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政府委員(
藤井貞夫君) 総合管理庁の
所掌事務等を表現いたしまする場合に、ある過程で人事院の現在持っておる事務の一部を総合管理庁の方に移したらどうかというような御
提言があった時期は確かにございます。ただ、その後いろんな
いきさつがあったようでございます。また、われわれも直接に
臨調の方から御
意見を求められまして、われわれの
考え方というものを申し上げたというような事実もございます。
そこで、私が現在の時点で解釈をいたしておりまするのは、人事院の権限の中で具体的に申して
法律その他の規定でもって総合管理庁ができた場合にそこへ移ってまいるということはないと思っております。ごくせんじ詰めて見てまいりますと、
一つは研修の問題がございまして、研修についてはもう少しやっぱり人事院とそれから新しい
機関というものとの間で密接な連絡を遂げた方がいいものがあるのではないか。現在、
先生も御承知のように、合同主任研修というのがございまして、上級試験に合格した者を四月の初めに各省庁に配属いたしまする前に全部一堂に会して、若干合宿もやって、そして各省庁にこだわらない要するに全般的な
政府の公務員としての心構え、一体感というものを養うようなねらいを持ちまして研修をやっております。
そのほかに、私のところで三つの段階に分けて係長研修、
課長補佐研修、それから
課長さんを対象にする管理者研究会というものもやっておるわけでありますが、そういうものの中でやはり
政府の
立場としてもう少しこういう面もやってもらった方がいいじゃないかというような御
意見もあるだろうし、そういう点は十分ひとつ連絡をとってやっていくことはいいのではないか。そのことは、私は具体的には御相談申し上げていくわけですから、そのこと自体はそんなことは要らぬことだとは申し上げるつもりはございません。
それからもう一点、いま
先生がお述べになりました
内閣としての各省庁の人事
行政統一上、調整上必要であるというような
事項の——これは人事局にもいまあるわけですね、新しく仮に総合管理庁ができればどういう形になるかしれませんけれ
ども、そちらへ移るということになるんでしょうが、それの具体的な
一つの適用の例として、現在人事院がいろいろやっておりますものの中で、たとえば各省庁の
課長級の選考その他ですね、これはやっぱり政治的な中立性ということあるいは情実が入ってはいけないということでチェックしておりますが、そういうことで、やはり従来の経験上から見て、一定の基準を人事院が決めさえすれば余り細かいことで一々手続的に承認申請を出してというところまでいく必要もないものが出てきておることも事実です。
そういうことでだんだん各省に任しておりますが、任した事柄について各省庁としてはやはり足並みをそろえることが必要ですから、そういうことは現在人事局がやっていらっしゃいますが、そういうものが今後幅がある程度ふえる可能性はあろうと、それは人事院が
行政の変化に従って各省庁にお任せすべきものはお任せするというものが出てくれば、それの統一保持上その仕事をやっていくということになるのではないかというようなことを言われておりますが、その程度のことでございまして、私といたしましては総合管理庁云々については、いま
政府部内でどういう取り
扱いをされるかということを検討中でございますので、これについてのいろんな批判は避けさしていただきたいと、こう思っております。
ただ、若干饒舌になって恐縮でございますが、私は、この公務員制度というものを
考える場合には、いま行管長官言われましたように、やっぱり
政府の
責任においてやる場合に、組織管理、定員管理あるいは人事管理、これを集中的、ある程度能率的にやっていくというのは
一つのポイントであろうと思います、能率を上げるためには。それと同時に、公務員制度全般を
考えまする場合には公務の特殊性、したがって公務員、その公務に携わる公務員にはやはり不偏不党で人材を集めていくという必要がございますので、それ相応の処遇はしてあげなければいけない。
それと同時に、やはり公務員としての
立場からいろいろなむずかしい服務規定というものは遵守を願わなきゃならぬ。なかんずくその中では、これもいろいろ御議論のあるところですが、労働基本権というものの制約もある程度はやむを得ない。それは現行制度がそういうふうになっております。それだけにやはり職員の利益の保護、採用する際にはやっぱりいい人が採れなきゃいけませんからそれ相応の処遇をすると、そういうような
意味の政治的中立性を確保するため、あるいは利益の保護を図るため、安んじて職務に精励し得る体制をしくため、こういう配慮は常に総合的にやっていかなきゃならぬ。やはり全般的に見て事を決する場合にはこれは忘れられてはならない視点ではないかと、これが私の基本的な
立場でございます。