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1983-05-10 第98回国会 参議院 農林水産委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年五月十日(火曜日)    午前十時六分開会     ─────────────    委員の異動  四月二十七日     辞任         補欠選任      伊藤 郁男君     柳澤 錬造君  五月九日     辞任         補欠選任      柳澤 錬造君     伊藤 郁男君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         下条進一郎君     理 事                 岡部 三郎君                 高木 正明君                 初村滝一郎君                 川村 清一君                 鶴岡  洋君     委 員                 大城 眞順君                 熊谷太三郎君                 古賀雷四郎君                 田原 武雄君                 中村 禎二君                 坂倉 藤吾君                 中野  明君                 藤原 房雄君                 下田 京子君                 伊藤 郁男君                 大石 武一君    国務大臣        農林水産大臣   金子 岩三君    政府委員        農林水産大臣官        房長       角道 謙一君        農林水産省農蚕        園芸局長     小島 和義君        農林水産省畜産        局長       石川  弘君    事務局側        常任委員会専門        員        安達  正君    説明員        通商産業省基礎        産業局化学肥料        課長       横田 捷宏君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○肥料取締法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○酪農振興法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○家畜改良増殖法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  肥料取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましては、すでに趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 今回のこの取締法改正は、登録事務簡素化とそれから品質保全措置ですね、これが中心になっていると思うんですが、ほかに今日の肥料をめぐる一般的な状況から見て、今回の改正だけで農水省としては肥料政策というのはいいと、こういう判断なのかどうなのか、まずそこから、基本的な改正に対する趣旨をあわせて明らかにしてもらいたい、こう思うんです。
  4. 小島和義

    政府委員小島和義君) 肥料に関する法律は、今回の肥料取締法のほかに肥料価格安定等臨時措置法、これは肥料の生産及び供給両面から見まして、その安定を図るという趣旨に基づく法律でございます。そのほか、肥料工業構造改善を図るという観点から、特定産業構造改善臨時措置法というような法律もございますし、肥料ないしは肥料工業対象といたします法律の中にもその目的なり手法なりに応じまして、いろいろな法制があるわけでございます。それらの法律がそれぞれの分野に応じましてよく機能、役割りを分担しながら、あわせて全体としても整合性のある肥料政策が展開されるということが一番望ましいことというふうに考えておりまして、ただいまのところではそういう役割りをそれぞれが十分果たし得ているというふうに考えているわけでございます。
  5. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 肥料政策として全般的にとらえていきますと、まず第一は、やっぱり需給管理の問題があるわけですね。二点目の問題としては品質管理、それから三つ目の問題としてはいわゆる流通管理の問題、四つ目価格安定対策五つ目の問題としては今後の研究開発、こうしたものがやっぱり組み合わされないといかぬのじゃないんだろうか、こういうふうに思うんですよ。そういたしますと、確かにこの名前もよくないんですが、取締法なんというふうなかっこうで、しかも中身は安定的な何といいますか、供給も含めて、この法律の中でやっていこう。こうなりますと公正取引は入ってくるわ、何は入ってくるわ、名前中身と異なると同時に、今日、趣旨説明にあるように肥料自体大変多様化をしてきている。しかも、従来の感覚から見ると、いわゆる産業副製品その他が材料になってどんどんできている。こういうことになりますと、この具体的なかっての肥料に対する認識と今日的な、現実的な変化をとらえまして、総体的にひっくるめる一つ法体系というものを再検討しなきゃいかぬのじゃないんでしょうか。聞くところによると、省内でそういう総合的な、名前は何といいますか、肥料法といいますか、肥料分野を明確にし、しかも先ほど申し上げましたいわゆる需給品質あるいは流通価格、それぞれの分野をきっちり網羅をしたそういう法律案といいますか、それの検討が行われたようには聞いておるんですが、どうもまだそこに踏み込みが、もともともそういう法体系が無理だというようなことでやめられたようないきさつがあるように聞いておるんですが、そこのところはどうなんでしょうね。
  6. 小島和義

    政府委員小島和義君) ただいま御指摘ございました問題は、実はこの法律立案過程におきまして、従来から私ども関係する法律といたしまして耕土培養法という法律がございます。これはいわば農業のための土づくりに関する法律でございます。昭和二十年代の制定に係るものでございまして、今日においてはかなり内容現実に合わないと申しますか、空洞化してきておる法律でございます。  最近、肥料品質問題もさることながら、農業土づくり重要性ということが各方面から指摘をされておりますので、この耕土培養法を再活性化いたしまして、あわせて肥料取締法と一体的な法律ができないものかということで検討いたした経緯はあるわけでございます。  ただ、このことにつきましては肥料取締法の方が物に即した取り締まり行政ということであるのに対しまして、耕土培養法の方は、仮にこれを内容を修正いたしましたといたしましても、農業のための土壌改善を促進するための助長法規的な性格にならざるを得ないということが一つと、あわせて耕土培養資材の取り扱いの問題、これはなかなか現段階におきましては検定の方法なり、 あるいは基準なりについてまだ確たる見通しを持ち得ないというふうな技術的な理由もございまして、これを一本の法律にするということについては幾つかの難点があるということで今回見合わせにいたしたわけでございます。  したがいまして、今回お出しいたしました法律は、肥料取り締まり分野における法律だけということになっておりますが、決して耕土培養法関係法制整備という問題を断念いたしたわけではございませんで、さらに検討を進めまして、いずれ機会を得ますれば御審議を煩わしたい、さように考えておる次第でございます。
  7. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 耕土培養法、その法律が具体的にそう今日の状況の中で発揮をするところにいっていない。だから、これを見直さなきゃならぬことは言われるとおりだと思うんですね。  ただ、耕土培養資材の中に具体的に肥料分野に入るべきもの等も含めまして、相当そういう意味では肥料とは一体どういうものなのかという問い直し自体もこの肥料法ができました二十五年当時とは全くさま変わりになっているわけでありますから、そういう意味合いでの位置づけを含めて、私は総体的に一遍見直してみる、そのことの必要は特にこの法律案に絡んで全般を見ましたときに感ずるわけであります。  したがって、これは単なる省内のそれぞれのスタッフによる論議というよりも、明らかに肥料とは一体どうあるべきか、そうして同時に肥料の先行きの状況というのは、まさにこれは諸外国等事情も絡みまして、国内需要も余り伸びてない、こういう状況の中でいくと、今後の見通しというのは一体どうなるのかというようなことも含めまして、大変重要な課題であろうと思うんですよ。  そういう意味で、先ほど言いますように、今後の需給見通し、これは一応産構審等でも論議がされておりますし、あるいは肥料協議会の中でも論議がされているわけでありますけれども、少なくともそういう各方面関係するところがやっぱり寄り集まりまして整理をする段階に来ているだろう。いま確立をしていきませんといかぬのじゃないんだろうか。  まあ、今回の法改正というのは、そういう意味合いでは少しつけ焼き刃、こう言うとしかられるかわかりませんけれども行政改革一つ立場、勧告を踏まえて、登録関係簡素化をするんだ、そのことにひっかけて一部品質の変動があるからそれの品質保全をどういうふうに確立をするのか、ここがまさにつけ焼き刃的な形で、対応としては全然全体を触れられていない。大変そういう意味では今回の改正というのは私は不十分じゃないのか、こういうふうに指摘をせざるを得ぬわけですよ。  そこで大臣、いま小島局長から説明のありました、一遍肥料関係を具体的に網羅をしていく、こういう立場で既存のいわゆる法体系も含めまして、省内でといいますか、省の方で具体的なそういう研究機関を開いてもらって、そうして検討を開始をしていく、こういうことについて大臣として見解をひとつ明確にしてもらえませんか。
  8. 小島和義

    政府委員小島和義君) 大臣からお答え申し上げる前に、事務的な立場からお答え申し上げたいと存じます。  肥料の問題は、確かに肥料そのもの品質保全だけで解決できるわけじゃございませんで、たとえばそれを圃場で使う段階ということになりますと、これは営農指導分野になってくるわけでございます。そういうことにつきましては、直接的な法律をもって定めるべき字句はないわけでございまして、先般御審議いただきました農業改良助長法に基づきます普及制度の活用というふうな、いわば行政運営分野にわたってまいるわけでございます。  また、肥料以外の土壌改良資材というふうなものにつきましても、現在、法律的、行政的な品質保全のための有効な措置はないわけでございますが、それらの問題につきましても、どういう場所においてどんな資材を使えばいいかということについては同じように農業の一般的な指導の中で対応しておるという問題でございますから、必ずしも法制面に顔を出さないという領域が多々あるわけでございます。  また、流通問題につきましても、今日のような自由な流通市場のもとにおきましては、行政流通の各段階に直接タッチするというよりは、肥料全体が公正に過不足なく流通するようなマクロの体制と申しますか、そういうものを整えるということに行政的な役割りがあるわけでございますが、各流通段階に応じた行政上の施策というものは直接的には必要ないということになりますので、全体系として眺めてみますならば、いろんな分野に法の空白があるということは御指摘のとおりでございます。  ただ、それらを全体眺め渡してみまして、どういう分野に欠けたるものがあるかという見直しは常時行わなきゃならないわけでございまして、先ほど申し上げました耕土培養法の問題というのもせっかく現在一つ法制措置があるわけでございますから、そういうものの再活性化ということを通じて法の空白部分一つを埋めるということに役立たないか、こういう観点から行っておるわけでございます。もちろん関係する分野行政だけということじゃございませんで、関係する産業もございますし、あるいはこういう化学物質についての一般的な学問的な蓄積という問題も関連してまいりますので、その限りでは関係者意見を十分聞きながら今後の検討を進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございますが、一つの新しいお座敷をつくる、検討のためのお座敷をつくるというふうな問題ではなくて、むしろ専門家の知恵を借りながら今後の体系整備を進めていくという、そういう性格の問題ではないかと考えておるわけでございます。
  9. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 大臣にもぜひお答えをいただきたいんですが、いまの局長説明からいきますと、むしろ耕土培養法とこの取締法、これの合体が中心になっている、こうなるわけですが、むしろ五十四年に五年間延長いたしました。いわゆる肥料価格安定等臨時措置法、これの関係が、もうすでに五年、来年来るわけです。そういたしますと、衆議院段階での論議でも、いまこれに対する省としての態度はこれは明らかにできない現状にある、このことは私は理解するんです。するんですが、現実価格安定ということについて、いまの価格体系自体を見直さなきゃならぬ。そして、その形の中で、たとえばメリットをどういうふうに配分をしていくかについても、これまた真剣に論議をしなきゃならぬ課題です。しかも一方では産構審構造改善のいわゆる指定業種としての肥料工場位置づけがある。こうなりますと、肥料製造、それから製造を含めたいわゆる供給体系、それから需給状況は一体どうなるのか、こうしたことも含めて総体が取り仕切れるようなものにしないといかぬのじゃないだろうか。しかも片方は、価格安定は臨時措置法ですから、これは消えてなくなるということが本来のたてまえです。これは公取関係もあるんでしょうが、しかし価格維持ということが安定的な農業位置づけるために非常に重要な役割りを示してくるわけであります。もともとこれは肥料法律案の中に、場合によってはそういう作用というものが働くようなそういう趣旨合いのものを含めていくべき性格のものです。これは取締法の枠の中に入っていないわけです。そういたしますと、たとえば価格安定をどうするか、それからいままでの取締法的なものをどうするか、名前取り締まりじゃなくって、具体的にどう全量管理をしていくかというかっこうにならなきゃいかぬわけです。そうなりますと、法律案のたてまえも含めて、私は、やっぱりいま再検討する重要な時期ではないか、こういうふうに理解をするんです。そこのところは耕土培養法とこの取締法との関係だけじゃなくって、そういう価格面流通面も含めてもう一遍整理をし直す時期に来ている。ここが見解として違うわけでありまして、そのための検討をやってもらいたい、こう言っているんです。
  10. 小島和義

    政府委員小島和義君) 一つ法律をつくりま す場合に、単に対象物資同一であるかというだけではなくて、その法律の果たします役割りと申しますか、目的、手段というものに応じましてそれぞれ別個の法律体系があるというのは、これは立法の一般的なたてまえであろうかと思います。同じような農業振興目的とする法律でありましても、その内容によりましてたくさんの法律に分かれているというのと同様でございます。  いま御指摘ございました肥料価格安定等臨時措置法につきましては、主要なる内容というのは独禁法例外条項というものでございまして、その意味におきましては、一般法である独禁法に対して特殊なケースとして認められているものでございますから、発足当初から時限立法ということに相なっておるわけでございます。もちろんこれまでも期限の切れましたときに応じまして、そのときどきの事態によって判断をいたしまして、延長の必要ありと判断いたしました場合に、これをまた延長するということでお願いをしてまいったわけでございます。  今後どうするかという問題につきましては、いまなお検討中でございまして、現段階で申し上げられる問題ではございませんが、少なくとも前回延長いたしました以降、かなり大きな状況変化が出てきております。  第一には、この法律内容硫安輸出株式会社の一元的な輸出体制という問題と全農肥料メーカーとの価格決定のための協議、この二つが二本柱でございますが、前段につきましては、一昨年でございますか、政府特殊法人整理という大方針のもとにこれを解散いたしまして、今日ではその部分の規定が空洞化しているという事情がございます。  それから第二には、この法律の後段の、全農肥料メーカー価格決定協議をするという問題でございますが、全農自体価格交渉力というのが原材料の提供等を通じましてかなり強まっておるという傾向がございまして、また現に法律の根拠のございません農薬でありますとか、農業機械でありますとか、こういうものにつきましてもメーカー交渉をいたしまして基本的な価格を決めておる、こういう事情がございます。  それから第三には、これは政府独禁政策との関係でございますが、過去、延長の都度、もう延長は今回限りであるということについて公正取引委員会の方から強く申し渡されている経緯があるわけでございます。  そういうことを踏まえまして、今後この法律の扱いを検討しなきゃならぬわけでございますが、いま申し上げたような事情もあり、また関係業界がどういう希望、意向を持つかということも絡むわけでございますので、これにつきましては、私どもの方と通産省の方で共同で設けております肥料対策協議会という検討の場がございます。そこで検討をいただいておる段階でございまして、いま申し上げたような事情を踏まえて今後の法律の持っていき方というものを考えなけりゃならぬというふうに考えております。  しかしながら、仮にそのような法律が何らかの形で存続をするといたしましても、品質保全のための取締法同一法律をもって律することが適当かどうかという立法技術的な問題は依然としてあるわけでございまして、この点についてはなかなかむずかしい問題であるというのが一般的な考え方でございます。
  11. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 むずかしい問題であることははっきりしているんですよ。だから慎重に、しかも権威者を集めて一遍検討したらどうか、こう言っているわけでしてね、農水省の場合には、これは質的には違うんですが、同じような形態をたどってきた砂糖もあるんですよね。これは流通局の方なんですけれども、たとえば砂糖の場合の特例法をどうするか。——しかし、あの装置は、法律のどこかに発動のできるような条件というものはやっぱり整えておくべきだということが原則としてありまして、公取の場合でも、常時発動、あるいはそれがもう繰り返し、途切れ途切れでも常時、考えてみたらしょっちゅう発動しているなということじゃ話にならぬとは思うんですがね、そこの取り入れの仕方を一体どうするのかということは私はやっぱり工夫をしていく性格のものだろう、こういうふうに思うんです。  それから、公取から断固言われたというのは、もともと五十四年でこの法律は切りますよと当初から明言をしてきたわけですね、当初から。明言をしてきたけれども、結果としては延長せざるを得ぬということで延長したいきさつがありますから、それはやかましく言われるのはあたりまえの話だろうと思うんです、そのままでは。しかも、その後の変化というのは、いま局長説明されましたように、大きな柱が倒れてきた、それから力関係が逆転をしたというようなことで、法律をつくった当初の状況と全く違った様相が出てきたわけであります。  しかし、そういう変化があったにしても、肥料製造する工場関係でのいわゆる今日の経営の状況その他から眺めていきますと、それを放置をして、じゃ自由競争でどんどんやりなさいというかっこうになるのかどうか。私はそうはならないんじゃないか。  そういたしますと、重要な肥料提供をいたしますいわゆる肥料産業自体に対して私どもがどう歯どめをかけていくのか、ここのところは真剣に考えてもらわなきゃならぬ。ただ法律はこれはなくなった方がよろしい。いまもうまさに空洞化をされた、こういう立場で簡単に打ち切られては、これはもうお話にならぬわけですね。さらに混乱が続く、価格問題にいたしましても。そういたしますと、今日の状況に見合ったいわゆる価格維持をどうしていくのかということを含めて、私は新たな対応というものが法律制度の中にも生かされてこないといかぬのじゃないか。ここは大いに私は検討してもらわなきゃならない。しかも、そういうことを含めたやっぱり今日全体を見直してみる、組み立ててみる、こういう状況に来ておるんじゃないのか。流通の問題にいたしましても、これは後でまた時間があれば論議をしようと思いますが、たとえば国鉄集約輸送なんかが明らかに輸送単価の中に盛り込まれてまいりまして価格が上昇してくることは明らかですね。そうなりますと、それに対応する一応の手だてというものは国として一体どうなるんだろうか。国の方針国鉄集約輸送がどんどん始まってくる、こうなるわけですね。そうするとその方針によって肥料工業自体がどんどん抑圧をされてしまう、逆に言うと。こうなったんではこれは大変なことになるんじゃないでしょうか。私はそういうものも総合的に組み立てる検討を、この肥料対策協議会が適当であるかどうかは別といたしまして、もう一遍構成も含めて検討すべき時期に来ておる、こういうふうに思うんですがね。私の指摘は間違いでしょうか。しかもこれ、大臣ね、局長じゃなくて、重要な政策問題を論議していますので、大臣も明確にその辺の方針は明らかにしていただきたい。
  12. 金子岩三

