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1983-03-25 第98回国会 参議院 物価等対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年三月二十五日(金曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  二月十七日     辞任         補欠選任      田中寿美子君     上野 雄文君  三月二十四日     辞任         補欠選任      市川 正一君     神谷信之助君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         片山 甚市君     理 事                 斎藤栄三郎君                 森山 眞弓君                 原田  立君     委 員                 岩本 政光君                 田沢 智治君                 田代由紀男君                 仲川 幸男君                 福田 宏一君                 増田  盛君                 宮澤  弘君                 上野 雄文君                 高杉 廸忠君                 渡部 通子君                 神谷信之助君                 木島 則夫君                 山田耕三郎君    国務大臣        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       塩崎  潤君    政府委員        公正取引委員会        委員長      高橋  元君        経済企画政務次        官        辻  英雄君        経済企画庁長官        官房長      西垣  昭君        経済企画庁長官        官房会計課長   遠山 仁人君        経済企画庁調整        局長       田中誠一郎君        経済企画庁国民        生活局長     大竹 宏繁君        経済企画庁物価        局長       赤羽 隆夫君        経済企画庁総合        計画局長     谷村 昭一君        経済企画庁調査        局長       廣江 運弘君    事務局側        常任委員会専門        員        桐澤  猛君    説明員        大蔵省主税局総        務課長      新藤 恒男君        大蔵省国際金融        局国際機構課長  江沢 雄一君        資源エネルギー        庁長官官房エネ        ルギー企画官   雨貝 二郎君        資源エネルギー        庁公益事業部業        務課長      黒田 直樹君        資源エネルギー        庁公益事業部開        発課長      渡辺 光夫君        運輸省大臣官房        政策計画官    日野西光温君    参考人        日本銀行総裁   前川 春雄君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○当面の物価等対策樹立に関する調査  (物価対策基本方針に関する件)  (公正取引委員会物価対策関係業務に関する件)  (昭和五十八年度物価対策関係経費及び消費者行政関係経費に関する件)     ─────────────
  2. 片山甚市

    委員長片山甚市君) ただいまから物価等対策特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る二月十七日、田中寿美子君が委員辞任され、その補欠として上野雄文君が選任されました。  また、昨二十四日、市川昭一君が委員辞任され、その補欠として神谷信之助君が選任されました。     ─────────────
  3. 片山甚市

    委員長片山甚市君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  当面の物価等対策樹立に関する調査のため、本日の委員会参考人として、日本銀行総裁前川春雄君の出席を求め、その意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 片山甚市

    委員長片山甚市君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 片山甚市

    委員長片山甚市君) 次に、当面の物価等対策樹立に関する調査を議題といたします。  まず、物価対策基本方針につきまして、塩崎経済企画庁長官から所信を聴取いたします。塩崎経済企画庁長官
  6. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) わが国経済の当面する課題経済運営の基本的な考え方につきましては、さきの経済演説において明らかにしたところでありますが、当委員会が開催されるに当たりまして、重ねて所信の一端を申し述べたいと存じます。  わが国経済は、二度にわたる石油危機の後にも、欧米諸国に比べて、高く、安定的な成長を遂げ、失業率物価国際収支のいずれの点においても、際立って良好なパフォーマンスを示してまいりました。しかし、このようなわが国経済も、世界同時不況影響を受け、輸出減少等により、景気回復は緩慢となり、経済現状は、厳しい状況にあります。  世界経済は、第二次石油危機後、その後遺症としての長期間にわたる激しいインフレに悩み、そのため、各国は、インフレ抑制に最重点を置いた政策努力を続けてまいりました。その結果、インフレはようやく鎮静化してきたのでありますが、反面、経済活動停滞を招き、戦後最高の失業率を生むに至りました。しかも、これを背景として、保護貿易主義が高まっているのであります。  また、発展途上国も、先進国経済停滞を反映して、輸出減少、一次産品価格低落等から経常収支が悪化し、債務累積の問題が顕在化するに至りました。  このような内外の経済動向を考えますと、財政上の困難など、政策手段選択の幅はきわめて狭いのでありますが、私は、五十八年度の経済運営に当たって、次の三つの柱を打ち立て、これを具体化してまいりたいと考えております。  その第一の柱は、国内民間需要中心とした経済の着実な成長実現を図ることであります。  内需中心経済の着実な成長は、いわゆる貿易 摩擦問題の解決のためにも、また、現在の最重点課題である行財政改革を円滑に進め、雇用の安定を図るためにも肝要であります。  このため、まず第一に、昭和五十八年度予算においても、この点を配慮いたしました。すなわち、きわめて厳しい財政事情の折から、他の五十八年度本来の歳出項目全体の伸びがマイナスであるにもかかわらず、公共事業関係費については、前年度同額の予算額確保し、その配分に当たっては、経済効果の高い事業重点を置くこととしております。  第二は、金利低下傾向のもとで、中小企業設備投資促進のための税制上の措置等施策推進することにより、民間投資の喚起を図ることであります。特に、先端技術投資促進に努め、産業構造の一層の知識集約化高度化を図り、経済生産性向上に役立てたいと考えるのであります。  第三は、税制上の住宅取得控除引き上げ等を図るほか、増改築住宅質的向上に対する国民のニーズを取り入れて、引き続き、住宅建設促進することであります。  第四は、基礎素材産業農林水産業中小企業については、構造政策的な観点を取り入れながら、活性化経営安定化を図るため、実情に応じた対策実施することであります。  このような政府の諸施策推進により、五十八年度のわが国経済は、実質で三・四%程度成長を達成するものと見込んでおります。  第二の柱は、物価安定基調を維持することであります。  物価の安定なくして、ゆとりのある安定した福祉社会実現は期待できません。  このため、欧米諸国は、この二、三年、失業大幅増加という大きな犠牲を払いながらも、物価の安定を目指して悪戦苦闘してまいりました。これに対し、わが国は、相対的に小さい犠牲のもとで物価安定化に成功し、消費者物価は、最近では二%台という近年にない安定ぶりを示しております。また、為替相場は、一ころの円安が是正されており、石油価格も、現在、低下しております。こうした動きは、物価安定の見地から好ましいことであります。  政府としては、今後とも、物価動向に細心の注意を払いながら、機動的な政策運営に努めることにより、引き続き物価安定基調を維持することとしております。この結果、五十八年度は、卸売物価が一・一%程度消費者物価が三・三%程度上昇率になるものと見込んでおります。  さらに、国民生活の安定と向上を図るため、消費者行政を積極的に進めることも重要であります。商品・サービス安全性確保取引形態多様化複雑化に対応した消費者取引契約適正化等所要施策を講ずることにより、消費者利益の擁護、増進に努めてまいりたいと存じます。  第三の柱は、わが国経済孤立化を避けて国際協調推進し、世界経済に貢献することであります。  政府としては、一昨年末以来、わが国市場開放のための対策を講じてまいりました。さらに、今般、関税率の思い切った引き下げ基準認証制度等全面的検討、OTOの機能強化等の一層の市場開放措置を決定いたしました。これらの措置は、最近の世界保護貿易主義的傾向を阻止するためにも、わが国みずからが率先してとったものであります。今後、関係各国に対して、わが国のこのような努力について理解を得るとともに、相互の経済社会についての認識のギャップをなくすよう一層の努力をしてまいる所存であります。  次に、中長期経済運営方向について申し上げます。  わが国経済社会は、現在、大きな転換期を迎えており、当面の諸課題を解決しながら、来るべき二十一世紀への備えを進めていくためには、これまで以上の長期的な視野に立って事態の変化に弾力的に対応し得るような経済社会の展望、経済運営の指針が求められております。  このため、新たに経済審議会に御検討をお願いしたところであり、今後、この検討の結果をよりどころとして、長期的な経済運営を行ってまいる所存であります。  以上、今後の経済運営課題方向について申し上げました。  外にあっては、五十年ぶり世界同時不況、内にあっては、未曽有財政困難の中で、景気回復を図っていくことは決して容易ではありません。しかし、長期にわたった米国の高金利も是正される方向にあり、世界経済は今後は次第に回復に向かうとの見方が一般的であります。このような事情を受けて、国内においても、円相場金利面で昨年とは違った明るい兆しがあらわれてまいりました。また、産油国による石油価格引き下げにつきましては、物価の安定、実質所得向上等により、わが国及び世界経済に好影響があるものと期待しております。そして何よりも、わが国経済は、当面する諸困難を克服していく旺盛な活力を有しているのであります。  本委員会皆様方の御理解と御協力を切にお願いいたします。
  7. 片山甚市

  8. 高橋元

    政府委員高橋元君) 昭和五十七年における公正取引委員会業務について、その概略を御説明申し上げます。  昨年のわが国経済は、内需は緩やかな回復方向を示しましたが、世界経済停滞もあり、依然として景気の足取りは力強さを欠いております。このような中で、民間活力が発揮されるような経済環境整備することがますます重要になっており、公正取引委員会といたしましては、公正かつ自由な競争の維持、促進によりわが国経済の健全な発展を図るべく、独占禁止政策の適正な運営に努めてまいったところであります。  特に昨年は、独占禁止法違反事件の効率的な審査に努めるとともに、不公正な取引方法明確化を図る等予防行政推進いたしました。また、事業者創意工夫を生かすため政府規制制度等見直しを引き続き行ったほか、貿易摩擦問題に関連した各種の実態調査を開始するとともに、独占禁止政策国際的連携強化に努めました。  まず、独占禁止法運用状況についてでありますが、同法は、昭和二十二年に制定されて以来、昨年で三十五周年を迎えたところであり、この間、着実な運用に努めてまいったところであります。  昭和五十七年中に審査いたしました独占禁止法違反被疑事件は四百十九件であり、同年中に審査を終了した事件は二百八十八件であります。このうち、法律の規定に基づき違反行為排除等を勧告いたしましたものは十七件、法的措置をとるには至りませんでしたが、警告を行いましたものは百五十二件であります。また、昨年における課徴金納付命令事件は四件であり、合計百十五名に対し、総額十一億八千五百四十四万円の課徴金納付を命じました。  次に、届け出受理等に関する業務でありますが、合併及び営業譲り受け等につきましては、昭和五十七年中に、それぞれ千五十件、八百十九件、合わせて千八百六十九件の届け出があり、所要審査を行いました。  事業者団体につきましては、昭和五十七年中に成立届等千三百四十四件の届け出がありました。また、事業者団体活動に関する事前の相談に対しましては、適切に回答を行うよう努めてまいりました。  国際契約等につきましては、昭和五十七年中に五千三百十三件の届け出があり、改良技術に関する制限競争品の取り扱いの制限等を含むものについてはこれを是正するよう指導いたしました。なお、許認可等簡素合理化の一環として、届け出を必要とする国際契約等の種類を限定するための独占禁止法第六条の規定改正に伴い、国際契約等届出規則改正を行いました。  独占的状態に対する措置に関する業務といたしましては、ガイドラインの別表掲載事業分野に ついて見直しを行い、十三業種とし、これら業種について実態の把握及び関係企業動向の監視に努めました。  価格同調的引き上げに関する報告の徴収につきましては、対象品目見直しを行い、六十一品目といたしました。昨年中に価格引き上げ理由報告を徴収したものは、乗用車一品目でありました。  独占禁止法上の不況カルテルは、中・低圧法ポリエチレン等品目について認可し、昭和五十七年末現在、二品目について実施中であります。なお、独占禁止法適用除外を受けている共同行為の数は、昭和五十七年末現在で四百八十一件となっておりますが、その大半は、中小企業関係のものであります。  次に、経済実態調査といたしましては、大規模小売業者経営実態調査生産集中度調査等を行ったほか、最近の貿易摩擦問題にかんがみ、総合商社事業活動実態調査輸入関連事業者団体調査等を開始いたしました。  流通分野につきましては、百貨店・大型スーパー家庭電器製品など十一業種について実態調査を行い、これらのうち、独占禁止法上問題のある行為につきましては、その是正に努めました。  また、不公正な取引方法に関しましては、その明確化を図り、予防効果を一層高める見地から、不公正な取引方法を指定している公正取引委員会告示、いわゆる一般指定を全部改正し、昭和五十七年九月一日から施行いたしました。  政府規制制度及び独占禁止法適用除外制度につきましては、わが国経済における民間活力を生かし、経済効率性を高める見地から、前年に引き続き、政府規制が強く行われている十六業種中心調査実施し、昭和五十七年八月、政府規制制度現状業種別問題点等を指摘した見解を公表いたしました。  国際関係業務といたしましては、OECD等国際機関における審議に積極的に参加し、また、アメリカ、EC、東南アジア諸国などの独占禁止当局との間で意見交換を行うなど、国際的な連携強化に努めました。  次に、不当景品類及び不当表示防止法運用状況についてでありますが、同法は、昭和三十七年の制定以来、昨年で二十周年を迎えたところであり、国民生活の中に定着しているところであります。  昭和五十七年中に同法違反の疑いで調査した事件は二千四百八十四件であり、このうち、排除命令を行いましたものは十一件、警告により是正させましたものは八百三十三件であります。都道府県の行いました違反事件処理件数は、昨年一月から九月末までで四千八百七十二件となっており、今後とも、都道府県との協力を一層推進してまいる所存であります。  また、同法第三条または第四条第三号の規定に基づく告示につきましては、ゴム製履物及び合成樹脂製履物業における景品類の提供を制限する告示並びにおとり広告に関する告示を制定いたしました。  事業者が自主的に規制するための公正競争規約につきましては、農業機械表示に関する規約など六件について認定し、昭和五十七年末現在における公正競争規約の総数は百件となっております。  以上簡単でございますが、業務概略につきまして御説明申し上げました。今後ともよろしく御指導のほどお願いいたします。
  9. 片山甚市

    委員長片山甚市君) 次に、昭和五十八年度物価対策関係経費及び消費者行政関係経費概要について説明を聴取いたします。赤羽物価局長
  10. 赤羽隆夫

    政府委員赤羽隆夫君) 昭和五十八年度物価対策関係経費予算関連公共料金等改定概要につき、お手元にお配りいたしました資料に即して御説明申し上げます。  最初に、物価対策関係経費は、一般会計及び特別会計予算に計上されました経費のうち、長期、短期にわたり物価の安定に資することとなる経費を取りまとめたものでございます。  まずこの資料をごらんください。お手元資料の一枚目、半截の資料でございますが、「昭和五十八年度物価対策関係経費」、この表でごらんいただきますように、一番から七番までの区分に分けて分類、整理してございます。昭和五十八年度の物価対策関係経費総額は、合計欄にありますように四兆四千三百六十二億九千五百万円であり、昭和五十七年度予算額四兆四千九百六十八億七千六百万円に比べ、六百五億八千二百万円、一・三%の減少となっております。  次に、各項目につき経費内容を縦長の七枚つづりの資料によって御説明申し上げます。  第一は、低生産性部門生産性向上であります。農林漁業中小企業などの生産性が低い部門においてその生産性向上し、供給の増大を図ることは、物価の安定の面からきわめて重要であります。その総額は一兆九千十五億七百万円となっております。  内容といたしましては、農林漁業対策の面では主要穀物果樹花卉野菜等生産振興を図る新地域農業生産総合振興実施するための経費、さらに畜産総合対策実施するための経費などが掲げられております。  また、中小企業対策関係経費では、第二ページをごらんいただきますように、小規模事業対策推進経費中小企業事業団の事業運営経費などについて所要予算が計上されております。  三ページに移りまして、第二の項目流通対策であります。この項目流通機構合理化近代化を通じて流通コストの節減に役立つ経費でございます。その総額は四百十八億二千三百万円となっております。  具体的な経費としては卸売市場施設整備費野菜価格安定対策経費、次のページに移りまして食肉センター整備等を行うための畜産振興費、水産物の価格安定及び流通対策経費などが計上されております。  第三の項目は、労働力流動化促進であります。労働力の質を高め、その流動化を図ることは、物価安定の観点からも重要であると考えます。このための経費として総額三千四百六十五億三千七百万円が計上されております。その内容としては、第五ページにございますように、雇用安定等事業などを実施するための経費であります。  第四の項目は、競争条件整備であります。この項目は、価格が公正かつ自由な競争を通じて適正に形成されるよう、市場競争条件整備するための経費が取りまとめられてございます。その総額は二十六億七千万円となっております。公正取引委員会経費がその大部分でございます。  第五の項目は、生活必需物資等安定供給でございます。この項目は、生活必需物資及び公共輸送等サービスの安定した供給確保に役立つ経費が取りまとめられております。総額は一兆二千百二十六億七千五百万円となっております。内容といたしましては、石油安定供給対策費日本国有鉄道関係助成費などでございます。  次の六ページに移りまして、第六の項目は、住宅及び地価の安定でございます。住宅供給促進し、土地の有効利用を図り、住宅及び地価の安定に役立つことを目的とする経費でございます。このための総額は九千二百七十九億三千七百万円となっております。内容としては、公営住宅建設事業費住宅金融公庫補給金などでございます。  次の七ページに移りまして、第七の項目は、その他の経費であります。総額として三十一億四千五百万円が計上されております。内容としては、国民生活安定対策等経済政策推進費などでございます。  以上、昭和五十八年度の物価対策関係経費概要を御説明申し上げました。  引き続き、昭和五十八年度予算に関連する公共料金等改定について御説明申し上げます。  資料としては一枚紙の昭和五十八年度予算関連公共料金等概要でございます。  まず、医療費につきましては、本年一月一日に 薬価基準医療費ベースで一・五%引き下げるとともに、本年二月一日には老人保健法施行に伴う老人診療報酬の設定とあわせて一般診療報酬について若干の調整を図り、医療費ベースで〇・二%引き上げております。  次に、麦価につきましては、麦の財政負担が増大していることなどの事情を考慮し、本年二月一日から平均八・二%の引き上げ実施しております。  国立学校入学料につきましては、国立、私立間の格差の現状等を勘案し、本年四月から国立大学学部で現行の十万円を十二万円にする等の改定を予定しております。  たばこ定価につきましては、たばこにかかる負担適正化を図り、あわせて税外収入確保に資するため、本年五月一日から原則として一本当たり一円の引き上げを予定しております。  最後に、電話料金につきましては、わが国遠距離通話料先進主要国に比較して割り高であることなどを考慮し、本年七月より三百二十キロメートル以上の通話料を昼間三分間料金で一律四百円とすることを予定しております。  これら予算関連公共料金等改定による五十八年度の消費者物価指数への影響は〇・一%程度になるものと試算しております。今後とも公共料金につきましては、物価国民生活への影響に十分に配慮し、厳正に取り扱ってまいりたいと考えております。  以上でございます。
  11. 大竹宏繁

    政府委員大竹宏繁君) 昭和五十八年度の消費者行政関係経費につきまして、お手元の表に沿って御説明申し上げます。  この表は、昭和五十八年度の予算案から各省庁の消費者行政に係るものを一括して整理したものであります。ここでは消費者行政関係経費を十二の項目に分類しておりますが、これはおおむね消費者保護基本法の体系によったものであります。以下、項目を追ってその概要を御説明いたします。  まず、項目一は危害防止であります。  消費者の生命、身体及び財産に係る危害防止し、安全を確保することは消費者保護基本的課題であります。このため、医薬品、家庭用品等対象特殊性に応じてきめ細かに施策を講じているところであります。本項目総額は四十一億七千五百万円で、消費者行政関係経費全体の三六%を占めております。  次に、項目の二、三及び四は、計量規格及び表示適正化のための経費であり、いずれも消費者の合理的かつ適切な選択等確保する上で欠くことのできない施策であります。計量適正化は、適正な計量実施及び普及のための経費であります。また規格適正化は、JAS及びJIS制度運用住宅質的向上を目的とした新住宅開発推進のための経費であります。さらに表示適正化については、不当表示の取り締まり、家庭用品の品質表示適正化等に要する経費がその内容となっております。これら三項目経費合計は十二億一千八百万円であります。  項目の五及び六は、公正自由な競争確保及び契約の適正化に関する経費であります。これらの項目には独占禁止法の施行費や割賦販売、訪問販売等の適正化を図るための経費、さらには悪質な賃金業者や不動産業者の取り締まりを行うための経費などが計上されております。これら二つの項目合計三億一千七百万円となっております。  項目七の消費者啓発は、各種の情報の提供、講習会の開催などにより消費者の意識を高め、賢い消費者を育成するための経費であります。  また項目八の意見の反映には、モニター制度や消費者懇談会等を通じて消費者意見を迅速的確にくみ上げ、行政や事業者消費者対応を一層推進するための経費であります。この七と八の合計で二十一億一千三百万円となっております。  項目の九は、商品テスト等を行うためのテスト機関相互の連絡会議や試買検査を行うための経費であります。  項目の十は、各省庁の消費者相談窓口等における苦情の受け付け及び処理等に要する経費であります。  また、項目の十一は、消費者の組織育成のための経費でありますが、消費者生活協同組合への貸し付け、消費者と産地とを直接に結ぶ事業に対する助成などを内容としております。これらの項目は、消費者の利益の擁護及び増進を消費者サイドから確保するとともに、消費者事業者、行政の相互関係の円滑化を図る上で重要な経費であります。  最後に、項目十二について御説明申し上げます。  この項目のうち、まず国民生活センター関係については、同センターが教育研修、情報提供、苦情相談、商品テストなどの事業を行うための経費として十九億九千八百万円の交付金が計上されております。また同センターの商品テスト・研修施設の整備に資するため、本年度においても引き続き出資金として三千三百万円が計上されております。  次に、現在全国に広く設置されております地方の消費生活センターの活動を補助するなど、地方消費者行政推進のために二億六千五百万円を計上しております。項目十二にはこのほかに消費者行政の基礎となる調査、生活関係事犯の取り締まりの経費などが計上されております。  以上の各項目別の経費合計いたしますと百十六億八千八百万円となります。  これを省庁別に集計し直したものが二ページの表でございます。  以上、昭和五十八年度の消費者行政関係経費概要を御説明申し上げました。何とぞよろしくお願い申し上げます。
  12. 片山甚市

