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1983-04-04 第98回国会 参議院 本会議 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年四月四日(月曜日)    午後五時四十六分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第十号   昭和五十八年四月四日    午後四時開議  第一 金属鉱業事業団法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、昭和五十八年度一般会計予算  一、昭和五十八年度特別会計予算  一、昭和五十八年度政府関係機関予算  以下 議事日程のとおり      ─────・─────
  2. 徳永正利

    議長徳永正利君) これより会議を開きます。  この際、日程に追加して、  昭和五十八年度一般会計予算  昭和五十八年度特別会計予算  昭和五十八年度政府関係機関予算  以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 徳永正利

    議長徳永正利君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長報告を求めます。予算委員長土屋義彦君。    〔土屋義彦登壇拍手
  4. 土屋義彦

    土屋義彦君 ただいま議題となりました昭和五十八年度予算三案につきまして、予算委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  五十八年度予算は、経費の節減合理化による規模抑制各種施策の優先順位の厳しい選択等を基本に編成されておりますが、その内容は、すでに竹下大蔵大臣から財政演説において説明されておりますので、これを省略させていただきます。  予算三案は、一月二十二日国会に提出され、二月一日竹下大蔵大臣より趣旨説明を聴取し、衆議院からの送付を待って三月九日から審議に入りました。自来、本日まで審査が行われましたが、その間、二月二十五日に札幌、名古屋、福岡の三市で地方公聴会を、三月二十二日中央公聴会を行い、翌二十三日から三日間委嘱審査を、また四月一日外交・防衛、二日に財政・経済に関する集中審議を行うなど、終始慎重かつ熱心に審査を行ってまいりました。  以下、質疑のうち主なもの若干につきまして、その要旨を御報告申し上げます。  まず、総理の政治姿勢に関しまして、「ロッキード疑獄事件に対する総理の見解及び衆議院に提案された田中元総理の議員辞職勧告決議案に対する総理の姿勢は政治倫理の確立に欠けるのではないか」との質疑があり、これに対し中曽根総理大臣より、「ロッキード事件ははなはだ遺憾な出来事であり、日本の政界のためにも深く悲しむものである。政治倫理の問題はわれわれも深く思いをいたし、みずからを戒め、国民の模範となるよう努力しなければならない。辞職勧告決議案は、衆議院議院運営委員会で審議中で、その判定は、憲法、国会法、代議政治の本質等を踏まえて考えなければならない。国権の最高機関である国会は、国会議員によって構成され機能しており、その国会議員は選挙によって選挙民とつながっている。こうした過程を考慮するならば、国会議員の地位を剥奪するかそれに関連する重大な行為、すなわち選挙民との関係を切断するような行為を、第三者が本人の意思にかかわらず、果たして二分の一という多数決で行っていいかどうか。よほど慎重でなければならない」旨の答弁がありました。  次に、憲法問題に関し、「かねてから改憲論者であり、さまざまな改憲案を提示し、意見を述べてきた総理の現在の憲法観及び具体的な改正個所を聞きたい」との質疑に対し、中曽根総理大臣より、「現行憲法歴史的評価としてその果たした役割りは非常に大きい。憲法の平和主義基本的人権尊重民主主義福祉国家の理念、国際協調主義により戦前の時代に比べ非常に明るい、伸びやかな社会が現出して、いわゆる市民社会の岩盤が厳然と発達し、そして中産階層を中心に貧富の差のない、非常にいい世の中ができている。これは憲法の力に負うところが非常に大きいことを素直に認めなければならない。民主主義社会にタブーはあってはならず、あらゆる問題を国民が自由活発に論議できることが必要で、法律や憲法の問題も自由に論議し、よりよきものへ進めていく必要があると考えている。しかし、総理大臣として憲法問題で具体的な内容にわたって是非を論ずることは、誤解を与えるので避けたい。なお、中曽根内閣憲法改正政治日程にのせないし、憲法改正問題を選挙の争点にしようとは考えない」旨の答弁がありました。  外交問題に関しては、「世界各国は国際平和を望みながらも、現実には米ソ超大国の軍事バランスに依存していると思われるが、総理の国際情勢基本認識を伺いたい。総理は今年一月の訪米で、日米の信頼のきずなを深めたと述べているが、米国の言いなりになり、レーガン政権の危険な世界戦略に傾斜し過ぎではないか」などの質疑がありました。  これに対し、中曽根総理大臣並びに安倍外務大臣より、「今日の国際情勢は米ソを中心とする対立が雪解けの状態に至っていないばかりか、米ソ超大国の核バランスを基本に、東西間の力の均衡によって、ようやく平和と安定が保たれているというのが冷厳な現実である。ソ連は十数年来、一貫して軍事力の増強を行っており、このまま放置すればソ連が優位に立つという情勢にある。極東においても、ソ連はSS20やバックファイアを多量に配備するなど、陸海空にわたって顕著な軍備増強を行っており、われわれは非常に注目をし、かつ脅威を感じざるを得ない。日米関係については、現内閣発足当時、米国の上院で、日本の防衛努力に関する決議が満場一致通過するなど不協和音が聞かれ、日本の安全保障上もゆゆしい事態と考え、政府はみずからの責任で、防衛費を初めわが国が果たすべき防衛任務を説明するとともに、武器技術供与に関する懸案を解決する等日米間の防衛摩擦の改善を図り、さらに貿易摩擦解消のため関税の引き下げ、非関税障壁の改善等を行い、牛肉・オレンジの自由化問題も米側が事務レベルでの話し合いに応ずるなど、訪米外交は大きな成果を上げた。日本にとって対米関係を改善、円滑化することは何よりも大切で、米国に傾斜とか、レーガン政権に追随の批判は間違いである」旨の答弁がありました。  防衛問題に関しては、「総理訪米時の不沈空母、三海峡封鎖シーレーン防衛等の発言は、いたずらにソ連を刺激し、国際緊張を高めると同時に、憲法で認められない集団自衛権行使に拡大する危険はないか。海峡封鎖シーレーン防衛は国際法上も問題であり、また現在の自衛隊では実行性にも疑問がある。対米武器技術供与取り決めは、国会決議に反し認めることはできない。国会の有権解釈が確定するまで実施を凍結すべきではないか。なお、この取り決め武器輸出につながる危険がある。防衛庁作成年度防衛計画複数政党を警備対象に挙げているのではないか。年度防衛計画作成文民統制に欠ける点はないか」等の質疑がありました。  これに対し、中曽根総理大臣初め関係各大臣より、「不沈空母発言は、自分の国は自分で守るとの歴史の公理を踏まえた決意を示すための比喩と御理解願いたい。防衛政策の基本は抑止力として必要最小限度の防衛力を持つことで、相手が手出しできない力を備える必要がある。自衛力の整備は日本列島防衛に限って進めており、それで不足する部分は日米安保条約で補い、侵略から日本を守ることにしている。日本が盾で米国がやりの役割りを担い、同心円の防衛体制をとっており、これは有効でかつ安上がりの自衛体制と確信している。中曽根内閣は、歴代内閣の、憲法と非核三原則を守り、専守防衛に徹し、軍事大国にはならないとの基本方針を踏襲しており、集団的自衛体制に進むようなことはない。わが国は四面海に囲まれた国で、海洋の防衛、海上交通安全確保はきわめて重要である。シーレーン防衛については、防衛力整備の目標として、周辺数百海里、航路帯を設ける場合には千海里を考えており、港湾あるいは海峡防備、さらに一般海上における哨戒船団の護衛等各種の作戦を組み合わせた累積効果によって海上交通安全確保を図るものである。海峡防衛ないし通峡阻止については、わが国が武力攻撃を受けたとき、必要最小限度の範囲で、通峡阻止を行うこともあり得べしということで、その範囲はわが国の領海と公海の分野に限られる。その作戦は機雷の敷設に限らず、状況に応じ有効適切な手だてを、主に自衛隊がこれを行い、必要に応じ米側の支援を受けることになる。通峡阻止のための機雷敷設は、沿岸国のみならず第三国に対する影響も非常に大きいので、慎重の上にも慎重でなければならず、そうした作戦をいつ、いかなる状態で行うかは、事態が起こった時点で判断すべきものと考える。武器技術の対米供与については、日本が防衛を担当した当初、兵器も米軍から借りるといった状況であったが、最近ではかなり高度の技術を持つに至ったこと、また、一昨年の大村防衛庁長官訪米の際、米側から技術や武器についての相互性の要請があり、これを基本的に了承してきたこと等の背景を持った懸案事項である。今回の政府決定は、国会の承認を得ている安保条約等に基づく日米安保体制効果的運用上必要な限度で行うもので、一部政策の変更を伴うものではあるが、国会決議に反するものではないと思う。決議の有権的解釈はもとより国会でお決めいただくことであるが、それまでの間対米関係を凍結せよとの主張は、対外関係処理の権限が憲法上行政府に与えられていることからも同意できない。武器本体の輸出は、中曽根内閣はこれを一切行わない方針をすでに決定し、態度を明確にしている。「年度の防衛、警備に関する計画」についての御指摘の件は、五十七年度年防三百八十六を調査したが、該当の事実はない。年防は、新年度が作成されると前年度分は破棄することにしており、五十六年度以前については確認できない。