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1983-03-04 第98回国会 参議院 本会議 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年三月四日(金曜日)    午前十時二分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第六号   昭和五十八年三月四日    午前十時開議  第一 中央選挙管理会委員及び同予備委員指名     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、永年在職議員表彰の件  一、日程第一  一、国務大臣報告に関する件(昭和五十八年度地方財政計画について)  一、地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案趣旨説明)      ─────・─────
  2. 徳永正利

    議長徳永正利君) これより会議を開きます。  この際、永年在職議員表彰の件についてお諮りいたします。  議員小柳勇君は、国会議員として在職すること二十五年に達せられました。  つきましては、院議をもって同君の永年の功労表彰することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 徳永正利

    議長徳永正利君) 御異議ないと認めます。(拍手)  同君に対する表彰文を朗読いたします。    〔小柳勇君起立〕  議員小柳勇君 君は国会議員としてその職にあること二十五年に及び常に憲政のために力を尽くされました  参議院は君の永年の功労に対しここに院議をもって表彰します    〔拍手〕  表彰状の贈呈方は、議長において取り計らいます。     ─────────────
  4. 徳永正利

    議長徳永正利君) 町村金五君から発言を求められました。発言を許します。町村金五君。    〔町村金五君登壇拍手
  5. 町村金五

    町村金五君 お許しをいただきまして、私は、議員一同を代表し、ただいま永年在職のゆえをもって表彰せられました小柳勇君に対し、一言お祝い言葉を申し述べます。  小柳勇君は、昭和三十三年参議院福岡地方区補欠選挙に当選され、自来四たびの通常選挙において選挙民の強い支持を得て当選を果たされ、今日まで二十五年の長きにわたり、本院議員として御活躍をされてまいりました。  この間、小柳君は、社会労働委員長石炭対策特別委員長災害対策特別委員長及び交通安全対策特別委員長を歴任されますとともに、党内におかれましては、日本社会党参議院議員会長の要職につかれ、現在は日本社会党中央執行委員長を務めておられます。  小柳君は、常に研さんを怠らず、本会議委員会の審議において卓越した論理を展開されます一方、クリスチャンとして若いときからの聖書研究をいまも続けられ、あるいは多忙な議員活動の合間を見て絵筆を握られるなど、きわめて幅の広い政治家であります。特に油絵につきましては、昨年秋には、議員会館の部屋から見た議事堂を描いた作品で都民美術大賞を受賞されたと聞いております。  このように、小柳君は、その豊かな人格とすぐれた識見によりまして、同僚議員の信頼を集め、本院の使命達成のために指導的な役割りを果たしてこられたのであります。  ここに、われわれ議員一同は、君の二十五年間の御功績に対しまして深く敬意を表しますとともに、本日栄誉ある表彰を受けられましたことに対し、心からの祝意を表する次第であります。  現下、わが国内外の諸情勢はまことに多事多端であり、本院に対する国民の期待もまた大なるものがあります。  どうか、小柳君におかれましては、今後とも健康に留意せられ、本院の使命達成わが国議会制民主主義発展のため一層の御尽力を賜りますよう、切にお願い申し上げる次第であります。  簡単でございますが、お祝い言葉といたします。(拍手
  6. 徳永正利

    議長徳永正利君) ただいま表彰を受けられました小柳勇君から発言を求められました。発言を許します。小柳勇君。    〔小柳勇登壇拍手
  7. 小柳勇

    小柳勇君 お許しをいただきまして、一言お礼を申し上げます。  ただいまは、永年在職のゆえをもちまして光栄ある表彰をいただき、さらに町村先生より身に余る御祝辞を賜りまして、感激ひとしおでございます。  昭和三十三年八月、故山本経勝先生の急逝に伴い、福岡地方区補欠選挙に当選させていただきました。やけつくような暑い、厳しかった選挙がきのうのように思い出されますのに、なすこともないままに二十五年の歳月が過ぎ去ってしまいました。  その間、安保、日韓教育二法、警職法など、幾つかの激しい国会論争の場面にも遭遇いたしましたが、幸いに、先輩、同僚議員各位の温情と御教導に支えられまして、大過なく、今日のこの栄誉に浴することができました。これもひとえに皆様の御厚情とその御声援のたまものと心から感謝申し上げる次第でございます。ありがとうございました。  いまや、わが国は、国際的にも国内的にも多くの問題を抱えております。それだけに、国権の最高機関としての国会の任務もまた重いと言わなければなりません。議長、副議長並びに議員各位の一層の御健勝をお祈りいたします。私もはなはだ微力かつ不敏でございますが、皆様の驥尾に付して、さらに全力を尽くす覚悟でございます。どうぞこの上とも変わらない御交誼、御指導をお願い申し上げます。  ここに、改めて、私を今日までお育てくださいました皆様に心からこうべをたれ、お礼のごあいさつといたします。ありがとうございました。(拍手)      ─────・─────
  8. 徳永正利

    議長徳永正利君) 日程第一 中央選挙管理会委員及び同予備委員指名  指名する委員及び同予備委員の数は、それぞれ五名でございます。
  9. 大木浩

    大木浩君 中央選挙管理会委員及び同予備委員指名は、いずれも議長に一任することの動議を提出いたします。
  10. 野田哲

    野田哲君 私は、ただいまの大木君の動議に賛成いたします。
  11. 徳永正利

    議長徳永正利君) 大木君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 徳永正利

    議長徳永正利君) 御異議ないと認めます。  よって、議長は、中央選挙管理会委員近藤英明君、堀家嘉郎君、伊達秋雄君、鬼木勝利君、中沢伊登子君を、  同予備委員吉岡恵一君、萩原博司君、遠藤隆次君、松尾信人君、岡本丈君を、それぞれ指名いたします。      ─────・─────
  13. 徳永正利

    議長徳永正利君) この際、日程に追加して、  昭和五十八年度地方財政計画についての国務大臣報告並びに地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案についての趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 徳永正利