    国務大臣金子岩三君) 肥料が最近、化学配合肥料を初め、他産業の副産物であるものが肥料に流用され非常に複雑になってきておりますので、このようなひとつ品質中心に置いた、安定していわゆる農業の基本になるいい肥料供給をしたい、こういう考え方でこの法律が提案されているのでありますけれども、いろいろいま御指摘の点を承っておりますと、大変広範囲にわたっていろんな関係がつながっているということをよく理解いたしております。これからやはりこの法の運用に当たって、御指摘の点を十分踏まえてひとつ現実的な法の成果を上げていきたい、このように考えております。
  13. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 私は、この法の運用だけではこれからの肥料をめぐる条件には対応がむずかしかろう、だからひっくるめて新しく対応のでき得るような対策検討したらどうか、——検討した結果がどうなるか、それはまだこれからの話ですからね。そのことを公式に省内で設置をしたらどうかと、要約をすればそういう話なんですよ、いろいろ言っていますけれどもね。そのことができるのかできないのか、ここのところは大臣明確にして ください。
  14. 金子岩三

    国務大臣金子岩三君) 御意見はよく理解いたします。したがって、今後ひとつ検討をいたしたいと思います。
  15. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 じゃ、対応する検討機関のあり方も含めてやっていただけるというふうに大臣の答弁を受けとめておきたいと思うんですね。  そこで、さらに突くようで申しわけないんですが、現行の肥料対策協議会、この中には実は労組代表というのは入っていませんですわね。労組代表というのは、そういう意味位置づけは省としてどう考えていますか。
  16. 小島和義

    政府委員小島和義君) これはどういう問題を検討するのかということによりまして、各種の諮問機関あるいはその研究機関におきまして、従業員代表というふうな方をお入れしているものもございますれば必ずしもそうでもないものもございます。したがいまして、従来肥料対策協議会はどちらかといいますとやや中立的な立場と申しますか、そういう人を中心にしてこの肥料をめぐります法制的な問題を中心にして検討してきた経過があるわけでございます。たとえば、これが直接その構造問題というふうなことになりますと、物によりましては雇われている方の立場の方々もお入れするということがあり得ると思いますが、私どもの方で運営いたしております肥料対策協議会においては、そういう必要は目下のところはないというふうに考えておるわけでございます。今後、その検討のテーマが非常にふくらんでまいりまして雇用関係にわたってくるというふうな事態があれば、お話のようなことも配慮しなきゃならぬというふうに考えております。
  17. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 くどいようですが、そういたしますと需給関係等がこの中で論議をされる。この需給関係についての、これは具体的に数字が出てまいりますね、その数字が出てきたことによって、これはたとえば製造の何%をダウンをさせようとか、あるいは構造改善でどれぐらいカットをしようとか、こういう具体的な課題に入ってくるわけですね。そういうような問題のときには、これは労働組合代表は参加をさせる、こういうふうに理解をしていいんでしょうか。
  18. 小島和義

    政府委員小島和義君) 産業自体のフレームの問題と申しますか、そういう場合にはお話のようなことも確かに必要あろうと思いますが、毎年毎年の需給をどう見るかという問題になりますと、必ずしもそれとは同じではないのではないかという気持ちを持っておるわけでございます。これまでの肥料対策協議会の運営というのは、ただいまも申し上げましたように、産業自体の位置づけ、構造というふうな問題については産構審というふうな別な検討の場がございまして、いわばその後を受けましてその肥料の世界におきますところの制度問題なり運営問題なりを検討する、こういう仕掛けになっておりますので、その意味においては必ずしも各立場立場の人を網羅して検討するというものでもないのではないか。直接何と申しますか、雇用関係に話題が及ぶというふうなテーマでもないというふうに考えておりますので、ただいまのところはそういうふうに考えておるわけでございます。
  19. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 雇用関係、直接その労働者が大量配置転換あるいは解雇になるという課題のみじゃありませんでしてね。労働者の場合には具体的にみずからの生活をどう維持をしていくのかということがやっぱり基本にあるわけですね。そうなりますと、自分の働いておりますいわゆる産業位置づけというのは大変これは重要なことなんですよ。そういたしますと、当然今回の、たとえば輸送ルートが大きな変更になる、そのことによってどういうふうに労働条件に影響してくるかということは端的にあらわれてくるわけですね。いわゆるメリットが働いておる労働者にも及ぼされるのかどうなのか、ここのところは大変基本的な課題になるのですよ。そういたしますと、私は肥料対策協議会のメンバーに労働組合役員が入るのがいいのかどうか、いわゆる代表が入るのがいいのかどうか、ここは検討する余地はあるでしょう、大いに検討する余地があるでしょう。あるでしょうけれども、その対策協議会の成り行きによって労働者が明らかに影響を受ける、そういうものについては少なくともいま労働組合の代表者の意見を聞く場というものが、たとえば対策協議会の中にあっていいんじゃないか。それはもう完全に独立をしたもので、他からの意見を聞かないというんなら別といたしまして、少なくとも意見を聞く、相手側としての意見を聞かしてもらう対応としての位置づけというものは組合関係は明確にしておく必要があるのではないか、こういうふうに思いますがね、その辺の取り扱いは検討いただけませんか。
  20. 小島和義

    政府委員小島和義君) ただいま私が申し上げておりましたその協議会の構成メンバーの問題でございますが、今後の肥料価格をめぐります政策の検討というふうに理解をいたしておりましたので政策部会の委員のことを申し上げておったわけでございまして、実はこれは学識経験者中心で、いわば肥料工業の側あるいはユーザーでありますところの農業団体あるいは流通の各段階代表、これらを一切排除をいたしまして運営をいたしておるわけでございます。肥料対策協議会全体のメンバーにはほかの部会もございますものですから、メーカー側の代表というのも入っておりますが、政策部会に限りましては、事柄の性質上、そういう利害関係人は入れないということで運営をいたしております。しかしながら、御指摘ございましたように、問題が各分野にそれぞれ関係する検討段階があろうかと思いますので、必要に応じましてそれぞれのお立場の方の意見を聞くということについてはこれはもちろん差し支えないことだと考えております。今後検討の各段階に応じまして必要が生じますればいろんな立場の方の意見を政策部会で拝聴すると、こういう運営は大いに結構なことだというふうに考えておりますので、関係の部会長ともよく相談の上、適宜そのような措置を講じたいと考えております。
  21. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 必要があってという話なら、これは当然の話ですがね、むしろ労働組合代表の側からこういう話はぜひわれわれの意見聞いてもらいたいというのがやっぱりあるわけですから、そういう場合についてまあこれはそのときのいろんな条件があるのでしょうけれども、少なくとも省としては積極的にそういう意見等について開陳のできる場、あるいはそれを十分に消化のできるような対応の仕方、これは肥料対策協議会の中で十分に私は生かしてもらいたい、こういうふうに思います。先ほどの答弁で、これは意見を聞いてやるぞという立場でしょうからそういう話になったんでしょうが、少なくともそれは当然意見を聞くべきだ、申し出があれば積極的に聞くべきだというふうに受けとめておいてもらいたい、こう思いますが、よろしいですね。
  22. 小島和義

    政府委員小島和義君) そのように運営いたしたいと存じます。
  23. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 そこで、今回のこの法改正で銘柄の約四割が指定配合肥料、いわゆる届け出制に移行する、こういうことに説明をされているわけですが、そのことによって品質保全の上から見て果たして問題ないんだろうかどうだろうか。  それから、それらに対する届け出になると、今度は届けっ放しということになりますね。届けっ放されたものがいわゆる表示と中身と具体的に一致をしてますよという保証はどういう形で保っていかれようとしているのか。ここのところは一体どうなんでしょうか。
  24. 小島和義

    政府委員小島和義君) 今回の改正によって設けます指定配合肥料制度でございますが、これはその配合の原料となる肥料自体がすでに登録をとっておりまして、品質的に問題のないもの、それのみをまぜ合わせるというものでございますから、それが品質上の何らかの問題を生ずるという可能性はないわけでございますが、ただ使う方の側から見ますと、それがどういう成分のものであるかということについて明らかにする必要があるわけでございます。したがいまして、届け出制に移行しました後におきましても、登録肥料と同様 に保証票の添付——保証票の中には保証成分量その他必要な事項を記載させる予定でございますが、保証票の添付はこれまでどおり行わせると同時に、その流通いたしております肥料の検査につきましては、これまた登録肥料と同様に検査を厳重に行う予定でございます。したがいまして、これによって利用者に何らかの御迷惑をおかけするというふうな問題はないというふうに考えております。
  25. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 いままでの登録制でいきますと、有効期間が三年ですね、三年。それから、今度一部それが六年になる。こうなりますね。届け出の場合には年限が切ってないんですよね。そうすると、これはいわゆる有効期間の年限が切ってない。こういうことになりますと、一遍届ければそれは未来永劫に続くわけですね。どんどんどんどんこれはずうっと届けがふえていくんじゃないですか。その辺の整理というのは一体どうなりますか。
  26. 小島和義

    政府委員小島和義君) 確かに登録制の一つの効用といたしましては、品質の事前チェックという問題と同時に、その登録肥料の累積をある段階整理するというふうな意味合いがあるわけでございます。もうすでに製造を中止いたしましたようなものについては、登録を更新をするかしないかという判断の機会が一度与えられる。届け出になりますとそういう問題がなくなるわけでございますが、運用といたしましては、製造開始の際に届け出させるばかりではなくて、もう製造を取りやめした、あるいはもう営業それ自体をやめてしまったという場合の届け出ということも運用としてはやらせたいというふうに考えておりますので、お話のような問題は生じないというふうに考えております。
  27. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 もう一遍確認したいんですがね。そうすると、届け出に移行する分野については、製造が停止になれば、それは製造停止しましたという届け出も、これは指導ですか。それは法律じゃないでしょう。
  28. 小島和義

    政府委員小島和義君) 製造を中止いたしましたその瞬間において直ちに届け出るかどうかという問題はいま一つあろうかと思います。と申しますのは、登録の場合におきましても、一たん停止いたしました製造をその後登録の有効期間内に再開するという道はあるわけでございますから、停止したその都度ということになるかどうかわかりませんが、今後将来にわたってもう製造するつもりもない、製造もしてないというふうな場合に、それをそのまま放置しておきますと届け出済みのものは累積をしていくわけでございます。したがいまして、ある時点においてそういったものを整理するという必要は登録の場合と同様にあろうかと思います。そのことにつきましては法律上も同じような手当をいたしておりますので、その運用によりまして製造をやめた場合も同じように届け出させるということにいたしたいと思っております。
  29. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 それは何条かにあるんですか。  それでもう一つは、たとえばこれ実態といたしましてね、届け出たいわゆる品質銘柄ですね、それはむしろ配合肥料の場合には、いまは要らないけれども、一定の時期にまた必要だということで、それはむしろ届け出たものは権利としてずっと持っておった方がより便利だということがあるわけでしょう。そうなりますと、たとえばことしは必要だったけれども、あと四、五年要らなかった、六年目にまた必要だからということで、それの整理というのは大変むずかしいんじゃないですか。その場合に私は、たとえば一たん必要なときに、何年間なら何年間の間はもう必要がない、製造しません、こうなったときは一たん届けはたとえばなくしてしまってね、そうして再開をするときにもう一遍届け出る、そんなむずかしい話じゃないんですから。そういうふうにある方がたてまえとしてはいいんじゃないか、こういうふうに思うんですよ。  しかし、その前に、届け出制をしましてね、あなたは検査をすると言うけれども、本来検査の対応はできますか。もうここまでいったら、むしろ検査対応が明確であるとするならば、いままでの配合肥料については、何といいますか、品質表示をする、原料品質表示をする。その原料品質表示と、それから効用が明確になっておって、そのことを現物検査をすることによって、中身が違っておれば別ですよ。検査体制が明確であればむしろ届け出制までも必要がないんじゃないのか、私はそういうふうに原則的に思いますよ。届け出っ放しという制度であるとするなら、そこのところを明らかにしてくれませんか。
  30. 小島和義

