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1983-04-27 第98回国会 参議院 本会議 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年四月二十七日(水曜日)    午前十時二分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第十二号   昭和五十八年四月二十七日    午前十時開議  第一 千九百七十三年の船舶による汚染の防止のための国際条約に関する千九百七十八年の議定書締結について承認を求めるの件(衆議院送付)  第二 商船における最低基準に関する条約(第百四十七号)の締結について承認を求めるの件(衆議院送付)  第三 北西太平洋における千九百八十三年の日本国のさけ・ますの漁獲の手続及び条件に関する議定書締結について承認を求めるの件(衆議院送付)  第四 農林水産省設置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)  第五 特定不況産業安定臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)  第六 特定不況地域中小企業対策臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)  第七 高度技術工業集積地域開発促進法案内閣提出衆議院送付)  第八 農業改良助長法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、国務大臣報告に関する件(昭和五十六年度決算概要について)及び昭和五十六年度決算調整資金からの歳入組入れに関する調書趣旨説明)  以下 議事日程のとおり      ─────・─────
  2. 徳永正利

    議長徳永正利君) これより会議を開きます。  この際、日程に追加して、  昭和五十六年度決算概要についての国務大臣報告及び昭和五十六年度決算調整資金からの歳入組入れに関する調書についての趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 徳永正利

    議長徳永正利君) 御異議ないと認めます。竹下大蔵大臣。    〔国務大臣竹下登登壇拍手
  4. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 昭和五十六年度一般会計歳入歳出決算特別会計歳入歳出決算国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書につきまして、その概要を御説明申し上げます。  昭和五十六年度予算は、昭和五十六年四月二日に成立いたしました。  この予算は、歳出面では限られた財源の中で各種施策について優先順位の厳しい選択を行い、質的内容充実に配意しつつ、その規模を極力圧縮するとともに、歳入面においても徹底した見直しを行うことによって、公債発行額を大幅に縮減することを基本方針として編成されたものであります。  さらに、災害復旧費等について所要の措置を講ずるとともに、租税及び印紙収入減額を見込むことに伴い、公債を増発することとし、補正予算が編成され、昭和五十七年二月十七日その成立を見ました。  この補正によりまして、昭和五十六年度一般会計予算は、歳入歳出とも四十七兆千二百五十三億円余となりました。  以下、昭和五十六年度決算につきまして、その内容を御説明申し上げます。  まず、一般会計におきまして歳入決算額は四十七兆四千四百三十三億円余でありますが、この歳入決算額には、決算調整資金に関する法律第七条第一項の規定により、昭和五十六年度において予見しがたい租税収入減少等により生ずることとなった一般会計歳入歳出決算上の不足額二兆四千九百四十八億円余を補てんするため、同額決算調整資金からの組み入れ額が含まれております。  また、歳出決算額は四十六兆九千二百十一億円余でありまして、差し引き五千二百二十一億円余の剰余を生じました。この剰余金は、昭和五十七年度へ繰り越しました歳出予算財源等に充てるものでありまして、財政法第四十一条の規定によりまして、一般会計昭和五十七年度歳入繰り入れ済みであります。  なお、昭和五十六年度における財政法第六条の純剰余金は生じておりません。  以上の決算額予算額と比較しますと、歳入につきましては、予算額四十七兆千二百五十三億円余に比べて三千百七十九億円余の増加となるのでありますが、この増加額には、前年度剰余金受け入れ予算額に比べて増加した額五千八百四億円余が含まれておりますので、これを差し引きますと、昭和五十六年度歳入の純減少額は二千六百二十四億円余となるのであります。その内訳は、租税及び印紙収入公債金等における減少額二兆八千七百九十六億円余、決算調整資金受け入れ雑収入等における増加額二兆六千百七十二億円余となっております。  一方、歳出につきましては、予算額四十七兆千二百五十三億円余に、昭和五十五年度からの繰越額五千三百九十一億円余を加えました歳出予算現額四十七兆六千六百四十五億円余に対しまして、支出済み歳出額は四十六兆九千二百十一億円余でありまして、その差額七千四百三十三億円余のうち、昭和五十七年度に繰り越しました額は四千七百九十二億円余となっており、不用となりました額は二千六百四十一億円余となっております。  次に、予備費でありますが、昭和五十六年度一般会計における予備費予算額は千六百四十二億円であり、その使用額は千四百十九億円余であります。  次に、昭和五十六年度特別会計決算でありますが、同年度における特別会計の数は三十八でありまして、これらの決算内容につきましては、特別会計歳入歳出決算によって御了承願いたいと存じます。  次に、昭和五十六年度における国税収納金整理資金受け入れ及び支払いでありますが、同資金への収納済み額は二十九兆六千百三十三億円余でありまして、この資金からの一般会計等歳入への組み入れ額等は二十九兆五千八百三十五億円余でありますので、差し引き二百九十八億円余が昭和五十六年度末の資金残額となります。これは、主として国税に係る還付金として支払い決定済みのもので、年度内に支払いを終わらなかったものであります。  次に、昭和五十六年度政府関係機関決算内容につきましては、それぞれの決算書によって御了承願いたいと存じます。  以上が、昭和五十六年度一般会計歳入歳出決算特別会計歳入歳出決算国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書概要であります。  何とぞ御審議のほどお願い申し上げます。  次に、昭和五十六年度決算調整資金からの歳入組入れに関する調書につきまして、その概要を御説明申し上げます。  昭和五十六年度におきましては、予見しがたい租税収入減少等により、一般会計歳入歳出決算上二兆四千九百四十八億円余の不足が生ずることとなりましたので、決算調整資金に関する法律第七条第一項の規定により、当該決算上の不足額を補てんするため、決算調整資金から同額一般会計歳入組み入れ昭和五十六年度一般会計歳入歳出決算を行っております。  なお、この決算上の不足額を補てんするため決算調整資金から一般会計歳入組み入れる際の決算調整資金に属する現金は二千四百二十三億円余であって、決算上の不足額に二兆二千五百二十四億円余不足していたため、決算調整資金に関する法律附則第二条第一項の規定により、当該不足していた額を国債整理基金から決算調整資金に繰り入れた後、同資金から一般会計歳入組み入れております。  また、この国債整理基金から決算調整資金に繰り入れた額二兆二千五百二十四億円余に相当する金額につきましては、決算調整資金に関する法律附則第二条第三項及び第四項の規定により、昭和五十八年度予算に計上して一般会計から決算調整資金に繰り入れた後、同資金から国債整理基金に繰り戻すことといたしております。  以上が、昭和五十六年度決算調整資金からの歳入組入れに関する調書概要であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御感諾くださいますようお願い申し上げます。(拍手)     ─────────────
  5. 徳永正利

    議長徳永正利君) ただいまの報告及び趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。和田静夫君。    〔和田静夫登壇拍手
  6. 和田静夫