    委員長片山甚市君) 以上をもちまして所信及び説明の聴取を終了いたしました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  13. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 ただいま塩崎経済企画庁長官から、わが国経済の当面する課題経済運営の基本的な考え方について、長官は三つの柱を打ち立てて、第一の柱は国内民間事業中心とした経済の着実な成長実現を図る。第二の柱は物価安定基調を維持すること。第三の柱はわが国経済孤立化を避けて、国際協調推進し、世界経済に貢献をする、こういうような所信が述べられました。さらに、昭和五十八年度の経済見通しなどについて御説明をいただきましたが、私はこれらについてまず第一に景気対策、第二に原油の値下げについて、第三に政府物価対策についてなどを中心に、以下質問をいたしたいと存じます。  まず、景気対策について伺いますが、政府は現在景気対策としてどのようなものを考えているのか、長官にまずお伺いをいたします。
  14. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) いま高杉委員からお話がございました、いま景気対策について政府はどのようなものを考えているかというお話でございます。  五十八年度の予算案全体が、いわば景気対策的なものを含んでいることはもう御案内のとおりでございます。しかし、私どもが最近閣僚の一部が集まりまして政府の中で検討いたしておりますのは、もう少し当面の政策でございまして、予算成立後、この予算を確実に執行し、そうしてできる限り確実に、五十八年度の経済成長率の見込みでございますところの三・四%を達成するための方策をいまいろいろと研究しているところでございます。例示をいたしますれば、御案内のように公共事業の前倒しあるいは金融政策、金利を含めての金融政策の弾力的な運用、あるいはまた、各種の規制を緩和することによって民間投資を誘引していくというようなことによって経済活性化を招く、もたらす、こんなことを含めて幾つかの項目について研究しているところでございます。
  15. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 公共事業の前倒しについてお伺いをいたしたいと思うんですが、昨年も公共事業の前倒しを行いました。ところが、追加措置がとられなかったことから、国民所得速報で見ても十月から十二月期の政府投資というのはマイナスな んですね。私は景気の足を引っ張る結果になっているんではないかと、こういうふうに思うんです。景気の先行き不透明な時期に多少の公共事業の前倒しをしたということで集中させても、その後に公共事業の追加措置がなされなければ経営者の人たちというのは設備投資を行おうとはしないであろうと考えられるのですね。かえって仕事量が一時的に集中してしまって、安定的な経営には障害になるのではないかと、現にそういうような声も聞かれるわけですね。公共事業の前倒しについては、経済企画庁として以上のような事情というものは十分御承知だろうと思います。しかし、この点も含めまして、これからの前倒し執行についての基本的な、あるいはまた具体的な長官のお取り組みについてひとつお伺いをしたい。
  16. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) いま高杉委員の御指摘のとおり、昨年の十—十二月の国民所得統計速報では、確かにおっしゃるような傾向が見られているわけでございまして、公的投資、固定資産の形成がいまおっしゃったように前倒しの影響でむしろマイナスの面に働いていることは御指摘のとおりでございます。私は、この公共投資の前倒しの考え方については、いろいろ考え方がございまするけれども、まず第一は公共投資の前倒しによって、同時にまた乗数効果をねらって民間設備投資の喚起をもたらすようにねらっていると思うんでございます。しかし、この点につきましては、かつてのように、いわゆる需要喚起的な効果が、何と申しますか、ケインズ派の退潮と申しますか、そんなような観点から、必ずしも乗数効果がなくなってきたようないまの公共投資の状況であり、日本の民間設備の充足状況である、こんなことが言われておりますので、昨年のような結果がもたらされたことも私は否定できないところだと思います。  もう一つは、そうじゃない、やっぱり早目にやると同時に、また昨年のように二兆七百億円の公共投資の実は追加を中心といたしますところの国庫債務負担行為中心でございましたけれども、つなぎをすれば円滑にまたいくという考え方で十二月の二十四日に予算の補正を成立さしていただいたわけでございます。十—十二月にはその効果はまだ出ておりませんけれども、私は一—三月からことしの上期にかけて出ると、出る面がなければせっかく国会で補正予算をお願いした意味がない、こんなふうに考えているところでございまして、必ずしも前倒しだけを私ども考えたわけじゃありません。民間設備投資あるいは在庫の充足を通じて景気に波及的な効果がある、こういうふうに考えているところでございます。  それからまた、補正予算も前回は考えました。今度はこれはどういうふうに見ますか、この点は未定でございますけれども、いまのような考え方をとって、しかもまた原油の値下がりがあるといたしますれば、企業の収益も増加してまいりますると投資意欲が出てくるんではないか。こんなことは前倒しの効果を見ながらひとつ今後考えて、景気対策の面の確実な実施を図っていくべきだと、こんなふうに考えております。
  17. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 次に、民間住宅の関係について伺いたいんですが、国民の関心の強い民間住宅について、民間住宅の着工件数、これはどのような状況にあるのか、これをまず伺いたいと思うんです。  それからまた、五十七年度は何万戸程度と実績を見込んでいるのか、あわせまして伺いたいと思うんです。
  18. 廣江運弘

    政府委員廣江運弘君) 五十八年一月の新設住宅着工戸数が発表されておりますが、これは公庫融資の拡充などの効果もありまして、季節調整をやりましたところで、年率で百三十一万戸、これを前年同月で比べますと二〇・七%増でございます。お尋ねの年度、五十七年度の実績はまだ発表になっておりませんが、五十七歴年の実績は百十五万戸でございます。なお、多少この五十八年一月の新設住宅着工戸数の内容を資金別に見てまいりますと、民間資金住宅が季調済みで六十三万戸、前年同月比一三・一%増、公的資金住宅が同七十万戸、同じく二八・五%増でございます。また先ほど申し上げました五十七年歴年の実績で申し上げますと、民間資金住宅が五十七万戸、公的資金住宅が五十八万戸でございます。
  19. 田中誠一郎

    政府委員田中誠一郎君) 五十八年度の住宅の見通しでございますが、住宅の環境はかなり厳しい状況にはございますけれども、御案内のとおり一つには住宅取得控除の限度額の引き上げ実施しておりますし、また住宅金融公庫の貸付限度額の引き上げ等措置を講じているところでございます。また、このところ高い水準ではございますが、地価が安定しておりますし、建設資材も非常に安定した状況にあるという状況にございます。また、加えまして増改築あるいは質的な向上といったようなことが見込まれるわけでございますので、五十八年度につきましては、民間住宅投資、実質で二・六%程度の伸びを期待しているわけでございます。  住宅の着工件数といたしましては、ただいま調査局長から御答弁があったとおりでございますが、五十八年度につきましては、おおむね五十六、五十七年度程度の水準で推移するのではないかと考えている次第でございます。
  20. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 次に、五十八年度の民間住宅投資について伺いたいんですが、政府は名目四・三%、実質で二・六%の増加を見込んでいます。しかし、最近では、御承知のとおりに、まず考えられるのは、一つには婚姻の減少から世帯数の増加が見込めない、二つ目は人口の移動が小さくなってきている、三つ目として住宅取得価格と収入の乖離が大きい、四つ目として金利が高い、五つ目として将来の収入増及び見通しが困難なこと、以上のようなことから住宅建設はそれほど増加しないとする見解が強い。私もそう思うんです。企画庁はこれに反して、さきに述べましたような名目で四・三、実質でも二・六%の伸びを見込んでいますけれども、具体的に着工件数、それから経済見通しでは示していないんです。五十八年度の着工件数は、いま伺いましたように、大体五十七年度と同じぐらいだと、こういうようなお話なんですが、以上のことから具体的に実質二・六%伸びるというのは去年と同じで、どうしてことしは二・六%も伸びるということが言えるのか、その辺がちょっと私にも理解がしにくいんですが、これらについてちょっと御説明をいただきたいと思います。
  21. 田中誠一郎

    政府委員田中誠一郎君) 御指摘のとおり、住宅につきましては構造的な要因がございますけれども、ただ御指摘のうち、たとえば金利の点につきまして、住宅ローンの金利もこのところ若干低下しておりますし、今後の全体の金利動向いかんでございますが、若干の低下が期待されるのではないかというふうに思われますし、また収入の面で見ましても、全体としまして経済回復する中で実質所得も徐々に回復を見せるのではないかと期待しているわけでございます。加えまして、先ほど申し上げましたとおり、住宅ローン控除の引き上げあるいは住宅金融公庫の貸付条件の緩和等を行っておるところでございますが、さらに宅地の円滑な供給という視点では、五十七年度予算におきまして農地の宅地並み課税の拡充なり、あるいは長期譲渡所得税の軽減等の税制改正措置等も行ったところでございます。すでに先ほど申し上げましたとおり、加えまして、このところ質的な向上という面での需要がかなり増加しているというふうに考えられますし、増改築もかなり盛んでございますので、全体としての住宅投資という面で見ますと、今後は民間資金分も今年度に比べますとかなり増加するというふうに考えられますので、名目で四・三%、実質で二・六%程度の増加は可能ではないかと考えているわけでございます。
  22. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 新築の着工戸数は同じであるけれども、一戸当たりの面積拡大や増改築の増加で実質的には二・六%の増が見込まれるんだ、こういうような理解でよろしいんですか。
  23. 田中誠一郎

    政府委員田中誠一郎君) 御指摘のとおりでございまして、戸数は同じでございますが、一戸当 たりの面積がふえておりますし、また面積当たりの単価がふえているということに加えまして、増改築も若干増加するのではないかと見込んでおるわけでございます。
  24. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 それでは、五十八年度の住宅施策の主なものをこの際ちょっと示してほしいと思うんです。
  25. 田中誠一郎

    政府委員田中誠一郎君) すでに御説明申し上げたことの繰り返しになって大変恐縮でございますが、まず住宅金融公庫の面で見ますと、貸付対象住宅規模を拡大するという措置をとってございまして、従来、百五十平米以下でございましたのを百六十五平米以下というふうに対象規模を引き上げていくという措置がございます。  また、既存住宅につきまして、戸建て木造住宅につきまして追加措置をとるといったような措置をとりましたほか、個人建設その他につきまして貸付限度額の引き上げを行うという措置をとっております。  また、税制面では、先ほど申し上げましたように、住宅ローン控除の措置の改善といたしまして、従来、限度額五万円を十五万円に引き上げるといったような措置をとったわけでございます。
  26. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 それでは、増改築住宅質的向上に対応する施策というのは具体的には何を言うのか、それから、この質的向上に対応する施策で本当に実質二・六%の伸びというのが確保できる自信というのがおありなのかどうか、ちょっと伺いたい。
  27. 田中誠一郎

    政府委員田中誠一郎君) 質的な向上という面では、ただいま申し上げましたように、貸付限度額を引き上げるということによりまして、需要家の方で、それぞれの単価、面積当たりの単価の引き上げ、あるいは面積の従来に比べますと拡充ということが可能になろうかと思います。したがいまして、二・六%必ずできるかと言われますと、そういった施策を講じての見通しでございますけれども、何分にも、先ほど触れましたように、建設資材もかなり安定しているという状況でございますので、この程度住宅投資は行われるのではないかと見通しているわけでございます。
  28. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 いま聞いても、どうも住宅投資増が要因としての増改築の増を裏づける施策というのは具体的にないように私は思われるんですね。  次に、土地政策についてお伺いをしたいんですが、五十八年度で住宅供給を促す政策というものをこの際ちょっと挙げていただきたいと思うんです。
  29. 田中誠一郎

    政府委員田中誠一郎君) 先ほど申し上げましたように、五十七年度、土地税制の面でかなり大幅な措置をとったわけでございますし、また昨年十月、秋の総合対策におきまして調整区域の見直し等の措置を拡充、強化するということを行ったわけでございます。そういった従来からの各般の努力を続けることによりまして、宅地供給を増加するということが可能になるのではないかと考えておりますが、現在、御案内のとおり、前年比で見ますと、宅地価格は約七%ほどの上昇率でございますけれども、一ころに比べますとかなり落ちついているという状況にあるかと思います。
  30. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 いまの御答弁、説明でも、過去の例からしても、土地の供給が大幅に増加するということはちょっと考えにくいんですね。  それで、住宅建設そのものの政策についても、土地政策についても、新たな効果的な施策をもって臨まなきゃならない、こういうふうに思うんです。その点、長官、いかがですか。
  31. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) いま高杉委員の御質問を伺っておりまして、住宅政策がいかに重要であるか、私どもはまだまだ力を入れなければならないということを痛感したところでございます。  いま田中政府委員からお答えのとおり、各種の施策を講じてきているところでございますが、ともかくも五十七年度の実績を見ていただきますと、公的資金によるところの住宅建設は七・四%増加、民間自力建設の分が七・四%減少したと、こういう方向でございます。この結果から見まして、私は公的資金を、先ほど申し上げましたように、住宅金融公庫の貸付条件の緩和等の措置を講ずることによって、私はいま申しましたような、伸び率と申しますか、成長に対する寄与は実現できると思っているわけでございます。  しかし、なお、先ほど申し上げました景気対策の中で、いろいろとまた住宅政策は、何としても幅の広いすそ野の大きな、効果が多いわけでございますので、もう少し規制緩和という形の中でも考えていくべきではないかという議論をいまいたしているところでございます。そのような方法を講じながら、ひとつぜひともこの目標を達成したい。聞くところによりますと、一月も二月も、十年以降の金利の、何と申しますか、上昇を恐れての駆け込みだと言われながらも、御案内のように住宅建設は好調と言われているわけでありまして、私どもは、この傾向をさらに推し進めていきたいと考えております。
  32. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 長官からお答えいただきましたけれども、国内経済は三月になってから一部に底入れ感が出てきたような報道がなされていますね。これを着実なものにするための政策、たとえばいま議論をしてまいりました住宅対策のように、具体的にやっぱり施策推進をしていく、これはきわめて重要なことだと思っているんです。それからまた、大変残念でありますけれども、民間設備投資への施策も私は同様に積極的にやるべきだと思うんですが、残念ながらわずか二百二十億の中小企業向けの減税、この程度ではやっぱり私は具体的な施策推進にはならないと、こう考えるんですけれども、改めてまた長官からの決意も伺いたいと思うんですが。
  33. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) 住宅投資に続いて、いま高杉委員民間企業設備投資についての、何と申しますか、大変な心配な点があるという御質問がございました。私もこの点は大変心配しているところでございまするけれども、幸いにいたしまして、円高傾向が昨年に比べまして定着しつつあるように思えるわけでございます。このことは企業収益を増加するに違いない。さらにまた、御案内のように、原油の五ドルの低下も企業収益に大きなプラスの面をもたらすに違いない。やはり、いま民間企業設備の投資意欲が非常に減少しているように見えますのは、やはり将来の見通しがつかない、こういうことだと思うんでございますが、いま申しましたような企業収益の動向、さらにまた、アメリカを中心といたしますところの世界経済回復過程によるところの見通し、このようなものを考えますれば、私はだんだんとまた御案内のように企業収益も回復しまして、だんだんと経済も自信を取り戻してくるんではなかろうか。それとまた、私は民間企業設備投資にはやはり金利の問題、いまの金利は私はアメリカの金利に引きずられて高過ぎると思うんでございますが、このような高い金利がいつまでも続くとは考えておりません。このような金利、企業収益に見合う程度金利実現されれば、これまた企業設備投資につながってくるんではないか、こんなふうに考えて、まあ何としても民間企業設備投資によって、私どもは三・四%の経済成長率を達成したい、こういうふうに考えております。
  34. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 この際、景気対策としての財政政策について日銀総裁に後ほど御出席いただく予定でありますが、まだ御出席ないようでありますから、次に、原油の値下げに関連して伺っていきたいと思っています。  去る三月の十三日に、原油を一バレル当たり五ドル値下げすることをOPECは合意いたしました。これのわが国におけるGNP、消費者物価卸売物価等への影響を、これはどうなるのか、この点をまずお伺いをいたしたいと存じます。
  35. 赤羽隆夫

    政府委員赤羽隆夫君) お答え申し上げます。  この原油価格五ドルの引き下げによりまして、わが国の原油輸入代金の支払いの節約額は約一兆六千億円、こういうふうに試算されます。で、現在のわが国経済の規模、国民経済としての大きさというのが約二百七十兆円、GNPの金額はそれぐらいだと考えます。二百七十兆円に対しまして一兆六千億円の節約、すなわちそれだけコストが 下がる、こういうことでございますので、〇・六%程度経済全体としてのコストの低減がある。したがいまして、経済全体として見るとその程度物価引き下げが可能になる、こういうことだと思います。  ただ、これを消費者物価あるいは卸売物価に翻訳する、こういうことになりますと若干数字が大きくなります。で、この点は、卸売物価について、やや技術的な点にわたって恐縮でございますけれども御説明申し上げますと、こういうことがあろうかと思います。たとえば、私どもがいま着用しております合成繊維のワイシャツがございますけれども、この合成繊維のワイシャツというのが物価調査品目として対象に入っておりますけれども、その原料でございます合成繊維の織物、これも調査対象になっておりますし、さらに織物の原料であります合成繊維の糸、これが調査対象になっております。さらにポリエステルの原料でありますポリエステル長繊維、さらにはその原料でありますところのエチレン、ナフサ、原油と、こういうことで、川上から川下に至ります各段階の品目がすべて調査されております。こういったようなものに対してそれぞれ原油の値下がりの影響というのが及ぶわけでございます。そういう形で重複計算が行われる、こういうことがございます。消費者物価につきましての重複計算は、卸売物価ほどは大きくはありませんけれども、やはり同様にございます。こうした重複計算を含んでいる消費者物価卸売物価、こういったような物価に翻訳をいたしますと、消費者物価につきましては最大限一・一%程度卸売物価につきましては最大限二・一%程度、こういう試算ができるかと思います。
  36. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 私の方の試算ですけれども、三月十三日の原油値下げによる負担減と考えてみますと、昨年の通関実績統計によって試算してみましたんですが、原油輸入量が約十三億三千五百万バレルですね。で、これが平均して一バレル当たり五ドル値下がりをすると六十六億七千五百万ドルと、こうなるんですがね。一ドル二百三十五円で換算をしてみますと約一兆五千七百億円、この程度の私どもの試算になるんですけれども、これは当然原油代金の支払い減、負担減、こういうふうになると考えていいですか、これが一つです。  それから、五十八年度では省エネが進んでいますから、もちろん原油輸入量というものも若干減少すると考えられますけれども、いま述べました負担軽減よりはまあ少しは変わってくると思いますけれども、企画庁の方では、このいま試算をしました私どもの試算にそう間違いないかどうか、その点確認をしたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  37. 田中誠一郎

    政府委員田中誠一郎君) 御指摘のとおり、五十七年の原油の輸入量は十三億三千五百万バレルでございますので、五ドル下がりますと先生も御指摘のとおりのドル・ベースでの数字になるかと思いますが、レートをどうはじくかによりまして若干異なりますが、先生の御指摘のような前提でございますとそういう数字になるかと思います。
  38. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 次に、原油値下げによって発電のコストが下がる、これは明らかだと思います。で、これを料金下げに結びつけるか、あるいはまた各産業の電力コストが下がる、これによって電力の大変消費をしている産業でありますアルミ精錬とか、こういうところは好影響が出てくるんではないかなと、こういうふうに考えるんですね。また、不況によって、所得がふえずに苦労されている中小企業や、一方で税金ばかりが増加する家計にとっても値下げというのは大変助かること、これは言うまでもないんです。これによって、最終需要が盛り上がって、経済全体が循環に入ると考えられますが、企画庁の方ではどういうようにお考えになっておるのか、まずお伺いします。
  39. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) 高杉委員御指摘のように、一兆五千七百億円ものボーナスが、どうも産油国から日本に移される、私どもはこのように考えております。したがって、電力料金と申しますか、電力関係のみならず、石油製品、またさらにそれらを原材料といたしますところの各種の製品に好影響をもたらすことは、先ほど赤羽政府委員も申したところでございます。  そこで、いま電力料金をどのようにするかというお尋ねでございます。  現在のところ、まだ電力会社、低廉な油を購入はしていないようでございますが、私どもは、この電力会社がどのように低廉な、引き下げられました原油を購入していくか、そしてそれが企業経理にどのように影響していくか、例のコスト計算の一つの方式がございますが、この観点から見る必要がある。もう一つは、省エネ投資あるいは代替エネルギー開発投資、このような大きな政策的な目標については、電力会社もそういう見地から新しい投資をこれまでやろうとしてきたことは御案内のとおりでございます。このような投資の必要等を考えながら、私どもは長期安定的な電力料金を決めるべきではないか、こんなふうに考えているわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、私は油の代金の低下が油の消費の増大につながると、こんなことはあってはいけない、将来のことを考えてみますと、やはり省エネ態勢あるいは代替エネルギー開発態勢は堅持していく必要があると、こんなふうに考えております。
  40. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 いまお話しいただきましたように、今回経済企画庁が公表しました五ドル値下げの影響というのは、原油値下げによって、電力など国内物価が下がって内需が増大するという姿勢で示されていると思うんですね。企画庁の公表した結果を、私は数字だけではなくて、具体的にどのような因果関係というのを持っていくのか、それから、経済的連鎖というものをどういうように描いているのか、この際、長官からちょっと具体的にお話を伺えればありがたいと思っているんですけれども。
  41. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) これは一九七八年の世界経済モデルからマクロ的に、たとえばGNPに対しては一年目〇・三五%、二年目では〇・九三%というふうに推定いたしたわけでございまして、高杉委員が御指摘のような、私はたとえば電力料金がどのように下がり、あるいは石油製品がどの程度下がり、そしてこれが企業と家計にどのように具体的に影響をしていくかというような詳細な、何と申しますか具体的な政策手段を伴ってまでの計算ではないと理解しているところでございます。これからひとつ、新しいまたモデル、あるいは新しい最近の経済情勢のもとで、しかも政策判断を加えながら、この原油の値下げを経済の中でいい影響をもたらすような方向で考えていきたいと考えております。
  42. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 次に、昭和五十八年度の経済見通しの基本的な態度というのは、これは政府経済見通しを作成した時期ですね、時期はいつごろなんですか。
  43. 田中誠一郎

    政府委員田中誠一郎君) 昨年の暮れ、予算の編成に合わせて作成したわけでございます。
  44. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 そうしますと、いま長官からもお答えいただきました今回のOPECの原油値下げ、これは政府経済見通しでは織り込んでいないですね。こう考えていいんでしょうか。
  45. 田中誠一郎

    政府委員田中誠一郎君) 見通しの前提といたしまして、石油価格につきましては弱含みで推移するんではないかというふうには想定してございますが、今回の大幅な値下げというものまでは想定しておりません。
  46. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 そうだとしますと、この五十八年度の卸売物価、これはマイナス一%、消費者物価が二・一%程度になると考えていいのかどうか。
  47. 田中誠一郎

    政府委員田中誠一郎君) 私ども、見通しを作成する段階におきましては、ただいま申し上げたような事情でございますが、何分にも原油価格の今後の動き全体として見ますと非常に不確定な要因がございます。したがいまして、そういった不確定な要因がどの程度実現するのかというのは、まだなお推移を見る必要があるのではないかというふうに考えているわけでございます。
  48. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 それなら、消費者物価卸売物価が下がる、こういうふうに公表したわけですね。 公表数値が産業連関表や世界モデルを扱った理論値である、こう理解するんですけれども、それでは物価を担当する企画庁としては、どの程度下げようという目標、その当時目標を定めていたのかどうか、その点もちょっと伺いたいんです。
  49. 田中誠一郎

    政府委員田中誠一郎君) 物価に限りませんで、私ども、経済見通し全体でございますが、当時の幾つかの条件のもとで想定したわけでございますが、今回発表いたしました石油価格引き下げ影響、ただいま御指摘のとおり実質GNPあるいは物価への影響と申しますのは、五ドルの影響が年間を通じて出た場合、理論的にどうなるかという試算でございますし、大臣から御説明申し上げましたとおり、特に成長率等につきましては一九七八年までのデータを入れたモデルによる理論値ということでございまして、各種の機関がいろいろ試算をしておりますが、それぞれの前提の置き方によって違っているということもございます。したがって、私どもとしては、これは一つの理論的な前提で考えますと、こういった値になるという形でお示ししたものでございます。
  50. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 数字は公表しましたが、それはいまお答えがありましたように理論値である。実際の価格市場で決まるものだとして、そういう市場で決まるというようなことであれば、企画庁としてどういう具体的な施策というのがあるのか、私はちょっと理解ができないんです。物価引き下げの目標数値が、さきに公表した卸売物価で二・一%でしょう。それから消費者物価一・一%、こういうふうに発表しているわけですから、それではその判断の基準等について、これはどういうところなんだということをさらに聞きたいわけなんですけれども、その点はどうでしょう。
  51. 赤羽隆夫

