○大川清幸君 私は、公明党・
国民会議を代表して、ただいま
趣旨説明のありました
昭和五十八
年度地方財政計画並びに
地方税法等の一部を
改正する
法律案及び
地方交付税法等の一部を
改正する
法律案について、
総理並びに
関係大臣に
質問いたします。
まず初めに、
地方自治の
基本問題についてお伺いをいたします。
民主主義の基盤である
地方自治の確立が叫ばれ、また、
地方の時代という
言葉が言われてはや数年を経るのでありますが、最近ではこの
地方の時代というかけ声もむなしさを覚えるばかりであります。というのは、最近の住民の価値観の多様化、地域に根差した文化の育成など地域興隆の波は高まりを見せており、これに伴って行
財政についても、従来の中央集権型から
地方分権化への動きが強まっております。しかしながら、こうした
国民の要求とはうらはらに、相変わらずの
補助金中心の画一的行政が改まっておりません。その上、国の
財政の犠牲を
地方に押しつけるなど、中央
政府の
地方に対する姿勢は一向に改革されないばかりか、かえって
地方統制は強まっておると言っても過言ではありません。
この四月に行われる統一
地方選挙はすでに十回目を数えるに至っており、
地方自治のあり方を明確にしなければならないときに来ていると
考えるものであります。
総理の
地方自治に臨む姿勢について、まずお伺いをいたします。
また、
地方自治確立のためには、臨調の
基本答申でも示されておりますが、
現行の
制度を抜本的に改革し、
自治の確立を図らなければなりませんが、国、
地方を通ずる行
財政事務の再配分に対する今後の見通しと方向について、
総理の所信並びに決意を伺います。
次に、五十八
年度地方財政についてお伺いをいたします。
五十八
年度地方財政計画の規模は四十七兆四千八百六十億円、その紳び率は〇・九%と史上最低の
伸び率に抑えられております。また、
歳入面でも
地方税は〇・一%の減、
交付税も四・九%の減となっており、基幹
財源は軒並みに減少しております。このため二兆九千九百億円もの
財源不足を生じ、
地方交付税の二分の一
利子負担を加えると
財政赤字は実に三兆三千三百四十六億円と、五十四
年度に次ぐ巨額に上っております。このため、五十八
年度地方財政は、これまでと同様に
地方債の
増発と
交付税会計の借金という相変わらずのパターンが続いております。これによって、
地方の借金はふえる一方で、五十八
年度末では五十七兆円にも達することになります。
地方財政の厳しさは年とともに深まる一方でありますが、このような事態を
総理はどう受けとめておられるのか、また、これに対してどのような
改革案を持っているのか、明らかにしていただきたいと思います。
さらにお伺いいたしますが、このような歳入の厳しさを反映してか、
歳出面ではこれ以上切り詰められないほど切り詰めております。行政の現場である
地方自治体は、急激な
歳出の切り詰めはとうてい不可能であります。各
地方自治体とも
歳出は計画規模を大きく上回ることになります。したがって、
地方自治体の
財政の指標としての
財政計画は、その
役割りを果たせなくなるのではないかと憂慮するものでありますが、この点に対して
答弁を求めるものであります。
次に、
地方交付税制度についてお伺いいたします。
五十八
年度地方財政にとって従来と比べて特に大きく変わっているのは、これまで国の一般会計が
負担していた
交付税会計の借金の
利子について、その二分の一を
地方に
負担させることとしていることであります。これまで
交付税会計の借金の
利子については国の一般会計が
負担するたてまえになっておりましたが、今回このように
地方に
負担を強いるということにいたしましたのは、国の責任を
地方に転嫁するものであり、断じて許せないものであります。一体いかなる理由でこのような
措置をとったのか、明らかにしていただきたいと思います。
また、先ほどの
自治大臣と
大蔵大臣の
答弁では、来年は来年で検討するということですが、この五十八
年度の
措置については慣例としないという解釈でよろしいかどうか、お答えを願いたいと思います。
また、今日の
地方財政は、
昭和五十
年度以来、毎年大幅な
財源不足を生じてまいりました。このような実態を
考えると、国は
地方財政の確立という
基本問題に目をつぶり、むしろもっぱら国側の都合により
地方財政が
運営されてきたことは明らかであります。この問題の解決については、
地方交付税法の
趣旨に沿って
交付税率の引き上げを行うなど、抜本的な検討を行うべきであったと
考えるのでありますが、これについての
見解を明らかにしていただきたいと思います。
なお、
地方自治体にとっては、膨大な借金の返済などを含め、
財政運営の将来に大きな不安を持っているところであります。この点について先日の本
会議で、わが党の
地方財政中期展望の策定要求に対し、
政府は検討を約束しましたが、その後提出に消極的な声も聞かれておるところでありますので、これについてはいつごろまでに提出できるのか、その見通しについてお伺いをいたします。
次に、
財政に重要なかかわりを持つ経済の動向について伺います。
五十八
年度の
政府の経済政策を見ると、公共事業は四年据え置きで、事業量としては実質減少、
所得税減税も六年据え置きという実態であります。五十七
年度の実態を見ても、経済見通しの下方修正並びに予備の
減額補正といういままでにない失態を来したのでありますが、今回のような
政府の経済政策で果たして三・四%の経済成長率並びに
財政の
確保が図れるのかどうか、確たる
答弁を求めるものであります。
また、最近、原油価格の値下げが続いておりますが、このことは、
わが国経済はもとより、世界経済にも大きな
影響を及ぼすと
考えるものでありますが、この点について
政府はどのような見通しをお持ちか、お伺いをいたします。
また、原油価格引き下げにより、
国民生活に密接なかかわりを持つ電力料金、灯油、ガソリン等の価格の見通し、及びこれに対しどのような
措置を講ずるのか、この際伺っておきたいと思います。
また、景気の回復を図るためには、われわれは一兆円以上の
所得税、住民税の減税と、また一兆円規模の公共事業の追加、あるいは中小企業の投資減税が必要であると
考えるものであります。減税については、
政府見解として、五十八
年度中に景気浮揚に役立つ相当規模の減税の実施を約束されているのでありますが、この点について
総理の決意を伺っておきたいと思います。
また、
総理として、減税の規模はどの程度を
考えているのか、また時期についてもどのようなお
考えをお持ちか、お伺いをいたします。
さらに、減税の実施に当たっては新たな国債発行も
考えているのかどうか、この点についても明確な御
答弁をお願いいたします。
また、住民税の実態を見ると、
現行の
個人住民税の課税最低限は百五十八万四千円となっており、生活保護基準額の百八十六万四千円に対し二十八万円も下回る逆転現象になっております。これを回避するため、
政府は、五十六
年度より
非課税限度額
制度といういわばこそくな
措置をとってきたのでありますが、
所得税減税とあわせて住民税の課税最低限を大幅に引き上げるべきであると
考えますが、
政府の
見解をお伺いいたします。
なお、税制の公正を図ることが急務でありますが、
地方税の
非課税措置の
見直し及び国の租税
特別措置による
地方税減収を遮断することを強く訴えてまいりましたが、一向にこの
見直しの姿勢がうかがわれないのであります。したがいまして、これについては早急に
措置することを要求するものであります。この点についても
見解を明らかにしていただきたいと思います。
以上、
地方行
財政等に関する緊急かつ重要
課題について
質問をいたしましたが、
総理並びに
関係大臣の率直な
答弁を求め、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣中曽根康弘君
登壇、
拍手)