    和田静夫君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました昭和五十六年度決算及び昭和五十六年度決算調整資金からの歳入組入れに関する調書について質問いたします。  昭和五十六年度決算は、一般会計において、補正予算に比べ二兆四千九百四十八億円の実質不足額が生じ、この不足額は、決算調整資金の取り崩しと国債整理基金からの借り入れ穴埋めするということで確定したのでありますが、このように巨額実質赤字決算となったのは、わが国財政史上かつて例を見ないところであります。  なぜこのような巨額歳入欠陥が生じたのか。当時の渡辺大蔵大臣は、その責任をとるとして一たんは辞意を表明しましたが、その際でも、歳入欠陥が生じた原因として輸出の停滞予想を超えた円安物価鎮静化など、不可抗力の要素によるものであることを強調していましたが、変動する内外の情勢に対し、適切なかじ取りができなかった政府施策の失敗こそが責められなければならないと思うのであります。  そもそも歳入欠陥最大原因は、五十六年度予算編成に際し、経済成長率実質五・三%と意図的に高く見込むことによって税収見積もりを大きくしたことにあります。しかも、五十六年十二月に国会に提出した補正予算では、われわれが大きな歳入欠陥が生ずるおそれのあることを強く指摘したにもかかわらず、四千億円程度と低く見込み、結局このようなみっともない赤字決算国民の前に示さざるを得ないという醜態を演ずることになったのであります。さらに引き続く五十七年度予算でも、年度途中で六兆円にも上る税収不足を補うための補正予算を提出せざるを得ないような見込み違いをするなど、財政経済運営の不手際についての政府政治責任はきわめて重大と言わなければなりません。  このような事態に対する政府政治責任について、当時も内閣の主要な一員であった中曽根総理に、この点どのように感じておられるのか、伺いたい。  そこで、こうした巨額歳入欠陥穴埋めのため決算調整資金が初めて使用されたのでありますが、国会に提出された調書によりますと、一般会計への組み入れは、決算調整資金に属する現金組み入れが二千四百二十三億円余、国債整理基金から決算調整資金に繰り入れた現金組み入れが二兆二千五百二十四億円余となっております。この制度創設時における資金が二千億円でありますから、実にその十倍もの金額国債整理基金からの借り入れという形で一般会計組み入れられたというこの事態は、まさに異常と言わなければなりません。  この資金設置について、われわれは、こうした穴埋めの方法は財政放漫を招くおそれのあることを表明しておいたのでありますが、その危惧が現実となったと言えます。すなわち、大幅な歳入欠陥の発生が避けられぬことが確実視されているのに、国会での追及を恐れて五十六年度補正予算額を小幅に抑えたのには、万一の場合決算調整資金に頼ればよいとの考えがあったと考えざるを得ませんが、財政当局の正直な答弁を求めます。  また、この制度財政放漫化の歯どめとして、国会による当初資金承認、使用した場合、事後国会承諾を得ることになっているというが、では国会事後承諾が得られなかった場合、政府はどのような責任をとるつもりなのか、これは総理大蔵大臣から御答弁を願います。  次に、昨年十二月、税収を実に六兆一千四百六十億円も減額、その穴埋めとして三兆九千五十億円の国債増発を行うなどとした五十七年度一般会計補正予算国会に提出しておりますが、今日の段階で、五十七年度決算での帳じりはどのようになると予想しておられるか、大蔵大臣に伺います。  さて、鈴木前総理は昨年十月突然辞任をされました。その理由一つとして、政策的な行き詰まり、特に内閣の看板とも言うべき「五十九年度までに赤字公債からの脱却」と「増税なき財政再建」の二大公約がともに実現できぬことが明らかになり、政局担当の自信を失ったからであると言われております。中曽根総理は、今国会において、赤字公債早期脱却について五十九年度目標は断念せざるを得ないが、増税なき財政再建は引き続き理念として持っていくと述べています。さらに、赤字公債脱却については、五年から十年の間、どの程度それがおさまるか、いま検討中とも予算委員会で述べられておるのでありますが、もう少し具体的な見通しをお示し願いたい。また、増税なき財政再建具体的方途、これについても総理並びに大蔵大臣から伺っておきたい。  さらに、所得税減税についての見通し及び大型間接税導入見通しについても伺っておきます。特に、間接税につきましては、中・小型間接税導入検討すると言われております。この点についての大蔵大臣の御所見を承っておきます。  次は、会計検査院法改正についてであります。  先ごろ国会審議で、検査院としては以前と変わらず法改正に強い希望を持っていることがはっきりしております。この問題は、いまや総理決断一つにかかっていると私は思います。総理が真に政治倫理を大切にし、国民から預かった税金の使途の重要性を認識されているならば、この際、院法改正に踏み切る決断をすべきだと思いますが、所感を伺います。  ASEAN諸国訪問について伺います。  三十日、総理は、ASEAN諸国訪問の途につかれると聞いております。総理は、特に中曽根ドクトリンは掲げないと述べ、前内閣の約束を実行することが主眼であると述べられているように仄聞をいたしますが、ASEAN訪問目的について、総理見解をただします。  さきの在ASEAN大使報告では、ASEAN諸国は依然としてわが国軍備拡張に対して危惧の念を表明しているとされています。ASEAN訪問においては、わが国防衛力について心配は要らぬと説明に行くことが大きな柱になっているように思われます。総理ASEAN諸国をどのように説得されるのか。ソ連脅威論をもって説得されるのか、お考えを伺っておきます。  もし説得の材料として経済協力を持ち出し、積極的に懸案事項の解決を図ろうとするならば、大変に遺憾であります。経済協力については、ややもすると財布ひもを緩め過ぎるのではないか、いささか心配であります。また、経済協力が現地において役に立っていないとの批判をしばしば耳にいたします。総理のお考えをお聞かせ願います。また、発展途上国累積債務巨額に達している状況のもとでの経済協力のあり方についても、この際御見解を承りたいと思います。  五月末に予定されているウイリアムズバーグサミットについて伺いたいと思います。  世界経済は、同時不況の中でやや回復の兆しが見えたとはいえ、依然厳しい状態が続いていると判断されます。わが国に対して機関車論が台頭してくることが想定されています。また、対米、対欧州貿易問題を抱えるわが国への風当たりはかなり強いのではないか、先進国間の不協和音が再燃するのではないか、これらに対する総理見解を明らかにしていただきたいと思います。  サミット準備会が去る三月第一回会議を開催したと聞きますが、サミットテーマ計画はどのように決まっているのか。たとえば変動相場制見直しテーマとされるのか、外務大臣説明を伺いたいと思います。  核軍縮に対するわが国外交方針についてお伺いをいたします。  レーガン政権は、一方ではINF削減提案を行いながら、他方ではMX新型ミサイルあるいは小型弾頭ICBM開発を進めようとしています。この動きはSALTIIの合意を破棄し、限りないミサイル拡張競争を引き起こしかねないと思われます。INF制限交渉核軍拡競争がなぜ共存するのか、このまま推移すれば一体どのようなことになるとお考えか、総理見解を承りたいと思います。  この核軍拡の不気味な進行の原動力は、核戦力均衡のもとでその削減を図ろうとするところにあると思います。総理は、欧州については核戦力の軍事物理学的な量的均衡が計算されつつあるというお考えのようでありますけれども、この計算方式は確立されているのか否か、明確に答弁を願います。  INF交渉においては、日本がいわゆるかやの外に置かれ、欧州のSS20をソ連が極東に移動するなど、わが国に核の脅威が増大しないよう外交政策を積極的に推進する場所を求めるべきであると思いますが、改めて総理見解を承りたいのであります。  現下の急務は、戦略・中距離・戦術核とその運搬手段を含め、すべての東西核兵器均衡削減ではなく、ジョージ・ケナンが提唱する一律削減方式による核軍縮、あるいは第一回国連軍縮特別総会行動計画段階的核廃棄など、新たな方式核軍縮を推進することにあると考えますが、総理見解を伺いたいと思います。  次に、いわゆるスパイ防止法について総理見解を承ります。  いわゆるスパイ防止法は、情報公開の流れを逆流させるばかりか、憲法に保障された言論、政治報道の自由を極端に制限するものであり、憲法違反法律であります。戦前わが国の歴史においても、あの日中戦争のさなかに軍機保護法全面改悪をされ、ファシズム体制のもとで国防保安法が制定されました。その結果は、あのでたらめきわまりない大本営発表であり、そのもとで多くの国民は死んでいったのであります。新憲法のもとでこれらの悪法は、憲法理念と相入れぬために廃棄されました。総理がもし現憲法を評価されるのであれば、いわゆるスパイ防止法は現憲法精神と相入れぬものであると明言されるべきであります。  現在の政府軍拡路線機密保護法制定動きが軌を一にするものであるとするなら、われわれはすでに戦前日本がたどった道と同じ道をたどっているのだと断ぜざるを得ません。いわゆるスパイ防止法についての総理の明快な見解を求めるところであります。  最後に、解散問題について伺います。  総理は、同日選挙と解散回避の両案を引き出しの中にお持ちであると喧伝されているのでありますけれども、そのどちらを取り出すおつもりなのか、この際明確にその見解を承りたいのであります。  以上で私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣中曽根康弘登壇拍手
  7. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 和田議員の御質問にお答えをいたします。  まず、五十六年度に大幅な歳入欠陥が生じたが、これは前内閣の閣僚であった私の責任でもないかという御質問でございますが、五十六年度におきまして大幅な歳入欠陥を生じましたことは、まことに遺憾でございます。  ただ、この理由は、石油ショックによる世界経済の大幅な停滞、あるいはアメリカの高金利あるいは予想外円安あるいは物価の一層の安定等々の予見しがたい情勢によるものでございます。今後におきましては、この経験を生かしまして、税収見積もり精度向上等につきまして万全を期してまいりたいと思っております。  次に、増税なき財政再建のもとに赤字公債はいつから脱却するかという御質問でございます。  五十九年度特例公債依存体質からの脱却については、きわめて困難でありますということはすでに申し上げました。いつ脱却できるかという御質問でございますが、いま政府は、大体八年を目途とする経済展望経済指針を新たなる観点に立ってつくっていただきまして、それに応ずる財政計画をつくりまして、その過程においてこの赤字公債脱却の問題をいかに処置するかということを検討してまいるつもりでございまして、現在、いつということを明定することは困難でございます。  なお、決算につきまして、国会の御承認をいただくために全力を注ぐつもりでございまして、そのことが責任を全うするゆえんであると考えます。  増税なき財政再建をいかに進めるかということでございますが、臨時行政調査会答申の線に沿いまして、歳出歳入構造の徹底的な見直しを行いまして、それによりまして経費の徹底的削減等を行い、臨時行政調査会答申の線に沿って財政運営を進めてまいって、この趣旨を実現していきたいと思っております。  会計検査院法改正について御質問がございました。  会計検査院法改正等につきましてはいろいろ御論議がございますが、政府関係金融機関等融資先に対する立入調査権限を与えるための法改正を行うことは、自由主義経済のもとにおきまして公権力の過剰な介入を起こす危険はないであろうか。政策金融の円滑な遂行との兼ね合いにおきまして慎重に検討を要するところでありまして、結論が出ておりません。いまの段階法改正を提案することはきわめて困難であります。しかし、政策金融に著しい支障を起こすことなく会計検査院の機能の充実を図ることは政府としても必要であると考え、これに対応いたしまして、政府関係金融機関に対して会計検査院検査等に一層協力するよう徹底しておるところでございます。  今回のASEAN訪問目的はいかんという御質問でございますが、ASEAN諸国を訪問いたしまして、各国首脳部と個人的に親密な関係信頼関係を確立いたしたいというのが最大目的でございます。  なお、二国間の諸案件、あるいはASEAN全体と日本との関係、あるいは世界経済活性化等の問題、あるいはウイリアムズバーグのエコノミック・サミットに出発するに当たりましてASEAN諸国皆さんの御意見も承っておく、こういういろいろな考えを持ちまして首脳部皆さんと緊密な会談を期待しておる次第でございます。  軍事大国化懸念についていかんという御質問でございますが、基本的には日本防衛政策については理解が進んでおると私は承知しております。一部の報道について、若干の懸念があるということも事実でございますが、私はASEAN諸国訪問に際しまして、必要あらば日本防衛政策について、その軍事大国にならないこと、脅威的性格のないこと等についてよく御説明を申し上げたいと思っております。  