    政府委員赤羽隆夫君) 先ほど御説明申し上げました数字でございますけれども、これは発表分のところにも注書きをしてございますように、産業連関表を使って計算をした、試算をした数字と、こういうことになっております。産業連関表を使って試算した数字というのがどういうものであるかということを、先ほど合成繊維のワイシャツのお話をいたしましたけれども、合成繊維のワイシャツについて御説明を申し上げたいと思います。  専門家に伺いますと、合成繊維のワイシャツ一着に使っております原油代というのは大体十数円だそうでございます。これは直接ポリエステルの原料になる原油代が十数円ということでございますから、それ以外にもいろいろな間接的に原油が使われていると、こういうことだと思われます。したがいまして、恐らく二十円程度のものが使われている。これが今回の五ドルの引き下げによりまして、全体として石油の輸入価格が一五%下がる、こういうことでございますから、ワイシャツ一着代当たりのコストの低下というのは三円ということになると思います。現実に私どもが着用しておりますワイシャツ、市販されておりますのが四千円とか五千円とか、この四千円のワイシャツが三千九百九十七円になると、こういう計算で計算をいたしますと、これだけの消費者物価に対する引き下げ要因になるということでございます。しかし、現実に四千円というふうに値段がついておりましたワイシャツが三円下がったからといって三千九百九十七円になると、これはきわめて非現実的なケースだと思います。こういったようなことがございますのと、もう一つは、これは即刻効果がいま申しましたように三千九百九十七円まで及ぶと、こういう計算でございます。ところが、実際にはこの効果が及ぶにかなりの時間がかかると思います。これはそのときどきの物価情勢、それから景気情勢、需給のバランスによって変わってくるわけでありますけれども、たまたま五十五年度の例から推測をいたしますと、消費者物価の段階まで輸入原材料価格の低下が及んできます期間というのは大体三、四半期ぐらいかかる、こういうふうに思われます。この三、四半期の間にまたいろいろなことが起こると思います。石油の製品は下がったわけでありますけれども、また改めてそのコストを上げるような別の要因も起こってくるかと思います。そういう意味で申しまして三・三%という当初見通しから一・一%引いて二・二%にすぐ見通しを改定すると、こういうことではないと、こういうふうに承知している次第でございます。
  52. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 三月四日の衆議院予算分科会で企画庁で答弁されているのを見ますと、当時ですから原油四ドル下げで消費者物価が〇・六%から〇・七%下がる、卸売物価が一・五%程度下がる、こういうように答弁しているわけですね。今回公表されました数値でいきますと少し数字が違うんじゃないかと、こう思うんですけれども、その違いというのはどこにあるんですか。
  53. 赤羽隆夫

    政府委員赤羽隆夫君) あれは四ドル下がるということでお答え申し上げました。今回は五ドルということでやりまして、その間に若干この数字を精査をしたと、こういうことでございます。四ドルぐらいなところで一・五%と、これが五ドルで二・一%、卸売物価の場合ですけれども、やや数字が違うじゃないかという御指摘かと思いますけれども、これはその後精査をいたしましてこういう数字になったということでございます。本質的には変わった数字とは考えておりません。
  54. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 次に個別の価格について若干伺いたいと思うんですけれども、電力、ガス料金について企画庁、通産省の方はどういうようにお考えになっているのか、まず伺います。特に、電力について景気対策の絡みで電力料金を下げずに設備投資に回せという意見もありますね。現在策定中の設備投資計画に加えてさらに投資を行ってもそれだけの需要増が見込めずにかえって負担増になるという考え、こういうのもあると思うんですね。この原油値下げという好機、まさに先ほど長官が言われましたようにまさしく天の恵みだと考えるんです。私は国民に広くこれを還元して分かつべきだと考えるんです。長官のまず御見解も伺い、それぞれいま個別の価格についての見解も伺いたいと思うんです。
  55. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) 電力料金につきましては私どもたびたび御答弁をしているところでございますが、ともかくもこの原油の値下げが反映できるような長期安定的な料金が望ましいというふうに考えております。  五十三年に例の円高を原因といたしますところの収益の増加、これを二百七十円という形で国民に還元いたしましたが、五十五年にはもう五割も電力料金引き上げる形できわめて短期間の料金体系になってしまったことがいまいろいろと反省されているところでございます。私どもは、景気対策といたしましては、やはり料金引き下げも必要でございますが、同時にまた電力会社の省エネ投資、代替エネルギー開発投資も重要なことだと思います。しかしながら、いまおっしゃいましたように電力会社はいまなかなか売り上げが低迷し、設備もいまさしあたって増加しなければならない必要があるかどうか等について検討をしているぐらい設備投資についてもいろいろ問題があるようでございます。私どもはこれらのいろいろの要素を考えまして、これを長期安定的な料金で、しかも原油の値下げがその中に生きるような形での電力料金を考えるべきだと、こんなふうに考えております。
  56. 黒田直樹

    説明員(黒田直樹君) 原油価格の値下げに伴います電気料金の取り扱いの問題に関しましては、ただいま経済企画庁長官から御答弁がございましたように、いろいろな要因を考えて判断すべき必要があろうかと考えているところでございます。  先ほど来御議論がございますように、原油価格の低下の状況、これがどういうふうに続いていくか、それからそれが実際にわが国の石油の輸入、あるいは石油会社を通ずる電力会社の石油製品の購入にどういうふうに価格に反映されているか、そういうこと自体現在のところまだ不透明でございますし、この原油価格の値下げに伴いまして、電力会社の燃料費のコストが相当減少されるといたしましても、他方で人件費とか修繕費とかいったようないろいろな電力会社のコスト増要因があるわけでございます。  それから為替レートの動向であるとか、あるいは電力会社に特有でございますが、依然として水力に二割程度依存しておりますので、豊水になるか渇水になるかといったようないろいろな変動要因、不確定要因もあるわけでございます。  さらに、いま経済企画庁長官からお答えになりましたように、料金長期安定という要請もございまして、五十三年度の円高差益還元の直後に五〇%の大幅値上げになったというような事態もございまして、これにつきましては各方面からいろいろ御批判も受けているところでございます。したがいまして、そういうようないろいろな要因を総合的に判断いたしまして、今後慎重に考えていく必要があるというのが私どもの考え方でございます。
  57. 渡辺光夫

    説明員(渡辺光夫君) 電気事業者の設備投資の件でお答え申し上げたいと思います。  五十八年度の電気事業者の設備投資計画につきましては、現在通産省で調査中でございまして、本日段階では詳細な数字を御報告する状況にはございません。いずれにしましても通産省としましては、電気事業の設備投資というのは安定した供給基盤をつくっていくことが第一の眼目であるというふうに考えておりまして、中長期的な観点から計画的に着実に実施していくということが大事であるということで考えておるわけでございまして、五十八年度の設備投資につきましても、このような観点で電気事業者の設備投資の計画というものを審査してまいりたいというふうに考えております。  もう一つ私どもとして大変大事だと思っておりますのは、従来から、石油から離れた電源の多様化を図るというのがエネルギー政策の基本だというふうに考えてきておりますので、そのような観点もあわせて考慮していく必要があるだろうというふうに考えております。いずれにいたしましても、最近の電力の需給の動向を見ますとやや伸び悩みという状況が見られるわけでございますから、そういう事態も十分反映したような設備投資計画になるようにというふうに考えておるところでございます。
  58. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 かつて円高差益という時期がありました。電力料金でもガス料金でも、当然国民に還元すべきだと、従来私どもで審議をしてきたところでありますから、ぜひ好機でありますから、国民に還元するような積極的な方向も含めて長官のお取り組みをお願いしたい、こう考えます。  同時にまた、この際、運輸省に伺いたいと思うんですが、国鉄運賃、私鉄運賃、航空運賃、バス、タクシー等々の公共料金についてどういうふうにお考えになっているのか、この原油値下げについてですね。私鉄、タクシーは五十六年に値上げをしましたけれども、従来のパターンからきますと、ことしあたりが、もういまごろそろそろ値上げになるんじゃないかというようなころだと思うんですけれども、これにどういうように対処されるか、この際伺いたいと思います。
  59. 日野西光温

    説明員日野西光温君) 私どもの公共輸送機関の運賃料金につきましては、能率的な経営のもとで交通サービスの提供に要する適正なコストに見合った水準に定められるということを原則としております。今回の原油の値下がりが、私どもの公共輸送機関の原価の動力費とか燃料費にどのような形ではね返ってくるのか不明なところがございますけれども、原油の値下がりに連動して動力費、燃料費が下がった場合、いまお話に出ました鉄道、バス、タクシーにつきましては、その原価の中で動力費とか燃料費は占める割合が小そうございますので、今回の原油値下げによる原価に与える影響は、私どもとしては非常に小さいんではないかというふうに考えております。ただ、原価に大きなウエートを占めます人件費を中心としまして、それ以外の資本費等が年々上昇しております。それからまた、公共輸送機関に対する需要は非常に低迷しておりますし、交通企業の経営というのは非常に苦しいというのが現状でございます。したがいまして、今後具体的な運賃料金改定の取り扱いに当たりましては、企業の内部において合理化を徹底させ、それでもなお収支が相償わないというような場合には、物価国民生活に及ぼす影響を十分配慮しながら厳正に取り扱ってまいりたいというふうに考えております。
  60. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 次に、ガソリン、灯油の価格についてお伺いをしたいと思うんですが、ガソリンがここへ来まして、一リットル当たり百四十円台のスタンドというのが出てきているんですね。また灯油も、二月の通産省調査では大きく下がっているんですね。値下がりが非常に目立つんです。それは一体どういうのが原因かというのをどういうようにつかんでおられるか、これをまず一つ。  それから、もし原油値下げの先取りをしようとするなら、今後どの程度下がるのか、あるいはもう製品価格の値下げというのはないのかですね、この辺の見通しについてもちょっと伺いたいと、こう思うんです。  で、最近のガソリン、灯油の値下げは原油価格の値下げに名をかりたもので、実は第二次石油値上げの際に価格を上げ過ぎて需要不振に陥った反動で下げたのではないかと、こういうふうに思われるんです。この点も御意見を伺いたいと思っています。
  61. 赤羽隆夫

    政府委員赤羽隆夫君) 最近の石油製品価格、特にガソリン及び灯油の価格動向がかなり値下がりを続けている、こういうことは御指摘のとおりでございます。ただし、先生御指摘になりました一リットル当たり百四十円台というのは必ずしも一般ではないと、こういうふうに思います。本日公表になりました三月の東京都区部の消費者物価の速報で見ますと、一リットル当たりのガソリン代金は平均して百六十八円、こういうことでございまして、確かに百五十円台、百四十円台というスタンドがあることは承知しておりますけれども、平均してそれだけ下がっているものと、こういうふうには私ども認識をしておりません。ただ、現在の値下がりというものが石油の五ドル値下がりの先取りではないか、こういったような点は確かにそう見れるところもあるということだと思いますが、もう一つ加えまして、地域的ないわば、何といいますか、競争の激しさと申しますか、そういったような要因もあるもの、こういうふうに考えております。  それから、第二次石油ショックによりますところの値上げが大き過ぎたのではないか、こういう点につきましては、私ども原価まで調べて検討しているわけではございません。石油製品につきましては別の委員会などでも私どもから繰り返し御答弁申し上げておりますけれども、まず供給確保した上で、あとは市場の需給関係に任せる。もし上がれば、当然消費者はこれを節約するでありましょう。また、安く売れるところは安く売ることによってシェアを広げて自分の利益をふやすと、こういう業者の行動が期待されるでありましょう。こういうことで、需給に応じて決まる価格、これに任したい、こういうふうなことを申し上げております。需給に任す場合に、供給側の方が供給をしぼると、こういうことがあってはいけない、こういうことで供給をスムーズに、かつたっぷりとしていただく。この点は強く通産当局にも指導をお願いしておると。そういうことで、石油供給計画などでも、特に灯油でございますけれども、需要期直前の九月末の灯油在庫というものを、大体冬の期間の需要期の消費量に対して四割ぐらい準備していただくと、こういったような指導をしていただいた上で、あとは需給の情勢に任せる、こういうふうにしておる次第でございます。ことしの場合には、暖冬という好影響もございまして需給がかなり緩んで下がっていると、こういうふうに認識しているわけでございます。  一部に今回の値下がりの先取りがあるという見方については、そういうこともあるいは一部あろうか、こういうふうに認識している次第でございます。
  62. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 せっかく日銀総裁が御出席でありますから、私の時間ももうわずかになりましたが、最後に総裁にこの際お伺いをして質問を終えたいと思うんですけれども、先ほど来、政府の景 気対策あるいは原油値下げ等々について質疑をしてまいりまして、この際、総裁にお伺いをいたしたいと思うんですが、景気対策としての財政政策が現状のように大きな期待がかけられないとすれば、どうしても金融政策、こういうことになると考えるんです。西ドイツでは、三月十七日に予想を上回る一%という大幅な金利下げを実施しました。日銀が物価安定、為替レートの安定等を重視することは当然だと十分理解できるんですけれども、国内景気現状を見ますと、実質金利、これは少し高いと、こう思われるんです。原油価格の値下がりやアメリカの景気回復状況金利動向を考えますと、わが国でも公定歩合を下げる、そういう下げ得る環境というのが整ってきているのではないか、こう思うんです。この際、総裁の御見解、御判断を伺いたいと思います。
  63. 前川春雄

    参考人前川春雄君) 景気現状は、私ども停滞傾向が引き続き続いておるというふうに判断しております。一方、物価の方は非常に安定しておりまして、先進国の中では一番安定しておるという状態でございます。そういう環境の中で、景気にいい影響があると思われる施策をとることは当然であるというふうに思います。ただその結果、悪い影響が出てくるのでは何にもならないわけでございまして、そういう点で金融政策の運営も、その両者の比較考量の上に立って判断してまいらなければならないという現状であろうと思います。  いま御指摘の実質金利は、物価が安定しておりますので、金利水準が実質的には高いのではないかという点は、最近の日本の物価から言えば確かにそういうことは言えるであろうというふうに思います。ただ、金利を下げてまいりますときに、金利政策、公定歩合政策を私ども考えてまいりますときには、いろいろな要素を総合的に判断してまいらなければならないわけでございまするが、最近の状態から申しますると、一番の制約要因は為替相場であろうというふうに思います。  為替相場につきましては、御案内のように、昨年は非常に大幅に変動をいたしました。それが経済活動に悪い影響があったというふうに思っておりますので、私どももそういう点からは相場を極力安定させていくということが必要であろうと思っております。  その際に、水準をどういうふうに考えるかということでございまするが、いまの円相場は、とかく円安の方に振れがちな状態であることは御承知のとおりでございます。ことしになりまして、二百三十円ぐらいのところがわりあい続いておるわけでございまするけれども、何か事がありますると、すぐ二百四十円ぐらいの円安になってしまうということでございまして、非常に不安定であるというふうに思います。先ほど来、本委員会で御議論になっておられまする原油価格引き下げられたということは非常な朗報でございまするけれども、一方為替が円安になってしまっては、原油価格引き下げられた効果が日本の国内経済に均てんしないということになりまするので、そういう意味から申しましても、為替相場円安の方に振れないようにしてまいらなければいけないというふうに思っております。  そういう点で、公定歩合の操作ということが、この為替相場にどういうふうに影響するかという点につきましては、いろいろな要素がございまするので、なかなか一概には申せませんけれども、昨年来の円安の背景の大きな要素、全部ではございませんけれども、大きな要素としては、内外金利差があったというふうに思います。アメリカの金利が高い、日本の金利は安い、したがって、金利差がございますると、どうしても資本が海外に流出するということになりまするので、円安に働きがちだったというふうに思っております。そういう点から申しまして、公定歩合の引き下げというのは、いまの海外の金利を考えますると、内外金利差をそれだけ広げるということになりまするので、それが円相場円安の方に振れさせないように十分配慮してまいらなければいけないというふうに考えております。為替相場市場、非常に不安定でございまして、なかなかその辺の見きわめは容易ではございませんけれども、私どもが景気のためを配慮した施策がかえって円安に働き、それが日本の経済全体のビジネスマインドなり物価マインドに悪い影響があるということでは、その大目的が達せられないわけでございまするので、そういう点は十分慎重に配慮してまいりたいというふうに考えております。
  64. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 斎藤栄三郎です。  日銀総裁、お忙しいところを御出席いただきましてありがとうございました。御時間の御都合もあるようですから、まず、総裁に最初質問させていただきます。  いまの高杉委員の質問に対する御回答、従来から一歩も前進しておりません。私がわざわざここに御臨席賜ったのは、もう少し詳しくお伺いしたいんで、じゃ、内外の金利差とおっしゃるが、日米間の金利差はどれくらいが適当とお考えか、これが第一問。  第二は、円の安定と言うが、二百二十円を目標にするのか、もっと具体的に言えば、それ以下なのか以上なのか、その辺。  それから私は、職業的心配屋と言われる日本銀行ですから、いつになったってそういう不安はなくならないだろうと思うんです。そこはあとはもう総裁の腹だと思うんです。  その三点について御意見を率直にお伺いしたいと思います。
  65. 前川春雄

    参考人前川春雄君) 内外金利差はどの程度が適当だと判断されるかということは、これも私どもの判断よりも市場関係者の判断ということであろうというふうに思います。市場関係者がどういうふうに判断するかというのは、これまたいろいろの要素がございます。金利差だけではない、為替リスクがございますから。いまアメリカの国債の利回りは大体一〇・六から一〇・七でございましょう。日本の国債は、いま利回りが八をちょっと切ったところ、七・九ぐらいでございますか、金利差が二・六、七あるということでございます。これは国債だけを比較したものでございまして、その他の債券については、いろいろ個々に比較する対象にバラエティーがございまするから一々は挙げませんけれども、大体その程度金利差がいまはあるわけでございます。そういう事態で、いまでも海外投資、債券投資というのはかなり多額に上っております。今月も相当の対外投資が行われておるわけでございます。利ざやがそれだけあれば、その点だけでも一つの利益になるわけですが、為替のリスクがある。ドルが、債券投資を日本へまた取り戻すときに、ドル安になっておるということになりますると、それだけ利益が減るわけでございますから、その為替リスクをどういうふうに判断するかというのが、これが先ほど私が申し上げました、これは市中の判断であって、私どもがそれを判断しても、それが市中は果たしてそういうふうに思うかどうかは別問題であります。したがいまして、この利ざやが、内外金利差がどの程度であるのが適当であるかということは、なかなか一概に言えない、市中の判断ということでございます。ただ、こういうふうな利ざやがまだあるという事実は、これは動かすことはできない。そういう利ざやがある以上、国内の投資家にとっては一つの魅力がある投資であるということは当然であろうというふうに思います。そういう事態がさらに広がるということがいいのかどうか、そういう点の判断がなかなかむずかしいところであり、それが円安に響かないようにしないといけないというのが私どもの考え方でございます。  為替相場の水準をどう考えるかという点、これも基準があるわけではございません。いろいろ為替相場につきましては、購買力平価であるとか、いろいろな為替相場を支配する理論が、理屈がございます。しかし、最近では購買力平価というのはなかなか妥当しない状態になっている。それは物価の点をごらんになればすぐわかることでございまして、日本のCPIが二%台である、アメリカはまだ三・六%、ヨーロッパもそのくらいであ るということであるならば、当然円はもっと強くなってしかるべきである。それがなかなか、いま先ほど申し上げましたように、円安の方に振れたがるという点に問題がある。それは、購買力平価だけでなしに、金利差というものがある程度の要素であるというふうに思っておるわけでございます。この水準がどのくらいであれば妥当だというふうに私が判断しているかという点は、これは私どもも、いまのような変動相場制のもとでは、水準は幾らが適当であるかということを判断することは困難でございますが、ただ一つ言えることは、海外では、いまの円相場は明らかに円安であるというふうに見ておるのが大部分である。最近の財務長官の発言もそうでございました。米国の民間あるいは国会等でもそういう発言がしばしば行われている。いまの相場水準は、決してこれが円高の方に動いている相場であるとはだれも判断しておらぬというふうに思います。したがいまして、水準が幾らであれば適正であるかということ、なかんずく、私が申し上げることは非常に適当でないのでそれは申し上げませんけれども、少なくとも、いまの水準が円安の方に振れているという見方が海外に多いということだけは申すことはできると思います。  最後に、腹がないじゃないかというお話がございましたけれども、十分慎重に対処してまいるつもりでございます。
  66. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 いまの総裁のお言葉の中にあった、為替相場がいま変動制であるから、どのぐらいが適当かということは言明できない、お立場上もっともだろうと思います。  そこで、変動相場制に移ってちょうど十年、これでまた固定相場に戻れという意見もありますし、またワイダーバンドにしてはどうかという御意見もありますが、この点はどうお考えでしょうか。
  67. 前川春雄

    参考人前川春雄君) 変動相場制というのは、私は前にも申し上げたことがあるんですけれども、制度という名に値するかどうか疑問であるというふうに思います。長い間の固定平価制度が守れなくなったためにやむを得ず変動相場制に移向したというのが実情でございまして、二つ制度があってどっちがいいかということを選んだわけではないわけでございます。この変動相場制にせざるを得なかったというには、そういう各国の間のインフレ率、成長率あるいは生産性、そういうものに非常に差がある、またそれが非常に動くときにはなかなか固定平価制度を守れない。これはいまのEMSが最近再調整をいたしましたけれども、ああいうふうに、あれは完全なる固定制度ではございませんけれども、ああいうECの間ですら守れない。ましてや、それを全世界で守ろうというのは非常に困難であるということから変動制になっておる。しかし、変動相場制の中でも余り大きく変動することは経済活動には悪い影響がある、これを何とかもう少し安定させなきゃいけないというのは関係者のひとしく念願するところでございます。  しかし、固定平価制度を守れないということの背景の、インフレ率が違うとかあるいは成長率が違う、生産性が違うというような点はなかなか均一性がとれない。したがって、そういうこの変動相場制の中で相場を安定さしていくということはなかなか容易なことではない。ただ、いまの世界の先進国の間ではインフレ率がだんだんそろってまいりましたから、いろいろそういう点につきまして、いままでの変動相場制の弊害を考えながら、さらに安定させることを考えやすい環境になってきたというふうに思います。  ただ、これにはいろいろの案がございまするけれども、ワイダーバンドというのは、やはり平価の変動の幅、変動の水準について一定の合意がないといけない。その合意につきましては、EMSの再調整が先日、三日間かかったということを見ても、各国の間の水準の調整というのはそう簡単にできるものではない。ましてや、ECではなくて、世界じゅうの先進国の間でそういうことをつくるということはなかなか困難であろうというふうに思います。しかし、変動相場制のもとにおける相場変動の悪影響というのがだんだん認識されるにつれて、そういうふうな相場安定についてもう少し何か考えようがあるんじゃないかという機運が出ていることは事実でございます。どういうふうになりますか、なかなか、これから議論されるところでございまするが、私自身は相場制度のもとで技術的にいろいろなことを考えるというのは、むしろ第二次的な問題であって、基本的には先進国の間の経済政策、財政金融政策の間の整合性というものがないと、昨年のようにアメリカがああいうふうに金利を上げてしまえば、どうしても相場の安定を期することはできないわけでございまするから、そういう意味で経済政策の整合性があるということが確保されることが基本的である。そのもとで相場制度について技術的に考えるということは、ある程度いろいろな考え方が出ると思います。思いまするけれども、もし基本的な政策の整合性がなくて技術的なところだけをやっても、それは相場の安定を期することはできないというふうに思います。
  68. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 日銀総裁、最後に一問。  最近、非常に景気が悪いために、金融機関としてはいい貸出先がない。したがって預貸率が非常に下がっております。ある信用金庫のごときは六二%までいっている。そこで、都市銀行や地方銀行並びに信用金庫などがサラ金業者に大量に金を出している。それで非常に喜んでいるのはサラ金業者でありますけれども、非常に金利が高いために困っている人たちも非常に多い。このような金融のあり方をどうお考えになるか、これをお答えいただいて御退席いただいて結構です。
  69. 前川春雄