    政府委員小島和義君) いまお尋ねの点につきまして条文に即して申し上げますならば、改正後の法律の第十六条の二という規定がございまして、これが届け出に関する事項でございます。届け出事項といたしましては、氏名、住所、肥料の名称、それから製造する場合には事業者の名称、所在地、保管施設の所在地、こういったことを届け出させるわけでございます。同じ条文の三項におきまして、その届け出事項に変更を生じた場合には、その日から二週間以内にその旨を農林水産大臣または都道府県知事に届け出なければならない、廃止した場合も同様である、こういうことになっておりますので、この規定によりますれば、二週間以内に届け出の義務があるわけでございます。  ただ、私先ほど申し上げましたのは、肥料の、特に配合肥料の生産の場合には、ある種の銘柄のものを製造し、その後別な銘柄のものを製造しということを繰り返しておるわけでございますので、ある銘柄のものを製造を停止したその瞬間から二週間以内に届け出なければならないということになりますと、年がら年じゅう届け出をしなければならないわけでございます。そこで、変更を生じた場合というのをどういう時点で判断をするのかという問題につきましては、やはり運用上の何らかの措置が必要であろうと、こういう意味で申し上げたわけでございまして、どういう場合にその届け出変更事由に該当するというふうに決めるかという問題は、法律の問題というよりは今後のいわば運用問題というふうに御理解を賜りたいと存じます。  それから、届け出がなくて全く自由にしておいた上で検査だけを厳重にするというのも、立法論としては確かに一つ考え方だろうと思います。しかしながら、これまで登録制のもとにおいて運用をいたしてきたわけでございますし、また検査をするにいたしましても、どういう場所でどういうものをつくっておるのかということにつきまして事前に行政的な把握ができておるということは、全然野放しの状態よりははるかに検査自体の有効な実施のためにも必要である、かような判断から届け出制ということにいたしておるわけでございます。
  31. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 これ条文の理解ですけれども、いま説明のありました十六条の二ですね、十六条の二の二項、三項ですが、これはいわゆる銘柄の届け出をして、その届け出の内容が変更があったときにこの措置をするんであって、届け出た銘柄そのものが、これが内容の変更その他を必要としないで現実に生産をされなくなったときに、届け出の義務というのはこの中にありますか。ないんでしょう。
  32. 小島和義

    政府委員小島和義君) 御指摘趣旨がちょっとよく理解いたしかねますが、同じ条文三項の中には生産廃止の場合の規定がございます。ですから、事業全体を廃止した場合と、それから届け出た肥料の生産をやめてしまった場合と、両方を三項がカバーしているというふうに理解をいたしているわけでございますが、一時的な停止をもってすぐこの変更事由に該当するというふうに考えるかどうかという問題は、運用の幅の問題として理解をいたしておるわけでございます。
  33. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 私がいま質問をいたしておりますのは、届け出に変わる分野が、いま全部の登録が二万二千九百八十八件、そのうちの約四〇%というわけでしょう。これだけでも大変な数字ですね。それがこれからはさらにどんどん拡大するん じゃないですか、傾向としては。そういたしますと、それだけでも届け出の消えていく部分というのはほとんどなかろうと思うんですよ、現実問題として。ずっと、ずいぶんふえてしまうんじゃないんですかと。ふえっ放しになって現実にないものまで届け出で残っていることになるんでしょうと。そうなったらこれ行政上、届け出という制度だけでは困るんじゃないですか。こう言っているんですよ。むしろ、そんな制度なら届け出の必要はないんじゃないのか。問題は、品質表示と中身とがぴったり合っていますよと、しかも、それは指定配合肥料というのは、むしろその原料になるものは全部登録のものなんでしょう。登録のもの以外のものが入ったら指定配合肥料にならぬわけでしょう。そうすると、上の登録のところで保証されておるんなら、何でわざわざ届け出の品名を挙げさせなきゃならぬのか、私はそこが問題だと。むしろ、表示の内容中身が合ってるかどうかの検査体制の方が重要じゃないんでしょうか。こういうふうに言っているわけですよ。
  34. 小島和義

    政府委員小島和義君) お話しのように、取り締まり制度の中で一番の根幹をなすものは、保証をしておる成分とその現物が合っているかどうか、これが一番の骨子でございまして、検査を実施するというのもそのことの完全な履行を求める、こういう観点から行っておるわけでございます。登録ないしは届け出というのは、いわばそれを事前に承知をすると、こういう意味でございまして、登録の場合には一定の要件に該当しない場合には登録をしないということでございますが、届け出の場合にはまさに指定配合肥料である限りにおいてはすべてこれは受理されると、ここの違いがあるだけでございます。したがいまして、立法論としては、届け出自体も必要なしと、この種のものについては検査の結果間違いなければ自由に製造してよろしいと、こういう立法論も十分成り立つわけでございます。しかしながら、検査を実施するにいたしましても、その生産を行っておる場所、あるいは保管をいたしておる場所におきまして必要なサンプルを収去いたしまして検査を実施するわけでございますから、どこでどのようなものが生産されておるかということについて全く把握がないという中でその検査を実施するということはなかなかむずかしいという問題もございます。その意味におきまして、登録から一挙に届け出もなしというところまではなかなか踏み切れませんで、かような中間的な措置を講じたわけでございます。  ただこの点、お話しございましたどんどんどんどん種類がふえていくという問題については、登録制度のもとにおきましても、届け出制に移行いたしましても、そのこと自体の趨勢というのはなかなか変わらないというふうに存じておりますので、登録件数がどんどんふえてまいりましてそのこと自体の事務に追われるということよりは、届け出受理という方がはるかに事務的には簡素になると、こういうことで切りかえたわけでございまして、決して、何と申しますか、届け出制があることによって件数がどんどんふえる、いろんな種類のものがますますつくりやすくなる、こういうことを念頭には置いておらぬわけでございます。
  35. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 どうも説明がよくわからぬです、正直言いましてね。  工場で何をつくるか、どんなものをつくるか、銘柄がどんどんどんどん出てきたらこれは検査に困ると、こういう主張なんですよね、いまのあなたの説明からいくと。私は、肥料というものがどういう目的で生産をされるかといえば、これはやっぱり施肥者ですね、施肥者。いわゆる農業者ですよ。そうすると、一番末端の肥料を取り扱ういわゆる販売者、販売元ですね、末端の。この末端の販売者のところが一番これは押さえやすいわけですね。そこさえ明確に、いわゆるレッテルと中身とが照合してこれ大丈夫ですという話になれば、これ何にも関係ないんじゃないですか、何がどう出てこようと、どこでどういうものをつくろうと。そして、もしそこで中身と違うものが出てきたときに、それが一体どこで販売されておるかということがわからぬ話じゃないんでしょう。登録書の中でどこが製造しているかはっきりしているんじゃないですか。違いますか。そうなりますと、私はそれ押さえることがむずかしいという論理はさっぱりわからないんです。どこで検査をしましても、その品物がどこで製造されたか、そのことがわからぬような仕組みじゃないでしょう。わかるはずですよ。そうすると、何のために届け出までやるんですか。むしろ、登録業務の簡素化をやるというなら、上の方で登録をしたものを材料にして使っているんですからこれは大丈夫ですよと。あと問題になるのは、期間によって化学変化、あるいは湿度によって化学変化を起こすいわゆるこの肥料は、それは一体どうなのかというところの押さえ方は必要ですよ。しかし、少なくとも登録をして、それらの成分も押さえられてそれをやっているから、これは届け出でよろしいですよと、こうなっているわけですからね。そういたしますと、私はこれは、届け出なんというのは、まさに簡素化をするなら一切これはなくしてしまっても差し支えはなかろう。問題は、それに対応する検査の体制が明確になればいい、こう思うんですよ。そこのところの意見が、あなたの説明じゃよくわからぬのです。
  36. 小島和義

    政府委員小島和義君) 確かに、製造段階につきましては届け出等も省略をいたしまして、流通段階ですべてチェックするというのも手法としては十分成り立つ、その意味では私は、立法論としてはそういう方法もあり得たかと思うわけでございます。ただ現在、公定規格も登録制もなく、ただ検査だけを実施いたしております特殊肥料のようなものにつきましても、届け出制はとっているわけでございます。したがいまして、従来登録制をとっておりました指定配合につきましても、一挙に無届けというよりは、届け出制をもって、どこにどういうものをつくっている業者がいるかということを事前に把握するということは、やっぱり必要があるんだろうと考えておるわけでございます。  それから、検査の実態から申しますと、流通段階でサンプルを収去するというふうな手法も確かにあるわけでございますが、これは農協の数だけで申し上げましても数千の店舗がございますし、商系を含めますれば、営業所の数というのは大変多いわけでございます。それから、かつては肥料も、まあ御承知だと思いますが、たとえば硫安のようなものはかますに入っておりまして、かますからさしで一部サンプルを収去するということをやっておったわけでございますが、最近はビニール袋でありますとか紙袋でありますとか、完全密封状態の容器、包装が多いわけでございまして、その中からサンプルを収去をいたしますと、サンプル収去したということを証明する張り紙をするわけでございますが、実際問題として商品価値は非常に低下をするということから、流通段階でそれをサンプル収去するというのが、とられる方の側からすると余り歓迎をされないというふうな事情もございます。したがいまして、重点的に検査を実施しようといたしますれば、製造段階あるいはそのメーカーの保管場所段階ということにおいてチェックをする方が、多くの小売段階でチェックするよりははるかに効率的な検査ができる、こういう事情もございますので、いろいろ考えた結果、いまのような方式にした、かように御理解いただきたいと存じます。
  37. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 余り追及しませんがね。  だから、いまの言葉を裏返して言いますと、たとえば届け出制になった指定配合肥料であっても、検査とは言うけれども、そんなに検査のできる体制にはないと、このことを言っているんですよ、あなたは。だから、届け出られたものが、これは数からいったって、いまの割りでいくと八千、約一万になるんでしょう。で、まだこれからふえていくんでしょう。それは確かに届け出たときに検査をすればそれでよろしい、こうなりますけれども、届け出たときだけの検査じゃ、後それがひっくり返ったときにどうにもならなくなるわけですから、問題は、先ほども言いますように、 現地で使う際に、表示をした内容になっているかどうかということが一番大事ですよと、その趣旨からいきますと、それはまさに今日の検査体制でそこまで——まあ、まだやる必要があるかどうかの問題もありますけれどもね、一応やれるような体制、抽出のできるような体制というものはなければおかしいんですよね。ところが、届け出をなくしてしまうと検査ができませんという、やりにくいですよという話とは、これはうらはらの関係なんですよ、届けっ放しだから。だが、まあ、その辺はいいですよ、一応検査体制を信頼をしましょうや。  そこで次に、有効期間が三年から六年に変更する部分ですね。これは相当安定度が高い、こういう性格のものだろうというふうに思うんですが、ここへいく一つの枠組みですね、これは省令見込みになると思うのですが、この辺は検討されておるんでしょうか。いわゆる三年から六年に延びるわけですね、登録の関係。この六年に移行する品物について、この辺についての基本的な考え方。これは大体四通りぐらいあるようですけれどもね。いわゆる鉱石をそのまま砕いたり、溶かしたりしたものだとか、あるいは動植物のこれを砕いたものとか、いろいろあると思うんですが、その辺の考え方を明らかにしてください。
  38. 小島和義

    政府委員小島和義君) 登録の有効期間につきましては、従来一律三年ということでやってまいったわけでございますが、このことの意味には、先ほども申し上げましたように、登録自体の累積したものを整理していくという意味もございますが、同時に、その間において公定規格が変更がありました場合に、公定規格の変更によりまして直ちにその当該肥料の生産が禁止されるわけではございませんで、その更新の際において、以後その規格に合致しないものは生産できなくなる、かような仕組みに相なっておるわけでございます。したがいまして、生産、品質が安定している肥料と申しますのは、大体もう肥料内容がほぼ固まっておりまして、その後における公定規格の変更というのもきわめてまれにしかない、こういうものを念頭に置いて定めておるわけでございます。  いま、お話ございましたように、省令指定の考え方といたしましては四つほどございまして、一つは化学式であらわされる単一の化合物、これはたとえば硫酸アンモニアでございますとか、尿素のようなものでございます。それから第二には天然鉱物を酸または熱分解したものということで、燐鉱石を硫酸で分解する過燐酸石灰とか、あるいは硝石灰というようなものがこれに該当いたすわけでございます。それから第三に、天然鉱物を精製または粉砕したものということで、硫酸ソーダでございますとか炭酸カルシウム肥料、こういったものがそれに該当しようかと思っております。第四には、天然の動植物を粉砕したもの、これは非常に種類が多うございまして、魚かすの粉末でありますとか、あるいはなたね油かすとか、その粉末、そういったたぐいの有機質の肥料でございます。  そういったものの過去におきます公定規格の変更回数というものを調べてまいりますと、一番短いものでも大体五年に一遍ぐらいの割合でございます。長いものになりますと十一年ぐらい。そのぐらいの頻度をもって公定規格が変更になっておりますので、六年という期間は、これは三年の倍という考え方なのでございますが、従来の公定規格変更回数から見まして、六年ぐらいの有効期間があれば、仮にその間におきまして公定規格の変更などがございましても十分対応できる、こういう意味で定めたものでございます。  これによりまして、有効期間の延長になります肥料の種類でございますが、普通肥料の百十八種類の肥料がございますが、そのうちの約五〇%に当たる五十九種類がこの六年組になるわけでございます。件数で申しますと、全有効登録数の一七%ぐらいがこれに該当しようかと考えております。
  39. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 そうすると、これは一般普通肥料じゃなくて、さっきの指定配合肥料の届け出のところにも絡むわけですが、いわゆる液体肥料、それから農薬混合といいますかね、肥料、こうしたものの取り扱いはどうなんですか。
  40. 小島和義

    政府委員小島和義君) これは先ほど御説明を落としましたが、いま御指摘になりましたような液体肥料でありますとか、あるいは農薬その他の異物の混入をいたしました肥料につきましては、指定配合肥料といたしましても当面認めるつもりはないわけでございます。同じように、いま申し上げました有効期間の延長にかかわります肥料でございますが、ただいま例示で申し上げましたように、ほとんどこれは単肥でございまして、もうほかのものがいろいろ配合されておるとかまじっておる、こういうものは念頭に置いておりませんので、その意味では該当しないというふうに考えておりますが、液体肥料につきましても同じような考えでいきたいと思います。
  41. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 次に、今度植害試験の要請が一つ加ってまいりました。この関係は、栽培試験で、何といいますか、どこでどういう方法で登録の際に行われるのか。そこの手続はどうなんですか。
  42. 小島和義

    政府委員小島和義君) 各種の産業の副産物等を利用いたしました肥料の中には、その原料の種類とかあるいは生産工程、成分形態等から見て大変複雑、多様なものが出てくる可能性がございまして、事前に予測し得ないような有害成分が含有されるというふうなおそれのあるものがあるわけでございます。事前に予測できますようなものにつきましては、公定規格をもちまして含有が許される有害成分の最大量を定めておりまして、それに合致しないものは登録を認めないということにいたしております。  で、そういう肥料につきましては、どういう物質がその植物に害が出てくるのかということがなかなか予測できませんので、これを事前にチェックする手法といたしまして、申請時点におきましてその植物に害があるかどうかの簡単なテストを実施させまして、そのことを申請に当たって添付させることにいたしておるわけでございます。もちろん、申請を受けた肥飼料検査所の側におきましてもその試験が正しいかどうか、同じようなテストを繰り返し実施いたしましてその正しさを確かめる、こういうことにいたしております。  実施しようといたしております試験の内容といたしましては、ポットを利用いたしました幼植物の——幼い植物の栽培試験ということを考えておりますが、有害成分に最も敏感なコマツナとかキュウリとか、そういった作物を使いまして、通常の施肥料を含め、何段階かの施肥料区を設けまして、発芽から二、三週間程度生育をさせまして、これを観察して、植物に何らかの植害症状があるかどうかを観察する。こういうことにいたしたいと思います。したがって、このテスト自体は全体をひっくるめましても二十五日から三十日で完了いたすものでございますから、申請者側に対して特段に大変重い負担を負わすということでもございませんし、また登録を受け付ける方の検査機関におきましても、同じような検査をいたすにいたしましても格別重大な設備とか、あるいは大きな機械、器具を必要とするというものでもございませんものですから、そういうことを通じましてこの事前の確認ということをやってまいりたいというふうに考えております。  対象といたします肥料につきましては、ただいまのところ大体六種類程度のものを想定いたしております。
  43. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 それで、届け出る、いわゆる登録を求める業者がまず自前でやるわけですが、それを受けた行政側の対応ということになりますと、これは農水省機関だけじゃ対応し切れませんね。当然これは都道府県機関が協力をするということになると思うんですが、この都道府県機関の協力体制というのはこれは特別に何か考えられておるんでしょうか。それとももう大したことはないからということでしょうか。
  44. 小島和義

