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1983-03-24 第98回国会 参議院 農林水産委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年三月二十四日(木曜日)    午前十時四分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         下条進一郎君     理 事                 岡部 三郎君                 坂元 親男君                 高木 正明君                 瀬谷 英行君                 鶴岡  洋君     委 員                 大城 眞順君                 熊谷太三郎君                 中村 禎二君                 初村滝一郎君                 川村 清一君                 坂倉 藤吾君                 中野  明君                 下田 京子君                 伊藤 郁男君    国務大臣        農林水産大臣   金子 岩三君    政府委員        農林水産大臣官        房長       角道 謙一君        農林水産大臣官        房審議官     船曳 哲郎君        農林水産大臣官        房予算課長    京谷 昭夫君        農林水産省経済        局長       佐野 宏哉君        農林水産省構造        改善局長     森実 孝郎君        農林水産省農蚕        園芸局長     小島 和義君        農林水産省畜産        局長       石川  弘君        農林水産技術会        議事務局長    岸  國平君        食糧庁長官    渡邊 五郎君        林野庁長官    秋山 智英君        水産庁長官    松浦  昭君    事務局側        常任委員会専門        員        安達  正君     ─────────────   本日の会議に付した案件昭和五十八年度一般会計予算内閣提出衆議院送付)、昭和五十八年度特別会計予算内閣提出衆議院送付)、昭和五十八年度政府関係機関予算内閣提出衆議院送付)について  (農林水産省所管及び農林漁業金融公庫)     ─────────────
  2. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  昭和五十八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、農林水産省所管農林漁業金融公庫を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 最初に大臣臨調最終答申についてお伺いいたします。  去る十四日、第二次臨調最終答申が報告されました。この答申評価についてはさまざまな意見に分かれているところであります。特に私は農林水産関係については厳しい答申ではないかなと、こういうふうにその内容を受けとめているわけですが、数多くある補助金等整理合理化の中で流通促進奨励金早期に廃止するよう提言されております。また、良質米奨励金についても単価の引き下げ、これが言われております。この臨調答申について、まず大臣所見をお聞かせいただきたいと思います。
  4. 金子岩三

    国務大臣金子岩三君) 臨調答申は、御承知のとおり機構、補助金特殊法人等に及ぶ広範ないろんな答申がされております。ただ、農業国民食生活の安定のためにいかに大事な産業であるかということを考えますと、大変この臨調考え方とちぐはぐなものがあるようでございます。けれども、あらゆる合理化を図り、そして日本農業の今後の発展に支障を起こさないような考え方に立って答申最大限尊重して、ひとつ省を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
  5. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 そうすると、大臣考え方としては、もちろん中曽根内閣閣僚でございますから、答申はそのまま正直に受けてこれを実行に移すと、こういう考えであるわけですね。もう一遍確認をいたします。
  6. 金子岩三

    国務大臣金子岩三君) 基本的な姿勢はそのとおりでございます。
  7. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 その中で、答申の中で水田利用再編奨励補助金良質米奨励金等自主流通助成などについて見直しを求めております。特に良質米奨励金等自主流通助成については、これは自主米流通を支えている太い大きな柱であるわけです。農家にとっては奨励金助成は、五十二年から五十六年まで四年間生産者米価据え置き、また五十七年度ではわずか一・一%値上げで、これでは焼け石に水と。さらにその上に農家の困ることは、消費資財上昇の中にあって一・一%上げたいというのも、これも一縷の励みではありますけれども、実際問題として農家の実質の目減りを防いできた貴重な制度であるわけです、この制度は。この流通促進奨励金は五十八年度には予算化されております。百一億円になりますか、一俵について二百円と、こういうことになっておりますけれども。五十九年度からはどうするのか、五十八年度はこういうことでございますけれども、五十九年度からはどうするのか、この御見解をお伺いいたします。
  8. 渡邊五郎

    政府委員渡邊五郎君) 御指摘自主流通米に関します流通促進奨励金につきましては、御存じのように臨調答申におきましては「早期にこれを廃止する。」ようという指摘でございますが、御存じのようにこの流通促進奨励金は、政府米との売買逆ざやの存在というハンディキャップに対抗いたしまして自主流通米の円滑な流通を確保するという趣旨の奨励金でございます。で、臨調答申におきましては、また政府米売買逆ざや早期解消という点にも触れておるわけでございます。私ども売買逆ざやにつきましては、できるだけこれを縮小するように努力いたしてまいりたいと考えておりますが、かつてこの売買逆ざやが五十年前後のころには二、三〇%ございましたが、現在五・四%まで今日縮小してまいっております。そのような状況から、流通促進奨励金につきましても逐年改善いたし、合理化してきたところでございます。今後の具体的な取り扱いにつきましては、こうした考え方に立ちまして政府米売買逆ざや推移等を見ながら慎重に検討してまいりたいと、目下の段階はそのように考えております。
  9. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 そうすると、五十九年度は簡単に言えばまだよくわからないと、こういうことになりますでしょうか。
  10. 渡邊五郎

    政府委員渡邊五郎君) 五十九年度と申しますか、五十八年産米以降のことにつきましては、まだ具体的な取り扱いは決めておりません。
  11. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 この答申内容は小さな政府と、こういうことでしょうけれども農業関係を初め社会保障、また教育関係国民に直接かかわり合いのある部分を削っている点が非常に目立つと、こういうふうに私は思うわけでございますけれども、そこで大臣、先日の所信表明の中で「わが国が安定した成長を維持しつつ経済社会発展国民生活の安定を図っていくためには、何といっても、国の基とも言うべき農林水産業の健全な発展を図ることが不可欠であります。」、こういうふうに述べられております。ここで大臣にお聞きしたいんですが、——さらに一方、十八日閣議において行政改革に関する答申を、閣議で決定したのは最大限に尊重し、逐次実施するということを決めておるわけです。大臣はこの答申に関して、閣僚ですから閣議におったわけでございますし、そういうふうに決めている。そこで、農業問題については、日本農業の将来の位置づけを臨調答申に対してどんな姿勢で取り組んでいくのか。基本的にはどうなのか、この辺を大臣にお伺いをいたします。
  12. 金子岩三

    国務大臣金子岩三君) 具体的に御説明を申し上げることはいまのところ非常に困難でございますけれども答申最大限に尊重するためには、農政の上で大変いわゆるちぐはぐな面もありますし、これはやはり知恵をしぼって苦労をして、答申最大限尊重する方向で、基本的な姿勢で取り組んでまいりたいと思います。
  13. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 ちぐはぐな面があると言うけれども、ちぐはぐな面というのは具体的にはどういうのがちぐはぐと言うんですか。
  14. 金子岩三

    国務大臣金子岩三君) 一例を申し上げますならば、仮にいわゆる減反をして転作させる場合の補助金等につきましても、これはひとつ早く小さくすべきだと、補助金はもっと少なくすべきだということを申されておるわけでございますから、果たしてそれがいまの時点でいままで決めておる補助金を小さくした場合、あるいは少なくした場合、果たして思うように転作減反がこのまま実行されていくかといういろんな心配もあるわけでございますから、こういう点は大いにちぐはぐじゃないでしょうかと私は思っております。
  15. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 わかりました。  次に、農産物自由化の問題について若干質問いたします。  まず、日本農業の将来に大きな影響を与える日米農産物交渉の行方についての見通しでございますけれども、どうなのかということなんですが、実は先日、私アメリカへ行って一週間ほど前に帰ってきたわけでございますけれども、私の感覚としては、中曽根訪米があった後は、この農産物のいわゆる自由化交渉の問題についてはやや小康状態のように感じておりましたけれどもアメリカに行って感じたことは、それどころではない、ますますアメリカ側では日本への要求を強くしていると、こういう雰囲気を感じたわけでございますけれども、その上石油値下げがあった、アメリカは実際に景気は回復していると、このように思うわけですけれども、その影響はどうかと。そういう影響も全然ない。したがって、この石油値下げ、回復とは関係なしに、前よりももっと日本に対するいわゆる要求が強くなった、こういうふうに感じるわけでございます。農産物自由化問題はこれからの大切な問題でございますし、いま言ったような状況でありますけれども、農水省として見通しはどうなのか。
  16. 佐野宏哉

    政府委員佐野宏哉君) アメリカの事情につきましては、ただいま鶴岡先生のおっしゃったように実は私どもも思っております。したがって、いろいろほかの話が前向きに転がっているのだから農産物の問題はしばらくは忘れてくれているのではないかというふうな認識は私どもは持っておりません。  それで、私ども対処心組みといたしましては、昨年当委員会で御決議をいただいて御支持を賜っておりますので、私どももそういう心組み対処いたしますが、一方、そういう心組み対処をするということと、アメリカ側とそれで話をつけるということとの間にはまたなかなか容易ならざるところがあるわけでございまして、目下のところ、今後の協議の段取り等につきましては、こういうふうになるであろうというふうに申し上げられる材料はいまのところ残念ながら持ち合わせはございません。
  17. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 もう一つ私がアメリカへ行って感じたことは、農産物問題というのは非常に政治に深いかかわり合いがあると、こういうふうに感じたわけです。わが国は言うまでもなく、主な輸入農産物の約四〇%をアメリカから輸入し、特にトウモロコシは約九〇%、大豆は九四・九%、こういうふうにアメリカに依存をしているわけです。近年穀物輸入が急増しているわけですけれども、一方、日本飼料穀物自給率は六〇年には八九%、これが二十年後の八〇年には三三%、こういうふうに低下をしているわけです。今後、日米農産物交渉の目玉となる牛肉オレンジを含めた問題が、自由化または枠の拡大、こういうことになれば自給率はますます低下するということになるわけです。それどころか、日本農業壊滅的打撃を受ける、こういう状況になることは必至であるわけでございます。  五十五年四月の国会決議——食糧自給力強化に関する決議をいかに具体化するかという点が緊急課題でありますけれども大臣農産物自給率向上に対する所見としてどんな所見を持っておられるのか、これが一つと、それから、牛肉オレンジを含めた二十二品目の輸入自由化、枠の拡大、これに対する基本的考え方、この二点を大臣からお答え願いたいと思います。
  18. 金子岩三

    国務大臣金子岩三君) 牛肉オレンジ市場開放の問題でございますが、これは、自由化は、とうていいまの日本のいわゆる競合農産物農家畜産物業者柑橘農家、こういう方々が柑橘の場合でも二〇%の減反をしてでもより以上の生産過剰を見ておる。畜産におきましても年々消費も伸びておりますけれども、やはり生産も均衡のとれた伸び方をしておる。したがって、いま足りないのは十三万数千トンでありますので、この程度輸入をしておったら大体当分は日本畜産物供給は満たされていくのじゃないかというような考え方でおりますので、私はとてもとても自由化市場開放をこの畜産物オレンジに見ることは当分わが国としてはあり得ないと、こういうふうに考えております。ただ、いろいろ枠の拡大の問題になりますと、やはり足りないものがある。そうして無理して国内生産をさせるよりも非常に価格も低廉で質もよくてこれは輸入することが得策であると。いわゆる国民需要輸入農産物でこたえる方が賢明であるというものはやはり需給動向を見定めて、要るものは買う、余るものは断る、こういうふうな行き方を資源需給状況に従ってやっていくべきだと、このように考えております。  それから、食糧自給率の将来のこれは一つ見通しでありますけれども、米は御承知のとおりでございます。他の穀物大豆を初め小麦に至りましても大変遅々として戦前の生産量はまだ見ることはできません。したがって、やはり足りないものの農産物大豆小麦、こういったものは積極的にひとつ生産拡大して穀物自給率を高めるべきだ、このように考えております。  畜産においても、勤物たん白はやはり漁業畜産物で一応供給を満たしておるわけでございますから、畜産振興漁業振興を図って、いまの動物たん白自給率は、これからもどんどん人口のふえる、あるいは動物たん白を好む食習慣に移行しつつありますので、ひとつ自給率を高めて、自前で賄っていく、こういう方針をとるべきだ、このように考えております。
  19. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 ついでで申しわけないけれども国会決議の中には「食糧自給力」と書いてあるんですけれども自給力自給率というのはどういうふうに違うのですか、官房長
  20. 角道謙一