合法政党民主主義の根幹をなすもので、これを敵視することはあってはならないし、あり得ない。今後、年防の作成に当たっては、各幕僚長に報告する年防のうち主要なものは長官まで報告し、また、従来は直近上位機関への報告で済ませていた各段階年防のうち主要なものは二段階上まで報告することに改め、チェックシステムを強化し、さらに、全部隊及び機関が作成する年防の一覧表を作成し、長官まで報告するなど、文民統制の徹底を期したい」旨の答弁がありました。  経済問題に関しましては、「世界経済は一九三〇年代当時の不況再来と言われるほど悪化しているが、政府はどう判断しているか。わが国経済は、昨年七月、河本前経済企画庁長官の二番底宣言以来、底をはっており、一向に回復の兆しが見られないが、政府の景気見通しと対策を聞きたい。さらに、来年度の内需主導型の経済運営と、実質成長率三・四%の政府目標の達成は困難ではないか。中曽根総理は前内閣の政策承継を言明しながら、経済審議会に前総理が依頼した経済五カ年計画の策定を御破算にし、他方、自前の中長期経済計画を示さないやり方は、国会論議を混迷させるほか、経済の先行き不安を増幅させ、活動の停滞を招くのではないか」などの質疑がありました。  これに対し、中曽根総理大臣並びに塩崎経済企画庁長官より、「世界経済は先進国が二度の石油ショックによる低成長とインフレ、そして失業、産油国は原油の値下がり、開発途上国累積債務と、それぞれ苦しい状況下にある。この状況を改善するためには、為替の安定、石油を中心とする資源エネルギー価格等の安定、国際機関による新秩序づくりが重要である。当面、まず先進工業国が中心となって、世界経済回復過程に乗せ、再活性化するような方途が講じられることが望まれる。わが国経済の現状は、世界同時不況の影響を受け、五十六年秋ごろより鉱工業生産は一進一退を続け、需要と生産の停滞が設備投資の鈍化を招くといった状況にあったが、最近は緩やかではあるが逐次在庫調整も進み、物価の安定によって実質消費支出が伸び、さらに円高の定着も見られる。加えて、世界一の経済力を持つ米国が、インフレ対策に成功し、高金利の是正と失業対策景気対策に重点を移しつつあること、さらに一バレル五ドルの原油価格の値下げは約一兆六千億円の外貨支払いの節約となること等から見て、年度後半には世界経済、ことに米国経済の回復と相まってわが国経済回復過程を迎えると思う。五十八年度の経済運営は、貿易摩擦世界経済の状況にかんがみ、内需二・八%、外需〇・六%の成長見込みで、内需拡大のため住宅金融公庫の貸付規模等の拡大、中小企業投資減税の創設等を行い、さらに予算の執行、金利政策の運用を機動的、弾力的に行う決意であり、五十八年度三・四%の目標達成は可能である。長期の経済計画に関連して、政府の経済政策がわかりにくいとの批判はごもっともで、実はある意味で政府自身が模索中であることを御理解願いたい。政府としては、日本の国情を考えた場合、いわゆる経済計画的色彩を持ったものが適当であるか疑問がある。したがって、従来の長期計画と異なり、自由主義経済原則を尊重し、規制や計画をできるだけ避け、非常に弾力性を持ったガイドライン的なものとし、毎年度これを修正していき、民間活力の培養と回復を図ること等を重点に、資金的裏づけのある長期的展望の性格を持ったものをつくりたいと考えている」旨の答弁がありました。    〔議長退席、副議長着席〕  財政問題に関しては、「財政再建を重要な政策課題に掲げながら、国会に提出した中期試算でA、B、Cの三案を示しただけで、どの案で進めるのか、また赤字国債脱却目標年次はいつか等を明確にしないのは無責任ではないか。中期試算各年度の巨額な要調整額をどう処理するのか。総理は歳出削減による財政再建を強調するが、一般歳出査定減額は、五十八年度四千二百八十九億円にとどまっており、兆円単位の大幅な査定減額は不可能ではないか。五十八年度予算で歳出削減をうたいながら、国債償還定率繰り入れ停止による負担先送りや、国民年金特別会計へのツケ回し等、歳出の一時的圧縮の措置が目につき、粉飾予算編成の危険はないか。再建期間中の増税なしを貫くか。結局、政府は大型間接税による増税をねらっているのではないか」等の質疑がありました。  これに対し、中曽根総理大臣並びに竹下大蔵大臣より、「中期試算については、総合的な経済情勢の中で歳入を見積もり、単年度主義の原則に従って予算を編成する場合、非常に規範性を持った後年度負担を推計することは困難であり、ある種の仮定計算に立った推計が現実的である。特例公債脱却目標年次については、変動要因が多い上に、臨調答申の増税なき財政再建等の関連もあって政府も苦悶しており、いま直ちに示すことはむずかしいが、五年から七年にわたるものと思う。中期試算の要調整額は、等率等差の数値を前提に後年度負担を推計した結果の数字で、今後の努力によって変化が可能な数値である。この金額は、現行制度、施策をそのまま継続した場合に初めて必要となるものであるが、歳出構造に徹底的なメスを入れるのが政府の方針で、今日の時点で削減及び負担増の額や割合は決められない性格のものと認識している。査定減額は御指摘のとおりであるが、一方、五十七年度の財政中期展望の見通しで、五十五兆円余りと見ていた五十八年度予算規模を、五十兆四千億円に圧縮抑制した実績と努力は評価をいただきたい。今後の削減の困難は身にしみて感じているが、財政全般にわたって国、地方、個人、企業それぞれの分野調整を含め、制度、施策の根源にさかのぼって見直し、歳出削減に努力を傾注するので、ぜひ御協力を願いたい。ツケ回しの批判が出されている措置は、財政負担の平準化を図る趣旨で行ったもので、特定年度に過重な負担や非効率な財政運営となることは避ける必要があり、五十八年度の国民年金特別会計への国庫負担繰り入れの調整は、受給者の将来推移をにらんでの平準化措置である。政府は増税なき財政再建の理念を堅持し、これをてこに制度、施策の根源にさかのぼった歳出削減を図るが、国民のニーズが現行の制度、施策を維持したいという結論であると見定めれば、その際は負担増を考慮せざるを得ない。したがって、負担増が、ある期間全くないということは断言すべき問題ではない。しかし、少なくも概念的には大型新税の導入は臨調答申の「増税なき」の範疇を超えるものと理解している」旨の答弁がありました。  また、「五十七年度人事院勧告が年度内に実施されなかったことは、労働基本権代償措置という制度の趣旨にかんがみ、はなはだ遺憾千万である。万一実施棚上げの場合は、五十八年度は二カ年分に相当する人事院勧告が行われるべきであるし、政府はこれを完全実施することを約束せよ」との質疑があり、これに対し中曽根総理大臣丹羽総理府総務長官より、「五十七年度の人事院勧告実施を見送らざるを得なかったことは、財政事情等を考慮した異例の措置ではあるが、遺憾であり申しわけなく思っている。政府はすでに二年連続の凍結、見送りはしない方針を明らかにしてきたが、五十八年度人事院勧告が出たら、これを検討し、できる限り実施するよう努力する」また、藤井人事院総裁より、「五十八年度人事院勧告を行うための民間給与実態調査例年どおり四月に行うが、五十七年度の四・五八%改善勧告が実施されなければ、当然この四月の調査分に加算されることになる」旨の答弁がありました。  また、中曽根内閣の主要な政策である行政改革に関し、「臨時行政調査会最終答申が三月十四日に提出された機会に、総理の決意と今後の進め方を聞きたい」との質疑があり、これに対し中曽根総理大臣並びに齋藤行政管理庁長官より、「行政改革は大きな国民的課題であり、内閣にとっても内政の重要問題の一つである。第二臨調の最終答申を受け、政府は誠心誠意これを受けとめ、最大限に尊重する決意で、すでに答申を逐次実行に移していく基本方針を閣議決定しており、この方針に基づいて具体案の策定を進めることにしている。今国会にもすでに国鉄改革を推進するための国鉄再建監理委員会設置の法案、官庁部局の改廃等の簡素合理化を図るための改正法案を提出しており、さらに、行政改革を推進するため臨時行政改革推進審議会設置法案の提出等の準備を進めている。これら法案の早期成立と相まって行政改革を着実に実行してまいりたい」旨の答弁がありました。  なお、質疑はそのほか広範多岐にわたつて行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。  本日をもって質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して勝又委員が反対、自由民主党・自由国民会議を代表して長谷川委員が賛成、公明党・国民会議を代表して大川委員が反対、日本共産党を代表して立木委員が反対、民社党・国民連合を代表して伊藤委員が反対の旨それぞれ意見を述べられました。  討論を終局し、採決の結果、昭和五十八年度予算三案はいずれも賛成多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、減税問題については、昨年の当委員会における減税問題の決議及び本年の衆議院段階における与野党の合意を踏まえ、理事会で協議の結果、政府は所得税、住民税の減税を実施するため速やかに検討を進めるべきであるとの委員長見解を述べ、これに対して竹下大蔵大臣より、「政府としても委員長見解を尊重し、誠意をもって対処することとしたい。なお、五十七年度税収の確定するのは七月ごろであるが、今後できるだけ早期に税制調査会課税最低限の見直しを含め、減税の検討に着手していただくことにしたい」との答弁がありました。  また、「人事院勧告問題については、当委員会においてその実施につき種々論議が行われてきましたが、今後とも当委員会における質疑の経緯を踏まえ、引き続き誠意をもって努力を重ねてまいりたい」との委員長発言を行いました。  以上御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  5. 秋山長造

