に終わらせないために万全を期していただきたいわけでありますが、その中で公共事業の前倒し、これについて、その目標、金額、説明していただきたい。
-
○
国務大臣(竹下登君) 現在まだ五十七年度の公共事業執行に関する会議の座長を大蔵
大臣が務めておりますので、私の方からお答えをいたしますといたしますならば、いま御審議中の五十八年度の予算につきましては、いろいろ
意見交換はいたしておりますが、いまだ公共事業を前倒しして、その比率は幾らにするかとかいう具体的な結論というようなものは得ていない段階でございます。
-
○
原田立君 大蔵
大臣ね、もう政府・自民党でこの予算が成立したらばやるんでしょう。その六項目の中に入っているじゃないですか。それでもそんなことを言うんですか。
-
○
国務大臣(竹下登君) これは先ほど山中通産
大臣からお答えがございましたように、いわば各省それぞれの
立場における垣根を取ったフリートーキングをした場合に一応の素材として上がった課題でございます。したがって、これを確定して内外に明らかにする、デクレアするというのは、やっぱり本院において予算を議了成立していただいた後の問題であるというふうに理解しております。
-
○
原田立君 昨年の
予算委員会では七五%の前倒しで〇・三%のGNP引き上げの大きな力があると経企庁当局は
答弁しておりますが、今年度、どのぐらいならばGNPにどれだけの効果があると見ているんですか。
-
○
国務大臣(塩崎潤君) 今年度につきましては、まだその細目に至るまで決定されていないことはもちろんでございます。しかも、公共投資の前倒しの結果の経済効果、それもまだ計算いたしておりません。
昨年の国民所得統計速報によりますれば、御案内のように前倒しの効果があらわれまして、第一・四半期においては一・九%、第二・四半期は〇・九%、第三・四半期は御案内のように前倒しがその期間におきましては息切れいたしましたために、公共投資の部分が減りまして、実質では〇・四、こんなような経済成長の実績が速報でございますが、報告されたところでございます。こんなようなことからひとつ御推測をいただきますれば大体見当がつくんではないかと考えております。
-
○
原田立君 前倒しを、いわゆる公的固定資本形成の前期比伸び率というのが、数字を見せてもらっているんですけれども、五十三年一月から三月はマイナス一・四%、五十四年の一月から三月はマイナスの七・三%、五十四年は、一月—三月が同じく〇・四%減、五十六年度が四・三%減、五十七年度が十月から十二月は実に四・三%減、これは非常にひどい話で、われわれも憂慮しているんですが、そこいら辺を含めて結論的なことで聞きたいのは、実は、本
委員会が九州財界の要望として公聴会を開いたときに、そのときの代表の話では、公共事業の平準化の方が景気の面でも好ましいとの
意見が出ているんです。そうすると、公共事業の前倒しをするならば当然あとの手当てもしなきゃいけない、こういう問題があるわけです。だけれども、地元では平準化を望んでいると、こういう公述人の
意見がありました。あわしていかがですか。
-
○
国務大臣(竹下登君) 確かに本院においても御報告がございました。「特に毎年度の一—三月には上期前倒しによる公共投資の息切れが生じ、景気の足を引っ張っているが、今年度もその危惧があるので、今後は公共事業契約率を年度間に平準化させるとともに、」云々と、こういう本院で御報告を私も承っております。
そこで、一—三月の問題ということになりますと、私は、この問題がいわゆる昨年十月決定いたしました総合経済
対策の中で、また御審議いただいた補正予算、これでもって二兆七百億円という公共事業が議了していただいたわけであります。それがきょうぐらいに大体契約がすべて終わっておるということでございましょう、暮れに通していただいた予算でございますから。そうすれば、私どもは、ある意味において今年度の下期と、そして五十八年度の一般的によく言われます四、五月の端境期というものになだらかに契約状態が推移していく一つの効果を呼ぶんではなかろうかという、ある意味における期待もしておるわけでございます。いずれにいたしましても、財政そのものが
対応力がございませんので、今後の公共事業の執行ということにつきましては非常に弾力的にこれに
対応しなければならない課題であると。ただし、数字とかいろいろ申しますが、一般的に前倒しとかいうことは、いわゆる企業マインドの問題を刺激するという点もございますというようなことは十分
承知の上で検討しなきゃならぬ課題であるというふうに考えております。
-
○
原田立君 建設
大臣、前もってお話ししてはおかなかったけれども、最近、中小企業の人たちが非常にダウンした値段で契約して、そうしてあっぷあっぷしている。倒産件数が非常に多い。きちっとしたもので決めなければいけないものが、どんとダウンさしている契約、そういうようなことはやめさせなければいけないと思うんだけれども、あなたどう思いますか。
-
○
国務大臣(内海英男君)
先生から突然のお話でございますが、私は役所からまだそういう話を聞いておりませんので、そういう事実があるとすれば、
対応して処置しなければいかぬと思っております。
-
○
原田立君 そういう返事ではもう承服しがたい。二十三日のこれは日経新聞に出ているんです。もう「いまや通常の見積もりコストの二割引きは当たり前。四割引きでないと受注できないケースもある。」、こういうような実態だというんです。しかもまた、公共事業の面でも言える。「発注者である官公庁や各自治体に赤字受注防止のため「最低制限価格制度」の全面採用を訴えている。」ということでありますけれども、
御存じないですか。
-
○
国務大臣(内海英男君) まだ聞いておりませんです。
-
-
○
国務大臣(塩崎潤君) 不況、また中小企業の大変な不況あるいは倒産の状況は知っておりますが、現実の受注価格等につきましては、これは私、所管外でございますので、私の
答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
-
○
原田立君 中小企業の倒産件数は、夏場で千三百件台、冬場にかけて千五百件台と突破し、非常に深刻な状況になっておるんでありますが、
原因は販売不振による倒産ということでありますが、これらのことについて、今後の中小企業の経営実態に対して、
大臣、どう
対応なさるか。
-
○
国務大臣(山中
貞則君) 倒産件数については、季節的なものもありますが、しかし年度を通して見ると、企業の数はまたさらに対前年比増であるという実態もあるわけです。しかし、すべてがそうなるわけではありませんで、ただいまおっしゃった販売不振という倒産の
原因は、これは私は厳しく注目をしているところであります。分析方も命じておりますが、要するに販売不振による倒産、会社更生法とか、そういういままでなかった、余り大きくなかった件数がウエートが多くなっていることは、全般的に見て可処分所得の低下、あるいはまた消費性向の変化、そういうもの等による売り上げが少なくなって倒産したという、これは一般商店街の倒産にこれがつながっていくということになりますと、大店法の出店のあり方とかいろんな問題とも関連があって数字が出てくるのでありましょうが、消費が不振であるということが販売が不振であることの前提なんですから、これは、所得税減税というのも議論もされておりますが、全般的に国民の実質所得向上になるような財政経済の運営がなされなければならない。そして、買いかえたいとか、あるいは買い増したいとか、新しく買いたいとかという意欲を持たせる努力を、あるいは国民がそういう意欲を持ったときに、そういう販売不振による倒産という件数は減少は転ずるんだろう、そういうふうに見ております。
-
○
原田立君 三カ年に及び長期不況、景気低迷に伴う不況型倒産が圧倒的にふえている。全国信用保証協会事業概況からも、ここ数年、件数、金額とも急増しております。
そこで、中身で言えば建設業、小売業が圧倒的に多いわけでありますが、これらの実態をもとにどういうふうに
対策を講じられるか。中小企業に対して、経済
対策の面からも総合的な
対応策が必要ではないか。予算が成立後、六項目の中にある中の一項目ですから、お答え願いたい。
-
○
政府委員(神谷
和男君) 御
指摘のように、建設業関係、特に五十六年をピークにかなり倒産が多くなってきておりますし、製造業は逆に五十七年になりましてやや増加の傾向にございます。そのほか、商業は依然として高い比率で倒産の中でのウエートを占めておるわけでございますが、全般的に、
原因は、ただいま
大臣から御説明させていただきましたように、一般的に経済活動がかなり長期にわたって、長いなべ底で沈滞しておる、こういうことだろうと考えられます。これに対しましては、金融政策その他、全般を通じまして、十分政府関係の資金量等も用意し、あるいは政府関係金融
機関の利子、金利にいたしましても、長期プライムレートより〇・二低いところに据え置いておる、こういうような状況で、万全の
対策を講じておるわけでございますけれども、基本的には、やはり景気の立ち直りというものをできるだけ早くもたらすことであり、それまでの
対策といたしましては、倒産防止のためのきめ細かな相談、あるいは
先生御
指摘のような、信用保証その他によりましての中小企業の最後のよりどころといったものに対して、できるだけ誠意を持って、特にこの厳しい状況を反映しながら、温かい
対応をしていただく必要があろう、このように考えておりますために、われわれといたしましては、政府関係金融
機関の窓口、あるいは信用保証協会等の関連
機関に対して、その趣旨の徹底並びに要請を行っておるところでございます。
-
○
原田立君
大臣、お伺いしますけれども、
行政管理庁から昨年九月、「官公需についての中小企業者の受注の機会の確保に関する
行政監察結果」という報告が出てますね。そこの中で、受注機会の確保、受注活動積極化の促進、こういう二つの点が
指摘されておりますけれども、どうなさいますか。
-
○
国務大臣(山中
貞則君) 官公需に占める中小企業の受注の率は三七・二%であると思いますが、それを予算の面から言いますと、なかなかその率を高めることは困難な環境になっております、去年からことしにかけて。何しろマイナスシーリングなわけですから。しかし、それでも中小企業庁を中心にいたしまして、関係各省庁に協議会みたいな座をつくりまして、それぞれお願いをして、中央調達しがちなものを地方に分割調達はできないのかとか、役所の名前まで、これ山中の特別の依頼であり、お願いであるということをまくら言葉にしてもいいから、率直に踏み込んでやってみろ、少なくとも三七・二%をダウンするようなことがあってはならぬ、伸び続けさせなければならぬということで、その意味では相当厳しく乗り出しているつもりでございまして、行管の
指摘を待つまでもなく、私たちの所管する中小企業庁のこれは基本的な仕事の一つでもございますから、十分な御期待を得られるように努力をさせるつもりでございます。
-
○
原田立君 長官、五十四年度は中小企業向け四三・一%、五十五年は四三・八%、五十六年は四四・九%、五十七年は目標として四四・三%というふうにお伺いしております。
そこで、五十六年度の実績では、最高裁判所一八・四%、
総理府が二八・六%、あと運輸省、鉄建公団——鉄建公団なんかは一五・三%、非常に悪い。どういうふうに改善なさるお考えか。
-
○
政府委員(神谷
和男君)
先生個別にいま御
指摘の省庁の数字、これをトータルいたしますと、昨年度で三七・一。これは、
先生のは恐らく特定品目の数字かもしれませんが、全体といたしましてはそういう数字になっており、さらに本年度の目標はこれを上回る形で推移しておるわけでございます。
ただ、省庁別には、御
指摘のように、非常に高い省庁、低い省庁ございまして、これは予算の構成でございまして、たとえば中小企業がどうしてもつくれないような品物を多く購入するような予算で形成されている省庁、あるいは特定品目、その中でも比較的分割発注が容易な品物が多い、特に消費関係の多い省庁、これによってかなり差が出てまいります。しかし、その中におきましてもできるだけの努力をしていただかなければならない、こういうことでおのおのの省庁に、ただいま
大臣から御説明がございましたように、私ども、具体的に、こういうものは分割発注できないのかとか、あるいはこういうものに関して銘柄指定はどうしても必要なのかというような御相談をし、できるだけ引き上げていただくよう協議をして、全体としての達成率を確保するほか、来年度の目標をこれからつくっていくわけでございます。予算が通過いたしました後、直ちに着手するわけでございますが、その過程の中で各省庁と個別によく御相談し、また、その協力を仰いでいくつもりでございます。
-
○
原田立君 山中実力
大臣がひとつ官公需の比率を大幅に引き上げ、効果あらしめるように努力してもらいたい。お願いであります。中小企業向けの官公需の引き上げを強く要請するんです。これは答えてくださいね。
余り時間かないので、中小企業の経営は、倒産件数等からもうきわめて厳しい状況下ですが、金融面からも何らかの
対策が必要じゃないのか。据え置き期間の延長、金利面の
対策等いかがなものか。
あるいはまた、実は私、直方というところの工業団地の人たちと会って聞いたところ、ここは小さいところなんですよ。そこでは商工中金しか使えないと言うんです。ところが、仕事がないものだから非常に困っております。償還期間の延長、金利を安くする、枠の拡大、こういうようなこともやってくれないか、こういうような強い要請がありました。いかがですか。
-
○
国務大臣(山中
貞則君) 肩書きは通産
大臣でございまして、その上には何も正式にはございませんので、通産
大臣として
全力を挙げてやりますが、たとえば鉄建公団にレールを中小企業から買えというような極端なこともなかなか言いかねるところがありまして、なるべく地方支分部局の段階で発注をふやすことが一番近道のように思いまして、いまそのような指導をいたしております。
なお、中小企業に対する金融とその充実、あるいは金利、そういう問題については、先ほど長官がお答えいたしましたとおりでございますが、私自身も直方市はゆえんがあって昔泊ったこともあるので、大変そういう意味では、あの炭鉱隆盛でありし時代に比べて、いま大変きついんだろうなあと思っておりますし、ある旧産炭地帯の市長さんは、市民の二分の一以上が生活保護世帯である。こういう市の運営については、何か財政上のいい知恵はないかとまでおっしゃってまして、その
地域の崩壊につながるおそれまであるんだなと考えておりますから、その中で生業を持っていらっしゃる中小企業が、それがつぶれていくようなことのないように、最大の御加勢を申し上げなきゃならぬと考えております。
-
○
原田立君 老人並びに身障者用の福祉電話についてお伺いしますが、厚生省では老人難聴者等身体障害者に対して福祉電話の普及を進めておられますが、実態はどのようになっておりますか。
-
○
政府委員(金田
一郎君) 電電公社が開発いたしました難聴者のためのシルバーホン「めいりょう」及び「ひびき」につきましては、五十六年度から身体障害者に対する日常生活用具の貸与種目といたしまして取り入れたところでございますが、その普及台数は電電公社の
調査によりますと、五十六年度末現在「めいりょう」が七万九千四百六十五台、「ひびき」が四百五十八台、合計七万九千九百二十三台ということになっております。
-
○