    参考人前川春雄君) 経済活動がこういうふうに停滞傾向を続けておるということが資金需要が弱い大きな背景でございます。しかし、同時に最近高度成長時代と違って日本の国内の資金移動、マネーフローが変わってきた。財政の赤字が大きいために金がそちらから出る、企業のリキュディティーと申しますか、流動性が非常に高まってきている。したがって、高度成長期のように金融機関に対する資金需要というのは一般的に少なくなってきているという背景があるわけでございます。したがいまして、そういうふうな預賃率が下がったということが悪いとは必ずしも言えない。そういう事態は、むしろこういうふうなマネーフロー、資金フローが変わってきたことの反映でございまするので、ある程度はそういう結果が起こることは当然であろうというふうに思います。金融機関が、そういう中で融資の健全性を図っていくということは、これまた当然のことであって、金融機関は社会的な責任があるわけですから、預金の保護、確保ということは当然の責務でありまするので、資産の運用に健全性を図っていくということは当然のことであります。  サラ金に対する貸し出しが健全であるかどうかということは、また別の見地から判断しなければいけないことであると思いますが、基本的に私はそれは金融機関自分自身の問題であるというふうに思っております。指導あるいは行政を法律で命令するということでなしに、金融機関自身が健全な資金運用を図っていくということは当然の金融機関の責務であり、それは金融機関というものが負っている最大の責任であろうというふうに思っております。
  70. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 じゃ、塩崎長官にお伺いいたします。  この油の値下がりは恐らく長官も驚かれたろうと思うんです。ここに「OPEC」という本、去年出された本です。非常にいい本で長官も御存じであると思いますが、この中に一九八六年には一バレル当たり九十ドルになるだろうという予想が去年出ている。それがわずか半年ぐらいの間に値下げですから、これはこの著者も驚いているだろうが、私たちもこれを神風だとして非常に喜んで受けとめております。  それによると、経済企画庁の統計で、先ほど長官のお言葉にもありましたように一年間に〇・三五%押し上げることになる。  そこで、私がお伺いしたいのは、では、それで租税収入がどれくらいふえるかという問題なんです。
  71. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) お答え申し上げます。  私、元主税局長でございましたから、本来ならすぐ計算ができなきゃいけないんでございますが、そこまでは、政治家になりますとなかなかむずかしいのでいたしたこともございません。恐らく、企画庁も企業収益及び家計に及ぼす影響等から見てなかなか推測はできないので出していないと思います。出しておるかもしれません。恐らくモデル計算でうまくやれば出るはずかと思うんでございますが、私は租税収入までまだ報告を聞いておりません。
  72. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 大蔵省おられますか、どうぞ。
  73. 新藤恒男

    説明員(新藤恒男君) 原油価格引き下げに伴います税収への影響でございますけれども、石油価格が低下いたしますれば、一般論といたしましては企業の原料コストの低下ということで収益にプラスになるということでございますから、税収面にもいい影響を与えるんじゃないかということが言えるだろうと思います。ただ、いろんな問題がございまして、じゃどの程度税収に影響するかということを具体的に申し上げるというのは大変むずかしい話ではないかというふうに考えているわけでございます。  具体的に五十八年度は税収どうなるかということになりますと、確かにコスト面で効果があって、収益、税収にプラスになるかもしれませんけれども、その波及の程度とかあるいはその時期とかいろんなむずかしい問題があって、その辺の見きわめがむずかしいということがございます。  それから、特にその税収の中でも影響が一番大きいと思われます法人税でございますけれども、法人税につきましては、御承知のとおり決算期がさまざまでございまして、その時期によって原油価格の低下に伴います影響が五十八年度なら五十八年度にどの程度出てくるかということがさまざまでございまして、その見きわめもなかなかむずかしいということでございます。いろんな情報、情勢を考えますと、いまの時点で税収にどう影響するかということまで申し上げるような状況にはないわけでございまして、私どもといたしましても、当面は事態のこの推移というものを十分見きわめて、情報把握というふうな面にも努めていくということではないかというふうに考えております。
  74. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 結局、長官並びに大蔵御当局からも数字は得られなかったわけですが、私は相当多いだろうと思うんです。したがって、その金が入ったら、それを財源にして減税をなさることが景気対策として望ましいんじゃないかと思いますが、長官、いかがでしょうか。
  75. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) 所得税の減税は国会の申し合わせで、政府といたしましては最大限の努力をして実施すべきだということをたびたび申し上げているところでございます。いま幾らぐらいの税収増加に原油の引き下げがはね返るか、一兆六千億近い所得の移転があるわけでございます。それがいつから生ずるか、いろいろございましょう。二百八十一兆円のGNPの上にそれがプラスされるならば、そこで限界税率みたいな計算をすれば私なりに計算はできるんですけれども、それは大変いま新藤課長が言われましたようにあやふやなものでございますから、そんなことを当てにして減税を進めていくことも大変危険性が伴うような気がするわけでございます。もちろん実績を見てこれをどう処理するか、その判断をきわめた後であれば別でございますが、私はこれを財源で、いまから推測をして減税をするということは、いまの財政再建がむずかしい折からなかなかむずかしい状況ではなかろうか。これは大蔵大臣が判断する問題でございますけれども、私が見ておりますところ、そんな感じがいたしております。
  76. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 景気振興策、内閣がお決めになるその内容を拝見すると、ちっとも新味がないんですね。何か新しいアイデアがないかといろいろとない知恵をしぼっているんですが、実は去年のこの会でやはり提案をいたしましたが、何ら取り上げられませんでした。もう一回長官に提案をいたします。  これは台湾で現にやって非常に成功している制度ですが、一万以上の物を買うと必ずこういうレシートをくれるわけです。これを後で回覧いたしますからごらんいただきたい。それにナンバーがついておって、月末で締め切って翌月の十五日で抽せんをいたします。抽せんして当たりますと金がもらえるわけでありますから富くじですね、これ国がやっているわけです。これをやることによって私は税収がかなりふえると思います。たとえば、いま日本で言うと料理飲食税、年間大体四千三百億円の予算を立ててあるわけですが、どうも承ると、これは町の声ですけれども、三割程度しか徴収できてないんじゃないか、七割ぐらいは逃れているだろう。それは領収証を取らないからです。こういう制度をやれば領収証をぴちんと取りますから一兆円ぐらいの税収になるであろうと言われる。それは料理飲食税だけです。そしてこれを出すことによって、一万以上のものにこれを出すんですから、九千円ぐらいのものは一万円買うようになるし、特に子供たちはそういう刺激を受けるだろう。  だから何かやはりひとつ喜んで税金を納めるような方法を考えなきゃいけないんで、いまのやり方のように国税庁が踏み込んでいっては御用と言って取ってくるというやり方ではますます萎縮しちゃう。そうじゃなしに、喜んで税金を納めて、当たるかもわからぬ、当たったら土地つきの家が一軒もらえると、こういう調子にやることが実は新しいアイデアじゃないかと思うんです。それをやらないで、いままでと同じように公共事業の前倒しだとか内需振興と言っているけれども、いま平和が三十八年も続いちゃっていますから、なかなかそう簡単に内需が振興できるはずがないんであります。そこでひとつ、長官だったらもうできるんじゃないかと思いますから提案をいたします。ごらんいただきたいと思います。いかがでしょうか。
  77. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) 先ほど来、日銀総裁に対する御質問なども聞いておりましても、やはり斎藤経済学博士のような大変鋭い私は御質問で傾聴に値すると思って伺っておりました。  何かこのような時期でございますから、大きな何と申しますか、転換と申しますか、頭脳の転換をしなければならないことはもう御指摘のとおりだと思います。なかなかしかし、税金の話などは私も三十年もやってまいりましたが、やはり、なかなか覇道と申しますか、税収を上げるには覇道というものはなかなかなくて、やっぱり王道を歩まなければならないような感じがいたしますが、いまの御提案いろいろと問題もございましょうけれども、私どもも研究はしなければならない、こういうふうに思います。
  78. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 どうぞ十分御研究いただきたいと思います。台湾ではそれは非常な成功をしております。  そのやり方をちょっと言いますと、不動産の売買についてはそういうナンバーのついた領収証は出さなくていい。それから医療費、医者です。それから生活必需品の売買にもそれは出さなくていい。それ以外のものについては必ずそういうものを出しておくわけです。これは私自身が去年、おととしと台湾に行ったときに現に買って、もらってきたもので、私自身はもう旅行者ですから、帰っちゃっていますから当せんの結果はわかりませんけれども、非常にそれを出すことによって税収の確保を図っているのが台湾政府のやり方だと思います。  もう一つ、次に長官にお伺いいたしますが、公共事業、特に電力料金引き下げが問題になっていますけれども、私は日本経済を見ていると、政府が手がけた公共事業とか、あるいは政府が過保護になっている事業というものは大体進歩がおくれちゃっている、つぶれる心配がないからです。一方、民間の激しい競争にさらされているも のは非常な発展をする。たとえば一番最近の例で言うとワードプロセッサー、四年前には六百七十万で売り出したものが、とうとう今度は五十万を切って売り出している。それは激しい競争の結果です。したがって、この際、油が下がったから電力料金下げろというのは当然の主張でありますけれども、もっと競争体質を植えつけないと、公共事業全般が第二の国鉄になっちゃうんじゃないかと懸念をいたしますが、この点いかがでしょうか。
  79. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) 斎藤先生らしい御主張で、私もやはり競争原理、これはもうあらゆる分野においてこれが本当に発揮されることが望ましい。しかし、そこは公共分野でどのように取り入れられるか、これはなかなかむずかしい問題でございますが、いまおっしゃったような一般的な原理としてのことは十分考えなければならないことだと思います。
  80. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 最後の問題ですが、今度政府がお決めになる景気対策の一つに、経済的な規制を緩和して活力を取り戻そう。大変私はいい着眼だと思うんです。どうも十重二十重に規制が行われている。それがために民間活力が殺されていると思うんです。したがって、この機会にぜひともこれを実行していただきたいし、具体的にやっていただくことを希望いたしますが、その一つとして私は独占禁止法もぜひとも改正しなければいけないんじゃないだろうか。昭和二十二年に独禁法ができて、そして今日まで二十四年、二十八年、五十二年と三回改正をしました。しかし、どうも高度成長時期にできた独占禁止法が、いまのような安定成長期に合わないという欠陥があるように存じます。したがって、長官としてお立場上言いにくかったらお答えにならなくても結構ですが、もしも率直に長官の御意見が拝聴できれば幸せだと思います。いかがでしょうか。
  81. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) 独占禁止法経済の憲法と言われているわけでございますが、私は、いま御指摘のようにいろいろの問題があって、これは根本的に見直すべきものであるというふうに私自体考えております。これは経済企画庁長官の役目かどうかわかりませんけれども、経済運営の基本的な問題でございますから、私は言い得ると思うのでございます。ただ、斎藤先生のおっしゃるように、独禁法の私的独占の禁止——三つ形態がございます。私的独占の禁止、それから不公正取引、それから不当な取引制限、この三つが独占禁止法の違反対象でございますが、これを規制と考えるのかどうか、私は規制と考えるべきではないような気がするわけであります。規制と考える見方もございましょう。私は規制と考えるんじゃなくて、私が申し上げたいのは、ひとつとにかく共同的にすべての人と仲よくやっていくこと、お互いに話し合っていくこと、これが美徳と考えている日本、しかし、それが悪徳と考えるアメリカ、そこから生まれた独禁法、道徳観といいますか、経済に対する何と申しますか、道徳観が全く違っておりますところの国ですね。しかも昭和二十二年に独禁法ができるまでは全く独禁法がなくて、むしろカルテルやトラストでいろいろ重要産業統制法の形で不況を乗り切ってきたような実績のある日本においてこれがなかなか根づいていない。しかし、これは精神面から返して、小学校からおまえの考え方は間違いで独禁法的な頭でいけと言うなら別でございますが、そうなってない今日、これはひとつ根本的に私は見直す必要がありはしないかというのが第一点でございます。  第二点は、私は中小企業のようなむしろ過当競争の人たちはなかなか共同行為もできない、話がまとまらない。しかも大変な不況で、片一方、不当廉売みたいな独禁法で取り締まるべきものがあるのにこの方はほっておいて、したがって不当廉売に対してみずからを守るために話し合いができたら、それはカルテルだと。こっちの方だけ監視、取り締まり、課徴金を課するようなやり方は独禁法の運用としても大変問題がありはしないか。公正取引というものは一つの独禁法上の厳然たる事実、この方がほっておかれている。私は根本的には、独占禁止法昭和二十二年にできて、これが日本の経済発展の大きな基礎となり、財閥解体の大きな基礎であり、経済力集中排除、農地法、財産税、このような面からの私は大きな効果は認めているわけでございます。しかし、そういった中小企業の面あるいはいまの日本人の根本的な思想、考え方、習慣、この面から問題があるということで、これは斎藤独禁法調査会の会長でございます。私もそういう点から先生にお願いをしたいと思っているぐらいでございます。
  82. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 最後に一つ。  大変懇切、適切な御返答で感謝いたします。どうぞ塩崎長官、まれに見る名長官なんですから、ひとつ景気をぜひとも早くよくしていただきますように心からお願いをいたしまして私の質問を終えます。  どうもありがとうございました。
  83. 片山甚市

    委員長片山甚市君) 午前の質疑はこの程度とし、午後二時まで休憩いたします。    午後零時二分休憩      ─────・─────    午後二時一分開会
  84. 片山甚市

    委員長片山甚市君) ただいまから物価等対策特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、当面の物価等対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  85. 上野雄文

    上野雄文君 最初に、原油値下げをめぐる問題から質問を申し上げたいと存じます。  五ドル原油の値段が下がりまして、これに対する経済効果がいろいろ言われておりますし、午前の高杉委員の質問でも国内に対する影響等について述べられたわけでありますけれども、長官の方から改めて世界経済国内経済に及ぼす効果、そういったものについてお話しをいただければと思います。
  86. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) OPECの原油五ドル引き下げ影響は、もうたびたび企画庁からも正式な形で発表したところでございまして、私どもは第一次石油ショック、第二次石油ショックで大変苦労してまいりましたが、今度はそれと逆の意味のいい影響が来るであろうと、こういうふうに考えているところでございます。  午前中もお話がございましたように、私どもにとって一兆五千億ないし六千億円程度のボーナスが産油国からわが日本に追加される、こういうふうに思うわけでございます。世界全体では大体三百十億ドルぐらいのボーナスが贈られると、こういうふうに言われているところでございます。したがいまして、日本ではGNPが一年目は御案内のように〇・三五%、二年目では〇・九三%、こういうふうに伸びると私どもの一九七八年代のモデル計算から推測されるところでございます。一方、世界では、OECDの推計でございますが、やり方が違うんでございましょう。一年目は〇・四五%、二年目は〇・六%程度の先進国のGNPが拡大すると、こんなような見通しを立てられておるところでございます。  ここ十年間物価が二・三倍に上がり、失業率が一・四から二・四%に上がってきた。そして、私どもは石油を三割ぐらいを節約してやっとこのところにたどり着いたわけでございます。大きな犠牲をいま申しましたように払ってまいりましただけに、私どもはこの原油の五ドル値下がりの事実を何としても国民経済の中に生かすような方向で政策を立てていかなければならないと、こんなふうに考えております。
  87. 上野雄文

    上野雄文君 お話のように大変なボーナスが飛び込んできたという、そういう立場に立って、これらの効果というものが国内に広く生かされてこなければならないのではないか、こう思うわけですが、午前中の赤羽物価局長ですかのお話によりますと、需給の情勢に任せていきたいし、具体的なものは三、四半期ぐらいかかるんではないかというようなお話がございました。私どもとしては、かつて為替レートの変化で大きな利益を得た企業が出たように、必ずしも効果が全体に及ばな い、そういう面もあるんで、政策的に電気料金あるいはガス料金、こういうものに引き下げという効果があらわれてくるような、そういう政策的なことができるんではないのかというふうに思うんですけれども、その点に関しての御所見を伺いたいと思います。
  88. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) 赤羽局長が答えられたのは私は一つの側面だと思います。石油の値下がり、それはいろいろな形であらわれるわけでございますが、たとえばその大部分を占めておりますところの石油製品、たとえばガソリンとか灯油あるいは重油、こういったものは、これは需給と申しますか、市場原理で支配されておる商品でございます。市場原理に任しておっても、適正な競争の結果、私は十分な値下がりの効果はその価格のうちに見られるんではないか。もうすでにガソリンなどは先取り値下げというようなかっこうが見られる、こういうふうに思っています。  しかし、市場原理に任されていないところの公共料金、つまり電力料金、ガス料金は、これは私は単に需給とか市場原理に任すだけでは足りない。これは大きな市場影響は見なければなりませんけれども、やはり独占会社であり公益会社でありますだけに、私どもはこれをどうするかは、やはり一つの政策的なと申しますか、国民経済を本当によくする意味での政策的な観点から見るべきである。その中にいま上野委員が言われました値下げの問題も入るかと思いますが、これは投資がいいかどうか、設備投資、省エネ投資、代替エネルギー開発投資がいいかどうか、電力料金引き下げ方向がいいかどうか。これらは十分今後の何と申しますか、電力会社の石油の購入の仕方、経理に及ぼす影響、それから水力、原子力との関係等、各種の数多い要素を考えて慎重に決定していかなければならないと思いますし、その目安はやはり長期安定的な料金だと思うところでございます。
  89. 上野雄文

    上野雄文君 そこで、これまでの経済運営というものは内需中心成長であったと思うんですけれども、これを達成するには最終需要であるところの個人の購買力を高める、そういう条件づくりが私は先決ではないかというふうに思っているわけでありますが、最近の春闘でも公務員の人勧が抑えつけられるというような状況が続いている折でもありますし、さらにまた、減税も行われない、こういう状況であるだけに、私は広く大衆に及ぶ電気、ガス料金、こういうものの引き下げをどうしてもやってもらいたい、こういうふうに思うんでありますけれども、いまお話しのようなことばかり言っておったんでは、せっかくのボーナスというものが、広い意味でのボーナス、長官の言われるようなかっこうになってこないんではないか、こう思うんですが、その辺についてはどうですか。
  90. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) 一兆五千億円ないし一兆六千億円のボーナスは、いま上野委員のおっしゃったように私どもは本当に天の恵み、ボーナスと考えて、国民経済の中に生かすべきであると思います。電力会社の投資という形、それが省エネ投資とかあるいは代替エネルギー開発投資とかいうような形になりますれば、これまた私はひとつ国民に還元されるところの、またあるいは地域経済開発のためのボーナスとも考え得ると思うんでございます。  一番わかりいいのは、もちろん電力料金引き下げでございまするけれども、私は企業の中の設備投資、これ自体ボーナスではないんだということにはならないと考えております。
  91. 上野雄文

    上野雄文君 さっき長官、御答弁というか、お話がありましたけれども、灯油であるとかガソリンであるとか、市場原理に任せられるというお話でしたが、実は私なんかも地域でガソリンの共同購入をやっているわけですよ。実例を申し上げますと、去年の五月の二十五日、リッター当たり百六十円だったんですね。八月の十三日には百七十円になりまして、十一月の一日には百六十七円、一月の二十一日には百六十五円、二月の五日には百六十二円、三月の一日には百六十円、三月の十六日には百五十六円、こういうふうに、現実にすでにOPECで五ドル引き下げの以前からこういう動きがずっと出てきまして、私ども共同購入やっている者からすればいい傾向であるわけです。これは引き下げ前のだぶついている状態で起こった現象でして、私はそう思っているんですが、向こうがどんどん下げてくるわけですから。こういうこととあわせて考えてみますと、どうしてもやっぱり政策的に手をつけなきゃならないものは、私は万難を排してやってもらうような姿勢というものはぜひとも持っていただきたいというふうに思うわけです。  そこで、原油の値下げ問題をめぐってOECDの方で分析をしているそうですが、先進国の財政経済運営いかんでは先進国経済は悪化するというレポートがまとめられているというんでありますけれども、その概要について、これは大蔵省の方からお話しをしていただければと思います。
  92. 江沢雄一

    説明員(江沢雄一君) お答え申し上げます。  御指摘の資料は、OECDの経済政策委員会の第三作業部会というのがございますが、そこでの議論のたたき台として出された資料のことを御指摘であろうと思います。このOECDの経済政策委員会の第三作業部会といいますのは、金融政策、財政政策と国際収支との関係を論議する委員会でございます。で、この資料はOPECが石油価格引き下げます以前の段階で、石油価格が仮に二五%下落するという仮定を置いた場合にどういう結果が生ずるかということで、OECD事務局が各種の試算を行ったものでございまして、その中には、石油価格が下落いたしましても実質賃金がふえないとか、あるいは企業収益が増加しましても投資がそれほどふえないとか、いろいろ前提を置いておりまして、OECD全体の経済に対して必ずしもプラスの効果が出ないという試算も含まれております。しかしこの試算は、第三作業部会における論議におきましても悲観的に過ぎるという意見がございまして、やはり石油価格の下落はOECD経済によい影響を与えるものと考えるべきであるという意見がほぼ各国の一致した考え方でございました。で、そういうことで事務局もこの試算の見直しをこれから行うというふうに言っております。このように、この資料はこの第三作業部会における議論の素材として全く暫定的な試算でございまして、その点をお含みいただきたいと思います。  なお、このOECDの経済政策委員会第三作業部会と申しますのは、参加者の自由な意見交換を保証するという意味におきまして、会議の内容、あるいは事務局の提出しました資料については公表しないというたてまえになっておりますので、この資料の詳細な部分については御紹介できない事情にございますことを御理解いただきたいと存じます。
  93. 上野雄文

    上野雄文君 その公表しないというお話ですけれども、新聞の報道によれば、その中で石油関税の問題について導入をしたときはどうなるだろうかというような議論があったようですね。そこで、実質賃金がふえても二、三年目の成長率は低下してしまうという、そういう指摘をしているわけですが、ところで、長官が二月二十二日の閣議後の記者会見、それから三月四日の衆議院の物価対策特別委員会の中で、石油税の導入の問題について触れられておられるわけでありますけれども、人によっては、大蔵省の主税局長の経験者であるだけに財政再建が優先するという考えをお持ちではないのかと。この税金の導入にことのほか熱心だというふうに言っている人もあるわけでありますけれども、その辺についての長官の考えをお聞かせいただければと思います。
  94. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) いま上野委員の御指摘は、どうも私の発言とは大分違っているようでございます。  私の発言は、いろいろ波紋を巻き起こしておるようでございますので、少しここで弁解をさしていただきたいと思いますが、ともかくも私は現在の石油税が減収が来るから、私はその減収部分は取り戻すべきではないか。御承知のように目的税 の形で、大変私はこれ乱暴な、生産手段に対する税ですから、乱暴な、税制としては理屈はないと思うんですけれども、財源不足の折から、財政不如意の折から石油税が数年前に設けられました。そのときいろいろ議論があったのでございますが、将来原油の価格は上がる一方であろう。そういたしますと、普通の間接税のように、キロリッター幾らというような税率では価格引き上げに追っつかないから、インボイスと申しますか、輸入価格に対して三・五%という税率で課税して、その上がった収入を省エネ施設あるいは石油備蓄の費用、このような石油関連の、石油の受益者に還元されるような税にしようじゃないかということで設けて、いま四千億幾らかの収入があるわけでございます。これが一五%下がれば六百億円減収になるわけでございます。私は、この六百億円は減収にすべきではないと、つまり、いままで財政の、予算では四千億幾らかの財政需要を立てているんだから、この分は取り戻すべきであるというのが第一点。しかも、減収を来さない意味において、価格引き上げにおくれない意味で従価税にしておるんだから、その部分は取り戻しても増税でも何でもないではないですかと、こういう技術的な理由を込めて申し上げました。しかし、根本は私はやっぱり省エネ、代替エネルギー施策は進めていくべきである。金を使ってもまだまだやるべきであって、三年後にはまた石油価格引き上げが中東情勢から出ると言われておるものでございますから、私はそういう観点から申しただけでございまして、一兆五千億、六千億のうちのわずかな部分の話でございまして、元主税局長らしい小さな話でございます。  一般的に値下げ後一兆五千億、六千億税金を取って、これを全部所得税の減税に充てるというような構想、これもまた一つの見識のある考え方かもわかりません。企画庁の吉冨主任研究官、吉冨博士が言っておりまして、それがときどき私と間違えられているんでしょうか。私の話はもうちょっとけちくさい、税務技術者みたいな話で、それのわりに大蔵大臣みたいなことを言っておると非常に褒められたり、けなされたり、笑われたりしているわけでございますが、私の真意は省エネ体制、代替エネルギー体制を壊さない形で減収を来すべきではない、こういうことを言っただけでございます。
  95. 上野雄文