    ○副議長秋山長造君) 三案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。赤桐操君。    〔赤桐操登壇拍手
  6. 赤桐操

    赤桐操君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました昭和五十八年度一般会計予算外二案に対し、反対討論を行うものであります。  中曽根内閣は、発足以来約四カ月を経過いたしましたが、国民はもはや中曽根総理の口先だけの言い回し、言い逃れ答弁不信と不安を日増しに高めております。国民中曽根政治に嫌気が差し、いら立ちを覚え、まさに沸騰していると言っても過言ではありません。  すなわち、レーガン米大統領との会談以来、争点一つとなった総理の不沈空母発言海峡封鎖発言、さらにはシーレーン防衛などの危険かつ異常発言に対し、わが党が質疑を通じて真意をただすと、単なる形容詞にすぎないとして修正、弁明答弁を繰り返し、海峡封鎖シーレーン防衛武器技術供与に対する政府見解も、個別的自衛権というわが国防衛範囲を逸脱、なし崩しにつながる危険な内容となっているのであります。国民を一気に戦争の危険に陥れる重大な発言をわが党は断じて認めるわけにはまいりません。  加えて、田中総理に対する議員辞職勧告決議案に対する政府自民党の対応は、公人たる総理大臣在職中の職権乱用による贈収賄が動かしがたいにもかかわらず、議員辞職個人が判断する問題としてすりかえ、審議引き延ばし答弁を繰り返し、有罪認定を受けた元総理政府自民党を操る非常識と無責任な政治を擁護し続けております。まさに清潔な政治を求める国民に対する挑戦と言うほかはありません。  一方、今日緊急にして重大な課題は、景気経済問題であります。  三月に発表された国民所得統計速報は、昨年十月ないし十二月の実質GNPが年率一・八%と、公共投資息切れ減少民間設備投資マイナス転落、さらには輸出不振により景気の一段の低迷を示しており、これにより、五十七年度五・二%から三・一%に大幅下方修正された政府経済見通しは、その達成すら危ぶまれ、補正後の税収確保さえ困難と言われている状況にあります。  中小企業構造不況業種中心に、経済指標は発表のたびに悪化を示し、景気の先行きを暗くさせているのに加え、雇用面では完全失業率が二・八%と戦後最悪となり、大量失業の発生が憂慮される状況に立ち至っているのであります。これこそ景気浮揚策が緊急不可欠な要件となっているこの具体的な証左と言わねばなりません。  しかるに、中曽根内閣は、二・八%の高い失業率統計方法変更によるものと一蹴し、わが党の人事院勧告凍結解除減税実施による景気浮揚策等に対しては、かたくなに拒絶姿勢を変えようとしないのであります。かかる政府経済運営をもってしては、もはや景気回復することはできないと言わざるを得ません。  政府は、そればかりか、原油値下げ米国金利低下景気は必ずよくなると楽観的、他力本願の答弁で終始し、原油値下げに伴うマイナス要因や、米国金利反転上昇さえ見られる不安定かつ不透明な事実に目をつむったまま、言葉だけのムード答弁を繰り返しており、無責任もはなはだしいと言わざるを得ません。  また、中曽根内閣の最大の政治課題である財政再建は、目標の明示もなく、計画に値しないもので、納得できるものではありません。中曽根内閣は本腰で景気回復を図り、財政再建に取り組む意思があるのでありましょうか。レーガン対ソ強硬の片棒を担ぎ、軍事拡張路線を不用意に口にし、国民感情を高ぶらせる中曽根政治は、一体だれのための政治なのかと問い直さざるを得ません。  また、行革や財政再建に対する国民批判挑発的発言で取りつくろっても、国民の目はいまやごまかせません。国民は偽りの中曽根政治を決して容認するものではないことをここに強く表明するものであります。  世論調査では、中曽根内閣の不支持率が三五%と最悪になっているほか、不支持の理由として、「言動が信頼できない」「政治の浄化に消極的」「安保防術政策がよくない」「景気対策がまずい」が四本柱に挙げられており、私がいままで指摘した事柄が国民不信の大きな要因である事実を如実に証明しているのであります。中曽根総理はこうした国民世論にどうこたえるつもりでありますか。百日余の中曽根政治を振り返ってみるならば、政権担当能力を改めて問い直さざるを得ません。言葉を巧みに操作することで国民の信頼を得ることはできません。私は、中曽根内閣国民不在の政治と軍拡政治に強く反対し、以下、本予算に対する反対の理由を申し述べたいと存じます。  反対理由の第一は、マイナスシーリング下の予算で、文教、社会福祉経費の圧縮、防衛費の異常突出となっていることであります。  五十八年度予算では、文教関係費が〇・一%減、社会保障関係費がわずか〇・六%の伸びにとどまっている一方で、防衛関係費は六・五%増の突出となっており、海峡封鎖シーレーン防衛等米国の要請に呼応して、聖域なしと言って進めてきた予算編成を完全にほごにしているのであります。加えて、防衛費の後年度負担額は五十八年度二兆円近くに達し、次年度以降防衛費負担の急増が完全に組み込まれるとともに、これが財政再建の大きな足かせとなるであろうことは必定と言わねばなりません。いまや対GNP比一%の歯どめ突破は必至で、軍事大国の道へ急傾斜した危険な状況政府は何らの反省もないのであります。  こうした軍事路線重視の反面で、文教関係費や社会保障関係費は大きく削減を余儀なくされ、四十人学級の編制や私学振興費等の経費圧縮を行い、いま問題の学校教育の荒廃、非行化防止の取り組みと正反対政策をとっているのであります。これこそ弱い子供の切り捨て以外何物でもありません。社会福祉、社会保障費の圧縮も、高齢化社会の到来が目前に迫っていながら無計画に抑え込み、「たくましい文化と福祉」の美名のもとで、弱者に一方的な自助努力のむちをふるう政策を当然視しており、こうした反国民、反福祉の政策を断じて容認するわけにはまいりません。  反対理由の第二は、財政再建の方途、目標を失い、かつ経済の進路を全く示さない予算となっていることであります。  五十九年度赤字国債脱却目標財政再建が破綻し、新たに出された中期試算は、三案のいずれをもって財政再建を進めるかをも示さず、将来の財政国民生活を真剣に考える国民を全く愚弄した内容と言わざるを得ません。しかも、毎年四兆円ないし十一兆円もの巨額の要調整額をいかにして処理するのかも明らかにせず、結局、大型間接税導入による大増税だけを一気に推し進めることを示唆する発言は、断じて見逃すわけにはまいりません。直間比率是正を言いながら、その比率をどう見直すかについても逃げの答弁しか聞くことができないのであります。  また、新経済七カ年計画長期不況で実体との乖離が大きくなっており、一刻も早い新しい経済計画策定中曽根内閣の責務でありますが、中曽根総理は、経済計画社会主義国家が行うもので有害であると放言しているのであります。このような内閣経済財政のかじ取りに国民は先行き不安をいやが上にもつのらせ、強い不信を充満させておるのであります。私は、目標無視、行き当たりばったりの財政再建に強く反対するものであります。  反対理由の第三は、所得税減税及び五十七年度人事院勧告実施を組み込んだ予算となっていないことであります。  国内投資の不振、世界不況の中で、景気回復させる手段は、最終消費需要を高めることによって内需の振興を図ることこそ緊急不可欠の政策選択であることは論をまたないところであります。しかるに中曽根内閣は、歳出の徹底削減がなし得ないしりを、所得税減税の拒絶と公務員給与改善人事院勧告凍結に押しつけ、わが国勤労家庭の税負担の急増と、人事院勧告に連動する全勤労国民の賃金や年金の不当な圧縮を行っているのであります。これでは国民生活の切り捨てと景気に逆行する政策により、財政再建はますます窮地に陥ることは必至と言わねばなりません。  所得税減税は六年間見送りにより、五十八年度の自然増収分の六割を勤労国民の源泉所得税負担するという不公平な実情に陥っており、税体系上不正常もはなはだしいと言わざるを得ません。この意味からも減税は不可欠であるにもかかわらず、政府は「与野党間で減税実施が合意されたことを尊重する」と言いながら、具体的実施意思を何一つ示さないのであります。人事院勧告実施についても、労働基本権代償措置としての人事院勧告制度趣旨を踏まえ、速やかな凍結損失分の復活と今後の実施を行うべきであります。無責任答弁と回答引き延ばしで逃げる中曽根内閣姿勢は、労使関係をますます悪化せしめ、やがてみずからの首を締めるでありましょう。  反対理由の第四は、戦後未曾有の長期不況に対し何ら有効な対策がないことであります。  財政再建を最重要課題として任ずる中曽根内閣は、公共事業費の伸びを横ばいに抑え、景気に対する財政役割りを完全に放棄しており、特に国民生活直結の下水道、住宅建設等の生活関連事業を大幅に抑え込んでいるのであります。戦後最悪の雇用不安の高まり、販売不振で悩む中小企業の現状を見れば、財政のみの事情で経済実体の苦境を放置しておくことが果たして許されるでありましょうか。財政再建とて経済活力あって初めて達成できるのであります。  私は、財投計画と住宅建設との関連において、住宅投資に重点を置いた政策国民の住宅ニーズにこたえ、もって経済財政再建を行うべきであることを指摘いたしましたが、政府答弁をいたずらに避け、真摯な取り組みを行わないことはまことに遺憾であります。口先だけで景気回復する道理はありません。中曽根内閣の無策を強く指摘するものであります。  反対理由の第五は、財政収支の帳じり合わせと財政のサラ金状態を無為に放置していることであります。  五十八年度予算では、五十六年度の作為的過大税収見積もりの誤りによる大幅税収不足の穴埋め策と、政府の失政による不況長期化に伴う税収落ち込みから、特別会計等の積立金の召し上げ等税外収入を四兆七千億円も見込むほか、歳出では国債費定率繰り入れの停止や国民年金特別会計への一般会計からの繰り入れを削減し、本来、歳出化すべき経費を「負担平準化」とのもっともらしい説明で帳じり合わせを行ってようやく予算を編成する事態に追い込まれているのであります。これは歴代政府自民党が例外措置を繰り返し、正常な財政運営を軽視してきた、まさに行き着いた崩壊の姿と言って過言ではありません。そのツケは、結局は税金という国民への負担で穴埋めをせざるを得ないのであります。  すでに、端的な例として、国債残高は百十兆円に達し、その利払い費は主要経費の一位を争うほどに膨張し、財政はまさにサラ金地獄の事態にありながら、中曽根内閣はなお抜本対策を先送りし、臨時的例外手段で糊塗しているのであります。国民財政運営に対する信頼を取り戻すことを真剣に顧みずして財政再建はあり得ないのであります。  このほか、地方財政対策の欠如と国の財政再建優先により、地方財政に一方的にツケ回し、しわ寄せの予算となっていることなど、五十八年度予算に対する批判は多々ありますが、最後に、本予算は成立が新年度に四日間もずれ込み、四日間の予算空白期間を生じております。昨年、予算委員長見解は、空白を生ぜしめないよう政府に暫定予算の提出を求めましたが、政府はことしもこれを無視しているのであります。まさに財政法の違反、行政府横暴の一言に尽き、全く容認できないところであります。  終わりに、私は、総理の尊敬されているリンカーン大統領が次のような言葉を残されておることを申し添えたいと存じます。「大衆を短時間欺くことは可能である。また小衆を長時間にわたって欺くことも可能である。しかし、大衆を長時間にわたり欺き続けることは不可能である」と言われております。総理はこれをいかに受けとめられますか。  以上をもって私の反対討論を終わります。(拍手
  7. 秋山長造