    政府委員角道謙一君) 自給率といいますのは、実際に国内生産されたものが全体といたしまして消費に向けられたものと、その比率を一般的に自給率と言っております。ただ、この場合にどのように測定するかというのは非常に各国またいろいろ議論がございまして、米あるいは牛肉等の肉類、品物によりましていろいろな評価方法が違いますので、一番通常用いられておりますのは、価格表示ということだと思います。私どもは、一般食糧総合自給率七〇というような場合には、大体価格表示でやっております。具体的には物別トン数表示で見るのが正しいかというような感じは持っておりますが、全体として見る場合にはそういうふうな方法があろうかと思います。  その次の自給力でございますが、これにつきましては明確な定義はございませんで、実際には国民食生活にとって必要な基本食糧国内でどのようにつくる総合的な力といいますか、土地であるとか水であるとか、そういう資源の問題、あるいは農業の担い手であるとか、そういうものを総合的にとらえたものというように考えております。  たとえば水田なんかの場合には、よく私ども転作基準になりますのは潜在自給力と言っておりますが、これは現在の水田をその実際の転作に向けないでいまの水田に向けた場合、水稲生産に向けた場合どの程度のができてくるか、これは一つ自給力評価だというふうに考えております。そういうものを基準にいたしまして、実際に必要な米の需要量というものを見通しながら現在の転作の割合を決めると、この辺が自給力あるいは自給率の違いであろうかというふうに考えております。
  21. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 この自給率自給力の問題はまた後でいろいろ論議したいと思いますけれども、そうするといまの官房長の言う自給力というのは、極端に言えばゴルフ場もつぶし、それから野球場もつぶし、何もかにも全部つぶせばこのぐらいになるというようにもとっていいんですか。
  22. 角道謙一

    政府委員角道謙一君) その辺はなかなかむずかしい問題でございますけれども、実際に不測の事態が生じて国内相当長期にわたって物をつくらなきゃいかぬ場合、この場合にはやはりいまあります宅地あるいは住宅、工場用地等、これを転換するというのは非常にむずかしい問題でございますけれども、農用地に容易に転換できるような状態であるようなものにつきましては、これは将来そういうこともあり得るというふうに考えておりますが、現実ゴルフ場はどうであるかという話になりますと、これはなかなかむずかしい問題であると考えております。
  23. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 要するに、いま言いましたように後でまたいろいろ論議をしたいと思いますけれども自給力がいまの話でいくと幾ら上がっても、これは自給率が上がらなければ、現実の問題として日本農業のいわゆる将来の発展ということは考えられないわけです。そういうことでいまお聞きしたわけですが、またこれは後でお話しいたしたいと思います。  それから三番目に米国ECの間で農産物輸出補助に関して激しい抗争が繰り広げられていると、こういうふうに報道されている件についてお伺いしたいわけですけれども、これは農産物輸出に対しアメリカ政府補助を行うという政策から起きた問題でございますが、この農産物戦争わが国にとっても対岸火事と、こういうわけにはいかないわけでございます。その理由として、米国ECの間が泥沼化すればそのはね返りが当然わが国にも及んでくると、こういう心配がされるわけです。アメリカ政府補助による農産物輸出の対象に酪農品まで考えているようであります。農林水産省は、この農産物輸出補助金戦争と言われるいわゆるアメリカECとの紛争についての見解日本に対する影響、どんな所見を、どんな考え方を持っておられるのか、この辺をお伺いいたします。
  24. 佐野宏哉

    政府委員佐野宏哉君) お答えいたします。  先生指摘の、最近になってとみに農産物輸出補助金をめぐる紛争が険しくなってきておるという事態は、一つにはアメリカエジプト向けに行いました小麦粉輸出補助金つき輸出、それからもう一つは来月補助金委員会に報告されることに予定されておりますが、アメリカECを相手取って提訴いたしておりました小麦粉に対する輸出補助金につきまして、パネルECのとっております行動をクロとは認定をしなかった。その二つの事態に象徴されておりますような動きが最近のアメリカECとの間の輸出補助金戦争の激化という事態になっておるわけであります。  それで、これは元来アメリカECとの間のパネルでの争いにも見られますように、東京ラウンドで合意されました補助金行動というのは、なかなか解釈の問題がむずかしくて、輸出補助金問題について明確な国際規律を確立したというふうには言いがたいという事態、それから、そういう事態に対するアメリカ農業関係者のいら立ちが非常に高じてきておるということが根底にあるわけであります。  それで、私どもといたしましては、これはもちろん対岸火事というふうに見ておってよろしいわけではないわけでありまして、わが国国内農業を外国との間でできるだけ摩擦の少ない方法で保護していくという見地から見ますと、元来日本立場から見ても農産物に対する輸出補助金というのは好ましくないものでありまして、やむを得ず存続する以上はそれについて明確なる国際的規律が存在することは望ましいということは、わが国農業を守っていくという見地から見てもそういう態度にならざるを得ないわけでございますし、それからさらに、この種の係争案件をめぐって、現在の曲がりなりにも動いておりますガットに象徴されておりますような多角的な通商秩序がこの種の紛争によって危殆に陥れられるということについて、わが国としても当然憂慮の念を持つという立場でございますし、それから、さらにもう少し卑俗な事件でございますが、この種の問題でアメリカ農業関係者の神経がいらいらしておるということはわが国から見ても決して好ましいことではないというふうに思っておりますので、私どもとしても事態推移を慎重に見守っているところでございます。
  25. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 この際、ひとつお聞きしておきたいんですが、牛肉オレンジを初め日本へのアメリカ側輸入のいわゆる要求が非常に強くなっていると、これはいまに始まったことではありませんけれども米国日本との二国間の問題として、たとえば飼料穀物これが日本では一千六百万トン年間輸入している、そのうち九〇%はアメリカから輸入している、こういうことになっているわけですけれども、そこへもってきて牛肉輸入しろと、こういうことになると、牛肉というのは、これは穀物は牛が食べるものですから非常に矛盾するんじゃないかなと、こういうふうにも思いますし、この輸入問題については日本では誠意をもって第一弾、第二弾と努力をしているわけです。それにもかかわらずもっと輸入しろ、もっと輸入しろと、こういうことになっているわけですけれども、そこでお聞きしたいのは、何もアメリカばかりから飼料穀物輸入しなくたっていいんではないか、こういう理屈にもなってくるわけです。なぜアメリカばかりから九〇%も輸入をしなきゃならないのか。それと同時に、アメリカ以外、アルゼンチンもあるしオーストラリアもあるし、ほかに穀物がとれる国はたくさんあるわけですから、そんなことを言うならばそっちからも、輸入するぞと、そういう計画農林水産省にあるのかどうなのか、その辺はいかがですか。
  26. 佐野宏哉

    政府委員佐野宏哉君) 御指摘飼料穀物輸入につきましては、これは現状では全く政府の関与しないところでコマーシャルベースで行われておるわけでございまして、アメリカが非常に圧倒的なシェアを占めておりますのも、アメリカ飼料穀物供給国としては圧倒的に大きな地位を占めておるということの反映であるというふうに思っております。  それで、ただいま鶴岡先生指摘のように、アメリカと事を構えるためにアメリカからの飼料穀物輸入シェアを下げるというアプローチを採用することについては私どもためらいを感じますが、率直に申しまして。ただ飼料穀物供給源が余りにもアメリカに傾斜をしておるということは、これは日本畜産関係者なりえさ関係者もそれなりに気にしておるわけでございまして、そういう意味では、たとえばタイからのメーズの輸入などというのは必ずしもさしあたりのそろばん勘定だけでは説明できないけれども、そういう畜産えさ関係者飼料穀物供給源が余りにもアメリカに傾斜しておるという事態に対する憂慮の念に支えられて行われておるという面があるわけでございまして、そういう意味では、先生の御指摘のような問題意識というのは、駆け引きの話でなければ関係者の中にも現に存在して、そういう動きは少しずつは行われているということでございます。
  27. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 それでは次に米の問題に入りますが、きのうも村沢委員の方からお話がありましたが、私の方からもちょっとお聞きしたいと思います。  改正された食管法では米の基本計画並びに米管理の基礎となる需給見通しを定めることになっております。食糧庁は五十八年度におけるいわゆる米の需給計画、三年連続の不作から二月現在の米集荷量予約限度数量を調査したと言われておりますが、一番新しい集荷量限度数量について数字が出ていたらお願いします。
  28. 渡邊五郎

    政府委員渡邊五郎君) お答えいたします。  五十七年産米につきまして、まず予約限度数量でございますが、平年作を基準にいたしまして七百六十万トンと予定いたしました。しかしその後、生産量が御承知のように低温、台風等影響で低下いたしました。統計情報部の発表で千二十七万トンというふうに五十万トン程度平年作よりダウンしております。したがいまして、集荷量につきましても現在私ども七百十万トン程度を集荷の目標といたしておるわけでございます。現在の集荷の状況は二月末現在で約七百万トンの集荷をいたしておりますが、なお、私ども最終集荷実績につきまして鋭意努力をしておるところでございます。この集荷二月末七百万トンという数字は、前年に比べますと、集荷といたしましては二十万トン以上増加しておりますので、順調に推移したものと考えております。
  29. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 そうすると、五十七年度産米の集荷は七百万トン、当初の集荷目標七百十万トン、これには不足するわけです。当初目標の予約限度数量七百六十万トンはとうていこれはできないと、昨年十二月の予算編成時の集荷目標も割っている現状であることは、これは間違いないわけです。この目標の達成の見通しはどうなのか、また米不足になる心配があるけれども、この辺はどうなのか、あわせてお伺いします。
  30. 渡邊五郎

    政府委員渡邊五郎君) お答えいたします。  ただいま二月末現在七百万トンという水準に参っておりますが、最近の検査実績等も七百十二万トンになっているかと思います。検査実績よりも集荷の方は若干低いわけでございます。いま七百十万トンの集荷ということで鋭意努力しておるところでございまして、私どももこの目標に達するようにいたしたいと考えておるわけでございます。  それから、予約限度数量よりも減じたという点につきましては、全体の需給の方から申しますと、前年産の持ち越しが四十万トンございます。さらに五十三年の低温米が業務用等に五ないし十万トン程度需要も見込まれますので、全体的に私どもこの五十八米穀年度——本年の十月末で終わるわけでございますが、には十万トン程度の前年産の持ち越しになるだろうと、このように考えております。もちろん実態といたしまして昨日もお話しいたしましたが、五十八年産米の出回り等もございますので、この五十八米穀年度におきます米の需給上の不安は全くないものと考えております。
  31. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 いずれにしても、五十七年産米が一千二十七万トン、それから五十六年分が四十万トン、それで五十三年が八万トン、こういうことになるわけです。五十八年、米穀年度でいくと五十七年十一月から五十八年十月までですけれども、これは需要量が一千六十五万トン、そうするといま長官のおっしゃった十万トンの余裕が出ると、こういうことでございますけれども、この十万トンの中の八万トンですか、これは五十三年米ですよね。五十三年米というと古が幾つつくか知らないけれども、食べられるのか食べられないのか、まあ食べられるんでしょうけれども、余裕は十万トンと。それはそれとして、こういう事態になったのはどうしてなったのか、その原因はどこにあるのか、これいかがですか。
  32. 渡邊五郎

    政府委員渡邊五郎君) ちょっとその前にお断り申し上げますが、五十三年低温米なりは業務用としましてこの秋までには需要者に引き渡されますので、先ほど申しました十月末十万トンは前年産米になります五十七年産米で十万トン持ち越すと、こういうことになるわけでございます。  御質問のどうしてこういう事態になったかという点でございますが、残念ながらこの三年間作況がよろしくございません。したがいまして、これまでの持ち越し米等を操作しながら今日に至っておるわけでございますが、三年連続という不作の影響が大きくこれに響いたものと考えておるわけでございます。
  33. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 いまそういうふうになったのは不作、いわゆる三年続きの冷害、これが最大の原因のようでございますけれども、そのほかに兼業化が進展していわゆる生産についてのあり方が粗雑になったんじゃないかとか、それから良質米ばかり、たとえば宮城県の場合にはササニシキですか、これが八〇%、それから千葉県とか栃木県は六〇%コシヒカリ、こういうことでやはり量を減らす原因をつくったんじゃないかと。そうなると人災説と、こういうことも言われておるわけですけれども、そういう原因はないんですか。
  34. 小島和義