    政府委員小島和義君) 今回の植害試験を実施させます肥料の中には、一部都道府県登録のものも含まれております。したがいまして、国が実施 いたします試験と県が実施いたします試験と、これがその内容その他において違いが出ては大変困るわけでございまして、従来から国、県の検査職員を集めまして技術面の研修等実施いたしております。それらにおきまして十分都道府県の関係者にもこの植書試験のやり方等につきましては所要の指導を実施してきておるわけでございます。その意味で、今回の仕事がつけ加わったことによって特に国なり県なりの機関において対応に困るというふうなことにはならぬというふうに考えておりますが、さしあたりはこれは非常に対象種類、肥料を限定して実施いたす所存でございます。将来このようなものがふえてまいった場合にはまたそれなりの対応を考えていかなきゃならぬと思いますが、目下のところは特に業務量の著しい増大を招くというふうなことはなくて済みそうな問題だと考えております。
  45. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 まだあるんですが、通産省にちょっとお聞きをしたいんですが、まず一つは、肥料の業界は大変な状況になっていることは御承知のとおりだと思いますね。そこで、今日までも肥料業界はいわゆる第一次合理化と言われます構造改善に取り組んで大変な努力をされてきたわけでございますが、問題は、その努力がされてまいりました工場関係の労働者その他に具体的に、あるいはまた肥料ですから農民にどうメリットが還元をされておるのか。その成果というものはどう評価をされておるのか。まずそれをお聞きをしたい。
  46. 横田捷宏

    説明員(横田捷宏君) 先生御指摘のとおり、化学肥料工業、特に従来輸出への依存度が非常に高うございました窒素系のアンモニアでございますとか尿素、こういった製造業を中心にこの数年間第一次の構造改善を実施してまいりまして、これまで、たとえば尿素でございますと従来の設備の四五%程度の百六十七万トン、こういう設備を処理いたしてまいりましたし、アンモニア、湿式燐酸等もそういう国際環境の変化、あるいは第二次石油ショック、こういった中で厳しい合理化努力をやってまいりました。  その成果でございますが、設備処理等の合理化努力は所期の目標どおりほぼ達成いたしたわけでございますけれども、残念ながら特に第二次石油ショックの影響が化学工業全般、その中での化学肥料工業につきましても非常に大きな打撃となりまして、現段階におきましても業界全体としての安定はまだ図られるに至っていないという状況でございます。ただ、その過程におきまして、たとえば雇用面でございますと、社内の、あるいは工場内の配置転換とか出向とか、こういう対応を各企業が努力いたしましたし、雇用関係制度の活用もございまして、いわゆる解雇というような事態なく対応できてきたのがこれまでの状況でございます。  また農業との関係につきましては、それなりの合理化効果、これが特に最近のエネルギー関係価格の安定化の傾向とも相まちまして、幸いにして徐々にコストの低下という面は出てまいっておりまして、たとえば今肥料年度の肥料価格安定等臨時措置法によります価格取り決め、この場合におきましても若干の取り決め価格の引き下げということが図られる状態になっております。
  47. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 で、新しく今度この肥料年度にあわせて多分構造改善基本計画が立案をされると思うんですが、この基本計画の基礎になります見通し、その他というのはいまはもうほとんどでき上がってきておるのですか。
  48. 横田捷宏

    説明員(横田捷宏君) 御指摘のとおり、今国会で成立を図っていただきました新たな法律特定産業構造改善臨時措置法という法律に基づきまして、現在化学肥料工業も法定業種といたしまして構造改善基本計画を検討中でございます。一番問題になりますのは、将来にわたります需給関係見通しをどう見るかということでございまして、この点につきましては、先ほど来御質疑の中にもありました産業構造審議会の中での討議、あるいは肥料対策協議会におけるいろんな消費関係の動向見通し、こういうものを踏まえまして、決して甘い見通しではない、厳しい見通しのもとで需給バランスを想定いたしまして、それによる対応を考えております。具体的には窒素系あるいは燐酸、カリ、このいずれにつきましても今後の国内消費の伸びは一%を超えることもないという厳しい横ばい状況見通し、かつ輸出関係につきましては、たとえば尿素でございますと、かつては二百万トンを超える輸出をしておりました。最近まで百万トンという輸出もしておりましたが、これは四十万トン以下という厳しい状況を想定しなきゃならない。こういう前提に立ちまして諸般の構造改善対策検討しているところでございます。
  49. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 先ほどの論議でもいたしましたが、その場合の構造改善方針の立て方というのは直接そこで働く人たちの労働条件にかかわる問題ですね。ここのところはきっちり踏まえて対応されるというふうに思うんですが、いいんでしょうか。
  50. 横田捷宏

    説明員(横田捷宏君) 特定産業構造改善臨時措置法目的は、当然それぞれの産業構造改善でございますが、その際の最大の配慮事項といたしまして雇用の安定ということを挙げておるわけでございます。この点につきましては、前回の構造改善でもさようであったわけでございますけれども、特に今後の化学肥料工業構造改善は、現に稼働中の設備も今後数年間の間になだらかな形ではございますが、閉鎖なり休止という形に持っていかなければ達成できないということで、雇用面では前回の構造改善以上に大きな問題が予想されますので、構造改善基本計画の策定の際から審議会等で主要労働組合の代表の方々の御意見も拝聴しながら、また具体的な構造改善の推進に当たりましても労働関係のそれぞれの立場が十分反映されるような運営をしてまいりたい、こう思っております。
  51. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 そこで農水省の方に戻りますが、産構審の答申で六十肥料年度までに一つの削減方針が提起をされていますね。そういたしますと、これにこだわるのか、あるいはそれをなおかつ今日の状況の中でいま通産省から説明のあったような事情を踏まえて、なだらかにしていく一つの問題として提起をしていくのか、その辺の調整というのは通産省との関係はどうなっていますか。
  52. 小島和義

    政府委員小島和義君) 農業が今後とも発展をいたしますためには、やはり国内において肥料の安定した供給体制を持つということが必要なことであるというふうに考えておるわけでございます。昨今の肥料需給事情、これは内需もきわめて停滞的でございますが、ただいま通産省の方からもお答えございましたように、これまで相当大きな輸出を擁しておりました肥料工業が余り今後輸出の伸びが期待できない。むしろ相当小さな規模で輸出を想定せざるを得ない。そういう事態のもとにおきまして、従来のような設備を擁しておるということは非常に肥料産業の体質を弱体化するものであり、長期的に考えてみますならば、農業に対する肥料の安定供給にも問題が生じてくる。こういう意味におきまして、産構審考え方に私どもとしても賛成をいたしておるわけでございます。今後の実施過程におきまして、これが着実かつ円滑に実施されますように側面的に私どもも応援をいたしたいというふうに考えております。
  53. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 まだたくさん残りましたが、大体時間が来ていますので、これ最後にお聞きをしておきたいと思うんですが、コンポストの問題その他もあるんですが、一つは、衆議院の方でもずいぶん論議をされておりますので、そのことの確認だけしておきたいと思うんですが、先ほどもやりとりしておりました中に、いわゆる肥料品質表示ですね、ここの関係ですが、これはいわゆる有効成分の保証と同時に原料名のいわゆる表示ですね、これは衆議院の段階では、多いものから順番に並べるという小島局長の答弁があったように記憶をしているんですが、そのことは間違いなく今度のいわゆるこれ省令事項ですから、そこのところは具体的に実現をしていただけるんでしょうね。それだけだめを押しておきます。
  54. 小島和義

    政府委員小島和義君) 配合肥料を含めまして 肥料の何といいますか、代金の対象というのは保証成分でございまして、従来保証票には肥料の成分を保証させると、こういうことでやってまいったわけでございます。ところが、最近配合肥料につきまして、特に配合肥料の場合、窒素で申しますと窒素全量という形で保証が行われておりますので、それがどういう原料に由来するものであるかということがなかなか消費者側ではわからない、こういう問題がございまして、特に有機配合ということになりますと、どの程度どういう有機質を使っているのかわからぬままに売られているということがございます。もちろんこれを原料の量まで書かせるということができれば非常によろしいわけでございますが、なかなかそれはそれで問題もございますので、御指摘ございましたように原料肥料名と、それからそれを量の多い順に書かせる、こういう方向で検討をいたしておるわけでございまして、できるだけそのようなかっこうで決着をいたしたいと思っております。
  55. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 終わります。
  56. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 最初、大臣にお聞きしたいんですが、本改正案は肥料取り締まり行政の効率化、肥料業者の負担の軽減を図る見地からいろいろな改正点が提案されております。その提案理由の説明の中で、「肥料については、製造方法の多様化等に伴い、配合肥料中心として、銘柄数が著しく増加し、」云々、「他産業の副産物の肥料化等に伴い、従来以上に、品質の保全に努める必要が生じております。」肥料を取り巻く環境について述べておられますけれども、この法律は御存じのように明治四十一年十月一日に施行され、その後数多くの改正を経て今日に至っておるわけでございますが、言うまでもなく肥料というものは農業生産の重要な基礎資材でありますので、大臣から今後の肥料政策の基本政策といいますか、肥料というものをどう認識しておられるのか。自給力の向上という問題もございますし、またもちろん肥料ですから反当収入も上げなきゃならないと、こういうこともございますし、さらに人畜への影響、安全性、加えて輸出入の量であるとか価格の面であるとか、いろいろな問題を含んでおりますけれども肥料というものをどういう認識を持っておられるのか、これが一点と、それに加えて、今回の法改正のそれに対する位置づけはどういう御所見を持っておられるのか、この二点についてお伺いいたします。
  57. 金子岩三

    国務大臣金子岩三君) いろいろ提案理由の御説明で申し上げましたとおり、大変肥料の種類が多様化されまして、いままでの法規制でこれを日本農業のいわゆる基本的な資材を安定して供給ができるだろうかという、いささか疑問が出てきましたので、このような法律を提案いたしておるのでございます。  私も、やはり肥料の持つわが国の農業の基本的な問題がいかに重大な問題であるか、このようなことを考えますと、これまでの化学肥料、特に配合肥料だけでなくして、大変、最近経済社会の、産業界の発展に伴いまして副産物で生産されましたものが肥料にそのまま取り引きをされておるというような例がたくさんあります。したがって、今後そういう乱れた肥料の取り扱い、供給価格体系、こういうものをひとつ軌道に乗せていくことが大事ではないかという考え方で、このような法案を提案しておるわけでございます。
  58. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 登録制について先ほど坂倉委員の方から大分詳しくお話ありましたけれども、今回の改正に伴って普通肥料の一部が配合肥料となり、届け出制へ移行をするわけです。取締法目的である肥料品質保全に問題を生じる心配はないかどうか、この点はいかがですか。
  59. 小島和義

    政府委員小島和義君) 届け出制に移行いたします配合肥料は、その原料とする肥料につきまして肥効なり安全性を登録の形で確認済みのものばかりを単純に配合するものに限っておるわけでございます。その意味におきましては、今後とも肥料に対する保証票の添付あるいは検査等はこれまで同様に実施するわけでございますし、これによって品質上の問題のある肥料が出回る、こういう心配はいささかもないというふうに考えておるわけでございます。
  60. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 関連しますけれども、この指定配合肥料は登録制のように保証成分量、その他の規格について調査を行わない、こういうことですけれども肥料の公正な取り引きを確保するという点で看板に偽りあっては困るわけなんで、そういう点どういうふうに配慮していくのかお伺いしたいと思います。
  61. 小島和義

    政府委員小島和義君) 登録を実施いたしますのは、肥料の販売以前におきまして公定規格に合致した肥料であるかどうかということを検査所の段階でチェックをする。で、合致したものにつきましては登録をいたしまして、それが登録肥料であることを表示させ、同時に保証票を添付させまして、ユーザーに対しましてどういう成分がどれだけ入っているかということを知らしめる、こういう流通形態をとっておるわけでございます。登録以後におきましても、保証票がちゃんとついているかどうか、あるいは保証票どおりの成分を保持しているかどうか検査によって確認を続ける、こういう仕組みが現在の検査制度でございます。  いま登録から届け出制に移行いたしますのは、最初の入り口の段階での登録というのは行わないで、これは届け出ということになるわけでございますけれども、すでに登録をとってある肥料だけを配合するわけでございますから、その配合肥料がどういう有効成分をどれだけ持つかということは、いわば計算上容易に出てくるわけでございまして、登録時において検査等をする必要はいささかもないわけでございます。また、そういう配合肥料につきまして、配合後の保証成分というものは配合した者の責任において保証票に記載をさせる。先ほどお答えいたしましたように、必要に応じましてその原料名等も表示させるということにいたしておりますので、消費者側がそれによって肥料品質を見誤るという問題はないわけでございます。もちろん事後的な検査はこれまで他の普通肥料と同様に実施をいたすわけでございますから、製造開始後において品質上問題のあるような肥料が生産されるということは、検査の過程を通じて十分チェックできる、こういう考え方から今回の制度改正を行ったわけでございます。
  62. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 大丈夫ですな。  次は、登録区分について一点だけお伺いしますが、法改正では「都道府県の区域を超えない」農業協同組合等が生産する配合肥料の登録を大臣登録から都道府県知事登録に改めるとなっているわけです。第四条二項で「農業協同組合その他政令で定める者」を規定しておりますけれども、中小企業協同組合や個人、中小企業協同組合また個人の行ういわゆる配合肥料事業についてはちょっと心配なんですけれども、これはどのように対応していこうとしているのか、この点はいかが考えておられますか。
  63. 小島和義

    政府委員小島和義君) 従来、都道府県の中のいわゆる単協が生産いたします配合肥料につきましては、農業協同組合の本来的な性格として組合員に対するサービスということが仕事でございますから、単協の配合肥料につきましては、これは知事登録ということにいたしておったわけでございます。今回それを改めまして、都道府県の区域を超えない農業協同組合連合会あるいはその地区のたばこ耕作組合、たばこ耕作組合連合会等の農業団体につきましては、これは農協、単協の場合と同じように、その区域内で仕事をするというのがたてまえでございますから、単位農業協同組合の場合と同様に、その区域を管轄する都道府県知事の登録ということにいたしたいと存じております。  中小企業協同組合でございますとか個人業者の場合でございますと、仮に所在地がある特定の都道府県でございましても、営業の区域というのは必ずしもその都道府県内に限らない。個人の業者でありましても全国にわたって商品を販売しているというケースもあるわけでございますから、その意味におきましては、これまで同様、都道府県知事ではなくて、農林水産大臣登録というふうに いたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  64. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 冒頭にもお伺いしましたけれども、今回のこの法改正肥料取り締まり制度のいわゆる簡素化、合理化という点だけではなくて、肥料品質保全措置の強化も図る、こういう内容になっているわけです。肥料の安全性が問われている折から、この措置はぜひ必要だと思いますけれども、そこで植物に有害な肥料の規制強化に伴う国また都道府県の検査体制、いわゆるこの検査体制整備についてはどういうふうに対処をしていかれるのか、この点いかがですか。
  65. 小島和義

