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藤井裕久君 時間の
関係もありますので早口で
報告いたします。
予算委員会地方
公聴会札幌班につきまして御
報告申し上げます。
札幌班は、
土屋委員長、関口
理事、大川
理事、立木
理事、北
委員、瀬谷
委員、対馬
委員、そして私
藤井の八名で構成され、二月二十四日に
日本軽金属苫小牧工場、王子製紙苫小牧工場をつぶさに視察し、翌二十五日、札幌市において
公聴会を開催してまいりました。
以下、公述の要旨を簡単に御
報告申し上げます。
構造不況の実情と雇用問題につきましては、北海道経済連合会専務
理事池田英三郎君、全北海道労働組合協議
会議長小納谷幸
一郎君、北海道産炭地域振興対策協議会会長中田鉄治君から意見を聴取いたしました。
まず池田
公述人からは、北海道の鉱工業生産は
昭和五十年を一〇〇とした場合、五十七年はわずかに一〇七と、全国平均の一四八に比較し著しく低い。加えて公共事業費の頭打ちによって景気は一段と悪化しており、企業倒産件数は再び増加傾向を示している。特に室蘭市は鉄鋼産業に依存する典型的な企業城下町であるが、打ち続く需要不振から高炉休止に追い込まれ、多くの直接工が余剰となっているほか、下請、孫請、輸送業者の仕事が大幅に減少している。かかる状況下における当面の対策としては、室蘭白鳥大橋や高速自動車道等の着工を急ぐとともに、特定不況地域中小企業対策臨時措置法にかわる法律の制定を急いでほしい。
北海道経済の今後の課題としては、二次産業の振興のために、基盤整備の推進を図るとともに、先端技術産業の誘致を進めていくことが重要であるが、いずれにしても北海道開発の総合的推進には北海道開発庁の存続は不可欠である。
また政府への要望としては、内需拡大策として、ぜひ都市再開発事業の振興に力を注いでいただきたい等の意見が述べられました。
次に、小納谷
公述人からは、今日北海道経済は一段と不況色を強め、雇用情勢はますます悪化してきている。有効求人倍率は全国平均の〇・六八に比較し、北海道はわずかに〇・二三と極端に低い。また、三十二万人にも上る北海道の季節労働者は北海道全労働者の一五%に相当し、実に六人に一人の割合となっている。こうした季節労働者の収入は平均百七十五、六万円程度にすぎないが、これも最近は公共投資の減少により雇用期間が短縮化されており、公共事業の季節的配分をお願いするとともに、冬期工事に必要な機械購入の補助など、政府において特段の配慮をお願いしたい。
また、若年労働者の就労率が著しく低下しており、昨年の新規就職決定状況を見ると、高校卒で五二・一%と全国平均の七八・二%に比較し著しい格差がある。これは企業、国鉄の新規採用の停止が大きく影響しているが、国鉄はこれまで例年二千名の採用を行ってきており、本道の雇用確保の視点からも国鉄において、二千五百名の退職者の半分程度は採用していただきたい等の意見が述べられました。
中田
公述人からは、北海道の炭鉱は現在八山あるが、五十六年の出炭量は一千三十五万九千トン、炭鉱労働者は一万二千人と、ピークの
昭和三十三年の七万九千人に比べ、この間六万七千人も減少している。また、この二十年間、毎年閉山が続き、夕張だけでもすでに二十二山が閉山に追い込まれ、現在では二山のみとなっている。炭鉱を抱えた市町村は、今後とも炭鉱の町として生きていくことに大きな不安を感じ苦悩している。さきの産炭地振興法の十年延長によっても、石炭産業の復興は困難であり、自助努力はするものの、自治体には財政力がなく、国においてなお特段の援助が必要である。北海道産炭地振興計画実現のためにも、石炭特別会計への繰り入れの一層の増額及び地方交付税の増加、地方債の発行を
認めるとともに、臨時交付金の交付をお願いしたい。
また、北炭夕張新鉱については、いまなお千八百四十名が本年四月の新会社設立に望みを託して生活しており、こうした人たちのためにも、四月をめどとして再建の方向で解決されるよう、政府においても一層の努力をお願いいたしたいとの意見が述べられました。
次に、行財政改革と国鉄再建問題につきまして、北海道副知事永澤悟君、北海道大学経済学部教授小林好宏君、北海道町村会会長濱口光輝君から意見を聴取いたしました。
まず、永澤
公述人からは、行財政改革は
国民的要請であるが、進めるに当たっては民間と
行政の役割り分担を明確にするとともに、国の負担が地方に転嫁されることのないよう、地方の声を十分聞いてほしい。さらに、国と地方の
関係については、機能及び
責任を明確にし、財源を再配分する必要がある。補助金の整理合理化については、
国民健康保険の補助率の引き下げ等、国の歳出削減のみを目的とした整理合理化はとうてい受け入れられない。
また、北海道開発庁と北海道東北開発公庫については、全道民がその存続を求めており、特に開発庁は北海道の開発にこれまで多くの功績を残してきており、二十一世紀のわが国の発展のためにも存続すべきものと
考える等の意見が述べられました。
小林