    政府委員(小島和義君) 水稲の作柄に対する諸要因というのを分析いたしますと、やはりこの三年間低温でありますとかあるいは台風の襲来でありますとかそういう気象上の要因によるものが何といっても一番大きいというふうに見ておるわけでございます。特にただいま御指摘になりました品種との関係ということになりますと、確かに一部の地域におきまして特定の品種に対する大変な偏りというものはあるわけでございますけれども、そういう良質米志向の品種の選択が直ちに減収に結びついたということは言い切れないように思われるわけでございます。  具体的に申し上げますと、たとえばいま御指摘になりました宮城県のササニシキのようなものでございますが、宮城県は御承知のように五十五年には七月下旬以降稲作にとりましては大変大事な減数分裂期という時期に異常低温が襲来いたしまして、それが不稔の原因になったわけでございますが、その中でもやや作期の遅いササニシキはその一番低温の時期を免れておる、こういう現象がございまして、逆に耐冷性の非常に強いと言われておりますアキヒカリのような品種がたまたまその大事な時期に低温にたたかれた、こういう事態がございます。また昨年の千葉のケースで申しましても、やや中生種でありますところのコシヒカリの方が早生種でありますところのアキヒカリ、ハヤヒカリあるいはホウネンワセと、こういうものに比べますれば、相対的にではございますけれども、やや被害が少ないと。したがってどういう時期にその異常な低温に見舞われるかによりまして、品種別の影響というのは区々まちまちでございまして、必ずしもササニシキだからよくなかったというふうな傾向は出てないわけでございます。  そうは申しましても、今後の気象の推移を眺めてみますと、いろいろな事態が予想されるわけでございますので、余り特定の品種に大きく偏るというのは問題であるという意味で、危険分散の意味からも、品種の適正な組み合わせということが必要であろうと思いますし、またそれぞれの品種の特性を踏まえながら成育、気象の推移に応じまして適時適切な栽培管理を励行していくと、こういうことが稲作にとっては最も重要な基本的な技術でございます。そういう意味におきまして、今後の稲作指導におきましては、いま申し上げましたような品種の選択、組み合わせ、さらにはそれに応じた肥培管理、こういうものを励行させるように指導を徹底いたしたいと考えております。
  35. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 まあ、不作の原因は気象関係が最大の原因であると、こういうことですけれども、不作人災説というのもなきにしもあらずと、こういうふうに受け取るわけですけれども、それならば農林水産省にこの不作の原因を検討する稲作改善検討会というのがあるそうですけれども、この検討会では何を検討しているんですか。
  36. 小島和義

    政府委員(小島和義君) 毎年の不作の原因につきましては、地域の農業試験場あるいは地方農政局、それに本省も参加いたしまして、毎年その稲作の一年間の成果を反省をいたしまして、どこにどういう技術的な問題があったのかということをまとめておるわけでございます。今回官房を中心に省内各局集まりましてつくっております稲作の改善に関する研究会は、そういう単年度の稲作の反省というよりは、むしろやや中長期的な問題を意識いたしまして、今後の稲作技術の総点検を行うと、こういう意味でございまして、災害対策という問題ももちろんございますが、そのほかに生産の安定さらには生産性の向上という観点から今後稲作の改善のためにどういう技術的な問題があるのかということを総ざらいをしよう、それをもとにいたしまして各地域の指導の基本にいたしたいと、かように考えているわけでございます。
  37. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 米の適正在庫量の件ですけれども、この件については、従来二百万トン、これが適正ではないかと、こういう方針をとってきたわけでございますけれども、これは衆議院での大臣の答弁でいろいろ物議を醸したようですけれども、財政事情からこの方針は変わってきたのか、また単年度の持ち越し在庫量はどのくらいが理想的といま思っているのか、その辺はどうですか。
  38. 渡邊五郎

    政府委員渡邊五郎君) 米の備蓄の水準につきまして、かつて昭和五十年でございますが、農林省といたしまして総合食糧政策の展開という観点から二百万トンの備蓄の考え方を打ち出したことは事実でございます。その後この時点以降過剰が続きまして、実際にはこれを上回る在庫水準に達しました。しかし、最近五十五年以降の不作で、お話にございましたように現実の在庫水準が非常に低下していることは事実でございます。そこで今後の備蓄のあり方という問題が当然出てまいるわけでございまして、私ども二百万トンの備蓄ということを考えますと、やはり金利、保管料等のコストの問題が一つございますのと、同時に消費者の新米志向という問題がございまして、二百万トンを年々回転していくような操作をいたしますと、非常に米の消費に大きな影響を及ぼすようなおそれもあるわけでございます。こうした観点から五十五年に農政審議会におきましても、これを見直すべきではないかという御提言も出ておるわけでございます。いま年々の操作し得る回転がスムーズにいかせますには、おおよそ七十万ないし百万トン程度の年々の古米でありますならば、比較的円滑に需給の操作はできますが、これをオーバーした場合には、その在庫の考え方、仕組みなりはやはり特別な配慮をしていかなければならないのではないかというふうに考えております。このような経緯なり現状、問題点をいま整理いたしまして、今後五十九年以降の米の需給均衡化対策、いわゆる第三期対策がスタートするわけでございますが、そのあり方の検討と関連いたしまして、備蓄の問題につきましても私ども早急に検討を進めたいと考えております。
  39. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 米の問題については多くなったり少なくなったり、これは食糧確保ということから大変な問題でございますし、またむずかしい問題であるということは私もよくわかります。天候が相手でございますし。反面今日のように過剰米が少なくなると、いままで過剰米を使っていたいわゆる関係者、その関係者にとっては今後は高い米を買うことになるというわけです。商品なり製品にその価格が上乗せされて、物価値上げの引き金になりかねないとも限らないと、この点心配するわけですけれども、このような心配は必要ないのかどうなのか、念のためにお伺いしたいですが。
  40. 渡邊五郎

    政府委員渡邊五郎君) 御指摘になります過剰米の処理の点でございますが、御案内のように六百五十万トンございました過剰米、現在計画的に処理いたしまして、この三月末には百五十万トン程度になろうかと思います。五十八年度で処理されるという見通しでございまして、御指摘の点の影響度が出ます問題といたしまして、工業用需要、加工用でございますが、いわゆるせんべい等の米菓等に現在過剰米の方から三十万トン近くの数量を処理しておるわけでございます。御指摘のような問題もありますので、来年度百五十万トンの処理の中には五十八年度分、五十九年度分まで織り込んでこれに対応するというふうに当面措置することにいたしておりますが、この価格水準が現在トン当たり約十二、三万円程度で処分いたしております。したがいまして、一般のお米にいたしますと、主食なりにいたしますと三分の一ぐらいの価格になっております。六十年度以降いかが取り計らうかがこれからの課題でございますが、先ほど申しました第三期対策におきまして、やはりこれらの他用途米の需要にどのように生産の方で対応するか、実需者の方は、過剰米がなかった時代におきましては、これはタイの砕米を輸入してきた経過もございます。そうした意見もございますけれども、できるだけ国内でこうしたものを円滑に充当でき得るようなことを今後考えなくちゃならない、これは第三期対策でも重要な課題と思って、御指摘の点は検討さしていただきたいと考えております。
  41. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 あと五十八年度の予算の問題と減反の問題があるんで、時間がございませんので、減反政策について最後にお伺いいたします。  水田利用再編第一期、五十三年から五十五年にあっては、転作目標面積に対し実績がすべてオーバーしているというか超えているわけです。第二期対策、五十六年—五十八年、この転作目標面積は、当初、各年度ごとに六十七万七千ヘクタールでございましたけれども、三年連続の冷害を考慮して、五十六年、五十七年が六十三万一千へクタール、こういうふうに修正をされているわけです。しかし両年度とも、五十六年も五十七年も、五十六年の場合は九%、五十七年は六%、いずれも目標をオーバーしておるわけです。五十八年度は、米の不作と在庫量の減少を考え、六十万ヘクタールに減反面積を緩和する方針となっておりますけれども、第二期、五十八年度は六十万ヘクタールと算定した根拠、さらに五十九年度の持ち越し量はどの程度を確保しようと考えているのか、これが一点。  また、第三期対策、五十九年度、六十年度、この転作目標の見通しはどういうふうに検討をされているのか、この二点をお伺いいたします。
  42. 小島和義

    政府委員(小島和義君) まず、ただいまやっております第二期の目標に対しまして、各年の実績がそれを上回っておったという事情をちょっと申し上げますが、御承知のように、第二期の目標といたしましては六十七万七千ヘクタールを基本的な目標に設定をいたしておったわけでございますが、五十五年及び五十六年の冷害等を勘案いたしまして、実際には六十三万一千ヘクタールという目標でお願いをいたしておったわけでございます。しかるところ、第二期の目標の六十七万七千ヘクタールというのは県別に配分をいたしておりますし、将来の目標であるということが都道府県によく徹底をいたしておりました関係もございまして、大体二期の目標に近い水準で実績は上がっておるわけでございます。そういう状況でございますので、五十八年度の目標につきましては、先ほど来お話が出ておりますような在庫水準でもございます、したがって単年度需給ということからいきますと、六十七万七千ヘクタールという目標は正しいわけでございますけれども、それに対しまして七万七千ヘクタール減じまして、その分がいわば在庫積み増しに貢献をする、こういう観点から六十万ヘクタールということにいたしたわけでございます。  それから、五十八年度をもちまして第二期は終了いたしまして、第三期へ移行いたすわけでございまして、現在、その第三期におきますところの米の需給が中期的にどういうことになるのかと、これにつきましては、稲作の潜在的な生産力、さらには消費の動向、こういう問題も出てまいるわけでございますし、先ほどお話がありました備蓄の問題あるいは他用途米の問題、こういうことも絡んでまいりますので、将来の五十九年度を目指しまして、本年の予算編成期までにはその見通しを立てたいということで鋭意検討いたしているところでございます。
  43. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 最後に、米は余っても困るし足らなくても困るし、余れば財政上困るし、足らなければ食糧確保の面から困るし、    〔委員長退席、理事坂元親男君着席〕 非常にむずかしいことはよくわかりますけれども、こういうことで農林水産省では米の需給均衡化対策検討会というのを設けて検討しているようでございますけれども、この検討内容というのはいつごろ結論を出す見通しなんですか。また、中間報告として発表できれば、いま御報告願いたいんですが、いかがですか。
  44. 角道謙一

    政府委員角道謙一君) 昨年秋に、いま御指摘の米需給均衡化対策検討会というものを省内に設けまして、関係各局でいろいろ現在検討いたしておりますが、その基本的な考えといたしましては、農政審議会の答申あるいは報告等に示されました方向に従いまして五十九年度から始めます水田利用再編第三期対策に向けまして、米の需給均衡化をどのように図っていくかということを基本的な考え方にしているわけでございます。具体的な中身といたしましては、将来に向けての米の需給の見通しの問題、それから転作のあり方の問題、それから先ほど来いろいろ御議論のございます米の備蓄のあり方の問題、あるいは他用途利用米、これには工業用米もございますし、またえさ用の米の問題もございます。こういうものにつきまして、生産調整をどのようにするかというような問題につきまして現在鋭意検討を進めております。私ども、来年度の予算編成の時期までには省内の意見をまとめて、来年度予算編成の基礎にしたいと考えておりますが、現在の段階ではまだいろいろ省内でも意見がございまして、中間報告として外にお話しできるようなものとしてはまだまとまっていないような状況でございます。
  45. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 最終的にまとまるのは予算編成の前ですか、そのぐらいまでにしたいと、こういうことですか。
  46. 角道謙一

    政府委員角道謙一君) 私ども、事務的な案としては大体予算編成の時期までを目途にしておりますけれども、実際に水田利用再編第三期対策との関連を考えますと、場合によりますとむしろ秋、明年度の作付の始まる今年の秋というところまでが一応の限度だと考えております。
  47. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 終わります。
  48. 中野明

    ○中野明君 三点ほどお伺いしたいと思います。  一点は、いま同僚委員からお話しがありました食糧の問題、それから二点目はマツクイムシの問題、それから三点目は遠洋漁業の問題と、三点に分けてお尋ねしたいと思います。  いまお話がありましたように、大臣の所信の中でも、「今後の世界の食糧需給の展望を見ますと、中長期的には楽観を許さないものがあります。」、このようにおっしゃっておりまして、わが国は世界でも一、二を争うような食糧輸入国ということになっております。そういうことで、非常に食糧の安全保障という見地から私ども心配をするわけなんですが、最初にお伺いをしたいのは、穀物の備蓄ですね、備蓄をどの程度お考えになっているのか、日本の国——まあ石油も備蓄を九十日分とか百日分とかしているわけなんですが、国策として、国の方針として米麦、主食の備蓄をどの線に置いておられるのか、その辺を最初に。
  49. 渡邊五郎

