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政府委員(松浦昭君) まず韓国漁船の問題につきましてお答えを申し上げます。
先生御指摘のように、この
北海道の周辺の水域におきましては、
昭和五十五年の十月に前長官の今村長官の時代にいわゆる自主規制の約束ができまして、その後今日まで推移をしてまいったわけでございますが、昨年の暮れからことしの初めにかけまして
期間禁止水域に韓国漁船が入るとか、あるいは禁止水域に入っているとかという違法な操業が起こりました。また定時に船の位置を通報してくることが決められておったわけでありますが、これを励行しないとか、あるいは漁具の通報を受信しないといったような
事態が起こりました。
北海道の漁民の方々を中心にいたしまして非常に強い御陳情もあり、非難の声が起こったわけでございます。また西日本の水域におきましても、これは日韓の
漁業協定に基づきますところの合意書に書いてございます底びきの禁止ラインの中では韓国漁船が操業しないという約束になっておりますが、これも非常に頻繁に破られておりまして、この水域における
漁業者の方々非常に御苦労なさるという
状況になってまいったわけでございます。そこで、大臣の御命令によりまして私、三月の十日から十二日までソウルに参りました。先方の水産庁長でございますところの金庁長とお話し合いをいたしてまいった次第でございます。
このことにつきましては、まず
北海道周辺水域の問題から御説明を申し上げますが、先方もこの水域につきまして、長い間いろいろな問題があり、五十五年からはようやくこの合意書が、合意ができまして安定的な関係ができたことは今後とも続けていきたいと、話し合いによって問題を解決していきたいということを申しておったわけでございますが、私どもといたしましては、このような水域におきまして違法な操業が行われると、約束の違反が行われるということにつきましては厳重に抗議をするということを申しますと同時に、特に
北海道、それからまた西日本の水域の方々、沿岸
漁業者の方々が非常に強い非難の声とともに二百海里の適用を韓国に対してしてほしいということを強く要望しておられたということは先方にはっきりと申してきたわけでございます。
そこで、私どもとしましてはこのような抗議と同時に、またこのような韓国漁船の操業をこのままにしておったら不測の
事態が起こる、大変な
事態が起こるということも先方に申しまして、これが是正を求めたわけでございますが、これに対しまして韓国の側といたしましては、操業秩序を守らせるということで一層これを徹底いたしますということから、一つは韓国の指導船、これは取り締まり船でございますが、この取り締まり船を早急に
北海道周辺水域によこすということを約束をしてまいったわけでございます。実は本日電報が入りまして、この約束に基づきまして先方は三月二十一日からムグンファ九十一号、千三百四十ト
ンの監視船でございますが、これを
北海道の襟裳以西及び武蔵堆
漁場に派遣をするということを言ってまいっておりまして、先方もこれを誠実に守っているという
状況でございます。
それからまた、第二点として申しましたのは、違反船の船長等に対しまして再研修を行って協定を十分守らせるということを言ってまいってきたわけでございますが、これも本日電報がございまして、
北海道沖の出漁船の船長及び一等航海士に対しまして毎航海出漁前に日韓合意事項の教育を実施するということを言ってまいってきております。このようなことで、取り締まりの徹底を図るということを先方が申してきた次第でございます。
なお、これに加えまして、先方が実務者協議を通じまして、どのようにしたら最も取り締まりを効果的に行えるかということを相互に協議しようということを申してまいっております。
それから、第二のお尋ねの今後の期限切れに対してどうするかという問題でございますが、私ども本年十月末に期限切れを迎えるこの
北海道及び済州島周辺の水域に関します操業の自主規制、これにつきましてはまず
資源問題を
議論してほしい。特に武蔵堆の水域におきましては非常に
資源が枯渇して、わが方のタラはえ縄
漁業は係船の状態になっているということも先方によく申しまして、まず
資源問題を加害者を入れて
議論してほしい、それからまた操業上のトラブルを防止するためにはどうしたらいいかということを実務者間で会議をしてほしいと。それから今後どうしようかということを話し合おうではないかということにいたしてまいりました。実はその
最初の実務者会議を四月の下旬を目途に開くということに約束して帰ってまいった次第でございます。
このほか
北海道の沿岸漁民の方々が非常に強くおっしゃっておられました漁具被害の処理の
推進につきましては、両国
政府が民間団体を強力に指導するという約束をしてまいった次第でございます。