    政府委員小島和義君) 植物に有害な成分が含まれるおそれのある肥料につきましては、あらかじめ指定をいたしておきまして、その肥料の種類に該当するものにつきましては、登録申請時におきまして申請者があらかじめ植害試験を実施いたしまして、その結果を申請書に添付させる、かようにいたしたいと存じております。また、それを受けました検査機関の側におきましても同じような試験を実施いたしまして、その試験成績が正しいかどうか確認をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。  目下のところ、この肥料の種類といたしましては六種類程度を想定をいたしております。その種類に該当いたします肥料の銘柄数は、推定で二百前後ということになっておりまして、年間に、新たに毎年提出されます件数というのもそれほど多いものではないというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、その業務量という観点から申しますと、従来の肥飼料検査所の業務量を著しく膨大化するという問題ではないというふうに考えておりますが、何分にも新しい仕事でございますから、その技術のレベルアップあるいは必要な器具等の整備につきましては特に十分力を注ぎまして、また一部は都道府県にもお願いすることになりますので、都道府県における試験と国の試験とが整合性を損なわないように、研修等の場を通じてこれまでも十分その内容の周知徹底を図ってきておりますけれども、今後ともそういう面での体制整備には努めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  66. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 普通肥料の一部で登録申請を行う際、肥飼料検査所においてこれらの内容を調査確認する義務が新しく増加した場合、現在の肥飼料検査所の体制で十分に対応できるかどうなのか。何カ所かありますけれども、栽培試験係が置かれているのは東京と大阪、二カ所でありますけれども、この点はどうなんですか。
  67. 小島和義

    政府委員小島和義君) 先ほど申し上げましたように、これはポット試験によりまして、植害に敏感なコマツナとかキュウリというものを二、三週間程度生育させまして、その植物に対する影響の度合いというものを観察しようというわけでございますから、その仕事自体としてはきわめて簡単なものでございます。ただ、いろんな条件によりましてすべての検査所で行うことができないというふうなものが出てくる可能性があるわけでございまして、東京と大阪の肥飼料検査所にはそのための人工の栽培室というものを用意いたしております。したがって、他の四検査所でいわば手に余るというふうな仕事がございますれば、この東京、大阪両検査所にその試験業務を依頼すると、こういう体制を従来からとっておりますので、そういう形で対応することもまた可能であろうというふうに考えております。
  68. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 次に、ちょっと飛ばしますけれども、地力の問題でお伺いします。  農業生産を安定させるためには、何といっても農耕地のいわゆる地力を高める必要があると、こういうふうに考えますし、またそれが一番重要な問題ではなかろうかなと、こういうふうに思うわけです。まあしかし、最近、時代の推移とともに堆肥であるとか厩肥であるとか、この自給体制が非常に低下をしておる、それにつれて土壌改良材の度合いが高まってきている、これは現状の事実でございます。今後の食糧自給力の向上を図るためにはまずこの土づくり、地力を活性化させるといいますか、最も私は重要ではなかろうか。地力低下の現状は、全体広い範囲ですけれども、どういうふうになっているのか。また、土づくりの今後の対策はどういうふうに指導していかれるのか。大変大きな問題ですけれども、この見解をお伺いしたいと思います。
  69. 小島和義

    政府委員小島和義君) 地力の実態というのはなかなか一口に申し上げかねる大変複雑な諸要素が絡んでおるわけでございますが、最近農水省で実施いたしましたいろんな調査の結果から見ますと、わが国の耕地の地力はおおむね従前の水準に保たれているというふうに見ておるわけでございます。ただ、場所によりましては、最近の堆厩肥施用の減少でありますとか、あるいは特定の作物の連作というふうなことから、いろいろな土壌に絡んだ問題が生じておるということも事実でございます。従来、農業を営みます者が自力で自家用の必要な堆厩肥を生産するというのは大変幅広く行われておったわけでございますが、最近農家の側におきましても、農業労働力の減少でございますとか、あるいは農業経営の単一化に伴いまして、なかなか集約的な土壌管理ができがたくなってきておるわけでございます。そういうことに対応いたしまして、昔ながらの堆肥づくりを奨励するということだけではなかなか実際に効果を発揮いたしませんので、最近におきます農水省指導方針といたしましては、全国各地に大変育ってきております畜産農家とそのほかの耕種農家、これが一つの地域内で連携をとりまして有機質の増投を促進する、こういう一種の地域複合というふうなことを進めておるわけでございまして、そのために必要がございますれば機械、施設等の導入についての助成も実施いたしておるわけでございます。いま一つは、農業系内外におけるいろいろな未利用の有機物を活用しました省資源的な地力増強の仕組みを考えていく、こういうことでございまして、そういったことを通じて、これまでの堆肥投下量の不足という問題につきまして極力対応いたしたいというふうに考えておるわけでございます。  また、これとあわせまして、適切な土壌管理を実施するためには、いま土壌の状態がどうなっておるのかということを正確に知る必要があるわけでございます。都道府県に配置されております土壌調査のための職員が試験場等におりますので、それらの職員の機能によりまして適切な地力診断、あるいは不良な畑土壌等を対象とするところのいろんな排水対策とか、あるいは心土肥培といったふうな対策を講じてまいりまして、それによって全体的な耕土改良対策と申しますか、それが円滑に推進されるように努めてまいりたいと考えております。
  70. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 堆肥と化学肥料関係でございますけれども、最近は堆肥、厩肥のいわゆる投入が非常に減少している、これが地力に影響してくるわけでございますけれども、大体最近はこういうような農業生産方式になっているということもこれは事実でございます。そこで、勢い、先ほど申しました土壌改良資材が全国的に伸びてきている、こういうふうに思うわけですけれども、この土壌改良資材の実態を正確に把握することは大切なことだと思うんです。すなわち、農家の方々が地力に応じた、いわゆる効果のすぐれた土壌改良資材の使い方を知ることが大変重要な問題ではなかろうかと思います。今後、この土壌改良資材のいわゆる品質管理、これに関する対処、またこの改良材の適正な使用方法、これについて農家にどういうふうに指導して、どういうふうに知らしめていくのか、この方針は何かそちらでございますか。
  71. 小島和義

    政府委員小島和義君) いわゆる土壌改良資材でございますが、この中には肥料の定義に該当するものも含まれておるわけでございます。肥料の定義に該当するものを除きまして、いわゆる土壌改良資材と呼ばれておりますものの実態でございますけれども昭和四十年ごろには大体四十銘柄ほどございましたものが、最近の調査では百三十八銘柄、生産量につきましても十四万トンぐらいではないかというふうに見ておるわけでございま す。最近の傾向といたしましては、従来から使われておりました泥炭類でありますとか、あるいはゼオライト、パーライトというふうなものにかわりまして、合成高分子系のもの、あるいは微生物を利用した資材とか、それから特殊な鉱物類といったものが非常にふえてきておりまして、中には本当に言われているような効能があるのかどうかやや疑問であるというふうなものも出回っておるわけでございます。農水省としては、このような土壌改良資材につきましてその内容を的確に把握し、特性を調べて、それによって消費者が、農業者が本当に品質のいい資材を選択できるような仕組みを何か考えたいというのがかねての悲願でございまして、そのための検定方法あるいは検定基準を確立するための品質管理システムの開発を五十五年度から始めておるわけでございまして、大体ある程度の見当がついてきたというのが昨今の偽らざる実情でございます。  ただし、これまでの間何もやってなかったというわけでございませんで、さまざまな資材の使用例などから推しまして経験的にはいろいろなことがわかっておりますので、都道府県の農業試験場あるいは農業改良普及所を動員いたしまして、試験結果に基づいて適切な種類の資材を選定させる、あるいはその施用方法等につきましても必要な助言指導を与えるということでこれまでも対応してきておるわけでございます。いま申し上げましたような新しい知見を動員いたしまして、今後これらの資材につきまして何かその表示の適正化とかあるいは適正な使用ということについての行政的な仕組みをつくり出していきたいと、かように考えておりまして、現在検討を進めておる最中でございます。
  72. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 では次に、通産省に今度は企業側の問題、企業対策の問題ですけれども、石油系原燃料に対する依存度の高い日本でございますが、第一次オイルショック・四十八年、第二次オイルショックと、これを契機に原燃料が極端に高騰しましたし、そこで尿素等の輸出が激減をし、その一方燐安等のいわゆる中間製品の輸入が急増しているわけです。特に尿素については五十三年の肥料年度で百十九万六千トンですか、輸出量があったにもかかわらず、五十七年度ではそれが十三万二千トンと九割弱も落ち込んでしまっているわけです。一方、稼働率を見ると、五十七年度では半数を割る四九%という現状になっている。このように、尿素を見ても大変厳しい内容になっているわけですが、またそのほかアンモニア等を見ても、生産量、肥料用内需が落ち込んでいるのは、これは数字の上からはっきりしているわけです。  通産省はこのような現状をどのように受けとめて、また今後見通しとしてはどうなのか。また、対応はどうしようとしているのか、この点いかがですか。
  73. 横田捷宏

    説明員(横田捷宏君) 化学肥料工業の現状、先生御指摘のとおりまことに惨たんたる状況にございますが、私ども通産省といたしましても、また農業関係の方々のお話を伺いましても、日本において化学肥料工業は内需に対する供給力を確保できる産業としてどうしても維持していく必要がある、こういう基本的考え方で諸般の対策を進めてまいっておるわけでございます。  その際一番の問題は、先生御指摘の、まず稼働率が非常に低い、そういう中で過当競争という状態になりますと、ある意味では共倒れという状態にもなりかねません。そういう意味で、適正な需要に見合って、かつ適正な稼働率が維持できるような状態にまず企業みずから筋肉質の体質に圧縮していく。具体的には過剰な設備を処理していく。その上でできるだけ高能率な設備を残しまして、そこで生産の集中を図ることによりまして競争力の回復とコストの低減を図っていくということでございます。  また、もう一点は、そういう個々の企業の対応とあわせまして、やはり化学肥料工業全体といたしまして、後ろ向きの対策だけでなくて、前向きの対策もあわせて進めていく。具体的には原燃料の価格動向、今後ともいろんな変化が予想されるわけでございますが、そういう中でできるだけ安い原料を選択的に使えるような体制をつくっていく、あるいは技術開発等もあわせまして活性化を図っていく、こういう対策を通じまして基本的には内需に基盤を置きました合理化された産業という形で再構築していきたいということでございます。このために今後数年間の期間につきまして構造改善計画を立案いたしまして計画的な対策の推進を図ってまいりたいと考えております。
  74. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 いまの説明は聞けばわかりますけれども、それでは先ほど言ったように、農業自体の事情も非常に厳しいわけです。減反政策やら、それから冷害等があってですね。したがって、内需がどんどんどんどん低迷してきていると。したがって、企業の収益はますます悪化している。主要三十四社の肥料部門経営利益はどうかというと、五十六年度では赤字が三百五億円と、こういう数字になってるわけです。  それではお聞きしますけれども、この石油危機、いわゆる第一次オイルショック、第二次オイルショック、その後今日までどんな対策を通産省としてはやってきたのか。また、その成果は上がっているのかどうなのか。先ほど聞いたのは今後の問題ですけれども、いままではそれじゃどうだったのか、その点はいかがですか。
  75. 横田捷宏

    説明員(横田捷宏君) 第一次石油ショックの直後に大変大量な設備が遊休化いたしまして、この需給不均衡を改善するという目的で第一次の構造改善を実は実施してまいりました。具体的にはアンモニアの設備につきまして約二六%の設備を処理いたしましたし、尿素につきましては実に四五%という規模の設備を処理いたしたわけでございます。それなりの成果はそういう意味で上がってまいったわけでございますが、御指摘の第二次オイルショックの影響がその構造改善のまさに途上で発生いたしましたがゆえに、再びまた現在の構造改善問題が発生しておると、こういうことでございます。その意味で、これまでそういう諸般の対策は業界の必死の努力で進めてまいりましたが、具体的な成果として業界の安定、再び農業の発展のためにも長期的に貢献し得る肥料工業として再建できたかどうかという点につきましては今後の課題として残っておるということでございます。
  76. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 そういうことで構造改善を図らなければならないという現在は状況になってきているわけです。今後の対策産業構造審議会化学工業部会答申といいますか、これに伴って計画を進められているようでございますけれども、具体的にはそれじゃどういうような施策を考えておられるのか、この点お伺いいたします。
  77. 横田捷宏

    説明員(横田捷宏君) 今後の対策の重点でございますが、産業構造審議会の答申等の線に沿いまして現在詳細を検討しておるわけでございますが、まず第一点は、第一次構造改善の際のように単にアンモニア、尿素といった基幹的な原料部門の構造改善のみならず、より消費の方に近い化成肥料、こういった分野まであわせて一体的な構造改善ということで取り組んでまいりたい。それから第二点は、従来の構造改善対策がともすれば縮小均衡という、ある意味で後ろ向きの対策を柱としておりましたが、今回はこれに加えまして再活性化対策活性化のための設備投資も推進するとか、あるいは業界間の事業提携、これを推進する、こういった面でより総合的な対策として内容を固めてまいるということで検討中でございます。
  78. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 こういうことに関連して特定不況産業安定臨時措置法、これによるいわゆる対象企業の経営状況は企業努力の限界を超えていると、こういう状況ではなかろうかと思うんです。そこで、設備転換や技術開発、いろいろそういうことによって支援対策として税金の面、税制、それから財投予算面のいわゆる支援体制が必要ではなかろうかなと、こういう点も考えられるわけです。今後の肥料工業全体の活性化をどう指導していくのか、そういう税制の面であるとか、予算の面であるとか、支援体制、この辺はどういうふうに考えておられますか。
  79. 横田捷宏

    説明員(横田捷宏君) 基礎素材産業全体が構造 改善の問題に直面しておるわけでございますが、一般論といたしまして、そういう構造改善はあくまでも企業の自助努力をベースといたしまして、自主的な打開策を講じていくということを基本としておるわけでございますが、何分にも、御指摘のとおり、企業の経営状況、あるいはこの構造改善という課題の国民経済的な重要性ということから考えまして、政府といたしましてもできる範囲での支援措置を講ずるということにいたしております。  具体的には、まず税制面でございますが、税制面では、活性化に寄与する前向きの設備投資に対します特別償却の制度でございますとか、あるいは一社だけでは対応できない、それを数社で、場合によっては合併等まで考えながら構造改善努力をしていきます際の若干の税制上の措置、こういったものを用意しておりますほか、金融面では、同じく日本開発銀行の前向き投資への低利融資制度、あるいは万が一退職者等が発生いたします際の運転資金に対します低利の制度、こういうものも新たに設けさしていただきまして、政府といたしましても業界の自助努力を積極的に支援してまいるということにしております。
  80. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 それでは、最後にもう一度農水省の方へ戻りますけれども、この肥料業界の不況により、今後の肥料供給価格の安定について、農家はいま言ったような事情で大変心配をしておるわけです。最近の化学肥料の動向と今後の見通しはどうなのか、これが一点と、それから肥料価格安定法が五十九年の六月に期限が切れるわけですけれども、この価格安定法の今後の取り扱い、現在、農水省としてどういうように方針を決めておるのか、考えておるのか、これをお伺いして質問を終わります。
  81. 小島和義