原田立君 身障者用福祉電話も普及しているようでありますけれども、難聴者の二級、三級の人たちなど、現在開発されている福祉機器でも全く活用できないという人もいるのでありますけれども、何人ぐらいというふうにとらえております
か。
-
○
政府委員(金田
一郎君) 現在、身体障害者の実態
調査によりますと、聴覚障害者の数は二十八万三千人となっております。しかしながら、そのうち障害の程度が二級及び三級の一部の者につきましては、電話による会話は不可能な者と言われております。この数につきましては正確に私ども把握いたしておりませんが、必ずしも全部が全部こういった電話を必要とはしないということでございます。
-
○
原田立君 まあ数を掌握してないなんてよけいなことを一言言わないことが大事ですね。ぼくの資料では、二級が八万六千人、三級が五万五千人、約十四万人の人がいることになっています。だけど三級の人は一部の人だと、こういうふうに言われていますから約十一万人と言われています。ぼくはその点
承知しておりますけれども、じゃ、そういう難聴者のための新機種の開発についてはどのように進められ実用化に向かっているのか。
-
○
説明員(西井昭君) お答えいたします。
ただいま
先生のお話のございましたとおり、ある程度、かなりの難聴者の方ですと、先ほど厚生省からお話のございましたようなシルバーホン「あんしん」あるいは「めいりょう」等によりまして救済できるわけでございますが、全く聴覚神経の何と申しますか障害のある方につきましては、これはそういったいままでの機器では救済することが困難でございますので、そういった耳や口の全く不自由な方に対します電話機を開発すべく、現在鋭意検討を進めておるところでございます。具体的なイメージを申しますと、これは私どもがそういう方々、あるいはそういう方を診察しておられます医者等の専門家等を含めましてヒアリング等の市場
調査を行いましたわけでございますが、電電公社として考えておりますのは、一つはファクシミリのように画像を電送する画像電送方式、それからもう一つはキーボードから入力によりまして相手方のディスプレーに文字表示をしますいわゆるキーボード方式、それから三番目といたしまして、手書きの文字や図形を相手方のディスプレーに表示をさせます手書き電送方式、こういった各方式について検討を進め、ヒアリングをし、市場
調査をいたしましたわけでございますが、そういった中で圧倒的なウエートで希望がございますのが、会話性があるという意味で三番目の手書き電送方式によるものが有力な方式になるだろう、こういうふうに考えているところでございまして、そういう方面の方の開発をこれからしてまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
-
○
原田立君 手書き、大変結構だと思うんでありますが、私の知っている人で、これは北九州でありますけれども、ミニファックスを難聴者二、三級の人たちの福祉用として、福祉事務所等身障者の利用が多い窓口に設置するよう検討しておる、こう言うんですけれども、その手書きの話と、このミニファックスと同じなんですか。あるいは違うんだったらばこれに対してどういうふうな処置を講ずるか。これは技術的には事務局でいいけれども、
大臣の見解もひとつ聞いておきます。
-
○
国務大臣(林義郎君) 通信機器が非常に発達しておりますし、いまも電電公社の方から御
答弁がありましたように、本当に口のきけない方、耳のむずかしい方等につきまして非常ないろんな機器を開発をしておられるわけであります。そうしたことを、いまミニファックスというお話がありましたが、
先生のところはあるいは事務所で使っておられるかもしれませんが、ミニファックスというのは、ファックスがこう出てきまして、たとえば
先生の地元の事務所へ東京と連絡をする、こういうふうな話だろうと思うのです。果たしてそれは、事務的にはいいかもしれませんが、いまの身体障害を持っておられる方に向くのかどうか、もっと便利なものがあるんではないかと私は思っておりますし、いまお話を聞きますと、電電公社の方でもそういったものを開発しておられるようでございますから、そういったものができましたら、ぜひそういったものを使っていただくようなことを考えていかなければならないものだろうと、こういうふうに思っております。
-
○
原田立君 国立身障者職業訓練校についてお伺いするのでありますが、入学率、卒業率の実態、それから五十五年、五十六年に入学率が六二・五、六七%と定員数に対する卒業者数が両年とも半分以下と非常に低い。そこで、この国立身障者職業訓練校をもっと利用しやすいように、もっとどんどん利用しやすいようにするには一体どうしたらいいかという研究は、これはしてもらわなければ困ると思う。労働省ですか。
それで、このいただいた資料によりますと、訓練科目というのはずっと書いてありますけれども、現在女子身障者は、特に難聴者の場合にはタイプを希望していると聞いておるのでありますけれども、この訓練科目の中にはタイプが入っておるところが一カ所もありません。これは入れるようなことに検討をしてもらいたいと、こう思うのですけれども、前段の話と後段の話、両方お答え願いたい。
-
○
政府委員(
北村孝生君) お答えいたします。
国立身体障害者職業訓練校の入校状況等については、
先生御
指摘のとおりでございまして、私ども本来身体障害者の職業訓練は、産業のニーズと、その雇用を希望する障害者の障害の種類や程度に十分に考慮して、その能力を最大限に引き出すように行わなければならないということを考えておりますので、従来から訓練科目の増設や転換、訓練方法等については改善を図ってきたところでございますけれども、
先生御
指摘のような問題は確かにございまして、私どもが、なお今後
対応のために十分な努力をしていかなければならぬということで、現在努力中でございます。
訓練校の訓練システムにつきまして、一部弾力性に欠けておるというような事情もございますので、このような問題点につきまして、五十六年の十一月から現在まで学識経験者や身体障害者職業訓練校の
先生など障害者に関する職業訓練の専門家の方々にお願いをいたしまして、障害者に対する職業訓練のあり方について研究をしていただいておるところでございます。近く何らかの報告をしていただくという運びになっておるのが私ども研究を進めておる第一点でございます。
それからなお、職業訓練大
学校に福祉工学科を開設いたしまして、ここでそういう身体障害者職業訓練校の指導員の方々の養成を始めたいということで、これは五十八年の、ことしの四月からその発足を見る予定になっておりますので、これも少し遠い将来のことになりますけれども、その方面の
対策に資することになろうかと思います。そういうことを含めまして、今後とも訓練科目の見直しであるとか、訓練方法の改善につきまして
先生の御
指摘の線で努めてまいりたいと、そういうことによって一人一人の障害者の特性に応じた職業訓練を行うように努力をしていきたいと思っております。
なお、
先生が第二点として御
指摘いただきましたタイピストの関連でございますが、これはタイプだけを専門に扱う訓練料といたしましては
先生御
指摘のように現在の国立の訓練校にはないわけでございますが、軽印刷料というような科目でタイプを扱いあるいはかなタイプにつきましても若干の訓練校で行っておりますし、英文、和文タイプにつきましては一般事務科ということでやっておるところもございますが、ここにお入りになっておられる方は確かに
先生御
指摘のように非常に少のうございます。
そこで今後どういうふうに対処をしていくかという問題でございますが、実は現在タイプについてはいろいろ検討を進めておるんですけれども、何分にもオフィスオートメーションと言われるような事務の技術革進が非常に進んでおりまして、ワードプロセッサー等の普及が著しくなってきておりまして、雇用環境が変わりつつございますので、今後タイプだけでいいのかどうかということの問題点もございますので、そういうタイピストの需要見込み等も見きわめながらタイプ関係の訓
練科のあり方について早急に検討を進めたいと思っておるところでございます。よろしく御了承のほどお願いします。
-
○
原田立君 じゃ次に移ります。
国土庁は、
昭和六十年及び六十五年における水の需給長期見通しを行っておりますが、この長期見通しというのは単なる見通しを出したものなのか、それとも政策目標として発表したものか、お伺いしたいんでありますけれども、ただ単に政策目標だなんて言うんじゃなくて、実現していこうと、こういうことで計画は立てられているんだろうと思いますが、この見通しでは総需要量が五年ごとに百億トン以上の需要増となっているのであります。半面六十年には最大級の供給努力をしたとしても、八
地域で十五億二千万トン不足する、こういうふうなことが言われているんですけれども、具体策をお示し願いたい。
-
○
政府委員(高秀秀信君) お答えいたします。
先生いまお話しの長期水需給計画は、この計画の中の本文にも計画の
性格ということで述べておりますけれども、
昭和五十二年十一月に策定されました第三次全国総合開発計画の政策目標であります定住構想を踏まえて、いまお話しのような
昭和六十年及び六十五年の水需給の見通しを立て、この見通しに基づきまして長期的な水資源の開発、保全及び利用に関する基本的な事項を示しまして、将来における水需給の長期的安定化を図る施策を推進するための指針ということで公表したものでございます。
それから、あるいは
大臣の方からまたお話があるかもしれませんけれども、いまお話しの水資源開発を進めるというためには、私どもは、この計画の中でも述べておりますけれども、水不足が見通される
地域においては、長期的な観点に立って節水であるとか水使用の合理化というものを進める一方、水資源開発のための
調査、水源
地域対策等をさらに進めて、水資源開発の一層の促進を図るということにいたしております。
-
○
原田立君 建設省では渇水
対策の一環として福岡県に二カ所のダムも建設する計画が進んでいるようでありますが、その計画概要及び国土庁の水需給見通しでも明らかなとおり、
昭和六十年には四億トンもの水不足が見込まれているのでありますが、この供給に対しては、新規ダム建設を含めその
対策をお伺いしたい。
-
○
政府委員(川本正知君) ただいま
先生御
指摘のありました二カ所の新規ダムでございますが、まず一つは五ケ山ダムでございます。これは福岡県の二級水系の那珂川に建設されるダムでございまして、異常渇水時におきましても水利用が安定して行えますように、このダムの貯留水を利用いたしまして最低限の生活用水と都市機能とを確保するといったことを目的といたしまして、そういう渇水
対策ダムでございますが、高さが約百メートルございまして、総貯水容量も約四千万立方メートルの規模を予定しておりまして、那珂川の洪水調節、流水の正常な機能の維持並びに渇水
対策ということを目的としておりまして、五十八年度には福岡県が事業を施行いたします補助多目的ダムということとして新規の実施計画
調査に着手したいと思っております。実施計画
調査をいたしまして、ダム建設の計画内容の細部の検討を行いまして、地元関係者の御理解も得まして、一層の今後の
調査の進捗を図ってまいりたい、そう思っております。
それから、もう一つのダムは赤石川ダムであろうと存じますが、これは筑後川水系の赤石川、支川でございますが、大分県の大山町にございます。そこに建設を計画しております多目的ダムでございまして、やはりダムの高さが約九十六メートルぐらいございまして、総貯水容量約千九百万立方メートルで、洪水調節、流水の正常な機能維持並びに都市用水の供給を目的としているものでございます。洪水調節は、赤石川ダムの地点、下流の水害を軽減することとしておりまして、都市用水は、北部九州
地域の諸都市に対しまして新たに日量約十三万立方メートルぐらいの取水を可能ならしめるようにということを考えております。同じく五十八年度に新規に実施計画
調査に着手したいと考えておりまして、こちらの方は水資源開発公団で実施することを予定しておりまして、実施計画
調査の段階におきまして計画内容の細部検討を行ってまいりたい、そう思っております。
また、北部九州で四億トンの水不足ということが想定されておるということでございますが、この北部九州は、北部の四県を対象範囲にしておりまして、この
地域につきましては、五十三年の福岡の渇水に見られますように、水資源
対策ということが特に必要な
地域であるという認識をしておりまして、そのためには水資源開発を強力に、また計画的に進めてまいりたいと思っております。現在施行中の直轄、公団合わせまして十三のダムがございますし、また補助で二十のダムがございますが、そういったダムの完成を急ぎますとともに、その後に続きます新規のダムについても
調査を進めまして、その事業化について今後一層の努力をしてまいりたい、そう思っております。
-
○
原田立君 ついこの間は約半年余の渇水で大変福岡市民は苦労しました。福岡市民を初め、多くの人たちが念願であった筑後大堰もことし十月から本格的な給水
体制に入ることになりましたが、給水に伴う水産振興資金四十五億円がかかっておりますが、それがそのまま市民の水道料金にはね返るのではないかとの心配が非常に強いわけであります。この水道料金はね返り分の軽減について何らかの
対応を検討してほしいという市民の強い要望でありますが、この点についての御検討をいただきたいと思いますが、いかがですか。
-
○
国務大臣(林義郎君)
先生御
指摘のように、いま四十五億円のお話が出ましたが、これは、有明海水産振興のために福岡地区水道企業団から福岡、佐賀両県の有明海漁連に対しまして支払うものだというふうに聞いております。御
指摘のように、この支払いにより水道料金へのはね返りも懸念されるが、筑後川の水を円滑に取水する上でやむを得ない
措置とも聞いておるところでございます。国庫補助が可能かどうかにつきましては、水道に関する補助制度との関連もありますので、今後十分に検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
-
○
原田立君 ひとつ前向きに対処していただきたいことを強く要望しておきます。
それから雑用水、ついこの間までは中水と言っておりましたけれども、雑用水利用の促進が計画されておりますが、どの程度の規模で行われているのか。また、現在モデル事業として行っているところはどこなのか。この事業の増大に伴い、水質の管理
調査、料金との関係など種々の問題が生じてくることは明らかでありますが、どう対処なさいますか。
-
○
政府委員(高秀秀信君) 雑用水の利用につきましては、
地域的には水需給の逼迫しております東京、大阪、いま
先生のお話の福岡の大都市圏を初めといたしまして、あるいは水を得ることがむずかしい、たとえば高速道路のパーキングエリア等特殊な場所で実施されております。したがって、その用途は事務所ビルの水洗便所用であるとか空調冷却用、洗車用、集合住宅の水洗便所用であるとか芝生散水用、道路の散水用、消火用その他等等、たとえば小川の修景用水等に使われておりまして、現在、特に
昭和五十年以降ふえておりまして、いわゆる個別循環、下水の処理場からということじゃございませんで、一部ダブるものもございますけれども、たとえばビルの中のものを回すというようなものが現在百九十カ所大体行われているというふうに考えております。なお、水量につきましては、まだ詳細につかんでおりませんけれども、日量にして施設能力で大体四万トンから五万トンくらいあるんじゃないか。そのほか下水の処理場から場外へ年間で五千万トンですから、十五万トンくらいやっているんではないかというふうに考えております。