    議長徳永正利君) 御異議ないと認めます。山本自治大臣。    〔国務大臣山本幸雄登壇拍手
  15. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) 昭和五十八年度地方財政計画概要並びに地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案趣旨について御説明申し上げます。  昭和五十八年度地方財政につきましては、引き続き著しい収支不均衡の状態にあることにかんがみ、おおむね国と同一の基調により、歳入面におきましては、地方税負担公平化適正化受益者負担適正化等による収入確保を図るとともに、地方交付税所要額確保することとし、歳出面におきましては、経費全般について徹底した節減合理化を行うという抑制的基調のもとで、限られた財源重点的配分経費支出効率化に徹し、節度ある財政運営を行うことを基本としております。  昭和五十八年度地方財政計画は、このような考え方基本として策定しておりますが、以下その策定方針について申し上げます。  第一に、地方税負担現状地方財政実情とを勘案し、地方税負担公平化適正化を図るため、法人住民税均等割、娯楽施設利用税等税率調整非課税等特別措置整理合理化等を行う一方、住民税所得割非課税措置存続等を行うこととしております。  第二に、地方財政運営に支障が生ずることのないようにするため、昭和五十八年度地方財源不足見込み額については、地方交付税増額建設地方債増発により完全に補てんすることとしております。  第三に、抑制的基調のもとにおいても、地域住民福祉確保住民生活に直結した社会資本整備等を図るための諸施策を実施することとしております。このため、福祉施策及び教育文化振興対策等の推進を図るための財源を充実するとともに、投資的経費所要額確保することとし、また、過疎地域等は対する財政措置を引き続き講ずることとしております。  第四に、地方行財政運営合理化財政秩序の確立を図るため、定員管理合理化一般行政経費抑制及び国庫補助負担基準の改善を図るほか、年度途中における事情変化に弾力的に対応できるよう必要な措置を講ずることとしております。  以上の方針のもとに昭和五十八年度地方財政計画を策定しました結果、歳入歳出の規模は四十七兆四千八百六十億円となり、前年度に対し四千三百十八億円、〇・九パーセントの増加となっております。  次に、地方税法等の一部を改正する法律案についてその趣旨を御説明申し上げます。  明年度地方税制改正に当たりましては、地方税負担現状及び地方財政実情にかんがみ、その負担公平適正化を図るとともに、住民負担軽減合理化を図ることを基本としております。  以下、その概要について御説明申し上げます。  第一に、地方税法改正であります。  まず、法人住民税均等割について、最近における物価水準等推移地域社会との受益関係等を勘案して税率調整を行うとともに、娯楽施設利用税等についても、所得物価水準推移等を考慮して税率調整を行うこととしております。  また、固定資産税等に係る非課税等特別措置について所要整理合理化を行うこととしております。  次に、個人住民税について、低所得者層税負担に配慮するため、引き続き昭和五十八年度においても所得割非課税措置を継続することとしております。  また、在宅における特別障害者介護等に配慮するため、同居の特別障害者に係る配偶者控除及び扶養控除特例を設けることとしております。  さらに、料理飲食等消費税について、住民負担軽減を図るため、旅館における宿泊及びこれに伴う飲食に係る基礎控除額を引き上げることとしております。  第二に、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律改正でありますが、日本国有鉄道の納付する市町村納付金軽減を図るため、その算定標準額に係る特例措置を改めることとしております。  そのほか、所要の規定の整備を図ることとしております。  これらの改正により、明年度におきましては、三百七億円の増収となる見込みであります。  次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案についてその趣旨を御説明申し上げます。  第一に、昭和五十八年度分の地方交付税総額は、現行法定額に、特例加算することとした千百三十五億円、臨時地方特例交付金二十億円及び借入金一兆八千九百五十七億五千万円の合算額を加算した額から昭和五十八年度分の利子として国債整理基金特別会計に繰り入れられる金額のうち三千四百四十六億円を減額することといたしました結果、八兆九千六百八十五億円となり、前年度当初に対し、四千六百十五億円、四・九パーセントの減となっております。  なお、借入金一兆八千九百五十七億五千万円につきましては、昭和六十四年度から昭和七十三年度までの各年度に分割して償還することとし、そのうち二千八十四億円についてはその十分の十に相当する額、それ以外の額についてはその二分の一に相当する額を臨時地方特例交付金として当該各償還年度地方交付税総額に加算することとしております。  また、昭和五十八年度普通交付税算定については、老人保健制度の実施に要する経費障害者福祉等福祉施策に要する経費教職員定数の改 善及び私学助成等教育施策に要する経費、公園、清掃施設市町村道下水道等公共施設維持管理に要する経費等財源措置し、あわせて投資的経費については地方債振替後の所要経費財源措置するため単位費用改定等を行うほか、法人関係税等に係る基準税額精算を三年度以内に行うことといたしております。  第二に、交通安全対策特別交付金については、これが地方団体の普遍的な財源であり、かつ、その額も地方団体間の財源調整上無視し得ないものとなってきたこと等の事情にかんがみ、これを基準財政収入額に算入することとするとともに、同交付金の経理を交付税及び譲与税配付金特別会計において別勘定を設けて行うこととし、あわせて、同交付金の額及び使途等について所要改正を行うこととしております。  以上が、昭和五十八年度地方財政計画概要並びに地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案趣旨であります。(拍手)     ─────────────
  16. 徳永正利

    議長徳永正利君) ただいまの報告及び趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。上野雄文君。    〔上野雄文登壇拍手
  17. 上野雄文