    政府委員小島和義君) 肥料価格動向を占いますものといたしまして肥料工業の体質の改善ということももちろんございますが、短期的には原材料価格の動向ということが大変大きく影響を持つわけでございます。御承知のように、最近、輸入の原油価格の値下がりという大変明るい状況もあるわけでございますが、最近のアンモニア系の窒素肥料の生産の形態を眺めてみますと、一時の石油系の原料の値上がりということに対応いたしまして、たとえばナフサのようなものの使用割合というのは大変減ってきておるわけでございますが、今後石油がもし長期的に値下がりをするというふうなことになりますれば、恐らくその肥料の原材料価格にもいい影響を与えるだろう、こういうことを期待をいたしておるわけでございますが、先行きについては必ずしも定かではない要素もいろいろございますが、過去におきますような大幅な石油の値上がりというふうな事態に比べればやや落ちつきを取り戻してくるというふうに一般的には見ております。  それから燐鉱石とかカリのようなものにつきましては、これは全量を輸入に依存いたしておるわけでございまして、石油ショックの際にほぼ石油と同じように値上がりを来しておるわけでございます。昨今の値動き、これは為替の問題も左右いたしますので一概には申し上げられませんけれども、やや落ちつきを取り戻しておるというふうな状況でございますので、仮に、将来値動きがありましても一ころのような大幅なものではなくて微増程度の上昇であろう、こういうふうに見ておりますので、短期的に眺めてみますならば、価格の見込みとしてはやや明るさを取り戻しておるというふうに見ておるわけでございます。もちろん長期的には肥料工業の全体的な体質の強化がどうなるとか、あるいはさらに石油等を含めました原材料の長期の動向ということに左右されるわけでございますので、長期的な見通しは軽々しく申し上げかねるというのが実情でございます。  それから肥料価格安定等臨時措置法の問題でございますが、御承知のように、これは三十九年に制定されまして、五カ年の限時立法であったわけでございます。その後三回延長を見まして今日に至っておりますので、明年の六月でこの制度ができましてから二十年という長い期間、この制度によって肥料価格安定を図ってきたということになるわけでございます。明年の七月以降どうするかという問題についてはただいま検討中の問題でございまして、農業及び肥料工業をめぐるいろいろな厳しい状況、さらには肥料需給とか、価格の動向も踏まえて検討しなければならないというふうに考えております。このために私どもの方と通産省と共同で設置しております肥料対策協議会というところで検討もお願いをいたしておるわけでございます。しかしながら、一般論として申し上げますと、法律をつくったときに比べて大変むずかしい状況が出てきておるというのも事実でございます。  三つほどございますが、第一には、この法律一つの軸でありました日本硫安輸出株式会社というのが政府特殊法人整理方針のもとに昨年六月をもって解散をいたしております。それから第二には、肥料価格の取り決めの一方の当事者であるところの全農肥料メーカーに対する価格交渉力というのが原材料のメーカーへの供給ということを通じまして以前に比べて相当強まっているという問題がございます。それから第三には、政府独禁政策との絡みもあるわけでございますが、過去におきますこの法律の廷長の都度、公正取引委員会からは今回限りであるということを言い含められているという経過があるわけでございます。幸か不幸か、前回、昭和五十四年の改正のときにはいわゆる第二次の石油ショックのさなかでございましたし、さらにその前の改正のときには第一次の石油ショックのさなかである、こういった事情もございまして、経済事情の著しい変動のさなかにおいてこの法律を廃止するというのはいかがなものかという議論が大変強うございまして過去の延長が実現をいたしたわけでございます。今回の場合にはそういう問題も余り顕著ではございませんし、また反面において、ただいま通産省の方からお話がございましたように、新しい特定産業構造改善臨時措置法によりますところの対象業種として化学肥料も取り上げられておるという全く新しい事態もあるわけでございます。そういったことも踏まえまして、また関係業界の意向も十分聞きながら今後この法律の扱いを決定いたしたい、かように考えております。
  82. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 終わります。
  83. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 本案に対する午前の質疑はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時八分休憩      ─────・─────    午後一時三十七分開会
  84. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、肥料取締法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  85. 下田京子

    ○下田京子君 今回の法改正一つの柱といたしまして、登録制度の簡素合理化ということで、すでに登録されている普通肥料だけを原料に配合した肥料については登録を届け出にすると、こういうことです。  で、この法律の根幹といいますか、それは一つにやはり登録制度というのがあると思うんですね。それだけに、必要に応じての行政の業務を合理化していくということは大事だと思うんですけれども法律目的であります肥料品質保全と公正な取引を確保する、この点は後退してはならないと、こう思うんです。  そこで、はっきりさせておきたい点なんですけれども、現在のこの法律の根幹とも思われる登録制の意義と位置づけなんです。いままでは書類を見まして、事前にいろいろ指導もできました。それから見本の分析もやれましたし、それからまた幼植物の試験等もやって、事前に品質保全あるいはメーカーに対する指導等やれたというふうに思うんですね。そういう大きな意義と位置づけがあると思うんですが、その点ひとつはっきりさせておきたいんで、お考え聞かしてください。
  86. 小島和義

    政府委員小島和義君) 確かに登録制度は、保 証票の添付義務、あるいはその事後の立入検査と並びまして、現行肥料取り締まり制度の根幹をなすものでございます。で、そういう登録制度をしいておりますのは、販売以前において流通する普通肥料につきまして品質上の誤りがないかどうか、事前に確認を行いまして、必要によっては指導を加えると、まあこういうことで登録制度をしいておるわけでございます。で、今回登録制から外しまして届け出制に移行させます指定配合肥料につきましては、御指摘ございましたように、すでに登録を受けまして、その肥効なりあるいはその安全性ということにつきまして何ら問題のない肥料のみを配合するというものでございますから、事前にそのような確認をするということの必要性がないと、まあこういう意味におきまして二重の登録という弊も避ける観点から届け出制に移行いたしたわけでございます。しかしながら、保証票の添付義務あるいは事後の立入検査というのはこれまで同様に行うわけでございまして、その登録制度がなくなったことによって品質上の問題が生ずるというふうなおそれのないものにいわば限定をいたしておるわけでございますので、肥料取締法の現在のたてまえというのは根本的には何ら変更がないものと、かように考えております。
  87. 下田京子

    ○下田京子君 いま御説明ありましたが、法律的に見まして、品質保全のチェックという点では、これはやっぱり登録が届け出に変わることによりまして、流通段階での立入検査というものしかない、これはっきりしていると思うんですよ。で、運用面でいま届け出の際に保証票を添付させるようにする、こういうふうにおっしゃっておりますけれども、今回の法改正によれば、十六条の二でですか、届け出の際には、一つに生産者の名前と住所、二つには肥料の名称、三つに生産する事業場の名称、所在地、で、四つ目に保管する施設の所在地だけになっているわけなんですね。ですから、運用面でそういうふうにやろうというふうに言っておるわけでございますけれども、やっぱり登録の際の最大のポイントであります保証成分量その他の規格ということについて事前にチェックするということは大変不可能になってくるんじゃないか、こう思うんです。
  88. 小島和義

    政府委員小島和義君) 通常の配合肥料におきましては、規格上の保証成分量は保証の最小の単位でありますところの一%以上というものがあれば規格には該当する、こういうことに相なっておるわけでございます。それで、どのような肥料をどのようにまぜるかによりまして、もとの肥料の成分さえ正しければ新しく配合してできた肥料の成分量は計算上容易に出てくるわけでございまして、登録に当たりまして見本の提出を求め、それによって現物で確認をするという必要がまずないものでございます。配合によりましてその成分その他に変化があらわれるようなおそれのあるもの、たとえば液体の肥料ということになりますと、配合した結果、成分変化が起こるという問題がございます。また、農薬その他の異物をまぜております肥料につきましては、同じように品質上の問題が出てくるおそれなしとしない。そういうものを排除いたしまして、品質上問題のない単純な肥料だけの配合ということでございますので、事前のチェックという必要性はまずないというふうに考えておるわけでございます。
  89. 下田京子

    ○下田京子君 事前のチェックというのはまずない、こういうことなんですけれどもね。とすれば、一体その届け出の際に保証票の添付はどうするのか、それから目的ですね、いろいろあるわけですが、問題は、要するに立入検査ということが品質保全の最大重要なポイントになってくると思うんですね。  私、東京肥飼料検査所に行ってお話を聞いてきたんですが、検査によりますと、不合格の内容には保証成分量の不足、成分量不足というのが全体の七七・二%を占めているんですね。で、その原因というのは配合の際のむら、言ってみれば配合肥料が多いためにこういうのが出てくるわけなんで、これはやっぱり肥料を使う農家にとっては大事な問題だと思うんですよ。  また、「肥検回報」という雑誌を見ましたところが、五十六年の肥料検査成績、このことを見ますと、一つには検査対象肥料の重点に、産業廃棄物なんかもありますが、複合肥料を掲げております。それからまた、検査成績の面でも、有機質肥料なんかもございますが、複合肥料に問題が多いと、こういうふうに報告が出ているんですね。その理由として何かといえば、複合肥料の場合には、産業廃棄物を利用して肥料などの原料にしたりする場合もありますが、そういう原料とか製造方法が多様化しているわけですね。そういう面からも品質保全の困難性が多い、こういうことで、やはり事前の指導とかチェックというのが十分できないということから見れば、いよいよもって事後の立入検査等が重要だと、こういうふうに言っているわけなんですが、従前どおりの立入検査で私はやっぱり事済まないんではないかと、こういうふうに考えているわけなんで、その立入検査体制というか、その辺どのように考えていますか。
  90. 小島和義

    政府委員小島和義君) 肥飼料検査所は登録の受付審査という仕事もやっておりますが、本体部分の仕事は事後の立入検査というのが最も主要な仕事でございます。事業場その他におきまして、肥料の重量でございますとか保証票の添付状況でございますとか表示の問題でございますとか、そういう目で見ることによって確認できる検査もございますし、サンプルを持ち帰りまして検査所の中において分析鑑定をするとか、そういう検査もあるわけで、この部分が最も重要な仕事であるということについては私ども全く同様に考えておるわけでございます。
  91. 下田京子

    ○下田京子君 かなり検査体制というものが重要であると局長もお認めになっているわけなんですが、としますと登録業務の減少分といいますか、その事務量を、検査を充実していくということも一つ考えられることだと思うのですね。だけれども、全体としてやはりその人員がどうなんだろうか、また予算がどうなんだろうかと、おっしゃるようなことが裏づけられるような事態になっていくだろうかと、ここが心配なんですね。  で、五十六年の検査実績を見てみますと、生産された肥料全体というのは約千二百八十万トン。その中で検査点数は九千二百九十一点で量にすれば約十万八千トン、ですから全生産量のわずか一%ということになります。もし全部のものを検査するということになりますと百年もかかると、こんなことになりますので、やはりいま言ったように事後の立入検査というのが大事なんだということをおっしゃった、その点から見ましても大変人的な面、予算上というのは大事だと思うのです。  そこで、旅費の問題なんですね。実際に立入検査を進める上で今後どれだけ対応ができるんだろうかということで予算を見てみましたら、これ東京肥飼料検査所の場合なんですけれども、担当区域は関東甲信越約十一県。ここの検査検疫旅費なんですけれども、肥飼料が一緒でございますが、五十四年度が七百七十四万六千円、五十五年度が七百五十四万三千円、五十六年度が七百三十八万九千円で、五十七年度は七百五十八万円。五十七年度分を五十四年度から比較してみますと逆に二・一%減っているんですね。この間に、実際に国鉄運賃はどのぐらい上がったんだろうかとこう見てみましたところが、何とまあ二二・三%もアップしているんですね。ということになりますと、局長おっしゃったように、その必要性は認めるけれどもそれに対応できるんだろうか、こういうことが問題になってくるわけなんですが、これにきちっとした対応を——確かにいまの財政事情だ、旅費全体むずかしいといっても、こういうことで法改正に伴う立入検査と事後検査の必要性に対応した旅費あるいは予算の確保というのが大事じゃないかと思うのです。
  92. 小島和義

    政府委員小島和義君) 政府全体の方針といたしましては、予算の中で特に官公庁で使っております旅費、庁費というのは最も節約しやすい部分であるということで、毎年度予算のたびごとに一定率の節約、削減というものの対象になっておるわけでございます。ただ、これは農水省なら農水 省の総額で一定の割合での削減を求められてまいりますので、省内におきましてはできるだけ現場の足を必要とする分野における減少率は少なくなるように努めておるわけでございまして、ただいまお話ありましたような率、全体で申しますともっと高い率になるわけでございますが、検査機関のように足を必要とするという分野につきましては極力少ない率で減少させておるような状況でございます。もちろん、そのほかの機関におきましてもいろいろ仕事上必要な旅費あるいは庁費というものがあるわけでございまして、私どもとしてもできるだけ必要な分野には必要な額が行き渡るように、全体のやりくりの中で努力をいたしておるつもりでございます。ただ、旅費の問題になりますが、御承知のように国鉄運賃も確かに上がっておりますので、実質的にはかなり目減りをいたしておるわけでございますが、反面において国内の交通事情というのは大変便利になってきておるという面もございますので、従来でございますと、一遍の出張で二カ所あるいは三カ所しか行けなかったものが、四カ所、五カ所行ける。そういうふうな対応をするなどいたしまして、極力この予算の中で検査の質的、量的内容が落ちないように工夫をしながら使っているというのが現状でございます。
  93. 下田京子

    ○下田京子君 でも、五十四年度に比較してもうその四分の一ぐらい予算が減だというのが実態なんですから、私はやりくりどうこうという話を聞きたくて言ったんではなくて、もう本当に事後の立ち入り検査等やって、十分にこの法の趣旨に基づいてやろうとするなら、その必要性を十分にお認めだと思うんで、あとはそれをどう具体化されるかというところを見ていきたいし、要望しておきたいと思います。  それから、もう一つ大事な点なんですけれども、今度の法案の中で肥料品質保全措置ということを強化される面もございますね。これは登録の際に植害試験を義務づけたということだと思うんです。これは従前のような仮登録の際に行っていた栽培試験とは違って、いわゆる幼植物試験のことをおっしゃっているんだと思うんですが、いかがですか。
  94. 小島和義

    政府委員小島和義君) おっしゃるとおり、まあ幼植物を使いまして短期の栽培、それの観察ということによって植害を判定いたしたいというふうに考えております。
  95. 下田京子

    ○下田京子君 そうしますと、現在の肥飼料検査所、全国に六カ所ございますね。その中で栽培試験係が置かれているのは東京と大阪二カ所のみなんです。これで植害試験が円滑に実施できるかということも大変問題です。同時に、いまの幼植物試験の問題なんですが、東京の場合、人工気象室が設けられておりまして、見せていただきましたら、人工的に気温とか湿度とか日照とか、自然のままにつくり出しまして、安定的にやれるような設備が整っているんですね。値段的には五百万から六百万だそうなんですけれども、こういう施設面でも、やっぱり東京と大阪にしかないということになると、どうなんだろうかなと、こう思うので、充実すべきじゃないかと思いますが、どうですか。
  96. 小島和義

    政府委員小島和義君) 肥飼料検査所全部で六カ所ございますが、その中では東京と大阪が業務量、人員、その他の面から見まして圧倒的に大きいわけでございます。お話ございましたその植物試験でございますが、通常でございますれば、これは何と申しますか、自然の、ありのままの環境の中で鉢に種をまくという形によって実施できるわけでございまして、特別な人工気象状態をつくり出して栽培するということでなくても対応ができるようなテストでございます。よほど厳しい気象条件下にない限りは発芽もし生育もするような植物を設定いたしまして、これを供試植物にするわけでございますから、まあ通常はその人工気象室等の使用の必要がないわけでございます。しかしながら、その時期なりその作物、あるいはその肥料内容なりによりまして特に人工的に気象を設定して試験をする必要がある場合には、東京、大阪の両肥飼料検査所にその業務を依頼して実施するということになろうかと思います。さしあたりはそれによって十分対応できるというふうに考えておるわけでございますが、将来もし業務量が大変ふえてくるということになれば、他の検査所にも同じようなことを考えていく必要があろうと思っております。
  97. 下田京子