それから、
先生いまお話しの後段の問題点でございますけれども、雑用水利用につきましてはいろいろな問題がございます。モデル事業につきましては福岡市で一カ所、東京の御
承知のように落
合—新宿で一カ所、二カ所行われております。このモデル事業の実施あるいは金融、税制上の特別
措置の実施などによりましてその普及を図っておりますけれども、基本的には従来の水利用と違う方式でございますので、技術上の問題であるとかあるいはコストの問題、そのことが問題点としてございます。したがいまして、いろいろ政府部内でも協議をいたしておりますけれども、たとえば
昭和五十六年度には、水質基準については水洗便所用水に対しまして厚生省の方から暫定水質基準を作成いたしておりますし、また、施設等については建設省が配管設備の基準及び下水処理水循環利用技術指針を作成して、それぞれ関係
団体に流しておるところでございます。今後とも国土庁といたしましては、関係省庁との連携のもとに引き続きこれらの問題点の解決推進に当たりたいというふうに考えております。
-
○
原田立君 私の地元の福岡市でも節水要綱を徹底してしっかりやっているのでありますけれども、この節水促進に伴い、市独自の予算で利子補給等固定資産税相当額を雑用水道奨励として補助金を交付している。今後節水促進が進めば進むほど市財政を圧迫する、こういうふうなことになっているんですけれども、これに対して何らかお考えいただきたいということが一つ。
それから、これから各地で非常に多くなってくるわけでありますけれども、水道法、下水道法等の改正、あるいは新規
法律の制定を含めて考えるべきではないかと思うんですが、どうですか。
また
国土庁長官、下水道事業は建設省、上水道事業は厚生省、工業用水道事業は通産省と、関係省庁が複雑に絡み合っているわけでありますけれども、その調整役を国土庁はやったらばどうなのか。
以上、まとめて質問しましたが、御見解をお聞きしたい。
-
○
国務大臣(
加藤六月君) お答えいたします。
雑用水利用につきましては、それぞれの水需要事情を踏まえまして
地域の実情に即してその導入が図られるべきものであると、こう考えております。そして、
先生おっしゃいましたような雑用水利用促進策につきましては、地方公共
団体によりさまざまな工夫が行われているところであります。国土庁としましては、長期水需給計画、水資源開発基本計画を推進している
立場でございますので、おっしゃいましたように、総合調整官庁として当面、水資源の開発利用の中での雑用水利用の位置づけを明確にするように努力したいと考えております。そして、関係省庁、地方公共
団体等の役割り分担等についても連絡調整を行いながら御
指摘のような問題についても今後そのあり方を検討してまいりたいと考えております。
なお、水道法、下水道法の改正あるいは新規
法律の制定を含めてどう
対応するかというような
先生の御質問の御趣旨ではないかと思いますが、先ほど申し上げましたように、また
局長からも
答弁いたさせましたように、雑用水利用というのは、水資源の合理的利用、それから生活用水の合理化等のための手法として今後さらに促進する必要がある、このように考えておる次第でございます。したがいまして、国土庁としましては、当面引き続き雑用水利用のための各種促進策を推進いたしますとともに、長期水需給計画、水資源開発基本計画を推進している
立場にある総合調整官庁としまして、水資源の開発利用の中での雑用水利用の位置づけを明確にし、関係省庁、地方公共
団体等の役割り分担等につきましても連絡調整をとりながら促進のための
体制整備に向けて努力いたしたいと、このように考えておるところでございます。
-
○
原田立君 米軍から返還された基地や土地の利用についてお伺いしたい。
国有財産中央審議会では「米軍提供財産の返還後の利用に関する基本
方針について」の答申を出しておりますが、その答申の内容はいかがですか。
-
○
政府委員(勝川欣哉君)
昭和五十一年六月二十一日に国有財産中央審議会から、いわゆる三分割答申というのが出されておりまして、大都市及びその周辺に所在する大規模な返還財産については、特別のものを除きまして、おおむね国、地方それぞれ三分の一ずつ、あと残り三分の一を将来の需要に留保して使うということが適当ではないかというふうな趣旨の答申をいただきまして、その線に沿って処理をしております。
-
○
原田立君 では、この答申に盛られている三分割
地域処理
方針を提出しているが、この答申に該当する土地は全国で何カ所あるのか。まあ十一カ所と聞いておりますけれども、どうですか。
この答申に基づき利用計画が進められ、または利用されている土地は何カ所なのか。
北九州市の山田弾薬庫の場合はどうなっているのか、お伺いしたい。
-
○
政府委員(勝川欣哉君) この
方針に基づきまして処理します跡地は、十一カ所であります。
御説の山田弾薬庫につきましても、この三分割
方針に基づいて処理をしたいと考えておるところであります。
-
○
原田立君 山田弾薬庫の場合は、四十七年二月に返還されて大蔵省の所管になっておりますが、地元北九州では、中央審議会の答申を受け積極的に利用計画を検討し、五十四年十一月に提出しているにもかかわらず、基本的には現在一歩も進んでおりません。三年以上も経過しているのでありますが、
原因は一体何なんですか。
-
○
政府委員(勝川欣哉君) 北九州市所在の山田弾薬庫跡地につきましては、四十七年の返還以来、時日を経過したにもかかわらず、利用計画が定まっていないことにつきましては、私どもも遺憾と存じております。
御案内のように、本地につきましては防衛庁が、九州地区におきます弾薬備蓄能力の現況と、当地にりっぱな弾薬庫の既存施設があるということから、弾薬庫として利用したいという要望を持っておりますことに反しまして、一方地元に、北九州市はこれを広域公園として利用したいという要望がありまして、当初、両者とも全面積を利用したいということでありましたのでありますが、先ほどの三分割答申に沿って両者とも利用することにつきましては合意がおおむね成立しつつあるのでありますが、国利用分につきましてなお
意見の一致を見ておりませんので、私どもといたしましては、関係者の互譲の精神に基づきまして早期に円満な調整が図られまして、できるだけ早期に解決するよう一層努力してまいりたいと存じます。
-
-
○
国務大臣(
谷川和穗君) 私どもといたしましては、ぜひ防衛庁でこれを使用をさしていただきたいということから地元にも申し入れさしてもいただきましたが、ただいま財政当局の方からも御発言ございましたが、この跡地の処理について財務当局からもし具体的な調整があった場合には十分検討をさしていただきまして、地元とも話し合った上で、この問題については円満な解決を図りたいとは考えております。
-
○
原田立君
防衛庁長官、いま大蔵省の方からの説明で、弾薬庫としてまた使いたいという申し入れが口頭であったというけれども、本当ですか。
-
○
政府委員(
友藤一隆君) お答えいたします。
山田の弾薬庫の跡地につきましては、先ほど来大蔵省の方から御説明がございましたように、私どもとしまして、継戦能力を向上させる必要もございますし、弾薬庫が大変不足しておるということから、これを早く整備したいということで、新規に弾薬庫を取得しますのはなかなかむずかしいというようなこともございまして、この跡地の約三分の一ばかりを陸上自衛隊の弾薬庫として使用いたしたいということで、五十三年に申し入れをいたしております。
-
○
原田立君 それは文書できちっと提出してありますか。
-
○
政府委員(
友藤一隆君) 申し入れは、地元の北九州財務局に対しまして口頭で行っております。
-
○
原田立君 口頭でやるなんということもとんでもない話じゃないですか。市は大綱を出している
んですよ。それから、またしかも山田弾薬庫そのものが北九州市小倉北区と南区と、もう市のど真ん中にあるんですよ。そんなところに弾薬庫なんか置いてたまるものですか。冗談じゃないですよ。一カ所はA
地域、B
地域、C
地域として、そうしてしかも全部について平和的利用に使うというのが根本原則であったはずです。大蔵
大臣どうですか。
-
○
国務大臣(竹下登君) これは、福岡財務支局におきまして、いまの御要望、また地元の意向等を総合的に勘案して、関係者から十分な説明を受けて、三分割答申に従った利用計画を検討をいたしまして、できるだけ早い機会に国有財産九州地方審議会において審議をしていただきたいと、こう考えておるところでございます。だから前提は、関係者のそれぞれの話し合いによって、本跡地の全体利用計画について円満な調整が図られることを私どもの方としては期待をしておると、こういう公式な
答弁になろうかと思います。
-
○
原田立君 期待をしているといっても、五十四年十一月九日、北九州財務
局長あて山田弾薬庫跡地利用計画について大綱を北九州は提出しております。これが促進できないのは、防衛庁の方であそこに弾薬庫などをつくるだなんという考えを示しているから話が進まないんです。しかもそれは口頭で言っているから。正式な文書じゃない。正式な文書が出ているならばそこで一つのテーブルにつくでありましょう。だけれども、そういうようなことをしないで、そうして中途半端にしておくということは、これは重大な問題だと思うんですが、重ねて大蔵
大臣、希望するだなんというようなあいまいなことじゃなくて、もっとしっかりとした御
答弁をいただきたい。
-
○
政府委員(
友藤一隆君) 私どもの方から一言申し上げさしていただきますと、この計画をお出しいたします際に、地元の御了解というものが私どもの施設建設につきましてはやはり必要であるというふうに考えておるわけでございまして、そういう意味合いから、地元の方でただいまお話がございましたように大変弾薬庫の設置については反対であるということで反対が強うございます。したがいまして、私どもとしましては弾薬庫等の設置につきましては、その安全性等について十分御説明して、はっきりした利用計画等も定めて出したいということであったわけでございますけれども、なかなかその辺十分なお話し合いがいままでそういった事情でできておりませんので、そういう点を御理解をいただきたいと思っております。
-
○
原田立君 大蔵
大臣、百万都市の中の真ん中なんですよ。小倉北区、南区の外れ、外れというか、境目にあるんですけれどもね。そういうところに弾薬庫なんかを持ってこられたら、市民は非常に不安感を強く持つのはあたりまえだと僕は思うんですかね、
大臣いかがですか。——
大臣に聞いているんだ、
大臣に。
-
○
政府委員(
友藤一隆君) 弾薬庫の安全性につきまして、一言私の方から申し上げさしていただきたいと思います。
御案内のとおり、弾薬庫につきましては、自衛隊の任務隊行上必要であるということで、各地に必要なものをできるだけ整備をしていくということできておるわけでございますけれども、もちろんその安全性につきましては、十分国内法上の基準等に合致し、自衛隊の中におきます基準も充足するということで整備をいたしておりまして、たとえば保安距離にいたしましても、その取り扱いの基準にいたしましても、十分な考慮を払っておりますので、実際問題としては周辺に危険を及ぼすというおそれはまずないというふうに私ども考えております。ただ、いまお話しございましたように、自衛隊の施設の設置につきましては、地元の十分な御理解というものをいただくことが大前提でございますので、そういった点、十分地元ともお話し合いをさしていただいて、財務当局ともよく御相談をし、円満に解決をされるようになるようにお願いをしたいというふうに考えておるわけでございます。
-
○
国務大臣(竹下登君) いま防衛庁当局からお話がございましたが、既存の施設の現況に着目してみますと、弾薬庫としての利用に適しておるとも考えられるそうでございます。私も現地を
承知しておりませんが。しかし反面、いまおっしゃいましたように、立地条件から見れば緑を残した公園としての利用という市の要望にも十分考慮を払う必要がありますが、そこのところで、当初は防衛庁は全部を弾薬庫にと、それから市側は全部を公園にと、こうおっしゃっておったのが、市側におかれましても三分割方式にはまあやむを得ず理解を示していただいた。こういうことになりますと、関係者の互譲の精神によって全体の利用計画が早期円満に調整が行われることを、国有財産を管理しておりますわれわれとしてはいわば期待をしておるというのがきょうお答えする限界ではなかろうかなと、こういう感じがいたしております。
-
○
原田立君 その限界はね、もう非常にいただけない返事であります。市としても、五十四年六月には山田弾薬庫跡地の早期利用の促進に関する決議を採択し、現在全面平和利用を原則としながら云々と、こういうふうに強く要請をいたしております。また、私は現地に行って見ておりますけれども、あんな土地に、都市のど真ん中に弾薬庫なんか持ってこられたら大変ですよ。大蔵
大臣、あなたもお忙しかろうけれども、一遍現地を見てもらいたいぐらいな思いがするんです。いかがですか。
-
○
国務大臣(竹下登君) さらに、国利用分に関して弾薬庫以外の自衛隊の使用については改めて検討の用意あるやにも、いま聞いてみますと、聞き及んでおるようでございます。したがって、現地を見ろとおっしゃいましても、ちょっと私が見ても、ど真ん中にあるということは
原田さんのお話で大体わかりますが、素人が見てみても、必ずしも何に適するかがよく理解できる能力の持ち合わせがあるいはないかとも思いますけれども、それはそれとしてやぶさかではございませんが、だんだん話し合いの空気ができておるやにも承っておりますので、わが方としてはそれの調整が進むことを期待を申し上げておるというのがやっぱりきょう時点において
原田委員にお答えのできる限界ではなかろうかなと、こういう感じでございます。
-
○
原田立君 なお前進あることを心から希望します。
新北九州空港の建設についてでありますが、五十六年十二月に閣議決定された第四次空港整備五カ年計画の中に新規事業として採択されておりますが、昨年末には地元期成会の陳情に対して運輸
大臣は、
昭和六十五年度開港を目標に万全の努力をするとの回答をなさっておられるわけでありますが、開港見通しについて再度
大臣にお伺いいたします。
-
○
政府委員(松井和治君) お答え申し上げます。
新北九州空港につきましては、現北九州空港が、御案内のように大変機能が不十分にしか働いておりませんので、私どもといたしましても、つとに新空港の建設について検討を進めてきたわけでございますが、なかなか適地が得られなかったということと、空域の調整の問題が非常に深刻であるというようなこともありまして計画が延び延びになっておりましたが、現在、福岡県並びに北九州市が中心になりまして大変強い熱意を持って計画の推進に当たっておられます。私どもといたしまして、六十年代の後半を開港のめどにして今後計画を煮詰めていきたいというふうに考えておるわけでございますが、なお、ただいま申し上げましたとおりのこれから調整をすべき問題も若干残されておりますので、今後鋭意努力をしてまいりたいというふうに考えております。
-
○
原田立君 きょうは、
大臣はおかぜを引いて入院なさっておられるので聞けないのが非常に残念なんでありますが、去る一月には北九州においでになって、この北九州空港設置についてはしっかり努力するということを重ねて表明なさっていることをお聞きいたしております。百万都市北九