    ○副議長秋山長造君) 嶋崎均君。    〔嶋崎均君登壇拍手
  8. 嶋崎均

    ○嶋崎均君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表して、ただいま議題となりました昭和五十八年度予算三案に対し賛成討論を行うものであります。  いま、わが国を取り巻く国際情勢は、軍備増強による緊張激化を初めとして、石油危機に基づく世界経済不況、物価上昇、失業者の増大、貿易摩擦など政治的にも経済的にも厳しいものがあり、世界第二位の経済力を持つわが国の国際的責任はますます重大となっております。資源のないわが国が世界の相互依存体制の中で生存していくためには、日米外交を基軸として、あらゆる国々との友好親善を図り、世界の平和と発展に貢献していくべきであります。  このため、日米安保体制を堅持しつつ、西側陣営の一員としてわが国防衛上の責務を果たし、軍縮の推進に努めるとともに、世界経済の再活性化のため、相互理解と互恵の立場から、保護主義を排し、自由貿易体制を堅持し、経済協力により発展途上国の安定に寄与することが重要であります。そういう観点から、中曽根総理の韓国及び米国訪問は高く評価されるべきものであり、さらに今後のASEAN訪問、サミット出席による成果が大いに期待されるところであります。  一方、国内的には、行政改革の断行、財政改革の推進、景気早期回復と雇用の安定、高齢化社会への対応など、解決を図らなければならない重要問題が山積しています。いま世界経済は、さきに原油価格の引き下げがありましたが、石油ショックの後遺症などにより依然として大きく低迷し、欧米先進諸国の経済成長は軒並みマイナス成長かゼロ成長に近く、また失業率も一〇%前後という厳しい状況に陥っております。  幸いにして、わが国経済は、国民生活安定の基礎である物価がきわめて落ちつき、失業率も低く、五十七年度経済成長内需中心とした成長により三・一%の達成が見込まれるなど、安定した実績を示しております。しかし、このようなわが国経済も、輸出の減少、生産、出荷の伸び悩みなど、景気回復は緩慢となっております。この結果、五十七年度も大幅な税収不足が発生し、国債の発行残高はほぼ百兆円、財政は一段と深刻さを加え、これは経済、金融政策の円滑な運営に重大な支障をもたらしております。  かかる状況のもとで、政治に課せられた課題は、財政改革を強力に推進してその対応力を回復することであり、これとあわせて行政のぜい肉を落としていくことであります。五十八年度予算はかかる命題に着実にこたえています。すなわち、臨時行政調査会による行財政改革の提言を最大限に尊重しております。まず、歳出面では、経費の徹底した節減合理化によりその規模を厳しく抑制しており、限られた財源を各種施策優先順位に基づいて配分し、質的充実に配意しています。また、歳入面においても、税外収入の確保に最大限の努力を払い、公債発行額を可能な限り抑制するなど、財政再建に最善の努力を行っておりますことは高く評価できるものであります。  以下、予算内容に即し、賛成の理由を申し述べます。  第一は、歳出を徹底的に抑制するとともに、いわゆる聖域なき見直しを行っていることであります。  概算要求の段階で画期的なマイナスシーリングを採用したほか、一兆円を超える一般歳出の実質的要求増加額に対し、臨調の各答申指摘された歳出合理化の方策などに基づき、各種施策にわたり徹底した検討、見直しを行っているところであります。この結果、一般歳出は前年度同額以下、一般会計予算全体の伸び率も一・四%と、昭和三十年度以来の低い水準にとどまっています。なお、五十六年度決算不足の国債整理基金への繰り戻しを除いた実質的な予算規模は、前年度比三・一%の減となっており、これは戦後、正常財政への第一歩を印したと言われる昭和二十五年度の六・一%減以来の超緊縮予算となっております。  第二は、歳入について、租税特別措置の整理合理化を推進するとともに、税外収入について増収努力が一段と払われたことであります。  すなわち、価格変動準備金の整理を初め貸し倒れ引当金の見直しなどを行っているほか、景気に配慮した中小企業投資減税等の税制改正をあわせ行い、その整理合理化を進める一方、税外収入については、補助貨幣回収準備資金の取り崩しを初め、外為資金、自賠責保険等の特別会計や専売公社等特殊法人からの繰り入れ措置により、前年度比八〇・四%増の四兆七千百九十六億円を確保していることは特筆すべきことであります。このような歳出歳入両面にわたる努力の結果、公債の発行額は、税収不足の実情にもかかわらず、五十七年度補正後予算に比べ一兆円減額されることになっております。  第三は、歳出抑制の中で、社会経済国際情勢の推移に対応した財政需要に対し、財源の重点的かつ効率的配分が行われていることであります。  その一は、福祉施策について特段の配意がなされていることであります。  社会保障関係費は、十六省庁が対前年度比マイナスの中にあって、国民年金国庫負担金の繰り入れ平準化措置による三千百七十億円の減少にかかわらず、全体として五百四十九億円の増加、特に社会福祉費は二千億円に近い一一・五%の大幅増加となっています。各種福祉の給付水準の維持や在宅福祉の拡充などにきめ細かな配意がなされており、厳しい財政の中にあっても、社会的に弱い立場の方々に対する真に必要な福祉については温かい手が差し伸べられております。  その二は、経済協力、防衛、エネルギー対策の総合安全保障関係予算であります。  いまや世界経済の一割を占める日本に対する貿易、経済協力、防衛の各分野における期待と要請はまことに強いものがあります。すなわち、自由貿易体制を守るため、政府、民間挙げての努力を払っていることは周知の事実でありますが、さきに関税定率法及び関税暫定措置法の改正を行い、市場開放対策の一環として関税率の引き下げを行ったことは、わが国姿勢を対外的に示す証拠であると考えます。経済協力は、五年間倍増の国際的中期目標に向かって対前年度比七%、中でも政府開発援助費は八・九%の伸びを確保して努力が払われております。防衛関係費については、重要正面装備を中心に、その更新、近代化を図るため六・五%の増額を行っています。これに対し一部に防衛費突出の批判があります。しかし、今日世界の平和が力の均衡によって保持されているという現実、さらには北方領土を含む極東におけるソ連軍備増強など憂慮すべき状況を直視するならば、わが国日米安保体制を堅持し、自衛のために必要な最小限度防衛力整備することは当然のことと言わなければなりません。  第四は、行政改革の推進についてであります。  簡素にして効率的な行政の実現を図るため、従来から厳しい行政機構の見直し、定員の削減を図ってきましたが、五十八年度においても各省庁の部局及び特殊法人の新設は一切行わないこととしたほか、定員削減については五十七年度を上回る千六百九十五人の削減を断行することとしております。また、臨時行政調査会から強く要請されていた補助金の一律カットについても、削減目標の千五百億円を大きく上回る二千六百六十二億円を削減するとともに、個別の整理合理化方策による削減額を合わせた補助金等の整理合理化総額が四千七億円に上っていることは評価できるものであります。  以上申し述べた理由等により、私は昭和五十八年度予算三案に賛成の意を強く表明するものであります。  しかし、この際、与党の立場から、今後の財政運営について以下の要望をいたしたいと思います。  その第一は行政改革であります。  さきにその任務を終了いたしました臨時行政調査会は五次にわたる答申を出されており、政府としても、これの最大限尊重を表明されているところであります。二十一世紀の次の時代への国づくりには、多くの障害を乗り越えて行財政の改革を断行して、破綻した財政を立て直し、行財政の活力ある発展を期していただきたいということであります。  第二は減税についてであります。  現下の経済事情から見て、所得税住民税減税のための財源調達はなかなか困難ではありましょうが、現下の国民世論を十分に踏まえた上、景気浮揚にも役立つ相当規模の減税実施されるよう真剣に検討願いたいことであります。  その第三は景気対策であります。  幸いにして、現在、在庫調整はほぼ一巡し、米国景気も上向き、さらには十年ぶりの原油価格値下げにより、わが国景気回復に好機が到来しつつあります。わが自由民主党と政府においては、この予算成立後の早い時期に経済対策を打ち出すことになっておりますが、さきの減税とともに、金融政策の弾力的、機動的な運用公共投資の前倒し、民間設備投資の促進、都市・住宅対策の拡充等に努めるとともに、民間経済の活力を積極的に誘導できるような、経済の局面転換を期する思い切った景気対策を講じてほしいと思います。  いまわが国は、戦後最大の試練のときを迎え、重大な転換期にあります。このときほど政府・自由民主党の力量、真価が問われているときはありません。わが自由民主党は新たな決意のもと、この未曽有の難局を克服し、あすの、いや二十一世紀に連なる国政の発展のため、国民とともに通進することを申し述べ、予算三案に対する賛成討論を終わります。(拍手
  9. 秋山長造