    上野雄文君 そういうお話であっても大変な波紋を呼んで、せっかくの原油の値下がりがそれによって相殺されてしまうんでないかという、そういう心配も出てくるわけでありますし、大体、一説によれば、石油、重油の資源枯渇という問題もメジャーが故意に流している情報だということすら言われているくらいでありまして、私どもとしては、そういうような結果を招くようなやり方ということは避けていくべきであるという考えを持っていることを申し上げたいと思うのであります。  さて、次に参りますが、家計調査報告、速報で、「昭和五十七年平均結果の概況」という、そういう報告が出ておりますけれども、五十七年の歴年の結果を見ますと、物、商品に対する支出が一・七%増、サービス支出が四・三%の増加、それで商品の増加率をサービス支出の方がかなり上回る結果が出ているわけですけれども、この原因、見方、こういうものについて経済企画庁の考え方をお伺いをいたしたいというふうに思います。
  96. 廣江運弘

    政府委員廣江運弘君) 五十七年の個人消費の動きを見ますと、いま御指摘になりますように、サービス支出の伸びが財、物の支出の伸びを上回っております。  この原因をどう見るかということでございますが、一般にこれは経済社会の成熟化に伴いまして、財に対する需要に比べてサービスに対する需要が高まるという一般的な傾向があるかと思いますが、そういうものを反映したものだと考えております。ただ、五十七年に財への支出が鈍化いたしましたことにつきましては、多少特殊な要因もありまして、夏あるいは冬、それぞれ冷夏、暖冬といったような天候要因も影響したと考えておりますけれども、一般的な傾向といたしますと、先ほど来お答えいたしたようなことが原因にあろうかと思います。
  97. 上野雄文

    上野雄文君 家計調査の消費支出の伸び、前年比ですが、大型小売店の販売額の伸び、これを対比しますと、家計調査が五十七年平均五・五%、全世帯ですが、に対して大型小売店販売額は四・三%にとどまっているわけですが、これは一体、物離れというふうに見ていいのかどうか、お伺いをいたしたいと思います。
  98. 廣江運弘

    政府委員廣江運弘君) 消費全体につきましては、先ほど家計調査を引いての御質問があり、それにお答えをいたしたところでございます。  最近発表されました昨年十—十二月期の国民所得統計速報の消費の内訳を見ましても、サービスの寄与度が高いかと思います。ただ一方、これは家計調査でも見られるところでございますが、財の中でも、たとえば家具・家事用品であるとか、一部の耐久消費財等には動意が見られるところでございまして、一般に物離れとのみは言い切れないと思いますが、いま御指摘の大型売上店、百貨店、チェーンストア等につきましては御指摘のような傾向があらわれておると思います。これは百貨店等の主力商品であります衣料品等の季節商品が天候要因等から不振であったというようなことも影響しておるかとは思いますけれども、もう少しバックにさかのぼって考えますと、昨年末の消費の伸び悩みであるとか、あるいは非消費支出の伸びが収入の伸びよりも高かったといったようなことから、可処分所得の伸び悩みというようなことも十分考えられることだと思います。
  99. 上野雄文

    上野雄文君 先ほど成熟化の反映がサービス支出の伸び、そういうものにつながっているんではないかというお話でありましたけれども、物離れが進んで、国民生活がもう豊かになったという、そういう見方になってしまうんではないのかというふうに思うんですけれども、不況の長期化、それから雇用の不安、それから所得の伸び悩み、いま御指摘がありましたけれども、こういう中で、やむを得ない消費行動という面を誤ってとらえると大変なことになるんではないのかというふうに思うわけですけれども、この辺については長官はどうお考えになっていらっしゃいますか。
  100. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) お答え申し上げます。  確かに、上野委員の御指摘のように、いろいろ理由があろうかと思いますが、物離れという理由もありましょうけれども、やっぱり可処分所得の伸びが鈍化してきたこと、これが相当反映しておる。やっぱり経済を活発にして、消費支出も健全な形で伸びていくことが望ましいと考えております。
  101. 上野雄文

    上野雄文君 いまお話がありましたけれども、可処分所得で見てみると、実収入に比べて低率でありまして、税金などの負担が急激に高まって、その割合が一四・六%も占めている、これが消費支出を圧迫している、買い控えを誘発している、そういう面があるんだというふうにとらえる必要があるんではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  102. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) 名目所得の伸びに比べて可処分所得がそれほど伸びない、それはおっしゃるように非消費支出、つまり税金、所得税、社会保険料負担、これによることが私も大きな原因であると考えるものでございます。  しかしながら一方、これは財政事情によるものということで、これがまた別な税にかわった場合に果たしてどうなるかはまた別途に判断すべきであろうかと思いますが、確かに可処分所得の伸びが名目所得の伸びに比べて低いというふうなことが消費に影響していることもまたこれ事実だと思います。
  103. 上野雄文

    上野雄文君 消費に回す余裕が抑えられると、当然に耐久消費財なんかの購入が買い控えになりまして、必需的なサービス消費のウエートというものが高まってくる。その上、公共料金サービス料金が上昇するわけですから物離れが進んでいき、サービス消費が高まる原因になってきているんではないのかというふうに思いますし、五十七 年平均の消費者物価を見ますと、公共料金が四・一%上がっている、それからサービスが三・九%上昇している、それから電気、都市ガス、水道、これが二・九%上がっている。総平均の二・七%上昇に比べて上昇率が高いというのを率直に見ていかなければいけないんではないのかというふうに思うわけですが、こういった料金の値上がりの影響が大きいというふうに見られないでしょうか。
  104. 廣江運弘

    政府委員廣江運弘君) 消費が物離れをしてサービス化をしている原因の中に、物価、わけても公共料金があるんではないかという御指摘かと思いますが、まず、全般的にはサービスのウエートがだんだん高くなる、あるいはサービスの伸びの方が平均的な家計消費よりも伸びているということは事実だと思いますが、家計調査を見ましても、たとえば家具・家事用品といったものはかなりしっかり伸びている。あるいは雑費の中でも教養娯楽的な耐久消費財といったようなものの伸びもかなりあるわけでございまして、国民が必要と考えるものはそれなりに伸びておるというのも一つの事実だと思います。ただ総体の伸び方からいたしますと、先生御指摘のとおりだということは否めないと思います。  その次に、昨年全体で見ましたときの物価の伸びはたしか二・七%ぐらいでございまして、その中で公共料金の伸びがその平均値よりも高いということが影響しているんではないかというお話がございましたですが、公共料金は厳正に取り扱わなければいけないところではございますが、これもやはり原価ということも考えなければいけませんし、単年度で見るよりも少し長い目で見ていかなければいけない面もあろうかと思います。まあ、公共料金がその年度におきまして平均よりも高いから、それが消費に影響したと一義的に言い切るのはいかがかと思う次第でございます。
  105. 上野雄文

    上野雄文君 私はサービス支出の伸びというのは、やっぱり不況と低収入の中で生まれてきた家計の実態というものを示していると思うんです。ゆとりが生まれた結果サービス支出が伸びたんではなくて、まさに生活レベルのアップでもなくて、いま申し上げたような不況と低収入の影響でこうなったんだと、こういうふうにとらえるべきだというふうに思うんですが、この点についてはどうお考えですか。
  106. 廣江運弘

    政府委員廣江運弘君) 消費を別の観点から、選択的な支出に基づくものと必要的な支出に基づくものとに分けて考えるといたしますと、サービスが即必要的なものだけかといいますと、そうではなくて、仮にかなり伸びておりますものをずっと挙げてまいりますと、先ほど申し上げました家具・家事用品、それから交通通信、保健医療、教育、それからその他消費支出のうちの諸雑費といったようなものが目につくところかと思います。教育といったようなものが必要的な経費の代表だと思いますので、いま申し上げましたような選択的支出、必要的支出ということで厳格には分けられないかと思いますけれども、たとえば交通通信の中で一番伸びていますのは自動車関係費でございます。この辺を全部必要的支出とのみも言い切れないと思います。それから、その他消費支出の中で雑費が伸びていると思いましたですが、雑費の内訳を見てみますと、かなり交際費的なものであるとか、教養娯楽的なもの、あるいは理美容サービスといったようなものが高いわけでございます。  で、まあこういうところから全般的な推測をいたしますと、必ずしも可処分所得の伸びが少ないからこういうサービスに回ったというふうにも言い切れないんではないかと、こう思いますが。
  107. 上野雄文

    上野雄文君 いろいろな見方があると思うんでありますけれども、まあ、私どもとしてはそういう立場でこれをとらえているわけでありますが、今後ともこの推移をお互いに見守っていきたいものと思うわけであります。  さて、次の問題に移らせていただきたいと思います。  最近の企業の雇用調整、これが長引いたりあるいはまた深刻化して、企業に雇用の過剰感が高まっている、こういうことが言われておりますし、それから日銀の二月の企業短期経済観測調査でも、雇用人員について過剰と見る企業の割合ですが、不足だと見ている企業の割合を製造業では二〇ポイント上回っている、こういうことが言われています。で、個人消費の立ち直りの足かせとなっている雇用不安の長期化、その現状、見通し、こういったものについてお尋ねをいたしたいと思います。
  108. 田中誠一郎

    政府委員田中誠一郎君) 御指摘のとおり、最近の雇用情勢は厳しい状況にあるということは先生御指摘のとおりかと思います。最近の動きを見ますと、完全失業者がただいま御指摘ございましたように、一月が百六十万人、失業率にいたしますと二・七二ということでございますが、その一方、雇用者の数自身も前年に比べますと一月は二・三%伸びているという状況にございます。しかし何分にも生産がこのところ前年を下回るという状況にございまして、雇用情勢、厳しい状況がこのところ続いているということは事実かと思います。ただ、五十八年度の見通しでございますけれども、今後、五十八年度を展望いたしますと、一つには世界経済の環境が漸次好転していくのではないか、特に下半期以降ある程度緩やかな回復が見込まれるという状況にございます。また、石油価格引き下げの効果が後半には出てくるんではないかというふうに思われます。また、国内的に見ましても、在庫調整がおおむね終りつつありますし、金利面でも何らかの動きが期待されるという状況にございます。また、石油価格引き下げの効果が、先ほど来長官から申し上げておりますとおり日本経済にプラスの影響を与えるであろうというふうに見られるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、来年度緩やかに経済回復していく中で、雇用情勢は若干ながら改善を見るのではないかというふうに期待しております。
  109. 上野雄文

    上野雄文君 で、いま失業率の一月の結果が非常に高くなったという、そういうお話がございましたけれども、閣議でもこのことをめぐって大変な議論があったというような新聞報道等も読んだところですけれども、この数字について長官はどういうふうにとらえておられるでしょうか。
  110. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) 失業率が一月分が二・七二になった、こういうことが総理府の統計局から御報告がございました。この調査方法が果たして前との連続性があるかどうか、こういった観点から私どもはこの数字にいろいろと疑問を呈したわけでございます。この数字が絶対に間違っているというわけじゃございません。これまでの三万という調査件数を四万にふやすと、そしてまた国勢調査によって新しい人口等を考えて新しい地域で調査をするとかいうことで、調査範囲を広げていったわけです。これまでずうっと二・四%という数字が出ておりましたが、この人口に膾炙した失業率と違った数字が調査方法の拡大によって出てきたので、果たして前との連続性があるかどうか。こちらが正しければ前の分について今度の新しい方法と同じやり方でやり直して、連続性を証明すべきではなかろうか、あるいは、それができないならば今後何カ月かこの方法を続けてみて、果たしてそれが適当であるかどうか見るべきである、こんな議論があったわけでございます。特に雇用者数はふえ、有効求人倍率は前月とも変わらない、こんなことでございますので、果たして二・七二という数字と、これまで二・四と、ずうっと人口に膾炙した統計数字との、何と申しますか、連続性が疑問を持たれた点で議論をされただけでございます。今後また、いま申した観点からこの調査方法によりますところの失業率の数字は検算をされていきますか、検証をされていくべきではないかと思っております。
  111. 上野雄文

    上野雄文君 調査方法が変わったからといっても、対象がよりふえて、こういう数字が出てきたわけですから、長官お話しのように新しいものとして今後の経緯というものを見守るという、そういうことの方が私はよりいいことなんだろうと思 うんですけれども、新聞報道では調査方法をそれじゃまたもとに戻しましょうというようなことにもならないようですね。だとすれば、むしろ今度新しく出たものをもとにして、これから雇用政策というものを立てていくようにされた方がよろしいのではないかというふうに私などは思うのですけれども、長官どんなふうにお考えですか。
  112. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) 大筋としてはその方向で考えていく、策定していくべきだと思います。しかし、連続性の問題だけはやはり検討すべきではないか、こういうふうに考えております。
  113. 上野雄文

    上野雄文君 労働統計では、一カ月の中で月末一週間のうち一日でも働けば失業ではない、こういう統計上の扱いがなされているようでありますけれども、そのとおりなんでしょうか。これ担当の方。
  114. 廣江運弘

    政府委員廣江運弘君) おおむねそのとおりかと思います。  少し申し上げますと、労働力調査におきましては、調査週において仕事がなく、かつ求職活動を行い、就業可能であった十五歳以上の者、過去の求職活動の結果を待っている者を含む、こういうことでございます。
  115. 上野雄文

    上野雄文君 最近の雇用不安というのは、人減らしの前に残業カット、それから採用抑制、それから一時帰休、こういうものが主だと、こう言われているわけですが、パート労働が増加していることや、職安を経由しない雇用も非常に多岐にわたっている、こういう状況下にあって、雇用統計というものが現状に合っていないんではないかということが言われているわけですけれども、こういう面についての総合的な改善、こういうことが望まれているんではないのかというふうに思うんでありますけれども、ここら辺についての御所見を伺いたいと思います。
  116. 廣江運弘

    政府委員廣江運弘君) 御担当の省の方がおられませんので、便宜私からお答えをさしていただきたいと思います。  いま雇用情勢が厳しくなっておって、パートがふえる、時間外労働時間が減る、それから有効求人倍率といって尊重しておるけれども、そのウエートは低いではないか、低くなっておるではないかというようなことから、労働力調査を初めとする雇用調査についての再検討はいかがかということでございますが、最初の辺の雇用情勢につきまして、パートがふえる、それから景気に対しまして先行指標とも言われます時間外労働時間が減っておるではないかというようなことは、ある程度そういうことかと思います。若干減るというよりも、時間外労働時間等につきましては横ばいぎみなところもありますが、なおその次に有効求人倍率のカバレージが低いじゃないかということかと思います。これは大体二〇%ぐらいでございまして、若干長い時系列をとってみますと、少し減る傾向があるということもあろうかと思いますが、これが急速に減ってきているということはない。大体いままでもその程度のことで来ておりまして、ふえておりますのはその他というふうに分類をされますか、情報誌その他の情報を通ずる求職活動がふえているということも事実ではございますが、こういう統計自体はやはり一つの連続性というのも必要でございますし、いま長期的な傾向も、先ほど有効求人倍率等について申し上げたような状況でございますので、いろいろ検討しなけりゃいけない要素がないとは申しかねますけれども、現在の状況世界的にも一応非常に認められた統計なものでございますから、これはこれなりに尊重していかなければいけないと思っております。
  117. 上野雄文

    上野雄文君 終わりますが、いろいろなことをお尋ねを申し上げたわけでありますけれども、大変な長期不況とわれわれは思っておりますし、現実に苦しんでいる方々がたくさんいらっしゃるわけでありまして、そういう立場でより的確に実態を把握されて、具体的な政策をお進めいただきたいということを要請いたしまして終わりにいたしたいと思います。
  118. 原田立

    ○原田立君 塩崎新経企庁長官に初めて質問をするわけでありますけれども、前々の委員の質問と大変ダブる点があるだろうと思いますが、前に答えたからなんといって省くようなことのないように、きちっとした誠意ある答弁をしていただきたい。  それで、長官の所信表明の中に、先ほども質問がありましたが、三つの柱を挙げ、そうして第一の柱では、国内民間需要中心とした経済の着実な成長実現するために四項目から成る対応を考えていると、こうなっておるんでありますが、この各項目について具体的に御説明願いたい。
  119. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) 「第一の柱は、国内民間需要中心とした経済の着実な成長実現を図ることであります。」と、こういたしまして、私どもはまず第一に昭和五十八年度予算においても、ケインズ流ではありませんけれども、公共投資の前年同額の予算確保し、その配分に当たっては経済効果の高い事業、たとえば土地代を含まないような事業事業費を重点とする事業重点を置いていただく。土地に固定しないようなことで、ひとつ生産性の高い公共投資をやっていただきたいということで考えているところでございます。  「第二は、金利低下傾向の下で、」ということでございますが、私どもは去年の年末、若干長期金利の低下を見たわけでございますが、将来とも私は金利低下傾向に向かう。アメリカの高金利を受けました日本の金利でございまするけれども、だんだんとアメリカの金利も下がる方向にあるといたしますれば、これは金利は下がっていくであろう。そうすると、設備投資は一般的に緩和と申しますか、増大の傾向をこれまで以上に生ずるんではないかということで考えておりますし、税制上の措置でございまするけれども、中小企業には新しく投資利用の誘引措置、刺激を、インセンティブを与えたわけでございます。このようなことで民間投資の喚起を図る。それから先端技術、エレクトロニクス、それからバイオテクノロジー、このような投資も促進することにいろいろな予算上の配慮までしているようでございます。こんな点も考慮いたしまして経済生産性が高まるような産業構造にしたい、こういうふうに考えているところでございます。  第三は、税制上の措置も講じましたが、何といっても大事な住宅政策であります。すそ野の広い住宅の投資を奨励することによってこれを内需拡大の中心としたい、住宅取得控除につきましては五万円から十五万円に引き上げるほか、住宅金融公庫の貸し出しの限度の緩和を、土地の取得費を初め増改築等について講ずることにいたしております。これがその支えになると思います。  第四は、これはもう国会に提案しておるところでございますが、基礎素材産業農林水産業中小企業、構造政策的な観点からひとつ活性化経営安定化を図っていこうということで、基礎素材産業につきましては法案を提案しているところでございます。こんなような方向で、結局民間最終消費支出で三・九%、民間住宅で二・六%、民間企業設備で二・九%、政府支出は若干のマイナスでございまするけれども、若干の輸出回復によりまして、海外経常剰余から〇・六%ぐらいの伸びを見込みました。結局内需で二・八、そして海外経常剰余で〇・六、合計三・四、三・四%のうちの大体八割は内需でございます。このような見通しのもとに三・四%の経済成長を確実に図りたいと考えているところでございます。
  120. 原田立

    ○原田立君 第一の「経済効果の高い事業重点を置く」とありますけれども、これは具体的にどういうことを指すんですか。
  121. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) 先ほど申し上げましたように、いつも言われているところでございますが、公共投資にはいろいろの乱費があると言われます。あるいは土地の用地費が高過ぎると、こうお話がありました。こんなことを避けて、特に土地の用地費のウエートの方を下げていく、このことを特に考慮に置いているところでございます。
  122. 原田立

    ○原田立君 そうすると、土地取得の経費が余りかからないようなものというようなことも含むということでよろしいですね。
  123. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) さようでございます。
  124. 原田立

    ○原田立君 第二番目は「中小企業設備投資促進のための税制上の措置等施策推進する」と、こうありますけれども、たしか去年やりましたね。じゃまたことし五十八年度もやるということになるんですか。あわせて聞くんですけれども、第三の「税制上の住宅取得控除の引上げ等を図る」という、これも去年やってますね。またことしもやるということですか。
  125. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) 税制は、私も元主税局長でございまして、大抵フォローしているつもりでございますが、フォローできないぐらい毎年改正がございますので、いまのような御疑問を持たれておると思います。  まず最初の投資減税の方でございますが、省エネ投資減税について昨年改正いたしましたが、今度は省エネ投資じゃなくて、中小企業は前五年間の平均投資額を上回るような投資について三〇%の、三〇%でございましたか、これはもう大蔵省の専門家に聞いていただければわかると思いますが、特別償却を認めるというような新しい投資減税ですかね、特別償却制度を設けることにして、いままだ衆議院段階かもしれません、参議院に回っているかもしれませんが、大蔵委員会で御検討をいただいているところだと思います。  それから住宅取得控除引き上げ、これもたびたび改正になりましたが、これはもうすでに昭和四十二年ごろから設けている制度でございます。今度は五万円の金額を十五万円、三倍ぐらいに上げるということにいたしましたが、そのかわり投資率を一定控除をするようなインセンティブを設けるような仕組みを新しく入れて設けたのでございまして、これもまたいまの中小企業投資減税と並んで本年度の税制改正案として国会で御審議中だと思っております。
  126. 原田立

    ○原田立君 さて、この方針で、この四項目の並びにあと第二、第三の柱があるわけでありますけれども、これらを行って三・四%の実質経済成長率が果たして達成することができるのかどうか、これは重大な問題です。長官はいま簡単に結論的に三・四%は達成できると、こういうふうに言っていましたけれども、過去の例からいくと、五十七年度の場合は当初目標が五・二%ですよね、それを二度にわたり下方修正し三・一%にした。これは過去の実績でしょうが。今回五十八年度の三・四%達成に無理はないのかどうか。去年、この五十七年度、こんなに一生懸命やっても三・一%だった。これを余りこれという目新しいような政策を講じておられぬのに〇・三%増の三・四%、果たしてできる御自信はおありなんですか。担当大臣として、これからのことですから、それはやりますよって意気張って言われるだろうと思うけれども、大体答えはわかっているんです。だけれども、本当になるかならないかは、これは重大な問題です。ここでただ大臣として発言なさるんじゃなくて、発言するからには三・四%達成できるような措置がその裏づけとしてきちっとなされなければいけない、こう申し上げたいわけでありますけれどもいかがですか。
  127. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) 原田委員御指摘のように、確かに経済情勢は厳しい状況にあることは私も否定するわけではありません。しかしながら、私どもは何としても三・四%は達成しなければなりませんし、達成できると考えております。  まずその前に三・一%という、五十七年度の見通しがあれだけ一生懸命やって三・一じゃないかというお話でございました。これは二回にわたる修正と言うよりも、むしろ五・二を三・四に下げましたが、その後の新しい統計数値で三・四%を読み直してみたら三・一ということでございまして、二回にわたって修正ということじゃないことだけをここで説明さしていただきたいと思いますが、先般、昨年の十月から十二月までの、何と申しますか、国民所得統計速報からでおわかりのとおり、第一・四半期では一・九、第二・四半期で〇・九、第三・四半期では〇・四と実質落ちているけれども、これが横ばいとすれば大体三・二になるから三・一%の成長率は達成できるんではないか、こういうことが新聞に載っておりました。私も統計上そのとおりだと思いますし、それ以下になりますれば達成できないと思うんでございますが、私は三・一は達成できると思うんでございます。  そこで、その次の三・四%の、これから始まる、まだ五十八年度はこれから始まるんで、まだきょうが二十五日でございますが、四月一日から始まる年度のことでございますので余り偉そうなことは言えないかもしれませんけれども、これからの見通しでございますが、私は確かに原田委員御指摘のように、いろいろ政策措置が少ないじゃないか、そんなことで達成できるかと、こういう御指摘でございまして、確かに日本のように財政金融政策をフルに活用して高度成長を成し遂げたようなところでは、政策措置がないといかにも経済成長しないように見えることも当然だと思います。しかしながら、わずかな、乏しい、財政が苦しい中からでも政策措置を講じたつもりでございますけれども、なお私は昨年にない非常に企画庁長官にとって運のいい事実があるわけでございます。  その一つは、何といってもアメリカの経済が、だんだんとインフレ対策から失業対策に持っていける、第七次までの金利引き下げをやってきた。日本がそれの影響を受けて、去年と比べて、十一月は二百七十八円まで円レートは下がりましたが、いま二百三十円台で終始していることから円高傾向がまず定着しておる。去年に比べての話でございます。第二には、御案内のように、昨年長期金利もわずかでございますが下げることができたんですけれども、先ほど来斎藤委員からも御指摘がございましたように、公定歩合の引き下げはいつかというような議論ができるような状態になってきた。それから第三は、一バレル五ドルの引き下げ、このようなことを考えてみますと、政策措置も非常に大事でございます。外的な経済事情がこういうふうになってきましたことは、三年間にわたりますところの日本の不況は世界経済の同時不況の影響だと、こう言われておるので、私は去年と違って新しい要素があるという運のいいことに恵まれた企画庁長官だと、こんなふうに思っておるのでございます。
  128. 原田立