州、その背景には約二百万人余の人口を擁しているところでございますので、この新北九州空港については計画どおり実現すると、こういうふうに明言いただけるならば大変ありがたいと思うが、いかがですか。
-
○
政府委員(松井和治君) 私どもの計画は、先ほど
先生お話しございましたように、第四次の空港整備五カ年計画で新規に着手予定空港ということで入れてございます。できる限り、そのような方向で努力をしてまいりたいと考えておりますが、なお場所の問題等、先ほど御
答弁申し上げました空域の問題の調整が残されておりますので、完成時期については先ほど御
答弁申し上げましたとおり、六十年代の後半にならざるを得ないというふうに考えております。私どもといたしましてはできる限りの努力を今後もいたしていきたいというふうに考えております。
-
○
原田立君 せっかく御努力願いたいと思います。
産炭
地域振興法が十年間延長されたことは、産炭地関係市町村は大変喜んでおるところでありますが、各産炭地でも復旧は思うように進んでいないのが現状であります。
法律の延長に伴いどの程度の復旧が見込まれるのか、その見通しをお伺いしたい。
-
○
政府委員(豊島格君) ただいま
先生の御質問は、鉱害復旧の産炭地問題と思いますが、これは五千九百億ぐらい残っておるわけでございまして、これにつきまして、あと十年かかって鋭意これを復旧していくと、こういうことで進んでおります。
-
○
原田立君 具体的には、福岡県宮田町に貝島炭鉱跡地があるのでありますが、倒産して、いま会社更生法の適用になって、五年間やってまだはっきりしないので、また五年間延びて、現在まだ進行しているんですけれども、非常に大きな露天掘りの跡地があります。それはもう水が満々としております。これはごらんになったことがあるだろうと思いますが、これをただ単に会社にだけ任しておきますと、虫食い状態で土地を売ったりなんかすると、町としてその跡地の開発計画、これが非常に疎漏を来すというようなことで、現地としては、これをそんなことにならないようにしてもらいたいと、こういう強い要請があるんですが、この貝島炭鉱跡地の問題についてのお考えをお聞きしたい。
-
○
政府委員(豊島格君) 貝島炭鉱の跡地につきましては、
先生先ほどおっしゃいましたように、現在清算手続と、しかもこれを現在延長してやっておるというところでございます。
それで、その跡地につきましては、当然同
地域の振興のために使われるということが望ましいわけでございまして、そういう観点から、通産省におきましても、すでに五十四年ごろに安全性と開発可能性についての
調査もいたしましたし、それから五十六年以来、福岡通産局を中心といたしまして、関係者を集めてこの開発計画と申しますか、そういうことになっておるわけでございます。
ただ、これは会社更生法の更生計画の一環として行われるということでございますので、その更生会社と地元公共
団体との
意見調整が行われなくちゃいけないと、こういうことでございまして、そういう会社更生法自身の問題というのはどうしても避けて通れない。しかし、いずれにいたしましても、宮田町自身がこの再開発のために具体的な土地利用計画を早くつくっていただく。そしてそれが会社ともいろいろ調整をしてくれば、われわれとしては関係方面といろいろと相談してこれを実行に移していきたいと、こういうことでございまして、できるだけの協力ということは、最大限の協力といいますか、そういうことはしていきたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
-
○
原田立君 これは通産
大臣の関係ですね。試案として言われているのは、貝島炭鉱の土地、資産を債権者、国、県、町等の公共資産として開発する方法、こういうようなことが一つ提案されております。
私が申し上げたいのは、あの状況を見てみると、たまらないものですよ。大変なところだという意味です。筑豊の戦後は、宮田町の貝島炭鉱跡地の開発計画ができたときに戦後は終わったと、こう言っても過言ではないと、こう思うんです。
先ほどの提案といまの考えについて
大臣の御所見をお伺いしたい。
-
○
政府委員(豊島格君)
先生御
指摘のように、この跡地の開発というのは、同
地域の復興といいますか、それに不可避のものであるということは私どもよくわかっております。しかし具体的に政府がどのような協力をするかということに対しましても、具体的にどうしたらいいのかという、町自身といいますか、地元自身の計画がしっかりできるということでないと、それは実行できないわけでございまして、その計画づくりを単に待っておるだけじゃなくて、われわれとしてはそれにも十分協力しておるわけでございまして、一日も早くこの計画ができるということをわれわれとしても期待しておるし、それに協力していきたい。その上でさらにそれをどうやって実効あらしめるかということにつきましては、いわゆる政府関係
機関あるいは主要な方面とも相談して最大限の努力をしていきたいと、このように考えております。
-
○
国務大臣(山中
貞則君) 私は貝島炭鉱に行ったことかないものでありますから、地図の上の概念は持っておりますが、会社更生法が終わっているのかどうかも知りませんし、もし終わってないのならば、司法手続と並行して、それがどのように企業側との合意というものが取りつけられるのか、そこらのところが、単に地元の計画ばかりじゃなくて、存在して長引いているのではなかろうかと判断をいたしますが、もう少し私も研究さしてもらいます。
-
○
原田立君 去る二十六日、
中曽根総理は札幌の講演会の中で、別な問題ですけれども、テクノポリスのことについて、全国ばらまきはよくない、一カ所に集中してやるのが賢明だと、こう言っているのですけれども、
大臣はどうですか。
-
○
国務大臣(山中
貞則君)
総理がそのように言ったとは聞いておりません。全国にばらまくようなことでなくて、効果ある
地域に集中して行うべきだという表現だったと聞いておりますが、しかしそれは別として、私としては、初め十九の候補地が手を挙げたけれども、それを私が
衆議院予算委員会でうっかり、最終的には十九カ所全部指定します、予定ですと言ったら、とたんに——これは
地域の問題ですから、都道府県並びに関係市町村が、みずからの
地域をそれを手がかりとして、新しい産、学、住、そういうものを含めたいわゆるテクノポリスに飛躍したいという願いというものが、自助努力というものがなきゃなりません。しかし全部指定されるのか、じゃ最初の年か次の年かだなあ、待っても何年かうちだなという、そういうような待ちの姿勢に変わりまして、みずからが考え、住民とともに通産省に持ってきて、そして国の施策の上に乗せてくれという意欲が、その日から急速に低下したのを知りました。
したがって、
方針を変更して、結論は
総理の言われたことと同じになるんですが、これは厳選をする、手を挙げたところを全部指定しない、さらに手を挙げてないところでも、今後有望なところが出てくれば追加する見込みもあることもあるということで、
方針変換をいたしまして、
総理の御
意見はそれを受けての御発言と
承知いたしております。
-
○
原田立君 九州も六カ所の指定の申請が出されているわけです。福岡県においては久留米・鳥栖
地域を含めて申請を出しているわけなんですけれども、
大臣厳選なさるというお話で、それは厳選は厳選で結構なんだけれども、じゃ一体具体的にどういうことが合致すれば、条件が整えばなさるというんですか。そこら辺のお考えをお聞きしたい。
-
○
国務大臣(山中
貞則君) この考え方のもとになりましたのは、日本列島の地図——とにかくこれは国の施策が初めにあったんじゃないんです。地
図を見てみると、最近たとえば典型的な例を大分県に挙げましょう。大分県の国東半島の一番先の方に飛行場ができた。最初私はおりたときに、何と不便なところであろうか、言っちゃ失礼だが。イグサで有名ですから、そんなに市街地に近いわけでもない。したがって大分、別府なんていうところに行くのに一時間、一時間半かかると思っていましたら、それはいわゆる時代の進展を知らない者の考えで、そういうところは企業が立地しやすい。飛行場というものは、これは距離じゃなくて、時間の基地になるということを企業は考えたんでしょうね。
したがって、九州全体というものが、シリコンアイランドではありませんが、先端産業、コンピューターあるいはその他のいわゆる先端産業の分野があちこちに進出しておる。それは国が進出しなさいと誘導策をとったわけでもないですね。国がそれに対して何も助言をやったわけでもないし助成もしてない。自動的に企業の論理でもってそこに出た。いわゆる飛行場というものに目をつけて、その近くの安い、東京その他に比べて安いわけですから、安いところに立地して、空気もきれいですし、そういうところから飛行場を拠点にして飛行場から本社へ、あるいは飛行場から成田、
外国へというふうに、
地域と何にも関連のない存在になっておる。そこに通産省としては一応目をつけまして、これがもし
地域に対して横に技術の拡散をやってくれる。そうすると、そこに産、学、住共同して地方自治体がやろうという御意欲があれば、これが結果的に新しい
地域の経済の浮揚と将来の経済の先端をいく産業地帯になるんじゃないか、こういう着目をしたわけです。
〔
委員長退席、理事嶋崎均君着席〕
ですから、国にはアイデアは最初からあったわけじゃなくて、現象をアイデアとしてつかまえたということでありますから、これはあくまでも地方の自分の県がやるという計画、またそれの実現性ですね、こういうものをそれぞれ見てみますと意欲に違いがある。国がいろんなことでめんどうを見てくれるならばうちもやろうか、手を挙げようかという県と、そうじゃなくてすでに相当知事の努力で実現しかかっているようなところもある。そういうようなことを考えますと、この問題は厳選するというのは、国の援助にまず最初に頼るという姿勢ではなくて、自分たちができるだけやる計画を持ち実行をする、努力をするという意思を持っている人たちに、いろんな面で御援助を申し上げていくという意味の、援助するに足りるだけの条件を整えていらっしゃいという意味の厳選でございます。何の基準が幾らということは決めておりません。
〔理事嶋崎均君退席、
委員長着席〕
-
○
原田立君 建設
大臣、北九州の若松と戸畑を結ぶ若戸大橋の……
-
○
委員長(
土屋義彦君)
原田君、残念ですが、時間が参りました。
承知をされているようですが、ひとつよろしくお願いいたします。
-
○
原田立君 拡張事業が、長年の念願がかない、五十八年度から行われるようになっておりますが、拡幅に伴い市民は協力的になっておりますが、数十軒の立ち退きが必要とされております。こういう方々の問題についてはきちっとした対処をしてあげてもらいたいという要請であります。この
答弁を聞いて終わりにします。
-
○
国務大臣(内海英男君) できるだけ円満な工事を推進するために話し合いは円満に進めてみたいと思っております。
-
○
委員長(
土屋義彦君) 以上で
原田立君の質疑は終了いたしました。
─────────────
-
-
○和田静夫君 厚生
大臣、明治製菓のエクセラーゼの
調査結果、処分関係を御報告願います。
-
○
国務大臣(林義郎君) 和田議員の御質問にお答え申し上げます。
明治製菓エクセラーゼ問題につきましては、本日持永薬務
局長のところに明治製菓中川赳社長を呼びましてお話を申し上げました。厚生省としては、明治製菓及び
昭和大学からの事実
調査の報告を受け、それを踏まえて明治製菓関係者に対する事情聴取を行い、また
昭和大学より当該動物実験データの二十四枚の生データの写しの提出を受けて、その内容を点検を行ってきたところでございます。
以上の
調査の結果は次のとおりでございました。
第一に、エクセラーゼに関し、厚生省に提出された動物実験データは、上記生データとの照合の結果、実験動物数に食い違いのあることや生データそのものに数値の修正が多く見られるなど、きわめて申請資料としての信憑性に欠けるものと判断をしたところでございます。
次に、明治製菓株式会社に対し、データ作成への関与について
調査を行いましたが、同社は当該実験を全面的に
昭和大学に委託しており、会社として当該データの作成に直接関与したことはないとしており、また同社がデータの修正など積極的に大学に依頼したことはないとしておるところであります。
しかしながら、同社の社員が
昭和大学に出入りしてきたのは事実のようであり、大学内でのデータ作成の過程について知り得る
立場にあったと考えられ、同社員がデータの修正等について
承知していたとの疑問は否定できない、こういうふうに考えております。
以上の
調査の結果に基づきまして、厚生省としては次の
措置をきょうしたわけでございまして、明治製菓株式会社に対し、かかる信頼性に欠ける資料を提出し、
社会的混乱を引き起こしたことはまことに遺憾であり、今後かかることのないように厳重戒告を通告した次第であります。
またも今回の事件に関し次の指示を行い、その結果を厚生
大臣に報告するように指示いたしました。
第一に当該動物実験に関する資料の取り下げを行うこと、第二に同データを掲載した同社のパンフレットの回収を行うこと、三、社内における責任の明確化を図り、管理
体制の再点検を行うことでございます。
なお、同社は今回の事件に対し会社の責任を認めるとともに、会社の
対応として次の
措置を講ずることとしているというふうに話を聞いているところでございまして、第一に社長を含めて医薬品関係役員の責任を明確にすること、第二に社内担当者の処分を早急に行うこと、第三に今後一カ月間の当該品の自主的販売停止を行うこと、第四にその他厚生省の今般の指示に対して早急に
措置を講ずるとともに報告を行うこと、ということを会社の方は言っているようでございます。
以上でございます。
-
○和田静夫君 私は厚生省添付資料と学会誌とをしさいに検討してみました。厚生省添付資料の十六ページには有意差検定、いわゆるT検定というのがあるのですが、これは日薬理の雑誌には出ていません。したがって、T検定というのは統計処理には欠かすことのできないものだと私は考えますが、いかがですか。
-
○
国務大臣(林義郎君) きわめて専門的な話でございますから事務当局から
答弁させます。
-
○
政府委員(持永和見君) 統計的な検定はみんな行うことがたてまえでございます。
-
○和田静夫君 学会誌にはなくて添付資料にあるということは、これは明確に明治製菓がやった可能性が出てくるのではありませんか。
-
○
政府委員(持永和見君) その検定は、大学でやったことを明治製菓がもらったというふうに私ども
承知をいたしております。
-
○和田静夫君 これは大学側のだれもが手をつけてないのです。
-
○
政府委員(持永和見君) 私ども明治製菓に聞いたところでは、明治製菓の方は大学からもらったものだというふうに言っておるところでございます。
-
-
-
○和田静夫君 大学側の説明では、生データの数字がいじられていることは認めたわけです。だれがだれの指示によって、いつどこで改ざんをやったのかという詳細は明らかではない。まだこれは事実関係というのは半分も解明されていないといっていいんじゃないかと私は思うんですが、三月十六日の質問の際に、このデータの捏造の謀議について、日時、参加者、場所を明らかにしてほしいと要求してあるわけですが、その
調査結果、厚生、文部。
-
○
政府委員(持永和見君) 先ほど
大臣が御説明いたしましたように、私どもは
昭和大学が現在保有しております二十四枚の生データについて