先般来、出発に先立ちましてASEAN諸国新聞記者団あるいは通信社首脳部等を御招待し、積極的なインタビュー等を行いまして、各国新聞に相当大きく日本政策説明され紹介をされておりまして、民衆等に対する理解にも相当役立っているものと考えております。  次に、ASEAN諸国に対する今後の経済協力につきまして、財布ひもを緩め過ぎないであろうかという内容の御質問もございました。  わが国の二国間ODAの七〇%はアジア地帯に向けられております。また、三五%はASEANに向けられておりまして、わが国経済協力の最重点地域になっておる次第でございます。これはASEANを最も重視しているというわが国基本姿勢から来ているところでございます。  この協力内容等につきましては、一面においてASEAN諸国政治的、経済的、社会的安定性強靱性等に貢献したい、そしてひいては世界の平和とアジアの平和のために貢献したいという念願のもとに行われておるのでございまして、実施してきたものは、農村関係、特に農業開発の問題、エネルギー開発人づくり中小企業振興等につきましても積極的に努力してまいりましたが、科学技術協力等についても今後重点を置いてまいりたいと思っております。  債務累積問題につきましては、ASEAN諸国におきましても対外債務が累積していることは事実でございますが、各国が健全な経済運営に努力しておりますために、問題化されている国はございません。  次に、ウイリアムズバーグサミットにおいて世界経済機関車論等々の考えが出てくるが、いかなる対処を行うかという御質問でございますが、ウイリアムズバーグサミットにおきまして、世界経済活性化という問題、各国協力対応等が議論されることは必至であると思っております。しかし、この際に、かつてありましたように特定国機関車的役割りを期待する、行うということは現実的でないし、適当でないと考えております。やはり協調と連帯の精神をもちまして各国がいかに各国の国益を踏まえつつ協調の実を上げていくか、あるいは為替相場の安定問題あるいは世界経済活性化問題、あるいは発展途上国に対する協力問題等々についても議論してまいりたいと思っておるところでございます。  変動相場制見直しということがよく言われますが、いま変動相場制にかわる相場制度を採用しようという動きはございません。しかし、いずれにしても政策の調和、それから相場の行き過ぎに対しては各国協調して介入する、こういう必要はあると考えております。  次に、対米貿易摩擦等の問題についてどう対処するかということでありますが、わが国といたしましては、保護貿易の台頭をどうしても抑えなければなりませんし、また自由貿易をさらに推進する必要がございます。そのためには、わが国みずからも一層の市場開放の努力を行いまして、外国に対しても信頼感を高める必要があります。  わが国は、一昨年来、一連の市場開放政策を進めてまいり、最近におきましても基準・認証制度改正について法案を提出して御審議を願っておるところでございます。このような努力を外国にも説明をいたしまして、わが国の誠意を示し、また自由貿易を貫くという点について強力に主張してまいりたいと思っております。  なお、各国との協調行動の中におきましては、産業協力あるいは先端技術等に対する協力問題等も出る可能性もございますが、それらにつきましても隔意なき懇談をしてまいりたいと思っております。  INF交渉軍備拡張競争に対する対策いかんということでございます。  一九七〇年代後半からソ連のSS20が非常に増強されてまいりまして、七九年の十二月にNATO諸国は中距離ミサイルの近代化、米国のパーシングII地上発射ミサイルを八三年末より配備するということと同時に、米ソ間でこれらのミサイルに関し軍備管理交渉を行う、いわゆるダブルデシジョンということが決定されて、その線でいま進んでいる状態でございます。  アメリカは、ソ連に対する軍事力の後退を回復するために、いまMXミサイルそのほかの軍事力の強化に努めておりますが、国際社会を長期的に平和的に安定していくというためには、一面において力の均衡を維持しつつ、抑止力を損うことのないように配慮しながら、その力の均衡均衡水準を次々に引き下げていくという軍縮が必要であると思います。わが国INF交渉に関するアメリカの暫定案を支持しておりますが、このような観点に立ちまして、今後とも軍縮問題に積極的に貢献してまいりたいと思っております。  一体、東西の軍事バランスというものは計算で成り立つかという御質問でございますが、軍事バランスの評価は、軍事力の量のみでなく、その質あるいは戦力の構成、バランス、訓練度、士気、さらには同盟国との連携関係等々各種の要素を考慮して総合的に行う必要がありまして、一概には決められないものでございます。しかし、いずれにせよ、ソ連が十数年来軍備増強を続けてきました結果、米ソ間の軍事バランスは、放置すればソ連が確実に優位に立つ趨勢にあるものと認識しております。  INF交渉におきまして、わが国はかやの外に置かれているのではないかという御質問でありますが、そういうことではございません。先般の米国の暫定案等につきましては、米国からも事前協議を何回も受けておりまして、わが国の意見も明確に申し述べておるところであります。今後とも、そのような緊密な協議を行いつつ、平和と軍縮のために協力してまいりたいと思っております。  次に、第一回軍縮総会で示された軍備の一律削減わが国としても推進することはいかんということでありますが、第一回国連軍縮特別総会は、軍縮及び軍備制限が国際平和と安全を強化するために不可欠であり、そのために各国が全面軍縮を目指して忍耐強い努力を行うことを最終文書として採択しております。現下の国際社会の平和と安全が国家間の力の均衡により保たれているという事実を踏まえ、力の均衡の維持に努めるとともに、可能な限り、より低い軍備水準で国際の平和と安全を確保し得るよう、軍縮の促進に努めてまいりたいと思います。  このような立場から、国連軍縮委員会等の場におきましても、平和外交の重要な柱として、軍縮、なかんずく核軍縮の促進に努力してまいりたいと思っております。  なお、第一回国連軍縮特別総会最終文書及び第二回国連軍縮特別総会報告書において、軍備の一律削減をうたった個所はございません。  次に、スパイ防止法について御質問がございましたが、スパイ防止法をつくる考えはございません。  最後に、解散について御質問がございましたが、解散は考えておりません。最も私の関心の問題は、行革そのほか重要法案をいかに成立させるかということでございまして、このために全力を尽くす考え方であります。この目的が達成されますならば、この国会における後半国会の意義は相当程度達せられると考えておるのでありまして、解散の理由はないと考えておりまして、解散を行う考えはございません。自民党の同僚議員に対しても、余りむだ遣いはしないようにと言っております。(拍手)    〔国務大臣竹下登登壇拍手
  8. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 私に対する御質問、まず第一は、総理からお答えがございましたが、いわゆる歳入欠陥の生じた理由等でございます。  第二次石油危機に伴います世界経済停滞予想以上に長期化して、その回復がおくれたことを背景として企業の生産活動や消費が伸び悩んだこと、これによるものでございます。しかし、このような予見しがたい経済情勢の推移によるとは申しながらも、見積もりと実績に大幅な乖離が生じた、これは事実であります。今後におきまして、その要因を十分に分析するとともに、今回の苦い体験を生かして、税収見積もりに必要な資料の収集、推計方法、これらについて一層の工夫をこらしながら、精度の向上、これに努力してまいらなければならないと考えております。  それから決算調整資金に安易に頼る考え方を持っていたのではないか、こういうことでございます。  確かに、決算調整資金税収動向等に予見しがたい種々の不確定要因がありますことから、年度末間際あるいは年度末経過後に決算上の不足が明らかとなって、補正予算によっては対処し得ないそういう事態のときに備えるために設けられたものであることは事実であります。  五十六年度税収の動向について見ますと、とにもかくにも、補正予算提出後判明した十二月税収、また一月税収内容を見ますと、以前の税収動向と比べると比較的高い伸びを示していたということと、それから法人税のうち特に大法人について、十一月税収以来二〇%とか三〇%の高い伸び率を示したということと、また物品税についても二〇%台の高い伸びが続いたこと、そうしたことから、楽観は許されませんが、所定の税収が得られることに対する期待感というものが高かったということになろうかと思っております。  したがって、このような年度途中において決算上の不足発生は予見しなかったものでございますので、万一の場合、決算調整資金に頼ればよい、そういうようなイージーな考え方は毛頭なかったとも考えますし、これからも持ってはならないことだと思っております。  次に、この事後承認が得られなかった場合どうするか、こういうことでございます。  これは確かに仮定の問題として、一たん国会に提出した調書審議未了となった場合には、改めて次の国会に提出するということになるわけでございますけれども、これは国会事後承認が得られない場合につきましては、純法律的に言えば、決算調整資金の使用が無効となったり取り消されたりするというわけのものではございません。内閣国会に対していわば政治的な責任を負う、こういうことになるわけでございますけれども、とにもかくにも、総理からもお答えを申し上げましたように、ぜひ御承認をいただきたいと心から念願するものであります。  それから五十七年度決算の帳じりの見通しについてでございます。  端的に申しまして、現段階では何とも申し上げられないという一語に尽きるわけでございますが、五十七年度予備費の不用額は千七十五億円、これは一応確定をいたしました。これからの歳入歳出の過不足は、予備費の不用のほかに歳出の不用、税収歳入の増減によって左右されるものでございます。このうちその他の歳出の不用額につきましては、概数を把握できますのが五月下旬になります。そして税収等は七月上旬にならないと明確にならないということで、いまの段階では、申し上げましたように予備費の不用額がようやく明らかになったという段階でございますので、全体としての決算見込みに触れることはできないという状態でございます。  しかし、税収につきましては、何分ウエートの大変大きい法人税の三月期決算が残されておりますことから、まさに確たることを申し上げる段階にはございません。したがって、現時点において予備費が余ったから、それがいわゆる剰余金の発生につながるというようなことにはなりません。仮に剰余金の発生が見込まれるような場合には、特例公債法の趣旨に沿いまして、出納整理期間に送った特例公債の発行予定額の減額に充てるというのが筋であろうというふうに考えております。  それから総理からもお答えがございました増税なき財政再建、この問題でございます。  これはとにかく国会に提出いたしました「今後の財政改革に当たっての基本的考え方」に基づきまして、そして総理からもお答えがございましたように、経済審議会におきまして、いま今後の経済運営の展望についての御議論がなされたばかりでございますので、これらとも整合性を持ちながら、具体的にお示しするような作業をこれからも鋭意続けていきたいと思っておるところでございます。  それから増税なき財政再建の進め方でございますが、まずやっぱり安易に増税ということを念頭に置いてはいけないということでございます。行財政のまさに守備範囲を見直すという見地から、徹底してこれに対処してまいりたいと考えております。まさに個人、家庭の自助努力に期待する分野ではないかとか、あるいは民間部門の活力にゆだねるべき分野ではないかとか、国と地方との間の役割りはどうか、そういう点につきまして、構造的な点についても見直しをしていかなければならぬというふうに考えておるわけでございます。  それから所得税減税間接税問題についての御質問がございました。  所得税減税問題につきましては、与野党の合意、そしてまた本院における予算委員長見解、これがございます。したがって、今後の税収動向を見きわめながら、国会における論議を踏まえて、財源問題を含めて税制調査会に検討を願うということで精力的に努力してまいりたいということをかねて申し上げてまいりました。  ちょうどおととい二十五日、本年度最初の税制調査会が開催されましたので、政府側からは、国会における減税に関する議論を詳細に御報告をいたしました。この問題についての御審議をお願いしたわけでございます。  税制調査会におかれましても、所得税、住民税に関する部会を設置するということが決まったということでございます。まだ審議も確かに始まったばかりでございますので、本格的検討に着手できますのは、これは予算委員会の委員長見解にもお答えしておりますが、五十八年度税収の土台となります五十七年度税収が確定いたします七月ごろということになりますので、時期、財源、規模、これを明示するということは、今日できがたいということであります。  大型間接税導入については、いま具体的に検討していることもございませんし、指示を受けたことも、また指示をしたこともございません。  以上が私に対する御質問についてのお答えであります。(拍手)    〔国務大臣安倍晋太郎君登壇拍手
  9. 安倍晋太郎