    ○下田京子君 将来業務量が云々と言ったって、今度そういうことを義務づけているんですから、まあ近い将来それが対応できますことを期待したいと思います。  次に、肥料価格の問題なんですけれども、時間がなくなって残念なんですが、一番農家の皆さん方が心配していますのは、いま農家経済の中で、農業経営費、現金支出の中で肥料の占める割合というのが一三・八%になっている。これが輸出向けと国内向けとで差があるということで、何とかこれはもう少し国内向けの方も対応できないだろうかという声がかなり強いんですね。硫安の場合ですと、国内価格を一〇〇とした場合に、これは五十三年度の場合ですけれども、輸出価格は六五・一、五十七年度になりますとこれが五九・五、尿素の場合は五十七肥料年度で国内が一〇〇に対して輸出が六四・一、それから五十七年度は国内が一〇〇に対して輸出向けは六四・八、この辺はひとつ改善できないものだろうか。  それからもう一点、同時に肥料価格の引き下げの問題なんですね。これ通産の方に、——ごめんなさい、一緒に聞いて、片一方はあれですが、通産の方にお尋ねしたいんですが、原油価格が五ドル下げられたと、これ、ナフサも下がっていますので、この辺でひとつ行政的に肥料の値下げということも考えられないだろうかという点、ちょっと簡単にお答えいただいて、大臣にも一つ聞きたいので、簡単にお願いします。
  98. 小島和義

    政府委員小島和義君) 輸出価格は通常船積み時点のFOB価格でございまして、国内価格は消費地最寄り駅までの運賃を含んだ価格でございます。また、荷姿が違っておりましたり、為替レートの変動もございますから、単純には比較できないのでございますが、一般的に見れば、最近の輸出は国内の工場の操業度を維持するために出血覚悟で輸出をしているというふうなケースが多いようでございますので、国内と比較すれば多少安目になっているという事情はございます。ただ、それによって操業度が維持されることによりまして、操業度メリットというものが国内の製造原価にもはね返ってくるわけでございますので、その意味では国内価格の低減に目下のところはそういう形で変則的ながら寄与しているというのが実態でございます。
  99. 横田捷宏

    説明員(横田捷宏君) 原油の値下げに伴う原価の低減効果、これが消費者に均てんされるべきことは当然のことでございます。ただ問題は、ナフサを使用しておりましたメーカーというのが昨年の場合わずか一社である、それも五ドル相当分下がっていないという問題、あるいはLPGが一番消費量として大きかったわけでございますが、こちらの方はむしろ最近上がっている、そういう問題もございますので、こういう点も総合的に勘案いたしまして、適正な価格設定ができますよう配意してまいりたいと思っております。
  100. 下田京子

    ○下田京子君 大臣に一言……。
  101. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 時間が参っておりますので、手短かに。
  102. 下田京子

    ○下田京子君 はい。  大臣、最後にお聞きしたいんですが、いまお聞きのとおりなんですよね。私は法案の方もさることながら、いまの価格の問題で、第二次石油危機と言われた五十四年度のときには、五十五年の二月から期中改定ということで急遽硫安の場合二一・九%上げました。それから尿素は三一・四%上げました。大変なときにはぽんと上げる。だけれども、さあ値下げというときには、これはなかなか容易でない。肥料価格安定等臨時措置法の三条には、農水大臣が必要と認めた場合にはそういう対応ができるように裏づけられておるので、諸般の事情もよく考えてということにはなりますで しょうが、やはり農家にそのメリットが還元されますように対応いただきたいと思っております。
  103. 金子岩三

    国務大臣金子岩三君) 肥料用の燃油コストの引き下げだけでなくして、食糧生産用の関連を持つ燃油の取り扱いについては、当然どんどんどんどん値上がりするときは直ちに翌日はいわゆる製品値上げをしたようなことをやっておるわけですから、一応国際的に原油が五ドル下がったら、結局それに関連するいわゆる電力料も全部引き下げるべきだということを経済閣僚会議で主張いたしまして、担当通産大臣はそれに取り組んでまいっております。したがって、直ちに手っ取り早いのは、漁業用燃油なんぞはもう四月から値下げを始めているようでございますから、やがてはこうした関連のあるいわゆる燃油を原料とした製品の食糧生産用のものはひとつ早急に値下げをやりたい、こういうことを通産大臣申されておりますから、これ、実行に移してまいると思います。
  104. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 聞くところによりますと、登録事務に携っている人は本省は四人だそうですね。しかもこれ大変忙しいときには夜中の十一時、十二時までかかって処理をしなきゃならない、土曜、日曜も返上する場合もある、こういうことを聞いているんですが、そこで今回の登録制度改正によって登録検査、これに要する予算、組織、人員等、そういう行政の効率化がどの程度一体期待されるのか、この点からまずお伺いしたい。
  105. 小島和義

    政府委員小島和義君) 登録関係の仕事をやっております職員の数は、肥飼料検査所六カ所を通じまして約十人でございます。それから本省におきましては、担当課長補佐以下四名ということで対応をいたしております。  現在の有効登録件数は、国の段階だけで申しましても二万点に近いものがあるわけでございまして、毎年、毎年の更新ということになりますと、それの大体三分の一ぐらいの数のものが毎年登録申請の形で出てくるわけでございます。傾向といたしましては、有効登録件数がどんどん増加傾向でございますので、このまま推移すればいまの体制ではなかなか対応し切れなくなって、もちろん事務用の機械の導入などいたしておりまして、極力省力化は努めておりますが、いまのままでは対応し切れなくなってくる。こういう観点から、今回の登録制度の簡素合理化を考えたわけでございます。したがいまして、これによって人間が幾ら減るとか予算上幾ら節約できるという観点ではございませんで、むしろ今日の体制のままで仕事が続けられるように省けるものは省いていく、こういうことでございますので、人員、予算の節約というふうな形に直接はね返ってくるというわけでは決してございません。
  106. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 第二点でお伺いしますが、今回の改正対象となる肥料はどのようなものなのか、こういうことですが、すなわち登録制から届け出制に移行する指定配合肥料及び登録の有効期間が延長される肥料は省令で定められる、こういうことになっておりますけれども、どのような種類の肥料を省令で定めようとしておるのか、その内容をお伺いいたします。
  107. 小島和義

    政府委員小島和義君) まず、指定配合肥料、つまり届け出に移行することにいたしました肥料でございますが、これは品質的に非常に安定をいたしておりますいわゆる単肥、これだけを配合した肥料ということでございまして、これによるところの肥料の登録件数、これは現在の有効登録件数で申しますと、大体全体の有効登録件数のうちの約四〇%に当たります八千件余というものが届け出制に移行することになろうと思います。  登録した普通肥料のみを配合した肥料でございますが、液状の肥料とか、あるいは農薬等の異物を混入した肥料につきましては、これは対象として除くつもりでございます。  それから登録の有効期間を延長することにいたしました肥料でございますが、これは硫安、尿素などのいわゆる化学式であらわされる単一の加合物、天然鉱物を酸または熱分解した過燐酸石灰とか硝石灰というようなもの、それから天然鉱物を精製または粉砕した硝酸ソーダでありますとか、炭酸カルシウム肥料といったもの、さらには天然の動植物を粉砕したもの、魚かす粉末とか、あるいはなたね油かす、その粉末、そういったたぐいのものでございまして、肥料の種類にいたしますと、普通肥料の種類の、——これは全部で、種類数で言いますと百十八種類に分類いたしておりますが、そのうちの五十九種類がこれに該当いたすことになります。  登録件数で申しますと、ただいま有効な登録件数の一七%でございまして、四千件近いものがこれによって登録期間が延長されるということに相なります。  いま申し上げました二つの措置を通じまして、したがって毎年の登録申請件数というのはおおむね半減するのではないかというふうに見ておりますが、反面、届け出に出てくるものもあるわけでございます。それらを通じて、先ほど申し上げましたように仕事の量としてはもちろん増加傾向に歯どめがかかるわけでございますが、たちどころに人が何人いなくなるというふうなことにはならぬということを先ほど申し上げたわけでございます。
  108. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 第三点ですが、この登録申請に際しまして、新たに植害試験の成績を提出させる、こういうことになっているわけですが、これは具体的にはどのような肥料について義務づけていくのか、その点をお伺いいたします。
  109. 小島和義

    政府委員小島和義君) 普通肥料につきましては公定規格が定められておりまして、その中の保証成分の最小の量、それから含有が許される有害成分の最大量というのを定めておるわけでございまして、その肥料それ自体の特性ないしはその製造過程から含有することが予想されるような有害成分については、全部規格で定めておりまして、これに反するものについては登録をしないということにいたしておるわけでございます。ところが、今回問題になっておりますような産業副産物等を利用いたしましたものについては、その製造過程とかあるいは原料などから見まして、あらかじめどういうものが出てくるかということが想定できないような肥料でございまして、それにつきましては最も有害性を判定する手っ取り早い方法といたしまして、幼い植物、幼植物を利用いたしました栽培試験、これによって大体二、三週間程度の生育観測をいたしますれば、有害成分があるかどうかという判定が容易にできるわけでございます。その意味において、そういう可能性の非常に高い肥料といたしまして、六種類ほどの肥料を目下想定をいたしております。ざっと申し上げますと、粗製窒素肥料、液体粗製窒素肥料、沈でん燐酸肥料の一部、副産燐肥、副産塩基性苦土肥料の一部、乾燥菌体肥料の一部、この六種類について植害試験を義務づけたいと思うんであります。  全体の有効登録件数から判定いたしますと、これらに該当するもので、現在有効な登録を持っておるものは大体二百前後ということでございますから、それほど対象としては多いものではございません。
  110. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 これは通産省にお伺いをいたしますけれども、御承知のように五十四年度にこれは特安法に基づきまして肥料工業界が設備処理、第一次構造改善ですね、これを積極的に行いまして、たとえばアンモニアについては二六・一%、尿素については四四・九%、まあ四五%、湿式燐酸については二〇・四%、こういう第一次構造改善を行った、御承知のところでございます。こういう厳しい構造改善をやりながら、なおかつ今度は第二次、これは去年の六月の産構審の答申に基づきまして今年度の、五十八年の七月からさらに第二次の構造改善を行う。そしてこれは具体的には設備の処理、それから原料転換、多様化等の合理化対策の実施によって製造コストも引き下げていく。しかも、これは目標は六十年になっておるわけですね。こういう厳しい業界としては構造改善を展開をして価格の安定等を図っていこうと、こういう対策をいま真剣に続けているところでございますが、そこで通産省としてはこの肥料工業界の安定対策につきまして、今後どのような方針 をもって対処されるのか、その点をまずお伺いします。
  111. 横田捷宏

    説明員(横田捷宏君) 肥料工業の今次構造改善につきましては、先般国会で成立を図っていただきました特定産業構造改善臨時措置法、この法律に基づきまして肥料関係指定業種が恐らく五つぐらいになろうかと思いますが、アンモニアから化成肥料に至るまで総合的に構造改善基本計画に沿って実施を指導してまいりたいと、こう思っております。その内容はいま先生御指摘産業構造審議会の答申等のラインに沿うわけでございますが、設備処理などの一番むずかしい部分、これはできるだけやはりむずかしいと言いながら早くやっていくという意味で六十肥料年度という形にしておりますが、業界全体として安定した姿に持っていくためには先ほど申し上げました臨時措置法の期限五年間、これを最大限有効に活用いたしまして、その間に内需に基盤を置いた産業として安定が図られるような計画を検討しているところでございます。
  112. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 そこで私は、肥料工業界の今日の構造改善を進めている現状、状況から見ましてかなりなお厳しい状況にあるだろうと、こういうように思っているわけですが、そこで局長にお伺いをするんですが、先ほどの答弁にもありましたように、この肥料安定法ができた当時、三十九年ですか、その当時と比べますと状況が非常に変わっているということで三点挙げられておるわけですが、私どもとしてはこの業界が合理化を進めてそして安定的な価格供給できるように、そしてなおかつ農業と工業界がこれはもちろん両立をしていくという、そういう構造改善の結果、そういうような安定的な状況をつくり上げるにはなお相当の日時が必要ではないかと。したがって肥料安定法を、来年期限が切れるわけですが、この肥料安定法のさらに継続延長ということが私どもは必要ではないかと、こう考えておるわけですが、その点について局長の御見解をお伺いをしたい。
  113. 小島和義

    政府委員小島和義君) 先ほど私が申し上げました三点は、肥料をめぐります諸情勢の変化の中で直接肥料価格安定等臨時措置法関係いたします事情として三点ばかり申し上げたわけでございますが、そのことをもって直ちに法律延長が不可能であるとか、また、するつもりがないということを申し上げたわけではございませんで、さような情勢も踏まえながら今後検討すべき問題だというふうに御理解いただきたいと思うわけでございます。確かに化学工業は大変むずかしい状況にございまして、これを含めまして特定産業構造改善臨時措置法法律までできておるという事態、これも一つの新しい状況だというふうに考えておりますので、それらの点も含めまして今後約一年の間に結論を出したいというふうに考えております。
  114. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 それから肥料対策協議会の件に関連をいたしまして、先ほど社会党の同僚委員の方から質問がございまして、やはり雇用されている側の意見というものを十分に反映をすべきではないかと、こういうことを質問をされまして、それに答えられまして、政策部会ですかの段階では全く中立の立場の人に依頼をしてやっているんだと、こういうんですが、やはりこれらの協議機関というものはそれぞれ利害関係があるわけですから、利害関係のある当事者をやはり加えて、そこで議論をして、その議論を判定するのは中立的な立場で判定をしていくと、こういう本来のあり方が望ましいと思いますし、特にこういうように肥料工業界、構造改善を進めまして二割ぐらいの人員をもうすでに減らしておるわけですからね。これは第二次構造改善を進めればさらにもっと減るというようなことで、もう働いている者にとっては大変な大きな影響があるわけですから、そういう影響を十分に考えながら、その影響を受ける立場の人の意見を十分にやはり聞いていくと、こういうことが必要ではないかと、こういうように先ほどの議論を通じまして非常に感じたわけでありますが、その点についてのお考えをもう一度御見解をお伺いをしておきたいと思います。
  115. 小島和義