    ○副議長秋山長造君) 中野鉄造君。    〔中野鉄造君登壇拍手
  10. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました昭和五十八年度予算三案に対し反対討論を行うものであります。  昨年の十一月二十六日に総理大臣に就任した中曽根首相の今日までの一連の言動と反平和政策は、残念ながら国民の不安をかき立てるものばかりであります。  総理は、戦後三十年を見直す時期が来たとして改憲を示唆し、一方では不況にあえぐ国民をよそに、韓国、米国を歴訪し、その間、不沈空母、四海峡封鎖と、あたかも戦前に回帰したかのごとき言葉を使い、続いて、日米は運命共同体と規定して、国会決議を無視して武器技術供与を行おうとし、さらに国是となっている非核三原則についても詭弁的解釈で糊塗する等、軍縮が今日世界的世論として強く叫ばれている折柄、まさに時代の趨勢に逆行し、緊張を激化させるものであり、国民は軍拡路線へ向かうのではないかと強い危惧の念を持っております。今日、国民はこのような軍拡路線や防衛費予算の突出を決して望んではおりません。  今日、国民政治ないしは政治家に対する感情は、まさに不信の二字に尽きていると思います。総理は、政治倫理については、相変わらず、政治個人の問題であるとか、国会の問題であるとして明確な表明を回避しておりますが、いやしくも一国の宰相たらんとするならば、まずは国民のこの積年の政治不信の払拭こそ焦眉の急ではないでしょうか。  さらに一方、経済問題では、三年にわたる長期不況の現状にあって、何らの対策も示さず、新しい経済計画作成を中止させるなど国民の先行き不透明感を増幅させております。しかもまた、財政再建では赤字債脱却目標年度をも示さず、鈴木前内閣よりも後退したばかりでなく、増税をちらつかせるなど国民に不安と失望のみを与えております。  このような中曽根内閣政治姿勢に対し、国民は、最近の世論調査でも明らかなように、二九%という歴代内閣中最低の支持率をもってこたえております。これをもってしても明らかなように、この五十八年度予算案は、国民意思から遠くかけ離れ、明確な展望を与えないまま、国民生活に犠牲を強い、しかも軍拡路線への不安を与えるものと言わざるを得ません。  以下、五十八年度予算案に反対する主な理由を申し述べます。  反対理由の第一は、国民生活の改善向上に不可欠の福祉、文教予算の後退であります。  社会保障関係費は戦後最低のわずか〇・六%の伸びにとどめられ、文教予算は前年度比で文教施設費の七・六%もの大幅削減を含む〇・九%削減を強行しております。政府の言う財政再建のための緊縮予算は、最も声のか細い、社会的に弱い立揚の人への配分を冷酷にも真っ先に切り捨てる予算であります。不遇な生活を余儀なくされている年金生活者や、不況の風をまともに受けて厳しい生活を強いられる低所得者への配慮は全くありません。  わが党は、年金生活者の生活を守るため、厚生年金、国民年金、各種共済年金等の賃金物価スライド制度実施を再三はわたって強く要求しております。総理は「痛みを分かち合う」と言いますが、これは不況の嵐の中でいまにも沈みそうな小舟と、多少の悪天候でも全く沈みそうもない巨大な船とを同列に扱って負担を課する論理であり、全く賛成でき得ません。  反対理由の第二は、防衛費の突出であります。  社会保障関係費を〇・六%の微増に押しとどめ、文教予算は〇・九%も削減する一方で防衛費を六・五%も伸ばすということは、総理の軍拡化への指向を如実にあらわすものであります。さらに、昨年度に続いて後年度負担を大幅に増加させ、GNP一%の歯どめについてはあいまいな態度に終始することに国民は不安と同時に強く反発しているのであります。  総理は、憲法自由主義民主主義が戦後の繁栄をもたらしたと言いましたが、これに加えて、忘れてはならない最も大きな原動力は、比類なき国民の勤勉努力平和主義にほかなりません。この平和主義の存在を忘れないでいただきたい。したがって、今日、いたずらに不安をあおり、軍備を増強することは、平和主義基本原則とする平和憲法の否定につながり、日本総理としてとるべき態度ではありません。総理の猛省を求めるものであります。  反対理由の第三は、景気対策が皆無なことであります。  国内経済の現状は低迷を続けており、国内各界各層から早急な対策を求められております。政府は、五十八年度経済運営基本的態度として、内需中心成長を図ると言いながら、五十八年度予算では、公共事業の三年連続据え置きによる実質的事業量の減少を初めとして、全く具体的政策はないと言って過言ではありません。内需拡大を目指すなら、まずわが党らが要求している所得税減税を直ちに大規模に実施すべきであります。六年間の所得税減税見送りにより、勤労者世帯の家計の税負担は五十三年の七・四%から五十七年には一〇・一%へと上昇し、可処分所得の伸び悩みにより内需最大の柱である個人消費の拡大を大きく圧迫しているのであります。  さらに、住宅対策につしても、住宅需要に対する構造的減少要因が挙げられる中にありながら、住宅金融公庫の融資戸数を三万戸も大幅に減少させ、また住宅公団の建築戸数を五千戸も減少させるという、これまた内需拡大のかけ声とは全く逆の政策をとっているのであります。さらには、最終需要拡大に結びつく公務員の人勧完全実施、年金、恩給の物価賃金スライド制の見送り等、これで政府の言う内需中心回復はとうてい望むべくもありません。  反対理由の第四は、赤字国債脱却目標を明示しないで、いたずらに引き延ばそうとしている姿勢であります。  鈴木前内閣の公約であった五十九年度赤字債脱却が破綻したにもかかわらず、鈴木内閣を継いだ中曽根総理には、同じ自民党内閣としての反省も、さらに前内閣の一員としての責任も見られません。口では「増税なき財政再建」を公約しながら、機会あるごとに大型間接税導入をにおわせるなど、羊頭狗肉の感を深くするものであります。国民はおのずから先行き不安と、ますますの政治不信にならざるを得ません。これでは民間経済の活力が生まれてくる道理もなく、まして増税なき財政再建など画餅に等しいものであります。  反対理由の第五は、不公平税制の是正、行財政改革が不徹底なことであります。  特に、補助金の洗い直し等全く手つかずと言っても過言ではありません。さらにまた、税収面でもトーゴーサンあるいはクロヨンと言われている所得捕捉の不公平、それから生じる課税の不公正は税制調査会臨調でも再三指摘されている周知の事実であります。所得が一〇〇%わかってしまう源泉所得税に比べて、申告所得税や法人税の伸びが低いのは単に不況のみが原因とは思えません。五十六、七年度の巨額な税収見込み違いは、いわゆる節税という名の脱税がその原因の一端でもありましょう。一方では執行上の不都合に手をつけず、他方ではグリーンカード制の延期、自然死を図るなど、かえって不公平税制の温存に政府みずからが手をかしているというありさまであります。  以上の理由によりまして、昭和五十八年度予算三案に反対であることを表明いたしまして、私の討論を終わります。(拍手