    国務大臣(安倍晋太郎君) サミット準備会議では、サミットの具体的な計画テーマについてどのような話し合いが進んでおるかという御質問でございますが、従来の準備会合では、今次サミットの運営方法、討議の分野、方向等につきまして、主催国であるアメリカより一応の考え方が示されまして、これに基づきまして参加国首脳の個人代表間で意見の交換が行われております。  その後も個人代表間におきまして意見調整が鋭意進められておりますが、いずれにいたしましても、現在の困難な世界経済情勢に対しまして、各国がいかにして協調と連帯の精神のもとで将来に向けて少しでも明るい展望を切り開いていき得るかということが、各国共通の最も大きな関心事項になっております。  先ほどから総理もお述べになりましたように、インフレなき持続的経済成長をいかにして図っていくかということが主要な課題であろうと思いますが、同時に、為替、通貨の問題、あるいはまた開発途上国に対する協力の問題等も課題になるものと判断をいたしております。さらにまた、このサミットは経済サミットでございますが、しかし世界の首脳が集まるわけでございますから、正式な議題とはならないとしても、世界政治の問題あるいはまた核軍縮の問題についても討議の行われることは当然予想されるわけでございます。  なお、詳細な具体的内容につきましては、各国間で、かたい申し合わせによりまして、発表は見合わせるということにいたしております。  いま申し上げたことが大体の方向ではないか、私はこういうふうに考えておるわけでございます。(拍手)     ─────────────
  10. 徳永正利