    ○原田立君 運のいい経企庁長官の時代になったから、じゃ三・四%は間違いないと、こういうことですね。どうも余り信用しがたいですね。  政府は、現状経済情勢では景気回復は望めず、場合によっては五十八年度の実質経済成長率三・四%達成すらむずかしくなる。そのため、年度初めから強力な景気対策が必要との観点から、経済関係閣僚懇談会を開き具体的内容検討しているようでありますが、検討内容をどのようなぐあいにして進められるのか。
  129. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) まず、三・四%の達成は私は決して楽観しておるわけでございませんし、なかなか経済現状は、まだまだ原油の値下げも現実に入っておりませんから、厳しい状況であることはもう御指摘のとおりであると考えております。  そこで、私どもは三・四%ぐらいの成長率は少なくとも確実に達成したい。こんなようなことから、予算成立後新しくひとつ景気対策というものに取り組んでいくべきではないかということで、現在まだ全く論議の端緒に入ったばかりでございまして決定もいたしておりませんが、たとえば、公共投資の前倒しを五十六年度も五十七年度もやってきた。これを今年度もやることはどうか。それからまた第二には、各種の規制を緩和して民間の資本を導入していくというようなこと。さらにまた、金利の問題を含めての金融政策の機動的、弾力的な運用。あるいはまた、所得税の減税も真剣に国会の申し合わせがございますので政府としては考えるべきではないかとか、さらにまた世界的な規模の公共投資についても、サミットもあることだからひとつ検討をすべきではないかとか、これらの問題はまだ一つの例示でございます。包括的な、網羅的なものになっておりませんけれども、いま研究しているところでございます。
  130. 原田立

    ○原田立君 五十八年度予算がこれから成立するんだから、だからそれから先の話のことはなかなか言えないという。わかりますよ。だけれども、それは逃げというものですよ、逃げ。というのは、六項目ですね、景気対策予算案成立直後にこの六項目をやると、こういうふうにお決めになっている。これはもう大変、三・四%達成すらも大変だというからこういうことを考えておられるんでしょう。だから、これに対する要請というか要望というか、国民の側からの願いは非常に強いわけだ。それを予算が成立してからでなきゃやりませんよと、大体内々決めているんだけれども、そんなことまだ言える段階じゃございませんよと、こういって逃げてしまうんじゃちょっと私としては納得しがたい。  それで申し上げたいのは、公共事業の上期集中契約、きのうも実は建設委員会で内海建設大臣に聞きました。そうしたらば、そういう方向努力するということだけで、いまそういうことは申し上げられませんと言う。そうでしょうなと、こう僕は言ってはおきましたけれども、経企庁長官になると、そうは簡単に私は矛をおさめるわけにはいかない。これ上期集中契約する、大変僕はそうすべきだと思うんですよ。となると、勢い下期がダブっちゃうんですから——ダブっちゃうというか足りなくなっちゃうんですから、これをどうするか、どうフォローするか、そこいら辺まで言及してもらわなきゃ困るわけです。おやりになるのかどうか、それは。そこまで考えておられるのかどうか。  それから、五十七年度の七割ぐらいの前倒ししたのが、これが一体——業界は一応歓迎で受けとめていましたよ。だけど、果たして実際にどうだったか、実際に。さっきからもいろいろ議論があるけれども、それだけやるには設備もしなきゃいけない。資金も投入しなきゃいけない。人間も要る。これだけやって終わりがすぽっと、下期が小さいんじゃたまったものじゃないと。それから、名目上は上期前倒ししてもらうのはありがたいけれども、といってずるずると仕事をずらしちゃって、結局何のことやらさっぱりわからないというような形になっている、現実は。それをまたおやりになるということは、私は非常にこれは重要な課題だと、問題だと、こう思っているんです。御所見をお伺いしたい。
  131. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) まず第一の問題は、逃げではないかというお話でございますが、やはり予算の成立前に、成立しない公共投資の前倒しということを言うことは不謹慎であることは、もう建設大臣のみならず企画庁長官も私は同じだと思うんであります。したがって、まだまだ検討で、成立後にこの問題を具体化するということを申し上げるしかないと思うんであります。  それから第二は、前倒ししたならば、それじゃ下期の公共投資の財源をどうするのかと、こういう御質問でございます。もうこれは、まず第一に原田委員、五十六年も五十七年も前倒しをしてまいりました。五十七年度は御案内のように、昨年の十二月二十四日に二兆七百億円の公共投資の追加を中心とする、多分に国庫債務負担行為という、普通の公共関連事業費とは違った予算の組み方でございましたが、そういう施策を講じたところでございますし、それが成立していまやそれの施行に取り組んでいるところでございます。このような実績からも御判断できるんじゃないか。しかもまた今度は、いまの二兆七百億円の公共投資の前倒しの部分、公共投資の追加分をどのように評価していくかというような問題を研究しなきゃならぬということが第一だと思います。  それからもう一つ考えられますのは、やっぱり公共投資を前倒しをしたり、かつてはこれを抑制したこともございます。これはやっぱり民間投資の、何と申しますか、喚起の仕方いかんに関係する。つまり、公共投資が引き金になって民間企業設備投資でもふえてまいりますれば、これでも十分、公共投資が下期減ってもいいわけでございます。前倒しの効果がそのように出てまいりますことが大変好ましい。これがケインズ流の公共投資政策の真髄だと思いますが、なかなかいまの状況ではそれがむずかしいというのが定説でございます。これらを考えて、ひとつ今後慎重に下期の財源の問題も取り組んでいかなければならないと考えております。
  132. 原田立

    ○原田立君 これはけさの新聞に出ておったんですけれどもね、読売新聞ですけれども、「公共事業大幅前倒し 下期補正覚悟で 通産首脳」、これ名前は書いてない。だれが言ったんですかね。これは経企庁首脳と書いてあったら、だれが言ったかここで聞きたいところなんですけれども、大臣言わないんだけれども、   通産省首脳は、二十四日、新年度の公共事業執行について、「上半期への集中から補正予算が必要となろう」と語り、現在検討中の景気対策で一つの焦点となっている公共事業の上半期契約目標は、史上最高だった昨年並み(七七・三%)になる見通しを明らかにした。公共事業の上半期集中に伴って下半期の事業量は少なくなるので、景気回復実現しない場合、下期には補正予算を組んで追加する必要に迫られるが、この首脳発言は追加を覚悟した大幅なものが検討されていることを示したものである。   また、同首脳は、「金融政策もあわせて動員する必要がある」と公定歩合引き下げが不可欠なことを強調した。 と、こういう記事なんですけれども、ここまで底が割れているのに、まだ予算が成立しなければ言えませんだなんというのは、完全に逃げじゃないですか。
  133. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) 私も通産省首脳ではございませんので、そのような記事の真否についてお話し申し上げることはむずかしいかと思いますし、私どもの態度は、もういま御説明したとおりでございます。
  134. 原田立

    ○原田立君 それから公共事業費については、長官の所信の中には、「公共事業関係費については、前年度同額の予算額確保し、その配分に当たっては、」云々と。その後のことはさっき聞いたんですけれども、「公共事業関係費については、前年度同額の予算額確保し、」というそのところなんですけれどもね。いまもお話があった、去年十二月に補正予算やってですよ、二千五百億円、五十八年度の分を先食いして、それで予算が執行されていますな。今度はやっぱり総額については五十七年度も五十八年度も同じなんですよね、総額は。ということは、五十七年度から比べてみると、二千五百億円減額になっているということが実際のことでしょう。それでありながら、前年同額のものを確保したというのは、ちょっといただけない言葉だなと。六兆何ぼの公共事業のうち二千五百億なんだから少ないんだろうと、こう言われるんだったら、それこそ乱暴な議論になるんですけれども、長官はお考えはいかがですか。
  135. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) 二千五百億円の問題は、確かに御指摘のとおり、五十七年度の中の公共事業費として関連せしめれば、追加せしめればおっしゃるとおりだと。私どもの頭にありますのは、追加予算は追加予算として考え、これはまた補正予算として中間的なものと考えているわけでございまして、私どもが前年同額と言いますのは、五十七年度当初予算六兆六千五百五十四億円、これが前年と同額。ほかの予算が減額、マイナスシーリングのときに、公共投資だけは景気を関連していただいて、景気観点から前年と同額だと、こういうことを私は大変評価したわけでございまして、それをこの文章の中に表現したつもりでございます。四年間、全く当初予算は六兆六千五百五十四億円、一億円も違ってはおらない数字が計上されてきているところでございます。
  136. 原田立

    ○原田立君 どうも了解しません、余りね。二千五百億も違っていながら同じだなんていうことは、それはちょっといただけませんよ、それは。  それはそれとして、金融政策の中で最も注目されているのは、公定歩合の引き下げ問題ではないかと思うんでありますが、公定歩合の引き下げ問題は、日銀の専管事項であることはもう十分承知しておりますが、経済景気対策のかじ取り役で ある経企庁長官として、公定歩合の引き下げを日銀総裁に求めたとの記事がありますけれども、実施時期、引き下げ幅についてはどのような御見解をお持ちなのか。特に問題なのは米国金利動向ですが、非常に不透明で、反転上昇さえ見られます。これらとの関係を踏まえての御所見をお伺いしたい。
  137. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) この点につきましては、けさ日銀総裁が、高杉委員斎藤栄三郎委員からの大変適切な御質問にお答えされたところで御理解していただいていると思います。  私は、日本の金利は、アメリカの金利に引っ張られておるせいで高過ぎると思っております。しかしながら、日銀総裁がるる言われておりますように、金利引き下げ円安の傾向を招いたならば、また別の弊害を生ずるから慎重にやっているんだと。ドイツがそれじゃなぜ十七日に下げたんだということになりますと、やっぱりドイツに対する評価と日本に対する評価が違うのかと。マルクは安くなっておるようでございますが、そんなような点も研究しろというようなお話も、先ほど来企画庁の内部で民間の方々からも激励されたところでございますが、こんなような観点から、円レートの関係から日本銀行が踏み切れないことが大変私も残念なことだと、こういうふうに見ております。
  138. 原田立

    ○原田立君 実施時期とか引き上げ幅についてはいかようなお考えですか。
  139. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) 私は、実施時期もできる限り早い方が望ましいし、引き上げ幅も多い方が——多いといっても、大体五・五%ぐらいでございますから、そんなに多いということも言えないかもしれませんけれども、大きい方を勇敢に、ドイツは〇・五とか言っておりましたが、一%下げました。こんなようなことを考えますと、日本の貯蓄が過剰であると言われております現在、先ほどはサラ金に回るような部分が多くなってきておるようなことが言われ、そして金が余っておるのに、東京都やあるいは大阪市は、むしろ外債を金利の安いドイツで発行するというようなことが言われておるようなおかしな現象を考えますと、私はできるだけ早く、相当大胆にという希望を持っておりますが、いま申しましたように、これは円安を懸念した日銀の基本的な態度による——一言、これは日本銀行の専管事項でございます。めったに局長、長官でも言いますと、きのうは大蔵大臣の発言で円が売られたと、大いに円安状況が出たというようなことを言われますので、発言だけは慎重にしなければならぬと思っております。
  140. 原田立

    ○原田立君 景気問題についてお伺いしますけれども、経企庁は昨年十月ごろ、在庫調整が進むなど先行きに明るさが出てきたと、今後景気の底割れはなく、下げどまりがはっきり見えてきたというような発表をなさいましたね。景気の先行きに明るい見通しを立ててきたにもかかわらず、相変わらずの長期低迷を続けておるのは、このフォームが実態でありますけれども、この状況についてどう理解をしておられるのか。  三月十七日に発表された十—十二月期の国民所得統計速報によると、まだ在庫調整は底なし的に続いておりますし、民間設備投資も前期比〇・二%減とマイナスになっており、景気現状は予断を許さない状態に立ち至っていると、こう判断していいんじゃないかと思うんでありますけれども、経企長官は現在の景気をどう見ておられるか。  以上、二点についてお伺いしたい。
  141. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) 私も、いま御指摘のように、在庫調整もだんだん進んできていると思います。しかしながら、一方なかなか設備投資は厳しい状況にある。こんな状況であるということはもう認識しているところでございまして、それは国民所得統計速報の発表の際にこのような考え方を示したところでございますが、数字にわたりますので少し調査局長から敷衍させていただきたいと思います。
  142. 原田立

    ○原田立君 経企庁は景気のかじ取り役ですから、まあ少しは明るいことも言わなきゃならないという意味でぱっぱっとおやりになる、その気持ちはわかりますよ。だけれども、余りちょっと枠を外しますと問題になると思いますので、その点は御注意願いたいと思うんです。  経企庁は、景気は底を打った、あるいは先行きの見通しは明るい等々の発表をしておりますけれども、じゃその根拠と、今後の景気見通しについてどのように具体的に見ているのか。三年以上にも及ぶ長期不況下にあって、決して景気は底を打ったとは言えない。また、一部には設備投資の落ち込みから、景気は三番底に落ちる可能性すらある、こういう指摘もあるわけであります。長官の所見をお伺いしたい。
  143. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) 御指摘のように、楽観的な意見ばかりを、見方ばかりを発表することは私どもも気をつけなければならないと思っております。まあしかし、余り悲観的な見方ばかりも、やはり国民に、何と申しますか、努力をお願いしなけりゃならない。つまり、経済というものは、多分に心理的な動機が作用するものでございますので、私は悲観的なことばかり言って、とにかくできる学校の生徒をできないできないと言って、成績が本当にできなくなるようなことがないようにやっていかなきゃいかぬというふうに思うぐらいでございますが、いまの御指摘の点につきましては、確かに十月—十二月の速報まではそのような傾向が示してある。しかしながら、一月の住宅投資、最近また二月もそのような傾向が続いているといっておりますが、住宅建設着工状況などは、数字的に見て大変好調のように見えますし、さらにまた、きょうの大型スーパーの売り上げの伸び等を見ますと、久しぶりで三%台に戻ってきたとか、こういうことが言われる。さらにまた、私はときどき聞くわけでございますが、これはまた伝聞だと言われるとそれきりでございましょうけれども、アメリカの在庫調整がだんだん進んでまいりました。日本への引き合いもふえてきて、鉄鋼の株式など価格が上がってくるというような明るい話も新聞紙上をにぎわしているのでございます。一方、しかし失業率がどうかとか、いろいろ暗い様相もございます。喜びも悲しみも両方あるような状況でございますが、私どもはもう大きく言いまして原油の値下がり、それから円高の傾向の定着、それからまた金利引き下げの期待、これらから見て、私は何と申しますか、後半にいくにつれて経済回復はだんだんと明らかになってくるということが言えると、こういうふうに考えております。
  144. 原田立

    ○原田立君 まあ、原油値下げの効果は、これは十分あると僕は思う。確かに朗報であります。しかし、現在の経済指標は、雇用面で完全失業率が二・七二%と、二・三%台から一挙に高まっていますし、所定外労働時間も月を追って減少しています。中小企業の設備投資も中小企業金融公庫、商工組合中央金庫の調べでもわかるようにマイナス続きで上向きの気配は全く見られておりません。長官の言うように、やがてよくなると言われても、実は確証はないわけですな。個人消費が底がたいといっても、じゃ収入面で、問題のある人事院勧告案が凍結されている。その影響で今後の指標はもっと悪くなることはもうすでに言われていることであります。百歩譲って、長官の言うように景気がよくなっても、いわゆる内需不振のまま輸出増だけの回復になりやせぬかと心配するんですけれども、どうですか。
  145. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) 内需振興にならなくて、また輸出振興型になる経済回復ではないかというような御指摘でございますが、御案内のようにアメリカとの間の貿易は、自動車にいたしましてもあるいは鉄鋼にいたしましても一つの自主的な規制がございます。こんなようなことがございますし、そう大幅に輸出が伸びていくことはないと思います。しかし、何と申しましても、これは非常に伸びは鈍化しておりまするけれども、消費支出の伸びが物価の安定に応じて相当なウエートを占めつつあって、やはり内需拡大というレッテルと申しますか、評価が私は今後とも当たるんでは ないか。また、当たらなければ外国からまた貿易摩擦というような非難も受けるわけでございますので、私どもは何としても内需拡大の経済政策をとっていかなければならないと考えております。
  146. 原田立

    ○原田立君 何回も指摘しておりますが、経企庁の、特に長官の楽観的な見方が強いんじゃないかというこの思いは消えないわけでありますけれども、アメリカの景気回復は上向きになってきたからわが国もよくなる的な考え方が、僕は余りあってはならぬと思うんですよ。だけれども、密接な連係があることは、これは十分はっきりしている。だけれども、アメリカがよくならなきゃ日本もよくならない、アメリカが悪けりゃ日本も悪い、あたりまえなんだ、こういうふうな物の言い方をされると、これはもう問題になります。そんなことは決してないと思うのでありますが、アメリカを頼りにするのでなく、わが国独自の回復策を強力に推進すること、これ自体が先決じゃないかと思うんですが、いかがですか。
  147. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) 原田委員御指摘のように、私どもはやっぱり内需中心の振興策をとるならば、独自の政策で運営すべきであるということは、もう私も当然のことだと思っております。ただ、午前中、日銀総裁が言われましたように、これだけ世界が密接な経済関係に入ってきた、そしてまた、貿易の自由化のみならず、資本の自由化などが行われてまいりまして、アメリカの方が一〇%台の利回り、日本は八%台になるとすると、アメリカの方に長期資本がどんどんと流出していって、利回りの高さを求める余り長期資本の流出から円安の傾向が来る。これがまた日本の政策を縛っておるようなことを考えますと、なかなか一概に世界との関連を離れて独自の経済政策の運営をすることが大変むずかしくなってきておることも、ひとつぜひとも御理解を願いたいと思います。
  148. 原田立

    ○原田立君 原油価格引き下げは、わが国経済にとって、低迷からの脱出には大きな足がかりと考えておりますが、値下がりに伴う利益分の活用についていろんな意見がありますが、電気、ガス等公共料金の取り扱いについて基本的にはどう対処なさろうとお考えなのか、長官の御所見をお伺いしたい。
  149. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) 一兆五千億から六千億円のボーナスが産油国から日本に贈られることになると見られるわけでございます。これは私どもは、国民経済の中に生かしていきたい、政策の上で活用したいと考えているところでございます。  そこで、国民経済の中にどのような形でこれを実現するかと申しますと、一つは、市場経済の原理、需給のおもむくところに従って適正な競争のもとで行われるところの価格の低下、これがガソリンあるいは灯油等にあることはもう御案内のとおりでございます。  一方、いま御指摘の電気料金、ガス料金、これは独占会社であり、公益会社でございますので、認可料金制度になっておりますが、この点につきましては、先ほども申し上げましたように、これからの問題として電力会社の経理に与える影響、さらにまた円レートの関係、さらにまた、省エネ設備投資、代替エネルギー開発投資、これらの必要性、それから電力会社の修繕費等の何と申しますか、費用の状況、これらを勘案して十分にしんしゃくをして長期安定料金を確立する方向で考えていきたい、こういうふうに思っております。
  150. 原田立

    ○原田立君 中長期的に料金安定の方向で考えるということ、わが党もそれはその方向が望ましいと思っております。実際、前回五十三年のときに円高差益を一家庭平均につき二百七十円程度割引したということがありますが、結局五十五年春には逆に五割の料金引き上げの要因になって苦い思いをしていることはわれわれも承知しております。今回のことについて、電力料金引き下げでは勧告や命令もあり得るという山中通産大臣は景気のいいことを言っていますけれども、経企庁長官はこういう点はいかがなものか。  それから、電気料引き下げ、秋には検討するということを平岩外四電気事業連合会の会長は述べておりますけれども、そういうようなこと等を踏まえて、今後の公共料金引き下げあるいは原油値下がりの問題についての処置、どうお考えですか。
  151. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) いま電力料金のお話がございましたが、電力料金につきましては、私どもは通産大臣ともども一つの監督権と申しますか、料金についての何と申しますか、認可権といいますか、そういう制度がございます。私どもは企画庁の立場から、この問題を先ほど申し上げましたような観点から取り上げていきたい、こういうふうに思っております。
  152. 原田立

    ○原田立君 ちょっとダブって質問するようになるだろうと思いますが、大臣の所信表明の中で、公共事業について関係費の配分に当たっては経済効果が高い事業重点を置くとうたっておりますけれども、これについてはさっき経済効果が高いものとか、あるいは土地代等の要らないもの等をやるとかいうような御答弁が一応あったけれども、いかなる事業重点的に配分するつもりでいるのかをお示し願いたいし、また、経済効果の高い事業重点配分するとして、その実行に際し効果を高めるための指示徹底についてはどう対応するつもりなのか。具体的に業界に対する通達を出すとか、いろいろと措置があると思うんですが、いかがですか。
  153. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) 繰り返してまた御答弁申し上げたいと思いますが、経済効果の高い事業重点を置くという意味は、御案内のように、用地費が公共投資の中の大体二割ぐらいだというふうに昨今言われているようでございます。二割から二割五分ぐらいのウエートを占めておると言われておりますが、これもできる限り、このような財源の乏しいときに、せっかくの公共投資に割いた資源でございますから、用地費だけはひとつ経済効果が少ないものでございますから避けていきたい。一割節約しただけでも六千六百五十四億の公共投資の追加と同じような効果が生ずるではないか、こんな御指摘がございます。そういった意味で私どもはひとつ目を皿のごとくにして経済の効果の高い事業選択していきたい、こういうふうに考えております。  第二に、この事業経済効果についての監視の問題でございますが、御案内のように、公共投資につきましても、ほとんどは中央団体の手を通じて補助金の形で行われている部面が多いわけでございます。したがいまして、地方団体にもこのような趣旨を徹底し、さらにまた、恐らく建設省は現場機関を持っておるわけでございますから、いろいろそのような観点からの指導が行われて、私は一層生産性の高い公共事業が施行されるようになる、このことを期待しておるところでございます。
  154. 原田立