    上野雄文君 初登壇をいたします上野雄文でございます。何とぞよろしくお願い申し上げます。  私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました地方税法等の一部を改正する法律案地方交付税法等の一部を改正する法律案及び昭和五十八年度地方財政計画に関連して、地方税財政基本問題を中心総理並びに関係大臣質問をいたします。  最近、政府は、直接税と間接税比率見直し意向を示し、言外に大増税をにおわせております。直間比率見直し租税体系基本にかかわる問題であり、国税のみならず、地方税財政に与える影響はきわめて大きいものがあります。  申し上げるまでもなく、地方税における直接税と間接税比率は約八五対一五であり、国の七五対二五に比べ、地方税における直接税の比率はきわめて高いと言うことができます。これは、地方財政景気変動に余り左右されることなく、安定的に住民福祉の向上に寄与させるための結果であると申せましょう。今後、政府直間比率見直しいかんによっては、地方財政性格を大きく変化させる可能性があると言わなければなりません。  そこで、まずお尋ねいたしますのは、政府が今後ある種の大型消費税の導入を企図しているならば、国税に占める現行所得税法人税、酒税のいわゆる地方交付税のもとになる国税三税の比重が低下することになることは明らかであります。直間比率見直しをもって国の財政危機を打開しようとすることは、国民に新たな増税を強いるだけでなく、地方税財政にも大きな影響を与えることとなり、きわめて重大な問題と言わなければなりません。  この際、政府は、直間比率見直し地方税制を含んでいないこと、また、国税三税の比重低下による地方財政へのマイナス影響も一切ないことをまず確約すべきだと考えますが、総理並びに大蔵大臣自治大臣の明快な答弁をいただきたいと存じます。  さて、さきに大蔵省は、「今後の財政改革に当たっての基本的考え方」を公表いたしました。五十九年度赤字国債の発行をゼロとする政府公約が崩壊したいま、大蔵省のこの考え方が今後の財政再建基礎データとなるのでありましょうが、問題はその内容であります。  この考え方によれば、今後、昭和五十九年度から昭和六十一年度まで国税収入は毎年六・六%ずつ伸びることとされています。年率六%の名目経済成長をもとに国税収入見込みが立てられているわけですが、他方、歳出を見れば、地方交付税伸び率は、昭和五十九年度一八%、昭和六十年度及び昭和六十一年度はそれぞれ七・二%と見込まれています。昭和五十九年度地方交付税伸び率を一八%と見ているのは、昭和五十八年度昭和五十六年度における八千五百二億円の精算を行ったためであり、高い伸び率となることはやむを得ないと言えますけれども、問題は、昭和六十年度及び六十一年度見込みであります。  国税収入伸び率を毎年六・六%としておきながら、地方交付税のみを七・二%と、〇・六%も上回って見込んでいることは、きわめて妥当性を欠くものと言わざるを得ません。これは、国税三税については税の弾性値を一・二と見、他の税目についてはこれより低い弾性値をもって算定した結果であります。そこには、ことさら地方交付税伸び率を高く見せようとする大蔵省の意図が露骨に感じられます。  地方交付税地方固有財源であり、これを国の財政危機の元凶視させようとする大蔵省態度は、地方軽視以外の何物でもありません。財政改革に当たって、このようにひとり地方交付税を罪悪視させるような考え方は、国、地方財政再建を推進するためにも厳に排すべきであり、総理並びに大蔵自治大臣考え方を伺いたいと存じます。  次に、五十八年度地方財政対策中心とする税財政の具体的な問題についてお尋ねいたします。  政府算定によれば、昭和五十八年度地方財政財源不足額は二兆九千九百億とされています。昨年、政府上げ底予算によって地方財政財源不足額がゼロとされたことから見れば、五十八年度の多額の財源不足額発生は当然と言えます。これに対する政府措置は、二つの点で重大な問題があると言わざるを得ません。  第一は、財源不足額性格変化に対する政府認識不足の問題であります。  昭和五十四年度以降の財源不足は、政府縮小均衡政策のもとでの不足額であり、五十四年以前のものとは全く性格を異にしております。いわば五十四年以降のそれは、現行国自治体間の税財政制度の不均衡の象徴であり、この不均衡に対する是正を何ら講ずることなく、昭和五十年度以来の借金政策措置することは、不均衡の拡大以外の何物でもありません。先ほど指摘した大蔵省の「今後の財政改革に当たっての基本的考え方」に示される地方財政敵視の姿勢を改め、財源不足構造的変化を率直に認識し、地方財政改革に当たっての基本的な考え方をこの際政府は示すべきだと考えますが、総理並びに自治大臣のお考えをお伺いいたしたいと存じます。  第二は、財源不足補てん措置にかかわるルール破りの問題であります。  昭和五十年の財源不足発生以来、政府地方交付税増額地方債増発をもって措置してまいりました。地方交付税本則によれば、地方交付税総額不足に対しては、交付税率の引き上げないし制度改正をもって措置することが規定されておりますが、政府は、交付税特別会計における借入金について元金の二分の一、利子全額を国が負担することで交付税率の引き上げにかわる措置だと強弁をしてまいりました。  ところが、五十八年度に至って、政府は、この利子負担について三千四百四十六億円の新たな地方負担を導入したのであります。これが従来からのルール破り以外の何物でもないことは明らかであり、地方財政対策における政府論理の完全な破綻と断ぜざるを得ませんし、地方交付税率の実質的な引き下げに等しいこのような措置は、地方に対する重大な背信行為と言わざるを得ません。政府の率直な見解を伺いたいと存じます。  そして、このような措置は単年度限りのものでなければならないと存じますが、この点に関し、大蔵自治大臣のこの場における確約を強く要請をするものでございます。  さて、地方交付税にかかわって、もう一つの重大な制度問題についてお尋ねをいたします。  政府は、これまでの交通安全対策交付金について、これを譲与税と同じように交付税特別会計に直入し、同特別会計を通じて地方に交付しようとしておりますが、このような制度改正に当たって自治省は果たして十分な検討を行ったのでありましょうか、大きな疑問を持たざるを得ません。  交付税特別会計交通安全対策交付金を直入することは、一見合理的なように見えますが、交付税特別会計に今後あらゆるものを直入する大きな突破口を提供する危険性は全くないとは言えません。