    議長徳永正利君) 鶴岡洋君。    〔鶴岡洋君登壇拍手
  11. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、ただいま議題となりました昭和五十六年度決算及び昭和五十六年度決算調整資金からの歳入組入れに関する調書について、中曽根総理及び関係大臣に質問いたします。  まず最初に、財政運営についてお伺いします。  昭和五十六年度は、先ほど大蔵大臣から御説明があったとおり、税収が当初予算の三十二兆二千八百四十億円に比べ三兆三千三百十九億円で、一〇・三%の減、また減額補正予算に比べても二兆八千七百九十五億円の不足を生じたのであります。特に、補正予算に比べ三兆円近い税収不足が生じたことは過去にも例がなく、この異常事態は、再建途上のわが国財政に深い傷跡を残したことはまことに遺憾であります。こうした政府財政運営の失敗は厳しく非難されなければなりませんが、総理大蔵大臣は、この税収不足原因はどこに起因したと考えておりますか。また、その反省を今後どのように政策に生かそうとしておられるか、お伺いします。    〔議長退席、副議長着席〕  加えて、この二兆八千七百九十五億円の税収不足穴埋め策として、政府は、調書のとおり決算調整資金から二千四百二十三億円、国債整理基金から決算調整資金へ繰り入れた二兆二千五百二十四億円の計二兆四千九百四十八億円、そして税外収入等を加えて何とかつじつまを合わせたのであります。私は、こうした穴埋め策は小手先のやりくりであって、当面を糊塗する帳じり合わせで、こうした処置は新たな次への矛盾を生み出し、ひいては財政体質の強化と財政の健全化に逆行すると考えるのであります。  実際問題として、国債整理基金から決算調整資金へ繰り入れた二兆二千五百二十四億円のうち約四千億円は、同基金が保有していた長期国債を資金運用部へ売却し、残りについては短期証券を日銀に売却し、現金化したもので、こうした処理方法はその最たる証拠ではありませんか。このような一般会計穴埋め策と国債整理基金保有債券の処分方法はインフレ要因のおそれもあるが、総理大蔵大臣の御所見をお伺いいたします。  また、増税なき財政再建は中曽根内閣に課せられた責任でありますが、現実は財政再建から遠ざかっていると言わなければなりません。大型間接税導入のほか、酒税、物品税など間接税の引き上げや、電話利用税、ギャンブル税など新税の創設で財政再建を図ることを考えているのかどうか、総理考えをお伺いします。  また、財政再建への具体的な方策、手順をいまこそ示すべきだと考えますが、あわせて総理大蔵大臣の御見解を承りたいのであります。  さらに、現在の新経済五カ年計画にかわる新計画総理は経済審議会に検討させているようでありますが、どのような内容の新計画であるのか、この際お伺いいたします。  次に、総理政治姿勢についてであります。  総理は長い政治経歴の中で、防衛庁長官時代には、「自主防衛が主で、日米安保は補完」という自主防衛五原則を提唱、「国防の基本方針」の再検討構想などを主張し、総理就任以後も不沈空母、三海峡封鎖など一貫した右寄り路線の政治路線をとり続けてきました。しかし、最近になって外交防衛論は影をひそめ、緑化の推進と小鳥の倍増運動、がん対策強化等々、以前の総理と違い、内政面の施策が目立つようになりました。これは一体どうした心境の変化でありましょうか。それとも総理政治姿勢が国民本位に戻ったと期待していいのでしょうか。総理の率直な御意見をお聞かせください。  次に、行政改革についてお伺いいたします。  第二次臨調は、二カ年にわたる審議の総決算として最終答申政府に提出いたしました。この最終答申は、国民が期待していたのに対し十分にこたえているとは言えないのであります。それは、国民が一番期待していたところの肥大化した行政機構の見直しについて見ると、中央省庁、特殊法人の統廃合は突っ込み不足、補助金の整理も当初の目標に達しない反面、教育、福祉などの国民生活関連事項にはかなり負担を求めております。総理、行政管理庁長官から、行政改革に対する基本姿勢と、臨調答申を具体的にどのように実行に移していくのか、所見をお伺いいたします。  次に、景気対策について、総理大蔵大臣にお伺いします。  景気回復の見通しについては、日銀、経企庁、大蔵省の三者で微妙な差があります。日銀は、全般的に停滞傾向が続いているものの、底入れ気配が見え始めたと、明るい見通しを立てております。一方、大蔵省は、景気が回復軌道に乗り始めたと判断を示しております。経企庁は、明るい兆しが出たことは認めているものの、まだ回復に向けての動きは感じられないと、慎重な判断をしております。一体、総理は、今後の景気回復の見通しをどう判断しておられますか、御見解をお伺いします。  また、経済閣僚会議において景気浮揚策を発表し、これを受け、公共事業施行対策連絡会議において、五十八年度公共事業の前倒しとして、上期の契約率を七二・五%と決めました。この契約率は昨年度の七七・二%を下回るもので、金額にして九千九百億円も少なくなりました。昨年度の前倒しが効果が出なかったことから考えて、この程度の前倒しを確保するだけでは景気浮揚策の抜本対策にはならないのではないでしょうか。景気浮揚策の具体的な施策について、総理大蔵大臣から御所見を承りたいのであります。  次に、農産物の自由化問題についてお尋ねします。  日米農産物交渉が、昨日からワシントンで専門家レベルの交渉が続けられております。すでに御承知のとおり、日本世界の一大農産物輸入国であるばかりでなく、米国にとっては最大の輸出先であります。これほど米国から農産物を輸入している国はほかにありません。日本が牛肉、オレンジを自由化したからといって、日米間の貿易不均衡百八十億ドルのわずか五億ドルにしかなりません。今回の交渉で、自由化、輸入枠拡大について一時的に話し合いがついたとしても、近い将来再び米国の強い要求が求められる可能性は必至であります。  政府は、牛肉、オレンジ及び残存輸入制限品目の現状を、米国にこれ以上は譲歩できない旨はっきり説明し、たとえガットに提訴されても断固受けて立つという強い決意を示すべきであります。農産物交渉に臨む政府の対応策と、特に牛肉、オレンジの自由化、枠拡大阻止についての見解総理並びに農林水産大臣からお伺いいたします。  最後に、会計検査院の権限強化についてであります。  国民の貴重な税金が、より一層正しくかつ効率的に使用されるためには、その監視役である会計検査院の検査権限を強化するための院法改正が必要であると思います。五十六年度の実地検査は対象機関のわずか七・九%にもかかわらず、税のむだ遣いは二百七十四億円であります。特に、行政改革と財政再建政府の至上課題となっている現在、その必要性が一層痛感されます。先ほどの総理答弁では、院法改正はむずかしいというお話がございましたけれども、行政改革に政治生命をかけた総理、率先して院法改正を行う姿勢を示すべきであります。中曽根総理の決意をお伺いして、質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣中曽根康弘登壇拍手
  12. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 鶴岡議員の御質問にお答えを申し上げます。  まず、五十六年度税収不足原因はいかんという御質問でございましたが、先ほども御答弁申し上げましたように、世界経済停滞による輸出の減少、生産活動の萎縮、あるいはアメリカの高金利、日本円安、あるいは物価の安定、こういうようなところから税収不足したと考えております。今後は、この体験を生かしまして、税収見積もりの精度を上げるように努力してまいりたいと思います。  増税なき財政再建、現実はこれから遠ざかっているのではないかという御質問でございますが、ともかく財政状態が非常に厳しいことであることは御承知のとおりでございますが、財政の対応力の回復を図るべく歳出歳入の抜本的な見直しを行いまして、経費の節減等を行い、そしてその上に立ってできるだけ早期に特例公債依存からの脱出を図り、また公債依存度の引き下げに最大限の努力を傾注してまいりたいと思っております。  新鋭の話が出ましたけれども、いまのように歳出歳入の抜本的削減を行って、しかも臨時行政調査会答申の線に沿ってこれからも行政を進めてまいりたいということを考えておるのでございまして、御指摘のような大型間接税導入等につきましては、具体的に検討もしておりませんし、指示もしておりません。  財政再建の具体的な方策、手順を示せということでございますが、当面は歳出歳入構造の徹底的な見直しから起こしますが、長期的に見まするというと、ともかく昭和六十年から六十五年ぐらいにかけまして、いまのままの推移で機械的に計算して並行移動させてやりますと、国債費だけでも十兆から十五兆を超すぐらい年間の支出が一応予想されます。  そういうような事態をどういうふうに乗り切っていくかということは、慎重に検討しなければならぬ重大な問題が前途に包蔵されておるわけでございまして、そのために、まず経済計画につきまして、先般、経済審議会に諮問いたしまして、八年を目途とする経済展望をつくっていただくことにいま審議が進められております。それに相応して財政計画というものが出てくると思います。そのような経済と財政を一体して整合性のとれた計画を長期的につくってまいりたいと思っておる情勢でスタートしたところでございますので、その内容につきましてただいま申し上げる段階でないことは遺憾でございます。  経済審議会に諮問している考え方はどういう内容のものかということでございますが、いままでのいわゆる経済計画に対しまして、より弾力性に富む、より長期的な、そしてより何度も見直しが可能であるようないわゆるローリング性を持った内容にしていただきたい。それから高齢化社会に対応し、また新しい情報時代に対応するような、新しい社会に対応し得るような経済政策でもなければならない。そういう意味におきまして、たとえばGNPという概念につきましても、いままでの量的な考え方から離れて、質的な考慮を取り入れる余地が非常に出てきていると思います。  たとえば一トンの値段につきましても、鉄ならば約九万円、自動車ならば百万円、ICならば、あるいは超LSIならば五億円ぐらいするということでございます。ですから、必ずしも量によるものではない、質が非常に重要な時代になってきておりますし、情報の価値というものも経済運営上非常に重要な使命を帯びてくる段階になっております。そういう意味におきまして、この新しい時代に対応し得るような新しい型の経済政策あるいは経済長期展望というものを加味してお考え願いたいと念願しておるところでございまして、経済審議会の答申をお待ちしたいと思っております。  