    ○原田立君 経済効果の高い事業に対する重点配分と同時に、中小企業の建設業界に対してもっと受注機会を与えるよう配慮していただきたいと強く要望するのでありますが、実情は、長期の不況に伴い、大手の業者が中小の業界の枠にどんどん進出してきているというのが実態でありますし、なるがゆえに受注機会の拡大についての対策についてきちっとした指導をしてもらいたいと思うんですが、お考えはいかがなものでしょうか。それが一つ。  それから、第一の柱の第二番目のところの「中小企業設備投資促進のための税制上の措置等施策推進」云々と、こうありますけれども、設備投資促進のための税制上の措置だけじゃなくて、大企業も苦しいだろうけれども、中小企業はもっと苦しいわけですから、何らかの手を打って活力をぐっと引き上げようというのが長官のお考えでしょう。二つこれはあるわけですから、私はこの二点について申し上げておるわけです。これについての御答弁をいただきたい。
  155. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) 原田委員は、中小企業者のいまの大変苦しい状況に大変考えをいたされまして、中小企業対策観点から公共投資、さらにまた、税制の問題を取り上げられたと私は理解するのでございます。私も中小企業問題ばかり勉強 さしていただきましたので全く同感でございまして、ゼロサム社会のように大企業の取り分だけがふえてきて、中小企業の取り分が減ってくるというようなことは大変残念なことでございます。これは具体的には建設省あるいは地方団体が発注する権限を持っておりますので、私どもといたしましてはそのような点を要望したいと思っておるところでございます。  第二の投資減税も同じような観点でございます。このような観点からわざわざつくられたこれが、利用されることが一番望ましいと思っているのでございますが、まだまだこのような程度では、中小企業の利用の仕方が十分できないのだという話もございますが、私どもは、ひとつ宣伝もし、中小企業の方々の福音としてこの問題を進めていきたいと考えております。
  156. 原田立

    ○原田立君 それで十九日の日に景気対策予算成立直後に六項目についておやりになると言うのだけれども、この六項目の中に雇用対策中小企業対策とありますね。簡単なんで後ろの方を見落としてしまったんですけれども、特に中小企業の問題、しっかりと頭に置いてやっていただきたい、これはお願いであります。  報道によりますと、経企庁では大型公共事業民間業界に実施させる構想を固め、産業界、金融界に打診したとのことでありますが、業界の反応はどうであったか、あるいは通産省も検討、指示をしているのですけれども、これらについてどういうふうなお考えなのか。  実はきのうの建設委員会で、経企庁長官はこういうふうなことを言って、たとえば東京湾横断道路をつくるとか何とかということを言っているけれども、建設大臣、あなたの方に問い合わせがあったんですかと言ったら、いやそんなことは何もありませんと、こういうお話なんですよ。じゃ経企庁長官ね、経企庁がぱあっと花火を上げたんだなと、こんなふうに理解したんだけれども、余り華々しい花火をやるとちょっとこう信用が薄くなるような心配をするんですけれども、そんなことでありますが、そういう横の連携はどうであったのか、業界の反応はどうであったのかお伺いします。
  157. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) いま、大型の公共事業民間実施させるというような構想が企画庁から出たというお話でございますが、この問題は特に具体的に大型の公共投資を民間実施させるという形で企画庁で論議が行われておるわけじゃありません。現在政府も、特に中曽根総理は御熱心でございますが、各種の規制を緩和をしていくならば、最近の時代に応じて古い規制を新しい観点から見直して緩和していくならば、そこに民間投資がどんどん入ってくる可能性があるのではないかと、これをひとつ各省で一遍研究して、景気対策としても活用できるようにしたらどうかということで研究中でございます。企画庁も、ここに総合計画局長がおりますが、この問題を前々から研究しているところでございます。  東京湾横断道路というような問題は、私どもも余り具体的に聞いたことはございませんが、民間の方々の中には道路をひとつ有料にし、国だけが独占するんじゃなくして、民間にやらすならば東京湾横断道路でもできるのではないかというような、まあ何と申しますか、話というふうなところがまだあるんで、具体的にこのような計画があるということも聞いておりません。あるいはまた国鉄の施設、これはもう膨大な施設があって、もう貨物の操車場がどうかというような意見がありますが、これをひとつ活用さしてくれとかいろいろ聞くところでございますので、そのような場合に民間投資が果たして何らの制限なくして入れるかどうか、こんなような問題をひとつあらゆる角度からいま検討しているところでございます。
  158. 原田立

    ○原田立君 所得税減税の問題については、以前から各方面で論議され、検討されてきたわけでありますが、減税実施については合意を得ているものの具体的実施については一歩も前進していないというのが現実であります。で、景気浮揚策の一環として、どうしても早急に実施すべきであると、こう私は思うんであります。この六項目の中の最後のところにも所得税減税の実施ということが載せてあります。ところが、いろいろと報道を見てみると、大蔵省なんかは財源がないんだからそんなものはできませんよとにべもない、ないそでは振れないという式なことを言っているやに聞いております。そうすると、公的に約束したことを、肝心の財布のひもを握っている大蔵省がやらぬと、こうなったら、一体経企庁長官はどういうふうになさるおつもりなのか。それから、われわれは所得税一兆円と住民税四千億円の計一兆四千億円の大規模減税は、与野党代表責任者会議でも合意しており、ぜひ実現させなければならないと、こう私は思っているんです。政府間じゃなくて各党間の代表者会議の席でありますから政府にまで及ぶかどうか、及ぶのがあたりまえだろうと僕は思うんですよ。ところが、いま言ったように、大蔵省あたりでは、ないそでは振れぬ式の返事をしている。これではどうもちょっとこうはぐらかされているような感じがするんですけれども、経企庁長官はそんなことはないと思いますけれども、御所見をお伺いしたいと思います。
  159. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) 経企庁長官というよりも、これは自民党の幹事長まで参加されてでき上がりました国会の申し合わせ事項でございます。政府はそれに対して最大限に尊重すると言っておりますから、私はこれはもう最大限に尊重される、そして今度の景気対策の中でも検討項目の中に入るのではないかと、こういうふうに考えております。
  160. 原田立

    ○原田立君 以上で終わります。
  161. 神谷信之助

    神谷信之助君 先ほども経済成長率三・四をめぐって議論がありまして、長官も有利な条件といいますかね、そういう客観的な見通し、いろいろ申されながらも、しかし運任せみたいなところで終わったんですがね。私は経済成長率を達成するかどうかというのは、言うなれば政治的に考えればそれは手段の問題であって、目的は国民生活向上であるというように思いますね。それを国民生活向上を図る上での一つの物差しとして、経済成長率がどうかというのが一つの指標ではある。ところが、これがいつの間にか手段が目的になっているような感じがするので、少なくとも私のこれからの長官との議論のやりとりというのは、そういう国民生活向上をどうやって図っていくかという角度から進めていきたいというように思うんです。  そこで、先ほどからもよく話が出ていますが、去る十九日に政府・自民党の首脳の間で景気対策について検討されて、長官もこれに出席をされたようでありますが、そういう報道がある。その一つに、原油価格引き下げ効果を浸透させるという、そういう項目が報道されています。これは具体的にはどういうことをお考えになっておるか、また考えられるのか、この辺をちょっと長官にまずお聞きしたいと思います。
  162. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) まだ、この問題は景気対策として政府で決定するに至らない前の、何と申しますか、項目を取り上げたというところでございますので、具体的にこれをどのようにやっていくかということは全く決まっておりません。先ほど来もお話がございましたが、ことに石油製品などは市場原理でございます。したがって、市場原理によってこれが自然に原油の値下がりが反映するというなら、特に人為的な政策は必要ないというふうに言われるかもわかりませんが、それでもやはりいろいろの面においてこれをキャンペーンをする、そしてまた、何と申しますか、変な形での競争を阻害することによって、コストが下がっているのに下がらなかったということがありますれば、またいろいろ干渉をするということにもなろうかと思っております。  それからもう一つ、電力、ガスの料金は、たびたびここで申し上げておりますように、これは政府が一つの、何と申しますか、アクションをとらなければならない一つの行為でございます。これは、いま先ほど申し上げましたような数多くのいろいろの要素を考慮して、長期安定料金の形で国 民に還元する方向でやっていきたい、こんなところがまあ考えられるこれからの方向ではないかと考えております。
  163. 神谷信之助

    神谷信之助君 まあ、いまの長官の御答弁、石油の方の価格については市場原理でいくにしても、市場原理が貫かれない場合にはしかるべき措置をしなければならぬだろうということですね。これは当然だと思います。問題は電力料金の問題です。これは、先ほども長官いろいろ景気に対する影響その他、状況をお述べになっています。その料金の扱いについては非常に慎重なんですがね。逆にこの間三月の二十日のNHKの放送討論会で長官がお述べになった中で、原油値下がりのメリットは電気料金の値下げよりも設備投資を重視をする方がいいんじゃないかという趣旨の発言があったように思うんですが、これはどうなんでしょうかね。電力需要の現在の状況から見て、設備投資に回す必要があるのかどうか、それよりも電気料金の値下げの方に振り向けた方がいいんではないかというように思うんですが、この点いかがですか。
  164. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) 御指摘のように両方の考え方があると思います。しかし、これまでは電力会社が設備投資の大きな主力を担ってきた、それは省エネ投資、代替エネルギー投資であったからでございます。昨今の電力の需給の状況から見て、果たしてそのような長期にわたるところの電力の供給力が増大するようなことはどうかというような考え方が電力会社の中にも出てまいりましたので、これらの点はひとつよほど慎重に見守っていかなければならない点だと思います。しかしながら、私は、省エネ態勢、代替エネルギー開発態勢はやはり堅持していく。電力料金引き下げで単純に電力消費がふえるというようなことになってはまずいと思うんですね。依然として政府は、これは市場原理に任せないエネルギー対策なんですから、省エネ態勢、代替エネルギー開発態勢は続けていく。電力料金が仮に下がったとしても、私は電力の消費量がふえ、それが石油の輸入になるというようなことは好ましくない、こんなふうに考えております。
  165. 神谷信之助

    神谷信之助君 電力料金の値下げが、いわゆるエネルギーの節約を今度は逆に歯どめをなくしてむだな消費がどんどんふえていくというようなことは、これは当然困るわけで、抑えなきゃならぬ問題だというように思うんですが、問題は政策の問題になってきますね。  そこで、具体的にいまの現実の問題として通産省に聞きたいんですけれども、昨年四月に改定をした長期エネルギーの見通し、これは一年足らずの間に再改定するということになったと聞いておりますが、そうせざるを得ない原因はどこにあるのか、この辺についてまずお聞きしたい。
  166. 雨貝二郎

    説明員雨貝二郎君) 御指摘のとおり、昨年四月に策定されました長期エネルギー需給見通しについては、最近のエネルギー状況に照らして相当現実の姿と乖離が顕著になりつつある、こういうふうに判断しておりますが、その理由は第二次石油危機以降のエネルギー価格の上昇というのが非常に大きく、その結果、経済全般にも影響が及んでおりますし、また産業構造の面でも基礎素材産業の生産が停滞するといった産業構造の変化もかなりあったのではないかと。さらには、省エネルギーというのが予想以上に進展したと。こうした事態を反映して需要が停滞したのではないか、こういうふうに考えております。
  167. 神谷信之助

    神谷信之助君 そこで、再改定、全面的にそういう点で見直さなきゃならぬということのようですが、その方向というのは、結局需給全体を下方修正せざるを得ないということになるわけでしょうか。
  168. 雨貝二郎

    説明員雨貝二郎君) 将来の需要については、御指摘のとおり相当程度の下方修正が必要ではないかと考えております。
  169. 神谷信之助

    神谷信之助君 そこで、需給状況の問題ですが、電力の需要というのはこの二、三年伸び悩んでいると、先ほどおっしゃったような理由があるわけですが、今年度の実績というのは現在まで前年比でほとんど伸びていないんではないかというように思うんですが、状況はどうでしょう。
  170. 渡辺光夫

    説明員(渡辺光夫君) 五十七年度の電力需要につきましては、まだ年度が終了いたしておりませんので確たることを申し上げられないわけでございますが、まず五十七年度上期について申し上げますと、電灯、電力を合計した量といたしましては二千六百二十三億キロワットアワーでございまして、前年同期比で見ますとマイナス〇・五という数字になっております。その後、下期に入りましても、基本的には需要の伸びが余り大きくないという姿になっておりますので、年度を通じてもほとんど伸びない状態じゃないかというふうに考えております。
  171. 神谷信之助

    神谷信之助君 先ほどおっしゃったような理由で、大体需要の方はそう伸びないという状況になる。  そこで、さらにもう一つ聞きたいんですが、発電所全体の設備利用率と、それから予備力、これは最近の状況はどうなっていますか。
  172. 渡辺光夫

    説明員(渡辺光夫君) まず発電所の設備利用率でございますが、これは発電所の場合には、先生御案内のように需要の構造に応じましてベースロードで動きますものとか、あるいはピークロードだけ動きますものとかいろいろございまして、余り私どもは稼働率というような数字を持っていないのでございますが、御参考までにベースロードで主として使います原子力発電所でございますとか、石炭の火力発電所というものを例にとりますと、五十六年度の数字で申しますと大体五四、五%でございます。  もう一つ予備率のお尋ねがございましたが、五十七年度、これは現在は夏場が最高需要が出る季節でございますが、その数字で申し上げますと一八・二%でございました。
  173. 神谷信之助

    神谷信之助君 結局、稼働率といいますか設備利用率、これもそうふえているわけでもなし、逆に予備力という方はふえてきている、そういう状況にあるということですね。  それから、先ほど長官もおっしゃいましたけれども、電力九社の方の設備投資計画、これを見ると、昭和五十七年度の設備投資実績見込みは、当初計画に比べて九%の減だと、それから五十八年度の計画は、その九%減に比べて一・一%増というところで控え目に見ていますね。そういう状況になっていると思うんです。そこで、通産省の方には、現在電力各社の施設計画を集約をされているというように思いますが、その計画はどういう傾向になっているか、この辺はいかがですか。
  174. 渡辺光夫

    説明員(渡辺光夫君) 電気事業者の五十八年度におきます設備投資計画につきましては、現在私どもの方で調査中でございまして、本日の段階でその姿をまだ御報告できない状況にございます。  考え方といたしましては、電力の設備投資は電力の安定供給を図るということが一番大事な点でございますので、私どもは中長期的に安定した供給確保できるということを設備投資策定の上での一番の重要なポイントに考えておるわけでございます。  それから、もう一つ大事な点といたしましては、先ほど企画庁長官からも御答弁ございましたように、日本のエネルギー構造を強固なものにするという意味から、石油代替の電源をできるだけ確保していかなければいけないという点があるわけでございますので、こういう点もあわせて考慮に入れなければならない。それから、いま申しましたような現実の需給動向というものがあるわけでございますので、こういうものも十分に反映されるような形で設備投資計画をつくっていく必要があると、こういう考え方で対処してまいりたいと思っております。
  175. 神谷信之助

    神谷信之助君 いま需給状況の問題、それから電力九社の設備投資の意欲の問題という問題をなにしているんですが、もう一つは、今度は設備投資そのものについてなんですが、従来企業の行う設備投資というのが、言うならば大企業の利益隠しに使われるという傾向が多いし、問題点があるという点はわが党もいろいろ指摘をしてきたわけ ですね。電力会社の場合は、これは単なる利益隠しじゃなしに、別の問題も含まれているというふうに私どもは思うんですよ。それはどういうことかというと、電気事業は公益事業として電気事業法に基づいて料金その他一定の規制が行われていますね。ですから、安定供給の義務と引きかえに景気動向と関係なく一定の報酬率というものが確保されると、こうなんです。現在それは八%でありますがね。この八%の基準になる数字には、固定資産税とか核燃料などのほかに、建設中の資産ですね、設備投資した部分もこれも半分ではありますけれども含まれるわけですよ。このことが需要の低迷期にはコストアップの要因になっている、経費のコストの方がね。そうして電力会社の経理を圧迫するという状況になっている、いわゆるコストに入れられますから。つまり設備投資によって電力会社の赤字をつくって、それが電気料金引き上げに連動するという状況が生まれてくるという、そういう関連が国民生活との関連では出てくるんですよね。需要がずっと落ちてくる、片っ方ではコストアップする、だから電力料金引き上げるという、そういう関係が出てくるんですよ。こういう特殊な状況が電力にはある。こういう点についてはいかがお考えですか。
  176. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) いま電力料金の計算方式について御指摘が神谷委員からございましたが、私はいまの建設仮勘定の半分分の八%を一つのコストに見る、これはもう当然のことで、すべての原価計算でこの方式が間違っているとは思いません。
  177. 神谷信之助

    神谷信之助君 いや、八%は報酬率ですよ。
  178. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) 報酬率です。それに対して八%掛けてそれがコストに入る、こういう意味で申し上げて……
  179. 神谷信之助

    神谷信之助君 そうそう、八%の中に、その基礎にあるわけね。
  180. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) もちろん建設仮勘定を入れる……
  181. 神谷信之助

    神谷信之助君 それの八%。
  182. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) それは私は間違った考え方とは思わないんです。それを消化するだけの料金じゃないと投資も行われませんし、将来料金から回収ができないから、それは当然私は適正なる計算方式だと思っております。
  183. 神谷信之助

    神谷信之助君 いや、料金は、いつも回収できるようになっているんです、赤字にならぬようになっているから。
  184. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) それはもう私は別に間違っているとは思いません。
  185. 神谷信之助

    神谷信之助君 間違っているとかの問題じゃない。
  186. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) そういったことが今度の何と申しますか、原油の値下がりによってその部分が保証されるんなら、建設仮勘定であるところの投資に向ける部分が保証されるわけでございますから、これは私は別に差し支えないことだと。電力料金引き上げのコストとして計算される際には、消費者保護見地から考えますと、何と申しますか、大変痛く感ずるところがあるかもしれません。しかし、そういう計算方式は、設備投資を基礎として事業を営む会社には当然あるべきではないか。ただ、おっしゃる点は、だんだん設備過剰のときである、そういったときにもう一つ投資をさせて、それをまた建設仮勘定の八%を料金に入れていくことはどうかと、こんなのはでき上がってから八%でいいじゃないかというお考えがあるかもしれませんが、私はやっぱり継続性の原理で考えるべきではございますし、ただ問題は、設備過剰の今日、将来のまた供給力を増すような設備投資をやらすことがいいかどうか、この判断にかかると思います。
  187. 神谷信之助

    神谷信之助君 私が言っているのは、いまの長官の最後のところなんですよ。報酬率の基礎に設備投資の資産の半分を計上するということを問題にしているんじゃない。そういうことになるから、結局設備投資に充当するということは、コストアップを引き起こし、電力料金を下げるのを抑えるというか、逆に上げる要因にさえなり得る。だから、現在必要なのは不況が長引いているとき、しかも家計支出を見ますと、御承知のように税金と社会保険料と、それからこういう公共料金と、これは必需品ですからね、電気・ガス代というのは。それから教育費、これが家計費の大部分を占めるというのがNHKの朝の奥さんの時間でもしょっちゅう言われていますね。だから、そういう状況にあるんですから、問題は電力料金の方に振り向ける方がいいんではないか。いま長官おっしゃったように、過剰ぎみがあり、電力九社自身もそういう状況、設備を控え目にしているという状況、そういうことを考えれば、その方が国民生活向上という見地からはいいじゃないのかというのを私は言っているんです。  それから同時に、そういう意味で、電力会社の方は逆にいわゆる省エネといいますか、エネルギーの節約よりも、いまはエネルギー消費の運動をやっておるぐらいでしょう、よけい使うてくれと、こういうことを言っているんですから。これはもう僕は、長官も先ほどおっしゃったように間違ったことですよ。こんなむだな浪費をやってもらっては、これは原材料の少ない日本なんかはたまったものじゃないというように思いますね、石油を外国に頼っている日本で。ですから、その点では、こういう考え方は私は間違いだと思うのです。しかし、そうであっても、やっぱり電力料金の値下げに回す方が私はメリットが大きい。いままた、そういう意味では中小零細企業なり、そういうところにも影響してくるわけですから。そういう点をひとつ長官どうお考えか、お伺いいたします。
  188. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) 私も、いま設備投資に回すべきか、電力料金引き下げの方に回すべきか、この原油の値下がり分についての判断は大所高所から決められるべきだと、こういうふうに思うところでございます。そのあたりは、やはりこれから十分な検討が必要でございますし、いまのままでいきますと、電力会社ですらおっしゃるように電力を使ってくれというようなことを言われておる。私は、景気回復することによって電力の消費量が自然にふえるならいいんですけれども、消費が下がったから使えということになると、私は、将来また原油が値上がりになるということはもうすべての人が言っているところでございますから、こういう点を政府ははっきりしなきゃならぬと、こういうふうに思っております。
  189. 神谷信之助

    神谷信之助君 それから、今度また通産省にお伺いしますが、報道によりますと、通産省は原油の値下げを契機に、アルミとか石灰など一部の産業用ですね、いまの不況産業に対し電力料金を家庭用の電力料金に先行して引き下げ検討をしているという報道があるんですが、これは一体事実かどうか、いかがですか。
  190. 黒田直樹

    説明員(黒田直樹君) 午前中の当委員会審議でも御答弁申し上げましたように、原油価格引き下げに伴います電力料金の取り扱いにつきましては、いろいろな要因を考慮しながら今度慎重に判断していきたいというのが私どもの基本的な考えでございます。いま先生御指摘になりましたような一部の新聞報道におきまして、この値下げを一部の産業について先行的に行うというふうな報道があったことは私ども承知いたしておりますけれども、そういう検討を行っているという事実はございません。
  191. 神谷信之助

    神谷信之助君 いずれにしても、電力料金の値下げ問題というのは喫緊の課題になってくるので、そういうときに私は考えてもらいたい、特に長官にも御検討いただきたいと思うのですが、電力料金内容といいますか、これが産業用の電力料金と家庭用の電灯料金といいますか、これとの格差というのがずっとあるわけですね。現行の五十五年改定で九社平均でいきますと、産業用電力料金を一〇〇とすれば家庭用は一三六なんですね。四十九年の改定、それから五十一年の改定、それから五十五年の改定でだんだん格差は減らしてきていますけれども、いまなおまだ一〇〇対一三六で家庭用の方が高くなっている。これは先ほど長官おっしゃったように、エネルギーを節約す るんじゃなしに使うてくれと呼ばわっているわけでしょう。こういうのを抑える上では、産業用の方だけ安くしておるという必要はないわけですよ。逆に知恵を働かして、電力の消費を節約をするというためにも、この辺の価格の体系というものは、ぜひこういうゆがみを直してもらいたいというように思うのですが、この辺長官いかがですか。
  192. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) 所管は私の方でもないようでございますけれども、私の聞いておりますところは、とにかく家庭用の方がコストが、発電から変電設備を通り、かかっておるから高いんだと、こういうふうに聞いております。産業用は卸売価格といいますか、大量に使い、変電設備も要らないようなことでございますから安くなる。コスト上の問題としてあるわけです。神谷委員のは、少し政策的な観点が入り過ぎる料金のように聞こえて、私は家庭用の方を下げるべきだというお話に伺ったんでございますが、いまのようなコストは何としても差があることは厳然たる事実とすれば、これはやっぱり家庭用の方が高くなる、こういうふうに思います。  それからまた、産業用と家庭用とどちらが経済原理が働くかといえば、これはやっぱりコストの競争世界じゅうで闘っている企業の方が、私はやっぱり節約の原理はよく働く、こういうふうに思うんでございます。  ともあれ、いまのこれは、通産省がおられるからなお気をつけていただきたいのは、もうガソリンでもこの間から、何と申しますか過剰だからというような話、原油が下がるからと安売りしていく、それを歓迎して消費をふやすような傾向が見られる。せっかく省エネのためにスタンドを日曜日は輪番制度にしたのをまたもとに返す。いまや、まさしく市場原理という形で原油の消費がもとへ——もとというのはありませんけれども、下がっただけもとへ、下がった分ぐらいはふやすぐらいな気持ちがあるんではないかというふうに企画庁長官は心配しているわけでございまして、むしろやっぱり省エネ態勢は堅持して、とにかく三割節約をしてやっと二・三倍に上がった油を耐えてきた。それで三割節約したからアラブの人たちも、産油国の人たちも、このような五ドル下げなきゃやっていけないというところへ来たんでございます。この態勢は維持しないと大変だと思っております。
  193. 神谷信之助