  11. 秋山長造

    ○副議長秋山長造君) 立木洋君。    〔立木洋君登壇拍手
  12. 立木洋

    ○立木洋君 私は、日本共産党を代表して、昭和五十八年度政府予算三案に対し反対討論を行うものであります。  現在、国民が求めている切実な予算は、平和と軍縮、国民生活防衛景気回復、そして民主的財政再建のための予算であります。しかるに、本予算はどうでしょうか。わが国の平和と安全を脅かす際立って危険な道を歩むものであり、同時に国民生活を犠牲にし、果てしない財政破綻の道を進むものであります。  中曽根内閣の軍事・外交路線は、アメリカ国内でさえ厳しい批判反対にさらされ、支持をなくしつつあるレーガン米大統領の核戦略構想に積極的に加担するものであります。この路線は、わが党の官本議長が代表質問で指摘したように、国際的孤立への道であります。すなわち、それは第三十七回国連総会に提出された六十一に上る軍縮関連決議のすべての採択、また、百カ国を超える非同盟諸国首脳会議での軍縮提起にも示されている世界の大勢に逆行したものであることは明らかであります。  中曽根内閣は、本院決議を無視しての対米武器技術供与の決定、三月十二日に始まった日米防衛協力委員会でのシーレーン防衛研究の開始、外国船舶護衛に関する統一見解等で、憲法の枠をさらに踏み越えた許すべからざる集団的自衛権行使への道を進もうとしているのであります。これらは、核攻撃機F16の三沢配備、エンタープライズなどの米核積載艦船の寄港承認、B52核爆撃機の指揮管制用戦略空軍通信基地の拡充強化、公海に及ぶ対潜水艦探知用の長距離ソナーケーブルの敷設などと相まって、わが国レーガン政権世界戦略に加担させ、限定核戦争構想の危険な道へ引き込もうとするものであります。  防衛費の総額は二兆八千億と、対前年度比六・五%の異常突出、しかも正面装備費は二一・二%という異常なまでの伸び率となっているばかりか、後年度負担方式を悪用して二兆円に近い予算の先取りが行われています。五六中業の五年間の軍事費総額は十六兆円に達する膨大なものであり、中曽根内閣は早々にGNP一 %枠の放棄さえ言明しています。とめどない大軍拡の始まりと言わざるを得ません。  この軍拡路線は、わが国を国際社会で孤立化させるばかりでなく、わが国の核戦場化という取り返しのつかない惨禍をもたらす危険をはらんでいるのであります。これが反対の第一の理由であります。  反対の第二の理由は、本予算案が国民生活を破壊し、福祉、教育など国民生活関連の諸制度を改悪するものだからであります。    〔副議長退席議長着席〕  長期不況及び六年連続所得税減税なしの実質増税社会保険料の負担増加により、勤労世帯の実質収入は低下をいたしています。この個人消費の落ち込みが深刻な長期不況に拍車をかけているのであります。こうした状況下では、予算審議でも政府が約束したように、原油価格の引き下げに伴う電力料金値下げ実施するとともに、本予算においても当然国民生活の窮状打開、不況脱却のために一兆円以上の所得税減税、年金、恩給の物価スライドの実施生産費を償う農産物価格の保障、雇用対策の強化、人勧凍結の解除など、国民の購買力を増大させるための措置が直ちにとられるべきであります。  また、教育問題について言えば、その危機はきわめて深刻であり、非行、校内暴力は大きな社会問題となっています。超マンモス校の解消、速やかな四十人学級制の実施、教育機会均等を図るための私学助成の増額などの教育条件の整備は当然であります。しかるに、本予算は、これらの点についてもすべて逆行しているのであり、断じて承認できません。  反対の第三の理由は、本予算財政破綻を一層深刻化させるだけでなく、昭和五十九年度大型間接税導入など大増税へ道を開くものだからであります。  本予算案は、赤字国債発行額を見せかけだけでも縮めるために、国債整理基金の定率繰り入れの停止、税外収入の捻出など、一時的、便宜的財源をかき集めた粉飾予算とも言うべきものであります。このやりくりがなければ赤字国債発行額は十兆円を超えたでありましょう。巨額の国債発行の結果、国債残高は五十九年度末に百十兆円、国債償還額は昭和六十年度十兆円を上回ることになり、償還財源は六十一年度には底をつくことになるのであります。  ところが、中曽根内閣は、いまに至るも破局的事態について何ら責任ある財政再建計画を明らかにしようとせず、その一方で、直間比率の見直しとか、EC型付加価値税は検討対象であるとか、最悪の大衆課税である大型間接税導入のための世論操作を繰り返しているのであります。大軍拡路線とあわせて、財政再建なき大増税が準備されていると言わざるを得ないのであります。  反対の第四の理由は、本予算が大企業への奉仕と浪費を温存するものであることであります。  大企業向けには、新技術開発などを名目とした巨額な補助金や委託費が計上され、公共事業でも大型プロジェクト予算は大幅に伸びています。また、大企業の内部留保についても、退職給与引当金の見直しなど不公正税制の是正も行われていません。これらは、大企業規制の緩和、補助金の重点化などの臨調路線に沿った財界奉仕の姿勢にほかならないのであります。  さらに政府は、東北・上越新幹線、本四架橋、原子力船「むつ」などに見られる無計画、無責任な国費の乱用、談合や巨額の脱税に見られる浪費と腐敗構造に全くメスを入れてはおりません。これらは財政破綻の大きな要因ともなっているのであります。これは、証人喚問を初めロッキード疑獄の徹底解明、その政治的、道義的責任の明確化を怠っている中曽根内閣政治姿勢と深くかかわっていることを指摘するものであります。  以上の理由によって、私は政府予算三案に断固として反対するものであります。  私は、創立以来六十年、平和と民主主義国民生活擁護のために一貫して闘ってきている日本共産党を代表して、中曽根内閣の反動政治の推進を糾弾するとともに、引き続き軍縮と平和、生活向上のための国民の闘いの先頭に立って奮闘することを表明し、反対討論を終わるものであります。(拍手
  13. 徳永正利