次に、外交防衛論争から内政に転換したのかという御質問でございますが、私が総理大臣を拝命したときにおきましては、国際関係の調整が急務でございまして、アメリカ及びECとの経済問題、あるいは安全保障問題、あるいは韓国その他の周辺との関係、そういう意味におきまして、まず当面のこの国際関係の調整を行う必要がある、いわば緊急避難的な性格を持っていると自分は考えまして、外交活動に力を入れた次第でございます。  しかし、一応小康状態を呈するに至りまして、一段落したと考えまして、いよいよ本格的な内政に入ってきたわけでございます。内政の中心は行革であり、あるいは景気回復であり、あるいは教育、学校暴力の問題等でございまして、御高承のとおりでございます。今後もこの内外両方面を見詰めまして適切な政策を実行してまいりたいと思っております。  行革に対する基本姿勢等について御質問がございましたが、行革は現下の最重要政治課題であると心得ております。すでに臨時行政調査会答申をいただきまして審議を終了いたしました。この第五次答申につきましては、三月十八日の閣議において最大限尊重の基本方針をまず決めたところでございます。  そこで、今後の改革の手順、内容、いわゆるスケジュール等につきまして、新しいいわゆる新行革大綱の策定をいま急いでおりまして、五月の中下旬までにこれを策定し、閣議決定まで持っていきたいと考えておるところでございます。  景気回復の見通しについて御質問がございました。  最近の状況を見ますと、アメリカの景気は上昇に転じたと言われ、ヨーロッパにおきましても、一部を除きましては、やや動意が見られる状態になってきております。わが国の経済におきましても、物価の安定、あるいは在庫調整のある程度の進展、それから石油価格の低落傾向等々の明るい面も見られます。それと同時に、物価の安定ということが非常に大きな強みになっておりまして、今後は国内民間需要を中心とした景気の着実な回復を図りたいと思っております。  現状で世界経済が推移し、わが国の在庫調整が進んでまいりますれば、下半期におきましては薄れ日が差す状態になってくると考えておりますが、問題はアメリカの財政赤字であります。これがいまアメリカ国会において審議されておる予算内容において、どの程度のアメリカに財政赤字が出てくるか、その結果アメリカの金利の情勢がどういうふうに動くか、これが世界経済を動かす非常に大きな要因になっておりまして、まだこれは不安定な流動的な情勢にございます。それから不況のために石油価格がさらに下落する、もしそういう段階が出てまいりますと、これも世界経済に対しては、たび重なる下落でございますから、かなりマイナス要因に働く危険性がございますし、発展途上国の債務問題等も出かねまじきことがあるかもしれません。  そういうような点におきまして、景気の前途は、国際与件を考えますと、必ずしも手放しで安心してはならない、そういう情勢にあると考えて、周到な手配をしていきたいと思います。ただし、五十八年度の経済成長三・四%程度は、現状で推移すれば実現可能であると考えております。  次に、公共事業の前倒しだけでなく、ほかに施策はないかという御質問でございます。  政策は、本年四月五日の経済対策閣僚会議におきまして、行財政改革の精神を踏まえつつ、内需を中心とした息の長い安定成長を図るために、八項目の当面の課題、三項目の今後の取り組むべき課題等に関する「今後の経済対策について」という政策を決定いたしました。  当面の課題としては、公共事業の前倒し執行のほか、金融政策の機動的な運営、住宅建設の促進、中小企業対策等の諸施策を推進すると同時に、大幅な規制の緩和を行いまして民需、民間投資を誘発しよう、これらにつきまして今後努力してまいりたいと思います。  次に、牛肉、オレンジ等の農産物の輸入問題について御質問がございました。  牛肉、柑橘類につきましては、目下ワシントンにおきまして日米間の専門家が協議中でございます。わが国といたしましては、一面において国際間の友好関係を維持するという考慮も非常に重要でございますが、一面においては、わが国における食糧の安定供給という重要な問題もございます。したがいまして、わが国の農業の健全な発展と調和のとれた形で行われるということが非常に重要であると考えまして、この国際関係との調整を適切に段階的に進めていくのが正しいと思っております。  いわゆるガット提訴につきましては、米側から、わが国の農産物残存輸入制限についてガット上問題があって、そのガット上の協議を提起する可能性もある旨が表明されました。わが国におきましては、日米協議等におきまして、わが国の農業の実情、これまでの市場開放措置等を十分に説明いたしまして、理解を求めたいと考えております。  最後に、会計検査院法改正について御言及がございました。  この会計検査院法改正につきましては、先ほど来申し上げましたように、政府関係金融機関融資先に対する立入調査等の改正を行うことは、自由主義経済体制下におきまして公権力の過剰介入を起こすのではないかという議論もございます。また、政策金融の円滑な遂行とのかかわり合い等もございまして、これは慎重を要するとも考えており、いまの段階では法改正を提案するのは困難であります。しかし、事実上、会計検査院協力いたすように、政府関係金融機関に対しましては、会計検査院検査等に十分協力の徹底を図るようにいたしたいと思っております。(拍手)    〔国務大臣竹下登登壇拍手
  13. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 鶴岡議員の私に対する御質問にお答えいたします。  まず、税収不足原因の問題につきましては、総理からもお答えがございましたが、第二次石油危機に伴います世界経済停滞予想以上に長期化して、その回復がおくれたことを背景とした企業の生産活動や消費の伸び悩み、これによるものでございます。しかし、何としても予見しがたい経済情勢の推移とはいえ、見積もりと実績に大変な乖離が生じた、これは事実でございますので、今後におきましては、政策上これを生かしていくために、その要因を十分に分析いたしますと同時に、税収見積もりに必要な資料の収集とか推計方法とか、なお一層の工夫をこらして精度の向上に努めてまいりたい、このように考えております。  それから一般会計穴埋め策としての国債整理基金保有債券の処分方法とインフレ要因の問題についてでございます。  決算調整資金は、これは国庫内部に退蔵されておったわけではございませんので、資金運用部で預託、運用されてきたものでございます。したがって、決算調整資金をすでに生じておる赤字の補てんに充てる場合におきましては、年度を通じて考えれば、全体としての通貨供給の増加をもたらすものではございません。したがって、それが直接インフレに結びつくということにはならないわけであります。  ただ、これには国債整理基金から決算調整資金への繰り入れに適切に対処するため、資金運用部と日本銀行に保有国債を売却いたしましたが、これ自体は、先ほどの理屈で、一般会計決算上の穴埋めのための経理上の処理にすぎないというわけでございますが、政府としてマネーサプライの動向に今後とも留意しながら、インフレを招くことのないような配慮、これは十分に行っていく所存でございます。  それから財政再建財政改革を進めるに当たっての考え方でございますが、総理からもお答えがあっておりますが、安易に増税を念頭に置いてはいけない。まず守備範囲を見直し、聖域を設けることなく、徹底的に歳出見直しに対応してまいりたいということが基本の考え方でございます。すべて制度施策の水準と負担というものはこれは一体でございまして、いずれもいわば国民の選択の集積というふうに理解すべきものであると考えますので、今後とも各方面の意見を聞きながら慎重に見きわめてまいりたい。また、御指摘のようなそれぞれの税目について具体的に検討をしておるという事実はございません。  それから財政再建のための方策、手順の問題でございます。  財政改革の考え方でお示し申し上げましたように、まずは歳出歳入構造見直して、もって特例公債依存体質からの脱却、そして公債依存度の引き下げに努める、これが基本的な筋道でございます。そして、その歳出歳入構造見直しを具体的に申し上げるならば、臨調でございますとか、また財政制度審議会の改革方策、これらを踏まえまして、そしてこれまでは財政支出が適当であるとされておった施策においても、情勢の推移の中で国家財政が関与すべき分野であるのかどうなのか、これは個人、家庭の自助努力にまつべきものではないか、あるいは民間の活力にゆだねるべきものではないか、地方との間の役割り分担は適当かどうか、そういうことをまさに幅広く検討していかなければならないというふうに考えておるわけでございます。  そして、総理のお答えにもありましたように、経済の将来展望の検討や経済情勢、これは経済審議会等でもいろいろ御議論を始めていただいたばかりでございますが、それらと整合性を持ちながら十分検討していくべき課題であると考えております。  そして今度は、公共事業の前倒し問題についてでございます。  経済全体につきましては、少なくとも五十七年度実績見込みの実質成長率三・一%ということになっておりますが、これは私は達成は確実であるというふうに言えると思います。したがいまして、これからは五十八年度の三・四%、これをより確実にしていくための必要性があるという考え方に基づいて経済対策閣僚会議において経済対策が決められたわけでございますが、その中の公共事業の前倒し執行というもの自体を取り上げて考えますと、物価の安定基調、そして在庫調整の進展、こういうことから考えますと、まずこのような前倒しというものが、下半期等も考えながら、また、なだらかな成長というものを考えた場合に、適切な率ではなかろうかというふうに考えておるところでございます。  したがって、いずれにいたしましても、下期の息切れを回避して、しかも事業の円滑な執行を確保する必要があるという観点に立って、総合的に勘案、決定したものであります。  以上でお答えを終わります。(拍手)    〔国務大臣齋藤邦吉君登壇拍手
  14. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) 鶴岡議員の私に対する御質問は行政改革に対する基本姿勢でございますが、この問題については先ほど総理大臣からお答えもございましたが、私からもお答え申し上げる次第でございます。  行政改革は内政の重要な課題でありまして、政府としてはすでにこれまで臨調から数次にわたる答申を受け、簡素にして効率的な政府を実現すべく、聖域を設けることなく、行政全般にわたる改革を鋭意推進してきたところであります。今般の第五次最終答申についても、去る三月十八日の閣議において最大限尊重の方針を定めたところでありまして、目下、これを実現するための改革の基本的方向と手順など新たな行政改革の方策を設定すべく、いわゆる新行革大綱の策定作業を急いでいるところでありまして、五月中旬に成案を得たいと考え、努力をいたしておる次第でございます。各位の御理解を得たいと考えておる次第でございます。(拍手)    〔国務大臣金子岩三君登壇拍手
  15. 金子岩三