    政府委員渡邊五郎君) まず、麦の備蓄の点について申し上げたいと思いますが、小麦につきましては供給の大部分を輸入に依存していることは御在じのとおりでございまして、輸出国との二国間の取り決め等によりまして必要な輸入量の安定確保に努めることがまず第一でございますが、国内在庫につきましては短期的な輸入の混乱等の不測の事態等に対しても安定的に小麦供給ができるよう、通常操作に必要な在庫量に安全を見たものといたしまして、おおよそ外麦需要量の二・六カ月分の在庫を保有するということで今日まで進めておりまして、現在もそのようになっております。  一方、米の問題でございますが、かつて二百万トンという備蓄水準につきまして五十年に提言がありましたことは事実でございますが、米は多少麦と異なりまして、新米、古米というようなことが非常に消費の動向と微妙に関連する点がございますので、これを二百万トンを毎年回転していくような操作をいたしますと、非常に消費の減退等にもつながるおそれもあるというような問題等もありまして、またコストの問題等もありまして、農政審議会からは見直しが要求されておるところでございます。私どもといたしましては、先ほども申し上げましたが、通常の回転の在庫としては七十万ないし百万トン程度が適正な回転すべき在庫というふうに考えますが、やはり不測の事態ということを考えますならば、それ以上の備蓄のあり方という問題も当然あるわけでございまして、この点につきましては、五十九年以降の第三期対策でどういう備蓄水準に持っていくかということについて、米についてはなお検討いたしておるわけでございます。当面、ことしの秋の在庫、前年産米で十万トンを翌年には五、六十万トンにまず引き上げますが、それ以降の問題としてそのように考えておるという段階でございます。
  50. 中野明

    ○中野明君 先ほどもお話ありましたように、五十八年度の転作目標面積を軽減して六十万ヘクタールとなさったわけですが、この積算の根拠ですね。結局、いまの備蓄とも関連してくるんじゃないかと思うんですが、この程度の軽減でよろしいんでしょうかどうか。もっとお米をやっぱりつくってもらわなきゃならぬような状況じゃないんだろうかという気がするんですが、その辺はどうなんでしょうか。
  51. 小島和義

    政府委員(小島和義君) 先ほども申し上げましたように、第二期を通ずる単年度の米需給という観点からいたしますと、転作目標面積といたしましては六十七万七千ヘクタールというものが必要なわけでございます。その事情は今日においても変わってないと存じますが、在庫水準が極端に下がってきておる、こういう事情がございますので、六十七万七千ヘクタールから見れば七万七千ヘクタール減じまして六十万ヘクタールというふうにいたしたわけでございます。その減じた分がいわば在庫の復元的な効果を持つ、こういう計算に相なっておるわけでございます。  もちろん短期的に眺めてみますならば、単年度に大きく在庫を復元するということも可能なわけでございますが、逆に転作の円滑な推進という観点から見ますならば、ある年は極端に目標が減少される、翌年以降また目標が大幅に増加する、こういうことでは実際の営農面の活動からいたしますと、なかなかついてこられない問題がございます。そういうことも考慮いたしまして、また第三期のこともにらみながら六十万ヘクタールというふうに決定いたしたわけでございます。    〔理事坂元親男君退席、委員長着席〕
  52. 中野明

    ○中野明君 この際、大臣にちょっとお伺いをしたいんですが、先ほども申し上げましたように、世界的な食糧の事情が中長期的には楽観を許さぬという見通しを持っておられるようですが、そういうことになりますと、どうしても日本水田、この水田というものをやはり守らなければならない。歴代の大臣にお尋ねを申し上げているわけですが、水田を守ろうとすればどうしてもえさ米といいますか、そういうことに力を入れていくことが一番理想ではないか、私たちは常々そう考えているわけですが、このえさ米に対する大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  53. 金子岩三

    国務大臣金子岩三君) 日本における場合、水田を現在の面積はやはり確保していくべきではないかというようなお考え方で、それをどのように利用していくかというと、やはりえさ米をつくるべきではないか、こういう御意見のようでございます。最近よくえさ米の話が出ておりますが、いろいろ検討をしますと、大変えさ米というのは安いんですね。したがって、農家が果たしてこれでペイするかということで、これには相当大きいやはり国の助成が必要になるんじゃないか。こうなってきますと、やはり厳しい農水省の予算の中をそういうえさ米を奨励するために多額の金を使ってえさ米をつくり、そして水田を確保していくことが賢明なのか、他にその金をいろいろ有効に使って、もっと日本の将来の食糧確保、いわゆる世界的食糧の危機がやがて訪れるだろうと、そういう場合、日本だけは完全自給ができる体制を整えるためにはもっと根本的ないわゆる金の使い方もあるのではないかと、このように考えまして、いろいろいま省内でも検討中でございます。
  54. 中野明

    ○中野明君 世界の食糧の事情が中長期的に見たら楽観を許さないという認識をお持ちになっている以上は、やはり日本国内水田を守っておくということがもう基本的な条件になってこようかと思います。そのためにはこのえさ米を水田でつくるということがこれが一番理想——いま大臣おっしゃったようにお金の問題確かにあります。ありますけれども、これは食糧の安全保障というんですか、一億一千万の国民食糧を確保するというのはもう政治の最大の責任ですから、その点を鋭意検討されて、いまお伺いしますけれどもえさ米の研究というのはどの程度まで進んでいるんでしょうかね、どなたか。
  55. 岸國平

    政府委員(岸國平君) 研究の状況がどの程度になっているかということでございますのでお答え申し上げますが、私どもえさ米と言いましても特別な米があるというふうには考えておりませんで、やはりこれも米の一種だというふうに考えております。食用以外に米を使うということになりますと、これはやはり第一に考えなければいけないのは多収をねらわなきゃいかぬということを考えておりますので、超多収の品種をつくるという観点から研究を進めておりまして、五十六年からかなり大がかりに研究を進めておりますので、ことしが三年目に入ります。研究としてはかなり進捗をいたしております。いままでやってまいりましたのは、日本の品種だけではいままでの品種の多収性を超えるようなことはなかなかむずかしいだろうということから、外国の品種なども多数試験をいたしまして、それらの能力を調べてまいりましたのがいままでの大きな仕事でございました。その結果としてかなりの数のものが、相当いままでのわれわれがつくっておりました食用の品種よりもよけいとれるというようなところがわかってまいりましたけれども、それらの品種はいずれも南の方の暖かいところでの適応性を持っておりますので、必ずしもわが国の気候、風土に適するとは限らないということがございます。そういうような点を踏まえまして、それらのわかってまいりました遺伝資源を材料にいたしましてすでに日本の品種との間での交配をかなり進めております。現在何代かの交配が進行中でございますので、それらの研究をさらに今後も発展さしていくというふうに考えております。五十八年度につきましては、その方向だけでなくて、最近方々で言われておりますハイブリッドの研究も新しく始めたいということで予算措置も講じているところでございます。
  56. 中野明

    ○中野明君 非常にこれは水田を守る上においても、あるいは備蓄その他の点から考えましても大事な問題ですので、ぜひ研究を進めて早く採算ベースに乗るような対応をお願いしたいと思います。  それでは、マツクイムシの問題に入りたいと思いますが、昨年法案も通りまして、マツクイムシ対策の充実を図るということで予算説明でも大臣は述べておられますが、このマツクイムシの対策の予算は前年対比でどうなっておりましょうか。
  57. 秋山智英

    政府委員(秋山智英君) 先生承知のとおり、五十七年の三月に改正されました松くい虫被害対策特別措置法に基づきまして現在特別防除、特別伐倒駆除、それから伐倒駆除、さらには跡地の林種転換というふうなことを総合的に実施しているわけでございますが、五十八年度の予算といたしましては、非常に財政事情厳しい中でございますが、昨年度とほぼ同じ七十一億六千六百万円を計上しておりますが、さらにそのほかに関連予算といたしましてマツクイムシの被害地の緊急造林事業これは対前年比一〇八%、九億四千八百万円、それからマツクイムシ被害の緊急対策治山事業でございますが、対前年比一〇五%、九億四千二百万、それから新しい予算といたしましてマツノザイセンチュウの抵抗性の松供給特別事業といたしまして五千二百万円、さらに林業改善資金におきましても、この被害森林整備資金といたしまして貸し付けの枠を対前年比一二八%強、九億円を計上しているところでございます。
  58. 中野明

    ○中野明君 それでこの被害の状況なんですが、だんだんだんだん北上してきて被害のない県というのは少なくなってきたんですが、現在どの状況なのですか、被害のない県はどこどこですか。
  59. 秋山智英

    政府委員(秋山智英君) 被害がもちろんだんだんと北上してまいりまして、五十六年度までは北海道、青森、秋田でございましたが、ことし秋田県の山形県に隣接している村におきましてごく少量でございますが、これが被害が発見されまして、量といたしましては百十一本でございますが、これにつきまして現在徹底的に駆除をしているところでございます。なお全体的な被害量といたしまして、現在の見通しですと、この五十七年度の駆除の徹底並びに夏の冷夏というような低温ということも影響しまして、現段階でつかまえておりますのは全体的には対前年比七割程度に減少しているというのが現在の見通しでございます。
  60. 中野明

    ○中野明君 非常にこのマツクイムシは広範な国民の皆さん方の心配、自然保護という上からも大変心配されていろいろ各方面から議論があるんですが、現在はマツノザイセンチュウが原因だというふうにほぼ定着をしかかっておるようですが、まだそれでもいろいろ、先日も御承知のとおり、理研の研究班が松枯れの原因は線虫ではなくしてカビじゃないだろうかという一つの研究結果を発表されておるわけなんですが、ちょっと私その面で書物を見せてもらいますと、「松くい虫の謎をとく」という伊藤一雄という先生が書いておられるその書物の中にも、「長年の間、松くい虫がマツを枯らすと信じてきたこれまでの見方は、マツノザイセンチュウの発見によって根本からくつがえった。そしてまた、この種の材線虫は生きた木を枯らす能力はなく、ただ枯木や用材につくだけだという世界における線虫学の定説をも否定するはめになった。」と、こういうふうに非常に線虫が原因だと言われたときには相当な、いままでの研究からして疑問を持っておられるような考えを持つ人が非常に多かった。まだそういう点について線虫が本当の原因じゃなくしてもっとほかに、今回の研究ではいわゆるカビが原因だ、こういう発表なんですが、この点はこういう発表が出たことによってどうお考えになるでしょうか。
  61. 秋山智英

    政府委員(秋山智英君) 現在問題になっておりますいわゆる激害型の松の被害でございますが、これは林業試験場の特別総合研究によりまして、長年かけまして調査した結果、マツノザイセンチュウによるものであるというふうにされておるわけでございます。この研究過程におきましては、まず松の枯損に関する土壌条件とか気象災害の検討、さらには松の根に付着する菌類の接種試験、さらにはいまお話ございましたが、この材を侵す幾つかの青変菌の接種というふうな実験をいたしまして、その激害型の松の被害の原因を関係のないものをだんだんと消去するという方法でこれを研究し続け、結果的に、この激害型の松の柏損の原因というのはマツノザイセンチュウ以外にはないというふうなことで、これが結論づけられまして、現在そういうことを中心とした防除体制をとっているわけでございます。しかしながら、やはり先般、先生承知のとおり、新しい青変菌によるのではないかというふうな御指摘もございますが、これについてはまだ学会には発表されておりません。近々あるというふうに伺っていますが、私どもといたしましては、やはりそういう問題につきましては、そのデータ等も今後取り寄せながら解明していかなきゃならぬということで考えているところでございます。
  62. 中野明

