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政府委員(
小島和義君)
肥料の
価格動向を占いますものといたしまして
肥料工業の体質の
改善ということももちろんございますが、短期的には原材料
価格の動向ということが大変大きく影響を持つわけでございます。御承知のように、最近、輸入の原油
価格の値下がりという大変明るい
状況もあるわけでございますが、最近のアンモニア系の窒素
肥料の生産の形態を眺めてみますと、一時の石油系の原料の値上がりということに
対応いたしまして、たとえばナフサのようなものの使用割合というのは大変減ってきておるわけでございますが、今後石油がもし長期的に値下がりをするというふうなことになりますれば、恐らくその
肥料の原材料
価格にもいい影響を与えるだろう、こういうことを期待をいたしておるわけでございますが、先行きについては必ずしも定かではない要素もいろいろございますが、過去におきますような大幅な石油の値上がりというふうな事態に比べればやや落ちつきを取り戻してくるというふうに一般的には見ております。
それから燐鉱石とかカリのようなものにつきましては、これは全量を輸入に依存いたしておるわけでございまして、石油ショックの際にほぼ石油と同じように値上がりを来しておるわけでございます。昨今の値動き、これは為替の問題も左右いたしますので一概には申し上げられませんけれ
ども、やや落ちつきを取り戻しておるというふうな
状況でございますので、仮に、将来値動きがありましても一ころのような大幅なものではなくて微増程度の上昇であろう、こういうふうに見ておりますので、短期的に眺めてみますならば、
価格の見込みとしてはやや明るさを取り戻しておるというふうに見ておるわけでございます。もちろん長期的には
肥料工業の全体的な体質の強化がどうなるとか、あるいはさらに石油等を含めました原材料の長期の動向ということに左右されるわけでございますので、長期的な
見通しは軽々しく申し上げかねるというのが実情でございます。
それから
肥料価格安定等臨時措置法の問題でございますが、御承知のように、これは三十九年に制定されまして、五カ年の限時
立法であったわけでございます。その後三回
延長を見まして今日に至っておりますので、明年の六月でこの
制度ができましてから二十年という長い期間、この
制度によって
肥料の
価格安定を図ってきたということになるわけでございます。明年の七月以降どうするかという問題についてはただいま
検討中の問題でございまして、
農業及び
肥料工業をめぐるいろいろな厳しい
状況、さらには
肥料の
需給とか、
価格の動向も踏まえて
検討しなければならないというふうに考えております。このために私
どもの方と通産省と共同で設置しております
肥料対策協議会というところで
検討もお願いをいたしておるわけでございます。しかしながら、一般論として申し上げますと、
法律をつくったときに比べて大変むずかしい
状況が出てきておるというのも事実でございます。
三つほどございますが、第一には、この
法律の
一つの軸でありました日本
硫安輸出株式会社というのが
政府の
特殊法人整理の
方針のもとに昨年六月をもって解散をいたしております。それから第二には、
肥料の
価格の取り決めの一方の当事者であるところの
全農の
肥料メーカーに対する
価格交渉力というのが原材料の
メーカーへの
供給ということを通じまして以前に比べて相当強まっているという問題がございます。それから第三には、
政府の
独禁政策との絡みもあるわけでございますが、過去におきますこの
法律の廷長の都度、
公正取引委員会からは今回限りであるということを言い含められているという経過があるわけでございます。幸か不幸か、前回、
昭和五十四年の
改正のときにはいわゆる第二次の石油ショックのさなかでございましたし、さらにその前の
改正のときには第一次の石油ショックのさなかである、こういった
事情もございまして、経済
事情の著しい変動のさなかにおいてこの
法律を廃止するというのはいかがなものかという議論が大変強うございまして過去の
延長が実現をいたしたわけでございます。今回の場合にはそういう問題も余り顕著ではございませんし、また反面において、ただいま通産省の方からお話がございましたように、新しい
特定産業構造改善臨時措置法によりますところの
対象業種として化学
肥料も取り上げられておるという全く新しい事態もあるわけでございます。そういったことも踏まえまして、また
関係業界の意向も十分聞きながら今後この
法律の扱いを決定いたしたい、かように考えております。