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政府委員(
中島一郎君)
法制審議会の民法部会、特に
財産法小
委員会におきまして
審議されたわけでありますが、議論された点ということになりますと、
区分所有関係の全般にわたるわけであります。そのうち主なものということになりますと、まず
専有部分と
敷地利用権の
一体化の
原則を採用するかどうかという問題が挙げられると思います。
それから
管理組合の法制化及び
法人化の問題がございます。
第三には、
共用部分の
変更または
規約の
設定、
変更もしくは廃止の
要件を緩和するかどうかという問題がございます。
第四番目には、悪質
義務違反者に対する排除とか、
競売とかをどうするかという問題がございます。
第五番目には、多数決による
建てかえの
制度を取り入れるかどうかという問題があるわけであります。ごく主なところを拾ってみますと、以上のようなことになろうかと思います。
なお、試案に対する各界の
意見でありますが、ただいま申しました各項目といいましょうか、各点ごとに順次申し上げますと、まず
専有部分と
敷地利用権の
一体化の
原則を採用するかどうかという点につきましては、試案の考え方に否定的な
意見、あるいはこれを疑問視するような
意見はほとんどなかったわけであります。
次に、
管理組合の
法人化につきましては、これを支持する
意見がほとんどでございました。
法人格を取得できる
団体の規模としては、
区分所有者の数が三十人以上のものという
意見が最も多かったわけでありますが、五十人以上という
意見、あるいは人数制限をするべきではないというような
意見もあったわけであります。
第三番目に、
共用部分の
変更または
規約の
設定の
変更もしくは廃止の
要件を緩和するかどうかということにつきましては、
区分所有者及び
議決権の各四分の三以上の多数による
集会の
決議に
変更するということについては異論がなかったわけでありますが、
決議要件については
規約で別段の定めをすることができるというふうにすべきであるという
意見が若干あったわけであります。
それから第四番目に、悪質居住者の排除につきましては、このような
制度を設けることについては、条件つき賛成も含めて肯定的な
意見が多かったわけでありますが、一部に
制度自体に対する懐疑的な
意見、あるいは乱用のおそれを懸念する消極論、あるいは
競売までいかないで、
建物からの退去と一定期間の
建物の
使用禁止にとどめるべきであるというような
意見もあったわけであります。
それから
建てかえについてでありますが、多数決による
建てかえの
制度の導入については、これを支持する
意見が多数でありましたが、一部に少数者の居住権を保護する立場からの消極論、慎重論があったわけであります。すなわち
建てかえの
要件として、
建物が
建物としての
効用を果たさなくなった場合については特に異論がなかったわけでありますが、試案の段階で掲げておりました、
建てかえた方が土地の高度
利用に役立つ場合については
意見が分かれたわけであります。反対
理由の根拠といたしましては、土地の高度
利用に役立つための多数決による
建てかえは、反対者の
区分所有権を奪う根拠としては十分でないということであったわけであります。また
決議要件につきましては、
区分所有者及び
議決権の五分の四以上という
意見が多かったわけでありますが、十分の九とするべきであるというのも、あるいは
建物の
効用を果たさなくなった場合の
建てかえは五分の四でいいが、土地の有効
利用を図るための
建てかえは十分の九とすべきであるとするものがあったわけであります。
主要な御
意見は以上のとおりでございます。