    ○中野明君 伊藤さんが書物の中で引用しておられる有名な博士の発言も、ちょっと私読ましていただきましたが、この線虫が松の立木を枯らす「原因らしいと林業試験場の真宮・清原両氏から知らせを受けて、最初はどうしても信じられなかった。」ということで非常に大変な発表だったようでございますが、この伊藤博士は、「たまたま林業試験場には線虫学の大家がいなかったことが幸いして、疑わしきものはひとつびとつ、微生物学の原則にのっとって消去してゆき、最後に残った材線虫が強い寄生性も持っていたという幸運に恵まれたまでです」と、このように私は答えることにしておりますと、いまだにそういう考えを持っていらっしゃるようなんですが、この本当の原因がカビということになると、いままでの線虫を撲滅するという対応から少し方針を転換しなきゃならぬという大変な問題の提起だろうと、このように私も思いますので、近く何か発表されるそうですね。そのときに、当人たちももともとがカビの研究から入られて、そしてどうやらこれ松枯れの原因は線虫じゃなしにカビじゃなかったかというところに到達したような考えを御本人たちは持っておられるようですので、その辺は研究発表をよく検討をされて、林野庁としても松枯れをなくする、マツクイムシを撲滅するということが第一の目標でございますので、こういう新説が出てきて、真犯人はどうもカビらしいというようなことで、本人も発表しておるわけですので、追試をしてもらいたいというような要望もつけておられるようです。その辺ぜひひとつ横の連絡をとっていただいて、そしてみんなの力でマツクイムシというものを撲滅して日本の自然を守る、そういうふうに努力をしていただきたいと思うんですが、その点どうでしょう。
  63. 秋山智英

    政府委員(秋山智英君) 問題は、やはりマツクイムシ被害を撲滅するということが一番大切なことでございますので、私どももやはりそういう横の連絡をとりながらこれは研究してまいりたい、かように考えておるところであります。
  64. 中野明

    ○中野明君 それからもう一つは、私も素人でよくわかりませんが、こういう書物を読ましていただいていると、マツクイムシそのもの、線虫というのは二次的害虫と、こういうふうにされておるのが、マツクイムシが異常にふえて食物が不足したから強力な一次的害虫に変わったとする見方は、現象的にそうあらわれたとしても、もっと突っ込んで実験的裏づけをしてほしい、そういうような意見も述べておられる個所もあるんですが、その辺はどういう見解をお持ちになっているんでしょうか。
  65. 秋山智英

    政府委員(秋山智英君) マツクイムシが入ります松を見ておりますと、どちらかと申しますとやはり被害木といいますか、あるいは非常に精力の弱った生立木に入るというようなことから、二次害虫というふうに言われているわけでございます。この問題につきましてもいまそういうことでなっていますが、さらに総合的な検討を今後とも研究することがわが林業試験場の役割りでございますので、そういうことも含めまして目下いろいろと研究していますが、横との連絡をとりながらやってまいりたいと私は思っております。
  66. 中野明

    ○中野明君 もう一点だけ。  台風の後で大発生をしたマツクイムシが、その後三年ぐらい経過すると新たな生木を枯らすことはないという調査結果が出ている。そういうことから見ても、二次的な害虫が一次害虫に転化するという説にはこの伊藤さんという人は大変疑問を投げかけておられるようですので、その辺ももう少し、これせっかく五年間で撲滅しようと思って努力されたのが、結果的に法案も延長して、なおかつどんどん北上していくという状況ですので、鋭意横の連絡をとりながら研究をさらに進めていただきたい、このように思います。要望しておきます。  それじゃ、次の問題は水産関係に移りたいと思います。  これは大臣の予算あるいは所信の中でも、漁業経営というのは二百海里規制の強化、あるいは燃油の価格の高水準の維持ということできわめて困難な状態に置かれているということはもうわれわれも同感でございますが、特にカツオ、マグロの遠洋漁業というのは大変な状況でございます。このような業界の不振を乗り越えるために、死に物狂いで船主並びに乗組員は努力をしているようでございますが、最近、高知県の室戸市の遠洋漁業の船主が、ウルグアイに、出資金、従業員一〇〇%日本持ちの漁業会社を設立した、こういうことを言って、不振の業界にも明るい一つの活路ができたというような報道がなされているんですが、水産庁はこういう点どのように掌握しておられるでしょう。
  67. 松浦昭

    政府委員(松浦昭君) 本格的な二百海里時代を迎えまして、わが国の漁場の確保を図りますためには、相手国の漁業の開発であるとかあるいは振興に協力するといったようなことを行いながら相互の漁業発展を図るということで、合弁事業を含みますところの海外漁業協力事業というものの推進が重要になってきていることは申すまでもないところでございます。  現在の水産庁のこの種の合弁事業に対します考え方を申し上げますと、マグロ、カツオといったようないわゆる国際漁業条約等の対象となっている漁業、あるいは指定漁業等につきましては、やはり基本はジャパンフラッグと申しますか、日章旗、日の丸を掲げて外国の水域に入っていけるということで、外交交渉を展開するということが基本でございますけれども、しかしながら、どうしてもこういったジャパンフラッグで入れない水域というものがございますので、さような水域につきましては、合弁事業の実施がわが国の締結している漁業取り決め等の趣旨に反しないこと。第二に、わが国の漁場及び市場等と著しく競合しないこと。三に、すでに海外水産業を行っている者の事業と著しく競合しないといったような観点から検討を加えまして、このような水域にわが国漁業者が飛び込んでいくということについてもこれを認めていくという方針で臨んでいるわけでございます。  本件のウルグアイとのマグロ合弁の場合でございますが、まさに後者の場合に適合しているわけでございまして、従来、ウルグアイ政府が自国二百海里内の外国漁船の入漁を全然認めないという立場をとっておりまして、このために、合弁形式によりまして実質的な漁場確保を図っていくという、そういう意図のもとにこのような会社の設立が行われたというふうに考えているわけでございます。水産庁といたしましては、このような合弁事業は漁場確保の一形式として今後とも推進していくという方針でございます。したがいまして、水産庁はかかる合弁事業に対しましては、海外漁業協力財団によりますところの融資の道を開いているほか、政府ベースの水産無償資金の協力等の活用によりましてその環境づくりに努めているところでございます。
  68. 中野明

    ○中野明君 いまの長官の答弁、理解できるんですが、御承知のように南米地域というのは非常に政情不安定なところでありまして、私心配しますのは、貿易摩擦等で外国の人と話をしてみますと全然私どもの常識が彼らには通用しないと。農産物自由化にしても、アメリカはみずから輸入制限をしておって日本にはすべて自由化を求めてきておるということで、国の方針として首尾一貫しないじゃないかというような考え方をわれわれ持っているわけですけれども、向こうは一切そういうことはお構いなしに、国が一貫性があろうとなかろうと、いまとにかく問題になっているんだからこれを解決してもらえばいいんだというような、もう我利我利で攻めてきますね。日本の、お互いでしたらやはり国策というものを考えながら物を見たり考えたりするんですけれども、向こうは国策はどうあれ、いまたちまち問題になっているこれを解決すればいいんだというような、そういう一方的な押しつけのような気がしてなりませんが、そういうことをずっと考えてみますと、それぞれの国の国民の物の考え方といいますか、恐らく南米方面でも契約に対する考え方、観念というものだって日本の常識とは違うところもあるでしょうし、そういうことで心配しますのは、せっかく一生懸命に活路を見出してやろうとして努力をしているのが、結局国情の違いとか、あるいは日ごろの認識、社会通念の違いとか、そういうことで失敗をして、そしてほうほうのていで帰ってくるというようなことになったら余りにもかわいそうのような気もします。そういうことで、そういう点についてのアドバイスといいますか、何かそういうことがこれから先、恐らくこれで成功したとかいうようなことになると、ある程度またそういう活路を求めていく人もできるでしょうけれども、調子がよくいってもうかり始めると、またいろいろ横やりが出てきたりすることもあるでしょうから、そういう点についてはどうなんでしょう、何かアドバイスをやって失敗を未然に防げるような手だてといいますか、そういうことはどうなんでしょうか。
  69. 松浦昭

    政府委員(松浦昭君) 確かに先生おっしゃいますように、外国漁場で操業いたします場合には、ただいまおっしゃられましたような通貨の関係とか、あるいは船員の雇用の問題、いろいろな条件につきましていろいろと先方の政府との間で意思の疎通が欠けておりまして、そこに日本の漁民が飛び込みまして、あと非常にむずかしい困難な事態に直面するというケースがございます。さような点で、特に南米につきましては問題が起こりがちな地域であるということは事実でございます。さような意味で、実は海外協力財団等がかなりいろいろな情報を収集しておりましてその情報を定期的に流しておりまして、漁民の方々にもおわかりいただけるような形で資料を提供するといったようなこともやっておりますが、特にこのごろ私ども一生懸命やっておりますのは、このような地域の、たとえば水産庁の長官とか、あるいは漁業担当の有力な責任者を日本の国に招待いたしておりまして、このような方々との間で、政府間で意思疎通を図るということをやっておるわけでございます。実はこのウルグアイにつきましても、このウルグアイの長官、去年でございますが日本に参りまして、私もお会いいたしまして十分向こうとの話はいたしておるわけでございまして、さような意思疎通の機会を設けまして先方とのトラブルをできるだけ未然に防止していくといったようなことに努めてまいりたいというふうに考えている次第であります。
  70. 中野明

    ○中野明君 それで、このような船の日本での操業許可証というのはどういう取り扱いになっているんでしょう。
  71. 松浦昭

    政府委員(松浦昭君) この点につきましては、実は認可でつないでおりまして、許可はそのままつながっていくという形でもって処理をしているわけでございます。
  72. 中野明

    ○中野明君 そうすると、これがもしうまくいかなくて帰ってきたら許可証はまた継続して生きる、そういうことですね。
  73. 松浦昭

    政府委員(松浦昭君) そのとおりでございます。
  74. 中野明

    ○中野明君 それじゃ、先ほどおっしゃったように、そういう面で苦しい中から何とか活路を開こうとして、業者並びに漁民の人たちが努力をしているんで、可能な限り水産庁として応援をしてあげていただいて、そしてこれがうまくいくように取り計らってやっていただきたい、このように思っておりますが、お答えいただきたいと思います。
  75. 松浦昭

    政府委員(松浦昭君) これらの水域に飛び込んでいかれる漁業者の方々は、やはり相当な決意で行っておられますし、また特に中小の漁業の方々が飛び込まれるときには相当事業の命運をかけて行っておられるということを私どもよく承知しておりますので、先ほど申しましたような海外協力財団の融資あるいは無償協力その他情報の提供等を通じまして、できるだけこのような方々の支援ができる体制をとり、またその事業がうまくいくように応援をしてあげたいというふうに考えております。
  76. 中野明

    ○中野明君 それじゃ、最後にもう一点だけ、補助金のことをちょっとお尋ねしてみたいと思います。  ことしから行管庁が補助金を個々に総点検をする、こう言って発表をしておるようなんですが、農林水産省は行革という国策に従って補助金の整理統合を行っておられるのですが、そのことでちょっとお尋ねしたいんですが、確かに大幅に昨年は件数が千百二十六件から六百件というふうに半分に補助金の件数が減ったことは事実でございますが、金額は逆にまたふえているような気がするわけです。こういうことをいろいろ私一つ一つを調べてみまして、理由はあると思うのですが、いま農業に対する財界なり、風当たりというのが非常に強いときですので誤解をされたり非難を受けるようなことになってしまっては何もなりませんので、件数が半減したということによって行政手続というものがどの程度簡素化されたのか。たとえて言えば新地域農業生産振興対策ですか、これなんかが大幅に統合されておるのですが、そういうことを含めて、せっかく補助金を半減されたわけですから、行政手続その他で非常に簡素化されたというような具体的なひとつ説明が欲しいと思うのですが、どなたかお答えいただきたい。
  77. 小島和義