交付税特別会計にそれぞれ性格の異なるものをすべて混入することは、その中心である地方交付税性格をも大きく改悪することとなり、その意味で、今回の交通安全対策交付金についての制度改正には重大な疑問と危険性を感じるものでありますが、大蔵大臣及び自治大臣見解を伺いたいと存じます。  次に、人件費補助事務費補助を一本化し、交付金化した問題についてお尋ねいたします。  農業改良普及員など農林水産省、通産省に係る人件費事務費補助が今年度から交付金に切りかえられております。政府が言うには、これにより事務事業内容は一切変更はないとしておりますが、内容変更がなければ、何ゆえに交付金額が八億五千万円も対前年比減額となるのでありましょうか。補助金交付金化することが臨調答申にも沿って制度改革かのような印象を与えますが、八億五千万円の減額が端的に示すように、結局それは職員の首切りにつながることは明らかであります。農林水産大臣答弁をいただきたいと存じます。  最後に、地方税制についてお尋ねいたします。  わずか三百七億円の増収額が示すように、五十八年度地方税制改正は、地方財政財源不足額構造的変化という状況にもかかわらず、これを積極的に打開しようとする内容は皆無であります。個人住民税の減税、産業用電気税非課税措置廃止問題等地方税制の改革すべき課題は山積しているにもかかわらず、これについて全く手をつけていない政府態度は怠慢というほかはありません。  私は、この際、幾多の課題の中から産業用電気税非課税措置の問題にしぼって、自治体課税自主権との関連で質問をいたします。  産業用電気税非課税品目は、五十八年度わずかに一品目が廃止されようとしているだけで、いまだ七十九品目優遇措置を受け、その額は約一千三百億円となっています。額の多さもさることながら、問題はその決定手続のあり方であります。  自治体は、国で決定されるこうした優遇措置によって一方的に租税収入減額されるまま、補てん措置は何ら講じられておりません。非課税措置を講じるか否かは、本来、自治体課税自主権に属するものであり、それが国の手により一方的に非課税とされるならば、減収額に見合った交付金等を保障する国の対策が必要であり、物税を理由にその全廃を政府が拒むならば、その補てん措置は当然行うべきだと考えるものでありますが、自治大臣見解をお示しいただきたいと存じます。  以上、私は、当面する地方税財政等に関して総理大臣以下各大臣お尋ねをいたしましたが、ともすれば国と地方との関係において、国優先中央集権化への道が強化される昨今、憲法で保障されている「地方自治の本旨」に沿った明快な答弁を期待いたしまして、質問を結ぶものであります。  ありがとうございました。(拍手)    〔国務大臣中曽根康弘登壇拍手
  18. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 上野議員の御質問にお答えを申し上げます。  第一問は、直間比率見直しの問題でございます。  これを行う場合は、地方財政へのマイナス影響を与えないようにという御質問でございますが、直間比率見直しにつきましては、具体的に検討していることもございませんし、私から指示していることもございません。したがいまして、見直しの範囲に地方税制が含まれるかどうかという問題、あるいはその影響等につきまして、いま申し上げる段階ではないのでございます。  なお、直間比率の問題は、結局は国民合意選択の中から形成されるべきものであると思っております。この問題は、税調の答申におきまして、五十九年度以降歳入構造全般的見直しということが指摘されておりまして、むしろ税体系見直しという考えの中で考えらるべき問題ではないかと思います。  いずれにいたしましても、こういう問題につきましては、最終的には国会の御意向国民合意の形成、選択等を見まして、各方面の御意見を伺いながら、将来考うべき問題であると思います。  次に、「今後の財政改革に当たっての基本的考え方」について御質問がございまして、国税地方税伸び率の問題が御指摘ございました。  「今後の財政改革に当たっての基本的考え方」に添付されております「財政中期試算」における税収は、昭和五十八年度予算を前提として、一定の仮定のもとに等率で伸ばす手法により将来の額を算定したものでございます。  「財政中期試算」におきましては、一般会計税収総額地方交付税ともに同様の考えで算出したものでございますが、両者の伸び率が御指摘のように異なっておりますのは、過去十年間の税収の対GNP弾性値が一般会計税収総額の場合は一・ 一、それから地方交付税の基礎となっております国税三税の場合は一・二となっていることによるものでございます。  次に、地方財源不足の問題について御指摘がございました。そして、地方財政改革に当たっての基本的考え方を示すべきであるという御質問でございます。  地方財政を中期的に展望して、地方財政改革のあり方を明らかにすることは望ましいことであると考えております。そして種々検討すべき点も多いと思われますので、自治省において研究させたいと思っております。  残余の質問関係閣僚から御答弁申し上げます。(拍手)    〔国務大臣山本幸雄登壇拍手
  19. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) 私に対する御質問につきまして逐次お答えをいたします。  まず、直間比率見直しの御質問でございましたが、これはただいま総理から詳しく御答弁いただきました。いま具体的に検討もしていないし、指示もしていないということでございます。もししかし、こういうような検討が行われるということになれば、私は当然に地方財政に与える影響をも含めて検討すべきものであろうと思っております。  次に、「財政中期試算」における地方交付税伸び率の問題でございます。  これはただいま総理からもお答えがございましたが、国税収入伸び率地方交付税伸び率が上回っておりますのは、税の見積もりに当たって、国税三税とその他の税との対GNP弾性値の違いによるものでありまして、この弾性値は十年間にわたる実績を用いたということでありまして、特段の意図はないものであると私どもも考えております。  次に、地方財政改革についてのお尋ねでございます。  現在の地方財政はきわめて厳しい状況にありまして、今後その健全化を進めるに当たりましては、基本的には、国の先般の「財政改革に当たっての基本的な考え方」、これに示されておりまする考え方と同様に、行財政の守備範囲の見直し、あるいは受益と負担両面にわたる見直し等を行うとともに、国と地方との間の事務配分、またこれに伴う税財源配分の見直しを行う必要があるものと考えます。