    議長徳永正利君) 伊藤郁男君。    〔伊藤郁男君登壇拍手
  14. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となっております昭和五十八年度一般会計予算等三案に対して、一括して反対討論を行うものであります。  第一に、いま国民の大多数を占める勤労者が政治に対して抱いている切実な要望は、重税感からの解放であり、不公平税制の是正であると言わねばなりません。  しかるに、政府は、五十三年以来据え置かれたままの所得税課税最低限の引き上げをまたも見送り、勤労国民の要望を無残にも踏みにじろうとしているのであります。六年間にも及ぶこの所得税減税の見送りは、勤労国民への過大な実質増税にほかなりません。このため勤労国民は、自己防衛のため四苦八苦のやりくりを強いられているのであります。のみならず、トーゴーサンとも言われる税の不公平感は、いまやがまんの限界を超えるところにまで至っていると申しても過言ではないのであります。  私は、政府が長い間にわたる各党の折衝の経過を踏まえ、所得税並びに住民税減税実施を直ちに行うべきことを強く要求するものであります。そして、この減税政府の約束どおり景気浮揚に役立つ規模、すなわち最低一兆円を超える規模のものとすべきことを要求するものであります。  第二は、財政再建についてであります。  わが国財政は、大量の国債残高を抱え、憂慮すべき危機的状況にあることはいまさら申すまでもありません。まさしく財政再建は国家の現下最大の課題でありますが、政府は、鈴木内閣の公約であった五十九年度赤字国債からの脱却という大方針を早々と放棄し、かつ、しからばいつ再建を達成できるか、その時期もいまだに明らかにしていないのであります。  財政再建は徹底した歳出構造の見直しから着手しなければなりません。しかるに政府は、第二臨調指摘し続けている徹底的な歳出構造の見直しに十分着手しないばかりか、国債費の定率繰り入れの停止、自賠責特会からの一般会計への繰り入れ、住宅金融公庫利子補給金の繰り延べ、厚生年金等の国庫負担金の四分の一減額等々、約二兆円にも上る巨額を後年度に先送りするという財政技術的小手先の表面的な歳出抑制策をとろうとしているのであります。これこそ国民の目をごまかす見せかけ、つじつま合わせの歳出抑制策だと断じざるを得ません。  わが党は、かねてから、赤字国債依存からの脱却時期に固執することなく、景気浮揚対策を加味しつつ、柔軟な財政運営によって財政再建を図るべきことを提起してきたのでありますが、政府は五十九年度赤字国債依存からの脱却に異常なまでに固執し続け、今日の事態を招くに至ったのであります。そしてそれが不可能となるや、財政再建という言葉を国民に何ら説明することなく今度は財政改革と呼称するようになったのであります。  五十九年度赤字国債からの脱却に固執し続けてきた政府が、その過ちを何ら反省することなく、「財政再建という言葉には脱却時期にこだわるイメージがある」として財政再建の用語を放棄し、財政改革という用語に勝手に変更したことは言語道断と言わなければなりません。のみならず政府は、臨調答申の「増税なき財政再建は哲学を述べたにすぎない」と公言して増税路線さえちらつかせていることは、断じて許しがたいところであります。  政府は、増税なき財政再建方針を誠実に守り、歳出構造に徹底的なメスを入れるべきであり、後年度負担を先送りするがごとき一時的、緊急避難的措置財政体質の改善には何ら意味のないことを自覚し、今後このような措置は一切行わないことを国民に明確に約束すべきであります。  この際、緊急避難的な措置一つである自賠責特会からの一般会計への繰り入れについて付言しておきたいのであります。  自賠責保険の収支が五十三年度以降毎年赤字を計上し続けている現状に照らせば、運用益の半分を取り崩し、十年間無利子で貸し付けを行う余裕など全くないと言わなければなりません。政府が四千万人を超える自動車ユーザーの反対を無視してこの措置を強行しようとしていることに対し、断固たる反対意思を表明するものであります。  第三は、不況からの早期脱却についてであります。  産油国原油値下げわが国経済の行方にやや明るさを与えたとはいえ、なお不確定な要素が多く、過大な期待を持つことは禁物と言わなければなりません。三十数カ月にも及ぶ長期不況の中で中小零細企業はきわめて苦しい局面に追い込まれ、倒産企業はふえ続けているのであります。また、総理府の調査でも明らかなごとく、雇用情勢も次第に深刻さを増し、完全失業率二・七二%、百六十二万人の失業者を教えるという二十九年以来の最悪事態を迎えつつあるのであります。さらに、多くの企業は解雇に直結しかねない企業失業者を次第に多く抱え始めているのであります。  問題は、このような長期不況が何によってもたらされたかであります。政府は口を開けば、アメリカを初めとする世界同時不況影響がその大きな原因であると述べていますが、それも一つ要因であるには違いありませんが、私は、政府の対応のまずさが今日の日本経済長期低迷をもたらした最大の要因であると断ずるものであります。  すなわち、現下の不況は、政府が所得減税公共投資拡大などの積極的な景気対策を怠ったばかりでなく、むしろ景気回復に逆行する大幅増税公共投資の抑制を強行したことによってもたらされたものであります。不況のとき財源がないからといって増税を行い、公共投資を抑制し続けていたのでは、不況は一層深刻となり、結果的に税収が減って、かえって財政赤字が拡大し、そのためまた減税を見送る、公共投資を抑制するという悪循環の繰り返しとならざるを得ません。  政府の今日までの対策はこの悪循環の繰り返しであり、明らかに政策不況と言わなければなりません。わが国経済景気低迷を必要以上に長引かせ、ひいては国民生活の安定を阻害してきたこの重大な失政について、政府の猛省を促し、過ちを繰り返さないよう要望するものであります。  第四は、人事院勧告の見送りについてでありますが、人事院勧告は公務員の労働基本権制約の代償措置として行われるものであり、財政再建や行革とは直接的なかかわり合いを持つものではなく、かつ長い間完全実施されてきたところであります。しかるに政府は、財政を理由に異例措置と称して二年間連続抑制措置をとったことは断じて許しがたいところであります。民主主義ルールは、政府制度を忠実に守り、実行することによって初めて機能するものであります。政府みずからがルール無視の態度をとり続けることは、民主主義の前進を阻むものであり、強く抗議の意思を表明するものであります。  最後に、政治倫理の確立であります。  この問題は民主政治発展の根幹をなすものであります。特に、政権内部に深くかかわり合いを持つ政治家の倫理感の欠如が、やがて民主政治を崩壊の危機に導いていくことを総理は深く自覚すべきであります。日本の将来に禍根を残さないために、政府自民党の猛省を促しつつ、私の反対討論を終わるものであります。(拍手
  15. 徳永正利