調査をいたしたわけでございますが、このデータが二十四枚ということでございまして、たしか全部は七十何枚あるやに大学側も言っておりますけれども、その全貌が明らかになっておりません。ただ、先ほど
大臣が申し上げましたように、この生データと私どもに出された申請データとの間にはかなりの食い違いがあるということで私どもは今回の処分をしたと、こういうことでございます。
-
○
政府委員(宮地貫一君) その後の状況でございますけれども、今回の問題について大学当局から三月二十二日、おおむね次の趣旨の報告があったわけでございます。
一つは、薬学部教授会による事実関係の
調査について同教授会から理事会に対して次のような報告があったということを伺っております。一つは、関係者の事情聴取及び資料検討の結果、いわゆる生データの中の数字がいじられているということが判明した。しかしながら、本件については約八年前の研究に関することでございまして、資料の散逸等もございまして、生データの変更がどのような経過でなされたか詳細が明らかでないということでございます。いずれにいたしましても、今回の不祥事を起こしました薬理学講座の責任が大変大きい、薬学部教授会は今後再びこのような問題の起こらないような
対応をしたいというような点でございます。理事会といたしましては、今回の事件が大変遺憾なことでございまして、今後このようなことが起こらないよう、薬学
部長に強く警告をしたというようなことでございます。そして、薬学部薬理学講座の管理責任者でございます山田教授及び馬屋原助教授からは自主的に退職願が提出され、理事会がこれを受領したということを伺っているわけでございます。
-
○和田静夫君 これ、生データには何人の筆跡が見られましたか。
-
○
政府委員(宮地貫一君) 私ども大学からいただいております報告では、先ほども申しましたように事柄としては大変古い事柄でございまして、何人の筆跡があったかということについては報告をいただいておりません。
-
○
政府委員(持永和見君) 私ども、先ほど申し上げましたように生データは点検をいたしましたけれども、その筆跡が何人まで及ぶかというところまでは実は
調査はいたしておりません。
-
○和田静夫君 二人以上なんです。したがって、ここも
調査してください。
-
○
政府委員(持永和見君) 筆跡鑑定の
調査というのはなかなかむずかしいかと思いますが、まあ
先生の御趣旨もございますので、できる限り
調査をしてみたいと思っています。
-
○和田静夫君 私は、武田
課長の筆跡がその中にあると見ているわけです。
-
○
政府委員(持永和見君) 私どもが武田
課長から事情聴取した限りでは、そういったデータの作成にまで直接関与したことはない、こういうふうに言っておりますが、いまお話しのような点もございますので、
調査はしてみたいと思っております。
-
○和田静夫君 厚生省、明治製菓は管理
体制が不十分であったと認めたわけであります。で、同社の他の製品についても再検討する必要があると思うんですが、
大臣いかがでしょうか。
-
○
政府委員(持永和見君) 今回の事件に関しまして、確かに明治製菓は管理
体制が不十分であったということを私どもも指示いたしましたし、また、会社側もその事実を認め、遺憾の意を表明したわけでございますが、全体としての医薬品につきましては、再評価、再
審査といったルールがございますので、それにのっとって厳正に対処をしていきたいというふうに思っております。
-
○和田静夫君 検察、警察、厚生省の
調査結果が一応出たわけで、まだ不十分ですが、どういうふうに対処されましょうか。
-
○
政府委員(
大堀太千男君) 厚生省の
調査結果につきましては、まだ私ども詳細に
承知をしておりませんので、検討いたしましてから判断をいたしたいと思っておりますが、一般的に薬事法上虚偽申請の処罰をする
規定がないということは御案内のとおりでございますし、また、本件につきましては、私文書の偽造等につきましては時効等の問題もございますので、慎重に
対応したいと考えております。
-
○
政府委員(前田宏君) ただいま
警察庁の方から御
答弁がございましたように、詳細な
調査結果をまだ聞いておりませんので、その上で検討しなければならないと思いますけれども、いわゆる改ざんというようなことがあったと仮にいたしましても、文書偽造ということに直ちになるかどうかという問題もございますし、また、時効の問題もあるということでございます。
-
○和田静夫君 外務
大臣、二月二十四日、アメリカ議会「バーンスタイン
委員会が「否定された個人の正義」という報告を出されました。この報告書は、日系人の第二次大戦中における強制収容は全く不当であったというものでありますが、何かコメントありますか。
-
○
政府委員(
北村汎君) 事実関係がございますので、私の方から先に御
答弁さしていただきますが、ただいま
先生御
指摘のように、去る二月の二十四日に、これは一九八〇年、カーター大統領のときに議会にできた
委員会でございますが、「一般市民の戦時移住・収容に関する
委員会」、
委員長はバーンスタインでございますが、それが日系米人の強制収容問題に関する
調査報告書を発表いたしました。その報告書は、それをつくるまでに幾たびかの公聴会を開き、そして数多くの証人の証言を得て証拠書類の分析を行って作成をいたしました。強制収容
措置の不当性を訴える内容となっております。
本件にかかわる収容の対象となった日系人と申しますのは、これは多くは日系人といっても米国籍の人が多かったわけでございますので、本件というのは基本的に言えば米国の国内問題ではございますけれども、しかし今回の報告が日系人十二万人に対して行われた強制収容
措置というものが軍事的には必要性のない、正当性のないものであったという結論を出したということは、これは私どもから見ましても日系米人にとって満足すべき
調査結果ではなかったかというふうに思います。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) いま北米
局長が申し上げましたように、これはほとんど日系米人ですからアメリカの国内問題ではありますけれども、しかし、そのアメリカ政府がとったこの強制
措置というものが軍事的な要請によってなされたということは正当でないということが認められたわけでありますから、日系人にとりましては満足すべき結果であったと、こういうふうに解釈しております。
-
○和田静夫君 法務
大臣、去る二十二日、安楽死論者の訴えが最高裁で却下されました。裁判所が訴えを却下した論拠については別に論ずる必要がありますが、これから高齢化
社会を迎えて安楽死問題がクローズアップされてくると思われます。アメリカでも尊厳死を認める動きが出てきているわけですが、
行政サイドとしてどういう見解をお持ちですか。
-
○
国務大臣(秦野章君) 安楽死の問題は若干判例で触れていることもあるんですけれども、尊厳死につきましては、いまわれわれの
立場で確定的な見解を表明する時点にまだ来てないと、こう考えております。
-
-
○
国務大臣(林義郎君) 尊厳死の問題につきましては、医療との関連で申し上げますならば、健康な生活の享受という国民共通の念願にこたえるということが医療の目的だろうと思います。医療は生命の尊重を旨とし、医学に基づいて医療の担い手と医療を受ける者との信頼関係に立って行われることが基本原則でありますから、御
指摘のような問題については慎重に考えなければならない点が多々あると思います。法務
大臣からの御
答弁もございましたし、いずれにいたしましても生命とは何かという人間存在の基本問題に関する問題でございますし、倫理的、
社会的にも広く考えていく必要がある問題であると思いますし、やはり国民的な合意の形成ということが必要なことではないだろうかと、こういうふうに考えております。
-
○和田静夫君 防衛庁、三沢配置が決まったF16は、米空軍の主力攻撃爆撃機、これは一般に核装備をしていると考えてよろしいですか。
-
○
政府委員(夏目晴雄君) 私ども
承知している範囲、すなわち交換資料等によれば核装備が可能であるというふうに
承知しております。たとえば、ジェーンの兵器年鑑によれば、B43という核爆弾を二発、あるいは「ミリタリー・バランス」等によりますと、種類はわからぬけれども、核爆弾が一発搭載可能であるというふうな
指摘がございます。
-
○和田静夫君 韓国の群山に配備されてあるF16は核装備していますね。
-
○
政府委員(夏目晴雄君) 韓国の群山にF16が二個飛行隊配備していることは
承知しておりますが、核装備をしているか否かについては情報がございません。
-
○和田静夫君 韓国の基地を発進して三沢に飛来する、あるいはその逆といったケース、F16はありますか。
-
○
政府委員(夏目晴雄君) 正確なことは必ずしも
承知しておりませんが、韓国にいるF16がわが本土に飛来したというような話はいまだ聞いたことがございません。
-
○和田静夫君
防衛庁長官、ちょっと
答弁あれですが、F16が三沢に配置されると、その関係においていまの質問はいかがですか。過去じゃない、今後の運用ですね、F16の運用、群山からソビエツカヤガバニ、三沢と、こういう形の運用になるわけでしょう。
-
○
政府委員(夏目晴雄君) ちょっと
先生の御質問の趣旨がわかりませんが、いずれにせよ今回わが方に配備されるF16は、一九八五年、すなわち
昭和六十年以降四十ないし五十機が配備されるということで、これは新たに配備されるスコードロンと聞いておりまして、韓国にすでに配備されている飛行隊とは関係のない、いわゆる別なものであるというふうに聞いております。
-
○和田静夫君 私は、F16が配備されることになると、F16がいわゆる緊急着陸することが三沢にあるんではないだろうか。
-
○
政府委員(夏目晴雄君) 韓国に配備されている飛行機が三沢に緊急着陸することがあり得るかというのは、一般的な常識的な意味では、そういうふうな彼らの訓練飛行の状態から言ってそういうことはないと思いますが、まあ何かの都合で外洋に出てそれが緊急着陸、いわゆるエマージェンシーでわが本土の自衛隊の基地に着陸することが全くないかと言えば、それは可能性としてはあるかと思います。
-
○和田静夫君 私は非常に想定できるのは、たとえば八二年の八月に秋田空港に米軍のヘリが緊急着陸していますね。したがって、F16もそういうことが起こり得るんじゃないか。
-
○
政府委員(夏目晴雄君) 韓国におるF16が普通三沢なり、わが内地における自衛隊の基地をいわゆる着陸飛行場としてあらかじめ想定したような飛行訓練を行うことは考えられないということを先ほど申し上げたわけでございます。
第二点は、しかし彼らが何かの都合で外洋に出たときに、エマージェンシーが起こった場合には最寄りの飛行場におりるというのは、これは軍用機に限らずあらゆる飛行機について言えることでございますので、そういうことまで全く否定することはできないだろう。しかし、あくまでも韓国にいるF16というのはわが在日米軍とは関係のないことだろうし、基地の使用というものを現在からそういうものを予想して云々するというような環境にはないんではないかというふうに思っております。
-
○和田静夫君 私は非常に予想できると思っていますよ。
アメリカは最初に核兵器を使うことを辞さないと言った。限定核戦争の可能性が強まっている。現在の核戦略が限定的であり、カウンターフォースであることを考えると、日本周辺に核兵器が存在すること自体わが国にとってきわめて危険であると考えますが、
防衛庁長官いかがですか。
-
○
国務大臣(
谷川和穗君) 非核三原則を堅持いたしておりまするわが国でございまして、核の脅威に対しては日米安保条約に基づいて米国の核抑止力に依存をいたしておるわけでございます。したがって、防衛庁としては、現在から将来にかけてでございますが、日米安保
体制の信頼性の維持向上、これをもって米国の核抑止力の信頼性が維持されていくということを期待をいたしているわけでございます。
-
○和田静夫君
防衛庁長官、SS20が発射された場合、これを防ぐ兵器はありますか。
-
○
政府委員(夏目晴雄君) ただいま
大臣から御
答弁がありましたように、核の脅威についてはアメリカに依存するということでございまして、私どもそれに
対応する能力は持っておりません。
-
○和田静夫君 いまの最後の方、何て言われましたか。
-
○
政府委員(夏目晴雄君) いわゆるそういったミサイルに対する能力、SS20に対処する能力は持ち合わせがございません。
-
○和田静夫君
防衛庁長官、佐世保なり横須賀なり、あるいは三沢なりが核攻撃を受けたらどういうような被害が発生するか、資料を作成して国民の前に出す用意はありませんかね。
-
○
政府委員(夏目晴雄君) これはたしか私の記憶によりますと、国連の事務局において核爆弾による被害というものを一つの前提を置きまして計算して、たとえば人口百万の都市に何トンの核爆弾が破裂した場合にどの程度の被害が起きるであろうということを研究して公表した資料がございます。防衛庁においては具体的にそういうものを想定して勉強したものはございませんので、もし必要があれば国連の事務局で作成されたものを提供できるというふうに思っております。
-
○和田静夫君
答弁非常に不満ですけれども少し急ぎます。
ジュネーブで中距離核戦力、INF削減交渉が行われている。アメリカは近く暫定解決案を提示する。ヨーロッパ各国に米ソともに百基から百五十基の配置を認めようという案を打診していると報道されているんですが、こうした暫定解決案を政府としてはどう評価されますか。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) アメリカがまだ暫定的な解決案を出すのか出さないのか、まだ決定的なことはわれわれも
承知をいたしていないわけでありますが、しかし、いまこのゼロオプションをアメリカが提案をいたしまして、日本もこれを支持しておりますけれども、このゼロオプションで米ソの合意が得られるかどうかということになると、この辺はなかなか困難であるということはいま現実問題としてあるわけでございますから、そういう状況の中であるいはそういうこともあり得る可能性はあるのじゃないかと思っておりますが、いずれにしても、私どもとしてはゼロオプションを支持いたす。同時にまた、仮にこの暫定提案というものが行われたとしても、それはやはりソ連全土的なSS20の削減といったものでなきゃならない。いわゆる極東が犠牲になる形のものであってはならないということを私たちは常にアメリカに対しても強く主張をいたしておるわけであります。
-
○和田静夫君 このINF交渉について、たとえば極東におけるSS20についてどういう話し合い
が行われましたか。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) いまは、そのアメリカからのゼロオプション、それからこれに対してソ連からのアンドロポフ提案というものでぶつかっておるという状況であります。この状況をいかに打破してINF交渉を妥結に導くかということについて西側の陣営も、特にアメリカがいろいろと検討しておるというふうに
承知をいたしておりますが、その辺のところはまだはっきりいたしておらないわけでありまして、とにかくアメリカの提案とソ連の提案がぶつかり合ったまま今日に至っておるということであります。
-
○和田静夫君 アジア