    政府委員(小島和義君) 御指摘にございました新地域農業生産総合振興対策、私ども長いものでございますから新生産総合対策と呼んでおりますが、この事業は今日の農業生産の課題でございます生産性の向上と、需要の動向に即応いたしました生産の再編成をそれぞれの地域の実情に応じて推進するためには、できるだけ幅広い仕組みがよろしい。またそれによって現地も補助金を使って仕事がしやすくなるんではないか。こういう観点から、従来各種作物別に分かれておりました生産対策を一本化いたしたわけでございます。その実施に当たりましての手続の問題でございますが、補助事業の実施につきましては、いわゆる要領といったものを決めておるわけでございまして、従来各事業につきまして十七本ばかりの要領がございましたが、それを一本化いたしまして、生産対策にかかわる補助金一つの要領を見れば大体わかる、こういう仕組みにして使いやすくしたわけでございます。また、手続の面につきましても、できるだけ一本化いたしまして、内容も極力整理、簡素化をいたしたわけでございます。具体的な例で申し上げますと、事業の実施計画書というのをつくるわけでございますが、従来各事業別に計画書をつくりますと、標準的な市町村でつくります計画書の厚み、これが今度の事業の仕組みによりますと、大体三分の一ぐらいの厚さのもので済むということにいたしておりますし、それから実施計画の協議という手続につきましても、これも一部提携的な事業につきましては、国との協議を要しないと、都道府県知事の判断において執行ができる、こういうことにいたしておるわけでございます。また、補助金配りのためのいわゆる補助金交付要綱というものがございますが、これも従来十本の要綱があったわけでございますが、それも一本化いたしまして、市町村、都道府県、国の段階でそれぞれ一本化した申請書で済む、一回の手続で済むというふうにいたしたわけでございます。また、都道府県地方農政局等のいわば計画を審査する方の側の事務手続といたしましても、窓口を一元化いたしまして手続が迅速に行えるようにいたしますとともに、現地におきます指導などもできるだけ一元的に総合的に行う、こういう体制をとりつつあるわけでございます。したがって、市町村段階におきますところの事務の能率化という観点からいたしますと、飛躍的に改善されたものというふうに考えておるわけでございます。
  78. 中野明

    ○中野明君 それじゃ、最後に大臣に決意だけお伺いして終わりたいと思いますが、先ほど来話が出ておりますように、農産物自由化攻勢というのは大変なものでございまして、なりふり構わない、もう筋の通った話じゃないと私は怒りすら覚えているわけですが、余りにも相手が常識外れのことを言ってくるものですから、大臣のこの所信にも述べておられるように、自由化要求には応ずることなく対処していきたいと、こうおっしゃっておりますが、ぜひひとつ余り筋の通らぬことを唯々諾々と認めておったら始末が悪いんじゃないかという気がいたしますので、不退転の決意でこれに当たっていただきたいと思いますが、大臣の決意をお伺いして終わります。
  79. 金子岩三

    国務大臣金子岩三君) たびたびお答え申し上げておりますとおり、私は頑迷といわれるほどひとつ重大な決意を持ってこの問題には取り組んでまいります。
  80. 下田京子

    ○下田京子君 まず、五十八年度の農林水産予算についてこれは大臣にお尋ねいたしますが、大臣ね、今度の五十八年度の農林水産予算は三兆六千六十七億円と対前年比でマイナス二・五%、九百四十三億円の削減でございますね。削減額では省庁別に見ますとトップなんです。この予算について大臣は新聞報道等によりますと百点満点の予算だと、こう大変自画自賛されている。一体省庁別削減トップのこの予算で何が百点満点なのかお聞かせください。
  81. 金子岩三

    国務大臣金子岩三君) 数字の上で九百数十億の減額になっておりますけれども、これは米の持ち越しが少なくなって当然減るべくして減った予算でございます。それで実際に農政を推進する上についての事業予算等を検討した場合、決して私は他の省庁に劣っておるというような見方はいたしておりません。私は百点をつけておるわけでございます。
  82. 下田京子

    ○下田京子君 これはもう大変問題だと思うんですね。所信を見ましてもこの厳しい情勢の中にあってというまくら言葉が必ず入っているんですよ。で、一応重点的にやってきたんだからというふうなことで苦しい御答弁されていますけれども、いいですか、防衛費なんかは六・五%以上に伸びていますし、経済協力は七%も伸びていますし、とにかく省庁別に見て一番落ち込んでいるのは農業予算なんですよね。これで私は百点満点つけられたということをもう農家の皆さん方にどういうふうに説明されるのか、いまのことでは納得できないわけですわ。——大臣が言ったことについてだからどうもならぬと思うのです。ごめんなさいね、大臣が言った話だから。
  83. 金子岩三

    国務大臣金子岩三君) 先ほど申し上げたことを繰り返すようでございますけれども、九百数十億落ち込んだのは食管関係の計算でそれだけの減額が生じておるわけでございまして、決して農業政策上私は、前年度からマイナスにはなってない、ゼロのものはありますけれどもマイナスにはなってない。したがって他の省庁の予算内容と比較しまして決して劣ってはいない、こういう確信を持っております。
  84. 下田京子

    ○下田京子君 納得ができませんね。  とにかくそこでまた移りたいんですけれども、そういうことで高く評価されている、大臣、この予算をね。で、土光さんと大変似ているんですね。臨調会長の土光さんも——三月十四日解散されていますが、五十八年度予算編成に政府が払った努力に敬意を表したい、こうおっしゃっています。稲山経団連会長も、臨調答申を土台に法律制度そのものを見直す意気込みで編成に当たっており、全体として前進していると。物すごく似ているのですね、大臣いまの言葉。驚きました。そういうことだからやっぱり土光さんと全く考え方が同じなんだ、こういうことになったんでしょうか。
  85. 金子岩三

    国務大臣金子岩三君) 大体性格は私は土光さんによく似ておると自分では思っているんです。これは科学技術庁の顧問をしていらっしゃいまして、科学技術博覧会を昭和五十四年度の予算で予算を確保するために私の方の科学技術庁と大蔵省と大変ないわゆる対立が起こりまして、当時の大蔵大臣金子一平さんと大変な競り合いをしてあの博覧会の実行予算をつけたわけでございます。その当時土光さんは毎週出てきまして、日本の将来のいわゆる資源のない国、非常に小さい島国であること、そういうことを強調して、やはり科学技術によるわが国の将来を期せなければほかの方法はないのだというような説得をされて、私はそれを受けてこの科学技術博覧会に手をつけたのでございます。多年の懸案であったものを土光さんからしりをたたかれてあれをやりました。やって私は非常によかったと思うわけですね。したがって、私は土光さんの物の考え方については大変敬意を表しておりますので、臨調答申に対しては最大限にひとつ尊重していくということで、各省庁の中でも農水省が一番忠実に臨調答申にこたえておる、これは定評です。これは決して農業政策を後退さして臨調答申にこたえておるわけじゃなくして、いままでむだがあったんですね。むだがあったものをやはり指摘されていろいろ検討し直してみると、やはりそこは改正ができ、合理化され、いろいろ手を加えて、農水省でも全力を挙げて大変な努力をして、臨調答申に対するお答えとしては各省庁の中でこれは一番いい方じゃないでしょうか。それから、そういうことからその九百何十億金が減ったと、こういうふうに勘ぐられては困るんですよ。それは自然現象ですから、食管関係の自然現象の減額ですよ。臨調のために減ったわけじゃないんですね。
  86. 下田京子

    ○下田京子君 とんでもないですよ、大臣。自然現象とは何ですか。これは大臣とやりとりしていると、とても笑われるような、いま笑ってお答えになっているようなことでは、いまの農民の実態、日本農林水産業の置かれている実態、所信で述べられたあるいはそれを裏づける予算を見て、全く責任者としての心の痛みを感じていないということを私は指摘しておきます。  それで、いま土光さんと大臣が個人的に性格が似ているとか科学技術のことでいろいろ学ぶ点があった、それは結構ですよ。大臣が個人的に尊敬されているその土光さんが、農業予算について何を言っているか申し上げたいと思うわけです。いいですか。これは「文藝春秋」の八二年の八月号で「自助精神と文明」という、そういうタイトルでこういうことを言っているんですね。「ああやれこうやれ、米の値段はいくらにするというので、補助してる。補助はだめですよ。もし初めのスタートに困るんならば、低利の金を貸せばいい。自主性を失わんようにする。補助をくれてやればそれが当り前だというわけで、輸入米の三倍でも五倍でも、米の値段はどんどん上げてくる。」、こういうことを言っているんです。大臣は、土光さんの言われること全くそのとおりだと、同じだと、こういうことですから、いま米の値段のことについてまで、自主性の名によって農業補助をやめちゃって全部融資に変えると、こう言っていることなんです。さらに、土光さんが出されております「これが行革だ」という本がある。この中にも、金漬け農政からの脱出が急務だと。いま日本農業は金漬け農政だというふうに大臣はお考えなんですか。
  87. 金子岩三

    国務大臣金子岩三君) そこの方は違いますね、私の考え方とは。それは土光さんがいろいろ発言をされたことが報道されたりしますけれども、それを全部私は土光さんの考え方と一緒だと、こうは申し上げてないんですよ。ただ、土光さんという人はりっぱな人で、本当に日本の国家のことを思って、選挙などのことは考えたこともなし、本当にただ将来の日本をおもんぱかっていろいろお仕事をなさっておる、そういうことに敬意を表して私も同感だと、土光さんの考え方には賛成だと、こういうことを申し上げておるわけだし、土光さんがおっしゃっていることを全部ピンからキリまで私は同感ですということは言ってないんですから、その点はひとつ御理解をいただきたいと思います。
  88. 下田京子

    ○下田京子君 私は農林水産大臣である金子大臣に聞いているんですよ。農業予算について聞いているんですよ。あれこれの一般的なお話を伺っているんじゃないんです。そこを踏まえた上で物を言わなければ、土光さんが言われていることはもっともだということでもって、農林水産予算も百点満点だとおっしゃって否定もしなかったんです。ただ、いま私が具体的に触れたことについては、そこは違うと言ったから、まあそのことだけ救いと言えば救いでしょうが、大体認識がいまの現状を踏まえてないと思います。  それで、さらに具体的に申し上げますと、臨調答申では、大臣こうも言っているわけです。補助から融資へと言いながら、その融資はどうするかというと、利子補給金を抑制せよと、つまり利子を上げろということでしょう。さらに、お米の全量管理方式を見直せと言っているんです。いいですか。次に、農業基盤の新規事業も抑制しろと、こう言っているんです。水田利用再編の奨励補助金の単価も引き下げなさいと言っている。さらに良質米奨励金の単価も引き下げなさいなどなどもう言ったら切りがないんです。そういう土光さんが、農業問題について臨調会長として指摘されていることについて大臣はどう思うのかと質問しているんです。ちゃかしたり、すりかえたりしないで、まじめにお答えいただかなければ、これは全国の農民のみならず日本の皆さん方が、何だ、大臣はと怒りますよ。はっきりしてください。
  89. 金子岩三

    国務大臣金子岩三君) 私は本気でお答えを申し上げておりますので、土光さんが本当にわが国の将来を考えて、政治家では考えつかないようなこと、政治家ではまた手を下し得ないこと、そういうことにただいちずに愛国の情熱に燃えて……
  90. 下田京子

    ○下田京子君 具体的なことについて聞いているんです。これに答えてください。
  91. 金子岩三

    国務大臣金子岩三君) いろんな問題に取り組んでやっておるその基本的な姿勢は、私は土光さんに大変敬意を表しておるわけですよ。ただ、具体的な農業政策あるいはいろんな補助金をああせい、こうせいといったいま指摘されたようなことについては、やはりそれが全部土光さんの言うとおりだということは私は言ってない。それは少し違うところもあると、こう申し上げておるわけですから。
  92. 角道謙一

    政府委員角道謙一君) ちょっと大臣の御答弁につきまして若干の経過と事実を補足させていただきたいと思います。  一つは、予算の減額問題でございますけれども、これは御承知のように、昨年の六月の段階ですでに五十八年度予算につきましてマイナスシーリングという方針が内閣として決められた関係がございまして、大臣の御就任は十一月の末でございますが、その段階におきまして、すでに要求段階におきまして前年度よりも約三百億の要求減となっていたと。また自然減と申された一つの理由といたしましては、食糧管理につきまして昨年九千九百億要求しておりましたのが、麦価の改定であるとか、米の買い入れ減等の関係で九千百億、約八百億近くの減になっておる。そういう事情がございまして、予算が総体といたしましては二・五%減ったというような事実がございますので、この点につきましては、大臣は一〇〇%とおっしゃいましたが、要求段階からのいろいろな経過を踏まえて、私どもの方の要求は大体そういう方向にかなえておるのじゃないかというような御趣旨かと考えております。  それから臨調につきまして、土光会長は確かにそういう御発言はあったかもしれませんけれども、個人的に御発言になられたことかと思いますが、臨調答申全体通してごらんいただけばわかりますように、やはり農水省のいままでとってまいりました農政の方向につきましては、当初お考えになっておられた、あるいは委員、会長その他が個人的にお考えになっていたことから見ますと、非常に農業についての理解が深まったというふうに考えておりますし、またこの最終答申等につきましては非常に厳しい内容でございますけれども、いろいろ先生指摘の点につきましても、私どもも不満な点もございますけれども、総体に農政を効率よく、また各国の国際場裏に対しましても胸を張って立っていけるような、そういう方向に努力をしていくということで相当程度御理解を得たと考えておりますので、御理解いただきたいと思います。
  93. 下田京子

