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政府委員(
藤井貞夫君) 農水省の
関係の天下りに関する事件につきまして去年
先生から御
指摘がございました。
人事院といたしましても、問題の重要性にかんがみまして、農水省とも連絡をとりながら調査を進めてまいっておったところでございます。それの関連で追跡調査ということを農水省が
実施をせられまして、いま
お話がございましたように三百六十五名中一名ということでございます。私も、いま
先生が言われましたように、三百六十五名中のたった一名かというような認識は持っておりません。そもそも一件でもこれは違反があってはいけない。そういうやっぱり厳密な法の適用というものを確保していかなきゃならぬ性質のものであろうというふうに私自体は認識をいたしております。そういう角度で各省庁とも十分連絡をとってやってきたつもりでございますが、しかし事実こういう事件が一件、一人であるといえども発生したということは大変遺憾なことでございますので、今後はさらにそういうことのないように指導の徹底というものを図ってまいりたいというふうに
考えております。
ただ、いまお述べになりました追跡調査ということの
関係でございますが、これは、特に今回の場合は具体的な事例というものが
指摘をされたこともあって、その実態を明らかにするという意味で農水省とも連絡をとったわけでございますが、全般的に追跡調査というようなことをやるかどうかということになりますと、実は
公務員の民間への就職制限というものが、これは実は世界的にも、各国調べましても大変異例と思われるほど非常に日本の場合は厳しい
制度になっております。特に
公務員たる職を退かれて民間でもって仕事をしていらっしゃると、現に。そういうところへ
——効果としては違反が起きないような予防
措置というような効果もあるかもしれませんけれども、しかしそういう仕事をしていらっしゃるところに、周辺に対していろいろ調査をするとか聞き回るとかいうようなことが果たしてやり方として妥当であるのかどうかということを
考えますと、これはやはり相当慎重な配慮でもってやっていかなければならぬのだと思います。
法の厳正な適用ということもございますけれども、やはり
公務員であって、もう
公務員でなくなった人の職業選択の自由に基づく行動でございますので、そこにおのずからなる穏当な限界というものがあってもしかるべき問題ではないかというふうに
考えておりますので、それらの点についてはやはり相当確たるそういう事情というものが出てまいるというような
段階でないと、軽々にこの問題に全般的に取り組むということはいかがなものであろうかというふうに
考えております。
しかし、いずれにいたしましてもこの問題は、特に
国民一般が大変な関心を持って批判いたしておる、注視をいたしておる重要な問題でございますので、私たちといたしましてもさらに心機を新たにいたしまして、この問題の重要性というものを
公務員諸君にも徹底をする、また各省庁とも督励をいたしまして、間違いのないように厳しい運営をやってもらいたいと、そのために全力を尽くしたいと思います。