地域に約百基のSS20が配備されていると言われている。このアジアでのSS20はそのままにしておいて、ヨーロッパだけの削減で合意する可能性はあるのじゃないですか。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) 私たちは、やはりヨーロッパで削減をされてアジアでそのままということではこのINF交渉の結論としてのバランスがとれない、やはりヨーロッパで削減をされれば極東の分も削減をされるというのが筋じゃないかというふうに考えておりますし、これを、ヨーロッパ諸国に対しましてもあるいは当の交渉相手であるところのアメリカに対しましても、そうした日本の
立場を強く主張をいたしておるわけであります。
-
○和田静夫君 そうすると、SS20問題を含んで一括交渉ということをシュルツ国務長官と話し合った、こういうことですか。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) シュルツ国務長官との間では、INF交渉はあくまでもソ連全土的な、いわゆるグローバルな
立場で行われるべきであって、この交渉がたとえば極東を犠牲にするというふうな
立場に立っての交渉であり、あるいはまたその結論であっては日本としてはこれを了解することができないということをアメリカにも主張いたしまして、シュルツ長官も、これは日本の
立場として十分理解ができる、極東を犠牲にする、そういうことはアメリカとして考えていないということをわれわれにもはっきりと言っておるわけであります。
-
○和田静夫君 ヨーロッパだけの分離解決案ということはあり得ない、こういうことですか。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) これはわれわれの手を離れたところの米ソで行われるわけでございますから、いま私どもがこれに対して直接どうする、こうすると言っても、それだけの日本としての
立場にないわけでありますが、しかし日本のいわゆる先ほどから申し上げましたような主張はアメリカにも伝えておりますし、アメリカも日本の主張を十分理解して、その上に立ってINF交渉に臨むということを言っておるわけでございますし、今後の推移をわれわれ見守りながら、日米間ではいろいろと話し合いも行われておりますから、そうした話し合いの中でわれわれの考え方をINF交渉の中に生かすように私どもとしては最大の努力を今後とも続けていきたい、こういうふうに思っております。
-
○和田静夫君 どうも外務
大臣、自信がなさそうで困るのですが、アジアへの移転は拒否するという米国の
方針は、あのヨーロッパの分ですね、それは明らかになった。ところが、アジアについて削減交渉の対象にどうもしていない、報道を見ていると。そう感じませんか。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) これはまだ報道で、いろいろとまちまちの報道でありますから、私たちも果たしてこの報道がどういうところから出ているのか見当もつかないわけでありますが、しかし私どもは主張は一貫をして、いろいろと推測とか報道は流れておりますけれども、しかしアジアがとにかく犠牲になるようなINF交渉は困るということはアメリカにも言っておりますし、アメリカもこれを理解してそういう
立場に立ってINF交渉は進める、こう言っておるわけですから、アメリカ政府をわれわれは信頼をして見守ってまいりたい、こういうふうに考えておるわけです。
-
○和田静夫君 この
予算委員会の委嘱
審査で、外務省は極東での中距離核戦力削減交渉を働きかけても現状では効果があるかどうか疑問だと
答弁しましたね。INFは、
御存じのとおり近く米国の第七艦隊等にも配備される予定です。極東アジアの核はいわゆるずっと拡大均衡へ向かって一挙にエスカレートするおそれが強い。したがって、日本はアジアの緊張緩和に努力をすべきであって、効果がないとして外交努力を怠る、容認しかない、こういうような態度は私の方はどうも容認しかねる。そうすると、アジアのINF削減に日本政府がイニシアチブをとって米ソに積極的に働きかけていく、そういうふうであるべきでしょう。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) 日本もできるだけのことはやらなきゃならぬと思っております。すでにソ連に対しましては、グロムイコ外相のいわゆる欧州の中距離核をウラル以東に配備すると、こういうふうな発言があったことを踏まえて、ソ連に対しましても駐日大使を招致いたしまして日本の
立場を表明いたしております。また、アメリカに対しましては、先ほどから申し上げておるように、INF交渉を強力に進めてもらいたい、そしてそれはやはり極東の犠牲になるという形でなくて、ソ連全土という
立場、グローバルな
立場でこれをやってもらわなきゃ困るということを主張しておるわけでございまして、さらにソ連との間では、この四月の十二日過ぎにまた高級事務レベル会議をやりますので、この際も私たちはこのSS20の問題を取り上げて論議をいたしたいと思いますが、事あるごとに、ソ連に対しましても、またアメリカに対しましても日本の主張を言っておるわけでございますし、あるいはまた国連等においても日本の
立場は今後とも明らかにしていかなきゃならないと考えておるわけです。
-
○和田静夫君 外務
大臣、何か外交案件でお急ぎのようだから先に外務
大臣の分だけ済ませますが、せんだって総括質問の際に三海峡封鎖問題について尋ねた。そこで宗谷海峡がソ連領とソ連領とを結ぶ重要な交通路、つまりソ連のシーレーンであることはお認めになった。そこで、あとの二海峡あるいは三海峡はどうなんですか。
-
○
政府委員(栗山尚一君) 具体的な御質問のポイントが必ずしも判然といたしませんが、通峡阻止の問題については
委員御
承知の政府の統一見解に述べられておるとおりでございます。さらに具体的な御質問の点があればお答えいたしたいと思います。
-
○和田静夫君 具体的なんですよ。宗谷以外の津軽、対馬はどうなんですか。
-
○
政府委員(栗山尚一君) 政府が申し上げておりますことは、具体的にわが国自身が通峡阻止を行う場合はあくまでもわが国に対する武力攻撃があった場合に限られる、個別的自衛権の範囲内でこれを行う場合があるということでございます。他方、わが国に対する武力攻撃が行われていない状況のもとにおきまして第三国であるアメリカがそういう海峡において通峡阻止を目的とした武力行使というものを行おうとする場合には、統一見解に述べられておりますとおりに、原則としてはアメリカのそういう実力行使は日本としては認めない、ただし、わが国に対する武力攻撃が非常な緊迫性を持っておる場合においてはそういうものを容認する場合があり得ると、こういうことでございます。
-
○和田静夫君 ちょっと
答弁とポイントが違いますが、ちょっと急ぎますよ。宗谷、津軽、対馬の三つの海峡、これは公海と公海を結ぶいわゆる国際海峡ですか。
-
○
政府委員(栗山尚一君) そういう国際海峡としての
性格を持っておる水域であるというふうに観念しております。
-
○和田静夫君 そうなりますと、まずは一般論としてお聞きしますが、戦時国際法上の戦時封鎖と平時封鎖の概念。
-
○
政府委員(栗山尚一君) 平時封鎖というのは、これは伝統的な、戦時国際法で相手国の違法行為に対する復仇手段ということとして過去においてそういうものが認められたということはございますが、現在の武力行使、自衛権行使以外の武力行使が違法化されております今日の国際法のもとに
おいては平時封鎖というようなものは存在しないというふうに理解しております。
それから、
委員御質問の戦時封鎖でございますが、これは実は通峡阻止との関連でよく封鎖という言葉が使われますので非常に混同をされるかと思いますが、私どもは、いわゆる海峡封鎖というものと戦時国際法で言います封鎖というものとは全く別の概念であるというふうに理解しております。いわゆる戦時封鎖というものは、
委員御
承知のように、相手国の戦争状態、戦時におきまして、相手国の港でありますとか特定の沿岸でありますとか、そういうものを武力によりまして封鎖をいたしまして、その港、沿岸に対しまして出入するあらゆる、第三国の船舶をも含めまして、あらゆる船舶の出入を阻止すると、こういうことでございまして、いわゆる海峡におきまして相手国の軍艦等の通過というものを阻止するというものとは全く戦時国際法上異なることであるというふうに理解しております。
-
○和田静夫君 国際河川の封鎖に関しては戦時国際法上いかなる規制が加えられますか。
-
○
政府委員(栗山尚一君) 国際河川の入り口というものを封鎖をするという場合も、先ほどの封鎖、いわゆる相手国の港、沿岸に対する封鎖というものと事実上同様の行為と考えられますが、自衛権の行使の、一般的にこれは申し上げますが、自衛権の行使との関連でそういう国際的な河川の入り口というものに対します、中立国の船舶を含めまして、あらゆる船舶の出入りというものを全面的に阻止してしまうということは、戦時国際法のもとでも原則としては認められないということだろうと思います。
-
○和田静夫君 国際運河については。
-
○
政府委員(栗山尚一君) 運河についても同様であろうと思います。
-
○和田静夫君 国際海峡については。
-
○
政府委員(栗山尚一君) 国際海峡と申しましても、ただいま御論議いただいています海峡というのは公海部分の問題でございまして、しかもわが国の領海に隣接しておる水域、別に相手国の港とか沿岸とは直接関係がございませんで、わが国自身の領海に接続しておる国際通航に使われておるいわば公海、そういう水域においての武力行使の問題でございますので、これは先ほど来
委員が御質問の封鎖というものとは
法律的には全く違う概念であろうというふうに理解いたします。
-
○和田静夫君 一九四九年のコルフ海峡事件の概要、国際司法裁判所の判決について説明してください。
-
○
政府委員(栗山尚一君) これは簡単に申し上げますと、当時アルバニアが、自国の領海の一部でございますが、国際通航に利用されております海峡に機雷を敷設いたしまして、その海峡をイギリスの軍艦が通過をいたしまして機雷によって損害を受けたと、こういう事件でございまして、そういう領海内における、戦時であるか平時であるかということがその当時若干微妙な状況にございましたが、そういう状況のもとにおける領海内における機雷の敷設と第三国の軍艦の通過との関係が問題になった事件でございます。
-
○和田静夫君 国際司法裁判所の判決は。
-
○
政府委員(栗山尚一君) 国際司法裁判所の判決は、機雷の敷設自身を違法とは必ずしも認めませんでございましたが、イギリスが通過に際しまして沿岸国であるアルバニアに対しまして、軍艦の大砲を沿岸国であるアルバニアの方に向けて威嚇をしながら通過をしたということ自体については違法である、しかしながら他方におきまして、機雷の敷設自体についてはアルバニアは別にそういう機雷の敷設行為自体を違法として裁判所が違法と認定したことはございません。
-
○和田静夫君 無害通航権は確認をしていますよね。
それじゃ一九五八年の領海及び接続水域に関する条約十六条四項、説明してください。
-
○
政府委員(栗山尚一君) 十六条四項は、これは
委員御
承知のとおりに、領海を含めまして
外国船舶——軍艦を含めましてでございますが、
外国船舶の無害通航というものは停止してはならないという
規定でございます。ただ、これはあくまでも一般の平時におきます
規定でございまして、いわゆる戦時におきまして沿岸国が自衛権の行使の範囲内で領海——海峡を含めまして領海部分における
外国船舶の通航を規制するという権利は、これはこの十六条の四項によりまして制限されるということはございません。
-
○和田静夫君 一九〇四年の英仏共同宣言ですね、ジブラルタル海峡の通航についてどういう取り決めがありますか。
-
○
政府委員(栗山尚一君) ちょっと申しわけございませんが、手元に資料を持ち合わせておりませんのでお答えいたしかねます。
恐らく
委員の御質問の御趣旨は、ジブラルタルの海峡の沿岸国が、その海峡防備との関連で海峡の沿岸の要塞その他の軍事構築物を構築することを禁止しておる条項を御念頭に置かれておられるのかと思いますが、ちょっとそれ以上のことについてはお答えいたしかねます。
-
○和田静夫君 もう一つだけですが、一九三六年七月二十日の日本も参加したいわゆるモントルー条約ですね、ダーダネルス海峡、マルマラ海峡、ボスポラス海峡を含むコンスタンチノープル海峡の自由通航についてトルコにどういう規制が強いられましたか。
-
○
政府委員(栗山尚一君) 御質問のポイントは、ダーダネルス海峡を戦時におきましても国際通航のために開放をしておくというトルコの義務を定めたモントルー条約のことを御念頭に置いておると思いますが、モントルー条約自体は今日も有効でございます。
-
○和田静夫君 この海洋法条約の第三十八条の通過通航権について沿岸国はどういう義務を持ちますか。
-
○
政府委員(栗山尚一君) これは御
承知のように、従来の国際法におきましては、先ほど
委員から御質問がございましたが、領海条約の十六条四項で、通常の領海でありましょうと国際海峡として利用されております領海部分でありましょうと、一般的に無害通航、
外国の船舶に対しては軍艦を含めまして無害通航の権利を認めなければならない、こういうのが現行の国際法でございますが、新しい海洋法条約におきましてはそういう一般的な無害通航権をさらに強化いたしまして、原則としては、そういう海峡におきましては第三国の船舶の自由通過というものを原則的には阻止してはならない、いわゆる自由通航制度というものを今度の海洋法条約で新しい制度として設けた、こういうことでございます。
-
○和田静夫君 私は以上の事例からずっと考えてみまして、素人ですからあれですが、宗谷、津軽、対馬の三海峡を封鎖することはできないんじゃないだろうか、少なくとも戦時国際法に基づく戦時封鎖はできない、そういうふうに考えたんですが、どうでしょうか。
-
○
政府委員(栗山尚一君) 特定の条約によりまして、沿岸国が平時、戦時を問いませず、そういう海峡の第三国船舶を含めましてそういう海峡の自由通航というものを保障しておるという、非常に特別な場合を別といたしますれば、先ほど領海条約の十六条四項との関連でも御説明いたしましたところでございますが、さらに今回の新しい海洋法条約に基づきます自由通航制度も、いずれも基本的には平時において適用される制度でございまして、戦時におきまして沿岸国が——沿岸国に限りませんが、一般的に申し上げまして、戦時におきまして自衛権の行使の一環として必要最小限度の武力行使ということで、国際海峡におきまして——これは領海部分、公海部分に限りませんが、第三国の船舶の通航に一切影響を与えてはならない。こういう国際法は今日においても、従来からもそうでございますが、今日においても存在しないであろうというふうに考えております。
-
○和田静夫君 そういう
答弁が出るだろうと思ったから、先例をちょっと時間かけてずっと追ってきたんですよ。
アメリカの八四会計年度軍事情勢報告は、ウラ
ジオストクの戦力は太平洋への展開のためには日本と韓国に隣接した複数の海峡を通過しなければならない。これらの水域は、同盟諸国の戦力がいつでも展開可能である。こう言っている。このべッシー統合参謀本部議長報告と国防指針とを突き合わせてみると、中東有事の際の第二戦線として海峡封鎖作戦が行われる、アメリカの軍部がそう考えている。これは明白なんですが、防衛庁どうです。
-
○