公述人からは、青函トンネルの経済効果について、総工費七千億円の投資によって建設業及び製造業は多大の恩恵をこうむっているとともに、雇用面への効果も大きく無視できない。さらに、トンネル工事に活用された技術と完成したトンネルは、無形、有形のストックとして、今後の経済発展のためにもきわめて重要な資産である。
また、その利用効率については、従来の連絡船利用に比べ、旅客輸送で二時間、貨物輸送で三時間十分の時間短縮効果があり、それに応じた利用者及び貨物需要の増大が期待される。さらに新幹線が開通した場合には、時間短縮効果は飛躍的に増大するであろうし、その他にも通信ケーブル、送電線、ハイブライン等、その多目的利用によって、利用効率をさらに高めることが可能である。また費用負担の問題は、青函トンネルを
国民的資産と
考えることによって、国鉄と国が妥当な負担区分を決めるべきである。
国鉄の民営化論については、現在の国鉄再建問題は公共性や地域間格差の解消という社会的要請をある程度受け入れたときに、どこまで赤字を許容し得るかという問題である。もし黒字経営が目的であるならば赤字線を全廃すればよく、そうであれば国鉄でも民営でも同じである。したがって、赤字の許容限度をどのあたりに置くかが国鉄再建問題の基本である等の意見が述べられました。
次に、濱口
公述人からは、北海道の場合第一次及び第二次廃止対象路線を合わせると、千四百五十六キロメートル、道内全営業キロの三六%にも及んでおり、これは経済性のみを優先させ、公共性や北海道の特殊事情を無視した一方的選定である。五十六年度の国鉄損失額は一兆八百六十五億円であり、うち特定地方交通線の赤字はわずか七%の七百六十八億円にすぎない。また、北海道分について見ても廃止対象二十二線の赤字は三百七十三億円にすぎず、このことからも特定地方交通線の廃止は、国鉄の赤字解消や再建にも役立たず、かえって残る幹線経営を困難にし、赤字増大を懸念するものである。
また、廃止線のバス転換には二百六十台ものバスが必要であるが、こうしたバス輸送には、通勤、通学時間帯に全員を輸送できるバス台数の確保、運行が物理的に不可能である。さらに第二次選定路線の中には、石炭輸送路線として幌内線、歌志内線の二線が含まれているが、国内炭二千万トン体制を維持するためにも、この二線の存続を図るべきものと
考える。
広大な土地と厳しい気象条件を持つ本道において、交通確保はきわめて重要な課題であるが、特定地方交通線の廃止が沿線地域や北海道の発展に及ぼす影響が大きいことを認識され、これらの路線がぜひ存続されるようお願いしたい等の意見が述べられました。
最後に、農林漁業の現況と輸入自由化問題につきまして、北海道農業協同組合中央会会長床鍋繁則君、北海道指導漁業協同組合連合会会長長崎勝利君から意見を聴取いたしました。
まず床鍋
公述人からは、北海道の農家戸数は十一万七千八百戸、全国に占める割合は、二・六%と低いものの、農地面積は百十四万六千ヘクタールで二一・一%を占めわが国最大の農業生産地である。また、酪農についても家畜の飼養頭数を見ると、乳用牛が七十七万九千頭、肉用牛は二十一万六千頭、全国に占める割合はそれぞれ三七%、九・一%と高い割合を占めている。
また、北海道農業が直面している課題としては、北海道の主産品であるバレイショ、てん菜、大豆の畑作三品を初め麦、加工原料乳の生産価格が低迷していることのほか、原油等原材料コストの高騰から、粗収入に比較し農業所得の伸び悩み、農業従事者の老齢化等の問題を抱えているが、今後の構想としては、農業生産及び流通加工段階の低コスト、良質生産を主眼として、北海道農業の健全な発展と
国民生活に寄与することを目標としている。
また、農産物輸入自由化、枠拡大については、わが国の食糧自給率が先進国中最低であるほか、農林水産物
関係の残存輸入制限二十二品目は農業の基幹的重要作目ばかりであり、自由化、枠拡大は不可能であること等の意見が述べられました。
長崎
公述人からは、今日わが国の漁業は二百海里時代を迎え、資源、漁場の制約等から低迷しているが、特に北海道漁業は外国船との国際的問題を抱えておりきわめて深刻化している。韓国船による漁具被害は、五十五年の政府間暫定措置が講ぜられた後、漸減傾向にあったものの、ことしに入り再び激増し、一月以来二月二十日までの五十日間で実に五十五件を数えている。また、禁止区域内での韓国大型トロール船による操業が再三の警告にもかかわらず行われており、自主規制の無力さを痛感している。したがって現行暫定措置の一部手直しによる自動延長にはとうてい承服できない。
北海道の漁業経営は、漁獲量の伸び悩み、水産物需要の停滞、燃油価格の高騰によりきわめて困難な状況にある。これを克服するためには、資源保護対策の推進、操業秩序の確立に努めるほか、生産体制の再編成、操業隻数の適正化等を促進して、二百海里時代に対応した資源管理型漁業の確立を図らなければならないが、その具体的推進に当たっての財政金隔、雇用問題等については政府に特段の援助をお願いしたい。
また道内漁協経営は、五十六年度末に借入金残高が漁業生産量を上回るに至り、もはや自助努力のみではいかんともしがたい状況にある。漁業経営負債整理資金融通助成事業の弾力的運用、制度の改正見直しをお願いしたい等の意見が述べられました。
以上をもちまして、札幌班の
報告を終ります。