このために、具体的な方策を示し、また今後の財政事情の試算を行うということはきわめて意義のあることと考えております。  しかしながら、地方財政は何せ三千数百の地方団体財政の集合体であります。また、それらの地方団体がそれぞれ自主的に財政運営を行っております。また、地方財政改革の方向づけは、国の行財政改革の方向づけと密接な関連を有する問題でもございます。それこれいたしまして多くの問題点がありますが、今後真剣に検討を重ねてまいりたいと考えております。  次に、利子負担お尋ねでございます。  これは、交付税特会借入金利子につきまして、五十八年度の国の財政事情がきわめて厳しいということにかんがみまして、借入金の元金償還の国、地方負担割合に応じまして、それぞれ国の一般会計、地方交付税特会が負担することとしたところでございます。しかしながら、一方において、明年度地方財政の円滑な運営に支障を生ずることのないように財源不足額補てん措置は講じたつもりでございます。  なお、昭和五十九年度以降の利子負担のあり方につきましては、政府としての方針をまだ固めるに至っておりません。したがいまして、この問題は、五十九年度以降の地方財政対策を通じまして結論を得ていかなければならない問題と考えております。  次に、交通安全対策特別交付金に関するお尋ねでございます。  この交付金は各地方団体を通じて普遍的な財源であります。また、その総額も五百億という額に上って相当の規模に達しました。地方団体間の財源調整上無視し得ないものとなりましたために、これを地方交付税基準財政収入額に算入することとしたのであります。また、この交付金地方財源であるという性格を持っておることにかんがみまして、その経理につきましては、地方譲与税と同じく交付税特会において行うこととしたものでございます。しかしながら、地方交付税そのものと一体的に運営されているものではありませんので、その経理を交付税特会で行うことが直ちに地方交付税基本性格変更するものではない、こう思っております。  産業用電気に対する電気税の非課税措置お尋ねでございます。  産業用電気に対する電気税につきましては、この税が原料課税となるということによる物価に及ぼす影響を考慮しまして、国民経済上の見地から一定基準のもとに非課税措置を講じているところでございます。この非課税措置につきましては、その趣旨にかんがみまして、全国的な視野に立って、地方税法によって一律に定める必要があるものと考えております。  この非課税措置による電気税の減収額につきましては、他の税目における非課税措置と同様、普通交付税基準財政収入額には算入されないことになっており、その限りにおいては地方交付税所要財源措置が行われておるものと考えておるところでございます。(拍手)    〔国務大臣竹下登君登壇拍手
  20. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) まず、税の直間比率の問題についてであります。  総理からもお答えがございましたごとく、直間比率見直しを具体的に検討していることもございませんし、また、指示を受けておることもございません。したがって、見直しの範囲に地方税制が含まれるかどうか、地方財政にどのような影響を及ぼすかといった問題についても、何とも申し上げられないという段階でございます。  なお、直間比率は、国民合意選択の中から形成された結果としての姿でございまして、したがって、あらかじめ前提を置いて予見を持ってこれを決める性格のものではございませんので、税制調査会あるいは臨時行政調査会からいろいろ御検討の御意見が出ておりますが、厳密に言えば、総理からもお答えがありましたように、税体系見直しという言葉の方がむしろ適切ではなかろうかというふうに考えております。  いずれにいたしましても、税体系の問題については、いま、これまた総理からお答えがありましたごとく、国会の意見を聞いたり、そして税制調査会の意見を聞いたり、そのように各方面の意見を伺いながら、国民の真意がどこに所在するかと いうことを見きわめた上でこれに対応すべき課題であると、このように考えております。  次に、「今後の財政改革は当たっての基本的考え方」に添付されておりますいわゆる中期試算の税収についての御懸念を含めた御質問がございました。  これはまさにこの五十八年度予算を前提といたしまして、一定の仮定のもとに等率で伸ばす手法によって将来の額を算出した、こういう性格のものでございます。具体的に申し上げますならば、経済審議会の審議経過報告で見込まれております平均名目GNP成長率の中央値の六%をとったこと、そして税収の対GNP弾性値の過去十年間の平均値をとったこと、これを前提に機械的に算出したものでございます。それがそうした結果になってあらわれておるものでございますので、全く機械的に算出した結果であって、それ以上の意味を持つものではないというふうに御理解をいただきたいと思います。  次が、いわゆる国と地方で折半した問題についての御質問でございます。  これはまさに毎年度予算措置によりまして全額国が肩がわりをしてまいりましたが、本来、実質的に地方借入金であること、またきわめて厳しい財政状況等にかんがみまして、元金償還の国、地方負担割合に応じて地方負担を導入することとしたわけでございます。したがいまして、いわゆる地方財政運営には支障のないよう自治大臣からもお答え申し上げましたように措置をしております。まさに公の経済を支える地方、国という車の両輪でございますので、この点が一番大切なことであると考えております。  そうして、五十九年度以降の問題、これはそれこそ毎年度財政状況等々総合勘案いたしまして、各年度予算編成の過程において地方財政対策の一環として相談しながら決めていく、こういうことでございます。  次が、これまた自治大臣からお答えのございました交通安全対策特別交付金の問題でございます。  臨調の答申趣旨を踏まえまして、これは地方団体の安定的財源として地方団体財源調整に活用するための措置でございます。しかし、経理処理につきましていまお話がございましたが、交通安全対策特別交付金の経理につきましては、科目、所管等が交付税等とは相違するため、従来の地方交付税等と区分してそれぞれ勘定を設定して行うこととしておるわけでございます。  農業改良普及員の問題につきましては、農水大臣からお答えがあろうかと思いますが、臨調答申趣旨等を踏まえまして、地方公共団体の自主性の発揮の促進と事業の効率的、弾力的な運営を図るという見地から講じようとするものでございます。  以上でお答えを終わります。(拍手)    〔国務大臣金子岩三君登壇拍手
  21. 金子岩三