政府委員(夏目晴雄君) アメリカが一般的にわが国周辺の海峡を含めての重要性というのを認識していることはかねがね言われていることでございますが、自衛隊としては、わが国に対して武力攻撃があった際、すなわち有事の際にわが国に武力攻撃を行っている国の船舶の通峡を阻止するということにとどまりますので、それ以上のものを現在自衛隊としては考えておりません。
-
○和田静夫君 ちょっと前に戻りますが、
総理や防衛庁のおっしゃる通峡阻止とか海峡のコントロール、これは戦時国際法上の土俵の上にのせるとどういう法理になるんでしょうね。
-
○
政府委員(栗山尚一君) これは、こういうふうに御理解いただくべきことではないかと思います。
これは要するに、基本的には自衛権の行使でございますから、あくまでもこれは自国に対する武力攻撃を排除するための必要最小限度の武力行使、こういうことが前提になろうかと思います。
そこで、その武力行使が行われる海域というものがたまたま国際交通の要衝である非常に狭い水域であるということが海峡の場合には前提となる、そういう意味におきまして、そういう実力行使、武力行使を行う場合には、それが自衛権の行使の一環であるとしても、その海峡を使うほかの国の利益と申しますか権利と申しますか、そういうものに十分考慮を払わなければならない。そういう一般的な制約のもとにおきまして自衛権の行使というものが行われなければならない、
法律的に申し上げればこういうことであろうと思います。
-
○和田静夫君 そうすると、平時封鎖ということになりますかな。
-
○
政府委員(栗山尚一君) ちょっと御質問のポイントがわかりませんでしたが、先ほど明確に申し上げましたように、平時封鎖というものは現在の国際法では認められない違法な武力の行使でございます。
-
○和田静夫君 第三国船の通航はどうなりますか。
-
○
政府委員(栗山尚一君) わが国が通峡阻止というものを行う場合のことを考えて申し上げますと、そういう、先ほど申し上げましたような特殊な水域でございますから、自衛権の行使であるからといって、無制限にその当該水域におきまして実力の行使ができるというわけでは必ずしもなく、原則としてはそういう武力攻撃をわが国に対して行っている国以外の第三国の船舶の安全な通航というものは最小限確保されるように、わが国としては所要の
措置を講ずる責任があると、こういうことが一般的には申し上げられると思います。
-
○和田静夫君 第三国船に臨検できますか。
-
○
政府委員(栗山尚一君) 国際法的に申し上げれば、自衛権の行使の一環といたしまして、そういう必要に応じて第三国の船舶、海峡を通過しようとしておる第三国の船舶に対して停船を命じて臨検を行うということもあり得ることであるし、国際法上そういうものは認められるだろうと思います。あくまでも自衛権の行使として必要な限度内ということでございますが、そういう限度内のことであればそういうこともあり得るということでございます。
-
○和田静夫君 第三国への告知義務はどうですか。
-
○
政府委員(栗山尚一君)
委員の御念頭にありますのは、恐らく戦時国際法の封鎖という場合の告知義務ということとの関連で告知義務を念頭に置かれてのことだろうと思いますが、そういう意味での告知義務というものは、先ほど来御質問になっておられますわが国の近隣の海峡における自衛権の行使の一環としての武力行使とは直接関係がないことであろうというふうに考えます。
ただ、他方、先ほど私が申し上げましたように、そういう自衛権の行使の一環として、わが国に対して武力攻撃を行っております国の軍艦等の通峡を阻止するためにわが国自身が武力を使うということでありますれば、それは当然第三国の船舶の通航にもいろんな意味で影響が多かろうと思いますから、そういう意味におきまして、そういう危険な水域であるとか何だとかということについて一般的にそういう危険の存在を告知するということが適当であろうというふうに考えられますけれども、いわゆる戦時国際法上の告知義務というようなものは、海峡における実力行使との関連では存在しないであろうというふうに考えます。
-
○和田静夫君 外務
大臣、少なくとも宗谷海峡についてはその交通の重要性においては国際河川並みな扱いをすべきじゃないでしょうかね。いかがですか。
-
○
政府委員(栗山尚一君) 河川というのはあくまでも内水でございますので、そういうものと国際海峡というものとはおのずから
性格が異なるものだろうと思います。
具体的な海峡の名前との関連でこの問題を論じますことは、いろいろ不必要な誤解を招くこともあろうかと思いますが、いずれにいたしましても基本的な前提は、海峡の、領海の外というのは公海でございますので、公海につきましては基本的にはやはり公海のルールというものが適用されるわけでございまして、ただ先ほど来申し上げておりますように、公海ではありましてもそれが国際交通に利用される非常に特殊な水域であるということから、一般的にそういう水域においての武力行使についてはある程度の制約というものが当然置かれるであろう。しかし、そこは基本的には公海でありますから、やはり戦時におきましても公海のルールというものが基本的には妥当すると、こういうことであろうと思います。
-
○和田静夫君 これは論議をさらに外務
委員会等で煮詰めたいと思いますが、日本のこの三海峡はトルコのコンスタンチノープル海峡と同等の世界戦略上枢要の位置を占める海峡であるはずです。したがって、三海峡封鎖などという
総理が軽々しく言っているような言い方というのは、私は戦時国際法上日本の海峡についてはできない。封鎖と言おうが通峡阻止と言おうができない。まして、わが国憲法の武力による威嚇放棄の現実からして平時において海峡封鎖を持ち出すべきではない、そういうふうに考えますが、
大臣、一般論ですが。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) 先ほどから
政府委員も
答弁をいたしましたように、わが国が武力攻撃を受ける際におきましては、これらの海峡につきましては自衛権の許す範囲において通峡の阻止というのはできるのじゃないか。さらにまた、政府が統一見解で申し上げましたように、わが国が武力攻撃を受けていない場合においてのアメリカからの要請につきましては、これは統一見解どおりにわれわれはこれを解釈いたしたわけであります。
-
○和田静夫君 ちょっと話が横道に出ますが、北方領土の戸籍をつくるということは、国際法のペーパーオキュペーションを宣言することに等しい行為になりましょうか。法制
局長官。
-
○
政府委員(栗山尚一君) 御質問の点がちょっとわかりかねましたんですが、
〔
委員長退席、理事嶋崎均君着席〕
いずれにいたしましても北方領土は、従来から常に申し上げておりますとおりに、ソ連により全く法的な根拠なく不法占拠をされておる
地域でございますので、わが国が国内法におきまして本籍その他の必要な
措置を講ずる、北方領土との関連でそういう
措置を講ずるということが国際法上何か問題があるというふうには私どもは全く考えておりません。
-
○和田静夫君 それじゃ根室市なら根室市が戸籍
をつくってもいいというわけですか。
-
○
政府委員(栗山尚一君) 国際法的には全く問題はございません。
-
○和田静夫君 防衛庁、一般にシーレーンを封鎖するということは、封鎖された側はどういう対抗手段をとると考えますか。
-
○
政府委員(夏目晴雄君) そのシーレーンの封鎖ということの意味が必ずしもはっきりしておりませんが、シーレーン防衛というのは、わが国の海上交通の安全に対して脅威がある、その脅威を排除しようというのがシーレーン防衛でございまして、それに対して彼らが何をするか。それはやはり一般的に言うならばわが方の海上交通を破壊しようと、こういうことだと思います。
-
○和田静夫君 何か愚問のようですが、私は想定をしながら言っているんですけれども、シーレーンを遮断された側としては相手の対岸部分を占領する軍事
行動できますか。
-
○
政府委員(夏目晴雄君) どうも私、
先生の御質問の趣旨を十分わきまえておらずにお答えするかもしれませんが、シーレーン遮断ということは、言ってみれば通峡阻止をすることに対して相手がどう出るか、こういうことであれば、相手の出方というのはそのときによって一概に言えないほどいろいろな
対応があろうかと思います。たとえば、これは本当の一つの一般論でございますが、津軽海峡というものを通峡阻止するということになれば、その通峡を果たすために津軽海峡周辺のわが国の領土に対して何らかの攻撃が行われることもなしとせず、こういうことでございます。
-
○和田静夫君 そこで、一九八〇年の夏に公表されたアメリカ議会報告、いわゆるコリンズ報告ですね、三海峡封鎖を行おうとするとソ連側の激烈な報復を招くであろうと警告してますね。防衛庁、この点の見解は。
-
○
政府委員(夏目晴雄君) 先ほど来申し上げています海峡防備、通峡阻止というのは、あくまでもわが国に対して武力攻撃があった際に自衛の範囲内で相手国の通峡を阻止しようというものでございまして、その結果、相手国が何らかの反応、いわゆる
行動に出る、そのことによって
行動が行われるということは考えられないというふうに考えております。
-
○和田静夫君 今度は補助金に入っていきますが、実はけさから建設省、建設
大臣ね、いろいろもめてまして、あなたの方から十日間待っても資料が出てこなくて、結果的に要求した資料が出てこなかったから、本来的にはこの
委員会とめてもよかったんですが、まあ常識的にいまやっているんです。一、二問です、あとは決算の総括に譲りますから。
十六日に取りまとめられた中建審の結論は、談合問題の解決には私はとうていつながらないのではないだろうか。通告したように、あの日の新聞の社説は一斉にそういう書き方をしているわけです。ここのところの見解をまず承ります。
-
○
国務大臣(内海英男君) 中建審の建議に対する各新聞の論調、よく私も読ましていただいております。新聞の
立場からすれば、いろいろ論評が下されて、いろいろな観点から批判もあるかと思います。私どもといたしましては、中建審の
委員の方々、それぞれ学識経験者のりっぱな方々を御委嘱してありますので、そこで慎重に十分検討された結果がああいう形で建議されたということでございますので、あの建議の趣旨を踏まえまして私どもは尊重してそれに対処してまいりたい、こう考えておるわけでございます。
-
-
○
政府委員(
高橋元君) 拝見いたしました今回の建議では、指名競争入札を契約方式の運用の基本とすべしというようなこととか、指名業者数の増加
措置を見直すべしといったような内容が見受けられるようでございます。この点につきまして公共工事でどのような契約方式が望ましいか、これはまず各発注官公庁の検討なさるべき問題というふうに私どもは考えております。
公正取引委員会といたしましては、指名競争入札でございましても、また、指名業者の数が何名でございましても、入札参加者間における公正かつ自由な競争が確保されるということが肝心であるというふうに考えております。今後各発注官公庁がこの建議の趣旨を踏まえまして具体的に入札制度の運用等の改善を実施していくものというふうに私どもは考えておりまして、その動向を見守っていきたいというふうに思いますが、入札談合問題の解決のためには、建議にもありますように、建設業者による関係法令の遵守、この中には独禁法等も含まれるというふうに私どもは理解しておりますが、それが必要であることは申し上げるまでもないというふうに考えます。
もう一点、建議の中で、「建設業における市場競争の在り方と独禁法との関わり合いについての立法政策を含めた幅広い検討が、極めて重要であると認められる。」というくだりがございますが、
公正取引委員会といたしましては、従来から建設業に限らず、産業の健全な発展のためには公正で自由な競争を維持促進して事業者の創意を発揮する、それによって事業活動を盛んにしていくということが基本であるというふうに考えておる次第でございまして、何らかの
対策が必要だとしても、それは独禁法の枠の中で行われるべきである、この辺が中建審の答申についての私どものとりあえずの考え方でございます。
-
○和田静夫君 やっと、違った資料ですが、出てきた資料だけででも一問だけやっていきますが、関東地建の利根川上流工事事務所が発注した工事の入札調書の写し、これは建設省、これを見ますと二回入札した工事はほとんどが一回目と二回目の一番札の業者が同じなんですよ。たとえばことし二月二十八日に入札した本郷第二漏水防止災害復旧工事は二回で落札しているわけですが、二回とも鴻池組が最低価格で落としている。建設省、これは談合との関係どうなるんでしょうな。
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○
国務大臣(内海英男君) 公共工事は国民の皆さん方の貴重な税金で賄われておるものでございます。したがいまして、入札に関しては御批判を受けるようなことがあってはならない、こう指導してまいってきたところでございます。
公共工事の入札に当たりましては、指名業者は適正に積算をして入札をしておるものと私どもは考えておるわけでございまして、御
指摘のような投書等がございました点についてははなはだ遺憾でありまして、今後とも契約関係、入札関係については厳正に対処して、そういうことのないように厳しく指導してまいりたい、こう考えておるわけでございます。
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-
○
政府委員(
高橋元君) 事実関係が具体的にわかりませんので一概にお答えを申し上げることは慎重を欠くというふうに思うわけでございますけれども、一般的に申しますと、官公庁の発注工事の入札に当たってあらかじめ受注予定者を決定し、これを実施することによって一定の取引分野における競争を実質的に制限することになる場合には独禁
法違反の疑いがございます。具体的なケースがどういうことか存じませんので、一般論でお答えさしていただきます。
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○和田静夫君 具体的なケースもお教えしてあったんですが、これは私の方じゃなくて建設省の責任で時間おくれましたから、いまの
答弁で一応受け取っておきますが、建設省、この関係者の証言がありまして、実はこの調書にある各社の価格——落札業者がつくった数字がずっと並んでいるということになっているんですよ。
いま
大臣の
答弁ありましたが、その辺のことはどういうふうにされますか、
調査してくれますか。
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-
○和田静夫君 補助金の統合に関してお尋ねをいたしますが、統合によって事務を簡素化された実例、各省庁二、三挙げてくれますか。余り時間もありませんから、農水省、通生省、国土庁、労働省ぐらいでいきますか。
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○
政府委員(
角道謙一君) お答え申し上げます。
具体的な例でございますけれども、私ども補助金の統合、メニュー化につきましては、昨年度におきましては千百二十六件から約六百件、今年におきましても五百六十二件まで統合いたしてきております。
その具体的な事例といたしまして、私ども申し上げられますのは、たとえば新
地域農業生産総合振興