    ○下田京子君 いいですか、私そこで、いや大臣だと言っててもしょうがないから、そういうことは踏まえた上で大臣に質問してるんですよ。大臣が個人的にお人がいいことは私もわかりますが、だけれども農業の責任者なんですよ。笑ったり、すりかえたりしないで、まじめにいまこの大変な中の農民のあれや日本国民の期待にこたえていくのが大臣の責任じゃございませんか。しかもいま私が指摘したようなことについて、いや、それは違うと、こう言っているから、じゃ違うなら違うでいいんです、そういう立場からお答えいただきたいんですが、いいですか、この臨調行革の基本路線というのはどういうものかというと、三つの分野のグループをつくってるんですよね。そして第一のグループは農業社会保障や文教というものを入れまして行政の果たすべき役割り、責任、領域の見直しが必要だと、こう言っているんです。第二のグループのところでは外交、経済協力、これは本来的に行政の責任領域でやるんだと。ですから、第二と比較したらわかるように、防衛だとか経済協力というのはもう行政が全部責任持ちます。しかし農業などの方は、これはいままで行政が果たしてきた役割りというのは見直して、どちらかというと自立、そういう自助という名においての国の施策から切り離していくと、これが臨調の基本なんですよ。こういう名において、先ほど言ったように、補助から融資に、融資も金利の引き上げをというふうなかっこうでどんどんと締めつけてくると、これが私と土光さんと同じだよというふうに言われたんでは、はなはだ皆さんお怒りになるのが私は当然だと思うんです。だから、どうなんだと、こう聞いたわけなんです。しかも大臣、時間もないからしっかり答えてください。土光さんはそう言いながら御自分が会長をしている東芝の補助金はどうかというと、臨調がスタートしたときから比べますと、八一年度で三十億八百万円、八二年度が三十六億円、ハ三年度が四十億八千百万円、土光さんはさっき私心がないとか、選挙のことを考えない、それは政治家でないからそうかもしれませんが、御自分が会長をしている東芝の補助金は年々上げている。農業補助金は削れ、削れ、削れ、そしていまのようなことを具体的に出されています。そういうことでやむなし、そういう状況の方でむだもあると見直して、その行政改革の線に沿っていきたいと、こういうことを言われて百点満点つけたと、なれば問題なんですよ。そういうことでしたらとても納得できないんです。はっきりさせてください。
  94. 金子岩三

    国務大臣金子岩三君) 後段の東芝に対する政府の助成等についていろいろ申されておるようでございますが、これはやはり前からちょくちょくそういう問題が出ておりまして、それの分析も公表されたりしておりますが、別に土光さんが臨調会長をしておるから、あの人の関係がある会社に補助金が特によけいに行ったというようなことは何も立証されておりませんね。私はそういうことについて、土光さんに対して不信感などはさらにさらに何もありません。ただ私が申し上げておりますのは、土光さんの言っていらっしゃることは、私は基本的に賛成であるということなんですよ。ただ具体的に一つ一つ問題を取り上げて、そして農政の今後の推進、展開について、いろいろ少し違うところがある、そこはいま官房長が説明したとおり、出かけていっていろいろ御説明を申し上げるとやはり理解をいただいてずいぶん修正ができたと、こういうことなんですから、別に何も悪いことはないんじゃないでしょうか。
  95. 下田京子

    ○下田京子君 大臣と話をしているとこっちまでおかしくなりそうです。笑ってごまかしちゃいけないですよ。いいですか、基本的に同じだったらどこが基本的に同じなのか、農業のどこの部分、いま私が話したところのどこが同じですか。
  96. 金子岩三

    国務大臣金子岩三君) 私が申し上げておるのはその一般的、一般論であって、農政の中にもやはりむだはあるわけですよ。今日までむだもあったわけなんです。こういうものは改めなさいということを端的に言っておるわけでありますから、それは改めることが当然なことで、臨調の御意見を尊重していくと、こういう方針は間違ってないと私は思います。
  97. 下田京子

    ○下田京子君 むだがあったらそれは改めると、一般的にはそうなんですが、私は具体的にどこがむだなのか、いま私が指摘したところ。一般的な漠とした話をしてるんじゃないんです。土光さんは農業についてこういう認識していると、土光さんが書いた本にもこう書いてあると、行政改革臨調答申の中でもこう言っていると、これについてどうなんですかと聞いているんです。
  98. 金子岩三

    国務大臣金子岩三君) むだというのは先ほど補助金の件数が千九百五、六十件あったのが、その答申によって大体一年かかって件数は半分になっていますね。金額は別にそう減っていないんですよ。その予算が減ったというのは、あれは別な問題ですから。それでやはりむだがあったことは事実なんですね。これはやはり他にいろんな補助金が千数百件ありましたけれども、もうすべてその当時、そういう制度をつくった、あるいは法律をつくった当時のその補助金は使命を果たしてしまっておる。二十年たつとやはり農村の実情、農政の実情、農業の、漁業の実態は大きく変わっておるわけですから、いまどのもの、どういう点に補助を出して誘い水でこれを伸ばせばいいかとか、これは使命を果たしておるからこれはもうむだだと、この補助金を打ち切っていいというような選択をしてやっているのが今日のいわゆる農水省の補助金取り扱いですよ。これはいいことじゃないですか。
  99. 下田京子

    ○下田京子君 何がむだなのかということで私が指摘したこと、土光さんの指摘していることについては何ら答えてないわけです。大臣自身も何がむだだと思っていらしゃるかということを一言も言ってないんです。私はいまの予算は十分だと思ってないし、非常にこれは農民についてあるいは農林漁業国内の大変な厳しい中で抑えに抑えて、それで増税なき財政再建だということによって削られていった結果なんです。これで百点満点だなんていうことはだれが見たって、考えたって納得できないことです。  それを大臣は百点満点と言い、それをまた撤回する気持ちもない。そればかりか、これは当然だというようなことでお話しされている。具体的な予算の中身の話は今後また詰めていきたいと思いますけれども、浮かばれないですね。大変な時代に大臣のような、——これはもう少しでも苦しい事情の中にあってやむなくがまんしていただいたぐらいの話が聞けるかと思っていたら、それすらなくて、これで百点だと言うんですから、大変なもんだと思います。時間がございませんから、後にこれは移ります。  次にお尋ねしたいことは、乳製品の需給問題でお尋ねしたいんですけれども、擬装乳製品、とりわけココア調製品の輸入問題なんです。私は毎年これ質問してまいりました。ところが実績を見ますと、年々ふえ続けてきています。暦年で見ますと、昭和五十四年に一万八千九百八十六トンであったものが五十七年二万七千二百三十二トン、生乳換算にいたしますと十五万六千トンが二十二万三千トンと、実に一・四倍にも伸びているという事態なんですが、他の委員からもいろいろお話がありましたが、自粛指導を繰り返しされていると、こういう御答弁ですが、どのように指導されてまいったんでしょうか。
  100. 石川弘

    政府委員(石川弘君) この乳製品全体の輸入の基本的な考え方を最初に申し上げましてから、ココア調製品のお話をしたいと思いますが、私一番国内の酪農乳業に競合するもの、これは御承知のように事業団一元輸入という形で一番かたい管理をしているわけでございます。それに続きまして、国内において生産をいたしましても、価格面でほとんど競争できない。典型的に申しますとえさ用の脱脂粉乳とか、あるいはカゼインといったようなもの、こういうものにつきましては、国内で結果的に競合いたしませんもんですから、需要量に応じた輸入をしている。それに対しまして、いま御指摘の擬装乳製品といいますものは、たとえば典型的に言いますと調製食用油脂の場合はバター代替品としてかなりの影響力を持つ。したがいまして、これにつきましてはすでに御承知のようにニュージーランド等と自主的な協調を結びまして、特に調整食用油脂の場合は、外国においてみずからの国で使わないにもかかわらず、日本へ送り出してきているという非常な異例な事態もございまして、そういう調整が可能となりまして、ある程度のコントロールをしている。  もう一つの、いま御指摘のココア調製品と申しますのは、御承知のようにチョコレート原料、チョコレート飲料等の原料になるものでございますが、これはやはり私ども自粛を求めているという基本姿勢は変わりはございませんが、他に代替する性格のもの、これが何か他の汎用性を持つということがなかなか、汎用性のないものということが一つございまして、国内のチョコレート生産の原料の相当部分が実はココア調製品でございます。チョコレート生産がある程度拡大をいたしてまいっておりまして、それに応ずる部分、私どもは気持ちの上では極力国内の全粉乳を使っていただきたいということで、いろんな調製をするわけでございますが、これは一つはチョコレートの価格自身、これは御承知のようにチョコレート自身、製品自身が外国からの輸入品と競合いたしますので、ここでやはりある程度の増加ということが行われてきたわけでございます。私どもチェックをいたしておりまして、チョコレートの製造量以上にこれが入ってきているという事実はございません。それから全粉乳自身が生産を減らしたということもないようでございます。しかし、やはり私どもは極力国内の全粉乳を使ってほしいという気持ちでございますので、これを所管しております食品流通局等を通じまして再々にわたりまして極力自粛するようにということを申し上げている次第でございます。
  101. 下田京子

    ○下田京子君 大分自粛指導の姿勢が変わってますね。極力という言葉はいままでついていませんでした。いつからそういうふうに変更されたのか。これは五十三年、私が質問した時点では、いまの経済局長ですが、当時審議官をしていた佐野審議官が、これは四十七年水準——四十七年水準というと幾らかというと一万七千五百三十五トンなんです。そこまで下げるようにということで強力な自粛要請もして一札をとっております、こう言っているんですよ、おっしゃるように自由化ですから。しかし、ココア調製品の大部分が——ココアはほんのわずかでしょう。だから擬装乳製品と言われているわけです。問題なんですね。  そういう点で本当にいまのようなお話になりますと、農水省の指導がいいかげんだというふうに言われても仕方ないんじゃないかと思うんですが、どうですか。
  102. 石川弘

    政府委員(石川弘君) 先生のこの問題につきましてのいろいろな御意見というものは私も全部読ましていただいております。  私、最初にこういう乳製品の総体的な考え方を申し上げましたのは、やはりこの自由化要求、いろんな形の中ですでに自由化をいたしております物資をどう扱うかという基本的姿勢にかかわるもので申し上げたわけでございますが、国内の酪農に決定的に影響を与えているものを極力排除をするというのが基本でございます。したがいまして私どもはそこに重点を置きまして、実はそういう意味では調製食用油脂の方はかなり問題が大きいんです。ココア調製品の場合はそれが国内でもし原料供給が似通った値段でできますれば代替が可能でございますが、残念ながら国内の全粉乳価格の方が相当高目でございます。しかし、先ほど申しましたように、これがチョコレートの需要をオーバーして何かなるというようなことになりますと、まさしくこれは大変な問題でございます。  当時、佐野審議官がそうお答えしました時点で、実は私も調べてみたわけですが、チョコレートの生産自身が落ちてきている、そういう事態であったわけでございますが、実はここ数年のチョコレート生産の伸びというのはかなり大きゅうございまして、私どもはその自粛を求めるということの基本姿勢は変わっておりませんけれども、何か強制権能を持って、たとえばそれを防止するという新たな手法をこのココア調製品のところでつくるということは、いまの私どもが所管しております畜産物一般輸入自由化問題との関連を考えましたときに、必ずしもそういう新たな措置をもってしてでも抑え込むということは得策ではないんではないかなと、やはり国内で使っていただく方々が極力国内のものを使っていただく、現在実は国内の全粉乳の使い方というのは余り多くございませんけれども、これを極力使っていただくという方法が適切ではないかということでございます。
  103. 下田京子