    国務大臣(金子岩三君) お答えいたします。  総理から御答弁がありましたので御理解いただいたと思いますけれども、ただいま専門家レベルの協議がワシントンにおいて行われております。その成り行きを見まして今後の対応を検討してまいりたいと思います。  昨年の五月、十二月、農林水産委員会から御決議と申し入れがあっております。それは、わが国の農業者に犠牲を与えないようにこの日米の農産物の貿易交渉については対応すべしという決議でありますので、十分この御趣旨を踏まえまして、慎重に検討をいたしたいと思います。(拍手
  16. 秋山長造

    ○副議長(秋山長造君) これにて質疑は終了いたしました。      ─────・─────
  17. 秋山長造

    ○副議長(秋山長造君) 日程第一 千九百七十三年の船舶による汚染の防止のための国際条約に関する千九百七十八年の議定書締結について承認を求めるの件  日程第二 商船における最低基準に関する条約(第百四十七号)の締結について承認を求めるの件  日程第三 北西太平洋における千九百八十三年の日本国のさけ・ますの漁獲の手続及び条件に関する議定書締結について承認を求めるの件   (いずれも衆議院送付)  以上三件を一括して議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。外務委員長増田盛君。     ━━━━━━━━━━━━━    〔増田盛君登壇拍手
  18. 増田盛

    ○増田盛君 ただいま議題となりました条約三件につきまして、外務委員会における審議の経過と結果を御報告いたします。  まず、一九七三年の海洋汚染防止条約に関する一九七八年の議定書は、船舶による海洋汚染の防止及び規制の増進を図るため、現在未発効の一九七三年の海洋汚染防止条約を所要の修正及び追加をした上で実施することを定めたものであります。  なお、わが国は、油汚染の防止のための規則等一部の規則を国際海事機関の委員会の改正勧告に従って実施するため、所要の留保を付することとしております。  次に、商船における最低基準に関する条約は、商船における乗組員の安全、社会保障、居住施設等に関する国際的な最低基準を定めることにより船舶の安全を確保し、乗組員の労働条件の改善を図ることを目的とするものであります。  最後に、北西太平洋における一九八三年の日本国のさけ・ますの漁獲に関する議定書は、日ソ漁業協力協定に基づき、北西太平洋の距岸二百海里水域の外側の水域における本年のわが国のサケ・マスの漁獲について、漁獲量、禁漁区、漁期、違反に対する取り締まりの手続等を定めたものでありまして、ソ連の距岸二百海里外の水域における本年の漁獲量は、昨年と同様、四万二千五百トンとなっております。  委員会におきましては、北洋サケ・マス漁業の長期安定化の問題、放射性廃棄物等による海洋汚染の問題、基準未達の外国船が入港した場合の措置等につき質疑が行われましたが、詳細は会議録によって御承知を願います。  昨二十六日質疑を終え、別に討論もなく、採決の結果、三件はいずれも全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  以上御報告いたします。(拍手)     ─────────────
  19. 秋山長造