    議長徳永正利君) これにて討論は終局いたしました。     ─────────────
  16. 徳永正利

    議長徳永正利君) これより三案を一括して採決いたします。  表決は記名投票をもって行います。三案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。  議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名を点呼〕    〔投票執行〕
  17. 徳永正利

    議長徳永正利君) 投票漏れはございませんか。——投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。    〔投票箱閉鎖〕
  18. 徳永正利

    議長徳永正利君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕
  19. 徳永正利

    議長徳永正利君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数        二百二十二票   白色票          百二十四票   青色票           九十八票  よって、三案は可決されました。(拍手)      —————・—————   〔参照〕  賛成者(白色票)氏名      百二十四名       安孫子藤吉君    井上 吉夫君       井上  孝君    井上  裕君       伊江 朝雄君    岩動 道行君       石本  茂君    板垣  正君       稲嶺 一郎君    岩上 二郎君       岩崎 純三君    岩本 政光君       上田  稔君    植木 光教君       臼井 莊一君    江島  淳君       衛藤征士郎君    遠藤  要君       遠藤 政夫君    小澤 太郎君       大河原太一郎君    大木  浩君       大島 友治君    大城 眞順君       大鷹 淑子君    大坪健一郎君       岡田  広君    岡部 三郎君       沖  外夫君    長田 裕二君       加藤 武徳君    梶木 又三君       梶原  清君    片山 正英君       金井 元彦君    金丸 三郎君       上條 勝久君    亀井 久興君       亀長 友義君    川原新次郎君       河本嘉久蔵君    木村 睦男君       北  修二君    楠  正俊君       熊谷太三郎君    熊谷  弘君       小林 国司君    古賀雷四郎君       後藤 正夫君    郡  祐一君       佐々木 満君    斎藤栄三郎君       斎藤 十朗君    坂野 重信君       坂元 親男君    志村 愛子君       嶋崎  均君    下条進一郎君       新谷寅三郎君    杉山 令肇君       鈴木 正一君    鈴木 省吾君       関口 恵造君    田沢 智治君       田代由紀男君    田中 正巳君       高橋 圭三君    高平 公友君       竹内  潔君    谷川 寛三君       玉置 和郎君    塚田十一郎君       土屋 義彦君    戸塚 進也君       名尾 良孝君    内藤  健君       内藤誉三郎君    中西 一郎君       中村 太郎君    中村 禎二君       中山 太郎君    仲川 幸男君       夏目 忠雄君    成相 善十君       西村 尚治君    野呂田芳成君       長谷 川信君    秦野  章君       初村滝一郎君    鳩山威一郎君       林  寛子君    林  ゆう君       原 文兵衛君    桧垣徳太郎君       平井 卓志君    福岡日出麿君       福島 茂夫君    福田 宏一君       藤井 孝男君    藤井 裕久君       藤田 正明君    降矢 敬義君       降矢 敬雄君    堀内 俊夫君       堀江 正夫君    真鍋 賢二君       前田 勲男君    増岡 康治君       増田  盛君    町村 金五君       松浦  功君    松尾 官平君       円山 雅也君    宮澤  弘君       宮田  輝君    村上 正邦君       森山 眞弓君    八木 一郎君       安井  謙君    安田 隆明君       山崎 竜男君    山内 一郎君       山本 富雄君    大石 武一君     —————————————  反対者(青色票)氏名      九十八名       阿具根 登君    青木 薪次君       赤桐  操君    茜ケ久保重光君       穐山  篤君    上野 雄文君       小野  明君    大木 正吾君       大森  昭君    加瀬  完君       粕谷 照美君    片岡 勝治君       片山 甚市君    勝又 武一君       川村 清一君    小谷  守君       小山 一平君    佐藤 三吾君       坂倉 藤吾君    志苫  裕君       鈴木 和美君    瀬谷 英行君       田中寿美子君    高杉 廸忠君       竹田 四郎君    対馬 孝且君       寺田 熊雄君    野田  哲君       広田 幸一君    福間 知之君       藤田  進君    松前 達郎君       松本 英一君    丸谷 金保君       宮之原貞光君    村沢  牧君       村田 秀三君    本岡 昭次君       八百板 正君    矢田部 理君       安恒 良一君    山崎  昇君       吉田 正雄君    和田 静夫君       大川 清幸君    太田 淳夫君       柏原 ヤス君    黒柳  明君       桑名 義治君    小平 芳平君       塩出 啓典君    渋谷 邦彦君       白木義一郎君    鈴木 一弘君       田代富士男君    多田 省吾君       高木健太郎君    鶴岡  洋君       中尾 辰義君    中野  明君       中野 鉄造君    二宮 文造君       馬場  富君    原田  立君       藤原 房雄君    三木 忠雄君       峯山 昭範君    宮崎 正義君       矢追 秀彦君    渡部 通子君       市川 正一君    上田耕一郎君       神谷信之助君    沓脱タケ子君       近藤 忠孝君    佐藤 昭夫君       下田 京子君    立木  洋君       宮本 顕治君    安武 洋子君       山中 郁子君    伊藤 郁男君       柄谷 道一君    木島 則夫君       栗林 卓司君    小西 博行君       三治 重信君    田渕 哲也君       中村 鋭一君    山田  勇君       青島 幸男君    秦   豊君       前島英三郎君    山田耕三郎君       江田 五月君    田  英夫君       野末 陳平君    秋山 長造君      ─────・─────
  20. 徳永正利

    議長徳永正利君) 日程第一 金属鉱業事業団法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。商工委員長亀井久興君。    〔亀井久興君登壇拍手
  21. 亀井久興

    ○亀井久興君 ただいま議題となりました金属鉱業事業団法の一部を改正する法律案につきまして、商工委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。  ニッケル、クロム等の希少金属は、近年、わが国の産業活動及び国民生活にとって必須の重要資源となっております。一方、希少金属の供給は、その大半を政情不安定な国等からの輸入に依存しているなど、その供給構造はきわめて脆弱であり、希少金属の安定供給を図ることは、わが国経済安全保障確保する上での緊急の課題となっております。  本法律案は、希少金属の供給途絶等の非常事態に備えて、国家備蓄制度を創設し、国が主体となって備蓄対策を講ずるため、金属鉱業事業団法を改正し、事業団みずからが金属鉱産物の備蓄を実施し得ることとしようとするものであります。  委員会におきましては、希少金属の需給状況、備蓄制度運用上の諸問題等について質疑が行われましたが、詳細は会議録に譲ります。  質疑を終わり、討論に入りましたところ、日本共産党市川理事より本法案反対意見が表明されました。  次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、委員会では、本法律案に対し、国家備蓄制度運用方針についての附帯決議が行われたことを申し添えまして、御報告を終わります。(拍手)     ─────────────
  22. 徳永正利

    議長徳永正利君) これより採決をいたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  23. 徳永正利

    議長徳永正利君) 過半数と認めます。  よって、本案は可決されました。  本日はこれにて散会いたします。    午後七時二十六分散会