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政府委員(松浦昭君) お尋ねの点を分けまして、二点のポイントにつきまして御
説明申し上げたいと思いますが、まずこの書簡の性格でございますけれども、これは前回の当
委員会での御議論にもございましたように、外務省の側の答弁も一致してそうであったというふうに私
承知しておるわけでございますが、この交換された書簡は双方の自主規制措置を通報し合う形式をとっておりますけれども、その
内容は両国
政府間の長期にわたる困難な交渉を経て合意した結果をそれぞれの
政府が表明しているものであって、法律的権利義務関係は別として、外交的には十分な重みを持っていると。おのおの
政府はその自主規制措置を自国漁民に対して十分遵守させればならないものと
考えているというのが外務省の
考えであったと。また私どももそう思っておったわけでございます。現に私も韓国の
政府の人に問い合わせをいたしまして、この措置を守らせるために向こうは操業の許可状を、どういう一体権限を韓国
政府が持っているかということを問いただしてまいりました。そうしましたら、やはり操業条件ということできちんと入っておりまして、操業条件の中にこの自主規制措置というものを遵守せよという、そういう操業条件のもとにこの水域に
漁業を許可しているという状態になっております。したがいまして、操業条件の違反をいたしました場合には、当然向こう側は何らかの罰則なりあるいは
行政処分といったようなことを適用できる、そういう状態にしているということでございまして、これはただその
政府が、自主規制とは申しましても、
自分の
国民に対して
責任を持ってこの協定を、協定と申しますか合意を遵守させるという
状況をつくっているということが言えると思うのでございます。これが第一点でございます。
それから第二点は、確かに先生おっしゃられますように、この問題の抜本的な解決ということのためにはわが方が取り締まり権を持つ、つまり旗国主義によらずして二百海里を適用しているその国の権限、取り締まり権に基づいて、現在ソ連にやっておりますと同様な取り締まり権を
日本側が持つということが根本的な解決になろうということはよくわかるわけでありますし、またそれが最もいい方法であると思うと、ベターな方法であると思うということを前の今村長官も答弁しておられたということは私も
承知しておるわけでございます。しかし同時に、当時からの御議論といたしましてこの一体二百海里の適用、これを韓国にもできるかどうかという問題が当時も十分に御議論なされまして今日に至っているわけでございますけれども、その
情勢は私は御議論なすった時点といまとではやはり変わりがないのではないか、やはりそのむずかしさはあるのではないかというふうに
考えているわけでございます。と申しますのは、韓国に対しまして
漁業水域を適用するか、あるいは五条二号というものを適用するかといったようなことをやりますというと、これはやはり一方的にこれを適用するという関係が起こってまいりますので、韓国も当然二百海里を引き返してくるといった事態になってくると思います。そこにおきましてはどうしても韓国水域に出漁している
わが国漁業に対する影響も
考えなければなりませ
んし、また竹島も含めまして現存の日韓
漁業秩序との関連というものを十分
考えてみなければならない。さらには日韓関係全般にわたりますところの影響等につきましてもいろいろな問題が生じてくるということが
考えられますので、この前、
大臣からも確かにむちゃくちゃな操業であるということをおっしゃいましたと同時に、これは慎重に検討しなければならない問題だということも御答弁なさっているところでございます。したがいまして、この問題はやはり二百海里の適用ということにつきましてここで踏み切るかどうかということにつきましては、相当にこれは慎重な検討をしなければならぬというふうに
考えるわけでございます。さようなことを前提にいたしますれば、もちろん現行の取り決めというものをそのまま延長するということにつきましては、これは取り締まりの
内容がいまのような状態では不十分であるという問題、あるいは資源の保全の
状況といったような点について武蔵堆その他に相当な問題があるといったような問題、こういう問題は先方と十分に話し合いはしなければならないと思いますし、これを補完するような、また実効あらしめるような措置を国会の合意の中で先方と十分に話し合っていかなければならぬ、そのための努力は尽くしたいと思うわけでございますが、二百海里の適用という形でこの問題を解決することはやはり私は困難な
情勢にあるのではないかというふうに
考えている次第であります。