対策関係事業というのがございますが、これにつきましては五十六年度五十六件ございましたのを五十七年度に十九件に統合したわけでございます。
これによりまして、私どもといたしましては現在の農業生産の最大の課題でございます生産性の向上あるいは需要の動向に即した農業生産の再編成を
地域の実情に応じて推進するという観点から、現地の要望に応じましてできるだけいろんな事業がメニューの中から選べるようにということをやっているわけでございます。
また、その具体的な手続等におきましては、補助要綱なり要領につきましてできるだけ一元化をすると、そうしまして農業の現場におきましてその事業にかかわりますすべての事業が一つの要綱あるいは要領におきまして具体的にわかるようにしたわけでございます。また、この実施手続に伴いまして必要な事業の実施計画がございますが、これにつきましても同様に一本化すると、これによりましてその内容もできるだけ整理し、簡素化した。その結果たとえば事業実施計画書の様式につきましても従来の約三分の一程度、標準的な規模で申し上げますと、市町村におきましても大体六十ページぐらいのものが二十ページくらいになるというようなことがございます。
また、補助金交付要綱につきましても当然一本化していると、また事務手続につきましても、国、地方農政局、あるいは都道府県におきまして窓口を一本化するというようなことで、手続もできるだけ迅速に行えるようにしたところでございます。
-
○
政府委員(野々内隆君) 通産省関係で、統合による簡素化の例を申し上げますと、たとえば五十六年度で中小企業の振興事業団と中小企業共済事業団、この統合を行っておりますが、この場合は補助金十二件が六件になっておりますが、このために一般管理費の節約が特に大きな項目としてございます。
そのほか一般関係で、たとえば五十七年度ジェトロの交付金関係で、海外活動関係の補助金を統合いたしまして手続の簡素化を行っておりますが、五十八年度でも技術協力関係の統合が行われております。
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○
政府委員(
宮繁護君) 国土庁におきましても、たとえば
昭和五十六年度で九十五の補助金の整理、合理化等を行っております。
その中の一例としまして、定住圏計画等策定
調査費等につきましては、これを廃止いたしまして、十件廃止いたしたわけでございます。それに伴いまして、
審査事務あるいは現地指導事務あるいはヒヤリングその他の点につきましてもかなりの実務の簡素化が実現できたと考えております。
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○
政府委員(
加藤孝君) 労働省関係についてお答え申し上げます。
労働省での補助金の統合につきましては、五十六年度におきまして一般会計で二件を実施、五十八年度におきまして特別会計で二件を予定いたしておりますが、いずれも職業訓練の関係の経費でございます。これらの統合によりまして、補助金の交付事務が簡素化されること、あるいは補助事業者におきましてはメニュー化が図られることによりまして、補助事業内容の重点配分が行われる。こういうことによりまして、補助事業の効率的な実行が図られると考えております。
-
○和田静夫君 実務は決して簡素化されていないんです。その辺が聞きたかったところですが、それは後ほど私が立証します。
労働
大臣、
総理府の失業率統計が上がっているわけですが、現在の失業率水準をどのように受けとめていますか。
-
○
国務大臣(大野明君) 大変厳しいものと受けとめております。
-
○和田静夫君 アメリカの失業率統計と同じとり方をしたら失業率は何%になるでしょう。
-
○
国務大臣(大野明君) 失業率の日米比較につきましては、データの制約等から全く同じ手法ですることは大変困難だと思っております。まあアメリカの労働省ができるだけアメリカの定義に近づけて行った推計によれば、日本の失業率は
昭和五十六年政府公表値二・二%に対し、推計値も二・二%となっております。アメリカと同じ方法で行っても政府公表値とほとんど変わらないものと考えております。
-
○和田静夫君 ずいぶん違いますけれども、労働
大臣、五十七年のこの賃金センサスの製造業分を発表されました。企業規模別格差が拡大していることは、労働市場の需給関係の緩和を反映していると思うんですけれども、いかがですか。
-
○
国務大臣(大野明君) 二十六日に公表されました
昭和五十七年賃金構造基本統計
調査の製造業の主要な結果でございますが、男子労働者の賃金は四十代後半の二十六万四千三百円が最高となっております。また、対前年上昇率は、二十代、三十代四%台でございまして、四十歳以上は五%台でございます。年齢間格差は四十歳以上で拡大したこと、また、年齢階級別に見た企業規模間の格差は、年齢が高くなるに従いまして高くなっておりまして、四十五歳以上で見ると、小企業は大企業の七割強となっております。大企業と中小企業の間の格差は、五十六年までは縮小の傾向が見られましたが、五十七年には拡大しております。まあこうした
調査結果は、景気停滞の長期化による労働経済情勢の低迷傾向、労働力需給の緩和を反映しておるものではないかと考えております。
-
○和田静夫君 そこで補助金ですが、政府は統合した、整理した、メニュー化したと先ほども説明しているわけですが、自治体の側から見てみますと、これは実態はほとんど変わっていないわけです。
これはある地方自治体の財政担当者からの手紙なんですが、「市町村レベルから申しますと、ここ数年において補助金の統合、メニュー化によって補助金使途の自主性が生かされるようになったり、事務が簡素化された例は皆無であります。私の知る範囲では、事務の簡素化が図られたもの(目的的には)何もありません。国の各省庁の説明がどうであれ、最前線の市町村レベルにおいては何の変化もありません。……零細補助金などについても扱いは全く同じであります」と。
自治大臣、いかがでしょう。
-
○
国務大臣(
山本幸雄君) 補助金の整理合理化という一環としまして、統合メニュー化が地方公共
団体といたしましては大変希望しておるところでございます。統合メニュー化もだんだんに進んではきているということであります。
自治省としましては、各省庁にも昨年は統合メニュー化を促進していただくようにというお願いもいたしたところでございます。予算編成のときにはぜひそういう方向でやっていただきたいというところでございます。ただ、いまお話しのように、まだまだ地方公共
団体の方にはいまだしの感が深いという声もございますので、今後の努力を各省庁にお願いをいたしたいと、こう思っております。
-
○和田静夫君 農林
大臣、先ほど説明があっちからあったんですが、いかがですか、
大臣として。いまの私の同じ質問です。
-
○
国務大臣(金子岩三君) 合理化されていると思います。
-
-
○
国務大臣(山中
貞則君) やはりこれは姿勢としてばかりでなくて、その実効が上がるようにしなければなりませんから、通産省としては補助金整理の精神に従って大蔵省との予算査定に
対応したと思っております。
-
○和田静夫君 大蔵
大臣ね、とにかくメニュー化が進んでも実務は全然という状態なんですよ。どうしますかね、これは。
-
○
国務大臣(竹下登君) この補助金の実務についてでございますが、まあいまお述べになっている
中で、やはりそれなりに私は工夫がこらされておる問題の一つとして、たとえば地方公共
団体に対する各種人件費補助が一般財源化、あるいは交付金制度への移行をしたというような合理化
措置が一つ。そして、零細補助金の基準が都道府県は五百万から千万、市町村は五十万から百万、そういうものはやはり事務量そのものも現実減ってくる問題ではなかろうかというふうに考えております。
-
-
○
政府委員(宮野禮一君) お答えいたします。
社会教育関係の補助金につきまして種類別に申し上げますと、都道府県、市町村の行う
社会教育関係事業費に対する補助金、それから都道府県、市町村の
社会教育施設の整備費に対する補助金、それから、これは都道府県——市町村じゃございませんが、民間の
社会教育活動団体に対する、その
団体の活動費の振興費に関する補助金等がございます。
-
○和田静夫君 これはちゃんと通告してあるんですからね、そのおのおのですかね、目的別にまず挙げてもらって、おのおのについては幾らずつですか。
-
○
政府委員(宮野禮一君) 事業費の補助金の中に、先ほど申し上げました中に
社会教育指導者の養成に関する補助金も事業費として入っておりますが、その分が二十八億円でございます。
それから、
社会教育の事業に対する補助金が二十三億円でございます。
それから、
社会教育施設の整備に関する補助金が百五十四億円。
それから一番最後に、民間
社会教育活動の振興に関する補助金が七億円余りでございます。
-
○和田静夫君 この学習事業奨励費の中の青年学級、青年教室、婦人学級、高齢者教室ですね、それから成人大学講座、さらに
社会教育施設活動促進費の中の図書館、このおのおのは末端の市町村レベルで幾らになりますか。
-
○
政府委員(宮野禮一君) いま御質問のありました各種の補助金の中で集団学習奨励費につきましては、一学級十万円というのが予算単価でございます。それから、
社会教育の図書館等とおっしゃったと思いますが、
社会教育施設の活動促進費の補助金というのが単価二十万円でございます。それは、各市町村でたとえば
社会教育の学級が一学級というわけではございませんで、幾つかの学級がありましてそれらを合計して申請するわけでございますので、末端の市町村におきまして実際に交付している金額は、市町村によって違うことになるわけでございます。
-
○和田静夫君 質問にちゃんと答えてください。言ってあるんですからね。
青年学級、高齢者教室、図書館、婦人学級、
家庭教育学級、市町村レベルで、末端レベルで幾らかと。これはもう補助金の総括の論議をするための前提ですから。
-
○
政府委員(宮野禮一君) いまお挙げいただきましたものは、五十七年度までは全部単価が五万円でございますが、五十八年度の補助金から全部十万円ということにいたしております。
-
○和田静夫君 全部ですか。こういう状態でたとえばコミュニティーカレッジをつくりたいという自治体側の需要には
対応できましょうか。
-
○
政府委員(宮野禮一君) それぞれの市町村におきまして、それぞれ事業計画を持っておやりになっているわけでございまして、私どもといたしましては、予算の範囲内でできるだけたくさんの財源を差し上げたいというふうに思っているわけでございますが、現在の予算事情等からいま申し上げました予算単価になっているわけでございます。
-
○和田静夫君
大臣、いま申しました、たとえば十万円ずつだと言われるんですが、違っておるんですが、違っておるんだけれども、その辺はいいとして、コミュニティーカレッジをつくりたいという自治体側の非常に大きな希望がある。そういうものにこういう状態というのは
対応できているとお思いになりますか。
-
○
政府委員(宮野禮一君) 祉会
教育の実態は市町村によってかなり違うわけでございまして、市町村規模等によって、大きな市町村においては相当多額の経費を計上しているわけでございますが、小さな町村になりますと
社会教育費も、予算もおのずから限られてくるわけでございまして、比較的小規模で運営しているわけでございます。
それはそれぞれの市町村の実態によって違うわけでございまして、いろいろ私どもの方としてもできる限りの財政援助をしたいと思っておりますが、現在の状態で非常に満足できるというわけではございませんが、それなりの役割りを果たしているものと考えております。
-
○和田静夫君 役割りを果たしていないから質問しているんですが、補助金のあり方全体を問おうと思っているんですが、補助金というのは自治体側の支出を伴うわけなんですが、自治体側の政策目的と補助金支出目的とずれるケース、そういうのが往々にあるわけです。
たとえばのケースですが、航空写真をとるために飛行機を飛ばすわけです。そうすると、交通量の
調査にも使えますし、固定資産税の評価の参考資料としても使えるわけです。あるいは道路の線引きなどにも使えるわけです。一つの
行政的行為が多目的に応用できるものはたくさんあるわけです。ところが、補助金交付というのは目的が縛られる、そういう実態があるわけです。大蔵
大臣、こういう問題をどうするかと。
-
○
政府委員(
山口光秀君) 大変むずかしい問題だと思います。
たとえば、建設費の補助金で共通部分をどうするかというような問題がございました。そういう点についても、二、三年前に実行上のやり方で改善する道を開きましたが、いま御
指摘のような点につきましてもあるいは改善しなきゃいかぬ場合があろうかと思います。
-
○
国務大臣(竹下登君) 私より詳しい主計
局長が申しましたから、私もそのとおりだと思っております。
-
○和田静夫君
自治大臣は実態よくおわかりだと思うんですが、私の
意見、間違っていないでしょうな。
-
○
国務大臣(
山本幸雄君) いや、私も余り具体的な方法、いまおっしゃられたような詳しいことには暗いわけでございまして、主計
局長の方が明るいだろうと思います。
-
○和田静夫君 実はこの主計
局長が余り明るくないんですよ、いまのところは。省庁の補助金合理化がそういう意味で私は全く手つかずなんだと思うんですよ。たとえばさっき建設の話がありました、市民会館を建てる。福祉関係であるならば厚生省、
社会教育であるならば
文部省、こういうようなことになってくるわけです。自治体側として見るならば、市民会館というのはもう多目的に使いたいという当然の要求があるわけですよ。ところが、国の窓口は別々。したがって、入口を二つつけてというようなよけいな配慮をしなきゃならない。二つでもよけいなものを三つもつけるというようなことがあるわけですね。ここなんですよ、大蔵
大臣。
-
○
国務大臣(竹下登君) 私ども特に
選挙区を弱小町村に持つ者は、そういうことを一生懸命やることが一つの知恵だというような感じすら持ってまいりましたが、その都度私もある種の矛盾は感じておりましたので、御趣旨を尊重していきたいと思います。
-
○和田静夫君 これはくどいようですが、大蔵
大臣、この辺は改革しましょうや。
-
○
国務大臣(竹下登君) 可能な限りの努力をさしていただきます。
-
○和田静夫君 せんだって
総理から
答弁いただいたんですが、大蔵
大臣、やっぱり臨調答申にあります一括して補助金を交付する総括的な補助金方式、これはぜひやっぱり積極的に推進をされるべきだと思うんですがいかがでしょう。
-
○
政府委員(
山口光秀君) 各国の補助金の歴史をひもといてみますと、やはり個別の補助金からだ
んだん総合化するという方向に動いている例が多いかと思います。
そういうことによりまして、受け取る方の地方
団体なりその他のものの自発的な創意を生かすといったような点に資する、あるいは手続面を簡素化するのに資すると、そういう効果があるんじゃないかと思います。そういう方向で、私ども努力してまいりたいと思います。
〔理事嶋崎均君退席、
委員長着席〕
-
○和田静夫君 最後に一言、実は全
大臣から
答弁をもらう用意をしているんですが、それは私は後でまとめます、こういうことになりましたから。そして次のときはまとめたあれで論議をします。
-
○
委員長(
土屋義彦君) 和田君の残余の時間は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後六時二十三分散会