    ○下田京子君 チョコの生産よりもその調製品の輸入が上回っていることはもう局長お調べになればわかるはずです。あったんです、いまないとお答えになっていましたから。ありましたよ。それが一つと、それから極力国内でと言いますけれども、現にいま酪農生産者の皆さん方はずっとここ教年間も生産抑制をしてきているわけでしょう。そして価格も抑え込まれているわけでしょう。規模拡大で借金を抱えていると、そういう状況の中にあって、言わんとすることはわかるわけですけれども、極力だとか何かで具体的な指導をだんだんと自粛という名においてやってきてないというふうに私は思うわけなんです。しかも、見ますと、チョコレート協会の中に入っている会社がどういう会社があるかということで昨年質問して、その後資料いただいたんですよね。その資料を見ますと、これは東京証券の一部上場会社が八社入っているんですよ。しかも、輸入量のうちロッテとか明治とか森永、大手三社、これが約四割のシェアを占めているんですよ。しかもその主要な輸入業者はロッテ、三井物産、野村證券、ダイシン商事、今中、こういうことであると聞いてます。つまりココア調製品の場合には実需者も大手だし輸入業者も大手というふうなことになって、相当大手が握っちゃっているんですよ。大手に物をきちっと言えないというふうなそういう農水省の姿勢は私、問題だと思いますよ。また、いまどうにもならないというんでしたら、調製食用油脂のようにせめて事前確認制のような形で国内の酪農振興ということを本気になって考えていく手だてをとる必要があると思うんです。
  104. 石川弘

    政府委員(石川弘君) 大手業者に対しては、えさの場合でも、酪農製品の場合でも私ども必要なことは率直に話し合いをし、協力を求めておるわけでございます。  いま先生がまさしく調製食用油脂と同じようにしたらどうかというお話がございましたが、先ほど調製食用油脂とちょっと違う扱いをしている理由を申し上げましたように、調製食用油脂の場合はこれがまさしくバター七〇%、バターのかわりになるものでございます。ココア調製品の場合はチョコレート原料という特定の原料。先ほどもちょっと申し上げましたように、調製食用油脂の場合は、これは相手国が自国の生産を、流通制限をしているものを輸出用に出すということで、相手国にも相当の問題があって交渉の当事国の場に上ってきたわけでございますが、いまこのココア調製品のことだけで、これは豪州なりニュージーランドなりを相手にしましてこれを自主規制するための特定の話し合いをするというのは、私は農産物全体の扱いの中で必ずしも得策ではない、やはり使う側の日本で極力国内産のものを使うということを指導するのが必要だと思いますし、その点につきましては従来と変わらずやるつもりでございます。
  105. 下田京子

    ○下田京子君 従来と変わらずやると言いつつ、その姿勢がだんだん後退をし、なおかつその輸入量はふえている、しかも大手が四割を占めているということについて何ら具体的な対応はなされてないと、こういう事実が明らかになりました。これは問題です。  次に、バターの緊急輸入問題でお聞きしたいわけですけれども、これはいまもお話しいたしましたように、限度数量を据え置いておいて、それでもって不足するというふうな事態を考えたからだということでもって昨年三千トンの緊急輸入をなさいましたね。これに対しまして酪農家の皆さん方大変抗議している、御承知だと思うんですけれども。なぜ緊急輸入の必要が出たんですか。
  106. 石川弘

    政府委員(石川弘君) この点につきましては酪農家の方々にも十分説明をいたしておりまして、昨年の四月、五月に乳製品の生産計画を相当下回りました。われわれが予想していた国内生産すら出てこなかった時期が四月、五月とございました。当時大変好天等がございまして、バター、脱粉等の売れ行きが好転をしてまいったわけでございますが、そのまま推移しますとバターにつきまして若干の不足が生ずるおそれ、特に年末の最需要期にそういうことが起こりますおそれがございましたので、私どもその必要性について酪農関係者にも十分説明の上このスポット輸入に踏み切ったわけでございます。これは私どもは、当時一万二千トンないし四万トンありました事業団在庫が乳製品価格を非常に圧迫をして、三年も四年も乳製品価格が安定指標価格にも及ばないということから過剰在庫を極力排除しようという需給計画を立てたわけでございまして、当時三十万トンの生乳換算のものを放出する予定で立てました需給計画が、幸い結果といたしまして一年間にそれがはけたわけでございます。そのことが、最近における乳製品需給を好転させておりまして、結果的には農民の乳価の手取りもふえるという方向に向かっているわけでございまして、私どもはこの際、もし三千トンの輸入をしないで年末を迎えて、たとえば価格が暴騰いたしますならば、これは消費者の方々にも御迷惑をかけますし、またそのことが価格安定制度に傷がいくということにもなろうかと思いますので、農民の方々に私ども十分お話をした上でこの措置をしたと理解をいたしております。
  107. 下田京子

    ○下田京子君 事業団のバター、脱粉、それは在庫から、生乳換算で当初からやっぱり三十万トン放出するということを織り込んでいたわけでしょう。暮れになって云々というようなことをおっしゃいましたけれども、結果としてはそうならなくて、在庫だけは事業団からはけていったということになったわけでしょう。  そこでお尋ねしたいんですけれども、事業団が乳製品を放出する場合には、法律に基づきまして、大きく言ったら二通りだと思いますね。これは暫定法の第十六条だと思うんですけれども一般売り渡しの場合で安定指標価格の一〇四以上になったとき、あるいはそれのおそれのあるときと、それからもう一つは特別売り渡しでもって事業団の保有する数量が一カ月分を超える場合または保管期間が一年を超える場合に売り渡す、こういうことになっていたと思うんです。  四月十三日、第一回目のバター、脱粉の放出の際に、これはどういう状態だったかといいますと、資料をいただいたところによれば、七百五十一トンの放出に対しまして応札が二千四百七十五トンあったと思うんですね。競争率三・三倍という大変高いものだったと思うんです。そしてバターの平均落札価格は、安定指標価格に比べますと約一〇三・二と聞いておるんですが、そのとおりですか。
  108. 石川弘

    政府委員(石川弘君) そういうような状態でございました。
  109. 下田京子

    ○下田京子君 そうしますと、大変高い値段でもって落札したということになると思うんですね。さらに第二回目の四月二十二日、これまたバターが七百五十トン放出、応札は約二千四百トンですね。やはり三・二倍という競争率だったと思うんです。事業団のバターの放出がバターの引き上げということにつながっていったんじゃないでしょうか。
  110. 石川弘

    政府委員(石川弘君) 何度も申し上げますが、ここ数年間バター在庫が大変多うございまして、安定指標価格以下でずっと製品が流れていたわけでございます。そのことが結果的には農家としても手取りを下げ、自分の製品をうまく売れない条件をつくったわけでございますから、私どもは、どういう水準であろうが安定指標価格を若干上回るような水準がっくり出されませんと、何と申しますか、バター、脱粉というものが正当に評価をされない。現在の安定指標価格というのは五、六年前の水準の価格そのものでございます。したがいまして、私どもはある程度価格が上昇することは、これは決して悪いことではない。ただ問題は、これを暴騰させるようなことはいけないわけでございますから、私どもは、どういう水準にするかということについてはかねがね、いろいろと過去の経験等も考えまして苦労したわけでございます。かつて五十一年に、安定指標価格を上回ったということで急速な売りをやりました結果、また価格が下がりまして、国内のものまで買い込まなければいかぬかったという苦しい経験もございます。したがいまして、需給状況等を見ながら、特に当時考えておりましたのは、要するに国内生産がどんなテンポで回復するかということを一番心配をいたしておりまして、先ほど申しましたように、四、五月のころはまだ国内生産が回復してなかったわけでございます。しかしその後、例の計画生産のための経費としてつけました駄牛淘汰とかあるいは全乳哺育の金を生産の増強のために使うということを生産者団体と話し合いまして、その後、御承知のように、北海道の特に好天も恵まれまして、去年の四月からことしの一月まで北海道では六・五%増の生乳生産ができ、ましてや、余乳を使いました——中央酪農会議の余乳生産も二千トンばかりできてくる、そういう条件ができ上がったわけでございます。決してつり上げるとかそういうことではございませんで、価格の正常化を図りながら事業団は放出をしたわけでございます。
  111. 下田京子

    ○下田京子君 三千トンのバターの緊急輸入はなぜ必要だったかということについては具体的にお答えになっていませんね。それが一つと、それから、実際に高値をつくってきたんじゃないというお話なんですが、時間がなくなってしまったので、幾つかの指摘をし、また続けてやりたいんですけれども、四月の段階での第二回目、この時点で雪印がすでに値上げの通知を出されているのを御存じでしょうか。御存じのはずです。御存じですか、どうですか。
  112. 石川弘

    政府委員(石川弘君) 知っております。
  113. 下田京子

    ○下田京子君 それから、さらに雪印が六月にも値上げ通知をなされております。そして、七月段階になってさらにまた値上げをしております。その七月段階の値上げの説明でこう言っているわけですよ。値上げの理由として——無塩バターが一挙に四十円アップで六百三十円ポンド当たり引き上げているんです。引き上げの理由の中に、最近の需給動向と六、七月の事業団の落札結果から値上げせざるを得ないと、こういうふうにはっきり説明されているんです。事業団が高値で落札をした、それが先陣になって雪印が価格を引き上げた、その結果実勢価格にはね返る、こういうパターンになっているわけです。ですから、結果として、いま雪印が言われた値上げの理由にも書いてあるように、事業団の落札結果から値上げせざるを得なかったと、こう言っているんです。この辺どう見ますか。
  114. 石川弘

    政府委員(石川弘君) 事業団が落札したのでございませんで、事業団の放出したものを業者が落札したわけでございます。これは自由な競争で落札をするわけでございますが、私ども心配をいたしますのは、事業団が大量に放出し過ぎて、せっかく正常化したバターや脱粉の価格がまた低落してはいかぬという、生産者サイドからはどちらかというと放出を抑制しろという強いお話がございますが、私どもは、事業団の正常な機能を果たすためにはやはり適時適量の放出をすべきだということで話し合っているわけでございまして、事業団がそういう価格をつり上げるという必要もございませんし、事業団とすれば、極力乳製品価格が安定するように、少なくとも過去三年のように在庫が積み上がりまして市場価格より一〇%以下の価格になるような状態を何としても脱して、早く価格の正常化を図りたい、そういうことでやったわけでございます。
  115. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 下田君、時間が来ておりますから手短にお願いします。
  116. 下田京子

    ○下田京子君 はい。  乳製品がつり上げられたというのは結果として出ているわけです。そうですね。それから、四月の時点で七百五十トンの放出が必要だったのかどうか。御説明されて云々ということもさっき言っていました。——私はもう時間ないからかいつまんで言っちゃっているんですけれどもね。四月の時点からどんどんどんどん小出しに放出していったでしょう。放出する際には一定の条件がなきゃできないわけでしょう。ところが、その条件がないのに放出していったわけですよ。その放出した理由は何かと言ったら、どうも昨年に比べてことしは生産量が落ち込んでいるし、そして消費の方はどんどんふえるからだと。このまま行ったら暮れになって需要期に足りなくなっちゃうというふうなことでと説明されたじゃないですか、それで放出したと、こういう話なんですよ。そうじゃないですか。——ちょっと待って。私、時間だから言うことだけ言っておかぬとあいまいになってしまいますから。十分な時間がない中で、あれですから言っておきますけれども生産量は昨年に比べてどうかと言えば、四月から六月の時点では九六・五%、そうですね。ところが、その事業団が放出した量と合わせますとどうなりますか。これはかなり上向きになりますね。昨年に比べまして一二六・九%ということになります。ということになりますと、四月の時点で放出する必要があったのかということなんです。消費の方はどうかと言えば、これは昨年に比べて消費が伸びたといっても……
  117. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) もう時間が来ておりますから、手短に願います。
  118. 下田京子

    ○下田京子君 はい。だぶつきぎみになっちゃうんですよ。——では、この数字のやりとり、後で突き合わしたいと思うんで、委員長、済みません、一つお願いがあるんです。資料要求だけお願いしたいと思うんですが、——どういう資料要求かといいますと、事業団が放出した乳製品の落札価格がどういう事態だったかということです。さっきからそこで食い違っています。聞いていておわかりにならない点もあるかもしれませんけれども、実際に事業団が放出したその時点、時点の一体乳製品の落札価格が幾らだったのか、この資料要求をしておきたいと思います。
  119. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 本件の資料要求につきましては、理事会に諮って決定いたします。  他に御発言もなければ、これをもって昭和五十八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、農林水産省所管及び農林漁業金融公庫についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  120. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十二分散会