なお、西日本の水域につきましては、これも私どもその操業の非常に秩序が乱れている状態を指摘してきたわけでございますが、先方は監視船をできるだけ常時派遣するということで監視体制を強化するということと、監視船同士の通報
措置でございますが、通信方法を実はこの半年かかって詰めてまいったわけでございますけれども、ようやくこれが私の参りましたときに合意に達しまして、四月の十五日からこの新しい通信方法によって監視船同士の話し合いをいたしました。それで効果的な取り締まりをするということで合意をいたしてまいった次第でございます。
このようなことで、かなり韓国側も、少なくとも行政庁は前向きにこの問題に取り組みたいという姿勢を示しておりますので、今後十分に先方と協議をいたしまして、できるだけ効果的な取り締まりの方法及び
資源の
状況を安定的に
確保できるような、そういった今後の取り組みをやっていかなきゃいかぬというふうに考えて、努力をいたしたいというふうに思っている次第であります。
なお、第三点のお尋ねの日米の関係、日ソの関係を簡単に御説明を申し上げますが、日米の
漁業関係につきましては、米国はいわゆる自国の
水産業を
発展させるということのためにフェーズアウトということを
外国船についてはやりたいという動きが非常に活発になってきておりまして、私どもこれが対応策に非常に苦慮をいたしているところでございます。それからまた、これも当
委員会で御説明申し上げましたが、フィッシュ・アンド・チップス・ポリシーという言い方を先方はしているわけでありますけれども、要するに漁獲量が欲しい場合にはチップを出しなさいということだろうと思うわけでありますが、対米
協力ということでいろいろな面での
協力をやることによって、それに応じて漁獲割り当てを行うという
法律の
内容になっておりまして、そのようなことから非常にこの面ではむずかしい
漁業交渉が
展開を予想されるわけであります。また入漁料につきましても、まだ決まっておりませんけれども、相当の引き上げを先方が通報してまいっておりまして、こちらがこれに対応しているという
状況でございます。
さらに加えまして、実はこのような非常にむずかしい
状況の中で、私ども一月の漁獲割り当ては五十七万五千トンという量を
確保したわけでございますけれども、問題は四月、それから七月の割り当てがどうなるかということが非常に気になっておりまして、特に気になりますのは、捕鯨問題がこれに絡んできておりまして、捕鯨問題でございます、捕鯨問題がこれに絡んできておりまして、先般クロンミラー大使及びバーン・ノア長官が日本に参って私が応対をいたしたわけでございますが、その際においてもやはり捕鯨問題を非常に強く取り上げておるわけでありまして、さようなことから特に米国の
国内において四月の割り当てにこの捕鯨問題が影響してこないかどうかということが非常に気になっている点でございます。
また日ソの関係におきましても、先般日ソ、ソ日の
漁業交渉を行った際におきまして、ソ連側は引き続き日本水域において規制の緩和を求めてきておりまして、これに応じなければソ連水域における対日の割り当て量を大幅に削減するということを言ってきております。先般参りましたカメンツェフ大臣が
最初に取り上げました問題もこの問題でございました。またこの四月にサケ・マス交渉が行われますが、従来までの交渉の経緯あるいはカメンツェフ大臣が訪日した際に、サケ・マス漁船を含む日本漁船の違反を相当強く指摘してきたということからも、必ずしも交渉はたんたんとしたものではないというふうに私どもは考えておるわけでございます。
このようなことで日米、日ソともに決して楽な交渉が予想されるわけではないわけでございますが、対米関係につきましては、
わが国は二百海里水域内におきまして伝統的な漁獲実績を持っておるわけでありまして、百四十万トン近い漁獲量をいまでも
確保してきておるわけであります。また、日米関係の
一般関係というものも決してこれを、友好的な関係を崩してはいけないというふうに先方にも思ってもらわなきゃいかぬと思いますし、わが方も同様でございます。またわれわれは、フィッシュ・アンド・チップス・ポリシーの面におきましてはスケソウダラの洋上買い付けということも実施しておりますし、またアメリカの
水産物の五〇%はわれわれが買っているという一大市場であるということも事実でございます。かような点をアメリカ側にも十分に評価をしてもらわなきゃならぬというふうに考えておるわけでございまして、このような関係を十分先方に説明いたしまして、特に
わが国の
漁業に影響のない
範囲内において可能な
協力はやっていくんだという姿勢をとりながらこの
漁場の
確保に努めていくということが必要だろうと思います。
それから対ソ関係でございますが、これは先月カメンツェフ
漁業大臣が……