    国務大臣(金子岩三君) お答えいたします。  改良普及事業については、五十八年度予算において、都道府県の自主性を発揮するとともに、事業の効率的、弾力的運営を図るため、これまでの個別経費の積み上げによる定率負担金から、標準、定額による交付金変更することとしたものであります。交付金算定については、普及職員の設置、普及所の運営等の基礎的な経費を見込んでおるところであります。  なお、農業改良普及事業費の総額については、他の補助金等とのバランス等を勘案して、前年度当初と比べると九八・一%と若干の減少となっていますけれども、前年度補正後と比べると一〇〇・五%となっております。このことから御指摘のような事態にはつながらないものと考えている次第であります。(拍手)     ─────────────
  22. 徳永正利

    議長徳永正利君) 大川清幸君。    〔大川清幸君登壇拍手
  23. 大川清幸

    ○大川清幸君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま趣旨説明のありました昭和五十八年度地方財政計画並びに地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案について、総理並びに関係大臣質問いたします。  まず初めに、地方自治基本問題についてお伺いをいたします。  民主主義の基盤である地方自治の確立が叫ばれ、また、地方の時代という言葉が言われてはや数年を経るのでありますが、最近ではこの地方の時代というかけ声もむなしさを覚えるばかりであります。というのは、最近の住民の価値観の多様化、地域に根差した文化の育成など地域興隆の波は高まりを見せており、これに伴って行財政についても、従来の中央集権型から地方分権化への動きが強まっております。しかしながら、こうした国民の要求とはうらはらに、相変わらずの補助金中心の画一的行政が改まっておりません。その上、国の財政の犠牲を地方に押しつけるなど、中央政府地方に対する姿勢は一向に改革されないばかりか、かえって地方統制は強まっておると言っても過言ではありません。  この四月に行われる統一地方選挙はすでに十回目を数えるに至っており、地方自治のあり方を明確にしなければならないときに来ていると考えるものであります。総理地方自治に臨む姿勢について、まずお伺いをいたします。  また、地方自治確立のためには、臨調の基本答申でも示されておりますが、現行制度を抜本的に改革し、自治の確立を図らなければなりませんが、国、地方を通ずる行財政事務の再配分に対する今後の見通しと方向について、総理の所信並びに決意を伺います。  次に、五十八年度地方財政についてお伺いをいたします。  五十八年度地方財政計画の規模は四十七兆四千八百六十億円、その紳び率は〇・九%と史上最低の伸び率に抑えられております。また、歳入面でも地方税は〇・一%の減、交付税も四・九%の減となっており、基幹財源は軒並みに減少しております。このため二兆九千九百億円もの財源不足を生じ、地方交付税の二分の一利子負担を加えると財政赤字は実に三兆三千三百四十六億円と、五十四年度に次ぐ巨額に上っております。このため、五十八年度地方財政は、これまでと同様に地方債増発交付税会計の借金という相変わらずのパターンが続いております。これによって、地方の借金はふえる一方で、五十八年度末では五十七兆円にも達することになります。  地方財政の厳しさは年とともに深まる一方でありますが、このような事態を総理はどう受けとめておられるのか、また、これに対してどのような 改革案を持っているのか、明らかにしていただきたいと思います。  さらにお伺いいたしますが、このような歳入の厳しさを反映してか、歳出面ではこれ以上切り詰められないほど切り詰めております。行政の現場である地方自治体は、急激な歳出の切り詰めはとうてい不可能であります。各地方自治体とも歳出は計画規模を大きく上回ることになります。したがって、地方自治体の財政の指標としての財政計画は、その役割りを果たせなくなるのではないかと憂慮するものでありますが、この点に対して答弁を求めるものであります。  次に、地方交付税制度についてお伺いいたします。  五十八年度地方財政にとって従来と比べて特に大きく変わっているのは、これまで国の一般会計が負担していた交付税会計の借金の利子について、その二分の一を地方負担させることとしていることであります。これまで交付税会計の借金の利子については国の一般会計が負担するたてまえになっておりましたが、今回このように地方負担を強いるということにいたしましたのは、国の責任を地方に転嫁するものであり、断じて許せないものであります。一体いかなる理由でこのような措置をとったのか、明らかにしていただきたいと思います。  また、先ほどの自治大臣大蔵大臣答弁では、来年は来年で検討するということですが、この五十八年度措置については慣例としないという解釈でよろしいかどうか、お答えを願いたいと思います。  また、今日の地方財政は、昭和五十年度以来、毎年大幅な財源不足を生じてまいりました。このような実態を考えると、国は地方財政の確立という基本問題に目をつぶり、むしろもっぱら国側の都合により地方財政運営されてきたことは明らかであります。この問題の解決については、地方交付税法の趣旨に沿って交付税率の引き上げを行うなど、抜本的な検討を行うべきであったと考えるのでありますが、これについての見解を明らかにしていただきたいと思います。  なお、地方自治体にとっては、膨大な借金の返済などを含め、財政運営の将来に大きな不安を持っているところであります。この点について先日の本会議で、わが党の地方財政中期展望の策定要求に対し、政府は検討を約束しましたが、その後提出に消極的な声も聞かれておるところでありますので、これについてはいつごろまでに提出できるのか、その見通しについてお伺いをいたします。  次に、財政に重要なかかわりを持つ経済の動向について伺います。  五十八年度政府の経済政策を見ると、公共事業は四年据え置きで、事業量としては実質減少、所得税減税も六年据え置きという実態であります。五十七年度の実態を見ても、経済見通しの下方修正並びに予備の減額補正といういままでにない失態を来したのでありますが、今回のような政府の経済政策で果たして三・四%の経済成長率並びに財政確保が図れるのかどうか、確たる答弁を求めるものであります。  また、最近、原油価格の値下げが続いておりますが、このことは、わが国経済はもとより、世界経済にも大きな影響を及ぼすと考えるものでありますが、この点について政府はどのような見通しをお持ちか、お伺いをいたします。  また、原油価格引き下げにより、国民生活に密接なかかわりを持つ電力料金、灯油、ガソリン等の価格の見通し、及びこれに対しどのような措置を講ずるのか、この際伺っておきたいと思います。  また、景気の回復を図るためには、われわれは一兆円以上の所得税、住民税の減税と、また一兆円規模の公共事業の追加、あるいは中小企業の投資減税が必要であると考えるものであります。減税については、政府見解として、五十八年度中に景気浮揚に役立つ相当規模の減税の実施を約束されているのでありますが、この点について総理の決意を伺っておきたいと思います。  