    政府委員小島和義君) 確かに一つ産業の将来の構造をどうするとかあるいはスケールをどのように持っていく、体質をどのように改善するという問題になりますと、これは雇われている方々の大変な利害関係に絡む問題でございまして、そういう問題については、当省におきましても労働関係の方を委員等に加えておるという事例もあるわけでございます。  肥料対策協議会につきましては、これは肥料価格の安定等、肥料対策に対する重要事項というふうなことを検討対象といたしておりまして、特に今回問題になっております肥料価格安定等臨時措置法を今後どうするかという問題につきましては、これは特にいまおっしゃられたような意味で労働者の方々の直接的な利害関係に絡む問題ではないというふうに私どもは考えておりまして、この問題を扱っております政策部会においては中立的な立場の方々だけで御議論を願うということから、労働者代表に限らず、いわゆるメーカー代表、あるいは流通関係者農業団体、こういう方々もすべて委員という形では入れない形で御議論をいただいておるわけでございます。もちろん実際に仕事をやっている方々がこの問題についてどう考えているかということは検討を進める過程において必要な場面が出てくるわけでございますから、そういう方々の意見を聴取するという場面は必要に応じてつくっていきたいと、かように考えておるわけでございます。
  116. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 非常に働く環境が特に激変をしていくときは、もう必要に応じてじゃなくて、もっと積極的に農水省の方から呼んで、あるいはそれにもうほとんど恒常的に加えて意見を聞いていくと、こういうことがやはり現在は大変大切なことではないか、こういうように思いますので、その面の積極的な対応をお願いをしておきたいと思います。  そこで、最後にお伺いをしておきますが、肥料品質保全の面から、生産流通段階における検査、取り締まり、こういうものを今後どのように進めていこうとされておるのか、こういうことが第一点。  それから化学肥料を多く使うことによって地力が低下していくのではないかという意見もあるわけですが、その地力の現状、それからこれに対する対策、どういうように進めておられるのか、この二点をお伺いして終わります。
  117. 小島和義

    政府委員小島和義君) 肥料品質保全のために行っておりますいわゆる立ち入り検査、あるいはその結果に基づきますところの分析関係、こういう仕事につきましては、今回の制度改正関係なく、これまで同様に続けてまいるつもりでございます。もちろん肥料自体がだんだん内容的にも複雑なものが出てまいっておりますし、また今回御審議いただいておりますような有害成分を含むおそれのあるような肥料も出てきておりますので、それらの点につきましては、いままでにも増して品質保全のための検査の充実を図ってまいらにゃいかぬというふうに考えておるわけでございます。  それから地力の問題でございますが、化学肥料の多投が直ちに地力低下の原因になるというふうには実は考えておりませんで、いろんな状況が絡んで一部の地域においては地力低下の心配が出ている向きもあるわけでございます。具体的に申し上げますならば、農業の労働力がだんだん減少してまいっておりまして、従来のような個々の農家で堆厩肥をつくってそれを土地に還元していく、こういう体制がなかなかできにくくなってきておりますものですから、それによりまして、場所によりましてはつくっておる作物との関連もございますけれども、若干心配な向きも出てきておるということでございまして、化学肥料をたくさん使ったからという直接的な因果関係は私どものところでは認めておらぬわけでございます。そのような状況を踏まえまして、今後とも土づくり運動の推進、地力増強のための諸施策を充実する必要があるというふうに考えておりまして、特に先ほど申し上げましたような農業状況でございますん で、これは個別農家の対応というよりは、最近ふえてまいりました畜産農家と耕種農家の地域的な結びつき、いわゆる地域複合というふうに私ども呼んでおりますが、これをいかに有効に展開をしていくか、そのための援助をどのようにしていくかという問題はもちろんございます。それから、通常利用されておりませんところの有機質その他の資源をいかに集約的に土地に還元していくかという体制づくり、そういったことが今後の私どもの地力に対する取り組みの一番大きな問題ではないかというふうに考えておるわけでございます。
  118. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  119. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  肥料取締法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  120. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  坂倉君から発言を求められておりますので、これを許します。坂倉君。
  121. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 私は、ただいま可決されました肥料取締法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合及び新政クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     肥料取締法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)    政府は、我が国農業を取り巻く厳しい諸情勢にかんがみ、農業生産の重要な基礎資材である肥料について、その品質の保全と公正な取引の確保を図るため、本法の施行に当たっては、次の事項の実現に万全を期すべきである。  一、肥料品質保全を期するため、国及び都道府県の取締体制の強化に努めるとともに、肥料性格に応じ、配合肥料の原料表示等適切な規制措置を講ずること。  二、肥料の安定的供給を図るため、肥料工業構造改善等による生産、流通コストの低減、それらを反映した適正な価格の実現等に必要な諸対策を強力に推進すること。    また、肥料工業の設備処理に当たっては、雇用の安定、労働条件整備等につき適切な対策が講じられるよう指導すること。  三、農業生産の安定と土地生産力の増強を図るため、地力培養に関する諸対策を推進するほか、土壌改良、施肥技術等の研究普及体制整備に努めること。    右決議する。  以上でございます。
  122. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) ただいま坂倉君から提出されました附帯決議案を議題として、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  123. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 全会一致と認めます。よって、坂倉君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、金子農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。金子農林水産大臣
  124. 金子岩三

    国務大臣金子岩三君) ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上、善処するよう努力してまいりたいと存じます。
  125. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  126. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  127. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 次に、酪農振興法の一部を改正する法律案を議題とし、政府から趣旨説明を聴取いたします。金子農林水産大臣
  128. 金子岩三

    国務大臣金子岩三君) 酪農振興法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  近年、わが国の肉用牛生産は、繁殖及び肥育の両部門を通じて規模拡大が着実に進展する等農業経営の重要な一部門として成長しつつあり、国内草資源を有効に活用する農業生産部門として、農業及び農山村の振興を図る上で重要な役割りを担っております。特に牛肉の需要が今後とも比較的堅調に推移するものと見込まれること、水田利用再編等農業生産の再編成を進めることが必要となっていること等から、肉用牛生産を土地利用型農業の基軸として位置づけ、長期的な視点に立って、その健全な発展を図ることが農政の重要な課題となっております。  しかしながら、肉用牛生産をめぐる内外の環境は厳しく、国民に対し牛肉を安定的に供給し、肉用牛経営の健全な発展を図るためには、粗飼料給与率の向上等により生産性の向上を推進し、経営体質の強化を図ることが緊要となっております。また、近年、国内産の牛肉の七割が乳用種の牛によって占められるに至っていること、一部には乳肉複合経営が進展していること等に見られるように、肉用牛生産と酪農は密接に関連してきております。このため、酪農の発展と整合性をとりつつ、肉用牛生産の振興を図ることが必要となっております。  以上のような肉用牛生産をめぐる情勢にかんがみ、肉用牛生産と酪農との結びつきの強化に留意しつつ、肉用牛生産の振興に関する制度整備強化を図ることとし、この法律案を提案することとした次第であります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、今回の改正趣旨に即し、法律の題名を酪農及び肉用牛生産の振興に関する法律に改めることとしております。  第二に、現行の酪農近代化計画制度を改め、酪農及び肉用牛生産の近代化を総合的に推進するための計画制度とすることとしております。このため、国の基本方針、都道府県計画及び市町村計画の内容として、肉用牛生産の近代化を図るための事項を追加することとしております。  第三に、市町村計画の作成された市町村において酪農経営または肉用牛経営を営む者が経営改善計画を作成し、市町村長の認定を受ける制度を設けるとともに、その認定を受けた場合には、農林漁業金融公庫等から経営改善計画を実施するために必要な長期かつ低利の資金の貸し付けを行うこととしております。この場合、肉用牛の購入または飼養に必要な資金につきましては、償還期限及び据え置き期間の特例措置を設けることとしております。  第四に、肉用子牛の価格安定制度につき法制化を行うこととしたことであります。すなわち、国及び都道府県は、肉用子牛の価格の著しい低落に際し生産者補給金を交付する事業を行う都道府県ごとの公益法人に対し、その事業の円滑な実施のために必要な助言、指導、経費の補助その他の援助を行うように努めることとしております。また、国は、全国規模の公益法人で、都道府県ごとの公益法人に生産者補給金の交付に充てるために必要な資金を貸し付ける事業等を行うものに対しても、その事業の円滑な実施のために必要な援助を行うように努めることとしております。  以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願いを申し上げます。
  129. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 次に、補足説明を聴取 いたします。石川畜産局長
  130. 石川弘

    政府委員(石川弘君) 酪農振興法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。  本法律案を提出いたしました理由につきましては、すでに提案理由において申し述べましたので、以下その内容を若干補足させていただきます。  第一に、法律の題名及び目的規定の改正についてであります。  すなわち、酪農の振興に関する措置に加え、新たに肉用牛生産の振興に関する措置を講ずることとしたことに伴い、法律の題名を従来の酪農振興法から酪農及び肉用牛生産の振興に関する法律に改めることとしております。さらに、目的規定に、酪農及び肉用牛生産の近代化の総合的かつ計画的な推進、肉用子牛の価格の安定及び牛肉の流通の合理化を加える等の改正を行うこととしております。  第二に、現行の酪農近代化計画制度を改め、新たに肉用牛生産を含めた酪農及び肉用牛生産の近代化を総合的に推進するための計画制度とすることであります。  この酪農及び肉用牛生産の近代化計画制度の中で、農林水産大臣が定める基本方針におきましては、新たに酪農及び肉用牛生産の近代化に関する基本的な指針を定めるとともに、牛肉の生産数量の目標、近代的な肉用牛経営の基本的指標、肉用牛及び牛肉の流通の合理化に関する基本的な事項等を定めることとしております。また、都道府県知事が定める都道府県計画及び市町村長が定める市町村計画におきましても、それぞれ基本方針に準じた改正を行うこととしております。  第三に、酪農経営または肉用牛経営を営む者が作成した経営改善計画についての市町村長による認定とこの経営改善計画の認定を受けた者に対する農林漁業金融公庫等からの必要な資金の貸し付けについてであります。  市町村計画において定めた酪農経営または肉用牛経営の改善目標等の達成を推進するため、市町村計画の内容に照らし適切な経営改善計画を市町村長が認定する制度を設けるとともに、当該認定を受けた者に対し、長期かつ低利の資金を融通することとし、経営改善の一層の促進を図ることとしております。この場合、肉用牛生産の生産サイクルが長期間にわたること等を考慮して、肉用牛の購入または飼養に必要な資金については、償還期限及び据え置き期間を従来の資金に比べ五年間延長し、それぞれ二十年以内、八年以内とすることとしております。  第四に、肉用子牛の価格の安定及び牛肉の流通の合理化に関する措置の実施についてであります。  肉用子牛は、繁殖部門における生産物であるとともに、肥育部門における基礎的な生産資材であり、肉用牛生産の振興を図る上で、その価格の安定を図ることが重要であります。  このため、国及び都道府県は、肉用子牛の価格の著しい低落に際して生産者に生産者補給金を交付する事業を行う都道府県肉用子牛価格安定基金協会に対し、その事業の円滑な実施のために必要な助言、指導、経費の補助その他の援助を行うように努めることとしております。また、これに関連して、国は、都道府県肉用子牛価格安定基金協会に対し生産者補給金の交付に充てるための資金を貸し付ける事業その他肉用子牛の価格の安定に資する事業を行う全国肉用子牛価格安定基金協会に対しても、その事業の円滑な実施のために必要な助言、指導その他の援助を行うように努めることとしております。  さらに、国は、肉用牛生産の健全な発達に資するため、牛肉の産地処理の推進、牛肉の取引規格及び品質表示の普及等牛肉の流通の合理化のために必要な措置を講ずるように努めることとしております。  なお、このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。  以上をもちまして、酪農振興法の一部を改正する法律案の提案理由の補足説明を終わります。
  131. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 本案に対する質疑は後日に譲ります。     ─────────────
  132. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 次に、家畜改良増殖法の一部を改正する法律案を議題とし、政府から趣旨説明を聴取いたします。金子農林水産大臣
  133. 金子岩三

    国務大臣金子岩三君) 家畜改良増殖法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  家畜の改良増殖は、畜産経営の改善を図り、畜産物の安定的供給を図る上での基本となるものであり、わが国における家畜の改良増殖を推進するため、種畜検査、家畜人工授精に関する規制等を行ってきているところであります。  しかしながら、近年、家畜受精卵移植技術の確立、凍結精液の国際的流通の進展等家畜の改良増殖をめぐる情勢は、大きく変化しております。  このような情勢の変化対応して、家畜の改良増殖の一層の促進を図るため、今般、家畜改良増殖法の一部改正を提案することとした次第であります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして、御説明申し上げます。  第一に、家畜受精卵移植に関する規制を定めることであります。  家畜受精卵移植の健全な発展と円滑な普及を図る観点から、雌の家畜は、伝染性疾患及び遺伝性疾患を有しないことについての獣医師の診断書の交付を受けたものでなければ、家畜受精卵の採取の用に供してはならないこと、家畜受精卵の採取、処理または雌の家畜への移植を行う者の資格を定めること等家畜受精卵移植に関する規制を定めることとしております。  第二に、輸入に係る家畜人工授精用精液の利用に関する措置であります。  家畜の改良増殖を一層促進する観点から、海外から輸入された家畜人工授精用精液であって、一定の事項を記載した証明書が添付されているものは、わが国において、譲り渡し、または雌の家畜に注入することができることとしております。  第三に、家畜人工授精師制度改善であります。  獣医師は、家畜人工授精の業務を行うに当たり、家畜人工授精師の免許を要しないこととしております。また、家畜人工授精師のうち、家畜受精卵移植に係る免許を受けた者は、家畜人工授精の業務のほか、家畜受精卵移植の業務を行うことができることとしております。  以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
  134. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 次に、補足説明を聴取いたします。石川畜産局長
  135. 石川弘

    政府委員(石川弘君) 家畜改良増殖法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。  本法律案を提出いたしました理由につきましては、すでに提案理由におきまして、申し述べましたので、以下その内容につき、若干補足させていただきます。  第一に、家畜受精卵移植に関する規制を定めることであります。  最近、優良な雌の家畜の利用の促進、双子生産による子牛生産の増大等に寄与する家畜受精卵移植技術が実用化し、急速な普及が見通されております。このため、家畜の改良増殖を促進する観点から、家畜受精卵移植技術の特性に応じた規制を定めることとしております。  すなわち、家畜受精卵の採取の用に供する雌の家畜は、獣医師の診断書の交付を受けることとしております。  また、獣医師でない者は、家畜受精卵を採取し、または処理してはならないこととするとともに、家畜人工授精師は、家畜受精卵を採取した獣医師の指示のもとに、家畜受精卵の検査等の処理を行うことができることとしております。また、獣医 師または家畜人工授精師でない者は、家畜受精卵を雌の家畜に移植してはならないものとすることとしております。  その他家畜受精卵の品質の確保、血統の混乱の防止等を図るため、家畜人工授精に関する規制に準じた規制を行うこととしております。  第二に、海外から輸入された家畜人工授精用精液の利用に関する措置であります。  従来、海外からの育種素材につきましては、臨時種畜検査等により、輸入された雄の家畜の活用を図ってきたところであります。近年の精液凍結処理技術の普及等による家畜人工授精用精液の国際的流通の進展に対応し、わが国の家畜の改良増殖の促進を図るためには、海外の遺伝資源の一層の活用を図る必要があります。このため、海外から輸入された家畜人工授精用精液であって、外国の政府機関等が発行した一定の事項を記載した証明書が添付されているものは、これをわが国において譲り渡し、または雌の家畜に注入することができることとしております。  第三に、家畜人工授精師制度改善であります。  従来、獣医師は、家畜人工授精師の免許を受けなければ、家畜人工授精の業務を行うことができないこととしておりましたが、行政事務の簡素合理化等の見地から、獣医師は、家畜人工授精の業務を行うに当たり、家畜人工授精師の免許を要しないこととしております。  また、家畜人工授精師のうち、家畜受精卵移植に関する講習会を修了してその修業試験に合格した者は、家畜人工授精の業務のほか、家畜受精卵の雌の家畜への移植等の業務を行うことができることとしております。  以上をもちまして、家畜改良増殖法の一部を改正する法律案の提案理由の補足説明を終わります。
  136. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 本案に対する質疑は後日に譲ります。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時四十二分散会