    ○副議長(秋山長造君) これより三件を一括して採決いたします。  三件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  20. 秋山長造

    ○副議長(秋山長造君) 総員起立と認めます。  よって、三件は全会一致をもって承認することに決しました。      ─────・─────
  21. 秋山長造

    ○副議長(秋山長造君) 日程第四 農林水産省設置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長坂野重信君。     ━━━━━━━━━━━━━    〔坂野重信君登壇拍手
  22. 坂野重信

    ○坂野重信君 ただいま議題となりました農林水産省設置法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。  本法律案は、わが国農業をめぐる諸情勢の変化と昨今のバイオテクノロジーを初めとする革新的技術開発手法の進展に対応して、農業に関する技術上の基礎的調査研究の一層の推進を図るため、農林水産省の本省の附属機関として農業生物資源研究所及び農業環境技術研究所を設置し、これに伴い農業技術研究所及び植物ウイルス研究所を廃止しようとするものであります。  委員会におきましては、新設される研究機関の行う研究内容及びその成果、臨調答申と新研究機関設置との関連、バイオテクノロジーの研究方向、植物ウイルス研究所の廃止と研究者の配置転換、米の需給等当面する農林水産政策等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。  質疑を終わり、討論なく、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本法律案に対し、自由民主党・自由国民会議日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び無党派クラブの共同提案に係る新研究所発足を契機に留意すべき事項等二項目にわたる附帯決議が全会一致をもって行われました。  以上御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  23. 秋山長造

    ○副議長(秋山長造君) これより採決をいたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  24. 秋山長造

    ○副議長(秋山長造君) 過半数と認めます。  よって、本案は可決されました。      ─────・─────
  25. 秋山長造

    ○副議長(秋山長造君) 日程第五 特定不況産業安定臨時措置法の一部を改正する法律案  日程第六 特定不況地域中小企業対策臨時措置法の一部を改正する法律案  日程第七 高度技術工業集積地域開発促進法案   (いずれも内閣提出衆議院送付)  以上三案を一括して議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。商工委員長亀井久興君。     ━━━━━━━━━━━━━    〔亀井久興君登壇拍手
  26. 亀井久興

    ○亀井久興君 ただいま議題となりました三法案につきまして、商工委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。  まず、特定不況産業安定臨時措置法の一部を改正する法律案は、アルミニウム精錬業、石油化学工業等の基礎素材産業をめぐる最近の厳しい経済情勢にかんがみ、その直面する構造的な問題を解決し、構造改善を図るため、現行法の廃止期限を昭和六十三年六月三十日まで五年間延長するとともに、題名を改め、従来の設備処理等に関する措置に加えて、新たに、事業提携、原材料・エネルギーコストの低減のための設備投資等の措置計画的に講じようとするものであります。  次に、特定不況地域中小企業対策臨時措置法の一部を改正する法律案は、構造不況業種に対する依存度の大きい特定地域において、多数の中小企業の経営がなお不安定であることにかんがみ、現行法の廃止期限を昭和六十三年六月三十日まで五年間延長するとともに、題名を改め、新たに、特定地域の中小企業の振興を図るための対策を講じようとするものであります。  委員会におきましては、以上の二法案を一括して質疑を行い、八人の参考人から意見を聴取するなど慎重に審査を進めました。質疑で取り上げられた主な点は、現行法施行後五年間の経過と実績の評価、不況業種における設備処理の状況、雇用や関連中小企業、地域経済等にもたらす影響と対策、設備処理カルテルの進め方とアウトサイダー対策、事業提携計画承認と独占禁止法上の判断基準、産業調整政策と競争政策との関係、基礎素材産業の将来展望、中小企業の新分野開拓事業等実施計画の進め方等の諸点でありますが、詳細は会議録に譲ります。  両案に対する質疑を終わりましたところ、日本社会党を代表して吉田理事より、特定不況産業安定臨時措置法の一部を改正する法律案に対し、雇用安定のための措置を一層明確にすること等を内容とする修正案が提出されました。  次いで、同法案の討論に入りましたところ、日本社会党阿具根委員より修正案賛成、原案反対、自由民主党・自由国民会議降矢理事より修正案反対、原案賛成、日本共産党市川理事より修正案に棄権、原案反対、公明党・国民会議田代委員より修正案反対、原案賛成、民社党・国民連合井上委員より修正案反対、原案賛成の意見が、それぞれ述べられました。  次いで、採決の結果、吉田理事提出の修正案は賛成少数をもって否決され、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本法律案に対しては、構造改善は事業者の自助努力を前提として進めること等五項目の附帯決議が行われました。  次に、特定不況地域中小企業対策臨時措置法の一部を改正する法律案につきましては、討論なく、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、高度技術工業集積地域開発促進法案は、通常テクノポリス法案と呼ばれているものでありまして、三大都市圏以外の特定地域において、高度の技術力を持つ工業の効率的な開発を促進し、地域住民の生活の向上と国民経済の均衡ある発展を図るため、開発指針、開発計画の樹立等の措置を定めるとともに、開発計画の実施を促進するため必要な税制その他の助成措置を講じようとするものであります。  委員会におきましては、均衡ある経済発展の理念と対象地域設定の進め方、先端技術産業等の地方進出の可能性等の諸点について質疑が行われましたが、詳細は会議録に譲ります。  質疑を終わり、討論に入りましたところ、日本共産党市川理事より本法案に反対の意見が表明されました。  次いで、採決の結果、本法案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本法案に対し、開発計画の実施に当たり地方の財政負担に配慮すること等六項目の附帯決議が行われました。  以上御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  27. 秋山長造

    ○副議長(秋山長造君) これより採決をいたします。  まず、特定不況産業安定臨時措置法の一部を改正する法律案の採決をいたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  28. 秋山長造

    ○副議長(秋山長造君) 過半数と認めます。  よって、本案は可決されました。  次に、特定不況地域中小企業対策臨時措置法の一部を改正する法律案の採決をいたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  29. 秋山長造

    ○副議長(秋山長造君) 総員起立と認めます。  よって、本案は全会一致をもって可決されました。  次に、高度技術工業集積地域開発促進法案の採決をいたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  30. 秋山長造

    ○副議長(秋山長造君) 過半数と認めます。  よって、本案は可決されました。      ─────・─────
  31. 秋山長造

    ○副議長(秋山長造君) 日程第八 農業改良助長法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員長下条進一郎君。     ━━━━━━━━━━━━━    〔下条進一郎君登壇拍手
  32. 下条進一郎

    ○下条進一郎君 ただいま議題となりました法律案について、委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。  本法律案は、最近における農業を取り巻く諸情勢の変化に対応するための改正であります。  その主な内容は、まず、協同農業普及事業の効率化に資するため、その運営指針を農林水産大臣が定めることとする等協議手続を明確化するとともに、本事業の助成を、負担金方式から交付金方式に改めることとしております。  次に、農業に関する試験研究の推進に資するため、国と都道府県の試験研究機関の間における協力体制の強化を図ることとしております。  また、農業改良研究員制度につきましては、都道府県農業試験場における試験研究の実施体制の整備に伴い、これを廃止することとしております。  なお、本法律案につきましては、衆議院において、施行期日を「公布の日」に改める等の修正が行われております。  委員会におきましては、協同農業普及事業の実施経過と現状、助成方式の変更に伴う事業への影響、共同研究の推進方策、農業改良研究員制度の廃止の理由、試験研究と普及事業との協力体制等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。  質疑を終わり、討論に入り、日本共産党を代表して下田委員から本法律案に反対する旨の討論があり、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、各会派共同提案による協同事業としての基本的性格の堅持等六項目の附帯決議を全会一致をもって行いました。  以上御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  33. 秋山長造

    ○副議長(秋山長造君) これより採決をいたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  34. 秋山長造

    ○副議長(秋山長造君) 過半数と認めます。  よって、本案は可決されました。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時四十四分散会