また、総理として、減税の規模はどの程度を考えているのか、また時期についてもどのようなお考えをお持ちか、お伺いをいたします。  さらに、減税の実施に当たっては新たな国債発行も考えているのかどうか、この点についても明確な御答弁をお願いいたします。  また、住民税の実態を見ると、現行個人住民税の課税最低限は百五十八万四千円となっており、生活保護基準額の百八十六万四千円に対し二十八万円も下回る逆転現象になっております。これを回避するため、政府は、五十六年度より非課税限度額制度といういわばこそくな措置をとってきたのでありますが、所得税減税とあわせて住民税の課税最低限を大幅に引き上げるべきであると考えますが、政府見解をお伺いいたします。  なお、税制の公正を図ることが急務でありますが、地方税非課税措置見直し及び国の租税特別措置による地方税減収を遮断することを強く訴えてまいりましたが、一向にこの見直しの姿勢がうかがわれないのであります。したがいまして、これについては早急に措置することを要求するものであります。この点についても見解を明らかにしていただきたいと思います。  以上、地方財政等に関する緊急かつ重要課題について質問をいたしましたが、総理並びに関係大臣の率直な答弁を求め、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣中曽根康弘登壇拍手
  24. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 大川議員の御質問にお答えを申し上げます。  まず第一は、地方自治に対する基本的所見を伺いたいという御質問でございます。  地方自治は、憲法にも「地方自治の本旨」と明確に記載されておりますように、わが国民主政治の基盤であると考えております。わが国における地方自治は、戦後の新地方自治制度の発足以来三十年余を経過いたしまして、関係者の御尽力と国民の御理解、御協力によりまして、おおむね国民の間に定着してきていると思います。住民やあるいは自治体関係者の間におきましても、自主、自律あるいは個性化というような認識、意欲が非常に最近高まりを見せておりまして、また、実力も充実しておりますことは同感の至りであります。しかしながら、今後行政を取り巻く環境の変化に対応して、かつ民主主義を発展させるためには、やはり民主政治の基盤たる地方自治の充実発展に政府としても心を配る必要があると考えておる次第でございます。  次に、臨調答申に示された行財政事務の再配分 についての御質問でございます。  地方自治の尊重及び国、地方を通ずる行政の簡素合理化の観点に立ちまして、国と地方との仕事の分担、役割りを適切に進めることは必要であると考えております。臨調答申並びに地方制度調査会等の御答申等も踏まえまして、地方公共団体の自主性、自律性を十分に発揮できるように、特に住民に身近な問題は関係自治体においてこれを処理する、こういう基本原則に立ちまして、国と地方の機能分担あるいは財源配分というものを今後改善してまいりたいと思います。また、今後、この趣旨を実現すべく、法令の制定改正に当たっても最善の努力をいたしたいと思います。  次に、地方財政が窮乏しておるが、この改革案を持っているかという御質問でございます。  地方財政は、国の財政と同様、税収の伸び悩みあるいは公債や借入金残高の累増等によりまして非常に危機的な状況にあることは御指摘のとおりでございます。今後、国と同一の基調に立ちまして、行財政の守備範囲の見直し歳出節減合理化等を厳しく行っていただきたい。それと同時に、国と地方との間の事務配分、財源配分、費用負担のあり方につきましては、中央ともよく協議いたしまして、また中央といたしましても、幅広く検討して地方財政の収支均衡に協力することが必要であると考えております。  原油価格の問題について御質問がございましたが、原油価格の及ぼす国内的影響につきましては、この価格引き下げをいつ実施するか、どの程度の幅で行われるか等についてまだ不確定的要因がございまして、まだ断定する段階には至っておりませんが、総じて、これが行われれば物価、景気等国内経済に対しては好ましい影響を与えるものと期待されております。  なお、原油価格引き下げにつきましては、その引き下げ幅等なお種々の問題がありますが、それがなされた場合には、石油輸入国の石油代金支払い額の減少等を通じまして、国際収支の改善、物価の安定、景気の拡大等、総じて世界経済全体に対しても好影響があると思います。  なお、原油価格の低下が急激かつ大幅な場合には、一部産油国の累積債務等の問題に悪影響考えられます。これらの問題につきましては、十分注目して適切に対処してまいるつもりでございます。  なお、電気料金の問題について御質問がございましたが、原油価格の引き下げの状況はまだ的確に判断できる状態ではございません。また、電気料金につきましては、燃料費という点も非常に大きな要素でありますが、資本費とかあるいは為替レートの問題も非常に重要な要素でございます。事態の推移を見つつ、電気事業者の経理状況の将来見通しの上に立って慎重に判断していかなければならないと思います。  ガソリン等の石油製品の価格は、これは市場メカニズムを通じていま形成されておるものでありまして、この需給関係等を通じてそれが価格に反映していくものと判断をいたしております。  次に、減税について御質問がございました。  財政事情困難な時期ではございますが、政府としては、与野党の合意を尊重し、財政改革基本的考え方を踏まえつつ、減税実施のため真剣に検討を進めてまいるつもりであります。  なお、与野党の合意財源確保も含めてなされておりまして、今後、税収動向等を見きわめ、国会における御論議等も踏まえ、また国民の御要望あるいは税制調査会にもよく御検討をお願いする等、精力的に努力してまいるつもりであります。  景気回復のために公共事業の追加が必要と思うがという御質問でございますが、五十八年度予算におきましては、公共事業費は前年度同額を確保するとともに、民間資金の活用等により事業費の確保を図る等努力しておるところでございます。しかし、公共事業の追加は建設公債の発行等により賄わざるを得ないと思いますが、現在の財政金融情勢のもとでは国債の消化はきわめて困難な状態に推移しております。また、無理をして消化を図りますと、金利の問題やらその他の問題にも影響が出まして、景気への反応もまた考慮を要する点がございます。  いずれにせよ、政府は今回の予算を通じまして、中小企業に対する投資減税の実施あるいは住宅に対する特別対策の推進等を通じ、さらに物価の安定と在庫調整の進展等々をてこにいたしまして、将来、金融政策等を機動的、弾力的に行って対処してまいりたいと考えております。  次に、中小企業の投資減税について御質問がございました。  今回の中小企業の設備投資促進のための措置につきましては、限られた財源の中で最大限の効果をねらうために現行制度に工夫をこらしたものでございます。企業関係租税特別措置については一層の整理合理化を行うこととしておる中にありまして、精いっぱいの配慮をいたしたものと御理解をお願いいたしたいと思います。  また、減税につきまして国債発行を考えておるかどうかという御質問でございますが、政府といたしましては与野党の合意を尊重してまいる所存でございますが、先ほど申し上げましたように、税収動向等々を踏まえまして、そして税調等に諮る必要もあり、減税の規模と時期をまだ明示できる段階にはございません。しかし、与野党の合意はあくまでこれを尊重して、真剣に検討して取り組んでまいるつもりであります。  特例公債をもって充てるべきでないことはもとより当然でございますが、今後、財源の問題につきましても、国会における御論議等も踏まえ、税制調査会においても御検討を願い、精力的に努力してまいる所存でございます。  残余の御答弁関係閣僚に行っていただきます。(拍手)    〔国務大臣山本幸雄登壇拍手