    神谷信之助君 電力料金価格差の問題は、これはいずれまた通産省とやりますが、コストのとり方の問題というのはいろいろ問題あるんです。  だからそういう点で、四十九年改定は一〇〇に対し一五六だったのが、五十一年には一五〇になり、五十五年の改定では一三六にまで縮まってきているんですね。これは所管の通産省と議論をいたしますが、そういう問題があるということは、コストがイコールということにならないでしょう。それはわかります。しかし、コストをどうとるかというのは議論のあるところです。  それから、大体長官のお考えというのはわかりましたが、先般の予算の総括で、私の質問に対して山中通産大臣は、天の恵みだから国民全体に戻すべきだと、いわゆる企業努力によって得た収益ならば企業に還元ということもあるけれども、今度は天の恵みだからこれは国民全体に返す。したがって、これは電力料金の値下げを勧告をする、それに従わなきゃやっぱり命令もあり得る、電気事業法の二十三条の発動もあり得るという答弁をなさっているんですけれども、ただ問題は、いわゆる長期安定料金という考え方ですね。確かにしょっちゅう変動するのは困るでしょう。しかし、得てきた利益を企業の電力会社でじっと持っているのか、国民の暮らしに早く返して、国民のふところをふやして、内需を刺激をしていくのかという問題になりますと、私はやっぱりそれは、通産大臣が言ったように国民の方へ早く返せと。大企業は持っていれば持っているだけそれは利益は保証され、安心ができるかもしれぬけれども、しかしいまの不況の時期、そして先ほど言いました家計簿の状況からいっても、この点はひとつ速やかに料金値下げをすべきだというように私は思うんです。この点を最後に申し上げて、長官のお考えを伺っておきたいというふうに思います。
  194. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) いろいろの角度の御意見が出てくると思います。所得税減税と公共投資とが、どちらが乗数効果が大きいかという話に似たような話もあるかと思います。設備投資でも、しかも省エネ態勢、省エネ設備投資、代替エネルギー開発投資というようなものも、私は国民に返る一つの還元の仕方だと考えているところでございます。ただ、そんな投資はいま必要ないんだということなら別でございます。私は、その問題がなくてやっぱり省エネ態勢はやるべきだというなら、そういった形で国民に還元する仕方も私は間違っていない、こういうふうに思っております。
  195. 木島則夫

    ○木島則夫君 経企庁長官を中心にお伺いをしたいと思います。  昨今のわが国経済は、第二次石油ショックが尾を引いておりまして、不況感が一掃されておりません。実質経済成長率も年々低下の一途をたどっている。これは世界不況の余波による側面も確かにあるとは思いますけれども、私は、政府が第二次石油ショックのときに打ち出された五十九年度赤字国債脱却の方針に固執をされて、財政が持っております景気調整機能というものを殺した経済運営を続けてきたところに大きな要因があったというふうに考えております。  つまり、所得減税であるとか、公共投資の拡大といった積極的な景気対策を講じなかっただけじゃなくて、景気回復に逆行をする増税も、より大きく日本経済の低迷に寄与したと、このように私どもは考えております。したがって、はっきり言わしていただければ、政府の対応のまずさから生まれた政策不況である、このように考えてまいりました。同時に、今日の景気の低迷というものは、経企庁自身がお認めになっておりますように、政府が今後の経済運営であるとか、あるいは財政運営をいかに進めていくかについての方向性を示されずに、国民が抱いている将来に対する不安感あるいは不透明感というものを取り除こうと努力をしないために、民間経済活動というものが必要以上に萎縮をすることによって経済不況あるいは低迷に拍車がかかったんではないだろうか、私は大きな要因であろうとも思うわけでございます。  財政景気調整機能を果たす上で大きな役割りを担う公共事業費は、当初予算では五年連続の横ばいということになっておりますけれども、来年度は、五十七年度補正によって先取りをされた分があることや、また物価上昇分などを考えますと、実質では大幅なマイナスということになります。これを反映して政府経済見通しでも、政府支出全体は実質〇・七%のマイナスと、政府部門が完全に景気の足を引っ張る形となっているというふうに受け取ってよろしいと思うんですね。不況のときにはえてして考えがちでございますけれど、財源がないからといって増税をする、あるいは公共投資を抑制し続けていたんでは不況は一層激しくなって、結果的には税収が減って、かえって財政赤字が拡大をするんじゃないだろうか。来年度におきましては、少なくとも政府支出を名目経済成長率と同程度に伸ばす財政運営を講ずることが、わが国経済の安定的発展のためにも、また国際経済摩擦の緩和のためにも必要不可欠であるんだという、これは私どもの経済財政に関する基本的な考え方。これは事あるごとに、機会あるごとに発言もし、政府に対して御提言もしてきたわけでございます。  政府は、以上の政策不況の事実を認識されて、いまからでも積極的な経済運営への転換を図るべきではないかと私ども考えておりますけれど、長官の率直な御所見をまず伺っておきたいと思います。
  196. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) 木島委員の御質問は、私もそのような角度から見れば確かに政策不況というふうに表現ができると思うんでございます。確かに、財政赤字解消に力を入れ過ぎて、したがってケインズ政策の逆でありますところの不況のと きにむしろ増税をする、あるいは公共事業をふやさない、こんなことは、見方によりますれば、私は経済学的にも間違った政策ということはよく指摘される方がおられますし、木島委員の御指摘は、それを政策不況ということに言われているんじゃないかと思うんでございます。まあ、しかしながら、私は事ここまでに至りますと、財政再建も経済対策景気対策として大事なことだと、こういうふうに思うんでございます。それはアメリカでよく言われておりますように、財政の赤字が利子を引き上げて設備投資や住宅投資、自動車投資を阻害しておる。鶏と卵みたいな関係かと思うんでございます。私どもの、わが国でもいま貯蓄過剰で、その貯蓄が何で消化されるかと申しますと、ほとんどが国債で消化されているから、やっと預金者に対して金利が払えている。その他の民間の企業設備投資は、中小企業は特にそうでございますが、大企業でもだんだん減ってきたと、こういうことが言われております。やっぱり赤字国債がここまでふえてまいりますと弊害ももたらしてくる。やはり財政再建は必要なことだと思います。  それからもう一つ、いま増税のお話が出ました。今度レーガンは、あの増税嫌いのレーガン大統領が、わずか四セントのガソリン税を今度は逆に九セント、倍以上に上げまして、その五セントで道路事業を目的税的にやっていくという、珍しく失業対策中心とする政策をとりました。私は増税が必ずしも景気対策に逆行するというふうには思わないわけでございます。国民に任しておけば貯蓄になるもの、貯蓄と投資が見合わないようなときに貯蓄の部分をいただいて、そして需要をつくっていくということは、これは経済学としてあり得ることと思います。ただ、所得税増税みたいなことをやりますれば、あるいは法人税増税みたいなところは、いろいろ確かに経済運営の主体に対する直撃でございますから弊害もございましょうけれども、確かにまた心理的な萎縮面もございましょうが、それじゃこの貯蓄をどのように事業投資につなげ、そして経済の、何と申しますか、回復につなげていくか。これはよほど研究しなきゃなりませんし、いろいろの見方があろうかと思うのであります。  ともあれ、私は財政再建ということは、やっぱり企画庁のような経済の、何と申しますか、活性化景気対策を主管とするところとしても、やはり重点を置かないと、とにかく順送りにしていく、これまで財政金融政策を活用し過ぎたからこのような赤字が生じた、いまこそこれを挽回しなきゃならぬ、こういう点もあるかと思います。
  197. 木島則夫

    ○木島則夫君 個々の問題について細かく議論をいたしますと、これは際限がございませんけれど、いまお話にございました増税と貯蓄の問題、なぜ貯蓄をするかということになりますと、これは後で私、御質問しようと思ったんでありますけれど、やっぱり先行きの不安感とか不透明感、こういうものが国民の中にございましてね、特に民間がなかなか手が出ない。いわゆる経済活性化につながる行動を起こしてくれない。やっぱりその辺が一つ問題点であろうと思います。これだけ変動きわまりない世界情勢、経済の中で、先をはっきりさせろと、一分の狂いも許さないなんということを私は言っているんじゃない。それがある程度の目安となるようなものをやっぱり方向づけをしないところにもう一つ何か低迷があるんではないかと。この辺は長官、どういうふうにお考えでございますか。
  198. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) 私は木島委員のいまの御指摘はごもっともだと思います。そしてまた、国民が将来に対して不安を感じているから貯蓄をしていくんだというふうに言われた点もごもっともだと思いますし、この点は御意見のとおりだと考えております。
  199. 木島則夫

    ○木島則夫君 五十八年度の公共事業について、先ほどからもこの委員会で議論をされておりますけれど、一般会計における公共事業費が六兆六千五百五十四億円であって、これは五十五年度以来当初予算では四年連続横ばい、それから五十四年度も六兆五千四百六十八億円でありますからほぼ五年連続横ばいと。これは物価上昇分を考慮いたしますと、実質かなりのマイナスになる。さらに、五十八年度は、さっきも申し上げたように、五十七年度補正によって先取りをされた分がございますから、予算額としてもマイナス、実質ではそれ以上のマイナス、これは当然だろうと思いますね。私はまた、公共事業費としては、ほぼ五年連続横ばいでありますけれど、一般会計予算投資部門の歳出で見ますと、五十四年度の八兆九千二十一億円から五十八年度の八兆三千五百八十九億円まで、これは減少する一方でございます。で、長官は他の五十八年度本来の歳出項目全体の伸びがマイナスであるにもかかわらず、公共事業費については前年度同額の予算額確保されたと、こう述べているわけでございますけれど、投資部門歳出が減少を続けていることはいま指摘をしたとおりでございます。これを反映して政府の五十八年度経済見通しでも、公的固定資本形成は名目でも一・六%のマイナス、実質では二%程度のマイナスと。また、政府の支出は名目で〇・四%増、実質では〇・七%のマイナスで、これは実質経済成長率を〇・一%引き下げるものと考えられる。で、当初、これは私どもが仄聞をしているところでございますけれど、経済企画庁としては、財政景気の足を引っ張らないようにするために、公共事業費を四千億円上積みすべきだと考えていらしたようだ。しかし、行政改革再優先の現内閣のもとでは、経企庁みずからの考えを公式に表明する機会さえなかったというようなことも仄聞をいたしておりますけれど、これはどうでしょうか。  それから、五十八年度の公共事業の前倒しと二兆円程度の追加を行うべきではないだろうか。これはかねがね私どもが主張してまいりましたところでございますが、再度ひとつ長官から御確認をいただきたい。
  200. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) 木島委員が御指摘されました数値はおっしゃるとおりだと思います。正しく御計算をされて御指摘されたと思います。四年あるいは実質五年横ばいということもまた事実でございますが、しかしこれは当初予算の数字でございまして、いつもは何らかの形で災害あるいは補正予算の形で追加されておりますので、全体と合わせてまいりますと必ずしもそのようになっておりません。六兆六千五百五十四億円を上回っていることが実情でございます。ただ、五十八年度は六兆六千五百五十四億はそのままでございます。しかしながら、御指摘のように、政府の財投関係の投資まで入れますと四千億ばかり減っておりますことは事実でございますが、それは電電公社、国鉄が投資することがむずかしい、投資需要がないということが大きな原因でございます。そういった観点から私は、財政上の理由もございましたけれども、このような財政で何とかひとつやっていかなければならない、こういうふうに考えてきたわけでございます。もちろん四千億の追加も願った方がいいことはいいわけでございますけれども、マイナスシーリングのときに果たしてどうかというようなことも働いたと思いますが、このような予算になっておるわけでございます。  これから考えられますことは、まず前倒しは五十六年、五十七年度やってきたことでございますので、これはぜひともいまの経済情勢のもとではやっていただきたいと私は考えております。  もう一つ、木島委員は大変大胆な二兆円の投資追加を言われておられます。財源さえあればですね、私はもう大変なこれは朗報だと思います。しかしながら、もう御案内のように日本の利子の高さを考えてみますと、二兆円の八%、これはどう考えてみましても千六百億円の国債費の利払いだけで要るわけでございます。私は、通説によれば、一兆円投資すればその八%の八百億円ぐらいの税収、自然増収の増加を生んでと言いたいんですけれども、いまの租税の収入状況を見ておりますと、決して生めないような構造になっている、こういうふうに考えるわけでございます。そうなりますと、私は、利子が高いか、成長率が低くて自然増収の出方が少ない、どっちかを直していかな ければいけないと思っているところでございますが、いまの状況では、私は単純に建設公債を多くして追加をしていくのは大変な危険を伴う、また財政再建が大変深刻な問題になるであろう。これは別途の観点から、私はやはり有効需要の拡大としては公共投資だと、しかも社会資本の整備のおくれた日本では絶対に必要なことだと思っておりますが、赤字公債でやることはどうでしょうか。赤字公債と申しますか、建設公債でやることは、いまの金利の高さ等から見てまた大変な危険性を伴うものではないかと思います。
  201. 木島則夫

    ○木島則夫君 その辺が政権を担当されている当事者としての御苦労でもあるということは私よくわかります。しかし、こういうときだけに、反面大胆な発想も必要だという意味で私ども申し上げてきたわけでございます。  減税についてもしばしば論議をされておりますけれど、一兆円の個人減税がGNPを〇・一五%引き上げる、経企庁は丸めて〇・二%というふうにおっしゃっております。景気浮揚に役立つとは、少なくとも〇・一%程度景気浮揚効果が望めるものでなくてはなるまい、数字の上から申しますと七千億円程度のものがこの〇・一%の浮揚効果を持つ数字でございます。それゆえに、景気浮揚に役立つ相当規模の減税とは、少なくとも七千億円以上のものでなくてはならないというふうに私ども考えております。これについての御所見と——現在予算審議中でございますから、その辺の御事情も私はよく承知をいたしております。それから二番目に、NEEDSマクロ経済モデルによる景気の波及効果の試算——私どもの試算によりました結果は、間接税の増税によって減税を行いますと、何もしなかった場合よりもむしろ景気を悪くさせる、それから赤字国債の発行によって減税を行った場合には景気をよくする、こういうことを示しております。また、一橋大学の石先生も、景気対策をあくまで支持するのならば、赤字国債でやるのが一番いいともおっしゃっておりますね。赤字国債に安易に頼るのは絶対いけないことは、私どもはその前提としてよく承知をしているものでありますけれど、ある程度弾力的に考えてもいいんじゃないだろうか。経企庁といたしましては、減税財源は自然増収も含めた増収か、歳出カットか、赤字国債か、二者択一的な物の言い方はちょっと大胆かもしれませんけれど、この二点について長官のひとつ御所見を伺いたいと思います。
  202. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) いずれも大変答えるのがむずかしい御質問でございますが、まず第一の景気浮揚に役立つ所得税減税、その減税の規模はどの程度かということでございます。七千億が〇・一とすれば七千億が最低限度じゃないかというお話でございますが、景気浮揚というのは、私はいつも答えておりますのは、量的な、数量で表現できる概念ではないと思いますし、景気浮揚は景気浮揚という、経済学的な、経済的な観点から見るべきであろう。しかし、常識的に、おっしゃるようなことは当然出てくることかと思いますので、これはひとつ、幾らかということは言えませんけれども、腹の中に入れて、常識的なところを、そしてまた経済状況を見て考えらるべきだと、こういうふうに第一点は思います。  第二点は、まさしく経済学者が言われておるような方向で御指摘されたと思います。大型間接税のような消費を直撃する税は、選択性がないというものだけに、しかも、物価を直ちに引き上げるだけに、はるかに所得税の減税よりもオフセットするだけの、景気にマイナスの効果がある。所得税の減税は、御案内のように、消費もふえますが貯蓄もふえるわけでございます。したがって、公共投資よりも景気浮揚効果は少ないと言われるのは、貯蓄部分があるからだと。ところが、貯蓄部分も何もない、消費税という、消費を直撃する税は、これはやはりマイナスの効果を生む。したがって、石先生言われるように、景気効果を生むんなら赤字公債でやった方がいいということは、私は当然言えるかと思うんでございますが、しかし、いま赤字公債を起こすことは、先ほど来申し上げております、私どもにとっても、これは私が大蔵省出身だから言うわけじゃありません、しかし、これまでの財政政策を私どもが使い過ぎた結果ここに困っておるんだから、やはり赤字公債は削減の方向でいかざるを得ぬのではなかろうか。そうすると、歳出に求めるか、自然増収を含めての、経済に悪影響を及ぼさないところの増収措置というようなことになるんじゃないでしょうか。こんなことを考えながら、ひとつ慎重にやっていくべきだ、こういうように思います。
  203. 木島則夫

    ○木島則夫君 その辺はもう少し詰めたいところでございますけれど、何せ与えられた制約、時間がございます。  せんだっての九十八回国会における塩崎経企庁長官の演説の中に、「中長期の展望、指針を明らかにし、企業や家計の先行きの不透明感を払拭することは、現下の景気回復のためにも欠くことのできない条件であります。」こうおっしゃっているわけでございます。また「昭和五十七年経済の回顧と課題」では、「財政再建を今後いかに進めていくかについての方向性が明確でないこともあって、将来に対する不透明感が払拭されていないことである。このことが、民間経済活動に対し一つの足枷となっていることは否めない。」こうも述べております。財界でも、政府には財政再建や景気政策について、三年先あるいは五年先のビジョン、正確でなくてもいいから方向を示してもらいたい、こういう要望が多いようでございますね。  そこでお伺いをしたいんでありますけれど、経済計画の決定がおくれております。この辺はどういうふうになっておるか。不透明感を払拭することが景気低迷からの脱出に不可欠の要件であると私は考えておりますけれど、この辺のはっきりした御所見を長官に伺いたいと思います。
  204. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) 私も木島委員の御主張のとおり、やはり、自由経済社会でも、将来、日本経済というものはどうなっていくんだという見通し、ビジョンを与えることは、私は大変必要なことだと思いますし、御指摘のように、経済界の大抵の方々は期待されているようでございます。経済審議会に諮問いたしました新計画の策定がおくれておりますので、そのような非難を受けておることは大変申しわけなく思うところでございますが、先般、新計画に移るに当たりまして、これまで、去年の七月から御検討をいただいたその検討の経過報告がございまして、ここしばらくの経済成長率は、名目では五%から七%程度、それから実質では三%から四%の範囲内ではなかろうか、しかも今後の経済運営がうまくいくならば四%の方向にいくのではないかというような見通しを一応出したわけでございます。しかし、それが「経過報告」という大変謙虚なるタイトルのせいか余り着目をされておりませんが、先般の大蔵省から出されました中期試算でしたか、財政赤字の取り扱いに関しますところの中期試算ではこのような数値が活用されて、名目の成長率は六%、これで将来をずうっと計算しておるようでございます。
  205. 木島則夫

    ○木島則夫君 やはり、はっきりした、何というんでしょうかね、完全なる、コンクリートなものでなくて結構ですから、やっぱり将来のあるべき方向性、こういうものがないと、先ほどから申し上げておりますように、民間も動きがとれない。そういうところから経済が萎縮をする。そういうことのないように、この辺も十分に長官として御配慮いただきたいというふうに考えるわけでございます。  あと公定歩合の下げの問題やら金融政策やら、ずいぶんあるんでありますけれど、ちょっと時間がございませんので、質問は提出はいたしておりますけれど、私やはり原油の値下げの問題に絡んで、電気料金ですね、これをどうするかということが一つ大きな課題ではないかというふうに思います。これに対する長官の基本的な認識をまず聞かしていただきたいと思うんでありますけれど、重複するかもしれませんが、お許しをいただきたいと思います。
  206. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) 電気料金、特に原油の引 き下げに伴いますところの電気料金をいかに取り扱うかというところの御質問でございますが、私はこれからの、電力会社がどのように原油を買っていくか、それからまた円高との関係、それからコストの関係、さらにまた省エネ投資、代替エネルギー開発投資に対する電力面から見たところの投資の必要性、これらを考えて、五十三年のようにわずかの、一年ちょっとの間のばらまきと言われるようなことを避けての長期安定料金という観点から、ひとつこれから慎重に検討すべきだと思っております。
  207. 木島則夫

    ○木島則夫君 私どもも、いま長官が言われたような基本的な姿勢に賛成でございます。民社党としましては、まだきちっとしたこれに関する政策というか態度は決めておりませんけれど、五十三年当時のような状況を繰り返したくないということと、やはりいま長官がおっしゃったように、先行き原油が、これからずっと安定供給されるものかどうかもわからない。いろんな問題がございますので、にわかにこのことを今日的な視点に立って即決をしていただきたくないということでございます。特に私はお願いをしたいものは、選挙が間近になりますと、とかく今日的な視点に立っての判断、実行というものが行われる。そのために将来の日本を誤るようなことになっては、これはいかぬというふうに私は思います。  電力の問題、設備過剰であるとか、いろいろ問題になっておりますけれど、これは長官もよく御承知のように、季節によって需要は非常に変動する。そのピークのことをやっぱり考えてある程度設備もしておかなければならない。それを保留する、保留というか維持する、このためにもやっぱり莫大なお金がかかる。いろんなことがございますので、一概にこういうものも断言はできないというふうに私どもは考えております。しかも、具体的な例としましては、電柱の地下埋設であるとか、それからいつ災害が起こるとも知らない、そういうときに安定したというか、緊急な電力の供給と電気の供給、こういうものもやはり配慮の中に入れないと、これは政治の果たす役目というものは果たされないというふうに考えるわけでございますが、長官の御意見をもう一度聞かしていただきたい。
  208. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) いま木島委員が申されました点は、全く同感でございます。
  209. 木島則夫

    ○木島則夫君 この原油問題につきまして、将来を経企庁としてはどんなふうに何か見通しておられるか、これまた非常にむずかしいとは思いますけれど、ひとつ聞かしていただきたい。
  210. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) 今般、OPECの会議で、一バレル五ドル下がるということに決まったわけでございますが、北海原油はまだ下げるんではないかと言われたり、いろいろ足並みの乱れがあるとか言われて、まだまだ下がるんではないかというふうに言われておるのは、これ企画庁が言っておるわけじゃありません。世間と申しますか、特にアメリカの学者などを含めてすべての方々が予測しているところでございます。しかしながら、この中東情勢は、もういつどうなるかわからない大変な、火薬庫みたいなところでございますから、また世界全体が消費をもとのように復活するならばまた上がってくるんではなかろうかとか、あるいはまた政治情勢の変化に応じて大幅な形での引き上げがあるんではないかと、こんなことが言われておりますので、私はやはり原油については慎重に、いまのような、これまで苦労して三割節約したところのこの苦労を依然として継続していくべきではないかと、こういうように考えております。
  211. 木島則夫

    ○木島則夫君 これで最後の質問にいたします。  私もまさにその辺が今後の問題点であろうと思います。原油が安くなる、もうそう決めてしまって、そこで今日的な動きをする。やれ消費の拡大、需要の拡大、これ、やっぱり非常に危険だと思うんですね。しかし、とかくそういった今日的な、何というか、現象にほだされやすいと申しますか、政治が引きずられやすい。この辺を私は大いに戒めていただきたい。その辺が企画庁の果たすべき大きな役割りじゃないかと思うんだけれど、長官どうですか。
  212. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) 大変御激励いただきましたので、そのような方向でひとつ検討していきたいと思います。
  213. 木島則夫

    ○木島則夫君 結構です。
  214. 片山甚市

    委員長片山甚市君) 本日の調査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十六分散会