  25. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) まず、財政運営の指針としての地方財政計画はその役割りを果たしているのかというお尋ねでございます。  地方財政計画と申しますのは、地方財政歳入歳出総額を見込むことを通じて地方財源の総量を保障するものとして、また、地方団体財政運営の指針として重要な役割りを果たしておるものでございます。  昭和五十八年度地方財政計画におきましては、財政事情が国、地方を通じ厳しい状況下にあることから、歳出規模の伸びは前年度に対して〇・九%の増にとどまっておりますが、給与関係経費あるいは公債費などの義務的経費の増加額を含めまして、一般行政経費を初め、それぞれの経費について所要額を計上いたし、もって地方財政 の円滑な運営に支障の生じないよう措置しておるところであります。したがいまして、この地方財政計画は、従来と同様、地方財政運営の指針、ガイドラインとしての役割りを十分果たし得るものと考えております。  次に、借入金利子についてのお尋ねがございました。  交付税特会借入金利子財源につきましては、将来、国の一般会計からの繰り入れによって措置してきたところでありますが、五十八年度におきましては、国家財政全般が厳しい状況にあることにかんがみまして、地方財政といたしましても、交付税特会においてその一部を負担することといたしたものでございます。しかしながら、昭和五十八年度地方団体に対する財政措置といたしましては、地方財政の円滑な運営に支障が生ずることのないように、この利子負担額も含めまして財源不足額を補てんすることといたしております。  また、先ほどお答えいたしましたのにつけ加えまして、五十九年度以降の措置についてのお尋ねがございました。これは先ほどお答えをしたとおりでございますが、いわゆる国家財政地方財政は車の両輪という考え方に立ちまして、来年度地方財政の恐らく厳しいであろう状況も考えながら措置をしてまいりたいと考えます。  次に、交付税率の引き上げについてお尋ねがございましたが、地方財政の健全性を回復するためには、行財政の守備範囲の見直しあるいは行財政運営効率化等によって歳出の徹底した節減合理化を行うということ、それから地方交付税率の問題も含め国と地方との間の財源配分のあり方、また受益と負担のあり方といったことを見直す等、抜本的な地方税財政制度改正につきまして検討を進めることが必要であると考えております。  しかしながら、これらの問題は、国、地方間の事務の配分、あるいは税財源配分の基本にかかわる大きな問題でございまして、関係方面の御意見も承りながら今後真剣に検討してまいりたいと考えております。  次に、地方財政の中期見通しについてお尋ねがございました。  この中期見通しを立てますに当たりましては、地方財政は三千数百という地方団体財政の集合体である、それからまた、それらの地方団体はそれぞれの地域の実情に即して自主的な判断に基づいて財政運営をやっておられるわけでございますので、なかなか技術的に困難な問題が多くございます。また、わが国経済の中期的あるいは長期的な展望というものも、なかなか国際経済との絡みもあって不確定要素が多いわけでございまして、そうした状況のもとで地方税あるいは地方交付税等の中長期的な展望を立てるということは、私はなかなか困難な問題が多いと思います。  一方しかし、地方財政の健全化を進めていく上での検討の手がかりを示すものといたしましては、何らかの形で地方財政の中期的な試算を行いますことは有意義なことと考えておりますが、以上申し上げましたような問題点もありまして、この中期試算につきましては今後真剣に検討を重ねてまいりたいと存じております。  住民税の課税最低限の引き上げについてでございますが、これは先ほど総理からも減税問題として詳しくお答えがございました。この問題につきましては、財政事情のきわめて厳しい時期ではありますけれども、与野党の合意を尊重いたし、財政改革基本的な考え方、あるいは財源の問題、あるいは地方税というのは前年の所得に対して課税をするという住民税独自の性格もございますので、それらを踏まえつつ真剣に検討を進めてまいる所存でございます。  最後に、地方税における非課税等特別措置についてお答えをいたします。  地方税における非課税等特別措置につきましては、それぞれ個々の政策目的と税負担の公平の原則との調和を図るという観点に立っております。しかしながら、そのことが既得権化したりあるいは慢性化したりすることのないように、常に見直しを行い、その整理合理化に努める必要があると考えます。明年度の税制改正に当たりましても、そうした実態に応じた見直しを行い、あとう限りの整理合理化を行うことといたしております。  ただ、現行特別措置の中には、たとえば貯蓄の奨励あるいは住宅取得の促進あるいは中小企業対策といったことなど、地方税といたしましても政策推進の見地から見てなお存続を必要とするものもあります。また、国の租税特別措置の中には、課税技術上地方税への影響を遮断する、先ほど遮断せよというお話でございましたが、遮断するということが困難なものもあるということをひとつ御理解を賜りたいと、かように考えます。(拍手)    〔国務大臣竹下登君登壇拍手
  26. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) お答えいたします。  五十八年度の経済成長率三・四%の見通しについてであります。  五十八年度経済におきましては、在庫調整が進展しておること、それから物価の安定が続くと見込まれること等の明るい材料があります。また、世界経済につきましても、インフレの鎮静化、アメリカを初めとする高金利是正の動き等を背景に徐々に回復すると期待されておるところであります。こうしたことからいたしまして、わが国経済は内需を中心とした自律的な回復の道を歩んでいくものと期待されておるわけでございます。したがって、内需を中心とする三・四%程度というものを見込むことは可能であると思っております。  その上に、ここ数カ月、いわゆる円安是正、金利低下の傾向、最近伝えられております、不確定要素を多分に含んでおりますものの、石油価格の下落の動き、これらが内需を中心といたします自律的な回復を一層支えてくれる要因になるではなかろうかというふうに期待をいたしておるところであります。  また、五十八年度の税収の確保についてでございますが、政府経済見通しにおきますもろもろの指標や課税実績等を基礎として個別税目ごとに見積もりを行ったところでございますので、適正なものであると考えております。(拍手
  27. 徳永正利

    議長徳永正利君) これにて質疑は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時二十五分散会